運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-03-09 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月九日(火曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 伊能繁次郎君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       岩動 道行君    大橋 武夫君       高瀬  傳君    綱島 正興君       野呂 恭一君    福田  一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       大出  俊君    角屋堅次郎君       中村 高一君    楢崎弥之助君       受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         文部政務次官  押谷 富三君         文部事務官         (大臣官房長) 西田  剛君         文部事務官         (社会教育局         長)      蒲生 芳郎君         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 宮地  茂君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局審議官)   安嶋  弥君         文部事務官         (大学学術局審         議官)     村山 松雄君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 三月九日  委員角屋堅次郎辞任につき、その補欠として  栗林三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として角  屋堅次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月五日  農林省蚕糸局機構縮小反対に関する請願(金  丸信紹介)(第一〇六八号)  同外一件(佐藤洋之助紹介)(第一〇六九  号)  同(大久保武雄紹介)(第一〇七五号)  同(川村継義紹介)(第一〇七六号)  同(武市恭信紹介)(第一〇七七号)  同(野田武夫紹介)(第一〇七八号)  同(小川平二紹介)(第一一〇九号)  同(加藤高藏君紹介)(第一一一〇号)  同(坂田道太紹介)(第一一一一号)  同外一件(小坂善太郎紹介)(第一一四二  号)  同(中澤茂一紹介)(第一一四三号)  同(原茂紹介)(第一一四四号)  同(福永一臣紹介)(第一一四五号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第一一四六  号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一一八〇号)  同(松平忠久紹介)(第一一八一号)  同(坂本泰良紹介)(第一一六六号)  同外二十五件(安藤覺紹介)(第一四〇七  号)  同外一件(松野頼三君紹介)(第一四〇八号)  旧軍人等恩給に関する請願外一件(佐藤洋之  助君紹介)(第一〇七〇号)  同(谷垣專一君紹介)(第一二〇九号)  岡(千葉三郎紹介)(第一三二一号)  同外一件(江崎真澄紹介)(第一三三八号)  同(斎藤邦吉紹介)(第一三三九号)  同(池田清志紹介)(第一三六四号)  同外三件(佐藤洋之助紹介)(第一三六五  号)  金鵄勲章受章者の処遇に関する請願(上林山榮  吉君紹介)(第一〇七九号)  同外一件(床次徳二紹介)(第一〇八〇号)  同(藏内修治紹介)(第一一四一号)  元南満州鉄道株式会社職員であつた公務員等の  恩給等通算に関する請願外一件(濱田幸雄君紹  介)(第一〇八一号)  同(村山喜一紹介)(第一〇八二号)  同外二件(永末英一紹介)(第一一一二号)  同(江田三郎紹介)(第一一四七号)  同(中川俊思君紹介)(第一一七九号)  恩給年金増額に関する請願宇野宗佑君紹  介)(第一一〇六号)  同(田中伊三次君紹介)(第一一〇七号)  同(原健三郎紹介)(第一一〇八号)  同(大西正男紹介)(第一三三七号)  建国記念日制定に関する請願外三件(藏内修治  君紹介)(第一一四〇号)  同(田中彰治紹介)(第一三二〇号)  同(齋藤邦吉紹介)(第一三四〇号)  三矢研究審査に関する請願(只松祐治君紹  介)(第一一九九号)  国立大学教官待遇改善に関する請願藤枝泉  介君紹介)(第一三二二号)  紀元節復活反対に関する請願帆足計紹介)  (第一三六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。質疑申し出がありますので、これを許します。伊能繁次郎君。
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員 先般、文部省設置法の一部を改正する法律案につきまして文部大臣から御説明をいただいたわけでありますが、そのうち、今回の改正の重要な第一点として、国立社会教育研修所設置についての法律改正内容が掲げられております。この点については、私どもも、最近の社会進展に伴って日本学校教育家庭教育社会教育三つがそれぞれ調和のとれた形で進められるということは、現在の甘木の実情にかんがみまして最も大切だと思うわけでありますが、この国立社会教育研修所設置する基本的な理由等について、十分この際政府から適切な御解明をいただきたいと思いますが、政務次官から御答弁を願います。
  4. 押谷富三

    押谷政府委員 御承知のように、近年社会進展に伴いまして、社会教育必要性はますます増大をいたしております。それがためには、社会教育振興ため公民館でありますとか、あるいは博物館図書館青年の家、児童館等社会教育施設整備民間社会教育団体の育成と並びまして、これらの施設、これらの機関を運営する、その中心となるべき社会教育主事公民館主事、あるいは民間社会教育指導者等社会教育担当者でありますとか、あるいは指導者の量的あるいは質的な充実をはかることが重要な問題となってまいったのであります。文部省におきましては、従来から各種の研修事業を行なってまいったのでありますが、何ぶんにも文部省でやりますと片手間というような形になりまして、いずれも短い期間研修であり、その関係から、各方面からの要望を十分満たし符ない状況にありまするので、今回、社会教育に関する研修事業を画期的に充実するためには、これに専念する独立の機関設置いたしまして、専門的に、計画的に研修を行なう必要があると存じまして、これを実施するためには国立社会教育研修所設置する必要があると存じまして、御審議を願うに至ったわけであります。
  5. 伊能繁次郎

    伊能委員 御趣旨の点、よくわかるわけでありますが、ただ、御承知のように、社会教育問題は、単に文部省だけでなく、厚生省、労働省等関係向きも多々あると思いますので、それらの横の関連政府部内全般関連、ことに中央青少年関係につきましては、総理府等でも、この問題について政府の重要な政策としても取り上げておられるようでございますが、これらの横の関係等について、社会教育研修所設置に際して、政府としてはどういうような形で全体の大切な教育を進めていかれるかという点等についても、御説明をいただきたい。
  6. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 この社会教育研修所設置理由につきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げましたが、なお、この研修計画につきましては、この研修所講師になるべき方々は、学者あるいは実際に社会教育関係していただく学識経験者方々講師といたしまして、この研修事業を行なってまいりたいと考えております。それで、いま先生からお尋ねがございましたように、各行この社会教育関係する事業も多々ございますので、この研修所に置かれます評議員会等におかれまして、そうした横の連絡を十分とりまして、そうして研修計画を立て、また、講師を選んでいくというふうにして円滑な研修事業を行ないたい、かように考えております。
  7. 伊能繁次郎

    伊能委員 次に、それでは具体的に社会教育研修所はどういう仕事を行なうのかという、仕事内容等についてまだわれわれ十分承知をいたしておりませんので、その点もひとつ社会教育局長から……。
  8. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 研修所におきます事業内容といたしましては、予算上におきましては、一応昭和四十年度では、六カ月講習のもの、これを一回考えております。それから三カ月講習のものを二回、また、一カ月講習研修を八回、合わせまして五百七十人程度対象研修を行なってまいりたいと思っておりますが、そのほか、随時また短期の講習も開設いたしたい。この実施にあたりましては、各方面からの要望を勘案いたしまして、弾力的にこれを運営し、実際に合うように無理のないような研修を行なってまいりたいと考えております。  なお、研修を受ける対象といたしましては、さしあたり社会教育主事公民館主事、あるいは図書館の司書でありますとか、博物館学芸員、あるいは青少年団体指導者婦人団体指導者等考えております。
  9. 伊能繁次郎

    伊能委員 ただいま研修対象の人について具体的なお話があったのですが、それをどういう形にして、どういう計画で各県あるいは各方面から選抜してやられるのか、あるいはどういう希望に基づいてやられるのか。その辺の文部省の御計画はどうですか。
  10. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 原則といたしましては、各府県にお願いいたしまして、府県のほうで選抜していただいて、こちらへお申し出を願うということにいたしたいと思っておりますが、団体等におきましては、たとえば中央団体でございますと、これは団体に直接お話をいたしまして、その団体からお申し出のあった方を選んで研修に参加してもらうというふうに考えております。
  11. 伊能繁次郎

    伊能委員 この研修所は、東京に置かれるわけですが、場所はどこですか。
  12. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 上野公園にございます元の図書館職員養成所建物施設がございます。この図書館養成所が、御承知のように図書館短期大学になりまして移転をいたしましたので、そのあとの施設を使いまして、さらにこれに整備をいたしまして、ここで開設をいたしたい、かように考えております。
  13. 伊能繁次郎

    伊能委員 六カ月コースとか、三カ月コース、一カ月コースと、相当長期にわたるものもありますが、宿泊施設その他については、十分な準備ができておるわけですか。
  14. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 やはり図書館養成所時代からございます松戸に宿泊所、寄宿舎がございまして、約三十人程度収容力を持っておりますので、さしあたりはこれを利用してまいりたい、そういうつもりでおります。
  15. 伊能繁次郎

    伊能委員 三十人くらいでは、ちょっとこの計画で年間五百七十人を教育するということになると、非常に手狭で支障を来たすんではないかと思いますが、将来の問題について、何かそういった宿泊施設整備拡張等御許画はありますか。
  16. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 ごもっともな御質問でございますが、一応実施いたしました上で、さらに拡張する必要を認めますならば、そのときにまた将来問題として考えてまいりたい、かように考えております。
  17. 伊能繁次郎

