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1965-04-02 第48回国会 衆議院 文教委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 渡海元三郎君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 南  好雄君 理事 八木 徹雄君    理事 二宮 武夫君 理事 山中 吾郎君       大石 八治君    熊谷 義雄君       床次 徳二君    中村庸一郎君       橋本龍太郎君    松山千惠子君       落合 寛茂君    川崎 寛治君       高橋 重信君    長谷川正三君       前田榮之助君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君  委員外出席者         建 設 技 官         (都市局区画整         理課長)    葛生 新一君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 三月三十一日  委員熊谷義雄辞任につき、その補欠として松  田鐵藏君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松田鐵藏辞任につき、その補欠として熊  谷義雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月三十一日  著作権法の一部を改正する法律案内閣提出第  七二号)(参議院送付) 四月一日  日本育英会法等の一部を改正する法律案(千葉  千代世君外四名提出参法第一二号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇五号)  文教行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。落合寛茂君。
  3. 落合寛茂

    落合委員 私先ごろから、自分土地であり、いろいろな関係からしまして、筑波研究学園都市の問題についていろいろ質疑をしてまいったわけであります。いよいよつい一週間ほど前に関係町村が寄りまして、政府当局とその方面関係者調印式をあげて、調印をしたのでありますが、その調印内容について伺いたいと思います。
  4. 葛生新一

    葛生説明員 お答え申し上げます。  研究学園都市につきましては、御案内のように日本住宅公団におきまして概略調査をしたわけでありますが、先月の末におきまして、茨城県とそれから地元の六カ町村、これにつきまして、正式に権利調査と申しますか、用地買収なりそういうものにつきましての権利調査委託をお願いしたわけでございます。なお、県のほうに対しましては概括的な権利調査以外に生活再建対策と申しますか、そういう項目につきましても契約をいたしております。それが内容でございます。
  5. 落合寛茂

    落合委員 大臣がお見えになりましたから大臣にお願いしたいのですが、御承知のように国家事業といたしまして、十年の日数をとり、予算といたしましても四千億の膨大な予算が盛られたこの事業は、あまり世間で問題にもなっておりませんが、私は、今日からこれに相当に注意の目を向けていかなければいけないと思いますのは、この地域に住んでおります住民生活問題に直接影響していくところが非常に多いのでありまして、地元の者といたしましては日夜これに対して非常に危惧を持っておるようなわけであります。でありますから、先ごろ大臣がテレビにお出になったりしてこの問題に触れられまして、たいへん希望の持てるお話があったもので、地元の者はそれについて非常に喜んでおったようなわけでありますが、それとともに、私は地元関係者といたしましても、この問題については、十年の長い計画でありますから、まあいい、まあいいというようなことで一年送りにこの事業を送っていくようなことになっては、これはたいへんだ、こう思いますので、くどいようでありますが、重ねて責任のある大臣お話をこの際伺いたいのでありますが、この十年間の事業継続方式というようなものを私は伺っておきたいのであります。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 研究学園都市建設につきましては、あらためて先般政府としては閣議におきまして、四十年度から向こう十カ年以内にこの計画を推進しようという申し合わせができたわけでございまして、それに基づきまして関係閣僚会議も持つことになり、また事務的な各省連絡機関も、首都圏整備委員会事務局中心にして設置されることになりましたわけで、気持ちの上におきましては、積極的かつ決定的にこの計画をこの十年の中で完成をしてまいりたい、こういうふうな体制は整い得たと考えておるわけでございます。そして着手の第一といたしましては、用地の買収ということがまず第一でありますので、これにつきましては、公団を通して買い上げを進めてまいる、それからそれに並行いたしまして、この新市街の都市計画等につきましても、りっぱな計画をつくりながら、移転を適当とすべきような学校あるいは研究所等につきましても、それぞれ担当部局等を通しまして根回しの準備作業を進める、こういうふうなことがいま相当活発に行なわれつつあるわけでございますから、政府といたしましては、繰り返すようでございますが、十分の意欲を持ち、また熱意を持ってこの計画の推進に当たってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  7. 落合寛茂

