運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-05-13 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月十三日(木曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 中島 茂喜君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       武市 恭信君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森田重次郎君       山崎  巖君    秋山 徳雄君       重盛 寿治君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君       吉田 賢一君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁交通局         長事務代理)  鈴木 光一君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁交通局         交通企画課長) 宮崎 清文君         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 栄樹君         自治事務官         (行政局行政課         長)      倉橋 義長君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 五月十二日  人車左側統一通行に関する請願(肥田次郎君紹  介)(第三九三二号)  同(辻寛一君紹介)(第四一一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)(参議院送付)  地方自治に関する件(地方公共団体に関する問  題)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方自治に関する件について調査を進めます。  地方公共団体に関する問題について質疑の通告がありますので順次これを許します。華山親義君。
  3. 華山親義

    華山委員 過日東京都の議長交際費につきまして本島委員からいろいろ御質問がございまして、ことに多額の予備費からの流用については不適当であるというふうなお話もあったわけでございます。その際に、一昨年でしたか、東京都の調査をなさいました宮澤参事官に対しまして、議長交際費支出のしかたを調べていただきたい、包括的に支出しているのか、あるいは一件ごと支出しているのか、あるいはその混合の状況支出しているのかということをお尋ねいたしたのでございますが、その後お調べくだすったと思いますが……。
  4. 宮澤弘

    宮澤政府委員 過日華山委員から御質問がございまして、答弁を保留させていただいていた問題でございます。調査当時の交際費支出方法でございますが、私もあれから調査に当たりましたものについて、当時どういう状況であったか調べましたので、その結果を御報告を申し上げたいと存じます。  交際費支出手続でございますが、手続といたしましては、御承知のように、通常予算月割り額がございますが、この予算月割り額によりまして毎月議長から請求をいたしております。その議長請求書を添付いたしました交際費の、通常われわれのことばで支出伺いといっておるわけでございますが、支出伺い支出命令権者でございます事務局長決裁をいたしておりまして、それに従ってその決裁書出納に回りまして、現金払い支払い支出方法によって議長に交付をされているわけでございます。そこで議長領収書出納提出をいたしているわけでございます。ただいま申しましたような支出手続でございまして、この場合に支出内容というようなものは明示されておりません。したがいまして、御質問の点から申しますならば、毎月一括支出をされておる、こういうふうな支出手続であるというふうに申し上げてよかろうかと思います。
  5. 華山親義

    華山委員 最近におきましてもそういうふうなことであるかと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  6. 宮澤弘

    宮澤政府委員 私調査いたしましたのは、御承知のように三十八年の秋でございますが、その後におきましてもおそらくこういうような支出手続によっているもの、こういうふうに思っております。
  7. 華山親義

    華山委員 そのやり方につきましては非常に疑問に思うのでございますが、国にも交際費というものが各省に、あるいは議会にございます。それにつきまして、この点お尋ねいたす前提といたしまして、国の交際費の出し方、それから検査のしかた、そういうことにつきまして、特に検査のしかたにつきまして、会計検査院おいでを願ったのでございますが御説明を願いたいのでございますけれども、私の了承しておりますところでは、国では計算証明規則によって行なうのでありまして、交際費はこの中の第十一条の簡易証明に入っておらない、したがって普通の経費と同様に証憑書類、あるいは証拠書類というものをとって、そして会計検査院検査しているものと了承いたしておりますが、いかがでございますか。
  8. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 検査院第一局長でございますが、ただいまお尋ねの交際費の問題でございますが、これは現在簡易証明を認めておりません。したがいまして、証拠書類がわれわれのほうに計算証明として出される。それに従って検査をする。また実地におきましても検査をする。こういうたてまえでやっております。
  9. 華山親義

    華山委員 そうしますと、一件ごとに何に使ったかということは明らかに相なるわけでございますね。
  10. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 そのとおりでございます。
  11. 華山親義

    華山委員 そういたしますと、国の交際費東京都の議長交際費というものはまるで違ったやり方をやっているということに相なるわけでございますね。  ついでに、検査院の方においでを願っておりますのでお伺いいたしますが、この計算証明規則の第十一条による「特別の事情がある場合には、会計検査院の指定により、又はその承認を経て、この規則の規定と異なる取扱をすることができる。」こういうふうに書いてありますけれども、その「特別の取扱」という中には、ただいまの御答弁によりまして交際費は入っておらない。私はこの中に報償費が入っていると思っております。それでこの報償費につきましても出しっぱなしということはないはずだと私は思うのでございますが、どういう検査方法をいたしますか。
  12. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 報償費につきましては、おっしゃいますとおりただいま簡易証明を認めております。これはいろいろな対外工作その他でこれを公にすることをはばかりたい、こういう政府のお申し出によりまして、われわれのほうでは計算証明で、ただいま交際費で申しましたような領収書とか、そういう詳しいものはとっておりません。ただわれわれの検査の一番の眼目は、ほんとうにそれは確実に出されているのか、架空のものがあっては困るわけで、これは会計検査として経理の根本でございます。証拠書類なしにわれわれは金額の確認はいたしかねるわけでございます。したがいまして、これは各証拠書類支出官手元に置かせてございます。実地検査に行きまして、その内容証拠書類と突き合わせて検査をいたしております。そういうやり方でやっております。
  13. 華山親義

    華山委員 会計検査院の方には御参考までにお聞きしたのでございますから、お忙しければけっこうであります。  そういうふうなことであって、戦前、戦争中は機密費というものがございました。機密費というものは会計検査対象外でありまして、ただいま東京都知事に出しておるような様式で出しておりました。私も扱ったことがありますから存じておりますが、その検査というものは絶対になかった。しかしこういうふうなやり方民主財政の見地から不適当であるというふうなことから、機密費様式というものを変えまして、そうしてただいまお話のありましたとおり、交際費については一件ごと証拠書類によって証明をしておる、報償費につきましても実地検査の場合には確かに出たかどうかということを検査をしているわけでございます。ところが、東京都の議長交際費は全く機密費的な扱いをしておる。民主財政原則に私は反するものだと思うのでございます。  それにつきまして、そういう前提でなお法律的にお伺いいたしたいのでございますが、地方自治法の二百三十二条の五「普通地方公共団体支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない。」こう書いてある。それで先ほどお話しのとおり議長請求書があれば出すということは、議長債権者であるという意味である。そういうようなことで、議長債権者であるというふうなことが考えられますか。
  14. 倉橋義長

    倉橋説明員 議長は正当な債権者ではございません。
  15. 華山親義

    華山委員 そうすれば議長受け取り書だけで、これで支出が完了するというふうなことはおかしい。もしも議長にそういう金が渡ったとするならば、これは前渡資金のような気持ちかと思いますが、前渡資金でございますか。
  16. 倉橋義長

    倉橋説明員 議長にある一定の額を渡します場合には、御質問のように前渡資金というふうに考えるべきものと思います。
  17. 華山親義

    華山委員 前渡資金であれば、施行令によりまして前渡資金扱いがなされなければいけないわけでございます。したがって、前渡資金扱いということになるのでございますが、行政実例を見ますと、交際費については資金前渡をする場合があるというふうなことも書いてあります。それは私はそういう場合があるだろうと思う。遠隔地の場合に一々証憑書類をとってから出すというふうなことも不可能な場合もございますから、私はそういう場合があると思いますけれども、この前渡資金交際費を出す場合があるというふうな行政実例は、資金前渡でよろしいという意味ではないと思うのでございますが、そのとおりでございますか。
  18. 倉橋義長

    倉橋説明員 交際費資金前渡につきましては昭和二十四年に行政実例がありまして、毎月資金前渡することができるかということに対しまして、交際費の性質上適当でない。したがいまして原則としては適当でないという考えをとっておるわけであります。
  19. 華山親義

    華山委員 そうしますと、東京都が現在やっておる資金前渡的なやり方は、これは法令に根拠のない違法なものと私は考える。それからその実例の中にも、やむを得ない場合には、資金前渡的なことがあっても領収書をできるだけ取っておけということが書いてありますが、東京都ではそういうことをやっておりますか。
  20. 宮澤弘

    宮澤政府委員 私ども調査をいたしました時点におきましては、先ほど申しましたように議長請求書領収書、そういうことでいわば公金としての経理というものは全部完結をしている、こういう形で経理をされていたわけでございます。したがいまして、ただいま御質問、あるいは答弁がこざいましたそういう考え方から申しますれば、そういう経理手続というものは、法律の予想しているような経理手続でない、こういうことは明白であろうと思うのでございます。都におきましては具体的にそれがどういうふうに使われたか、どういう証憑書類があるかということにつきましては、少なくとも私どもが調べました範囲では、これを公にできるような証憑書類というものはないように承知をいたしております。議長手元に一応渡りまして、あと議長がそれをどういうふうに使ったかについての証憑書類その他というものが徴収をされていない、こういうふうに私ども調査いたしました時点におきましては了解されたわけでございます。
  21. 華山親義

    華山委員 私の解釈によれば、重大な違法だと思うのでございますけれども、それにつきまして、こういうふうなやり方というものをきめた、こういうやり方をやっているということにつきましては、私はこれは予算執行といたしまして都知事責任だと思うのでございますが、どうでございますか。
  22. 宮澤弘

    宮澤政府委員 確かにただいまのような法律解釈という点から申しますならば、この交際費支出手続というものは法にもとっている、こういうふうに考えられるわけでございます。
  23. 華山親義

    華山委員 そういうふうな執行をきめたのは私事でございましょう。
  24. 宮澤弘

    宮澤政府委員 その辺までは明らかにいたしておりませんけれども、おそらくこのような支出手続というものは、都といたしましてはもう長年にわたってやっていたことであろうと思われるのでございます。議会当局もそれにより、また執行最高責任者であります知事部局におきましても、そういう支出手続というものを事実問題として容認をしていたのであろう、こういうふうに想像されるわけでございます。
  25. 華山親義

    華山委員 議論めいたことはやめますけれども、長年やっておったにしても、またしかし先ほどから言われるとおり、自治省行政実例としてこれを示して、それに従わないで今日までこのような悪いやり方をやってきた。私はそれを黙認したのか、一番初めにそういう制度を始めたのはだれなのかということはわかりませんけれども、しかしこれは歴代の都知事責任だと思う。とにかく予算執行都知事にあるのですから、議長にあるのではございませんから、私はそういうふうに解釈せざるを得ません。  その次に伺いますが、こういうふうなことにつきまして、住民が二百四十二条によりまして監査委員に対する監査請求をすることができます。今日私はこういう監査請求があったということは聞いておりますけれども監査請求があったにいたしましても、監査委員監査することができない。何に使ったかわからない、こういうふうな結果になるのではないかと思われますが、この点は自治省にお聞きしても無理かと思いますけれどもお答えができるならばひとつどういうふうになりますか、お答え願いたい。
  26. 倉橋義長

    倉橋説明員 住民から監査請求がありました場合につきまして、監査委員監査ができるかどうかという御質問でございますが、その場合におきましては、二十七年に行政実例といたしまして、交際費内容監査についてもできるという趣旨の解釈をいたしております。
  27. 華山親義

    華山委員 請求ができましても、東京都におきまして、もう議長に金を渡しっきりであとはわからないんだということであるならば、監査委員は、住民請求があったって、住民に示すだけのことができないんではないですか。監査の結果を示せないのではないか、こういうふうに思いますが、いかがなものでございましょう。しかし私がいまここで仮定のことを申しますと、東京都がかりに議長に渡しっきりで、あとはもう何にも取っていないんだ、こういうふうな条件のもとにおいて住民請求があったときに、議長交際費内容監査することができるでしょうか。
  28. 倉橋義長

    倉橋説明員 交際費は、ものによりましては香典等のように領収書を取り得ないものがあるわけであります。しかしそういうふうな場合におきましても、何に使ったか、いつどういう目的に使ったかということは明らかにしておくように、公金でございますから何に使ったかということは、先ほど会計検査院局長からも御答弁がございましたように、ほんとうに出されているかどうかということは、領収書がなくとも明らかにしておくということでございます。でございますから、監査をいたしました場合に、そういうものによりまして監査をしていくということがあれば可能ではないかと思います。
  29. 華山親義

    華山委員 私のお聞きしておることとお答えが合わないようでございますが、現実に東京都において議長に金を渡した、あとおしまいだ、そういうふうなことであれば、住民から監査請求があったって監査委員はその使途について監査できないのじゃないか、こういうことをお聞きしておる。
  30. 倉橋義長

    倉橋説明員 そういう場合につきましては、そういうことが結果として出てくるわけでありますから、それが結果になると思います。
  31. 華山親義

    華山委員 そうしますと、そういうふうな実態とかりにいたしますれば、議長に渡しただけであってそのあとのことはわかりません、これが監査委員報告でございますね。そうなりますか。
  32. 倉橋義長

    倉橋説明員 先ほどお答えいたしましたように、全然そういうものがなく、議長に聞きましても関係者に聞きましてもわからないという場合につきましては、お話のとおりにその事実しか監査とすれば出ようがないんじゃなかろうかということでございます。
  33. 華山親義

    華山委員 監査というものは一応証憑書類なり証拠書類なり、そういうものによってこれは立証されなければいけない。それが監査なんです。人に聞いたというだけで監査したことになりますか。——私の声が大きいからといって、決して自治省を責めておるのではない。
  34. 倉橋義長

    倉橋説明員 監査委員といたしますれば、そういう結果によって違法なり不当なりを指摘する。こういうことになります。
  35. 華山親義

    華山委員 そうしますと、議長のほうではきちんと証憑書類を取って、あるいはこれに準ずるようなものを取って整理しておくべきにもかかわらず、それをしなかったということを監査委員としては報告すればいい、こういうことになりますね。わかりました。  それで私はお聞きするのでございますが、私はこの際東京都知事のことは申しませんが、東京都の議長につきましては、私は大きい違法なことをやっていたと断ぜざるを得ないのでございます。こういうことは東京都の議長について特異なものであって、あるいは東京都について特異なものであって、一般の自治体にもこういうことが全国的にあるようでございますか。まあ一つ一つお調べになったのでございませんからわかりませんでしょうが、どういうふうにお考えになりますか。
  36. 倉橋義長

    倉橋説明員 私どもが聞いている範囲でございますれば、ほかには例がないということでございます。
  37. 華山親義

    華山委員 それならば東京都は全くでたらめである。ほかにないことを東京都がやっておって、しばしば行政実例によって自治省が示しているにかかわらず、十何年もの間これをやった。そしてほかではあまりやらないことをやっている。これは私は非常に重大なことだと思いますが、何かほかにございましたら……。
  38. 倉橋義長

    倉橋説明員 ちょっと私の答弁を訂正させていただきたいと思います。私はいまちょっと感じで申し上げたのでございますが、東京都以外に聞かないということもこれは具体的に詳しく調べたわけではございませんから、はっきり申し上げかねますので、訂正させていただきます。
  39. 華山親義

    華山委員 他にもあるかもしれませんけれども東京都のような例はきわめてまれな例である、こういうふうに考えてもいいと思うのであります。私はこの点につきましていまどうあるべきかということにつきましては申し述べませんが、衆議院議長交際費は三千六百二十万円、参議院議長交際費は二千四百四十万円、総理大臣交際費は二千三百三十九万円、ついでに申し上げますが、自治大臣交際費はわずかに四百五十万円であります。東京都は最近におきまして大体三千万円程度交際費議長として計上されているということでございますが、正確には最近どのぐらいでございますか。
  40. 倉橋義長

