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1965-05-15 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十五日(土曜日)    午前十一時十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 坂田 英一君    理事 仮谷 忠男君 理事 谷垣 專一君    理事 長谷川四郎君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    倉成  正君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    田邉 國男君       中川 一郎君    野原 正勝君       藤田 義光君    細田 吉藏君       山中 貞則君    卜部 政巳君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       千葉 七郎君    松井  誠君       松浦 定義君    森  義視君       湯山  勇君    小平  忠君       中村 時雄君    林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         食糧庁長官   齋藤  誠君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  木田  繁君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    岡田 覚夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 五月十三日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として大  出俊君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大出俊辞任につき、その補欠として児玉  末男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十二日  特殊農業地帯振興対策に関する請願唐澤俊樹紹介)(第四〇四六号)  同(井出一太郎紹介)(第四〇四七号)  同(小川平二紹介)(第四〇四八号)  同(吉川久衛紹介)(第四〇四九号)  同(倉石忠雄紹介)(第四〇五〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第四〇五一号)  同(下平正一紹介)(第四〇五二号)  同(中澤茂一紹介)(第四〇五三号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四〇五四号)  同(原茂紹介)(第四〇五五号)  同(松平忠久紹介)(第四〇五六号)  農業用ガソリン税減免見返り農道事業採択基準引き下げ等に関する請願唐澤俊樹紹介)(第四〇五七号)  同(井出一太郎紹介)(第四〇五八号)  同(小川平二紹介)(第四〇五九号)  同(吉川久衛紹介)(第四〇六〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第四〇六一号)  同(小坂善太郎紹介)(第四〇六二号)  同(下平正一紹介)(第四〇六三号)  同(中澤茂一紹介)(第四〇六四号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四〇六五号)  同(原茂紹介)(第四〇六六号)  同(松平忠久紹介)(第四〇六七号)  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案成立に関する請願唐津俊樹紹介)(第四〇六八号)  同(井出一太郎紹介)(第四〇六九号)  同(小川平二紹介)(第四〇七〇号)  同(吉川久衛紹介)(第四〇七一号)  同(倉石忠雄紹介)(第四〇七二号)  同(小坂善太郎紹介)(第四〇七三号)  同(下平正一紹介)(第四〇七四号)  同(中澤茂一紹介)(第四〇七五号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四〇七六号)  同(原茂紹介)(第四〇七七号)  同(松平忠久紹介)(第四〇七八号)  食料品総合小売市場管理会法案反対に関する請願中村高一君紹介)(第四一二八号)  同(永井勝次郎紹介)(第四二一九号)  同(帆足計紹介)(第四一三〇号)  同(松平忠久紹介)(第四一三一号)  同(山花秀雄紹介)(第四一三二号) 同月十三日  日韓漁業交渉妥結に伴う国内漁業調整に関する請願足鹿覺紹介)(第四一八五号)  低開発森林地域開発林道大山東部線調査路線指定等に関する請願足鹿覺紹介)(第四一八六号)  食料品総合小売市場管理会法案反対に関する請願島上善五郎紹介)(第四二四八号)  同(神近市子紹介)(第四四〇二号)  同外三十五件(山口シヅエ紹介)(第四四〇三号)  農業用ガソリン税減免見返り農道事業採択基準引き下げ等に関する請願増田甲子七君紹介)(第四四三〇号)  特殊農業地帯振興対策に関する請願増田甲子七君紹介)(第四四三一号)  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案成立に関する請願増田甲子七君紹介)(第四四三二号) 同月一四日  昭和四十年産なたねの基準価格引き上げに関する請願宇野宗佑紹介)(第四五三二号) は本委員会に付託された。 五月十三日  種豚登録事業助成措置に関する陳情書(第三八三号)  酪農振興関係法案成立促進に関する陳情書外一件(第三八六号)  広域農業構造改善推進対策等に関する陳情書(第三八七号)  生牛乳及び乳製品の新価格対策に関する陳情書(第三八八号)  国内産牛乳による学校給食実施に関する陳情書(第三八九号)  早場米時期別格差金制度存続に関する陳情書外三件(第三九〇号)  森林災害対策に関する陳情書(第三九一号)  食料品総合小売市場管理会法案反対に関する陳情書外三件(第三九二号)  愛知用水建設負担金軽減に関する陳情書(第四〇五号)  農林漁業近代化促進等に関する陳情書外一件(第四一七号)  木材売市場改善対策に関する陳情書(第四四七号)  非常災害用木材備蓄対策に関する陳情書(第四四八号)  農林年金制度改正促進に関する陳情書(第四四九号)  米麦混食施策確立に関する陳情書(第四五〇号)  早場米奨励措置に関する陳情書(第四五一号)  土地基盤整備等に伴う電柱等の移転に関する陳情書(第四五二号)  種豚登録事業助成措置に関する陳情書(第三八三号)  酪農振興関係法案成立促進に関する陳情書外一件(第三八六号)  広域農業構造改善推進対策等に関する陳情書(第三八七号)  生牛乳及び乳製品の新価格対策に関する陳情書(第三八八号)  国内産牛乳による学校給食実施に関する陳情書(第三八九号)  早場米時期別格差金制度存続に関する陳情書外三件(第三九〇号)  森林災害対策に関する陳情書(第三九一号) 同月十四日  国有林野の解放に関する陳情書(第五〇二号)  食料品総合小売市場管理会法案に関する陳情書(第五〇三号)  日韓会談妥結に伴う漁業善後措置に関する陳情書(第四七七号)  砂糖価格安定等に関する法律案成立促進に関する陳情書外一件(第四九七号)  砂糖価格安定等に関する法律案反対に関する陳情書)(第四九八号)  農地管理事業団法成立促進に関する陳情書(第四九九号)  家畜保健衛生所整備に関する陳情書(第五〇〇号)  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案成立促進に関する陳情書(第五〇一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案内閣提出第一二五号)  牛乳法案芳賀貢君外十一名提出衆法第一七号)  砂糖価格安定等に関する法律案内閣提出第一三一号)  沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一三二号)  甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関する法律案芳賀貢君外三十二名提出衆法第二七号)  沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案芳賀貢君外三十二名提出衆法第二八号)      ――――◇―――――
  2. 坂田英一

    坂田委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長所用のため、委員長指名により、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案芳賀貢君外十一名提出牛乳法案内閣提出砂糖価格安定等に関する法律案沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案芳賀貢君外三十二名提出甘味資源生産振興及び砂糖類管理に関する法律案及び沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案、以上各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 最初に、農林大臣にお伺いしたいのでありますが、今回の政府が出されました糖価安定法につきまして、まず、その前提としてお伺いしたいことは、去る三十八年の八月に突如として行なわれました砂糖自由化が、その後、国際糖価下落によりまして、特に昨年から今年にかけまして、非常な相場の低落、特に国内甘味資源農作物等に直接的な影響を受けたわけでありますが、このことは、西欧各国の例を見るまでもなく、特にイタリア等におきましては、十年間そこそこで国内におけるてん菜糖自給度というものを非常に高めて、それから初めてこのような自由化政策に踏み切ったという例等もあるわけでありますが、この点は、政府自由化に対する時期が非常に早かったということ、もう一つは、国内甘味資源等自給度を高める政策が十分でないうちにこの自由化が行なわれたことは、明らかに政策の誤りではなかったか。こういうような背景から、さらに今回間接的統制的な意味を持つ事業団方式を打ち出したことは、明らかに粗糖自由化に対する重大な失敗ではなかったかと存じますが、これらの糖価安定法提案に至る政府としての御見解を承りたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 三十八年の八月に砂糖自由化を行ないましたその理由は、申し上げるまでもなく、国際的に開放経済体制に入っておりますので、国際的な約束をだんだん実行に移していく、守っていくということから出たのでありますが、非常に適期であった。砂糖が非常に暴騰しておった、こういう暴騰時でありましたので、こういうときに自由化をして価格の安定を期しようという意味におきましては、私は適当な時期であったと思います。  しかし、その後、国際糖価情勢が非常に変動いたしまして、今度は思いがけない暴落というような状況に入ったのでございます。そういう点から見ますと、あの自由化は非常に無理だったのじゃないか、こういうような御批判一つあると思いますが、価格の点におきましては暴騰を押えた、こういう点において、私は適当であったと思います。  もう一つは、それの国内のビートその他甘味資源に対する影響がまずかったじゃないか、いまの御指摘のように、自給度を高める政策を行なってから、それからやるべきじゃないか、こういうような御批判でございます。実はその当時、甘味資源特別措置法国会提出いたしまして、国会審議がまだ終わっておりませんで、継続審議になっておった。しかし、国内甘味資源影響がないというように、法律も通る見通しであった。そういうことで、必ずこの法律を通して、そして国内甘味資源に悪影響のないように、こういう措置をとって、あの自由化をいたしたのでございますので、その当時といたしましては、私は適当であったと思います。しかしながら、いまお話しのように、その後、国際糖価暴落した。したがいまして、国内甘味資源価格支持につきましても、全量買い上げをしなければならぬ。全量買い上げをいたしましても、なかなかこの支持ができない、こういうような情勢になってきましたので、このたびの法律案を出すことにいたしたのであります。しからば、もっと自給度を増してからやったらいいじゃないか、これはなかなか困難でございます。価格政策だけではできません。生産対策あるいは構造政策、こういうものを全面的に行なって、そしてコストを低下する、自給度を高めるというけれども、やはりコストを相当低下できるような体制に持っていかなければ、自給度というものがなかなか維持できないものでございます。そういう意味におきましては、これは三年あるいは五年かかる、こういうような、長期とは申しませんが、とにかくある時日をけみしなければできない状況でございます。そういうような状況でございますから、自給度を増してから自由化をするか、自由化をして、そして自給度を確保するように生産対策構造対策価格政策を行なっていくか、これは見方によろうと思います。どっちの方策をとったほうがいいか、こういうことでございますが、自給度を増し、生産コストを下げるような状況を待ってからということでは相当の時日を要する、私はこういうふうに考えます。でございますから、適当な時期に私は自由化したと思いますが、自由化が必ずしも所期目的を達しておりません。砂糖価格の面におきまして、あるいは国内甘味資源保護対策におきましても、所期目的を達しておらぬというようなことでありますので、やはりいま御審議願っておるような法律を出して、そうしてそれを補強していく、こういうことが必要だ、こういうふうに思います。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 私はいまの大臣答弁では非常に不満足でありますが、いずれにいたしましても、砂糖自由化が決して時期を得たものでなかったということだけは、大臣自身——これは確かに国際的な糖価変動をもたらしたという原因もありますが、それと同時に、やはり国内における甘味資源自給度を高めて、そうして国際糖に依存する度合いというものを少しでも少なくしていくことがきわめて重要じゃないかと思いますが、同時にまた、この法案目的にも書いてありますが、その重点価格操作という点に置かれて、積極的な国内産糖自給を高めるという点にやや重点を欠いておるのじゃないか、こういうように考えるわけであります。同時にまた、この法案の第一の目的にも明らかにされておりますが、今後さらに自由化を継続する中において、今後の国内甘味資源原料生産あるいは製造消費の各方面に対しまして、これからのある程度長期の展望に立ったところの方策というものがなければ、せっかくのこの法案目的を十分に達することは困難ではなかろうかと存じますが、この第一条の目的を達するために、将来どのような方向でこの法案の初志を貫徹しようとするのか、あるいはまた、今日の糖価暴落は、単に国際相場下落というだけでなくて、国内のいわゆる大メーカーの過当競争一つ原因をなしているといわれておるのですが、このような面も含めて、この法律目的達成に対してどういうふうな御所信をお持ちか、その点いま少し詳細にお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたような経過をもってこの法律を出しておるのでございます。この法律の第一条でありまする目的を達成すべく施策を推進いたしていきたいと思います。そういう意味におきましては、国内甘味資源作物等は、農業経営上からいきましても、適地における適作だ、こういうことでございますので、この経営改善あるいは農家所得の安定のために大きな役割りを果たしておるので、この価格政策等も併用しまして、生産振興して国内自給度の向上につとめたい。でございますから、いま再々お話しのように、自給度を高めていくということにつきましては、力をいたしていきたいと思います。  そこで、その目標等につきましては、どれくらいの目標考えているのか、これはもう何回か御答弁申し上げたのでありますが、去る四月に第二回の甘味資源審議会がありました。そのときに、四十三年度における甘味資源作物生産目標を、てん菜につきましては北海道が百五十四万トン、内地三十万トン、甘蔗につきましては百十六万トン、ブドウ糖につきましては二十一万トンというふうに決定いたした次第でございます。なお、この目標が達成された場合、昭和四十三年度の自給度はどれくらいになるかというと、需要量を二百十一万八千トンないし二百十八万六千トンと見込むと、二四・六%あるいは二五・四%、沖縄産糖を含めて三七・八%ないし三九%程度になります。こういうふうに四十三年度を一応の見通しをつけまして、作付におきましてもこれをふやしていく、あるいは収量につきましてもふえるような対策を講じていく、価格についてもいろいろ考えていかなければならぬことはもちろんでございます。そういうふうにして生産政策も推進し、価格政策も併用しまして、自給度を増していく、こういうことも一面において考えていきたいと思います。  もう一つは、いまお話がありましたように、企業における過当競争、あるいは企業が採算に合わないでコスト割れ、こういう現状であります。でございますので、やはりこれは企業合理化をそれぞれの企業体においてやることを進めなくてはなりませんと同時に、あるいは整理ということも、これは強権ではできませんけれども、合併その他によりまして、事業全体としての合理化も進めていく、こういうことと相まって、甘味資源生産あるいは価格の安定を期していきたい、こういう考えであります。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 まあ一般に、事業団方式ということは、いわゆる全体の世論ではなくて、上限下限価格を定めてやる方式というものは、これは消費税、関税の上にさらに価格差を徴収することは、糖価つり上げ法案であって、消費者不在じゃないか、こういう一つの酷評もあるわけですが、この事業団方式によって、ほんとう国民大衆に安定した、しかも安い砂糖を供給することがはたして可能なのかどうか、特にこの事業団方式なるものの効果というものが実際に期待できるかどうか、こういう一般国民大衆の不安に対して、大臣としてはどういうふうな御見解をお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに砂糖というものは国際的な農産物でございます。価格の点におきましても、国際的な価格が全世界を支配しているのでございますから、これは国内的にある程度に押えていくということには、私は相当困難があると思います。しかし、世界的に見ましても、どこの国でも、ある程度のその国内に適した一つ制度といいますか、こういうものを持っておりますので、ほんとうに自由に動いているものは、これは全部ではありません。こういうような砂糖界世界情勢のようでございます。でありますので、日本といたしましても、輸入する砂糖につきましての国内価格を、安定上限価格安定下限価格の幅の中に平準化しよう、こういうことでありますが、実際現在で見ますと、一般消費者にはこの国際糖価下落したその恩恵に浴するような形になっておりません。流通過程におきまして吸収されている。上がったときには、これは消費者に転嫁する、こういうことが現状でありますが、下がった場合には、たとえば菓子製造業等におきまして、その下がった原料を使っておるのですが、はたして菓子価格を下げるかというと、下げておらぬ、こういう状況でありますから、一般消費者には原砂糖についてはこれはありますけれども、多く砂糖を使っておるものにつきましての価格が追随して下落するという形にはいっておらないで、流通過程において吸収される、こういう状態であろうと思います。でありますので、こういう流通過程につきましては、非常に複雑な資本主義機構でありますから、複雑でありますけれども、流通過程等におきましての改良も加えるように指導いたしまして、末端消費者にまで糖価安定の効果が均てんするようにつとめてまいるつもりであります。いずれにいたしましても、私は、いまは国際糖価が安くなっておりますから、この法律によって消費者価格が引き上げられるというような心配があると思うのです。しかし、消費者にその価格下落影響がない——影響がないんじゃない、それに浴しない、こういう状況であります。むしろ、消費者にとっては一定の安定した価格がいいのじゃないか。暴騰した場合には、暴騰消費者にかぶせられる、こういうことでありますので、暴騰のときも押え、あまりに下落する場合にも、これを安定価格に引き上げて、そして安定価格上下限中間におきまして安定させる、このほうがやはり長期的に見ますならば一般消費者に対していいのじゃないかというふうに考えるわけであります。ことに国内甘味資源生産者にとりましては、この法律によりまして相当の生産を刺激して、生産を安定させるというような効果もありますので、こういう方策をとるのが目下適当であろう、こういうふうに考えるわけであります。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 この点を長官にお聞きしたいのですが、今後における糖価安定策の中において、特に国内産糖合理化目標価格をいわゆる上限下限の中に置くということがいわれておるわけでございますけれども、先ほど大臣答弁がございましたとおり、現在大体卸売り市場価格が九十円から九十五円というふうに、非常に極端に低下している状況にありますが、大体この事業団方式の中において上限下限安定価格帯に置く場合、今後の糖価安定のめどといいますか、水準というものをどの程度に置いていこうと考えておられるのか、この点明らかにしていただきたい。
  10. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この法案考えにおきましては、安定上限価格及び安定下限価格につきましては、粗糖国際価格の通常の変動上限及び下限基準としてきめたいというふうに考えておるわけであります。そこで、その基調となるべきものは、国際価格動向基準といたしまして、そしてそれの上下変動の幅というものを考えてまいりたいという考え方に立っております。国際価格の今後の推移がどのようになるかということにつきましては、なかなか予測しがたいところでありまが、かりに過去の十年なり十五年なりの推移をとってみますと、大体平均四セント前後になっておるわけでございます。したがいまして、こういう国際価格の過去の動向、それから最近、国際価格協定につきましても、いろいろと検討されておるわけでございます。御承知のように、国際砂糖協定におきましては、最低価格最高価格というものを設けております。この最低価格最高価格につきましても、またいまいろいろと国際間におきまして論議されておりまして、これらの価格も相当現状においては引き上げるべきではないかというような意見が出ておるわけでございます。そこで、この安定上限価格なり安定下限価格につきましては、いずれそういう方面専門家意見を聞いてきめたいというふうに考えておるわけでございますが、いまお話し合理化目標価格は、この安定上限価格下限価格中間においてきめるというのが、この法律の趣旨としているところでございます。そこで、できればこの合理化目標価格につきましては、将来の生産見通しなり、今後の合理化目標なり、それからいま申し上げました安定上限価格下限価格の中に取り入れられる国際価格動向等も考慮して、きめたいというふうな考え方を持っておるわけでございます。そこで、本委員会におきましても、かりに計算として御説明申し上げたわけでございますが、四十三年度における生産目標を、いま農林大臣から申し上げたような目標前提に置きまして、今後の四十二年における工場の原料集荷量考えてみますと、大体十七万トンないし十八万トンになろう。そういうことになりますと、おおむね百二十円前後というふうな数字も一応試算としては持っておるわけでございます。これがいまの安定上限価格なり下限価格なり、それから国際価格動向なり、これらの関係につきまして、専門家意見を聞きましてきめられるものと思いますが、試算として先般御説明申し上げたのは、いま申し上げたようなことを申したわけであります。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 私たちが心配しておるのは、いま長官の御答弁のような状況にいけば非常にいいわけでございますが、私の手元にある資料によりますと、一九六四年から六五年の世界の大体の砂糖需給計画予想によりますと、生産量が六千百八十八万トン、消費量が五千七百九十三万トンで、年度末における在庫は、昨年の三百九十万トンに比較して、一千三百三十二万トンと、こういうふうに非常に在庫量数がふえている。そのために、非常に相場下落を来たしているということと、もう一つは、粗糖生産国である中南米諸国、それからキューバ、フィリピン、台湾、フランス、 ソ連と、こういうところ等が、非常にてん菜糖等の生産に力をかけておる。同時にまた、後進国においては、外貨不足のために輸出することに非常に努力をしている。こういうふうな国際的な情勢から判断いたしますと、今日のような場合、国際糖価が過去における水準まで達することが非常に困難な状況が私は予想されるのではないかと思うのですが、これは国内のこの糖価安定水準をきめる上において、きわめて重要なポイントになるのではなかろうかと私は存じますが、こういうふうな国際的な砂糖の今後の見通しについてどういうふうな判断をされておるのか、きわめて重大な問題であろうと存じますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 国際価格動向、その背景となる今後の世界砂糖の需給事情というふうなことにつきましては、今後における予測はなかなか困難なことでございますが、本年度における状況から見ますと、確かに昨年よりも生産量が相当伸びておる状況でありまして、これが先安軟調の需給の緩和というふうなことになっておるというふうに思われるわけでございます。しかしながら、御承知のように、砂糖国際市場におきます一つの特異な現象といたしましては、全体の輸入数量の中の約半分を占めるものは、それぞれ植民地なりあるいは特定の取引圏から特恵市場としての形をとっておりまして、特恵的な取引価格で形成されております。これらの特恵取引価格は、自由市場価格よりもはるかに高い、倍以上の取引価格になっておるわけでございます。そこで、自由市場における価格変動というものが、勢い時の生産の事情なり需給の事情によりまして、大きく変動しておるというのが現状の姿でございます。したがって、需要が何らかの形におきましてふえる、あるいは天候なり気象条件に変動がありますと、一昨年のごとく急に上がってくる、こういう特異な性格を持っておるのが砂糖の市場の実態でございます。そこで、今後におきます気象の条件なり、それから過去の推移から見ますと、多くは後進国の産品であります関係上、生産の事情につきましても非常に変動が激しい、こういう事情になっております。あるいは社会的ないろいろのいままでの変動によりまして、糖価が著しく変動してきたという経緯もあるわけでございます。そういうようなことで、今後における砂糖変動の予測は、過去におけると同じように、われわれとしては、変動するのがむしろ砂糖の特異な性格である、こういうふうにむしろ考えておくべきではないだろうかというふうに思うわけでございます。  さらに、先ほども申し上げましたけれども、現在の砂糖国際価格は、ポンド当たり二・五〇セントというふうな非常な低落をいたしておりますが、これが後進国における生産費をはたして償っているかということになりますと、どうもわれわれの調べたところでは、いずれも生産費を償っていないのではないだろうかというふうに感ぜられるわけでございます。それゆえに、また逆に、特恵取引価格は五セント、六セントというような形で取引されるという事態に相なっております。そこで、先ほど申し上げましたように、現在国際砂糖協定におきましては、最低価格が三・二五セント以上三・四五セント以下という価格になっておりますが、これをもっと引き上げるべきである、四セント以上に引き上げるべきであるというような意見が出てきておるのも、そのような事情を背景にしておるというふうに考えるわけでございます。そこで、現在の水準あるいは砂糖の特異な市場の実態から見まして、今日の状態は著しくやはり低落した事態であって、変動もするであろう、また、水準としてこれが続くというようには絶対予測できないのではないか、こう思っておるわけでございます。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいま長管の説明を聞きますと、なおさら、やはり自由市場を対象とする取引でありますので、相当私は国内甘味資源自給度を高めていくということが非常に大事ではなかろうかと考えるわけであります。ということは、昭和三十九年度の大体の生産見通しとして、てん菜糖、甘庶糖、ブドウ糖、沖縄産甘庶糖、合わせて六十二万六千トン、ところが、国内需要量は大体百七十九万トンというものが予想されます。実際国内甘味資源に依存する度合いというのはわずかに三五%にすぎない。結局百二、三十万トン程度を輸入に依存しなければできないという状況でありますが、やはりこの点も、こういうふうな国内産糖生産量というものをもう少し高めていく積極的な努力をしなければ、せっかくのこの事業団方式による糖価の安定を期することも非常に困難ではなかろうかと考えるわけですが、過去における国内産糖の増産計画がなかなか進捗をしておらない、こういうふうな点について、長官としては今後どういうふうにこれを積極的に推し進めていこうと考えておられるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  14. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 提案理由におきましても申し述べたところでありますが、国内における甘味資源につきまして、甘庶糖のようなものにつきましては、むしろ非常に当初から比べますと伸びてきたのではないか、てん菜につきましても、最近におきましては着実な伸びを一応示しておるというふうに考えられるわけでございます。ところが、それ以上に実は需要量が非常に伸びてきたというようなことが、結果におきましては自給率を約三割程度にいたしておる、こういう状況であろうかというふうに考えます。甘味資源作物につきましては、やはり適地適作というふうなことを中心として考えないと、なかなか急速な進展はむずかしいというふうに思うのでございますが、それを通じて、先ほど大臣からお話がありましたように、やはり自給度の向上をはかっていくという方向で考えていくのが当然であります。そこで、甘味資源特別措置法によりまして、生産振興措置につきましては従来どおり進めていくということになっておりますが、何しろやはり原料農産物でありますから、生産価格がどのように推移するか、この変動が激しければ、やはり生産についての影響を無視し得ないものがあると考えるのでございます。そこで、糖価の安定とそれに応ずる価格支持制度の強化ということと相待ちまして、生産振興が今後進むであろうということを大いに期待いたしておるわけでございます。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 それからこの法案の第三条の三項に、「一定期間における甘味資源作物生産見通し及び国内産糖製造事業合理化目標並びに粗糖国際価格動向を考慮して定める国内産糖目標生産費を基準とし、」云々とありまして、四項で、「目標生産費は、五年をこえない範囲内で政令で定める期間ごとに定めるものとする。)とありますが、これは大体どういうことを意味しているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  16. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、四十三年における一応の生産見通しを農林省としては計画を立てたわけでございます。そこで、生産費を計算いたします場合におきましては、甘味資源作物生産見通しに基づいて立てるべきはもちろんでございますので、一応四十三年度を目安に、そこにおける生産量見通し前提に置きまして、一工場当たりの操業度あるいは処理量等も考えまして、目標生産費を立てたいという考え方をとっておるわけでございます。  そこで、五年のこのような目標生産費は、五ヵ年計画といいますか、一定の期間ごとに生産目標を立てて、目標生産費をつくるべきであろう、こういう考え方に立ちまして、「五年をこえない範囲内で政令で定める期間ごとに」というふうに法案では規定いたしておるわけでございます。さしあたりの考えといたしましては、四十三年の生産見通しに基づきまして目標生産費というものをきめたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 まだ詳細にお聞きしたいのですが、重要な点だけをそれじゃひとつお聞きしたいと思いますが、次に、この法案全体を通じて私が非常に感じますことは、一応卸売りの標準価格というものが明らかにこの構想の中からくみ取れますけれども、消費者に対するいわゆる糖価安定措置といいますか、消費者価格に対するチェックというものが、全然考慮されてないように受け取れるわけですが、この点ひとつ大臣にお伺いしたいと思うのですが、先ほどの説明で十分に聞き取れない点もございましたので、せっかくの機会でございますから、消費者に対するところの安定措置といいますか、こういう点について、大臣の御所見を承りたいと思います。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほども申し上げましたが、この法案におきましては、国際糖価が著しく変動する。それに対処しまして、国内甘味資源生産費、消費者と各般に及ぶ悪い影響を防止するために、糖価を適正な水準に安定させたい、すなわち、安定上限価格安定下限価格の幅の中に平準化しようとするものであります。現状におきましては、先ほど申し上げましたように、国際価格下落しても、流通過程に吸収されて、直接消費者に利益しないところが少なくない。高騰時においては消費者価格にこれが含まれて盛り上げてくるので、消費者に大きな影響がある。こういうことでありますから、この法案よりますならば、上がったときにはそれを下げる、こういうことになっています。下がったときには平準化のところに持っていくようにしたいのでございます。現在におきましては、下がったときにも消費者が利益していないので、むしろ、平準化のところで、少しは上がっても安定したほうがよろしいというのが、私が消費者の立場であろうか、こう考えております。でありますので、やはりこれはひとつ相当運用によろしきを得ないといけないと思いますが、糖価が安定した効果が末端の消費者にまで均てんするように指導していく政策を行なっていく、こういうことが必要であろうと思います。で、消費者に不当の負担とか不利益を及ぼさないように配慮をしていくということが必要であろうと思います。幾分これは影響なきにしもあらずでございますが、むしろ安定の利益のほうがよろしいのじゃないかと、こういうふうに考えて、こういう方策をとろう、こういうふうに考えた次第でございます。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの大臣答弁で十分でありませんけれども、少なくとも私は、この法律の内容からはそういう明確な点がくみとれないので、御質問したわけでありまして、せっかくの糖価安定法でございますので、この点は、特に消費者不在だというような世論の批判にも十分こたえるだけの行政面における十分な指導をしていただきたいということを要望します。  次に、やはり私たち消費大衆が念願するところは、ものすごく上がったり下がったりということよりも、むしろ安定した価格でわれわれが砂糖を買うことができるということがきわめて大事だと思うのですが、特に先ほどの説明にありましたとおり、製糖業者等のいわゆるコスト割れの過当競争ということも、十分これは配慮しなければいけないと思うのですが、このような過当競争を防止することに対して、政府としては今後どのような指導なり措置をしていこうとするのか、これは特にこの糖価安定法を通す上においても、この事業を進めていく上においても、きわめて重要なポイントではなかろうかと思うのですが、このような過当競争の防止に対する御所見を承りたいと思います。
  20. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 精製糖の価格が非常に安い、安定下限価格に見合う価格を下回っている、こういうことがあって、精製糖業者も非常に困難な立場にある場合もあろうと思います。そういう場合には、この法律にも規定しておりますように、精製糖の製造数量とか販売数量等に関する共同行為を指示することといたしておりますけれども、これも安定下限価格を推持する公共目的のためでありまして、企業を保護するという意味ではございませんが、下限価格に見合う価格以下に砂糖価格が下回っておるという場合には、共同行為を指示したい、こう考えております。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 私がこの法案で特に懸念しますことは、せっかく政府の思いやりのある糖価安定法なるもので、この事業団の経営を通じまして、先ほど長官の御答弁にもありましたとおり、特にこの国際糖価変動が激しい、こういうふうな客観情勢の中にあって、しかも国内需要の大体六割以上を輸入糖にまつ現況から推して、特に事業団の財政的な負担といいますか、財政上の問題について、私は、相当国際糖価変動によって一つの重大なピンチに立たされることが予想されるのじゃないかと思うのですが、こういう事業団の運営にあたって、特に財政負担の面においては確たる見通しがあるのかどうか、これらの点についてひとつ御見解を承りたいと思います。
  22. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この法案におきまする財政を事業団で考えます場合には、二つの資金が必要になってくるわけでございます。一つは、国際糖価が非常に高くなりまして、安定上限価格を越えるというふうな事態が生じた場合におきましては、事業団は高い国際価格で買い入れまして、そうして安定上限価格で売り渡すということにいたしておるわけでございます。したがって、これに必要な差額の財源というものを事業団として用意する必要がある。これをこの法律案におきましては安定資金というふうにいっておりますが、この安定資金は、逆に国際糖価安定下限価格を下回っているような事態におきましては、下回った価格事業団が買い入れて、安定下限価格以上で売り渡すことによりまして、そこに価格差益が生ずる。これを積み立てておきまして、いま申し上げましたような安定資金として、上限価格をこえる場合に対処する、こういう措置をとっておるわけでございます。安定上限価格下限価格につきましては、先ほど法案の趣旨のところでちょっと申し上げましたように、国際価格の通常の変動幅を考慮して、上限下限考えるわけでありますから、長期的には下限の差益で上限のところの支出はまかなえる、こういうことに相なるわけでございます。現状におきましては、下限価格の差益でまかなうことはできると考えておりますけれども、かりにそれが異常な事態によりまして、国際糖価が高まるというようなことによって、この安定資金ではまかなえないような事態が生じた場合におきましては、関税率の引き下げによって財政不足を補てんし得る、こういうたてまえをとることにいたしておりますので、いま申し上げた安定資金の財源などにつきましては、そういう操作によって心配はないというふうに考えております。  いま一つの財源は、国内糖の支持に要する財源の関係でありますが、これは輸入糖と国産糖との一定の比率に基づきまして、輸入糖を事業団が買い入れます場合におきまして、価格差益をそこで取って価格を調整することにいたしておりますので、いま申し上げた支持価格に要する財源といたしましては、一応まかなえることにいたしておるわけでございます。つけ加えて申し上げますならば、国内産糖事業団が買い入れますところのコスト価格合理化目標価格までははっきり政府が交付金として出すということにいたしておりまして、目標価格以下に下がった場合における負担分だけをいま申し上げたような価格調整によって補充する、こういう措置をとることにいたしておりますので、財源としては一応収支が当面均衡し得るし、現在よりもその点ははっきりしてくる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 一応それは長官見通しと判断でありますが、やはり仮定の問題でありますけれども、事業団の財政面においてどうしても不足金を生じた場合、結局買い入れの数量等を規制しなければいけないという事態も、全然これは考慮しなくていいというわけにはいかないと思うのですが、買い入れ数量等の規制を行なうという心配はないのかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  24. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今回の法案におきましては、一応従来のたてまえを変えまして、法律の十九条におきまして、製造する国内産糖の売り渡しの申し込みをすることができれば、それに応じて事業団は原則として買い入れるというたてまえをとっておりまして、申し込みに応じ得ない場合は、二項において書いておりますように、時期的に殺到して事業団に売り渡しの申し込みが行なわれるとか、しかもそれが価格の判断、その当時の市況の判断に基づいて、殺到して事業団に売り渡しの申し込みが行なわれるとかいうような場合に、時期的な数量の規制を行なうということはございますけれども、あるいはまた年度にまたがって、ある一年度に殺到して売り渡しの申し込みが行なわれるというような場合における数量の調節はございますけれども、原則としては、全量を事業団は申し込みに応じて買い入れる、こういうことにいたしたいというのが、今回の法案の特色であり、また、そのようなふうにひとつ配慮して運用してまいりたいと思っております。
  25. 兒玉末男

