○桧垣
政府委員 いま御
質問の中にも、その含みをもってお尋ねがあったと思うのでございますが、昨年の夏の初めからことしにかけまして卵価が低迷をいたしました理由は、
一つは、生産の急増ということで、消費
需要を上回る供給量があったということから、
需給の
構造変化に基づいた
価格低落であったということでございます。その際、私どもとしましては、根本的には、
日本の
国内における鶏卵の生産を
需要の増大に即して安定的に拡大をしていくことが、最も本質的な方向であろうというふうに
考えるのが一点と、さらに鶏卵自身、現在
日本の
畜産物商品の中ではかなり高い水準の消費になっておるわけでございます。でございますから、鶏卵の
価格下落にもかかわらず、消費の伸びはそれほど大きくないということがございますので、消費の拡大ということに努力をいたすべきであるというふうに
考えておるわけでございます。急落をいたした昨年の八月と十一月には、現行の
畜産物価格安定法に基づきまする生産者団体による調整保管の道を開くための
農林大臣の定める
価格、いわゆる基準
価格の告示を行なったのでございます。去年の秋に、私どもが、要するに、この傾向でいきますれば
価格低迷が永続するおそれがあるということで、府県知事あるいは
関係農業団体等へ、ひなのえづけ羽数の抑制をする必要があるということと、消費の拡大に地方においても努力をしてもらいたいということの指導通知をいたしたわけでございます。同時に、昨年の春以来
畜産振興事業団あるいは
関係業界等の協力のもとに、消費の宣伝もかつてないくらい力を入れてやってまいったのでございますが、さらに本年に入りまして、この現在のえづけ羽数の
状況から見ますと、本年後半からは
価格の持ち直しが十分期待できる、むしろ秋にはかなり高い卵価の形成が見通されるということでございますので、いわゆる鶏卵の加工業者に対して
資金のあっせんをいたしまして、安値時期における割卵、卵を割る事業の開始時期を繰り上げさせたのでございます。よけいなことになるかと思いますが、漸次一般の
需要の増大の傾向も見られますし、加工事業の手当てというようなことが刺激をいたしまして、
相当寒場のための生産の若干の減退ということと重なりまして、先週以来、大体百六十円台で推移いたしておりました卵価は、数カ月ぶりに百八十円台に回復をいたしておるのでございます。もちろん、まだ私どもは今後の推移は楽観を許さないというふうに思いますけれども、基調としては回復の基調に向かっておると見ております。