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1965-03-31 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 永山 忠則君 理事 八田 貞義君    理事 田口 誠治君 理事 村山 喜一君    理事 山内  広君       井原 岸高君    岩動 道行君       池田 清志君    亀岡 高夫君       高瀬  傳君    塚田  徹君       辻  寛一君    綱島 正興君       二階堂 進君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       角屋堅次郎君    中村 高一君       楢崎弥之助君    受田 新吉君  出席政府委員         総理府総務長官 臼井 莊一君         総理府事務官         (賞勲局長)  岩倉 規夫君         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      秋吉 良雄君         厚生事務官         (年金局年金課         長)      曽根田郁夫君         厚生事務官         (援護局援護課         長)      木暮 保成君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部財政課         長)      中村 大造君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月三十一日  委員野呂恭一君及び受田新吉辞任につき、そ  の補欠として島村一郎君及び本島百合子君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員島村一郎君及び本島百合子辞任につき、  その補欠として野呂恭一君及び受田新吉君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  六三号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 このたび恩給法改正がなされると同時に、旧令によります共済組合法改正、あるいは国家公務員、さらに地方公務員私立学校共済組合等改正、あるいはその他三公社等共済組合法改正、さらに厚生年金法の一部を改正する法律案、これらの一連の関連する法律改正提案をされているわけでございます。  そこで私は、この際総務長官にお尋ねをいたしておきたいのは、この改正のいきさつをずっと見てまいりますると、一番基本になっているのは恩給法改正である。それがもとになって国家公務員なり地方公務員共済組合法改正という問題が、それに伴って改正案が出されてきている、こういうふうに、発想の過程からまいりますならば、見受けるわけであります。  そこで、まずそれらの共済組合法等によります恩給意義といいますか、あるいは共済意義というものが、どういうふうにとらえられているのか。これはこれから質問をしてまいります内容の問題にも触れてまいるのでありますが、従来恩給意義としては、いろいろな説に分かれておりまして、恩恵説であるとか、あるいは貯金説であるとか、あるいは保険金説であるとか、あるいは方便説であるとか、あるいは報酬説とか、あるいは減損能力補てん説とかいうような説がなされている。しかしながら、恩給というものが、今日最終的には政府としてはどういう解釈に立たなければならないのか、こういうふうに一つ基本的な概念というものをお持ちにならなければ、これに対応する対策は出てこないと思うのであります。そういうような立場から、恩給意義というものを政府としてはどのようにとらえ、また共済年金との間においてはどのような取り扱い基本的に考えるのか、この点をまず説明を願っておきたいと思います。
  4. 臼井莊一

    臼井政府委員 恩給につきましては、公務員在職中に誠実にその職務を果たすという、いわば強くいえばその功績とも言えますが、これに対しまして、使用主である国家が、その公務員がやめてから、本人に対しあるいはまたその遺族に対しまして生活に寄与するようなために、在職の際の給与に応じて一定限度の引き続いて給与をするということでございまして、したがいまして、その他のたとえば社会保障というような点とやはり違って考えられた点でございますが、公務員共済制度につきましては、これは私のほうの所管ではございませんけれども、やはり時代とともにその考え方も多少は変わってまいりまして、そして公務員みずからもお互いに助け合っていくという点において、拠金も、恩給時代拠出金よりはさらにその点を重く考えて、こういう共済制度ができた。したがって、恩給制度ともそこにおのずから違った性格もあるもの、こう考えておりますが、これらの点については、経過もよく知っておる恩給局長が詳しいかと存じますが、私さように考えております。
  5. 増子正宏

    増子政府委員 恩給意義といいますか、恩給の本質についての考え方は、先生のおっしゃるように、従来いろいろな説があるわけでございますが、政府としまして一般的な考え方としましては、ただいま総務長官から申し上げたようなものとして考えておるわけでございますが、さらに掘り下げて理論的にと申しますか、そういう面から内容に触れますと、一般的には、公務員としての勤務しておる年月の間に失われた経済獲得能力といいますか、そういったものを退職後において補てんするという考え方、そういうものが、今日では通説として主張されておるわけでございます。ただし、具体的なあらわれとしましては、総務長官から申し上げましたように、使用主としての国が、一定条件で、退職した公務員なり、あるいは公務のため死亡した、あるいは身体障害を受けた者について、金銭的な給付を行なうという形で運用されておるわけでございます。共済組合との関係につきましては、いまここでその沿革等について申し上げる必要もないかと思うわけでございますが、今日の制度としての共済組合制度における退職年金、これは実質的な働きにおきましては、従前恩給制度を継承したものというふうに考えられるわけでございます。ただ、形式的な制度といたしましては、従前のように使用主としての国の全面的な、あるいは一方的な負担ということではなしに、いわゆる相互共済主義といいますか、そういう形で、しかも制度としましては、社会保険の一環として形づくられているということが、違いがあるわけでございます。したがいまして、その具体的な内容におきましても、国の一方的な制度であるということと、それから共済制度であるということの違いが、こまかな点ではいろいろと出てくるわけでございます。恩給共済組合による退職年金制度相互関係につきましては、実は御承知のように、共済組合法による退職年金の具体的な算出の場合におきましては、恩給法規定がかなり大幅に取り入れられております。したがいまして、実質的には両者が非常に密接な関係を持っておるということがいえるわけでございます。ことに、いわゆる旧令時代といいますか、恩給現実公務員適用されておった場合におきましては、その対象はいわゆる官吏のみに限られておりまして、通称雇用人と称しておりましたものにつきましては、従前から、恩給制度適用なしに、共済制度でまいったわけでございますが、これを旧令共済というふうに一般にいっておりますが、この旧令共済扱いにつきましては、従前恩給法取り扱いと全く同様にいたしておりました。この既裁定年金額改定等にあたりましても、恩給法改正とそれから旧令共済関係扱いは、全く同様でございます。しかし、今日の共済制度におきましては、必ずしも制度としては恩給と同様に扱うということにはなっていないわけでございます。したがって、今回の改正等におきましても、先生の御指摘では、恩給基本になっているというように見えるということでございますが、それは結果的には確かにそういう状況になっておりますけれども考え方なりあるいはその他の構造等については、必ずしも当然に同一であるものではない、その他のものが恩給もとにしてその上で初めて成り立つというものではないというふうに考えておるわけでございます。
  6. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ密接な関係があるということだけは承認をされたわけですが、この問題が発生をした中で、経過をずっと考えていくならば、恩給の四〇%引き上げ要求というものが、当初総理府のほうから出されたわけですね。その結果は、大体二〇%引き上げという形になった。あるいは公務扶助料等については、現行額の三〇%程度引き上げ、こういうことで落ちついたわけですね。そういう中において、ではそれと対応して、やはり旧制によるところの共済組合等年金についての法案の内容がいろいろ策定をされる、そして原案ができ上がってくる、あるいは国家公務員地方公務員等共済組合法改正案が出される、あるいは公共企業体関係共済組合等改正案が、社会保障制度審議会等の議を経て、これもまた提案をされる、こういうような形に大筋として、筋書きとしては出てくるという基本的な姿を見ますと、やはり恩給基礎になるのではないか。恩給改定というものが一番その原因となって、そういうものがあらわれてくるのではないかと私は思うのですが、その点はどうなんですか。
  7. 増子正宏

    増子政府委員 現実の姿といいますか、結果としては、先生の御指摘のようなことだと思います。ただし、それは先ほど申し上げましたように、恩給法改正が必ず先頭に立って、それが基本にならなければほかのものはできないという性質のものではないというふうに私ども理解しておるということを申し上げたわけでございます。ただし、現実の問題としましては、恩給ベース改定といいますか、俗にそういっておるいわゆる既裁定年金額増額改定の問題につきましては、相当熾烈なる要望もございますし、また、この実際果たしておる役割りもいろいろな面で相当大きなものがございますので、政府としまして、その一部局である私どもは、この恩給改正につきましては是が非でも実現したいという気持ちを持っておりますために、まず何といいますか、先べんをつけるという形になっておるわけでございます。しかし、それが本来の姿かどうかということにつきましては、またこれ別の考え方もあるんじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。
  8. 村山喜一

    村山(喜)委員 なるほど、たてまえとしては、各種共済組合の場合には、それぞれ共済組合の財源の範囲内において改定をする自由性というものが与えられてはおる。しかし、今度こういうふうに改正がされてきた段取りを見ていけば、恩給法改正というものが基礎になっている、こういうように思いますが、その問題については、後ほど大蔵省の給与課長が参りましてから、関連性についてはただしてまいりたいと思います。  そこで、私はこの際、今回改正されます恩給法内容、それと先般決定を見ました生活保護基準関連性の問題を取り上げてみたいと思うのであります。御承知のように、老後生活保障経済上の取得能力を失った場合において、その喪失能力を補うために雇用者である国が恩給支給するというのでありますから、やはり年をとったそれらの人たち生活上支障がないようにしなければならないという原則は、はっきり恩給法の中においては貫かれていなければならないと思うのであります。そういう立場からこの生活保護基準内容を見てまいりますと、六十歳以上の夫婦の場合に、三級地におきましては月に八千五十円という基準になるようであります。これは年額に直しますと、九万六千六百円という金額であります。四級地におきましては七千百六十五円、これは年額に直しますと八万五千九百八十円という金額になる。そこで、この恩給法上のいわゆる一般公務員扶助料最低額というものや、あるいは今回新しい仮定俸給年額が策定されておるのと対応して調べてまいりますと、新仮定俸給年額の四十一号俸に該当をいたします二十九万一千七百円以上でなければ、生活保護基準よりも下回るというかっこうになるようであります。これはベースということばでは呼べないと思うのでありますが、まあ略称いたしましてかりに二万四千円ベースと呼ぶとするならば、平均の二万四千円ベースよりも下のものは、全部生活保護基準以下である、こういう数字になるわけであります。それから、一方、文官なりあるいは軍人の公務扶助料最低額を調べてまいりますと、最低額は九万三千四百五十七円ということでございますから、これに扶養家族といいますか、扶養遺族加算、これは金額が変わっていないようでありますから、四千八百円をつけ加えますと九万八千二百五十七円ということになる。これは計算をしてみれば、大体三級地の生活保護基準の六十歳以上の年齢の夫婦二人に相当する、こういう計算になるようであります。それから、文官公務扶助料最低が、この場合やはり九万三千四百五十七円でありますが、その者が平病死によってなくなった場合には、公務扶助料最低が五万六千三十一円、こういう数字であります。そこで私は、一体恩給法適用者が、老後生活保障という立場から、この物価高が続いて、しかもこれは政府高度経済成長政策の結果がそういう物価高騰という事態を引き起こしたのですから、政府の施策に伴うところの生活の不安、苦しさというものが生れてくる、それが生活保護基準においては改定をされて、そういうような三級地、四級地において九万六千六百円というような数字や八万五千九百八十円という数字が示された、にもかかわらず、恩給受給者の場合は、二万四千円ベースよりも下のほうはその生活保護基準よりも低く押えられるという姿、これは正しいのかどうか、これについての説明を願いたいのであります。それを、総務長官にこの際私は、どういう考え方基本にお持ちなのか、将来の方向はどういうふうにされようとするのか、やはり生活保護基準よりも下回る——その生活保護基準というものも、これは憲法に定めます健康にして文化的な生活保障する数字ではないと私たちは思うのでありますが、それさえも下回るような恩給額というものが、公務員老後生活保障として渡される。はたしてそれがよいのかどうか。これについては私は非常に疑義を持っております。先ほど恩給意義について政府に問いただしましたゆえんのものは、それを一体どういうふうに認識をされて、今後どのような方向で解決をしようとされているのか、将来の計画がありましたら、それを総務長官のほうから御説明いただいておきたい。
  9. 臼井莊一

    臼井政府委員 ただいまのお説のとおり、生活保護法による額よりも、恩給のほうが支給額が下回っている場合がある。それはそのとおりでございまして、生活保護法は、御承知のように、国民の日日の生活最低保障を、憲法規定もあり、保障をするということでございますが、一方、恩給のほうは、先ほども申し上げましたように、国家が、公務員が誠実に在職中に職務に尽くした、これに対して退職後において、あるいはその者がなくなった場合においては遺族生活について、できるだけ寄与をしたい、まあこういうことからくる、根本的には性格が違うというところからくるものでございますが、しかしながら、はたしてそれでよろしいのかということにつきましては、これは議論のあるところだと思います。私どもといたしましても、物価上昇とか、あるいは生活水準上昇とか、さらにはまた公務員給与等もそれに見合って逐次上がってまいります。もっとも、公務員給与上昇につきましては、物価とかあるいは生活水準上昇のほかに、砕いていえば需要供給経済的原則といいますか、人手が足りなくなれば、これは当然給与初任給引き上げていかなければ人が集まらない、そういう一つ人事管理をする上においての考慮という要素が加わってくるのでありますが、しかし、やめた職にいない者に与える恩給ということになりますと、そこにそういう要素については加えることができない問題があります。したがいまして、そこに現在においては両者性格が違うので、必然的にそういうふうに違う。しかしながら、最低生活保障するという意味においての生活保護法に基づく給与につきましては、これはもし恩給等でその額に達しないで、しかも生活が非常に困窮しておるという者に対しては、その差額支給する、法律でこういうたてまえになっておりますが、後段のこれでよろしいかどうかということにつきましては、私どももひとつ今後とも十分検討いたしまして、やはり恩給につきましても、できるだけ物価水準やあるいは生活水準の向上、その他の要素もできるだけ加えて、ひとつ改定を促進してまいりたいというのが、私ども考えであります。
  10. 村山喜一