    伊能委員 いまのお話でわかるのですが、当面、現在の計画とその点ではやや不備な面があるやに存じますが、そうすると、ある程度のものは大京付近もしくはこの近来で通勤のできる人たち等から研修生を募集してやるというようなことを調和してやらないと、わずか三十人くらいの宿泊設備では、一つ講習単位だけしか収容できない。ことに一カ月のものについては、御説明では相当多人数のようにもうかがわれますが、この点については、文部省としても急速にこの法律案改正関連しておやりにならぬと、せっかく大事な問題でこれだけの大きな計画と、さらにまた将来に向かってきわめて大切な問題を計画され、実施されようというときに、やや不十分な感じがしますが、その点はどうですか。
  18. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 この宿泊施設の増築ということも、将来考えられると思いますが、そのほかにまた別な、現存いたします政府等で使用できるもの等は検討いたしまして、できるだけそうした不便、不自由の起こらないようにいたしたい、かように考えております。
  19. 伊能繁次郎

    伊能委員 何ぶん問題が当初に私がお尋ねする際に申し上げましたように、現在の日本状況は、家庭教育学校教育社会教育、この三つがきわめて調和的に行なわれることによって初めて人としての完成といいますか、いわゆる教育全般にほんとうの方向がつくり上げられる、かように考えますので、せっかくこのような社会教育に関する研修所をつくって、今後大きな目標に向かって進まれるという御方針でございますから、実施するにあたっても、万遺漏のないように、十分な準備施設も整えていただきたいということをこの機会に希望いたしておきます。  次に、本法律案改正の重要な第二点としては、わが国学校教育における私学振興の問題、これについて、私学の占める地位が戦後特に非常に重きを加えてきた関係上、今回臨時私立学校振興方策調査会というようなものを設置せられるという御計画を立てられるのだろうと思いますが、政府考えておられる臨時私立学校振興方策調査会設置根本方針についても、これはひとつ政務次官から御説明をいただきたい。
  20. 押谷富三

    押谷政府委員 伊能委員御発言のごとく、わが国学校教育におきまして、私立大学私立学校が果たしております役割りは、きわめて大きいものがあります。また、その大きな役割りを果たしております私立学校経営につきましては、非常に困難な面もありまして、あるいは授業料その他父兄負担になります修学費増額等によりまして、いろいろな問題をかもし出しておるのが今日の状況であります。そこで私学振興私学助成につきましては、各方面から強く要望されておるのでありますが、その要望にこたえて私学助成をするにあたりましても、やはり私立大学には私立大学特質があります。それぞれ変わった実態があるのでありますから、この特質をよく生かしながら、しかもこれが助成をしなければならぬ、振興に協力しなければならぬとなりますと、協力の方法でありますとか、範囲でありますとか、いろいろ問題が多いのであります。そこで政府におきましては、この私学振興ため助成につきまして根本的な検討を加えてもらおう、私学の特性を生かしつつ十分な振興方策を立ててもらう、そのためには文部大臣諮問機関といたしましてこの調査会設置いたしたいと存じて提案をするに至った次第であります。
  21. 伊能繁次郎

    伊能委員 いま基本的なお考えはよくわかったりでありますが、私ども当面の問題として、この審議会設置理由はわかりますが、現状に対して入部省私学をどういうように助成していくかという具体的な、現に行なっている具体的な方策等もお伺いしたいと同町に、最近の官学に比べて私学が非常に金がかかり過ぎる。ことに最近月謝、授業料入学金その他の関係で、私学負担が非常に多い。先般慶応大学等においてもそういうような問題が起こっておりますが、これらをもっと政府としては積極的に助成をする。ことに現在私子の振興助成についてのいろいろな方策もとられておるようでありまするが、まだまだ不十分であり、また貸し付け金等についても利息が相当高いというようなことで、どうも助成が隔靴掻痒の感があるので、この審議会と同時に、現に政府としてはどういうお考えで今日までやってきたかというような点もひとつお伺いしたい。
  22. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 昭和四十年度の予算におきましては、重点私学振興会貸し付け金の額を大幅に増額するということで、一面、既設学校充実と、一つには、この四十年度から始まります大学生志願者急増に伴うところの施設拡充に対処しようとしたわけでございます。その他、征来ありました理科教育特別助成でありますとか、それから私立大学研究設備等に関する補助金も、増額いたしました。特に、振興会につきましては、四十年度出資金十億円、財投から百億円、これによりまして合計貸し付け総額が百工十億円に相当するものになって、その中で、四十年度の大学生急増に対処いたしますものが六十四億円ということになっておりますが、当面四十年度予算といたしましては、私立学校施設拡充に相当の財政負担を生じ、しかもそれが市中銀行からの借り入れ等によって非常な圧迫を受けるという実情にかんがみまして、これを長期低利資金を用意するということで、私学振興会貸し付け金拡充重点を置いたわけであります。
  23. 伊能繁次郎

    伊能委員 お話はよくわかりますが、いま齋藤局長からも触れられましたが、来年度、昭和四十年度あるいは四十一年度、二年度等については、大学生志願者急増するということと、この調査会は四十年から四十二年まで設置をして基本的な方策をやられるということで、ややおそきに失する感があるように思います。ことに、私学方面施設拡充といいますか、私どもどうも少し私学が金がかかり過ぎる。ある学校等では、他の学校に比較して授業料入学金をやや安くする。そうすると、従来はそうでなかったのが、そこへ逆に非常に志願者が殺到するというような実情から見ても、この問題は、授業料入学金その他勉学の経費が非常に高いということに対して、国民全般は、最近の新聞等においてもいろいろ投書等もあるようでありますが、自分自身生活費収入等と見合うと、せっかく学校へ入れたい、かように思っても、いかにも私学勉学費が非常に高いということで、日本全体の学問の向上あるいは人格の陶冶等の上からも、何か支障を生じておるような向きもありますので、ちょっと手おくれの感じがあるように思いますが、この答申が出るまでの間、政府の来年度の私学振興に対する助成等についてはわかりましたが、はたしてこれで全体として支障がないかどうか、そういう点についても、さらにお伺いしたいと思います。
  24. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 ただいま申し上げましたことは、私学財政の中の一つの要因でありますところの施設拡充に対する措置としては、これは相当の役割りを果たすと思いますが、いま御指摘のありましたように、それだけでは、いま問題になっております経営の面におきましても、あるいは国民父兄負担の軽減ということから見ても、十全の策を得たものでないことは、そのとおりでございます。一面、また、この修学費等に対する税制の問題とか、あるいは私学民間からいろいろ浄財を仰ぐところの道といたしまして、税制上のもう少しゆるやかな恩典があってもいいのではないかという問題もございます。また、いま御指摘のありました四十年度から本格的に始まります大学生急増等の問題と、二年間のこの審議期間とが、少し時期としてずれるではないかという御指摘もごもっともでございますので、この従来とっておった貸し付け金ワクを増大することはもちろん、さらに拡充いたしますとともに、最終的な御答申案が得られないまでも、この審議会が始まりましたら、四十一年度の予算に伴う必要なことも出していただきまして、これをその予算には反映させるように努力いたしたいと思います。
  25. 伊能繁次郎

    伊能委員 さいぜん局長から触れられました大学志願者急増の傾向、この問題について、現在文部省としては、大学の増設その他、また既設大学収容力拡充というような問題について、どういうお考えを持っておられるか、関連して御説明願いたい。
  26. 押谷富三

    押谷政府委員 いわゆる終戦直後のベビーブームの波が昭和四十年度、来年度に大学に及んでまいりまして、来年度は大学入学志願者が激増することが予定されておるのであります。そこで、この激増にこたえるため大学拡充整備を強く要求されているのでありますが、それがため文部省といたしましては、明年度及び明後年度を合わせまして六万千五百人の増員受け入れ計画を立てておったのであります。そのうち、私立大学におきましては、大体七八%ぐらいをお引き受けを願うということで、五万二千五百人ぐらいは私学に依存をいたしたいと存じているのであります。ところが、四十年度の計画につきましては、いろいろ私学拡充関係その他の理由から、当初は二万一千人ばかりの受け入れ増員計面を立てておったのでありますが、さしあたり一万五千人ぐらいに終わった次第であります。この私学増員計画に伴います施設整備費等につきましては、私学振興会貸し付け資金の中から、大学生の増募計画費を別ワクといたしまして融資を行なうという計画を立てている次第であります。
  27. 伊能繁次郎

    伊能委員 次に、前国会におきまして当委員会において審議をして決定をいたしました南極地域観測再開の問題でありますが、政府としては、この点についてどの程度準備ができておるのか、その実情をひとつ御説明願いたい。
  28. 村山松雄

    村山説明員 来年度再開に伴いまして、去る三十八年の閣議決定に従いまして、観測船準備、それから航空機準備、並びに隊員編成の作業を進めております。船舶につきましては、これは防衛庁海上自衛隊自衛艦といたしまして、約五千トンの船を建造を進めております。日本鋼管鶴見造船所におきまして、来る三月十八日に進水いたす予定であります。さらに艤装を進めまして、七月ごろには使える状態になろうかと思っております。それから、航空機につきましては、へリコプターを同じく防衛庁におきまして準備をされております。それから隊員につきましては、これは文部省をはじめ関係省庁職員並びに民間から所要の隊員を募集することになっておりますが、これの推薦につきましては、日本学術会議に依頼いたしまして、近く推薦文部省統合推進本部にまいることになっております。それに基づきまして決定し、各省庁職員につきましては文部大臣から委嘱をいたしまして、それから民間人につきましては、そのため文部省に特別の定員をとりまして任命いたします。約四十名の観測隊員編成を予定いたしておりまして、そのうちに越冬隊員としては十八名を考えております。そのような準備を進めまして、ことしの秋には観測再開の運びになろうかと思ってっております。
  29. 伊能繁次郎

    伊能委員 準備概要承知できたわけでありますが、それで、この秋に準備が完了して、今度再開して向こうへ行かれて、どういうような計画観測をされるのか、その観測計画実情がおわかりならば、その点について伺いたいと思います
  30. 村山松雄

