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1965-03-12 第48回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月十二日(金曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 志賀健次郎君 理事 安宅 常彦君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       大野  明君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    椎熊 三郎君       中村 寅太君    中山 榮一君       本名  武君    南  好雄君       大柴 滋夫君    片島  港君       畑   和君    柳田 秀一君       栗山 礼行君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 徳安 實藏君  出席政府委員         郵政政務次官  服部 安司君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   田辺 義敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   栃沢 助造君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室経営         総務)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室営業         総務)     久保  進君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室主計         総務)     志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         営業局長)   長沢 泰治君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第三号)      ————◇—————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。大柴滋夫君。
  3. 大柴滋夫

    大柴委員 政務次官放送法改正のことについてお尋ねしますが、その前に、実は昨年もその前もそうでありましたけれども、いま何か自民党内閣改造を迎えているわけであります。この前の、たしか古池郵政大臣だったと思ったのでありますが、自分がかわる前に、NHKラジオ放送料金は今度全廃したいということを述べて、おまえさんはもうぼつぼつかわるといううわさが立っているのに、そういうたいへんなことを述べるのはどういう量見だと言ったら、いや、これは昭和四十年度から施行するんだ、こういうようなことをおっしゃっておりましたけれども大臣並びに政務次官は、そういうことを今年度受け継いでおられますか。
  4. 服部安司

    服部政府委員 その問題は、私の場合は受け継いでおりません。
  5. 大柴滋夫

    大柴委員 たしかあのときの古池大臣発言だと、昭和四十年度はNHKラジオ料金を全廃するんだ——あなた、それを知っておりますか。言ったことを知っておられますか。
  6. 服部安司

    服部政府委員 私は当時のことは、はなはだ申しわけありませんが、存じておりません。ただ、検討を命じたようなことをちょっと聞いた記憶があるのですが、それ以外は存じません。
  7. 大柴滋夫

    大柴委員 政務次官が、四十年から全廃するということを申し入れも受けなかった、何かちょっと聞いたようだというようなことは、やめる前の大臣が言うほど、事ほどさように勇み足というか、思いつきというか、当時池田内閣がたいへん物価倍増で評判悪かったから、何かそのしわ寄せを受けたのだと思うのですが、こういう態度はまことに不謹慎だろうと思うのです。これは政務次官どうですか。
  8. 服部安司

    服部政府委員 先ほど申し上げましたとおりに、その間の事情を私は熟知いたしておりませんので、不謹慎であるとかないとかいうことは、ちょっと差し控えたいと思いますが、先ほど申し上げたとおりに、私は検討を命じたようなことはちょっと聞いたことがありますが、全廃するというようなことは全然聞いておりません。
  9. 大柴滋夫

    大柴委員 ことばあやをいろいろ使ってお答えになる必要はないだろうと思うのです。ともかくあなたは、四十年度からNHKラジオ料金をまけるということは聞いておらぬわけです。事ほどさように、やめる前の大臣が非常に勇み足だったということをお認めになるかどうかということなんです。
  10. 服部安司

    服部政府委員 先ほど申し上げたとおりに、十二分に関知いたしておりませんので、認めることもちょっとどうかと感じます。
  11. 大柴滋夫

    大柴委員 何を関知していないのですか。古池大臣が言ったということを関知してないのですか、あるいは、言ったけれども、それを調査を命じたということを関知しておらぬのですか。何を関知しておらぬのですか。
  12. 服部安司

    服部政府委員 くどいようでありますが、そのまぎわにラジオ聴取料を取らないと言ったことを関知しておらないのです。ただ、検討を命じたということはちょっと聞いたような、はなはだ申しわけない記憶程度でありますので、その点は御了承願いたいと思います。
  13. 大柴滋夫

    大柴委員 ことばあやはどっちでもよろしいのですが、実はこういうことがあるのです。迫水大臣がやめたのは昭和三十七年の七月十八日なんです。よくそこに書いておいてください。ところが、このおたくからいただい資料によると、迫水さんが七月十日に株式会社茨城放送株式会社ラジオ岐阜札幌テレビ放送株式会社、それから七月十三日に株式会社ラジオ栃木標準放送局予備免許と、要するに、七月十八日にやめる大臣が、七月十日と七月十三日に四つにわたる放送会社許可しているわけです。こういうことを想像してみると、やめる前の大臣というものは、言いたいほうだいのことを言って、言いたいほうだい許可を与える、こういうことになるのでありますが、たいへんこれは、言うならば食い逃げ許可食い逃げ何とかというので、非常に遺憾千万だろうと思うのです。あなた、こういうことに対してどういうようにお思いですか。
  14. 服部安司

    服部政府委員 やめるまぎわに免許をすることが食い逃げかどうか、ちょっと私はわかりませんが、ただ、私の考えでは、迫水さんが何年やられたか、ちょっと記憶がありませんが、十二分に在職中にいろいろな角度から検討を加えられて、必要があったので免許されたのではなかろうか、私はかように解釈し、理解しております。
  15. 大柴滋夫

    大柴委員 それならば、なぜさっき言った古池大臣のように、大臣が言明して、この委員会で、私は昨年一時間余にわたって、ほんとうにおやりになるのかとNHKに聞いたらば、なくなった会長は、むにゃむにゃ、何か小野経理のほうはそういうことはないと言っておるのですが、大臣だけ一人で息張っておる、そういうことと関連して、これは、どうでありますか。
  16. 服部安司

    服部政府委員 小野会長さんは関知しない、私も先ほども申し上げたとおり、どうも関知しておりません。ただ、やめる前の前提ではなくて、検討をするということは先ほど来申し上げておるように聞いたような感じがいたします。ともかく、この種の問題は、日本放送協会も、事業運営について当然必要な経費を計上せねばならないことは言うをまたない。したがって、正常な運営をするために必要なものであれば、当然これは認めねばならないと思います。したがって、私は先ほど来申し上げたことは、やはり検討ということは、そういう声もあることは事実でありまするから、もちろん、これは取らなくても、NHK経営に支障がなければ、これは取るより取らないほうがいいと思います。ところが、やはり必要やむを得ない経費は、当然私は認めねばならないと、かように解釈いたしております。
  17. 大柴滋夫

    大柴委員 私の言いたいことは、電波行政なりこの郵政省の、いつもやめる前の大臣混乱を持ち込んでおるということを言いたいのですよ。政治家として本来やっておるときには処女のごとくいろいろやっておる、やめる前には脱兎のごとく、何かそういう混乱を持ち込むのは、大臣みずからなんだ、こういうことを言っておるのですが、今後また——徳安さんがおやめになるのかならぬのか、そのことは知りませんけれども、やめる前にあたって、特に混乱を持ち込むようなことは差し控えてもらいたい、こういうことを言っておるわけですが、どうですか。
  18. 服部安司

    服部政府委員 もちろん、やめる前に混乱を招くような行為は、厳に慎まねばならないと思います。(大柴委員「それでいいのだよ」と呼ぶ)しかしながら、その結果十二分な経験を積まれて、やはりやるべきことはやるのがその所管大臣義務行為じゃなかろうかと思うのであります。
  19. 大柴滋夫

    大柴委員 一般抽象論じゃなくて、先ほど言った古池大臣発言迫水さんの許可というようなことは、われわれ逓信委員会に長年いる者にとっては、非常に不愉快なんですよ。だから、十分そういうことを注意を願いたい。  そういう前提の上に立って、放送法のことをちょっとお聞きしますが、一体、本委員会としては、放送法改正案を出す、これを審議しようというのが、昨年からのいろいろな懸案事項だったろうと思うのですよ。いまに至るまでなおかつ改正案を出すのか出さぬのか。出さぬとするならばなぜ出さぬのか。出すとするならばいつ出すのか。さっぱりわからぬのでありますが、大臣を含めて、あなたは一体責任ある立場として放送法改正案を出すのか出さぬのか、どっちでありますか。
  20. 服部安司

    服部政府委員 まことに重大な問題でございまして、まあ出す出さないということは、私はちょっといまの時点で言いかねますので、ひとつ御了解願います。
  21. 大柴滋夫

    大柴委員 いまの時点で言いかねる。いまの時点というのは三月十二日という時点であります。おそらくこの国会は終わるとすぐ参議院選挙に突入するので、五月の二十日前後で終わるのだろうと思います。いまの時点で言いかねるというのは、一体どういうことでありますか。
  22. 服部安司

    服部政府委員 御承知のとおりに、非常に重要な法案でございますので、ただい検討を重ねている段階でございます。しかし、これも私の判断では、もうおそらく最終検討段階と心得ております。そこで、いまの時点で、私の現在の立場では、どうとも言かねますということでございますので、御了承願います。
  23. 大柴滋夫

    大柴委員 最終検討というのは、あとどのくらいたてば結論がつくのですか。
  24. 服部安司

    服部政府委員 一両日中につくだろうと私は判断いたします。
  25. 大柴滋夫

    大柴委員 一両日中に結論がつく。一両日というのは、きょうか、あしたか、あさってだろうと思う。どんなことが問題になっているのですか。
  26. 服部安司

    服部政府委員 どんなところという取り立てて言うものはございません。全体的の最終結論についての問題でございますので、この点御理解願いたいと思います。
  27. 徳安實藏

    徳安国務大臣 閣議が済みますとすぐにこちらのほうに伺いまして御報告すべきことであったのでありますが、参議院のほうで予算委員会が開かれておりまして、一応そちらのほうに出席して、許可を受けてこっちへ来るというような順序を踏みましたものでありますから、おくれて相済まなかったと思います。  実は放送法改正につきましては、昨年以来、各委員諸君にも非常に御心配をかけ、御配慮を得ておったわけでございます。  政府といたしましても、党との折衝を継続しながら逐次法案の作成に努力してまいりました。しかし、だんだん各方面の意向を参酌いたしますと、本年は参議院選挙等関係もございまして、実質上におきましては審議が大幅に繰り上げられるのではなかろうかというような点も想像いたされぬではございませんし、この問題は、他の幾多の問題にも関係がございますので、議論も相当あろうと思います。こういうことを煮詰めないままに急ぎますことは、かえって各方面誤解を受けますし、私は、最初から申し上げましたように、なるべく無理のないような法案にしたい、わが党の一致はもちろん、野党皆さまのほうにもお話を申し上げて、御意見を伺いながら最後のきめをいたしたい。決して政府自民党だけで独走すべきでない、問題が問題でありますから、そういうことを機会あるたびに申し上げているわけでございます。  そういうようなことに対しましても、まだそれを御相談申し上げる機会も得ない状態でございますので、むしろ、出しまして、あるいは継続審議になりましたり、あるいはたなざらしになってしまいますよりか、もう少し念を入れて、皆さんの御意見も伺いながら最後の決をとってもおそくはなかろうというようなことに、先日来から政府部内にもちょいちょい話がございまして、本日閣議で、先ほど、ことしの通常国会には提出いたさない、見合わせるということにいたしたわけでございます。  先ほど閣議をきめましてこちらのほうにすぐ参ったのですが、まだ委員長さんだけでございまして、お話ができなかったものですから、つい予算委員会のほうにとられたということでございます。たいへんおくれて申しわけなかったと思いますが、いずれこの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、決して政府だけ、与党だけできめて、独善におちいるようなことがあってはいけませんので、各方面意見野党の御意見も十分尊重して、そしてこれならよかろうというめどをつけてから出すべきだ、かように私ども政府筋では考えているわけでございます。決して独走なんかいたしませんつもりでありますから、まことにたいへん御心配、御迷惑をおかけいたしましたけれども、いましばらく、この法案のできますまで御了解をいただきたいと思います。
  28. 大柴滋夫

