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1965-05-17 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十七日(月曜日)    午前十一時十九分開議 出席委員    委員長代理 理事 坂田 英一君    理事 仮谷 忠男君 理事 谷垣 專一君    理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君    理事 芳賀  貢君       池田 清志君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    倉成  正君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    田邉 國男君       高見 三郎君    中川 一郎君       中山 榮一君    丹羽 兵助君       藤田 義光君    細田 吉藏君       山中 貞則君    卜部 政巳君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    中井徳次郎君       松井  誠君    松浦 定義君       森  義視君    山口丈太郎君       湯山  勇君    小平  忠君       中村 時雄君    林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         食糧庁長官   齋藤  誠君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月十七日  委員栗林三郎君及び山田長司辞任につき、そ  の補欠として山口丈太郎君及び中井徳次郎君が  議長の指名委員に選任された。 同日  委員中井徳次郎君及び山口丈太郎辞任につき、  その補欠として山田長司君及び栗林三郎君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 五月十五日  牛乳衛生行政是正促進に関する請願足鹿覺君  紹介)(第四六七九号)  昭和四十年産なたねの基準価格引き上げに関す  る請願外二件(田中龍夫紹介)(第四六八〇  号)  同(綾部健太郎紹介)(第四八一九号)  同外十七件(荒木萬壽夫紹介)(第四八二〇  号)  同外五件(伊東正義紹介)(第四八二一号)  同外四件(池田清志紹介)(第四八二二号)  同(小澤佐重喜紹介)(第四八二三号)  同外四件(上林山榮吉君紹介)(第四八二四  号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第四八二五号)  同(椎熊三郎紹介)(第四八二六号)  同(椎名悦三郎紹介)(第四八二七号)  同外二件(篠田弘作紹介)(第四八二八号)  同(田口長治郎紹介)(第四八二九号)  同外一件(田澤吉郎紹介)(第四八三〇号)  同外十四件(田中龍夫紹介)(第四八三一  号)  同外二件(田中六助紹介)(第四八三二号)  同外四件(竹内黎一君紹介)(第四八三三号)  同(中馬辰猪紹介)(第四八三四号)  同外十件(床次徳二紹介)(第四八三五号)  同外七件(中島茂喜紹介)(第四八三六号)  同外十四件(中村寅太紹介)(第四八三七  号)  同外一件(南條徳男紹介)(第四八三八号)  同(西村英一紹介)(第四八三九号)  同外二件(野原正勝紹介)(第四八四〇号)  同外三件(野見山清造紹介)(第四八四一  号)  同外十二件(野呂恭一紹介)(第四八四二  号)  同(松浦周太郎紹介)(第四八四三号)  同外八件(三原朝雄紹介)(第四八四四号)  同外二件(湊徹郎紹介)(第四八四五号)  同外十一件(森田重次郎紹介)(第四八四六  号)  同外十一件(山崎巖紹介)(第四八四七号)  同(壽原正一紹介)(第四八四八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案内閣  提出第一二五号)  砂糖価格安定等に関する法律案内閣提出第  一三一号)  沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一  部を改正する法律案内閣提出第一三二号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法及び開拓営農振興臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出第一三  四号)      ————◇—————
  2. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長所用のため、委員長指名により、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案議題といたします。  この際、谷垣專一君外二名から、本案に対する修正案提出されております。
  3. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 趣旨説明を許します。谷垣專一君
  4. 谷垣專一

    谷垣委員 私は、自由民主党日本社会党及び民主社会党の三党を代表し、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案に対し、修正案提出いたします。  修正案内容、すでにお手元に配付してございますが、第五条中「委託を受けて行なう生乳販売若しくはその委託又は委託を受けて行なう生乳処理若しくは加工及び当該処理若しくは加工に係る飲用牛乳若しくは乳製品販売若しくはその委託をいう。」を「委託を受けて行なう生乳販売又は委託を受けて行なう生乳処理若しくは加工及び当該処理若しくは加工に係る飲用牛乳若しくは乳製品販売をいい、生乳生産者団体が直接又は間接の構成員となっており、かつ、全国区域を地区とする農業協同組合連合会その他の者に対するこれらの委託を含む。」に改める点と、第七条第一号中「場合には、都道府県知事農林大臣の承認を受けて当該区域を分けて定める区域。」を「場合において、農林大臣都道府県知事意見をきいて当該区域を分けて区域を定めたときは、その区域」に改めるの二点でございます。  この趣旨は、すでに質疑を通じて明らかになっておりますが、加工原料乳生乳生産者に対する補給金の交付に対しまして、生乳生産者団体育成強化し、一元集荷多元販売を一そう推進するために、従来の法文ではやや難解でございましたものを明らかにする、こういう趣旨でございます。  以上で修正案内容及びその趣旨を申し上げたわけでありますが、何とぞ全会一致の御賛成を賜るようお願い申し上げます。
  5. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  6. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 本修正案に対する質疑申し出もないようでありますので、これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、別に討論通告もないようでありますので、直ちに採決に入ります。  まず、谷垣君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案について賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立多数。よって、本案修正議決いたしました。     —————————————
  9. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 この際、東海林稔君外二名から、本案附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  趣旨説明を許します。東海林稔君。
  10. 東海林稔

    東海林委員 私は、自由民主党日本社会党及び民主社会党を代表しまして、ただいま議決されました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、酪農振興を旨とし、特に左記事項に留意して本法運用上万全を期すべきである。      記  一、生乳共販体制を強化推進するため、全国段階生乳生産者団体整備及びその育成に努めること。  二、保証価格算定に当っては、牛乳及び乳製品需要増大に対応して生乳の拡大再生産生産者の適正な所得確保されるよう配慮し、酪農民生産意欲の昂揚に努めること。  三、市乳地域生乳生産合理化、適正な取引価格実現、さらに消費者に至るまでの飲用乳流通及び販売価格についての合理化を促進するよう十分な措置を講ずること。  四、生乳生産地から消費地への遠距離輸送については、輸送施設の増強に万全を期し、運賃等についてもその公共性を十分尊重し措置すること。    右決議する。  本附帯決議趣旨につきましては、本委員会における質疑等を通じて各位のすでに十分御理解のところと存じますので、詳細な説明を省略いたします。  何とぞ全員の賛成をお願いいたしまして、を終わります。
  11. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 ただいまの東海林君外二名の御動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、本案附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府所信を求めます。舘林政務次官
  13. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 ただいま御可決いただきました附帯決議につきましては、政府といたしまして、十分その趣旨を尊重いたしたいと思っております。     —————————————
  14. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次に、内閣提出砂糖価格安定等に関する法律案議題といたします。  この際、倉成正君から本案に対する修正案提出されております。     —————————————
  15. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 趣旨税明を許します。倉成正君。
  16. 倉成正

    倉成委員 私は、自由民主党を代表して、砂糖価格安定等に関する法律案に対し、修正動議提出いたします。  修正案はお手元に配付してありますとおりで、朗読は省略させていただきます。  その内容は、国内産糖合理化目標価格基礎となる目標生産費の決定にあたりましては、国内甘味資源作物生産振興並びに国内産糖製造企業等の健全な発展に重要な関連を有することにかんがみ、甘味資源審議会意見を聴取しなければならないものとするものであります。  何とぞ満場の御賛同を得ますようお願い申し上げます。
  17. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  18. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 本修正案に対する質疑申し出もないようでありますので、これより原案及び修正案について討論に入ります。  討論申し出がありますので、これを許します。林百郎君。
  19. 林百郎

