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1965-02-25 第48回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月二十五日(木曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君       池田 清志君    宇野 宗佑君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       吉川 久衛君    小枝 一雄君       田口長治郎君    田邉 國男君       高見 三郎君    中山 榮一君       丹羽 兵助君    野原 正勝君       藤田 義光君    松田 鐵藏君       亘  四郎君    卜部 政巳君       兒玉 末男君    千葉 七郎君       森  義視君    湯山  勇君       中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         農林政務次官  舘林三喜男君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         食糧庁長官   齋藤  誠君         林野庁長官   田中 重五君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 二月二十三日  八郎潟新農村建設事業団法案内閣提出第九八  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)  農林水産業振興に関する件(飼料及び養鶏問  題)      ――――◇―――――
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  農林水序業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。卜部正己君。
  3. 卜部政巳

    卜部委員 大臣もおいでのことでもございますので、ひとつぜひお聞きをしたいことがございます。  御承知のように、ガット十一条国への移行や、さらにIMFの八条国移行によりまして、農林水庁のいわゆる自由化が、一九五九年の十月から一九六三年十月までに、四三%から九二%へと大きく上昇をしております。このアメリカ余剰物資中心とするところの外国農廃物の侵入とはんらん、この点につきましては、わが国農産物市場をその根底から大きくゆるがしておるということは、もう御承知のとおりであります。加えてまた、OECDの加盟とその条件、OECD自由化の憲章、こういうものの受諾によりまして、わが国資本取引も、そしてまた直接投資の自由化もされた。また貿易外経常収支自由化をされた。そうして、アメリカ中心とするところのそうした外国の商品、いわゆる食料品というものが続々と上陸をしてきておる。一九五九年から一九六三年にかけての小麦の輸入、これが二百トンから三百トン、さらにトウモロコシにおいても百万トンか、三百万トン、マイロは五・七万トンから四十二・三万トンとふえておりまして、総計していわゆる農産物輸入総額は、九億五千七百万ドルから十九億七千二百万ドルに倍増しておる。こういうような状態でございます。これは単なる農業の心機というのではなくて、むしろこれは民族的な危機であるとさえ指摘しても過言ではない。こういうような観点に立ちまして、私はいろいろと大臣にお伺いをしたいこともあるのでありますが、本日は飼料並びに養鶏にしぼられておりますので、ことしには何としても直面せざるを得ないであろうところの農林外交について、一、二点質問をしてみたいと思うのであります。  そこでまず、ケネディラウンドの中で、昨年十一月十六日に、工業製品が、農産物と分離をして交渉のスタートを切りました。農業に対しましては、EECとの間に激しい応酬が繰り返され、ついにその結論を見るに至っていないというのが現状でございます。その中で、EEC等モンタン・ド・スチアン方式というものを出してきておるわけでありますが、この方式というものは一体どういうものであるかをいひとつお伺いをしたいと思うのであります。
  4. 久宗高

    久宗政府委員 いま御指摘のございましたモンタン・ド・スチアンMS方式といっておりますが、これは御承知のとおり、EECにおきましては特殊な価格構成をとっておりまして、課徴金に切りかえるというやり方をとっておりますので、関税交渉をいたします場合に、単なる関税の率だけでは比較にならないわけでございます。したがいまして、EECといたしましては、支持総体と申しますか、支持総体交渉内容にしようということで、それの方式に非常に固執しておるわけでございます。その点で、今日ただいまも御指摘のございました工業製品につきましては、すでに例外品目を出し合って相炎に入っておるわけでありますが、農産物につきましては、まだその交渉ルールがきまらないという状況にございます。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 私は、いま御回答になりました中に、重大な問題が抜けておるのではないか、こういうふうに考まます。EEC指摘をした大きな問題は、やはり貿易拡大というものと、各国が行なうところの農業所得格差の是正というものが基本になっておる、こういう点と、さらにEECの実施をするところの、いわゆる共通農業政策の中核となろうとするところの統一の穀物価格の水準、こういうものがやはり大きく強調されたところだと思うのです。そういう点から、私は、フランスにおけるところの農政というものをひもといてみなければならないと思います。そうした場合に、ドゴール大統領が行なっておるところの農業保護政策、これはもう御承知のように、大臣もはだにしみておられるところだと思いますが、いわゆる民族の苗しろにふさわしい政策が行なわれておる。しかるに、私たち農政をながめてみた場合に、一体どこに民族の苗しろにふさわしいところの政策があるのか、この点を私は指摘をいたしたいと思うのであります。こういう点に対して、ひとつ大臣のほうから、このEECアメリカとの関連の中で、日本農政もこのような姿にあるべきではないかという私の意見に対して、大臣はいかがでございましょうか、ひとつお聞かせを願いたと思います。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 貿易拡大という面から、あるいは関税一括引き下げという問題から、いろいろ国際的にその国々の立場を検討してみますると、その国の保護政策国際貿易あるいは関税一括引き下げとの調和をどういう点に求めていくかというところに、問題が集中してきておるというふうに考えられます。いまのお話のように、そういう観点から、EEC等におきましても、ことにフランス等におきましては、農業保護政策相当強く打ち出しておるところでございますので、その面と国際関係をどう調和するかという問題があろうかと思います。いま日本におきましては、御承知のように、日本農業生産規模というものが非常に零細でございますので、国際競争力等につきましても非常に弱い立場に立っております。そういう立場に立っているときに、一面国際的な開放経済移行するということになっていますので、やはり日本におきましては、諸外国よりなお一そう、国内農業保護開放経済体制下における日本農業のあり方という点につきまして、深刻なるものがあると思います。そういうことでありますので、EECより以上に、日本立場は、日本農業に悪影響を及ぼさないように、日本農業保護政策を助長しつつ、この開放経済に対応していく、こういうことと考えております。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 いま大臣は、大体日本零細農家が多い、しかるがゆえに、若干EECとは異なった点があるのだということを指摘をされた。しかし、規模においては大体フランスと一緒じゃありませんか。そうすると、大臣がいみじくもこのことばの中に発せられておりますように、開放体制、さらに高度成長政策のもたらす結果として、かなり困難な問題がいま日本農業の前に出てきておる。こういうことは、ことばを平たく申し上げるならば、その高度成長政策のひずみの中で、農民方々が当然そういう苦しみに呻吟せざるを得ないのだということばにも直結をすると私は思うのであります。大臣がおっしゃるその政策というものをどういうふうにいま考慮されておるのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 経営規模からいいますならば、フランスは十五ヘクタールぐらいだと思います。日本は一ヘクタールですから、世界的に相当経営規模が小さいという特徴は、日本としては特に顕著にあるというふうに私ども考えます。そういう経営規模の中におきまして、いまのお話のように、高度経済成長の中に農業が置かれてきたわけであります。でありますので、他産業との生産性格差も是正しなければならぬし、農業者所得格差も是正していくということが要請でございます。  そういう点からどういう政策を行なうかということでございますが、まずもって大きな線といたしましては、自立経営農家を育成していく、こういう農業基本法に掲げられておる大きな目標、それからまた、当面格差を是正していく、あるいは労働力が不足しているということに対処いたすための基盤といいますか、構造を改善していくことが必要だということで、構造改善仕事等にも力を入れておるわけでございます。その中におきまして、基盤整備、こういうことが一番必要でありますし、あるいは協業化によって経営規模を単位としては大きくしてやっていかなければならぬというようなことにも迫られておりますので、こういう面、あるいは価格支持対策、これは日本のような場合におきましては、本来は補完的なものでありますけれども、並行して行なっていかなければならないというようなこと等の施策によって、基盤を強化していく、こういうことを推進いたしておる次第でございます。
  9. 卜部政巳

    卜部委員 大臣ことばで、私は日本政府ケネディラウンドに積極的な態度を示していった、こういう中からいまのことばがあるのではないか、こういうふうに思うのです。私率直に申し上げて、先進部門の鉱工業でさえ産業の二重構造、こういうものから、中小企業をかかえておる。さらにまた重工業部門でも、これは資本なり技術などまだまだ先進国と裸で競争ができない分野をかかえておる、これは事実だと思うのであります。いわゆる非鉄金属などにおきましては、これはもう本質的に競争力がない。ましてや、農業となると、平均町歩足らずのこの日本農業が、アメリカ平均耕作面積を持っても、アメリカ農業競争ができるはずがないと思うのです。このような時期に、関税を引き上げたり、さらに輸入制限の撤廃を強制させるようなことがもしあるという形になってくると、これをやはり日本政府は無視していいのかどうか、農林大臣としてはどのようなお考えを持っておるかをお伺いいたしたいと思います。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ケネディラウンドの論議も、一括引き下げというような方向から、先ほど申し上げましたように、国内農業保護との調整、各国における農業政策比較検討、こういう方面相当力が入ってきたと思います。そこで、日本の場合をとってみますならば、再々お話がありますように、非常に競争力の弱い農業でございます。そういう実態等は、機会あるごとに諸外国、ことにアメリカ等にも理解せしめるような努力をいたしております。そういうことでありますので、自由化にいたしましても、関税一括引き下げにいたしましても、品目別競争力の点を考慮したり、あるいは日本としてどうしても自給体制に進めていかなくてはならぬという、たとえば米麦とか、あるいは競争力の点につきましては、酪農品とかでん粉等がございますが、そういうのが一つの例でございますけれども、品目別に、日本の国の立場として自給度を増していかなくてはならぬもの、あるいはまた競争力が非常に弱いので保護政策相当していかなくてはならぬもの等を検討いたしまして、慎重に自由化に対処していく、こういう方針でございます。
  11. 卜部政巳

    卜部委員 この問題ばかりでは時間がかかりますから、進めてまいりたいと思いますが、いま大臣がおっしゃった一つことばだけは確認をしたいと思います。保護政策を行なっていく、これは確認をしてもよろしゅうございますね。――わかりました。  そこで、大臣がおられますので、一つだけこの機会に申し上げておきたいことがあるわけでありますが、いまわが国にも適用されようとしておりますアメリカEECルールの問題ですね。ういうルールの問題について、率直に言うならばEEC穀物輸出しかねないほどの勢いをも持ち始めてきておる。それをアメリカのほうが押える、そしてまた日本EECからの輸入を押える、そういうルール日本に押しつけられるというようなことがあってはならないと私は思うのです。その点についてはどういうふうにお考えですか。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ルールはまだ世界的に確立してないということを経済局長から申し上げましたが、それは別といたしましても、EECから日本輸入するのを押えられるというようなルールなどができることもないと思いますし、またそういうことを承認する理由もないと思います。いま一次性品等輸入問題も、南北問題として日本などにも非常に強く迫られておるような状況でありますし、また、よけいな話になりますが、飼料などの輸入も、アメリカからでなく、もっと多面化して、東南アジアとか、アフリカとか、南米等からも輸入しようというような考え日本として持っておるやさきでございます。EECからの輸入につきまして、アメリカのほうから制限を加えられるというようなことは、私はないと思いますけれども、あれば、そういうことは排撃したい、こう思っております。
  13. 卜部政巳

    卜部委員 そのことが杞憂に終われば、それは幸いなのでありますが、おそらく大臣承知をしながら、私の質問にそう答えておるのだろうというふうに考えるわけです。これは、その気配を感ぜしめておるということだけは事実だと思います。御承知のとおりだと思いますが、どうかひとつ、その問題については、いま大臣が言われたうに、排除するということばと同時に、その内容についても、本委員会を通じて明らかにしていただきたい、このことを要望をいたしたいと思います。  いろいろと数多く申し上げたいことがございますが、当然ことしは直面するであろうと思うこの二つの問題について申し上げまして、あとの問題は、また後日いろいろと質問なり私の意見を申し上げたい、こういうふうに考えておるところであります。  そこで、本日の本論であります飼料と、それから養鶏の問題に入ってまいりますが、いま大臣のお手元に届いておるだろうとは思いますが、流通飼料の絶対需要量の確保と価格安定に関する緊急要請という要請が来ておるはずでありますが、御承知でしょうか。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どこからの要請という御指摘がございませんが、各方面からずいぶん陳情やら要請やら参っております。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 この要請につきましては、あとから触れたいとは思いますが、この畜産物価格が軒並みに下落をする、さらに不安定である。そうして飼料価格は値上がりの一途をたどっている。こういう日本畜産が、一部の消費地域を除いて崩壊寸前にあると言っても過言ではない、私はこういうふうに思っておるところであります。そういうような観点に立ちまして、アメリカ余剰農産物輸出を規定したところの、いわゆる農業貿易促進及び援助法タイトル一について、その代金使途をどのように限定しているかをひとつ、これは大臣ではあれだと思いますから、事務当局のほうからお教えを願いたいと思います。
  16. 久宗高

    久宗政府委員 たいへん恐縮でございますが、もう一度御質問趣旨を……。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 アメリカ余剰農産物資輸出を規定したところの農産物貿易促進及び援助法というのがありますね。このいわゆるタイトル一について、その代金使途をどのように規定しておるのかをひとつ教えていただきたい、こういうことであります。
  18. 久宗高

    久宗政府委員 御質問趣旨は、こちらに入りました代金処理の問題でございましょうか。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 いや、あちらに入ったやつです。アメリカに入ったやつですね。
  20. 久宗高

    久宗政府委員 おそらく御質問趣旨は、こちらで積み立てましたものの処理でありましょうか。それとも向こう政府で出しております……。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 向こう政府です。
  22. 久宗高

    久宗政府委員 おそらく御質問趣旨は、余剰農産物につきましても、向こうが買い上げまして、農家に対する実際上の補助が出ておりますが、そのことをおっしゃるわけでございましょうか。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 いや、いわゆる農産物貿易促進及び援助法というのは、タイトル一から五まであるわけですよ。その一の中にはイロハニホヘトと、こうなっておりまして、これは日本流イロハニホヘトなんでありますから、あっちのほうではABC、こうなるわけですが、その中に、明確に、この余剰物資代金使途について、その問題について、かくかくでなければ支払うことはならない――現地においてですよ。日本の場合、日本において支払うわけにはならない、こういうことが明確に列記をされておる。それによって私はこれからまた質問を続けていかなければならないのですが、その点はどういうふうに把握をされておるかということですね。
  24. 久宗高

    久宗政府委員 いまのタイトル一の詳しい内容について用意しておりませんので、お答えできないわけでございますが、あとの御質問等関連で調べさせてお答えさせていただければ幸いでございます。どういう問題との関連でございましょうか。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 これは関連があるというのは、私ちょっと皮肉ったような質問で、まことに恐縮でありましたが、私のほうから申し上げたいと思うのです。これは一つには、アメリカの新市場の開拓、これであります。二つには、戦略物資購入であります。三つには、軍事装備資材調達であります。以下、その他経済発展債務支払いとか、いろいろな問題がありますけれども、私はここで聞きたいと思いますのは、少なくともアメリカ余剰農産物というものが大半日本において消化をされておる。消化をされておるということと、この問題をぶっつけ合わしたときに、一体何が浮かび上がってくるのか、このことを私は指摘したいのであります。そういう点で、ここにもありますように、戦略物資購入だとか、さらには軍事装備資材調達をするという資金でなければ使われないということは、やはり三井、三菱、住友とかいういろいろな重工業もありましょう。さらに東南アジアに出しているところのいわゆる戦車だとか、そういうようなもののあれもあるでありましょう。そういうものを買い上げる資金だという。こういうことになってまいりますと、その余剰農産物を大量に仕入れるその中で、農民方々が負損をかけられておる。苦しんでおる。にもかかわらず、そうした一部の大企業なり、大臣指摘をされた大企業などというものは、その中で大きくほほえんでおる、こういう現象があらわれておる。こういうことを私はやはり指摘をいたしたいと思うのです。その点について、大臣いかがなものでしょうか。これは私の推測であり、同町にまた、私のいわゆる偏見でありましょうか、どうでありましょう。
  26. 久宗高

