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1965-03-24 第48回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十四日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 渡海元三郎君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君 理事 二宮 武夫君    理事 三木 喜夫君       大石 八治君    木村 武雄君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       谷川 和穗君    床次 徳二君       中村庸一郎君    橋本龍太郎君       原田  憲君    松田竹千代君       松山千惠子君    落合 寛茂君       川崎 寛治君    高橋 重信君       長谷川正三君    前田榮之助君       村山 喜一君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君  委員外出席者         議     員 長谷川正三君         議     員 三木 喜夫君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     村山 松雄君         労働事務官         (職業安定局業         務指導課長)  佐柳  武君         労働事務官         (職業訓練局管         理課長)    中田 定士君         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 三月二十四日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として村山  喜一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員村山喜一辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十四日  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案三木喜夫君外九名提出衆法第一四号) 同日  国立及び公立産業高等学校教職員に対する  産業教育手当の支給に関する法律案小林武君  外四名提出参法第九号)(予) 同月二十二日  高等学校父母負担軽減等に関する請願茜ケ  久保重光紹介)(第一八一一号)  同(金丸徳重紹介)(第一八六一号)  同(秋山徳雄紹介)(第一八九八号)  同(足鹿覺紹介)(第一八九九号)  同(淡谷悠藏紹介)(第一九〇〇号)  同外一件(安宅常彦紹介)(第一九〇一号)  同(井伊誠一紹介)(第一九〇二号)  同外一件(井手以誠君紹介)(第一九〇三号)  同外一件(石田宥全君紹介)(第一九〇四号)  同外一件(石野久男紹介)(第一九〇五号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一九〇六号)  同外一件(稻村隆一君紹介)(第一九〇七号)  同(卜部政巳紹介)(第一九〇八号)  同外一件(江田三郎紹介)(第一九〇九号)  同(大村邦夫紹介)(第一九一〇号)  同(岡良一紹介)(第一九一一号)  同外二件(岡田春夫紹介)(第一九一二号)  同(岡本隆一紹介)(第一九一三号)  同(加藤清二紹介)(第一九一四号)  同外二件(川俣清音紹介)(第一九一五号)  同(川村継義紹介)(第一九一六号)  同(久保三郎紹介)(第一九一七号)  同(栗原俊夫紹介)(第一九一八号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第一九一九号)  同外一件(黒田寿男紹介)(第一九二〇号)  同(小林進紹介)(第一九二一号)  同(五島虎雄紹介)(第一九二二号)  同外二件(佐々木更三君紹介)(第一九二三号)  同外一件(佐野憲治紹介)(第一九二四号)  同(坂本泰良紹介)(第一九二五号)  同外一件(沢田政治紹介)(第一九二六号)  同外二件(下平正一紹介)(第一九二七号)  同外一件(東海林稔紹介)(第一九二八号)  同(田中武夫紹介)(第一九二九号)  同(竹本孫一紹介)(第一九三〇号)  同(千葉七郎紹介)(第一九三一号)  同外一件(辻原弘市君紹介)(第一九三二号)  同(堂森芳夫紹介)(第一九三三号)  同外一件(中澤茂一紹介)(第一九三四号)  同(中村重光紹介)(第一九三五号)  同外一件(永井勝次郎紹介)(第一九三六号)  同外一件(西宮弘紹介)(第一九三七号)  同外一件(西村関一紹介)(第一九三八号)  同(野口忠夫紹介)(第一九三九号)  同(野間千代三君紹介)(第一九四〇号)  同外一件(芳賀貢紹介)(第一九四一号)  同(長谷川保紹介)(第一九四二号)  同(畑和紹介)(第一九四三号)  同外四件(華山親義紹介)(第一九四四号)  同(原彪紹介)(第一九四五号)  同外一件(原茂紹介)(第一九四六号)  同外一件(日野吉夫紹介)(第一九四七号)  同(平岡忠次郎紹介)(第一九四八号)  同外十一件(平林剛紹介)(第一九四九号)  同外一件(前田榮之助君紹介)(第一九五〇号)  同(松井政吉紹介)(第一九五一号)  同外一件(松井誠紹介)(第一九五二号)  同外一件(松浦定義紹介)(第一九五三号)  同外一件(松平忠久紹介)(第一九五四号)  同(松原喜之次紹介)(第一九五五号)  同(森義視紹介)(第一九五六号)  同外一件(八木一男紹介)(第一九五七号)  同外一件(八木昇紹介)(第一九五八号)  同外一件(矢尾喜三郎紹介)(第一九五九号)  同(安井吉典紹介)(第一九六〇号)  同外一件(山内広紹介)(第一九六一号)  同(山口丈太郎紹介)(第一九六二号)  同(山崎始男紹介)(第一九六三号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第一九六四号)  同外一件(山中日露史紹介)(第一九六五号)  同外二件(米内山義一郎紹介)(第一九六六号)  同外一件(横路節雄紹介)(第一九六七号)  同外一件(吉村吉雄紹介)(第一九六八号)  同外一件(和田博雄紹介)(第一九六九号)  同(大村邦夫紹介)(第二〇八六号)  同(加賀田進紹介)(第二〇八七号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二〇八八号)  同(久保三郎紹介)(第二〇八九号)  同(栗林三郎紹介)(第二〇九〇号)  同(五島虎雄紹介)(第二〇九一号)  同(下平正一紹介)(第二〇九二号)  同(田中武夫紹介)(第二〇九三号)  同(中井徳次郎紹介)(第二〇九四号)  同(芳賀貢紹介)(第二〇九五号)  同(細迫兼光紹介)(第二〇九六号)  同(森義視紹介)(第二〇九七号)  同(柳田秀一紹介)(第二〇九八号)  高等学校建築費等国庫補助及び日本育英会貸与  金等に関する請願安宅常彦紹介)(第一八二  九号)  学校警備員設置に関する法律案成立促進に関  する請願矢尾喜三郎紹介)(第一八四六号)  同(井伊誠一紹介)(第二〇二四号)  同(井手以誠君紹介)(第二〇二五号)  同(石田宥全君紹介)(第二〇二六号)  同(石野久男紹介)(第二〇二七号)  同(卜部政巳紹介)(第二〇二八号)  同(江田三郎紹介)(第二〇二九号)  同外一件(岡良一紹介)(第二〇三〇号)  同(岡田春夫紹介)(第二〇三一号)  同(落合寛茂紹介)(第二〇三二号)  同(加藤清二紹介)(第二〇三三号)  同(片島港君紹介)(第二〇三四号)  同(川俣清音紹介)(第二〇三五号)  同(久保三郎紹介)(第二〇三六号)  同(黒田寿男紹介)(第二〇三七号)  同(小松幹紹介)(第二〇三八号)  同(兒玉末男紹介)(第二〇三九号)  同外一件(桜井茂尚君紹介)(第二〇四〇号)  同(沢田政治紹介)(第二〇四一号)  同(下平正一紹介)(第二〇四二号)  同(東海林稔紹介)(第二〇四三号)  同(田中武夫紹介)(第二〇四四号)  同外一件(千葉七郎紹介)(第二〇四五号)  同(辻原弘市君紹介)(第二〇四六号)  同(中澤茂一紹介)(第二〇四七号)  同(二宮武夫紹介)(第二〇四八号)  同(野口忠夫紹介)(第二〇四九号)  同(原茂紹介)(第二〇五〇号)  同外二件(細迫兼光紹介)(第二〇五一号)  同(堀昌雄紹介)(第二〇五二号)  同(松井政吉紹介)(第二〇五三号)  同(松平忠久紹介)(第二〇五四号)  同(三木喜夫紹介)(第二〇五五号)  同外一件(森義視紹介)(第二〇五六号)  同(八木一男紹介)(第二〇五七号)  同(柳田秀一紹介)(第二〇五八号)  同(山崎始男紹介)(第二〇五九号)  同(山中吾郎紹介)(第二〇六〇号)  同(吉村吉雄紹介)(第二〇六一号)  同(和田博雄紹介)(第二〇六二号)  日本育英会法の一部改正に関する請願淡谷悠  藏君紹介)(第一八七三号)  同(安宅常彦紹介)(第一八七四号)  同(大村邦夫紹介)(第一八七五号)  同(岡田春夫紹介)(第一八七六号)  同(加賀田進紹介)(第一八七七号)  同(川俣清音紹介)(第一八七八号)  同(栗林三郎紹介)(第一八七九号)  同(栗原俊夫紹介)(第一八八〇号)  同(五島虎雄紹介)(第一八八一号)  同(佐々木更三君紹介)(第一八八二号)  同(東海林稔紹介)(第一八八三号)  同(田中武夫紹介)(第一八八四号)  同(中村重光紹介)(第一八八五号)  同(西宮弘紹介)(第一八八六号)  同(野口忠夫紹介)(第一八八七号)  同(芳賀貢紹介)(第一八八八号)  同(華山親義紹介)(第一八八九号)  同(原彪紹介)(第一八九〇号)  同(細迫兼光紹介)(第一八九一号)  同(松井政吉紹介)(第一八九二号)  同(三木喜夫紹介)(第一八九三号)  同(森義視紹介)(第一八九四号)  同(安井吉典紹介)(第一八九五号)  同(柳田秀一紹介)(第一八九六号)  同(吉村吉雄紹介)(第一八九七号)  同(受田新吉紹介)(第二〇九九号)  同(小平忠紹介)(第二一〇〇号)  同(佐々木良作紹介)(第二一〇一号)  同(鈴木一紹介)(第二一〇二号)  同(玉置一徳紹介)(第二一〇三号)  同(西尾末廣君紹介)(第二一〇四号)  同(西村榮一紹介)(第二一〇五号)  同(門司亮紹介)(第二一〇六号)  同(吉田賢一紹介)(第二一〇七号)  私立学校に対する一般公費助成の増額及び補助  制度確立に関する請願石田博英君外二十四名  紹介)(第一九七〇号)  同(岡田春夫紹介)(第一九七一号)  同(加賀田進紹介)(第一九七二号)  同(川俣清音紹介)(第一九七三号)  同(佐々木更三君紹介)(第一九七四号)  同(原彪紹介)(第一九七五号)  同(細迫兼光紹介)(第一九七六号)  同(山田耻目君紹介)(第一九七七号)  同(鈴木一紹介)(第二一三四号)  へき地教育振興法の一部改正に関する請願(石  田宥全君紹介)(第一九七八号)  同(石野久男紹介)(第一九七九号)  同(岡田春夫紹介)(第一九八〇号)  同(加藤清二紹介)(第一九八一号)  同(沢田政治紹介)(第一九八二号)  同(千葉七郎紹介)(第一九八三号)  同(山中吾郎紹介)(第一九八四号)  同(井伊誠一紹介)(第二一一八号)  同(井手以誠君紹介)(第二一一九号)  同(片島港君紹介)(第二一二〇号)  同(川俣清音紹介)(第二一二一号)  同(小松幹紹介)(第二一二二号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二一二三号)  同(辻原弘市君紹介)(第二一二四号)  同(中村重光紹介)(第二一二五号)  同(二宮武夫紹介)(第二一二六号)  同(細谷治嘉紹介)(第二一二七号)  同(松本七郎紹介)(第二一二八号)  同(三木喜夫紹介)(第二一二九号)  同外一件(森義視紹介)(第二一三〇号)  同(八木一男紹介)(第二一三一号)  同(八木昇紹介)(第二一三二号)  学校給食法の一部を改正する法律案等成立促進  に関する請願石野久男紹介)(第二〇六三号)  同(稻村隆一君紹介)(第二〇六四号)  同(岡良一紹介)(第二〇六五号)  同(坂本泰良紹介)(第二〇六六号)  同(八木一男紹介)(第二〇六七号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二〇六八号)  同(山中吾郎紹介)(第二〇六九号)  義務教育費国庫負担法の一部改正に関する請願  (赤路友藏紹介)(第二〇七〇号)  同(沢田政治紹介)(第二〇七一号)  同(中村重光紹介)(第二〇七二号)  同(二宮武夫紹介)(第二〇七三号)  同(松浦定義紹介)(第二〇七四号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二〇七五号)  同(米内山義一郎紹介)(第二〇七六号)  同(横路節雄紹介)(第二〇七七号)  教育予算確保に関する請願石野久男紹介)  (第二〇七八号)  同(岡良一紹介)(第二〇七九号)  同(沢田政治紹介)(第二〇八〇号)  同(西村関一紹介)(第二〇八一号)  同(芳賀貢紹介)(第二〇八二号)  同(松浦定義紹介)(第二〇八三号)  同(米内山義一郎紹介)(第二〇八四号)  同(横路節雄紹介)(第二〇八五号)  産炭地公立義務教育学校学級編制及び教職  員定数等に関する請願石橋政嗣君紹介)(第二  一〇八号)  同(川村継義紹介)(第二一〇九号)  同(小林進紹介)(第二一一〇号)  同(沢田政治紹介)(第二一一一号)  同(西村関一紹介)(第二一一二号)  同(芳賀貢紹介)(第二一一三号)  同(松浦定義紹介)(第二一一四号)  同(八木一男紹介)(第二一一五号)  同(山中吾郎紹介)(第二一一六号)  同(横路節雄紹介)(第二一一七号)  宮城教育大学設置反対に関する請願川崎寛治  君紹介)(第二一三三号)  公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律改正に関する請願(二  宮武夫紹介)(第二一三五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案  (長谷川正三君外九名提出衆法第一二号)  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案三木喜夫君外九名提出衆法第一四号)      ――――◇―――――
  2. 渡海元三郎

    渡海委員長 これより会議を開きます。  長谷川正三君外九名提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を聴取いたします。長谷川正三君。
  3. 長谷川正三

    長谷川(正)議員 ただいま議題となりました、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律(以下標準法という。)の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  今日、世界科学産業、文化の進展は目まぐるしいものがあり、国際社会における、わが国の地位の向上をはかるためには、その基礎となる教育振興について格別の努力がはかられなければならないことは論をまたないところであります。  しかるに現状を見ますと、教育条件の整備は決して十分とはいえず、施設設備の貧困にも増して、学級編制基準並びに教職員配置基準について劣悪な状態にあるといわねばなりません。  試みにわが国学級編制基準を諸外国の編制基準と比較してみますと、各国を十人ないし十五人を上回っているのが現状であります。  また教職員配置基準についても全く同様なことがいえます。  今日、週四十時間制の実施は世界の趨勢であり、いち早く社会主義諸国欧米資本主義先進諸国においては実現を見ているところです。ところが現行教職員定数配置基準では週三十時間をこえる授業時間数さえ生じています。  さらに授業前準備、事後処理雑務等を加えますと、実におびただしい超過労働を行なっており、文部省さきに調査した教職員勤務量調査の結果においても週十一時間余りの超過労働となっております。  以上のような悪条件を改善し、教育水準向上をはかるため、昭和三十三年に標準法が制定され、さらに、さきの第四十五回国会において同法が改正され、一学級五十人の学級編制標準を四十五人にするとともに、教職員定数算定標準を改善したのでありますが、いまだもって十分なものということはできません。  よって、この際、学級編制及び教職員定数標準のなお一そうの適正化をはかるため所要改正を加え、もって国際水準に近づけることはきわめて適切な処置と考える次第であります。  次に、法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、学級編制に関する標準について、一学級の児童または生徒数を四十名とすることであります。  第二は、教職員定数標準について、学校の総数に二を乗じて得た数を加えるとともに、学校規模別の乗ずる数を改善する等所要改正を行なうことであります。  特に、養護教諭事務職員はこれを必置することとし、なお、新たに学校給食事務職員を確保しようとするものであります。  本案によって、教職員定数は約十二万人の増加となりますが、これらについては、教員養成機関における養成可能人員を考慮したことは申すまでもありません。  何とぞ十分御審議の上御賛成くださるようお願いいたします。(拍手)
  4. 渡海元三郎

