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1965-03-04 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月四日(木曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 坂田 英一君    理事 仮谷 忠男君 理事 谷垣 專一君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    宇野 宗佑君       亀岡 高夫君    吉川 久衛君       倉成  正君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    田邉 國男君       高見 三郎君    中川 一郎君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       藤田 義光君    細田 吉藏君       亘  四郎君    卜部 政巳君       千葉 七郎君    松井  誠君       松浦 定義君    湯山  勇君       小平  忠君    中村 時雄君       林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         水産庁長官   松岡  亮君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房企画         室長)     大和田啓気君         農林事務官         (畜産局参事         官)      吉岡  茂君         通商産業事務官         (通商局次長) 今村  曻君         通商産業事務官         (通商局輸入業         務課長)    半沢 治雄君         通商産業事務官         (通商局農水産         課長)     後藤伝一郎君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 三月四日  委員卜部政巳辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  卜部政巳君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のため、委員長指名により、私が委員長の職務を行ないます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村時雄君。
  3. 中村時雄

    中村(時)委員 きょうの一番のしょっぱなにお尋ねしておきたいのは、バナナに関する台湾日本側輸入に関する諸種の問題について、通産農林当局にお尋ねをしたい。  まず一番にお尋ねしたいのは、最近、バナナの問題が、昨年の暮れから本年現在にかけて、非常に問題をかもしておるのであります。たとえば、昨年、国内において、四団体が、一応その規制を明確にしようというたてまえから、輸入に対する受け入れ体制確立をはかっていった。ところが、台湾側のほうは、御存じのとおりに、この規制をされてくると、非常に自分たち輸出に対する困難性が伴うというたてまえから、アウトサイダーであるとか、あるいは華僑であるとか、それらの人たちによって切りくずし策をはかってきた。その結果が――大体日本において、まあ通産省考えておるのは何百万かごかは知りませんけれども、大体一般常識論から言った場合は、三百万かごぐらいのところが適当ではないかという話すらあった。にもかかわらず、そういうふうな切りくずしが効を奏して、三、四、五月の間に四百六十万かご輸入というような現象になってしまった。そういうような現象が、国内果樹にはたしてどういう影響を及ぼすか、あるいは業者間においてどういう影響を及ぼすか、いろいろな問題がここにかもされてくるわけなのであります。同時にまた、そのことは、一面から言うと、輸出に対するところの日本国内立場から見れば、ある程度規制をし、ある程度の効果をおさめておるが、輸入に対しては必ずしもそうとは言い切れない。台湾のものが野放しのような状態になっておる。その中において、自由化に伴う輸入に対してどういう基本線考えておるか、あるいはまた国内的には、これらの業者過当競争原因となってこのような紛争を招いているわけなのでありますが、この紛争を招かしたという原因はどこにあるのか、そういう問題に対して、一応通産省のほうから、このバナナ輸入に関する最近の概略をひとつ説明をしていただきたいと思っております。
  4. 半沢治雄

    半沢説明員 バナナ輸入の問題でございますが、御存じのように、三十八年の四月にバナナ自由化されたわけでございまして、三十八年四月以降、自由化に伴いまして、自由化前のおおむね三倍程度の数量が輸入されてきております。業界混乱という御質疑がございますが、自由化に伴いまして、業界といたしましても、輸入組合という組織を通じて輸入体制秩序化をはかるという動きがあったわけでございますが、これも御存じかと思いますが、業界内部には考え方がいろいろ相違がございまして、輸入組合につきましても、二つの大きな流れが併存、競願の形になったわけであります。これは通産省といたしましても、いわゆる寡占と申しますか、二つ団体競争状態が起きますと、より競争が激化されてくるという懸念もございまして、一本化のための努力をすでに三十八年末ごろに行なったわけでございますけれども業界内部の対立が非常に根深いために、この調整がつかずに今日まできております。  それで、実は三十九年の輸入の一番多い時期でありますが、春先の時期を経まして、業界内部混乱はますます激化するという状況がございましたものですから、三十九年の秋口から、できるだけ業界内部がまとまるように、さらにもう一度努力してみたわけであります。その結果、御指摘のように、バナナ取り扱い業者相当部分を占めます四つ団体が集まりまして、日本バナナ輸入協議会という任意団体組織いたしまして、これで輸入秩序確立をはかりたいという動きがあったわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、自由化後直ちに出てまいりましたもう一つ流れと申しますか、業界の中の対立する他の部分がございまして、なかなか意見の一致が見られないで――協議会といいますのは、任意団体でございまして、法律上の根拠を特に持っているわけでございません。したがいまして、強い調整行為はできない。いわんや、アウトサイダー規制というような問題は問題になり得ない。そういう基盤のものでございまして、そのために、御指摘のように、台湾のほうから、アウトサイダーなり、いわば協議会とは反する動きをするグループなりを通じて、いわゆる撹乱工作がございまして、きわめて遺憾ながら、現在のところ、業界を一本にまとめて輸入に関するある種の調整を行なう、これを秩序立てていくという体制確立してないわけでございます。ただ、言えますことは、その協議会というものができますまでは、実は日本側業者と申しますのは、非常に弱くて、所管官庁であります通産省などにもなかなか顔を出せぬ。一たん顔を出すと、あれはおかしいということで、台湾から取引をむずかしくさせられるというようなことがあったわけでございますけれども協議会ができましてから、きわめて微々たる足取りではございますが、一応台湾バナナ取引につきましては、契約書ができてきた。それまでは実は契約書もないという状態でございましたけれども、きわめて不備ながら契約書もできてきた。それから取引条件についても、これはきわめてわずかではございますけれども、改善のきざしが見えてきておる。それと同時に、こっちでそういう協議会が結成をされるという状況を見まして、台湾側のほうにおきましても、いわゆる話し合いの場をつくろうという動きが出てまいっております。本年の一月から、日華バナナ貿易協議会というのが、台湾側輸出団体生産者団体日本側のおもな輸入団体との間で形成されておりまして、各種の問題については、この日華バナナ貿易協議会という場でお互いに話し合っていこうじゃないかというところまではきておるわけでございます。ただ、きわめて遺憾なことでございますが、台湾側輸出業者団体なり生産業者団体というのは、非常に強いコントロールのもとに置かれておる。しかしながら、日本側協議会に臨みます団体というのは、御指摘のように、法律的な基盤を持つ団体でもございませんので、非常に強い態勢をとるということはきわめて困難な状況に置かれておるわけでございます。私どもといたしましては、いままで時間をかけてきてさっぱりできておらぬというおしかりを受けるかもしれませんけれども、やはりできるだけ業界各種団体思想統一をはかって、これを組織化して、台湾側に対しても相当強い態度で臨めるというような組織をつくっていく。主として輸出入取引法等に基づく組合なりあるいは協定なりという内容を通じてこれを行なうことになろうかと思いますが、またそういう方向で現在努力いたしておるわけでございますが、そういう形で業界秩序ある輸入体制をつくり上げていきたい、かように考えております。
  5. 中村時雄

    中村(時)委員 いまの話の中でお尋ねしておきたいのは、たとえば昨年の暮れに団体をつくって一つ目安をつけたいという意向が出てきた。その団体というのが四団体ある。この四団体はどことどこですか。
  6. 半沢治雄

    半沢説明員 これは四つございまして、正確に申し上げますと、全国芭蕉卸売加工協同組合連合会、略称で全芭連と称しております。それから日本中央市場青果輸入協会、それから台湾青果輸入会社協会、四番目に日華青果物貿易協会、この四団体中心になっておるわけでございます。
  7. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは一つ団体ともう一つ団体のいろんな問題があると言うが、これ以外の団体はどういう団体がありますか。
  8. 半沢治雄

    半沢説明員 一番最初申し上げましたが、自由化当初に輸入組合二つ共願されてございます。それは全日本バナナ輸入組合というものと、日本バナナ輸入組合というもので共願の形になっておりまして、ただいまの四団体は、どちらかと申しますと、全日本バナナ輸入組合系考えていただいてよろしいかと思います。日本バナナ輸入組合申請がございました系統の団体は、これは準備会という形で現在も継続しておるわけでございますが、そういう一つのグルーブがございます。なお、そのグループ間が非常に双方混在いたしておりまして、そのほかに、ごく最近では日華バナナ貿易協議会という団体が新たに結成されておるというような動きになっております。
  9. 中村時雄

    中村(時)委員 昨年の十二月ごろにそういう動き方があって、もちろん、あなた方も、先ほどの説明の中に、二回にわたってそういう指示をし、何とかして一本化していこうという努力をされたということはよくわかりましたが、その結果において、昨年の十二月に、大体台湾との交渉に入る前、一応そういう線が生まれてきた、こうおっしゃったが、その数は大体どの程度にあなた方は見ておりますか。
  10. 半沢治雄

    半沢説明員 これは当時の推定でございまして、実は推定に誤りがございまして、協議会が発足いたしました当時は、約三百社中、協議会関係が二百三十社程度扱い高にいたしますと約六五%程度という見込みでございました。
  11. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、三百社中で二百三十社という大半以上、過半数のものが、大体そうしなくてはならぬという意向を持ってきたことは確かなんですね。それならば、それを中心にどうしようかという次の手が考えられるべきであると私は思っておる。ところが、逆にあなた方の野放しのために、台湾に振り回されてしまって、今度の申請では一体何社のものが出ておりますか。
  12. 半沢治雄

    半沢説明員 ただいま申請を受付中でございまして、正確なデータはまだ把握いたしておりません。一昨日現在で五百社弱であります。
  13. 中村時雄

    中村(時)委員 そういうことはどこに欠陥があるか、私が追及しなくてもおわかりだと思う。おそらくこれの締め切りまでには一千社近くのものになってくると推定されてくる。そうすると、あなた方の意図するものとはほど遠いもので、混乱状態はこれ以上大きくなると私は思うが、そういう点に関して一体どうお考えですか。たとえばいまあなたは、非常に力の弱い法的根拠のないものだから、何とかしなければならぬとおっしゃっておるが、何とかするためには、その業者間で、当初三百社あったものの中で、二百三十社のものがそうしたいという念願を持ったにもかかわらず、ただ単にあなた方がオファーが出ればLCを組んで幾らでもやらせてあげるというような結果が、こういう結果になってきたのだというふうに私は思っておる。だから、その問題にどうメスを入れて、どのような方向をとろうとしておるかを聞きたい。
  14. 半沢治雄

    半沢説明員 ちょっと御訂正申し上げなければならぬのでございますけれども、昨年の秋に約三百社と申しましたが、その後精査いたしてみますと、約五百八十社ほどが扱っておるわけでございます。たいへん申しわけないのですが、その後の精査によって判明いたしたわけであります。今回のオファーは全部でございます。
  15. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ私はこまかく一社一社聞いていきますよ。それでわかりますか。
  16. 半沢治雄

    半沢説明員 こういうことでございます。たとえば輸入協定をいたします場合に、正確に何社が輸入業者として適格性を持ち得るかという目安を立てるために、三十八年四月の自由化以降昨年暮れまでに、バナナを扱いました輸入業者の総数は五百八十社でございます。なお、昨年の暮れに、その期間についてだけ申請がございましたのは約三百社ございます。ただいま一社ごとの資料は手元にございませんけれども、これは一社ごとにわかります。
  17. 中村時雄

    中村(時)委員 それはいま手元にないから、その問題はひとつ抜きとして、かりに私が推定をしたところによると、その五百何十社の中に、あなた方確信をもって言えるかどうか。最近は、こういうようなバナナ状況なので、ただ単に向こうの人、外国の人ですが、パスポートだけとってこっちにひょっとやってきて、居住権もありませんが、しかし、バナナはいま言ったように、オファーを出してLCを組みさえすればものになるのです。そういう法律的な欠陥をついて、ただ単に申請だけをして、いま言ったように、パスポートでやってきて、ここに会社一つつくって、それからオファーをお願いするとすぐに許可になる、こういう業者がおらぬとあなたは断言できますか。
  18. 半沢治雄

    半沢説明員 そのような業者はかなりおると思うのです。
  19. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、いま言った輸入に関する問題の規制というものは、てんでんばらばらで、何もやってないということになるのだ。自由ほうだいだ。だれがやってもけっこうです。かりに私が行ってオファーをとって、すぐにLCを組んでもらってちゃんとやれば、すぐできる、こういうかっこうになるわけだ。そうすると、無制限でどうにもこうにも手のつけようがないという結果が生まれてくるわけですね。だからこそ、あなた方でもこれはいけないという考えになって、何とかまとめたいという意思があるわけなんでしょう。そうすると、その意思はどういうまとめ方をするかということに関して、いま言ったように、基本的に明確に過半数のものがここにおるわけですね。この人たちは、一応曲がりなりにも良識をもって何とかしたいという考え方を持っておることをあなた方は認めていらっしゃる。だから、その方々中心として、そのアウトサイダー的な、そのときの場当たり的な人たち、そういうものを規制する方向考えるのが妥当じゃないかと私は考えるのですが、それに対してどういうふうにお考えですか。
  20. 半沢治雄

    半沢説明員 自由化輸入秩序あり方一般につきまして、これは輸出入取引法という法律が、実は私どもとしては道具としてあるわけであります。これは基本的な理念としましては、業界の自主的な協調体制所管官庁がバックアップするというのが基本的な態度になっておるわけでございます。実は昨年の秋以来、関係業界にもいろいろお話をいたしまして、まずその協調体制をつくってみませんか、協調体制ができたところで、取引法のベースに乗せて、協定なり組合なりという形で秩序をつくっていこうじゃないですかという話はしておったわけでございます。しかし、率直に申し上げますと、業界自主協調でやってくれということを申しましても、実はなかなかできぬというのが実情でございまして、先ほど来申しておりますように、私どものほうといたしましても、いま御指摘がございました、中心となっております協議会及び有力なアウトサイダー等を含めまして、おもな取り扱い業者について、できるだけ考え方を一致させるような方向に、むしろ役所から手を出してやっていくかという、現在そういう状況でございます。もちろん、そのあとアウトサイダーをどうするかという問題は当然起きます。それについても、私どもとしては、まとまり状況を見ながら至急手を打っていかなければならぬのではないかというふうには考えております。
  21. 中村時雄

    中村(時)委員 一つの結論が、大体目安がついてきたわけなんですが、私はそれでけっこうだと思うのです。そういう一つ団体中心にして、これはおそらく良識的に国内あるいは国外の問題を考えた結果から生まれてきた連中なんです。ところが、いま言ったように、かってな野方図なやり方をやっているために、それが混乱状態になっておる。そこで、輸出入取引法に基づいて、あるいは協定をつくるのか、あるいは組合をつくるのか、それは別問題として、一応そういう方向に向けていきたいという意思が明確になってきた。  それに基づいてもう一つ私が聞きたいのは、一体あなた方が自由化という問題をどう考えているかということです。自由化という問題は、どこの国でもそうです。野方図に自由にさせておるのじゃないのです。その自由化原則というものは、輸入制限して、外貨支払いは自由にいたしますが、しかし、だれでも輸入が行なえるというような自由化というものはあるべきじゃない。それは何も自由化じゃないのです。それはやはり日本の国の立場からいって、それぞれの専業者がおり、それぞれの専門家があり、そういうような形の中からくる、それを基本にしたところの輸入制度、あるいは外貨支払い制限を行なわないということが、私は自由化原則でなくちゃならぬと思っております。それでなかったらその国はがたがたになってしまいます。  それはそれとして、いまおっしゃったような一つ基本が出てきましたが、一体農林省のほうは、いま通産省のほうはかなり明確な線を打ち出していらっしゃるのだが、これに基づいてどういうお考え方を持っていらっしゃるか。
  22. 林田悠紀夫

    林田政府委員 ただいま通産省から答弁いたしましたように、農林省といたしましても、できるだけ早くバナナ輸入組合を一元的につくりまして、そしてその輸入組合協定を結ぶということが最もいいんじゃないかと思っております。だからその線に沿いまして、できるだけ早く前進していきたいと思います。
  23. 中村時雄

    中村(時)委員 農林省のほうも、一応通産省意見が一致した。輸入組合をつくりたい。あと内容の問題になってくるわけです。ただ、その内容の場合に、いま言ったように、業者間というものは私はけしからぬと思うのです。というのは、バナナ屋業者というのは、たたき売りと言うと悪いけれども、それと同じようなかっこうがあるのじゃないか。お互い協定しておっても、この前の十二月末に、先ほど通産省がおっしゃったように、協定は一応されました。そして大半の人は、それはそうだという考え方を持ちました。ところが、台湾側はそれをやられたら困るという立場から、各業者を全部台湾に招待をしたわけです。そして台湾に招待された方々はどうやったか。個々がほとんどが契約をしていったわけですね。個人個人契約すると、あそこが十であったら、うちはないしょで十二ぐらいにしておけば何とかなるのではないか、そういう考え方だった。そうしてふたをあけてみれば、台湾側では四百五十万かごという数字が出てきた。そういう状態で、業者間自身、自主的な一つ観念が一部にはあるかもしれぬけれども大半の者はなっておらぬのじゃないかと思う。一つ経済機構としての観念もなければ、日本全体としての方向の見通しもなければ、あるいは国内における果樹との競合に対する一つの安定度という考え方もなければ、流通機構に対する一つの明確な考え方もなければ、ただもう極端にいえば自分さえもうければいいのだという観念の人が大半ではないかと思われるわけです。そういう立場をとってみると、これはいいことではないけれども農林通産十分協議をされて、一つの方式の確立をはかるよりほかないのじゃないかという考え方を私は持っておる。そういう立場に立って、一体通産農林方々は自主的にその判断ができる立場を持たれるかどうかということを御答弁願いたい。
  24. 半沢治雄