    久宗政府委員 御指摘の問題は、えさ輸入関連しての具体問題かと思うのであります。この問題については、畜産局長から具体的にお答えしたほうがよろしいかと思いますが、私どもも御相談を受けましての処理といたしましては、えさ需給関係から見まして、相当の部分を確保しておきませんと不安がございますので、需給の必要に従いまして受け入れましたことと、また、それの利ざやを利用できますので、この二点から、これは有利と考えまして処理をいたしたわけでございます。特別に先方の、先ほどお話しのございました幾つかの区分に従った制約に従って処理したということではなくして、こちらから見まして、それを利用することが、需給から見まして、また施設の整備その他から見ましても有利であるという観点に立ちまして、この話は進めてもよかろうというふうに考えたわけであります。
  27. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお尋ねですが、日本アメリカ余剰農産物日本としては別に余剰農産物というつもりで買っておるわけではございませんが、アメリカから見れば余剰農産物、その余剰農産物購入が、アメリカ軍需工業とか大企業に寄与しているといいますか、日本農民の犠牲においてアメリカの大企業に貢献しているとか奉仕しているのじゃないかという御質問だと思いますが、日本では特に向こう軍需工業やら大企業に奉仕するために購入しておるというわけではないのは、ただいま経済局長が御答弁したとおりでございますし、卜部さんもその点御承知だと思います。何しろ、日本農産物需要相当ふえております。世界におきましても、御承知のように、農産物輸入国としては有数のほうでございます。そういうような一面におきまして、たとえば飼料のほうなどにつきましては、自給をしたい、その方法を進めておりながら、諸般の事情から自給度が非常に低くて、購入飼料依存しておる、こういうような状況でございます。そういう関係から、需要に対して供給を用意する、こういう意味で、たまたま飼料等におきましても、アメリカから多く買っておるということでございます。先ほど申し上げましたように、こういうものも、東南アジアだとかあるいはアフリカとか南米等から買うように、多角化、多方面化したい、こういうことを考えているくらいでありますので、ことさらアメリカ軍需工業に奉仕するために買っておるということではなくて、結果においてはそういう面があるかもしれませんけれども、日本の必要から現在やむを得ず輸入しておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  28. 卜部政巳

    卜部委員 大臣、一九六三年から、わが国のいわゆる畜産基礎というものが半ば以上を海外に求める。その半ば以上、大半アメリカである。こういうことは大臣も御承知のとおりだと私は思うのです。そうすると、アメリカ依存をせざるを得なくなったという状態の中に立ち至ったということが判明したと同時に、たちまちアメリカ飼料を三割も値上げをした、このことは大臣の御記憶にあるところだと思うのです。さらに配合飼料というものも一割の値上げをやった、こういうように、市場の管理と価格については、そのような横暴な振る舞いを平気でやる、こういうことを私たちははだに感じておるわけでありますけれども、その点、大臣はそういうことじゃないということでありますか。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、政治的に考えていくというよりも、やはりコマーシャルベースといいますか、経済的な問題として把握しています。  なお、いま事務当局の話によりますと、よけいなことかもしれませんが、輸入飼料アメリカヘの依存率は約五一%、こういうことだそうであります。
  30. 卜部政巳

    卜部委員 大臣は、経済的なことから見たいと思う、こうおっしゃられました。しかしながら、現実に政治は経済と不可分の関係にありまして、うらはらの関係だと思うのです。だから、その点に目をおおってはならぬと私は思うのですが、しかし、その問題は時間がありませんから、後日に譲ることといたしまして、その経済的な問題に対しましても、これもわが党のほうから、以前から農林水産のほうで追及をされておるところだと思いますから、私はあまり詳しくは触れませんけれども、御承知のように、三十年に五万トンの輸入があった。ところが、三十八年には八十万トンの輸入を計画するまでになったというその背後については、それまで伸びておったところのタイ、カンボジア、こういうような輸入に対してアメリカの抑圧があったということは事実でありますね。これは政治的な問題もあるにいたしましても、それとは関係ないということにはならぬとは思いますが、そういう問題は、ただ経済的な問題から見てもそうではありませんか。それで、価格を統一する、そういうふうなことをやってみたり、さらにそういうカンボジアやさらにタイからの輸入を封じられたというようなこともあるわけでありまして、この点についても、貿易機構の正常化という問題からも、これをやはりはからなければならない、こういふうに私たちは思うわけであります。だから、大臣がおっしゃったように、単に政治的云々という問題もさることながら、そういう問題もあるということについて、これはわが党のほうから先ほども申し上げたように、追及をしておるところだと思いますから、くどくどと申しませんが、この点についてはどうなんでしょうか。
  31. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 わが国としましては、膨大な飼料輸入をいたしておるわけでございまして、その輸入先をできる限り広く求めるということが、わが国の利益につながるわけでございますので、東南アジア等からの輸入の増大、したがって、逆に言えば、アメリカに対する依存度というものを小さくしていく、あるいは少なくとも増大させないという努力はしてきておるつもりでございます。  数字的に申し上げましても、たとえばタイ国は三十七年に三十四万トンの輸入でございましたが、三十八年は四十二万九千トン、三十九年には、最終の集計ができておりませんが、約七十万トンに伸びる予定でございまして、タイ国からの輸入が順調に伸びておるということであります。カンボジアはまだ生産そのものが緒についておりませんので、わが国としてもその技術開発に協力しておるところでございます。なおそのほかに、中国からの輸入も、三十八年が約十万トン、三十九年十五万トン、四十年度には二十五万トンの輸入を予定しておるということで、アメリカ依存を広めるというような方向はとっていないつもりでございます。
  32. 卜部政巳

    卜部委員 とっていないとかおっしゃっておっても、実際はとっておるのでありまして、現実にそういうような状態があって、窓口一本化などという名目のもとに――私はくどくと申しません。もう皆さん方御承知のとおりでありますから、特にその名前をあげることもここでは差し控えたいと思いますが、そういう一つの窓口機関というものをつくって、価格を引き上げる、そういうようなことが現実に行なわれておるじゃありませんか。そういうようなことを、いまそういうことはやっていないということを言われても、事実がそれを証明するのでありまして、そういう問題等についても、大いなるやはり反省をしていただかなければならない、こういうふうに私は考えておるところであります。そういうような状態からいたしまして、確かに先ほど大臣もおっしゃったように、輸入というものに依存をしなければならないというような状態日本畜産というものは、何かもう畜産じゃなくて、外国飼料の加工的な畜産、こういうふうになりかねないと私は思うわけであります。そういう点に対しまして、いわゆる国内飼料増産政策、こういうものも当然取り上げられていいのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、その点についてはどのような政策をもって臨もうとしておるのかをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かにそのとおりでございまして、畜産が思わしくないというのは、一つは、日本畜産が多頭羽飼育になっていないということ、それから飼料依存度が、自給飼料でなくて、購入飼料、特に輸入飼料などにたよっておるというようなことが、日本畜産が伸び悩んでおる一つの大きな原因であると思います。そういう点におきまして、飼料自給化ということには強く力を入れていかなければならない、こういうように考えています。酪農方面の牛等につきましては、御承知のように、草地造成等を大々的に進めて、自給飼料度を増すというようなことを考えていますが、また養鶏等の飼料等につきましても、飼料作物等を、あるいは放置されている裏作をもとへ戻すといいますか、裏作として作付するための助成とか、そういう方面によりまして、草以外の自給飼料の増産といいますか、そういうものも進めていきたい、せっかくそういう方向をもって進めておるわけでございます。
  34. 卜部政巳

    卜部委員 大臣にお伺いいたしたいのは、いまりっぱなこともおっしゃられたわけでありますが、そういう畜産振興するという意味合いにおいては、山林をも開放する、こういうことをいわれておりますが、現実の問題といたしましては、いや木材が不足する、パルプが不足するなどといって、こういう開放を行なっておりませんが、近い将来においてはこれは開放するということを誓っていただけますか。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 山林の開放という意味が、所有権あるいは利用権の問題、二つあると思います。私は、どっちかといいますならば、所有権の開放ということにつきましては、国有林のあり方とか山林のあり方からいって、相当考えていかなければならないと思います。しかし、利用、活用という方面につきましては、すでに構造改善の事業等におきましても、活用のためにあるいは所有権を移しているのもあります。あるいは利用に提供しておるのもあります。あるいはまた今度の草地造成等を進めていく上におきましては、この山林の開放も相当進めていきたい、こういうふうに考えております。
  36. 卜部政巳

    卜部委員 では時間の関係もありますので、そろそろ養鶏のほうに入っていきたい、こういうふうに思うわけでありますが、自由化とともに一九六三年の外国のいわゆるペアレントの輸入は何ぼくらいになっているのでありましょうか。
  37. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 外国からのひなの輸入は、三十六年が六万羽、三十七年が七万四千五百四十羽、三十八年に百十七万三千羽、それから三十九年度はまだ集計ができておりませんが、一月から十一月までの間に約百二十万羽の輸入が行なわれております。ただ、これはペアレント、いわゆる種鶏用のものと、向こうでかえしましたコマーシャル用の採卵鶏のものとが込みで計算されております。
  38. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、それは込みだ、ということになりますと、これは私たちが実は俗に青い目の鶏だなどと言っておりますけれども、そのいわゆる青い目の鶏の産んだところの卵をかえした鶏も入っておるということでありますか。
  39. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 種鶏用で入りましたひながさらに種卵を産みまして、その種卵からかえったひなは入っておりません。それを計算いたしますと、三十八年にただいま申し上げました百十七万羽の輸入のひなのうち、種鶏用が約五〇%程度でございますので、それから推算をいたしまして計算いたしますと、実際の産卵鶏になりました数は千三百三十七万羽程度になるというふうに試算いたしております。
  40. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、わが国の鶏との比較はどういうふうになりますか。
  41. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 この千三百三十七万羽は、三十八年に入った鶏から出るのですから、三十九年度の雌の発生羽数というふうに計算がなされるわけでございまして、三十九年度中に国内の総ひなの発生羽数というのは集計ができておりませんが、前半で約二億羽になっております。したがいまして、年間約四億羽と推定されますが、そのうちの半分が雄ということにいたしますと、この千三百三十七万羽は、総ひなの雌ひなの発生羽数の二億羽に対する数字ということになると思います。
  42. 卜部政巳

    卜部委員 では、角度を変えまして、農民のほうの購入畜産物の場合ですが、その価格は、大体輸入商社から何ぼ、さらにそれをふ卵業者に売るときには一体何ぼくらいになっているのでしょうか。
  43. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 これはアメリカからの輸入のひな十数社――カナダのもございますが、十数社のひなが入っておりまして、その社の営業政策といいますか、そういうもので必ずしも価格は一定ではございませんが、農家に渡ります際に、外国ひなは大体一羽二百二十円くらいというのが水準のようでございます。
  44. 卜部政巳

    卜部委員 ひなの場合はそうでございますが、ひなでない場合は輸入してないのですか。
  45. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 ひなでない親鳥の輸入というのは、事実上ほとんどございません。これはそれだけの輸送のむずかしさをおかす理由はございませんから、親鳥は何も入っておりません。
  46. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、国内商社が農民のほうに売る価格は幾らですか。
  47. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 ただいま申し上げました一羽大体二百二十円くらいの水準であるというのが、商社が農家へ売る価格であります。
  48. 卜部政巳

    卜部委員 外国国内も一緒ですか。あっちから来るのを受け取った商社がそうやる、そういうことですね。
  49. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 向こうのいわゆる種鶏を国内のふ卵業者、いわば業者が受け取ります価格は、私ここで承知をいたしておりません。これはなかなかむずかしい問題でありまして、なかなかつかめないのではないかと思います。
  50. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、一九六三年の五月から一九六四年二月までのわが国の発生羽数、さらにはこの青い目の鶏のための前年同期の四〇%増し、したがって、さらに産卵も三〇%増し、そういう結果になっている、こういうことについては間違いございませんか。
  51. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 三十八年の秋から三十九年の春にかけまして、ひなの発生羽数が前年に比べて約四〇%伸びておる、産卵数は、実はまだ正確に集計ができておりませんが、産卵数の二〇%程度の増大になっておるということは、月々の計算で追ってみますと、うかがわれます。
  52. 卜部政巳

    卜部委員 その結果、昨年の八月のいわゆる鶏卵というものは幾らになりましたか。
  53. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 昨年の八月の月間平均価格は、私資料を本日持ち合わせておりませんが、八月の月間の平均は百六十七、八円と記憶をいたしております。間違っておりましたらあとで訂正することにいたしますが、大体そんな水準であります。ただ、最も安値に落ち込みましたときには、東京での卸相場は百四十三円という低値が出た時期がございます。
  54. 卜部政巳

    卜部委員 先ほどちょっと指摘をいたしたのでありますが、それに加えて、飼料が三割も値上げする、こういうことも指摘をしたところでありますが、現実にいま養鶏農家というものは、たいへんな苦しみに追いやられておる。このことは十分御承知だと思うのでありますが、その点に対してどういう対策を立てているのか、ひとつ抱負があればお聞かせ願いたいと思います。
  55. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 いま御質問の中にも、その含みをもってお尋ねがあったと思うのでございますが、昨年の夏の初めからことしにかけまして卵価が低迷をいたしました理由は、一つは、生産の急増ということで、消費需要を上回る供給量があったということから、需給構造変化に基づいた価格低落であったということでございます。その際、私どもとしましては、根本的には、日本国内における鶏卵の生産を需要の増大に即して安定的に拡大をしていくことが、最も本質的な方向であろうというふうに考えるのが一点と、さらに鶏卵自身、現在日本畜産物商品の中ではかなり高い水準の消費になっておるわけでございます。でございますから、鶏卵の価格下落にもかかわらず、消費の伸びはそれほど大きくないということがございますので、消費の拡大ということに努力をいたすべきであるというふうに考えておるわけでございます。急落をいたした昨年の八月と十一月には、現行の畜産物価格安定法に基づきまする生産者団体による調整保管の道を開くための農林大臣の定める価格、いわゆる基準価格の告示を行なったのでございます。去年の秋に、私どもが、要するに、この傾向でいきますれば価格低迷が永続するおそれがあるということで、府県知事あるいは関係農業団体等へ、ひなのえづけ羽数の抑制をする必要があるということと、消費の拡大に地方においても努力をしてもらいたいということの指導通知をいたしたわけでございます。同時に、昨年の春以来畜産振興事業団あるいは関係業界等の協力のもとに、消費の宣伝もかつてないくらい力を入れてやってまいったのでございますが、さらに本年に入りまして、この現在のえづけ羽数の状況から見ますと、本年後半からは価格の持ち直しが十分期待できる、むしろ秋にはかなり高い卵価の形成が見通されるということでございますので、いわゆる鶏卵の加工業者に対して資金のあっせんをいたしまして、安値時期における割卵、卵を割る事業の開始時期を繰り上げさせたのでございます。よけいなことになるかと思いますが、漸次一般の需要の増大の傾向も見られますし、加工事業の手当てというようなことが刺激をいたしまして、相当寒場のための生産の若干の減退ということと重なりまして、先週以来、大体百六十円台で推移いたしておりました卵価は、数カ月ぶりに百八十円台に回復をいたしておるのでございます。もちろん、まだ私どもは今後の推移は楽観を許さないというふうに思いますけれども、基調としては回復の基調に向かっておると見ております。
  56. 卜部政巳

    卜部委員 ずいぶん粉飾された回答であったわけでありますが、まず、そのうちの第一点としまして、八月に入って、畜安法に基づくところの卵の基準価格をキロ当たり百六十円ということを決定、告示をした。しかし、これは率直に言って、基準価格が、あたかも法律にある豚肉なんかと同じような認識はもちろんしてはいけないと思うのです。それとは違うでしょう。それはおそらく御承知ですから、この点は省きますけれども、それは単なる基準を示しただけにとどまっておるということである。それから消費の拡大に努力をする、こういうことを言われておるのですが、実際どういう拡大をするのか、これもまた疑問です。同時にまた、秋に向かっていわゆる持ち直しそうだということを言われるのでありますが、大体春は安くて秋は高いという循環を卵は繰り返してきていましたね。その秋に寄せる期待であるならば、私はこれは噴飯ものだと思うのです。そういう点で、いま燎原の火のごとくに、私が大臣に冒頭に申し上げましたような要請が、各地から来ておるわけでありますし、大臣も御承知でありますが、そういう危機突破大会が開かれておるという状態の中で、持ち直すであろうとかそういう安易な見方というものは、私はいけないことだと思うのです。現実に、私島根県でありますが、大東町ここら辺あたりはどんどん団地養鶏というものをやり始めております。そういうかっこうで、その羽数というものはどんどん増していく、これは事実であります。その点に対して政府が何らかの措置を加えなければならない現在の状態というものを私は憂うるわけです。また同時に、そうしなくてはならないと思います。憂うるということは、やっていないから憂うるのでありまして、措置を行なうべきだというふうに考えるのですが、そういう具体的な特効薬みたいなものはございませんか。
  57. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 鶏卵の総生産量というものも、これは卜部先生も御承知と思いますが、年間九十万トンをこえるような大量の生産状態に入りますと、私どももいろいろ検討を加えましたが、速効薬的なものがない。またむしろ、速効的なことをすることは、長期にわたる鶏卵の需給構造というものの底を固めていくために、いいのか悪いのかも疑問であるというふうに私どもは考えております。
  58. 卜部政巳

