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1965-05-31 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月三十一日(月曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    吉川 久衛君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    田邉 國男君       中川 一郎君    中山 榮一君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       亘  四郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    松井  誠君       松浦 定義君    森  義視君       湯山  勇君    小平  忠君       林  百郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         外務政務次官  永田 亮一君         外務事務官         (北米局長)  安川  壯君         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         水産庁長官   松岡  亮君         通商産業政務次         官       岡崎 英城君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房技術         審議官)    原  政司君         農 林 技 官         (蚕糸局蚕業課         長)      熊本 盛順君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    岡田 覚夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月三十一日  委員山中貞則君及び小平忠辞任につき、その  補欠として亘四郎君及び佐々木良作君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  小平忠君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(異常低温による  農作物生育状況及び日米間における漁業問題  等)  請 願   一 国有林野解放特別法早期制定に関する     請願池田清志紹介)(第九五号)   二 甑島赤鹿の子ゆり球根栽培振興に関     する請願池田清志紹介)(第九六     号)   三 酪農基本対策確立に関する請願野原     正勝紹介)(第三四二号)   四 消費者米価級地別価格維持に関する請     願(宇野宗佑紹介)(第三四八号)   五 酪農基本政策確立に関する請願宇野宗     佑君紹介)(第三四九号)   六 競馬法附則第七条の改正に関する請願     (大西正男紹介)(第四一三号)   七 同(仮谷忠男紹介)(第五六八号)   八 高松営林署塩入事業所の存置に関する請     願(福田繁芳紹介)(第四一四号)   九 酪農基本政策確立に関する請願松野頼     三君紹介)(第四二〇号)  一〇 森林開発公団造林に関する請願池田清     志君紹介)(第四二七号)  一一 残余甘しょでん粉全量買上げに関する     請願中馬辰猪紹介)(第四二八号)  一二 酪農基本政策確立に関する請願井出     一太郎紹介)(第四八一号)  二二 同(小川平二紹介)(第四八二号)  一四 同(唐澤俊樹紹介)(第四八三号)  一五 同(吉川久衛紹介)(第四八四号)  一六 同(小坂善太郎紹介)(第四八五号)  一七 同(下平正一紹介)(第四八六号)  一八 同(中澤茂一紹介)(第四八七号)  一九 同(羽田武嗣郎紹介)(第四八八号)  二〇 同(原茂紹介)(第四八九号)  二一 同(増田甲子七君紹介)(第四九〇号)  二二 同(松平忠久紹介)(第四九一号)  二三 政府売り渡し米穀包装量目改定に関す     る請願井出一太郎紹介)(第四九二     号)  二四 同(小川平二紹介)(第四九三号)  二五 同(唐澤俊樹紹介)(第四九四号)  二六 同(吉川久衛紹介)(第四九五号)  二七 同(小坂善太郎紹介)(第四九六号)  二八 同(下平正一紹介)(第四九七号)  二九 同(中澤茂一紹介)(第四九八号)  三〇 同(羽田武嗣郎紹介)(第四九九号)  三一 同(原茂紹介)(第五〇〇号)  三二 同(増田甲子七君紹介)(第五〇一号)  三三 同(松平忠久紹介)(第五〇二号)  三四 国有林野活用促進に関する請願椎熊     三郎君紹介)(第五六九号)  三五 同(篠田弘作紹介)(第七四五号)  三六 同(篠田弘作紹介)(第七七六号)  三七 同(篠田弘作紹介)(第一〇一一号)  三八 同(地崎宇三郎紹介)(第一〇一二     号)  三九 政府手持ちでん粉、ぶどう糖の放出抑制     等に関する請願瀬戸山三男紹介)(     第九一四号)  四〇 養ほう振興法運用是正に関する請願     (福井勇紹介)(第一一六七号)  四一 一般農道事業補助率引き上げ等に関す     る請願櫻内義雄紹介)(第一一九三     号)  四二 養ほう振興法運用是正に関する請願     (久保田豊紹介)(第一四三九号)  四三 国有林野活用促進に関する請願中川     一郎紹介)(第一四四〇号)  四四 鶏卵、鶏肉の価格安定に関する請願外一     件(渡辺栄一紹介)(第一四四九号)  四五 韓国東海岸漁場における操業に関する請     願(古井喜實紹介)(第一四五〇号)  四六 農林省林業試験場開放に関する請願(賀     屋興宣君外四名紹介)(第一八〇五号)  四七 小笠原諸島の漁業権補償に関する請願     (菊池義郎紹介)(第二〇一〇号)  四八 林道工事による財産の侵害救済に関する     請願石田宥全君紹介)(第二三一六     号)  四九 沖縄産糖全量買上げに関する請願(勝間     田清一紹介)(第二四五一号)  五〇 豚枝肉基準価格地域差縮小等に関する     請願池田清志紹介)(第二四八八     号)  五一 農林年金制度改正に関する請願池田清     志君紹介)(第二八四一号)  五二 繭糸価格安定並びに生糸輸出増進に関す     る請願湊徹郎紹介)(第二九二〇     号)  五三 乳価安定施策確立に関する請願湊徹     郎君紹介)(第二九二一号)  五四 昭和四十年産米の時期別格差金に関する     請願田中彰治紹介)(第三一〇八号)  五五 飼料の需給及び価格安定に関する請願     (鈴木善幸紹介)(第一三八一号)  五六 加工原料乳補給金等特別措置法制定に関     する請願鈴木善幸紹介)(第三一八     二号)  五七 鶏卵、豚肉及び原料乳安定基準価格に     関する請願鈴木善幸紹介)(第三一     八三号)  五八 いか釣り漁業不漁対策に関する請願(     林百郎君紹介)(第三五九四号)  五九 乳製品の貿易自由化反対等に関する請願     (林百郎君紹介)(第三五九五号)  六〇 西目川流域等土地改良事業促進に関す     る請願笹山茂太郎紹介)(第三六八     七号)  六一 特殊農業地帯振興対策に関する請願(唐     澤俊樹紹介)(第四〇四六号)  六二 同(井出一太郎紹介)(第四〇四七     号)  六三 同(小川平二紹介)(第四〇四八号)  六四 同(吉川久衛紹介)(第四〇四九号)  六五 同(倉石忠雄紹介)(第四〇五〇号)  六六 同(小坂善太郎紹介)(第四〇五一     号)  六七 同(下平正一紹介)(第四〇五二号)  六八 同(中澤茂一紹介)(第四〇五三号)  六九 同(羽田武嗣郎紹介)(第四〇五四     号)  七〇 同(原茂紹介)(第四〇五五号)  七一 同(松平忠久紹介)(第四〇五六号)  七二 農業用ガソリン税減免見返り農道事業の     採択基準引き下げ等に関する請願唐澤     俊樹紹介)(第四〇五七号)  七三 同(井出一太郎紹介)(第四〇五八     号)  七四 同(小川平二紹介)(第四〇五九号)  七五 同(吉川久衛紹介)(第四〇六〇号)  七六 同(倉石忠雄紹介)(第四〇六一号)  七七 同(小坂善太郎紹介)(第四〇六二     号)  七八 同(下平正一紹介)(第四〇六三号)  七九 同(中澤茂一紹介)(第四〇六四号)  八〇 同(羽田武嗣郎紹介)(第四〇六五     号)  八一 同(原茂紹介)(第四〇六六号)  八二 同(松平忠久紹介)(第四〇六七号)  八三 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案     成立に関する請願唐澤俊樹紹介)(     第四〇六八号)  八四 同(井出一太郎紹介)(第四〇六九     号)  八五 同(小川平二紹介)(第四〇七〇号)  八六 同(吉川久衛紹介)(第四〇七一号)  八七 同(倉石忠雄紹介)(第四〇七二号)  八八 同(小坂善太郎紹介)(第四〇七三     号)  八九 同(下平正一紹介)(第四〇七四号)  九〇 同(中澤茂一紹介)(第四〇七五号)  九一 同(羽田武嗣郎紹介)(第四〇七六     号)  九二 同(原茂紹介)(第四〇七七号)  九三 同(松平忠久紹介)(第四〇七八号)  九四 食料品総合小売市場管理会法案反対に関     する請願中村高一君紹介)(第四一二     八号)  九五 同(永井勝次郎紹介)(第四一二九     号)  九六 同(帆足計紹介)(第四一三〇号)  九七 同(松平忠久紹介)(第四一三一号)  九八 同(山花秀雄紹介)(第四一三二号)  九九 日韓漁業交渉妥結に伴う国内漁業調整に     関する請願足鹿學紹介)(第四一八     五号) 一〇〇 低開発森林地域開発林道大山東部線の調     査路線指定等に関する請願足鹿覺君紹     介)(第四一八六号) 一〇一 食料品総合小売市場管理会法案反対に関     する請願島上善五郎紹介)(第四二     四八号) 一〇二 同(神近市子紹介)(第四四〇二号) 一〇三 同外三十五件(山口シヅエ紹介)(第     四四〇三号) 一〇四 農業用ガソリン税減免見返り農道事業の     採択基準引き下げ等に関する請願増田     甲子七君紹介)(第四四三〇号) 一〇五 特殊農業地帯振興対策に関する請願(増     田甲子七君紹介)(第四四三一号) 一〇六 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案     成立に関する請願増田甲子七君紹介)     (第四四三二号) 一〇七 昭和四十年産たね基準価格引き上げ     に関する請願宇野宗佑紹介)(第四     五三二号) 一〇八 牛乳衛生行政是正促進に関する請願(足     鹿覺紹介)(第四六七九号) 一〇九 昭和四十年産たね基準価格引き上げ     に関する請願外二件(田中龍夫紹介)     (第四六八〇号) 一一〇 同(綾部健太郎紹介)(第四八一九     号) 一一一 同外十七件(荒木萬壽夫紹介)(第四     八二〇号) 一一二 同外五件(伊東正義紹介)(第四八二     一号) 一一三 同外四件(池田清志紹介)(第四八二     二号) 一一四 同(小澤佐重喜紹介)(第四八二三     号) 一一五 同外四件(上林山榮吉君紹介)(第四八     二四号) 一一八 同外二件(亀岡高夫君紹介)(第四八二     五号) 一一七 同(椎熊三郎紹介)(第四八二六号) 一一八 同(椎名悦三郎紹介)(第四八二七     号) 一一九 同外二件(篠田弘作紹介)(第四八二     八号) 一二〇 同(田口長治郎紹介)(第四八二九     号) 一二一 同外一件(田澤吉郎紹介)(第四八三     〇号) 一二二 同外十四件(田中龍夫紹介)(第四八     三一号) 一二三 同外二件(田中六助紹介)(第四八三     二号) 一二四 同外四件(竹内黎一君紹介)(第四八三     三号) 一二五 同(中馬辰猪紹介)(第四八三四号) 一二六 同外十件(床次徳二紹介)(第四八三     五号) 一二七 同外七件(中島茂喜紹介)(第四八三     六号) 一二八 同外十四件(中村寅太紹介)(第四八     三七号) 一二九 同外一件(南條徳男紹介)(第四八三     八号) 二三〇 同(西村英一紹介)(第四八三九号) 二三一 同外二件(野原正勝紹介)(第四八四     〇号) 二三二 同外三件(野見山清造紹介)(第四八     四一号) 二三三 同外十二件(野呂恭一紹介)(第四八     四二号) 二三四 同(松浦周太郎紹介)(第四八四三     号) 二三五 同外八件(三原朝雄紹介)(第四八四     四号) 二三六 同外二件(湊徹郎紹介)(第四八四五     号) 二三七 同外十一件(森田重次郎紹介)(第四     八四六号) 二三八 同外十一件(山崎厳紹介)(第四八四     七号) 二三九 同(壽原正一紹介)(第四八四八号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  最近における異常低温による農作物被害状況について説明を聴取いたします。原審議官
  3. 原政司