    落合委員 昭和三十八年以来、この問題はいろいろに論議されてまいったのでありますが、その当時から教育大学移転希望し、これは確定しているというふうなお話でありましたが、この二年間において、そういうふうな移転希望し、あるいは移転させるというふうな学校内容を、あるいは研究所内容というものを、今日まで二年間の経緯について少しお漏らしを願いたい。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず研究所で申しますと、大体三十五の研究所につきまして、この研究学園都市に移設するということを、内部的にはそういう気持ちの上に立って寄り寄りこの進捗方研究をいたしておるわけでございまして、国立研究所等につきましては、こうした寄り寄りの考え方というものが十分実現見込みがあると申し上げて間違いないかと考えております。  その次に学校の問題でございますが、大学については二、三の大学が一応研究対象になったわけでございますが、その中で東京教育大学につきましては——東京教育大学に限らず、何と申しましても大学の場合におきましてはあくまで自主的な気持ちを尊重していかなければならないというのが、大学に対する政府考え方でございますので、政府としての研究学園都市に対する考え方などを話をいたしまして、そしてそれに対して教育大学の反応を見守っておったわけでございます。私、直接にもそうした話し合いといいますか、予備的な相談にも乗っておるわけでございますが、最近の状況を率直に申し上げますと、この際移転をするということについては、学内をあげて、相当移転について積極的な考え方が出てまいったように私は見受けておるわけでございます。同時に、大学の中に一部の反対の意見を持っておられる方もございますから、大学の全体の教授会とかあるいは評議員会等において、これを正式に東京教育大学移転を決定したと申しますと、これは言い過ぎにもなりますし、事実に反することにもなろうかと思いますが、大体の空気は、いま申しましたように非常に前向きであり、積極的であると申し上げるのが正しいかと思います。そして、あわせて、この研究学園都市移駐をするのならば、この際東京教育大学というものを質的にも大いに充実をいたしたい、これは大学当局としては私はごもっともな御要望であると考えるわけでございます。したがいまして、大学側として希望される事項は、ひとつ私ども研究対象といたしまして、何でも御希望の点は出していただきたい、それにこたえられまして、こういうことを移駐のときに同町に考えてほしいというような数項目考えるべき事項として、非公式に連絡を受けているようなわけでございます。その中には、従来の東京教育大学よりも相当に広い考え方で、たとえば大学院の問題でありますとか、あるいは学部の再編成でございますとかいうようなことも含まれておりますし、寄宿舎の問題とか教官の宿舎の問題とかいうようなこともございます。それから付属学校をどうしたらいいか、これはむしろ地元住民のいろいろの希望要請もあるので、一部は何らかの形で東京都内に残したほうがいいのではないか、その場合において、学園都市の中ではどういう構想で付属の諸学校考えたらばいいかというようなことも、十分当局側との間で相談対象にしてもらいたいというような、研究課題の御要請もございます。それから中には、由緒のある大塚を離れるについては、何か記念となるような施設大塚に若干考えるわけにはいかないだろうか、こういうような御希望もございます。こういったようなものも、私どもとしては十分大学側の御希望も頭に入れて、実行の可能なこと、あるいは実行を可能ならしめなければならぬようなことも、私どものほうもひとつ積極的に研究いたしまして、そしてこの研究学園都市を、東京教育大学中心にしてよい学園都市ができるように仕向けてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただいま申しましたように、本年早々にあらためて研究学園都市建設は意欲的にやろうという閣議申し合わせに基づきまして、いろいろとこうした話し合いを進めつつあるわけでございますから、的確に、こういう規模でこうして、大学について何年間のうちに移転をこういうふうにやっていくのであります、その予算額はおおむねこのくらいでありますということを御説明するまでの準備は、何しろ本年一月末くらいからのお話でございましたので、十分詳細にといいますか、概略もまだ御説明するところまではまいっておりませんけれども話し合いとしては、そういったような軌道に乗って前進しておるということは、間違いなくお答え申し上げられる点であると考えるわけでございます。
  9. 落合寛茂

    落合委員 いつも引き合いにたった一つ教育大学の問題が出て、大臣もはっきりと教育大学については私どもに話されますが、直接その学校関係者方たちに会って話を聞くと、反対が非常に多いのです。その反対の理由を聞いてみますと、一番多いのは、東京にいるとアルバイトができるというのですね。御承知のように、学校の先生は非常に待遇が悪いのです。とてもアルバイトをしなければ勉強もできないし、家族も養っていけない場合が多い。だからどうしても今度は、学園都市ということで向こうへ行くことになると、アルバイトができない。これは生活一つの脅威だというのが、率直にいいまして、若い教授連中の総意のように私うかがえるのです。どこの学校関係者に聞きましても、そういう不安があるのですが、移転をスムーズにさせるためには、国としてそういう問題について御考慮を願うわけにはいかないものなんでしょうか。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは一部の反対方々あるいはそういったような不安を持たれる方々が事実ありますことは、私も承知いたしておるつもりでございます。そして、ただいまお話し申し上げましたのは、大学それ自体中心にしての話の進め方についてお話し申し上げたわけでございますが、同時に、この学園都市建設については、各方面の徹底した協力なくしては完成できないわけでございます。たとえば都市自体のよい環境をつくり上げることがもちろん必要でありますが、同時に、東京その他との間の道路の問題や、交通機関整備の問題や、いろいろあるわけでございまして、道路がりっぱなものができ、そして公共交通機関整備ができるということになりますれば、この研究学園都市予定地というものは、今日ございますよりは、はるかに大都会にも近接した地域であるということにもなると思います。それから先ほど申しましたように、宿舎の問題その他も、同時に、これは文部省だけではなかなか手が及びませんけれども、これも各方面の御協力によってうまくできてまいりますれば、大都会との間も、物理的にはともかくとして、時間的には非常に近接する、それから研究環境がよくなる、いろいろな点からいいまして、そういったような御心配が根本的に解消するような結果がだんだんと出てくるのではなかろうかと考えるわけであります。現に今回の予算あるいは法律案等で御審議を願いましたが、たとえば大阪大学移転につきましても、今回おかげさまで決定さしていただいたわけでありますが、これも計画途上においてはずいぶんいろいろの不安あるいは反対ども一部にはあったわけでございます。今回移転いたします先も、従来の観念でいえば、非常に丘陵の多い山間の地帯とでもいうべきところでありますが、近来のいろいろの土木その他の工事力の目ざましい進展によりまして、大都会との間の時間的な距離も非常に短くなりますし、また環境もよくなるということで、今日では、大阪大学移転につきましては、もう関係者一同が双手をあげて熱意を示されておるようなわけでございますから、私は、この研究学園都市につきましても、あるいは一例としての東京教育大学の問題にいたしましても、こういったようなことが現実に進んでまいりますと、そういったような不安もおのずから解消していくのではなかろうか、またぜひそういうふうに事を運んでまいりたい、こういうふうに心組みをいたしておるようなわけでございます。
  11. 落合寛茂