    卜部委員 では一体、現在需要に見合う生産との調整はどういうふうに行なうのですか。その点を畜産局長、ひとつ明確にお教えを願いたい。
  59. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 需要の増大傾向は、鶏卵については大体年間五、六%程度の水準に現在推移をいたしておるのでございます。私ども従来ひなのえづけ羽数の公表を年に二回ということで公表をいたしますと、そのときには、公表されたひなは卵を抽んでおるというようなことで、それぞれ指導機関において参考とする価値が少なかったということでございますので、本年の一月からのえづけ羽数は、一カ月おくれの三月からそれぞれ公表をするということで、えづけ羽数の動向というものを明らかにすることによって、農業団体なりあるいは行政機関なりというものの指導の指標にすることにいたしたいということで、ただいま準備を進めておるところでございます。  それから、根本的に生産の安定的な伸長を期するということになりますと、鶏卵の生産、販売の組織というものが相当程度整備されるのでなければ私は理想的にはまいらないと思うのでございますが、系統の団体を通ずるかなりの先行きの出荷引き受け量というようなものを末端に対して順次明示していくというようなことによって、ある程度の生産調整の機能というものは考えられるのではないかというふうに思っております。
  60. 卜部政巳

    卜部委員 いま畜産局長は、消費と需要関係、この点については、若干楽観的なことをお答えになっているわけですが、それでよろしゅうございますか。その答えによってちょっと質問があるわけです。
  61. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私ども、家計支出等の推計から得られます鶏卵の消費の増進は、現段階において推測をいたしますれば、年間五、六%程度の消費の増大は期待できるというふうに思っております。
  62. 卜部政巳

    卜部委員 現在卵が格安の食品である、こういうようなとらえ方をして、急激に消費が伸びるなどということはとうてい考えられない、私はこういうふうに思うわけであります。してみますならば、私は、政府がもう少し本腰をかまえるならばできるのではないかという問題を一つ提起をしてみたいと思いますが、この点について、大臣、そういう腹がありますか。いまから申し上げますが、まず学校給食に冷蔵の卵も配給して給食にしたらどうか、この点についてはいかがなものでしょう。
  63. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私どもも、鶏卵の学校給食の問題は、われわれなりに検討もいたしたのでございますが、鶏卵の学校給食ということについては、その趣旨にもよると思いますが、すこぶる困難な問題が多いというふうな結論になっておるのでございます。  その点をかいつまんで申しますと、鶏卵の学校給食を行なうということであれば、これは年間を通じて供給しなければ、給食をする側において非常に困る事態になるのでありまして、余剰時における鶏卵の供給ということは好まないということが一つあるのでございます。いま一つは、これも先生のもうすでに御承知のことでございますが、日本の国民が鶏卵を消費する量は、三十九年度の段階で見ますれば、一人平均百七十個ないし百八十個という数字に達しておるわけでございます。したがいまして、これを日本人の所得なりあるいは摂取総カロリー等の関係から見ますと、相当高い水準に達しておるということでございますために、鶏卵を学校給食にやるという部面での消費の拡大ということについて、若干疑問がある。現在すでに学校で鶏卵は給食献立に入っておるわけでございます。それから鶏卵の冷蔵をいたしましたものを学校に配給いたしますことは、これは技術上すこぶるむずかしい問題があるのでございます。それと、学校給食会等の意見も求めたのでございますが、生乳の学校給食等と異なりまして、鶏卵の制度的な給食ということにそれほど歓迎の意思を表していないという点が、根本的に問題があると私は思っております。
  64. 卜部政巳

    卜部委員 ことばのあげ足をとるようで恐縮ですけれども、冷蔵保管をしておるから技術的に困難があるということは、私はないと思うのです。ビニールの袋に冷蔵しておるのですから、ビニールの袋を持っていけば簡単です。できないことはないと私は思う。私はなぜそういう措置を行なえと言っておるかといえば、いま畜産局長はうまいことおっしゃってはおりますけれども、現実には畜産局長自体も困っておるのでしょう。ほんとうは実際困っておるのです。(「策なし」と呼ぶ者あり)策なしということばがありますが、ほんとうにそうだと思うのです。そういう面で、この面をどういうふうに打開をするのかという問題と、いま逼迫したところの状態というものに対して、国会答弁でこれが終わったらいいというものではないと私は思うのです。そうするならば、少なくともそれに対する国家の予算的な措置だとか、さらにはまた、これはあとから申し上げたいと思うのですが、全販連ですか、出しておりますような、何か農協だとか、そういった寄付行為を求めて、基準価格に不足するものについては補っていくという方式をとっていくとかいうような問題も出ておりますね。そうすると、やはりそういう形になりますと、寄付金ですから、税金がかかるとか、こういう問題について、税金を免除するとかいうふうな措置もあるのじゃないかと思うのですが、そういう点はどうでしょう。
  65. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 全販連が中心になりまして、農業関係諸団体等の寄付金をもとにしました鶏卵価格の安定基金というものをつくって、そしてその基金というものによる価格平衡作用を伴いつつ、生炭の調整指導をしていくという方向は、私は方向としてしごくけっこうな方向であると思っております。でございますので、なし得ればこれに対する出損について免税の措置ができるように努力をしたいということで、ただいま大蔵省と折衝中でございます。
  66. 卜部政巳

    卜部委員 大臣がおられますが、その点につてはどうでしょう。大臣が責任を持ってやるということはここで確認はできませんか。
  67. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 非常にけっこうな提案でございますので、その方向に努力していきたいと思います。
  68. 卜部政巳

    卜部委員 いろいろとこの卵価問題は問題が多いだけに、あらゆる角度から追及ができるわけでありますが、理事のほうから時間だということでありますので、この辺で打ち切りたいと思いますけれども、大臣をはじめ各担当の衝に当たられる方は、今日置かれておるところの日本農民立場、ほんとうに貧困に打ちひしがれておるわけでございますので、その点に対しましては、これが高度成長政策だ、政府のやっておる一つ政策の中からそういうものはしようがないのだというような考え方ではなくて、少なくとも農林省は農政に携わる省なんでありますから、正しい自分たちの愚見はどしどしと反映をさせる、こういう姿が私はなくてはならないと思うのであります。ところが、何かしら私の感ずるところは、長いものに巻かれる、いってみれば、しようがない、政策のおもむくところしょうがないというような、そういう引っ込み思案のことでは、私は農民は救われないと思います。この点をひとつ肝に銘じて、これからの農村を一歩でも前進させるように努力をしていただくことを切望いたしまして、終わりたいと思います。
  69. 濱地文平

    濱地委員長 午後一時より再開することといたしまして、これにて休憩いたします。    午後零時九分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十二分開議
  70. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について、質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  71. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣並びに畜産局長に、特に畜産行政に関する問題について、若干御質問をしたいと存じます。  午前中、同僚の卜部君が飼料その他いろいろやりましたが、私も、畜産の中でも、特に生産性の高い養鶏関係について、飼料との関連におきまして御質問したいと存じますが、まず第一点は、大臣にお伺いしたいのは、特に昨年は、鶏卵等の需給関係のバランス問題なりあるいは急激な生産の増加等によって、例を見ない鶏卵価の暴落を来たしまして、十一月でしたか、いわゆる価格安定についての通達を農林省は出しております。そういうふうな情勢を踏まえながら、四十年度における農林省の農業施策の中におきまして、特に多頭羽飼養の推進ということで、養豚並びに養鶏等につきましては、かなり積極的な施策が織り込まれておるわけですが、今後のこういうふうな多頭羽飼養の推進という面と、それから価格安定の面、いわゆる需給関係等の総合的な対策について、どういうふうなことを考えておるのか、まず、この幕本的な点について、大臣並びに局長の見解を承りたいと思います。
  72. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 午前中私からも畜産局長からも申し上げましたように、多頭羽飼育ということが経営上も有利であるということは、もう申し上げるまでもないのでございますが、そこに飼料の問題がございます。飼料購入飼料輸入飼料等に依存しているというようなことで、採算が思わしくないという面があると思います。それはともかくとしまして、鶏等につきましては、順調に多頭羽のほうに進んできたのでございますが、需要に見合った供給というものでなく、供給が非常にふえたというようなことがありまして、いまお話しのように、昨年の八月と十一月に調整保管をしようというところまでいっておるのでございます。今後は健全な需要を伸ばしていく。卵等につきましては、需要相当に伸びてはおるのでございますけれども、まだ伸びる余地はあります。でございますので、消費の宣伝等によりまして、健全な需要を伸ばしていく、それに見合った生産の調整ということが必要だろうと思います。そういうことになりますと、ひよこといいますか、豚の場合子豚の価格安定から調整していかなければならぬと同じように、鶏等におきましても、ふ化するときにそれに見合ったような調整を指導していく、こういうことにしていきたいと思います。飼料の面は飼料の面といたしまして、自給飼料でまかなえるようにだんだん指導していかなくてはならぬと思っております。
  73. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは畜産局上長にお伺いしたいのですが、ただいま大臣から大筋としての見解をお述べになったわけですが、特に養鶏関係というのは、需給関係のきちんとした見通しということを相当立てないと、いわゆる選択的拡大によってどんどん養鶏をやりなさい、こういうことを申しましても、昨年のように非常な価格の暴落という事態を招いているわけですが、一応農林省がこのような多頭羽飼養の推進ということを前提とした場合に、一体最近における卵なり鶏肉等の需要関係、それから消費状況等は、大体どういうような傾向にあるのか、その辺の把握ができておりますならば、お聞かせいただきたいと思います。
  74. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 お話にございますように、三十九年に入りましてから、前年度の育雛の激増ということから、卵の生産が急増いたしまして、そうして需給のバランスを失して、卵価が下がったということでございますので、私どもとしては、一つは、今後の卵の需要状態をどういうふうに見るかということで、最近におきます五大都市の家計の分析等をいたして、見込みを立てているのでございますが、昨年の春以降あたりから卵購入のための現金支出額の伸び率というものが、一昨年あたりまでは七%ないし一〇%というかなり高い支出の伸びを示しておったのでございますが、大体五%程度で毎月固定してきているというような動向、また別に私どもが所得の伸びに応じます需要の弾性値等をはじきましても、卵の需要の伸びは、午前中申し上げましたとおり、大体今後しばらくの間は年率五、六%と見ることが穏当であろうというふうに見ているわけでございます。そういう需要の見通しの面からしまして、生産をどうしていくかということは、当面四十年度においては、生産の拡大という問題はできるだけ避ける方向で、行政の指導なり運営をしてまいりたい。ただ、現在の養鶏の実態というのは、いまだに非常に零細な飼養形態が一般であります。したがって、そのことが卵の生産費の割り荷という問題を招来いたしておるのでございますから、やはり合理的な養鶏経営の育成という点は、これは見捨てるわけにはまいらない。多少抽象的にすぎるかもしれませんが、私ども今後構造改善事業なりあるいは金融による行政を進めてまいります場合に、ともすると、養鶏比較的手軽な投資で、土地の制約を受けないで生産が開始できるというようなことから、養鶏の経験あるいは技術の条件等から見ると不適当と思われるようなところまで養鶏が伸びた形跡がございますので、これらの点は、私どもとしては慎重にしてまいりたい。多数羽飼育の育成ということは、従来から養鶏の主産地を目ざし、またそういう養鶏経営の経験のある地帯において、農家の共同による多頭羽飼育等に統合して、より高い経営に進んでいくという場合には、たとえば構造改善の主幹作目に取り上げ、あるいは公庫からの豚鶏資金を貸し付けるというようなことによりまして、いたずらに生産量の増大を招く、年産拡大を刺激するというようなことは避けつつ、多頭羽飼養の推進をしてまいりたいと思っております。
  75. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、いまの局長の御意見、妥当だと存じますが、具体的にある程度需給のバランスをとるために、生産面を調整するということでありますけれども、やはり昨年度のああいう状況を来たしたことは、ひなを発生させる場合、大体六カ月くらいの期間で卵を生むわけですが、そういうふうな全国のふ化の状況等というものを十分に事前に調査する機構というものを確立していかないと、さきに局長の言われたような全体的な羽数というものを把握することが困難ではないかと思うのです。そういう事前の調査機構といいますか、調査というものをもう少し強化しなければ、昨年の三の舞を繰り返すのじゃなかろうか、こういうことを考えるわけですが、その辺の点は、大体どういうふうな調査機構の強化ということを考えておるのか、そういう頭羽数をより育成する面における根本的な点についてお聞かせいただきたい。
  76. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御指摘のように、昨年までのひなの発生羽数なりあるいはえつけ羽数の把握のしかたは、全体として生産の調整に役立つような形で行なわれていなかったことは、私ども認めざるを得ないと思います。このひなの発生羽数あるいはえつけ羽数の調査は、農林省の統計調査部において調査をいたしておるのでございますが、その集計したものを公表いたしますのに、従前は一年の春びなと秋びなとを公表する、結局厳密に言えば、半年に一回しか公表していなかったわけでございます。これでは確かに飼養頭羽数の伸びにどうはね返ってくるかということの判定を事前にやるわけにはいかぬわけです。それで、本年一月からのえつけ羽数については、統計調査部において集計期間一カ月を経て、一カ月後に毎月発表することにいたしまして、この三月に一月の発表をするということにいたしておるわけでございます。そういうことによりまして、去年のあの状態というのは、私どもというよりも、農民にとっても、非常な災難でもありましたし、またきびしい教訓を与えられたと思っておるわけでございますので、地方行政庁なりあるいは農業団体等において、ひなのえつけ羽数の情勢を見ながら、行政の運営なり、あるいは生産の指導なり、あるいは出荷に対する調整なりということをしてまいることによって、厳密に統制をするというわけにはまいりませんが、ほぼ非常に大きな生産過大になるということは避けられるのではなかろうかというふうに思っておるのでございます。
  77. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣にお伺いしたいのですが、そういうふうなひなの発生等の状況調査について、三月から実施するという答弁がございましたが、やはり私は、特に非常に生産性が高いし、養鶏という仕事はそんなに技術的に高度の技術を必要としない、そういう面から、農村の現金収入という面においては、積極的な施策が要望されるわけでございますが、何と申しましても、消費の面における増大ということを積極的に農林省等がPRしなければ、せっかくのそういうふうな多数羽飼育等の推進ということが、結局再び悪循環を繰り返すということになりますので、消費面の拡大ということについて、大臣としてはどういうふうな構想をお持ちか。また、この点はやはり農林省だけで解決できる問題ではなかろうと存じますけれども、そういう需要の増大ということについての大大臣の見解を承わりたいと思います。
  78. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまこれといって、午前中のお話のように、学校給食というような問題にも相当難点がございますので、どこどこにどれだけの消費の拡大ということのめどは持っておりませんけれども、一般的に消費の拡大をはかるように、宣伝もいままでもしているのでございますが、もっと有機的なといいますか、宣伝等をして消費を増していく、あるいは加工用といった方面にも増すようにして、消費をふやしていきたい、具体的にはございませんけれども、そういうような方向を考えているわけであります。
  79. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣の答弁は、なかなかばくとして、あまり積極的な姿勢が示されないわけですけれども、担当局長としては、その辺のことについても、ある程度の構想なりプログラムを持っておられると思うのですが、そういう需要増大への積極的な取り組みということについて、いまの大臣の答弁だけで私満足できないわけですが、この点いかがですか。   〔委員長退席、谷垣委員長代理着席〕
  80. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 大筋は大臣からお答え申し上げた方向でまいりたいと思っておりますが、御参考までに昨年の春以来の消費宣伝のおも立った事業を御説明申し上げますと、昨年の春から夏にかけて畜産振興事業団で約五百万円の宣伝費を使いまして、主要都市を対象とするテレビのスポットで卵の消費宣伝伝をまずやったのでございます。同時に並行して、農業団体も六大都市に対する卵の消費宣伝をいたしたのでございます。秋になりまして、農業団体とそれから関係事業団体が共同いたしまして、約千三百万円の予算で、これも六大都市中心に消費の宣伝事業を行なってまいっておるのでございます。また、その際に、卵の調理法のパンフレット等も相当多数配布をいたし、新しい調理法についてのアイデアについては、一種の懸賞方式で採集をするというようなこともやって、いまそういうことも取りまとめ中であります。今後も、鶏卵消費推進協議会という名前を使っておりますが、その現在の事業に対して畜産振興事業団から必要な助成をさせたいというふうに考えております。四十年度に入りましても、必要があれば畜産振興事業団の事業費の中で消費宣伝活動を行ないますと同時に、時には相当広範に消費宣伝のアイデアなども民間の発想を採用する必要があるわけでございますので、民間の協力による消費宣伝活動を行ない、それに対して畜産振興事業団を通じて国からも助成をしていくというようなことをしてまいりたい。また、加工の促進については、いろいろ考えられますが、午前中にも申し上げましたように、百万トンに近い卵の生産の中で、少々の加工は実はたいして役に立たないわけでございますが、マヨネーズの生産のために、最近、年間約一万六千トン程度、もう二万トンに近い消費量になろうとしておるのでございます。これについて原料手当てということを円滑にするならば、さらにマヨネーズの消費の面での開拓が可能であるというようなことで、そういう産業に対しましては資金あっせん等の措置を講じて、比較的低卵価のときに大量に原料手当てをさせるというようなことを指導してまいりたいというふうに考えております。
  81. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、国内における卵価の安定ということと、いわゆる外国品の輸入、こういうこと等が――これはあと飼料等関連で申し上げたいのですが、せっかく農林省が努力しておっても、外国品の輸入ということを十分警戒をしなければ、また暴落を来たす可能性というものが十分あると思うのです。特にアメリカ等中心とする外国卵の輸入、これはからつきの場合と、それからいま液卵ということばがありますが、そういう形で輸入される可能性ということは、私は十分配慮しなくちゃいけないと思うのですが、その辺については局長はどういうふうな見解をお持ちか、お聞きしたい。
  82. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 児玉先生ももう御承知のことと存じますが、日本の鶏卵価格の水準が、世界的にどちらかというとやや低い国に属しておるのでございます。もちろん、日本以上に鶏卵の価格の安い国もありますが、日本よりも高い国のほうがやや多いというような、中庸の中のやや下というような位置にあるわけでございまして、そういう意味では、正常な鶏卵価格状態にありましても、日本の鶏卵は対外的に国際競争力があるわけでございます。わずかではございますが、日本の鶏卵も、沖縄もしくは香港等に輸出ができておるのは、そういう関係からでございます。でございますので、私は、からつき卵の形では、いわゆる種鶏の卵が入る場合はあっても、食用のからつき卵が入る心配は全くないと言ってよろしいかと思うのであります。液卵につきましては、倉庫内で冷凍保管をいたしましても、相当な品質低下を来たすのでございますが、いわんや、それを海上輸送をするというようなことになりますれば、その商品価値というものは著しく減殺されるということで、液卵の輸入ということも、私は、ちょっといまのところおそれる必要はないのじゃないかと思っております。ただ、卵黄粉あるいは卵白粉あるいは全卵粉等のいわゆる粉卵につきましては、日本国内の卵価の事情のいかんによっては入ってくる可能性があると思います。しかし、これも相当加工経費のかかるものでございますので、日本の卵価が非常に商い水準にない限り、それほど入る可能性は薄いのではないか。ただ、卵白粉が工業用原料としてある程度入ることはあるだろう。ただし、これにつきましても、先ほど申し上げましたように、日本のマヨネーズ産業が発達していきますならば、それに伴います卵白の分離があるわけでございますので、順次国内需要量を満たすように進めてまいりたい。この粉卵の輸入ということにつきましては、現在はあまりたいした数量になっておりませんが、輸入の動向等によりましては、なお私どもも国内の卵価については検討をいたしたいと思っております。
  83. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから政府の資料の中で、鶏卵の規格取引を促進するために、これに必要な施設を云々ということが載っておりまして、全国に大体二十カ所新たに助成するということが書いてございますが、これはおそらく流通機構と、それからいわゆる規格取引を通じて価格安定をねらいとするものだと思いますが、専門的なことを知りませんが、これはどういうことを意味しているのか、また二十カ所程度のいわゆる検選卵機施設の設置で十分その要請にこたえることができるのかどうか。この問題と、特に私は、価格の安定は、やはり総合的な流通面の合理化というものの改革がなければ安定は期し得ない、こういうふうに考えますので、この規格取引ということと、流通面における合理化をどういうふうに考えているのか、この二点についてお聞きしたい。
  84. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 お話しのように、鶏卵の規格取引というのは、流通改善対策の一環として昭和四十年度から実施をしたいと思っておるのでございます。鶏卵につきましては、現在でも特級、一級、二級あるいは規格外というような俗称の規格をもって取引をされておるのでございますが、一昨年来鶏卵のそういう級別の規格はどういうふうになるかということを専門家によって検討してもらったのでございますが、その規格がきまりまして、そしてあとは、規格取引をするための組織といいますか、そういうことの整備に若干の時日を要するということで、四十年の五月一日から規格取引を実行に入らせたいということを考えておるわけでございます。その際、規格取引をやるということになりますと、その規格に従った卵の選卵をする必要があるわけでございます。第一には新鮮度の問題があるわけでございますが、これは生産者のほうで責任を持ってもらうほかないわけです。あとはからの硬度でございますとか、あるいは卵黄の偏位の問題でございますとか、これから粒のそろい方、そういうことをやりますために、機械的に透光方式によって卵の中の検査をする、あるいはまた卵の粒の大きさを機械的に粒をそろえるということのために、いわゆる選卵機という機械があるわけでございます。その選卵機を含む選卵施設を、規格取引の実施の第一年度でございますので、モデル的に各県に助成をしたいということが、その予算の内容なのでございます。従来から若干の地区については実験的に一応鶏卵全国協会の畜産助成金の中で助成をしてきた例もございます。  それから鶏卵の流通改善の問題でございますが、実は現在、卵の流通につきましては、比較的に畜産物の中では系統利用の多いものに属します。でございますので、鶏卵につきましては、流通過程におけるコストというのは、生鮮食料品畜産物を通じて最も流通経費は少ないというように見受けられております。でございますので、ある意味において、現在の鶏卵の流通機構はかなり日本なりに整備されているというふうに見てもよいかと思いますが、ただいまの規格取引の問題、それから将来の需給に見合った生産、出荷の調整というようなことを考えてまいりますと、なお農民の組織による市場への出荷という形態を整備していくということが、私は鶏卵取引については重要な問題であろうというふうに思っております。
  85. 兒玉末男