    兒玉委員 やはりこれは価格に関する問題ですけれども、第七条の中で、平均輸入価格という項がありますが、これによって、いわゆる事業団として非常に問題になる点は、不当に上限価格をこえる場合が予想されるわけでございますが、その場合においても、関税操作等によってある程度の操作はできたとしましても、これが無制限に操作のできるものではない、こういうように判断するわけですが、その場合における輸入粗糖の買い入れ限度額というものを一定の目安として考えるべきだと思うのですが、その上限価格をこえた場合における買い入れ限度額については、どういうふうなお考えを持っておるのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 第六条の、事業団が予算において定める限度額につきましては、単に過去の蓄積があったから、その限度で予算をきめるというような考え方は持っておりません。その当時におきまする大体の安定が維持できるような予算額というものをやはりきめていく必要があろう。先ほど申し上げましたように、長期的には、これは上限の部分と下限の部分と、こちらで取ったものとこちらで支出するものと必ず見合うことになるわけでありますけれども、短期的には必ずしもそういうことは保証されないわけであります。しかし、さればといって、これは事業団に予算が余った限度でやるというようなことにも必ずしも考えておりません。ある程度の年間の輸入の状況なりあるいは価格動向なりもわかりますので、それらともにらみ合わせて、予算のときに十分配慮して限度額をきめたい。これは農林大臣が認可することになっておりますので、そういう配慮のもとに限度額をきめてまいりたい、こう思っております。
  27. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの長官答弁、少しばく然として、つかみ得ないのでございますが、やはり買い入れの限度額はどういうふうな形において算定するか、その方針というものを明確にしていただかないと、なかなかいまの答弁では納得できないわけでありますが、そういうふうな限度額の算定というものは、どういうふうな方針できめるのか、こういうことについて、いま少し説明をいただきたいと思います。
  28. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 安定上限価格をこえて輸入の糖価が上がってくる、その際に、事業団としては高い国際糖価で買い入れて、安定上限価格で売り渡すわけでありますが、その差額分だけは事業団が支払いをするということになるわけであります。したがって、原則的には、安いときに事業団が買い上げて、そうしてそこで得た差益の積み立て金から予算の限度額をきめて、そして支払いに充てる、こういうことになるわけでありますが、私が申し上げましたのは、過去において積み立てた安定資金額というだけでなしに、その一年間におきまする安定資金の蓄積の可能の状況も見まして、そして限度額というものをきめたい。それは予算においてきめるわけでございますから、農林大臣がその点を認可するにあたりましては、過去の蓄積と、それから当該年度におきまする蓄積の可能性、こういうものを判断いたしまして、限度額をきめるということにいたしていきたい。それをこえるような事態におきましては、これは関税定率法の改正で対処するという考えでおるわけでございます。
  29. 兒玉末男

    兒玉委員 今度は逆に共同行為のところでありますけれども、糖価が非常に下落した場合に、いわゆる専門的な用語でいうところの製造数量または販売数量等の溶糖規制ということばが使われておりますが、このような共同行為を行なうことが独禁法の適用除外として規定されておるわけでございますけれども、この運用を誤まりますと、非常に問題の大きい条項ではなかろうかと思うのですが、この規定を設けた理由と、さらにまたこの共同行為を行なう場合の指示する基準等については、どういうふうな配慮をされておるのか、ことさらにこの規定をどうしても設ける必要があったのかどうか、この点非常に業界においても重大な問題じゃなかろうかと考えますので、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  30. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この規定を設けました趣旨について申し上げますと、一応事業団が価格調整をいたします結果、粗糖に一定の価格差を徴収し、あるいは価格差を減ずることによって、それに見合う国内糖価が形成されるということになるわけでございますが、しかし、これは単なる価格調整として行なっておるわけでございます。したがいまして、この法案の施行にあたりましては、輸入量自身については何ら規制をいたしておらないわけでございます。また、企業間の競争自身についても、何ら制限するものではないわけでございます。したがって、いま申し上げたような価格調整の手段によりまして、その見合いの国内糖価というものが一応実現されることになるわけでございますが、現実には、いま申し上げたような理由によって、その見合いの価格以下に下がり得るという場合も多々想像されるわけでございます。現在のように、国際糖価自身からもすでに相当乖離して、国内糖価が低落しているという現実もあるわけでございます。そこで、安定下限価格自身を維持するということは、同時に糖価の平準化の一つの公共的な目的でもありますので、そういう意味から、安定下限価格を下らないような措置としまして、この規定を設けることにいたしたわけでございます。しかし、この共同行為自身につきましては、通常の不況カルテルの要件とは条件をさらに厳格にいたしておりまして、企業の自主的な不況カルテル行為等とは性質が異なりますから、さらに要件を厳重にいたしておるわけでございます。したがって、農林大臣が指示するにあたりましても、当然公取と協議する、また、その公正取引委員会としましては、いつでもこれに対して変更なり取り消しなりについての請求ができるというようなことにもなっておるわけでございます。したがいまして、いまお話になりました共同行為への指示の基準につきましては、いまの目的を達成するための最小限度のものにすべきであることは当然でありますので、期間なりあるいはその内容等につきまして基準を定めまして、そして共同行為の指示をするということにいたしたいと考えております。法律の第十四条におきましても、共同行為についての内容等につきましては、必要最小限度のものであり、また一般消費者にも、関連事業者に対しても、その利益を不当に害するおそれがないことであるとか、不当に差別的でないこととか、いろいろな条件をつけておるわけでございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、「国内産糖事業団への売渡し」の十九条の一番末尾の項で、原則としては全量買い入れによって買い入れることになっておりますが、「農林省令で定める理由があるときを除き、その申込みに応じて、当該国内産糖を買い入れるものとする。」農林省令に定める以外は全量買いになるわけでありますが、「農林省令で定める理由があるとき」とは、一体具体的にどういうことをさしておるのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  32. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 考えられる一つの事例といたしましては、買い入れ価格よりも市価が高くなった場合は、これは必ずしも買う必要がないというようなことは、一つの場合として想定されるわけであります。  それからいま一つは、先ほどちょっと申し上げましたが、年度間におきましてある時期に殺到する、それを時期的に調整するといったような場合には、「農林省令で定める理由」というふうにして定めたいと考えております。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 この点は、先ほど長官答弁されました、いわゆる合理化によって得た安定価格というものが一つ基準とされるならば、そういうふうな事例がはたして起きることがあり得るのかどうか。合理化安定の目標価格というものが掲げられる以上は、そういうふうな国内産糖製造業者の申し入れを拒否するような客観的情勢というものがはたしてあり得るのかどうか、この点、ちょっといまの答弁では疑問に思うわけでありますが、その辺はどうでございますか。たとえばどういう場合にそういうことが起きるのかということです。
  34. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 たとえばビートなりカンショ等についても、それぞれ出回り期があるわけでございます。これがある一月なら一月、あるいは三月なら三月に殺到して事業団に申し入れがあるといったような場合においては、それは一月では無理だけれども、二月に回す、あるいは三月なら無理だけれども、新年度に回すというような場合が考えられる。それからこの規定は、ビートなりあるいは甘庶糖なりについて想定されているわけでありますが、コスト状況と、それから時の市況のいかんによりまして、目標価格は一応目標としてありましても、当然それは上限価格の範囲内でありますから、したがって、国内市価がそれよりも上回るという場合も当然想定されるわけであります。そういうようなコスト価格以上に市価が上回っておるという場合には、何も買い入れる必要はない、こういうようなことを考えておるわけであります。
  35. 兒玉末男

    兒玉委員 時間もある程度制約を受けますので、しぼって御質問したいと思いますが、次に、非常に問題のある国内産ブドウ糖についても、申し込みに応じて事業団が買い入れることになっているわけでございますが、この買い入れの指示を行なう基準というものは、一体どういうふうに分かれておるのか、また、この指示を行なう場合、「ぶどう糖の生産を維持し」云々となっておりますが、今後のブドウ糖の生産目標というのは、大体どの程度に置いておるのか、この二点についてお尋ねいたしたいと思います。
  36. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 第二十五条で、国内産ブドウ糖につきましては、農林大臣の指示に基づいて買い入れるということにいたしておりますが、ブドウ糖につきましては、その価格砂糖価格によって変動する場合もありますし、また、でん粉の状況によって変動する場合もあり得るわけでございます。そこで、でん粉の価格が安くて、そして国内産ブドウ糖がそれに見合って推移するというような場合においては、必ずしも買う必要はない。ところが、でん粉の価格が一定の基準価格で買い入れる、農安法に基づく基準価格で買い入れるということになりますと、そのブドウ糖は、当然砂糖との価格関係におきましては引き合わないというような事態が起こり得るわけであります。そういう場合に、農林大臣が指示するという考え方をとっておるわけでございます。  それからブドウ糖の生産見通しにつきましては、先ほど農林大臣から四十三年における見通しを申し上げたわけでありますが、大体二十一万トン程度目標を現在のところ考えております。
  37. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、これからの国内産糖自給度を高めていくならば、先ほど大臣答弁されましたように、大体二百十八万トンのうち、輸入糖はおそらく無制限にこれをふやすわけにいきませんが、大体四十三年度における輸入糖の量はどの程度の数量を考えておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  38. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほどの自給率の逆になるわけでありますが、四十三年度の需給の見通しを、先ほど農林大臣からお話がありました数字に基づいて一応需要量を押えますならば、輸入量といたしましては、粗糖に換算しまして大体百三十五万トンから百四十二万トンになると推算されるわけであります。
  39. 兒玉末男

    兒玉委員 ここで非常に問題になりますのは、沖縄が非常に外米輸入価格が安いために、現在まで水田の適地でも全部これをサトウキビに植えかえて、非常に甘庶の生産反数がふえているわけです。一昨年沖縄に参りましたが、今度の糖価安定法に関連する改正でも、特に沖縄産糖の事業団の買い入れということが大きく注目されておるわけですし、特に沖縄の甘庶糖の生産農民も、日本政府の買い入れに非常に重大な関心を持っておるわけであります。もちろん、このことは、琉球政府における農業政策の面においても、非常に計画性を持たないという面もございますけれども、何と申しましても、沖縄農業の六割以上を占める甘庶生産農民にとってはきわめて重要な問題でございますので、この点、沖縄産糖の買い入れ数量については、無制限ということは不可能にしても——われわれ社会党は無制限買い入れを主張しておるわけでありますが、この沖縄産糖買い入れに対する政府の基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  40. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いまお話になりました沖縄産糖の買い入れにつきましては、本年度の買い入れの御質問かと思います。当初沖縄におきましては、二十一万五千トン程度生産見通しに基づきまして十万七千トンの買い上げを予定いたしておったわけでありますが、その後、生産量が二十七万五千トンというふうに非常な増産が見込まれるに至りましたので、この増産量に見合って買い上げを行ないたい。さらにその後におきます糖価変動がございましたので、当初予定しておりました当時の市況よりも、市況が非常に下がってまいったという事態も考え合わせまして、結局十万七千トンにさらに三万七千トンを加えまして、十四万トン沖縄産糖につきましては買い上げるということにいたしたわけでございます。  今回提案いたしました沖縄産糖の買い入れ法案におきましては、従来の沖縄産糖に対する影響考えまして、そのつど農林大臣が必要と認めた数量を買い上げるということにいたしておったわけでございますが、今回の改正法案によりますれば、やはり毎年沖縄産糖の政府買い入れ価格を定めまして、買い入れ価格を市況が下回るというふうな事態におきましては、農林大臣の指示によって、原則として内地と同様の扱いで買い入れを行なう、こういう考え方をとっておる次第でございます。
  41. 兒玉末男