    大柴委員 政務次官とたいへん意見食い違いを見たわけでありますが、これはひとつあらためて追及しないことにします。  先ほど私が政務次官に申し上げた一つのことはこういうことであります。繰り返してまことにおそれ入りますけれども古池大臣が昨年のいまごろ、NHKラジオ料金を撤廃するのだ、こういうことを言いながらうやむやになっている、並びに三十七年、やめる前の迫水郵政大臣が、三つくらいのラジオ並びにテレビ放送局食い逃げ許可をしている、こういうような混乱を持ち込むことは、やめる前に何かごちゃごちゃとするようなことは、むしろ電波行政を乱すものだから、姿勢を正してほしい、こういうことを要請したのでありますが、大臣いかがでありますか。大臣も、おれももうやめるのだから食い逃げでもしようというおつもりはないわけでありましょうね。
  29. 徳安實藏

    徳安国務大臣 私は昨日も参議院予算委員会で申し上げたのでありますが、私ども全部、事務当局まで、ただいえりを正し、姿勢を正して、かりそめにも世間で非難されましたり、あるいは不信を受けるような行動はとらないつもりであります。あくまでも良心に従って、皆さまから誤解を受けるような行動はとらないように慎んでまいりたいと考えております。
  30. 大柴滋夫

    大柴委員 大臣発言どおりほんとうえりを正してほしいと思っております。  ただいまお尋ねの件は、放送法改正答申案が出てから、何か郵政当局としてはこれはこうだ、あれはこうだという作業の進捗状況が、われわれ野党のほうにはさっぱりわからないのでありますが、これは一体大臣どういうことでありますか。何かしているのでありますか。それとも自民党さえ話がつけば、野党並びに国民のほうは何もそういうことはしないでよろしいということでありますか、どうでありますか。
  31. 徳安實藏

    徳安国務大臣 そうではございません。先ほど申し上げましたように、省内の調整でございますから、それが一々外に漏れて、それが外から一々はね返ってくるようなことはしたくございませんで、省は省としての立場から一応研究を進めます。それはなるべく外に漏れないようにしてございます。  次には党内並びに政府筋考え方意見というものをあらまし聞きまして、さらに先ほど申しましたように、野党諸君の御意見も拝聴して、これならばまとまる、これならば与野党ともに御協力願えるというような筋を出そうということで努力してまいっているわけでありまして、決して裏でこそこそするような態度もとっておりませんし、またとったところでそれが実行できるものではないのであります。これだけの問題でありますから、これはやはり慎重審議、この委員会でも御論議なさるでありましょうから、また、しなければならぬことでありますから、ちょっと出してちょっと通す、そういうことのできるものではございません。そして私は、最初から、野党諸君にもよく御相談申し上げるということを申し上げておるわけでございます。ただ、そういう時期にまだ至らなかったというだけであります。
  32. 大柴滋夫

    大柴委員 いままで野党には何らの相談がないことだけは事実です。自民党並びに省内がまとまらぬというならしようがないのでありますが。  それで、放送法改正にあたって、私は特にいままでの委員会で問題になった一、二の点を指摘して、これからの審議参考に付したいと思うのです。  本委員会でいろいろ問題になった事件で、たとえば仙台放送でありますか、主として放送予備免許を得てから、あるいは本免許を得てから、その放送会社の株の売買によって、放送会社支配権争奪戦でありますか、この間私はこの「マスコミ研究」という本をどこかから送っていただきまして、たいへんひま人でありますから、NETの内情というのをよく読ましていただきました。そうすると、やはりこれだけのものの中にも、ふだんきれいごとを言っている大新聞社が、株を買いあさって、そうしてその支配権を何か乗っ取ろうという策謀があるわけであります。いずれこれは、このNETのことを含めて、国税庁あるいは検察庁を呼んで、私どもとしてはただしたいと思っておりますが、いずれにしても仙台放送あるいはこの放送も、ほとんど株の売買であります。そうして支配権をとにかく自分のものにしようということでありますが、私の記憶によれば、新聞社などは株の売買を禁じているはずであります。今後許可される国民電波であるテレビならテレビ会社、あるいはラジオ会社というものに、自由な株の売買を禁ずるというようなことはお考えになっているのかいないのか。あるいはまた、そういうことがおたくさんたちのいままでやった省内議論あるいは対自民党とのいろいろ討論にのっているのかのっていないのか、その辺のことをお尋ねしたいと思う。
  33. 徳安實藏

    徳安国務大臣 これはすでに時の問題として論議されておることでありまして、仙台ばかりではなしに、そういうような徴候も見えている場所もございます。したがって、今後の改正につきましては、そういう問題については割り切れるような考え方をしたい。要するに、いまのままでいいのか、いまのままではいけないのか、こういう問題につきましては、だい議論が出ておりますから、大きな一つ課題として研究さるべきだと思います。したがって、最後の案をつくりますときには、そういうものも含めて、皆さんの御意見も聞きながら決定をいたしたい大きな課題一つだ、こういうぐあいに御了解をいただいておきたいと思います。
  34. 大柴滋夫

    大柴委員 ぜひひとつ大臣の力によって御努力願いたいと思うのであります。これは私どもにとりましてたいへん不愉快でありますし、迷惑でありますし、国民にとっては、国民電波営利業者支配の中にゆだねられて、しかもそのことによって問題を起こしているわけであります。どうか、改正案にまだ時間があるそうでありますから、大臣はひとつこの問題に取り組んでいただきたいと思うのであります。  その次の問題は、いわゆるマスコミ独占排除ということであります。これは、御存じのとおり、しばしばこの委員会において、新聞テレビラジオ等を一社が独占するというようなことは好ましくないとか、あるいは広範なキー局がいろいろの支配の系列を持って押えることは好ましくないということを、しばしば本委員会としても注意をしたし、世論としてもそうでありますけれども、この問題はどうでありますか。
  35. 徳安實藏

    徳安国務大臣 こうした問題につきましても、答申にもややそうしたような面もうたわれておりますように、非常に大きな課題として、最後の案をきめますときには割り切らねばならぬ問題だと思います。これは私どもだけでどうするこうするということを、法文上にどういう文字であらわすかというようなことにつきましても、なかなか技術的にも困難な問題もございますし、まあ朝野の御意見等も聞きながら、最後まで残された一番大きな問題の一つだと思います。これは真剣に研究をいたします。
  36. 大柴滋夫

    大柴委員 あと放送法改正があるのでありますから、ひとつおたくのほうの意見がまとまったら社会党にも十分事前に御相談をいただきたいと思うのであります。  それから新しい放送法改正案、並びに改正案によって何かNHKのいままでの地位というものが変わってくるのでありますか。
  37. 徳安實藏

    徳安国務大臣 今度の新しい答申によりますと、いろいろな点について少し考えたらどうかというようなことがあることは御承知のとおりであります。一例をあげますと、業務の中において、いままでは出資とか出損等ができなかったものをこれを許してやれとか、あるいは料金のことにつきましては、いまは法律の上に契約という文中が使ってありますが、もう受信機を備えた以上は、国民義務として払わなければならぬというように明記しろとか、あるいは経営委員会委員の選任の方法について考えろとか、あるいは監事の権限をいまよりももっと強化して、業務全体を見るようにしたらいいじゃないかとか、あるいは教育放送等については義務づけをやれとか、国際放送においてもしかりだとかいうようなことがだいぶん列記をされておりまして、これを行ないますれば、体質的に少しは違ってくるかと思います。  しかし、現在におきましても、運営の面におきまして、許された範囲ではなるべく答申趣旨に沿うような努力はいたしておりますが、しかし根本的な問題は、やはり業務内容体質改善というようなことについて法の改正が必要だと思います。そのほかにはそうえらい大きな食い違いはないと思いますけれども、向こうのほうの答申趣旨から申しますと、そういうような点がおもに取り上げられて、なるべくならこういうことで研究していきたいということでございます。
  38. 大柴滋夫

    大柴委員 これはNHK会長さんにお尋ねしたいのでありますが、この答申案資料の中に、何かNHK政治的中立性を保つものだ、そういうことを要求しておるというようなことがしばしば書いてあるのでありますが、政治的中立性ということについてNHK当局としてはどういうような具体的、統一的な見解を持っておるのでありますか。たとえば、わが国においては三分の二の自民党、三分の一の社会党という、その力関係における中立性あるいは今度の三矢事件に見られるような、なるほど自民党傘下防衛庁長官——志賀さんここにおられれば特別でありますが、金一封をお与えなさった、しかしこれは明らかに憲法違反であるというような事件、こういうものについての政治的中立性ということで、何か統一的な見解というものをNHKとしてはお持ちでありますか。
  39. 前田義徳

    前田参考人 私どもといたしましては、現行放送法が明記しており、おそらく将来改正の場合にも、変更はないものと考えておりますいわゆる不偏不党ということを、政治的中立という意味に直結するものだという考え方をとっております。したがいまして、実際上の処理といたしましても、現行放送法四十四条の精神にのっとって極力私どもとしてはこの線を貫いてまいりたい。したがいまして、個々の政治環境の中で起こってくるあらゆる問題についても、この立場を堅持してまいりたい、そのように考えており、これがNHKの統一見解でございます。
  40. 大柴滋夫

    大柴委員 このばじりをつかまえるようですが、同じ平和を守るといっても、佐藤総理大臣の平和と社会党の平和ではずいぶん距離があるわけですね。そうすると、NHKのいう不偏不党ということはたとえばどういうことでありますか。
  41. 前田義徳

    前田参考人 たとえば、ただいま先生から御指摘がありましたような平和の問題については、私どもといたしましては、国民的見地に立って、平和を守るということが基本的な態度であり、したがって、御指摘のような与野党の間に考え方食い違いがあったとしても、国民大衆がどれを妥当とするか、同時にまた、国民の大多数がどの方向に向かっていくかということも、社会的責任を持っているという立場において考え合わせながら、やはり平和維持の方向にいくべきだと考えておりますし、同時に、具体的な問題として、たとえば、ただいま先生御指摘のような問題で、具体的な論争が起こった場合にも、この基本的方針、態度は変わりませんけれども放送法四十四条によって、その協議の際には、公平な立場で、反対の議論もこれを放送と関連して番組をつくっていくという態度でございます。
  42. 大柴滋夫

    大柴委員 おっしゃることはよくわかりますが、これ以上内容を突っ込むことはやめます。  これは大臣にお尋ねしますが、放送番組の内容の向上について、郵政省当局としては基本的にどういうようなお考えを持ち、あるいはこれを処置しているのでありますか。たとえば何々テレビで非常によろめきドラマがある、あるいはこういうものはどうも普通一般の子供たちの家庭に持ち込んでは困るというようなものが、事実たくさんあるわけであります。あるいはまた、あなたに重大な関係のある大野伴睦先生がおなくなりの際に、大野伴睦は自由民主党の恥部であるというような発言がある評論家によってなされておる。これはたいへん本委員会でも問題になったのでありますが、番組の向上について基本的にどういうようなお考えを当局としてはお持ちでありますか。
  43. 徳安實藏