    落合委員 移転の場合に、国立大学の場合と私学の場合、補助とかなんとかという問題があるし、便宜を与えるとかなんとかいろいろ方法があると思いますが、それに対するお考えを伺っておきたいと思います。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国立大学の場合は、御承知のように、国立文教施設あるいは研究学園都市整備ということについて、直接国費なりあるいは財投なりでその経理の点についてはきまります以上は、大学当局には全然心配をかけないで計画が進み得ると思います。それから私学につきましては、これも御案内のように、第一級の著名の大学がおりおり大移転計画をつくられたこともございますが、これが必ずしも進捗していないというのには、先ほどもおあげになりましたようないろいろの難点があり、特に私学の場合においては不安を持たれた、そういう関係がこの移転計画が今日進んでいない原因であろうかと思います。それらの点につきましてはもう少し大所高所から、国家的にも必要であるということであるならば、従来はこういった面についての助成案というのはほとんどございませんでしたが、今後私学助成について政府としてもあらためて全般的に積極的に取り組んでいこう、またいかなければならないという態勢になっておりますので、そういう問題の一環といたしまして将来の研究課題でなければなるまいか、かように存じております。
  13. 落合寛茂

    落合委員 二十九日の日に、東京日本住宅公団総裁の挾間氏と久保田学園都市開発室長ですか、政府関係者が寄られて、一番中心になっております谷田部町長の飯泉氏も参加して調印を行なったはずでございます。その内容はどういう内容ですか。
  14. 葛生新一

    葛生説明員 二十九日に谷田部町と日本住宅公団総裁契約いたしました内容につきましては、大体権利調査が主でございます。こまかく申し上げますと、登記簿調査、建物の登記簿調査とか、それからあと立木登記関係、それから戸籍簿、それから法人登記簿とか、それからあと家屋等実態調査、そういうものの内容でございます。それで三月二十九日に契約いたしまして、ことしの九月末までにその成果をあげるというような内容になっております。
  15. 落合寛茂

    落合委員 そういたしますと、別に土地の価格問題とか、あるいは何かそういうふうな——谷田部の町では独自に、学園都市がくる場合にはこうしなければ、自分たち町民は聞くわけにはいかないというような別途な移転案をつくっておるはずなのですが、それに対する何か条件はなかったのですか。こうでなければ賛成ができないというふうな印刷物までつくって……。
  16. 葛生新一

    葛生説明員 私ども住宅公団から契約書の写しをもらっておりますが、その中には、そういうものは入っておりません。ただ私どもといたしましては、谷田部町で独自の研究学園都市計画案と申しますか、そういうものにつきましてはいただいております。ただあの二十九日に契約いたしました内容といたしましては、権利調査が主でございますので、そういうものは入っておりません。この茨城県と契約いたしました内容といたしまして、先ほど申し上げましたような生活再建対策調査、そういうものの調査と申しますか、それは内容の中には入っております。
  17. 落合寛茂

    落合委員 その二十九日の調印式とか、それ以前一週間ほど前に行なわれた谷田部以外の調印式がありましたね。そういう場合に、政府当局中心になって開発室というものがありますね。その開発室の組織をちょっと伺いたい。
  18. 葛生新一

    葛生説明員 ただいまのお話でございますが、三月二十七日に谷田部を抜かしました五カ町村契約いたし、二十九日の日に谷田部町と契約いたしたわけでございます。なお住宅公団の中におきます研究学園都市開発室というのがございますが、これは住宅公団の本所の宅地開発部の中に設置されております一室でございます。
  19. 落合寛茂

    落合委員 そういたしますと、開発室というものと茨城県の当局というものとは、どういう関係になっておりますか。
  20. 葛生新一

    葛生説明員 茨城県のほうは窓口がたしか開発部でございますか、そこでやっておると思いますが、公団代表者といたしましては、この契約といたしましては、総務担当理事南部哲也さんと契約いたしております。それで開発室は県の開発部並びに土浦にございます県南振興事務所でございますか、そこらと連絡をとっていろいろな権利調査なり、そういうことをやっておるわけでございます。
  21. 落合寛茂

    落合委員 われわれ直接内需なんかよく知っておる者から見ますと、どうもその点が何か非常に不安に考えられるのです。というのは、十年間のこの大きな事業一体国がすべての中心になり責任を持ってなにしているのか、あるいは出先茨城県なら茨城県の当局にこれを委任した形になっておるのか、あるいは仕事の分担によって茨城県なら茨城県の出先にこれをなにしておるのか。十年という長い年月を考えた場合に、そこにいろいろな不安がありますし、茨城県は御承知のように鹿行の開発とかあるいは国際空港の問題とか、非常に大きな問題が重なっておりますから、そのために影響されることがあってはたいへんだと思うのでありますが、それに対して大臣ひとつ……。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は茨城県との関係でございますが、現在までに委嘱したり依頼をいたしましたことはこういうことでございます。いわゆる公簿調査、それからその他の実態調査の一部は県に委嘱してこれを実行してもらおう。それから国及び公団を含みましての国と県とは、実施の契約につきましては細部にわたって契約によって行ないたい。この国と県との手続につきましては、この契約内容をどうするかということにつきまして、現に折衝といいますか相談中でございまして、これはできるだけ近日中に契約をととのえたいということで進んでいるはずでございます。  それからいま申しましたいろいろの県に委嘱いたします調査につきましては、現在から向こう五ないし六カ月を要する見込みであるというのが関係当局と県との間の見込みでございます。そしてどういう形態の契約内容になるか、あるいは実態調査の一部を県に委嘱するわけでございますが、その一部とはどういう範囲であるかというような内容につきましては、これは所管当局公団のほうが詳しいのでございまして、そのほうからお聞き取り願えればしあわせと存じます。
  23. 落合寛茂

