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1965-03-02 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二日(火曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君    理事 赤路 友藏君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    亀岡 高夫君       倉成  正君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    田邉 國男君       高見 三郎君    中川 一郎君       中山 榮一君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    細田 吉藏君       松田 鐵藏君    亘  四郎君       卜部 政巳君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       松井  誠君    湯山  勇君       小平  忠君    中村 時雄君       林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         水産庁長官   松岡  亮君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁漁港部         長)      瀬尾 五一君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 二月二十六日  委員山田長司辞任につき、その補欠として中  井徳次郎君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員中井徳次郎辞任につき、その補欠として  山田長司君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員山田長司辞任につき、その補欠として永  井勝次郎君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  山田長司君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  八郎潟農村建設事業団法案内閣提出第九八  号)  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第五  四号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  この際、内閣提出八郎潟農村建設事業団法案議題とし、まず提案理由説明を聴取いたします。舘林農林政務次官。     —————————————
  3. 舘林三喜男

    ○舘林(三)政府委員 八郎潟農村建設事業団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  八郎潟干拓事業は、わが国第二の大湖八郎潟の約二万二千ヘクタールの水面のうち一万七千ヘクタール余に及ぶ干拓地造成する計画のもとに、昭和三十二年国営事業として着手され、わが国干拓史上かつてない大規模干拓事業として今日に及んでいるのであります。以来、着々と工事も進捗し、昭和三十八年から三年間の予定をもって中央干拓地内部の、干陸を開始し、現在、すでに約六千ヘクタールの土地が出現しており、やがて一万数千ヘクタールに及ぶ広大な中央干拓地造成されることになっております。  この八郎潟中央干拓地における新農村建設にあたりましては、生産基盤整備農業技術改良開発等農業近代化のための諸施策を結集し、能率的な農業技術を導入いたしまして、生産性の高い農業経営を確立し、農村環境整備と相まって、ここに模範的な新しい農村社会を創設しようとするものであります。  また、この考え方に照応して、中央干拓地に関する地方行政しの措置といたしましては、第四十六国会におきまして制定されました大規模公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等特例に関する法律に基づき、昨年十月一日大潟村が独立して設置されております。  八郎潟における新農村建設のためには、国の工事に引き続き、農地等上地基盤整備営農用施設及び社会公共施設設置等の多岐にわたる諸事業実施する必要があるのでありますが、事業一体的施行必要性設置以来日の浅い新村実情等にかんがみ、他の干拓地におけるがごとく、入植者がみずから、あるいは既存市町村の援助を受けて入植営農を行なうこととすることは、きわめて困難であると考えるのであります。このため、新農村建設のための諸事業農業者入植新村の確立に先行して総合的かつ計画的に実施する主体が必要なのであります。  本法律案は、以上の諸理由に基づきまして、八郎潟農村建設事業の統一的な実施機関として独立の法人格を有する八郎潟農村建設事業団設立しようとするものであります。  以上が本法律案提案理由でありますが、次に、本法律案要旨を御説明いたします。  まず第一に、事業団組織等につきましては、資本金全額国が出資することといたしましたほか、事務所設置役員定数任命等につき所要規定を設けております。  第二に、事業団業務といたしましては、新農村建設のための諸事業を総合的かつ計画的に行なうことといたしております。その内容としては、農地等整備公用公共用施設及び農業用共同利用施設農業者住宅建設等を行ない、公共施設等は、建設地方公共団体等に譲渡し、農業施設及び農業用機械器具は、農業者に譲渡し、または貸し付けることといたしております。また、集落用地等事業団が国から直接配分を受けた土地を譲渡することも業務として規定しております。その他委託を受けて、入植者訓練等農業技術普及指導等事業をも行ない得ることにいたしております。  第三に、業務実施方法といたしましては、国が秋田県知事及び大潟村長意見を聞いて基本計画を作成し、これを事業団に指示することにいたし、以下これに基づいて専業団が各種の事業を行なう場合には、それぞれ事業実施計画業務方法書を作成して主務大臣認可を受けなければならないことといたしております。また、事業団が国から直接配分を受けた干拓地を他に譲渡する場合には、その手続配分を受ける者の選定等は、国が現行制度下干拓地配分する場合に準じて実施することといたしております。その他農地整備費用についての賦課金徴収方法等についても所要規定を設けております。  第四に、事業団財務及び会計でありますが、事業団予算資金計画財務諸表借り入れ金等につきましては、主務大臣認可または承認を受けることを要するものといたしております。  第五に、事業団監督は、主務大臣がこれを行なうこととし、業務に関し必要な命令を発し、また、事務所等への立ち入り検査を行ない得ることといたしております。  最後に、この法律主管大臣農林大臣でございますが、事業団事業大潟村の行財政に深く関連いたすことにかんがみ、公用公共用施設造成譲渡等に関する事項につきましては、農林大臣自治大臣共管にいたしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 濱地文平

