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1965-03-05 第48回国会 衆議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月五日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 渡海元三郎君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君 理事 二宮 武夫君    理事 山中 吾郎君       久野 忠治君    熊谷 義雄君       中村庸一郎君    橋本龍太郎君       松山千惠子君    足鹿  覺君       川崎 寛治君    高橋 重信君       前田榮之助君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (大学学術局         長)      杉江  清君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君  委員外出席者         文部事務官   栗山 幸三君         専  門  員 田中  彰君     ───────────── 二月二十五日  委員橋本龍太郎君及び松山千惠子辞任につ  き、その補欠として中村梅吉君及び水田三喜男  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村梅吉君及び水田三喜男辞任につき、  その補欠として橋本龍太郎君及び松山千惠子君  が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員橋本龍太郎君及び長谷川正三辞任につ  き、その補欠として灘尾弘吉君及び野原覺君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員灘尾弘吉君及び野原覺辞任につき、その  補欠として橋本龍太郎君及び長谷川正三君が議  長の指名委員に選任された。     ───────────── 二月二十四日  女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(千  葉千代世君外四名提出参法第三号)(予)  学校教育法等の一部を改正する法律案千葉千  代世君外四名提出参法第四号)(予) 同月二十五日  へき地教育振興法の一部を改正する法律案(豊  瀬禎一君外四名提出参法第五号)(予)  公立の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の  幼稚部及び高等部整備に関する特別措置法案  (小林武君外四名提出参法第六号)(予) 同月二十六日  教育職員免許法の一部を改正する法律案豊瀬  禎一君外四名提出参法第七号)(予) 三月一日  私立学校職員共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇五号) 同月三日  高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一  部を改正する法律案秋山長造君外四名提出、  参法第八号)(予) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇五号)  国立学校設置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)  国立養護教諭養成所設置法案内閣提出第四〇  号)  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 渡海元三郎

    渡海委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、先日の二宮君の質疑に対する答弁を聴取することといたします。
  3. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 先般先生から御質問のありました佐賀県の北方町中学校危険建物事故についてお答え申し上げます。  事故のあった北方中学校校舎は、昭和三十二年度並びに昭和三十八年度の二回の建物耐力度調査を県の教育委員会が行なっておるのでございますが、その結果、この事故を起こした部分につきましては、危険建物に該当しているものでございます。昭和三十八年度調査時におきまして、調査に当たりました県の担当者から聞きましたところが、その際に学校に対して当該建物は危険であるので、十分注意するとともに、その使用に際しては多人数が一度に集まり使用することのないようにとの注意も与えているようでございます。  なお、この建物についての改築補助金申請は当時行なわれておりません。で、すでに危険校舎に該当しているものがなぜ申請がなかったかという事情を私ども考えてみますと、当時におきましては保有坪数がかなりございました。そして、その当時の一人当たりの基準では、学校全体として改築補助の対象にならなかったということで、申請がなかったのじゃないか、こういうふうに考えられます。  なお事故状況につきましては、昭和三十八年十二月十九日午後二時十三分、木造の二階建て、延べ八十一坪、昭和二十四年に町役場を解体し、その古材を使用して建てたもの、これが二階家で、家庭科教室になっておりましたところに、女生徒が二百二十人集会中、突然二階のはりのほぞが折れて、床が階下美術教室に落下した、このため九十余名が階下に落下いたしまして、重傷者若干名、軽傷者多数を出したという報告を受けております。
  4. 二宮武夫

    二宮委員 その後送検をされました校長、教頭の処分の問題についてはわかりませんか。それも質問をしたのですけれども、その当時わからなかったのですが。
  5. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 県の報告によりますと、不起訴になったということを担当課長が聞いております。
  6. 渡海元三郎

    渡海委員長 文教行政基本施策に関する件についての調査はこれで終了いたします。      ────◇─────
  7. 渡海元三郎

  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 このたび、政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  私立学校教職員共済組合は、御承知のように、昭和二十九年一月に、私立学校教職員福利厚生をはかる目的のもとに私立学校教職員共済組合法によって設立されたものでありますが、自来、本組合が行なう給付については、国、公立学校教職員に対する給付水準と均衡を保つことをたてまえとし、国家公務員共済組合法改正され、その給付水準が引き上げられるに伴い、私立学校教職員共済組合法改正が行なわれ、その給付改善がはかられてまいりました。  しかしながら、その給付水準において、国、公立学校教職員に比べてなおこれを下回る部分がありますので、今回、これらの諸点の改善を行ない、国、公立学校教職員同一水準にするよう措置するとともに、その他所要改正を行なうことといたしたものであります。  次に、この法案概要について申し上げます。  まず、標準給与月額を、最低を八千円から一万二千円に、最高を七万五千円から十一万円に、それぞれ引き上げることといたしております。  第二に、長期給付給付額の算定の基礎となる平均標準給与月額を、組合員資格喪失前五年間の標準給与平均から三年間の平均に改めることといたしております。  第三に、退職年金給付額最高限度を、平均標準給与の年額の百分の六十から百分の七十に改めることといたしております。  第四に、福祉事業範囲を、国家公務員共済組合法に準じて改めることとし、これにより一そう組合員福祉の増進をはかろうとするものであります。  その他、監事の職務内容を明確にする等所要改正を行なうとともに、以上の改正に伴う経過的規定を設けたものであります。  最後に、この法律施行期日につきましては、準備の期間等も考慮し、昭和四十年七月一日から施行することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  9. 渡海元三郎

    渡海委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ────◇─────
  10. 渡海元三郎

    渡海委員長 次に国立学校設置法等の一部を改正する法律案及び国立養護教諭養成所設置法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。高橋重信君。
  11. 高橋重信

    高橋(重)委員 私はただいま提案されております国立学校設置法等の一部を改正する法律案についてお尋ねいたしたいと思います。  まず第一に文部大臣にお尋ねいたすわけですが、県立農科大学国立移管することについてであります。すなわち国立大学拡充強化という考え方に立ちまして、今回提案されておる内容を見ますと、神戸大学及び島根大学に、県立農科大学国立移管して農学部を設置するということであります。この県立農科大学国立移管する場合におきまして、文部省といたしましては、公立大学を今後どういう考え方のもとにおいて国立移管されるか、今後の方針等をこの際承りたいと思うのであります。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御質問がございました農科大学の問題でございますが、御承知のように、新制大学が発足いたしました当初、県立農科大学としては六つ大学が当時設置されたわけでございますが、その後茨城、静岡、香川、愛媛、これらの四県立農科大学は、逐次その県に所在する国立大学移管をいたしました。現在まで島根県立農科大学兵庫県立農科大学のみが、県立農科大学として存続してきたわけでございます。ところでこれら二つ大学につきましても、地元の県といたしましては、地方財政事情などから十分な維持管理を行なうことが相当負担となっておりますので、かねがね熱心に国立への移管要望してまいりました。この要望にこたえまして文部省といたしましても、できるだけすみやかに国立移管をして、さらにその充実をはかりたいと考えておったわけでございますが、今回島根につきましては、国立農学部にこれを移管吸収することにして四十年度から発足することにいたしましたし、四十一年度には引き続き兵庫県立農科大学国立大学移管させることにいたしまして、これで県立農科大学は全部国立移管することになるわけでございます。  自余の公立問題等につきましては、一がいには申し上げることはできないと思いますが、それぞれの県の状況大学状況等を見まして十分に検討して、逐次充実策を講じたいと思っておりますが、全部を全部国立移管するというようなことは考えておりません。
  13. 高橋重信

    高橋(重)委員 ただいま大臣の御説明をお聞きしておりますと、大体公立大学というものは地方財政を圧迫する、それは率直に言えると思うのです。そういう面から地元の強い要望が出てきて、いままで六つ県立農科大学があったが、四つはすでに国立移管され、残っておる二つもこの際やってしまうのだ、こういうお説だと思うわけであります。そこで公立大学というのはよほどの富裕県を残しまして、他の県においてはほとんどが財政を圧迫しておると思うのですが、こういう点につきまして、地元なり関係者から強い要望があれば、公立大学というものは将来のあるべき姿としては国立移管していくのだ、こういうように受け取ってよろしいでしょうか。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は実は一がいには申せないと思うのでありまして、公立の中にも財政的な——相対的な問題でございますが、ある程度余裕のあるところ、あるいは古くから伝統を持って十分な充実が次々に行なわれておるところもございますし、一がい公立大学を時期を見て国立に全部を移管するというふうには私としては考えておりませんけれども、しかし地元県等財政事情、あるいはそのほかのいろいろの点から考えて、今後充実改善していくためには、国立移管することを考えることが相当であるというようなものにつきましては、これは前向きに逐次取り上げていかなければなるまいと考えております。
  15. 高橋重信

    高橋(重)委員 そうすると一がいにはいかぬけれども、それぞれの実情等をよく調査して、そうして移管していくのだ。  そこで次にお尋ねいたしたいのは、しからば国立移管する場合の文部省としての基準というものはどの辺に置いていらっしゃるのか、その点についてお尋ねいたしたと思います。
  16. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 設備等におきましても、従来文部省が他の国立大学等について整備考えておりました基準というものを一応整備され、あるいはそれに近いというふうにしていただいて、移管していただきたいというのが私たちの考えでございます。
  17. 高橋重信

    高橋(重)委員 これは抽象論になるわけですが、もう少し具体的に文部省国立移管をされる場合の基準というものは、何をもって基準にしていらっしゃるかということをお尋ねいたします。
  18. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 御質問趣旨が……。移管をきめるかどうかという基準ということになりますと、私の答えの範囲を出るわけでございますが、移す場合に物的な面でどの程度のものに充足してもらいたいかということにつきましては、学部の種類により、その土地状況等により、あるいは将来その土地が、その学部が近い将来にどの程度の規模になっていくかというようなことを勘案してきめてまいるわけでございます。
  19. 高橋重信