    原説明員 お手元にがり版刷りで横に書きました「本年の気象海況及び農作物生育状況等に関する資料」というのがございます。その資料によりまして御説明をいたします。  編成は、目次でごらんいただきますとおわかりのように、第一番目に気象関係、それから第二番目に昭和四十年産水稲の五月十五日現在の統計調査部調査結果でございます。第三番目には、本年の気象推移に対処いたしまして、稲作においてどのような生産対策を今日までやってまいったかという経過でございます。第四番目に昭和四十年産の麦作の状況、第五番目に桑の被害状況、最後に日本近海海況、漁況ということで編成をしてございます。順序を追いまして御説明をいたします。  お開きいただきますと、一ページに、五月二十日に気象庁予報部から発表なさいました向こう三ヵ月の予報の全文が掲載してございます。御承知のように、気象庁予報部におかれましては、毎月二十日現在をもちまして向こう三ヵ月の長期予報をなさっておられますが、去る五月二十日に発表されました発表文によりますと、全般予報という欄に要約して書いてございますので、全般予報の欄だけ朗読させていただきたいと思います。「全般予報、六−八月の予報で注目されるのは次の諸点です。1六月後半から七月にかけての北日本低温、2八月の西日本における台風の影響と、北日本変動の大きい天候、3全期間を通じて、山陰・北陸および東北地方局地的大雨本州太平洋側のか雨。」以上三点が向こう三ヵ月の気象予報の中で特記すべき事項だという指摘でございます。これからごらんいただきましてもわかりますように、北日本につきましては、六月後半から七月、稲の伸長期あるいは幼穂形成期等にかけまして、北日本では低温予報でございます。なお、八月につきましては、北日本では変動の大きい天候だということでございます。なお、太平洋岸は比較的寡雨であろう。それから西日本では台風の危険が八月に大きいのではなかろうか。そのほか心配されることは、裏日本一体で局地的に大雨の降る危険性があるという指摘でございます。  以下、月別予報につきましては、非常に長くなりますから、省略をいたしまして、二パージへ進みたいと思います。  ただいま気象庁予報について御紹介申し上げましたように、かなりことしは変化変動の大きい異常気象の予想される年でございますが、顧みまして、過去に、いわゆる稲を中心といたしますが、凶作といいますか、あるいは不作といいましょうか、そういうあまり芳しくない年がございますが、それらのおもなるものを拾ってそこに記載してございます。昭和九年、二十年、二十八年、二十九年、三十一年、三十九年ということでございますが、昭和九年は、御承知のように、北日本冷害で、西日本は干ばつ、それに台風といたしましては、九月二十一日に室戸台風が参っております。非常に特異な年でございまして、昭和八年の大豊作が七千万石を記録いたしましたが、昭和九年になりますと、たちまち五千二百万石という、たいへんな減収になった記録的な年でございます。昭和二十年は終戦の年でございますが、これは五月以降全期間にわたりまして気候不順の年でございます。当時の統計といたしましては、史上最低と申しましょうか、近年では非常に低い三千九百万石という米の不作の年でございます。それから昭和二十八年、二十九年は、最近といたしましては、非常に記憶に残る凶作不作の年でございますが、二十八年はどちらかと申しますと、八月の下旬から九月にかけまして非常な低温北日本に参りました。さような関係、それから西日本では、六月の末から七月にかけまして集中的な豪雨が北九州、和歌山等に参った異常な年でございます。二十九年は二十八年とは多少趣が違いまして、むしろ六月、七月あるいは八月にかけまして、どちらかと申しますと、稲作の前半にかけて低温が参った年でございます。なお、九月二十六日には例の洞爺丸台風台風十五号が北海道に参っております。三十一年は、三十年の大豊作あとを受けまして、北海道だけが非常に低温に見舞われたのでございます。たしか作況指数といたしましては、最近の北海道では最も低い五一%という記録を残しておると思います。それから、その後は北較的天候が順調に推移いたしまして、米作その他の状況も順調でございますが、三十九年、昨年は、御承知のように、北海道が非常な低温に見舞われたのでございます。昨年の低温は三十一年と比較いたしますと、三十一年は、九月、十月になりましてだいぶん天候は回復いたしましたが、三十九年は、収穫までぶっ通し天候が悪い、そういう、むしろ三十一年以上の異常天候の年であったわけでございます。水稲作況指数といたしましては、六八%を記録いたしておりますが、天候等の条件を考えますと、三十一年から三十九年、約八年間に、かなり北海道稲作は進歩したと申しましょうか、非常に安全性を高めてきたというふうにも考えられるのじゃないかと思います。  今年は、ただいままでの経過は、御承知のとおり、五月上旬まで全国的に低温経過いたしまして、五月中旬、下旬は全国的に持ち直しましたが、また去る土曜日に非常に低温が参ったという、非常に変化の激しい経過をたどっております。なお、今後の見通しにつきましては、先ほど気象庁予報文で朗読いたしましたとおりでございます。  三パージには、いま口頭で申し上げましたものを、若干年次を追加いたしまして、明治三十八年から昭和三十九年までの、夏低温でありました年を拾ってあげてあります。これは気象庁で作成をいただきました資料でございますが、札幌における夏の気温変化中心につくったものでございます。まん中になだらかな線がございますのが平年の推移でございまして、でこぼこになっておりますのが当該年次気温変化でございます。これからごらんいただきましても、それぞれの年次に多少の特徴がございますが、昭和九年以降のおもだった年につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおりの推移を示しておることがごらんいただけるかと存じます。  次にお開きをいただきまして、四パージでございますが、これは統計調査部におきまして、五月十五日現在で、北日本稲作状況調査いたした結果でございます。次回はたしか六月十日に御調査になる予定でございますが、五月十五日現在の状態につきましては、全体といたしまして、一行目にございますように、北日本の稲の苗の生育状況は、やや不良ないし不良という状況でございます。しかしながら、全般的に中旬から下旬にかけまして天候が回復いたしましたので、月末状態といたしましては、かなり回復をいたしておりまして、草たけ等につきましては、意外に平年に近いところまで回復しているというのが全般的状況でございますが、生体重等につきましては、やはり平年を下回る、決してよい苗のできではないことは、申すまでもございません。その中間に播種状況とありますが、これは省略をいたしまして、一番下から三行目、そういった苗の生育状況等から見まして、田植え状況がどうかという点でございますが、御承知のように、田植えは、北陸地方でございますと、例年は五月中旬から下旬に行なわれますし、東北でございますと五月下旬から六月上旬になります。北海道につきましてもほぼ同様でございますが、今年は苗しろの播種がおくれましたこと、苗の生育がおくれておりますこと等の関係からいたしまして、平年に比べますと、おおむね三日から一週間程度の遅延と見込まれております。五月十五日現在で統計調査部調査いたしましたところによりますと、十一日以上田植えがおくれそうだと見込まれる面積は、北日本で約十万町歩ございまして、その面積割合は約八%見当と見込まれております。しかし、その後、十五日以降の天候がやや順調に経過いたしておりますので、こういった田植え遅延等につきましては、若干回復する見込みでございます。  次の五パージに、ただいま御説明申し上げましたのを一表として掲載してございます。その中で一言補足さしていただきますと、まん中ほどに7といたしまして「苗代種類の増減」という欄がございます。御承知のように、最近、北日本稲作の進歩の一つの大きな要素は、水苗代が減少いたしまして、保護苗代、特に保温折衷苗代から畑苗代への移行ということにございますが、保護苗代冷害年次におきまして非常に効果を発揮することは、申し上げるまでもございません。したがいまして、本年各県とも保護苗代普及につきましては格段の御指導を願っておりますが、その結果、ごらんのとおり、東北についてごらんいただきますと、水苗代が七%減少いたしまして、保護苗代が逆に七%増加する。北陸、長野につきましても同様であります。このように苗代改善につきましては、冷害年次等も考慮に入れまして、農家も真剣にその改善をはかっておるということがごらんいただけるかと存じます。あと口頭で申し上げましたことが表になっておるので、省略をさしていただきたいと思います。  次は、六パージ以下でございますが、六パージにございますのは、本年の気象推移に対処いたしまして、稲作生産対策でどういうことをやってまいったかということを簡単に書いてございますが、第一点は、申し上げるまでもなく、本年の豪雪に発しました稲作でございますので、豪雪対策に最重点が注がれたわけでございます。その詳細につきましては、御案内のとおり、除雪問題、それから山間等におきましては委託苗代共同苗代等の設置につきまして、格別の努力をいたしてまいったのでございます。  なお、第二の点につきましては、ただいま統計調査部の表に関連して御説明いたしましたように、苗代改善をこの際重点的に取り上げたことでございます。なお、それと一緒になりまして、おくて品種を改良いたしまして、わせ、なかての耐冷、耐病性品種普及ということに重点を置いてまいりましたが、品種変換等につきましても、ほぼわれわれの期待する方向で改善されていると承知しております。  なお、四月以降の異常低温の継続に対しましては、以下ページをあらためますような指導要領を作成いたしまして、災害対策本部からそのつど、ややこまかい技術的な面にわたりますけれども、注意を喚起してまいったわけでございます。申しおくれましたけれども、四月の末に、農林省は、異常気象に対しまして災害対策本部を設置して、全力をあげて指導に当たっておりますことは、御承知のとおりであります。  七パージからずっとまいりまして、十二ページ、十三ページまで、さような経過に属する文句がございますが、非常にこまかくなりますので、省略をいたしますが、こういったこまかい指導をやりました。最近のものは十二ページにございます。十二ページに、去る五月二十六日に、統計調査部の先ほどの五月十五日の調査が判明いたしました機会に、その現時点に基づきまして、当面稲作につきまして、特に技術上配慮すべき事項を特記いたしまして、各県、また普及員等の指導を記載いたしたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきますとおわかりいただけるかと思いますし、時間の関係もございますので、省略さしていただきたいと存じます。  十四ページにまいりますと、麦作状況でございますが、麦作状況にまいります前に、恐縮でございますが、十七ページの日本近海海況、海の状態についてお話を申し上げさしていただきたいと思います。  十七パージ日本近海海況について記載されておりますが、第一番目は本州太平洋岸海域でございます。(1)にございますように、黒潮の流れ方でございますが、黒潮の流れは、九州、四国沖でやや離れておりますが、紀州沖では極端に紀州寄りに接近しておりまして、御承知のように、この房総沖にまいりまして北東へ暖流が出てまいりますが、その北上の位置といいますか、曲がるところが、かなりことしは南に寄っているようでございます。それから表面水温でございますが、四月下旬から五月上旬の状況を見ますと、九州沿岸から伊豆諸島近海につきましては、平年に比べて一度から三度程度の低目を記録しております。なお、房総近海におきましては二度ないし五度の低目でございますが、鹿島灘沿岸におきましては非常に冷たい水が出ておりまして、平年に比べまして八度低いという、非常に局部的に低いところがございます。それから金華山沖等におきましては三ないし五度の低目の状態でございます。北海道海域につきましては、沿岸部は例年に比してやや低目に経過しておりますが、オホーツク海側、日本海側沖合いとも、平年に比べまして一度から一・五度程度低い。これは五月下旬の状態でございます。三番目に九州西域でございますが、表面水温はやはり平生に比べまして一度から二度低い状況でございます。日本海でございますが、黒潮の分派でございます対島暖流がやや弱いようでございます。表面水温につきましては一度から二度の低目でございます。  以上要約いたしますと、海況全体といたしましては、日本周辺では一度ないし三度の低目となっておりますが、先ほど申し上げましたように、常磐の沿岸では親潮がたまっておりまして、極端に低いところがございます。それが非常に特記されるものと思います。  以上、大体海況でございます。これからごらんいただきますように、気象予報といい、あるいは海況の現況といい、本年は必ずしも順調ではございません。むしろ非常に特異の状況を示している現在でございます。  そこで、十四パージに返りまして、麦作状況につきまして、若干御説明を申し上げたいと存じます。麦作の作付状況等確定いたしますのは、統計調査部において六月五日に公表をする予定でございますので、ただいまいろいろ計数整理の途中でございます。したがいまして、以下申し上げますことは、公表の際に若干変わるかもわかりませんが、麦作の最近の動きを見ますと、その表の一番右にございますように、対前年比といたしまして、昭和三十八年には八・五%程度減少いたしましたし、三十九年には一四%の麦作全面積の減少を見たのでございます。いろいろ理由はございましょうが、御承知のように、麦作は二ヵ年にわたって非常な災害をこうむっておりますが、かなりの減少を見たのでございます。しかしながら、四十年産の麦につきましては、ただいまのところ、前年比約七%程度の減少ではなかろうかと見込まれております。なお、生育状況につきましては、北のほうでは豪雪の被害がございますし、また全国的には春になりましてから低温経過いたしておりますので、できといたしましては若干おくれております。したがって、草たけといいますか、作物のできもやや低目でございますが、病害等につきましては特段のこともございません。ただ、麦作は、何と申しましても収穫寸前までなかなか作況が動きますので、問題は、今後の天候にかかるところが非常に大きいのではないかと存じます。  以上麦作でございます。ただ、麦作につきましては、ただいま申し上げましたように、生育状況がかなりおくれておりますし、稲作その他の作業と関連しまして、この春の農繁期は、西日本におきましてもかなり労力的に逼迫するのではないかという懸念もございますので、さような方面での指導を十分にやってまいりたい、かように考えております。  次は、一六パージにまいりますと、桑の被害状況等を要約してございます。北日本におきましては、豪雪のために物理的な桑の雪折れの問題あるいは野鼠による被害、胴枯れ病等がございまして、その詳細につきましては、目下統計調査部調査を行なっておる状況でございます。御承知のように、低温のために全般に桑の発芽がおくれておりまして、そのために、掃き立て時期がおくれる、あるいは若干の掃き立て量等の減少も懸念されておる状況でございます。何と申しましても、桑の発育その他非常に不良でございますので、今後の技術指導につきましては十分注意してまいりたいということでございます。  以上、気象状況から海況状況、それから稲作等につきまして御説明を申し上げ、さらに麦作、それから桑について御説明申しましたが、何と申しましても、非常に変動の大きい今年のこれまでの気象経過でございますし、今後も気象庁予報によりますと非常に変動が大きいという注意もございますから、できるだけ事前に準備すべきことは準備いたしますし、また当面とるべきことはそのつどきめこまかい指導をしてまいりたいという考えで、災害対策本部といたしましては十分努力をいたしております。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。
  4. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の申し出があります。これを許します。松浦定義君。
  5. 松浦定義

