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1965-04-14 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月十四日(水曜日)    午前十一時三十八分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    宇野 宗佑君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    倉成  正君       小枝 一雄君    田口長治郎君       田邉 國男君    高見 三郎君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    細田 吉藏君       松田 鐵藏君    亘  四郎君       卜部 政巳君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       松浦 定義君    森  義視君       湯山  勇君    小平  忠君       中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇四号)  学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特  別措置法案湯山勇君外二十名提出、第四十六  回国会衆法第三四号)  学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特  別措置法案小平忠君外一名提出、第四十六回  国会衆法第五〇号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  内閣提出酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案湯山勇君外二十名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案及び小平忠君外一名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案、以上三案を一括して議題といたします。  なお、湯山勇君外二十名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案及び小平忠君外一名提出学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案の両案につきましては、第四十六回国会におきまして趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略することといたしますから、御了承願います。     —————————————     —————————————
  3. 濱地文平

    濱地委員長 これより質疑に入ります。質疑申し出がありますので、これを許します。倉成正君。
  4. 倉成正

    倉成委員 戦後、わが国畜産、特に酪農発展が目ざましく、乳牛頭数牛乳生産量増加年率のきわめて高いことは、御承知のとおりであります。これはわが国歴史の上で、また国際的に比べても、全く驚異的な現象と申さなければなりません。特にわが国農業の中で畜産が占める比重がだんだん高まってまいりまして、農業基本法のいう大きな柱として、果樹と並んで、畜産は大きな役割りを占めつつあることは、まことに慶賀にたえない次第であります。今回、農林省におきましては、従来ややもすれば手薄でありました畜産部門につきまして、酪農については酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案、また加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案など、一連酪農振興に関する画期的な法律について、正面から取り組んでいただきまして、大臣をはじめ畜産局長以下昼夜を分かたざる努力によりまして、この法律案提出していただいたことについて、心から敬意を表する次第であります。また野党におきましても、対案である牛乳法案、また学校給食に関する法律案について検討を進められつつあることは、わが国酪農の将来にとってまことに慶賀にたえない次第であります。したがいまして、私は、酪農振興全般につきまして、これらの諸法案について質疑を進めてまいりたいと思います。  そこで、まず第一は、戦後のわが国酪農現状並びに酪農振興具体策について、大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども先ほどから申し上げましたように、酪農農業基本法にいう選択的拡大中心作目であるにかかわらず、飼料値上がりあるいは乳価低迷等酪農民現状は必ずしも楽な状態でなくて、苦しい状態に置か     —————————————
  5. 濱地文平

    濱地委員長 これより質疑に入ります。質疑申し出がありますので、これを許します。倉成正君。
  6. 倉成正

    倉成委員 戦後、わが国畜産、特に酪農発展が目ざましく、乳牛頭数牛乳生産量増加年率のきわめて高いことは、御承知のとおりであります。これはわが国歴史の上で、また国際的に比べても、全く驚異的な現象と申さなければなりません。特にわが国農業の中で畜産が占める比重がだんだん高まってまいりまして、農業基本法のいう大きな柱として、果樹と並んで、畜産は大きな役割りを占めつつあることは、まことに慶賀にたえない次第であります。今回、農林省におきましては、従来ややもすれば手薄でありました畜産部門につきまして、酪農については酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法律案、また加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案など、一連酪農振興に関する画期的な法律について、正面から取り組んでいただきまして、大臣をはじめ畜産局長以下昼夜を分かたざる努力によりまして、この法律案提出していただいたことについて、心から敬意を表する次第であります。また野党におきましても、対案である牛乳法案、また学校給食に関する法律案について検討を進められつつあることは、わが国酪農の将来にとってまことに慶賀にたえない次第であります。したがいまして、私は、酪農振興全般につきまして、これらの諸法案について質疑を進めてまいりたいと思います。  そこで、まず第一は、戦後のわが国酪農現状並びに酪農振興具体策について、大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども先ほどから申し上げましたように、酪農農業基本法にいう選択的拡大中心作目であるにかかわらず、飼料値上がりあるいは乳価低迷等酪農民現状は必ずしも楽な状態でなくて、苦しい状態に置かれておることは御承知のとおりであります。乳牛屠殺件数も三十七年、三十八年には増加いたしまして、牛乳生産の伸びも従来の一五%から一〇%に低下する状態でありますし、また、わが国酪農現状は、一、二頭飼いの零細農家が非常に多い。この現状農林大臣はいかに認識し、いかなる振興具体策を有するかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  7. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御説示のとおり、農業基本法ができるまでもなく、日本食生活の問題から見ましても、農家収入の問題から見ましても、あるいはまた農業構造等から見ましても、酪農振興ということが、日本農業にとって必要不可欠だ、こういうような状況にありますことは、お話しのとおりでございます。しかしながら、一般的農業と同じように、経営体制が非常に零細である。飼料自給度が低い、したがいまして、全体として生産性収益が低いという現状でございます。一方、そういうことに対応してといいますか、国際的に開放経済体制下に入っておるところの現状でございますので、酪農も順調に進んでおるとはいえ、酪農の前途に対して相当の手を加えるといいますか、これをしなければ、酪農の進展が企図されない、こういうふうに考えております。もう私から申し上げる必要もないくらいに御承知と思いますが、第一は、いまの零細といいますか、非常に飼育頭数が小さいということでございますので、これを多頭飼育のほうに持っていく、それから自給飼料ウエートが非常に薄い、こういうことでございますので、草地造成その他によりまして自給飼料ウエートを高めていくということが、第二に考えられることだと思うのであります。第三には、流通加工面を考えていかなければなりませんので、そういう面を前進させて、価格対策が必要だと思います。でございますので、そういう意味におきまして、価格安定措置として不足払い制度等を考えて、生産性向上し、酪農が安定的に進展するささえとしていく、こういうことであろう、こういうふうに考えます。
  8. 倉成正

    倉成委員 ただいま大臣の御指摘のとおり、酪農は爆発的に伸びる可能性を有しておる、したがって、施策のよろしきを得るならば、日本農業の大きな柱になり得る、そのためには、多頭飼育あるいは自給飼料加工流通面価格対策施策を講じたいという大臣の御言明どおり、いろいろな方面に画期的ともいえるべき姿勢で取り組んでおられることに、心から敬意を表する次第でありますが、そのためにやはり一番前提となるべき問題は、生乳及び乳製品需給見通し、また貿易の自由化と関連いたしまして、乳製品輸入見通しということが、一番大きな前提条件になると思うわけでありますが、この点について、局長からでけっこうでございますから、御説明いただきたいと思います。
  9. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 御承知のとおり、日本経済が非常な高度の成長を遂げておりまして、国民の所得も非常な急速な増大をしておるということに伴いまして、消費増大を受けて、食生活改善ということが行なわれておるわけであります。そういうことから、牛乳製品需要は非常に増大をするということが見込まれておるのでございますが、今年の一月に公表されました中期経済計画試算について御説明を申し上げますと、その試算におきましては、昭和四十三年度におきます需要量は、生乳に換算をいたしまして五百四十七万トンないし六百四万トンということでございまして、石数に換算いたしますと約二千九百万石ないし三千二百万石という量でございます。生産見込み量は五百六十九万トン、石数に直しまして三千万石と見込まれておるのでございまして、昭和三十九年の——これは暦年で集計しました数字が約三百四万トンでございますから、今後さらに著しい需要増大がある。また生産見込みというものも、相当高く私どもとしては目標として持っておるということになるわけでございます。乳製品輸入につきましては、需給推移によりまして、国内需要国内生産で極力まかなうというたてまえをとっておりますが、その需要なりあるいは生産推移いかんによりましては、端的に申し上げまして、輸入増大が起こり得る場合もあり得るというふうに考えておるのでございます。
  10. 倉成正

    倉成委員 次にお尋ね申し上げたいと思いますが、畜産局はこの一年間非常に精力的な努力を払いまして、最近における酪農情勢変化に応じまして、酪農の健全な発達をはかるために、総合的な酪農基本政策検討しておるということを伺っておるわけでございますが、この酪農基本対策と今回の酪農振興法改正との関係はどういう関連を持っておられますか、大臣からお答えいただきたいと思います。
  11. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお述べになりましたように、一年ほど畜産局中心といたしまして、酪農基本方針を練らしておったわけであります。それはわが国経済高度成長開放経済体制への移行、農業構造分化等酪農を取り巻く諸情勢変化に対処して、どういうふうに酪農政策目標を定めていくかということであったわけであります。その基本的な目標の第一は、将来の需要増大に対応して、可能な限り国内での自給をはかるように生産拡大につとめる、こういうこと。第二には、飼養規模拡大等によりまして、生産性向上をはかって、近代的な酪農経営育成につとめるということ。さらに第三としては、牛乳乳製品生産処理加工、販売を通ずる合理化によりまして、国際競争力強化につとめるということ。四番目は、特に飲用乳消費は大幅に増加するものと予想され、また一方酪農経営発展からも、飲用乳生産は相対的に有利と判断されるので、長期的には市乳中心として酪農対策を考える必要がある、こういうような基本目標を打ち出したわけであります。それに対しまして、これに基づいて、具体的には、酪農近代化生乳需給の安定に資するため、国、都道府県市町村を通じて、酪農近代化計画、こういう樹立をはかって、これを実施に移す、こういうこと。また、最近におきまする酪農事情酪農をめぐる諸情勢変化から見まして、現行価格安定制度運用では不十分な面が生ずる、こういうふうに予想されるので、こうした事態に対処し、牛乳乳製品需給の安定と、酪農経営安定的発展をはかるため、加工原料乳につきまして、不足払い制度を採用するとともに、重要乳製品輸入につきましては、これを畜産振興事業団に一元的に実施せしめる、こういうことによりまして、価格制度改善強化を期する。第三に、また飲用乳につきましては、今後需要の急速な伸長が予測されるところでありまするので、同時に、酪農経営にとっても、飲用乳生産は相対的に有利と判断されるので、原料乳市乳化を促進することとして、学校給食について計画的拡充をはかる。また、収入路線整備市乳供給圏拡大措置等を推進する。また次に、酪農経営安定的拡大をはかるため、飼料生産の基盤の整備を積極的に進める。このために、国営の草地改良事業実施農地開発機械公団による共同利用模範牧場整備国有林積極的活用等を進める。また既耕地における飼料作物増産対策強化する。五としては、さらに草地地域的偏在乳牛育成部門の低収益性にかんがみて、子牛の集団育成事業強化する。こういうふうに酪農振興基本目標に即応して具体的な措置を講じ、それぞれの法律案を提案いたしまして、具体的にその方向を進めていく所存でございます。
  12. 倉成正

