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1965-02-09 第48回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月九日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 加藤 精三君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 唐澤 俊樹君 理事 小金 義照君    理事 小島 徹三君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君       草野一郎平君    千葉 三郎君       中垣 國男君    馬場 元治君       濱野 清吾君    森下 元晴君       赤松  勇君    井伊 誠一君       片島  港君    長谷川正三君       志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君  出席政府委員         法務政務次官  大坪 保雄君         検    事         (大臣官房司法         法制調査部長) 塩野 宜慶君         検     事         (保護局長)  武内 孝之君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      寺田 治郎君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      守田  直君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 二月五日  改正刑法準備草案第三百六十七条に関する請願  (小坂善太郎紹介)(第三九三号)  同(竹内黎一君紹介)(第四二五号)  同(川野芳滿紹介)(第五五九号)  同(田中榮一紹介)(第五六〇号)  同(麻生良方紹介)(第六一三号)  同(山下榮二紹介)(第六一四号)  同外二件(菊池義郎紹介)(第六七七号)  同外一件(田中榮一紹介)(第六七八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二号)  法務行政に関する件(保護司に関する問題)      ————◇—————
  2. 加藤精三

    加藤委員長 これより会議を開きます。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 加藤精三

  4. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  政府におきましては、第一審の充実強化をはかりますための方策として、数年来逐次裁判官定員増加する等の措置をとってまいりましたが、裁判官定員増加は、先般内閣に対して述べられました臨時司法制度調査会意見においても提案されているところであります。このたびは、その一環として、簡易裁判所における事件審理及び裁判適正迅速化をはかるため、簡易裁判所判事員数増加しようとするものでありますが、増加しようとする簡易裁判所判事員数は、人員充足見通し等を考慮した上、さしあたり十六人といたしております。  以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  5. 加藤精三

    加藤委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 加藤精三

    加藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
  7. 横山利秋

    横山委員 私は、きょうは主として資料要求をいたしまして、それによりましていささか後日質問をいたしたいと思います。  第一は、四十年度予算要求でどういうふうに最高裁として政府増員要求を行なったのか、その行なった各職の増員要求理由は一体何であるか、それを明らかにされる資料お願いしたい  第二番目には、かねて裁判官その他につきまして定員よりも欠員があるというお話を伺っておるのですが、年末現在でけっこうでございますから、どのくらいの欠員が各職においてあるのかというのが第二番目であります。  第三番目は、これまた累次の当委員会でも問題になっておったわけでありますが、代行制の問題であります。代行制を廃止するという方針があるように承知をしておるのですが、その代行制は解消するという方針が一体貫けるのかどうかについていささか質疑をいたしたいと思っておるわけですが、代行制についての資料提出を願いたい。  それから四つ目は、私が承知をいたしましたところ、腱鞘炎などという病気が裁判所職員の中にあると聞いておるのであります。不敏にしてこの病状並びにその実体についてはよくわからないのでありますが、腱鞘炎とはそもそもいかなる職業病であるか、それに職員諸君がどういうふうにおかされておるのかという資料がいただきたい、こういうわけであります。  私の質問いたしたい点は多岐にわたっておるわけでありますけれども、当面この四つ資料の御提出を願いまして、それに基づいて質疑をいたしたい。  なお最後に、これはちょっと聞いた話でありますが、二月一日に横浜地方裁判所汽かん士汽かんの前で死亡した、汽かんの前で死亡をするというのは、一体どういうことなのか、承知をいたしたいのですが、その事実はどんなものであるか、次会にお聞かせを願いたい。  以上であります。
  8. 塩野宜慶

    塩野政府委員 ただいまの資料、さっそく準備をいたしまして、提出をいたします。
  9. 加藤精三

    加藤委員長 次に、大竹太郎君。
  10. 大竹太郎

    大竹委員 それではいま提案理由説明のございました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、若干御質問を申し上げたいと思うのでありますが、第一番目にお聞きいたしたいのは、この提案理由説明を拝見いたしますと「簡易裁判所における事件審理及び裁判適正迅速化をはかるため」云々、こう書いてあるわけでありますもちろん、簡易裁判所における事件審理及び裁判適正迅速化をはかることは必要でありますが、審理迅速化をはかるということは単に簡易裁判所だけではないのでありまして、地方裁判所高等裁判所最高裁、いずれにおきましても事件審理がおくれておるということがいわれており、そしてまた世間は迅速化を要望いたしておるわけでありますが、今回においては、特にこの簡易裁判所定員を十六名おふやしになるということになっておるのでありますが、もちろん予算関係等もあるのでありましょうが、簡易裁判所だけを十六人というこの理由をまず御説明いただきたいと思います。
  11. 塩野宜慶

    塩野政府委員 最近数年間、政府におきましては、第一審の充実強化のために裁判官増員を若干名ずついたしてまいったのでございます。しかしながら、裁判官のうちの判事判事補につきましては、御承知のとおりその補給源制限がございまして、素質を低下させないようにしてこれを充足していくためには、そう簡単に増員をしていくということはむずかしいのでございまして、この点につきましては、先般の臨時司法制度調査会におきましても、その点に注目いたしまして、裁判官の負担を軽減するということにつきましては、いきなり裁判官増員ということに走ることなく、その他裁判官補助機関の拡充とか、裁判所配置適正化というような各種措置を講じて、それで足りないものを裁判官増員という形でまかなうべきであるというふうな考え方をいたしているわけでございます。  そこで、最近におきます裁判官の充員の状況を見ますと、この際、判事判事補につきましては臨時司法制度調査会意見のような各種施策を講ずることによってできるだけ補ってまいろう、こういうふうな考え方をいたしまして、それらの諸施策について現在研究中でございます。ところが、簡易裁判所につきましては、御承知のとおり最近年々交通事件が非常に増加いたしております。それから簡易裁判所審理期間を見ますと、近年やや審理期間長期化しているというような状況が認められますので、今回は簡易裁判所裁判官増員という措置をとることにいたした次第でございます。
  12. 大竹太郎