    徳安国務大臣 放送番組につきましては、私ども機会あるごとに方々から批判を聞いております。また自分自身も放送を聞きまして、あるいはテレビを見まして、感心せざるものもあるやに見受けます。ただ、御承知のように、いまの放送法というものが権力の介入を許さない、ことに政府筋からいろいろなことを言うことはまかりならぬ、こういうような大きな鉄則が立てられておりまして、すべて自主的に、良心的に、その事業者で編集をし、取材をするということでございます。それが放送法に明記してございます各条、不偏不党あるいは公の秩序を害しないとか、中立性を維持するとか、そういうような文字にあらわれておる限界を逸脱せざる限り——免許等の場合には、そういう逸脱をしておるようなことが再々ございますれば、何らかの処置をとることは可能でございますが、平時におきましては、番組向上のために協力するという立場から、意見を求めたり、それとなく側面から注意を与えることはできると思いますけれども、正面向かって、これはどうだ、いかぬじゃないか、直せというようなことが言い得ないような法のたてまえでございます。私どもから見れば隔靴掻痒の感が非常にあるのでございますが、しかし、先ほど申しましたように、政府からの介入はあくまでも避けるという法のたてまえから申しますと、これもあたりまえかと思います。  そこで、放送法には、免許する際にも十分言ってありますし、書面の中にも書いてあるわけでありますが、自主的に各条の守るべき限界を十分守ってほしい、守らなければならぬということ、それから、番組につきましても、思いつきでなしに、各事業者とも放送番組の審議会をこしらえまして、そこでろ過をして、世の非難を受けることがないようなものを出してほしい、出すべきだという法のたてまえになりまして、できておるわけであります。  しかし、私が就任いたしましてから、ちょいちょいいまのようなお話のこともございまして、各放送事業者に意見を求めましたり、また注意をいたします場合に、一体この各民放等における自主的な番組をきめる審議会が、始終活発な働きをしているかどうかということを見ますと、どうもそうも見受けられないふしがあるように見受けます。会社ではしておると言いますけれども、かりにある案件がございまして、皆さんのほうからも御注意がございます。そこで私どものほうも、こういう御注意があるが、それについてはどうかと言って注意をいたしますと、ああそうですか、それならもう一ぺんひとつかけてみましょうということで、もしほんとうに常時動いておりますならば、そういう世の中から批判を受けたり、皆さんのほうから御指摘があるまでもなく、自分のほうで、いやそういうことがありました、ほんとうにこれは私どもまずかったと思いますとか、あるいは実はこれはこういう考えでこうやったので、決して悪いとは思いませんとか、問い合わせすると同時に即座に返事があるべきでありますが、そうですが、それでは調べてみましょうということを聞いておりますと、一体その審議会が能動的に働いておるか、自主的に働いておるか、ほんとうに疑わしいものがあるように私は思います。  そこで、しばしば、民放にも注意をいたしておるのでございますが、民放でも、最近では、確かにそういううらみもありましょうということで、NHK相談をして、そうして民放、NHK共同で放送番組の向上に関する懇談会を持ちたいという話がございます。私も、まことにけっこうですから、早くそれをしてほしいということを言っておりましたが、今春の初めのごろそういうものができることになりまして、こういう方々を委員にしてやりたいということで、だれが見ても実にりっぱすぎるくらいりっぱな方々が六名か七名、名前が書き出されてまいりました。その規則も拝見いたしましたが、なるほど世の中の名高い人で、だれもが名を知っておる人々には違いないが、しかし放送を見る人は決して上流の階級の人ばかりじゃございません。むしろそうでない人のほうが多いのでありますから、そういう人々の意見を聞くことがむしろこういう委員会では必要なんでありまして、そういう雲の上のような人ばかりの会合はいかがなものですかという注意を申し上げました。むしろそれよりか、裏長屋の人にも、あるいはおかみさんにも、各属各職域の人に向かって意見を求めるような措置をして、それを尊重して番組をまとめられるようにしてほしいという話をいたしたのですが、いや、それはわかっておる、ただその六、七人の方々は仲介者になってまとめていくわけです、必ず意見をまとめるまでにはそういう各層各界の方の意見を十分に取り入れて、そういう催しもして意見を聞いて、そうしてまとめて、まとめたものを世の中にも公表するし、各事業者にもそれを見せまして、示唆を与えて向上をはかります、こういうことでございましたので、そこまで御配慮いただけるならば、ひとつ早く活用してほしいということを申し上げておるわけであります。  その後回を重ねておられるようでございます。まだその後の経過は聞いておりませんけれども、とにかく放送番組は、だれに聞きましても、だいぶこのごろよくなったとは言われますが、あれで満足だという人がないのが多いのであります。私はせっかくできましたこうした委員会に大きな期待を持ちまして、政府筋のほうでも妙な干渉はもちろん避けるべきでありますが、側面から御協力申し上げる点は十分協力して、そうして皆さんの御期待に沿うような番組ができますように努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  44. 大柴滋夫

    大柴委員 その番組向上委員会ですか、そういうものの働きを、しばらくわれわれ国会としても十分注意して見ていきたいと思うのです。  これは電波監理局長にお尋ねするのでありますが、六月再免許を前に、かかる傾向の番組を持ったところ、あるいはかかる紛争をしたところの会社は再免許は好ましくないというような注意を与えたことがありますか、六月の再免許ということを機会にして、その前に、このお正月ごろから……。
  45. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 番組の向上の問題につきましては、当然事業体が十分に法の精神を生かして守っていかなければならない問題でございますので、そういう点につきましては、いつもそういう意思を事業体のほうに伝えておりますけれども、特に再免許の問題に、通達とかそういうような形においてこれを新たに明らかにしたことはございません。
  46. 大柴滋夫

    大柴委員 論を進めますが、沖繩関係の問題について——実は私は二月十七日から、沖繩に約一週間行ってまいったのでありますが、郵政省としては、将来沖繩の放送というものをどういうようにしていくか、何かそのことに対する実現可能な構想というものをお持ちでございますか。というのは、御存じのとおり、私は沖繩というのはいまの日本の恥部だろうと思うのですよ。日本人でありながら日本の憲法が適用されておらない。しかも、自民党内閣は、日韓会談を急いではおりますけれども、お隣の国と仲よくしようという議論ならば、当然沖繩を早く日本に返してもらいたいと、こういうことを言わるべきだろうと思うのです。沖繩のことを思えば、当然、もう戦後が終わったなどという発言はあってはならないことだろうと思うのです。その沖繩というものを、主として放送の面から郵政大臣はどういうようにお考えになっているか、あるいはどういうように具体的に、本年並びに明年、日本の持っているいろいろのあれを沖繩に施していくか、どういうようにお考えでありますか。
  47. 徳安實藏

    徳安国務大臣 沖繩に対する考え方は、しばしば総理が各方面で申し上げておるとおりでございまして、私どもも、一日も早くもとのとおりになることを望んでおるものであります。私はかつて総務長官をいたしておりました当時に、ちょうどあそこが管轄になっておりましたので、私も先方に参りまして親しく向こうの気持ちというものを聞いてまいりました。特にテレビあるいはラジオにいたしましても、八重山諸島に行きますと、全く日本のほうは入らないで、ほかの国のものばかり入ってまいります。ぜひ日本のものが聞きたいという涙ながらの要望も、各小学校の生徒やあるいは教育者や、いろんな方面から聞いてまいりました。  私は、帰りまして、その実現に努力し、いまもいろいろと努力しているわけでございますが、御承知のような関係で向こうに施政権がございます関係から、協力し援助することは可能でございますけれども、いまの場合において、自主的に日本でこうするというわけにはまいらない立場にあることは、御承知のとおりでございます。  しかし、設備の点でございますとか、あるいはこちらの映像を向こうに提供してやるというようなことにつきましては、国が一体のような形においてこちらのほうで協力をすべきだと思っておりますし、私が参りましたときもそうでございますが、最近話を聞きましても、施政権は向こうにありましても、テレビラジオにつきましては、アメリカは別に向こうで検閲したり、これはいけない、あれはいけないといって一々指図はしていないということでございます。ですから、そういう点は穏やかなように考えておりますので、日本のほうでいいものをどんどんつくってあげ、さらに設備をどんどん協力してあげますれば、かなり日本並みにやられるのではないか、かように考えます。  昨年は、御承知のように昨年十月に行なわれましたオリンピックのものも、その後沖繩まで送れるような処置もとりまして、非常に喜ばれたようでございますが、今後は、向こうでもあまりそういうものに対して、きつい法などこしらえて制約していないようでございますから、できるだけ設備を完成してあげたいということで、私どもも調査を向こうにやったこともございますし、総理府とも相談いたしまして、四十年度には全域に、少なくとも八重山方面の台湾に近い方面にもテレビを送るという設備は、どのくらいの費用がかかり、どのくらいの施設が必要だろうかということで、調査団の費用も計上してございます。私どももこれにマッチして協力するという約束はいたしております。  御説のように、まことにお気の毒な人々でありますから、私ども、そういう方面を通じまして、一日も早く沖繩のほうに、聞こえないところは聞こえるように、見えないところは見えるような施設をしてあげたい。そうしてまた、細部の問題になると思いますが、全域にわたるテレビを商業放送で可能かどうかというような問題も、非常に問題になっているわけでありますが、そういう場合におきましては、何らかまた違った形で、商業放送でなしに、日本におけるNHKのような立場におきまして、政府も協力して、そしてあまり投資による利潤はなくてもやれるような行き方も考える時代が来るんではないか、かように考えます。  もしそういう場合が来まして、アメリカ側と了解ができますれば、日本側もこれに協力していくという考え方を持って推進しておるわけでございます。また、向こうのほうから見えます場合、私のほうから使いを出します場合には、常にテレビ等につきまして最大の理解ある協力をアメリカ側に要請いたしております。今後も変わらざる努力を続けてまいりたいと思います。
  48. 大柴滋夫

    大柴委員 大臣の善意は、ことばの上からはよく感ぜられるのでありますが、一体一番必要なことは、沖繩全部でせめて日本並みに、あるいは日本並みのカバレージに近づくように、郵政省としてはテレビ並びにラジオの難視聴地域というものを解消する努力を、ことしならことし、来年なら来年、するのかしないのか、これが一つ。  それから二つ目の問題は、現在は日本からいくテレビは下り回線だけであります。上り回線を一体どうするのか。いま、沖繩の事件というものはフィルムによって日本に運んでおるだろうと思います。だから、この問題をするのかしないのか。あるいは日本並みの、たとえば甲府放送局というようなNHK放送局を、那覇なら那覇につくる努力をするのかしないのか、具体的に答えていただかないと、大臣、何とかします、何とかしますと言っても、それでは私は事態が進まぬだろうと思うのです。  以上三つのことについて、郵政大臣としての、つもりはあるけれども、今明年はどれくらいまでする、あるいはしないと、その辺のところをはっきり言ってください。
  49. 徳安實藏

