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1965-03-16 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十六日(火曜日)     午後三時三十三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君       池田 清志君    宇野 宗佑君       亀岡 高夫君    吉川 久衛君       小枝 一雄君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    高見 三郎君       中川 一郎君    中山 榮一君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       藤田 義光君    細田 吉藏君       川俣 清音君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       松浦 定義君    湯山  勇君       小平  忠君    中村 時雄君       林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 三月十六日  委員森義視君辞任につき、その補欠として川俣  清音君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十六日  農地管理事業団法案内閣提出第九九号) 同月十五日  養ほう振興法運用是正に関する請願(久保田  豊君紹介)(第一四三九号)  国有林野活用促進に関する請願中川一郎君  紹介)(第一四四〇号)  鶏卵、鶏肉の価格安定に関する請願外一件(渡  辺栄一紹介)(第一四四九号)  韓国東海岸漁場における操業に関する請願(古  井喜實紹介)(第一四五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  八郎潟農村建設事業団法案内閣提出第九八  号)      ————◇—————    午後三時三十三分開議
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  八郎潟農村建設事業団法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。千葉七郎君。
  3. 千葉七郎

    千葉(七)委員 八郎潟農村建設事業団法案に関しまして、若干質問をいたしたいと存じます。  秋田県の地図を開いてみますと、八郎潟は直接日本海につながっておるのでありますが、潟という字の意味は、辞典を見ますと、湾の一部あるいは内海といったような意味に解されるわけでありますか、八郎潟日本海の一部でありますか、あるいは湖でありますか、その点を一応お聞きしておきたいと思います。
  4. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいしたします。  まず、八郎潟日本海の一部と私どもは了解いたしております。それから御承知のとおり、船越水道というのが、日本海との間に細く在来からもございまして、そこを通じまして、もともと周辺の川が入ってできております淡水のいわゆる潟でございますが、その船越部分から塩水が若干入っている。そういう意味で、普通のいわゆる俗にいう淡水の沼とは違う。海に一部つながっておりまして——現在ではなくて一そういう意味で、在来潟と呼ばれておる地帯でございます。
  5. 千葉七郎

    千葉(七)委員 ただいまの答弁によりますと、湖とも解されますし、かん水が入ってくるから海だとも解されるわけでありますが、海とすれば、これはもちろん日本の領海でありまして、したがって、その所属は県や市町村には属してない、こういうことになるわけですが、湖とすれば、当然その湖が県なり市町村所属をしておるわけなのでありますが、八郎潟はその所属がどこになっておるのですか。この点ひとつお伺いしておきたい。
  6. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 ご承知のとおり、八郎潟干拓いたしますにあたりまして、あるいはその他でも比較的大きな湖、沼を干拓いたします際に、公有水面埋め立ての許可をとっております。そういう意味公有水面でございます。そこで、そこに陸地造成いたします際に、普通、在来市町村地先におきまして陸地造成されますと、地先市町村接続地と理解いたしまして、町村の区域に編入するというのが一般の通例でございます。それ以前はいわゆる公有水面でございます。  そこで、八郎潟は、御承知のとおり、東京都の環状線の中の面積の三倍もあるというような地域でございますので、市町村にそういう意味で編入されるというのは適当でないということで、本日お手元に審議のための参考資料をお帰りしておりますが、その二十二ページにございますように、昨年の六月十八日に、大規模公有水面理立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律というものが設定されまして、この法の定める手続によりまして、新しく内閣から一つの独立の村として指示をし、建設されるということに相なっておる次第であります。
  7. 千葉七郎

