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足鹿委員 はっきりいたしましたので、この
委員会の速
記録等を地方へ送って、そういう事態を私
どもとしても講じますが、誤解を生じやすいような指導は避けられて、簡明率直に地方に、そういうことのないように、あらためて
方針を流しておいてほしいと思います。ぜひ
大臣、そういう点を御考慮おきを願いたい。
そこで、お急ぎのようでありますので、生乳の学校給食の促進対策について、文部、農林、厚生当局に
お尋ねしておきたいと思うのです。
生乳の学校給食の供給条件でありますが、高度経済成長政策下の日本農業は、農畜産物の価格の不安定と値下がりで、特にこの酪農に
関係のある購入飼料が値上がりをいたしまして、酪農経営は非常に困っておるのです。労力費も上がった、飼料も上がった、すべてのものが上がっておるさなかに、
昭和二十九年には三〇%の乳価の値下げが行なわれておるし、三十三年には一五%値下げが行なわれ、その結果、ここにも資料もございますが、
全国四十一万戸の酪農民の赤字が百億円をこえておる。これと反対に、明治、森永、雪印の大手三社の純利益というものは二倍以上にふくれ上がって、二十億円に飛躍しておることが資料によって明らかになっておるのであります。これとは逆の酪農の実情というものを、文部
大臣にひとつこの際じかに、これは中央の資料でもありません、私の県にある農林省の出先機関の統計事務所の資料でありますから申し上げますと、農林省鳥取統計
調査事務所発表の三十九年度の酪農の生産費は、乳牛一頭当たり一万九千二百六十円の赤字になっておる。しかも県下の乳価は、五十九円から七十円三十一銭まで六段階にも分かれておるのです。そういったことが原因になりまして、非常に農家は困っておるのです。したがって、屠殺がだんだんとふえてきておるのです。それで、これを日当の面から計算をしてみますと、乳牛の頭数
規模別粗収益というものを申し上げますと、一日で二百四十二円です。現在の農林省の統計によりますと、平均飼養頭数が三・一頭です。そうしますと、二百四十二円の三・一頭では、一日当たりの労賃千円には違く及ばぬ。ですから、どうしてもこれは四頭以上飼わねば千円の日当につかぬというのが実情でございます。したがって、いま申しましたような赤字が出るということになる。ですから、大
規模な酪農に切りかえていくに越したことはありませんが、なかなかそう思うようにならぬ。ところが、一方、農業の雇用労賃指数というものを鳥取県の場合調べてみますと、三十五年を基準とした場合に一九五で、ちょっと倍です。農業パリティ指数からいきますと一五二、約一。五倍です。生産者の生産乳価では幾ら上がったかといいますと、二二九です。こういうアンバランスのために、だんだん酪農に熱意を失っておる。これは農林当局もよく御存じのはずであります。ところが、去年の六月市乳の値上げを行なった。ところが、ふしぎなことに、生産者には三五%、メーカー、小売
業者に六五%もやって、わが国ではその値上げ分が逆になった。生産者に六五、メーカー、小売り
業者に三五ならわかりますが、逆になっておるのです。これは農林省の責任でありまして、私
ども農林
委員会でもきびしく追及したところでありますが、イタリアの事例は、政府の資料にも載っておりますが、イタリアは六一が生産者手取り、三九が加工
業者、スウェーデンの場合も六五が生産者で三五がメーカーの手取りになっておる。日本は逆なんです。ですから乳をしぼればしぼるほど赤字が出るという状態であります。(「しぼるほどしぼられる」と呼ぶ者あり)そういうことなんです。乳をしぼったつもりでおったらしぼられたということになります。どうしても手取り八十円単価というものは農民の最少限度の要求ですよ。私は理想論を言ってここで議論しようと思っておらぬのですが、少なくとも八十円というものはやらなければいかぬと思うのです。そこで、こういう酪農事情の中にあって必要な学校給食用の生乳をいかにして優先確保するかということが、ここで初めて問題になってくると思うのです。
そこでいわゆる優先供給確保をはかるための体制は一体どうしたらいいかということになってきますと、少なくとも
補助単価の五十銭のことしの値上げ分は農民にやっていけば一番
——でも焼け石に水でありますけれ
ども、若干のきき目はあると私は思うのです。それもなしに学校給食に持っていこうとしましても、実際においては給食用の生乳一合当たりの手取り価格は六円九十五銭です。一般の飲用乳の卸売り価格は十円四十銭が十一円五十銭になっておるのです。ですからこれではとても
——あなた方が学校給食を生乳に切りかえるという気持ちを持っておられ、政策を
推進される気持ちはわかりますが、それを進めるためのいま述べたような優先確保の諸条件というものを整備されなければ、これは架空のことに終わってしまうのではないかと思うのです。これは少し乱暴な御
質問で、農林
大臣と大蔵
大臣、文部
大臣並べておいてお聞きしたいのが本意でありますが、要するに去年の六月からまたその値上げが行なわれ、メーカーは有利な
立場に立っており、酪農民は不利な
立場に立っておりますが、要するに学校給食用の供給価格というものを市乳価格にスライドさせるか、あるいは国の
補助金をもっと大幅に引き上げるか、何らかの
措置をとられないとむずかしいことがはっきりしておると私は思うのです。こまかいことを申し上げて恐縮でありますが、具体的にいいますと、本年度の供給単価は何ぼと見ておられるか。そして今後この供給単価というものをどういうふうに策定をして生乳給食への切りかえを促進していこうとしておられるか。この際あまり事務的な
答弁ではなしに
——でもけっこうですが、
大臣のお気持ちなりそういったものをこの際、
農林政務次官もおいでになっておりますし、両
大臣からひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。