    渡海委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 渡海元三郎

    渡海委員長 次に、国立学校設置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。川崎寛治君。
  6. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 最近相次いでソビエト並びアメリカにおけるたいへんな科学成功というものが見られておるわけであります。ウォスホート二号の宇宙船外成功なりあるいはジェミニ計画成功、そういうものが大々的に報道されておるわけでありますが、これは科学研究の画期的な成果というものの上に立っておることは申すまでもありません。  そこで、日本におけるそうした科学研究の発展というものを推し進めてまいるために、今回提案をされております国立学校設置法の中においても大学院を新たに八つ新設をする、あるいは静岡大学付置研究所電子工学研究所を一つ加える、こういうふうなことで幾らかの努力をしておることは今回の設置法の中でも見られるわけであります。  ところが、大学制度全般あるいは日本における科学研究の現在の体制、そういうものを根本的に見ますとき、愛知文部大臣大臣就任をされました際に二十一世紀からの呼びかけ、こういうことをたいへん高らかにうたい上げたわけであります。しかし現在の日本大学院状態であるとかあるいは科学研究の基本的な体制、こういう点から見ますならば、愛知文部大臣が二十一世紀からの呼びかけ、こういうふうに言ったそういうものが、今回の四十年度の文教政策の中で、文教行政の中で、あるいは予算措置の中で、アメリカなりソ連なりイギリスなりフランスなりそうした大きな教育競争を推し進めておる現下の世界情勢の中で、愛知文部大臣がいう二十一世紀からの呼びかけというものに対応できるものであるかどうか。こういう点からしますならば、私はたいへん心寒い状態でないか、こう思うのでありますが、その点について文部大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  7. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまお話がございましたように、科学技術振興ということについては、何としても努力を新たにしなければならないという考え方でやっておるつもりでございますが、たとえば最近の米ソ両国宇宙開発の問題についてもお取り上げになりましたけれども、たとえば両国とも、宇宙開発のいろいろの計画については、国の予算関係から申しましても、日本の全予算に匹敵するあるいはそれ以上のものをそれぞれ投入しておるというような、いわば現在においては段違いな状況であるわけでございまして、こういったような現実に対して着実でしかし非常なビジョンを持って進めてまいるというところに、日本としても非常な苦労があるわけであると思います。しかしながら、たとえば文部省関係の本年度の予算におきましても、やはりそういったような考え方基礎にいたしまして、たとえば学術研究振興についても、特に基礎研究振興ということで、研究所の創設もただいまお話がございましたように心がけております。また原子力、原子核、宇宙科学、防災、海洋あるいはガンといったような部門につきましても、それぞれの施設研究開発について、相当予算の上におきましてもくふうをこらしておるつもりであります。やはり先ほど申しましたように現実国力の相違といいますか、これまでの先進国のやり方に比べれば非常にお寒いということばがございましたが、そのとおりであると思いますけれども、日本としての独特の立場からあとう限りの努力を進めてまいりたい。国立大学拡充等につきましてもそういう考え方基礎にして前進をさせたいということでおりますことは、御理解をお願いいたしたいと思うわけであります。
  8. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 もう一つ具体的にお尋ねしたいと思います。三十九年度と四十年度において、つまりあなたが文部大臣になられたときに、いままでの文部省は対日教組とのけんかにばかりエネルギーを使っておる、もっと力を入れなければならぬことがどあるのじゃないか、そういうふうなことで、二十一世紀からの呼びかけということを言われ、私たちもそれをすなおに受け取ったわけであります。それが後ほど文部大臣の発言もずいぶん修正をされて、ほとんど最初のフレッシュな色合いというものは何もかもなくなっているわけでありますけれども、従来の文教行政というものがそういう意味ではきわめてビジョン一に富んでいない、こういうことはおそらく大臣になられたそのときの率直な感じであったと思うのであります。  そこで、三十九年度と四十年度において大臣自身がどう具体的に飛躍させたか、国力の差によって、率直に言えばお寒い状態だ、こういう点を認められたわけでありますけれども、三十九年度と四十年度においてきわ立ってこう変わってきた、あるいは変わらないにしてもこうしようといましておるという、具体的なビジョンというものを示していただきたい。
  9. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはずいぶん方面の広い問題になりますけれども、科学技術関係ということに例をとりますならば、先ほど申しましたように、まず大学といたしましての学術基礎的な研究ということにつきましては相当のくふうをこらしたわけでありまして、具体的に申しますと、たとえば大強度加速器というようなものが学術研究の今後の一つの基礎になるものかと考えましたので、これにつきましても四十年度におきましてはかたり思い切った進め方をしてまいりたいと考えておるわけでございます。それからこれは科学技術庁の関係になりますけれども、たとえばいわゆる長期計画の策定、あるいは科学振興基本法の制定ということにつきましては、私も就任以来特に努力をいたしておるつもりでございますけれども、なるべくすみやかなる機会長期計画を設定いたしたい。これは科学技術会議を中心にいたしまして展開いたしておりますが、なるべくすみやかか機会に、これは学界にも国会にもあるいは政府側にもそれぞれ十二分の御協力を願いながら長期計画をつくり、かたがた基本法の御審議を次の国会にはぜひお願いをいたしたい。これはできればこの国会中でも、提案までいたしたかったのでございます。そこまでは及びませんでしたけれども、そういう点におきましても学界と相協力して意欲をゆさぶり起こして、ぜひ実現の軌道に乗せてまいりたい。それから先ほど申しました宇宙開発の問題にいたしましても、従来ともするとばらばらになっておりましたような関係をなるべく統合といいますか、総合的な立場で計画、開発を推し進めるようにしたいということで、宇宙開発推進本部と、文部省と申しますか、大学側の協力態勢をすでに一歩前進したような形で推進をいたしておるというようなことにも、二の例をあげることができると私思うのでございますが、これをさらに意欲的に展開してまいりたい。なおまた国立大学等の充実につきましても大学院の問題、それからやはり理工医歯というような方面の拡充強化ということに特に意を用いてまいりたい、こういうふうに存じておるわけでございます。
  10. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 研究体制の確立、そのためには研究施設の大拡充というものと研究費の予算の大幅な増額、それからすぐれた大量の研究者、こういう要素がなければならないわけでありますけれども、現在のところそうした、施設あるいは研究費あるいは研究者、こういうものの要素の理想的なといいますか、目標というものに対して、現在の充足率、つまりこれだけはもっと改善をしなければならぬ、これだけは突っ込んでいかなければならぬ、こういった点についての文部省としての考え方を示していただきたいと思います。
  11. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは施設の拡充ももちろん必要でございまして、その点についてはできるだけの努力をしなければなりませんが、同時にやはり待遇の問題ということが大きな重点であろうかと思います。たとえば大学の教授をはじめ教職に当たる方々、それからいわゆる政府としての研究職というような範疇に属するような方々、こういう人たちの待遇の改善というものについては、実は人事院等にもいろいろのお願いをし、四十年度にも若干の具体化はできましたけれども、さらにこれを格段と進めていかなければならない。これに関連してたとえば学者、研究者等の海外流出ということも抽象的にはいままで御論議が盛んでございましたけれども、やはり具体的なデータをつかまえたいと思いまして、文部省科学技術庁が協力いたしまして、その実態を捕捉することにつとめて、かたがた国内の研究等に当たる待遇、雰囲気をよくするということに今後ともつとめてまいらなければならないと思います。  それから日本現状としては、やはり民間のいろいろの協力もさらに一段と求めたいということにも関連いたしますが、税制上のくふうなどもさらに今後大いに努力をすべき対象であろうかと考えております。
  12. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 海外流出の問題については後ほど触れようと思っていたのでありますが、実態が把握できない、こういうことでありますけれども、現在すでに流出しておるすぐれた学者を呼び返す、あるいは呼び返す体制を具体的につくるという点についてはどうですか。
  13. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点につきましては先般も御報告をいたしたわけでございますが、まる四年以上にわたって海外にとどまっている方々というのは、私が予想いたしましたよりは比較的に少なかった。しかしもう少しさらに現状をしっかり把握する必要があると思いますけれども、特定の部門などの研究者については、世界的に優秀な人が、数はともかくとして流出といいますか、海外に出ている例が多いのではないかと思いますので、こういう方々について、できるだけ日本において研究をするようにしてもらうためにはどういうような適切な対策が必要であるかというような点については、さらに今後具体的に掘り下げて検討する必要があろうかと考えております。
  14. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 具体的には何にもなかったわけでありますけれども、それならもう一ぺん国内のほうに返りまして、現在の日本国立大学の教官で、アルバイトなしに大学研究に専念できるというのが、今日の日本大学教官の中の何割程度であるというふうに確信を持って言えますか。
  15. 愛知揆一

    愛知国務大臣 確信を持って何割とか何人とかいうことは申し上げる自信がございません。
  16. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、正教授でも六、七割はいろいろの兼務をやり、あるいは雑文を書かれるなりして食っていかなければいけない、こういう実態があるわけです。そうしますと、助教授、助手、そういう格差のひどい今日の賃金形態であり、年功序列型のそうした賃金形態の中で、大学の教官の大多数が、現在大学それ自体の研究ではなくて、ほかの仕事でとにかく食いながら勉強しておる、そういう実態については、率直にお認めになりますか。
  17. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはまあ相当何といいますか、その人により環境によりその他で、いろいろ実情も違うかと思いますので、一がいに捕捉はできないのであります。しかし、先ほどもちょっと申しましたように、教官の待遇改善等については、たとえば大学院の担当教官の俸給の調整をやりますとか、あるいは教育職員の俸給の特別調整額とか、あるいはまた初任給の引き上げであるとか、あるいは上のほうでいえば、学長その他のかなり大幅な引き上げでありますとか、こういうことは相当に今回の予算案に関連いたしましても、改善はできておるわけでございまして、何はともあれ、教官等の待遇をおりあるごとに引き上げてまいるということに専念をしてまいって、反射的にアルバイト等の必要がなくなるようにしてあげるということがわれわれのかまえ方であるべきではないだろうか、かように考えておるわけでございます。
  18. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 具体的な中身はなくて、抽象的にお答えになっておるだけでありますけれども、今日のそうした大学研究体制が、新しい新制大学になって以後、大学体制自体がきわめて不安定な状態にあるわけであります。大学制度それ自体の問題については後ほど触れてまいりたいと思いますが、先ほどちょっと触れました研究者の、つまり科学技術者の数なりあるいは研究者の数なりの問題について、少し具体的にお尋ねしてみたいと思うのであります。  池田内閣が所得倍増計画の中で科学技術者の不足を十七万人、こういうふうにはじき出したわけであります。工業高校卒業程度の者が四十四万人不足しておる、これを昭和三十五年度から四十五年度までの間に充足しなければならぬ、こういうことになっておるわけでありますが、これは、労働省からも参っておりますので、長期計画の問題については、もう少し後ほどこまかく触れてまいりたいと思いますけれども、その科学技術者の十七万というのは、学歴でいうならば、高専以上ということに規定をしておるのか、あるいは大学以上というふうに規定をしておるのか、その点いかがでありますか。
  19. 杉江清

    ○杉江政府委員 高専も入っております。高専以上を計画の中に入れております。
  20. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そういたしますと、本年度の国立学校設置法のこの改正による学生定員の増は、先般の大学局長の答弁によりますと、三千三百九十四名だ、そのうち理工系が千九百七十四名だ、こういうふうになっていたわけであります。そういたしますと、今日の最も急増しなければならない段階においてすら、この程度しか充足できないでおるわけであります。そうしますと、この十七万人の科学技術者の不足というものをいかにこれから埋めていくかというその長期計画について、お示し願いたいと思うのであります。
  21. 杉江清

    ○杉江政府委員 まず、十七万人の不足、そしてこれに基づく養成計画は、三十五年から四十五年までの需要の推計に基づいてその計画を立てたものでありまして、この不足を補う措置は、四十三年度までに、科学技術者養成計画によって、すでに充足済みになっておる計画でございます。その計画は、十七万人を大体毎年同じ割合でふやすという計画で、この増募計画を立てたのであります。ただ、少し細部にわたって申し上げますと、そういふうに毎年同じようにふえるとして計画しまして、この充足計画はすでに実施済みでございますが、ただ、前に計画どおり埋まらなかったものがどうなるかというようなものがあって、必ずしもこの計画が十分だともいえないという点も指摘されておったわけであります。がしかし、一応この計画は実施済みでございます。しかし、その後において、四十四年以降において、科学技術者養成のその計画以上の養成計画が必要でないかというと、それはなお必要とする、こういうふうな見地に立ちまして、今度の増募措置を考えておるわけでありまして、いままでの計画とは一応別個の立場から、この科学技術者養成を考えておるということを申し上げておきます。
  22. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 四十三年までの計画は済んだということは、すでに現在の大学教育計画の中で、つまり現在の入学定員で、所得倍増計画を策定した際の四十三年度の目標はすでに到達しておるということですか、ただ計画ができているということですか。
  23. 杉江清

    ○杉江政府委員 当時立てました十七万人不足に対応する増募計画は、実施済みでございます。ただし、所得倍増計画そのものが非常な変調を示しましたし、また十七万人計画を立てました際のいろいろな計算のしかた等にも反省すべきものがある、理工系の高等教育卒業者に対する需要は現実に多い、そういうふうな諸般の事情を勘案しまして、これでは不十分だということで新たに科学技術者の養成の計画を立てなければならぬ、こういう段階にきておる。その科学技術者養成計画をこの志願者急増の対策の一環として私どもはいま推進しようとしているわけでございます。
  24. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは三十五年以降四十三年までの理工系の高専以上の卒業生、つまり三十八年まではもう実数が出ると思いますけれども、それを具体的に言ってみてください。
  25. 杉江清

    ○杉江政府委員 まずこの十七万人の不足を充足するために、三十六年から一万六千人を増募する計画を立てたのであります。と申しますのは……
  26. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 八千人計画とか一万六千人計画とかあるけれども、しょっちゅう計画が変わっているからわれわれにはわからないのです。ですから、基準年度を三十五年なら三十五年に置いたならば、三十五年にはこれだけ卒業した、それに今度は新たに増募計画が加わっていくわけだから、それを何ぼプラスしていけば十七万人充足できる、こういうふうに具体的に示してください。
  27. 杉江清

    ○杉江政府委員 その具体的な計画については村山議官から御説明させます。
  28. 村山松雄

    村山説明員 十七万人の充足計画といたしましては、文部省として当初七ヵ年一万六千人計画を立てました。その後改定いたしまして三カ年二万人という計画を立てました。初年度三十六年は結果において三千八百十六名、三十七年が七千二名、三十八年が四千九百六十名という増募実績に相なりました。さらに三十九年に二千三百八十五名増加いたしまして、三十五年から三十九年まで累計いたしますと二万七百二十三名が大学の理工系において入学増加いたしております。このほかに高等専門学校、短期大学等もございまして、結果的には理工系の技術者の増募は計画より相当上回って達成されたという結果になっております。
  29. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは労働省にお尋ねしますけれども、昨年の九月でしたか、理工系はまだ足らぬ、文部省が法文系に重点を置かれているのは誤りだ、こういう点を長期雇用計画の中で労働省が指摘したわけでありますが、それに対して文部省のほうは、いやそうじゃないんだ、すでにいま説明のとおり充足しておるという答弁といいますか、やりとりであったわけであります。その点労働省としてはどうですか。
  30. 中田定士

    ○中田説明員 お答えいたします。  昨年労働省といたしましては文部省に対しまして申し入れと申しますかお願いをいたしたわけでございます。その根拠となりますところの資料につきましてはすでに文部省御当局のほうからも述べられていると思いますが、国民所得倍増計画におきまして十七万人の科学者、技術者が不足するという報告がございますし、私どものほうで把握しておりますところでも、日経連で発表いたしておりますものが三十五年から四十年の間におきまして九万九千人の技術者が不足するということを申しておりますし、さらに産業構造調査会等におきましても、大学の理工学部卒の技術者が四十二年までにおきまして三十七万程度不足するという報告もございます。またその後倍増計画の修正作業、中期計画と申しますか、これを行ないました段階におきましても相当の不足が見込まれるという分科会の報告が出ております。かたがた私どものほうで生産現場の熟練労働者の不足状況を毎年調査いたしておるのでございますけれども、その調査の段階におきましても、熟練労働者のみならず技術者の不足が相当目立ってまいっております。はっきり根拠のある理論的な数字はなかなか出てまいらぬのでございますけれども、傾向といたしまして技術者の不足が相当目立っておりますので、文部省に対しましては、大学施設、収容定員等を増加されるならば、文科系より理工系を今後ふやしていただきたい、こういうお願いをいたしたわけでございます。
  31. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 文部省にお尋ねしますけれども、現在法文系と理工系の学生の比率は何ぼになっていますか。
  32. 杉江清

    ○杉江政府委員 この前は国立だけについて申し上げたかと思いますが、全体について申し上げますと、分類が少しこまかくなりますけれども人文系が二三%社会系が二八%、理工系が二七%、その他が二二%、これは国公私立を通じた全体の比率でございます。国立になりますと、この前申し上げましたが、その比率は理工系に相当大きなウエートが置かれておるわけであります。
  33. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 私の見たところでは、四十五年度の目標年次に到達するのがようやく二割八、九分だと思うのです。どうですか、目標年次のものか、それとも現在ですか。現在は私は二割程度だと思うのです。
  34. 杉江清

    ○杉江政府委員 失礼しました。いま申し上げた数字は、四十年度の増員見込みの比率でございます。いまの学生の増員を加えた数字は四十年度についてはまだ出ておりませんが、三十九年度の比率を人文、社会と自然、理工系と端的に対比いたしますと、四年制大学におきましては、国立において法文系が二九%、理工系が七一%、こうなっておりますが、公立、私立においてはその比率が逆転いたします。ことに私立におきましては法文系が六九%、理工系が三一%、そして全体では法文系が五八%、理工系が四二%、こういうふうになるわけであります。これは三十九年の数字でございます。
  35. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、倍増計画は修正をされたわけですね。修正をされたわけだが、それでは中期計画の四十三年には現在の理工系の占める比率をどこに持っていこうとしているわけですか。
  36. 杉江清

    ○杉江政府委員 これについては、その見通しを立てることが実際問題として非常に困難だということでございます。と申しますのは、私立大学の増募計画を、この比率を国で規制するということは実際問題としてできません。国としては、この理工系を重視し、理工系の増募を法文系に比較して一そう重視する必要があるということで、国立については理工系のほうを重視して増募しております。また私学に対しても、助成方策の点において特にそういう政策をとっておる。というのは、理科設備特別助成ということで直接の補助金も出しておりますし、また融資の際においても理工系について相当のウエートが置かれておるわけです。こういうふうにして、その方面を重視する方策を今後進めていきますけれども、私学の今後の増募が実際どうなるかということは確たる見通しは困難でありまして、漸次そういう方面にいろいろな方法を通じて理工系のほうに重点を置くように、国の助成方策の上においても考えていくし、またいろいろな機会にそういうことも申し上げていく、こういうことで進むつもりでおります。  いま四十三年度の比率は実際どうなっているか、どういう計画でいくかということについては、もちろん本来むずかしい問題であります。今後十分検討すべき課題だと思いますけれども、いま具体的な数字を申し上げることはできかねます。
  37. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 先ほど労働省の訓練局の管理課長のほうからは、理工系はたいへん足らない、こういうふうな形での指摘があったわけです。ところが先ほど大学局長のほうは、すでに充足しておる、こう言っておるわけであります。そうしますと、昨年の労働省と文部省とのやりとりというのはいまだ解決をしていない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  38. 杉江清

    ○杉江政府委員 十七万人の増募計画は、一応計画としては実施済みでございますが、それはそれでいいかというと、私どもはそれでは不十分だと考えておるのであります。といいますのは、所得倍増計画そのものも当初計画が実態の上では非常に違った様相を示してきたということもあり、また私どもがこの十七万人増募計画を立てるときには、将来いろいろな変動も考えて非常に控え目な計画を立てたのであります。非常に控え目な、そしてこの程度はまあ確実に実施できるだろう、そういうふうな実施計画を立ててこれを実施したわけでありますけれども、現実の社会の需要は、これで足れりということには決してならないで、はるかに不足だという現実の事態があるわけでございます。そこで、この計画は一応実施済みだけれどもなお足りない、だからこの際志願者急増のこの機会に、もっと大幅に技術者養成もやり、それから法文系のほうも、また別の角度からある程度の増募もこの際必要であるという観点に立って、増募計画を進めておるわけでございます。
  39. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 どうもわからぬのですな。計画は進んでおる、ところが足らぬ。つまり措置はしておる、措置済みだ、こういうわけです。ところが労働省のほうは現実に足らない。具体的には、なまのハイタレントを必要とする経済界等の要請を直接に受ける、それには供給しなければならぬ、そういう立場から考えるならば、労働省のほうとしては足らぬ。しかし文部省のほうとしては、長期の教育計画の中においてはすでに措置しておるんだ、こう言っておる。大学生急増計画の中で、十万が七万五千に落ち、さらには本年度の二万七千でしたかも現実においては一万九千にくずれる、こういう状態の中で、すでに措置済みだと言いながらも、与党である自民党の文教部会も、そんなにふやす必要はないんだ、こういう考え方で今回の予算措置についても、国立大学関係で四千四百のものが三千三百九十四、こういうふうに減らされてきたわけですね。そういたしますと、措置済みだという計画それ自体も、実際の推移の中ではさらに大きなギャップが出てくると思うのです。その点どうですか、ギャップは出ないと断言できますか。
  40. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほど来申し上げておりますように、一たん立てましたいわゆる二万人増募計画は一応実施済みでございますけれども、これをもって足れりとはできない、計画を修正しなければならない、そして新たな計画を立てて増募策を講じなければならぬ、こういう認識の上に立っていま増募計画を進めておるわけでございます。
  41. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 押し問答をやっても答えは出ないと思いますからそこでとめますが、それでは労働省にせっかくおいでいただいておりますのでお尋ねいたしますけれども、倍増計画は四百十七万人の技能者需要増というものを見込んだわけであります。それに基づいた職業訓練の長期基本計画というものがあるわけでありますが、四十五年までに百五十五万の技能者養成を計画していたと思うのです。これは中期計画の中でどのように修正されてまいりましたか。
  42. 中田定士