    徳安国務大臣 先ほど申し上げましたように、するつもりは十分ございます。では、するつもりがあればどうするんだということでございますが、御承知のように、これは総理府の管轄になっておりますので、私のほうではじかに飛び出すわけにまいりません。総理府を通じ、また私のほうで側面から、一日も早くそういう施設をしたいということで、高等弁務官のほうにも機会あるたびに話をしておるわけでありますが、しかし、施政権は向こうにございますので、向こうの了承を得ない限り、こちらのほうで勝手にやるわけにまいりません。  また、かりに施設等に対することにつきましても、やはり予算が伴っている。その予算は、向こうのほうの予算にもなるわけでございますので、その予算に対する向こうの権限も高等弁務官のほうにございますような関係から、従来もしばしば話をしておったようですけれども放送テレビまで及ばなかったという事態でございます。  何しろこの放送テレビのことにつきまして、日本並みのような状態に持っていきますためには、なかなか小細い金じゃできません。従来は、年間に九億とか十億とか、あるいは私どもの言うように約二十億ぐらいまで持ってまいりましたが、本年度は三十億というような話もございますけれども、そのほかにももっと緊急な、あそこの民生安定の事業等につきまして、政府のほうで相当の金を向こうに投入しているわけであります。これらにつきましても、政府独自ではできないような関係もあることは御承知のとおりであります。  しかし、郵政省といたしましても、このテレビラジオ等につきましては、できるだけ早くということで気をせって、そして向こう側にも申し入れておることも、いま申し上げたとおりでございます。で、四十年度には、調査費を総理府の予算に計上いたしまして、そして専門技術者を送ろうということになっておりますので、全然見えないところ、全然設備のないところをどの程度金をかけて、どういう施設をすれば見えるか。あそこはちょっと海が非常に離れているものでありますから、普通の内地のような状態にはいかないということは、私どもの当事者の調査ではっきりしております。しからばいかなる施設、いかなる機械を使えばいいかということは、なかなか技術的にはむずかしいようであります。八重山のほうにやります場合は、本土と八重山の距離は長いものですから、その技術面については、もっともっと調査が必要であるということで、調査費を計上しているわけでございまして、できればアメリカ側も了承されますならば、またされるように努力いたしまして、調査が済みましたら、すみやかに実施計画に移って、そして向こうの金で向こうに援助する金が相当量そちらのほうに流れていく、使っていいんだというように最大の努力を払いたいと、かように考えているわけであります。決して放任しているわけではございません。  また、いままではこっちから流れるだけだ、上りもしろ、これもごもっともな話でございます。しかし最初——当時は、まあ流すだけでもせめて早くということで、流すほうをやったんですが、あの好成績を見ますと、あのとき少し金を無理しても、上りのほうもしておけばよかったにという考え方もいま起きるのですが、その当時はその金すらもなかなか、容易でございませんので、ついああいう結果になっております。これも各関係者と相談いたしまして、上りの線もつけるように努力をいたしたいと思います。
  50. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと。大臣の答弁を聞いておると、非常に長い、それから誠意があることはわかるけれども、具体的なポイントについての答弁がぼけておるのですよ。いまの上り下りの線についても、はっきり言って、これはすでに一つのラインができておるわけでありますから、経費は、あなたが言うようにそれほど大した経費は要りません。何かそこに政治的な問題があるのかないのか。だからそういう問題は、アメリカ軍と折衝して、そして向こうさんのほうがそれを具体的にどう受け取るのか。それから、いま言ったように、たとえば沖繩の中継所その他について援助するといっても、向こうは具体的に、これは民間放送でありますから、これを一体具体的にそれじゃ日本の援助金をもってどういうふうに援助するのか。その具体的な方策というものは、少なくとも、もし援助金を出すということであるとするならば、それは総理府並びに郵政省との間において具体的な問題が検討されてなければならぬはずであります。それから民間放送なら民間放送に対してそういうふうにやるということがむずかしいということであるとするならば、NHKはすでに前から沖繩にNHKというものを置かしてもらいたいという、要望が非常に強いわけであります。ただ、その場合に、NHKの受信料というものを一体どういうように取るのか、あるいはアメリカ軍が具体的にそういうことについてはあまり好ましくない、こういうことになっておるので、それが一体どうなっておるのか。こういう具体的な一つの答弁をしていかないと、大柴君がいま言ったように、あなたの誠意というものはわれわれもよくわかりますが、ちっともはっきりした中身がない形になると思うのです。だから、たとえばNHKについては、沖繩に置こうと考えておるのかどうか、そういう問題について折衝したことがあるのかどうか、さらにまた、上りのラインについても、そういうことを具体的に折衝したことがあるのかどうか、それから民間放送に対する援助を行なおうとするならば、一体どういう方法でやろうとするのか、そういう具体的な内容の答弁をひとつお願いしたい、こう思うわけです。
  51. 徳安實藏

    徳安国務大臣 具体的に申し上げたいのですけれども、具体的に申し上げるだけまだ整っていないということは事実でございまして、NHKも、私のほうで再三高等弁務官にも話をしましたし、NHKを入れなさい、将来日本に返るのですから、そういう場合には、当然義務としてNHKも出るようになると思うから、そういう準備に入れてくれという交渉もしましたけれども、まだいいと言いません。言いませんから、言いませんと答えるよりしようがないのです。  それから、いまお話しの商業関係では、八重山だとか何とかああいう遠いところに施設を十億もかけましたのでは、商売にならぬと言うのです。そこで、商売にならぬならばどういうぐあいにこれをならせるようにするか、結局それは違った形でやらなければならぬということでございますが、その形の違ったものと波の関係等につきまして、高等弁務官のほうでは一体返事してくれますかというので、何べんも私ども折衝しましたけれども、まだその点につきましては返答がノーでございまして、明確に、それではNHKを出して、不採算的なことをやらせようとか、あるいはアメリカでもそれだけの金を出すから日本でも出して、これは無理してとにかく施設をして日本のものに使わせようという案を提示して話をしたことがございますけれども、それに対して向こうのほうでは、まだこれでよろしいということにはならぬわけであります。そういうような関係で努力はしておりますが、こういうぐあいにきまりましたとはっきり言えませんので、どうぞそういうふうに御了承いただきたい。今後も努力いたします。
  52. 大柴滋夫

    大柴委員 私ども沖繩に行って一番驚いたことは、琉球日報と琉球タイムスの社長と若干の懇談をしたのでありますが、比較的言論の自由だけはあるということだそうであります。新聞どもうるさい検閲というようなことはないということであります。言論にしてそういうことであるならば、私は、テレビについても、もう少し責任者である大臣が、少なくとも今度臼井総務長官が行くぐらいのときには、だれか責任者を送って、こういう問題を一歩突き進めてほしいと思うのでありますが、それはぜひそういうようにできることなら努力を願いたいと思うのであります。
  53. 徳安實藏

    徳安国務大臣 もちろん、今度臼井君も参りますから、私も重ねて話をしようと思いますが、これはしばしば打ち合わせをしております。総務長官も機会あるたびに私どもの気持ちを向こうに伝え、また総務長官じかの管轄の問題でもありますから、向こうに強く要請しておることも事実であります。なお、お話がございますから、行く場合には私もよく話をいたしまして、こういう問題はもっと前進的に強く努力していただくようにお願いいたしたいと思います。
  54. 大柴滋夫

    大柴委員 最後NHKにお尋ねをいたしますが、たとえば北ベトナムなら北ベトナムについてアメリカの爆撃がある、こういうようなものの事実的なニュースというものを国民はみんな見たい、聞きたい、知りたいということだろうと思いますが、NHKはこういうことの取材をどういうような方途を通じて、北ベトナムなら北ベトナムというものをやっていますか。
  55. 春日由三

    ○春日参考人 現在具体的に申し上げますと、クアラルンプールにNHKの支局がございます。そこの支局員をサイゴンに常駐させまして、そこで取材をいたしておりますが、先生御指摘の北ベトナムの現地に入れるかどうか、そういったふうな問題、それからまた、必要性あるいは入るところの具体的な方法、そういったものを検討し、適当な時期に入り得れば、そういうふうな取材もいたしたいと考えております。ほかの手段といたしましては、外国通信社のニュースを買う場合とか、いろいろな方法をあわせ用いまして、できるだけ紹介するような努力をいたしたいと思っております。
  56. 大柴滋夫

    大柴委員 それはちょっとおかしいのですが、たとえばハノイなどに行って、ことしの正月だか、社会党の久保三郎、西村関一というような代義士がホ・チミン主席と会っているわけですね。そういうときにNHKが北ベトナムに入れるかどうかわからぬというのはちょっとおかしいのでありますが、そんなぐあいでありますか。
  57. 春日由三

    ○春日参考人 いま先生の御指摘のような場合とニュース取材というふうな場合とはおのずから違う観点がございますので、現実に、過去におきましても、中共の取材、北鮮の取材に、相当の時間をかけて責任者と交渉いたしまして実現した経緯もございますので、必ずしもおいでになれる方があるからニュース取材ができるというふうには簡単にいかない点がございます。しかし、いかなる場合にもできるだけ努力いたしまして、必要なニュース取材をする努力は重ねているということを御了解願いたいと思います。
  58. 大柴滋夫

    大柴委員 具体的に北ベトナムなら北ベトナムにNHKの取材のために入りたいという要請をなされたことはいままであるのかないのか。あるとすればいつあるのか。
  59. 春日由三

    ○春日参考人 ただいま具体的な要請の方法、日時というようなものを持っておりませんが、調査いたしまして御返答いたしたいと思います。
  60. 大柴滋夫

    大柴委員 私は、いま世界的とは言わないけれども、アジアの中心課題、日本の注目というものはあの辺のところにあるだろうと思うのです。それをNHKが、どうも態度が不明なんです。そういうことは遺憾千万でありますけれども、いずれにしても、最近私どもとしても「忠臣蔵」とか「大閤記」というようなのもを日本のテレビ愛好者は見ているわけでありますが、そういう世界のニュースに対しての取材網というものが、非常に希薄だと言っては、ことばが過ぎるのでありますが、努力不足という感じがするわけでありますが、会長はこういうふうなことについては、現在のNHKの責任者としてどうお思いになって、今年度どういうような努力をするつもりでありますか。
  61. 前田義徳

    前田参考人 私は先生のお考えと根本的に考え方は同様でございます。私といたしましては、今後ますます海外ニュースの取材体制を強化してまいりたい、こう考えております。  ただいま御指摘がありましたインドシナの問題につきましても、NHKといたしましては、赤日専務からお答え申し上げましたように、現在クアラルンプールにいなければならない特派員を、サイゴンに送ると同時に、さらにバンコクからこれを補強いたしまして、現在サイゴンの前線支局は複数の特派員を持っております。またNHKのリスニング・センターは二十四時間インドシナの問題について、各関係放送局並びに北ベトナムの通信を傍受しておりますし、それからまた、北ベトナムの入国については、昨年以来北ベトナム政府と各地において交渉を続けておりますが、残念ながら今日までその許可を得られない。私といたしましては、一日も早くその許可を得るよう現場に指示しております。  現在NHKの海外総支局の総数は二十一カ所かと記憶しておりますが、これは世界のいわゆる政治的分野を超越してソビエトをはじめとし、現在は北京にも、アフリカその他全世界をカバーできる最小限度の総支局を持っておりまして、この意味でも、私といたしましては、さらに皆さんの御支持をいただけるならば、NHKの根本的なニュース取材体制の確立のためにさらに前進させてまいりたい、このように考えております。  また、同時に、国際放送を中心として世界各国の放送機関と協力いたしまして、そういう意味でもニュースの交換という形で国際関係のニュースの充実を、現在もやっておりますが、さらに今後一そう努力してまいりたいと考えております。
  62. 大柴滋夫