    高橋(重)委員 そこでもう少し具体的に申しますと、兵庫島根県立農科大学国立移管する場合に、どういうのを基準にされてこれを移管されたか。農科大学移管を御提案になっているわけでありますが、何を基準にされて移管提案されているのでしょうか。
  20. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 土地建物等につきましては、現在あります国立大学農学部等と比較いたしてみまして、土地あるいは教室その他の施設、あるいはそれに伴う設備というものが、少なくともその最低のものには達するようにということで考えております。この移管につきましては、すでにわれわれは、かりに法案が通り、あるいは予算が通った場合に、一体県でどの程度のことをやっていただけるかということを事務的にはだんだん詰めてまいりまして、全部ではございませんが、少なくとも施設の面につきましては、ある程度合意に達する段階には進んできております。
  21. 二宮武夫

    二宮委員 関連。この前質問いたしました大臣答弁では、国立学校についての場合ですが、もし従来のような県からいろいろな寄付を仰ぐとか、そういうようなことをすることは、地方財政法等から考えましても、非常に矛盾がある。したがってその場合には国有のものを代替地として県に与えて、それで大体バランスをとっていくという説明がありったのですが、いまの局長答弁で、県と国との間に合意に達したというのは、財政的にはどういうことなんですか。
  22. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 前段におっしゃいましたことは、国立学校を新たに設置するような場合でございまして、すでに県立学校に限らず、いろいろなものを持っておって、それの移管希望するという場合には、前段におっしゃったことと別のことで、財政上も問題ないというふうに考えております。これは文部省県当局話し合いによってきめていくことがらだと思います。
  23. 二宮武夫

    二宮委員 そうしますと県がある程度校地あるいは設備、あるいは校舎、これらの従来出費をしておるものについて、それを国に寄付をするような形について、国はそれを受け入れるという条件をつけて国立移管をする、こういう考え方ですか。
  24. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 たとえば医科大学国立移管の場合につきまして申し上げますれば、移管にあたっては質量ともに、文部省基準に達するように、整備の上移管をするんだという条件で、文部省県側も了承したわけでございますので、いま御指摘のように、ある程度基準に達するまでについては県の御協力を願って、あるものは土地を出していただくこともありますし、あるものは建物を補足して建てていただくということもあるわけでございます。
  25. 二宮武夫

    二宮委員 それは大臣答弁とは非常に食い違うと私は思うのです。大臣答弁は、いまからつくるところの国立高専については、代替地を与えて、県に対してあまり負担をかけないように考慮する。同時に従来やっておった高専につきましても、これは何らかの方法で県に財政的ないろいろな面でめんどう見てやる、こういうことも将来考えるのだという答弁だった。国立学校県立移管するという場合には、その際に、県に財政的な負担をかけぬ。言いかえますと、県が非常に熱意を持っておるから、国立になったんだというような印象を与えるような国立移管ということは、大臣答弁の中からは受け取れなかったわけです。いまの管理局長答弁では、一応基準に達するまでは県でめんどう見てもらうんだ、そしてそれが国立移管をしていくんだ、新設移管とは別個の問題だというような考え方ですけれども、国立のものにするためには、やはり国がめんどう見ていくという基本線は、大臣答弁のように考えていくのが正しい考え方であるというように私は考えております。従来の例を齊藤局長はそのまま踏襲しておるのかもしれぬけれども、愛知文部大臣答弁されたときには、いままでは悪かった、したがって今後はそういうような負担をかけないような方向に持っていくんだというような、非常にすっきりした答弁をされたと私は思うのです。移管であろうと新設であろうとも、国のものになるという場合に、県有のものの財産を、国が国立移管をするというような場合には、やはり基本線というものはすっきり筋を通しておかないとおかしいと思う。移管であるから、ある程度までは国のものに準じて設備を整えて、それからお嫁入りをするんだというような、そういう考え方は、大臣答弁と私は明らかに食い違うと思う。どうですか大臣、その辺のお考えは……。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはただいま御指摘のように、国立高専新設の場合におきましては、実は決算委員会等でも問題として指摘されておりますので、違法というふうな問題ではないけれども、いまもお話がございましたように、国が国立として新設するからには、たとえば土地にいたしましても、国有地あるいは県有地等を使う場合には、それに相当国有地と振りかえをして、県に負担をかけないようにしたい、こういうのが私は原則であると考えまして、四十年度新設のものをまず手初めに、七つの高専については全部そういう方式でやることにいたしまして、この点はおかげさまですっきりすることになったと思うのです。  それから県立大学移管の問題でございますけれども、これはいま局長が申しましたように、多少違った経過あるいは性格のものと私も考えておるのでありまして、率直に申しますと、県立大学等については、先ほど申しましたように一がいには申せませんけれども、ある種のところにおきましては、県の財政事情からいっても、これを充実しかつ将来長きにわたって運営していくということはとてもできない、ひとつこの際国立移管をして、将来長きにわたる県としての負担は全部これでなくしてしまって、そして国の手でもって充実をしてもらいたいというような御希望が非常に熱心に出ておるのが現在までの実例でございます。  そこで、これは大学内容の問題にも関連いたしますけれども、せっかくいままで県として運営されてきたものでありますから、この際設置基準に該当するようなものにしていただいて、そしてこれを国に移管をして将来長きにわたる負担は全部国のほうに肩がわりをする。これは従来負担をしてき、あるいはまたこの際一時的に若干の負担がございましても、将来長きにわたる財政負担ということからは完全に免除されるわけでございますから、そういう角度から話が出てまいり、そして県当局あるいは県議会を通じて当該の県と国との間の話し合いができました場合には、その線に乗って御希望に沿うてまいりたい、こういうふうな考え方でございますから、御趣旨は私もよくわかりますけれども、県立大学国立移管という具体的な問題についてのそれぞれのこういう話が出てまいりましたところの沿革やあるいは話し合い等実情から申しますと、国立高専について申しましたようなふうにはまいらない、あるいはそういかなくても適当であるというふうに考えざるを得ないというのが、実情であると申し上げて間違いなかろうかと考えておるわけでございます。
  27. 二宮武夫

    二宮委員 実情ということで、非常に貧弱県県立大学としてそれを維持していくのに困難な状況にある。したがってある程度の出資をして、設備を整えて、国立学校としてのていさいを整える段階になったらそれを国立にもらおう、移管をしよう、そういう考え方は、国立移管をする国立大学として、ぜひ必要な地理的条件なりあるいは経過なりから考えていきますと、これは新設であろうと移管であろうともやはり国がめんどうを見てやるという気持ちについては、いま言ったような考え方に私は大臣答弁の中には矛盾があると思うのです。非常に貧弱県であるのにもかかわらず、ある程度設備をしておいて、そして規格に達したらそれで一応受け取ろう、こういう考え方というのは、いかにも国立というものを高く評価して、しかも国立が県に対して負担をかける、こういう考え方というのは地方財政をますます貧困にさせる一つの原因にもなるかと思うのです。先の将来のことよりも目の前が困る。地方団体というのは目の前の状態が困っておる。昭和三十九年度、四十年度に困っておる状況なんです。そしてそういうふうな姿で国が受け取るのだ、それが国立になるのだという考え方は、私は大臣新設高専に対する答弁とは非常に食い違っておると思うのです。実情はどうであろうと、やはり考え方そのものはそのような考え方をすべきであるというように考えます。そうしなければ、非常に熱意を持って無理をして−熱意ということはイコール無理をするということだ。地方団体では無理をして基準に達するまでやって国立に持っていこうとするようなことが今後も行なわれるおそれが多分にあると思うのです。そういういき方は、国立大学をつくるという立場から考えますと、実情はどうであろうともすっきりしない面があるのじゃないかと思う。  それからもう一つついでに申しておきますが、大体代替地を与えるというような場合に実情を見ておらないという欠陥が文部省にはあるのです。たとえば坪数としてはあるけれども傾斜地で全く利用度のないようなところを代替地で与えておいて、それでもう事終われりというような考え方があるのではないか。その実例を私は知っているのですけれども、そういうような地方自治団体に非常に負担をかけ、それでもおまえは国立になるのだからいいじゃないかというような考え方というのは、これはやはり一つの事大思想的な考え方であって、私は地方団体に対しては不親切な考え方じゃないかと思うのです。実情は私も知っておりますけれども、やはり筋としてはすっきりそのような姿でいくべきではないかと私は考えるのですが、大臣、どうですか。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私、先ほども申しましたように、言われる御趣旨は十分理解できるのでございますけれども、先ほども御説明いたしましたように、たとえば島根農科大学で申しますと、これは開設以来県立としてずいぶん充実をはかってこられたわけであります。これには相当負担もある、とてもこれ以上は耐え切れない、そして同時に学科の再編成その他もくふうしてやってこられております。そういう状態になりましたので、それを国立にしても十分の実績がございますから、これはひとつ喜んで国立移管し、今後においては、四十年度以降においてはすっぱりこれは国立にして御負担はかけない、そういうことになるわけでございますので、いろいろその大学のいままでのやり方なりあるいは県と文部省との話し合いというものが、それぞれの大学、それぞれの県との話し合いというものが相当経過がございますので、御趣旨はよくわかりますけれども、こういうふうな行き方についてもひとつ御了解を願いたいと思うわけでございます。  それから考え方としては、私どもも県に負担はかけたくない、ことにいま目前の問題というお話もございましたが、それももちろん大事でございますけれども、将来長きにわたって御負担をかけたくないということで処理をしていきたいという基本線は、私は同じではないかと思いますし、それから現実に目前の負担と申しましても、従来長きにわたって積み上げてこられたその実績を高く評価するわけでございますので、現実にこの移管に伴って特に大きな負担をおかけしているということは私はなしに済ませられるのではなかろうかと考えておりますが、なお、これから起こってくるいろいろの問題については御趣旨のような点を十分考慮の中に入れてまいりたいと思います。
  29. 高橋重信