    大竹委員 先ほど横山委員のほうから資料提出要求があったようでございますが、いまの御答弁に関しまして、私からもこの際ひとつ御提出をいただきたいと思いますのは、各級ごと裁判所に分けた最近三年ないし五年の取り扱い件数についての状況、それから審理期間についての状況のわかる資料を御提出いただきたいと思います。  なお、いまの御答弁関連して、私の聞き間違いであるかどうかわかりませんが、お聞きしたところによると、ほかの判事判事補等供給源についてなかなか制限があるから別途に考えなければならぬけれども簡易裁判所についてはというようなお話であったのでありますが、そういたしますと、十六人全部が全部そうくるかどうかいまお聞きしたいのでありますが、補給源というものは、いわゆる選考任命判事をもって充てられるというようなお考えのようにも受け取られたのでありますが、その点はいかがでございますか。
  13. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいま大竹委員からお尋ねのございました点、まことにごもっともな点でございますが、御承知のとおり臨時司法制度調査会におきましても簡易裁判所判事資格という点がいろいろ問題になりまして、簡易裁判所判事には、できる限り判事定年退官者法曹有資格者を充てること、こういう意見が出ておるわけでございます。私どもといたしましても、一方においては選考任命のいわゆる特任簡易裁判所判事素質をできる限りよくするように研修その他の方法を講じますと同時に、また一面におきまして臨時司法制度調査会意見の線に沿いまして、有資格者をできる限りふやしてまいるという施策を講じたいと考えているわけでございます。  ただいまお尋ねのございました今度増員する十六人はどういうふうにして埋めていくかという点でございますが、この十六人だけを切り離して考えますれば、全部有資格者で埋めるということも不可能ではないわけであります。ただ、先ほど来お話も出ましたように、現在でも簡易裁判所判事に若干の欠員があるわけでございます。また、いまお手元の法務省から出していただいております参考資料の二ページのところに、現定員と現在員が出ているのでございますが、その二ページの表の一番右の端の上から三段目をごらんいただきますと、昨年の十二月一日現在で十六人の欠員ということになっておりますので、いま十六人増員いたしますと三十人余りの欠員になるわけであります。なお、十二月以降にも少しずつの退職者その他が出てまいりまして、全部で五十人近い欠員が予想されるわけでございます。このすべてを有資格者で埋めるということはきわめて困難でございますので、現在一般的に特任判事比率が五割強となっておりますので、せめてこれを五割なり五割を下回るように、今後の充足においてはできる限り有資格者をもって入れていく、全部ということはなかなかむずかしいわけでございますが、そういう方法施策をいたしていきたい、かように考えているわけでございます。
  14. 大竹太郎

    大竹委員 大体いまの点、了承いたしたのでありますが、そういたしますと、現在の簡易裁判所判事の構成とでも申しますか、それのいわゆる有資格者選考任命による人との詳細な数字というようなものは現在おわかりでございますか。
  15. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねの点でございますが、概数で申し上げますれば、簡易裁判所判事総員約七百名でございまして、そのうち約四百名が選考裁判官ということになっておるわけでございます。したがいまして、五割強というのが現在の選考裁判官比率になるわけでございます。
  16. 大竹太郎

    大竹委員 それでは続いてお伺いいたしたいのでありますが、簡易裁判所判事だけを増員するということに関連いたしまして、最近最高裁のほうのお考えとして、簡易裁判所事物管轄の範囲を拡張をするというような法の改正考えていられるというようなことも承っておるのでありますが、特にこの簡易裁判所判事増員されるいう点から見まして、それと関連があるのじゃないかというふうにいわれておるのでありますが、その点についての御方針を承りたいと思います。
  17. 塩野宜慶

    塩野政府委員 ただいまお尋ねの、今回の簡易裁判所判事増員簡易裁判所事物管轄拡張関連を持っているのかどうかという点でございますが、今回の簡易裁判所判事十六名の増員は、先ほど御説明申し上げましたとおり、交通事件増加とか、あるいは簡易裁判所における審理期間長期化というような問題に対処いたすための増員でございまして、簡易裁判所事物管轄拡張とは関連のない増員でございます。
  18. 大竹太郎

    大竹委員 それでは、この十六名の増員者配置とでも申しますか、その計画はどうなっておりますか。
  19. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの点でございますが、これは先ほど来法務省のほうから提案理由として御説明いただきましたように、交通事件その他大都会簡易裁判所事件が幾らか長期化する傾向にある、こういうことでございまして、そういう観点から増員していただくことになったわけでございますので、東京、大阪等の大都会を中心に配置いたしたいと考えておるわけでございます。
  20. 大竹太郎

    大竹委員 それでは、きょうの質疑はこの程度にいたしまして、先ほどお願いをしておきました資料を御提出願って、それを拝見した上でまた質問を続行するかもしれないのでよろしくお願いいたします。
  21. 加藤精三

    加藤委員長 本案に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  22. 加藤精三

    加藤委員長 次に、法務行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。横山利秋君。
  23. 横山利秋

    横山委員 私は、本日保護観察の問題についていろいろな角度からお伺いをいたしたいと思います。  そもそも更生保護制度は、検察、裁判行政の各制度と相並んで、言うならば最後の締めくくりをしようとする重要な制度であります。これがいま全日本にわたって、この保護司制度が根幹となって行なわれておるのでありますが、この制度がしかれましたのは、たしか二十四年の犯罪者予防更生法が施行されて以来、関係者のたゆまざる努力がありますものの、必ずしも十分な成果をあげていないと私は思うわけでありますが、それはなぜあげていないだろうか。私も保護司の経験はございませんし、私の見聞いたしました限界がございますから、あるいは私見にわたるおそれがあるかもしれませんけれども、一応私が整理をいたしました諸点に基づきまして保護司についてのいろいろな御質問をしたいと思うのであります。  順序不同になるわけでありますが、まず保護司とは一体どういう人が適当であろうか、その適当なものさしは一体現在の社会環境状況に適合しておるであろうかという点から質問をいたします。この保護司たる者適格条件については、いろいろと法律等の規定に定められておるのでありますが、まず常識的にいかなる人を保護司として選考をしておるか、簡潔にひとつ政府のお考えを伺いたい。
  24. 武内孝之

    武内政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました保護司資格などについての事項は、保護司法の第三条、第四条に規定されておりまして、第三条では、人格及び行動について社会的信望を有する人であること。その二は、職務遂行に必要な熱意と時間的余裕を有する人であること。その三は、生活が安定している人であること。その四は、健康で活動力を有する人であること。ということが規定されております。なお、保護司は、犯罪をした者、非行をした者を補導援護して、社会人として復帰させることをいたすものでありますから、欠格条項といたしまして第四条では、禁治産者とか準禁治産者及び禁錮以上の刑に処せられた者とか、憲法施行日以後、憲法またはそのもとに成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成しまたはこれに加入した者は除かれるというふうになっております。でありますから、制度発足以来、簡単に申しますならば、社会奉仕の精神に燃え、人類愛に基づいて、人のために社会のために奉仕をしたいというその熱意と、またそれを実行に移すことのできるような時間的余裕のある人、また生活が安定しておって健康で活動力がある人、しかも社会的信望のあるような人、こういう人であって、欠格条項に触れないような人を各地域から求めまして、それを法務大臣保護司として委嘱するというふうにいたしておるのであります。
  25. 横山利秋