    千葉(七)委員 ただいまの説明によりますと、八郎潟は、昭和三十三年ですか、それ以来ずっと、干陸の工事土地改良法のそれぞれの規定によって特別会計で行なわれておって、そしてすでに昨年干陸がほぼ完成をして、昨年の十月に、その干陸された地域には大潟村が設置をされておる、こういう御説明でありますが、そういうことであれば、すでにこの八郎潟というものは日本地図から抹消されておる、このように考えても差しつかえがないのではないか、そのように考えるのが当然ではないか、私はそのように理解をするわけですが、その点いかがですか。
  8. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 この潟は、先ほど申し上げましたとおり、非常に大きいものでございますから、岡周堤防ができまして、中の水を一挙にポンプで吐きますと、万々一提防等に不備な点がありますと問題でございますので、大群をとりまして、逐次水を吐いております。昨年の十月から水を吐き出しておりまして、現在冬は休んでおりますか、大体三分の一程度水面でなくなっておりまして、残りはまだ水面でございます。そこで、四十年までかかりまして逐次水を吐きまして、四十年に至りましてこれ全部がいわゆる陸地になる。その間、水のありますうちに、工事都合等関係で、大きな水路その他をサンドポンプで掘ってまいります。そういうような工程上の必要もございまして、現在はまだ三分の二程度水面でございます。地図お話が出ましたが、これは地図上の扱いの問題といたしましては、いろいろの考え方があるかとも存じますが、全部水面から頭を出しました時期において、これを陸地として整理をしていただくほうが適当ではないか、私どもかように考えておる次第でございます。
  9. 千葉七郎

    千葉(七)委員 これは農林省のほうで出した資料ではなくて、秋田県のほうで出した資料なんですけれども、この資料を読んでみますと、すでに昨年の八月で約三分の一以上の干陸が終わっておる。もちろん、私も八郎潟を実際に見に行きました。自分のこの目で見てきたのですけれども、昨年の八月以降も干水の作業を続けておるとすれば、もうすでに現在では七、八割くらいの千水ができ上がったのではないか、かように考えられるわけです。ただいまの説明によりますと、まだ三分の一程度しか陸地が出ていないのだというのでありますが、それに間違いないわけですか。
  10. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先ほど申しましたとおり、ポンプをフル稼働すればどんどん陸地にすることは可能でございます。しかし、いろいろの工事工程の問題、先ほど申しました堤防あり方を逐次見てまいる、それからさらに逐次干上げていくことによりまして、塩分その他の害を除くという立場から、先ほど申したとおり、現在のところ、ことし三十九年度では五千五百ヘクタールほどを干陸いたしております。先生のおっしゃいました八月ごろは干陸の最中でございましたが、御承知のとおり、この地帯は冬場は雪の多い地帯でございますので、大体十月の末ごろからはそれをやめまして、また四月から再開をいたします、四十年まで三回くらいに分けて逐次干陸をいたす、こういう段取りにいたしておる次第でございます。
  11. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いろいろ御説明をお伺いしたのですが、いずれにしましても、この八郎潟は大体昭和四十年の八月ごろまでには全部の干拓が終わって、陸地がそこに造成される、こういうことはいまの御答弁から推察できるわけであります。したがいまして、八郎潟日本地図からなくなってしまうのだということは時期の問題である、かように考えてよろしいかどうか。もちろん、そういう見通しでありますから、したがって、昨年の九月自治大臣が告示をしまして、十月一日から大潟村が発足をしておるという実態になっておるわけであります。そしてまた村長の職務代行者任命をされておる、あるいは役場吏員等任命をされておるのであります。したがって、私がどうも納得のいかないのは、この新農村建設事業団名称と申しますか、これを八郎潟農村建設事業団という名前をつけるのは不適当ではないか、私はかように考えるわけであります。現存しないとは言いませんけれども、現存しなくなるのはもう時期の問題、ここ数カ月のうちには八郎潟という湖はなくなってしまう。時期の問題であります。それを知っておりながら、八郎潟農村建設事業団法という名称をつけるのは、事実に即しない扱いではないか。現存しない八郎潟、そういう名称をつけるということは、非常に奇妙な取り扱いではないか、かように考えるわけであります。その点に対する御見解はいかがですか。
  12. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 確かに、先生のおっしゃること、私ども気がつかなかったような立場からのお話でございますが、私ども率直に申しまして、かつて八郎潟であったところに、新しくそれを干上げまして、そこに日本の模範的な村なり農地造成したいという意味で、きわめて率直な意味におきまして、八郎潟に新農村をつくる事業団、こういうふうに考えましてやったわけでございまして、あえて申しますれば、かって八郎潟であったところに生まれ出る新農村をつくる事業団、かように考えておる次第であります。
  13. 千葉七郎