    濱地委員長 引き続いて補足説明を聴取いたします。丹羽農地局長
  5. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 八郎潟農村建設事業団法案につきまして、若干補足して御説明申し上げます。  この法律案は、提案理由説明にもありましたとおり、八郎潟農村建設事業団設置して、国営八郎潟干拓事業によって生ずる土地につきまして、農地等土地整備公用公共用施設農家住宅等農村施設造成等事業を総合的かつ計画的に行なうことによりまして、模範的な新農村建設することを目的としているものであります。  法律案構成といたしましては、第一に事業団事務所資本金等について規定し、第二に役員等事業団組織について規定し、第三に業務範囲及びその実施方法等について規定し、第四に財務会計等について規定しておりますほか、一般的監督規定罰則設立手続等について規定しております。  以下、その細目につきまして、若干補足させていただきます。  第一章は、この法律目的法人格事務所資本金等総則に関する規定であります。  そのうち、第三条は、事務所に関する規定であります。本当業団は、八郎潟干拓地について事業を行なうものであります関係から、主たる事務所事業の遂行上の便宜を考慮し、秋田市に置くこととしております。  次に、第四条は、資本金に関する規定であります。設立当初の資本金は二億円とし、政府がその全額を出資することとしておりますが、その後におきましても、政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、事業団追加出資をすることができることとしております。  第二章は、事業団役員及び職員に関する規定であります。  まず、第八条から第十五条までにおいては、役員定数職務権限任命権、任期及び役員に関する制限について定めております。  次に、第十七条においては、事業団職員任命について定めております。  第三章は、事業団業務範囲、その実施方法等事業団業務に関する規定であります。  まず、第十九条においては、事業団業務範囲を定めております。  第一項の業務は、この法律目的を達成するための基本的なものであり、その範囲は各号に列記しております。  第一号は、農地宅地等整備であります。八郎潟干拓工事は、提案理由説明にもありましたとおり、国営事業として目下干陸並びに基幹工事が行なわれつつありますが、その進捗状況に照応して土地整備専業入植に先行して事業団事業として行なうこととしているのであります。  第二号は、大潟村の区域内における種々の施設造成であります。施設の内訳といたしましては、まず、公用または公共用に供する施設及び住民共同福祉のため必要な政令で定める施設であります。これは、大潟村における住民生活環境整備のためにはぜひとも必要なものを、あらかじめ事業団によって造成しておくことが適当であると考えられるものであります。施設の第二は、農業用共同利用施設及び農業者住宅であります。これらのものも、あらかじめ農業者入植に先立って造成しておく必要があるものであります。  第三号は、以上の業務により整備された土地または造成された施設災害を受けた場合における災害復旧であります。  第四号は、事業団造成した施設譲り渡しまたは暫定的にするこれらのものの貸し付けその他の管理であります。  第五号は、後ほど御説明いたしますが、事業団が国から配分を受けた干拓地譲り渡しであります。  第六号は、大潟村において営まれる近代的農業経営のため必要な農業用機械器具農業者譲り渡し、または貸し付け業務であります。  