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1965-03-09 第48回国会 衆議院 法務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月九日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 加藤 精三君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小金 義照君 理事 小島 徹三君    理事 田村 良平君 理事 細迫 兼光君    理事 横山 利秋君       唐澤 俊樹君    四宮 久吉君       千葉 三郎君    中垣 國男君       濱野 清吾君    早川  崇君       山手 滿男君    井伊 誠一君  出席政府委員         法務政務次官  大坪 保雄君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君  委員外出席者         検     事         (大臣官房司法         法制調査部司法         法制課長)   山根  治君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部参事         官)      貞家 克巳君         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局         長)      菅野 啓藏君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 三月五日  改正刑法準備草案第三百六十七条に関する請願  外一件(鈴木茂三郎紹介)(第一〇八五号)  同(田中伊三次君紹介)(第一〇八六号)  同(藤枝泉介紹介)(第一〇八七号)  同(帆足計紹介)(第一一五〇号)  同(小金義照紹介)(第一一八三号)  同(帆足計紹介)(第一一八四号)  同(重盛寿治紹介)(第一二一四号)  同(藤枝泉介紹介)(第一三二五号)  同(粟山秀紹介)(第一三四一号)  同外一件(重盛寿治紹介)(第一三七〇号)  同(野田卯一紹介)(第一三七一号)  同(粟山秀紹介)(第一三七二号)  同(小川平二紹介)(第一四一一号)  同(天野光晴紹介)(第一四一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第六四号)      ————◇—————
  2. 加藤精三

    加藤委員長 これより会議を開きます。  訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。井伊誠一君。
  3. 井伊誠一

    井伊委員 裁判執行制度の根本的な進め方について、その調査の状況をお聞かせを願いたいと思うのです。  昭和二十九年にすでに法制審議会に対して、この根本的な制度のあり方について改善するところがあればどういう点を改善すべきかということの諮問をしておられる。それに対して、今日までその答申なるものは出ていないと考えるわけでありますが、その間の進め方を、いまどういう程度のところまで出ておるかをもう少し御説明を願いたいと思います。
  4. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏制度に関します法律制度改革ということになりますと、これは法務省の所管でございまして、法律改正に関しまして法務省がとっておられる方向と申しますか、態度と申しますか、そういうものにつきましては、裁判所といたしましても十分協力してまいるつもりでおるのでございます。ただいままでの法律改正作業と申しますか、そういうものが法務省においてどういう程度に進んでおるかということにつきましては、詳細は法務省のほうからお答えがあろうかと思いますが、私ども裁判所といたしましても、執行吏制度に関します法律改正につきましては、法務省からいろいろ御相談も受け、そうしてまたわれわれとしての意見も述べておるわけでございますが、御承知のように昭和二十九年に法制審議会の小委員会におきまして、大体の方向として、ただいまの手数料制度による執行吏制度というものを、俸給制度による純粋の公務員としての執行官制度に改めたらどうかという、そういう方向で将来の執行制度というものを考えるという一応の方向がきまりまして、そうして、そういう方向でいくとして、どういう点に問題点があるのかということにつきまして、さらに小委員会の中の特定の委員と幹事が準備会というものをつくりまして、そうして二十九年以来すでに百数十回にわたる準備会というものが開かれたように聞いております。そうしてそこで、主として執行官制度をとった場合の問題点といたしまして、執行官制度をとった場合の執行官権限である、すなわち執行官執行裁判所との間の権限関係をどういうふうに考えていったらいいかというような点、あるいは執行官制度及び執行官監督関係というような点がいろいろ問題点として論ぜられまして、あわせて現実面といたしまして、もしこういう執行官制度に切りかえる場合において、はたしてそれに必要な人員が補充できるか、そして何ぶん執行ということは非常に困難な仕事でありますので、相当法律的素養、人格、識見を持っておる人でなければなりませんので、そういう人たち相当の人数集めることができるかどうかという現実面、しこうして、そういう人たちをどういうふうに処遇していけばいいかという問題、そういう点がこの百数十回にわたる準備会において議論されたのであります。しかもなお、こういうふうな完全な公務員制度に改めてもそこに残る問題が実はある。すなわち、ただいまいろいろ問題になっておりますブローカーであるとか、あるいは道具屋とかいうようなものが、手数料制度公務員制度に改めたからといって直ちにそれが解消できる問題でもないというような点もございまして、なおかつ手数料制度俸給制度に改めますれば、やはりそこに能率が下がるという問題があるのではないかというような議論も出されまして、しかしながら、何と申しましても俸給制公務員制度にいたしますれば、監督の面あるいは事務の統一ということが、これは手数料制度によるただいまの制度よりもはっきりいたしますので、原則としては、やはり公務員制度に切りかえるべきだということを前提としながらも、なおただいま申しましたようないろいろな諸点について検討を加えておるという状態でございます。
  5. 井伊誠一

