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1965-02-19 第48回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十九日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 田口 誠治君    理事 村山 喜一君 理事 山内  広君       井原 岸高君    大橋 武夫君       加藤 高藏君    高瀬  傳君       綱島 正興君    藤尾 正行君       保科善四郎君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       大出  俊君    角屋堅次郎君       楢崎弥之助君    伊藤卯四郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 高橋  等君  出席政府委員         検     事         (大臣官房経理         部長)     勝尾 鐐三君         検     事         (民事局長)  新谷 正夫君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         法務事務官         (矯正局長)  大澤 一郎君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木信次郎君         法務事務官         (入国管理局         長)      八木 正男君         公安調査庁長官 吉河 光貞君  委員外出席者         検     事         (大臣官房人事         課長)     辻 辰三郎君         専  門  員 加藤 重喜君     ――――――――――――― 二月十八日  旧軍人等恩給に関する請願外二十三件(中垣  國男君紹介)(第六九八号)  同(池田清志君紹介)(第七二九号)  同(池田清志君紹介)(第七五九号)  同外九件(久野忠治紹介)(第七六〇号)  同(池田清志君紹介)(第七八二号)  同(池田清志君紹介)(第八八二号)  同外一件(江崎真澄紹介)(第八八三号)  同外一件(上村千一郎紹介)(第九九二号)  同(池田清志君紹介)(第一〇二五号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願勝澤芳雄紹介)(  第六九九号)  同(池田清志君紹介)(第七三〇号)  同(三池信紹介)(第七三一号)  同(中馬辰猪紹介)(第七五八号)  同(中馬辰猪紹介)(第九三一号)  同(野呂恭一紹介)(第九三二号)  同外二件(池田正之輔君紹介)(第一〇二六  号)  同外二件(受田新吉紹介)(第一〇四三号)  同外二件(田中龍夫紹介)(第一〇四四号)  農林省蚕糸局機構縮小反対に関する請願(亀  岡高夫紹介)(第七〇〇号)  同(野田卯一紹介)(第七〇一号)  同(安藤覺紹介)(第七一九号)  同外三件(小渕恵三紹介)(第七二〇号)  同(亀岡高夫君紹介)(第七二一号)  同(小枝一雄紹介)(第七二二号)  同(谷垣專一君紹介)(第七二三号)  同(床次徳二紹介)(第七二四号)  同(中村庸一郎紹介)(第七二五号)  同(野呂恭一紹介)(第七二六号)  同外二件(増田甲子七君紹介)(第七二七号)  同(八木徹雄紹介)(第七二八号)  同外十件(小渕恵三紹介)(第七五六号)  同外十二件(小枝一雄紹介)(第七五七号)  同(藤尾正行紹介)(第七八〇号)  同外二件(藤山愛一郎紹介)(第七八一号)  同外一件(野原正勝紹介)(第八八一号)  同(木村俊夫紹介)(第九二八号)  同(根本龍太郎紹介)(第九二九号)  同(野原正勝紹介)(第九九三号)  同外二件(小枝一雄紹介)(第一〇二四号)  金鵄勲章受章者処遇に関する請願小山省二  君紹介)(第七〇二号)  同(竹下登紹介)(第七〇三号)  同(床次徳二紹介)(第七三四号)  同(瀬戸山三男紹介)(第七三五号)  同外一件(二階堂進紹介)(第七三六号)  同(高瀬傳紹介)(第七六一号)  同(田村元紹介)(第七八三号)  同外一件(池田正之輔君紹介)(第一〇二七  号)  同(森田重次郎紹介)(第一〇四五号)  国立大学教官待遇改善に関する請願坂本泰  良君紹介)(第七三二号)  特高罷免及び武徳会追放等による警察退職者救  済に関する請願綱島正興紹介)(第七三三  号)  同(山本幸雄紹介)(第一〇二八号)  病院調理業務医療体系規定等に関する請願  (小林進紹介)(第八三二号)  元満州国等政府職員恩給に関する請願田中  龍夫紹介)(第九三〇号)  暫定手当に関する請願柳田秀一紹介)(第  九九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一号)      ――――◇―――――
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑に入ります。申し出がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 今回の法務省設置法の一部改正につきましては、内容的には少年院関係増員十八名、法務局及び地方法務局関係人員八十名の計九十八名の人員増加と、少年院につきまして、場所移転と新設の関係、こういうものが改正の要点でありますが、法務大臣大臣に就任されてからすでに半年近くを経過しておるわけでありますけれども、この機会に、半年間の経過を顧みて、今後法務行政をどういうふうにやられようとしていくか。その点まず簡単に冒頭にお伺いしたい。
  4. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 法務行政は、御承知のように広範多岐にわたっておりまして、民事、刑事矯正保護、その他国民生活に深い関係を持っております法務に関する事項をつかさどっておるのであります。したがいまして、どの分野を重しとし、どの分野を軽しとするというわけにはまいりませんが、しかし、いまの法務行政上、当面の重点施策として考えてまいったところを申し上げてみたいと思います。  第一は、法の秩序を擁立するということでございます。申し上げるまでもなく、法の秩序確立するということは、法治国家として国政の基本をなすものでございます。法務省としては、あらゆる分野にわたりまして、いろいろな施策を強力に推進してまいっております。まず、法秩序確立のための具体的施策といたしましては、公判の活動充実してその迅速適正化をはかるということにしますとともに、最近において平穏な国民生活を脅かしております暴力事犯、あるいは急増しております交通事犯、あはいは公務員の廉潔を害する汚職事犯というような悪質事犯に対しましては、検察体制を拡充強化しまして処理の厳正を期して、これらの犯罪を少なくする方向努力を持っていっております。  また、国民権利の保全につきまして、これに必要欠くことのできない登記関係事務、これが近年非常に激増いたしてまいっております。これに対処いたしますために、いろいろな執務体制整備改善とか、あるいは人員をできるだけ増強いたしますとか、あるいは謄写機その他の機械を多数に導入しましてやっていくとか、あるいは法務局出張所営繕につきましても、これを老朽なものをできるだけ新営することによりまして公衆の便宜をはかりますとともに、適正迅速な処理をやるという方向努力をいたしております。ただ、件数が非常にふえております関係上、なかなか追いつかないことを残念に思っております。  次に、人権侵犯事犯につきましても、国民生活に及ぼす影響重要性にかんがみまして、調査体制充実強化して基本的人権擁護の一そうの伸長をはかり、有効適切な処理を期してまいるということを心がけております。  いま申し上げましたのは法秩序確立の一環として申し上げましたのですが、次に非行少年対策充実することが一つの急務になっております。  青少年保護育成のためには、もとより教育、文化、社会福祉等の総合的な行政施策にまつべきところが多いことは、申すまでもない。ただ、犯罪少年に対します刑事政策を直接担当しております法務省といたしましては、青少年犯罪に対して適切妥当な検察を行ないますとともに、その処遇に関しましても、少年院等施設充実強化活動職業訓練等強化をはかりますとともに、少年に関します諸法制につきましても、実はいろいろと検討を加えて、非行青少年犯罪に対する一貫性のある総合的施策の樹立を企図して進んでまいっております。  その次に申し上げたい点は、基本法令に関する調査研究であります。刑法や民法、商法等基本法令につきましては、社会経済情勢の進展に即応いたしまして改正を要すべき点が少なくないのでありまして、常に調査研究につとめまして、所要な改正措置を進めてまいっております。  次に、臨時司法制度調査会意見実現についてでありますが、臨時司法制度調査会は、昨年の八月内閣に対して答申をいたしまして、現行司法制度に関していろいろと意見を申し述べております。政府といたしましては、でき得る限りこの意見を尊重いたしまして、法制化すべきは法制化しますし、あるいは実行においてこれを行なえるものは行なっていきたいということで、この国会におきましても、法案を若干準備をいたしておるような次第でございます。  以上の四点の施策について申し上げましたが、要するに国民各位の一そうの協力を求めながらこれらの施策実現を期してまいりたい、こういうことでいままでやってまいった次第であります。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 法務行政全般の問題につきましては、これは法務委員会もあることでありますし、本委員会では機構に関連した諸問題という視点から、具体的な数項目の問題に入ってお尋ねをいたしたいと思います。  今回増員の対象になりました法務局関係の問題からお尋ねをいたしたいと思います。私ども承知しておるところでは、法務局関係機構は、御承知のとおり、八大都市における法務局、その他のところの地方法務局のもとに、ある場合には支局、通常の場合には出張所というふうな形で、約千五百近くの出張所が全国的に配置をされておるわけであります。しかも、これは臨時行政調査会でも問題指摘があるわけですけれども、かねてから当委員会でも問題になっておりましたのは、いわゆる一人庁あるいは二人庁というような出張所相当数に上るわけでありまして、最近では若干変化があったかわかりませんけれども、一人庁が三百四十二、二人庁は八百十四、こういうことで、大体出張所の半数以上が一人または二人である。しかも一人庁の場合も、甲号事件にしても乙号事件にしても、事件教が相当ふえてくる、あるいは現地調査にも行かなければならぬというふうなこと等もありまして、なかなか繁忙である。したがって、従来から法務局関係増員が、昭和三十五年百四十二名、さらに次年度十名、さらに次年度百名、昨年は二百名というふうに、逐年ある程度ずつ増加をしてまいりました。ことしは八十名ということでありますけれども、そういう事件数増加、それに伴うところの人員増加というのはアンバランスであって、おそらく、十年前と今日の事件数、そうして十年間における増員のパーセンテージというものを見てくると、非常な格差があるのではないか。したがって、実際の第一線出張所を含めた法務局業務運営というのはきわめて多忙であって、これではなかなかまだ事務処理が至難である。したがって、場合によるとお手伝い等にも手伝ってやってもらわなければならぬ。あるいは事件処理に当たっても、短期間に処理してもらいたいという国民の要望に必ずしも十分こたえ得ないというのが実態ではなかろうかと私ども思うわけなんですが、これらの点については、大臣でなくてもけっこうであります、担当の局長から、いま言った諸問題について御説明を願いたいと思います。
  6. 新谷正夫