    高橋(重)委員 先ほど大臣並びに局長お話を承っておりますと、この両県立大学については地元と県と交渉いたしまして相当煮え詰まってきた、煮え詰まったものをこの際提案されたのだ、こういう御趣旨だと思うわけですが、具体的にどういうふうに煮え詰まったか、そういう点につきましてその内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  30. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 実は島根農大につきましては、土地の取得費でありますとかあるいは新設の付属の施設整備費とかあるいは施設そのものの整備費とかいうものをひっくるめてある程度の金額に達しておりますけれども、これは実は御承知のようにまだ経過的なことでございまするし、全く両当事者の事務的な詰めでございますので、金額そのものをここで申し上げるのは差し控えたほうがいいのではないかと思いますので、御了承願います。
  31. 高橋重信

    高橋(重)委員 少なくともわれわれにこういう議案が出まして審議して議決する以上は、具体的な煮え詰まったものを発表できる段階において知らしていただきたい。そういうものがなければ、これは後ほどいろいろな点において県あるいは地元に問題を残すと思うのです。そういう具体的なことにつきましては、岐阜県の県立医科大学移管に伴って現在県においては大きな政治問題になっておるわけでありますので、後ほど具体的に申し上げて御質問いたしたいと思うのですが、そういう点におきましての、委員長、私は移管に伴う覚え書きとか資料というものをぜひ文部省から出していただきたいと思うのです。この問題をわれわれが審議し、すみやかに議決するには、そういう協力を文部省に私はぜひお願いいたしたいと思うのです。というのは、昨年県立医科大学国立移管されたわけでありますが、私初めて文教委員会へ出てまいりまして、そういう資料は少なくとも去年の四月に移管されたのだから、一年間にわたってどういうふうに地元と交渉が行なわれ、どういうふうに煮え詰まってきておるか、そういう資料を出していただきたいということを私は再三にわたってお願いしたわけでありますが、具体的な資料は何ら出ておらない。しかも文部省お話によれば、局長が目を通さなければ出せないということで、日にちは三日も四日も一週間もおくれていって、最後に出てきた資料というのは資料らしきものではなくして口頭で説明される、こういうことは、私は、委員会というものがあるいは議会というものが軽視されておるんだ。文部省自体もこの法案を少なくとも早く通したいという誠意があれば、積極的にそういう点において協力していただきたいということを、委員長を通じまして私は文部省に要求していただきたいということをまずお願いいたしたいと思うのであります。  それから次に、先ほど大臣からお話がありましたように、地元とよく話し合いのうちできめるんだから、地元にもいままでいろいろと負担をかけてきた、しかし長い将来を見れば国立移管をすることによって、多少の金を出してもそのほうが経済的にも楽になるのだ、こういう御説明でありましたので、私はこの点についてもう少し掘り下げてお尋ねいたしたいと思うのであります。  最初に、昨年国立移管されました兵庫、山口、岐阜の国立移管に伴う条件というものはどういうものであったかということをまずお聞きいたしたいと思います。
  32. 渡海元三郎

    渡海委員長 御要望の件は善処させていただきたいと思います。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御要望のございました点につきましては、各地元等との間の話し合いで、たとえば書類等におきまして話し合いができておりますようなことにつきましては、御要望に沿うて資料の提出をさっそくいたしたいと思います。
  34. 高橋重信

    高橋(重)委員 大臣が予算委員会のほうにお出かけになるそうでありますので、私は後ほどお帰りになってからまた大臣にお尋ねするといたしまして、次に進みたいと思います。  そこで、去年三つの県立医科大学国立移管されるときに、県立医科大学国立移管についてという条件があるわけです。その条件をながめて見ますと七項目あるわけでありますが、私はこの条件につきまして重要な点を二、三お尋ねいたしたいと思います。  まず第二項目におきまして、「従来文部省が示した改善充実事項を基礎にして適正量を確保し、一層質の向上をはかり文部省基準に達するよう整備のうえ移管すること。」これが第二項目に載っておるわけでありますが、「従来文部省が示した改善充実事項、」これは地元に示してきたということですが、この内容はどういうものであるか、これをまずお聞きいたしまして、それから「文部省基準に達するよう」、文部省基準というものをこの機会にお尋ねいたしたいと思います。  この条件につきましては、あなたのほうから出された資料を見ますと、昭和三十八年の十二月十九日に大臣決裁になりまして、昭和三十八年十二月二十日兵庫県知事と調印され、三十八年の十二月二十三日は山口県知事と調印され、三十八年の十二月二十四日は岐阜県知事と調印されておるわけであります。その条件であります。この第二項につきまして、「従来文部省が示した改善充実事項」をお尋ねしたいということと、「文部省基準に達するよう」、文部省基準というものを明確にしていただきたいということであります。これは大事なことですから明確にしていただきたい。
  35. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 「従来文部省が示した改善充実事項」というのは、公立大学移管に関する調査会が実地調査をした上で示した事項でございます。そのこまかい点につきましては私いまここで読み上げる資料を持っておりませんので、後ほど提出いたします。
  36. 高橋重信

    高橋(重)委員 後ほど出してくださるということは、改善充実事項と文部省基準というものを出してくださるということですね。
  37. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 さようでございます。
  38. 高橋重信

    高橋(重)委員 次に三項目の、「これらの移管に当っては、県、大学、学識経験者および文部省関係者による協議会を設置し、この議を経て移管に伴う諸整備を確実有効に実施するものとする。」、「協議会を設置し」こういうふうにありますが、協議会の人員、構成、協議会が何べん持たれたか、またそこの中においてどんなことが重点的に協議されたか、以上三点についてお尋ねいたします。
  39. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 大学移管協議会は、岐阜、神戸、山口ごとに開かれまして、その内容はかなり多岐にわたっておりまするし、回数等は何回であるかということは私記憶いたしておりません。これもそのときにまとめて添えて差し上げます。
  40. 高橋重信

    高橋(重)委員 私はいまの御答弁に非常に不満を持つ者です。少なくとも、昨年移管されまして、こういう条件について地元の知事等と協議をされまして、その後どれだけの協議会が持たれたかわかりませんということを、責任者であるあなたから御答弁されるということは心外であります。しかもその内容は、どういうことを協議したかわからない。私はもっとしぼりまして、山口県、兵庫県は別といたしまして、岐阜県だけについて、どういうふうに協議されましたかとお尋ねいたしたいと思います。
  41. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 三大学の問題で、予算の内定後、三十九年の一月三十日から二月の四日にわたりまして、各県ごとに協議会を開催いたしまして、人事、学術、施設等について協議し、それから施設整備計画については、学識経験者を含めて特別部会で協議したわけでございますが、その一々の日や回数を私記憶しておりませんので、そのことは調べてお答えいたしますと申し上げたわけでございます。
  42. 高橋重信

    高橋(重)委員 だれか知っておる人、いないのですか。
  43. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 担当者から、説明員でございますけれども、お許しを得れば、答えさしていただきたいと思います。
  44. 高橋重信

    高橋(重)委員 この問題は、私は委員部を通じまして、以前からお願いしておるわけでありまして、もうここ一カ月ぐらいになるわけです。そういう点において、私は最も心外だと思うのです。もう少し研究をしておいていただきたい。私たちの資料等につきましても、先ほど委員長を通じてお願いしたように、局長が当然知っておるべきですよ、これだけの大きな問題ですから。全然わからぬのですか。
  45. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 概略のことを申し上げます  三十九年の一月三十日から二月四日の間に、三大学個別に大学移管協議会を開催いたしました。それから三十九年の二月十一日から十五日の間に、三大学について現地調査をいたしました。それから二月の二十六日から二十九日までの間に、個別に施設関係の特別部会を開催いたしました。三十九年の三月に、県に対しまして、文部省施設整備計画の最終案を作成いたしました。それから三十九年の四月二日に岐阜、兵庫、山口三県知事と事務次官との会談が個別に行なわれました。それから三十九年の七月八日に神戸、七月十八日に山口と個別に施設関係の特別部会が開催されまして、基本計画が調印されました。三十九年の十一月十九日に神戸、山口二大学個別に大学移管協議会が開催され、覚え書きの要項ができ上がりました。そういうような経過がございます。
  46. 高橋重信

    高橋(重)委員 いま御説明がありましたが、三大学のうち岐阜県におきましては、去年の二月二十六日ですか、それ以来全然協議会が持たれておらない、こういうふうに把握しておるわけでありますが、それでよろしいですか。
  47. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 全般に岐阜だけがおくれておるということは事実でございます。他の山口、神戸につきましては、すでに全部話し合いが終わっておるのも事実でございます。と申しますのは、事務的には、大体協議会を開く、あるいはその上の段階で話をするというために事務的な折衝というものはかなりひんぱんに行なわれておるわけでございまするけれども、なかなか煮詰まってまいりませんので、岐阜だけがおくれておるということが実情でございます。
  48. 高橋重信

    高橋(重)委員 事務的にはいろいろ進めておるが、岐阜だけがおくれておる。私のお尋ねしておるのは、地元の知事と調印をされました条件について、それに基づいてどういうふうに進められたか、こういう点についてお尋ねしておるわけですが、岐阜は昨年の二月二十四日ですか、それ以後ほとんど進んでおらない、こういう御答弁だと承るわけですが、局長、よろしいですな。
  49. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 二月以降、四月の二日に岐阜県知事と次官との話し合いがございました。
  50. 高橋重信

    高橋(重)委員 そうすると、四月二日以後は岐阜とは正式に話し合いが持たれておらない、こういうふうに解釈いたします。よろしいですな。
  51. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 ものごとは、話を進めていくのに、正式に事務的に折衝して問題を煮詰めていくことも必要なことでございますので、そういう経過がかなりあったけれども、なお協議会を開いて合意に達するということに至らないということでございます。  なお、この仕事は私どもと大学局と両者で共同で進めておりますので、前半の部分につきましては、大学学術局長にもお答えをお許し願いたいと思います。
  52. 杉江清