    半沢説明員 この問題が発生いたしましてから、通産省といたしましても、農林省とは緊密に連絡をとっております。したがいまして、先ほど来お答え申し上げましたようなラインで、農林省通産省との間には固まってきつつございますので、その線で進みたい、こう考えております。
  25. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 農林省意見は、先ほど園芸局長が申し上げたとおりでございますが、三十八年の四月にバナナ自由化されましてから、いま通産省からお話があるとおりに、三倍近く輸入がふえてきたわけでございまして、農林省としては、皆さん方も御承知のとおりに、果樹園芸振興と酪農の振興ということが二大政策の中心でございまして、先ほど中村委員も、バナナ輸入日本国内のリンゴとかミカンにどれほど影響を与えたかというお話でございます。もちろん、各果樹園芸業者のいろいろな気持ち等を聞きましても、これは明らかに果樹園芸に対する大きな脅威であることは間違いないことだと存じます。さような意味から、農林省といたしましては、バナナ秩序的な輸入ということについては、切実な関心を持っておることは申すまでもないことであります。いまも中村委員がおっしゃいましたように、台湾日本のたくさんのバナナ業者が行って、全く台湾輸出業者のペースに乗って、醜態の限りを尽くしたということも、しばしば私どもは聞いておるわけでございます。さような意味で、とにかく日本果樹園芸振興果樹園芸のせっかく発展しているのに対するチェックにならないようにということが、われわれの最大の義務でございますので、一日も早く輸出入取引法に基づきまして、単一組合、一元的な組合ができまして、そうしてこれに基づいて秩序ある輸入をさせたいということが、私たちの切実な考え方でございます。通産省ともよく連絡をとりまして、一日も早くこれが実現できるように私は努力いたしたいと思います。
  26. 中村時雄

    中村(時)委員 次にお尋ねしていきたいのは、それで一応明確な線が出てきたわけですが、ただ、政府の答弁は、これはあげ足をとるようで悪いのですが、いつも一日も早く実現に努力するといったような、とおり一ぺんのことばになっているわけです。そこで、明確に大体いつごろまでにでき上がるという一つ目安を持たなければならぬと私は思うのであります。今度の協議会において、おそらく今度の協議会がもう最近開かれるであろうと思うので、先ほど通産省でおっしゃったその線に、これはなかなかむずかしい問題ですけれども、でき得ればそれと前後して発足するような手はずぐらいは、基本だけは打ち立ててもらいたいと私は思うのですが、どうですか。
  27. 半沢治雄

    半沢説明員 御指摘のように、一日も早くというのは、確かにそういうことかもしれないのでございますけれども、実はこの半年間私としては精根尽くしてこれに当たってきたつもりなんでございます。業界内部がなかなか複雑でございまして、実は今度の協議会は、来週早々ぐらいから三月十日前後に開かれるやに聞いております。その前後に目安をつけるということを申し上げるのは、実は非常にきついわけであります。まことに申しわけない言い方でございますけれども、最大限の努力をしてということしかちょっと申し上げかねるのでございます。
  28. 中村時雄

    中村(時)委員 最大限の努力ということは、まるで政治家が言うようなことが乗り移ったようなもので、先ほど政務次官が、まことに申しわけないがと断わられたから、政務次官ちょっとのきなさい、こういうことなんです。事務当局として、それだけ明確なものを持っていらっしゃるなれば、一応の目安を大体どのくらいにつけなくちゃならぬという考え方がなくては、そういうものができるものじゃない。ただ、いつの間にか、それに持ってきて政治がからんでくる、いろいろなものが出てくる、業者間のいろいろな利害得失が生まれてくるということになりましたら、あなた方は事なかれ主義にやろうということになって、なかなか前向きにならない。しかし、あなたは、いまお聞きしておりますと、ほんとうにこれに取り組もうという意欲を持っていらっしゃる。意欲を持っておるなら、われわれはバックアップいたします。政府もそうだと言っている。農林省もそうだと言っている。おそらく自民党の方々も良識をもってそうだとおっしゃるでしょう。社会党もそうだと言うでしょう。どこに一体ネックが出てくるのですか。何もネックはありやしない。これはやろうと思えば、あすにでも私はできると思う。あとに残ってくるのは、業者間の利害得失が問題になってくるだけです。その利害得失の問題になってくる焦点はどこにあるか、基本的に明確にしようという線はここにあるのです。それ以外の人たちがその中にいないから、いるからというだけの話です。だから、ずばっと切ってごらんなさい。ずばっと切れば、その人たちも入らざるを得ない、何もその人たちを除くということじゃないのだから。そうしてその人たちも中に入れて、一つ組織立った、規律だった方向をぴしゃっと確立するということだけなんです。たったそれだけですよ。いま横のほうで赤路委員も、指導力を持ってくれと言っていますが、そのとおりなんです。それだけでいいのです。これはだれが見ても、だれが聞いても、ここに委員が全部いらっしゃいますが、だれも反対する人はおりやしませんよ。反対する人がおったら、ここに来て反対してもらいたい。このとおりいやしないでしょう。それだったら一ぺんにできることなんです。課長一人におそらく国会を通じてこれだけの援助をすることはないんじゃないかと私は思う。それでもできぬというのなら、よほどあなた自身がどうかしているということになる。そうでしょう。そういう意味で、ひとつ農林省のほうも、局長から、いまの課長の言質に対して、バックアップするということを明確にしていただきたい。これが一つ。それから期日をすみやかにと言いましたが、少なくとも半年内なら半年内には確立する、三カ月以内なら三ヵ月以内を目途にして、ずれる場合もあるでしょうが、それだけの決意を持って臨んでいただきたいと私は思う。
  29. 林田悠紀夫

    林田政府委員 御承知のように、この前台湾へ大ぜい行きまして、四月から六月までの輸入数量はきめてきているわけでございます。それ以後はまだきまっておりませんし、そういうあれに間に合いますように、できるだけ早く組合をつくるということでいきたいと思います。
  30. 中村時雄

    中村(時)委員 いま言ったように、四月、五月、六月が一度きめられた。きめられたのは、しみったれたことを言ってもしかたがないと私は思う。だから、その次に考えて、少なくとも六月なら六月で終わるのだから、六月までにはこれを明確にする。常識的に考えてみても、線が出るでしょう。だから、一応の目安を六月なら六月に置いて、作業を進めてみるというふうにお考えになったらどうですか。政務次官、それができますか、できませんか。
  31. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 まだ相当時間もあることでございますから、さっそく農林省といたしましては通産省と交渉いたしまして、ぜひ御期待に沿いたいと思います。
  32. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、私は言うのです。政務次官が答弁されたら、善処いたします。こう言うから、あなたも政治家だったら、責任を持ったらどうでしょう。ひとつここでどうですか、政務次官。あなたが今度責任を持って農林通産の中でまとめるようにひとつ努力しようというなら、話はわかります。どうです、そうじゃないですか。そのくらいのことは、やはりお互い仲間の政治家としては明確にしておいていいのではないかと思います。
  33. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 私も日本農林行政の仕事をやらしていただいておりますし、ことに果樹園芸振興ということは、私たちの大きな責任でございます。したがいまして、実は去年の十二月あたり、この問題をいろいろ聞きましたときも、局長、課長等にも強く申し上げたところでございまして、決して、私は善処しようとか検討しようというふうに、いいかげんに言っているわけではございませんので、この問題につきましては、必ず私大臣とも相談いたしまして、取り組んでいきたいと思っております。
  34. 中村時雄

    中村(時)委員 その決意のほどは私も十二分にわかる。ただ、いま言ったように、一つ目安をつければ――私がなぜこんなにこだわるかといいましたら、こういうことなんです。一つ目安をぴしゃっとつけましたら、少なくともいま言ったように、アウトサイダーの連中も、これはいかぬ、自分もその組合に入ろうじゃないかという心がまえができる。その心がまえをつくってやることが私は政治だと思う。そうして実際にそれをバックにして、行政機構が一つ一つ取り上げていくという行き方になっていく。そうすればスムーズにこの問題が運んでくるのではないか。それを受けるほうの台湾側としても、いけなかったら――それでもまだ台湾に振り回されるかっこうだったら、不買同盟をつくればいいのです。バナナなんか食わなくたって人間は死にやしない。ただ、台湾の現状から見た場合には、第一次製品として一年作のものはありません。そこで、台湾のほうとしては、当然バナナによって何とかしたいという気心は、私たちもよくわかります。だから、それを全然たたこうという意味じゃないのです。ただ、お互い取引の上において、正常な立場取引をしてもらいたいということが、国内業者考えでもあり、われわれ国民の考えでもあり、また、そのことが台湾自身もよりよくしていくものだと私は思う。このまま台湾がこういう形で進めておってごらんなさい。台湾に対するところの国民感情というものは、大きな問題になってあらわれてくる。ついには政治問題に帰すると思う。そのことを考えているから、ささいなように見えるけれども、この際、そういうことを明確にして、一応内輪をおさめるような方法をみんなで努力しようじゃないかということになってくるわけです。そういう立場で、一応六月ごろに今度の四半期が終わりますから、そこらを目安にしてきっちりしておいてあげることが、それに入っていない方々も準備ができるし、時間的にもちょうどいいんじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけなんです。だから、そういう意味で、しつこいようですけれども、まとめる上においては、一つの焦点をつくっていくことが大事じゃないか、こう思ったので、私が言ったわけなんですが、それに対してお答えいただきたい。
  35. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 この問題は、先ほど申し上げましたように、国内果樹園芸の擁護ということが第一点だろうと思います。第二点は、日本の商取引の姿として、国辱的な、屈辱的な情勢を呈しさせたくない。日本の商慣習の名誉にかけまして、これは当然だと思う。さような意味で、私は、この問題といたしましては、とにかく六月まで一応決定したわけでございますから、七月以降の問題につきましては、三、四カ月の間に必ず解決いたしますように、ひとつ通産省と責任を持って交渉いたしたいと思います。
  36. 中村時雄

    中村(時)委員 いま明確に御答弁願って、そのほうにわれわれが必要であれば、私は幾らでも努力いたします。  それから次に通産に聞きたいのですけれども、昨年度のバナナ輸入量並びに輸入価格、それが幾らになっておりますか。
  37. 半沢治雄

    半沢説明員 年度間ではまだわかっておりません。昨年一月――十二月の通関実績で申し上げますと、総数量で三十五万一千八百トンであります。
  38. 中村時雄

    中村(時)委員 かごにして幾らですか。
  39. 半沢治雄

    半沢説明員 これは実は全世界からの輸入量でございまして、台湾だけですと十八万七千トン、と申しますと、統計上はキロで出ておりますので、概算でございますが、約四百四万かご程度だと思います。金額にいたしまして百十六億円程度になろうかと思います。全世界からの数量でございますと、先ほど申し上げましたように、三十五万一千トン、百九十八億円程度輸入となっております。
  40. 中村時雄

    中村(時)委員 これだけの大きな輸入量を持っておるバナナのほんとうの取引の実態というものに対して、通産省にお聞きしたい。実態ですよ。たとえばオファーを出して、LCを組んで、荷積みをされて、日本に着く、そこまでの経過の中で、ほんとうの取引内容がどういう内容になっているか、あなた方の関知している点だけでもお教えを願いたい。
  41. 半沢治雄

    半沢説明員 まずバナナ取引の一番最初でございますが、幾らのものを幾らで買うという交渉は全くございません。台湾側から幾らおまえに売るぞというオファーが来るわけでございます。そのオファーをより多くとるために行なわれているのが、過当競争の真の原因であろうと私ども考えております。つまり、売買いたします場合に、相手方の一方的な売りオファー取引がまずきまってまいります。それから、少なくとも昨年秋までは契約書はなしに、そのオファーの中に価格、船積み、クレームの処理、決済等の諸条件が全部書かれてございまして、それはネゴシエーションによって行なわれたというよりか、むしろオファーの中に書かれておるそれらの条件に従って行なわれてきております。昨年の秋からは契約書をとるように私どもで規則を一部変えたのでございますが、その契約書におきましても、大体内容はあまり従来と変わりございません。したがいまして、取引の条件がきまりますと、あと台湾側できめます配船に従って入ってくる。こちらでほしい時期にどこの港に入れてくれという文句もつけられぬというような状況のようでございます。最初の取引の出発点がそういうことでございますので、あとは、その台湾のほうの事情に応じて適宜適当な船で、適当な場所に入ってくる。クレーム処理もしたがって円滑にはいっておらぬという状況かと承知しております。
  42. 中村時雄

    中村(時)委員 政務次官、これはあとで大臣によく話しておいていただきたい。知っておっても、私はそれを言いますよ。たとえばいまお聞きのように、一方的なんですね。かってほうだいなんです。いま言ったように、オファーをもらえさえすれば、日本政府立場は出さなければならぬ。それで、オファーをとるための争奪戦が問題になってくる。台湾のほうからはプレミアムでもつけなかったらオファーは絶対出しやしません。そうすると、なぜ一昨昨年まで一かご七ドルのバナナが八ドルに上がったか。それは、そのオファーの争奪戦を見越して、日本に持っていったら幾らだっていけるじゃないかというような立場になって、一挙に一ドル値上げをされてしまった。その結果、それじゃオファーには日本のほうはどうするかというと、いま言った業者間というものは、自分さえもうければという、悪い意味の商人根性的な考え方があって、おれもおれもということになれば、当然これは政府のほうで――政府というよりは、向こう側で、それではおまえは幾らよこすか、おまえは幾らよこすか、こういうことになってしまって、そのプレミアムがたいへんな問題になると私は思う。このプレミアムがあるかないかということに対しての考え方は、通産省ではどうですか。
  43. 半沢治雄

    半沢説明員 プレミアムの問題につきましては、私どもとしては実態は全然つかんでおりません。事実上つかめないじゃないかと思うのでございます。ただ、最近、神戸税関その他で、低価申告による関税法違反容疑で摘発されておるという事実がございますから、そういう事実から推定するに、プレミアムというようなことが行なわれておるのではないかとは思われます。
  44. 中村時雄

    中村(時)委員 これは逆に言うたら、ないかと思われますということは、あなたを云々しようと思うならば、職務怠慢じゃないかということばも私の口から飛び出したいのです。しかし、あなたの熱意に対してそういう問題は取り上げませんけれども、よくここは考えなければならぬ。ないかということじゃない、あるということをあなたは知っておるのです。大体一かご一ドル内外のものはついておるのです。そうすると、一かごそれだけになるならば、先ほどあなたが言ったかご数に換算してごらんなさい。膨大なものがプレミアムで流れておる。あまりにもひどいから、神戸の警察のほうではいまこれに手入れしておるのです。何も神戸だけじゃありませんよ。おそらく先般来、四件か五件のものが手入れされておるはずであります。一体、その名前はどことどこか、あなたが御承知だったらおっしゃっていただきたい。
  45. 半沢治雄

    半沢説明員 その点、私詳しく承知しておりません。いずれ調査いたしましてお答えいたします。
  46. 中村時雄

    中村(時)委員 詳しく知りません――それであなた実際の行政指導ができますか。どうですか。いまから聞いたっておそくない。警察に聞いてごらんなさい。すぐわかる。それはすぐに調べて報告してください。  そこで、いま言ったような一ドルの問題、そういうことが起こるということはたいへんなことなんです。外国為替管理法違反であることは明確なんです。だから、そういうような犯罪さえも構成されておる状態なんだから、これも私は早急に、いま言った組合をつくるなり、輸出入取引法によって問題の解決をはかるなり、そういう事柄を言おうとしておるわけです。  それから先ほどあなたのおっしゃったように、オファーをやる、その契約内容ですね。その契約内容が、いま言ったように、すべてが一方的になっておるのです。日本側からいつほしいからいつこれだけの数量をどこにどうしてくれというようなことは、一切ものも言わせない状態なんです。だから向こうのほうは、熟度が七〇%なら七〇%にいたしましても、実際は八〇%以上のものを持ってくる。あるいは船積みから、CIFで来ておるから、船に積んでしまったら、ああいうくだものというものは、船室においても熟化してしまうのです。だから、日本に着いたときには、腐ったバナナはおそらく一割前後のものが出るのじゃないかと思う。ところが、これに対する問題の解決策も、日本側としては何一つできない。要するに、それだけドルを堀に捨てたのと同じことだと私は思う。そういう具体的な問題に関して、それじゃ一体どことどこに欠点があるかということを明示してもらいたい。
  47. 半沢治雄