    井伊委員 御答弁では、法制審議会における審議内容がどうもあまりよくわかりませんが、菅野さんは直接は法制審議会のほうには御関係ないわけですか。
  6. 山根治

    山根説明員 法務省からお答えを申し上げます。現在執行吏制度改善につきまして、どういう点が問題になっておるかということのお尋ねであったと思いますが、法制審議会強制執行制度部会の小委員会準備会を、先ほど菅野民事局長も申し上げましたように開いておるわけでございますが、その内容といたしまして、執行吏国家公務員に改めるということを内容といたしまして、国家公務員に改めました場合の執行官としての地位をどうするか、あるいはその任用制度をどういうふうにするか、あるいは給与制度をどういうふうにするかという点がまず第一に問題になっております。給与制度につきましては、執行官が非常に職務上好ましい職業ではないという点からいたしまして、相当の給料を支給しなければならぬという要請がある一面、他の国家全務員給与との均衡からいたしまして、必ずしも一そう高い給与を支給することができないという事情もありまして、その給与格づけをどうするかということがまず第一に問題でございます。第二点といたしまして、執行官にどういう権限を与えるかという点が問題になっております。従来執行裁判所が行なっております執行行為につきまして、すべて執行官がこれを担当するということにするか、あるいは執行裁判所はそのままの権限として残しておきまして、その他の執行吏が従来行なっておりました権限のみを権限として与えるようにすべきかというような組織権限の問題が問題になっております。さらに執行官制度にいたしました場合に、先ほど民事局長が申されたように、全国的に相当大きい規模を持った組織というものをつくらなければなりませんが、その組織を充実させる程度の人材というものを補給することができるかどうかという点につきましても、なお慎重に検討すべき点があるというふうに考えられておるわけでございます。  これらの点につきまして、法務省といたしましても量商裁判所と協力いたしまして、現実執行官制度を実施いたしました場合にどれだけの事務員があり、また、どれだけの人員が必要であるかということにつきまして資料を得るように調査いたしておるところでございます。
  7. 井伊誠一

    井伊委員 複雑多岐にわたる内容を持っておるので、その審議がなかなか進まない。結論を得るに至らないで今日に至っておるということは伺って大体わかるのでありますが、もう十年余もたっていることで、その審議内容として非常に難点のある点、おあげになるような点などは、これは着手すればそれが難点であるというようなことは、これは最初からわかっておるので、もうそれをどういうふうにして実行に移すか、そのほうに急いでおられるべきはずだと思うのですけれども、おおよそ十年余も、かかってまだ答申ができない。この先の大体の見通しとしては、根本的な制度改善策が立てられる見通しというものは、これはつかないのでありますか。近い将来にというようなことは承っておるのですけれども、その見通しはどうなんでしょう。
  8. 山根治

    山根説明員 執行官制度を実施いたしました場合には、民事訴訟に関する法令も整備をいたさなければならないことになるわけでありますから、先ほど申し述べました諸種の点、その他民事訴訟手続法令改廃等を考えてまいりますと、なお数年間十分に慎重検討しなければならないように考えておるわけであります。
  9. 井伊誠一

    井伊委員 これは確かに、執行制度根本的改正ということは、他の法令改正というようなものともどうしても関連すると思われるので、根本的な問題はこの制度だけを切り離してやれる問題ではない。そうするとこの答申は、執行制度民事訴訟法改正、あるいは裁判所事務管轄の問題にこれが拡張されるあれもあるというようなことを承っておるのですが、そういうようなものと、裁判所法そのものとの関係もできてきたりして、なかなか広い関係を持つのではないか。そうすると、この答申というものは、執行制度そのものだけではきまらないと見なければならない。これは司法制度の全般にわたっておるような感があるのでありますが、結局、それらのものをみな検討した上でなければこの答申は出ない、こう思われるのですが、どうでしょうか。
  10. 山根治

    山根説明員 井伊委員お尋ねになりましたとおり、執行吏制度につきましては、司法制度基本に関連いたしておりまして、先ほどお尋ね簡易裁判所事務管轄の拡張ということを考えます場合にも、現在地方裁判所管轄に属しております強制執行事件簡易裁判所管轄に属させるかどうかという点につきましても、ある程度関係してまいる次第でございます。そういうような点につきましても、執行官制度をとりました場合にどういう影響を及ぼすかということにつきましても検討を要する問題であろうというふうに考えております。しかし、この執行官制度自体につきましては、御指摘のとおり相当な長期間をかけて審議をいたしておりますので、先ほども申し上げましたように、ここ数年間お待ちいただければ、ある程度の成案を得るものであるというふうに考えております。
  11. 井伊誠一

