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1965-03-19 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十九日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       天野 公義君    井原 岸高君       岩動 道行君    大橋 武夫君       高瀬  傳君    綱島 正興君       野呂 恭一君    福田  一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       角屋堅次郎君    中村 高一君       楢崎弥之助君    伊藤卯四郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君         文 部 大 臣 愛知 揆一君         通商産業大臣  櫻内 義雄君  出席政府委員         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 宮地  茂君         通商産業事務官         (大臣官房長) 熊谷 典文君         通商産業事務官         (通商局長)  山本 重信君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      宮本  惇君         工業技術院長  馬場 有政君         特許庁長官   倉八  正君         中小企業庁次長 影山 衛司君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         課長)     清水 成之君         文部事務官         (初等中等教育         局審議官)   安嶋  弥君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     村山 松雄君         専  門  員 加藤 重喜君     ――――――――――――― 三月十九日  委員塚田徹辞任につき、その補欠として天野  公義君が議長指名委員に選任された。 同日  委員天野公義辞任につき、その補欠として塚  田徹君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十八日  旧金鵄(し)勲章年金受給者に関する特別措置  法案八田貞義君外十一名提出衆法第一三  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一号)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)      ――――◇―――――
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  法務省設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  この際、お諮りいたします。本案についての質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 河本敏夫

    河本委員長 次に、本案討論に付するのでありますが、討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  法務省設置法の一部を改正、する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  7. 河本敏夫

    河本委員長 通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  8. 受田新吉

    受田委員 ごく簡単に二、三の問題点指摘して、今国会提出通産省設置法一部改正法律案に対するお尋ねをいたします。  最初に、これは行政組織上の基本にもなる問題でありますが、同時に国民の全体が最も理解しやすいような形に改めるべき問題ではないかと思うので、省名についてお尋ねをしてみたいのです。それは、通商産業省という名称は、これは各省を通じて四字連続書かれているのは通産省だけでございます。通商産業省と普通言わぬで通産省。あなたの場合でも、通商産業大臣と言うのは公式の場合だけで、普通は通産大臣。こういう名称の用いられ方について、昭和二十四年でしたか、通産省ができたときの占領下における名称がそのまま用いられているのですが、通商産業省所管事項を見ますると、通商だけでなく、商業がある。それから産業ということばの中には農林水産業も含まれるわけなのであって、これは通産省だけが独占すべき名称ではない。いわば、ごくありふれたことばで申し上げまするならば、通商産業省という名称は、何らかつけたりの印象を与えておるという懸念があります。このあたりでずばり商工省という、通産省担当委員会商工委員会になっているのでございますから、国民にも商工行政というものは長い間親しまれてきたことでございまするから、占領下においてつけられたこの名称を、ひとつこのあたり商工省とお改めになる御意図はありませんか。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昭和二十四年の行政機構改革の際に、この名称が取り上げられました。当時、国民一般的印象は、物資統制商工省がやりまして、相当その御批判があったような面が、商工省にあったと思うのであります。そういうようなことで、機構改革の際に通商産業省という名称が付せられたと私は思うのでありますが、お話しのとおりに、各省の中で当省だけが非常に長い名称であり、通称通産省とも言っておるのでございますから、受田委員の御意見については、今後十分検討さしていただきたいと思います。
  10. 受田新吉

    受田委員 十分という勘どころをついた御回答がありましたので、大臣自身も非常に考えておられる意味深長な御発言があったので、これ以上は申し上げません。願わくば、ひとつ国民に親しまれる名称をもって検討をされることをお願いしておきます。  次に、今度の法案改正のポイントである買切振興局新設、これは局の新設ということは、いろいろと行政機構上の問題としてはむしろ簡素化を要望する声の中に、逆行するのじゃないかという声もあるでしょうけれども、私自身といたしましても、貿易振興政策推進する局の新設という意味においては、大いにこれに共感を呼び、この新設の局によって一そう国の経済繁栄をはかってもらいたいと思いますので、賛成をしております。ただ、この局ができただけで貿易振興するとも限らないわけなんです。それには外交政策が伴なわなければならぬ。貿易政策は、やっぱり裏づけには外交が要るわけなんです。これにまたもう一つプラスするに民間外交民間協力、こういうものも要るわけなんで、非常に広範な協力体制によって初めて実を結ぶことになると思います。そこで、大臣一つだけ。われわれの周囲にある、しかも距離的にも人種的にも一番近い、ことば、文字も共通のものを使っているお隣中共、中国との貿易を大いに進めていくということは、やはり大臣の御在任中にひとつその橋頭堡はつくっていただかなければならぬと思う。ただ民間だけにまかしておくことでなくして、政府間の協定というものを――ソ連は一応独立国家として日ソ共同宣言で大使も出ておりますから、それは抜きにして、お隣中共との貿易ということについて、政府間の代表者による話し合いというようなものをお進めになる。貿易振興局新設すると同時に、ひとつ大臣英断をもつて閣議をおまとめになって、政府職員代表者をひとつ中共貿易振興のために何らかの形で派遣する、あるいは話し合いに応ずる措置をおとりになるべきではないか、かように思いますが、御所感はいかがでございましょうか。
  11. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在国交がまだ回復しておりませんので、私ども貿易推進の上にお話のような政府レベルの人物を送るということについて、なかなか困難性があることはおわかりいただけると思うのであります。最近におきましてLT貿易が促進せられまして、現在北京に日本側貿易事務所も開設せられたわけでありますが、幸いこの事務所にはかつて通産省に職を奉じた者も行っておるようなわけでございますので、一足飛びに御所見のように進めるということの困難性はございますが、ステップ、バイ、ステップで次第に改善されつつあると思うのであります。また、昨年の中共貿易が三億一千万ドル近い往復の貿易量に相なってきておるわけでございますので、今後におきまして、お気持ちの点は十分体して貿易推進につとめたいと思います。
  12. 受田新吉

    受田委員 政経分離という原則は、私も一応認めます。これは思想と経済は別ということにも通ずるわけでございます。したがって、このあたりで、政経分離原則を守りながら、政府間の代表者民間貿易振興協力させていくとか、こういう手もあると思うのです。これはいろいろの形でやれると思うのです。もうあまりあなたに御苦労をかける答弁を必要としませんが、これはやっぱり適当な時期に英断をふるわなければいかぬです。アメリカに対するお気がねなどなしに、政経分離は守っておる、しかし、われわれは経済振興のために、国際貿易振興のために、個々措置はとるからと言えば、アメリカだって、わが自主性ある外交に干渉をようせぬと思うのです。勇気を持ってやってもらいたい。  もう一つ。私は前後六回にわたる諸外国旅行をしてみてしみじみと感ずることは、この前の委員会角屋さんでしたか、ちょっと指摘されたと思うのですが、それにちょっと発展した質問をしたいのでありますが、外交一元化という美名のもとに、外務省派遣の役人さんというものは、六十六人認証官をもらって――外務省から出られる人はみんな認証官になる。例外なしになっています。そういう一つのプライド、自信というものがおありになるせいでしょうか、その地位を守るために恋々としており、国際儀礼に忠実であるという形がとられて、少なくとも経済外交という点に対する熱意は、非常に冷却されておる。諸外国先進国家貿易振興のために、通産省関係商務官のようなものをどんどん現地に派遣して、独自の経済外交を進めてお得意を獲得しております。日本の場合には、外交官というものは身分があり、通産省から派遣する人も一応外交官身分で書記官になっていくものでございますから、外務大臣指揮、監督を受けることになっておる。そういうところで、商社の、特に中小商社外交員などが外国へ出ても、ほとんどめんどうを見ておらぬ。あの交通不便なところへ単身乗り出して、ずいぶん苦労している中小貿易商社関係の人々が、外務省がもっと、在外公館がもっと応援してくれたら、私らの旅行の便宜から、紹介から、もっとやってくれたら、もっともっと実績があがっているだろうというふうに終始嘆いている声を私はずいぶんたくさんの人から聞いておりますが、大臣ひとつお答え願いたいことは、通産省にせっかく今度貿易振興局新設される機会に、通産省のこの方面に非常な経験と知識を持つ人を現地に派遣して、外務省関係なく、外務省連絡をとりながら、現職の通産公務員を派遣して、そうした貿易振興のために積極的に手伝わせるという方針をお持ちではないか、お答え願います。
  13. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御意見は、現在の在外公館のあり方にずばりと御批判をされておると思います。私どもも、そういう点についてきわめて関心を持っておるわけでございます。先般の臨調の答申の中にも、今後通産省自体が、直接に在外公館に配置されておりますものに――現在四十五名通産省の出先がおるわけでございますが、直接に連絡をし、指揮をするがよかろうという意見も出ておるおりからでございまして、御趣旨は十分休しまして、改善をすべく進めていきたいと思うのであります。なかなかこれには摩擦も多いことで、簡単にはいきかねると思いますが、ただこの際申し上げられるのは、幸い通産省の外郭としてのジェトロ機関もございまして、比較的自由に動ける、貿易の上に寄与できる人材を世界各方面に配置をしておるのでございますので、このジェトロ諸君、また在外公館に配置されておる当省の出身の者、そういうものが緊密に連絡をとりながら、いま御指摘商社の御不満などに対してこたえるよう配慮してまいりたいと思います。
  14. 受田新吉

    受田委員 商社の中にもいろいろあって、なわ張りもある、そういうので、特定の商社協力すると他の商社に不公平だという声もあるというようなことで、なかなかその操作面における苦労もあると思います。しかしながら、少なくとも貿易振興に寄与しようとする熱意に対しては、公平にできるだけ皆さんに満足を与えるように、これは、やはり貿易行政上の面から通産大臣指揮命令に従って動いていくというような形の在外派遣職員というものが、もっと数がふえてもいいと思うのです。ひとつその点を十分含んで、諸外国の中の先進国がとっている商務官制度というようなものに輪をかけるような実績をあげてもらいたい。(「同感同感」と呼ぶ者あり)非常に共鳴の声も多いようですから、ひとつ局の新設に伴って、しっかりかんばってもらいたい。  それからもう一つ外務省経済協力局というセクションがある。これは一体何をしているかということは承知しておりますが、今度の貿易振興局は、やはり経済協力局などと連絡を一そう密にして、経済外交推進するように、機構上の連絡調整という効果を倍加する方策もとる、海外技術協力事業団のようなものも、この点技術輸出という意味から通産大臣科学技術庁長官としっかり連絡をとっていく、こういうふうなせっかくの機関がそれぞれ個々に独立してばらばらであってはならない、有機的連絡をとりながら成果をあげていくという、セクト主役を排除して実績をあげるというところへ大きな日で前進していただきたい。よろしゅうございますか。
  15. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 通産省経済協力関係は、産業貿易政策担当する立場からでございます。また、外務省は、申し上げるまでもなく外交政策担当する立場からこれに関与しておるわけでございますが、そういうことで、外務省でも、通産省でも、ともにそれらの意見を統合するために、外務省経済協力局にも政策課通産省経済協力部にも経済協力政策課を設けて、相互に意思統一をはかるようにはつとめておるわけでございます。しかし、現状におきまして十分といえない面がございましょう。今後におきましては、お話し技術協力の問題もあわせて頭に置きながら、大いに経済協力の実をあげるように努力いたしたいと思います。
  16. 受田新吉