    村山(喜)委員 差額支給するというたてまえに立っておられるわけでありますが、そうなりますと、やはりこれから最低生活水準というものは、物価上昇等によりまして上がっていく。それに恩給法上の適用者が、それだけついていかないというような段階が、改定されない年にはあり得る。そうなりますと、その差額については支給をするというたてまえでいくならば、社会保障制度として、生活保護基準というものを重点に考えて、これを中心に考えて、恩給受給者というのはその差額支給するんだから、すでに恩給権利発生をした時点における権利を擁護するという程度にとどめて、物価上昇その他については、今後はその他の、たとえば公務員ベース引き上げ等がなされない限り、これについてはそのままに据え置くという意味なんですか。それとも恩給改定のいわゆる理由というものはこれは今回提案をされております厚生年金、これは全然関係ありませんけれども政府案の中にさえも「国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、」年金額改定する、こういうのです。そうしますと、公務員恩給法上の改定は、これは政府考えている線としては、やはり厚生年金保険法に定めてありますような考え方か、これ以外には一歩も出ないわけですか。そのほかに何かファクターとしてこれは考えなければならないという要素があり得るわけでありますか。その点をどういうふうにお考えになっているのか、具体的に御説明願いたい。
  11. 増子正宏

    増子政府委員 生活保護基準と、それから恩給年金額関係につきましては、先ほど総務長官から申し上げたような一般的考え方を持っておるわけでございますが、実は申し上げるまでもなく、恩給のほうはもちろん、目的としまして、あるいはその役割りとしまして、職員の退職後の生活維持に役立たせるということではございますけれども、本質的にといいますか、制度的に退職時の給与というものと結びついておるわけでございます。したがいまして、ある意味では退職時の俸給というものは、各人について一ぺん限りの金額があるわけでございますから、その額だけを支給しておればよろしいんだという考え方も、あるいは成り立つと思うのです。しかしながら、継続的な年金というようなものについては、いわゆる物価等変動してまいりますれば、年金実質価値というものは相当変化してくる。その変化したままに放置しておいていいということは言えないんじゃなかろうか、そういう意味において、年金実質的価値維持というものは、やはり少なくとも公的年金については考えなければならぬのではないかという意味から、既裁定年金改定ということが要求され、そうして従来ともそういう考え方から何べんか恩給増額改定もやっておりますし、同様な考え方から共済年金等改定も行なわれたものというふうに、私ども考えるわけでございます。  そこで、この恩給年金額改定経済事情変動に応じて恩給年金を変えていく場合に、何といいますか、基準というようなものにつきましては、実はいろいろな考え方があるわけでございます。生活保護基準のほうも、やはり一たんきめましたものを何年たっても据え置くということでは経済的な意義がなくなってしまいますので、経済上の変動に応じて改定をするということをやってきておるわけであります。その点に関しては、両方とも同じような考え方でいいじゃないかという御主張もあり得ると思いますけれども先ほど総務長官から申し上げましたように、生活保護のいわゆる保護費といいますか、生活扶助費等は、これは全くいわば最低保障という考え方から支給されるぎりぎりのものでございます。これらのものにつきましては、やはり経済事情変動等に即応していかなければならぬという度合い、その必要性は、相当強いものがあろうと思います。そういう意味におきまして、政府としましても、かなりこれについては、いわば頻度を多くして改定をいたしておるわけでありますが、恩給年金額につきましては、その切実度といいますか、制度的に見ますと、生活保護基準とは違ったものがあるわけでございます。特に恩給は、生活が現在困窮しておるということを条件支給するものではございませんで、一定条件を満たす限りは恩給法に基づいて恩給支給されるわけでございます。現実にその者が生活が困窮しておるかどうかということによっては、恩給年金額は左右されていないわけでございます。そういう意味におきまして、生活保護法保護費の場合と恩給の場合におきましては、経済事情変動に即応する度合い、あるいはその方式等につきましては、やはりいろいろな違いが出てくるわけでございます。  そういうことが一つありますのと、それからもう一つ申し上げたいと思いますことは、ただいま申し上げたことと関連をいたしますけれども生活保護の場合の扶助費等につきましては、いわゆる何にもない、生活上の物資も資金も何もないというゼロの状態基準にして、その必要度といいますか、扶助限度が月何千円というふうにきめられるわけでございますけれども恩給支給されます場合には、制度的に当然ゼロを基準といたしておるわけではないわけでございます。長年勤務して退職した公務員が、退職と同時に全く無一物のゼロということになるわけでもないわけでございますから、何がしかの資力というものがあって、それに年金額が加わるということもございましょうし、または家族がある程度働いて、その収入があるという場合もございましょう。いろいろな場合もあるわけでございます。したがいまして、恩給支給額が、かりに生活保護費基準額よりも少ないということがございましても、それが直ちに生活保護を受けなければならぬ状態にその人があるかどうかということには、結びつかないということもあるわけでございます。そういう意味におきまして、生活保護費の場合と恩給年金額の算定につきましては、おのずから違った原理が働いているということでございます。しかし、それならば今後の恩給改定についてはどういう考え方かということになりますれば、先ほど申し上げましたように、少なくとも恩給というものが、生活費のすべてであるという前提に立たなければならぬとは思いませんけれども、相当の役割りを果たしているということは、やはり考えていかなければならぬ。その意味におきまして、経済事情変動がありますれば、少なくともその変動に即応できるように恩給年金額というものを引き上げていかなければならぬのじゃないかという私ども考え方でございまして、今回の改正案につきましても、そういう観点から一応改正案をつくりました次第でございます。
  12. 村山喜一

    村山(喜)委員 いま恩給局長から、年金恩給受給をする時期における権利的なものとして、実質的な価値の下落をさせないような方向でこの問題は取り組まなければならないという説明であります。そういたしますと、現実にことしあるいは去年、二十年あるいは三十年の長きにわたって公務に携わって、それからやめた。一、二年の間は退職金もあるし、現在のベース公務員給与水準に比較をいたしまして、その大差がない。まあつつましやかな生活をしていけばやっていける。ところが五年くらいたちますと、もういま日本の経済高度経済成長政策の中でずっと進んでいるのですから、現在もらっている権利というものが、実質的な価値を失ってくる。貨幣価値の下落に伴って必然的にあらわれてくる現象です。そういたしますと、今回改正をされた内容から見てまいりますと、昭和三十五年の十月一日に基準内賃金が、人事院の勧告によりまして二万四千五百六十四円ということになっている。三十六年十月一日に平均七・一%アップで二万七千四百三十七円、その後ずっと今日まで続いているわけであります。今日においては、公務員の平均給与額というのは、基準内賃金においては三万四千円を下らないであろうと思う。そういたしますと、今度の改正案によりますと、昭和三十五年十月一日の基準内賃金の、これは厳密な意味におけるベースではございませんが、二万四千五百六十四円という当時の俸給をもらっておった人は、現在仮定号俸の押え方からいいますと、それよりも上回っている人が多いと思うのです。少ない人は、まあ下のほうにある人は若干その当時の人でも適用されるのでありましょうが、五年前から今日までやめられた者は、今度の改定によっては何にも恩恵がない。ところが、物価がきわめて上昇をしてきたのは、三十六年の池田内閣の経済の高度成長政策以来消費者物価というものは上がり、貨幣価値は下落をしている。とするならば、先ほどお話しになりました年金の実質的な価値を喪失をしている者たち、最近やめた者については恩恵が行き渡らないというかっこうになるのじゃないか、これはおかしいじゃないかと私は思うのでありますが、それについて、なぜそういうような結果になるのか、この点について説明を願っておきたいのであります。
  13. 臼井莊一

    臼井政府委員 恩給につきましては、いま私どものほうでいたしておりますが、先ほど説明申し上げましたように、これを引き上げるにつきましては、物価上昇とか、さらにまた生活水準の向上とか、そのほか公務員ベースアップというようなことも勘案いたしますけれども公務員ベースアップにつきましては、先ほども申し上げましたように、他の要素がある。人事管理上の、人的資源を確保する、職員を確保するという見地から、そこに別な要素が加わっておりますが、そこで、はたしてこの引き上げが前回から比べて物価上昇やあるいはまた生活水準上昇と見合っておるかどうかという点につきましては、これは確かに議論の余地もあるわけでございます。正直に申し上げまして、私どものほうといたしましても、これをいま少しく上昇できることならしたい、こういうことで考えたのでありますが、第一には、やはり財政上の制約を受けますために、なかなかその理想どおりにはいかないという一つの問題点があります。しかしながら、それにいたしましても、今度の案におきましても相当改善されることは事実でございます。したがいまして、ひとつこの程度で今回は適当じゃなかろうかという、これは財政上の見地を加味しての適当ではなかろうか、こういうことなのでありますが、最近やめられた方につきましては、これは共済年金制度に切りかわっておりますので、そのほうの問題でございましょうが、その方面につきましても、やはり原資とかいろいろの問題等のことの勘案も必要かと存じますが、いずれにいたしましても、私ども考えといたしましては、率直に、これでもう十分である、こうは必ずしも言えないというごとは考えておるのでございます。しかしながら、現在、政府におきましても極力努力をいたしました結果が、今度のこういう引き上げになった、こういうことであることを御了承いただきたいと存じます。
  14. 増子正宏

    増子政府委員 総務長官がお答え申し上げました点のほか、若干技術的なことをつけ加えさしていただきますが、私、実質価値維持というふうに申し上げましたのは、年金額の貨幣のノミナルなものばかりではなくて、それが実際経済的に持っておる価値という意味でばく然とした意味で申し上げたのでございますが、通常実質価値というような場合に、物価といいますか、購買力として見る場合もあるわけでございますが、その場合には、単純に物価が五%上がれば年金のノミナルな額も五%上げればいいというふうな考え方もできますけれども現実的に見ますと、必ずしもそういう簡単なことでもない場合もあるわけでございます。いずれにしましても、購買力との関係におきまして、恩給年金額がそのノミナルな、名目的な数字だけではいけない、何らか実質的な意味におきましても、ある程度価値というものを維持させることが必要ではないかという考え方として、実質価値維持ということを申し上げたわけでございます。その実質価値をどういう面から測定するか、あるいはその維持のしかたをどういう方法でやるか、その時期等をいつに選ふかというような問題につきましては、これはいろいろとその間に姿、形があるわけでございまして、私が申し上げましたのは、いわば抽象的といいますか、一般的なものの考え方として申し上げたわけでございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 とにかく問題は三十五年の十月一日に公務員給与改定がありまして、二万四千五百六十四円の賃金体系になった。だから、今度は二万四千円ベースだ、——ベースとは言えないかもしれませんけれども、平均二万四千円という一つ基準、二〇%アップですから……。そういたしますと、この二万四千円の基準に基づく仮定俸給号俸によって策定をされたものは、昭和三十五年十月一日以降の分についてはほとんど適用されていない、こういうように確認していいでしょう。その点はどうですか。
  16. 増子正宏

    増子政府委員 今回の改正案が、御指摘のようにいわゆる三十四年の十月一日の一般職の給与基礎にいたしました仮定俸給額を二〇%増しするわけでございますから、その算出の結果出てきました仮定俸給年額より多額な俸給年額をもらっておってやめた人、こういう人は、まずこの増額改定の恩恵は受けないということになるのは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、それらの人々については、やめてから何年かたっておるのに何ら実質価値変動についての措置がないではないかという御指摘は、まさにそのとおりでございます。ただし、その点になりますと、実はすでに共済制度に切りかわって後のことになるわけでございます。三十四年の十月一日以降は共済制度による給付ということになっておりますので、今度は共済制度による既裁定年金をどのように改定していくかという問題そのものずばりになるわけでございます。しかし、それにしましても、今度の改正法が三十四年の九月末までにやめた者、すなわち、恩給法適用を受ける者だけに限る問題としましても、御指摘のように、三十六年以降あたりの物価上昇というものについては、あまり考慮が払われていないのではないかという御指摘になろうかと思います。これらの問題につきましては、実はわれわれとしましてもできるだけこういった経済事情変動には接近して調整をいたしたいという考えを、基本的には持っているわけでございます。しかしながら、それらにつきましては、相当財政上の問題もございます。またいろいろな公的年金との関係もあるわけでございます。そういった問題を相当慎重に配慮しなければ、なかなか結論を出し得ないということでございます。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 共済年金の問題につきましては後ほど質問をいたしますが、永山委員のほうから関連質問があるそうですので……。
  18. 永山忠則