    林委員 私は、日本共産党を代表して、本法案反対をいたします。  その理由は、第一に、本法案目的については、その第一条に「砂糖価格の異常な変動を阻止する」とありますが、現時点では、国際的にも国内的にも、糖価安定下限価格を下回るほど安いのでありまして、今日本法案を発動させることになりますと、当然砂糖消費者価格をつり上げることになります。すなわち、今日の時点では、本法七条の粗糖の平均輸入価格は、糖価安定下限価格に満たないという状態であります。したがって、糖価安定事業団が買いに出て、これを安定下限価格以上に売却しますと、その結果は、消費者価格の値上がりの結果を来たすことは当然であり、ひいてはこのことが、国民食生活費全面的高騰連鎖的影響を招くのは、これまた当然であります。わが党が本法案反対する第一の理由はここにあります。  第二には、本法第十三条には、精製糖製造業者相当部分事業継続の困難となるおそれがある事態が生ずる場合においては、精製糖製造数量または販売数量制限に関する共同行為を実施するとの規定があります。これは、今日国際的、国内的に、砂糖市場生産過剰の状態にあり、糖価値下がり状態にあるとき、当然政府が権力的に生産制限合理化を行なうことになりまして、このことは、中小製糖メーカー整理することになり、したがって、大製糖独占メーカーへの生産集中国家権力自体が協力することになります。そして力の弱い中小メーカー犠牲となることは明らかであります。このことは、十九条の国内産糖事業団への売り渡しが制限または拒絶される場合があるという制度と相まって、この結果を招くことは当然であります。これがわが党の本法案反対する第二の理由であります。  第三の理由は、糖価安定資金制度でありますけれども、政府はみずからの財政出資をせずして、輸入差金でこれをまかなおうとしております。そのような制度の本質からして、今日の国際的、国内的砂糖生産実情から見ますと、糖価安定資金多額にしようと思うならば、ますます安い砂糖輸入して、消費者には高い砂糖を買わせることになり、したがって、多額糖価安定資金をつくろうとすればするほど、それは消費者負担でまかなうことになります。安定資金をつくり出すために、消費者は高い砂糖をいつまでも買わされるということになります。  一方、本法運用が瞬間タッチ方式であることと、従来の実績からいたしまして、万一、製糖独占メーカー輸入差金事業団に支払わないような場合については、どのような保証があるだろうか、この場合の政府処置についても、われわれは大きな期待を持ち得ないのであります。ということは、過去の輸入差金約十三億円以上のものをまだ政府製糖独占から回収することができない状態になっております。これは依然として焦げついております。政府はそれを吐き出させることもできないような今日の実情からして、もし大独占メーカー輸入差金の支払いを容易にがえんじないような場合についての政府処置に、われわれは期待を持つことができません。したがって、これらの過去の実績からしても、本法案によって高い砂糖を買わされる消費者と、正直に差金を差し出す中小メーカーが、結局犠牲を背負うことになります。わが党が本法案反対する第三の理由はここにあります。  第四の理由は、本法十二条には、糖価騰貴抑制のため関税引き下げ制度が設けられておりますけれども、日本経済アメリカ経済への従属の現状、すなわち、ガットの関係からして、わが国が自主的に関税を操作する自主性を持っておらないと考えます。また、万一関税引き下げられた後に糖価の下落があった場合、現行以下の関税砂糖輸入が行なわれるということになりますと、それが国内産糖を大きく圧迫することになります。それによって日本製糖事業、特に原料生産農民は決定的な打撃を受け、取り返しのつかないことになることが予想されます。日本の貿易が自主性を持たない今日、このような制度、すなわち、関税引き下げ輸入砂糖によって日本糖価を自主的に調整するというやり方は保証されておりません。このことは、わが国が自主的に操作のできない以上、国民犠牲を招くことは当然だと思います。これが反対の第四の理由であります。  最後に、本法案においては、日本砂糖生産の根本問題の一つである甘味資源生産する農民に対する直接的な保護規定がないのであります。したがって、生産農民は依然として製糖独占に従属され、その生産を大きく左右されるという現状にございます。すなわち、本年度農民要求は、ビート、トン当たり八千五百円の買い入れ要求でありましたけれども、その終局的な値段が七千二百円に押えられております。本法によってこれがどのように改善されるかという保証は見当たりません。したがって、第一に、農民生産する甘味資源てん菜カンショ等の買い上げの要求値段をどのように直接的に保護するのか、その規定がない。第二は、最低生産者価格買い入れをしたかしないかという厳密な調査方法もなければ、たとえば精算あと払いというような脱法行為に対する取り締まりの規定も見えません。第三には、国内産糖買い入れ制限共同行為施設譲渡等によって製糖業界合理化整理が行なわれる際、製糖業者に対しては不十分ながらも奨励金等によって保護する道がございますけれども、そのような整理の対象となった製造業者や、その施設原料を売り込んでいた農民に対しては、どのような保護規定があるのでしょうか、何一つこれを見出すことができません。本法のねらいの一つが、製糖事業における遊休施設中小業者国家権力による整理にあるときに、本法によれば、その最後犠牲者である生産農民にもたらされる犠牲に対する保護規定がございません。  以上のごとく、本法はもっぱら製糖独占メーカー利潤確保がその目的中心であって、そのため、一方では消費者が、他方では生産農民が、また他の一面では製糖中小業者犠牲になるものであります。  わが党は、この甘味資源生産農民に対しては完全な生産費補償方式によって生産農民保護をすると同時に、消費者に対しては消費生活に見合う妥当な糖価保証するという、民主的な二重価格制要求いたしまして、本法案のごとき製糖独占資本の擁護に終始しておる法案に対しては、断じて反対するものであります。
  20. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、倉成提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  21. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  22. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立多数。よって、本案修正議決いたしました。
  23. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 この際、本名武君から、本案附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  趣旨説明を許します。本名武君。
  24. 本名武

    本名委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議決されました本法案に対して附帯決議を付するの動議提出いたします。  まず、その案文を朗読いたします。    砂糖価格安定等に関する法律案に対する    附帯決議(案)   政府は、左記の諸点に留意して、本法施行  の円滑を期すべきである。      記  一、てん菜等最低生産者価格については、生   産費と適正な所得確保されるよう配慮し、   生産農民生産意欲が昂揚されるよう決定す   ること。  二、国内産糖合理化目標価格基礎となる目標   生産費算定に当っては、甘味資源作物の生   産振興に資することとなるよう十分に配慮す   ること。  三、国内糖価の安定を図るため、精糖企業の過   当競争を防止するよう指導するとともに、精   糖企業合理化を推進すること。   四、適正な消費者価格形成流通段階合理化   につき検討を行ない、本法糖価安定の効果   が末端消費者にまで均てんするよう努めるこ   と。    なお、国際糖価高騰時に際し、糖価の安   定をはかることができるよう砂糖関税に関   する法令の改正等措置をすみやかに行なう   こと。  五、国内産糖及び国内産ぶどう糖事業団の買   入れについては、特に国内甘味資源生産の   振興の見地より買入措置等につき万全の配慮   を行なうこと。  六、国内産糖製糖企業の健全な育成にあたって   は、その前提となる原料作物供給増大のた   め、土地改良等の諸条件の整備を行ないうる   よう、国の責任において重厚な施策を講じそ   の実現に努めること。  七、でん紛の需要確保と密接な関連をもつ水   飴等につきその需要を維持するため、政府在   庫でん紛の指名競争入札等による払下げ及び   水飴企業近代化合理化等につき必要な措   置を講ずるよう努めること。  八、本法による国内産糖及び国内産ぶどう糖の   価格支持とあいまって、甘味資源特別措置法   による甘味資源生産振興施策の一層の充実に   努め、農業所得の向上と国際競争力の強化を   図ること。  九、国内産糖合理化目標価格及び安定上下限価   格てん菜等最低生産者価格その他重要事項   につき甘味資源審議会意見を聴取するよう   すること。    右決議する。本決議趣旨説明は省略いたしますが、今日までの質疑を通じまして明確になった点、あるいはまた本法施行にあたりまして万全を期するために、以上の附帯決議を付したいと考えまして、提案いたした次第でございます。  何とぞ全会一致の御賛成をお願いいたします。
  25. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 ただいまの本名君の動議のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  26. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立多数。よって、本案附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府所信を求めます。舘林農林政務次官
  27. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 ただいま御可決いただきました附帯決議につきましては、その趣旨政府は十分尊重いたしたいと存じます。      ————◇—————
  28. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次に、内閣提出沖繩産糖政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより討論に入るのでありますが、別に討論通告もないようでありますので、直ちに採決に入ります。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  29. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立多数。よって、本案原案どおり可決いたしました。     —————————————
  30. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 なお、ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  32. 坂田英一

  33. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 まず、提案理由説明を聴取いたします。舘林農林政務次官
  34. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 ただいま提案になりました天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  天災融資法は、昭和三十年に制定されて以来、天災による被害農林漁業者等に対する低利資金融通に大きな役割りを果たしてきたのであります。この間農林漁業経営動向に即応し、天災による被害農林漁業者経営の安定に資するよう数次にわたる改正を行なってきたところでありますが、昨年度におきましては、各種の天災により各地に農作物等被害が生じ、特に北海道においては大規模な冷害が発生いたしましたので、これらの被害農林漁業者に十分な経営資金を供給するため、去る第四十七臨時国会において貸し付け限度額引き上げ中心とする天災融資法改正を行なったことは御承知のとおりであります。  しかしながら、昨年の改正は、被害農林漁業者に対する低利資金融通措置について当面必要とするものを早急に講ずることを主眼としたため、現段階における天災による被害農林漁業者に対する救済措置としては必ずしも十全とはいいがたい面もあったのであります。このため、最近における農林漁業経営動向等にかんがみ、被害農林漁業者資金需要増大に対処し、かつ、被害農林漁業者負担の軽減をはかり、もって被害農林漁業者経営の安定に資するよう、今回、被害農林漁業者に対する経営資金貸し付け限度額引き上げ償還期限の延長及び貸し付け利率引き下げ内容とするこの法律案提出することといたした次第であります。  次に、主要な改正点を御説明いたします。  第一点は、政令で定める経営資金につきまして特別の貸し付け限度額を設け、その額を五十万円とすることであります。  第二点は、現行経営資金についての償還期限五年を六年に延長することであります。  第三点は、特別被害地域内の特別被害者に対する経営資金貸し付け利率三分五厘を三分に引き下げることであります。  第四点は、天災融資法において政令で定める資金についての特別の貸し付け限度額五十万円を設けることに伴い、激甚災害法における天災融資法の特例の措置に関する規定を改め、激甚災害の場合の政令で定める資金貸し付け限度額五十万円を六十万円に引き上げることであります。  第五点は、開拓営農振興臨時措置法改正であります。現行開拓営農振興臨時措置法は、暴風雨、低温等異常な天然現象により被害を受けた開拓者に対し、国が災害資金を貸し付けることとしておりますが、今回の天災融資法貸し付け利率引き下げに合わせて、この開拓者に対する国の災害資金のうち政令で定める場合の貸し付け利率三分六厘五毛を三分に引き下げることとしております。  なお、従来、天災融資法改正規定は、改正施行後に指定のあった天災につき適用するのを例としているのでありますが、今回の改正案においては、昨年七月以降の天災に対する特別な経過的措置として、この法律施行前にすでに指定のあった天災でありましても、昨年七月以降に発生したものにつきましては、貸し付け限度額及び償還期限については、改正法の施行の日から改正後の規定を適用することとしております。また、利率につきましても、今後三分の利率で貸し付けられるもの及び一定期間内に三分に利率を引き下げる旨の契約の変更が行なわれたものにつきましては、これに要する利子補給を行なうことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び内容であります。気象予報によれば、本年は特に災害が多くかつ深い年といわれております。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  35. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 暫時休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ————◇—————    午後三時四十三分開議
  36. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び開拓営農振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。卜部政巳君。
  37. 卜部政巳

