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1965-03-26 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十六日(金曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 荒舩清十郎君 理事 伊能繁次郎君    理事 佐々木義武君 理事 辻  寛一君    理事 永山 忠則君 理事 八田 貞義君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       天野 公義君    井原 岸高君       岩動 道行君    池田 清志君       塚田  徹君    湊  徹郎君       藤尾 正行君    稻村 隆一君      茜ケ久保重光君    角屋堅次郎君       大出  俊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         労 働 大 臣 石田 博英君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (大臣官房長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (農地局長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  大口 駿一君         農林事務官         (園芸局長)  林田悠紀夫君         食糧庁長官   齋藤  誠君         水産庁長官   松岡  亮君         水産庁次長   和田 正明君         労働事務官         (大臣官房長) 和田 勝美君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    中嶋 晴雄君         国税庁次長   喜田村健三君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月二十六日  委員楢崎弥之助辞任につき、その補欠として  松本七郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松本七郎辞任につき、その補欠として楢  崎弥之助君が議長指名委員に選任された。 同日  理事辻寛一君が同日理事辞任につき、その補欠  として荒舩清十郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二九号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。この際、おはかりいたします。理事辻寛一君より理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  次に、理事補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認めます。よって、荒舩清十郎君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 河本敏夫

    河本委員長 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑申し出がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  6. 角屋堅次郎

    角屋委員 農林省設置法の一部改正の今回の改正点は、これは御承知のように、研修所の新設、さらにサトウキビの原原種農場設置、それと種畜牧場の大宮から白河への移転問題、この三つでありますが、臨時行政調査会答申が昨年九月に出まして、そして行政管理庁長官の言によりますれば、本年の八月末までに各省協力を得て行革本部中心行政機構——国家行政機構地方行政機構を含めた改革のいわゆる取りまとめをいたしたい、こういう段階でございますので、したがって、農林省においても、臨時行政調査会答申を受けとめて鋭意検討をしておるという段階だと判断をするわけであります。しかし、私は、過般増原行政管理庁長官との間でいわゆる臨時行政調査会答申、十七の答申中心に総括的な議論をいたしました際にも、たとえば農林省に関する臨時行政調査会答申の内容というものを私も詳細に検討してみましたが、答申の中身について、これはもちろん十分受けとめなければならぬ問題も含まれておりますけれども農業政策あるいは農林行政全体の立場から見て必ずしも適当でないと判断される部面も、相当に出ておると私は思うのであります。これらの数点については、後ほど質問の中で若干触れたいと思います。  そこで、まず冒頭にお伺いをしたいのは、臨時行政調査会答申農林省としてどう受けとめて、八月の段階を目ざしていまどういう検討段階にあるのか、こういうことについてお伺いをいたしたいわけであります。古い話になりますけれども、戦後の農政経過の中で、敗戦の廃墟の中から食糧の非常な危機時代があり、しばらくの間食糧増産時代といわれて、農林省も非常に脚光を浴びた時代がございました。しかし、昭和二十八年ころから、適地適産放棄というものへの転換、あるいは補助金政策から融資政策への切りかえというふうなことも伴いまして、農政一つの転換的な性格が出てまいったと思います。最近においては、所得倍増計画の破綻という問題もあり、またかたがた開放経済体制の中において、日本農林水産業がいかにして国際競争に耐えていくかという難問題もかかえまして、農業白書を見るまでもなく、農政内部には実に深刻な多くの問題を包蔵してきておる段階でございます。したがいまして、農林省機構改革というものを考える場合にも、単なる機構いじりという視点から臨時行政調査会答申を受けとめるという姿勢ではいけない。これから五年、十年の将来にわたっての農政姿勢あるいは農政の展望というものをどう持っていこうかというビジョンの中で、農林省機構改革が統一的に、総合的に、機動的に、どういうふうに変えたのが第一線の農民の立場から見て望ましいか、こういうことであろうかと私思うのであります。私も、昭和二十四年以来大体十年近く、むしろその点では官側立場でなくて組合の立場において、あの農林省の数次にわたる機構改革のあらしの中で、たしか昭和二十六年でしたか、当時国会に参考人で呼ばれて機構改革に対する私の意見を述べたこともございましたけれども、そういう経過の中で、実際に農林省機構改革がなされた結果、では農政が前進をしたかということになると、むしろ苦悶の色を増してきておるということであって、機構の問題を受けとめる場合にも、やはり基本的には農政農業総合政策というものの姿勢ビジョンというものをはっきり確立することが、大前提であろうと思うのです。この際、農林大臣から、昨年の九月に出されました臨調答申をどう受けとめ、これからどう具体化しようとするのか、それらの点について大綱的にお答えを願いたいと思います。
  7. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、いまお述べになった考え方同感でございます。臨時行政調査会におきましては、申し上げるまでもなく、社会、経済進展国民生活変化等に伴って不要不急とされる行政機構はこれを整理、縮小するとともに、行政需要の増大している分野に関する行政機構はこれを拡充すること、こういうふうにいわれております。不要不急行政機構は、これをやめていく、整理、縮小する、しかし、行政需要の増大している分野についてはこれを拡充整備することが必要だ、これも当然なことだと思います。そこで行政器要をどういうふうに測定するかということでございますが、それは単に表面だけの行政需要じゃいけない。いまお話しのように、農業政策の裏づけを持っての、また農業政策の上に立っての行政機構でありまするから、農業政策立場から、行政機構というものがどうあるべきか、こういうことを検討する必要があると思うのでございます。そういう意味で、いまお話しのように適地適産政策によって、あるいは補助から融資に変えるということによって、機構も変わってきた、こういう経過お話しになりましたが、御承知のように、生産性の向上、あるいは他産業従事者との所得格差是正、あるいは一般消費者生活安定、こういうことの政策を進めておるほかに、いまお話しのように、開放経済体制化におきまして、それに直面している農業政策でございます。でございますので、一面においては生産性を向上しなければなりませんが、一面においては国内農業を守っていくための価格政策等も、十分勘案していかなければなりません。そういう政策から考えて、やはり行政機構のあるべき姿というものを十分検討していかなければならないと思います。  それからもう一つ私の考え方から申し上げますならは、いろいろの公社公団——少し先にいきますが、私は一がいにこういうものはいけないということじゃないと思います。やはり経済進展に伴いまして、ほんとうのまる裸の自由経済といいますか、自由主義というものが成り立たなくなってきた。さりとて国家がすべての権力を握った一つ機構というような形にいくのは、適当でないと私どもは考えております。しかしながら、ある程度の調整機構といいますか、国が直接やるか、あるいは国にかわるべき公団公社という弾力性を持ったものによって処理していくか、こういうことは、経済の進みに従って、世界的に見ましても、これは当然そういう機能を国家が、あるいは国家にかわるものが持っていかなければならないというのは趨勢だと思います。でございますので、いたずらに官僚機構だ、官僚を増すのだということではなくて、経済の動きにマッチして——全然手放し自由経済ということではございませんから、そういうわけにはいきません。政府責任を持って国民生活を調整していくといいますか、生活を向上させるための施策を行なっていくために、手放しというわけにいかない、こういうことになりますると、政府自体が行なうか、あるいは政府関係機関のようなもので行なうかということは、問題があると思いますけれども、やはりそういう趨勢にあると思います。でございますので、機構改革におきましても、ただ官僚機構だからと、こういうわけには私はいかないと思う。やはり政策を遂行する上におきましての最も能率的な機構というものを考えていかなければならぬ。大筋におきましては、お話しのとおりに私どもは考えているわけでございます。
  8. 角屋堅次郎

    角屋委員 戦後の農政の中では、前半期において生産政策が非常に重視され、それが中心になってきた。それに価格政策主要農産物についてある程度裏づけるという形であったわけですが、農業基本法体制のもとでいま一番難航しているのが構造政策問題——なるほど農業構造改善中業とか、あるいは最近では林業構造改善事業とか沿岸漁業構造改善事業とか、構造改善事業という名は農林水産業それぞれについてとられてきておりますけれども、しかし、衆参両院予算委員会等大臣も率直にその非を認めておりますように、実際には農基法体制下所得倍増計画対象に描いた、農業の場合でいえば十年間に百万戸の自立農家の造成というものは、遅々として進まない、こういうことで、しかも開放経済体制の中でこれから残されている非自由化品目自由化をどういうプログラムでやるかという問題はもちろんありますし、またそれにからんで一次産品の取り扱いの問題、あるいは南北問題というふうな国際的な視野の問題もあって、いつまでも主要な非自由化品目について鎖国的な政策というものはとれないというのが、大臣の心境であろうと思います。それであるならば、そういうものが十分に国際競争に耐えていく日本農林水産業体制をつくるためには、構造政策というものがやはり一つの重要な柱として登場してくる。そこでこれから農業の諸政策を進める場合に、大臣の気持ちとしては、生産政策あるいは価格政策あるいは構造政策、それに非常におくれている流通政策というふうなものの総合的な政策というものが、やはり農林省機構を通じて強力になされるかどうかということが、一つの問題だと思う。かりに本省機構を見てみますと、官房があり、農政局があり、農林経済局があり、農地局がある。その他畜産とか蚕糸とか園芸とかいうものを対象にした局がある。それで、試験研究関係農林水産技術会議という形で取りまとめる、こういう形でありますけれども、こういう農林省本省機構についても、たとえば臨調答申の中では、農林省に限りませんけれども官房という場合に、各省において管理局とかあるいは総務局とかいう形で、もっと企画的な部面については大臣直結機関総合性を持つべきじゃないかという意見が、各省共通して提示されておる。そういう問題にからんで、たとえば統計機構の場合では、いま農林経済局に入っておりますけれども統計調査機構については、各局にまたがる問題だから、管理一元化の方向での中で位置づけしたらいいんじゃないかというふうなことが出てくる。しかもまた、農林水産技術会議の問題は、通産省の工業技術院という問題と合わせて、これらの問題についても、外局委員会あるいは庁というような形を検討する必要があるのじゃないかというふうなことも、臨調の中では指摘をされておるわけであります。これからの農林行政の柱になるべきもの——私は率直に言って、戦後の農林行政の批判としては、生産政策に盛んに熱を入れたけれども、それに伴う価格あるいは流通消費という一貫した政治の責任体制というものに欠けておったと思う。それらの政策を総合的に、統一的に実現をするための機構の問題については、かりに縦割り機構でそのままある程度いく部面があるにしても、農林省全体としては、大臣直結のもとにおける総合性統一性あるいは機動性をもっと発揮するような運営を真剣に考えていく必要があるのじゃないか。本省機構の問題について、農政のこれからの力点の置き方、それと関連して本省機構の問題をどういうふうに現在やっていこうとしておるのか、その考え方を承りたいと思います。
  9. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話、私も同感でございます。確かに農業政策といたしまして生産政策が必要でございますし、それからまた生産政策といいましても、土地の生産性あるいは労働生産性を高めていくにつきましても、農業の性質からいいまして、すぐにできるものではございません。価格政策というものが当然伴っていかなければなりません。しかし、その問題を根本的に考えますならば、いまもお話がありましたように、他産業農業均衡の得られるような姿に持っていかなくちゃならぬし、開放経済下におきまして日本農業国際競争力を増していくという点につきましても、その基盤であるところの農業構造を強化しなくてはならぬ。いまは現実的に農業構造改善をやっていきますけれども、それよりもっと広い意味におきまして構造政策というものが必要だ、こういうこともいま御指摘のとおりでございます。でありますので、死産政策、それに伴う価格流通政策構造政策、こういうものを緩急といいますか、一方には進めても進み方がおそいものがあります、一面においてはわりあい早く対策のできるものもあります。そういうのに応じて進めるべき速度が、おそいものは速度を早めるというような形で均衡のとれた政策をとっていかなければならぬと思います。そういう意味におきましては、農林省本省機構をどういうふうに持っていくか、いま示唆もございましたが、確かにそういう点で総合性は打たなくてはなりません。一つ構造政策というものをとってみましても、これは各局にまたがります。こういう意味におきまして、総合性を持たなければなりません。それから、いまのように価格政策一つ行なうにいたしましても、価格変動等に対処して相当機動性を持ったものでなければならぬ、こういう意味におきまして、総合性あるいは機動性を持つ、しかも一定のビジョンといいますか、企画を持っておりませんと、まあ悪いことばで言えば右往左往するというようなこともございますので、そういう点から考えまして、企画性を持ち、総合性とともに機動性を持つような機構に持っていきたいと私も考えております。そういう意味におきましていろいろ検討いたしております。しかし、行政機構というものは、御承知のように、非常にむずかしいもので、机上だけでプランをつくってみても、図面の上ではよくても、なかなかこれが動かないという面もありますし、動かせるようにやるのに、また実際にマッチするかどうかという面にむずかしさもございます。そういうむずかしさがありましても、いまのお話のような線に沿うて、また臨時行政調査会答申とも合わせまして、これは八月ごろまでには結論を出すことになりますが、国民奉仕者としての官庁の機構をよりよく考えていきたい、こう考えております。
  10. 角屋堅次郎

    角屋委員 本省機構については、現実に内局、外局を含めて十局ぐらいあるわけですけれども、これをどう変えてみたところで、ただ機構いじりだけに終わっちゃいかぬ。むしろいまの機構の中では、やはり国際関係の問題がありますし、国際経済協力という点の問題では、在外公館における経済担当が非常に少ないというふうなことが指摘されておりますが、その点では、通産省やあるいは農林省関係で、外務省在外館に派遣されて——特に通産省の場合数が多いわけですけれども農林省も一部行っていますが、それらの点では、過般黄田さんや森本参事官がヨーロッパで会合を持たれた。これは、これからの新しい情勢に即応して、世界の大勢も見ておかなければならぬ、あるいはそれぞれの意思統一も出先でやっておかなければならぬということであったかと思います。これからの流動する国際経済の中で、十分国内政策を即応してやっていくためには、単に外務省在外公館を掌握するというだけでなしに、経済担当の柱をなしておる通産とか農林とかいうものも、必要に応じてそういうことをやっていく必要がある、こういうことを私は述べたわけです。そういう面についても、やはり在外公館における農林水産関係の充実ということを考えていく必要がありましょうし、それに即応して本省機構がそれに対応するようにできておるかということになると、国際競争というものもありますけれどもそれはこれからの一つの要請として考えていかなければならぬ。同時に、やはりいまの機構をそう大きく変更しないにいたしましても、生産基盤関係ということになれば農地局中心になりましょうけれども農地局畜産局園芸局もみな関係がある。あるいは林野庁も水産庁もみな関係がある。そういう生産基盤に関することについての総合性統一性機動性というものについては、運営の問題としてやはり真剣に考えていく必要がある。あるいは生産奨励という政策の場合でも、縦割り畜産とか蚕糸とか園芸とかあって、主食の関係でいえば食糧庁食管という形で握っておりますが、そういうものの生産奨励農家対象でありますから、それの総合的な通常というものについても、やはり運営の問題として考えていく面がある。これはおそらく各局のなわ張りその他がありまして、必ずしも十分いっていない、こういうふうに私は思うわけです。だから、機構の問題ばかりでなしに、従来欠けておる運営の妙というものを、大臣は全体を握っておられるわけですから、これはやはり真剣に考えていく必要があるのじゃないか。本省の場合は、そういう点ではむしろ大きくいろいろなものを移動させるのでなしに、国際的な視野国内の面では農家対象にした総合的な通常というところに視点を置いて、どう運営の妙を発揮していくか、こういうところが非常に重要ではないか、こういう感じが率直にするわけですけれども、その点どうなんですか。
  11. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに機構いじりに終わって、機構が動脈硬化するようなことでは、何ら機構改革意味をなさぬのでございます。やはりいまの政策に合わした機構というものが必要である。同時に、現在の機構におきましても、その運営によってはいまの機構を十分に活用することもできるわけでございます。そういう意味におきまして、私が就任しましてから、そういうことに心がけております。  機構の問題に戻りますが、国際経済の中に巻き込まれるといいますか、その中に入らなくてはならぬ事情でございますから、そういう面等におきましても、単に経済局ということばかりでなく、ほかの面とも関連しまして、国際経済にタッチする面を少し強くするとともに、各局との連絡を持ちまして運営を進めているわけであります。食糧庁とも関係がありますし、南北問題など、いろいろあります。それから内部におきましては、技術面が総合的になくてはなりません。そういうことで、たとえば技術会議ばかりでなく、技術関係のほかの局とよほど連携を持っていかなければ、能率も発揮できない、こういうことであります。でありますので、運営につきましては、私も十分気をつかって運営よろしきを得るようにいたしておるわけであります。御指摘のような面は、なお十分考えていかなければならぬと思います。必要なことだと思います。
  12. 角屋堅次郎