    ○永山委員 総務長官は時間の関係で早くお帰りになると聞いておりますので、関連してお尋ねいたしておきたいと思うのでございます。  いま総務長官は、人的資源を確保する意味において現役関係は重点的に待遇の問題を考慮しなければならぬ、反面には、恩給受給者のほうはそれに比べて必ずしも並行せぬでもいいじゃないかという御意見のように聞くわけでございますが、われわれは人的資源を確保する意味において、やはり職をやめたあとの生活を安定せしめるということが、人的資源確保の一番大きな要素でございますから、私は、それによって現職と恩給受給者の格差をつけるということは、きわめて不適当であるというように考えておるわけであります。したがいまして、どうしてもやはり現役にベースをスライドするという方向で将来御検討を願うということをぜひお考えいただかなければならぬ、こういうように思っておるわけであります。  関連でございますから一問一答を避けまして、一応こちらの考え方を申し上げまして長官の意見を聞きたいのでございますが、憲法上、日本民族が生々発展していく一番基盤になるのは、何といっても立法、司法、行政でございます。その行政部門に携わって一生奉仕しようという考え方で進んでおる関係者の現役の給与も、やはり他に比較して私は優秀なものでなければならぬと思います。したがって、恩給もしかりであります。最優秀な人を集めるようにしなければいかない。ところが、現役のほうが、五十人ないし百人の生産工場関係の平均労働賃金と比較した場合に、私は非常に不満がある。それじゃいい人は寄らないじゃないか。少なくとも五百人なり千人というような大工場の基準に合わせて、それ以上のベースを確保するというようにやらなければ、優秀なる人間が他のほうへ逃げて寄らないのじゃないかというように考えております。現役の給与さえも、私はきわめて優秀なる人物を吸収するのに適当でないと考えております。さらに恩給関係においては、それが三分の一でございます。そうして今度なくなったら、家族は二分の一ですから、結局六分の一でございます。他国に比べてもきわめて安い比率ですから、少なくとも三分の一でなくて、二分の一はこの場合引き上げていく。そうして死んだ場合に、その家族に対しても二分の一でなくして三分の二、退職したら二分の一はもらわれるというように改定して、老後の安定をはかるということでないと、子供の教育その他どうしてもまだ社会活動をせなければならぬ要素が多分に残っておるのですから、隠居じゃないのですから、この点を根本的に検討されなければならぬと思う。ことに私は、共済組合制度というものはやめて、恩給制度へ返るべきだ、こう思うのです。国家あるいは公共企業体が責任を持って老後の安定を国家保障するのがあたりまえであって、社会保障の範疇に追い込んでおくということは、これはちょっと当を得てないと思う。やはり国家公共企業体が責任を持って、生活の安定を国家保障でいくのだ、この考え方に飛躍されて、そうして公務員ベースにスライドする。また定年関係考える。各国は六十五から七十になってきておる。アメリカあたりは七十を過ぎていますよ。それを早くやめさせるというようなことは、好ましくない。能力がある者は、うんと仕事に携わらせてやるようにせなければいかぬ。さらに、恩給で若年停止ということは排除しなければいかぬ。やめたのですから、やはり若年停止を排除しておくことが、新陳代謝の原因にもなるわけです。この若年停止というものも排除して進むべきだ。元来、終戦後日本の経済が悪いために、経済的理由がこれにからんで、若年停止もやれば、あるいは共済年金制度にも持っていく、スライド制もやらない、また現役の給与も押えていくというような状態できたことは、これは日本経済のやむを得ざる状態であったと思うのですけれども、今日のこの時代においては、やはり抜本的にこれを変える。これに対して調査室等をお持ちになっておるのですから、基本的に御調査をして、これらの諸問題を積極的に変えて進むという強い態度を、私は特に長官から承りたいと存ずる次第でございます。
  19. 臼井莊一

    臼井政府委員 ただいまの永山先生の御意見には、ごもっともな節もあると存じます。  御承知のように、公務員ベースアップにつきましては、民間の百人以上の会社の給与等を調べて、それに見合って人事院がこれに勧告をする、こういうことでございますが、民間の給与は、先ほども申し上げましたように、これは公務員もそうでありますけれども、やはり優秀な人的資源、職員等を確保したいということになりますと、今日のように経済が成長し、昔と違って人手不足というようなことになると、勢い需要、供給の関係で、やはり給与につきましてもいい給与を出さないとなかなか人が集まらない、こういうことで、自然に給与も上がっていくわけでありまして、給与がだんだん上がっていくということはけっこうなことではありますが、これとてもあまり上がり過ぎると、今度はコストインフレになって、会社のほうがなかなか経営がむずかしくなる。こういうようなこともあるのでありますが、それにしても人がいなければ仕事ができぬということで、苦しい会社でもやはり給与引き上げていかなければならぬ。それとともに、この給与引き上げ一つの理由は、民間会社におきましては、企業の合理化によりまして生産性が向上した、その一部を給与のほうにも回す、こういう点があるわけであります。でございますから、人事院の公務員に対する給与の勧告については、おそらくそういう点も考慮しているのじゃないかと思いますが、民間のこれらの要素によってきまった給与を勘案して公務員給与も人事院勧告によってきまるということであれば、会社では生産性の向上といいますか、仕事の能率を上げているのですから、公務員においてもそれに対応するだけの機構なり、また心がまえにおいてもそうしなければならぬという点があるわけでございます。そういうことでございますが、これは現職の現時点における問題で、そこで恩給等につきましては、すでにやめられて、もちろんさらにほかに就職されて働かれている方、御自身で仕事をやられているという方もあるでございましょうけれども公務員として国家に働かれてやめられたそのときの時点をもって一応算定の基礎にいたしますので、したがって、その後のいま申し上げたような人的資源の需要、供給というようなものを恩給額引き上げていく計算の中に入れるということについては、問題もあるのじゃないか。そこで、いまお話しのように、公務員につきましても優秀な人を迎えなければならぬことは当然であります。そういう意味において、ただいま永山先生も言われるように、公務員においてもいろいろな制度上の恩典といいますか、そういうものも十分考えて、やめられても公務員についてはこういう保障があるのだから、ひとつ優秀な人も公務員になってくれ、こういうことは、私は当然考えらるべき問題ではあると存じます。しかし、一方また公務員につきましては、民間側からいえば、ことばに語弊があるかもしれませんけれども公務員についてはいわゆる親方日の丸で、会社であれば事業の盛衰によってつぶれる事業もある。いいときはいいけれども、悪くなれば首になっちゃって路頭に迷うこともある。公務員につきましては、その点はまじめにさえやっていれば、つぶれるようなことはない。そういうように、ある程度身分的に保障された面もあるわけでございます。しかし、それだけでは必ずしも十分でなくて、やはり優秀な人を迎えるには、やめられたあとについても、これからは共済年金等の問題でございましょうけれども、やはり保障して、さらに安心して十分仕事に精を出せるようにして、優秀な人が来るようにという考慮も必要かと存ずるわけでございます。したがって、お説のように、恩給局にも昨年から審議室を設けまして、恩給制度につきましても十分検討をして、そして今回の引き上げにつきましても、研究した結果をできるだけこれに盛り込もう、こういうことでやったということを申し上げるわけでございまして、若年停止の問題についても、これは停止せずに出すのが望ましいのでありますけれども、やはりこれも財政的な見地から、それらの方は御遠慮願って、できるだけ年をとられた方とか、あるいは旧軍人恩給等でも、戦没者の未亡人の方を優先的に、こういうことも、率直にいえば、やむを得ずやっているということもいえると思うのでございます。これらにつきましては、今後とも審議室等で十分ひとつ検討してもらいたい、こうも私のほうでは考えております。
  20. 永山忠則

    ○永山委員 関連でございますから、これで私のほうは一応やめますが、審議室のほうで十分積極的に検討するというおことばをいただきましたので了承いたしますが、どうかひとつ根本的な検討を続けてもらいたい。それがために審議室の拡大強化ということに対しては、われわれは積極的に協力をいたしたいというように考えておるのでございますが、実際問題として、現役職員が人事院の勧告でさえも十分満足しないというようなやり方をしておったのでは、絶対に優秀な人を得ることはできないのです。それならば幾らでも人を多くとればいいということではないのですから、したがって、それにはやはり配置転換とか、あるいは機構の整備とか、能率化であるとか、合理化であるとかいうようなものは、当然行管と一緒に検討されて、ただ恩給ということだけではなく、優秀な人的資源を確保するという大きな観点に立って総合的な研究を進めていただかなければいかぬのではないか。さらにまた、国家のために奉仕する、その奉仕の一番高度の戦死者であるとか、あるいは戦傷病者、公務傷病者、あるいは戦闘従事者、こういうような人々に対する処遇等に関しても、十分誠意をもって国家の感謝の意を表すということでなければ、やはり行政事務に一生なげうって、誠心誠意、民族発展のために精進しようという意欲を動員することができないじゃないか。いまのように生活保護費よりも安いものにしておいて一やはり恩給自体で生活しているのですよ。その他の要因というものは別なんですから、その人の一生は、その家族とともに恩給自体の生活なんですから、それを生活保護よりも安い状態に置く。それが適当だとは思っておられぬでしょうが、やむを得ぬのだというようなことで総務長官がおられたら、いかぬです。あなただけですよ、保護する者は。ほかに保護者はいないのですから、あなたのほうで、これらのことも積極的に政府を督励をされていかれるということで、積極的態度を特に要望いたして、関連だけはこれで終わります。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 総務長官が時間がないそうでありますので、大蔵省のほうは後ほどに回して、先に質問を続けたいと思いますが、倍率の問題が今度の問題になると思うのです。それは現在は、一般公務関係の普通恩給、普通扶助料等が、二万円ベースであります。ところが、これに対して、公務傷病あるいは公務扶助料関係、傷病恩給、特例恩給等関係は、二万円ベースに千分の千百二十五をかけている。そして倍率がそれぞれ違いますけれども、現在の体系ができておる。これは厳密にいえばベースと呼ぶことばではないと思いますが、かりにわかりやすくこれを二万四千円ベース、こう呼ぶとするならば、今回旧軍人等につきましては、兵の位は四・三二倍という倍率をかけて、そして二一・六割までの区間に分かれて、倍率計算がなされておる。これは現行のベースに比較をするならば、約三〇%アップされる、こういう説明であります。とするならば、現行は二万四千円ベースということになると、公務扶助料関係は三割アップということになれば、三万一千二百円ベース、こういうふうになると考えて差しつかえないのでありますか。その場合のいわゆる一定比率の係数は、どういうような係数として整理をされているか。これは事務的な問題でありますので、当局の事務段階のほうで御説明を願っておきたいのであります。  それから私が総務長官にお尋ねをいたしたいのは、旧軍人が四三・二割から二一・六割、文官の場合には三二・九割から二一・六割、それから平病死扶助料の場合には、旧軍人は一六・三から二五・九、旧文官の場合には一六・三から二四・七、それから特例扶助料の場合には一二・七から二五・九、こういうふうに倍率がそれぞれ異なるわけであります。この倍率の押え方いかんによりましては、社会保障制度的な色彩を強くすることもありましょうし、あるいは死んだ人は同じではないかということで、前に受け取りました仮定俸給額というものを大幅に変更をし得るということも、倍率のかけ方のいかんによっては出てくるわけであります。最低生活保障するという立場に立つ限りは、こういうような位の低い、しかも仮定号俸の低いところに高い倍率をかけ合わせることによって、そういうような遺族に対する扶助料というものが成り立ち得ると思うのであります。とするならば、私は決してこれが高いとは言いませんが、普通の恩給を受け、あるいは普通扶助料を受ける人たちとの間には、いままでは二万円ベースと二万四千円ベースで、差額が約四千円である。ところが、今度はこれがまた大きく開き過ぎてきたのではないか。こういうようなことが、はたして恩給政策上当然な方向として是認をさるべきものであるのか。この点、このような結論を得られましたその理由というものについて、総務長官の答弁を願っておきたいと同時に、今後これについては、やはりこういうような格差が拡大をしていくのじゃないかと思うのでありますが、拡大をする方向で今後やはり検討をされるのか。公務扶助料関係は、この金額に直しますれば、ようやく生活保護基準程度であって、決して多いとは思いませんけれども、それにしても普通恩給、普通扶助料を受けている者との間におけるいままでの比率と今度拡大をされる格差は、どういうふうにして是正をする考え方をお持ちなのか、それを説明を願っておきたい。
  22. 臼井莊一

    臼井政府委員 私に対する御質問は、今度兵の階級で言えば三五・五の倍率を四三・二に改めた、こういう問題かと思うのでありますが、現在までの仮定俸給は、公務以外の恩給はいわゆる二万円ベース、それから公務関係恩給は二万四千円ベース、こういうことであったのでありますが、今度基礎を二万円ベースに置いて、そして特に戦没者の方々といいますか、そういう方々に対する考慮というものを特に払いまして、そこで倍率で調整をはかるといいますか、考慮を払う、こういうことで実は三五・五から四三・二に引き上げたのが、一番根本的なあれでございます。詳細な点につきましては、また技術的な問題もありますが、はたしてこの四三・二に引き上げたことが適当かどうかという議論はあるかと思いますが、まずまず現在の時点ではこのくらいで適当ではなかろうか、こういうことで引き上げた次第でございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 総務長官が時間がないとおっしゃいますから、おられる間に、長官でなければお答えできにくい問題だけ質問をしておきたいと思うのであります。  この倍率の引き上げ方のいかんによりましては、私が申し上げたように、いわゆる社会保障制度的な性格——階級差があまりなくなるわけですから、それがとられる。それから一般扶助料関係との間に今日においては四千円の開きがあるが、今度は七千円ぐらいの開きになる。そういうようなふうにだんだん格差を拡大をしていく方向をおとりになるのかどうか、これを私は聞いているのである。将来はどうするのだという方向があるのでありましたら、それを御説明願いたいという質問をいたしている。
  24. 臼井莊一

