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1965-04-14 第48回国会 衆議院 文教委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十四日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 渡海元三郎君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君 理事 二宮 武夫君    理事 三木 喜夫君 理事 山中 吾郎君       大石 八治君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    床次 徳二君       橋本龍太郎君    松田竹千代君       松山千惠子君    足鹿  覺君       川崎 寛治君    高橋 重信君       長谷川正三君    前田榮之助君       鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (管理局長)  斎藤  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 四月十三日  委員橋本龍太郎辞任につき、その補欠として  根本龍太郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員根本龍太郎辞任につき、その補欠として  橋本龍太郎君が議長指名委員に選任され  た。     ――――――――――――― 四月十四日  学校警備員設置に関する法律案成立促進に  関する陳情書(第  二三号)  地方教育費に対する国の財政措置に関する陳情  書(第二四号)  国立広島商船高等学校商船高等専門学校昇格  に関する陳情書  (第二五号)  公立学校施設整備事業費国庫補助基準引き上げ  に関する陳情書  (第二六号)  屋内運動場新設費国庫負担増額に関する陳情書  (第二七号)  私立学校振興対策に関する陳情書  (第二八号)  司書教諭の必置に関する陳情書  (第二九  号)  義務教育職員に対する定員、実額制度堅持等に  関する陳情書(第  三〇号)  教育制度充実強化に関する陳情書  (第三一号)  義務教育費財源措置に関する陳情書  (第一一六号)  高等学校全入促進に関する陳情書  (第一一七号)  国立弓削商船高等学校商船高等専門学校昇格  に関する陳情書  (第一一八号)  義務教育費国庫負担法の政令並びに地方教育費  に対する国の財政措置に関する陳情書外一件  (第一一九号)  高等学校視聴覚教材設備費補助に関する陳情書  (第一七四号)  国立商船高等学校国立商船高等専門学校昇格  に関する陳情書(  第一七五号)  南那須村の学校給食センター建設費国庫補助に  関する陳情書  (第一七六号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案の  成立促進に関する陳情書  (第二三六号)  義務教育費国庫負担法の一部改正に関する陳情  書  (第二三七号)  高等学校父母負担軽減等に関する陳情書  (第二  三八号)  愛知学芸大学名古屋分校四年課程設置等に関す  る陳情書外一件  (第二三九号)  公立大学助成措置に関する陳情書  (第二四〇号)  学校給食義務制に関する陳情書  (第二四一号)  公立文教施設国庫補助に関する陳情書  (第二四二号)  宮城教育大学設置反対に関する陳情書外四件  (第二四三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇五号)      ――――◇―――――
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 これより会議を開きます。  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま議題になっております私立学校教職員共済組合法の一部改正の問題につきまして、文部大臣並びに関係当局お尋ねを申し上げたいと思います。  その第一点は、公的年金制度内容統一についてであります。ここに提案されております私学共済組合法改正案に対する質問を行のうにあたりまして、各公的年金制度制度内容統一的に改善するという点について、政府の見解を伺っておきたいのであります。  私は、昨年の第四十六国会において農林漁業団体職員共済組合法、いわゆる農林年金法でありますが、その改正審議に終始長時間参画いたしましたが、その経験から見まして、この農林年金法改正は、要するに国会公務員共済組合法給付水準への到達ということが中心であったように思うのであります。そこで、今回ここに提案されております私学共済組合法改正案を見ますのに、主たる内容農林年金の場合と同様、国家公務員共済組合法への到達が主内容となっておると思うのであります。給付金算定基準となる平均標準給付期間を、現行五年を三年とするという点についても、年金支給最高限度を百分の六十から七十へ改める点についても、いずれも国家公務員共済組合では、御承知のように早くから実現されております。農林年金法においても昨年十月から実施を見て、現在に至っておりますが、共済組合という共通的な性格年金制度において、長い間各制度間の内容においてバランスがとれていなかったということは、まことに残念に思います。特に何ゆえ私学共済法にあっては、この改正が今日に至らなければ提案ができなかったか、その辺の事情を明らかにしていただきたいと思います。私は、やはり現在のように、多くの公的年金制度が分立している姿は好ましいものではないと考えております。これは究極的には一元化の方向にいく必要があると思うのでありますが、そのためにも各制度基本をなす部分、つまり給付率資格期間等はできるだけ統一するほうがよいと考えておりますし、同じ政府より提案されておる各制度がばらばらな形ではおもしろくないと思うのであります。各制度に共通した問題は統一的にかつ同時的に改正すべきであると考えておりますが、この点については、特に文部大臣の御所見を承ると同時に、国務大臣としてのお考えもあわせてこの機会に伺えれば幸いだと存じます。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御案内のように、私学教職員共済組合昭和二十九年の一月に設立されたわけでございますが、自来この組合が行なら給付につきましては、国公立学校教職員に対する給付水準と均衡を保つことをたてまえとしておるわけでございまして、国家公務員共済組合法改正され、その給付基準引き上げられるに伴って、私学共済組合法改正も行なって、その給付の改善をはかることにつとめてまいったわけでございます。今回の改正案についての経過、並びにこれはもっと早く提案して制定すべきではなかったかという御質疑がございましたが、ごもっともでございまして、実は今回の改正案は第四十六国会提案いたしたいと思いまして鋭意準備をしておったわけでございますが、しかし御案内のように適用除外校の問題などにつきましての調整が実はなかなかつきかねましたために、今国会まで提案が持ち越されたわけでございまして、私どもとしても、できるだけすみやかにと思っておりましたことが、そういう調整がつかなかったために延びましたことは遺憾に存じておるような次第でございます。  それからその次の根本的な問題でございますが、実は今回この法律案提案するに際しましても、法律の命ずるところによりまして、社会保障制度審議会にも御意見を伺ったわけでございますが、社会保障制度審議会からも、各種年金に対する、たとえばスライド制確立、あるいはその費用負担について各制度を通ずる原則確立を急ぐべきであるという申し入れも受けておるわけでございまして、その関係から申しましても、政府といたしましても、その方向に向かって努力を新たにしなければならない立場にあるわけでございます。ただその方法とかあるいは財政負担関係などにつきまして、政府としても慎重な検討を必要とする問題が多いのでございまして、なるべく急いでと思っておりますけれども、ある程度時日がさらに必要かと思われます。御趣旨のような線に沿うてできるだけ努力をいたしたい、かような基本的な態度でおるわけでございます。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの御答弁によってお気持ちはある程度わかりましたが、この私学共済の問題は、全私学統一加入の問題、つまり適用除外問題等もからみまして、困難な事情は私も存じておりますが、三十六年の法改正の際におきましても附帯決議も付されておることでもございますし、ぜひひとつその方向へ向かってすみやかに努力をされ、全私学統一加入の問題とあわせて公的年金内容統一政府全体として御善処を願いたいと思います。  次にスライド制及び既裁定年金引き上げの問題についてお伺いをいたしますが、わが国の社会保障制度は形式的にはかなりの整備がはかられてきておるのでありますが、その実質的内容の点では先進国に比べてかなり劣っておると思うのであります。特に老齢保障という点について見ますと、年金制度スライド制を導入していないことは決定的に劣っている面であろうと思います。戦後古い家族制度がくずれ、最近では、農村から都市への著しい人口流出に見られるように、賃金労働者がふえてきているが、これらの面から考えても、公的年金制度拡充強化は国政の緊急要務一つであると言ってよいと思うのであります。このような観点から社会保障制度審議会は、昭和三十七年八月に「社会保障制度総合調整に関する基本方策についての答申および社会保障制度の推進に関する勧告」を政府に対して行ない、その中でスライド制確立を要望しておることは大臣も御承知のとおりであります。