    角屋委員 たとえばいま与野党の間で議論されている山村振興法というものがある。これはやはり地域格差是正農業内部においては、農畜産物のバランスを地域的にどうするか、あるいは全体としての需給関係からどうするか、いろいろな問題で、やはり縦割り機構の弊害をなくしていくための総合的な運営という面が非常に必要だと思う。それは機構をいじったから解決するのではなくて、むしろ運営の問題として真剣にやっていく必要がある。もしそこで機構の面で不十分な点があれば、これは総務局管理局という形をとるかどうかは別として、官房段階企画部門というものを充実する考え方が必要ではないか、こういうことを率直に感ずるわけです。  それから農政の問題で、これらの機構にも関連するわけですけれども、ひとつ大臣のお考えを伺っておきたいのは、食管制度の問題です。これはグリーンレポートが出た当時に、いわゆる臨時食糧管理制度調査会法案を提示して、二年間で食管制度のあり方を検討して、それに基づいて食管制度をどうするかをやるのだということは、数年前に言われた。ところが、この制度自身は立ち消えになっているわけです。しからば食管制度そのもの現実運営する場合には、将来の問題としてもこのままでいいのかという点については、われわれは別の見解を持っておりますけれども、やはり農林大臣としては、直すべきものは直さなければならぬということだろうと思います。これは機構にも直接関連するわけですけれども、私どもは、食管制度というものは、むしろ新しい成長財である牛乳等を含めた第二食管的な運営をやるべきであると思いますけれども、いずれにいたしましても、食管制度というものをこれから一体どういうふうに考えていこうとするのか、この考え方についてお伺いしておきます。
  13. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 かつて、といいますか、少し前に、臨時食管制度審議会を置こうかという案がございました。この基礎をなすものは、自由化しよう、こういう基礎の上に立って検討していこうという考え方がございました。私は再々いろいろな場で申し上げているのでございますが、米等自由化していくといいますか、直接統制からほかのほうに移すということが、非常に国民生活を混乱する、あるいは農業の生産面に支障を来たす、こういうふうに考えておりますので、これはいまの食管制度は堅持していく、こういうことが大事だろうと思いまして、この審議会におきましての自由化するというねらいの考え方につきましては、私はあまり賛意を表しておらないので、そのままこの法案は出さなかったわけであります。しかしながら、いま行なわれている食管あるいは食管会計につきましても、いろいろ問題がございます。生産者米価を決定するにしましても、消費者米価を決定するにしましても、その中でいろいろな議論もございます。そういう意味におきましては、これは漫然と放置しておくということでなく、内部でもそれぞれ研究、検討はいたしておりますが、食管制度そのものにつきましても、維持、堅持しながら、そのたてまえのもとで検討を加えていく必要があると思いますので、それぞれ検討はさせているわけであります。
  14. 角屋堅次郎

    角屋委員 従来からの農政の柱であり、これからも重要な柱である生産基盤の問題であります。臨調答申の中で、土地改良に関することがいろいろの項目の中で出ているわけですけれども、私はこの臨調答申には賛成できない。従来から、土地改良では国営、県営、団体営、こういう区分に基づいて土地改良事業がなされております。しかも過般の土地改良法一部改正のときには、土地改良の長期計画をつくり、この長期計画はいま農林省でも検討中でございまして、聞きますと、夏以降におくれるということでありますが、あの議論をした際は、土地改良の長期計画をつくるときには、十カ年計画の少なくとも前半の五年については具体性を持たせたプランをつくってもらいたいということも述べたわけですけれども生産基盤の問題については、むしろ今日生産性の向上の問題とも関連をし、機械化の問題とも関連をして、相当にまた手をつけなければならぬ。基盤整備の問題については、むしろ重要なものは国が責任を持ってやる。われわれは、その点では全額国庫負担の事業でもやったらどうだというくらいに言っているわけであります。ところが臨調では、国労部門というのは、大規模な干拓とかあるいは大規模な土地改良というような範囲以外は、県段階以下に移したらどうかという思想があらゆるところに流れておる。これはむしろ土地改良事業の本旨とか、性格とか、実態とか、重要性とかいうものを、必ずしも認識していない議論じゃないかと思うわけです。これからの土地改良事業の進め方、これは国営事業の持つ役判りは依然として強い。それは重視しなければならぬ。土地改良の長期計画の中でもそのことは当然考えられておるでしょうし、しかも特別会計の関係でも、特定土地改良工事特別会計というものまで設けて、なるべく短期にそういうものをやっていこう——むしろ土地改良事業で従来から私ども指摘しておるのは、国営、県営、団体常を通じての一貫作業が、ややもすれば欠けているのじゃないか。そういう点を総合的にやるべきであるというのであって、むしろ国営の荷を軽くして県営以下に移してはたしてできるのかということになると、私は第一線の実態も含めて、必ずしもそういうことにはならないと思う。しうかも農業本来の政策として、今後相当の期間保護政策を基調としながら経済合理主義を導入していくという立場からいっても、農政の一番重要な柱である基盤整備については、国が責任を持っていく姿勢をくずすことはできないということではなかろうかと思うのでありますが、この点についての大臣考え方を承りたいと思います。
  15. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 長期計画につきましては、御承知のように土地改良法が改正されまして、四十年から十カ年の長期計画を立てるので鋭意その作業を進めております。そこで臨時行政調査会における答申が、国労を県営に移すようにというようなことは、私も賛成できません。これはやはり国がやることのほうが、進め方におきましてもいい。それから土地改良基盤整備というものも、だんだん広域になっていくから、広くやっていきませんとあとで支障を来たしますので、そういう意味におきまして、この際広域でやるということ、それから国がやっていくということが必要であり、国労はますます多くすべきだ。むしろ県のものまで国のほうへ預かってやるということのほうがいいと思います。それからいまお話しのように、問題は国営、県営、団体常、こういうものの総合性であり、またその速度を進めて完成を早めるということが、土地改良といたしましては必要なことではないか、こういうふうに私も考えておりますので、いまの国労土地改良を県営に移すという考え方につきましては、私は賛成はいたしておりません。
  16. 角屋堅次郎

    角屋委員 外務委員会大臣出席の関係もありまして、十分議論することができないのが残念でありますが、本省機構の問題から、さらに出先機関の問題について若干触れたいと思います。  御承知のブロック段階農政局というのが現実に動いておるわけでありますが、これは農政局の問題の議論を私どもがいたしました際にも、国と地方自治体の県市町村との段階の中に、各省でもありますけれども、いわゆる地方農政局的なものができる。この場合の地方農政局の役割りというのは、十分地域性を持った、しかも統一的、総合的、機動的な運営というものが十分できるかどうかというのが、一つの大きな課題であったと思いますが、今後大臣としては、農政局の位置づけ、あるいは今後の運営という問題について、機構改革問題ともからんでどういうふうにやっていこうというのか。問題は、そういう場合に、当初政府が提案をしてきました際には、農政局という構想でなくて、それに出先の統計調査事務所等も含めるというふうな考え方があったわけですけれども、統計の問題は、これは大臣もこの点については非常に深い理解を持っておられるわけですけれども本省機構の場合でも、あるいは地方出先の場合におきましても、これからの国際経済の中において日本農業が十分国際競争に耐えるような体制で、しかも農家のために農政を推進するためには、やはり調査が必要であり、統計の判断が必要であり、それを柱にしてやっていく必要がある。そういう面ではむしろ整備充実ということが必要であって、内容的な調査の問題の点については十分情勢に即応して考えていくということは必要であろうかと思いますけれども、これはやはり軽視することはできない。そういう点で、地方農政局の今日の価値判断あるいは将来の方向というものをどういうふうに考えておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  17. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農政局設置するという当時におきましては、相当議論もございました。しかし、農政局は地域の特殊性に適合した弾力的、かつ、総合的な農業行政を展開する必要性が増大しておる、こういうことで設置されたわけでございます。そういう意味で、設置当時におきましては、これがはたしてそのとおりになるかどうかというような疑問も相当あったのでございますけれども、いま設置いたしましてからは、設置の趣旨に基づきまして、農業構造改善事業の実施をはじめとしまして、地域農政の推進のために必要な権限、特に実施面におけるものを大幅に委譲しました。そういう関係で、地方農政局の自主性が相当強くなってきております。なおこれは自主性を強くしていきたいと思います。そうして地方の実情に即応した行政の推進に当たらせる、こういう方向で進めております。また、地域農政に必要な諸施策運営上の基礎資料となるべき地域の農業情勢を分析、把握するための調査等の面におきましても、重要な機能を発揮しております。統計を入れるか入れないかという問題につきましては、なお十分検討してみませんと、私はまだ踏み切るまでにはいっておりませんけれども、地方の実情等の調査の面におきましては、重要な機能を果たしておりますし、また果たさなければならないと思っております。このような活動を通じまして、地方農政局の位置は、農林省内部においても、また地方におきましても、逐次高く評価されておる現状でございますが、今後におきましても、都道府県あるいは市町村、こういうものと連絡を緊密にして、日本は狭いといえども、地域農政というものは相当重要でございます。こういう面におきまして、地域農政推進の中心機関として充実強化して、せっかく設けた機構でございますから、これをフルに生かして、われわれが農政を行なっていく上におきましても、あるいは農民にとりましても、意義のある有益な機構として活動させるようにいたしたい、こう思っております。
  18. 角屋堅次郎

    角屋委員 改正点一つであります農林研修所の問題でありますが、私は、むしろ農林研修所設置、それについての農林省からの説明資料もありますけれども、これは今日のような非常にむずかしい農政の状態の中では、地方の段階、第一線の段階も含めた農林省に箱を置いておる諸君の研修という問題は、これはもっと総合的に、あるいはもっと雄大な構想で積極的に考えていく必要があるのではないか。その点では、各省ずっと見てまいりますと、たとえば自治省には自治大学校というものがある。あるいは消防庁には消防大学校というものがある。あるいは国税庁も国税大学校というものがある。私は大学必ずしもいいとは言いませんけれども農政国内的にも国際的にも非常にむずかしい時期に、第一線の地方で働いておる諸君に農政に対する確信を持たせる。これは単に上からの押しつけではなしに、第一線の問題を吸い上げて、それを十分分析をする、あるいは討議をする、あるいは講師としては大学その他のいろいろなところ、あるいは農林省で手持ちしておる試験研究機関等も含めたそういう諸君も動員するという形で、農林研修所というような管理的な性格も相当加わった形でやるのではなくて、もっと総合的な、前向き、積極的な気持ちから考えていく必要があるのではないか。大臣には、今後の問題としてどういうお考えがあるのか、そういう点についてお伺いしたいと思う。
  19. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農林研修所の内応を充実していきたい、こういう意味におきまして、現在におきましても、講師は四〇%が部内講師でやっております。しかし、さらにいまの国内的、国際的の日本の置かれておる農業立場等を考えまするならば、これはもっと強化する必要があると思います。これを大学にするかどうかという問題は別にいたしましても、そういう方向で、内容が大学的なものに、また管理面におきましても、実際の指導面におきましても、十分機能が発揮できるような研修あるいは学習等ができるような方向に、さらに検討を加えていきたい、こう思います。
  20. 角屋堅次郎

    角屋委員 時間の関係もありますので、最後にしたいと思いますが、農林省機構の問題としては、公社公団、事業団という問題もございます。私は、自分の考え方からいたしますれば、農林省関係しておる公社公団、事業団については、非常に乱立傾向にありますけれども、これをつくるときには非常に熱心でありますが、産後の肥立ちが悪くて気息えんえんとしておる。そこで気息えんえんとしてくると、何か仕事をくっつけてやるというきらいが、単にこれは農林省だけではありませんが、ないわけではありません。この機会に、これはもっと総合的に、この公社公団、事業団というもの、あるいは審議会につきましても、たとえば畜産関係一つを見てもいろいろな審議会がありますが、畜産全体の運営のためには、そういうものの全体会議を持つとか、あるいは代表会議等を持つとかいうような運営方法を考えていく必要もございますし、さらに現実蚕糸局の縮小の問題が臨調から出たり、あるいは肥飼料検査所の問題、動物検疫所、植物防疫所それぞれの問題についても臨調で出ておりますが、時間の関係上、これらの問題については触れることができません。  日韓の問題で外務委員会から呼ばれておりますが、日韓の問題では一点だけ大臣のお考えを承っておきたいと思う。それは今日進めてまいりました日韓の漁業交渉の問題については、外務委員会で楢崎君のほうから触れることになりますが、特に韓国からの水産物輸入という問題では、ノリ、するめ、いろいろな問題が今日議論に出ておる。特にノリの問題については、昭和三十六年の段階だと思いますが、私は衆議院の農林水産委員会で提案をして、満場一致一億枚に規制をするということをやったわけでありますが、ことしの段階を見ましても、四十五億枚程度日本国内生産をされる。相当にやはり問屋にも生産地にもだぶついておる。こういうところに、政治的な意図でもって韓国からノリが従来以上に出てくるというようなことになりますると、明年以降に与えるところの影響は非常に大きい。こういうことを憂慮しておるわけでありまして、むしろことしの状況からいたしますならば、韓国ノリは入れない、将来の問題については、来年以降にひとつ相談しようじゃないか、こういう姿勢が必要だと思いますが、その点についてはどうお考えですか。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ノリにつきましては、議論のあることも承知しております。昨年一億枚臨時にふやしました。いま向こうから要請をされております。しかし、生産もことしは非常によろしゅうございますし、生産者の立場も十分考えなくてはなりませんので、この輸入のルート等が、向こうの生産団体等との話し合いというようなことで、そういうことが事実できるとするならば、そうしてまた、それならば調整保管ということもありまして、生産者も阻害しないで済むというようなこともありますから、そういうルートででもできますならば、この枚数はふやすというようなことも可能である、こういうふうに言っております。しかし、それは実際に行なう場合におきましては、なお各方面の納得のいくような方向に進めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  22. 角屋堅次郎

