○渋谷説明員 私、中等
教育課長をいたしておりますもので、
中学校と高等
学校教育を所管いたしております。その見地から申し上げます。
非行の
増加の
原因につきまして、
法務省のほうからいろいろなお話がございました。
家庭の問題とか、あるいは終戦後の非常に混乱期に幼児期を成長した者が、ちょうど
青少年期にあるとか、あるいは戦後の道徳的な価値の混乱の問題とか、最近非常に身体の発育がいいわけでありますが、心身のアンバランスとか、いろいろなことが言われておりますが、確かに現在の
学校制度にも問題があることは、事実だと思うのでございます。それで、先ほど
中学校の進学コースと就職コースというお話がございましたが、
中学校におきましては、そういうコースという
考え方はとっておらないのでございます。ただ、
中学校は
義務教育の最終段階といたしまして、高等
学校へ進学する者もございますし、
中学校で終わりまして
社会へ出る者もございますので、
中学校の
教育課程の基本
方針の
一つといたしまして、生徒の特性、進路に応ずる適切な
教育を施すという
方針が
一つございます。そういう進路に応ずるということによりまして、必須教科は全部同じでございますが、第二学年、特に第三学年に選択教科にかなりの幅を持たせまして、高等
学校へ進学する者は、数学でも、必須の数学のほかに選択教科としての数学がございます。高等
学校へ進学する者は、そういうものをやる。それから就職する生徒につきましては、農業とか工業とか、そういう
職業のコース、あるいは生徒によりまして必須のほかにさらに音楽とか美術、そういう選択教科がございます。そういうことでございますから、学級を分けまして進学組、就職組というようなことは、現在いたしておりません。ただ、さっき申し上げましたように、必須教科のほかの選択教科におきまして、進学する生徒は必須の数学のほかに選択としての数学をやる。就職する人はその進路に応じました選択教科を選ぶ、こういう制度になっておるわけであります。ただ、
中学校が
義務教育になっておるわけでございますが、先ほど村山委員のお話にもございましたように、かなり
教育内容、
程度が高くなってきておることは、事実だと思います。
中学校が
義務教育であるということに照らして
考えました場合に、
中学校で教えます
教育内容なり
程度が、片や
時代の進展に応ずる、あるいは科学技術の振興というような、
時代の進展に応ずるという面の要請もございまして、かなり
程度が高いものになっておるということ、あるいは内容が少し多過ぎはしないかということは、いろいろ現場からのそういう声も聞いております。それから高等
学校への進学事情は、
昭和三十八年が一番生徒が多くてたいへんだったわけでありますが、年々中学卒業生が減ってまいりますので、かなり緩和される
方向にございます。それから高等
学校に、先ほどお話がございましたように、中卒者の七割が入ってくるようになっております。一方高等
学校教育の内容というものは、かなり
程度が高いものでございまして、七割もの生徒が入ってきました場合に、いまの非常に
程度の高い高等
学校教育、しかもそれはかなり画一的、一律的に行なわれるということでどうなのか。
中学校、高等
学校になりますと、かなり能力とか個性とか適性というものが非常に顕著にあらわれてくるわけでありますが、同等
学校教育につきましても、それぞれの生徒の適性なり能力に応ずる
教育というものをもっと
考える必要があるのではないかというような問題がございます。そういうことで、
学校制度そのものにつきまして、私
どもも確かにいまのままでいいとは思っておりませんで、幸いいま文部省で、中央
教育審議会におきまして、後期中等
教育の拡充整備の問題を御検討いただいておるわけでありますが、後期中等
教育のみならず、それに
関連いたします前期中等
教育の、中
学校教育につきましても、御検討をいただいております。それから、そういうわけで
学校制度につきまして、私
どもも確かに
程度ばかり高くなりまして、すべての入ってきた生徒のそれぞれの特性なり進路なり能力なりに応じた適切な
教育が行なわれるという点で、まだまだ不十分な点があるのではないかというふうに
考えておるわけであります。これは中教審でただいませっかく御審議をいただいておりますので、その答申をまちまして十分に検討をしたい、こういうことになっております。
一方、先ほ
どもございましたが、先生と生徒の間の問題につきまして、どうもいままでのわが国の
学校教育が、各教科の学習
指導という面につきましては、非常に最近いろいろ
研究も盛んになり、軌道に乗ってきたわけでありますが、生徒
指導といいますか、それぞれの生徒の個性を伸ばしていく、将来
社会へ出て自己実現がはかれるような資質、態度を養っていく、そういう生徒
指導の面が非常に弱かったことは事実でございまして、昨年度から、その方面につきましても本格的に力を入れまして、いろいろな
施策を講じておるわけであります。また、近くそういう面の生徒
指導の手引き書を印刷しまして、
中学校、高等
学校の学級担任の先生に配付いたしまして、それぞれの生徒の素質なり
環境、成育歴、そういったものに照らしまして個性を伸ばしていく。将来
社会で自己実現がされる、そういう資質、態度を養っていくといいますか、あるいは現在の
学校生活に適応できる、そういう面につきましての
指導をさらに充実していきたい、そういうふうに
考えておるわけでございます。