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1965-05-17 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十七日(月曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    武市 恭信君       登坂重次郎君    森田重次郎君       山崎  巖君    秋山 徳雄君       重盛 寿治君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁交通局         長事務代理)  鈴木 光一君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 宮崎 清文君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部長)    荒玉 義人君         建 設 技 官         (道路局国道第         一課長)    蓑輪健二郎君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 五月十三日  公衆浴場業に対する固定資産税等減免に関す  る請願青木正紹介)(第四二二三号)  同(大泉寛三君紹介)(第四二二四号)  同(鴨田宗一紹介)(第四二二五号)  同(小宮山重四郎紹介)(第四二二六号)  同(松山千惠子紹介)(第四二二七号)  同(山本勝市君紹介)(第四二六五号)  同(渡海元三郎紹介)(第四三八二号) 同月十五日  公衆浴場業に対する固定資産税等減免に関す  る請願小川平二紹介)(第四六五八号)  同(藤山愛一郎紹介)(第四七七八号)  同(山村新治郎君紹介)(第四七七九号)  同(小沢辰男紹介)(第四九〇四号)  地方公営企業確立に関する請願大村邦夫君  紹介)(第四六五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十三日  地方公営交通事業経営改善に関する陳情書外  一件(第  三一九号)  三公社職員地方議員兼職に関する陳情書外一  件(第三二〇  号)  地方財源の再配分に関する陳情書  (第三二一号)  地方交付税交付額等引き上げに関する陳情書  (第三二二号)  道路交通法違反による罰金地方公共団体への  還元に関する陳情書外一件  (第三二三号)  市町村に対する地方道路譲与税還元配分に関  する陳情書(第三  二四号)  地方公営企業確立に関する陳情書  (第三二五号)  地方公営企業財政確立に関する陳情書  (第三二六号)  地方財政確立に関する陳情書外二件  (第三二七号)  地方財政確立等に関する陳情書  (第三二八号)  国の委託業務国庫負担引き上げに関する陳情  書(第三二九号)  地方自治確立に関する陳情書  (第三三〇号)  水道事業健全化のための起債等に関する陳情  書外一件(  第三五三号)  水道事業に対する起債わく拡大等に対する陳情  書外二件  (第三五四号)  区長公選実現に関する陳情書  (第四一三号)  地方議会制度強化等に関する陳情書外一件  (第四一四  号)  新産業都市建設のための国の特別財政措置等に  関する陳情書外一件  (第四一八号) 同月十四日  治安対策に関する陳情書  (第四六八号)  交通安全確保に関する陳情書  (第四六  九号)  防犯灯設置促進等に関する陳情書  (第四七〇号)  市町村民税制度の改正に伴う減収補てんに関す  る陳情書  (第四七一号)  地方財政健全化に関する陳情書外一件  (第四七二号)  地方公営企業資金増額に関する陳情書  (  第四七四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。秋山徳雄君。
  3. 秋山徳雄

    秋山委員 法案の審議に触れていく前に、まずお尋ねを申し上げたいと思いますが、最近神奈川県内におきましては、横須賀、横浜などでいろいろ問題が起こっております。というのは、タクシー業界運転手さんがスピード違反とかあるいはまた信号無視程度のものであって、それを基因として起こっております問題の一つに、二日ないし三日くらいずつ本人がとめられているという事実があるわけであります。それをもとにしていま告訴問題が起こっておりますが、こういう問題について道交法のどういうことに触れてそういうことがなされておるのか、こういうことについて一、二お尋ねを申し上げたいと思います。  したがいまして、お宅のほうで事例御存じだと思いますが、いま問題になっておりますのは神奈川県の金沢警察署の問題と、それから戸部警察の問題、この二つの告訴問題が起こっておるわけですが、事態が告訴まで発展しているのであって、したがって本部皆さん方もおそらく内容はすでに御了承のことと思いますので、これについての経緯とそれから該当法規につきまして御説明がいただければ幸いだと存じます。
  4. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 まことに申しわけないのですが、まだ報告に接しておりませんので、御説明願えれば御答弁申し上げます。
  5. 秋山徳雄

    秋山委員 それでは内容を一応申し上げてみたいと思いますが、告訴事実に書かれておることはこういうことであります。「昭和四十年二月八日午後九時三〇分頃横浜金沢区内金沢警察署前に於て、道路交通法に基く、速度違反との理由に依るとして運行せる車輌停止を受けた其の時の被告訴人の行動と、態度について」申し上げますと、「車輌運行停止を受けた告訴人は、警察官に対し何んの理由停止させたかを確認した。被告訴人道路交通法に依る制限速度違反であると答えた。」それから運行せる車両の前を一定の間隔を置きながらトラックが走っており、しかも道交法による速度違反であるとはタクシー運転者に対する偏見ではありはしないか、こういうことでございます。この事情をもっとこまかく言うと、その運転者は、前に走っておったトラックがありますので、それにかなりの間隔を置きながらそれと同じような速度で進行しておったのでありますが、それについて停止を命ぜられて、それが何で停止をされたのかということになりますと、いま読み上げましたように、速度違反だということであります。そこで運転者に向かって警察官運転免許証提示を求めたそうでありますが、提示をしたけれども、それではわからないので、こっちへよこせというふうなことであったそうであります。それが問題となって、それからすぐに、文句があるならば警察に来て話をしろということで、たまたま警察署の前であったがゆえに警察署の中から何人かの警官が出てきて、これを即刻逮捕した、こういう事例一つであります。  それからもう一つは、戸部警察署でございますが、管内の池の谷派出所前で同じようなことがなされたのであります。最近において、こういう問題が神奈川県内においてはかなり多く事例としてあがっているわけですが、これらについては一体対象法文がどこにあるのか。そしてまたこれは多少過酷なことがあるような気がしてならないのですが、これらについてあなた方のお考えが那辺にあるか、まずお尋ねを申し上げたいと思います。
  6. 宮崎清文

    宮崎説明員 先ほど局長が申しましたように、実は私たちまだ報告を受けておりませんので、多少私たちの想像が入ることとなると思われますが、いろいろなケースが考えられます。ただいまの先生の御指摘によりますと、おそらく現場の警察官といたしましては道路交通法による速度違反の疑いを持って処理をしたのだろうと思われます。停止ができるかできないかにつきましてはいろいろの議論がございますが、私たちは一般的には犯罪がありと思われるとき、あるいは犯罪がまさに起ころうとしておるというような場合には、警察法の二条ないし警職法によって停止することが可能であろうと考えております。  それからまた免許証の問題につきましては、おそらく警察官といたしましては道路交通法の百九条に基づきまして、スピード違反があったと認定いたしまして免許証提出を求めて、これを保管することを考えたのだろうと思われます。ただそのときに、御指摘のように無理やりに取り上げるとかそういうことがあったかどうか、これは事実をまだ私ども聞いておりませんが、百九条におきましては、任意提出を求める権限がございまして、大体の場合には相手方の運転手もこれに応じて提出している。その点はそういうふうにいっているのが現状でございますが、もしその点トラブルがあったといたしますならば、また詳細に調査いたしまして結果を御報告申し上げたいと思います。
  7. 秋山徳雄

    秋山委員 警察では事件を早く処理するということも、最近機械化もなされておりますし、いろいろ整備がなされておるということを聞いておりますが、たまたまこの事例につきましても二月八日のことであって、今日になるとかなりな時日を費しておるわけであります。しかも告訴が起こったのは三月でありますから、三月当初においてそれが行なわれておるということであります。警察官がそうした運転者の人から告訴を受けるということは、いろいろ考え方はありましょうが、あまり望ましいことでもないと思うし、こういう事例があれば、こういうことこそいち早く本部にも報告をし、いろいろ相談があってしかるべきではないかと思うわけでありますが、これが今日皆さん方のほうでまだ内容を存じておらないということであると、何か警察スピード化というようなことがいわれておるさなかにおいて、ぴったりしない面があるような気がするわけですけれども、一体こういうことでいいでしょうか。警察官の身分に関することになってまいりますし、それにもかかわらず本部にも報告しない。一体こういう問題は何年くらいたったらお宅のほうへ報告があってお宅のほうでいろいろ相談に乗るのですか、その点もちょっとお尋ね申し上げたいと思います。
  8. 江口俊男

    江口政府委員 事案の程度によりまして即刻参るのもあり、いまのような二月の事件で現在まできていないということであれば、催促しなければ何年たってもこないのじゃないかと考えます。いまの、ただ読み上げられたような状態だけで逮捕行為に及ぶ、あるいはそれをもととして告訴されるようなことは、私たちとしてもちょっとそれだけでは想像できないことでございますから、なおあらためて照会して調べてみたいと考えます。
  9. 秋山徳雄

    秋山委員 そういう答弁だと、私はもっとまたいろいろ聞きたくなるわけですが、最近警察官自分たち都合のいい場合には、何の報告もないのにどんどん命令が出たり出動がされたりするわけですけれども、おそらくあとの委員会でも、先般の春闘についてのいろいろな質問が行なわれるのじゃないかと思いますが、そういう事例考えてみますと、何か一貫した流れというものが想像できるわけでして、自分都合のいいときにはさっさと事を運んでいくのだし、そうでない場合には人さまの迷惑は考えないというようなことがうかがい知れるわけです。それでは私は、法の精神にもそぐわないし、また、あなた方が常時監督、指導しておる面におきましても、何か意に沿わない行為が行なわれるのじゃないかということすら考えないわけにはいかないわけですが、これらについて一体どういうお考えを持っておるかということを承りたくなってまいるわけです。いままで私が知り得たことによりますと昨年の八月ごろから大体大きな都市にはキップ制が行なわれておるわけでして、これは五枚つづりくらいになっていて一通が本人に行き、一通が警察、一通が検察庁というふうに、交通違反についてはいろいろ早く処理をするために行なわれているわけなので、そのつど運転者のほうの側になってみると、今度はそれがすぐ罰金をとられてみたり、あるいはこれが異議申し立てなどがあっていろいろ争っているうちに、その期間中においてもこれがどんどん行政処分が行なわれていくというふうなことが間々あるわけなんですが、そういうことになると、運転者なるものは非常に迷惑をする面があるんじゃないか、こういう考え方が持てるわけであります。特にまたこうした交通違反程度のことでいきなりそこで逮捕をし、あるいは手錠をかけて逮捕していくのだということになると、何かそこに職権についての行き過ぎがあるんじゃないか、こういう気がしてならないわけでございます。大体私たちがいままで考えておったことの考え方からいけば、警察官だからといって犯罪者だけに気を配るのではなくして、できるだけ犯罪が起こらないように、特に交通違反問題なんかになった場合には、事前に、そういうことが行なわれないように、すべての皆さんが努力をしていかなければならぬのじゃないかという心持ちがしてならないわけです。こういう事例を幾つか聞かされますと、そうでなくても警察は事のいかんを問わず犯罪人を検挙していく、犯罪人をつくっていく、そういうことのようにも考えられるわけですから、かりにそういったことなどがあるとすれば私はこれはいいことでもないし、残念なことであるし、そういう警察では困るというふうな気がするわけですけれども、これらを総合してあなた方が常時どういう指導をなさっておるのか、これについてなおお答えをいただければ幸いだと思うわけです。
  10. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 交通違反事件捜査につきましては任意捜査原則でございまして、逮捕権を行使する場合は住所が定まらない、あるいは証拠隠滅のおそれがあるとき、逃亡のおそれがあるときということに限定いたしまして、逮捕権はなるべく行使しないように指導いたしておるのでございます。それからなおそれらの問題について本人異議申し立て、あるいは否認をするというような場合の行政処分につきましては、即時に刑事事件の判決を待つとか、あるいは否認のとき異議申し立てがあるときは、よく意のあるところを聞いてから納得のいく行政処分をするということで指導をしておるのでございます。
  11. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの御答弁、承るともっともだと思うわけですが、それにもかかわらず各所においてそういう事例があるということになりますと、何か指導者考え方現地人たちとかなり大きな開きがあるわけです。これはどこからか、何か言われていなければ、こういうことは起こってこないはずだと思うわけです。そうするとあなたの御答弁をそのまま受け、取れば、神奈川県の県警本部が何か間違っているのじゃないか、こういう考え方が持てるわけなんです。そういうことになるとやはり現地の署長さんなりあるいは県警本部長なりに来ていただいてこれを聞いてみなければわからぬということになりますから、そういうふうに理解する以外に方法はありませんか。
  12. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 先ほど先生からあげられました事例につきましては、具体的な報告に接しておりませんので、直ちに何とも申し上げられませんが、おそらくいまの原則に入ることじゃないかと私どもは想像しておるのでございます。そういうことで報告をよく検討いたしまして、もし行き過ぎがあるようでありますれば、私のほうから適当に指導したいと思っております。
  13. 秋山徳雄

    秋山委員 こういうことが一回や二回だけではなくて、私が知っている限りでもかなりあるわけですね。そういうことになると一片のあなた方の御答弁だけでは何か納得しかねる面があるわけです。したがってもしそういうことであれば、私はできれば次の委員会にでも警察本部長なりあるいはとにかくいま当面問題になっております神奈川警察部長なりあるいは戸部の署長なり、こういう人たちに次の委員会にでも来ていただいて、そしてこまかく質疑を行なって、是は是、非は非としていかなければならないのではないか、そういうことが考えられるわけですが、本部長のほうで、そういうことを私が考えた場合に、あなたはそれではどうしようということが出てくるかと思いますが、いま私が申し上げたことに対しての心組みについて御答弁いただければ幸いだと思います。
  14. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 ただいま直ちに報告を徴しておりますので、報告を得次第御答弁申し上げたいと思います。
  15. 秋山徳雄

    秋山委員 そうするとそれはいつごろになりますか。
  16. 中馬辰猪

    中馬委員長 あした委員会がありますから、あしたにでも……。
  17. 秋山徳雄

    秋山委員 それでは明日このことについては御答弁いただけますね。それではそういうことにさしていただきましょう。  一応きょうのところはこの問題はそういうことで了承しておきますが、続いて私はいつも申し上げておることですが、この前のいつかの委員会にも私は発言したと思いますが、道路交通法を見てまいりますと、ことばも非常にむずかしくなっておるし、なかなか私たちでもわかり得ないような字句もあるし、むずかしさが伴ってくるわけですけれども、そこで常時考えなければならぬことは、私たち歩道を横断しようとしましても、とまって待ってくれるという車は非常に少ないのであって、多くの人たちは私どもが手をあげて渡ろうとしても、一台や二台は過ごしてしまって、たいていの場合には三台目くらいからとまっていく、こういう事例がたくさんあるわけであります。同時にまた信号灯の下などになってみましても、これはいつかも私、委員会でも申し上げたことがありますが、諸外国の例から見ると、よその国々では歩行者によくわかるように信号灯が低いところにあるわけです。日本の国だけが高いところにあるものですから、私たち外国旅行をした場合には、間々ぶつかることの一つとして、いままで見なれた高いところを見ております。したがって、低いところの信号灯が気がつかないで、赤信号であるにかかわらずそこを歩行しようとするということが間々あるわけでありますが、そういうときにも、外国では一々単がとまって待ってくれる。こうした事例をたくさん経験しているわけですけれども、これらから総合して考えたときに、やはり日本の場合には、道路信号灯が非常に上のほうにあるがために、多くの運転者人たちは、遠くのほうからコントロールをして、この速度で行けば今度は青になるのにちようどいいんだとかいうふうなことが多いと思います。同時にまた、ダイダイ色になっても、これがどんどんそのときに限って特にスピードを増してそこを通り抜けてしまう、こういうことが間々行なわれるわけだと思います。これらについて基本的な考え方を、皆さん方専門家ですからいろいろ御検討がなされておるだろうと思いますが、利便の点、あるいは不便の点があろうかと思いますが、これらについても、こういう機会を通じて御答弁いただければ幸いだと思います。
  18. 宮崎清文

    宮崎説明員 信号機の位置につきましては、確かに御指摘のような点がございますので、ただいま検討中でございまして、なるべく近い将来に、さらに見やすいところに信号機をつけるということをやりたいと思っております。たとえば一つの例でございますが、先生方も御承知と思いますが、外国等では道路まん中からつり下げているような信号機もございますし、それから歩行者専用信号機を、さらに低くいたしまして、ちょうど歩行者の視線と合うようなところに持ってくる、こういうようなことも検討いたしております。近い将来にある程度一部は実施、できるもの思っております。
  19. 秋山徳雄