    松浦(定)委員 本年の冷害が非常に深刻であるということで、いち早く政府機関においてはその対策本部を設けて、それぞれ善処されておることについては、すでに承知をいたしておるわけでありますが、本日当委員会でも現況における災害の御報告をされ、さらにまた、同時に開かれておりまする予算委員会においてもこの問題は取り上げられると思うわけであります。予算委員会におきましては同僚の石田委員から大臣その他関係者につぶさに全般的の質問があろうかと思いますから、本委員会におきましては報告に基づいて、私は、主として——いま御説明の中にもありましたように、三十八年あるいは三十九年、四十年と、この三年間連続して北海道冷害を受けるのではないか。すでに昨年の冷害は、おそらく政務次官も御承知のとおりに、北海道においては史上最大の被害であった、こういうふうにいわれておるわけであります。その対策につきましてはそれぞれやっておられますけれども、さらにまたことしこれがそれ以上の災害があるということになりますと、これはたいへんなことになろうと思うわけであります。きょうの報告にもありますように、現在は十日ないし十五日間の水稲におけるまきつけがおくれたり、あるいはその他霜害等につきましても相当あったことは事実であります。しかし、これはこれからの対策がどのようになされるかということについては当局としても十分御配慮されておると思うのでありますが、実は本部の指導に基づいて、各都道府県におきましてもそれぞれの対策を立てておるようであります。特に私は地元のことばかり申し上げて恐縮でありますけれども、北海道におきましては特に昨年の冷害があるだけに、当局もそうでありますけれども、一番心配しておるのは農民であります。もしことし昨年のようなことがあったら、どのようなことを政府当局として取り上げてもらっても、再び立ち上がることのできない農家が相当数出てくる、こういうことであります。したがって、道当局におきましても、それぞれ関係機関を総動員いたしまして、相当機構をつくり、対策を立てておるようであります。私の手元にまいっておりまするそういう機構あるいは対策につきましても、すでに道といたしましては、資料として第一報から第五報まで出し、さらにそれぞれの対策を立てておるようでありますから、いまここでそれを一々申し上げることは必要でないと思いますが、ただ、私が一番心配いたしますのは、実は二十九日、土曜日であります。土曜日の早朝、これは農家といたしましても全くかつて体験のないような、非常な寒波に襲われたわけであります。御承知のとおりに、北海道におきましては、水稲におきましても相当早く苗植えをするわけであります。ああいう地帯でありますだけに、早く苗植えをする。ことしは多少おくれましたけれども、努力をいたしまして、すでに苗植えを終わっている水田も相当あったわけであります。それからもう一つは、ビート等におきましては、昨年の実績にかんがみまして、ことしは寒冷地作物に転換すべきであるという指導に基づいて、いま申し上げました第一報から第五報までのいろいろ資料の中から、そういう指導に基づいて、ビートあるいはバレイショといったような耐寒性のものを相当つくっておったわけであります。特にビートにおきましては、直播をいたします場合においては、どうしても収穫におきましても一週間ぐらいおくれるわけであります。でありますから、これをペ−パーポットに切りかえまして相当数の増反をいたしたわけであります。そのペ−パーポットによって——それも二十九日の朝の寒波は、移植をいたしました直後であります。したがって、低いところは零下三度、帯広あたりにおきましても零下〇・五ないし〇・八、こういったふうで、とうてい作物として耐えられない、そういう気候にあったわけであります。特に水田におきましては、御承知のとおりに、テレビでも出ておりましたが、水田に氷が張りまして、農家はその氷を割って、その苗の結果を見守っておる、こういうような状態が出ておるわけでありますが、農林省といたしましては、そういうような地域的な問題については、まだ道当局からこまかい報告はあるいはないかとは思いますけれども、テレビやその他の情報をお聞きになりまして、この北海道の特にいままでかつてないような冷害、予想されておる冷害がすでにもうこの五月にきたということについては、これはたいへんなことであろうと思いますが、そういう点を承知されておりますかどうか、この点を承っておきたいと思います。
  6. 原政司

    原説明員 ただいま松浦先生からお話がございました去る二十九日の北海道その他の低温でございますが、何分にもまだ詳細な情報が入っておりませんし、道並びに農林省機関におきましても、目下調査をし、かつ指導をやっているという段階でございまして、判明次第また御報告申し上げたいと存じますが、ただいま私どもが若干承知しておりますることを申し上げさしていただきますと、ただいま松浦先生からお話しございましたように、北見方面におきましては当日マイナス三・六度ぐらいまで下がっておるようでございます。なお、山間部等におきましてはマイナス五度ぐらいまで下がっておるようでございます。したがいまして、農作物の被害につきましては、私らといたしましても非常に心配しておりますが、何分にも御承知のように、低温の被害は、霜の場合もやや同様でございますけれども、被害が被害としてはっきりいたしてまいりますのにはかなりの日数を要する事情でございますが、ただいまの状況を伺いますと、稲作、特に苗しろ等につきましては、いま北見地方におきましては、二十九日現在では、田植えは最盛期で半分程度終わっているようでございます。したがいまして、農家の方々も本年は非常に警戒しておりますので、多くの農家におきましては臨機の苗しろ管理の措置をいたしまして、被害は苗しろにつきましてはそれほどなかったやに聞いておりますが、山間部等におきましては、冷温の程度も違いますので、若干の被害があるのではなかろうかと存じます。  なお、苗の不足等の問題につきましては、今年は御承知のように苗の不足の危険がございますので、一割あるいは二割という予備苗しろ——できるだけ苗しろ面積を拡張するようにという指導をしてまいっておりましたが、その実積等もかなり期待する方向で進んでおりまして、苗の不足等につきましては、ただいまのところ、融通いたしますれば何とかなるのではなかろうかという状況でございます。  それから、問題のビートでございますが、ビートは御承知のように移植のものと直播とございます。いずれも被害を目下調査中でございますので、よくわかりませんが、被害を受けたのを、何といいますか、成長点等を、その生きているか死んでいるか等をいま試験場の方々も調べておりますが、一見黒く見えておりますが、成長点等には被害のないものもかなりあるようでして、したがいまして、その対策については、そういう実態を早急にきわめまして、その実態に応じて被害対策を立ててまいりたいというのが、道庁並びに農林省関係の出先の方々の情報でございます。
  7. 松浦定義

    松浦(定)委員 いまお話しになりましたのは、これはまあだれがやってもやらなければならぬことをおやりになっておることだと私は考えておるわけであります。ただ、私が質問し、心配いたしておりますのは、昨年もそういう形であって、本年も心配しているところへ、さらにまた政府が対策本部というものをおつくりになりましたので、農家としてはそれ以上に心配があるわけなんです。その心配しているところへこういう形がきたものですから、これはいま通常行なわれる説明では農家としても不安でかなわない、こういうことを私は心配しておるのです。私がここで申し上げたってそれがよくなるわけではございませんから、政府としては、今後全力をあげてその対策をお立てになろうと思いますけれども、水稲にいたしましても、なるほどまだ半分くらいのものは植えていない、しかも多少補植的なそういうものを指導しておるとおっしゃいますけれども、農家にしてみれば、そういう手続なり、そういうことによって、非常に遅延をする。したがって、これは何としても収穫に影響するわけなんです。ですから、いまからそういうことを考慮されて、本年度の減収に対する対策ということも一応お考えにならなければならぬと思うのであります。北見方面の水稲地帯のことを聞きますと、いまお話しになりましたように、ある程度おくれているものは、補植をしているものもあるかもしれぬけれども、ほとんど時期的におくれておりますから、自分の苗は全部使い尽くしておる。そういうものは全滅に近いのでありますから、これを上川あるいは空知方面に求めているということを実は聞いております。そうして間に合うところはけっこうでありますけれども、そういうような形の中でこれからの農業を進めていくのでありますから、政府としましては、それに対して労力なりあるいはその他の経費というものが相当かかるわけでありますが、そういうものについては今後どういうふうに指導されるのか。たとえばその苗を求める経費、あるいはまた再播をし、さらにまた補植をするといったようなことに必要な経費等については、政府としてはただ指導するだけで、具体的な対策をお持ちになるのかならないのか、こういう点をお尋ねしたいと思います。  それからまた、ビートにつきましては、これは十分御承知ないから、そういうことをおっしゃるのかとも思いますが、少なくともペ−パーポットを使用した苗につきましては、いままでやはり最低十五度から二十度近い温度の中で育ってきた苗であります。それを圃場において十五度以上の気候で移植するわけでありますが、極端に零下二度、三度ということになりますれば、人間にしても、赤子を冬のさなかに外へ出したと同じことで、命はあるけれども、生育状態に非常に影響がある。これは事実であります。だから、黒いけれども、何とか生きておるではないかということで、その苗にたよっておったことによって、隣では三斗とったものが、一斗半しかとれなかった。そういうときでも、やはり農家にしてみれば、一斗半の収穫の金しか得られないのでありますから、そういう点の対策等につきましても、これは十分お考えを願わなければならぬと思うのであります。ですから、そういうようなものについては、これからでも再播をさせてしまうとか、そういう技術指導をやっておろうと思いますけれども、これからビートを再播するのには、種あるいは肥料の問題も出てまいります。かりに種があり、肥料があるにいたしましても、減収はもう明らかであります。ですから、そういう場合に、減収したものについては、少なくとも収穫期において平均反収くらいの補償をしなければならぬ、私はこういうふうに考えたいわけであります。そういう点についても何らしないということでありますならば、いち明く災害対策本部というものをお設けになりました趣旨というものも、ただ収穫するまでの指導はするけれども、収穫の時期における減収について何ら責任を持たないということでは、農家は救われない対策だということになるわけでありますが、そういう場合の見通し、あるいはまたビートがどうしてもそういう形で種がない、あるいは肥料が足りないということになれば、農家は別な作物をつくるわけであります。少なくともこの六月十五日くらいまでに再播をしてけっこうビート以上の収穫を得る作物はあるわけであります。しかし、結果はどうなるかわかりませんけれども、また北海道の畑作地帯におきましては、いまからでも適作ものとしてつくれる豆類がたくさんあります。しかも、そういうものをつくることによって、これがまた非常に多くなった、だから値段が下がった、こういうことになりますと、政策によって、そういうものについては何らか対策を立ててもらわなければいかぬ、こういうふうに考えるのですが、これからそういう災害によってあるいはビートなり——すでに豆類においても発芽をいたしまして、被害を受けているものも相当あります。そういうものに対する再播あるいはまた補播によって減収した場合の秋の収穫に対する価格対策といいますか、保護政策といいますか、そういうものはお考えになっておるのかないのか。この点は重大なことでありますから、政務次官もあわせてひとつ御答弁を願いたいと思います。   〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕
  8. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 非常に重要な問題でございますが、去年の北海道の大冷害は、北海道といたしましては文字どおりに未曾有の被害でございました。もちろん、地元としては満足ではなかったでしょうが、政府としては、ことに農林省といたしましては、最大限の救助措置をとったつもりでございます。それにもかかわりませず、本年はまた、いま松浦委員がお話しになりましたとおり、また原審議官説明いたしましたとおりに、連年災害と申しますか、本年も重ねて去年に匹敵するような冷害がありそうだということで、農林省といたしましては、いち早く災害対策本部を設けましたし、また政府のほうにおきましても、総理大臣、官房長官のもとでお話ができまして、今後の災害の見通しにおきましては、内閣自身に直ちに冷害対策本部を設けるという準備体制を整えておるわけであります。さような立場から、政府といたしまして、ことに農林省といたしましては、いま詳しく申し上げましたようないろいろの指導措置をとっておるのでございますけれども、ただ、今日の段階におきましては、いま松浦委員のお話しになりましたように、はたしてどれくらいの水田の反収の減収になるのか、あるいはてん菜、あるいはバレイショの減収になるのかということの確たる見通しはありません。したがいまして、さような場合に、政府の指導により、あるいは北海道の指導によりまして、作付を変えるというようないろいろの点から、かりに減収いたしたという場合につきまして、どうするかということにつきましては、まだ確たる方針は今日持たないわけでございます。しかし、これから先冷害が非常に進捗いたしまして、農村所得が減少する、去年の二の舞いになるというようなことになりましたならば、政府といたしましては、とにかくあげて援助するつもりであります。しばらく今後の推移を待っていただきたい。今後の推移を待っていただきたいということで、農林省としては何ら手をこまねいて待っているということでは決してございません。これから先、長期気象の見通しに応じまして、北海道の皆さん方の御期待に沿うような具体的な措置をとりたい、かように考えております。
  9. 松浦定義

    松浦(定)委員 冷害によってそういう結果が出るということについての対策については、もう少したたなければわからぬと思うわけであります。しかし、政府の心がまえとしては、いま次官がお話しになりましたような形で進めてもらわないと、農民は非常に心細くこれからの農業をやるということになりますので、この点はさらに一そうの努力をしていただきたい、かように考えるわけであります。ただ、私がいま申し上げておりまする霜害が非常に強いということは、非常に天気がいいわけであります。最近のニュースを見ておりましても、北海道だけは非常に天気がいい。側から見ますと、非常にいいんじゃないかということを言いますけれども、天気がいいのは非常に霜害が強い証拠であります。もう一つ、それに対しまして風害があるわけであります。すでに十九日には、いままでかつてない風害があったわけであります。非常に乾燥しておりますので、風害がある。したがって、この冷害と風害が二つ重なってくるわけでありまして、この点は非常にまた農家としては悩みの種でございます。すでにそのことによって、ビートその他の再播、補播をしなければならぬという点が明らかであります。これとあわせまして、そういうことになりますと、やはり肥料なり、先ほど申し上げました種子が不足をしてまいります。そういう場合には、従来と同じように、種子の補給あるいは肥料の補給等についての助成措置等は、とにかくお考えになれるのかどうか、その点をひとつお示し願いたいと思います。
  10. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 ビートにつきましてのお尋ねでございますが、去る二十九日に、特に網走地方を中心にいたしまして、降霜によりまして、先生おっしゃいますように、ビートの非常な被害を見た次第でございます。その被害の内容につきましては、実はけさほどから北海道庁のほうに電話を入れまして、いろいろ聞いておるのでございますが、まだ詳細が判明していないわけでございます。ただ、再播用の種子につきましては相当量ございますので、これから再播するということにいたしておる次第でございます。そういうふうに再播いたしましても、やはり被害が相当ございまして、予定の収量は上がらないというように考えられておりますので、今後詳細判明してくるにつれまして十分検討いたしてまいりたいと存じております。
  11. 松浦定義