    臼井政府委員 普通扶助料公務扶助料につきましては、やはりそこに差が従来もございますし、ある程度の差というものはつけてしかるべきではないか、そう考えまして、そこで今回もその差をつけるのに、ベースによっての差でなく、むしろ倍率によってその差を一応つけたわけでございます。したがって、この差をますます広げていこうか、別にこういう考えがあるわけではございませんけれども、やはり普通の恩給公務扶助料との差というものは、従来もありましたし、少なくともこれくらいの差は現時点において必要だ、こう考えまして、倍率によってそこに差をつくったわけであります。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 あまり詳しく存じておられないようでありますから、恩給局長から承ります。  そこでもう一つは、元南満州鉄道株式会社職員であった公務員恩給共済問題に関する陳情書というのがきておりますが、すでに参議院の内閣委員会の決議としては、これらの問題について、単に恩給資格をとるだけの通算でなくて、満州から日本の政府に、満鉄関係の職員であって、引き揚げてまいりましてから日本国の政府職員になった、こういうような者については、期間も全部通算をすべきである、こういうような陳情書が出てきておるわけでありますが、それと同時に、ソ連あるいは中共に抑留されました期間も、在職年数の通算基礎の中に今回一括の加算として認めていくというようなものが部分的に取り上げられて、法律改正案が出されております。ところが、この通算の問題については、これは出ていないわけであります。そこでいろいろ陳情があります。私も、これにつきましては若干の意見を持っているのでありますが、これについてはどのように検討されたのか。検討されたことがあるならば、それだけをお聞きしておきたい。
  26. 臼井莊一

    臼井政府委員 その問題につきましては、かねてから私どものほうへも陳情がきておるのでございますが、いわゆる日満日という、日本の公務員であって、それから満鉄やまた公社に類似するあれにつとめておった者、これについては通算をする。それから日満についても、公務員で向こうへ行きましてやめた者についても通算をする。ただ満目といわれる、満州国で就職されて、終戦後日本に来られた方に対しては通算がない。ただし、それらの方についても一定恩給がつくまで、文官において十七年のそれに達するまでは見る。ただ、それ以上の者に見えないというところに御不満があろうかと思いますが、これは私どもも十分恩給局と検討したのですが、一つは日本の公務員で満鉄等へ行かれた方は、いずれは日本にまた公務員として戻られる、こういうような一つの納得をしてもらって行ったということで、したがって、あちらでやめられた方でも、そういう意味において通算をする。ただ、満州で満鉄等へ就職された方でこちらへ来られた方に対しては、当初から日本の公務員というわけでなかったものですから、ただ不幸にして戦争でああいう結果になって内地へ戻られて公務員となったので、そこで少なくともその恩給に達するまでの点は見るけれども、満州で何十年つとめたんだから、日本の公務員になったんだから、向こうの満鉄に行った方が、向こうにいた何十年間を全部通算しろということまではいかがかということで、現在といたしましてはそれを全部通算するというわけにはいかない、こういう結論が出たわけでございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 現在の結果がそうであるがゆえに、この改正案の中には出てこなかったんだろうと思うのです。理由書等はいろいろありますが、いわゆる国際電気通信株式会社、及び民間工事請負業者がつくりました日本電信電話工事株式会社のこの二つが、昭和二十二年十二月六日、片山内閣のときに法律百五十一号によって、民間の場合まで含めて恩給公務員として在職した者として通算をするというような、そういうようなものがあるわけです。理由書はそういうように掲げられておりますので、中身を調べてみましたら、連合国軍最高司令官からの日本政府に対する覚え書きに基づいて、両社の通信業務を政府が引き受ける、こういうことに基づいた措置として法律が生まれている。当時の議事録を調べてみますと、別に論議しないままに——ほかの内容では論議しておりますが、この百五十一号の法律については、論議をされないままに満場一致でこれが通っておる。これは恩給法の体系の上から見まして、今日の時点においては私はきわめて不合理ではないかと思うのです。しかし、そういうように法律としてすでに通過をし、そして国庫に納付金を納める。そして在職年数というものが恩給の年月日に加算をされる、こういうような仕組みになっておる。もちろんその意味においては、国庫に納付金を納めておるのでありますからいいわけでありましょうが、そのように連合国の覚え書きによってなされたものが、一つの理由としてあげられておる。その本質論から言うならば、これは公務員として通算をすべきであったかどうか、私ちょっと疑問に感ずるのでありますが、このような事実が一つの既定事実としてあらわれておるというようなことも理由になりまして、陳情というものがなされておる。そこら辺につきましては、私はこの委員会で結論を出そうとは考えませんけれども、十分検討を加えておいていただきたいと思うのです。総務長官、時間がまいりましたので……。  大蔵省の給与課長がお見えになっておりますから、この際、先ほど関連をいたします問題を問いただしましてまいりたいと存じます。  先ほど恩給局長から説明がありましたように、昭和三十五年十月一日において、二万四千五百六十四円の基準賃金が、人事院勧告によって決定をし、施行された。だから、二万四千円ベースよりも高いところにあるものは適用の対象とならない。さらにまたこの時点においては、すでに国家公務員あるいは地方公務員においても、共済組合法適用されているので、そちらのほうの関連を見なければわからない、こういうようなことであります。そこで今回政府のほうから提案をされましたいわゆる旧令による共済組合等年金額改定に関する法律案、この中においてどのような方向考えられ、また国家公務員なりあるいは地方公務員共済組合法改正は、さらにまた国鉄やあるいは電電公社等の三公社五現業、これらの関係のいわゆる公共企業体等の共済組合法関連、さらにまた、私立学校の共済組合法改正案なりあるいは厚生年金保険法改正案等、一連のものが出されて、これらの問題について、どういうふうに恩給法改正に伴いまして改正をしようとしておるか、やはりこれは統一的にわれわれは把握しておかなければなりませんので、説明を願っておきたいと思います。
  28. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 お答えいたします。  国家公務員共済組合法ができましたのは、つまり、雇用員以外の公務員につきましてできましたのは昭和三十四年からでございまして、公共企業体につきましては昭和三十一年からということになっております。それで、この国家公務員共済組合法の趣旨は、御案内のように、従来の恩給制度から全く社会保険に脱皮した制度に変わったのでありまして、その内容につきましては、保険数理をもって経理するというたてまえになって、保険料あるいは負担金ということからなっているわけでございます。  そこで、従来で申し上げますと、二万円ベースでございましたから、したがいまして、ちょうど新法の年金に響かなかったという問題であったわけであります。それで、先ほど指摘ございましたように、今回恩給のほうで二万円ベースに対しまして二割アップになりますから、したがいまして、三十六年ベース程度引き上げになるということになりまして、新法年金に当然その問題が響いてまいるわけでございます。  そこで、この問題をどう処理するかということでございますが、もちろん共済年金、つまり新法年金につきましては、独自の改善案ということも考えられましよう。全く恩給とは違った改善案ということも考えられますものの、しかしながら、現在の新法年金とは申せ、それは全く過渡的な要素が非常に高いわけでございます。これを数字的に申し上げますと、かりに三十六年ベースまで引き上げになりますから、三十六年ベースまでにやめた人がおおむねこれに該当するという一応の想定に立ちまして考えますと、そういった方々は、大体一万三千人くらい、新法年金でやめた方方が一応引き上げの対象になるかと思います。これも目の子でございますから、その点お含み願いたいと思います。そこで、その一万三千人のうちで一体どの程度新法期間があるか、あるいは旧法期間があるのかということでございますが、大体九八%程度は、これは恩給公務員期間ないしは旧法期間に該当いたします。そういたしますと、片や新法年金は別の要素で改善する、恩給とは別だというわけにも現段階ではまいらないわけであります。非常にちぐはぐなかっこうになります。それで、先ほど申し上げましたように、九八%のものが、つまり経過的ではございますが、恩給公務員期間ないしは旧法期間でございますから、したがって、現実処理といたしましては、やはり恩給システムに追随せざるを得ないということにならざるを得ないわけでございます。その点は御了解いただけるものと思います。  そういう考え方からいたしまして、今回恩給につきましては、先ほど総務長官から御説明のございましたように、二割の引き上げということになりまして、それに対応いたしまして、私どものほうの共済年金も、既裁定年金引き上げをいたす。その方法は、先ほど申し上げましたように、やはり恩給に追随せざるを得ない現段階であるということからいたしまして、そういう恩給にならった改善案を御審議願っておるわけでございます。  そこで、今後は一体どうなるかという問題でございますが、総理府のほうから御説明がございましたように、この年金の実質的な価値が非常に下落するということのないように、われわれといたしましても十分検討をし、今後も配慮していかなくちゃならないことは当然でございまして、その方法論と、あるいはどういったやり方でいくかというような問題につきましては、やはり恩給の問題も十分頭に描きつつ、いろいろの他の公的年金との関係とかというような点をいろいろ勘案いたしまして、もちろん財政事情ということもございましょう、十分今後とも検討いたしてまいりたい、こう思っております。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、私、この際お伺いしておきたいのは、旧令に基づく共済組合年金改定法案等が出されておるわけですが、いわゆる国庫負担の割合、まあ保険システムをとっておりますので、保険料の引き上げというような問題等が、現実の問題として出てくるのではないかという問題があります。たとえば公共企業体の場合等において、現在の掛け金を払っておるところの職員が、すでに退職をした人の、いわゆる物価政策の結果招来をした実質的な価値が下落をする結果になってきた、その結果について、自分たちの掛け金の中においてその古い職員の改善策まで考えてやらなければならないのかどうか。この問題についての責任は、やはり政府がとってもらわなければ困る、こういう強い意見があるわけです。これらの問題に関連をいたしまして、この掛け金率の問題についてどのような考え方をおとりになって、さらに、いろいろ企業体によりましてこれは違いますが、確かに人数の少ないところは、共済のそういうような社会保険として成り立ち得ないところがあるであろう。たとえばアルコール専売であるとかあるいは印刷局であるとか、こういうようなところの掛け金率の問題、あるいは郵政省とかその他国鉄、電電公社、こういうようなところの掛け金率、あるいは国家公務員共済組合の掛け金率、これらの間にどのような差異が現在とられているか、そのあたりについての説明を一応伺っておきたいのであります。
  30. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 つまり追加費用について、だれがどのように負担するかという御質問でございます。これにつきましては、共済年金引き上げに伴う追加費用につきましては、いわゆる旧法あるいは恩給公務員期間に相当する分と、それから私ども関係いたしまする国家公務員共済組合の場合で申しますと、昭和三十四年以降の新法年金に対応する追加費用、この二つに分けて御説明いたしたいと思うのです。  そこで、現在の共済年金は、新法年金に脱皮したとは言え、経過的にはやはり恩給公務員並びに旧法期間を取り入れております。したがって、そういった恩給公務員期間等につきましては、これは財源率計算からいたしますと、別ワクになっております。しかも、そういった恩給公務員期間に対応する積算につきましては、全くその恩給法当時の既得権と申しますか、期待権と申しますか、そういった意味合いからいたしまして、全く恩給と同様の計算システムに相なっております。そういったことからいたしまして、恩給公務員期間に対応するところの追加費用につきましては、これは従前と同様に国が負担するという考え方でございます——国と申しますか、国、事業主、公共団体が負担するという考え方でございます。  そこで、新法年金に対応する分につきましては、これは社会保険の根幹でございますところの厚生年金保険が、過去幾多の既裁定年金引き上げをいたしております。おそらく六回くらいやっておりますが、それにつきましては、すべてこれは三者負担の原則でまいっておるわけでございます。そういった社会保険の根幹であります厚生年金のルールがございまして、やはり社会保険に移行いたしました以上は、その制度に追随をせざるを得ないわけでございまして、そこで新法年金に対応する追加費用の原資は、これは三者で負担するという考え方でございます。  そこで、これは一体現実段階でどの程度響くかという問題でございますが、国家公務員共済組合の場合で申し上げますと、先ほど説明申し上げましたように、恩給公務員期間が圧倒的でございます関係上、これが財源率の計算をいたしましても、これは全く影響ないという数字になっております。もちろんこれが累次引き上げが行なわれますならば、理論的には遠い将来——いつかわかりませんが、ともかくそれは理論的には財源率計算に影響してくることは当然でございます。その場合に一体どうするかという問題になろうかと思いますけれども、これは社会保険であるところの負担関係をどうするか、それから俗っぽい表現かもしれませんが、労使間のそのときの負担能力、そういったいろいろな問題を総合勘案して、今後の検討課題として検討いたしたい、このように考えておるわけでございます。  それから、もう一つの御指摘は、公社間の掛け金率、それから特にアルコール、印刷の御指摘がございましたが、アルコールにつきましては、これは連合会加入組合でございますから、特別な長期給付の経理をいたしておりません。それから印刷、造幣につきましては、やはりこれは連合会から独立して経理いたしておりますから、造幣、印刷につきましては、私が先ほど申し上げましたように、財源率には影響ない、かように考えております。公社関係につきましても、影響はないというふうに私どもは伺っております。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 今度のベース改定に伴う分は、九八%程度恩給期間になり得る組合員であるというようなことで、そう大きな掛け金率の変動の及ぼす影響等はあり得ないということでございますので、しかもその恩給期間に関しては国が負担をする、事業主が負担をするという原則が貫かれておりますから問題はないわけでありますが、今後やはり物価上昇をし、他の生活水準等との比較の上において問題が出てきた場合には、さらに改定をしなければならぬのだと思うのです。そのときに、そのベース改定に伴う差額を現在の組合員のみが負担をするという考え方、これが保険の考え方でありましょうけれども、将来のためにやるのだったらそれは考えられる方向でありましょうが、すでに退職をした者について、しかも国の貨幣価値を下落をさせるような政策が結果的には生まれている、その結果に基づいてそのベース改定が行なわれたとするならば、これはやはり大きな問題であろうと思うのでありまして、この問題については、今回はあまり問題はないということでありますので、これでおきますが、十分当事者間の問題等も煮詰めていただいて、検討を要望申し上げておきたいと思う。  それから今回、厚生年金保険法改正案が出されて、一万円年金という方向を目ざしておることは御承知のとおりでありますが、これも定額部分を、二千円のやつを五千円に引き上げる。そしていわゆる報酬比例部分の算定基礎となる係数を千分の六を千分の十に改めようというのが、政府原案であるようであります。社会党は、これに対しまして、これでは不十分だということで、いわゆる固定定額部分を八千円に引き上げて、そうしていわゆる報酬比例部分にかかわります係数を千分の十六に改めていった場合には、たとえば勤続二十年、そして全期間の平均標準報酬月額が二万五千円の場合には、年金額が月に一万六千円になる、こういうような計算をいたしまして、これくらいなければ老後生活保障ができない、こういう考え方政府原案に対しまして対案を出そうとしているわけです。そこで私は、この問題については、恩給法に基づこうが、あるいは共済年金であろうが、一体老後生活保障という問題はどういうところにめどを置いて考えなければならないかという一つ基準というものは、これはおもに今度の場合には恩給法改定に伴いまして、共済年金の旧令の関係のもの等が出されてきているわけでありますから、きわめて重大な問題であろうと思います。したがいまして、今後においてはどういう方向考えていくのだということの方向づけを明らかにしていただかなければ、いま申し上げましたような厚生年金保険法等が一万円年金という形で出てくる、政府原案の中にも出てくる。そうすると、恩給の場合には一体どれくらいかというので調べてみますと、これはそれよりもきわめて劣悪な状態に置かれる、こういうことになろうと思うのであります。とすれば現在、恩給の場合には二%掛け金率がある。それから共済組合の場合には、それよりも高い掛け金率を掛けて支払いをしておるわけでありますが、それらとの関係の問題が今後出てくると思うのであります。これらについては、政府の中において、たとえば恩給の審議会というのが総理府の中にあるそうでありますが、それらの中において、社会保障制度との関連性をやはり政府が統一的ににらみ合わせて、今後の方向考えるべき段階に来ているのではないかと思うのでありますが、これについて、そのような協議をなさったことがあるのかどうか。そしてまたなさったとするならば、今後どのような方向に持っていこうとしておられるのか、基本的な考え方でございますので、当局の説明を承っておきたい。
  32. 増子正宏

