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1965-03-23 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十三日(火曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 芳賀  貢君       池田 清志君    宇野 宗佑君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    倉成  正君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    田邉 國男君       高見 三郎君    中川 一郎君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       藤田 義光君    細田 吉藏君       卜部 政巳君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       松浦 定義君    山田 長司君       湯山  勇君    小平  忠君       中村 時雄君    林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月二十三日  酪農振興法及び土地改良法の一部を改正する法  律案内閣提出第一〇四号) 同月二十二日  農林省林業試験場開放に関する請願賀屋興宣  君外四名紹介)(第一八〇五号)  小笠原諸島の漁業権補償に関する請願菊池義  郎君紹介)(第二〇一〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第五五号)  八郎潟新農村建設事業団法案内閣提出第九八  号)      ————◇—————
  2. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため、委員長の指名によって、私が委員長の職務を行ないます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。卜部政巳君。
  3. 卜部政巳

    卜部委員 まず第一点といたしまして、これは申すまでもないことではあると思うのでありますが、開拓審議会答申具体化のために、三十七年度に調査を行なって、その結果に基づいてのいわゆる農林省構想が発表されておる。こういうところだと思うのであります。これに対しまして、この答申を尊重をし、構想を重視し、これが基本線となって現行の開拓行政が行なわれておるものだと私は思うのでありますが、その点、農地局長の御所見はいかがでございましょうか。
  4. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。  開拓振興につきましては、常々国会の御審議を得ておるわけでございますが、いろいろ問題が多過ぎますので、三十五年の開拓法改正の際に、開拓営農振興審議会をつくりまして、徹底的に問題を掘り下げていくべきであるという御意見がございまして、開拓営農振興審議会を設けまして、昭和三十五年から約一年間慎重御審議をいただきまして、三十六年の十一月に答申をいただきました。この答申の線に沿いまして、現在開拓営農措置を講じておる次第でございます。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、繰り返しますが、答申を尊重し、構想を重視して基本線となったと開拓行政を行なっておる、こういうふうに確認をしていいわけですね。
  6. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 さようでございます。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 了解を拝聴いたしまして心強く思うわけでありますが、しかし、この答申に基づく措置ていさいは一応整ったような感があるわけでありますが、実を言いますと、いまだに数多くの矛盾と隘路を見出すことができると思うのです。この原因は一体何であるか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  8. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 審議会答申骨子といたしましては、開拓というものごとを一般的に考えて処置しないで、開拓行政も二十年近く相なりましたので、開拓者の中にも階層分化が起きているから、その起きた階層分化実態に応じて処理をすべきである、これが骨子であると私ども承知いたしております。そこで、その趣旨に沿いまして、さらに政府援助をいたしますれば伸びていける方に援助を充実する、それから立地その他の関係で、単に融資等でその場でその姿のままで育て上げようと思っても無理だという開拓農家に対しては、別途の措置を講ずる、こういうことでやっておるわけでございますが、それで、いままだすっきりしない点はどこにあるかという御質問と存じますが、何ぶん十数万戸の開拓者でございますのと、前々からの振興対策経験等にかんがみまして、措置法ではいけないという御注意が非常にございまして、したがって、全国の地区を大体五年間にわたって逐次立て直していこう、こういう形に相なっておりますし、三十八年と九年とまだ二年でございますので、したがってワンラウンドしておらない、おくれておる地区については、まだ問題が残っておる、こういう点も一つ問題点と存じます。私どもといたしましては、四十年とその次の四十一年と、できるだけ多い地区を早くこのルールで処理をいたしまして、この答申趣旨に沿いたい、いまちょうど胸突き八丁の段階でありますので、問題が地方によっては残っておる、かように理解いたしております。
  9. 卜部政巳