    半沢説明員 先ほど申し上げましたように、取引の最初におきまして、品質、規格に応じた価格と数量、それがやはり取引の当事者間の対等の立場における合意で行なわれることがまず先決であります。その契約の中で特に問題があると思われますのは、値段については、産地なり時期による差等はつけておらない。一律一種の定価、一律八ドルで来ておる。ところが、御指摘のように、品質あるいは産地によってだいぶ差があるはずであります。価格問題についての是正、それから通常青果物につきましては、どこの港に着けるかということは非常に重要な問題であります。揚げ地指定と称しておりますけれども日本で揚げます港を指定するという権利を留保する。極端な場合には、東京のものが九州に着くというようなことでは、青果物は保ち得ないわけでありますから、揚げ地の指定が必要である。それから検査の項目につきましても、形式上は相当厳重な調査が行なわれることになっておるわけでございますけれども、検査を確認する手段方法等についても明らかにすべきではないかというふうに考えられます。それから、いわゆるダメージと称しますクレームが発生するわけでございますけれども、クレームの処理につきましても、現在の取引の態様のもとでは、たとえば三%以下のクレームはもう見ないというような、かなり一方的な規定もありますので、クレームの処理につきましても、適正な処理をはかり得るような形態がとられなければならないというふうに考えております。
  48. 中村時雄

    中村(時)委員 私がそういうことをお聞きしておるのは、いま政務次官の御答弁があったので、大体三、四月ごろまでには努力をしてみたいという御答弁があったから、そのことを頭に入れておってくださいよ。  そうすると、その次にくるものは、その内容が問題になってくる。その内容の検討を一部しておきたいと、こう思っておるから言っておくのですが、そういう欠陥があるということを通産省としてはお認めになっておるわけですね。それをもう一ぺん言ってください、お認めになっておるかどうかを。
  49. 半沢治雄

    半沢説明員 ただいま御指摘がございましたように、どういう協定内容になるかということにつきましては、実は昨年の暮れに一応案らしきものも、ございまして、ただいま検討はしておるのでございます。いま申し上げましたように、私先ほど来申し上げておりますことは、これは事実でございますし、相手がありますから、全部が直ちに解決するかどうかという問題はあろうかと思いますけれども、いずれも解決すべき問題点としては承知しております。
  50. 中村時雄

    中村(時)委員 承知しておるというだけでは机上の空論になってしまう。事実いままで何一つ解決されていない。そうでしょう。あなた方の話を聞いておると、つい戸惑いするのです。なるほどよく知っておるな、それでは言うとおりちゃんとなるんだろうなと思ってしまう。ところが、実際には何一つ解決されていない。そうでしょう。ということは、私らから見たら、あなた方は結局は傍観をしておると同じことなんです。努力はしております。しておりますと言うが、結果を見て努力の価値というものはきまってくるわけなんです。結果を見たら何にもないということです。そうでしょう。幸い、いまのような状態が起こって、私が先ほどから言っておるのは、政党間においても、農林省においても、すべての人たちが、何とかしてあげなさいよと言っておるから、今度はできるということなんです。だから、あなた方はその内容一つ一つ知っておるだけではいけない。それを具体的にどのような方向台湾側との交渉の基本線として持っていくかということを打ち出していただきたい。このことのために私は言っておるのだから、そのことを間違わぬようにしておいてください。  それから次に、先ほどもちょっと触れましたけれどもバナナ業者に対しての問題です。最近、台湾バナナの生産者あるいはバナナ輸出業者日本にやってきて、パスポートだけで、身がわりといいますか、そういう意味における輸入業者をかってにつくって、そして輸出入の独占系列化――これは特に華商が多いのですが、そういうような方向をはかっておる。もしそれをそのまま放置しておったら、いつの間にかほんとうに台湾輸出と華商との手のつなぎ方によって系列になってしまう。それを通じてプレミアムを出さなかったら、実際の日本バナナ業者というのはどうにもならぬという状態に追い込まれつつあるという状況なんです。だから、そういう点に対して、何ゆえにこの非居住者に対して、個人あるいは株式会社でもいいですが、そういうものの設立の許可をするのか、問題はそういう点なんです。要するに、こっちに居住していない。実際には居住していないけれども、いま言ったように、居住をしていないものに、なぜただ単に会社をつくらせて、トンネル式にやらせていくか。あなたは先ほど、そういうものがおりますと、こう言うが、わかっておりながら、なぜそういうものに許可をするのか、それを私はお聞きしたい。
  51. 半沢治雄

    半沢説明員 適法に設立せられました法人につきましては、これは事業活動は自由に許されておりますので、これを拒否するということは、法律的にはむずかしいかと思います。
  52. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、いま言ったように、拒否するというのは許可の問題です。認許可の問題は、だれが出してもすぐにやれるのだということはわかりますよ。わかるけれども影響がより大きいものであれば、当然これは考慮し、配慮すべき筋合いのものだと私は思う。まるで無抵抗に何でもかんでもはいはい言っておったならば、どうにもなりゃしませんよ。だから、そういう点も、内容の中の一つとして考えておいていただきたいということなんです。次にくるべき一つの――どういう条項をつくるか知りませんけれども、そのときの内容には、そういう非居住者であるとか、あるいはただ単なるトンネル式の会社であるとか、そういうようなものに、居住権のないものに対して、そういう営業許可とかいうようなことは一応認めないようにしていく方針は、基本的には持っておっていただきたい。事情のいかんによってはある程度のことはあるでしょうけれども基本的にはそういうふうにしなければならぬ、私はこのように思っておるのですが、どうですか。
  53. 後藤伝一郎

    ○後藤説明員 農水産課のほうにおきましては、バナナ輸入組合あるいは業者協定というようなものがかりに申請されてくれば、私どものほうで受け付けて、いろいろ審査いたしまして認許可をするというような仕事をしておるわけです。それに関連しまして、私補足説明をいたすわけでございますが、やはり問題点は、向こうは外貿会ということで窓口が一本化されております。こちらは全く自由貿易になっておる。こちらが団結すればするほど、向こうはいろいろな形、方法を使って、それを切りくずしてくる、こういうところに問題点があるわけでございます。したがいまして、どうしても国内過当競争を防止するためには、業者間というものがもう少し自主的にあれされて、自分組織をつくる以外にはないわけでございます。先生の御指摘の問題点も、真正面からは、これはいけないとか適法ではないとか言えないわけですけれども、かりに輸入組合という形で三者が――三グループ競願の形になっておりますが、これが小異を捨てて大同につくという形で一つの場を持つことができれば、それをもとにいたしまして、輸取法に基づくいわばアウトサイダーに対する規制的な措置がとれるわけでございまして、それがかりにそういう事態になれば、御指摘の問題点もある程度は解消できる、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  54. 中村時雄

    中村(時)委員 話が飛んでしまっている。ぼくが言っておるのは、居住権のないものに対してそういう認許可を出しておるというのは、根拠はどこにあるかという問題を言っておるのです。しかし、課長がせっかくそうおっしゃるならば、あなたに一言言っておきたい。いま言ったように、業者間で過当競争をやっている、それにつけ込んで台湾側がいろいろなことをやってくるのだ、これはわかるのです。わかるけれども業者間では、先ほど言ったように、自分がもうけたいという連中がほとんどなんです。そういう人たちを対象にしてものを考えていかなければならぬ。そのときには、先ほど言ったように、指導力が必要になってくるのです。そうでしょう。野放しにしておいたら、いつまでたったってできやしません。そこで、その指導力をどうするのかということを言っておるわけです。アウトサイダーで、個人でも、いま言ったように、プレミアムをつけてオファーをもらって、そうしてLCを組めば、すぐだれにでもできる。だから混乱してくる。相手方は持ってこいですわ。だから、それを整理しなければいかぬ。整理するためにはどうするかといったら、いまの組合をつくるようにみんなが協力しようじゃないかという結論をここに出したわけです。それをあなたは第三者的に傍観するんじゃない、あなたも入って、そのためにはどういうふうにしていったらりっぱなものがつくれるのかということなんです。ほったらかしておいたら、業者というものは、みんな自分のふところにねじ込みたいのです。相手が十銭もうけるなら、自分は十五銭もうけたい、これはもう人間の心理です。それを云云するだけの権利はないです。だから、できるものならそういう組合を一日も早くつくらしてやることなんです。ただ、その指導をどうするかということなんです。ただ、いま言ったように、指導をする場合に、私は一つ言っておきたいのは、アウトサイダーが悪いからといって、それを切りくずすとか切ってしまうだけでなくて、それを含めて一つ組合という組織を早くつくらしてあげなさいということを言っておる、こういうことがわかりますか。そういう姿の中から前向きになりなさい、こう言っておるのです。政務次官は、そうしましょう、こういうふうに言っておる。農林省のほうもそう言っておる。課長もそう言っておる。だから、あなたもそういうふうに考えていけばよろしい。だから、私もそう言っている。そうすれば何も文句はない。  そこで、先ほどの問題に返りますが、今後においても、日本に居住もしていない人たちに、そういうことがわかりながら許可をしていくという根拠は、一体どういうことなんですか。
  55. 半沢治雄

    半沢説明員 輸入のほうの窓口の立場でございますけれども、これは日本に支店あるいは代理店、あるいはダミーと称されますが、身がわりの個人というものを立てて申請いたしてまいりました場合に、これは現状のもとでは受け付けざるを得ないというふうに考えております。やむを得ないことであります。むしろ、先ほど来申し上げておりますような対策を講ずる中で、そういうものをある程度整理すると申しますか、包含して秩序づけていくという方向しかないんじゃないかと私は考えます。
  56. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っていることをあなたよくかみしめてものを言いなさいよ。私の言っているのは、そのことが輸入割り当ての問題になってくる。そうでしょう。そのことが非常に過当競争を呼んでくる。そうすれば、過当競争輸入割り当てが多くなってはいかぬということは、根本的にみんなあなた方も持っている。そうすると、どこを切るかということになってきますね。そうでしょう。だんだん縮小さしてくると、そのように居住者のはっきりしてないそういうものは、当然切ってもよろしいということになってくるのですね。そういうものに何も認許可を与える必要はない。ということは、あなたたちがそこまで誠意を持って十分に調査をしていないとも言えるのです。ただ、そういうものがおるということは知っておるけれども、しかし、それはどことどことどこがそうなんだということになったら、あなた方にわはからぬと思う。だから、そこまでほんとうにやるものがあるなれば、親切に、そうしていまの日本一つ果樹安定という、先ほど政務次官がおっしゃったような方向というものを裏に持って、行政というものをやっていただかないと、いろいろな問題が私は惹起してくるんじゃないかと思う。そういう意味で言っているのですから、今後においては、そういうような事柄は十分配慮しながら推し進めてもらいたい、こう思うのです。それはどうですか、配慮いたしますか。
  57. 半沢治雄

    半沢説明員 ただいま中村先生の御指摘は、十分かみしめまして、お気持ちは非常によくわかるわけでありまして、今後の対策を進めてまいりたいと思います。
  58. 中村時雄

    中村(時)委員 かみしめるのはいいが、すべらぬようにしておいてくれよ。  次にお尋ねしたいのは、国民政府が、昨年四月から九月期に、オファー二百万かごのうち、特定人に対して特別オファーを行ない、一かご六十セントのプレミアムを取ったということを私たちは耳にしておる。そういう事柄を御存じですか。その特定の――プレミアムは別にいたしましょう。国民政府が、昨年の四月から九月に、オファー二百万かごのうち、特定人に対して特別オアァーを出したということ、これはわかっておりますか、どうです。
  59. 半沢治雄

    半沢説明員 二百万かごのうち、輸出業者である団体に百万かご生産業者である団体に百万かご生産者団体の百万かごの中の三十万かご程度が、いわゆる特別割り当てという形で行なわれたということは承知いたしております。
  60. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、いま言ったように、特別割り当てをやった、数量は別にして、特別割り当てをやったということはわかっておるわけですね。ところが、その二百万かごというものも、いまの生産者と輸出業者と、こう二つに分けて割り当てした。そのことが一部で流されておるのは、この国府の在日機関の華商が大半だったのです。この割り当て、それはよくわかっておりますね。その点はどうですか。国府側のそういう機関にあるところの華商の連中が、その割り当てを受け取ったはずです。
  61. 半沢治雄

    半沢説明員 その点は、まだちょっと調査いたしませんと、はっきりいたしません。
  62. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは後手へ後手へ回って、何もかも調査いたしませんとわかりません、十分でありません、その結果は何も出てこない、こういうことなんですが、二つの問題がある。一つは、自由化制度のコマーシャルベースの輸入であるにかかわらず、あなた方は自由化自由化自分たちが言っておるにもかかわらず、こういうことを認めていった一つの方式の受け取り方をしていいのかどうか。
  63. 半沢治雄

    半沢説明員 御質問の趣旨がはっきりいたしませんのですけれども……。
  64. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っているのは、日本では自由化制度だといって、あなた方は金科玉条にしておられる。ところが、向こうのほうはそういうふうに制限をしておる。現在、すべてが自由化制度のコマーシャルベースの輸入であるにかかわらず、そういうふうな謀略的な、一方的な方向日本では輸入として認めていくことがいいかどうか、そういうことが一点。もう一つは、それじゃはっきりしておきましょう。そういうような輸入体制に不備欠陥があるから、これを私は言っておる。一方はそういうふうにきておるが、日本自由化制度でございますといって、そういうふうにかってほうだいなことをして、そうして自由化のコマーシャルベースに乗るということは、――自由化のコマーシャルベースというものは、相手もコマーシャルベースでなければならない。にもかかわらず、相手方はそういうふうな規制をしておる。その規制原因はどこにあるか。その実際の華商から受け取った人みんなに一かご幾らかのプレミアムをつけておる。そのときに明確にしておるものは何かといえば、大陸反攻に要するところの資金だ、こう言っておる。だから、この金がどこに流れたか、どこの銀行を調査するか、それをこの次、明確にして答弁をしてもらいたい。だから、これは保留しますが、私は、そこまでいくのだったら、そこまではっきりしましよう。一体、その受け取った金、要するに、あなた方がそれだけ受け入れたんだから、その受け入れた金額は、どこの華商がどこの銀行を通じてどこに持っていったか、それを明確にしてもらいたい。それが出るまで私はこれを保留しますから、委員長、そういうふうに取り扱っていただきたい。
  65. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 午後一時より再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十分開議
  66. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について、質疑を続行いたします。藤田義光君。
  67. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 当委員会の理事会で一般質問の時間がきめられておりますので、私は、きわめて簡明率直に数点お伺いしてみたいと思います。  実は大臣に質問したいのですが、やむを得ない用事で、政務次官が出ておられますので、政策的な問題は舘林政務次官の御答弁でけっこうでございますが、ただ、舘林政務次官と私は世界観も同じ、政策も同じということで、ちょっと質問しにくい点もあるし、御答弁願いにくい点もあろうかと思います。そういう点は後日に譲りたいと思いますが、まず第一にお伺いいたしたいのは、政府の中期経済計画、これを一覧しますと、この計画をつくりました財政金融部会と農林漁業部会のきめた点で、食い違っている点がある。今後の農政は、価格政策から金融政策に重点を移行していくという点は、大体一致いたしておりますが、農林漁業部会におきましては、制度金融を大幅に取り入れていく制度金融中心の中期経済計画を立てておりますが、財政金融部会におきましては、系統金融重点の中期経済計画をやらんといたしております。この間にありまして、農林省は、農村金融をどこに重点を置いて将来運営していこうとするかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  68. 久宗高