社会保障制度審議会はまた最近、二月十日であったと思いますが、内閣総理大臣に対して各種年金スライド制を導入することについて申し入れを行なっております。文部大臣はこれについて通知を受け取っておられるはずでございます。そこで、増加が、予定される年金生活者老後生活保障のため、今回の私学共済法改正案提案に際し、政府はこのスライド制の問題についてどの程度検討いたされましたか。具体的にいかにこれを取り入れるべく御尽力になりましたか。この点について御答弁をわずらわしたい。  それからいま一つこの問題についてでありますが、先進国スライド制について見ると、年金給付物価スライドさせるやり方、あるいは賃金指数スライドさせるやり方などが考えられております。フランスなどは消費者物価スライドするというやり方をとっておるようであります。政府は、スライド制をどのような形で本制度に導入するのが適当であるか、その点について、これはあまり事務的な判断ではなしに、大臣としての一つ判断考え方をこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず御質問の中の、先ほど附帯決議等の点にもお触れになりましたが、本法案関係する附帯決議は、先ほど申しました最初の法律制定以来、今日まで四回にわたって附帯決議がなされておるわけでございまして、私といたしましても、その附帯決議の御趣旨につきましては、できるだけその線に沿うて改正、実現をはかってまいりたいと考えておりますが、いろいろの事情から、まだ十分にこの御決議趣旨は生きていない点もございますので、これらの点につきましては今後とも努力を新たにいたしたいと考えております。  それからスライド制の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、この法律案国会に御提案申し上げる前におきましても、社会保障制度審議会に御意見を求めたわけでございますが、これに対する審議会の御意見というものは、各種年金に対するスライド制確立せよ、それからその費用負担については各種の同種の年金制度を通ずる原則確立を急ぐことが適当である、こういう趣旨社会保障制度審議会としての御決議がございました。これは私といたしましても十分これに対して誠意を持ってこの御決議を履行いたしたいと考えておるわけでございます。  そこで今後の取り扱いの問題でございますけれども、早急にスライド制確立したい、かような気持ちでおりまして、努力いたしてまいりたいと思いますが、そのスライド制内容をただいまお示しがございましたが、賃金水準に対するスライド制がいいか、あるいはフランスのような消費者物価スライド制がいいかというような方法論につきましては、ただいま確たる考えを申し上げるまでのまだ段階になっておりません。それは申すまでもなく、他の経済政策案との関連もございますし、また財政負担関係もございますし、早く実現したいという気持ちはやまやまでございますけれども、同時にきわめて慎重な関係方面との検討、協議が必要であると存じますので、なおある程度時日の余裕をおかしいただきまして、その間に十分考えてまいりたい、かように存じておるわけでございまして、せっかくのお尋ねでございますが、政府としていかなる形のスライド制が適当と思うかというお尋ねに対しまして、ただいま確たることを申し上げる段階に至っておりませんことを非常に申しわけなく思っておるようなわけでございます。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 年金制度スライド制を導入した場合に、それによって生ずる不足財源が一番問題だろうと思うのです。大蔵省の船後さんもおいでになっておるようですが、現在のような年金制度財政方式では処理できないと私は思うのです。この点について政府検討しつつあるし、その趣旨を実現すべく努力するということでありますが、大蔵省方面ではこの点についてどのように御検討になっておりますか。
  8. 船後正道

    ○船後説明員 既裁定年金生活水準向上等に伴いまして改定するということになりますと、そこに追加費用が生ずるわけであります。この追加費用につきましてはもちろん過去の積み立て金がないわけでございますから、新たな負担になるわけでございます。これをどういう方法でだれが負担するか非常に大きな問題でございます。御承知のとおり日本年金制度国民年金被用者年金制度の二つに大きく分かれております。被用者年金制度先ほど先生御指摘のとおり、厚生年金をはじめ各種共済がございます。各制度ごとにそれぞれ財政方式が違っております。国民年金では完全積み立て制度、それから各種共済では完全積み立て厚生年金では修正積み立て、こういうような財政方式をとっておるわけでございます。こういうように追加費用が発生いたしますと、原則といたしましては完全積み立てのもとでは三者、つまり通常の負担割合によりまして国庫あるいは地方公共団体、それを企業主と被保険者、この三者が負担するというのが一般の原則であろうと思います。これにつきましては昭和三十七年でございますか、社会保障制度審議会答申の際には、年金スライドに伴う追加費用国庫負担すべきであるというような御意見もあるわけでございます。しかしこの場合に、国庫と申しましてもこれは税金でございます。つまり追加費用税金あるいは保険料、このいずれかの形で支払わなければならぬわけでございます。いずれの形をとるにいたしましても、国民負担であるということには変わりがないわけでございます。日本のように各種制度が分立いたしておりまして、その間に給付水準も違えば費用負担原則も違う、こういう条件のもとで、ある制度追加費用税金だけで負担するということにはかなりの問題があろうかと思うのでございます。諸外国等スライド条項を採用しておって、そのスライドに伴う費用は、先ほどフランスの例がございましたけれどもフランスの場合には、これは国庫が全然負担いたしませんで、すべて保険料追加費用負担するというシステムになっております。また小国におきましては追加費用は全部税金負担するというようなところもあるようでございますが、いずれにいたしましても、その年金制度が、全国民に同じように同じような条件適用になっておりますかどうか、あるグループだけの年金であるかどうかというような点も、この場合は考慮の対象になると思うわけでございます。かようにスライド条項そのもの性格の問題、これに伴う追加費用については非常にむずかしい条件があるわけでございまして、日本の現状におきましてどういう方法が一番妥当であるか、これは先ほど大臣からもお答えのように、政府部内で鋭意検討しておる問題でございます。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 要するに、スライド制確立されれば問題はないのですが、どうしてもこれが早急にいま直ちに解決がつかぬ。その必要を認めるし、慎重に検討していきたいというお気持ちはあるようでございます。当面の問題としては、すでに年金を受けておる者、つまり既裁定年金額改定が行なわれれば、ある程度スライド制に近い実態を得ることができるわけでありますから、あながち私はいまここでスライド制にこだわって御質問をしようとは思っておりません。  そこで、大臣に伺っておきますが、今国会には国家公務員共済組合をはじめ、地方公務員公共企業体共済組合では、既裁定年金引き上げをはかる法案が提出されていると承知しております。また、厚生年金法改正案にあっても、給付内容引き上げに準じて、既裁定年金引き上げがはかられるという内容が盛り込まれていると私は聞いておりますが、そういう事情からも、先ほど冒頭に述べましたように、公的年金内容統一という意味からも、私は農林年金私学共済が一番おくれておる、それを公正に是正をされるには一番いい機会ではないか、そういうふうに思うのです。そこで、私ども去年四十六国会において農林年金法改正の際に、この点を極力政府に要請をして、また与党のほうにおいてもだいぶ私ども意見に耳を傾けられて検討されたのであります。既裁定年金引き上げがはかれないのは、この私学共済農林年金のみだという点について、スライドがいかぬならば、せめて既裁定年金引き上げをこの際おやりになる必要があったのではないかと私は思うのです。この点が大臣お尋ねをしておきたい一点であります。  次に、特に消費者物価の値上がりが著しく、一定消費生活水準が、社会的な強制といいますか——適当な表現ではないと思いますが、そういった感じのする現段階でありますだけに、年金生活者生活を守り、公的年金制度社会保障的な性格を十分に発揮させるためにも、既裁定年金引き上げということは当然おやりにならなければならぬことだと思うのです。それがスライドも目鼻がつかない、既裁定年金引き上げも他の改正につらを合わせておやりにならないということは、この点についてどうも熱意のほども疑われるように思うのですが、その点は大臣、いかがでございますか。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ごもっともな御質問と思いますけれども、私どもといたしましては、今回の法律改正によりまして、私学共済給付水準国公立学校教職員同一水準にするというこの年来の懸案をまずもって解決するということで、一つ段階を画しまして、この機会既裁定年金改定についても前向きに考えてまいりたい、こういうふうに考え方としては整理をしておるわけでございます。既裁定年金改定については、申すまでもございませんが、学校法人とそれから私学教職員負担と、その問題を十分考えていかなければなりませんので、この点につきましては、スライド制の問題につきましては先ほど申しましたように、多少の時日をかしていただいて、慎重に検討いたしたいと思いますが、既裁定年金のほうにつきましては、十分にいま申しましたような点を考慮しながら検討してまいりたい、かように考えておるわけでございまして、今回はまずもって同一水準引き上げるということを片づけてまいりたい、こういうような気持ちでおるわけでございます。