    倉橋説明員 昭和三十九年の決算で申し上げますと三千四百三十万円、それから三十八年が三千七十五万円、三十七年が四千百五十万円、三十六年が三千二百三十五万円、三十五年が二千二百八十万円でございます。決算で申しますとそういうことでございます。
  41. 華山親義

    華山委員 大体のことからいいますというと、東京都の議長交際費衆議院議長交際費よりも多い。参議院議長交際費よりも多い。総理大臣よりも多い。自治大臣なんかは足元にも及ばない。こういう巨額な金がいまのような状態支出されているということは、私はたいへんな問題だと思う。しかし自治体には自主性がございますから、いまここで自治省はこういう方向に勧告せよとかなんとかいうことにつきましては私は慎重な態度で、申しませんけれども自治省としては重大な関心をお持ちになるべきではないか。かりにこのたび議員が入れかわりまして新しい議員になりましても、その器が悪ければまた腐ってしまうのではないか。こういう方面は私は徹底的に直していかなければいけないと思います。ただ、私から一言御参考に申し上げますけれども、私は何から何まで全部証拠証憑書類でやれということは無理な場合があるかと思います。そういう方面で多少のことはこれはあってもいいと思いますけれども、そういうものにつきましても議会の議決を経て、あるいは協議会承認を経て、ある程度のものは議長として手元できれいに支出されるということは、私はある場合は許されてもいいと思うのでございますが、こんな全額を一文も残さず一括渡して、そしてこれが議長ポケットマネーのようなかっこうで出される。それで「週刊読売」なんかを見ますと、議長議長交際費が使いきれないので、自分のうちの便所のトイレットペーパーを交際費で買っているなんて、うそかほんとうか知らないが言われる。私は非常にこういうことは悪いことだと思う。  自治体をきれいにする意味から私見を申し上げましたけれども、今後その方面に十分に留意していただきたい。こんなふうに考えまして質問を終わります。
  42. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 華山委員のただいま御指摘になりました問題につきましては、やはり地方公共団体の金の使い方を正しくしなければならないことはもちろんのことでございまして、たとえ交際費でございましても、それが地方公共団体のために使用をされ、そしてそれが正しく使用されたということはやはり明らかにされなければならないことはもちろんでございます。やはり地方地方によりまして、華山委員お話のございましたように、交際費等使用についてはそう正確に領収書等証拠書類を整えるということが困難なものもあるわけでございますけれども、ともかく地域住民が、その金が正しく使用されておるという信用を持ち得る状態において使用されなければならないものであると考えるわけでございます。こういう金の使い方等につきましては、従来もでございましたが、自治省といたしましては深い関心を持っておるわけでございまして、将来あやまちのないように、自治省のなすべき事柄につきましては、あるいは助言なり指導なり等によりまして、それらの問題が正しく運営されていくように十分努力いたしたいと考えておるような次第でございます。
  43. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、門司委員
  44. 門司亮

    門司委員 二、三の問題についてお伺いをしたいと思いますが、いま東京都の問題が非常にクローズアップされてまいりましていろいろ議論されております。その中で最も大きな問題は、選挙のときに買収したとかしないとかいうことは実質の犯罪としての構成であって、その他のよって来たる原因をどう追及するかということが一つの問題だろうと思います。実は交際費の問題が、先ほどから華山議員も申し上げておりますように問題になっておるのであるが、一体交際費の限界というのは、おのおの地方自治体立地条件もあることでございますが、予算との比較でどのくらいであればいいということが自治省で目安がつきますか。
  45. 倉橋義長

    倉橋説明員 その団体財政の規模なり、あるいは事務員なり、いろいろな関係がございまして、一がいにどの程度というふうには言いかねると思います。
  46. 門司亮

    門司委員 私は詳しいデータで説明をすればわかると思いますが、私の手元にはいままだ三十九年度の決算の正確なものが出ておりません。これはまだ自治省も出しておりませんし、またできようはずがないのであります。やっとこの間締め切ったばかりでありますから。したがって三十七年度、三十八年度の決算の詳細なものを調べてみますと、たとえば四十六都道府県で一千万円をこえる知事交際費が十二くらいあるはずです。あるいは数字一つくらい違うかもしれませんが、大体私の感じでは、正確な数字を取り寄せてもいいと思っております。そうすると、それから非常に少ないのがある。一体どういう基準でこの交際費が割り出されておるかということについては疑問があります。したがって、いまお聞きをしたのでありますが、自治省はこれに何にも考えていないというのは、これは全く野放しだということにならざるを得ないと思います。しかし自治省はいろいろな行政について指導をしておることは事実であり、ことに財政については非常にやかましいことを言っておることも事実であります。ところが一方こういうものについて何も言わない、基準も考えていないのだ、これはしり抜けみないなものであって、一体自治省自身が何をやっているかわれわれにはわからない。こういうことこそ自治省はやはりある程度自粛をするというなら自粛をする必要が実はあると思うのだ。東京都の問題もやはりそこにあると思うのです。しかし、考えていないならそれでよろしいです。  それから、その次に聞いておきたいと思うことは、東京都の例をとってみましても、昭和三十九年度の予算も、四十年度の予算も、予算面で見れば二千五十万円なんです。ところが決算面で見ると、三千七百万円になったり、あるいは四千百万円になったりしている。ちょうど予算の倍くらい使われておる。一体こういうずさんな予算決算とのあり方でよろしいかどうか、こういうものについて実際自治省はどう考えておるか、すべてこういうことになってごらんなさい。とんでもないことになってしまいますよ。当初予算が半分で、あと追加予算で全部やるのだということになりますと——ことに交際費なんというのは大体わかっているはずです。この辺についての指導はどういう指導をされておりますか。
  47. 倉橋義長

    倉橋説明員 当初予算に計上した額よりも以上のものが予備費で出されておるということは、これは適当でないと考えております。過般の東京都の監査におきましてもこの点を指摘してございます。
  48. 門司亮

    門司委員 指摘しても一向改まらないと思うのです。改まらないから、罰則もないと私は思うのだけれども、こういうところにやはり問題がありはしないか。自治省が公務員の給与等について、高いとか安いとかやかましいことを言って、合理化だとかやかましいことを言っておるけれども、それで長のこういう交際費等についてはほとんど野放しの状態、こういうところに問題がありはしないか。自治体というのは一つの大きな団体で生活をしておるものでありまして、上のほうがこういう形でルーズになって、それに自治省は何らの斧鉞ということばは行き過ぎでありますが、強い干渉もしない、そしてただ公務員の給与が高いとか安いとか、いや節約せよ、合理化せよと言ったんでは通じないですよ。公務員から見てごらんなさい、議長さんや市長さんはめちゃくちゃに金を使っておるのに、おれたちだけいじめたってしょうがない。これは口に出さなくても、心理的に不満があると思うのです。ほんとう地方自治体の姿勢を正そうとするならば、やはりこういうところこそ自治省は厳格に、ある程度のものさしではかるべきではないかということが考えられる。きわめて遺憾な問題であります。東京都の例など聞いてみますると、三月三十一日に議決して、そしてそれが二千五十万円が議決されておる。六月ごろになるともう追加予算を要求するなんということが言われているが、ばかな話です、二カ月か三カ月のうちに予算だけは使ってしまって、あとの分を請求するなんということは。こういうあり方等について、自治省はいまのような話では私は仕事にならぬと思う。きょうは大臣がおいでになりませんが、この点について政務次官はどうお考えになりますか。
  49. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 交際費が全体の予算比率からいいまして、どの程度のものであるのがいいか悪いかというような問題は、そう一がいには申されぬと思いますが、交際費を幾ら使おうとも自治省としては無関心である、そういったようなものではないのであります。極端に交際費が多いというような場合にはその実情をやはり十分調べまして、そうして正しい妥当な線がそこに打ち出されるように、やはり助言指導をしなければならぬことはもちろんでございます。それから自治省におきまして助言なり指導をいたしました際、それが直ちに聞き入れられてそのとおりの効果があがらないような場合に、それでは自治省の助言指導というものは、何の価値もないじゃないかというようなものでもないと私ども考えるわけでございます。要するに先ほどもちょっと触れましたが、地方公共団体における金の使い方というものは、地方自治のたてまえから申しまして非常に重大な問題なんでございまして、それに対して地域住民が信頼、信用を置いているかどうかというようなことが、その公共団体の行政のあり方についての正否の問題になると考えられるわけでございまして、どこまでも妥当な正しい線に沿うて金が使用され、またそう使用されておるということを地域住民が信用しておるというふうになければならぬわけでございます。お話のように、いまお伺いいたしましたような金の使い方について、地域住民が疑いを持つというようなことがあってはならないわけでございまして、自治省といたしましては自治省の許されております範囲内において最善を尽くして、そういう問題が解決されていくように努力をいたします。しかしながら、一面地方公共団体自主性ということは尊重してまいらなければならないぬことはもちろんでございますから、そこにやはり地域住民考え方なり、あるいはまた首長その他理事者側の考え方なり、あるいはまた議会自身の考え方等々が、りっぱな良識の線が出てまいりまして、そうしてその問題が解決されなければならぬという面もあるわけでありますから、こういうすべての力をここに総合して、そうしてお話のございましたようなおもしろからざる問題が徐々に解決されていくというふうにありたいものだと考えるわけでございます。いまの制度から申しますと、それが一番いいことであり、またそれ以上に方法はないように考えられるわけであります。自治省といたしましてはどこまでも気長に、しかも徹底した態度でこの問題に対処してまいりたい、こう考えておるようなわけでございます。
  50. 門司亮

    門司委員 だいぶ長く御答弁をいただきましたが、そんなことでは私は直ろうとは考えません。やはりこの際、自治省はいろいろさっき申し上げておりますように、金の使い方についてはかなり自粛をせよという勧告をしております。したがって、これらの問題についてもはっきりした勧告の態度が望ましいと私は思います。  それから、もう長く時間をとるということもどうかと思いますので、もう一つ、二つこの問題だけで聞いておきたいと思いますことは、先ほどから伺っておりますと、交際費の中には公にされないものとされるものがあるというようなお話をちょっと伺ったように聞いておりますが、この解釈は私は非常に間違いだと思います。少なくとも公金である限りにおいては、——公表するしないは別であります。しかし一応の監査の対象になるべきであることは間違いはないと私は思います。その点はやはり自治省としてはけじめをはっきりつけておいてもらいたい。そうしませんと、結局証憑書類がなかったりすることは、これは交際費だからやむを得ないというような、かつての暗い権力政治が行なわれておりましたときのように、金によっていろいろなものを操作するという時代ではいまございませんで、住民監査権を持っておる。その住民監査権がいささかでも阻害されるような印象を与えるということは、私は自治省答弁としてはなはだ不謹慎だと思う。なるほど交際費の中には秘密のものがあるかもしれない。しかし、少なくとも公金である限りにおいては、それが明らかにされないという理屈は成り立たぬと私は思う。同時に、道義上の問題としてこれを公表するかしないかということは、これはまた監査委員会のある程度の考慮を要するところもあろうかと思います。がしかし、そういう、先ほどからの華山委員質問に対しまする、公表しにくいものがあるだろうというようなことは、私はおかしいと思っておる。私どもの経験からいいますると、私もかつて横浜の市会議員を長くやっておったのでありますが、当時の市会における監査方法というのは、いかなるものにいたしましても、証憑書類は必ずとるということであります。そうして議長という、あるいは市長という地位にあることのために必要なものと、市対市の交際、市議会対市議会の交際というようなものについては、当然公のものとして一応これを監査の対象にする。市長なるがゆえに、議長なるがゆえにという役職、地位の関係からくる交際費については、これは証憑書類だけは全部集める。そしてこれは監査委員会において一応目は通すが、しかし、それに対してこれを公表するようなことはしないという、こういう処置を私どもはずっととってきたのであります。ところが最近において、さっきの自治省答弁のように、秘密のものがあるかのような、公にされないものがあるかもしれないというようなことは、今日の社会では通用しないと思う。いまのようなやかましい住民監査権も何もなかったときですら、会計経理というものはそういう形で明らかにしておった。露骨に言えば、たとえば市長さんがある料亭で市対市、あるいは議会議会の公のものでなくて、自分のプライベートのものと考えられるようなことで、市長なるがゆえに、議長なるがゆえに人をお招きになることがある。そういう場合に、お酌に呼んだ女の諸君の費用というようなもの、どこからそれらの諸君が来ておるかというような明細な書類を一応見なければ、なかなか全体として監査委員会で私どもは判を押さなかった。しかし、道義上われわれはそれを公表はしない。私は、やはりこういう態度が望ましいと思う。そうしなければ、住民監査権との関係はどうなります。いかなる場合でも公金であることは間違いない。公金使用については、住民監査権を持っておることは間違いない。住民監査権をあいまいにするような自治省先ほど答弁は、私はきわめて遺憾だと考えて聞いておったのです。この点は、大臣おいでになりませんから、次官からでもよろしゅうございますから、ひとつはっきりした答弁を願っておきたいと思います。
  51. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 門司委員のお考えには私ども同感なのでございまして、先ほども申し上げましたように、地方公共団体の金は正しく妥当な線で使用いたさなければならない、そして地域住民の、それが正しく妥当に使われておるということに対しての信用をつなぎ得るものでなければならぬと考えておるようなわけでありまして、そしてそれをいたしますためには、いまお話しのございましたように、金の使途というものは明らかに捕捉できなければならない。先ほど自治省側の答弁の中に、明らかにすることができないものはやむを得ないというふうなことが——そういうことばであったかどうかわかりませんが、門司委員のいま指摘されたような点は、領収書をとろうにも、それはいわゆる社会常識上妥当でないとか、とりにくいとかというようなものがあったときにはとられないけれども、その他の方法で、そこに使用されたということが明らかになり、信用され得るものであれば、それでまあいいというような考え方でありまして、何に使ったのかわからないで、それでいいといったような考え方ではないわけであります。これまで交際費というようなことにつきましては、いろいろこれまたその取り扱いをする衝に当たる人の考え方が、必ずしも他の金の支出のように厳格、明確にされなければならぬものだというふうに考えていなかったような時代もあり、そしてそれが一つの事務処理の上に惰性的にルーズな面のあらわれてきたものもなきにしもあらずと存じますが、しかしそれはそれでいいというわけではないわけでありまして、先ほども申し上げましたように、それが正しく使用されたものであるということの信用を得られる程度に明らかにされなければならぬ、こういう考え方で、十分地方公共団体に対しての助言なり、指導、勧告等をいたしまして、そして他の立場の方々の努力とあわせて、これらの諸問題が正しく解決されていくようにやってまいりたいものだと考えておるわけでございます。
  52. 門司亮