    ○杉江政府委員 私、前に管理局長としてこの仕事を担当いたしましたので、私が担当いたしておりました当時の経緯をやや補足して御説明申し上げたいと思います。  要するに、岐阜につきましては、抽象的に条件を取りきめて、その具体的内容について岐阜県当局文部省とが相当大幅に意見が食い違ったということが、第一回会合で明らかになったわけでございます。そこでこういうふうな多くの人々を交えた協議会で進めることは適当でない、こういう判断に立ちまして、その後においてはむしろ個別の内面的な御折衝によって話を取りきめよう、こういうことで事務的にも折衝いたし、実は私も現地におもむいて知事さんと懇談をする機会も持ったわけでございます。だから正式の施設協議会は持たれませんでしたけれども、その間に私が現地に行ったこと、その他向こうから来ていただいたことも相当あります。そういったことで、実質的なお話し合いはずっと続けてまいった、こういうのが実情でございます。
  53. 高橋重信

    高橋(重)委員 いま抽象的な御説明があったわけでありますが、とにかく現地にも行って努力はしたけれども、なかなか具体的にはまとまっておらない、こういうことだと思う。  そこでこの条件の第四項目に、「従来文部省が示した改善充実事項の実施状況および協議会の指示事項について、文部省はその履行状況について県から報告を求め又定期的に実施調査するものとする。」報告を求めておられると思いますが、そういう報告について関係者のほうで私のほうへ説明をしていただきたいと思います。そういうものはあるかどうか。
  54. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 岐阜の場合につきましては、昨年の十二月十九日に総務部長を呼びまして、私のほうの施設部長と話し合った経緯がございます。ここでも、先ほど大学局長が申しましたように、相当基本的なところで意見が分かれておりますので、今後どういうふうに折衝するかということを私どもとしては検討しなければならないと思っております。
  55. 高橋重信

    高橋(重)委員 基本的なことで意見が分かれておる、なかなか進まない。先ほど県立農科大学国立移管することにつきまして、大臣から答弁があったわけでありますが、地元の県とよく話し合って、煮詰めてから国立移管するんだ、こういう御説明であったわけです。いま聞いておると、地元相当食い違いがある。何とか局長も言われたように、第一回のときに話し合ったけれども、やはり相当の食い違いがあった。国立移管にしてしまってからお話し合いになったんだろうと思うのですが、またいま齊藤さんからお話を聞いてみても、地元と食い違いがある。事務折衝しておるんだ。そういうことから見まして、地元の県知事が言うことと文部省要望される点とどこに食い違いがあるんだという点について、この際明確にしていただきたい。
  56. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 その主要な点は、現に県庁の庁舎として使用しており、それから将来新庁舎ができて県庁が別のところに移るという場合、現在の県庁舎につきまして、これを大学の病院にしていただきたいということが、大きな点でございます。  なお、補足いたしますが、そういう経緯もありますので、今回の移管につきましては、できるだけ早く、予算が国会を通りあるいは法案が通る前に、準備行為として非公式にわれわれとしてはおおよその線を立てておくといいますか、合意に達しておいて、そして設置が正式にきまりましたあと長引くことのないような措置を、これらの経験に基づいてとったわけでございます。
  57. 高橋重信

    高橋(重)委員 県庁庁舎の話が出ましたが、この際地元実情を簡単に申し上げますと、私のほうは県立医科大学国立移管するために約十カ年間努力してきたわけです。そうして文部省で三十八年の八月に省議決定された、そういうふうに承っておるわけであります。そして突如として出てきました問題は、県立医科大学国立にするには、現在の県庁庁舎の六千坪と建物全部を文部省によこさなければ国立移管にならない、こういうことになりまして、県といたしましては、現在の県庁の敷地なり建物を全部国へ出してしまうということは、先ほど愛知文部大臣が言われたように、大きな財政的な負担になるわけであります。そこへ加えまして県庁の建物、敷地を全部とられるということになれば、どうしても新しく県庁の新庁舎をつくらなければならないというわけになってまいりまして、いま地下二階、地上十三階、日本でも三番目というような膨大な、三十億になんなんとするような県庁舎を建てなければならない羽目に追い込まれてきたわけであります。そうして結論はどうなったか。私も県会におりまして、その点を知事にお尋ねすると、文部省はただ単に県庁の西庁舎、議事堂をよこせと言うだけではなくして、六千坪を全部よこせ、しかるに、その上に、金を十三億五千万円設備費として出せ、こういう膨大なことを申してきておるのであります。これは議会の速記録にもはっきりとしておるわけであります。そういうことでは地元と食い違いがあるはずであります。知事としては私たちには十分なことは言いませんけれども、いまや岐阜県としまして、年間三百億や四百億の県で、県庁の建物土地全部を出しまして、加うるに十三億五千万というような膨大な金を文部省が取り上げるということは、先ほど文部大臣がおっしゃったように、地元に対して非常な財政的な圧迫を加えるわけであります。そこら辺の点をもう少し私は明確にいたしたいと思うのであります。  あなた方のほうで、国立移管についての条件の第六項目で、「資金の調達は、県の責任において行ない、その資金計画を明確にすること。」こういうものがあって調印されておるはずだと思うのですが、そのときには一体全体どうなっておったのですか。
  58. 杉江清

    ○杉江政府委員 私関係いたしました者といたしまして、いまの御質問に対してお答えしたいと思います。  まず、覚書にあります国の基準に到達して移管していただきたい、こういうことについて合意を見たわけであります。その内容でございますが、敷地と建物坪数について言いますと、その国の基準といいますのは、国立大学の医学部病院は相当たくさんありますけれども、そこで現に持っており、また今後もそれを整備しようとする場合の基準をわれわれは持っておるわけでございます。たとえば建物にいたしましても、これは国立大学一般の基準からはじきました坪数として、たとえば岐阜の場合でありますと一万五千坪というのがはじき出されるわけであります。また敷地にいたしましても、これは全国の医学部付属病院等は大体二万坪ないし三万坪を持っております。ところが岐阜大学の場合においては、これは六千七十五坪にすぎません。むしろ人口稠密でその敷地を得るのに困難だと思われます。神戸ですら一万六千八百坪を持っておるわけであります。この六千坪では、これはわれわれの考え基準にはとうてい合致しないのでありまして、今後このままで医学部病院を整備しようといたしますと非常な困難を伴います。高層化いたしましてもその施設計画は非常に困難でありますし、高層化そのものもあの地域の事情からいって非常に困難であります。もしこのままで整備するといたしますと、国立大学としての基準から著しく劣り、そして国立大学の一般の基準からいいますと、その教育活動、研究活動は非常な制約を受ける。ここでもし整備するとすれば将来はこの医学部病院の移管をも真剣に考えざるを得ない時期が来るだろう、こういうふうな判断をもちまして、将来これをほんとうに整備充実するに支障のないような土地を確保し、また施設計画をしたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。  そこで、先ほどの基本的な問題に触れますけれども、地元の県の岐阜の問題でございますが、これは地財法のたてまえから言いましても、国の施設に対して寄付をするということはいけないのですけれども、そういうふうな整備をして移管をする。それまではこれは地方の所有のものであって、国のものではない。これは形式論でございます。形式論でございますけれども、そういうことで従来移管にあたっては、大臣がおっしゃるように、将来の負担を大幅に軽減するわけでございます。年間二億ないし三億の軽常費も出しておられるわけでございます。それが将来にわたってその負担がなくなる。そして大幅に整備されるわけでございまして、地元の福利のためにも非常に役立つ。こういう実態から考えまして、やはり国立大学の普通並みのことはしていただいて、それを移管するという方針をずっととっておるわけでございます。そういう意味から、いまのように建物坪数にいたしましても、敷地にいたしましても、岐阜の場合はあまりにも一般の基準から落ちているから、これを何とかして整備したいということで、先ほど申し上げたように、この敷地が将来ともここで整備するとなれば、どうしても絶対的に不足しておるわけでございます。じゃどうするかということでございます。そうするとやはりちょうどその当時、前から県庁舎の移転のことが具体的にその計画が進められておるわけです。だから県庁舎を実は移転しましても、必ずしも十分とは言えないのですけれども、まあ、がまんできる。こういうことでそのお話をいたしたわけでございまして、そこに至るまでには実は公には私ははっきりと申し上げにくいいろいろ内面的な御折衝を続けてきたわけでございます。政治的な線につきましては、こちらの言うこともわかる、何とかしたいというようなお話し合いも実はあって、そのような計画を進めたわけでございます。  以上簡単でございますが……。
  59. 高橋重信

    高橋(重)委員 いまの話は要領を得んですが、地元文部省相当の食い違いがある。斎藤管理局長文部省はどれだけを要求しておるのだ。過去にはいろいろな話し合いを、いま杉江局長からお話があったのですが、昨年総務部長と話し合われたときに、文部省としては岐阜県に対してどれだけを要求しているのだ、この点を明確にしていただきたいと思います。
  60. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 ただいま申しましたように、最低一万五千坪に対して現有六千坪でございまするから、県庁舎の提供をいただいた上で、医進課程とか看護婦寄宿舎とか一部の施設改善等でそのほかに十億円で整備していただきたいというのが、簡単に申せばその内容でございます。
  61. 高橋重信

    高橋(重)委員 そうしますと、いまはっきりいたしましたが、大学としては敷地が狭い。よそを考えましても二万坪、三万坪というようなところがあるが、岐阜県は六千七十五坪ですか、だからいまの県庁舎を全部提供してもらいたい。それが一つと、私が調査したところによれば、県庁舎、議事堂だけでは足らずに、あそこの県税事務所、食糧事務所、そういうものを全部提供せよという話ですが、その点はどうなっておるか。  それから金としては、第二点としては十億円出せ、こういうことですが、それが地元と食い違っておるというのですか。
  62. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 お話のとおりでございます。
  63. 高橋重信