    ○久宗政府委員 農林金融につきましては、数年来いろいろ問題が検討されているわけでございます。御指摘のように、中期経済計画におきましても、それぞれ財政金融部会におきましても問題を取り上げましたし、また農村漁業部会におきましても、当然のことながら問題を取り上げているわけでございます。それで、ただいま御指摘のございました、農林漁業部会では制度金融が中心で、財政金融部会では系統金融が中心ということでございますが、取り上げられました問題で、たとえば系統の余裕金といったような問題、あるいは制度金融と系統の金のすれ違い現象というような形の問題、特に財政金融部会ではそれに焦点を当てて分析をなさったと思うわけでございまして、重点を特に制度金融ではなくて系統金融でいくのだというふうに断定しているようには私ども受け取ってないわけでございます。政府のほうといたしましては、すでにこの問題につきまして――たとえば与党におかれましては、一萬田委員会の中間的な検討の結果も発表されておりますし、また御指摘のございました中期経済計画の中でも、農林漁業部会あるいは財政金融部会で、相当全体にわたりました問題点が出ておるわけでございますし、また一方、これに金融だけでは解決のできにくい問題も含んでおりますので、実は三つほど出ましたそれぞれの御意見につきまして、それをいろいろ事務的に検討を続けてきたわけであります。問題を整理いたしまして、近く農政審議会に正式におはかりをいたしまして、基本的な方向づけをいたしたいと考えておるわけであります。
  69. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 いまの御答弁で一応了承しますが、これは実はまだ流動しておるということで、われわれも了解いたしますが、もしこの財政金融部会と農林漁業部会の結論が食い違ったままで中期経済計画が公表されますと、相当野党攻勢の材料になる。これは今後農村金融の運営の根本的な問題でありますので、政務次官におきましても、ぜひひとつこの点は注意していただきまして、農政審議会においてすっきりした姿を、農林省立場で筋を通していただきたいということを要望しておきたいと思います。  ただ、結論が出る前に、政務次官すでに御存じと思いますが、農林中金の資金運用に対しまして、私は非常な不満を持っておる一人でございます。これはいずれそれぞれの機関におきまして、私たちの不満が解消するような方向にどうしても持っていきたい。詳しくは申し上げませんが、年間の資金運用量は約六千億円、そのうち、農民に還元するものはわずか一千三百億円なんです。残る四千八百億円というものは、コールや関連産業に流れておる。このいわゆる関連というものも、相当いかがわしいものがあると私は考えておる。先般、全中の一楽という役員がやめております。この一楽君が辞退した裏にも、さかのぼっていけば、そういう問題が介在しておるかもしれません。新しい農協会館の所有権をめぐりまして、農業団体問に醜い争いがあったということは、私は単なるうわさとは思いますが、農林中金が農民に還元せざる資金の中から、こげつきあるいは株式投資等によりまして不良債権が生じたことによって、新農協会館の財産権の一部を確保することによって、農林中金の帳簿価格を穴埋めしておるというようなことがあれば、これはわれわれ農林委員会としては、全国農村に対して非常な責任を感ぜなくてはならぬがために、私は、問題が重大化する前に、農林省におきましてよほど慎重にこういう問題は解剖しておいていただきたい。いずれ表面化する。表面化した場合において、被害を最低限にとどめていただきたいという私の老婆心です。中期経済計画をきめましても、この強力なる金融機関たる農林中金の資金運用の全体のワクそのものに対して、農村に非常な不信感があるということになりますと、これはたいへんな問題じゃないか。御意見をお伺いしておきたいと思います。
  70. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 今後の農業の発展のためには、どうしても多額の農村金融、豊富な農村金融をつくり出すことが必要であることは申すまでもないのであります。さような立場から、単協から信連に、農林中金に集まる系統金融ということにつきましては、農林省といたしましても、また皆さん方といたしましても、深い関心を持っておられるのであります。そんな意味で、先般は設備近代化、農業近代化資金というようなかっこうで、利子補給等もいたしたわけでございます。ただ、単協に還元するためには相当の利子も必要でございますので、そんな意味で、コールの金が相当流れておることも事実でございます。また、関連産業に農林中金から流れておる金につきましても、いまお話しのように、厳格な意味で関連産業に流れておるかどうかということにつきましては、なお検討する必要があるだろうと思う。しかし、いずれにいたしましても、農林中金の膨大な金は、やはりコールに流れるというような意味よりも、農民のために還元させるということが第一義的な方針であることは、申すまでもないことであります。今後、さような問題につきましては、自民党の中にも一萬田先生の委員会等もありまして、一応去年は利子の点につきましていわば秩序段階化したのでございますが、今後におきましても、一萬田委員会の意見を聞いたり、あるいはまた農政審議会でちょうど金融問題を研究中でございますから、その結論を得ましたならば、ほんとうに農民のために還元させるというような方向に進みたいと思っております。
  71. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 ただいまのようなことは、かつて私は赤城農林大臣に農業団体の人事刷新を要請して、それ以来、各農業団体の動向を多少査察をいたしました結果、これは自由民主党の最高責任者にも私は申してあります。現状のままでは、中期経済計画を立案いたしましても、足元からくずれていく。農村金融政策の軸心をなす農林中金の姿というものに対しまして、よほど真剣に再検討を願いたい。これだけ申し上げておきます。  この問題に関連していろいろ問題がありますが、時間が非常に短いのであれですが、この中期経済計画の中に、農業振興地区というものの構想がございます。農林省のことしの四十年度の予算の中には、農業経済圏という構想がある。全国二カ所を指定してこれを具体化しようとしている。中期経済計画のいわゆる農業振興地区と、ことしの予算に計上されておる農業経済圏との関連をお示し願いたい。
  72. 大和田啓気

    ○大和田説明員 中期計画の本文でございませんで、むしろ農林漁業分科会の報告の中に、農業振興地域という構想があるわけでございます。これは御承知のように、だんだん都市化が進みまして、農村地帯として、純然たる農業生産のにない手たるべき地域として、ある特定の地域、一つの県の中を何地区かに指定して、そこでは農地の転用をきびしく押えると同時に、土地改良等の補助率を高くして、そこで、その農業生産を大いにやったらどうかという趣旨の構想であります。その構想につきましては、農林漁業の分科会の中でもいろいろ御意見がございました。なかなか農地の転用をそこで押えることのむずかしさ等がございまして、なお政府におきましても今後検討するということで、実は経済中期計画の中にはおさめておらないわけです。それで、農政局のほうで取り上げております広域経済圏の問題は、だんだんその構造改善事業を市町村単位でやっております過程で、主産地の形成と申しましても、市町村に限定しないで、もう少し幅が広い地帯で主産地が形成される、あるいは流通、加工工場、あるいは取引中心を見ましても、市町村の範囲をはるかに越えた地域的な広がりがだんだんはっきりしてまいりましたので、構造改善事業を進める一つの手がかりとして、もう少し広域の経済圏で広い意味での構造改善事業をやったらどうかという趣旨の計画でございます。したがって、将来の推移は別問題といたしまして、現在のところは、経済中期計画の農林漁業分科会で取り上げております農業振興地域と、農政局でやっておりますところの広域経済圏の推進の問題は、直接は同じものではございません。
  73. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 私は、工業の新産都市に構想を得まして、農林省が農業経済圏というようなものを着想したのではないかというふうに想像しておったのでございますが、池田内閣時代の所得倍増政策の中では、整備地域という表現を使っておったと思うのであります。中期経済計画の中の振興地域、あるいはいまお示しの農業経済圏、あるいは構造改善事業地区と、いろいろな表現が使われておるのでありますが、私は、農業というものが、もうすでにこの間に一貫した地域政策を考える段階にきておると思うのです。一貫した地域政策を考える段階にきているとお考えであるかどうか、また、もしそういう考えならば、今後どういう方向に持っていこうとするか、お示し願いたいと思います。
  74. 大和田啓気

    ○大和田説明員 お答えいたします。  御指摘のように、農業が戦後いろいろな形で発展していきます過程で、地域的な分化が非常に進みまして、私ども農政なりあるいは農業を考える場合に、四十六県を一律に考えることはとうていできないような時代になったわけです。したがいまして、地域的な観点に立って、今後農政あるいは農業の振興を進めるということで、行政的に申し上げますれば、地方農政局の設置ということもそういう趣旨でございますけれども、広域経済圏の振興でありますとか、あるいは新産業都市における農業問題でありますとか、さらに山村振興の問題でありますとか、あるいは昭和三十七年に農産物の需要及び生産の見通しを一応出したわけでございますが、生産及び需要の条件が相当違いましたので、今後もう一度需給の見通しを立てるということにだんだんなっていくわけでございます。その際に、三十七年では全国一本の農産物の需要及び生産の見通しでございましたけれども、主産地ごとの、いわば地域別の生産の見通しというようなことが、当然その中には加味されるだろうと存ずるわけでございます。
  75. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 中期経済計画の最後の仕上げが終わりました際におきましては、以上申し上げました地域政策の問題、あるいは金融機関等の問題に関しまして、すっきりした線を出していただきたい。私は、この問題はこれ以上きょうは深入りしないでおきたいと思います。  次にお伺いいたしたいのは、これは赤城農林大臣でなくては答弁できないかもしれませんが、農林省は食糧の自給度というものを将来どの線で押えていこうとしておるのか。従来八五%であったのが、だんだん減ってきまして、八一%の現状になっておる。農林大臣は八〇%で押えていきたいということでございますが、はたしてこの八〇%という食糧の自給度を維持できるかどうか。つまり、現状維持論に対しまして、私たちは非常な不安を感じておるのでございます。厚生省は、国民の栄養基準として、現在の二千二百カロリーを昭和四十五年に二千六百カロリーにすると言っている。こういうものとの関連におきまして、はたして現状維持が可能なりやいなや、多大の疑問を抱かざるを得ない。それをお伺いしておきたい。
  76. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 一国の食糧の自給度をどの限度に置くかということは、国内の情勢あるいは周辺の国家の実情ということから、いろいろと各国において違うだろうと思うのです。また人によりましては、日本はあくまでも鉱工業中心で、商工業中心の国家として発展させるべきである、いわゆる第一次産品というものは、AA諸国とかその他の後進諸国から買って、そこに購買力を増して日本輸出力をふやすという考え方があるだろうと思います。しかし、少なくとも政府といたしまして、あるいは農林省といたしましては、あくまでも自給度を高めるということが、私は国策であるべきだと思うのです。非常の際に備えることはもちろんでございますけれども、やはりこれだけの農民がおられますし、これだけ人口がふえる。そういたしますと、輸入食糧を最小限度にとどめて、余力を日本の国際的な、国内的な経済の充実に向けるということが、政策としては一番大事な点でございます。したがいまして、今後におきましても、今日におきましても、あくまでも農業政策の中心は、いかにして自給度を高めるかということに置かれなくてはいけないわけでございます。さような意味から考えまして、最近は人口の増加あるいは経済生活の充実ということに伴いまして、非常に輸入食糧がふえてまいっておりますけれども、やはり政府といたしましては、その輸入を最小限度にとどめるように、国内のいろいろな農業政策をやらなければいけない。お話しのとおり、三十九年度は自給率が八一%でございますが、少なくとも中期計画におきましては、四十三年においては八〇%ということを考えておりまして、この八〇%の線は必ず堅持していく。そのために土地の改良、開墾、干拓も行なうし、あるいはまた土地の基盤整備も行なう。その他、あらゆる農業政策というものは、すべて自給度の向上によって国民生活を安定させるということに輝きたいと思っております。さような意味から、いま藤田委員の御質問の自給度の八〇%を維持するためには、あらゆる農業政策を講じていきたい、私はかように考えておるわけであります。  なお、詳細の点につきましては、企画室長がおりますから、もし御質問がありましたらお答えいたさせます。
  77. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 政務次官のねらいに関しましては、全く同感でございます。ただ、われわれの関係しておる研究機関の調査によりましても、現在食生活改善の度合い、人口の毎年の一%の増、あるいは所得の増、こういう要因を総合いたしますと、昭和四十五年には大体六五%程度になるのじゃないか、いまの政府の施策がやや前進したとしても、八〇%という現状維持は至難のわざではないか、こういう結論を出しておるわけでございます。私が申します八〇%あるいは六五%というのは、これは交換価値から言っておるわけでございまして、カロリー計算、使用価値からいえば、さらにそれよりも一〇%程度下がるわけであります。日本の食糧自給度の将来というものは、非常に寒心にたえない状況である。私は、政務次官が八〇%の自給度を維持し、そのためには、外国食糧の輸入等も押えてあらゆる施策をしたい、この熱意には一応敬意を表しますが、企画室長にお伺いしたいのは、ある有力な研究機関では、昭和四十五年度には六五%になってしまうというはっきりした数字も出ているのです。しからば、どういう方向で現状維持をやっていくか、もう少し具体的にお示しを願いたいと思います。
  78. 大和田啓気

    ○大和田説明員 いま御指摘の五年後自給率六五%というのは、多少問題のある数字であろうかと思います。私ども中期経済計画の農林漁業分科会で議論いたしましたときも、八〇%を多少下回るかもわからないけれども、いま先生が申された数字よりは上のところにいくのではないかという想定をいたしたわけでございます。そこで、実は経済中期計画におきまして、食糧自給八〇%ということの根拠といたしましては、ややくだくだしくなりまして恐縮でございますけれども、農産物の自給率で私ども計算しているわけです。食糧の自給率と申しますと、多少いま問題になっております数字よりは大き目に出まして、昭和三十八年度で農産物の自給率は八一%、食糧の自給率は八四%、水産物を含めて食糧の自給率は八六%、私ども、よくヨーロッパにおいてイギリスは五割を割るとか、ドイツは七割に足らないとか、EEC諸国は八四か八五であろうと言う場合の食糧の自給率は、あくまで水産物を含めての食糧自給率でございまして、それに対応する数字は、三十八年度において日本は八六%であり、決してヨーロッパの水準に比べて日本の食糧自給率は低くないわけであります。通称農産物の自給率八一%ということで私ども問題にいたしておりますので、農産物の自給率八一%で三十八年にやりましたものを、四十三年の経済中期計画の末期において八〇%の程度に維持し、あるいはその後においてもできるだけ八〇%を下回らないようにするためには、私から申し上げて適当であるかどうか存じませんけれども農林省の政策全体として、方向二つあるだろうと思います。  一つは、自立経営農家といいますか、農業に専念して生産性の高い農家をできるだけつくるということでございます。これは私ども年次報告で申し上げておりますけれども、専業的な農家の反当の純生産は、第二種兼業農家の約十三、四割と申しますか、第二種兼業農家の反当の純生産は、専業的農家に比べれば大体七割程度であるわけです。したがいまして、生産性の高い農家、自立経営的農家をできるだけつくるということが一つでございます。もう一つは、第二種兼業農家が現在とにかく四割二分ほどもいるわけで、その耕している土地というのは、大体二二%程度であるわけでございます。その人たちの生産性をどうやって維持増強するかということが大きな問題であろうと思います。そのためには、従来も構造改善事業その他で協業の助長ということを言っておるわけでございます。四十年度におきましては、農協等に大農具の助成をして、農協が作業の請負というような形で、第二種兼業農家を含めて機械化による協業を進めていく、そういう形で、現在毎年十万町歩以上も不作付地が冬作においてふえておりますけれども、それを解消しながら、第二種兼業農家の生産力の維持増強をはかっていく、大づかみにいって、この二つの道があると思います。もちろん、その両方を通じまして、技術の試験研究でありますとか、土地改良その他農業生産振興対策が必要でございますことは、申すまでもございません。
  79. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 いまの積算の基礎あるいは農林省が今後考えておる二つの重点に関しましても、いろいろ議論がありますが、私は次の問題に移りたいと思います。  酪農の問題に関しまして、農林省はいわゆる不足払い制度の創設を考えております。社会党におきましては、これも食管方式程度のものを考えておるやに聞いておるのでありまして、畜産の部門は、今後日本の農政の戦略部門として非常に重大な案件に浮かび上がってきたわけであります。私は、こういう酪農の問題に関しまして、政府が干渉していない国はないと考えております。したがいまして、この不足払い制度に関連して、官僚統制であるというような批判は当たらない。世界の農政の常識に逆行する議論であると考えておるのでありますが、農林省は不足払い制度をあくまで実施される意図であるかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  80. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 いま藤田委員からのお話のとおりに、日本の農政におきまして、酪農というものは、成長産業として今後一番伸びる素質、条件を持っておるわけでございます。しかし、いろいろの条件の中には、まだ政策的に是正しなければいけない点が多々あることは申すまでもありません。価格の問題、流通機構の問題、あるいは飼料の問題と、たくさんの問題を包蔵しておりまして、農業の中で酪農が一番将来があるけれども、今日一番問題を包蔵いたしておるような感じがするわけです。さような意味から、学校給食をふやすとか、あるいは国営草地、あるいは農地開発機械公団による建て売り牧場の新設とか、新しい構想をとっておりますけれども、そのうちで、何と申しましても、価格の問題が一番大きな要素を占めておるわけです。さような意味で、赤城農林大臣は、酪農の一番中心政策といたしまして、不足払い制度というものを打ち立てまして、加工用の原料乳につきましては、保証価格と取引基準価格との差額を国家が補償するという、文字通り画期的な一番新しい政策を打ち出したわけでありまして、再来週あたりは皆さま方の御審議に応ずることができると思います。まだ具体的に幾つかの問題がありまして、十分詰めておりませんが、とにかく農林省といたしましては、不足払い制度は、いろいろ問題を包蔵するとはいえ、これ以上の政策はない。ベストではないかもしれませんけれども、ベターの政策としてこれ以上の政策はないというつもりで、ぜひひとつ今度の国会に提出して、皆さま方の御協賛を得たいという強い決意を持っていることを申し上げたいと思います。  なお、具体的な話につきましては、吉岡参事官からお聞きいただきたいと思います。
  81. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 この不足払い制度のねらいは、生産費を補償する方式をとりたい、これは具体的な審議を再来週あたりからする段階において、盛んに論議されると思いますが、でき得べくんば、生産費・所得まで補償する方式ということをこの際一挙にやったらどうか。一部の人が、これは第二の食管になるという批判をしておりますが、年間五、六十億でそういういい政策が実行できるならば問題がないんじゃないか。生産費補償方式でとどまるのか、あるいは所得まで補償する方式でやれるのかどうか、農林省のお考えをお伺いしたいと思います。
  82. 吉岡茂

