運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-02-12 第48回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十二日(金曜日)    午前十一時九分開議  出席委員    委員長 渡海元三郎君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 八木 徹雄君    理事 二宮 武夫君 理事 三木 喜夫君       熊谷 義雄君    床次 徳二君       中村庸一郎君    橋本龍太郎君       川崎 寛治君    高橋 重信君       長谷川正三君    前田榮之助君       鈴木  一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君  委員外出席者         議     員 二宮 武夫君         議     員 川崎 寛治君         専  門  員 田中  彰君     ───────────── 二月十二日  義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特  別措置法の一部を改正する法律案二宮武夫君  外九名提出衆法第一号)  公立高等学校学級編制及び教職員定数標準  に関する法律案川崎寛治君外九名提出衆法  第二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特  別措置法の一部を改正する法律案二宮武夫君  外九名提出衆法第一号)  公立高等学校学級編制及び教職員定数標準  に関する法律案川崎寛治君外九名提出衆法  第二号)      ────◇─────
  2. 渡海元三郎

    渡海委員長 これより会議を開きます。  二宮武夫君外九名提出義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。二宮武夫君。     ─────────────
  3. 二宮武夫

    二宮議員 ただいま議題となりました義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について提案理由及び内容を御説明申し上げます。  教育機会均等義務教育水準維持向上をはかるため、国は適切な法制上財政上の措置を講ずべきであることは、いまさら申し上げるまでもございません。  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数算定標準に関しては、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律(以下標準法という)の定めるところでありますが、この標準法の実施を財政的に保障する法律義務教育費国庫負担法でございます。  この法律は、国は、各都道府県ごと公立義務教育学校教職員給与費等について、その実支出額の二分の一を負担することとし、特別の事情があるときは各都道府県ごと国庫負担額最高限度政令で定めることができる旨を規定したものであります。  これは実員実額による国庫負担原則を明示したものであって、政令国庫負担額最高限度を定めることができるのは例外の場合に限られるべきでございます。  しかるに政府は、昨年九月、いわゆる富裕都府県に限って、国庫負担額最高限度を定めていた政令改正して、教職員の実数が標準法に定める定数をこえる都道府県のすべてに対しましても国庫負担額最高限度を定める、いわゆる定員実額主義を採用したのであります。  地方公共団体は、教職員給与費実員実額国庫負担制度のもとに積年苦しい財政事情の中から教育水準維持向上のために教職員を増員してまいったのでございますが、財政面からその実績を無視することは地方自治教育自主制を破壊するものといわなければなりません。なるほど政府は、さきの第四十五回国会において標準法改正をいたしまして、一学級五十人の学級編制標準を四十五人にするとともに教員定数算定標準改善したのでございますが、いまだもって十分なものということはできません。すでに第四十三国会以来、わが党は、同法の改正提案し、その徹底的改善をはかろうとしているのでございます。  現行義務教育費国庫負担法及びその政令によれば、昭和四十年度には、教職員の過員が富裕都府県を除く三十四府県で約六千八百人に及ぶと推定されるのでございますが、このように教職員給与費負担額政令によって不当に左右されることのないように法律による保障が必要であると考えておるのでございます。すなわち、国が教職員給与費等について負担する場合における国庫負担額最高限度を定めることができる都道府県を、普通交付税交付を受けない都道府県に限ることとする必要があるため本案提出いたしたわけでございます。  公立養護教育整備特別措置法の一部を改正する法律案についても同様の趣旨改正を行なおうとするものであります。  以上が本案提案理由でございますが、何とぞ慎重審議の上すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。      ────◇─────
  4. 渡海元三郎

    渡海委員長 次に、川崎寛治君外九名提出公立高等学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。川崎寛治君。     ─────────────
  5. 川崎寛治