    ○卜部委員 天災融資法の審議に入る前に、一言だけ政務次官並びに委員長、なかんずく当該経済局長に対しまして、強く反省を促したい点がございます。少なくとも農林水産委員会が本会議の終了後に開催をされるということは、はっきりしておる状態であります。しかるに、農林水産委員が全部そろっておるにもかかわらず、経済局長あたりがのこのことやってくるがごとさは、私は不見識もはなはだしいと思うのであります。この点、委員長並びに政務次官もひとつ厳に注意をしていただきたいし、さらに農林経済局長も、この点については、今後そういうことのないように行動していただきたいことを、私はまず冒頭に強く反省を求めたいと思います。  次に、まず、天災融資法の問題でございますが、ただいま提案になっております問題以外につきまして、一応質問を行なってまいりたいと思います。  そこで、まず、第二条の問題について質問をいたしたいと思います。第二条の二項に、「この法律において「特別被害農業者」とは」云々、さらに「「特別被害林業者」とは、云々、また「「特別被害漁業者」とは、」云々という項目が羅列をされておるわけでありますけれども、この「おもな」ということがいわゆる条文にありますならば、そこにありますところの兼業を行なっておる人々、たとえば農業をやりながら炭焼きをやっておる、こういう場合に、炭焼きのかまが災害によってこわれた、こういう場合には、そのことが適用されるのかどうかですね。この点はどういうふうな配慮がなされておるのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  38. 久宗高

    ○久宗政府委員 ただいまの御質問でございますが、農業者の中で、第二種兼業、つまり、第一種兼業でございますれば、農業が主になっておるわけでございます。第二種兼業は、農業が主になっておりませんので、さような意味で、第二種兼業は除いておるわけであります。
  39. 卜部政巳

    ○卜部委員 第二種兼業の農家を除いたという理由はどういうことでありますか。
  40. 久宗高

    ○久宗政府委員 第二種兼業を除いておりますのは、先ほど申しましたように、主たる経済の主体が農業から抜けているということで除いておるわけであります。御質問でございました炭焼き関係でございますと、そのウエートが林業をおもな業としております場合には、これは当然その対象になるわけでございます。
  41. 卜部政巳

    ○卜部委員 私の言っているのは、そういうことではなくて、現実に農業を主とする方々であって、そうしてかたわら炭を焼いておるという方も、主たる農業をやりながら、炭を焼いているということもあり得るわけですね。第二種兼業でなくてあり得るのですよ。そういう場合に、この間の三十九年の山陰災害のように、ざっと山くずれがきた。そういう場合に、農家もやられるし、もちろん田畑もやられるけれども、山くずれのために、炭焼きの小屋もやられた、さらにそういう施設もやられた。しかし、おまえは主たる農業の経営じゃないか、しかるがゆえに——それが主たる林業であるならば、炭焼きがまはこれは補償されますね。これは損失額の中に入ります。けれども、そういう兼業であるがゆえに、入らないという、こういう点があるということを言っているのです。その点はどういうことかということです。
  42. 久宗高

    ○久宗政府委員 ただいま御質問のございましたようなケースでございますと、山間地帯で農業をもちろんやっておられますし、炭焼きもやっている、純然たる農民であるわけであります。したがいまして、その場合に、所得がどちら側にウエートが大きいかということで、どちらかに分類され得るわけでございますが、ただ、御指摘のようなそういうケースの場合に、金が借りられないということは実は考えられないように思うわけでございます。中央で全国資金ワクを計算いたします場合に、便宜上これらの個々の農家を積み上げませんので、分類いたしまして総資金ワクの問題を考えますけれども、実際金を貸し出します場合には、いまお話しのようなケースで貸し出さないということはあり得ないというふうに理解しております。
  43. 卜部政巳

    ○卜部委員 そんなことはないです。私は、三十九年災害や、さらに三十六年災害の事実に立脚して質問をしておるわけですから、でありますがゆえに、いま申し上げておりますように、主たる農業の経営であるという理由のもとに、それは主たる林業でないということから、そういうものは損失額の中に換算をされていないということなんですよ。それでなくても、主たる農業そのものについても、畜舎が倒された、田畑も家も倒されたという今度の三十九年災害がありまして、なかなかそういう問題の適用というものがなされていないのでありますが、そういうことは枝葉がつくから省略をいたしましても、借りられていないということはないということでございますが、ではそういう問題について、この法案にもありますように前に遡及をするということになりますと、それに線を並べて引き直すことも可能であるということで理解をしてもよろしゅうございますか。ちょっと曲がりくねってわかりにくいと思いますが、もう一ぺん端的に申し上げますと、初めから申し上げて、現実には、局長がおっしゃられておるように借りられないということにはなっておらないということではない。実際は借りられない状態になっています。したがって、もし局長がそういうことを言明をされるのでありますならば、三十九年災害にさかのぼって、それはその中に入れますということで理解をしてよろしゅうございますか、こういうことです。
  44. 久宗高

    ○久宗政府委員 おそらく具体的なケースで御質問だと思うのであります。私ども具体的なケースを直接伺っておりませんので、断定的にお答えしにくいわけでございますが、また繰り返し申しますように、たてまえから申せば、かようなケースの場合には、いわゆる私どもが普通言っております兼業というよりは、きわめて純粋な農家の方であろうと思います。炭焼きもやっているし、畑をやっておられるのだと思うのであります。そういう方の災害でございますので、私どもの指導といたしましては、どちらかにウエートを置きましても、必ず半分以上になるわけでございまして、そういう方が災害で金が借りられないというケースが、どうも理解しがたいわけでございます。そこで、個々のケースでございますので、できますれば具体的に調べさせていただきたいと思いますが、たてまえといたしましては、先ほどお答えいたしましたように、当然どちらかのウエートの多いほうでお借りになれるはずのものだというふうに考えております。
  45. 卜部政巳

    ○卜部委員 農林経済局長は初めてそのケースに触れられてそういう事実を知ったと言わんばかりの御答弁をせられたわけでありますが、三十九年災害の山陰災害について、私は災害特別委員といたしまして、こういう問題も取り上げたはずであります。御承知のように、島根県の場合等におきましても、山林が多うございますので、一町五反くらいの耕しを行なっておる農民の方々の中にも、炭焼きをやっておるという方も多いのです。そういうような状態で、炭がまがやられたという場合において、いま局長もおっしゃっておるように、どっちか、半分半分だから、どっちのほうにウエートを置くのかという、こういうことをおっしゃられましたけれども、そうではなくて、やはり炭のほうの収入も多いわけですからね。実際問題として、一町五反くらいやっておっても、いまごろは兼業でないとやれないという農業の実態というものはよく御存じのとおり。だから、炭を焼き、そしてまた切ってこれを出す、こういう状態があるのですから、おまえのところは農業が一町五反だから主じゃないか、林業の場合に炭焼き小屋がやられたというならば、それはそれなりに理解をして貸し出すこともできるけれども、おまえのところは一町五反のそれが主力であるから、そういうことには相ならぬ、こういうケースが出てきておるということを言うわけです。しかし、そのことは局長が初めてお聞きになったと言われればそれまでの問題です。おそらくそういうことはないはずなんでありますが、そのことは押し問答は私はやめたいと思いますが、ともかくこの問題については、具体的にいまの問題についての個々のケースとしての御答弁は受けることは受けたといたしましても、これからの取り組みの問題といたしまして、そういう問題はどのように処理すべきことが正しいのだろうか、またどのように処理すべき問題として一ここに私が提案をしておるわけでありますから、そういう問題があれば、この二条の中においても、明確にそういう問題をとらえて、修正なら修正、さらに補足なら補足という方向に持っていくということのほうが私はいいのではないか、こういう考え方を持っているのです。その点はいかがでございますか。
  46. 久宗高

    ○久宗政府委員 お説のようなケースが出ました場合におきまして、法律上明確にしておけばよろしいということだと思うのです。かりに明確に規定いたそうといたしましても、どうしても切れ目の問題が出るわけでございますので、おそらく法律の運用の問題といたしまして、比較的ふわっと書いてあるのだろうと思います。具体的には現地で指導なり御相談を受けます場合の運用の問題に非常にかかってくるわけだろうと思います。また同時に天災融資法だけではなくて、いろいろ公庫資金をお貸しするような問題とからんで出てまいりますので、これは私は、むしろ法律問題というよりは、運用の問題であろうかというように考えます。
  47. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、その運用の問題ということは、そこには幅がある、こういう理解をしてもよろしゅうございますね。
  48. 久宗高