    ○兒玉委員 規格取引の対象となる場所が、いま局長が言われたように、全面的な実施はできないで、モデル地区の実施ということになりますと、いわゆる規格取引の対象とならない地区の卵価とのアンバランスということが生じてくるのではないか。いわゆる規格品でないもの、その機構を通じないで販売されるものとのそのギャップは、どういうふうに処理をしていくのか、この点をお答え願いたいと思います。
  86. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私がモデル的と申しましたのは、新しい選卵施設を備えて、規格品の出荷をするということをモデル的に第一年度として奨励をしたいという意味でございまして、いま考えておりますのは、主要消費市場、つまり、東京、名古屋、大阪、北九州という鶏卵の主要消費市場については、全面的といいますか、卵は御承知のように市場を持ちませんで、それぞれの系統による札場を持っておりますが、おも立った札場においては全面的に規格取引に入らせたいというふうに思っております。それにいたしましても、鶏卵が全部規格取引に入るというようなことはないと思います。でございますので、いわゆる自主規格ではございますが、自主規格を採用して販売するものとそうでないものがあらわれますけれども、自主規格によって適正な価格形成がされていきますれば、これは規格決定をいたしませんで出荷するものについても、間接的ではございますが、私は好影響があるはずだと思います。卵につきましては、比較的その点は、一つの長い取引慣行がありますので、えらい差が出るというようなこともございませんで、全般的に出荷者の側に有利な取引がされるということになるというふうに見ております。
  87. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは午前中にも多少質問があったと思いますが、私よく聞き取れない点もあったのですが、例の目玉の青い鶏というのですか、アメリカのバイライン社と全販連との間において契約がなされておるのであります。この点、局長はどのように理解されておりますか、お伺いしたいと思います。
  88. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 全敗連は最初バイライン社のひなを扱うことにいたしておりましたが、慕情がありまして解約になって、ただいまはデカルブとひなの販売契約をしておるように承知しております。
  89. 兒玉末男

    ○兒玉委員 このバイライン社とのそれが解約になったことはいいのですが、いま言われたアメリカの会社とはどういう形の契約になっておるのか。この前の分を見ますと、一羽のひなが取引されるたびに権利金として二十円ずつ、日本の生産者は支払わされる。そのために、実際に生産農民がこのひなを買うときには相当高い値で買わされておる。いままでの数字から見ますと、普通四百円から五百円程度で買えるものが、実際に養鶏業者に対しては七百円から九百円という高い値で取引がされている。このことは、養鶏業者に大きな打撃を与えているし、あるいはまた一羽につきつぶす期間についても、ちゃんと期限つきでやられておる。たとえば雌は十八カ月後、雄は最後の入卵後七日以内にそれぞれ屠殺をする、こういうきめのこまかい協定のもとに、日本の業者なり生産者が非常に束縛されておる、こういうことがバイライン社との基本契約の内容になっております。これは日本養鶏にとっては重大な課題だと思うのですが、このような点についてはどういうふうな御処置をされておるのか。全販連と会社との契約の条項はどういう形になっておるのか、わかっておりましたらお知らせを願いたい。
  90. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 アメリカの原種鶏の取引からいたします契約内容は、私も十分承知いたしておりませんが、現在の全販連とデカルブとの契約内容も、ほぼ同じような内容のものであろうと思いす。ロイアルティーの問題は、一種の優良品種開発をして独占しておる会社が取るのは、世界に共通のように承知をいたしております。  それから屠殺をする時期につきましては、御承知のように、アメリカびなでは、いわゆる一元交配または二元交配等の方法によるF1F2のひなをしておるわけでございますので、その原種は、生理的に何カ月かたてば育種の理倫上おのずから殺さざるを得ないということでございまして、これもやむを得ないと思っております。
  91. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いわゆる特定の大資本の進出を含めて、こういうようなことから、日本の在来の養鶏業者が非常に不当な圧迫を受けるようなことはないのか、その辺についてひとつお聞かせをいただきたい。
  92. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 現在のところ、実際の飼育状態等を農林省でも一部実験中でございますが、アメリカからの導入びなが性能においてすぐれておるということを残念ながら認めざるを得ない。でございますので、農民からの需要も多いということで、特にアメリカ系のひなの率がふえつつあることは、私はある意味ですこぶる遺憾に思っております。ただ、日本の鶏もすぐれた性質は持っておるのでございますが、鶏の育種改良の組織というものが、アメリカの大量的、近代的な育種理論に基づいたものに比べて、すこぶる立ちおくれておる点がございますので、日本でもアメリカ並みの鶏の素質を持ったものを育成すべく、三十九年度から大宮、岡崎の両種鶏場を画期的に拡大するということで、それぞれ昨年度約三億円、本年度三億九千万円の予算をもって四十年度末までにはほぼ完成、四十一年度中に完全に完成するということで、日本独得の品種の育成につとめたいと考えておるのでございます。
  93. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣にお聞きしたいのですが、いまの局長の答弁にもありましたように、日本養鶏業界にとってもきわめて重大な問題でありますし、この基本契約についてもほとんど変わっていないという局長の御答弁でもありますが、われわれとしては、国内における養鶏業の振興という立場から考えますならば、いま少し前向きの姿勢で国内産の品種改良について積極的に取り組んでいくべきじゃないかと思う。なおまた、いま局長の答弁にあるように、全国二カ所程度の種鶏場の改革をもってはなかなか長期間を必要とするわけですが、そういうようなときに、農林省の畜産振興の中においても重点施策としてやられている問題でありますので、それについてひとつ大臣も積極的に取り組む姿勢を示していただきたい、いかがですか。
  94. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のように、国内におきましても品種の改良等になお十分力をいたさなければならぬと思いますので、さらに努力を続けてその方向に持っていきたいと思います。
  95. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、飼料関係でございますけれども、先ほど局長は、流通面におけるコストというのはきわめて低位にあると言われた。私たちが調べた範囲内におきましても、生産コストの中で飼料が一番高い、こういうことが数字の上でも明らかにされております。また政府としても、特に飼料自給度の向上ということで、いわゆる生産コストの低下ということを方針として明らかにしておりますが、残念ながら、ほとんど大半アメリカ中心とする外国飼料輸入にまっている現状であります。現在のコストの比率がどういうふうになっておるのか、それを聞かせていただきたいと思います。
  96. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 正確な資料を持ち合わせておりませんが、三十七年度について見ますと、鶏卵生産費の約七〇%は飼料費でございます。そのうち、五一、二%が輸入飼料に負っておるということになっておるはずでございます。
  97. 兒玉末男

    ○兒玉委員 飼料政策について、大臣にお伺いしたいのでありますが、最近の統計資料によりますと、トウモロコシの輸入にしても、昭和三十二伸にはわずかに三十四万二千トン程度であったものが、三十七年から一千万トン台に飛躍的に増加しておりますし、またマイロという飼料でありますが、これは昭和三十七年の統計によりますと、二千九百八十六万トンの世界の住産量の五二%をアメリカが占めておる。貿易量においてもほとんど八〇%近くがアメリカの独占的な形態にある。こういう点から考えます場合に、マイロが昭和三十四年にわずか一万六千トンであったのが、昭和三十八年には八十四万二千トン、約六十倍近くの飛躍的な輸入量の増大になっておる。しかもトウモロコシの場合においても、大体世界の一億八千万トン程度の生産の中における割合は、五〇%を占めておるということがいわれておりますが、こういうふうなアメリカ飼料依存をしておる状況において、決して大量であるから安いということを一がいには指摘できないと私は思うのです。私の持っている資料によりましても、ここ最近一割近く以上の輸入飼料の値上がりがあったということが指摘されておりますが、こういう飼料の根本的な対策について、いま政府のとっている国内における自給度の向上という点からは非常に遠い感がするわけですが、大臣としては一体どう対処しようとしておられるか。この統計が示しますように、おそらく貿易の自由化によって、貿易先というものも、国内における自給態勢を相当強化しなければ、ますますアメリカの支配下に属してしまう結果になるのではないか。この辺の点について大臣の御所信を承りたいと思います。
  98. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 トウモロコシにつきましては、国内競争力に耐え得るというような状況に持っていくのはなかなか容易ではないと思います。しかし、この点も力を入れていきたいと思いますが、まず、いまのお話のように輸入先でございますが、いまでもアメリカからばかり輸入しているというような状況ではないのでございます。タイ等からも相当ふえていると思います。なおタイなどにつきましてはもっとふやしていく、あるいは技術の指導等もいたしまして、輸入先をかえていく、こういうようなことを考えます。また麦類等におきましては、午前中などにも申し上げましたように、裏作放棄が出ておりますが、非常に優うべきことでございまして、こういう方面も、あるいは協同組合等を通じ、機械化によって作付をしていく、こういうようなことで麦の方面はふやしていきたい、こう思っております。
  99. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間が参りましたので、あとはまた次の機会にかなり突っ込んでいろいろ見解も聞きたいと存じますが、少なくとも大麦、裸麦等の作付転換の状況等と比較した場合に、むしろそれと逆行して輸入飼料がふえている。こういう点は大きな矛盾だと私は思うのです。ですから、せっかくのりっぱな農地がほったらかされて、しかも貴重なドルを払ってアメリカ等から飼料輸入しなければ、日本養鶏はやっていけない、これは私は大きな矛盾だと思うのです。そういう点の解決について、さらに一そう今後大臣の御奮起を願いますと同時に、また局長としても、こういう飼料政策については、できるだけ国内自給度の向上ということについて一そうの努力を要望いたしまして、残った点については次会に譲りまして、私の質問を終わります。
  100. 赤路友藏

    赤路委員 関連してちょっと一点だけ。  先ほど来の大臣と局長の答弁で少し気になる一点があるので、お尋ねいたしますが、児玉君の質問は、卵価が下がった、これに対する需給の見通し、この点を尋ねたようなんですが、局長の答弁の中には、四十年度は無理な生産増強というようなことをできるだけ避けていきたい、こういう答弁があったと思うのです。ここで私聞きたいのは、養鶏が非常に予想以上に伸びた、それは事実なんです。ところが、予想以上に伸びたというのは、やはり条件があると思うのです。たとえば選択的拡大生産というので、政府がむしろこれを非常に奨励したということが一つあると思うのです。それからもう一つの条件というのは、これは自然的な日本の条件だと思う。労働力の面から見ましても、あるいは技術の面から見ましても、農業経営の一環として、飼料の問題がある程度片づけば、私は非常にいい条件を持っておると思うわけです。これを押えるということは、これから日本農業といいますか、所得格差を縮めるということをいろいろ中心にして言っているのでが、農政の行き方としては、それはちょっとどうも間違った行き方になるのではないか、こういうふうに私は思う。先ほど来、消費を増強するためにいろいろ手を打っておられるようなことをおっしゃっておりましたが、そこでお聞きしたいのは、そういうようないろいろな条件の上に、むしろ養鶏は伸ばしてもいいんじゃないか。要は、これをどう消費させるかということだと思うのですが、その際、これは学校給食ということを考えたことがありますか。検討したことがあるか。ただ一般に出すということだけで、これが需給のアバランスが来ておる。そういうことではなしに、一歩踏み込んで学校給食ということを俎上にのせて検討してみる、そうすると、これはいまおっしゃるように、そう抑制しなくても、飼料問題がある程度解決がついてくれば、むしろ、より農業問題の一環としてはいいんじゃないか、こういうことを考えたものだから、一点だけ大臣伺いたい。これは大臣の答弁が必要です。そういう考え方を持っているかどうか、伺いたい。
  101. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話のとおり、飼料の問題がつけば、土地等も狭い日本のようなところでは、養鶏というものは適当なものだ、こういうふうに思っておりますので、これを押えていくよりは、前向きで進めていくのが適当だ、こう思います。それで、消費の点でございますが、学校給食の点につきましては、ずいぶん検討を事務当局にさせました。午前中にも、いま踏み切るにはかくかくの難点があるというようなことを御答弁申し上げたように、研究はいたしております。しかし、なお検討はしてみたいと思います。      ――――◇―――――
  102. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 森林開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。湯山勇君。
  103. 湯山勇