    卜部委員 いま農地局長からおっしゃられた数多くの問題点については、今後に触れていきたいと思います。しかしながら、率直に申し上げて、この開拓三法の改正のときに問題があったのではないか、こういう点について、何らかの反省がなされておるかを農地局長にお伺いいたしたい。
  10. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 開拓三法のときにいろいろと問題がありましたからこそ、三十五年、六年に審議会におはかりをして対策を講じた、こういうふうに私ども一としては考えておる次第でございます。
  11. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、その具体的なものはどうというところに問題があったのか、もう一度明らかにしてもらいたい。
  12. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 開拓三法、特に開拓営農振興法は、一定の水準に達しない者を、ともかく開拓者であとる以上はみんなりっぱに育て上げようという思想をとりましたために、政府資金援助も十分だったとは存じませんが、その効率が悪かった、むしろ開拓者の中において、その状況に応じてそれぞれ施策を集中するということが、こういう振興対策を講ずる際に最も必要である、全体についてやると効率も悪い、また、りっぱに育て上げることが困難な方にどんどん金を貸して、いたずらに借金の累積を招いておるというような点は問題である、したがって、やはり開拓者の中にクラシフィケーションをいたしまして、施策を講ずることによって前からの問題点が解決できるのではないか、過去におきますものは、いやしくも開拓者ならば何でも投資しようという考え方そのものにも問題がある、かように存じます。
  13. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。それでは質問をさらに推し進めてまいりたいと思いますが、農地局長開拓者農資金の問題について触れられましたが、開拓者資金融通法による政府貸付金償還条件緩和等に関する特別措置、この問題はかなり問題があるところでありますが、この点についてはどういう理解をされておりますか。
  14. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 いわゆる条件緩和簿は、政府資金のあの法律におきましては、ねらいましたところは、いろいろの条件によりまして政府資金が出ておるのを一いわば口数を整理するという問題と、それから実際払えない方に対しまして、ABCといいますか、著しく払えない方に対しては、新しく据え置き期間償還期間を設定する、それからただ据え置き期間を設定しなくても、延ばせば何とか償還できる、立ち直っていける方については、延ばすという考え方をとったわけでございますが、ただ一定以下のものに対して据え置き期間を置いたり延ばしたりするだけでは、ほんとう営農の成り立たない方に対しては、それだけでは対策が不十分である、いわば一番営農の継続並びに振興に困難な方に対して、ただ政府資金の繰り延べを考えたというだけでは問題の解決にならないという、ふうに、その後私どもは考えまして、いわば三類に対しては別の考え方で臨む、こういうふうに考え方を変えてまいっておるわけでございます。  御質問の御趣旨は、償還条件緩和法について、どういうところに問題があったとおまえは思うかということでございますが、繰り返しますと、ともかく条件を延ばすことによって終わりというふうに問題を考えたところが、私はやはり不十分であった、かように思います。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 当時、おそらく私は、こういう問題は問題にされたと思うのです。もし問題にされていなければ、若干ここで論議をしてみたいと思うのでありますが、いま農地局長が言われておることと、もう一つの要素があるのではないか。一つには、率直に言うならば、政府債権びた一文も減らさないという構想になったということですね。その次は、開拓農協貸した金、それをいわゆる債務分割して引き受けさせて、直貸しをさせた。そういうかっこうの中で過酷なことが行なわれておるという現実を、やはり私は無視するわけにはいかないのではないだろうかと思います。そういう点についての反省なり、そういうものが行なわれておるのかどうかを若干お伺いしたいと思います。
  16. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 申し落としましたが、確かに債権管理法では、開拓農協からの転貸し資金個人分割をいたしまして、それからその後に貸すものは政府の直貸というふうに改めました点は、先ほど申し落とした点です。なぜ個人分割し直貸方式をとったかということでございますが、結局個々農家実態に即しまして、さらに条件緩和といいますか、金を貸す条件の変更を行なうという考え方に立ちましたから、個人分割された債務が、その人にとって払えるか払えないか、著しく払えない方に対しては、新しく据え置き期間をしき、さらに十数年の年賦払いにしてよろしい、それから据え置き期間を置かぬけれども、いままでの条件だと五年以内に返さなければならぬものを、十年間で払っていいというふうに処理ぜんといたしました関係で、分割をいたした。そこで、分割過程において、過酷なことが行なわれたのではないかという点でございますが、私ども、当時の分割基準につきましては、十分内部で慎重に議論をいたしまして、たとえば長期の資金等扱い等につきまして、慎重なこまかい指導基準をつくり、通達をいたしたわけでございまして、過酷であったというふうには私どもは考えておらないわけでございますが、たくさんの農家をやっておりますから、個々農家あるいは個々地区におきまして、私どもの意図と異なりましたような現象が出たとすれば、まことに遺憾に思います。ただ、その際、政府資金はあくまでとるという思想でありましたことは、御指摘のとおりであります。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 局長は過酷でないとおっしゃられている。私は過酷だと思う。これが過酷でなくて、何が過酷でありましょうか。すなわち、いわゆる間接的な貸し方をしておったわけですね。開拓農協を通じて貸しておったわけですね。それを直貸しにしたわけですから、直貸しにする場合においても、それに直さない限りはびた一文も貸さないという姿勢を示したこともこれまた事実です。そういうような状態の中で、一体どういうことが出てきておるかと申し上げますと、これは私が言うまでもない。おそらく局長は知っておられて、わざと知らぬふりをされておられるのだと思うのですが、実際問題として離農した人もおるわけですね。そういう点について、開拓農協は、実際問題としてそれを債務として残したわけですね。その債務をやはり分割してしまって、離農者人たち分割してこれを債務として引き受けさせた、こういうような状態が出てきております。ですから、この債務の引き受けの離農した人が云々という問題もありますが、同時に、発電所や、共同利用のものへ一個人のものとも思われないような、そういうものについても、割りつけを行なったりしておるわけでありますね。それが現実の今日の大きな開拓農民の救済ということでいま騒がれておりますけれども、大体この条件緩和法律そのものによっても、そういうものが浮き彫りにされ、そこに大きな問題が出ておるのではないだろうか、こういうふうなことを私は指摘をいたしたいのです。にもかかわらず、局長は、過酷などと言われても、こういうものは過酷でないなどとおっしゃっておりますけれども、私は、この点はあらためて局長にひとつおことばをいただきたいと思います。どういうふうな考え方で過酷ではないのか、こういうことです。
  18. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 政府資金たる開拓者資金融通法に基づく開拓者資金組合貸しまして、組合が転貸しをしておった。その後災害その他いろいろの事情がからみまして、開拓者資金返済が非常にむずかしくなった。一方、開拓者からただ当初の条件で取り立てるということは問題である。したがって、転貸関係も一切整理をいたしまして、結局は借りたわけですから、実態としましては、個々農家と国との間の債権債務関係整理をいたしまして、そうしてこの農家はいままでの条件ではとても払えない、それでは新しくいままでの条件を御破算にして、一定条件で延べ払いをしていただく。そこで、いま先生の御指摘は、転貸し債権分割することは過酷なのかという意味でございますれば、もともと最終的には個人にいく金を、融資の便法として農協に転貸しをしたわけですから、これはその組合の中には帳簿があるわけでございますから、組合個人間の関係政府個人間にするということは、私は過酷とは存じません。ただ、先生ちょっといま触れられました、たとえば自家発電その他の、組合が借りて共同利用施設としてやったようなもの、それでなかなか個人間に分割しがたいもの、こういうものをしゃにむに分割したということでございますと、問題はあろうかと思いますが、その当時の私ども指導要領としては、明らかに分割できないような共同利用施設というものも、必ず分割しなければならぬという考え方はとらなかったわけであります。したがって、現在でも分割し得ないところは残っておる。これを将来どうするかということが、実は今後の問題として残っておるということを私ども自身は承知をいたしておる、自覚いたしておるわけであります。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 農地局長は、いま二つの問題を提起されておりますが、一つは、個人組合とには名簿があって、その面では貸借関係が明らかにされておるから、問題はないというのが第一点であります。第二点は、その当時、そういう個人のものとは思われないものに対する分割そのものについても、これは行なわない、そういう過酷なことを行なわない指導を行なった、こういうことが二つ口に問題として提起をされました。  そこで、まず、その問題の一点である個人組合関係でありますが、私の把握しておる状態の中では、開拓農協が貧しいために、開拓者償還をしたものでも事務費等に流用しておる。その償還金政府に返していない。こういうものについての差額についても農民に割り当てておる。こういう状態というものが出ておるのに、いわゆる個人組合との関係帳簿があるから云々だということは、あまりにも形式的に過ぎやしないか。実態を無視してはいなかっただろうか。私どもの島根なんかでも、かなりの農民が抵抗をやったわけです。しかし、これが国会の中であまり大きく取り上げられていないということは残念なことではありますが、実際問題として、そういうような局長の回答でおるならば、私は理解に苦しみます。こういうような形でなくて、農民がいかに苦しめられたか、この点を私は十分にやはり反省をしていただきたい、このように考えます。局、長にさらにお伺いしておきたいと思いますが、この第一点、個人組合との関係には、帳簿があるからだいじょうぶだということの理解は、それでいいのか、この点をひとつはっきりさしてもらいたい。