    大柴委員 郵政省のほうに、政務次官はあれでありますから、だれか責任者の方にお聞きしたいのですが、放送法改正されるときにあたって、NHKの任務の中に、先ほど前田会長が言ったような国際放送の交換とか、あるいはまた、付属意見になるだろうと思いますが、取材体制の充実というようなことを特に明記する必要性があるだろうと思うのですが、その辺のところはどうでありますか。
  63. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 国際的な問題に関します取材の問題ということでございますが、現在もNHKが現在の法律によりまして行なっておりますが、こういうようなものを法律的にはっきりするかどうかという問題につきましては、むしろ実行計画として定めていくほうがいいかと思っております。なお、先生の御意見もございますので、もう一度考えてみたいと思います。  国際的な問題につきましては、NHKがそのほか国際的な会議であるとか、あるいは国際的機関にどのような形で参加していくかということは、今後の放送法上の問題点かと思います。
  64. 大柴滋夫

    大柴委員 私ども都会におりますから、多数の電波の恩恵を受けておりますので、いなかの人とは違うだろうと思います。NHKが、夜分といえども女の子が足を上げたり歌をうたったりというようなことにあまり——努力をするのも必要かと思うのでありますが、より以上に、国民の目をなるべく世界に向けていく、あるいは日本人の、変なことばでありますけれども、世界的視野を広めるというような見地から、放送法改正にあたっては、そういうことが法律的にどういうように一致するか知りませんが、ぜひ私どもは努力をお願いしたいと思う。そういう娯楽番組というのは、比較的、今日の事態においては民放で間に合っているだろうと思います。だから、そういうことは、十分努力を願いたいと思うのであります。  最後に、前田会長にお尋ねをいたしますけれども放送連合というものができているようでありますが、これの将来的展望と、そのことに対してNHKはどういうように努力をしていくつもりでありますか、その二つをお尋ねして質問を終わりたいと思います。
  65. 前田義徳

    前田参考人 アジア放送連合は、お話しのとおり、昨年十一月オーストラリアのシドニーで創立総会を開きまして、あらゆる機関を任命し、ことしの一月一日から正式に発足いたしました。  このアジア放送連合の地域は大体東経三十度から西経百七十度、したがって具体的に申しますと、トルコ、アラブ連合諸国の線から、南太平洋地域はオーストラリアのシドニーを含む線でございます。  現在のところ正式メンバー参加国としては十九カ国、それにいわゆるアソシエートメンバー、協力参加国としては西ヨーロッパをはじめとして南北アメリカ大陸にわたってございまして、その総数は三十カ国をこえております。現在正式参加を申し込んでいる国は放送連合の憲章に従って、正メンバーとしては二カ国、それからまた協力メンバーとしては四放送機関に達しております。  NHKといたしましては、永田会長の時代から、アジアの放送機関がやはりそれぞれ協力する立場をつくるべきであるという考え方のもとに、この種の会議によってアジア放送連合の結成が可能であるかどうかという最初の打診をいたしました。以来、戦後九年間にわたって、NHKといたしましてはアジア諸国の首脳部と放送連合の結成について努力してまいりました。その結果、第四回のアジア放送事業者会議からクアラルンプールに開かれたときに、初めて放送連合結成の参加国全員一致の賛成がありまして、おととしの京城で開かれた第五回アジア放送迎合放送事業者会議でアジア放送連合の憲章が採択され、この憲章に基づいて昨年七月アジア放送迎合は正式に成立することになり、その成立後の第一回総会が、ただいま申し上げた昨年十一月のシドニーの会議でございます。この会議におきまして、各国の一致を得まして私が初代の会長に選ばれ、副会長としてインド放送協会の会長、そして第二の副会長としてアラブ連合放送協会の会長が選ばれ、憲章に従って、私は各国の意向を打診して、事務総長としてオーストラリア放送協会会長のサー・チャールズ・モーゼスを任命いたしました。したがって、事務局は現在東京にございますが、すべての形式も完成いたしまして、繰り返すようでございますが、先ほど申し上げましたようにこの一月一日から正式に発足したわけであります。  このアジア放送連合を結成する目的と、昨年十一月シドニー会議において採択された決議、これを通じて今後私は、単にNHK会長としてだけではなく、アジア放送連合の会長として、新たにこの問題についての新しい構想と実行を開始する段階になっております。アジア放送連合を結成する目的は、先ほども多少触れましたが、要するにこの地域における各国民の生活の向上と相互理解並びに文化の向上と平和の維持に役立つメディアとしては放送が一番妥当である。したがって、この放送を通じてアジア諸国民の団結と平和の精神、文化の向上の実現を成就してまいりたいというのが究極的な理想でございます。  この理想に基づきまして去年のシドニー会議では幾つかの議決をいたしましたが、そのうちで三つの大事な議決がございます。その第一は、ヨーロッパ地域、アフリカ地域あるいはアメリカ地域の放送連合体と協力して、できるだけ早く世界放送連合を結成したいということであり、それから第二は、アジア諸国の放送事業の現状を考えまして、高度の研修センターをつくりたい。技術はもとよりのこと、番組制作及び放送局の管理等につきましても、それぞれの国の優秀な、放送事業者から推薦をいただいた人たちを、年間計画あるいは必要に応じて随時アジア諸地域で訓練し、同時にそのセンターをいずれかの地点に建てたいということであります。  この問題につきましては、すでに今月事務総長が東京に参りまして、私どもとの間に実行方針をきめまして、事務総長は世界各地の必要機関と折衝を開始することになっております。世界放送連合の結成につきましては、ヨーロッパ放送連合並びにアフリカ放送連合は根本的に考え方を同じくしておりますので、この問題についても、ことしの十月第二回総会が東京で開催されますので、ここで具体的な方針を打ち出し、まず事務総長の会議を開いてもらうということを考えております。現在のところ分担会費の総額は年間約一万ドルでございますが、その範囲において所期の事業計画を立ててまいりたい、このように考えております。  私どもの理想といたしましては、もし世界放送連合が結成され、特に東京オリンピック大会を通じてすでに実用化の最大の効果をあげた人工衛星の中継というようなことが、日常茶飯事となった場合には、世界各国民の相互理解は画期的に進展させることが可能でありましょうし、また、このようなメディアを通じてこそ初めて全世界的な、いわゆる鉄のカーテンも、竹のカーテンもない、真実の国民相互間の理解が達成されるということを私どもは深く確信しておりますので、私といたしましては、初代会長として、少なくともそのいしずえを築いてまいりたいという熱情に燃えております。以上のとおりでございます。
  66. 内藤隆

    内藤委員長 次いで畑和君の質疑を許します。畑君。
  67. 畑和

    ○畑委員 最初NHK会長にお尋ねいたしたい。  先ほどからいろいろ、アジア放送連合、そういった問題を中心としての会長の構想の開陳がございましたが、私が聞きたいのは、さらにそれだけに限らず、今度の昭和四十年度、一九六五年度の予算を審議するにあたって、今年度あるいは今年度に限らず、会長としてどういう構想を持っておられるか、その構想について承りたいのです。御承知のように日本の放送、特にテレビの発展、NHKの占める位置、こういった点で世界的な、世界のNHKになったのだと思うのです。イギリスのBBCをはるかに凌駕をして世界のNHKになってまいりました。特に去年のオリンピックの放送を通じて、それを契機にして、シンコム三号を通じての宇宙中継に成功した。さらにその機材等においても、世界に誇る機材をNHKで開発をした、そういう立場になっておるわけです。しかし一方、この予算を拝見いたしてみましても、加入者というか契約者の数は、これから先鈍化をする傾向にある、経済状態は現状のとおりである、こういう立場、この時点に立って、NHK会長として、今後どうNHKがあるべきかということについて、おおよその構想をまず聞かしてもらいたい。
  68. 前田義徳

    前田参考人 ただいま御審議をいただいております昭和四十年度予算の中にも、私ども考え方が含まれているわけでございますが、私どもといたしましては、ここ数年間、私自身を中心として告白させていただきますと、昭和三十二年以来、私といたしましては、将来のNHKのあり方並びに国際社会との関係というものを考えまして、放送法の精神に徹して、まず第一に私は国内の聴視者の皆さんに満足していただける経営の基礎を固めることが先決問題であるという考えに立って、前数代の会長を補佐し、そして私はこの数代の会長の意思を私一身の責任において遂行してまいりたい、こう考えているわけでございます。  では、そのNHKは、まず国民との関係でどのように安定させるかという問題になりますと、簡単に申し上げまして、昭和三十年を境といたしまして、いわゆる技術的開発と躍進によって波の数、波の種類、波の性格、これが非常に拡大されて今日に至っているわけでございます。したがいまして、これに即応する施設と放送体系と番組の制作というものが当然続いて起こらなければならない問題でありまして、これらを将来国内の世帯数の伸びと、それから歴代政府が、あるいは歴代政党が努力しておられる日本の国内の産業並びに社会的な開発、このテンポを考えながら、NHKの姿はどの点でどうあらねばならないかということを、ただいままで御審議を毎年度いただいた予算の基礎となった第一次五カ年計画、明年度がその第四年度になる第二次六カ年計画、長期構想の構想の中で皆さまの御意見も伺って、一日も早く国民の要望にこたえ得る安定した組織としてのNHKをつくり上げたい、こういうように考えてまいりました。今日ではある程度、私といたしましては、皆さんの御指導によって安定の道が開かれてきている、このように考えております。  同時に、ここ数年間の国際社会の変化と発展は、またテレビジョン放送事業を通じて考えましても、非常に躍進的なものがございます。御指摘の昨年十月の東京オリンピックが、少なくとも放送技術の面で、また放送中継という点で、歴史的な時期を開いた、これはひとえに皆さんの御指導と御協力と御援助によるたまものでございますが、これは単にオリンピックの歴史上最初事件であったばかりでなく、世界の放送の歴史の中で初めて事実となってあらわれたところでございまして、このため各国放送機関が日本に対する評価を非常に高めたと同時に、皆さんの御指導をいただいておるNHKとしても、世界各国の放送機関から、あらためて見直されるという非常な幸福な機会に恵まれたわけであります。  昨年のオリンピックの問題につきましても、数年間の皆様の予算の御審議あるいは平常の御指導によりまして、完全放送ということがオリンピックの歴史で初めて成就されたわけでありますが、このことは、同時に放送機器の新しいものがNHKによってつくられたという点で、実は現在もBBC、CBSなどが来ておりまして、新しい放送機器の購入を始めております。それのみならず、従来はNHKもアメリカ、イギリスその他に人を出して研究していたのが、今度は逆にアメリカのCBSなども一チームをNHKに送って、NHKの番組の制作、機器の配備、また機器そのものの性能等を研究に来ているというような状態になっております。  こういう意味で、私どもはさらに一段と国内の社会的責任を自覚するばかりでなく、われわれ自身が、国際社会の一員としての日本の放送協会として国際的責任を痛感すべきであるというように考えております。このような意味で、私はNHK放送法にのっとり、しかもNHK経営を阻害しないという限度においては、広く深く各国放送機関との従来四十年にわたる関係をさらに一そう発展させ、これを緊密化していくことが必要だ、このように考えております。
  69. 畑和

    ○畑委員 先ほどの会長ことばにもございましたが、受信者との結びつき、こういう問題、これを中心に少し私は質問をしていきたい。  まず最初郵政当局に聞きたい。今度のNHK予算についての意見書の中で、大体同じようなものだけれども、例年と違った事柄が書いてあると思うのだが、それは何ですか。難視聴地域解消とかそんなものはいつもある。いままでの意見書の中になかったもの。
  70. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 ことしの意見書の中におきまして、特に変わったというようなお話でございますが、そのうちの一つといたしまして、受信者との関係を密接にするというようなことをうたっておりますが、これは新しいことの一つであろうかと思います。
  71. 畑和