    新谷政府委員 登記所事務量増加に伴いまして、職員事務負担が非常に過重になっている、と同時にそれはひいては一般事件申請人の方々にも御迷惑を及ぼすというふうなことになってまいるわけでございまして、その間に、ただいまお説のように外部の応援も受けざるを得ないというふうな事態も発生しておるわけでございまして、この点、私どもといたしましてもまことに残念に思っているところでございます。事件数増加も、きわめてその上昇率が高い状況になっておりまして、ちょうど昭和二十六年に現在の土地台帳家屋台帳事務というものが完全に税務署から法務局に引き継がれまして、その二十六年を基点にして事件の推移を簡単に御説明申し上げますと、登記事件台帳事件を合わせました数字で客観的に申し上げますと、二十六年度におきましては合計千四百七十八万件でございました。この時点における上昇率を一と見まして、逐年件数増加いたしておりますが、最近のところを申し上げますと、三十四年度におきまして五千八百三十五万件、上昇率は三・九五でございます。三十五年度におきまして五千九百八十九万件でございまして、上昇率は四・〇五、三十六年度におきましては六千六百二十七万件でありまして、上昇率が四・四八、三十七年度は七千七百五十八万件でございまして、上昇率は五・二五、三十八年度は八千三百三十三万件でありまして、上昇率が五・六四、こういうことになっています。さらにこれは推定でございますが、三十九年度で大体九千八百万あるいは九百万くらいのところへいくのではあるまいかという見込みを持っております。  他方、ただいま御指摘のございました事件伸び人員伸びとが不均衡ではあるまいかというふうな御意見でございますので、人員の点について申し上げますと、二十六年度におきましては、これは登記台帳事件に従事しておる職員についてのみ申し上げますが、六千三百二十九人でございます。この時点を一といたしますと、三十四年度が六千九百七十八人、上昇率が一・一、三十五年度が七千百二十名、上昇率が一・一二、三十六年度が七千百四十二名、七昇率が一・二二、三十七年度が七千三百三十八人、上昇率一・一六、三十八年度七千五百三十八人、上昇率一・一九という状況でまいっております。したがいまして、事件伸びは五倍以上になっておりますが、人員は約一九%の伸びということでございまして、確かにアンバランスはあるわけでございます。それだけに、職員負担も非常に過重になってまいります。さればといって、事件伸びにスライドして人員増加するということも、これもまた国の財政の面からも必ずしも容易なことではございません。特に来年度におきましては、増員の抑制という方針政府方針としても打ち出されております。現に昨年以来欠員の補充が停止されまして、九月四日現在の欠員はそのままストップするという現状になっておるわけでございまして、その状況下において来年度増員を私ども計画いたしたわけでございます。できますれば、事件上昇に見合うようになるべく人員も十分にいただいて、登記事務が円滑にいくようにということを念願いたしておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような状況下において、増員ということは非常に困難な状況にございます。従来二百人、二百人、百人というふうに、法務局につきましては特別に御配慮いただきまして増員を認めていただいたわけでございますが、来年度増員につきましては、政府全体の方針といたしましても、極力増員は押えていこうという方針でございますので、われわれ法務省といたしましても、その線に従ってやはり増員は考えなければならないということになるわけでございます。  さればといって、ただ抑制された増員をそのままでいいかということになりますと、法務局実態からいたしますと、これではとうてい足りないわけでございますので、ほかの措置を考えなければなりません。そのためには、まず何と申しましても一番大事なことは、職員執務環境をよくしていくということが、能率の増進をはかる上にも最も大切なことではあるまいかと思いまして、まず施設改善をはかりたいと思っています。  さらに従来やっております能率化関係でございますが、非常に大きな作業といたしましては、台帳事務登記事務が別々の仕事になっておるということが、非常に事務能率を阻害しておるような結果になっております。これは二つ事務が相関連いたしております。もともと税務署登記所二つで所管いたしておりましたものを、ただ単純に登記所のほうへ移管したという状況がございましたので、双方の事務を調整しまして、関連するものはなるべく手数を省くような形で両方の仕事の調整はできないかということから、台帳事務登記事務一元化ということを思いつきまして、すでに過去数年来その作業を進めてまいっております。そのために、従来の登記簿大福帳式のものをバインダー式のものに切りかえまして、さらにその上に台帳登記簿一元化をはかって、すでに数年その作業を続けてまいっております。これは登記事務能率向上させる上に非常に効果のあるものと、私ども確信いたしております。  さらに、そのほかに戦後あるいは戦争中につくられました登記簿用紙が、非常に粗悪なものでございます。せんか紙とかいろいろな粗悪なものを使っておりますために、保存上も非常にぐあいが悪い。また最近機械を導入いたしまして謄抄本をつくることの能率化をはかっておりますが、かっての用紙ではとてもその機械にも乗らないというふうな現状にありますので、まずそういった用紙改善をはかろうということで、登記簿粗悪用紙改善をやっております。  さらに商業登記関係につきましては、御承知と思いますけれども一つ会社で何冊にもわたるような登記簿ができ上がるわけでございます。これは登記簿の様式にもその原因があるわけでございまして、一つ会社のために何冊も帳簿をとられるということは、非常に不都合なことでありますし、一般閲覧者のためにもこれは好ましくないと考えまして、そういった商業法人登記関係用紙改善等も、現に作業に入っておるわけであります。  そういった制度上の問題もさることながら、一般事務管理上の問題といたしましても、本来登記事務と申しますのは、人手を使って手でこつこつと書いてきたのが従来の実態でございますけれども人員によって全部をカバーすることができない現状にかんがみますと、機械を十分に入れて、できる限り機械を利用するということも考えなければなりません。そこで複写機とかあるいは計算機とか、いろいろの最近の能率器具を極力導入いたしまして、ことに手書きにかえて特殊なタイプライターを――これは登記所独特のタイプライターでございます。そういったものも民事局のほうでいろいろ設計させまして、特殊のものをつくらせまして、現にそれを広く各庁に配りまして、むだのないような、また職員であればすぐ使えるようなタイプライターをつくらせまして、そういったものを導入して登記事務能率向上をはかっておるわけでございます。  何と申しましても人員が中心になる役所でございますので、お説のごとく事件数伸びればそれに相応して人間も伸ばしたいわけでございますけれども、そうもいかない事情もございますので、私どもといたしましては、施設あるいは制度改正、あるいは一般事務的な能率器具の導入、そういったことをあわせまして極力登記事務能率向上をはかっていこう、こういう方針でただいま努力いたしておる次第でございます。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 なるべく簡潔にお答えを願いたい。私も大体の状況承知しておるつもりでございますが、そこでいま局長からのお話でも明らかなように、過去の事件数増加、それと対比する人員増加というものは、非常に極端なアンバラがある。アンバラがあるゆえに、第一線出張所業務というものは、しかも先ほども指摘したように、一人庁、二人庁という姿が過半数を占めておるという状況の中で事務処理をやるわけですから、なかなか大衆の迅速な要求にこたえにくい面が出てきておる。したがって、大臣、去年の二百名の増加が今度は八十名にスローダウンしたのですけれども、おそらく予算要求としては、大体例年一千名近くの増員要求をやっておるかと私ども思っておるわけですけれども、ことしは全般的な締めつけということがあったのかもしれませんが、やはり必要な人員のところは当然ふやしていかなければならぬ。これは臨調でも言っておるように、国民に対するサービスだということが基調であって、その点では、登記第一線のところというのは国民に対して直接関係の深いところである、こういうところでかりにも事務渋滞をするということがあってはならない。そういう観点からすると、現行の八十名程度の増員というのはきわめて微々たるものであって、もっとやはりある時期に一挙に増員をやって、そして事務渋滞のないようにしていくという人員整備についての基本的なかまえが必要ではなかろうかと思うわけでありますが、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
  8. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 全く御説のとおりでございます。本年度も、昨年度以上の実際の増員査定を受けたいということでいろいろと折衝を続けたのでありますが、結局政府方針によりまして、とにかく人員の増を押えよう、法務局出張所だけはこれは認めるのがいいというので、非常にみみっちい話ですが、八十名の増員。しかし、それにあわせまして、実は謄写機等能率器具を大幅に今後ふやしていくということで、ことしはたしか六百四十台の、例年の三倍の謄写機を備えまして、まあ能率向上――人員がふえないものですから、その埋め合わせに少しでも役に立つということでやっておりますが、私は、ことしの重点施策一つとして、いままで比較的法務省として大衆と直接関係のある、しかも権利義務に非常な影響のある登記所仕事が何だかあまり表に出てなかったのではないかという印象を受けましたので、ことしは登記所充実ということを一つの大きな眼目に実はあげてまいったわけであります。それで営繕なんかにつきましても、一応十カ年計画というものを立てまして、そうして本年度初年度としてやるというので、今後ともに、これは実は総理にも法務省重点施策として話しまして、ぜひそれはやろうということできておるわけです。しかし、実際は、本年度できましたのは十カ年計画初年度分予算が取れたということと、機械化の線を伸ばしていくということと、いまのわずかな増員と、非常に残念に思いますが、私の心づもりはそういうことで運用をしておることを御了承願いたいと思います。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 大臣の苦衷はわかうぬでもないのですけれども現実法務局第一線の状態を見ておると、これは機械的にこういう問題についての人員の増減の取り扱いをすべき性格の役所とは違うと思うのです。さらに、たとえば先ほど局長のお話しになりました台帳登記一元化作業というのは、三十五年から十カ年計画現実に進めておると思うのですけれども、これは正規の職員でこなせないものだから、臨時職員でやっておる。おそらくこれは五百名前後おるのだろうと思う。そういうことで、本来やらなければならぬ作業を手伝わしておる。現実人員が足らない。さらに整備していかなければならぬ仕事がある。これは臨時職員という形でやろうとする、これは非常に邪道であって、そういう本来の業務遂行、そしてまたいまやらなければならぬ仕事、こういうものを含めて考える場合には、いま言った臨時職員の本採用等の問題についても、前向きに対処しなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのです。現実に、たとえば今回の八十名増員という場合に、この増員にどういう人たちをアロケーションするのか。たとえば試験に通ってきた人もおる。あるいは従来からいろいろ臨時職員でやってきて、そしてこれなら適当だろうという人もおる。そういういろんなケースの中で配分を考えるのだろうと思う。八十名というものの配分というのは、少数なものですからなかなかうまくはいかないのでしょうが、従来から第一線にあって苦労してきておる者、そういうものを十分配慮してこういう増員のときにやってやろう、こういうことであろうかと思うのですが、そういうことも含めて、現実にいまの少数の人員ですべての仕事をおくれてもこなしているのじゃなくて、そういうふうな臨時職員まで含めて仕事をやらなければならぬという現実ですから、これはもっと定員増の問題については熱意を持って大臣以下当たって、逐年の少量の増加でなくて、一挙にある時期には必要最小限の人員を確保するということでやらないといけないのではないかと思うのですが、それらの点をひとつ……。
  10. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 非常に御理解のある御意見を承りまして、私も全く同感でございます。ただ、ことしの特殊事情としまして、実は昨年の通常国会に法務省の設置法をお願いいたしましたところ、これが継続審議になり、この前の臨時国会において通過をいたしまして、この中に二百名の法務局職員増員が入っておった。そこでそれとあわせてことしの予算要求が非常にむずかしかったことも、ひとつ御了察をお願いいたしたいと思います。お考えのようなことで進んでまいりたい。ただ、臨時職員につきましては、仕事の性格が臨時的なものですから、これを臨時職員としてやらしておりますが、その中でだんだん、十分これは法務局職員として適当な人と思える人はどんどん採用していって、そして新たに職員にするというような運用をやらしておることをつけ加えておきます。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 同時に、出張所の問題で従来からも本委員会で議論になっておるのですけれども、一人庁あるいは二人庁の整理統合の問題ですね。これは従来歴代の大臣のお答えは、そういう方向でやりたい、しかし、現実にそういう方向を具体的に地域で打ち出すと、まあうちの市町村にはぜひ従来どおり置いてもらいたい、こういうような要請等もからみ合って、なかなか一人庁の整理統合というものが進まない。そしておそらく数年来百五十ぐらいの整理統合をやったのじゃないかと思うのですけれども、そこで大体頭打ち、と言ってはなんだけれども、この方向で積極的にいかない。先ほど大臣お答えの庁舎整備という問題も、これは十カ年計画でやろうとしておるわけですね。そして本年度も十数ヵ所そういう一環として予算を組んだということですけれども、庁舎整備をやろうと思えば、まずその大前提として、一人庁、二人庁等の整理統合の問題をどうするのかという青写真があって、そしてそれが年次計画の中で具体化されて、逐年整備をしていくということだろうと思うのです。現実に私ども地元の県を見ても、明治以来の建物がほとんど三分の二近くであって、逐年整備をしてきておるといっても、職場環境の整備という点では、これはなかなかたいへんなことだと思うのです。しかもこの扱っておる書類というのは、非常に重要な書類であって、そう軽々に取り扱えるような性格のものでないのです。そういう点から見て、庁舎整備問題あるいは一人庁等の整理統合問題というプランについて、今後どういうふうにしていくのか、お伺いしたいと思うのです。
  12. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 いわゆる庁舎の整備につきましては、これは実は五カ年計画ぐらいでぜひ直さなきゃいかぬところをやろうと思ったのですが――もちろん新築です、一応漸進的にことしは十カ年計画ということにいたしております。その計画がことしから認められて、予算がついているわけです。が、これは将来また計画を短縮しまして、時期を見てぜひもう少し早くやらなければいかぬという考えでおります。  それから登記所の整理統合の問題ですが、これはなかなか問題があるんです。実は、近年登記事務が各所ともにふえてまいりまして、また地域的にはいろいろの発展――工場ができたりいろいろなことで土地の登記その他もあるわけで、登記所の整理をやられちゃ困るという声が、むしろ非常に強いのでございます。そこで私の基本的考え方です。これはまだ実行まできておらないのに、そういうことを言うのは不謹慎といわれるかもしれませんが、一人庁の整理というよりも、一人庁を充足をしていくという方向、このほうが適当なんじゃないか。整理ということは非常に消極的だ、サービスに反するんじゃないかという考え方を実は持っております。そこでなかなか一人庁を二人庁にするだけの事務量もなし、非常に困難な点もあるんですが、そうした考え方の上で、できればこれに事務の簡素化の機械を入れるとか、いろいろなことをして手数を省くようなことも考えて、必要なところはむしろ御指摘のような増員でこれをまかなうということにしまして、登記所の整理統合は、原則として目下の時点ではこれを行なわない、実は、こういう方針を最近確立をいたしたのであります。そしてただ非常に地方が整理統合を積極的に要望をする場合、あるいはまたほんとうに利用する数が激減しまして、これは置いておくには値しないものじゃないかというようなものにつきまして、これを本省が直轄で整理をやる場合は、一々調査の上やるということにしまして、原則としては登記所の整理統合は当分行なわない、こういうことで進みたい、こういう考えでおります。これはごく最近法務省の省議へかけまして、皆さんの賛成を得て実施をした。もちろんそのためには、御指摘のようなむしろ積極的な増員ということが必要なんで、整理統合というのはどうも私は消極的で、むしろ避けていきたいというつもりでやっております。今後も努力をいたしたいと思います。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 大臣のいまのお考えも、私は、もちろん大衆のサービスという点から見て、十分考えられる行き方だと思います。しかし、臨時行政調査会の答申を見れば、一人庁等については、市町村役場内あるいは近在のところにできるだけ整理統合をやるべきだという臨調としての考え方を出しておるわけですね。これは本来、国民のサービス的な出張所ですから、機械的に考えられないし、また従来から整理統合を考えても、第一線の要望が強くてやめた例等も私ども十分承知しておりますから、機械的にいかないと思うのですけれども、いまのような現状のままで、増員が遅々として進まずに依然として多数が一人庁であるという状態のもとで、省議できめられたような形でやられると、これは逆にまた地域の周辺にはおるけれども仕事としてはお手伝いでもしなければはけない。これまた逆にサービスの目的を貫徹しない、そういう矛盾が出てくると思うのですね。だから私は、大臣の配慮というのは十分わかりまするけれども、そこらあたりの問題は、当分見合せるというかたい考え方でも、また必ずしも適切ではないんじゃないか。また、人員の充足の問題あるいは行政機関の変動に伴う措置をやる場合に、一人庁の問題をどうするかという現地の実態の問題、いろいろなことを配慮して、実情に即してやっていくことは必要であって、必ずしも当分行なわないという考え方が適切であるのかどうかは、少しく問題があるのじゃないかと思う。これらの点については、十分御検討願いたいし、臨調では、御承知のように、市町村役場もしくはもよりのところに一人庁は整理統合すべきであるという答申を出しております。これはある意味では局外者の自由な立場からの意見でありますから、何もかもすべてそのままというふうに――私は、この前臨調の受けとめ方で行管の長官とやったときもそういうことを申し上げたのですけれども、要は国民的な立場に立ってどうかということだと思う。これはひとつ当分行なわないということでなしに、もう少し弾力的に、地域の実情に即して、特にまたこの問題は庁舎整備等のこれからの計画とも関連することですし、大臣は庁舎整備については十カ年といわず短縮したいという御意見のようですから、私どもまさにそのとおりだと思いますし、そういう方向で推進をしてもらいたいと思う。  この第一線の一人庁等の出張所の問題に関連をして、いわゆる出張所の日直手当、こういうことが従来から多年懸案になっていたのですね。そしてこれは一昨年、組合のほうで人事院に提訴しておったことに対する人事院の意見書が出されて、そして私ども承知しておるところでは、昨年の八月ごろの段階になって常直手当という形で、たしか昨年九月以降実施するということで出しておるように私ども承知しておるわけですが、これらの点については、大臣でなくてけっこうですから、従来の経過と、とろうとしておる措置についてお答えを願いたいと思います。
  14. 新谷正夫