    村山説明員 観測細部につきましては今後さらに検討されることと思いますが、観測目標といたしましては、御承知のように、南極地域観測は、去る昭和三十二年から三十七年までわずか六回やっただけでございまして、これは太陽の活動の最大の時期をとらえまして国際的に地球観測する。それを、南極という未知の地点においてやる。地球物理単、その他南極というのは、未知地域海洋資源あるいは地下資源等についても、だんだんと調査していくというようなことであったわけでありまして、わずか六回しか観測しておりませんので、まだまだほんの手がかりを得た程度でございまして、これから地球物理学海洋物理学、それから地理、地磁気その他南極地域の自然科学的諸現象につきまして、でき得る限り万般の調査観測を進めることになろうかと思います。細部につきましては、観測隊編成等と並行いたしまして、今後さらに検討決定されることとなっております。
  31. 伊能繁次郎

    伊能委員 はなはだ抽象的な御説明で、ちょっと私どもしろうとにはわかりかねるのでございますが、そうすると、過去の六回の観測実績等についての概要がわかれば、その点も御説明いただきたい。
  32. 村山松雄

    村山説明員 過去の観測の結果につきましては、南極地域観測ため統合推進本部のほうから報告書が出されておりまして、その結果の保存、収集、整理、利用のためには、国立科学博物館の中に極地学研究部を設けまして、恒久的に整理検討に当たることになっております。
  33. 伊能繁次郎

    伊能委員 私、一つお尋ねしたいのは、国立青年の家の問題について、中央青年の家とか、政府においては、総理府並びに文部省を中心に、青年の家について非常な熱意を持って御努力願っておりますが、国立第四青年の家の建設予定地並びに建設計画等について、おわかりならばそれを伺いたいと思います。
  34. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 北海道の第四青年の家の候補地といたしましては、大雪山の美瑛町に一応内定してございます。
  35. 伊能繁次郎

    伊能委員 国立青年の家については、すでにもう政府においては十分御承知かと思いますが、これが設置は各方面で非常に要望をしておるようでありますが、来年度は、第四の予定地、そのほか将来の計画等について、今度どういうように国民要望に沿って青年の寒をつくられる御計画があるのか、その点もひとつ御説明願いたい。
  36. 蒲生芳郎

    蒲生政府委員 国立青年の家につきましては、大体ブロックに一つ、と申しますと、八ないしは十くらいの国立青年の家を考えていきたいと思っております。  なお、御承知のように、このほかに地方の青年の家がございまして、これも例年ふやしてまいっておりますが、さらに先ほど御質問にございましたように、各地で青年の家というのが非常に要望されておりますので、これは今後の検討でございますけれども、現在の地方の青年の家よりももう少し規模の大きいものも考えていきたいとは考えておりますが、これは今後の研究課題でございます。
  37. 伊能繁次郎

    伊能委員 最後に、国民体育館を国立競技場に出資をして、という問題も今回ここに出されておりますが、その実情についておわかりの方がいれば、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  38. 西田剛

    ○西田政府委員 国民体育館は、だいぶ前から、厚生省時代から神田にございまして、現在の体育局の体育課の出店のような形で運営されてまいっておりますが、現場的な業務でもございますので、さような仕事は、過般できました国立競技場、これは特殊法人でございますが、そこに出資してやっていただくほうが穏当ではなかろうかというようなことで、今回出資をする運びとなったのでございます。もともと国立競技場ができましたときから移管の話がございましたのですけれども、相当いたんでおりましたのと、競技場ができました当初でございますし、オリンピックを控えての諸事がございましたので、すぐに体育館も引き受けてやるのは少し体制が整っておらないというような状況もございました。今回一切のオリンピックも済みましたので、今回出資をしてというような運びに至ったものでございます。
  39. 岩動道行

    岩動委員 関連して。先ほど伊能委員から国立青年の家の問題について御質問がありましたが、私もそれに関連して若干文部省方針について確認をしておきたいと思います。  国立青年の家は、大体いままではブロック別に一ヵ所という方針で今日まで予算化されてきていると承っておりますが、三十九年度の予算の実行面におきまして、非常に激しい誘致運動が展開されて、なかなかその設置場所がきまりかねておったという実情があったわけであります。もちろんその国立青年の家が、各地方においていかに要望されておったか、またその効果に大きな期待が持たれておるかということを実証しているもの、かように考えるものでございます。そこで、先ほど局長の話によりますると、ブロック別に計画をするほかに、さらにもう少し国立青年の家は小規模のものでもふやしていきたいという御意向が明らかにされたのであります。三十九年度の予算実行の場合におきまして、誘致運動のいろいろな過程におきまして、特に佐藤総理大臣も、このような有益な施設はもっと数をふやしてやっていくべきだという意向も、私どもには漏らしておられるわけでございます。また、閣議におきましても、大蔵大臣はこれはもう各県に一カ所くらいずつ設けてもいいのではないかというくらいの発祥もされたと漏れ承っておるのでございまするが、私どもも、このように社会教育がきわめて重大な時期、ことに青少年に対するいろいろな施設が非常に活用もされ、また効果をあげておりまする現状においては、ぜひともこの国立青年の家はブロック別に一カ所というような考えでなくて、さらに多数ふやしていくべきである、かように考えておるわけでありまするが、文部当局の御意向をさらにはっきりとお示しをいただきたいと思うのであります。
  40. 押谷富三

    押谷政府委員 いま御発言のごとく、青年の家の活動状況から見て、各地区から非常に熱望をされている実情は、文部省におきましてもよく了承をいたしまして、でき得る限り多くつくる方針を目下研究をいたしているのでありますが、公立青年の家、地方青年の家と、国立青年の家のちょうど中間程度のものを全国幾つかをつくりまして、そしてそれの維持、運営を国がやるか、あるいは地方にやらしむるか、こういうことについても、ただいま前向きの姿勢をもって研究をいたしているという段階であります。
  41. 岩動道行

    岩動委員 政務次官から前向きお話を承りまして、私どもも同感でございます。また、ぜひそのような方向でこの問題を早急に全体の計画をお立ていただきまして、昭和四十一年度の予算要求の際には、明確に場所もあらかじめお考えになった上で、はっきりと予算要求にまでひとつこれを実現できるように、強くこの点御要望申し上げておきたいと思います。
  42. 伊能繁次郎

    伊能委員 本法律の改正に対して、職員の定員の増加の問題が相判多量にわたっておるようであります。昭和三十九年度の九万三術四十四人に三千八百四人を加えて、合計九万四千百四十八人とこうなって、付属資料を見ますと、その内容が詳細に出ておるようでありますが、他の付属病院とか内部部局等は別といたしまして、主として学校関係等についての増員の内容等、この付属書類には一応出ておりますが、整備関係一覧表とあわせて、大学、高等専門学校等の増員の状況、それの準備、並びにこの法案が年度内に通れば十分増員等の目的が達せられるかどうか、その辺の御説明を伺っておきたいと思います。
  43. 村山松雄

    村山説明員 四十年度の文部省所管増員の予定、国立大学分の増員は二千七百五十八名でございます。これの内訳のおもなものは、前年度以前につくりました学部、学科等の学年振進行に伴う教職員の増員が過半数でございまして、残りは四十年度に新たに設置を予定しております学部及び学科等の新設並びに既設の組織の充実ための増員でございます。四十年度分のおもなものをかいつまんで申し上げますと、大半といたしましては、宮城の教育大学設置を予定しております。それから学部につきましては東北大学、新潟大学、広島大学に歯学部の新設を予定しております。それから鳥取大学の工学部、それから公立大学を移管いたしまして、島根大学に農学部の設置を予定しております。それから四つほどの大学で、文理学部というのがございましたが、これを改組いたしまして、理学部とそれから人文学部、それから法文学部等を設置することになっております。それらを合わせまして、学部の新設が十二ほどございます。それから学科につきましては、大学志願者急増対策等もございまして、三十数学科新設、拡充をいたしております。これらの大学学部、学科等の新設による必要教職員の増員が、おもなものでございます。この増員に対しましては、教員につきましては、教育公務員特例法によりまして、大学におきまして適任君を選考し文部大臣において任命することになっております。事務系の職員につきましては、一般公務員の例に従いまして充足することになっておりまして、教官の充足につきましては、適任者を得ることにつきまして必ずしも楽観を許さない事態でございますが、各大学におきまして最善を尽くしまして充足につとめまして、この法律が成立いたしますれば、四十年の四月一日からこのような新設の学部、学科の授業の開始に遺憾のないように期しております。
  44. 伊能繁次郎

    伊能委員 それではさらに、いまの御説明関連して、大学院の整備強化について、内容等さらに詳細に伺います。
  45. 村山松雄

    村山説明員 大学院は、御承知のように、修士課程と博士課程からなっております。現在修士課程と博士課程と両方持つ大学、これは主として国立で申しますと旧制の時代からの大学でございます。それ以外の大学につきましては、新制大学が発足以来、大学院というものの内容充実につとめまして、数の増加はいたしておらなかったわけでありますけれども昭和三十七年からこのような新制大半につきましても、学問の進歩並びに高級の職業人に対する社会的需要の増加に伴いまして、内容充実しておるものにつきましては修士課程だけについては大学院を増設してもよかろうという判断をいたしまして、若干ずつ増設をいたしております。昭和四十年度におきましても、約十六の大学につきまして新しく修士課程の大学院の増設を計画いたしております。今後、学問の進歩並びに高級の職業人に対する需要等とにらみ合わせまして、さらに大学院の整備充実をはかっていきたいと考えております。
  46. 伊能繁次郎