    角屋委員 外務委員会から、総理も御出席ということでお呼びがあるようでありますから、非常に断片的になって残念でございますけれども臨調の問題の受けとめ方、これからの進め方については、まず農政そのものの姿勢とこれからの展望というものの中において、農林省の中央、地方を通じての機構をどうするかという視点から、この問題を取り上げてやってもらいたい。しかもそれは、第一線の農民から見ても、農林省に働く諸君から見ても、その方向が非常に望ましいというふうな形のものを打ち出すというふうにしてもらいたいのであって、単なる機構いじりというふうなことであっては絶対にいけない、こう思いますし、最後のノリの問題につきましては、これはノリだけの問題ではありませんけれども、特に私は提案をした責任がありまするから、これはことしの生産その他の状況、将来の成長財としてのノリの将来の問題等から考えて、十分生産者の立場に立ってこの問題は判断をしてもらいたい、こういうことを強く要望をしておきまして、これで終わります。      ————◇—————
  23. 河本敏夫

    河本委員長 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  24. 大出俊

    ○大出委員 最初に、国鉄、電通あるいは郵政等、つまり三公社五現業の当事者能力問題とからみまして、目下調停委員会で進行中でございますが、一日も早くこの労使関係の賃金問題に関する紛争の解決をはからなければならない時点に来ている、このように考えますので、その点について労働大臣の所見を賜わりたいというのが、最初の問題であります。それからもう一つ後段で、港湾労働法が社会労働委員会にかかっておりますけれども、これについても、重要法案でもあり、かつ三・三答申も受けております関係もあり、将来の港湾の施設、あるいは管理、労働等を含めての問題もからみますので、それについても御質問をいたしたいというふうに考えておりますが、大臣が一時までだそうですから、それでは、できるだけその時間の範囲でひとつ質問をいたしたいと思います。  最初の問題でありますけれども、これは昨年の国会におきましても、石田労働大臣になられましてから、何回か当事者能力の問題で質問あるいは応答が行なわれておりますし、衆議院の予算委員会のときにも、山田耻目君からも質疑応答が行なわれております。かつまた時間の関係で申し上げないつもりではおりますけれども大臣がかつて最初に労働大臣をやっておられたころ、二十六、七年ころだと思いますけれども、このときにも、労働法令審議会等の関係がありまして、当事者能力問題はずいぶん長い記録が残っているわけでありまして、それがいまだに片づかないということであります。そこで最初に承りたいのは、一月のたしか二十八日だと記憶いたしておりますが、昨年の四月十七日の池田総理並びに太田会談等における当事者能力問題がございまして、次官会議検討を加えられた結果が明らかになっておりますけれども、つまりその中の中心点は、将来ILOの問題とからんで、公務員制度審議会、これは仮称でありましょうが、そういう中で討議をしたい。しかし、当面は現行制度のワクの中で、できるだけこれを運営上拡大しながら問題の解決をはかりたいということにまとまっているように思いますけれども、そういう意味で、有額回答を二月の五日でしたか、出されております今日の進展してきております事情の中で、どうもおのおの三公社五現業が回答をしている有額回答に、初任給の千円引き上げという一律の形で出されてきている。そうなりますと、これはどうも当事者能力というにしては、あまりにも形式に過ぎるという気がするのでありますけれども、この点について、まず、いま申し上げたような以前の御答弁等を踏まえて、今日の時点でどういうふうに労働大臣がお考えになっているかという点をお聞かせ賜わりたい、こう思うのであります。
  25. 石田博英

    ○石田国務大臣 労使関係の問題の処理は、労使がそれぞれ自主的な立場において、それぞれの責任において話し合って妥結点を見出していくというたてまえが一番望ましいことであり、それが労使関係調整の労働行政の基本でもございます。三公社五現業あるいは政府関係機関、それぞれたてまえは一応そういうことも可能なようにはなっておりますけれども現実的な運営の上においていろいろな制約があって、完全にいわゆる自主交渉能力があると言えない状態にあることは、御指摘のとおりであります。これがきわめて長い間議論の対象となってまいりました。私どもは、むろん労政の基本、先ほど申します基本をたてまえとして貫いていきたいと思います。ただ、公社、現業その他は、その事業の性格、構成その他から、全く民間と同一に扱えないという点もいろいろあろうかと思いますし、それがあるために、今日こういうことになってきたのであります。その調和点をどこかで見出してまいらなければなりません。それが昨年の四月十七日における池田・太田会談の一つの結論でもあり、その結論に基づいて、その調和点を見出すべく関係次官会議が催され、しばしば行なわれました。そうして今年の一月二十八日に、恒久的な問題の処理は、ILO関係案件として提出してありまする公務員制度審議会で他の基本的な問題と同時にやってもらう。それから第二の問題は、それができるまでの間は、現行法規の運営の中でひとつ最大限にそういうことを認めるようにやっていこう、こういうことにきまりまして、二月上旬に各公社現業当局は有額回答をいたしました。  これが内容について、いま大出さんのおっしゃったような批判があることは私もよく承知しておりますし、その批判のよって来たる理由もよくわかります。私はそれを論評する立場ではありませんけれども、よくわかります。そしてまた事情もよくわかるのでありますが、同時に、その有額回答をなさしめるに至った経緯というものも、外から見ておられるようなものではなく、並みたいていでない困難を伴ったものだということも、ひとつ御了解をいただきたいと思うのでありまして、これは一つの前進でございます。そしてその前進を踏まえた上で、よりよき労使関係の樹立へ進んでまいりたいと思っておるわけであります。  そこで、いま調停段階に入りました。その調停段階を通じて、できるだけ前進した形において話し合いがつき、平和裏に解決されることを望んでおります。それに対して、要すればわれわれも努力を惜しまないつもりでございます。不幸にして調停が仲裁に移されるようになりました場合においては、既定方針どおり、仲裁裁定の完全実施という方針でこれを処理していきたい、こう思っておる次第でございます。
  26. 大出俊

    ○大出委員 どうも少しテンポが早過ぎまして、仲裁裁定まで出てしまったのでありますが、そうなりますと、大臣がいままで述べておられるいろいろな経緯からいきまして、少しつじつまが合わないことになろうと私は思うのであります。実は調停段階でありますが、第一次回答は、平均をいたしますと五百円ぐらいになっております。組合側は第二次回答の要求をしておりますが、調停段階でありますから、調停の席上で当事者側の方々に言ってもらう、これが要求の趣旨だろうと私は理解をいたします。  そこで、実は先ほど申しました二十六、七年ごろのいろいろな当事者能力のやりとりの中で、学者では峯村さんであるとか、あるいは国鉄の職員局の労働課長である中畑氏であるとか、あるいは労働省の法規課長である石黒さんであるとか、いろいろな方々が各方面から——関西の労働法学者もそうでありますが、当事者能力の問題を取り上げていろいろ検討してきたわけでありますが、いずれも矛盾を指摘しているわけであります。だから、矛盾があるということについては、少なくとも間違いはない。したがって、その矛盾を政治的な分野で、今日足らざる制度でありますから、どう解決をしていくかということが、労使関係を安定させ、まとめていくというポイントだろうというふうに私は考えているのでありまして、当時私は官公労事務局長のときでありますから、資料を全部持っておりますけれども、時間の関係——結論は五百円平均ではなしに、何とかひとつそれ以上に努力するという方向で御努力の点を言っていただけば事足りるのでありますが、そういう意味で、こまかい理論的な点は時間の関係で極力省いてまいりますが、どうしても申し上げなければならぬのは、いま最後の答弁で仲裁の話まで出ましたので、これについては、昨年の十二月の九日に参議院の永岡光治氏の質問に対しまして、石田労働大臣が相当親切な答弁をしているのであります。第一段階は労使双方の交渉なのである。さて第二段階は、調停という段階なんだ。第三段階は、仲裁という段階なんだ。そこで当弱者能力とからんでものを言うということになれば、第一段階は労使双方が協定をする、こういうかっこうが出てくることが一番いい。しかし、さてそれができない場合に、何とか第二段階で調停に到達をする。いままでこれが一度もないけれども、この制度が不用であるという意見に対しては、私はそう思っていない。何とか調停段階でものがまとまることが望ましい。またそういう努力もしなければならない。それで、その結果どうにもならぬという場合は仲裁ということなので、あくまでも調停委員会という制度は厳存しているんだし、必要なんだということを、大臣が、この議事録を読みますと、答弁をされているのであります。してみると、今日まだ第一回の調停段階であって——四回ぐらいやるのだろうと私は思うのですけれども、これはあげ足をとるわけじゃありませんけれども、この段階からいち早くてっぺんから仲裁というお話が出てくるということは、私のそんたくする限り、こういう答弁はまことにごりっぱにされておられるけれども、腹の中はどうも調停に重きを置いておられぬということになりかねないような受け取り方にならざるを得ないわけであります。そこのところは、ここにある答弁のように御訂正を願っておかぬと、今日調停段階でありますので、まことにぐあいが悪い。そこで念のために、くどいようでありますが、参議院で十二月の九日に答弁をされているこの趣旨は、今日も大臣の気持ちとしてお変わりになっておらないかどうか、念を押すわけであります。
  27. 石田博英

    ○石田国務大臣 これはちょっと先走りし過ぎたようなきらいもございます。私はさっきも、不幸にして、ということを申しました。最悪の場合という気持ちであります。  それから昨年暮れ永岡君の御質問にもお答えしましたし、昨日鈴木強君にもお答えをいたしておきました。また、その前に公労協の幹部諸君とお会いしたときも、調停段階で話がまとまることを希望するし、まとまるようにわれわれも努力するのだ、こういうことを申しておりますので、その気持ちにはむろん変わりはありません。
  28. 大出俊

    ○大出委員 実はその前提に立って承りたいのでありますが、先ほど申しましたように、当事者能力があるといいながら、三公社五現業が出しました第一次有額回答なるものは、有額回答であることについては二回目の前進であろうと私は思うのであります。つまり、私の長い経験では、有額回答は二回目でありますから。ところで、にもかかわらず、内容をながめてみますと、初任給の千円引き上げであって、さてこれを引き直して職員数で割ってまいりますと、どういう結果が出てくるかということで、これは当初調べてみたのでありますけれども、郵政関係などは丸百二十円、それから、これは職員厚生その他の違いはございますけれども、電通あたりは五百円、造幣あたりも大体五百円で、他のほとんど全部は平均をいたしますと五百円を下回る四百何がしという結果になっているのであります。そうなってくると、これで今日の物価の上昇、民間賃金の変動、特に昨年の春闘のあとを受けまして、相当あとでまとまっている組合等もたくさんあります、五月段階でもずいぶんまとまっておりますから、それらのことを考え合わせるときに、今日この平均五百円足らずで済むはずはない。私はこれだけは言える事実だろうと思うわけであります。そうなりますと、当事者能力ということを問題にし、今日制度的な欠陥がある、矛盾があるという中で、にもかかわらず、何とか政治的にこの制度を活用をして解決をはかろうとする限りは、この段階でとどめるということであっては解決の方向は出てこない。少なくとも調停段階で片づけるというわけにはいかないということになる。ところが組合側のほうは、ことしは何とか調停段階で片をつけたいという気持ちが非常に強い。その実例を一つあげれば、全電通の例のように、できる限り労使の話し合いで片をつける慣行をつくろうということで、これは昨年来ずいぶん苦労してきた組合なのでありますから、そうなりますと、その辺で五百円を下回る回答で事足れりということには私はならぬと思うのであります。その辺については、政府という立場での努力という範囲でけっこうなのでございますけれども、どういうふうにお考えになっているか、冒頭に承りたいわけです。
  29. 石田博英

    ○石田国務大臣 政府という立場、それから労働行政をお預かりしております私ども立場、もう一つはこういう公の記録をとっている公の場合で申し上げる立場で、お答えをいたします。  この五百円を前後する回答というものについて、ただいまおっしゃったような議論が存在し、その議論には根拠がある、私ども理解できる根拠があるということは、私よくわかります。ただ賃金は、たてまえが労使関係お話し合いでおきめになることでありまして、それに対して私が前段申し上げましたような立場で論評するわけにはいかないのであります。ただ、申し上げられることは、調停段階で話し合いがつくように、行政的に私どもが動き得る、あるいは努力し得るところは努力いたしたい、こう考えております。
  30. 大出俊

    ○大出委員 私の経験でいきますと、権威ある時の政府中心の方々が、調停段階で解決をしたい、こういうことを言われたのは、昨年の四月十七日に、公労協の紛争をめぐりまして、私は当時へんな立場で、総評の現職の副議長でもあり、社会党の春闘対策委員会の事務局長でもあるということで、おかしな立場でありましたが、五大臣、田中大蔵大臣以下の方々が出てこられて私どもに会って、つまり総評、公労協代表に会って、政府の側からの公式な文書による提案でありましたが、この中身として何と言われたかといいますと、調停段階で結論が出れば、政府はそれを、仲裁を尊重すると同じ意味で尊重いたします、こういうふうに言い切られたわけであります。当時運輸大臣が綾部さんでありますが、綾部さんのほうが文書を読み上げたのでありますけれども、それをさらに明確に大蔵大臣からそういうふうに答弁をされた、こういう事実が一つ存在いたします。そこでそれらのことをとりまして、せっかくあれだけ苦心惨たんをして、当時大橋労働大臣でございますが、ようやくにして四月十七日に政府責任者と組合側の最高責任者とが会って、しかも当事者能力に触れて事が解決した、六項目にわたる解決条号があった、こういうわけであります。そうなりますと、ことしの春の賃金引き上げというものは、でき得べくんば労使の話し合い、団交で片をつけるか、さもなければ、せっかくあそこまでいったいきさつなんですから、調停段階で結論を出す必要があることに組合側も、ことしは調停という段階を向く評価をして、今日調停が進められておる、こういうわけなんであります。したがって、記録をとっており、政府であり、かつ労働大臣という立場ということはわかりますけれども、やはりこの際そういう昨年の経緯にのっとりまして、政府責任のある方々が、五大臣ということでありますから、そういうことであそこまで言われたということなのでありますから、したがって、調停段階における解決という点について、やはりもう少し突っ込んでお話を賜わってもいいのではないかという気がするのであります。くどいようでありますが、もう一ぺんそこのところを御答弁いただきたいと思います。
  31. 石田博英

    ○石田国務大臣 これは、ことばの解釈になりますと同じことじゃないかと言われればそのとおりかもしれませんが、私が承知している範囲は、田中君の発言は、公労委の結論が出ればそれを尊重する、こういうことばであったように記憶をいたしております。ただ、労使の直接の話し合い、調停、仲裁、こういう過程が踏まれる場合において、できるだけ早い段階で話し合いがつくことが望ましいことは言うまでもないことでありまして、公労法においても決してそれは否定をいたしておりませんが、他の関係法規との間に食い違いが生じて、長い間問題になっているようなことが起こっているわけであります。私どもは、調停に入りましたら調停段階において、労使が円満に話し合って、平和裏に解決されることを望みますし、それに対して努力を惜しまないものでございます。
  32. 大出俊

    ○大出委員 いまの大臣の御答弁は、それなりによくわかりますが、私が申し上げております意味は、もちろん三治さんが途中で横からお話になっておりましたが、確かに調停の結論が出た、こういう段階について、旧来はそういうことをお話しになっていなかったのでありますが、仲裁は確定効力がありますから、当然政府はこれを慰めるわけでありますが、石田さんの大臣になられて以来、完全実施をすると言い切られたわけでありますが、そういう意味で実施をする、つまり裁定並みに実施する、こういうふうに言われたわけでありますが、そのとおりであります。そこで問題は、つまり調停段階で話し合いがつくようにするためには、しからばどうするかという問題が残るわけでありまして、私が申し上げておるのはここの意味でありますが、調停段階で話し合いをつける、このためには、やはり各公社、現業に相当な自主性を持たせる、こういう意味における政府の努力がなければ、調停段階でなかなか話し合いがつかない。これは旧来から明らかなのであります。そこで私は、さっきから申し上げておるように、調停段階で話し合いをつけるべき労働担当の大臣あるいは政府関係の方々の御努力が必要なのだ、これをおやりになっていただけるかどうかということを聞いておるわけであります。そのようにひとつ御理解の上、再度御答弁をいただきたいと思います。
  33. 石田博英