    ○吉岡説明員 ただいま農林省考えております不足払いの保証価格の算定の方法につきましては、ただいまのところ、私たち考えております考えといたしましては、一応主要加工原料乳地帯における生産費を基準といたしまして、保証価格を考えてまいりたい、そういうように考えております。
  83. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 ナショナル・ミルクという制度をイギリスでは実施いたしております。これはある自民党の有力な政治家では、ウエルフェア・ミルクという名前で、ぜひ実現したいという計画もあるやに聞いております。母子家庭、生活保護家庭あるいは精神薄弱児童等に対する牛乳の無償提供、こういうことも、数量はわずかでありましょうが、ねらいとしては非常におもしろいと思うのですが、農林省で議論されたことがありますか、お伺いしておきます。
  84. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 ナショナル・ミルクと申しますか、ウエルフェア・ミルクと申しますか、これは近代的な福祉国家としては、当然とらなければならない政策でございまして、ただいま新しく母子保健法という法律を厚生省のほうで立案いたしまして、近く皆さん方に提案いたすわけでございますが、これは母子家庭に対しましては一合ずつの配給をするという案になっております。
  85. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 昭和四十年度から国営の草地改良に着手されまして、北海道と私の郷里である阿蘇の二地区に施行されるというふうに予算が内定いたしておるわけでございますが、現在の日本の畜産の一つの大きな隘路は、もちろん草地対策であり、飼料対策である。これはもうあらためて申すまでもないのでありますが、最近の裏作の状況はどうであるか。私たちの少年時代と違いまして、非常に裏作が減ってきているのじゃないか。五十万ないし七十万ヘクタール程度しか裏作はやっておらぬのじゃないか。最小限百三十万ヘクタールくらいはすぐ引き上げられるのじゃないか、こういうことを言う専門家もあります。そういうことになりますと、現在国民一人当たり三勺の牛乳を二合という当面の目標達成に進むためにも、裏作に対してもう少し農林省というものが関心を持つべきではないか。予算書を見ますと、四十年度はわずか三万ヘタタールが予算に計上されている。これでは百年河清を待つ以上で、とても問題にならぬと思うのですが、何か裏作増強に対しましてお考えがあれば伺っておきたいと思います。
  86. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 藤田委員お話のとおりに、今日酪農を振興させたいと思っておりますけれども、一番の泣きどころと申しますか、これは濃厚飼料の不足だということは、申すまでもないわけでございます。トウモロコシにいたしましても、小麦にいたしましても、大・裸麦にいたしましても、あるいは魚粉にいたしましても、どんどん輸入いたしまして、その飼料の輸入というものは、食料関係の輸入のうちの一番大きな部分を占めて、大体四億ドル程度に達しているわけでございます。さような意味から、粗飼料につきまして、草地の造成ということを本腰を入れてやっておりますけれども、優秀な濃厚飼料の素材になるものを生産するということは、これから先の酪農振興の一番大きな条件であることは申すまでもありません。さような意味で、藤田委員からいま適切なお話がありましたように、今後は濃厚飼料の素材の生産のためには、裏作を活用するということ以外に結論がないという感じが私はいたすわけです。さような意味で、数年前の、大・裸麦をつくることを取りやめて他の作物に転換したら補助金を出すという政策は、私は全く間違いだったと思うのです。今後におきましては、やはり裏作奨励のために特別の措置を講じなければいけないのじゃないか。先日も、酪農審議会である委員が、裏作につきまして、やはり藤田委員と同じような意見をおっしゃっておりましたが、思い切って、農協あたりを中心として大規模なかっこうで、特別な補助金等を出して、大・裸麦の増産あるいは小麦の増産をやったらどうかというお話しでございました。ただ、今日におきましては、農林省としては、いまお話しのとおりに、わずかの予算しか計上していないことはもちろんでございますが、しかし、こんな状態がいつまでも許さるべきものではないだろうと私は思う。やはり農林省としても考え方を転換して、濃厚飼料の自給度を高めるためには、藤田委員の言われたようなかっこうで血路を開く以外にはないということは、全く御質問の趣旨に同感であります。
  87. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 同僚中村委員の質問時間を拝借しておりますので、中村委員の質問相手が見えましたから、私は、きょうの四十分にわたる舘林政務次官との問答は、大体私と政策的にほとんど意見が一致しておる。赤城農林大臣の出席の際に、あらためてまたこれは重点的にやり直さざるを得ない。おそらく赤城農林大臣も舘林政務次官も意見は一致しておると思いますが、しかし、あまりに政策が近過ぎるので、あらためてまた大臣自身にお伺いをしたいと思います。  最後に、これはカレント・トピックスで恐縮でございますが、いま政務次官の机の上に、ある週刊誌を出しておきました。ディスカウント・セールス・カーという英語の名前の車が出ております。これは日本経済新聞その他の日刊紙も盛んに取り上げておる。われわれしろうと目にも、これを読んでみますと、これは政府が出しておるいわゆるスーパーマーケット制あるいは現在の生鮮食料品の流通機構にとって、非常に大きなショックではないか。全国の農協等がこの車を使いまして、生鮮食料品を農家から直接その車に積んで街頭売りを始めるという事態も出てくるんじゃないか。私が最近短期間に集めました資料によっても、三重県等は、もう食肉までこれに積んで売りさばくことを許しております。東京都は、いろいろ一部の関係業者の反対等で全面的には許しておりませんが、精肉以外は大体許しておるというようなことを日本経済新聞も書いておる。この問題に対しまして、農林省としては何か検討されたことがありますか、どうですか。私は、生産者から直接消費者の口へというたてまえからすれば、非常におもしろい着想ではないかと考えております。これは農林省として、流通機構の改善方策は別にあって、こういうものが出回ることによって農林省の構想に害があるというふうにお考えであるか、あるいはこういうものは非常におもしろいからどんどんこれを増強していかれるか、こういう面から、スーパーマーケットのねらいも大体一致するようなこともいわれておりますが、一体農林省としてはどういうお考えでありますか、お伺いしておきたい。
  88. 久宗高

    ○久宗政府委員 流通関係につきましては、御存じのとおり、流通革命というようなことばが出るくらいに、事情は激変しておりますので、その過程におきまして、いろいろな試みがあり得ると思うのであります。いまお尋ねのございました動くスーパーマーケットにつきまして、私も詳しくは存じませんが、ただ、全体として申し上げますと、やはり現在の場合、生鮮食料品について考えました場合に、たとえば非常に消費のほうが組織化されておるところにおきましても、やはり中央卸売市場を――アメリカの場合でございますと、七、八割は中央卸売市場を通じませんと適当な品物が伴わないという実績もございますので、本筋は、生鮮食料品につきましては、中央卸売市場を主体といたしまして、そして小売り段階の合理化、少なくとも構造改善ということが伴っていくということが本筋であろうと思うのでございます。ただここで、過渡期におきまして、このような形で動くスーパーマーケットというようなものがあることは、これは否定できないわけでございます。問題は、どなたがそれをやるかという問題が一つあると思います。そこで、かりにこれを農業の生産者の団体がおやりになる場合におきましても、全体系をこれで動かすというわけにまいらないのでありまして、物により時期によって、これらが組み合わされて動いていくのではないかと思います。
  89. 藤田義光

    ○藤田(義)委員 私はこれで質問を終わりますが、ただいまの御答弁によりましても、相当おもしろい構想であるというような御答弁がありました。地方の農協等におきましては、相当これは利用がふえはせぬかと思う。これはしろうとが見ても、生産者側から現在より高く買い、消費者に現在より安く売るということが、すぐできる有力な構想なんです。農林省としましても、十分検討していただきたいということをお願いしまして、途中でございますが、私の質問はこの程度で終わらしていただきたいと思います。
  90. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 それでは中村時雄君。
  91. 中村時雄

    中村(時)委員 午前に引き続いてお尋ねしますが、午前中に途中で質疑が停帯しましたが、通産のほうから局長が来れなくて、今村次長が来ているようなわけなんですが、まずその前に、今村次長にお聞きしておきたいのは、これからバナナ輸入に関するいろいろな問題をお話ししていきたいと思うのですが、それに関して、あなたが実際に次長の立場において、責任を持ってきちっと答弁できるかどうかということをお聞きしておきたい。
  92. 今村曻

    ○今村説明員 私、責任持ってお答え申し上げます。
  93. 中村時雄

    中村(時)委員 明確にお答え願ったので、では続けてまいりたいと思います。  先ほど停滞した一つの条件の中に、最近バナナ輸入する際に、やみのプレミアムがついて輸入しなくちゃならぬというような状態、さらには台湾政府に一方的に日本政府並びに業者が振り回されている状態にある。そこで、プレミアムの状態が、外国為替管理法違反にひっかかるような問題が出てきて、現在神戸の水上警察署、それから警視庁、方々で手入れが行なわれております。その手入れが行なわれた現状を、もう大体調査が済んだろうと思うから、発表していただきたい。
  94. 今村曻

    ○今村説明員 台湾バナナ輸入条件につきましては、御指摘のとおり、先方は窓口が一本でございまして、こちらはたくさんの業者輸入しております関係上、従来間々取引の条件が輸入側に不利である、こういう事実が見えますのは、これはお説のとおりであります。ただいまの為替管理法違反の事情につきましては、私のほうで調査の結果わかりましたことは、本年一月に建隆貿易という会社が為替管理法違反で起訴されております。このほかに、関西方面及び東京水上警察におきまして、若干の取り扱い商社が事情聴取ないし捜査をされている、こういう事実がございます。
  95. 中村時雄

    中村(時)委員 その建隆貿易を中心にして、実際には若干どころでない、二十八社くらいがいろいろな調査を受けているわけです。それもあなた方は知っているはずです。また築地においては、二月二十四日に警視庁から東銀座の福光貿易、これもやられているはずです。また丸大商事もそうです。さらに最も問題になるのは、中国側の除徳郎、この方は、御存じのように、日本において台湾の生産者側を代表している団体なんです。そのほとんど半分くらいその実権を握っている生産者団体なんです。それが家宅捜査までやられているはずなんです。一体、どういう理由でこのようなプレミアムがあるのか。どうしてもプレミアムを出さないと、実際の貿易の中において輸入ができないという実情になっておる。その原因一体どこにあるか。おそらバナナ業者ほとんど全員といってもいいほど――というよりも、全部と断定してもいいのじゃないですか、プレミアムを出さない限りにおいては輸入ができない。もし出さない場合においては、次の機会においてキャンセルされてしまうというのが、いまの実情なんです。それなら、一体このプレミアムを出さないようにするにはどうするか。少なくとも一千万ドル前後のものがどこか海に捨てるようにやられているのと同じことなんです。正常じゃないのだけれども、それに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  96. 今村曻

    ○今村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、やはり現在の取引の形態というものが、どうしても日本輸入業者側でいわゆる過当競争を起こさざるを得ないような状態になっておりますので、やはり根本はそのあたりにあろうかと思います。したがいまして、この点を正常化いたしますために、輸出入取引法という法律がございますので、これによる輸入組合の結成、もしくはそれができるまでの間におきましても、少なくとも輸入業者協定というようなものによりまして、輸入業者の間の取引条件の足並みをそろえるということが、当面の一番大事な問題であろうかと思いますので、そういう方針につきまして目下鋭意研究努力いたしておる次第でございます。
  97. 中村時雄

    中村(時)委員 そのことは午前中に伺ったので、大体あなたのおっしゃった問題は、これはまだほかにたくさんありますが、その程度のことはわかっているのです。ともかく一応そういう方向に三、四月を目標にしてやってみようという、明確な一つ方向がついたわけです。だから、その辺の事情は次長もよく腹におさめて、その線に沿ってせっかくやろうとしておる課長のその姿を、やはり前向きにしてあげていいことだと思うのです。そういう意味でひとつがんばってもらいたい、またそういう意味であなた方も援助してもらいたい、こら思っておるわけです。  私は、それに関連して先ほどこういうことを言ったのです。たとえばこういうふうなプレミアムが出るということは、いま言ったように、あなた方はわかっているのです。ここに業者協定をやっていきたいという姿も出ている。昨年の暮れには四団体が集まって、そのうちの八〇%内外のものがそれはそうだということになっている。にもかかわらず、アウトサイダーのためにくずされる。くずされるということは、台湾側がそれに対しててこ入れをしているわけなんですね。個々の業者を呼んで招待をして、百数十社が出ている。その中には、柑橘類なんかで、バナナ輸入は困るんだという業者すら出ていっている。そこの役員すら出ていっている。それで、写真をとろうとすると、写真だけはこらえてくれ、おれの顔を写されたらおれはたいへんなことになるのだと言って、逃げて帰っている人すらおるのです。そういうふうにこの問題というものは、砂糖と同じように非常に問題があるところなんです。だから、そういうような姿からいって、ほかに手だてがないものかという一つ考え方が出てくるわけです。  いまの現状でさしずめどうすればいいかという問題を取り上げた場合に、これは年前中にも言ったのですが、たとえばパスポートだけを持って旅行する人がおる。そして旅行で来ておって、自分だけでオファーを出して、LCを組んで、すぐに貿易をしてしまう。こういう状態になっているのですね。だから、そんな居住権のない人間に、そういう行為が認められるかどうかということを御質問しましたら、課長のおっしゃるのには、自由化の中でそういう行為が認められるのです、しかたがありません、こうおっしゃったのですが、これはしかたがありませんではないのです。私は、この点ははっきりしておかなくてはならない、重大な問題が控えているので、それをお尋ねするのですが、次長はどういうふうにお考えになるか、やはりこれは許可をしなくてはならぬという考え方に立つのか、あるいはこれに許可すべきでないというお考えに立つのか、明確に聞かせていただきたい。
  98. 今村曻

    ○今村説明員 お答えいたします。  非居住者に対して輸入の割り当てをすることが是か非か、こういう御質問でございます。従来、在日華僑等につきましては、一種の既得権と申しますか、商権がございまして、そういうものを認める意味で割り当てをいたしておる事実はございますが、ただいま御指摘がありましたので、私のほうといたしましても、はたして法的にどういう関係になりますか、もう一度十分調査いたしまして、そして確信のあるところで善処いたしたいと思います。
  99. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたのおっしゃることを裏から言ったら、何もやらなかった、野放しでいままでみんな許可をしたということです。だからこそ問題が起こるのです。そして口でこうしなくてはならぬ、ああしなくてはならぬと言っている。ところが、現実ではそんなことやってないでしょう。簡単なことじゃないですか。あなた方のところでよく調べてごらんなさい。外資法の十一条にみな書いてある。それには当然外貨導入の許可が必要になっておるのです。というのは、たとえば台湾からこちらへいらっしゃいますね。いらっしゃった方がここで会社を設立しようとするならば、当然外資を導入していかなくちゃならないわけでしょう、資本金として。それは為替を通じて出てくるわけですね。そうでなかったらできぬわけでしょう。そうでなくて、今度は内地において居住外の人が五〇%以上の資本を云々する場合には、通産大臣の許可が要るとなっているのです。ところが、そういうものは皆さん方一つもやったことがないのです。ただ無抵抗に、不用意に、オファーさえとれば、LCを組んで全部許可をしておったという実態の上に立ったものだから、問題がこのように複雑にからまってきたわけです。だから、いま言ったように、そういう別の方々をまず整理することが必要になってくるのですね。それには、いま言ったように、ただ旅行にきておって、そして金をもうけるために、あるいは向こうの生産者代表と称して、何といいますか、旅行券だけを一年なら一年にして切りかえながら、逃げていく人もおる。そういうものは通産省においてきちっとすればいいのです。こういうことはできぬことはないのです。ちゃんと法的な根拠に基づいてそういうことができるのです。だから、その点はよく調べてごらんなさい。そういう不明確ないき方はあるはずがないのです。そういう点はあなた方もう一回よく明確に調べておいていただきたい。これ調べて、いつ返事がいただけるか。
  100. 今村曻

    ○今村説明員 できるだけすみやかに調べまして、確実なるところをお答え申し上げたいと思います。
  101. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたはいつの間にか政治家になっていますが、私の聞いているのは、できるだけすみやかにとか、善処いたしますとかを聞いているのではない。問題は、期日をきちっときめて、その間にやるということがほんとうの努力なんです。ただできるだけとか、すみやかにとか――これはすぐできることです。いまでもできますよ。そうでしょう。いまだってすぐに、あなた法律のあれを持ってきて読んでごらんなさいよ、すぐわかることです。そういうようなおためごかしの答弁だけはおやめなさい。だから、明日なら明日、明後日なら明後日、文書をもって提出いたしますなら文書をもって提出いたします――私が答弁するわけじゃないのですけれども、そういうようにやっぱりものごとをはっきりとけじめをつけてもらいたい。
  102. 今村曻

    ○今村説明員 今週いっぱいに調べまして提出いたします。
  103. 中村時雄

    中村(時)委員 昨年五回にわたって、午前中聞きましたけれどもバナナ輸入されましたが、このうちで、受け取ったものが四百七十三万かご、これはLCで開設されておるわけなんですが、日本業者がそのときに大体一かごに一ドルのプレミアムを出しております。よく考えてもらいたいのですよ。一かご一ドルずつプレミアムを出すということになったらどういうことになるかといいましたら、大体において四百七十三万ドル出しているのですね。日本の金額に直したら十七億四千八百万円です。そうでしょう。そうすると、十七億円以上のものが、いま言ったように、どぶに捨てたような形になっている。プレミアムでやっているのです。そのプレミアムが、いま言ったように、為替管理法違反にひっかかってくるわけです。そうでしょう。だから、それに対してあなた方は――いままでも現実にすでにひっかかっておるのです。これを契機にしてこれからだんだんと私は大きくなっていくと思う。検察庁の手がどんどん入っていくと思うのですが、それに対してどういうふうにあなた方責任を感じていますか。
  104. 今村曻