次に、第二項の業務は、国または地方公共団体からの委託に基づいて行なうものであります。  第一号は、大潟村の入植者等のためにする営農指導訓練等農業に関する技術及び知識の普及指導受託であります。  第二号は、事業団実施する工事と密接な関連を有する工事受託であります。  第三号は、国労八郎潟干拓事業によって造成される土地改良財産管理受託であります。  次に、第二十条から第二十二条までにおいては、事業団業務の執行の方法等について定め、事業団業務運営の適正を期することとしております。  まず、第二十条では、農林大臣は、土地整備及び施設造成業務について、あらかじめ秋田県知事及び大潟村長意見を聞いた上で基本計画を作成し、これを事業団に指示するとともに、その概要を公表することとしております。  次いで第二十一条において、事業団は、土地整備施設造成及び災害復旧業務について、あらかじめ秋田県知事及び大潟村長と協議した上で、基本計画に基づいて事業実施計画を作成し、農林大臣認可を受けなければならないこととしております。  第二十二条においては、施設及び農業用機械器具貸し付けその他の管理及び譲り渡し並びに土地譲り渡し業務については、事業団は、その業務開始の際、業務方法書を作成し、農林大臣認可を受けなければならないものとしております。  第三に、第二十三条から第二十五条までにおいては、土地整備賦課金について定めております。すなわち、一たん事業団が国から直接配分を受け、それをさらに第三者に護り渡す場合の土地についての整備費用は、土地譲り渡しの対価に含めて一括して事業団が徴収できるのでありますが、国から直接に農業者等配分される土地整備費用につきましては、その土地を取得した者から事業団賦課金を徴収し得る旨の規定を設けております。  第四に、第二十七条においては、事業団が国から配分を受けた土地第三者への譲り渡しについては、農林大臣認可を受けて土地譲渡計画を定め、これに基づいて予定譲渡面積等を公告し、譲り受け申し込み書を提出した者のうちから適当と認める者を選定してその者に譲り渡すこととしております。  第四章は、事業団財務及び会計に関する規定であります。  まず、第三十条及び第三十一条においては、事業団事業計画予算及び資金計画並びに財務諸表について、農林大臣認可または承認を受けなければならないこととしております。  また、第三十二条から第三十八条までにおいては、事業団の毎事業年度の損益の処理方法、長期または短期の借り入れ金をする場合の制限余裕金運用方法等について定めております。  第五章は事業団に対する農林大臣の一般的な監督に関する規定であります。  第六章は、雑則に関する規定であります。  そのうち、特に第四十三条から第四十六条までにおいては、土地改良法特例としまして、農林大臣は、施設用地その他事業団配分することを相当と認める土地事業団に直接配分し得る制度を設けたほか、事業団に対して干拓地の一時使用を認め得る制度等についての規定を設けております。  第七章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、事業団設立手続等について定めております。  なお、最後に、本法律案主管大臣でありますが、事業団の行なう業務が広く新村基礎づくり一般にも及んでいることにかんがみまして、公用または公共用に供する施設及び住民共同福祉のため必要な施設にかかる業務に関する事項については、農林大臣及び自治大臣共管とし、その他の業務役職員その他事業団管理運営一般に関する事項については、農林大臣の専管としております。  以上をもちまして本法律案についての補足説明を終わります。
  6. 濱地文平