    新谷政府委員 登記研の宿日直手当ないし常直手当の問題でございます。従来登記所につきましては、職員の数が一人とか二人というところが、大多数を占めております。そういうところで宿直をいたします場合に、庁舎に付属いたしました居住室をつくりまして、そこに職員を住まわせて、私生活を営みながら宿直勤務を義務づけてまいったわけでございます。これにつきましては、宿舎に居住するための借料、そういったものも全部免除いたしまして、私生活を楽にすると同時に、逆に宿直勤務を求めるというふうな形になっておったわけであります。しかし、最近の社会情勢から考えますと、必ずしもそれが合理的なものかどうかということについて、いろいろ意見がございます。そこで、できるだけ宿直制に切りかえたらどうかというふうな意見もあったわけでございますけれども現状登記所の宿直勤務制度を一挙に変えるということは、宿舎の問題とも関連してまいりますので、非常にむずかしい問題があったわけです。さりとて出張所長に年中そういった宿直を義務づけることもいかがなものであろうかということから、最近は六十四日間の日直制をとりまして、ほかの者がかわって日直をやるというふうなことでやってきたわけでございます。そういたしておりますうちに、労働組合からの行政措置要求もございますし、昨年人事院の給与勧告の際にもこれが取り上げられまして、いまお話しのように、常直制というものに切りかえようということになったわけでございます。常直制といいますのは、従来の勤務の実態はそのまま変えないで、居住室に居住しながら宿直勤務をさせるということでございますので、一般の宿直の場合とはかなり事情が違うわけでございまして、登記所実態からすれば、それ以外に一般的に宿直勤務をとらせる方法はさしあたりはないということから、そのようになったものと私ども了解いたしております。それでは、それに対してどういう手当てをするかということになるわけでございますが、従来六十四日間の日直で、宿直勤務を命ぜられておる者が差しつかえの場合に、ほかの者がかわってやるという程度のものをやったのでございますけれども、それでもなお出張所長等の宿直を命ぜられておる者の勤務を緩和することにはなりませんので、せめて手当のほうでそこをかげんしていこうというところから、いま申し上げるように、日常の生活を営みながらかつ宿直をするということにして、しかもほかの類似の宿直制度との均衡も考えて、一般の宿直手当とは違う形で常直手当という形にして、一カ月三千円以内ということに勧告もなったわけでございます。また同時に、政府側といたしましても、そのまま勧告を受けまして、出張所長等の常直勤務については一カ月三千円以内ということで、本年度予算、さらに来年度予算も同じように予算に計上いたしたわけであります。この常直勤務につきましては、一カ月間引き続いて常直いたしますれば、三千円でございます。これが宿直勤務をすべき出張所長に差しつかえ等がありますれば、ほかの者にかわるわけでありまして、そういった場合には、日割り計算ということで常直手当を支給する、こういうたてまえになっております。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 これはまだ金が出ておらぬそうですね。昨年の九月から実施をするわけですね。それと、この三千円という問題について、具体的にそういうふうになっておるかどうかお聞きしなければならないのでありますが、三千円のうち、千五百円については税金をかける、あとの千五百円については税金をかけない。本来宿日直の場合であれば、課税を考えておるわけではない。本来出発した人事院提訴以来の経過からずっと見ても、またこれを取り扱う実態から見ても、三千円そのものがきわあて少額だと思うのですけれども、ある意味では第一線出張所長の宿直を含んだ勤務というものは、家族を含めての家族総ぐるみの勤務体制だと思う。そういう中で僅々三千円くらい出る。しかもみみっちく、その半額については課税をするというのは、非常に不適切なやり方だと思う。額の増額ももちろんやらなければなりませんが、同時に半分課税の対象にする考え方それ自身も、不合理だと思う。これは是正すべきじゃないですか。
  16. 新谷正夫

    新谷政府委員 ただいまのところ、国税庁のほうの取り扱いといたしまして、お説のように半額について所得税として課税する、こういう方針が出されておるわけであります。これは従来の宿直手当の支給実績が、大体一人について千五百円くらいになるわけでございます。その範囲ではこれは課税の対象になっていなかったわけでございまして、それが三千円ということになりますと、従来よりは手取りは多くなる。これは年間に直しますと三万六千円になりまして、従来は月にせいぜい四回くらいの宿直の割合になったと思うのですが、これは三百六十円の計算にいたしますと、大体千五百円、その程度のものであれば金額もたいしたことはないからということで、課税の対象からはずされておったように思うのであります。今回はそれが約倍になる。年間にすれば三万六千円ということになると、徴税官庁の立場からいたしますと、やはりその一部は所得に計上せざるを得ないという方針であろうかと思うのであります。そういう意味で、従来の実績も考えながら、千五百円の、半額に相当するところまでは課税の対象にしないけれども、それをこえる部分については所得計算として課税対象にする、こういう方針になっておるように承知いたしております。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 厳密に課税の解釈とか何とかいうことをただそうとも思いませんが、大臣、常直手当三千円の問題は、本来の経緯から見て、これのうちの半分に課税するという考え方それ自身たいへん問題だと思う。これはもう大臣と大蔵大臣との折衝でぜひこういう問題については是正するように努力をしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。大体その額そのものもさらに引き上げなければならないと思うのですが、同時に、実際のそういう実態から見ると、家族ぐるみの勤務体制なんですね。先ほど冒頭にお尋ねしたような経過から見ても、実際人員は不足である。そういう中で第一線仕事をやっていかなくてはならない。しかも長年の懸案で若干そういう問題の処理を常直手当ということで出るようになれば、課税問題になる。これは大臣、ぜひひとつお話し合いで是正するようにやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  18. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 私は、大蔵省の課税のことはあまり詳しくないのですが、やはり同じようなケースのものもあるかと思います。御要望の趣旨に従いまして、大臣ととっくり話し合ってみたい、こう考えております。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 法務省関係全体の給与の問題は、いずれまた議論する機会があるわけですけれども、ただここで特に問題にしたいのは、俸給調整の問題です。これはたとえば検察関係であれば一八%の調整がある。ところが保護司であるとか、あるいは法務局関係であるとかいうところになるというと、それがついてない。従来から法務省としては、特に法務局関係のほうでは、予算要求としてはこれを出すということで努力しておる。ところが、私ども聞いておるところでは、保護司の関係は、関係部局は必ずしも熱意がなかったというふうに聞いておるのですが、いずれにしてもそういうものがまだ実現されていない。先ほど来のいろんなお話の経過から見ても、また仕事重要性から見ても、当然そういう点を法務省内で区別する特別の理由はないはずである。これはすみやかにそういう俸給調整の問題についてはやるべきではないかと思うのですが、この点はひとつ大臣方針を伺いたい。
  20. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 いろんな沿革から見まして、法務局出張所の人々の給与のいまの割り増しですか、そういうことについては、何とかやりたいということが法務省の長年の懸案になっておりますが、まだ実現をいたしておりません。これはなお引き続いて努力いたしたい、こういうつもりでおります。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 前々からこれも問題になっておりますが、税務署からの仕事をこちらが引き受けて法務局のほうでやっておるいわゆる税通の問題、数年来これが問題になり、歴代の法務大臣は、そういう人の少ないときによその仕事を余分に背負わされる――もちろんこれについては国税庁から差手の小金を出してもらって、おそらく最近では千八百万円程度じゃないかと思うのですけれども、そういう小金を出してもらって、そうしてそれで百五十名分くらいの臨時職員の手当だということで税務署の押しつけ仕事を引き受けておる。これはことしの四月以降どうするかという時期にきておるわけですね。本来業務だけをやるのにもなかなかたいへんな状態であって、大衆にサービスする点からでも、事務渋滞等も必ずしもないとは言えない。この点もやってもらわなければならないのです。そういう意味では、本来の業務でも相当人員を整備しなければならないという状況下において、税務署の押しつけ仕事を引き受けておる。これは税務署から小金をもらってやってやるのじゃなしに、税務署自身でやればいいのであって、仕事の性格もそういうものだ。従来そういうことで数年来やってきたけれども、新年度はそういうものは税務署自身でやってもらうという形で、税通問題についてはこの機会に解決すべきじゃないかと思うのですが、この点は大臣いかがですか。
  22. 新谷正夫

    新谷政府委員 税通問題につきましては、数年来いろいろ御心配をいただいておるところでございます。  ただ、私どもといたしましては、これは税務署に限りません。官庁相互間の協力関係ということもございますので、ほかの省庁から協力の依頼があれば、これにはできることならば応じて、相互に協力し合っていくということが必要であることは、申すまでもないと思います。  登記所関係について申し上げますと、税務署に対する通知のほかに、市町村に対する通知というのがございます。これは、地方税法によってやっておるわけでございますが、聞くところによりますと、税務署に対する通知と市町村に対する通知が、ほぼ同様の内容のもののようでございます。そこで、どうせ市町村通知をやるくらいなら、カーボンで一枚加えればいい。だから、その際に税務署関係の通知もあわせてやることにしたらどうかというので、この税通問題が協力関係の中に入ってきた。こういうふうに私は解しておるわけです。そういう意味で、確かにこれは負担といえば負担でありますが、本来登記所職員が市町村に対していたします通知と同時に、それ以上ほとんど手間をかけな、ても済むような通知であれば、税務署に対して通知することも、それほどの負担過重になることはないのではあるまいかというふうに考えられますのと、国税庁のほうからも、その事務に要する事務費を支出委任という形で法務省のほうへ出す、こういうことでございますので、その範囲内でやれることであれば、私どもも協力関係としてやらざるを得ないだろうというふうに考えて、従来やってきた。今後どうするかということは、確かに問題でございます。なお今後の問題につきましては、国税庁のほうともよく相談いたしまして、慎重に今後の措置を検討いたしたいと考えております。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 いまの局長の答弁というのは、従来の国会におけるこの問題に対する答弁の経過とは、だいぶ違っておると思うのです。これは中垣さん当時でも、本来第一線法務局出張所でやるという性格のものじゃなくて、お手伝いしておるだけで、やめるのが本筋だ。したがって、そういう方向で善処したいということを、議事録等を見ても明言しておるわけです。歴代の法務大臣はそういうことを育っておりますけれども現実にそれならば、すっぱりそういうふうにきれいにやってくれるものと思っておると、ずるずるべったりにきておるというのが経過であって、むしろ簡単なことだからとか何とかいう局長の見解ではなかったはずです。私は、もうこれはことしの四月以降どうするかという時期に来ているから、この機会に、これは法務局関係でやっておるけれども、それは本来税務署のお手伝いだから、税務署自身がやってもらいたいということで、きっぱり処理をすることが本筋である。歴代の大臣もそう書っておったし、今後の対処の考え方としては、それが本筋だというふうに思うわけですが、大臣いかがですか。
  24. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 私も、実は中垣君と同じようなことを考えておるのでありますが、いま新谷局長が答えましたように、これが手数をあまり食わないものであれば、これは大蔵省といろいろ話します場合にも、なかなかむずかしい折衝になるのじゃないかと思うのでございますが、根本的には、筋からいえば、いまあなたが申されたとおりで、法務省の立場としては、その立場でいかなければならぬというふうに考えております。実は大蔵省とも内々話をしてみているのですが、何とかかんべんしてくれぬかという状況にあるということを御了承願っておきます。いままでのいきさつがありまして、急にさっとやり切れない事情にあるということを御了承願いたいと思います。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは大蔵省は金を握っておるので、機械化なり人員なり、いろいろな面で大蔵省のお世話になっているような感覚では、この問題の根本的な処理はできないと思うのです。予算編成権そのものだって、臨調の答申では、別の見解を出したということについてはここでは問わないとしても、本来やるべきことと、よそでやってもらわなければならぬこととは、けじめをつける。大体法務省というところは、そういうものについて筋を通さなければならぬ役所なんです。その役所自身が、ちょっと説明に苦しむようなことをやっていること自身に、私は問題があると思うのです。しかも、時間の関係もあって、少年院等の問題については触れませんけれども、組合のほうでそういう本来の業務で四苦八苦しているのに、さらに余分の仕事は困る。こういう組合の言うことを聞けば、組合の顔が立って、こちらの顔がつぶれるという、局長以下のメンツ意識があるということは間違いである。組合のほうで言ってきていることについて、本来筋の通ることは、通るといって謙虚に受け取る。高橋大臣は、賀屋さんのような古めかしい大臣と違って、ものわかりがいい大臣と評判を聞いているんですが、組合が言ってきたことがよろしいということならば、よろしいと言って引き受ける。こういう気持ちでやってもらいたいと思う。したがって、ことしの四月以降どうするかということについては、先ほどの問題で大臣に注文いたしましたけれども、この問題についても大蔵関係と話をして、すっきりしようじゃないかということで、新年度は問題を処理してもらいたい、こういうふうに思うのです。  組合の話をちょっとしましたから、ついでに申し上げるんですが、たとえば、共済組合の運営問題、こういう問題で、組合代表を加えてもらいたい。定員八名の中の四名ですか、組合員のほうから出る。それに組合代表を加えてもらいたい、こういう要請をかねてからしているわけです。どっこいこれをなかなか加えようとしない。そうして当局のほうでは、東京だ、神戸だ、やれ何だということで任命して、運営している。これは私は、法務大臣の考えではなく、要するに、局長以下の意見を入れてやっているのだと思うのですけれども、私はもともと農林省の関係で立ったんですが、どこを見たって、組合の代表ということで共済運営については代表を受け入れて、共済問題をスムーズに、民主的に運営している。なぜかたくなに組合代表を入れてくれということを断わって一方的にやるのか。法務省のように法の公正な模範を示さなければならぬところで、非常に非近代的な、非常に封建的な感覚というものが、まだ巣くっているのではないかと思う。こういう感じが率直に言ってするわけです。これはすでに任命をやったわけですけれども、場合によっては増員だっていいわけですが、そういう要請を謙虚に受け入れて、もっと近代的な感覚で、民主的に運営するという姿勢になぜならないんですか。
  26. 勝尾鐐三