    倉成委員 酪振法改正の第二条の二によりますと、「農林大臣は、政令で定めるところにより、酪農近代化を図るための基本方針を定めなければならない。」となっておりますし、この酪農近代化基本方針に基づきまして、国、都道府県市町村段階において近代化計画を作成することになっておりますけれども、このような計画をつくることの必要性、また意義についてお答えをいただきたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この計画は、酪農を取り巻く諸情勢に即応しまして、国と地方公共団体と緊密な協調のもとに、次のようなことをねらいとしておるのでございます。  その一つは、地域ごと生乳生産目安を定める。そうして適地適産によりまする生乳生産安定的増大をはかっていきたい。こういうためには、一つ計画を持つことが必要であると思います。また第二には、乳牛飼養規模拡大飼料自給度向上等酪農経営改善目安を示すことによりまして、酪農経営近代化していくことに資したい、こう思っております。また、収入路線整備あるいは乳業施設適正配置等計画的に進めまして、生乳流通処理加工段階での経費の節約をはかる、こういうねらいをもちまして、これらの問題に効率的に対処するためには、地方公共団体指導力活用の上に、各段階酪農施策一貫性、それを確保したい。その上に総合的な実施を期していかなければならない必要にかられておるからであります。こういうことのために、国がまず基本方針を定める。これに即して、順次都道府県及び市町村計画を作成することとして、これら計画間の調和をはかるため認定制度を設けまして、その計画を逐次上級団体で認定していく、こういうふうなことによりまして、酪農施策一貫性総合性を実現していきたい、こう考えております。
  14. 倉成正

    倉成委員 従来集約酪農計画その他におきましては、国の方針が明らかにないままに計画が進められておった趣がございましたが、今回国都道府県市町村、関連した施策を進められるというこの大臣方針に、この御提案に対して、心から賛意を表する次第であります。  そこで、この酪農近代化基本方針の中で、近代的な酪農経営基本的目標を定めることになっておるわけでありますが、その場合の近代的な酪農経営とはどんな経営であるか、具体的な内容、またその基本目標として何を定めるつもりであるか、これは少し技術的になるかと思いますから、局長からお答えいただきたいと思います。
  15. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 今回の酪農振興法改正全体を通じます考え方の中に、近代的な酪農経営育成を通じて、生産増大なりあるいは需給の安定なりというものをはかっていく、また農家のサイドからは、所得増大向上を考えていくという考え方を持っておるわけであります。そこで、国としましては、酪農近代化基本方針を示します場合に、その一つの項目として、近代的な酪農経営基本的指標ということを示すということにいたしておるのでございますが、この場合の近代的な酪農経営と申しますのは、私どもとしては、飼養規模拡大あるいは飼料自給度向上技術水準向上資本装備高度化ということの上に立ちまして、高い生産性、特に労働生産性の高い酪農経営をさしていきたい。すなわち、酪農というものを農業経営基幹部門として営みます酪農専業経営なり、あるいは酪農複合経営をさしておるのでございます。このような近代的な酪農経営目安を、その指標一つであります搾乳牛頭数規模で示すといたしますと、これは今後さらに具体的に指標を示しますまでに検討を要する点でございますが、さしあたり私どもの考えとしては、酪農専業経営の場合には、地域によって異なりますが、十頭ないし十五頭程度酪農複合経営の場合には五頭ないし六頭程度乳牛飼養規模を持っているということが想定されます。酪農近代化基本方針におきまして定めます基本的な指標というのは、国として全国的な視野から一般的に示すべき重要な面についての経営指標を示そうとするものでありまして、ただいま申し上げました飼養頭数規模のほかに、労働生産性なりあるいは飼料自給度等についての目安を示すことにいたしたいというふうに考えております。
  16. 倉成正

    倉成委員 従来の酪農経営改善計画、また振興計画に対する助成と、今回の改正後の新しい計画制度における助成、これはどのように違っておるかということをお示しいただきたいと思います。
  17. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 まず、従来予算の範囲内で助成の方法をとってきておりますることを申し述べたいと思いますが、これらは例を申し上げますならば、諸種の乳牛導入事業、こういう事業に対して助成する、あるいは飼料作物増産事業、あるいは乳牛乳能力検定指導事業、あるいは畜産経営拡大資金融通事業、あるいは乳牛施設資金融通事業、あるいは乳牛基幹作目とする農業構造改善事業助成をしておるのでございますが、これは特別の事業として実施したわけではありません。一般酪農振興施策重点的運用によりまして、これらの計画実施に対して助成してきた、また、事業実施対象地域をこれらの計画樹立地域制度上限定してきた、こういうことで助成をしてきたのであります。今後の助成につきましては、今度新しい計画ができますので、その制度に基づきまして、諸計画実施重要性にかんがみまして、従来にも増して一般酪農振興施策重点的運用による助成強化してまいりたい。すなわち、従来と変わって——ということは、従来よりは計画性に基づいての助成をして、その助成の濃度も濃くするといいますか、強化していく、こういうような方針でございます。
  18. 倉成正

    倉成委員 学校給食の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども学校給食制度が始まりましてから今年に至るまで、大幅に学校給食制度発展しつつあることは喜びにたえないわけでありますが、今後の酪農振興を進めていく上において、学校給食というのはやはり大きな酪農振興の柱になると信ずるわけであります。酪振法改正の第二十四条の三におきまして、学校給食供給目標ということをはっきり明文化されたことは、大きな前進であると思うわけでありますが、この学校給食に関して、従来の経緯と、今後どういう方針でこれをお進めになるつもりか、御所見を承りたいと思います。
  19. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 牛乳学校給食は、御承知のように、昭和三十二年度に始まりましてから、それから需給調整措置といたしまして、余剰学校給食に供給する、こういうたてまえで実施してきました。しかし、なま牛乳学校給食をするということが、酪農面からいえば消費拡大でもありまするし、また児童生徒の体位の向上という面から考えましても、余剰牛乳学校給食をやるという考え方昭和三十九年度からは改めまして、継続してなま牛乳によって学校給食を行なっていこう、そうして逐年その量も増していきたい、こう考えまして、昭和三十九年度におきましては四十万石でございましたが、本年度は七十万石を計上いたしておる次第でございます。これも全面的に脱脂粉乳によらず、なま牛乳による学校給食にいたしたい、こう考えまして、飲用乳重点酪農施策の重要な一環としてこの問題を取り上げまして、おおむね昭和四十五年ごろを目途といたしまして、需給事情を勘案しながら、できるだけすみやかに牛乳学校給食完全実施をはかる、こういうような方針で進めておる次第でございます。
  20. 倉成正

    倉成委員 学校給食につきましては、余剰乳処理というような面から、これを計画的に実施していくという方針は、私ども賛成でございますが、御案内のように、学校給食補助金をめぐりまして、生産者の手取り、また父兄負担問題等で、必ずしも円滑にいかない向きが従来あったかと思うわけでございますので、今後はひとつ文部省と農林省と積極的に緊密な連絡をとられまして、この制度がますます発展してまいりますことを希望する次第であります。  次に、草地改良関係に入ってみたいと思うのでございますが、わが国酪農飼料面で非常にウィークである、弱いという点は、識者がひとしく指摘するところでございますが、このために、粗飼料はもちろん、濃厚飼料についても多額の輸入に仰がなければならないという現状でございますが、この飼料の今日の現状、それから国内飼料自給対策はいかが考えておられるか。と同時に、御案内のように、今日濃厚飼料が非常に足らないといいながら、最近農林省グリーンレポートによりますと、自然条件による作付不能のものを除いて、百五十九万ヘクタールの冬砂漠と申しますか、裏作のない地帯がございます。これは全耕地の三一%ということでございます。これは麦作の問題と関連するわけでございますが、こういう問題、足らないけれども土地が遊んでおるというような問題は、非常にゆゆしい問題であると考えるわけでありますが、これらに対して、飼料に対する基本的な考え方具体策ということについて、大臣にお伺いします。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 詳しくはまた事務当局からも御答弁いたしますが、先ほど申し上げましたように、飼料輸入飼料依存度が非常に高い。これを是正していくことが必要だろうと思いますので、草地造成等を強く推し進めて、自給飼料ウエートを高めていきたい、こう思うわけでございます。特に濃厚飼料の問題でございますが、国内におきまして、この濃厚飼料増産につきましては、現在隘路が少なくないのは御承知のとおりでございます。そういう事情でありますので、飼料需給安定制度運用によりまして、流通飼料全体の供給確保価格の安定をはかろうとしておりますけれども、何としても長期的には国内産の濃厚飼料増産が重要であります。麦類等につきましては、生産性向上栽培省力化、そういう観点から、栽培法改善飼料用品種育成をはかっておりまするし、イモ類につきましては、飼料用品種の普及と、貯蔵、加工法等について改善措置を講じていくことにいたしております。イモ類はこういうことで相当生産ができると思いますが、問題は麦類でございます。特に裏作の放棄が百六十万ヘクタ−ルあるというふうにもなっております。そういうことでこれを解消していきたい、これはなかなか言うべくしてむずかしいとは思います。しかし、ことしの予算等にもありますように、大型の農業機械等を利用する集団栽培を進めまして、栽培方法の改善をはかる、こういうことを考えるとともに、飼料としてできるだけ高い、生産性のある品種の育成につとめる、こういうことでないと、やはり価格の問題もございます。そういうことでございますので、飼料としても生産者が採算がとれるというような生産性のある品種の育成をしていきませんと、共同の集団栽培等を奨励いたしましても、所期の目的になかなか進まぬじゃないか、こういうふうにも考えております。しかし、いずれにいたしましても、飼料用麦作の増大を以上申し上げましたような方法によって進めていきたい、こういうふうに考えております。
  22. 倉成正