    濱地委員長 以上で提案理由説明及び補足説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  午後一時再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時十六分休憩      ————◇—————    午後一時四十七分開議
  7. 本名武

    本名委員長代理 休憩前に引き続き会議を開き  ます。  濱地委員長所用のため、委員長指名によりまして、私が委員長職務を行ないます。  漁港法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。松井誠君。
  8. 松井誠

    松井(誠)委員 漁港法改正案について、具体的な点をお尋ねする前に、最初にお伺いをいたしたいのは、この改正案が出た一つのきっかけは、一昨年漁港法改正案審議をされたときに、与野党一致でつけられた附帯決議というものにも基づくものであろうと思うのですが、その附帯決議には、この一種、二種の漁港補助のほかに、いろいろな点が問題にされているわけですが、その点について、その後水産庁ではどういう検討をされたのか、その点、最初にお伺いいたしたいと思います。
  9. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 第四十三国会におきまして、漁港法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議を付されております。その内容は五項目にわたっているわけでございますが、今回の改正法律案は、その中の特に第二項を急を要するものとして、具体化いたしたわけでございます。  そのほかの事項につきましても、その後検討を重ねてまいりましたが、特に第四項の機能施設につきましても、充実をはかるため、補助対象にせよという御決議につきましては、構造改善事業の中におきまして、できるだけ取り上げまして実施いたしておるのでございます。  それから、第一項の改修事業局部改良事業についても、これを整備計画対象として漁港法の裏づけで整備するようにという御趣旨でございますが、この点につきましては十分検討いたしました。確かに一つの問題の点でございますが、私どもとしましては、やはり法律に基づく整備計画は、ある程度重点的に、しかも着実な計画でこれを実施するように、一面、改修事業、特に局部改良事業につきましては、ある程度の弾力性を持って、そのときどきの変化に対応し得るようにするのが適切ではないか。まだ結論を出してはおりませんが、そういう趣旨で、今回はこの改正には着手しなかったのでございます。  それから、第三項の漁港の種類の区分でございますが、これも、御決議趣旨は十分私どももごもっともだとも思っておるのでありますけれども、実際の面におきまして、特に第一種、第二種漁港は二千数百からありますので、これを一本にしてしまうということは、実施上いろいろ問題がある。それから実際には道路法運用の面におきましての区別がございますし、また、地方財政基準需要額の算定におきましても、一種、二種の取り扱いに差がございますので、それらを勘案いたしまして、この区分をさしあたり改正するには慎重を要する、こういう結論に達したのでございます。  それから最後の、審議会構成連営につきましても強化せよという御趣旨でございますが、これは現化状況におきましても十分機能を果たしておりますし、その運営につきまして、特に委員任命等につきましては、国会承認も受けるという体制にもなっておりますので、これは法律改正しなくても強化し得る状態になっておる、こう判断いたしたのであります。
  10. 松井誠

    松井(誠)委員 この附帯決議の中で、今度実現をしました補助率のアップのほかに、実直的に重要なのは、第一の点及び第四の点であろうと思うのですけれども、いまの御答弁で、機能施設補助対象事業を広げるという点については、構造改善事業でいろいろ実現をしておるというお話でございましたが、具体的にこの法律にきめられてある機能施設以外に、構造改善下葉で新しく補助対象として拡張されたというのはどういう事業ですか。
  11. 瀬尾五一

    瀬尾説明員 従来は漁港法では、臨港交通施設、それから公共施設川地等補助対象になっておったわけでございますが、今回この補助対象になっていないもので、沿岸漁業構造改善等補助されておりますものは、荷さばき施設あるいは製氷、冷凍加工施設等があるわけでございます。
  12. 松井誠

    松井(誠)委員 そのほかに、この漁港法の三条による機能施設というものの中には、ずいぶんだくさん書いてあるわけですね。いま補助対象として拡充されたのは、ここに書かれてあるものの中ではきわめて一部でありますけれども、たとえばこの三条のチ、いま漁業労働者の不足、労働力の確保というものが非常に大きな問題になっておりますけれども漁船船員厚生施設宿泊所云々というものは、機能施設としてはまだ補助対象になっていないのですか。
  13. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 ただいま御指摘のありました施設は、役所の所管でいいますと、厚生省運輸省関係になるわけでございますが、現状におきましては、厚生省関係船員保険関係福祉施設としまして、三十九年度を取り上げますと、五億六千万円の助成が行なわれておるのでございます。これは船員保険会厚生施設として、病院診療所休養所母子寮その他の施設でございます。それから厚生年金福祉事業団の融資が同じく三十九年度には四億円でございますが、これも保養所体育施設文化教養施設というものでございます。それから運輸省関係におきましては、これはそのつどの補助でございますが、三十九年度におきまして、八百万円を社団法人液済会に対して病院診療所療養所等の経常のための補助金として交付いたしております。そのほかに、日本船員厚生協会に対する補助として、やはり宿泊所休養所、これは十四カ所でございますが、そういうものに対して千七百万円の補助実施しておるということでございまして、これは特に水市庁というわけではございませんが、政府関係としまして、船員厚生施設に対し助成を行なっておるのでございます。
  14. 松井誠