    ○中田説明員 御指摘のように、前の倍増計画のときに百五十五万人の訓練を実施する計画になっておりますが、そのうち九十四万程度の熟練工と半熟練工の養成を職業訓練の制度において実施することになっております。その養成計画の九十四万人の修正といたしましては、百十万人の修正になっております。
  43. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 職業訓練で九十四万、こういうふうになりますが、さらに工業高校、高等学校における工業教育というものの重要性というものが、この技能者養成の中では当然出てまいると思うのです。そこで理工系の、あるいは技術系の教員の問題について、少しお尋ねしてみたいと思います。  高等学校の工業教員の不足率というのは、現在何ぼですか。
  44. 杉江清

    ○杉江政府委員 不足率ということの内容でございますけれども、いま工業高校の教官は、量においては大体埋まっておるわけでございます。ただその質が問題になると思います。この点には、今後かなり問題があると思いますけれども、一応ただ数量的には、充足されておるといって差しつかえないと思います。
  45. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 昭和三十六年に国立大学に臨時工業教員養成所をつくった。そのときには四十年度、つまり今年までに二千人のこれによる養成を計画したと思うのです。ところが実際には、工業教員の四十年における需要というのは、私はその当時八千だったと思うのです。そうしますと、一般大学を含めて、この点については完全に不足なしに満たしておる。質だけの問題であって、量はもうすでに満たしておる、こういうふうに言えるわけですか。
  46. 杉江清

    ○杉江政府委員 いろいろな方法をとりまして、それを充足しておるわけでございます。たとえば、産業界から引っぱるとか、あるいは中学校等におる者をひっぱる。いろいろな形で何とか充足しておるということが言えると思います。
  47. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで、ハイタレントの十七万人の養成、あるいは工業教員の養成、それらの問題を含めまして、今日の大学における、つまり単なる専門的な職業人の養成ということが、今日においては文部省の大きな大学教育の中の柱になっておりますし、産業界からの要請というものが、そこに重点が置かれておる。だから、経済審議会の出しました人的能力の開発に関する政策、こういうものを見ましても、人的能力とは労働力だ、こういうふうにはっきり言い切っているわけです。そうしますと、今日の大学における重点というのが、つまりハイタレントを養成する、こういうことに置かれておって、そうしてもうひとつ高度の研究であるとか、そうした点については、非常に力が置かれていないのじゃないか。最初に文部大臣はその点について何とか意欲的に取り組んでまいりたい、こういうことを言っておりますが、今日の大学の制度の中で、大学院大学、つまり昔の旧帝大というもの、それからあとの高等学校であるとか、専門学校、師範学校、こういうものを含んだものが、新制大学。こういうふうに大学の中でもずいぶん変わってまいっておるわけであります。実際には今日の文部省大学に対する施策というものは、そうした点についてはきわめて力が入れられていないじゃないか、こういう点を感ずるのでありますが、その点大臣いかがでございますか。
  48. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いろいろ御意見、お考え方もあろうかと思いますけれども、とにかく今日の状況におきまして大学に進学をしたい、あるいは大学に対する要請、期待が非常に多いときでございますから、現状の制度のもとにおいてなし得る限りの充実改善をはかっていきたい。これを私としては基本的な考え方にしておるわけであります。しかし同時に先ほど来申しておりますように、特にまた一方においては、大学の教授陣容の将来長きにわたっての養成ということ、あるいは科学技術の国際的な進歩に応ずるような体制を早く整備したいということからいって、大学院というものについても非常な熱意を持ってやっていかなければならない、かように考えているわけでございます。
  49. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今日の成長経済の中でハイタレントが養成をされるということは社会の要請であり、産業界の要請であるという点はわかるわけです。しかし、宇宙開発競争その他文化の発展、そういうものを考えるならば、大学における研究体制の確立ということは、何としてでも、日本の発展のためには大事な点であります。この大学白書といわれる文部省からもらいました資料によってみましても、かつて旧帝大が果たしていた役割り、それが今日においては大学院にあるわけでありますが、その問題について扱ったものは、わずかに五、六ページしかない。しかもこの中では、一〇七ページには「「学術の中心として」の大学の地位を看過できないのである。」という程度のことでしかないわけです。このことは、今日の文部省の姿勢というものがいかなるものであるかということを端的にあらわしておると思うのです。大臣、もう一度いかがですか。
  50. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは繰り返すようでございますけれども、中央教育審議会のいろいろの研究や答申もございますように、研究能力の高い専門的な職業人の育成を主たる目的とする。これが大学院の修士課程であると思いますが、この修士課程を増設することによって社会的な要請にこたえたい。これが一つであると思います。  それからあわせて先ほど申しましたように、将来の大学の教授要員の確保をしなければならない。これも一つの大きな目的であると思います。  ただいま白書の御指摘がございましたが、これから以降の問題といたしましては、今回お願いしておりますように、新制の国立大学におきましても、それらの学部の中で教授の陣容や施設の整備等が特に充実している学部を基礎といたして、大学院を拡充してまいりたい。御案内のように四十年度におきましては、特に理学、工学、薬学、農学といったような部門について十六研究科を設置するということにいたしたわけでございます。それからさらに四十一年度におきましても、高度の専門的な知識を備えた技術者、研究者並びに大学教員の需要が特に多い部門につきましては、充実した学部を基礎といたしまして、修士課程の大学院をぜひ増設をいたしたい。これは四十一年度についてでありますが、要するに今後においての意欲というものは、相当に大学院設置充実について盛り上げてまいらなければならない。四十年度につきまして、その一つの具体的な意欲をここにあらわしておるつもりでございます。
  51. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大学生急増の問題については前の委員会でお尋ねしておったわけでありますが、そのときに触れてない点がありますので、少し触れてみたいと思うのでありますが、今日の国立大学の中で、夜間大学はどこにありますか。
  52. 村山松雄

    村山説明員 北から申しまして室蘭工業大学、これは工学部でございます。それから横浜大学、これは経済学部と工学部でございます。それから名古屋工業大学、工学部でございます。それから大阪学芸大学、これは教員養成課程でございます。それから神戸大学、これは経済学部、経営学部。それから広島大学、これは政経学部でございます。九州工業大学、工学部でございます。それから新年度お願いいたしておりますのが、大阪外国語大学の外国語学部並びに岡山大学の法文学部でございます。
  53. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、今度のあれでは大阪と岡山と二つですね。これにつきましては、実は大学生急増計画の問題で昨年の本委員会でいろいろ質疑をいたしました際に――先ほど大学局長も、いろいろなこまかい具体的な問題になると、私立はつかめません、把握できません、こう言って逃げるわけですね。これは逃げざるを得ないのです。そうしますと、この大学生急増の問題についても、あるいは技術者養成、科学者養成のこの問題につきましても、国立でもっとやはり責任を負わなければいけない。そうしますと、国立で負ってまいる場合に、私は昨年、その点お尋ねしましたら、夜間の国立大学はうんとふやしたい、こういう点を、当時の灘尾文部大臣あるいは当時の大学局長も答弁をされた、いろいろと当たっております、こういうことであったのでありますが、実際には、いま御答弁のように大阪と岡山と二カ所しか今年度はできなかった。これはやはり、私学にこのしわをかぶせるということについてはあまりにも不確定要素が多いし、実際問題として大臣も非常に御苦労なさっておるように、いろいろな面で隘路があるわけです。そのことと、それから学生が東京に集中しちゃう、そうした点についても私は問題があると思う。それで、勤労学生が地方において学びながら、なおかつ地方において地域開発のためにがんばっていける、そういうものをつくり上げるためには、どうしても国立大学の中に夜間学部の新設なりあるいは増設なりというのは、文部省としてはもっと力を入れなければならない点だと思うのです。ところがたった二つしかできなかった。その点はどうしてでありますか、この理由を……。
  54. 杉江清

    ○杉江政府委員 私どもも夜間学部の設置は望ましいと考え、これをむしろ奨励する態度でおります。ただ、夜間学部の設置については、これはやはり、まず地域の要請が相当強いということ、現実にそういう要請を受けて、大学がその設置を要望するということがないと、これはつくってもなかなかうまくいかない。現実に今年度の要望の大部分はそのまま受け入れて、私どもこの計画を立てているわけでございます。夜間学部もそうでありますし、たとえば夜間における学科の増設等については、ほとんどそのままこれを受け入れて増設しておるのでございます。今後ともそういう方向で、できるだけそういうふうな具体的な計画はこれを尊重して実現してまいりたいと考えております。
  55. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 この方向としてはどうですか。地域の要請が少ないのだ、こういうふうに言われたわけですが、私は必ずしもそうじゃないと思うのです。そうしますと来年度、四十一年度は、率直に言ってたいへんだ。努力をするということになっておるわけでありますけれども、そうした点については、宮城教育大学をしゃにむにつくったりするのではなくして、こうしたもっと地域の開発に役立つ、こうした点の指導をやることのほうが私は大事だと思うのです。そこで四十一年度の計画について、現在具体的に上がってきておる、あるいはその方向で出てきそうだというのは幾つぐらいあまりすか。
  56. 杉江清

    ○杉江政府委員 四十一年度に具体的にどのような数が出てくるかは、つかみにくい段階でございます。
  57. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこでくどいようですが文部大臣にお尋ねしたいのですが、四十一年度については何とかやる、こう言われたわけですけれども、大学基準等研究協議会の動向を見てみますと、むしろ大学設置基準については今後もっときびしくやりたい、乱造せぬできびしくやりたい、こういうことを言っているのでありますが、大学基準等研究協議会のそうした意向からするならば、ことし二万七千のうち九千くずれておるわけですけれども、来年度それらを補ってなおかつ七万五千を解決していくということが可能であるかどうか、この点について具体的にひとつ大臣の意向をお示し願いたいと思います。
  58. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは率直に言って非常にむずかしい問題であると考えます。しかし私はかねがね申しておりますように、大学設置基準が改善されるということは望ましいことであるし、それから大学の資質を落としてはいけない、向上させなければいけない、その要請と、それからいわゆる大学生急増の問題等をどこで調整をするかということが、特に四十一年度におきましては非常にむずかしい問題であると思います。私は多くつくりたいし、設置基準は引き下げたくないし、そこに非常にむずかしい要素がありますことをみずからも認め、かつこれをいかに打開していくかということにこれからうんとがんばらなければならないと考えております。  それから先ほどのお尋ねについては局長の御答弁申し上げたとおりでございますが、こういう時世でもございますので、今回四十年度で考えましたのは、特に地元の御要望の強いようなところ、そして準備が整いましたようなところは、思い切ってひとつ全部を実現したいということで、四十年度につきましてはこの国立大学の学部、大学院その他につきましては、相当これは世論にもこたえ得た御提案をいたしておるつもりでございます。そのことは、たとえば夜間大学などでいまの二カ所のところ以外が、決して地元の要望が弱かったとかなんとかいうわけではございませんが、特に熾烈な御要望であり、また準備につきましても、これなら十分やっていけるというところは二つとも設置することにして御提案申し上げておるような次第でございます。
  59. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それからもう一つ、夜間の国立大学関係に関連しまして、短大の夜間部を五年制の夜間大学に昇格さしたい、こういう要望はありませんか。
  60. 杉江清

    ○杉江政府委員 ございます。それで実は岡山もその一つの例でございますけれども、ほかにもそういう例はございます。ただその四年制、実際には五年制になりますけれども、そういうふうに昇格するについては、教官組織そのほか条件が整えられるかどうか、その点は十分吟味してみる必要があると考えております。原則的にはそのような条件が整えば、これをいまやりたいという気持ちを持っております。
  61. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは条件が整えば文部省は積極的にそれは昇格をさせていきたい、こういうことに受け取ってよろしいですね。
  62. 杉江清

    ○杉江政府委員 そういうふうに考えております。ただ一般に短大は短大としての存在意義もあると考えられるところに、それを単に昇格するという、そういうふうな点での御要望については、先ほど申し上げたように、やはり条件の整備という点をかなり吟味してかからなければならぬ。したがって単に希望だけをつのれば大多数が四年制大学にするということを希望すると思いますが、その辺は相当条件の整備についてかなり吟味してかからなければならぬということをちょっとつけ加えておきたいと思います。
  63. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それとさらに関連しまして、公立大学に対する、これはまあ私学も同じですが、国の助成というものがたいへんに足らない、こういうことで地方からずいぶん不満が述べられておるわけです。この点は公立大学あるいは公立短大、それらを含めて――その点どうですか、自治省といつも責任のなすり合いをしておるわけですけれども、その点について抜本的な国の助成策を進めていくことについての大臣の御見解を伺いたいと思います。
  64. 愛知揆一

    愛知国務大臣 公立大学の問題につきましては、公立大学協会その他からも非常に熾烈な御要請が常にございます。私どもとしては自治省に対しましても、事務的にも高い立場からも常に誠意を尽くしてお願いをいたしております。今回の措置につきましても私としては十分満足のいくような程度にならなかったことを遺憾に思っておるのでございますけれども、これらの点につきましては大学全体の改善、拡充の一つの問題として今後積極的に取り上げてまいりたい、かように考えておるわけであります。申すまでもなく私立大学についての国家のあり方ということもいま非常に大きな問題になっておるくらいでございますから、いわんや公立大学につきましても国家的にもっと積極的な姿勢をとる必要があるのではなかろうかというふうに私も痛切に感じている次第であります。
  65. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは次に国立高専に移りたいと思いますけれども、高専の制度が発足をしましてから間がないわけでありますけれども、どうですか、この国立高専については文部省としては成功している、こういうふうにお考えですか。
  66. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは申すまでもございませんが、まだ卒業生も出ておりませんから、正確な評価というものは今後に待たなければならないと思いますが、日本現状から申しまして、この高専の制度というものは非常に期待されてしかるべきものである、私はさような期待を持っておるわけでございます。最近、いずれ御質問もおありかと思いますけれども、たとえば入学志願者の率が低下しておるとか、あるいは取り消しが多いとかいうようなこともよく耳にいたすのですが、実情を掌握することに相当つとめておりますが、私は決して入学者の素質が落ちておるとは思いません。中には高等学校入学試験と競合いたしまして、高等学校への試験が受かって、そちらに流れていくということも事実ございます。しかしその結果が、それならば資質の悪い者だけが残るのかというと決してそうではございませんで、これは内容的に私も非常に注意して見守っておりますが、こまかい具体的な点は政府委員からお答えいたしますが、私は国立高専の評価というものは、必ず国民的にも高くいただけるものと確信をいたしておるような次第でございます。
  67. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 文部大臣の地元における問題をひとつ取り上げてみたいと思います。  これは河北新報の三月十六日ですけれども、宮城高専の合格者に対して、ちょうど公立の高等学業の入学試験のその日に説明会に出てこい、その説明会に出てこない者は入学取り消し、こういうことを宮城高専でやったのですけれども、これは妥当だと思いますか。
  68. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まあ妥当かどうかとおっしゃられますとお答えもなかなかむずかしいのでありますけれども、やはり高専の当事者といたしましては、熱心にかつ自分のところにいい生徒に来てもらいたいということは、私は当然の希望かと思うのでございまして、よかれかしと思いましてそういうことをしたのではなかろうかと考えております。
  69. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは昨年も本委員会で問題になったのですが、私立大学の場合に入学金を、つまり次の公立なり国立なりが発表になる前にとにかく出せ、こういうことでこの問題は社会問題にまで発展して大問題になったことがあるのですね。私は金はかかっておらぬにしても精神は変わらぬと思います。精神はやはり違う面もありますが、やはり選択の自由を奪っておる、その意味においてはもっと卑劣だと思うのです。その点今日のように高等学校に入ることがたいへん困難である時代に、その一番泣きどころを押えて公立高校の入学試験のその日に説明会をやってやるというようなことは、教育者がやるべき妥当な措置だとは思いません。しかもそれをやらざるを得ないということは、今日の高専が子供にとっては好まれていない、つまり高等学校に行くよりも高専に行ったほうがいいのだ、こうした点については、率直に子供は自分自身の将来というものを考えた場合に、高専を選んでいないと思うのです。そのことがこの宮城高専の苦肉の策にも出てきておるわけであります。  また私先般鹿児島から帰ってまいりますときに、静岡で買った新聞を見ますと、静岡の新聞にも沼津の高専ですけれども、入学辞退がたいへんに多いということが出ておりますし、あるいはまた全国的なあれを見ますと、三月二十一日付の各新聞に出ておったのですけれども、入学辞退が四割をこす、こういう実態を示しておるわけですね。文部省はつくった手前、何とかこれの引きとめ策をやろうということで一生懸命やっておるわけであります。しかもまた日経連の教育部長も、この点については将来の問題として、学歴偏重の打開、実力主義、そういうような意味でこれはよろしいのだからひとつ認識し直せ、こういうふうなことをしきりに太鼓をたたいておるわけです。この高専につきましては成立の過程、高専を設立した経過を振り返ってみますと、文部省があわて、また日経連があわてておる姿が実によくわかるわけですけれども、こうした実態からしますならば、日経連がつまりマンパワーの養成として考え、あるいは文部省がそういうものの養成としてやってみた、日経連の要請によってやってみた。ところがそれが実際には生徒、子供たちには受けてないというのが実態じゃないか。つまり文部省がいいと思ってやったことがすなおに受け取られていない。それはどこに原因があるのですか。
  70. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのに点ついては私もちょっと意見を異にするのでありまして、私はさっき申しましたように、高専については非常な期待を持っている。同時に学校制度全体につきましても、広い意味の複線型の学校制度というのが非常にいいのではないだろうか、これの柱に高専ができ、そしてとにかくいろいろの意味で地元の方々からも盛んな誘致運動が起こりまして、その結果たとえば土地を提供するというようなことが盛んに越こりまして、そこがいまその調整やもとへ戻すのに苦心をしているくらいでございまして、この経緯その他から申しましても、これはいかに広い層から歓迎され、受け入れられているかということを立証するものではないかと私は考えておるわけでございます。
  71. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 複線型の問題については、これは後ほど教員養成制度の問題について触れてまいりたいと思いますけれども、この高専の設立経過というものを振り返ってみますと、昭和二十九年に日経連が、当面の教育制度改善に関する要望というものを出し、さらに三十一年の十一月に、新時代の要請に対応する技術教育に関する意見というのを、これは日経連が国会に意見を出してきたわけです。その中身を見てみますと、技術者養成のための理工系大学教育の改善といううたい込みであって、五年制高専の設置、それから法文系の縮小と理工系の計画的な増加、こういった点についてこの意見書は強調をしてまいっておるわけであります。日経連側がそうした五年制高専の設置を強力に要請をし、さらに高度成長政策の中で所得倍増計画というものが立てられて、こうしたことが具体化されてまいったのが今日あります高専の設立にかわってまいっておる、こういうふうに思うわけです。ところがそれが、実際に入学者が辞退していくということの中には、今日の大学制度の中で意図的に複線型にしようとしてみても、実際には今日の学歴偏重の社会構造そのもの自体を是正しないでおいて、そうした経営者側が要請をした、それに対応するためにつくってみた、このものも実際には入っていく子供たちにはすなおに受け取られていない。このことは日経連の中山教育部長が、今回のこの高専の問題について、学歴偏重を実力の世の中にするのだ、だから安心をせい、こう言って太鼓をたたいても、実際にはそのようにならないというのが現実だと思うのです。だからその点については、文部省がいいと思ってやってみたけれども、それがすなおに受け取られない。(「まだ早い」と呼ぶ者あり)早くない。そのことはやはりすなおに考えなければいかぬと思うのです。前に灘尾文部大臣のときにも、この学歴偏重の社会構造の改革ということは一文部省のなし得るものではありません、こう言って手をあげられたわけです。どうですか、その点。
  72. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この高専の問題につきましては、私は遺憾ながら考え方が少し違うのでございますけれども、これはいずれ明年から続々と卒業生が出てまいります。いろいろな意味で社会的に高い評価が必ず出てくるに違いない。日経連がどう言ったからこうというようなことではなしに、日経連の意見も私はもちろん承知しておりますけれども、私どもの確信として、高専につきましては大きな期待を持っているということを繰り返して申し上げる次第でございます。
  73. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、次に教員養成制度の改革の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  戦後単線型の新制大学が発足をして、直後大学の開放制、こういうことでたいへんに高い理想を掲げてまいったわけです。ところがその高い掲げてきた理想というものを、大学制度の改革の中で文部省は次第にこれを複線型に変えてまいっておりますし、大学における格差というものを次々につけて、政府による大学のコントロールということを進めてまいっているわけであります。  そこでその中の一つの大きな問題としての教員養成制度の改革の問題について触れたいと思うのでありますが、三十三年中教審が答申以来、この制度の改革をどのように進めようとしてきたか、ひとつ具体的に教員養成制度改正の足どりを説明していただきたいと思います。
  74. 杉江清