    門司委員 いま抽象的な御答弁がございましたが、問題の所在は姿勢の問題であります。したがって、その姿勢をどういう正しい姿勢に引き直すかということです。私はいまここで、既往の問題を責めようという考え方で御質問を申し上げておるわけじゃございません。実際の問題は、これは何も私は東京都だけではないと思います。全国の市町村の交際費の使途については、ごくよくやっておるところで、さっき申し上げましたような二つの段階に分けられておるところが私はあろうかと思います。いわゆる市長交際費議長交際費というものと、一つは、市長、議長なるがゆえに、私的とまではいえなくても、やや私的に近い交際費が要るということは考えられます。全然考えられないわけではない。しかし、それといっても、公金である限りにおいては明確にするということが当然法のたてまえであり、これを監査する立場からいえば、住民の持つ一つの権利であることに間違いはないわけであります。それがあいまいのうちに使われる。そしてこれについては何らの疑問も持たなければ、疑惑も持たない。たまたま議長選挙にからんでこういう派生的な問題が起こってきたから大問題になったのだというようなことでは済まされないのじゃないか、したがって、このことは、単に他の都道府県や市町村で議長選挙のときに買収があったとかなかったとかいうことではないと言っておいたほうがよかろうと私は思います。しかし交際費の使途においては大体五十歩百歩ではないかということが考えられる。  そこで、その次に聞いておきたいと思いますことは、東京都の問題が起こってからかなり長いわけでありますが、自治省はこれらの問題について、地方自治体にどういう通達なりあるいは指示をされたのか、もしその事実があるとするなら、ここでひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  53. 倉橋義長

    倉橋説明員 一般的に文書のような形でまだ指示はいたしてございませんが、いろんな場面におきまして、口頭等によりまして態度を明らかにいたしております。
  54. 門司亮

    門司委員 まだ通達を出していないというのも、自治省もどうかと思いますな。実際は、こういう問題がすでにできておるのですから、口頭で言うといったって、市町村もたくさんありますから、みんなに言うわけになかなかいかぬと私は思う。私はさっきから申し上げておりますように、財政の問題については特にやかましいことを言っている自治省が、財政の問題でこういう大きな抜け穴があるものについて、ほとんど関心を持っていない、と言うとおこられると思いますが、われわれから言えば、いまだに通達も出していないということになれば、関心も持っていないんじゃないかと言うこともできるかと思うほど、私はなまぬるい態度ではないかと考えております。私は、この点は特に姿勢の問題であります限りにおいては、自治省考え方をこの際ここで明らかにしていただきたい。そして少なくともこの種の問題で住民全体から疑惑をひとつ除いてもらいたい。このことは、私は、国民全体は地方議会に対してかなり大きな不信感を持ったと思います。何も東京都だけじゃないんだろう、どこだってこんなことをやっているんだろうということぐらいは、おそらく全国の自治体における住民考えておることじゃないかと考えられる。したがって、政治の不信感というものは、自治行政に対してはきわめて大きな影響を実は持つものであります。御承知のように自治の精神が、自分の郷土を愛するという上に立って、初めて自治意識というものが明確になるのであって、その地方自治を阻害するこれらの不明朗な問題について、自治省はいまだに文書等によらないで、通達もしていないということについては、私はきわめて遺憾であります。しかしこれは、それならこの問題についてどういう処置を——処置ということばは悪いかもしれませんが、態度を自治省としてはおとりになるのか。もしその片りんでもおわかりなら、大臣からお聞きすることがいいと思いますが、大臣おいでになりませんので、ひとつ次官から言明をしておいていただきたいと思います。
  55. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 いまの東京都の議長交際費というような問題について、いろいろ自治省として勧告もし、助言しなければならないという必要から、そういう事態の将来起こらないように配慮いたしておりますことは、先ほどお話しいたしたとおりでありますが、全国的に、各道府県等に一律にその金の使い方等についてどうあるべきかということを、自治省としてはまだ手配をしていないことは、さっき課長から申し上げたとおりでございます。しかしながら、これに対して自治省が無関心であるというようなものでは断じてないのでありまして、たとえば書面でそれを一律に指導といいましょうか、警告といいましょうか、自治省の意思を出すべきであるかどうか、これらについてもいろいろ研究もいたしたわけでございますが、何と申しましても地方公共団体が金を正しく使わなければならぬということは、これはもういまの法の精神から、また地方自治行政のあり方から当然のことでございまして、そして先ほど自治省側から述べましたように、他に東京都と同じようなやり方をやっておるところの例というものは、まだ耳にいたしておらないような関係がございますので、やはり自治省が一律に書面でさっきお話のような趣旨を徹底さすということについて、いろいろ地方公共団体自主性その他等々から慎重にこの問題には対処したい、こう考えておるようなわけでございますが、その書面を出すというところまではまいっておらないわけでございます。しかしながら、十分この金の使途について正しく妥当に行なわれるようにという考え方で、そしてあやまちを犯さないようにという考え方で、機会あるごと自治省の意見を申し伝えるということに努力をいたしておるわけであります。しかしながら、一律全国的に書面をもってこれらについての自治省考え方を通達するということが必要であるということになりましたならば、そういうこともあり得るかとも存じますけれども、いまの段階では、以上、申し上げましたような事態でございまして、決して自治省として地方公共団体の金の使い方に対して無関心である、交際費等使い方についてはもう全然関心を持っておらないんだというようなものでないということだけは御了承願いたいと思うのであります。
  56. 門司亮

    門司委員 こういう問題に対して自治省が出されたもので、私どもの記憶しておるのは、議会議長法律では大体四年ということに——議員の任期とするということが書いてあるから、結局四年という解釈をして、一年交代なんていうのはあまり好ましい事態ではないからという通達をされたということは、私は新聞を通じて見ております。しかし、これだけが原因ではないのであります。もちろんそういうことがあって、あるいは議長選がひんぱんに行なわれることが、東京都のような選挙に買収行為が行なわれるということを起こす一つの原因であろうかとは存じます。しかし、さらにその下をもう一つほじくってみれば、結局問題はやはり交際費その他というようなものの使い方に問題がありはしないかということが想像にかたくないのでありまして、単に名誉欲だけで買収をするというのではなくて、やはりその座にすわるということがいろいろな問題で利便が、本人の利益と申し上げては、語弊があるかもしれませんが、本人のためには利益があるというようなことが問題である。したがって、そこからくるものは、やはり一年交代というようなものがきているのであって、私は一年交代が原因ではないと考えている。むしろその底にあるほうが原因だ。ところがその底にある交際費使い方等について、自治省が通達も何も出さないでおいて、そして枝であると考えられる一年交代のほうに通達か何かお出しになっていると思いますが、これはあまりにも自治省のほうが表面にあらわれたものだけを見るような見方であって、正しいといいますか、十分地方自治体のあり方を知ったはずの自治省やり方ではないと考えております。むしろ一年交代であろうと半年交代であろうと、私はそういう陰に、悪いことばを使えばうまみといいますか、甘みといいますか、そういうものがなければ結局自然にこういうことは起らぬはずです。そこにそういう問題があるからこういう問題が起こってくるのであって、表面的にはいかにも議長が一年交代になっているからそういう問題が起こるんだという議論がたまたまされておりますけれども、私はそれではないと思う。そういうえさがなければそういう問題は起こらないだん。議長は四年間やったらえらい貧乏しちゃって、次の選挙は落っこちるんだということになれば、何も買収してまで議長にならぬと思うのです。しかし議長になれば必ず次の選挙には当選することができる、東京都の例なんか、悪く言えば御夫婦で外遊もできる、これだけの金が使える、大体一日に十万円の金が使えるのでしょう。ということになれば、やはり一年でも議長になってみたいという意欲が出てくることは、私は当然だと思う。だから一年の交代制が悪いのではなくて、その底にあるもののほうが私は悪いのだと思う。それらの問題はやはり自治省は知っておらなければならぬはずだ。表面上は、そういうことは法律上のたてまえから言えば、一年ごとに交代するというような形式のことをやっているからそういうことになるということになろうかと思う。しかし私は、そういうことばかりではないと思う。その底にあるもののほうが問題だと思う。それに対して自治省がまだ今日まで何ら通達もしていないということは、あまりにも表面だけを見た行き方であって、そして東京都以外にこういうものがないと考えるからと言われたって、東京都に現実にあるんだから、これがほかに絶対にないということはいえないと思うのです。方々にこうした問題がかなりあるでしょう。たとえば市長さんの問題でありますけれども、大月の問題など見てごらんなさい。これは四国の大月にも同じような事件があったのです。大月というところは両方ともあまりよくない。結局、高知県の大月も山梨県の大月も、同じような事件があって、市長さんのいすが、一千万円で売買されておる、とは私は申し上げませんが、しかしそれに近いような取引がれされておるというような不祥事が起こっておる。それらの問題もただ単に私は名誉欲だけではない、そのほかに問題があると思う。だから今日の地方議会の金の使い方等については、単に合理化、合理化というようなことだけでなくして、こういう面に自治省ほんとうにメスを入れるべきだと思いますよ。ところが、それについて何も指示していないというなら、私がここでそれ以上追及してみたところでこれは問題の解決にはならぬと思う。あなたのほうにも三十八年度までの決算があるはずですから、一応出してごらんなさい。私のところにもありますよ。各都道府県や大都市の予算決算を表にしたものを持っています。私はそれを取り寄せようと思いましたけれども、持ってきませんでしたが、もし必要なら私のほうから出してもいい。だから、あなたのほうにもあるはずです。これを見てごらんなさい。ほとんどと言っていいほど、予算決算の食い違いがこれほど大きな項目を持ったものはない。そのほかの事務費その他は、予算決算と突き合わしてごらんなさい、そうばかばかしい大きな相違はない。ところが交際費に限って、国の長であろうと議長さんであろうと、都道府県、市町村の長というものは非常に大きな開きを持っているということが数字の上で明らかになっている。   〔委員長退席、田川委員長代理着席〕 そういう点等についても、自治省はもう少しこれがまともに行なわれるような形の勧告、助言をする権限は法律で認められておるのでありますかう、正常に戻してもらわぬと、先ほど申し上げておりましたような地方の行政に対する不信感が起ころうかと思います。  そこで最後に私はもう一つ聞いて、きょうはこれくらいでやめておきたいと思いますが、過去一年間、二年間に地方自治体でこうした不祥事がどのくらい起こっておるかということを自治省では統計をとり、あるいは調べられたことがありますか。新聞に出ている範囲しか御存じないと言うのならそれだけでよろしいと思いますが、それ以外自治省ではこういう問題については、全く無関心であるというわけではないと私は思います。もし各自治体でこういう問題があるといたしますならば、その不祥事件と考えられる問題について統計をとられておるものがあるのなら明らかにしてもらいたいと思います。
  57. 倉橋義長

    倉橋説明員 職員が賠償責任を生じました問題につきまして報告をとったものはございます。それ以外のものにつきましては、報告をとったことはございません。
  58. 門司亮

    門司委員 そうすると、自治省はこういう自治体の不祥事件その他等については大体関心を持っていないということになるのですか。これは監督だけをして自分たちの都合のいいことはやかましく文句を言うけれども地方自治体のそういう不信感を買うようなものについては、調査もしていなければ統計も持っておらない。私は監督を非常に強くしてやかましく言えという意味ではございませんが、少なくとも自治省という役所のある限りにおいては、地方公共団体がどういう行為をしておる、そのことが自治行政にどういう悪影響を及ぼしているというくらいのことは、自治省のどこかに私はなければならぬと思うのだが、そういうことは一切野放しですか。
  59. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 先ほどから申し上げますように、自治省といたしましては、地方公共団体の金が正しく使用されるということについてはもちろん深い関心を持っておるわけでありまして、地方公共団体の金の使い方に対して地域住民が不信感を抱くというようなことでありましたならば、少し表現がぎょうさんになるかも存じませんけれども地方自治というものは成り立たないと思うのであります。したがいまして、むしろ地方自治を守っていきますためには、地域住民にも自分たちの納めた税金その他金が、どのように地方自治行政のために正しく活用されておるかということについて、信用を持たせるようにしなければならぬわけでありまして、その金の使途についてはどこまでも倫理的なものがなければならぬことは申し上げるまでもないわけでありまして、自治省はそれについて無関心ではもちろんございません。むしろその点につきましてはこれを重視いたしておる、こういうわけでございます。ただ、地方公共団体自主性と申しましょうか、自治制度というものを確立するということに関しましては、これまた、ただ自治省がやたらに助言、勧告しさえすればそれでいいというようなものでないことは、門司委員承知のとおりでございまして、自治の確立、公共団体自主性を保たせつつ、それを尊重しつつ自治省は適当な線を見出しまして、法律に許されておるといいますか、与えられておると申しましょうか、なし得る立場、すなわち助言、勧告等は十分これを活用して、先ほど申し上げましたような自治というものを守っていきたい、そういう考えでおるわけであります。決してこれを軽視するとか、無関心であるとかいうものではないわけであります。ただ助言、勧告等をいたします場合のやり方等については、これはきわめて慎重になさなければならぬわけでございますから、先ほど御指摘になりました東京都の議長交際費の問題等と同じような種類のものが再発しないようにというような趣旨での、書面は出しておりませんけれども、それについても先ほどお答えいたしましたような態度で、適切な方途を講じてこの問題を解決していくように努力しよう、こういう立場であることを御了承願います。
  60. 門司亮