    伊能委員 さいぜんの御説明国立学校に対して来年度は約三千三百六十三人の大量な先生方の増員をしようというので、事務、技術等についてその大綱の御説明があったのですが、これらの点についての充足の問題が、万遺漏もありますまいと思いますが、十分な準備がもう完了しておるわけですか。
  47. 村山松雄

    村山説明員 大学で新しく学部や学科をつくります際には、国立大学でございますと、予算の措置をし、かつ、国立学校設置法で御審議願うほかに、大学設置審議会という審議会がございまして、そこで教員組織、教育計画等のアカデミックなレベルにおける審査をいたします。その審査に合格し、かつ、予算措置、法的措置を講じて学部を新設するわけでございまして、この大学設置審議会文部大臣国立大学の学部等につきまして設置の可否の意見を伺う場合には、学部、学科の教員組織につきまして、だれを任用するということも予定をして意見を伺うわけでございます。したがいまして、学部、学科等をつくります場合には、四年間にわたる採用予定人員を一応きめて計画いたすわけでございます。予算、法律が成立した暁におきましては、予定した名簿に従いまして任用していくということになりますので、人員充足の当てがなくて計画するということじゃございません。むしろ充足の十分な計画をした上で予算、法律のお願いをする、こういう段取りになっておりますので、原則として、教員の充足に著しい支障を来たすことはないと思います。
  48. 伊能繁次郎

    伊能委員 高等専門学校等の先生方の状況についてはどうですか。
  49. 村山松雄

    村山説明員 高等専門学校は、四十年度国立学校の新設を予定しております。高等専門学校の教員につきましては、いま申し上げましたような審議会審査は必要でございませんで、文部省に選考委員会をつくりまして、そこでそれぞれの学校からの申請のありましたものを調査して、高等学校教員の資格基準に該当するものであることを確認した上で任用をいたしておるわけであります。これにつきましても、現在準備を進めておりますが、大体予定者名簿が出そろっておりまして、法律、予算成立の上は、四十年度授業開始に支障のない状況に進んでおると考えております。
  50. 河本敏夫

