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芳賀委員 これはなると思うのです。大メーカーの場合は、
市乳と
乳製品を
同一企業の中で経営しておるわけですから、
市乳化が進めば、現在の六割、四割がそれ以上ということに当然なるわけですね。
市乳の場合には、現在
市乳の消費者
価格が一合について十八円ですから、一升ということになれば百八十円ということになるわけです。ですから、
市乳価格も大体六〇%くらいが製造業者あるいは小売り店までの経費ということで、残り四〇%が
生産者の
市乳分の受け取り
乳価ということになるわけです。これはちょうど
外国と逆なんですね。
外国の場合には、進んだところは、
市乳価格の受け取り分は、
生産者が大体六〇%、メーカー、
販売店で四〇%、それより比率が少し低いところでも五五%が
生産者の手取りで、残り四五%がメーカー、
販売店ということになっておるわけですね。
イギリスの場合は、小売りまでの経費が大体一合について四円くらいでおさまっておるわけですから、ちょうど四割しか
市乳地帯においては配分を受けない。そこで、相当多額な利潤というものが想像されるわけです。去年の場合には、一升二十円
市乳が上がった場合の配分というものは、
原料乳
生産者にも一升について三円程度の配分があったわけですが、これはこの
法律が通れば、
用途別ですから、その分には配分する必要がない。そうかといって、
市乳地域に対して急激に
乳価を上げるようなことはメーカーはしないと思うのですよ。将来的な
判断からいうと、むしろ
市乳地帯によっても、この
法律が通ったときにはある程度有利になるかもしれぬが、将来を展望した場合には、やはり
加工原料乳の
保証価格に引きつけられるという期待を
政府は持っているわけですね。——いや持っていますよ。だから区分しているわけです。そういうことを考えた場合に、この
法律というものは、将来においてはやはり乳業者の一方的な利益を守るということに帰着するわけですね。この点をわれわれは非常におそれておるわけです。
そこで、最後に
大臣にお尋ねしますが、森永乳業の社長の大野勇君と副社長の渡部伍良君が、「かゝげよ明日の
酪農・乳業へのビジョン、農林省の新
乳価対策に反対する」というものを、これはわれわれ国
会議員はもちろんでありますが、
全国の主要な
地域に全部ばらまいているわけです。森永乳業の社長、副社長の投じた一石に対して、われわれは別にそれほど影響を感じてはおらないが、しかし、
政府としては、今回の
法案を出される前は相当抵抗を受けたと思うわけです。結果的には、この抵抗によって、最終的な
政府案というものは、全く換骨奪胎といいますか、骨がなくなったのですね。バックボーンを全く失った、変形したものが出てきたことは、
大臣も残念に思っておられると思うわけです。そこで、別に国会でむきになって反論する必要もないと思いますが、こういうような反論というものは、やはり乳業界の一角において依然として相当の勢力を占めておるわけです。したがって、これにおびえて、
生産者の場合においても、
政府案を無批判に何とかこの国会において通してもらわぬと、このチャンスをのがした場合には再び時期は到来しないということで、
政府案の決定について、将来にわたる非常な問題点を批判しないで、ノーズロースで早く通してくれという運動や要請が、私
ども北海道はじめあるわけです。ですから、われわれとしては、こういう全く骨抜きになったような、森永乳業の攻撃の幻影におびえるような
法案にどれだけの期待を持っているか、このままじゃ何もならぬじゃないか、しかも
生産者の
集荷権を確立して、
制度的に
一元集荷、多元
販売の
体制というものを、少なくともそれだけでも確立するような
法律の
根拠があれば、将来
生産者の自覚あるいは力によってこれを有利に打開することはあり得るとしても、いまのような
法律のままで、一体
生産者に対してどれだけ現実の期待を
保証することができるかということを私
どもは言っておるわけです。そこで、
大臣、ソ連出発の前ですが、この森永乳業の社長である大野君と副社長である渡部伍良君は、農林省のこの
法案に対してまっこうから反対する。いまは骨抜きにしたから、たいしたことはないと思っておると思うのですが、とにかく配付された
内容は、これは反対の目標として掲げたものですから、この際、
大臣から、反対の論拠に対して若干の御意見を聞かしておいてもらいたいと思うのです。