    高橋(重)委員 そもそもここの土地は岐阜県としても一番のいいところでありまして、坪二十万、三十万するところですよ。たんぼだとか野原と違うわけであります。県庁の建物を全部出せ、敷地は全部出せ、そうして金は十億円出せというようなことに対して、一体全体地元はどう言っておるのですか。どのくらいなら出せると言っておるのですか。
  64. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 昨年の十二月の十九日の、これはきわめて事務的な話でございますが、総務部長は県庁舎を渡すけれども、それは十二億で金の中に算入してくれ、そうしてあと一億五千万円で施設整備する、こういうお話がございました。
  65. 高橋重信

    高橋(重)委員 地元のほうでは、県庁の建物、敷地を全部出すが、それは十二億に換算してくれ。そのほかに一億五千万は整備費として出す。そこでまだ文部省地元とが大きく食い違っておるということですね。それではっきりしました。  続いて私は、そもそもこういうところに国立医科大学をつくること自体が私は問題だと思うのです。というのは、大学設置基準におきましては、はっきりと第十章校地校舎等の施設として、第三十五条に「校地は、教育にふさわしい環境をもち、校舎の敷地には、学生が休息その他に利用するのに適当な空地を有するものとする。」とあります。この大学設置基準から言いまして、あの現地で国立医科大学を今後続けていくことがいいか悪いかということをしろうとから見ましても、あそこの中をバスが走る、馬車が通る、こういうところでありまして、あれがいいかどうかというようなことは、私たちは反対したのです。よそへ移ったほうがいい。あんな膨大な坪二十万も三十万もするような土地を出してやるよりもいいと言ったのですが、その道の権威者である、責任者である文部省はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  66. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 そもそも話が自由になるものでありますれば、これは何も稠密な地帯に大学を置く必要がなくて、しかるべき環境のもとに広大な敷地、しかも低廉な土地が得られるということでありますれば、これが一番いいわけであります。ただ私、承っておりますところによりますと、やはり大学病院をその地に置きたいということは、地元の側においても一つ条件と申しますか、非常な熱心な御希望であったように承知しております。そういたしますと、これは大学病院でございますから、大学病院と医学部というものがばらばらになってどうかという問題も教育上ございます。これはひとり岐阜大学だけでなくて、あらゆる大学に通ずる問題でございます。そういういろんな制約の上と、先ほど大学局長が申しました現有の坪数を何も完全なものでなくてもいいから最低のスタート・ラインに並べて、そうしてわれわれも国立大学整備していくという考え方になって、しかも大学のキャンバスというもののまとまり、しかも病院は他に移らないほうがいいという地元の御要望、そういうものを勘案いたしました場合に、あの土地状況では最低の一万二千坪、これは過少でありましても、将来あるいは現在のことを考えて、それだけをとるまとまりとしては、県庁舎の敷地というようなものをひっくるめる以外になかろうというのがわれわれの提案趣旨なのでございます。
  67. 高橋重信

    高橋(重)委員 だんだんわかってきましたが、これは国立移管されてまいったわけですが、当然国立移管された後は、国が責任を持ってやっていかなければならないわけですね。先ほどのように地元と国との食い違いが非常に多いわけです。わずか一億や二億の話じゃなしに、何十億に匹敵するくらいの差があると私は思うのです。そういう場合に、地元としては当然これは地方財政を圧迫してくることであり、のめない、こういうことになった場合には、これは一体全体どうなるのですか。
  68. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 私たちといたしましては、県に根気よく折衝して話し合いをまとめたいということが現在の態度でございます。しかしこれは他の話がまとまりましたところにありましても、将来にわたって完全なものであるというようなことを言っていないので、覚え書き等におきましても、当然国立大学でございますから国立文教として整備していくということは当然にあるわけであります。ただ現在七十二の国立大学があり、それをいま計画的に老朽校舎等を整備しておるわけでございます。そこでスタートラインとしてあまり違っておっては、それを一挙にわれわれとしてはやるわけにはまいらぬ。そのためには一体移管の場合に最低どのくらいのことをやってもらいたいかというのが趣旨でございまして、地方から移管になるものは、将来とも国立文教として整備しないというような考え方は毛頭持っておらないわけでございます。ただあまりスタートラインが違い過ぎれば、いろいろ各大学について整備しなければならないところもございますし、そこはひとつ地元において御協力をわずらわしたい、こういう趣旨でございます。
  69. 高橋重信

    高橋(重)委員 これは私の考え方では、国立移管というものを軽々にやり過ぎた、もっと十分に調査、研究して話し合いをして煮詰めてからやることであって、あまりにもそれを早計にやり過ぎたのじゃないか。それで私たちも十年間国立移管というわけで、とにかく国へ移してしまえば、嫁に行かしてしまえば、あとは戸籍も向こうに行くんだから国で何とかやってくれる、とにかく移してしまえ、嫁に行かせてしまえということでやっておって、議会においても満場一致で運動を続けてきたのですが、受け入れる側の国としては、もう少しこれを煮詰めてから受け入れるべきであったのじゃないか。そうでないと、いまになりまして県において——知事も、御承知のように岐阜県の知事はほかの知事と違いまして、自民党の県連会長をやっておりまして、党規違反を起こして、いまや懲罰に付せられようとしておるような岐阜県知事であります。党内も内部分裂をしておる。いつ知事が職を去るか、そういう全国でもまれに見る知事でありますから、この県内が非常に混乱しておると私は思う。それに文部省なり国が沿っていっては、政治に対する信頼を失うのですから、この機会に明確に、先ほど申されたように、文部省としてはあの土地建物全体をほしいのだ、十億程度設備資金がほしいのだ、地元は県庁建物を十二億ですか、に換算していただいて、あと一億五千万くらいしか出せない、こういう対立の状況にあるわけですが、県会もいま進められておるわけでありまして、県会でもこれは問題になってくると思うのです。もう少し文部省としては、どうやるのか、もしこれを地元が受け入れなければ、文部省は一方的に、あるいは責任の立場において全部を解決してもらえるのかどうかということを、念を押して私はお尋ねしておきたいと思うのです。
  70. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 初めに御注意のありましたその移管等の問題につきまして、十分に両者で話し合いを煮詰められるところは煮詰めて事を運ぶべきだという御注意は、そのとおりでございますので、私どもも今回の二大学移管につきましては、そのような措置をとって現在まで進行しております。御注意の点は、今後起こりました場合も十分そういうふうにいたしたいと思います。  岐阜の問題につきましては、これからよく県側となお折衝いたしたいと思います。折衝で一体どういう考え方が出されるのか、そういう点はなおしばらく折衝してまいって、岐阜大学整備に今後遺憾のないように努力してまいりたいと存じます。
  71. 高橋重信

    高橋(重)委員 時間がおいおい進んでいきますので先に進みたいと思うのですが、岐阜大学に付随いたしまして、兵庫、山口のいままでの話し合いのついたものは後ほどでけっこうでありますが、書類として出していただきたいと思います。  次に宮城教育大学の設置についてでありますが、これも岐阜の県立医科大学国立移管すると同じような気持ちが地元に多分にあるのじゃないかと私は思うのです。教育大学というような大学一つ新しくできるのだ、非常にけっこうだ。中身を十分に研究されずして、地元はこぞってこれに賛成されたというようなことも聞いておったわけでありますが、だんだん日にちが近づいてきますと、先ほどの岐阜県と同じように中身がわかってきて、これに対する反対も出てくるのではないか。私自身といたしましても、教員養成制度に対する文部省考えというものをこの際明確にしておきたいと思うのであります。宮城教育大学の設置についての提案理由説明では、「宮城県における義務教育諸学校の教員の供給については、これまで主として東北大学教育学部の教員養成課程での養成に期待してまいりましたが、現状では、各種の事情により期待どおりこれを確保することが困難となっておりますので、」こういうことであります。現状では各種の事情により期待ほどいかないから宮城教育大学をつくるのだ、こういう説明であるわけですが、「各種の事情により」、どんな事情があるわけですか、その点明確にしてもらいたいと思います。
  72. 杉江清

    ○杉江政府委員 正確には東北大学の教育学部に、いままで教員養成課程が置かれたわけでございます。そこでどういうことが起こったかといいますと、まず志願者は宮城県以外の県からかなり多数入学を志願し、また実際に入るという事態が起こりました。そしてまた就職者も県内就職者が比較的に少なく、他県への就職が比較的多いという事態が起こりました。したがって、県内の教育は不足し、その資質は比較的に低い、こういうふうな事態があって、県内の教育界からこの現状ではいけない、何とか改善してくれという要望が多年にわたって続けられてきたわけであります。一方学内の事情考えますと、この養成課程が教育学部の中にある。教育学部は、いわゆる教育科学の研究を行なう教育科学科というものと、教員養成課程と二分されておったのでございます。これはほかの大学にはないことでありまして、東北大学特有の状況であったわけでございます。これは学部としてそれ全体がその教員養成をするということじゃなくて、教育科学科というのと教員養成を主たる目的とする課税とが分かれておった。そして運営上両者が融和し、一体的に運営するということが困難であったわけであります。たとえば一般教養の担当のしかたとか、いろいろ人事上の問題において、なかなかうまくいかなかった。そういうふうな、一つは需要の面、一つは実際教育を行なっていく上の運営上の問題、その二点から、このような状況では必要な教員も得られないし、またその教員を養成するしかたにおいても遺憾な点がある。こういうふうな状況では、やはりこれを独立さして、教員養成を主たる目的とする大学を設置したほうが、それらの問題解決のためによろしい、こういう判断に立ったわけでございます、
  73. 高橋重信