    井伊委員 前にも上村委員からこの点については御質疑がありました。それに対するお答え、またただいまの御答弁を見まして、ただ執行吏制度の根本的の改正については、それだけを切り離してみても、執行官地位格づけ、あるいは任用の規定をどうする、あるいは執行官権限をどういうふうにするとか、あるいはそれができれば組織あるいは監督関係の構成はどうするとか、執行吏処遇とか、所属の方法はどうするとか、あるいは執行手続法の面、こういったようなものだけに困難があるというような御答弁ですけれども、それでこれがつつかえておるのだということですけれども、それだけの答弁では、まだなぜこういうふうにして滞りて、結論が出ないのかというところには至らないので、それだけではなくて、もっと深いところにそれがあるので、これは結局のところ、なお数年などといっても、それがきまるかどうか。しょせんは司法制度の根本的な何か改革をするというときに、同時にこれは改正されるのではないか。そうすぐ二年とか三年たてば、これがりっぱに基本方針が立つというふうには、どうも考えられないのですが、そこはどうなんです。これは重大な法制上の事柄でありまして、一時の質問だけで終わられるような問題ではないと私は思うのですが、ほんとうのところはどういうふうにして解決をしようか、その御方針があるのでしょうか。その点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  12. 大坪保雄

    大坪政府委員 ただいま井伊先生お尋ねの件は、御疑問をお持ちになる点はごもっともだと存じます。先般当委員会横山委員であったかと思いますが、御質問にもございまして、そのおりにも一応将来の見通し、見込みというものはお答え申し上げたような次第でございますが、御承知のようにこの執行吏制度わが国においては非常に古い制度でございます。しかしながら、裁判所の命令を執行するという重大な国家行政事務を、手数料をもって給与に充てるような変則的制度でもございますしいたしますから、当委員会でたびたび御論議をいただきましたように、この制度は近代的な行政機構に応ずるごとく改むべきものであるということについては、私ども一異論を持たないわけでございます。そういうことで、従来から検討を重ねてまいっておりますし、その検討方向も、ただいま最高裁の民事局長からも答弁されましたし、説明員からもお答えいたしましたように、国家公務員としてこれを取り上げる、こういう方向には一応方向づけはいたしておるわけでございます。かつその作業も急いで進めておるわけでございますけれども、ただいま井伊委員のお話にもございますように、事柄が各方面にきわめて多岐にわたっておるし、任用の問題、任用した執行吏地位の問題、その職務権限の問題、給与の問題、さらに管轄問題等々ございまして、なかなかまだ法制化する段階までの結論を得ていないというのが正直なる現状でございます。しかしながら、ただいまも申し上げますように、また先般もお答え申し上げましたように、この制度わが国制度としては申さば異例の制度でございますから、近代的な方向にこれをすみやかに改める、そしてその方向は、まず国家公務員地位を持つようにするということにいたしておるようなことでございます。ただ、何年くらいすれば大体の法制化見通しが立つかということについては、先般も、お答え申し上げましたように、三年すれば結論が出るであろう、あるいは四年すれば法制化の段取りができるであろうというところまで確実なお答えのでき得ない点はまことに残念に思う次第でございます。そういうことでございますから、ひとつ御了承を願います。
  13. 井伊誠一

    井伊委員 まあ、その基本として、執行吏というものを全部有給の国家公務員にする、そういう基本方針を持って進んでいこうということなのでありますが、大体中身に入りますけれども方針として、結局全部の人を国家公務員にするというような、基本はそうでしょうが、実際上それがやり通せるかどうかというところに疑問はないのでしょうか。いまの制度を全部廃止してしまって、全部国家公務員執行をやる、執行機関をそういうものにするという、これはくずれないのでしょうか。
  14. 大坪保雄

    大坪政府委員 そこのところがただいま検討をいたしておるところでございまして、現在全国に存在しております執行吏の数だけこれを国家公務員に登用すれば済むというわけにはとうていまいらぬと存じます。現在非常に手不足でございまして、したがいまして、執行吏の代行を認めておるようなことでもありますし、執行吏役場では多くの事務員等も使っておるわけでありますから、それらの人々の処遇をいかにするかという問題等もございますし、現在の執行吏の数を国家公務員に持ってくればいいというようにも考えられませんし、そういたしますと、現在執行吏役場でまかなっております程度のものを、全部しからば国家公務員に登用するとなりますと、これまたばく大な費用も要することになるというような事柄で、実は悩みつつ検討をいたしておるという現状でございます。
  15. 井伊誠一