    ○石田国務大臣 私がいまあれしたのは、私の記憶と違っているかどうかということを念を押したのでありまして、ことさら三治君からチェックをしたわけではありませんから、誤解のないように。私の記憶のとおりであったので、その意味は、むろんあなたの御発言のとおりの意味と思っております。そうでなければ意味をなしませんから。それから調停段階におけるわれわれの努力は、調停の方向とにらみあわせてあとう限りの努力をしたいと思っております。
  34. 大出俊

    ○大出委員 そこで国会のやりとり、議事録のほうに戻りたいのでありますけれども、予算委員会で本年二月十二日に山田耻目君のほうから労働大臣にいろいろ当事者能力をめぐる質問をいたしまして、それ相当に突っ込んだ御意見あるいは答弁を賜わっておりますが、この中でまず一番ポイントになるのは、労使双方の団体交渉というものが進展をし、そこで話し合いがつく、これが一番望ましいのだということと、あわせて公労法の十六条と三十五条の関係からして追加予算、補正予算、あるいはそれに類する流用等を含めますけれども、適当な措置をおとりになる話し合いが両者できまる、こうなれば、これについては政府はとやかく制肘は加えない。こういう意味の話が出てまいりました。この意味は、調停段階においても同様に話し合いがきまるということになるとすれば、政府から横やりを入れるものではない、こういうことについて、田中大蔵大臣も、当時三公社五現業の方々が全部おられるところで、はっきり最終的に結論めいて申された筋合いがございます。そこでひとつ承りたいのでありますけれども、これは田中大蔵大臣でない、労働大臣でございますから、どうもおれがやったのじゃないのだと言われればそれきりでありますけれども、しかし、関連はございますので承りたいのでありますが、これは郵政省と全逓信労働組合との団交の席上で、郵政省側から回答が文書で出されているのであります。簡単でございますから、その文書を読み上げますと、「本年四月以降については、民間賃金においてある程度の事情変更が生ずるであろうことは予想をされる。その場合、程度いかんによっては郵政職員についても考慮すべき必要が生ずることも考えられる。したがって四月以降の問題については、今後あらためて交渉のこととしたい。」これは文書でありまして、この文書を公労委の第一回の調停委員会の席上に組合側から提出をした。こういう経緯がございまして、この文書をめぐってのやりとりがございましたところで、これは郵政省側が、当事者側、理事者側が出した文書でございますから、否定の余地はない、こういうかっこうになったのであります。ところが、この直後に大蔵省のほうから——私は、大臣が御存じのとおり、官公労以来ずいぶん長く各省関係がありますので、そういう事実はないとおっしゃられても、私は面接会って話をしてきておりますから事実でございますけれども、郵政省のある人を呼んで、まことにもってけしからぬじゃないか、なぜああいう文書を出したのだということでおしかりをこうむった事実がございます。これは先ほど申し上げました本年二月十二日の予算委員会におけるやりとり、答弁、確認等から見まして、ゆゆしき問題だという気がするわけであります。もしそのことが事実でないとおっしゃるならば申し上げざるを得ないということになるかもしれませんけれども、事実そういうことがございまして、私は言われたところの方々からも聞いておりますが、こういうふうなことがあるべきでない筋合いの答弁なんですが、しかし、現実にこれがあったというこになりますと、私はどうもこのところが理解できない。あのときには労働大臣もおられたのでありますから、田中大蔵大臣の答弁は御存じのはずなのであります。そういう意味で、なかなか政府関係部内のむずかしい事情は、私もよく存じております。おりますが、労働担当の大臣立場で、ひとついまの点についてどのように御解釈、あるいはどのようにお考えなのか、御答弁を賜わりたいのであります。
  35. 石田博英

    ○石田国務大臣 郵政省関係の事柄にからんで、いま大出さんお話しのような事実と申しますか、そういうことがあったことを私は聞き及びまして、直ちにどういう事情でどういうことを聞いたのか、大蔵省として少し出過ぎているのじゃないかという感じを持ちましたので、労政局長にその事情を調べてもらいました。それで私が承った報告は、大蔵省がそういう内容のはっきりしない何か言うたらしいということを聞いたので、どういうことを言うたのかということで事情を聴取したにとどまるのだ、こういう報告でありました。昨日鈴木強君の質問に対して、私はそばにおりまして田中君の答弁を聞いておったのでありますが、田中君は、その事情を聴取したことは知らない。知らないが、調停段階で話がまとまれば、いままでのお答えのとおりの態度で臨みますという答えをしておったように記憶いたしております。
  36. 大出俊

    ○大出委員 それではひとつ念を押しますけれども、これはさっきも申しましたように、文書で出しているのでありまして、要約してこの文書の趣旨をもう一回申し上げますれば、四月の段階になれば、つまりこれは二月の段階の回答でありますから、したがって四月の段階になれば、民間の各労組さらに民間の各資本の側との交渉なり、あるいは紛争なりということが続けられて、いろいろな回答が出てくるだろうという予測が成り立つ。昨年は総評側で計算をいたしますと一三・六%、三千四百五十四円か六円かになります。こういう平均数値が出ている。そうなりますと、それに類する一これは一月十八日の日経連の側のいろいろな言い方もありますけれども、現に今日出ている回答をながめてみますと、昨年に近いものに、いずれにしてもなるだろう。そうなった場合には、郵政職員についても考慮する必要が生じてくるのだということを文書で出しているわけでありますから、この文書が今日公労委に出されて明確に生きておる。大蔵省側がどういうふうに措置をおとりになろうとも、先ほど大臣が言われるように、読んでわけのわからぬ内容だからというので確かめた。かりに大蔵省側がそうであったにしても、百歩下がってそうだというふうにいたしましても、しかし、にもかかわらず、これは当事者間では生きている。そうなると、つまり先ほど予算委員会の質問に立ち返ってものを言えば、当事者能力というものを現行制度の中でできるだけ拡大をして考えながらうまくまとめていこうということなんですから、そうなると、当事者が、郵政省が、こういう文書回答をしたという現実がある限りは、そのことに制付を加えない筋合いになるわけでありますから、そうなれば明らかに生きている。そうなると、四月段階にいって、それらの民間の回答その他が出そろってきた場合に、当然五百円ということではおさまりがつかないので、郵政職員についても考慮しなければならないという場面が出てくる。にもかかわらず、そこでまた大蔵省がちょっと待ったをかけられたのでは、これはたいへんなことになる。したがって、この回答の趣旨からいけば、当然五百円ではない、何がしかの第二次的なものが出てきてもしかるべき筋合いのものなんでありますけれども、その点について、あなた方のほうは、それに対する制肘をお加えにならぬかどうか。ここのところをはっきりさせておいていただきたい。
  37. 石田博英

    ○石田国務大臣 大蔵省のだれがどういうふうにしたかというようなことはこれは別問題でありますが、私の承知している範囲では、文書であったかどうか、どういうものであったかどうか、それさえもわからなかったから聞いたのだ、こういうふうに私は承知しております。大蔵省の立場を私が答える、私はそういう立場におりませんが、少なくとも労働省といたしましては、そういうことをする意志はありません。
  38. 大出俊

    ○大出委員 これまた大蔵省との関係で恐縮なんですが、先に進みませんので、もう一つ承りたいのですが、例の予算委員会におけるやりとりの中で、あわせて政府関係特殊法人、つまり道路公団その他でありますが、これに対するやりとりもあわせて行なわれまして、やはり当事者の能力ということについては、補助金あるいは予算的な措置というふうなことで、審議権というものとからみ、編成権というものとからんで、ある種の制約が出てくることは一方にあるということは言われながらも、関係としては公労協よりも民間にもっと近いのだ一こういう答弁が労働大臣から行なわれているわけであります。ところが、これもやはり大蔵大臣は、あとで当事者の間でまとめていくものについては制約は加えないことになっているわけであります。ところが、いまの例と全く同じことになるのでありますけれども、いま三月年度末にきて、政労協の皆さん、特殊法人関係労働組合の皆さんは、年度末手当を出してくれということでストライキに入っております。ところが水資源公団、これは企画庁の担当でありますが、水資源公団が〇・四というものを出した。さあ大騒ぎが起こった、ところでいろいろ私も調べてみたところが、大蔵省の給与裸が調整をしている。つまり三十二ある政府特殊法人関係の給与のバランスを詳細に大蔵省が校訂した。したところが、昨年末の手当の問題等とからんで、水資源公団については〇・四だけ他の公団よりは低かった。したがって〇・四を出せと言った。それで道路公団、高速道路公団並びに住宅公団に比べて〇・〇ないし〇・〇一くらいの間で並ぶのだ。したがって、水資源公団の〇・四は出してよろしいが、そこから先各種公団は一切出してはいけない。こういうことになったということで、こういうことになった事実があるか。これまた関係がえらいところへ飛び火しますけれども、もしどうしてもこういう事実を皆さんがお認めにならぬなら、私は言います。そこで私は直接話をいたします。したがって、建設大臣にしても、建設官房長にしても、非常にこれは困ったことになったということで、かつまた一方に金という問題もありましょう。それだけが理由ではないと思いますけれども、なかなかどうも年度末手当が出てこない、こういうことで今日ストライキが続いている。私は、大蔵省の立場がわからぬわけではないのだけれども、このあたりは、一々そういうとめ方をするのではなくて、政府関係の方々がやはり相談をされて、全体として、当事者能力がこれだけ問題になっているのですから、しかも国会でようやくここまで前進した答弁がいただける世の中になったのだから、さらにまた、ILOとのからみ合いで公務員制度審議会等の中で検討をするというところまでいっているのだから、この辺はもう少し器用にものごとを処理していただかぬと、いろいろ答弁をされる横からぼろが出てきたのでは、紛争はますます混乱におちいり、拡大をするだけなんです。その辺のところを、労働大臣という立場で、何とか政府部内を調整していただかぬと困る、こう思いますから、その辺についての所見を賜わりたいわけです。
  39. 石田博英

    ○石田国務大臣 これは、政労協関係の労使関係において、自主的な交渉によって一定の条件で話し合いがまとまるといたします。そのまとまったものについて、監督官庁あるいは大蔵省が、それは現行制度上、あるいは現在の予算上可能であるとか不可能であるとか、別種の判断をする権限は残っていると思うのです。だけれども、それまでの間においては、自主的な話し合いできめてもらうのがたてまえであろうかと思います。私は、具体的に大蔵省の給与課でどういうことをしたかどうか、それはよく存じません。労政局長承知しておるようなら、いずれ労政局長からお答えをさせたいと思います。ただ今度は、交渉にあたる当事者側がせっかく話をまとめても、あとになってから監督官庁や何かから横やりが出て話が無効になってしまったのでは困ると思って——思うかどうか知らぬけれども、それによって事前にいろいろ打診をしたりすることがあったのかもしれません。だけれども、たてまえとしては、先ほど申しましたように、それぞれの権限あるいはそれぞれの立場というものは別々にあるものであって、あまり混淆させないほうがいいのではなかろうかと私は思っておる次第であります。
  40. 大出俊

    ○大出委員 政労協三十二の給与調査その他の一切の資料がここにあるのですが、これでいきますと、あなたがどういうふうにおっしゃられても、現実は、交渉が続いているさなかに、うしろのほうから大蔵省が、こういう数字なんですよ、三十二あるんだが、内容は、給与は今日どこが幾ら、どこが幾らでこうなっている。したがって、こういう事情なんだから、〇・四出してもこれでこの四つは並ぶ。日住労関係と首都高速道路公団、道路公団、水資源とは並ぶのだ。だから、これ以上のものをほかが出せばアンバランスが出るのだから、また水資源も出さなければならぬのだから、出してはいけませんよと陰で言うたのでは、これはいかに自主性を持たせると言うても交渉は進展しないし、交渉が進んでいるさなかにそういうことを裏で言えば、大蔵省が一番こわくてしかたがない公団幹部の方なんだから、当然口をつぐんで語らない、こうなるのがあたりまえです。このことを称して、自主性を、つまり当事者能力を欠かせているということになるのであって、現行制度というものを活用して当事者能力を与えていこうというのとは、全くもって正反対の結果になっているということなのであって、これを私は国会でものを言われる皆さんの答弁と現実とが食い違うと言うのですよ。したがって、郵政省がただ一片の回答を出して、四月にいってほかのほうが上がってきたら——物価の変動もありましょう。上がってきたら、郵政職員については考慮しなければならぬことになるかもしらぬというふうなことを文書にして出した。それが公労委に出てきた。さて新聞が取り上げたということで、とたんに呼びつけられる。呼びつけられること自体が、もう制約なんです、内容は何を言われようと。だから、そういうふうなことがあっては困る。だからこそ、いろいろと国会でものを言う、答弁を求める、こうなっているわけですから、ここのところをきれいごとでなくて、ものごとをまとめたいと思っているのですよ。だから、形式上言えばいろいろな言い方はありましょう。ありましょうが、私がいま申し上げていることは、うそ偽りを申し上げていない。したがって、そうなってくると、全大蔵なんというのは私が当時から握っていた組合なんだから、どこで調べたってこれはわかる。そうなってくると、わからないと思っておられるほうが私は間違いだと思う。そういうことになると、国会でせっかく答弁をされたなら、やはりそのようにやっていただかねばならぬ。私は形式を言うのではない。そこで話を先に進めますけれども、せっかく調停委員会が進行をしてきて、さて第二回に入ってきて、大体今月の末までの間には第二回が全部終わる、こういう段階になっているわけです。しかも、この中には、もう一つ例をあげますけれども、電電公社と電通の関係のように、電通の皆さんのほうはあくまでも団体交渉で、調停に持ち込まないで話をきめたいと言って努力を重ねていた。ところが、ほかのほうがみんな調停に持っていってしまった。したがって、電電公社の皆さんは、この時点で団体交渉を打ち切りたいということを申し入れてこられて、組合側はそれは反対だと言うて突っぱったにもかかわらず、逆に調停委員会公社の側から調停申請をしてしまった、こういう事実が現存するわけですね。これは何を意味するかといいますと、公社側が五百円の回答をしている。そして団体交渉が続いている。組合側はもっと交渉しようと言う。にもかかわらず、団体交渉ではどうにもならぬから調停でまとめましょうといって調停に持っていった。そうすると、公社の側に調停でまとめる責任が存在をするわけであります。そうなれば、調停の段階で何がしか積み上げなければ、調停に持っていった意味がない。こういう事実まで今日労使間には存在をするわけであります。そうなってくると、一例をあげたさっきの大蔵省みたいなことが出てくるということになると、せっかくそういうことで調停に持っていったものがまとまらない、こういう結果になってまいります。そこで、私は先ほど来冒頭に申し上げたように、こまかい制度上の問題を論議すれば切りがありませんから、この短い時間で申し上げないつもりにしておりますけれども現実の問題として、きわめて現実的に考えてものをまとめたいという気持ちである限りは、政府の皆さんの側で、形式は申し上げませんが、それ相当な配慮があってしかるべきである。つまり調停段階で五百円でまとまるはずがないことはわかっておる。だとすると、そこのところでもう少し皆さん方が手綱をゆるめるべき措置をとって——形式的に言うならは、当事者能力はあるはずだ、こうおっしゃるでしょうけれども、いま二つの例をあげましたように、現実はそうでない。だから、そこの手綱をもう少しゆるめて、何とかひとつ調停段階で管理者の皆さんの側から何がしかの第二次回答ということを、形式にとらわれませんが、に類する額について意思表示をして決しく悪くない。仲裁に持っていけばもっと悪いに世の中はきまっているのだから、そうなると、そこら辺を積み重ねていただいた上で、大臣が十二月に答弁されているように、調停段階でまとめる努力を極力やってみようじゃないか。そして、田中大蔵大臣が五大臣と公労協の話し合いで申されているように、公労委で調停でまとまったら、調停案が出たら、仲裁と同じように尊重する、こういうところまでことしは進展していいのではないか、こういうふうに私は考えますので、その辺の努力のほどについて、公労協代表とお話し合いをされている労働大臣なんですから、この席上でやっぱりはっきりしていただいたほうが、ものごとがまとまる方向に進展する、こういうふうに思いますので、御答弁いただきたいと思います。
  41. 石田博英