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 論争をするのが目的でありませんので、あまり追及的に多く申し上げることを私は差し控えたいと思っておりますが、やはり他の公的年金既裁定年金引き上げに踏み切っておるときに、農林私学共済だけがおくれをとるという、それにあまり慎重に対処される理由は私はないと思う。大臣、その点は現内閣の最も有力な閣僚としても、また与党内においても重きをなしておられるあなたの政治力をもってして、少なくともこの問題は他に抜きんじてべらぼうによくせいということではないので、他の並み水準に合わせろということでありますから、しかもスライドがいま直ちに実現できないとするならば、既裁定年金引き上げだという点から、私は大臣の決意を承っておるのでありますが、あまり慎重に、慎重にと言わないで、少し実のある具体的な答弁をひとつお願いしたい。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申し上げましたように、私は足鹿委員の御指摘の点はごもっともだと同感しているわけでございまして、この点につきましてはできるだけ御趣旨に沿い得るように十分考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。お考えにつきましては私も御同感でございます。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題にあまりこだわっていると時間が過ぎますから、次へ移りたいと思いますが、ぜひひとつこの問題については最大の努力を払われたいということを要請しておきます。  給付金算定方式について伺いますが、今回の私学共済組合法改正により、各共済組合制度給付金算定基準はおおむね統一されると思います。すなわち、公共企業体共済退職時の最終給与基準とするのみで、他はすべて退職前三年間の給与平均額基準として、一定割合をもって給付金を算出するということになろうかと思います。これはけっこうであります。そこで共済組合制度がとっている給付金算定方式は、すべて組合員給与に比例して行なわれるという形となっておるわけでありますが、こういう算定方式では、低賃金労働者は低い年金給付しか受けることができないことになりまして、社会保障というよりは、保険という色彩が非常に強くなるのじゃないかと憂うるのであります、一方厚生年金におきましては、給付金算定基準となる給与加入期間平均という点で非常に大きな問題がありますが、共済組合と違って、給与に単純に比例するのではなく、給与の高低にかかわりなく支給される定額部分と、給与に比例して策定される報酬比例部分とから成り立っておるのであります。そして先ほど述べた保険的色彩におちいることを是正しておるのであります。そこで共済組合年金社会保障的な機能をより強めていく、所得再配分という効果を年金制度の中においても、単純に給与に比例して年金給付算定するのではなく、厚生年金がとっているような定額部分給与比例部分とによって年金給付算定する方式を取り入れる必要が、私は絶対あると思うのでありますが、この点について文部大臣の御所見を承りたいと思います。  要するに、このような方式の採用に問題があるといたしますならば、少なくともこの最低保障額は三万五千五百二十円の現行のような額では私はまずいのじゃないかと思うのです。月三千円程度のものでは、私はその趣旨に沿わないと思うのでありまして、いわゆる定額部分報酬比例二木立てが当面非常にむずかしいとお考えになられるならば、年金最低保障額を大幅に引き上げられる必要が生じてくると私は思うのであります。去年農林年金改正の当時に、私どもの党の対策の中には、月八千円、年九万六千円を最低とした案をつくりましたが、いまの物価水準からいいましたならば、それすらも低いのではないか。そういう点から厚生年金法並みにいきますならば、御承知のように八万四千円ですか、その程度にまではいかなければならぬはずなんです。ここにもまた格差があるというのは——せっかく改正をなさるのに、農林年金のあとを追っていかれるようなことでは、共済組合法改正を通じて十二万の私学共済の人々の期待に沿うということは無理ではないかと思うのですが、大臣いかがですか。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いま御指摘の点でございますが、現在国会で御審議を願っております厚生年金保険法の改正案では、共済組合退職年金最低保障額を、現在三万五千五百二十円でありましたものを、八万四千円に引き上げることになっておりますので、これが私学共済のほうにも準用されることになっておりますので、この最低保障額は八万四千円、他の厚生年金保険法の改正ができますれば最低限度が八万四千円になる、かようなことに相なるわけでございます。  それから根本問題として、退職前の一定期間の給料を基礎として算出されるだけでは足りないではないか、その場合には給料の高低がそのまま引き継がれることになる、厚生年金のように定額部分をつくってはどうかという御提案でございますが、そうなります場合には、従来の算定方式による給付水準を維持しながらさらに新たな改善をはかるということになりますので、先ほども申し上げましたように、学校法人私学教職員費用負担の問題に直接これも関連いたしてまいりますので、それらの点についても十分研究はいたさなければならない、かように考えておるわけでございます。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 ちょっと私ふに落ちないのです。厚年の八万四千円、最低保障額を準用するというような御答弁だったのですが、それはどういうことですか、もう少し説明してください。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政府委員から申し上げます。
  17. 斎藤正

    ○齋藤(正)政府委員 御承知のように、厚生年金保険法の一部改正案には、国家公務員共済法の一部改正が加わっているわけでございます。そこで最低保障額三万五千五百二十円を八万四千円に改める。それが成立いたしますと、私学共済法の二十五条によって国公共済を準用いたしますので、厚生年金保険法の改正が行なわれれば国公共済が改正になる、そうすると私学共済も二十五条の規定によってその最低保障額が入ってくる、こういうことを大臣が申し上げたわけでございます。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 では厚年の改正が成立しないときにはどうなるのですか。
  19. 斎藤正

    ○齋藤(正)政府委員 その場合には国家公務員共済組合法の一部改正が行なわれないわけでございますから、現行法にしたがいまして私学共済もそれの準用ということになるわけでございます。
  20. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほどから私が言っておりますように、私学共済農林年金が一番給付内容が悪いのですよ。制度そのものがそうなっている。だから自主性を発揮されて、両方の部分をよくしていく、そういう考え方に立たれないと、片方の厚年法の改正が成立しなければいたし方がないというような、たよりない、自主性のないお考え方では弱いのではないか。大臣いまの点をお聞きになっておって、いかがですか。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は厚生年金保険法と肩を並べてという取り扱いにいたしておるわけでございますので、厚生年金法改正で処理をいたしたい、同一水準にするという趣旨を守っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  22. 足鹿覺

    足鹿委員 わが党の社労の諸君に私、事前に聞いてみましたが、この厚年法の問題は、引き継ぎ部分の点でなかなかむずかしい情勢のようですよ。まあそれは余分なことですが。他のものに依存をするということは、私はどうも納得いたしかねます。ただいまの御答弁はどらも納得いたしかねますが、他の点についても遺憾な点がありますが、特にこの点については大臣の御判断によって善処されんことを要請しておきます。  次には標準給与最低額の引き上げについて伺いますが、標準給与につきましては、今回の政府提案によると、現行八千円から七万五千円までの二十六等級の最低額を一万二千円に、最高額を十一万円に引き上げることになっております。これも農林年金並みでありまして、別にたいしたことはない。ここ数年来の一般的傾向として名目賃金が上がってきていることは事実であります。またこの制度年金や一時金等の給付金の計算の基準標準給与額の平均ということになっておりますから、標準給与の実態により近づけることの必要性は私も認めるものでありますが、しかしながら、私立学校教職員、特に地方都市や幼稚園等の教職員の賃金は、公立学校教職員のそれに比べた場合にかなり低いといわれております。私もここに資料を持っておりますが、幼稚園の場合を申し上げますと、標準給与平均が一万二千二百四十二円、男が一万四千七百九十七円、女が一万一千九百十八円ということになっております。これを全体のものと比較をしてみますと、全体の標準給与一では二万四千六百六十九円、男が三万二千八十八円、女が一万七千三百九十八円であります一この比較をとってみましても、この私学共済組合員資格を持っております者が低賃金であるということは事実が示しておると思います。そこでこのような実態からいたしますと、今回の改正案によって標準給与最低額を一挙に一万二千円に引き上げることは、低賃金者に掛け金負担の重圧をしいるようなことになりはしないか。私学共済組合が明らかにしておる昨年十月来の資料によって見ましても、標準給与者が一万二千円に達していない組合員数は総組合員の一割強に当たる一万二千九百七十三人という数字のように見受けます。