    受田委員 質問をもうおきますが、まあ大蔵省にも、また通産省と提携してやらなければならぬところの機構もある。またIMFの八条国移行に伴う、あるいはOECDに加盟をしたことに伴ういろいろな自由にして無制限な経済交通効果もあると同時に、一方でそれらに入ったことでまた制約される面も起きてくるというようなことで、いろいろと貿易振興上には問題点があろうと思いますが、この局のできたことは画期的な意義があると私は思いますので、ひとつ日本の行き詰まった貿易政策に明るい灯台をともすという大役を果たしてもらいたい。  おしまいに、これは法案内接関係のない事項でございまするが、一度お尋ねしておきたいことがあります。それは私自身前から思っておったのですが、国民射幸心をそそるような政府政策があってはならぬ。通産省の中で重工業局所管の中に、オートレース競輪のお仕事があるわけです。こういうようなものを、私はほんとうは奨励すべきでない。もっと健全なスポーツがある。こういう不健全なスポーツによって――これはいい意味と悪い意味があると思うが、不健全なスポーツによって家庭悲劇が起こり、経済上の破綻を来たす人間がどれだけ多いかは、三面記事をにぎわしている実態がこれを物語っております。いかがでしょう、このあたりでこういう射幸心をそそるような競技オートレースとか競輪とかいうものはおやめになる方針をおとりになってはどうか。(「賛成」「同感」と呼ぶ者あり)これも非常に同感の声がある。ひとつお答えを願いたい。
  17. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは国会においても、種々論議も呼び、御批判もあることでございます。いまも与党の方からも賛成という声もかかっておるようなわけでございますが、しかし、振り返ってみまするに、総理府に特に公営競技調査会を設けて非常に広い範囲から検討した結果、永久立法になったという経緯は、受田委員御承知であろうと思います。なお、御指摘のような射幸心をそそるとか、あるいは家庭に対する影響とか、いろいろ問題点がございます。それらの点につきましては、できるだけそれを排除しながら今後の運営につとめるべきだと思うのでありますが、私は通産省へ参って実は一つ驚いたことは、あまり認識がなかったのでありますが、競輪オートレースによる益金というものが、非常に広い範囲に、社会公共施設助成施策として出資されておる、あるいは機械工業振興の上に寄与しておるという、この事実を知りました。実は通産省の中の乏しい予算の中からいうと、この競輪オートレース関係から上がってくる益金による助成策というものは、相当大きな要素を持っておる、こう思うのであります。そういうようなことを考えますときに、なるほど国家財政が健全化され、豊かになってきますれば、こういうところに財源を求めるのはどうかと思いますが、現状におきましては、御批判の点を十分考えて、悪い影響を除去しつつ、健全な大衆娯楽として、また他面におきましてその益金がかように有効適切に使われておるということを認識しながら、これを進めていくべきではないか、かように考える次第でございます。
  18. 受田新吉

    受田委員 おしまいにしますが、大臣、あなたの御決意を伺いましたけれども、しかし、この賭博的要素を持つ競技――これははっきり申します、賭博的要素です。こういうものをたてにして財源を考えていくということも、これは不健全財政と私は思います。不健全財政を、現実に存在するからといって認める措置は、健全財政に移行する大きな障害になると私は思うのです。ひとつこのあたりでぴしっとした方針をもって、大臣英断をふるわれることを期待します。非常に与野党一致した賛成のもとに置かれた質問戦、これをいい雰囲気で終わらせます。
  19. 河本敏夫

  20. 山内広

    山内委員 十一時半には参議院のほうに大臣呼ばれておるそうであります。もう時間も幾らもありませんから、単刀直入にお聞きしておきたい。  局長をもう一人ふやしたいという提案理由のお気持ちはよくわかりますけれども次長を二人置いたって差しつかえないのですから、なぜ通商局次長二人を置いてそういう外国関係とのいろいろな多忙な仕事担当させるということができないのかどうか、その点を……。
  21. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 実はただいまのようなことも、私自身が考えました。しかし、これは相手があるのでございまして、相手局長が来れば、次長接触ということは相手立場に対して失礼に当たる、外交上の慣例でございます。そういうようなことで、現在五百三十一名を擁する通商局として、局長が局を掌握していくというのにも非常に事務が多いのに、昨年四月以降の開放経済体制下に置かれた日本といたしまして、OECDIMF、ガット、いろいろな国際関係との間における広範囲な新しい接触面を持つに至りました。その場合、やはり相手国と見合う立場の者がどうしても必要である。次長という考え方をしなかったわけではありませんけれども、それではどうしても事が足りないというようなことで踏み切った次第でございます。もちろん、その踏み切ったのには、ただ単にそういう対外折衝だけではない、この膨大なる一局を統括する上においては、現状では一人ではどうか、こういうことでございます。
  22. 山内広

    山内委員 根拠が薄弱だとは思いますけれども、いま議論をしている余裕がありませんから避けますけれども、私が申し上げるまでもなく、輸入輸出というのは、もう夫婦関係みたいなもので、離れてはいかぬと思うわけです。ところが、今度の貿易振興局新設することによって、輸入輸出調整をどうするか、そういうことでこの改正提案の内容をずっと読んでみたのですが、やはりその心配を非常に深くするわけであります。なぜ貿易局といったようなものに両方輸入輸出ともに統合できなかったのか、どこにガンがあるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  23. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私の足らざるところは局長から御説明をさせますが、この貿易振興局のほうには、文字どおり大いに輸出振興をしよう、またそれに関連の深い経済協力部をこの局の中に統括していこう。しこうしていま御指摘輸出輸入との問題でございますが、通商局のほうで輸入担当いたしますが、同時にこの通商局の中の通商政策課、あるいは参事官を配置しておりますが、通商全般に対しての輸出入を通じての施策についての検討は、従来の通商局のほうのいま申し上げた担当のほうでやらせたい、こういうことでございますが、もう一つ詳しく局長から御説明申し上げます。
  24. 山本重信

    山本(重)政府委員 この分け方につきましては、いろいろな案を検討してみた次第でございます。その際に、大体事務の分量がある程度バランスをしておりませんと、せっかく分けました場合の能率化ということができませんので、そういうことを考えて分けた次第でございます。  それからごく大づかみに申し上げますと、新しくできます通商局のほうは、主として対外折衝を主といたします。それから貿易振興局のほうは輸出振興をするための国内体制の整備と申しますか、税制とか、金融とか、そうしたところに重点を置いた局になるわけでございます。そういたしました場合に、輸入はどちらにつけるかということでございますが、現在の各国との貿易交渉の際には、常にお互いに相手輸入政策を攻撃することが主眼でございます。たとえばフランスと交渉いたしますと、フランスからは香水とかブドウ酒とかの輸入をもっとふやせという要求がございます。日本からは繊維品とか機械とか雑貨とかの輸出をふやせ、向こうの輸入をふやせという折衝をいたしますので、通商交渉をする者が輸入の権限を直接持っているということが非常に必要でございますので、そちらに輸入をつけた次第でございます。そうしますと、結果におきまして事物量も大体バランスをするということでございます。それから仰せのように、一緒にして置いたほうがいいわけでございますけれども、どうしてもそれでは事務が多くなりますので、やむなく分ける次第でございますが、分ける場合にも二局一体の運営を必要といたします。たとえば局議とか幹部会は定例に合同でやるというような運営をして、その間の万遺漏なきを期したいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 山内広

    山内委員 事務量から申しますと、従来の通商局の五百三十一名が、通商局二百四十八と今度の新局が三百八十三と、人員から見てもバランスがとれることはわからないわけではないのですが、この点については、前に伊能委員からも、永山委員からも、抽象的ではありましたけれども、局が独立した以上、いろいろ官庁のセクト的な従来の慣習とか、人間の弱点ですが、いろんなことから非常に困った事態ができるんじゃないかということを、私は非常に心配しておるわけなんです。そこで、大臣もいま御説明がちょっとありましたけれども、そうしますと、この一つの局というのは、やはり通商局が上位で、今度の新しい局というのは順位からいっても下になるという印象を、この改正案からも受け取るわけです。決して独立の、対等の局ではない、そういう印象を受けますが、考え方としてはそれで、よろしいんですか。
  26. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まあそういう御印象を受ける――やはりかような新機構のできる過程でございますので、あるいは印象としてそういうことが全然ないとは言い切れぬと思いますが、一たびやはり局ができました以上は、それぞれの局がそれぞれの機能を発揮して十分活動をすべきものである。かりに私が大臣立場で両局長を見るに、甲乙をつけて見るというようなことは、これはいけないと思います。
  27. 山内広

    山内委員 ところが、御提案のこの中を見ましても、明らかにそういうことになっておるわけです。たとえば、通商局には、八条の三号で「海外市場、内外通商事情その他通商に関し調査し、統計を作成し、及び情報を提供すること。」ということがそのまま残っておって、これにかわるべきものが今度の新局には何にもないわけです。そうしますと、通商局では統計もやるんだ、海外の市場も、全部事情は通商局で知っているんだ、そしてこの情報も提供するんだ。これは当然こういう輸出入と分けた以上、輸出のもの、輸入のもののこういう情報というものは、両方で分担して持たなければいかぬじゃないですか。統計資料というものは全部通商局へ行ってもらってこなければ、貿易振興局が使えない、海外情報も一々通商局へ行って聞かなければならぬ、機構上はそういうふうになって残りますよ、この文章では。いかがですか。
  28. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは先ほどの、いまのお話じゃない他の角度から輸出入の調整はどうするのかというほうからいうと、いまの業務があるほうがいいのでございます。そのことで、この面局の間に甲乙がつくでないかという、そういう御批判が出たものと思いますが、私はそのような必要性のあるもので、かりに甲乙があってもそれはやむを得ないと思うのであります。しかし、少なくとも私自身振興局通商局相手とする場合に、これについて甲乙をつけて考えていく、そういうような気持ちは持っておらない、こういうことでございます。
  29. 山内広

    山内委員 これもまだ議論したいとこですが、次に税関長の地位の問題です。税関長は大蔵省の職員であり、向こうに身分を置いておるわけですけれども、ただ輸入については通商局、それから今度は輸出については、新しい局の「指揮監督に関すること」といって、税関長というものは両方の局長指揮、監督を受けるわけです。そして身分は大蔵省にある。こういうことになると、税関長の立場からすれば、三頭引きの馬に引っぱられているようなものになっちゃう。これは大蔵省はどう理解しておるんですか。――おられなければ、この点、何か話し合いはつけておるんですか。
  30. 山本重信

    山本(重)政府委員 税関に対する一般的な監督権限は大蔵省にあるわけでございますが、通産省は、輸出及び輸入に関しまして、ある一定の限度において税関に対する指揮監督権を持っておるわけでございます。その具体的な内容は、輸出の場合には、貿易管理令によりまして、輸出の承認を要するものとそうでないものとがございます。その点につきまして、はたして輸出の承認を得てあるものかどうか、あるいは輸出の承認を必要としないものであるということかどうか、その点の確認をする仕事が税関長にまかせられているわけでありまして、その点を指揮、監督する立場にございます。これは最近商品の種類、品質等がだんだんに複雑になってまいりますので、やはり場合によっては専門的な知識を持っている者が判断をするような必要が出てまいりますので、必要に応じて税関のほうからも通産省に照会がございますし、一般的な基準を示すと同時に、具体的な案件についても処理をいたしておりますが、また輸入につきましても同様でございまして、貿易管理令によりまして輸入の承認を受けているか、必要な手続が行なわれているかどうか、それを確認する仕事が税関長にまかせられておりまして、その点につきまして、通産省が必要な指揮、監督をする、こういう関係になっております。
  31. 山内広

    山内委員 今度百三十九名の増員を要求されておりまして、特許庁がほとんど大半の九十九名であります。これについてはあとで時間があればちょっと触れて申し上げたいと思いますが、この中で、特許庁を除いて一番多いのは、九州の工業技術試験所の三十名であります。これはどういうことでこれだけの増員を必要とするのか、ちょっと簡単でよろしいですが、伺いたい。
  32. 馬場有政

    ○馬場政府委員 三十九年度から発足いたしました九州の工業技術試験所の三年目の増員分でございます。やります内容につきましては、まず一つは九州の化学部門でございます。化学部門は、あの地区の分析試験センター的な役割りを果たすためのものでございます。それから第二の部門は、金属機械加工の部門でございまして、いずれもあの地区の産業の伸展をはかるためのパイオニア的役割りを果たすというつもりでやっているのでございます。
  33. 山内広

    山内委員 これも科学技術庁との関係があって、もっと掘り下げてお聞きしたいのですが、後に譲りまして、私はこの中でちょっと大臣に――御承知のとおり、昨年の十二月十七日に、中小企業の倒産が多いということで、国会では非常にきびしい決議をしていることは、御存じのとおりです。当然中小企業対策というものが強力に推し進められると思っておりました。いろいろ施策を見ているのですが、この増員要求を出せるチャンスに、中小企業対策としての増員を一人も要求していない。いろいろ部内で操作はされていると思うのですが、この点についての熱意というか、中小企業対策についての考え方がどうも出てこないので、若干不満を持つわけですが、これはどういうわけですか。
  34. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 実は私としても、今回の予算措置で中小企業の行政機構についてはもう少し考えたかったのでありますが、省内でいろいろ討議をいたしましたおりに、三十八年度におきまして中小企業庁については相当の考慮をしてもらった、こういうことでございまして、ただいま御審議もわずらわしておるように、特許庁の関係、試験所の関係等のことがございまして、閣議の一応の原則論などもありました結果が、今回御期待に沿えなかったのでありますが、しかし、中小企業関係の行政の重要性にかんがみまして、中小企業庁内の合理化あるいは事務機械化などによりまして効果をあげていきたい、かように考えておるのでございます。
  35. 山内広

