○大出
委員 しかし、それは少なくとも私は十日の閣議できまるんだろうと思って、いろいろ方々当たってみたのでありますが、これは与党の皆さのお家の事情のようなことを申し上げては失礼でありますから言いませんが、なかなか交通部会等で難航をきわめられたと
——伊能先生がおられるのでぐあいが悪いのですが、私の耳に入ってまいりまして、かくて、十日ではきまらない。そこで、最後は実施期限の問題になった。これは一年くらい延びるだろうと思ったら、二カ年、こういうことになってきた。この辺は
労働省が譲られたのだと思うのでありますが、そこで、少なくともその覚え得きなるものは、最終的にそのあたりを譲ったということになったのと相関連をしている、こういうふうに私は考えている。逆に言えば、港湾
労働法だけ先ばしってはいけないのだということで押えられた、こういう筋合いだというふうに私は思うわけであります。そこで、私は、逆に港湾
労働法を先行させなければならないという
考え方を実は持っているのであります。いろいろな
意見がありましょうが、これから申し上げますが、そういうふうに思っている。そこで結論を申し上げれば、何としてもこの
委員全等を通じ、社会
労働委員会等を通じまして、実施時期を極力早めるということにしていただかなければならぬ、こういうふうに実は思ってるのであります。
そこで、関連をいたしまするので幾つか例を申し上げまするけれ
ども、まず、港湾五カ年計画とのからみ合いで、これは本来二千五百億ばかりの予算を組まれて、さてそれで八〇%くらいはやれるんだということだったわけであります。ところが、
経済成長と相まちまして、荷物が四割くらいふえるんだということで、中期
経済計画等の成長率七%その他と見合ったりいたしまして、そうして内容が予算的にも変わってきたということで、五千五百億くらいは追加しなければならぬという形が出てまいりました。三十九年度でありますけれ
ども、大蔵省に要求された。ところがこの中で、港湾促進
公団になるのかどうかわかりませんが、名称はともかくといたしまして、かつて河野さんが言われていた
公団でございますけれ
ども、この
公団方式が出てまいりまして、これは考えられたかっこうになっておりますが、そのときの事情はあとで調べてみましたら、
臨時行政調査会のほうで各種
公団の
整理ということ、こういう問題が出ておりまして、それが理由だったという理由づけがされておるが、さらに四十年度になりまして、この
公団について、大蔵省側からもっと積極的に何とか
公団方式を
検討して出してきてくれという形に変わってきたという
現実があります。ところが、この
委員会に出されております運輸省の港湾審議会のワクの拡大、管理部門の
設置というものとからみまして、管理部門の
設置の前にすでに管理部門を
設置されたと同じことになっておって、実質的には進行しているという形が
現実にあります。しかもまことに私は心外だと思っておりますのは、東京、横浜、神戸等の市長さんが出てきます。もっとも、市長さんはほんとうは出てきません。局長が出てきておりますが、毎月一ぺんくらい開いている。これは
理事として藤川さんなどという
日本港湾協会の
理事さんが出てきていて、いろいろ話し合っておられる。ところが、
労働組合の側その他は一向につんぼさじきに置かれたまま、こういうかっこうでものごとが進んでいる。そうなってまいりますと、管理部門
設置の中で出てくるのは、一体何をそこで
検討するのかといえば、すでに今日、神戸の原口市長にいろいろ手渡しているのか送ったのか知りませんけれ
ども、各種の構想が伝わっております。そういう時点ですから、そうなると、管理部門なるものは、
公団方式についての
検討ということが
中心になっていく、こういうふうに理解せざるを得ないのであります。しかも今日の事情からするならば、国が四分の三を持って
——これは港湾法によりますと、地方自治体が四分の一を持つというのが、港の今日の実情なんです。ところが、それは
現実にはどうなっているかというと、上屋であるとか、荷役機械であるとかいうふうなものをながめてみますと、まさにこれは逆になっている。付帯施設その他についてこういう事情があって、金という問題とからんで民間資本を入れたいということ、しかも港湾管理者としては入れるんだけれ
ども、そうなるとウエートが違ってまいります。ライナーポートなどがどんどんできてきて、船舶六グループなどというものとからんでくる。そういうかっこうになると、この
公団方式のねらいというものは、四十一年から実施するということを非公式に言われておりますけれ
ども、これは今日の港湾事情とは一変した形のものが考えられている。つまり船舶六グループ等の
関係で、上屋や倉庫やその他とも相からんでいる。そうなっていくと、中小の業者というものとも直接
関係が出てきて、これが
整理統合の方式がとられてくる、こういう結果が出てくる。中にはどんどん切り捨てられていくものも出てくる、こういう形が
現実の問題としては出てくる。これがどんどん進行した過程において港湾
労働法が考えられるとなると、三・三
答申が出てきている今日の時点における港湾
労働等対策審議会の
答申なんでありまして、
労働が
中心でなければならない。だから、あくまでも港湾
労働が
中心に進められて、その上で港湾五カ年計画あるいは
公団化の方式云々という論議が行なわれて、
公団、管理、施設、
労働、この面で
労働が
中心になって考えられていかなければならぬと私は思うのでありますが、今日の資本のあり方から言えば、施設、管理のあり方が先に出てくる。これでは
労働というものがおかしくなってきはせぬかという心配を私は持つわけでありますが、港湾問題についての法
改正その他をめぐる時点で、私は心配してきた一人でありますだけに、痛切にそのことを感じるわけであります。
最後に
一つだけつけ加えておきますと、港湾法ができました当時、つまり港湾運送事業法等ができました当時からいきますと、とにかく朝鮮動乱
時代で、軍需物資の輸送その他が
中心になって、電話一本、机
一つであっても、人を集める能力のある業者というものは、とんとん認可をして
——この港湾運送事業法なんというものは、国際的にながめると陳腐なものであって、本来あるべきものではない。にもかかわらず、こういうものをつくって、中小の小さい業者まで保護をした、せざるを得なかった、そういう経緯がある。その間に官庁と業者の間のいろいろな縁がつくられてきた。この縁はなかなか切れない。こうなると、この縁を切るためには、
公団化などということで民間資本を入れて、港湾のシステムというものを全部変えて、自然に切れるようにならなければ切れない。そういうことを全部含めて、とんでもない方向に進むという心配を私は持っている。近代化に反対するものではありませんが、そういう
立場からすれば、どうしても港湾
労働法が先議されて、このあり方、体系というものがきちんときまって、その上でその他のものが考えられないと、私は結果的に労が下積みになり、逆にしわが全部そこに寄ってしまうということになりかねない、こういうふうに考えておりますので、私は、そういう根本的なものの
考え方から、どうしてもこの際二年などというゆうちょうなことを言っている時期ではない、こういうふうに判断をいたしますから、この点についてのお考えを明確に聞かせていただきたいと思います。