    ○湯山委員 すでに御質問もずいぶんございましたから、残っている問題について、幾つかの点をお尋ねいたしたいと思います。  まずその一点は、今回の法律改正の最初の項目である監事の規定の改正でございますが、この趣旨はどういうところにあるのか、大臣からひとつお伺いをいたしたいと思います。
  104. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 公団等につきまして、前には、公団内部のことでありますから、その結果を理事だけに報告し、役員会等に報告するだけで、監督官庁であり、そこの首脳部であるところへは報告するという規定が、いままでは、去年あたりまでですが、大体公団になかったのでございます。しかし、監督上やはり主務大臣に報告をするということが、通常の上から見ても適当であろうというようなことで、つけ加えることに一般的にいたしたわけでございます。
  105. 湯山勇

    ○湯山委員 これはたぶん公団関係の監事につきましては、行管の勧告がございまして、それに従って――当初法管の勧告は、監事の、ひらたく言えば、権限を強化して、監査の適正を期するということにあったと思います。当初政府のほうから出てきました案は、総裁なり理事長を経由して大臣意見を述べることができるということになっておりましたのを、さらにその趣旨を一歩進めるために、経由しないで、単独に大臣にいろいろ意見を述べることができる、こうなったことは、いま大臣もばく然とおっしゃいましたけれども、そういう御答弁だったと思います。ですから、この点はそれでけっこうと思いますが、ただ問題は、監事の数でございます。監事のそういう権限が強化されたということは、これは私どもも非常にいいことだと思いますけれども、この公団には常任監事一名だけというように承っておりますが、その点はどうなっておりますでしょうか。
  106. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 お説のとおり、一名でございます。
  107. 湯山勇

    ○湯山委員 このことは、前に小売市場法案のときにも問題にいたしまして、結局当委員会といたしましては、監事の数は複数にすべきである、監事の権限が強化されればされるほど、一人だと場合によっては、これはオール・オア・ナッシングということになりまして、その意見が人によって違うといえば違うといえましょうけれども、機構としては必ずしも十全ではないという心配がございます。そこで、当委員会としても、昨年小売市場法案のときに、附帯決議におきまして、「管理会の監事の増員の措置を講ずること。」特に「機構の拡大に伴ない管理会の監事の増員の措置を購ずる」という決議がなされまして、それについては、政府のほうも善処しますという御意見の開陳がございました。今回の場合は、森林開発公団の事業は、来年度はそれほどではないでしょうけれども、将来を見通してまいりますと、相当大きな事業の拡大になると思います。さらにまた、そういう組織のたてまえからいっても、常任監事が一名だけということでは、これは監事の機能を十分に果たせないと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  108. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういう考え方も一応ごもっともだと思います。ただ、なるべく公団等におきましても簡素化するといいますか、公団の財政的な基礎からいいましても、簡素化するということが望ましいので、事業量に比例して監事等も一名ということにいたしたわけでございます。しかしながら、事業量が相当将来ふえまして、あるいは一人よりも、意見の違った二人がいたほうが監査の適正を期するというようなこともあろうかと思いますので、事業量あるいは機構の改正等とにらみ合わせて、そのことは考えていきたいと思います。
  109. 湯山勇

    ○湯山委員 実は一年前に、やはりいまのような御答弁をいただいて、それを受けて、あのときの附帯決議がなされたと思います。そこで、大臣の言われるように、なるべく常勤役員を少なくする、そのたてまえは私も決して反対ではございません。そこで、常勤をふやさなくても、いまのように監査の結果を直接大臣に具申するというような重要な段階には、少なくとも複数による検討をしまして、必ずしも意見が分かれなくても、その複数の人の意見が一致するというような問題については、これこそ力強く意見具申をするということになるわけで、常勤と限定しなくてもいいと私は思います。非常勤の監事をふやすということであれば、そう人件費も要るわけではないと思います。そういう措置を早急にお講じになる必要があるのではないか。特に公団の業務がいまのようにだんだん拡大をしていくということになってまいりますと、早急にそういう措置を講ずる必要があると思いますが、もう一度大臣のお考え伺いたいと思います。
  110. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 諸般の事情も勘案いたしまして、実は本案を提出する前に、御承知のように、政府のいろいろな機関で検討して提出したような次第でございます。でございますので、いまのような意見等も相当勘案済みといいますか、ではございますが、今国会においてどうということはいかがかと思いますが、検討はしてみたいと思います。
  111. 湯山勇

    ○湯山委員 検討ではなくて、本来監事というもののあり方、これは公団が大きい小さいの問題ではないと思います。そういうことではなくて、この委員会の意思も、監事というものは複数でなくてはならないという意見でございます。これはただ単に小売り市場の場合だけではなくて、全体に対してそういう考えを持っておるわけで、そうすると、前回、ああいう決議があってから後は、全然そのことだけで法改正をするということは、それはいまおっしゃったようにいかがかと思いますけれども、それ以後において改正する機会には、あるいは新しく法律をつくるときには、ぜひそうあっていただきたい。これが委員会の意思を反映するゆえんであると思います。そこで、御検討ではなくて、この段階としては、早急にそういう措置をとるというような大臣の御言明があっていいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  112. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 十分研究をしてからでないと、いま申し上げたように、御要求のような答弁はちょっといたしかねます。
  113. 湯山勇

    ○湯山委員 これは大臣ですから、そして大臣に今度は直接監事が意見を述べるというような段階でございますから、あまりそう慎重におなりにならないで、というのは、法律の改正について慎重にならないで、むしろ慎重にするためには、実態はふやさなければならないということだと思いますので、もうこれ以上御答弁は求めませんけれども、よくおわかりのとおりでございますから、ひとつぜひ御善処願いたいと思いますし、今後出てくる法律――どういうのが出るか存じませんけれども、公団とか事業団とか、そういうものが出る場合には、まだ出てない、これから出るものについては、ぜひただいまの点を御配慮願いたいと思います。これは非常に強く御要望申し上げる次第でございます。  そこで、実はいまのと関連してお尋ねしたいのですけれども、水源造林を始めまして数年たったわけですが、この計画などがはたして――私はよくわかりませんけれども、監事であったら、どうもなかなかこんなのは承認できないのではないかというような感じのする計画が出ておるのです。と申しますのは、このいただいた資料で見ますと、資料の十五ページに年度別がございます。三十六年度から四十四年度までありまして、三十六年度は契約の二万九千ヘクタールに対して五千ヘクタールの新植、三十七年度は三万八千ヘクタールの契約に対して一万四千ヘクタールの新植というようにしてまいっております。そこでいま、これも率直に申し上げますと、これに対してかなり理解をしておると思います公団造林推進協議会、その人たち意見は、どうも公団造林というのははかばかしくなっていない。たとえば昭和三十九年度は植えつけ計画面積に対して六五%程度しかできていない、それから四十年度においても植えつけ計画面積に対しては六〇%強しかできないというような評価をしておるのです。いただいた資料で見ると、そうではなくて、もう契約はそうであっても、新植の計画というのは大体達成されているのだというような資料になっております。これは、それぞれの、水源造林連絡推進協議会ですか、こういう人たちが勘違いをしておるのか、あるいはこの資料がどこかに間違いがあるのか、その点が私にはよく理解できません。  さらに、もっと説明をいただかなければ理解できないのは、確かに昭和三十九年までは契約面積の六〇%程度しか実施はできておりませんが、四十一年から急激に、いまの倍以上の新柄を行なうということになっております。つまり、三十九年度が一万八千ヘクタール、四十年度はそれよりもだいぶ多くなって二万一千ヘクタール、特に四十一年度はそれよりもはるかに大きくなって、三十九年度の倍以上の三万八千ヘクタール、あと四十二、四十三、四十四年は幾らか減りますけれども、大体三万八千ヘクタールというのが続いておるわけです。急激に四十一年からこんなにいまの倍以上の造林をしていく、新柄をしていく、こういう計画も、こうつじつまだけ合わしていて、実績はこのとおりいかないのじゃないかという懸念を持つわけですが、これは一体どういうことなんですか、ひとつよくわかるように御説明いただきたいと思います。
  114. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 現在の公団造林の進捗状況は、三十九年度で五万四千ヘクタール、約二割でございます。お説のとおりに、必ずしもこの進捗率は好成績とは申しませんが、ただ、公団造林を開始した当時の経緯にかんがみまして、その着手時期、それから着手後の契約の関係について、官行造林と切りかえの面で少し時間をとったというようなこともございます。やっと軌道に乗って、いまはすべり出してまいったわけでございますので、昭和四十四年に計画の面積を達成するということは、いまのところ可能と考えております。かように努力をしてまいりたい、こう考えております。
  115. 湯山勇

    ○湯山委員 やっぱり安心できないので、もう少し具体的にお尋ねいたします。  契約面積というのは、その年にこれだけ植えますという契約なんですか。どうなっておるのでしょうか。
  116. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 契約面積は、大体三カ年分ぐらいを対象に契約を進めてまいりまして、そうして三カ年分ぐらいをランニング・ストックとして持っておるというのが実情でございます。
  117. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると、たとえば本年度の二万四千ヘクタールというのは、昨年契約した中の三分の一なら三分の一、本年契約した三分の一というような形で出てきておるものでしょうか。これはただいつ植えてもいい、とにかくこれだけ契約した数字なんですか。
  118. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 いまのお話の二万四千という数字、これは四十年度の数字をおっしゃっているのか……(湯山委員「三十九年度」と呼ぶ)三十九年度は、これは実績でございます。大体いま申し上げましたようなことで、その契約面積をふやしてまいっておる、こういうことでございます。
  119. 湯山勇

    ○湯山委員 もっと具体的にお尋ねいたします。三十七年度に三万八千ヘクタールの契約がなされております。三十七年度に契約した三万八千ヘクタールというのは、いつまでに新植を完了するという計画でございますか。
  120. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 契約といたしましては、大体三年以内に着手をする、これは契約上そういうような約束でございますけれども、ただ、その対象面積が、たとえば記名共有であるとかいう場合には、相当に地上権設定が年月がかかるということがございます。それから一方、いま申し上げましたように、新柄のほうが若干予定よりはおくれているという面を勘案もいたしまして、契約面積の拡大については考慮を払っておるということがございまして、このような数字になっております。
  121. 湯山勇

    ○湯山委員 契約をするときには、もうその用地の問題は解決してから契約なさるのじゃないですか。そうすると、当初の三十六年度あたりに二万九千あるいは二年目の三十七年には三万八千、つまり、契約状況というものが非常に進んでおる、順調にいっておる、ただ問題は、その公団による新柄がうんとおくれている、こう理解していいのじゃないかと思いますが、それはいかがでしょうか。
  122. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 契約の時点においては、原則としてお説のとおりでございます。ただ実際問題といたしましては、いま申し上げましたようなことがわりに少なくなっているということを申し上げたいと思います。
  123. 湯山勇

    ○湯山委員 ですから、いまの点は私もちょっと理解に苦しみますし、長官もこれはどうもうまくいっていないという御理解だと思いますが、そういうことでございますか。
  124. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この計画の終期を四十四年と定めておりまして、この計画期間どおりに予定の面積を実行したい、こういう考えでおりますので、ここでいま申し上げましたような、若干おくれているという点についての是正に努力して、計画数量を確保するというふうに持ってまいりたいと考えております。
  125. 湯山勇

    ○湯山委員 そうしますと、これは非常に申し上げにくいことですけれども、この計画の一万四千とか一万七千、過去三カ年これは実はもう少しよけいやりたかった、しかし、実績はこれに伴わなかったというので、この数というのは、あとからつくった数じゃないかという感じがいたします。というのは、下の年度別の実績のほうでは、この表を見ますと、計画どおりの実績が実施されたようになっておるのです。そうすると、新値がおくれたということではなくて、この表からは計画どおり行なわれたという結論しか出てこない。だから、これはどこかその点では間違いがあるのじゃないか、あるいはあとのほうへ追い送るために実績に合わして計画をつくったというようなことも考えられないことはないと思うのですが、その辺はひとつ率直におっしゃっていただきたいと思います。
  126. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この計画の数量につきましては、この事業着手の時点におきまして作成した計画に対しては、若干の修正が行なわれております。それから私がややおくれていると申し上げましたのは、全体の計画に対していまの進度率を申し上げたわけであります。
  127. 湯山勇

    ○湯山委員 いまおっしゃった点はそれで理解いたします。ただ問題は、これからなんですが、今年は三千ヘクタールばかりですからけっこうと思いますけれども、四十一年になりますと、ことし三千ヘクタールふえた、それのまた六倍近いもの一万七千へクタールもふやさなければならないそれについては政府の出資金相当必要だと思います。現在三十九年度で、それに対して二十七億くらいでございますか、そうすると、それの何倍もの政府出資が要るのじゃないかと思いますけれども、それらの点については、一体どうなっておるのでしょうか。
  128. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この資金につきましては、国有林野事業特別会計の利益剰余金が充てられております。四十年度の予定が三十二億ということになっておりますが、今後の所要資金につきましては、国有林野事業の合理化をはかりながら、その利益剰余金の増加をはかって、出資金に不足のないように持ってまいりたい、こう考えております。
  129. 湯山勇

    ○湯山委員 それでは四十一年度はどれくらい出資されるか、そうすると、四十二年以降は大体それから推定がつきますから、四十一年度ではどくらいの政府出資をいま見込んでおられるか、お尋ねいたしたいと思います。
  130. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 その点につきましては、なお四十年度にも入っていないという段階でございますので、はっきりした予定額をいま申し上げることは、ちょっとむずかしいと存じますけれども、この予定の面積が実行できるようにできるだけ努力をしたい、そう考えております。
  131. 湯山勇

    ○湯山委員 長官、もう少し大胆率直に御答弁いただいたほうがいいと思います。それは過去の実績についても満足いかない、そのしわ寄せが相当いまから先、特に四十一年度以降へ持ち越されている。だから、現在の倍以上飛躍的に新穂をやっていかなければならない状態にある。そうすると、資金はどのくらい必要だということは、もう技術的にも大体できると思います。だから、もうそういう点については御遠慮なく、これくらい要る、それは確保するというようなことを思われないと、いまのようにやっていくつもりだという御答弁だけいただいても、現在までの実績が実績ですから、そうですかというわけにもいかないと思います。特にいまそれぞれ森林開発公団の造林計画完成についての陳情もまいっておりますし、長官もごらんになったと思いますが、これで見ますと、一画変更をしてほしいというくらい強い要望なのですから、私にお答えというのではなしに、こういう人たちが安心できるような御答弁をいただきたいと思うわけです。
  132. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 いま申し上げましたようなわけで、四十一年度の予算は、明確にはちょっとむずかしいのですが、大体五十億前後というふうに考えているわけでございます。
  133. 湯山勇

    ○湯山委員 私も大体それくらいじゃないかとしろうと目ではじいておりました。その確保は絶対だいじょうぶかどうか、これは農林大臣大きな問題ですよ。いまのように本年度あたり三十二億、四十一年度五十億以上の政府出資が必要である。これは当然確保なされるという御決意がなければ、この計画が実施されないということになるわけですが、その点については大臣は自信をお持ちでしょうか。
  134. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 面積に比例して、その費用を確保していかなければならないと思いますし、ことし三十二億ですから、四十一年は五十億というのはぜひ確保していきたいと思っております。
  135. 湯山勇

    ○湯山委員 いまのような問題は、私のようなしろうとが見ても、かなり疑問が出てきます。だから、やはり監事がしっかりしておれば、これじゃいかぬ、ここはおくれている、ここはもう少しこうしなければならぬということは、当然出てくると思うのです。  そこで、重ねて大臣に申し上げたいのは、いまのような点もございますから、ぜひ早急に監事の充実をおはかり願いたいということと同時に、長官のほうへは、いまのような点でかなり不安を与ておりますから、そういう不安が除去できるように、十分な御配慮と積極的な推進をお願いいたしたい。これはよほど鞭撻していただかないと、私は、目標年次に目標どおりの造林はむずかしいという気がいたします、これはぜひひとつお願いいたしたいと思います。  それからその次には、やはり今度の法改正の中で出てくる問題ですが、地方財政再建促進特別措置法、その一部改正がございます。その中に今度の公団も入るわけですが、そのことについてお尋ねする前に、いままではこの公団が地方公共団体から寄付あるいは賦課金を課する、そういうことをやっておったかどうか、実情はどうなっておるのでしょうか。
  136. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 いままでは森林組合であるとか、あるいは都道府県の職員の手伝いを得たという慣例があったというふうに聞いておりますけれども、現在はそういうことは全然ないということでございます。
  137. 湯山勇