    ○勝尾政府委員 法務共済組合の審議会の委員に組合の代表を参加さしていただきたいという話は、従来から承知いたしております。私、本年の一月八日にこの共済組合の事務的な責任者を命ぜられているのでございますが、いま角屋先生が言われたように、組官の諸君とは、現在の職務を私が拝命いたしてから数回会っておりまして、全く白紙で組合の代表の意見をいま聞いております。この問題については、いろいろないきさつ等も承知いたしておりますが、一切過去のことは水に流しまして、白紙の立場でひとつこの問題に取り組んでいきたい、このように現在考えております。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま一挙にこの問題についてはさらに各省の入れるところまでというのが本筋なんですが、私は基本的な考え方として、臨調の答申でも、公務員に関する事項というところでは、やはり相当にわれわれが考えても妥当なものを取り入れて意見が出ておりますね。しかもドライヤー調査団の報告の趣旨から見ても、労使間の話し合いによって不信感を払拭していくということが必要だということも指摘しているわけです。私ども法務という組合を見ておると、国家公務員関係の中では非常にじみでまじめな、りっぱな組合だというふうに評価をしております。これはおじようずではない。私は、十年ばかり官公庁関係、特に国家公務員関係は一緒に仲間でやってきた間柄ですから、そういう点では、大臣もほかの省の関係全体を見て、全法務という組合というものは、これは非常にまじめな、しかも実際に職場に起っておる具体的ないろんな諸問題を何とかして積み上げて解決したい、こういうことでやっておると思うのです。だから、私がいま質問するようなことは、現実第一線で苦悩している諸君が問題を解決してもらいたいということであり、われわれも確かにそれが妥当だということを言っておるわけです。だから、税通問題にしてもそうですけれども、組合が言って、それを受け入れるというと、何かメンツの関係ということで、局長は考えておるとすれば間違いだし、共済組合のいまのような運営から見たって、各省関係を見たって、外務省か法務省くらいでしょう。外務省というのは組合はないんですね。そういう数少ない中に法務省が入っておるというのは、どう言いわけをしてみてもおかしい。したがって、この問題は、もうすでに四名認可したのですね。しかし、それは追加も考えることはできるだろうし、とりあえずオブザーバー参加ということも可能であるし、これはもっと前向きに考えてもらいたい。いま直ちにここでどうするということまで明言をしてもらいたいということを責める気持ちはあるんだけれども、いま白紙の状態ということは、そういう問題も含めて誠意を持って検討したいということであろうというふうに思うので、これ以上言いませんけれども、そういう点については、労使間の問題ということになりますけれども大臣は、その点は、非常にものわかりがいいと思うのだが、大体法務省局長以上のところが、まだ依然として古めかしい感覚から抜け切っていないのです。野人が来られたときに、もっとやはり法務省内の民主化、そういう点が必要だと思うのですね。大臣は最初の所信表明で、暴力事犯問題とか、少年犯罪とか、いろいろな諸問題をやる重要な役所、そういうものをなくしていくというそういう重要な省としての役割りから見ても、あらゆる問題の取り扱いについては、やはり各省に模範を示していくというプライドがあっていいんじゃないですかね。ぜひそういうことでやってもらいたい。どうですか大臣。  あとは少年院その他の問題なんですが、同僚の田口委員その他からやられると思いますので、私、この程度で終わります。
  28. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 角屋委員の質問に最初関連しておったんですが、私用事があってあれでしたが、少年院のほうに移るようなら、関連で一言質問させていただきたいと思います。  それは数日前の新聞に出ておりました、さいぜん局長からお話のあった登記事務の激増の問題にも関連しておると思いますが、不動産の得喪移転変更の問題について、地面師の跳梁ばっこが最近きわめて激しい。われわれの知らない間に、個人の不動産が自分のものでなくなって他人のものに移ってしまうというような事態が、現に起こりつつある。こういうものについての、人の問題は別として、法制的に、現在の法令関係よりなお一そう犯罪が防止できるようなことについて、法務省においてどうお考えなのか。現にあのような事態が起こっておるということは、不動産所有者は、自分の知らない間に財産がどこにいっているかわけがわからぬというようなことは、非常な不安だと思うのです。そのために登記事務というものが、不動産の得喪変更については、ああいう制度によって財産権が守られておるということで、今日まで国民はみな安心しておったんですが、ああいう事態においては安心できないという状態になっておるのですが、この点についての法務省の御見解を私は伺っておきたい。
  29. 新谷正夫

    新谷政府委員 地面師によりまして不動産の所有者の知らないうちに他人の名儀になってしまうというような事案が、間々あるようであります。ただ、これを法律的に申しますと、ものが不動産でありますので、かりに登記面上他人の名儀になりましても、本人が関知しない間にそのような登記をされたとすれば、その登記は無効になります。したがって、これは当然正当な所有者のほうから返還請求なり登記抹消請求というものを行使し得るわけでございます。ただ問題は、なぜそういった登記が行なわれるかという技術的な問題がそこにあるわけであります。これにつきましては、いろいろのケースがあろうかと思いますが、私いまちょっと御質問を承りながら、どうしてそういうことが起きるのかということをちょっと考えただけの程度でございまするので、詳しいことは申し上げられませんけれども、あるいは場合によれば、何らかの不動産の取引をやるために委任状をすでに渡しておったものを悪用されるとか、あるいは委任状を渡していなくても、さらに他人の名儀を暴用して印鑑を偽造してそういう登記をするとか、そういったことから本人の知らないうちに登記が行なわれるというような事態が発生しておるんじゃないかと思うのであります。これはそれぞれ刑事問題にもなりましょうし、また民事上の訴訟等もこれによって起きると思うのでございますが、権利実態といたしましては、そのような場合に、元の所有者の権利が失なわれるということは、不動産である以上はあり得ないわけであります。あとの救済手段がいろいろむずかしくなる面はございますけれども、形式的に他人の名儀になったという一事によって、不動産の所有権を失うということはないというふうに私は考えます。
  30. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 私は、そんな形式的な答弁を聞いているのではないのです。数日前の新聞をごらんなさい。自分の工場がぶっこわされてしまうという事態も起こっておるじゃありませんか。そういうような形式的な答弁ではなくて、現に登記所でも、何か登記の移転が行なわれる場合には、確認するためにはがきまで出しておるのだというように私は新聞で見ておるわけであります。そういう法令関係――私は最近では知らないのですが、そういうものについて、皆さんがそんな形式的な御議論をなさらずに、ああいう少なくとも印軍偽造、文書偽造をやる場合があるから――委任状を出しておった場合にはやむを得ぬ。委任状も何も出さぬでああいう事態が盛んに行なわれるということについて、実質的な研究もしておられないということは、私は非常に遺憾だと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  31. 新谷正夫

    新谷政府委員 いま御質疑の具体的な事案の内容を私わかりませんので、どうしてそういうことが行なわれたかということについての御返事ちょっといたしかねるのでございますが、ただ不動産登記の技術の面からは、これはちょっと防止しょうがないんじゃあるまいかという感じがいたします。ただ、事実上他人の不動産をぶっこわしてしまうという例でございますので、これは登記の問題と直接関係があるかどうかということを私ちょっと……。
  32. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 いや、不動産の権利の得喪が形式上合法的に行なわれてからこわされてしまう。そうしてこわされたほうはあとから気がついた。そこで問題になっていることが、数日前に写真まで出て新聞に出ております。そうしてこわされたほうは泣いていると書いてある。僕はそんなものを法務省がぼんやりしている手はないと思う。
  33. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 私も新聞を読んだだけでありますが、印鑑の偽造であるとか、はなはだしいのは法務局の印鑑まで偽造する、権利書の偽造というような、あらゆる手でああいう事件が最近二、三法務局で扱われておりまして、まことに遺憾なことだと思うのです。ひとつ十分これは研究させていただきたいと思います。
  34. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 何か新聞の伝えるところによると、そういう常習犯の犯罪人がおって、そうして三年なり五年なり一連の連中が刑務所につながれる。それが出てくるとまた起こる。こういうように伝えられております。おそらくああいう問題が今後ひんぱんに――現に名前を言えば、なくなった吉川英治氏の未亡人の財産が危うくやられようとしていた。印鑑から何から全部偽造されて、そうして売りに出された。そして買い主の方が念のために吉川未亡人のところへ電話をかけたら、自分のほうは何もそういうものは売っておりません、こう言うので、初めて事件が不正であるということがわかった。もう一つは目黒の――これはおそらく私のうちの近くだろうと思うのですが、目黒のほうでは工場の売買が行なわれてしまって、そうしてうちをこわされた。こわされたからびっくりして、自分の財産で、そんなことはない、買ったほうは自分は合法的に買ったのだという。そうして間に介在したいわゆる地面師とかなんとかいうのは、表には出ないのです。そんなふざけたことが私はあり得るかどうかと思うのですが、新聞の伝うるところではそのとおりです。こういうことでは、不動産所有者というものは安心しておられない。この点は少しは法制的にも御研究を願わなければいかぬし、ああいうものをほうっておいて、法律的な御答弁を願ったって、それは国民は納得しないだろう。この点は急速に法務大臣がおっしゃったように御検討をいただきたいと思います。
  35. 河本敏夫

    河本委員長 田口誠治君。
  36. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いまの伊能先生からの御質問に関連をして、次の委員会までにお調べをいただいて、もう少し具体的な考え方を御答弁いただきたいと思いますが、新聞等で指摘をしておりますのは、登記官吏の不正、汚職、こういうものがからんでおるというように出しておる新聞があるわけです。したがって、そういうことも頭に入れて、あの新聞をよく見て、それに関連したような事件がございますれば、それもよく検討されて、それの対策をどうしたらいいかということを、ひとつ次の機会までに御答弁をいただきたいと思います。
  37. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 はなはだ恐縮ですが、いま伊能委員がお話しになりましたような最近の印鑑偽造その他の一連の事件でございますが、それに対して法務省法務局の官吏に何か不正があるようなお話でございますが、それは関連がないじゃないかと思いますので、その新聞というのをあとで拝見をいたしたいと思うのです。そうしませんと、御質問の趣旨に従って次回にこちらのお答えする点が不満足になるといけませんから、どうぞひとつ……。
  38. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 いまの伊能先生のあげられた事件登記官吏の不正問題と直接には結びついておるわけではございませんけれども、やはり土地売買の問題についてそうした問題があるということを新聞が指摘しておるのですから、必要ならば新聞の切り抜きをごらんになって、そしてよくお調べをいただいて、御回答をいただきたいと思います。おそらくこの問題はきょうの御回答にはならないと思いますので、次の機会までに御回答をいただきたいと思います。  それから角屋委員からいろいろと定員の問題について質問をいたしましたが、当面九十八名増員しようとするものは、どことどこへ人員の配分をするのですか、この点まずお答えをいただきたいと思います。
  39. 新谷正夫

