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松浦(定)
委員 私は、そういう点を別の角度からやるというのではなしに、この事業団でやるべきだと
先ほどから申し上げておるのです。買い手のあるようなところだけ世話をするというのでは
意味がないわけであります。それは何も好んで買い手のないようなところを——いままで農地法に縛られて、農地だ農地だといって苦しんでいることは、何も農民の
責任ではないと私は思うのです。それは農民の経営の悪かったことも私は認めますけれども、原則として
制度の上からいって、これはやはり問題にしておるのではないか。そういうものを解決するために、今度はこういうものができたのだ。極端に申し上げますと、
先ほども申し上げましたように、世論は、今度の
法律ができたら、おまえたちも
土地を買ってやるんだ、そしてほしい人たちには安い値段で売ってやるんだ、だから今度はわれわれはこうだというようなことが伝えられまして、ずいぶんこれに対しては関心を持っておる者があると思うのです。いまの
局長の
お話によりますと、買い手のない
土地は買わないのだ、こういうことであります。そうしたら、買い手のない
土地、つまり、売らなければならぬというような、非常に困っておる農家はどうなるのか。別のことで
考える——これ以上のことは
考えられないと思うのです。おそらく別のことは、いままでやっておるのです。別のことをやってもできないから、今度の
法案ができた。私どもは、その点について、根本的に今度の
法案については賛成できない点がそこにあるわけです。たとえば、別の
方法を
考えるというなら、農地法を
改正して——山村の奥地地帯の開拓はどうにもならないと思うのです。そういうような
土地では、農地法を
改正して、そうして山林でも何でもするというのなら、いまの事業団ではそういう
心配をして買い手は買えないけれども、幾らでも木を植えるということならば、買い手がある。殺到してくるのです。いままではそういう
実情なんです。その農家に木を植えさせれば買い手が幾らでもあるにかかわらず、この事業団では買えないんだ、おまえたちは別なことをやっておるから生活をせよと言われても、それは今日まで至れり尽くせりだという
法律だとおっしゃると、
法律全部を適用してもなおかつどうにもならなくて、負債を重ねて、出るにも出られない、こういう実態が
現実に多くあるわけです。これは私は現地で見ておるわけです。だから、私は今度の
法律を聞いておると、もしこの
法律が出るというなら、われわれとしてはいまのところ賛成はできないけれども、もしあなた方が浮かばれるようなものであるならば
考え方を変えましょうと言って、私は回答しておる。ところが、いま
お話しのように、そういう人のために
一つもためにならない事業団だったら、これは与党の諸君でも賛成しないと思うのです。こんな買い手のあるところで、余裕のある人たち、余分な金を持っている人に、そういう三十年、三分なんという金を貸してやるというのならば、幾らでも買い手が出てくると思うのです。売り手がなくて、買い手ばかり出てくるのが、この
法案の実態ではないかと私は思う。それでは困る。買い手がない、そういうのを買ってあげましょう、だからあなた方はひとつ適当な仕事をお世話をしようというところまで親切な
法案でなければならぬ。私は、
農業基
本法の足となり、あるいに構造改善とともに歩んでいく今度の事業団ではない、こう思うわけです。そういう点で、私はどうも納得ができないわけでありますが、どうしても買えないというのならば、やはりそういう、極端に言えば熊が出るような
土地は、木を植えさせる、こういうふうな意図があってお
考えになっておるのかどうか。たとえば、農地法を来年度何とか
考えると
大臣がおっしゃっておるようでありますが、農地法が
改正されましたら、必ずそういうことになるわけです。そうしたら、いま木を植えてある山は払い下げしよう、これからどうにもならない
土地はどんどん木を植えさせておいて、払い下げする。山を払い下げて、木を売ってもうける、そういうのは、いま離農する農家ではできない相談なんです。そういうことに関連しておる。こういう
法案でありますから、しつこくものを言っておるわけであります。ですから、私は極端に申し上げますと、買い手のないような
土地でも、
農業として今日まで何十年もそこで生活しておるのであります。これが大都市周辺の、あるいは極端に申し上げますならば、
一つの会社の中でこういう問題が起きたらたいへんなことなんです。
農業というものは、
日本全体における
一つの会社仕組みの中にわれわれが生活をしていると思うのです。その中で、私どもの一部の農民だけがそういうふうに置き去りを食っていく。一部の者が、
先ほど申しましたように、構造改善で何とかなる、あるいは今度の事業団で
土地を買ってもらう。売った人も時価で買ってもらうのですから、非常にいいわけです。その算定は別といたしましても、極端なことを言えば、そういう
法律ができても、全然影も見えないような、そういう地帯におる農民のことを
考えますと、私は、思い切って、これは大蔵
大臣が何と言おうと、与党の
責任において、今日までの政治の仕組みから生じたひずみの中で苦労しておる、そういう山村における農民に対して、大いに買って——
先ほど酪農振興法の中で私は
意見は保留しておきましたが、そういう
土地が四十万町歩といわれますけれども、おそらく四十万町歩や五十万町歩ではないのです。そういう
土地を買い上げて、大草地に造成をして
酪農振興をやるということになれば、あるいはまたそこにとどまる、
共同経営なら
共同経営でとどまる農家も、私は
相当出てくると思うのです。そういうことまでお
考えにならないで、ただ今度の事業団をこのまま通せば何とかなるということでは、私は、農民はこれは非常な不信の中でこの
法案を見ていくだろうと思うのです。あくまでいま
局長のおっしゃいましたように、そういう
土地は売れないのだというならば、農地法を
改正して——おそらく来年度は
考える。農地法を
改正すれば、直ちに保有面積に対するところのあれがなくなり、あるいはまた自作でなくてもいいということになるならば、一挙にそういう問題は、町の金のある人あるいは農家の中でも金のある人が買ってしまって、木を植えられる、こういうことは明らかであります。ですから、私どもは、そういう点が明らかにならなければならないと思いますし、どうしてもいま
局長の
お話しのとおりにそういうものが買えないのだ、別だということならば、買えない
理由と、別の
理由と、それからこの
法案に適用されない
理由というものをひとつ明らかにしていただきたいと思います。