    ○畑委員 その中の一つとして、NHK業務内容を周知徹底させるということがある。これはいま電波監理局長のことばの中に含まれているわけだろうと思うのです。そのことについて聞きたいのですが、しからば郵政省としては、この業務内容国民大衆に、聴視者に周知徹底させるというのは、具体的に言うと、この点ではどういうことをNHKに期待しているのか。
  72. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 NHK業務を遂行するにあたりまして、いわゆるNHKの維持と申しますか、運営のための費用というものが国民大衆から出てきております、受信者の出しますところの受信料というものによってまかなわれておるわけでございますが、聴視者といたしましては、それがどういうふうに使われているかということを知りたいというような気持ちは当然国民側にあると思いますので、そういうようなことをNHKが常に経営状況を積極的に国民に知らせるということが必要かと思ったわけでございます。  御質問の、具体的にというようなことにつきましては、なおNHKにおきまして、いろいろと考えていただきたいと思っておりますが、たとえばNHK放送等を通じまして、NHKの本年の収支の状況はこうである、このような事業計画を考えているというようなことを、いままでよりももっと強く打ち出していただくとか、あるいは、そのほか新聞、雑誌、パンフレット等によりましても、そういう点、NHKの目的であるとか、事業の内容であるとか、その意図であるとかいうようなことを国民によく伝えてもらうということを、もっと積極的にやってもらいたい、こういうことでございます。
  73. 畑和

    ○畑委員 この点についてはいままでも少しはやられておりました。しかし非常に欠けておったと私は思う。それで郵政省のほうでも、いま言われたとおり、国民から聴視料をもらってそれで運営しておる。民放のほうでは、スポンサーから金をもらうんだが、NHKのほうでは、聴視者から聴視料を徴収してそれで運営している。したがって、業務内容もやはりできるだけ聴視者に周知徹底させることが必要だと私も思う。それで特に気をつけてそれを入れたのだろうと思います。言われるまでもなく、NHKとしても、その点は常日ごろ考えてはおったんだろうと思うけれども、まだ私は足りないと思う。  しからば四十年度については、NHKは、周知徹底策としてどういうことを考えておるか。いままでこういうこともやっております、例年はこうです、ことしは特にこういう点についてこうやりたい、こういうような新規な計画があるかどうか、それを承りたい。
  74. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま御指摘の点は、NHKといたしまして最大の努力を払わなければならない重要な問題であろうと思います。その意味におきまして、在来NHKにおきましても、極力この方面につきましては努力を重ねてまいっております。また、今回の予算書につきましても、郵政大臣もこの辺に対する問題の重要性にかんがみられまして、概況の意見を付せられたような次第でございます。  在来もいろいろな仕事をやっております。四十年度につきましても、在来のそれを強化し、あるいは新規に在来とは違うような計画も計上をしてございます。これらの一連の具体策は、やはり一般の業務内容の周知徹底と申しますか、俗に申しますとパブリックリレーション、PRといったような関係のものにつながろうと思いますが、これにはやはりNHKとしての基本的な立場がなければならないと思います。この基本的な立場は、先ほど来会長が申されたとおり、NHKの根本的な性格なり、あるいは特殊法人として特に法律によって設定された法人でございますから、特殊な目的と業務内容、これに伴う重大なる責任を負託せられている機関でございますので、そういった面を十分に腹に入れまして運営に当たってまいらなければならないと思います。  ただ、基本的には、一言をもって申しますならば、PRは、真実で事実にまさるものはないと思っております。これはそういう面においていろいろと努力をいたしておるわけでございます。そういう基本的態度に基づきまして、従来やっており、また、今年度新たにこの関係における施策として考えておりますのは、在来といえどもNHK自体の放送を通じまして、いろいろとNHK業務の状況なり、あるいは予算の御承認後におきましては、これの状況を周知して、どのような計画でやられるかということを御理解願えるような放送もいたしております。  また、受信者と直接ひざを突き合わせまして、内容を十分に御承知いただくような努力もいたしておりますが、この関係につきましては、全国各地にいろいろな受信者代表の方々と懇談をする機会をつくってまいっておるわけでございます。今年度におきましても、そのような方向を考えております。昭和三十六年度以来、そういう関係で開きました受信者との直接ひざ突き合わせてのいろいろな周知徹底の会合を開いた回数は九百八回であります。今年度におきましては、二百九十九回のそういう機会を持ちたいということで、御審議中の予算の中にはそういった関係の計画が入れてございます。  その他、あるいは映画、スライドでございますとか、印刷物の配付をいたしますとか、あるいは放送局の開局時等におきまして、いろいろな記念の催し、その他の関係につきまして、業務内容をよく見ていただくとか、あるいは見学者の関係、在来で申しますと、おおよそ年間を通じまして百五十万人ばかりの方々がNHK施設を見学に参っておると思いますが、そういう機会にいろいろと御説明申し上げまして、また御一覧願えるような印刷物等もお持ち帰りいただいております。その他、全国的に展覧会、展示会を開くとか、いろいろなことをいたしておるわけでございます。特に四十年度におきましては、こういった面を一そう強化してまいりたいと考えておりますし、特に受信者の関係につきましては、ひとり業務の内容の周知徹底のみに限らず、いろいろな面につきましてNHKに協力を要請せられ、あるいはNHK業務についての改善を要望せられるような事例も十分あり得るわけでございますので、在来は、そのような機構的なものを持ってはおりませんでしたが、全国各局に、受信者の方々が来られれば、一括して、そこで何で年毎説明もでき、御協力もでき、御措置もできるような単一の相談所を開設いたしたい、このように考えておるわけでございます。  その他、あとうべくんば、全受信者との間におきまして、これを組織化して、NHKとの関係をもっと密にするような方法があれば好ましいのでございますけれども、これは何しろ膨大な数にのぼる受信者と、そのようなことは言うべくしてなかなか不可能でございますけれども、番組計画を中心といたしまして、あるいは農村関係の農事番組を中心としての集団視聴関係でございますとか、あるいは学童を持っておられます御家庭を中心の教育番組を通じての地域的な集団的ないろんな会合、こういった面も地方の自治体においてはかなり熱意を傾けておられる地域もございますので、そういった面のある種の組織づくりも考えたいということで、新規に五千万円の経費をこの関係に予算上には配慮いたしまして、この方面の措置も講じたい、大体そのようなことを考えております。  なお、この点につきましては、きわめて重要でございますので、将来とも特に特段の注意をもらましていろいろと計画を練って実行してまいりたいと思います。
  75. 畑和

    ○畑委員 NHKは聴視料を毎月取りに行くのですから、ただ取りに行くだけではだめなんで、もっと周知徹底の方法がありそうなものだと思う。この点ひとつ研究してもらいたい。たまたまことしは四十周年でしょう。そういったこともあるのだから、ひとつその点には特に意を用いて今後ともやってもらいたい。  それでは次にお尋ねいたします。それはそれに関連があるのだけれども放送法の九条、これには「放送の受信に関し公衆の相談に応ずること。」こういう一項目が書いてある。これは郵政省でなくてNHKに聞きましょう。NHKがこの条項に基づいて現在やっていることはどういうことか。それから、この項目に当たるようなことで、来年度、昭和四十年度にあたって新しくやろうという新規事業があるかどうか、あれば承りたい。
  76. 小野吉郎

    小野参考人 ただいまの御質問にお答えをいたします前に、前段の御質問でちょっと不足をいたしました点を補足をいたします。  NHKは、現在二カ月ごとに受信料を各世帯ごとに直接足をもって集金に参るのであります。そのためには、二カ月ごとには必ずNHKの職員あるいは郵政省に委託をいたしております職員が受信者と直接会う機会があるわけでございます。これは事業周知の最も重要なる問題であろうと考えます。そういったような面を勘案いたしまして、そういった集金の方々が、ただ単に機械的に金をいただくということだけではなく、その点につきましてNHK業務全般についての知識を十分に頭に入れるような訓練をいたしまして、それによって積極的に、あるいは先方のいろいろな御要望に対して、いろいろ御理解をいただけるような誠実な御説明をなし得るような配意をいたしておるようなわけでございます。  それと、たまたま今年度は四十周年の記念の年に当たりますので、在来は経費関係でそういうことをいたしていなかったわけでございますけれども、二千万近い各受信者総体に対しまして、NHK業務内容全体、予算の関係、あるいは受信料がどのように使われておるかといったような問題、建設関係はどうなのか、自己資金のほかに外部資金をどのように借り入れているかといったような面を、冊子にいたしましたものを全面的に配布する計画を四十年度には持っております。  第二段の御質問に対する御答弁に入りたいと思いますが、第九条に基づきます受信者との相談業務関係につきましては、NHKといたしまして法律的にある種の制約を受けておりますことをまず第一にお断わりを申し上げたいと思います。  テレビ関係につきましては、大体におきましては全国的にこれはなし得るわけでございますけれどもラジオの面につきましては、ラジオ業者の営業を妨げないというようなことを基本にいたしまして、全面的にNHKがこれに対して直接関連を持って受信機にあれこれいたすようなことはできないようなたてまえになっておるわけであります。  そういう関係で、その場合には郵政大臣に事前に承認を受けて一定の地域を限ってそのような御協力ができるようなたてまえになっておりますので、その限りにおきましては、最善の努力をいたしております。まずそういった面で巡回相談をやっておりますが、これはNHKのほうから職員が巡回をいたしまして、それによって現実に十分に機械が完全な状態にない状態の修理の面にお手伝いをいたしてまいっております。四十年度の巡回相談の開設の個所といたしましては七千二百個所を想定いたしております。  さらに四十年度における機器の持ち込みの件数、これは受信者の方々が受信機を持ってこられまして、これを修理してもらいたいと言われてこられますものの件数もおよそ八万五千件と想定いたしております。これに対して予算額としましては二千八百六十万円余の経費を用意いたしております。  さらにテレビの委託修理の関係につきましては、各放送局でテレビの受信障害でございますとか、あるいは故障の受信機の修理等の関係につきましても、委託によりましてこれの修理を行なうような措置もいたしておるわけでございまして、これの実施局はおよそ四十九局、さらに持ち込まれて、これの改善をいたすと予想されますもの五千五百件と想定をいたしております。  また開局時に伴いまして、いろいろ受信相談もいたしておるわけでありますが、テレビでございますとか、あるいは中波、FM等のラジオ関係放送局の開局に際しまして、受信者の方々からの御相談に応じまして、受信状態について、ああせられたらいい、こうせられたらいいというような助言もいたし、あるいは御調査もいたす臨時の相談所も開設いたしておるというようなことにいたしております。  その他故障受信機の一掃運動をいたしますとか、あるいは受信機の修理業者をごあっせんいたしますとかいたしておりますが、先ほど申し上げましたNHKの全局にそういった相談室を新たに開設いたしますのも、こういった措置の一連の関係の計画につながるものでございます。
  77. 畑和

    ○畑委員 二カ月に一ぺんずつ徴収に行く、郵便局のほうで代理してやる場合を除くと、全部NHKの方が取りに行かれるわけですね。そういうふうに定期的に行っておるのですから、そういう機会をもとらえてという話でありましたが、徴収はあくまで金を集めるだけの、その程度の人では無理かもしれぬけれども、ともかく聴視料を取りに行くときに、いろいろな苦情等もあったら聞いて、その係のほうに伝える、そういったような形でひとつ聴視者の便宜をはかられるということが必要だと思う。  それから、全聴視者全戸漏れなく印刷物を削る、これは初めてだが、これはもっと早くやるべきではなかったかと思いますが、これは四十周年にあたってことしだけにそれをやるつもりですか、あるいは今後も一年に一回くらいやるというのですか、どっちですか。
  78. 小野吉郎