    新谷政府委員 法務局関係増員予定は八十名でありますが、これをいまどこに配分するかということにつきましては、各庁の具体的の事件数あるいは人員の配置事情というものをいま検討いたしまして、最終的に配置の計画を立てる予定にいたしております。まだ確実にどこの庁に何名というところまではいっておりませんが、大体のところをブロック管内別に申し上げるという程度でお許しいただきたいと思いますが、東京法務局管内でおよそ四十五、六名になろうと思っております。それから大阪の法務局管内が十六名くらい、名古屋の法務局管内が七、八名くらい、福岡の管内が二、三名、札幌法務局管内が十名内外、大体そのくらいの見当になりはしないか。いま作業をいたしておりますので、確定的なところは申し上げかねるのですが、おおよそのところを申し上げますと、そのようなことに予定をいたしております。
  40. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、大体大臣は一年交代でおかわりになる。そこで、昨年質問をいたしまして相当誠意をもってお答えになったことが、今年の予算要求なり今年の設置法の改正の中に十分に盛られておらないという点を私は指摘いたしたいので、それでこういう問題につきましては、大臣がおかわりになったとき引き継ぎをどの程度なされるのか、お伺いいたしたいと思います。
  41. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 大臣の引き継ぎは、御承知のように重大な案件のある事項についての問題が引き継がれるわけでありますが、新しく就任いたしました私の考え方といたしましては、過去におきまして、国会において前大臣、前々大臣がお約束を申し上げましたことにつきまして、事務当局にも十分その点誠意をもって処理をするようにということを指示いたしております。また、大臣が答弁申し上げましたことは、法務省方針となってくるわけでございます。そういう意味では、大臣がかわりましても、それですぐ消えてしまうというような無責任なものではないのであります。ただ、いろいろと申し上げましたことが、そのまま次の予算で直ちに実現でき得ないものもあることは、これはいろいろな事情をしんしゃくして御了承をお願いいたしておきたいと思います。
  42. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 おそらく毎年予算要求をされるときには、省議が持たれると思います。省議を持たれるときには、大臣はおかわりになっておられても、局長、課長、部長さんは、引き継ぎしておられる方が相当多いと思うのです。そこで私は去年指摘をいたしまして、大臣からもびっくりしたような表情でお答えになった問題を提起するわけですが、一例を申し上げますれば、人権擁護局関係は、課長以下全国で百六十名という数字であったので、大臣は非常にびっくりして、そんな一つの局に三名とか三名半というような数字ではとても大衆のサービスをするような仕事はできないから、来年度は誠意をもって善処したいという考え方を披瀝されたわけです。そうしてこれは特に人権擁護局関係でございましたけれども、その他検察官、裁判官が非常に不足をしておって、労働強化をされておるということ、それから職員の面につきましても、同様そういう点を私のほうから申し上げましたら、十分にそう意向をくんで次には善処したいという誠意ある回答があったわけなんです。特に、この誠意ある回答のときに、大臣がそれだけ定員が少ないのかといってびっくりされたわけなんです。ところが、今年の定員増を見ましても、十分に私ども要求しておるような数字が出されておらない。十分にぐらいではない、きわめて少ない数字になっておるのですが、こういう程度の数字しか予算要求で穫得できなかった理由。それから予算要求する場合に、前年の国会で答弁をして確約されたその内容を省議で十分に検討されてあるのかどうか、こういう点についても、ひとつお答えをいただきたいと思う。
  43. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 省議で増員要求をことしいたします場合に、御承知のように、内閣として定員の増加は原則として認めないのだ、実はこういう決定をいたしておったわけなんです。これは御承知のように、公務員の給与その他の点も相当金額がふえてまいっております。そして年々官吏のふえるということについて、国会でも御指摘を受けておる点があるわけです。そういうようないろいろな点と、ことしの予算の規模とをまず考えまして、人の面では政府としても現在の人のやりくりその他でひとつやっていこう、こういう決定をされた。そこで私はその決定の際に、たとえば法務局増員であるとか、あるいは裁判の迅速を要するような問題であるとか、いま御指摘のような人権の問題等もふえている、これらはむしろ、ことばは悪いですが、いわゆる現業と同じような考え方で処理してもらわないととうてい運営ができないのだということを、条件を実はつけて閣議の決定に従ったのです。その後いろいろと検討いたしましたが、そういう条件をつけておりましても、なお政府方針につきましては、平年と同じような態度で人員要求をすることはこの際控えたいというので、極力人員増員につきまして、まず要求の出発点において実はしぼらざるを得なかったという事情にあることを御了承願っておきたいのであります。
  44. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 各省の設置法が出ておりまして、各省の定員増の問題も、それぞれ違っておりますが、人数の面におきましては相当多く獲得しておるところもあるわけです。したがって、私は、本省が現場の実態と、それから書類の滞貨数というようなものを十分に把握されておらない。そういう点を把握されておれば、その点を強調されれば、その実情に沿った定員増というものは認められていくだろうと思うので、今日出されておるこの定員増というものは、昨年の当委員会の際の大臣のお答えの内容から考えましても、非常にこれは不満な数字であると思う。いま大臣のほうからお答えになりましたことを聞きましても、十分に本省として現場の実態を把握されておらないのではないか、こういうようにうかがわれるのですが、そういう点につきましてはどうなのですか。
  45. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 われわれといたしましても、御指摘のように、法務省としましてはほんとうに人員要求増員ということが必要な面が非常に多いということは痛切に感じておるのでございまして、今年度予算におきましては、でき得るだけの努力はいたした、そして相当数増員をお願いいたした、こういうようなことで考えておるのでございます。なお不満足でございますが、来年度以降におきましては、ますますこうした点を充足していきたい、こういうつもりでおります。
  46. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は考えまするに、政府の政策と人員増というものを考え合わせてやはり決定をされるのではないか。それはなぜかといえば、昨年は、右翼、左翼の取り締まりを強化する必要があるというので二百名という定員増をぽんと出された、公安調査庁の関係で。ところが、実際に実務をやるところの登記関係とか人権擁護の関係とか、あるいは裁判所の検事、判事、それから職員、こういうような定員の不足な面については、十分努力をしたとは言われまするけれども、出された数字からいきますと、きわめて不満足である。昨年あたりの場合なんか、左翼、右翼の取り締まりが必要だという一つ政府方針から二百名の増員をぽんと出されたわけなのですから、こういうことから考えますと、相当政治的な面からこういう定員増というものを検討されて、実務の面から実際に必要であるという点が非常に置き去りになっておるのではないか、こういう点が考えられるわけですが、その点はどうなのですか。
  47. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 この前、設置法を臨時国会で通していただきます際にも、参議院でしたか、ずいぶん詳しく公安の定員の増加の必要な理由を御説明申し上げております。また衆議院では、その前の通常国会の審議の際に十分申し上げたとおりでございます。これら法務省のいろいろな省務を運営していきます上におきまして、おのずからそのときどきの事情に従って処理をしていくということは、御了承が願えると思うのでございます。ただ、いまの現場の状況に即した点については、先ほど申しましたけれども、これは人が足らないということでわれわれも年々要求をしておりますが、とにかくことしはそういう特殊な方針事項もございましたので、手控えざるを得なかった面もあったことを御了承いただいておきたいと思います。
  48. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 昨年公安調査庁の人員増二百名のときには、ただいま大臣のお話しのように、その必要に迫られておる事態をるる説明をされました。私らも話を聞いたわけですが、さて、省のほうから必要だといって出してこられたものは、相当一生懸命に弁解をされ、答弁をされて、そしてそれを通そうとされるけれども、そのときに現場の実情を申し上げて、来年度はこうしてもらいたいという点については、きわめて消極的であるということ、このことを私は指摘しておるわけなんです。その点どうですか。
  49. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 今年度予算要求状況、及び予算の折衝の過程におきまして、政府の決定の定員不補充及び新規定員の増加を押えていくということの非常な制約を受けて、思うほどのことがいたされておらないことは、御指摘のとおりでございます。ことしはそういう事情で全く残念な状況なんでありますが、なお将来において、よく事情はわかっておりますので、努力を続けていく、こういうことで御了承を願います。
  50. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 くどいようでございますけれども、制約を受けられていたという事実は知ってはおりますが、その中におきましても、本省が直接に目を下しており、取り扱っておるところは、これは今度の設置法の改正を見ても、相当の定員増を獲得しておるわけなんです。これは通産省の設置法の改正等を見ますればわかりますが、相当のものを獲得しておるわけなんです。ところが、実際に本庁のほうが直接に目の届いておらない、すなわち私どもがそれを代弁して申し上げる内容のものは、十分に取り上げておらないというところに、今後いろいろこういう問題に取り組んでいただく、検討していただく上に重要な隘路があろうと思うわけなんです。どうしても制約されておって、これではだめだった、できなんだと言うなら、私は了解できる点がございますけれども、各省の設置法を見ましても、省が、中央が直接見ておるところは、これは十分とは言いませんけれども、相当の員数の定員増を獲得しております。だから、私はそういう点を比較して申し上げておるのですから、もう少し法務省も各級機関の実態をよく知ってもらって、予算要求等の場合にはそれを消化してもらうように、これは強く要請をしておきたいと思います。この問題につきまして、これ以上やりとりいたしておりましても、同じことだろうと思います。要は、省が直接目の届いておるところは十分に手を尽くしておるけれども、現場の声というものは十分に取り上げてもらっておらないという、この点を指摘しておるのですから、そのところを今後の問題として十分に検討もし、また取り上げていただきたい。これを重ねてお願い申し上げておきます。  それから事務的な面になりますが、登記事務増加率というものは、年々どの程度増加しておりますか。ちょっと数字がそこにありましたら、御説明をいただきたいと思います。
  51. 新谷正夫

    新谷政府委員 先ほども舟屋議員からの御質問がございました際にお答えいたしましたが……。
  52. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 角屋さんにお答えしてあれば、それを見ますからよろしいです。
  53. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。実は田口委員からああいう非常に積極的な御質問もあったのですが、来年度の問題については大臣も十分に要求をされるということで、われわれもそれに期待するわけですが、ただ一点、先ほど大臣も、地方法務局事務のごときは現業事務であるという、私どもは全く同感であますので、これについて地方法務局欠員状況がどうなっておるか、そして欠員に対する行政管理庁並びに大蔵省の補充の査定の基準がどうなっておるのか。もしそれが一般公務員と同じように五割補充基準であれば、私どもはそれは不当であり、これはあくまで現業は九割という補充基準にもなっておると思いますので、もし五割ということであれば、それを九割にふやしてもらう御努力を願い、われわれもさらに、行政管理庁長官並びに大蔵大臣も大蔵省設置法の際には来て御説明があると思いますので、そういう点についての御協力はもちろん惜しまないつもりでございますので、その辺の欠員状況、並びに九月四日現在の欠員状況とその後の補充の状況、さらに三月末における現業事務に該当すれば九割補充というようにも聞いておりますので、その辺の実情をひとつお伺いしたい。
  54. 辻辰三郎

    ○辻説明員 お答え申し上げます。  町年十二月三十一日現在の地方支分部局-法務局及び地方法務局でございますが、これの欠員は百六十五名でございます。予算上の定員は九千九百九十七名でございますが、昨年末の現在員は九千八百三十二名でございまして、百六十五名の欠員ということになっております。  それから、この関係欠員の補充につきましては、昨年きまりました大方針からいきますと、法務局職員は行政職(一)の俸給表の適用を受ける職員でございますから、欠員が生じました場合にその五割の補充を認めるということになっております。ところで、これではただいま御指摘のように法務局現状に必ずしも沿うとは言えませんので、目下行政管理庁、大蔵省その他と、この補充率について、他の現業官庁との観点から極力説明いたしまして、この補充率を現業並みの九割という線でお認め願えるように、鋭意現在折衝中でございます。
  55. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、先ほど角屋さんにお答えになった数字からいきますると、事務量増加率に比較して人員増加するという点につきましては、アンバランスになっておるという点を答弁なさったのですが、私は実際登記事務なんかに行ってみますると、これはたいへんなことです。時間外もやっております。ところが、時間外の手当もそのとおりもらっておらぬというのが事実でございまするし、そういうことからいきますると、この事務量人員というものの算定基礎、積算基礎というようなものは、法務省関係はどういうようにおとりになっておられるか、その点をひとつお示しをいただきたい。
  56. 新谷正夫