    ○杉江政府委員 教員養成制度の改善については、御存じのとおりに三十三年に中教審からの答申がございました。それについていろいろ御批判はあったようなわけで、これを直ちに実施するという手続には進んでまいらなかったのであります。しかしその後その基本的な考え方、これを受けまして、教育職員養成審議会におきまして教員養成制度の改善についての御答申があったわけであります。そこでもいろいろなことが触れられておりますけれども、教員養成の大学学部については、その教員養成という目的、性格を明らかにして、それにふさわしい内容のものにする必要がある、具体的にその教育課程については、その基準となるべきものを考える必要がある、こういうふうな御答申があったわけでございます。そこでそういうふうないろいろな御答申、建議を受けまして、ただいま教育職員養成審議会におきまして、この教育課程の基準について御審議いただいているわけでありまして、近く御答申がいただけるものと考えております。
  75. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 三十一年に文部省大学設置基準の制定をやり、それから三十二年に諮問をして改善について出してまいったわけですね。それに基づいてただいま御答弁のように三十三年に中教審が答申案を出してきた、こういうことになるわけでありますが、三十七年の十一月に教養審がこの改善についての建議をやり、さらに三十九年の七月、中間報告を出して、各団体にこの問題についての意見を徴しておると思うのです。この教養審が三十九年七月に各団体に求めた意見、それについて各団体からどういう回答がきたか、この点を示していただきたいと思います。
  76. 杉江清

    ○杉江政府委員 団体は相当たくさんありますので、個々について具体的に申し上げることは差し控えますけれども、大観しまして、中間発表いたしました教育課程の基準につきまして、需要者側、教育委員会とか小中学校校長会等の需要者側においては、ほぼ全面的に賛成しておられる。それから私学団体からは私学経営の実際、それから運営等を考えまして、できるだけ国立との格差がつかないように、なるべく開放制度の趣旨を生かすように、そういう観点からの御意見が出ております。それから教員養成学部、大学等からは、これはいろんなニュアンスの相違がありますが、あまり細部にわたって国でその基準を示すことはどうかとか、実施にあたって弾力性を持たせることが必要だとか、そういうふうな観点からの御意見が出ております。
  77. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 戦後の新学制が進められてまいりましたのは、小中学校昭和二十二年、それから高等学校が二十三年、大学が二十四年に新制大学として発足をしてまいっておるわけです。ここで、新制大学が発足をしたそのときの根本精神に立ち返って――日本大学制度というものを考える場合に、やはり根本に返る必要があるのじゃないか。最初に今日の科学の発展の問題について、世界的に教育競争が行なわれておる、そういう根本の問題についてお尋ねをしたわけです。そういうものに対応できる日本大学制度のあり方というものを考えます場合には、戦後発足をしましたそういう新制大学の発足当時の根本精神、それを発展させる方向がよろしいのか、つまり教育の開放性ですね。大学の開放性。それから機会均等の原則、教育の無差別性、そういうものの原則の上に立った学校体系の一元化というものが戦後の新制大学の根本であったと思います。そしてその中で新制大学が旧制の大学とそれから旧制の高校と専門学校と高等師範学校と旧制の師範学校というものを併合して再編成をなされてまいっております。ですから、その新制大学が発足いたしましたそのときの精神に返って、これらのものを推し進めていくということが今日の教育競争の中にあって私は大事だと思う。ところが実際には文部省としてはそれを格差をつけながら進めてまいろう、――先ほど高専の問題についても複線化の考え方がよろしい、こういうふうにお述べになったわけであります。新制大学発足当時のその根本精神について、なぜこれを変えていかなければならないか、こういう根本の問題について大臣の御見解を尋ねたいと思います。
  78. 愛知揆一

    愛知国務大臣 新制大学設置の当時の考え方をもう一ぺんレビューしてみるということは私は必要かと思います。同時に新制大学制度に切りかわりましたとき、各方面からいろいろ意欲的な意見が出ております。そのこともしょっちゅう反省しながら、また同時に現実の事態に即するような考え方を進めていくことが必要ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  79. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今日の大学というのは大学院大学、つまり講座制の大学と学科目の大学、それから課程制の大学、こういうふうに差別がつけられるが、教員養成系の大学なり学部というものは、その新制大学の中においても今日すでに学科目制の大学以下に位置づけられておるわけなんです。その点はどうですか。
  80. 杉江清

    ○杉江政府委員 まず講座制の大学と学科目制の大学というのは、講座制の大学においてはこれは研究者の養成、学者の養成という点に重点を置いて大学院が設けられ、高度の学術研究の使命をになっておるわけでございます。そういう点からその下の学部の組織も、その大学院があるということの関連において、これが他の大学とは別の組織になっておる、こういうことでございます。教員養成の学部につきましては課程制がとられておりますけれども、これは新制大学の理念からして、いわゆる学科目制と異なった別扱いをするというような考え方に立つのではなくして、教育のしかた、いわゆる教育内容の相違からする教育課程の編成の実際に即して、いわゆる学科制をとるよりも課程制をとることのほうがいろいろ扱いに便利だ、こういう観点から課程制が別にとられているわけでございます。ただ課程制をとられていることのために、教官組織の整備がやりにくいというような点も現実にあるのでありまして、この点はただいま教育職員養成審議会において、課程制をとるにしても学科制のよさを取り入れるというふうな考え方に立ちまして、具体的に審議が進められております。  なお設置基準の研究協議会において、新制大学のあり方として学科制と課程制とは、教育の実際から見て両方の場合がある、課程制をとることもまた十分意味のあることだ、こういう観点に立ちまして、大学には学科または課程を置くというふうに原則を考え直して、いずれが主でありいずれが従であるか、いずれがたてまえでありいずれが補充的な意味を持つかというような、従来はややそういうふうな区別がありましたけれども、その区別を撤廃して、平等の立場に置くというふうな結論がただいま出かかっておるわけであります。今後の扱いにおいては、そういうふうな方針によってやられることになると考えております。
  81. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 教員養成関係においては課程制をとったほうが便利だ、こういうふうにいま大学局長が答弁されたわけです。課程制をとることが便利だという内容を具体的に……。
  82. 杉江清

    ○杉江政府委員 たとえば小学校課程をとって考えますと、小学校は全部の教科を教えなければならない。非常に学科目が多くなります。それを全部学科制のような組織にするということは実際上できません。どうしても課程制ということの中で、小中課程をあわせていろいろ科目編成を考えていくということにしなければ、実際問題として教官組織ができないのであります。そういう点から、いわゆる学科制で便宜行なわれていることを、そのまま教員養成の課程に持ち込むということはできない。しかしいま教員養成の課程では、その中の組織がはっきりしておらないわけです。これをはっきりするということは、課程制の長所を取り入れる結果になるわけであります。そういうことからして、課程制をとりながら学科制のような組織を取り入れて教官組織のあるべき姿を明らかにしていく、こういう努力をただいましておるところでございます。
  83. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 課程制をとりながら学科制を取り入れるというのですか。
  84. 杉江清

    ○杉江政府委員 学科制の長所というものはいろいろあげられると思いますけれども、一つは中のいわゆる学科目と教官組織が明らかになっているということでございます。そこで課程制をとりますと、その点が学科制ほど明確に出し得ない点がございます。また教官組織が、学科目について、たとえば教授一、助教授一、助手一というような組織を学科制については実際は考えておるわけです。そういうことをそのままこっちには適用できない。しかし適用できないからといっても、学科目に伴う教官組織をやはり明らかにする必要があるわけでございます。だからそういうふうな観点から課程制の中身を再検討し、その組織を明らかにする。課程制だから何もかもごっちゃにしておくということではなくて、中の組織を明らかにしていくということが学科制のよさを取り入れる一つの方法だと思います。なおいろいろな点があると思いますけれども、いま課程制をとりながら学科制のよさを取り入れる。そして場合によっては学科制をとりながら、しかし現実にいまのような学科制の組織ではできない。それを学科制を修正したものでやるのも一つの案になりましょう。しかし現在の考え方は、大体課程制をとりながら学科制のよさを取り入れていく、そういう方向が実際的であり、いい方法じゃなかろうか、かように考えて研究を進めている段階でございます。
  85. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、教官組織として学科制のよさを取り入れて、しかも文部省が要求する教員を養成していく。その型にはめていくためには課程制が便利だ、こういうふうに理解していいですか。
  86. 杉江清

    ○杉江政府委員 そういうことでは全然ないのであります。それは全く別の問題でありまして、課程制をとるから型にはめるとか、学科制をとるからはめるということでは全然ないのであります。ただ教官組織のあり方がやはり違ってくるのであります。というのは、先ほども申し上げましたように、小学校のほうは、これは膨大な学科目のすべてにわたって教育しなければならないのでありまして、従来の学科制の組織をそのままこっちに入れようとしたら、妙なことになってしまう。そういう実際の区別に応じてどのような教官組織にし、どのような教育課程を編成するかという課題でありまして、いまのようなことは全然ございません。
  87. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いま研究中だ、こういうことですが、大学設置基準が三十一年でしたかにきめられましたね。それから教科課程の問題についていま研究中だ、こういうことでありますが、それならば教員養成大学あるいは教員養成学部の設置の基準というものはどうなっているのですか。
  88. 杉江清

    ○杉江政府委員 それがないのが最大の問題だと思うのです。ほかの学部では全部基準があるのに、教員養成の学部には設置基準すらないのです。そういうところから教官組織の整備がおくれているというのが現状でございます。
  89. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこでお尋ねしますけれども、基準がない、研究中だ、こういうことですね。それなのに戦後総合大学の中でたった一つ教員養成課程を持って、新しいというか一つの型を示してきた東北大学の中で、設置基準がない今日、しかもそれがいま研究されているさなかに、東北大学の中からなぜ宮城教育大学という一つの新しい大学を分離してつくっていくのですか。基準はどっちがいいかということでいま研究中なんでしょう。研究の最中になぜ昭和四十年度のことし宮城の教育大学設置しなければならないか。教育は百年の大計、長い将来を見て育てていかなければならぬ。しかも新制大学の問題についてもたいへんたくさんの問題があって、単線だ、複線だといろいろな議論もある。その中で教員養成関係設置基準という問題についても、長年かかって検討しているわけですね。そうすると、教員養成制度の改善の問題にしましても、先ほど御答弁のように、諮問したのが三十二年で、答申が出たのが三十三年、それから建議案があって、さらに昨年これに対する中間報告が出て、各団体に対する、需要者側、供給者側、いろいろな意見を聞かれて検討しておる。そういう教員養成というきわめて大きな大事な問題を、つまり根本的な問題をやらなければならないそのときに、いま局長が答弁されましたように、基準がないんだ、いま研究中なんだ。それなのに、なぜことし東北大学からこの宮城教育大学を分離して新設しなければならぬか。その点については根本的に誤っておる。大臣、その点いかがですか。
  90. 愛知揆一

    愛知国務大臣 宮城教育大学の問題でございますが、これは設置基準の問題というよりも、どうも義務教育教員の養成を主たる目的にしていなかったということを批判するわけでも何でもありませんけれども、事実がそうではなかった。それから先般も申し上げましたように、大学制度が改正になったときに、ほかの旧帝大のところには独立した教員養成の大学があったわけですが、そういう点にもかんがみまして、これは分離をして、また、宮城県内の小中学校の教員の確保ということが、ほとんど不可能に近いような状況にある、そういう点について地元からの要望が年来非常に熾烈でございますので、そういう点にもかんがみまして、教育学部から独立をして別個に大学設置をするということが望ましいことである、かように考えまして、御提案をいたしておるようなわけでございます。
  91. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 その大臣の答弁では、宮城教育大学をことし新設しなければならないという必要に差し迫った理由にはならないと思うのです。それは宮城県における教員の確保ができないからだ、こう言われるけれども、東北大学教育学部を卒業しておる諸君の行く先を見てみますならば、やはりたいがい教師になっておるわけです。それが高等学校のほうにうんと行っておる。このことについては、高校急増との関係があって、だからそれは義務制側の確保ができなかったのだという現実の現象と引き合わせることはできないわけです。そのことは当然に、高校急増というのはちゃんとタイムテーブルがあったわけでありますから、そういう中で、いま義務制の確保ができないからという理由にこじつけることはできない。むしろ義務制側の教員の確保、義務制の教員の養成という点からいうならば、高校急増はもう山を越していこうとしている。だからいま昭和四十年の大学設置基準あるいは教員養成大学なり学部なりの設置基準というものが研究されておる最中に、ことし宮城教育大学設置しなければならぬというそのことについては、ただいまの大臣の答弁では私は納得はできないと思うのです。
  92. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほど私が設置基準がないと申し上げたのは、他学部と同様に省令で規定しておりますような、そういう設置基準はない、その点非常に立ちおくれておる、アンバランスであるということを申し上げたのでありますけれども、ただ現実に何もないということではなくて、これは非常に不十分でありますけれども、基準協会が制定された一つの基準のようなものもあるわけであります。きわめて不完全なものがあるのであります。そこで現実に、まず設置基準は、これは国公私立を通じた一つの基準になるわけですけれども、国立大学のあり方はそれと別個にも考えられる問題でありますし、また教員養成学部、大学のあり方というような免許法の規定からの制約が当然かぶってくる。そして現実に、少なくとも教員養成を目的とする学部、大学があって、教育課程が組まれてこれは運営されておるわけでございます。そうしたところから教員養成の学部、大学の基本的な再検討ということはいま進められておりますけれども、しかし、そのあるべき姿というものは十分考えられるわけであります。そういう見地からいままで教員養成学部、大学の運営もしてきましたし、また充実もしてきたわけでございます。  そこで、いまの宮城教育大学の問題は、そういうふうな教育課程の基準を受けて、また設置基準を他学部並みにはっきりさせるという作業が進められるのでありますけれども、それができなければこっちはできないというものではなくて、それと離れて国立大学の学部のあり方は十分別に考えられるし、現に東北大学の教員養成課程において教育を行なっているその教育の姿がいろいろな意味で不十分である、根本的な再検討、再編成は別の問題として、現状においてすでに非常に不十分だから、それを分離独立させることによって充実強化して、教員養成の学部、大学としての実を備えさせようというところに今度の分離独立の意義があるわけであります。  そこで具体的に、では現実にどういうふうな欠陥があるかという点を申し上げますと、いま御指摘のように、高等学校へ行く者が多いということもありますけれども、それ以上にいろいろな問題があるのであります。まず宮城県におきましては、助教諭の占める率が非常に高いのであります。これは宮城は五一%の率を占めておる。青森が一二%、岩手はやや高いのでございますが、それでも三二%、秋田が八・一%、山形が一・四%、こういうように隣県と比べても助教諭の率が非常に高い。これはやはり大きな問題だと思います。このようなことが教員養成制度にも関連しておると私ども考えております。それから他の数字を見ますと、教員になる者のうちで、従来の国立の教員養成学部の卒業者の占める率を見ますと、これは宮城が一番低いのであります。宮城は二三%を占めておる。ところが青森は四一%、岩手は六五%を占めておる。こういうように宮城県の教員で東北大学の教員養成学部を卒業した者の占める比率が非常に低いということもある。それからもう一つ、今度は宮城の教員養成課程から教員以外に就職する者の率を見てみますと、東北大学の教員養成課程は教員にならない者がやはり比較的に多いわけであります。その率を見ますと、東北大学の教員養成課程からは一四%が教員にならないのであります。ところが、隣県の弘前大学は三・四%、岩手大学は六・五%、秋田大学は一・三%、こういうように他大学は非常に少ないのであります。こういうふうな点から考えてみまして、やはり現在の東北大学の教員養成課程は、教員養成ということから考えれば多くの欠陥があるし、その実を他学部並みに持っていないということが言い得るわけでございます。そういう点からこれを分離独立して、教員養成という目的、性格を明らかにし、そういう観点から教官組織の整備をはかり、施設、設備の整備をはかって、りっぱなものにしていきたい、こういう考え方をとったわけでございます。
  93. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いまの局長の答弁を聞けば聞くほど私は反対をせざるを得ないわけです。  まず第一に基準の問題でありますけれども、基準がなくても、ほかに大学設置基準等、それに見合ったものがある。不完全だけれどもそのようなものがある。だからいいんだ、こういうことになるならば、いま研究している基準なんかつくらぬほうがいいじゃないですか。そんなものはなくてもいいんだというのであるならば、いま研究しておるものなんかつくらぬほうがいいですよ。そういった根本的な姿勢においてまず第一に問題があると思うのです。  それから第二番目の、いまの御答弁の中で、宮城県の県人が少ない、こういうことを言っておりますが、そういう地域性なんというのはもういまや打破されなければならない。もっとインターナショナルになっておるのです。国際的になっておる。そういう時代に、宮城県でなければならないとか、鹿児島県でなければならないとか、そういうことで極端に地域性の問題を言うことは私は根本的に問題があると思うのです。  それから三番目に、教員にならないという点、教員にならぬから教員にしなければならぬ、そこに出てくるのは旧制師範の考え方が出てくるわけですね。いろいろな恩典があり、あるいはがんじがらめに縛るなりして、教員になる以外にない。その型の中にはめ込んでいこうという考え方がここにあるのじゃないですか。職業選択の自由は憲法の上の基本的な権利であります。その中で、教員にならぬ――しかしそれは、たとえば東京教育大学の中を見てみても、教員にならぬ学科というのはたくさんあるのです。しかし、それはあらゆる面の職業にわたっていく、そのことがやはりそこの人間形成の中における多様性というものをつくってくるのであって、文部省が考えているのは、一つの地域性を持ち、一つの型にはまった、そして一つの義務観念というものに押し込んで、それ以外に生きる道がないという方向の中に追い込んでいこう。つまり旧制師範学校をつくり上げようという考え方で、今回のいろいろの御答弁の中から、宮城教育大学については実に歴然とあらわれてきている、こう言わざるを得ないのです。
  94. 杉江清