    小野参考人 たまたま四十周年記念の年にあたりますので、そういう計画を——在来やっておりませんでしたが、本年度計画をいたしておりますが、これは四十周年だけ、本年度だけではなしに、将来といえどもできるだけこういった方法を続けてまいりたいと思います。
  79. 畑和

    ○畑委員 ひとつ国民NHKでございますし、聴視料をとっているのですから、今後その点も気をつけてやってもらいたい。  それから次に、これも国民との、聴視者との結びつきという点に関連するんですが、受信サービスの強化、これに関連して今度職制改正がございました。この職制改正で新しく営業局というものが設けられた。いままでの加入局というものが変わって、発展的に営業局という名前になった。名前が変わっただけじゃない、業務内容も変わっておると思う。それの組織はどういうところにねらいがあったのか、これはサービス強化に関連があると思う。この点について伺いたい。
  80. 小野吉郎

    小野参考人 今回の機構改正にあたりまして、在来の加入局を営業局にいたしました。その他いろいろ万般の改正をいたしました。その基本に流れております考え方は、NHK内部におけるNHK本来のあり方に徹した運営のしかたが、すみからすみまでちぐはぐなしに一貫して流れるようなことを基本にいたしております。と同時に、NHK自体が、自己内部の内規の手続による事務的、機械的処理に終わらないで、国民向け、受信者向けにすべて御便利なように向く、その方向の御意向に沿うようにいくべく機構改正をいたします、その一端の大きなものは、ただいま御指摘の営業局でございます。在来、加入局自体におきましても、もちろんそのような精神をもちまして運営をいたしておったのでございますけれども、取り扱いの業務といたしましては、契約の獲得、維持管理、料金の収納、そういった面に限られておりまして、これと非常に密接な関係にあります受信機相談業務でございますとか、いろいろな関係の仕事が、あるいはこれは技術に密接な関係があるということで、技術関係の局に分かれておりました。こういうことではほんとうの受信者に対するサービスを徹底する運営ができませんので、機構上改正をいたしまして、そういうものはすべて営業局の中に集中をいたしまして、ただ単に契約を獲得し、これを維持し、料金を収納するばかりでなしに、先ほどの事業の周知の面につきましても、また、受信者に対するいろいろな御協力を申し上げる面につきましても、また機器の相談関係、その他の関係、展示、展覧会、そういった関係のものにつきましても、窓口を一つにしたほうがいいということで営業局をつくったわけでございまして、それにふさわしいような営業局内部の部課の配分をしておるような次第でございます。
  81. 畑和

    ○畑委員 結局いままでは加入ということでもっぱら加入業務だけをやった、あるいはその加入料金の取り立て、そういった面だけであったけれども、それを総合的に大衆のサービス精神に徹して一つの営業局という新しい飛躍した局にかえた、こういうお話です。結局いままでのような、NHKで独占で何でもやれるといったようなことでなくて、やはり国民NHKだという趣旨に徹してサービスを強化しよう、こういうねらいのようでございます。しかも、その営業局長には相当の方を起用されておるようで、そういった意欲が確かに看取されるわけです。ひとつぜひとも前だれ精神でやっていただくつもりで出発してもらいたいと思うわけです。  それから、中央は営業局ですが、地方のほうはどうなんですか。
  82. 小野吉郎

    小野参考人 中央の機構に関連をいたしまして、地方におきましても営業部をそれぞれ設けております。
  83. 畑和

    ○畑委員 職制の組織がえ、機構改革があったついでに、もう一つ目につくのがございます。それは世論調査所、これが新しく独立をして設けられた。いままで、文化研究所のほうの仕事であったのがありますが、それが分かれて世論調査所という一つの機関になった。これもおそらく受信者サービスの精神に関連があるのだと思うのですが、これはどのような調査をされるのか、これを承りたい。
  84. 小野吉郎

    小野参考人 今回、設けられました世論調査所は、在来、そういった調査関係につきましては、法律に規定してあります放送文化研究所においていろいろと調査をいたしておりました。在来といえども、この調査所におきましては、かなり貴重な調査なりをしてまいったわけでございますけれども、さらにそれを、ただ単に、具体的なNHKのいまやっております事柄に対する反響のみを調査するばかりでなく、もっと視野を広げまして、放送全体がいかにあるべきか、こういう基本問題にも関連いたしました調査をすることが必要であろう、たとえば限られた波の使用、これもフルに放送いたしましても一日十八時間でございます。この間にあります番組の配分の関係につきましては、これは選択余地のない、ある時間については、もう一定のものでございます。これの聴視率がどうかこうかということは、これ全体をもってその番組が最上であるとい言い得ないと思います。そういうような面から、放送全般を通じまして、これが国民の生活に、あるいは非行少年のいろいろな問題等もございます。各般の問題について、いかなる状況にあるか、また今後どうなければならないか、こういったような面を十分に調査をいたしまして、そういう基本調査に基づいて、番組内容の改善、業務運営上の充実、これをはかっていくことが必要であろうということを考えますので、直接ここで、受信者との関係におきまして、あるいはいろいろな御協力を申し上げるとかどうとかいうようなことを所管するわけではございませんけれども、基本的に申しますならば、将来受信者の方に真に御満足いただけるような理想境地に達すべく必要な調査をいたしたいということで、放送文化研究所とは別に、そういった調査所を設けたような次第でございます。
  85. 畑和

    ○畑委員 私はこれは非常に賛成なんです。非常に視野を広くして世論の調査をやってもらいたい。これについては会長何か将来の構想はございますか。
  86. 前田義徳

    前田参考人 大体、ただい小野会長から申し上げた限度でございますが、私といたしましては、たとえば従来の放送文化研究所の、その部分でやりました国民生活時間の調査などは、少なくとも国勢調査と同じように、これを四年なら四年ごとに全国的にやるべきものだと考えております。この国民生活時間調査との関連で、番組の意向、傾向、生活と放送との問題、その他万般の問題がこの調査を中心として将来展開していくことを私は期待しておりますし、また、同時に、この調査が単に国内の調査だけにとどまらず、国際的な関連でこの調査が効果をあげ得ることもあり得るというような考え方を持っております。
  87. 畑和

    ○畑委員 次に郵政省ですが、先ほども言ったとおり郵政省のこの予算に対する意見書、これにも、また、NHK姿勢としても、受信者との結びつきを一段と強めていきたいということがいま明らかになったわけであります。  ところで、ひるがえって現行法を見てみますると、受信者との結びつきについては特に配慮していると思われている点が見当たらない。もちろんNHK経営の面から見て、何でもかんでもサービスせよということを要求するわけにはいかないけれども放送法改正にあたっては、NHKの性格から見て、さらに受信者との結びつきを強める方向に持っていくべきではないか、こう思うのです。郵政当局考え方をひとつ承りたい。
  88. 服部安司

    服部政府委員 新たな放送法改正においては、その方向で進むべく目下鋭意検討中でございます。
  89. 畑和

    ○畑委員 時間がないから先に進みます。  NHKの今回の職制改正は、受信者対策のほかにどのようなねらいがあるか。先ほど聞いた受信者対策、そのほかにどんなねらいを持っているか、おもなるものを教えていただきたい。その柱です。
  90. 前田義徳

    前田参考人 先ほど来御指摘いただきました営業局、これが現場の根本的な改革の一つになりますが、研究関係では、ただいま世論調査、それと技術研究所を総括して総合技術研究所と呼びまして、これと直結する基礎科学、放送科学の研究を新たに開始することにいたしました。従来は放送に直結するという意味で実際上の研究を主としてやりましたが、もちろん基礎的な研究がなければできませんけれども、今回は新しい技術開発のために基礎研究をもっとはっきりやってまいりたいという考え方でございます。  それからもう一つは、現場関係では芸能局を改めました。芸能局は従来音楽あるいはドラマ、それぞれの関係で一部あるいは数課をつくっておりましたが、効率的な運営とセクショナリズムを排除して、新しいいわゆる放送芸術を確立するという意味では、芸能局の体質を根本的に考え直しまして、企画、制作というこの二つの点に主眼を置いて総合的な製作をやってまいりたい、このように考えております。全体的な構想といたしましては、御指摘のとおり、数次にわたって国会でもいろいろ御注意をいただいて今日に至っておりますが、現在おおよそ、先ほど私の考え方をお尋ねいただきまして申し上げたとおり、今日以後のNHK経営は、合理化という原則の上に立って、これを集中的に、完全にむだのない経営をしていかなければならない、このような考え方のために、従来ありました経営各部を一本化いたしまして、総合企画室という形で全知能をこれに集中する考え方でございます。その他これは運営上の問題でございますが、私どもを中心とする理事会の運営を、日常業務に直結しながらやっていきたいという意味での会議のあり方についての根本的な改定をいたしております。  簡単に申し上げますと以上のとおりでございます。
  91. 畑和

    ○畑委員 いま会長の言われたことは、よく総合近代化計画なんというのをときどき見ますけれども、大体それに当たるのですか。
  92. 前田義徳

    前田参考人 それにもう一つつけ加えさせていただきたいと思います。稠密化ということばを私自身は使っております。コンパクトにしたい。非常に広がっておりますので、これを今度は集中してまいりたい。そしてむだな費用とむだな時間とむだな距離を省いてまいりたい、このように考えております。
  93. 畑和

    ○畑委員 近代化、これはもういまの趨勢でございまするからこれはやらなければならぬ。いままでずっとだだっ広く広がってきたので、そろそろそういう時期であろうと思います。どこの分野におきましても、近代化ということが必要でありますが、特にNHKのいまの時点はもうそういう時点であろうと思うのです。ただ、問題は、要するにむだのない近代化、こうなりますと、働いておる人たちとの間に労働強化とか転置転換、まあ首切りはあまりやらぬだろうけれども、そういったような問題もあると思うのです。そういう点も、何か組合側との間に、そういった基礎的なことについて基本協定ができておるやに聞いておりますが、その基本協定に違反しないようなことで近代化を進めることはやむを得ない。しからばその近代化が実現するのは見通しは大体いつごろになるのですか。
  94. 前田義徳

    前田参考人 御指摘のとおり、栃沢専務が中心になりまして、組合との関係はかなり軌道に乗っております。私自身の考え方といたしましては、各理事意見も聞きまして、それからまた、現在進行中の近代化の速度、それから、その内容を検討いたしまして、私といたしましては昭和四十二年度末、昭和四十三年中にはこれを完成いたしたいという考え方を持っております。
  95. 畑和

    ○畑委員 そうなりますと、いま近代化を進めるためのステップとしての組織改正、ところで、その近代化が実現した時期にもう一度本格的な組織改正を行なわれるのかどうか、その際行なわれる組織改正NHKの安定した組織、かように理解してよろしいか。これで定着したものだ、大体その目標でその時分に組織改正をもう一度やって、それが安定したものだ、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
  96. 前田義徳

    前田参考人 御趣旨のとおりでございます。
  97. 畑和

    ○畑委員 そのときの姿、いまからあまり考えてみるのはちょっと尚早かもしらぬけれども、そのときどういう姿になるか。大体それについて会長考え方、それをひとつわかったら教えていただきたい。
  98. 前田義徳