    倉成委員 いわゆる冬砂漠というようなことばが出ております麦類の休閑地の問題、これは大臣の御指摘のように、経済ベースに乗らないということ、また労力不足の問題等ございますから、これはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、耕地の三一%にも及ぶような、こういう砂漠地帯ができるということはゆゆしい問題でありますから、これはひとつ今後積極的にこの問題に取り組んでいただきたいと思うわけであります。  そこで、草地改良を積極的に進めていくということは、今後のオーソドックスな意味においての飼料対策であろうかと思うわけでありますが、何と申しましても、草地改良は一朝一夕にできるものではないし、かりに草地改良をやりましても、しばらくすると、またさらに手を加えなければならないという性質のものでございますから、相当な国の助成が必要になってくる。同時に、わが国のように、地形が地域によって非常に違うところ、また僻地であるとか、離島であるとかいうところで草地改良をやろうといたしますと、どうしてもある程度採択条件を引き下げなければならないという問題が現実の問題として出てくると思うのでありますが、これらの点についてどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに草地造成につきましては、いまお話しのようなことが多いのでございます。採択基準の問題あるいは補助率の引き上げ等が伴いませんと、なかなか思うように草地の造成もできないということを私どもも痛感しておりますので、今後ともそういう点につきましては検討いたしたいと考えております。  なお、小規模草地改良事業の採択条件でございますが、現在は自給飼料を基盤として利用される一単位としての草地面積や、高率利用をはかるための機械の稼働面積等を勘案して、地区面積十ヘクタール以上、一団地の面積は一ヘクタール以上としてございます。公共事業としての性格上、採択基準の下限をこれ以下に引き下げることは困難と考えられますが、部落近傍の里山等を利用するという地域もありますので、今後の利用開発の方途につきましては、なお十分検討することにいたしたいと思います。
  24. 倉成正

    倉成委員 草地改良拡大のためにやはり一番大きな役割りを果たすのは、国有林野の積極的な活用ではないかと思うわけでありまして、この問題は、安易にただ国有林野を開放するという考え方は排さなければならないと思うわけであります。何と申しましても、国有林野の国土の中に占める面積が非常に広いという現実のもとにおいて、これを合理的に活用する必要があろうかと思うわけでありますが、これらについていかなるお考えをお持ちであるか、お伺いしたいと思います。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに、草地の改良事業、特に国営でやろうというようなときには、場所がありません。国有林野を活用するということが最も適当であり、そういうものを充てませんと国営の草地造成ということができないかと思います。でございますので、国有林の積極的活用ということには十分心を用いて、これを使っていきたいと思います。ただ、国有林につきましては、保安林というような面もございますし、治山治水という面もございますが、しかし、最も草地造成に、ことに大規模草地造成に適しておるのは国有林でございます。できるだけこの活用をはかっていきたい、こう思います。
  26. 倉成正

    倉成委員 今度酪振法並びに土地改良法を再度改正いたしまして、大規模草地の造成事業を国営で行なおうとした理由はどういうものであるか、これは局長からでけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
  27. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 今回土地改良法の一部を改正しまして、国営並びに都道府県営の草地改良事業の手続規定を整備いたしましたのは、前回の土地改良法改正におきまして、農用地造成事業の中に草地の造成を含めて改正をいたしました点があるわけでございます。その際の法律制度のたてまえは、多数の個人有地の共同的な農用地造成ということのために道を開いたのでございますが、日本現状におきまして、大規模草地の造成を行ない共同的に利用する、公共的な利用に供する草地の造成を行なうという場合には、その草地ないし造成後の草地の管理は、農協あるいは地方公共団体による公的な管理にわたるものが多いわけでございます。そういう草地の国営ないし都道府県営に関する手続規定は、前回の改正ではおおい尽くされていなかったのでございまして、今後、簡単に申しまして、公共草地の造成ということのために今回の改正をはかることにいたしたわけでございます。
  28. 倉成正

    倉成委員 飼料対策と並んで、酪農振興のために今日の時点において一番大事なことは、価格対策であろうということは、先ほど大臣が御指摘になったとおりであります。この点につきましては、加工原料乳について不足払いをやろうという制度を今回提案されておることは、まことに画期的な制度であり、大臣はじめ関係者の御努力を多とするものでございますが、この不足払い法律案を拝見いたしますと、加工原料乳に限っての不足払いということになって、全生乳は対象としていない。その点について、飲用乳地帯において多少恩典が薄いというような誤解があるかと思うわけでありますけれども、この点についてはどうお考えになるか。この制度が全生乳を対象としなかった理由、また飲用乳地帯にどういう関連を有するかということについて御説明をいただきたいと思います。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに、そういう危惧の念といいますか、そういうこともありまするし、私どもこの法案を出すのに相当検討をいたしたわけでございます。飲用乳価格でございますが、今後飲用乳需給は堅調に進むであろうという見通しでございます。そういう見通しでございますので、需給に応じて形成されまする価格水準でございますが、その水準は、加工原料乳に比べまして、相対的に見ますならば高いものになる、こういうふうに見込んでおるのでございます。また、今度出しました法律案におきましては、従来の混合乳の乳価で取引をしたことを、用途別の取引に改める、こういうことを前提といたしております。でありますので、飲用乳の有利性がなお確実になるだろう、こういうように期待されますので、飲用乳のほうを除外したといいますか、飲用乳は含まなかったのでございます。  それから一方、加工原料乳価格につきましては、乳製品国内価格が、国際価格に比べまして一般に割り高な水準にあります。そういうような水準にありながら、加工原料乳に対して支払い得る価格が、その再生産を確保するに困難な水準にある、こういう現状でございますので、加工原料乳につきまして財政上の援助が必要である、こういうふうに考えられたわけでございます。このことは、主要加工原料乳地帯の多くが、今後とも酪農基幹作目として農業振興をはかっていくことを必要とする地帯であり、かつ、これらの地帯が飲用乳の将来における供給源として期待されている地帯もある、こういうことにも着目いたしたのでございます。このような立場から、本法案におきましては、加工原料乳のみにつきまして不足払いを行なおう、こういうものでございまして、飲用乳を含めて全生乳について不足払いを行なうというのは、現段階においてはまだ適切であると考えられない状況であった、こういうふうに考えました。  なお、技術的にいろいろな面もございますが、そういう面につきまして必要がございまするならば、畜産局長からお答え申し上げます。
  30. 倉成正

    倉成委員 酪農地帯が流動化しつつある、原料乳地帯といっても、だんだん市乳地帯に移行しつつある、また、原料乳地帯が子牛の生産の基地になっておる、そういう御説明であったと思うわけでありますが、大臣の御説明を了といたします。  加工原料乳法律の第一条の中には、「当分の間」ということばが出てまいりますし、法律の題名が暫定措置法ということになっておるわけでありますが、なぜ当分の間あるいは暫定措置という名前をつけられたか、お伺いしたいと思います。
  31. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 牛乳生産近代化して、生産性が上がり、コストが低下する、こういうことをねらいとしてということでございまして、別に当分の間とか暫定措置というから何年間と期限を切ってのことではございません。ねらいが、生産性向上近代化というねらいとにらみ合わせてということで、特に重大な意義を持った字句ではない、こういうふうに私は思っております。
  32. 倉成正

    倉成委員 次に、この法律の中で非常に大きな問題であり、またむずかしい問題であろうと思いますのは、第五条に掲げてあります、都道府県知事の指定を受けた生産者団体、この団体を通じて補給金を交付するということになっておるわけでございますが、この生産者団体を通じて不足払いをいたす意義はどういうところにあるか。また、私も全国各都道府県の現在の状態を調べてみますと、それぞれの団体があり、非常に入り込んでおる。したがって、従来の取引関係は、それぞれ各メーカーを通じて、いろいろな理由があって、歴史的、社会的ないわく因縁があって、今日までやってきたものと思うわけでありますが、この制度実施によっていろいろな混乱が起こったりなにかする心配はないかどうかという点について、どういうお考えであるか、伺いたいと思います。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 酪農民相互間の公平というものを確保して、この制度の円滑な実施をはかるためには、生産者団体の段階乳価のプールを行なうということが必要でございます。このプールをどういう範囲で行なうかということでございますが、現状において乳価がおおむね県単位で同一水準であることから見まして、原則として県単位で行なうことが、現状に最も即して適当なことである、こういうふうに考えられるのであります。したがいまして、本制度におきましては、乳価プールを行なう機構として、県単位に生乳生産者団体を指定することといたしたのでありますが、一方、全酪農民不足払いを受け得るよう、指定を受ける基準といたしまして、その区域内のすべての生乳生産者が加入できるように、員外で加入できて、かつ、員外利用もなし得ることを要件の一つとして団体を指定するということが、この本制度の趣旨に反するというふうには考えておらないのであります。また、その団体の指定にあたりまして、実態と著しくかけ離れることがないように、地域の自然的、経済的事情等の実態を十分しんしゃくしていきたい。そして乳業者の過去の実績にも留意して、これらの経験を生かしつつ、円滑な実施をはかるように配慮してまいりたい。過去の乳業者の実績もあります。しかし、実績が不合理的なものにつきましては、これは是正をしなくてはなりませんけれども、やはり実績としての存在といいますか、理由といいますか、そういうものがあるのでございますので、この過去の実績もよく留意して、その経験等を生かしていく、こういうような方針でございます。
  34. 倉成正

