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赤城国務大臣 被買収者に対する報償は千四百五十億ばかりで、一年にすれば百五十億、この百五十億が農業の
政策の問題に投入されるということになりまするならば、私は農業面における推進は非常なものだと思います。そういう
意味におきまして、私は、こういう金は農業
政策に投じられることが好ましいと思います。ただ、被買収者の問題は農業
政策プロパーだと私は
考えておりません。そういう
意味におきまして、これは別個の問題として取り扱うという立場上、農業
政策の面として取り上げなかったために、ああいう結果になったと思います。私は、被買収者の問題は、実は内閣
委員会等にも申し上げたいと思ったのですが、あまり乗り気じゃない問題だったので、私は言わなかったのですが、買収をしたときに
一つの欠陥があったと思うのです。それは、ひとしく農民として自作農に精進しょうという
考えを持った。御承知のように地主でもそういう
考えを持った人があるのです。ところが、地主の生存権は否定された。二反歩や三反歩を耕作している地主、しかし、そのほかに多くの土地を小作に入れておった。応召者とかあるいは学校の教員だとか、こういう立場で、つくっているものは少ないが、小作に入れつけている土地が相当多かった。いままでの地主という立場を放てきして、
ほんとうに自作農として農業に精進するという覚悟を持っておった。そういう意図も強かった。しかし、それはその当時の
法律でいえば、土地の取り上げということになりますので、それを禁止した。そして泣き寝入りをしたということ。ひとしく日本国民でありながら、これから新しく農業に精進しようとする意思を持ちながら、一方の小作人のほうはそれを認められて、しかも小さい地主のほうを拒否された。こういうところに
一つの生存権としての否定の問題があったのじゃないか。そういうものに対する慰謝という点で、私はいたしかたない、こういうふうに
考えております。
たいへん
答弁が長くなりますが、農地改革の基礎の上に立って、あのときにやらなかった
一つの問題は、土地の再配分を行なわなかった、耕作権が所有権に移ったというだけで、それだけのことで、このために増産等をされたことは非常にけっこうなことでございますけれども、土地の再配分を行なわなかった。ことに日本の農業の欠陥であります零細農業、こういうものを克服していく土地の再配分が行なわれなかったということは、まことに遺憾であったと思います。そういう面をこれからでもやっていきたいというのが、いま御指摘の農地
管理事業団の
一つの構想でございます。ですから、
ほんとうは、そういうものに相当の金がかけられるということでなければならないと思うのであります。農地改革のもう
一つの欠陥は、国家
管理をしておった時代において、もっと土地に対しての改良を加えるべきだった、土地に加工をすべきだった。土地の加工をして、そして耕作者にこれを配分する、こういうことでなければならなかったと思うのでございますが、それをやらなかった。でありますので、その後において土地基盤の
整備ということをやっておりますが、これなどもまだ相当力を入れていかなければならぬということでございますから、実はああいう金がありまするならば、
ほんとうは農政プロパーのことに金をかけたいというのが私の意欲でございますけれども、いま申し上げましたように、農業
政策プロパーの問題として取り上げておりませんので、それを振りかえるというわけにもまいりません。しかし、
考え方におきましては、いま御指摘のような
考え方でいったのでございますが、この問題はこの問題として、今後農政プロパーの問題に相当財政的の
措置を講じていくように努力いたしたい、こう思っております。