    増子政府委員 ただいま御質問の点でございますが、これはひとり恩給法ばかりではございませんので、私が関係の方面を全部代弁するという立場にございませんけれども、一部関連いたしておりますので、便宜私からいままでの経過考え方等について申し上げたいと存じます。  各公的年金、特に公務員に関する年金制度につきましては、御指摘のような意味でいろいろ相互に関連がございますので、今日で言いますれば、一昨年の暮れであったと思いますが、公務員年金制度連絡協議会と称するものを総理府部内に設置いたしまして、総理府総務副長官を議長といたしまして、これに関係の局長がいわゆる委員として参加いたしました。設置以来数回にわたりましていろいろ協議検討をいたしたのでございます。特に問題として取り上げられましたのは、言うまでもなく恩給法改正、特に既裁定年金増額改定という問題に関運しまして、実は私ども恩給局のほうから問題を提案したという形で、他の共済年金なりあるいは厚生省所管の国民年金厚生年金等の関係等につきましても、関係の局課長等に説明を願ったりいたしまして、御指摘のような共通問題について関係部内の意見をできるだけまとめていきたいという方向で努力をいたしてまいったのであります。しかしながら、今日の段階におきまして、そこで提出されました各種の問題が、全部統一的な見解で結論を得たというところまではいっておりません。なおさらに引き続き検討を要するという状態であるというふうに申し上げたほうが、むしろ正確かと存じます。特に問題を恩給について申し上げますと、いわゆる最低保障制度というものを恩給制度の中に取り入れるかどうかというような問題が一つございます。今日ではそういうものは全然ないわけでございますが、御承知のように、恩給におきましては、退職したときの俸給、いわゆる最終俸給というものを基礎にして一定の率をかけるわけでございます。その点で、他の社会保険とはかなり違っておるわけでございます。国家公務員共済はやや似ておりますけれども、これは退職前三年間の平均俸給というようなことで、最終そのものずばりではございません点、そういうのが違うわけでございます。それから厚生年金その他につきましても、そういった最終俸給という形ではないこと、それからいま問題になっております厚生年金、たとえば二十年間勤続の場合というふうに標準化されるわけでございますけれども恩給の場合におきましては、まあその点一体何年を標準として考えるべきか。文官は御承知のように従来十七年でございましたけれども、軍人につきましては十二年ないし十三年というような点もございました。なお、特に加算制度等もございます。そういった形でいろいろと恩給の特殊のスタイルがございますものですから、いわゆる最低保障的な額を、あるいは段階をどこに設けるかということにつきまして、非常にむずかしい点がございますので、いろいろと検討いたしましたけれども、今日におきまして恩給制度最低保障をそのものずばり持ってくるということは、なかなか困難だという状況にございますけれども、今後のいわゆるベースアップといいますか、増額改定等の問題につきましては、御説のように、厚生年金あるいはその他の公的年金との関係もあり、恩給としてもいろいろな角度からの研究をしてそれに対処していかなければならぬのではないかというふうに考えておるわけでございます。その意味で、関係各省との連絡は、今後とも一そう緊密にしていきたいということでございます。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 方向は局長の答弁でよろしいわけでありますが、それらのものを総合調整をしていく機能は、どこで果たされるわけでありますか。これは総理府が果たすべき役割りなのか、財源関係を主体として考えていくならば、大蔵省が中心になってこれらの問題を考えていくべきなのか、恩給制度という問題が、だんだんに社会保険制度方向に発展をしているわけであります。そういうような問題と社会保障的な立場からの厚生年金や各種のそういう年金関係が、新しい制度として生まれてくる、それらをやはり統一的に運用をしていかなければならないということが、公務員制度の上においても必要であろうかと思います。とするならば、それらを総合調整する機能としての国家行政組織法上の位置づけがなされなければ、まことにちゃらんぽらんな恩給社会保障が生まれてくるであろうと思うのでありますが、それらはどこでやるようになっておりますか。
  34. 増子正宏

    増子政府委員 その点に関しましては、現在のところ、御指摘がありましたように総理府の所管ということに考えておりまして、ただいま申し上げました公務員年金制度連絡協議会のいわば事務局というのは、総理府の官房の公務員制度調査室が処理をいたしておるわけでございます。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはわかりました。  そこで、それらが十分な機能の役割りを果たしてもらわなければ困るわけでありまして、各省からそれぞれ前向きの形の法案が出されておる。それをやはり総合的に国の政策として位置づけていかなければならない段階が、今日の段階であろうと思います。ただ、総務副長官が中心になって各省の局長段階で審議をするという段階だけでなくて、もっとやはり国の政策として取り上げていくためには、国務大臣が中心になりまして、そういうような制度をつくっていく方向を進めていくという方向でさらに御検討を願っておきたいのであります。  そこで、私は先ほど総務長官がおいでになるときに、技術的な、事務的な問題は後ほどお聞きしますということで質問したものが、まだ答弁漏れになっておりますので、この際お答え願っておきたいのであります。  というのは、現在の二万四千円ベースの算定の掛け金率の場合にはその計数が出されておりますが、今回この提案理由の説明にもありますように、三〇%前後増額した額に引き上げられることに公務扶助料関係はなっている。とするならば、それは三万一千二百円ベースという段階で計算ができるのかどうか。これらの積算の基礎はどういうような方法でなされるのかという問題と、それから先ほども質問をいたしました旧軍人等の兵の位にありましては、四・三二倍という倍率をかけるという算定の合理的な基礎、特に文官との比較の上において、将の位に当たるようなところは同じでありますが、下のほうは兵の位のところとそれから文官の一番低いところと比べてみますと、文官は三・二九倍、同じ公務扶助料でありましてもそういうふうになっておる。とするならば、これは上のほうは同じで二一・六割ということですからいいですけれども、下のほうはそういうふうに差をつけなければならない理由がないんじゃないか。これらの合理的な算定の基礎につきまして、説明を願っておきたい。
  36. 増子正宏

    増子政府委員 御質問の点でございますが、公務扶助料が、兵のクラスにおきまして、今回現行の公務扶助料に比べまして三〇%程度増額になるということを申し上げておりますのは、いわゆる公務扶助料計算にあたりましては、まず普通扶助料を出しまして、その普通扶助料にいわゆる倍率というものをかけるわけでございます。すなわち現在ですと、二万四千円のところで普通扶助料計算いたしまして、それに対して三・五五倍いたしますと兵の公務扶助料が出てくるわけでございます。それを今度の改正におきましては、二万四千円ベースの普通扶助料ではなくして、二万円ベース掛けるといいますか、二万円ベース俸給額に二割増ししたものを基礎にいたしまして、普通扶助料をまず計算をいたします。そうしてそれに四・三二倍するということでございます。その結果、兵の公務扶助料は九万三千四百五十七円ということになるわけでございます。現在のいわゆる二万四千円ベースで、しかも三・五五倍ということで計算をいたしました兵の公務扶助料は、七万二千四百二十円ということでございますので、その改善率はおおよそ三〇%になるというふうに申し上げたわけでございます。  なお、いわゆる旧軍人と文官との倍率の問題でございますが、本来的と申しますか、終戦までは、この公務扶助料の倍率につきましては、戦闘公務の場合とそれから普通公務、戦闘の場合は特にこの倍率というものを多くし、その他の場合、普通公務の場合と区別をいたしておりましたけれども、戦後におきましては、この戦闘公務と普通公務というものの差をやめまして一本にいたしております。公務でなくなった場合というこことであれば、それが戦闘であるかいなかという区別をせずに公務扶助料を算出するということで、倍率は一本になったわけでございます。その当時は、言うまでもなく終戦後におきましては文官のみの恩給でございました。軍人恩給は停止になったことは御承知のとおりでございますが、その後二十八年に軍人恩給が復活いたしましたときには、実は文武官の差別を設けずに、文官の倍率を一応適用したわけでございます。しかるに、この公務扶助料、いわゆる戦死した場合の遺族というような立場から考えますと、文官公務で死亡するという場合に比べまして、非常に特殊な事態にあるのじゃないか。つまり片方は赤紙一枚で召集されて、いわば不本意ながら戦場で命を失ったということが普通の場合でございますけれども文官の場合には、いやなことはしたくないから文官をやめるという自由はあったかもしれない。しかし、軍人の場合は、やめる自由というものがなかった。いわゆる退職の自由もなくして強制的に戦場にかり立てられて、そこで命を失ったというような場合でございますので、文官の場合と軍人のそういう場合を同率に扱うということは、やはり実質的に均衡がとれないのではないかという考え方があったと思います。そういう意味におきまして、軍人の倍率につきましてはこれを引き上げるという形でまいりました。したがって、文官との差がここに出てきたわけでございます。  それでは、この差をどの程度にするのが妥当であるかという問題がございます。今日まで文官の場合は二七割というのが最高の率でございますけれども、軍人は現在三五・五割、つまり文官は二・七倍であるのに軍人は三・五五倍というように、軍人のほうが公務扶助料を厚く見ておるわけでございます。この率が適当であるかどうかということにつきましては、実は関係団体のほうでもいろいろと御論議がございました。結論的に申し上げますと、もう少し軍人の遺族につきましては考えるべきであるという御意見が、非常に強かったわけでございます。そういう意味におきまして、この公務扶助料の倍率の引き上げということは、私ども懸案として従来考えておったわけでございます。ところで、先ほど総務長官が申し上げましたように、公務扶助料の場合と普通扶助料の場合とでは、現在では仮定俸給のほうでも二段階ある。普通扶助料の場合にはいわゆる二万円ベースであり、公務扶助料の場合はいわゆる二万四千円というように、仮定俸給のところで二段にしておき、しかも今度は公務扶助料の算出の倍率をさらにそこに三・五五倍加えるという、二重の形で差別になっておるわけでございます。それを仮定俸給のところで二段にするということにつきましては、私どもこれはやはり本来的な姿ではないというように考えまして、仮定俸給はこれを一本化する。しかし、そういたしますと、現在公務扶助料と普通扶助料とでもっていわば処遇上差別があるわけでございます。それがひとつの既得権的な考え方になると思いますが、この既得権的な考え方を今後の改正の上でもやはり維持すべきであろうという考え方が、一つ出てまいりました。そういう意味を含めまして、この三・五五倍という倍率を若干引き上げるということをまず考えました。それを求める根拠といたしましては、まず終戦時までの公務扶助料の倍率というものを一応念頭に置きました。しかし、これは先ほど申し上げましたように、戦闘公務と普通公務と分かれておりましたから、この両者を一本化する形におきまして、終戦時の公務扶助料のときの倍率にできるだけ対応したような形で今回引き上げるということにいたしたわけでございます。その結果、三五・五割を四三・二ということにいたしますと、まずそのつり合いがとれるということでございます。  それからなお、増加非公死の場合の扶助料でございますとか、特例法の扶助料でございますとか、これは従前関係をそのままここに反映せしめまして倍率を定めたということでございます。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまの説明はわかったようなわからぬような説明でありますが、というのは、なるほど既得権としてこの問題をながめていくならば、文官と旧軍人との間の差がわかります。しかしながら、上のほうは倍率は同じなんです。将の位のところになりますと、二一・六割、また文官のほうもそうです。兵のところだけが四三・二割で、それから一番低い文官のところで三二・九割、こういうような開きがある。さらに平病死の公務扶助料の場合なんかは、私は全く同じにしなければ筋が通らぬと思う。にもかかわらず、上のほうは一六・三ということで頭をそろえておりますけれども、下のほうになると、二五・九と二四・七ということで、倍率がちょっと違う。こういうようなところは、政策的なものが入り込む余地はないのではないかと私は思うのであります。そこで少なくともたてまえを貫くということになるならば、旧軍人のほうは将の位に至るまで同じように文官よりも高くなければ納得ができないし、上のほうだけ同じにして下のほうは差がつくということは、理論的な根拠というものよりも、政策的な、政治的なといいますか、その圧力関係がやはりこの法案の中に出てきておる、こういうように見なければならないと私は思います。ただ、九万三千何がしのものが高いとは私は言いません。先ほど最低の場合の九万三千四百五十七円ですか、この兵の公務扶助料というものは、大体生活保護基準すれすれの程度にすぎないわけでありますから、決して高いとは申しませんけれども、ここで考えなければならないのは、文官の場合には自分の俸給から二%ずつ毎月差っ引かれておるわけですね。ところが旧軍人の場合には、国庫納付金というのはないのです。兵の段階なんかにおいては特になかった。そういうような問題もやはり考えなければならない。そういう意味において、やはり文官の倍率を定めた根拠がきわめて不均衡になっておると私は思いますので、下のほうは兵と同じように均衡のとれた是正を将来においてはしていただかなければ、やはり国民の前に政治の正しい姿があらわれてこないと思うのです。その点については要望を申し上げておきますので、今後検討のほどをお願い申し上げておきます。  そのほかありますが、だいぶ時間も超過いたしましたので、私の質問は一応打ち切りたいと思います。
  38. 河本敏夫