    横山委員 大坪さん聞いておいてくださいね。いまのお話から推察をしますと、それではどんな人が保護司になっておるか。どんな年齢、どんな職業、どんな地位にある人が保護司になっておるか。ここに「更生保護現況」という三十八年度版を持ってきたわけでありますが、結局、そういう選考基準でありますから、現況は六十代が三二・二三%、七十代が八・六七%、八十以上が〇・四九%、五十代が三五・六九%でありますから、圧倒的に五十以上です。しかも六十以上が四一、二%になっておるわけであります。それに対して今日の犯罪がどういう趨勢を示しておるか。御存じのように少年犯罪はこの表によりますと、昭和三十一年を一〇〇といたしますと一四九になっておる。成人犯罪は、これは刑法犯検挙人員を基礎にしていっているのですが、八十三に下落しておる。おそるべき青少年犯罪、そして保護を受ける対象人員の七〇%までが青少年という状況になっておるわけです。この青少年に対して、地位も安定し、年齢も六十以上の人たちがどういうふうに保護をするのかという点について、次元の相違年代相違感覚相違というものはおおうべからざるものが私はあると思うのであります。私も保護司の二、三の人に当たって聞いてみたのですが、あなた方はこのような今日の時世の青少年に対してどういうふうに接触なさるのですかと言いますと、保護司の方の言われるのには、全く御指摘のとおりなんです、世代が違いますわ、せめて私の意見を言わずに、子供のものの言い方を聞いてやる、聞く雰囲気をつくることに私は努力していますと、こう言う。それも一つの方法です。方法ですけれども世代感覚とそれからものの考え方ものさしが違う人が、青少年ふところの中へ飛び込んで、親身になって心と心が解け合うということは、残念ながらうまくいっていないのではないかと私は考える。いま局長のおっしゃった法律の三条による「人格及び行動について、社会的信望を有すること。」「職務遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。」「生活が安定していること。」そういうことはなるほど望ましい法律的要件ではある。しかし、大坪さんもいろいろと文化的要素もおありになる方ですけれども人格高潔にして、生活が安定して、時間的余裕があってというような人が、どろにまみれて青少年ふところに飛び込んで、親身になって青少年感覚に打ち解け得るものであるかどうか。われわれお互い公職にあって、上は三井の財閥や下は裏長屋のおばさんに至るまで接触しておる。われわれのような公職にある者なら、お互いに自慢するわけではないけれども、どろにまみれて話もできます。しかし、こういう法律的要件のある人たち青少年に接触して、肌と肌を触れ合って、どうなんだ、銭を貸してくれ、銭を貸したらあかぬので、あかぬなら断わらなければならぬ、断わったら、何だ銭を持っていながら、ていさいのいいことを言うだけじゃないかということが感覚相違になっておるわけです。銭は貸さぬけれども青少年気持ちをきちっとつかみ得るかどうかについては、ある程度どろにまみれて青少年とともに行動し、あるいはときには一ぱい飲んでやるというような気持ちがなければ、ほんとうの保護司ということにはならぬではないか。ていさいのいい法律条項では、もう今日の保護司仕事というものはつとまらぬのではないか。私は決して現在の保護司の人を非難するわけじゃない。一生懸命やっておられる、その人たち意見も聞きました。まことに私どもとしては、今日の保護の問題については、社会の下にあってもう全く池の中へ石を投げ込むようなものでありまして、ちっとも効果があがらないけれども、やっておりますという熱心なお話でありますけれども、残念ながら基本的なものの考え方を少し変えてみる必要があるのではないか、こう私は痛感をしておるわけです。大坪さんの御意見を伺いたい。
  26. 大坪保雄

    大坪政府委員 横山先生平素刑余者の処遇あるいはそういう者の社会復帰のための措置等について非常な情熱を傾けて御心配くだすっておりますことについては、私どももかねがね深く敬意を表しておるところでございます。ただいまの現状に基づいてのまことに御心配の御意見もそういうお心持ちからの発露と存じまして、敬意を表するわけであります。  したがって、ただいまお話の中にございました年齢が違っておるということは、すなわち時代感覚も違うのであるから、今日非常に激増しておる青少年にして犯罪を犯した人たちの矯正、補導ということについては、必ずしもその時代感覚の点からしても適当でないのでないかというような御意見、これもまことにごもっともであろうと存じます。しかしながら、先刻保護局長からお答え申し上げましたように、保護司資格要件というものは、これは資格要件でございますから、きわめて抽象的な事柄になるわけでございますけれども、その資格要件に適合する人をさがすということになりますると、どうしても年齢的にも高年齢層に片寄らざるを得ないと存じます。若い世代人たちはそれぞれ忙しい仕事を持っておりまして、日常忙しくいたしておりますから、その自分の本来の仕事以上に社会公共のために働く、特にこういう刑余者補導というような、きわめて情熱を傾け、時間をつぶさねばならぬ仕事等には従いにくい。そういう方に御依頼しにくい、お願い申し上げようとしても御承諾がいただきかねるという実情があるわけであります。しかし、ただいま横山先生が御指摘になりました、五十歳年代の人に相当の数があるということは、これは私ども、むしろよくぞこういうことのためにお働きくださると、感謝申し上げなければならぬと思うようなことでございます。御指摘になりましたような事柄は重々さようであると思うのでございますけれども、ひるがえって今日保護司としてお働き願っておる全国の方々実情を拝見いたしますと、年齢相違による時代感覚相違という事柄はございますけれども、ほうとうに刑余者補導情熱を込めて、お話のいわゆるどろまみれになって仕事を進めてくださっておる方々がきわめて多いわけでございまして、現状におきまして非常に大きく事欠いておるというようにも私ども考えていないわけでございます。今後につきましても、できるだけ資格要件に適合する人で、同時にこの大切な刑余者社会復帰情熱を傾けて時間をことさらにさいてお働きくださる方々に、従来以上のお力添えをお願いいたしてまいらなければならぬと思うわけでございます。いま申し上げますようなことで、現状方々には私どもは深い敬意を表しておるようなわけで、完全に満足かと申しますと、それはずいぶん数多い保護司方々でございますから、中には、やはり十分に私ども期待どおりの御活動がおできになりかねておる方もあろうかと思うわけでございます。保護司資格要件に掲げられるような事柄は、これはやはりそれ以外にこれを求めるということはできにくいのでございまして、そういう要件に掲げられている方々お願いするよりほかない、そのお願いをする方々に一そう情熱を傾けてお働きをいただくよりほかない、かように考えておるようなことでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 大坪さん、ていさいのいいことを言うのは、きょうはやめましょうや。私は、決していまの保護司の人が不熱心だとかあるいは努力していないとかいう意味で言っておるのではないのです。それはもう議論の起こることですから、大坪さんも私も十分注意してものを言うのですけれども社会の動向、犯罪傾向及びよりよき実績をあげるためには、保護司制度、運用についてこの際再検討すべきときではないか、こういうことを言っている。これはあなたのほうから出した「更生保護現況」なんですよ。政府資料なんですが、これを熟読玩味いたしましても、この保護観察の担当者と対象者との接触状況を見ましても、月に一回も会っておらぬ、月に一回しか会わぬというのが圧倒的多数なんですね。それから連絡をしても全然連絡もできないという。紙面ににじみ出ておることは、努力はしたけれども、努力の実績があがってないという資料なんですよ。この「更生保護現況」というのは、これはりっぱなもので、これだけ見ると、いかにもりっぱに更生保護ができておるようだけれども、紙面ににじみ出ておるのは、努力は行なわれておるけれども、そう実績があがっていないということを逆にわれわれに訴えておるような文章と拝承しておるわけです。したがって、何とかもう少し努力をされておる保護司の方が努力のかいがあるようなことをはかる。保護司の方も、二年ごとに自動的に身分が失われるわけでありますから、この二年の経過が進んでおるときに、保護司選考基準についても一ぺん検討してみる必要がありはせぬか。どんな高潔の人かしらぬけれども、八十以上の人が保護司になっていますね。八十以上の人では、なんぼ高潔であろうが——それは吉田元総理でも保護司になったらいいかもしれぬけれども、それはちと無理ですよ。七十以上が八・六七%。犯罪を犯した青少年に七十のじいさんが、おまえひとつ、これからしっかりやれよ、オッホン。こんな想像をするのでも、私はこれは実効があがっておらぬと思う。したがって、この際法律の基準の、人格及び行動について社会的信望を有すること、職務遂行に必要な熱意及び時間的余裕があること、生活が安定していること——私ども時間的に余裕はございませんよ、公職者は。しかしながら、これが大事だと思えば、お互いに時間的余裕をつくるものです。ですから、こういうような生活の安定しておるとか、時間的余裕があるということを基準につくることに間違いがありはせぬか。それから選考にしましても、選考方法は、所轄の保護観察所長から推薦した者のうちから、特に保護司の適任者を選考するため、全国四十九カ所の保護観察所単位に置かれる地方裁判所長、検事正、弁護士会長その他学識経験者十数名によって組織される保護司選考会の意見を聞いて法務大臣が委嘱することになっておる。全くしゃくし定木ですね。法務大臣地方裁判所長が、裏長屋で、ほんとうに貧乏だけれども、よく人のめんどうを見るという人がわかりますか、わからぬですよ。形式だけは整っているけれども、実際に犯罪者の更生保護親身になって相談をしてやる人が、これでは浮かび上がってこない。それから、地域から選出をしてくるわけですから、職場からの選出ができない条件になっている。私は決して、労働運動だとかあるいは革新運動をやっている人が適当だというわけではないけれども、職長をやっている、あるいは青年運動をやっている人を、職場の中においてつかまえる。職場の中で、どんなに青少年のめんどうを見ているりっぱな人があるかしれぬ。地域でつかまえるのと、職場でつかまえるのと、どちらがつかみやすいかということは一考を要する問題じゃないか。それから、年とっているからまず人格円満で、そして生活が安定している、これは無難な方法だ。けれども、若い人の中で、時間もあまりないし、生活もあまり安定していないけれども青少年気持ちをつかまえる、犯罪者の気持ちについて十分理解のある人はあるはずです。そういう法律の適格基準を改正をするとか、あるいは選考のやり方について考え直すとか、この際考え直すべきであると思うのですがどうですか。
  28. 大坪保雄