    山内委員 時間がまいりましたので、あとは私希望だけを若干申し上げて終わりたいと思うのですが、実はこの中小企業対策でいろいろ私も資料をあさってみた中で、中小企業の実態、特に今回つぶれました山陽のあの会社の問題などで、なおはっきりしてきたのですが、民間の興信所の資料よりほかに、官庁としての、あなた方の努力でつくり上げたいろいろの資料というものが何にもない、民間の興信所の資料を使っている、こういう事実があるわけです。これはお認めになっておると思うのですが、こういうものなども民間の興信所あたりの資料だけを唯一のたよりにしては、いい結論が出てこない。みずからの手で、そして必要なものはどんどん中小企業の実態をつかむくらいの努力と機構を、やはり考えるべきだと思うのです。これは希望ですから、もし御意見がありましたらお答えあってもけっこうです。  それから、ぜひきょうはと思って、実はたくさん資料を持ってきたのですが、特許庁の実態なんです。この間実は見せていただきました。一言に申しますと、外目は非常にりっぱな建物ですけれども、古くなりまして、あそこで働く労働環境もすこぶる悪い。特許庁の仕事の内容については、もうふさわしくない建物になっております。そこで、いろいろそのことについては大臣もお考えだろうと思いますけれども、これだけどんどん仕事がふえ、また人も得られないということで苦しんでおられる、いろいろな処理しなければならぬ案件はたくさんだまっておる、そういうことで、やはり環境の整備ということは、ぜひお考えになっていただきたいと思うのです。これが一つ。  それから、はしょってはなはだ意を尽くさないのでありますけれども、もう村山委員も触れたとおり、特許制度の基本的なもの、根本的なものを再検討しませんと、もう独占権というものを、いまの時代にいまのような形で認めていることが正しいのかどうか、これから考えませんと、人間ばかりふやしたって、もうあれだけふえてくる業務量に私は即応しないと思う。そういう意味で、審議会もあることですから、ひとつ大いに検討を加えられて、もう少し業務能率を上げていただきたいと思います。これはもうやむを得ませんから、希望だけ申し上げて、私の質問を終わります。
  36. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまの調査のほうでございますが、最近は全国銀行協会の資料をもあわせて、そしてさらに通産省としてそれを総合的にいろいろ調査をするようなふうにくふうはしておりますので、多少改善されると思います。  また特許庁の関係につきましては、ことし増設をしていただき、さらに三年後には新庁舎を考えておるようなわけでございます。
  37. 河本敏夫

    河本委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  38. 河本敏夫

    河本委員長 次に、本案討論に付するのでありますか、討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  39. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  40. 河本敏夫

    河本委員長 この際、佐々木義武君、山内広君及び受田新吉君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、まず趣旨の説明を聴取いたします。佐々木義武君。
  41. 佐々木義武

    ○佐々木(義)委員 ただいま議題となりました通商産業省設置法の一部を改正する法律案に対する自民、社会、民社の三党共同提案にかかる附帯決議案につき、提案者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     通商産業省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の実施にあたって次の諸点に配慮すべきである。  一 貿易振興局新設にともない、輸出行政と輸入行政との所管局が異なることになるので、新設局と通商局との緊密な連絡体制の確立等、行政運堂上特段の配慮を払い、もって通商行政の一体的かつ総合的な遂行に遺憾なきを期すること。  二 工業所有権にかかる出願処理の迅速化を推進するため、人員の充実等諸般の措置を計画的かつ適確に実施するほか、制度自体特に実用新案制度の抜本的改善についても速やかに成案を得るよう努力すること。    右決議する。  本案の趣旨は、本文に盛られてあるとおりでございますので、何とぞ御賛成くださるようお願いいたします。
  42. 河本敏夫

    河本委員長 本動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  43. 河本敏夫

    河本委員長 起立総員。よって、本案佐々木義武君外二名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。     ―――――――――――――
  44. 河本敏夫

    河本委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 河本敏夫

    河本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  46. 河本敏夫

    河本委員長 文部省設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  47. 村山喜一

    村山(喜)委員 今回の文部省設置法の一部改正の中で、教官定数の増員といたしまして、新規に国立学校が三千三百三十四名、それに対しまする不補充欠員分といたしましては六十一名ですが、欠員充当分としての百二十一名を差し引いて、今回の純増の関係は三千二百十三名という数字になっているわけでございます。  そこで大臣お尋ねをいたしたいのは、国立学校設置法の審議の中でも問題になっているわけでございましょうが、今回大学の創設一大学、学部の創設八学部、文理学部の改組四大学、学科の新設及び拡充改組では新設が二十四学料、拡充改組十一学料、学生増募が二十一学料、こういうような数字が出されておりまするし、さらに短期大学が学料新設分として十学料、学生増募二学料。それに大学の範疇には入りませんが、高等専門学校の創設七校、こういうようなことになっているわけでございますが、これらの内容の中から私が第一にお尋ねをいたしたいのは、初め文部省は、大学の急増対策という問題をとらえまして、十万人の受け入れ態勢をつくるんだ、その中で国立大学は一万人、公立、私立で六万人、短大三万人という計画がたしかつくられたと思うのであります。その後これが六万七千五百名に縮小された。その考え方の中には、大学の本質的なあり方の問題と同時に、実際上の問題といたしましては、財政的な問題としてとてもこれだけはできないだろう、こういうようなことが働いて修正計画というものがつくられたのだというふうに承るのであります。とするならば、昭和四十一年がいわゆる赤ん坊ブームの最もピークになるわけでありますが、そういうようなのがもうすでに目の前に押し寄せてきておる。ことしも各大学の受験の模様等を見てまいりますと、不合格になる者がきわめて多く出てきているわけであります。従来は、私立大学あたりにおきましても、わりかた補欠収容というような形で見てくれたものが、ことしあたりはきわめてきびしい線をもって臨んでいるようであります。そういうような状況の中から、高等学校浪人というものがきわめて多数に及んできている現状があらわれてまいりました。  そこでこの大学急増対策に関連をいたしまして、いまのところどういうような計画をお持ちになっているのか。これは、今回こういうような定数の改正で三千三百三十四名の大学の職員の増というものをお考えになった基礎の中には、これによってこれだけの人員がことしは増募できるのだ、そしてこれが学年進行と同時に、昭和四十一年度においてはこういうふうにしていくんだ、また現在の大学の数その他からいって、四十一年度はこういうふうにしなければならないと考えているという、一応の計画というものがあろうかと思うのであります、それについての御説明を願わなければ、三千三百三十四名の教職員をふやすといいましても、それの基礎的な算定が明らかになりませんと、にわかに賛成をするわけにはまいりませんので、それについての説明をまず願っておきたいのであります。
  48. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまお話がございましたように、実は昨年の夏ごろ、ちょうど私の就任の当時ごろでございますが、いわゆる大学志願者の急増に対しましての計画というものが一応研究されて、数字が出ておりました。そのときに、いまお示しの十万人という数が一応考えられておったわけでございます。しかし、これに対しましては、いろいろの機会に申し上げておりますように、事は大学の問題でございますので、大学の資質といいますか、内容を低下させるというようなことがあってはたいへんなことでございまして、むしろ資質の向上、それから教授陣容が引き続き継続的に拡充されるというようなことが、どうしても必要であるわけでございます。それから反面、大学の終戦後におきます入学志願者あるいは収容の人員等をつぶさに検討いたしてみますと、率直に申しまして、なかなか実態の捕捉がむずかしいのでございまして、この十万人というのは、一応従来の趨勢からとりました傾向値から見て、たとえば志願者の率が高校卒業生の中でどのくらい、あるいは浪人の中で、たとえば一浪はほとんど全部あらためてもう一度受け直すというようなところの傾向値をとり、また社会的にいろいろ経済条件がよくなった場合に、さらにそれを上回るものをどのくらい見たらいいだろうかというような点の捕捉にできるだけつとめましたけれども、これがまた実に捕捉しにくいわけでございます。いまお尋ね範囲外と思いますけれども、一例として申し上げますと、たとえば三十九年を見てみますと、同一年齢に対しての大学生の比率というのが、百人のうち一九・九人になっております。つまり、二十歳なら二十歳の同一年齢で、百人のうち約二十人が大学に入っておる。ところが、その前の年は一五・四であるとか、あるいは三十六年あたりは一一・八であるとか、あるいは三十三には一〇・七であるとか、こういうふうに過去の実績を見ましても、変動の幅が非常に大きいわけでございます。それから一方におきましては、時間の一部には、何でもかんでも大学に入らなくてもいいではないか、履歴書偏重という思想はむしろ是正すべきではないかというような議論もあるわけでございます。  どうも前置きが、長くなって恐縮でございますが、そういったようなことを彼此勘考いたしまして、おおむね六万七千人ぐらいのところを四十年度、四十一年度で考えることが、まあ比較的無難なところではなかろうかと考えたのでございます。それをもとにいたしまして四十年度と四十一年度に振り分け、それから国公私立に振り分け、あるいは短大等に振り分けてみて、相当具体的な計画をはじき、それをもとにいたしまして、国立については予算の問題に入り、あるいは私立大学については、私大側からの申請の状況なども見まして計画を進めたわけでございます。そのときの計画としては、四十年度と四十一年度との間においては、これは概数でございますが、四十年度に十のうち四ぐらいのところをまず片づけて、四十一年度に六のものを片づけるというくらいの考え方で進めましたが、今日御提案申し上げておりますものは、大ざっぱなところでこれが三対七ぐらいの割合になっておるわけでございます。四十年度の計画については、実はいろいろ努力してみましたけれども、われわれの計画では若干足りないということは認めざるを得ません。足りないと申しますか、四十一年度にロードがかかったというふうに御理解願えば、より正確かと思います。そこで、四十年度についてはできるだけのことをしながら、それから、たとえば私学振興会の関係などでもよく申し上げますけれども、三十九年度に比べれば倍額の融資計画をつくり、さらに特に急増の関係については、六十四億円余りの施設拡充のための融資計画もいたしておるようなわけでございまして、いま申しました三年を通じて三対七とかにいたしました場合、この三の部分についてはまず十分に裏打ちができる、こういうかっこうになっております。そういう措置をしておきまして、その間私学助成の調査会をつくっていただくとか、いろいろ積極的前向きの各般の措置検討いたしまして、緊急措置として四十一年度に七の割合になる拡充計画が実行できるように、あるいはさらに進んで恒久的に、私学等についてもどう考えたらいいかということを練りに練って実行の途上にあげてまいりたい。かたわら国立につきましては、当然直接国の責任として、四十年度で若干足りなかった分を含めて四十一年度計画を十分に樹立してまいりたい。おおよその考え方と、これまでの推移、経過、われわれの考え方の変化というものは、ただいま申し上げましたような実情でございます。
  49. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、六万七千五百名の国公私立あるいは短大の分類の関係は、どういうふうになりますか。
  50. 村山松雄

    村山説明員 六万七千五百人を四十年度二万七千、四十一年に四万五百振り分け、これを国公私立の割り振りで申し上げますと、四十年度二万七千の内訳といたしましては、国立大学四千、短大四百、計四千四百、それから公立の大学が千二百、短期大学が四百、それから私立の場合は、大学、短大おのおの約二万五百人、計二万七千名でございます。それから四十一年度分につきましては、これは先のことでございますが、一応国立大学は短大を含めまして六千六百、それから公立大学は短大を含めまして二千四百、それから私立大学は短大を含めまして三万一千五百、計四万五百、四十年、四十一年を合わせまして六万七千五百という見込みを立てまして、そのうち四十年度の実績は、国立大学につきましては、短大を含めまして三千三百九十四名、それから公立大学が四百七十名、それから私立大学が一万五千百二十名、計一万八千九百八十四名というものが現在学部、学科の設置等が確定をいたしておりまして、概数といたしましては二万人弱となりまして、見込みに対しましては八千人ばかり下回ったという数字になっております。
  51. 村山喜一