    松井(誠)委員 漁港整備一つの基本的な問題にもなろうかと思うのですが、この漁港法による機能施設というのは、ずいぶんたくさん並べてある。そして漁港法に基づく整備計画というのは、これらの機能施設を含めた漁港施設整備だということにたてまえ上はなっている。しかし、実際には、この整備計画の中で取り上げられる機能施設というものは、整備計画一覧表によりますと、きわめて機能施設の中ではほんの一部しか入っておりません。輸送施設だとかあるいは施設用地だとかいうもの以外には、機能施設として整備計画の中に繰り入れられているのはほとんどない。これでは、この機能施設というものをこれほど羅列をして、ほんとう漁港が店本施設一体になってその機能を発揮するためには、総合的な整備計画を立てるというその基本的な目的というものが、健際整備一両の中では、何といいますか、非常に薄められてきておる。現実にたくさんある機能施設の中で、実際に補助対象になるのは、漁港法施行令によればほんの少々、あとは構造改善で多少拡充されたという程度、これでは機能施設というものをほんとうに港の一体施設として国が整備をしようという熱意があるのかどうか。この機能施設ほんとうに総合的に整備をされなければ、仏つくって魂入れず、そういう形になる。基本問題調査会あたりの見解も、機能施設整備というものにもっと力を注がなければならぬ、そうしなければ港の機能を総弁的に運用できないという指摘があったと思う。そうすると、やはりここにずいぶんたくさん書いてある機能施設をもっと補助対象事業として広げるという形が一つ。もう一つは、やはり整備計画の中にこれをもっと取り入れていくということでなければ、その基本問題調査会が要望しておる点にも沿うわけにはいかないし、ほんとう漁港機能をフルに動かすという点について、重要な点が抜けるんじゃないか。おそらく先年の附帯決議の第一点というのは、そういう点を考慮してのことだと思うのですけれども、しかし、それを構造改善事業の中にほんの一部取り入れたということだけで、この附帯決議趣旨が果たされたというように考えられては困る。この点について長官のお考えを伺いたいと思います。
  15. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 確かに御指摘のような問題があると思います。私どもも、漁業整備計画実施の上において、機能施設がこれと十分連携をとって整備される必要があると痛感いたしておるのでございます。と同時に、一面構造改善事業実施する際には、漁港整備構造改善事業実施とが一体となって運営されることが望ましいということがございます。そういう趣旨で、構造改善事業計画の樹立に際しましては、同じ県内における漁港関係との連携を緊密にいたしまして、これらの機能施設整備構造改善事業のワク内で行なわれるわけでございますけれども漁港整備一体となってやるように指導しておるのでございます。しかしながら、御指摘の点につきましては、なおわれわれとして十分くふうし、再検討すべき点があるかと存じます。
  16. 松井誠