    門司委員 もうこれ以上押し問答しても、私は結論は出ないと思います。ただ、この際もう一つだけお伺いをして終わりにいたしたいと思いますことは、いままでの答弁をずっと聞いてみましても、いわゆる官僚的の、権力的のものの上に立った考え方から来る御答弁に終始をしておるのであります。なるほど法律のたてまえからいけば助言、監督である。しかしその助言、監督は、その精神であるものは、地方公共団体の運営を誤らないための助言、監督である。助言、監督が行き過ぎるとか行き過ぎないと言ったところで、こういうむちゃくちゃな金を使ったり、あるいは交際費が乱費にひとしいような形で使われているものに自治省がかなり強い勧告をしたからといって、それは法にもとるものではないと私は考えておる。それは自治省責任だと考えておる。自治体が今日自由に権限を持っておるから、それに自治省があまり助言、監督しては行き過ぎのようにお考えになっておるけれども、逆に自治省は、要らないところということばを使うとおこられるかもしれませんが、役人の権力を強めるための勧告、あるいは法律の改正等が行なわれております。たとえばずっと前の委員会で指摘いたしましたような奈良県に起こった事件のようなもの、長の権限をむやみに拡大をして、そして議会を軽視するという一つの役人的なものの考え方、あの政令はいまだに改正されていないと思います。そのときに申し上げましたように、東京都の知事があの条例をそのまま適用してごらんなさい。東京都の一番極端な例を言えば、国税庁の査定した固定資産税の対象になる地価は四百三十二万円、その四百三十二万円の土地を七千坪までかってにやってもいいということになってごらんなさい、何百億という金が東京議会に相談しないで知事が一人でやれるように法律ができている。これは法律というよりもむしろ法律に基づいた政令でありますが、そういうところにはばかばかしい権力を与えている。そして議会を軽視している。少なくとも議会を権威あらしめるためには、やはり地方自治体議会が十分に信頼を得るような形をとっていくことである。それについて自治省が勧告をされるということが何ら不都合ではないと私は考えておる。考え違いを自治省はしないでいてもらいたいと思うのです。というのは、これは向こうが交際費というものを自主的にやるのだから、それにああでもない、こうでもないというと、干渉がましいとお考えになるかもしれない。しかし、そのことがかえって住民について乱費になるという危険性を招いておる、というよりも、むしろ東京都などはあきれかえってものも言えないことが暴露されている。そうしてそういうことがあるにもかかわらず、自治省はまだ今日まで何にもこれに対して通達もしておらないということ、これは一体どういうわけです。私は何も地方自治体が全部こういうことをやっているとは申し上げません。しかし少なくとも東京時の二の舞いをするということがあってはならないというくらいの配慮はこの際すべきではないか。そういたしませんと、結果においてはどうにもならないものができるのであって、したがって非常にくどいようでありますが、自治省は、さっきからお聞きいたしておりますと、この種の問題については調査されたこともないようでありますし、何にも御存じないと申し上げるとこれまたおこられるかもしれませんが、報告もとっておりませんし、そういうことで地方自治体ほんとうによくなるというようなお考えは間違いじゃないか。正しいところは正しくする、強いところはやはり強くきびしく勧告をして、そしてほんとう自治体に育て上げるという親心がなければ、いまのような形で——そうして最後には、だから昔の内務省のような形で、知事も官選のほうがよいのだ、市長なども間接選挙のほうがよいのだということになりかねない。私はこういう問題については特に自治省が気をつけてもらいたいということと、それから最後にもう一つだけ聞いておきたいと思いますことは、そういたしますと、自治省の結論といたしましては、知事議長交際費その他については、大体目安というようなものは考えていない、同時に監査の対象になるようなものについても考えておらない、これは公にされないようなものがあるであろうから、結局それでよろしいのだというお考えですか。私の考えは、さっき聞きましたように、念を押して聞いておきますが、いかなるものであろうとも住民の税金によって使用されておりまするものは、住民全体の監査の対象になるのだということをはっきり私は考えておるのでありますが、この私の考え方が違っておるかどうかということをもう一度聞いて質問を終わりたいと思います。
  61. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 私どもは前段のお話に関連しまして申し上げたいのでありますが、決して官僚的な考えで申し上げておるわけでないということを御了承願いたいのでありまして、私どもといたしましては、何と申しましても地方自治の確立ということが日本民主政治のためにぜひともなされなければならないことだ、こういうふうに考えておりまするし、自治省の立場といたしましては、どこまでも地方自治を正しく発展させ、確立させるようにそれを守っていきたい、こういう立場だと存じます。したがいまして、そういう考え方でどこまでも民主的に行政を遂行していこう、こういうわけなんでございますが、その点について一応申し上げて御了承を得たいのであります。  それから、交際費というのは幾ら出しても知事が認めればそれでいいのかという問題に関連してでありますが、これは法律的な問題でなくて実際の政治的な観点からいたしますと、やはり地域住民の良識、これが監査請求ということになってあらわれる場合があると思うのでありますが、地域住民の良識、それに地方議会の中からもまた良識の線が出てまいり、なお理事者側からも良識な線が出てまいりますところに、おのずから妥当な正しい線がこの交際費の中にも出てこなければならないと思うのであります。こういう関係者の方々の努力、そしてまた自治省の助言、勧告というようなことでやはり正しい線が出てくるように努力してまいれば、その成果は得られるものと考えておるわけでございます。交際費等の使途等につきましての住民監査請求ということは、自治体のあり方として当然のことだ、地域住民地方自治に対する立場として当然のことである、このように考えておるわけでございます。
  62. 門司亮

    門司委員 もう一つ突っ込んで聞いておきます。そうすると、監査委員会は交際費については全部証憑書類をとって監査をするということが正しい、私はこういうふうに解釈をするのでありますが、よろしゅうございますか。
  63. 倉橋義長

    倉橋説明員 先ほども申しましたように、香典のように相手方から領収書をとれないというようなものにつきましては、これは何に使ったかということを明らかにいたします。そういうものはあろうかと思いますが、ともかくも領収書のとれるものはとりまして、それ以外のものにつきましては、いつどういう目的で使ったかという——証拠書類ということばで言えるかもしれません、はっきりと債権者領収書ではありませんが、そういうものにつきましては、いま申しましたように何に使ったかということを明らかにいたしまして、それにつきましては監査委員会で監査できるということであります。
  64. 門司亮

    門司委員 どうもそういうふうに逃げられることは逃げられます。たとえば汽車の切符を買ったからといって、国鉄に行って領収書を寄こせといっても寄こさないかもしれない。逃げられることはわれわれも承知をいたしております。しかし、私の聞いているのはそういうこまかいことではなくて、ただ一言だけ、使ったすべてが監査委員会に提出すべきものであるということだけわかっておればそれでいいのでありまして、こまかいことを言えば、タクシーに乗って一々領収書を寄こせといっても、タクシーの運転手は寄こすかどうかわからない。そういう場合の交通費は、どこにいってどうなったかということがわかっておればそれでいいので、むずかしい問題ではない。しかし問題は、先ほどからお伺いしておりますと、なかなか公にできないことがあるということがここで答弁されておるので、何かまだいわゆる政治的配慮によって金が使われておる、公にすることができない秘密の工作を行なうことに金が使われておるという印象を抱かせることが一つの不信感を抱かせる大きな原因だと思う。だから交際費は私的なものであろうと公のものであろうと、その書類は全部監査委員会に提出すべきものであるという解釈さえ自治省がはっきりとっていただければ、私はそれでよろしいと思う。そういうことになりますか。
  65. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 大体門司委員のお考えとわれわれの考えと一致するわけでございます。ただ領収書なんかのとれないもののせんさくというようなことの価値判断等については、これは監査委員会等でしかるべく処理されるものだと思いますが、ともかくも地域住民に金が正しく使われておるのだという信用を得られる程度やり方であるべきものであると存じております。
  66. 門司亮

    門司委員 これ以上押し問答してもしようがないからやめておきます。
  67. 華山親義

    華山委員 いま門司委員からいろいろお話がありました間に、私の申したことであるいは誤解があるといけませんので申し上げて、お答えを願う点があるならばお答えを願いたいと思います。  私の考えでは、いままで東京都のやっていたことは、これは明白に違法なんだ。法律に違反します。前渡資金考えられるところの公金について、どういうふうなことに使ったか明白になっていないというふうなことは、これは自治法と自治法の施行令に違反する。そういうふうな少なくとも疑いがあるということについて、自治省はこれを調べて、違法ならばこれを違法であるということを通達するのは、法律を守る意味からも当然なことだと思いますが、その点についてもう一度お伺いしておきたい。
  68. 倉橋義長

    倉橋説明員 先ほどお答えいたしましたように、総合監査をいたしまして、その結果を勧告いたしておるわけでございます。
  69. 華山親義

    華山委員 あなたの言うのは予算の流用でございましょう。予算の流用じゃないんだ。ああいうふうな金の使い方議長に金を渡したならばそれっきりだというふうなことは、これは前渡資金の形のものなんだ。それについて前渡資金の形のものであっても、これは明白にされなければいけない。それが全額こういうふうになっているということは違法ですよ。違法のことについても黙っていなくちゃならぬということはないので、自治体だから自主性があるからといって、違法なことも黙っていなければならないということはないと思う。私はいままでの御答弁では違法だと思うのですけれども、違法であるかどうかを確かめて、違法であるならば違法であるということを厳重に申し入れをすべきものであると思うが、どうですか。
  70. 宮澤弘

    宮澤政府委員 先ほども御答弁を申し上げましたが、調査いたしました時点におきましては、実態は先ほど答弁を申し上げたとおりでございます。それは先ほど来質疑の間で明らかにされましたように、法令の規定に照らしますと違法である、こういうことであろうと思います。ただ調査時点におきましては、御承知のように膨大な機構を短時間のうちにやったわけでございますので、そこまで徹底して私どもとして検討する時間的な余裕もございませんでした。調査報告自体の中におきましては、その点につきまして明らかに違法であるというような指摘は遺憾ながらしておりません。しかしそのこと自身は、先ほど来御質疑の間で明らかになっておりますように、法令の規定に照らしますと、法にもとる手続であるということは明白であろうと思うのでございます。
  71. 華山親義

    華山委員 法の規定にもとるということであるならば、いままでの都知事やり方というものは法にもとっているからこれを是正すべきだということを——不適当であるかどうかという問題ではない。不適当かどうかというふうな問題であるならば、自治体の自主権ということもあるかもしれませんけれども、違法なことを自治体の自主権だといって見のがすわけにいかぬと私は思うのです。そういう点なお調べることがあったならば調べられて、都知事に対して厳重に違法であるという通告をしていただきたい。これだけ申し述べておきます。
  72. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 いま宮澤参事官からもお答えいたしましたように、まだ全幅的にその調査がすべての面にわたって完了しておるという段階でもございませんし、ですからそういう点いろいろまだ調査をし、事情も聴取をしなければならぬ面があるわけでありまして、そういうことの結果、それをどうするかということについては十分検討してみたいと思います。要するに違法とか不当とかの支出が将来根絶されてまいりますような方向に向かって自治省は最善の努力をしよう、こう考えております。
  73. 華山親義

    華山委員 くどいようでございますが、これから調査すると言われますけれども調査は簡単ですよ。宮澤参事官の言われるとおり、その当時の実態においては違法であるとおっしゃるんですから、その後どういう点が誤ったかという点さえ聞けばいい。自主権だからといって違法を見のがすということはないと思うのです。私は都知事の重大なあやまちだと思う。その点について厳重な申し入れをできるだけ早くやっていただきたい、こういうふうに思います。  それから私がさっき言ったことで誤解があるといけませんから申し上げておきますが、私はものによっては証憑書類のなかなか取れないものがあるであろうということを申し上げたのであって、これは実際上のことを言っておるのです。香典を持っていったからといって受け取りを持ってくるわけにはいかない、そういうふうなことを言っておる。またもう少しゆるめて考えてみましても、これは私の体験ですからあまり申し上げたくなかったのでありますけれども、公舎というものを持っておる。そこにはたくさんのお客さんが来る。中には私の親戚も来る、知人も来る。そういうものを交際費から出してはいけないことは明白なんです。公舎でありますと県会議員も来る、市町村長も来られるので、お茶だけで帰せばいいが、そうでない場合もある。御飯だって、ビールだって出さなくてはならない場合もあるだろう。簡単なめしくらいはとってあげなくてはならぬ場合もある。そのときに、冷蔵庫に入っておるビール、これは私の分、これは公の分だといって一々家内にやらせるわけにまいりません。私のところでは全部証憑書類がなければできませんでしたが、そういうことをやっておったのでたいへん貧乏した。月給が高ければいいのですが安いものですから……。そういうこともあるから、常識で、たとえば知事なら知事議長なら議長議長はあまりそういう必要はないと思いますけれども、そういうことについて、このくらいのことは公舎の費用としていいだろうという程度のことは私はしかたがない、こういう意味で申し上げたので、公表できないというふうなことで申し上げた意味じゃありませんから、その点ひとつ誤解のないように御了承いただきたい。あまりみみっちいので言いませんでしたが……。
  74. 田川誠一

    ○田川委員長代理 安井吉典君。
  75. 安井吉典

    ○安井委員 最近地方自治体の中で、世間からとかく非難をされるような事件が相次いで起きておりますことは、たいへん遺憾に思うわけであります。地方財政が非常に苦しくなって、ある種の危機の事態があらわれているのではないかとさえ私は考えるわけでありますが、それだけに自治体自身もしっかりした考え方や態度で仕事にあたっていただかなければならないと思うわけであります。すべての問題を全部自治省だけが処理せよというわけにもいきませんで、ただ違法な問題等については、自治省は監督的な立場で当然断固たる処置に出るべきだと思いますが、地方自治体自身の立場が、しっかりしてもらわなければいけない、こう思うわけであります。東京議会の問題もその一つでありますが、きょう私は、山梨県の知事に公職選挙法等の違反の疑いのある行動があったということで、新聞等も取り上げておるわけでございますので、その点だけに限定いたしまして若干お尋ねをいたしたいと思います。  お尋ねの前に、これも新聞の報道によりますと、同じ山梨県の大月市長事件があったわけで、検察当局もこれを取り上げて調べていたが、全員不起訴処分にした、そういうふうな報道に接したわけでありますが、その点についてまず事情を伺っておきたいと思います。
  76. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 いわゆる大月事件と申されております大月市長選挙をめぐる選挙違反の事件につきましては、昨年十二月十七日に甲府地方検察庁へ警察から事件の送致がございまして、以来五カ月足らずの間鋭意甲府の地方検察庁で捜査を進めてまいったのでございますが、去る五月七日、大月市の前市長井上武右衛門氏外七名の被疑者全員につきまして、不起訴処分にいたしております。不起訴処分にいたしました理由は、警察から送致されました事実関係は、公職の候補者となろうとすることをやめさせる目的で利害誘導をしたという公職選挙法違反の事実でございましたが、この警察送致事実を完全に証拠づけて公訴を維持するに足るだけの証拠が足らないということで、証拠不十分ということで不起訴処分にいたしたのでございます。
  77. 安井吉典

    ○安井委員 相当長い間の調査であったようでありますが、金の授受でありますとか、そういうふうな事実行為が明らかにされていたように私ども聞くわけでありますけれども、そういう点はどうですか。
  78. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 御承知のように、この案件はもし公職選挙法違反が成立するといたしますと、同法の二百二十三条第一項第一号等の関係になるわけでございます。そういたしますと、公職の候補者となろうとすることをやめさせる目的をもってこれらの者に対して利害誘導をするということが明らかになる必要があるわけでございます。そういたしまして、今度は利害誘導につきましても、二百二十一条の一項二号にございますように「特殊の直接利害関係を利用して誘導」するというような、いわば犯罪の構成要件になっておるわけで、外形事実の二、三が認められましても、犯意その他の点で直ちに公訴を提起して、有罪判決を得るだけの確信が持てるというわけに必ずしもまいらない案件だというふうに思うわけでございます。そういう意味におきまして、これらのやや複雑な構成要件の全部につきまして、有罪の判決を得るだけの証拠が必ずしも得られなかった、こういうことでございます。
  79. 安井吉典

    ○安井委員 金の授受はあったのですか。
  80. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 お尋ねの趣旨とやや食い違うかもしれませんが、金の授受というような問題はなかったように思います。
  81. 安井吉典

    ○安井委員 この問題につきましては、また別な機会にいたしたいと思いますが、同じ山梨県の知事が四月一日のちょうど年度の仕事初めにあたりまして、県庁に全職員を集めて訓示をし、「この中で「六月の参院選を控えて、県職員は無関心であってはならない。とくに、全国区はそれぞれの課で関係の深い人が、有利になるよう、法に触れない範囲で運動すべきだ」と述べ、選挙運動を禁止されている職員たちをマゴつかせた。」こういう新聞報道がありました。この問題につきまして、自治省選挙課の、明らかに地方公務員法違反だというふうな談話の発表もあるわけでありますが、自治省としての御見解をお聞きいたしたいと思います。
  82. 長野士郎