    秋山委員 歩行者だけでなくして、車が走るときにも私はそうだと思うのです。もう一歩進んで考えてみると、もっと低いところにあれば、たとえば停止線でとまってもその信号がすぐ見えるわけです。今度青に変わったから出発しようかということがわかるのですけれども現状においては車が停止線に行った場合には、全然信号灯が見えないわけですね。ですから非常にかたい運転者といいましょうか、心がけのいい運転者といいましょうか、そういう人たちは、自分で上のほうが見える反射鏡をつけていますね。そういうことが考えられた場合には、そのためにかなり不便があるはずであります。しかも先ほど申し上げましたように、遠くのほうから速度自分で調整して、そしてこの速度で行けば、いま赤だけれども、青のときにちょうどよくなるとか——ところがたまたまちょうどよくならないときに信号灯の下へ行けば、黄色なりダイダイ色に変わっておるはずですから、そのときには無理をしても、よりスピードを出して突っ走ってしまう。そのときが一番あぶないのじゃないかと思うのです。そういうことを考えても、信号灯は下にあれば、運転者のほうでも遠くから見えなければ、あそこは曲がり角だから何かあろうとか、あそこはどうだとかいうことで自然に、信号灯があるようなところについては、自分のほうから速度を落としていくという習慣がつけられるのじゃないか、こういう気がするわけです。ところが、そういうことではなくして、えてして歩行者のことよりも、産業の発展ににらみ合わして自動車速度を上げていくのだということの上に立って、自動車が走りいいように高く上げてあるのじゃないか、こういう気がしてならないわけですけれども、こういう面については特に十分に配慮をしていただいて直すべきじゃないか、こう思うわけです。  それからもう一つは、特に大きな道路が交錯しているところになりますと、そこが両方が広いのですから、したがって、四つつじなり、あるいは丁字形のところなりは、非常に広くなってまいります。昔はそこには御存じのようにロータリーがあったわけですけれどもロータリーの不便さが検討されて、今日ではそれが取り払われて信号灯にかわっている。ところがあまりに広いので、運転者の人々によって違いますけれども右大回りといっても、これには正直に大回りしようと思う人もおるし、そうでなくてなるたけ近道をということで中へ中へ入っていく、したがって、まっすぐ進行していく車はなかなか走りにくい、こいうこともあるのじゃないかと思うのであって、そういうときにはやはりまん中にポールのようなものが立っていれば、これもかなり規制ができるのじゃないか、こういうことも考えられるわけだと思います。これはいつもの委員会議論の中でも、あるいは新聞論調なんかを見ましても同じことがいわれておると思いますが、運転者だけ厳罰をしてはいけないのだという議論もあるでしょうし、同時にまた、だからといって刑罰が軽きに失すれば、より以上、千円罰金払えばいいのだというふうなことで安易に考えられて、常時速度を速めていくということが行なわれてくるのじゃないか、こういうようなことも考えないわけにはまいりません。したがって、指導もあるいはまた必要かもしれませんけれども、それよりもせっかく高いお金を使って信号灯なり何なりを施設していくのですから、それが無にならないようにまずすべきではないか、こういう考え方が持てるわけです。道路のことを考えてまいりますと、いやなことばを使えば、道がでこぼこで悪い道路ならば、自動車速度を出せませんから、自然に事故も少ないということも考えられます。道路がよくなれば必ず速度が速まっていくのですから、歩行者についてはほんとうに身の危険を感じていくということが常時行なわれるわけです。しかも、いままでの通念的に考えますと、かりに新しい道路ができましても、歩道というものはなかなかそれに伴ってできていかない。やはり産業を重点に考え過ぎているからこそ、まず道路は必ず車が通る道だけをよくしていくわけであって、したがって、せっかく歩道があっても、歩道なんかというものはでこぼこでどうにもならない。少し目の悪い人になると、歩道の上を歩いていてもころがることもある。またそうかと思うと、側溝の中にふたが落ちていたり、あるいはふたがなかったりするために、心ならずもその側溝の中に落ちてけがをする人もある。こういうことを考えてまいりますと、これは道路の形態もさることながら、道路をつくるほうの立場においてもこれを考えていく必要があろうかと思います。したがって、信号灯の設置なんかについても、公安委員会なりあるいは警察なりが考えていくのが正しい道なのか、あるいは道路の管理者のほうで、理想的には道路をつくるときにそのまま道路にちなんだものをつくっていく、このほうが私はいいような気もします。こういうようなことについて、建設省とあなた方と、常時おそらく折衝があるのだろうと思いますが、これらについて今日の状態においてどういう形でそれが意見の一致がなされているのか、あるいは意見の一致がなされておらないのか、そういうことについても建設省の方と、それから警察庁の関係の方と、両者から御答弁をいただけば幸いだと思います。
  20. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘の、信号機その他の道路標識の設置につきましては、運転者から見えやすいというところにつけることはもう申し上げるまでもないわけですが、間々非常に見にくいところにあるという事例もございまして、御指摘の点がずいぶんあるのでございますが、そういう点につきましては、そのつど是正しておりますが、要するに交通の安全施設というものは、それぞれ見えやすいものでなければならないことは、申し上げるまでもないわけでございますが、とかく画一的になりがちでございまして、御指摘のような信号機が、たとえば高いか低いかという問題につきましても、道路交差点の状況等によってずいぶん違うと思います。あまり低いと、また前に車が立ちふさがると、うしろの車が見えないという問題もございまして、その道路の状況、それから交差点の状況で、広い道路が交差しているという場合には、相当高くても停止線のところで見えるという場合もあろうと思います。それから狭いところが交差しておりますと、横断歩道の位置によってもまた違いますけれども、あまり低いと見えにくいという問題もございまして、そういうことがございますので、やはり横断歩道の位置、それから交差する道路の状況、そういうことから、やはり信号機も画一的にしないで、その状況に応じたつけ方をするということがやはり親切なつけ方だと思います。そういう意味で、御指摘の点につきましては十分考えてまいりたいと思います。  なお、安全施設は建設省と警察とに、両方にまたがる、それぞれ分担している問題があるのでございますが、現在の分担区分に従いまして両者協議の上、御指摘のような親切な施設のつけ方ということで、日ごろから中央におきましては建設省と十分打ち合わせておりますし、府県におりますと、地方の出先機関と十分連絡をとってやるというふうにしたいと思っております。
  21. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまお話しございましたように、私どもも最近の交通事故防止対策につきましては、特に警察庁のほうとよくお打ち合わせいたしまして連絡の緊密をはかっておりますが、具体的には、本庁におきまして人事の交流をやりまして、私ども専門家警察庁のほうへ出向させる、また警察庁のほうから私どものほうにも来ていただく、こういうようなことをやっております。それから特にことしはいろいろ警察庁のほうのデータをいただきながら、全国で約五百五十キロの交通事故多発地点に対するモデル区間をつくりまして、そこでどういうような対策を講ずれば事故が少なくなるかというようなことを、全国にわたりましてそういう区間を選びまして実施いたしております。これなどはその最も代表的な例かと思いますが、これでもちろん十分とは思っておりません。私どもは先般この委員会でも御注意を受けましたので、そういう対策につきましても今後も十分努力いたしたい、かようなつもりでおります。
  22. 秋山徳雄

    秋山委員 まず警察のほうの御答弁によりますと、あまり低いとうしろの車が見えにくいというようなことも御答弁の中にあったわけですけれども信号灯というのは車の便利のためにつけるのか、歩行者の安全のために必要なのか、一体それはどちらが主になっておるのか、その点がはっきりしたような、しないようなわけです。車は規則に基づいておそらく一定の間隔が置かれなければ後続していかれないはずであります。したがって、前の車がとまっていればうしろのほうも走れないはずであります。いまの御答弁を聞いておると、何か車の利益のために信号灯が置かれている、こういうふうに考えられますが、私はそうじゃなくして、やはり歩行者の安全のために信号灯をつけて、そして、たとえば青信号以外はそこを通り抜けてはいけない、こういうことのように理解しておるのですが、そこらの点は私たち考え方とあなた方の考え方と何か違うような気もしてなりませんが、その点は一体どちらが主になって考えられておるのか、これをまずお尋ねをしてみたいと思います。
  23. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 私の答弁があるいは誤解があろうかと思いますが、自動車によく見えるという観点から御答弁申し上げたのでございまして、結局信号機信号が見えないために、自動車が走り出すということになりますれば、歩行者に累を及ぼすわけでございまして、やはり歩行者の立場を考え信号灯が見えやすい位置にあるかどうかということが問題になろうかと思います。私ども考えといたしましては、やはりいま交差点で信号機を設置する理由は、歩行者の保護ということに重点が置かれていると思います。
  24. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの答弁を聞いても何かぴったりしないわけです。なるほどことばの上ではそういうことも一つの理屈になろうかと思いますが、信号が見えようが見えまいが、歩行者が横断歩道をかりにも歩いておるときには、車は完全にとまらなければいかぬということになれば、歩行者の横断歩道上においての事故というものはおそらくなくなるということが観念的にも考えられるわけであります。ところが、そうではなくて、いまあなたの御説明の中にもありましたように、信号自動車運転者にはっきり確認できないために走り出すというふうなことばがありましたけれども、それではちょっと私は納得しかねるわけです。だからこそ高さが高過ぎると、私はさっきも、いつかの委員会でも申し上げたことがあるはずなのであって、少なくも曲がりかどについては、歩行者が必ずいることなんですから、いないのがおかしいのですから、これを重点にして考えていくならば、車のほうがそこで速度を落とすというのが理の当然だろうと思うのです。かりにどちらがじょうぶかということになれば——私はときどき考えることがある。たとえば間違っていようがいまいが、私どもが横断歩道を歩行しているときに、スピードがあろうとなかろうと、その車にぶつかったときに、車のほうもへっこむのだが、自分のほうもああ痛かったなと思う程度で済むのだということであればたいしたことはないけれども、そうでなくして、大きいものと小さいもの、固いものとやわらかいもの、息のあるものと息のないものですから、これは当然生物をとうとぶのが理の当然だろうと思います。いかに急ぐために早く進もうといたしましても、やはり人がおればこれは一歩譲っていくべきじゃないか、こういうことが基本的に全国民の中にない限りは、私は交通事犯の問題というものは絶えることはない、ますますふえる一方だと思います。なぜならば、当初話が出ましたように、企業家というものは、少しでも利益をあげるために、常時こまかい計算をいたしております。ですから自分の工場から製品を運び出すのについて、どこへ持っていくに何分かかる、何時間かかる、これの往復に要する時間は何時間だから、朝何時に出発させればオーバータイムをつけないで済む、こういうような計算は常時行なわれているわけです。またタクシーなんかになれば、御存じのように固定給というものはかなり低く押えられており、あとは歩合制でやっていくというのがタクシー会社の常識であります。そういうことごとを考えれば、やはり運転者に与えられた任務の中で、より以上スピーディに事を運び、より以上事業に貢献をしていく、こういうことが常時頭の中にあるのじゃないかと思うわけです。そのために多くの問題が起こってくる。これも私はいまの社会構成の中で考えなければならないことだと思います。これを厳格に規制をしていくには、私がいま申し上げましたように、あくまでも歩行者を重点として考えなければならないし、したがって、何回か申し上げているように、運転者のほうでやむを得ずでも、泣き泣きでもそれに従っていくというふうな仕組みをつくっていかなければならないのではないか。したがって、信号灯のごときものあるいは横断歩道の標識というものは、どんな場合でも歩行者優先でなければならない、こういうふうな考え方が持てるわけです。だからこそ私は高いところに信号灯を置くのはけしからない、もっと低く下げて歩行者に十分わかるように、そしてまた前の車がとまれば当然うしろの車がとまるのですから、二台か三台うしろの人に信号機が見えなくたって差しつかえないはずだと思うのです。そういうふうな考え方を持って指導し、あるいは信号灯をつくり、あるいは横断歩道標識というものをつくっていかなければならないのではないか、こういう基本的な考え方にあなた方がならない限りは、いかにお金をかけて国民総動員で安全週間をやろうが、何をやろうが、安全週間を離れた場合、あるいは安全月間を離れた場合には、必ず事故が増していく、こういうことに考えられませんか、そういうお考えにはなれませんですかどうですか、こういう点についても詳しく御説明いただければ幸いだと思います。
  25. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 ただいまの御指摘の点はごもっともでございます。今回のただいま展開中の交通安全運動におきましても、歩行者優先の考え方から歩行者の事故を少なくしようということで、御指摘のような線に沿った運動を展開中でございます。たとえば交差点で横断歩道がありますれば、そこに停止線を設ける、明確に停止線をつくっていく。それからその横断歩道に差しかかる前方約三十メートルのところは追い抜き禁止の標示をいたしまして、そこで横断歩道があるという予告を兼ねた標示をしたいということで、歩行者について安全な横断ができるような配慮を施設の面からも施し、また指導の面からもそういう方向にやってまいりたいと存じておるわけでございます。  なお信号機のことにたびたび触れるわけでございますけれども歩行者専用信号機につきましては、御指摘のような歩行者に見えやすい低いものがよかろうと思います。ただ自動車の場合には、自動車にその信号機を見せるという場合には、先ほど申しましたように、見えやすいという観点から、高低を考えてまいりたいというふうに御答弁申し上げたわけでございます。
  26. 秋山徳雄

    秋山委員 運転者に見やすいということになりますと、遠くのほうで見やすいのか、近くにきて見やすいのか、それによってだいぶ違うわけです。あなたのおっしゃるのは、おそらく遠くで見やすいということだろうと私は思うのですが、それではいま何回か私が繰り返して申し上げたように、不便があるわけですよ。だからいまあなた見てごらんなさい。どんな車でも停止線のところに行ったときには、その場からは、たいていの場合が信号灯は見えませんよ。ごくとてつもない広い道路の場合には、遠くにあるから見えるかもわかりませんけれども、そうでない場合には見えないのが普通の状態だと思います。したがって、運転者の多くは、信号灯が変わる前に、ベルが鳴ったときにすべり出すというのが運転者の常識です。そういうことになると、何かあなたの答弁が、私がいま言ったように遠くのほうから見える便宜のために信号灯がつけられている、こういう結論になりますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  27. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 信号灯はやはり遠くからも見え、近くにおっても見えるというのが理想だと思います。そういうことで高低をつけるというふうに考えておるのです。なお信号機の問題につきましては、ただいまのところ御承知のように、信号機が進行方向に向かって左側についているのですが、あれを右側にも、前方につけたいということで、信号機の数の問題等につきましても検討中でございます。  それからただいま御指摘のように、交差する方向の信号を見て運転者が進行するという場合が非常に多うございまして、これにつきましては、そういったようなことのないように、したがってそういたしますれば、見えやすい信号灯ということになろうかと思いますので、御指摘のような点につきましては、十分今後配慮いたしまして、信号機の構造の問題、それからつけ方の問題について検討してまいりたいと思います。
  28. 秋山徳雄