    落合委員 その点がやはりこれに関心を持っておる者にとって非常に不安なことなのであります。県のほうへ行っていろいろなにしてみますと、県はこれは国のほうでなにしておるんだからおれたちにはわからないと言う。ただいま大臣は、公団のほうがよく知っておるというようななにでありますが、こういう点を将来ぜひ明確にお願いいたしたいと思っております。  それからいよいよ実行に移って、土地買い上げというような直接の大きな問題が出てまいりますが、それには住宅公団委託されて当たるわけなんでしょうか、どうなんですか。
  24. 葛生新一

    葛生説明員 用地の取得、それから宅地の造成でございますが、これは住宅公団が行なう予定になっております。
  25. 落合寛茂

    落合委員 現在まだほんとうにこういうふうに問題が煮詰まっているどころじゃない、まだなべをやっとかけた程度のようにしか受け取れないのですが、ところがすでに学園都市計画されたそのころから、いろいろ土地問題につき、その他につきまして問題が起きまして、御承知のように一番地理的に中心になっております筑波町の町長は、そのために辞職をするようなことになり、あるいは目下汚職問題で裁判にかけられておるようなわけであります。大小いろいろありますが、それらに準じました問題がたくさんいま起こりつつあるわけであります。その中で一番私寒心にたえないのは、大穂町という町があるのであります。これは筑波町の隣なんですが、この大穂町は結局政府計画図を見ましても、今度の中心地に最も近いところの町なんでありますが、その大穂町の地籍に持ってまいりまして、大きなゴルフ場がいま建設されつつあるのであります。これは時間的にいいますと、昭和三十八年の九月に茨城県が政府委託を受けまして、学園都市問題が発足をしたのでありますが、そこへ持ってまいりまして、私この間行って見てきたのですが、すでに予定地である、しかも学園都市相当中心になるべき予定地である。そこにゴルフ場をつくりまして、非常に範囲の広いものでありますが、そこへ持ってまいりまして、どんどん建築を始めてしまった。建築を始めていまうちをつくっております。私も行きまして、ここは予定地になっておるのだが、地図の上で見てもはっきりそうなっておるのだが、一体どうしてこういうことができるのだと言いますと、自分のほうでは——県のほうでは三十八年の九月に発動しておるのでありますが、三十八年の、同じ年の二月におれのほうはこの土地大穂村の村長と契約をしてそして手に入れたんだ、だからして七カ月おれのほうは先なんだ、だからおれたちがやったってあたりまえだ、いいじゃないか、自分たち権利があるのだというようなことを平気で言って、どんがんどんがん建築をやっております。なるたけ建築をやったり、広い地域をとって、そしてゴルフ場をやっている。これははっきり申し上げますと、太陽観光株式会社というのでありまして、東京の中央区銀座五の三の緑ビルの八階に陣取っている、これは観光会社であります。ゴルフ会社ではなくて観光会社一つ事業としてやっている。こういうことがいやしくも政府のやっている大きな事業に対して、これは私は何らかの方法で中止をきせるとかなんとかしなければ、面目にも関することである、こう思うのでありますが、これに対して御当局のほうでどういう報告を受けてどういう御調査をなさって、あるいはどういうお考えでこれを処理なさろうとしておるか伺いたいと思います。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この問題につきましては先般の当委員会におきましても御質問が出まして、そのときに私としては直接の所管でないものでございますから、御答弁ができなかったわけでございまして、さっそく調べました点を御報告申し上げたいと思いまして、今日に至りまして、たいへん失礼いたしたわけでございますが、私として首都圏整備委員会等について調べました報告と申しますか、こういう実情であるということの報告を受けたわけでございます。それはただいま御指摘がございましたが、研究学園都市政府としてほぼ決定をしたいと考えました時期以前に、昭和三十八年二月にゴルフ場用地としてほぼ九万坪の土地が買収されておりました。これは御指摘のとおり大穂村から企業者が買収いたしたわけでございます。そしてその後昨年昭和三十九年五月に研究学園都市の区域を決定いたしたわけでございますが、そのときにはゴルフハウスの一部がすでに着工されておりました。これも御指摘のとおりでございます。そこで関係当局から直ちに工事を中止するように要請をいたしました。その結果、昨年の十二月に至りまして工事は中止された、かような報告でございました。  なお、ゴルフ場用地につきましては、研究学園部市の区域外にあらためて取得するように、これも当事者に要請をいたしておる。かような状況でございましたことを、遅れましたけれども、私から御報告申し上げます。  なおこれについてさらに細部にわたりましては所轄の当局から御説明を申し上げることにいたしたいと思います。
  27. 葛生新一

    葛生説明員 補足させていただきますと、現在ゴルフ場といたしましては約九万坪を買収いたしておりますが、一昨年の九月でございますか、研究学園都市閣議決定と申しますか、その発表がありましてから、それ以上の買収は進んでおりません。と申しますのは、農民の方たちが、ゴルフ場に売るよりは研究学園都市のほうにというようなお話がございまして、それでそのまま今日に至っております。ですから九万坪の中におきましてゴルフハウスを建設しておったわけでございますが、まあ向こうのゴルフ場のほうといたしましては、クラブハウスというよりはホテルにもできるようにというような考え方で設計をやっておると聞いております。  なお先ほど申しましたように、この三月の末に現地調査委託契約を結びましたので、そういう中におきましてもそういう実態調査というものが入っておりまして、それによりまして私どもといたしましては、クラブハウスを移転させてもいいのかそれともそのまま他に転用できるか、そういう問題につきまして今後検討していきたいというふうに考えております。
  28. 落合寛茂