    松井(誠)委員 それから附帯決議の点でありますが、改修事業漁港法による整備計画から除かれて、したがって、これが国会審議対象にならなくなった。それとともに、従来の局改事業、これもやはり国会審議対象にはならない。これは何かそういう保証が要るのではないかという決議でありますけれども、この点については、私もこれは実質的に相当意味があろうと思う。と申しますのは、なるほどこの整備計画修築事業というものが一応国会審議対象になる。しかし、この漁港法による整備計画一体になって改修事業局改事業が進められていくのかどうか、あるいはまた、特に私が問題にしたいのは局改事業でありますけれども、この局改事業整備というものは、一体どういう基本的な方針で行なわれていくのか、この点が問題であろうと思います。と申しますのは、この整備計画によりますと、経済的な効果というものをねらって重点的に港を整備していく、それはそれなりに確かに一つの意味があろうと思う。ちょっと見てみましたけれども修築事業にしても、改修事業にしても、大体港というのは、一種よりも二種、二種よりも三種というものに重点が置かれておる。少なくとも改修事業修築事業を両方あわせて計算をしてみましても、一種漁港の改修質業や修築事業が行なわれるのは、全体のパーセンテージからいったら非常に少ない。三種漁港のほとんど全部は改修や修築の対象になる。そうなりますと、非常に日本の港の多くを占める一種漁港というのは、もっぱらと言っていいくらい局改事業対象になる以外にはないし、現実はそうなっておるだろうと思う。村改事業整備というのは、一体どういう方針に基づいて行なわれるのだろうか。私は、たしか一昨年の漁港法改正の際にも申し上げて、はっきりしたお答えが得られなかったと思うのですけれども、私の申し上げたいのはこういうことなんです。港の整備というのは、経済的な効果というものをねらって、経済的な合理性というものをねらう、それが確かに一つの重点ではございましょうけれども、しかし、それだけではだめなんではないか。基本問題調査会自体が指摘しているように、漁業には社会保障的な考え方でやらなければならぬという面が、農業よりもまだまだ多い。港の整備にしても、これをやれば、何がしかの生産性が上がる、何がしかの漁獲量が上がるという、それだけでなしに、そこに住んでおる漁民の生活を何とか守るためには、この程度のことをやらなければならぬという、そういう経済的な合理性というもの、そろばんをはずした社会保障的な観点からの公共事業というものがまだまだ必要なんじゃないか。そしてそういう要望を満たすものとしては、もっぱら局改事業しかない。ですから、局改事業というものは、どういう基本的な方針によって行なわれておるのか。これは漁港法によって整備計画という一応法律のワクがある。したがって、その範囲では、改修事業もそれにつられていくとすれば、何がしかの法律的な保証というものは間接的にはあるかもしれませんが、しかし、いま私が申し上げたような観点からの小さい港の局部改良という事業は、この整備計画の方針と違うだけに、なおさらやはり何かの形で少なくとも基本方針を打ち出して、そしてそれが保証されるという何がしかの制度的な保証もないと、生計費の一部を得ることを非常に小さないなかの港にかけている漁民たちは、非常に不安だと思う。それでお伺いしたいのですが、この局部改良というのは、この整備計画と一緒に、昭和四十三年ですか、八年計画の中で、大体の事業量のめどはお立てになっておると思いますが、大体どういう方針で局改事業というものをやられようとするのかという点をお尋ねしたいと思います。
  17. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 まず、どの程度の事業量をもって八年間に実施するかという点でございますが、百五十億円を投じて行なう、こういう予定でございます。修築、改修、局改の中では、局部改良事業の進捗率が、現在のところ一番よろしいわけでございます。これはその事業規模が小さいということもございますが、私どもも、その事業が小さいということでそれを閑却するということのないようにできるだけの配慮をいたしておるわけでありますが、本来、局改事業につきましては、漁港機能の維持、補修、改良、特に防災というような点に目安を置きまして、実施をいたしておるのでございます。保全といったほうが適当かもしれません。そういう趣旨で行なっておるわけでございまして、随時、やはりそのときの事情の変化に応じて、これはかなり弾力的に実施されるという性格のものでございます。ただいまお話しのありました点、つまり、零細漁民が最も利用する小規模漁港にこれが多いのではないか、その点についての社会保障的といいますか、特別の配慮を要するではないかという点につきましては、私も傾聴をいたしたわけでございますが、そういう趣旨から、一、二年程度で完成する、特に保全、防災というようなところに重点を置いた事業である関係もありますので、御指摘の点につきましては十分頭に入れながら、今後の運営について、卒業費の配分等についても考えてまいりたい、こう思うのでございます。
  18. 松井誠