    兒玉委員 特に私は、沖縄産糖については、一昨年の非常な砂糖相場の高騰によって、じゃみんなサトウキビを植えろ、こういうような非常に計画性のない指導が行なわれておると考えるわけですが、日本政府としては、特に沖縄産糖の一定の生産目標というものはこの際やはり明らかにして、安定した形において甘庶生産に従事できるような方向に持っていくべきだと思うのですが、大体今後の生産目標というものはどの程度で、どういうふうなお考えになっているのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  42. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 沖縄産糖の生産の具体的な指導並びに内容につきましては、琉球政府沖縄産糖振興法を制定しまして、これに基づいて具体的に進めておるわけでございます。したがいまして、その計画に基づいて一応目標としておる数量を申し上げますと、四十三年における見通しといたしまして、作付面積が二方五千五百ヘクタール、原料生産量が二百三十七万二千トン、産糖量は二十九万九千トンというのが目標になっております。
  43. 兒玉末男

    兒玉委員 大体いま言われた二十九万九千トンの製糖量において、向こうの甘庶生産農民の原価といいますか、そういうような生産にふさわしいだけの価格が、これらの目標において保証し得る見通しなり、また日本政府が買い入れる大体二十四、五方トン程度の買い入れによって、安定した状態でこれが維持できるのかどうか、この点の見通しと保証はどうか、お聞きしたいと思います。
  44. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 沖縄産糖自身の生産の保護育成につきましては、琉球政府が直接担当しておるところでございまして、ただ、その生産量の圧倒的大部分が本邦に輸入されておるということから、本邦における砂糖の市況の影響が、直接沖縄の製糖業なりキビ作農家に影響する、こういう関係で、国内における沖縄産糖の買い上げを行なっておるわけでございます。したがって、買い上げにあたりましては、本邦の西南諸国におけるサトウキビ農家と差別待遇することなく、均衡のとれた保護措置を考慮のもとに、事業団の買い入れ価格というものを今後きめてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。もしそういうふうに進みますならば、一般的には、沖縄におきまする砂糖生産条件は、西南諸島よりもむしろ好条件にあるように私は考えられますので、国内におきますると同様の保護措置は、これによって十分やれるのではないか、こう考えております。
  45. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 兒玉さん、まだだいぶかかりますか。
  46. 兒玉末男

    兒玉委員 あと二問で終わりたいと思います。  農林大臣にお伺いしたいと思いますが、今回の糖価安定法を通じまして、砂糖の市況に影響されやすい、特にイモ、バレイショでん粉等の問題でありますけれども、昨年はこの砂糖影響を受けまして、イモの基準価格三十円が大幅に割れまして、二十円から二十一円という、全く生産農民に決定的な打撃を与えたわけでありますが、せっかくこの安定法なるものができました以上、特に国内甘味資源の中でもウエートの高いイモ、バレイショでん粉価格等については、特段の配慮と、この基準価格が維持されるということが、私はきわめて重要な意義を持つものではなかろうかと思うわけです。特にイモでん粉と相関関係にあるせっかくの砂糖価格安定法ができましても、このイモでん粉の価格が不安定であっては、特に生産農民が非常な不安を持つわけですが、これらの関連について、基準価格の維持の問題について、特に大臣の御所見を承りたいと思います。
  47. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 従来とも、カンショ、バレイショ等の価格は直接支持しておりませんが、でん粉の買い上げ等によりまして価格支持を行なってきたのでございます。今度この法律ができますならば、なお一そう農安法の趣旨を生かしていくということも強化されると思いますし、また慎重に対処していきたいと思っております。
  48. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に、特にでん粉の需要の確保と密接な関係を持っております水あめ企業等におきましても、特に今度の糖価安定法の制定をめぐりまして、水あめ業界も非常に重大な関心を持っております。この点は後ほどいろいろ論議もされるかと思いますけれども、非常に零細な資本を持つ企業の集団でありまして、特にでん粉価格との相関関係というものについては、この水あめ業者も相当重大な関心を持っておるわけでありまして、もちろん、これは企業自体における総体的な合理化なり組織的な共同組織等を通じまして、その経営の安定をはかることは言うまでもないわけでございますが、やはりこの重大なブドウ糖との関連を持つでん粉の需給に関しまして、格段の配慮を払う必要があろうかと存じますが、これにつきまして長官並びに大臣の御答弁を最後に求めまして、私の質問を終わります。
  49. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 イモでん粉の需要市場といたしまして、水あめ企業がやはり大きな役割りを果たしておる現在でございます。したがいまして、ブドウ糖と並んで、水あめ企業につきましても、需細な企業で、いろいろ今後におきまして経営改善合理化すべき部分があろうかと存じますが、われわれといたしましても、原料の手当ての面におきまして、あるいは企業合理化の面におきまして、融資その他の指導につきまして十分配慮してまいりたい、こう考えております。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 食糧庁長官等を督励しまして、格段の配慮をいたしたい、こう考えます。
  51. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 一時三十分より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時五十二分開議
  52. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を行ないます。中村時雄君。
  53. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣は三時からお出かけのようで、時間の関係があるので、私は、この事業団の問題に入る前に、赤城農林大臣に一言お伺いしておきたい。  今度の赤城農相の構想の一番重点であったのは農地事業団ということであった。幸いにして衆議院は通りました。しかし、その金額たるや、御存じのように二十四、五億円、ところが、先日国会で非常に問題になった農地報償に至っては一千五百億円である。そうすると、その一千五百億円を、実際いまの時点から前向きになって、ほんとうの農業政策に導入するくらいな がまえが私はほしかった。そうすれば、赤城構想というものが非常に大きく重要視されていくのではなかろうか。過去の問題にこだわらず、今後における将来の問題への引き継ぎをより大きく取り上げていくのが、ほんとうの農業政策としての基本じゃなかろうかと思うのですが、これは非常に遺憾だと私は思っている。そういう点で、赤城農林大臣はどういうふうなお考えを持っておるのか。
  54. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 被買収者に対する報償は千四百五十億ばかりで、一年にすれば百五十億、この百五十億が農業の政策の問題に投入されるということになりまするならば、私は農業面における推進は非常なものだと思います。そういう意味におきまして、私は、こういう金は農業政策に投じられることが好ましいと思います。ただ、被買収者の問題は農業政策プロパーだと私は考えておりません。そういう意味におきまして、これは別個の問題として取り扱うという立場上、農業政策の面として取り上げなかったために、ああいう結果になったと思います。私は、被買収者の問題は、実は内閣委員会等にも申し上げたいと思ったのですが、あまり乗り気じゃない問題だったので、私は言わなかったのですが、買収をしたときに一つの欠陥があったと思うのです。それは、ひとしく農民として自作農に精進しょうという考えを持った。御承知のように地主でもそういう考えを持った人があるのです。ところが、地主の生存権は否定された。二反歩や三反歩を耕作している地主、しかし、そのほかに多くの土地を小作に入れておった。応召者とかあるいは学校の教員だとか、こういう立場で、つくっているものは少ないが、小作に入れつけている土地が相当多かった。いままでの地主という立場を放てきして、ほんとうに自作農として農業に精進するという覚悟を持っておった。そういう意図も強かった。しかし、それはその当時の法律でいえば、土地の取り上げということになりますので、それを禁止した。そして泣き寝入りをしたということ。ひとしく日本国民でありながら、これから新しく農業に精進しようとする意思を持ちながら、一方の小作人のほうはそれを認められて、しかも小さい地主のほうを拒否された。こういうところに一つの生存権としての否定の問題があったのじゃないか。そういうものに対する慰謝という点で、私はいたしかたない、こういうふうに考えております。  たいへん答弁が長くなりますが、農地改革の基礎の上に立って、あのときにやらなかった一つの問題は、土地の再配分を行なわなかった、耕作権が所有権に移ったというだけで、それだけのことで、このために増産等をされたことは非常にけっこうなことでございますけれども、土地の再配分を行なわなかった。ことに日本の農業の欠陥であります零細農業、こういうものを克服していく土地の再配分が行なわれなかったということは、まことに遺憾であったと思います。そういう面をこれからでもやっていきたいというのが、いま御指摘の農地管理事業団の一つの構想でございます。ですから、ほんとうは、そういうものに相当の金がかけられるということでなければならないと思うのであります。農地改革のもう一つの欠陥は、国家管理をしておった時代において、もっと土地に対しての改良を加えるべきだった、土地に加工をすべきだった。土地の加工をして、そして耕作者にこれを配分する、こういうことでなければならなかったと思うのでございますが、それをやらなかった。でありますので、その後において土地基盤の整備ということをやっておりますが、これなどもまだ相当力を入れていかなければならぬということでございますから、実はああいう金がありまするならば、ほんとうは農政プロパーのことに金をかけたいというのが私の意欲でございますけれども、いま申し上げましたように、農業政策プロパーの問題として取り上げておりませんので、それを振りかえるというわけにもまいりません。しかし、考え方におきましては、いま御指摘のような考え方でいったのでございますが、この問題はこの問題として、今後農政プロパーの問題に相当財政的の措置を講じていくように努力いたしたい、こう思っております。
  55. 中村時雄

    中村(時)委員 農地改革の問題になると、農政の根本的な問題ですから、これはまた日を改めてゆっくりやっていきたいと思います。ただ、そのときの小作料の現物の金納切りかえであるとか、小作人の地位の向上であるとか、いろいろな基本的な条件がある。また、プロパーならプロパーで考えることもけっこうですけれども、プロパーで考える場合においては、これは社会保障制度というものもあるのだから、やはり基本的に前向きにしなければならぬ問題があるから、農業政策のあらゆるものを重点的に、そしてせっかく施策のいいものを出していく。いままでアジア的停滞性といわれますが、小農から中農、そういうアジア的な問題の農業の中から、一つの開放経済の中で戦っていこうとする時期ですから、その中においてこそあなた方が考えている事業団というものの構想が生まれてきている。だから、やはりすべてのものをそこの重点的なものに集約していくという考えがなかったら、ほんとう事業団構想というものも、やはり夢になってしまうのじゃないかというおそれがある。そういう点で、今後大いに努力をしていただきたいというふうに考えております。  時間の関係もありますので、四、五点重要な点をこの砂糖事業団に対して質問をしていきたい。  まず第一に、食糧庁長官事業団の人的業務機構について説明をしてもらいたい。
  56. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 事業団につきまして、理事長以下役員六人と、それから職員を約百十名程度考えております。  機構としましては、できるだけ簡素、強力なものにいたしたいというふうに考えておりますが、本所を東京に置きますほかに、輸入糖と国内産糖を扱う関係上、主要な輸入港、たとえば東京、横浜、大阪、福岡、それからてん菜の主産地である北海道等五ヵ所くらいに支所を設けることにいたしておりますほかに、製糖工場の所在する輸入港、あるいは北海道以外の国内産糖の産地に出張所を設けようということに考えております。大体出張所としては七ヵ所程度を一応想定いたしております。
  57. 中村時雄

    中村(時)委員 それから事業団が砂糖の瞬間タッチをやって、そしてこれを売り渡していくわけなんですが、その場合に、下部機構、消費者に渡る間の経緯、それは一体どういうふうになっていますか。
  58. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 まず、輸入糖について申し上げれば、これを輸入する申告者は、製糖企業家あるいはその代理を受けた輸入商社になると思いますが、これから事業団が買い入れて、すぐ瞬間タッチで売り戻すということになるわけでございます。製糖企業からは、現在の国内の流通機構と同じ経路をたどって末端消費者にいくわけであります。通常、いまの機構は複雑でございますが、製糖企業から代理店または代理店を通ぜずして元卸、元卸から卸を直じて小売商に渡る、また元卸商からスーパーマーケットを通じて消費者に渡る、こういう経路になろうかと考えております。
  59. 中村時雄

    中村(時)委員 それでお尋ねしたいのですが、六人の常務を置き、百十名の職員を置いて、年間経費をどのくらい見ていますか。
  60. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 平年度約二億くらいかかると考えております。
  61. 中村時雄

    中村(時)委員 その場合に、もうすでに合計の規定なんかできていますか。
  62. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 法律が制定しましてから早急に着手したいと考えております。
  63. 中村時雄

    中村(時)委員 ということは、できていないということなんですか。それじゃ、このような重要な事業をやるのに、大体そういう事業団の内容の規定をせずに、そういうことをあなた方いつもやっているのですか。
  64. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この事業団の発足は、一応砂糖年度から専業を開始することになっております。まだ施行公布されてから——かりに通りました暁におきましては、まだ相当期間もございますので、いまお話し申し上げたような業務の機構なり、大体の予算の規模なりといったようなものは、いろいろ想定いたしておりますが、具体的にはまだ相当期間がございますので、これから作成するということにしております。
  65. 中村時雄

    中村(時)委員 大体の想定をしていなくては、こういうことはできぬわけですね。  そこで、お尋ねをしておきたいのは、ちまた間では、これはおそらく官僚の天下り機構になるのじゃないか、こういううわさすらあるわけです。実際の六人の常務なら常務というものは、大体の腹案があるだろうと思うのです。たとえば農林省のほうから何名ぐらいあるいは民間側から何名ぐらい、大体給与にして理事長幾らぐらい、そのくらいの概念は持っているだろうと思うのです。そういうわかったところだけでもいいから、発表しておいていただきたい。
  66. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 まだそこまできめておりません。
  67. 中村時雄

    中村(時)委員 そういうふうなことをやっているから、痛くもない腹をさぐられて、結局古手官僚の天下りを促進するためにやるのじゃないか——これは一部ですよ。全体の事業団の問題じゃなくて、人的機構の中においては、そういう非難が産まれてくるわけなんです。また事実、いままでにおいても、公団をつくるとかいろいろなものをつくる場合には、そういう事柄がずいぶん行なわれているわけなんです。だから、そういうことは、いままでの非難の裏づけにならないように十分考えなくてはならぬと私は思っている。  そこで、農林大臣にお尋ねしたい。いま言ったように、そういう人的配置であるとか、あるいは人的機構というものがまだ十分でき上がっていない。しかし、ちまた間ではそういううわさすらある。だから、そういう点に関しては、十分そこのところをしんしゃくされて、人的にあやまちのないように一しかも、百十人からの膨大なものをつくっておりますが、たとえば英国のシュガー・ボードなんかでは二十五人でこれを取り扱っている。ところが、実際の日本の機構の中には、複雑なせいもあるでしょうが、百十人からの膨大な陣容で、二億円からのものをやっていく、これはみんな税金からであります。だから、そういうような立場から考えて、いまのようなうわさの立つことのないように、公正なる、間違いのないような方法をとっておいていただきたいと私は思うのですが、農林大臣の意思はいかがですか。
  68. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御趣旨のとおりに私も考えます。大体、国でやるか、民間でやるか、こういうどっちかがはっきりしているのでありますが、どうしても国でも民間でもやりにくいというところに公団と公社等ができるような傾向にございます。しかし、その役員等につきましては、率直にいって、大体天下り的な役員の構成ということになっておったようでございます。これは見方によりまして、やはりそれに最も適当な人がたまたま役所の古手などにありますので、そういうことにいっている向きも相当多いと思いますが、世の中の批判に相当こたえて正していかなくちゃならぬと思います。実は御承知のように、新聞にも出ていましたが、昨日も閣議におきまして、公団、公社等の理事等につきましては、世間のいろいろうわさの種にならないように人選をし、あるいはこれを長きに失しないようにする等のことについての一つの方針が、閣議の了承を得ておるわけでございます。そういうことでございますので、この人事等につきましては、私も慎重に扱っていきたい、こういうふうに考えております。
  69. 中村時雄

    中村(時)委員 いまの大臣のお答えははっきりしているのですけれども、具体的にはまだ触れてないわけなんです。食糧庁の長官は次には次官にもなるだろうと思っているのだが、あなたが次官になったときに、あのときはそう言いましたけれども、これはちょっと困りましたというようなことを言わないように、いまからただしておきますから、その点はいまから注意して配分していただきたい。次官にならなかったら別ですよ。あなたが次官になったときには、必ず出てくることですから、ここで明確にしておいていただきたい。
  70. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 私から御答弁申し上げる段階でないと思いますので、御了承願いたいと思います。
  71. 中村時雄

    中村(時)委員 中心はあなたから大臣に申請するのでしょう。違いますか。大臣がきめてきますか。相談に乗るでしょう。相談に乗られたときの心がまえというものは必要でしょう。必要であるならば、それを明確にしておいたら、そういう疑義は一掃されるのじゃないか、そう私は思うのですが、どうですか。
  72. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 まだ何ら事業団の役員人事等についてきまっておりませんので、よく農林大臣の指示によりまして、農林大臣いまお話になりましたような御趣旨に従って、善処してまいりたいと思います。
  73. 中村時雄

    中村(時)委員 次に、もう一点お聞きしておきたいのは、現在非常に糖価が安くなっている。そこで、ビートの平均買い入れ価格というものは、数量並びに価格は幾らで本年度買われましたか。
  74. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 三十九年産のビートにつきましては、ビートの最低生産者価格は六千四百五十円、それからビート糖につきましてはキロ百十円、それから買い上げ数量につきましては十三万四千トンを予定いたしております。
  75. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、百十円で買い入れて、それをすぐに業者間に買い戻しをさせているわけですね。業者間に買い戻しをさせた価格は幾らですか。
  76. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 百十円の価格で買いまして、そして売り渡す場合においては、時価で売り渡すことにしてございます。
  77. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、その時価というのは、いままでに幾ら売り渡しておりますか。数量並びに価格……。
  78. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 お答えいたします。  ビートに関しまして売却いたしました金額はキロ当たり七十九円、トン当たり七万九千五百九十二円でございます。三月までに売却した単価でございます。
  79. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、百十円で買って、いま言われたように七十九円で売り渡すとします。そうでしょう。そこには当然赤字が出てきます。七十九円であなた方が業者間に売り渡す、買い入れたものは百十円だ。その赤字は一体どういうふうになるのですか。
  80. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 予算の問題でございますので三十九年度予算の決算が本年の五月になって出てくるわけであります。したがって、本年の食管砂糖類勘定には損失として出るわけでありますが、これは四十一年度予算で処理するということに相なろうかと思います。
  81. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃいまに限定しましょう。たとえば百十円で十三万トンを買い取って、そうして実際に売ったのが現状として七十九円、そうすると、その間における累積は、いまの現状のまま並行していったとして、一体幾らの赤字になって出てきますか。
  82. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 それではちょっと御説明申し上げますが、三十九年度末までに買い入れをいたしました買い入れ金額は百九億九千九百万円、約百十億でございます。それから三十九年度の末までに売却をいたしました数量が約二万九千トンでございまして、売却金額が二十三億でございます。買い入れました数量は九万九千トンでございまして、売却いたしましたものの数量が二万八千トンということになっております。買い入れ金額と売却金額はいま申し上げたとおりでございます。
  83. 中村時雄

    中村(時)委員 そんなしちめんどうなことを聞いているのではないのです。いま言ったように、あなたの言うのは、九万九千トン買ったといったけれども、実際に買ったのは十三万トンだと齋藤長官は言った。だから、十三万トンを百十円で買ったとして、平均指数でよろしい、そうして実際にそれを売り渡していったのが七十九円だとおっしゃるならば、その差額金と、十三万トン手持ちを持ったときに欠損は一体幾らになるのかということを聞いているわけだ。それを計算して並行していったらわかるわけです。
  84. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 赤字は約四十億出ております。
  85. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、ここに問題が出てくる。この四十億円というものが政府負担になるために、食管赤字になるために、このような事業団をつくって、上限下限をきめて、その分の利益金を外糖の中に当てはめて国内糖のほうに移行しようじゃないか、そうすれば政府のほうはもう赤字にならぬじゃないかというふうに、ただ補てん的なものにこれが利用されるんじゃないかといううわさすら出てくるわけなんです。また実際にその補てんを意味するものであるのかどうかということは、私にはわかりません。そこで、この補てんはあなた方はどういうお考えなんですか。
  86. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いま御指摘になりましたように、ビートにしますと、百十円で買って、七十九円になる。いまの見込みでは四十億ぐらいの赤字になる。この赤字の中には、政府在庫するために七十九円に下がる、あるいは一般に入札に出すたびに価格が下がってくる、こういうことによって、財政負担を高めるばかりでなしに、市価自身をも抑制するというふうなことに現在の運用ではなっておるわけでございます。この点、われわれとしては甘味法の運用上非常に困難をきわめておるわけでございます。そこで、今回の事業団みたいな形によりまして、瞬間タッチで価格差を補給するというふうな役割りにしますならば、少なくとも政府が市場に介入することによって、つまり、買ったり売ったりすることによって、市価自身をも引き下げる、また、それによって財政負担も増大をするという点が軽減されることになろうかと存じますが、そのもう一つ以前に、糖価自身をもある程度の安定したところに置きますことによりまして、このような市場の介入自身の幅をうんと縮めることができるであろうというふうに考えておるわけであります。  そこで、いまの補てんの問題でありますけれども、当然国内企業が今後合理化していくべき目標に至るまでは、これは企業として国としても育成すべきものでありますから、この間の目標価格との差額、具体的にいいますと、百十円というものは、現在の十六円の消費税あるいは販売経費を加えますと、当然百二十九円程度になるわけでございます。そこで、百二十九円のコスト価格が将来自立するまでの目標価格に至るその差額については、当然国が財政負担するということにして明確にいたすわけでありますけれども、それ以下の価格変動につきましては、輸入糖も国内産糖企業としても関連し、製品としても市場で競争関係にあるわけでありますので、そこで、両者の価格の調整をするという意味において、これらの負担関係を輸入糖の価格の調整によってまかないたい、こう考えておるわけであります。
  87. 中村時雄