    ○石田国務大臣 私は、大蔵省の役人がどういうことをしたかということについて、弁護したり答弁をする立場でもありません。ただ、私の考え方は先ほどから申しましたとおりでありまして、できれば早い段階においてまとまることが望ましい、それについては私のほうとして努力をするつりであります。  それから同時に、先ほど郵政省の出された例に対してのお話しですが、労働省としては、それに対してましてやチェック、干渉する意思はありません。ただ、私どものほうでは、現在まであったかなかったかは知りませんけれども、一般的な賃金水準、上昇率その他の資料提供を求められた場合には、その資料を提供することはあり得る。大蔵省給与課から出されたものも、あるいはその資料という意味かもしれませんが、しかし、そういうふうに弁護をする責任も、別に感じません。
  42. 大出俊

    ○大出委員 それでは労働大臣に承りたいのですが、国鉄の第一回調停委員会の席上で、国鉄の理事者側の方々、つまり当局が、兼子公労委の会長がおる席上で、当局が支払い能力もございませんので、こういう言い方をしたわけです。そうしたところが、兼子会長のほうから、それはどういうことですか、支払い能力がないから出さない、あるから出す、そういうことになりますか。物価が上がって民間の賃金が上がってくるということになるとすれば、支払い能力の問題ではなくて、あなた方は出すべき努力をしなければならぬのではないですか。こういう公労委会長からの反論がありました。したがって、資料として提出を求められたのは、ベースアップの必要があるのかないのかという、このことをどう考えているかということを資料として出してもらいたい。それから、支払い能力がなければ賃金引き上げはしなくてよいとお考えになっているなら、その理由を文書で出していただきたい、こういう兼子会長からの資料要求がございました。いま大臣が資料とおっしゃるから言うのでありますが、実は調停委員会における労使のものの言いっぷりは、こういうことになっているわけですね。このあたりは、やはり労働大臣のお立場——私はきのうやきょう石田労働大臣を存じ上げているわけじゃないのですから、百も二百も知った上で申し上げるので、何とかひとつ、ほかならぬ石田労働大臣なんですから、この辺のところはもう少し——この時点から、いまからでけっこうなんでありまして、いままでのところはまさに前座ですから、これからが本格的な調停段階でしょうから、これだけ申し上げればおわかりいただけると思うのだけれども、もう少しひとつ調停段階でものごとが進行するように、先ほどおっしゃられた三つの立場がおありになりましょうけれども、そういう立場でひとつ御努力がいただけぬものかという点を、くどいようですが、問題解決のポイントですから、私は申し上げているので、大蔵大臣の言ったことを弁護する必要もございませんし、また答弁する立場でもないことも百も承知の上で、世間一般の形式はこんなふうになっているということを申し上げているわけなんだから、その上でひとつお考えのほどをお聞かせを賜わりたい。前向きにひとつやっていただきたいと思っているわけです。
  43. 石田博英

    ○石田国務大臣 前に有額回答を千円いたしました。そのときも、ちょうど私が労働大臣でございました。今度の五百円前後の有額回答、これは非常に御不満があるという事情は、言うことはよくわかるということは先ほどから何べんも申し上げていると思います。しかし、われわれの側から見れば、相当な努力をしたのであります。そして相当な努力の結果として出ました。そしてそれにさらに積み重ねてこの現在の制度の中でもう一歩前へ進めていくということは、いままで考えた以上のたいへんな努力が必要だろうと思います。思いますが、私は、先ほどから申しまするように、労使関係は、できれば労使の話し合い、やむを得なければ調停段階、さらにどうしても不幸にしてやむを得ないときには仲裁というところにいくのがたてまえなんでありますから、最後の段階へいかない間にまとまることが望ましいというのが、私どもの考えであります。したがって、調停進行の過程をにらみ合せわまして、私どものなし得る努力はいたしたいと思っております。ただ、先ほどから申しますように、今日五百円の有額回答をするということさえも、それ以上あなた方のほうから見ればあたりまえかもしらぬけれども、われわれの現在の法律制度の中では、非常な努力であるということをあわせてお含みの上で、御了解をいただきたいと思います。
  44. 大出俊

    ○大出委員 一昨年の三・一五という最高裁の判決が出ましたときに、あの日に公労協がストライキをやるということになっておったのですが、穏やかならぬときの情勢でありますから、大橋労働大臣といろいろ苦労し合って、ようやくあれを回避をしました。当時の労働問題調査会等の方々ともお話し合いをして、ようやくあれをまとめた当事者でございますから、体験を持っておりますし、昨年の四月十七日の問題につきましても、ずいぶん苦労させられた一人でありますから、その間の事情については心得ているつもりでありますけれども、同時に、今日労働担当をやられておる石田労働大臣自身も同じような長い経験をお持ちなのですから、そういう意味で私はこまかい制度上のことをとやかく繰り返してもしかたがないと思って申し上げないので、ILOの問題等もからんできておる今日の事情でございますから、より現実的にものを詰めて解決していくということが、ようやくILO問題等の政府なり総評なりの話し合い等も詰めなければならぬ事情に来ておる今日の段階でありますから、それだけに、ことしあたりは政府、公労協の間でまた例年のような紛争ということでなしに、調停の段階で労使双方が何とか話し合いがついたのだ、かくて調停案は両方がのんだ、それだけの努力をし合ったということくらいは、この公労法が適用されてからかなり長い期間になりますけれども、あってもいいのじゃないかと私は思っておりますし、そういう意味で、いまの労働大臣の答弁についてはそれなりの意味でわかりますので、どうかひとつ前向きに御努力のほどをお願い申し上げておきたいと思います。こういうふうに思うわけであります。  時間があと三十分しかございませんので、いまの問題はこれで終わります。  それからつけ加えておきますけれども、政労協関係の問題につきましては、このままであのストライキなるものが進展をしていって、月末を越えて来月に入っていきますと、予算とのからみ合いその他から、不用額云々ということにもなってまいりますと、問題はさらに波及をすることになります。したがいまして、この点についても、労政局長もおられるので、ひとつあっせんの労その他をとり得る立場だろうと私は思っておりますが、それがつまらぬところで国会の審議にはね返ったりする、こういう場面もなきにしもあらずという心配を私はいたします。そういう点でここで内容を詳しく申し上げません。私もまとめるべく努力をしていたら、とんでもない資料が手に入ったので、先ほどお見せした資料がそうなんですが、そういうことで私も壁にぶち当たって、何とかしなければならぬと思っている段階ですから、そういう点についても御配慮をいただいて、政府関係をする限りの各種公団あるいは公労協等々の問題の解決にあたっていただきたい。これも予算委員会のやりとり等を踏まえまして、前向きで御検討賜わりたいことをお願いしておきます。  次に、港湾労働関係の問題につきまして御質問申し上げたいのでありますけれども、まずもって承りたいのは、実施の時期につきまして、重要法案ということで、三・三答申を受けまして、港湾労働法の要綱を何回か労働省側から出されて、この要綱がまた何回か修正されて、さらに閣議でいつ幾日ということでありましたが、なかなかきまらないで、与党の皆さんの中の各種部会の中でもいろいろ意見があって、ようやく日の目を見て国会に出てきたのでありますが、さて一番最後の段階で、実施時期の問題が二年も先になってしまったという現実があるのであります。このなぜ二年も先に延ばさざるを得ないことになったのかという点の理由を、まずもって承りたいのであります。
  45. 石田博英

    ○石田国務大臣 わが国の港湾労働の実情というものは、常用雇用の率が非常に低く、その雇用関係が非常に非近代的な要素が強い。その上に災害度が高い。さらに住宅、福祉施設等がきわめて不十分である。そういうような事情から申しまして、労働者の生活を守るという部面からも、また必要労働力を確保して産業の発展に資するという上からも、問題が非常に多いので、非常に長い間、この港湾労働姿勢を近代化するということが議題になってまいりました。そうして昨年の三月三日に御承知答申が出たのであります。労働省といたしましては、直ちにこれを受けて、その立法化に着手をいたしました。ただ、この答申の中にも書いてありまするし、またこれを現実的にほんとうに効果あらしめるためには、港湾行政、あるいは港湾運営、あるいは港湾の設備の改善、そういうようなものと一緒に、それの改善とともにやっていかなければならない面が非常に多いのであります。これは三・三答申にも書いてあります。これは、御承知のごとく、運輸省の所管に属する面が多いのであります。つまり並行して準備を進めらるべき性質のものでございます。労働省といたしましては、運輸省と連絡をとりつつやってまいったのでありますが、その間の速度に違いがありまして——違いがあったことについては、労働大臣としてはきわめて不満に思います。きわめて不満に思いますけれども現実にこれを法律として提出いたします上においては、政府部内の意見の調整、あるいは現実的効果をあげる上において、妥協が必要であります。そこで不満ではありますが、やむを得ず合意をいたしましたのが、このたび提出した案件であります。その不満ながら合意をした部分のうちで、実施期日を二年以内と響いたことも、その一つであります。ただし、これは全部にわたって二年以内というのではないのでありまして、その中で実行し得るものは、直ちにいたします。本年度予算には十億円あまり計上しておりますが、大部分は直ちに実行できるものであります。具体的な項目については職業安定局長からお答えをいたしますが、そのこと自体は不満であるけれども、いま言ったような事情で合意をいたしたものでありますが、一つには実行し得るものは直ちにやるということ、それからもう一つは、二年以内と書いてございますから、その他の部面についてもでき得る限り早く実行できるように努力をいたしたい、こう考えております。
  46. 大出俊

    ○大出委員 これは特にお断わりをしておきますが、この内閣委員会に総理府提案によるものは、三・三答申によれば中央港湾調整会議なんでありますが、名称変更をして調整審議会、これが提案をされております。それからもう一つ、いまの答弁と密接にからむのでありますが、運輸省設置法案の中で、港湾審議会のワクの拡大が出てまいりました。管理部門を設置しようというわけであります。これが直接にからんでまいります。したがって、この二つの論議をしていく過程では、どうしても港湾労働法案についてもものを言わなければならない場面がたくさん出てくるのであります。そういう観点から私は承ろうとしておるのであります。  さらにもう一つ、港湾労働法案は、三・三答申が出まして、そのときは大橋労働大臣でありますけれども、私は三・三答申なるものはどうしても前向きに実施しなければならないもの、こういうふうに確信をしておるのでありまして、したがって出されておる、社労にかかっております港湾労働法案についても、大筋を言えば、六点くらいは何とか手直しをしてもらわなければならないのですが、何としてもそういう立場で通さなければならない、こういう気持ちを持っておる一人であります。したがって、社労の山田君の質問等についても検討いたしておりますから、よけいなことを聞くつもりはないのでありまして、中心点について承りたいのであります。そういう立場でものを申し上げておりますから、どうぞひとつずばりお答えいただきたいのでありますが、二年以内ということになったその陰のほうで、運輸省と労働省の間で港湾労働法案の取り扱いに関する了解事項というようなものが文書で取りかわされておるというふうなことになると、私は非常に心外なんです。この種の法案をめぐってずいぶんもめた。その残骸なんだといってしまえばそれだけかもわからぬけれども、運輸省との間に両大臣名でその種のことがあるということになると、しかも港湾労働法が先ばしってはいかぬということになってくると、私は、どうしてもいま簡単に言われている理由では納得できない。そこで、私もいろいろ聞いておりますけれども、その資料を私にいただきたいのと、それからそこに述べられておる内容について、今日この時点で一体大臣はどういうふうにそれを考えておられるか。それはまさに逆に運輸省に押されて、労働省がやむなくそこまで譲ってしまったんだという内容に受け取れる。そこのところをそうであるのかないのか、どういうようにお考えなのか、承りたい。
  47. 石田博英

    ○石田国務大臣 どちらが押したか、押されたか、これは別問題にいたしまして、私どもは引きずったつもりでおります。そこで、両省の間で取りかわしました了解点でございますが、詳細は安定局長から御説明いたしますし、資料は別に秘密を要するものでもございませんから、差し上げます。しかし、この港湾労働法の基本的な方向を乱るような覚え書きの交換をいたした覚えはございませんから、その点は申し上げておきます。具体的には局長からお答えいたさせます。
  48. 有馬元治

    ○有馬政府委員 港湾労働法案を生み出すまでには、いろいろな紆余曲折がございまして、予算編成の最終段階の昨年末におきまして、一応運輸大臣労働大臣連名の法案の取り扱いに関する覚え書きというものが取りかわされております。これは大体今回提出の港湾労働法案の中に、趣旨は経過的に織り込まれておるものが大部分でございまして、その後の運営につきましても、この覚え書きが法案の趣旨を大きく制約するというものでは、もちろんないわけでございます。それから最後に、二月八日付でいよいよこの法案を提出するという段階になりまして、法案に盛り込むには、法律技術的にも不適当だというような点もございまして、その点についてやや問題が技術的なものですから、両省の次官の連名で覚え書きを取りかわしております。これは個々の条文についての運営についての覚え書きでございますので、これらの両省間の覚え書きが、この法案の通常を阻害するとか、制約するとかいうようなものではもちろんないわけでございます。
  49. 大出俊

