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増子政府委員 御質問の点でございますが、
公務扶助料が、兵のクラスにおきまして、今回現行の
公務扶助料に比べまして三〇%
程度増額になるということを申し上げておりますのは、いわゆる
公務扶助料の
計算にあたりましては、まず普通
扶助料を出しまして、その普通
扶助料にいわゆる倍率というものをかけるわけでございます。すなわち現在ですと、二万四千円のところで普通
扶助料を
計算いたしまして、それに対して三・五五倍いたしますと兵の
公務扶助料が出てくるわけでございます。それを今度の
改正におきましては、二万四千円
ベースの普通
扶助料ではなくして、二万円
ベース掛けるといいますか、二万円
ベースの
俸給額に二割増ししたものを
基礎にいたしまして、普通
扶助料をまず
計算をいたします。そうしてそれに四・三二倍するということでございます。その結果、兵の
公務扶助料は九万三千四百五十七円ということになるわけでございます。現在のいわゆる二万四千円
ベースで、しかも三・五五倍ということで
計算をいたしました兵の
公務扶助料は、七万二千四百二十円ということでございますので、その改善率はおおよそ三〇%になるというふうに申し上げたわけでございます。
なお、いわゆる旧軍人と
文官との倍率の問題でございますが、本来的と申しますか、終戦までは、この
公務扶助料の倍率につきましては、戦闘
公務の場合とそれから普通
公務、戦闘の場合は特にこの倍率というものを多くし、その他の場合、普通
公務の場合と区別をいたしておりましたけれ
ども、戦後におきましては、この戦闘
公務と普通
公務というものの差をやめまして一本にいたしております。
公務でなくなった場合というこことであれば、それが戦闘であるかいなかという区別をせずに
公務扶助料を算出するということで、倍率は一本になったわけでございます。その当時は、言うまでもなく終戦後におきましては
文官のみの
恩給でございました。軍人
恩給は停止になったことは御
承知のとおりでございますが、その後二十八年に軍人
恩給が復活いたしましたときには、実は文武官の差別を設けずに、
文官の倍率を一応
適用したわけでございます。しかるに、この
公務扶助料、いわゆる戦死した場合の
遺族というような
立場から
考えますと、
文官が
公務で死亡するという場合に比べまして、非常に特殊な事態にあるのじゃないか。つまり片方は赤紙一枚で召集されて、いわば不本意ながら戦場で命を失ったということが普通の場合でございますけれ
ども、
文官の場合には、いやなことはしたくないから
文官をやめるという自由はあったかもしれない。しかし、軍人の場合は、やめる自由というものがなかった。いわゆる
退職の自由もなくして強制的に戦場にかり立てられて、そこで命を失ったというような場合でございますので、
文官の場合と軍人のそういう場合を同率に扱うということは、やはり実質的に均衡がとれないのではないかという
考え方があったと思います。そういう
意味におきまして、軍人の倍率につきましてはこれを
引き上げるという形でまいりました。したがって、
文官との差がここに出てきたわけでございます。
それでは、この差をどの
程度にするのが妥当であるかという問題がございます。今日まで
文官の場合は二七割というのが最高の率でございますけれ
ども、軍人は現在三五・五割、つまり
文官は二・七倍であるのに軍人は三・五五倍というように、軍人のほうが
公務扶助料を厚く見ておるわけでございます。この率が適当であるかどうかということにつきましては、実は
関係団体のほうでもいろいろと御論議がございました。結論的に申し上げますと、もう少し軍人の
遺族につきましては
考えるべきであるという御意見が、非常に強かったわけでございます。そういう
意味におきまして、この
公務扶助料の倍率の
引き上げということは、私
ども懸案として従来
考えておったわけでございます。ところで、
先ほど総務長官が申し上げましたように、
公務扶助料の場合と普通
扶助料の場合とでは、現在では仮定
俸給のほうでも二段階ある。普通
扶助料の場合にはいわゆる二万円
ベースであり、
公務扶助料の場合はいわゆる二万四千円というように、仮定
俸給のところで二段にしておき、しかも今度は
公務扶助料の算出の倍率をさらにそこに三・五五倍加えるという、二重の形で差別になっておるわけでございます。それを仮定
俸給のところで二段にするということにつきましては、私
どもこれはやはり本来的な姿ではないというように
考えまして、仮定
俸給はこれを一本化する。しかし、そういたしますと、現在
公務扶助料と普通
扶助料とでもっていわば処遇上差別があるわけでございます。それがひとつの既得権的な
考え方になると思いますが、この既得権的な
考え方を今後の
改正の上でもやはり
維持すべきであろうという
考え方が、
一つ出てまいりました。そういう
意味を含めまして、この三・五五倍という倍率を若干
引き上げるということをまず
考えました。それを求める根拠といたしましては、まず終戦時までの
公務扶助料の倍率というものを一応念頭に置きました。しかし、これは
先ほど申し上げましたように、戦闘
公務と普通
公務と分かれておりましたから、この
両者を一本化する形におきまして、終戦時の
公務扶助料のときの倍率にできるだけ対応したような形で今回
引き上げるということにいたしたわけでございます。その結果、三五・五割を四三・二ということにいたしますと、まずそのつり合いがとれるということでございます。
それからなお、増加非公死の場合の
扶助料でございますとか、特例法の
扶助料でございますとか、これは
従前の
関係をそのままここに反映せしめまして倍率を定めたということでございます。