    中村(時)委員 価格の問題はあとで十分時間があったらやりたいと思っております。  いま言ったように、かりに四十億からの赤字というものが、この公団ができれば、瞬間タッチでやるのだから、なくなることは確かなんです。なくなることは確かなんだが、その反面いろいろな見方が出てくるわけなんです。これは政府のずるい考え方、赤字を何とか解消しようという見方も成り立つのです。実際に解消することは間違いないのです。そうでしょう。だから、実際の問題としては私はこう考えております。このビートの問題は、少なくともいま言ったように、値段の上からいったら、いま国際価格とは非常に差があるのです。差があるということはどういうことかといったら、国際糖価国際価格として、コマーシャルベースで考えるべき筋合いのものだと私は思う。それからビートだとかあるいはまたカンショ、バレイショというものは、農業政策として取り上げるべき筋合いだと私は思っております。なぜならば、米価という問題と関連して、ビートというものができてくるわけです。もしも米価が安かったら、ビートをつくります。米価が高かったら、米のほうをつくります。だから、米価のほうよりも安定度、政府の実際の保証というものがありますれば、米をつくるよりも、ビートをつくるほうがはるかに大きくなって出てくる。だから、これは経営上からいった農業政策として、ビートをどの程度にどういうふうにするかという明確な線を打ち出すのがほんとうであって、それに伴っての赤字を別の角度から、たとえば補給金なら補給金に取るとか、加工税なら加工税に取るとかいうふうな方法をとり、さらにはまた、でき得ればある上限以上になった場合には、幅を持った関税制度によってやっていこうというのですから、一つ目的税の方向をとって、その補てんをしていきながら、農業政策の保護政策を樹立してみるというような、いろいろな方法があると私は思います。それをごちゃまぜにしておいて、ただコマーシャルベースである外糖からそれを転換していきながら赤字の決済をやってみようとか、悪く言えば、コスト主義で割り切ってしまって、消費者に転換していこうという考え方がなきにしもあらずだという疑念さえ生まれてくるわけです。そういう点について、農林大臣の明確な考え方をここで披露していただきたい、こう思っておるわけであります。
  88. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに糖価は、コマーシャルベースで国際的商品の価格として決定されるわけでありますが、国内甘味資源の問題は、甘味資源生産対策構造対策等から考慮していくべきだと思います。しかし、生産対策等を樹立していく面におきましても、もちろん価格対策を併用していかなくちゃなりませんし、その価格対策におきましても、国際コマーシャルベースに左右される、こういうことになりますので、どうしてもこの関連をつけて国内生産対策も講じていかなければならないという観点から、十二分ではないでしょうが、こういう構想が生まれたわけであります。私はこういうふうに考えております。
  89. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣、非常に苦しい答弁をしているようですが、すぱっとしてみたらどうですか。それは要するに価格対策じゃないのですよ。日本のビートというものの生産体制をどうとるか、一体輸入量に対して外貨をどれだけ節約するか、日本の農業政策として、ビートはどれだけの増産をしていったらいいのかという、そういう明確な線をぴしっと打ち出す必要があると思う。それを打ち出した結果、実際の購入価格はどれだけだ、実際の購入価格において四十億の赤字があるのだ、その赤字をどうするかということを限定しておいて、きちっと穴埋めをするほうが筋が通るのじゃないかと私は考える。
  90. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それはそうなんです。生産対策を立てて、そして価格政策を立てるが、これを行なっていくのにはどれくらい金が足らぬか、それではどれだけ政府が金を出すか、これなら簡単です。しかし、そういうふうにやってでも、やはり国際的な価格一般糖価が波及されますから、どうしてもその関連なしにはやっていけない、こういうことだから、ここでその関連をつけて調整をしていく、こういうような考え方がこの法案だと私は考えております。
  91. 中村時雄

    中村(時)委員 あまりしつこくは言いませんが、いま言ったように、それだけのものがあるならば、国際価格に云々されるということはよくわかる。だから、国際価格国際価格としてぴしゃっときめる、国内国内で農業政策としてこういうことをやろうじゃないか、そのための一環として酪農はこう持っていこうということで、きちっときめて、それから生まれてくるところの赤字をたとえば外糖にかぶせるならかぶせるでよろしい、その間に業者と話し合って、これだけのものを出してくれ、足らなかった場合は財政負担をこれだけやりましょう、それでいかなければ、いま言った税制を改革して一つ目的税にして、これだけのものを消費税に回しましょうということでひとつきめてかかれば、何もこんな金を使わなくても済むことではないかと私は思う。それを、自分の腹にもないことを何とか言わなければならぬと思うから、みんな自信のないような答弁になってしまうのだろうと思います。  それからもう一つ、先ほど長官が安定帯価格ということを話しておりましたが、一体安定帯価格下限価格上限価格、これを大体幾らに見ておるか。
  92. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 この法律におきましては、国際価格動向に対しまして、通常の変動の幅を考えておるわけであります。通常の変動の幅を幾らに見るかということにつきましては、いろいろのとり方がありますけれども、今後専門家意見も聞きまして、上限価格下限価格をきめたい。しかし、その変動上下の幅は、国際価格変動がございますが、これを基準としてきめる、こういう考え方でございます。
  93. 中村時雄

    中村(時)委員 国際価格の急激な変動の幅は、たとえばスエズの問題が起こったときとか、あるいは朝鮮事変が起こったときとか、あるいはキューバ事件が起こったときとか、特別なときなんです。一般的なときにはそれほどではありません。よく調べてごらんなさい。  それでは、価格の問題が出ましたから、この問題を一つ一つ尋ねておったら時間がありませんので、質問要綱だけ言いますから、文書で答えてください。  まず、一のaとして、いまあなたがおっしゃった基準価格、これに対して、国内産糖の近い将来において実現すべき目標価格基準価格とするというが、第一として、指標とする国内産糖は一体何を示しておるのか。それから第二として、目標価格とは一体幾らをさしておるのか。それから第三に、目標の時期とは一体いつを言っているのか。それからbとして、消費面から見た一般的な糖価をどういうふうにそれとからみ合わせておるのか。  それから二番目として、いまおっしゃった上限価格の問題ですが、上限価格とは一体幾らにしようとしているのか。それから、一体何を基準として幅を決定しようとしているのか。それから消費者価格を考慮して上限をきめるのかどうなのか。  それから三番目として、同様に下限価格の問題ですが、下限価格を幾らに押えようとしているのか。何を基準にして幅を決定しようとしているのか。  両方あわせて四として、上限下限については、上限幅、下限幅はひとしく考えておるのかどうなのか。それから、名目的上限下限幅が同一ならば、実質的な幅は常に上限のほうが大きく、下限が下向いてくるであろうと思われるが、それでは一体合理的なのか、不合理的なのか。  それから、そのほかずっとお聞きしたいのですが、時間がありませんから、そのほかに、加工費の問題、国際糖価の問題、差額の徴収の問題、これらに対して気づいている点は、参考資料として出しておいていただきたい、それをちょっとお伺いしておきます。
  94. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま御指摘になりました諸点は、この法案の運用上、今後専門家と詰めて出すべきものも相当含まれておりますが、しかし、出せるものもあろうかと思いますので、考え方なり、あるいは一応の試算なり、参考として御利用いただきたいと思います。
  95. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで、重大なことを一つお尋ねしたいのですが、あなたのおっしゃっている、一般にいわれる安定帯価格、その安定帯価格という基準は、大体どの程度に押えようとしていますか。先ほど、国産ビートは百十円で買い入れてきている、それに税金やいろいろなものをかけてくると百二十九円だとおっしゃる。そうすると、赤字を決済しようとするならば、百二十九円という線が生まれてこなければならない。だから、それをある程度上限という見方をしていくならば、百二十円くらいで押えようとしているのか、あるいは百十五円くらいで押えようとしているのか、大体目標は出てくると思います。そこで、大体目標をどの程度考えて、この安定帯価格なるものを考えているのか。
  96. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 安定の上限下限の幅につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、いまの国内産糖の将来の目標価格としてどの程度に置くか。現在はコスト価格が大体百二十九円くらいである。将来の目標として、午前中にも一つ試算としてお答えいたしたわけでありますが、四十三年度におきます国内ビートの生産見通しによりますと、大体現在の一工場当たりの処理量が、原料といたしまして十七万ないし十八万トンくらいになるだろう、これをもとに置いて目標生産費を算定いたしますならば、百二十円前後というふうな一つ試算も計算上は出てくるわけでございます。こういう数字に基づきまして、今後検討をしてみたいと思っております。
  97. 中村時雄

    中村(時)委員 百二十円くらいを見当にしてみたい、こうおっしゃるわけなのですが、この価格はもちろん年限がありますね。それから取り上げるときの価格の構成がありますね。そういうようなものを勘案して不動のものにして考えていくのか、あるいは流動のものにして考えていくべきなのか、少なくとも安定帯価格というものは、他の外的な条件がいかにあろうとも、ある一定の水準を保つということが原則でなければならぬ。その点はどうなんですか。
  98. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 いま申し上げました合理化目標価格の基礎になる生産費、これは五年をこえない範囲内においてきめたい。当初におきましては、大体四十三年における実現すべき目標生産費をきめたい。しかし、これを基礎として、粗糖のベース、つまり、価格の調整の基準となる目標価格あるいは安定上限価格下限価格につきましては、これは毎年きめる、こういう考え方をとっております。
  99. 中村時雄

    中村(時)委員 なぜ私がそれを言うかといいましたら、先ほど言ったビートの問題を一つ取り上げてみましょうか。いまあなた方が手持ちで持っているビートというのは、一体何トン持っているか、月にどのくらい売り渡しているか、現在一体幾らの値がしておりますか、ちょっとそれを説明してください。
  100. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 いま在庫が五方トンあります。三万四千トンをさらに四十年度に買うことにいたしております。したがいまして、これから売却するものは、八万四千トンということになるわけであります。
  101. 中村時雄

    中村(時)委員 それをたとえば月別にどのくらいずつ出す予定ですか。
  102. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 大体ビートの従来の販売の実績がございますので、おおむねその実績の比率で売ることにいたしておりますが、大体二万トンずつぐらいというふうに考えております。
  103. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで、先ほど言ったように、まだ答えがないのだが、実際市場で売られているビートは幾らぐらいで売られているか。
  104. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 現実に売られておりますのは、所によりまして若干の違いがございますけれども、大体九十三円から八十六円程度でございます。
  105. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは百十円で買って、それを払い戻しをして、そこでまず赤字が出てきて、それが業者間に入っていく。ところが、砂糖そのものがきょうは九十円を割っていますね。そうすると、ビートのほうだって八十五、六円、それがいまの平均で割ってみたって、二万トンからのものを毎月出していけば、そうでなくても過当競争、自転車操業で資金面が繰り上げができないというような状態から、どんどん値が下がっているものをあと押ししているようなかっこうになる。なぜ政府はそれを半年なら半年持ちこたえるだけのことができないのか。やはり毎月々売っていくつもりですか。
  106. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 政府が買いまして、逐次売却をしていくわけですが、売却をいたしますと、それによりまして若干価格が下がってくるということはあるわけです。いまずっと持ちましても、最近の上白糖の価格の動きを見てみますと、だんだん下がって、本日は九十円を割るというふうな事態になっておるようでございますけれども、これは一つ過当競争等の影響も出てまいっておると思うのでございます。したがいまして、これをずっと政府が持っておりまして、いつになったら売れるかということにつきましても、非常に変動の激しい糖価のときでございますから、いつ売ったらいいかという見通しがなかなかつかないわけです。いつまでも政府がこれを在庫いたしますと、管理費等が必要になりますので、損失がどんどんふえていくということも、これは政府としても困る面もあるわけであります。したがいまして、いまのような甘味法によります買い入れ、売り渡しの制度に本質的に問題があるわけでございまして、それを何らかの方法で改善するというのが今回の法案であるわけであります。現在は、甘味法のもとにおきましてとりあえず買いまして、できるだけ市価に与える影響を少なくするような形で、逐次売るような努力をいたしておるわけであります。
  107. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、見方によったら最も悪いやり方だ、こういうことになるわけです。その赤字を政府のほうでなるべく補てんをやめておいて、そして実際に事業団の方向に切りかえて赤字をなくする。その差額というものは、いま言ったように、実質価格が九十円を割っておるのに、百二十円の安定帯価格にしていく、だからそういうような問題が出てくる。そうされたら、一体消費者のほうの立場から見たらどういうふうになりますか。現在、四人家族として大体砂糖消費はどのくらい使っておるか。その金額は大体月どのくらいになりますか。
  108. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 四人家族で約二百五十円くらいであります。
  109. 中村時雄

    中村(時)委員 何キロで換算して……。
  110. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ちょっとキロ数はわかりませんが、全都市全世帯月間平均で言いますと、砂糖の購入費が三十七年で二百十六円、三十八年で二百五十二円ということに相なっております。
  111. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、それが大体一キロ当たり二十円ずつ上がったとして、一体換算をすれば月に幾らくらいになり、しかもそれが上がれば、小売り菓子なんかも上がってくるわけですが、それらを含めて、一体原料糖がどのくらいそっちへ回ってどのくらいという計算をしたことがありますか、家計に響く影響というものを、
  112. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 砂糖の購入費がいま申し上げたように二百五十二円、それから一ヵ月の家計消費支出が四万三千六百十五円でありますから、砂糖消費支出に占める割合は〇・五八%ということになるわけでございます。したがいまして、かりに二十円上がりましても、いまの市価が九十円でありますから、九十円が二割五分程度上がるわけでありますが、〇・五八%に対して二五%程度影響、ですから影響としてはもう〇・〇〇というような数字になるわけであります。
  113. 中村時雄

    中村(時)委員 これはあなたの言う計算上の話だけなんだが、大体消費量を十七キロとしてみますか。そうして二十円の相違であると三百四十円。そうでしょう。それを年間消費量一億の人口にしたら百七十万トンからになる。そうすると、キロ当たり二十円となると、トン当たり二万円、それで計算したら三百四十億です。全体から見たら非常な膨大な金になる。しかも食費中に砂糖の占める割合をあなたのおっしゃるように二%ぐらいにして、一体砂糖消費百七十万トンというものは、六割の二次加工が入っているが、その二次加工を含めたら、家計に占める地位というものはたいへんなものになってくる。だから、そういうようなことを考えた場合に、少なくとも年間にして四人世帯にすると、大体いまのような試算で、算定したら、七百四、五十円のものが積み重なってくるのじゃないか。もちろん、菓子だとかそういうものも含めてきますよ。だから、こういうことを考えていった場合、これで農林大臣おわかりのように、非常に消費価格というものに対するファクターが大きくなってくるわけです。だから、実際の安定帯価格の百二十円ということはまだ推定でありまして、既定的な事実ではないのですから、なるべくならば安定帯価格というものを安い低位置に置かなければならぬという考え方が生まれてくるだろうと思うです。そういう立場に立ってのお考え方の構想を持っていらっしゃるかどうか。
  114. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 安定帯価格合理化価格ですが、安定下限価格はできるだけ低くし、上限下限の幅を広くする、こういうことが適当である、こういうふうに考えております。
  115. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、推定で大体百二十円ぐらいに考えていらっしゃる。その百二十円というものは、先ほどから言ったように、国内産糖のいまの基準価格によって考えている。将来はそこにあるべきじゃなくて、合理化をし、てこ入れをし、そうして実際の消費に対して安定的な安いものに持っていくということでなかったら、何も意味をなさぬわけです。そのために、安定帯価格というものは低位置に位置づけるような努力をしていくことが私は大事だと思う。そういう立場に立ってこの考え方をしているのか、ただ赤字補てんだけにこの問題を考えているのかということになれば、私は後者をとるべきじゃない、こう思うのです。これに対するお答えを願っておきたい。
  116. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 安定帯価格は低位置に位置づけるという考え方は、私も同感でございます。
  117. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、私は食糧庁の長官にお尋ねするけれども、その百二十円というものは推定であって、いまのところ仮想であって、決定的なものではないということなんですか。
  118. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ちょっと誤解があるようでありますが、私が申し上げた百二十円というのは、目標生産費の価格というものを言っておるわけです。これは四十三年の生産見通しに即して計算すると、四十三年において実現すべき目標生産費が百二十円ぐらいになるだろう、五年ごとに改定しますから、その後において合理化の諸条件が整いますならば、さらにまた百二十円を改定する、だんだん下がってくるような方向に持っていくことが望ましい、こう考えております。
  119. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたの話を聞いていると、ほんとうにうまくいくなと思う。ところが、実際に当たってみると、なかなか私は逆だと思う。上がっていくと思う。なぜならば、先ほど言ったように、農業経営としてのビート経営考えるのですから、少なくとも米が上がれば、ビートも上げざるを得なくなると思う。そうすると、安定帯価格というものは、実際下げようとしても、逆に上がっていかざるを得ないというような立場に追い込まれざるを得ないような状態になりはしないか、これが第一出てくる。もう一つは、上限の場合においては、外糖がどんどん高くなってきたら、実際に商社だって買いはしない。買わなかったら、国内糖はもっともっと高くなっていきます。いま百二十円にしておいても、そういう現象は生まれてきます。また逆な見方をすれば、百二十円だと思っても、実際には市場相場は百十九円にとどまる場合もありますよ。あなた方が考えているとおりのようにはいかないのだ、こう私は思っています。それともあなたは絶対自信を持ってできると言うことができますか。私は、それは言い過ぎで、できないだろうと思っているのです。どうですか。
  120. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 百二十円と申しますのは、精糖の価格でありまして、ビートの価格は年々上がりましても、それ以上に原料処理量がいまの十一万トンから十七、八万トンにふえるということのほうが、はるかにコストとしては引き下げる要素になるわけであります。したがいまして、四十三年度の生産見通しで見ますならば、将来下がっていくだろう、ますます下がっていく方向に努力すべきじゃなかろうか、こういうことを申し上げたのであります。  それからいま一つ、これは五年ごとにきめるわけでありますから、毎年度きめるべき上限下限価格は、先ほど来申し上げますように、これとは別に国際価格というものは毎月変動しておりますから、これの変動の幅以上の変動を除去し、高騰の場合、低落の場合、これの変動考えまして一定の幅に置きたい、これが安定上限価格下限価格考え方で、その中に目標生産費を置きたい、こういう考え方であります。  それからお尋ねの、合理化目標価格なりあるいは安定上限価格下限価格についても、一応計算上は見合いの価格が実現さるべきでありますけれども、それは当然競争の関係がございますので、そのとおりぴしゃりというふうなことには必ずしもならないだろう。そういう意味で、安定下限価格を競争の結果割るような事態が起こった場合におきましては、それをささえるような共同行為の措置も必要だろうし、あるいはまた幅の中においても相当の変動はあり得るだろう、こう考えております。
  121. 中村時雄

    中村(時)委員 相当な幅の変動はあるだろうと考えられる、これはそのとおりだと思う。そこで、お聞きしておきたいのは、いま言ったように、日本の国内産糖というものを対外的なものと比べた場合には、冷静に見た場合には高いわけなんですね。その高いものの生産費を基準にしておいて安定帯価格をきめていくのだから、ある意味では高値になるということは当然ですね。そこで、今度は上限下限考えてみます。下限をかりに百十円としますか。この百十円の下限の場合、それから下限から以下になった場合、この取り扱い方はどういうふうに考えているのですか。これは仮定ですよ。いまあなたが百二十円とおっしゃったから、百二十円を安定帯にしておいて、下限の線を百十円なら百十円に切って、百十円と、また百十円以下になった場合、この二段階に対する考え方、これが一つ生まれてくる。それから上限も同様に出てきます。これが一つ。この二つに対してどういうお考え方を持っているか。
  122. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 合理化目標価格安定下限価格との間に国際価格がある場合においては、実情は国内の市価もその中にとどまるだろうというふうに考えておるわけであります。しかし、競争の結果、安定下限価格を割る場合も出てくるかもしれない。それから安定下限価格以下に国際価格が下がっていく場合ももちろんあります。その場合においては、事業団の売買調整によりまして、当然安定下限価格以上に通常の場合には価格が実現するだろうと思うわけです。しかし、安定下限価格以上の場合においては別に操作をいたしませんけれども、下限価格以下に国内の市場価格が下がった場合におきましては、これは安定下限価格を維持するという意味におきまして、今度つくる法案の第二節に、数量制限、販売制限についての共同行為を指示することもできるようにいたしております。そういうような操作によりまして下限価格の維持をはかっていく、こう考えております。
  123. 中村時雄

    中村(時)委員 不況の場合のカルテルの問題は不況カルテルの問題で話をするとして、問題は、下限価格以下になってきた場合に、これを買い取って百二十円で売るわけですから、そこにある利潤というものが生まれてくるわけです。その利潤は下限価格以下の場合には事業団が全部吸収する、こういう考え方なのか。それからもう一つは、この安定価格下限価格との中間におけるものは、業者だって経営している以上、ある程度利潤というものを見ていこうとする。その配分のしかたはゼロにしていこうとしているのか、あるいは何%かを見返りにしようとしているのか、その点はどうなんです。
  124. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 国際価格安定下限価格以下の場合に、これは当然国際価格で買って、そして安定下限価格で売るのでありますから、その間の差額は当然事業団の安定資金として積み立てられることになろう。安定下限価格の上に市場価格がありました場合におきましては、輸入糖が、安定合理化目標価格下限価格との間に国際価格があります場合におきましては、合理化目標価格国際輸入価格との差額につきまして、一定率だけを価格調整のために積み上げて事業団が売り渡すという方法を考えております。したがって、一応は市価がそれによって形成されるものと考えておりますが、その間、競争の関係によって、それよりも下回るというような場合も出てくるでありましょうし、あるいはときによってはそれよりも上回っておることもあるだろうというふうに考えますが、一応長期的に見ますならば、その価格見合いの市価が形成されるだろう、こう考えておるのであります。
  125. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで、いま言った安定価格下限価格中間におけるものを一定率をと、こうおっしゃるわけですが、その一定率という率は幾らぐらいにしているのですか。
  126. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 国内産糖と輸入糖とのプール価格というような一種の考え方をとりまして、総供給量に対する国内産糖の共給率、いまで言いますと、大体三割くらいでありますが、三分の一というふうな比率、それを限度として農林大臣が定めるということにしております。
  127. 中村時雄