といたしますと、標準現行給与八千円の者について見るならば、今日の改正が五割アップの一万二千円となるが、実質給与のアップがこれに伴わない。いわゆる法の対象になる実質の給与のアップが行なわれませんと、掛け金負担の増加によって逆に給与の実質手取り額を減少するという矛盾が出てくると思うのです。実態が伴えばいいですよ。だけれども、実態が伴わないと、ここに述べました一万二千数百人の者は、逆に掛け金が上がって実質手取り賃金が減るという矛盾が出てくることは御承知だろうと思うのです。そこで標準給与の大幅な引き上げを行なうならば、掛け金の学校法人負担割合引き上げるなどの措置によって、低賃金者に急激な掛け金の負担の増高を来たさないような対策をとることが親切なやり方ではないかと私は思うのです。一万二千円未満の給与者に対してベースアップを行なうように政府は指導されて、この矛盾を解決される御所存であるか。私学振興と教師あるいは幼稚園の保母さんというたような方々の給与水準の点を、先ほども資料をもって申し上げましたが、この点は十分御勘考あってしかるべきだと思うのですが、この矛盾を指導によって解消できるとお考えになっておりますか。方針があったら明らかにしていただきたいと思います。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点はわれわれとしても十分考究いたしたつもりでございますし、また今後十分配慮していかなければならない問題であると思います。現状を申し上げますと、一万二千円にいたしましたのは、本年四月から国家公務員の行政職の最低俸給が一万二千百円になっておるということを一つ基準といたしましたのと、それから、ただいま御指摘がございましたが、たとえば私学教職員につきまして、標準給与が一万円以下というようなものは、ここ二、三年来におきまして、実数においても、それから総体に対する比率にいたしましても低下を相当いたしておりますので、それだけ実質的な給与ベースが、最低給与ベースが上がっておる、かように考えまして、一万二千円にこの限度を引き上げましてもさしたる無理があるとは現状でも考えないのであります。しかしながら、この私学教職員給与につきましては、同時にわれわれといたしましても、私学振興方策については鋭意努力いたしておりますので、私学教職員の待遇の改善ということについてはなお一そうの努力をこの機会に払わなければならないと考えておるわけでございまして、そういう点から申しましても、実はこれは少しおかしな説明になるかもしれませんけれども、この最低限度を法的に引き上げるということが私学教職員給与ベースを引き上げるという手段にもなる。こういう機会に、この私学教職員給与引き上げてあげるような努力を、これを一つの手だてにしてやっていこうという私ども気持ちもあるわけでございますので、御指摘の点は私も十分理解できると思いますが、これによって実質的な負担が低賃金の人に加重されるなんということになることは本法の趣旨とするところでは絶対にございませんので、その点については十分の配慮をしてまいりたいと考えております。
  24. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。十分に御善処いただきたいと思いますが、これに関連をしまして私学共済の場合は、その性質上先ほど述べましたように、女子組合員の占める比率が相当高いようであります。その取り扱いについてお尋ねをいたしますが、加入組合員の半数以上が女子組合員ということになっておるようであります。五一%余でありますか、これを実数について見ますと、十二万四千五百余名の中で女子職員が三十九年の十月末の統計によりますと六万三千余、男子が六万ちょっと余ということになっておるようであります。したがって、加入組合員全体に占める女子の割合がきわめて高いにもかかわらず、女子組合員年金を受け取ることのできる、いわゆる二十年の年金線といいますか、それに達する者はきわめて少ないのが実態であろうと思うのです。このごろは夫婦共かせぎということが相当、いい悪いは別として実態として多いわけでありますから、全部が全部とはいいませんが、どちらかと申しますと、二十年の年金線に触れるという実数は少ないのではないかと思う。そこで、厚生年金ではこの点に対する配慮として、女子の被保険者保険料は男子のそれより低くしております。たとえば、百分の三十五男子がとったものについて、女子は百分の三十ということになる。電信電話、専売等との比較を申し上げるとそういうことになっておると思います。私学共済組合農林年金など女子組合員の占める割合が比較的高くて、かつ女子組合員年金到達者が少ない制度にありましては、女子組合員の実態に即したような給付、たとえば退職一時金支給に一定の割り増しをつけていくといったようなことを考えるか、それとも掛け金率を引き下げるといった点について検討する必要があるのではないか、これは農林漁業団体の年金審議したときにも問題にしましたが、農林漁業団体の場合も女子職員が三〇%を上回って、この傾向がさらに強まろうとしておるのであります。この点は私学共済と軌を一にしておると思いますが、多数の女子組合員負担によって男子の一部組合員給付が維持されるというような結果になることを私は憂うるものでありますが、その点について、特にこれは文部大臣と大蔵当局に、この矛盾をお認めになっていかに対処されるお考えでありますか、伺っておきたいと思います。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはなかなか実はむずかしい問題でございまして、ただいま御指摘がございましたが、たとえばここに昭和三十九年十月の実数がございますが、組合員の総数が十二万八千余名の中で、女子の組合員が六万五千人をこしております。五〇%をやや上回っておる。これが現実の姿であることは御指摘のとおりでございます。そして毎年一万人以上の退職一時金受給者の中で見ますと、女子が六六%を占めております。これが現実の姿であり、女子組合員の大部分退職一時金を受けておるという現状でございます。こういう実態に立脚いたしまして、何か女子組合員の優遇ということが考えられないか、確かに一つのお考えであると思いますけれども、本来この年金制度という点から申しますと、年金によって生活を維持することを必要とする者に重点を置くというのがたてまえではなかろうかと考えますのと、それからただいま他の例もおあげになりましたけれども、一般的に他の共済制度との均衡も考えなければなりませんし、また男子職員の負担を重くなくして女子に優遇ができるかということになってまいりますと、これまた具体的には非常にむずかしい問題があろうかと思いますので、いま私といたしましては、特に女子組合員の優遇について具体案をまだ持ち合わせておらぬことを率直に申し上げるわけでございますが、実情は確かに御指摘のような実情であるということは十分承知しておるのでございます。
  26. 足鹿覺

    足鹿委員 大蔵省答弁はあとでまた求めます。  その次にお尋ねをいたしたい点は、この本共済組合の特徴とでも申しますか、高齢組合員が多いと思うのであります。これに対する年金の在職中支給の問題について伺っておきたいと思います。農業法人の場合等もこれは同様のことになりまして、私農林年金を扱ってみて、普通のつとめ人と違いまして農業者も一生やっておれば最後まで年金がもらえない、また一定期間官公吏をつとめて私学に奉職しておられる高齢者というような者は、その職を退くまではもらえない。同じような共通点があると思うのです。そこで今国会には厚生年金法改正案提案されておりますね。先ほども申し上げたとおりであります。これによりますと二十年以上の加入期間を要する。六十五才歳以上の被保険者に対しましては、在職中でも年金を支給するという在職支給制度が設けられておるように思います。  そこで、私学共済組合加入しておる私立学校教職員の雇用の実態は、先ほども言いましたように高齢者がかなり多く含まれておるようであります。あるいは事実上終身組合員となるような者が多いと思うのであります。これらの点から本制度においても一定年齢以上の組合員に対しては在職支給の制度について検討する必要があると私は思うのであります。これは農民の場合も一緒なんです。その点が普通の厚年の対象組合員と違う点だと思うのです。保険料の掛け捨てというと語弊がありますが、実態はそういうことになる。この矛盾をどう解決して、あたたかい手を伸べる御所存でありますか。特にこの私学共済の場合、高年齢打は相当低賃金ではないかと思う。その点はっきりした資料を持っておりませんが……。そういう点から低賃金をカバーしてさしあげる、これは法の改正問題として私は重大な問題点だと思うのですが、大臣なり大蔵省当局——大臣がお急ぎのようでありますので、大臣の御答弁だけを最初に承って、あとでひとつ大蔵事務当局の御意見も聞いておきたいと思います。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはただいま御指摘がございましたとおりでございまして、従来はそういう制度がなかったわけでございますが、今回の厚生年金法の一部改正案においてはじめて、六十五歳に達しましたときには在職中でも年金を支給できるようにするという趣旨改正が織り込まれたわけでございます。これは新しい試みである、あるいは新しい一つの前進であると考えますが、この成り行き等も十分考えまして、将来の研究問題といたしたいと思います。かまえ方としてはさようなかまえ方で対処してまいりたいと考えております。
  28. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣の御答弁とは思われぬようななまぬるい御答弁ですが、将来検討するということでなしに対処して、法改正内容をいま言ったような精神に合致させる、そのために善処するくらいの御答弁があってしかるべきと私は期待しておったのですが、検討ですか。