    ○湯山委員 そういたしますと、どういうわけでこの規定へ今度新しくお入れになったのか。従来、いま長官がおっしゃたように、そういう事例が、いまお手元ではないと思うという御答弁ですが、ないものならば、あえて地方公共団体からの寄付は受けちゃならないというような規定をする必要はないと思いますけれども、それはどういうことなんですか。
  138. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この森林開発公団法が制定されました当時は、地方公共団体が国または公社、公団あるいはそれに類するものに法律に基づかない寄付金その他を寄付をしてはならないという法律はなかったわけでございます。この法律ができた当時には、いまの剣山、熊野の事業が進んでおったという関係もございまして、あえて他の一般の公社、公団のように指定されていなかったわけでございます。たまたま、この際改正を機会に、そういうことのないようにこの公団も指定されるということでございまして、要するに、その市町村がそういう法の趣旨を体して実行すれば、いま先生のお話のような問題は出てこない、こう考えております。
  139. 湯山勇

    ○湯山委員 そうすると、今度事業内容を拡大したために、そういうことが行なわれる心配ができてきたということで整備したというのではなくて、従来地財法の改正に伴ってそのときにやっておけばよかったのだけれども、その当時はいまの熊野、剣山、そういうものの事業もだいぶ終わっておったので、意識していなかった。しかし、今後継続してずっと長期にわたってこういう林道開設等をやるから、この際規定を明確にする、こういう御意図でございますか。
  140. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 お説のとおりでございます。
  141. 湯山勇

    ○湯山委員 それで、一つお尋ねしたい点は、いまの長官の御説明では、県なりあるいは市町村なりからいま寄付その他の援助は受けていないという御答弁でございましたけれども、それは私の聞いた範囲では、現にそういうことが行なわれているというふうに聞いておりますが、これはどうなんでしょうか。
  142. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 その点につきましては、ただいま申し上げましたように、その例はないと聞いております。
  143. 湯山勇

    ○湯山委員 実はいただいた資料によって見ましても、公団の支所、出張所の人員というのは、職員の方がそんなに多くないと思います。これは、そういう職員の数はできるだけ少なくしていこうということですから、それはけっこうだと思いますが、実はこの支所なり出張所の人たちというのは、植林の現地へ出ていって、現場の検査をするとか監督をするとか、外へ出ていることが非常に多い。そこで、関係の町村長あたりがいろいろ相談をしたいということで行っても、人がいない。そういうことから、やむを得ず、森林組合でそこへ事務員を配置する、あるいは県庁職員という身分でそこで仕事をして、実質は公団の仕事を手伝っているという事例が、表向きは、いま長官のおっしゃったように、ないことになっておりますけれども、実態はそういうのがあるのではないでしょうか。現にあると私は聞いております。また、あり得ることだと思います。いまのように、ほとんど出張所なり支所なりにおっては、仕事にならない。出て行く。けれども、いまの契約とかそのほかで事務処理をすべきことは、いまの段階で相当あると思います。それらの事務処理が全部部滞っておる。そこで、町村のほうにしてもやむを得ずそうせざるを得ない。森林組合にしてもやむを得ずそうせざるを得ない。こういうことになって、いま言ったようなことができてきておるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  144. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 その点につきましては、いま申し上げましたように、そういうことはないと聞いておりますけれども、しかし、もしかりにあるとすれば、この法の施行の機会に改めなければならない、こう思います。
  145. 湯山勇

    ○湯山委員 改めるというのには、二つ方法があると思います。一つは、そういう手伝いが来ておる、あるいは森林組合等の費用で人を置いている、その人をなくするというのも、これは改めることになると思います。しかし、それでは実際に仕事ができないわけで、当然そういう実務に当たる人の増員ということがなければならない。つまり、職員を増員することによって改めるという改め方と、あるいは監督官庁から公団に対してそういうものを置いてはいかぬということに改めるというのと、二通りあると思いますが、長官はいずれをお選びになられますか。
  146. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 まず、市町村においては、この指定と同時に、この法の趣旨を体して、地方公共団体の整備促進の趣旨に基づいて、そういう寄付をしないという態度を明らかにし、実行をしてもらってまいります。それから一方、公団の支所、出張所等におきましては、さらにその執務体制がどうなっているのか、そういう補助を受けないでも、そういう手伝いを受けないでもやれるはずであるのに、そうしているのか、もしそうであれば、なおさらこれは問題外ですけれども、増員が必要なんだというような場合には、それなりの検討をして善処しなければならぬ、こう思っております。
  147. 湯山勇

    ○湯山委員 もし御調査になって、そういう事態がある場合には増員する、つまり、いま申し上げているのは仮定の条件ですけれども、いまあとでおっしゃったような事態がある場合には、職員を増員する、これは当然そうだと思いますが、もう一度御確認をいただきたいと思います。
  148. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 それはこの仕事の進行とともに、それぞれ繁閑もその支所支所においては出てくるでしょうから、配置転換その他合理的に配置を考えていくということをまず考える必要がありましょうし、それでもどうしても増員をしなければその課せられた仕事が遂行できないという場合には、増員も考えなければならぬ、こう思います。
  149. 湯山勇

    ○湯山委員 と申しますのは、また先ほどの問題に返るのですけれども、今年度は大体昨年度の三割ぐらいの、つまり、四十年度は三十九年度の三割程度の植林の増があります。それから再来年度になりますと三十九年度の倍以上の植林をする、新値をしなければならない。そうしますと、事業量からいっても、当然これは繁閑を考えるではなくて、もう絶対量が足りなくなるのはわかり切っておることだと思うのです。そこで、いま申し上げましたように、一般論ならば、調査をして繁閑を調べてこうこうやることは考えられますけれども、そうでなくても、もう絶対量が再来年度は今年度の倍になることは、先ほどの計画によって明瞭なんですから、何も検討されなくても、ふやさなければならないことだけは明白だと思います。これはそれでいいのでございますか。
  150. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 一方、関連林道の仕事が片づいてくるということがございます。しかし、また一方、いま提案申し上げておりますような仕事が出てくるというようなこともございますので、かれこれ勘案しながら、御趣旨は十分に尊重して進めてまいりたい、こう考えております。
  151. 湯山勇

    ○湯山委員 これもひとつ大臣にお尋ねいたしますが、いまのように、林道の事業も、関連林道はなるほど終わるのもできましょう。けれども、また新しいのもできてくるわけですから、それはそれとして、新しい事業もできていく。昨日の理事長の答弁では、配置転換等をやっていくというのが手一ぱいだということですね。それは無理じゃないかというけれども、何とかやりくりしていこうという状態ですから、今後新値がふえれば当然定員増をしなければならないということだと思いますが、これは大臣いかがですか。
  152. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのようなことは、時期というか、事情に即して考えていきたいと思います。
  153. 湯山勇

    ○湯山委員 それからこれも昨日指摘がありましたけれども、実際には補助員という形で、現在の職員と同じような仕事をしておる者が相当数ある。現在の補助員が全部そうだとは私は思いませんけれども、相当数あるということは、これは理事長が認めたとおりでございます。補助員という形は決して安定した雇用形態ではございません。しかし、必要だから、やむを得ずそういう形をとっているということだと思います。これは林野庁自体の定員をふやすということだと、なかなかむずかしい問題もありましょうけれども、その辺が融通がきくといいますか、正常化できやすい状態にあるというのが公団の特徴ではないかと思います。そこで、いまの増員をはかるのと同時に、現在補助員という形で臨時あるいは身分の不安定な人たちを安定させる、そういう措置もとらなければならないと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  154. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 その仕事の職務内容と責任に応じて、いろいろ段階を考えて雇用しておると思いますけれども、今後仕事がふえていくという傾向にもございます。そこで、そういう職員の全体の定数の問題、それから今後の職員の処遇の問題につきましては、十分に理事長にも相談をいたしまして、善処いたしてまいりたい、こう考えております。
  155. 湯山勇

    ○湯山委員 定員をふやす権限はだれにあるわけでございますか。
  156. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 公団の定員は予算定員で、予算の範囲内でふやすことができる、農林大臣と協議して理事長がきめることができる、こういうふうに考えております。
  157. 湯山勇

    ○湯山委員 一人ふやすのでも農林大臣と協議をする、許可を得るという必要があるわけですか。
  158. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 現在の定員の数をふやすことについては、協議する必要がございます。欠員の補充はこれは必要がございません。
  159. 湯山勇

    ○湯山委員 そういう協議があった場合には、農林大臣は、いま私がいろいろお尋ねしたことから考えましても、申し出のあった場合には、当然真剣に御検討になられてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  160. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実態をよく見きわめて十分措置をとっていきたいと思います。
  161. 湯山勇

    ○湯山委員 最後に、公団法の改正の、いまの地財法との関係ですが、これは私はまだ心配な点があると思います。と申しますのは、森林組合の寄付等によって人を置いているとか、あるいは何かやっているところがかなりあると思うのです。この改正によって、確かに公共団体からの寄付行為はとまると思います。これは法律できまればやるわけにまいりません。ただ抜け道がある。地方公共団体、市町村は森林組合には補助を出すことができます。そうすると、その補助を受けた森林組合がトンネル機関になって、法律ではとめられているけれども、もらった補助から公団のほうへ寄付をする。そうすると、せっかくこういう規定をつくりましても、実際にはこれがざる法になる危険が多分にあると思うのです。自治省見えておりますか。
  162. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 いま呼んでいるようです。
  163. 湯山勇

    ○湯山委員 自治省にはあとで聞きますが、農林省としても十分御配慮になっておかないと、いまのようなことが公然とできるわけです。それに対する規制措置、これはどのようにお考えですか。
  164. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 いまお話しの地方財政再建促進法のあの趣旨を地方公共団体が十分に体して、その財政の再建を促進するという立場に立って、法を尊重していくということがまず大事だろうと思います。それから森林開発公団のほうといたしましては、そういう寄付を受けることのないよう、林野庁としては指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  165. 湯山勇

    ○湯山委員 これはひとつ長官に明確にお答えをいただきたいのですが、公団に対しては、名目のいかんを問わず森林組合等から寄付その他それに類するものを受けてはいけないという厳重な通達をお出しになるということでなければなりませんし、森林組合側へも、この法改正の精神はこうだからそういうことをしないようにという通達を出す必要があると思いますが、お出しになられますか、いかがでしょう。
  166. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 その点につきましては、ひとつ公団をよく指導いたしまして、通達等遺憾のないように措置をしてまいりたいと考えております。
  167. 湯山勇

    ○湯山委員 自治省のほうは保留します。
  168. 赤路友藏

    赤路委員 関連して。いま湯山君の質問の中で、公団実績がありました。どうも答弁を聞いてみて、少し不安があるのですが、こういう計画が、一体長官が言うように簡単に達成できるかどうか。従来の公団の実績から見て、いろいろ御答弁あったわけなんですが、ここで大臣にちょっとお考え伺いたいわけなんですが、私は何か欠陥があるように思うのです。公団の運営に欠陥があるのか、それでなければ、林野庁が小じゅうと式に容喙し過ぎるためにうまく公団運営ができないのか、何か欠陥がなければ、計画化されたものが非常に少ない実績で終わるなんということはないはずなんです。もしいまのままだったら、長官がおっしゃったような計画は達成できないのじゃないかという不安があるわけです。だから、公団運営については、この際十分再検討をする、こういう必要があるのじゃないかと思うのだが、大臣どうでしょうか。
  169. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 見ておりますと、従来の計画に大体沿うて実績が出ているようでございます。たとえば三十六年は、新値五千ヘクタールに対して四千八百六十六、三十七年は一万四千ヘクタールに対して一万三千七百、こういうふうに計画に沿うた実績でございますので、四十年度に二万一千ヘクタールという計画も適当であると思いますし、四十一年にはちょっと多うございまして、先ほど言いましたように、倍近いのでございますが、これは林業基本法もでき、新植等にも公団をして力を入れさせる、そしてまた従来の実績から見て、これくらいのことは可能である、こういうふうに思います。
  170. 赤路友藏

    赤路委員 大臣はそう言うけれども、十五ページで見ると、三十七年契約が三が八千、それが一万四千、三十八年三万八千が一万七千、三十九年二万四千が一万八千、これをそのまま積み上げていくと、三十八年から四十年度のところでも相当もう計画よりいってないところが出てくるわけなんです、いまのようなことをやっておると。長官が説明したことはわかるのだが、単なる数字の羅列に終わっては困るから、だからどこかに欠陥があるのだ。その欠陥を見出して、是正するような前向きの取っ組み方をしなさい、こういうことなんです。
  171. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 計画どおりいかないとすれば、どこかに欠陥があるはずです。その欠陥はよく検討をいたしまして、それを補って、より以上前へ進むようにいたさなくちゃならぬと思います。
  172. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 続きまして森義視君。
  173. 森義視

    ○森(義)委員 質問の冒頭に、先ほど同僚の湯山氏から質問がありました地財法の関係で、市町村の寄付金が従来なかったという長官の答弁でございますが、何かの間違いじゃございませんか。私の資料では、昭和三十二年度から現在までの市町村の寄付金の契約総額は二億一千五百八十九万、現在継続中のものが四十六件で一億三千百万となっております。長官は先ほど、地方公共団体からの寄付金はなかった、こういうふうにおっしゃっておられますが、何かの間違いではございませんか。
  174. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 先ほどの湯山先生のお話並びにそれに対します私のお答えは、森林組合等の手伝いというような点でのお尋ね、並びにそれに対して御答弁申し上げた、こういうつもりでいたわけでございます。それで、熊野、剣山についての林道開設事業について、町村側における開設の事業そのものについての要望、あるいは改良野業についての要望、そういう要望についての寄付金は、これはいま先生の御説のとおりに相当多額にのぼっております。それで、その原資をもって事業を実行しておるということでございまして、この点は、昭和三十一年から現在までの市町村の公団に対する寄付金といたしましては二億一千五百万円、寄付件数にして七十九件、こういうことになっております。
  175. 森義視

    ○森(義)委員 同僚の湯山議員はそのことを冒頭に質問したのですよ。それでは、これは受益者負担の総額の何%くらいになりますか。
  176. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 総額におきまして、事業費は三十四億一千七百万円でございますから、約七%程度になるかと存じます。
  177. 森義視

    ○森(義)委員 総事業費三十四億に対する三八%、これは受益者負担分ですね。この金額に対して、市町村から受けた二億一千五百万というのは何%ですか。
  178. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 受益者負担に対しましては一五%程度に当たっております。
  179. 森義視

    ○森(義)委員 ちょっと待ってくださいよ。三十四億の三八%といったら三分の一として十億ですがね。それに対して三億一千万だから、約二〇何%ですね。そうなりますね。その数字はあとで出ると思うのです。これは受益者負担分のかなりの部分を占めるわけですね、市町村からの寄付金額が二〇何%になりますと。今度の地財法の適用によりまして、これが全然寄付を受けられなくなる。そうなりますと、受益者負担分というのは、まるまる今度は森林業者が負担することになる。そうしますと、今度の負担率はかなり低くなったとはいえ、ほとんど変わらないのじゃないかと思うのです。熊野、剣山に比べまして、今度スーパー林道の場合には低くなっておりますが、それにしても、市町村からの寄付金が全然もらえない。こういうことになりますと、これはほとんど変わらないのではないかと思いますが、その点どうですか。
  180. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 熊野、剣山の地元負担は、御承知のとおり三八%でございます。三八%に対して、今度の新しい林道はその半分以下の一五・八%、こういうことでございます。で、その率においては、熊野、剣山に比べて非常に低いということが一点。それから熊野、剣山の場合には、国有林の負担がない。それが今度の場合には、相接した場所で林道が開発されるということで、国有林も一部を負担するということになってまいりますから、そこで、地元負担率としましては、率自体が半分以下になるはかに、国有林の負担が肩がわりするということになります。
  181. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、実は大目にお伺いするのですが、この新しく出されました森林開発公団法の一部改正ですね。私は、実はこの法案が二十八国会で提案されました当時の議事録を全部読んでみたわけです。そのときの目的から申し上げますならば、今度の一部改正の目的というのは、基本的に大きく変わってきておるわけです。ところが、目的改正を全然せずに、事業範囲の拡大で処理をしよう、こういう形に法改正が今度なっておるわけです。この点については、先日先輩議員の芳賀委員から、これは森林開発公団の延命策ではないか、こういう質問があったわけです。実はあとで具体的な内容については質問いたしますけれども、私は、この法の法目的を改正せずにこれを事業範囲の拡大で処理しようとされることに対して、たいへん疑問を感じているわけです。大臣、こういう法の目的を改正せずに、事業範囲の拡大でこれを処理しようというふうに考えられた基本的な考え方、発想はどこにあるのか、その点についてお答えを願いたいと思います。
  182. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、今度の法改正の内容は、従来の第一条の目的の中に包含されている、こう思いますので、特に目的を変えません。ただ、特定の地域内というようなことが、このほかの条文に出ているようなことがありますけれども、第一条そのものはこのままで今度のものも包含してよろしい、こう思っております。
  183. 森義視