    松浦(定)委員 私の質問しているのは、この再播、補播する場合の肥料代あるいは種子代というものの全額を持ってもらうというのが当然でありますけれども、従来の慣例からいきまして、これがどの程度の措置がされるのかということを聞いておるわけです。
  12. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 実はまだその被害の状況がよくわかりませんので、けさから北海道のほうに照会しておるという段階でございますので、詳細判明次第いろいろ検討してまいりたいと存じておる次第でございます。
  13. 松浦定義

    松浦(定)委員 私は毎朝電話を入れておるのですが、あるいは道庁の調査が不十分で来なくても、被害があることは間違いないので、その場合に、肥料代なり種子代なりというのは全額農家が負担をして、そして減収とわかっておりながら、そういう指導に基づいてやっていかなければならぬのかどうか。前例があるわけです。確かに被害額が何億円になった、それに対して肥料をやるからどうだこうだということが当然出てまいります。私は一部北海道のことだけを言っておりますけれども、おそらくこれは全国的にそういう問題が出てくると思うのです。そういう肥料代あるいは種子代というのは、従来のあれによって何割国が援助するのか、あるいは道がやるのか、市町村がやるのか、そういう点を明らかにしていただきたいということを要請しているわけです。
  14. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 実は被害の状況につきまして、いま検討中でございますので、その内容が判明いたしませんので、対策といたしまして、どういうような助成措置をとるかということにつきまして、はっりきりいたしませんので、それがわかりましてから、詳細検討いたしたいと思います。
  15. 松浦定義

    松浦(定)委員 どうも私はおかしいと思うのです。それでは、もしそういうようなことが農林省が持っておる本年度の冷害対策本部の方針であるならば、それは再播も補植もできないわけじゃないですか。御承知のとおり、昨年も北海道冷害で、余分の種はないわけです。そういう種のないもを——それはビートの場合は多少あるかもしれぬけれども、一ヵ月もおくれていまからビートをつくっても、どうしたってそれは減収になります。先ほど申しましたように、これから菜豆類でまだ天候さえよければある程度満足にとり得る種目はあるわけです。ですから、そういうものを無理してもどこかから入手をいたしまして、まきつけをしなければならぬ。そういう場合に、全然もう農家には手持ちがないわけでありますから、農協なりなんなりを通じて買い入れる、そういうものについて、被害があったにかかわらず、そういう対策が立てられないということになりますと、農家のほうではこれはまたやらなければならぬこともやらないで、手をこまねいているということによって、非常に減収するわけであります。調査のあるなしにかかわらず、被害はあったのですから、そういう場合は、たとえ一戸であっても、あるいは一町村であっても、額は言わなくても、政府としては従来の方針によってこれは助成するとか、あるいは従来以上に重ねての冷害だからこうするとかいう方針があるかどうか、そういうことを聞いておるのであって、どうもいまのようなことでありますと、指導の面からいって、受ける農家のほうでは、ほんとうに力を入れてやるのかどうかという——助成も何も要らないというなら、これは私はそういう対策は必要ないと思いますけれども、そういう状態ではないわけであります。二年、三年と冷害が続いた農家では、これは絶対そういうふうな対策ができなければ、目先減収になっておっても、その対策をしないで傍観しており、これが三日でも四日でもそのことが傍観されることによって、非常な減収を及ぼすということでありますから、いまから災害のあった場合は種子なり肥料なりはこうする、むしろ労力に対しても何か対策を立てるべきであると思うのでありますけれども、いまの種子や肥料にさえそういう消極的なことでは、どうも対策本部の考え方としては私は十分ではないと思うのですが、政務次官、それでよろしゅうございますか。
  16. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 種子につきましては、いままで指導の結果、指導をやったけれども、非常な冷害を受けた、あるいは風水害を受けたというようなときには、補助をやっておるわけであります。ただ、先ほど局長からお話しいたしましたように、被害の程度というものがやはりはっきりわからないと、天災融資の場合におきましても、農業共済の場合におきましても、できないわけでありまして、政府、農林省といたしましても、種子に対して補助金を出すという場合には、どの程度被害があったかということをはっきり確かめたい、この点だけは条件として申し上げたいと思います。
  17. 松浦定義

    松浦(定)委員 それは政府のほうには何とかされるという意図があって、道なり市町村を指導しておると思いますから、指導の結果、相当の被害が出た場合におきましては、早期にその手を打っていただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  18. 中川一郎

    中川(一)委員 主として政務次官にお尋ねいたしたいと思います。  先ほど松浦委員から話のありましたように、ことしの冷害は、昨年の冷害に引き続く冷害だということで、重大な問題があるわけでございます。ことに一昨日、二十九日の霜害あるいは冷凍害という問題は、北海道の農民にたいへんな恐怖を与えておるわけでございます。そこで、それに対して政府はいち早く冷害対策本部をつくって、これが対策に苦心をしておられることに対しては、非常に敬意を表するものでありますが、一体、政府は冷害対策本部にどのくらいの予算を計上しておるのか。ただ人をかき集めただけであっては意味がないと思うのでありますが、冷害対策に対しての予算をどれくらい考えておられるのか、あるいは措置がどうなっておるか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  19. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 冷害対策につきましては、一般の災害対策と同じように、農林省とかあるいは厚生省とか、その他、いろいろの関係の主官庁があるわけでございます。ことに農林省といたしましては、水稲の問題とか、あるいはてん菜の問題とか、あるいは農家負債の問題とか、たくさんの冷害に対する施策をやるわけでございますので、さような場合に、農林省各局にまたがるわけでございますので、各局ばらばらでやっては、どうしてもその実効はあがらない。そのためには、どうしてもそこに農林省全体として、北海道とか東北冷害に対する総合的な、しかも大局的な立場からと、それからきめのこまかい施策をやることが必要であります。さような立場から申しますと、やはり農林省全体を総合する冷害対策ということが必要になってくるわけであります。したがいまして、さような立場から、災害対策本部を四月三十日に発足したわけでございます。したがって、災害対策本部の任務といたしましては、関係各局の総合連絡調整ということがおもな仕事になりますし、また、厚生省とかあるいはその他の省との施策の連絡というようなことが仕事でございます。したがって、たとえば先ほど松浦委員のお話のありましたように、てん菜についての補助をどうするとか、種子をどうするとか、あるいはまた肥料をどうするとかというような問題につきましては、それぞれ農政局とか園芸局とかが実施官庁として動くわけでございます。さような立場でございますから、災害対策本部そのものとしては、決して予算は要らない、そこに総合調整するところの力あるだけの人をそろえていたらいいというのが私たちの考え方でございます。したがって、災害対策本部が膨大な予算を持って、これがなかったら北海道冷害は救えないという意味じゃありませんので、この点はどうぞひとつ御了解いただきたいと思います。
  20. 中川一郎

    中川(一)委員 私がお聞きしたいのは、ああいったような災害が起きたら、いち早く農林省は対策本部から指令を出して、関係の係官を現地に出張といいますか、派遣をいたしまして、道と一体となって対策を立てなければいかぬ。道のその後の資料を待って、あるいは報告を待って対策を立てるというのでは、どろぼうが逃げてしまうのではないか。それくらいの腹がまえで冷害対策を立てていただかなければいかぬのじゃないか。たとえば出張旅費についても、冷害対策で緊急を要する場合には、自後了解で幾ら使ってもよろしい、あるいは現地に行った係官は、種子、肥料代についてはこうするのだというような政策的なものはある程度まかして、現地の第一線に立ってある程度のことが立てられるというところの緊急措置が必要ではないかというふうに考えるわけでございます。  今回においても、道からの電話がある前に、農林省からいち早く飛んでいってもらいたかった。私もこれから飛んでいきますが、そういった意味からも、ある程度予算のワクはきめなくても十分使ってよろしいというぐらいの要綱といいますか、方針だけでも立てていただきたかったというのが、私の質問を申し上げた趣旨でございます。
  21. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 災害対策につきまして機動性を持たせなければいかぬということは、全く同感でございます。しかし、機動性を持たせるために、たとえば旅費とか、あるいは先ほどお話しの種子に対する補助金等を災害対策本部で持たなければいかぬという意味ではございません。旅費にいたしましても、園芸局が出張させる場合に、園芸局の旅費を自由に使っていいわけでございまして、決して各局だから旅費を少なく使わせるという意味では全然ございません。もしもこの手当てのために必要でありましたならば、農林省の費用をすべて上げてもよろしいというくらいの強い決意を持っているということを申し上げたいと思います。
  22. 中川一郎

    中川(一)委員 それでは最後に、北海道の人たちは不安がっておりますので、できればさっそくきょう飛行機ででも専門家が東京から立っていって、道庁の人たちと一緒にやられるように要望いたしておきます。これについて、政務次官の必ずやりますという御回答をお願いいたします。
  23. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 すでに東北につきましては、本省からしばしば出張いたしておりますが、北海道につきましては、私の報告を得ておる限りにおきましては、まだ出張いたしておらないと思います。やり方としてはいろいろあるでしょうけれども、大臣が直接現地においでになるとか、去年私たちがやりましたように、私たち関係の幹部が一緒に現地に視察に行くとか、いろいろあると思います。現在の状況を見きわめて、どんな組織の視察団を出すかということは、しばらくお待ちを願いたい。できるだけ御期待に沿いたいと思います。
  24. 東海林稔

    ○東海林委員 私は、養蚕の被害対策について、一つだけお伺いしたいと思います。  いただきました資料の一六パージにありますように、本年は豪雪に引き続いての低温のために、掃き立てが非常におくれて、それに関連して掃き立て量の減少が非常に心配されておるわけであります。ここに書いてある対策としては、桑苗の共同生産施設に対する助成措置等を検討している。あわせて飼育、上蔟の管理、夏秋蚕用桑の確保のための桑園管理等について技術指導の強化をはかる、こういうようなことが書いてありますが、もう一つ蚕種の問題について、この際注意を喚起しながら、お考えをお聞きしたいと思う。  御承知のように、掃き立てがおくれたために、さらに催青したが、これが途中でだめになって、死んでしまったという問題、あるいは蚕種業者と養蚕組合との間で大体の種の契約ができておった数量が、そのとおりに引き取られなかったというようなことで、蚕種業者と養蚕農家との間に問題が起きているような問題があるわけです。そういうことについての考え方がここには何ら出ておりませんので、そういうような点について、農林省は今後どのような考え方でこれに対処しようとしているのか、この点をお尋ねしたいと思います。
  25. 熊本盛順

    ○熊本説明員 掃き立てがおくれましたために、蚕種を催青いたしまして、それをどうするかということにつきましては、私ども技術指導といたしまして、催青の終わりごろの青みがかったものは、冷蔵を一週間くらいすれば技術的にはだいじょうぶだということを指導いたしました。そういうことで各催青場ともそういうふうにやっているというふうに考えます。  それから種業者と養蚕業者との間で、種の問題についていろいろ問題が起こっているそうでございますけれども、それも聞いております。それについては両当事者同士で解決していただきたいというふうに、県のほうにも私ども指導しております。
  26. 東海林稔

    ○東海林委員 いまの蚕種業者と養蚕農民との間の問題は、結局は金の問題になってくると思うのです。そういう点について、いますぐどうするかということは言明できないかと思いますが、そういう点を十分含んで善処していただきたいということを要望して、終わります。
  27. 亀岡高夫

    亀岡委員 関連。  政務次官にこの際二、三伺っておきたいと思います。今回の異常気象による農作物の被害等に対して、政府は対策本部を設けられたわけでありますが、対策本部が設けられてから、だいぶ日にちもたっておりますが、今次冷害に対する政府の災害対策の基本的な構想と申しますか、考え方というものは、どういうふうに持っておられるのか、これをひとつ承っておきたいと思います。
  28. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 去年の北海道冷害に加えまして、今度新しく東北地方豪雪による冷害があるというようなことを考えまして、いち早く災害対策本部をつくったわけでございます。災害対策本部としての考え方と申しますか、農林省としての災害に対する考え方は、先ほど松浦委員中川委員からもお話がありましたように、やはり総合的に対策を打ち立てる。冷害の現象は各方面にあらわれるわけでございますから、農林省の各局の総力をあげて総合的にとにかくやるということが一つでございます。  それからまた、とにかく急速にかような問題につきましては対策を講じなくちゃいけない。たとえばいろいろの補助金を出すにいたしましても、できるだけ早く統計調査部の災害に対する被害額等をまとめる、そうして大蔵省に対して補助金の要求をする、あるいは場合によりましては天災融資法の適用をも——いままでのように半年とか四ヵ月もかかるようなことをやめまして、ほんとうに二、三ヵ月で適用するというような意味の機動性を持たせるということが必要でございます。さような総合性と機動性を持たせるというような意味で、今度私たちのほうでは災害対策本部をつくったわけでございます。
  29. 亀岡高夫