    千葉(七)委員 かつての八郎潟は、土地改良法第二条二項四号で千陸をされて、そしてそこに大潟村ができておるのです。ですから、そういう経過かういうならば、大潟村新農村建設事業団という団体をつくる、こういう扱いであれば、私は正当ではないかと思うのです。八郎潟という名前をつけたということには、何かそこに単純なものでない意図があるのではないかということを私は勘ぐらざるを得ない。(「含みがある」と呼ぶ者あり)含みがあるというお話でありますが、私はその含みの問題につきましては、明日大臣出席を得て、その含みがあるかないかという点は追及をしたい、そのように考えておるわけであります。局長さんのお話では、私の主張も理論的には正しいとお認めのようでありますから、その問題はあしたまでお預けにしておきます。  そこで、お伺いをいたしますが、中央干拓地は、干陸の面積は一万五千八百七十ヘクタール、そのうち、農地が一万三千七百五十ヘクタールを予定いたしておるようでありますが、この一万三千七百五十ヘクタールの農地農家戸当たり耕作規模はどのようにお考えになっておりますか。
  14. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 何ぶん非常に大きな土地ができますし、どういう農業をやったらいいかという点で、御承知日本に普遍的でございます零細農業経営をこの地で単純に再生産してもつまらないではないか、やるならば新しくやったらどうかという考えは、私どもにもございますし、関係方々にも非常にお強いのでございます。そこで、私どもといたしましては、昭和三十四年から、この事態におきます扱いにつきまして、八郎潟をどういうふうに持っていくかということで、企画委員会というものをつくりまして、村の建設あるいは工事の取り進め方あるいは労農のしかた等に分けまして、専門の方々から御研究をいただいてきておるわけでございます。当初三十五、六年ごろの第一次の御答申では、日本農家は、平均一町足らずであるから、せめて二町五反くらいの農家をここにつくったらどうかというのが、初めの御意見でございました。しかし、その後、いろいろと農業事情も変化いたしまして、同営農部会では、そういう考え方から、考え方をちょっと変えまして、この中に六十ヘクタールの圃場をつくる、圃場として六十ヘクタールにどんどんつくってまいりまして、それを何戸かで経営したらどうか、その場合に、六十ヘクタールを十二戸で経営したらどうか、さらに機械の発注その他の研究の結果によっては、それを六ないし七戸で経営するようなことも考えてみたらどうかという、非常に一度の大型機械を使いました営農方式というものを農林省本気考えてみたらどうかという御意見が強く出ております。ただ、この御意見につきましては、日本における大型機械発達の状況、あるいはこの地帯におきます土地性質、ここはもともとヘドロ地帯でもございますから、土地基盤性質、あるいはもともと塩分が多少あった地帯でございますから、土地の塩けをなくす時期、経過等から、大事に慎重に研究をすべきである、こういう注意書きがついておりました。そこで、私どもといたしましては、二十八年からそういうお考えも取り入れまして、中央干拓地を飛び越えました南の地帯に同じくつくりました沿岸の干拓地帯で、大型機械化体系によります農法の実験を行なっております。それから一方、周辺方々で、漁業補償その他との関係でここに入りたいという御希望を持っておる方々もあるわけでございます。そういう趣旨の角度から考えまして、私ども目下のところ、これを機械的に画一的に一定の形のものだけをこの中に埋めてしまうという考えはいかがなものであろうか。したがって、周辺方々でここを利用したいという部分におきます営農あり方の問題、さらに機械発達度合い等を加味して大きくも考えるという立場をとりまして、一応のよりどころといたしましては、中心点といたしましては、六十ヘクタールを十二戸、戸当たり五町でございますが、その程度の配分の上に、六十ヘクタールを大型機械をもって営む経営を、昭和四十三、四年ごろの目標としてはそういうふうに考えたらいかがだろうか。そして御承知のとおり、ここに一挙に入れるわけでございませんで、五、六年にわたりまして逐次入れていくわけでございますので、その前に、国労といいますか、試験農場等もつくりまして、その技術体系経営体系等を詰めまして、自信がついたところで訓練をいたしまして、そういう形に持っていく。さらに技術の進歩、機械発達土地基盤チェック等を終えまして、やり得るならばさらに大きなものを考えていくというふうに、やや弾力的に、かつ全体の技術基盤整備あるいは周辺事情等を加味して、この中に営農の姿を考えてまいりたい。当面基幹的に軸として考えますのは、先ほど申しました六十ヘクタールを十二戸程度で営む体系というものを考えたらいかがか、かように存じております。
  15. 千葉七郎