    倉成委員 ただいまの大臣の御説明了といたしますが、これは地域によって非常に差があると思いますので、ひとつ十分現地の指導をやられまして、無用の混乱が起こらないように御配意をいただきたいと思います。
  35. 濱地文平

    濱地委員長 一時三十分から再開することといたしまして、これにて休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後一時四十九分開議
  36. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。倉成正君。
  37. 倉成正

    倉成委員 質疑を続けさせていただきます。  大臣の御都合もあり、また松浦委員からの御質疑もあるようでございますから、少し急がせていただきたいと思います。  指定生産者団体について、若干補足的に質問させていただきたいと思います。これは一応県単位になっておるようでありますけれども、これをもう少し牛乳流通範囲を単位としたらどうか、あるいは全国的な段階を考えるべきではないかという議論がございますが、この点は局長からでけっこうですから、御説明いただきたいと思います。
  38. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 不足払いをいたします場合の生乳の委託販売機関というものを県単位に現在は考えておるわけでございますが、その理由は、先ほど大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、現在の乳価の取引の実態が、ほぼ県単位に取引価格水準において同一であるということに着目したものでございます。でございますが、さらに広域の牛乳圏において指定生産者団体を設けたらどうか、あるいは全国的な単位での指定生産者団体を設けたらどうかという御意見のあることも伺っておりますが、府県を越えますと、現在の段階では乳価の取引価格水準が異なる。全国的ということになりますと、さらに大きく価格差があるということでございまして、乳価のプールということが実際問題としてきわめて困難である。また現状において、指定生産者団体となるべき実体というものが少なくとも見当たらないという事実がございますので、今後牛乳の受託販売をいたします農業団体が組織を強化いたしまして、生乳の取引圏というものに応じた組織ができますならば、あるいはまた全国的な団体が、少なくともある県もしくは数県の生乳についての取引について主導的な位置をとるような事態が起こりますれば、現在私どもが提案をいたしております法律案考え方に基づきましても、知事はその団体を当該県の指定生乳生産者団体として指定し得るわけでございますので、これはむしろ酪農家の間における共販組織の強化の実態に即して考えていくほうが妥当であろうというふうに思っているわけでございます。
  39. 倉成正

    倉成委員 さらに第七条関係で、県の区域の中で、「その区域の自然的経済的条件に照らして、これにより難いと認められる場合」という、この「自然的経済的条件」というのは、具体的にはどういうものかということが一点。もう一点は、「当該区域内生産生乳の数量が農林省令で定める相当の割合」という。この「相当の割合」というのは、具体的に何か、この二点についてお答えいただきたいと思います。
  40. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 法案の第七条第一項一号のカッコ書きにあります「その区域の自然的経済的条件に照らして、これにより難いと認められる場合」ということは、同一都道府県の区域内にある地区でございましても、ある区域は、山脈あるいは海洋等によって自然的な位置が画然と隔てられておる。しかも生乳取引の市場として全く違った市場圏をなしておる。具体的には、乳価の取引基準あるいは生乳消費の実態が全く違うというような条件の場合には、これを同一の価格プール区域とすることは適当でないという判断から、そういう特殊な場合に区域を分かつというふうに考えておるわけでございます。
  41. 倉成正

    倉成委員 第十一条にございますいわゆる保証価格というのは、どういうふうにして算定するものかというのが一点と、もう一つは、この保証価格の算定にあたっては、米価のように生産費・所得補償方式で算定すべきではないかという意見が一部にあるやに聞いておりますが、この点についてはどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 保証価格価格水準といたしましては、主要な加工原料乳地帯におきます生乳生産費を補償することを旨として算定する、こういうことが現段階では適当であると考えまして、そういう基準で算定いたしたいと思っておるのでございます。  ところで、米価のように生産費・所得補償方式をとらない理由は何かというお尋ねでございます。米のように生産体制といいますか、それがまだ酪農におきましては確立しておりません。そうしてまた成長過程でありますから、できるだけ生産費を低下するような酪農及び乳業の合理化を進めていきたいと思うのでございますが、これが不十分でありまして、まだ国際競争力に乏しい状態であります。また、牛乳及び乳製品需給も流動的な現状でございます。でありますので、こういうまだ安定した生産状況でないときに生産費・所得補償方式をとるということになりますと、間々非効率な生乳生産におちいりやすい、牛乳及び乳製品需給の不安定も招きやすい、こういうことでございますので、再生産を確保するということで価格水準をきめていくほうが現状に適しているのではないか、こう考えます。もう一つは、乳製品の自由取引の上に立って政府がこれを保証しようということで、米の場合のように、専売のように政府が買い上げて、そうしてそれを配給する、こういう一つ制度にまでまだいっておりません。そういう状況等を勘案いたしまして、いまのところでは、再生産を確保する、こういう基準が適当であろうか、こう考えております。
  43. 倉成正

    倉成委員 保証価格の算定にあたりまして、主要加工地域生産費によるということになっておりますけれども、これは具体的にはどういうことになるか、局長からでけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
  44. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 加工原料乳生産費ということは、実は厳密にはないのでございます。生乳は飲用向けと加工向けに消費されるわけでございまして、結果的に加工向けに充てられた生乳が出るということになるわけでございますから、厳密には原料乳生産費というものはない。でございますので、その場合に、原料乳の再生産を確保していくという考え方に立ちます場合には、われわれのこの法案で考えておりまする考え方としては、主要な加工原料乳地帯——現在まで私どもが考えておりますことは、過去一定期間加工向けに消費された量が過半数を占める都道府県における生産費を考えておるということでございまして、現在までの資料によりますと、北海道その他内地六県の生産費をこの際保証価格の算定基礎となるべき生産費に充てたいと考えております。
  45. 倉成正

    倉成委員 不足払いの最高限度が農林大臣が定める数量ということになっておるようでありますが、これをきめた理由についてお伺いしたいと思います。
  46. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 今回の法案の中で、不足払いの対象の数量について限度を設けることにいたしておりますが、もともと、この考えられております制度は、国の財政負担による不足払いを通じまして、生乳の安定的な生産拡大をはかろうというものでございまして、生乳生産者に対しましては合理的な供給の指標を与えるという意味を持たせ、また、効率的な生産という観点から、過剰生産を自主的に調整をする体制を整えるための目標という二つの意味をあわせまして、不足払いの行なえる限度として、農林大臣が一定数量を定めることが妥当である、不足払い等国の財政による補正援助の方式につきましては、やはり社会的な事情との関係における制度的なワクというものが必要であるという考え方で、この一定数量というものを定めることにいたしておるのでございます。
  47. 倉成正

    倉成委員 ただいまの保証価格に関連して、この不足払いの仕組みというのが一応法律にあるわけでありますけれども局長から少しわかりやすく、不足払いの仕組みというものについて説明をいただきたいと思います。
  48. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 不足払いの仕組みにつきましては、先般の補足説明で一応御説明申し上げたのでございますが、今回の法案考え方としては、不足払いの対象となるものは、加工原料乳であるということが第一のスタートに相なります。その加工原料乳について、生産者に対してはいかなる価格水準を保証するかという問題が保証価格でございまして、その保証価格の算定は、ただいま申し上げました主要原料乳地域における生産費を基準として考えられる再生産可能な価格水準を保証する。一方、加工原料乳を保証しようといたしますると、おのずから現在の混合乳価取引というものを改めて、用途別の価格取引をしなければならないことになるわけでありまして、これはあとで御説明いたします指定生乳生産者団体と乳業者との間で用途別取引を行ないます場合に、加工乳についての取引の価格水準をどうするかという問題が起こりますので、その価格をこの法案考え方では基準取引価格といっておるわけでございますが、その基準取引価格というのは何から算定をするかといいますと、乳製品の市場実勢からはじきます安定指標価格というものを乳製品価格水準として、それと加工採算価格というもので基準取引価格を定める。そういたしますと、先ほど来の大臣の答弁にもございましたように、基準取引価格が出産費を保証するような価格水準にならないということになりますので、その差額を不足払いとして、生産者団体を通じて農民に交付するという仕組みになるわけでございます。乳製品の安定指標価格というのは、これは過去の——過去といいますか、過去から現在に至ります乳製品の市場実勢というものに基づいて算定をするという考え方をとっておるわけでございます。その不足払いの金は、現存します畜産振興事業団が、都道府県知事の指定する生乳生産者団体を通じて農民に交付する。事業団に対しましては、その財源として国から交付金を交付するということにするわけでありますが、別に事業団が行ないます外国からの乳製品輸入による売買差益が出ました場合には、その差益を不足払いの財源の一部に充当することができるという仕組みにいたしておるのでございます。
  49. 倉成正