    ○長野政府委員 四月一日の年度初めに、山梨県知事が職員に対して訓示をいたしておりまして、私どものほうで調べましたところでは、確かにそういう点について訓示の内容が触れておるようでございます。ただその内容を見ますと、これはテープか何かにしたものをとったように聞いておるのでございますが、新聞の報道と多少ニュアンスが違うようでございます。今回の参議院選挙では、国の仕事の関係で支持する人もあるだろうが、内部で争うようなことをせず、また法律に触れないよう注意してやってもらいたい、選挙関心を持つことは当然ではあるが、——こういうところが該当の部分のようでございます。新聞の報道では、この部分が、法律に触れないよううまく選挙運動をやってくれ、こういうふうに受け取られて報道されておるようでございます。これはその場所の空気なり前後の関係なり、いろいろな与えられた印象の受け取り方にもあると思うのでありますが、あらわれているところを見ますと、確かに適当な表現であるとは思えませんが、職員がいやしくも法律に触れるようなことをしないようにしろということを言ったのだというふうな見方もできるでございましょうし、また新聞が書いてありますように、法律に触れないようにうまくやれというような言い方であったというふうに受け取れるような印象が出てきたようにも思われます。いろいろ聞いてみますと、確かに適当な表現とは思えませんけれども、何でも選挙運動することを奨励したというふうにも受け取れないわけでございまして、そういう意味では誤解を招く発言であったことははっきりいたしております。したがって、非常に不適切な発言であるということはもちろんわかるわけでございますが、私どもの調べましたところでは、それ自身が直接非常な違反を犯しておるというまでには受け取れないのではないかというふうに考えております。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 安井吉典

    ○安井委員 私もその場で聞いていたわけではありませんので、はっきりしたあれはありませんが、ただ新聞の報道によれば、またさらに「今回行われる参院選挙の全国区では、それぞれの職員が特殊な関係があるはずだ。関係あるものに関心を持つのは当然で、有利になるべき人を運動するのは結構なことだ。」そういうふうな奨励をしているようですね。これは全国区の参議院候補が官僚出身の人が多くて、それがそれぞれの役所の機構を伝わって運動をしているというふうなこともいろいろと伝えられているわけです。そういう動きとこれとがどうも符節を合わせる、そういう方向になっておるような感じを受けるわけです。文部省から出ておる人は、教育委員会や何か、そういうふうな系統を伝わっておりていく。また厚生省出身の人はそういうふうな系統がある。建設省は建設省の系統と、そういうふうないろいろな動きがあるということを私ども耳にしておるだけに、それをあとづけるような知事の訓示内容というのはどうもふに落ちないわけであります。「有利になるべき人を運動するのは結構なことだ。」こういう表現はなかったのですか。
  84. 長野士郎

    ○長野政府委員 当時、完全な記録があるわけではございませんので、はっきりしたことが正確に申し上げられないのでございますけれども、その訓示の前のほうのところにおきましては、全回の参議院選挙に触れておりまして、参議院選挙で山梨県で職員の中に違反者と申しますか、犠牲者が出たということに言及いたしておりまして、こういうことは非常に困るということを申しております。ただその反面におきまして、選挙について無関心であるべきではないから関心を持つことは当然のことであるし、また法に触れない限り正しいことを行なうのは当然だということも申しております。そして、それぞれ関係のあるところで関心を持って考えていくということは、いろいろな立場があるからやむを得ないことかもしれないけれども、同じ県庁の中であるから、そこで法律に触れないように注意をしてやってくれ、こういうようなことを前提として言っているようであります。したがいまして、違反者が出るような事態、あるいは県庁の職員相互間で対立すると申しますか、いろいろなことは避けるべきだというふうにも受け取れるわけでございます。それで、そこで法律に触れないようにやれというのは、法律に触れない範囲で一生懸命にやれということだけではないのではないだろうか、やはり法律に触れなければ何でもかんでも熱心にやれということだけを知事が訓示として申し述べたようにも受け取れないというふうに思っておるわけでございます。
  85. 安井吉典

    ○安井委員 さきに山梨県では甲府の市長選挙等でもいろいろ問題があったというようなこともありますし、そういうような意味での訓示なら、地方公務員法の第三十六条には地方公務員についての政治的行為の制限等の規定があるわけですから、そういうものを念頭に置いてあまり行き過ぎた行動はしないようにしろ、むしろそういう消極的な訓示をするというのならこれは常識でわかるわけです。それをむしろ積極的なかまえで発言をしているということは、県の明るく正しい選挙推進協議会長の談話として、道義上許せぬというふうな談話が出ておりますけれども、私は全く同感だと思うのであります。自治大臣はきょうお留守でありますので、政務次官からさらに伺いたいのですが、選挙局長は少なくとも不適切だというふうな発言があったわけでありますが、どうでしょう。
  86. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 お話しの知事の発言そのものが、われわれのほうでいまいろいろ事情を聴取しておるところの材料では、必ずしも一致していないわけでありまして、したがいまして、そのことばに対して、最後の評価を決定するということは、まだいまの段階ではむずかしいと思われるのであります。ただ選挙局長の申しましたように、世間にいろいろの疑いを差しはさまれておるわけでありまして、何と申しましても、これは認識論とでもいいましょうか、そういうような問題で、発言した人の意思、発言の方法、それからそれを聴取した人の受け取り方及びそれの評価、そういうことを全体的に見ませんとこれは非常にむずかしい問題でありまして、結論がなかなか下せないというのがいまの段階だと思います。しかし一面それを聞いた人の中に、お話のような選挙違反の疑いありというような考えを持たれておることも事実だと思います。そのような発言があったということは、これは適切ではないというふうに選挙局長も申しておるわけでありますが、私の考えといたしましては、もっとこの内容がはっきりいたしませんと最後の断を下すことができない、こういうふうにいまは考えておるわけでございまして、やはりこれは地方公共団体の首長のあり方としてこのままにも放置できないと思いますので、いろいろとさらに事情を聴取して、それから的確な判断が下せるという段階に至りましたときに結論を出したい、いまはそういう状況であることを申し上げておきます。
  87. 安井吉典

    ○安井委員 新聞記事によりますと、自治省選挙課では「地方公務員法三十六条にふれることは明らかなので早速調べる。」とあります。おそらくそれで、選挙局のほうはお調べになったんだろうと思うのです。お調べの結果、いま選挙局長も不適切だというその段階での評価が出てきたのだと思うのですよ。何をこれからまた調べるのすでか。自治省のほうでお調べになった結果が出てきたのに、選挙局長がそう言っているのに、政務次官、または何を調べるんです。向こうへ行って、また知事に会って様子を聞くわけですか。どうされるわけですか。私はそういうふうに、一応自治省の中で役所としての評価が出ているのを、政務次官がいまになってもう少し調べるというのはどうもおかしいと思うのですが、どうですか。
  88. 長野士郎

    ○長野政府委員 地方公務員法の三十六条違反の疑いがあるという新聞記事につきましては、当時どういうことで取材が行なわれたか、私ども記憶がないのでございますけれども、この三十六条の関係ということでございました場合には、地方公務員法の三十六条三項でございますが、何人も政治的行為を行なうように職員に求めたり、そそのかしたり、あおってはならないという該当の条項がございます。それにつきまして、そういう関係におけるところの問題としての政治的行為という中には、公の選挙または投票において特定の人を支持したり反対するということについての条項が、何人もそういうことを職員に対して行なってはならないという規定で受けてあるように思われます。この場合は、政務次官が申し上げましたように、知事の訓示の内容というものが、その当時これが唯一のものだという記録がどうも私どもの印象ではないように思われるのでございますが、その点について厳密に考えてみますと、やはりそれはそういう意味で、ほんとうにどういう発言がそのときあったかということは、なお確めないと、調査しないといけないということは出てくると思います。そういう意味でなお調査が必要だということをおっしゃったんだろうと思うのですが、ただそれにいたしましても、どういうものを見ましても、そういう意味での具体的な特定の人について支持したり、あるいはそれについての政治活動、政治的行為をやれということではない、特定はしていないようでございまして、その点では、次の参議院選挙で云々というようなかっこうになっておるようでございます。しかしながら、それがあたかも職員に対して、お話がございますように、選挙運動を進めるというような形で発言されたという印象を与えておるといたしますと、この発言そのものは年度初めの訓示としては決して適当なものではない。しかしながら、直接それが、中心が地方公務員に対しておるものとして考えられるかということになりますと、そこまでは、記録は全部が一つのものとなっておりませんので、はっきりいたさない部分がございますが、非常に抽象的な発言であったことは、いずれの記録もそのようになっておりますので、そうであるとすれば、直接そこに触れるということには考えられないのではないか。しかしながら、そういう誤解を与えるようなそういう発言が、いいことか悪いことかということになれば、それはどうも適当だとは言えないと思うわけでございます。
  89. 安井吉典

    ○安井委員 選挙局長はそういう御発言なんですが、政務次官、どうなんですか。
  90. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 選挙局長申しましたのと、私の申し上げておるのは、決して矛盾も何もしておるわけではないと私は考えておるわけでありまして、やはりこういう問題の起こるようなことを知事の訓示になされたということは、これはこのまま放てきしておくべきものではないと私も考えるわけでありまして、それは一体真相はどうであったかということを把握しまして、それからどういうようにするか、結論を出すべきで、いまの段階では、それはどうであるという結論を出す段階ではない。やはりもっと事情を聞いてみないとまだまだわからない面がある、こういうふうに思っておるわけであります。ですから、いま少し時間をかしていただきましたならば、これがどういうふうであったということがわかるのではないかと思うわけであります。がしかし、何と申しましても、こういう問題は、さっきも申し上げましたように、意思と表現と、また相手方の受け取り方等々非常にむずかしい問題があるわけでありますから、そう簡単にこれはこうだということは言えないわけでありまして、われわれといたしましても、山梨県知事が不正をしたとか、不穏当な発言をしたとかいうことをそう簡単に決定することはできないわけであります。これはやはり慎重にひとつ事情を明らかにして、それから自治省考え方を決定しなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
  91. 安井吉典

    ○安井委員 おかしいじゃないですか。選挙局長は年度初めの訓示としては不適切だと言った。それは自治省考え方じゃないのですか。どうもその点を政務次官否定されようとするような印象があって、何か二人並んでおられるのだけれども自治省としての意見違うのですか、どうなんですか。
  92. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 こういう問題の起こるようなことを地方公共団体の首長としてなさるということは、私も適当でないということは思っておるわけです。ですけれども、その内容が不当であるとか、あるいはそういうことは選挙違反になるとか、そういったようなことはまだまだ慎重に実情を調べてみないとわからない、そういうことを申し上げておるのでありまして、選挙局長の申しておりますのも、私の申しておりますのも、ああいうことは首長としては将来訓示なんかのときにはしないほうがいい、こういう考えを持っておることは一致しておると私は存じております。
  93. 安井吉典

    ○安井委員 大体わかったようなわからないような、しかしさっきよりはだいぶはっきりしてきたような気がいたしますが、選挙違反になるかどうかについては、これはさらに調査しなければいけない、そういうことで、この場の処理としては適当ではない、そういうふうな御発言だと思います。  ところで、その同じ天野知事が、これは四月二十四日のことでありますが、山梨県身体障害者連合福祉会が主催して、甲府市の県民会館で開いた山梨県身体障害者連合福祉大会の席上で、表彰状を渡すというふうな目的で出席をしていたわけでありますが、その場のあいさつの中で、今度は参議院選に出馬を予定されております自民党候補の名をあげて、この人を出せば皆さんの立場はよくなる、ぜひよろしくと、約十分にわたって同候補を推薦するあいさつをした。それによって主催者側は、特定候補の事前運動に利用されたと憤慨している、こういうふうな新しい問題が続いて出ているということも伝えられております。この点につきまして、まず選挙局のほうの御判断はどうですか。
  94. 長野士郎

    ○長野政府委員 この四月二十四日に、身体障害者連合福祉会創立十五周年福祉法制定記念大会というのが山梨県で開催されたようでございまして、その席上で知事が、身体障害者を激励するあいさつをされた。そのあいさつ中に、特定の人の氏名をあげて、その人が福祉関係にも非常に力を入れておられる人だということを言っておられるというふうに聞いておりますが、その詳細なことについては現在聞き合わせ中でございまして、その程度のことしかわかっておりません。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 この問題につきましては、社会党山梨県本部が告発をしているはずでありますが、法務省においてどういうふうな御処理をされつつありますか、それを伺います。
  96. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 御指摘の身体障害者福祉大会、これは四月二十四日でございますが、その席上天野知事の言動ほか一件の事実につきまして社会党の御関係の方かどうか存じませんが、神沢浄という方から、本年四月三十日甲府地方検察庁の検察官に対しまして、天野久という山梨県知事を被告発人といたしまして、公職選挙法違反の告発事件が出ております。この事件につきましては目下同地検で鋭意捜査を進めておる段階でございます。
  97. 安井吉典

    ○安井委員 告発の理由はどうですか。
  98. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 告発事実は二つでございます。一つは御指摘の四月二十四日山梨県民会館で行なわれました山梨県身体障害者福祉大会の席上の言動であります。告発状によりますとへ同県地方区に今度立候補をうわさされております特定の方のために、推薦演説的なことをしたというのが事実の第一で、もう一つの事実は告発状によりますと本年三月二十六日甲府にございます山梨県立あけぼの学園、これは身体不自由児の収容施設ではないかと思いますが、これの入退園式に出席しまして職員、園児、父兄等の前で、先ほどと同じ方の名前を上げて推薦演説的な行為をした後、演説が終わってから子供たちに対してではないかと思いますが、百円ずつ渡したというような告発の事実でございまして、告発人のおっしゃるところによりますと、事前運動並びに公務員の地位利用の違反になるのではないか、こういう告発の趣旨でございます。
  99. 安井吉典

    ○安井委員 これは自治省側にひとつ伺っておきたいわけでありますが、新聞のこれについての天野山梨県知事の談話によりますと、「社会党が私を公選法違反で告訴するという話を聞いたが、身に覚えのないことで驚いている。身障者大会でのあいさつは、こうした人々のため国の力を借りなければならないと思い、役に立つ人を検討してもらいたいと名前をあげた。しかしこれは自民党県連会長としていったことだ。知事の立場と混同したことについては、十分に反省し慎重を期したい。」こういうふうな言い方をされているようであります。しかし、自民党県連会長が表彰状を身体障害者におあげになったわけじゃないのだし、祝辞を頼んだのも、知事に対して頼んだのではないかと思うのでありますが、政務次官、どうですか、こういう知事と県連会長を兼ねておられることがいけないという意味じゃありませんけれども、こういうような態度はどうでしょうか。
  100. 高橋禎一