    千葉(七)委員 周辺地域等につきましては一応論外としまして、その主体をなしておる中央干拓地営農の形態は、六十ヘクタールの圃場に分割をして一区画として、それを十二戸程度経営をしていくということになりますれば、一戸当たり経営規模は大体五ヘクタール、こういうことになるわけですね。  そこで、お伺いをいたしますが、この工事費は、干拓基幹工事だけで、三百三十一億円ということになっているわけであります。これはもちろん四十年度以降の費用が六十七置く八千六百万円ほど含まっておりますから、したがって、はたして三百三十一億円でこの基幹工事が完成するかどうかということは、これは正確には、必ず完成する、その額はこえないとはいえないと思いますけれども、大体この基幹工事は三百三十一億円程度、そしてその上なお、これからこの法律をつくって事業団を構成して、その事業団農地造成仕事をやる、こういう計画のようです。そこで、この事業団農地造成に予定しておる経費は一体どれくらいを見込んでおりますか。一万三千七百五十ヘクタールの中央干拓地農地造成経費は大体どの程度を見込んでおられるか、お聞かせを願いたいと存じます。
  16. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 いま御指摘のとおり、特別会計で一番基幹的な工事、たとえば堤防、それからポンプ、それから地区内の八軒になります排水路等をつくる、この関係が、いまお店が出ました三百六十六億でございます。それで、これは御承知のとおり、干拓地におきましては、その中の農民に分けるときの一定割合農民が負担をして、土地を手に入れるわけでございます。これが全部農民にかかっていくわけではございませんが、それにいたしましても、八郎潟の大きな道路とか水路機械、それからどうしてもその内部につきましてこまかい仕事までやる必要がある。これが本日八郎潟農村建設事業団の設立の御審議をお願いするゆえでございますが、そのためには、さらに細部の、たとえば土地を開墾するとか、土壌改良をするとか、六十ヘクタールのうちの水路をさらにつくるとかいう問題がございまして、そういう関係と、それから農家住宅造成しなければなりません。それから農家倉庫等共同利用施設等もつくらなければなりません。この関係では、今後この法律に基づきましてこまかい計画を立てるわけでございますが、私どもおおむね百七十億見当というふうに見当をつけておるわけであります。しかし、この地帯におきましては、役場も要ります。学校も要ります。そういう関係、あるいは電気、水道等仕事も必要でございます。この関係で四十億見当事業がやはりどうしても要る。そのほかに、訓練とか計画樹立費とか、いろいろございまして、全体といたしまして、この事業団としては二百三十億見当事業を目下のところ一応予定をいたしております。
  17. 千葉七郎

    千葉(七)委員 三百三十一億、あるいはいま三百六十六億というお話ですが、三百六十六億というのは、三百三十一億プラス農地造成分で三百六十六億、こういうことになるのですか。
  18. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 三百六十六億という数字は、本年大体工事が終わりに近づきましたので、最終的に近い数字を一ぺん整理をいたしまして、事業費会計と私ども申しておりますが、今後の金の必要量を大蔵省に要求するために、ほぼ最終的に整理した数字でございまして、その対象になりますものは、前に申しました三百三十一億のときのものと同じでございます。当初の計画でございますので、物価騰貴その他がございますし、あるいは工法の変更等、先ほど申しましたような次第でございます。
  19. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そういたしますと、この三百六十六億に新農村建設事業団農地造成費というのがこれに加わるわけですね。その見込みを聞いておるのです。
  20. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先ほど申しましたとおり、三百六十六億は、たとえば中のバスが通る大きな道とか、それから一番中心になる排水路とか、用水路でございますが、その支、派線で小さくなる部分事業団でやるのがたてまえでございますので、三百六十億の上に——上と申しますか、続いて事業団事業が行なわれる、こういう関係になります。
  21. 千葉七郎