    河本委員長 田口誠治君。
  51. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 政治的な問題もございましたので、大臣のおいでになるのを待っておりましたわけです。  そこで、第一問としては、学校警備員制度の法制化に関する問題ですが、この問題につきましては、四十七回通常国会で法律案が上程されて今日に至っておるのでございますが、今日まで非常にいろいろと問題が出ておりまするので、文部省のほうでは、どの程度にこの問題を把握されて、それで熱意があるかという点をまずもってお伺いをいたしたい。
  52. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題につきましては、実は、先般予算委員会の席でも申し上げたわけでございますが、方向としては、私どもは警備制度というものを望ましいものである、こういうふうな把握をしておるわけでございますけれども、国の制度として、一律に一斉にこの制度を取り上げるということについてどういうものであろうかということで、検討をいたしておるというのが今日の実情でございます。望ましい方向で、取り上げてまいりたいという考えです。
  53. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 抽象的な同等では困るわけなのですが、最近広島県に日直の婦人教師に暴行した事件がありました。それからちょうど予算委員会を衆議院でやっておりますさなかに、岐阜県におきましては、宿直著に対しまして非常に危険な与件があったわけなのです。それはどういうことかと申しますれば、朝方の三時ごろ強盗が忍び込みまして、そして先生を縛り上げまして、先生の重要な所持品、金銭を全部奪っていった、こういう問題が出ておるわけなのです。これはごく最近岐阜県にあった問題でございますが、大なり小なり警備員がないということから、宿直の先生がいろいろとそうした危険な状態に置かれているということは事実なのでございますから、こういう点を解消するには何か政治的に手を打ってもらわなければならない、こういうことでお伺いをしておるわけなのです。必要であろうというお考えでございますけれども、やはり実際に実行してもらわなければ、最近の世の中はどうかと申しますれば、殺人をしたり暴行をしたりするようなことが常識的のように考えられる度合いがますます深まってきておりますので、それだけにこの点を心配をしておるわけなのですが、もう一度答弁をいただきたいと思います。
  54. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど抽象的に申し上げましたように、防火とか防犯とか、学校施設の保全充実という点から申しましても、それから先生方の宿直、日直の負担を軽減して、教職員教育活動に専念し得るようにするためにも、文部省といたしまして、この警備員制度というものについては何とか前向きに取り上げていきたい、こう考えておるわけでございます。同時に、各市町村が学校の管理者である立場でございますので、まずもって市町村側としてのいろいろの考え方も取り入れていかなければならないと思います。また学校の所在地や規模やあるいは建築の様式というようなことからいいましても、国家として一律に、これを制度的に取り上げるということについては、相当検討する点があるのではないかということを、まじめに現に研究をしておるということが現状でございます。
  55. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点につきましては、地方自治体では、それぞれ議会でこの問題を取り上げて、決議をしたり要求をしたりしておりますけれども、やはり理事者のほうの回答といたしましては、大かたこれはやはり国で一律に法制化をしてもらわなければ、私の県だけ、私の市だけそうした特別の措置を講ずるということは困難であるというのが、地方自治体の議会における答弁の内容であるわけなんです。したがって、現在、先生方はどこへすがればいいかということなんですが、したがって国のほうへ何とかこういう問題を解消してもらうように努力してもらわなければならないということから、四十七回通常国会以来、この問題が問題になっておるわけでございますので、この辺で文部省としても真剣に取り組んでいただいて、こうした災害を防ぐために努力をしてもらわなければならないと思います。その点は必要であるというお脅えはあるようでございますので、たおこれを具体化するために最大の努力をしてもらうように、強い要望を申し上げておきます。  そこで、先生方の宿日直というものは、法律的には義務化されておるかどうかということを、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  56. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 学校教育法の二十八条の規定によりますと、御承知のとおり、校長は校務を掌るという規定があるわけでございます。校務の内容につきましては、学校の運営に必要な校舎、設備等の物的なものの管理、それから教職員等の人的な要素の管理、その他学校連帯の全般に関する管理運営がその校務の内容になるというふうに私ども考えるわけでございますが、一方教諭の職務といたしましては、御承知のとおり、教諭は教育を掌るという規定があるわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたように、校務の分掌を教諭が命ぜられた場合には、やはり教諭の職務としてそれに従わなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。教諭が教育を覚ると申しますのは、教諭の主たる職務を規定したものでございまして、ただいま申し上げましたように、校長の職務でありまする校務が教員に分掌を命ぜられたという場合には、それに従ってその職務に従事する義務があるというふうに考えております。
  57. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そのことは、先生に課せられた教授としての義務とは違うと思う。教授の義務は、校長が管理をし、そして子供たちの教育を法に基づいて成果をあげるために努力をすることであって、ただいま申しましたように、学校警備負等がなされるような宿直とか、こういうものを義務的に負わされるということは、法的に大いに疑義があるわけなんです。拡大解釈をしてそういうようにこじつけをされるけれども、私は法的な根拠はないというふうに考えておるわけなんですが、その点どうなんですか。
  58. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 ただいまお等え申し上げたとおりでございますが、教諭の職務が教育である、これが主たる職務であるということは、当然なことだと思います。しかし、ほかに学校施設設備の管理等の校務という事務も、これは校長の職務として規定があるわけでございまして、その分掌を命ぜられた場合には、その職務が教諭に付加されるというふうに私ども考えております。
  59. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 教授の校務ということは、直接子供を教育することに関連をしたところの校務であって、その他の校務というものは、法律的に根拠がないわけなんです。その点どうですか。
  60. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 校務は、包括的に申しますと、学校としての目的遂行のために必要な業務の一切ということになるかと思うのであります。その中には、校舎、設備等の管理、あるいは人的な要素の教職員に対する職務上の監督、その他学校の管理運営に関する全般を校務として私ども理解をいたしております。法律の、校長は業務を掌るというのは、校長がそういった学校の全体的な目的遂行のための中務をつかさどるという趣旨でございまして、それが教員に分担を命ぜられました場合には、教員も学校職員でございますから、それに従って学校全体としての目的の遂行に協力すべき義務があるというふうに理解をいたしております。
  61. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 宿日直に限定をしてお聞きいたしましたが、良心的にいろいろ先生方がやられる場合は別です、火災なんかの場合に、学校の重要な資材を外へ出すというようなことに努力するようなことは当然なことですが、ふだんにおいて毎日毎日行なわなければならない宿直というようなものを先生方に義務づけられた校務とは、これはなっておらないわけです。これはどこにもなっておらないわけです。あなたは拡大解釈で、こじつけにそれを言われるだけで、法律的には根拠は絶対にないわけです。法律的に根拠があるなら、これはもう少し明確に内容が明示されておらなければならない。そしてこの校務の内容については、校長の権限においてそれぞれ先生方に指示される内容はありますけれども、この宿直というものは、先生方の義務化されたところの校務ではないということなんです。これはあくまでも意見が対立すれば、将来の問題として研究をしてもらわなければなりませんが、私はそれは法的な根拠はないという解釈を持っておるわけなんで、もう一度答弁をいただいて、意見が平行すれば、平行のまま将来の問題として残しておきたいと思います。
  62. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 私ども、宿日直が教員の本来の義務であるというふうには必ずしも考えていないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、校務の分掌といたしましてそれを命ぜられた場合には、それに従うべき義務がある、それが教諭の職務になるというふうに考えておるわけでございます。
  63. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 校長が校務の一つとして教員に命ずる場合には、何と何というぐあいにこれは明確に規定されておりますか。
  64. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御説明いたしましたように、学校教育法二十八条の解釈の問題だと思うのであります。それで、校長から教職員に対しまして校務の一つとして宿日直をやれという場合には、教職員もそれに従うべきであるというのが、われわれの二十八条の解釈でございます。そこで、この問題は非常に大切な問題でございますが、これに関してはさらにもう少し御説明をいたしますと、労働基準法との関係なり、あるいは現実にやっております状況を申し上げて御判断の資料にしていただきたいと思いますが、労働基準法の四十一条でございますか、それのほうから申しますと、宿日地直勤務はいわゆる断続的な労働であるというふうに理解すべきではなかろうかと思っております。そして現実のやり方としては、県立の諸学校の場合には、人事委員会の許可を受けて宿日直勤務をするべきものである。それから市町村立学校においては、市町村長の許可を受けて行なうべきものとされておりますし、現にそういうふうに実行しておると思います。  こういうわけでございますので、実際問題としては、宿日直の許可を各都道府県等の人事委員会や市町村長がやっております場合には、原則として宿直については週一回、日直については月一回の勤務回数を基準とすべきものであるというふうに、労働省のほうの行政実例からも、こういう基準が示されております。この程度のことでございますならば、教職員も宿直、日直をやってもらいたい、こういうふうにわれわれとしても考えておるわけであります。
  65. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 断続労働というおことばでございますが、断続労働というのは、八時間なら八時間の拘束時間があって、そして朝の二時間は全然仕事はない、あとの六時間がある、こういうような場合に、その朝の二時間というものを、これは管理者とそこの職員の過半数の意見というものが話し合いできめられた場合に、労働基準局に届け出をして、そしてこれが認められるものであって、一日先生が勤務を行なう、そうして夜宿直をするという、このことは断続労働ではないわけなんです。どうですか。
  66. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは労働基準法の解釈の問題になると思いますが、その法律的な問題も重要な問題でございますけれども、実際上、先ほど申し上げましたように、宿直については週一回、日直については月一回という、この程度のものであるならば、教職員が宿直、日直に出たってもらって適当ではなかろうか。実情もそうでございますし、そういうふうに理解してしかるべきではなかろうかと思うわけでございますが、先ほどお話しがございましたように、そういう点についていろいろの御意見がございますことは、十分拝聴しておきたいと思います。
  67. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 ちょっと補足して御説明申し上げたいと思います。ただいま田口先生の御質問でございますと、断続的労働というのは、八時間の勤務時間の中であるというお話のように承ったのでございますが、労働基準法の四十一条の規定によりますと、勤務時間に関する規定の適用除外の事項といたしまして、四十一条の三号に「断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けた者」という規定がございます。したがいまして、私ども考えております宿日直は、勤務時間外における断続的な業務というふうに理解をいたしております。
  68. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それはあなたお知りにならないのですが、朝、始業時が八時半、それから拘束八時間なら八時間、実働八時間なら実働八時間ですけれども、その八時間の始業時、終業時の拘束時間外にはみ出た時間の労働をすることは、拘束時間内に仕事のない場合に、それを拘束時間外に持っていくということであって、これはあくまでも断続労働の解釈として、八時間なら八時間の拘束時間はきちんと働いて、そのほかにまた仕事を与えられることが断続労働だというような、そんな幼稚な考え方をあなた方が持っておられては困るわけなんです。もう一度よくそれを見て解釈してみてくださいよ。
  69. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 私どもはただいま申し上げたような考え方を持っておるわけでございまして、昭和三十二年八月における東京地裁の判決におきましても、断続的な労働を命ずることは、過重でない限りにおいては勤務時間の外においても差しつかえない、違法でないという判決があるのでございます。私どもが把握いたしております宿日直の実態というものも、これは御承知のとおり、勤務時間外という扱いをいたしておるわけでございます。
  70. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 勤務時間外ということは、超過勤務手当をつける時間のことを言われるのか、そうでないのか、その点を承りたい。
  71. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 御承知のとおり、教員には超過勤務手当という方式はとられていないわけでございます。しかし、いずれにしましても勤務時間の振り割りは行なわれているわけでございまして、この振り割られた勤務時間の外であるというふうに、私ども理解いたしております。
  72. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 振り割られたということは、そうすると、八時間の拘束時間なら八時間の拘束時間のうちに、今晩は宿直をやらなければならないということになれば、じゃ半日授業をやって半日は休んでおってその晩宿直をする、こういう便法をとっておられるのですか。
  73. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 そのような便法はとっていないわけでございまして、振り割られに勤務時間が終了した後において、宿直あるいは日直の勤務を命じておるということでございます。
  74. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それが誤っておるのです。それは正しいと文部省は解釈しておられるのですか。
  75. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 私ども正しいと解釈いたしております。
  76. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そんなわかり切った問題を正しいと思っておられるようなことでは、これはまことに管理者として遺憾だと思いますが、この問題は、将来の学校警備員の制度の法制化等いろいろ問題がございますので、そういう点を検討されるときに、この断続労働というものの解釈、それからいまの振り当て制、こういうものについて、もう少し労働基準法の精神に基づいていろいろと考えていただいて、そうして正しいあり方において指示をしてもらわなければ、非常に全国まちまちになっておりますので、その点を忠告を申し上げると同時に、検討していただくことを要望いたしておきます。これはいつかの機会に聞きますから、必ずやっておいてください。  それから先ほど大臣が週一回云々ということを言われましたが、二週間連続ということになった場合には、これはどういうことになりますか。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは基準として週一回あるいは月一回ということを申し上げたわけでございまして、これを著しく逸脱するような場合には考えものだと用います。
  78. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしたら、二週間ぶっ通し、三週間ぶっ通しで宿直を行なわしめ、日直を行なわしめても、それでもいいということなんですか。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そういう意味で申し上げたわけではございませんで、そういう場合には行き過ぎだと思います。
  80. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そういう行き過ぎがあります。だから、そういう行き過ぎについては適正な指導をしていただきたい、この点を要望を申し上げておきます。この問題につきましては、先ほど来断続労働の解釈の問題とか振り当て制、こういう問題について疑義が残っておりますけれども、これは文部省のほうとしても、基準法等の精神、それからいま裁判の結果を報告されましたけれども、その文章どおりになされているものと、精神的な、内容的なものとは、これはやはり解釈の相違が出てくるわけなんで、こういう点についても研究をしておいていただきたいと思います。  それでは次に移りたいと思います。佐藤総理は、今年の施政方針の演説にも、未来に連なる人間像云々ということで、非常にりっぱな青少年の育成についてお話しになりましたが、その中で一言現存児童が非常に交通事故にかかっておる率が年々増加をしておるということから、総理は「子供たちが何の危険もなく、明るく伸び伸びと育つことができる社会、」こういう表現を行なって、そして交通平枚の防止対策に全力を注ぐという意味合いのことをるる述べられておるわけなのです。そこでお聞きをいたしたいことは、来年度、昭和四十年度児竜の交通災害に対する防止対策費としては、どれだけ予算が組まれておるか。私は予算書を見ましても、ちょっと見当たらないからお聞きをするのですが、見落としておるのなら、それでけっこうでございますけれども……。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御承知のとおり、昭和三十八年度におきましても、小学校、中学校に配付いたしておりますいろいろの資料の中に、交通安全についての問題を取り上げまして、生徒、児童に対しましても、交通安全が徹底して行なわれるようた資料としておるわけでございます。そこで、来年、四十年度のお話でございますが、学校安全の手引き書というようなものを編集中でございます。それから、安全講習会というようなものを開催する予定でございますので、特に交通安全というような款項目には上げられていないかもしれませんけれども、これらに必要な措置と予算は講じてまいりたいと思っております。
  82. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 一つの児童の交通災害を防ぐための指導方針またいろいろな指導は、これは各学校なり県なりが行なっておるわけなんです。たとえば学校へ行って児童を集めて、そして警察の交通課から行って、道路を横切る場合には必ず手を上げて左右を見て通りなさいとか、こういうような指導はやっておるわけなんです。こういうことは前からやっておるわけなんです。こういう指導を行なっておりましても、この災害事故というものは年々増加をしてきておるので、それでこの問題は放置しておけないと私は考えたのです。幸いに池田総理は、ただいま申しましたように、ほんとに子供たちが何の危険もなく、明るく、伸び伸びと育ち、勉強のできるような、こういう対策を講ずるんだということを述べておられるので、私は今年の災害防止の対策費はどれだけ文部省としてはとられておるかと思って調べてみましたら、私の見た限りでは、一銭もないわけです。事務局のほう、それはありますか。
  83. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 ただいま大臣からお答えをいたしましたように、特に学校安全、交通安全のため予算という費目はございませんが、私ども道徳教育資料等の中におきましても、交通安全のことは特に強調をいたしておるわけでございまして、道徳教育資料の配付に要する予算といたしましては、約四千万円を計上いたしております。それから、交通安全の手引きを作成中だという御説明があったわけでございますが、これは標準予算といたしまして約三十四万円の予算を計上いたしております。
  84. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 指導対策費としても、ただいまの数字を見ますれば、全然ないと同じことなんですが、そういう予算というのは、四十年度に限らず、いままでもその他の方面からも出されて、そして指導はなされておるわけなんです。したがって、私は、いままでも交通災害を防止する指導をなされておっても、交通災害が非常に率がふえていくんだから、この辺で何か変わった手を打たなければならない、こう考えておるから、予算の面でどう出ておるかと思ってみましたら、それは一銭も出ておらない。ただ、その予算というのは、指導の面において、印刷物等において予算化されておる、こういうことでございますので、佐藤総理が施政方針演説で強調されたことは、文部省としては全然予算化をしておらないし、関心が持たれておらない。こういうように私どもはきめつけができるわけなんです。したがって、これでは私はいけないと思う。今年ない場合は、もう予算編成は終わったんだから、今後検討していただいて、必要とあれば、更正予算でも組んでいただければ別でございますけれども、四十年度の場合にはありませんから、非常にこの点を不満に思っておるわけでございます。したがって、文部省といたしましては、特に自動車で死亡したり、けがをした児童の率というようなものは、この点は把握されておるでしょうね。
  85. 西田剛

