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長谷川(正)
委員 私も、ただいま非常に論議を呼んでおります宮城
教育大学の新設の問題につきましては、先ほど来の
川崎委員、いまの
三木委員との質疑あるいは答弁を伺っておりまして、やはり釈然としないものがあります。特に教員養成制度をどういうふうにするかという問題がまだ非常にいろんな議論があり、
審議の過程にある中で、これがいま伺っていればやや強行される形で新設されるという点にも問題があります。つまり教員養成制度の問題についてもう少し真剣に討論をする必要があると思う。さらにまた、教員養成制度を離れましても、一般的に
大学の学問の自由、
大学の自治を保障するという立場からも、今回の取り運び方に幾多の疑義を感じますし、さらにまた、具体的、事務的に見ましても、敷地の問題や、その移行過程の問題を見ましても、幾多の不安が払拭できないのでありますし、さらにまた、
設置に至る過程において、その取り運び方においてたくさんの問題を包蔵したまま一方的に押し切っていく、こういったような印象もちっとも払拭されておりませんので、どの角度から見ましても、この問題については納得がいかないのであります。この
国立学校設置法の一部を
改正する法案全体を見ますと、理想からなお遠いものがあるにしても、少なくとも
現状より一歩前進の部分もたくさんありますので、その点は私どもとしては肯定する面もないわけではないのですけれども、こういう毒まんじゅうがくっついていたのでは、いかんともわれわれは賛成できないわけであります。しかし私がまたここでこれの質問をし始めますと、
川崎委員、
三木委員の質問されたことを別の角度から質問申し上げなければならなわけですが、時間も経過しておるようでありますから、議事に協力するわけではありませんけれども、重複を避けまして、ただ私は、
国立学校設置法に対してどうしてももう一点御質問を申し上げ、特に当局に強く御要望申し上げたいと思う点がありますので、その点についてこれから質問したいと思います。
私は昨年の四十六
国会以来文教
委員をつとめさせていただきまして、実は約一年以上、いつも質問通告をしながら、それに触れる
機会が得られませんで今日までずっと延引しまして、ようやく先般
予算委員会の分科会において、これもきわめて制限された時間で、ほんの一言か二言御質問を申し上げる
機会を得たわけなんです。それは何かと申しますと、その
国立学校設置法等の一部
改正ということは、もちろん今日の
産業、経済、文化の進展に応じて、国の
教育体制というものを整えるという観点からこの法案が出されたと思うのですけれども、そういう中で、この点はちょっと弱いのではないか。それは、私は先般
予算委員会でも申し上げましたが、林学の問題でございます。
日本は御承知のように六八%が森林でおおわれておる。しかしながら今日これが――ちょうどこの
委員会でも埋蔵文化財等の保護の問題も、今日の土地の造成やあるいは道路の開発等の問題で危機に瀕しているということがしばしば指摘されておりますが、それ同様あるいはそれ以上に、今日、
日本の森林の問題、林業の問題については大きな危機にきているのではないかという感じを痛切に持つものであります。私は、東京では唯一の山林を若干持っておる三多摩地区に住んでおりますが、実は選挙運動という意味じゃなくて、この三多摩を見てみまして、ほんとうに、このままいったら三多摩のわずか残った緑もどうなるかという、これは単に
産業、経済の問題というよりも、もっと人間の精神に及ぼす問題も含めて非常に痛切に感ずるのです。これはどこを回っていってもその感を深くするばかりで、だいぶいい方向が出てきた。これは与党の皆さんもよく旅行をされ、そのときの感想を聞きますと――与党の方からもこのままではうちのほうもまる坊主になりそうだ、こういう話があるのです。実は、昨年八子ガ峰の植樹祭があったおりに、私も山林の問題が気になっておりましたので伺いました。
文部大臣は当時おいでにならずに、ここにいらっしゃる当時の
八木政務次官がおいでになりました。まことに荘大なみごとな植樹祭なんだけれども、よくもまああの大きな八子が峰の山があれだけ完ぺきな、まるで芝生のようにまる坊主になったものだということを痛切に感じたわけです。あれは入会林ということで、取るにまかせてああいう
状態になった。植樹祭としてはりっぱですよ。私は痛切にそのことを感じた。
最近この
国会に入りましてからも、農林水産
委員会の議事録等を見ますと、林業問題について貧困の点が非常に強く指摘されております。もちろん政府としても林業
基本法ですか、そういったものをつくって急速これに対処されている
努力は最近見えておりますけれども、今日の林産物に対する、単なる建築材料とか紙の材料とかいうようなことより、御承知のように、
科学の進歩の中で林産物の需要というものは非常に飛躍的に増大しておりますし、貿易の面から見ましても、相当な部分を占めておる、こういう
状態になってきておるのです。そういう中で確かに
日本の農林行政のうち特に森林の問題につきましては、やはりこれは単に与党とか野党ということではなしに、国民が真剣に考えなければならないものじゃないかと思うのです。そういう場合に、やはり私は学問というものが常に先行しないと、非常にむだの多い行政施策になりはしないか、そういうことで今回のこの法案を見ますと、私は調べて驚いたのは、この前も申し上げたけれども、
日本は
国立、
公立、私立、まことに
大学の数は多いけれども、林学部が学部としてあるところは一つもない。これはほんとうに憂うべきことなんじゃないか、このことを質問申し上げたところ、実はそういう点も考えないではないけれども、学者の方々の意見を聞いたら、とりあえず学科を
設置するというようなことが
現状では妥当なんだというような御答弁で、この前の
予算委員会の質問ではそれ以上私は突っ込む時間がなくて切れてしまったのです。
そこで私はこの
法律の
審議にあたって、この問題については一体どういう学者の御意見を聞いたか、詳しくはあのとき伺えなかったのですが、どういう学者にお聞きになったのか、また林学部というものはこれ以上別にやる必要はないので、農学部なり、そういう農学一般の中でやったほうがいいんだというような御答弁もたしかあったと思うのですが、私は思うに、これはいま林学部を学部としてつくるとかあるいは林業についての専門の単科
大学をつくるとかいっても、それだけの学者の
体制すらないほどすでにおくれてしまっておるのではないか、そのような心配を持つわけであります。したがって、この点は決してことばのやりとりとしてではなくて、率直に林学の問題について、
文教行政の責任の衝に当たる者としては真剣に取り組む必要があるんじゃないか、このことを非常に強く感じますので、これについての御見解を伺いたい。ことしの段階として、この学科を置く程度でいいというのか、将来もこういう態勢でけっこうなのだとお考えなのか、将来については、もっとこの点は十分抜本的な検討を必要とするとお考えになっているのか、そういう点についてひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。