    ○杉江政府委員 その点は私はどうも納得できないのですけれども、何もこれは分離独立して新しい大学をとるから、他の教員養成の学部または大学と違った扱いをしようとは全然考えておりません。また就職指定をしようとも考えておりませんし、また入学資格を制限しようとも考えておりません。何ら特別扱いをしようとは考えておりません。ただ東北大学の教員養成課程のあり方からすれば、先ほど申し上げたような欠陥があらわれる。具体的に見ますと、東北大学という名前のところへ入ればどの学部でもよろしい、ほかの学部はむずかしいから教育学部にでも入ろう、それでも東北大学だ、こういう考え方が率直にいってあるのです。そういうふうに教員養成学部がやさしいからといって入るのがある。そして出れば自分の国に帰ります。もう一つ根本的にいいますと、現在各県の大学に教員養成学部が置かれておりますが、これは自然の勢いとして、地元の者が志願し、地元に就職するというのが当然の理だと思います。しかしそういうことは当然だといいましても、それでしいて入学資格を制限したり、卒業した者が他の県に行くことを制限したりすることは毛頭ない。ただ自然にそうなるのが当然だし、そうあることが小中学校の教員養成には適当だという現在のたてまえであるわけであります。だからこの分離独立させることによって、何かいろいろな点の制約を加えて、がんじがらめにして、かつての師範学校に近づけようとしているのだということは、私どもには了解できません。
  95. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私もこの問題については後ほど自分の考え方をまとめて質問してみたいと思いますが、あなたの御答弁では、宮城大学を今度つくったということについて、いまの御答弁の中から要点的なものを引き出しますと、第一は便利だということをおっしゃっている。それから内容的に不十分だというお話です。それから外的要因としまして、助教諭が非常に多い、こういうお話をされました。前の便利だということの中身は実に問題の多いことをおっしゃったのですが、これはまた私のときにやりましょう。それから最後の外的な原因、これもあげておられますけれども、助教諭の問題、これはちょっととらえ方が別な面がありますから、これはまた別な面から考えなければいかぬと思いますが、助教諭の多いということ、それだけに私は限られると思うのです。二番目におっしゃった内容が不十分であるということ、この不十分とは何をさすのか。この不十分なところをお伺いしたい。
  96. 杉江清

    ○杉江政府委員 現在の宮城教育大学におきます教官組織は不十分だと思います。また学科別にふさわしい教官組織も整備されているとはいえない。そしてまたそういう性格があるために、いま教育学部の中の一課程にあって、そのことが非常にすっきりした形にしにくい実際問題があるわけです。そういうことを私は内容が不十分だということで申し上げたのであります。
  97. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いままでの機構あるいは教員養成機関のあり方というものに大きく反省のメスを加えずして、宮城大学の問題だけを取り出して言おうとするところにあなたの説明に無理がある。内容的に不十分だとおっしゃるなら、いま教官の面からおっしゃったが、教官の面もそうでしょう、教える人がなければできないのですが、その次に予算の面も言わなければならぬ。金がかかるか、かからないか、安くあげようという考え方ならよけい不十分にしてしまうわけです。これも考えの中に入れてもらわなければならぬ。さらに環境ということ、校舎、設備、こういうものをあげなくて、それを問題外にしておいて、人のところだけをもっていま御説明になりまして、それで必ずしもうまくいっていない、教官が不十分だ、こうおっしゃったが、三つの観点からおっしゃらなければ教育的に見たところの不十分ということは成り立たないわけです。地域性にもっていって、先ほどあなたのお話のように、宮城に御奉公するというような人が少ない。助教諭が多くて、教員になる人が少ないからというあなたのお説はわかりました。あなたの思想もわかりました。しかしながら、不十分だとおっしゃるなら、この三面から言っていただかなければならぬ。この三面に対して言っていただきたい。
  98. 杉江清

    ○杉江政府委員 施設、設備、環境というような点もいままで不十分だったと思います。しかし、これは整備しようとすればできる。しかし、そういう点を考えましても、いままで東北大学ではなかなかいろいろな関係で整備がしにくかったという実情があるわけであります。というのは、これは教育学部の中に教育学科とか教員養成課程があって、その中にそれを今後どう持っていくかということについても確たる案が立ちにくい。それから人的融和も必ずしも十分じゃなかったという点が、いろいろな計画を推進する上の支障になってきたわけであります。  それから教官組織について見ましても、いろいろ複雑な人間関係があって、必ずしも好ましくない人間関係がそこに醸成されておった。そういうようなことを一方に考え、そして片方は、先ほど私が申し上げた諸般の事情を考えると、これは別にして、それを整備したほうがいい、こういう判断をしたわけであります。これは御存じのとおり、大学としても十分御検討の上、そういう結論を出された。私どもはそれを受けて立っているわけでございます。決して文部省が押しつけたわけではない。いままでの教育学部では、自分でそういうことをきめることすらできなかった状態。これは御存じのとおり、今度のことでも、教育学部では意思決定ができなかった。そして、これは評議員会まで持ち込んで、全体の意思を決定したということは御存じだと思います。  だから、そういうふうに施設、設備の面は内容的にも不十分だし、それからそういった現実の運営面についても非常に多くの欠陥があった。これらを独立することによって解決したい。また、それが東北大学の統合の問題に関連して、ちょうどいい時期にある。農学部もいま青葉山地区に移転しなければならぬ。そこはかつて師範学校のあったところで、りっぱな敷地があるわけです。そういった統合計画の推進の上からもいまちょうどいい時期ですから、その関連においていろいろな問題をこの際一挙に解決するまさに好機だ、こういう判断に大学も立ちましたし、私どもも立ったわけであります。
  99. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私の持ち分でないから、もう一点だけ聞きまして、後の私のときに十分質問をしたいと思います。  それは文部省の押しつけでない、民主的に教授会議できめたとおっしゃいましたね。これは間違いありませんか。それだけ念を押しておきたい。  もう一つは、りっぱな施設があるんだこうおっしゃった。これは文部省としてりっぱな施設があると思っているんですか。私は行ってないので、人から聞いただけですから、それを聞いておきたい。
  100. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは主としてその土地がいい、敷地として非常に適当な土地だ。  施設は、現在農学部の建物が鉄筋であって、それも利用できますが、それは大幅な改修、増築を必要とするので、これらは早急にやりたいと考えております。
  101. 渡海元三郎

    渡海委員長 午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後十二時五十五分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十七分開議
  102. 渡海元三郎

    渡海委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。川崎寛治君。
  103. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 午前中の本委員会におきます大学局長の答弁で、東北大学から教育学部を分離することについて、教育学部ではきめられなかった、こういうことを答弁をされておるわけであります。教育学部できめられなかったことをどうして押しつけたか、その経過を説明していただきたいと思います。
  104. 杉江清

    ○杉江政府委員 教育学部は内部的には教育科学科と教員養成課程に分かれているわけです。そこで、その協議会の構成は、両者同等の立場で審議するような構成になっておるわけであります。そこで両方のその全体の会議では意見がまとまらなかったために、そういう状況を学長に伝えてその善処方を依頼した。それを受けて評議員会できめる手続をとることになった、こういうことでございます。
  105. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 きめられないから、学長に善処してくれ、こういうことが教育学部から――教育学部がそれをきめて、教育学部から学長に対してそういう要請をしたわけですか。
  106. 杉江清

    ○杉江政府委員 そういうことでございます。
  107. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それじゃ、もうちょっとお尋ねしますが、学校教育法の五十九条においては、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」こういうふうになっておるわけであります。教育学部にとっては、この組織の改編ということは最重要の問題であるわけです。そうであるならば、この学校教育法の第五十九条、「置かなければならない。」つまり必置ですね。そのことは十分な審議を通して結果が出なければならないということになるわけです。そういたしますと、教育学部の教授会がこの問題について結論を出せない。そのことは教育学部にとってきわめて重大な問題であるという証左になるわけであります。そうしますならば、その学校教育法の五十九条で審議をすることになっておるその重要な問題について、教授会が責任を負えない、結論を出していない。そのことを押しつけていくということは、学校教育法の五十九条違反だ、こういうふうに言えませんか。
  108. 杉江清

    ○杉江政府委員 その教授会が公式的見解が得られなかったということは、その扱いについてはより高次の段階で審議してもらいたい、扱ってもらいたい、こういう趣旨に了解されると思います。
  109. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますならば、もう少しこまかに経過をお聞きしますが、これは地元からの要請だ、こういう説明であります。そうすると、大学自体がこの改組についてこういう考え方にいきたい。つまり分離をしていきたいということを大学側が出してきたんですか。
  110. 杉江清

    ○杉江政府委員 前から地元からこれを分離独立してもらいたいという要望がありまして、文部省としてもこれは十分検討に値する問題だということで、実は三十九年度にはその問題を検討するということで調査費も計上されてあったような経過であります。そこで、大学に対してもこれに対しての大学の意見を聞きたいということをお伝えしたところ、これを内部で検討して、大学としての意見をまとめられたものであります。
  111. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大学としての意見をまとめたということは、大学側が自主的に教育学部を分離して独立させる、そういう意見をまとめたというのか、文部省のほうから教育学部の中の教員養成課程を廃止をする。そして新しく宮城教育大学を新設する、そういうことを諮問をしたのか、どちらですか。
  112. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほど申し上げたような経過がありますので、四十年度予算でそれを計上すべきかどうかということについては、大学側の意見を伺って処置すべきだという観点から、大学側では前々から検討されておったのですけれども、私どもそういう事務的な処理の都合もありますので、大学にその点の意見をお伺いしたいということを私のほうからも申し上げた経過がございます。
  113. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 申し上げた経過があるということは、つまり教員養成課程を廃止をし、名称はともかくとして、新しい大学を設立する、そういうことについて意見を述べたのか。つまり諮問をしたのか。具体的にどうですか。
  114. 杉江清

    ○杉江政府委員 正式の諮問ということでは私はないと思いますが、この問題は前から問題になっており、予算的にも調査費がついていたものですから、だからこれについての大学の御意見をお伺いしたいということを私は学長に申し上げたわけであります。
  115. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、つまり局長が学長のほうに口頭で言ったわけですね。口頭で、こうしたらどうだ、こういう言い方をしたわけですか。
  116. 杉江清

    ○杉江政府委員 とにかく問題になっておりますから、この問題について大学としての御意見をお伺いしたいということを私から申しました。
  117. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 八月の十五日に文部省のほうからそういう意向打診というのですか、正式の諮問じゃないと言っておられますが、そういうことが大学側に伝えられた。それからあとの経過をたどってみますと、教授会で結論を得られなかった、こういうことのようでありますが、学部長会議が十一月一日に教育学部としての討議を要請しているわけです。ところがそれにもかかわらず十二月一日まで、教育学部の教授会というものを開かれないままきているわけです。それでいて結局教育学部の教授会ではきまらぬからということで、それの上級機関に移しているわけです。そうしますと、教授会は先ほど言いました学校教育法の五十九条に基づく重要な事項を審議する、審議しなければならぬ、必ず置けということは必ずそこで審議をせいということです。審議をするために置くわけです。ところが具体的には教授会がその審議をしていない。また審議ができなかった。教育学部長は開いておらぬわけですから、できていないわけです。この点どうですか。
  118. 杉江清

    ○杉江政府委員 内部で教授会を開いて、審議はいたしておるわけであります。
  119. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いつ開いて、どういう結論を出したのですか。
  120. 杉江清

    ○杉江政府委員 何度も開いているわけですけれども、両者の意見がまとまらずに、これは統一的見解が得られないということが学長に申し伝えたわけであります。
  121. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 教授会が結論を出せないということは、多年にわたって総合大学の中で教員養成課程を持って、教員養成に苦労してきた東北大学教育学部の教授諸君、教官諸君が、この問題について文部省側の諮問といいますか、意見を言ってきたことについて結論を出せないわけですね。つまり自分自身がやってきたその人たちが、教授が、学校教育法の五十九条に基づいたきわめて重要な機関であるその教授会で結論を得られないということは、これは大学の自治からいってもきわめて大きな問題であるわけです。その結論が得られないならば、なぜ結論を得られるまで待たないか。待たずに、その上級機関にあげちゃって、そこで結論を出して、押しつけていくということは、本来の大学の自治というものが、これまでもいろんな面においてくずされてきておるわけだけれども、今回の場合にも最もティピカルにくずされておる例ではないか、こういうふうに思うわけです。その点いかがですか。
  122. 杉江清

    ○杉江政府委員 この意見のまとまらないということには、教授会の組織の問題がからんでおるわけですけれども、とにかく十分に審議された結果、まとまらないからということを学長に申し上げ、学長としても、これの扱いについてはそういった大学自治のたてまえから、どのように解釈し、どのように扱うかについて、これは十分内部で検討されたのであります。その結果、やはりこのような結果である以上は、評議員会としてこれを扱うことが適当である、こういう結論に達せられて、そのような手続をとられたわけであります。
  123. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、少し角度を変えて、もう少しこまかな質問をいたしたいと思いますが、現在国立大学の中にあります旧制の師範学校を発展をさした新制大学。その教員養成大学教育学部なり学芸学部なりの中で、講座制を置かれておるのはどこどこですか。
  124. 杉江清

    ○杉江政府委員 ございません。
  125. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 いま答弁されたようにない、こういうことでありますが、そのことは、旧帝大を中心にした大学の中には講座制が置かれておるわけですね。
  126. 杉江清

    ○杉江政府委員 それは教員養成を直接の目的としない、いわゆる教育科学研究という意味合いを主にした教育学部はありますが、そういう場合は講座制になっているわけであります。
  127. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 結局、総合大学の中で、つまり教員養成を目的としておる中においては、講座制が置かれてない、こういうことですね。結局、教員養成関係における位置づけというものが出発の当初からいかに低かったか。明らかに目的大学として師範大学に、つまり旧制の師範大学といいますか、師範の系統のそうしたものに発展をさせようという意図がすでにこれまで二十四年から発足して以来、この長い十数年間の間にわたって、当初から明らかに意図されていたということが、ここに明確に出てくる。そういう意味では教員養成関係大学なり学部なりというものを、新制大学の中においてもさらにひとつ低い段階に位置づけしようとしてきたといわざるを得ないのですが、その点はどうですか。
  128. 杉江清

    ○杉江政府委員 大学院のある旧制大学が講座制をとっておるのでありまして、新制大学は学科目制をとっているわけであります。その新制大学の中に新制大学として他の学部と同じ扱いをされているので、教員養成の学部を特に落としておるという点はございません。
  129. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうしますと、講座制大学の中における、つまり、東北大学のそうした教員養成課程というものは、けさほどの答弁の中にもちょっとうかがわれたのでありますけれども、異質のものなのかどうか。この点いかがですか。
  130. 杉江清

    ○杉江政府委員 教育学部一般のあり方として、教員養成の課程がその中で異質のものかどうかという点は、これは根本的に考えると、かなり議論のあるところでありますけれども、実際問題としては、なかなか一体になることのむずかしい実情があると思います。東北大学におきましても、その両方が事実上分離されておる。そういうことからなかなか一体になり得ない実情だと思います。
  131. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 つまり、いま言われたそのことは、端的に言われてはいないが、異質のものを含んでおる感じがするわけですね。そうしますと、そのことは現在進められております教育課程の基準の改正ですね。そういう問題の中においても、つまり教育養成というものをきわめて特殊な職業人の養成というものに持っていきつつあるということが、いまの局長の答弁からも色分けされておる。しかもそういう方向の型にはめ込もうとしておるということがうかがわれるわけでありますけれども、どうですか。
  132. 杉江清