    落合委員 これがやっぱり連鎖反応を起こしまして、いよいよ土地買い上げになる、だからして何かつくっておけばそれだけのものは価格にして高く買ってもらえるのだ、こういうなにがずっと流れて、農家のある人はどういうことをしているかというと、荒れ地へ持っていって苗木をどんどん植えているのです。そうするとやがてこれは買い上げられるときにはいい値で売ることができるというふうな、全般的にそういう非常に功利的ななにが、この一つの問題からだんだんに延長されたようなかっこうになっているのです。当局としてはこれに対してはっきりした態度をおとりになるお考えですか、あるいはいまおっしゃるような、クラブハウスをホテルにしようと思って、なるかどうかとか、そんな程度の問題でこれを片づけられるお考えなんでしょうか。
  29. 葛生新一

    葛生説明員 いまのクラブハウスにつきましては、現在住宅公団の試案といたしましては、移転をさせるというようなことで考えております。  なお先ほど御指摘のございましたように、私どもこの地区を選びましたときには山林が約六割でしたか、田畑四割というようなことでございましたのですが、最近山林が開墾されまして畑になっておるというようなことを聞いております。したがいまして現在やっております実態調査によりまして、その地目と申しますか、そいう面積を確定していきたいというふうに考えております。
  30. 落合寛茂