    井伊委員 その辺に、これは制度そのもの改革する根本的な、基本的な線を出して、それによって進められるということですけれども、実はなかなかそういかない場面が実際出てくるのではないか。事件数は非常に多くなってくる。それから、だんだん執行吏のほうは老齢化していく、やめる人もたくさんあるというので、減る傾向を持っておる。都会のほうには集中するようですけれども、いなかのほうに行けば、執行吏は非常に不足をしているという現状です。こういう傾向の中にありまして、全部必要を満たすだけのものを国家公務員にするというようなことは、これはほとんど不可能なのではないか。やはりどこかで公務員のほうからある執行官に委任をするというような制度、それは国家公務員内に執行する機関を設けて、それに委任するか、または執行吏が任意にそれを認めてよしとしたところのものを執行機関として使うというような現在行なわれている制度は、やはりその最後のところへくると必要になってくるのではないか。そういうところを、やはりどこまでもこの基本路線国家公務員にするのだという線でこれを押し切るということは事実上どういうものか、こう思うのです。その点はただいまの御答弁で大体わかっておるのですが、どうでしょうか。外国のこの執行制度についてのことなども御参照になっておると思うのですが、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  16. 貞家克巳

    貞家説明員 わが国の明治二十三年以来の執行吏制度は、御承知のとおり、直接にはドイツ制度を継受したものでございますが、ドイツ制度はその源をフランスに発しておりますので、便宜フランスから御説明申し上げますと、フランス執行吏は、伝統的に完全な自由職業とされておるのでございまして、みずから自由に執行吏を選択し、完全な当事者から受ける手数料によって収入を得ているわけでございます。なお、フランスには昔から売官制度がございまして、そのなごりといいますか、前任者の一種の推薦によって、金銭の授受を行ないまして、その結果大統領が任命するというような形をとっているようであります。  このようにいたしまして、フランス執行吏はきわめて自由職業的性格の強いものでございますが、その反面におきまして、ちょうどわが国の弁護士に類似しますような自治的な組織というものを、地方裁判所ごと、それから控訴院ごと、それから全国というような組織をつくりまして、自治的な色彩が非常に強いわけでございます。もちろん懲戒等につきましては、裁判所の関与があるのはもちろんでございますが、いずれにしましても、そういった自治団体的な組織をつくり上げておるわけでございます。  その制度をもとにいたしまして、ドイツが十九世紀中に執行吏制度を継受いたしたわけでございます。最初はそういったフランス制度の模倣でございましたのが、二十世紀の初頭に至りまして、やや趣を変えまして、御承知のとおりドイツはたくさんのラントからなっておる連邦国家でございますが、各ラントによって若干のニュアンスがございまして、それを大別いたしますと、大体三つ類型に分かれたわけでございます。その一つ類型は、これはフランス制度と大体似ております。手数料、それから自由選択を認めるという制度でございます。それからいま一つ制度は、完全な俸給制でございます。それから第三の類型といたしまして、固定額俸給を与えて、さらにそれに加えまするに手数料のうちの一定歩合を支給するという制度でございます。  そういたしまして、この三つ類型が併存しておったわけでございますが、そのうち最も大きいラントでございますプロイセンにおいては、俸給を与えると同時に、手数料歩合を支給するという制度をとっていたわけでございます。こういう制度に切りかえられましたのが二十世紀の初頭でございますが、当時手数料からそういった俸給に加える歩合制というものに切りかえますときには、およそ従来の執行吏の三倍の執行吏の数を要したということが文献に出ております。  このようにして、三つ類型に分かれて推移したわけでございますが、最近と申しますよりは、第二次大戦後におきまして、大体ドイツ全土制度が統一されまして、おおむね従来のプロイセン制度、つまり、固定俸給制に加えるに、手数料歩合を加味するという制度ドイツ全国にとられるようになったわけでございます。それで俸給固定額は、これはそれほど高額ではございません。ただ、それに手数料の一五%ないし三〇%程度のものが加えて支給されるということになっているのでございます。ただ、注意を要しますのは、手数料歩合無条件に三〇%なら三〇%支給されるということではなしに、たとえば、三カ月に一千マルクとか四カ月に千二百マルクをこえをときには、それ以上の部分は国庫に納めさせる、あるいは半額を国庫に納めさせるというようなことになっておりまして、手数料歩合を加味はいたしておりますけれども、それを無条件執行吏に与えるというたてまえはとっておらないわけでございます。  ただ、このようにいたしまして、俸給に加えるに手数料歩合制という制度がほぼ確立いたしたわけでございますが、なおドイツ執行吏制度が完全に落ちついたと申すわけにはまいりませんで、この類型の中にも二つの対立した形が見られるわけでございまして、その一つは、裁判所の中に取り込むと申しますか、裁判所の庁舎の中で、裁判所職員の補助をかり、裁判所器具というようなものを使って、完全に裁判所職員的な形態において執務するという形が一つ、これは官庁システムというように呼んでおりますが、それと並びまして、ちょうどフランスあるいは現在のわが国執行吏のように、各自が独立した事務所を持ちまして、そうして必要な器具等も自弁するというような形、その二つの形がやはり最近まで残っているようでございます。しかしながら、そのうち大体の傾向といたしましては、役所の中に入って裁判所職員的な形態で執務するというような形はだんだん少なくなって、むしろ各自が独立に事務所を持つというような形態のほうが執行吏自身にとっても好まれているようでございまして、最近ここ一、二年の間に大体その様式に統一されたように聞いております。以上がドイツでございます。  英国、米国の制度は、これは大陸法系の国々と、それを継受いたしましたわが国とは非常に趣を異にしておりまして、執行吏に当たるシェリフとかベイリフとかいう職員は、民事執行のみならず、刑事裁判執行あるいは被疑者の逮捕とか、令状の執行とかいうような権限を持っておる  ようでございますから、ちょっと趣を異にいたしますが、アメリカシェリフは郡の最高行政官吏  であるというふうにいわれております。しかしながら、その選任住民の投票によるというようなふうに聞いております。  それからイギリスシェリフ行政官吏であるというような説明がございますが、これは一般住民選任ではなくて、任命制度でございます。イギリスシェリフは大体手数料制をとっておるようでございますし、アメリカシェリフ一定俸給を受けている者もございますが、手数料になっている州もあるようでございます。これは非常にバラエティーに富んでいるわけでございます。  それ以外の国といたしましては、大陸法系ではオーストリア、スイスなどがやや特徴のある制度でございますが、オーストリア執行権限はもっぱら裁判所が行なうというたてまえになっておりますが、現実動き方といたしましては、有体動産執行というようなものは裁判所の所属の執行官裁判所の命令によって行なうというような形をとっておるようでございます。それからスイスは州と申しますか、各カントンが非常に狭い区域でございますので、これはあまり参考にならないかと存じますが、これはやや司法官の性質を帯びた取り立て官という官吏が一切の執行を行なっているようでございます。  大体以上であります。   〔委員長退席、田村(良)委員長代理着席〕
  17. 井伊誠一

