○津田
政府委員 よく
新聞なんかに、
法務省と最高裁判所と、少年法の
改正をめぐりまして意見の対立があるというふうなことが報道されておりますが、私
どもその局にある者といたしましては、必ずしも意見の対立があるというふうには
考えておらないわけでございます。しかしながら、
世論を見てまいりますと、少年につきましては現在日本では二十歳を年齢の限度といたしておりますが、年齢を引き下げるべきじゃないかという意見がかなり強いわけでございます。その意見に対しましては、私
どももまだ最終的に結論は出しておりませんけれ
ども、年齢引き下げについてはやはり
世論のおもむくところが正当であるというふうに
考えるわけでございます。しかしながら一方、これはいわゆる現在の十八ないし十九というようなものに対して
刑事責任を中心とする
責任を負わせるということになるわけであります。したがいまして、その面におきましては保護主義は一歩後退するということになるわけであります。ところが、裁判所
方面あるいは有力な学者のうちには、世界の趨勢は保護主義を拡張すべきであって、むしろ少年の年齢は引き上げるべきであるという意見がかなり強いわけであります。まあ裁判所は、さしあたって引き上げるべきだという主張ではございませんけれ
ども、少なくとも年齢を引き下げることはとんでもないという
考え方が強いわけであります。そこで私
どもといたしましては、その年齢を引き下げることの効果が、現在問題になっておる少年問題の解決にどれだけ役立つかという問題について、研究を重ねるということが
一つの大きな問題になってまいります。それと同時に、現在
法務省で一応
考えてみました案といたしまして、青年層をとらえて特別の裁判所を設けるといういわゆる青年裁判所構想、すなわち十八歳以上二十三歳くらいまでを青年層といたしまして、これにつきましては
刑事処分と保護処分とをあわせ適用する、あわせと申しますか、その適応性に応じて
刑事処分を行ない、あるいは保護処分を行なう。現在二十歳以上は成人でございますので、これは保護処分は行なっておりませんわけでございますが、それを二十三歳までは保護処分も行ない得るということを
考えてはどうかというような、これは外国にも若干の立法例がありますが、ということも
一つ研究の対象にいたしておるわけでございます。その理由は、要するに二十歳と申しましても、個人によりまして心身の成長度に非常に差がありますので、そういう
意味におきまして、二十三歳くらいまでの者については保護処分も適用してよろしい、しかしながら、心身ともに発達している者については、十八以上の者であっても直接の
刑事処分を負わしてもいいのではないかという
考え方に出ておるわけであります。かれこれそういうような問題につきましていろいろ検討をいたしているわけでございますが、少なくとも裁判所
方面におきましては、年齢引き下げには非常な強い反対を示しているというのが現状でございます。