    ○西田政府委員 それは調べがついておりますが、ただいま手元に資料を持っておりません。
  86. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 おそらくお調べはなっておられると思いますが、そのパーセンテージは年々上がっておりますし、それから年齢別に見ましても、小さな零歳から四歳までということは、親御さんのいろいろな監督等の不行き届き等もございますけれども、五歳から九歳までとか、十歳から十四歳というようなこの時点における数字というものは、これはやはり文部省のほうで十分に政治的に解決してもらうように対策をしてもらわなければならないと思う。したがって、最近地方自治体では、国のほうでそうした方面予算等が組まれておらないから、地方自治体がみずから憂えて、そうしてこの学校通学道路、すなわち国道等を横切る場合には、跨道橋をつくっております。これは四、五百万円で一カ所できるわけなんですが、最近岐阜市なんかでは相当方々につくっておりますが、こういうことも、これは文部省いろいろ建設省、どちらの管轄によけいなるかわかりませんけれども、たとえ建設省のほうの予算になるといたしましても、文部省のほうから強い要望をされまして、こうした予算を組んで地方自治体に相当金額を助成できるような処置を今後講じていただくことが、私は児童の交通事故を防止する一つの方法であろうと思いますし、それでこれよりほかにいまのところ考えても方法はないわけなんです。それは道路を横切る場合には、手をあげて左右を見て通りなさいという指導は、これはもう前からやっているのですから、これをやっていてもそうした事故がふえますし、そうして緑のおばさんの場合には、この場合には幾分予算化されておりますけれども、その他市町村におきましては、特に市におきましては、PTAのおかあさんやおとうさん方が、交代に朝晩街頭に立って、この交通指導に協力しておられるわけなんです。こういうような面に対するところの助成金というようなものも、国からとしてはないように私は心得ておりまするが、この点につきましても、おかあさんやおとうさんが非常にお忙しい中を朝晩交代に寒いときも暑いときも路上に立って、赤、青の旗を持って整理をしておられるということは、非常にありがたいことであり、また敬意を表することであろうと思うので、こういう点につきましても、何かやはり少しの謝礼的なものが国の助成として出されるべきが当然だろうと思いますので、この点につきましても強く要望いたしておきたいと思いますが、こういう点を相からまして、一言大臣のほうから御答弁をいただきたいと思います。
  87. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 たいへん適切な御意見を承りましてありがたく思うのでありますが、交通安全の問題については、これはいまも御指摘がございましたように、関係省庁もございますので、十分いまのような御趣旨が反映できますように、この上ともつとめてまいりたいと思います。なおまた、関係当局におきましては、交通事故を根本から起こさないようにということで、立法的ないろいろの措置なども考えているようでございますから、そういう際にあわせて文部省としての積極的な意見を反映してもらうようにいたしたいと思います
  88. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、交通事故に関してのこととはまた違っておりますけれども日本学校安全会というのが実質的につくられておりまして、おそらくこれは全国的に九八%か九九%、一〇〇%に違い安全会ができておると思うのです。これに対しましても少し予算化して助成されておりますけれども、これはほとんどがお互いの掛金で、相互扶助というような精神に基づいてなされておるのでございますが、こういう方面にも気を使っておられるのだから、実際に交通事故をなくするという方面予算は、当然文部省予算要求のときに要求されればこれはつくものであろうと思いますので、この日本学校安全会の予算要求の関係も一応思い出してもらって、そうして交通災害を防止するための対策費を、今後とも関係者とよく御相談していただいて、この災害をなくする方面へ努力をしていただくことを重ねて要望申し上げて、次へ移りたいと思います。  次は、定時制とそれから通信教育関係ですが、最近定時制のほうは数字が減っております。そうかといって、通信教育のほうは数字がふえておるわけなんですが、これをどう判断されておるのか、この点を承りたいと思います。
  89. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 定時制の生徒数は、御指摘のように年々減少いたしておるわけでございますが、これは全日制高等学校への進学率が高まったということ、それから農山村から都会に対する青少年の転出が多くなったということ、そういったような事情が原因であろうかと思います。一部の地方におきましては、定時制高等学校が全日制高等学校に転換をするというような事態も、ただいま申し上げましたような事情に関連して見られるわけでございます。それから通信制の高等学校につきましては、都会地の青少年の人口がふえたというようなこと、その他中等教育を何らかの形で受けたいという希望者が増加いたしておりまして、近年かなり増加するという傾向にございます。
  90. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 定時制高校の場合の数字が最近少なくなったという理由は、全日制のほうへ切りかえられてきたからと、こういう説明でございます。それから通信教育の場合には、おそらく勉強をする、何か身に学問をつけたいという、こうした勤労青年が意欲を燃やして、せめて通信教育でもということになっておると思うのですが、私はちょっと数字を調べておりませんけれども、ごく最近のものでよろしいのですが、ただいま御答弁のありました裏づけになる、全日制に切りかえられたから定時制が少なくなったのだという、これは新制中学を卒業する生徒の数と、それから全日制へ入学する数、それから定時制で教育を受ける数、これを出していただければ、ただいま御答弁のあった答弁の裏づけになろうと思うのですが、その数字を私はちょっと調べておりませんので、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  91. 安嶋弥