    秋山委員 最近は、信号機があるところは、まずまず信号機のない横断歩道と比べると事故がかなり少ないと思います。そこで信号機のない横断歩道のところに、なるほど標識が、まるいやつが立っておるでしょう。これは歩道のほうに置いてありますから、運転者がなかなか見るのに困難があるかもわかりません。だから、もしそういうところだけにでも、横断歩道の注意というふうな標識を、空中に見やすいところにつけるということになれば、少なくもそういうところを通過しようとする車については、おそらく注意を喚起しなければならぬということが考えられてまいりますが、ただ単なる進める場合の信号機ではなくして、横断歩道のところにそうした新しい考え方を持った何かの標識を置く用意があるかどうか、私は信号機もさることながら、そういうものも現在の段階では必要だろうと思います。そうでないとせっかく横断歩道をつくりながら、一〇〇%の効果をあげるわけにはいかない、こういうことであろうと思います。  こういうことについて何か、私たちのような運転もしないし、全くの、車から見ればしろうとでありますけれども、それだけに歩行者の立場から見れば、まだまだ行き届かない点がたくさんあるような気がするわけですが、専門家である皆さん方が、そこまで気がつかないはずがないわけなんであって、気がついてもできないということであれば、もう何も言うことはないわけですけれども、常時それに専門的に取り組んでおる警察皆さん方であり、同時にまた建設省の方々ですから、そういったことも十分もうどこかから始めつつあっていいのではないかという気がしているにもかかわらず、それがなされておらない。こういうふうなことも先ほど来質疑を重ねておりましたことごとと総合的に考えていくと、やはり自分のひがみだけではないのだ、やはり信号灯考えたり、あるいは建設の方々は、産業構図というものを考えて、産業優先になっているから、したがって、歩行者のほうにはかなりパーセンテージが低い考え方しか置かれていない、こういうふうに考えざるを得なくなってくるのです。それではならないと私は思います。特に建設省の人たちにもなお聞いてみたいと思いますが、おそらく私が知っている限りにおきましては、道路の問題、あるいは道路でこぼこでしょうがない、これをアスファルトに直そう、あるいは完全舗装に直そう、こういうときにはまず歩道に手をつけてから、それから後に車が便利になるように考えていく、こういうことであれば、政府の考え方として、警察も建設省も一体となって、歩行者のことをまず優先的に考えているのではないかという、はっきりとした事例があらわれてくるのだけれども、いままでの事例でいくとそういうことは一ぺんもありません。日本じゅう、どこへいっても見受けることができません。そういうことになってくると、やはり自分のひがみではないが、考え方が違うのだというふうに思わざるを得ないわけです。だからそこで必ず信号灯がここは必要だと思いながらおくれておる、こういうふうな御答弁があろうかと思いますけれども信号灯がついたところにはたいてい何人かの犠牲者があって初めて信号灯がつく、これがいままでの通念的な常識であります。そういうことがないのに信号灯がついたという事例は、おそらく全国的にも数少ないと思いますから、それでは私はならないと思います。したがって道路をつくるときには、必ず新しい道路には歩道を完備していく、こういうことがまず第一の条件として考えられると同時に、また考え方を進めれば、信号灯やあるいは横断歩道の施設、そうしたものについても当然道路をつくる者、そうしてまた管理をする者、こうした者が先に進んでつくらねばならないのではないかと思います。ところが激しいところ、危険なところになると、三回も四回も、うちの中へ車をぶち込まれて、それでもどっちの管轄かということで、なかなかそこには危険防止の何ものかをつけるということにはまいらないようであります。そういうところには、たとえば丁字型の道路なんかになりますと、飛び込む率が非常に多いのですが、そうした場合を考えたときには、そこにやはり何か赤ランプなり、あるいはまた白ランプなり、いずれにしても、はっきりここは明るいのだというふうに認識ができるようにしておけばいいにもかかわらず、なかなかそれがなされないで、そうして薄暗くしておく、こうした事例がたくさんあるわけです。これを私どもが、ここは危険だから、ここに飛び込まないように歯どめをつくってもらいたい、あるいはそこにあかりをつけてもらいたいということになりますと、建設関係の人たちになってみれば、これは交通関係と関係があるのだから、警察でやりなさいという議論が出てまいります。そうかと思って今度は警察のほうにいくと、これは道路の警戒の関係だからということで、血迷ってまいります。どちらがどちらかわからないけれども、いずれにしてもあぶないことは間違いないという結論になることがあります。その場合によく私たちが耳にするのですが、たとえば東京のどこからどこまで何キロだとか、あるいはどこへ行く道だとかの道しるべの場合には建設省でやるのでしょうけれども、そうでない場合には、危険防止の場合になれば、今度は警察の管轄ということになってくるようでありますが、そうなってくると、これはどちらにも欠陥があるわけであります。しかたがないから、私はそういうことの上に立って、この道をまっすぐ行けばどこへ行く道なんだ、左側へまっすぐ行けばどこへ行く道なんだということを書けば、これは建設、いわゆる道路管理者がつけてもいいんだろうということでつけさせたこともあります。ところが今度は、これだけじゃ夜は見えないじゃないか、飛び込み事故というやつは昼間より夜が多いのだから、ここへあかりをつけたらどうかということになると、これは警察関係になる。そうすると、道路標識の中にそうしたあかりをつけることはうまくないというふうなことが実際問題として起こってくるわけであります。そういうことも間々あることを考えたときに、やはり道路警戒というものは建設省が指導権を持ってやっていくべきじゃないか、それに必要な参考事項は警察から十分な意見を聞いていくべきだ、こういうことじゃないかと思います。先ほど来聞いてみますと、警察部と建設省とが常時連絡を密にして研さんを積んでいるのだということでありますが、私は何かそこまでぴったり行ってないがためにそうした道路上の問題がいろいろ起こってくるんじゃないだろうか、こういう気もするのですが、いやなことばを使えば、もしも専門家同士がそれだけ熱心に検討していながらそういうことがわからなかった、事例としてあらわれてこないのだとすると、何のための専門家なんだと言いたくなるわけでありますけれども、そういうことを考慮に入れて考えたときに、こういう問題の解決は一体どうしたらよろしいのか、両者の立場からそれぞれお考えがありましょうから、御答弁を得れば幸いだと思います。
  29. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御質問の前段にありました横断歩道の明確な標示の問題でございます。この点につきましては先ほどもお答え申し上げましたように、歩行者にはもちろんでございますが、横断歩道をはっきり運転者にも知らせるという考え方から、信号機のないところの横断歩道につきましては、特に道路標示におきまして明確な横断歩道の標示をする、御承知のようにゼブラ型の色彩がありますが、あれをつけて、しかも前方から横断歩道があるぞという予告線を引いていくという考え方で、現在そういう方向に改めてまいりたいということと同時に、御指摘のありましたように、特に夜間等におきまして——昼間はそれで間に合うかと思いますけれども、夜間の場合には非常に不明確だという問題もございますので、横断歩道を夜間よくわかるように標示することにつきましてただいま検討しておりまして、神奈川県で一部つけたと思いますが、だんだんそういうものをつけてまいりたいと存じております。
  30. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 私のほうの道路管理者と警察のほうの公安委員会との関係でありますが、これはいろいろ施設することにつきましてはおおむね分担がきまっております。したがいまして、ただいま御指摘のようなケースはほとんどないと私は思っております。たとえば先ほど出ました標識の設置のうちで、こういう種類の標識は道路管理者が立てる、また交通規制を伴うようなものは公安委員会のほうでつけるという分担がきまっております。それから、私どものほうは当然事故防止というものを構造的にやる側でございますが、事故が多くてガードレールをつけるというようなことは管理者の仕事でございます。それで標識を立てて、その標識でもなお暗いから照明にするということになりますと、これは道路の標識で道路管理者の仕事でございます。大体その目的によりまして分担がきまっておりますから、そういう点におけるトラブルはないと考えておりますが、もしそういうことが末端の管理者であったとすれば、おそらくそれは当面予算がないからそういうような言い方をしたかと思いますけれども、どちらでもいいんだ、あるいは自分のほうではないんだというようなことがあいまいに言われることは一般的にはないはずでございます。もしあれば、その点はまた明確にするように建設省のほうとしても当然打ち合わせなければならぬ、かように考えております。
  31. 秋山徳雄

    秋山委員 トラブルがないと言うんだけれども警察部のほうとあなたのほうとのトラブルはないかもしれないが、実際問題として丁字形道路なんかですと、何回か飛び込んでいる事例があるわけですね。いま説明したように丁字路ですから、こっちへ行けば横浜へ行くとか、こっちへ行けば埼玉へ行くというような道路標識のようなものをそこにつくりますね。それに足をつけて、足がじょうぶなものであれば車がそこでとまるということも事実でありますよ。ところが、そういうようなものは建設省の関係でしょう。ところが、それは昼間はわかるけれども夜はわからない。そこまではいいんだけれども、今度は夜わかるようにあかりをつけなければならない。そうすると、今度はおたくのほうではないわけですね。そういうことになるわけですよ。そうすると、今度はそれだけに電灯をつけるとか、あるいは何か夜でもわかるようにあかりをつけるとかいうことになると、今度は警察のほうではどうだこうだと言っているわけですね。こういう事例一つや二つじゃないですよ。あなた方の中ではトラブルが起こらなくても、迷惑をこうむるのは一般のそこらに住んでいる人なんですから、それじゃ困るわけです。そういう事例は私はいいことじゃないと思うので、早急に直していかなければならないと思います。なるほど交道事故の問題の一つとして、車の飛び込みということになればそれは交通関係の警察かもわかりませんけれども、だからといって、そういうところにはなかなかつけてくれない。しかたがないから、比較的金のあるほうということになると、実際問題として道路管理者のほうということにもなりがちなんですね。そういうことになると、電灯はだめだということになるわけです。ここらの所管がどうもはっきりしていない。そういうことが間々あるのですがね。そういうことについてもう少し詳しく説明していただきたいと思います。   〔委員長退席、藤田(義)委員長代理着席〕
  32. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまのケースは、やはり道路管理者のほうの分担になりますから、道路標識を夜間見やすくする照明、あるいは交差個所を見やすくする照明は、道路管理者のほうの分担になっております。ですから、公安委員会というのは現地の模様を詳細に調べなければわかりませんが、いまのお話ですと、道路管理者の仕事だと思います。
  33. 秋山徳雄

    秋山委員 いずれにいたしましても、こういう問題があることを御承知願って、全国的な問題として、方々にその事例があるはずですから、道路管理者の関係ならば予算をつけて各府県にでも指示していただければ幸いだと思います。  それから、今度の改正問題についてお尋ね申し上げたいと思いますが、免許証の改正が行なわれることになりまして、したがっていま私どもの手元には中小企業の人たちからいろいろ問題を提起されております。忠告を受けております。それによれば、年齢の問題なども関連してまいりますので、したがって中小企業者としてはごく若い人を使っていくわけにいかなくなってくる。今日の状態においては、免許証というものは就職の一つの条件にもなっておりますので、したがって、できるだけ多くの人に免許証を与えるべきではないか、こういうことが言われておりますが、これらについて、今度の改正に基づけば低年者はなかなか受験ができないということになってまいりますと、その不便さが生まれてくるわけですけれども、これらについてのお考えをまず承っておきたいと思います。
  34. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 今度の改正で、御指摘のような問題が確かにございまして、私どものほうも関係官庁と打ち合わせた結果、ただいまの問題につきまして、特に軽自動車のうちの四輪と三輪の改正につきましては、三年間の猶予期間を置きまして、その間に雇用の問題、生産の問題を今度の改正の方向に転換していく期間を設けたらどうかということで、ただいまのような形でお願いしておるわけでございます。
  35. 秋山徳雄

    秋山委員 三年なんだから、あとは同じことになるわけでしょう。そうすれば、やはり何年後にも同じことが言われることなんであって、結局、免許証というものは、初めからだれも事故を起こすためにとるのじゃなくて、そうかといって、無分別だから云々ということではないと思います。最近では幼稚園なんかにおいても交通標識を持ち込んで——交通問題がこれほど大きな問題になっておるので、したがって幼稚園でも、あるいは小学校の子供さんにも、交通の問題については、歩道を歩け、そして車はこういう形で走るのだからということで、方々で、家庭に限らず、あるいはそうした学校や幼稚園の皆さんにも、なるべく早くから教え込もうというときなんですから、そういうことも考えていけば、交通問題については子供のうちからかなりの知識があるんだということが言えると思います。同時に、先ほど来私が何回か繰り返して申し上げましたように、どんな場合でも歩行者は最優先なんだという観念的なものを子供のうちから植えつけていけば、年齢が若くたって免許証を与えても問題はないんじゃないかという気もするわけです。これから先、三年たてばどうのこうのといっても、三年、五年たっていけば、あるいはもう十歳くらいで車を動かすことになってくるかもしれません。そうなってくれば、三年、五年先にはより以上年齢を低下さしていくということが必要になってくるんではないかという気もしないわけじゃないのです。これらについてのお考えも、あれば伺いたいと思います。
  36. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 免許年齢を何歳からにするかということは確かに問題があるのでございまして、御指摘のように、年少者にも免許証を与えたらどうかという御意見も確かにございます。ただ、御承知のように、この免許年齢を何歳にするかという問題につきましては、やはり事故防止の観点からこれを考えていかなければならぬという問題もございまして、従来、むしろ免許年齢を引き上げたらどうかという御意見のほうが強かったように承っておるのでございます。そういう意味で、今回の改正は、方向としては、事故防止の観点からは妥当な線じゃないかと考えておるのでございます。
  37. 秋山徳雄

    秋山委員 これは何歳が妥当かということは、いまお話のありましたように、むずかしい問題かもわかりません。しかしながら、今日交通の問題が全国的に取り上げられていますし、同時にまた、今日のように、全国的に各家庭をあげて動員されて交通の問題に取り組んでおる、こういうことになってくると、必然的にこの問題は子供のときから植えつけられてくるだろう、そういうことになって、しかも、先ほど来何回も繰り返してまいりましたように、基本的な考え方が、車よりも、あるいは産業の発達よりも最優先すべきものは人権なんだ、いわゆる人間を尊重しなければいけないのだということになってまいりますれば、子供のときからそうした思想がどんどん植えつけられていけば、かなり年齢を低下さしてもこれは問題がなくなってくるではないか、こう考えられるわけであります。ところが、先ほど来の御答弁の中にもありましたように、何か、私たち聞いていながらも、まだまだ車が優先的なような印象を感じておるようなわけであります。そういう観念的なものがぬぐい去られなければこの問題の解決はできない、こういう考えがしてなりません。日進月歩の世の中で車がどんどんふえていけば、おそらくだれもかれもこれをいじくりたくなりますし、また、いま子供のおもちゃにしても、よちよち歩きのときから自動車のおもちゃを買って、それを家の中で動かしてみたりなんかしておるのが現在の状態だろうと思います。そういうことであれば、いま申し上げましたように、もっとより以上、交通問題を子供のときから植えつけていって、しかも人間尊重ということで指導をなされていくならば、おそらく年齢はより以上低下さしてもだいじょうぶだという考えを持てると思います。そういう考えはまだあなた方の中でお持ちになりませんかどうか、もう一たびお伺いいたします。
  38. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 確かにただいま御指摘のように、子供のときから交通問題についていろいろ教育をするということにつきましては、私どもも、もう賛成でございます。子供のときから安全教育を施していくということにつきましては、私どもも主張し、あるいはできれば学校の教科課程に入れてもらえぬかというくらいに主張しているのでありまして、交通安全の教育を子供のときから施すということは大賛成でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、現在の日本の交通情勢、それから交通事故の趨勢等からかんがみまして、この免許年齢をどの辺にきめるかということにつきましては、きわめてむずかしい問題がございます。私どものほうの立場から申し上げますと、やはり免許年齢は、従来普通自動車につきまして十八歳ということでやってまいりましたが、その辺の線が妥当ではないかというふうに考えておるのでございます。
  39. 秋山徳雄

    秋山委員 妥当だとか妥当でないとかいうことになると、これはまたいろいろ議論がありましょうけれども、少なくとも、より以上、小さいときから観念的にも植えつけられてくれば、かなり低下さしてもよいではないかという議論が成り立つと私は思います。したがって、三年間なんというけちなことは言わないで、これを五年くらいに引き延ばして様子を見るということも一つ考え方ではないかと思いますが、そういうこともこういう機会を通じてもう一度考えていただきたい。これは答弁は要りません。  これで質問は終わりたいと思いますが、同時にまた、一番初めに申し上げておきました事例につきましては、私はあなた方を責めるとか責めないとかいうことではないのであって、したがって、正直に調査をしていただいて正直な御答弁をいただきたい。そうして将来はこういうことで戒めていくということであればけっこうなことだと思います。いつも、何か御答弁をいただくということになりますと、みずからの立場のみを主張するがために、何か特別な理屈を考えて、これではまらなければこれでというふうな考えがないように、十分心して御調査をいただき、御答弁をいただきたいと思います。同時にまた、ふに落ちない点がありましたならば、場合によってはあなた方のほうから、警察本部長ならばいつでも来ていただけるはずですから、問題についていかようになるかもしれませんので、あらかじめそういうこともお考えの上に入れて明日の御答弁をいただければ幸いだと思います。  以上で質問を終わります。
  40. 藤田義光

    ○藤田(義)委員長代理 それでは華山親義君。
  41. 華山親義

    ○華山委員 簡潔にお尋ねいたしますから、時間の関係もございますので簡単に、簡潔にお答えを願いたいと思います。  今度のこの法律改正についてお聞きいたしますが、自動二輪車につきましてヘルメットをかぶらなければいけない道路を政令で指定されるということでございますが、政令で指定する場合には、どの道路のどこからどこまでの間というふうに具体的に示されるのでありますか、あるいは一級国道とかなんとか、そういうふうな抽象的なことでお示しになるのでありますか、お伺いしたいと思います。
  42. 宮崎清文

    宮崎説明員 ただいまのところ、政令ではさしあたり言いまして、高速自動車国道と自動車専用道路を指定する予定にしております。
  43. 華山親義

    ○華山委員 政令でと言わないで、そのときにはちゃんと法律に書いてしまったらいいんじゃないでしょうか。そういうふうに、政令というふうにやはり幅広くしておいたほうがいいというお考えでございますか。
  44. 宮崎清文

    宮崎説明員 この自動二輪車の運転者並びに同乗者にヘルメットを着用させますことは、私たち警察の立場からいたしますと、事故防止上ぜひとも必要だと考えております。しかしながら、一方におきましては現在御承知のように、ヘルメットはたとえば単価が千七、八百円もいたしますので、この自動二輪車に乗る人々に多少の負担をかけることになりますので、当初は一番危険と思われます自動二輪車が高速で走ることができる高速自動車国道と、それから自動車専用道路ということで出発いたしまして、おいおいそれ以外にも私たち行政指導でヘルメットの着用を奨励いたしたいと思っておりますので、将来このヘルメットを着用することが慣習的になった暁には、この政令で適用の道路をふやしていきたい、このように考えております。
  45. 華山親義

    ○華山委員 その際に各地方の条例ということは考えられますか。
  46. 宮崎清文

    宮崎説明員 ただいまのところは条例に委任することは考えておりません。
  47. 華山親義

    ○華山委員 ずいぶん地方に行きますとあぶない道もあります。カーブ等の急な道もありますので、そういうふうな点も必要じゃないかと思うのでございます。  私それからあまり詳しく知りませんからお聞きいたしますが、ヘルメットをかぶって自動車に乗る、オートバイに乗る、このオートバイに乗ることにつきましては年齢的な制限は何もないのでありますか。
  48. 宮崎清文

    宮崎説明員 自動二輪車の運転につきましては、ただいまのところ免許証は十六歳以上でなければとれないことになっております。それから、同乗者につきましては、これは別に制限はございません。
  49. 華山親義

    ○華山委員 これはもう少し上げてもいいんじゃないですか。だいじょうぶですか。
  50. 宮崎清文

    宮崎説明員 自動二輪車、つまり二輪の車と四、三輪の車とでは性能、構造その他だいぶ違いまして、一般的に申しますと二輪の自動車のほうが運転技術を修得するのは容易であるということになっております。したがいまして、現在のところは四、三輪に比べまして容易な二輪車に対して年齢を引き上げることは考えておりません。
  51. 華山親義