    大坪政府委員 資格要件や欠格要件につきましては、御承知のとおり法律で定めてございます。これはまたひとつ当委員会を中心として、皆さま方から御検討をいただかなければならぬことでおろうと存じます。私ども事務当局といたしましては、ただいまのお話のこともございますから、さらに検討いたしてみたいと存じます。  問題は、そういう法定の資格要件なり欠格要件に適合するかしないか、また保護司としてわれわれの最も期待するような人を選ぶという、そういう選考のいたし方にあろうと存じます。ただいま御指摘のように、八十歳以上にもなる方が相当おいでになるということは、一応年齢の関係から見ますと、いかにもどうも御無理ではないかと私どもも感ずるわけでございます。しかしながら、八十歳をこしても、精神、肉体の非常に健全な人もあるわけでございまして、一がいにそういうことも言いかねる。しかしながら、まあ申さば、いま御指摘のように、なるほど八十歳以上の方であれば、お年寄りの犯罪刑余者には相談相手になるかもしれませんが、青少年の相談相手にはなかなかなりかねるでございましょう。こういう点は、私どもも、今後保護司の新しい選考という場合には十分注意をしていたさなければならぬ、かように考えるわけでございます。要するに、お述べになりました御趣旨は、保護司制度を円満に、最も有効に活用するための保護司選考をいかにするかということにあると存ぜられますので、お述べになりました事柄については、私どももとくと反省もし考えもいたしまして、今後の処理の適切を期してまいりたい、かように考えます。
  29. 横山利秋

    横山委員 現在保護司は、私の手元に参りました資料によりますと、昭和四十年度要求が五万二千五百人、三十九年十月一日現在で四万八千七百十二人ですね。保護司は一人当たりどのくらいの仕事をしておるかということがここに出ておりますが、これだと、一人で平均三人ないし四人、多いのになると七、八人やっておるのですね。なんでそんなことができるか。七、八人のめんどうを見るということは、並みたいていじゃないですね。だから、そんな人は商売なんか何もしていない。もし商売をしておる人ならば、大体保護司一人でめんどう見切れる保護観察の対象者というのはせいぜい二、三人じゃないか、こう思われる。ところが、一方、十年前の昭和二十七年を一〇〇とした昭和三十七年の保護観察事件取り扱い件数を見ますと、驚くべき地域変化がある。これは統計の取り方にもよるんじゃないかと思いますけれども、釧路、金沢等におきましては、十年前に比べて一八〇から一七〇の指数をもたらしておる。熊本については五〇ぐらいに激減している。つまりこれは保護司の地域的アンバランスというものを如実に語っているのじゃなかろうかと思う。保護司定員配置については、それぞれ法務省で適正にやっていらっしゃると思うのですが、それにしても、この地域的アンバランスはなんたることか。東京、名古屋、大阪、横浜は圧倒的に保護観察事件がふえている。この地域的偏在ということと、本年の予算要求で四千人の増を要求された、この実績は一体どうなったか、その間の経緯をひとつ伺いたい。
  30. 武内孝之

    武内政府委員 保護司定員は、おことばのとおり五万二千五百名でございますが、昨年の十月現在では四万八千七百十二名というふうに数字が出ております。年々二、三千名の方々が、任期満了によりまして入れかわることもございますので、そのような数字になるわけでございます。  なお、保護区は全国で九百二十七区でございまして、これにつきましては、その土地の行政区画の改編によりまして当然区域の変更をする作業はいたしておりますけれども、それ以外に、経済的な事情その他によりまして、元のままの保護区としましては負担量に非常にアンバランスを来たしておる面があるやにうかがわれます。また、山間僻地に参りますと、保護区という行政上の面積は広いのでございますが、犯罪対象者というものがあまりない。したがいまして、保護司方々でも、あまり担当件数のないという場所も出てきております。このような状態を是正しなければならぬと思いまして、先ごろ来、各地よりその実情を報告させまして、目下保護局におきまして保護司定員の再配置という作業をいたしておりますが、まだ終了いたしておりません。ただし、そのような均衡是正の必要なことは十分承知いたして作業いたしておるわけであります。  なお、十年前と比較しまして非常に対象者を扱う件数に大きな開きが出てきましたことは、世間一般にいわれます人口の都市集中化傾向に伴いまして、対象者の中にも、職を求め、あるいは住居を都市周辺に移す者が多いので、自然その傾向が私どもの対象者の移動という面にあらわれてまいりますし、そのために東京、大阪、名古屋、横浜、神戸等に各地から対象者が移動してまいりますので、その地方及びその周辺地域の扱い件数が多くなっておることはまさに事実でございます。これに伴いまして、私どももできる限りこの地方の枢要都市の観察所の職員の増員をはかり、また保護司会の保護司欠員を補充することにおきましても、その地方におきましては、当然のこととしまして関係者一同が保護司欠員の補充につとめておる次第でございます。まだその状態が十分とはいっておりませんが、だんだんとこの都市集中化傾向に即応しまして体制を整えていきたいと思います。
  31. 横山利秋