    中村(時)委員 それは、三分の一のほうは事業団という意味なのですか。
  128. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 法律で何分の一というふうにきめようと思っております。
  129. 中村時雄

    中村(時)委員 三分の一というのは事業団で、残りがどういうふうになるのですか。
  130. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 輸入糖の輸入価格にその差額の三分の一の比率を乗じたものだけを乗せて、事業団が売り渡すということになるわけでございます。一応はそれに見合った市場価格が形成されると考えておるわけでありますが、それ以上に市場価格が上がり、あるいは競争によって下がるというような場合もあり得るかと思います。
  131. 中村時雄

    中村(時)委員 えらいむずかしいものの言い方をするけれども、百二十円のものが百十円で入ってきたら、その十円の三分の一は事業団でとりましょう。三分の二は向こうへあげましょう。そこで、もう一つ考えてもらいたいのは、これから合理化であるとか、あるいは近代化をしていくというふうに、各製糖業者も出てくるわけですね。だから、それに対しての幅をもう少し勘案する筋合いもあるんじゃないかと考えられるわけです。その点も十分配慮をしなくちゃならぬじゃないか。それがやはり合理化促進の一つの方向にもなるんじゃないかと考えますが、こういう点は農林大臣はどうですか、安定価格をここで簡単にわかりやすくして、百二十円なら百二十円とします。そうすると、その下に下限価格があります。これが百十円なら百十円とします。それから次に、たとえば糖価が百十円以下になった場合は、事業団が全部資金として取り上げる。そうでしょう。九十円で買うてきたものを百二十円に上げて売ると、これは三十円もうかるわけですよ。そういうふうにしてある。そこで、下限価格安定価格との差額の十円に対しては、農林大臣の指示によって、三分の一、つまり三円は事業団が取る、残りの六円というものは業者間に渡す、簡単は言えばこういうことなんですね。そうじゃないですか。違うかな。反対ですか。三割を事業団が取るのじゃないのですか。
  132. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 いまの例で申し上げますと、合理化目標価格を仮定いたしまして百二十円ということにいたします。それから下限価格は百十円ということに仮定いたしますと、これは輸入をしてまいりましたときに、要するに国際市況価格、つまり粗糖の輸入価格でとるわけでありますけれども、たとえば国内糖の見合いで、粗糖価格を百二十円、百十円と考えまして、百円で買ってきたと仮定します。そうしますと、百円で事業団に売っていただくわけです。そうすると、事業団が百十円で一応売る場合を想定しますと、百十円でそれを売り買いしていくわけです。そうしますと、つまり、百円で買ってきたものが百十円で売られるわけですから、事業団としては十円が利益になるわけです。そこで、その十円を糖価安定資金として事業団は蓄積しておいて、糖価が高くなって上限価格をこえるときにその十円のうちから支出しよう、こういうことです。それから国内産糖との調整の問題ですけれども、その場合は、百円で入ってきたものを百十円で——一応糖価安定資金だけで売るとすれば百十円になるわけです。ところが、百十円を百二十円の間の差が十円あるから、その差の、先ほどの率でいえば三分の一、三円ということになる。そこで、百円で買ってきたものを事業団が百円で売ってもらって、それを今度は百十三円でもとの所有者に売り渡すということになるわけです。つまり、輸入糖を輸入した者は百円で買ってきて、それを百円で事業団に売って、それから百十三円で売り戻しを受ける。したがって、市場に出す場合にはメーカーには百十三円でそれを出す、こういうことになるわけです。要するに、百円と百十円までの間が糖価安定資金ということで蓄積され、それから百十円と百十三円との間の三円が事業団が国内産糖との価格をプールするために使う資金になる、こういうことになるわけです。
  133. 中村時雄

    中村(時)委員 同じことじゃないですか。そうしたら、百十円で買うてきたらどうなるのですか。百二十円で売るのですか。
  134. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 百十円で買ってきました場合は、下限価格が百十円だと、糖価安定資金として取るものはないわけであります。したがって、三円分だけ取ることになりますから、百十円が百十三円になって売り渡される、こういうことになるのです。
  135. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、さっき私が言ったのとちっとも違わない。三分の一だけ取って、三分の二は向こうへやる。実際には百二十円で売るのですから。安定価格百二十円で売っていくわけでしょう。
  136. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 それは違うのです。百二十円というのは、つまり、国内産糖との調整をするときの率をきめる価格でありまして、百二十円で売るということは全然ないわけです。つまり、百円で買ってきたり百十円で買ってきたものを事業団は百十三円で売るわけですから、百二十円は何も関係がない。つまり、百十円と百二十円との間の金額に一定の比率をかけたものを加えて売るという場合の計算の基礎になるわけです。そこで、百二十円というものが意味があるので、現実に事業団が買ったり売ったりする場合は、百二十円というものは別に根拠がないわけです。現実に百二十円のものが入ってきますと、その上からはもう事業団は売買をしない。したがって、差額を取らないという一つ基準になるわけです。輸入する砂糖が百二十円以下である場合は、その輸入した価格と百二十円との差額に一定の率を乗じたものを加えて事業団が売り渡すということだけでありまして、百二十円というものは、売り渡すとか買い戻すということの基準にはならない。
  137. 中村時雄

    中村(時)委員 結果においては最も虫のよいやり方をやっているわけですよ。だから、事業団は損をしません。すなわち、百十三円で買います。百二十円を安定帯価格とし、上限が百三十円とします。そうすると、百十円から百三十円の間に価格がおさまってくるという考え方で進めているわけですね。そうすると、事業団のほうは損をしないことになります。百十円以下で買ったものは、それだけ丸もうけになる。そうすると、安全帯価格は、国内産糖のビートの生産費を中心に考えているのであるから、外糖のものより高いことはわかっている。外糖はこれ以上高くならない。だから、その差額は、もうかるほうはうんともうかります。こういう考え方になる。そういう考え方からいったら、おそらく安定帯価格下限価格以下になるから、見合いのいまの糖価は、国内のほうはもっと上がっていく可能性がある。言いかえれば、下限価格以下の金額によって外糖購入ということになります。私はそういうふうに思うのですが、皆さん、どうお思いになりますか。
  138. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 いまのお話のように常にそうなるということは、これはまあ国際糖価の従来の変動の態様を見ましても、数年間に一回極端に高くなるということがありまして、その後じりじり下がって、かなり低いところで低迷しては、また急に高くなっていくというふうな形を繰り返しているという点からいたしますと、いまお話のようなことばかりではない。相当高いことも出現するというふうに考えて、こういうふうに一定の幅の中で安定させるということが必要ではなかろうかというふうに実は考えております。
  139. 中村時雄

    中村(時)委員 高くなるということは、特殊な事情があったときで、これからの世界情勢としては、やはり安定帯の方向へ持っていくということが全世界砂糖業界です。ですから、実際にあなた方ぬれ手でアワというようなものの考え方をしているようですけれども、それはそれとして、ここでそういうふうに考えていまの結論だけを申しますと、第一点から第三点まで申しましたが、農林大臣、最後に、時間がありませんから、お聞きしておきたい。  私は、こういうような状態を見たら、先ほど言ったように、第一点は、農業政策としてこのような国内的な糖業を考えるべきであって、国際的な一つのコマーシャルベースに乗ってくる外糖の問題からそういうふうな取り上げ方をするよりも、農業政策として基本を明確にしてあげるということが第一点ではないか、こういうふうに考えるわけです。それからそういうふうに考えた場合には、一つ生産目標というものがきまります。その生産目標をきめるために、一応こういうふうな一つのしわ寄せを消費者なりあるいは業者なり外糖なりに持っていくわけですから、だから、ある程度の目安をつけて、時限立法的にこの問題は取り上げるのがほんとうでなかったか、私はそう思います。ところが、それを恒久立法のようなかっこうにいまのところしておりますけれども、私は、本来なれば、こういうものはそういう目的を達成さすために、合理化をするにしても何年間でどうするのだ、たとえばビートであれば四十三年度はどうするということをいっているのですから、目的を達成させるためにも、一つの期間を明確にしておいてやられるほうがよかったのじゃないか、こう思うわけです。まだそのほかにいろいろな手段がありますけれども、時間がありませんので、取りやめますが、一応農林大臣はそういう点に関してはどういうお考え方を持っていらっしゃいますか。
  140. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは暫定法ではございません。しかし、いまのお話のように、たとえば肥料の法律がありまして、これも一つの経済立法でございますが、そういう意味におきましては、一つは農業政策として取り上げていく、一つは糖業界での合理化問題というような問題として取り上げていく。国内問題としてこういうような考え方が一応——一応と言っては悪いかもしれないが、筋かと思います。しかし、それだけでは間に合わないものですから、こういうふうなことにしたのでございますが、経済立法でございますので、事情の変動によりましては、これは当然変えていかなければならぬ性格のものだ、こういうふうに私は考えております。
  141. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは、長官もお聞きになったように、やはりこの問題を恒久的にいつまでもだらだらさすべき筋合いのものではなくて、一つ目標を実際にきめていって——この間永井委員の話ではありませんけれども、実際にまともに出てきたものは一つもないと言われてもしかたがないくらい、特に糖価に対してはあなた方自信が全然ないと思うのです、このような出し方をしているところを見ると。だから、北海道のビートにしても、鹿児島の砂糖の問題にしても、沖縄糖の問題にしても、もう少しこの際真剣に取り組んでいただきたい。  それともう一点、このような場合に、いまブドウ糖の問題も出ましたが、たとえばイモをどんどんつくらすよりも、ある一定のイモだけしかできないのだというところは明確にしておいて、これにどういうふうな農業政策としての保護政策をとるか。ただ単に価格をつり上げておいて、幾らでもやりなさいという時期ではないと思う。言いにくいことだが、こういう事柄だから、そこまで聞いておるので、ほんとうの農業政策考えるならば、当然もう一ぺんそこまでメスを入れて真剣に取り組んでいただきたい、こう思うわけです。これについての農林大臣の所見を聞いておいて、私の質問は時間どおり終わります。
  142. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに適地適作というような考え方生産を進めていかなければなりませんが、どういうふうにコストをかけても、どういうふうに金をかけてもやっていくというような考え方は私はとらざるところであります。でございますので、生産目標を立てて、その生産目標に基づいてどういうふうに採算できるかというようなめどから施策を講じていかなければならぬ、こう思っております。
  143. 中村時雄

    中村(時)委員 あとのいろいろな問題は、これからだいぶ何日か聞かなければならぬわけですから、その問題は後刻に回しまして、一応これをもって農林大臣に対する質疑は終わらせていただきます。
  144. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 林百郎君。
  145. 林百郎

    ○林委員 私は、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、これについて質問をしたいと思います。  政府の提案理由によりますと、本法によって酪農及びその関連産業の健全な発達を促進して、あわせて国民の食生活の改善に資するというようにいわれておるわけです。そこでまず、これは局長でけっこうですが、この計画によって補給金の対象となるなま乳、原料加工乳、これは一体どのくらいの量をお考えになっておるのか。私のほうの国会の資料によりますと、昭和三十九年度は生産総量なま乳全部で三百三万八千トン、そのうち加工用が百十八万トンということになっておりますけれども、これに対してどのくらいを補給金の対象の加工乳として考えておるわけですか。
  146. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 飲用向けと加工向けの数字については、ただいま林先生のおっしゃったとおりでありますが、この百十八万三千トンの中には、アイスクリームですとか、あるいは濃縮乳のような中間製品が入っておりますので、そういう意味で、百十八万三千トン全部が対象になるとは厳密にいえば申せないのであります。しかしながら、その中間製品と加工原料乳の補給交付金の対象とならないものは、量はわずかであると思います。それは現在の段階では正確には申し切れない。おそらくその数量は一割以下であろうというふうに思います。あとは、この補給金を受けますための農家の意欲といいますか、そういうものに基づいた共販組織の整備がどの程度カバーするであろうかという問題でありまして、私どもとしては、乳の性質上、補給金を交付すべきものについては、全量について交付するように努力してまいりたい。現実的にどの程度であるか、ちょっと今日の段階では、正直に申し上げまして、判断いたしかねます。
  147. 林百郎

    ○林委員 努力するということで、正確にこの中の何割を対象にするかという数字は、いまのところまだ出てない、こういうふうに聞きました。  それから念のために聞いておきますが、これも国会の調査の数字から出ておるのですが、丁八七五キログラムについて加工価格が五十八円、こういう数字が出ておるわけです。もしさらに正確な数字があったら、その数字で補正をしていただけばいいのですけれども、これに対して生産保証価格というのはどのくらいのところを考えておられるのか、そしてどのくらいの補給金を考えておられるのか。これは本年度、それからさらにわかったら中期経済計画ですか、あるいはこのところ数年の間の見通しをもし持っていたら知らしてもらいたい。
  148. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 他の諸先生からも同様の御趣旨の御質問を受けておるのでございますが、現在の加工原料乳についての安定基準価格は、三月の末に告示をいたしましたとおり、丁八七五キログラム当たり五十七円ということに相なっておりまして、現在の段階では、実は厳密にいって、加工乳の取引価格はないのでございます。全部混合乳価取引でございますから、加工乳の価格というものは現実には全国的にはない。ただ、九州の一部等で用途別の取引が行なわれておりまして、そういう地区しかないのでございます。で、加工乳の比率の非常に高い地域の最低の乳価というものが、一つのメルクマールとしては約五十八円程度であるということは、先生のお話に出ましたようなことで、達観してそういうものがあるということは言えると思います。  そこで、加工原料乳についての不足払いの総額というものはどのくらいになるかということになりますと、それは第一、保証価格の水準をどういうふうにきめるかということが一つの条件になり、それから現実の取引の基準となるべき価格基準取引価格というものの水準をどの程度にきめるかということと、それから総生産数量の見込みのうち、加工向けの数量をどういうふうに見るかというようなことと関連をいたしますので、これらはいずれもむずかしい、検討をした上でないと把握のできにくいものでございまして、現段階でちょっとその点を申し上げるわけにまいらないのでございますが、保証価格につきましては、この法律では主要加工原料乳地帯における再生産確保ということをいっておりまして、本年度の価格審議会に参考資料として提示いたしました四十年度の主要加工原料乳地帯における推定生産費が、工場着価格としてたしか六十五円七十九銭というような数字に相なっておりまして、そういうことから大ざっぱに計算をいたしますと、私どもの全く勘にすぎないのでございますが、四十一年度から実施するということになれば、ほぼ五十億前後くらいの予算があれば、最大限の事業量をこなし得るということになるのではないかと思っております。
  149. 林百郎

    ○林委員 そうすると、大体補給金総額が五十億、それから生産者に対する保証価格はどのくらいですか。本年度五十七円幾らと指示してある。それを維持するということですか。それ以上補給金としてプラスアルファになるのですか。
  150. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 現行畜安法によります安定基準価格というのは、加工原料乳の取引価格として最低の線を下ささえする価格でございますので、それと、この法案によって取りきめようといたしております取引基準価格というものは、価格考え方が違っておるのでございますから、現在告示をいたしております五十七円というものと、本法施行後決定すべき取引基準価格というものは、別ものでございますので、直ちに五十七円というものを頭に置いてものを考えるわけには私はまいらぬと思うのでございますが、現在の安定基準価格五十七円というものよりは、相当上回った線に保証価格がきめられるということは間違いのないことであると思っております。
  151. 林百郎

    ○林委員 その相当というのはどのくらいのことなんですか。ただ相当ということだけではわかりません。
  152. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これは先ほど申し上げましたいろいろな価格条件というものが全部そろいませんと、明確に申しかねるのでございますが、一つの先行的なものとして、ただいま申し上げました、本年度の価格審議会に参考資料として出しました主要加工原料乳地帯の四十年度の推定生産費が六十五円七十九銭だったということは、一つ考え方の目安になるかと思います。
  153. 林百郎

    ○林委員 そうすると、大体考え方の目安というのが、そのくらいまで補給金を出す、要するに、補給金を出してそこまでさや寄せするということに理解していいかどうかということと、それから五十億については、輸入差益金がどのくらいで、政府借り入れ金が——政府借り入れ金はあとになって聞くのですが、借り入れ金はどのくらいと考えておりますか。
  154. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 それは予算の時期になって考える以外に方法はないわけでして、まだそこまで考えておりませんが、最大限五十億と申し上げたのでございまして、その金額も計算の結果多少の変動があると思いますけれども、ほとんど全額を一般会計からの交付金に仰ぎたいと思っております。それから輸入差益につきましては、明四十一年度についてはほとんど考えるぼどのものはない。かりに考えられましても、一億に達することはあるまいというふうに考えております。
  155. 林百郎

    ○林委員 そうしますと、あなたの言うように、ほとんど政府出資でまかなえるという段階から、漸次輸入差益金の比重を多くしていけという方向へ、これは国家の財政の実情からいっても、そうまいるわけなんですけれども、この制度は、要するに、補給金を十分つかむためには、やはり乳製品の輸入をある程度進めないと——これは御承知のとおり、財源は差益金と借り入れ金になっておるわけですから、その全部が政府出資ということでこの後ずっと通っていくという見通しは、いろいろの農政と予算の関係考えられないわけですけれども、将来やはり輸入を増大して、差益金をそこから生み出していく、そういうことを考えておるのじゃないですか。
  156. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 いまの林先生のお話しになったようなことは、毛頭考えておりません。
  157. 林百郎

    ○林委員 それでは、大豆となたねについては、御承知のとおり、交付金暫定措置をやっておりますね。この実績を調べてみますと、昭和三十五年に国内生産が四十一万七千トンだったのが、三十八年は三十一万七千九百トンで、八割減になって国内産が減って、輸入のほうは三十五年が百八万トンだったのが、三十八年には百六十二万トンと約六割増になっておる。それからなたねは、御承知のとおり、国内が二十六万三千トンが十八万トンで七割減、輸入が一万三千トンが八万九千トンで六倍以上になっておる。この交付金制度をしいてから国内生産が減って、輸入がふえておるわけですよ。実例がこう出ておるわけですよ。  それから、これは農林省の「総合的検討」という案ですけれども、これを見ましても、生産者側に非常に不満がある。これはなたねと大豆の場合ですが、「全体の出廻り数量に対して交付金対象数量が少ないという実情にもかんがみ、以上のような制度・運営上の問題について検討する必要があろう。」これは農林省自体がいっておるわけでしょう。御存じでしょう。農林大臣が官房企画室でつくっておるのですよ。これを見ますと、こういう前例があるわけです。この前例の轍を踏まないということがどうして保証できるでしょうか。なたねと大豆の場合はこうで、乳製品の場合はこうだというのがあったら御説明を聞きましょう。
  158. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの大豆、なたねにつきましては、不足払いをしたから輸入がふえた、こういうことではございませんで、だんだん生産が減ってくるものですから、不足払いの制度をしいた。しかし、それでも輸入がふえたということは、生産が減ったということでございますが、牛乳の場合は生産が減るという見通しはございません。でありますので、いまの乳製品を輸入しなければならないということはございません。生産がふえるから、その不足払いの財源は一般の財源から出していく、こういうことであります。輸入にその財源を求めるということはいたしておりません。また輸入も、国内牛乳生産がふえるということで、大豆やなたねとは違いますので、そいう必要はないと思います。
  159. 林百郎

    ○林委員 不足払い制というのは、生産を上げるためにやったのでしょう。なたねや大豆にしたというのは、政府は少なくともそういう弁明のもとにこの制度を施行したわけでしょう。これだってやはり政府の提案によれば、それと同じことをいっているじゃないですか。しかし、実際の運営の実績は政府のいうのと逆になって、国内産が減って、輸入量が飛躍的に多くなっているじゃないですか。何か大臣は、それは乳製品の場合とは別で、生産が減っていく状態にあるのだ。しかし、生産が減っていく状態だったから、それを拡大するために、補給金を出して援助するという考えだった、こう政府側は説明しているわけです。それが逆に政府のいっていることと逆な実績が出ているんじゃないですか。だから、どうしても採算の合う市乳ですね、市乳のほうは保証するけれども、むしろ、不足払い制度によって無理して加工乳を日本の乳製品の原材料にするよりは、アメリカからナチュラルチーズやバターを入れたほうが、ずっと乳製品のメーカーとしてはもうかるわけなんだから、そういう方向へ行くことをこれによってチェックできるのですか。そういう確信がありますか。そして大臣は、今後この補給金は全額国の財政支出でまかなうということを断言できますか。
  160. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この不足払いの財源を国の金で全額を持つということは申し上げません。しかし、大部分は国の財政で不足払いの補給をしていく、こういうふうに考えます。輸入につきましては、需給の操作上の問題でございますので、これを目当てに不足払いをするという考えはございません。
  161. 林百郎

    ○林委員 これも農林省の「酪農対策考え方と方向」という三十九年八月のこれを見ますと、「特に飲用牛乳消費は大幅に増加するものと予想され、一方酪農経営の観点からも飲用牛乳生産は相対的に有利と考えられるので、飲用牛乳生産、流通および消費の安定化を図る。」こういっていますね。だから、安定化をはかり、採算の合うのはむしろ飲用乳だ、こういっているわけなんですね。農林省が力を入れておるほうはさておいて、むしろこちらを補給金によって増産しようと考えるということは、矛盾するんじゃないですか。農林省はむしろ飲用乳のほうに重点を置こう、こう考えているんじゃないですか。
  162. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 お手元の資料は、私どもが昨年の八月、部内での勉強をいたしますために、その勉強のテキストと申しますか、そのよすがにするために、かりに印刷したものがお手元にまいっていると思うのでございますが、考え方としては現在も変わっておりません。飲用乳に重点を置いた酪農の全体的な考え方という点においては変わっていない。それはお配りをいたしております資料でも明らかなように、日本の生乳の用途というのは、逐年飲用乳の比率がふえているわけでございます。その飲用乳が農家の交易条件としても有利なことは事実でございます。でありますから、従来相対的に不利な交易条件にありましたいわゆる加工乳地帯も、市乳化の促進をはかることによって、より有利な交易条件をつくり出すという方向は、今後も続けてまいりたいと思っているわけであります。一方加工原料乳については、その製品であります乳製品というものが、他の競合商品との価格関係あるいは国際価格水準等との関係からいって、その再生産を補償するだけの乳価の支払いが困難な事情にあるということでございますので、再生産可能な価格水準を保証する、このためにいわゆる不足払いを政府として責任を持って行なうということによって、加工原料乳地帯のみならず、全国に不足払いを行なうわけでありますが、特に交易条件の悪い地域についての価格面からの不利補正を行なうということによって、将来の増大する飲用乳の供給源を維持培養していくという考え方に立って、この制度法律化いたしまして、御審議を願っている次第でございます。
  163. 林百郎