    ○久宗政府委員 ことばでいえば、そういうことになるわけでございますが、ただ、内容といたしましては、そういう切れ目の問題で問題が起こります場合の、たとえば第二種兼業農家と申しましても、いわゆる第二種兼業農家と、いま御説明のございましたようなケースとは、たいへん違うのじゃないかというふうな感じもいたしますので、また特にその地方の具体問題だと考えますので、そこで、明確にこのケースはこうですというお答えはしないほうがよろしいのではないかと考えます。
  49. 卜部政巳

    ○卜部委員 そういたしますと、三十九年災害等におきますところのそういうケースの場合においても、この条文をたてにとって、現実にはそういうしいたげられたというとおかしいですが、冷たい措置をあえてなされてあるという現実があるわけであります。そういう問題については局長のほうから通達をして、その点についてはもう一つ線を引き直し、さらに現地における幅のある運用を行なって、この問題に対処しなさいという通達等は流せ得ることなんでしょうか。
  50. 久宗高

    ○久宗政府委員 行政のやり方といたしましては、さようなケースの場合に、やはり具体的にその問題そのものにつきまして、県庁もございますし、また農政局を通しての問題でもございますので、それを通して、そのケースを伺いまして、それに対する処置をきめたらよろしいのではないかというふうに考えております。
  51. 卜部政巳

    ○卜部委員 いま経済局長がいみじくも冒頭に申されましたように、こういうケースはまだ私の知るところではない、現実に把握もしていない、こういうことを言われた。私が災害特別委員会の中で申し上げておったこともあるわけでありますが、そのことは別問題といたしましても、各県なり、さらに市町村からそういう問題が出てきていないということは、一体どういうことなのかということをやはり思い起こさなくちゃならぬと思うのです。それは二条二項にこういうようにあるからメイファーズだというようなかっこうで、これはすでにこういう条文であるからこうなくてはならないという、これはちょっと官僚的な悪さだと思うのでありますが、条文がこうだからもう絶対なんだという締めつけがあるのです。だからこそ、そういうものは具体的なケースとして上に上がってこない。いわゆるあきらめの気持ちというものが出てきておるのではないかというように思うのです。そういう問題について、農林委員会もさることながら、これから災害特別委員会等におけるそういう問題についても十分耳を傾けて、そしてまたそれに対する一つの熱意のある配慮なり措置なりが望ましいのではないか、このように考えるわけであります。では、その問題につきましては、私も県に帰りまして、三十九年度災害、おそらくまたこの夏なりさらに秋にくるであろうところの災害に対処するために、この問題については、私も、その措置を経済局長はこう言われたというふうにこれをはっきりさせておきたいと思いますので、その点はおれが局長をやめたらもうあとは知らないというようなことのないように、ひとつ明確にメモをしていただくとか、メモランダムの中に入れてもらうとか、そういう点で措置をしていただくようにお願いしておきたいと思います。  次に、その問題と相関連するのでありますが、二条の二項の中にございます四行目のに、「天災による果樹、茶樹若しくは桑樹の流失、損傷、枯死等による損失額がその者の栽培する」云々、こういうふうなかっこうになっておるわけでありますけれども、これはやはり一本一本枯れたりこわれたり——こわれたというとおかしいのですが、損傷を受けた、こういう場合には換算されるわけでありますが、乳牛なんかがもし流されて死んだというような場合には、どういうふうになっておるのでありますか。その点をひとつお伺いしたいと思います。畜舎なんかが崩壊をした、こういうものも含めていいと思います。
  52. 久宗高

    ○久宗政府委員 乳牛の場合につきましては、結局年間の乳牛の生産するもの、したがって乳になりますが、それから割り出しまして被害を考え、それに対する手当てをいたすということにしております。
  53. 卜部政巳

    ○卜部委員 そういたしますと、局長、あれですか。乳牛が流されて死んだという場合には、つぶされたという場合には、乳として換算はされるけれども、一頭何万円、そういう損害は換算はされない、こういうことですね。
  54. 久宗高

    ○久宗政府委員 乳牛が流されたというような場合につきましては、乳牛自体の損失につきまして、御承知のとおり保険があるわけであります。保険で措置するわけです。天災融資法のほうで見ますのは、その乳牛がなくなったことによって、ある生産物ができてこなくなる、それを補てんする意味で——補てんすると申しますか、それを経営上どう見るかということによりまして、その経営資金を見るという見方をしているわけでございます。乳牛そのものの損失につきましては、保険で対処するというやり方をとっております。
  55. 卜部政巳

    ○卜部委員 ですから、私は冒頭に申し上げましたように、保険で見る云々ということはよくわかるわけでありますが、この二条二項の第四行目等にありますように、果樹だとか茶樹とか桑樹の問題につきましては、そういう理屈でいうならば、やはりこれとてもそういう理屈になるだろうと思う。ところが、一本一本倒れる、一本一本枯れる、そうすると、これもやはり換算するわけです。そのことと付随をいたしまして、いま局長の言われたことのその中にもありますように、それをもう少し深めてまいりますと、四項の場合に、特に「乳牛を所有する被害農業者に貸し付けられる場合はその額に五万円を加えた額」、こういうふうにあるわけです。してみるならば、保険に入ったならそんなこと必要ないじゃないかということがいわれるのではないだろうか、そういうわけじゃないと私は思うのです。でありますから、畜舎の問題にいたしましても、これも保険に入って処理をするのだ、こういう言い方ではなくて、やはりこれと同等のものを考えておく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、その点いかがでしょう。
  56. 久宗高

    ○久宗政府委員 五万円というお話で、乳牛加算のお話だと思うのですが……。
  57. 卜部政巳

    ○卜部委員 だけれども、それは別にしながらも、保険ということならば、そういうことも入れぬでもいいじゃないか、こういうことです。
  58. 久宗高

    ○久宗政府委員 畜産経営の場合、いろいろな考え方があると思うのでございますが、幾つかの施策でそういうものを見ようとしておるわけであります。乳牛そのものの損失につきましては、繰り返して申しますように、保険で対処するわけでありますし、また新たな乳牛を導入してまいります場合には、別途の融資があるわけであります。ただ、乳牛がいなくなったことによって年間の現金収入がそれだけ減ってしまう、つまり、牛乳ができない、こういう問題に対しまして、経営資金を見なければならないだろうということで、天災融資法では、その部分、つまり、現金収入のカバーできない部分、これを見ようとしておるわけでございます。ですから、保険とそういうものとは全部重なり合いまして、災害に対する再生産の裏打ちとこれからの必要な資金のめんどうを見ていこう、こういうやり方で組み合わされているものとお考えいただけばよろしいのではないだろうかと思います。
  59. 卜部政巳

    ○卜部委員 その理屈はわかるのです。しかしながら、いま乳牛の問題をとらえたのですが、畜舎の問題なんかでもそうですね。やはりつぶれる。ことに今度の山陰災害は山津波ですから、ばっとみなやられておる。ところが、そういう問題につきましては、率直にいって、実際問題として不可分な関係にあるわけです。そういう問題について、やはり私は、こういう問題にはそういうものを付加していくことのほうがいいのではないかというふうに考えるのですが、いかがなものか、こういうふうに考えて質問しているわけですが、これはむちゃな論議ではないと思うのです。筋は通っておるのですよ。
  60. 久宗高

    ○久宗政府委員 いまの天災融資法のほうでは経営資金を見ておりますので、いまの畜舎その他につきましては、別途公庫のほうでお貸しするたてまえもできておるわけでございます。そういうものでまかなっていくというふうなものの組み合わせでお考えいただけないものかと存じます。
  61. 卜部政巳

    ○卜部委員 まことにごもっともなように聞こえるのです。しかし、実際問題として、これも災害特別委員会の中で問題になったのですが、公庫で何ぼ貸し付けたのですか。いわゆる住宅の問題にしても、畜舎の問題にいたしましても、この点については、十坪なんかのような建物じゃいかぬぞ云々だということが、災害のときも口すっぱく言われたことです。この点については、中西官房長のほうから、これは別途に配慮したい云々と言わ、れておりましたけれども、結果は、その貸し付けというものが潤沢にならない、こういう問題も出てきていますが、それはそれなりに、経営資金の問題とは違うのでありますけれども、しかし、乳牛の問題も、畜舎の問題も、では明確に経営資金というものと切り離して考えられるかどうかということになりますと、これは私は実際問題として不可分の関係にあると思うのです。それをあえて切り離そうとするところに無理が生ずるのではないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、局長が、これはあくまでも保険なりあるいは金融公庫なり、さらにこれは経営資金として問題を提起しておるし、また問題はその辺にあるから、こうあるべきが正しいのだということをおっしゃられておりますが、私は、このような声がほうはいとして農民の方々からこの災害を通じて出されておることも事実だと思うのです。こういう点について、そういう声があるのかないのか、またそのことを把握されておるのか、把握されていないのか、ちょっと局長にお伺いをしておきたいと思うのですが、いかがなものでしょう。
  62. 久宗高