    高橋(禎)政府委員 事実は、先ほども法務省のほうからお答えがありましたように、いま山梨地方検察庁において検察官が事件を調べておるわけでありまして、それによって明らかになることと思うのであります。その発言をしたという天野知事が、いまお述べになりましたように述べられたのかどうか存じませんですが、そのようなことも、その態度がいいか悪いかということの価値判断等も、事件の真相が明らかにならないとその結論は下せないんじゃないかという感じを私は持っておるわけでございます。しかし、やはり公共団体の首長、特に県の首長の知事が、公の席上で話されたことが、いろいろ告発事件にまで発展してまいるというようなことは、私自身として地方行政のためにはなはだ遺憾に思うわけでございまして、そういうような選挙違反の疑いが一部の人からでも持たれるというような発言はなされないほうがいいんだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 こういう問題でありますから、これ以上あまり深くお尋ねしても、先ほどの政務次官と私とのやりとりからいえば、どうもあまりいい答えが出そうでもないし、時間がかかりそうですからもうこれでやめますが、いまのようなお話の中から、やはりこういう態度は困るという御発言だけは伺ったわけであります。地方公共団体の長は政党に所属してもかまわないし、その政党の責任者になったって、これはもちろんかまわないわけでありますけれども、しかし問題の取り上げ方や自分が持っております二つの立場というもののわきまえといいますか、そういうものが、私は必要だと思うのですね。いまその点を次官はおっしゃったのだろうと思うのですが、そういうことによってこの際は明らかに知事という、そういう立場を利用して、選挙運動的な言動に出たと断定せざるを得ないような事実であります。あるいはまた、地方区の候補の名前だそうでありますけれども、いずれにしてもこれはもう明らかに事前運動の内容を持っているということを私は断定できるのではないかと思います。私は社会党だから、自民党のほうの知事がこういうふうなことをやるのはけしからぬというような立場で言っているのではなしに、あくまでこれは公正な立場から問題を処理する、これが選挙運動でなければならぬと思います。それだけに私はきょう特にこの点について政府に伺ったわけです。公明選挙運動が明るく正しい選挙運動と名前は変わったが、その内容をこれからどんどん進めていかなければならない。特に地方公共団体の長は、そういうような運動の先頭に立ってやらなければならぬ、こういう立場にあるんだろうと私は思うのです。それだけにきわめて遺憾とするわけであります。政府側の御意見は承ったわけでありますが、法務省ではただいまの告発についていつごろまでに結論をお出しになるか、その見通しはどうですか、これを最後に伺っておきたいと思います。
  102. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 いつごろまでに結論が得られるか、いま直ちに申し上げる材料もございませんので、確たることはいずれにしましてもお答えいたしかねますが、事案の性質上なるべくすみやかに捜査を遂げたい、こう思っております。
  103. 中馬辰猪

    中馬委員長 では、本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ————◇—————    午後四時九分開議
  104. 中馬辰猪

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますのでこれを許します。重盛寿治君。
  105. 重盛壽治

    ○重盛委員 道路交通法の一部を改正する法律案がいま提案されておりますが、これはもちろん交通事故をなくするということが一つの大きな柱だと思うのですが、そこに出ておる自動二輪車の運転者の順守事項を定めるとか、あるいは安全運転管理者の制度を設ける、あるいはまた自動三輪車、軽自動車等の運転免許の資格要件を変える、いわば従来よりはより技術の向上をはかっておる、それから自動車専用道路の関係について、国家公安委員会が都道府県公安委員会に必要な指示をやることができる、あるいは身体障害者が人道を歩くようにしよう、こういうことがおもなことでありますか。この前、失礼ですが御説明のときにちょっと聞かなかったので、一応私のいま申し上げたようなことであら筋だけでもおわかりならば教えていただきたいと思います。今度の法案の基本的な体制を……。
  106. 江口俊男

    ○江口政府委員 ただいまお述べになりましたような項目が今度の改正の骨子でございます。
  107. 重盛壽治

    ○重盛委員 そうすると、今度の法案の改正はより交通事故をなくし、より技術の優秀な者に切りかえていこうという趣旨であり、従来私どもが唱えておった、比較的技術の未熟な者に免許証を与えるということにも大きな事故の原因があるのではないかというようなことに、合致してきたように考えられるのですが、そういうことでありますか。
  108. 江口俊男

    ○江口政府委員 考え方としては、ただいま先生のおっしゃるような心組みで実際の行政をやっているわけでございます。今度の改正で特に取り上げましたのは、いわゆる従来の軽免許と称するもので、実際上は普通の自動車とほとんど性能の変わらないものをやっておるにもかかわらず、簡易に免許がとれるというものについて、やはりその性能に応じた試験をしていこう。それからそういう種類そのものも三年後には廃止して、一般の免許に統一しよう。こういう点を中心にやっておりますから、従来の普通免許につきましては、今度の法律改正では特に法律上厳格にしたという要素はございません。
  109. 重盛壽治

    ○重盛委員 私もこの法案はそのように拝見をいたしておりますし、一歩前進だなというふうに考えます。ただこの際お伺いしておきたいんですが、何か交通事故の起こるのをどうして防止するかという具体的なものがないのであります。そして、結果的には運転者の処罰を強化していく、こういうことによって事故をなくする。これはほんとうに事故の起きないような環境をつくるということが必要であると同時に、なかなかそうはいっても、警察庁だけでやれることではなく、総合施策として道路関係もあろうし、自動車を製造する通産関係もあろうし、多くのものがあろうが、当面直接取り締まりの任に当たっておるあなた方としては、やはり処分でいく以外にはないのじゃないかという流れがあるやに感ずるわけです。したがって、自動車の運転手は俗に二重処罰、三重処罰と言われておりますが、こういう点何か特にお                      −考えになっておる点はありませんか。運転手は御承知のように、まずちょっと違反をすると免許証を取り上げられる。そうして何月何日に、東京でいうならば錦糸町へ来いとか、このごろあっちこっちにできたようでありますが、すぐに呼び出しを受けて、大体がほとんど罰金、さらに就業停止、さらには免許証の取り上げから体刑と、これらを私どもは二重、三重処罰と言っておりますが、こういう点について何かお考えになったり、今後どうしようかというような問題を考えたことがおありでありましょうか。
  110. 江口俊男

    ○江口政府委員 おっしゃるように、最後の目標は交通事故をできるだけ少なくするということでございますが、これはひとり警察だけでできないことは御指摘のとおりでございまして、そのために内閣に交通基本問題調査会、あるいは交通対策本部、あるいは交通関係閣僚懇談会というような、各省にまたがる施策を統一調整してやる機関がございまして、基本問題調査会ではすでにその結論を答申されておりますし、対策本部でもそれに沿った対策を各省庁おのおの努力をいたしておるわけでございますが、とりあえず私たちはその中で警察自体でやるべき仕事を強化するということと、それから他の省庁でぜひやってもらいたいということについて、そのことに協力、あるいは推進するという立場をとっているわけでございます。ただ今度の法律改正におきましては、警察の担当する取り締まりの強化という点は法律改正として出ておりません。御承知のように、三十八年度及び三十九年度の交通事故を分析いたしました結果、その理由のいかんを問わず、事故の原因というか事故者について見ると、どうも自転車乗り、あるいはオートバイ乗り、あるいは歩行者の事故が非常に多い。しかもその事故を分析しますと、頭部を打って死んでおるという例がほとんどの事例でございますので、今度の改正におきましては、むしろ保護規定として、罰則がございませんが、一定のところにおいて二輪車に乗る者にはヘルメットをかぶらせる、あるいはそれに同乗する者についても同様の措置をとらせるというようなことをきめておるような次第でございまして、今度の改正には運転手を締めつけることによって事故を少なくしようというねらいは、法文の上では一カ所も出てまいりません。
  111. 重盛壽治

    ○重盛委員 あなたのおっしゃるとおりだと私も思います。今度のものには、冒頭私が申しましたように一歩前進したんだというようなことが考えられると思うのですが、しかし、たまたま幸か不幸か知れませんが、同じときに刑法が改正せられて、これは法務省のほうでやったんだということになるかもしれませんが、この中には自動車の運転手の処分がかなり加重されてきておると思うのですが、こういう点は何か御相談を受けておるのかどうか。私は、これは自動車の運転手ばかりでなく、お互いに取り締まりの立場に立つ者も、取り締まられる立場に立つ者も、処分で臨むということだけではいかぬ。立ち直ったといっても、戦後の日本の国民性というものは、まだ完全に民主主義国家の国民としての立ち直りはできていない段階にあるのではないかというふうに考える。したがって、処分の強化によって、あるいは旧法律によって人を罰しながら事故をなくしていこうというような感覚——あなたはいまの答弁でおわかりだろうと思うのですが、残念ながらあらわれておるものには、そういう面がたくさんあらわれておる。しかも今度の刑法の改正というものは、全くこの時期にやらぬでもよいのじゃないかという感じがしておるのですが、その点長官としてはどのようにお考えになっておりますか。
  112. 江口俊男

    ○江口政府委員 おっしゃるとおり、そういう処罰を重くする、罰則を強化するということだけで交通事故を減少せしめる、あるいは絶滅せしめることはできないという点につきましては、私も全く同感でございますが、ただ交通事故を減少せしめる一つの手段として、やはり現在の罰則では軽いという面もございますので、今回法務省から提出されたあの刑法改正につきましては、従来の道交法改正で私たち自身が考えたとほとんど同じ内容でございまして、あの程度のことは私たちとしましても当然事故漸減の一つの方策として必要であるというような考えを持っております。今度の法案の提出につきましても、もちろん十分連絡があって、私たちとしては賛成をしておるわけでございます。
  113. 重盛壽治

    ○重盛委員 できてしまった法律に私はいろいろ言いたくはありませんが、しかし、いずれにしても法律によって、処分によってやはり事故をなくしていこうというような考え方が流れておるとするならば、これはたまたま交通事故だからあるいはそういうふうに考えられるかもしれませんが、国民性全体として考えるならば、できるだけやはり処分は軽くして、願うことならば処分しなくて済むようなことを考え、つくり上げていくのが私は政治の仕事ではなかろうかと考えます。したがって、いままでの通例からいきますと、どうも事故が起きて困る、乱暴な運転手がいて困る、処分規定をひとつつくろうじゃないか、そういう反面に、どうかして指導をし、あるいは善導をし、あるいは免許証の——この中にあらわれていることは非常にけっこうだと思いますが、こういう変え方をして事故をなくしていこうじゃないか、こういう御相談のようなことを——いわばできるだけ処罰は軽くしながら、現実には事故がなくなるというような方法は一体ないものだろうか、あるはずだがというようなことの御研究はどこかでなされたのか、あるいはおやりになったことがありますか。ひとつ蛇足ながら伺いたい。
  114. 江口俊男

    ○江口政府委員 おっしゃるように、処罰だけ、あるいは処罰を重くするということだけで事故が絶滅するというふうにはもちろん考えておりません。私たちは同じ事故を起こしました場合でも、その態様というか、その条件によって、指導で更生させるというものと、それから多少の制裁を加えることによってこらしめるという必要のあるものと分けるわけでございますけれども、今度の刑法改正等をそのまま適用されるというものは、やはり善導というものにも限度がある、非常に悪質な事犯というものについて最高のものが科せられると思いますので、ああいうものができたからといって、一律にいままでのが強い制裁を受けるというものではなかろうと思いますし、また私たちもそういう気持ちで取り締まりをするつもりはございません。同時に、交通安全連動等の場合におきましては、悪質な運転者に対する取り締まりというものを厳にいたしますとともに、単なる過失といいますか、気づかないためにあやまちをおかすという者に対しましては、指導をする。同時にまた、その被害者になっております歩行者とか、あるいは自転車乗りにつきましては、運転者の立場を考えた行動を指導するというようなことで、やはり加害者、被害者の両方に責任のあるような場合が非常に多うございますから、ただ運転者のほうだけに事故が起これば何でも悪い点があるのだという頭で警察はやっていないということを、御了解いただきたいと思います。
  115. 重盛壽治

    ○重盛委員 このできた法律に対して、私がいろいろ申し上げてもやむを得ないし、同時に立場も違うことでありますから、そう私の考えるようなわけにはいかぬと思うのだが、いずれにしてもどんな場合であっても、民主主義日本という新しい形で進む場合に、法律の上で罪を重くしていくというようなことは、国民性自体の位置づけにもなるのじゃないか。これは国内ばかりの問題でなく、対外的にも、まだ日本という国は自分の法律でだんだん重くして、罰金をよけい取ったり、体刑までくれて取り締まっていかなければ秩序が保てないのだな、逆にいうとまたそういうあらわし方にもなるのであります。私の考え方からいうと、やはり国民性全体にも関連するものであるので、つくられたことに対しては、いまあなたの言われるように、できるだけこういうものを使わなくてもいいような体制をまずつくることが必要である。つくったけれども、こういう法律は要らないのだといいう体制に持ち込むことが基本的なお考えでなければならないように考えますし、私どももお互いにそういう方向で努力していかなければ、国民全体の価値といいましょうか、そんなところにまで何かさびしさを感ずるものがあるように考えます。政府が、国が法律をつくるときに、しかも罰則を強化するというようなことは、よほどお考えになっていただきませんと、あなた一人でやられたことではなかろうと思いますが、いま言うように国民性全体にまで及ぶ問題だというふうに考えますので、できたならばそれを使わなくてもいいような御指導を願いたい。  それからもう一つ、それに関連をしてお聞きをしておかなければならぬことは、あなたがいま言われるように、実際には警察庁として、自動車の運転手をそういじめ抜いていこうというようなことはなかろうと思うのだが、世論が職業としてやっておる自動車の運転者に対して、ほかのものと同じような見方をするかというと、そうではないですね。あれはあぶないものをいじってあぶない性格のものだというので、極端にいいますと、通行人との接触があったというような場合、これは通行人のほうで、もう少し気をつけてくれたらよかったのじゃないかというような問題でも、大きなものを動かしておる運転者のほうにそのしわ寄せがくる。したがって、最近の事故件数の多いということは、交通道徳ということばがよいのかどうか知りませんが、国民全般が交通問題に対して、交通機関が発展をすると同時に、それに対処する心がまえというものが欠除しておるのじゃないか。ここらはあなたのほうだけでやれる問題ではなかろうけれども、交通事故を絶滅しようということを各省の関係考えていくとするならば、これは時代が変わってきてしかもこれだけひんぱんな交通の量になってまいりますと、いま言うように一部関係しておる者を取り締まっていくというようなことよりは、国民全体にこれを流していくのだ、これをなくしていくのだという考え方の上に立つ指導がなければ、どんなに処罰を重くしてもいかぬのじゃないか。  それからもう一つ、あなたのお話を聞くと、そうむちゃなことはやらせない、やっておらぬ、なるほどあなた方とお話をし、意見の交換をしておる限りにおいてはいつでもそのとおりであります。しかし、下部にこれが徹底しておるかというと、だれかれとは言いたくありませんが、東京などの例をとってみますと、若いおまわりさんたちがほんとうに指導するというようなことよりは、どこかのほうにかたまっていて飛び出してきて、違反をつかまえてやろう、見つけてやろうというような——職業的な立場からいえばそういうふうに考えられるかもしれぬけれども、それは善導ではなくて、むしろほじり出していくというような感じを受ける。ですから、御承知でありましょうが、従来は一ぺんくらいは説諭して、ちょっと信号が変わり目にきた、現実には危険がなかった、きょうは危険がなくてよかったけれども、もし人が通っておったらたいへんだろう、もう少しゆるやかな運転をしなさいよとか、あるいは気をつけてやりなさいよというようなことを一言言ってやったならば、その次にはその運転手はやりませんよ。ところが最近は、ちょっとやると必ず免許証を取り上げて、何月何日にはどこへ出てこい、無条件で最低三千円から五千円くらいの——信号が変わったか変わらないかというようなことで、前車が行く、そこに何らの危険もなくて、自分も周囲の中に入っておったので行ったというようなときに、これはおおむねやられておるのです。そうかといって、そういうものをかんべんしてやれとか、めんどう見てやれというわけにはいかぬが、例を言うと、そこにおった警察官が、君のは少しおそ過ぎたぞとか、もう少し気をつけなければいかぬじゃないかというような注意を与える必要があるのじゃないか。ということは、なぜかというと、いまの自家用車の運転者、しかも三輪車とか小型トラックというようなものが比較的そういうことが多いと私は思うのですが、道路状態も悪くて、わずかな荷物を持っていってもとめるところもない、やむなく電話をかけるとか、何かちょっと行っても、駐車違反でこれはもちろんやられてしまう。いわばせっかく能率のあがるようにと思って買った自家用車が、ほんとうの仕事ができなくなるというような現状もあるのです。いろいろなことを総合いたしますと、何か最近の状況は、あなたの言われるのとは別に、自動車の運転者に対してだけ非常な強硬な態度で処罰をやってきているというように感ずるのですが、特に最近何かあなたのほうから取り締まりに対してお出しになっておるものがありますか。
  116. 江口俊男