    亀岡委員 ことしのような、去年に続いての非常な異常天候に基づく災害対策は、被害を受けた農家に対する施策というもののほかに、これは十二分に考えていかなければならないことでありますけれども、一方国民食糧をいかにして確保するかという大きな立場から、今回の災害対策というものが打ち出されなければいかぬと思う。どうも先ほど来の答弁を聞いておりますと、被害が出てから対策を講ずるという考え方が大きな誤りだと思う。やはりここであるいは五百万石、あるいは一千万石の減収というものが、いかに日本の国民生活あるいは日本の経済に大きな影響をもたらすかということは、これはいまからわかっていることなんです。したがって、一升でも一合でもよけい米をとらせるという積極的な対策がここに考えられなければいかぬと思う。先ほど松浦委員もそういう政府のお考え方を期待したのだろうと思うのですが、どうも政府の答弁を聞いておりますと、被害があったら対策を考えるという消極的なことでは、ことしのような、こういう何十年に一ぺんめぐってくるような異常天候の対策としては、私は納得がいかないわけです。したがって、国民食糧をいかにして不安なからしめるか、そのためにはもう予備費も出す、したがって、町村も県も全力をあげて、今後の肥培管理、技術指導、そういう面についてはもう遺憾のないようにしなさい、あとの予算措置等についてはもう十二分に政府は考える、これが災害対策の基本でなければならぬと思うのです。こういう点についての政務次官のお考えをお聞きしたい。
  30. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 先ほど、災害対策につきまして本部をつくった趣旨は、政策の総合性と機動性を持たせるというような意味のことを申し上げましたが、いま亀岡委員の御質問の、災害に対する政策の基本的な問題はどうかということになりますと、全くおっしゃるとおりでございまして、やはり農林省としても、政府といたしましても、国民の食糧の確保と、また自給度の向上というようなことが政策の中心であることは、もう当然のことでございまして、さような意味から、先ほど原審議官からも御説明いたしましたように、たとえば冷害に対しまして、水稲の作付等につきましての技術的な指導というようなことにつきまして、いろいろ各県とも連絡をとってやってまいりましたことは、いま亀岡委員の言われたとおりでございます。あくまでもとにかく自給度を向上させる、少なくとも確保する、維持するということが、災害に対する事前対策の目標であり、やはり政策の中心に置かれなければならないことは当然でございます。先ほど松浦委員の御質問に対しまして、まだ納得いかないような御答弁をいたしましたのは、それに対しまして補助金を出すということになりますると、やはり政府の財政支出でございますから、これこれの被害になりそうだからこうだというような、一応納得するだけの材料がなくちゃいけないと思うのです。しかし、それだけの準備が整いましたら、予備費を出すとか、あるいは農林省の第二補正を出すとかいうようなことで、あらゆる手を講じまして政府といたしましてはやるということをはっきりと申し上げたい。
  31. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと関連。  これは答弁は求めませんが、二十六日に統計調査部のほうから資料が出ております。いままでの各委員からの質問に対する当局のほうのお答えは、私も亀岡君と一緒です。何か足らぬです。この統計によると、ここに前書きに書いておるのは、「苗の生育は、五月十五日現在ではやや不良」その二枚目の統計を見てみると、播種遅延程度別面積というのは、三分の一悪い。全面積の三分の一では大きいですよ。やや不良なんというものじゃないと思う。しかも植えつけの遅延する総面積というのは、計算すると約二分の一になる。そうでしょう。百二十七万一千町歩のうち、植えつけのおくれるものが五十九万二千町歩ですよ。約二分の一になる。これはもう大きなものです。やや不良なんという、そんな甘いものじゃないのです。あなたのほうから出ておる統計だ。それから「五月中下旬は全般的に好天候が続いている」好天候ですか。それから「は種は表東北および北陸地方では平年並み」こういうことを書いておるのですね。二枚目にある統計実数とは違っているのです。だから、亀岡君やら他の委員が言うように、甘いものがある。もっと率直に言えば、この冷害に対する切実感というものが不足している。現実に大減収になってからあわを食ったって話にならない。それを心配するから、各委員は御質問申し上げている。少しそういうような面は考えてほしいと思います。答弁は求めません。これで終わります。
  32. 亀岡高夫

    亀岡委員 もう一つだけ念を押しておきたいのですが、災害対策本部として考えていただきたいことは、現在県並びに各市町村、全国的な傾向でありますが、地方財政が非常に窮迫いたしておるわけです。一万、二万の金を支出するのも容易じゃないというのが地方財政の実態です。この災害対策の、先ほど原審議官から説明いただいたのを聞いておりますと、そういうことがはたして考慮の中に入ってこういうような資料ができたのかどうか。私としては、そこまで考えていないのじゃないかという気が非常にするわけです。したがって、先ほど政務次官にお尋ねしたとおり、地方財政の実態をよく考えてということは、政府があと押しをするのだという態勢を自治省ときちっと話し合いをつけて、そうして市町村長並びに知事が思い切った対策を講じて、そうして減収を防ぎ、農家の被害を最小限に食いとめるという基本的な方向を強く打ち出してもらいたい。これに対する政務次官の考え方をお伺いしたい。
  33. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 先ほど赤路委員のお話にありましたが、農林省としていままでここで御報告いたしましたのは、起こるであろう冷害に対する減収防止のための生産指導対策ということが中心になっていたわけでございます。しかし、いま各委員のお話等を承りまして、やはり農林省としては、それより一歩前進し、また視野を一歩広くいたしまして、必ず大冷害が起こるだろうという前提のもとに、大規模な対策を講じなくてはいけないということを私痛感したわけでございます。さような意味で、農林省といたしましても、今後の災害対策本部の進め方ということにつきまして、ひとつ十分に御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  34. 亀岡高夫

    亀岡委員 昨年の北海道の長雨による被害、非常に悲惨な状況であったわけですが、ああいう状態の中でも、やはり平年作に近い収穫をあげている農家もあるわけです。この災害の場合には、農家の被害の中には個人差があるわけです。個人差があるということは、結局技術をよく消化し、また肥培管理を天候気象に応じて適切にやった農家は、ある程度の収穫をあげている。そういう例はこれは過去の冷害の場合にも全国的にいえることでありますから、非常に進んだ技術、非常に進んだ肥培管理、これを個々の農家にできるだけ徹底させていくということが最も必要かと思う。これには結局農業改良普及員あるいは開拓営農指導員、農協の営農指導員あるいは養蚕の技術員等の活躍にまつほかに手はないわけですね。これらの実態は、私も福島県をきのう、おとといと回ってきましたけれども、結局気持ちはあっても、濃密指導をする機動力がない、経費がないということで、三回行きたいところを一回でがまんしてしまうというのが実態である。したがって、そういう面に対して、進んだ技術、進んだ肥培管理等を個々の農家に十二分に徹底させるということのためには、平常の天候の際の農作物の技術指導なり経営指導なりをやるのに必要な経費の何倍かの経費をかけても、この災害の年を乗り切らなければならない、こう考えるわけです。したがって、ただいま申し上げたように、その農業技術を農家に徹底させるという組織活動に対する強力な予算的な措置ということを考えられておるかどうか、その点をお伺いいたしたい。
  35. 原政司

    原説明員 ただいま亀岡先生から、普及員あるいは開拓、養蚕等の各末端現地指導者等の活動促進につきまして、強力な措置を講ぜよという御注意でございますが、御指摘のとおり、末端指導者の本年における御苦労あるいは御努力は私ども十分承知しておりますし、また、そういった活動を一段と促進することが非常に重要だということも、申し上げるまでもございません。ただいまの御質問の活動促進等につきましては、何と申しましても、年度当初でもございますので、既定の予算等の運用等につきましても、御趣旨の線で十分検討いたしまして、さらに今後の状況等もよく見届けました上で、さらに必要な措置を講ずることが大切だということになりますれば、またその段階で十分検討いたしたい、さような心づもりでおりまするので、御了承願いたいと思います。
  36. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 冷害関係は予算委員会で質疑が始まりますから、冷害関係の方はそちらのほうに回ってください。  それでは赤路友藏君。
  37. 赤路友藏

    赤路委員 それではなたねのことについて、食糧庁のほうに御質問しましょう。  最近、なたねの作付面積が急激にと言っていいほど減ってきておるわけです。この減ってくる原因というものはいろいろあると思うのだが、いずれにいたしましても、収益性が非常に低い、こういうところに一つ原因があるように思われるわけです。本年度も、来月に入りますと、大体価格決定がなされるようでありますが、そこで、食糧庁のほうへお尋ねしたいのですが基準価格の算定にあたって、その算定要素の中に生産性向上の要素というようなものが入れられておるように聞くのだが、そのとおりであるかどうか、その点をちょっとお聞きしたい。
  38. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 なたねの価格の決定にあたりまして、従来からなたねの生産性につきまして、向上というふうな点につきまして考慮をいたしておるわけでございます。
  39. 赤路友藏

    赤路委員 それは考慮をしておる、そういうものは算定要素の一つであるということが言えるわけですね。
  40. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 そういうことでございます。
  41. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、その算定にあたっての基準年度の取り方というものが非常に問題になると思う。ずばりそのまま資料の中から言わしていただきますと、従来それらのものの基準年度の取り方は、三十一年、三十二年、三十三年、この三年間を大体基礎にしてやっておる、こうですか、それは間違いありませんか。
  42. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 三十一年の六月から三十四年の五月までを基礎にいたしております。
  43. 赤路友藏

    赤路委員 資料によりますと、三十一年の反収が百二十六キロ、それから三十二年が百十、三十三年が百十八、そうして三十年は百二十九、それから三十四年が百三十八、特にこの三ヵ年間は反収は低いわけですね。これをどうというわけじゃないのですが、これとうまく合わしたわけじゃないのだろうが、なたね奨励に対する政府の予算措置ですね、これとがうまく合ってくるのですね。三十一年が二千八百五十六万ですか、それから三十二年がざっと一千万、三十三年が六百万、こういうように補助金がやや下がってきておるのですね。それから三十五年になると九百九十万、だからこれはざっと一千万、それから三十六年は一億四百七十七万五千ですから、一億五百万ですね。それから漸次減ってきて、三十九年が一千万、四十年度は二千万、こういうことなんですね。そうすると、これは反収と合うというのがおかしいのだが、反収の減っておるときはどうも予算の見方が少なくて、だんだん反収がふえておるところでは予算が大きいなんていうような、皮肉な——これは何も意識的にやったわけじゃないのだろうが、そういうのがこの数字の中に出てくるわけです。これは何も合わしてやったわけじゃないのですよ。たまたまそういうふうになったのだろうと思うのです。思うのだが、そのことはやはり何かを示しておると私は思うのです。先ほど申し上げましたように、どんどんなたねの植えつけ面積というものが減ってくるわけなんだから、ここらで私はやはり手を打たなければいけないと思うのですね。打つ必要があると思うのです。いずれにいたしましても、食用オイルが急速に消費がどんどん伸びていっている。これは非常な伸び方です。ところが、国内のほうの原料作物というものは、てんで停滞してしまって、ずっと動いていない。ほぼ同じ線でやっている。したがって、そのことは、食用油脂を輸入するものが非常に急角度に多くなってきておる。三十九年度を見てみると、ざっと五十万トンの輸入になっている。金額にして千二百三十億円の油脂輸入ということになるわけなんで、これはやはり農政上からまいりましても、あるいは食用油脂の国内自給という立場から考えても、手を打たなければならぬ、私はこう思うわけです。先ほど言いましたようないろいろ理由はあろう。その理由の一つに、やはり収益の低位性というものがあるわけなんです。こんなものやっておったって引き合わぬ、それより出かせぎに行ったほうがいいだろう、こういうことが、かなりなたね作を放棄するという形になってあらわれてきていると思うのです。それはもうしかたがないのだと言ってしまえば、私は農政というものはないと思うのですね。やはりここらで前向きにこれに対して取っ組んでいかなければならぬと思うのです。そういう面では、食糧庁のほうでこれから基準価格の算定をなされるわけでありますが、その方程式に出ておるから、そのとおりやるのだ、木で鼻をくくったようなやり方をしておるのでは、依然として減退はするが、伸びていくということにはならぬと思うのです。その点をひとつ御考慮おき願いたいと思う。  それから、これは農協の試算なんですが、農協試算によりますと、パリティ方式でやると、六十キロが四千二百七十五円、それから米価方式を取り入れて計算をすると六千九百五十三円、こういう価格になっておるのですね。で、私のほうの県は案外なたねの多いところなんだが、県の試案によりますと、第二次生産費で四千五百四円、現在の価格が三千四百八十五円ですか、八十円ですか、たしかその程度ですね。いずれにしても、そういうような現在の諸要素、諸条件等を考慮して、十分ひとつ農民がとっつき得るような価格関係を考えてもらいたい。これは返事をもらうというのは無理なんだが、何か言うことあったら、ひとつ意見だけでも聞かしていただきたい。
  44. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 なたねの買い上げ価格につきましては、まだ決定をいたしておりませんから、私は責任のある立場で大体の見当の額を申し上げるというわけにいきませんが、文字どおりなたねの生産、作付面積が非常に減少しておる。これはおっしゃるとおりに、収益性が少ないということであることは申し上げるまでもないわけであります。収益性がないから作付面積が減る、そのために生産量が減る、そのために輸入がどんどんふえてくるという悪循環を繰り返しているわけであります。したがいまして、さような悪循環を断ち切るためには、やはり今度の価格の決定につきましては、特別な配慮を加えなくちゃいけないことは申すまでもありません。昨年の価格が三千四百九十円でございますが、これより必ず上げるということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  45. 赤路友藏