    河本委員長 永山忠則君。
  39. 永山忠則

    ○永山委員 賞勲局長がお見えでございますから、ちょっとお尋ねしますが、戦死者の叙勲の関係がどういうように進んでおりますか。できるだけ生存者をあと回しにして、戦死者でございますから大幅に早く叙勲を進めていただくことが、国民の要望であるというように考えておるわけであります。ことに聞くところによりますと、現役関係の人は、旧来の七十五歳を今度は七十歳に引き下げて大幅にしようというような計画があるやに聞いておりますが、それよりもさらに戦死者叙勲を優先すべきではないかというように考えておるわけですが、所見を承っておきたいと思います。
  40. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 戦没者の叙勲につきましては、昨年の一月七日に閣議決定がございまして、今次の戦争の戦没者のうちで勲章をもらわれた方は三十三万余人でございまして、なお叙勲の発令の内部手続をいたしましたけれども、勲章も勲記も差し上げてない方が六十八万六千人もいらっしゃる。そのほか、まだ表彰のごさたに接しなかった戦没者がさらに百万人いらっしゃる。合計いたしますと、約二百万人の戦没者がいらっしゃるわけであります。戦前すでに発令のあられました方々には、すみやかに勲章と勲記を御連絡し、あと未発令の方々にも、それと均衡を失しないように、全員の叙勲をなるべく早く完了しようということが閣議できまりまして、昨年の四月が第一回、本年の三月で十二回にわたりまして、戦没者の叙勲を発令いたした次第でございます。その総数は、当初二十万人を初年度予定いたしておりましたけれども、事務のふなれその他もございまして、十二回にわたります合計は十二万七千七百名、これが三十九年度におきます戦没者に対する叙勲でございます。第十二回目は、この三月二十七日に一万八千九百七十三人発令になっておりまして、その中には、沖縄在籍の戦没者も、今回第一回といたしまして二百三十四名が発令になりました。これは来年度は三十万人を目途に、より一そう能率をあげまして、これは厚生省援護局が府県市町村を通じて手続をとっておられるのでございますが、厚生省とも緊密な連絡を保ちながら、できるだけ多くの方々が叙勲せられますようにつとめていきたいと思っております。
  41. 永山忠則

    ○永山委員 それで、大体いつごろまでおやりになる予定でございますか。
  42. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 当初おおむね五カ年の計画ということで始めておるわけでございまして、初年度は二十万の予定のところを十二万七千名しかできませんでしたけれども、次第に府県市町村のほうも事務がおなれになりますので、来年度はさらに三十万、再来年度はさらにそれ以上というふうに能率をあげて、おおむね所期の計画どおりに進めてまいりたいと思っております。
  43. 永山忠則

    ○永山委員 所期の計画をできるだけ早めていただきませんと、老齢になりまして、漸次年寄りは減っていく情勢でございますし、感激を見ずしてなくなることは、いかにも残念であるというように考えておりますので、一そうひとつピッチを上げるような御計画を進めていただきたいと考えるのであります。  それでは恩給局長、審議室長もいらっしゃいますから、お尋ねいたしたいのでございますが、文官と軍人恩給との不均衡がいまなお存在するということに対しては、非常に遺憾にたえないのでございますが、この不均衡の是正に対して積極的な調査並びに計画をお進めになっておるかどうかを御質問するのでございます。  それは、第一に、仮定俸給関係でございますが、これは軍人恩給をつくりました当時、財政上の理由と当時の生活状態というものを勘案いたしまして、軍人恩給文官よりも大体当時四号俸ぐらい下げた標準で決定されたのであります。ことに兵の階級では、文官の八の六という線に標準をとったのでございますが、これらの点はきわめて妥当ではなかったというように考えるのでございます。また、上位の階級は、ベースアッブの際に頭打ちをいたしておりまして、さらに不均衡が存在をいたしておるのであります。この仮定俸給の不均衡の問題。  さらに旧文官関係と軍人恩給年額計算におきまして加算年の関係が、旧文官では三年を算入されておるのでありますが、軍人恩給関係ではこれが打ち切りもしくは低減の方途を講ぜられておるのであります。これらもやはり経済上の理由でそういうことができたと考えておるのでありますが、すみやかに是正をさるべきであるというように考えるのであります。これが第二の不均衡の点であります。要するに、加算年の算入の件であります。第一の質問は、仮定俸給の格づけの問題で、文官との不均衡でございます。  第三は、一時恩給の年限は、兵を含めて実在職の連続三年になるべきだと思うのであります。文官は三年になっておりますが、軍人恩給は七年ということにされておるのでありまして、これらもやはり文官と同じように三年に是正をさるべきである。また、退職公務員関係で、退職時における同格者間に凹凸のあるのはある程度是正をされておりますが、格差はいまなお残っておるのでございますが、これらの調整に対して、そういうような調査を進められておるか、どういうお考えであるかを承りたいのでございます。
  44. 増子正宏

    増子政府委員 恩給法上における文官と旧軍人との間の不均衡の問題につきましていろいろ御指摘になったわけでございますが、恩給局といたしましては、この恩給制度内における不合理といいますか、不均衡というものは、できるだけなくしたいという考え方を持っておりますことは、従来から変わりないのでございます。しかしながら、何をもって不均衡と考えるかということは、実はいろいろ問題がございます。もともと文官と軍人とにおきましては、全く同じ姿であったとも言えないところを持っております。軍人恩給の場合には、いまもお話しがありましたように、兵の場合の一時恩給等につきましては、これはなかったわけでございます。しかし、文官には、三年以上についてはすべてあったというようなことで、その出発の当初におきまして違いがあった。あるいは掛け金の問題、国庫納付金等の問題につきましても、違った処遇がなされておりますし、それから仮定俸給というものにつきましても、軍人の場合には一階級一俸給というようなことで仮定俸給がきまっておったわけでございまして、その点は実際の退職時の俸給と必ずしも合っていないというようなこともあったわけでございます。したがいまして、恩給制度上、従来とも文官と軍人との間におきましては、それぞれ違った取り扱い方があった。したがって、今日の時点におきましてそれを見ますと、いろいろと差が出てくるのが目につくわけでございますが、それをどう直したら均衡がとれるようになるのかということにつきましては、実はいろいろな考え方が出てくるのじゃないかと思うわけでございます。しかし、それは一般的でございまして、いま御指摘になった、たとえば仮定俸給の格づけ等の問題につきまして、軍人の場合には当初四号俸引き下げて出発したというような点、これは御承知のように、その後漸次回復いたしておるわけでございますが、将官と佐官のところで一部残っておるという問題がございます。  それから加算年の問題も御指摘があったわけでございますが、この加算年の問題は、なるほど戦前と比較いたしますと、いろいろ違った形でございます。それを戦前といいますか、終戦までの姿に全部戻すことがいいのかどうかという問題は、一つの理由としては、先生も御指摘になった財政上の問題ということもございますけれども、同時にそれが国民全体としてどう受け取られるか、あるいは国民感情等の問題につきましても、やはり考慮を要する点があるのではないかというふうに思うわけでございます。  それから一時恩給の点につきましても、軍人については、兵を含めて実在職三年以上の者については一時恩給支給するように改めるということも一応考えられるところでございますけれども、これらの対象になります人は、軍人としては比較的若年の方であり、しかも勤務年数としては比較的短い人であるわけでございます。しかも一時恩給として法律改正いたすということになりますと、一時に国の財政負担というものが相当の額になるわけでございます。そういった点も勘案いたしますと、単純に不均衡是正という形で処理できるかどうか、問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  それからもう一つ指摘になった、たとえば文官の相互におきましても、退職時に同じ職務であったものが、今日受けておる恩給年額に差があるというような問題、これもできるだけの解決をはかってきたわけでございますけれども、実は過去の職制における職務の位置といいますか、そういったものは、必ずしも統一的に処理されていなかった点もございます。たとえば府県等におきましても、市町村等におきましても、いろいろ給与上の処遇が差があったというようなこともあるわけでございます。そういう意味で、恩給制度上それをどこまで統一化できるかということは、非常にむずかしい問題でございます。従来とも相当努力してまいりましたけれども、なおかつ処理できなくて残っておる問題があるわけでございます。  以上申し上げましたけれども一般的な考え方として、不均衡はできるだけ解消いたしたいと思うわけでございますが、その問題問題により、また内容内容によりまして、いろいろと結論が違ってまいりますので、必ずしも御期待に沿い得ないといううらみが現在ございます。しかしながら、今後ともなお、御指摘がございましたように、検討を続けたいと存じます。
  45. 永山忠則

    ○永山委員 公務員制度調査室も非常に活発に動かれておるのでございますので、これらの問題は、ひとつ十分今後検討願いたいのであります。たとえて申しますと、傷痍軍人の仮定俸給におきましても、戦前は戦闘公務基準とされたのですが、普通公務で算定されておりますから、やはり格づけが二五%低いわけなんです。これらの点も十分御検討願わなければいかぬ。その理由は、単に経済的な理由だけではないのです。国家が約束したことだけは守る国でなければ、国民思想に及ぼす影響というものは非常に大きいと思う。戦争に出るときに、赤紙一枚で召集して、これだけの約束をしよう、戦死したならばこうする、けがをしたならばこうする、従軍した人にはこういうふうにするんだといって当時約束して出して、あとは心配するな、国民も、心配するな、こう言ってみな国家国民も送り出しておるのですから、その当時の約束は経済が悪いときはしようがないが、経済状態が直ったならば、これを守っていく。しかもそれが文官との不均衡がいまなお残されておれば、一つの反軍思想的なあおりを食ってきておる問題ではないかというように、逆に、非常に奉仕をした人々がこれに対して遺憾に思っておるのであります。その意味において、ひとつ不均衡の是正をやる。たとえば旧海軍の特務士官の仮定俸給、年給のごときも、いろいろ議論はございましょうが、事実上均衡を失しているということは前からいわれておるのでありますから、それらの点も恩給問題審議室で十分検討を積極的にしてもらうということを、特にこの場合お願いしておきたい。  そこで特に留意してもらいたいことは、物価は三十六年から大体五割ないし以上に上がっているのに、二〇%しかベースアップができないということなんですが、それをさらに三年計画で分割払いをしようというのですけれども、その間に全く物価が上がらない政策ならいいのですが、今回もまたベースアップの勧告があろうかという状態のときに、三年払いということでは、実際恩給受給者に対して私は相済まぬと思うのです。ですから、三年払いはすみやかにこれをやめてもらう。直ちに支払いのできるように、特に来年度予算編成、あるいは臨時議会等を通じて、ベースアップがどうせ勧告があるでしょうから、そういうときに補正予算でも組んでやるんだというような態度でなければ、私はどうしても恩給受給者に対して申しわけないと考えておるのでございますが、恩給局長は、もうきまったことだから三年間しようがないぞというお考えでございますか、とにかくこれは三年間ではいけないから、できるだけ縮めてやるように努力するという決意をお持ちでございますか、お聞きしたいのです。
  46. 増子正宏