    ○大出委員 しかし、それは少なくとも私は十日の閣議できまるんだろうと思って、いろいろ方々当たってみたのでありますが、これは与党の皆さのお家の事情のようなことを申し上げては失礼でありますから言いませんが、なかなか交通部会等で難航をきわめられたと——伊能先生がおられるのでぐあいが悪いのですが、私の耳に入ってまいりまして、かくて、十日ではきまらない。そこで、最後は実施期限の問題になった。これは一年くらい延びるだろうと思ったら、二カ年、こういうことになってきた。この辺は労働省が譲られたのだと思うのでありますが、そこで、少なくともその覚え得きなるものは、最終的にそのあたりを譲ったということになったのと相関連をしている、こういうふうに私は考えている。逆に言えば、港湾労働法だけ先ばしってはいけないのだということで押えられた、こういう筋合いだというふうに私は思うわけであります。そこで、私は、逆に港湾労働法を先行させなければならないという考え方を実は持っているのであります。いろいろな意見がありましょうが、これから申し上げますが、そういうふうに思っている。そこで結論を申し上げれば、何としてもこの委員全等を通じ、社会労働委員会等を通じまして、実施時期を極力早めるということにしていただかなければならぬ、こういうふうに実は思ってるのであります。  そこで、関連をいたしまするので幾つか例を申し上げまするけれども、まず、港湾五カ年計画とのからみ合いで、これは本来二千五百億ばかりの予算を組まれて、さてそれで八〇%くらいはやれるんだということだったわけであります。ところが、経済成長と相まちまして、荷物が四割くらいふえるんだということで、中期経済計画等の成長率七%その他と見合ったりいたしまして、そうして内容が予算的にも変わってきたということで、五千五百億くらいは追加しなければならぬという形が出てまいりました。三十九年度でありますけれども、大蔵省に要求された。ところがこの中で、港湾促進公団になるのかどうかわかりませんが、名称はともかくといたしまして、かつて河野さんが言われていた公団でございますけれども、この公団方式が出てまいりまして、これは考えられたかっこうになっておりますが、そのときの事情はあとで調べてみましたら、臨時行政調査会のほうで各種公団整理ということ、こういう問題が出ておりまして、それが理由だったという理由づけがされておるが、さらに四十年度になりまして、この公団について、大蔵省側からもっと積極的に何とか公団方式を検討して出してきてくれという形に変わってきたという現実があります。ところが、この委員会に出されております運輸省の港湾審議会のワクの拡大、管理部門の設置というものとからみまして、管理部門の設置の前にすでに管理部門を設置されたと同じことになっておって、実質的には進行しているという形が現実にあります。しかもまことに私は心外だと思っておりますのは、東京、横浜、神戸等の市長さんが出てきます。もっとも、市長さんはほんとうは出てきません。局長が出てきておりますが、毎月一ぺんくらい開いている。これは理事として藤川さんなどという日本港湾協会の理事さんが出てきていて、いろいろ話し合っておられる。ところが、労働組合の側その他は一向につんぼさじきに置かれたまま、こういうかっこうでものごとが進んでいる。そうなってまいりますと、管理部門設置の中で出てくるのは、一体何をそこで検討するのかといえば、すでに今日、神戸の原口市長にいろいろ手渡しているのか送ったのか知りませんけれども、各種の構想が伝わっております。そういう時点ですから、そうなると、管理部門なるものは、公団方式についての検討ということが中心になっていく、こういうふうに理解せざるを得ないのであります。しかも今日の事情からするならば、国が四分の三を持って——これは港湾法によりますと、地方自治体が四分の一を持つというのが、港の今日の実情なんです。ところが、それは現実にはどうなっているかというと、上屋であるとか、荷役機械であるとかいうふうなものをながめてみますと、まさにこれは逆になっている。付帯施設その他についてこういう事情があって、金という問題とからんで民間資本を入れたいということ、しかも港湾管理者としては入れるんだけれども、そうなるとウエートが違ってまいります。ライナーポートなどがどんどんできてきて、船舶六グループなどというものとからんでくる。そういうかっこうになると、この公団方式のねらいというものは、四十一年から実施するということを非公式に言われておりますけれども、これは今日の港湾事情とは一変した形のものが考えられている。つまり船舶六グループ等の関係で、上屋や倉庫やその他とも相からんでいる。そうなっていくと、中小の業者というものとも直接関係が出てきて、これが整理統合の方式がとられてくる、こういう結果が出てくる。中にはどんどん切り捨てられていくものも出てくる、こういう形が現実の問題としては出てくる。これがどんどん進行した過程において港湾労働法が考えられるとなると、三・三答申が出てきている今日の時点における港湾労働等対策審議会の答申なんでありまして、労働中心でなければならない。だから、あくまでも港湾労働中心に進められて、その上で港湾五カ年計画あるいは公団化の方式云々という論議が行なわれて、公団、管理、施設、労働、この面で労働中心になって考えられていかなければならぬと私は思うのでありますが、今日の資本のあり方から言えば、施設、管理のあり方が先に出てくる。これでは労働というものがおかしくなってきはせぬかという心配を私は持つわけでありますが、港湾問題についての法改正その他をめぐる時点で、私は心配してきた一人でありますだけに、痛切にそのことを感じるわけであります。  最後に一つだけつけ加えておきますと、港湾法ができました当時、つまり港湾運送事業法等ができました当時からいきますと、とにかく朝鮮動乱時代で、軍需物資の輸送その他が中心になって、電話一本、机一つであっても、人を集める能力のある業者というものは、とんとん認可をして——この港湾運送事業法なんというものは、国際的にながめると陳腐なものであって、本来あるべきものではない。にもかかわらず、こういうものをつくって、中小の小さい業者まで保護をした、せざるを得なかった、そういう経緯がある。その間に官庁と業者の間のいろいろな縁がつくられてきた。この縁はなかなか切れない。こうなると、この縁を切るためには、公団化などということで民間資本を入れて、港湾のシステムというものを全部変えて、自然に切れるようにならなければ切れない。そういうことを全部含めて、とんでもない方向に進むという心配を私は持っている。近代化に反対するものではありませんが、そういう立場からすれば、どうしても港湾労働法が先議されて、このあり方、体系というものがきちんときまって、その上でその他のものが考えられないと、私は結果的に労が下積みになり、逆にしわが全部そこに寄ってしまうということになりかねない、こういうふうに考えておりますので、私は、そういう根本的なものの考え方から、どうしてもこの際二年などというゆうちょうなことを言っている時期ではない、こういうふうに判断をいたしますから、この点についてのお考えを明確に聞かせていただきたいと思います。
  50. 石田博英

    ○石田国務大臣 私はまったくしろうとでありますが、わが国の港湾の事情というものを外からながめ、またニューヨークなりハンブルグなり、そういうようなものの港湾の実情等というものを外から一見しただけでも、非常な違いを感じます。日本が近代的な産業国家、工業国家として伸びていくのには、この改善というものがやはりきわめて必要なものだろうということは全く同感でありまして、それと同時に、だれが一体それを引きずっていくか、三・三答申では、並行してやることが指示されております。もしほんとうに並行ということに重点を置きましたならば、われわれの立案というものはもっともっとおくれたであろうと思うのであります。しかし、だれかが引きずっていかなければならぬ、どの面からか引きずっていかなければならぬ。そうすると、やはり人間関係の一番おくれているところ、問題が一番多いところ、そこから引きずっていくよりしようがない。引きずっていくのが一番正しいのだ。私どもはそういう考え方から、並行していくということにとらわれないで、よそから見れば、あるいは他の側から見れば、先行、先ばしりという非難を甘受しつつ、法案の整備に努力してまいりました。その考え方は、今日といえども変わりません。したがって当初この法案提出に生じました反対論は、他の準備ができたとき同時に提出すべきじゃないかという議論でありましたが、それは私ども承知いたしませんでした。それは先ほどから申しました考えに基づくものであり、それは大出さんの議論と同一の立場であります。しかし、それでもいろいろな方面の意見の調整をしつつ、政府間の合意を得るということがやはり必要なんでありますから、そういう点で不本意ながら同意をいたした部面が多いのでございますが、その不本意の最大はさっきから申しましたとおり、二年ということであります。不本意でありますから、あとう限りの努力をいたしまして、その期限を縮めて実行できるようにいたすつもりであります。
  51. 大出俊

    ○大出委員 昨日ですか、これは内示が行なわれているのでありますが、これはいまの問題とからむのでありますけれども、中小企業近代化助成法という法律がございますが、これによって倉庫業と港運業を指定業種にする、つまり業種指定をするということ、これは各海運局の運航部長等が出てこられて、港湾運送事業の近代化についてということで、いろいろ各港で業者を集めて話をされているわけであります。これはどこにつながるかというと、港運協会なるものとつながっている。そして社団法人方式をとっていく。いま全沿岸であるとか、あるいは回漕協会であるとか、あるいは全港振であるとか——全港振は主として船内でありますけれども、こういうような方々を全部ここに統合する、こういう方式がどんどん進められていく。非常にこれは急テンポに最近進んできているわけであります。これは何を一体目的にこう進められているかといいますと、三・三答申を受けての港湾労働法が一方に出てくる。それに対する準備態勢だと私は思います。さらに公団法との関係等も出てきていると思います。つまり今日の港湾運送事業法という法律は、なくすか改正しなければならぬと思っておるのでありますが、この一種業者、二種業者にしても、こまかく調べてまいりますと、何のことはない、契約、これが主になっているだけでありまして、商法上の貨物取り扱い業と何ら変わらない。港運業者では決してない。荷物をこれこれということで契約はできる、それが一つの条件になっているにすぎない。そうすると、商法上の運送業ではない。そうなってまいりますと、全港振その他を全部一緒にして港運協会などということにすると、契約はここがやる、そして各種の今日の一種業者、二種業者等は金を払えというかっこうでまとまっていくということになりますと、さあ中小たくさんあります、星の数ほどといってもよいほど各港湾にはあるのでありますから、そうなるとついていけない業者がたくさん出てくる。落ちこぼれがある。しかし、ここには各種の労働者がおのおの現存する。そうなると、そういう労働者を含めて、これらは切り捨てられてしまう。こういう結果が一面には出てまいります。そうかと思うと、現状ではもう二つの方式が出てきております。それは何かと申しますと、施設保有会社というふうなものがつくられておりまして、自治体が相当な金を持たされている。この施設保有会社というふうなものが、港湾の荷役振興会社というかっこうになりまして、この中で機械をいろいろこしらえて貸し付ける、こういうことで金をとって相当な利潤をあげているというところがあるかと思うと、株式会社方式で営利会社という形でやっている同様の会社も出てくる。こういうふうなかっこうで、はしけなんかについても同じでありますけれども、はしけをつくりたいという人は、逆に個々に金を借りてつくるというわけにいかない。結局こういうところに持ち込んで割り当てを食って、そこではしけ等がこしらえられる。こういうことになってくると、個々の業者の支払い能力などということとからんで、実際には規制をされていく。こういう面からも、はしけ回漕の面から見ましても、同様なことが出てまいります。そうなると、沿岸、船内、あるいははしけ回漕等々を含めて、そこには全部労働者がひっついておるわけでありますが、そういう形のところから、いわゆる政府の出先機関等が中心になって、その方向に全部引っぱっていこうとする急テンポな動きがあらわれているという今日の段階で、港湾労働法というものをゆうちょうに今日の段階でそのまま二年間もぶん投げておくというようなことは、あり得べきことではない、こういうふうに私は痛切にいま感じておる。ただ、今日は労働大臣ですから、私はこれ以上こまかいことは申しませんけれども、こういう現実があるという御認識を特に私はいただいておきたい、こういうふうにこの点については考えておるわけなんです。  そこで、さっき申しましたように、これが今日の管理部門の不足などというものと結びついて、公団化という方向が四十一年くらいから出てくる運輸審議会の案ができている、こういう形になっているわけですね。そうなると、私はどう考えても、この問題については、それはいろいろな過去の事情があったことはわかるけれども、覚え書き取りかわしなんかでどうも延びてしまったということについては、将来に向かってこのままでおいたのではたいへんな不安が残る。ここのところを労働省側がどういうふうに分析され、お考えになっておるかということを、これは安定局長の有馬さんもおられるのだから、はっきり聞いておかぬと、あとで問題が残る、こういうふうに思いますので、御答弁を賜わりたいと思います。
  52. 石田博英

    ○石田国務大臣 御説のいろいろな事情、私の所管に属さないことも多いのでありますが、そういう事情を勘案しつつ、この立法の趣旨をあくまでも貫くということと、それから実施期限はできるだけ早くするように努力するということを重ねて申しまして、ただいま御質問の趣旨については、局長からお答えをいたします。
  53. 有馬元治

    ○有馬政府委員 大出委員の御指摘のありました港湾の今後の見通しの問題でありますが、私どもも、港湾労働法を立案するにつきましては、先ほど御指摘の港湾整備五カ年計画というものも前提にしております。それからまた三・三答申指摘されておりますように、港湾運送事業の近代化、その一番大きな方向は、集約化の方向でございます。これも運輸省当局と十分打ち合わせをして、今度の立法をいたしたわけでございます。将来の方向として、御指摘のように弱小企業が合理化の結果淘汰の傾向も出てくるのじゃないかということは、もちろんわれわれも計算に入れております。労働の節約化の方向にも行きましょうし、節約化を計算に入れても、なおかつ荷物の増量に従って三六%近くの労働力が五年後には不足するであろう、こういう計算をいたしておるわけでございます。われわれといたしましては、労働の節約ということももちろんお願いしなければいけませんし、またそれと並行して、生産性の向上に見合って労働条件の向上ということもお願いしておるわけでありまして、御指摘のようないろいろな事情は、運輸省当局と十分話し合ってこの法案を立案した次第でございます。
  54. 大出俊

    ○大出委員 約束どおりの瞬間で終わりますけれども、前に私はこの委員会で港湾局長に御出席をいただいて、港湾の荷役料金についてもずいぶんこまかく突っ込んで質問をした経験があるのでありますが、かって私も七回も外国歩きをして、フランスのボルドーの港湾の四十五日ストライキに一週間もつき合ったことがありました。太平洋岸のアメリカの港についても多少は承知しておるつもりでありますし、とにかく太平洋船下協会とドックワーカース、つまり港湾労働組合との間に協定が結ばれておるので、中間業者はいないのです。ところが、荷役料金の面からいえば、カルカッタの四分の一なんという安い料金しか払われていない。船の積み取り比率がどんどん変わってきて、バイアメリカンなんということになってアメリカの船をどんどん使ったりすることになると、貿易外収支の大赤字というものが出てくる、こういう事実がある。そうなると、日本の港湾労働者というものは、いかに何重にもピンはねをされているかということは、どなたも御承知のとおりであります。しかも港湾運送事業法で私のがまんがならないのは、一種業者、二種業者ということで港湾運送事業法による認定がなされているが、一種業者というのは何も持っておらない。持ってないで、二種業者に顔でチャージを払うということで人を集める、ここから下請、再下請が出てくる。こういうところで中小業者が淘汰されたら、一体何が起こるかということを私は心配するのですよ。やみ手配師でありますとか浪人組でありますとかいっておる中で、特に組織暴力云々ということで参議院で相澤重明氏が質問をしている中で、暴力団に関係しておるのは七十四団体もあるという。さらに私は各種の新聞を全部集めて見て克明にいま調べているわけですが、とんでもないことになっている。ばくちのテラ銭が全収入の何分の一になってきているか、最近はわかってきている。最近は、指摘されたところは、ばくち場はやめているという事情はあるけれども、競馬、競輪まで出てくる。そうなってくると、これは話にならぬ、こういう事情にあるわけです。そうなると、いま言われるように急速に進めようとされている政府の意思はわからぬわけではないけれども、しかし、港湾協会等に合併統合されていく、力のあるところは系列化の方向に進んでいく、ライナーバース等がどんどん出てくる、こういうか一こうになってくると——しかも専用埠頭というものは、一つの大きな資本形態の中で製品の中で何%ということで原価計算の中に組み入れられているのですから、それだけのものを港湾をつくるために一般の国民が買わされておるかっこうになっておりますから、それが公団ということで、民間資金ということで入ってくるかっこうになれば、それはとてもじゃないけれども、近代化はいいが、その過程においてたいへんな混乱が起こりはせぬかということを私はこの面から感ずるのでありますが、これは確かに月末集中配船なんという問題もありますけれども、こういうことを私はやはり港湾労働法の立案に当たられる労働省としては、これはきめこまかにものを言う場所を皆さんの側からも求めて、それで一方で港湾管理業のほうの動きとあわせて、どういうふうに労働省というものを救っていくか。船内居住なんかについても同様なんですが、そこのところに一つ視点を置いていただかないと、将来に向かっても港湾労働者というものはまさに救われない存在で、また置いてきぼりを食う。ようやく三・三答申が出て何がしかいい方向に持っていこうとしているが、船内居住の方々は、娘さんが帰ってきて彼氏を連れてきたが、さてここでさようならということで、家に行きたいというのを断わらなければならない、はしけを渡ってうちに入らなければならないから。そういう状態が、横浜なんかに行くとたくさんある。これらの問題をながめてみると、こういう調整審議会というものを法律の中に持ち込んで片づけてよいということにはならないのですよ。だから、そういう不備な点がたくさん港湾労働法にあるにかかわらず通したいという意味は、管理なり業務なりの皆さんの動きと合わせてみると、一日も早くつくらなければ、これを土台にしなければたいへんなことになると私は心配をするのでありまして、実はこれをしゃべっておるうちに、どうも質問よりも意見のほうが多くなりまして、これは時間の関係でごかんべんをいただきたいのでありますが、あるいは沖の場合に、船内の便所の問題でけんかが起こったり、外国船なんかの問題についても、前に何べんも申し上げたのですが、これも新造船の場合にはこうするということがあっても、なかなか現実の問題として片づかない問題がある。これらのことは強力なる行政指導をやらなければならないのでありますが、なかなかそれも完全には行なわれておらない。さらにまた死ぬ人がどんどんふえる。こういう状態の今日の荷役事情ということになってまいりますと、私はこれ以上労働者のほうにしわ寄せをするわけにはいかないという考え方に立つのです。  そこで、最後にひとつ伺いたいのは、四分の一の臨時日雇い、これをどうもうやむやにされてしまったのですが、私が事務当局の方々に連絡して聞いた範囲によると、三・三答申は、法律でなくて答申だから、そういう規制ができるのだけれども、法律ということになると、その規制ができない、こういう理由になっておる。これはずいぶんまことしやかな理由のように聞こえるが、直にそれだけかということを聞きたい。
  55. 有馬元治