  20. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 いまの金融の仕組みから申しますと、開拓農協金融機関から借りて転貸しをいたす組合員十人のうちで、七人なら七人が十分払わない、三人が一生懸命払ったという場合に、組合債務全体としては、たとえば年賦償還金が、金融機関なり、政府に対する還元におきましても、返済がされたということにならないで、結局一生懸命払った方も、払わない方の利子政府なり金融機関に払ったという形に組合貸しの場合はなるわけであります。個人貸しにいたしますれば、払った個人はあくまで自分が払った、ほかの人の分の利子の引き当てになるということはない。そこで、個人貸しにすると、政府が直接十数万戸に金を貸すということは、実務的にも大問題であったわけでありますが、まさに先生のおっしゃるような問題も頭に入れまして、分割をやった。そこで、分割過程において、結局過去におきましての関係で、払った方との間で不公平が起きているかどうかという問題はあろうかと思います。これはやはり組合内部の問題として解決して、先行きにはそういう状態にする、かように当時考えたと私記憶いたしておるわけであります。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 ではその問題をちょっとあと回しにしまして、そうは言いながらも、とれなかった政府債権はかなりあると見なければならないと思います。それは大体どのくらいあるのか、ちょっと明らかにしていただきたい。
  22. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 条件緩和法実施の成績について申し上げますと、当時政府債権条件緩和対象にいたしましたのは百九十四億ございます。そのうち、緩和をいたしましたのが百八十一億でありまして、十二億五千万ばかりは、先ほど言いました個人確認できない、行方不明だ、個人分割が不可能だというような事情で、いわば条件緩和法整理し切れなかった数字で、それがいまの形で言いますと組合に残っておる、こういう形であります。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 いま局長がおっしゃった形の数字をじっくりとながめてみますと、残っておるものはほんとうに微々たるものだということになるわけです。なぜかといえば、先ほど申し上、げたように、国の債権はあくまでも取り立てていくというその趣旨にのっとって、びしびし取り上げたということも一つあるわけであります。−意外に少ないものになっておるということは、局長指摘をされたいろいろ分割の方法なり、その分割も、そういう私が指摘をする過酷なものではなくて、当時もそういう強制的な分割を行なわないようにという指導を行なったとか、さらには個人組合との云々という、こういう問題もあったにしても、現実にはきびしい召し上げがなされておる、取り上げがなされておるということになろうと私は思うのです。こういうことから、そもそも開拓者のいわゆる生活というものは、三十五年の条件緩和のその時点から、さらにきびしくなってきておる。形式上は一応の型を整えたような感じを与えつつあるけれども現実は締め上げてきた、締めておるということの指摘を私はせざるを得ないのです。そういうことから派生をして、今日の救済問題も多々出てくるのでありましょうが、この点はひとつ十分農地局長も頭に入れておいていただいて、これから私が申し上げる問題について、単に開拓者はもうこれでいいのだというようなものの考え方ではなくて、前進方向での一つ委員会審議、さらにその面における進歩というものをこれからつくり上げていただきたい、このように考えます。  そこで、まず、私なりに判断をしたことを局長に申し上げて、局長確認を得て、前へ進んでいきたいと思います。  まず、開拓農家開拓団地のよい点、悪い点、つまり、特色と思う点というものを私なりに把握をしてみますと、悪い点としましては、一つには、おおむね立地条件が悪い。二つ目には、畑作の経営が多い。水田がない。三番目には、自己資金が皆無にひとしいものが入植をした。まる腰で入っている。四番目には、疎開者戦災失業者開拓不適者入植をした。失業対策の面もあったでありましょうが、そういう面。さらに、酪農果樹等のいわゆる選択的拡大への営農転換の激しい経過をたどったということが一つのあれだと思うのです。いい点としましては、開拓農家の耕地が集団化されてきた。経営規模も大きい。さらに選択的拡大方向に発展しつつあるということは、これは私は言いたくはないけれども、あなたたちが言っておる集団——集団と言ってはおかしいのですが、拡大方向へと発展しつつあるということが、今後の問題として残されておるわけです。さらに、開拓部落の戸数の大小を問わず、経営形態というものが同じくなって、生産団地が形成をされつつある。開拓者は、言うならば、開拓精神なんてアメリカの本に言っておりますが、これはアメリカだけでありません、日本においても開拓精神というものはありますが、それの独特の進取の精神に富んでおる。こういう諸点というものが、答申の中にも強調されておるところでありますけれども、そういう問題を押し並べて、農業の先達的役割り開拓者期待をしても私はよいと思う。この点について、農地局長はどのような所見を持っておるのか、一応お伺いをし、確認をしたいと思うのであります。
  24. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 全く先生と同じように考えております。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 農地局長も私と同様だということで、たいへん心強く思います。その面から、これから申し上げます問題はスムーズに解決するものだという期待を持ちながら、論議を進めていきたい、このように考えております。  そこで、まず、振興計画の立て方の問題でございますが、これには開拓地に道路、電気等補助事業をやる、この負担はばかにはなりませんが、これをやることになっておりますが、この中には、公庫融資のないもの、たとえば住宅等農林漁業金融公庫からは融資はされない、こういうことになっております。それ以外は残額融資をすることになっておりますけれども開拓者にはなかなか融資をされておらないというのが現状であります。この点に立ちまして、公庫は一体どのくらいの融資をしておるのか、資料がありましたらお見せを願いたい。と同時に、なければ、きょうのこのときに問題がありましょうから、この資料提出を要求いたしたいと思います。
  26. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 ちょっと質問の御趣旨がわからなかったのでございますが、公庫開拓者に関します補助残融資種目別金額というものの資料を出せ、こういう御趣旨了解してよろしゅうございますか。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 そうです。
  28. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 制度的に補助残融資対象になっておりますもの、たとえば土地改良事業補助残等につきましては、いま手元にございませんが、整理をいたしたいと存じます。ただ、住宅等は、当初金融でやるか、補助でやるかということが非常に問題になったわけでございますが、結論的には、補助のほうがいいという御意見もございまして、現在補助制度でやっておりますが、公庫対象になっておらないわけでございます。御要望の、制度的に補助対象になっておるものの補助残融資につきましては、調べまして、後刻資料提出したい、かように存じます。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 先ほどちょっと条件緩和の問題について申し上げましたが、これと関連をいたしまして、ここに再び強調することは恐縮ですけれども、実際問題として、条件緩和政府資金のみに限られておるわけです。でありますから、公庫関係や中金の貸し付けについての条件緩和が行なわれていないのです。こういう点から、今度は自創資金を出すから、何だかんだと、一応の形はとったということにはなっておりますけれども、このような問題等もある。こういう点について、ひとつ十分な御配慮を願いたいところであります。同時に、これから申し上げます諸点についても、十分にひとつ御了解を願いたい、こういうふうに考えておるわけであります。  そこで、これはあとさきになり、脱線をするきらいは、ありますけれども、たまたま今度は自創資金を出すから云々というふうにことばがすべってしまいましたから、ついでにその方向を進めていきたいと思います。自作農資金の新特例をつくって、返せない負債を返すことになった。これはいいことだと思う。しかしながら、いままで借りている約条です。これは償還しか見ていないという状態になっております。今後政府資金を借りて、さらに乳牛なり畜舎を建てるということになっても、政府償還金が所得目標の中に見られていない。計画としては、返せない計画は認めないのでありますから、専業農家並みに組んであるといっても、実際は組まれないし、また組んだとしたら、返せない、許可が受けられない、こういう状態になると思うのでありますが、その点はどのように解決をされようとするのかをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  30. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まず、前の緩和法のときに、政府資金以外のほうを何も考えなかったではないかということでございますが、条件緩和法の際におきましては、先ほど申したとおり、政府の金を取り立てる条件をいじくるということ、その際に払えるか払えないかという判断をいたします際に、政府資金以外の金であって、比較的長期の金は先に払う前提をとって、政府資金が払えるか払えないかという計算をいたしたわけでございます。その意味におきましては、その政府資金のほうをクッションにいたしまして、政府資金以外のある程度の中長期の金を払っていただけるような考え方におきまして、政府資金を据え置いたり延ばしたりして、間接的にはそれを考慮いたしたという点は、申し添えさしていただきたいと思います。  それから、先ほど申したように、政府資金はどうしても回収するたてまえをとりました。御承知のとおり、国の債権でございますから、これは別の意味においてばっさばっさその債権を切ってしまうわけにはまいらない。そこで、どうすれば政府資金返済が可能であるかという立場でものを考えまして、それからもう一つ開拓者にも、冒頭に申しましたとおり、いろいろの形ができてまいった。そこで、追加的に金を貸して差し上げ、営農をりっぱにして、政府資金を返していただくというふうに考えるべきグループ、要するに、一般の企業でもそうでございましょうが、金を貸してやって、立ち直らして、過去の借金を返していただくことが可能なグループは、積極的に金を貸して、立ち直っていただく。これがいわゆる私ども振興対策農家でございます。それから、そういう方法ではどうしても返せない方、幾ら設備資金を追加的に貸してあげても、もう営農そのものを立ち直らして、そこから余力を持って将来にわたって払っていくことの可能性が困難な方、これはどうしても債権そのものをいかにして処理するかという問題があろうかと存じます。そこで、私どもとしては、先般そういう方には、追加的な設備投資のための融資はいたさないかわりに、国の債権の管理等に関する法律によりまして、新しくそれに対する支払い条件を十年以内できめて、しかる後に債権管理法処理に従って、払えないものは整理をするならする、こういうふうに考えて、ごく最近下達をいたしておるわけでございます。要するに、相手の実態によりまして、過去の借金をどういうふうに処理するかというふうに、それぞれのタイプによって考えるべきである。そういう思想が、先ほど冒頭に申しました審議会答申趣旨、かように了解しておるということを冒頭に申した次第でございます。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 局長のほうから、この条件緩和に対する特別措置法については、私の言っておることが間違いであるかのような発言をされておりましたので、私も実は驚きを持っておったところですが、それは間接的に指導したというのであって、直接的には何らの——含みがあるということであります。そういう問題についても、直接的なものは一つも含まれていないということだけは指摘をいたしておかなければならないと思います。そこで、つい最近そういうような通達を出したというふうなことでありますが、この点まだ私も把握をしておりませんが、あしたでもきょうでも、その通達をお見せ願いたい。この点は私に資料として出していただきたいと思います。  そこで、いまそういう問題が出ましたので、局長のあたたかいことばということに理解をしまして、私は次へ進めてまいりますが、開拓者はまだ開墾をしていない土地をたくさん持っておると思うのです。こういうようないわゆる開墾の補助資金というものを出す、こういうことを言っておりますけれども、ところが、開墾の補助残融資とか、さらには未点灯の農家の場合には、今後電気を引く借入金の償還金は、いわゆる振興計画のどこを見てもないのでありますが、これは一体どういうふうに理解をされるのでありますか。いまのあたたかいことばとのうらはらの関係でありますが、大体振興計画には一つも入っておりません。これはどうなんでしょう。