    増子政府委員 今度の改正案につきましては、私ども必ずしもこれで十分でき上がっておるというふうには、もちろん思っていないわけでございます。それらにつきましていろいろと経過がございましたことは、先生十分御承知のとおりでございますので申し上げませんが、この改正案、現在御審議願っておるわけでございますので、もう決定してしまったからというふうには私ども考えていないわけでございますけれども、少なくとも今日におきましては、御提案願っております法案を御審議いただきまして、御可決いただきたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、来年以降どうするかということにつきましては、事務当局としましては何とも申し上げかねますことを、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  47. 永山忠則

    ○永山委員 さらに、恩給局並びに審議室のほうでは、積極的に物価にスライドする調整規定を設けたらいいという御意見をお持ちだったことを承っているのですが、今回はそれは抹消されているということで、われわれも遺憾でございます。やはり公務員ベースにスライドするという方向に、さらに積極的にこれを法制化するというぐらいのお考えをお持ちになって強くお進めいただかねばならぬと思うのですが、この点に対する御決意を承りたい。
  48. 増子正宏

    増子政府委員 調整規定の問題につきましては、実はこれは調整規定ということで内容一定している用語でもございませんが、私ども非公式といいますか、事務的にいろいろと研究しました中の一つの問題でございます。今回の改正法案にそれが入っていないことにつきましては、これはいろいろ意見がありまして、法案として御審議願いますについては、政府部内における統一したところで出したわけでございますので、その形には入らなかったということでございます。したがいまして、その点をどうするかということにつきましても、私、現在の立場で申し上げかねるわけでございます。  それからもう一つ恩給改定につきまして、公務員ベースにスライドするようにという御意見でございますけれども、この公務員給与にどういう形でスライドするかということ、これは実は技術的にいろいろな問題がございますので、簡単に先生のおっしゃるように、そのとおり実現するように努力したいと申し上げかねるわけでございまして、この点はひとつあしからず御了承いただきたいと思います。
  49. 永山忠則

    ○永山委員 公務員は期末手当や勤勉手当というものをもらっておるわけですが、恩給受給者にはそれもないし、非常に低減された率ですから、少なくとも基本ベースだけはスライドしていくという方向で将来御検討願いたい。これに関連して、この新法年金関係も、同じように恩給もしくは公務員ベースにスライドしていくということをお進めにならなければならぬことであると考えるのでありますが、今日は二万四千円ベースへ進められたということに対して、一応われわれもその点は喜んでおるのであります。将来どうしてもそのようにいくのだという考えで、同時に物価が上がるために、前の委員が言われたように、ベースアップもせねばならぬわけですから、その財源措置に対しては、国家が責任を持ってやる。いわゆる社会保障ではない、国家補償の範疇による年金だという考え方で、将来新法年金も取り扱うという方向でいくべきである、こういうように考えておるのでございますが、この点に対してお伺いしたい。
  50. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 お答えいたします。  共済年金の調整の御指摘でございますが、先ほど御質問がございましてお答えいたしましたように、現段階におきましては、経過的に恩給公務員期間を大幅に取り入れているかっこうになっておりますが、恩給に追随せざるを得ないんだということを申し上げたわけであります。その意味では恩給にスライドしていくということになろうかと思います。  そこで、基本となるスライドの問題でございますが、これはいろいろ議論のあるところでございまして、公務員ベースにスライドすることがはたしていいかどうかという問題につきましては、総理府恩給局からるる御説明がありましたので、私のほうからは省略いたします。問題は、物価がいいか、あるいは消費水準がいいか、あるいは生計費がいいか、あるいはそれらをいろいろ総合した組み合わせがいいか、技術的な基準のとり方もいろいろございましょう。しかしながら、はたしてそういったスライドがいいかどうかという問題になりますと、これは具体的基準を一体どこに求めるかという技術的な問題がございます。それからまた、負担関係につきまして、これは保険料で負担すべきか、あるいは租税負担で負担するかという議論もございましょう。先ほど御質問がございましたが、現在の職員が負担するのはおかしいじゃないかという議論がございましたが、保険料で負担しようが、あるいは租税負担にしようが、とにかく現在の人が負担することにおいては間違いがないわけであります。社会保険でございますところの共済年金につきましては、社会連帯性というものが、社会保険の根幹でございます。したがいまして社会保険としての社会連帯性ということから申しますと、横の時点での連帯性のみならず、縦の時点においての、つまり過去、現在、将来、そういった縦割りの社会連帯性が当然要請されるべきでございます。そういったいろいろの問題もございます。それから何はさておきましても、そういった一つの具体的な基準方式、それによってスライドするという自動調整方式、やはりそこにおいて財政の余力はどうであるか、財政の長期的な見通しはどうであるかという問題が、一番基本的に問題になってくると思います。現在の租税負担の、特に国民所得に対する負担率は二二%、これをはたしてふやすのがいいか、あるいは保険料のほうでふやすのがいいか、いろいろ問題が起こるわけであります。そういったいろいろな点を考えまして、そういったスライド制というものは、総合的に検討する必要があるかと思います。しかしながら、問題はやはりそういった年金なるものの実質価値がそこなわれることを防止することは当然のことでございまして、その意味において、先生御案内のように、厚年にしろあるいは国民年金にしろ——厚年の改正案につきましては、著しい経済事情あるいは生活水準変動のあった場合には、それの調整を加えるというような改正案提案されておるわけでありまして、そういった意味合いにおきまして、実質的価値がそこなわれないように、十分今後検討、配慮するということは、当然でございます。
  51. 永山忠則

    ○永山委員 形は社会保障性格でも、実際は国家補償の範疇に入るべきものであるとわれわれは考えておるのですが、この点に対しては、公務員制度調査室でもっと積極的に御検討をされて、そしてわれわれの期待いたしますような、公務員ベースにスライドすることのできるように、格段な努力をひとつ願いたいのでございます。  さらに、特例法関係が今回は改正が見送られたことを非常に遺憾に思っておるのでございますが、今日においてもなお未処遇である。戦争に関連して死んだにもかかわらず、なお扶助料をもらっていない。そういうようなことが取り残されておるということは、全くわれわれは遺憾にたえないのでございますが、特例法において見得ない処遇制限を撤廃する問題は、かねてから強く要望しておるのですが、この点と、また特例法の第二条ただし書きによりますれば、昭和十八年十二月三十一日以前の受傷、罹病については、職務関連顕著という場合となっておるのでございますが、特例法制定の問題からいって、当然昭和十六年十二月八日以後の発病については、故意、重過失等を除き全面的に該当させるべきであると思うのであります。したがいまして、このただし書きを削除すべきではないか。また恩給法の八十一条の兄弟姉妹等に対する一時扶助料は、現在の公務員については適用されているが、軍人、軍属については適用されていないのでございますけれども、やはりこれらは当然復活をすべきではないか。文官との均衡是正の点から見ても当然取り上げるべきだろうと考えておるのでありますが、これに対しての御意見を承りたい。
  52. 増子正宏

    増子政府委員 まず、特例法についての改正意見がございましたけれども、特例法の制定の趣旨といいますか、これは私、議員立法であったように承知いたしておりますので、その点からいいますと、ただいま御指摘になりました時期の関係、これは十分意味があってそうなっておるのではないかというふうに考えるわけでございます。すなわち大東亜戦争の特殊な状況といいますか、そういうことに着目して恩給法についての特例を開かれた、そういう特例でございますので、きわめて制限的な考え方に立っておるということで、しかも戦局苛烈になった時点以後について特例をまず考えられた。それ以前の事態については、特に顕著であったというときだけ特例の対象にするという考え方は、一応十分筋の通った考え方でなかろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、それを今日改正をするということにつきましては、私ども積極的には考えていないわけでございます。  それからいわゆる未処遇という問題、旧軍人と文官との不均衡、両者取り扱いが必ずしも一様でないというような点につきましても、いろいろ御意見のあるところでございますけれども、少なくとも今日の段階におきまして、これを改正案として取り上げるに至っていないということを御了承いただきたいと思います。
  53. 永山忠則

    ○永山委員 これらの特例法等でなお失権者がございます点等、やはり調査室で十分ひとつ検討して、最大なる不均衡、もらう者ともらわない者との関係ですから、ぜひこの不均衡の是正をお願いいたしたいのでございます。  関連して、準軍属の給与は非常に安く押えられておるのですが、これを特例法と同じ線にだけ引き上げるということは、かねてから援護法でも要望されておるのですけれども、これらは今国会で見送りになったようですが、ぜひひとつ次期には取り上げをお願いいたさなければならぬ問題であると思うのであります。  さらに、援護法で満六十歳にならなければいまなお遺族扶助料をようもらわないという人があるわけですが、終戦後二十年になって、自分の子供をなくしておりながら、援護法の関係だけが見送られているというようなことは、ほんとうにわれわれは聞くに忍びぬ、見るにたえがたい状態ですが、これらの年齢制限の撤廃等は、おやりになる考えであるかどうか、あわせてお聞きをいたしたいのであります。
  54. 木暮保成

    ○木暮説明員 第一番の援護法における準軍属の処遇の問題でございますが、法改正当初は、準軍属の遺族の方々には弔慰金しか差し上げないということでございましたが、そのあと五年有期の遺族給与金をつくりまして、それを年金化するというようなことをいたしまして、処遇の改善につとめてまいったわけでございます。軍人、軍属と準軍属の国との身分のつながりには差異がございますので、限界があろうかと思いますけれども、今後とも御指摘金額引き上げ等改善に努力してまいりたいと思います。  それからもう一点の六十歳未満の父母に年金を差し上げる問題でございますが、これは厚生省所管の他の年金制度等が、六十歳未満の方には年金を差し上げないという原則がございますので、いろいろ御要望がございまして研究はいたしておりますけれども、なかなかむずかしいように考えております。ただ、今回つくりました特別弔慰金では、六十歳未満で年金をもらっておらない父母の方にも差し上げるというような形で御提案を申し上げておる次第でございます。
  55. 永山忠則

    ○永山委員 国家命令で戦死したのでございますから、他の年金受給者と同一の範疇ではないのですから、これはぜひ次の国会で実現できるようにお願いいたしたいのであります。  さらに傷痍軍人関係でわれわれ驚いたことは、款症者で普通恩給を受けておる者は、傷病年金を一割五分減額されていたのですが、今回の改正で実に二割五分減額されておるのです。これはほんとうからいえば、これを減額するということがおかしいのであって、経済上の理由で押えてきておったのですが、これをさらに今度二割五分減額する。これはおそらく傷痍軍人の間差是正を旧間差にしたからというようなことでしっぺ返しにされたのじゃないかというような、最も不愉快な処置でございますが、これらは私はどうしてもこの国会で修正しなければいかぬ、こう思っておるのですけれども、どういうわけでそういうことになったのでございますか。
  56. 増子正宏

    増子政府委員 永山先生は万事すべて御承知でございますので、今回の改正は、先生のお立場から考えても当然というふうにお考えになっておられるのじゃないかと私ども考えておりましたのですが、私どもとしても意外な御質問を承ったわけでございます。私どもとしましては、決してしっぺ返しというようなことはないわけでございまして、今回傷病恩給につきましては、関係の方々の非常な強い要望もございまして、この間差を旧聞差に引き戻すということをいたしました。これは相当の改善になったというふうに認められるわけでございます。第七項症と第一款症との関係でございますが、これは七項症増加恩給に併給される普通恩給、これは増加恩給として当然のことでございますが、傷病年金である第一款症の場合について言いましても、これは当然普通恩給が併給になるわけではございません。そういう意味におきまして、第七項症の増加恩給よりは、第一款症のほうが金額が高く定められておるわけでございます。したがって、第一款症の場合に普通恩給が併給される事態を考えてみますと、第七項症のほうが傷病の度合いが重いにかかわらず、第一款症の普通恩給を併給される人よりは少ない増加恩給をもらうということになりまして、この点はいわば逆転関係になりますので、どうしても調整を加えなければならぬということでございまして、そういう面からいわば事務的、機械的に出てまいった結論でございます。
  57. 永山忠則

    ○永山委員 これらはさらに減額率を大にするというようなことは、いかなる理由があってもこの場合とるべからざる処置であったと思うのでありますが、ぜひ御検討を願って、これが是正を要望いたすものであります。  次に、三号扶助料を廃止して公務扶助料一本とされたい。これは現在増加恩給受給者が、その傷病で死亡した場合には公務扶助料となるが、その他の病気で死亡した場合は約六割になっておるのでありますが、やはりこれは一本にすべきであると思う。というのは、傷痍軍人をいろいろ調査をしましたが、やはり寿命年限が平均十年、やはり圧縮されているというようになっているのです。公務傷害で非常な過度の労働等をいたしておるわけでありまして、それが直接原因でなくても、死亡した場合においては三号扶助料を廃止するということが適当じゃないかと考えておるのでありますが、この点に関しての御所見をお伺いしたい。
  58. 増子正宏

    増子政府委員 従来御指摘の点が違っておりますことを特に解消して、両者を同一に扱うということにつきましては、私どもとしては、なお相当慎重に検討を要するというふうに考えます。
  59. 永山忠則