    ○久宗政府委員 各種の災害の対策がばらばらで、ぐあいが悪いというお話はよく聞きます。それから個々の具体的なケースで、多少運用のへたな点も含めましていろいろ御議論も出るのは、私どもよく耳にするわけでございます。ただ、制度といたしましては、やはり保険制度でございますとか、あるいは天災融資法のようなものでございますとか、あるいは一般の制度金融でございますとか、そういうもので、人を対象とすると申しますよりは、あるケースとか、農業のある型を対象にいたしまして制度を組んでおりますので、役所側の対応のしかたといたしましては、そういう各種の制度がそれぞれその制度を組み立てますときに、あるねらいを持ってやりますので、分かれざるを得ないのだろうと思います。ただ、運用といたしましては、結局具体的に損害を受けられた方の具体的な損害の態様に対しまして、的確にうまくいくような指導の問題になると思うのです。制度としてそれを全部ひっくるめてしまうわけにはまいらぬというように思いますが、私どもといたしまして、やはり制度的には幾つかの制度に分かれざるを得ないが、それの具体的な適用につきまして、いろいろ御非難のないようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 卜部政巳

    ○卜部委員 制度そのものにつきましては、私は経済局長に一番最後に言おうと思ったのですが、農林当局自体がこれは別に運用するのか、ぶっつけ合ってみるなんといっても、これは相互にあわのごとくもつれ合っちゃって、率直に言って、何が何だかわからぬという状態のところがあるんじゃないか。そういう問題は別問題といたしまして、これは内部のことですから、そういうことは言わないことにします。しかし、少なくともこの経営資金というものの定義について、いま局長が一おっしゃられておりますけれども、たとえば被害漁業者の場合にも、漁船とかあるいは漁具というものがありますね。漁船がやられる、これは経営資金として当然見ていく。そうすると、乳牛自体も、率直に言って、食わんがためのもので、これは経営資金ですね。しかもそれを雨露にさらすと  いうわけにならぬから、畜舎を建てるということになると、これも経営資金でない、こういうことは、私は矛盾しておると思うのですね。一体それはどういうことなのでしょうか。それは保険で切り離すなんて、船なんか保険ですよ。ほんとうを言ったら、それはまるまる保険で入ってきます。しかし、これはそういうものじゃないと思うのですが、そういう問題についてはどうでしょう。
  64. 久宗高

    ○久宗政府委員 おっしゃっている意味はよくわかります。そして経営資金といいました場合に、ごく常識的に皆さん考えております経営資金の中には、広く解釈すれば、相当いろいろなものが入るわけであります。先ほど申しましたように、幾つかの制度を分けておりますので、たとえば天災資金でいう経営資金というものはこういうものだというふうに限定いたしませんと、他の施策との分明が明らかにできませんので、やや狭義にいたしておりますために、一般に国家経営資金よりは非常に詰めているように思うわけであります。しかし、先ほど申しましたように、乳牛でやっておれば、いわば保険の問題とか、それからいわゆる経営資金と、それからそうでない導入関係の資金でございますとか、そういうものは全部一応そろっておりますので、そういう幾つかに分けて処理するのはいたし方ないように思うわけでございます。
  65. 卜部政巳

    ○卜部委員 ちょっと政務次官にお願いをいたしておきたいと思いますが、農林経済局長も申されたように、この種の制度に対する問題については、率直に言って、その部担当の者しかわからないような状態の形の中でこの法律が出ておることがたくさんあるのです。私はそれを言うと何時間にもなりますから、指摘をいたしません。そういうような状態で、せめてそうであるならば、この天災融資法の中で、漁船がそういう経営資金であるならば、乳牛の問題も、さらにそういうような畜舎の問題も、その中に入れておいたほうが、あれはこれでやるのですよ、とうまいことを言っておるが、どこでやっているかわけがわからぬ、そういうことのないようにしたいということで、私はいま質問をしておるわけであります。それで、何といっても、局長は、それはそれだという並行線をたどっておるわけでありますけれど、今回の改正というものが出されておりますけれども、今回は今回としてこれが是正ができないにいたしまても、将来の問題については、こういう問題もやはり明確にして、少なくとも糊塗的なようなかっこうでこの委員会の答弁を濁すとか、のがれるのではなくて、やはり私は、そういうものは明確にすべきではないだろうか、こういうふうに考えますので、ひとつ政務次官のほうに、責任のある政務次官としての答弁をここにお伺いをしておきたい、こういうふうに思います。
  66. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 天災による災害というようなものは、非常に複雑多岐なものであることは申すまでもないわけであります。その複雑多岐な天災に対しまして、天災融資法があったり、また激甚災法があったり、またその他のいろいろな金融上の措置があるわけでございます。したがいまして、天災融資法につきましても、おもな中心でございますから、非常に詳細には書いてありますけれども、いま卜部委員が御質問になりましたように、解釈上実にいろいろ問題があるわけでございまして、これは天災融資法で解決するか、あるいはまた公庫資金の問題で解決するか、あるいはまた近代化資金で解決するか、こんな問題につきましては、いま卜部委員が例をあげられたような問題についても、解釈上あるいは取り扱い上問題があるわけでございます。しかし、とにかく天災被害者に対する保護ということがたてまえでございますので、正常な意味で、個々の解釈につきましては、できるだけ卜部委員の御期待に沿うように解釈していきたい、私はかように考えております。
  67. 卜部政巳

    ○卜部委員 政務次官のほうからそのように力強いおことばがありました。ただ私は、ここで条文をいじくり回して政府を追及しようとか、そういうことではなくて、三十九年災害等に見られるような悲惨な状況を目の前にいたしまして、さらにその中で苦しんでおる農家の方々、さらに漁民の方々の実情をつぶさに視察をしてきたときに、何としてもそういうものを救ってあげたい、そしてどこにいってこれを処理してもらうかわからないというような状態からはずして、少なくともこの措置というものが適正に行なわれるというふうにしたいがために、申し上げたわけであります。この点については、これからの災害もさることながら、次の一つの法改正の問題につきましては、必ずやこういう問題が訂正をされてくることを私は期待をいたしまして、その問題についてはここで終わりたいと思います。  その次に、これは二条の四項におきまして「、この法律において「経営資金」とは、」以下ずっと書いてありまして、肥料、飼料、薬剤、農機具、さらには家畜、家禽とか、こういうふうにずっと羅列をされておるわけでありますけれども、実際問題といたしまして、下部に対して金がおりていった場合に、どういう状態になっておるのかを農林経済局長は御存じでありましょう。私の意味するものが何か。こう誘導尋問みたいで恐縮でありますけれども、ざっくばらんに申し上げて、この金がこういうふうに細分化されるということは、どういう弊害があるかを御承知でありましょうかということをお伺いをいたしたいと思うのであります。
  68. 久宗高

    ○久宗政府委員 ここにごたごたいろいろ書いてございますけれども、これはまさに単なる例示でございまして、私どもといたしましては、例示をいたしまして処理はいたしておりますけれども、例示は例示でございます。これに限定する考え方は持っておらないわけであります。
  69. 卜部政巳

    ○卜部委員 まさしくそのとおりでありましょうか。農林経済局長、まさしくそのとおりでありましょうか。もう一度お伺いいたしておきます。
  70. 久宗高

    ○久宗政府委員 先ほど申し上げましたように、経営資金の中身を例示したにすぎないわけでございますが、多少下部に参りますと、いろいろ検査の問題なんかがございまして、それをおもんばかるあまり、弾力的でない運用をしている面もなきにしもあらずのようでございます。多少そういうことを聞いたこともございますが、たてまえはあくまでこれは例示でございまして、経営資金内容であればよろしいわけであります。
  71. 卜部政巳

    ○卜部委員 ではそのように理解をしていいということでありますね。ありがとうございました。  実はこの三十九年災害なんかにおきまして、いま農林経済局長がおっしゃったこととは全然逆な形が出ております。率直に申し上げて、これは金を別段口座に入れるわけですね。それからその形の中で支出をしていくわけです。なぜか。やはり会計監督なんかがありますから、薬剤なら薬剤、飼料なら飼料という項目に従った金を出しておかなくてはやられるという感じがあるのです。また、それが農村へおりてくると、きめこまかくこれはこうなんだぞということになりますから、とんでもない、これはおそろしくてしょうがない。この金を別建てに使うと手がうしろに回るというのは少し大げさな言い方ですが、そういう心配が現実にあるのです。そういう形になりますと、中にさむらいがおりまして、何を言っておるか、金には色はつけられないというような勇ましいのがおるのは、それは農林経済局が言っておるように、そういうものは細分化しておりませんから、どうぞその金を使いなさい、それを私たちはさむらいだと言っておるのですが、そういうさむらいが出てくるのは、自主性があってばんばんやるから、さむらいということが出たのでしょうが、現実にそれがいま局長がおっしゃったように、細分化はただ単なる羅列の問題である、したがって、その金はプールして使ってもよろしいということであれば、そんな問題が出てくるはずもないし、さむらいということばが浮かんでくるはずもないのです。私はそのことはあえて申しません。局長がはっきりと、これはプールして使いなさい、こういうことをおっしゃったのですから、これははっきりとこれから県に帰って、これからこういう細分化のあれは出ておるけれども、だっと来た金はプールして別段口座に入れたら、それは流して何でもいいから使ってしまえ、こういう形で指導いたします。よろしゅうございますね。——局長、そう言ったのだから、そうでしょう。局長がそう言ったのだから、いまごろ訂正するのはおかしいじゃありませんか。
  72. 久宗高