    ○華山委員 私の言うのは、大体楽しみに乗っておるのが多いのですね。ほんとうに新聞社のメッセンジャーであるとか、あるいは中小企業者のいろんな配達であるとか、あるいは通勤用であるとか、そういう人に限られればいいのでありますけれども、スポーツ用として道路の上を走っておる。そういうことは非常にあぶないと思う。特にそういう冒険意思の強い人は若い人が多いんだから、ある程度の年齢制限というものがあってもいいんじゃないか、こんなふうに考えてお聞きいたしましたが、私はそうしろということはここで申しません。  それから次にお伺いしたいと思うのですが、車いすは今度は車道に入ってはいけないということになっておりますが、小さな道から大きな道路に入って、そこでは歩道と車道が分かれているときには歩道が高くなっておりますから、車からおりて上げなければいけない。身体障害者につきましてはそういうことができるのかどうか、私非常に疑問に思うのでございますが、その点御研究になりましたでしょうか。
  52. 宮崎清文

    宮崎説明員 車いすにつきましては、従来は道路交通法上はっきり書いておりませんでしたが、これは理論的に考えますと、どうもやはり車両に入らざるを得ないということで、また実態もそれほどございませんでしたが、御承知のように昨年のパラリンピック以来、車いすに乗って身体障害者の方がいろいろな道路を歩いておるという事例が多くなりましたので、この際、従来のままにいたしておりますと、これはすべて車道を通らなければならないことになります。車道を通りますことは常識的に申しましていかにも危険でございますので、従来必ずしもはっきりしておりませんでしたが、この際、これを歩道を通行するということに改めて実は身体障害者の方の保護をはかろうと考えましたのがこの改正の理由でございます。  なお、御指摘の点につきましては、そういう事例もあろうかと思いますが、この点につきましては、やむを得ない場合には車道を通ることも法に触れないと考えておりますし、実際問題といたしまして、その運用につきましては、いわゆる四角四面な取り締まり、そういうことはいたす考えは全然ございません。
  53. 華山親義

    ○華山委員 いまおっしゃるとおり、やむを得ざる場合に車道を通ったという場合に、事故が起きた、そういう場合には、これは車道を歩いていたほうが法律違反ということになる。何かそのために身体障害者のほうの責任が重くなってきて、それでぶつけたほうの自動車は軽いというような法律的な判断が出てくるおそれはありませんでしょうか。
  54. 宮崎清文

    宮崎説明員 交通事故が起こります場合の原因につきましては、一方だけが絶対によくて、一方だけが絶対に悪いということもございますが、何方に過失がある場合もございます。しかしながら、ただいま御設問のような場合は、身体障害者がやむを得ない場合に車道を渡っておりますときに、他の車両が過失、不注意により、ぶつけました場合には、大体において身体障害者のほうには過失がないことになろうかと思われます。
  55. 華山親義

    ○華山委員 あなたの判断ですけれども、しかし、その人は法律違反してやっておったんですから、裁判という場合には、片方にも責任がある。過失といいますか、過失でないかもしれませんが、法律違反があるということで、私は気の毒なようなことになりはせぬかということを心配いたします。この点は法律の立法の御趣旨はよくわかりますけれども、何か身体障害者につきましては気の毒なような気がいたしますので、ひとつ御再考を願いたいと思います。
  56. 宮崎清文

    宮崎説明員 歩行者の通行区分に関しましては、原則的に歩道と車道の区別があります場合においては歩道を通行しろということになっておりますが、やむを得ない場合には車道を通行してもよろしいという規定がございます。この場合身体障害者につきましては、ご指摘のような点もございますので、これは条理上やむを得ないという場合があるということで、身体障害者の車いすの通行に関連してやむを得ない場合というものがいろいろ出てくるだろうと思われます。そういうような場合に対処しますれば、これは法律上当然に、むずかしく申しますれば、違法性が阻却されておる場合でございますので、責任の問題は起こらないと思います。
  57. 華山親義

    ○華山委員 少し強弁のような気がしますが、時間もございませんからこれ以上詰めてみてもしかたがありませんので、ひとつ身体障害者のために善意を持って法の解釈を統一するなり、政令できめられるなり、御配慮願いたい。  その次にお聞きいたしますが、私、通ってきておりますと、一番気になるのは横断歩道ですね。横断歩道で車の停止線に近いところを通りますと、車が重なっておりますので、人が来たかどうかということがわからないのですね。死角に入るわけです。そういたしますと、ばっと出てこられますと、一番見えるところはいいのですけれども、陰の車が出てくるというときに、非常にあぶないような場合があると思うのですけれども、あのスタートダッシュが早過ぎるのじゃないですか。あのスタートダッシュは制限するということが法令上何かあるのでありますか、一番初めスタートする……。
  58. 宮崎清文

    宮崎説明員 横断歩道をちょうど歩行者が通行しておりますので、前に来た車がとまっております。その背後から車がぱっと飛び出してくることが危険だ、こういう御質問だと承りましたが……。
  59. 華山親義

    ○華山委員 車が、幅広い道になりますと、並んでおりますね。そうすると、こっちから来ますね。そうすると、こっちの一番端の運転手は人が来たということがわかるわけです。ところが車の陰になっている車は、人が来たということがわからないわけです、見えませんから。そうして横断歩道を渡りますね。そのとき信号が変わります。そうすると、人が見える車は動きません。ところが、人の通っているのが見えない車がばっと陰から出てくるのです。あれは非常にあぶないと思うのでございますけれども、それはスタートが速すぎるのじゃないかと思うのですが、あのスタートダッシュを制限するような規定がございますか。
  60. 宮崎清文

    宮崎説明員 スタートダッシュを直接に制限する規定はございません。ただいまの問題は、横断歩道を歩行中には必ず一時停止しなければならない、この義務に違反しているかどうかという問題、あるいは信号を無視してスタートをしているかどうか、こういう問題になろうかと思いますので、そういう点につきましては十分指導、取り締まりをしていきたいと思います。
  61. 華山親義

    ○華山委員 くどいようですけれども信号を無視しているのじゃないのです。ぽかっと変わるのです。変わったときに、たとえば一番右なら右の車は、人がまた来ているなということがわかるわけでです。ですから、信号が変わっても出ませんけれども、その次の車は、人が通っていることは右側の車で見えないものですから、陰からぼっと出てくることがあるのです。歩くほうも、その車の直前を通らないでまん中を歩けということになるかもしれませんけれども、しかし歩いていい道というものはきまっているのですから、あのスタートを少し制限することはできませんか。どんなものでしょうか。私は体験から申し上げるのです。
  62. 宮崎清文

    宮崎説明員 ただいまの御指摘の点は、スタートの問題もございますが、やはり運転手が一般に前方をよく注意して、歩行者に危害を与えないように、こういう注意義務の中に含まれてまいりますので、現在で申しますと、そういう抽象的包括的な規定は、道路交通法七十条にございまして、それで一応いかなる場合においても歩行者等に対しては危害を加えることがあってはならないということになっておりますので、それで担保すると思います。
  63. 華山親義

    ○華山委員 いや、運転手さんのほうから見れば人が来ることがわからなかった、見えないのですから、こう言うにきまっている。それでスタートダッシュの制限ができなかったら、もう少し黄色いシグナルを長くするわけにはまいりませんか。
  64. 宮崎清文

    宮崎説明員 信号機の表示いたします周期につきましてはもちろん一定の原則がございますが、それぞれ現場の交通量その他に応じまして多少変えております。したがいまして、特にそういう事例が多いような交差点であれば、現場におきましてそういう黄色の時間を長くするというようなこともあるいは考えられると思います。
  65. 華山親義

    ○華山委員 自分のことを言って恐縮ですけれども、たとえば青が出ておっても私は渡らない。一ぺん赤が出て、それから青が出たときに渡る。そういうふうなことをしないと、途中で変わられることがこわいのです、ことに広い道では。それで、先ほど言ったとおり、何列も自動車が横に並んでおりますと、一番端の車は人が来るのがわかるけれども、その次の車からはわからない。それでたいへんなスピードでばっと出てくるからひっかけられる、そういうことがあろうかと思うのでございますので、ぜひ調整をひとつお考え願いたいと思います。  その次に、たとえば道路に交通のための専用の架橋がずいぶんこのごろつくられて、やかましい問題になっているのでございますが、これは一体どこの所管でございますか。道路架橋をつくるという仕事、これをやってくれという仕事、それは一体最終的にどこがきめるものでございますか。
  66. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路を横断します横断歩道橋の問題だと思います。これは普通公共道路でございますと道路管理者の所管でございます。
  67. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、そういうふうな道につきまして、国道でございますと建設省が予算を持ち、かつ決定してやる、こういうことでございますね。
  68. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国道のうち建設省が所管しております直轄管理区間につきましては建設省でございます。それ以外の区間につきましては都道府県知事に委任してございますので、都道府県知事でございます。
  69. 華山親義

    ○華山委員 ここへつくれというような要求は警察関係がやるわけですか、あるいは地方の公安委員会が要求するわけでございますか。
  70. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 要求はおおむね地元の方々が必要性を感じられて。大体道路管理者のほうへ出されてくるものと承知しております。これは警察の問題かと思って警察、あるいは公安委員会のほうへいく場合もあるかと思いますが、終局的には道路管理者にまいるわけであります。
  71. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、つくることは道路管理者でしょうが、そういうものをつくってもらいたい、あるいはつくるべきであるというふうな計画、こういうことを地方の連中が陳情してやるということはおかしいのであって、——地方の連中の陳情というものはあったっていいでしょうけれども、これは警察、並びに地方公安委員会がやるべきことじゃないでしょうか。
  72. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 ただいまの問題につきましては、警察の立場からもここに横断歩道橋を設けたらどうかということを痛感する場合もございまして、そういう場合には私どものほうが建設省、道路管理者側等と打ち合わせいたしまして要求するという形になる場合が多かろうと思います。  なお、先ほどちょっと秋山先生の場合に触れましたが、現在全国で交通事故の多発地点を選びまして、それをモデル地区として道路管理者側と安全施設の整備についていろいろ打ち合わせいたしておりますが、その中にそういう問題も出てこようかと思います。
  73. 華山親義

    ○華山委員 行政的にはっきりきめていただきたいと私は思います。そうしませんと、この問題の責任は警察にある、そしてその歩道安全のためのことは道路管理者にある、その点は何かきちんときめてやっていただかないと、いつまでもできないのじゃないかと私は思う。そして自治体がやるべきものであるならば、そのための財政措置も考えたらいいだろうし、そうしませんと、いつまでたっても交通の安全というものは保せられないのじゃないか、私はこういうふうな気がいたします。  それから、もう一つ伺います。例の信号でございますが、信号警察指導しておつくりになるわけでございますか、個所の選定等はいかがになっておりますか。
  74. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 信号機警察の所管でございます。
  75. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、ここに信号機をつくるというようなことで、何らか五ヵ年計画なり三ヵ年計画なりございますか。
  76. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 本年度からとりあえず四ヵ年計画で、全国に約五千の信号機をつける計画を持っております。
  77. 華山親義

    ○華山委員 ことしの補助金はどのくらいでございますか。
  78. 宮崎清文

    宮崎説明員 昭和四十年度につきましては、信号機の国庫補助は一億七千九百万円となっております。したがいまして、これは五割国庫補助でございますから約三億六千万円ばかりの金額が信号機に充当されてまいります。なお、それ以外に本年度から四カ年計画で地方債によるワク外の起債が認められておりまして、四十年度はとりあえず約五億これを信号機のほうに充当する予定にいたしております。したがいまして、昭和四十年度におきましては約八億八千万くらいの金額で信号機を設置することになります。
  79. 華山親義

    ○華山委員 それを個数に直しますと何個所くらいになりますか。
  80. 宮崎清文

    宮崎説明員 信号機の単価は一番簡単なもので、四つが一組になっておりますものが約六十万でございますが、先ほどいろいろ御指摘がございましたように、歩行者専用のものをつけたり何かいたしますと、それよりふえる場合があります。したがいまして、まだどこに何をつけるかということはきまっておりませんので、正確な個数を申し上げかねますが、大体八百基ないし千基ぐらいはつけられるだろうと思っております。
  81. 華山親義

    ○華山委員 先ほど四カ年計画では何基とおっしゃいましたか。
  82. 宮崎清文

    宮崎説明員 五千でございます。初年度がしたがいまして千ぐらいになります。
  83. 華山親義

    ○華山委員 そこで、ことしはこれだけの個数にしようという場合には、各地方からのいろいろな調査といいますか、地方からの計画といいますか、そういうものを取りまとめてなさるわけでございますね。
  84. 宮崎清文

    宮崎説明員 さようでございます。
  85. 華山親義

    ○華山委員 ことし、地方から合計何個の要求がございましたか。
  86. 宮崎清文

    宮崎説明員 手元にちょっと正確な数字を持っておりませんが、大体ことしは初年度といたしまして、地方の要望をほぼ満たし得る予算が取れたと思っております。
  87. 華山親義

    ○華山委員 あしたでよろしゅうございますから、地方からなまのままで何個の要望があって、中央でそれをどういうふうに査定されて、大蔵省のほうではそれをどれだけ認めたか、調べておいていただきたい。  それから今後の道路交通法の改正について何かお考えになっていること、こういう点は改正したいというふうにお考えになっている点がございますか。
  88. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 ただいま直ちに具体的にこういう点ということはございませんが、ただ将来の問題といたしまして考えておりますことは、行政処分に関連いたしまして点数制度を取り入れるかどうかというような問題いわゆるポイントシステムということで新聞等に報道されておりますが、一定の点数をあらかじめ運転者に与えておきまして、そしてそれによって行政処分をする前のある程度の行政措置をするかどうか、行政処分は現在一年になっておりますが、一年でいいかどうかというような問題もあわせて検討したい。これは長期的な検討でございます。なお、いろいろ問題がございまして、道交法の罰則がただいま行政刑罰の形になっておりますが、これをいわゆる行政罰に直せぬかという問題もございますので、そういう点も検討中でございますが、ただいま直ちに来年度こういう点をお願いするという面は現在のところございません。
  89. 華山親義

    ○華山委員 私もその最後の点でございますが、軽微なものにつきましては行政罰に移すというふうなことは、私、主義として反対するわけでもございませんが、行政罰ということになりますというとこれは結局は公安委員会の権能になるわけでございますから、そのために、自分のところであるということから非常に処分のしかたが軽卒になったり何かするようなことが反対の面としてはおそれられるわけでございまして、その点はひとつ慎重に、今後検討される場合に御研究を願いたいと思います。
  90. 宮崎清文

    宮崎説明員 最後の点でございますが、いま局長が行政罰と申しましたのは、これは一般的に行政罰と申しますと過料のほうでございます。したがいまして、過料は非訟事件手続法によりまして裁判所の管轄に属しておりますので、公安委員会がこれをみだりにかってにやるということはございません。
  91. 華山親義

    ○華山委員 これで終わります。
  92. 藤田義光

    ○藤田(義)委員長代理 次に細谷治嘉君。
  93. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間の制限がありますから二、三の点を質問してみたいと思います。  まず第一にお尋ねいたしたい点は、私は毎朝本郷三丁目の地下鉄に乗るためにあそこを往復するわけですが、しみじみと感じますことは、横断歩道にしばしば——どころではなくてひんぱんに、横断歩道の幅がありますと、それに完全に自動車が入ってしまう。ですから、何のことはない、青信号になって通ろうとしますと、全部こう横断歩道をはみ出して回るわけです。非常にその横断歩道が危険であり、通りにくいのです。警官はどうしているかと見ますと、台の上に立って、何にも言わぬでのんびりとながめております。これでよろしいのでしょうか、お尋ねします。
  94. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘のような点は確かに問題のあるケースでございまして、横断歩道の上で停止するというケースにつきまして検討してみますと、運転者がきわめて不注意でそういう形になるという場合と、それから信号機の点滅の時間との関連において、運転者がやむを得ず横断歩道の上にとまらざるを得ないというような瞬間的な判断が出る場合もあろうかと思います。しかし、きわめて好ましくない状態でございまして、そういう点がないようにということで、先ほども説明申し上げましたが、横断歩道を予告する線を設けまして、もう近く横断歩道があるぞということでスピードをゆるめてもらうということで、信号機との関連におきまして、横断歩道の手前でとまれるような施設の面からの施策を講じようとしておることと、もう一つ停止線を横断歩道より一メール五十ないし二メートル前に明確に設けるということで、そういう事態がなるべくないように施設の面から改良をしていこうということを現在やっております。それから、やむを得ず時間で信号機との関連において横断歩道の上でとまった。しかも警察官がおってそのまま放置しているということは好ましくないことでありますので、歩道の上から自動車はある程度やむを得ざる場合には後退するということは、うしろに自動車が追従してまいりますので技術的になかなかむずかしかろうと思いますので、横断歩道をあけてやや前方に進行させるということはできようかと思います。   〔藤田(義)委員長代理退席、田川委員長代理   着席〕 そういう意味で、横断歩道の上に車をいたずらに並べておくということは好ましくないと思います。
  95. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その好ましくないのが現実にあるわけです。いまおことばにありました、うしろへ下がれば下がれる余地があるのに、下がらないのです。下がらないので、ちゃんとその横断歩道のまっただ中に横断歩道の幅ぐらいを完全に占用をしておる。そうして、そのそばに立っておる人は、ぴいぴいと鳴らしますけれども——あまり言うといけませんけれども、あそこには有名なひげの巡査がおりまして熱心にやっておりますけれども、そういう点に注意しない。私も注意したいぐらいの状態になっておりますけれども、立って、四、五人おるでしょう。それがやっておりません。ですから私は、施設をつくるつくるとおっしゃるけれども、現に見ておるなら一言注意すればいいでしょう。それはいかぬですよ、もううしろのほうが余地がないのなら前へ出て、歩行者が迅速に安全に通れるようにしなさい。うしろへ下がる余地があったら下がりなさいと一言だけ注意すれば、笛を吹いている人のほかにまだちゃんと交番におる人もあるのですから、施設、施設とおっしゃるけれども、施設というのは逃げ場であって、大体たるんでいるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  96. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘のようなことのないように、十分注意して指導してまいりたいと思います。
  97. 細谷治嘉