    ○安嶋説明員 ただいまお話の資料は、実は手元にございませんので、別に資料として提出をさせていただきたいと思います。  なお、定時制の生徒が減少した原因は、定時制高等学校が全日制高等学校にかわったからだというふうに私は申さなかったつもりでございまして、これは全日制高等学校に対する進学率の上昇の結果、定時制高等学校の生徒数が減少いたしまして、それに関連をいたしまして、定時制高等学校が全日制高等学校に転換しつつある、こういうことでございます。数字、それから近年の傾向等につきましては、別に資料として提出さしていただきたいと思いますが、現在数だけ御参考までに申し上げておきますと、定時制に在籍する生徒数は三十六万人、通信制に在籍する生徒数は約三万人ということになっております。
  92. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 わかりました。そこで資料の関係は、いつかひとつ提出をお願いいたしたいと思います。ただ、答弁の裏づけはおそらく完全になされておると思いますけれども、私がいろいろと勤労青年に話を聞いてみますと、定時制へ通っても、働きつつ勉強するということは、食事の問題、いわゆる給食の問題、こういうような問題もなかなか解決されませんし、そういうようなことから、自然にそうした方面へはこのごろ志望する者が少なくなった。そうかといって何か勉強したいというので、通信教育でもというので通信教育をやっておるのだ、こういうようなことを聞いておるので、そうであれば、これはまた文部省として考えていただかなくてはならない面があろうと思いますので、一応ただいま御答弁のありました答弁の裏づけが数字的に出るか出ないかを私も見さしていただきたいと思いますので、その資料の御提出をお願いいたしたいと思います。  それから次にお伺いをいたしたいことは、今年は日本の総予算というものは相当ふくれ上がったわけなんですが、特に佐藤総理が最近の青少年問題について長々と施政方針演説で述べられておりまして、その内需を一つ一つ読みくだいてみますと、全く同感でありまして、そうあらなければならないと思うのです。したがって、そのことが予算の面において裏づけされ、そして政治の面で施策が講ぜられることが当然であろうし、好ましいと思いまするけれども昭和四十年度の勤労青少年の教育振興に対する予算総額の面からいきましても、これは総予算に占める率というものは昨年と変わっておらないということなんですね。その辺はどういうように対策を立てられておるのか、この点もお聞きをいたしたいと思うのです。
  93. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 勤労青少年の教育振興という問題につきましては、実はただいま昨年と変わっていないではないかというお話もございましたが、相当くふうをしておるつもりでございます。定時制各般の項目につきまして、それぞれかなりなくふうをいたしておりますが、こまかい点につきましては、政府委員から各項目について御説明いたさせます。
  94. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私はその内容は項目的に調べておりますが、いま大臣の言われましたように、金額の面においては、確かに昭和三十九年度と比べて四十年度の予算は、総額においても、項目的においても、それぞれふえております。ふえておりますが、これはいろいろ物価の上昇その他いろいろな関係も手伝っておりまして、日本の総予算というものが昭和三十九年度より四十年度は相当にふくれ上がっておるのですから、その総予算に占める勤労青少年の教育振興費というものが、率としては上がっておらないということを申し上げておるのです。金額としては、総予算が大体においてふくれ上がっておるのだから、全体的に予算の面はどれだけか金額はふえておりまするけれども、率ということについてはふえておらないということ。特に、佐藤総理の青少年に対する抱負をるる述べられましたあの内容というものに、私は非常に気を引かされる一面がありまして、そしてこれは必ずその考え方で予算化をし、そうして具体的な施策を講ぜなければならないと考えておりましたので、一応総予算に占める勤労青少年振興関係教育予算を率で出してみましたけれども、ふえておらないから、その点を指摘を申し上げたわけなんです。ただいま大臣の言われたように、金額ではふえております。金額ではふえておりますけれども、この金額でふえるということは、日本の総予算をふやさなければならないというもろもろの要素があるわけなんで、金額がこれだけふえたからこれだけよけい力が入ったのだ、この方面に成果があるのだということは一がいにはいかないので、私はそういう点でいま指摘を申し上げたわけでございますので、こういう点につきましても、単なる金額がどれだけになったということだけでなしに、前年の総予算に占める比率というようなことも考えて、そうして年度の予算の要求というものをなされるととが正しいと思いますし、特に佐藤総理の施政演説の中にありました内容を実現するには、やはりそうした点を十分に文部省としても考えていただかなくてはならないと思いますので、その点につきましても、若干の御注意を申し上げて、ひとつ今後の参考にしていただきたい、かように考えておりまするし、特にこうした予算につきましては、もう少しく取っていただいて、そうしてそれぞれの項目に対してもう少しく予算を大幅に取っていただくことがいいのではないか、こういうように考えておるような次第でございます。この点は要望を申し上げて、次へ移りたいと思います。そこで、時間とにらみ合わせて質問をいたしまするが、まだこまかい質問がありますので、また次のときに、同僚の村山委員が質問をされて質問の内容の残ったときには引き続き質問をいたしたいと思いますので、ただいま質問申しましたような具体的なこまかい面についての質問はこの辺でまずたな上げをして、次へ移りたいと思います。  次は、これは予算委員会でも問題になりましたし、昨年のILO八十七号条約の批准の特別委員会の中でも問題になり、おそらく今年もなろうと思いますが、依然として日教組と文部省の交渉、話し合いということは、拒否されておるわけなんです。それで拒否されておる理由というのは、これは長年の歴史がつくられておるから、その内容というものは大かた私は知っておりますけれども、しかし、拒否されるということについては矛盾があるから、その点を私は指摘を申し上げたいと思うわけなんです。まあ地方公務員である教職員組合の場合は、これは当然任命権者である教育委員会とかあるいは市町村長、または県知事等に対して交渉をし、話し合いをし、問題によっては非常にスムーズに話が進んで、そうしてこの教職員組合の考えておった、要望されておったことが成果をあげて解決されておる面があるわけなんです。そこで地方自治体においては、こういう交渉、話し合いというものがなされて、そうしてそれぞれ成果をあげておられるということについては、文部大臣は十分御認識はあろうと思いますが、この辺からひとつ聞いていきたいと思うのです。
  95. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 地方公務員であります教職員と地方の当局、教育委員会とか教育長との間のいろいろの話し合いというふうなものは、これは一がいに申せませんけれども、それぞれ相当順調にと申しましょうか、ところによってはいろいろの違いはあろうかと思いますけれども支障がたいしてなく行なわれておる、さように私は承知いたしております。
  96. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 まあ申し上げるまでもないことでございまするが、教職員が職務を実行するということについては、その職務の内容ということは、当然子供たちに教え育てるということであって、すなわち、教育対象である子供たちの要求をどうつかみ、そしてどう集団化して、どう発展させていくかというところに教育の本来の目的と精神があろうと思うわけです。したがって、そうだといたしますれば、教職員が教職員組合を組織している。そしてその組織の中に入っておる先生が、正しい教育のあり力をいかに具体化して成果をあげるべきかということについて集中してもらわなくてはならないと思うのです。それと同時に、教師としての責任を果たすために、いかにすれば先生方としての職務が果たせるかということも、これは教職員組合の中においても、また組合というワクの中でなくても、それぞれ先生方の会合においてそうしたことをいろいろと審議されることは当然であろうと思いまするし、これは一つの責任であろうと思うのです。私は、その責任を果たすためには、幾つかの要求が先生方から出てくるのは当然だと思いまするし、それと同時に、みずからの生活を守るという生活要求というものも、必然的に出てくることが当然だと思うのです。このことはごくあたりまえのことであって、私は、こうしたところでそう強調するまでもなく、これはだれしも知っておらなければならない問題であろうと思うのです。これは文部省によらず、あるいは県、市町村の教育委員会によらず、教師によらず、とのことは心得ておかなければならないと思うのです。こういうところからいろいろな要求が、地方自治体では教育委員会なりあるいはその市町村の長である市町村長あるいは県知事に対して出され、そして交渉をされ、話し合いをされて、一つ一つの問題を解決していくというのが、現在の実態であるわけなんです。その点についてはただいま大臣もお認めになったわけでございまするが、そこで問題の出てきますことは、その交渉をしておるときに、それは中央でなければその話し合いができぬとか、文部省の了解を得なければこれは答えができぬとかいうものが、たくさん出てくるわけなんです。そうなりますと、労働組合の組織というものは、全国にそれぞれ組合をつくっておりますけれども、やはりその組合の連合体というのが中央にあるわけでございまして、下部機関であるところの教職員組合で信義誠実をもってお互いに話し合いをしても、これは中央でなければ話し合いがつかない、中央の意向な開かなければ返事ができないという問題は、当然連合体である中央の組合がその衝に当たるべきであろうと思うわけなんです。私は、日教組が文部省と交渉をする、話し合いをしたいということは、ただいま申しましたような隘路があって、これは交渉をし、話し合いをしたいということなんだろうと思うのですが、これを拒否されるということになりますと、私が前段で申しましたところの、先年の教員としての業務を果たすもろもろの問題を処理していく上においても、そして自分たちの労働条件をよくし、確保していくしにおいても、これは即題が出てこようと思うのです。したがって、先ほど来質問を申し上げておりますところの学校の警備員制度の法制化をしてもらいたい、こういう問題につきましても、地方自治体のほうでの話し合いはどんどんやりまして、それはごもっともだ、それはやらなければならぬ、やらなければならぬけれども、これは全国的な問題でもあり、文部省のほうで考えてもらわなければならない、中央政府において考えてもらわなければならない問題であるから、私の市町村で、私の県で特別の処置を講ずるということは、予算の面からいっても、いろいろな面からいっても困難であると言って、これははねつけられるわけです。そうしてただいま申しましたような児童の交通事故を防止する問題につきましても、こういう問題についても何とかいい方法がないだろうか。ただPTAのおかあさんやおとうさんに協力を願っているだけではいけないので、これは文部省と建設省と、そうした関係省が相当相談をしてもらって、そして地方自治体へ予算をおろしてもらわなくてはならないというところまできているのです。そして地方自治体としては、ただいま申したような要求に応じて、でき得る限り予算のまかなえる限り予算化をして、そうして跨道橋というようなものも毎年相当数つくっているわけなんです。それで、これはその市町村が全部負うというようなことは、なかなか困難性があるので、もう少しこの辺で国の助成というものももらわなくてはならない、こういうことになっておりますので、おそらく日教組といたしましても、そうした児童の災害問題につきましては、文部省としてもこうした問題を取り上げてほしいという要求もあろうと思うのです。こういうような要求のある日教組が、話し合いをしたい、交渉をしたいというときに、それはもうまかりならぬ、こういうことになりますると、私は、そこに正しい政治の運営というものがなされないのではないか、こう良心的に考えているわけたんです。こういうような点を考え合わせていただいて、ただいま日教組の交渉あるいは話し合いを拒否されている文部大臣としてはどうお考えになるか、この点を承りたいと思います。