    横山委員 武内さん、私は本日、あなた方の仕事を激励しているのですから、そのつもりで弁解をしないで前向きに答えてほしいのです。  これはもう少し機動的に、思い切った定員増加並びに配置がえをしてもらわなければいかぬ問題でありまして、いま何というか、動脈硬化におちいっているのではなかろうか。思い切って、私の言うような、最初のお話適格条件及び選考基準選考方法、それらを再検討するということと、第二番目に、私、先ほど誤解しておったのですが、五万二千五百人というのは現在の定員になっております。そうしますと、結局四千名の欠員があるわけですね。四千名の欠員がある。それでもって都市では七人、八人も担当しておるというようなばかげたことが行なわれておるとすれば、これは何としても即刻やってもらわなければいかぬ。私の想像に誤りがあるならば御訂正願いたいのですが、山間僻地における保護については、村民がみんなしっています。村民がみんな、いい意味でも悪い意味でも保護観察をしておる。大都市ではそうはいきません。大都市では、朝出ていって夕方しか帰らない人間については、隣は何をする人ぞ、こういう状況ですからね。思い切った保護司定員配置がえを断行すべきだ、私はこう思うのです。  それから第三番目は保護司会の問題です。保護司会は、ここに保護観察読本を引用いたしますが、「保護司は配属された保護区ごとに、地区保護司会を組織しているが、この地区保護司会は更に保護観察所単位に都府県の保護司連盟または保護司連合会を組織している。」「しかしながらこれらの組織はあくまでも自主的なものであって法的根拠の基礎の上に立つものではない。」こういって、法律的な組織ではないといっている。ところが、保護司状況を見ますと、この地区保護司会というものが実際は活動の基盤である、私はそう思います。この地区保護司会というものがお互いに集まって、自分の体験を語り合いながら自分の担当の地区観察者について協力を求め、いろいろやっている。ということは、保護司お互いに励まし合って運営する一番必要な要件である。したがって、これはあくまでも自主的なものであって法律的基礎の上に立ったものではないという。法律的にほうりっぱなしにしておいて、それでもって保護観察所としては保護司会の運営に非常に期待しているという矛盾を解決しなければならぬと思う。しかもこの保護司会に対する国費の補助はゼロであります。これはどうしたことなんです。運営に期待しながら何もお茶菓子代も出していない。したがって、地区保護司会が運営の基礎的根拠に立ちながら、それらに要する費用は、保護司さんにひとつまあ適当にやってくれ、保護観察事件一件について、いま四百八十円ですか、四百八十円をポケットにする人もありますまいけれども、そういう微々たる金をお互いに出し合いながらやっているというこの運営の一番末端の基礎的要件である地区保護司会に対する国費の補助がゼロというのは、これはどうしたことか、この保護司会に対するお考えをひとつ承りたい。
  32. 武内孝之

    武内政府委員 地区保護司会は全国の九百二十七の保護区ごとに一つずつ結成されておりまして、御指摘のように、その性格は保護司方々の自主的な組織となっておりまして、いまだ国家機関としての法律的性格を持っておりません。これにつきまして、各地のほうから保護司会への国家予算による補助という要望のあることも事実でございますが、問題は、発足した当初からして、またいままでの実績からいたしまして、この地区保護司会に国家的機関としての性格を付与するのが得策かどうかということもかつて考えられておりました。私どももいまでも考えておりますが、国家機関というふうな性格を付与することによる長所、短所、利、不利という点を考えますと、やはりこの地域に定着いたしますところの犯罪、非行をした対象者を援護、補導するという、この問題は役人だけでやれるものではなく、社会に住む人々が、その社会から出た犯罪をした者がまた戻る社会であるということに考えをいたしますと、近隣の人たち、知り合いの人たち、あるいは奉仕の精神に燃える人たちが、その心からなる愛の手を伸べるというような仕組みのほうがよいという議論もあるのでございます。私どもは、現在の保護司は非常勤国家公務員でありますが、保護司会はその保護司方々が相互に更生保護に関する知識を修得したり、あるいは技術を練摩する会、あるいはその地区の犯罪予防活動を行なう、非常に広い問題がございますが、そういうこととか、あるいは保護司相互間の横の連絡協調、そういうふうなものを主として現在追求しまして、自主的に結成され、また運営されておるのでございます。この運営の問題につきまして、いろいろと難点のあることは御指摘のとおりでございます。しかし、この地区保護司会が民主的に運営されておるこの長所も、また見のがすことができないと思うのであります。この運営の問題につきまして、何とか財源的な配慮をしてあげたいということから、前の中垣法務大臣のころに、保護司会が行なうところの犯罪予防活動は、その地方の地方公共団体が行なうとされておる防犯活動と相通ずる面があるというようなことからいたしまして、自治省におきましても、犯罪予防活動をした団体に対して、犯罪予防活動をしたその行為に対しまして、交付税の裏づけをつけてくれました。一昨年のことでありますが、これによりまして、地区保護司会が行なっておるところの犯罪予防活動は非常に元気づけられまして、交付税の制度の活用によりまして、実際上その地方におきましてそれぞれの環境浄化運動なり、犯罪予防活動を活発に行なっております。私どもは、保護司会の育成なり、その活動の助長という面につきましては、たとえば交付税の面から、あるいは保護司に対する実費弁償金の面から、あるいは研修費の面から、いろいろの面からの手当てを考えていくのが妥当であるというふうな考えでいまいたしておるのであります。
  33. 横山利秋

    横山委員 大坪さん、私はこういうことを考えるのです。保護司社会的使命を評価するのあまり、保護司はりっぱな使命を持っている、社会的な要件があるからやってくれるものと思って、政府が甘く見ているのではないかという感じがするわけです。それは、なるほど保護司は、もう身銭を切ってでもやらなければいかぬたいへんな社会的な仕事であるからということは事実です。事実だけれども、やってもらえるものと甘く見て、何もやらぬでもいいんじゃないか、一件当たりの四百八十円も、そうは上げぬでもやってもらえるもの、地区保護司会に対する国家補助も出さぬでもやってもらえるもの、そういうふうに甘くものを考えているんじゃあるまいか。四万八千七百十二人の人は、この基準によれば、ある程度財産のある人かもしれぬし、中には自分で身銭を切っている人もあるかもしれぬ。けれども、国家がこの保護観察仕事を大事だと思えば、それだけの運営費やそれだけの手当てはしなければいかぬ。大蔵省に要求したけれども、もらえませんでしたということでたかをくくってもらっては困る問題です。ですから、この保護観察事業に対するものの考え方が、どうもやってもらえるもの、りっぱなお仕事です、どうぞよろしくお願いしますというてたかをくくっておる感じがある。一応努力はしたけれども、もらえませんでしたというて、大会で御報告なさっている。そしておとりすましになるような雰囲気がある。私は、この保護観察事業というものは、もっとみんながどろをかぶらなければならぬ。どろをかぶって刑余者と接しなければならぬ。りっぱな仕事だといってとりすましておるのではないか、そういう感じがするわけです。どうですか。
  34. 大坪保雄