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 善処いたしたいという意味で申し上げたわけでございます。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 それじゃわかりました。  これから二つばかりの問題を結論的に申し上げてこの共済組合法に対する質問を終わりますが、あとで学校給食の問題についてお尋ねしたいので、もうしばらく大臣には御同席願いたいと思います。  法律改正によって、改正前より引き続き組合員となっておる者の給付をどのように計算されるかという問題であります。これは改正法の全期間の完全適用の問題で、昨年の農林年金審議の際にも、私どもは、それは一般の組合員の期待しておったことと違うというので、これは最後までいろいろと慎重審議をして、附帯決議もつけております。ところが今度の私学共済法を見ますと、三十六年の六月に給付率引き上げを中心とした法律改正が行なわれ、三十七年一月より改正法が実施されて今日に至っておる。この改正法によると、改正前より引き続き組合員である者、いわゆる更新組合員給付金の計算は旧法の期間は旧法によってやる、新法期間は新法によって計算をやる、両者を合算して給付額を決定するという合算方式をとっておられます。新法の完全適用が実現されておらないのであります。一般の組合員の受ける印象というものは完全適用を期待しておる。農林年金の場合も同じなのです。あとで農林年金の諸君が非常に失望した。この点について私は非常に遺憾に思いますが、この御提案給付金算定基準となる平均標準給与は、五年平均を三年平均に改めることになっておるわけでありますから、更新組合員については法改正前の期間については五年平均法改正後の期間については三年平均ということで給付金計算が行なわれるものと解釈してよろしいのですか。完全通算ですか。どっちですか。私はどうも完全通算にならないと思って心配していま質問しているのですが。
  31. 斎藤正

    ○齋藤(正)政府委員 技術的なことでございますので、最初に御答弁申し上げます。  今回の改正によりまして旧長期組合員期間、すなわち三十六年の十二月三十一日以前の期間平均標準給与の算出につきましては旧法方式によりますが、施行後の三十七年の一月一日以後は新方式で加える、こういう考え方でございます。ただ御質問のように、いわゆる三十六年以前の期間を完全に新法でやるというたてまえをとっておりませんで、その期間は旧方式によってやって合算をする、こういうことでございますが、施行前のものであっても、三十七年一月一日からのものは新方式に数えるということでございます。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 一年、二年のあと先は私は論じませんが、完全通算でないということははっきりしています。そこで去年の農林年金法改正の際にも、先ほど申し上げたように更新組合員について新旧合算ということではなくして、全期間に新法を完全適用すべきであるということで、これは与野党ともにそういう意見でした。この点については衆参両院の農林水産委員会で満場一致の附帯決議が付されております。私学共済法においてもこの点はぜひ実現をされてしかるべき問題だと私は思うのです。にもかかわらず三十六年の十二月三十一日以前のものにはいわゆる通算適用ができないということは、結局農林年金のあとを、同じことを繰り返しておられるにすぎないのじゃないかと思うのです。  そこで、大臣にいまさら申し上げるまでもなく、これは農林年金の際にも問題にしたのですが、ILOの立て役者の愛知さんですから御存じでしょうが、ILO百二号の問題につきましても、老齢年金額の問題についてはちゃんとした勧告がございます、規定もございます、まだ政府はこれを批准しておられません。老齢保障給付水準として百分の四十という率であります。更新組合員について言えば、法律の表向きの支給率にもかかわらず、新旧合算という経過措置によって大幅に下回ってしまう、これは矛盾であります。やはり老後の保障という点で、いまILOの問題が脚光を浴びておりますが、このようなじみな問題についても私はやはりILOの精神というものを日本政府もすみやかにくんで、少なくともその線に近いものを出されていくことが妥当ではないか、かように思うのであります。そして進んでILO百二号の点についても対処されなければならぬ責任があると私は思います。今回五年が三年となるわけでありますが、従来と同じく新旧合算という経過措置がとられるならば、今日まで長い間私立学校に勤務しておる者にとりましては、三年に改めた意義というものが薄れてきてしまう、ぼけてしまうと思うのです。期待はずれという結果になろうかと思います。  一例を申し上げて注意を喚起しておきますが、年金給付率が百分の四十となったといっても、これが完全に適用されるのは昭和三十七年一月一日から二十年先の五十七年でなければ、今度の改正の意義というものは、恩恵を受けることができないことになるわけであります。あるいはこの策定基礎期間が三年となったといいましても、その完全な形で恩恵を受ける退職年金受給権者が出るのは昭和六十年であります。こういう形は多くの組合員の熱望を裏切る結果になりはしないか。私は、少なくとも為政者とし、また国会としても、それらの問題を考えたときに、やはりこの全期間の完全通算の問題はきわめて大きな問題であり、この制度改正のほんとうの裏づけになる点だと思うわけでありまして、その点について特に御善処願いたいと思っております。  申し上げるまでもなくこの年金がほんとうに年をとってからの生活保障に役立つようにいたしますには、やはりこの新旧合算を改めるという決意に立たれていかなければならぬと私は思います。特にこれはおくれて発足しておるわけでありますから、おくれたものの一つとしての農林年金のあとを追うというような思想や考え方では私は困ると思います。私立学校教職員のうちに高齢組合員が多いだろうと推測したことは、先ほど申し上げましたが、公立学校教職員に比べて待遇の面でもあまり恵まれておらぬ場合も多いのではなかろうかと思います。したがって、これはどうしても強い御意思によって踏み切って、全期間の完全適用に対して大臣の政治的な判断と御決意をわずらわしたいと思っておりますが、いま直ちにこうするということもむつかしいと思いますけれども、その点についての御所見をこの際——あまり事務当局だけの気持ちでなしに、大臣としてこれは根幹をなすものであるからこうしたい、すみやかにこれを実現していきたい、そういったことについての御所見がありましたら承りたいと思います。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはただいま斎藤局長からも御説明いたしましたように、根本の問題としては国家公務員共済組合法に準じていくというたてまえからいたしまして、国家公務員共済組合法関係が旧法から新法に切りかえられた、そのときに昭和三十七年一月一日から新しい共済法を準用するということに考えておるといいますか、国家公務員の母法自体が新しい法の規定を受けるのは新法が施行されてからあとの期間のみであるということを準用していくという考え方でございますから、いまお話がございましたように、事務的、法律的に見れば、そういう点で今日の改正案ができているわけですが、同時に政治的といいますか、もう少し広い立場で考えてみました場合に、国家公務員共済組合の場合をどうしたらいいか、あるいは他の共済制度においてどういうふうに考えていくべきかということでとらえていかなければならない問題であると思いますから、これはなかなか広範な、重大な問題であると私は考えておりますが、それらの点につきましては、関係の向きのいろいろの意見その他を十分徴して善処しなければなるまい、かように考えているわけでございます。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 まだあとに問題がありますので、結論といいますか、私の質問の締めくくりとでもいいますか、そういったようなことについて、最後にお尋ねをしておきたいと思いまます。  それは共済組合に対する監督及び自主運営といったようなことについてであります。大蔵省も見えておりますが、これはあとで御答弁願いたいのですが、今回の提案によりますと、大蔵大臣との協議という条項が新しく設けられている。四十七条の二であります。共済組合の運営の基本的事項について文部大臣は大蔵大臣と協議を行なうべしという義務づけが行なわれるように新しくなった。これは私はどうも納得がよくいかない。自主性をみずから放棄されるのではないかと思うのですが、私学共済組合社会保障制度一つであって、その運営には国が財政的にも補助をしております。給付金組合運営に要する事務費の大半は、加入組合員学校法人が拠出する掛け金によってまかなわれているのは申し上げるまでもない実態でございます。私は四十六国会農林年金法改正審議の際にも、共済組合の運営については、できるだけ組合員の自主的な判断にまかせ、国の監督があまり微に入り、細をうがって、行き過ぎないようにという立場から善処を求めてきました。それでなくても、大蔵省を前に置いて失礼ですけれども、少し監督の行き過がある。若干の補助を出しているということをたてまえにして、やや行き過ぎた面もなきにしもあらずと思っております。その結果、いつも農林委員会審議を引き合いに出して恐縮でございますけれども、衆参両院の農林水産委員会においては、この点について与野党満場一致の附帯決議がついております。私学共済組合法におきましては、昭和二十八年の法制定以来、文部大臣と大蔵大臣との協議についての法律的な義務づけは今日までなかったのです。それで何ら支障がなかったと思うのです。ところが今度の改正において、どういう不都合があったのか、またどういう意味かわかりませんが、この四十七条というものが、大蔵大臣との協議を提起されていることは、私はうなずけないと思います。そのこと自体が悪いというのではありませんよ。いままで二十八年から今日まで十年以上もやってきてどういう点に不都合があったかと開き直って大蔵省に聞きたい。あとで伺ってもけっこうですが、なぜこういう条項を出して——それでなくても、いわゆる財政支出をたてにとって常に介入しがちなのが現状であります。そういう意味からもこのような新設が行なわれなければならなかった理由、またそれがどういう理由に基づくか具体的な不都合があったとするならば、どういう点が不都合であるかということについて、私はこの際明白にしておきたいと思います。少し大蔵省は、この問題に限らず、財政権を握っておるということをたてにして、ややもすれば介入が過ぎるという点を私ども感ずるのです。前に置いて悪いようですけれども、そう思います。これはどういう点ですか、どうしてこういうものを新しくつくったのですか。