    ○今村説明員 輸入秩序一般をもう少し正常化すると申しますか、秩序ある輸入をやらせるためのいろいろな手だてにつきまして、私どもいろいろ努力はいたしておりますけれども、率直に申しまして、まだ努力の足りない点、不十分な点が多々ありますことを反省しておる次第でございます。問題自体非常にむずかしい問題ではございますけれども、いままでの不十分な点をさらに今後極力努力をいたしまして、特にこのバナナ輸入等におきますところの現状について、もっとすっきりした形のものに引き直していきたい、そういう努力をなお今後とも一そう続けるつもりでございます。
  105. 中村時雄

    中村(時)委員 そのお考え方はけっこうなんです。ということは、いままで放任しておったということを裏書きしておるだけなんですから。だから問題は、そのすっきりした条件なり内容、それが大事になってくるのです。これはあとでお尋ねしたいのですが、あなたがすっきりするとおっしゃるから、そのすっきりするという構想は、どういうところにあり、那辺にあるのかということのお尋ねは、あとで明確にしておきたいと思っております。  続いて、昨年の四月から九月期に、オファー二百万かごのうち、特定人に対して特上定オファーを行なっておるのですが、これは先ほども話があったのですけれども課長からもう一回、それが何万かごがどういうふうなことになっておるか、お話し願いたい。
  106. 半沢治雄

    半沢説明員 私どものほうでそれが特別な扱いになっておるということを承知いたしておりますのは、台湾側輸出規制は、対日バナナ輸出弁法という台湾政府の一種の規則で定められておりまして、対日バナナ輸出弁法、通称弁法といっておりますが、昨年の四月-九月期で、弁法の中で総量二百万かご、これを輸出業者団体に百万、生産業者団体に百万、さらに生産業者団体の百万のうちの三十万については、台湾政府が特別審査できめたものにオファーしなさいという規定がございます。これがおそらく御指摘の特別割り当てというものかと承知しておるわけです。
  107. 中村時雄

    中村(時)委員 いまのとおりでいいのです。  そこで、その三十万かごの割り当てですね。向こうの政府が特別のものを指定して、そしてこの人たちに割り当てをする、結局こういうことなんですね。その特別に指定されたものの商社、それを明確にしてもらいたい。
  108. 半沢治雄

    半沢説明員 これはこういう仕組みになっておるわけでございます。特別の審査と申しますのは、日本側オファーを出しますのは、輸出業者団体の場合には、各輸出業者ごと日本側オファーを出しております。生産業者団体の場合には、生産業者団体が一本で日本の各業者オファーを出してくる。その際に、中国政府の特別な審査を経た相手方がだれであるということはわからないわけでございます。連合社が日本側業者に、百万かごについて中国内部でどういう審査が行なわれたかはわかりませんけれども日本側の個々の業者に百万かごについてオファーを出してきているわけでございまして、そのうちのだれがあるいはどの分がそれに該当するかということは、現在の仕組みのもとではわかりかねるわけでございます。
  109. 中村時雄

    中村(時)委員 だからこそ、あなた方は指導もできなければ、調査もできない。実態も何にもわからないということになってしまう。実際、一体何のためにあなた方がおるのか。そんなことはもうはっきりしているのですよ。そんなことは業者のだれに聞いたってわかりますよ。わからぬのはあなた方がわからぬと言っているだけで、わかっていて、わからぬ、こう言っているのかもしれないが、そんなことはわからぬことがわかっても何にもなりはしない。それは、十万かごは在日華商外貿会からちゃんと受けております。二十万かごは、永光商事が四万かご受けております。東京築地の東京青果が八方かご受けております。新宿の台湾青果連合会が八方かごを受けております。何にも知らぬしろうとの私たちが、ちょっと調査をしたらすぐわかることが、なぜあなた方がその中心になっておりながらわからないのですか。しかも、そのときに明確にされておることは、その一かごに対して――もちろん、この中には政治家も介入しております。某人などは、台湾に行って、そのうちで四十万かご契約をしているというようなうわささえ流れておるのです。しかも、そのような状態の中で、これらの特定人に対して一かご六十八セントのプレミアムをちゃんと要求しておる。一かご六十八セントの要求ということは幾らになるかといえば、二十万四千ドルになるわけです。すなわち、七千三百四十四万円の金が消えてなくなっておる。そのときの契約、口話ではありますけれども、これが御存じのとおり、国府在日機関の大陸反攻運動資金とするのだから出しなさい、こう言っておる。一体、その金がどこへ流されたか、それを調査すればはっきりするでしょう。  そこで、あなた方に調査を依頼しておきたい。あなた方、中国銀行の東京支店にその当時の金が幾ら入ったかということを調査してごらんなさい。明確になるのです。そのくらいのことすらわからなくて、ほんとうにこの基本的な問題の解決と取り組もうというような心がけができるかどうか。あなた方は、一体台湾から入ってくるものをただ漫然と、オファーを出せばただLCを組みます。こういうことだけの職務でやっているのですか。私はそういうものじゃないと思うのです。少なくとも指導力を持って、そういう秩序を立てて、そして日本の国家のためにあなた方やっているのだと私は思っている。見解はどうですか。
  110. 今村曻

    ○今村説明員 私ども職責は、ただいま先生のおっしゃったとおりの気持ちでやっておりますし、またやるべきであると承知しております。ただ、不幸にして、いま御指摘の大陸反攻資金云々の問題は私ども存じておりませんでしたが、ただいまおしかりをいただきましたが、一般にその問題を含めまして為替管理法違反、そういうふうな問題につきましても、もし私のほうで探知をいたしますれば、もちろん、義務としてこれは摘発し、是正すべきものでございますが、なかなか不十分な点もございますので、そういう点につきましては、御指摘の御趣旨の線に沿いまして、今後とも気をつけてやりたいと思います。
  111. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで、一つ言っておきたいのは、そういうような事柄を私は言うつもりはなかったのだけれども、あまりにもあなた方のやっている行為が過去においてなまぬるい、そういうような意味において言いよるのだから、私は何もあなた方をおしかりするわけでも何でもない。お互いに建設的にものを考えてみようというところで、あなた方があまりにも実態を知らな過ぎるから、一つ一つ実態を出さざるを得なくなってくる。だから、そういうことを考えたら、まず第一に考えられるのは、先ほど言った非居住者の問題、あるいは不法外人の商社の問題、さらにはこれはこういう政治的な問題がからんでくると、もっと大きな問題として国の問題になってくるわけです。こういう政治的な特別な問題に関しては、一応割り当てを打ち切るというくらいな腹がなかったら、これはいつまでたっても解決できない、外面的な問題としては。内面的な問題はあとで御質問しますけれども、そういうふうに私は考えておる。だから、それに対して、たとえばそれができなければ、外貨割り当ての延期をするとか、あるいはまたそれを一時停止するとかというふうにして、調査に入るべきだと私は思う。これは危険だ、あぶないと思えば、何もとめなくていいのです、それは一時停止をして、ほんとうに調査に入ってみるとか、あるいは外割りをしばらく延ばしてみるとか、方法論は幾らもあると私は思うのです。それはどうですか。
  112. 今村曻

    ○今村説明員 御承知のとおり、ただいまバナナ輸入は自動輸入割り当てをいたしておりますので、むやみに割り当てをとめたり延期したりということは、制度上非常にむずかしいのでございますが、ただいま御指摘のように、違法の疑いがあるとか、輸入申請の資格について問題があるとか、刑事違反の疑いがあるとか、そういう場合には、もちろん十分に調査がつくまで割り当てはいたさない、こういうことはできます。
  113. 中村時雄

    中村(時)委員 それを言ったらたいへんなことが起こる。いま言ったように、たとえば中国から四半期に二百万かごのものが来た。そうすると、その中にプレミアムが出ました。これは認めているのですね。知っている、うわさでも何でも業者から聞けば。全部それを出しているのですね。そうすると、八ドルはLCを組んで送っている。CIFの決済をやっているのですから、船出をしたと一緒に、向こうは銀行に行ってその金がとれる。一かご八ドルの契約金としてとれる。そうすると、今度は残りの六十八セント、一かごとった場合の六十八セントに対しては、送るわけにいかない。そうでしょう。そうすると、その六十八セントはどこへいくのかということはすぐ頭にくるはずなんです。外国には行けぬのだ、為替としては八ドルのLCしか組んでないのだから。そうすると、これは一体どこへ行くのか。あなた方のような優秀な頭で、そのくらいの子供だましのようなことがわからぬというのはおかしいと思う。しかも、警察が乗り出して初めて知ったというのであれば、最も職務怠慢だと私は言いたい。警察というのは最後に出てくる問題なんです。事前にそういうことがないようにしようというのがあなた方の立場なんです。それで、あなた方はどうにもこうにもならぬので警察が手を出すというなら、話はわかるわけであります。何もやってなくて、手を出されたということだったら恥ですよ。当然、ここに通産大臣でもおったらもっと激烈に言いますが、きょうは幸いか不幸か知らぬけれども、いらっしゃらないから、私は、そういう問題をあなた方と政治的な取り引きをしようとは思っておりませんけれども、そういうふうな状態になっていることはもうわかっていることだと思う。だから、調査にあたって、どういう見解を持ってこれから調査をされるかということをお聞きしておる。
  114. 今村曻

    ○今村説明員 プレミアムという問題にからみましてかどうかわかりませんが、とにかく為替管理法の違反という事実が現実に起こっております。そこで、私どもといたしましては、これがバナナ輸入の現状というものから見て、プレミアムという形で、先生の御指摘のように一般的に行なわれておるというようなことにつきまして、確実に握っておるわけではございません。かりに私どもが調査をいたしましても、私はプレミアムを払っておりますと言う業者は一人もおらぬわけであります。したがいまして、これははっきり確実な事実をもって調査ができれば、それに基づく措置ができるわけでございますが、私ども一般行政官庁といたしましては、なかなかそれは言うべくして実際むずかしい問題でございます。現実にいろいろな事件が警察ざたになるということにつきましては、たいへん私どもとしても申しわけない、残念だと思うのでございますが、実情はそういうわけでございますので、話をまたもとに戻すようでございますが、結局これは、そういう問題の調査ももちろんできるだけいたすつもりでございますけれども、やはり根本は、現在の輸入の全体の姿がよろしくないという点にあろうかと思いますので、私ども一般行政官庁といたしましては、そういう点にも目をつけまして、早く是正をしてまいりたいと考える次第でございます。
  115. 中村時雄

    中村(時)委員 あなた方は、そういうことが、根本的な問題としていろいろな問題が残っておる、たとえば協議会をつくるとか、いろいろな問題も残っておるということはよくわかる。わかるということは、実行に移すということなんです。あなた方はただ知っておるというだけだ。ことばを返すようですが、それではほんとうの政治なりほんとうの行政というものにはならないと言っておる。そうでしょう。だから、いま私が言っておるのは、何にもなっていないから、効果というものはできた結果によって出てくる問題で、何もできていないのだから、効果は何もない、ただ知っておるというだけの話だ。だから、いま言ったように、非居住者、不法外人、商社、あるいは政治的にいろいろ疑義されるようなものは、先ほど言ったように、具体的にできる範囲で、すなわち、外貨の割り当ての延期をするとか――とめるということになれば、あなた方も問題が出るでしょうが、あるいは一時停止をするとかいうような方法はある。それは今後それぞれの実態に沿ってやっていきたいとおっしゃるから、それはけっこうでしょう。  ただ、プレミアムの問題は、私たちもわかりませんと言うけれども、これは業者全部がやっておることなんです。というのは、あなた方が信頼されてないからです。あなた方を信頼しておるのだったら、何ぼとられたから何とかしてくれと言うのが普通なんです。業者がそれすらよう言わないということは、どこにあるかということをあなた方が反省しなければならぬ問題なんです。このことはよく反省していただきたい。  それから十一月の十七日付で通産省のほうからこの輸入に対する契約書の添付を求めたことがありますか。
  116. 半沢治雄

    半沢説明員 ただいま御指摘の事実はございます。十一月十七日付で従来のオファーに新たに契約書を添付すべき旨を公告してございます。
  117. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、あなた方が契約書の添付を求めるということは、片務的なものではなくて、双務的な一つ考え方に立った上で行なうものだと思うのです、貿易というものは。向こうが一方的にやっておる。ところが、実際にあなた方が実態がつかめない。いままでの過去においては、オファーだけ出しておいて、それでもってたったっとやるのだから、そこで、契約書を出しなさい、少なくとも出しなさいと言う以上は、自分たちにも責任がくるわけです。そうでしょう。それに基づいてただ書くだけの問題ではない。その双務的な立場をあなた方は責任をもって考えておったかどうかということを聞きたい。
  118. 半沢治雄

    半沢説明員 実は自動割り当て制度という制度のもとでは、一般的に契約書を徴するようなことは従来例がございませんで、自動的に申請があればこれを受け付けて割り当てるという、制度的な制約がございましたものですから、契約書を添付するということ自体、実はかなり問題がありましたことは事実でございますが、当時台湾側といろいろ折衝いたしますについても、折衝の際の手がかりがなかなかないという実態もございまして、契約書を添付させるということを一つの契機にいたしまして、契約書内容について台湾側日本側業者が折衝ができるように、そういう趣旨で実は考えてございまして、確かに精神的に契約書は双務的であるべきだという考え方で出したには違いありませんけれども、結果的には、契約書内容まで制約をすることは、現在の制度のもとでばかなりむずかしゅうございまして、結果的には、かなり片務的な契約になっているという事実がございます。
  119. 中村時雄

    中村(時)委員 精神的には双務的で、現実的には片務的というお答えですが、そんなおかしなお答えというものはないと思いますけれども、それはそれとして流しましょう。ただ、双務的という本質を持っていることは間違いない。そこで、双務的な本質というものは、具体的にはどういうふうな方法をとったらいいかという問題に転換さしてみたいと思うのです。  御承知のように、バナナというものは、輸送途中の変質という問題も出てくるでしょう。あるいは減斤の問題も出てくるでしょう。さらにはダメージの問題も出てくるでしょう。そういうようなものの発生が一応常識的には考えられるのですね。そうすると、現在のようなCIFでやっていくと、CIFというのは港渡しですから、いまの途中におけるそういう問題が多々出てくるわけなんですね。ひどいときには、向こうがかってに着地指定をしてくる。そうすると、そこに二隻も三隻も船が入る。一体、その大量のバナナをどうやって消化できますか。できる道理がない。そうすると、直ちに変質してしまう。こういう問題が起こるのですね。ということは、どこに原因があるかというと、CIFというところに問題が出てくると私は思うのです。だから、このCIFというものを、たとえば揚げ地ファイナルにするとか、そういうふうな方法で、揚げ地の地点において問題の解決の方法があるかないかという問題に私は転換ができると思いますが、それに対してどういうふうに次長はお考えですか。
  120. 今村曻

    ○今村説明員 現在の契約は、たいへん台湾側の一方的なオファーによって取引がきまる、こういう形になっておりまして、輸入の側におきましては、揚げ地を指定したり、それから自分のほうで配船をしたり、そういう普通の貿易習慣上当然権利として認められるようなことさえもできない、こういう現状でございます。したがいまして、契約書なしで、つまり、台湾側オファーをもらったかもらわないかというだけで、実は取引が行なわれておるのが事実でございまして、かりに契約書をつくりましても、いま申し上げましたように、非常にバランスのとれてない、一方的な台湾側の都合のいい契約、こういうことになるわけでございます。
  121. 中村時雄