    ○久宗政府委員 おっしゃっておる意味はわかっておりますが、だいぶニュアンスが違いますので、よく別建ての貯金にしておられる例を聞いておるわけです。それ自体は決して悪いことではないのだと思います。いずれにいたしましても、営農資金としてそれが出ていくのであれば、その内容はあまりやかましく言うべき性質のものではないだろうと思います。
  73. 卜部政巳

    ○卜部委員 はい、わかりました。だから、その意味で言うのですよ。私たまたま下部に行ってみますと、農林省当局はこういうことを言うのです。この金を別段預金に入れてびしびしとやっておかぬと、会計監査というそういうきびしさはあるけれども、それを解いたら、酒を飲んだり遊興費に使ってしまうなどという、こういうばかげたことを言っておるのです。いいですか、さんたんたる災害のときに、早く再興したい、復興したいというときに、飲み食いをだれがするか、温泉に行ってそんな金で飲むやつがどこにおるか、そういうばかげた者はいないのです。だから、いま経済局長がはっきりと、しかも誠意のある態度でおっしゃったように、これが経営資金であるならどんどん使ってもいい、こういうことに私は理解をいたしますし、またそういうことでありますので、安心をいたしました。よろしゅうございますね——はい、わかりました。  その次に、漁具の問題でありますけれども、この場合においても、この次に書いてありますけれども、この稚魚だとか、さらには漁業用燃油等の購入資金−炭がまの問題は先ほど申し上げましたから除きますけれども、船の場合も、これは政令で定めるものによりまして、大体二トン以下の問題がこれに該当するように政令で定められておりますから、そういうふうに相なっておりますけれども、この点で、二トン以下の船だけをもって経営資金が事足り得るのかどうか、この点をひとつお伺いしておきたいと思いますが、いかがなものでしょう。
  74. 久宗高

    ○久宗政府委員 御承知のとおり、二トン以上のものは公庫で見ておるわけであります。二トン未満になりますと、そういう見ようがないと申しますか、非常にむずかしゅうございますので、天災融資法のほうで考えておるわけであります。
  75. 卜部政巳

    ○卜部委員 もう一度おっしゃっていただきたいのですが、二トン以上は——政令ですか、二トン以下は認めておる、こういうことですか。
  76. 久宗高

    ○久宗政府委員 二トン以上は金融公庫でございます。
  77. 卜部政巳

    ○卜部委員 二トン以下はこれで認めておる、こういうことですね。  そうすると、現実にこの申請が上がってまいりまして、受け付られておる件数なり、さらに利用されておる点については、大体どういう経営資金が多うございますか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。その状況です。——では、この問題につきましては、漁業関係の問題でわが党の委員がまた質問をいたしますので、たいがいあしたくらになるかと思いますが、ひとつ資料を提出していただきたい、その中でまたつまびらかにしてもらう、こういうふうに考えております。  次に、もう一つお伺いをいたしておきたいのは、この間の山陰災害ばかり申し上げて恐縮でありますが、現実に全部歩いてまいりましたので、こういう点を考えてもらいたいのでありますが、天災によっては被害を受けていないのですね。ところが、実際問題として山くずれですから濁流が海に流れてくる。そういうかっこうの中では、もちろんノリだとか、そうしてまた捕獲量が減ってくる。こういう問題があるわけです。そういう問題については、これはたまたま漁村を襲ったところの天災ではないのです。山くずれだから、何ら関係がないじゃないかというようなかっこうで、そういうものが無視されたという状態があるのです。そういうものもひとつこれからは配慮されるものか、どうなのか、また当然配慮すべきだと思うのですが、その問題はいかがでしょうか。
  78. 久宗高

    ○久宗政府委員 いまのは、山くずれによりまして、おそらく濁流が流れてきたというお話だと思うのでございますが、漁業の被害につきまして、管理可能なものでございますれば対象にし得るわけでございます。しかしながら、回遊魚になりますと。これは漁業者の管理の外におるわけでございますので、これは対象にしがたいというふうに考えるわけであります。
  79. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、それはどこで救ってやるのですか。一体だれにすがったらいいのですか、そこは。
  80. 久宗高

    ○久宗政府委員 管理可能なもの、たとえば水産養殖でございますね、そういうものございますれば、損害の認定も可能でございますので、対象になるわけでございますが、回遊魚は、損害そのものの認定が困難でございますので、天災融資法の対象にはしがたいわけでございまして、ただ別途、ほかの施策といたしまして考えるべき性質のものでございます。天災融資法といたしましては、やはり管理可能なものを対象にせざるを得ないというふうに考えております。
  81. 卜部政巳

    ○卜部委員 しかし、実際問題として、先ほど御説明を申し上げたように、この山くずれによる濁流が海域をずっと黄色くなるほど埋め尽くすわけですから、これは率直にいうならば天災ですよ。実際天災です。ところが、これは適応管理ができないからということになりますならば、そういう災害が起きたときには、災害に重点が置かれるわけでありますから、そのものが急速に救われる、そういう管理外にあるものはまあまああとからということでは、私は納得ができないと思うのです。そういう点もひとつ何とかこの中に入れるということができないものです。また、その問題は今度はどこで拾うかということを私もはっきりしませんので、ひとつ教えていただきたいと思います。どこに持っていけば、そういうものはよくなるのか、すみやかに措置をしてもらえるのか、その被害額は何ぼに——百分の五とかいろいろありますが、その率は、基準は一体どういうようになるのか、この点もひとつお教えを願いたいと思います。
  82. 久宗高

    ○久宗政府委員 お答えいたします。  天災融資法といたしましては、やはり回遊魚までになってまいりますと、把握が非常に困難でございますので、前にも私ども中ではいろいろ議論はいたしてみましたものの、ちょっと無理ではないかと考えておるわけでございます。具体的な処理といたしましては、やはりつなぎの融資ででもごめんどうを見るのが実際的かと考えるわけでございます。なお、別途災害補償のほうで検討をしておるようでございまして、いずれにいたしましても、天災融資法のほうで処理をいたそうといたしますと、非常にぎすぎすした形になりまして、かえって御希望に沿えないのじゃないかというふうに考えております。
  83. 卜部政巳

    ○卜部委員 だから私は、いま天災融資法からちょっと離れた形でお伺いをしておるわけです。これは災害補償のほうで見ようとしておるということであって、あくまでもまだ未知数であるわけですね。見ようとしておるということであって、見るなら見る。その基準は何々、それでどこに行けばいい、こういうことを教えてくれと言って、謙虚にお伺いしておるわけですから、天災融資法から少しはずれてもけっこうですから、ひとつ教えていただきたい。そういうのが困るわけです。
  84. 久宗高

    ○久宗政府委員 水産庁のほうで検討しております漁業災害補償のほうの現在の段階を私掌握しておりませんので、非常にむずかしい問題で、検討はしているというふうには聞いておるわけでございますが、まだこの辺の結論は出ていないようでございます。したがいまして、現段階処置といたしましては、やはり系統のつなぎ融資というふうなことしかないわけでございまますので、それを具体的な処理として考える以外に方法がないと考えております。
  85. 卜部政巳

    ○卜部委員 最初に申し上げたように、これは水産庁のやる漁業災害のと趣を異にいたしまして、天災によるそういう場合ということになるのですから、当然それを考慮しているものだということをおっしゃられておりますが、それはまだ私の把握しておるところではない、こういうふうにおっしゃられていますが、少なくとも関係当局と相関連を持つこういう問題を、全然連絡もなしに、しかも知らぬ存ぜぬぬということでは、私は困ると思うのです。そういう問題をここで何回も繰り返してもしようがないのですが、この問題は、率直に言って、やはり目に見えない災害みたいなものなんです。私も漁民の方に山の上から見させてもらったわけですが、すばらしく広範囲に黄色い海で、黄海みたいなかっこう——黄海といったって、これは広い海じゃないので、昔の揚子江みたいに濁流が渦巻いているようなかっこうなんです。そういうかっこうで、どこにも救われないということでは、あまりにも悲惨である。こういう点もひとつ頭に入れていただいて、この水産庁の漁業災害の問題等とも考慮されるというならば、その中にでも入れていくというか、さらにつなぎ資金の問題も、これがスムーズに行なわれるような、そういう場合の温情あふるるような措置と同時に、通達を流していただきたい、こういうふうにも考えるわけです。わかりました。  では次にまいりたいと思います。これはほんとうは確認をして——私はノートに書いておりますから、ひとつ頼みますよ。局長がかわったからといって、おれは知らぬなんていうことでは困りますから、これは議事録にも明確にしておくわけですから、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。  それからこの二条の六項の中にあるわけでありますが、「経営資金の貸付を受けている者が」云々、この問題があるわけであります。この問題について、私は同じく災害特別委員会の中で主張したところでありますが、山陰災害も北海道でもどこでも同じでありましょうが、災害は毎年やってくるわけであります。山陰地方の場合におきましては、三十六年の災害、長雨、豪雪、三十九年の災害、こういうかっこうになります。借りられる金はみな借りているわけですね。それで、現実に金を借りるということは実際不可能なんですよ。そういう問題の中で私は主張いたしましたら、中西官房長いわくには、そういうことはありません、これは情状酌量いたしまして貸し付けを行ないましたなどと言っておりますけれども、現実に下部におりてみましたら、何だかんだ、すったもんだいって、借りられないわけですね。借りられないのはあたりまえです。こういうかっこうなら、それならば私は問題があると思うのです。そういう点について、まず中西官房長がそういうことをおっしゃったわけでありますが、こういう問題については、借りられないというのなら問題があるということで貸さない金融機関なりそういうものを私がしかって貸し付けることにさせてもいいものかどうか、まず、その点から——責任者がそう香りたのですから、この点もはっきりしておかなければいかぬと思うのです。その問題はいかがですか。
  86. 久宗高