    ○杉江政府委員 そういうことは言えないと思います。学部の目的は、それぞれほぼ明らかになっておる。たとえば医学部であれば、医者及び医療、医学に対する研究者の養成ということになっておるわけであります。教員養成、これがやはり教員養成の学芸学部ないし教育学部、教育学部には種類がありますけれども、学芸学部と考えれば、教員養成を主たる目的とするということについて、その内容を整備するということは、他の学部も同様なたてまえをとっておるので、特に教員養成学部についてのみ、そう考えているわけではございません。
  133. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 教官組織の問題について触れられたわけでありますが、それならば東北大学の中において、教員養成課程の教育学部の教官組織というものが他の学部と比較をして、きわめてアンバランスにあったと思うのです。その点いかがですか。
  134. 杉江清

    ○杉江政府委員 そのとおりだと思います。
  135. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そういたしますと、教員養成課程の教官組織はきわめてアンバラだ、そのことが一面においては東北大学という伝統があり、歴史のある総合大学の中で、教員養成課程のものを足手まといにするというものが出てまいったと思う。そういたしますならば、その点の改善をやらずして、目的だけ別の方向に持っていこう、そうすることは、私は本来あるべき正しい姿ではないと思う。じゃなぜ十数年間にわたって、この教官組織の問題についてアンバラがあるが、そのことを改善しなかったか、その方向に努力をしなかったか、いかがですか。
  136. 杉江清

    ○杉江政府委員 大学当局も私どももいろいろ苦心して考えたのですが、実際問題として、なかなかうまくいかなかったのです。
  137. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 実際問題として、教員養成関係大学なり学部なりがいま進められておりますことは、いま東北大学の中における例が最も端的に示しますように、新しく戦後発足した中で、そうした教官組織というもの、あるいは施設というもの、あるいは研究費というものの増額、そうした面の改正をやらずして、いままで過ごしてきた、そういうものの中から格差をつけて縛り上げていこう、目的大学としての方向にがっちりはめ込んでいこう、こういう、つまり逆の方向をわれわれは見るわけです。その点では教員養成関係大学なり学部なりがそうした差別を受けるといいますか、そうした点についてはどうしても否定することができないわけです。そこで文部省のほうからもらいましたこの資料に基づきまして少しお尋ねしたいと思うのですけれども、今日の総合大学の中で教員養成関係を併合しております学校について、宮城教育大学以外に廃止なり分離なり、そうした諮問をしたところがほかにありますか。
  138. 杉江清

    ○杉江政府委員 ございません。
  139. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうすると、この東北大学の例にならって将来進めようとする計画がありますか。
  140. 杉江清

    ○杉江政府委員 いまのところ考えておりません。
  141. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、考えていない、こういうことでありますが、それだけに宮城教育大学の分離、新設、こういうことは一つの将来における非常に大きな前例として問題をはらんでまいると思います。その点でわれわれがけさほども質問しましたように、基準を検討中だ、そういう中においてなおかっこの宮城教育学部を分離をし、新設をするということについては、先ほど来の質問を通じてみましても、われわれとしてはどうも具体的に納得できないわけです。  こまかにお尋ねをしたいと思いますが、宮城県においては、義務教育学校の教員の確保ができなかった、こういう点を東北大学の中の教育課程で言われたわけでありますけれども、それでありますならば、全国の教員養成関係大学における実情というものをひとつこまかに説明してもらいたい。宮城大学、東北大学というのがこれは全くそのとおりだというふうにわれわれが納得いくように、この各大学において一つ一つ説明をしてもらって、その比較の中からなるほどそうだということを理解をさしてもらいたいと思います。
  142. 杉江清

    ○杉江政府委員 全部を申し上げることはなかなか容易でございませんが、先ほど午前中に申し上げましたように、その卒業生が県内に就職する率、また教員にならない率、それから県内の助教諭が多いというようなこと、それらすべてが東北大学の教科課程に基因するとはいえないにしても、それと大きな関連があり、相当改善を要するということを示しておるものと考えております。
  143. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そういう抽象的な答弁では、私は宮城の場合のこのことを納得ぜいといったって、納得できません。ですから宮城について教員が確保できない、あるいは養成できない、たいへん困っておる、そういう不便だといういろいろな点を午前中あげられたわけですけれども、東北大学の場合はそうだが、ほかの場合はそうでないのだという点、つまり宮城は東北大学のこの教育学部を分離する以外に確保できないのだ、そのことの納得いく数字を、抽象的なことばでなくて具体的に、各大学と比較をしながらその点を証明してもらいたい。
  144. 杉江清

    ○杉江政府委員 午前中に申し上げたことは例示ですけれども、いまの御質問に私は答えているものと思うのです。いま全国の大学を一々数字をあげていくのもたいへんだと思いますので、前の説明を繰り返すこともどうかと思いますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  145. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それならばあとでこれはひとつ資料として出してもらいたいと思うのです。各大学ごとに、この大学はこうなっておる、この大学はこうなっておるという点で、局長が東北大学の場合について説明をされたように、充足できないのだ、しかしほかのところでは充足しているのだ、そういったこまかな比較できる資料というものを出してもらいたいと思います。そうでなければ、やはり東北大学が特殊なんだ、そういわれるわけでしょう。つまり分離をしなければならぬというのは特殊なんだ、特殊な事情に基づいているのだ、こういうことだと思うのですが、どうですか。
  146. 杉江清

    ○杉江政府委員 まあいろいろな点がありますけれども、結局総合判断の上で措置せざるを得ないと思いますが、やはりそういうことの総合判断でそのほうが私どもはいいのではないかと考えたゆえんは、やはり一つは、何といっても地元から多年にわたってそういう御要望が続けられているということも、特にそれはいろいろな関係団体からの陳情もありましたけれども、教育委員会から特に、そういう現状ではなかなかむずかしいからやはりこれを改善するためには分離独立させてくれ、こういう強い要望があったわけでございます。これと、やはり大学としてもそのほうがベターだという結論を出されて、その二つのことから、これはやはり分離独立させたほうがいいという判断をとったのでありまして、そういうことはほかの大学にはないことであります。だから個々の数字もそれはそういう判断をする一つの根拠ではありますけれども、これを総合的に判断いたしますのには、いまのような特異な特殊な事情があったということが私はその理由だと思います。
  147. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 地元からの要望があった、地元の県の教育委員会からの要望があった、つまり需要者側からの要望があったから、こういうふうに受け取れるわけですね。そうしましたならば、地元から要望があれば変えるというのであれば、基本的な指導方針というものはどこにあるのですか。
  148. 杉江清

    ○杉江政府委員 地元からの御要望とそれから大学側の御意向と二つそろったわけでございます。その上先ほど申し上げました諸般の事情があるから、その大学側の御決定に沿って措置したわけでございます。
  149. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大学側については、形式的に教授会の上部になりますか、評議員会できめたからいいのだ、こういうふうに言われるかもしれぬけれども、その教育学部自体が、しかもその教員養成課程のその学部自体が結論を出し得なかった。そのことについては、地元側の、つまり大学の側の要望だ、こういう形にはストレートには受け取れないわけです。最も肝心のその直接関係をしております教官がそのことについてもろ手を上げて賛成をしてない。そのことはどうですか。
  150. 杉江清

    ○杉江政府委員 先ほども申しましたように、教育学部の教授会の意見のまとまりをどう判断するかを、大学として学長が評議員会にはかって十分検討された上、大学としての意思の決定は評議員会においてすることが適当だ、かように判断されて最終的な大学としての結論を出されたわけであります。私どもはそのような大学の御検討とその結果の御意見を尊重したいと考えております。
  151. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 師範教育への復活であるかということについて繰り返し繰り返ししつこくお尋ねをしておるわけですけれども、そうした旧制師範学校的なものにするものでない、また今日の教員養成関係大学をそうしたものに持っていくはしりでないという点について、文部大臣は確信を持ってお答えできますか。
  152. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この宮城教育大学の問題につきましては、今朝来非常に詳細にわたっていろいろ御質疑があり、また御心配の点もございましたので、私からも特にお答えをいたしたいと思います。これは私から申せば局長の御説明のとおりでございまして、新しい大学制度ができまして以来、宮城県の場合はむしろただ一つの特殊な事例であったわけでございまして、地元の要望ということも、これを要するに他の府県と同じような状況にしてもらいたいということで、そしてそれは総合大学の中で教育学部の中のまた一つとして、教育科学研究学部以外の教員養成課程ではどうも十分な成果をあげられない。そこで他の都道府県と同じようなかっこうにしてもらいたいというのが長年にわたる要望になっておったわけでございます。それを受けて文部省としても、これも先ほどお話がありましたとおり、三十九年度にはすでに独立のための調査のための調査費というものも計上されていたわけでありまして、さらに事務的な検討も進めてきたようなわけでございます。したがってそういう沿革から申しまして、これが今後における新しい一つのやり方になる、あるいは御心配のございますような昔のような師範学校設置であるとか、そういうようなことは毛頭ございません。現状において他と同じようにやってもらい、そして他と同じように教職員の充実もはかってもらいたい、こういう希望のあらわれでございます。それから大学当局も、ただいまいろいろと答弁がありましたように、こういう問題については慎重の上にも慎重に大学としても態度をきめられるべき問題であろうかと思いますが、もちろん学長を中心にして評議員会の議を経て、文部省にもぜひこの際実現をしてくれということになったわけでございまして、これが地元の要望とたまたま合致をした。こういうわけでございますので、いまの御質問にもう一度繰り返して御答弁するようなかっこうになりますけれども、これが新しい一つのやり方になるというものではない、こういうふうに御理解を願いたいものと思います。
  153. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大臣の明確な答弁があったわけでありますけれども、私たちがこの国立学校設置法についてきわめてシビアーな態度で臨まざるを得ないということは、三十八年の国立学校設置法改正の際に、第七条の講座制の問題についてたいした審議もなしに終わった。ところがその三十八年の学校設置法の一部改正以後、学科目の省令化を三十九年にはやっておるわけです。そういうことで教員養成大学に関しては、戦後の制度改革の方向を見てみますと、われわれが指摘をしあるいは危倶を持つ問題が次々にあらわれてきておる。そういった点からわれわれは今回の宮城教育大学の問題については、そうした過去の三十八年における法改正の際の、つまり十分な審議を尽くさないできたために起きておるいろいろな問題があるわけでありますから、われわれとしてはそうした轍を踏まないようにしてまいりたい、こう思って繰り返し繰り返しのしつこい追及をいたしておるわけであります。  そこで、大臣の御答弁でそのまま引き下がらなければならぬというふうに思われるかもわかりませんが、私はまだこの問題についてもう一ぺん返りまして、こまかい点について局長のほうにお尋ねしたいと思うのです。  ただいま大臣が、そういうことで絶対に師範学校への復活にはならぬのだ、こういう断言をなされたわけでありますけれども、戦後の東北大学の中における教員養成課程の扱いというもの、そしてそれからきております今日の現象というもの、そういうものからしますならば、やはり神経質になってというか徹底した追及をぜざるを得ないわけであります。局長にお尋ねしますが、旧制の宮城師範を東北大学に併合した、そうして学校教育学科と教育科学科とこういう二つが置かれたわけですね。この学校教育学科と教育科学科とはそれぞれ講座の設置について文部省に対して要望をしてまいったのです。学校教育学科のほうが十五講座、それから教育科学科のほうが十講座の申請をいたしてまいりました。ところがこれを現在見ますならば、その教育科学科のほう、つまり講座制になっておるそっちのほうは十講座とも認められた。ところが学校教育学科のほうは十五要求をしたけれども一つも認められないできているわけですね。どうですか。
  154. 杉江清

    ○杉江政府委員 それは新制大学には一般に講座制を置かない、こういう方針に基づくものであります。
  155. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 結局そういうことで新制大学の格づけが歴然となされて今日に至ったわけです。しかしその中で、これまではどういうところでも総合大学の中に教員養成課程を置いておる。特に一般教育の中で他の学部等の協力を得てやってきておる。そのことについて東北大学の学長は、これは足手まといである、異質の存在である、こういうことでなくて、教員養成課程を持っておることについて、この点を誇ってきたと思うのです。東北大学の歴代の学長がこの教員養成課程を持っておることに対して、足手まといであり困るということを歴代言われてきたのかどうか。いかがですか。
  156. 杉江清

    ○杉江政府委員 その辺の詳しい経緯については存じておりません。
  157. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは次に用地の問題についてお尋ねをしたいと思います。この教育学部の用地の問題については先般も質問があったわけでありますが、もう少しこまかにお尋ねしたいと思いますけれども、農学部のほうでは、教授会で移転をするという決定をしていないと聞いておるのですが、いかがですか。
  158. 杉江清

    ○杉江政府委員 内部ではいろいろの意見の調整を要する問題が出ていることは私ども聞いており  ます。
  159. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは具体的にまだ見通しの  ついていない用地にこの四月から発足する宮城教育大学をどうして置くのですか。
  160. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 農学部のあの青葉山地区へ  の移転につきましては、大学の中にあります施設設定審議会において方向としてきまっておるわけでございます。その際に農学部におきまして、主として農場の敷地が狭い、あるいは気象条件が悪い、それから地質の条件というようなことで意見があったことは事実でございますが、その問題に関しましては、この設定審議会の中に農場対策小委員会ができまして、その対策を検討しておりまして、そして狭いという問題につきましては、これは現在の三千坪程度が、最小としても八千坪以上になり、それから地形の利用によっては数万の坪数にもなり得るということがこの対策小委員会で出ております。それから気象条件につきましては、実はここは全国平均よりも風につきましては弱いという状況でございますから、この地区が特に気象条件が悪いということはないであろう。それから地質の問題については客土等の方法があるということで、先般大学長にお目にかかったときも、これは学内の問題として十分に処理できるというふうに承っておりますので、まず施設といたしましては、既定計画のとおり農学部の青葉山の移転ということを四十年から四十一年の前半にかけて実施できる。その間は富沢地区の新教育大学のための施設を改修使用し、その後農学部の建物に、これも改修を要する必要もございまするし、さらに不足を建て増しすることもございますが、四十二年以降新しい校舎に付属学校等もまとまっておりますので、その地区に移るということになっております。
  161. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 現在の予定地には原子力関係施設があって、昨年から立ち入り禁止の地域になっておる、こういうふうに聞いておるのですけれども、いかがですか。
  162. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 ただいま申し上げました農学部の移転整備の間に、現在の富沢地区の校舎を利用するということで、その地域内にライナックの研究施設があるということは事実でございますが、この施設設備につきましては三十九年度から一部借りまして、施設につきましては四十年、四十一年で完成いたすわけでございますし、それから設備につきましても同様でございますが、この実験が稼動いたしますのは四十二年からの見込みでございますので、その間の事情と、先ほど申しました農学部の移転整備というものは全体計画として年次的に進行するわけでございまするので、御指摘のような心配はないと思います。
  163. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 前半の議論で質問する際にもう少し聞いておきたかった点で残しておるのでありますけれども、教養審が出しました教育課程の基準の建議について、午前中局長のほうからは大まかな各団体の意見を取りまとめた回答があったわけであります。  そこで、この教育課程の基準を設置していこうという方向を見ますと、それはかつて旧制師範の場合には卒業と同時に免許状というものが与えられた、今後こうした教育課程の基準を示していくわけでありますけれども、そうしますと、その示された課程に基づいてそれを履修し終わらないと卒業できない、教員になれない、こういう方向に進んでいくということは、つまり免許法の改正という問題がこれと当然からんでまいると思うのでありますけれども、今後この教育課程の基準の建議に対して作業をどのように進めていこうとしておるのか。つまり昨年の九月三十日までに回答をくれといった回答についてはいささかおくれておると思う。そういうものを取りまとめをして教養審としてどういう作業を――あなた方教養審でないから直接は言えないかもわかりませんけれども、これからしょうとしておるのか。それから教養審が中間報告をまとめて、各団体からの回答に基づいて最終的な答申案を出せば、その最終的な答申案に対して文部省としてはどうしようとするのか。
  164. 杉江清

    ○杉江政府委員 教養審としましては各団体の意見を文書でとり、またその説明をも聴取して十分広く意見を聞き、それを勘案して、いま最終的な答申をしようとして鋭意審議中でございます。その答申を受けましたら、まずそれを基礎としながら設置基準を他学部並みのものをつくるという作業を早急にいたさなければならぬと思います。  なお、その教育課程の基準を今後どういうふうに扱っていくかということについては、その他の問題については、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
  165. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 大学基準等研究部議会というのが一方文協省の中に置かれていますね。こっちのほうの作業とはどういうふうに関連しますか。
  166. 杉江清

    ○杉江政府委員 おおよその日程を申し上げれば、教養審のほうの御答申は近くあるものと思います。それを受けましてすぐに大学基準等研究協議会で設置基準をどうするかという作業に入るわけです。そこで早急に設置基準をまとめるということになるわけであります。
  167. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうするとあと免許法の改正等を次に答申案に基づいてやろうとするのか、どうですか。
  168. 杉江清

    ○杉江政府委員 必要に応じてやりたいと考えております。
  169. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 三十八年三月の学校設置法改正で、すでに学科目の省令化をそれに基づいて三十九年の二月二十五日にやったわけですね。ところがこの省令化をやる前に、その前の年の三十八年に各大学に対して学科目の調査をやったわけです。しかもその調査というのが文部省のほうから案を示して押しつけてやっていっておる。しかもその省令化の過程の中で鹿児島大学の教授会等は反対決議をしてがんばっておったわけです。そういう中で、つまりこの省令化については各教員養成関係大学なり団体なりの中においてはきわめてきびしい反対が上がってきておる。それからまた今回の教養審の中間報告に対する反応にいたしましても、私立大学なりあるいは教育関係の団体なりあるいは教育学会なりからの批判というものは、旧制師範学校のその方向に持っていこうとする教員養成関係の制度改革を、きわめて好ましからざる方向に持っていくものだ、こういうことできわめてきびしい批判があるわけです。そうした今日の教員養成制度の改革についてのきびしい批判というものについて、大臣は今後教養審の最終答申案が出され、それ以後いろいろの制度の改革を進めていくことについて、それは単なる杞憂だということでお答えになりたいのだろうとも思うのでありますけれども、しかし各団体のそういうきびしい批判というものが現実にあることは十分に御承知だろうと思います。でありますから、この教員養成制度改革についての過去を振り返ってみますときに、文部省がとってまいりましたそういう姿勢についての批判というものについて、率直に耳を傾けてやってもらわなければならないじゃないか、いかがでありますか。
  170. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、私も真剣にかつ率直に耳を傾け、いろいろの御意見を十分そしゃくして誤りのない行き方をとりたいと決心いたしております。
  171. 渡海元三郎