  32. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 この無電灯農家の解消の問題は、振興農家であろうとなかろうと、電気をつけ得るところには当然電気をつけるべきである。年次計画をもちまして進めてまいっておるのでございますが、だんだん奥地に入りまして、経費がかかってまいりますので、ことし補助のやり方等を改善いたしまして、いままでは金によりまして補助率が変わっておりましたが、一律に補助をいたす、高い金のかかったものも一定の割合で補助をいたすという形で、これは振興計画とは別個に、具体的にどこの地区において電気がないということがわかっておりますので、それは振興計画とは別に、年次計画をもって補助をいたし、補助残については公庫融資でもって裏付けをする、こういう別途の行政措置になっております。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 少なくとも第一次振興のそれが失敗をしたので、第二次振興計画の中では、それを補っていくのであれば、そういうものが入っていない振興対策の計画の立て方というものが、大体あるのか、どうなのか。局長、いま論弁ですよ。別の行政措置をするなんということは詭弁ですよ。そんな詭弁を追及をしておってもしょうがないのですが、いま局長、たまたま電灯の問題をお話になったのですが、大体電灯会社はどういう基準で電灯をつけるとお思いになりますか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  34. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私も正確にはちょっと忘れましたが、結局個々に電気を引いてまいるコストが一定額に達するようなところは、その手前のところで電灯会社の引くところはきめてしまって、そこで共同受電として、あとは利用者のほうで先に持ってくる、こういう仕組みがございますので、開拓地等におきましては、どうしてもそういうケースにおちいる可能性がある。したがって、開拓者の電気施設に対しましては、本年度から三五%に一律の補助をいたすというふうに改正いたしておるのであります。それから県が持ちますから、結局地元負担としては三割程度になります。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 局長は、率直にいって、あまり詳しいことを御存じないということで申されておるわけですが、そういう小さなことがやはり積もり積もって、この開拓農政の問題に積み重なってくるのではないかと、率直にいって私は思うのです。  この未点灯の部落なんかの問題でありますが、これは大体会社としましては、どこまで電線を引っぱることによってどれだけの電力が消化されるか、そしてどれだけの収入があるかを計算することによって、電気会社は線を延ばすのです。そういうことになりますと、いま申し上げておりますようなそういう開拓農民の場合において、いわゆる公序からの補助残融資を行ないますなんということを言っておりますけれども、自体そういうことは、先ほど局長も認められたように、開拓精神に富むところのいわゆる開拓者、同時にそういう悪いところもある条件を克服しながら入っていったその人々に、それまでも見るなんというそのことが、あたたかい愛情かどうか、こういう点を私は指摘をいたしたいと思います。その点について、ただ補助残とかなんとかいうことではなくて、これから第二次振興のそれを充実させるためには、こういう点については、少なくとももう一つ、率直にいうならば、高い目標所得、こういうものは大蔵省と折衝せなければ、それは農林省自体がじたばたしたってだめなんですよ。私は率直に申し上げます。やはり大蔵省は、開発銀行だとか輸出入銀行だとか、そういうものはどんどん増資をします。さらには産業基盤の整備だとか、そういうものには湯水のごとく使っておる。そういう大蔵省に頭をたたかれて引っ込んでいて、そんなことでどうするのですか。やはり農地局長は、そういう点については、農林省の役人もそうでありますけれども、打って一丸となって、開拓者並びにいわゆるしいたげられておる農民のために、そういう措置に万全を期すための努力を払っていくのでなければならないと私は思っておるのです。そういう点について、ひとつ農地局長のほうからでも、また政務次官のほうからでもけっこうでありますが、その決意のほどを示していただきたい、このように考えております。
  36. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私、数年間にわたりましてこの責任を負っておりますが、率直に申しまして、毎年度の予算編成におきましては、開拓関係の予算の充実については、最大の努力を事務当局としては傾倒いたしておりますが、結果的にまだ不十分でありますことは遺憾であります。今後とも最大の努力を続ける所存であります。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 私は、やはりいま局長のおっしゃっておるように、最大の努力というものが——私は疑うわけではありませんが、ただ主張したらそれでいいのだということではなくて、これは農林大臣が就任した当時には、大蔵大臣の部屋の戸でもけり破るようなそういう勢いを示したという、こういうことも聞いておるのでありますが、少なくとも農民の代表である、さらに携わっておる数多くのそういう所管の庁であるものが、単にそういうことで引っ込むなんということは私は当たらないと思う。こういう点については、ひとつ十分配慮をしていただきたいと思うのです。それはやはり先ほども申し上げておりますように、第一次振興ほんとうにひどいものです。第二次振興については、これを是正しようとしての努力が行なわれて、着々と実行されつつあるわけでありますが、先ほど申し上げたような事例についても、政府が知らないところでこそこそと道路を直しておる、そういうことをやっておるならいざ知らず、片方ではその補助事業というものを認めておりながら、片方では補助金を渡しておるものであっても、補助融資償還等はこの振興計画の中には考慮されない、そういうものが数多くあるということは、これは何と言っても悲しむべき現実だ、このように考えます。こういう点につきましては、これはあすか、さらには来週か、この質疑は続でありましょうが、その辺については、ひとつ新しい方向で、問題をやはり的確にとらえて、これは来年度にはどうするのだという、そういうものを示していただきたい、またそのように御努力を願いたい、こういうふうに考えておるところであります。  それから次に進めてまいりますが、実は数えればたくさん数限りない問題があるわけでありますが、どこから言っていいのかあれですが、その点あっちへいったり、こっちへいったり、ダブる場合があるかもしれませんが、その点はひとつお許しを願いた早いと思います。  そこで、まず次には、開拓農家の区分と分類別対策についてお伺いいたしたい、こういうふうに考えますが、農家の区分政策は、農政上重視すべき措置であるから、区分方法というものと分類ごとの対策について、ひとつ説明をお聞かせ願いたい、こういうふうに考えます。
  38. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 開拓農家を区分するということはあまり適当ではないのでございますが、開拓農家だから何でもかんでもというと、先ほど申したとおりいろいろと問題が起こる。そこで、われわれといたしましては、答申の際に盛られた思想といたしまして、政府援助するならば、大体既農家の専業の中庸農家の水準までは達し得る見込みがある農家には、いわゆる二類農家として追加振興対策資金対象にしよう、どうしてもそれが客観的に困難なものは別の対策を講じようという方針をとることにいたしました。そこで、個々地区を——全体を一斉にやるというわけにも、人手の関係、準備の関係その他がございまして、やれませんので、地区を毎年六百ないし五百ずつ定めまして、その地区ごとに個々農家から計画書を出していただきまして、金融機関その他がみんなで相寄りまして審査をいたしまして、これは確かにもう少し金を追加投資するならば先ほど申したところまで達成し得るというものを認定をいたすという処理をやりまして、その結果認定されましたものが二類農家となる。それからその目標以上に現在すでに相なっておるというものを一類にして、これはできるだけ早い機会に一般農政に復してまいりたい、そういう行政を進めております。その結果、区分的なものができ上がってまいるいうことでございます。  御質問の、いかなる方法で区分をしておるかということでございますと、繰り返しますと、地区ごとに順番にその地区におります農家からは振興計画書を出していただきまして、関係機関、県及び関係金融機関、県段階の開拓農協、そういう方々が集まって認定をしていく、そういうことによってきまってまいる、こういう段取り、仕組みにいたしておる次第であります。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 まあ、答申に即した姿でと局長おっしゃられておりました。それはもちろん答申に即した姿でなければならないわけでありますけれども現実にあの答申が出たいきさつ等を私なりに勉強してまいりますと、かなり農林省は開き直った、居直った形がありますね。たとえば先ほどから局長が申されております一類農家とは一体何か。その一類農家にさえも手を入れるということがあるのか、さらには三類なども、沈んでいくようなものに手を入れてもどうしようもないじゃないか、こういう開き直った姿が出ておることも、私は十分理解をしておりますが、そのことは別といたしましても、ともかくそうした点から、二類農家が浮かび上がってきておる。こういういきさつ等もとらえながら次の方向へ進んでまいりますが、現在行なわれつつある振興計画の認定農家の戸数、これに要する貸し付け金総額、予定でありますが、それはどのくらいになるかを明らかにしてもらいたい。
  40. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えを申し上げます。  三十八年度におきましては、五百八十七の地区対象にいたしまして、先ほど申した作業をやったわけであります。この地区におきまして三十二年度以前の入植者は三万五千ほどございますが、計画書を出しましたのが一万七千で、認定済みが一万五千、いま保留しておるものもございますが、認定見込みは一万七千程度に相なる予定でございます。三十九年度は六百八地区につきまして同様のことをやりましたが、その結果、ここでは認定見込みは、その地区の戸数二万八千戸のうち、一万三千程度に達する見込みであります。四十年度はこれから。そこで、これらの地区に対しまして振興対策資金をどのように貸したかということでございますが、三十八年度は二十五億振興対策資金貸し出しました。ただこれは、三十八年度はこの計画よりも、この金を使ったならばすぐ一類になり得るものに優先的に貸した。三十九年度は三十一億、四十年度は五十億を予定いたしております。
  41. 卜部政巳