    落合委員 だから問題は、これだけの大きな事業なんですから、もっとはっきりした、開発室というような間に合わせな、腰かけ的なものでなしに、そうして日本住宅公団一つの何か出店みたいなものでなしに、もっとはっきりした、責任のある、国家として、私はそういうものに対する輿望もありますからして、この際お考えを、大臣、これは特に私は非常に心配しておる。十年の問題ですから、よほどここでしっかりしたものをおつくりになって、そうして監督をしていかなければ、とんとん——現にいま中止をされたようなことをおっしゃっていますけれども、行ってごらんなさい、いろいろやっております。ですからして、そういうふうなしっかりしたものをなにしてもらいたい。こんなことをこの席で申し上げてどうかと思いますが、こういうふうなたった七カ月かそこらの間のその以前にゴルフ会社がこれを取得したというふうなことになっておりますが、村の人たち、あの地元の人たちの間に流れていることばというものは、ある政治家がこの間に介入して、そしてそういう契約の日にちをこしらえ上げたというふうないまわしいいろいろなことまで流れておりますから、だからして特にこれはひとつ文部大臣、深甚な御考慮で、はっきりした監督的な機関をこの際おこしらえになることを切にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともな御発言でございまして、十分これは政府全体としていろいろのそういった疑惑のないように、まともに計画が進むようにいたしたいと考えておりますことはもちろんでございますが、同時に先月、実は研究学園都市建設推進本部ができましてからの総会をいたしまして、四つの部会というものを本部につくることにいたしました。これはすでに先月の中旬から設置されて発足いたしておりますが、これは総括と用地移転機関、それから公共施設、この四つの部会をつくりまして、ただいま問題となっておりますところは、具体的には用地の問題でありますが、同時に総括部会におきましても十分監視をし、聞違いのないようにあらためてやってまいりたいと考えております。ただいまの御注意の点は重々注意いたしてまいりたいということを重ねて申し上げて、御答弁といたします。
  32. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 山中吾郎君。
  33. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 落合委員の質問に関連をして、大臣に質問いたしたいと思いますが、この東京教育大学移転という問題は、今後過密都市から大学をほかに移転さすというこれは試金石なので、これがうまくいくかいかないかは、今後のあり方の全部が成功するかしないかきまる重大な問題だと私は思っております。したがいまして、移転をしてよかったということを学内のすべての人に与えるということが、もうこれは日本の文教政策の一番大きいあとあとへの問題になると思うので、私は日本一の理想的な移転をすべきだと思う。その点を十分にひとつ天下に声明しておいていただいて——われわれも協力をいたします。私の母校ですから、いろいろとめんどうな問題があっても、協力はしたいのですが、そのする条件をひとつ文部省でしっかり持っておいていただきたい、それをひとつまずお聞きしておきたいと思います。
  34. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私の考えといたしましては、この過密都市対策としてりっぱな大学を、ことばは悪いですけれども、追い出すというような、そういう発想で考えているのでは全然ございませんで、よりよき大学研究学園都市というような新しい構想にマッチしてでき上がることを期待していきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、ただいま山中委員が仰せになりましたことと私は筋においては全く一致しているのじゃないかと思うのでございます。したがって移転ということもさることながら、東京教育大学というものがこの機会を活用してりっぱな大学になってほしい。したがって大学の御当局としてもこの際東京教育大学をこういうふうに充実したい、こういうふうな施設をしたいということは、まあこれは言い出せば切りはないかもしれませんけれども、私は俗なことばでございますが、何でもひとつ御計画を持っていらっしゃい、そうしてできるだけ文部省としても御協力申し上げてりっぱなものをこの研究学園都市という土地につくるようにいたしましょうということを、非公式でございますけれども、前々から大学当局の方にも御連絡をしたり、あるいは非公式の話もしているわけでございます。その線に沿うてと申しますか、すでにある程度の希望的な御計画も非公式にもいただいたり、あるいは私どもの意向をサウンドするようなお話もございました。喜んでそういったような御相談に私も応じてまいりたい、かように考えておるわけでございますから、ただいまお話がございましたが、ひとつこの新しい大学をりっぱに東京以外のところにつくるというような意欲を持ってやるということに、それこそ超党派的な御協力が非常に願わしいことである、私はほんとうの真意をそういうところに持っておるわけでございます。どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
  35. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 大臣のお考えは非常に希望の持てるお考えであるし、そういうことで文部省に信頼感が出ればうまくいくのだろうと思うので、あえてお聞きしたわけであります。問題は学問の研究とそれから教員養成というものがぴったり合ったような構想というものが大事なので、したがって日本の現在の学問研究のいわゆる大学における分け方は法学部、文学部というふうな分け方がありますが、ああいう学術研究の雰囲気の中で日本の最高の教育担当者をつくるという、そういう考えが非常に大事ではないか、そういうふうなことを含んでいろいろと学内から要望があれば、十分におこたえになりますか。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この教員養成課程の大学というもののあり方ということは、大きな将来十分検討していかなければならない問題であると私は思います。この研究学園都市の問題につきましては、先ほど来申しておりますように、環境のよい、また国立のいろいろの研究も数十ここに移転をしようというような構想でございますので、そういう環境の中でこの教育大学というものをりっぱなものにしたい、それについてはたとえば大学の御当局としても、おそらく大学院設置というようなことも希望されておるのではないかと思いますが、そういう点につきましても私としては十分前向きに取り上げてまいりたいと考えております。
  37. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 なぜこういうことをお聞きしておるのかといいますと、大体文部省の考えでは、教員養成をめどとしておる大学の場合は単科大学のイメージを出しておる。たとえば東北教育大学ですね、あれは分離された。私は質問する機会をとうとうなくしてしまったのですが、教員養成の単科大学というイメージでつくられた。そういう一つのイメージが前提となるならば、東京教育大学移転の場合にも、口ではどういうふうに言われても、そのイメージが非常に粗末なものになる、そういうふうに思うので、日本のいわゆる学芸大学あるいは教育大学というふうなもののあり方にも関連してくるので、ほんとうはもう少し中身に入って論議をしておく必要があるのです。文部省、局長、事務当局は、教育大学と学芸大学、これは制度的には教員養成の義務づけはないが、大体そういう教員が生まれることをめどとしての大学であるが、単科大学の構想ですね。そこに間違いがあれば私の意見が違う。いままでの考え方はどうなんですか。
  38. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 私がお答えすることは直接の所管ではございませんけれども、いままでの経緯から見まして、従来論議されておりました主として義務教育の職員を養成すべきいわゆる学芸学部等とは、発足の経緯におきましても、伝統におきましても異なっておりまして、すでに東京教育大学につきましては数学部を持ち、大きな総合大学ではございませんけれども大学の必要な学部のあるものは持っておるわけでございまして、これをただいま大臣が仰せられましたように、さらにいままでの伝統の上に立って、学園としてどう発展させるかということで、あるものは学部の増設という御要望も非公式にもあるし、あるいは大学院の強化という問題もあるし、あるいはこの機会に、教員組織を、東京にあるよりもさらに専任の教職員を充実したいというような一つ大学自体の拡充あるいは質的な向上、こういうことで持ってきておられるわけでございます。
  39. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 明確なことは得られなかったのですが、それではそれは次にいたします。何か中教審その他の答申の中には、単科大学ということだけが文書に出ておるものですから、そこに私は一つの問題があると思ってお聞きしたのです。これは日本の教員を養成する重大な問題と関連をするので、ほんとうは一日くらい論議せねばならぬと思っているのですが、私は教員を養成する場合には三つの条件が備わらなければ失敗すると思っているのです。一つは先生の場合には素質のよい者を入学させるということが一番大事だと思うのです。第二には卒業した者が教職につくこと。この卒業した者を教職に吸収するという条件がなければならない。第三に的確な知識を与えるという、その三つのことを含んだものでないと大学における教員養成というものは意味をなさないと思っているわけなんです。そこで、よい素質の者を吸収するということについては、非常に魅力のある環境、あるいは政策的に何かの恩典というものが十分に与えられるということがないと、私は不可能だと思うのです。戦後の日本の教員養成を見ておりますと、その点がほとんど欠けておるのじゃないか。そして戦争前のいわゆる師範教育というようなものについて、ただ否定するというのではなくて、いいところと悪いところをよくさらに分析をして、そして国家統制だけが深まるのでない、よいところも入る日本の教員養成政策を立てないと、私は日本の文教政策は低下するばかりだと思っているのです。たとえば過去の師範学校の場合は、貧乏人の子供ばかりでなく、農家で、その地域に置きたい親の気持ちも含んで、小学校で三、四番くらいまでの者が入学をしておった、ところがいまはだんだんとそうでなくなってきておる。何だかんだいっても昔は一応素質のいい者は師範学校に入れることができたわけです。いまから考えてみると、これほど非常識な恩典はないと思うほどの徴兵の免除さえしておる。昔の徴兵制度をしいておった時代に、日本の教員養成に徴兵免除までして師範にいい者を吸収しようとした政策そのものは非合理的で、考えてみるとまことに非常識だと思うのですが、そういうこときえしてきたという明治以来の日本の教員養成の苦心は、いま戦後一つもないのじゃないか。戦前のあり方について単に否定をするばかりでなくて、それだけの苦心をしたというものを、どう戦後の民主主義制度の中で新しいものにつくっていくかといろ苦心が一つもない。そこで私は国立学校設置法の法案を審議し通す前に、愛知大臣と実は論戦をしたかった。ただ分離したからそれで教員養成の目的が果たされると思ったら、とんでもないことだ。そういうふうなことも含んで、こういう一つの伝統を持った明治以来の教員養成を目的とした東京教育大学移転する場合には、その点は十分に検討に検討を加えて、今後の日本の教員養成の大学に、全国の者に魅力を持たしめるような配慮がどうしても必要である。そういうことを私は強調して申し上げておるわけであります。この点についてはまだ言いたいことはたくさんあるのですけれども理事会の定決の線を尊重しないと、また問題になりますし、関連事項ですからきょはこれくらいにしておきますけれども、それは真剣に考えておいていただきたい。  そこで委員長に提案をいたしたいのですが、筑波山のあの地域にいろいろな問題がある。日本の文教政策の基本問題も含んで重大なものでありますから、適当な機会に文教委員会がやはり実地を一応見て、そしてこの問題をもっと真剣に取り上げる必要があると思うので、一定の機会に実地見学されることをおはかり願いたいと要望いたしまして、私の関連質問を終わっておきたいと存じます。
  40. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 ただいまの御要望に対しましては、別途理事会で協議して善処いたしたいと存じます。
  41. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 次に私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますのでこれを許します。上村千一郎
  42. 上村千一郎