    大坪政府委員 横山先生からおしかりをこうむったようですが、私ども、今日、全国の保護司の皆さん方が身銭を切って、ほんとうにいまあなたのお話しになりますようなどろまみれ仕事をやってくださっておるという実情を十分承知いたしております。その御要望もよく承っております。私どもは、ただいま保護局長からるるお答え申し上げましたように、いろいろの措置を講じて、保護司方々が、私どもが御期待申し上げておるところの十全の効果を発揮してくださるようにお働きを願うについては、それだけの措置を国としてやらなければならぬということは、もう常日ごろ考えておるわけでございます。今回は、保護司の団体に対して補助をするということについては、そこまでのお考えをいたしませんでしたが、保護司方々に実費弁償費を少しでも増額して、幾ぶんでも気持ちよくしてお働き願いたいということのために、昨年同額の八十円を増額いたすことに最終的にきまったのでございますが、これも決して、いま御指摘になりますように、私どもが、保護司の皆さん方は自然その地位を喜んで、自分たちで積極的にやってくださるであろうということで甘えておるようなことではございません。これは内幕の話でございますが、予算要求の最終の段階においても、大蔵大臣、法務大臣の折衝においては、この問題を特に強く取り上げまして強調をいたしました。昨年同額では私どもも残念でございましたけれども、とにもかくにも昨年同額の八十円増額というところまでまいったのでございます。しかし、決してこれで私どもは甘んずるわけではございません。実情をよく承知しておればおるだけに、御活動が願いやすいように、今後ともにその措置は講じ続けていかなければならぬ、かように覚悟いたしておるような次第でございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 BBS運動というものがある。要するに、BBS運動は、よい友だちをつくるということで、保護司ではないけれども、まあおにいさん、おねえさんというような人を友だちとして保護観察運動に側面的援助をされる。私はねらいは非常にいいと思うのです。いいと思うけれども、それなら何でその人たち保護司にしないのか。私は先ほどから、保護司選考基準その他の中に、若い人、職場の人、時間がなくても熱意のある人、生活の安定がなくても熱意のある人、もっと刑余者に理解を持ち、一緒にひざを交えて話のできる人、こう言っておるわけです。そのBBS運動は、ねらいはいいけれども、なぜそれなら、むしろBBSから一歩踏み出して、私の言うような保護司選考基準とか運営基準に踏み出さないかと言いたいのであります。BBSの宣伝はたくさんここに書いてあるのですが、実際それではBBSがどういう発展をしておるかということについて資料ができていないのです。いまBBSは全国で何人くらいおって、どういう活動をしておりますか。
  36. 武内孝之

    武内政府委員 お話のBBS運動は、京都の同志社大学の有志によってつくられたものでありまして、現在全国で四十九団体、会員は約一万人であります。その年齢は、二十歳前後の学生、工員、店員あるいはその他の無職の人から三十歳前後の人たちであります。活動は、いわゆる友だち活動と申しまして、非行をした少年に限るのでありますが、非行をした少年の兄となり姉となって、その話し相手となり、一緒にレクリエーションをしたり、相談ごとに乗ったり、励ましたり、勉強を教えたり、就職のお手伝いをしたりというふうな、ほんとうに他人とともに社会をよくしたいという熱意から出た純粋な青年運動であると思いますが、この人たちは、それぞれ地区の保護司方々の協力組織となりまして、保護観察対象少年のために友だち活動をいたしております。中には非行少年と交わることによって、かえってこちらのほうがスポイルされるのではないかと心配される親もあり、またそういう本人もあるようでございますけれども、現在一万人のこの人たちの幾つかの会合にも私は列席して、その経験談を聞きましたが、ある者は学業の手伝いをし、ほんとうにその少年の相談相手となって更生させたという体験を持っておる青年が非常に多うございます。先ほど、この保護司の老齢化の問題が出ましたが、七十歳以上の方々は、就職の手助けをする面におきましては非常に妙を得ておられることがあります。同時に、時代感覚のズレということがいわれますが、確かにその方々が二十歳未満の少年の補導をなさる場合には、自分の孫を、あるいはむすこを扱うようにはいきませんので、その場合に、このBBSの会員諸君が保護司の方の協力組織といたしまして、活動をいたしてます。現在、全国で一万人のBBS会員は、それぞれその地の保護司方々と共同的な形におきまして、非行少年の保護観察の手助けをいたしております。しかし、まだ保護司のように非常勤国家公務員という資格は与えられておりません。そのために、BBS会はもちろんのこと、このBBS会員の活動そのものに対しましても、実費弁償制度はできておりません。しかしながら、このBBS会員の中から優秀な——保護司を希望して、そして実際保護司に推薦され、保護司になっておる方が相当あります。こういう意味で若い壮年層の保護司の給源としてBBS会員の活動をながめ、また期待しておりまして、各観察所に対しましても、——現在の平均年齢は五十七歳であります。昨年より一年下になりました。年々一年くらいずつ若返っておりますが、昨年の十月の調べでは平均五十七歳、そのうち三十歳から六十未満の保護司方々は全体の五八%余りであります。なおこの上とも壮年層の方から多くの保護司を選べるようにという指示をいたしておりますが、BBS会員の中から三十代の保護司方々をたくさん得られるようにということを会議のたびに要望し、また繰り返し指示をいたしております。現地に行かれまして、BBS会員のことをお聞きになったということでございますが、各地でも、この保護司方々は最近とみにBBS会員の活動に期待を持たれ、それを協力機関として、いわゆる社会資源の一つとして活用しておられる保護司もふえてまいりました。私どもは、このBBS会の育成につきましては、今後ともつとめていきたいと思っております。
  37. 横山利秋

    横山委員 武内さんの意欲は買うのですけれども、たとえば私のところの名古屋では、BBS会員は百人か二百人、まあ期待は大きく銭は出さぬ、あなたの言うのは要するにそういうことです。期待は大きく銭は出しません、しかるべくよろしくお願いします、まことにこれではちょっとかってがよすぎやせぬかと思うのですよ。先ほどの地区保護司会も期待は大きく、銭は出しません、法律的要件を備えていませんから。更生保護の中のしんになるもの、しんになる期待を今後しなければならない組織、層、そういうものについては銭が出ておらぬというわけですね。これはどうしたものですか。  それで、保護司というものはほんとうは希望されてやらせるものじゃないですよ。やってもらいたい、あなたに御苦労だけれども、まあお忙しいけれども、ぜひひとつ頼むというふうにしなければいかぬと私は思う。それはあらゆる分野において、地域において開拓していかなければならぬと思う。BBSの中でおれが保護司になるという人は、そう簡単におりません。あなた、してくださいというふうに頼んでいかなければいかぬと私は思う。現在の保護司の方はみんなりっぱな人たちばかりですけれども、やはり選考基準が基準だけに、社会地位社会的使命、それにのみおぼれておる人がないではないですよ。保護司の肩書きというものは大事なものだ、使命は重大なものだ、それにおぼれておる人があなたは全然ないと言えますか。これはやはりお願いしなければならぬほうです。求められて、そうですが、あなたやっていただけますか、ありがとうございましたというわけにはいかぬわけです。私は、BBSについて、ねらいはよろしいけれども、むしろBBSが保護司になるべきだ。BBSをつくる前に保護司の大改革をすべきではないかということを私は考えておるわけです。  それから保護観察所の保護観察官がまた少ないですね。たとえは悪いですが、これはちょうどウ飼いのウ匠ですわ。その保護観察官が毎月一回保護司さんから出してくる資料を見て、これは必要だと思えば、その本人を直接呼んでやります。一カ月一人当たり平均、その保護観察官は何件を担当しておりますか。
  38. 武内孝之