    ○久宗政府委員 これはいろいろなケースがあると思うのでございます。個々に被害を受けたその方の事情がございまして、たまたまその方が所属しておられる協同組合の事情なんかも加わりまして、どうも貸してもらえないといったような御意見が、私どもの耳にもよく入るわけでございます。御承知のとおり、これは損失補償の制度の裏打ちにございますし、私どもといたしましては、災害が起こりました場合に、必要な資金につきましては、それを無理にしぶってみてもしようがないわけでございますので、なるべくそういう制度の裏打ちもあることでありますから、御希望に沿って出すようにということは重々指導しているわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、たまたま個々の被害を受けられた方の特別なケースで、単協の側から見て非常に貸しにくいと申しますか、御希望に正当にいって沿い得ない場合も、個々のケースによってはあり得ると思います。それからまた、借りられるほうの方には何ら問題はないのでありますけれども、たまたまその組合が若干経理がぐあいが悪くなっておって、非常に消極的であるといったような問題もあるわけであります。こういう問題につきましては、先ほども申しましたように、上級機関から貸すという方法もございますし、損失補償の制度の裏打ちもございますので、とにかく災害の場合に具体的に必要な金額につきましては、これは主観的なものではなくて、客観的な認定を経た額でございますが、どしどし貸しますように私どもでは指導してまいりたいと思います。
  87. 卜部政巳

    ○卜部委員 先ほど申し上げたように、個々のケース、これは主観的な問題じゃなくて、客観的だ、こういうこともおっしゃられたわけですが、三十六年の災害で借りるだけ借りた。長雨、豪雪でもって借りるだけ借りた。そうすると、その返済した残額に対してしか貸さぬというわけですね。その言い方は、個々のケースだけではなくて、私は全般だと思うのです。それではほんとうに借りられない人のほうが多いと思うのです。そういうことになりますと、えらい恐縮なことばかり申し上げて済みませんが、そういう問題で困っておる、残額も多くて金を借りることもできない、こういう人たちが、いま路頭に迷うというと語弊があるにいたしましても、困っておることについては、ひとつ農林経済局長のほうから、そういうものは上部のほうからでも貸すことができる、そういうものが具体的に上がってくるならば、私のところへ来なさい、そういうことでそれは解決いたしますといった理解でよろしゅうございますか。たくさん持ってきますから、みんなそういうかっこうで困っているわけですからね。よろしゅうございますね。
  88. 久宗高

    ○久宗政府委員 そういうケースは私想像がつかないのでございますが、具体的にございましたら持ってきていただきたいと思います。
  89. 卜部政巳

    ○卜部委員 局長、具体的に把握されてないというのですが、これも災害特別委員会の中でいやというほど繰り返した内容のものなんです。しかし、それはいいです。ひとつ具体的に持ってまいりますが、持ってきたのに、ああ、そういうものですかということじゃ困ります。少なくともこれには金を貸し出しを行なってもらう、こういうことを確認をいたしましてよろしゅうございますね。——はい、わかりました。ありがとうございました。  そこで、私は、一山陰地方のそういう災害の問題だけをとらえては問題があろうと思いますから、そういう重複被害者の救済は、ある一定の期間たな上げにすべきじゃないかと思うのです。これは政務次官も聞いておられたかと思いますが、そうせぬと、この間の開拓融資の問題についても、もう雪だるま式に借金が重なっていく、しかもそれがために夜逃げをする人もおるというようなことを開拓融資の問題で申し上げたことは、政務次官も御承知のとおりなんです。しかもその金が政府から強制的に割り当てられるということでありますから、自分が借りてもいない金を返さなくちゃならぬ、こんな悲惨な状態にされておるのです。これは開拓農民の場合です。そういうようなことの指摘をいたしたのでありますが、少なくとも旧債というものが重圧となっていることは事実です。何だかんだといっても、こういう問題については、無利子にするとか全部パーにするとか何かじゃなくて、一定期間のたな上げをすることが必要だと思うのです。この点について、政務次官、私は開拓農民の問題も申し上げたわけでありますが、その審議を通じていろいろと政務次官も感じられたところがあると思うのです。これもひとつ、今後の改正におきましては、そういう災害にあえいでおる農民、漁民の方々に対する適切な措置を行なっていくように措置していただきたい、こういうふうにお願いをいたしたいのですが、その点はいかがでございましょう。
  90. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 先ほどから卜部委員の詳細な御質問を聞いておりますと、私どもと少し感覚が違うような気がいたしますのは、天災融資法そのものの規定は、天災被害を受けられた人にも金を貸すというたてまえでありまして、たとえば経営資金にいたしましてもこまかく条件を書いてありますのは、災害の混乱の最中でありますから、自分の場合に、こんな場合には貸してくれるだろうかという心配がありますからこそ、いろいろ詳しく列記してあると思うのでありまして、列記してあること以外につきましても、農林漁業者の経営に必要な資金については貸しましょうということで、非常に幅広く考えているわけであります。それと同じような意味で、経営資金につきましても、重復災害でも貸しましょうということで、この規定があるわけであります。したがいまして、先ほど御例示がありましたが、重複被害だから、たとえば返済の残額しか貸さないというようなことは、農林省としては全く考えていないわけであります。すべて新しく上乗せして貸すという意味であります。この問題は、いまお話しのように、重複被害の場合に、非常に負債がふえたから償還延期の措置を講ずるというようなことにつきましては、現在の法律のたてまえから申しますと、償還猶予の規定はございません。ただ、今度新しく償還につきましても、五年を六年に延ばしましたし、またそれにつきましては、御承知のように補償の制度もありますから、それによりまして、この問題につきましては、被害者の御意思に沿うことができるであろう、かように考えております。
  91. 卜部政巳

    ○卜部委員 うまいことするっと肩すかしを食らわされたような気がしてなりませんが、私は私なりに、いまの政務次官のことばは、十分にいま私の要望した問題を措置したいというふうに理解をして進みたいと思いますが、よろしゅうございますね。  時間がございませんので、もう一、二点御質問をいたしたいと思います。  政府への納付金の問題でございますが、現在納付金の問題はどういうふうになっておりますでしょうか。スムーズに回収されておりますでしょうか。
  92. 久宗高

    ○久宗政府委員 損失補償後の回収金でございますが、三十七年度からの数字を申し上げますと、千二百五十一万二千円、三十八年度では千二百五万七千円というふうになっております。
  93. 卜部政巳

    ○卜部委員 どれだけ入ってこなくてはならないのに、それだけの金額しか入ってないという比率の問題も、ひとつ明らかにしてもらいたい。
  94. 久宗高

    ○久宗政府委員 いま御指摘のようなことで全部年度別に割り当てた数字を持っておりませんが、お尋ねの数字の基礎になる数字を申し上げますと、三十七年度の損失補償といたしまして国庫補助金を出しましたものが三億二千六百十万三千円、三十八年度には減りまして三千八百九十二万九千円、これが国庫補助金として出ておるわけでございます。あと回収いたしましたものが年度で三十七年度、三十八年度と申し上げましたが、これと必ずしも見合うものではなくて、償還期限その他の問題がございますので、それを全部積算したものはいまここに手元に持っておりません。
  95. 卜部政巳

    ○卜部委員 それもひとつあしたまで、また審議が行なわれるわけですから、出していただけませんか。その資料出してありますか。それを出してもらいたいと思います。よろしゅうございますか。
  96. 久宗高

    ○久宗政府委員 お出しいたします。
  97. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまの局長のお話しによりましても、私は納付金の問題はかなり問題だというふうに考えるわけです。納付金の問題については、率直にいって、融資機関といたしましては、まけてやるということがいえないわけですね。それで、時効にならない程度に請求をしておるという状態だと思うのです。それで、国家のあれでしたら、債権管理法等によってこれは処理できるという問題があるわけですけれども、それがなされないという状態だと思うのです。してみるならば、それはあまりにも過酷じゃないかというような感じもいたしまして、これはそういう形で積み重ね積み重ね、結果的には回収ができないですよ。そうでしょう。率直にいって、回収がほんとうにむずかしいのです。資料を見なくてはわかりませんが、私の判断ではむずかしいと思うのです。そういうものをあえて条文に載せるということではなくて、それならそれらしく措置できるような、やはり融通のある条文に変えていかないと、結果的に時効になるまでに、時効になっちゃいかぬから請求だけはしておくというような、こういう程度のものであるならば、私は問題があるのではないかというふうに考えるわけですが、この点はいかが取り計らわんとしておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  98. 久宗高