    ○有馬政府委員 答申に盛られた日雇いの依存率四分の一という考え方を法制化できなかった事情につきましては、いま御指摘のような理由でございますが、これは法律で一律に四分の一という規制をするということは、現在の港の実情から申しますと、非常に実情に合わない。したがって、四分の一という法律上の規制は設けておりませんけれども、港湾労働者の常用化の促進というねらいは、十分今度の提出法案の中に織り込んでございます。たとえば四条の規定、あるいは二十六条の事業主の努力義務の規定、こういうところで常用化の促進について十分法制的に考慮して、そうして具体的には雇用調整計画を樹立する場合の必要労働者数の策定というところで、具体的にその考え方を各港ごとに実現していって、結局答申に盛られた考え方を貫きたい、かように考えておるわけでございます。別に他想があるわけではございません。
  56. 大出俊

    ○大出委員 時間がまいりましたから、最後にもう一点だけ承りたいのでありますが、組織暴力云々等の問題は、詳細にいま調べておりまして、ずいぶん資料が集まりましたが、これは総理府提案になる中央の審議会があるわけでありますから、こういう場面で運輸省の方々なり労働省の方々なりにどうしてもからむ関係から、特に適当な機会に御出席をいただいて一切を明らかにしてみたいと思っておりますが、これがやはり三三答申を正しく実行していくために必要なことだ、こういう認識で私は考えておるのでありますが、機会をあらためてそれらのことを申し上げたいと思っております。それから、いまの御説明についても多少異論がございますけれども、せっかく社会労働委員会のほうで審議中でありますから、多くは申し上げないことにいたしまして、あらためて申し上げたいと思います。  そこでもう一つ申しますことは、般内居住の問題でありますが、三・三答申はきわめて明確に割り切って答申をされておる。さっきもちょっと口の端に偶然のぼったわけでありますが、横浜から出てきて国会に籍を置きまして、私はそれこそ一生かかっても船内居住はなくしたいと思っておるのでありますが、そういう意味で、当初予算要求のときには、幾つかの部門からといいますか、つまり労働省が出したような予算を、運輸省からも、ほかのほうからも同じように出したようなかっこうで予算要求が出てまいりました。いずれにもせよ、少ない額ではありますけれども各省が御心配になって何かと陸上に港湾労働者の家を建ててくれる。またその呼び水をしてくれる。公団等も使ってやろうとする。自治体にも協力を求める。自治体も苦しいでしょうけれども、しかし、あえてひざ詰め談判やっても、金を出さして家はつくらせる、こう思っている。結果的にはやってきたような感じがする。そこへもってきて、どうもあまりぱっとしない内容と受け取れる。これは将来に向かって、いままできているものは、予算が通ってしまったあとでとやかく言ってしまってもしようがないです、それはどういうふうにするつもりかということを特に私は聞かしておいていただきたい。意見はまた別の機会に申し上げます。
  57. 有馬元治

    ○有馬政府委員 船内川住の禁止問題、これは非常にむずかしい問題でございまして、私ども立場からは、提案の二十七条のように、事業主に努力義務として、船内居住をさせないように、陸上にあげるようにという努力義務規定を置いたわけであります。大体船内居住者千五百世帯くらいございますが、これを陸にあげるにつきましては、船だまりの問題、それから住宅の問題、これを解決しないで、一気に船内居住を法律で禁止したからそれで陸にあがるというしろものではないわけでございます。そこで、私どもも陸上施設の整備、それから港湾管理者当局に対しては船だまりの整備という両面から、この規定が実効があがるように指導してまいりたい。これは関係の府県並びに港湾管理者たる、主としては六大市に対しまして、この二十七条の趣旨に従って船内居住の禁止の条項が実効があるような計画を立ててもらいたいということで、少し時間をかげながらこれをやってまいりたい、かように考えます。
  58. 大出俊

    ○大出委員 最後に要望だけしておきますが、私は労働のことを中心に申し上げたのでありますけれども、さっきも例にあげましたように、朝鮮動乱のさなかに法律ができまして、これは当時の審議の経過等をながめてみますと、弁護士であり、国会に席のある方々等が、相当この法律は統制法みたいなものじゃないかということで、反対の意見を述べられている経過も見えます。しかし、それはそれとして当時必要であったということから、軍需物資優先という形の輸送方式がとられて、それこそ全くの無資本であっても、机を借りて電話があってすれば人が集められる、それならばということで認可をしてきたということが、今日、資料によればわかるように、山ほど中小の業者があり、ここに問題がある。ただし、かといってこれを切っ払ってしまって切り捨てればいいんだというものの考え方は、私は間違いだと思うが、政策的にそういう保護政策をとった時点があった。してみると、これはいま政府の一部の方が進めておられる方向で突っ走るのではなくて、そこに歯どめをすべきものは歯どめをして、中小の方々の助成の方法等について、どういうふうにきめこまかく助成の方法を考えていくかということを考えて、成り立つ対策をひとつ皆さんの側で指示をするという形にならなければ、ほんとういえば、社会党あたりでも、それ自体に対してこういうものはこうあるべきだということを現実的に案をつくるくらいにしなければならぬと私は思っておりますが、そういう方向での皆さん方の御努力が一やはり所管の省は違いましょうけれども労働にからみますから、皆さんの側からも全体的にひとつ安定をしていくように御努力を願うということが、私は今日的筋道ではなかろうかと思う。だから、大資本の側からの要求と、経済成長政策に見合うという形における専用埠頭の設け方その他公団方式等に走るのではなくて、そういう点もあわせて行なわれないと混乱が生ずる、こういうふうに思っておりますので、その点あたりについても、労働大臣にとくと御検討いただいて、一つの討議の結果、いい港湾労働法に仕上げていただきたい、このことをお願いをいたしまして、終わります。
  59. 石田博英

    ○石田国務大臣 ただいまの御要望の点は、十分心得て運営をしたいと思います。
  60. 河本敏夫

    河本委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  61. 河本敏夫

    河本委員長 大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。質疑申し出がありますので、これを許します。岩動道行君。
  62. 岩動道行

    岩動委員 私は、大蔵省設置法改正に関しまして、特に保険部の新設を中心として、若干の質問を申し上げたいと思います。  まず、保険部の新設の理由でございまするが、保険八会社と申しまするのは、大体他の銀行等と多少性格の異なる金融機関であるというふうにわれわれ承知をいたしておるのでございますが、かつては保険局というものもあった時代もあるのでございまして、これらの点から考えて、保険部というものを今回新たに設けようとする御趣旨について、まず基本的な大蔵省の考え方を承っておきたい。
  63. 谷村裕

    ○谷村政府委員 岩動委員が御指摘になりましたとおり、保険と申しますと、ただいま大蔵省では銀行局の中で三課かまえてやっておるわけでございますが、行政の性質がかなり他の一般の銀行行政等と異なる点がございます。保険行政について早くから一つまとめて部をつくっていって、そして生保、損保、あるいはその両方にまたがるいろいろな問題、また今後起こってくるであろう各種の問題、そういうものについての行政の遂行の責任体制というものをもう少し強力なものにいたしたいと考えておったのでございますが、何ぶんにも機構改正等につきましては、できるだけこれをしぼっていかなければならないという大前提がございましたので、逐年これは考えておったのでございますけれども、なお他に緊急を要するもののためにしぼっておったような次第でございましたが、今般たまたま私どもの省において、国有財産局の一部を廃止するという時期に達しましたので、かような機会でもあれば、差し引き増減なしということで一つの部を認めていただくにもふさわしいかと思いまして、かねがね希望しておりました保険部をお願いしたようなわけであります。  かようにいたしまして、保険部という体制ができますと、かつて証券というようなものを理財局の中で部に独立さしていただき、さらにまた時勢に応じて局にもしていただいた例でもわかることでございますが、保険行政につきまして、一段と強力な、かつ、能率のよい行政が、われわれとしてできることになるものと考えております。
  64. 岩動道行

    岩動委員 ただいま官房長からの御説明で、基本的なお気持ちはわかったわけでありますが、特に保険につきましても、最近は非常に数多くの新種の保険が続出をしてきているという状況にございます。あるいは保険の類似の事業が出てまいっている、あるいは保険の契約高がきわめて増大をしているというような状態、あるいは後ほど特に触れたいと思いますが、地震保険の問題等、今後保険行政上、幾多の問題があるわけでありまするので、特に保険部の新設ということは、将来、保険行政を一そう強力に指導、監督をしていただいて、健全な保険行政が行なわれることが望ましいわけでございます。あるいはまた保険会社が、最近は住宅の問題につきましても大きな公共的な役割りを果たしてくるという時代でもありまするので、特に私どもはこの保険部の新設ということにつきましては、基本的に賛成をいたしているわけでございます。  そこで伺いたいのでありまするが、地震保険につきましては、最近どのような状況で、今後その見通しをどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
  65. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 昨年六月の新潟地震以来、地震保険に対する要望が高まってまいりました。大蔵委員会におきまして、法律改正に付帯いたしまして、附帯決議として地震保険の創設を至急検討せよということに相なっております。そこで昨年七月から、大蔵大臣の諮問機関でございます保険審議会に地震保険の創設について諮問をいたしました。その後、小委員会を含めますと、十数回にわたりまして審議を重ねてまいりました。非常にむずかしい問題がたくさんあるわけでございますけれども、大綱につきましては、この一月の終わりごろに大体骨子をまとめまして、保険審議会の中に機構部会というものがございますが、そこで骨子を取りまとめて、最後の答申を待っておる段階でございます。なお、いろいろむずかしい問題があります中で、特に地震保険につきましては、非常に巨大な損害が一挙に起こるおそれがあるということからして、民間の損害保険会社だけではどうも担保力が不十分ではないかというふうで、何らかの形で国がこれに関与すべきであるという考え方がございます。といたしますと、やはり国会の御審議をまつ問題が多々出てくるわけでございますが、非常にピッチを上げて審議をいたしましたけれども、今回は、地震保険制度の創設につきまして、関係法案の御審議をお願いする段取りに至らなかった次第でございます。  それともう一つむずかしい問題は、地震保険の料率をどの程度にするかという、この点は、まだ私ども、抽象的に議論いたしておりますけれども、はっきりこの水準ということが出てまいりません。それは損害保険料率算定公等でも、いま真剣に検討さしておりますが、遠からずある水準のものが出てまいると思いますので、その段階で保険審議会の総会にかけまして答申をもらいたい。その上で必要な措置をとりたい、そのように思っております。
  66. 岩動道行

    岩動委員 答申を待っておられる段階であると申しておられますが、日本は災害国であり、特に地震はいつ起こるかわからないということで、衆議院の大蔵委員会でも、早急にその制度を創設するようにという要望をいたしたわけでありますが、これは今度の通常国会にこれに関連した法案が出されなかったことは、私どもとしてははなはだ遺憾に思っているところでございます。早急に政府におきましても、答申を得られるように努力をされて、不安のない状態にぜひ持っていくように一つ極力努力をしていただきたい、かように考えておるわけであります。  それから、最近はいろいろな保険の類似事業というものがふえてきておりまするが、これには一体どういうものが特に出てきておるか。また、これに対する保険行政上の観点から、どのように対策を考えておられるか、これをひとつお伺いしておきたい。
  67. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 やや技術的な問題にもわたりますので、私からお答え申し上げます。商法には、損得保険、生命保険の定義がございまして、それを受けて、保険業法で保険の事業を行なうのは免許を要するということになっておるわけでございます。また、そのほか各種の共済組合関係の法律に基づきまして、それぞれ共済事業が営まれておりますことは、御案内のとおりであります。ところが、そのほかいろいろな分野におきまして、助け合いと申しますか、一定額の金を集めてこれをある場合に給付するという形のものが、最近非常にふえてきておるように私ども考えます。これは、たとえば労働関係の法規に基づきます福利厚生施設としてやる場合もございましょう。しかし、そういうはっきりしたものなしに、一つの慶弔規定が組織化されていくというような形で、共済事業が行なわれるという場合がふえておるのではないかというふうに考えております。ただし私ども、どうも実は全般を把握するような立場にいまございませんので、目に触れますものは、それぞれその際保険行政との調整をはかっておりますが、そのほか、すそ野が非常に広いということで、非常に苦慮をいたしておる次第でございます。
  68. 岩動道行

    岩動委員 最近は山陽特殊製鋼の問題でも、社内預金が非常に大きな問題になって、この処置をどうするか、これが非常に大きな問題であります。これと似たような問題が保険類似事業に起こらないように、あらかじめいまから強力にその対策を考えていただきたい。社内預金の問題だけに目を向けないで、このほうにも十分な注意を払っていただかなければいかぬ、かように考えております。  次に、従来、保険会社は、住宅建設に対してはかなり長期の資金を財投等にも協力をしていただいてきておりますが、さらにそれとは別個に、保険八会社自体で新たに住宅の資金を供給していきたいというような構想もあるやに承っておりますが、特に長期資金を必要とする住宅対策でありますので、これらの問題が現在どのように進んでいるのか、その見通し等について、ひとつ当局に伺っておきたいと思います。
  69. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 お答え申し上げます。  生命保険の分野でございますが、住宅公団の資金につきましては、その総量の四割程度は生命保険のほうから出しております。しかしながら、そういう形だけで国の住宅政策協力するのがいいのかどうか、このほかにさらに協力のしかたはないのかというようなことを業界でも議論いたしておりますし、大蔵省としても、もう少し別の観点から住宅政策協力する道を考えるべきではないかということを申しまして、希望をいたしておる段階でございます。生命保険会社がそれぞれ資金を出し合いまして住宅をつくるという場合に考えられますことは、一つは都心開発でございます。それからもう一つは、郊外地へ土地を取得いたしまして、中堅所得層のための住宅を建設していくという形も考え得るわけであります。そのどういう形をとるかということは、いま生命保険業界の中で検討いたしておる段階でございまして、そういう会社をつくりましたら、どちらに重点を置くかということはまだ今後の問題でございますけれども、住宅政策協力するように持っていかせたい、かような考えでございます。
  70. 岩動道行