    ○江口政府委員 ただいまおっしゃいましたような事例につきまして、そういうものが皆無だとは申しませんけれども、一般的にそうだというふうに私たちどうしても考えられないわけでございまして、かりにそういうものが多いとすれば、私たちの指導が足らぬためでございますから、十分指導は徹底したいと思います。  なお、私のほうで交通事故の防止ということを重点にしましたのは、御承知のように昨年からでございまするが、昨年も大きな柱の一つとしてこれを立てました。またことしも同じように、大きな柱の二つあるうちの一つとして立てておるわけでございまするが、ことしは特に交通取り締まりの重点を、ただいまおっしゃったような点に向けるのじゃなしに、いわゆる交通暴力と称するもの、たとえば無免許運転、酔っぱらい運転、及びひき逃げ、この三種については従来以上に注意を払い、厳格に取り締まっていくという方針は示達いたしておりまするが、その以外につきましては、従来よりも軽くせいというようなことはもちろん言うておりませんが、強くせいとかなんとかというようなことは示達いたしておりません。  それからもう一つお話の中で、どうも点数制に関係があるのじゃなかろうかと私は想像するような面がひとつあらわれて——これは隠れて、わざと、ちょうど試験の監督を怠っておきながら、カンニングをさせて、それをつかまえて点数をとるという教師が皆無でなかったのと同じように、そういうふうに見られるような取り締まりがあるいはあるかもしれぬと思いまするが、これは点数制というものはとってはいかぬという指導をいたしております。しかし点数制とは無関係に、公開取り締まり等の場合は、そういう知りながらそれを無視してやっておるというものを立証するためには、やはりいまのような手段をとる、技術的にとるということも、これは場合によってはありまするので、常時違反をなるたけさして、点数をかせごうというような立場じゃなしに、違反しないのが原則になっておるはずなのに、違反をしておるのをどうやって証明するかという場合に、そういう方策をとることがこれは絶対将来ないとは保証できませんので、私たちの気持ちは十分御了解いただけると思いますが、そういうことを奨励してやっておるわけじゃございません。
  117. 重盛壽治

    ○重盛委員 先ほど言うように、あなたのところではそういう考えで指導なさっておると思うのだが、出先は必ずしもそうじゃない。これはあることだと思うのですが、ただ私ども感じからいって、何にも事故をやっておらぬときは、一度くらいは説諭でかんべんしてくれるというくらいな寛大な措置をとることにすれば、非常に件数が減る、こういうふうに私は思うわけです。実際に私どももたまには運転をして歩くのでありまするが、そういう点を感ずるままに——こういう機会にやはり検討を願わなければ、何かしらん重苦しく、どうせ——それともう一つは、いま言う商店の小僧さんとか、帰ってくればこのくらいのことで主人におこられる。はなはだしいのになると首にまでなってしまうから、ひた隠しに隠して、罰金がくれば罰金を納めに行くことになってしまうのだが、そういう場合に、これはそんなにおしかりを受けたり、そんなに罰金を受けるような処分ではないから、何か言いたいのだ。しかし言う時間的余裕と、言っていって処置をするところが実際にはないわけですね。一週間以内とかどうとかいうことにいまでもなっていましょうけれども、そんなことをしているよりは、罰金を納めるためにも、あるいは生活を維持するためにも、働いていかなければならぬというのがこのクラスの圧倒的多数の環境なんですね。たとえばタクシーの運転手などは呼ばれた日にも行けない。あんなことでとめられたのじゃ、あのときには信号がダイダイ色に変わりかけたから行ったのだけれども、信号無視として告発されてしまった。しかし、そいつを争っているいとまがない、こういう事例は非常にたくさんあるのですよ。これらはどうか。先ほど私は、いわゆる事故をなくするために、処分のほうも少しは考えてやりながら事故をなくするということで、どこかで考えられぬかという妙な質問をいたしましたが、そういうことに関連があると思うのですよ。これはひとつお考えおきを願いたい。御答弁を願わなくてもいいのですけれども、お考えを願っておかなければならぬと思う。  それから今度の法律にも関係いたしまするが、高速道路、それから四十キロ、五十キロのこういう道路、たとえば東京でいいますならば青山通りなどは五十キロになっておりますね。それから一般のところはおおむね四十キロ、それからその他高速道路とこういうふうにありまするが、そういう速度による道路、どこに一番事故が多いか、それに何か資料があり、おわかりになっておったらば、長官でなくてもけっこうですが、お聞かせを願いたい。
  118. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 御指摘のように道路の最高速度は、何も規制をいたしませんと、高速自動車国道の場合を除きまして、六十キロが最高でございます。公安委員会が道路交通の安全、あるいは危険防止をはかるために、これと異なった最高速度を定めることができることになっておりまして、五十キロあるいは四十キロ、それから場合によっては非常にいい道路であれば八十キロという最高速度をきめているところもございます。しかしながら、これは道路によっていろいろ異なっておりまして、最高速度別の道路の事故というのは実は統計をとっておりません。一般的には道路の種類によって統計をとっておりますが、これも大体の傾向でございますが、やはり何と申しましても従来一、二級国道といっておりましてことしの四月から一般国道になりましたが、一般国道における事故がそれ以外の府県道における事故より相当多数上回っております。
  119. 重盛壽治

    ○重盛委員 よく私わからなかったのだが、つまりスピード制限による道路の事故件数、何台通ってどれだけの事故がある、通行量との問題になりますね。通行量が、四十キロのところは一日何万台通って、交通事故の量はこれだ、五十キロのところは何万台通ってこれだ、高速道路は、こういうデータがあるかどうかということを聞いておるのです。
  120. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 いま御指摘の最高速度別の交通事故は、実は統計をとっておりません。
  121. 重盛壽治

    ○重盛委員 これはどうですか、お聞きしたいのだが、いま東京都内なんか、例にしてみますと、あなた方も日常御存じだと思うのですが、青山通りのように、あそこはたしか五十キロになっておると思うのですね。その他のところでも、非常に広いところは私はむしろ五十キロにしたほうが、かえってはけがよくなるのではないかというように感ずるのです。ということは、のろのろしてきた、それからラッシュで詰まってきた、それからようやく見通しはついたし走ろうと思うとそこは四十キロで、四十五キロ出せば、さっき長官の言われたように故意ではなかろうが、ここのところはちょっとスピードの出るところだからというので待っていて、おい待て、というのを食ってしまう。こうなると自動車の性能をどこで生かしていくかということになるわけなんで、私はある程度の速度は、やっぱり車の性能がよくなり、自動車に交通機関としての重点が変わってきておるという段階からすれば——もちろん事故をなくするということが先決でなければならぬが、そういうふうにスピードを若干でも変えていく、まあスピードを出すようにしろなんというのは少しおかしいかもしれぬ。けれども、実際にはもう四十キロのところは五十キロ、あるいは三十五キロのところは四十キロというように変えなければ、むしろ流れが悪いというようなことがあるやに私ども考えるが、この点何か御研究になったことがありますか。
  122. 江口俊男

    ○江口政府委員 ただいま東京都内の例をお引きになりましたけれども、全国的な傾向として、私たちよりも警視庁なり府県警本部、そういうところよりも第一線の署、こういうふうにいきますと、現場に近づきますにつれてスピード制格というものをなるだけ厳格にしようという傾向がございます。それでただいまおっしゃったような点もございますから、私たちとしては実情に合うように、単にのろのろしさえすれば事故が起こらぬというものじゃないのだから、この点はもうちょっと上げたらどうかというようなことを、いまのような順序でずっと勧奨しておるのが通例でございます。だから、お気づきになったようなところは確かにそういう弊があろうかと思います。しかし第一線の署長に言わせますと、事故が多発しますと何らかの方策を打ちたくなる。どうもここは五十キロを許しておいたから事故が多いのだというようないわれ方をすることをおそれて、なるたけ自分のところは低目のところでやっていきたいといういわば人情のようでございますから、これはしょっちゅう監督者が出歩きまして、実情に即した制限をするということに全国的に指導いたしております。
  123. 重盛壽治

    ○重盛委員 たいへんけっこうだと思います。私もなるべくそのようにそこの実態に即したやはりスピード制限をしていかぬと、どこにどういうのがあるというならば例をあげてもいいと思いますが、そんなことを申し上げなくとも、一方スピード違反ということでぴしぴしやっておるわけなんだから、それならば道路の状況に応じて、それからそれには当然先ほど申しますように、通行人も一般国民も、自動車というものはこういうものだ——このころ立体交差が圧倒的にふえて、たいへんそういう意味ではよくなっておりますが、そういうこと等を勘案して、いまおっしゃったような処置をとっていただくのがいいのではないか。それでもなかなか平素はやれないので、やはりわずかでも道交法を直すというようなときをきっかけとして、何でもかんでもスピードを出していいようにしなさいということではないので、スピードを出せるところはスピードを出せるようにして、反面スピード違反というおそろしいものがありまするから、ある程度走れるようにしておいて、実際には取り締まるほうはぴしっとやったほうがいいというふうに私は感ずるから申し上げたのですが、どうかその点も御考慮の中に入れていただきたいと思います。  それから、こまかいことで、これもなかなかおわかりにならぬかもしれませんが、一般自家用車、自家用といってもトラックもあり乗用車もありまするが、トラックとか乗用車、それからタクシーでいうならば普通タクシー、個人タクシー、こういうもののどういう部面が、同じ台数を動かす場合にだれがよけい多く事故をするか。端的にいえば、今度の取り締まりの問題にあがってきておる自転車とか自動二輪車とかいうものは、私は率直にいって、やはり事故の最大の原因を持っておると思うのですが、そのほか普通免許で走っておるもののうちではだれが一番事故件数が多いか、そういうことをお調べになっておりますか。
  124. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 ただいまの御質問の趣旨は、自動車の種別によってどういう種別の自動車が多かろうかということになると思いますが、私どものほうの統計から見ますると、千台当たりでどのくらい起こすかということで比較してとっているわけですが、それによりますと、やはり営業用の貨物自動車が一番多いわけでございます。その次は営業用の乗用車。自家用は営業用に比べますと、自動車台数当たりにいたしますと比較的少なくなっております。それで自家用のうちでも、やはり貨物のほうが多いという傾向が出ております。
  125. 重盛壽治

    ○重盛委員 そうすると、やはり営業用貨物自動車の事故件数が比較的多いということは、一口にいうと、運転者の技術がここへ集まっている人は比較的悪いのだ。一がいにそういえるかどうか知りませんが、そういう感じがするのです。それから自家用車でもやはり貨物のほうがよけい多いのじゃないですか。私、そういうふうに思うのですが、それはやはりここに来る人たちが若い十八歳から二十代の、いわゆる免許証取り立て、教習所で免許証だけもらって、すぐここへ飛び込むという率が一番多いように思うのですが、そういう統計というものは別におとりになったことはないでしょうね。運転者の年齢とか就業年限というようなものと、事故との比較というものはお考えになったことがありますか。
  126. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 一般的に申しますと、運転者は、やはり二十歳以下の若年層のほうがどちらかといえば事故率が多くなっております。ただその絶対数の分母がございませんので、直ちに正確な比較をいたすことは困難かと思われますが、一般的な現象といたしましてはそういうことになっております。
  127. 重盛壽治

    ○重盛委員 私は率直にいってやはりそうだと思います。それだからこそ今度のように——いままで軽自動車というのですか、軽免許というのですか、それで三輪車くらいまで動かしたわけですね。ここらにやはり一番事故の原因があったように思うわけです。そうすると、今度はこれを普通免許の技術の線まで引き上げて、いま持っておる者は三年たったらそれに切りかえようということですか。そういうことですか。
  128. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 軽免許を取得することができるいわゆる免許年齢が現行は十六歳でございますが、これが十八歳になりますのが三年後であります。またその三年後に切りかわりますときに、軽免許を持っております者は、引き続きその軽自動車を動かすことができる、こういうことでございます。
  129. 重盛壽治

    ○重盛委員 いま軽免許を持っておる者は、三年たてば普通免許に切りかわっていくのですか。
  130. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 現在軽免許を持っております者は、軽免許が三年間継続いたしますので、三年間は軽免許のままであります。三年たちますと、それは原則的には普通免許に切りかわりますが、公安委員会検査に合格しない限りは、従前の軽自動車しか動かせない限定免許をその場合与えることになっております。
  131. 重盛壽治

    ○重盛委員 教習所というのは、あなたのほうの監督下にはないわけですか。ありますか。
  132. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 自動車教習所でございますか。私のほうの監督下にございます。
  133. 重盛壽治

    ○重盛委員 これに関連して教習所法とか——率直にいって、教習所でただ回数だけ乗ったから、回数だけの金を納めたからもう技術が一人前だというようなことで免許証が学術試験だけで、運転は教習所の認定によって出ているのが大体従来の例のようでありますが、いまでもそういう形でありますか。  と同時に、この法律を、こういうようなものをつくるに際して教習所法等のようなもの、法というのか何か、そういう変えられた向きがありますか、この点御質問いたします。
  134. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 指定教習所の制度でございますが、従来はあまりたいした基準もございませんで多少問題がございましたので、昭和三十五年に道路交通法を制定いたしましたときに、政令でその基準を厳格に定めまして、その基準に該当している場合において初めて指定をする。指定をされた自動車教習所の卒業生に限り実技試験を免除する、こういう制度でございます。なお、その後いろいろ検討してまいりました結果、まだ若干基準に不備な点がございましたので、昨年の秋に政令を改正いたしまして、現在指定教習所の教え方とか、あるいは指導員の資格、その他最終的な検査等につきまして詳細な基準を設けておりまして、これによらしております。
  135. 重盛壽治

    ○重盛委員 そうすると、これを今度こういう制度に変えると同時に、一面これから出てくるものに対しては、従来よりはより技術もよくなり、そうしてまた法規も——私はよく最近の免許証のことは知らぬが、運転のあれだけは教習所で何回とか何時間とかいうことできめられて、それから警視庁へ行って受けるときには、法規と内燃機関の構造と、この両方ですか。その点をひとつ。
  136. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 適性検査というのをいたします。これは目であるとか、耳であるとか、あるいは身体の自由を見る。それと法規、法令、構造でございます。
  137. 重盛壽治