    中村(時)委員 政務次官に一つお尋ねしておきたい。いまお聞きのように、完全にこれは一方的だとあなたもお認めになるだろうと思うのです。だから、実際に着荷をして数量が足らなくても、全然これを取り返すことができない。全部キャンセルされてしまうようなかっこうになってしまうのですね。おそらくその数量にしたって膨大なものだと思うのですよ。それだけ要らぬドルを日本台湾に使っているのです。一体、何のために、台湾のためにそんなことをせねばならぬのですか。これは真剣に考えてもらいたいのです。しかも、数にして何千万ドルでしょうが、それはあなたが個人でやられてみたら一ぺんでおわかりだと思うのですよ。国の少なくとも貿易の上からいったら、輸出されて入ってくる金額の、御存じのように真珠と同額ですよ。それだけの膨大なもののうちの一割近くのものを海に捨てているのですよ。一体政府としてはこれをどう考えられておるのですか。これをひとつ政務次官にお尋ねしておきたい。
  122. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 政府としてと申しますか、農林省といたしましては、午前中に申し上げましたように、果樹園芸振興ということが大きな目標の一つでございまして、やはり一昨年来の、三十八年四月からの貿易の自由化バナナ自由化によりまして、ミカンとかリンゴに対しまして相当の打撃を与えておる。今日におきましては、ミカンにいたしましても、リンゴにいたしましても、消費が横ばいの状態になったのは、やはり台湾バナナ影響というものを無視することができないと私は思っております。なお、承りますと、台湾におきましては、バナナの対日輸出を増加するために、大規模な大増産計画をやっておるという時代でございまして、やはり農林省といたしましても、政府といたしましても、この問題は真剣に考えなければいけないと私は思っております。さしあたりといたしましては、農林省通産省の局長段階で、この件について検討をいたしたい、かように思っております。
  123. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っているのは、台湾側が一方的にそういうことをやるために、いろいろな問題がそこに惹起されておる。そこで、その一つ原因というものはCIFにあるのではないか、こう言っているわけなんです。だから、そのCIFをまず根拠に置いて、日本側立場としては、CIFを切りかえて、揚げ地ファイナルとか何かそういう方法で一連の問題の処理をしないと、途中航路におけるところの損失とかいう問題は全部日本側が負わなければならない。そのかぶった数量の金額は一千万ドル近くの大きな額になっていくのじゃないか。だから、そういう問題を考えると、揚げ地ファイナルのような方向に問題の進め方をしなければならぬのじゃないか、こうお尋ねしておるわけであります。
  124. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 午前中からお話を承りましたが、結局この問題の解決のためには、まず輸出入取引法でありますか、これによってやはり輸入業者の一元化をすみやかにはかり、輸入組合を一元化するとか、業者間の協定を結ばせるというようなことが一つの問題点だと思います。この問題については、先ほど申しましたように、七、八、九月の輸入量の決定の前に、三、四月あたりにはぜひひとつこの問題についてまとめたいというのが私ども考えであります。と同時に、いまの輸入貿易のいろいろの問題、CIFにしても、もっと検討しなければならない点が実はたくさんあるということを御質問を通じて承りましたので、この二つの問題につきましては、私必ず責任を持って御期待に沿いたいと思っております。
  125. 中村時雄

    中村(時)委員 農林省園芸局長と経済局長と、次長はあとからあなた方の所管の局長に明確にしておいていただきたいのですが、三者によって――いま政務次官はほんとうにまじめに前向きになろうとしていらっしゃる。それを事務当局が、政務次官はいつかわるかわからないからというので、引っ込み思案が多い。そこで、お尋ねしておきたいのは、政務次官を助けて、そういう方向を明確に打ち出す努力をするかどうかということを言明しておいていただきたいと思います。責任のなすり合いではなくて……。
  126. 久宗高

    ○久宗政府委員 必ず努力いたします。
  127. 林田悠紀夫

    林田政府委員 園芸局といたしましても、十分の努力をいたします。
  128. 今村曻

    ○今村説明員 御趣旨のとおり、全力をもって努力いたします。なお、通商局長本日欠席いたしておりますから、私から十分お伝えいたします。
  129. 中村時雄

    中村(時)委員 いま政務次官のおっしゃったのは、大体三、四月を目標として、明確にその点をやっていこうとしておるのですから、各局長とも十分その点は認識の上に立って努力していただきたいと思っております。  次に、農林省に一、二点お尋ねしたいのでありますが、現在の輸入に対して、卸売り業者も仲買い人も小売り業者も、だれでもオファーを出してLCを組んでもらえば、すぐに通産省で許可されるというたてまえから、だれでも輸入するという立場になっておる。そのために、流通機構がかって気ままになって、非常に乱雑化してしまう、一つの規律がちっともその中から生まれてこない。これに対してどういうふうなお考え方を持っていらっしゃるか。
  130. 久宗高

    ○久宗政府委員 バナナにつきましては、一般の輸入と違いまして、いろいろな経緯があると思います。戦前におきましても、移入と申しますか、そういう経緯がございますので、他の一般物資の輸入体制とは若干違った問題があると思います。いずれにいたしましても、中央卸売市場関係の卸売り人なり仲買い人がこれに関与いたしておりますので、その間に、たてまえといたしましては、現在の法令によってそれぞれの分野なりやり方が規定されておるわけでありますが、事実関係といたしましては、若干それが乱れておるような問題もございまして、必ずしも十分ではないと考えております。
  131. 中村時雄

    中村(時)委員 そこで、市場法に基づいてお尋ねしたい。  第一点は、たとえば卸売り業者が、いまのところはかってほうだいに輸入ができることになっていますね。さしていますね。そのとおりなんですか。
  132. 久宗高

    ○久宗政府委員 卸売り人は、買い付けという形におきましても、あるいは兼業業務という形におきましても、輸入ができるわけでございます。
  133. 中村時雄

    中村(時)委員 私は二通りの解釈があると思うのです。これは解釈のしかたによって非常な問題が出てくる。たとえば、御存じのように、東京都中央卸売市場業務規程、これをはっきり読んでごらんなさい。こういうことが書いてある。第二十三条に「委託販売と買付」となって、「卸売人は販売の委託を受けた物品の販売を行うものとする。但し、委託販売の方法により取扱物品の供給を受けることが困難な場合には卸売人は知事の承認を得てその取扱物品の買付をすることができる。」こうなっておる。ということは、これ以外の問題の解決を自己の責任においてやろうとすれば、これは知事の承認が要るのではないかと思うのです。これに対してどうお考えになりますか。
  134. 久宗高

    ○久宗政府委員 卸売り人の関係でございますが、輸入が買いつけかどうかという問題がございます。それで、先ほど申し上げましたように、経済行為といたしましては、買い付けでございますけれども法律の上では、まず指定区域内で販売いたします場合には、買い付け行為の性格を有するということになると思います。それから指定区域外で販売しているという場合には、これは兼業業務の性格を持つものと思うわけでございます。そこで、買い付けをいたします場合に承認が要るかどうかという問題でございますが、これはもちろん卸売り人が買い付け行為をやる場合には承認が要るわけでございまして、兼業の場合には届け出で済むわけでございます。
  135. 中村時雄

    中村(時)委員 局長、あなたは一体これを兼業とみなすのか、買い付けとみなすのか。問題は二つあるというのは、それを言っておるのです。その二つ意味の取り上げ方によって、どうにでも解釈ができるようにしておるけれども、しかし、市場法のたてまえは、本質的のたてまえをよく考えてごらんなさい。輸入業者から入ってきたものを卸売り業者が受け取って、それを仲買い人が仲介をして小売り業者に渡すということが、一連していったところの一つ流通機構なんです。ところが、何年であったですか、河野農林大臣がいらっしゃったときに、次官通達か何かによって――これは全芭連に対しての問題だったと私は記憶しておる。その一条を削除したことがあります。そうして買い付けの業務を認めるという行き方をとっておるわけです。ところが、国外に対しての買い付けを認めながら、国内では依然として、リンゴであるとかミカンであるとかいうようなものは、買い付けができないはずなんです。そのようなばかげたことがいまの世になってまだあるかどうかということは、常識論で判断ができるでしょう。そうでしょう。だから、流通機構を整然とやはり整備をするということが農林省のたてまえであろうと思う。おそらく河野さんにしてみても、皆さん方は河野さんがこわいので、こういうことに手をつけるのはいやだというようなお気持ちがあるかもしれませんが、それはそのときのことであって、いまはその次元が違ってきておるのだと一笑に付されるだろうと思うのです。それは、その当時はバナナが非常にもうかっておった。もうかっておったからこそ、仲買い人たちも、自分たちも買い付けをやりたい、こういう考え方になって陳情されたと私は思う。そういうような時期はもうすでに過ぎておる。このような状態の中で、依然としてこれを放任しているということ自身がおかしい。やはり秩序としては、輸入業者輸入業者として輸入をし、そしてそれを卸売り業者に持っていく。卸売り業者の中で、仲買い人が買い付けをするのでなくして、仲介に立つ。そして小売り業者に入っていく、それが私は流通機構の整然たる一つの歩み方だろうと思う。それをいま言ったように、卸売り業者も仲買い人も小売り業者も、だれでもが、ネコでもしゃくしでも、何でもかんでもオファーを出して、LCさえ組めばいいというばかげたことが、その流通機構を乱しておる大きな原因になっておると思う。こういうことがあるのですから、政務次官もいまの問題でおわかりになったように、この問題の整備を流通機構立場からよくお考えを願いたいと、このように思うのですが、政務次官のお考え方を承りたい。
  136. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 市場の問題につきましては、やはり生産者と申しますか、出荷者の保護と、それからまた消費者に対して安定的な供給をするという二つの機能があることは、申すまでもないわけでございまして、そんな意味から、市場そのものが、ことにバナナのようないわば投機的な商品を買うということは、私は市場としての安定性を阻害すると思うわけでございます。したがいまして、理想といたしましては、当然買い付け行為と輸入行為とは分離しなければいけないと私は思います。
  137. 中村時雄

    中村(時)委員 いま政務次官のおっしゃったのは、私はそのとおりだと思うのだが、買い付け行為といま言った市場行為というものを混濁してしまって、ただもうけるために云々するような構造ではだめだと思う。そういう立場に立って、経済局長あるいは園芸局長はどういうふうにお考えになっておるか。
  138. 久宗高

    ○久宗政府委員 いま仲買い人の場合は、輸入につきましては、買い付けだけしか許されてないわけでございますが、そこで買い付けましたあとで卸売り人を通じて販売することというのは、あれをはずしました場合にも、私どもから強い指導をいたしておるわけでございます。それが必ずしも励行されておらないところに問題があるかと考えております。
  139. 中村時雄

    中村(時)委員 私の一番言うのは、一々これはこまかいことを言うのがいやだから言ってないのですが、それでは言っておきますけれども、先ほどの東京都中央卸売市場業務規程の中の仲買い人の禁止行為ですね。この中に、三十六条で、「仲買人は、その許可を受けた取扱品目の部に属する物品について、左に掲げる行為を行ってはならない。但し、第二号については、第三十二条但書による場合は、この限りでない。一、本市場内又は外において販売委託の引受をすること。二、その属する市場外において買付(輸入を含まない。)を行うこと。」これが河野さんが全芭連に対する一つの問題を投げかけたところです。「三、その属する市場外において一定の営業所を設け販売をなすこと。」この三つになっておるわけなんです。そこで、いま言ったように、国内のリンゴやミカン等の買い付けはできないにかかわらず、自由化になったからといって、なぜ外国のものだけができるかという問題が起こってくる。その当時は、いま言ったように、どんな政治力を使っても、もうかるから何とかしてくれという状態だった。ところが、いまはそういう状態でなくなってきておる。そこで、元に返して正常な立場にしなさいということを私は言おうとしておる。だから、実際この市場法も元に返して、すっきりした姿の中からもう一回立ち直ってくるのがほんとうじゃないかと私は言っておる。具体的に言えば、それを言っているのです。しかし、あなたの賢明な頭だから、一々こういうことまで具体的に言う必要はないと思っておったけれども、あなた方が抽象的にそういうことをおっしゃるならば、現実的にこの問題の解決を、この次の輸入に対する問題を取り上げる際に、当然検討してもらい、それを是正していただきたい、こういう考え方を持っておるのだが、いかがですかと、こう聞いておる。
  140. 久宗高

    ○久宗政府委員 法律的なたてまえは、先ほど申し上げたようなことでございますが、おっしゃっておられる意味は、本来どうあるべきかという問題でございます。私ども、この問題につきましては、これでいいのかどうか、若干疑問に感じておりますので、検討さしていただきたいと思います。
  141. 中村時雄

    中村(時)委員 だから、そのことは、大きく言えば、流通秩序欠陥をどうするかという問題ですから、非常に大きな問題になるので、その点は明確にしておいていただきたい、こう思うわけです。  そこで、十一月の何日ですか、農林大臣並びに通産大臣あてに、たしか自民党の農林部会から申し出があったはずです。それに対してどういう考え方、どういう行為をとられたか、その点を通産農林両省からお聞きしておきたい。
  142. 久宗高

    ○久宗政府委員 いま御指摘の十一月何日というので覚えておりますのは、急速に輸入体制を整備しろという意味お話だったと思うのでございます。前々から私どもといたしましては、台湾バナナ以前から例のエクアドルの問題がございました当時から、非常に問題があると考えまして、早急に輸入体制を整備するように慫慂してまいったわけでございます。なかなか事が運びませんので、再度関係者を集めまして、相当強い形であのときは指示をいたしたわけでございます。その後、ただいまやりとりがございましたような経緯で、まだ最終的な輸入秩序ができないのははなはだ遺憾に思っておるわけでございますが、私どもといたしましても、十一月段階で御連絡がございましたのとほとんど同時期に関係者を集めまして、早急に一本の体制を整えるように強い指示をいたしたわけでございます。
  143. 今村曻

    ○今村説明員 十二月十七日付の自民党農林部会の申し入れがございます。内容は三点。第一点は、輸入体制確立、それから第二点は、国内の流通秩序確立、第三点は、輸入の適正量を策定し得るように行政指導をしろ、その三点でございます。第二点、第三点は、農林省の御所管の問題でございますが、第一点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、輸入体制確立ということは、この申し入れを待つまでもなく、私どもも非常に痛感しておりますので、現実には農林省とすでに連絡をいたしまして、つとめて研究を進めておる状況でございます。
  144. 中村時雄

    中村(時)委員 通産のほうは、まあそれで一応話はわかりましたが、農林省のほうのお答えはちょっと私は解せない。私の聞いているのは、この三点に対して個々にどういう立場をとったか。たとえば国内流通秩序という問題に対して、先ほど提議したように、あなた方もこれには少し疑義があるんだ、こうおっしゃっている。その疑義に対して、どういう打ち方をし、どういう協議をし、それがいつどこでどのような内容かということを、一つ一つ期日を追って明確にしてもらいたい。同時に、輸入の適正量ということばを出しておりましたが、その答えもなかった。輸入量に対して、バナナ一体どのくらいな輸入量が――先ほどから政務次官が口をすっぱく言っているように、他の果実との関連性のもとにおいて、どの程度のものが最も適正であるか、この二点を明確にしておいていただきたい。
  145. 林田悠紀夫

    林田政府委員 輸入の適正量ということでございますが、戦前の昭和十二年だったと思いますが、このときが一番多く入ったときで、十四万トン入っております。それ以後、人口の増加とかあるいは消費生活の高度化とか、いろいろなことがございまするし、また日本国内におきましても、数がふえてきたというようなことでございます。それで、自由化前におきましては、十万四千トンほど入っておりまして、それが三十八年度におきましては、三十万トン近く入ったということになっておる次第でございます。それで、適正量につきましては、これはいろいろ問題がありますから、これが適正量であるということは実は申しかねるわけでございまするが、他の果実の価格の推移とか、そういうものをながめまして、三十八年度に三十万トンほど入ったわけですが、それよりももっと多く、四十万トン以上になるということは、これはあまり適正じゃないんじゃないかということを実は考えた次第でございます。そういう意味におきまして、それでは自由化されておる場合に、この数量を制限するということはできかねる、やはりこれは輸入組合をつくりまして、輸入協定をして数量をきめていくというようなことが、一方において必要でございます。それから政府でできることといたしまして、関税が実は七割から五割、三割というように、毎年引き下げられていくということにきまっておったというと語弊がございますが、関税審議会のそういう結論もございまして、実はこの四十年度におきましても、五割に引き下げるべきだというような結論になった次第でございます。それで、あまりにも数量がよけい入り過ぎるおそれがあるというような見地から、それも七割以上にするということにいたしまして、できるだけ輸入制限的に考えていきたいというようなことで、措置をいたしたわけでございます。
  146. 中村時雄

    中村(時)委員 そのことは、農林部会のほうに返答しておりますか。
  147. 林田悠紀夫

    林田政府委員 これは、実は農林部会のほかに、貿易の部会がございまして、その貿易の部会の中に農林関係のまた小委員会がございます。そういうところでずっと取り上げられまして、十二月の初旬から問題になってきておりまして、そのつどお話をしたような次第でございます。
  148. 中村時雄

    中村(時)委員 私は、その小委員会の方々に、お聞きしましたら、そんな話は一向ないというのですが、あなたのおっしゃるのは事実なんですか。
  149. 林田悠紀夫

    林田政府委員 事実でございます。
  150. 中村時雄

    中村(時)委員 じゃいつごろそれを出して、いつごろきちっとしましたか。
  151. 林田悠紀夫

    林田政府委員 そのつど口頭でお話を申し上げておるのでありますが、特に関税なんかの問題につきましては、何回もいろいろ御意見も伺ったりしまして、きめたような次第でございます。
  152. 中村時雄