    卜部委員 では三十八年から貸し付けを始めて、何年で終わる予定でありますか。
  42. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 大体三年で貸す予定にいたしておりますが、三十八年度に指定した地域に対しては八割予定の金が行くことになっております。三十九年度のものは四割金が行くことになっております。
  43. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、何年で終わりますか。
  44. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 当該地区は、したがいまして、金を貸すのは三年でございます。それで、ただ、その金ですぐ五年後に目標に達するようにやってもらいたいということであります。
  45. 卜部政巳

    卜部委員 これは衆議院農林水産委員会調査室の調査したものによりましても、三十七年十一月農林省の発表した構想というものを見ますと、区分概況が第一類二万七千戸、第二類五万九千戸第三類が三万二千戸、融資概算が五百十九億ですか、これは確実な数字ではありませんが、そういうかっこうになっておるわけでありますが、この点は間違いございませんか。
  46. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 いまお読みになりました数字は、私のほうでこの事業を始めますにあたって、全国的に一年予備作業をやりました、それからの推定でございますが、実際は、いま申し上げましたように、各地区ごとに具体的にやってまいるわけでございます。大体狂いはないと思っております。ただ、総額の問題につきましては、個々地区で具体的に積み上げてまいりますので、五年間にわたる仕事でございますので、この五百億でございますかが、絶対五百億かという点は、なお今後の作業によって固まってまいるということであります。
  47. 卜部政巳

    卜部委員 はっきり申し上げますと、これは局長、若干おとぼけ答弁をしたと思うのですが、五百十九億を使いますか。何ぼくらい残る予定ですか。
  48. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 残るかというお話でございますが、実は先ほど申したとおり、初年度二十五億、翌年度三十五億、実行三十一億でございます。四十年度五十億でございます。五百億ときまったというわけではございません。作業をやります際に、大体このくらい要ることになろうではないかという一応の概定でございます。残る、残らぬの問題でなくて、実際に作業をやりまして、それに要する金を、予算単年度の原則もございますので、毎年大蔵省と御相談の上、実現をしてまいるわけでございまして、五年たちまして、締め上げて幾らになるかという問題は、先ほど申しましたとおり、個々にやりました結果によって確定する、おのずからきまるという性質と理解しておるわけであります。
  49. 卜部政巳

    卜部委員 私は、いまの答弁は若干理解に苦しむのです。三十七年の十一月に農林省が発表した構想を見ると、これだけのものは要るというのですからね。これだけのものは当然使われなければならないのです。いや、むしろこれを上回る姿になることさえも私は考えられて至当だと思うのです。にもかかわらず、いまの局長の答弁などを聞いてまいりますと、実際問題としては、この計画が終わるまでに、二百五十億か三百億ぐらいしか使わぬと思うのです。そういうようなかっこうになったときに、それは融資を最小限に押えることはいいです。しかしながら、振興目標を達成することが、先ほどから申し上げておるように、重要であるのに、この区分政策を断行して、分類の対策が中途はんぱで目標に到達できない場合、そのしわ寄せを全部この開拓者に押しつける、こういうようなことはいけないというふうに私は思うのであります。その点について、政府は、そういうことはない、責任を持ってやれるという御自信はございますね。もちろん、自信があるから出したのでしょうから、できないなんと言ったら、これは問題ですね。
  50. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先ほど申しました五百億は、こういう仕事を数年間にわたってやりますためには、いろいろの検討を要するわけです。大体どういうことになろうかという検討も要するわけでございますので、三十七年ですか、全国的に標本的にいろんな地区を選びまして、全貌を想定いたしたものでございます。それはあくまで想定でございまして、実務は、先ほど申したとおり、具体的な地区で具体的に積み上げるわけでございますから、具体的な地区で具体的に積み上げた数字は、私どもとしては最大の努力をもって実現いたす所存でございます。
  51. 卜部政巳

    卜部委員 局長、何もそう逃げなくてもいいんじゃありませんか。五百十九億というのは、はっきり調査室のこれにも出ていますし、その計画というものが、当然そういうような構想の中で浮き彫りにされ、その構想に向かって、目標に向かっての施策が行なわれておるときに、そういうものを否定するような発言は控えていただきたい。少なくともその五百十九億の一これは率直に言って、金額は少ないでしょう、物価の上昇その他もありますから。いろいろの問題がありますけれども、そういう問題について、やはりこれを上回るような計画を行なっていく、こういうことこそが、私は愛情のある局長の態度でもありますし、発言でもある、こういうふうに考えておるのであります。  そこで、論議を繰り返しておりましてもなんでありますから、一応この点はその程度でおさめますけれども、ただしかしながら、答申にもありますように、農業投資の特徴として資本効率が概して低いこと、いわゆる畜産、果樹は生産に長期投資が必要である、投資と生産効果の発現まで時間が長い、その間に災害または市場の需要と価格の変動が起こり、生産の不安定がある、特に開拓の場合は創設農家だから、効率はさらに低いはずだと思う、こういうようなかっこうで、いわゆる答申の中にも出てきておるわけでありますが、こういうような問題等も考えたときに、貸し付け額の制約を控える、これも必要なんでありますが、先ほどから言っております貸し付けの条件を改善する、こういうようなことも私は当然考慮されなければならないと思います。これはまたあしたでも言いたいと思うのでありますが、まずこういう状態を踏まえて、局長、どうでありますか、この貸し付け条件を、先ほど来局長もいろいろとおっしゃっておるように、あたたかい愛情のあることばを申されておるのでありますが、そういう条件を改善すべきだということに同意をされますか。
  52. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 この立ち直り資金といいますか、振興対策資金を、一昨々年でございますか、国会におはかりいたしましたときに、五分であったわけでございますが、国会の御意思で、議員修正で四分に相なったのであります。五年据え置きの二十年の融資でございます。四分の二十年という資金は、私どもの判断といたしましては、安くて長いほどいいには違いありませんが、相当開拓の特殊事情ということで認められ、またきめた経過でございますので、この振興対策資金条件をいま直ちにいじるということは、私どもの立場からすると、きわめて困難な実情にあるのでございます。
  53. 卜部政巳