    ○上村委員 先回に引き続きまして少しくお尋ねをしていきたいと思います。  私学共済の今回の法案の改正につきましては、いずれ社会保障制度審議会の御答申その他も参考にしていらっしゃるかと思いますので、との点に関する社会保障制度審議会の答申の内容につきましてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  43. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 今回の法改正に関しまして、昭和四十年の二月九日付で社会保障制度審議会の意見を求めましたところ、二月十八日付で、この改正案については了承をする、それから第二点といたしましては、これは年金制度について、恩給並びに共済組合両制度につきましてすみやかな根本的な調整をはかる。そしてスライド制確立及びこれに伴う経費負担について、各種の年金制度を通ずる原則の確立を急ぐということを文部大臣に対して要望がありました。この社会保障制度審議会の意見は本改正については異論なく了承されたわけでございます。  それからもう一つの年金に対するスライド制の確立につきましては、これはさきに政府の全体に対しまして要望がございまして、この改正案の際にもそのことを十分検討するということでございまするので、このスライド制の確立につきましては、私学共済のみならず、公的年金制度全般に通ずる問題でございますので、他の制度との均衡も考慮しながら、今後私どもといたしましても十分検討してまいりたいと存じております。
  44. 上村千一郎

    ○上村委員 社会保障制度審議会の答申内容について、大体その線に沿っていっておるんだ、ただし、年金に対するスライド制の確立については、他の年金制度との関係もあるから、目下十分検討中だ、こういうお話で、まあその点はもっともであろうと思うわけでございます。現在の私立学校教職員共済組合の概況について簡単にお話を賜わりたいとともに、適用除外校の加入問題、これは三十入国会の衆議院文教委員会におきまして、未適用校に対して、政府はすみやかに適用の道を開くよう所要の措置を講ずべきものと認める、という附帯決議をいたしてあります。そういう関係もございますので、この適用除外校の加入問題につきましても概況を御説明賜わりたい、こう思います。
  45. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 第一点の私学共済の概況についてまず申し上げます。組合の昭和三十九年度十月末日現在の加入学校数は七千三百八十一校でございまして、組合員数は十二万八千八百七十四人でございます。この関係の被扶養者数が九万四千強となっております。また組合員の標準給与の月額の平均が約二万七千円となっておます。組合の行なっております事業は長期給付、短期給付及び福祉事業でありまして、これはおおむね共済制度と同様であると申して差しつかえないと思います。長期給付につきましては、昭和三十八年度における給付件数は一万六千余に上っていまして、給付金額は約六億弱でございます。短期給付につきましては、組合員及び被扶養者の保険、災害補償に関する給付を行なうものであります。これも国家公務員及び地方公務員の共済組合が行なう短期給付と同様なものでございまして、昭和三十八年度における件数が百三万九千件、金額にいたしまして十八億九千万円となっております。福祉事業は組合員及び被扶養者の保健、保養及び教養に資するための施設の運営をいたしますとともに、組合員の臨時の支出に対する貸し付けの事業を行なっております。現在、施設といたしましては、保健施設が四カ所、医療施設の病院が一カ所、宿泊の施設が五カ所でございます。貸し付け事業は、昭和三十九年度末の金額が二億七千万円になる見込みでございます。  第二点の御質問の適用除外校の加入問題でございますが、ただいまお述べになりましたように、これはかねてからの懸案でございまするし、また附帯決議もいただいておるわけでございますが、私学共済が私学教職員の相互扶助の事業を行なってその福利厚生をはかり、私学教育の振興に資することを目的として設立されたものでございますので、設立の趣旨からいたしますれば、全部適用されるということが最も望ましいわけでございます。ただ、この点につきましては、御承知のようにいろいろの問題がございまして、学校によりましては、現在行なわれております学内の特有な年金制度でありますとか、そういうものの一種の既得権を放棄したくないという組合員の考え方もございまするし、またこれを任意の措置をとるということになりますと、健康保険組合等の関係におきまして政府部内との意見の調整もなかなか時間がかかるものでございますので、この点につきましてはなお今後努力をするということで、その問題と切り離しまして、とりあえず組合員の直接福祉になるべき給付の改善という点にしぼりまして御提案したようなわけでございます。
  46. 上村千一郎