  35. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実はこの点は、私学共済法昭和二十八年からでありますけれども、その二十八年以後における今日までの間におきまして、各種の特殊法人が設立されまする場合には、その所管大臣が大蔵大臣に協議をするということになってまいりまして、これにまあ歩調を合わせたわけでございまして、私学共済について、特に大蔵大臣と協議しなければならぬような事項があったり、あるいはそういう実績があったということはございませんで、最近の立法例にならったのみでございます。それは特殊法人が国庫から直接の補助その他の財政援助を受けている、したがって、国民に対しまして、事業計画や予算、決算等を十分に審査をする必要がある、かような趣旨からであると承知いたしております。したがいまして、文部省といたしましても、最近の例で申しますと、国立教育会館、日本育英会、それからオリンピック関係の、先般御審議いただきましたオリンピックセンター、これらにつきしまては、すべてかような立法例に相なっておるわけでございます。その例にならっただけでございます。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 いままで別に不都合はなかったでしょう。他の立法例にならうということだけですか。どうもそれはおかしいです。
  37. 斎藤正

    ○齋藤(正)政府委員 今回の改正につきましては、特に私学共済の行なう事業の全般ではなくて、国庫補助の対象となっている部分だけに限定いたしまして、事実上、予算等の執行に関係があるのですから、文部省と大蔵省が事前協議を行なっている部分についてだけ、今回法律で明定いたしたようなわけでございます。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 不都合はなかったと私は思うのです。それをことさらに他に準ずるという——何といいますか、弱い考え方のように私は思って、首肯できません。農林年金も確かに協議条項がついております。これはもとからついておったので、私どもは、それは要らぬのじゃないか、それをたてにとって、少し介入が過ぎるのだ——事例をあげよとおっしゃるならば、その当時の速記録をお読みいただきたい。一ぱいあります。私はここでは繰り返すことを避けます。だから、いままでよき先例をとっておられた私学共済が、何も他に準ずる必要はなかったんじゃないか。だから、これは私は本委員会において削除をされてもいい問題ではないかと思う。いままで不都合がなかったのですから、その点は、ひとつ与野党ともあまり立場にこだわらずによく検討していただきたいと思いますが、このため一、二の例を申し上げておきますが、予算編成や事業計画の策定のときに、大蔵省が実質的に主導権を握るような事例がたくさんあります。これは例示にいとまございません。しかもそこに働いておる役職員の給与水準というようなものは、政府関係機関の中でも非常に待遇が落ちる。これを直そうとしても、他に例があるのだから、他の政府関係機関に準ずるようにということを幾ら言っても、この大蔵省の協議条項をおつけになりますと、なおさらこれからむずかしくなるのじゃないか。私はいままで、農林年金の創設のときに衆議院の大蔵委員長をしておりまして、とにかくつくらなければいけぬというのでつくりました。しかしその後の運営を見ておりますと、理事者も困る。最近のように、他の団体でベースアップ等が行なわれる、待遇の改善が行なわれるけれども、そこに働いておる人々には思うようにならぬ。といって、理事者には何らの権限がない。そういう点から、非常に労使間の紛争といいますか、そういうことが起きて、そして掛金部門における罷業が行なわれるといったような遺憾千万な実態が起きておりますから、私はこういう条項をおつけになる点を憂えるのでありますが、とにかくこれはあまり好ましくないことだと思います。大臣にこれ以上申し上げても、他に準じてつけたのだとおっしゃられればそれまでですが、別にこれを削除しても御異存はないと思うのですが、どうですか、それくらいやりましょうや。
  39. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御趣旨はよくわかりますけれども、まあ政府としてはこれを最善の案として御審議を願っておるのでございますから、修正はかんべんしていただきたいと思います。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 この場合法律で協議が明文化されると同時に、「その他の政令で定める場合には、」大蔵大臣との協議が必要となっておるであります。ここで一体どういう政令を考えておられますか、具体的な内容をお示し願いたい。これは文書で皆さんにも全部配ってください。  要するに、委任立法的な法律の明文事項を政令に依存するということは、すべてがいかぬと私は申し上げません。しかし最近の傾向を見ていると、法律を形骸化して、政令依存、つまり委任立法におとしいれしめるような傾向なしとしない。これは国会の立法権限というものを非常に弱めることになる重大な問題であります。ですから、こういった、新しく大蔵大臣との協議条項をつくり、その他政令で定める場合には大蔵大臣と協議をするというようなことまでついておると、文部省も私学共済大蔵省に頭が上がらぬようになる。そういう傾向も生まれてきますよ。ですから、法案審議に関連して、新しくこの重大な条項をつけられて、これを削除と言ったら、それだけはやめてくれと大臣はえらい弱いことをおっしゃいますが、それならその政令も明らかにして、そして今後総合的な判断に立って、われわれ立法権を持つ立場から審議を進め、必要な措置を講ずることを、他の同僚、特に与党の皆さんにも御認識を願っておく必要があると思うのです。政令委任事項というものはなるべく少なくするという考え方に、大臣は賛成でしような。
  41. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは全然賛成でございます。  それからこの第四十七条の二でありますが、ここにあげてありますような法律で規定されているもの以外は、その他の政令で実質的なものをきめることは予想いたしておりません。あるいは文部省令というようなものが手続上の問題で必要かと思いますが、実体的なものを政令できめるというようなことは全然考えておりません。
  42. 斎藤正

    ○齋藤(正)政府委員 ただいま大臣からお答えしたとおりでございまして、この規定の読み方は、四十条第一項の第一項の規定でございますから、収支予算の作成、変更であります。それから第二項が財務諸表、決算報告書等でありまして、それも含んで、そういう場合などのその他の政令でございますから、その他の政令できめますことは、これに関する文部省令、財務関係の省令をきめることでございまして、予算その他以外に関係のあるいろいろな事業をここで承認にかからしめようという趣旨では毛頭ございませんし、文部省もそういう考えはございません。その点が他の法人のこの種の規定と若干違っておりまして、国庫補助に実質的に関係のある部分だけについての文部大臣と大蔵大臣との協議という限界にしてあるわけであります。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 そうでしょうね。これから触れる点と勘案して特に御留意願っておきたいのですが、その省令も来議資料としてお配り願っておきたい。  そこで、最後の問題に移って、私学共済純合法の九条並びに十二条——九条は役員の任命、十二条は審議会でありますが、この共済組合の運営に当たるべき組合役員、理事長一名理事三名以上六名以内、監事二名については文部大臣が任命することになっておる。また運営についての各種審議を行なう運営審議会委員は二十一名以内となって、これは文部大臣の委嘱ということになっておる。ところが私農林年金の事例を見まして、これは著しく天下り的人事の様相を示すものと思ってあきれ返っておるのです。一例を申し上げますと、私学共済審議会に当たる制度としては、農林年金では組合会というものがありまして、きわめて民主的な最高議決機関があるわけであります。しかもその組合会の議員に選ばれる者は、組合員及び組合員を使用している団体のそれぞれが直接選挙によって選ぶことになっております。組合の役員については組合会で直接選挙によって選ばれた者を農林大臣が承認するという形をとっておるのであります。私学共済組合農林年金と同じく、異なった学校法人によって構成されております。その点は公務員や公共企業体関係とは違っているのでありますから、この制度の民主的な運営をはかるという意味あるいは組合員の声を制度運営に十分反映させるためには、大臣農林年金がとっておるような形を御考慮になって取り入れられるくらいなことは、大蔵省との協議条項をやられるならば、それくらいなことは今度は考えられると私は思っておるのですが、それはもうほおかぶり。