    卜部委員 その隘路も農林省にあるのではなくて、大蔵省にある、実際問題としてはこういうことになると思いますね。それは農地局長がそういうことを是認するということには私はならないと思いますから、その答弁を必要とはいたしません。しかしながら、先ほど申し上げました目標所得のそれを大幅に大蔵省に折衝するものと同じように、すべて主体性を持ってひとつこの問題は取り組んでいただきたい、こういうふうに考えます。  そこで、いま局長のほうから出てきた問題が問題だけに、その問題にひとつ論点を集中してみたいと思いますが、私は率直に言って、振興対策というものは、いつかの時点では打ち切られるものだ、そういうふうに考えるわけです。そういうこをと考えてみたときに、私は、いわゆる開拓者資金融通特別会計は何のための会計になるのだろうかという懸念さえも持ちます、この会計はどういう会計になるのでしょうか。
  54. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私、基本的には、日本の既農家もいつかの日には開拓者でありまして、徳川から室町まで戻れば開拓者が非常に多いわけであります。したがって、開拓者というものが開拓者として取り上げざるを得ず、また国会の御審議を悩まさざるを得ないということは、やはり決して理想論ではない、できるだけ早い機会に一般の農家にとけ込んでいき、かつ、とけ込んでいける実力にまで達することが理想であろうかと思います。したがって、いまの第二次振興対策も、先ほど申したとおり、何べんも言っておりますが、もう一度追加資金を投入いたしまして、ともかく一般水準に、戦列につける程度にはなっていただきたい、かように考えておるわけでございます。もしこの施策がうまくいきまして、目的が達せられますれば、開拓者資金融通法というようなものは要らなくなるべき性質のものであります。また特別会計も要らなくなるべき性質のものだと思います。将来ずっと先のことに相なりましょうが、そうありたいと私は念願いたします。
  55. 卜部政巳

    卜部委員 これはえらい脱線をして恐縮ですが、これは開拓農民とは関係なく、農林省との関係の中でひとつ話を進めてみたい、かように思うわけでありますが、実際問題としてこの特別会計——頭についておることは省きます。特別会計という形でやりましょう。特別会計というものが、実際問題として償還、まあ、開拓者から取り立てたというふうな表現でもいいのですが、これを資金運用部に返しておるわけですね。実際問題としてはそういうのですね。
  56. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 開拓者資金特別会計の仕組みは、本来融資機関でございますから、資金運用部から金を借りて、そしてそれを開拓者に貸す、それで貸しますから、開拓者からは一定条件で返ってくると同時に、資金運用部からは一定条件で借りておりますから返す。ただ、利子が御承知のとおり、基本営農資金は三分六厘五毛、それから振興対策資金は四分、一方資金運用部から借りるほうは六分五厘ですから、一般会計からの援助を受けておるわけであります。資金運用部から借りた金は返す、開拓者貸した金は、先ほど申した五年、十五年なら五年、十五年で返していただく、そういう形でぐるぐる回っておる仕組みでございます。利差がございますから、一般会計からの援助を受けておりますか。
  57. 卜部政巳

    卜部委員 ではそういうスタイルでもって資金運用部のほうにスムーズに返しておりますか。
  58. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 スムーズに返しているかといえば、決してスムーズとも言えないので、返す金と入ってくる金とのアンバランスもございます。一部借りかえもいたしております。ほかの特別会計にもございます。条件が違いますから、出るほうと返すほうの条件が違う場合には、借りかえをいたす場合もございます。
  59. 卜部政巳

    卜部委員 そこに現在何か隘路はございませんか。
  60. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 隘路といえば、率直に申しまして、一つの隘路は、予算を組みますときに、このくらい回収——申し落としましたが、回収金も貸し出し金の原資に回る面がある。回収が円滑を欠きますと、貸し出しのほうの円滑を欠くという問題点一つざごいます。
  61. 卜部政巳

    卜部委員 現在でも、私は特別会計のそれをひもといて見ておるのですが、私、大蔵におりましたから、その点はたいへん好きでございまして、ひもといてみましたのですが、実際問題として、現在の特別会計でも、開拓者から取り立てた金で資金運用部に返せないで、資金運用部で借りて、運用部に返しておる、こういう状態が出てきておるんじゃないでょうか。
  62. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先ほど申しましたとおり、資金運用部の条件で、当該年度に返すべき金が返し得ない。返すための金を借りておるという例はございます。
  63. 卜部政巳

    卜部委員 その原因は一体何でしょうか。
  64. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 実は、たいへんむずかしい問題を御指摘になっておられるわけでございますが、私は、資金運用部のほうは、御承知のとおり、預金者なりの条件がございますので運用部審議会貸し出す条件を独自にきめております。それから一方、政策的に、たとえば開拓者だから、開拓者に貸す政府資金は何分の何年、五年とか十年と、これもまた独自にきめておるわけでございます。ですから、特別会計と資金運用部の間を見ますれば、考え方によっては、貸し出すほうの条件資金運用部をそろえれば、おっしゃるようにぐるぐる回りはないわけです。それぞれが独自にきめておりますから、その間で差ができましたときには、もう一ぺん借りて返すという事例が出てまいるわけであります。ほかの特別会計でも出てまいります。
  65. 卜部政巳

    卜部委員 この問題、もう少し深めたいと思いますが、時間がございませんから、あしたにでも譲りたいと思いますが、ただ、私は別の角度のとらえ方としまして、実際問題として、この開拓者資金融通特別会計というものは、開拓者貸し付ける場合にのみ実際は借りられる金なんですね。そうすると、いま開拓者に貸すべき金を貸さなくて、どこかに回しておる、そういう点はございませんか。
  66. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 開拓者資金特別会計の内容を御審査願えばわかると思うのでございますが、先生のおっしゃるようには絶対いかないのでございます。
  67. 卜部政巳

    卜部委員 それはいかないのですよ。いかないものをいかしておるのですね。これは私はちょっと違反の疑いも実際はあると思うのです。というのは、それは逃げ口上はできますよ。だけど、一つ申し上げますと、開拓者に貸すべき金を人件費や事務費等に回しておるというようなことも、実際あるのですよ。これは違法ではないかとさえ思うのですが、しかし、この点については、元利金等がいわゆる年賦償還になっておりますから、利息でやっておるのだとか何だとかいう点がプールになっておる点からして、どの金を使ったかがわからぬから、厳密には違反にはならないでしょう。しかし、れをぴしゃっとしたら、これは違反ですよ。明らかに違反ですよ。その点はいかがでしょう。
  68. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 この特別会計の仕組みそのもので、この会計に要する事務、人件費は、利子収入でまかなうということが定められておるわけでございますから、利子収入で事務、人件費を使うことが不正当ということにはならないと存じます。
  69. 卜部政巳

    卜部委員 だから、利子でやる場合には不当ということにはならないのですよ。これは元利金年賦償還ですから、一括してくるわけです。一括でくるから、利息とそれとがわからないから、あれなんです。そういうことになっておるから、ではないにしても、現実には貨し出しをしておるところの金自体が全部償還されない。いわゆる大蔵省の運用部資金のほうにストレートで返していかれない。また借りて返していかなければいかぬという原因はここにあるんじゃないか、私はこう言うのです。首を振っておられる方はすべて答弁してください。私はみな答えられますよ。首を振っておられる方はみな立ってやってください。農地局長以外でもけっこうです。
  70. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 現に利子収入でまかなえない事務、人件費は、本年度も一般会計から七億四千万円入れておるわけです。ですから、そのために資金運用部に返せないという問題とは別だと思います。
  71. 卜部政巳