    村山(喜)委員 いま承りますと、すでにこれでも少ないのではないかと思われる六万七千五百人の計画が、実際はもっと下回った、こういうことになっているようでございます。そこで、この際ことしの予算書を見てみますと、公立学校の場合、二十一府県十一市に公立学校が現在あるわけでありますが、これに対する設備費補助なり、あるいは地方交付税の対象としての積算基礎、あるいは起債というようなものを調べてみますと、四十年度においてはわずか十億円の施設の起債しか認めていない、他の設備費の補助なり、あるいは地方交付税の対象として積算基礎の中に明確に入れ込んでおくというようなことが、どの程度進行をしているか、この点を考えてまいりますと、今度公立で千二百名、それに短大が四百名という計画の内容が、実際は四百七十名しか実現ができなかったということは、それだけ急増計画といいますか、大学の整備計画というものが、公立についてはほとんどされていたいところに原因があるのではないかと思うのでありますが、これに対する自治省なりあるいは大蔵省との話し合いというものは、どの程度になされてこういうような計画が立てられたのか、この点について説明をお伺いしておきたい。
  52. 村山松雄

    村山説明員 公立大学につきましては、数年前までは国としては何ら助成の措置をとっておりませんでした。三年前から文部省で理工系の設備費に対する助成金の予算措置をいたしました。四十年度は、これが前年対比約四割増額されまして、七千万円を計上いたしております。それからそのほかに、公立大学側からは、建物のための起債、それから地方交付税における特別ワクの設定ということにつきまして、文部省においても自治省に対する折衝をしてほしいという御要望がございましたので、四十年度予算編成に際しまして極力折衝をいたしました結果、学生増募分に対する起債のワクとして、十億円が今回初めて認められることになりました。交付税の特別ワク設定につきましては、まだ検討事項として、実現を見ておりません。
  53. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣もお聞きのとおり、こういう形の中で、急増対策といいますか、増募計画というものがきわめて行き悩んでおるこの事実の中から、大学の増募計画なり充実計画というものは、文部省の計画しておるものが計画よりも下回る、来年においてこれを是正するという大臣の決意でありますけれども、はたしてそのとおりうまくいくかどうか、きわめて重大な問題である。また私立学校の調査会をおつくりになりまして結論をお出しになりましても、これも実現の可能性という問題については、きわめて暗いと私たちは見ている。しかもそれは三年からということですから、来年のピーク時には間に合わないという事態も招来する。こういうことになってまいりますると、中間答申を求めるのだというようなお話もお聞きするのでありますが、一体この急増計画に対して、大臣は今後どのような決意でおやりになるかということを、この際もう一回はっきり確かめておきたい。
  54. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず、国立の問題につきましては、今回もずいぶん努力を傾注いたしまして、まだまだ足りませんことは先ほど申し上げたとおりでございますが、近来としては画期的な拡充をはかったつもりでありますが、これは四十一年度におきましては、私どもの希望しておりますかねての計画によって、国立大学の拡充はぜひはかりたい。これは直接に政府の責任であると考えております。それから公立大学の問題については、ただいまもお話しがございましたが、実にむずかしい点がございます。各地方公共団体等の協力を得なければなりませんし、地方財政計画の問題にもなりますが、しかし、これも国の関係するところが非常に多いわけでございますから、これも大いに努力を払ってまいりますれば、大体軌道に乗っていくのではないかと思います。やはり一番大きな問題は、私学の問題であると思います。この私学の問題については、前々にも申し上げておりますように、四十年度、四十一年度は非常に志願者がふえるということは、常識的な、だれしもが認めておることでありますから、従来のような状態であれば、私学の増募計画とか新設、増設の計画も、相当出てしかるべき状態でありますけれども、しかし、現在のいろいろの状況から見、ことに教授陣容がなかなか得がたい、あるいは経済的にも非常に困難な度合いが加わってくるということで、四十年度の申請の度合いも予期したよりは多くは出てまいらなかったというような経験にも徴しまして、私学の増強ということは一大問題である、よほどこれは大決心をして、内閣といたしましても、来年度の主要な政策の根本の一つとして取り上げていかなければならないと思います。これについては、いまさら申し上げるまでもございませんが、先般の慶応義塾のいろいろの問題等にもかんがみまして、拡充するからといって、学生の負担が現在以上にふえ、父兄の負担がふえるということでは、ますます国立あるいは公立との間の格差が開きますので、そういう点からいいますと、たとえば寄付の問題、税金の問題、あるいは旧債の高利のものの借りかえ、そういうような各般にわたっての措置をしなければならない。これには私は、調査会というものにも非常な期待を持っておりますが、やはり国民的な関心を集めて、そうして私学の助成ということについては、もうほんとうに徹底した発想と、それに伴う施策を講じなければならない。これに対しましては、私は、内閣全体としてもほんとうに取り組んでまいらなければならぬ問題であると思いますし、そういう方向にぜひ私としても持ってまいりたいと考えておるわけであります。
  55. 村山喜一

    村山(喜)委員 ただいまの大臣の発言の方向で御努力を願いたいと思うのでございますが、私、この際お尋ねいたしたいのは、いわゆる高等専門学校、国立高等工業専門学校ですが、今回の予算の中におきましても、七校の新設をやるということになっておるわけであります。これは大学設置基準に基づく大学ではもちろんないわけでございますが、スクーリングは大学と同じ内容である。しかしながら、大学卒業資格はない。そういうような学制上の欠陥というものが、教育の袋小路に置かれているというようなことで、今回国立学校設置法の改正の中においても、工業教員養成の制度については、大学に進学の道を開くようにされるというふうに承るのであります。そこで、ことしの募集状況、応募状況等を見てまいりますと、これはもうすでに高専の危機が内外ともに訪れているのではないかと私は見るのであります。といいまするのは、東京の場合等は、応募者が少ない、募集定員に満たないということで、文部省なりあるいは都の教育委員会が血眼になりまして、この間のかり出し運動をやる。そういうようなかっこうの中で、ようやく募集定員を満たすというような状況があらわれてきている。これは池田内閣のいわゆる所得倍増政策に伴って、この高専制度というものがわれわれの反対を押し切って生まれた。現実は、その当時においても指摘をしておりましたように、こういうような中途はんぱなものはみんながついてこない。きわめて盲腸的な存在になるであろうという発言を私たちはいたしておったのでありますが、まあ高専にも合格し、高等学校に合格した者は、高専には入らないで、高等学校に入っていく、こういうような状況の中から、しかもこの学制制度としまして、当時まだ未確定要素でありました短大の恒久化というものが、法律改正によりましてその後確定をした。そういうような事例が生まれてまいりました。そこで私は、この際、この高専の位置づけという問題は、国立学校には間違いないのでございますが、大学の増募計画の中にももちろん入りませんし、そういうような一般の応募者もきわめて低下をしつつあるという現状、そのような状況の中から、まだ卒業生も一回も出ないのに、もうすでにそのような現象が教育の内外にわたりまして出てきている。こういうような状況を考えてまいりますと、これもやはり根本的に考え直しをしなければならない段階に来ているのではないかと思うのでありますが、この点につきましては、どういうふうにお考えになっているのか。特に今後大学急増計画といいますか、増募計画というものを進めていく場合において、高専制度というものをどのように位置づけなりを考えておられるのか、これについての説明を承りたいのであります。  時間の関係もありますので、できるだけ進みたいと思いますが、今回、教職員数は、国立学校において三千三百三十四人の新規増員だ。それに比べまして、もちろんいまの七つの高専の教官定数も入りますけれども、学生としてその新制大学に増募した者は三千三百九十四名、こういうことになってまいりますと、教官、教職員の定数に比べて、いかにも学生の増募数というものが少な過ぎるのではないかという印象を、これは率直に受けるのであります。大体この数からいくならば、教官の定数と学生の数と同じくらいの割合でふえていく、こういうような傾向のものが、国民にはどうも納得できないと思うのでありますが、いわゆる増募の新制大学、短大、あるいは高専、こういうようなものの増設等に伴いまする教官の数と学生の数とを比較検討しまして、どのような説明ができるのか、これについての説明は、事務当局のほうから承っておきたいと思います。
  56. 村山松雄

    村山説明員 事実関係を先に御説明申し上げたいと思います。  まず、高等専門学校の入学志願の状況でございますが、最初の年度であります三十七年度は、定員に対しまして十七倍半の志願率でございます。それから三十八年度が十三・三倍、それから三十九年度が八・七倍、それから四十年度が六・四倍ということになっています。志願倍率はだんだん減っておりますが、絶対数につきましては、三十七年が約二万六千、それから三十八年が三万九千、三十九年が同じく三万九千弱、それから四十年度が三万四千三百というぐあいに、四十年度につきましては、絶対数もやや減っております。しかし、入学志願の倍率がなお六・四倍であるということは、大学や短期大学に比べましても、なお高率でございます。最初の年度にたいへん高率でありましたのは、これは高等学校の試験を受けるのに腕だめし的な試験を受ける者が多かった。いわば高専にほんとうに入る気がないのに、ひやかし的に受ける者が多かったために、見かけの倍率がたいへん上がってまいったので、そのために合格後、入学取り消しというようなことがありまして、生徒の確保上かなり問題がございましたので、教育委員会、中学校等を通じまして、腕だめし的な受験は避けてほしい、ほんとうに高専に進みたい者にしぼって進路指動をするようにお願いしました結果、志願の傾向が堅実になったということが言えるのではないかと思っておりまして、現在なお六・四倍の倍率があるということは、むしろ志願が堅実になった。必ずしも高専の魅力が少なくなってきたということではないというぐあいに、私どもとしては判断いたしております。  それから第二点の、大学の学生増募と教官、教職員の定員の関係でございますが、四十年度の教官定員増の三千名余は、四十年度増募分の三千三百九十四名のみに対応するものではございませんので、これは大学の学部、学科等を新設いたしますと、それに伴う教職員は、四年制の大学でございますと、四年間の年次計画で学年進行という形で増員をしてまいります。したがいまして、四十年度につきましては、三十九年以前に設置いたしました学部、学科等の必要な教職員の増員の学年進行分が含まれておるわけでございます。それからまた増員の中には、必ずしも学生増募に関係のない付置研究所、あるいは病院、それから学部につきましても、学問の進歩に伴う純然たる講座各科目の増設等も含まれておるわけでございまして、四十年度増員の三千三百九十四名に対しましては、大学設置基準を基礎といたしまして、若干それを上回る程度におきまして、大蔵省との間に学科をつくるような場合には、定員を何名にするかという慣行がございます。その慣行に従う初年度分が計上をされておるわけでありまして、三千三百名に直接対応する分としては、約二百六十名でございます。
  57. 村山喜一

    村山(喜)委員 付置研究所や付属病院を言われたのですが、それは付置研究所で二百七十三名、付属病院で四百二十四名ですか、そういう新規の増員分が別にあるわけであります。だから、三千三百三十四名の内訳ではないわけですから、その点は間違いでありますので指摘をしておきますけれども、三千三百九十四名に対するものとして、二百六十名の教官定員、じゃあとは学年進行の分が幾ら、何が幾らという内訳を、やはりこれだけの三千三百三十四名の教官定数の増、あるいは付属病院の四百二十四名、付置研究所の二百七十三名、こういうような相当大幅な職員数の増というものを提案される以上は、それに対する内訳表的なものをこの委員会提出をされて説明されるのが、私は順当だと思うのであります。といいまするのは、各省設置法をこうして検討いたしてみますると、たとえば自治省のごときは、一名の定員減であります。一名の定員減であるにもかかわらず、一つ法案改正案として、大臣が出てきて説明をする、こういうような取り扱いをしている。国立学校の教職員の数については、新規の増減の数を調べてみると、四千百三十一名という国立学校関係の職員の増があるわけです。あるとするならば、それの内訳表をどういうようなふうにして、それはどのような形の中でこれだけの必要な人員が要求されているんだという説明資料くらいは、この委員会に配付されて審議を願うというのが、私はたてまえではなかろうかと思うのでありますが、それをお出しになる御用意がございますか、どうですか。
  58. 村山松雄