    千葉(七)委員 ですから、農地造成についての事業団で施行する分の経費は、一体幾らとするのですか、こういうことを聞いているのです。
  22. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 御質問の御趣旨を取り違えておりましたらまた……。二百三十億の中をさらに分解いたしますと、いわゆる農地整備費農地をほんとうに農地として使えたるめの状態にまでもってくる最終的な整備費は、五十億と計算しております。
  23. 千葉七郎

    千葉(七)委員 そういたしますと、大体農地関係では、もちろん、これは農地以外の、たとえば焦点の敷地にするとか、あるいは役場その他病院、学校等敷地等工出費も含まっておる上でありますから、農地関係費用だけと見ることはできないのですけれども、いずれにいたしましても、三百六十六億プラス五十億というものが、一万五千ヘクタールの土地造成費用である、かように了解できると思います。そういたしますと、合わせて四百十六億ということになるのでありますが、これを一ヘクタール当たりに見ますと、平均をいたしますと、大体一ヘクタール当たり三百万近い、工事費がかかるわけであります。非常に高い土地ができ上がる、こういうことになるわけでありますが、このような非常に高い土地入植者に対していずれは払い下げをするのでしょうが、その払い下げをする際の価格は、十アール当たり、あるいは一ヘクタール当たりでもかまいませんが、どの程度のことを見込んでおられるわけですか。
  24. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 干拓事業によりまして造成できました土地農民に引き渡します場合の対価は、非常に複雑な仕組みに相なっておりますが、簡単に申しますと、大体七五%を国が持ってしまう。二五%を農民に三年据え置き二十二年で払っていただく、こういう仕組みでございます。で、いろいろ事業費がかかっておりますから、昔は五%であったのが二五%に変わったとか、いろいろの経過がございますが、簡単に言いますと、そういうことで、大体二割五分相当額農民が払う。ただし、それも一ぺんではたいへんだろうということで、三年、二十二年で支払っていただく、こういう組みに仕相になっております。そうして、ごく最近のものは別としまして、過去に手をつけましたものは、あまり高くなる場合はその上限でとめ、あまり安い——というと語弊がありますが、安くできたものは下限までで売るという仕組みに相なっております。八郎潟の例は、大体いまのところ、下限一ぱいに、事業費のコストの二割五分という考え方考えましてなる見込みでございますので、現在の下限を九万五千円と考えておりますので、反九万五千円程度農民土地払い下げいたします際の対価でございます。で、一般地区ではそれで終わりでございまして、あと農民が金を借りて自分で小さな農道をつくったり、水路自分でひっぱったりするわけでございますが、何分八郎潟などはそういうわけにもいきませんので、人が入る前にたんぼをつくるという考え方をいたしましてつくりました関係上、ほかの地区と違って、そこから先を先行投資的に事業団がやってしまうという考え方で、それが先ほどの五十億でございますから、大ざっぱに計算しますと、一万、五千円見当になろうかと思います。半額補助を一応前提といたしますと、一万五千円程度考えられますから、十一万前後というようなところが土地対価という形になろうかと思います。
  25. 千葉七郎

    千葉(七)委員 十アール当たり十一万というわけですね。そういうことになりますと、五ヘクタールで農地関係対価だけで、五百五十万、こういうことになるわけですね。それに対して住宅建設費が百七十億見られておるようであります。これは、もちろん農家住宅だけではないと思いますけれども、このうち、農家関係住宅建設費幾らになっておりますか。
  26. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 農家住宅関係では、いま概算で四十億程度のものを見ております。
  27. 千葉七郎