    赤路委員 園芸局長にお尋ねします。  先ほどお聞きのとおりなんですね。もうどんどん減ってくるわけです。特に水田裏作のほうはかなり大きな減退を来たしておる。これに対して何か対策を立てておりますか。どうするという前向きの対策、何かございましたら……。
  46. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 仰せのとおり、なたね作につきましては、水田なたねが非常に減っております。その中でも、特に都市近郊におきまする水田が減りまして、関東の周辺とか、あるいは愛知県とか三重県、それから北九州、こういうようなところになっておるわけでございます。その原因を考えてみますと、都市へ出て働いたほうが、裏作のなたねをつくっておるよりはいいということと、なたねの反収がなかなか思うように上がらないという点にあると存ずるのでございます。それで、水田なたねにつきましては、やはり菌核病の防除とか、そういう問題が技術的に片づきませんと、なかなか解決ができないということでございまして、菌核病の防除につきましては、もうだいぶ以前から、技術関係中心といたしまして技術的の研究を続けてまいっております。しかしながら、畑作のなたねにおきましては、特に青森県あたりを中心にいたしまして、むしろ伸びておるというような状況でございます。したがいまして、これは適地におきまする畑作のなたねを今後推進していくことが必要であろうと存じておりまして、実は四十年度におきましても、十五ヵ所くらいそういう地域を選びまして、できるだけそういう畑作なたねの栽培を機械化してまいろうというようなことで、そういう適地におきましてなたねを今後推進してまいるということで、前向きの姿勢をとっておる次第でございます。
  47. 赤路友藏

    赤路委員 いまおっしゃるように、なたねの反収が上がらないということ、これは確かに一つあるわけです。だから、なたねの反収を上げるためにどういうような方法をとるかということ、これには二つ。いま局長がおっしゃったような菌核病対策というものが一つある。同時に、まだこの菌核病に対する適切な薬剤というものが見出されていない。したがって、依然としてこれがかなり大きな被害をもたらしておるわけです。もう一つの点は、そうした病気に耐え得るような、多収穫できるような品種改良ということが考えられる。これも現在の段階ではまだものになっていない。そういうことになりますと、いまの段階の中でどういう対策をとれはいいかということになりますと、まず当面の菌核病の押えということを重点的に考えてやらざるを得ないと思うのです。これは  一面薬剤散布が非常にやっかいである。このなたねの単作のこうなったところは、そういう面では薬剤散布が非常に困難である。もっと薬削がうまく散布できるような状態がかりに植えつけの面でできるなれば、まだある程度は違うかもしれない。これが一点であります。  もう一点あるのは、やはり菌核の胞子の発生を押えるということ。そうなってまいりますと、土壌に対する一つの消毒というようなことが考えられる。本年度この面でやや成功したと思われますのは、石灰窒素をやって一応核の発生を押えた。ちょうどこれは、どうも現在までの経緯を見てみますと、カンショにあった例の黒斑病と同じように、一応そこで菌核が発生すると、翌年同じところにかりにやりますと、また病気になるという、土壌それ自体の中に核がそのまま内包される、こういうようなことがあるようなんです。したがって、菌核病に対する対策というものは、よほどそういうような面を今後考慮に入れて、相当な補助助成をしてでもこれを押えていかなければならぬ、こう思うわけです。  それからもう一点では、従来のたとえば水銀性の防除剤を散布しますにしても、いままでのような作付のやり方では、かなり防除剤を散布するのに非常な困難性が伴ってくる。そこで、その混作という問題が出てきておるわけなんです。出てきておるというよりも、従来からこの混作をやって、だから農林省でわかっていなければならぬはずなんだが、わかっていますか。三十年から三十二年へかけてなされておるわけなんで、これは資料があるのだが、間作すると、菌核病の発生も少なく、薬剤散布の作業時間も、なたね単作区に比較して、乳剤で四〇%、粉剤で五〇%から六〇%省力になり、散布作業も容易である。十アール当たり粗収入も、間作することによって一〇%もしくは一五%増加する。これはどういうことかというと、麦を四うねやって、なたねを六うねやって、あるいはまたその次は麦となたねとの間作、しかもこれは三十年から三十二年までやった結果の表なんです。農林省でわからぬことないと思うのだが、わからなければそれでいい。ざっと私のようなしろうとが考えてみても、確かに間作することによって、麦畑からなたねに対して十分薬剤散布ができる。だから、単作地帯のように薬剤散布のしかたがむずかしくない。これが非常に菌核病の予防といいますか、それを押える。ただ、そこで問題になりますのは、農民がこのやっかいな間作、たとえばなたねを植え、その間へ麦を植えるというような、交互に植えていくという、非常に手数のかかることをやらなければならぬ。今日のような状態の中で、農民がはたしてこれにとっつくかどうかということが非常に問題だ。ただ、確かに混作のやり方というものは、一応資料から見てもいいじゃないか。これをどうまとめてローテーションをしていくかということが、今後の問題になると思うわけです。その中で、麦の間作などは、考えようによりますと、青刈りをして、畜産との飼料作として、私はからましていってもいいと思う。したがって、これからの菌核病に対する対策、もちろんそれをも含めて、なたね作のあり方というものをいま少し掘り下げて検討をしてもらうということになれば、案外収穫を上げるのではないのか、こういうことが考えられるわけなんです。それらの点について、十分ひとつ農林省のほうでは配慮していただきたい、こう思うわけです。そうなってきますと、二千万くらいの補助で何をしたらいいか。ちょっと十五ヵ所やってなかなかあれだと思いますが、四十一年度予算等では、これらの諸情勢、それはもう外国から油を入れるほうが安いのだから、そのほうがいいというなれば、それでしまい。それでは私は日本の農政であるとは思われないので、やはりなたね作をつくらなければならないような土壌地帯というものがかなりありますから、そういうような面の農業生産の立場というものもひとつ考慮の中に入れていただかなければいけないと思う。ただ単に経済的な面からだけ取捨選択するということであってはならぬと思う。これに対して御意見があれば、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  48. 林田悠紀夫

    ○林田政府委員 該博なる御意見をお聞かせいただきましてありがたく存じます。  おっしゃいますように、石灰窒素がわりに効果が出た試験が行なわれまして、そういうことにつきまして十分今後研究をしていこうと思っておる次第でございます。麦となたねとの間作は、確かになたねは頭のほうが一ぱいになるわけで、農機具が中に入らぬというような状況でございますので、非常におもしろいことだと存じます。今回十五ヵ所につきましては、トラクターを入れましたり、あるいはスプレーヤーを入れるということを考えておりまして、防除も十分今後そういう先生の御意見を入れまして、検討をいたしまして、うまくやっていきたいと思います。
  49. 赤路友藏

    赤路委員 最後に、次官に一つお願いいたしておきます。  いま園芸局長からもございましたから、一点言っておきたいのは、いま参議院にかかっておりますが、酪農振興法及び土地改良法の一部改正にいたしましても、農地開発機械公団法の一部改正にいたしましても、畜産というものを非常に重大に考えておる。そうして草地造成ということを考えておる。この草地造成ということは、平地ではまずないと見ていいわけです。ほとんどが周辺なんです。いまやはりそれぞれ平地帯における、しかも畑地帯においての畜産ということは、平地における飼料作をどうするかということが一つの問題になるわけです。平地帯における飼料作、それと関連する畜産、こういうことになるわけですね。山地のほうで改良地区等ができるところはいいのですが、だから、そういう面も考えてまいりますと、このなたねとの混作に燕麦の青刈りということも考慮の中に入れつつ、畜産とからませていく、そういうことも考えていいんじゃないかと思います。いずれにいたしましても、いまの事態のままで放置するということは、これは外貨を使うという面からもあるいは国内の食用オイルの自給という面からも、あるいは農政の面からも、何かここで思い切って手を打ってもらわなければならぬ。これに対する前向きの姿勢をとっていただきたいということが一つ。  それからもう一つの面では、先ほど言いましたように、非常に収益性が低い。だから反収が上がるということが一つの要素ではありますが、同時に、基準価格の算定をひとつ十分考慮していただきたい。その二面がここで何とか方向が出てまいりますなれば、ある程度畑作関係においては私は十分耕作反別を保持し得るし、なお伸ばす要素も、そうした中から集団化してやることによってできてくると思いますので、それからの点に対して、ひとつ次官から、一言でもいいですから、何か所見を聞かせていただきたいと思います。
  50. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 先般酪農関係の法案を出したのでございますが、それは濃厚飼料の輸入が非常に多い、さような状態におきましては、畜産の振興も十分にはかれないという立場から、優秀な粗飼料を生産させるということで、草地の造成ということをやったわけでございます。しかしお話のとおりに、草地の造成ということは、もちろん山間地に限られているわけでありまして、平地酪農と申しますか、水田酪農の立場から申しますと、優秀な粗飼料としては大・裸麦の増産あるいはレンゲその他の飼料作物の増産ということが、一番必要になってくるわけでございます。現在の趨勢といたしましては、先ほども災害の場合に説明いたしましたように、大・裸麦の作対面積がどんどん減っているわけでありますけれども、この際、農林省としては、やはり大・裸麦あるいは燕麦等につきましては、やはり根本的にひとつ立場を変えた方向をとらなくちゃならならないということは、私も一年間在任いたしまして、痛切に感じた次第であります。いろいろお話のような、たとえば燕麦となたねとの混作というようなことも、非常に大事でございましょう。とにかく技術的な問題を十分に今後研究いたします、しまた近く麦価の決定におきましても、その際、農林省といたしましては、麦増産対策につきましての方針を出すつもりでございます。そんな点も皆さん御検討いただきまして、今後大所高所から、ほんとうに麦政策というものを新しい角度からひとつ再検討するということが私の希望でございます。これは去年、私は、米価審議会のときにも、大臣に特にお願いしたところでございまして、いまやっと農林省で案ができてきつつあるところでございますから、いずれ御検討をいただきたいと思います。  それからなたねの基準価格でございますが、とにかく算定の考慮すべき要素というものは、法律によって定められておるわけでございます。とにかく現在なたねの減少しておるところは、収益性が低い、特に価格が低いということにあることは申すまでもありませんので、価格政策ということがなたねの増産の一番の中心だと思います。さような意味から、去年決定になりました三千四百九十円、これをぜひひとつ私たちといたしましてはできるだけ値上げをいたしまして、なたね生産農民の御期待に沿いたい。いずれあと一ヵ月ばかりして決定いたしますが、十分に赤路委員の御趣旨に沿ってやっていきたいと思っております。      ————◇—————
  51. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 次に請願の審査を行ないます。  今国会において当委員会に付託になりました請願は全部で百三十九件であります。  これより日程第一から第一三九までの各請願を一括して議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  各請願の内容につきましては、請願文書表等により御承知のとおりであり、過般の理事会におきましても慎重に御検討をいただきましたので、各請願についての紹介議員の説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 御異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。  本日の請願日程中、日程第二ないし第五、第九ないし第三三、第三九ないし第四二、第四四、第四五、第四七、第四九ないし第五二、第五四、第五五、第五七ないし第六〇、第七二ないし第八二、第九九、第一〇〇、第一〇四、第一〇七ないし第一三九の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決し、日程第六、第七、第五三、第五六、第六一ないし第七一、第八三ないし第九三、第一〇五及び第一〇六の各請願は、いずれも議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  55. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 なお本日までに本委員会に参考送付せられました陳情書は、消費者米価の級地別価格差の圧縮措置反対に関する陳情書外五十一件であります。右、念のため御報告いたしておきます。  午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十一分開議
  56. 坂田英一