    村山説明員 整えまして提出いたしたいと思います。
  59. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、四十年度の新規の大学設置審議会あるいは私立大学審議会の審議によりまして、公立が一、私立大学六の大学院の新設が認められて、四十年度の新制大学が三百十七校、短大が三百六十九校、大学院を持つ大学が百三十一校ということになるという説明がなされているのでありますが、この大学設置審議会なりあるいは私立大学審議会の審議の結果、大学の新しい設置等がきめられていく、あるいは今回埼玉大学の教養学部の四年制のコースが設けられて、大学設置審議会でカリキュラムの編成についての承諾がなされているようでありますが、この場合の文理学部の改組、四大学部の改組が伝えられておりますけれども、これらの内容につきまして、大学の設置基準の改定という問題が最近きわめてやかましい問題として取り上げられているようであります。これらの内容につきまして、事こまかに触れてまいりますことは、文教委員会もありまするので、避けたいとは思いまするが、大臣としては、この大学の設置基準の改定について、どういう方向をおとりになろうとしているのか、その点についてだけ、方向づけだけでけっこうでございますので、この際説明を願っておきたいのであります。といいまするのは、一般教養の三十六単位を二十四単位に減らして、そして基礎教育の十二単位をこれを専門教育に振りかえることができるようにしようというような考え方が、片一方にあるようでございます。そしてそれに対しては、旧帝大の全国の七つの大学の教養部長会議等において、新制大学の理念を失うものだという意味における反対がなされておる。そういうような方向が片一方においてなされておるにもかかわらず、多数意見としては、大学の設置基準の基準省令をかの方向に向けて、今月の末には新しい基準案が作成をされるというやに聞くのであります。それはやはり社会に出てからすぐ役立つ人材の養成という方向で、この大学の基準の問題が考慮されつつある。片一方国立大学の文理学部を改組する一環の中で取り上げられました埼玉大学のごときは、四年制の教養学部をつくっていくのだ、こういうような、一見いたしますところ矛盾するといいますか、考え方が混乱をしているのではないかと思われるような方針が、とられているように受け取るのでありますが、これらの大学設置基準の改定の問題に対しまして、大臣としてはどういうような方向で考えておられるのか。今後、大学の急増対策の問題、大学設置目的の問題等に関します重大な問題でございますので、大臣からお答えを願っておきたいのであります。
  60. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 大学設置基準の改定ということにつきましては、昭和三十八年の九月以降、文部省としても諮問をいたしまして、学界その他権威者の方々の御意見を求めておるわけでございます。これは早ければ、今月の末か来月早々になりましてから、こうした調査会の御意見というものが一応答申されると思うのでありますが、これはただいまもお話がございましたように、その経過においてはいろいろの御意見が出ているようでございます私といたしましては、この答申がまとまって出ましてから、これは当局として諮問をしたものでございますが、なるべくその答申を尊重いたしまして、今後これを実施に移してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。同時また、私見を申しますと、必ずしも画一的に取り上げていくことがいいかどうかということは多少問題ではなかろうかと思いますので、十分いろいろの意見を取り入れてまいりたい。すでにそういうふうなことがあるのに、たとえば文理大の改組等については実施を提案しているではないかという御説でございますが、これはそれぞれの大学のできましてからあとの状況や、あるいは地元その他の御要望や、あるいはまた大学側の自由的な希望とかいうようなことを十分取り上げまして、したがって必ずしも画一的な結果でないわけでございますが、それぞれにできるだけ特性を発揮した改組をやりたい、こういうことで実施に移しつつあるわけでございます。  先ほども国立高専の問題についても御意見がございまして、十分に私も拝聴をいたしたわけでございますが、やはり将来の問題といたしますと、学校の制度自身についても、いわゆる単線形でなくて複線形のバラエティーのあるような学校制度というものを、もう少し前向きに取り上げることもいいのではなかろうか、私見としてはそういったふうな考え方も、ひとつ十分に関係の方々に御意見を伺い、またいろいろと討議を進めていきたい。将来の問題としては、そういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 村山喜一

    村山(喜)委員 高専の問題は、これはやはり学校の教育体系というものを複線化する方向で、目的はそれではなかったのですが、教育の袋小路という形で生まれておりますので、学校制度それ自体の欠陥があると、私たちはいまでも思っておるのであります。そういうようなことから、同じようなスクーリーングを受けながらも大学卒業の資格が得られないというところに、一つの青少年の希望が失われているわけであります。現実に実社会に出ましてから、はたしてそれだけの待遇を、短大卒業と同じような待遇を受けるのかどうかという問題もありましょうし、それから国立や公立の場合には、国の資金なりあるいは府県のそういうような公費によって運営をされまするので、何とかやっていけるとは思うのでありますが、私立のごときは、せっかく開設をしてもとてもやっていけないので、これはもうやめにして、短大なりあるいは新制大学に切りかえていくのだという方向をとらない限り、一般国民からそっぽを向かれつつある現実の姿が生まれてきているわけです。それはなるほど全国的に見ましたら、親の所得の少ないようなところにおいては、安上がりの教育になりますので、希望者が殺到をします、しかしながら、学校施設が十分に行き渡っているようなところにおいては、希望者が集まらない。こういうようなのは、やはり将来の伸びがない、大学の教育というその資格が得られない、こういうようなところにあるし、実社会に出てからも、それだけ高く評価されるかどうかについては、まだ危惧しなければならないという状態があるわけですから、少なくとも私は、教育の袋小路に置かれている現状だけは解決できるような方向で、今回工業教育の養成所については、その袋小路を打ち破ることを提案をされているわけですので、この点については御研究をお願い申し上げておきたいと思うのであります。  それから、先ほどの大学の設置基準の問題については、これはやはり大臣お話しになっておりまするように、もう全国一律の画一的なもので律していく、省令化してそれで固定化していくというような方向だけは、これはぜひおとりにならないように要望申し上げておきたいと思うのであります。それは、大学の教育という内容を考えてまいりますと、新制大学が生まれてまいりましてから、今日においては、新しい職業界に育っていくような、ジャーナリストのような人たちも、これはやはり広い一般的な教養というものを持って出ていくような形のものが必要になってきている。そういうようなところから、ゼネラリストの要請にこたえて、埼玉大学の四年制の教養学部というようなものが生まれて、現在東大等にもあるわけですが、そういうような形のものが時代の必要性に応じてあるわけですから、専門教科だけを強化していくような形の中で、一般教養というものが、高等学校教育の内容と重複をするというようなことが簡単に押えられてしまうということになりますると、これはきわめて重大な問題であろうと思うのでありまして、大臣がおっしゃるように、そこらあたりは、大学の自主性というものが尊重できるような形の中で、設置基準の問題は御検討をお願い申し上げておきたいと思います。  それから、この法案提案をされております南極地域観測統合推進本部の定員、これは二十一名であるそうでありますが、越冬隊の隊員の選出につきまして、世上いろいろとうわさされている点がございます。この越冬隊員十八名を選ぶのにあたって、一つの大学に固定化しているのではないか。そしてこれが、その人選そのものが、だれが選ぶのかはわからないけれども、先輩、後輩という、そういうつながりだけで選ばれ過ぎているのではないか、こういうようなことを関係者の中からいわれるのでありますが、これの選出にあたりましては、だれが責任を持ってそういうような人員の選出をおやりになっているのか、これについての説明を願っておきたいのであります。  それと、今回は提案の説明の中には入っおりませんが、この増員一覧表を見ますると、国立教育研究所の七十三名の定員に対しまして、さらに七名の増加定員をお考えになっているやに見るのであります。なぜ七名を国立教育研究所はさらに追加増員として必要であるのかということについての説明を、あわせてお願いをしたいのであります。
  62. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 観測隊員の問題でございますが、これは御案内と思いますけれども、従来から日本学術会議にその適任者の推薦を御依頼いたしておるわけでございます。そうして日本学術会議から推薦がございました方々につきまして、南極地域観測統合推進本部というのがかねてできておりまして、これは文部大臣が本部長を仰せつかっておるわけでございますが、政府として、本部として、さらに慎重に、心身の適正とか、能力とか、過去の実績とかいうことを尊重いたしまして検討いたしましたわけでございまして、今回の再開の第一次、すなわち、第七次の観測につきましては、四月中に最終決定をいたしたいと考えておるわけでございます。これは七月十五日に今度の船が完成いたしまして、十一月に出発するわけでございますが、相当前もってのいろいろな研究や用意も必要と思いますので、四月中にはぜひ決定いたしたいと考えておりますが、ただいまお述べになりましたような趣旨も、十分考慮に入れて適任者を選びたいと考えておる次第でございます。
  63. 清水成之

    ○清水説明員 国立教育研究所の増員七名でございますが、研究調査体制を国立研究所につきまして整備をいたしたい。具体的に申し上げますと、研究部門を二部門増設いたし、それから研究室を三室増設いたしたい、こういうことから七名をお願いした次第でございます。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 その国立教育研究所の実際の運営状況の問題は、いろいろ世評まあ意見を申し述べる人たちも多いわけでありますが、もう少しどういうような内容のものを研究をするのか、説明願いたいと思います。  それからこの際、国立学校設置法等の一部を改正する法律案の審議の中で、一番問題として論議されておると思うのでありますが、今度宮城教育大学を独立させるということになっているわけであります。これはいままで東北大学の一学部であったものが独立をする。現在敷地も選定中であるというようなことでございますが、この宮城教育大学を設置するということは、教員養成の基本問題とは別なものであるかどうかということだけは明確にしておきませんと、きわめて重大な問題でもございますので、このような単科大学みたいなような形の中で教員の養成というものが進められるという一つのきっかけが、この中から、設置法の中から生まれてくるということになりますと、きわめてわれわれとしては心外でございますので、この独立に伴う問題に対しまする大臣の見解も、説明を願っておきたいのであります。
  65. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず国立教育研究所につきましては、ただいま課長から御説明を申し上げましたとおりでございまして、たとえば最近におきましては、いわゆる比較教育学と申しましょうか、そういう点の研究が各国ともに進んでおりますので、そういう研究をさらに推進拡充いたしたい、かような考え方でおるわけでございまして、実はもっと大規模に拡充したいというような意欲も持ったわけでございますが、諸般の関係上、四十年度においては七名の増員ということに一応とどめまして、御審議をお願いしておるわけでございます。  それから宮城教育大学につきましては、これも御承知のとおりでございまして、占領中新制大学に切りかえられました当時の状況から見ましても、宮城県におきましては、東北帝国大学がございましたけれども、他の府県に帝国大学がありましたところは、すでに独立の単科大学として新制に切りかえられましたときに独立の教員養成のための国立の単科大学が設置されておるわけでございますが、それらとの関係から見ましても、その後の実情から申しまして、県内の教員の供給というようなことについては、十分の目的を達することはできませんでしたので、やはりこれは他のところと同様に、教員の養成のために新設の大学をつくるほうがよろしい。これは地元における多年の要望でもございましたので、この際、これを東北大学から分離いたしまして、期待どおり教員養成の課程を充実をして、教員の供給とその十分な教育に当たりたい、かような考え方で御審議をお願いしているわけでございます。
  66. 村山喜一

    村山(喜)委員 地元からの要望があったという点は、私も理解をしておる。そうしてその必要性といいますか、教職員を得ることが困難であるということも聞いておるのでありますが、問題は、散見されるわけでありますけれども、全国各地にも、学芸大学とか、あるいは教育学部ではなくて、一つの単科大学みたいな教員養成制度があります。それと総合大学の中の教育学部あるいは学芸学部、そういうような編成、これが大部分でありますが、この教員養成の制度についてはきわめてわれわれは関心を持っておるのでありますが、今後こういう形の中で宮城教育大学が生まれるということになりますと、これが一つの突破口になって、こういうような既成事実があるじゃないかという形で教員養成制度の問題が改悪の方向に一路邁進をするということになりますと、にわかに賛成をするわけにはまいらないのでありますが、これと私が先ほど申し上げておりますようなものとの間には、養成制度との間に直接的な関係があるということになりますと、たいへんな問題でありますので、ないんだということで私は確認をしたいと思うのでありますが、その点をはっきり大臣から御説明願っておきたいと思います。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御趣旨のとおりに考えておる次第でございます。
  68. 村山喜一