    高橋(重)委員 一番問題は、いままでの東北大学の教育科学科ということでは教員が確保できない。だから宮城教育大学を独立させて、そこで養成したほうがいいんだ、こういう趣旨に受け取れるわけです。そこでいままでのやり方でやれば、宮城県以外から志望者が非常に多い。こういうお話です。だから卒業をしても、宮城県以外に就職してしまうから、県内の卒業生というものが少ないがために、教員の充足ができない。こういうことですが、このデータをちょっと知らしていただきたいと思うのです。宮城県以外の志望者はどのくらいあるか、宮城県の就職希望者はどれだけあるかということです。
  74. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは少し詳しい資料になりますけれども、三十八年度の資料によりますと、卒業者二百八名のところを、教員以外に就職する者が二十四名でございます。それから、小、中学校に就職する者が四十七名でございます。高等学校へ就職する者が非常に多くて、百一名、それからその他の学校へいく者が二十四名、こういうふうな状況になっております。そして県内、県外の区別を申し上げますと、小学校については、県内が、十七名、他府県が五名、中学についていいますと、県内が二十一名、他府県が四名。ところが高等学校にいきますと、県内が五十名、他府県が五十一名、こういう数になっております。これは高等学校急増期という事情もありますけれども、他府県就職者がかなりな数にのぼっておるわけでございます。
  75. 高橋重信

    高橋(重)委員 いま詳細な御説明があったのですが、これを承っておりますと、今度の宮城教育大学は、義務教育の教員養成の拡充を目標にしてつくるんだ。これを見ますと、小中が四十七名だ。高等学校へ大部分いくわけですが、この資料というものは、文部省としては責任を持てる資料ですか。
  76. 杉江清

    ○杉江政府委員 これは私のほうで大学から正式に報告を願った資料でございます。
  77. 高橋重信

    高橋(重)委員 これを宮城教育大学にすることによって解消できるのだ、六・三制の教育、教職員が確保できるのだ、こういう理由ですね。あなたのほうから出ておりますところのいわゆる教員養成を目的とする短期大学新設してその改善をはかる。改善をはかるという具体的な内容は何ですか。これをつくるということですか。
  78. 杉江清

    ○杉江政府委員 まず小学校、中学校の教員養成を、県内の需要に即応するように、その需要数を改善したいというのが第一点でございます。  それから、いままでの教員養成課程の教官組織は非常に不正規の状態にあったわけでございます。そこで、これを独立いたしますことによって教官を充実整備する。私ども完成年度までにおおよそ四十名の教官を増員したいと考えております。それからまた事務官もほぼ二十名増員する計画を持っております。このように教官組織を充実いたしまして、充実した教育がここで行なわれるように措置したい、かように考えておるわけであります。
  79. 高橋重信

    高橋(重)委員 この問題はまだ相当時間をかけて審議しなければならぬ重要な問題だと思います。というのは、今後の義務教育教職員の養成に関する制度に影響してくると思うのですが、現在六・三制の教職員の確保ということには、各県でも非常に苦しんでおります。また教育界全体を見ましても、ちょうど農村が三ちゃん農業と言われておるように、教育界自体においても、若い優秀な人をなかなか集めることは無理だということが言われておるわけであります。そういう点について各県の教職員の充足状況というものを文部省としては把握していらっしゃると思うのですが、その実態、三ちゃん教育界と言われるようになった実態は、どこに原因があるか、こういう点について把握していらっしゃるのですか。
  80. 杉江清

    ○杉江政府委員 御質問趣旨が私十分のみ込めなかったのですが、農業が三ちゃん農業という実態になったその原因という御趣旨でございましょうか。
  81. 高橋重信

    高橋(重)委員 教育界が、六・三制の教員がいままでのやり方では集まらない。だから宮城教育大学をつくるのだ。つくって教官もある程度ふやし、事務官もふやしていけば、あなた方はこれによって教職員が確保されるのだ、こういうお考えだと思うのですが、いままでのやり方でだんだん集まらなくなってきた。教育部でやっておったときには集まらなくなってきたという原因はどこにあるかということです。
  82. 杉江清

    ○杉江政府委員 御質問趣旨よくわかりました。一般的にいいますならば、日本の経済状況の好転、産業経済の発展によって他の産業、他の職種からの人の需要が非常に大きくなった。またその方面における待遇が比較的よろしい、こういうことがまず第一の大きな原因だと思います。そのほか私は、教育界に対する物質的な面以外の魅力もだんだん薄らいできた。またこの教員養成学部、また教員養成大学それ自体にも魅力が薄い。端的に言いますならば、その施設も一般的に言えば貧弱でありますし、教官組織も必ずしも若い者の魅力を感じさすようには充実しておらない。そういうふうな事情もこれに加わりまして、若い優秀な生徒が集まらない事態になったのではないか、かように考えます。
  83. 高橋重信

    高橋(重)委員 宮城大学のことにつきましては、後ほど先輩の方からお話がありますので私はこれはやめにしまして、先ほど文部大臣にぜひ質問いたしたいと思っておったのですが、退席されましたので、岐阜県の医科大学あるいは兵庫、山口のこの問題につきましては、文部大臣が見えてから質問をいたしたいと思いますので、それを委員長のほうで認めていただきたいと思います。私の質問はこれでひとまず終わらせていただきます。
  84. 渡海元三郎

    渡海委員長 了承いたしました。  上村千一郎君。
  85. 上村千一郎

    ○上村委員 私は国立養護教諭養成所設置法案につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  △面の法案が養護教諭を養成し確保しようとするねらいでありまして、従来当委員会におきましてもこの養護教諭の養成と、そうしてその人員の確保という問題はしばしば論議をされておったわけであります。その点につきましては賛意を表しておくわけでございまするが、今回の国立養護教諭養成所設置のねらいというものはどこにあるのかお尋ねをいたしておきたいと思います。
  86. 押谷富三

    ○押谷政府委員 国立の小中学校の養護教諭につきましては、昭和三十九年度から四十三年度にかけまして約五千二百人を増員することに計画をいたしているのであります。このために大学あるいは短期大学卒業生、国立大学の養護教諭の養成課程の終了者、県立等の養護教諭の養成機関終了者及び現在これらの公立学校に勤務をいたしております養護職員のうち、正規の資格を有する者の採用等により必要数を充足することを予定しているのでありますが、しかしながら一般の大学、短期大学卒業者で資格を取得いたしました上に、実際に養護教諭として勤務いたしまする者はきわめて数において制限されているような状況にあるのであります。また看護婦あるいは保健婦の不足の状況も関連いたしまして、国立大学における養護教諭養成課程その他の養成機関によりまする養護教諭の供給の拡大につきましても、相当大幅にこれを望むことは困難な事情にあるのではないかと考えるのであります。これらの事情にかんがみまして、国立養護教諭養成所を新設いたしまして、養護教諭といたしまして充実した教育を施し、計面的に養成をする必要があると存じて今回の処置をいたした次第であります。
  87. 上村千一郎

    ○上村委員 文部省では昭和三十九年度以降五カ年のうちで公立学校及び中学校の養護教諭について約五千二百人の増員をはかろうとしておられる。それでいま政務次官の御答弁にあったような諸事情のもとにおいてこれが要員を充足しようというのでございまするが、しからば今回北海道学芸大学の旭川分校、それから岡山大学二つ大学にこの国立養成所を付置するという原案になっておるわけでございますが、この二つだけの養成所でこの目的を達し得るのかどうか、その点につきましてお考えを伺っておきたいと思います。
  88. 押谷富三

    ○押谷政府委員 ただいま申し上げましたように、養護教諭の充足につきましては全国を八ブロックにいたしまして、八つの養成所を設置するために予算要求等の処置をいたしたのでありますが、今日の時点におきまして財政その他の諸事情から、北海道地区と中国地区の二つだけにお説のように設置することになったのであります。他の六地区につきましては一応見送った形でありますが、最も近い時期においてこの六つの地区にも同じく養護教諭養成所を設置いたしたい、こういう希望を持っておる次第であります。
  89. 上村千一郎

    ○上村委員 そういたしますと現在のところ二つの養成所を設置するだけでは不十分である。要するに文部省のこの養護教諭の増員の計画を立て、その目的を達成するためには不十分だ、だから残余の六カ所につきましては早急にひとつ配慮をいたしたい、こういうふうにお答えになっておるようでございますが、その六つの養成所の設置の計画については現在これが対策ができておるのかどうか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  90. 杉江清

    ○杉江政府委員 計画といたしましてはブロック別に一カ所つくるという計画でございます。概算要求いたしましたときには具体的に地域も定めて要求いたしましたが、大体この概算要求のときに考えました計画で今後整備してまいりたい、かように考えております。
  91. 上村千一郎

    ○上村委員 いろいろ御検討のぐあいもあるでしょうが、六つの養成所の設置の計画については、何年度までにこれが実現をいたしたいという点まで検討をされておるかどうかお尋ねをいたしたい。
  92. 杉江清

    ○杉江政府委員 私どもとしては四十一年度予算で実現いたしたい、そのように努力いたしたいと考えております。
  93. 上村千一郎

    ○上村委員 四十年の本件につきまする予算額、大学にこの国立養護教諭養成所を付置する理由、養成所を臨時の制度としていない理由、修業年限を三年とした理由、その点につきましてお答えを賜わりたいと思います。
  94. 杉江清

