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鈴木参考人 東京の今
年度の
水道の水の
見通しについてどうであるかという第一の
お尋ねでございます。本年は、実は去る三月一日にいわゆる
武蔵導水路と申しておりますが、
利根川から
荒川に水を引いてまいりまして、
荒川から
東京都へ水を持ってまいりますその
導水路が完成をいたしました。三月一日から
利根川の
余剰水をもらえる
施設ができたわけでございます。三月
一ぱい約二千万トンの水を
利根川からいただくことができたわけでございます。ところが、四月になりましてから異常の
渇水と申しますか、
雨量が少ないために、
利根川の
余剰水といたしましては、
栗橋のところで毎秒二百トン以上の水がございませんと、
かんがい期におきましては
余剰水を
東京にやることはできない、こういう
話し合いになっておりまして、四月からまさにその
かんがい期に入りましたのでございますが、
栗橋のところで毎秒二百トンの
流量を割る、こういうようなことになりましたので、ついに四月中は全く
利根川の水をいただけない、こういうようなことになったのでございます。私
どもといたしましては、
政府当局にもいろいろ
お願いをいたしまして、四月末の
状況では
東京の水は
多摩川水系につきましては約二十日分を残すだけの
水壁になってしまったものでございますから、二百トンの
流量を少し割っても
東京に所要の水を分けてもらいたい、こういうことをいろいろ要請をいたしまして、また
関係各県の
知事にも
お願いをいたしまして、よかろうということになりましたところに、五月の初めから雨が降るようになってまいりました。五月に入りましてからは引き続きずっと
利根川の水を毎日、
日量にいたしまして百万トン近いものをいまもらっておるわけでございます。この
利根川の水をもらいます
施設は、ことしの八月
一ぱいになりますと、さらにこれが百三、四十万トンの
能力を持つようになるのでございまして、
余剰水があります限りは、昨年と違いまして、かような
利根川という大きな川と
東京の
水道が結びついたというところで、本年の水の
見通しは全体として明るいというふうに考えておる次第でございます。また同時に、最近の非常な
雨量によりまして、
小河内貯水池も
利根川の水が使えます限りは、それだけ
小河内貯水池の水の
使用量が減ってまいります上に、異常な多量な雨によりまして、今日の
貯水量につきましては、
小河内、
村山、山口合わせまして七千八百四十八万トンになっております。なおどんどんふえていく
状況でございまして、昨年に比較いたしますると、三千五百万トン
程度貯水量が多い、こういうような
状況でございまして、今年は昨年のような
都民に対する御迷惑はかけないで済むという明るい
見通しになっておる次第でございます。
第二番目の
お尋ねの
利根川、
荒川の
余剰水の問題でございますが、これは第一の問題について御
説明を申し上げました中に織り込んで申し上げましたような次第でございます。
それから第三点の、
利根川の第一次
計画でございますが、これは
東京都の
負担をいたします分は
総額約八百五十億でございまして、この
計画を、当初の
計画を繰り上げまして、四十三
年度からは
予定の百二十万トンの水が
利根川から
東京の
水道に送り込める、こういうペースで
水資源公団の担当しております各種の
ダム、
導水路の
工事、また
東京都の担当しております
埼玉県の朝霞の
浄水場、それから
東京都内の
上井草配水池の
工事、またそれらをつなぎますところの
送水管の
工事、また
都内の各系統を結びますところの
配水管の
工事を鋭意進めておる次第でございまして、これは当初の
予定よりも二年繰り上げて
工事をやっておるというような
状況でございます。これにつきましては
埼王県の格別な
協力を私
どもは
お願いいたしまして、その完全な
協力を得ましてどんどんと進んでおるような次第でございます。
第二次の
利根川系の
計画についての
お尋ねでございますが、これは総量百五十四万トンの水を
昭和四十五年までに
東京都にいただく、こういう
計画でございまして、この
工事は
昭和四十年、すなわち本
年度から着工せられまして、
一つは
利根の常陸川水門というのが現在ございますが、その隣に
利根の本流を横切るところの
河口せきを建設する
工事、それから
神戸ダムをつくります
工事、あるいは
利根川から水をとります
取水せきをつくります
工事等、いろいろございますが、そういうようなことに対して
東京都の
負担をいたします額は
総額八百億でございます。本
年度から
予定どおり着工いたしておりまして、私
どもといたしましては
水資源公団にも特に
工事の進捗をはかっていただきまして、
昭和四十四
年度からこの水がもらえるように
お願いをしたいということで、都の
分担分も
公団の
分担分も、それぞれに格別なヘビイをかけてもらい、またみずから努力する、こういう態勢でいま着々進んでおる次第でございます。これがまいりますると、
昭和四十五年におきましては、現在
東京都の
給水能力は二百四十五万トンでございますが、第一次の
計画によりまして百二十万トン、第二次の
計画によりましてさらに百五十四万トン、これを全部合わせますと、
昭和四十五年におきましては五百十八万トンの
給水施設能力を持つことになるわけでございまして、同時にそれに対応する
水源がいま申し上げましたようなことで確保せられることになるわけでございます。
それからなお
昭和四十六
年度以降の
水資源の対策でございますが、
昭和四十五年におきましていま申しましたような
工事が完成いたしますると、
東京都の水の需要と
供給が完全にバランスがとれるという
計画でございます。一人
当たりの
給水量五百リットルにいたしまして計算をいたし、またさらに三
多摩地区に対する水の
供給というようなこともあわせ考えまして、さっき申し上げました五百十八万トンという
供給能力をもちまして、一人
当たり五百リットルの水が完全に確保できるというのでございます。それから先につきましては私
どもとしましてはまだ確定的なものがございませんが、さらに
利根川に
相当の水量を期待することができると存じまして、ただいま
政府、ことに
経済企画庁のほうの
計画当局にいろいろ
お願いをいたしておるのでございます。もちろんそのほかに笛吹川、千曲川を合わせました長野、
埼王県にまたがる
水源の問題、あるいは富士川の水の問題でございますとか、あるいは富士五湖の
関係の水の問題でございますとか、いろいろございます。また
利根川につきましても、
利根川の
上流の尾瀬の第一、第二、第三の
発電所関係の水の
流域変更をいたしまして、
利根川のほうに流していただくというようなことな
ども関係各府県とともに私
どもとしては要望しておる点でございますが、将来といたしましてはおおむね一千万トンを目標にいたしまして、それだけの
水資源の確保をするように今後も努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。