    井伊委員 いま諸外国の執行制度についてお話をいただきましたが、そういう諸外国の間に、この執行において非常な行き詰まりを生じて、裁判執行の威厳を保たなければならぬ、その執行は完全に行なわれなければならぬというところに何か非常に行き詰まりを感じておるような、そういう点はありましょうか。そういう点、おわかりでありましたならばお聞かせ願いたい。
  18. 貞家克巳

    貞家説明員 諸外国の例ですね。
  19. 井伊誠一

    井伊委員 仏、独、それからアメリカ等について……。
  20. 貞家克巳

    貞家説明員 ただいま御説明申し上げました中で、フランスと英米の制度、これは非常に古い伝統を持っておりますことでもありますし、一応落ちついているとわれわれからは見受けられるわけでございます。フランスは完全な自由職業で、しかも自主的な組織が確立しておるという意味におきまして、一応安定した姿であると申すことができようかと思います。  それから英米につきましては、御承知のとおり裁判所侮辱とか、法の優位というような思想にささえられまして、非常に大きな権限を持っておりますシェリフとかベイリフとか、いろいろな名前の役人がございますが、そういうものによる民事裁判執行ということも一応安定した姿のように見受けられるわけでございます。これに反して、やはりそういう先進国から法律制度を継受いたしましたドイツの例を見ますと、ただいま非常に紆余曲折を経た経過をくどくどと申し上げましたが、そういうぐあいに、やはり非常に動揺しておるというふうに考えられるわけでございまして、ただいま申し上げましたように、一体執行官裁判所の中で他の裁判所職員と同じように役所の施設を利用して執務するのがよいのか、それとも役所から離れてある程度自由に独立して仕事を行なわせるのがよいのかというような点につきまして、地域差が非常にございまして、それぞれ主張が異なっていたのが現実でございます。また、その給与自体につきましても、ドイツの官吏制度は上級職、準上級職、中級職、下級職というように官吏が四つに分かれておりまして、それぞれコースと申しますか、歩んでいく経歴が画然と分かれておるわけでありますが、執行官はその下から二番目、上から三番目の中級職に位しておるわけでございます。でございますので、書記官のいわば中程度以下というところに格づけされておるわけでございますが、そういう格づけのもとに俸給自体はそれほど高くない。ただ、俸給だけでなしに手数料歩合ということによって勤労意欲を刺激するというような考え方がとられておるわけでございますが、それに対しては執行吏の内部においても、さらにその格づけを上げようというよう努力が現に行なわれておるようでありまして、つまり上から三番目の中級職から上から二番目の準上級職と申しますか、そういうところへの格づけの上昇ということを非常に希望しておる執行官の動きもあるようであります。ところが、それに対して、そういう格づけがなされた場合には、おそらく手数料歩合というようなものは認められないであろう、そうすると、給与自体はそれほど高くを望むことはできないのであるから、かえって収入減になるのではないかというような反対の声もあるようであります。そういうような意味におきまして、執務のあり方、それから待遇というような意味の点におきまして、やはりフランスとか英米とかいう先進国に比べますと、ドイツ制度はやや動揺しておるというふうに申し上てもよろしいのではないかと思います。さらにその制度をおくれて継受いたしましたわが国執行吏制度が、やはり当初から非常に問題点を含んでいるということは否定できない事実であろうと思います。
  21. 井伊誠一