    ○杉江政府委員 一養成所当たりの予算案について申し上げますと、学生入学定員は四十人、教職員定員は教授一、助教授一、助手二を含めて八といたします。そして金額といたしましては、経常費、臨時費合わせて二千五百十一万六千円でございます。  これを大学に付置いたしました理由は、施設及び教官の面において付置したほうが能率的だ、こういうことでございます。施設につきましても教員養成学部等の施設を共用する面が相当あります。また教育内容の面においても、一般教養はほぼ共通でございます。そういう点を考えまして、これを国立大学の教員養成学部に付置したほうがよい、こういうふうに考えるわけでございます。  これを臨時の制度となぜしなかったかという点でございますが、これは、この教員養成はなるべくならば四年生課程において小学校の教員養成をしたいというのがいままでの基本的な立場でございます。しかし、この養護教諭については、従来文部大臣の指定する養護教諭養成機関という制度がありまして、それが二年でございます。この二年の制度も一応恒久的制度として認められておるわけであります。そういうことから、今度の養成所は三年ということで、他の養成機関よりも年限も長いし、内容充実しているわけであります。それからまた四年制大学でこれを養成するということは、実際問題としてなかなか期待するような養護教諭を四年制課程から供給していただくことを期待できない事情がございます。一方相当早急にこの養護教諭を充実しなければならぬ、こういうふうな実際上の必要もございます。そういうことを勘案いたしまして、制度としては恒急的な制度といたしたわけでございます。  なお、これを三年とした理由でございますけれども、まず従来の養成機関は、これは二年が多いのでありますが、それでは十分な教育ができない、その年限を延長する必要がある、こういう判断でございますが、それでは一挙に四年制でやれるかというと、これは四年制課程において一挙にこの養護教諭を相当多くを養成するということは期待できない実情でございます。だから、従来よりも充実して三年にするということと、実際的な事情考えまして、四年にはせずに三年とすることが妥当だ、こういうふうな考え方でございます。
  95. 上村千一郎

    ○上村委員 一定の条件のもとに大学に編入することができる措置を講じている、この大学編入を認めた理由、また大学編入を認めた場合に、希望がどういうふうな状態にあるだろうか、そういうようなお見通しというものについてお答えを賜りたいと思います。
  96. 杉江清

    ○杉江政府委員 この養成所では養護教諭の二級免許状しか得られないのであります。したがって、一級の免許状を得たい、かように考えるのは当然でありますし、そういう希望はこれを到達してやりたい、かように考えておるわけであります。その場合には、当然大学に入って必要な単位を修得することが最も有効な方法であります。そういう場合を主として考えてこの編入の措置をいたしたのであります。ただ、この養成所は養護教諭を早急に広く設置するという目的のためでありますから、そこから進学者が非常にふえてこの養成所を設置した目的に沿わないというような事態にならないような指導もし、またそのような配慮をして編入のことも考えてまいりたい、かように思います。
  97. 上村千一郎

    ○上村委員 私がなぜこんな質問をしたかと申しますると、文部省は、先ほど申し上げましたように昭和三十九年度以降五カ年のうちに約五千二百人の増員をはかっておるということである。しかも今度の法案においては二つの養成所の設置しかない。こういうような実情で、また大学編入ということになりますれば、年限がまた延びる。そうすると、文部省が策定しております三十九年度以降五カ年のうちに約五千二百人の増員をはかるということができるのかできないのか、こういう点を心配しまして質問をしたわけでございます。  次に、この養護教諭確保するために優遇措置を講じておる、在学生に対する授業料その他について特別に優遇措置を講ずるということになっております。この確保の点につきましては、何らかの優遇措置を講ずることが必要であろうというふうに私も考えます。その際に、授業料免除の対象から高等学校と幼稚園の養護教諭となる場合を除外しておる理由はどこにあるか、お尋ねをしておきたいと思います。
  98. 杉江清

    ○杉江政府委員 養護教諭は、小学校、中学校において必置のたてまえになっております。附則で緩和規定を設けておりますけれども、たてまえとしては、小学校、中学校必置でございます。ところが、幼稚園及び高等学校にはそういうたてまえになっておらないわけでございます。したがって当面の問題としてはやはり小中学校の養護教諭を養成ということが緊急必要事でございます。そういう意味におきまして、そのための必要な教員を確保するということのために特に優遇措置を講ずることにいたしたわけでございます。
  99. 上村千一郎

    ○上村委員 いま私が申し上げておりまする趣旨につきまして、大臣がお見えになりましたので、大臣のお考えをお尋ねしておきたいと思います。  文部省においては、公立の小学校及び中学校の養護教員について昭和三十九年度以降五カ年のうちに約五千二百人の増員をはかるというお考えであることは、大臣がこの法案提案理由を御説明になった際にお述べになっておるところでございます。そういう点についてこの法案では二つの養成所しか認められていない。しかも修業年限は三年である。しかも大学編入の道を開いておる。しかも養護教諭を確保するために優遇措置が講ぜられておることはけっこうであるけれども、いまの実情でこの文部省の計画というものが、目的を達するという状態にあるのかどうか。先ほど局長がお答えになっておるところを見ますると、実は八ブロック、計八カ所養成所を設置するという考えだ。たぶん二カ所というのは予算上の措置という点で、不十分ながなら二カ所ということになっておると思うわけであるけれども、しかしあとの大カ所というものについてはどういうお見通しで、そしていつごろまでにはこれが設置をお考えになっておるのか、こういう点をお尋ねしたわけです。これはいろいろ予算の問題もありますし、大臣のお骨折りということも相当影響するかと思いますので、ちょっと先ほど質問とダブっておりまするけれども、大臣がお見えになりましたので、その点につきましてお考えをお聞かせ賜りたいと思います。
  100. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御指摘のように、養護教員の充足の計画については、三十九年度から四十三年度までの間に、公立小中学校の養護教員を約五千二百人を増員する計画ということを根本にいたしまして、具体的な計画を進めているわけでございますけれども、ただいまも御指摘のように、今回の法案だけではそういったことになかなか達し得ないうらみがございますが、少なくとも四十一年度にあとの六カ所、そして八ブロックにおける施設だけは実現をいたしたい、こういうつもりで考えておるわけでございます。
  101. 上村千一郎

    ○上村委員 大臣のお考えにつきまして了承し、なお一そうの御努力を希望しまして、私の質問はこの程度で終えておきたいと思います。
  102. 渡海元三郎

    渡海委員長 山中吾郎君。
  103. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 養護教員養成関係の法案、それから国立学校設置関係の法案、その中に教員養成という根本問題を含んでおるので、この問題については、この法案に共通した日本の教員養成のあり方の問題があるので、きわめて重要な事項を含んでおると私は思っております。  そういう立場で審議を深めていきたいと思いますが、その前提としての考え方をひとつ大臣にお聞きしておかなければならぬのです。  宮城県の教育大学の分離も、この法案の中の一つの要素になっておるわけですが、すでに募集要綱を出しておる。この法案が否決になればどうするかという問題があるので、その点は国会軽視だと私は思う。その募集要綱をひとつ提示してもらいたい。どういう意味で一体募集しておるのか。この法案は、宮城大学なんて地球上に存在していないわけです。どうして募集しておられるのですか。
  104. 愛知揆一

    愛知国務大臣 法律案の御審議を願い、かつ所要の予算につきましても御審議を願っているわけでございますから、これが法律が成立しなければ存在しないということはそのとおりでございますから、法律案の御審議と成立を一日もすみやかにお願いしたいというのが、私どもの率直なお願いでございます。しかし同時に、こういう場合にいつもそういうふうな問題があるわけでございますけれども、すみやかに御審議を願い、またできることを、われわれとしては希望的な前提として措置をいたしておるわけでございますから、御了承願いたいと思います。
  105. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私立大学その他の場合には、認可をしないときに募集をやると、文部大臣はきついおしかりをされるという慣行になっておる。ところが国立の場合は存在しない大学の募集を堂々とされては、私学に対しても指導監督できない。だから、新しい学部を設定するとか定員増は別ですよ。新しい大学をつくるときについては、文部省においては最初の学年においては、たしか五月末までに授業を開始すれば一学年を認めるという慣行があるわけです。一月延ばせばいいわけです。そういう慣行ができて、おるはずです。まだ国会審議は一つもしていないのです。それを堂々と募集しておる。しかもあの場合用地がまだはっきりしていないのじゃないですか。農学部が移転をしたあとに新しく宮城大学を設置するという、そこに移すといっておる。ところが農学部のほうはそこに移転を反対しておる。そうして用地もきまらないでおるのに、しかも法律が通っていない。審議といってもまだ始めていないのですよ。いま始めようとしているわけなんです。だからこれは来年回しにすべきだと思うのですが、どうですか。
  106. 杉江清

    ○杉江政府委員 事務的にまずお答えいたしたいと思いますが、まず宮城教育大学の場合は、その母体があるわけでございます。この募集は従来東北大学の教員養成課程で行なっておった、それと実体はほとんどそのままの形で新しい大学で募集するものでございます、だからこれは形式論になりますけれども、もしこれが設置ができないというふうな場合には、これはもとの形で生徒を収容するということも可能なわけでございます。しかしそれは形式論でありまして、実体は通るという見通しで募集をするということが、この際生徒のためまた地域のために適当だ、こういうふうに考えたわけでございます。先ほど大臣も言われましたように、従来とも学部等の創設の場合は、みなこのようなやり方をやってきておるわけでございます。そういった従来の先例によったわけでございます。  なお土地については、大学と私どもまた地元の間では方針はきまっておるわけであります。ただ承りますと、学内において異論が出ておるようでございますが、しかし大学としましては、私どもまた地元とお話し合いした線の実現に十分努力をされておることでありますから、追って解決するものと確信いたしております。なお暫定的には、御存じのとおり富沢という地区にいまあいている校舎がありまして、そこを改修すれば十分当面の教育はできるわけでございます。
  107. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 事務的にやるならば、まだ法律が通っていないのだから、宮城大学の学芸学部の募集をして、法律が通り、独立がきまれば、その者は宮城教育大学の学生とするという出し方ならそれはわかる。そうでしょう。いま学芸学部があるのだから、学芸学部として募集する、あるいは教育学部の学生として募集し、法律が通ったあとにそのまま独立した宮城大学の学生に移行するというのが事務的でしょう。愛知大臣の出身の宮城県なんだから、大臣、国会軽視になるような事務処理はいかぬじゃないですか。
  108. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほども申しましたように、私どもとしては多年の要望の問題でもございますから、教員の養成充実ということから申しましても、これがよい案であるという確信を持って御審議を願っておるわけでございますが、そういうことを希望的前提としてやっておるわけでありまして、私は決して国会軽視ではないと思っております。
  109. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 一つ大学の中の学部設定その他の場合は、希望的観測でそういう出し方をされても私はいいと思うのです。しかし、独立の大学の場合に、審議もしていないうちに、大学の学生募集をするということは、私立の場合は文部省は絶対認めないのだから、国立の場合には、身勝手なことをしてわれわれに審議をはかれと言ったって、それは僕らを軽視するんだからもってのほかだと思うのです。それから敷地にしても、四十一年度には富沢地区に、それから四十二年には今度農学部のあとにという、そういう計画でしょう。学内で反対すればこれはたいへんなことになる。しかも教員の養成は重要であるという認識ならば、少なくとも敷地というものが確定をし、全部の見通しがついたときにのみやるべきである。いまのような不確定な状況の中で軽率にそういう案を出してくるということは、私は承服できないのです。  そこで、文部省で自信があるなら、その敷地に対する資料その他もお出し願いたい。それから募集要綱も提示していただきたい。きょうは、あと高橋委員のほうで大臣質問を保留しておるそうですから、問題だけ提起をして、私の質問は保留しておきます。
  110. 高橋重信