    倉成委員 価格制度について、最後に一つお尋ねいたしたいのは、乳製品及び生乳価格の安定、またこの価格水準の問題は、酪農民にとってのみならず、消費者にとっても、非常に重要な関心を持つことだと思うわけでありますが、特に消費者の立場に立って、この制度と相まって、乳製品あるいは生乳価格というものをどういうふうにお考えになっているか。この点はひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 乳製品価格の安定ということは、酪農民、乳業者はもちろんでございますが、消費者には特に強く望まれることだと思います。お話のとおりでございます。で、いまやっておりますように、畜産振興事業団により指定乳製品等の売買操作を行なっておるのでございますが、これを従来よりも一そう弾力的、機動的に行なうということにいたすつもりでございますが、さらに、同事業団によりまして乳製品輸入の調整を行なわせる、このことによって需給及び価格の安定が一そう増してくる、こういうふうに考えます。また、今後この事業団の売買操作の価格基準となる安定指標価格でございますが、これにつきましては、国内におきます乳製品需給実勢に基づきまして、かつ、酪農及び乳業の合理化の進展の度合い等を参酌いたしまして、消費の安定に資するように価格を決定し得るような体制に進めていきたい、こう思っております。
  51. 倉成正

    倉成委員 生乳についての問題、局長からでけっこうですから、お答えをお願いします。
  52. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 生乳につきましては、乳製品と異なりまして、これは各地域における需給事情によって価格形成が行なわれておるわけでございます。そういう意味では、地域商品の性格を強く持つものでございます。でございますので、飲用牛乳価格の安定ということは、一面から申せば、生乳の供給を需要側が求めるだけ供給する、需要者が必要なだけ供給をするということが、本質的には価格安定になるのだと思っているのでございます。ただ、日本の飲用牛乳につきましては、たびたび当委員会でも御指摘がありますように、末端における価格は相対的に割高な事情にあるということでございますので、今後牛乳処理なりあるいは流通段階におきます合理化というものを通じまして、流通コストというものの節減をはかっていかなければならぬ。私ども、実はその点について、関係者あるいは学識経験者によります研究を進めておるのでございますが、今後の課題といたしましては、流通過程におきます小売り店舗の配達の適正化の問題でありますとか、あるいは容器の大型化の問題、あるいは店頭販売の普及の問題、隔日配達制の採用等、そういう一挙にはいきかねる問題でございますが、順次消費者の理解も得つつ、流通過程の合理化をはかるということによって、価格の安定をはかっていきたい、また、そういう価格の安定をはかることによって消費の増進を伴い、したがって、総体的な生乳の販路が広がるということで、生産者にも益するところが多いはずであるというふうに考えております。
  53. 倉成正

    倉成委員 この制度生産者にとって大きなプラスをすることは間違いありません。しかし、相当国が財政負担をし、また酪農生産物の需要拡大という意味から考えて、やはり消費価格の安定ということは、今後十分考えていかなければならない問題だと思うわけであります。ただいまの局長の御答弁の中にありましたことをさらに積極的に進めていただきまして、この点にも十分配意をしていただくように希望いたしたいと思います。  次は、輸入一元化の問題と関連いたしまして、この法律の中に、事業団をして輸入一元化の考え方が入っておるようでありますが、酪農製品の自由化に関する政府の基本的態度について、大臣からお伺いしたいと思います。
  54. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 畜産振興事業団によりまして、指定乳製品等を一元輸入をするということが酪農自由化前提じゃないか、自由化していくためにそういう処置をとるのじゃないか、こういうように世間で言っている向きもあります。しかし、それとは反対でございます。いま御承知のように、自由化しておるのは酪農乳製品の一部でございますが、生鮮ミルクとか、一三%未満のクリーム、ナチュラルチーズ、精製乳糖、ミルクカゼイン、こういう一部を除きましては、大部分が輸入制限を継続しておる次条でございます。また、酪農は申すまでもなく、わが国農業生産選択的拡大部門の大きな部分を占めておる一つといたしまして、今後振興をさしていかなければならない部門でございます。ところが、酪農及び乳業の歴史は諸外国に比べて浅い。競争力もまた十分でない、こういうことでございますので、私ども加工乳につきましての不足払い制度を採用して、指定乳製品国内における需給操作との関連を考えて、価格安定事業の円滑な運営を確保する。そのためにいまの指定乳製品等につきまして、畜産振興事業団による一元輸入の方式も考えておる。これがまた不足払いの財源の一部にもなりますけれども、そういう意味で、畜産振興事業団による指定乳製品の一元輸入を考えておるわけでございますので、これによって自由化をする前提だということは全然ございません。やはり輸入制限は依然として続けていく、こういう考えでございます。
  55. 倉成正

    倉成委員 畜産事業団による指定乳製品の独占輸入をガットとの関係はどうなっておるか、お伺いしたいと思います。
  56. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 畜産振興事業団による指定・乳製品等の独占輸入ということは、これはいわゆる国家貿易に当たるわけでございまして、これが現在ケネディラウンドという中で、ガットの問題が論議されておるのでありますが、そういう場で抵抗が起こるということも予想されるのでございます。ただ、これらの重要乳製品というものは、現在ほとんどすべての輸入国が残存輸入制限品目として、事実上輸入を制限いたしておるという事実がある。また、わが国が今回とろうとしております制度は、決して貿易の実績というものが特別に阻害されるといった実態のものではない。それから今後とも需給及び価格の安定上必要なものについては輸入をするのだという方針であること、それから国内的には、財政負担によりまして、不足払いなりあるいは需給操作という価格安定事業が行なわれるわけでございまして、それらの制度との連係をもって運営されるたてまえになっておること等から、私どもとしては、諸外国もこれらに対して納得してくれるものと期待をしておるのでございます。
  57. 倉成正

    倉成委員 冒頭に申し上げましたように、わが国酪農現状にかんがみまして、農林大臣以下農林省御当局が意欲的にこの問題に取り組んでおられて、おそらく、加工原料乳のこの法律その他一連法律が成立いたしましたならば、わが国酪農歴史の上に一ページを飾るものと確信するわけでございますが、しかしながら、これから先一連の行政指導あるいは予算の裏づけ等、相当まだまだ今日の現状からいたしまして問題がたくさんあると思うわけでありまして、全国の酪農民が大きな期待を持って見守っておる次第でありますので、大臣はひとつ勇気を持って酪農の問題にこれからもお取り組みいただきたいことを希望いたしまして、一応私の質問を終わらしていただきます。
  58. 濱地文平

    濱地委員長 松浦定義君。
  59. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 今度の国会で、農林水産委員会としては、非常に重大な問題が二、三点残っておるわけであります。そこで、酪農振興法、あるいはまた加工原料乳生産者補給金等暫定措置法案、あるいは農地管理事業法案、こうした問題が最終的な問題として論議をされるわけでありますが、実は昨日の農地管理事業団の審議の場合は、与党の第一人者である吉川委員が質問に立たれたわけであります。私ども初めての法案でありますから、終始一貫、与党であっても鋭い質問をされるだろうと思うし、あるいは政府側としても、そのことについては十分な御答弁があろう、こう思いまして、実はほとんど定員の八割まで私どもは最後までいたわけであります。しかし、今日になりますと、同じ与党の委員であっても、倉成委員の質問は、私は非常に敬意を表している一人であるだけに、終始一貫われわれとしてもできるだけ出席したわけであります。どうも見てまいりますと、出席率が悪い。確かに国会最終ということでありますから、いろいろ問題はありますけれども、少なくとも与党を代表し、あるいは野党を代表してでも質問する場合に、初めて入る質問でありますから、これが最終的になればそれぞれ多岐にわたる質問もあろうかと思いますけれども、初めと終わりだけはきちっと、法案というものについて審議を進めてもらわなければならぬと思います。こういう点、出席率について、委員長の責任においてこれから善処してもらいたいと思います。
  60. 濱地文平