    井伊委員 執行が完全に行なわれるということは非常に大切なことで、裁判制度の最後の締めくくりをするところで、それがなければしり抜けであります。何も裁判をそれほど厳守しなくてもいいというようなことにでもなりそうな問題であります。しかしこの問題は、執行の段階になれば、やはり近代的な社会の成長というか変化、そういう中において、執行吏権限自体が非常に小さくなるのではないけれども、社会の力、そういうもののほうが非常に強くなってきている。またそういうところからして、執行そのものが非常に違った力を要するということになると思う。まあ言ってみると、単純な裁判執行というようなものは昔と変わりはないと思いますけれども、大きな建築物の収去などという例がよくあがっておるのですが、そういうような問題になれば、その建物を収去するという方法は一体執行吏ができるかどうかということになってくれば、それはもうほとんどできないのじゃないか。そういうことになれば、職務として執行しなければならぬ立場にあっても、事実上執行は不可能になる。これをほんとうにやろうとすれば、何か大いなる権限が与えられておるというのか、そうでなければ、権限をあらかじめ与えられておるというのでなくても、その権限をさらにまた拡張するというようなことがなければ、その執行というものはできないと思うのです。現に権限がないというところから、彼ら執行吏は、そういう場合においては、みずから手を触れるという形でなくて、債権者にまかしていくというような形で、その間にしかるべく何か操作をしておって、その中にいわゆる執行屋みたいなものがそこへ介在する、そういうようなものを使うよりほかに、執行吏だけのあれでは、裁判所の命令であるとしましてもそれはできない。そうすればそこに自分では権限がないのだから手はつけられないが、名目はそこを下げて、そしてほかのほうでやらしておるのだという形が出てくる。自然にていさいよくまとまりましたという形、それはどういうふうになるか、しまいのほうは示談のような形にでもして解決してしまうか、あるいはそこには何らかの抵抗でもあれば、抵抗を排除してでもほんとうに力をもってそれを執行をする、そういうことをやる。そういうことよりほかに方法がないというところにきているのじゃないか。一番望んでおるのところ、それを執行してもらいたいという最後のところにくると、法の力は及ばない。しようがないから、やはり執行吏執行をしなければならぬ役目であるというので、それに違反するわけにもいかず、第三者が自然にやったようなかっこうをして、何とかかんとか形をつけていくのが今日のあれではないでしょうか。こういうところから、どうしても一つの強い権限を持つところの執行官、そういうものにするか、それとも、報酬の面あるいは手数料の面、それから立てかえ金の面、そういうものについて、もっと自由な権限を与えておくということ、どっちかでなければこの収去の執行というものができないというのが現状です。しまいのほうにいって、人を使うのに手数料規則というものにちゃんと縛られておるとすれば、それは私のあれとしてとうていできません、引き受けられません。こういったって、社会の通念としてわかっておりますから、それをどうしてもやってもらいたい、あなたのほうでそれは職分としてやらなければならぬのであるからなんて言ってみたところで、やらない。現に実際のところをいえば、いまでは手数料規則そのものによってでは実際はできないものであるから、債権者が急いで車を用意して飛んでいく、そうして宿泊の場所を提供をしたり、あるいは酒食を備えて歓待するというような、債権者の側でそういうようなことをしてでもやってもらわなければならぬ。今日では、普通の手数料でもって事実やれない。依頼に行ったって、そういうものは受け付けないとは言いませんけれども、それはどうやらこうやら逃げておるというような状態であります。執行吏としては事実引き受けられない。監督裁判所のほうにそれを訴えてみたところで、事実が事実ですから、経済的に成り立たぬものを彼らのところにしいてみたってできないことです。執行するのに、いまのような例で建物を収去するというようなことになりますと、自分の手では、適当な者をたくさん人を雇ってやれるかといいますと、人数をかけてやれるような執行もありましょうけれども、人数を幾らかけても、その執行自体がそんな人数によってどうにもならないような仕組みになっているというような場合があるわけでしょう。そういうような場合になれば、これはやはり執行屋のような、なかなか知恵もあれば顔もきくというような人たちの何かの知恵によって、そこを何とか解決をするというようなことになる。そこはどうも手数料だけを非常に上げても、必ずしも全部解決するというものでもないので、できないところがあると思う。そうすると下のほうにきて、権限を非常に強くして、どういう力でも排除して執行するという執行権限を持たせるというようなことにするか、あるいはそうではなく、もっと民主的に自由の職業、そういうふうにして、向こうの責任において全部を行なうという制度にするか。   〔田村(良)委員長代理退席、委員長着席〕 私は、いまの社会がだんだん変化をして執行がむずかしくなる一方であるというときには、これの解決はいよいよむずかしくなると思うし、執行制度はだんだん渋滞をして、問題だけを残して、これが解決に対して根本的な制度改革をしなければならぬときに、国のほうのあれとしては、いたずらにそういうことに迷うているけれども、迷うて解決がつかないうちに事情が変化していく。こういうことになって、いまの制度だったら、だんだん悪化する一方だと思うのです。これはただごとではないと思っているのです。これは何とかそういうふうなことでなく、真剣になって、急速にこれの方針を立てる、そうして制度を改めるということが、何といっても急がれると私は考えるのであります。  いままでのお答えでも、御苦心のあることは言うまでもないのでありますけれども、そこのところに、いまの国家公務員のほうの制度にするというのはいいけれどもu、民間のほうのあれも自由だ、そして制度そのものを真剣に考えないで、むずかしいところは、まあまあそちらのほうで何とかやっているからまかせておけというような考え方がどうもあるんじゃないかと私は思うのです。昔の執行吏制度はやさしかったかもしれないけれども、今度はそうはいかない。すでに大切なところでくずれておるから、これはほっておけばいよいよ悪化する一方です。これは民間制度自由職業としての執行吏のほうへまかせれば、何とか彼らはやっていく、そういうところに安易に乗っかっておるのではないかと私は思うので、このことについてはほんとうに真剣に取り組んで、その基本方針を定めて、そして起こるべき悪化の事態を防ぐ、これを改善していくというふうにしていただきたいということを、ほんとうに熱望するのです。私は、外国の制度というものをお聞きをしまして、これも参考にしておられるとは思いますけれども、やはりそれはそれ、それよりもわが国自体の考え方というものが根本だと思うのです。これに対しては、ぜひとも早くこの制度を確立していただきたいということを私は希望いたします。  それからまたお聞きしたいのですが、今度改正になる手数料あるいは立てかえ金の増額というものは、当然一時的の措置だと思うのです。こういうことをしておいたからといって、それでどれだけの年限が救われるのか、私としてもそれは見通しがつきません。平均して三割五分の値上げになるような改正でありますが、どうなんでございましょうか。これをやっておけば、いまの進み方からしてどのくらいの間はこれでしのがれるとお考えですか。執行吏のほうではこれで立っていけるのか、またすぐ改正をしなければならぬのか、それともこれでやっていけばまだまだ改正をする必要がなくやっていけるのか、その点はどうでしょう。
  22. 鹽野宜慶