要するに組合員の自治とか民主的な組合の運営ということにもっと前向きで御提案を願いたいと私は思うのですが、一方においては大蔵大臣との協議によって政府の監督統制の強化がどうしても出てきます。といたしますと、やはり農林年金がとっておりますように、組合会、そして役員もそこで推薦した者を農林大臣が承認というかっこうでいくことが、組合運営の民主的な自主性を守っていく上にせめてもの必要な措置ではないかと思います。現に私は、この私学共済がとっておられます文部大臣の役員任命権、それから審議会委員の委嘱権というものはもっと御検討になってしかるべきである。もっと民主的な組合員の意思が下からこの組合運営に吸い上げられるような組織、機構、構成、運営というものがなされてしかるべきではないかと思うのです。これは決してうしろ向きではありません。前向きに御配慮あってしかるべきだと思うのです。御聡明をもって鳴る愛知文部大臣にこういうことは申し上げるまでもないことだと思いますが、ぜひひとつそういうところで御判断を願って、やはりこの法を運営するのもその組合理事者であり、また最再議決機関の構成と運営にゆだねられる問題でありますから、その点はとくと御考慮あってしかるべきだと思います。そこで初めて法の足らざるところも運営の妙味を発揮して補えるのではないか、私はそういうふうに思います。これは相談をして、与党の皆さん方にもよく御勘案を願いまして、民主的運営の線に沿うような点についての修正について検討すべき点ではないかと私は思っておるくらいであります。そういう点について、大臣はいまのままでよろしい、ほかの点は農林年金の糟糠をなめてあとからついていくということだが、この点については農林年金とは別でいい、そういうことでは私は愛知文部大臣としてはどうも少し首肯しがたいことではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。この御答弁を願いたいと思います。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは現在のやり方を続けていこうとしているわけでございまして、現在のやり方というのは、私立学校関係者の意向を十分に反映するように、実際の運営としては推薦を求めて理事を任命することにいたしておりますので、十分私立学校側の意向を反映し、民主的に運営がされている、この現実の状態をますます続けて伸ばしていきたい、こういう考え方でございますから、特に理事の選び方を変える必要はあるまい、こういう考え方に立脚いたしておるわけでございます。なお、今後とも運営につきましては十分民主的に運営されるように、なお一段と配慮してまいりたいと存じます。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 私は別にいまの運営に重大な欠陥があるから御善処願いたいということを言っておるのではございません。運営はしごく順当に運営されておると思っております。さらにそれをよくしていく——監督権を規定されて新しく道を開かれるくらいならば、いま言ったような点についても当然御配慮になって、今後いよいよ私学共済が運営面においても法改正の中身においてもよくなって、組合員の期待を沿うようにしたいという熱意から申し上げておるのでありまして、いまの私学共済の運営がまずい、そういう意味ではございません。よりよくするということが組合員に対する趣旨でありますので、そういう意味から申し上げておることを付言して、一応私学共済問題について大臣に対する質問はこの程度で打ち切っておきます。  それから大蔵省に、女子組合員の取り扱い問題について矛盾をお認めになるかと先ほどから聞いておったのですが、いかがですか。
  46. 船後正道

    ○船後説明員 女子職員の処遇問題でございますが、御承知のとおり厚生年金保険におきましては、一般男子と一般女子につきましては保険料率が異なっております。これは保険数理の計算上一般男子と一般女子とを別のグループといたしまして、それぞれごとに費用を計算し、この費用をまかなうためにどの程度の財源率が要るかというふうに、初めから女子と男子と別のグループにして費用を計算しておる、こういうやり方をしております。   〔委員長退席、八木(徹)委員長代理着席〕 これは従来の厚生年金が戦前の発足でございまして、民間におきましては女子と男子との間にかなりの給与の開きがあった、あるいはまた勤続年数におきましてかなりの差があった、こういう実態から、戦前の労働者年金保険という当時から、このように女子と男子とを別に財源率計算をするという方式でまいったのでございます。これに対しまして、国家公務員共済の系統におきましては、御承知のとおり国では、男子と女子につきましては給与上もあるいは任用上も何ら差別しない、男女全く同一に扱うという給与及び任用上の扱いになっております。従来の共済の系統におきましては男子と女子とをひっくるめまして財源率計算を行なっておる、かような扱いになっておるわけでございます。私学共済は、この公務員共済の系統を受け継ぎまして、男女とも同じように財源率その他の計算をするという関係上全く同一の扱いになっておる。ところが、現実は先生御指摘のように、現状におきましては女子のほうが勤続年数その他が短いという関係もあるわけでございますが、この点につきましては、これは全体としての財源率の配分ということになるわけでございますので、各共済あるいは各年金保険、それぞれ特殊事情に従いまして処理されるべき問題ではないか、かように考えておる次第でございます。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 女子は女子、男子は男子でそれぞれ設計はできておると言わぬばかりの御答弁ですが、私が聞きたいのは、この年金線に到達する者が他の年金と比べて非常に少ない、これはお認めになると思うのですね。そこからくる矛盾をどう解決するかということについてお伺いをしておるのであります。先ほども申し上げましたように、退職一時金の支給に一定の割り増しをつけてあげるとか、また掛け金率を少し考える、引き下げを考えるということ検討する必要があるのではないか。先例のないことを言っておるんじゃないですよ、船後さん。先ほども言いましたように、厚年は男子は、千分の三十五、女子は千分の三十、特に電信電話、専売というようなものになりますと、女子職員が多いからこういう配慮がとられておるんですよ。いわんや私学共済やまたそれに近いような女子職員をかかえている農林年金というような場合には、私は先例のないことをおやりなさいと言っておるのではないのですから、その点はきまり文句でなしに、もう少しあなたたちもあたたかい、同じ一視同仁の気持ちから考えられていいじゃないかということを言っておるのですよ。その点どうですか。
  48. 船後正道

    ○船後説明員 私は一般論を申し上げたわけでございますが、女子の退職一時金をたとえば男子よりも多くする、かような前提で年金の設計は可能でございます。そうなりますればこれに伴う費用をどういう方法負担するか、一般男子と一般女子とをグループにして保険料率を計算するか、女子は女子だけで計算するかというような技術論が出てくるわけでございます。この点は先ほどから申しておりますとおり、厚年は別グループにして計算する。共済は同じグループにして計算する、かようなやり方になっておるわけでございます。したがいまして、この私学共済の場合にどういう方法をおとりになるかということは、まず私学共済のほうでお考えになるべき問題である。財政当局といたしまして、特にこの点につきましてとやかく言うという問題のものではございません。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 それは国庫補助の問題やいろいろの点で関連が出てくるというふうに私は推定しているのです。そういった面から大蔵省の御見解というものが相当強く拘束する。これは従来の運営から見て、私は私学共済の運営の中身についてはあまり存じておりませんが、他の年金の運営から見てそういうことがうかがえるから、私は御見解を承りたいと思ったわけでありますが、いま言われたように、文部省がそういう腹ならば別段干渉はしないと言わぬばかりの船後さんの御答弁ですが、局長どうですか、いまの見解に関連してあなたの御所見は。
  50. 斎藤正

    ○齋藤(正)政府委員 先ほどこの問題についてお答えいたしましたように、私学共済の直接の関係者であります学校法人並びに教職員負担、あるいはその他これが国からの補助、あるいは私学共済には特有の都道府県の補助、あるいは私学振興会からの助成、いろいろな問題がございますから、そういう問題を勘案して私学共済において十分検討していただき、私ども検討してまいりたいと思います。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題は、厚年と別なこういう形態の年金ができた趣旨は十分御認識になっておるわけなんです。特別な実態があるから、それに即応してそこに運営の妙味なり——その組合員の老後の保障や、私学ではその他短期共済もやっておられるようです、けっこうですが、そういった妙味を発揮するために年金が独立して出ておるのですから、そういう点で特徴が発揮されないということはないと私は思う。ぜひひとつそういう線で御検討——いまの答弁を聞いておって、私も船後さんがいい答弁をされたと思っておりますから、そのつもりでひとつ……。  それから高齢組合員について、船後さんどうですか。在職給付ですね。これは普通の厚年と違うのですよ。一役し終って、——最近は高校の入学難あるいは大学の入学難といったような点から、私は鳥取県ですが、私どものいなかでも私立の高等学校がたくさんできていまして、高等学校の校長や先生をしておった者が退職してからつとめておる事例というのはたくさんあります。いわんや文教の町である東京等におきましてはこれは申すまでもないわけなんです。しかし必ずしも第一線を引いた人が私学に職を奉じておるということを私は言っておるのじゃありませんよ。ありませんが、概してそういう傾向にある。そうすると、農民の場合もやめなければいつまでたってもこの年金がもらえないということは、これはあまりにも画一的だろうと思うのです。その点はもっと実情に合わせて検討されてしかるべき問題だと思いますが、在職給付問題等について大蔵省としては具体的に御検討になっておられますか。御検討になる御用意がありますか。