    松井(誠)委員 その点に関連をするのですけれども一種漁港、二種漁港というものの区分けについて再検討しろという附帯決議がございますが、それはそれとしまして、この一種漁港、二種漁港という分け方が、既存の実績といいますか、漁獲量が幾ら、総トン数が幾らという、そういう既存の実績というもので、一種漁港、二種漁港というものの実績がきめられておるように思うのです。ときどきぶつかる問題でありますけれども、こういう施設をつくってくれれば、もっと漁獲量がふえ、総トン数がふえるだろう、そういうものがないから、この港はまだ一種にとどまっておるというような問題があろうと思うのです。つまり、既存の実績としては、港は小さいけれども、何がしかの施設をしてくれれば、二種に昇格し得る、そういう機能というものが発揮できるのだ、そういうものがあるわけでありますけれども、この一種、二種の基準というものを厳格に解釈すると、なかなか二種になり得べくしてなり得ない一種漁港がある。その辺を弾力的に、必ずしも既存のそういう実績にはこだわらないという弾力的な措置でやられておるかどうか、あるいはそういう弾力的な措置をこれからあとやられるかどうかということをちょっとお尋ねしたい。
  19. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 一種、二種の区別につきまして、法律に定めた以外の基準で、総トン数なり水揚げの量とか、そういうもので一種の基準をつくりまして、区分しておることはお話しのとおりでございます。将来改良をした場合に利用する漁船の数が必ずふえるだろうとか、あるいは水揚げの数壁がふえるであろう、こういう可能性は確かにあるわけでございますが、これについては、ただ決定的な見通しというものがなかなかむずかしいというようなこともございまして、過去の実績を基準にして一種、二種の区分をやっておる実情でございます。ただ、この一種、二種の区分は、道路法とかそういった関係はございますが、国が整備事業実施する上においては取り扱いの差別はございません。ただ、一、二の県におきまして、二種に対する補助率がよろしいというような差があるのでございます。これはきわめて例外的なものでございます。そういうものにつきましては、その差をなくすように勧奨いたしておりまして、おそらく差がなくなってくると思っております。
  20. 松井誠

    松井(誠)委員 一種、二種に実質的な差がなくなれば、そういう問題はおのずと解消するわけなんですが、逆にそれならば、一種、二種という区別を存続しておく必要がないじゃないかという議論のほうにいきますけれども、それは附帯決議の問題であって、またあとで問題にする人もあろうと思いますので、その点は繰り返しては申し上げません。    〔本名委員長代理退席、委員長着席〕  それから、自治省からおいでをいただいておりますので、お伺いをいたしたいのでありますけれども修築事業改修事業局改事業と三つの段階に分けられておる。そうして修築事業改修事業とは補助率は同じなんですね。ただ、事業規模が違う。この規模というのは、修築は大体幾らくらいで、改修は幾らくらいで、局改は幾らくらいなんですか。
  21. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 修築事業事業規模としては八千万円程度以上、改修事業は二千万以上八千万円以下、局部改良事業は三百万円以上二千万円以下、大体そういう規模で行なわれています。
  22. 松井誠

    松井(誠)委員 自治省のほうにお尋ねをいたしたいのですが、後進地域のいわゆるかさ上げの法律という法律によって、漁港修築事業はかさ上げの法律の適用がある。しかし、局改事業はもちろんでございましょうけれども、局改や改修はかさ上げの法律の適用がないというたてまえになっておるようであります。この理由というのは一体どういうことですか。
  23. 岡田純夫

    ○岡田説明員 御承知のとおりに、漁港法によって定められておりますところの漁港整備計画、それによって位置づけられておりますところの修築事業、これはいまも水産庁長官から言われましたように、規模としてもまた大きなものでありますから、根拠といたしましては、あくまでも国会でも御報告いたしておるところの漁港整備計画においてオーソライズされておるもの、それを他との均衡も考えながら、かき上げの対象に取り上げておる、かようなわけでございます。
  24. 松井誠

    松井(誠)委員 そうしますと、もっぱら後進円の財政的な補助をするという法律でありますから、私はもっぱら財政的な見地から考えられておるのかと思いましたけれども、修築専業というように何か法律で特にオーソライズされておるのだということも一つの根拠になるのか、規模だけではなしに。
  25. 岡田純夫

    ○岡田説明員 おっしゃるとおりと申しますか、要するに、根拠としましては、先ほど申し上げたとおり、法的に、また制度的に位置づけられたものを取り上げております。ただ、将来の問題としまして、規模等をも勘案いたしまして、研究すべき問題は、修築事業以外についてもあろうかと思っております。これは現在検討項にいたしております。
  26. 松井誠