    濱地委員長 よく承りました。善処いたします。
  61. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 実は私も、酪農振興法の今度の一部改正については非常に関心を持っている一人であります。原料乳地帯におりますだけに、二十九年にこの法律が成立いたしましてから今日までの行き方については、生産者の立場あるいはそれぞれの立場から重要視してまいりましたが、三十七年にこの一部改正がされたわけであります。そして今度四十年にさらに一部改正ということでこれが出てきた。したがって、私は、改正されることは、当時から野党の意見が盛られないままに出てきます法案相当ありますから、これがだんだんとそのことによって改正されることが早くなることは、これは私は非常に関心を持っておることであるし、希望もしますが、場合によりますと、これが前進しないでうしろ向きになるような改正もあるわけであります。  特に今度の場合で、非常に痛切に感じます点を一点申し上げますと、この目的について明らかにしておりますが、現行法、まだ改正されておりません現行法の目的の中では、非常に字句も短いのであります。短いのでありますが、最後に一番大事な点に触れておるというのは、「もつて酪農の健全な発達及び農業経営の安定に資することを目的とする。」こういうように結んでおるわけであります。これは確かに、酪農振興法というものが、農業全体に対して、はっきりこの条文の中の目的で示しておる。このことについては、おそらく三十八年の改正のときには、これは非常に好感をもって議論されたと思うわけであります。ところが、今度見てまいりますと、この一番最終のところにもありますと同時に、中間に、「当該酪農適地に生乳の濃密出産団地を形成する、」これは関心を持っておる人はわかるかもしれぬけれども、牛の乳を手でしぼって、そうしてわずかに二頭か三頭をしぼっておるような地帯の農家は、どうも「濃密生産団地を形成する」なんていわれますと、ちょっと説明——まだこれから聞いたり、そのことについては理解をすると思いますけれども、こういうような字句を使われておる。それから私が最も心配いたしますのは、最終にいって、「あわせて牛乳及び乳製品の安定的な供給に資することを目的とする。」こういうように結んでおる。最初は「農業経営の安定」という大目的で進んでおるにかかわらず、今度の改正では、その「農業経営の安定」という大目的をはずして、もっぱら「牛乳及び乳製品の安定的な供給に資することを目的」としている。それは少なくとも生産者の犠牲において低乳価を基本とするという疑いがこの点から出てくる。しかもまた、中間乳業メーカーの保護の立場に立っての改正であるというふうにも理解されます。したがって、消費者の側から見れば、こんなに合理化されても、価格の引き下げにならないのかといったような、そういう疑問が出てくるのですが、この「農業経営の安定に資する」ということを目的からはずして、「乳製品の安定的な供給に資する」、こういうようにお変えになった理由を、ひとつ大臣からお聞かせ願いたいと思います。この点だけ大臣からぜひ……。そのために大臣に残っていただいているのですから……。
  62. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 大臣からもお答えをいただけるものと思いますが、法律の条文の問題として、私からお答えを申し上げます。  今回の酪振法改正は、先ほど倉成委員の御質問に対してもお答えを申し上げましたとおり、日本酪農経営というものの近代化をはかっていくという中で、生乳生産増大なり経営の安定なりをはかっていくのだ、こういう思想で貫いておるのであります。でございまして、「農業経営の安定に資することを目的とする。」という現行法のこの文字を削除いたしましたゆえんのものは、今回の酪農振興法改正では、酪農自身の健全な発達を促進するのだというところに焦点を合わして、従来の農業経営の安定に資するという意味は、当時はいわゆる酪農の普及の段階にあったわけでございまして、いわば酪農農業経営部門に副次的なものとして入ることによっても、なお農業経営にはプラスになる、安定に役立つというような観点がかなり強くあったわけでございます。その点は、今後の方向としては、酪農部門としての健全な発達という点に焦点を合わそうという意識で、条文の整理をいたしたわけでございまして、農業経営の安定に資するという文字を避けたことが、酪農経営というものの発達安定ということを無視したという考え方ではないわけであります。なお、「あわせて牛乳及び乳製品の安定的な供給に資することを目的とする。」ということは、提案理由あるいは補足説明でも御説明を申し上げましたとおり、急速な牛乳乳製品需要に対して、できる限り国内での自給をはかっていくのだという酪農政策の基本的な姿勢というものを、こういう形で安定的に供給をしていくのだ、安定的な生産増大をはかっていくのだという趣旨で加えたのでございまして、その点は今回の改正の全体を通じての考え方になっておるわけでございます。
  63. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 大臣にぜひ御答弁願いたいと思いますが、私はほんとうに善意を持って質問に立っておるわけなんです。その取りまとめがあるとかないとかいうことは別問題として、実際にこの二十七年からできた酪農振興法で、あとからお尋ねいたしますけれども、やはりそれでむずかしい地域を指定して、そしていままでやっておった。しかし、そのことが成功するかしないかのうちに、今度また改正をされる。これはこまかい質問になりますと聞きますけれども、少なくとも目的というものだけは明らかにしておく必要があるのではないか。いま大臣が最初御答弁ができないということは、いかにりっぱな畜産局長がおるかということがはっきりわかるわけで、その点は、どうも酪農振興法を今日こんなにまでして改正しなければならぬのだ——しかし、これはいま言っておきますが、これを改正して、それじゃもう二年間あるいは三年も五年も十年間も改正をしなくてもいいようなお考えになってやっておるかもしれませんが、あとからお伺いします内容では、あと二、三年もたてば、どこかまた改正しなければならぬ。目的を明らかにしておらないから改正しなければならぬので、目的を明らかにしておれば、条文の内容をどんなにいろいろお変えになりましても、そのことについてはあまり文句はないと私は思うのです。だから、この目的の中で、いま言われたような局長の御答弁では私は納得できないわけであります。もしそうでないというなら、何も改正された牛乳及び乳製品の安定的な供給に資するとともに、農業経営の云々ということは、何ぼ書いてあっても、字句が長いからどうだとか、短いからどうというものではないわけなんです。私は、短いからといって、決して急所を突いておるものではないと思うし、長いから無理してこれを書いておるのだということではないわけなんです。必要に応じて書いてもらうことがいいわけなんで、どうもいまの局長の御答弁では、乳価の安定とかこれからの経営というものは、酪農家の生産を高めるというようなことで、それは何かと聞いてみますと、農業経営全体につながらないような、極端に申しますと、酪農酪農でいくのだ、あるいはまた畜産の中でも、豚は豚、綿羊は綿羊といったような形にやっていくようなことを認めるような形になる。しかし、そういう総体的のものでもって、この牛そのものについては、やはり酪農というものにまとめて今度の法律があるし、これからも改正していこうとされるのですが、そういう点では、大臣として、いま局長の御答弁のとおりであるのか、もう少し政治的に、もっとがっちりしたといいますか、一言でもってなるほどこれはわかるといったような、そういう趣旨を明らかにしていただきたいと思います。大臣の御答弁をぜひお願いいたしたいと思います。
  64. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 畜産局長に答弁させましたのは、条文の整理をしましたので、一応答弁をさしたのであります。  改正案におきまして、「農業経営の安定に資することを目的とする。」ということを削除した理由はどうか、こういうことでございます。「酪農の健全な発達」ということは、「農業経営の安定」ということでございます。このことは、全体として農業基本法等にも書いてありまして、酪農の健全な発達そのことは、一面において農業経営の安定に資する、こういうことでございますので、大きい農業基本法とかその他の農業政策の中に含まれておる、こういう段階であるということから、あえて「農業経営の安定に資する」ということを書かなくても、「酪農の健全な発達を促進し、」というそのことをもって足りるのじゃないか、こういう意味からこれを削除したということであって、このために農業経営の安定に資さないのだ、逆だ、こういうとり方は当を得てないと思います。全体として私は、農業経営の安定に資することは当然のことだ、ことに農業政策全体として、農業基本法等におきまして、この酪農の発達等が農業経営の安定に資するということが含まれておりますので、そういう意味におきまして、このたびはこのことを書かなかったということに御了解願いたいと思います。
  65. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 どうも私は、大臣せっかくの御答弁ですけれども、納得がいかないのです。もしそうだとすれば、二年前に改正になるときにその点を——私はまだちょっとそこまでは調べていませんけれども、急にきょう質問に立てと言われるものですから、あすになったら調べてまいりますけれども、だれが大臣で、だれが局長で、だれがどういう答弁をしたということで、この点を明らかにしてまいりますと、いまお話しのありましたように、「健全な発達」の中にそういうものは含んでおる、こういうのであるなら、ここで「農業経営の安定に資することを目的とする。」といわないで、何かほかに書くことがあったのではないかというふうに解釈できるわけなんです。これは大臣として苦しい御答弁のようにも思えますが、いまのお話ですと、そこまではかりに理解されるとしても、そのあとの最後の「乳製品の安定的な供給に資する」ということになりますと、私が申し上げましたように、これが酪農民だけのことでなしに、その他のものに関係する。たとえば、これは私ちょっと委員長にも申し上げておきたいことがありますが、先ほど与党の倉成委員からいろいろ御質問がありました。その中で、今度一番問題になる新乳価の問題を御質問になっておりましたが、私どもは、この酪農振興法というものはそういうものとからませたくない。少なくとも基本的なものであるから、その中からいろいろ価格問題なり不足払いなりあるいは牛乳法、こういうものが出てきたわけですから、そういうものについては随時これは質疑をするとしても、この酪農振興法にからませてそういう質問をする意思は、私は毛頭ないわけであります。したがって、こういう点につきましても、非常に幅広くそういう関連法案というものを出していかなければならぬ。こういうことになりますと、いま出てきた不足払い制度とかその他の問題についてもいろいろ議論がありますけれども、これは生産者だけの保護でないかという質問が出てきたり、あるいはメーカーの保護政策であるというふうに出てきたりするわけなんです。ところが、この目的の中にそういうこともうたっているものですから、やはり「乳製品の安定的な供給」ということになりますと、生産者だけのものではないということになるわけです。むろん、酪農振興というものは、国民食生活中心をなすものだといっても過言でないので、産業の進展のためにつくられる保護政策でありますから、それが多岐にわたることは私は十分わかっておりますけれども、少なくとも今度の提案の中で、そういう形で改正をされるその目的の短い文章の中にも、こういうものが明らかになっていないということは、私は非常に遺憾だと思うのですが、この点、いまの農林大臣の御説明では、ただ「酪農の健全な発達を促進し、」の中に全部入っているのだ、これは農業だ。確かにそういう見方をされる向きはありますけれども、いまの農業というものは、決して大臣がお話しになっておりますように酪農というものは専業的なものにならないわけなんです。それは何とかして先般提案になりました法案の中で今度の集団的な酪農振興をさせようということで、牧場をつくって多頭飼育をやらせてそれを売りつける、こういうことは法案としては考えられておりますけれども、そのことを実施するにはなかなか容易でない。そこへいくまでに現在の酪農民が倒れてしまう。こういう状態であるからこそ、この酪農興振法の一部改正をもって何とかしなければならぬということの意思はわかるわけでありますが、それにもかかわらず、このような専業的でない、零細酪農家がおるにもかかわらず、このような「農業経営発展に資する」というものが変えられたという考え方が、いま大臣のお話しになりましたような、そういう非常に拡大解釈のできるような内容ではちょっと納得できないわけでありますが、もう一度大臣から明確な御答弁を願いたいと思います。
