○濱野
委員 関連して。ただいまの
刑事局長のおことばのうちに、酒に酔っての運転、無
免許の運転、そうして高速度の運転、これらは
過失というよりは、むしろ故意による傷害と
考えたほうが適当である、こういう御
意見でありますが、私はこのことについては全く同感でございます。ただ、ここで一言私が重ねてお伺いしておきたいのは、高速度ということが故意にひとしい殺傷事件のそもそもの原因になるということにつきましては、現状にかんがみて非常に大きな問題が出てくるわけであります。それで法務省でも高速度運転の
事故件数というものを明らかにしてもらいたい。私
どもの承知しておる範囲においては、おおむね傷害事件、いまの
事故の事件というものは高速度によることが多い。酒に酔ってのこともさることながら、無
免許というようなこともさることながら、その
事故の原因の多くは速度に原因がある。統計を見ても私
どもはそう
考えております。そこで、
刑法で処罰する対象、すなわちそういう犯罪人をつくる前に、この
委員会で、もっとそういう犯罪を起こさなくても済むような、そういう環境をつくる必要があるんじゃないか。たとえば文明はますます時間的な差を縮めていく。スピードはアップされてくる。それは世界の大勢であります。それに逆行するような
制度というようなものは大いに
考えなくてはならないということで、今日では飛行機も列車も自動車も、ことごとくスピードアップしておることは御承知のとおりであります。しかし、そのために今日の
事故件数を見ると、アップすればするほど陸上輸送、ことに自動車等におきましては
事故件数が多い。私は、新幹線といわれる日本の誇るべき列車運行についても、その危険が皆無であるとはいえないと思う。今日ではたいへんな
事故はないが、間違えばあれは何千人かの人間を一ぺんに殺す
可能性が十分ある。日本の
技術陣はそういうことはないと言っておりますが、私
ども専門家でありませんからよくわかりませんけれ
ども、あれだけの速度で走って行くのですから、何かちょっとしたことがあれば、あの列車の転覆というのは避けられない。転覆が起きれば何千人かの人間を一挙に殺してしまう。しかし世の中は、そういう
危険性を予知しながらも
技術を信頼してスピードをアップしていく。これがいまの大勢です。しかし、新幹線は別として、おおむね自動車
事故を対象として今回の刑
法改正が行なわれるのでありますが、その行なわれる前に、そういうようなものの犯罪が非常に多い。したがって、その前に、法務省でも、それを何とか解決するくふうがありそうなものだとして、国の機関である法務省は、関係官庁とも合議してもらう必要があるのじゃないか。むろん私は、刑
法改正の決定前にいろいろの役所の
意見を聞き、またわれわれの
意見も述べて、そうして最後のところをつくりたいと思っておりますが、いずれにしましても、高速道路ではスピードアップというものは文明の当然の帰結である、そのスピードが人を死傷している。ですから、そこに大きな矛盾があって、この
刑法を
改正する前に打つ手があるんじゃないか。たとえば局長こういうことであります。いま運輸省では、自動車のスピードにつきましては、私はほとんどその制限を加えずにいるのが実際だ、そう思います。ところが実際、陸上輸送のような場合は、道路は御承知のとおりなのであります。アメリカやイギリスや、北欧あたりの道路の
事情とは全然違う。しかも、その国とひとしきスピードでどんどん走っておるわけであります。ですから、今日あなた方が
刑法を
改正しなければならぬという世論が出るように、そういう
状態にまで追い詰められてきている。しかし、この原因も、これは日本の道路
事情にもよりますし、また道路を走る車の車体構造がスピードが幾らでも出るようなそういうもので、ほとんど無制限な
措置をとっている。また
危険性を
考えざる、そういう
措置をとっているところに今日の
事故が頻発するのではないか。究極においては、それをなおざりにして、法務省当局は世論というものにかんがみて、この提案の趣旨を
説明されているのでありますが、総合的に
考えますと、実際はこの以前に、
警察庁なりあるいはまた運輸省なりが、この日本の道路その他の現状に即した、そういう
事故防止というようなものが行なわれるべきではなかろうか、こういうふうに
考えております。ですから私は、法務省におきましても、運輸省並びに
警察庁に対しまして、スピードがアップされてどんな
事故件数が生まれているかというようなことを一応調べられて、そうしてこの
委員会にその統計を提出してもらいたい。これは多いことは事実でありますし、またあなたのおっしゃるとおりですけれ
ども、無
免許、泥酔、それからまたスピードアップ、これは悪質な犯罪の原因であることは私も肯定するのであります。しかし、少なくとも刑
法改正だけが先ばしって、そうしてその他の
制度の
改正が行なわれませんと、これは私は国全体から
考えますと、適切なる方途ではない、こう
考えておるわけでありますが、この機会に一挙にひとつスピードアップによるそうした
事故件数の増大もこの場合何とか抑止したい、そういう
考えから私は思いをいたしておるわけであります。そこでひとつ統計を御提出いただきたい。法務省でも、刑
法改正前に提案なさるのでありますから、世論はさることながら、そういうことも参考にしたのだろうと思いますから、そういう数字があれば次の機会でよろしゅうございますから、ひとつ御提出を願いたいと思います。