    高橋(重)委員 文部大臣が見えましたので、先ほど保留いたしました問題点についてお尋ねいたしたいと思います。  その問題点というのは、昨年神戸、山口、岐阜の三つの県立医科大学国立移管いたすことにしたわけでありますが、先ほど大臣からお話がありましたように、これは地元とよく話し合って煮詰めた上で移管するのだ、しかも地方財政を大きく圧迫させるようなことはしないのだ、一時には多少の費用がかかるけれども、長い目で見れば、それは地方財政を豊かにするのだ、こういう意味の答弁があったわけであります。先ほど大臣不在中にいろいろ質問をいたしまして、特に岐阜県の県立医科大学国立移管に伴う経過、あるいはその後の見通し等について質問をいたし、御答弁もいただいたわけでありますが、お話を承れば承るほど非常に不可解になり、非常に問題があるということを知ったのであります。というのは、時間の関係上結論を申しますと、文部省と岐阜県とはまだ話が煮詰まっておらないわけであります。しかもその食い違いが非常に大きいがために、昨年の四月以降正式に岐阜県とは話し合いが持たれておらない。事務的な話が行なわれておるのみでありまして、移管に対する七項目にわたる条件というものが、知事と文部省で確認され、調印されておるわけでありますが、その後何ら正式に話し合いが進められておらない。このことに対しまして、文部大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるかということが第一点。  第二点は、地元文部省相当の食い違いがある。その内容は、文部省といたしましては、現在の岐阜県の県立医科大学の敷地が六千坪有余であって、ほかの大学と比較すると非常に敷地が狭い。だからいまの県庁の建物全部と敷地約六千坪、それを全部出して、その上で金を設備費として十億円程度出していただきたいというのが文部省要望であり、基本方針だそうであります。それに対しまして地元としては、いまの県庁は岐阜市の中心部であり、坪十五万も二十万も二十五万もする非常に高価なところでありまして、これを六千坪出しますと、ちょっとそろばんをいたしましただけでも、かりに二十万といたしましても十二億というような膨大な金であります。しかも県庁の建物を全部寄付せいというのですから、これまた大きい金であります。二十億円くらいするというふうに私は踏んでおるわけであります。その上に設備費を十億円出せ、これで現在の地方財政が圧迫を受けないでやっていけるものかどうか、こういうことであります。しかも岐阜県といたしましては、いままでに国立移管をするために約八億円の金を投資してきておるのであります。過去数年間に八億円、こういう膨大な金を嫁らかすがためにつぎ込んできて、その上またいまの時点に立ちまして県庁の建物、敷地六千坪を全部出せ、金を十億円出せ、こういうことは私はどうしても納得がいかないわけでありますが、これではたして地方財政を圧迫させずにいけるものか、あるいはこういうやり方というものは、冒頭にわが党の二宮議員からも質問がありましたが、国立大学をつくるのにそういう財政的な圧迫をかけるということは文部大臣のお考えに反しておると私は思うのですが、そういう二点にわたりまして率直な文部大臣の御意見を承りたいと思うのであります。
  111. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私のほうも率直に申し上げまして、先ほど来事務当局からも御説明申し上げたかと思いますけれども、大体ただいま高橋委員からお話がございましたような経過になっております。そもそもこれは昭和三十八年十二月から話し合いが始まりまして、双方でいろいろの提案をいたして御相談をいたしておるわけでございます。それから大学移管協議会というものも、県と文部省と、さらに学識経験者に入っていただきましてつくられておりまして、そのほか事務的にもひんぱんに折衝を続けております。そこで、ただいま御指摘がございましたように、文部省側の希望というものもその席で出ております。ただいま御指摘のような内容でございます。それから岐阜県側としては、たとえば県の庁舎を十二億円で買ってもらえぬかというようなお話も、話し合いの中の御希望としては出ております。しかし、同時に、ほかに一億五千万程度は協力ができるというようなお話県側からも承っておるようなわけでありまして、ただいまこれも文部省のほうの考え方と県のほうの考え方との間には、御指摘のように相当の開きがまだございますから、これを両極点におきまして何とか両者の歩み寄りをはかってまいりたい。誠意を尽くして努力してまいりたいと思っておるわけでございます。  それからなお十億円というお話がございましたが、これは一つには五年間の計画ということに考えておりますことと、それからこれは地方財政の現状に照らしまして、岐阜に限りませんけれども、国立大学への移管の場合には地財法の適用はないことに自治省とも話し合いができておりますので、でき得る限りの便宜ははかってまいりたい。これは先ほど申し上げました基本的な考え方の線をいろいろの面で活用して、県側の御意向もさらに十分この上に伺い、また私どもの考え方も十分御相談の対象にしていただきまして、漸次煮詰めてまいって円満な解決を庶幾したい、こういうふうな考え方で今後も進みたいと思っております。
  112. 高橋重信

    高橋(重)委員 そこで再度御質問するわけですが、大学移管協議会が持たれて、いろいろ具体的なことは話し合っていく、煮詰めていく、こういうお話でしたのですが、現実に岐阜県におきましては、昨年の四月以降ほとんど持たれておらないわけです。事務当局の説明を聞きましても、煮詰めるといったってこれは煮詰めようがないと思うのです。しかもこれだけの幅がある場合には煮詰められないと思うのですが、現実には国立移管されてしまっておるのです。したがって、いま岐阜県の県会が開かれておるわけですが、岐阜県では国立移管するために県庁の建物を、敷地を全部出さなければならないというわけで、新庁舎をつくりにかかっておるわけです。これが約三十億くらいかかるのですが、こういうことに関連してきまして、県では県民は非常にこのことに対して関心も持ち、あるいは心配もしておるわけですが、こうやって話し合いをするのだ、努力をするのだと言われるわけですが、不幸にして最終的に話し合いがまとまらなかった、こういう場合も予想できると思うのですが、そういう場合にはどうなるか。というのは、議会におきまして松野知事ははっきりと言明しておるわけです。文部省が何といわれようとも、われわれはこういうふうにいくんだ。速記録もあるわけですが、そういう内部のことには触れませんが、そういう努力を両者でしましても、不幸にして最後にまとまらなかったという場合としましては、どういう処置をされるか、こういうことです。
  113. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまも申しましたように、何とかしてまとめたいと思っておりますので、いままとまらなかった場合にということまでは考えておりませんわけでございまして、あるいは私の申しましたことと事務当局の申しましたこととは食い違いがあったかもしれませんが、ひとつ頻繁に折衝をやるようにいたしまして、話し合いを実りのあるようにもっていきたいと思います。それから私といたしましても、この問題については、ただいま岐阜の県議会や県知事はじめ当局側の心配ということも注視しておるような状況でございますので、御趣旨に沿うように何とか話し合いをまとめるような努力を新たにいたしたいと思います。
  114. 高橋重信

    高橋(重)委員 こういう問題ができてきたのは、やはり最初移管するときにもう少し煮詰めた努力をされて移管されなかった。先ほど山中議員からもお話があった宮城大学にいたしましても、土地の計画あるいは設備の計画等に対しても十分なことをせずに先を急ぐと、岐阜県と同じようなことになるのではないかという心配を持つわけです。したがって、岐阜県におきましても、いま県内においてはこれは大きな政治問題化しておるわけでありまして、先ほど大臣が見えてなかったわけでありますが、岐阜県の政治情勢というものが、知事は自民党県連会長でありますが、これが党規違反を起こしまして懲罰に付せられる、内部は分裂しておる、やがて選挙もくるということで非常に地元も困っておるわけでありまして、いつまでにこれを解決するんだ——努力するんだということばもけっこうでありますが、日が延びれば延びるほど私は混乱してくると思う。いろいろな不幸な事態が起きてくるわけでありますので、少なくとも大臣としていつまでくらいにこれを解決したいのだという見通しをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  115. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は非常に率直なお話がございましたわけでありますが、そういうこともわきまえて、交渉については非常にむずかしい条件もあろうかと思いますけれども、私といたしましては、ここ数カ月のうちに何とか結論に持っていきたいということを目標にいたしまして——それもおそ過ぎると思いますけれども、数カ月うちには何とか結論を導きたいと思っております。
  116. 高橋重信

    高橋(重)委員 神戸や山口のほうはどうなっておりますか。
  117. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 これはもはや実質的に全部協議会で話が終わっておりますので、形式的な調印が残っておるだけであります。
  118. 高橋重信

    高橋(重)委員 山口や兵庫話し合いがほとんど煮詰まって実質的には解決しておる、こういうことでありますが、幸いにしてそういう解決しておる事例があったのですから、その具体的な内容等を地元選出の議員といたしましても知って、地元において文部省に対しても協力いたしたいと思うので、そういう点の資料を出していただきたいということをお願いしておきます。  以上であります。
  119. 渡海元三郎

    渡海委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会