    松井(誠)委員 法律的に何か制度的に保証されたものでなければならないという理由は、おかしいんじゃないでしょうか。むしろ、後進県の財政を補助しようということならば、いわゆる財政的な負担になるものを選んでやるというのが、私はほんとうじゃないかと思うのです。いままでこのかさ上げの法律を適用になっておる事業というのは、もっぱらそういう観点からピックアップされた事業なんですか。
  27. 岡田純夫

    ○岡田説明員 おっしゃいますとおりに、法目の的は、公共事業が、地方団体、特に後進県に受け入れられやすくすることにねらいがある法律でございますから、したがいまして、ねらいは、あくまでも法律的根拠にのみ必ずしも拘泥すべきものとは考えておりません。そこで、後進地域の法律でございますので、そこらは法の許す範囲において検討いたしておりますが、なお、災害その他の場合に五千万円以上の額にのぼる経費につきましては、かさ上げの対象に取り上げております。要するに、当該団体が受け入れられやすくするところにねらいを置いておりますので、さような取り扱いをいたしております。
  28. 松井誠

    松井(誠)委員 当該団体が受け入れられやすくするというのは、財政的な補助をすることに上って、その後進県が事業を行ないやすくするという趣旨であろうと思うのです。で、修築事業がかさ上げの対象になり、局改や改修がかさ上げの対象にならないということは、やはり法律規定されておるからということでなしに、おそらく修築事業というのは規模が大きい、局改や改修はそれ以下だということが、最大の理由ではないかと思う。しかし、これは考えてみるとおかしい話なんで、修築事業の数よりも改修事業の数のほうが多いし、改修事業の数よりも局改事業の数のほうが多い。ですから、海岸線をたくさん持ち、小さい港をたくさん持っておる県にしてみますと、修築事業というのは一つか二つしかないかもしらぬけれども局改事業というのはずいぶんたくさんある。それを総合すれば、一つ修築事業よりもあるいは金額が多くなる、局改事業の負担というものが多いという場合もある。そうなりますと、単に修築事業をかさ上げの対象にして、改修や局改を除いたという点が、少なくとも財政的な規模という点を主として考える限りは、納得がいかない。私はやはり局改までも入れるべきだと思うのですけれども、少なくとも当面やはり改修事業くらいはかさし上げの対象にする、そういうことによって後進県の財政の負担を軽減するということを、自治省としてはこの法律の逆用の中でお考えになっているのかいないのか、その点をお伺いしたい。
  29. 岡田純夫

    ○岡田説明員 他の海岸その他とのバランスも考えまして、おっしゃいますように、大規模のものにつきましては、修築事業にのみ拘泥しないで取り上げる方向で、検討は進めてまいりたい、かように考えます。
  30. 松井誠

    松井(誠)委員 水産庁にお尋ねをしたいのですけれども、私は、単に改修に限らず、局改も含めて、いま申し上げましたように、局改でやらなければならぬ小さい港をたくさん持っておるという県もある。そういうところは案外後進県なんです。そういう点を考えると、修築だけがかさ上げの対象になっておるということだけでなしに、まず改修も入れなければならぬという御努力は当然されると思いますけれども、それで終われりということではなしに、やはりせっかく後進県のかさ上げの法律があるわけでありまして、そうしてそれをまた適用をすべき事実しの理由があるのですから、水産庁としても、ひとつこの点について自治省や大蔵省と折衝を重ねて、このかさ上げの法律が改修や局改にまで広げられるようになることについて努力をしていただきたいと思うのですけれども、御意見はいかがでしょうか。
  31. 松岡亮

    松岡(亮)政府委員 確かに後進地域の補助率差額の適用につきましては問題があると思うのでございます。これは財政的に弱い府県に対する配慮もありまするので、修築事業だけに後進地域の補助率差額の適用ということだけでは、少し検討を要すべき点がございますので、改修事業につきましても、一定規模以上のものについては、とりあえず補助率差額を適用するように、今後自治省なり大蔵省とも十分協議の上で、その方向で努力いたしたいと考えております。
  32. 濱地文平

    濱地委員長 本会議休憩後再開することといたしまして、これにて休憩いたします。     午後二時二十七分休憩      ————◇—————    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