    ○森(義)委員 そうしますと、第一条のこの法の目的というのは、その末尾に書かれてありますように、「林業生産の増大に資することを目的とする。」ということで、この森林開発公団法が制定されました国会の審議模様を議事録によって調べてみますと、いわゆる森林資源の増大、このことに実はしぼられているわけです。ところが、今度「その事業の施行が当該地域における林業以外の産業振興の見地から相当であると認められるものを施行すること。」いわゆる採択基準にこういう新しい事項が入っておるわけです。しかも、これは産業振興の見地からもという「も」が入っていない。「産業振興の見地から相当である」と、非常にウェートを持たした書き方をしているわけです。大臣のおっしゃるように、目的はこれでいいのだ、これはその事業範囲の拡大の中に入れていいのだということでありますならば、前国会に議員立法で出されました奥地等産業開発道路整備臨時措置法との関連はどうなるのですか。この奥地等産業開発道路整備臨時措置法の内容を見てみますと、明らかにその中に、森林資源が豊富に存し、かつその開発が十分に行なわれていない地域というのが含まれているわけです。だから、これは奥産法でやるべき問題じゃないですか。少なくともこの後段の事業内容を入れようとすれば、第一条目的を明らかにしないと、そういうものが入ってこないと思うのです。これはたいへん重要な法改正なんです。それを大臣は、一条の目的の中にこの法改正の内容も明らかに含まれている、こういうふうにおっしゃいますけれども、私はそれではたいへん問題があると思います。重ねて大臣にお伺いいたします。
  184. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その点、法改正を私は必要としないと思うのです。というのは、「森林を急速かつ計画的に開発するために必要な林道の開設、改良、復旧及び管理、森林の造成等の事業を行うとともに」この中にスーパー林道の問題を含めて差しつかえない、こう思います。
  185. 森義視

    ○森(義)委員 大臣はその前段において法改正を必要としないと言っておるのですが、後段の「かつ、その事業の施行が当該地域における林業以外の産業振興の見地から相当であると認められるものを施行する」そうすると、この条件は附帯条件ではないのですよ。この条件が整っておらなければ採択基準に入らないわけです。見地からとも書いてありませんよ。
  186. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 今度の法案改正に際しまして、新しい林道の開設は、公団法にいうところの目的と全く同じであるということで、その改正の必要を認めなかったわけでございます。つまり、旧公団林道が、地勢等の地理的条件がきわめて悪くて、しかも豊富な森林資源が未開発のまま放置されておる、そういう地帯を開発するのだということをうたっておりまして、そして林業生産の増大に寄与するということをいっております。それで、今度の場合も全くその趣旨で行なうわけでございますから、そこで、その目的にかなうものである、こういう解釈をとっております。ただ、この旧公団林道自体を通るトラックも大型になるし、またその他、いろいろな林業機械化の促進とともに大型機械も通るということになりますと、どうしても林道の規模、そういうものが大とならざるを得ない。さらに、残された低開発地帯というものは、二県以上にまたがって走っていく林道も相当出てくるということで、そういう林道は、結果としてはその地帯の他の農産物の搬出その他にも寄与するということが考えられるわけでありまして、およそ道と名のつくものは、その主たる産物の搬出に供されるほかに、いろいろ環境整備の面、福利向上の面で十分使われるわけでございますから、この林道においてもそういう効果のあることはよくわかるわけですが、ただ、そういう開発効果の大きいものから採択していく、その採択基準として拾っていく場合には、十八条に改正すべくうたっておりますように、そういう効果の大きいものから拾っていく、こういうことで、あくまでも枢要となるべき林道であって、守備範囲がきわめて広いとか、そして他の産業の開発にも、結果として、反射効果として寄与していくようなものから拾っていこうという、あくまでも採択基準をここでうたっておるわけでございます。  なお、奥地産業開発、あの建設省の道路につきましては、あれはあくまでも奥地と一般の国道その他をつなぐ道路法上の道路について言っているわけでございまして、その点、林道とは全然目的、角度が逢う、そういう考え方でございまして、なお、念のために、あの奥地産業開発道路で、道路法上の道路をつける場合に、これは林野庁の林道網等とその調整はしてまいって、そうして、二重の投資になるようなことのないように相談をいたしましょうという申し合わせになっております。
  187. 森義視

    ○森(義)委員 それではいまの御答弁ですと、スーパー林道の場合においても、この法の第一条の目的に合っておる、こういう御答弁だと思うのですが、議事録を読んでみますと、井出委員の質問に対して、長官はこのような答弁をしておられます。井出委員は、熊野、剣山地区にしぼった理由について質問をしておられるわけです。他にもそういう地区があるのではないか。それに対して長官は、こういう答弁をしておる。「そこで未利用地域二万町歩くらいの森林を持っております個所というものがどれくらいあるかと申しますると、」「十五カ所くらいあるわけでありますが、これらの森林はおおむね現在の森林内容が非常に貧弱であるといったようなことなり、あるいは特に治山治水上の面を考慮いたしますと、必ずしもそれを伐採した跡地に造林をするような適地というものは非常に少い、」「いわば地域開発的な考え方をもちましての公団機能の活用ということにつきましては、私どもといたしまして、必ずしも将来に対する期待というものは持てないと思うわけでございます。」こういう答弁をしておられる。そうしますと、この法案ができたときのいわゆる熊野、剣山二地域にしぼった理由というのは、はっきりと、他の地域ではとうてい森林資源が豊富でない、あるいは針葉樹の用材が非常に少ない、あるいは造林の可能性、条件がない、こういうことから、熊野、剣山にしぼられた。そのときの用材林の基準というものが、一ヘクタール百四十四立米ですね。こういう豊富な森林資源、しかも針葉樹の用材資源というものを基準にして、こういう特定の地域だから、熊野、剣山二地域にしぼったんだ、いわゆる二万町歩くらいのところは十五カ所くらいあるけれども、今度の森林開発公団の施行するあれに適合する地域はこれだけしかないんだ、こういうふうに言っておられるわけです。それにもかかわらず、今度はもっと大きな地域開発の目的を含めたものをここに持ってこようとされる、私はあの法の審議過程の議事録を読んでみますと、すでに森林開発公団の任務は、熊野、剣山の開発で終わっておる、こういうふうに考えるわけです。したがって、先ほど申しましたように、森林開発公団の延命策じゃないかというふうな疑いを持たざるを得ないわけであります。しかも、それが今度は法を一部改正して、森林開発公団の延命策を考える場合に、いままでの目的とは大きく違った公共的な任務を持たしておられるわけです。そういうことならば、きわめて一貫性がないと思うわけであります。その点について、重ねて長官に、この法立法当初の考え方について、この点間違いないとすれば、当然今度はこういう大きな改正をする場合においては、法の目的それ自体を改正し、整備しなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
  188. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 熊野、剣山の開発を行なうにあたって、森林開発公団法が制定されました。その当時の採択基準といいますか、いきさつからいいますと、いま先生のおっしゃったのと少し逢うのですが、まず条件として、国有林のないこと、それから針葉樹林の蓄積が非常に豊富であること、それからそのあとの針葉樹の再造林が可能であること、その次が豪雪地帯でないこと、そういったような条件があったかと思います。そういうようなことで、やはりあの当時において熊野、剣山を選んでいく場合に、候補地がいろいろあったことと思いますが、そういうことで一応あの地域にしぼったわけでございます。そこで、その当時の長官の答弁としては、いま申し上げました、たとえば針葉樹の蓄積が非常に大きいのだというような意味においては、あの地方しかないのだ、こういう意味で答弁をしておったと思います。しかしながら、その目的とするところは、やはり地形、地勢等の地理的条件がきわめて悪くて、しかも豊富な森林資源が未開発のまま眠っておる、そういうところを急速かつ計画的に開発を進めていくことによって、林業年産の増大を期するのだというその趣旨は、一貫して流れておるわけでございまして、今度の新しい林道に受け継がれたのだ、こういうことになるわけでございます。そういう意味合いから申しまして、公団発足当時の目的と何ら変わるところはない、こういうふうに考えております。
  189. 森義視

    ○森(義)委員 この問題は、芳賀議員からもずいぶんと掘り下げて質問されましたけれども、結局並行線のままの答弁で、私どもとしては理解に苦しむところでございますけれども、次に進んでいきたいと思います。  先ほど長官は、今度のスーパー林道は、受益名負担の問題について、国有林も受益者負担として負担をする、こういうお話でございました。したがって、全体の受益者負担というものが示されておるパーセントよりも低くなる。そうしますと、国有林野事業が三十五年間の債務を負担することになるわけですね。これは財政法の債務負担行為のあれに違反するのではないですか、五カ年以内でしょう。だから、国が国有林野の質業に債務を負担する、しかも二十五カ年間の債務を負担する。これは財政法に違反するのじゃないかと思うのです。その点はどうですか。
  190. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 その点につきましては、法律に基づく債務であるといま考えておりますので、それで長期間の債務でありましても負担して差しつかえない、こういう解釈でございます。
  191. 森義視

    ○森(義)委員 法律に基づく債務だから、長期間でも差しつかえない、そういう適用が財政法十四条の二項にありますか。ちょっとそれを読んでください。
  192. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 財政法の第三章予算の第一節総則でございますが、申し上げますと、「法律に基くもの又は歳出予算の金額(第四十三条の三に規定する承認があった金額を含む。)若しくは継続費の総額の範囲内におけるものの外、国が債務を負担する行為をなすには、予め予算を以て、国会の議決を経なければならない。」こういうことになっております。
  193. 森義視

    ○森(義)委員 だから、それをもうちょっと詳しく説明してほしいのです。これは自治省の財政当局来ておりますね。――林野庁長官に法文を読んでもらうだけでは理解できませんので、ひとつ説明を加えてください。
  194. 岡田純夫

    ○岡田説明員 財政法は大蔵省のほうの関係でございます。
  195. 森義視

    ○森(義)委員 大蔵省を呼んで質問するのが筋ですけれども、自治省の財政課長だから説明ができるのじゃないかと思って質問してみたのですが、それじゃせっかく財政課長がお見えになっておりますので、何かほかの委員会にお呼ばれになっているようでございますので、その点、これに関連して先にお尋ねしたいと思います。  実は熊野、剣山の開発のときは、財政負担が国は五二、県が一〇、それから地元三八、こうなっています。今度の新しい公団林道、スーパー林道の場合は、国が六六・七、それから県は、これは後進地域適用団体の関係もありますので、一〇から一七・五、それから地元が一五・八、こういうふうになっておると聞いておりますが、この点について、従来の熊野、剣山の場合に、県が負担する分、市町村が負担する分については、完全に実施されておるかどうかということが一点。それから今後衆が負担する分が一〇から一七・五にふえるわけですが、その点について、十分大蔵省、農林省、自治省との間の話し合いがつき、自治省としては了解しておられるのかどうか、この二点についてお尋ねいたします。
  196. 岡田純夫

    ○岡田説明員 従来の児の負担分については、地元団体において完全に負担しておると心得ております。それから今回の一七・五%、これに後進地域のかさ上げが伴いますが、その問題につきましては、現在提案されている姿において、すなわち、林野庁から説明のありましたとおり、完全に実施していくはずでございます。
  197. 森義視

    ○森(義)委員 後段のほう、ちょっと聞き取りにくかったのでございますけれども、そういう財政措置をしておられるわけですね。
  198. 岡田純夫

    ○岡田説明員 地方財政計画上、各省の補助事業関係等につきましては、全部裏負担を算入するたてまえをとっております。したがいまして、この問題にも対処していけるというふうに考えております。
  199. 森義視

    ○森(義)委員 それで、林野庁長官にこの関係でお尋ねしたいと思いますけれども、国と県と受益舌負担の比率、これは大蔵省、自治省とずいぶん折衝されたと思うのですが、当初の林野庁の計画はどういうものであったか。あるいはこの交渉にあたっての林野庁の、国と県と受益者の負担についての基本的な考え方はどうであったか、この点についてお尋ねいたします。
  200. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この負担割合は、いまお説のとおりに、国が三分の二、それから三分の二のほかに後進地域の特例法の適用団体については、国がさらにその上にかさ上げをする。そこで、県負担はそれだけ軽くなるわけですが、その県の基本的な負担率としては一七・五、したがって、地元負担は一五・八、こういうことになるわけでございます。それで、考え方としましては、これが相当に公共的なものに使われるということもございます。それから受益の範囲が非常に広いということからいいましても、国なりあるいは地方公共団体としての県が相当に負担するのが筋であるというような考え方に立ちまして、現在の林道の最高率補助であるところの六割五分以上であることが望ましいし、それから県の負担については、いまも話が出ました熊野、剣山の一側をこえることが望ましい、それが結果としては地元負担の軽減になる、そういうような考え方でおりますので、現在の国と県と地元のそれぞれの負担は妥当なものではないか、こう考えております。
  201. 森義視

    ○森(義)委員 実はこの森林開発公団法ができたときの熊野、剣山の負担というものは、いわゆる公共事業一般の国、県、受益者の負担率、六、一、三ですか、これよりも実は受益舌の負担が重くなって、国の負担が五・二でしょう。それから県が一、受益者が三・八だったわけですね。熊野、剣山の最初に出たときには、あの地域では、この負担で受益者がうまくいく、十分負担にはたえられる、それほど有効適切な道路である、こういう見地でやられたわけですね。いわゆる財政負担の面から見た場合に、今度の場合には、財政負担の面が急速に受益者が軽くなっておる。一般法規上考えると、私たち軽くなることは賛成なんです。ただ、法の目的の中に、考え方が変わってきておる。だから、法を改正しろ、目的を改正しろと言ったわけです。ところが、そうじゃないのだとおっしゃっておるけれども、この法ができたときの熊野、剣山に対する財政負担と、今度の負担が大きく変わった、こういう点について、これは法の目的全体と経過と考え合わせると、考え方自体に、基本的な考え方に変わっておる点があるのではないか、こういう点から、この点をお聞きしておるわけです。その点について、重ねて説明をしていただきたい。
  202. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 林道の負担につきましては、これは熊野、剣山については三八%ということになっております。ところで、林道の補助率の体系も、時代の推移とともに変化をしておりますが、それは、いま申し上げました林道の性格も、林道の目的が変化するからその補助率も変化するのではなくて、やはり地元負担というものは、林道の通るようなところは、きわめて低開発といいますか、寒村地帯が多いのであります。したがって、地元の負担力は弱い、しかも一方、そういうところにこそできるだけこの林道等を開発していく必要がある。そういうことになりますと、やはり国の負担というものは、それなりに手厚くして助成していくということが必要であるし、しかも大型の林道になればなるほど、そういう点は必要だということで、だんだん林道の国の補助率というものが上がってきてまいっておるというのが、いままでの傾向でございます。したがって、昭和三十一年当時に比べますと、それ以後の林道の補助体系についても、国の負担は最高六割五分までのぼってきた。それをさらにもう一段上げようというのが、今度の補助林道の考え方であるし、しかもその地元負担を、そういう意味で寒村地帯の貧困な地元の負担を軽減しようということのために、延べ払い方式ということまでとったというのが、この林道のやり方でございます。
  203. 谷垣專一