    卜部委員 わが党の理事並びに自民党の理事のほうからも、きょうは本会議があることであるから、この程度でやめてもらいたいという要請があります。したがいまして、私は、この問題に続いてまだ数多くの問題がありますので、あしたあるいはまた来週、この理解がつくまで質問を行ないますことを申し上げ、保留をいたしまして、本日はこれだけにとどめたいと思います。質問を終わります。委員長、それはよろしゅうございますね。確認してください。      ————◇—————
  72. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次に、内閣提出、八郎潟新農村建設事業団法案を議題といたします。  本案に対する質疑は、すでに終了いたしております。      ————◇—————
  73. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もないようでありますので、直ちに採決に入ります。  八郎潟新農村建設事業団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  74. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  75. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 この際、千葉七郎君外二名から、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨説明を許します。千葉七郎君。
  76. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 ただいま可決されました八郎潟新農村建設事業団法案に対しまして、自民、社会、民社三党共同提案になる附帯決議案の案文を朗読、説明いたしたいと思います。印刷が間に合いませんでしたので、あとからお手元に配ることにいたしまして、案文を読み上げ、説明を申し上げます。      八郎潟新農村建設事業団法案に対する附帯決議(案)   政府は、八郎潟中央干拓地における新農村建設事業の実施に当つては、長期的観点に立つて真に模範的な新農村が建設されるよう特に左記事項に留意して遺憾なきを期すべきである。         記  一、営農計画については、労働生産性と所得の向上がはかられるような方式を可及的速かに設定するものとし、このため実地に即した営農の確立を期し、試験研究を強化すること。  二、入植者については、営農意欲の旺盛なる適格者を選定することとし、その負担金等の償還に関しては、早急に経営安定ができるよう適切な措置を講ずること。  三、周辺地域の農業近代化に資するため、周辺地域の経営規模拡大、新農村への優先入植等について特段の配慮を加えること。  四、事業団の機構については、極力簡素なものにするとともに、職員の身分安定等について十分配慮すること。  五、八郎潟新農村建設事業の実施に当っては、農地開発機械公団の活用に努めること。    右決議する。  案文は以上のとおりでありますが、重要な点について、二、三御説明を申し上げたいと存じます。  入植者の負担金等の利率、償還等につきましては、でき得るならば農地管理事業団の利率、償還期間等を最低限度にして実施せられるようにお願いいたしたいと思うのであります。  なお、周辺地域の農業近代化に資するために、特に十分な配慮をしていただきたいと思うのであります。  加えて、現在の干拓事業所の職員の今後の身分の安定、取り扱い等については、特段の考慮を払っていただきたいと思うのであります。現在の事業所の職員等に対して、いささかも不安を与えるようなことのないようにいたしていただきたい、かように考えるわけであります。  以上で案文の朗読並びに説明を終わります。
  77. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 おはかりいたします。  千葉七郎君外二名の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  78. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。舘林農林政務次官
  79. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 ただいま御決議になりました附帯決議の趣旨につきましては、政府といたしましては、十分尊重いたしまして、御期待に沿いたいと思います。     —————————————
  80. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  82. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————    午後三時四十七分開議
  83. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。松浦定義君。
  84. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 本案につきましては、午前中にも同僚の卜部委員から詳細にわたる質問の展開があったわけでありますが、本法案は、御承知のとおりに、終戦後の開拓行政の一環として、今日依然としてこのような形を続けておるわけであります。従来から、この開拓行政については、私も本委員会で何回となくそれぞれ指摘をしてまいったのでありますが、今回の一部修正は、御承知のとおりに、終戦後約二十年にいたしまして、どちらかといえば、開拓行政が成功をして、そういう一部修正をする必要がないというような形に進展すべきであるにかかわらず、国会ごとにこれが修正され、あるいはまたその機会に附帯決議等がずいぶん出されておるわけであります。この資料に基づいてみましても、その附帯決議は数回にわたって決議をされておりますが、そのことの効果といいますか、実施段階については何ら効果があらわれていない、こう言っても私は過言でないと思うのであります。  そういうような経過の中にあるこの開拓行政でありますけれども、私は、まず第一に、このような修正をしましても、それでこの開拓行政というものが、今後完全なものとなって、政府の言っておりますような農業経営に従事することができるかどうか、こういうことについては、非常に疑問というよりも、不安があるわけであります。ですから、私は、特に前回の当委員会でも、大臣にも質問をしておりましたように、この開拓行政というものは、もうここらでひとつどちらかといえば終止符を打つ、極端なことを申し上げますならば、いつまでたっても開拓開拓というような、そういう農政に対して何ら一貫性のないようなことは、やめたらどうか、こういうような考え方を実は持っておるわけであります。ですから、今度のこの一部改正が、ほんとうに、いま私がこれから指摘しようとするような問題に対して、十分こたえていただいて、しかも効果があるというなら別でありますけれども、おそらくそう言われても、このことは、さらにまた一、二年たちますと問題が出てくる、こういうふうな性格のものだろうと思いますので、この機会に、開拓行政に対して、政府はどういうお考え方でおられるのか、そういう点について、政務次官にひとつ御所見を承っておきたいと思います。
  85. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 松浦委員から、開拓行政にすみやかに終止符を打つような政策をやるべきだというお話でございますが、全く同感でございます。昭和三十六年の新振興対策答申にもありましたように、政府といたしましては、その答申の線に沿いまして、第二類農家をすみやかに隣接の専業農家に匹敵するような状態にまで高めたいということで努力しているわけでございまして、やはり一類農家のように一般農政の対象にするということが、私は開拓行政の理想だと思います。もちろん、三類農家につきましても、いろいろな施策を講じておりますけれども、やはり今後の政策の中心といたしましては、第二類農家、ことに第三類農家とのボーダーラインにあるような農家につきまして、すみやかに各種の措置を講じまして、一般農政の対象に——開拓行政が特別の位置にあるというようなことは、なるべくすみやかになくしたいというのが、私たち考え方の根本でございます。
  86. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 政務次官が農政に対して非常に御熱意を持っておられることについては、私も十分承知をいたしておるわけであります。そういう判断に基づきまして、今後の開拓行政については、ある程度画期的な対策を立てなければいかぬのじゃないか、またそうすることが開拓者に対して親切な行き方である、こういうふうに私は考えて、同感であるわけであります。  そこで、一類、二類、三類とお分けになっておりまするこに説明については、午前中の卜部委員質問についても、局長はお答えになっておりましたが、私は先ほど御指摘申し上げましたように、たとえばこの三類農家対策につきましても、年間何がしかの数を基礎にいたしまして、それに対して離農資金を与えてこれを解決しよう、こういうふうに考えておられるようでありますけれども、たとえばこれはいま三類農家で数が限定されておりましても、一、二年たてば、またこれが、二類が三類になり、あるいは一類が二類になるという形で、全部この線に沿って対策を立てなければならないような状態になるのじゃないかという心配を私はするわけであります。ですから、三類を整理したら、あとはもう一類、二類は現在の新振興対世で完全である、こういう見通しのもとにおやりになっておるとは思いますけれども、なかなかそういうことにはならぬと思います。その原因は何であるかといえば、農業政策というものがあくまで一貫していないではないか。たとえばいまお話しのように、既存農家に対する対策開拓農家に対する対策、これはやはり経営の上からいっても、全然別であるといってもいいと思いますし、あるいはその機構の上からいっても、開拓者あるいは既存農家開拓農業協同組合、既存農協、こういったようなものが、一町村の中でそれぞれふくそうしておるわけであります。そのことが、どれだけその理事者の頭を痛め、いろいろの政策を遂行するに支障になっておるかということについては、もういまさら申し上げるまでもないと思うわけであります。でありますから、そういう点で、いま政務次官の御答弁にありましたように、一日も早く、この開拓行政というものは、一般農協がやっておるような、そういう機構の中で統一すべきであるということは、私はすでに前々から主張いたしておる一人であります。しかし、いまの段階ではなかなかできないところに何があるかといえば、現在の開拓行政の不振の結果、負債を相当持っておる。これは個人も非常につらいけれども開拓農協として非常につらい。ですから、これを何とかしなければ、既存農協との合併はできない。これは、農林省指導方針に沿うことができないような状態が、今日依然として全国各地にあるわけであります。そういう意味で、一日も早くこの三類農家を解消して、既存農協開拓農協が一本化する、そして一つの農政の中で、全農家がともに苦しむなら苦しむ、そうして今後の農業の経営に努力するということがなければならぬと思うのであります。この考え方について政務次官のお答えと同時に、局長としてそういうことはなかなかむずかしいということになれば、どういうところがむずかしいかということについて、実際担当されている局長意見をひとつ御開陳願いたいと思います。
  87. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 政務次官のお答えの前に私からお答え申し上げます。  開拓行政につきまして、私ども先ほど来申しておりますように、まず二類を育てよう、そのための施策の確立ということに努力をいたし、さらに三類に対しましての救済の問題に対して努力を続けてまいる。それから午前中に申しましたとおり、何ぶん二十年間の積み重ねの問題でございますので、一挙に全国を一ぺんにやれないので、まだるっこいようでありますけれども、数年がかりで逐次これを片づけていこう、こういう姿勢で逐次やっているつもりでございます。  さらに、それは主として設備資金を中心にして展開いたしておりますので、営農資金、運転資金の問題について、もう一歩進めるという立場で、今回保証資金改正の問題を御審議願っているわけでございまして、及ばずながら、逐次施策を充実いたしてまいっているつもりでございます。  そこで、そのように進めてまいりますと、もう一つ残されている問題は、先生指摘農協開拓農協、組織の問題でございます。開拓営農振興審議会におきましても、いま御指摘の総合農協開拓農協のあり力をいかにすべきやということにつきましては、ずいぶん時間をかけまして論議されたのでございます。開拓農協に従事されている方々のお立場といたしましては、この振興対策が充実完了するまでは、自分らの責任としてぜひこの仕事を自分らでやりたいという強い御主張でございます。それから金融機関ないし総合農協系統では、先生指摘のように、これらが分かれているということがいろいろ問題があるのではないか、したがって、できるだけ総合農協のほうに統一したらどうかという御意見でございます。結論といたしましては、開拓農協は、御承知のとおり、きわめて弱体なものもございますので、総合農協等に事務の委託をするという形によりまして、その両者の結びつきをひとつ考える、それから開拓農協そのものの零細なものがさらに合併する、そうして一つの強い組織体を持って、組合員が将来一人まえになった過程におきまして、総合農協といいますか、いわゆる開拓農協の特殊性というものをはずしてまいるという考え方でいくべきではないか、かように現在考え、合同事務所なり事務の委託につきましては、いろいろと助成しでいる現在の時点で、直ちに一つ二つかというふうに割り切ることにつきましては、適当でない、かように考えております。
  88. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 いまの御説明でもわかりますように、やはり依然としてこの行政を続けていかたければならぬ。これは当然ある機構の中でやるのですから、そういうことになると思いますが、それでは、いまおっしゃいましたように、この開拓行政が、いかに開拓者を中心として苦しんで、政府もやろうとしておってもできないかということについては、これはもう入植当時の条件とか、あるいは働く人のいままでの体験とか、そういうものが、労働の非常に激しい農業というものであるだけに、こういう問題がいつまでも尾を引いていると私は思うのです。  そこで、いま終戦後二十年ということでありますから、これを一つの契機として、ここらでもういい政策が出てもいいのではないか。過去の政策を一部修正、一部修正ということではなしに、黒い切った政策をやるべきだということを指摘申し上げているのです。もしいま局長のお話のようにやらなければならぬということでやっておりますと、その開拓者としての資格といいますか、入植条件、そういうもめごとが今日依然として、というか、そういうものがはっきりしたものがないと私は思うのです。ですから、私どもは、終戦前後に入植された者を中心として、この開拓というものが生れたと思うのですが、今日でも農村ではやはりいろいろの条件がございまして、現在、農家の二、三男でも、そういう新しい土地に入れば、これは開拓者として開拓農協の中へ所属をして、いろいろの待遇を受けておるわけです。待遇といいましても、いい待遇もありますし、悪い待遇もありましょうけれども、そういう機構の中に入るわけです。それはなぜかといえば、やはりやる気で入れば、それは開拓行政の中でも、土地子の他の条件さえよければ全然できないことではないわけです。しかし、そういうものを残すというか、あることによって、現在の既存農協の中で解決できるものが、開拓農協の中に入っていって、そして極端なことを言えば、おやじや兄貴と、そういう経常なり運営の中で、町村の中で問題を起こしている点も、私はずいぶん見受けるわけであります。いつまでこの開拓行政を続けるかということで、これは十年でも二十年でも、農村から他に出て新しい土地を求めるということになれば、すぐそういう機構があれば開拓ということになる面があるわけですから、そういう面で私はすっきりとした——やはり終戦前後にそういう政策に乗って入った人が中心でありますが、これから土地を取得するために開拓者という形になってやらなければならぬのかどうか。そういうことをやらしておけば、農民というものが、どういう形で自分の経営をやっていったらいつどこでどういう状態になるかということの見通しが全然つかないのじゃないかと思いますので。そういう点について、くどいようでありますけれども、もう一回御所見を伺っておきたいと思います。
  89. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 終戦以来の入植方式につきましては、その後のいろいろの情勢の変化がございまして、考え方といたしましては、三十六年からいわゆる入植による農用地造成ということに対しては考え直した。そうしまして、やはり既存の農家の方々がその経常を拡大するという形において、未利用地を利用するという、私どもことば開拓パイロット方式と言っておりますが、三十六年以来は仕組みをそういうふうに変えました。したがって、三十五年、六年ごろに一千、さらにそれ以前には一万程度の毎年の入植を行なっておりましたが、現在では、明年度は二百戸、その前の三十九年は三百戸というように、すでに手をつけて工事をやっております地区で、どうしても入植をしたいという方を最小限度入れていく。そして開拓の問題としては、現に農地を持って働いておる方々の利用という形で、農用地の開発をはかる、こういうことを考えましたので、私どもの考えといたしましては、新規入植者が過去におきますような形において続々できて、新しい開拓農協が生まれていく、こういう形は三十六年以来考えておらないわけであります。そこで、経過的にあるいはごく一部的に入る方は、当然入れて差し上げて、そしてこれらの方々は、過去の失敗にかんがみて、できるだけ最初からうまくやれるような配慮をいたさなければならない。同時に、過去に入られた方々といたしましては、うまくいっている方もあるし、非常にお困りの方もある。そこで、三十六年以来、くどく申し上げておりますが、いろんな形になっておりますので、それぞれの方々の態様に応じて開拓の始末をやろう、こういうふうに進めています。くどいようでありますが、新規入植は激減いたしております。行く行くは、八郎潟は別でございますが、いわゆる開拓による新規入植というものはほとんどなくなってまいるのじゃないか。したがって、新しい開拓者が過去と同じような形において出るというようなことはなくすというような考え方で、三十六年以来毎年の農用地造成をやっております。
  90. 松浦定義