  97. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題につきましては、いろいろの機会に意見を申し上げておりますので、あまりこまかく申し上げるまでもないと思いますけれども、端的に申しますと、文部大臣としては、いわゆる団体交渉の当事者ではない。これは申すまでもないことでございますが、人事権とか給与支給権とかいうものを持っておりませんものですから、いわゆる団体交渉というようなものの当事者ではない。またこの制度というものは、非常にいい制度である。要するに終戦後の民主化といいますか、地方自治の強化といいますか、いろいろな点から申しましても、この制度は非常にけっこうなものであって、これを中央の文部省がまた何もかにも口を出してというようなことになるような、戦前のような体制になることは好ましくないというような根本の考え方から、私どもは出発をいたしているわけでございます。それからまた、本日も田口委員からいろいろと示唆に富む御意見をいろいろの問題について伺いましたが、こういうふうな法制上の問題とかあるいは国の予算の問題でありますとかいうような、いわゆる政策の問題は、国会を通して文部大臣国民に対して責任を持っているものである、特定の団体との間の団体交渉というようなものによってこれが結論が出るというような筋合いのものではない、かように考えているわけでございます。  そこで、その次に申し上げたいことは、陳情、請願ということを申しますと、たいへんことばの上にとらわれる方もありますけれども、いろいろの問題について御陳情なり御請願をくださるということについては、これはできるだけ耳をかさなければならないというふうに考えているわけでございまして、現に本日御提案にたりました問題以外にも、たとえば学童給食について国の補助をもっと増してくれとか、あるいは高校全入運動というものもございます。高等学校にもっと快く子供を入れるようにいろいろの設備をしてもらいたいというようなお話もございます。あるいはまた公立学校の建築等の問題について、単価の引き上げというような問題についても、いろいろの方からいろいろの話を承っております。こういったような問題につきましては、私も現につとめてお会いするようにいたしておるわけでございます。要するに、こういったような問題は、日教組という特定の組合と団体交渉して、そこで結論を出すというふうな扱い方をすべきものでない、こういうふうな考え方でおるわけでございます。これらの点につきましては、従来もしばしば申し上げておるところでございますが、私といたしましては、いわゆる中央交渉というようなことに重点が置かれておるようなかまえ方のところと、現在話し合いといいますか、交渉に応ずるということは不適当である、かような考え方を持っておるわけでございます。
  98. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣は、ちょっと日教組の話を出すと、かたくなってお答えになっておると思うのですが、大臣のような頭のいい方がいろいろな方面から考えていただけば、どうやればこうした問題を有効に解決していけるかということは、おわかりだろうと思うのです。もちろん、団体交渉というこの文字は、これは労働三権を確保した団体団体交渉ということを表現するのであって、いま申し上げた団体交渉とか話し合いということは、これは労働三法の権利を持っておるそういう労働組合の団体交渉とは、おのずから違えて私は質問を申し上げておるのであって、それで、そうした労働三権のある労働組合の交渉権とは、これは違うものであるというように私の申し上げておることを御認識いただきたいと思うわけでございます。そこで、国会に対して請願とかどうとかいうことですが、請願の場合には、これは大臣も御存じのとおり、国民請願権に基づいてそれぞれ国会に請願されておるのであって、これは国会であるわけなんですが、ただ、一つの文部関係なら文教に携わっておる者が、いろいろな問題があって、そして話し合いをせなければならない、話し合いをすることが目的を達成するには非常に得策である、こういうことはあり得るわけなんです。これは民間の労働組合の場合でも、人事権というものは経営者にあります。ところが、民間の場合の労働協約の大半を見ますると、人事を異動する場合には、その内容を組合に提示をして、組合の意見を最大限、と書いてあるところと書いてないところはありますけれども、尊重をする、こういう書き方でございまするから、尊重しなくてもいいわけなんです。ところが、実際に人事を行なう場合に、労働組合が理論的にこの人事は不当な人事だといって組合のほうから交渉しておるものを、人事権は私のほうにあるんだから、組合が何と言おうが人事権のほうは会社の経営者がやるんだといってその人事をやってみても、そこにつとめておる人たちは、この人事というものは大半の労働者の認めた人事でないから、今度来られた課長さんは私どもの好んだ課長さんでない——そこまではいきませんけれども、これを拒否しようとすれば、お茶を出すのも遠慮をする、いろいろなお話があっても、聞いて聞かぬふりをしておるということになりますれば、無理に人事の交流を行なっても、その人事は実際にだめなんです。だから、人事権は会社にあるといってみても、やはりその全体をにらんでおるところの組合の意見というものは、重要な意見として参考に聞いて人事というものはなされておるということが、今日の実態であるわけなんです。こういう点からいきますると、文教行政に対しましても、それから教職員の待遇の問題に対しても、これはやはりそれ相当の理屈があり、隘路があろうと思うのです。こういう理屈なり隘路というものが要求として出され、そしてこれを話し合いをしたいと言ってこられるものを、日教組はだめなんだといって拒否をされることは、これは正常な教育行政ということには欠くるところが幾分できるのじゃないか、こういうように私は判断をしておるのですが、そういう点も重々に知っておられて、何かほかの考え方で拒否をされておるのか、この点が私はどう考えてみてもわからないわけなんです。もう一度御答弁をいただきたい。
  99. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私がいまいわゆる団体交渉的な申し入れを拒否しております理由は、先ほども述へたとおりでございまして、それに長々とまたつけ加えて申し上げることもないかと思います。  御質問の範囲を逸脱するかもしれませんけれども、ILO当局としても、日本調査団までついに派遣されるようになり、そしていわゆるドライヤー調査団が日本を離れる直前に出された提案というものがあります。これは御承知のように、政府全体としてこれを受け入れているわけでございますが、ああいった提案で示唆されているような方向に今後遊んでいくということに、私は期待を持っているわけでございます。
  100. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ドライヤーの意見は、とにかく政府と組合が話し合いをして、そしていま問題になっておるような問題を話し合いの中で解決したらどうか、こういうことなんです。私はそういうように把握しておるのですが、その点に相違があると、これからの質問が変わってくるわけなんですが、その点はどうなんですか。
  101. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私どもとしては、ドライヤーの提案というものを尊重といいますか、受諾いたしまして、ああいう線で一般的に問題が解決の緒につくことを期待しているわけでございますが、あの提案の中には、日教組と文部大臣との団体交渉というようなことは書かれていないわけでございまして、具体的な措置としては、総理大臣のイニシアチブによって、政府、労働者、使用者、これらの三者の代表者が話し合いをすることが望ましいのではなかろうかということが示唆されているわけです。これらにつきまして、御承知のように、内閣として総評等との下話が現在進行しているわけでございますが、さような状態でございますし、さような考え方で私も進んでまいりたいと思っております。
  102. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ドライヤーの意見によって、いま予備会談の前くらいの話し合いがなされておるのですが、ドライヤーのあの考え方というものは、調査をした結果いろいろなケースが出てき、中には日教組と文部省団体交渉の非常に難儀をしておるという点も調査され、こうした問題は当然、まあ労使岡という表現を使いまするが、労使間において話し合いをして、そして問題をスムーズに解決していくようにせよということであって、それをまず第一に内閣と、組合のほうでいうと連合体の一番大きい総評が話し合いをする。この話し合いは、当然日教組と文部省も、話し合い、交渉もしてもらいたいのだ、こういうことになるわけでございまして、そのときに文部省のほうが、いや私のほうは日教組とは絶対にいかぬのだという線を打ち出しておられるから、予備交渉の前の予備交渉の段階でなかなか話が進んでいかぬというのが、実態であるわけなんです。それでもう少し私は赤裸々に、淡々としてこういう問題は処理すべきであろうと思うのです。そうした勧告に基づいて、当然職員組合があり、管理者がある、こういうことになりますと、管理者と、組合は労働三権を持っておる団体交渉とは言いませんけれども、話し合いをし、またいろいろな要求もあり、その要求に対しての答えも出されるというのが当然のことでございますので、したがって、公務員の労働者だからといって絶対に交渉をしないとか、話し合いをしないというようなことは、他のところにはないわけです。いまのところでは文部省だけです。そしてその次へいきますと、建設省がちょっと交渉をしぶっておりますけれども、その他は淡々として要求に応じて交渉をし、問題を解決をしておるわけなんです。一昨年末には、郵政省と全逓労組の団体交渉が非常に暗礁に乗り上げまして、たくさんの年賀状の滞貨ができ、国民大衆にも迷惑をかけた、こういう事実がありますが、昨年は、郵政省のほうも、あるいは全逓のほうも、よくそういうようなことを自分の胸に置いて、信義誠実をもって問題をスムーズに解決するという方向で話し合いをされた結果、成功をして、そして久しぶりに昭和三十九年度、すなわち昭和四十年の一月一日の年賀状は一〇〇%計画どおりいったという事実を見ていただきましても、信義誠実をもって労使間が交渉をして問題を解決するということは、決して損にはならない。これは当然のことだ、私どもはああいう事実を見て、ますますその意を高めておるわけなんですが、その辺のところは、どうも愛知文部大臣にしてはものわかりがわかりにく過ぎるように思うのですが、ほかに問題があるかどうかということなんですね。どうなんでしょうか。この問題は幾らやりとりをしておってもしかたがないので、この辺のところで私も終わりますが、どうも私そういう点がすっきりしないのです。私も長い間労働組合の幹部もし、県評の議長もし、どうしても公務員の問題等で理事者と職員組合との話し合いのできないときには、市町村の市長に対して、あるいは県知事に対して交渉をして、そうして一〇〇%とはいいませんけれども、七〇%、八〇%という成果をあげて円満に解決をしておる自信を持っておりますので、こうした経験の上にたって——文部行政というもの、また教職員組合の任務というものから、おのずから交渉に対しても限度はあろうと思いますので、そういう点を勘案をして、職員組合、すなわち日教組のほうが交渉を申し入れ、話し合いを申し入れられたときには、快く受けられて、そうして話し合いをされることが当然だと思うし、もし話し合いをした結果、これはだれが見ても、こんな交渉はいつまでやってもだめだとか、すべきでないということになれば、これはまたその時点で、その問題問題でケースバイケースをとらなくてはならないと思いますけれども、そうではなしに、初めから日教組とは絶対にだめだということは、どうも私は納得いかぬと思う。いままで質問をしたことが、最後には日教組と文部省の交渉というところに必要性が出てきたわけなんで、私はもう一言大臣の答弁をいただいて、きょうはまだたくさん質問が残っておりますが、あと諸先生の委員会、特別委員会等があるようでございますので、この辺できょうは質問を保留をして終わりたいと思います。
  103. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 田口委員の御体験を通しての貴重な御意見を拝聴いたしたわけでございますが、本件につきましてこれ以上いろいろ私の意見を申し上げますと、平行線になろうかと思いますので、あえて多くを申し上げませんけれども、やはり団体交渉だ、そこで話し合いがついたならば、これを組合としての一つのえものとして下に流されるというような従来のやり方等にもかんがみまして、先ほど申しましたような理論的な根拠の上に立って、しかも実際の問題としても、私は現在いわゆる中央交渉というようなものに応ずる意図はございませんことを、せっかくの御意見でございますけれども、私はそういう心境でございますので、あえて率直にお答え申し上げる次第でございます。
  104. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これで質問を終わりますが、最後の答弁をいただきまして私の感じましたことは、表現としては悪いかもしれませんけれども、どちらかといえば特定の政党ばりの態度で交渉に来られたって交渉に応じられぬ、正常な教職員組合としての態度でこられた場合にはこれは別だというように私は伺っておきますが、現在の日教組は、大臣の心配されておるような線とは非常に違っておるということを最後に申し上げて、残余の質問は保留して、きょうの質問を終わらせていただきます。
  105. 河本敏夫

    河本委員長 次会は、来たる十一日、木曜日、午前十時理事会 十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会