    ○細谷委員 五月十日の新聞に「江口警察庁長官に訴える、歩行者は路傍の石か、なまぬるい警官の態度」こういう見出しで記事が出ております。これに対して長官から「横断歩道信号を改善、全国的な“忍者部隊”も考える」、こういう見出しで答えが出ているわけですが、その中を読んでみますと、いま私が言ったようなことは違反なんですね。こういうことは、一言でも注意しますと、ずいぶん効果が出るのじゃないかと思うのですけれども、それを放置しておる。こういうことでありますから、長官に訴えたこの会社員の「なまぬるい警官の態度」ということは、幾ら人数をふやしても、いまのような態勢ではいかぬのじゃないかという気が、私は毎朝毎晩本郷三丁目の交差点を通るたびにするわけでありまして、現実に目の前で法律違反あるいは安全を阻害するような行為があったら、ひとつ苦労をいとわずに、効果があがるように注意をしていただきたい、こういうふうに私は思います。  ところで、この新聞にも書いてありますように、警察官自体のたるみというのが、たとえば違反があったのをもみ消したとか、あるいは交通警官自体が酔っぱらってバイクに乗って事故を起こしたという事故等も最近ありますし、あるいは試験でカンニングを認めたとか、かえ玉を認めたとか、いろいろなことが新聞に書いてあるわけですけれども、そういういろいろな問題からいって、全体としては警察庁の方針に基づいてやっているかもしれませんけれども、そういう点が非常に大きな、倍、三倍というような交通事故の、精神のたるみということになりますから、ひとつそういう点では厳格な姿勢でそういう違反事項はとくと注意していく、こういうことをお願いしたいと思うのです。  それから、ことしに入りましてから事故が減ったというので、警察庁もたいへん得意になっていらっしゃるわけでありますが、この長官のお答えの中にも、締めくくりに、四月末日現在は三千七百七十二人で、昨年同期に比して三百五十八人減っておる、こういうふうに書いてあって、たいへんけっこうなことでありますけれども、かつて、三十六年ですか、事故がかなり激減したということで、成果があがったと言っておったのですけれども、昨年になりますと、またどんどんウナギ登りに上がった、こういう現況でございます。  そこで、警察庁も統計の中から指摘して——先ほど来も質問があったのですけれども、ひとつ長官にお尋ねしたいのですけれども、いま信号機ができた、その信号機ができる前の六カ月間とできた後の六カ月間というのが警察庁の統計に出ておるわけですけれども信号機ができる前よりも、できた後は約五六%程度死者が減っておるのです。これは環状七号線の例もあるのですが、信号機がかなり効果があがっておるわけです。いまお聞きしますと、全国で五千基程度を四十三年までをめどにやるのだということばでありますが、こんなことでは焼け石に水じゃないかと私は思っている。そこでこの信号機を取りつけるということは、道路の施設の一部として建設省におまかせする、こことここに信号機をつけないと車は通さぬぞと、交通行政の責任者としての警察庁は、安全性ということからこれを強くチェックしていく。ここには設けなければ道路として使わせぬ、いわゆる舗装と同じように、道路の建設にあたって信号機をつけさせる、道路費の中にやはりこれを組んでいく、こういうふうな行政の整理をなさったらどうかと私は思っておるのですが、長官いかがですか。
  98. 江口俊男

    江口政府委員 現在の交通安全の施策という本のは、各省各庁にまたがるいろいろな面がたくさんございますことはおっしゃるとおりでございまして、特に建設省といいますか、道路管理者と交通取り締まり行政をやっておりまするわれわれとの間は一番密接な関係にあるわけでございまして、道路標識等についても、案内標識は道路管理者、取り締まり標識はこちらのほうというようなことで、一般の市民から見まして、何の区別する必要があるかという面もあると思います。だから大きな観点から道路行政、交通行政というものを一本にするような時期にまいりますれば、ただいまおっしゃるように信号機なりも警察でつけなければならぬという、本質的にそういうものじゃございませんから、どこでつけてもいいのであって、道路の一部として道路行政の中に取り入れたほうがいいという結論になりますれば何も反対ございません。しかし、そういうことをひっくるめて、どこでどういうふうにやっていくかというのは、近く総理府に発足いたしまする交通安全調査室を中心として、まだほかの省にもまたがる点がたくさんございますから、そういうところで検討の上結論が出るものと思います。現状は先ほど来御説明いたしておりまするように、どこがやるにしても、自分のほうだから反対するとか、人のほうだから促進しないとかいうことじゃなしに、道路管理者と警察当局とは一緒になって、ここに信号機をつくろうじゃないかとか、あるいは歩道をつくろうじゃないかというような検討をし、努力をしている最中でございますから、現在は私は、各省庁の権限に属する、あるいは言いかえれば義務に属する事柄を、その立場において一生懸命やっていく時期であって、これを総合調整するというようなことは、まだ各省各庁がやり足らない面がたくさんあるので、それで出過ぎるぐらいのところまでいって、そこで調整をするということも一つの方法かと思います。信号機警察でつけなければならぬ絶対的な本質がないのだから、道路の一部としてつけるほうがいいという結論になれば、私はそれも一つの行き方かと考えます。特別に反対はございません。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうなればという大勢順応主義のように承ったのであります。  建設省にお尋ねしたいのでありますが、安全信号機は今日では道路の施設の一部なのですね、舗装とか側溝とかガードレールをつけるということばかりじゃなくて。現実にやはり信号機をつけた場合には、事故が非常に減っておるわけです。これはやはり交通の量、道路の環境というところからいって、警察庁と打ち合わせて道路の費用の予算の中で必要な個数はつけていく、そして道路として使っていく、こういうことで整理をしなければ、先ほどお話を聞きますと、警察庁のほうから交通行政に明るい人を建設省にもらって、また建設省のほうの道路行政に明るい人を警察庁にやって、人事の交流でカバーをするというようなお話もあったのでありますが、これをきちっとやって、警察の交通行政からはやはりその道路の施設としての信号機は必要数は必ずつけさせる、こういう行政の体制が望ましいと思いますし、これは私ばかりの意見じゃなくて、道路の問題についてかなり専門的に研究をしている人の意見もそうなんですが、建設省としてはどうお思いなんですか。これは私は警察庁のなわ張りとか、建設省のなわ張りとか、そういう問題じゃなくて、それぞれやるべき重要な交通行政、道路行政ということでそれをやっていけばいいわけですから、建設省はどうお考えになっているのか、それもまた大勢順応ですか。
  100. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいま江口長官からお話のありましたことと全く同意見です。信号灯は、特に都市内の道路交通上密接不可分の問題である。したがって、道路施設を事実上考えられておるということにつきましても、私も同意見であります。ただ、ただいまの行政区分では、それが交通の規制にかかわる、あるいは違反に際して罰則のかかるこういった施設につきましては、警察のほうで御担当願っております関係上そうなっておるのでございまして、今後の問題として、新しくできる調査室等で十分御検討願う、こういう趣旨のものだと心得ております。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほどお話を聞きますと、警察庁も一生懸命やっているでしょうけれども、この信号機等交通関係の施設に使う支出というのは、道路整備費に比べますと、これはまた格段の低さなんです。たとえば大体においてここ四、五年の経過を見ますと道路費用に対して大体〇・〇九%くらい、そのうちの信号機というのはまたそのうちの何分の一ということになるわけですから、信号機の効果はあらたかだということは統計上証明されておりますけれども、これは百年河清を待つ感があると思うのです。たとえば五千個所、あるいは信号機の要求が七千二百二十個所あるわけだ、最低見積もっても七十万と一般に言われておりますけれども、実際は九十万か百万くらい平均かかるんじゃないかと思うのです。そうなってまいりますと今度の予算、その上に損保協会等の起債五億円ということでありますけれども、これはおそらくなかなか計画できませんよ。その上にお聞きしますと、どうも補助金をやって、そして起債はまた別に補助金のないところに起債をやるというようなおつもりかもしれませんけれども地方財政の実情もあまり考えない措置になるんじゃないかという気がしますが、この辺についてもお答えをお聞きしたいと思います。
  102. 江口俊男

    江口政府委員 もちろん補助金の対応額をその起債でまかなわれるということは、こちらの計算どおり数にならないことは言うまでもございませんが、各府県と個別に折衝をして、現在見込みの立っているところは、先ほど宮崎課長が申し上げたとおり大体千基くらいのところは本年度は消化できる、こういうつもりでやっております。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで千基といっても七千二百二十個緊急に要望があるとする。先ほど五千個ということでありますが、五年か七年はかかるわけです。大体いままでの実績は八百個から九百個でしょう。単価も上がっておるわけですから、これはとてもできないと私は思うのです。四十三年までに五千個やるのだといいますけれども、それで十分ということじゃない。一方は何千億ある道路費の中で、道路の建設とともにこういう形をやっていくということになりますと、警察も安心してこの信号機の設置推進ということができぬじゃないか。そしてその信号機の交通上から見た意見というのは警察庁が握るわけですから、それのほうが効果のあがる信号機を推進するためによろしいんじゃないか、こう思うのです。そういうふうには——これは調査会の答申をお待ちするのだということでありますから、きょうこれ以上申し上げてもどうにもならないのでありますが、そうしますと具体的にお尋ねしますけれども、起債五億円というのは補助金のついたところとは別ですか。
  104. 宮崎清文

    宮崎説明員 先ほど長官も申し上げましたように、補助金対応額と起債とは全然別個でございます。したがって、起債額だけプラスして信号機をつけるということになっております。
  105. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その起債はどこにつけるのですか。
  106. 宮崎清文

    宮崎説明員 地方の起債につきましては、御承知かと思いますが自治省のほうで担当しておりまして、この限度額として千五百万という限度があるわけであります。したがいまして、非常に小さな府県でございますと、その限度額に達しない府県もございますので、大体におきましていま要求が出ておりますのは中以上の府県であります。これらの府県の起債によりまして信号機を整備いたしますとともに、それ以外に、補助金分は勘案いたしまして各都道府県に配分されることになっております。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷委員 実際信号機をつけるということになりますと、地元負担の形で、国庫が半分ということになる。平均しまして七十万くらいと見ますと三十五万国庫負担が来るでしょう。県費が三十五万ということになりますね。そのうちの半分は地元の市町村が負担させられておりますよ。たいへんな予算ですよ。市町村が起債を見てやるということですか。
  108. 宮崎清文

    宮崎説明員 ただいま考えております起債は、都道府県段階の起債でございます。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、実際は七十万でできなくて、平均九十万か百万かかるわけですから、超過負担というものもこれは市町村にあるし、あるいは一部分交通安全協会等で負担するということになるわけですが、市町村には何も見てもらえないということになりますと、それでなくても困っている、府県以上に現在は財政が窮迫しておる市町村は——主として市でしょう、たいへん困るんじゃないでしょうかね。自治省の意見をお聞きになったですが。
  110. 宮崎清文

    宮崎説明員 従来は御指摘のように補助金の額も必ずしも十分でなかったために、現実に地元に若干の御負担をお願いしました例もございますが、今回のように起債が認められますと、これは大体市町村にそう御迷惑をかけないで、都道府県段階で信号機の整備ができることを期待しております。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷委員 たいへんしつこい質問でありますが、市町村に御迷惑をかけないということは、もう国庫補助と県で起債を見てやるんだから、やるというように理解してよろしいですか。市町村の負担はもうやらせない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  112. 宮崎清文

    宮崎説明員 従来も一部市町村に負担をしていただいた例もございますが、これはやむを得ずそういうことになったかと私たちは理解しておりますので、今後はなるべくそういうことがないようにいたしたいと思います。
  113. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まだちょっとはっきりしてない。今後なるべくそうさせないようにすると言うのですが、局長さんどうですか。起債もできたのですからそれはどんどんやらなければいかぬですし、私はきちんとしようと言っているのですけれども、それはできない、いますぐできないということでありますが、起債も見てやるということでありますから、もう国庫補助と府県でやって市町村には負担させないということを、ここではっきりお答えいただけませんか。
  114. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 先ほどからお答え申し上げておりますように、補助金は県に対する補助金でございまして、それから起債は県に対する起債であるということで、たてまえといたしましてはもう県が全部持ってやる、県財政の中でやるということがたてまえでございまして、警察から地元へ負担させてやるというイニシアチブをとるつもりはございません。
  115. 細谷治嘉

    ○細谷委員 イニシアチブをとらせないということでありますけれども、従来は確かに警察がイニシアチブをとってこことここに信号機をつけてやるから、ひとつ県費はこれだけ出すからあとは全部ということで、一つ信号機をつけるということになりますと、大体四、五十万くらいは地元の市町村の負担になったわけですが、警察はイニシアチブをとらない。たてまえとしては市町村に負担させない、こういうことに理解してよろしいわけですね。警察は絶対イニシアをとらぬ。それからたてまえとしてはやはり市町村に負担はさせないで、国庫補助と県費で、都道府県で責任をもってやらせるのだ、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  116. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御承知のように県の予算で組むわけでございますから、設置のできる十分な予算を県費で組むように指導したいと思います。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 細谷治嘉

    ○細谷委員 かなり姿勢は変わってきておるようでありますけれども、まだ安心がいきません。私ども帰りましたら、もう市町村は、負担なぞ持ってきたら大体お断わりしろというようにPRをいたしますが、けっこうですね。  その次に一つお尋ねしておきたいと思います。私も自動車事故を起こしたことがあります。その節、私は公用車に乗っているときに事故を起こしたのですが、そうしますと、何かいわゆる示談ということで全国に団体があるのですね。それを、言うことを聞きませんとなかなかおどしがかかってまいります。そうなりますと、一般の人が交通事故を起こしたとき、手続上もたいへんでありますし、そういう人たちが介入するわけで、精神的にも——肉体的にはむろん事故を起こしているのですからたいへんでありますが、これはもっと手続を簡素化すると同時に、もっとやはりそういう問題については、国のほうで相談所なりあるいはそういう事務所なりを、各県ごとくらいに設けてやるというくらいの体制が必要ではないか。現実にたくさんの死人が起こっている、事故が起こっているわけです。これは一般の人はたまりません。相当な、かつては入れ墨を入れておった人が入ってくるわけですから。こういう点について、何らかのうまい方法をお考えになっているかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  118. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 確かに御指摘のような、いわゆる交通示談屋と称する団体が全国に相当数あることは承知しております。こういう団体の手を通じてしか示談ができないということは、きわめて好ましくない状況だと思います。したがって、交通相談につきましては、私どものほうといたしましては、警察の立場から交通安全協会等に交通相談所を設けて、積極的に事業としてそういう交通の賠償問題についての相談を受けるようにという指導をしておるのでございます。今後そういう方向に推進してまいりたいと思っております。
  119. 細谷治嘉

    ○細谷委員 どこからかわかりませんけれども、事故を起こすとすぐ知って、たずねてくるのですね。たずねてきますと、これは普通の人は断われません。だれそれですと名のってきますが、大体相当腕の強い人の名前が出てきますから、言ってこられますと断われないのです。いや、私は正規のルートでやるということは、なかなか言いにくい実情にございます。この辺のことについて、ひとつ交通局長さんなり、特に長官に、たいへん困っておりますから、そういう問題が簡素に、しかも的確に、迅速にできるような、特段の御配慮をひとつお願いしたい、こう思っております。  最後に一点お尋ねしたいのですが、私、最近の事故を見ますと、どうもめいてい運転等の、しかも大体常習犯が相当多いようです。二度、三度と重ねておる人がずいぶん多いようであります。それからもう一つはやはり性格的に異常者といいますか、異常というとちょっと失礼でありますけれども、どうも安全的な観念というものが先天的にない人が、やはり事故を起こしている例が非常に多いのじゃないかと思うのです。新聞等でも、違反は常習犯に多いというようなことも書いてあるわけなんで、そうなってまいりますと、やはり免許ということについての適格検査ということも必要ではないか、たとえば保育園の通園バスに雇ったところが、それはもう四回も五回も事故を起こした人であって、みごとに——みごとというと誤弊がありますけれども、保育園の子供さんを乗せて事故を起こしたという例もあるわけで、この辺どうお考えになっておりましょうか。
  120. 江口俊男