    ○浦松(定)委員 私は、入植するところがあるにかかわらず入れるなということを言うわけではないのです。逆に申し上げますと、北海道の場合を例にとりましても、現在北海道では約六千戸くらいの人が離農したいということで、もうはっきり大会決定をして、そして農林省までその対策を立ててほしいということを言ってきているわけであります。そういうように六千戸も一地区において離農をしたいというようなところへ、一人や二人がどう条件がよかろうとも入っていく、この開拓行政というものの中に、そういうものを受け入れなければいかぬというようなことは、私はこれはあってもいいということは言えないと思うわけです。少なくとも六千戸出ていくということについては、何かそこに原因があるわけでありますから、そういうことをいま私はこまかく言うわけではないのでありますが、そういう情勢一つ考えたら、あとから一部修正、一部修正というようなことでなく、なるほどやらなければならない、独立しようとしておりますから、その人のためには、私は一人でも殺してはいけないから、やらなければならないと思いますが、そういう点はもうここらではっきりすべきであるということを申し上げておるわけであります。  それから、いまちょっとお話がありましたように、午前中に採決をいたしました八郎潟の入植の問題については、それぞれ私どもの同僚議員も、入植については具体的にいろいろ検討したいという意見はずいぶん持っておったと思うのです。しかしいろいろな形で、この制度そのものについては、遺憾ながら賛成ができないわけであります。結果についてはそうなりましたが、それにはいろいろな事情があるわけであります。北海道の根釧のパイロットを見ましても、あの当時1戸五百万もかけても、今日極端にいえば失敗に帰しておるわけであります。今度の八郎潟の問題にしても、これは失敗すると言ったらできませんから、これは何とかするという内容にはなっておりますが、無責任にこれを認めて、そうして中に入った人が今度また苦しい目にあって、またそこから離農者を出さなければならないというような、そういうものではいけないということで、この実施段階につきましては、たとえば今後の運営方法についてはどうしてほしいという附帯決議等が十分生かされれば、ある程度この目的を果たせると思いますが、なかなかそういう一片の附帯決議なり御答弁でこういう問題が解決するものではないと思います。それで、いま八郎潟につきましても、局長は八郎潟は別だという何かちょっとこだわるような御返事がありましたが、おそらくここの新入植者というものは、やはり開拓者だろうと思います。そしてたとえば協同組合をつくる場合にも、既存農協というようなものはつくれないから、やはり八郎潟の開拓業協同組合というものをつくるわけでしょう。それはどうですか。
  91. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 八郎潟は別でありますがと申しました意味は、別に他意はございません。一般の未墾地、比較的過去において、立地の悪いところを切り開いて、食糧増産なりその他雇用の問題の角度から人を入れていくという考え方は、考え方として修正いたしてまいりたい。北海道には特殊の事情がございますが、全般的な考え方といたしましては、農家の方々が大きく使えるような形における未利用地の転換をいたしたい。八郎潟は別だという意味は、あそこに新しく干拓地が造成されまして、これは過去からある土地で人が利用しなかったという土地でなく、新しく造成いたした土地でありますので、ここには人を入れて、先般御説明いたしましたとおり、何とかりっぱな農地に育て上げてまいりたい、こういう意味で申した次第でございます。  そこで、八郎潟に入植者が入った場合には、開拓協同組合をつくるだろうということですが、当然いずれつくることに相なろうかと思いますが、それを開拓農業協同組合と言わねばならぬかどうかは、必ずしも開拓と言わねばならぬものとは思っておりません。と申しますのは、現在の協同組合の中で、開拓農業協同組合と銘を打っておりますのは、現在御審議を願っております保証制度の適用を受けたり、あるいは開拓者資金を流す機関として、特に農業協同組合の中から開拓農業協同組合というものをあげておるわけであります。その限りにおいて仕事を始めておるわけであります。八郎潟におきまして必ずしも現在のこの制度によらなければならないとは考えられません。もっと直接の方法でうまい方法ができれば、あえて開拓農業協同組合と銘打たねばならぬとも考えておりません。要は、入ります方々に対する財政援助のあり方と現行法の問題とを今後の入植者に対してどのように扱うかという立場で判断をさせていただきたい、かように思います。
  92. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 そうしますと、この八郎潟に入植する人は、もしつくりたいといっても、これはつくらせないといったような指導をするわけですか。
  93. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 農業協同組合をつくりますのは、農協法でつくるわけでございますから、組合員の方々がおつくりになるそれは協同組合であろうかと思います。その協同組合二つに分けまして、特に開拓農業協同組合と銘打つ看板を掲げ、扱うのは、いかなる実定法上の意味があるかということであります。そうしますと、きょう御審議願っております法律でも、開拓農業協同組合であれば、たとえば保証を受けられる、あるいは開拓資金融通法による資金の扱い機関になる、結果的にそうなるわけでございます。  開拓農業協同組合というものが、それ自身別にきまるわけではございません。したがって、できました八郎潟に、組合員が集まりまして、農協法の手続で協同組合をつくりましたときに、これを他の法律との関係開拓農業協同組合とするかしないか、これは別の立場から考えて差しつかえない問題だ、かように存じております。
  94. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 どうも局長はなかなかむずかしいような答弁をしておられますけれども、私は、先ほど言った前提としては、これからは、この開拓行政なんというのは、一般農協にやっておるような一本の農政で日本の農業をやってほしいということを中心として言っておるわけです。そこへもってきて、今度の八郎潟が別であると言われるから、これだけはまた認めるのかなと思ったのですけれども、これは融資を受けるためにそういうものが必要であれば、つくることを拒否するということは私はできないと思うのです。そうしますと、いまの開拓三法というものは、当然私はつくると思うのです。もし、これをつくりますと、そうすると、やはりいまのような問題については、またこれは別な意味での議論がずいぶん出てくる。たとえば、先ほど申し上げましたような北海道の根釧パイロットは、一戸五百万もかけて、そしてこの三法ができてなおそれで守れないような経営をやっておるわけなんです。ところが、今度は、総額百万とか二百万、三百万というような金を用意しなければいかぬ、八郎潟でそう言っておりますけれども、かりにこれができまして、そしてこの三法ができても、依然としてその三法にたよることによってそこの経営が十分でないといったようなことではいけないと私は思うので、この三法というものは、私は、終戦後に入った開拓者を救うことが、極端に言えば、できなかったと極言してもいいと思うのです、実際問題としては。こういう段階になって、たとえば北海道で今年六千戸も離農したいというものがある限りにおいては、私は、政府の政策としてりっぱであったということは言えないのではないか、こういうように言うわけなんです。そこへもってきて、その法律を今度の八郎潟へ適用させないということはできない。必ずします。それは少しでも、今度通る一部修正でも拡大されて、その恩恵に浴するということになれば、農家は苦しいから、これはだれだって、よかれあしかれ飛びつくわけなんです。それがもし、十年後に、そのことによって自分の運営が非常に悪くなると思っても、とりあえず非常に苦しいということで飛びつくと思うのですが、そういうものに対する見解がはっきりできない中でこの八郎潟というものがやられるということについては、私は、農地の拡大ということであの広大な面積を経め立ててやることについては、これはなるほどいいと思うのです。東京湾を埋め立ててやるようなそういうものは、別な意味で工業振興なり何なりでやっておりますけれども、農業をやるのにそれだけの金をかけてやらなければならぬほど、たとえば農地においても、農業者の希望の条件でも、わが国では全然ないというふうには私は考えないわけなんです。むしろ八郎潟でそれだけの希望があるなら、北海道の六千戸の農家が出ていかなくてもいいようなそういう状態を——はっきりこれは北海道だからできないとおっしゃるなら別でありますけれども、そういう点は、当時あの法律審議するときには、やはり世銀の金を借りてやったということで、ずいぶん時の農林大臣なんかはりっぱな意見を出しておられましたけれども、結果はこうなってしまった。そういうことでありますから、この八郎潟の問題につきましても、この開拓三法が適用されることを一応やはり希望して——必ずこれはできると思うのです。できた後において、さらにこの地帯における農業振興のためにならないような結果になるおそれがあるとするならば、まあ、通ったあとから文句を言うのはおかしいのでありますけれども、この八郎潟の問題について、私は、ほんとう農林省としても重大な責任があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。ですから、開拓行政というものが、そういう形でなしに、何らかの形でもっと生きられるような法律をつくらなければならぬのじゃないかというふうに私は考えるわけですが、これからの開拓行政について、八郎潟の問題についてはその程度にしておきますが、現に入っておる、困っておる、そういう農家がどうしたら救われるのか。負債の数理は午前中にも御答弁がありましたが、そのことは、ずいぶん農林大臣も何回となく繰り返しておられることばでありますが、そういうことでなしに、何かここにひとつはっきりした線を出してもらわなければ、開拓者というものは浮かばれないのではないか、私はこういうふうに考えますが、この点についてどのようにお考えになっておりますか、これは政務次官もあとからひとつ御答弁願いたいと思います。
  95. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 私が、八郎潟におきましては、たとえば開拓者資金融通法を使う必要があるかどうかという立場から、必ずしも開拓農業でなくてもいいのではないかと申した意味は、開拓者資金融通法は、入りました方々が農機具とかいろんな生産手段を調達するために、長期、低利でその設備資金を貸すという仕組みの特別会計でございます。ところが、御審議いただきましたように、八郎潟におきましては、事業団が先行的に住宅もつくってしまう、それから機械も先行的に買ってしまうという形でやりますので、過去の旧開拓地におきますように、開拓者自身が国の金を借りて営農のスタートをやるという必要はないように処理をいたしたい、そういう立場で、開拓者資金融通法の体系にどうしても入らなければならぬものとは考えられない、別の毎度から助成措置を考えればいいのではないかと存じており、そういう趣旨で先般御説明をいたしたので、開拓者資金融通法は八郎潟に直ちに使うことにはならない、かように申し上げた次第でございます。  なお、開拓三法と俗にいわれますものは、資金融通法と営農振興臨時措置法と、それからいわゆる条件緩和法でございまして、いずれも過去に入りました方々をどうして育て上げるかというために、苦心の産物として立法化し、御審議願ったわけでございますが、これから入る地域には、そういう問題は発生させないように、前向きに処理すべき問題でございますから、これが適用されるという性質のものではない、かように存ずるわけでございます。
  96. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 八郎潟と北海道の開拓を関連さしてお話しでございますけれども、私は実は松浦委員といささか違った考えを持っておるわけでございます。北海道その他三陸地区の開墾、開拓と申しますか、そんな問題につきましては、いろいろ条件が悪い点が多かっただろうと思うのです。午前中にも卜部委員からお話がありましたように、たとえば非常に経験の浅い人が終戦後一時入られたとか、あるいは畑地の開墾を行なったという立地条件とか、その他いろいろの条件から、なかなかよくいかない。もちろんたとえば選択的拡大の立場から、酪農とか果樹、園芸をやられたところでは、百万以上の所得をあげた優秀な第一類農家もおられますし、また第二類の中でも、将来非常に有望な方がおられるわけでございます。しかし、たくさんの第三類農家がおられますように、また第二類と第三類のボーダーラインのごとき人もおられますけれども開拓農家としては、政府がいろいろな施策をとっておりますけれども、なかなかよくいかないことは、お話のとおりでございます。しかし、八郎潟につきましては、土地も非常に肥沃でございますし、また経営規模から申しましても、あるいは五町以上の土地を配分する、また集団的な経営を行なう、さらに大規模機械農業の開発を行なうというような、いろいろの条件から考えまして、いままでの開拓のあとをたどって失敗するということは、少なくとも今日の段階におきましては農林省として考えてない。むしろ、農林省といたしましては、農業の最も先駆的なモデル的なものを現出さして、農民一つのビジョンを与えたいという、かような非常に強い、高い立場からの希望を持っているわけでございます。さような立場でございますから、直ちに北海道と八郎潟を混合されまして言われることにつきましては、必ずしも私納得できない次第でございます。
  97. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 まず局長の御答弁からちょっと私感じたことを申し上げるのですが、この開拓三法は、すでに入っておる者を救済するためにつくったのだ、こういうお話ですが、それはまあ確かに——それだって、入植当時には整備できなくて、入植してから整備していったから、そういうことになるのです。これを八郎潟には少なくとも適用させない——そういうことを適用させないというのでなく、そういうことが生じないように指導する、こういうことだと思うのです。しかし、ある限りは、ここに法律として残っておる限りは、あそこに入っておる農家だって、これに対してもう全然適用しないということは、私は言えないと思うのです。だから、ただし八郎潟については本法は適用しない、したがってそのことの責任は全責任を持って政府が負うのだというような別のことをやれば、これはそんなものよりもずっとあとのほうがいいから、そっちへ飛びつきますけれども、おそらくそういう、ただ何とかそうさせないのだ、したくないのだという気持ちはわかります。気持ちはわかりますけれども、そう簡単なものじゃないというふうに私は考えますので、これはいまさらこれを直すとかなんとかいうことでなくして、私は、八郎潟の運営に対しては全責任を持ってやってもらいたいということの一環として、これは申し上げておるわけなんですから、その点は、附帯決議の中でさらに強い意思表示があったということにお考えを願ってやっていただきたいと思います。  それから政務次官のお話は、これはもう先ほどからどうもいささか意見が違うというお話で御答弁されましたが、全く違います。これは北海道と今度の八郎潟とは全然違うから、そういう愚は再びおかさない、こういう御所見のようでありますけれども、北海道でも最初は、ちょうど政務次官がおっしゃるとおりのようなことを、保利農林大臣でしたが、言っておりました。今度の場合、また数年ならずして、あるいは農林大臣になっておられるかもしれませんけれども、舘林政務次官が言っておったこととこれは違うのだということを指摘せざるを得ないような状態にならないように、これはやってもらわなければならぬ。そういう点で、私はほんとうに責任があると思うわけなんです。  それからもう一つは、テスト、テストとおっしゃいますけれども、それはなるほどパイロットというものは、先ほど申し上げましたように、五百何十万も一人に貸したのだし、世銀のお金をかけてやったのだからということで、当時はこれはパイロットだ、こういうことでやったわけでありますが、その結果は当時の意見と全然別であって、ほんとうに小規模なものにはその気持ちは多少生きておるけれども、小規模なものを生かすために、あの大きいのはほとんど死んでしまっておる、こういうことなんです。親が死んで子供が生きているのでなくして——まあ、その点は私は非常に変わった形態の印象を受けてならない。今度の八郎潟の場合は、これは一つのパイロットだとおっしゃいますけれども、それじゃ、もしこれが成功すれば、この次どんどんとあれ以上のことをおやりになる決意があるのか。あれだけで、りっぱだ、りっぱだということだけで、次々と政策上の一つのあれとしておやりになるのか。まず本年は八郎潟だけれども、予算さえ許せば来年度はどこをやるのだ、第二次、第三次計画というものがおありになるのかどうか、この点を承っておきたいと思います。
  98. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 八郎潟におきます営農は、パイロットとは申しておりませんで、あそこにモデルを造成したいという意味で申し上げておるわけでございます。したがって、そのモデルの意味はどうなのかという問題が一つあるかと存じます。しかし、先般も御説明いたしましたとおり、既存の零細土地所有の上に綱の目が張られております耕地においてはどうしてもできないところの大型機械化体系農法というものが、あそこは、白紙でございますから、努力いかんによっては、やれるわけでございます。したがって、そこでできました大型機械化体系のうちの長所というものを少しでも既農村に取り込んでいくよすが、きっかけにもいたしてまいりたいし、既農村におきましても、農協が機械を持つ等の形におきまして、そういう農法のできる条件の存するところへやるという意味におきましては、モデル的役割りは果たし得るのではないか、かように存じております。  それから、八郎潟のようなタイプをほかにまだ次々とやるかという問題でございますが、あれだけ大きな干拓地の前例は、過去においてはございません。今後の問題といたしましては、長崎県の諫早地区に相当大きな干拓をやるわけでございます。状況によりましては、あの地区はこれに準ずる形でやったらどうだろうか、かように考えておりますが、本年からようやく事業所をつくろうという段階でございますので、まだそこまではっきりいたしておりません。大きな干拓地で政府の設計いかん、入る方々の御協力いかんでは、やれる地区については、そういう形をできるだけ取り入れたほうがよいのではないか、かように私どもは考えております。
  99. 松浦定義

    ○松浦(定)委員 この問題については、いろいろ意見のあるところでありますけれども、きょうは私は、卜部委員がおやりになったあと、明日質問しようというので、何ら用意なくして、取りまとめのないことを申し上げておったのですが、時間の関係もございますから、本日はこの程度にして、また明日この次を御質問いたしたいと思います。
  100. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 次会は明二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時二十六分散会