    ○久宗政府委員 災害によるものでございますし、実際問題といたしまして、先生も御指摘になりましたように、時効になっては困りますので、一応中断をしながらやっているわけでございますが、具体的には非常に無理にそれを取り上げるという過酷な運用はやってない、こう思うわけでございます。したがいまして、そうかと申しましても、法文上それをあらかじめふわっと書くというわけにもまいりませんので、こういう形になっておりますが、運用の上で、これは非常に過酢な形で追及しているという形ではございません。なお、もちろん善良な管理者としての立場上、融資機関として取り上げざるを得ないのでやっておりますものの、内容が災害でございますので、きわめて常識的に処理していると、一応私どもは考えております。
  99. 卜部政巳

    ○卜部委員 政務次官にこれまた要望しておきたいと思うのですが、いま質疑をかわしたような内容です。それが納付金という問題の中で問題が提起されておりますが、この問題もひとつ条文の整理を、今国会は無理といたしましても、次期国会等において十分配慮されてしかるべき問題だと思うのです。局長もおっしゃっておるように、時効にならないように措置する程度のものでしかない、こういう状態では困ると思うのです。この点、ひとつ政務次官のほうから、それに対する対策とでも申しますか、決意とでも申しますか、この点をはっきりさしていただきたいと思います。
  100. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 被害農林漁業者に対する経営資金の貸し付けでございますから、いま局長が申し上げましたように、その回収金の回収につきましては、決して私はむごいことをやっていないだろうと思うし、またそうしてはいけないと思います。その運用につきましては、実は私もよく存じませんが、いま卜部委員の御趣旨に沿いまして、ほんとうに文字どおり温情のある行政をやりたい、かように考えております。
  101. 卜部政巳

    ○卜部委員 それでは、もう一、二点ということでございますので、一、二点で終わりたいと思いますが、実は裏作の被害ですね。これは率直に申し上げまして、年間総収入を分母として計算するわけですね。そういうことから、裏作というものが分母が大きいので問題にならないという、こういう問題も出てきておると思うのです。こういう点については、いろいろと指令なり通達みたいなものが流れて、この問題に対処しようとしておるわけでございますけれども、そういうことは結果的には、実際問題として天災融資法が不備だということに相なるのではないだろうか。そういう問題はどういうふうに理解をされているのかをまずお伺いいたしたいと思います。
  102. 久宗高

    ○久宗政府委員 裏作の問題ははなはだむずかしいわけでございますが、御承知のとおり、その問題をはっきり割り切らざるを得ないような災害の態様でございます場合に、特例措置をとりまして処理しているわけでございます。結果からいいますと、むしろそれが実態的だと申しますか、かえってそれを書き分けようといたしますと実ははなはだむずかしいわけでございまして、災害の態様により、あるいはその環境によりまして、国会でいろいろ御判断をいただきました上で処理をいたすのが、一番妥当ではないかというふうに考えるわけでございます。
  103. 卜部政巳

    ○卜部委員 局長はそのほうが適切な措置ができるというふうに考えられますが、裏作の問題は一番最初問題にされていなかった。ところが、あまり被害が大きい。分母の問題もありますから、そういうことから特例あたりが出たわけなんですけれども、そのこと自体は、さっき申し上げたように、やがては特例から天災融資法の中に入っていくべきものであろうというふうに私は考えるわけなんです。そのままで足踏みしておっていいというものではないと思うのです。そういう点についても、私は、農林当局のほうが自民党との折衝その他もあるでありましょうが、ひとつその点についても次の改正のときにはやはり考慮しなければならない問題じゃないだろうか、こういうふうに考えますが、よろしゅうございますか。
  104. 久宗高

    ○久宗政府委員 検討すべき問題だと思うのでございますが、先生のお尋ね、いまの裏作の問題でございますが、さっき二、三出ました問題で、みんなすれすれの問題が非常に多いのでございます。それを法律で規定しようといたしますと、それに伴ういろいろな条件を逆にきつくしなければいかぬというふうな問題が、実は関連して起こるわけでございます。さような意味で、私どもといたしましては、そこを厳密にいたしますために、他の条件がきつくなってしまって結果においてまずいというような問題も、すれすれの問題には非常に多いわけでございます。その辺の処理に苦慮しているわけでございますが、御提案もございますので、検討さしていただきたいと思っております。
  105. 卜部政巳

    ○卜部委員 わかりました。では十分ひとつその点については御配慮を願いたいと思います。  それから、ちょっとあと先で恐縮でございますが、先ほど私は乳牛の問題とからめて、乳牛加算の問題をちょっと例として申し上げたわけですが、この乳牛加算の五万円ということは、これは少ないと思うのです。私はせめて二十万くらい——まあ二十万が多いということなら、十万くらいでもいいと思うのですが、この乳牛加算の問題は農林省はどういうふうに考えられていますか、あなた方は十万円くらいあげようという気持ちはないのですか、どうでしょう。この点もひとつお伺いしたいと思います。
  106. 久宗高

    ○久宗政府委員 私どもも、初め乳牛加算についてずいぶん固執しまして、だいぶいろいろ内部でやり合ったわけでございます。いろいろ吟味してみますと、なかなかむずかしい問題がございますので、実際問題としては、今度は手をつけなかったわけでございますが、御承知のとおり、被害額の認定をいたします際の、自給飼料がやられて購入飼料に依存するという場合の認定のしかた、そういうものによって相当具体的にカバーし得るのじゃないかということ、もう一つは、今度の改正で額を引き上げる可能性も出てまいりましたので、実際問題としては、その中でまかなえるのではないかと思います。そこで、乳牛加算そのものを切り離して論議をいたしますと、たいへん割り切れない問題がございまして、たとえば二十万なら二十万というものを合理的に説明をすることがはなはだ困難になります。それもやはり実際問題としては、認定の中で具体的な経緯を見ながら見ていくのが実際ではなかろうか。もちろん、運用よろしきを得てということでございます。そういうふうに現在では考えております。
  107. 卜部政巳

    ○卜部委員 いま局長は部内でいろいろと検討し合ったということなんですが、私も、自民党の政調あたりいろいろとメスを入れてみますと、実際は、自民党のほうが拒否をしたというのが事実じゃないですか。あなた方は十万円くらい持っていったんじゃないですか。内部で意識統一がなされておらぬのじゃなくて、あなたたちは実際は十万円ぶっつけておるんじゃないですか。その点、これはまた政務次官に、十万円なら十万円にしなさい、こういうふうに私は言うのですから、あんまりことばを濁さぬようにしてもらいたい。
  108. 久宗高

    ○久宗政府委員 事務の段階で検討するプロセスでは、いろいろな案を考えたことはございます。ただ、それをずっと詰めてまいりました場合に、先ほど申しましたように、限度額そのものにつきまして、五十万というようなラインが得られるということにもなりましたし、それから具体的に検討してみますと、やはり個別経営の問題にもなりますので、むしろ認定のところで考えたほうが一番実際的ではないかという考慮で、あえてこの段階で乳牛加算として無理してふやすことでもないなというふうに考えたわけでございます。
  109. 卜部政巳

    ○卜部委員 政務次官に申し上げたいと思うのでありますが、局長はそういうことをおっしゃっていますが、世の常識として、乳牛加算は十万円ないし二十万円というのが、これはもう常識ですよ。こういうような問題もありまして、ひとつ乳牛の加算の問題については、これも同じく次期国会等においては、乳牛加算を最低十万円くらいにはしていく、こういうような配慮があってしかるべきだ、この点に対する政務次官の見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  110. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 天災融資法改正を今般提出いたしましたのは、去年の十月からの北海道の冷害に、私、大臣の命令で視察に参りまして、やはり償還期限の問題とか、貸し付け限度の問題とか、あるいは金利の問題、こんな天災融資法の一番根本をなすものにつきまして、急いで改正しなければいけないという決意を固めまして、さっそく準備をしたわけであります。その結果、去年の臨時国会におきまして貸し付け限度のワクを上げたわけでございますが、今度はいま御存じのとおりに、金利の問題とか償還期限の問題等につきまして改正案を提出したわけでございます。しかし、いまお話しの乳牛加算の問題その他、実はこの問題につきましては、改正すべき点がたくさんあるわけでございまして、やはりこれは災害ごとに運用の経験を重ねながら、なるべく天災による被害農民、漁業者に対して便宜をはかるようにということがわれわれのたてまえででございますから、今後におきましても、あくまでも乳牛加算の問題は現状を固執しようという気持ちは全然ございませんので、今後の改正におきましては、ぜひ十分御趣旨に沿うようにしたい、かように考えております。
  111. 卜部政巳

    ○卜部委員 まだ特別被害地の地域の指定の問題等もありますけれども、いま政務次官がおっしゃられたように、数多くの問題点を内蔵をしておる。しかしながら、いまさしあたってとりあえず緊急に措置をしなければならないもののみ改正をした。いま私がるるこの中で質問をした問題等については、自民党内におけるところの十分な審議と、その審議の過程の中から、次の国会でそういうものが改正をされるというきわめて熱意のある御答弁がありましたので、これを潮どきに私は質問を終わりたいと思いますが、どうかひとついま申されたおことばというものを、ただここの委員会の答弁ということに終わらせることなく、私の質問したその問題と、さらに政務次官なり局長がおっしゃられたそのことばの一つ一つが、この災害に苦しんでおる農民、漁民、その人々に対する適切な措置として結ばれなくちゃならないと思いますので、そのことを強く私は要請をし、また期待をいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  112. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次会は明十八日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五分散会