    ○坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  最近における日米間の漁業問題について、外務大臣より説明を聴取することにいたします。椎名外務大臣。
  57. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 米国における日本の公海サケ漁業に反対する各種の動きについて御説明いたします。  わが国は、一九五三年より北太平洋で公海サケ漁業を行なっておりますが、日米漁業条約の規定により、西経百七十五度以西の水域のみにおいて操業しております。アラスカのブリストル湾の河川に発生する紅ザケの一部は、西経百七十五度以西にまで回遊してまいりますので、わが国は、アジア系紅ザケとともに、このブリストル系紅ザケをも若干量漁獲しております。  最近、米国内において、この日本のブリストル系紅ザケの漁獲に反対する動きが表面化し、このわがほうの漁獲を理由に、米国の資源保存努力を害するような漁業を行なう国からの水産物に対する関税を一九三四年当時の五〇%まで引き上げる権限を大統領に与える法案が議会に提出されており、また、最近結成された米国漁民会議なる団体は、日本が北米系サケを漁獲すれば、六月一日から日本品ボイコット及び日本船の荷役拒否等を呼びかける運動を行なう旨を表明しております。米国漁民及び関係議員等の主張は、米国に発生したサケは米国のものであり、日本は日米漁業条約によって北米系サケをとらないことを合意したはずである、日本が公海で北米系のサケをとってしまうので、資源が枯渇し、米国の沿岸漁民は毎年・不漁を続けているので、現在何らかの手段をとらなければ米国の沿岸さけ漁業は壊滅の危機に瀕するという点にあるようであります。  これらはいずれも事実に反する一方的な主張であります。第一に、日本は条約上西経百七十五度以西においては北米系サケを漁獲しない何らの義務をも負っておりません。第二に、ブリストル湾の紅ザケ資源は、日本の公海サケ漁業開始後むしろ増加傾向にあります。  わが国は、不平等な抑止原則による現行の日米漁業条約に強い不満を抱きながらも、これを十二年間忠実に順守してまいりました。しかるに、米国において上記のような一方的な主張に基づいて、さらに日本に規制をしいようという動きが見られることは、われわれとしても了解に苦しむ次第であり、きわめて遺憾な事態であるといわざるを得ません。  また、現在日米加三国間で条約改定交渉が行なわれており、日本側は、科学的根拠に基づいた平等な保存措置をとることを原則としつつも、特殊な生態を有するサケについては、ある程度米加の優先性を認めた新条約案を米加に提示しております。このようなときに、米国で上記の一方的な運動が行なわれるに至ったことは、特に遺憾であります。  われわれは、現在国内措置として行なわれておる各種の規制措置で、サケ資源の保存には十分であるとの立場であります。政府としては、駐米武内大使を通じ、ラスク長官をはじめ国務省の上層部に対して、最近の米国内の動きに対し深い遺憾の念を表明し、米国政府の善処方を数度にわたり要望してまいりました。また、去る二十五日、私はライシャワー米国大使を呼んで、日本の立場を説明するとともに、本問題に対する日本政府の深い関心と遺憾の意を伝えました。  われわれは、米国の関係者がより冷静な態度を示し、問題がこれ以上悪化しないことを強く望むものであります。政府としては、問題の解決のため今後ともあらゆる努力を払う所存でございまいます。
  58. 坂田英一

    ○坂田(英)委員長代理 質疑の申し出があります。これを許します。丹羽兵助君。
  59. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 ただいま外務大臣からも承りましたが、このような無謀きわまりないマグナソン・バートレット法案なるものは、これこそ、日本政府の日米親善の努力と、大多数の日本国民のアメリカに対する親交的な国民感情を全く無視した、あわれむべきといいますか、おそるべきものでありまして、まことに遺憾この上ない法案であります。将来の日米間のためにも、全国民の立場に立って、われわれはこの法案の成立の阻止をせざるを得ないものであると私は考えるのであります。したがいまして、二、三の点について政府のお考えを承りたいのであります。  わが国の漁業は、国民経済の進展に伴い、順調に発展し、三十八年の漁獲量は六百七十万トンと、戦前のピークである昭和十一年の四百三十三万トンを五〇%以上上回る生産をあげております。最近の水産物に対する国民の需要は、食生活の向上により、ますます拡大される傾向にありまするので、これにこたえられるよう、われわれは生産体制の確保をはかる諸政策を慎重に検討して、その推進をはかってきておるのであります。特に国際漁業に対しては、常に国際信義の精神を基調に、資源確保と保護に十分考慮して、日米加、日ソその他の漁業条約を締結することにより、操業実施をすることを促進してまいりましたが、ただいまお話がありました、今回のアメリカ合衆国上院のマグナソン・バートレット法案の趣旨は、日米加三国政府で取りきめた漁業条約の条約上の手続や外交交渉によらない国内立法で、わが国漁業を規制するがごとき措置で、日米友好を基調として外交を進めておるわが国にとって、まことに意外な無謀な措置であると言わねばなりません。そのマグナソン法案については、日本の漁業関係者においてはもとより、日本国民として、両国の友好関係にはかり知れない悪影響を及ぼす結果とならないよう、私は憂慮しておるものであります。  まず、マグナソン法案の内容等について伺いたいが、その前に、数日前、同様内容の法案がワイアット議員から提出されたと聞いておりますが、現在アメリカ上下両院を通じて、このような内容の法案が何本提出されているか、承りたいのであります。
  60. 安川壯

    ○安川政府委員 マグナソン法案は、御承知のように上院に提出されて、上院で可決されまして、下院に回付をされましたときに、下院がこれの受理を拒否いたしましたので、この法案は現在いわば宙に浮いているわけでごごいますが、同様の内容の法案が下院の歳入委員会に四本出ております。それぞれ提出者の名前によりまして、リバーズ、ペリー、ミーズ、ワイアット各議員から同様の法案が下院に提出されております。
  61. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 私は、この質問の資料を整えるにあたりまして、相当個別的にお答えをいただくように用意をしておりますが、外務大臣、農林大臣、時間の御都合もあるようでございますから、まことに残念でございますけれども、まとめてお尋ねをいたします。しかし、要点につきましては分けてお尋ねをいたしますから、できるだけ簡明に要点に対する御答弁をいただきたいと思います。  ただいまお話のありましたように、マグナソン法案は、提案当初においては、外国の漁船が北米産のサケ、マスについて米国内保有計画をそこなうような漁業を行なっていると内務長官が認定する場合には、米国大統領はかかる外国から米国へ輸入する水産物に対して、一九三四年七月一日現在の関税率の五〇%の輸入税の増加を行なうことができるというものであったが、上院の審議過程で一部修正され、サケ、マスについての限定を改めて、漁業一般に拡大されたと聞いております。しかもその提案の理由として、去る四月六日、マグナソン上院議員は、この立法により、外国が乱獲かつ無暴な漁業慣行により、米国鮭鱒保護計画が妨げられないことを保証するため、経済的制裁を加える必要があると説明しておりますが、本案が修正された後においても、実際問題としては、対象魚種はサケ、マスに限定して考えてよいものかどうか、伺いたいのであります。それが一点。  次に、経済的制裁を加えることによって、公海における外国の漁業を規制しようというものであるが、この法案の対象となる外国とは、いわゆる日本を対象とすることは容易に理解できるが、日本以外の外国も含まれるのであるかどうか、これが第二点であります。  次に、また経済的制約として、一九三四年七月一日の関税率を五〇%をこえ云々と触れておりますが、国際法上認められることかどうか、私の考えでは、国際法上認められないと思いますが、外務大臣はいかにお考えでいらっしゃるか、承りたいのであります。
  62. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 法案の修正個所は、北米系の太平洋サケというのを国内漁業資源というふうに変えたこと、それから同様に、北米系の太平洋サケの国内保存措置というのを国内漁業資源保存措置と、こう変えただけでございまして、実質のねらいは依然としてサケ、マスに集中されております。  それから対象国はどこどこか、改正前、改正後を通じて、日本以外にあるかどうか、実際問題としては、日本以外にはございません。  それから第三点の国際条約あるいはガット、国際条約と申しますと、日米通商航海条約でありますが、これらの趣旨にまっ正面から抵触するものであります。
  63. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 外務大臣は、ただいまの御報告の中にもありましたように、去る二十五日、ライシャワー駐日米大使をお招きになって、わが国の立場を強調されたのであります。また米政府に対して善処方を強く申し入れられたところでありますが、過日ワシントン報道によれば、下院の歳入委員会ではできるだけ早い機会にこれを審議するように伝えられておりますが、同法案に対する米国議会の今後の取り扱いについて、外務省はどのような見通しを立てておられるか、承りたいのであります。それが一点。  次に、私の手元に最近入りました情報がありますが、アメリカは、いまもお話がちょっとあったと思いますが、公海でとれるサケ、マスでも、あたかもアメリカに国籍のある魚のごのく誤解しておる節があります。ましていわんや、条約で取りきめた漁獲について、何ら規制を受けていない西経百七十五度以西の日本の漁獲まで違反呼ばわりしておることは、重大な誤解があると私は思うのであります。今回の米国議会の同法案の最大の理由としてというよりは、唯一の理由として取り上げておることは、ブリストル系の紅ザケが日本漁船の乱獲により資源保存を危うくするという根拠によるものであるが、その実態はいかがか、お尋ねしたいのであります。上院における提案者の一人であるバートレット議員のことばをかりれば、本法案は、われわれが現在友好的とみなしておる国に対し、威嚇と解釈されるかもしれないが、実はそのとおりであります、私はこれはすみやかに威嚇以上のものになることを希望しておりますと、不都合にも述べておりますが、これはわが国が日米加の規定により、不満足ながら西経百七十五度以東で抑止原則を順守しておるのに、さらに百七十五度以西まで規制しようという意図に基づくものと考えられるが、この点について、政府は、日米漁業条約で、西経百七十五度以西の海域で北米系サケ、マスを漁獲しないという法的根拠があるかどうか。ただいまないということをはっきりおっしゃいましたが、重ねてこの点を明らかにしていただきたいのであります。
  64. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 下院のほうに提出された法案の進捗状況でありますが、まず公聴会を開くという段取りになっておりますが、ただいままでまだ公聴会が開かれておりません。したがって、進捗状況は必ずしも良好であるとは言えないと思います。  それから条約上からいうと、西経百七十五度以西は何らの拘束がないのでありますから、どういう種類のサケをとろうが、これは全然違反というような問題は起こらないのであります。米系ブリストル湾のサケであろうが、あるいは東洋系のサケであろうが、そういうような系統によって、それに対する権利というのを約束されておるというようなことは、毛頭考える必要はないと思うのであります。したがって、さようなブリストル湾系のサケをとってはいかぬというような義務はどこからも生まれてこない、かように考えます。  それから、乱獲することによって米系、ブリストル湾系のサケがだんだん枯渇しておるというような言い分でございましたが、これは統計の上から申しまして、むしろ増産されておる、こういう数字上の結果になりますので、この点に関する先方の言い分は、これも根拠がない、かように申せると思います。
  65. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 私は、次に、途中で農林大臣に承りたいと思いますが、その点は日米漁業条約の履行状況であります。一九五二年の日米漁業条約が発効して以来、日本の関係者は本条約を完全に履行してきておると信じております。国際信義にもとるような操業は絶対に行なわれないと私は信じております。また、そのような御返答を必ずいただけるものと私は確信を持っておりますが、実情についてはどのようであるか、承りたいのであります。  次に第二点は、ここ十数年にわたって漁業条約を完全に、当然いただけるであろう大臣の御答弁のように、履行してきておるとするならば、また必ず履行しておると思いますが、そうであるとするならば、米国の今回の法案の趣旨はまことにいわれのないものであり、また条約内容について不満があるならば、条約改定会議の場で行なうべき筋合いであって、関税率の引き上げ措置等により報復せんとする米側の動きは不当のものであると言わなければならない。たとえ米側のかかる措置が不幸にしてとられるとしても、わが国の日米漁業条約改定交渉に対する態度は変えるべきでないと信ずるものでありますが、農林大臣の御所信を承りたいと思います。
  66. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 日米加条約ができてから十二年になりますが、改定の折衝中でございます。その間、この条約を忠実に日本は履行しているかどうか、御指摘のように忠実に履行しています。この条約は、占領中にできました条約であり、一方的な抑止原則によってできておる条約でありますので、わがほうとしてはこれは不満でございます。不満でございますから、その原則を撤去するように交渉していますが、しかし、一たんできている条約でございますので、その改定が行なわれない間は、忠実にこの条約を履行している次第でございます。そういうふうに忠実に条約を履行している。そしてまた、その内容が抑止原則で、一方的でございますから、私どもといたしましては、その抑止原則を撤去させるべく、二年にわたって交渉を続けておるのでございます。でございますので、お話しのとおり、公海における、そして何らの規制のない百七十五度以西に回遊するサケ、マスを日本で漁獲するということは、当然の権利でありまして、何ら条約上もあるいは国際法上も違法ではなく、正当なことでございます。その正当なことに対しまして——また、資源がそのために減っておるということもございません。また、条約が改正されておるということもございません。そういう前提のもとにあるにかかわらず、いまお話しのように日本が乱獲するがごとき言いがかりをつけて、そしてそれも条約の改正という方法をとらず、報復手段として関税の引き上げをしようということは、私は、大国としてとるべき措置ではない、まことに不当な措置である、こういうふうに考えております。
  67. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 これまた先ほど外務大臣の御報告の中にも触れておりましたが、政府としては、もちろん正規な機関を通じて情報を入れておられることでございましょうが、私どもはそういう手はないので、新聞等の報道を得ていろいろと資料を求めておりますが、その新聞報道によりますと、アラスカ、ワシントン二州を中心に、お話しになりましたように、米国の漁業関係者の広範な対日ボイコット運動や、日本船の荷おろし、荷積み等が漁業者のピケによって妨害されておるのであります。先刻来私が言っておりますように、大多数の日本国民の感情、アメリカに対する親善、親交をはかっていくという立場の感情から申しましても、全くおそるべきことであり、全く遺憾なことである。私はこういうものを手に入れたのです。これはもうすでに運動に入っておる向こうのポスターです。こういうポスターを各地に張りめぐらしておる。これは日本品に対するボイコット、これが荷積みの反対ピケ、こういういろいろなものを張り出して、日本品のボイコット運動をやっておるのであります。まことにこれは遺憾この上ないことでありまして、いかにアメリカの漁業関係の者の運動にいたしましても、私ども日本国民の立場からいって、無視するわけにはいかないものであります。こういうことをやっておると大臣もおっしゃいますし、われわれもこのポスターを手にしておるように行なわれておりますが、こういうことの範囲、及びこれらがどの程度まで進展しているか、またお見込み等、外務大臣から承りたいのであります。かかる米国の行動は、たとえ民間の漁業団体の動きとはいえ、明らかに日米通商航海条約の精神を無視するものである。また、日本の水産物に対して高率の関税を課する措置は、先ほどお答えがありましたが、ガットの精神を忘却する措置として、アメリカ自身が傷つく問題であると私は思います。われわれは、今回の米国議会のやり方について、互恵平等の立場から、米国側の反省を促すことこそ、真の日米友好が達成されるものだと考えるのであります。日米漁業条約について、われわれは率直に言って、ただいま農林大臣の御意見にありましたように、条約の期間満了を機会に、占領下の交渉で余儀なくされた不平等条約を取り除きたいと願っておるのでありますが、米国議会の今回の動きを注視すると、今秋予定されておる条約改定交渉も、このように議会が動き、このような運動が行なわれておるとするならば、相当厚い壁にぶつかると考えなくてはならない。しかし、これはどうしても破らなくてはならない、向こうを納得させなくてはならない壁であると思いますが、この点について、私は農林大臣の御態度を承っておきたい。また外務大臣の考え、特に通産省は、ただ漁業の問題ばかりではなくして、あらゆる点について、このようなアメリカの一方的な運動が行なわれるとするならば、日米間に大きなみぞができると私は思うのです。そうしてまた、これらは通商条約からいっても、全く無視された姿と思いますが、この点、お二人の大臣並びに政務次官から承りたいと思います。
  68. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ボイコットや輸入禁止ということはなおさら影響がありますが、もしこの法案が通るということで、日本の水産物に対しまして関税率を五〇%引き上げるというようなことになりますならば、対米向けに輸出しております水産物の、金額にして明らかなものだけでも約四割に相当するものに影響を与えることが予想されております。その品目等につきましては別に申し上げたいと思います。けれども、たいへんな影響がございます。したがって、私の所管ではありませんが、日米関係にも好ましからざる影響が起こることは当然だと思います。  なお、そういうことでございますので、わがほうといたしましては、こういう法案が国内法として通ることを外交ルートを通じて極力拒否するといいますか、通らないようにやっていかなくてはならぬと思います。私ども農林水産関係といたしましては、やはりそういうことはこの条約面で正面から論議していくのが、これが当然だと思います。正面から論議するといたしましても、いまアメリカが考えているようなことは、私どもの相いれないところでございますから、そういう面は、改定の交渉においても私どもは拒否する考えでございます。しかし、それならば現行条約を廃棄して改定交渉に臨んだらどうかというような考え方もあります。こういうことがなくてもそういう考え方でいこうかということをだいぶ検討したこともあるのでございますけれども、現在アメリカの問題でこれを廃棄すべきかということにつきましては、なお考えていかなくてはならぬという気がいたします。というのは、日米加でございますので、カナダもこの条約の加盟国でございます。でございますので、日米加を含めまして無条約状態になることは好ましくない、こう考えておりますので、合理的な新条約をつくるということに努力をいたしておるのでございますけれども、なおこれを廃棄することなく、カナダとの諸般の関係も考えて、諸般の情勢の推移を検討して、改定をわがほうの主張どおり行なっていきたい、こういう態度で進めておる次第でございます。
  69. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 外交ルートですでに向こうに申し入れたことは、先ほど冒頭の説明で御了解を得たと思いますし、いま農林大臣からもお話があったように、今後ともそのルートを通じて厳重に申し入れたい存じます。  それで、この問題がどういうふうに向こうの側において展開されておるかということを一、二申し上げてみます。  五月二十八日の国務省スポークスマンのマクロスキー氏の声明でございます。短いから読んでみます。「われわれは、米国漁民が米国に発生する漁業資源の保存に対して有する関心を理解するものであるが、ある外国に対してボイコットを行なうことは、国際問題を解決しようとする米国政府の助けとならないし、また、かえって害することもありうると信ずる。本件に関しては、日本は北太平洋漁業条約による義務を守っており、われわれは、ボイコットを正当化するような条約違反の事実を知らない。」こういう声明を出しております。  それから去る四月二十三日、シャトル港において、漁業組合員がピケを張って、当時入港していた三井船舶、大阪船船及び昭和海運の船舶に対する荷役労務者の就業を妨害した。このため荷役労務者は職場につかずに解散してしまったが、この行為に対しまして、太平洋岸海事協会によって船主側と荷役労務者との間の協定に違反するものであるという決定がなされております。  それから五月二十七日午後、米国漁民会議、これは紅ザケ問題に関して反日運動を行なうために結成された団体でありますが、その所属の組合員十名ないし十五名は、サンフランシスコにおいて、日本品を買うな、日本人はわれわれの魚を略奪しておる、日本の魚の略奪行為に対してわれわれは抗議する、こういったようなプラカードを掲げて、日本品排斥のデモを行なったのであります。デモが行なわれたのは、日本航空支店、それから四軒ばかりの日本品を販売している百貨店の前であった。しかし、現地日本航空支店からの報告によれば、営業に差しつかえるようなことはなかった。こういう程度のデモが行なわれた。デモの行なわれたのはまだ一つでございます。そういう状況でございます。
  70. 岡崎英城