    江口政府委員 ざっくばらんに申し上げますれば、その点が一番痛いところでございまして、免許行政というのが、交通行政の中で一番実は立ちおくれておるわけであります。免許のための特別の課を独立させたのもここ一、二年のことでありまして、各県もそれに応じてやはりおくれております。  そこで、免許のそういうことのやり方は、だんだん進歩はするのでありますが、現在ねらっておりますのは、いわゆる常習というものを現につかまえてないわけです。何回目の違反であるかということが現在的確に把握されておりません。だから同じような違反を犯しましても、三回目の者と一回目の者は処置が違ってしかるべきものでございますけれども、現実にはそういうことができてない、それはもともとそういう制度というものが確立してないというところにございますから、これは電子計算機を入れまして、中央に各県の交通違反を全部集積できるように、現在しかけをしているところでございます。だから常習という意味のものを排除することは、近くある程度できると考えます。しかし、もう一つの点、適格者だけに免許を与えるという方法、これは脳波の検査その他あるそうでございますが、これは現在の数だけを現在のやり方でさばくことでさえも、なかなか試験のほうはたいへんのようでございますが、どういうふうにやって適格性があるか、不適格であるかということを鑑別するか、その方法が簡単に見つかれば、われわれとしてはぜひそういう方向で採用していきたい、こう考えております。
  121. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはある県の統計でありますけれども、大体二度以上処分を受けた者が全体の事故の二十%を占めているという統計もあるのですね。五分の一、これはたいへんなことです。しかも、その処分をやっておる場合に、その処分をかりに受けた人も停止期間中に講習を受けて短縮される、こういうことですね。ですから、そういう行政処分の問題等とも関連をしていろいろな問題があるのですね。停止期間中に講習を受けて短縮した。乗ったらすぐ保育園の子供を、事故を起こした、こういう例がありますし、とにかく二割くらいは二度以上の違反常習者、こういうことになりますと、どうもやはり運転者としての適格性を先天的に欠くところがあるのではないかという気もいたしますので、その辺はなかなか医学的、あるいは科学的に判断をすることはむずかしいでしょうが、少なくともやはり常習犯という者については、もう運転免許を——講習をしても直らないのです。やはりその辺の具体的な対策が必要ではないか、こう思うので、この点について交通局長さんの御答弁をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 ただいまの講習の問題につきましては、御指摘のようなのは講習してもだめだという御意見でございましたが、せっかく講習をやるのですから、なるべく講習の内容を充実して、危険性の態様に応じた講習をやりたいということで、今度の改正法案の中に講習の手数料を取るようになっておりますが、できればそれを財源にいたしまして充実した講習を、しかも危険性の態様に応じた講習をして、なるべく運転者の再教育を実施してまいりたいということを考えておることが一つと、それからもう一つは、先天的にどうも不適格者じゃないかという問題がございます。確かにそういう傾向をわれわれも看取しておるのでございますが、しからばそういうものをいかなるテストによってあらかじめ排除できるであろうかということが一番問題になるわけでございまして、ただいま私どものほうでここ一両年の間に心理学者等のお知恵も拝借いたしまして、性格テスト、心理テストの一応の案ができまして、今後これを直ちに試験としては採用はいたしませんが、いろいろな機会にそれを試験的に採用してみまして、この試験方法でやれば不適格者を必ず排除できる、適格者がその中に入ってこないというような自信が得られれば、試験の中に織り込んでまいりたいというふうに考えておりますが、現在の段階ではまだこれを直ちに試験の方法として採用するという確信が持てない段階でございますので、御了承をお願いしたいと思います。
  123. 中馬辰猪

    中馬委員長 大石委員。
  124. 大石八治

    ○大石(八)委員 前回の委員会のときにお願いをした年齢別の事故率の表をほしいと言いましたが、十六歳、十七歳と、それから十八歳以上と二色に分ける以外の資料はできないのですかどうか。私はたとえば十八歳、十九歳、二十歳というふうに二十五歳くらいまでの年齢別の、特に十六、十七が多いのだということを証明するためには、そういうふうな年齢別の統計がなければ、比較はできないと思うのですが、そういうものはできないものか。いただいたのは十六、十七と十八からあとは一括したものとなっているわけです。
  125. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 お手元に差し上げました資料は確かに十六、七歳の事故率と、十八歳以上の事故率ということになっておりまして、御指摘のような不備が確かにあろうかと思います。それで私どものほうも、そういう年齢別の事故率というものを何とか出したいということで、数字的にそれを出したいということで努力してみたのでございますけれども、先ほど長官からも御説明のありましたように、免許行政が非常に立ちおくれておりまして、データがきわめて不足しておりまして、年齢別に正確なデータをとるということができませんでした。ただその十六、七歳と十八歳以上の大ざっぱな事故率というものは出たわけでございまして、それを一応比較してみたわけでございます。その比較によりますと、十六、七歳の事故率が、十八歳以上の事故率よりも、事故率が約倍近く高いということが出ております。ただ御意見のように、たとえば十八、九歳の事故率というのが出せれば確かに正確な比較になると思いますが、現在のところでそれが出ませんので、一応これに若干修正を加えなければならぬと思いますけれども、概して十六、七歳のほうが事故率が高いということは言えると思うのでございます。
  126. 大石八治

    ○大石(八)委員 もう一点だけ。改正案の問題は十八に引き上げる、ここ二歳のことを言っているわけです。したがって、十八から四十、五十、六十の人まで含めたやつと比べてみても、実は全く意味はないと思う。したがって、十八、十九、二十、二十一、二十二というふうに、そこらの事故率が出てこなければ十六、十七はいけないのだというデータの上の証明はできないと思うのです。いまの場合ではそういう資料はないという御返事でしょうかどうか。
  127. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 この資料の中に出ておりますように、要するに十八歳以上の者が持てる免許、現在の段階では普通免許を持っているわけですが、普通免許をもちまして、軽自動車を運転している人が相当あるわけでございます。それを一応事故率を算定する場合に中に入れて補正して計算しているわけでございますが、その補正をする場合に、十八、九歳の者がどの程度普通自動車で軽三輪、四輪を運転しているかということがつかみにくいものですから、結局十八歳以上全体をつかんで出したサンプル調査で、福岡と大阪の府県で一定期日の間軽自動車を運転する者にとまっていただきまして、免許証を見まして、普通自動車で軽自動車をどのくらい運転しているだろうか、軽自動車を普通免許でやっている者は約一・五倍プラスされるデータが出たわけでございますが、その修正がこのデータを出す場合に非常に大きな問題でございまして、その点が十八、九歳のデータということがつかめませんものですから、したがって、はなはだ残念でございましたけれども、御指摘のような正確なデータが出ないことになっていることを御了承願いたいと思います。
  128. 中馬辰猪

    中馬委員長 本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————    午後三時二十八分開議
  129. 田川誠一

    ○田川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。門司亮君。
  130. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡単に、通産省関係のほうから先にお聞きしておきたいと思います。  先ほどからの質疑あるいは答弁を承っておりますと、この法案については各省の了解を得て、こういう御答弁があったように聞いておりますが、われわれの手元へ参っております中小企業団体からの陳情書によると、年齢の引き上げは中小企業にとってはきわめて迷惑だというか不利益だという、こういう陳情があるのですが、通産省はこれをどう考えて——通産省と十分に打ち合わせの上ですかね、これは。
  131. 荒玉義人

    荒玉説明員 私のほうにもお話がございまして、当時御承知のように中小企業の団体、総連合から非常に困るという話も聞いております。ただ正式に政府の中でお話がありまして、われわれといたしましては、確かに影響はないとは申せませんが、やはり従来のいろいろな実績から考えて、ある程度年齢の引き上げということも、そういう意味からやむを得ないのじゃないかという判断をいたしたわけでございます。
  132. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、問題は、この種の自動車産業は将来大きな新しい社会の産業一つになろうかと思います。それから同時に産業の形も、こういう運輸機関が当然利用されることもあろうと思います。それから全体の良識としても、いま日本の場合はいろいろな問題がありますが、たとえば外国の場合等を見てみると、かなり若い者から年寄りも女も子供もということで、これらの調査についてはかなり広範に行なわれておる。そういう時代の一つの趨勢と自動車産業との関連性はどうなりますか。その点を十分考慮されているかどうか。
  133. 荒玉義人

    荒玉説明員 ちょっと実は自動車産業全体の見方という立場で申し上げることはできませんので、主として中小企業の立場からさっき申し上げたような考え方でお話し申し上げます。したがって、これが自動車産業にどう影響があるかという点については、ちょっと私自身責任ある答弁ができません。残念でございますが、御了承願います。
  134. 門司亮

    ○門司委員 答弁ができなければそれ以上追及してもしようがないと思います。  それから、もう一つの観念は、これはむしろ警察関係よりもやはり中小企業庁関係あるいは通産省関係になろうかと思いますが、さっき申し上げましたように、普遍的なものでなければならない一つの運輸機関だと私は思うのです。また交通の機関だと思うのです。それを年齢を引き上げるということは、それだけの世の中の産業の発展というか、社会の文化の発展というか、それをチェックするような姿になりはしないかということで、一まつの懸念があるのです。どこへ行っても、自動車は普通の従来の自転車の観念と同じような観念で普及されるものだと思います。いまこそ日本では総人口に比例して、たくさんの車は持っていないかもしれません。しかしこれも人口の比率からいえばかなりたくさん持っているはずです。これはもっと普及されるに違いない、また普及されなければならない。その場合にあまり年齢を制限することは、この時代と全く逆行する形に概念的にというか、観念的になりはしないかということが疑われるのですが、その点は警察当局はどう考えておりますか。
  135. 江口俊男

    江口政府委員 おっしゃるような危惧もございまして、これは文明の利器でもあり、時代の趨勢でもあるし、なるたけ子供のころから熟知させることによって、年齢をむしろ引き下げる方向にいくべきじゃないかという議論ももちろん立ち得るわけでございます。日本よりもさらに進んでおるというか、前からやっておる諸外国におきましても、私たちの調べました限りにおきましては、大部分が四輪及び三輪につきましては十八歳という制限をアメリカ等でも持っておるわけです。そういう時代の要請と、やはり未熟な者にやらせればある程度あぶないという危険防止の意味からの要請との妥協点をどこに置くかという問題でございまして、日本におきましては現在のところ三輪、四輪については、諸外国並みに十八歳くらいのところが必要じゃなかろうかということで、今回こういう提案をしたわけでございます。
  136. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ中小企業庁の方に聞いておきたいと思います。  それはこういう形でできてまいりますのと、それから同時に自動車自身の性能、これと速度の制限との関連は非常にむずかしいと思うんです。最近テレビやその他をずっと見てみても、かなり自動車の性能というものが高性能のものが宣伝されておる。高性能で宣伝されているが、しかしそれだけの性能の発揮ができるかというと日本の場合は絶対できない。ところが、一方においてはそういう高性能にあこがれて、ものを買ってくるといいますか、使用することもあるが、現実にはそれが使えない。したがって使っている者の心理としては、性能一ぱいくらいは出してみたいという心理が当然動くと私は思う。この辺の関係はどういうふうに——自動車を生産する場合の性能と、日本の国内におけるこういう制限の規定との関連とをお考えになっておられるかどうか。
  137. 荒玉義人

    荒玉説明員 ちょっと先ほど申し上げましたように、私自身中小企業庁でございますので、ちょっと重工所管のことについて私は責任のある答えができません。
  138. 門司亮

    ○門司委員 みんな逃げられると、この法案の審議に入れぬと思うが、自動車事故をどうして防止するかということについては自動車の性能、それから自動車のあり方というものを全然無視した警察の取り締まりだけの観点からこれを律することは、非常に大きな誤りだと思う。交通行政というのは総合行政の一環であって、決して交通だけが悪いわけじゃない。そのよって来たる原因がいろいろあると思う。そういうものを是正しなければこの目的は達せられないので、いま申し上げたように、国内における交通の速度の極度に強い規制と性能の関係を一体どう判断するか。外国に持っていくなら別ですけれども、国内では事実上、いま性能が宣伝されておるような高性能で走れる道路は、ほとんどないと言ってもいいと思うのです。そういう点にも心理的に交通事故の起こる原因を来たしはしないか。どんなにスピード違反をやかましく言っても、やはり運転しておる者の身になれば、危険があまりないと見れば、一応この車の性能をためしてみたいという気持ちがあると思う。またそれは当然ならなければならぬ。それをむやみに制限しておる。したがって、これを制限することに直接関係のある通産省がこれをどう考えておるかということを、一応ここで聞くことがよろしいと考えておったのですが、御答弁ができないということならこれはやむを得ぬと思います。しかし、これは通産省としては、そういう点も警察関係と考えをできるだけ一致するようなことにしておいていただきたいと思うのです。きょうせっかくおいでになりましたけれども、私の聞くことについては答弁が十分にできない。ただ中小企業の問題については、いろいろな団体から文句を言ってきたことは知っておるけれども、それ以外はわからぬということではこれは話にならぬと思う。  そこで、問題になりますのは、今日中小企業の雇い人で十八歳から十六歳の間の雇い人はどれくらいの数になっておるかということです。そしてそれらの諸君で免許を持っておる者がどれくらいいるか、そういう数字がわかりましたらひとつ……。これは警察庁でもどっちでもいいです。
  139. 荒玉義人

    荒玉説明員 私のほうはトータルではわかりますが、そのうち運転免許はどうなんだということはわかりません。トータルだけでございます。これは一番新しい統計で申し上げますと、十八歳未満という統計、これはパーセンテージで申し上げます。三十人から九十九人の中小企業者の場合ですと、三十七年度が全体の一四・八%、それから百人から四百九十九人、御承知のように中小企業は三百人以下でございますから、一部大企業が入っております。これが二七・六でございます。大体全体の数字でございますが、あと免許が幾らというのは私のほうではわかりません。
  140. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、二七・六という数字が一応百人からそれ以上のものに出てくるということになると、約三分の一は十八歳未満の諸君だということになる。これからこれらの諸君に免許を禁ずるということが中小企業にどう影響するかということは、私はかなり深刻なものがあろうと思います。そういう点についてもう少し掘り下げて聞いておきたいと思うのですが、警察庁はこの二七・六という実態を知っておるのですか。
  141. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 現在十六歳ないし十七歳で、問題になっております軽自動車の三輪と四輪の免許を所有しておる者の数でございますが、これは推定で約二十五万人でございます。これらの中で中小企業に雇用されておる者がどのくらいかということでございますが、的確な数字はわかりませんが、一部の県において抽出して、それによって推定いたしますと、約三〇%が中小企業に雇用されているであろうということで、したがって、二十五万人の三〇%、七、八万の者が軽三輪、四輪の免許を持っておるというふうに推定しております。
  142. 門司亮

    ○門司委員 どうもその数字も的確かどうか、二七・六には女の子も入っておりましょうから、全体のパーセンテージから見たらかなり下がるかもしれません。下がるかもしれませんが、しかし女の子も免許を持つことができるのであって、免許を持っている人がいる。この数字についてはどうもあまり、私ども考えている数字よりもはるかに私は低いと思う。実際は十六歳、十七歳、十八歳の諸君が日本で七万から八万しか免許を持っていないということは私はあり得ないと思う。そういうことであればそれでよろしいと思います。  それでその次に、これは警察関係のほかの問題として、結論として中小企業庁の方に聞いておきたいと思いますことは、この法律ができても中小企業関係には別段大きな支障はないという判断の上に立たれて、中小企業庁もこれに同意された、こういうふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。
  143. 荒玉義人

    荒玉説明員 全然影響はないとは考えておりません。ただ、これは三年間の経過措置でもございますし、その間に合うような形の雇用をしていくということを考えて、支障を最小限度に防いでいくという立場に立っております。したがいまして、そういった影響力と同時に、むしろ全体のいままでの統計その他から見て、安全度ということを比較検討いたしまして、そういう安全の面から新しい改正ということになれば、少しの支障はやはりがまんしていただく、そして三年間の経過措置の間に新しい体制に乗り移るような形で全体を進めていきたい、こう考えたわけでございます。
  144. 門司亮

    ○門司委員 これ以上の押し問答は避けたいと私は思っておりますが、中小企業庁のものの考え方として三年間に調整すると言われますけれども、結局三年間にそれじゃどこを調整するかということになります。そうすると、結局中小企業では少なくともこの面に関する限りは十八歳以上の諸君でなければ雇えないという形が当然出てくると思います。そうすると、事業自体についてかなり大きな影響を持つのではないかと私は実は憂慮するわけです。したがって、中学卒業生を中小企業に雇っても車が運転できないということになれば、これはしかたがないのじゃないか。高等学校以上の諸君でなければ中小企業は雇いにくい、こういう感じが私は当然出てくると思う。実は私どもはその点で中小企業庁の意見も聞きたかったのであります。いまの御答弁はそのまま聞いておきます。これ以上答弁していただいても同じことを言われると思いますから、大体承っておきます。  その次に聞いておきたいと思いますことは、建設省の諸君に聞いておきたいと思うのですが、この種の問題を協議するにあたっての道路構造について見解であります。日本道路は平らな道路というのはほとんどないといってもいいぐらい少ないのです。ことにまん中が非常に高くて、そして道路の使用効率というものは非常に低いのですね。これに対して建設省はどう考えておりますか。
  145. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 道路構造につきましては、一応全国の道路をどういうふうに高低をつくるかという基準がございますが、いまお話しのございました道路まん中が非常に高いという問題は、道路の路面の排水のために起こったことだと思います。でございますから、砂利道あたりについては、非常にまん中が高い。舗装いたしますと、さらに砂利道よりはまん中の高いのが低くなるという構造だと考えております。
  146. 門司亮