    武内政府委員 一人当たり平均二百件くらいを担当いたしております。
  39. 横山利秋

    横山委員 私の聞いたのはばかに多い。観察官は四、五百件を一人でやるといっておりますよ。これは間違いですか。名古屋だから多いのですか。保護観察官は一人当たり四、五百件を担当しておる、これはうそですか。
  40. 武内孝之

    武内政府委員 それは保護観察事件だけでなく、環境調査調整事件と申しまして、仮出獄を地方更生保護委員会が許すか許さないかを審査する前提といたしまして、本人が帰りたいと希望するところを管轄する観察所に、本人の帰住予定先の環境はよいかどうか、調整する必要があるならば、それをどのように調整するか、こういうことを命じますので、その環境調査調整事件、これは非常に一時的でございますが、そのような事件も全部計算に入れますとそういう数字になるかと思います。私が申しました保護観察事件と申しますのは、大体継続いたしておりますので、観察期間が終わるまでその件数が非常に努力を要するものでございますから、それを申し上げたのであります。
  41. 横山利秋

    横山委員 継続的事案でも一人月二百件、臨時的用件を見ると、四、五百件を一人の保護観察官が担当して、目を配っておる。これは私はあきれはててものが言えない。そんなたくさんの人の刑余者保護観察をする人が、いまどうなっておるか、ちょっと配慮できますかと聞くと、やっておりますとまじめに答えられる。けれども、これは御本人がまじめに答えられても、あまりにも荷がかち過ぎると私は痛感したのです。一人が四、五百件、継続実数二百件、そうして名古屋のような保護観察の対象者の多いところでは、保護司は多いのは七、八件、こういうケースを持っていきますと、これでは皆さんまじめにおやりになっても、なかなかうまくいっているとは思われない。  それからもう一つは、呼び出しますね。呼び出して、保護観察所のあの雰囲気の中で、応接間じゃないですよ、机だけがずらっと並んでおるところで、「このごろどうしておる」、横ではわあわあやっておりますわね。そうすると、対象者は「はあ」と下を向いておりますね。何のために呼び出したのかといえば、お前はこのごろちょっといかぬじゃないか、どうしたんだ、という情を含んで話さなければならぬ雰囲気ですね。何のことはない、向こうでそろばんをやっておる、計算機をやっておるのです。お客さんが来てがちゃがちゃやっておる。そんなところで実効が上がると思いますか。だから保護観察官が一生懸命やっておられても、これはかなわぬという感じがするのです。やはり呼び出す以上は、それだけの二、三百件の中から特にこれを呼び出さなければならぬと思ってやるのでしょう。やるのだったらやるように、面接室とか、雰囲気のいいところへ入れて、一時間なり二時間なり、ゆっくり話をして、専門にやっておられる観察官の人ですから、ゆっくり話をする雰囲気をつくらなければならぬ。ところが、一々所長室をお借りしますというわけにいきませんね。あれじゃ、私は効果はないと思うのでありますが、どうですか。
  42. 武内孝之

    武内政府委員 名古屋の観察所を御視察された上での御感想だと承りましたので、まことに御指摘の庁舎の事務室の狭隘なこと、及び面接室というものができていないこと、それから、いまお話しのような対象者と面接した場合に落ち着いた、また行き届いた話ができないとか、向こうの対象者の言いたいこともよく聞き取れないような雰囲気ではないかというお話は、私も同感でございまして、私着任以来、各地の観察所で面接室のないのが相当ございました。軍の転用物をそのままもらい下げた、あるいは少年審判所の古い建物を引き継いだような形で発足いたしましたために、庁舎の狭隘なこと、また不備なことは相当なものでございましたので、法務省といたしましても経理部にお願いし、また大蔵省とも折衝いたしまして、この面接室を逐次つくりあげることになりました。いま御指摘の名古屋は、その余裕がなかったものですから、私どもは内部の事務室に間仕切りなどして、面接室という、こういうものをつくるようにいたしたいと思いますが、その他では逐次間仕切りによって、臨時的にできるところはつくり、また新しくつくるところは、急を要するところはいたしております。この点につきましては、全く私も同じように考えまして、対象者と面接するのにはまず環境、その雰囲気のある場所が必要だというふうに思っております。  なお、前後いたしましたが、二百件の保護観察事件を扱っておりましても、おおむねその中で対象者に自助の精神が乏しく、処遇の点で難点があるというケースは一割前後というふうに、私、会いまして聞きますと、現場の観察官は申しておりますが、そのような問題のある対象者はときどき呼びまして、いろいろ現在悩んでおる点を聞き、その相談相手になるということをやっておりまして、二百件全部が全部呼び出さなければならないというものではなくて、経験上は多くても二割足らずというふうになっております。しかしながら、観察官が保護司なしに、みずからケースを担当いたして街頭に出てやったといたしますと、この賃担件数は六十件くらいであろうということが、実験によって私どもわかっておるのでございますが、現在の保護司制度と共同的にやっておる制度におきましては、百五十件くらいがちょうどよいところで、平均二百件といいますのは、交通違反の事件などが入ってきておりますので、凶悪犯から、あるいは自助の精神の非常に濃い者から薄い者、いろいろさまざまでございますので、私ども、この平均二百件のケースをどのように処理していくかにつきましては、運営上の問題として、また義務遂行上の問題としまして、重点的に自助の精神の薄い者、再犯の危険の多い者というのがおのずからあるであろうから、その手当、その処遇をよくすることを先にするようにというふうに事務上いたしまして、観察官の苦労は十分に知っておりますが、当面事務能率の効率をあげるようにいたしております。
  43. 横山利秋

    横山委員 ともかく御苦心のほどはわからぬではないけれども、あれではどうも努力をしておるけれども手が回らなすぎるということを痛感して、保証観察官の数をやはりふやさなければいかぬ。それから、せっかく呼び出したものならば、その目的が達せられるような雰囲気をつくらなければいかぬということを強く指摘しておきたいと思います。  次は、この昭和三十九年度全国大会の決議事項をずっと見てみました。全くこの全国大会において議決されることが非常に多いのですけれども、私ども法務委員もこの大会結果について十分承知をしていなかったということが、私も経験が浅いのですけれども、わりあいに多いと思います。これだけ一生懸命に研究がされ、議決がされたことについて、法務省としてはどのくらいの誠意を持ってやっていらっしゃるのだろうか、いささか心細いような気がしたわけであります。そこで、その意味において、一体どういうふうにしていらっしゃるかについて、この採択事項の一、二を引用してお伺いします。  たとえば、第二部会において、「国は、保護司の行なう在監、在院者との面会、通信についての制限を解除されたい。」と書いてある。何で保護司に面会、通信について制限をしておるのか、私、いまさら不思議に思う。それから第二番目に、「国は、保護司が在監、在院者に面会するため矯正施設に赴く費用について充分な予算措置を講ぜられたい。」全く職務上の仕事ではないか、こんなことが何で採択せられなければならぬのかということが痛感されるわけです。   〔加藤委員長退席、上村委員長代理着席〕 全部について御質問をいたしますと、時間がかかりますので、一体こういう全国大会の採択事項についてどういうふうに善処をされるのか。決議のしっぱなしで、あなたのほうは随時適当にやっておられるのかということも含めて一、二の問題についてお答えを願いたい。
  44. 武内孝之