    新谷政府委員 先ほども申し上げましたように、事務量増加率と登記台帳事務に従事しております職員増加率、これは相当開きがございまして、必ずしも均衡がとれていないのが現状でございます。さりとて、事件増加にそのままスライドして人員伸びていくべきものかどうかということにつきましては、これは多少問額もあろうかと思うのでございます。来年度八十名の増員をお願いしておりますのは、要求の積算の方法はいろいろ考えられると思うのでございますけれども、この八十名というものは、現在登記所で非常に事件の多い庁、言いかえますと、年間四万件以上扱っておる登記所とか、あるいは三万件以上扱っておる登記所、こういう大きな事件のところを考慮に入れまして、そこで来年度事件の差増数と職員一人当たりの事務処理能力、そういったものを勘案いたしまして必要人員を出しますと、大体数字をまるめまして、いずれも四十名くらいの必要人員になるわけでございます。それを合わせますと八十名ということになるわけで、これはもちろん登記事件全部の差増を基礎にしたものではございませんで、いわゆる甲号事件というものを基礎にいたしまして、この増員を考えたわけでございます。登記所で問題になりますのは乙号事件、これが非常に事件伸び率が高いわけでございます。乙号事件と申しますのは、謄本、抄本あるいは登記簿の閲覧、こういう事件でございます。そこで、この乙号事件につきましては、甲号事件のような手数のかかるものではございませんで、ものによりましては、これは機械化も可能でございます。従来もそういう考えに立ちまして、できるだけ複写機等を購入いたしまして人手不足を補うという努力をいたしてきたわけでありますが、来年度、ただいま申し上げる八十名の増員、これは甲号事件でございますので、乙号事件をどうするかということが、当然問題になってまいるわけであります。その乙号事件処理するために、大臣からも先ほどお答えございましたように、六百四十台の複写機予算に計上さしていただいております。これははっきりした積算上の数字があるかと申しますと、なかなかむずかしいのでありますけれども、ごく大ざっぱなことを申し上げて恐縮でございますが、現在複写機を配付していない庁が約千三十、これは一人庁を除きまして千三十ぐらいであります。そのほかに一人庁が二百五十ばかりございますので、合わせますと約千三百くらいになるわけでございます。その大体半分くらいの見当というので六百四十という数字を一応私ども考えまして、さらに複写機の配付されない庁につきましては、次年度以後の問題として、なるべく能率の上がるような方策を講じたいと考えておるわけでございます。
  57. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 関連して。ただいま伊能委員からの質問にもありましたし、田口委員の質問にも関連して、定員の増減数の内訳表をいただいたわけです。それによりますと、法務局の定員は九千九百九十七名。ところが昨年末において百六十五名の欠員があったということになりますと、九月四日の欠員の状態はどういうふうになっておるのかということが、具体的にここに資料として出てこなければならないはずであります。ところが、これについてはそういうような数字は全然ないことになっております。欠員がない数字が出されているわけです。これに基づいてわれわれは質問をしているわけなんだが、そういうような質問をしてみなければ、その隠された数字が出されないでわからないということになってまいりますと、資料としての信憑性を欠くことになるわけでございます。したがって、新規増の八十名というもののほかに、いま行(一)の職員である百六十五名の欠員の分については行政管理庁と話し合い中であるというのであるならば、それを正直に、こういうような内訳表としてお出しになる以上は、提出をされてしかるべきではないかと思うんだけれども、なぜそういうようなのを抜いてお出しになっているのか、この点について説明願いたい。
  58. 辻辰三郎

    ○辻説明員 法務局の地方支分部局、すなわち法務局地方法務局でございますが、ここの職員の昨年九月四日現在の欠員はゼロでございます。したがいまして、法務局に関しましては、凍結された人員欠員はなかったわけでございます。その後昨年の十二月二十一日に法務省の設置法が改正となりまして、その際法務局のほうに二百名の増員をいただいておるという関係になるわけでございます。
  59. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこでさっきの続きでございますが、十分なる科学的な積算基礎の上に立っての人員確保ということではない。機械化の面もあわせて答弁がありましたが、これは残業なんかを相当やっているのですが、こういう時間も十分把握されて、積算の出し方のいい悪いは別といたしましても、相当の時間外をやっているということを頭に入れてあなたのほうでは積算されるのか。その点ちょっと伺っておきたい。
  60. 新谷正夫

    新谷政府委員 増員要求をいたします際には、ただいまお話しの超過勤務の時間あるいは機械による能率増進の度合い、そういったものも考慮に入れて要求いたしているのであります。ただ、この八十名の増員の根拠にそういった超過勤務の時間が入っているかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、年間の差増件数と一人当たりの処理件数との比較において出てくる数字でございますので、その中に超過勤務によって処理する件数も入っているというふうに見られるのじゃないかと思います。
  61. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 答弁は答弁としてそういう答弁をされると思いますけれども、この八十名という数字が私どもとしては不満であるから、これはこれとして伏せておきまして、その時間外勤務の数字も入れてあるということですが、これは正式に時間外手当を支給している数字であるのか、事実時間外をしている数字であるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。おそらくあなたのほうで把握されるのは、時間外をして時間外手当をどれだけでも払った数字でないと、なかなか把握されておらないと思うので、おそらくその数字だろうと思うのですが、その辺どうでございますか。
  62. 新谷正夫

    新谷政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、一人当たりの処理件数の出し方でございますが、これは従来の登記所の実績件数を従事職員の頭数で割らざるを得ないわけであります。これと、実は一人当たりの負担能力が一体どのくらいあるものかということも、別に私ども実態調査いたしまして研究いたしました結果を総合して、この一人当たりの負担能力というものを出しておるわけであります。そういう意味で、実働の超過勤務時間全部が入っているか、あるいは超過勤務の手当を支給しただけの時間であるかということは、必ずしもはっきりと割り切れないように思います。
  63. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 負担能力ということの実態調査の上に立って定員をきめられているということになれば、相当裏づけはあるわけなんですけれども、実際に私どもが現場へ行ってみますと、超勤を相当やらなければ消化できない、それから書類が停滞している、こういう事実から見まして、あなたのほうのその実態調査が妥当なものであったかどうかという点について、疑問がございます。この疑問は疑問として検討していただきたいと思いますし、それからもう一つ、積算を出す場合の基礎を置くときに、その基礎には当然実際に超勤をやった時間というものを入れてもらわなければ、手当を払ったその時間だけでは、これは全く少ない。だから、そういう点も今後の問題として考えていただきたいと思います。  それから次には、相当書類が増加してきておりますが、書類の保管の問題について、私は一つ心配があるわけです。特に登記所の書類なんかというものは、これは火災なんかで焼かれてしまってはたいへんでございますが、この保管は、倉庫というものが必ずしも全部鉄筋コンクリートの倉庫に保管されておるということでないわけなのです。もう入り切らぬから、外のほうに臨時の倉庫をつくって、そこに書類を保管しておくという、きわめてそういう危険な書類の保管のしかたがしてあるわけです。この問題は、これは下部の実態調査をしてもらって、早急に手をかけてもらって、来年度予算には、できれば補正予算にでもいたして、そうして保管倉庫くらいは完全なものをつくってもらわなければ、私は火災なんかの起きた場合に、これはたいへん問題であろうと思う。そういう点は把握されておるのかおらないのか、そうして、把握されておるとすれば、どうされるのか、この点も、この際念を押して聞いておきたいと思います。
  64. 新谷正夫

    新谷政府委員 確かに登記所の倉庫は、大部分のものが昔ながらの土蔵のような形式のものが多いわけでございまして、重要な簿冊を保管するには必ずしも適さないということは、私ども十分承知いたしております。また、これを改善して安全に書類、簿冊を保管する方法も、積極的に研究いたしております。最近新営されます出張所につきましては、これは事務所も鉄筋コンクリート、もちろん倉庫も鉄筋コンクリート、あるいは少なくともブロックというふうなもので、耐火構造のようなものをつくるように最近はだんだんなってきております。ことに書類の保管につきましては、ただ倉庫だけの問題ではなくて、事務能率との関連も考えなければならない面がございます。大きな出張所になりますと、事件のふくそうをする場合もかなり多いものでございますので、いままでのように事務室と離した倉庫を建てることが、はたして能率上どうかというふうな問題もございます。そこで、いろいろの形のものを建築の専門家にも研究してもらいまして、事務室と倉庫とを一体とした構造のものをつくる。その場合にも、壁に面してブラインドをつくって、そこに簿冊を保管する、あるいはそうでなくて、事務室のまん中を倉庫がわりのものにして、出し入れにも便利にするというふうなことも研究しながら、将来の登記所の簿冊の保管方法についてどうするかというふうなことについて、いろいろ実施してみたり、さらにその実施の上に立った調査に基づいて、新しい適切な構造のものをつくろうというふうな努力も重ねてきておるわけであります。今後庁舎をつくりますときには、もちろん鉄筋コンクリートあるいはブロックの耐火構造のものをつくらなければなりませんが、従来のものも、朽廃したものもかなりございます。そういったものについては、予算の面でできるだけその整備をはかっていく方針でございます。急に二千に近い登記所の倉庫を一挙に整備するということもなかなか困難でございますけれども、明治年間からの土蔵式の倉庫もかなりございますので、できるだけ早い時期に、危険な倉庫の現状改善して、安心のできるようなものにしたい、こういうつもりで努力をいたしたいと思っております。
  65. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 土蔵になれば、これはある程度の耐火ということにもなりますが、私の申し上げておるのは、それぞれ耐火倉庫はありますけれども、書類が多くなって入り切らぬから、臨時にほかのほうへ保管をしておる、こういう実情であるから、だから臨時に保管しておるものは、火災が起きたらすぐ焼けてしまいます。そうなりますと、これは問題でありますから、早急にこういう問題の解決をしてもらわなくてはならないということなんです。だから、全国千五百か二千か、どれだけあるかわかりませんが、それを一挙にということは、これは予算上からもなかなか予算化ということはできないと思いますけれども、当面耐火倉庫に入り切れないものがたくさんあって、外に保管してあるものを、これを何とか一時的にでも、耐火建築を臨時につくってでも入れてもらわなくてはならないのじゃないか、まずこれを私は申し上げておるのです。それから順次庁舎の改築も必要であろうが、そういう場合に、いまの事務的な能率の面も考えて倉庫の位置もきめなくてはならない。そういうことになりますれば、やはり庁舎を改築する場合には、二階建てを四階建てにすれば、敷地というのは幾らでもあいているのだから、敷地を買収しなくとも、現在持っている敷地の範囲内で容易にできる方法もあるのだから、だから実際に取り組んでやろうと思えば、それはやれないことはないのです。ただ、これは大蔵省の予算査定のときに、法務省関係のものは二義的か三義的か、どういうように扱われておるか知りませんけれども、私は、こういう重要なものがまだ放置されておるということは、これはほんとうに本省が現場の実態を把握されておらないのではないか、もしおられるとするならば、このことを主張をして予算要求をされれば、大蔵省がそれでも拒むということはないと思うのです。登記書類の重要な書類が、ほんとうに耐火的な倉庫でなくして、暫定的につくられたものに保管されておるというようなことは、これは一日もほうっておくことはできませんので、そういうことを十分に把握してもらいたいと思う。ただ、こういう公式の席上で質問をしたり答弁をする場合には、そのときに答弁なればいいということではなしに、私どもは、ただ質問するための質問ではありませんから、下部の実態を見てきてなまのものを皆さん方に申し上げて、そうして善処をしてもらうことを要請しつつその内容を伺っているわけなんですから、この点は単なる議会の質問であって、単なる答弁であったという取り扱いでは全く困るわけなんですから、十分にその点を御配慮いただきたいと思いますが、大臣もお聞きになって、いまの書類保管等の問題については、おそらく痛感されたと思いますから、大臣からも一言この点についてお約束をいただきたいと思います。
  66. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 登記所の書類の保管につきましては、その重要性にかんがみまして、常に心配をいたしております。本省におきましても、各登記所の書類の保管場所の状況は、それぞれ実は十分把握をいたしておるつもりでございますが、なおいろいろな事情の変化もあるでしょうから、もう一度至急に調査をまとめたいと思います。それとともに、新営につきましては、先ほど申しましたように、今年度から相当な予算を取っておるのでありますが、各所修繕につきましても、必要なものについては予算をつけてございます。  倉庫の問題につきましては特に力をいたしておりますが、これはどうしても早急にやらなければ、事故が起こってからではたいへんでございます。御指摘の趣旨は十分に私も尊重いたしまして、これは早く整備をするということに努力をいたす、こういう決心でございます。
  67. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 次に移ります。  次は、少年院の定員がほんの少し増員することになっておりますが、この少年院少年鑑別所の関係について若干お聞きをいたしたいと思うのですが、最近青少年犯罪というものが集団的になり、また年齢的には低下をしておるわけです。年の若い青少年が多く犯罪を起こすようになっておるわけですが、こういう点についての防止策は、単に問題を起こしてから鑑別所へ入れて指導をしたり、少年院へ入れて指導をするということでなしに、その前にこうしたものを防止するという考え方は、これはただ法務省だけの一つの行政だけではやれないことは知ってはおりますが、こうした問題については、他の関係省との連携をどういうように密にされて努力されておるのか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  68. 津田實