  52. 船後正道

    ○船後説明員 老齢退職年金の支給要件の問題でございますが、日本年金制度では老齢年金退職年金、二つの考え方があるわけでございます。老齢年金のほうは原則として老齢というものを条件にして支給を開始する、退職のほうは退職条件として支給を開始する。ただし、まだ十分働けると思われる一定年齢以下につきましては支給を停止する、かような考え方に立っておるわけであります。諸外国の立法例によりましても、被用者年金におきまして、たとえば六十五歳とか七十歳という老齢のみを支給要件といたしまして退職要件はつけ加えないというところもございます。ところによりましては、退職のみを条件といたしまして、年齢は問わない。また日本のように退職条件にさらに一定年限の支給停止条件が加わるという体系の国もあるわけであります。これらの問題につきましては確かに厚年と共済グループとでは扱いが違っております。先生御指摘のように被用者年金といたしましてはこういった条件をすみやかに統一する、そうして最近のようにわれわれの平均余命も非常に延長されましたし、また人口も老齢化いたしまして、老年になりましてもなおかつ働いてもらわなければならないというような事態に即したようにこの辺は考え直すべき時期である、かように考えております。今回厚生年金におきましては六十歳支給という原則はそのままといたしまして、これは六十五歳に延長する。大体イギリス、ドイツ、フランス等の西欧先進諸国を見ますと、六十歳開始という国は非常に少のうございます。たいていの国は六十五歳あるいは七十歳というふうに延長されております。そういった問題もあったのでございますが、とりあえず厚年法におきましては現行どおりの六十歳を認める、ただし、先生御指摘のような事情もございましたので、六十五歳の在職者につきましてある程度減額された年金を支給するという制度に踏み切ったわけであります。ところが共済グループにおきましては、御承知のとおり退職条件が成立いたしますと五十五歳から支給を開始する、五十五歳は明治時代の恩給時代ならばいざ知らず、最近におきましてはまだ壮年でございます。まだまだ働いていただかねばならぬ年でございます。この五十五歳歳自体が再検討を要する事項でございます。先ほど愛知大臣が申されましたように、厚年法の実績というものを見ました上でやはり被用者年金全体を通じて検討すべき時期に達しておる、かように考えておる次第でございます。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 時間もだいぶん過ぎたようですから、最後に大蔵省お尋ねして私の質問を終わりたいと思います。  先ほどお尋ねいたしましたときにも申しましたが、スライド制がなかなかむずかしいというならば、既裁定年金引き上げ考えるべきでないかということを私は申し上げたいと思うのです。その点について愛知文部大臣も認めておられましたが、私が先ほど指摘をしましたように、昭和四十年二月十日総理府社会保障制度審議会会長大内兵衛さんから文部大臣愛知揆一さんあてに「各種年金に対するスライド制確立およびこれに伴う負担関係についての原則確立に関する申し入れについて」という文書で、「標記の件について別紙のとおり内閣総理大臣に対して申し入れを行なったのでご了知ありたい。」そこで同じ大内さんから内閣総理大臣あての申し入れ書は「本審議会は大蔵大臣および自治大臣から諮問のあった「昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置等法の規定による年金の額の改定に関する法律案要綱」および「地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案要綱」について審議した際次のような結論に達した。一 恩給および共済組合制度関係については、すみやかに根本的な調整をはかるべきである。二 各種年金に対するスライド制確立およびこれに伴う負担関係については、本審議会昭和三十七年八月の「社会保障制度総合調整に関する基本方策についての答申および社会保障制度の推進に関する勧告」の趣旨にのっとり、各制度を通ずる原則確立を急ぐべきである。」かように言っておるのです。ですから、これは決して私どもが野党の立場に立ってことさらに問題を提起して政府に食い下がるという趣旨のものではない。政府の諮問機関である総理府社会保障制度審議会が総論としても具体論としても総理大臣答申をしておるのですから、すべてのものにいますぐにスライド制をやることが困難ならば、既裁定年金引き上げという程度考えるべきじゃないか。実質をとればいいのです。あまり名目にとらわれなくても、実質が加入組合員に感謝されるような、ああよかったというものならば、あえて私は直ちにスライド制に踏み切りなさいと無理を言っておるのじゃないのです。その問題は愛知さんも検討するとおっしゃるし、政府もこの答申を受けて各種公的年金の間を総合的な検討をされる責任があると思うのです。ついては、大蔵省はそれに伴う財政的な面をあずかっておられる、そういう面から、実施団体とは別に、直接の監督官庁であるから、この制度に対するあなた方の発言権が非常に強いのです。それで特にくどいようですけれども、あなたは実力者なんだから、あなたたちがちゃんと第一線で実力的に握っておるのだから、そういう点で実務を担当していらっしゃる船後さんの立場からこの点について今後どう対処されようとされるか、それをこの機会にひとつ前向きの御答弁をお願いしておるわけであります。御答弁を期待しておりますから、ひとついい御答弁を……。
  54. 船後正道

    ○船後説明員 一般的なスライド条項、これに伴います追加費用負担額、これは先ほど私申し上げたところでございます。いま具体的な問題としまして、この私学教職員につきまして既裁定年金改定の問題があるわけでございます。これは今回厚生年金及び国家公務員共済ではそれぞれ若干既裁定年金改定をやっております。ところがこの趣旨は両者違いまして、厚生年金のほうは年金の計算方法を変えましたので、これに伴いまして既裁定年金もさかのぼって改定する。これはちょうど私学共済が発足いたしました際に、過去の厚生年金期間を、これは旧法の私学共済規定でございますが、それによって改定するというのと大体似たような措置を厚生年金法ではとっておるわけでございます。一方、国家公務員共済におきましては、これは実は恩給のほうの関係でございまして、恩給のほうではいわゆる二万円ベースの二〇%アップという仮定俸給のもとに年額を改定する、これに伴いまして国家公務員共済の新法期間につきましても、年金算定の基礎俸給が二万円の二〇%ベースに達していないというものを見直すという措置をとったのでございまして、国家公務員共済におきましては、共済自体といたしましての年金額の改定ということはいたしておらぬのでございます。これをどのような方法でやるかということは、私直接の所掌ではもちろんございませんけれども、これを担当いたしております主計局の給与裸におきましても、始終頭を悩ましておるようでございまして、いずれ今後物価の変動あるいは国民生活水準の上昇があるわけでございますので、年金、共済年金におきましても、この意味の共済年金、独自の年金調整という問題は起こってくるわけでございます。どういう方法でやるかということは今後大いに勉強しなければならない。その点は先ほど愛知大臣も申されたと同じような事情が国家公務員共済にもあるわけでございます。今回はたまたまこれらの共済年金が発足いたしましてから年金受給者の数も比較的少ないというような関係もございまして、一応各共済とも既裁定年金の問題は早急に検討すべき問題として今後に譲り、そうして最小限度の手当てにとどめたというような次第でございます。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 これで私の質問をきょうのところ打ち切ります。他の同僚の諸先生方からもまた別の角度なり、さらに掘り下げた御検討があろうと思います。私が提起いたしました問題はきわめて具体的な問題でありますので、委員長におかせられましても私の質問趣旨を十分に御理解をいただきまして、教育水準の上昇に伴いまして国民教育に占める私立学校の役割りがますます重要度を増しておるわけでありまして、この際本法律案審議を通じてその問題点を明らかにし、学校法人教職員の労働条件の改善を行ない、もって人材の確保をはかることを可能ならしめる等の措置を必要と私は考えましたので、至らぬ立場ではございましたが、問題を提起いたしました。いずれにいたしましても当委員会審議を通じて抜本的な措置を講ずる段階がきておることを私は強調いたしまして、当委員会の諸先生方のさらに御検討によって当委員会委員会としてのそれに近づけるための最善の修正なり、あるいは附帯決議等を付することによって、私の質問趣旨もその一部として生かされるようにお取り扱いをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  56. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員長代理 趣旨は了承いたしましたので、あとで理事会でよく相談いたしまして善処いたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会