    村山(喜)委員 文部省設置法関係と直接的な関係はないわけでありますが、やはり設置法の中で特殊法人に対する大臣の監督権というものがあるわけでありますので、この際オリンピック記念青少年総合センターの考え方といいますか、これの運営に伴う問題についてどのようにお考えになっているのかということを、一言説明を願っておきたいのであります。と申しますのは、ワシントンハイツに今回記念総合センターが生まれるわけでありますが、承りますと、十五棟のうちの九棟だけは文部省が所管をして、そして青少年の総合的な教育面等に充てるということになっておるわけでありますが、しかしながら、六棟は国税庁が五カ年の間国有財産として使う。片一方の建物の中には青少年の教育センターが生まれ、片一方のほうにはいわゆる税を取るために全国各地の税務署から選出をしましたベテランの人たちを片一方のむねの中に入れ、そして東京、大阪の税の重点徴収を強化するという方向でやるということになりますと、これはまことご教育的な環境としてはそぐわないような形になると私は受け取るのでありますが、ここらあたり話し合いは、閣議あたりでどのような受け取りをなされたのか、この点について説明を願っておきたいのであります。  それから、今度一億二千万円の改修を行なって運営をされるわけでありますが、修学旅行で各地から東京のほうにやってまいります。最近は修学旅行費もだいぶ高くなりました。そういうことから、千五百名くらいの収容ができるということになりますと、これを活用して父母の負担の解消という問題に結びつけて、しかも教育的な環境地帯になるわけでありますから、これの活用をはかっていくことになるであろうと思うのでありますが、そうなってまいりますと、一方今度は、いままでそういう修学旅行生等を受け入れておりましそのた付近の旅館街といいますか、このあたりからの苦情というような問題も出てくるであろうと思うのでありますが、今後やはりこの問題についてはきわめて重大な内容を含んでおりますので、それの監督行政の任に当たります文部大臣としては、どういう方向でこの問題を今後において処理しようとお考えになっておるのか、この点について承りたいのであります。  なお、農林省あたりにも、青少年のための研修というようなものも計画されておるやに聞くのでありますが、他の省との青少年研修についてのふり合いというようなものは、どの程度において協議されておるのか。これも農林省、建設省との関係もありますので、この際お伺いしておきたいのであります。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まずオリンピックの選手村の問題でございますが、これはただいま御指摘のように、鉄筋コンクリートの建物が十六棟ございます。そのうち十棟を青少年総合センターに出資してもらうということになりまして、法案としても御審議を願っておるわけでございます。実は、これは国有財産として大蔵省の管理下にあるものでありまして、私どもとしては、できるだけ当初から十六棟全部を青少年のための総合センターとして使いたいという気持ちを持っておりますことは、これは御理解いただけると思うのでございますが、政府のいろいろな都合から、六棟はさしあたり留保されまして、大蔵省の主として国税局の地方支分部局の職員の長期研修のために在京する期間の宿舎の用に供されることに大蔵省のほうで考えておるようでございまして、さしあたり十棟の保管がえといいますか、まず文部省に保管をかえまして、そうしてこれを文部省を経由いたしまして、総合センターの法律が制定されましたら、ひとつこれに出資をすることになっております。残りの分につきましても、できるだけ早く追加出資をしてもらいたい、かように考えておるわけでございます。  次に利用の方法でございますが、たとえば個人として単独に宿泊し、研修するというようなことは予想いたしておりませんので、ただいまおあげになりましたような修学旅行の場合とか、あるいは庁少年らしい団体的な訓練、研修等に充てられるような企画を全部やってまいりたい、そのために特殊法人をつくっていただきたいと思っておりますが、その管理機構などはできるだけ簡素なものにいたしまして、十分文部省としては責任を持って監督、企画をやってまいりたいと思っております。そういう趣旨でございますから、これは何も文部省だけの独占的な気持ちではなくて、どこの省でも、あるいはほかの企画でございましても、この施設を使うのに適するものであるという場合におきましては、できるだけこれはオープンに皆さんで活用していただくようにいたしたいと思います。ただ、そういう点から申しますと、おそらく希望が非常に多いと思いますので、実際、利用を希望されましても、何がしかの標準をきちんといたしまして振り分けなければならない場合もあろうかと思います。しかし、そういう場合におきましても、いま申しましたような気持ちで十分趣旨が徹底するようにいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  70. 村山喜一

    村山(喜)委員 先般私が質問を申し上げましたのも、国立社会教育研修所の研修に集まる人たちは、松戸寮に収容をすることが可能だというようなことでございましたが、これは二十八人しか収容ができない。そうなってまいりますと、私は、私見として社会教育局長に申し上げたのですが、ここにオリンピック記念青少年総合センターができたら、青少年教育のために、それらの人たちが、あるいは社会教育のために集まるんだから、こういうようなセンターを利用するような方向というものを考えたらどうですかと申し上げたのですが、やはり松戸寮というものがあるのでそちらを主体として考えていきたいというようなことでございましたけれども、収容の点、あるいは交通の便その他から考えまして、こういうようなものも活用するという方向で検討されたらいかがであろうかと思うのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  71. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それもまことにごもっともなんでありますけれども、直接なるべく多数の集団的な、若い、あるいは幼い人たちの直接の利用に供するのが、この総合センターの趣旨ではなかろうか。さような場合におきまして、松戸に若干の施設がございますから、それをまず利用し、足らざる場合、あるいはより大きな目的のためには、私は総合センターを活用することを考えて一向差しつかえない、かように考えております。
  72. 村山喜一

    村山(喜)委員 もう私の質問はこれで終わりますが、先ほど当局のほうからも資料としてお出しを願うという約束をいただきました。学年進行に伴う教官の増員、あるいは生徒の増募に伴う増員、あるいはその他研究関係の充実とかというようなのに振り向けられる教職員の問題、こういうようなもの、しかもそれは教員、教官だけではなくて、事務職員も入っておると思いますので、それらの内訳表等をお出しを願いたい。  なお、この際、それらの大学の機能の問題にも関係があるわけでありますが、増員計画ということになりますと、にわかに教授、助教授の人を得るのがなかなかむずかしい段階にあろうと思うのでありますが、それらの教官の確保のしかたというようなものが、現在文部教官等についての充当については、九〇%ぐらいしか充当されていないやに承るのでありますが、大学の教育の充実、研究の充実という立場から考えまして、教官の確保という問題については、大臣に格例の御努力を願わななければならないと思いますので、この点については要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  73. 河本敏夫

  74. 受田新吉

    受田委員 文部省設置法改正案につきまして、特に、法案自体に対する質問のポイント二点と、これに関係する問題点一、二点を取り上げてお尋ねをしたいと思います。  定員の問題は一応遠慮することとして、今度の改正案のポイントの一つである国立社会教育研修所の新設の問題です。これは国立であって、地方の機関に類似のものを考えるという含みが将来あるのかどうか。たとえば府県で社会教育研修センターみたいなものをつくりたい、こういう要望のある場合に、何らかの形で国庫補助金を出して、これを促進するというような将来への期待を持って国立をおつくりになるのかどうか、お答え願いたいのです。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 国立社会教育研修所を新たに設置していただきたいと考えておりますことは、直接にはこれによって地方に同種のものをつくっていただきたいということに必ずしもつながっておりませんけれども、地方につきましても、現に理科の教育センターというものに対する補助もいたしております。これは理科教育だけでなく、一般の教育にも広げてしかるべきであるという考え方で、現に補助の対象をそういうふうに範囲を広げておりますので、別個と申してはまた言い過ぎかもしれませんけれども、関連してそういうことが今後さらに積極的になるということは、望ましいことであると考えます。
  76. 受田新吉

    受田委員 教育の中央集権化というそしりも一応出てきますので、国立のこうした研修所をつくることになれば、当然府県にもこれに伴った施設が設けられてしかるべきであると思います。これは教員の研修機関においても、同様でございます。私としては、その意味において国だけを考えないで、地方もあわせて考えるという方針大臣が十分検討をしていただきたい。要望を申し上げておきます。  そこで、国立の社会教育研修所をおつくりになろうとしている、わざわざ国立とうたってスタートさせようとしている理由はここに書いてあるのでございますけれども、現実に公民館にいたしましても、地方におきましては、公民館の新設に百万円くらいですか、わずかな助成をしておるにすぎないので、できているところもあればできぬところもある。村山委員から先般お尋ねもあったように、社会教育主事を置いているところもあれば置いてないところもある。公民館も同様でございます。そのように金がなければ大事な社会教育ができていないというような不公平が、現実に国のすみずみに行なわれているわけです。これをどうお考えになりましょうか。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点においてはまさに地方との関係が非常に密接なわけでございまして、現に公民館のお尋ねもございましたが、これは従来百万円程度の補助でありましたのを、倍額ぐらいには広げ得るように、今回の予選措置ではしておるはずでございます。それからこの提案の理由にも御説明いたしましたように、公民館はもちろんでございますが、図書館にいたしましても、あるいは青年の家にしましても、あるいは青年学級、婦人学級といったようなところも、先般、村山委員の御質疑にもお答えいたしましたが、地元の要望といいますか、自主的な研究意欲にこたえたい。ところがいろいろの、たとえば指導者、講師などの要請がありましても、十分にいままでこたえ得られていなかった、こういうことを今回の研修所におきましては十分とらえて、そういう御要望にも応じてまいりたい、こういうふうに考えての発想でありますから、受田委員のお考えと同じような線で考えているもの、私はこういうふうに思っておるのでございますが、なお一そういう点については配慮をしてまいりたいと思います。
  78. 受田新吉

    受田委員 この社会教育という問題は、教育の機関としては核心に触れない、ばくとしておる、こういう欠点があるわけです。それは昨年の暮れでしたか、教育水準に関する教育白書を文相は閣議に何か報告されたことがあるようですね。その中にも、社会教育部面は国際比較などでもなかなかむずかしいというので、この点については、実際問題として触れてないというようなそしりがある。この点は、社会教育、学校教育、家庭教育の総合的な効果によって、国民の教育水準を高め、資質を向上するというねらいからいったら、たいへん問題があると思うのです。したがって、こういう研修所を設けるということは、趣旨としては私賛成です。しかし、この扱い方は、ばくとした社会教育の実態を握って効果をあらしめるというのについては、運用の面について非常に心を使わなければならない。たとえばそこに集まる研修者の選定にしましても、一方に偏しないように、政治的にも中正が保たれて、そして各部門から公平な人材が吸収されるように、回を重ねることによって、できるだけ国のすみずみにこの研修を受けた人々が普及できるように、またそこに集まる研修の担当者である講師等につきましても、常にそういう配慮を脳裏にかすめさせながら任命していく、こういうことが要ると思うのです。いま指摘しました点についての御所見を伺います。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この研修所につきましては、私も同様に考えているわけでございまして、たとえば、まずこの研修所の運営については、町長とか職員だけの主観において運営されることは望ましくございませんので、特に評議集会というものを設けまして、評議員会の議も十分に伺って、公正な運営ができるようにいたしたい。それから受講者といいますか、研修に当たるような人の選び方はもちろんでありますし、その先生や講師の選び方等につきましても、十分この評議員会というようなところの意見を徴して、公正、中立にやっていきたいと考えております。それから運営の計画の形式的な面で申しますと、たとえば六カ月のコースとか三カ月のコースとか一カ月のコースとかいうように、コースもいろいろバラエティーをつけまして、期間にも長短を置いて、そうして受講者の希望あるいはいろいろな都合なども十分に参酌いたしまして、適当な人に適当なコースに入って勉強してもらうというようにいたしたい、かように考えているわけであります。
  80. 受田新吉

    受田委員 この国立社会研究所のスタートが、すぐ四月一日からこのとおりやることになります。この研修所の責任者というようなものを予定してあるわけですか。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは七月一日開設ということで予算上の措置を講じておりますので、ちょっとまだ間がございますので、具体的な人選には入っておりません。
  82. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、この教育に関係してお尋ねしておきたいのでございますが、文部省は教育の機会均等を憲法で提唱されていることに対して、具体的に学校教育法というものの現状を、一応現段階では、これで差しつかえないという程度にお考えになっておるかどうか。学校教育法に改正すべき点があるとするならば、どこであるかという目標をお示し願いたいのです。
  83. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は、実は学校教育法につきましても、十分に検討いたしたいと考えておるわけでございます。たとえば、一例を申しますと、いわゆる各種学校の位置づけというようなこと、これは学校教育法との関係はいまございませんわけですが、そういったような点は、一つの新たに考究すべき対象である、かように考えておるわけでございまして、さような点が一例でございますが、学校教育法の将来の改正問題ということは、考えなければなるまいと思います。
  84. 受田新吉