    ○門司委員 建設省の国道第一課長さんだから道路のことは御存じないことはないと思うのですが、あなたの考え方は全く反対なんです。私が言いたいことは、砂利道はまん中が低くて両方が高いのです。実際に行ってごらんなさい。ブルドーザーを持ってきていつも平らにしておるでしょう。砂利道を歩いてごらんなさい。歩行者なんか雨の降った日など、端を通ろうと思っても、砂利がみんな端に押し寄せられておりますから通れない。同時に、まん中が非常に高い軌道のある道路は、こんなに違っておるところがある。この近所、川崎とか横浜とか、軌道のあるところを見てごらんなさい。必ずあります。道路構造自身というものに対して、建設省の諸君がそういう答弁をされるということはおかしいと思うのです。最近できる道路はやや平らです。一番はなはだしい例が、横浜の鶴見橋から生麦の電車の車庫に至るまでの間、ごく最近できたのが一番平らです。あの道路まん中と端との間が一メートルくらい違っておった。これは軌道を埋めましたから、昔自動車が端を走っていたのを埋めて、その上を舗装してコンクリートで固めてしまったから——非常に効率が悪いというので平らにしてもらって、最近あの道路が一番よくなっておる。そのほかの新しく手をつけた国道以外の道路でも、まん中が高過ぎて道路の効率が半分くらいしかないと思う。これを平らにすることによってかなり交通事故も避けられるだろうし、交通も便利になると思う。それにもかかわらずいまのようなおざなりの、排水がどうのこうのと言っても——それではひとつ聞きますが、あなた方は道路を何とお考えになっておりますか、排水がなくても道路とお考えになっておるのですか、道路の定義というものは一体どういうものですか。
  147. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 ただいまの答弁は舌足らずでございましたが、道路まん中が高いという道路構造に規定されております考えを述べたのでございますが、現実にはいま御指摘のように、道路構造が構造令のとおりになっていないというところが地方道路道あたりでは非常に多いと思われます。これはやはり側溝を整備して道路を舗装して、最後の形がそういうことになるべきだということでございまして、その間では非常に道路の補修その他が悪いために、いま御指摘のような砂利道でもまん中が低くなり、道路の両側を通る歩行者に御迷惑をかけておるのが非常にあると見てはおります。しかしこれは今後道路整備五ヵ年計画などによりまして、できるだけそういうふうな道路はいまの構造令にありますような規定の勾配なり、規定の側溝構造をつくるように道路を整備していきたいというふうに考えております。  もう一つ道路の定義でございますが、何といいますか、一般の交通の用に供するための一つ道路——なかなかむずかしくて、何と表現したらいいか、ちょっといいことば考えつきませんが……。
  148. 門司亮

    ○門司委員 道路構造というか、道路自身を考えてごらんなさい。新しい文化国家というか、近代国家の道路というものは、すべて排水が十分であって、道路の使用効率が十分であるように整備されたものでなければ、最近の近代国家の道路とはいえないと私は思います。日本にこのくらいの道路がどのくらいあるかということは、あなた方のほうの統計でよくおわかりでしょうが、一〇%とはないでしょう。残りの九〇%はそうした道路の整備に全く反した日本道路だと思う。これに対して一体どうこれを整備していくかということが、交通の問題と非常に大きな関係を持っておると私は思う。端を通ろうと思っても通れないところは、まん中を通るよりしょうがないでしょう。まん中が中高になっておれば、車が端を通ろうと思っても通れない。車種別規制をしても、どんなに端を通ろうと思っても通れないから、いやでもまん中を通らなければならぬ。自転車もうっかり端のほうを通っていられない。だから、今日の交通行政の中で最もおくれているのは道路構造だと思う。建設省は一体これをどう考えておるか。理屈だけはわかりますよ。あなた方のお言いになっている理屈だけはそのとおりかもしれないが、しかし現実は全く違っております。東京のまん中の道だけが日本道路ではありませんよ。ここだけ自動車が走っているのじゃない。自動車日本じゅう走っていますから、これは少し考えてもらわぬと、いまのようなおざなりのいいかげんな答弁でやられるというなら、私はこれからぼつぼつ聞きますから、明確にひとつ答えておいてもらいたい。  いま言いましたような整備を要する道路は、いま一体日本にどのくらいありますか。それの整備が終わるのにどのくらいの費用とどのくらいの年限がかかりますか。
  149. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 いまのお尋ねの、今後道路を整備するために要する費用でございますが、われわれのほうでつくりました一つの計画の中に二十三兆円という計画がございます。これはもちろん高速道路を入れましての話でございますが、地方道についても、一応幹線地方道を全部整備するというような金が二十三兆円ぐらい見積もられております。しかしこれにつきましては、さらに地方道の中の市町村道というものを全部舗装していまの、道路の構造令に合うような道路にするということになりますと、さらにもっと大きな金がかかるのではないかというふうに考えられます。地方道、ことに市町村道になりますと、いまのところ延長はわかっておりますが、はっきりした整備費をつかむことは、まだわれわれのほうでも十分調査できておりませんので、完全に整備するのに幾らかかるかちょっとわかりかねるような状況でございます。いま言いましたように大体二十三兆あれば、ほぼ主要な地方道の、いま交通の通っておるものの大部分が整備されるというふうに考えております。
  150. 門司亮

    ○門司委員 これは警察当局に聞いておきますが、いまのお話のように道路自体非常に悪いということはおわかりのとおりだと思う。そうして事故の起こった場合の責任の所在です。これは一体どこに持っていくことができますか。端を歩こうと思っても事実上歩けない。そういう場合に、端から少しまん中に寄っておって自動車の事故が起こったという場合の責任の所在です。これは車に責任があるのか、あるいは被害者に責任があるのか、あるいは道路を維持管理しておるものに責任があるのか、一体この責任の所在をどこに持っていくことができますか。
  151. 宮崎清文

    宮崎説明員 道路環境が非常に劣悪であるために交通事故が起こった場合の例もございます。しかしながら、御承知のように交通事故の原因は、いろいろな要素が複合して起こっておりますのが大部分でございまして、その場合に、もちろん道路環境だけが唯一の原因であるという場合には、先生御承知のように、先ほど判例にもございましたように道路管理者が損害賠償の責めに任ずべき場合もあろうかと思います。
  152. 門司亮

    ○門司委員 建設省の諸君は、いまの警察側の答弁をよく聞いておいてもらいたいと思うのです。しかもそれは、ただ事故処理の問題だけであって、そのことのために事故を起こして不具者になったり、あるいは命を落とす人があります。これらの諸君はこれは全く天災にひとしいようなものであって、人災だといえば人災でしょう。そのために私は道路構造についてお聞きをしているのであって、交通事故を全くなくしようとする一環としては、ぜひ道路というものの利用効率が十分であって、そういうことのないようにしておかなければ結局事故は絶えない。そうしてこれらの事故はきわめて遺憾な事故なんですね。本人の意思に基づかない事故なんです。本人が飛び出してひかれた、それは本人が悪いんだ。あるいは車の運転者が不注意でやった。それは車の運転者が悪いんだ。ところがこれはお互いの責任に属しない事故であって、これだけはなくそうと思えば私はなくせる事故だと思う。ある程度緩和できる事故だと思う。ところが最近の道路の構造はこういうことで、全くまん中ばかり高くて両端が非常に低い。しかしこれは何も私はむずかしい仕事ではないと思うのですよ。平らにしても側溝さえきちんとできておりさえすればそれでよいと思う。  これについてもう一つ聞いておきたいと思いますことは、最近、道路の整備に当たって、まん中の車の通るところだけは整備してあるが、両端は依然として砂利道であり、草がはえて歩行も困難だ、自動車さえもそこを通らない。いやが応でもコンクリートで舗装をしてあるまん中のところだけを走るために、こういうところからくる事故もかなりある。こういうところの整備は建設省はどうお考えであるか。これは私は一級国道にも二級国道にもかなりあると思う。まん中だけ舗装すればよい、自動車本位のやり方でやって、人間というものはほとんど考えておられない。こういうものについて建設省はどうお考えになっておられるか。
  153. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 お答え申し上げます。  実はいままで、そういうまん中だけ舗装いたしまして、その端が舗装してないような道路もございます。これは道路を改良いたしましたり新しい道路をつけた場合に、早く車を通したいということでまん中だけを舗装して、これは事業費の面もございまして、端はあとからするというようなことで残した例がございますが、いまの交通情勢から見ますと、単に車だけを——車も非常に多くなっておりますが、そのほかに緩速車、歩行者あたりが非常に多くなっておりまして、できるだけそういうものが早く道路の幅員の全部を活用できるように、拡幅の舗装なりをやるように、これは直轄の場合でも指導してやっております。一部まだできないところもございますが、これも予算上なるべく早く措置をして、そういう現在ある道路を、幅員を十分有効に使うように今後とも努力するつもりでございます。
  154. 門司亮

    ○門司委員 いま事業費の問題も触れられましたけれども、これはあまり経済的にならぬと思って私は見ているのです。道路が悪くなるというが、下に水が入らなければかなり道路は丈夫なはずです。ところが両側が低くて水がたまっている。コンクリートの境目にかなり水たまりができている。あの水がコンクリートの下に入れば、結局道路はいたむ。それで、私はあまり経済的ではないと思って見ている。こんなことをして年百年じゅういじくっていなければならないかと見ているのですが、道路の構造は、道路交通上きわめて大事な問題であります。ところがそれを平然としてやっておる。いま事業費の関係を言われましたけれども、私はかなり事業費もむだに使っているのではないかという気がするのですが、そういう点も十分に——これ以上責めてもしようがないと私は思いますが、お考えを願っておきたいと思います。  それからもう一つ建設省に聞いておきたいと思いますことは、道路の問題について、例の車道、人道というような区別をどういうふうにつけていくかということ。これのつけられないところが現実にある。この問題をどう処置するかということは、警察側にも関係がありましょうからひとつ。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、舗装に使っております例のアスファルトの色であります。このアスファルトの色がもう少し白くならないかと思う。これは夜、雨の降るようなときは、黒い道路の暗いところに黒いものが出てくるということになりますと、これは自動車運転者は非常に神経を使う。これがもし舗装が白ければ、ある程度照明が暗くても、黒いものがそこに出てくるのですから大体わかりいいと思います。したがって、これはあまり技術的なことを聞き過ぎるようですが、いまのアスファルトの黒いのはもう少し白くならないかと思いますが、こういう点等については何かお考えなり、あるいは研究がされておりますか。
  155. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 ただいまの最初の車道と歩道との区別の問題でございますが、これは一つ道路をつくります場合に、いわゆる歩行者の多いところは当然歩道をつけるというのが原則ではございますが、必ずしもいままでつくりました道路歩道が全部できてはおりません。これはある程度歩行者が少ないということで、歩道を省略しておるところもございますが、ほんのわずかな歩行者であっても、その歩行者が車の交通によって事故を受けるということは重大な問題でございますし、われわれとしてはそういう歩道のない道路につきましては、車道の外側線をつくりましてその外側線の中で車に通ってもらう、歩行者はその外側線の外側の路肩を通ってもらう、そういうような標示を一部試験的にやってみましたところがございますが、非常に結果はよいようでございます。これをなるべく広く各道路に普及しまして、歩行者と車が安全に運行できるようにしていきたいと思います。  なお、もう一つのアスファルト舗装の色の問題でございますが、アスファルト舗装の色は、いまやっておりますのはアスファルトを使う関係でああいう色になっておりますが、いまおっしゃられました黒いということは、照明をつければ別ですが、もう少し暗いところでもはっきり見えるような標識なり、そういうものはお説のとおりでございますので、できるだけ検討していきたいというふうに考えております。
  156. 門司亮

    ○門司委員 答弁がなかなかはっきりしないようですが、研究されているならされているでよろしゅうございます。研究していないならしていないでよろしい。われわれはこの種の法律を審議いたします場合に、ただ単に取り締まりだけを厳重にして達成されるものじゃないので、できるだけ周囲の環境を、事故がなくなるようにしておかなければ、強い罰則をきめても、その罰則を受けるほうが納得がしにくい。こんなに道路が悪いときにしょうがないじゃないか、こんなことになっているのだからしかたがないじゃないか、おれは運が悪いのだといって、どんなに取り締まりをやかましく言っても、本人の常識とか良識には影響がない。かえって逆の作用をする。したがって、道路交通の事故をなくすには環境を、それらの悪いものをできるだけ除去していく、そうして本人が十分に法律を守れるような仕組みにしてあげないと、イタチごっこですから、幾ら厳重にしたところで、結局その効果があらわれない。たまに引っかかったのが災難だというような観念をもたせるので私はお聞きをしているのであって、決してあなた方の処置がどうのこうのということで聞いているわけじゃありませんから、研究していないならいない、しているならしているでよろしい、そういう点を明確にしておきたいと思います。  したがって、その次に出てくるものは道路の照明の問題であります。これはいろいろな場合で、国道は国が持つとか、あるいは都道府県や市町村が持つとかいうことになっておりますが、これにも明確な規定がないのじゃないか。道路には必ず照明をつけなければならないというようなことが原則的に行なわれる必要がありはしないか。そうしてかなりいなかのほうで、こんなところは要らないのだと現在考えられておるようなところでも、規定に従って照明だけは十分にさせておくという観念がこの中から生まれてくるのじゃないかと思いますが、いま私が申し上げました道路の照明について、建設省のお考えがあるならひとつお答えを願っておきたいと思います。
  157. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 その前に、先ほどの御質問の舗装の色を白くしろという問題でございますが、アスファルト舗装につきましては、現在カラー舗装の研究がいろいろされております。しかしカラー舗装の場合には、白くするという形より、赤とか、そういうような色の研究のほうが進んでおります。白くするというような研究は、いまのところあまり聞いておりません。ただ白いほうがいいということになれば、これはコンクリート舗装という方法もあります。ただその問題は、道路の照明とも関係いたしますので、そういうものとあわせまして今後研究したいと思います。  次の道路の照明でございますが、現在の道路法のたてまえで言いますと、道路管理者がやるようになっております。これにつきましては、県道以下の県が管理しておりますものについては、道路管理者であります県が照明をつけるということになっております。ただ道路を改築する場合に、たとえばトンネルなり橋梁をつくります場合、非常に長い橋梁、長いトンネルの場合には、改築費の補助を出すときに照明もあわせて出すようなことになっております。もう一つ、直轄が現在六千キロくらいの指定区間をもちまして国自身が管理しておりますが、この中におきましては照明は当然国が行ないまして、それに要する費用を国が出しておるわけでございます。  全般に今後の問題といたしますと、照明につきましては、いままでトンネルとか橋梁とかいうものが非常に主体になって照明が行なわれてきたのでございますが、現在の交通事故の状況から見ますと必ずしもそういうところだけではなく、さらに県道以下の県が管理するものに対しましても、交差点なり、非常に交通の危険なところの照明は国の補助ができるような制度を検討はしておる次第でございます。
  158. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ、これは突っ込んで聞いておきたいと思いますが、その場合に大体照明の限度というものは規定があるのですか。道路の面積がどのくらいでどのくらいの照明でなければならないというような規定があるのですか。
  159. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 現在のところまだはっきり照明についての規定はございませんが、一応仮の基準というものは現在設けてやっております。
  160. 門司亮

    ○門司委員 もう一つは、さっき秋山君からもお尋ねがあったと思いますが、道路の中の跨線橋や何かの場合には警察の要請でこしらえるのか、道路をこしらえるときにすでにそういうことが配慮されてやられておるのか、あそこは事故ばかり多くてどうしようもないからこしらえようということでやっておるのか、これはどうなのです。道路をこしらえるときにそういうことが配慮されておれば、ある程度人間の命が助けられると思うのですが、事故が多くなったからやろうというようなことでは私は困ると思うのです。この辺はどうなのです。あれは道路の建設の中にああいうものが入れられているのですか。
  161. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪説明員 ただいま道路の建設の中に、あらかじめ横断歩道橋をつくるというような計画をしておるものはございません。これは四車線上の非常に大きな幅員の道路についてはございますが、実際に現在のできております道路につきましては、それを建設の当時はそういうことを考えておらなかった次第でございます。これにつきましては現在警察とよく協議をいたしまして、どこの横断歩道橋が一番先か、そういう順位については十分協議をして、逐次危険なものからやっていっておるような状況でございます。
  162. 門司亮

    ○門司委員 そうするとこれは、批判しちゃ悪いと思いますが、大体後手ということになっているといっても差しつかえがないのですね。私はあまりいい結果にならぬと思う。したがって建設省関係では、私が先ほどからお聞きをいたしておりますような、たとえば道路の構造の問題、あるいは例のまん中だけ舗装して両端が舗装してないというようなこと、舗装道路の色だとかいうような問題、それから跨線橋の問題とか、照明度の問題とかいうものが総合されてこういう道路に関します取り締まりの法律ができなければ、私はこの法律自体の実効というものは非常に薄くなるのじゃないかという感じがするのです。その点は警察庁はどうお考えになっておりますか。
  163. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘の交通安全施設の整備につきましては、総理府の交通対策本部を中心にいたしまして、関係各省で今後急速に整備するという方向に進んでいるわけでございます。これが若干不備でございますけれども、これと道交法の改正の問題につきましては、やはり道交法の改正につきましては、いわゆる交通事故防止の取り締まりの面から来るところの要請でございまして、御承知のように、施設と安全教育と取り締まりというものが交通事故防止対策の三つの柱をなしておるわけでございまして、そういう意味で道交法の改正をお願いしているわけでございます。
  164. 門司亮