    ○永山委員 これらもひとつ十分御検討願って、やはり傷痍軍人の今日の生命関係がどんなに縮小されてきておるかというようなことも、よくひとつ統計的な検討を願って、ぜひ実現できるようにお願いをいたしたいのであります。  さらに、特別項症ないし二項症までの増加恩給受給者年額に特別加給をされておるのが、二万四千円に据え置かれておるのでありますが、やはりすべてがみんなスライドして上がっておるのでありまして、ただこの特別介護手当の加給をそのままにしておくということは、穏当でないのではないか。これらもやはり物価上昇等を見て加給手当を増額すべきではないか。同時にまた、それが二項症までになっておりますけれども、さらに三項症以下の適当の線までに広げるという必要があると考えるのでございます。元気な者は、それは自分のことだけ考えていますが、ほんとうに自分が病気になって、そして不具になっておる人のことを考えれば、これはやはりその身になってやってやらなければいかぬと思うのです。われわれは、もうちょっと指をけがをしても、それが気になって仕事が停滞をするようなわけなんですからして、公務のために傷害を受けておるのですからして、やはり諸物価は上がっておるし、すべてがアップしておるのですから、この介護手当等も引き上げ、さらにその範囲を広げていくというようにやるべきである。  時間の関係がありますから続いて承りますが、目症者の処遇改善、これも前から言われておるのでありまして、昭和二十一年勅令第六十八号によってきわめて少額な一時金を支給されて以来、何ら所得保障の道が講ぜられていないのであります。目症者は、勅令六十八号ということになりますと、傷病賜金は、兵の階級で第一目症三百二十円であったのでありますが、これはどうしても年金支給にするという方向にぜひひとつ進んでいただかねばならぬと思うのであります。  さらに有期傷病恩給の無期化でありますが、もう戦前からも傷病者でありますが、戦後二十年経過しているのですから、やはりこれは有期恩給でいくということは不適当で、無期恩給改定する時期ではないかというように考えておるのでありますが、この点に対してもお考えを願いたい。  また、裁定基準の是正でございます。これは恩給関係のほうで審議室を設けまして裁定基準に対して審議をされたのですが、期間が短かったために、肺結核と精神障害だけに一応是正をされたのでございますが、あの大東亜戦争の末期における戦争というものは、近代科学兵器等の発達によりまして、また戦争も苛烈であるということで、前の症状等差の別表では必ずしも適当でないということは世論化しておりますので、この関係においても、総合的に専門調査室を設けて十分裁定基準の是正をさるべきであると思います。これはあの当時、すでに調査会が、中途であるから引き続いて裁定基準の是正は専門的に調査しようということだったのが、今日まで据え置かれておるのでございますので、これらの点についても、公務員制度調査室等との関連もございましょうが、ぜひひとつ裁定基準の是正を専門的に検討して、公正妥当なる査定をしていただきたい。  ついでに申し上げますが、いま裁定を出しますと、大体うんと下げてくるのですよ。それほど地方医が信頼できぬというならば、私は中央の医者が行って、そうして診断をしてそのものずばりで決定すべきだと思う。国立病院やその他権威のあるところで基準に応じてそれを査定して出したら、必ずこれを下げる。下げるということをせなければいかぬのだというような感覚でやられておるのではないかということで、この点は非常な不満を感じておりますので、かたがた裁定に対しては、これを厳格主義でいくということでなしに、地方医を信頼してこれを受け入れるという態度になるべきであると思うのであります。こういう点をお願いします。
  60. 増子正宏

    増子政府委員 ただいまいろいろ今後の改正案につきましての御意見があったわけでございますが、一つ一つについて申し上げることは省略させていただきますが、大体において従来から問題になっておりまして、非常にむずかしい問題として今日まで実現といいますか、改正がなされていないことでございます。私どもも絶えず見直してまいってきておるのでありますけれども、現在においてなお御要望の線には添いがたいというのが、結論でございます。しかしながら、御意見もありますので、今後ともなお検討いたしたいと存じます。  ただ、最後の点でございますが、恩給局の最近の裁定が傷病恩給等についてすべて下げてくるということ、特に地方医を信頼していないというふうに御指摘になったのでございますけれども、この点はさようなことは全然ございません。診断の結果につきましては、十分敬意を表して判定をいたしておるわけでございます。ただ現実には、国立病院とは限りませんけれども一般の開業医等の恩給診断につきましては、相当怪しいものがございますことは事実でございます。その地方のその先生から提出された恩給診断書が、十人、二十人ほとんど全く同じ病気になっているというようなものがございます。一字一句間違いのない診断書が何通も出るというようなこともございまして、実はその取り扱いには非常に困っておるわけでございます。したがいまして、十分に根拠のある診断書等につきましては、恩給局としては十分敬意を表して、それによって最終的結論を下したいわけでございます。  それから、有期の傷病恩給を無期にすることにつきましても、これは無期にしてよろしいと判断される限りは無期にいたしておるわけでございます。無用に有期ということにいたしておるわけではないのでございます。ある種の疾病等につきましては、二十年もたちますと、相当軽快しまして、なおっておる、あるいは当時よりはよくなっておるということも、相当現にあるわけでございますので、そういった点を無視しまして、従来の有期を無期にしてしまうというわけにもまいらないことがあるわけでございます。そういう意味におきまして、現在の法の運用としましての裁定等につきましては、最善の努力をいたしておるつもりでございますが、なお今後とも御意見に従って十分改善に努力いたしたいと存じます。
  61. 永山忠則

    ○永山委員 地方医のほうの診断については、やはり中央のほうから行って、ひとつ講習会等でよく指導されまして、申請されたものは権威のあるものとして扱われるように、格段の処置をされていただきたいと思うのです。  なお、軍人恩給関係の査定が非常におくれておる情勢でございますから、これらもひとつもっと地方組織を動員されて、査定がすみやかに行なわれていくようにしていただきたいと考えておるのであります。また、非常に低いベースで押えておるのでございますから、私は年金との併給、これはやはり高額所得者は別ですけれども、十八万円ですか、それくらいまではあらゆるものを全部併給するというくらいな方針でいくべきじゃないか、こういうように思うのですが、本年度併給は、公務死亡者に対しましては多少引き上げられましたけれども、一部併給が残るようでは、やはり十万二千五百円でございますから、十万二千五百円では月一万円にもならないですからね。自分の子供を戦死させておいて、月二万円にもならぬという状態であるのに、老齢年金の併給を十万二千五百円で押えるというようなことなんかは、われわれが常識では考えられぬと思うのですが、私は、基本的には、高額所得者以外はやはり年金関係はこれを併給するという方針でいくべきだと思うのですが、年金課長もお見えですから……。
  62. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 公的年金の併給限度額の問題につきましては、いろいろ問題があるところでございますけれども、今回はとにかく俸給ベースアップに見合って、しかもさらにその上に福祉年金ベースアップそのものを考慮した限度額の引き上げを行なったつもりでございますが、この点は御了承願いたいと思いますけれども一般的に福祉年金というものを支給する場合の所得制限、これは併給の限度額の云々の問題だけでなくて、どういう場合に所得制限するかということについては、御指摘のようになお今後十分検討すべき点があろうかと存じます。
  63. 永山忠則

    ○永山委員 これらの点もひとつ十分国民常識に合うようにぜひやってもらいたいと思うのでありますが、恩給局長、いまの軍恩関係の査定のおくれておるところはやはりすみやかに、ひとつこれが促進方について一段の構想をもって進めてもらいたいということを、御答弁がなかったようでありますから、言っておきます。  さらに、時間がございませんから、私は、元満州国等外国政府職員の恩給問題について、すでに前の委員からお話がありましたから、重複を避けまして、ただ項目的に十分ひとつ御検討願う点を申し上げたいのであります。これは昭和三十六年以来、法律改正によって日満、満日両ケースのものは、一応通算の恩恵に浴したのでございますが、なおいまから申し上げる点が未解決になっておりまして、非常に不均衡でございますので、ぜひこれが改正処置を講じるように願いたいのであります。第一は、日満または満日のケースで、公務死した者の遺族公務扶助料支給するという点でございます。二は、終戦後ソ連または中共に抑留された期間を在職年数に通算することでございます。第三は、終戦時まで在職した者に限り通算するという条件を撤廃することでございます。四は、普通恩給権を得て渡満した者にも、実在職年数だけは通算をするという点でございます。第五は、日満ケースの通算にあたって、「外国政府職員となるため公務員退職し」の条件を撤廃をしてもらいたいという点でございます。六は、日満ケースの通算にあたり、在職年数を十七年で打ち切る規定を撤廃をして、実在職年数をまるまる通算することでございます。七は、日満ケースの退職時の仮定俸給の定め方を是正をしてもらいたいというのであります。これらの点についての説明は、すでに十分御存じでございますので、省略いたしますが、これらの点に対して親切に、しかも積極的に検討を続けられて、要望の実現をされるようにお願いしたいのでございますが、局長の御意見を承りたいと思います。
  64. 増子正宏

    増子政府委員 まず先ほど指摘になりました軍人恩給の裁定促進のことにつきましては、これはもう当然のことでございますけれども、従来から十分督励をいたしておりますし、今後におきましても一そう促進をいたしたいと存じます。  それからただいま御指摘になりました公務員以外の期間の通算の問題でございますが、これはいままでいろいろな機会に申し上げましたように、いずれも困難な問題でございまして、今日までのところは、積極的に取り上げるに適しないというのが結論でございます。改正法案の中に織り込むにつきましては、現時点におきましてはきわめて困難だというふうに考えるわけでございます。しかしながら、関係の方々が非常に強い御要望を持っておるということは十分承知いたしておりますので、今後ともこの問題につきましての検討は引き続き行ないたいと存ずるわけでございます。
  65. 永山忠則

    ○永山委員 旧来いつも改正するときは、政府は困難だという答弁をずっと続けておるのでございますが、やはり国民の要望にはほんとうに理由のあるものがございますので、これらの点もひとつよく考慮をして、審議室等でも御検討願って、局長のほうでも十分調査をして、期待に沿うようにしていただきたい。  その他関連する事項がございますが、一応時間もきておりますので……。
  66. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連して。さいぜん同僚永山委員からお尋ねした件について、給与課長がいらっしゃるので、私さらにお尋ねし、またお願いしたいのですが、給与課長は非常に行き届いた御説明をされましたが、最後に、財政上の見通しというような非常に含みのあることばで全体をまとめられたようですが、国鉄等の三公社の共済組合について、今回は非常に御配慮のある恩給法と同等の取り扱いをするということになって、政府の態度についてはわれわれ非常に感謝をしておるのですが、その結果として、国鉄等には共済組合財源等についていろいろな問題が現に起こり、また将来起こるおそれがある。こういう問題は、政府部内においてもちろんいろいろ御検討をされることと思います。その点はよくわかりますが、最後に、今回の法律改正は、終局は政府の責任において、租税の問題、あるいはその他国鉄等の自身の収入財源、あるいは共済組合の財源等、いろいろ錯綜した問題はありますが、将来この種のことは必ず引き続いて起こるだろう。この種の法律改正は、共済組合関係の問題についてはこれきりだというわけにはいかぬ、こう思いますので、こういう問題については、政府としては十分慎重に検討をして、共済組合等の存立に影響を及ぼさないように、全体としてはやはり政府の責任においてこの問題を処理するということについての御検討を十分に願いたいということをお尋ねかたがたお願いいたしたいのですが、御所見をお伺いいたしたい。
  67. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 公共企業体、特に国鉄についての御指摘でございますが、共済年金引き上げは、今回恩給に追随いたしまして、国家公務員共済組合と同じようなスタイルで引き上げることになっているのは、先生指摘のとおりでございます。この問題についての国鉄財政の問題ということでございますが、一給与課長としては、なかなか高度の財政問題でありまして、私の所管外にわたる問題で非常に大きいわけでございますが、新法年金につきましては、三者負担ということになっておるわけであります。その際に三者負担と申しますのは、公経済主体としての国鉄、事業主としての国鉄、共済組合員としての職員、この三者負担になるわけであります。問題の御指摘は、公経済主体としての国鉄、事業主主体としての国鉄、この負担が相当国鉄経営に影響を及ぼすのではないか、こういう御指摘かと思いますが、この問題は、国鉄全体の財政の問題がまず第一に考えられなければならぬわけでございまして、これは財政投融資、あるいは国鉄の料金問題、いろいろの問題に関連する問題でございまして、先生指摘の点につきましては、国鉄担当の予算係にも十分連絡をいたしまして、今後検討してまいりたい、かように思っております。
  68. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 お話はよくわかるわけですが、肝心の給与課長さんがそういう面について十分な理解を持っていただくといなとでは、この問題の将来における円満な解決に非常に大きな影響を持つ、かように私ども考えておるので、特に私はこの問題を質問した次第でございます。  いまの御説明内容は私どもよくわかりますが、しかし、やがて二年先なり三年先なり、またこの種の法律改正が行なわれる際に、だんだんに共済組合の負担というものは加重されていきますし、また同時に、いま御指摘の事業者たる国鉄その他三者負担の理論はよくわかるわけですが、国鉄の運賃料金の問題についても触れられましたが、運賃料金等も、国鉄自体できめられる姿ではない、政府の指示に基づいてきめられるというような特殊な制約もいろいろあるわけですから、こういう問題については、恩給法改正のときにはやはりこういった問題が起こるわけですから、ただいま私が申し上げたような趣旨で、ぜひひとつ温情のある考え方で、大蔵当局、特に給与課長さんに御検討願いたいことを重ねてお願い申し上げておきます。
  69. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、明四月一日、木曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十六分散会