    武内政府委員 毎年全国更生保護大会で、各部会で取り上げました事項を総会で採択事項として取捨選択しておりますが、この項目につきまして法務省所管の分につきましては、法務大臣にこの中から抜粋して要望がなされます。自治省その他裁判所などに対して関係のある分につきましては、それぞれの部分だけその方面に役員の人たちが要望書を出しております。  この御指摘の第二部会の採択事項は、これは法務省所管のものでございますので、私ども承知いたしておりますが、また要望を受けましてお答えいたしておりますが、保護司の方が在院、在監者と面会したり通信したりすることについての制限を解除されたいということでございますけれども、矯正当局におきましても、先年来この問題につきましては、保護司であるという身分がはっきりわかり、また観察所からその用務が何であるかということがわかっておる限り、特に制限をしておることはないという回答でございますし、また一部の保護司さんの方々では、協議をしておられる際に、自分はそういうことはなかった、簡単に面会できた、それでは面会できない場合がほかにあったのですかという反問がありましたぐらいで、私ども、この点につきましては、何かの都合で思うときに面会できなかった。たとえば日曜日、作業中に行かれたような場合は断わられたと思いますが、刑務当局あるいは少年院当局の向こうの都合も考えまして、あらかじめ連絡した場合にはみんな面会ができております。ただし、いきなりぽっと行かれたときに、それが日曜であったり、作業に出ておるからというような何かの都合で面会できなかったということは報告されております。この問題につきましては、私どもはそのように了解して、皆さんに、こういうことはないんだから、何かそれは事前の連絡に問題があったのではないだろうかということをお答えいたしました。なお、十分注意してありますので、このような制限されるようなことはないはずでございますがあってはならないというので矯正当局に重ねてお願いをしておきました。  それから保護司の方が在監、在院者に面会するために施設に行かれたときの費用を、国がもっと予算措置を講ずべきであるという問題につきましても、現在におきましても、観察所長がこれは必要な面会だと認定した限りは、予算上環境調査調整費の中から支出できるのでございまして、そのように支出しておるのでございます。ただ観察所と連絡なしに行かれましたときに、あとでだいぶんたってからその要求が出たという場合を仮定しますと、これは観察所長としましても、これがほんとうに必要だと思えばあとからでも出すことができるのでございまして、法律的、予算的にはこれは問題はないのでございますが、この問題を部会で取り上げましたことにつきまして、私はあとで、これは運用上どうなっておるのだろうか、実際にできるはずだが、何かの都合でそういうことが起こって、その当の保護司さんがこの議論を出されたのだろう、こういうふうに考えました。したがいまして、この一、二とも実は現在重大か障害は何らないのでございます。
  45. 横山利秋

    横山委員 あまり本日時間をとってもあれですから、これで質問を一応打ち切りたいと思うの下すけれども、私がずっと名古屋でまた東京で、あるいは各保護司さんの御意見を聞きまして痛感をいたしたことは、要するに更生保護現況はこれでいいかどうか。もちろんこの問題というのは特効薬がございませんから、池の中へ石を投げ込んで、そうして一歩でも二歩でも、うまずたゆまずやるという忍耐力がなければならぬ。したがって、政治家がやいやいと言うことについては、そううまくいくものではないということは知ってはおります。おりますけれども、それにしても、この社会の日陰にある人々を何とかあたたかく更生をさせるということについての政府施策というものは、機構の上からも人員の上からも予算の面からいっても不十分きわまるものである、私はこう痛感をしたわけであります。  まだいろいろな角度から質問をして問題点を究明いたしたくは存じておりますけれども、時間がないから以上で一応質問を打ち切りますけれども、これではいかぬ、更生保護はこの際思い切って努力をしておる人たちの希望にもこたえ、そして対象者の現在置かれておる条件なりあるいは環境なりに、どろをかぶってそして一緒に手をとって導くという体制をつくり上げていかなければならぬ。そのためには今日の法律、今日までの運営、それにとらわれることなく、一ぺん更生保護の問題について考え直したらどうか、場合によれば、政府で、この犯罪激増の状況の中の対策の一環として、更生保護はいかにあるべきかという点について学識経験者を集めて検討したらどうか。それはいままで武内さんはじめ全国の一生懸命やっていらっしゃる人たちは、現状をひとつ生かしてというお考えだろうと思うけれども、新たなる観点でこの激動する社会犯罪青少年状況にこたえて考え直す必要がありゃしないかということを私は痛感をするわけでありますが、ひとつ政務次官の最終的な御意見を伺ってみたいと思います。
  46. 大坪保雄

    大坪政府委員 横山先生刑余者保護社会復帰の円満な措置を進めるについての非常に愛情深いお気持ちの発露であるいろいろの御意見を承りまして、私ども深く傾聴いたした次第でございます。  いまお述べになりましたような、現状を基礎として、現状修正的なことでなしに、むしろ現状を離れるくらいな新しい気持ちと観点から、この問題と制度の改善をも含めて取っ組んでみたらどうかという御意見、私どもまことにごもっともなところがあると存じます。ただいま法務省ではこの制度の改善方策について検討を進めておるようなことでございます。その段階において御意見に出ましたこと等も十分参考にさせていただきます。しかし、何事にまれ常に十全という効果は期待できないわけでございますから、日進月歩的に一歩一歩改善の効果があがるような措置を講じてまいりたい。これは私が政務次官として御答弁申し上げるだけでなしに、ただいまも申し上げましたように、法務省においてもすでに制度の改善方策について検討いたしておりますことでございますから、御承知おきを願いたいと存じます。
  47. 横山利秋

    横山委員 大坪さん御存じのとおりに、法務大臣並びに法務政務次官というのは、年々歳々一番よくかわっていくものでありまして、本委員会が日ごろ隔靴掻痒の感のいたしますのは、この法務省というところが各省、経済省と違いまして非常に政治力のないところ、まあ大臣並びに大坪さんは別でございますけれども、御就任なさる方については、何といいますか、一期限りという感じをお持ちになりやすいところであります。われわれ法務委員も、その意味におきましては反省をしなければならぬ点もまた運営上多々あると思うのでありますが、どうしても予算の問題についても、人員の問題についても、経済みたいなような実効を即座にあげ得ない省であり、また委員会でありますだけに、とかく二の次、三の次になされる。   〔上村委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、お互いにこういう法務行政に携わる者として、それではならぬということが痛感をされておりますだけに、私はきょうは保護司の問題に限定をいたしましたけれども、ぜひひとつ刑余者のために、また一生懸命やっております保護司のために格段の御協力を願いたいということを考える次第であります。
  48. 加藤精三

    加藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次会は来たる十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十三分散会