    千葉(七)委員 中央干拓地は一万三千七百五十ヘクタール、一戸当たり耕作面積を五ヘクタールとしますと、この中央干拓地に入植する戸数は約二千四百戸ぐらいですか、二十四百戸の農家住宅建設費が四十億。四十億で、二千四百戸分の農家住宅建設するということになりますと、一戸当たり百五十万円程度になりますね。そういたしますと、農地対価が、五ヘクタールで五百五十万、それから住宅建設費が百五十万、合計いたしまして七百万。それに、農業でありますから、当然作業場が必要になってくるだろうと思う。その作業場は、一圃場当たり大体の建設費幾らぐらい見ておられるわけですか。
  28. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 お答えいたします。農業共同利用施設関係では、二十億を別に考えております。
  29. 千葉七郎

    千葉(七)委員 共同作業場建設費として二十億を考えられておるとすれば、当然、一圃場六十ヘクタールとしますと、一万三千七百五十ヘクタールですから、約二百圃場ということになるわけですから、二百の圃場に対して二十億の建設費ということになると、一圃場当たり約一千万円ということになりますね。これも結局最終的には、十二戸の農家で支払いをするということになるだろうと思うのですが、これが約八十万、合計いたしまして、農地対価五百五十万、それから住宅建設費が百五十万、共同作業場建設費負担分が約百万とみまして、合計八百万が入植農家の負担、こういうことになるわけです。そこで、この入植の際の条件と申しますか、たとえば秋田県の出しました案内書によりますと、入植にあたっては、入植者としての生活と農業を営むに必要な資金や現物を携行できる者を入植させる、こう書いてあるわけですね。これは農林省で出したのじゃないから、おれのほうはそんなものは知らないと言えば、そういうことになるのでしょうが、必要な資金や現物を携行できる者であること、この八百万の金を持った人しか入植させない、こういうことになるのですか。どういうことになるのですか。
  30. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 先ほど申し上げましたとおり、たとえば土地は、いまの御計算のものを二十五年間で払っていただく。それから先行投資といたしまして、いまいろいろ御指摘願いました住宅、共同利用施設等も、それをまるまる農民にいくようにしないで、一般と開拓地等でも補助が出ておりますから、補助金を出すことによって、総額としての負担を低めますと同時に、これも融資等でほかの地帯ではやっているわけでございますから、それとの見合いのようい、事業団のほうを延べ払いにいたす、こういう考え方でございますから、いま先生が御指摘になりました、何百万かのお金をすぐ頭金としてさいふに入れてこなけれればならぬという関係ではないのでございます。ただ、御承知のとおり、この地帯は、入りましてからやはり一年なり一年半程度訓練をいたしたいと思っております。したがって、一年訓練をいたしましても、半年の間は収入がないという意味におきまして、やはり当座の生活費は御持参願わないと困る。それから、ここは全然機械化農法だといっても、農具も何にもないということもあり得ないと存じますが、大部分のものは機械でやってしまいますから、問題はないと思いますが、あるいは肥料代は借りるといたしましても、とにかく全部借りるというわけにもまいらぬ。したがって、入りました当座の生活費及び営農を開始しますスタートにおきます元本というようなものは、やはり御持参願わなければならない。しかし、いま御指摘になりました土地負担とか、住宅の分とか、そういうものは抑え置き期間等も置きまして、営農が動きまして、米が取れ、売れて代金が入る段階におきまして、それから払っていただく、こういう考え方をいたしておりますので、結局何百万のもののを持ってこなければ入れないというふうには相ならぬ、かように存じております。ただ何ぶん、ここで私どもの期待するところ、秋田県の期待するところといたしましては、相当進んだ形の農業をやっていただきたいという立場を持っておりますから、ある程度の能力なり技術のほかに、やはり御準備は要るとは思いますけれども、いま御指摘のように七百万、八百万なければ入れないというふうにはならぬ、かように考えます。
  31. 千葉七郎