  172. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私先がた川崎君の質問に関連してお聞きしたわけですが、杉江局長、この今度の法律案というものはあなたはなかなかうまいことを中にまぜて提出してきている。われわれ実際分離に困るわけです。宮城大学の問題をとればこれは非常に問題です。そこでしかたがないから宮城大学の問題だけにしぼって、あとのところはいいところもあるのですから、これはしかたがないとして、悪いところをようあなた方ひとつ腹を入れておいてもらわぬと、これがあたりまえじゃ、うまく今度はまぜて通してやったという考えを持ってもらっちゃ困るのです。  そこで、私は杉江局長に率直に言いたいと思うのですが、どういう性格のものかというと、宮城大学の場合はあなたがおっしゃるように地元の率直な要求がありますね。教員が足らぬとかあるいは養成してくれとかいう、この率直な要求の上に、宮城というと大臣の足元です。大臣はその政治要求にこたえなければならぬという、そういう必然性を見越して、そしてあなた方の考えておる教員養成大学文部省のコントロール下において、そして画一化しよう、ここに問題があるのです。問題の把握をどういうぐあいに考えておられますか、そんなことも頭ないと言われるのがあなた方の常套手段ですよ。どういうぐあいに思っておられますか、地元の素朴な要求もありますけれども、反対もある。もっと根本的な問題がある。それのとらえ方をやはりしておいてもらわないと、これは一つ落としたらまた次は一城落としていこう、いやもう一つ築こうというのか、どちらか知りませんけれども、そういう考えを持ってもらっては困るので、最初にこれをお聞きしておきます。
  173. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは、ほかでも教員養成の単科大学があるわけであります。東京教育大学、東京学芸大学愛知学芸大学、それと同じような性格のものを宮城もつくろう、こういうことであります。
  174. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いや、そういうもののことを言うんじゃない。地元にある反対というものをどういうふうに把握しておるか。それから将来の問題を聞いていこう。地元にある反対、いまどんどん盛り上がっていっておる反対というものは何であるかということをひとつ聞いておきたい。
  175. 杉江清

    ○杉江政府委員 地元につきましては私ども率直に言ってむしろ賛成の御意見が多いので、地元の反対といいますのは、その経緯におきまして教員養成課程の先生の中に反対があったことを承知しております。そしてそれらの方々の反対、これはいろいろな御意見があったと思います。本質的に反対する立場もあれば、もっと現実的に時期の問題等を問題にする方もいろいろあったと思います。本質的に反対される方は、外に出ることによって何か国の干渉を受け、またがっての師範学校のようなものにされるんじゃないかというような危倶の念が一部にはあったのではないかと思いますけれども、しかし必ずしもそういう原理的な原則的な反対の立場のみではなく、いろいろ御意見があったように承知いたしております。
  176. 三木喜夫

    三木(喜)委員 もうちょっとあなた割り切ってものを言ったらどうですか。いろいろな反対があったというのは、いろいろな反対を聞いているんですよ。いまのは、あなた方のその反対のとらえ方というのは、まるで社会党は何でも反対するんだというようなとらえ方と一緒ですよ。私たちは何でも反対しはしないのです。問題があるから言うんですよ。反対するのはその反対する根拠があるから言っている。あなた方はもうひとつ突き詰めれば政党くらいのところに持っていってしまうきらいが、その話の中には出てきそうだ。そうでなくて、大学の自治とかあるいは研究とかいうものを守る立場から出ておる話ならば、やはり耳を傾けて、それをここで表現したらどうですか。そんな言い方をするのは不見識だと思うんです。  もう一つ私はあなたにちょっと聞いておきたいのですが、この前二、三年前の話でした。いわゆる東北大学教員養成機関を出てきた者に対して、県の採用試験に一挙に十名も不採用にした、おととしであったと思うのですが。自分たちが、あるいは国家の力で、あるいは県の要請で大学へ行って、そうしてそこから教員になって出てきておる者を十名ほど不採用にしてしまった。前年は一人です。その理由は何かというと、学生運動をやった、こういうことであって、私はその当時からこの東北大学の動向というものに対して、あるいは教員採用状況に対して、あるいは教員養成に対するところの地元のかまえ方というものに対して、非常に疑問を持っておった。はたせるかな、その足元でこんなことをやりかけた。しかもそれを現職の文部大臣のいるところでやる。文部大臣は政治的な要請にこたえてということがいえるだろうと思いますけれども、しかしあなた方が何かそういうところでやることについて、私たちは納得のいかぬ点がある。それはあとでそういう問題について触れていきたいと思うのですが、反対の焦点は、何か、これは深甚に反省してもらう意味で私言うんですよ。もう一ぺん言ってください。
  177. 杉江清

    ○杉江政府委員 いろいろな御意見があるので、それをまとめることはなかなかむずかしいことなのです。まあ先ほど申し上げましたように、外に出ると何か格下げになるのじゃないか、いろいろ締めつけられるのじゃないかという危倶の念があったことは確かだと思います。そこで、そういう危倶から発したる具体的な御要望として、教員養成にも研究面が当然入るんだ、また入らなければならない。先ほど来御質問の講座制等の大学もあるわけでありますが、とにかく単に教員養成ということだけでなしに、大学が本質的に持っている研究面が薄らぐのではないか。東北大学に残れば、他学部の研究体制もかなり整備されておる、そういうことがあり、研究意欲も向上されるけれども、しかし外に出たらその点が薄らぐのじゃないか、こういう御心配があったわけであります。総じて別になったときには教員養成ということだけにすべてをしぼられて、何かとむしろ程度が下がるのじゃないか、こういう御危倶だと私はつかんでおります。  そこで、それに対する一つのお答えとしては、今度できます教育大学には理科教育研究施設というものを設けることにいたしておるわけであります。これはほかの大学には例がないといってもいい、ただちょっと似たものがありますけれども、ほとんど初めてそういう研究施設をつくって、そして普通の教官定員の積算のほかにその定員をつけておるわけなんです。そういうことで決してこれを何か研究の面においても格下げするものではい、むしろこのことによって教育研究の充実をはかるんだ、こういう私どもの意図を具体的にそれによってあらわしたつもりでございます。ちょっとよけいなことまで申し上げましたけれどうも……。
  178. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなたは管理局長をしておられる当時でしたか、御存じのように大学管理法というものを出そうとした動きがありましたが、そのほか認証官制度によって大学をコントロールしようという意図が見えました。そのつどこれについてはわれわれが国会内で反対しただけでなく、世論の反対がありあるいは大学側の反対もあったし、あるいは文化人や新聞あたりの反対もあったわけです。そういうような問題を踏まえて、今次のこの宮城大学というものは、要するに静かに行政指導ないしはこういう分離するような形で教育学部や学芸学部を総合大学から切り離していくというかっこうの中から、あなた方のコントロールするという思想が出てきた、なしくずし的にやろうとすることが出てきた、ここに反対の一つの論拠がある。そういうところはあなた方はそういう意図がないとおっしゃるでしょうけれども、われわれとしてはそういう反対も、そういう不安も持ちますし、いままでずっと考えられてきたものを、今度は法律という体系をとらなくて、行政指導のかっこうの中にこれを埋め合わして、そうしてそれを通していこう、そうしてこれが一つできればその次もやろうという意図が考えられるので非常に心配しておるわけです。そういうことはありませんか。
  179. 杉江清

    ○杉江政府委員 ほかにも教員養成の単科大学があるわけでございます。繰り返して申し上げますように、東京、愛知、大阪、岐阜、福岡、それらは別に特にそれによって国の干渉を強化するとか、特別の措置は全くいたしておりません。それと同じものを宮城教育大学につくろう、こういう意図でございます。
  180. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私らが言うと、社会党がしゃべるのだからということであなた方は耳に入らぬだろうと思いますが、朝日ジャーナルに書いてありますよ。三月二十一日のジャーナルを読みますと、そういうことはありませんといまあなたははっきりしたことをおっしゃったのですが、一番最初に、「具体的には、教育学部や学芸学部を総合大学から切離そうという動きの強まりである。一昨年あたりから、教員養成関係の学部の学科目を省令で定め、これを実質的に文部省のコントロール下におこうという動きがめだっていた。」それからもう一つです。「また、全国の教育学部におかれている学科目の名称や、その学科目の組合せである教育課程がおどろくほど画一的なものにされてきているという傾向も見のがせない。」いわゆる新制大学は画一化されているという。文部省のその言い方に対し、こういうように画一化をやっているという意見が出ておるわけです。これに反論できますか。
  181. 杉江清

    ○杉江政府委員 学科目の省令は教員養成の学部だけについてやったのではなくて、ほかの学部についても同様の措置をいたしておるわけであります。だからほかの学部並みの措置を教員養成の学部についても行なったわけでありまして、これはそういう省令で何かどんぴしゃり押えて動きのとれないようにするという趣旨のものではありません。いままで各大学の実態が明らかになっていなかったので、それを明らかにしていこうということでやったものであります。その大学における学科目のあり方については、これは基本的にはどこの学部でもその設置基準等によりますが、しかし各大学に相当な自由が認められております。教員養成大学についてもそのたてまえは同様でございます。ただ教員養成大学については、いままであまりに中身の基準もほとんどないに近かったし、それからその結果各大学のアンバランスが他の学部以上にはなはだしかったし、またしたがって内容も整備されてなかった。それを今度教養審の教育課程の基準ができれば、できるだけその基準に沿っていただくという努力を各大学でもしていただく、また文部省としてもそれによって学科目の整備、教官の整備に努力したい、こういう趣旨のものでありまして、いまの学科目の省令その他の措置によってがんじがらめに押えつけるというそういう意図は持っておりません。
  182. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなたはそう言うだろうと思いました。その次を読んでみます。「昨年秋には、突然、東京、大阪、和歌山などいくつかの教員養成系大学学部の教官定員を減らす方針が伝えられた。しかもそれは、学科目と役職名を指定したものであっただけに、事実上の指名解雇にひとしいものであった。」あなたはないとおっしゃったことをあると書いてあるのです。「文学部、法学部、理学部などの学部ならばとうてい考えられないほどの干渉が、省令にもとづいて、行政的必要の名のもとに加えられているのが、教育学部・学芸学部である。」あなたはそうでないと言うが、あると書いてあるでしょう。こういう雑誌は文部省をおとしいれるためにうそ八百書いておるのではない。私たちはこれに賛成するわけです。私はこう思っておるからこれを読んだわけです。あなた方はそれをないと言うておるのだけれども、そうだと言っておるじゃないですか。これは政府の文書じゃないですからね、官報じゃありませんから、あなた方が言ったというわけじゃないですけれども、こういうように世論の一つとして言っております。それについてどう思われますか。
  183. 杉江清

    ○杉江政府委員 確かに四十年度の概算要求にあたって、教員養成学部の教官の大幅な整備を行ないたいと考え、そしてその大幅な整備を行なう中で、一部については非常にアンバランスなところもあるから、そのアンバランスなところはこれを減少する。しかしその減少はなま首を切るとか減らしっぱなしにするということでなくて、ほかの特設課程等の増設によってそれを置きかえていって中の定員の合理化をはかる。そうして総体においては教員養成学部の教官の整備、学科目の整備をはかりたい、そういうことでそこにしるされておるような措置に着手しようといたしました。しかし、これについては私どもの考えることが正しく理解されなかった、また理解されなかったことについては、私どもの用意の足りないところがあったのであります。そういった点を反省いたし、学部長ともよく相談の上、その基本的な考え方については了解できるところもあるけれども、しかし一挙にそれをやろうとしても無理だから、こういう御意見に従って今後の検討課題として、そのことを行なうことをやめたのであります。
  184. 三木喜夫

    三木(喜)委員 教養審でそういう審議をするときに、こういうことを次々とあなたが行政指導という名のもとに省令によってコントロールするという方向を出しておる。ここに問題があると思うのですよ。教養審の審議を私たちはよく見守らなければならぬ時期でしょう。しかも大臣の足もとで、やかましく言うと、やり方によっては大臣にも傷がつきますよ。私はやはり大臣を傷つけるようなことはいけないと思います。だから、なぜこんなところで徐々になしくずし的にやるのか。今後こんなことはやりませんか。これでおしまいですか。次々にやる予定があるのですか。こういう宮城教育大学というようなものをつくるような、これと同じようなものをつくっていくという予定を持っているのですか。大臣これはどうですか。
  185. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは先ほど川崎委員の御質問にもお答えいたしましたが、平たく申しますと、ほかの県と同じような教員養成課程中心の大学をつくりたい。これは平たく言えば県民の要望でございます。それにこたえるということが一つの中心にもなっておりますが、こういう種類のものはほかにはあり得ない、こういうふうに考えております。
  186. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あり得ないところが問題になるのですね。そこで杉江局長、大学の自治とそれから研究の自由、こういうことが大学でなぜ尊重されなければならないか、このたてまえをひとつ言ってください。
  187. 杉江清

    ○杉江政府委員 基本的な問題の御質問でございますが、私は大学に自治を認めることが学問の発達にもいいし、またそこの教育をいいものにする基本的な体制である、かように考えております。
  188. 三木喜夫

    三木(喜)委員 結局真理を探求するわけですから、あらゆる学問とか文化とか、あるいは芸術にいたしましても、あるいはその国の進歩発展にいたしましても、真理を探求していかなかったらいけないので、そこで文部省のコントロールということをはずしてやっていくわけです。あまりコントロールすることは、大学の自治と研究の自由を侵すということでやられておるわけです。学問というものは真理の探求でしょう。そこでもう一つお聞きしたい。川崎君も触れたと思いますが、基本的な問題ですからお聞きいたしたいのでありますが、いろいろ大学に形があります。学芸大学とか東京教育大学とか、それから学芸学部、教育学部というように四種類あります。これはどういう違いがあるのですか。
  189. 杉江清

    ○杉江政府委員 旧制大学にあります教育学部については、これは教育科学研究ということに主眼を置いており、教員養成を直接の目的にしてはおらないのでありまして、その他の教育学部や学芸学部は、その実態は教員養成を主にしております。ただ教育学部においては、文理学部のあるところにおいては文理学部にかなり多くの分野の教育を依存しており、中にはほとんどすべて文理学部のほうに依存しておるのもありまして、かなり他学部に依存しておるというところに特徴があります。学芸学部は、本来発生的には必ずしも教員養成だけをやるものではなく、リベラルアーツ一般について教育をするところだという観念も発足当時にはあったと思います。しかし現実には教員養成を主にしておる。けれどもその発足当時の考え方なり組織などがいまも残っておるところもあるわけでありまして、なお学芸学部においては一般教養を担当しておるところが多いというような特色があると思います。
  190. 三木喜夫

    三木(喜)委員 学芸大学は学部と同一だというのですか。
  191. 杉江清

    ○杉江政府委員 おおむね同様であります。
  192. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、あなたの言われることは、先ほどから説明しておることがおかしくなりませんか。ほかの職業に出ていく者があったりして教員に定着しないからというお話でしたが、学芸学部あるいは学芸大学ならば、ここで基礎的な学問をやると同時に教員養成もやる、こういうことになるでしょう。そうすると勢い他に出ていく者があることは当然の話で、そういうところで自由にしておられたと思うのであります。ちょっと矛盾を感ずるのです。
  193. 杉江清

    ○杉江政府委員 私、発生的には学芸学部というものはそのような意味を持っておったということを申し上げたのでありますが、現実には教員養成を主としてやっておるわけであります。しかし学芸学部の名称及びその当初の意味合い等から、何か教員養成をさる目的ともしないというような主張が時に出ることがあるのであります。またそういうような意味合いがあって、なかなか設置基準も他学部並みのものがつくれなかった経緯があるのでありますが、これはやはりほかの学部と同じように、その学部のさる目的が何であるかを明らかにするということが内容整備、教官整備に必要だ、そうしてその性格は何かといえば、それは教員養成を主たる目的とするものだ、こういうことに考えて、そういう角度から整備をすることが、ほかの学部と同様な意味合いにおいてきわめて必要なことだ、かように考えております。
  194. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなたのおっしゃったように、宮城県においては教年前から小、中学の教員が少ない、こういうところからくるところの地元の要請、これが一つの背景をなしておる。東北大学から分離する宮城大学の背景、それからもう一つは全国で大学が多過ぎるということ、それから予算もきまり、ついておるのですから、それはそれでやっていこうということ、こういう三つが背景だと思いますが、しかし私たちの心配することは、このあと新潟大学や金沢大学や横浜国立大学などいわゆる国立新制大学においても同様の動きが見られるということをやはり指摘しておかなければならない。そういうことはないですか。静かにそういうところでも予定する、宮城大学ができれば、いま申し上げましたようなところでもやろうという意図を持っておられるのですか。
  195. 杉江清

    ○杉江政府委員 いまのところ考えておりません。
  196. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それでは次に予定地の問題です。川崎君もこれに触れられまして、齋藤局長もその予定地についてのお話がありましたけれども、私は核燃料物質に対するところの規制があると思うのです。そうしていま予定地になっておるところは、愛知大臣科学技術庁長官ですし、いま核問題については非常に熱心なんですが、そういうところに廃棄物の倉庫が敷地の百メートルのところにあるとか、私は行って見ておらないから知りませんが、そういう心配を地元では持っている。そしてそこにあるところの設備というものは非常にお粗末なものであります。こういうことで次に移転を予定されておるところの東北大学の農学部ですか、これはいまのかない、移転しないと言っておる。そこで宮城教育大学がそこに移転するということですが、それも解決ついていない。ここにも敷地的に一つ問題があると思うのです。これはどういうようになされる予定なんですか。これは危険じゃないですか。
  197. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 御質問の第一点の大学施設につきましては、先ほどお答えいたしましたように、施設につきましても三十九年度から始まって四十一年度に完成をする予定に従来なっておりまして、設備もそのようになっております。したがいまして、教育大学が一時使用いたします期間というものは、いまおっしゃったような核物質の危険はないということであります。  それから第二の御質問の農学部のことにつきましては、これはもともとこの教育大学の独立ということとも関係なしに、大学自体も設定審議会の方針として青葉山の久保田地区に移転をして集めるということの計画が順次進んできた、その一つでありますが、その経緯におきまして、先ほど申しました農場につきまして三点にわたる反対がある。しかしこれにつきましては、設定審議会において小委員会を設けて対策を検討いたしておりまして、これにつきましては学長も学内の問題として動くだろうという見通しでございますので、私どもとしては、たまたまこの教育大学の新設というものが入りましたが、もともと東北大学の総合移転整備という大きな計画が進行している、その一環でございますので、その既定計画を進めることが東北大学にとりましても、また新しくできます教育大学にいたしましても、施設面の充実ということになろうかと考えるのであります。
  198. 三木喜夫