    ○門司委員 そういうことでは、これは取締まりだけを厳重にすればそれで事足りるというものでないことは、私先ほどから申し上げているとおりであります。したがって、こんな法律を幾らこしらえたって大して効果はないと思うのです。ほんとうに道路の事故をなくしようとするならば、私は取り締まりによってなくなるというようなものでは道路の事故はないと思うのです。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕 これは運転する人の道徳上の一つのものの考え方、それから通行する人の心がまえというようなもの、人的な一つ考え方、しかしそれはそれなりに、先ほどから申し上げておりますようなものが十分に配慮をされて、そうして環境においては事故はほとんどできないはずだというふうに環境が整備されておって、その上になおかつ問題があるというなら、これは取り締まりを厳重にする必要があると私は思う。しかし、取り締まりだけを厳重にして、道路まん中だけが高くて端のほうが通れない、あるいはまん中がへこんでおって、端のほうが通れない、道路は幅はあるのだけれどもまん中の二車線か三車線、せいぜい四車線ぐらいが舗装してあって、そこだけ自動車がひんぱんに通っておる。両方の端は大体歩こうたって歩けぬじゃないか、自転車すら走れぬじゃないかということは、道路をこしらえてそのままほっておいて、そうして取り締まりだけを幾ら厳重にしたって、こんなことでこの交通問題が片づこうと考えたら私は大きな間違いだと思います。私はまずやはりこの道路交通の取り締まりを完全にやっていこうとするには、そういう国の責任、あるいは自治体の責任というようなものが完全に遂行されて、なおかつそれについて人間が犯す罪があれば、これは厳重に罰しても一向私は差しつかえないと思う。しかし自分たちのやることをやらずにおいて、そこで事故が起こったら何もかも運転者が悪いのだ、あるいは歩行者が悪いのだということに定義づけることはどうかと私は思う。この法律自身にそういう問題が残っておると私は思う。それできょうは御迷惑でも通産省の方に来ていただいたり、あるいは建設省の方に来ていただいて、全体としてお聞きしているのです。いまの御答弁のようなことでは私はとうてい納得がいきません。ほんとうにそういう整備をきちんとやる。たとえばいまお話のありましたような総理府なら総理府でおやりになっておることは、これらの問題がどの辺で大体解決するようにお考えになっておりますか。ことしの予算を調べてみても、地方予算を調べてみても、こういう問題はすぐ実は予算上の措置はわかるはずなんですね。これはむずかしい仕事じゃないですよ。だから、どう考えてもいまの御答弁には私は納得がいきませんし、それから同時にそういうことでこの法律の改正が行なわれるとするならば、この法律の改正はかなりわれわれは注意をして見なければならないということにならざるを得ませんので、あらためてもう一応聞いてわきますが、そういういろいろな総合的の計画が実施に移される問題の一環としてこの法律の改正が立案されたのかどうなのか、その点はどうです。
  165. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 私の答弁に若干の誤解があるといけませんので申し上げますが、施設と安全教育といわゆる指導、取り締まり、この三つが柱になって、取り締まりだけで問題が解決するという趣旨ではないのでございまして、いわゆる三位一体になりまして事故防止ということになると思うのでございます。したがって、今度の道交法の改正だけで事故防止ができるというふうには毛頭考えておりません。安全施設の面につきましても、警察の所掌するところの安全施設につきましては、予算もお願いいたしまして急速にこれを整備する、それから建設省その他の所管に属しますところの安全施設につきましては、強力にこれが設置方を申し入れするということで、関係官庁との連絡を密接にしてやるということが私どものほうの交通政策の基本をなしておりまして、取り締まりだけで問題が解決するということには毛頭考えておりませんので念のため申し上げておきます。
  166. 門司亮

    ○門司委員 長く聞くこともどうかと思いますが、いませっかく大臣がおいでになりましたから、大臣と長官の間でひとつお考え願いたいと思いますが、この交通行政の問題について、私はいまのままでよろしいとは実は考えていないのであります。警察の陣容自身というものを、交通に対しましては、たとえば交通警察というような独立の立場で日本全国に置かなくてもよろしいと思いますが、大都市等につきましては、一応交通だけを専門とした警察署を設ける必要がありはしないか。これは県なら県に例の本部がありまして、そうして県庁から出てきたパトロール等でおのおのやっておるようではあります。しかしもう一歩進んで、交通に対する一つの独立した警察行政というものが行なわれる、交通の取り締まりに対しては、一つの独立した役所といいますか、交通警察といいますか、そういうものが必要ではないかということであります。そのことは、今日の警察の陣容を考えてみますと、一斉取り締まり等をときどきやっておるようでございますが、これはかりに予告してやりましても、五日か一週間の問題であって、その期間は切れてしまうということになる。そういたしますと、運転者のほうから考えれば、その期間だけ注意をすればよろしいということで、結局あとはしり抜けになってしまって、一向緊張した気持ちというものと、それから習性が出てまいりません。私は、この種の犯罪を防ごうとするには、運転者の習性がかなり大事なことだと思います。たとえば横断歩道のところでは必ずとめなければならないという習性をつけてしまう。人が通っていようと通っていまいと、そういう習性にしてしまうということが私はかなり重要だと思う。スピードにいたしましても同じことであります。そういう習性にしてしまわなければ、これを伸ばしたり縮めたりして始終いじくっていると、ゴムが伸び切って縮まなくなるのと同じことで、効果がなくなると私は思う。いつも緊張した気持ちでそうした習性に導いていこうとするには、いまの警察の力だけでは私はとうてい不可能だと思う。どろぼうやその他の犯罪の仕事をやっておる警察の横につけたような交通行政では、私は満足な仕事はできないと思う。相当に人員をふやして、相当な役所を持って、そうして交通の取り締まりに当たるというよりも、そういう習性をつけていく指導に当たるということが、今日の道路交通の問題では一番大きな問題ではないかと私は考える。したがって、そういう点についてひとつ大臣からでもあるいは長官からでもよろしゅうございますが、お考えがあるなら御答弁願っておきたいと思います。
  167. 江口俊男

    江口政府委員 現在の交通取り締まりの陣容について簡単に申し上げますと、御承知のように一昨年及び昨年の交通増員で、現在は約十五万警察官の中で二万三千五百くらいの交通専務員がおるわけでございます。ただ、この二万三千の交通警察官を、第一線の指導取り締まりにフルに動かすというのが理想でございますが、どうも事件を立てますと、そのことに非常に手間をとるということで、大半は事務に追われるという状態になっておるのが交通警察を十分な期待にこたえ得ない状態にしている原因だと思うのであります。だから現在の警察の仕組みにおきましても、この人数を倍加するとか、あるいは四倍にするということになれば、もちろん第一線にもたくさん出ていくと思います。交通警察を普通の警察から独立させるというその考え方はもちろんあり得るわけでございますけれども、独立させましても、交通取り締まりの、やり方というものを、いまと違った方向をとらないと、実際上はおそらくただ別の機関をつくるというだけに終わると思います。しかしながら、先ほど来御論議になっておりますように、交通は単に取り締まりだけではないという観点、施設の整備とか、道徳の向上とかいうことが先行するという立場をとって、総合的な交通行政というものが将来生まれるとしますならば、その場合、その取り締まりの面をどちらのほうにどう移すかということは、あるいは問題になり得ることではないかと考えております。
  168. 門司亮

    ○門司委員 私の考えておりますことは、いまお話を申し上げましたようなことで、いまの警察力ではどんなに法律だけを改正いたしましても、結局結果においては同じだという結論にならざるを得ないのであります。さっき申し上げましたように、縮めるときには縮めて、伸ばすときには伸ばしておりますから、そのうちに弾力性がなくなってしまって、一向ききめがなくなってしまう。さっきから申し上げておりますように、どういうふうに習性をつけていくかということであります。これは人間の習性ですから、なかなか一朝一夕に、取り締まりが厳重になったからといって習性になるものじゃございません。その習性ができてこなければ、事故の防止は人間である限りにおいては困難であります。だから夜、夜中でも、大体汽車は通らぬというようなときでも、踏み切りに行ったら車は必ずとまるんだ、さっき言いましたように、人影がなくても横断歩道では必ず車はとまるのだ、赤、黄の標識があろうとなかろうと、そういう規定には必ず運転手は従うのだという習性をつけていく必要がある。それにはある程度の長期間にわたる、習性がつくまでの、ことばで言えば十分な取り締まりが必要になってくるかもしれない。しかし、その取り締まりは、あくまでもそういうほんとうの意味の取り締まりでなければならないと思います。しかし、いまの御答弁では、私はこの法律がどんなにできてまいりましても、年齢を多少引き上げてまいりましょうとも、それからこの間刑法が改正されましたように罰金を重たくしようと、普通の犯罪と同じような刑法の規定をそこへ持ってきて、傷害罪は傷害罪として取り締まるんだということにいたしましても、私はなかなか犯罪はなくならぬと思う。なくなるためにはここで警察がある程度思い切った処置をして、そしてこれを補導していくというたてまえが今日ぜひ望ましいのではないかと考えられる。しかしこれについて私これ以上答弁を求めようとはいたしませんが、ひとつ公安委員長としてのお考えを、もう一応明確にしておいていただきたいと思います。
  169. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 門司先生の御質問は、私もごもっともだと思います。私どももことしの一月の五日の初閣議に、総理から人間尊重のたてまえ上、何とかひとつ交通事故を絶滅してくれないかということで、あらためて取り上げるまでもなく、当然のことではございますが、なるほどこれはひとつ何とか、やらなきゃなるまいということで、さっそく関係者も集めますし、議論もし検討もいたしますし、また内閣の交通関係、安全関係者とも相談をいたしまして、その結論はいま御指摘になりましたように、大きく分けると三つだと思います。つまり取り締まるだけではとてもいかぬが、しかし取り締まりも徹底しなければいかぬ。今日無免許運転もある、あるいは酔っぱらい運転もある、ひき逃げ事件もあるのでありますから、これを放置することはできないから、これをやはり厳重にするということが一点。  それから御指摘になりましたように、取り締まりをやっただけではなかなか絶滅はできないぞ、やはり施設が必要だ。これは私も現実に七号線や甲州街道を見まして、施設の完備したあとは実は減少しておるわけです。ですから、このことは実績においても明らかでありまするから、やはり御指摘のように国といたしましても、地方公共団体といたしましても、安全施設の装備といいますか、これは私は現在でいいとは思っておりません。もっと実は徹底しなきゃならないのじゃないかという感じを深く持っているわけであります。  それからもう一つは、これも御指摘になりましたように、安全教育でありまして、歩行者にしましても、また運転者でありましても、あらゆる国民が交通というものについてもっと安全の方法を考えるというこの普及徹底、この三つが私は大事だと思います。  ただ私ども警察の当面する責任者としては、取り締まりをもっと強化して万全を期したいということから入らざるを得ないものですから、こういうふうな改正で出てきたのでありまするけれども、私ども政府部内でこういう問題は、他の二点につきましてもやはりこの際に大いに強力に進むべきであるという感じを持っているわけであります。  それから、先ほど警察についての独立した機関というお話がございましたが、これは長官からもお答えいたしましたように、こういうものは専門的にならざるを得ぬし、それがけっこうでございますが、私の見たところでは大体警視庁管下におきましても、交通については交通の専門的なものがそれに当たるようになっておりまするし、また警視庁内の交通センターあたりを見ますると、もうあれが交通の本部さながらのようないわゆる働きをしているわけでございまするので、必ずしも形だけ独立するというだけでなしに、御趣旨の点には沿いつつあると私は存じておるわけでございますが、この点はさらに検討をしていこうという考えであります。
  170. 門司亮

    ○門司委員 あとこまかい点を一、二だけ聞いておきたいと思います。  一つは、交通の整理に当たっております警察官に対する処遇の問題ですが、これは普通の警察官よりも非常に危険度が多いのであります。こう私は見るべきだと思います。もしほんとうにスピードの違反で逃げておる者を追っかけていってつかまえようとすることになったら、かなり危険をおかさなければならぬ。同時に、始終危険なところを歩いておるわけであります。車の間を縫って歩いておりますから、したがって私はかなり危険度が大きいと思う。最近私の知り得たものでもこういう一つ事件がある。スピード違反でつかまった。しかしそのことは、自分の車を追い抜いていった自分よりもはるかに速いスピードで飛んでいったやつが逃げてしまった。こっちもおもしろくないから、結局そのあとをついていったが、ついていったらわしだけが交通違反にひっかかった。わしより速い速度で追い抜いていったやつは、警察はつかまえなかったということでありますので、その実情をそのまま警察のほうの要求に当てはめてみますと、そんなことを言ったって百キロ以上のばかばかしい速度を出して逃げていったやつを先に回ってとめるということは、命が二つあっても三つあっても足りませんよということで、結局逃がしてしまわざるを得なくなってしまう。ナンバーを調べてその車がいつどこを通ったかということは、調べればわかるかもしれない。しかしこれは、相手方のアリバイの関係でなかなか困難だ。こういうことを考えますので、交通警察官の第一線で働いている諸君は、普通の警察官よりもはるかに危険度が私は大きいと思う。それに対してそれではどれだけの処遇がされておるかといえば、あまりいい処遇はされておらない。この種の警察官は、若い間はある程度競争意識も強いですから、かなり活発に動けると思うが、ある一定の年齢に達すれば私はそうはいかぬと思う。子供の二人や三人できてくると、そう命がけで交通違反を追っかけようという気持ちに心理的にならないのじゃないかと思う。したがって、処遇の問題はかなり重要視しなければならないと考えるのですが、特に新しい角度から交通警察官の処遇についてのお考えがございましたら、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  171. 江口俊男

    江口政府委員 おっしゃるように、交通警察官の勤務は激しいと同時にまた危険でございます。したがって、現在危険だという意味で特別の手当をつけておりますのは、白バイに乗っている白バイ要員につきましては、白バイ手当というものをつけております。ただその以外でも、外勤手当の一部というようなことで、府県には特別の待遇をやっておるところはあるようでありまするが、全国的に、画一的にやっておりますのは、白バイ手当でございます。しかしそれだけじゃやはりいけないという趣旨から、ことし及び来年におきましては、交通局を中心に、他の交通取り締まり要員についても、同様の特殊勤務手当をつけたいということで慫慂をいたしております。  それからもう一つは、現在三百数十台の四輪、いわゆるパトカーと、それから二千数百台の白バイがございますが、大きな道における交通取り締まりというのを従来は白バイで主としてやっておりましたけれども、事故の起こりますのは、白バイがやられるというのが非常に多い。だから幹線道路における交通取り締まりはできるだけ四輪車でやろうということで、四輪車の取り締まり車を増強するということに予算の重点をだんだん指向しておる、こういうことでございます。
  172. 門司亮

    ○門司委員 これは予算との関係もありますが、しかし私はもう少しほんとうにこれらの諸君については十分な手当てをして、そうして十分活動のできるようにしてあげないと、これはなかなか問題の解決はつかぬと思う。  それから最後に、これもこまかいことでございますが、法自身に触れた大きな問題じゃございませんがお聞きしておきたいと思いますことは、夜間と昼間との、道路全体というわけじゃございませんが速度の緩急ができないかということであります。昼間は四十キロでいいんだが夜はここは六十キロで走ってもよろしいということができないかということであります。私はなぜこういうことを聞くかと言いますと、運転している人の心理というものは、四十と書いてあって昼も夜もそれでいけばよろしいかと思いますが、実際は、夜は人がだれもいないところを四十で走るのはばかばかしいような気がして、めんどうだから六十で走らせようという危険性があると思うのです。これは私のさっきの質問とは矛盾するように聞こえますが、実際問題としてはそういう問題がある程度考えられるんじゃないか、こういうことも考えられる。  それからもう一つの問題は、ゴーストップの標識をつける際に十分考慮する必要がありはしないか、これがある程度の交通の安全を一方において大きく認めておるような形をしていながら、運転手のほうから見れば、結局ゴーストップがそこらじゅうにあっていらいらして困るというようなことから、つい無理をするというような心理的な影響があろうかと私は思います。これらの点について、もし御研究されているようなことがあるとするならば、ひとつ話していただきたい。
  173. 江口俊男

    江口政府委員 おっしゃるように車の流れというものは時間によって違うわけでございまして、その流れに応じて速度を変えるということも一つの方法でございます。ただ、そのやり方というのが簡単にできるかどうかということで、検討はいたしております。  それから単に速度を変えるだけじゃなしに、朝と夕方では、ある道路のごときは全く逆の現象を呈することがございますので、中央線というようなものを動かして、朝は右側が非常に混雑することになれば右側を広くする、しかし夕方は、逆の側がひどく混雑するということで中央線を動かすというようなことも考えております。  それからゴーストップの時間につきましても同様であります。画一的に二十四時間同じような車の流れではなしに、やはりいま中央線について申し上げたと同じように、朝晩について全く逆の流れをするということもございますから、そういうこともあわせて実情に即して、むちゃをして危険をおかしてはいけないが、なるべく不便な点を除去していくというくふうはいたしております。それがまだ十分実っておらない段階であることはまことに残念でありますが、考えてはおるということを御報告申し上げます。
  174. 門司亮

    ○門司委員 これで質問を終わります。
  175. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会