    ○鹽野政府委員 ただいま仰せのとおり、今回の改正は、手数料総額といたしまして三割五分程度のアップになっているわけでございますが、この三割五分のアップをいたしました根拠は、昭和三十七年から本年までの経済情勢の変動というものを考えまして、三割五分という全般的な基準を算出したわけでございます。その結果、従来でございますと、執行吏全国平均一人の手数料収入は約六十六万円という計算が出ておりますが、三割五分アップいたしますと、年間約百万円の手数料収入ということになるわけでございます。そこで、当面の措置としては、本年分までの経済情勢の変動を見込んでおりますので、しばらくはこれが妥当な姿で続くと存じますが、今回の改正も経済事情の変動に合わせて調整していくという考え方でございますので、今後また経済事情が変動を続けまして、物価の値上がりあるいは勤労者の所得が琢次上がっていくということになりますと、根本的な改正が組み上がります過程におきましては、適当な時期にそのつど手当てをして増額をしていくことが必要になるというふうに考えております。
  23. 井伊誠一

    井伊委員 年間平均百万円ぐらいの手数料収入ですと、それから事務諸費等を差し引いてみると、やはりその半分ぐらいになるというような状態でありますが、実際上そのぐらいのことでやっていけるのでしょうかということです。事務所費のほうでそれだけかかっておるので、実収入はその半分である。現にまた他のほうからのあれからしますというと、そういうもの以外に何かやはり収入があって、それどころじゃないのだ。事務所を共同にして経費を節約するということが大体行なわれておるとしましても、節約をしても、なおいまの実収入は半分くらいになる、こういうお見込みのようですが、しかし一方においては、それとは全然違って、地方に行きましても、数字をどうとったというわけではないけれども、その生活や何かをあれしてみますというと、決してそんなものじゃない。それに数倍するところの収入がある。こういうようなことを相当多くの人が言うわけです。たとえば公務員という制度に切りかえたならば、あなた方は全部やはり賛成しますか、こういう逆の質問をしてみたならば、それらの人たちがけっこうですと言うかといえば、そうは言わないだろう。いまのあれでは、ある人はまさにそのとおりかもしらぬが、大体においてそんな少ないところの収入ではない、こういうことを言うのです。それは根拠はありませんけれども、とにかくそういうことが言われておるし、それらの人も、これは義務だから、職業でやっているのだということで、やろうという人もたくさんいるようです。そうすると、そこのところには、こういう表向きでない別なものがあるように見えるのですが、そういうことについては何か調べておられることはないでしょうか。
  24. 菅野啓藏