    岩動委員 まだはっきりした構想が伺えないわけでございますが、これはぜひ早急に関係方面とよく御相談いただいて、大蔵省としても十分に長期資金が国民のために公共的に活用できるように、さらにお力を尽くしていただきたいと思います。  国税庁の次長が見えておりますので、この際伺いたいのでありますが、保険の外務員の所得の問題であります。これは私どもよく外務員の人から伺うのでありますが、その所得の計算上、経費の見方について非常に過酷であると申しまするか、最近におきましてはいろいろな保険の募集経費というものがよけいかかっているので、この経費の損金と申しまするか、そういう見方をもっと合理的に現実に即した扱いをしてもらいたいという要望が、かなり出てまいってきております。これらの点について、現在どのように考えておられますか。
  71. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 保険の外務員の所得計算にあたりましては、経費の率を大体どのくらい見るかという問題の御質問でございます。当方といたしましても、本来からいえば、なるべく個々の所得者ごとに経費をはじいていくというのが適当なんでございますが、なかなかそうした判定もできないために、一般的にこちらが実態を調査いたしまして、経費のいろいろな種類ごとにどのくらいの経費がかかるものであるかということを実例に基づきましてはじきまして、またそのほかにいろいろそうした業界の方々の意見も聞きまして、まあ適正と思われる率ではじいているのでございますが、なおいろいろ最近こうした旅費がかかる、あるいは交際費的なものがかかる、こういったような御主張もございますので、さらにこの率があるいは適正じゃないということがございますれば、そうした御意見も伺った上で検討したい、こう考えております。
  72. 岩動道行

    岩動委員 保険は長期の安定した貯蓄でもありますので、銀行局におきましても、十分に外務員の要望を聞かれて、それを部内においてよく調整をされて、そうして外務員が十分に正しい募集ができるように、こういう課税上の問題がネックになるために、外務員にもなり手がない、あるいは外務員になってもいろいろの問題を起こすというようなことの原因にもなりかねないと思いますので、この点についてはさらに十分に御検討をいただいて、正常な募集活動ができるようにひとつ御努力をいただきたいと思います。この点について銀行局から……。
  73. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 ただいま仰せの点につきましては、外務員の組織の問題につきまして現在業界に改善策を命じておりまして、また、大蔵省におきましても保険審議会で近くこの問題を取り上げたいと思っておりますが、仰せの外務員の給与の問題もこれに非常に密接な関連がございますので、この辺を考えながら、御指摘の点を改善して、外務員を募集しやすいようにしていきたいと考えております。
  74. 岩動道行

    岩動委員 時間もありませんので、保険の関係はこの程度にいたしまして、次に、税関の定員増加等に関しまして若干御質問をいたしたいと思います。  今回の定員増は百四人ということになっておるようでありまするが、これはもちろん輸出入業務の増大でありまするとか、あるいは保税地域の増加等、いろいろな理由によるものと思いますが、この定員増加のそれぞれの内訳と申しまするか、輸出入業務の関係ではどれくらいであるか、あるいは保税地域の関係ではどれくらいの増員になるかという点について、まず承りたいと思います。
  75. 佐々木庸一

    ○佐々木政府委員 岩動委員ただいま御指摘のとおり、最近港湾地帯の整備が進んでまいりまして、保税地域についてもかなりの増加が見られる次第でございますので、四十年度といたしましては、増員をお願いしております百四人のうち、ほぼ三十人をこれに充てたいと考えておるのでございます。輸出入業務がふえております点に対しましては、三十四、五名の人員を充てたいと考えております。また監視を要する地域の増大その他を見まして、監視体制の強化のためには、二十五人を充てたいと考えておるところでございます。その他税関の仕事のうちには、課税の基準になります輸入品の価格が非常に問題でございますので、この価格をもっと能率的に調査し得るように、専門の人員を十五名程度配置したいと考えておるところでございます。
  76. 岩動道行

    岩動委員 今日の貿易の増加の状況、あるいは最近は韓国との国交の正常化等も予想される事態になってまいってきておりまするので、私は通関行政がこの程度ではたして十分に処理ができるのかどうか、渋滞のおそれはないかという点を非常に心配をするのであります。ただいま表に出た定員増加はその程度でありまするが、そのほかに、昨年欠員の不補充という措置を内閣でとったわけでありまするが、それと凍結解除との関係で実質的にはどの程度の増員を予定して、この増大する事務を処理される予定であるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  77. 谷村裕

    ○谷村政府委員 関税局が関税関係で形式的な増員はいまおっしゃった百四人でありますが、昨年のいわゆる欠員不補充というものの解除をしてもらいますのは、三十九年度中におきまして税関関係では二十二人ございます。これは神戸税関の麻耶出張所というところの設置にからみまして、どうしてもその程度の欠員不補充を解除してもらわないとできなかったわけでございまして、特にそれを認めていただいたのが三十九年度の初めであります。四十年度につきましては、四十六名を欠員不補充からはずして、凍結解除をしてもらいました。したがいまして、実質的には百四名の定員増と不補充の解除の四十六名と合わせて百五十名というのが、四十年度の増ということになるわけでございますけれども、実態を考えてみますと、非常に税関の仕事のしかたはきついものでございますから、不補充の分を解除してもらった分というのは、われわれの考え方からいえば、新規にそれだけ配属できるというものではなくて、いわゆる新規に配属して純粋に強化し得るものとしては、百四名をどう配置するか、こういう形として考えておるわけでございます。
  78. 岩動道行

    岩動委員 凍結解除によって百五十人ということになるそうでありますが、それでもなおかつ私は、今日の増大する行政需要に対してははたして十分であるかどうか、はなはだ疑問であります。したがいまして、もちろん定員の増加は極力節約をして行なわなければならないわけでございまして、したがって、今後の通関行政の渋滞を来たさないように、また国民の利益をそこなわないうよにするために、今後通関行政事務の合理化、能率化についてどういう構想を持っておられるのか、そこをひとつ承っておきたいと思います。
  79. 佐々木庸一

    ○佐々木政府委員 御指摘のように、事務の量が非常にふえてまいっておりますのに、同じ人員で、これをふやすことができないという問題は、かねてから税関の悩みでございますので、前々からいろいろな制度を考えていたわけです。まず文書の進行状況を管理しますための進行管理センターというものを設けまして、文書の流れを管理しまして、いまどこに申請書があり、どのくらいの時間がかかっているかというようなことを管理できるような仕組みにしてございます。さらにまた、計算事務がいろいろあるわけでございますが、この計算事務だけを特別な部屋をつくって集中いたしまして、機械化することを実施いたしております。それからまた、関税の徴収の部面についても、会計機の導入等をいたしまして、これの効率化をはかっているところでございます。さらにはまた、今後も輸出入の申告書に対する各部の二重になります審査を簡素化するということにつきましても、御承知のとおりに、税関では、監視、業務、鑑査という三つの部がありまして、その部がチェック・アンド・バランスと申しますか、自動的に牽制されるような仕組みのもとに仕事の運行が行なわれるということになっておりますが、これを考えを変えまして、一人の者が幾つかの仕事をやっていけるようなことにいたしまして、三つの部を書類が回ります間に生じますロスを消しますために、同じ申請書を扱う人たちは連続して机を並べるというふうな、こまかいことでありますが、審査の改善ということもはかっているわけでございます。基本的には、われわれの仕事をもっと重点化ということに踏み切らねばならないかと思っておるところでございますけれども、御承知のように、税関の仕事のむずかしさ、特に例として申し上げますと、密輸などのむずかしさは、これが無税品であるからあまりやかましい検査をしなくてもいいんじゃないかというような考えでやっておりますと、その無税品と称せられるものの中に有税品を入れてくるという事態も起きてくるわけでございます。仕事を重点化いたしまして、ある点を明瞭に省きますと、その省いたところにいろいろな問題が発生するということになりまして、どうも重点化を徹底して行なうことは困難な状況にあります。重点を毎週とか毎月とか移動しつつ、そのときどきの情勢に応じてやっていくということが必要なのではなかろうかと思う次第であります。  人員の増加の希望は、各税関とも非常に強いわけであります、これもまた、政府並びに党における一般の定員増を押えなければならぬという要請の間にはさまりまして、いろいろな難問題をかかえておるわけでありますけれども、機械化、制度の改善等によりまして、極力与えられた人員によって能率をあげていきたいと考えておる次第でございます。
  80. 岩動道行

    岩動委員 時間もありませんので、国税庁の増員関係について伺いたいと思います。  減税がかなり大幅に毎年行なわれておりますにもかかわらず、定員のほうはある程度ふやしていかざるを得ないということは、これは徴税人員あるいは法人の数が逐年ふえてまいっていくということと関連をしていると思うのでありますが、来年の定員は、先ほどの関税局の関係と同じように、欠員不補充の関係、凍結解除の関係等からして、他行と同じレベルに考えた場合には、実際には、どれだけふえるかという点をひとつ伺っておきたい。
  81. 谷村裕

    ○谷村政府委員 来年度表面的には二百人でございますが、このほかに、いわゆる欠員不補充の解除が、四十年度において三百八十五名ございます。合わせますと、五百八十五名が実質的な増ということでございますが、これも先ほど申したと同じで、本来大蔵省の国税庁の関係では、欠員不補充の原則どおりに九月四日現在でぴたりとやられましたことは、非常につらいことでありまして、それに関する調整も、実は三十九年度においてある程度行なっておる事情もございますが、いずれにいたしましても、五百八十五名というのは、欠員不補充の解除とそれから形式的な定員の増と合わせた数字でございます。
  82. 岩動道行

    岩動委員 本年度とりあえず表面的に出た二百人で間に合うとしましても、四十一年度以降は、どういう計画を持っておられるか、それをひとつ……。
  83. 谷村裕

    ○谷村政府委員 やはりだんだん税務職員の欠員が出てまいりますのを、新たないわば学校出の、あるいは税務大学校で研修した者をもって充てていくという形で補充していくことを考えてまいりますと、やはり千人ぐらいの補充では間に合わなくて、千六百人とか、あるいは場合によっては二千人近い人間を補充しないと、第一線で現実に活動しておる人員が減っていくおそれがあるかと思います。さようなわけで、ことしは二百人ということで、一応とりあえずの千六百人なら千六百人予定しております税務大学校新入生のカバーをするということで考えたわけでございますが、さらに来年度以降のこと、その先のことまで考えてみますと、やはりもう少し新規に採用し得る道を開き、かつ第一線で働いている人間の数は減らさないでいこうということのためには、ことしの二百人の増に加えて、さらにそれ以上、四百人程度かとも考えておりますが、そこは別にはっきりとしたものでもないのでございますが、大体その程度のところはふやさねばなるまいというふうに考えておる次第でございます。
  84. 岩動道行

    岩動委員 各国税局の定員の配置のあり方、これは納税義務者あるいは納税額等と関連して、はたして適正に配置されているかどうか。これの再配分が必要ではないかという問題も、あろうかと思うのであります。特に東京局などは、わりに定員の配置が少ないのではないか、あるいは人間の補充が十分に行なわれないという点があるのではないかと考えられるのであります。これはもちろん職員の住宅の問題等もありますので、税務職員の住宅等の対策も十分に考えていかなければ、定員の再配分という問題も円滑には行なわれ得ないと思うのでありますが、特に地方局において、定員の配置も、納税義務者の割合から見ると、わりにたっぷりしているということから、課税上、とかく地方のほうに参りますと、こまかいところにまで十分な調査がいくと申しますか、調査が行き過ぎて、東京局あたりではあまり問題にならない点が問題になってしまうというように、課税上不公平な扱いが起こってくる傾向がかなりあるように思われるのであります。そういう点からも、定員の配置につきましては十分な配慮が必要だと思うのでありますが、これにつきまして、ひとつ大蔵省のお考えを承りたいと思います。
  85. 喜田村健三

    ○喜田村説明員 いま岩動委員おっしゃったとおりのことでございまして、現在税務全体として対象になります納税者の数あるいは法人の数がふえておりますし、また一方その規模が大きくなっております。しかも、それが地域的に見た場合に、ふえ方が非常に格差がある。おっしゃるとおり、都会地に非常に事務員がふえて、地方は減るというほどでなくても、それほどふえない。こうしたために、定員を旧来のままに据え置きますと、そこに調査の疎密に差が出てくる。それが結果的にあるいは課税水準というものの差になってくるというおそれもありますので、この点につきまして、国税庁といたしましても、この定員の再配置、またそれに伴う現員の異動ということには非常に力を入れておりまして、たとえば過去も、三十六年度にもありましたが、三十八年度にも地方局の定員を減らしまして、東京局に六百三十七名ふやしましたし、また同じ税務の中でも、事務によりまして、徴収とか間税が比較的仕事が伸びないのに、直税系統、特に法人、資産系統の仕事が伸びるということのために、そうした間税、徴収の職員を減らしまして、直税事務にたとえば千人、三十八年度においてふやす、こういった措置をやっております。またそのほかに、定員を動かすということではなかなか現実の人がすぐには動かないということのために、地方の局から東京局に定員を応援させるとか、人員を応援させる、こういった短期的な措置もとりまして、こうした仕事の伸び方と人員配置のアンバランスということのために納税者の税務の公平に対する信頼がゆらぐということのないように、最善の努力を尽くしておるところでございます。この点につきましては、先ほど出されました行政監察局の監察報告にも、同一の指摘がありました。この点につきまして、国税庁の従来の努力をさらに一そう推進する、こういうことをきめておる次第でございます。
  86. 岩動道行

    岩動委員 本会議の予鈴もなりましたので、これで終わりたいと思いますが、せっかく鍛冶政務次官もおいでになっておりますので、特にただいま私の触れました、東京局に法人をつくりやっていけば、課税上は非常に得になるというところで、東京に本店をつくるという傾向が過去数年非常に強まってきておるわけであります。それでまた、地方におきましては課税が非常に過重になると申しまするか、緻密に過ぎる調査が行なわれてしまうというところから、課税上非常な地域的な不均衡が見えるわけでありますので、これは定員の配置とも関連をいたしておるし、課税上重要な問題であります。課税上の地域格差のないように、ひとつ十分な御配慮をいただきたいと思いますが、政務次官からひとつ。
  87. 鍛冶良作

    ○鍛冶政府委員 私も前からさようなことを聞いておりますので、これは事実かどうかよくわかりませんが、事実だとすればゆゆしい問題だと思っておるのでありますして、ただ、どうも東京へ来ると、私のようなものは目にとまらぬからそんなにとられないだろうという気分がしからしめるのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、肝実そういうことがあるとすれば、これはたいへんなことでございますから、御説のとおりに十分調査して、さようなことのないよう取り計らわなくちゃならないと思っております。
  88. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、来たる一三十日、火曜日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十四分散会