  66. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは法律解釈もございますけれども法律解釈より政策の内容だと思います。その政策の内容が、この法律が変わったために、農業経営の安定に資さないのだ、阻害するのだというふうにお考えになられては私は困ると思うのであります。「酪農の健全な発達を促進し、」ということそのことが、農業経営の安定にも資するもの、こういうふうに法文の解釈からいえばお考え願ってけっこうで、そして「あわせて牛乳及び乳製品の安定的な供給に資する」、このことは、流通関係からいいましても、生産関係からいいましても、消費の面から見ましても、好ましいことでありますので、そういうことをやりたい、こういう目的を書いた、こういうふうに御了解願えればけっこうじゃないか、私はこう思います。
  67. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 せっかくの大臣の御答弁でありますけれども牛乳及び乳価の安定である、こういうのであるなら私はわかるのですけれども、これは乳製品でありますから、もう酪農民の手から離れて、それが製品になって、そうしたものの消流にいくまでの間の安定的なものであるということでありますから、そういう点では生産者にも消費者にも、こういう大臣のお考えかもわかりませんけれども、少なくともこの法案改正というものは、私は、やはり酪農生産者の保護的なものでなければならぬ、こういうふうに思うので、非常にくどいようでありますけれども、再三御答弁を願っておるわけでありますが、この点、私は、あくまでいま大臣のおっしゃったようなことで法案の内容全部が了承できるといったようなものではない、こういうふうに考えられまするので、十分これからの審議の過程の中でそういうことがはっきりわかるように御説明を願いたい、このように考えておるわけであります。  そして、先ほど倉成委員も御質問されておりましたが、今度の改正の中で、あるいは提案理由の説明の中にも随所に出てきておりますのは、やはり近代化ということばが出てくるわけであります。私は、このことばの表現は、最近はそういうことばがよく使われておりますから、その時代に合わせてそういうことばをつけたのだというなら別でありますけれども、少なくとも酪農振興という、こういう非常に他のものよりもむずかしい酪農経営を近代的なものに変えるということになりますと、いままでのやり方は全部非近代的なものであった、こういうふうな見解に立つというようなことも一応考えられるわけであります。しかし、そうではないのだというふうに御答弁があることは、私も十分承知はいたしておりますが、この近代化というものについての基本方針先ほどもちょっと御説明がありましたけれども、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  68. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 近代化ということばを使ったから、いままでは非近代化だ、一応そう言われればそういうふうにもとられますけれども、決してそういう意味で近代化ということばを使ったわけではございません。近代化ということをことばをかえて言いますならば、合理性といいますか、計画性といいますか、そういう一つの基準に従ってやっていくというようなことのように私は解釈いたします。でありますので、先ほど倉成さんにも答弁いたしましたが、いろいろ目安をきめておきます。それらを効率的にやっていくということで、国あるいは地方公共団体指導力をいま一そう活用いたしまして、各段階酪農施策一貫性あるいは総合性、こういうものを確保していくことが必要だ、こういう意味で、近代化ということばで包含したわけでございます。どういうことをねらいとしているかといいまするならば、地域ごと生乳生産目安を定めていく、これが適地適産による生乳生産安定的増大に相なることである、こういうふうに考えられますので、そういう目安を定める、あるいは乳牛飼養規模拡大とか飼料自給度向上等酪農経営改善目安を国等において示すことによりまして、合理的な、近代的な酪農経営が育っていくようにしたいということや、あるいは集乳路線を整備していく、乳業施設適正配置等計画的に進めていく、生乳流通処理加工段階での経費の節減をはかる、こういう一つの合理性、計画性一貫性総合性を持って指導していきたい、こういう意味でございます。近代ということばがちょっといろいろな意味にもとれますが、内容はまあそういうふうに御了解願いたい、こう思います。
  69. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 近代化といっても、どの産業にも、どの地域にも、そういうことばを使っておる。決して近代化された、いまおっしゃったようなことで全部それが大前進するというのでなしに、おそらく本法律の中でも、やはりそのときには近代化あるいはそれに沿ってやっているのだということでの御説明があったと思うのです。こういう話はずっと何十年も前からやっているのですから、決してそうでなしに、少しでも前進するために、新しい政策をこれに一つ加えるのだ、こういうふうな考え方であるなら、私は、これでもって近代化であろうと何であろうと理解をするわけですけれども、あまり近代化だからといって誇張してもらうと、いかにも今度やったことがいままでよりもずっといいのだというふうに理解されると、あとでがっかりすると思いますので、あまり字句にとらわれるなというお話でありますけれども、そういう理解をしていることを、このことについては申し上げておきたいと思います。  そこで、今度の酪農振興法の一番中心になるのは、やはり当時から問題になっておりました集約酪農地域の設定ということであったわけであります。むろん、この当時にも、この地域に指定されることによって酪農振興する、そういうことで、ずいぶん各地域に要請があり、しかもそれは予算その他の限度があって、十分ではない。しかし、やってみても、当時はなかなか熱意があったけれども、やはり牛を飼うには相当の資金が要る、あるいはまた飼っても、そんなにいい牛ばかり飼えるわけではございませんから、まあ平均以下の牛を初めのうちは飼っておる。そういうものでは採算がとれないということで、牛を飼っておる者でも、今日農業をやめて離農する人がたくさんあるわけであります。開拓地等においては、その点が非常に激しい出入りをされておるわけでありますから、今度のこの改正によりまして、先ほどもありましたが、この集約酪農地域の中におけるいろいろの問題について、あとからもお尋ねいたしますけれども、そういう点をひとつ十分考慮をしなければならぬ点があろうかと思います。  そこで、この集約酪農地域において今日やっております点については、先ほど資料が出ておりますが、多頭飼育というようなことをある程度目標としてやらなければならぬ、これは当然であります。先般もちょっとお尋ねいたしましたが、この法律改正によって今後行なおうとする地域における多頭飼育の基準は、何頭くらいをもってこれを基準としてやっておられるのか、今日の現状はどの程度のものかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  70. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 集約酪農地域制度というのは、今回の法律改正の基本的な考え方に調和するための一部の改正はいたしておりますけれども、基本的なもともとの考え方はそう変更をしておらないのでございます。従来の集約酪農地域は現在七十六地域あるわけでございまして、その集約酪農地域内における総乳牛飼養農家ウエート、あるいは乳牛の総乳牛飼養頭数に対するウエート生乳生産量の総生産量に対するウエートは、大体三八%ないし三九%ということで、約四割でございます。その地域における平均の飼養頭数は約三頭程度でございます。でございますので、集約酪農地域内といえども、それまで多頭化が進んでおるとは平均的にいえば申せないのでございます。今後の考え方としては、私どもこれからさらに研究を……(「それはおかしいじゃないか」「全国平均が三頭だろう」と呼ぶ者あり)全国平均が三・一頭でございます。平均頭数は、いま計算をやり直させておりますので、あとでお答えいたします。  そこで、今後集約酪農地帯等におきます一つのイマジネーションといいますか、目標としての平均飼養頭数をどのくらいに考えるかということでございますが、専業的な酪農を考えます場合には、これも集約酪農地域といえどもそれぞれ地域の条件が違いますので、幅を持たざるを得ないと思いますが、十頭ないし十五頭程度をこえる規模でなければ専業酪農家たり得ない。酪農を基幹的な部門として農業経営を営む混合経営あるいは複合経営の形としては、五頭ないし六頭程度をこえる乳牛飼養頭数を適当とするであろうというふうに考えております。
  71. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 どうもいまの御答弁で、全国平均が三頭一分、こういう話であります。しかし、いま集約酪農地帯外でも平均が三頭になっている。これは集酪地帯でもって、驚くなかれただ一分だけふえている。こういうような数字がもし正確であるとするなら、この集約酪農地域の指定というものは、どこに恩典があったのか、あるいは恩典ということでなしに、その目的とかあるいはまた必要性というもの等がどういうふうにあったのかという点について、一つ疑わざるを得ないようなことになるんじゃないか。少なくとも前に改正されましてから約二カ年でありますから、それからにおいてもそのことが一挙に——これは、牛なんというものは一年に何頭にでもふえるわけなんです。生産するものじゃないのです。買ってきてふやせば、いま三頭でも、五頭にも十頭にもなるのです。しかし、買いたくても、資金の面とかで買えないのです。あるいは買っても、飼料が高いとか乳価の面で、これが発展しない。こういうむずかしさがあって、三頭平均にしかならないということなら、その原因がどこにあるかということを私はお聞きしたいわけなんです。その原因のいかんによっては、この酪農振興法改正たるや、やはり将来に対して、ほんとうにわれわれがこのことについて賛成し、あるいはまたさらにこれを前進させるための努力を払っても価値があるのかないのかということすら疑われるわけでありますが、その間における今日までの指導というものは、全国平均とほとんど同じだ、ばらばらで飼っておるものと、せっかく集約酪農地域を設定したものとの平均が同じであるというようなことについて、何かそこに原因がないというわけじゃないのですが、そういう点についての原因はどこにあるか。この原因がもしあるとするならば、本改正によってこれからどういうふうにその点が発展していくか。いまお話しのように、集団地域において多頭飼育をやる場合には、少なくとも十頭ないし十五頭とおっしゃる。確かにそうだと思います。この法律改正によってそこまでいけるような内容になっているのかどうかということ、これは十分私どもとしては考慮に値しなければならぬと思うのですが、そういう点について明快なる御回答をいただきたい。