    ○上村委員 実はこの適用除外校の加入という問題は、私学共済法に関連しまして一つの大きな問題だと思うのです。さればこそ、三十八国会におきまして附帯決議が付されたという経過でございますわけで、この私学共済が私学の教職員の相互扶助事業を行なって、その福利厚生をはかり、私立学校教育の振興に資する目的で設立されたということは、そのとおりであるわけです。そしてその設立の趣旨から考えますれば、適用除外校が全面的に加入することが望ましいということに相なります。しかるに、適用除外校というものが存在しておる。そのままになっておる。これは一体、その適用除外校自身が加入を欲していないのか、それとも、欲しておるけれども障害があるのか、あるとすればどういう障害であるかという問題につきまして少しくお尋ねしておきたい。こう思うのは、先ほど申し上げました三十八国会の本文教委員会におきましての附帯決議もございまするので、いずれこの点にはいろいろと質問も起きてくるであろう、こう思いますので、もう一度この点につきましてお尋ねをしておきたいと思います。
  47. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私も、第三十八回国会の文教委員会におきまする決議につきまして、未適用校に対してすみやかに適用の道を開くよう所要の措置を講ずべきものと認める、この附帯決議の御趣旨はごもっともであると思いますので、御案内のように、たとえば私学内部でもいろいろの意見がまだございますようでありましたり、あるいはまた厚生省との間の健康保険組合の取り扱い等についての若干の意見の調整を必要とするという点もございますけれども、趣旨において全く御賛成申し上げておりますし、またできるだけすみやかに未適用校がないようにいたしたいということについては、今後もできるだけ慎重に検討し、努力をいたしたいと考えております。
  48. 上村千一郎

    ○上村委員 次に、この私学共済に対して一体どういう助成がされておるのか、その内容、並びに今回の法改正というものが、私学の教職員の方々に対しまするところの給付内容を国公立学校の教職員の方々に対する給付内容と同列にしたい、要するに私学の場合の低い水準を国公立並みにしたい、こういうことのねらいにあることはすでに明白になっておりますが、しからば今回の改正によって掛け金などがふえてしまって、給付の問題は上がったけれども実質負担が重なってきたということになると、形式的には処遇、要するに給付内容の改善がはかられたということになるけれども、実質的にはその負担がかかってくるということの心配がありますので、長期給付の掛け金の点について負担が過重になっておるのではなかろうか、この点につきましてお尋ねをしておきたいと思います。
  49. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 第一点の、現在の私学共済に対する助成の問題でありますが、これは国庫補助金と都道府県の補助金と私学振興会からの補助金の三種がございます。国庫補助金につきましては、現在長期給付について給付額の百分の十五、事務費につきましては組合員一人当たり三百七円の補助を行なっております。昭和四十年度予算におきましては、長期給付の補助金一億三千四百六十一万円、事務費の補助金が四千百三十万円、合計一億七千五百九十一万円が計上されております。都道府県につきましては、昭和二十九年以降長期給付の掛け金の千分の八程度、これは県によって若干違いますが、八程度の補助をいたしておりまして、昭和三十八年度におきましては、全国で約二億二千万円になっております。それが入ってまいりますと、定款に定められました掛け金率よりは実質負担は低くなるということになります。私学共済からの助成でございますが、これは昭和二十七年九月三十日以前に給付事由の生じました旧私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律の第三条の規定に基づきまして、既年金者の年金額の増額に要する費用の百分の八十五の助成を行なっておりますほか、長期給付の整理資源の一部、それから事務所または福祉施設の新設等に要する経費について助成を行なっておりまして、昭和三十九年度の助成金は合計いたしまして一億七千九百万円余となっております。  それから第二の御質問の、今回の法改正によって組合員の負担が増すのではないかという点でございますが、これは若干増すわけであります。長期給付の掛け金率が現在千分の七十でございます。これは事務費と福祉財源の分、おのおの千分の一を含んでおって千分の七十でございますから、長期給付だけでございますと、年金分だけを考えれば千分の六十八ということになるわけでございます。今回の法改正によりまして、千分の六ないし八程度の増加を予想されますので、結果として掛け金率が千分の七十六ないし千分の七十八程度になります。しかし、そういたしますと組合員の負担する掛け金の率が千分の三十八ないし三十九程度となるわけでございますが、先ほど申しましたように、都道府県の助成という、他の共済の制度にない助成が行なわれております。そういうこと等もありまして、他の共済制度に比べまして掛け金率としては非常に現在低いわけでございますので、この点はこり程度の御負担を願うということは、他の共済の掛け金から比べまして、増加いたしましてもなお低いわけでございますので、この程度の御負担は法人並びに組合員に負担していただくこともやむを得ないのではないか、かように考えております。
  50. 上村千一郎

    ○上村委員 実は私学共済法の今回の改正によりまして、その内容の充実並びに是正が次第にはかられてくるわけでございます。そうなりますれば、その法目的といたしまして、この適用外校の加入問題も何らか早急に処理をしなければならない立場に相なってくるかと思うのでございます。もちろんこの間につきましては、愛知文部大臣が先ほどおっしゃったようにいろいろな問題も多く伏在をいたしておるわけでございますけれども、三十八国会の附帯決議もあるわけでございますので、どうかこの問題につきまして急速な一つの解決の案をお出し賜わることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、私といたしましてはこの問題をできるだけ早急に御趣旨のような方向に沿うて解決をいたしたい、かようなつもりでおりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  52. 渡海元三郎

    ○渡海委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会