    ○津田政府委員 少年非行の問題は、ただいま御指摘のとおり、非常に最近における重要問題でございまして、最近におきましては、ただいま御指摘のように、低年齢化あるいは粗暴化ということがかなり顕著な特徴になってきておるわけでありますが、この少年非行を防止する対策といたしましては、基本的には、種々の角度から科学的な調査研究を行ないまして、その原因を的確に把握して適切な施策を講ずる以外はないわけでございます。政府機関におきましてはもちろんでございますが、教育、文化、あるいは社会福祉等のあらゆる分野における国民全体の御努力によりまして、法を守り責任を重んずる青少年を育成するということは、当然必要であるというふうに考えております。  そこで、犯罪少年に対する刑事政策を直接担当いたします法務省といたしましては、特に当面の重点施策といたしましては、まず第一に、少年非行の発生を未然に防止するために、温床となるような社会悪を除去するということに重点を置きまして、少年に悪影響を及ぼしまするところの暴力的犯罪あるいは暴力的な行為を是認するような環境、それから不良文化財、これらのものの厳重な取り締まりをさらに一そう推進していくことであると思います。  それから第二には、少年非行を犯しました少年改善更生の関係におきましては、その再犯を防止いたしまするために、検察庁、少年院少年鑑別所、保護観察所等の所管関係はもちろん、これを督励いたしまして非行少年に対する処理処遇をより適切にせしめる必要があることはもちろんでございますが、少年犯罪を取り扱います主たる機関といたしましては、御承知のように家庭裁判所があるわけでございます。この家庭裁判所とこれら検察庁あるいは少年院少年鑑別所あるいは保護観察所との間におきまして、十分な連絡、意思疎通をはかりまして、これらの少年に対して一貫した処理処遇をすることにさらに努力をする必要があるというふうに考えております。  それから第三には、それでもなお現在少年法につきましては改善すべきものがあるのではないかという世論が、相当高まっておることは十分承知いたしておりますが、これらの少年関係の諸法制につきまして、ただいま鋭意検討を進めておるわけでございますが、問題はやはり少年に対する具体的処遇の問題につきまして、どういう効果的な方法が見つけられるか、あるいはその効果的な方法に対する効果につきまして確信が持てるかというような問題につきましては、あらゆる角度からこれを検討して実行に移す必要があるわけでございますので、その意味におきまして、その点の検討と申しますか、調査研究を十分いたしますと同時に、少年処理関係の法制、つまり少年に対する審判手続の面におきましても、さらにこれらの審判手続に改善を加えまして、できるだけ少年保護ということをはずれない限度において、さらに少年に対して厳正な処置を考える必要があるのではないかということを考えまして、ただいま少年法制につきましては、鋭意検討をいたしておる次第でございます。
  69. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 きわめて抽象的な言説になりましたが、私のお聞きしたいのは、いろいろとそうした面については努力されておるけれども、この少年犯罪というものが激増しておりまするし、そうして年齢的にも低下しておりまするし、またこれが集団化してきておりまするし、努力しておってもこういう状態になっておるものを、どうして防止するのかということについての隘路をどこに求めておられるか、このことを聞かなければ、ただいまの御答弁では抽象的で、一片の言説になりましたが、それでは私どもは十分に納得することができませんので、もう少し具体的にお示しをいただきたいと思う。多種多様でございまするから、全部についてお聞きすることはできないと思いまするけれども一つでも二つでも例をとって、こういう問題については、いままでこうしてきたけれども、なかなか防止することができなかったが、これからはこうするのだという、何かそういうものを持ち合わせがなかったら、これはなかなかこの問題は解決することができぬのじゃないか。特にことしの佐藤総理の施政方針演説の中には、青少年問題についての意思表明が相当長くなされておりまするし、五項目くらいにわたっておりましたが、その中にはやはり青少年犯罪防止ということも含まっておるわけでございまするから、私は、こういう施政方針演説の中に最も重要として佐藤総理が述べられておるのだから、その衝に当たっておられる法務省としても、相当これには従来のやり方を自己批判をして、そうして新しい角度に立っていろいろな施策を考えておられるであろうと思うので、そのことをお伺いをいたしたいと思うのです。
  70. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 御指摘のとおり、少年犯罪が近時増加をいたし、年齢は低年齢層に及んでおりまするし、また集団化の傾向も顕著であるというようなこと、また狂暴性な犯罪もふえておるということで、非常に心痛をいたしております。もちろんこの非行少年の問題それだけを切り離して考えるのでなしに、国といたしましては、少年の生き方につきまして総合的な対策を立てて、いろいろ青少年審議会等におきまして検討を進め、具体化を進めておるのでございます。常に少年状況を観察もいたさなければならぬ。また根本的にいえば、教育の問題もありますし、あるいはまた社会の環境の問題もございます。あるいは家庭のしつけの問題、いろいろな面が連絡をして国と国民とが一体となってやっていかねば実効があがらない問題であるので、そういう面で法務省も重要な一翼をになっております関係上、関与をいたしてまいっておるようなわけでございます。そういうようなことで、われわれとしましては、少年犯罪を犯します前の観察、及び犯罪を犯しました場合における処遇とその後の観察ということを各方面、いま申し上げました学校、家庭その他社会とも連絡を一これは秘密を要することでございますが、極秘にとりながら進めてまいっておるわけでございます。その他少年院に収容しました場合の少年矯正の方法であるとか、あるいはいま説明いたしました少年法自体のあり方というようなものにつきましても、根本的にいま検討を進めておるようなわけであります。問題はなかなか広範でむずかしい、これは御承知願えると思うのでございますが、これは国として、次の世代をになう人々に関することで、きわめて重要である、内閣が全部力をそろえてこの問題の処理に当たっておる、こういうようなわけでございます。
  71. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいま大臣から答弁のあったことはきわめてもっともなことで、非常に関係しておる各省との連携、それから社会の協力、それから家庭の協力、こういうものを得なければならないというきわめてむずかしさを披瀝されたのですが、全くそのとおりだと思います。思いますが、むずかしくてもこの問題は解決をしていかなくてはならない問題でありまして、ただいま大臣の言われたように次の世を背負う青年でございまするから、十分にこれは手を尽くしてやらなければならないと思うのです。そこで鑑別所なんかの実態を見ますると、鑑別所へ一回来た人は、まあこれでいいと思って出せば、また、二回来る、三回来る。もう三回来たのだからしかたがない、これは少年院送りだ、こういうようなケースになろうと思うのです。その間は、それはもちろん家庭裁判所においていろいろ検事の取り調べの上においても、またその他家庭の意見も十分に聞いたりして少年院に送られるのであろうけれども、これまた少年院に送っても――これは少年院の問題はほかに質問をするという通告をしておりますので、専門的にその問題は取り上げてやられると思いますので、私はこれ以上触れようと思いませんが、ただ少年院の現在の実態を見ますると、やはり相当多くの隘路があるのではないか、こういうことを考えます。したがって、こういう点については、日を変えたときに他の委員から質問申し上げるであろうと思いますので、私はこれ以上突っ込んで質問に入らずにおきたいと思います。  そこで鑑別所の職員というか、これは正式の名前は指導員といいますか、ここに婦人補導院というのが七十五名というのがありますが、これは鑑別所とは直接には関係ないのかどうか。
  72. 大澤一郎

    ○大澤政府委員 少年鑑別所は、ただいま御指摘がございましたように、家庭裁判所から委託を受けまして、少年の性格、身体その他の資質を鑑別するところでございます。婦人補導院は、売春防止法の関係施設でございます。売春関係法令違反の婦女で、刑の執行猶予を受けて補導処分を必要とするものを入れるところでございます。全然別個の施設でございます。
  73. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は、少年院も、鑑別所も、婦人刑務所も、男の刑務所も、それぞれ訪問をして実態を見せてもらい、また意向もできるだけ聞いてきておりまするが、この鑑別所の指導員というのですか、職員の正式の名前は何というのですか、それはあとでお答えのときに教えていただきたいのですが、ここに婦人の指導員というものが必要でないかどうか、私はこう思うのです。私どもは、鑑別所に入れられておるその子供たちに直接会わしてもらったりしていろいろ助言をしたこともございますが、しかし、私どもが行って、それはおかあさんやおとうさんの身になれとか、実際は社会はこうなんだから、あなた方はこれからりっぱに日本の国を背負う青年になるのだ、だからこうだという話をすると、目に涙を浮かべて聞いておるのですが、おそらく現在の鑑別所の職員の方々も、そういう点については万遺憾のない指導をされ、鑑別をされておるとは思いますが、あそこへ入れられた青少年を指導したり鑑別する場合に、婦人の職員が適当ではないか、ある程度婦人を採用する必要があるのではないか、私はこういうように考えておるわけですが、どこかにそういうケースがあるのか、全くないのか、またどう考えておられるのか、この点ひとつお答えをいただきたい。
  74. 大澤一郎

    ○大澤政府委員 少年鑑別所におきまして、収容少年の教化もしくはその心情の安定をはかりますために、女子職員を配置して、その女性としての特性を生かしつつ少年の指導をすることがきわめて必要であるということは、ただいま御指摘のとおりでございます。われわれにおきましても、さような意味合いで、少年鑑別所の職員、すなわち教官と、いろいろ調査をし、資質鑑別をいたします技官です、これらの職員につきまして、現在全職員の約一割が女性をもって充てておるのであります。全国五十カ所ございますので、小さなものは一名平均いたしまして約二名程度の職員の配置ができておると考えておるわけでございます。特に、最近心理学専門家で女性の方が非常に多うございます。また、カウンセラー等のいわゆる臨床家と申しますか、これらの子供の指導にあたられる技術を研究されておる女性が、非常に多いのでございます。現在さようなカウンセラーとかそういう方面には、最近では全採用人員の約半数を女性をもって充てておるという現状でございまして、現在少年の収容者の女子の割合は約六%でありますが、しかし、職員の約一割というふうに、相当数の女性の職員を採用しているわけでございます。
  75. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 わかりました。  そこでとっぴな提案になるかもしれませんが、こういう非行少年を出した家庭は、非常に親御さんは苦慮しておられるわけです。したがって、私が外から見た目では、自分のうちの子供がそうした非行少年になったケースだけでなしに、他の家庭のそうした不良化になったケースもそれぞれ知っておく必要があるのではないか、こういうことも考えまするし、そういうことから考えますと、それに該当する家庭の家族会というようなものをつくって――そうすれば、喜んで家族の方はお集まりになって、それぞれ自分のうちの実態を話され、そして他の家庭の実態も十分に聞かれる、そのことがやはり大きく家庭でのそうした不良化を防止する家庭教育の一環になろうと思うし、またこれは鑑別所においても、青少年を扱う少年院としても、非常に参考になろうと思うのですが、私はそういうことを実際に行ってみて考えておるのですが、どのようなものでございますか。
  76. 大澤一郎