    ○林委員 大臣にお聞きしたいのですが、この補給金の全額を必ずしも政府出資でやるとはここでは言わぬ。それは輸入の差金を考えているという意味だと思いますけれでも、しかし、輸入差金が財源として考えられるということならば、漸次それを多くして、政府出資のほうをできるだけ節約しろという考え方が、政府として強まってくるということは、私は考えられると思うのです。それからもう一つの要因は、実は乳製品は、原材料をアメリカから入れて、これを製品として売るほうが、日本の加工生乳を使ってやるよりは採算がいま合う状態でしょう。飲用乳のほうは、技術的にもそういうことは不可能です。価格の点からも、脱粉なんかを若干使っているものですから、不可能です。そうしますと、この補給金の制度によって、日本の乳製品並びに乳製品製造を通じて、加工原料価格を圧迫し、そして農民に大きな重圧を加えている乳製品、バターあるいは乳製品材料のナチュラルチーズ、こういうものがチェックされ抑制され、将来このようにしてこの輸入をこの程度にとめて、これを加工生乳の増産にこのように振り向ける、こういう具体的な考えがあるならば説明してください。いまのナチュラルチーズなどのものすごい輸入の増大、たとえば一例を申し上げますと、一九五九年にはナチュラルチーズが千八十五トン、これが一九六三年には六千五百トン、約六倍の輸入増になっております。バターのほうは、これは価額ですが、一九五九年が三十四億、一九六三年には百五億ということになっております。メーカーとしても、このほうが採算が合うからやっているので、このような乳製品の原材料あるいは製品の輸入の傾向を食いとめられるのだ、そして漸次加工原料生産をこういうように切りかえて増産していくのだというプランがあるならば、大臣の口から責任ある計画を聞かしていただきたい。
  164. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 政策の方針といたしましては、加工原料乳等に不足払い制度をしていて、これで採算のわりあいに有利な条件である飲用乳のほうにだんだん加工原料乳を向けていく、こういう政策を先ほど御指摘のように持っておるわけでございます。それからまた、不足払いの財源を輸入の差益金に求めるのじゃないか、その例としてナチュラルチーズ等を御引用になりましたが、このナチュラルチーズ等につきましては、これは需要が非常にふえておるというような現状から、確かに逐次輸入がふえておる、こういうことは事実でございます。しかし、これは需要にささえられた輸入の増加でございまして、これが日本の過去の乳製品製造をやめて輸入のほうに依存していく、こういうふうには私どもは見ておりません。こういうように需要にささえられた輸入の増加でございまして、これによりまして乳製品及び牛乳の需要に悪影響を与えてくる、これは需要との見合でありますから、私は考えておりません。それとは別個であるかどうか別といたしまして、私は、加工原料乳の不足払いというものは、結局においては、日本の牛乳生産を飲用乳向けに持っていく、そのほうがまた日本の酪農の立場として有利だ、こういう考え方から、それへ持っていくためのささえというふうに政策的には考えておるわけでございます。
  165. 林百郎

    ○林委員 これは私の手元にある資料で、一九五九年の国際労働統計年鑑によりますと、乳製品の小売り価格国際的比較ですけれども、飲用牛乳のほうは、日本を一〇〇とすれば、アメリカは一二八で、アメリカのほうが飲用牛乳は高くなっております。しかし、バターのほうにいきますと、一ポンド比較は日本が一〇〇とすると、アメリカが八三の価格になっておるわけですね。非常に格安になっておる。企画庁の貿易の自由化のアフターケアの農林漁業小分科会のこの資料を見ますと、これはもっと格安になっていて、もし輸入価格と見合う国内価格だとすれば、加工用原料乳は七五%から五三%に現在価格を下げなければならない。そうなると、生産が約六七%くらいに減少せざるを得ないだろう、関税を現行どおりにして。関税等をもし半分に下げるとすれば、この数字はもっとひどくなるわけですけれども、こういう情勢の中で、だから、私は補給金はどのくらい出るのだろうと聞いたけれども、相当出るということばですけれども、その程度の補給金でこの大きな大勢を食いとめて、そして加工用原乳の生産を増大に移行させるということは、このような大きな乳製品国際的な情勢の中では不可能であって、むしろ不足払いという形で、日本のなま乳生産は飲用乳に切りかえる一つの段階として、こういう制度をやっているんじゃなかろうか。だから、法律的にも暫定法というようなことば、これをちょっとお聞きしたいのですけれども、なぜ暫定にするのか。もっとそういう基本的な方向があるならば、これはもっと恒久的な法律にすべきだというのを、なぜ暫定としたのか、どこをメルクマールとして暫定としたのか、そういう点が私はわからない。そういう国際的な関係からいって、はたして加工原乳の保護増産に移行できますか。大臣、どう思いますか。
  166. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは御承知のように、一つ政策立法でもございますが、経済立法でございます。経済的な問題は、相当四囲の情勢が変わってくることもございます。本格的に言えば、こういう農業におきましてもその他でもそうでございますが、生産コストを安くして生産性の向上ということが本格的でございますが、そういうことはなかなか短日月に実現するものでもございません。かよわい農業でございます。そういう意味におきまして、こういう価格政策としての不足払い制度を採用しようというのでございますから、恒久立法、恒久的にはある程度やらざるを得ないかとは思いますけれども、しかし、たてまえとしては、生産性が向上することを増すという意味におきまして、暫定的な立法としておるわけでございます。  それから、お話しのように、確かに国際的に見まするならば、飲用乳等につきましては、国際競争力も相当持っております。しかし、加工品につきましては、これは日本の大体半分ぐらいはほかの国で生産しておるというような状態でございますから、非常に日本の乳製加工品の競争力は弱い。でございますので、これをほんとう自由化するというようなことにいたしますならば——ナチュラルチーズは自由化されておりますが、ほかの乳製品等を自由化するというようなことにいたしますならば、これはもうつぶれてしまうといいますか、こういう状況だと思います。でございますので、この酪農乳製品につきましての自由化につきましては、私は慎重に考えて、当分自由化なんということは考えるべきではない、こういうふうに考えておるのが一つ。それから不足払いと相伴いまして、輸入につきましても、一元輸入ということは、輸入をふやそうというふうにお考えになってもらいたくないのでございますが、やり方によりましては、一元に輸入するということは、ほかのほうで輸入を押えるというような形になります。そういう一元輸入等によりまして、日本の酪農の製品といいますか、生産コストが低減される、あるいは生産性が向上するということを目標としておるために、法律のたてまえも暫定措置というようなたてまえにしていく、こういうように御理解願いたい。
  167. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 ちょっと林さん、まだ続きますか。
  168. 林百郎

    ○林委員 もうあと二問くらい。いろいろ聞きたい点がたくさんあるのですけれども、あとの委員に御迷惑をかけてはいかぬと思うのですが、そこで、私はやむを得ませんから、主として輸入の問題だけに集中してお聞きしたいと思います。  この十三条には、「指定乳製品価格が安定指標価格をこえて騰貴し又は騰貴するおそれがあると認められる場合には、農林大臣の承認を受けて、指定乳製品等を輸入することができる。」これは何か非常に特殊な事態を抑えるために、指定乳製品の輸入でこれを押えるのだというようなことを言っておりますけれども、これも私の手元にある官房企画室の「農産物価格政策の総合的検討」、これによりますと、こういうことがあるのです。「ある程度の量の輸入は継続的に行なわざるをえなくなることも予想される。」「畜産振興事業団は常時買入れをよぎなくされ、デッドストックを抱えることとなろう。」これははっきり書いてあるわけです。何か、指定乳製品の輸入は、騰貴した場合あるいは騰貴するおそれがある場合チェックする、そういう特定的な事態をチェックするということではなくて、これは継続的にするのだ、したがって、デッドストックをかかえることはやむを得ないのだということで、継続的に輸入することを考えているのではないですか。しかも価格が日本の国内指定乳製品よりは非常に格安だということになれば、乳製品のメーカーとしても、それで十分の利潤が確保できるのだから、それをさらに拡大していくということを私が指摘するのは当然ではないでしょうか。
  169. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 林先生は特に他意あっての御質問ではないと思うのでございますが、その部分だけをごらんいただきますと、妙な文章になっておりますが、この「農産物価格政策の総合的検討」ではこういうことをいっておるわけでございます。「現行の価格制度において原料乳の安定基準価格の策定にあたって厳格に生産費の補償をはかろうとすれば、」乳製品の値段が高くなって、消費者は買い切れないということから、「畜産振興事業団は常時買入れをよぎなくされ、デッドストックを抱える」こととなって、放出の時期を得られないというような現行制度に難点が予測されるということをいっておるのでございまして、そのあとの文章のところで、「開放経済体制の下においても、乳製品の輸入制限は継続されるであろうが、国内需給の推移によってはある程度の量の輸入は継続的に行なわざるを得なくなることも予想される。」ということでございまして、順序が反対になりましたり、あるいは前の文章に触れないで御質問を受けますと、私ども非常にショックを受けるわけでございます。
  170. 林百郎

    ○林委員 そういうわけじゃなくて、ここにあなたのほうの考え方自体が、「したがって現行の価格制度において原料乳の安定基準価格の策定にあたって厳格に生産費の補償をはかろうとすれば、畜産振興事業団は常時買入れをよぎなくされ、デッドストックを抱えることとなろう。」こうあるわけです。ですから、もし畜産振興事業団が常時買い入れをしなければ、厳格に生産費の補償をできないような事態になっている。こういっているわけじゃないですか。だから、不足払い制によって、厳格に生産費を補償するようにすれば、常時輸入せざるを得ないのだ。事業団としてはそういうことじゃないですか。あなたのほうこそ、全く自分の都合のいいところだけ読んで、こっちへ逆にショックを与えちゃだめですよ。
  171. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 この「総合的検討」で申しておりますことは、現行の価格安定制度、つまり、現行畜安法に基づきます安定基準価格というものを策定する場合に、生産費を補償し得るような安定基準価格というものをきめれば、それによって生産される乳製品安定価格帯というものは相当上げざるを得ない。したがって、現行の安定下位価格というものを上げざるを得ない。ところが、市場における市況というものは、そういう高い水準の価格形成ができないということになりますと、安定下位価格以下の市況でございますと、畜産振興事業団は法律に基づいて買い出動をしなければならぬ。買い出動いたしましても、上位価格は非常に高いから、上位価格をこえた場合は放出するという法律の規定では、放出できないことになって、デッドストックをかかえることになる。でございますから、生乳の生産の事情、乳製品の需給の事情から考えまして、政府としては、不足払いによる再生産の確保ということと、乳製品の市場における安定的な消費の増大ということを可能にするような制度を打ち立てる必要があるということで、今回御審議を願っております加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案を出している次第であります。
  172. 林百郎

    ○林委員 それと輸入の因果関係をやっていると時間がかかりますから……。そういうように非常に難点がある。国際的な価格差もあるから、厳格な再生産費を償うためには、相当のものを事業団としては買い入れなければならぬ。買い入れてデッドストックも持っていなければならぬ。そうして買い出動するためには相当な財源が要る。財源が要るから、ある程度不足払い制の輸入価格差金も持たなければならない。財政支出ばかりではまかなえない。そういう事態も出てくるし、また国内生産費が高いから、乳製品メーカーとしては、安いバターあるいは安いナチュラルチーズを入れて、国内の高い価格と見合って出せば、十分採算が合うから、輸入は増大こそすれ、減少する要因というものは何もないということを私は聞いておるわけです。この問題はこれでいい。  最後に、これは農林大臣にちょっとお聞きしたいのでありますが、学校給食の脱粉の問題ですけれども、従来はCCCから買い入れたのですが、このCCC買い入れの制度が通常の農産物輸入のベースに移行するのだということを聞いておりますし、そのために、学校給食費がすでに上がったという話も聞いているのですが、脱粉の輸入価格が上がるのかどうか、それが一つ。それから持ち越しやいろいろ入れまして、ことしは八万二千トンという膨大な脱粉を持つことになる。どうしてことし輸入計画でまた五万三千トン輸入を必要とするのか、これが第二点。第三は、農林省の補助金が、現在は脱粉となま乳を混入した場合に、助成金を出すような指導をしておるわけですが、要するに、なま乳に対して補助金を出すのではなく、混入した場合に、なま乳の部分について補助金を出すという指導を現実にはしておるわけです。なま乳が増加するならば、同時に脱粉のほうも増加さして、むしろ、なま乳に対する補助金という名のもとに、脱粉の使用を固定化していくという作用をしておるわけですが、純粋ななま乳の給食だけでも当然農林省の補助金は取れるものかどうか。その三つの点をまず大臣に聞いて、それから局長答えてください。
  173. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御心配のないような、あるいは御指摘のようなことがない方法をとっておるわけでございますが、いま脱脂粉乳の輸入はぼとんど学校給食だけでございます。でありますので、学校給食用につきまして、なま乳と混入して、ますます輸入をふやさなくとも、このままにしておくというようなことはございませんが、詳しくは畜産局長から……。
  174. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 第一の学校給食用の脱脂粉乳については、アメリカのCCCのいわゆる余剰農産物の海外への特別売却という形で行なわれてまいりまして、これはCCCと日本の学校給食会との特別契約によって起きたのでございますが、現在もそのままでございまして、民間輸入に切りかえるということは承知をいたしておりません。もし民間輸入に切りかえますと、一昨年の九月ごろポンド当たり七セントでございましたが、価格は現在よりも上がるということが予想されます。  それから輸入量でございますが、年度で申し上げますと、三十九年度六万トン、四十年度の輸入予定量は四万五千トンでございます。  それから、農林省のなま乳学校給食の補助金の条件でございますが、いわゆる混合乳にいたしました場合も、生乳を給食いたします場合も、農林省としては補助金の交付の対象として考えております。
  175. 林百郎

    ○林委員 これで終わります。
  176. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 芳賀貢君。
  177. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、政府提案の牛乳法案並びに砂糖法案について、審議の中で不明確な点について農林大臣にお尋ねいたします。  まず、加工牛乳関係についてですが、大臣が訪ソされる前の当委員会においてお尋ねした点ですが、政府案のいわゆる保証価格をおきめになる場合の価格の算定方式についてであります。この点につきましては、前回の委員会における大臣の御説明によりますと、保証乳価をきめる場合には、原料乳の主要なる生産地域を重点にして、その地域における生産費を基礎にした乳価の算定を行ないたいということでありましたので、私のほうから、それであるならば、その算定に要する調査の対象地域における他産業の労賃と、その地域における生乳生産者の自家労働費の均衡というものをとられるべきでないかということをお尋ねしたわけですが、この点については、大臣と私の質問がおおよそ合致しておるわけです。ただ、畜産局長が横やりを入れたような形で、それは違う、乳価の算定にあたっては、農林省としては、農村における臨時雇用労賃を基礎にした自家労働費の算定を行ないたいというような趣旨の発言があったわけでございますが、この局長の発言にはわれわれは耳をかす必要はないわけでございます。ただ、大臣の明確な御説明に対して、いささか雑音の入ったようなことになったわけでありますので、この際、農林大臣のお立場から明確にしていただきたいわけです。
  178. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように、保証価格につきましては、この法律案に規定されておりますが、生乳の生産条件及び需給状況その他の経済事情を考慮し、主要加工原料乳地帯における生乳の再生産を確保することを旨とされておりますので、主要加工原料乳地帯における生乳の再生産、この場合の労賃等の換算といいますか、どういう労賃を標準としてとるかということであると思いますが、これは先般御答弁申し上げましたように、都会の製造業者、こういうものをとるデータのようなわけにはまいりません。しかし、その主要加工原料乳地帯の他産業の賃金というものとやはり均衡のとれるようなものをとったほうがいいんじゃないか。ただ、臨時の雇いというと、非常にこれは高下がありまして、高い場合もあります。また臨時でも常に低い値段もありますが、大体は他産業のその地帯の賃金などをとったほうが私は妥当じゃないかと思いますが、これはどうも価格決定にあたりまして相当専門的に、また審議会等におきましても十分意見を聞いて、決定しなければならないと思いますが、私はそういう方向がいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  179. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は、当委員会としても、非常に与野党を通じて大事な点でありますので、それでは大臣のいまの法案に対する御説明は、法律に基づいて保証価格をきめる場合には、価格算定の主要な調査上の対象地域における他産業の労働賃金というものと、生乳生産者の自家労賃と、均衡をさせるような配慮というものを講じて、自家労働費の評価を行なうようにしていきたい、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  180. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういう方向には考えているのでありますが、具体的には米の場合にもありますように、他の製造業につきましても全部をとるとか、三十人をとるとか、五十人をとるとか、いろいろそういう問題もあります。そのほか、具体的に算定をやるときにはいろいろの資料によって相当問題があろうと思いますが、考え方は、私はそういう方向で考えたらいいんじゃないか、こう思うのです。
  181. 芳賀貢

    芳賀委員 その点はわかりました。結局、いまの生乳の生産の状態と牛乳乳製品の需要の状態を対比した場合においては、最近は相当の需要が国内において増大しておるわけですから、その需要増大に生産部面が対応するためには、やはり乳価の決定等についても、直接生産を担当する生乳生産者生産意欲が向上されるような価格算定上の配慮というものが十分必要であると思うわけです。したがって、需要が拡大の方向に進んでおる限り、生産面においても、単なる再生産ということでなくて、やはりその生産の様態は拡大再生産の方向に向かわせるということが、これは当然施策の上からも行なうべき点であると思いますし、そこにまたいわゆる農業基本法の精神もあると思うわけであります。したがって、これらの基本的な精神について、あり方についても、大臣としては同様のお考えであるかどうか、いかがですか。
  182. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 牛乳消費需要は、これは御指摘のように増加する傾向にありますし、政策としても、需要の増加を期待するといいますか、ふやしていかなければ、酪農問題もよくいかないと思います。したがいまして、こういう需要の増加に見合っては、やはり生産面も、単なる再生産のみならず、お話のように拡大再生産という方向に生産を進めていく、こういうことが必要である、こういうふうに考えます。
  183. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、今回の政府案が成立しました場合には、保証価格等については、現在ありますところの畜産物価格審議会にこれを農林大臣がはかるということになるわけですが、御承知のごとく、現在の畜産物価格審議会の構成というものは、単に牛乳関係あるいは乳製品関係だけでなく、畜肉あるいは鶏卵、いわゆる同じ畜産の分野の中においても、生乳の価格あるいは乳製品価格決定上、経験も浅いし、非常に関係のない委員の諸君も、構成の中には加わっておるわけでございますが、今度は明らかに別個の法律によって諮問する場合には、畜安法によって審議会にこれを徴するということになるわけでありますから、従来のような運営では非常に妥当を欠くような場合も出てくるのでないかと、いまから憂慮されるわけであります。特に当委員会からは、わが党の東海林委員、あるいは自民党からは谷垣委員、長谷川委員もいま現に審議委員として活躍されておるわけでありますが、こういう練達の士の場合には、どのような問題も取り上げることができるが、それ以外の政府が任命された委員諸君の中には、妥当性を欠くような人選も見受けられるわけでございますので、これを適正に保証価格あるいは乳製品等の検討、さらにまた大事なことは、乳製品における製造経費あるいは販売経費というものを政府が調査して、その妥当かいなかということも、これはやはり審議会において調査検討してもらう必要が出てくるわけでございますので、そういう点の配慮はどのようにされておるか、この点をお伺いしたいわけです。
  184. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは畜産物価格審議会の運営の問題だろうと思います。確かに私どもは最高の練達の士を選任したわけでございますが、非常に今度の問題も重要な問題でありますし、なお一そう練達を必要とするということになろうと思います。でございますので、これはいろいろ検討してみたいと思いますけれども、特別の部会を置くとか小委員会等を置くとか、この保証価格決定につきましても、妥当な結論が出ますように、運営をなお深く研究してみたい、こう思います。
  185. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、この機会にお尋ねしておきたいことは、たとえば後刻、砂糖安定法の中で、原料資源のてん菜あるいはサトウキビの生産者価格の問題にも触れるわけでございますが、この際、農林省として、農作物あるいは牛乳、畜産物に対する統計調査を業務として進めておられるわけでありますが、その場合、統計調査部において作成される生産費なるものは、常に月家労働費については、先ほど申しました農村における臨時雇用労賃というものを採用しておるわけでありますが、これに対して、われわれは以前から大きな疑問を持っておるわけです。しかし、このような矛盾と疑点の上に立った自家労働費というものを、農林省の責任において、しかも統計調査部の精密な業務の中で作成されるということは、いろいろな点に非常に大きな影響を及ぼすわけです。われわれの判断した点によりますと、統計調査部が生産費を調査する場合にも、臨時雇用労賃によらなければならぬという法規上の根拠はいささかもないわけです。したがって、いま大臣が言明されたように、それを直ちに実際の価格決定に採用するということは妥当でないということになれば、農林省の生産費調査についても、この点を十分再検討する必要があると考えるわけでありますが、これは当面の担当者である統計調査部長のほうからその考え方について述べてもらいたいわけです。  特に農林大臣からは、この統計調査部の行なう統計調査上の業務については、これはやはり純粋な統計調査業務として行なう関係があるわけでありますからして、他の食糧庁とかあるいは部局の仕事とはいささか違うと思うわけです。したがって、これはやはり独自の業務を行なう場合の自主性というか、権限というものが、あらかじめ付与されておると考えておるわけですが、その点に対しては農林大臣としていかようにお考えになっておりますか。
  186. 木田繁