    三木(喜)委員 放射能の廃棄物、そういうものがあって危険であるということについてはだいじょうぶなんですか。
  199. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 私、その稼動、この研究施設が四十二年度から動き出した場合の処理あるいは危険物の廃棄ということは、私は専門的知識もございませんけれども、いま申しましたのは、大学の総合移転のいわばローテーションの一部としてこの教育大を使うわけでございますので、その使いますのは四十二年度まででございます。四十二年からは、いまありました農学部の施設とそれの不足を補うことと一部改修することとで教育大学が使うわけでございます。それまではこの富沢地区の大学施設のところを使うわけでありますけれども、その間は動き出さないわけでございますから、いまの施設を改修して使う校舎と、ほかの危険の問題とは時期的に関係がないというふうに考えます。
  200. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、いま廃棄物をそこに置いていないのですね。
  201. 村山松雄

    村山説明員 仮校舎予定地の富沢地区で予定しておりますのは、直線加速機と申しまして、素粒子の研究施設でありまして、原子炉のようなものではございませんので、廃棄物というような問題は起こらないのでございます。
  202. 三木喜夫

    三木(喜)委員 危険はないですね。
  203. 村山松雄

    村山説明員 現在のところは、まだ全然放射能が出ておりませんし、それからまた出るようになりましても、これは原子炉と違いまして、機械は動かしておるときだけビームが出るわけでございまして、とめればとまってしまうわけでございます。したがって、廃棄物というような問題はございません。
  204. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いずれにしても、放射能の危険というようなものは、動かしておるときだけだ、それは百メートル以内で、そういう動かすことは、そこに学校がきまって生徒が入ればやらないということになりますね。
  205. 村山松雄

    村山説明員 現在建設途上でございますので、予定いたしました宮城教育大学の仮校舎使用期間中は機械が動きませんので、全然ございません。したがって、危険がかりにあるとすれば、万一仮使用期間が延びた場合ということになるわけでございますけれども、直線加速機の設備が完成いたします時期には、これはもちろん放射能の漏洩防止のための防護施設もあわせて完成できるわけでございますので、そのような施設が完成すれば、またそれはそれで外部には危険はないということを大学当局も言っております。私どもとしては専門でありませんので、その御説明を信じまして、御説明を申し上げておる次第でございます。
  206. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、これはもうちょっと詰めて聞いておきたいと思うのですが、あなた方は私たちは知らない、しかし大学当局はそう言っておる、しかし核燃料物質とか放射能を出すとかいういろいろな問題については、そういう軽軽な考え方でいいでしょうか。核燃料とか放射能とかみんなどこからでも人体に危険を及ぼすものを、そういう調査のしかたや、そういう受けとめ方では困ると私は思う。それだからして、いろいろ科学技術特別委員会でもその問題をいま審議しようとしておるわけです。そういう受けとめ方で――齋藤さん何か自信がありそうですから……。
  207. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 私はそちらのほうは自信があるわけではなくて、むしろ私のほうの施設計画としては、四十二年度にこれが全部運行するわけでございますから、その間を利用するという計画を私どもは大学から受け取っておりますので、そのことと、それからいま全面的に動き出して、そして実験が行なわれる場合のその防護という問題は別だということを申しておるわけでございます。
  208. 三木喜夫

    三木(喜)委員 次に、もう一つお聞きしておきたいのですが、これは何といいますか、ここに学芸大学をつくるという審議の途上において、その会議のしかた、それを問題にしたいのです。私たちも心配しておるわけです。非常に非民主的なやり方でやられたといううわさを聞いておるわけでございます。これも確かめておきたい、はたせるかな、これにもそういうことが書いてある。この「現実的」な、「審議」のところをちょっと読みますと、「分離決定までの学内審議のあり方をみると、むしろ学長・学部長・事務局長などといった学内上層部と文部省の間でことは運ばれ、当事者としての教育学部教授会には、実質的な審議をする機会が十分に与えられたとはいえない。とくに年末の評議会は、学内をさけて市内のホテルを会場とし、学生、職員組合のつよい抗議のなかを、警官隊にまもられて投票決定されたという異例のいきさつさえ伝えられているのである。この決定後、法・経両学部の教官有志から、学部自治の原則を無視したものという強い抗議声明さえ発表された。ここにいたるまでの終戦以来の歴史的事情や、それが生みだした感情的な問題なども無視できないにしても、大学の自治の根幹としての学部の自治が、実質上侵害されかかっているという事態は、みのがすことはできない重大な問題である。」こういうことであります。どうですか、こういうやり方、警官が守ったとか、それにはいきさつがあったでしょうから、聞かしてください。そういうことで押しつけがましくここに宮城大学が誕生しようとしている。誕生にはまことに不吉なきめ方である。これはいけないことです。教育の場をここでしつらえるというのに、こういうきめ方は、教育でこんなことをさすことは、いけないことです。こんなことをして学芸大学が誕生しても決して自慢にはならぬ。(発言する者あり)その原因を知らない、根源を知らないから騒ぎよる。あなたは与党に守られて、非民主的なことでもいいというような考え方を持っていますか。与党の議員がきょうはたくさんおるから、支援があるからといって、いいかげんな答弁をしては困る。
  209. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは先ほど川崎先生の御質問に答えてある程度のその間の経緯を申し上げたつもりでおりますけれども、要するに先ほど大臣からもお話のありましたように、この問題はかねてからの懸案であり、三十九年度予算で調査費に認められておったような経緯にかんがみまして、文部省としては、来年度予算でどうするかをきめなければならぬから、大学としてひとつ十分お考えいただきたい、こういうことを私どもも申し上げたわけでございます。それを受けまして、大学としてはまず教育学部で十分審議するということでしばしば会を持って慎重に審議されたわけでございます。しかしそこでは意見がまとまらないから、そのまとまらないということを学長に伝えたわけでございます。学長としては、その結果をどう扱うべきかということで、学内で十分慎重に審議された上、この問題は評議員会においてその扱いを十分審議し結論を出すべきだ、こういうふうな判断に立たれて、今度は評議員会へはかって、その結果を私どもにお伝えいただいたわけでございます。私は、大学の自治、そういう点については、学長はじめ大学の幹部の方たちが十分に配慮された結果だと考えております。
  210. 三木喜夫

    三木(喜)委員 あなたのお話では、下からずっと盛り上がってきて文部省がそれを受けて立った。これは文部省から上のほうだけ話をして下のほうに話をしなかった、あとでそういうことが明らかになったら、また一ぺんあなたに聞きましょう、ここでは、あなたはそういう答弁をしたのですから。そこで教員養成大学の問題、こういう問題は、いま答申待ちのことですから、いずれこれについては後刻大臣とまた話をいたしましょう。一応ここでおきます。
  211. 渡海元三郎

  212. 長谷川正三

    長谷川(正)委員 私も、ただいま非常に論議を呼んでおります宮城教育大学の新設の問題につきましては、先ほど来の川崎委員、いまの三木委員との質疑あるいは答弁を伺っておりまして、やはり釈然としないものがあります。特に教員養成制度をどういうふうにするかという問題がまだ非常にいろんな議論があり、審議の過程にある中で、これがいま伺っていればやや強行される形で新設されるという点にも問題があります。つまり教員養成制度の問題についてもう少し真剣に討論をする必要があると思う。さらにまた、教員養成制度を離れましても、一般的に大学の学問の自由、大学の自治を保障するという立場からも、今回の取り運び方に幾多の疑義を感じますし、さらにまた、具体的、事務的に見ましても、敷地の問題や、その移行過程の問題を見ましても、幾多の不安が払拭できないのでありますし、さらにまた、設置に至る過程において、その取り運び方においてたくさんの問題を包蔵したまま一方的に押し切っていく、こういったような印象もちっとも払拭されておりませんので、どの角度から見ましても、この問題については納得がいかないのであります。この国立学校設置法の一部を改正する法案全体を見ますと、理想からなお遠いものがあるにしても、少なくとも現状より一歩前進の部分もたくさんありますので、その点は私どもとしては肯定する面もないわけではないのですけれども、こういう毒まんじゅうがくっついていたのでは、いかんともわれわれは賛成できないわけであります。しかし私がまたここでこれの質問をし始めますと、川崎委員三木委員の質問されたことを別の角度から質問申し上げなければならなわけですが、時間も経過しておるようでありますから、議事に協力するわけではありませんけれども、重複を避けまして、ただ私は、国立学校設置法に対してどうしてももう一点御質問を申し上げ、特に当局に強く御要望申し上げたいと思う点がありますので、その点についてこれから質問したいと思います。  私は昨年の四十六国会以来文教委員をつとめさせていただきまして、実は約一年以上、いつも質問通告をしながら、それに触れる機会が得られませんで今日までずっと延引しまして、ようやく先般予算委員会の分科会において、これもきわめて制限された時間で、ほんの一言か二言御質問を申し上げる機会を得たわけなんです。それは何かと申しますと、その国立学校設置法等の一部改正ということは、もちろん今日の産業、経済、文化の進展に応じて、国の教育体制というものを整えるという観点からこの法案が出されたと思うのですけれども、そういう中で、この点はちょっと弱いのではないか。それは、私は先般予算委員会でも申し上げましたが、林学の問題でございます。日本は御承知のように六八%が森林でおおわれておる。しかしながら今日これが――ちょうどこの委員会でも埋蔵文化財等の保護の問題も、今日の土地の造成やあるいは道路の開発等の問題で危機に瀕しているということがしばしば指摘されておりますが、それ同様あるいはそれ以上に、今日、日本の森林の問題、林業の問題については大きな危機にきているのではないかという感じを痛切に持つものであります。私は、東京では唯一の山林を若干持っておる三多摩地区に住んでおりますが、実は選挙運動という意味じゃなくて、この三多摩を見てみまして、ほんとうに、このままいったら三多摩のわずか残った緑もどうなるかという、これは単に産業、経済の問題というよりも、もっと人間の精神に及ぼす問題も含めて非常に痛切に感ずるのです。これはどこを回っていってもその感を深くするばかりで、だいぶいい方向が出てきた。これは与党の皆さんもよく旅行をされ、そのときの感想を聞きますと――与党の方からもこのままではうちのほうもまる坊主になりそうだ、こういう話があるのです。実は、昨年八子ガ峰の植樹祭があったおりに、私も山林の問題が気になっておりましたので伺いました。文部大臣は当時おいでにならずに、ここにいらっしゃる当時の八木政務次官がおいでになりました。まことに荘大なみごとな植樹祭なんだけれども、よくもまああの大きな八子が峰の山があれだけ完ぺきな、まるで芝生のようにまる坊主になったものだということを痛切に感じたわけです。あれは入会林ということで、取るにまかせてああいう状態になった。植樹祭としてはりっぱですよ。私は痛切にそのことを感じた。  最近この国会に入りましてからも、農林水産委員会の議事録等を見ますと、林業問題について貧困の点が非常に強く指摘されております。もちろん政府としても林業基本法ですか、そういったものをつくって急速これに対処されている努力は最近見えておりますけれども、今日の林産物に対する、単なる建築材料とか紙の材料とかいうようなことより、御承知のように、科学の進歩の中で林産物の需要というものは非常に飛躍的に増大しておりますし、貿易の面から見ましても、相当な部分を占めておる、こういう状態になってきておるのです。そういう中で確かに日本の農林行政のうち特に森林の問題につきましては、やはりこれは単に与党とか野党ということではなしに、国民が真剣に考えなければならないものじゃないかと思うのです。そういう場合に、やはり私は学問というものが常に先行しないと、非常にむだの多い行政施策になりはしないか、そういうことで今回のこの法案を見ますと、私は調べて驚いたのは、この前も申し上げたけれども、日本国立公立、私立、まことに大学の数は多いけれども、林学部が学部としてあるところは一つもない。これはほんとうに憂うべきことなんじゃないか、このことを質問申し上げたところ、実はそういう点も考えないではないけれども、学者の方々の意見を聞いたら、とりあえず学科を設置するというようなことが現状では妥当なんだというような御答弁で、この前の予算委員会の質問ではそれ以上私は突っ込む時間がなくて切れてしまったのです。  そこで私はこの法律審議にあたって、この問題については一体どういう学者の御意見を聞いたか、詳しくはあのとき伺えなかったのですが、どういう学者にお聞きになったのか、また林学部というものはこれ以上別にやる必要はないので、農学部なり、そういう農学一般の中でやったほうがいいんだというような御答弁もたしかあったと思うのですが、私は思うに、これはいま林学部を学部としてつくるとかあるいは林業についての専門の単科大学をつくるとかいっても、それだけの学者の体制すらないほどすでにおくれてしまっておるのではないか、そのような心配を持つわけであります。したがって、この点は決してことばのやりとりとしてではなくて、率直に林学の問題について、文教行政の責任の衝に当たる者としては真剣に取り組む必要があるんじゃないか、このことを非常に強く感じますので、これについての御見解を伺いたい。ことしの段階として、この学科を置く程度でいいというのか、将来もこういう態勢でけっこうなのだとお考えなのか、将来については、もっとこの点は十分抜本的な検討を必要とするとお考えになっているのか、そういう点についてひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  213. 愛知揆一

    愛知国務大臣 長谷川委員から予算委員会でも非常に御熱心な御議論が展開されたわけでございますが、ただいまもお話しのように、時間が十分ございませんでしたために詳細お答えできませんでしたが、そのときと多少重複するかもしれませんが、昨年の二月に、文部省におきまして、大学における林学教育の改善について学識経験者の協力を求めて検討を加えたのでございますが、そのときに出ましたこれは正式の答申というわけではないと思いますけれども、林学科については、森林生産、森林工学及び森林経営の三分野のいずれかに重点を置いて特色を持たせるように整備することが当面一番必要なことであるという御意見であったわけでございます。それをとりあえず受けまして、昭和四十年度におきましては国立四つの大学、これは東京農工、名古屋、京都、信州の四大学でございますが、それぞれに林産学科、森林工学科等を増設いたしまして、また演習林の経費あるいは演習林の設備費についてもある程度の増額の予算を組ませていただいたわけでございます。  ところで、これは私のほうからむしろ伺いたいのでありますが、それらの学者諸君の間の意見としては、林学部の設置をしてはどうかという、こういう問題も当局としては意見も出したのでありますが、それに対して林学関係の学科が農学部に所属しておりましたのは、農学も林学も教育研究の対象が植物である、いずれも生物学的基盤に立っていて、農学系の学科と共通する基礎教育の分野、たとえば土壌、肥料、肥培、防虫等の共通分野があるからである。これを農学部と林学部と切り離して林学部を創設することはかえって両者の協力関係を円滑にしないおそれがあるから妥当であるかどうか、この点についてはもう少し科学的な検討を進めたい、こういう学者諸君の意見であったわけでございまして、この点はさらに今後積極的に検討する姿勢でおるわけでございます。われわれのほうとしては、林学部を設置してはどうかという諮問をしたぐらいでございますから、われわれの意図は御理解いただけるかと思うのでありますが、こういう点につきましては、ひとつ積極的に超党派的にお力添えをお願いいたします。
  214. 渡海元三郎

    渡海委員長 ほかに質疑はございませんか。――なければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  215. 渡海元三郎

    渡海委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  216. 渡海元三郎

    渡海委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異疑ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 渡海元三郎

    渡海委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  218. 渡海元三郎

    渡海委員長 次に、三木喜夫君外九名提出市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を聴取いたします。三木喜夫君。
  219. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  科学技術の日進月歩する今日、教育の拡充発展は、世界各国、共通の課題であり、完全なる教育の質的充実発展につとめていることは御承知のとおりであります。  しかるに今日の日本現状を見ますと、教育公務員の勤務条件は決して十分とはいえず、相当大きな超過勤務が行なわれ、過重労働に追い込まれているのであります。  すなわち、本来職務の内容から不特定の雑務まで一切を背負わされ、法律に基づく一日八時間、一週四十四時間以内では、とうていその職務を処理することができず、超過勤務を余儀なくされているのが実態であります。  一九五二年における文部省初中局の調査によりましても、教育公務員は社会教育活動を除いて一人当たり一週十一時間の超過勤務が行なわれており、四人の仕事を三人で処理しているのであります。  教育公務員の絶対数の不足や免許外教科の担当や過大学級によるのはもちろん、受け持ち時間数が多く、これに伴って、研修、授業準備、事後処理、採点などに要する時間が増加しており、さらに、生徒会指導、校外指導、家庭訪問などの重要な指導に相当時間がかかるためであります。  また、事務職員、養護職員、給食関係職員、用務員の不足から、調査統計給与等の事務や出張、集金、給食、保険衛生、図書等に関する仕事が多く、さらに湯茶接待、清掃、営繕等の不特定の雑務が多いことが原因となっているのであります。  以上のような勤務実態は、本来の教育活動を大きく妨げていることはもちろん、教育公務員の私生活まで圧迫し、健康的で人間らしい生活をゆがめているのであります。  このような超過勤務が現実に存在するにもかかわらず、超過勤務手当すら支払われないことはきわめて遺憾なことであります。教育公務員以外の公務員については、法的根拠に基づいて超過勤務手当が支払われており、またそのために給与の六%に相当する額が予算化されているのでありますが、ひとり教育公務員のみが、超過勤務をしているにもかかわらず超過勤務手当が支払われないのは不当であります。  現実教育公務員が超過勤務を行なっている以上、理由の如何にかかわらず、超過勤務手当を支払うべきであり、このことは労働基準法やその他の諸法令、次官通達、人事院事務総長の回答、京都地裁判決、千葉県人事委員会の判定等から当然のことであり、昨年八月の人事院勧告も教育公務員の超過勤務手当について「現行制度のもとに立つかぎり、成規の時間外勤務に対しては、これに応ずる超過勤務手当を支給する措置が講ぜられるべきは当然である」と述べており、教育公務員のみを例外として認めることは許されないのであります。  したがって、この際、所要改正を行なおうとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。(拍手)
  220. 渡海元三郎

    渡海委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時四十一分散会