  72. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 多少明確を欠くお答えをしたのですが、集約酪農地域内におきます平均乳牛の飼養頭数は、正確に申しますと三・一六頭ということでございまして、ほとんど全国一般の平均数字と変わらないのでございます。これはどういうわけかと申しますと、数字的に申しますと、いま実は数として多頭飼育が多いのは、都市周辺のいわゆる搾乳専業家でございます。でございますので、地域的に、御配付を申し上げております資料等でもごらん願いますと、近畿でありますとか、あるいは中部というようなところに飼養頭数が高いというのは、搾乳専業家に多頭飼養の傾向がいままでは強かったということであります。それから一方、集約酪農地帯につきましては、先ほどちょっと御説明しました中にも触れておるのですが、従来は——従来といいますか、最近までは酪農の普及地域の性格が強かった、したがって、多頭飼養に進む前の段階、いわば乳牛を飼っていない農家乳牛が入っていくという段階にあったと思われるのであります。それが近来ようやく多頭化の方向に向かいつつあるということが、今日ではまだ集約酪農地域における多頭飼育の形が十分に伸びていないという姿を示しておるという理由であると思います。
  73. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 どうも説明を聞いたからといって、すぐ頭数がふえるわけじゃございませんから、議論にならない議論はあまりする必要はないかと思いますけれども、少なくともこの酪農というものは、農業基本法での選択的拡大をする一つの大きな柱になっておる。農林省、特に畜産局においては、もっぱらこの問題について精力的な努力をされておる。この点については私も敬意を表するわけであります。しかし、いかに努力されても、いかにおやりになりましても、この程度ではどうにもならぬと言っても過言でないくらいの進歩率であろうと思います。そこで、画期的なやり方をしなければいけないと思うのですが、今度の改正によってこういう問題が明確になって発展するというふうには私は考えられないのであります。私が一番心配しておりますのは、この説明の中にもありますように、この酪農がある程度発展しなかった裏には、経済の高度成長のひずみの中に置かれ、あるいはまた開放経済体制の伸展、現政府がそういう方策をおやりになっているのでありますから、その中において、この農業というものはどうあるべきかということで努力されたことはわかるわけであります。したがって、そういうような高度成長とかあるいは開放経済体制とかいったような、原料生産あるいは国内の非常に低い限度の中における産業に携わっているものにとっては、非常に不利なそういう諸情勢というものが、現在の政府のとっている方策の中にあるわけであります。だから、私は、できなかったのはこういうものであるというふうな御説明をされましても、それではなぜそういう点をそうしなかったといえば、また別ないろいろな答弁があろうかと思いますけれども、少なくとも今度の改正によってこういう点が気づかれて、そうしてこれから何とか善処しようといいますならば、少なくともこの農業構造改善——きのうも吉川さんがずいぶんやっておりましたが、与党の吉川さんですら、これは失敗であったとさえ極論されているのでありますから、やはりこういうものだけと取り組んでいるだけでは、この酪農というものは発展しないのではないか、こういうふうに私は思いますので、何かここにひとつ画期的な制度をとるべきである。先ほども申しましたように、画期的な制度が今度提案されております新乳価制度だ、こういうふうな御説明があるかもしれないけれども、私は、そういうものでなしに、やはり農家酪農生産者が、たとえばいまお話しになりましたように、三頭平均のものが五頭、十頭になるためにはどうあるべきか、こういう点をひとつ十分計算に入れておやりにならないと、一頭でも二頭でも飼えばいい——農林省としてはやはり多頭飼育が将来の目標であるけれども、現実に困るならば一頭でも二頭でもということで、ある程度貸し付けなんかをやっておられるわけであります。しかし、そのことによって、やめるにもやめられないという農家も中にあります。あるいはそれが基準になって成功している者もときたまあるわけであります。しかし、そうでなしに、やはりある程度、今度の改正のねらいというものは、土地改良法の一部改正もやるということは、牧草地、つまり大放牧地あるいはまた大採草地をつくるということも加味していると思うのですが、そういう点にもやはりこれはほんとうに熱意を持ってやっていただかなければならぬと思うわけでありますが、これからますます、この高度成長とかあるいは開放経済体制というものは、弱い農業に対しては決して私は安閑としておられない、こういうことであります。そういう変化の中で今度の改正をして酪農振興しよう、こういうのでありますが、今度の改正の一番のねらいというものがどこにあるのか。いろいろ条文の中には出ておりますけれども先ほどもお話しておりますように、全国平均が三頭ぐらいで、しかもこれが急速になかなか伸びないであろう、十頭、十五頭は適正な多頭飼育だけれどもということで、局長自身、それがいつまでにやれるのか、ちょっとやれるのかどうかということで、首をひねっておられるのじゃないか。こういうことで、また酪農家としては、この改正によって安心して最大の努力をするということにはちょっとならないのじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、こういう点、ひとつ局長から、この改正によってどういう方向にいくのだ、こういう方針についての考え方を一応明らかにしておいていただきたいと思います。
  74. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 今回の改正のねらいの第一点は、大臣からのお答えにもありましたように、国の酪農近代化のための基本方針というものを受けて、都道府県都道府県の実情に基づいて酪農近代化計画を立てる、またそれを受けて、市町村市町村の具体的な事情に応じた酪農振興のための近代化計画を立てる、集約酪農地域については、その地域の含まれる県の酪農振興のための近代化計画というものに適応した計画をもって、生産拡大経営の安定をはかっていくということにする、いわば全国的な一つの調整のもとに、計画的に酪農振興をはかり、そのための施策を総合的に行なうということが、一つ改正の大きな眼目でございます。その際、従来の集約酪農地域における酪農振興計画なりあるいは経営改善市町村における経営改善計画というのは、何らそういう全体的な目標というものなしに立てられておったという点を、国全体の牛乳乳製品需給事情、そういう国家的な見地からの方向というものを受けて、それを経営と調和させることにおいて進めていくという点にねらいが一つあるわけでございます。でございますので、その際私どもが考えておりますことは、一つは、重要な問題として、飼料自給の基盤を整備して、飼料自給度を高めていく、それからそれに応じた多頭経営、多頭飼養ということで、酪農家として酪農家らしい方向に発展をしていくということを経営者としてもめどとし、また行政指導としても、そういう方向で進めていくということを考えていく、また価格、取引の条件についても、国として、著しく不利な交易条件にあります加工原料乳については、財政をもってその不利を是正するというようなことで、長期の観点に立って日本酪農全体の近代化合理化をはかっていきたいということを考えておるわけでございます。
  75. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 今度の改正の中で、非常に新しいことばがたくさん出ておるのです。まあこれは大体読めばわかることですが、たとえば「一定地域において濃密な乳牛の飼養密度をもった生乳の供給地域育成し、」、こういうことがあったり、あるいはまた「濃密生産団地が集約酪農地域である」、こういうふうな指定の基準を設けられておるのですが、いままで指定をされているところについては、これは別に変えるとかなんとかというのでなしに、これから新しく指定をするということがある場合には、こういう制度は前とはどのような変わり方をするのかどうか、そういう点については従来と変わりがないというのか、どうなんですか。
  76. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 現在指定済みの集約酪農地域につきましては、この法律施行後二年後まで、もしくは都道府県酪農近代化計画が認定をされて公表されます時期か、いずれか早い日まで、従来どおり、従前の例によって酪農振興地域として認めていくわけでございます。新しい指定基準としましては、いろいろとまだ検討中でございまして、はっきりこういうことでということでございませんが、私ども考え方としましては、現行法が制定されましたときとは非常に事情も異なってまいっておりますので、酪農の普及率等につきましては、これは従前と変える必要はなかろうというふうに思っておりますが、そこで生産される生乳の量というものは、新しい処理加工規模拡大に応じた数量としてもう一度見直してみたい、そのことの結果、従来の集約酪農地域が、地域として統合されてより大きなものになるというようなこともあり得るかと思うのであります。なお、処理加工施設までの輸送の時間等につきましても、最近の技術の向上、輸送手段の開発というようなことから、もう少し輸送距離を延ばしてよいのではないか、あるいは輸送時間を延ばしてよいのではないかというふうな観点から、従来のものと若干変わる場合があり得る。それからいま一つは、市乳圏が非常に広がってまいったということで、従来乳製品酪農地域であったところが、市乳集約酪農地域に変わるというようなことは、情勢変化上起こってまいるかと考えております。
  77. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 聞いておりますと、この問題は非常に重要でありまして、たとえばいまの問題だけでも、農密生産団地が集約酪農地域であるという考え方に立って指定基準を改めるというふうにはっきりしておるので、私、新しいものについては、いまお話しのようなことで相当変わっていくだろうし、あるいはそれでは従来のものはそれでいいかといえばそうでなしに、それに準じた、あるいはそれ以上のものに変わっていくような点があると思うわけであります。これは前進のために変わるのは当然でありますけれども、少なくともそのことが市町村なりあるいはそういう生産者なりに重荷になるようなものになったりしたのでは、私は改正の意味は何らないと思うので、本案の審議については、十分ひとつ今後慎重を期していただきたいと、こう思うわけであります。  先ほど委員長にお願い申し上げましたように、出席についても善処すると言われましたけれども、善処されたような様子もあまりございませんし、大臣大臣で参議院の本会議でお帰りになりましたし、時間の関係もございますから、私は、大臣に対する質問はむろん、局長その他の点につきましても保留をいたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  78. 濱地文平

    濱地委員長 本日はこの程度で散会いたします。    午後三時九分散会