    ○木田説明員 ただいまの牛乳生産費について、その調査の家族労賃を臨時雇用の労賃で依然としてとるのかどうかという問題でございますが、われわれといたしましては、従来とも生産費の基礎といたしまして、家族労賃の考え方としては、現に畜産物の生産のために投下した経済価値というふうなものの測定の単位としては、家族労働といいますものを考える場合に、やはり臨時雇用の賃金といいますものが、農村におきます農業労働の市価とも考えられるものだということで、これをとるという考えでおります。ただいま農林大臣からお答えがございました当面の加工牛乳の問題につきましての考え方と、われわれの考え方とは、その基準において違って差しつかえないものじゃないかと考えております。
  187. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 統計調査部の機能というと、非常に広範にわたると思いますが、機能をどういうふうに考えるかということ、独立的に考えるか、こういうことかと思います。私はこれはあまり政治的な制約とか筋等でなく、ほんとうに純粋に統計というものは扱ってもらわなければ、これは大きな政策の間違いを起こします。他に影響も大きいので、公正に、干渉を受けず、統計事務を続けさせていきたい、こう思っております。
  188. 芳賀貢

    芳賀委員 統計調査部長に私が聞いたのは、単に牛乳生産費をどうしたかということじゃないですよ。もちろん、牛乳もあるが、牛乳、畜肉とか、いわゆる畜産物、あるいは米麦はじめ農作物等について、相当多くの種類について生産費調査というものを努力してやっておるわけです。どのような生産費調査の場合においても、自家労働費というものは、必ず農村の臨時雇用労賃をそこに当てはめて調査をやっておるが、これは実際に仕事をやってみて、そういう臨時雇用労賃というものを自家労働費に当てはめることが、これを実際に実施あるいは採用する場合に妥当なものであるというふうに考えて、仕事をしておるかどうかということを尋ねたわけです。
  189. 木田繁

    ○木田説明員 私ども統計調査部での生産費の考え方は、先ほども申し上げましたように、現に生産費として投下されたものとして考える家族労賃は、何を基準にしたら適当であろうかということで、従来臨時雇用の労賃をとっておるということを申し上げたわけであります。
  190. 芳賀貢

    芳賀委員 その臨時雇用労賃を生産費ととなえて、それぞれの当該作目について、この生産費を基礎にした価格を実現することが妥当であるというふうな考えで仕事を進めておるのか、ただ一応そういうことになっておるからやっておるというのであるか、これは非常に意味が違うと思うのですが、いかがですか。
  191. 木田繁

    ○木田説明員 いまの生産費の考え方につきましては、先ほど申し上げましたように、従来ともそういう考え方で継続的にやっておりますので、同じ考え方でもって生産費の考え方を継続しておるということでございます。
  192. 芳賀貢

    芳賀委員 統計の人はまじめだから、それでかんべんしなければならぬかもしれぬが、実際に当てはめる場合、あなたの場合矛盾を感ずると思うのですね。米の場合は、これは都市均衡労賃で米価というものをきめるわけですからして、本年度の米価決定にあたって、いわゆる従来方式によれば、都市均衡労賃方式でいえば、一日八時間労働で千四百円程度以上にこれはなるわけです。   〔坂田(英)委員長代理退席、谷垣委員長代理   着席〕 ところが、臨時雇用労賃の全国平均でいくと、これは大体七百円ちょっとでおさまるということになるわけです。そうすると、あなたのところで一生懸命仕事をしておる臨時雇用労賃と、農林大臣がおきめになる場合の都市均衡労賃の米価においては、労賃部分において二倍の差があるのですよ。統計調査部では七百円、農林大臣は千四百円ということできまるわけだからして、その実態と比較して、何らの矛盾を感じないで、営々として仕事をやっておるのかどうかということを聞いておるわけなんです。
  193. 木田繁

    ○木田説明員 私どもが統計で生産費を考えます場合に、現に投下したものをどう考えるかというとらえ方で、今後その価格をどういうふうにきめるかというふうなことについての考え方と共通の立場でやっていないということでございます。
  194. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、この次にまた来てもらっていろいろ尋ねますが、そこで問題は、農村における現在の時点における臨時雇用の労働力の実態というものは、これは調査されておると思うのです。そういうものが調査されなければ、この賃金評価は出ないわけです。それで、いまの農村における全国を通じての特徴があると思うのですよ。農家自身の労働力というものは、都市にこれは大量に流出しておるわけですね。そうして農村内部に労働力の不足現象が生じて、そうして地元における農業以外の部分から臨時的に労働力を導入しなければ、農業の再生産を進めることができないということになっておるのですが、その臨時的に雇い入れる労働というものがどういう実態であるか。農業に対する経験の度合いとか、態率の度合いとか、あるいは年齢的に、あるいは性別に見た場合において、数年前の臨時雇用の労働力の実態と、現在の臨時雇用の労働力の実態というものは、質的に全く変貌しておるわけです。そういうことは調査の上でわからぬですか。
  195. 木田繁

    ○木田説明員 その点につきましては、特別に明らかにどうであるということは、私どもではつかんではおりません。
  196. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、むしろ臨時雇用労働の一定の労働の基準というものに基づいて、農家の自家労働というものを、それを男女別とか成人労働がどうとかというふうに換算することは、これは間違いなんですね。いまの臨時雇用労働の質の低下を、たとえば七百円なら七百円、一時間百円なら百円にきめる場合、それに対して農家の保有する労働の質というものは、それの五割あるいは倍の労働の生産性を持っておるということは、これは調査してわかるわけですね。そうすると、現在の臨時雇用の農業労働というものは、それが単位になって一であるという場合に、換算する場合には、農家の労働の価値というものは、それに対して一・五とかあるいは二倍という評価をしなければ、適正な評価がえはできないということになるのじゃないですか。そういう評価がえは一体やっておるか、やってないか、どうなんです。
  197. 木田繁

    ○木田説明員 ただいま申されたような評価がえというものはいたしておりません。
  198. 芳賀貢

    芳賀委員 それで大体やっておる内容はわかりました。そうすると、同じ時間働いても、二分の一しか能力のない生産性の雇用労賃に対しても、倍の労働生産性を上げておる農家の自家労働に対しても、それを同一の評価をする、しかも生産性の低い、賃金の低い臨時雇用労賃をもって、ただ時間だけを把握して評価をするということは、これは全く妥当性を欠くわけです。この点は、私はまじめにやっておるあなた方をしかるわけではないが、臨時雇用労賃によれという法令の規定も何もないのでしょう。そういうものがあれば、ちょっとこっちはその点までまだ気がつかぬので、どうしても臨時雇用労賃でやらなければならぬという統計調査の法律上の根拠規定があれば、この際、参考までに聞かせておいていただきたい。
  199. 木田繁

    ○木田説明員 特別に法令の根拠はございません。
  200. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、この点は農林大臣もお聞きになっておる点ですからして、今後農林大臣の御意思に基づいて、できるだけ改善するように配慮願いたいと思いますが、どうですか。
  201. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いろいろやり方等につきまして、実態に即したようなことをすることが必要だと思います。研究はいたしてみます。
  202. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、この政府案においては明確な根拠というものはないわけでありますが、ただ問題は、現在の生乳の需要の分野というものは、大体において飲用牛乳六割、乳製品四割というような需要の分野になっておるわけですからして、これが今後学校牛乳等の全面実施等が進むに従って、ますます国産のなま乳は市乳化が促進されるし、また、農林大臣としてもその御意思で、有利な処分のできる市乳化への方向を促進されるということは、われわれとしても納得のできる点であります。そういう場合において、今後加工乳あるいは乳製品の分野においては、相当法律の規制とか配慮を受けることになるわけでありますが、その大部分の消費部分を占める、あるいは国民生活にも関係のある飲用牛乳の分野については、飲用向けの生乳取引の適正な価格、あるいはそれを原料にした飲用牛乳の卸売り販売価格、あるいは末端の小売り販売価格等について、この法律は、立法上あるいは行政的にも、何ら関与できないような印象を受けるわけでありますけれども、しかし、この機能を最大限に運営する場合においては、必ずしも不可能ではないというふうにも判断されますし、また、先日改正を行ないました酪農振興法の運用等についても、この法案と酪農振興法等を併用して有効に運営をした場合においては、飲用牛乳のいわゆる生乳の取引、あるいは飲用牛乳の販売価格の適正化、あるいは流通機構の改善等についても、相当前進した行政的な措置ができるのじゃないかというふうに考えるわけですが、これに対する農林大臣としてのお考えを明らかにしてもらいたい。
  203. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに、本法案におきまして、飲用牛乳の販売価格等につきましての規制を加えるということは、これはできにくいことでございます。しかし、御趣旨のように、飲用牛乳につきましても、その価格の安定を通じまして消費の安定的増進をはかる、こういうことが必要でありますし、また、用途別取引による飲用牛乳向け生乳取引価格の適正な形成、こういうものを通じまして酪農経営の安定向上をはかるということも、御指摘のように重要でございまして、実は酪農経営全体としての安定向上がこの法律のねらいでございます。直接飲用牛乳につきまして、販売等についての問題を規定しておりませんけれども、飲用牛乳の処理とか加工とかあるいは販売等につきましては、なお調査を行ないまして、関係企業合理化をはかりながら、価格面につきましても、流通面につきましても、一そうの行政指導を行なっていきたい、こういうふうに考えております。
  204. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、大臣も御承知のとおり、従来は乳製品につきましても、あるいは飲用牛乳につきましても、その加工経費あるいは製造販売経費等の的確な把握というものは、調査上からも非常に困難であったわけですからして、今回の法案が通ってこれを運用される場合にも、直ちに自信のある乳製品の販売あるいは製造経費を把握することはできないと思いますが、これは法律を根拠にして調査あるいは報告を徴するということになるわけで、それにわれわれは期待を寄せておるわけです。その場合、いまの主要な乳業メーカーは、御承知のとおり、この飲用牛乳乳製品を総合的に製造部面においても経営しておるわけですからして、製造、販売経費の調査ということになれば、当然対象になる製造工場あるいは企業に対する必要な調査を進めるということになるわけですからして、その場合には、かつての肥料法案と同じように、硫安の製造というものが、その企業の中における二割あるいは三割の分野を占めておるので、全体の必要調査を行なった事例もあるわけでございますからして、今度の調査あるいは報告の聴取の中で、大体飲用牛乳重点として、あわせて乳製品の調査が済めば、飲用牛乳における処理あるいは販売経費というものも、大体的確な把握が同時的にできるということになると思うわけです。ですから、そういうものを政府側においても確信の持てる基礎にして、今後の飲用向け生乳の取引、その取引価格と販売価格とのそれぞれの分野における価格の配分をいかようにするのが妥当であるかというような判断も、農林省においてできると思うわけです。ですから、そういう点からも、いま直ちには困難であるかもしれませんが、近い将来においては、この大部分を占めるであろう飲用牛乳の分野についても、やはり食生活の上からも、的確な、あるいは適正な行政的な措置ができる根拠というものをつくる必要があると思うわけです。その次は、当然社会党が提案したと同じような、加工とか飲用牛乳を分けるというような法律でなくて、生乳を一体として扱っていけるような、そういう制度に将来は発展できるのじゃないかと思いますので、この点について大臣のお考えを聞かしてもらいたいのです。
  205. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のように、いま酪農経営のほうでは、先ほど申し上げましたが、用途別取引によりまして、飲用牛乳向け生乳取引価格の適正な形成を通じて、酪農経営の安定、向上をはかる、これは生産面でございます。今度は製造面といいますか、乳業者の面、つまり、加工等の面につきましての調査は相当やってきております。本年度におきましてもこれをなお一そう充実していきたい、こう考えております。それによりまして、乳業者のほうの合理化もはかり、一またそれから販売の経路におきます調査なども進めまして、この法律が施行されましてから、万全を期して法律目的に沿うように一そう進めていきたい。それにつきまして、いまお話しの調査につきましては、一そう進めて、その調査に基づいて、なおこの法律の運用を前進していくという考えをもって進めていきたいと思います。
  206. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、乳製品の輸入の問題でありますが、法案によりますと、政府の意思を代行して畜産振興事業団が乳製品については一手に行なうことに、法案の第十三条、十四条の規定があるわけですが、十三条の規定を見ればわかるわけですが、十四条の規定のただし書きの中で、国内乳製品価格がそれによって変動を受けない場合には、政令で定めた範囲内で事業団以外の者が輸入できるという点があるわけです。この点は政令案の内容というものが明らかになれば明確になるわけですが、法文を読んだだけでは、せっかく十三条で——価格が高騰するということは、需給が逼迫するということを意味するわけですからして、そういう場合以外は輸入させないという点はわかるわけです。ただ、次の条で、価格変動のない状態の中においては、事業団以外の者が輸入できるということになっておるわけですので、しからば、「政令で定める場合」というものはどういうものか、その点が明らかになっていないわけです。
  207. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 畜産局長から……。
  208. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 乳製品の一元輸入の制度を設けましたことは、毎度申し上げてまいりましたとおり、国内乳製品価格の安定を通じて、不足払い制度というものの実効を期するということ、そのためには、輸入の一元化を行ないまして、輸入の数量、時期、放出の時期、数量等の調整をはかる必要があるということに出るものでありますが、乳製品の輸入のケースによりましては、国内の指定乳製品の需給に直接影響を及ぼさないというものがございますので、そういうものを政令によって除外しようとしているのであります。  現在政令案として考えておりますのは、まず第一は、関税定率法によって関税を免除されておるものでありまして、たとえば船員用の食用品、航空機内用の食用品、それから旅行者の携帯品、それから寄贈品、試験研究用品、加工貿易原材料品等でございます。第二番目に考えておりますのは、文部省学校給食会で行なっております学校給食用の脱脂粉乳。第三番目は、厚生省が行なっております児童福祉施設用の脱脂粉乳。それから第四番目は、これは農業資材になるわけでございますが、家畜のえさ用の脱脂粉乳について、定めるという予定でございます。
  209. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは速急に資料として、政令案を委員の皆さんにお配り願いたいと思います。  そこで、最後に、牛乳関係でお尋ねしたいのは、牛乳の遠距離輸送について、これは前回の委員会においても大臣の所見を伺ったわけでございますが、法律が加工牛乳だけに限定されて、何か印象では、価格面においても不利益な加工用の原料乳というものは、その地域に封鎖されて、有利な消費地域に大きく供給ができないような窮屈さをどうしても感ずるわけです。この点は、社会党案と違って、政府案の非常に欠陥となっておる点でございます。そこで、たとえば政府案の第七条における都道府県単位の生乳生産者団体の単一指定の問題、あるいは第五条の指定を受けた都道府県における指定生乳生産者団体が、その上部の全国を区域とする農協連合会に業務の委任ができるというような点については、先般来の質疑の中においても、政府においてもその方針を明らかにされておりますので、この点については触れませんが、これとの関係において、たとえば北海道なら北海道のいわゆる主要な原料乳地域において、指定生産者団体が全面的に集乳したその生乳を区域内において取引することはもちろんでありますが、それを区域外のたとえば東京であるとか、大阪等の今後も需要の非常に増大する、大きな消費市場ともいうべき地域に的確に供給するということになれば、これは単に生産者団体だけの努力では実現できない点もあるわけです。したがって、遠距離における生産地から消費地へのなま乳の輸送施設の問題であるとか、あるいはまたその主要生産地域の指定生産者団体と、全国段階における上部の全国連合会との総合的な努力によって、これらの問題が解決できるような方向というものは、やはりいまの時点では、政府の指導的な行政的な努力というものにまつ点が非常に多いのではないかと思うわけです。この点について、農林大臣の積極的な御意思を明らかにしてもらいたいのです。
  210. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりまするように、加工原料乳に対して不足払いをしくことにいたしますけれども、ねらいは、飲用乳の需要を増加し、また、飲用乳に牛乳を向けていくということのほうがより大きいねらいだと私ども考えています。そういう意味におきまして、この法律におきましては、輸送の面等についての規定がございません。しかし、これは行政的に指導をして、考えておることでもございますので、一そう遠距離の輸送につきましては配慮をしていきたいと、こう思います。それから同時に、いまのお話のように、集荷団体等も一元的に県単位できめますけれども、生乳生産者の全国的な組織化、これもほうっておくことはいけないと思います。その整備をするということがきわめて重要でございますので、全国段階の農協組織の整備、育成、これについても十分意を用いて、全国団体と県単位の団体との連絡等も密接にいたしまして、所期目的を達するような方向へ進めていきたい、こう考えます。
  211. 芳賀貢

    芳賀委員 それから次に、砂糖法案関係について若干お尋ねしたいと思います。  もうすでにわが党の永井委員並びに兒玉委員、あるいは本日は中村時雄君からも質問がありましたが、ここでお尋ねしたい点の第一は、今後国内における砂糖価格について、標準的な砂糖価格水準というものをどのように考えておられるか。これは政府案によりましても、たとえば輸入糖関係については安定上限価格あるいは下限価格措置がとられるわけでありますし、国産糖については合理化目標価格というものが定められることになるわけでありますが、このいずれも、実際上の国内における標準となる糖価水準をこれによって定めるということにはならぬと解釈されるわけでございますが、事実上国内における、今後この制度ができてからの標準的な砂糖価格のあり方というものの、その水準をどのように期待されておるか、明確にできれば知らしてもらいたい。
  212. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御指摘のとおり、安定上限価格安定下限価格は、輸入糖についての価格をきめておるわけでございまして、しかもそれは粗糖価格できめるわけでございます。しかし、この粗糖安定上限価格あるいは下限価格のもととなるべき基準というものについては、これは国際的な価格のいわば長期的な動向一つの水準として、これから異常な変動、異常な高騰、異常な低落を抑制するための適正な幅を考えたいというふうに考えておるわけであります。  そこで、その国際的な長期動向として考えられる糖価水準がどのようになるかということにつきましては、なかなか議論のあるところでありますけれども、一応われわれの試算として、いろいろの過去の統計から推定しますと、十年をとりましても十五年をとりましても、大体四セントぐらいになります。これを中心に上下安定上限価格下限価格というものをきめるわけでありますが、その価格国内におきまする製造経費、それから関税、消費税を加えたものが、具体的な国内の精糖の市価に反映するわけでありますが、これまでの試算した計算によりますと、大体百二十円前後くらいが一つ基準になるのではなかろうか、これに安定上限価格下限価格に見合う幅が上下につく、こういうことになるわけでございます。これはなお今後専門家意見を聞いて、最終的にはきめたい、こう思っております。
  213. 芳賀貢

    芳賀委員 社会党の提案の法案は、御承知のとおり、基本として、国内基準糖価というものを定めて、それを基礎にして輸入糖あるいは国産糖に対する適切な措置を講ずることになるわけですし、またそれを基礎にして、小売り販売価格等についてもこれは明確にして、それが維持されるということになっておるので、これは国民全部が納得のできる内容になっておるわけですが、政府案は非常にこの点が不明確なんですね。それで問題は、安定帯価格であるいわゆる上限下限価格のきめ方、いわゆる安定帯だから、これは幅があるわけですが、この幅は広い場合と狭い場合で、これは非常に影響が違ってくるわけですね。それで強力に政府の意思を進めるとすれば、上下限価格の幅が狭いことが一番望ましいわけですからして、これをあまり広く幅を広げてしまうと、それほど意味がないということにもなるのじゃないかと考えられるわけですが、この上限下限帯の幅については、大体あり方としては、農林大臣としてどの程度のことをお考えになっているか。
  214. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまどの程度に幅を設けるかということをちょっと申し上げかねますが、お話しのように、狭くすれば狭くするほどはっきりしてくるわけです。ゆるくすればその間に自由取引の範囲が多くなりますから、これは両方の調整といいますか、なかなかむずかしい問題になると思います。あまりこれを社会党案のように統制的にしてしまうことも、業者の自由競争をあまりそこねるということにもなりますし、合理化にも支障を来たすというようなことにもなろうかと思います。それから一面においては消費者の問題もあります。それで、私は、下限価格はあまり上のほうへ持っていっちまってはどうかというふうに考えておりますが、こういう問題等もやはり、私もあまり学識経験者でもございませんので、学識経験者に相当意見を聞いてきめていきたい、こう考えております。
  215. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、政府案の輸入糖、国産糖の事業団による買い入れあるいは売り戻し制度というものは、これはわが国においても初めての制度だと思います。わかりやすく言えば、これは瞬間タッチ方式ということになるわけでありますが、この思想あるいはこの制度というものは、これを国産糖に当てはめた場合においては、これは相当期間国産糖については全量買い入れ、全量売り戻しということになるとわれわれは判断しておりますが、その点はいかがですか。
  216. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話しのとおり、国産糖につきましても、瞬間タッチ方式でやりまして、いわば価格差補給金的な役割りをするわけでありますから、この売り渡しの申し込みにおいて、原則として全量を買い入れる、こういう扱いをしていきたいと思います。
  217. 芳賀貢

    芳賀委員 この瞬間タッチが初めての方式ということになるわけでありまして、この場合、全量買い入れ、全量売り戻しという場合には、価格面においては、政府が高く買って、政府に売り渡したものを安く売り戻すということになるわけで、これは長官の言われたとおりです。したがって、政府が、事業団を介入させてはおりますけれども、やはり実体は、政府が国民の税金でその差額を負担するということになるわけですから、いわゆる形の上では、高く買って安く売り戻すということのやり方について、売り戻しをする場合の、売り戻された砂糖——輸入糖についてもその場合は当てはまるわけですが、売り戻しをした砂糖についてのその後の販売等について、何らかの条件をつけるのか、全く無条件で高く買って安く売り戻してやるということで終わるのか、この点にもやはり問題があると思う。  それからまた、瞬間タッチですから、全く瞬間に触れ合うか触れ合わぬかでやるわけだから、従来であると、政府が買い入れして保管して、売り渡すということになるが、今度の場合には、そういう保管とか具体的な売り渡しは必要ないということになるので、やはりその場合に問題になるのは、対象になる数量の確認措置等についても、十分の配慮がされておると思いますが、そういう点についても、初めての制度ですから、明らかにしておいてもらいたい。
  218. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話しのとおり、瞬間タッチの実質的な内容は、価格差補給金の役割りをしておる。形式として買って売るという方法をとっておるわけでございます。これはかつて価格調整公団が同じような機能を営んでおったので、その方式を採用したわけでございます。  売り渡す際に何らかの条件をつけるのか。いまのところ、条件は考えておりません。  それから、数量等についてやはり確認が必要じゃないか。これはもちろん循環するというふうなことがあったのではまずいですから、そういう確認方法は当然とりたいと思っております。ただ、この買い入れ、売り渡しによりましての瞬間タッチと、それから従来の方法との差異は、いわば差金を交付することによって清算ができる。従来は買いは買い、売りは売りということで、それぞれの代金の授受が行なわれるわけですが、その点が違うわけでありまして実際上の物の受け渡しにつきましては、御承知のように、ビートは消費税を納めておりますので、これは当然数量等については税務署の証明が必要になってきます。そういうことによって還流するということはない。また物につきましては、これもやはり品質等もありますし、規格等もありますから、これらの確認の方法は従来どおりやってまいりたい、こう考えております。
  219. 芳賀貢