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏の収入状況について御説明申し上げたいと思います。  ただいまお話がございましたように、執行吏の収入のうち、手数料、立てかえ金の収入のうち、約半額が大体経費になっておりますので、純収入というものは手数料、立てかえ収入の約半分というのが全国平均でございます。そういたしまして、私どもが各執行吏役場から実際の収支につきましての報告を求めた結果によりますと、全国平均いたしまして、収入から支出を引いたその額が、先ほど法務省調査部長が答えましたように、年間六、七十万円というところでございまして、このたびの手数料の引き上げがもし実現いたしますると、それが平均して約百万円くらいということになるわけでございます。一体執行吏役場からの報告がほんとうなのであろうか、どうであろうか。世間では、おっしゃいますように、執行吏の収入が報告どおり年間百万とか六、七十万とか、そんなものじゃないというようなことを申されておりますが、これは収入の面におきましては、手数料は幾らということ、立てかえ金は幾ら払ってもらえるということが法律にきまっておりますので、収入の面はこれは隠しようがないところであろうと思います。ただ支出の面につきましては、これも役場の物的の施設のために要する費用であるとか、あるいはそこに雇っておる事務員給与であるとか、そういうところは、これははっきりと収支計算に出てくるのでございます。一応立てかえた金をあとから立てかえ金ということで支払いを受けるわけでございますけれども、その立てかえ金の差額というもの、実際に使った金と、それから立てかえ金収入として入ってくる金との差額というものが——特に旅費などの面におきまして、収入として入ってくる旅費の額は、これまた法律で一キロ八円ということできまっておりますが、実際に支出される額というものは、これはあるいは歩いてしまうとか、電車で行くとか、タクシーを使うとかいうことで、その差額というものは実際はっきりした数字は出てこない。ことに立てかえ金収入というのは、実は一件一件で数えますと小額のようでございますけれども、同一方面に多数の事件で出かけましても、ただいまの立てかえ金の支払い方法といたしましては、旅費としましては数件分がもらえる。ところが、実際に費用として要るのは、その方面に一回行っただけの費用で済むというようなことがございまして、その計算において、これははっきり出せばあれかと思いますけれども、なかなか電車賃が幾らだったということをこまかく実際は計算されておらない。そういうことがございまして、実際立てかえ金の差は幾らで実際の収入というものは幾らになっておるかという面につきまして多少はっきりしない面があるのでございますけれども、これは前回の委員会におきまして、参考人としてここに出て参りましたが、そういう点多少不明な点はあるけれども、しかし報告として出しておるところは、それほどの違いはないということを申しておりまして、私どもといたしましては、多少の出入りはあると思いますけれども、たいした違いはないというふうに、ただいまのところ考えておる次第でございまして、先ほど申しました三十八年度で全国平均六、七十万円のところでないかというふうに思っております。
  25. 井伊誠一

    井伊委員 私がかような質問をいたしますのは、執行吏の方からの収支の計算報告というものはある。それを疑うわけでもないのですけれども、しかし、世間ではあまりにかけ離れたような批評をしております。そうしてそういうこともごく狭い間のことじゃなくて、かなり広いところに一般化した批評でありまして、何かあるのじゃないかというあれがあるわけです。根拠を示せというと、それはないにしても、やはり勘で、あるいはどこかで実際上実見しているところからそういうふうな類推をするのでありましょう。とにかくそんなようなことで、その世間の批判と、それから実際上報告されておるものの間の幅があまりに違い過ぎる。だから私どもは、どういうふうにしてこの報告そのものによってのあれによって差が出ておるかというようなことも論議をするわけでありますが、それがあまりどうも隔たりがあるようですから、その点を追及する方法がやはりないとすれば、その追及することのできない、そこのところにゆとりをあれして、そしてわずかに執行の体面を保っているのではないか、こういうふうに思いますから、そこのところは、ほんとうはもう少し厳格な目でこれを見ていく必要があるのではないか、こう思うのであります。しかし、そういうようなことは、そういう根拠の上に立ってのことでありますから、その割合からいって出てきた数字そのものからいえば、私どもはそれに対して争うというほどのあれは持っておりません。しかし、この点は将来とも基本のものをあれする上においては当然正確なものを調べておく必要があるのじゃないか。あまり追及すると、そういうものが制度そのものの上にくつがえってくるところがあるから、痛しかゆしでかまわぬでおくというようなこともあるのじゃないかと私は思うのです。そういうところにやはり問題があると思いますから、これはこれから厳重な調査を必要とするものと考えるのであります。  なお質問を続けたいところでありますけれども、時間の関係もありますから、以上をもって私の質問を終わります。
  26. 加藤精三

    加藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は来たる十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五分散会