    千葉(七)委員 わかりました。百万なり、二百万なり、一、二年の生活を維持する程度の金を持ってくるという、そういう条件にする、こういうわけですね。そこで結局は、八百万近い入植者の資金は、ただいまのお話によりますと、二十五年年賦の借入金でまかなう、こういうわけですね。それが三年据え置き、二十二年で支払いをする、こういうことですね。
  32. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 ちょっと補足さしていただきますと、土地代金につきましては、現在法令でそういうようにきめておりますので、三年据え置き、二十二年でやることに確定いたしております。あと、その他のものは事業団が先行投資してつくりまして、ものによってはしばらくの間は貸しておくという方法もございましょうが、たてまえとしては買い取っていただくつもりです。住宅の場合、売りました場合の支払い条件というものが三年、二十二年かという点になりますと、実はいままで、やっていない例でございます。こういうふうに住宅まで事業団が先につくって、さあいらっしゃいという形の干拓というのは、まだ日本ではやっておりませんので、これから詰める次第でございます。私どもとしては、当然相当の据え置き期間と相当の支払い期間を置くつもりでございますが、それが三年、二十二年かということになりますと、なお今後折衝する問題でございます。
  33. 千葉七郎

    千葉(七)委員 いずれにいたしましても、住宅作業場等の建設費用も、大体農地扱いになるのであろうということは想像される、こう考えて決して不当ではないと考えられるわけであります。  そこで、そういう前提で質問を進めでまいりますが、三年据え置き、二十二年の償還ということになりますと、四年目から大体元金だけで四十万円程度の支払いをしていく、こういうことになってくると思いますが、この借り入れ金の利息は、これは無利子ですか、それとも幾らか利息を取るのですか。
  34. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まず、土地のほうから申しますと、土地は、先ほど二割五分見当農民対価としていただいておるということを御説明いたしましたが、特別会計事業をやります場合に、二割五分を資金運用部から借りまして、農民分を先に借りで、先につくってしまうという仕組みに相なっております。したがって、特別会計としては、資金運用部から六分五厘の金を借りてやるわけてございますので、いまの二割五分に相当する農民負担につきましては、会計のバランス上、やはり六分五厘をいただくということに相なっておる次第でございます。その他のものの金利は今後きめるわけでございますが、開拓地、御承知の開拓者等につきましては、基本営農資金は三分六厘五毛でございます。そういう関係とにらみ合って、バランスをとりながらきめるわけでございますが、いずれにしろ、無利子ではございません。
  35. 千葉七郎

    千葉(七)委員 住宅あるいは作業場等の建設費等は利息は多少安いといたしましても、大体ならして六分程度くらいのことは考えられることになるわけであります。そういたしますと、八百万前後の元金に対する六分前後の利息でありますから、一年間に四十八万円、これがおそらく均等年賦償還でございましょうから、利息を半分と見込みましても、二十四万円程度の利息はこれは入植者が負担しなければならぬ、こういうことになりまして、四年目あたりからは、大体元金四十万、利息二十四万、まあ六十万円ないし七十万円くらいの元利の金を支払っていかなければならぬ、こういうことになるわけですね。  そこで、この干拓農地からは水田の米の収穫量は、大体一ヘクタール当たりどの程度に見られておるのですか。
  36. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 干拓地は、わりあいと米がとれるのが一般的な傾向なんでございます。ここでは、一つには六十ヘクタールという大圃場考えておりますので、手植えということは考えない、無理であろう、そういう形になっております。そこで、直播ということに相なりますというような事情、それからその土地がいつ安定するかという問題を大事をとっているわけでございます。一応の安定期に達しますれば、三石数斗はとれると判断していいのではないかということを、秋田県の農地とか、いま実験をやっておりますいろいろの実験の立場から、一応の考えを持っておる次第でございます。
  37. 千葉七郎