    ○谷垣委員長代理 関連質問を許します。湯山委員。
  204. 湯山勇

    ○湯山委員 自治省のほうにお尋ねいたします。  今回この法律が改正になりました機会に、地方財政再建促進特別措置法の適用される団体にこれは指定されたわけです。そこで、従来、森林開発公団があるいは人的な不足がある、あるいは財政的な問題か、その辺がよくわかりませんけれども、ともかくも地方自治体から寄付を受けていた、実際は寄付という形でない場合もありますけれども、そういう例がかなりあったと思います。そこで、今回これに指定されたことについては、これは私どもも非常にけっこうだと思うのですけれども、ただ問題は、これがざるになるおそれがある。と申しますのは、森林組合に地方公共団体が補助をすることは認められております。そして、森林開発公団へは森林組合から寄付、そういう形でいっておるものも相当あると聞いております。そうすると、せっかくこれの対象団体にいたしましても、それはただ直接寄付行為ができないということだけであって、お互い了解のもとに、森林組合へ補助をして、それが公団にいくというケースはあり得ると思うのです。これはただ単に森林組合対森林開発公団だけじゃなくて、他にもそういう例があると思います。そこで、それらに対して自治省は何らかの指導をしておられるかどうか、これが一点。  それから今回の場合は、この機会に、林野庁のほうからは公団に対しては、そういう形のものは受けないようにする、管轄下にある森林組合についても、通牒等によって、そういうことをしないように指導するということのお約束をいただいたわけですが、自治省のほうも、現実にそういう事態がありますから、それについては、いま申しましたように、何らかの指導が必要ではないか。これは市町村だけじゃなくて、県も若干そういうことをやっておるようです。たとえば県庁の職員を派遣して、表面的にはそうなっていないようですけれども、実務の手伝いをさしているというような例はございます。そこで、この林野庁長官の答弁、それの裏づけをなすような措置を自治省としてもおとりになってしかるべきじゃないかと思いますので、いまの二点、一般的にそういう事態に対してどういう措置をおとりになっておられるか、今回については、そういう措置をおとりになられるかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  205. 岡田純夫

    ○岡田説明員 おっしゃる点、まことにごもっともだと考えます。一般的には、毎年度予算編成後の運営方針につきまして、自治省から指導通達を出しております。その中で、国と地方団体間、地方団体相互間の財務秩序を厳正にすべきであるということについては、毎年通達を出しておりますが、本年度もその点については励行するように指導いたしたいと考えております。  なお、この件そのものではございませんが、たとえば国立高専の問題等ございます。これに対する地元負担という問題がかねがねございました。最近は自治省におきましても、そういう国のほうに対して、地方団体が財政的余力もないのに、しかも法律のはっきりしたたてまえもありますのに、寄付なり負担金を支出することはやめるべきであるというふうな指導をいたしておりまして、それを繰り返してまいりました結果、最近はほとんどなくなっております。また、国とかあるいは公団等におきましても、外郭団体等から寄付等があります場合に、はたしてそれは純然たる外郭団体の書付なのであるか、あるいは間接的なものなのであるかというふうなことを精査して、受け取っておられるようであります。この点におきましても、公団において十分内容を選別してやっていただきたい、こう思いますが、ただ公団だけに責任を負うてもらうというのもなんでありますので、自治省といたしましても、おっしゃいますように、地方団体に対しまして、この法の制定された趣旨にもかんがみ、要するに、みだりな寄付はもとより、実質上の寄付等は出すべきものではない、自粛するように指導いたしたいと考えておりまして、その趣旨の通達を出すように検討してみたいと思います。
  206. 森義視

    ○森(義)委員 実は長官の先ほどの答弁で、林道の目的が変化するに従って負担率も変わってくる、こういう御答弁がございました。そこで、この森林開発公団が開発する林道というのは、目的がはっきりしているわけなんですよ。明確にこの目的の条項に書かれているわけです。だから、その目的が変化をしてくれば、やはり第一条の法の目的を変えなければいかぬわけです。そのことを先ほどから私は何回も言っておるわけです。ところが、それは変えないのだ、目的が変わってきたから、財政負担まで変わってきたといま答弁された。その限りでは、目的が変わっていないから、法の目的を変えないのだ、これは趣旨一貫しない。財政負担の面まで林道の目的が変わってきたから変わってきたという答弁をされましたが、今度はそれを変えないのだ、大臣、どうですか、これは。明らかに、今度の森林開発公団、いわゆるスーパー林道というものは、従来の急速かつ計画的に奥地未開発林の開発に必要とした、この熊野、剣山の開発のためにつくられた森林開発公団法とは目的が違うのですよ。したがって、財政の負担も変わってきておるわけです。それにかかわらず、事業拡大の面に入れてしまっておる。これは大臣、冒頭に言われたことをもう一回いまの論議の中から振り返ってみられたら、明らかに、やはり目的は明確にしなければいかぬ、こういうふうにお考えになるのじゃないですか。従来、いわゆる関連林道の問題あるいは水源涵養林の問題でも、法の目的に明らかに入れているわけなんです。今度はそうじゃないのですよ。もっと大きな幹線林道、しかもこの計画は、前回の長官の答弁によりますと、ずいぶんと長期の計画を持っておられるようです。これは私はちょっとまゆつばものだと思うわけでございますけれども、四十路線ですか、二千五百キロですね、これは調査をされるということですが、四十路線、二千五百キロというような大きな将来に対するあれを持っておられるわけです。それほどの出発点にあたる法体系の整備に、いまのような事業拡大だけで足りるのか、重ねて大臣にもう一回所信のほどを承りたいと思います。   〔谷垣委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 第一条は、御承知のように、森林開発公団の目的を規定しておるのでございますが、節十八条は、その目的に従った採択の基準を規定しておる。でありますので、採択基準が今度はふえたわけでございます。ふえましたけれども、第一条の目的の中にそれは含まれてしかるべきなんだ、これはもう法律の解釈から当然なんです。あなたのほうがそれは間違っていると思います。そういう意味では、この目的の中に含まれているものを、あえて特に目的を付加する必要はない。採択基準は付加しても、それは当然目的の中に入ってくる、あるいは財政負担の率が違ったからといって目的を変えていく、こういう立法のやり方は、私はないと思います。負担の基準は負担の基準で、別個のその中の第何条かによってこれは規定していく。しかし、そのために目的も変えていかなくちゃならぬ、こういうような立て方は、私はないと思います。でございまして、いまの第一条の「豊富な森林資源の開発が十分に行なわれていない特定の地域内」、これは、特定は初めは熊野、剣山だけでありましたが、特定の地域内をふやすという採択基準のほうできめればいいのでございます。その「森林を急速かつ計画的に開発するために必要な林道の開設、」云々、この目的の中に含まれてくる、こういうことでございますから、私は目的まで改正する必要はない、こう思います。
  208. 森義視

    ○森(義)委員 たいへんくどいようですが、この法律ができたときのことをその後ずっと審議過程から全部見まして、林業生産の増大に資するということが、この法の立法当初から流れている一貫した精神ですね。ところが、今度はそれをさらに、先ほど申しましたような林業以外の、いわゆる地域開発、奥地開発の公益的な任務を付加しているわけです。そうすると、目的は、林業生産の増大という面だけではなくて、さらに拡大されておる。だから、この目的を明らかに第一条にうたうことがなぜいけないのか。採択基準とは違いますよ。目的が拡大されておるわけです。だから、なぜ一条にうたうことがいけないのか。そういう法の体系というものは整備する必要があると思う。これは電発と九電力会社の電源開発の問題と同じなんです。電発が昭和二十七年に発足いたしましたときも、当初は二百五十名の人員で発足して、昭和三十二年には清算会社に入り、三十五年には解散する。立法当初は議事録を読んでみますと、こういう規定になっておる。ところが、今日二千五百名の人員を擁している。なしくずしにそういうように拡大していった。今度のこの森林開発公団も、将来はそういう規模になっていく可能性を持っていると私は思います。したがって、この時点ではっきりと目的の中に書くことがどういう点でいけないのか、その点たいへんくどいようですけれども、大臣もう一回お答え願いたい。
  209. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 採択基準がこの第一条の目的の中にも包合されておりますから、別に書く必要がないというのではなくて、書かなくても第一条の目的の中にもう入っていると解釈してしかるべきだ、こういうことでございます。
  210. 森義視

    ○森(義)委員 拡大解釈でそういうように理解してくれということでございますので、これ以上この問題を論議しておってもしかたがないと思うわけです。  そこで、実は今度のスーパー林道は国有林にもまたがるわけです。この場合に、国有林の開発のためにこの資金が投入されるということになりますと、国有林野事業とこの開発との関係は、やはり明確にしておく必要があると思うのですが、その点について長官から所見を承りたい。
  211. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 国有林事業につきましては、国有林事業特別会計法の初めに、企業的に運営するということをうたっております。そこで、その趣旨に沿って運営が行なわれていくわけでございますが、今度の場合、この新しい公団林道につきましては、国有林の経営上必ずしも必要としない個所、地域開発事業上やはり民有林の開発が主体になるわけでございますので、そういう線形になっていく場合があるわけでございます。そこで、そういう場合に、企業的な運営との調整をどのようにはかるかということが問題でございます。いまの考え方といたしましては、国並びに県の負担したあとの負担の中で、地元の受益地の面積あるいは蓄積等との比率を勘案しながら、アロケーションを行なうのが妥当ではなかろうか、そういう考え方でおります。
  212. 森義視

    ○森(義)委員 あっちへ飛んだりこっちへ飛んだりして、まことに申しわけないのですが、大臣は先ほど御答弁の中で、採択基準が拡大になっている、いわゆるく今度の法の目的を改正せずに事業拡大の中に入れたのは、単に採択基準が拡大になっただけである、こういう理解をしておる、こういう御答弁です。そこで、採択基準が拡大になりますと、いままでの豊富な森林資源というものの基準、これに加えて、新しい後進地域開発という採択基準が加わるわけですね。そうなりますと、これはたいへん限定されてくると思うのです、厳密に立法当初の考え方から言うならば。この法の立法当初の考え方は、熊野、剣山の十五地区というのに採択基準をしぼった。今度はその採択基準の中に、さらに後進地域の開発という採択基準が加わる。そうなると、さらに地域が限定されてくると私は思いますが、先日来の答弁によりますと、そうじゃないわけです。そうなりますと、おそらく豊富な森林資源という考え方、この立法当初の考え方と変わってくるのではないか。立法当初は一ヘクタール百四十四立米という針葉樹の森林蓄積を基準に採択基準で考えたということなんですが、今後このスーパー林道を開発される場合における採択基準のとり方、この問題について、長官のほうからお答え願いたい。
  213. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この採択基準につきましては、現在考えておりますのは、受益地になる範囲の林野の面積がおむね八五%以上、それからその利益の面積が少なくとも一万ヘクタール以上というような基準をまず考えておりまして、あわせてこれは都道府県にも負担をしていただくことですから、そこで、都道府県の開発重点地域というようなことも、採択基準の中へ考えていく必要があろうか、こういう考え方でございます。  それからなお、こまかいことを申し上げますと、この地域の蓄積の基準等をきめまして、一定の標準となる蓄積に対する現有蓄積、それから一定の標準となる拡大面積に対する拡大可能の造林面積、さらにこまかくなりますが、それは省きますが、そういうものを加えたものが一かあるいは一以上というような地帯、そういう地帯を考えていきたい、そういうことでございます。採択基準といたしましては、そういうことを考えながら、この林道が、両端は他の既設の県道とかあるいは国道とか、そういうものにつながっていけるようなところ、そういうことも採択基準に考えております。そういうふうにして拾ったものが、その地帯、つまり、この十八条の中でいっております林道の枢要部分を構成する、したがって、その林道の背骨になるような線形、そういうものを採択基準として考えてまいりたい、こういうことでございます。
  214. 森義視

    ○森(義)委員 そうすると、当初のいわゆる針葉樹の用材林の森林蓄積というものは、採択基準の中には全然考えない、こういうことですか。
  215. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 それはいま申し上げましたように、一定の標準となる蓄積と現有蓄積の比、それに加えるところの、さらに前よりも前進したといいますのは、標準となる拡大造林面積に対する現有の拡大面積の比、これの合計が一あるいは一以上ということで、昔の蓄積オンリーのときよりは、その林業経営上の採択基準として前進しておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  216. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、いま長官の採択基準についての詳しい御答弁をいただいたのですが、もう一ぺん私は議事録を読んでみてあれしたいと思うのですが、受益面積が一万ヘクタールですか、しかもその中で、幹線林道の枢要部になる背骨的な地区ですね。そうなりますと、受益者負担というのは、それが直ちに受益名にならない、支線とかがつくられないと受益者にならない、そういうところがたくさんあるわけですから、そういう場合の受益者の負担の考え方、これは、幹線林道をつくられても、受益者の範囲が非常に広く、これで将来受益するんだというようなことまで含んで受益者負担になるのですか。これはほんとうはちゃんと支線ができて、それに続いておるいわゆるあばらができて、それから初めて受益者になるわけですね。いまのスーパー林道から直ちに受益をしないわけです。そういう場合に、広範な地域におけるそういう背骨的なスーパー林道の受益者負担というものをどういう範囲にお考えになっているのですか。
  217. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 この背骨になる新公団林道がつきましても、やはりその林道にある程度近いところの森林しかならない。さらにそれから基幹線あるいは一号、二号、三号、四号というような、肋骨あるいは肋骨のまた支派線、そういうものがつかなければ材木は出てこないという場合がございましょう。しかしながら、とにかく林道がつくということで、その程度は別といたしましても、土地あるいは立木の価格はそれなりに自動的に騰貴をする、これは失態でございます。これはあくまでも現在におきましても同様でございます。そこで、その受益と考えられる範囲、それをきめましたしで、この受益地内の受益者に、その受益の程度に応じて負担をさせるという考え方でございます。
  218. 森義視

    ○森(義)委員 そうすると、当初は均てんな負担ではなくして、その受益する程度において階段制の受益者負担になるのですか。いま長官の答弁ですと、受益の程度に応じて受益者負担をしてもらう、こういう御答弁ですが、それでは、いわゆるスーパー林道によって直接受ける地域、それからいま言った肋骨ができてそれから先に受ける地域とは、受益者負担の率が違う、こういうことですか。
  219. 田中重五

    ○田中(重)政府委員 その程度に応じるわけでございますから、そういうことになるわけでございます。なお、賦課の金額、限度については、その土地あるいは立木の所有者といいますか、権限に基づいてそれを使用する者と、十分に納得ずくでそれはきめる、こういうことにいたしております。
  220. 森義視

    ○森(義)委員 大臣時間がなさそうですから、最後に一つだけお尋ねしておきたい。  実は先日大臣御出席になっておらないときに、長官にも御質問を申し上げておったわけでございますけれども、わが国の森林資源をほんとうに有効に活用するためには、何といっても林道行政というのがその柱にならなければならない、こういう考え方なんです。この点については長官もお認めになったところなんですが、そこで、林道行政をもう少し整備をする必要があるのじゃないか。いままでやっているいろいろな林道、これをひとつ法体系の上からも整備する必要があるのじゃないか。そしてもう少し規模の拡大したもので長期の見通しに立った開発が必要じゃないか。いまのところは、この森林開発公団が、この規模でいきますと、電発が大きくなったような形でかなり大きくなる可能性があります。そうなりますと、私は法の目的を改正すべきだと言ったのですけれども、改正しなくても、やろうとすればできるわけです。先ほど大臣の答弁で、目的の中に含まれておるということですからね。そうしますと、そういう点について、どうも何か当面の三路線だけが終わってしまったら、もうこれで終わるのではないかという心配を私ども持っているわけですが、このスーパー林道の開発は、まずモデル的にやってみて、そしてあと引き続いてそれを拡大していく、と同時に、その拡大に平行して、わが国の林道行政というものを、もう少し法体系も整備して、林業基本法が要請しておるところの生産増強のためには、林道開発、この法の目的を達成するような体制を整えていく、こういう点について、ひとつ大臣の信念をお聞かせ願いたい、こういうように思います。
  221. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御説のとおりに考えております。林道が、森林の開発あるいは造成その他からいいましても、一つの動脈ですか、人間でいえばそういうものでありますので、林道の開設ということは非常に大事なことであり、必要なこと、こう思っています。でございますので、このスーパー林道は、かねがね昨年来――もっと前からも考えておったのですが、昨年来、特にこういうスーパー林道的な制度で、産業林道というような形で開設していきたい、こう考えておりました。たまたまガソリン税の見返りというような意味でこれをやることにしましたけれども、そのガソリン税の見返りとかなんとかにかかわらず、スーパー林道的な制度はなお引き続き拡大して推し進めていきたい、こう考えています。同時に、林道の体系等におきましても、補助率その他につきましては相当改定を加えたりしましたけれども、全体としてまたこれを再編成といいますか、よく考えて林道行政といいますか、こういうことを推進する必要があろうと思います。でございますので、全体としていまの御説に対しましては私賛成でありまするし、その方向に推進したい、こう思っています。
  222. 森義視

    ○森(義)委員 大臣から自信ある御答弁をいただきましてはっきりしたわけでございますが、ひとつ大臣がいまおっしゃいましたように、いわゆる産業道路的な性格も将来林道に持たしていくのだというあれでございますので、私は、建設関係で出されたあの奥産道路、あれも三年の時限立法ですか、あれなんかも吸収してしまう、そういう考え方も含まれての大臣からの御答弁だろう、こう思います。私どもそういう期待を持っておりますので、ひとつ林道問題については、せっかく大臣の御答弁の趣旨に沿うような熱意を入れたものをやっていただきたい、こういうふうに思います。
  223. 濱地文平

    濱地委員長 次会は来たる三月二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会