    受田委員 幼児教育のために幼稚園があります。これが学校教育の系列の中に入るわけです。ところが、最近国際的に満六歳以上の幼児に対しての教育を一そう徹底させようという動きがあるわけでございますが、幼稚園教育というものを将来義務教育の中に入れようという構想があるかないか。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは端的に申しますと、いままだ用意はないのでございます。義務制にする用意はいまのところございませんけれども、将来のビジョンとしては、考えなければならない一つの問題であると思います。私の現在の姿勢といたしましては、前大臣も非常にこの点については熱心でおられましたので、その計画をそのまま踏襲し、かつそれを推進いたしたい。これはもう受田委員もよく御承知のとおり、幼稚園教育振興計画というものを三十九年に立案されまして、人口一万人以上の市町村における幼稚園の就園率というものを六割以上にしたい。そうしますと、とりあえずのことでございますが、託児所と合わせまして、ほぼここ数年間のうちには幼稚園あるいは託児所にみんなが学べることになる。まずこれを推進してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  86. 受田新吉

    受田委員 私は、教育の機会均等という憲法の要請にこたえるために、一部の人が幼稚園に行く、一部の人が行けない、金のある者が行けて金のない者は行けない、ひまのある者は行けてひまのない者は行けないというような制度をいまとっておるわけです。いま一応設置水準などもお考えになっておられますけれども、現実にしあわせな家庭の子供しか行けないので、仕事に追われる家庭の子供はよう行っていない。これは保育所も同様です。これをひとつ是正して、子供に機会均等の教育をさせるためには、やはり幼稚園というものは、たとえば五歳から一年間幼児教育を義務教育にして、国があらゆる便宜をはかるという方法でないと、いまの幼児教育は、金があってどんどん出して、ぜいたくな子供が生まれてきて、これは思想的に悪いのですよ。その点をどうお考えですか。
  87. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点については私もたいへん気にしておる点でございまして、これは先ほど申しましたように、とりあえずいまこういったような計画を推進しながら、別に十分前向きに検討してまいりたいと思っております。
  88. 受田新吉

    受田委員 さらに中等教育の後期、義務教育課程を終えて高等学校に行く子供たち、ここにまた問題が起こる。いま労働力が非常に不足しているので、この年齢層を各企業は競うて採用しようとしておる、一方では勉強したい子供がおる。国民の教育水準を高め、資質を向上させるためには、働きながら学ぶ産学一体の中等後期教育というものを、政府が十分推進していかなければならぬと思うのです。そのところに当たるものは、例の通信教育あるいは定時制教育、こういうものに対して、通信教育はNHKも今度始めておりますけれども、できれば併設主義をやめて独立主義、しかも国家が思い切ってこれを育てる。そしてこの定時制、つまり産学一体の中等後期教育の勤労者教育を含めた教育系統は、国が全部めんどうを見るというようなところまで前進したらいいと私は思うのですが……。
  89. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題につきましては、これも御案内のように、後期中等教育のあり方ということについては、ただいま中教審でも非常に熱心に御討議をいただいております。これはそう長くない期間で御答申も出ると思います。ただいまの定時制や通信教育の問題も、中教審においても部会で取り上げられておるようでございますが、それらの御研究の結果にもまちまして、十分考えてまいりたいと存じております。
  90. 受田新吉

    受田委員 研究にまつだけでなくして、文部省が陣頭に立ってこれらの問題の解決にお当たりになるべきだと思うのです。これは現実の問題として、ちょうど労働力不足対策とあわせて後期中等教育対策というものが要るわけでございますから、答申をまつまでもなく、文部省はこういう考えでやろうとするという、むしろ私は審議会や調査会をリードするような意気込みを持ってもらいたい。きょうは設置法関係でございますから、なるべくこれへ戻ってはお尋ねさせてもらいますが、もう一つ、私、今国会の、本法案改正のポイントの私学振興に関する機関をお設けになることについて、お尋ねをしたいのであります。  これは大学急増対策にしましても、文部省が国立に一万一千人の急増対策を考える、私学に五万何千人かを考える。もうその比重からいっても、私学に数倍のウエートが置かれているわけです。にもかかわらず、いまここで私学振興の方策をきめるための別の調査会をつくって、そこでやるなどと言って、二年間も先のことをとやかく言っておるうちに、二年後の答申の出るころには、もう大学急増対策も終わりを告げるようになってしまうんです。事は急ぐわけです。そこで、この調査会をお設けになることはけっこうです。けっこうだけれども、問題はこの一、二年が急ぐんであるということをお考えになって調査会をおきめになったかどうか。
  91. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点は全く私も同感なんであります。しかし、先ほど申しましたように、とにかく行政的といいますか、やれることはもりもりやりながら、同時に私学問題は、ただいまも御指摘のあったとおりなんですが、たとえば現状で大ざっぱに言って約百万人の大学生がおる。七十万人は私立大学です。この七対三という比率は、おそらく当分はこのままにしたらば続けざるを得ない。つまり私学のインポータンスというものはそれだけ重大である。ですから、とにかくやれるだけのことはがりがりやっていきながら、同時に私学のあり方、とらえ方、助成の方策はどうしたらいいかということを、この際おそまきではあるかもしれませんけれども、ひとつ徹底して全国民的にお考えをいただくようにしたい。文部省だけでは、この重大な私学のあり方、とらえ方等については、なかなかいい考えも出てまいりませんし、力も弱いわけでございますから、ここでひとつ思い切って調査会というようなことに、私としてもお願いをすることになったわけでございまして、この問題は、したがって答申が出てからすべてげたを預けるというのではなくて、もちろんその間においてやれるだけのことはやっていきたい、かような考え方でございます。
  92. 受田新吉

    受田委員 これは非常に喫緊の要務でございます。二年三カ月先の答申を待って徐々に検討するというような――基本問題はそれでけっこうでしょうか、当面の問題は、文部省が用意した私学振興対策が要るわけなんです。ところが、現に慶応大学の問題が起こったように、各私学はその経常費の点において四苦八苦している。私学振興会法等で一部の融資その他の理科教育等の助成などが、国民に焼け石に水のように思われておりますが、急増対策に千六百億という金を国立に注いでいる文部省としては、私学の経常費にびた一文出していないという、この事実を何と見るべきかと思うのです。学年は五倍に近いものを急増対策で私学に要求しておりながら、人件費などの経常費にはびた一文補助、助成の用意がないということ、国立に千六百億急増対策に伴うものをやって、私学にはびた一文助成がない。愛知先生ともあろうものでございますから、ひとつこのあたりで調査会の答申を待つというのんびりしたことじゃなくして、当面の問題の解決には名案をお持ちだと思いますが、お答え願います。
  93. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御指摘のとおりに、給与費などについては、ほんとうにびた一文も政府は出しておらぬのでありまして、この点も確かに研究の対象になるわけでございます。この私学問題につきましては、ただいまの御意見のような御意見が積極的にもございますし、同時にまた私学内部にも、これは従来からの考え方であって、経常費の補助、いわんや給与の補助などを政府からもらうべきではない、いわゆる私学精神というものを非常に高く掲げ、かつこれを厳守されたいというお気ちの方も、相当おられると思うのです。そういう点を、ひとつ徹底して調査会では恒久策として詰めていただきたい。現在やれることで、最大公約数的に御意見がないと思われます私学振興会の拡充であるとか、あるいは理科教育というような特定の問題についての直接の補助でありますとか、あるいはたとえば、私学教職員共済組合に対する政府の補助でありますとか、そういう点は四十年度でもやっておりますし、四十一年度におきましてもひとつ大幅にやりたい、こういう考え方であるわけであります。
  94. 受田新吉

    受田委員 いま大臣からも率直に御意見が開陳されておりましたことで、私立学校教職員共済組合に対しては、事務費だけが出ておる。ほかのものは出ていない。ここにも問題がある。共済組合の負担部分についても、これは法律の基礎に基づいてやっておられます。しかし、そのほかの問題については、共済組合に低利で融通していくというような便法を講じて、その道を開く方途も必要だと思うのです。共済組合に対する政府の心づかいというものも、そこに一つ要る。  それからもう一つ、私は基本の問題があると思うのです。それは憲法八十九条、公の支配に属する云々、こういう議論は、大臣はこの間ここで村山委員質問に答えて、あなたの個人の見解の表明がされました。私は、あなたの個人の見解に賛成の一人でございますが、現実に公の支配に属するいろいろな法律もできておるし、施設も止まれておる。それから山川も、もう私学に対して国が十分お手伝いをしなければいけないという意味国民的要望もあって、ばく大な入学金、寄付金というようなものを見たときに、金のある者しか大学に行けないという実情に対して、目をおおわしめるような国民の要望が出ておる。これに対して憲法論から見た、この間からの大臣の御所信は、勇敢にこれを前進させるという御意図を持っておられるかどうか、これもひとつお答えを願いたい。
  95. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私も、個人の見解ではございますけれども、憲法論についてはまた別の意見も持ちますけれども、少なくとも現状における憲法論というものは、解釈、運用とか、あるいは社会情勢の変化ということについて、私は解釈上、運用上相当のゆとりがあるかと考えるわけであります。そういう点から申しまして、私としても、私の私見が公の意見になりますように、大いに努力をしたいと考えております。
  96. 受田新吉

    受田委員 事務当局で答えられるものは、あとからやっていただきます。私学振興について大臣にずばっとお答え願いたいことがあるのですが、人件費等の経常費についても、助成をする段階ができておると御判断にならぬかどうか。
  97. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは実は私見まで申し上げ得る段階になっておりませんので、こういう点は、国民的にひとつ大いに御論議を願いたいところであります。いま私としては、率直に申し上げたつもりなんでありますけれども、私学側にもいろいろの意見がある。また国民にもいろいろの意見がございますので、いわゆる給与、もっと俗に言えば月給等について、はたして国民の税金でこれを裏打ちすることが妥当であるかどうかという点については、もう少し真剣に私にも研究の余地を与えていただきたいと思います。
  98. 受田新吉

    受田委員 御答弁は大臣だけでけっこうです。大臣、参議院のほうを急いでおられるようですから、御協力してあげます。いまの私が申し上げていることは、やはり私学振興の基本の一つの問題でありますと同時に、もう一方では、金を出すから経営面まで国が干渉するということについては、やはり大学の自治ということを阻害するのですから、そこは大国の襟度をもって、私学の独自の経営についての自治を侵害してはならぬ、こういうことをやはり考えてお金を出されて、金は出してやるが、同時に監督もするぞという――監督もいい意味の監督ならいいけれども、私学の自治経営というものに対しての干渉ということは、やはり問題があるわけです。そこらは幅をもってお考えになっていいと思うのです。  そこで最近どうですか、私立大学の学部の名称変更などについても、文部省は認可制をおとりになっている。新しい学部を新設する場合は別として、それと同じような形で学内の学部の名称を変更するということについて、認可制をとるということになっておるのですか、どうですか。これは事務当局にちょっと答弁をしてもらって、大臣がいけぬならいけぬと言ってください。
  99. 村山松雄

    村山説明員 学部の名前を変えるという場合、大別しまして二つのケースがあろうかと思います。一つは、実質的な内容変更を伴う場合でございます。他は、実質的内容を伴わなくて、むしろ中身のほうが変化をしてしまったので、自然に変化したので、名称がふさわしくないから、ふさわしい名称に改めたいというような場合だと思います。文部省としては、やはり大学学部の名称は、大学教育の基本にも触れる重要問題でございますので、後者のような意味名称変更につきましては、届け出を受けましてそのまま受理、了承いたしておりますが、前者のような場合ですと、これは本来、極端に申しますと、旧来の学部が廃止されて、新しい学部の創設にも実質的には匹敵すべき問題ではなかろうかとも考えられるわけでありまして、そういう点から大学側に御研究を願うことといたしまして、そのまま受理しないで、御検討願うようなケースもあったかと思います。一般論でございますが、具体的なケースにつきましては、諸種の事情を判断いたしまして処置することとなっております。
  100. 受田新吉