    ○岡崎政府委員 ただいまの問題につきましては、通産省といたしましても、非常に遺憾に存じておる次第でございます。外務省並びに農林省当局においてとられました措置については、通産省の立場からいたしましても、大いに御協力いたしまして、アメリカの国民に猛省を促すと同時に、あらゆる将来の通商条約にも影響することでございますから、日本の立場が十分堅持できるようにすることを切望し、なおできるだけ努力いたしたい、こう存じておる次第でございます。
  71. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 わが国の漁業は、今後ますます国際性を帯びてくることは明らかなことでありますが、政府としても、かかる見地と申しますか、観点に立って、国際漁業に対する基本的な対策を検討する機構というものが必要と思われますが、この点に関し、政府、農林御当局のお考えを承りたいのであります。
  72. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 国際的な漁業の面が、非常にそういう面での接触面がふえてきております。しかし、特にそういうことを検討する機関は設けないでも、現在十分各省とも連絡をとりながらやっておりますので、いまのところでは、特にそういう機構を設けようという考えは持っておりません。
  73. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 最後に、私は、自分の考え等もまとめまして、また御説明を承りました点をも十分承知して、締めくくりの意味から意見を述べ、お尋ねのことばにかえたいのでありますが、以上、いろいろ聞いてみますると、米国国会において審議されておるマグナソン法案等、この種一連の法案の趣旨は、日米の友好関係を促進しようとする立場からはもとより、貿易自由化の趨勢、ガット、日米通商航海条約の趣旨等大局的見地から、不当なものと言わざるを得ません。去る五月十五日、衆議院は日米航空協定改定促進に対する決議を行なったところであるが、政府は本決議と同様趣旨においてかたい決意をもって、マグナソン法案等一連の法案に対する日本国民の意のあるところを米国の関係者に訴え、これが成立阻止に万全を期していただきたいのであります。また、最近、いまも御説明ございましたが、米国における日本製品のボイコット運動、あるいは日本漁船の荷おろしや荷積みが漁業者のピケによって妨害されているという事実、いかにこれは政府は認めていないとしても、地域的に行なわれておるのは事実なんです。また、このように私がお示ししました印刷物を見ても明らかになっております。まことに憂慮すべき事態に対し、積極的に適切なる措置を講ずべきであると私は思います。  いろいろと外務大臣並びに農林大臣からその御決意のほどは承っておりますが、なお、日米友好関係確立に資すべきためにも、これはやっていただかなくちゃならぬと信ずるものでございますので、いろいろいまお尋ねの中において御決意のほどは承りましたけれども、最後に、これに対する政府としてとるべき措置、態度、これをひとつ承って質問を終わりたいと思います。私は、その御答弁いかんによりましては、全国民の日米親善をはかろうとする国民の名において、アメリカに対して反省をさせる必要があると思いますので、重ねて御意見を承りたいのであります。
  74. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、こういう法案が成立することを極力拒否しなければならぬと思います。これは日本国民の名において、外交ルートを通じてその方針を極力遂行したいと、こう思っています。
  75. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 主管の農林大臣と十分な連絡をとりながら、アメリカの猛省を促すことに万全の努力を払いたいと思います。
  76. 岡崎英城

    ○岡崎政府委員 通産省の立場からも、全力を傾注いたす覚悟でございます。
  77. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 私は、各大臣からお答えになりました誠意に期待をかけまして、本件に対する質問を終わらしていただきます。
  78. 坂田英一

    ○坂田(英)委員長代理 赤路友藏君。
  79. 赤路友藏

    赤路委員 時間がありませんから、簡単に一間だけしますが、先ほど来の外務大臣の答弁をお聞きしておりますと、この問題については、十八日に水産庁長官から答弁を得ておりますので、ただふに落ちない点だけを申し上げておきたいと思います。  三十九五月三十日、ションソン大統領は、俗にいうバートレット法、アラスカ海域における外国漁業の排除、これを署名して発効を見ておるわけであります。これは五月四日に下院を通過し、五月六日に上院を通過しておるわけであります。このときに、この条約がジョンソン大統領によって署名され、発効したときに、わが党は、当時の総理大臣池田さんに対してこういうことを申し入れておる。公海自由の原則の不当な侵犯であるということ、第二点、これを認めることによって起こる自後の姿は日本漁業の締め出しとなろう、第三点、日米漁業条約の改定に不利の結果をもたらすだろう、こういうことを総理大臣あてにわれわれは申し入れをしておるわけであります。ちょうど私たちが予測したように、心配したことが現実の姿となってあらわれてきておる。いまいろいろと外務大臣のほうからお答弁がございました。また、とった措置に対してもいろいろとお話がありました。しかしながら、過去におけるこの実態から考えてみた場合、一応や二応のやり方ではなかなか問題は解決しない、こう私は考える。先ほど丹羽君からも話がありましたし、外務大臣もこういうことを先ほどおっしゃったですね。日米漁業条約に定められた西経百七十五度、この自発的抑止の原則に対しては大きな不満を持っておる、不満を持っておるが、今日までこれを守り通してきた、ところが、こういうような遺憾な措置をとられることは残念であるというようなことをおっしゃっておるわけなんです。当時われわれはこういうことをも考慮の中に入れつつ、この面については絶対反対だ、これの廃棄通告をやって、あらためて新しく条約を結ぶべきである、こういうことをもわれわれは申し上げたはずなんです。今日まで約二ヵ年間、もう条約が済んで二ヵ年ですよ。そのまま放置されている。いまあなたのほうの御答弁によると、何か新しいものを提出されておるというが、新しいものを提出したのに、何を一体やっておるか。私たちが外務省のいままでのアメリカに対する外交のあり方というものを見ておると、まるでアメリカ側自体の日本の取り扱い方は奴隷視しておる、私はこう思う。踏んだりけったりということばがあるが、ことごとにそれと同じような状態である。それでもなお頭を下げて外務省はお許し願うような態度で出ておって解決がつくと思いますか。この際、先ほど丹羽君が言ったように、まかり間違えば、これの第一のねらいはこの自発的抑止原則の継続にある。要するに、日米漁業条約をそのまま継続していく。できるなれば、この前から言っておりますように、アメリカ系の紅ザケを維持するという名目による西経百七十五度の拡大に目的がある。そういうことは過去の一つ一つのいままでの経緯を見てきたらわかるはずです。それに対してなおかつ単に申し入れなんと言っておって片がつくと思いますか。この際、断じて日米漁業条約に対しては廃棄する、廃棄通告をやって、自由にやっていく、このくらいの態度を示さない限り、この問題は解決しないと思う。外務大臣、一言でいいから答弁してください。
  80. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 三十九年のいま引用されました問題は、タラバガニのたしか国内法であったと思います。それは、この国内法は日本に対しては適用しないということになりまして、これに関する限りは日本の主張は通っておるはずでございます。  それから今回の問題に関しては、先ほど農林大臣からお話がございましたが、日米加三国の問題でもあるので、この問題のために無条約関係を起こすことはなお一そう深刻であるというふうな観点から、できるだけこの秩序のもとに日本の主張を通すことにしたい、こういう農林大臣からのお答えがございましたが、外務省といたしましても全く同感でございます。
  81. 赤路友藏

    赤路委員 それでは一言言っておかなければならぬ。われわれは無条約状態に置けと言っておるのではないのです。自発的抑止の原則というものは、国連海洋法会議にこれを提出して、すでに国連で否決されているのです。そのことを私は言うのです。だから改定をしなさいと言っている。何も無条約状態に置けと言っているのじゃない。  それから、確かにこれはタラバガニであるが、昨年の十二月十四日、米ソ・タラバガニ協定ができておる。このことも、これは大陸だな条約に関係を持っておる、こういうことが明示されてきておるから、この際、強い態度で出なければ解決つかぬということを言っている。いいですか。私は答弁を求めませんよ。それだけ言っておきます。
  82. 坂田英一

    ○坂田(英)委員長代理 次会は明六月一日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会