    千葉(七)委員 秋田県で出した資料を見ますと、年間六万三千トン、四十二万石、反当約三石ぐらいはとれるだろう、こういうふうに案内書に書いてあります。しかし、ただいまのお話によりますと、干拓地は非常に収穫があがるというお話でありますけれども八郎潟ははたして当初から案内書に書いてあるように、またいまお話のありましたように、反当三石の収穫があがるかどうかということは、大きな疑問があるのじゃないかと考えられるのですね。たとえばこの八郎潟は、御承知のとおりかん水であった。したがって、土壌にも相当塩分が含まっているのではないか、それからまた、大農法によるロス等も、初期の経営では相当程度児なければならぬのじゃないかというようなことも考えられます。それからまた、いろいろ説明書等を見ますと、相当の面積にわたっていわゆるヘドロ地帯がある。まあ、土地よりも水位が高いのですから、したがって、このヘドロ地帯は、おそらくそう簡単に大農法で機械耕作ができるような関連にはなかなかならないのじゃないかというようなことも一応考えられる。私はしろうとですから、専門家になればそういうことはないかもわかりませんけれども、私がしろうととして考える場合には、そういう点も考えられる。そうしますと、どうしても耕作を始めてから五、六年の間、つまり、土壌が安定するまでの間は、三石の見積もりというものは非常に過大じゃないか。平均三石というと、四石、五石ぐらいはとれるところもなければ平均三石にはならない。そういう点を考えてみますと、最初五、六年の間は、平均二石程度くらいの反収を見るのが最も適当な見方ではないか、かように考えるわけであります。それからまた、御承知のとおり、秋田県の大潟村はいわゆる積雪寒冷地帝であります。まず三年に一ぺんくらいは冷害ということも考えなければならぬ。そういう点を考えるならば、三石の収穫見積もりというものは非常に過大ではないかというふうに考えられるわけなんですが、その点はいかがでしょうか。
  38. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 まさにその点に私ども非常に良心的に考えておるわけでございまして、先ほどの、一ぺんに干せばすぐに干せるのではないかという問題に対しまして、非常にじわじわ干しておりますのも、案外、地盤の安定のほかに、土壌の改良の期間をなるべく置きたいということと、それかう早く入れろという声も非常に強いわけでございますが、大事をとっているわけであります。そうして入植も、現に干陸した地域でも、四十二年ごろから入植させようという声と、もっと早く入れろという声があるのでございますが、四十一年に試験圃場で実際に試験をやってみて、しかる後に四十二年から入れよう、そうして四十二年の時期におきましても、特別の指導をやる、そのために入れる数もあまり多くしないというふうに、非常に大事に大事をとっておるわけです。したがって、いま私どもが三石ちょっとと申しましたのは、初年度に三石という意味ではございませんで、大体三年ないし四年の時期かうそういうふうに見ていいのではないか。その三年、四年という意味は、決して千陸から三年、四年ではないのでありまして、去年干陸した地域に入る人が四十二年でございます。その四十二年からさらに一、二年というものは、反収はやはり二石ないし三石五斗程度を見ながら、安定期におきまして三石弱を見ていいのではないか。したがって、当初の段階におきましては、御承知のとおり、一時使用の時期もございますし、一方償還金等におきましても据え置き期間を置くわけでございますから、入れるのを大事をとって入れて、入れたあとも三年くらいの間は反収も少ないということを前提に、それから三石数斗の反収を見る。したがってその間におきましては、金を払うほうも据え置き期間というものを考慮する、こういう形で、大事に大事をとっていま考えておる次第でございます。
  39. 濱地文平

    濱地委員長 千葉先生にちょっとおはかりいたします。  あなたはあしたもまた御質問いたしますか——それでは本日はある程度でひとつ打ち切りたいのですが……。
  40. 千葉七郎

    千葉(七)委員 それではこの程度で、きょうの分を打ち切ります。
  41. 栗林三郎

    ○栗林委員 資料の要求があります。簡単な資料ですが、いま千葉委員から質疑をされました、農民が後日譲渡を受ける農地の延べ払いの年次計画ですか、年次償還といいますか、支払いの試算表と、それから共同施設、住宅機械等、事業団ができたあとに事業団が施行させられる農業関係のいろいろな事業がありますが、それらの農民負担として支払われる延べ払いの年次計画、元利等もございますが、一応参考にしたいので、それの試算表を明日出していただきたい、こう思います。
  42. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 提出いたします。
  43. 濱地文平

    濱地委員長 次会は明十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会