    受田委員 大臣、そうした側々のケースによっては内部の学部名称をそのまま認可制にしない、それから中身がある程度内容が変わっておるなと思われれば、これは認可制にする、こういうような――いままでは、学部の名称は内部で自由にさしておったわけですね。それを新設と同じような考え方にいくということにも、一つ問題があるわけです。これは大学の自治を阻害はしないという精神は生かしていただかなければ、親切ではない。学内の問題としてやっておるときには、大目に見るという態度を持っていただきたい。大臣、いいですね。よろしゅうございますか。
  101. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは私、そのとおりであると思います。私学、公立、国大を通じて、学部の独立といいますか、自主性というものは、あくまで尊重すべきものである、かように考えております。
  102. 受田新吉

    受田委員 それからもう一つ、短期大学の学科の新設をやはり認可制にしておられる。これはどういうことなんですか。これは私立の短期大学の場合です。
  103. 村山松雄

    村山説明員 短期大学につきましては、御承知のように、昨年より以前は、学校教育法の暫定的な制度ということで附則で規定しておりまして、種々の取り扱いが、法律上必ずしも明確でございませんでした。そこで、昨年学校教育法を改正いたしまして、短期大学の目的、性格を学校教育法本則に規定いたしまして、恒久化いたしました。その際、学科につきましては、認可制ということに法律上いたしました。この趣旨は、短期大学は、御案内のように、学部制をとっておりません。したがいまして、大学の組織として、四年制の場合と比較いたしますと、学科が四年制大学の場合の学部に相当するとい基本的な組織である。したがって、四年制の大学の学部を認可制にしておるのと均衡を考えますと、短大の場合には学科を認可制にするのが至当であろう、こういう判断で認可制にした次第であります。
  104. 受田新吉

    受田委員 私学として、これはあまりに認可認可と言われると、非常にややこしいことになる。むしろ大学の自治にまかしていいものだと私は思うのです。これは大臣、時間を急いでおられるようですから、そのことはやめます。  最後に一言、高等専門学校制度が誕生しているわけですが、これの中で、工業高専もなかなか応募難で、一ぺん試験をやってもよそへ行って、何回もやって調子悪くなっておるのです。むしろこの際、商船高等学校というものは――国立学校設置法にも五つ規定してある。このほうは実習期間を入れれば専門学校と同じようなことになっているのですから、このほうをむしろ高専にすべきだ、これは要望も出ておるわけですが、大臣、この商船高校の高等専門学校昇格は、ちゃんと腹におきめになっておられるかどうか。
  105. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは腹にきめておりました。できるだけ早い機会に全部昇格させる、かように考えております。
  106. 受田新吉

    受田委員 そうすると、全部というと、五つを全部漏れなく、同時にそれは早い機会といえば、今国会は間に合わぬでしょう、間に合いませんね。そうすると、早い機会というのは、次の臨時国会ということになるのですか。
  107. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは実は海技審議会でございますか、あそこからも意見が出ております。それから私もできるだけすみやかに全部昇格させてしかるべきものであると考えておりましたが、四十年度には間に合いませんでしたが、多少予算の関係等もございましょうから、四十一年度には実現をいたしたい、かように考えております。
  108. 受田新吉

    受田委員 大臣、そこまで言うていただいたから、あなたの御任務は、私に関する限り終わることにいたします。どうぞ。  あともう五、六分間ほど事務当局及び政務次官に。政務次官、あなた大臣にかわって御答弁していただけますか。
  109. 熊谷典文

    ○押谷政府委員 大臣にかわって答弁をいたすつもりをいたしております。
  110. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、ここで指摘したいことがあるのですが、いま私が御質問申し上げた中に、私学の振興に関する問題で、国家公務員には国家公務員退職手当法というものがあって、その退職後の生活保障の道が開かれておる。私学にはそれがないわけなんです。これはやはり大学教育及び高等教育等に従事した私学の先生も、国立、公立に勤務する先生には、一応退職金制度なるものがあって、共済組合法で年金の保障がされているこの際、そのほうも一緒に考えてあげるというのが本筋であるとお考えじゃないでしょうか。
  111. 熊谷典文

    ○押谷政府委員 所管局長より答弁いたさせます。
  112. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 すでに御承知かと思いますが、県の段階におきましては、いろいろ退職手半に関する財団を設けまして、そして各学校法人個個ではなくて、統一的に有利なように措置されているところがございます。この問題を全私学に国の観点から財団等の措置を講じて及ぼすべきかどうかということも、私ども議論したことがございます。この問題は、ひとつ今後なお研究さしていただきたいと存じます。
  113. 受田新吉

    受田委員 研究さしていただきたい。この問題は私学振興のために、教師に希望を持って私学教育に当たってもらうために、大事なことなんです。政策として、基本方針としてこれを御採用になる。国公に準じて私学も退職金制度の恩典に浴させるべきだとお考えかどうか。大臣にかわって御答弁ができる次官より御答弁願います。
  114. 熊谷典文

    ○押谷政府委員 受田委員質問の御要旨はきわめて重要なことでございまして、私も、私学振興立場から受田委員と全く同感気持ちを持っておるものでありますから、この問題につきましては、ただいま政府委員が申しましたように、前向きでこれを研究いたしたいと存じておるものであります。
  115. 受田新吉

    受田委員 政務次官としては非常にいい御答弁だと思いますが、これは本気でやってもらいたいのです。これは私学教師の希望ある一つの夢といいますか、現実の理想といいますか、ぜひこれは早急に御研究の成果を効果的にあげていただきたい。  もう一つ、ここで私、私学振興の問題でどうしてもやってもらいたいと思いますのは、たとえば私学で原子力研究所をつくるとか航空学の研究所を設けるとかいう、いわば国策に協力するような研究所を設けた場合に、これに対する研究助成費というようなものをお出しになっているのか、いないのか。
  116. 村山松雄

    村山説明員 私学に対しまして研究助成といたしましては、私立大学研究設備に対する補助金がございます。これは研究所に対する補助というような一つの対象施設をつかまえての補助じゃございませんので、むしろ研究計画に対する補助というかっこうになっております。したがって、現在の私立大学研究設備補助金の運用上は、必ずしも研究所をつくったという事実をつかまえての補助はいままではいたしておりませんが、そこに必要な研究設備に対して研究計画を立てて御申請になれば、そういう意味では助成が可能になっております。施設そのものを対象として補助するかどうかは、将来の課題ということになろうかと思います。
  117. 受田新吉

    受田委員 施設そのものに対する助成は将来の課題、しかし、科学技術教育の振興のために私立大学がそういう機関を設けて、大いに国策に協力しようというときは、その研究機関そのものにずばり助成を出していいと私は思うのですが、副大臣いかがお考えでしょうか。
  118. 熊谷典文

    ○押谷政府委員 科学技術振興のための私立大学における研究施設につきましては、ただいま審議官より御答弁を申し上げたような趣旨でありますが、さらに今日の時代の要求に応じまして、受田委員の御主張のごとき方向に私学振興はなすベきものである、科学技術振興のためにもかくあるべきものであるということは、私も同感でありますから、そういう御要望の方向に沿うて、これもこれから検討をいたしたいと存じておるところであります。
  119. 受田新吉

    受田委員 非常に誠意ある御答弁をいただいておりますが、私は、私立学校が経営面の苦心だけでなくして、そういう国策にも協力しようという配慮をしているときには、これは国公私立の区別なく、国がお手伝いをしてあげるという基本線でもってやってもらいたい。事務当局もそういうことで、いま大臣にかわっての政務次官の御答弁に御共鳴されるかどうか、事務当局としても政府委員から御答弁願います。
  120. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 高等教育機関としての実をあげますためには、これは設置者のいかんを問わず、それが国民、あるいは国民教育、あるいは学術研究の上に役立つことでございまするから、われわれも、これらの問題について積極的に検討を進めたいと存じます。
  121. 受田新吉

    受田委員 そこでちょっと関連質問ですが、名古屋に国立プラズマ研究所がある。これはどうしておい立ったのか、そのおい立ちまでの経緯をごく簡単に御説明願いたい。
  122. 村山松雄

    村山説明員 御指摘のプラズマ研究所は、名古屋大学に付置しておりますプラズマ研究所のことかと存じます。これは、核融合の研究が必要であるということが学者の間で議題となりまして、関係の学者間で種々検討した結果、当時共同利用の研究研と申しておりますが、特定の大学のみのためでなくて、当該研究に従事する全国の研究者が共同して利用し得る研究所というような形で若干の研究所をつくっておりますが、その一つとして設立することが適当である、場所としては名古屋大学に付置することが適当だという結論を得まして、何年以前になりますか、よく記憶しておりませんが、数年前に設置されまして、以後名古屋大学付置の共同利用研究所という形で、核融合の研究に従事いたしております。
  123. 受田新吉

    受田委員 その研究所は、突如として生まれたものか、その前に何らかの前提があって、その研究が継承され、人的資源が継承されたというような経緯があるかないか、伺います。
  124. 村山松雄

    村山説明員 突如ということの時間的経過でございますが、まあ研究所としては、ある年次にいきなり創設されるわけでありますが、その基礎となります核融合関係の研究そのものは、数年来、名古屋大学といわず、若干の大学で行なわれておりました。名古屋大学を共同利用研究所の付置大学に選びました理由としては、名古屋大学が比較的そのような研究において先んじておったというようなことも考慮されたかと思います。また、そのような共同利用研究所は、従来東京大学、京都大学、特に東京大学に相当集中的に置かれておりますので、でき得ればその他の大学を選んだほうがいいというような意見もありまして、名古屋大学に決定されたように聞いております。
  125. 受田新吉

    受田委員 いまの問題は、きょうはそれだけにしておきましょう。これはまだ私がお尋ねする要素のあることを保留さしておいてもらいます。  おしまいに、今度の法案に戻りますが、私学振興方策の調査会というものがどういう形で構成されるのか。その委員には――これは四月一日にスタートするのですから、もうちゃんとおぜん立てができておると思います。お答えを願います。
  126. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 具体的な人選については、これはまだ御審議中でございまするし、まだ手順等を進めておるわけではございません。しかし、私学振興の方策調査会につきましては、いわゆる補助の問題、それから税制の問題、その他教育内容の向上と、先ほどお触れになりました研究機関としての問題ということがございますから、その各分野を網羅し得るような学識経験者で構成をいたしたい。また、必要によれば、むしろこの審議の過程におけるいろいろ確かむべき事項について、必要があるならば関係政府職員も加えたい、かように考えております。
  127. 受田新吉

    受田委員 もっと具体的に掘り下げて、その委員の顔ぶれの中には、たとえば憲法学者みたいな者も入れるのか、そういう学者的性格の者は遠慮するのか、それから私学の中から人を選ぶのか、私学は一応遠慮してもらうのか、その二つについてお答え願います。
  128. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 第一段の、憲法学者といわれる方を入れる必要があるかどうかということは必ずしもきめておりませんので、これはもちろん学者の方も入ってまいると思いますが、特別にその専攻が憲法であるかどうかということまでも考えなくていいのじゃないか。あるいはそういうことになるかもしれませんが、そこのところは、まだ今後検討してまいる。それから私学の関係者の方については、当然私学に関係のある学識経験者が入ってくるものと予想されるわけであります。
  129. 受田新吉

    受田委員 事務当局でけっこうです、答弁をもう一つ。いまの高専に商船高校を五つそろえて昇格させるという御答弁がありました。これは学校教育の系列の問題からもう一つお答え願いたいことがあるのですが、海技審議会の答申、小型船舶その他の現状等で、高専の卒業生だけをもって高級船員の養成をはかって、その次の段階の者は、商船高校に当たるところ、あるいはそうした海技養成所、こういうようなものによって、新しい角度から、つまり特に小型船、内海船、沿岸船等に従事する、海難の被害等に対する対策としての別の意味からの養成機関を考えておるかどうか。あるいは商船高校の者を別に残して、そういう養成を続けるという考えが一方にあるのかどうか、これも一つ……。
  130. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 御指摘の点は、非常に重要な問題点だと考えております。私どもまだ結論を持っているわけではございませんが、内航の小型船舶のそういう乗組員の養成につきましては、運輸省とも協議いたしまして、十分研究してまいりたい、かように考えております。
  131. 受田新吉

    受田委員 質問を終わります。
  132. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、来たる二十三日、火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会