    中村(時)委員 関税の問題は、前にそういう勧告があったので、五割になるということは、決定的な事実としてこれが問題になっておった。しかし、自民党としては、あの当時は、この問題を起こしたならばいろいろの問題が起こってくるので、一応のけようじゃないかという立場になって、このことが国会の中での一つの大きなワクになっていたから、あなた方は相談に乗ったわけなんだ。問題はそこにあるのではなくて、五割を三割にする、二割にする、一割にする、そういうことで、だんだん低くしていくことは、私は逆にけっこうだと思うのです。そのかわりに、それに見かわるところの数量をどの程度に押えるかということが、私は基本にならなくてはならないと思う。その基本があれば、一割にしたってけっこうなんです。ところが、その数量の研究が明確でないから、幾らでも入ってくる。台湾側としては、つくれば幾らでも売れるのだから、幾ら高くても抱き込ませるのだというような、一方的な台湾側立場に立ってしまう。それで日本側があたふたしているのがいまの現状なんだ。だから、日本側が大体どの程度が適量なんだという目安がつけば、上下の一つの幅はあるけれども、一応一つの目標さえつけば、それ以上売れやしないのだから、向こう側は考えるのですよ。それが先決なんですよ。その先決に対して、あなた方は一体幾らぐらいが適量と考えているかということを聞いておる。
  153. 林田悠紀夫

    林田政府委員 バナナの価格の推移を見ておりますと、三十七年の自由化前におきまして、キロ百七十五円程度の卸でございます。それが三十八年に百四十二円程度になりまして、それから三十九年に入りますと、大体百四十円台で推移をしておるのでございます。それで、ほかのくだものの価格を見てみますと、リンゴは三十七年に五十七円、それらから三十八年がやはり五十七円で、三十九年には実は五%くらい不作なんでありますが、価格は大体横ばいで推移をしてきておるような次第でございます。それからミカンにつきましても、これはやはり豊作とかそういうようなことで、価格が下がっておるということもございますが、三十九年滝のミカンは実は値下がりをしておるというようなこともございます。そういうような価格関係から考えてまいりまして、三十万トン台くらいが適正ではないだろうかというようなことを考えておるような次第でございます。
  154. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、三十万トン台ということになると何方かごくらいになりますか。
  155. 林田悠紀夫

    林田政府委員 六百六十万かご、まあ六百万かごないし七百万かごというようなところでございます。
  156. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、この四月から六月までの間に大体四百五十万かごのものが入ろうとしておるのですが、それは一体どういうような来方をしておりますか。
  157. 林田悠紀夫

    林田政府委員 四月から六月までに、これはバナナ輸入の実は最盛期でございます。大体バナナ輸入は、ほかのくだものの最盛期を避けまして、端境期にバナナがうんと入ってくるというような状況になっておる次第でございまして、これが一番多いときであるとは思っております。その間が大体二十万二千トンということになっておりまして、この調子でいきましたら四十万トン以上になるのじゃないか、多ければ四十五万トンくらいに達するのではないかということを考えておるわけでございます。
  158. 中村時雄

    中村(時)委員 ということは、非常にオーバーになってきておるということなんですね。三十万トンくらいを大体平均値に考えてみると、四十万トン以上ということになればたいへんなオーバーです。私はそういうふうに思うのですが、どうですか。
  159. 林田悠紀夫

    林田政府委員 四十万トンをこえるというようなことは多過ぎる、現在のほかのくだものの状況を見まして、そういうように考えます。
  160. 中村時雄

    中村(時)委員 政務次官、いまお聞きになったように、実際には大体の全貌がこれで明確になったと思うのです。そこで、残ってくるものは、あとはその内容の問題なんです。たとえば先ほどから言っていますように、私は一点一点を申すのは時間の関係もありますので、たとえば青果会社であるとか、仲買い人であるとか、加工業者輸入は一応明確に整備をしてしまう、そうして輸入業者輸入業者、卸売り業者は卸売り業者、それから仲買い人は仲買い人、小売り商は小売り商、そういう姿の秩序ある流通機構確立をまず第一にお願いをしておきたい。このことがやはり本質的な問題としての流通機構の過程に入ってくる、こう私は思うわけです。それから卸売り会社などの市場外の流通業者をもって流通団体組織して、流通機構の整備をそれに伴って一緒にやってもらいたい、それから流通団体は、国産果実の豊凶を検討して、その競合を避けて、適正輸入を行なうために、政府と十分な協議を行なって、そして参加流通業者への配分をやってもらいたい。それから兼業輸入業者をやっぱり明確にしてもらいたい。そして輸入専業者をもって輸入組合というものをつくってもらいたい。いまのところ、兼業やいろいろなところでかってほうだいにやっておりますけれども、先ほど言った卸売りあるいは仲買い人、そういうようなものが、両方の兼業という姿でなくして、やっぱりすっきりした姿の中に立っていろいろやってもらいたいと私は思う。これは流通機構の上から私は言っているわけなんですが、輸入組合をつくる場合において、もう一つ私は皆さん方に明確にしておきたいのは、現在アウトサイダー的なものが非常に問題になってきておる。それを整備し、統合して、そしてなるべくなればこの輸入組合の中に包括していただきたい。これを切り捨てるという意味でなくして、救いの道も一方であけておいていただきたい。そういうような方向一つ一つを流通の過程の中で明確にしておいていただくことが第一点。  第二点は、いま言ったように、国際的な問題もありますが、台湾のほうとしては、CIFによって何でも積み込みさえすれば日本業者は買う。もちろん、これは日本業者の情けない商人根性が動いておるから、こういう結果になると思うのですが、そういう点を商人側に、そういう根性を持っている人たちにまかせたのではできないということなんです。だからこそ、政府のほうで指導力を出して、輸入組合設立のてこ入れをしていただきたいということを第二点に申し上げるわけです。  そうしてその全体のながめ方は、やはり日本の果実栽培者――大体どういう程度にしていくかという輸入量の適正化、これを明確にしながら推し進めていただきたい。こういう方向でひとつ結論が出るなれば、早急にこの委員会に結論を持ってきていただきたい。  これだけを要望いたしまして、私は、最後の結論は、農林通産両大臣の出席を求めて明確にしておきたいと思いますので、委員長からそういうお取りはからい方をお願いしておきます。
  161. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと委員長、資料の問題ですが、いま中村君のほうから要求された資料、通産省のほうは今週一ぱいで何とかということだが、それは委員会のほうへ提出していただきたい。
  162. 中村時雄

    中村(時)委員 もう一点だけ。これは大事なことなんですが、一九四六年の十月から六五年の九月期まで、台湾バナナ対日輸出第三次オファー、これは大体どういうふうになっておりますか、通産省にちょっとお聞きしておきます。
  163. 半沢治雄

    半沢説明員 一九四六年から五五年まででございましょうか。対日台湾バナナ輸出処理弁法につきましては、三十八年四月以降出ておるものと私は承知しておるのでございますが、一九四六年以降の弁法については、弁法が存在したかどうか明らかでございませんで、つまり、自由化後の三十八年四月以降にそのつど弁法が出ておるという状況でございます。
  164. 中村時雄

    中村(時)委員 これはよくあなた方聞いておってくださいよ。このことから問題が出てくるのだから、一点だけ言っておきますが、一九六四年の十月から六五年の九月期ですが、この間、四百五十万かご台湾側考えております。それでわかるだろうと思うのです。それだけ言えば、あなたにはぴんとくるはずです。そのうちで、御存じのように、公会の扱い分が五百九十件で二百二十五万かご、連合社側の扱い分が四百二十二件で二百二万五千かご、省農会の取り扱い分が百十四件で二十二万五千かご、合計四百五十万かごです。そのうちで一番問題になってくるのは、この四百五十万かごのうちの半分が公会になっております。それからそのうちの一割が省農会になっておるわけです。そのうちで問題になってくるのは、幹部が身がわり業者を置いて取り扱いをさせておるのが、この連合社扱い分の四百二十二件なんです。この中に問題が出てくるわけです。だから、先ほどからあなた方は調査を調査をと言っていらっしゃったが、この内容は十分調査をしておいていただきたい、そうして動向を間違えぬように明確に処理していただきたい、このように思っております。  最後に、政務次官、いままでの質疑応答でおわかりのように、一口に言えば、台湾側に振り回されている状態なんですが、その点を認識されて、先ほどから決意は聞きましたけれども、明確にあとの結論をつけておいていただきたい、こう思っております。
  165. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 関連して。実はこのバナナ問題については、自由化以来、業界過当競争ということで国内果実に非常に大きな影響を与えてきたことは、いままでの質問でもはっきりしておるわけなんです。われわれは、国内産果実に対して悪影響を及ぼすということで、最後まで自由化に反対したわけでありますが、涙をのんで自由化に踏み切ったというゆえんのものは、安いバナナを、しかも質のいいものをたくさん消費者に食べてもらいたいということで、自由化に踏み切ったわけであります。ところが結果は、われわれが警告したとおり、まずいバナナ、高いバナナ、質の悪いバナナを消費者に供給するようなかっこうになり、しかもこれを扱っておる輸入業者が、いずれも四苦八苦の経営状態である。この自由化によって利益を受けているものは一つもない。ただ台湾の生産者がこれによって大いにいい目を見ているという状態であることは、もう疑う余地のないところなのでありますが、こういう状態を放置しておいたらたいへんなことになる。日本は買い手市場でありながら、売り手市場に振り回されておって、四十年度においては千二百万かごくらい入ってくるのじゃないかということが業界では予想されておるわけであります。先ほども、六百万から七百万くらいのところが適正量だろうという園芸局長の話もあったわけでありますけれども、これから見ると倍の数量がことし入ってくる。しかも、それだけの量が入ってくるのに対して、政府が受け入れ態勢の整備という問題について手放しであるということは、日本の国民的利益を阻害することまことにばく大なものがあるというところから、十二月の初めに、党の部会として政府に対して申し入れをし、自来二カ月有余の期日を経過いたしておるわけでありますから、実は先般、当農林委員会で同僚の中村君から質問がある、そのときにはということで、きょうは明快なる政府の決意と対策とを期待して私は臨んだわけでありますが、午前中来の政府の答弁を聞いておりますと、全く何にも処置してないということは、まことに遺憾でございます。こういう立場から、党から申し入れました三点に従って、ひとつ速急に輸入体制確立、これは先ほど第一番に中村君からもお話がありましたとおり、CIFでなく、揚げ地払いにするという指導をぜひやってもらいたい。と同時に、関係業界体制確立するための行政指導を勇気を持ってやってもらいたい。何か農林省を見ていても、通産省を見ておりましても、へっぴり腰で、この問題と真剣に取り組もうという気魄がさっぱり感じられない。これは私、党の部会から申し入れをしましてから黙って様子を見ておって、きょうその結果がわかるだろうということで期待しておったわけでありますが、期待を裏切られまして、非常に残念でなりません。これはバナナに限らず、農林物資全般について言えることであります。ここでひとつ農林省の久宗局長にお聞きしたいわけでありますが、自由化という定義を御説明願いたいと思います。
  166. 久宗高

    ○久宗政府委員 自由化の定義でございますが、貿易の拡大に対しましていろいろな方法がございますが、具体的には今日の段階では輸入制限はしないということだと理解しております。
  167. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 その輸入制限ができないということばはわかりますけれども、どうも農林省あたりで考えている自由化というものは、何らの制限も加えることができないのだ、もう国民的、国家的な利益が阻害されるということがわかっておっても、何らの手も出せないのだというふうにお考えですか。
  168. 久宗高

    ○久宗政府委員 定義とおっしゃいましたので、先ほどのような答え方をしたのでありますけれども御存じのとおり、自由化自由化といって問題になってまいりましたから、ガットにおきましても、あるいはケネディラウンドの進行過程におきましても、特に貿易開発会議その他問題が出てまいりましたので、自由化に伴いまして貿易の拡大につきましての農林水産物の扱いにつきましては、いろいろな事例が出てまいりまして、客観的に見ましても、各国とも相当まごついておるわけでございます。今日まだルールができないような次第でございまして、その過程で、少なくとも一般に受け取られておりましたような、何もできないのだというようなことではなくて、それぞれの国がそれぞれの国の事態に即しまして、基礎的な原始産業の保護につきましては、相当思い切った措置をとりながら、なおかつ貿易の拡大に努力しようという空気が出ておるわけでございます。さような観点に立ちまして、私どもといたしましても、もちろん前から国内産業との競合関係を考えまして、これに非常な打撃を与えないような考慮を払いながら、措置を進めてまいったわけでございますが、今後といえどもさような考え方で進めていきたい、かように考えております。
  169. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 通産省にお伺いしたいのですが、先ほど来通産省のいろいろな意向はある程度わかったわけでありますが、今後具体的にどういうふうに業界を指導され、また通産省の腹として、どういう具体的な対策を打ち出そうとしておられるか。二カ月ほど前からいろいろ検討されているようでありますが、その心がまえをひとつ聞かしてもらいたい。
  170. 今村曻

    ○今村説明員 昨年の暮れにお申し入れがありまして以後と申しますか、実はその少し前から、バナナにつきまして問題があることを十分承知しておりましたので、農林省連絡をとりながら、検討を進めてまいったわけでございますが、その内容で、先ほど来申し上げましたように、輸入組合の設立ないしは輸入業者協定ということをやるために、どういう障害があるだろうかという点を一つ一つ具体的に検討してもらわなければいかぬということで、さしあたり大きな障害と考えられますことは、まず第一番には、先ほどの国内の流通組織の問題でございまして、特に輸入組合などを結成いたします際に、あるいは輸入協定をつくります際に、業者の実績というようなものが問題になってまいりまして、それをどういうふうに見るかということと、いまの国内の流通組織の問題とは、非常に因果関係があるわけです。それから第二番目には、アウトサイダー規制がはたしてできるかどうかという問題、いろいろ問題がほかにもございますけれども、当面大きな問題はその二つだろうということで、その問題につきましては、すでに私ども事務当局の間で農林省と打ち合わせを始めております。そういう状況でございます。
  171. 亀岡高夫

    ○亀岡委員 もう一つ。特に通産省は、また政府もそうでありますが、輸出振興ということについては、非常な意欲を燃やし、努力をいたしておるわけです。これは予算を見てもはっきりしておるわけでありますが、その輸出振興、血の出るような努力をしてかせいだ外貨を、特にこの農林物資の輸入という面について振り返ってみるとき、何らの対策がないということは、大いに反省しなければならぬという点だと思うわけです。特に日本は、この狭い島で一億の人間がよりいい生活をしていくためには、どうしても輸出によって外費をかせいで、かせいだ外貨をより有効に使うということによって、日本の繁栄が期待されるわけであります。そういう面から、もっと通商局は自信と勇気を持って、この輸入に対する対策、特に強力なる行政指導というものを最重点的に取り上げて、今後行政を進めてもらいたいということを要望しまして、関連質問を終わります。
  172. 中村時雄

    中村(時)委員 いまおわかりのように、ただ一つ政治的な問題として、政務次官に明確にしておいていただきたいのは、先ほど言ったように、適正量という問題はなぜ出したかといいますと、少なくとも向こうのほうでも予定があるだろうと思うのです。一年作のバナナは、たくさんつくれば幾らでも高値で売れるのだという考え方を持たすと、これは無制限に出てくると思うのです。そのことは、向こうの農民自身にもマイナスが出てくると思うのです。そういう立場でこちらが明確にしておけば、向こうのほうもやはり計画的な考え方になってまいります。そこで、私は適正量ということばを使ったわけなんです。だから、その点の幅はある程度あったにしても、向こうの農民がうんとつくってしまった、さあ日本は買えないということになったら、今度は向こうの農民自身がにっちもさっちもいかない状態になってくると私は思うのです。そういう点をよく配慮してものごとは進めていただきたい。ほかの果樹、たとえばミカンとかリンゴとか、そういうものが一番大きな影響が出てくるのはバナナです。この前やっておったところのレモンというものは、入ってくるのが二百万ドル前後である。ところが、ミカンのかん詰めは千七百万ドルから出ている。かん詰めにしたほうが実際は得なんです、これは悪いミカンでもよいから。そういう片びっこの問題とは意味が違う。片方の問題は、外貨の問題もそういう状態になっている。しかもそれは、日本の農民が向こうのほうと技術的にやってみても負けるようなものをつくらすよりも、いまこそほんとうにいい意味における農業構造の改善の方向をとらせるべきだという考え方から突っ込んでいったらいいのです。そういうふうに、一つ一つの農産物についてもいろいろな問題があります。タマネギの問題も出てまいります。そういうふうに明確に一つ方向を打ち出して、向こうの国との問題も配慮しながら進めていってもらいたい。最後に政務次官の御答弁を願って、最後の結末は両大臣につけてもらうという行き方をとってもらいたいと思うのです。
  173. 舘林三喜男

    舘林(三)政府委員 バナナ輸入につきまして、午前中から中村委員、鶴岡委員より詳細な御質問をいただきまして、私も非常に参考になりました次第でございます。もっともでございまして、三十八年の四月に自由化するときに、実はかような問題につきましては対処策を講ずべきだという感じをいたしたのであります。さような点からいたしまして、農林省といたしましても、通産省といたしましても、全くまずかったと私は思うのであります。しかし、非常に建設的な御意見を聞かしていただきましたから、輸入機構の問題、あるいは流通機構の問題、あるいは輸入の適正量の問題、いずれも早急に決定しなくてはいけない問題でございますので、皆さん方の御意見を参酌いたしまして、具体的に早く案を立てたいと思っております。
  174. 坂田英一

    坂田(英)委員長代理 なお、先ほど赤路委員等から要求された資料をなるべく早急に出していただきたいと思います。  次会は来たる九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会