    前田参考人 私といたしましては、一つのビジョンを従来から持っているわけでございますが、もしこの近代化が予想される昭和四十三年中に成就することになりますと、私は現在の機構が非常に簡素化される可能性があるということを考えております。
  99. 畑和

    ○畑委員 その点はそれだけにいたします。  その次に、今度の重点施策の中にも入っておると思うのですが、ローカル放送の強化ということについて、これに関連して承りたい。  四十年度の予算では、ローカル放送の強化が打ち出されておりますけれども、臨時放送関係法制調査会、この答申の中でも、ローカル放送の強化ということを答申をいたしておるわけであります。ローカル放送の概念は一体何だ。これはわかったようでわからないと思うのです。そのローカル放送というのは一体何だ。ひとつ郵政政務次官、簡単に答えてください。
  100. 服部安司

    服部政府委員 ローカル放送番組ということばは、放送界におきましても一般に使用されていますが、その内容につきましては必ずしも統一されておりません。使用する人によりさまざまな意味に用いられている現状でございます。さきの臨時放送関係法制調査会の答申におきましては、「素材、内容、あるいは制作関係等についての地域密着性という意味で、ローカル性をもった放送番組」云々というような表現を用いておりまするが、ローカル放送番組の強化を行なうべきことであるとしております。放送法制の改正にあたりまして、ローカル放送番組に対する特別の規定を設けるべきかどうかにつきましては、目下鋭意検討中でありますが、そのような規定を設けるといたしますれば、その内容を明確にすることも必要になると考えますので、これにつきましてもあわせて十分検討いたしてまいりたいと考えております。
  101. 畑和

    ○畑委員 時間がないから先に進みます。  しからば、その次に、今度はローカル放送に対するNHK考え方、これを承りたい。
  102. 春日由三

    ○春日参考人 長い間の考え方といたしましては、全国中継放送あるいは全中放送に対するローカル放送という概念は、基本的には、いまの行政区域で申しますれば県域が一つの単位と考えられております。しかし、地域サービスの関係から、ある県のうちのある都市に集中した問題とか、あるいはまた東北のような場合に、六県共通の問題を取り扱う場合には、これは管駐と申しておりますが、そういう意味で全国中継放送の概念としてのローカル放送、基本的には、共通基盤で言いますれば県域でございますが、それがさらに問題によってきめこまかくなる場合と、地方的に広がる場合があり得るというふうに原則的には考えております。
  103. 畑和

    ○畑委員 しからば、四十年度で、NHKの今度の予算を見てみましても、ローカル放送を強化するという点で——いままで一時間だったですね。それを一時間半にする、こういうわけなんです。そうすると、それはまあ全国一律に一時間半になる、こういうふうに理解してよろしいですか。そこは違うのですか。
  104. 春日由三

    ○春日参考人 全国一律と申しますのは、つまり、先ほど申しました県域を単位とした放送局の個々のローカル放送時間が一時間半という計算でございます。したがいまして、東京とか大阪とか電波を持たない広域圏を持っておるところは、それ以上にローカル放送の時間があるというふうに考えております。原則的には県域のローカル放送局が、それぞれの局が一時間半ずつローカル放送をやる。テレビジョンでございますが、そういう考えです。
  105. 畑和

    ○畑委員 そうすると、関東地方などはそれ以上あるというわけですか。
  106. 春日由三

    ○春日参考人 関東地方の場合には、たとえば県域で言いますれば、具体的に言って、山梨なら山梨、甲府の放送局を例にとりますれば、いま考えておりますローカル時間の放送内容というのは、朝の視聴好適時間の六時四十五分から七時ということを設定いたしまして、それを今度は、時間が早いために利用できなかったものは午後一時台に再放送するというような考え方を持っております。東京の一都六県の場合には、朝の六時四十五分に、きょうは千葉県、きょうは埼玉県、群馬県というふうに、そのほかに午後の一時から二時のところは機動的に関東六県を取材して回って六県の広域圏のローカル放送を出すという使い分けをするわけでございます。ですから、一時間半の基礎になっておりますものは、繰り返しますが、県域単位の放送局のローカル時間、それが計算の基礎になります。
  107. 畑和

    ○畑委員 そうすると、関東地区、私の住んでいるところは埼玉ですが、埼玉については何時間やることになるのですか。
  108. 春日由三

    ○春日参考人 現実にテレビジョンで申し上げますれば、ローカルのニュースのようなものは、埼玉のニュースがあればそれは朝の六、七、八時というところに出すわけでございますから、埼玉だけの時間というのは考えられませんが、いまの六時四十五分から七時のところは、月曜なり火曜なりは埼玉県の時間というように、十五分ははっきりそういうふうに置きたいと思います。
  109. 畑和

    ○畑委員 結局どうも広域放送で、栃木県とか群馬県とか、その辺はどうやら出せるが、埼玉とか千葉、神奈川、これは無理でしょう。しかし、つとめてそういうふうにやってもらいたい。それでは、その点はそれで終わります。  次に、最後になりましたが、オリンピック放送と宇宙中継のことに関して聞きたいのです。御承知のように、オリンピックは大成功に終わった。このオリンピックに要した経費、これはどのくらいですか。
  110. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。オリンピックの実施に要しました経費は六億四千四百万円でございます。
  111. 畑和

    ○畑委員 それは使いっぱなしですか。どういうことなんですか。
  112. 志賀正信

    志賀参考人 ただいま申し上げましたのは三十九年度のオリンピックのときに限りましての経費でございまして、いわゆる使いっぱなしでございます。
  113. 畑和

    ○畑委員 その内訳はどうなんですか。
  114. 志賀正信

    志賀参考人 国内放送の実施に要しました費用が二億三千百万円でございます。それから、国際放送関係につきましては千二百九十七万円でございます。競技場の中継設備の整備等に二億一千九百万円でございます。そのほかに、国内のテレビ放送権料といたしまして一億八千万円でございます。以上合わせまして六億四千四百万円であります。
  115. 畑和

    ○畑委員 放送権料というのは、組織委員会に払った金ですか。
  116. 志賀正信

    志賀参考人 さようでございます。
  117. 畑和

    ○畑委員 それから、NHKがみな担当しまして民放にも全部供給した。外国の放送関係にも供給した。そういうものの対価とか、それは取っているのですか。取っているとすればどのくらいですか。
  118. 志賀正信

    志賀参考人 国内の放送権料としてNHKが払いましたものは一億八千万円でございます。それから、海外の放送機関から放送権料として受け入れましたものの総額は五億七千八百万円でございます。そのうちで、NHKがサービスの提供をいたしまして、また一部の提供をいたしました実費をこのうちからちょうだいをいたしております。その費用が一億六千五百万円でございまして、残額の四億一千三百万円はOOCに支払っております。なお、このほか一億八千万円国内の分をNHKが負担いたしております。
  119. 畑和

    ○畑委員 その次に、オリンピックにやはり関連しますが、オリンピックに使った機材、これはその後どういうふうに活用していますか。
  120. 田辺義敏

    ○田辺参考人 オリンピックの際に使用いたしました機材といたしましては、放送センターの中に置きましたもの、あるいは競技場その他、外で使いましたもの等がございまして、たとえばテレビの中継車、それからVTRVTR車、フィルム録画装置、その他そういうふうなものがございますが、これにつきましては、すでにNHKが持っておりましたものと、全国から動員いたしましたものと、それから当然オリンピックあるいは将来におきましてNHKで必要とするものを、一部は早期に手配いたしまして、これを組み合わせて使用いたしまして、オリンピック終了後におきましては、すでに持っておりましたものは、それぞれの原局に戻しまして使っておりますし、またオリンピックのために若干早期に購入いたしましたものにつきましても、これを全部その後地方の局に配付いたしまして、全部有効に使っております。
  121. 畑和

    ○畑委員 それが今度の地方のローカル放送の強化、それにもつながるわけですか。
  122. 田辺義敏

    ○田辺参考人 そのうちの大半は、そういうふうな目的に使っております。
  123. 畑和

    ○畑委員 それでは、その問題はこのくらいにしておきます。  もう一つ二つお尋ねいたします。郵政省に承りたいのですが、これは大臣がおると都合がいいのですが、やむを得ませんが、今年度はどんな宇宙中継の計画をしておるか、ひとつ承りたい。
  124. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 現在宇宙中継を行ないますやり方といたしましては、アメリカのNASAと郵政省との間におきまする契約によりまして、実験としてやることになっております。その中におきまして、デモンストレーションという形において中継をして、一般に公開する形が取られております。したがって、あくまでこれは実験の中に含める問題でございまして、そのたびごとに実験の計画を両者の間で協議をいたしましてきめることになっておりますので、番組だけの中継という形におきましての計画というものは現在持っておりません。そういうような実験の問題が起こりましたときに、その中に含めていくということでございまして、現在も次の番組の中継計画というものは、まだいまのところ起こっておりません。
  125. 畑和

    ○畑委員 それでは次のメキシコオリンピックのことについて聞きたいのですが、これはNHKと郵政省の両方に聞きたいのです。  四年先のメキシコのオリンピックでの日本向けの宇宙中継は、メキシコの技術水準からして支障なくやれるかどうか、こういう見通し、これを両方に聞きたい。
  126. 田辺義敏

    ○田辺参考人 お答え申し上げます。  次のメキシコオリンピックの時点におきまして、どういうふうな計画が進められておりますか、詳しくは存じませんが、もしメキシコ側に宇宙中継の地上局ができれば文句ないと思いますが、もしできない場合でございましても、昨年のオリンピックの際には、メキシコはアメリカとマイクロウエーブがつながっておりますので、結局アメリカから宇宙中継のものを、全部なま中継しております。したがいまして、メキシコからアメリカの適当な太平洋岸の地上基地にマイクロでつなぎまして、そこから宇宙中継をやることになれば、技術的には可能だと思います。
  127. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 四年後のオリンピックにおきまして、メキシコ側からの中継の問題でございますが、現在国際的な宇宙通信の体制といたしまして、御承知のコムサットというものがございますが、このコムサットというのは、ごく最近におきまして、大西洋上にアーリーバードという新しい通信衛星を打ち上げることになっております。この通信衛星によりまして、今後の通信衛星の世界的な計画というものの基礎を固めるということでございまして、引き続きましてそれによって世界の宇宙通信網の形、具体的に申しますれば、シンコムを幾つ上げるとか、あるいは軌道衛星を幾つ上げることによって、この全体の通信量をカバーし、またテレビの中継ができるかというようなことを最終的にきめることになっております。もちろん日本もコムサットに入っておりますので、それまでの間におきましては、当然商業的な形の諸般の取りきめを行ないまして、そういう商業べースにおきまして、そういうことができるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  128. 畑和

    ○畑委員 最後にお聞きいたします。  しからば、四年後のメキシコオリンピック、これを日本向けになま中継する計画はあるかどうか、NHKと両方に承りたいと思います。
  129. 前田義徳

    前田参考人 いまのところ、はっきり申し上げることは不可能と思いますが、私どもとしては、方法があるならば、そしてまた、経済的にその負担にたえ得るならば、全国聴視者のために、なま中継をいたしたいということを考えております。
  130. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 同様な考え方で、あらゆる措置をしてまいりたいと考えております。
  131. 畑和

    ○畑委員 以上で終わります。
  132. 内藤隆

    内藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十八日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五十七分散会