    芳賀委員 私の言ったのは、結局買い入れるということは、それは売り渡しをする者の、たとえば国産糖にあっては、大体最低の採算というものは保証されるという価格でなければならぬと思うのです。今度売り渡しというものは、市場にそれを出した場合においても順調に消流できるという価格で、これは売り渡しをするわけですから、その場合、買い入れ措置によって、最低のコストとか利潤というものは、売り渡しをした製造業者が確保したのだから、今度は売り戻しを受けた分については、それを卸売りあるいは小売り段階に流す場合においても、やはりその一定の条件というものをつけて、その処分については不当あるいは超過な利潤というものは許さぬぞというような配慮というものは、これは国民経済的な立場から見ても必要だと思うのです。だんだんそれが基礎づけられれば、たとえば国内糖の卸売り価格とか、あるいは標準的な小売り価格というものをそういう形の中からだんだん固定化されるとか、方向づけができるということも期待されるのではないかと思う。全くもう売り戻しを受けたものはどういうふうに売ってもかまわぬということでは芸がないのじゃないかと思われるわけなんですが、その点なんです。
  220. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 買い戻しの価格がどのようになるかということに関連すると思います。買い入れ価格は、もちろん適正なコストで買い入れるということになるわけでありまして、法律ではこの売り戻しの価格を第二十四条できめておりますが、この売り戻し価格につきましては、ちょうど輸入糖につきまして、一定の価格差を加えた価格で、売り戻しと同じようにその価格一つ基準といたしまして、それに市価を参酌してきめる、こういうことにいたしておるわけであります。したがいまして、大体市価というものが形成されておりますから、それ以上高く売るといってもその価格は通らなくなるのでありましょうし、それから見合いの価格でありますから、場合によったら、市価よりも若干高い価格である場合も起こり得るだろうと思います。そこで、その段階において価格の平準化をまず行なうというのがこの法案のたてまえでありますので、そういうことによってだんだん価格が安定化しますれば、いわばそれの見合いの小売り価格自身もだんだん平準化するのではなかろうか。そういう方向で、今後われわれとしては消費者価格の形成につきまして指導してまいる必要があろうと考えております。
  221. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、大臣にお尋ねしますが、たとえば農林大臣としてでなくても、一国民の赤城宗徳さんの立場で見た、この砂糖の卸価格と小売り価格というもののいわゆる販売面における価格差ですね。小売りマージンといいますか、その格差というものは、大体どのくらいが妥当であるというふうにお考えになっておりますか。これは外国等の例を見ると、大体卸価格の一〇%ないし一五%の範囲内がいわゆる小売りマージンということになっておるわけです。たとえば卸価格が百円の場合、一〇%ということになれば、小売りは百十円、一五%の場合には百十五円ということに当然なるわけです。現在においては、卸が毎日の新聞でもわかるように、九十円あるいは九十五円、小売りは最近はずっと百三十円の線を変化なしに維持しておるわけです。そうすると、少なくとも一キロについて三十五円程度の卸と小売りの格差があるということになるわけです。こういう点は、大臣が外国を回られても、そういう事例はないと思うのです。ですから、この点が行政的にもう少し明快になれば——何か最近は一部の糖業者とか、あるいはそれに扇動されて悪意のない国民の一部からも、今度政府が出した砂糖法案は、消費者を犠牲にした糖価つり上げ法案であるというような非難も出ておるわけです。むしろ、解決は、この三十円、三十五円に及ぶ卸と小売りとの価格差というものをどういうふうにして適正に圧縮するかというところに、政府としてももう少し熱意を傾注する必要があるのではないかと思うわけなんです。それで私、先ほど売り戻しをする砂糖について、国がその一部を負担して安売りをするわけだからして、そういうものについては、やはり一定の条件を付して、適正に処理をされるようにしたらいいんじゃないかということを申し上げたわけですが、この小売りマージンのあり方について、家庭のおじいちゃんという立場からでもいいですが、お考えがあれば聞かしてもらいたい。
  222. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 流通経済、しかも未端の流通面につきましては、なかなかむずかしい面がございます。御承知のように、非常に零細な小売りが多いのでございますが、砂糖は比較的零細じゃなかろうと思います。大体小売りのマージンは、一般的には二〇%というふうに踏んでいるようですが、しかし、いまのお話のように、砂糖の面につきましては、十円からあるいは五、六十円、三十五円くらいの平均だというふうにお話がありました。ちょっと、卸のマージン、小売りのマージン、そういうものが多いように考えます。そこで、売り戻すときに、何か条件をつけたらどうか。考えては見ますけれども、なかなか現実にはむずかしかろうと思います。むずかしかろうと思いますが、流通経済につきましては、いろいろ手を打ちたいと思っても、その手がなくて、スーパーマーケットなんかもその一例なんでございますが、これなどはそうあろうとも思いません。こういう方法等によりまして、モデルもつくってきている、こういうふうに考えています。この問題につきましても、なおいろいろ検討してみたいと思います。
  223. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、国産糖の原料であるてん菜あるいはサトウキビのいわゆる生産者価格法律上は最低生産者価格でありますが、この条項が、いままでは甘味特別措置法の中に規定されておったのが、今度の新しい法案を見ると、この部分、甘味法の二十条以下は、今度は新しい法案のほうに移動されておるわけです。たとえば国産糖の買い入れ措置についても、今度は従来の甘味法と違ったたてまえで、政府が相当長期間に全量買い入れ、売り戻しをやるということになると、この原料価格の決定あるいは取引の方法等についても、当然これは変化があらわれてこなければならぬと思うわけですが、この点だけは、新法に移しても、表現は全くそのとおりということになっておるわけです。この点われわれとしては疑義を持つものです。いままでは砂糖について必ずしも全量買い上げの規定がありませんので、したがって、その原料であるてん菜あるいはサトウキビの生産者価格等についても、できるだけ政府買い入れをしないというたてまえの上に立って、それにはこの買い入れ価格を引き下げておこう、その原料となる生産者価格もできるだけ安くしておくという思想の上に立ったわけですが、今度は製品は全量買い上げをするわけですからして、そうなれば、その製品の原料である生産者価格等についても、そのきめ方は、従来と違った角度で検討する必要があるのではないかというふうに思いますが、その点は農林大臣としていかようなお考えですか。
  224. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ちょっと起案しました長官から説明します。
  225. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話しのように、あらゆる場合に全量買い入れで、しかも取引が一定であるというようなことでありますならば、最低生産者価格と取引価格と二本立てにしないでもいいではないかというような御意見も成り立つと思うのでありますが、しかしながら、この法案におきましては、やはり安定上限価格下限価格というものを設けまして、コスト価格以上に市場価格が上がり得るという場合も想定いたしておりますばかりでなく、現実におきましては、やはり精糖の買い入れ価格は標準価格で買い入れるということにならざるを得ないわけであります。そうしますと、やはり会社のそれぞれの支払い能力あるいは会社の生産に対する努力なり、つまり、企業としての自主的な努力部分というものが残されてしかるべきだ、そういう観点から、やはり取引価格というものがあってもいいではないかという考え方に立ちまして、一応法案としましては、従来の最低生産者価格の規定をそのまま改正法案に入れるということにいたした次第でございます。
  226. 芳賀貢

    芳賀委員 今度の制度は、全量買い上げということになると、その買い入れ、売り戻し、そういう行為の中において、それほど大きな余分な利幅というものは出てこないと思うのです。そうなれば、最低生産者価格と取引価格の二本立てでやるというような余裕というものはなくなると思うのです。それで、厳格に最低生産者価格からの積み上げ方式ということになれば、これは取引価格に弾力性を持たせると、製造業者の側の余力というものがあまりなくなると思うのです。それは結局生産者に対する価格上のしわよせに当然なると思うわけです。ですから、われわれとしては、この際、従来の慣例法に残してあるとすれば、まだ手のつけようがないかもしれないが、せっかく砂糖価格安定法の中に原料価格の規定も移行させるわけですからして、その機会に、従来から論議された生産者価格と取引価格二本立て制の未解決の矛盾点を解決する必要があるんじゃないかと思いますが、そう思わぬですか。
  227. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話しのように、工場の取引価格企業の取引価格と、それから最低生産者価格との値幅につきましては、全量全部事業団に売り渡さざるを得ないというような状況の場合におきましては、お話しのように、ゆとりはだんだん少なくなっていくというふうに私も考えます。しかし、法案としましては、必ずしも全量でなくて、コストよりも市場価格が高くなるということを当然予想いたしまして、安定上限価格というものも考えておるわけでありますから、したがって、その際におきましては、当然企業としては、事業団に売るよりも、市場に売ったほうがよろしいという事態も、この法案世界においては考えておるわけでございます。したがって、必ずしもこれをいま一体立てにする必要はない。ただ、お話しのように、だんだん狭まるだろうということは、全量買い入れをするような時代においては、そういうことも予想されるわけであります。それから法案としましては、取引価格というものは、法律案として、何も農林大臣の指示に基づくいわゆる勧告によって取引されるものではなくして、生産者とそれから企業との間におきまして、協議の結果行なわれたものでありますから、これは別に法案上どうこうということは必ずしも必要はない、こう考えております。
  228. 芳賀貢

    芳賀委員 それは必要がないというんじゃなくて、政府としても必要は認めるが、なかなか直ちに必要に沿ったような改正はできないので苦慮しているというのじゃないですか。その点をはっきりさせなければいかぬ。必要がないというのと、認めるが、なかなかできがたいという場合じゃ違うと思うのです。この点をお互い強調するとだいぶ時間がかかりますが、どうなんですか。必要を全然認めないというのか、認めるが、いま直ちには困難な事情があるというのですか。
  229. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 私は、取引価格の道はやはり残しておいたほうがいいんじゃないか、現に生産者企業の間において話し合いができますから。ただ、勧告して指示するというような措置を発動するかしないかは、これはまた別問題でございます。しかし、ずっと将来も全量買い上げに事実上もあるいは制度上もなるということになれば、私はそういうこともあるいは必要かと思いますが、いま申し上げましたように、コスト以上に市場価格が上がる場合もあるわけであります。いまの段階では、現状でもいいのではないか、こう考えております。
  230. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、この点は、今後も非常に論争の、残るところですから、大臣も記憶してもらいたいと思うのです。  そこで、大臣にお尋ねしますが、この場合、最低生産者価格から積み上げて、政府の製品の買い入れ、売り戻しの問題ですけれども、実態はこれが長期的に続くということになれば、買い入れ価格と売り戻し価格との差額分は国が負担するということになるけれども、これは実質的には、いま審議しておりますところの原料乳の保証価格制度と大体同じだと思うのです。保証価格の場合には、買い入れ、売り戻しの差額分を交付金の形で事前に生産者に渡す、それを控除した価格で実際の取引をやるということになるわけですから、国の負担があとになるか、先になるかというだけの相違だと思う。長期的にそうであるとすれば、もう一つの方法としては、牛乳方式と同じように、生産者に対しててん菜あるいはサトウキビの生産の量に対して、たとえばてん菜については、一トン当たり千円なら千円を交付金として交付する。その価格を控除した分が生産者製造業者の実際の原料取引価格、その価格を基礎にして製品の価格算定をやった場合においては、おそらくその価格というものは国際糖価と相当比肩すべき価格に接近してくると思うのです。そういう中で、いわゆる輸入糖と国産糖の企業上の努力とか政府としての改善すべき施策というものが講じやすくなるのじゃないかと思われるのです。これはいずれにしても方法論ですが、だから、政府案のこの道だけが唯一の方法であるということは考えられない。そうすれば、これはあるときには、全量買い上げ、売り戻しの必要がないということに当然なるわけですね。そうなれば、明らかに国として一トン当たり千円ということになれば、これは百万トンで十億でしょう。てん菜糖、サトウキビを合わせて三百万トンにしても、三十価円の交付金を出せば、相当の効果があがるということにもなるわけですから、こういう点をいま直ちに法律をどうこうせいというわけではないが——たとえば政府案についても相当の根拠があっておやりになるわけですが、これの比較すべき問題としては、同じ農林省が牛乳法案をお出しになって新しい構想を打ち出しておる機会でありますし、これからの価格政策のあり方としては、やはり諸外国の実例を見ても、牛乳の保証方式のような形が一歩前進した方式とも考えられるわけですから、農林大臣のこれに対するお考えを聞かしておいてもらいたい。
  231. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういう考え方もあると思います。従来もそういうやり方もやっておったと思いますが、国内産のビートにつきまして、瞬間タッチでなく、あるいは全量買い上げ、事実上の買い上げというようなことで補助金を出すというようなことも、これはあり得ることでございます。ですから、だんだん国際的に考えまして、非常に金を出すいまの牛乳の不足払い等につきましても、国際関係でむずかしいことなども言っておりますが、これは国際的に話し合いは進みまして、やはり砂糖につきましては、国際商品であり、一面におきましては、国内では価格を安定水準におさめようということもありますので、それとの見合いによりまして、瞬間タッチ制度をとるということになると、一貫して国内甘味資源は瞬間タッチでやる、こういう一つの筋でやりましたけれども、いまのお話のようなことも考えられるわけでございます。なお検討をいたしてみますが、いまのたてまえとしましては、一つの輸入糖との関係もありまして、瞬間タッチによって生産費を補償してやる、それと同じような形でやったらどうかと思っております。
  232. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、お尋ねしたいのは、これは現在の甘味法と並びに政府砂糖法案についてですが、審議会の運営あるいは活用というようなものについて、農林大臣としてどのようなお考えかということを聞かしてもらいたいわけです。  実例をあげますと、いまの甘味法に基づく、原料であるてん菜あるいはサトウキビの価格決定についても、正式に審議会にそれをはかるとか、意見を聞くということはやられていないわけです。ことしもちょうど長期見通しの策定等の関係があったので、てん菜生産者価格については、そのとき、各委員から意見が出たわけですが、この際、この点を明らかにしてもらいたいと思うわけです。たとえば最低生産者価格についても、三十九年度の大臣告示は六千四百五十円、今年度、四十年度のてん菜の最低生産者価格は、先般発表されたとおり、六千五百五十円と、これは一年に百円の値上がりにしかなっていないのですね。この点は、先般の委員会あるいは審議会のときもちょっとお尋ねしたわけですが、今年の価格をきめる場合、あらかじめ私のほうから指摘した問題としては、昨年の甘味審議会における農林大臣の言明によりましても、今後の最低生産者価格をきめる場合においては、これは決定年の前の年の原料の取引価格というものは漸次勘案要素として取り入れられるということが明らかになっておるわけです。これは疑点のないところです。その点と、もう一つは、農業パリティの上昇というものは、これはごまかしようのない、明らかになっている点ですからして、昨年と本年の間における農業パリティ指数の上昇による価格の引き上げということも必要になる点です。もう一つ法律にもありますとおり、競合作物であるてん菜の場合には、バレイショの収益性とてん菜の支益性との比較というものについても、これは勘案するということになっておるわけでして、これを取り上げた場合においても、自家労賃の面においてバレイショが相当てん菜よりも優位であるということが、先般明らかになっておるわけです。したがって、昨年の六千四百五十円というものを当然基礎にするわけですがその場合、大臣言明による決定年の前年度における取引価格による勘案、農業パリティ指数の上昇、競合作物たるバレイショの支益性への接近という、この三つの点は、これはいずれも価格算定上プラスにならなければならぬ要素であるというようにわれわれ考えるわけです。ところが、それを総合しても、前年よりも百円しか上がっていない。六千四百五十円がただ形式的に六千五百五十円になったのにすぎないということを見ても、これは政府だけが独断できめる場合には、こういうことしかできないということが証明されておるわけです。  そこで、お尋ねしたい点は、やはりこういう重要な生産者に対する原料価格の決定等については、当然政府が主体になっておきめになるのであるけれども、せっかく甘味資源審議会というものがあって、法律に明記された事項あるいは、法律運用上の重要事項については、審議会に諮問し、あるいは意見を聞き、あるいは審議会は農林大臣に対して意見を述べることができる、調査審議することができるということになっておるわけですから、この際、法律が甘味法の面においても相当大きく改正になって、肝心な最低生産者価格関係は今度の法案の中に取り入れられておるわけです。したがって、残った旧法といわれる甘味法の場合には、生産面の重要事項について審議会の意見を聞くことになるわけでありますが、大事な価格上の問題、あるいは今回の、新たに政府からお出しになった国産糖の合理化目標価格の決定、あるいは輸入糖による上限下限価格等の決定の場合、あるいはまた、法律運用上重要な事項については、当然、この審議会というものは、従来の甘味審議会を活用する形をとるか、それが不適当である場合においては、新しい法案のほうに甘味法の審議会をあるいは必要とすれば移して、総合的に重要な必要事項は審議会の意見を徴し、十分機能を活用して、ガラス張りの中で国民の各層の意見を反映させるということは、当然必要であるというふうに考えるわけでございますけれども、この点については、従来の運営上、われわれとしては不満とする点もあるのでございますからして、大臣の御所見を明らかにしてもらいたいと思います。
  233. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 甘味資源特別法による甘味資源審議会だったわけでございますが、このたびこの法律が通過いたしますならば、砂糖に関しても、いろいろの問題をこの審議会にはからなくちゃならぬと思います。いまお話しのように国内産糖合理化目標価格及び輸入糖の安定上下限価格等をはかるのはもちろんでございますが、その他重要事項、こういうものがありますので、重要事項についても、甘味資源審議会意見を聴取することといたしたいと考えております。同時に、出産面の問題、いまお話がありました最低生産者価格等につきましても、重要事項と考えておりますので、この甘味資源審議会というものをより一そう活用するといいますか、重要視して、こういう最低生産者価格等につきましても、甘味資源審議会意見を聴取する、こういうふうにいたしたいと思っております。
  234. 芳賀貢

    芳賀委員 大体大臣の御意思はわかったわけでございますが、ただ政府案によりますと、第三条の第五項に「農林大臣は、安定上下限価格等を定めようとするときは、政令で定めるところにより、砂糖又はぶどう糖の製造、販売、輸入又は消費に関し学識経験を有する者の意見をきかなければならない。」という、これは法律の明定事項としてこういうような人物の意見を聞かなければならぬということになっておるわけですから、こういうものに必要をお感じになる場合においては、当然、正式な甘味資源審議会というものがある。あるいは必要であれば、砂糖価格審議会というものを新設して、そこで十分政府意見を示して、意見を求めるとか、あるいは審議会が調査審議して適正な意見農林大臣に建議するということにしたほうが、これは当然のことでもあるし、国民の立場から見ても、そのほうがいかにもガラス張りの中で熱意を持ってやっておるということが明らかになるわけです。ただ、大臣の御言明を明確にする場合には、若干の法律上の修正措置は必要と思いますが、この点は、政府側と委員会においてもよくお話し合いをして、必要な部分は若干の手直しをして、残余は、その法律修正と合わして重要事項という中に、大臣の御発言のあったような必要な事項については、これを政府側において明らかにするということは、審議の過程で明らかにしてもらわぬと、お祭りが済んでから、いやそうではなかったとか、考え違いということでは、他日不信感を増すばかりになるわけですから、その点の配慮はもう一度明確にしてもらいたいと思うわけです。
  235. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに三条の五項には「安定上下限価格等を定めようとするときは、政令で定めるところにより、砂糖又はぶどう糖の製造、販売、輸入又は消費に関し、学識経験を有する者の意見をきかなければならない。」これは必ずやらなければならない規定になっております。であるから、これだけで済ますかといったら、私はそうであるべきでないと思います。先ほど御答弁申し上げましたように、国内産糖合理化目標価格とか安定上下限価格、その他重要事項というものも含めて、やはり甘味資源審議会意見を聴取することが必要であるというふうに私は思いますので、これは必ずそういたしたいと思います。学識経験者の意見も聞かなくちゃなりませんが、同時に、甘味資源審議会意見を聴取するということにいたしたいと思います。
  236. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣のお考え大体わかりました。ですから整理すると、従来の甘味法にある規定は、生産面の計画とか見通しとか、そういうものは甘味法で明らかになっておるから、これはわかるわけですが、ただ甘味法から今度は新しい砂糖法案に移した、特に最低生産者価格の決定とか、今度の新しい法律にあるいわゆる安定上限下限価格の決定であるとか、それから国産糖のいわゆる合理化目標価格、これらに関係する価格面の問題、あるいは法律の運営上、目的を進める場合にどうしても必要な重要と認められる事項等については、これは審議会の意見を聞くということを具体的にする、そういうことと承知して差しつかえないわけですね。
  237. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 法律を修正するかしないかは別といたしまして、法律に書いてありますことは、学識経験者の意見を聞かなくちゃならないということでございますが、砂糖法案に移行する面がいまお話しのように相当あります。でありますので、甘味資源審議会意見を聴取するのが、生産面におきましては最低価格、また砂糖面におきましては国内合理化目標価格あるいは上下限価格その他重要事項ということで、できるだけ甘味資源審議会意見を聴取するということに約束するといいますか、約束してもけっこうであります。
  238. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうは大臣はいつもになく明快にお答えになった点もあるわけですし、以上で本日の質問を終わります。
  239. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 これにて内閣提出加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案砂糖価格安定等に関する法律案及び沖縄産糖の政府買入れに関する特別措置法の一部を改正する法律案の各案に対する質疑は終局いたしました。  次会は来たる十七日月曜日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会。