    ○大澤政府委員 各家庭のおかあさん方がそれぞれお集まりになりまして、少年の教育問題、あるいは少年の非行の防止、あるいは非行におちいるおそれのある者をいかに引き戻すかということに苦慮なされているということは、当然のことでございましょう。また、家庭裁判所の調査官の方々等が中心になられまして、婦人の保護司の方々も、いわゆる婦人会等の集まり等でさような催しを数々持っておられるように伺っておるわけであります。われわれとしましては、鑑別所も、さような場合に、収容少年だけではなくして、広くいわゆる家庭のさような問題少年等につきましての御相談に応ずる態勢は整えておるのでございます。各鑑別所に、いわゆる外来鑑別というふうに形をつけて呼んでおりますが、そういうものを活発に活用して、事前に少年指導について御相談に乗るようにということで、全国的に行なっておるわけでございます。少年鑑別所というものがあまりに犯罪少年だけの関係において有名でございますので、鑑別所自身があまりPRするということもできませんが、さような婦人会とかあるいは婦人の保護司の方々あるいは家庭裁判所の調査官というような方々と連携をとりまして、いつでも御相談に応じてお役に立つようにいたしておるわけでございます。
  77. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間がございませんので、途中はんばになりますが、保護司の方にも非常に協力をいただいておりますが、これはやはり手当が少ない。だから、十分にそれに打ち込んで協力していただくということは、無理だと思うのです。したがって、保護司になっていただいておる方をそれぞれお見受けいたしますと、どちらかといえば、家庭も楽であり、若干そういう方面にも興味を持っており、うちにおってもなんだからというので力を入れておられる方が多いのですが、私は、もう少しこの保護司の設定というのは、特に専門的にそうした問題を取り上げるに適当な――私はいまの方が不適当だとは言いませんが、ただいまの手当の関係から、そうそう適当な方にお願いするということも、またその方がその方面に努力していただくことも、一〇〇%期待ができないと思うので、この保護司を活用する、保護司に協力を願うには、もう少し保護司の手当その他を十分に考えていただきたい。そうすれば、人選の方面につきましても、私はなおいいものができるのじゃないか、こういうように考えまするので、そういう点につきましても、今後の課題としてひとつ研究をしておいていただきたいと思うわけでございます。  もう一時になりましたし、この辺で私は質問を終わりますが、この点についてはあとまだ質問者も残っておいでになりますので、その方に私の聞かなかったことを聞いていただきたいと思います。
  78. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま田口委員のほうから青少年問題を中心にいたしまして御質問がありましたが、きょうは法務省設置法の一部改正の審議にあたりまして、いろいろな関係もあって、法務局を中心にした問題以上に出ませんでしたが、伊能委員やあるいは村山委員等から、機構問題について非常に重要な問題の指摘もございましたし、いずれ法案の処理にあたりましては、附帯決議等で適切な注文をつけるということも考えなければならぬと思いますが、ただ、この機会に、法務省の中で出入国管理に関する問題で私ども日ごろ苦慮している問題について、大臣のお考えを承っておきたいと思うのです。  それは例の朝鮮の自由往来の問題でありますが、過般も私どもの地元のほうから朝鮮の方々が多数見えられまして、その際にぜひひとつ道を開いてもらいたいということで、私自身衆参両院の議長に御案内をしたり、あるいは法務省、外務省のほうは秘書でそれぞれ関係者のほうへ行っていただいたりしたのです。前の賀屋さんのときは、非常に法務省のほうは門戸を閉ざしてお会いにならなかったというような事例もありましたが、高橋大臣になられてから、担当官でしたが、非常に親切に取り扱っていただいた。この問題は非常に重要な問題でありますけれども、従来私どもがお世話しておって、そういう取り扱いの変化は別といたしまして、来られた方々のお話を聞いても、六十近い御年配の方になりますと、生きている間に向こうの親戚の者と会えるだろうか、あるいは実際に向こうへ帰れということを言われるけれども、日本人の奥さんをもらったのでやはりなかなか帰れない。したがって、向こうの親戚にも一度は会いたいというような具体的のお話を、過般来られたときにはお伺いいたしました。これは申し上げるまでもなく、最近樺太からの帰国問題等が新聞で報道されておりますが、佐藤総理がアメリカに行かれてジョンソン大統領に会われた場合にも、墓参問題その他について積極的に日本人の側の要望については要望されておる。まさにこれは人道的な視野から問題を考えなければならぬのでありまして、こういう点で、従来政治的制約にあまりこだわり過ぎて、こういう関係者の要望に必ずしもこたえていない。この機会に、やはりそういう点では前向きにこの問題については考えていく必要があるのじゃないか。直ちに全面的な自由往来ということに踏み切れるかどうかは、われわれの希望でありますが、政府としてもそいう点についてはいろいろ考えられる点があるのかもしれませんが、少なくともこういう問題については窓口を開いていく、そういう前向きの積極的な考え方は、大臣としてもお持ちだろうと思いますし、この機会に、この問題についての大臣の御所信を承っておきたいと思います。
  79. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 いわゆる北鮮の自由往来の問題であります。これは朝鮮総連が自由往来運動というものを非常な勢いでやっておられることは、もう申し上げるまでもありません。ところが、その指導者たちが自由往来運動を展開する背景に、一つには日韓交渉を阻止するのだということ。それから北鮮の政権の指導を受けていわゆる反米的な運動を展開する。それからいま一つは、わが国内におります朝鮮系の人々は、御存じのように朝鮮総連と民団と二つに分かれておる。それが常に勢力争いをいたしておる。そうしてこれはいわゆる南鮮系の民団を打ちこわすためにやるのだ。こういうことをはっきりとたびたび音明をして、実は朝鮮総連の指導者が自由往来運動について述べております。それでわれわれの見方では、どうも自由往来運動というものが、いわゆる非常に政治的な色彩を強く持った政治運動だというように受け取らざるを得ない状況で、一方人道問題を理由として北鮮へ帰してくれという人が、私はいまちょうどここへ数字の持ち合わせがございませんで恐縮でございますが、近時非常にふえてまいっております。これは法務省におきましては、正式に旅券等がついておらない、国交未回復国の人でございます。未承認国の人ですから、正式の受付ということはできない。ただ書類を置いていかれるのを保管をいたしております。もちろんこれは保管するだけでなしに、その一々の内容につきましては、一応そのままほこりをかぶらしておるわけではないわけでございます。が、そうした申請といいますか、要求につきましても、昨年のたしか十月、十一月というようなころは、毎月三百件ぐらいずつ出てきておる。朝鮮総連の指導者が、結局人道主義による帰国ということ、往来ということを、自由往来運動の突破口にする、こういうことをはっきりと言ってこれを指導いたしております。もっと申し上げれば、もっと深いものがあるのでございますが、この席ではそれだけにいたしておきますが、そういうようなことで、その指導が激しいときはわっと件数がふえてくる。そして法務省へも毎日――最近はちょっととだえておりますが、とにかく多数の人が実は押しかけてまいる。私が役所へ登庁しようといたしましても、ちょっと玄関が使えないような状況もある。しかし、この人々の話は聞いてやって、そしてできるだけ丁寧に説明してあげなさいということでやらしておるのでございまするが、いま申し上げますように、この政治目的を持った自由往来運動と人道問題というものがこんがらかりまして、どこが純粋のものであるかというものが出ないのでございます。そこで、われわれが非常に希望いたしますところは、この往来問題を政治的の意図に使わないように、ひとつ総連に反省を促したい。そうしませんと、もうこんがらがってしまって、そのために北鮮へ帰しますことが、外交上、治安上、現在の時点ではこれは行なえないという状況にあるのでございます。  以上のような考えで、いま北鮮への往来は認めるという立場を政府としてはとっておらない、その理由はいま申し上げましたような点でございます。
  80. 河本敏夫

    河本委員長 角屋君に申し上げます。受田君が質問されますので、御質問は簡潔に願います。
  81. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは非常に重要な問題でありますが、こういう時間にさらに申し上げるということは、時間的にもどうかと思うのですれども、ただ、いま大臣は率直な見解としていろいろお話を願ったわけですけれども、私はそのことを理由に、実際にやはり帰りたい事情にあり、また人道的な立場から帰さなければならぬということをお互いが認めるものを犠牲にしておるという現実の姿というものを、これはやはり直視しなければならぬと思うのです。いま政治的問題というようなことを言われましたけれども、これは北鮮の問題に限らず、各国との問題の中で、観光で行かれる方もありましょうし、あるいは商売で行かれる方もありましょうし、あるいは政治的往来ととれるような形で渡航される方もありましょうし、これは単に北鮮のみならず、中国との問題においても、あるいはその他の国の問題においても、そういうことは現に与党自身も行かれる場合もありますし、われわれ自身が行く場合もあるし、その他の団体で行かれる場合もある。ただ、朝鮮の場合は、日本におられる人々が多数におられる。そういうものの処理をするのについては、多数の人々の自由往来を、窓口を開くにしても、取り扱い上非常に苦労する問題があるという、そういう意味の苦慮はわかりますけれども、少なくとも政治的なそういうことを理由に窓口を全然開かないというかたくなな態度には、私は問題が多いと思うのでありまして、これらの問題は、そういうことに籍口して逃げるのじゃなしに、やはり窓口をすみやかな機会に開くというふうな人道的な見解に立って善処してもらうように、強く要望しておきたいと思うわけです。
  82. 河本敏夫

  83. 受田新吉

    ○受田委員 短時間にお尋ねして、資料要求をして、次会に譲りたいと思います。  いま問題になっている出入国管理について、一つだけお尋ねをいたしておきたいのですが、大体この出入国の管理の重大国務を担当するための法律が、いまのところ出入国管理令というポツダム政令にゆだねられておるわけです。これは一体どうしたことか。出入国管理法というものでなくして、ポツダム宣言を受諾した、例のポツダム政令に基づいたものが、そのまま残されている理由はどこにあるのか。法務大臣ひとつ御答弁願います。――法務大臣からお聞きしたいのです。
  84. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 お答えいたします。  目下立法の作業中でございまして、すみやかにポツダム政令を改みていくというつもりで作業をいたしております。私のところにまだ作業実態が上がってまいっておりませんが、下のほうで研究いたしております。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 こうした敗戦の痛苦を印象づけるような政令をもって出入国管理業務を行なっているという長期にわたる法務省の怠慢に対して、私は厳重に抗議を申し入れたいのです。単なる政令をもって、出国並びに入国の管理業務が、法律と同様の効果を示すような形で行なわれているというこの現象は、立法国として、国会無視もはなはだしいものである、かように私は呈言をしておきます。  いま下部のほうで作業をして、まだ大臣のところに上がってこないそうでありますが、そうすると、出入国管理法なるものは、いつごろ法律案として国会にお出しになるのか、作業進行状況から見た見通しをお答え願います。
  86. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 作業ができ次第できるだけすみやかにやりたいと考えております。
  87. 八木正男

    八木政府委員 ただいまの御質問、ちょっと補足させていただきます。  確かに御指摘のとおり、形式的にはポツダム政令でございまして、あまりていさいのいいものではないこと、そのとおりでございます。政府としましては、昭和二十七年法律百二十六号によりまして、この入国管理令を法律としての効力を有するものとするという一条を置きまして、形式的にはこれを法律としての扱いをしておるわけでございます。しかし、それにもかかわらず、やはり形態はあまりていさいのいいものでもございませんし、また、すでに制定されましてから十数年もたっております。現実に必ずしも沿わない点がないとはいえないような実態でございますので、約四年前から、大蔵省から研究費をもらいまして、各省との間に改正案の研究をやっております。ただ、この法律は、技術的な問題でございますけれども、各方面との関連が非常に複雑でございますので、草案の起草に非常に手間がかかっております。大体目安といたしましては、今年中に整理いたしまして、今年末の通常国会までには国会の御審議を願いたいと考えております。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 技術的に困難な状態を私も理解します。しかし、これが今日まで放てきされてきたということと、昭和二十六年に公布されて以来十四年たっておるということは、これは相当の長年月を命令で片づけておるということであって、立法国家としてていさいが悪い。いま入国管理局長もすなおに仰せられました。私自身も、敗戦の痛苦を印象づけるポツダム宣言受諾に伴う勅令に基づいての政令などというような、こういうものがまだ生きておるかと思うと、国民としてもこれはたいへん残念なことです。次の通常国会までにはという御答弁でございまするから、立法作業を終わると同時に、高橋法務大臣御在任中に、ひとっこれがはかどるようにお運びを願いたい。大臣には、ひとつ長期にわたってその任にあられることを希望しておきます。  同時にもう一つ、きょうは資料を御要求申し上げておきたいのでございますが、いま問題になっている司法試験に関係して、わが国の判事及び検事及び弁護士の需給関係、特にこれに伴う司法修習生のいずれを希望しているかという状況等とあわせて、司法官、検事、弁護士養成の方針を御説明願いたいのであります。同時に、これは司法試験委員にだれが任命されているか、この委員会で検討をさしてもらいたいと思いますので、現在の司法試験委員の氏名、肩書等をお示しを願いたいと思います。次の委員会までに……。(「委員会で検討の権限はないでしょう。」と呼ぶ者あり)検討の権限はないかもしれないが、資料として要求をさしていただきます。ここへ、ちょうどそういう法案の中にちゃんと司法試験の管理委員会の規定が出ておるわけでございますから、法務省設置法の今回の参考資料の中に出ている管理委員会関係する事柄でございますから、あわせてこれを御提出願いたい。  それから少年院関係で、少年法の改正についてどういう考えがあるかでございます。ずばり一言だけ、まだ二、三分ありますから、少年法を改正して年齢を繰り下げる、二十歳を十八歳にまでしようというような動きが、一部法務当局において検討されているやに伺っておるのでございますが、そのことを一言だけ伺っておきます。
  89. 高橋等

    高橋(等)国務大臣 御指摘のとおり、いまの少年法の内容につきまして検討いたしております。その中には、御指摘の年齢の低下につきまして、現行二十歳を十八歳に引き下げたらどうか、ただしその上に、十八歳から二十三歳までの、いわば準成年というようなことで、刑罰だけでなしに、人によりましては保護という面も刑罰のほうと併用するようなことでやっていくことが適当ではないかというようなこと、まあその他いろいろございますが、これはもうすでに法務省としても長年にわたって検討いたしております。私が就任いたしましてから、特にこの点につきましての検討を命じて、きょうに至っておることは事実でございます。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 これはやはり十八歳、十九歳辺に犯罪が非常に多い、二十歳で成年とするその直前に犯罪が非常に多くなっているというこの傾向は、等閑視できないという意味も、私は当局としては十分研究されていると思います。法で縛って青年を規制するという行き方は、道義的には問題があります。同時に、しかしながら、そういうことを承知して、社会法学的にも自然法学的にも、すでに事実上成年に達したと見られるようなのがそういうことをやっておるとするならば、やはり一方で法規制ということも必要じゃないか、私はそのように思っておるわけです。いろいろな批判があると思いますが、法務当局で御調査された各国の少年法の該当年齢の一覧表を、ひとつ参考のために次会までに御提出願って、そしてこの少年問題関係を審査する、少年院に関連する問題としてお尋ねをさしていただきたいと思います。  ちょうど時間もまいりましたので、これで質問を終わります。
  91. 河本敏夫

    河本委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会