    川崎(寛)議員 ただいま議題となりました公立高等学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  後期中等教育拡充整備の問題は、社会体制の別を乗り越えて、世界各国におきまして、最も重要な教育課程であります。  年限の延長拡大とともに、完全なる後期中等教育を目ざして、質的充実発展につとめていることは御承知のとおりであります。  わが国におきましても、近く中央教育審議会より答申が予定されています後期中等教育拡充整備に関する答申案を契機に、政府文部省は、この問題に関する抜本的方針を検討するということを伺っています。抜本的改善方針は、具体案ができてから、意見を申し述べたいと思いますが、その機を逸しますと、はかり知れぬ害毒を青少年に与えることになります。高校教育条件整備は、緊急の課題であります。  政府施策貧困により荒廃状況におとしいれられた高校教育現状をそのままにして、抜本改善方針を、答申案を待って検討するがごときは、国際的にも後期中等教育水準において、ひとりわが国のみ大きく立ちおくれた結果となります。  すし詰め学級全面的増大と、教職員定数の不足は、生徒指導を困難にし、施設設備貧困と相まって、高校教育質的内容を低下させています。  すなわち、文部省は、三十八年度から、四十年度の高校進学率を、それぞれ、六一・八%、六三・六%、六五・四%で足りるとし、毎年百五十五万人の収容設備を用意しました。しかもこの百五十五万人は、高校定数法附則第五項により、一割のすし詰めを見込んだものであります。  本則どおり五十名学級として考えれば百四十万人の設備であり、三年間に四百二十万人の収容設備であります。しかるに、この三年間現実に入学した生徒総数は、三十八年度六七%、百六十九万人、三十九年度七〇・三%百七十一万人であり、今年度七二%、百七十一万人が予定されています、実に五百十一万人の生徒を、四百二十万人の収容設備に詰め込むものであり九十万名が、五十名定員をオーバーして、詰め込まれます。  この結果あらわれた高校教育現状は、まことに憂慮すべきものであります。私学においては、一クラス七十名、八十名は普通であります。公立においても普通高校で六十名、工業高校で五十五名等があらわれています。  この異常な現象が高校生徒にどのような悪い影響を及ぼしているかについて、東京大学教育学部環境衛生教室は、一九六四年二月、七月の二回にわたり、東京都立立川高校において調査しました。多岐にわたる調査中、炭酸ガス量についてのみ申し上げましても、五十五名学級においては文部省許容値として発表した〇・一五%をはるかに上回る〇・四%を四時限においては記録しました。まさに満員電車並みでありまして、青少年の肉体がこのすし詰め学級において、いかにむしばまれ、正常な教育が、いかに侵害されるかということを雄弁に物語っています。この調査において、好ましい学級編制人員は、二十五名であるという結論を出していますことをつけ加えたいと思います。  教育指導上の点については、広島大教育学部調査報告があります。すし詰め学級においては、個性が埋没し、全体の学力低下が生ずることを明らかにしています。  さらに教職員労働過重の問題があります、現行定数法附則第六項により、教職員算定の基礎になる生徒数を九%削減し、その上に立って、教職員を算定することを許しています。劣悪な施設すし詰めにされた生徒に対し、手不足の教員労働過重により苦しんでいます。このような憂慮すべき状況をつくり出している根源は現行定数法にあります。  後期中等教育を、拡充整備し、国家百年の大計をはかる好機はまさにいまであります。  昭和四十一年度から、中学卒業生徒数は、年々減少します。この機会に、学級編制定員教職員配当基準を抜本的に改善し、ヨーロッパ先進国基準に接近する方向を指向することは、緊急の課題であります。  ひるがえって、わが国後期中等教育史を顧みてみますと、遠く明治の初年にさかのぼって、学級編制基準が示され、五十名を最高限とすることが、明らかにされています。この間、実に約百年、文物制度改善は目ざましいものがあるのに、ひとり後期中等教育の基本をなす学級編制基準のみ、改善のあとを示さず、逆に低下しているということは、まことに理解に苦しむところであります。新制高校発足にあたり制定された高等教育設置基準が公布されて以来、実に二十年も経た現在、この基準を下回る貧困設備学級編制教職員配当が行なわれているところに、問題があります。この機会高等学校設置基準を最低の線として、条件整備することは、政府文部省の責務であります。  以上の趣旨に立脚し、公立高等教育学級編成及び教職員定数標準に関する法律案を上程し、もって高校教育充実発展を期することは、きわめて適切な処置と考える次第であります。以下法案内容の骨子について説明申し上げます。  第一に、法律案内容は、校長、教諭養護教諭等事務職員実習助手技術職員用務員定数について規定してあります。警備員、栄養士、給食従業員司書教諭司書司書補については、それぞれ関係法において、御審議をお願いしたいと思うものであります。  第二に、本法は、現行法と、その体系を異にし、学級編制及び教職員定数についてのみ規定しました。その理由として、設置者については都道府県を主体とするも、必要と条件と能力のある市町村であるなら、あえてそれを拒否する理由はないと考えたからであります。  適正配置につきましては、小学区制原則とするという新制高校発足精神に立脚しておりますゆえ、あえて法文化の必要なしと考えたのであります。規模については、教育機会均等原則から、小規模校充実、発展されるべきものであるという精神に立脚しているゆえに、規定しなかったのであります。  第三に、一学級生徒数は、全日制は、普通科家庭科商業科を四十名とし、農業科工業科水産科を三十名といたしております。定時制は、昼間授業の場合は全日制と同じとし、夜間授業の場合は、その特殊性にかんがみ、普通科、三十名、農業水産工業科は二十名以下といたしました。  第四は教諭等の数でありますが、全日制は週当たり授業時数十五時間、定時制は昼間定時制十二時間、夜間十時間とします。教諭数は、高校設置基準文部省令一号)に定められた方式により、学年別生徒数に、生徒週当たり授業時数を乗じて得た数を、一学級生徒の数に教諭等週当たり授業時数を乗じて得た数を合計した数としております。  第五に、農業水産工業商業家庭に関する学科にかかわる教員については、実習実験等を伴う特殊性から、その実情を勘案し、必要最小限度定員数を認めその定数を規定しました。  第六に、現行では小規模校定時制夜間課程に、養護教諭配置が困難であるとの実情にかんがみ、それぞれに養護教諭配置し得るよう定数を規定してあります。  第七に、その他実習助手事務職員技術職員用務員など、必要教職員定数を定めました。  以上、この法律改正によって、高等学校教育効果水準向上をはかるとともに、教職員労働条件改善をはかろうとするものでありますが、この法律の成立により、昭和四十年度において、昭和三十九年度定数と比較して約十四万人の教職員増を必要とし、その必要経費は、交付税交付金の中に見積もられることとなります。  以上がこの法律案提案理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  6. 渡海元三郎

    渡海委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会