    ○重盛委員 構造もやるのですか。構造がうまいとかなんとかいうことは言えないが、どうも何だかこのごろの免許証をもらってくる人は、運転だけできれば、ちょっと故障になってもわからぬで、道路のすみへストップしてしまって動かぬでいるというような実態が、非常に多いように思うのです。やはり構造に対するちょっとした故障くらい自分で直していけるくらいの能力のある者に免許証を渡してもらうようにせぬといかぬのじゃないか。そうかといって、あまりやかましくしろという意味合いじゃありませんよ。ただとる前に、よほど身につけてからやってもらわぬと、あとで取り締まるほうが骨になってしまう。だからできるだけいい運転手をつくり上げていくというために、基本からやはり直していただかなければならぬのじゃないか。何といっても、先ほど来いろいろ言うように、一番起こる率は運転技術の未熟、それから運転の勘どころの悪いというようなのが圧倒的に事故を起こすわけです。その一つの事故が、二重になったり三重になったりという現状でありますので、ここらもひとつお気をつけていただきたいと思います。  それから交通対策本部の決定した交通事故防止の徹底をはかるための緊急対策というのは、いまどういう形で進んで、どんなお考えを持っておられますか、長官に伺いたい。
  138. 江口俊男

    ○江口政府委員 いまお読み上げになりました表題の中身は御承知だと思いまするから省略いたしますが、これは総理府のほうからおいでになってお答えになれば総合的になると思いますけれども、私たちの承知している範囲におきましては、各省庁ともそれぞれ関係いたしておりますところは、そこに書いておられる線に沿って十分力を尽くすという体制にございます。しかしながら、どうしてもいままでのそういう問題を取り扱っている役所というのが総理府の審議室の一部でございまして、人員も足らなければ力も足らないというようなことから、近くそれを強化拡充するという方向で、いままで以上に総合調整の役目を強くしようという方向にあるようでございます。これは遠からず実現するものだと考えます。しかしながら、ことしはいずれにいたしましても定員、予算等すでにきまっていることでございまするから、当分の間は関係各省庁から人間を持ち寄って、とりあえずの強化した陣容をつくろうということで、ごく間近にこれは実現するものだと考えております。
  139. 重盛壽治

    ○重盛委員 それから自動車損害賠償保険制度の改善というようなことも、この際考えていかなければならぬじゃないかと思いますが、そういうことをお考えになっているかどうかということと、それからもう一つ、いま言うように教習所から出て、それから免許証を交付する段階になって、そういうときに強制的に保険に加入させるというようなことを検討しておられるかどうか、外国にはそういう例もありまするが、いま現状はどうなっているのか、この二点をひとつ……。
  140. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 前段の自動車損害賠償保険につきましては運輸省の所管でございますが、私どものほうで聞いている範囲内では、ただいまのところでは二輪車の強制保険がございませんので、それを入れようということで検討中でございます。それから御承知と思いますけれども額につきましては昨年増額いたしまして、死者につきましては百万円、負傷者につきましては三十万円を限度に支給するということに増額しております。
  141. 重盛壽治

    ○重盛委員 死者はいま百万円になっているのですか。
  142. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 そうです。もう一点、保険を免許者、人につけるという制度でございますけれども、ただいまは御承知のように自動車につけておるわけでございます。人につけたらどうかという御意見がございまして検討中でございます。なかなかこれは、人につけるということはむずかしい問題でございまして、検討中であります。
  143. 重盛壽治

    ○重盛委員 これはやはり運輸省の関係になるのですが、さっきも自家用車と営業貨物車では、やっぱり営業用貨物自動車のほうが事故が多いというようなことを言われたのだが、タクシー運転手に普通タクシー運転手と、それから最近出ておる個人タクシー運転手と二通りありますが、これの事故比というようなものをお考えになったことがありますか。どっちが事故が多いか少ないか。
  144. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 全国的な統計はとれておりませんが、東京、京都等で抽出検査をいたしました結果、個人タクシーのほうが事故率が少ないという結果が出ております。
  145. 重盛壽治

    ○重盛委員 これはいま言うように運輸省の関係だろうと思うが、そうならば、私はやはり同じ台数をふやすならば、できるだけ個人タクシーをふやしていくことのほうが、そういう面でも若干事故は緩和されるのではないか、こういうふうに考えるのだが、聞くところによると、去年の二月か三月ごろ調査をしたというものを、いまごろ調べているというのが実態らしくて、もう少し早くやったらどうだというようなことを運輸委員の諸君などが言えば、人手が足りなくてやれませんというようなことを言っているようで、これは直接あなた方の仕事ではないんだが、あらゆる面から事故を少なくしていく対策というものは一つでも、この面はいいじゃないかというようなものは取り上げていくという体制がつくられなければ、なかなか事故の絶滅ははかれないのではないか。冒頭言うように、国民全体のこういう事故に対する関心、それから処罰によらずして事故をなくしていくという、こういう方向づけがなされないのではないかというように考えるので、ここでお願いしていいかどうか知りませんが、こういうものもやはり推進するようにひとつお考えを願っておきたい、このように思っております。
  146. 江口俊男

    ○江口政府委員 全くおっしゃるとおりでございまして、実は個人タクシーにつきましてもできるだけ台数を多くし、しかも事務を早くするようにということは、これは出しゃばったようなことになりますけれども、公安委員会の総意がそうでございましたので、個人タクシーという制度ができまして以来、警察といたしましては、その増加の方向を強くプッシュをしておる状況でございます。また、建設省に対しましては、具体の道路、道路について、ここには横断歩道がほしいとか、あるいはここには歩道橋がほしい、ガードレールがほしいというようなことで、警察としては具体的にその責任者との間に交渉をするというようなことで、できる限り私たち自身の仕事を強化するということのほかに、いまのようなことをやっておる次第でございます。
  147. 重盛壽治

    ○重盛委員 この交通安全国民会議内容、それからこれは中央だけでなく、地方のほうをどういうふうにするかという対策ができておるのか、どういうふうに進んでいるのかということが一点。  さらにもう一つお聞きしておきたいのは、去年の法改正でキープレフトの原則がうたわれたのですが、これがどういうふうに周知徹底されておるのか、その後の経過は一体どういうふうになっておるのか、この二点をひとつお聞きしておきたい。
  148. 江口俊男

    ○江口政府委員 まず、交通安全国民会議についてでございますが、これは国民会議を催しまする案をつくりましたときに、その最後のところで各都道府県、あるいは市町村等の地方公共団体におきましても、中央と同じような考えで、各段階ごとに、こういうものを設けるように勧奨することというような一項がございまして、逐次各地方でこれにならった会議ができているようでございます。しかしながら、各地方には私たちが見まする限りにおきまして、国よりもむしろ熱心に知事、あるいは市長等が中心になった県民会議、市民会議というような形のものが現にあるところがございます。そういうところは、国よりむしろ一歩先がけていまのような運動をしておったわけでございまするから、ますますそういうところは力を入れてもらおう、ないところについてはつくってもらうということが、現在全部の府県、全部の市町村にできておるかどうかということはちょっと資料を持ち合わせませんけれども、いまできる機運にあるというところだろうと考ます。  それから第二のキープレフトの問題は、実は方々からおしかりを受けるような状態にまだあるというのが実情のようでございまして、なかなか徹底をいたしません。徹底をしないのは、法規を順守するということにふなれだということのほかに、実際上キープレフトなんかできないというような混雑したところにおきましては、キープレフトが事実上行なわれない面もございまして、この点はできるだけ、キープレフトの原則をつくったのですから、つくった以上は励行させなければいかぬということで、地方の警察も督励させておりまするけれども、全体的に十分いっていると思いません。さらに努力しなければいかぬ、こういう考えでおります。
  149. 重盛壽治

    ○重盛委員 それじゃ、これもまああなたのほうの問題ではないが、将来総合的の強力な交通対策本部のようなものができればお考えを願わねばならぬが、まあよく日本の道路はどうして狭いんだ、あれは昔かごから始まったんだ、外国は馬車から始まったんだから、それだけの差があるといわれておるが、実際には免許証の、運転技術のいいとか悪いとかいう問題よりは、道路行政というような点からくる部面も非常に多いわけですね。キープレフトの問題なんか、それらに関連を持ってくると私は思うのですが、そういう意味からやはり建設省あたりと十分な連携をとりながらやらなければならぬだろうし、それから交通行政をほんとうに総合的に強力に推進していくということのためには、私は先ほど大体お答えは出たように思うのですが、総理府の中にでも、名前は交通安全局がいいのか、交通事故をなくするための推進部がいいのか知りませんが、そういったような、交通安全局というようなものを設けて、それから抜本的に各関係官庁がここに持ち寄って、いまは余っている人を出し合ってやっているようなことですが、事実はこういうことになろうと思うが、これを強化していくということが緊急の仕事ではないかというように私は考えますが、その点どのようにお考えになっていますか。
  150. 江口俊男

    ○江口政府委員 私どもも全くそのように考えまして、実は余っている人間を出しているというのじゃなしに、ほんとうは足らない中からさいてでも出しているという状態でございます。とりあえず、私の聞くところによれば、先ほど申し上げたようにことしは定員がないだけでなしに、予算も特別にとってないわけでございますから、局というような名前にはすぐにはならぬようですけれども、一名交通対策室というようなくらいのところで発足するやに聞いております。
  151. 重盛壽治

    ○重盛委員 交通対策何ですか。
  152. 江口俊男

    ○江口政府委員 まだ最終的にきまってない名前だそうですが、交通安全問題調査室というような案で進んでいるようでございます。
  153. 重盛壽治

    ○重盛委員 これをひとつ一番やっかいな、取り締まりをするお立場にあるほうからもできるだけ推進していただいて、あらゆる面から交通事故の絶滅をはかっていく。そうして国民の生命を守っていくという意味合いからも、ぜひ推進方をお願いしたいと思っております。したがって、何度も繰り返すようでありますが、処分によって事故をなくしていくのだというお考えはなかろうと思いますが、そういうことは法律ができたからやむを得ぬが、そういう法律を使わなくてもいいような体制をつくっていくということのほうが、より政府自体としても、われわれにしてもその仕事が重要ではないかというように考えますので、十分お力添えを願いたいと思います。  私は、まだいろいろ質問申し上げたいことがありますけれども、私だけでいろいろおしゃべりしておっては相済みませんから、一応留保させていただきまして、次の方にお願いしたいと思います。
  154. 中馬辰猪

    中馬委員長 大石君。
  155. 大石八治

    ○大石(八)委員 今度の改正の趣旨は車の種類をある程度整備する、したがって免許証もそれに関連して種類も整備されるようでありますが、いまお話のようなことでいわゆる軽免許、軽四輪というものが一応三年後ですかなくなるというのですが、先ほど重盛委員の御質問に答えて、その対象になるのは構造上普通自動車とほとんど変わらないことになってきたからというお返事のようでしたが、そういうことでしょうか。
  156. 江口俊男

    ○江口政府委員 大体において申し上げますとそういうことでございますが、具体的にどういうところが変わりがないかということは課長からお答えいたします。
  157. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 実は昭和三十五年に道路交通法を制定いたしました当時、軽自動車と申しますものはほとんど大部分がいわゆるスクーターでございました。わずかに四輪の軽が出始めたころかと記憶しております。したがって大体対象がスクーターでございますので、運転免許の試験方法も比較的簡単にいたしまして、簡単に免許を与えておりました。しかし、その後御承知のように、この軽自動車と申しますのは、排気量が三百六十cc以下の自動車でございますが、もちろん三百六十cc以下でありますから、形はそれほど大きくなっておりませんが、性能は非常によくなってまいりまして、当初はせいぜい時速五、六十キロしか出なかった軽自動車が、現在一番優秀なものは九十キロくらいでも楽に走れる、こういうことになっております。そうなりますと、性能を見ますと三百六十cc以上こしますいわゆる普通自動車とほとんど差異がないことになっておりますので、これらを免許を別にして、簡単な試験で免許を与えることは、やはり交通の危険防止上不合理ではないか、こういうところから、今回普通免許に三年後に統合しようということにお願いしておる次第であります。
  158. 大石八治

    ○大石(八)委員 いわゆる軽四輪、軽自動車というのと自動三輪車というものが、普通自動車に入るようですが、そのうちの軽三輪と第一種自動三輪車、それまで普通自動車のほうにぶち込まなければならない、その点は何となく私たちは常識的に第二種自動三輪車といわゆる軽四輪というものは普通自動車のほうに入ってもいいような気がいたしますが、いわゆる軽三輪、それから第一種自動三輪車というものは、普通自動車という観念ではないような気がするのですが、どうですか。
  159. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 たいへん申しわけないのですが、いま先生は第一種自動三輪とおっしゃいましたが、第一種原動機付自転車のこととお間違えではないですか。
  160. 大石八治

    ○大石(八)委員 ではないです。
  161. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 自動三輪には第一種、第二種と法律上は出てまいりません。
  162. 大石八治

    ○大石(八)委員 政令できまっている……。
  163. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 これはハンドルが違いまして、いわゆるバーハンドルのものだと思います。ただ自動三輪車は排気量がこれは三百六十ccをこえるものになっておりますので、軽三輪よりは排気量においては大きな自動車になっております。したがいまして、今回これを普通自動車に統合するほうが合理的である、このように考えております。
  164. 大石八治

    ○大石(八)委員 ミゼットのような軽三輪は……。
  165. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 軽三輪も性能等におきましては相当向上しております。したがいまして今回……。
  166. 大石八治

    ○大石(八)委員 相当向上しているとは思うのですけれども、それを一般のいわゆる普通自動車の中にぶち込んでしまうということになるのですね。というのは、そのことと、今度はあとの免許証のことと関連があるので、実はそのこと自体はあと今度は免許証をもらう場合に、年齢等の問題が出てくるわけです。ここまで一挙に全部持っていく必要が——自動車の性能として同一だというふうに専門的に見るべきものかどうか、その点に何らの疑いも顧慮も何もないのか、あっさりこんなものはいってしまっておかしくないのかどうか、その点を少しお伺いしたい。
  167. 宮崎清文

    ○宮崎説明員 自動車の構造、性能は、いろいろさまざまございまして、非常に極端な言い方をいたしますと、それぞれの型、あるいは馬力に応じた免許をたくさんつくるのも一つ考え方かとも思いますが、一方におきまして、免許行政のほうから申しますと、免許の種類をあまりにもたくさんに細分するということは、必ずしも合理的ではない、このように考えますので、それらを勘案いたしまして、現在の段階におきましては御指摘のような軽自動は四輪、三輪等を問わずこれを普通に統合することが合理的である、このように考えます。
  168. 大石八治

    ○大石(八)委員 もう一つそれに関連して、今度は普通自動車になると十八歳にならなければこの免許証は取れないという結果になって、そのことにいろいろな反響が起きているようですが、十六、十七歳が非常に事故が多いという何か統計というものがはっきりあるのでしょうか。その点を一つ伺いしたいのと、それからそのことは今度は車種に関係があると思うわけです。オートバイなんかでびゅんびゅん走っている場合の問題も重なって、それが事故の件数の中に入っているのでは、これとはまた別なんですが、車種と年齢ということに関連して十六、七というものが特に多い、それは件数の問題もあろうかと思いますが、同時に何といいますか、実際の比率というのは、車の台数というのですか、乗っている人の人数と事故率というふうに言わなければならないと思いますが、それを証明するものが実際あるのでしょうか、その点をお伺いしたい。
  169. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 ただいまの件につきましては、軽自動車につきましての年齢別の事故率がございます。なお各免許を持っておる年齢別の統計がございます。それによって事故率を出しますと、やはり十六、十七歳のほうが、十八歳以上の者の事故の約倍近く事故率が高いという結果が出るわけでございます。
  170. 大石八治

    ○大石(八)委員 警視庁の交通白書というのですか、これで見ると、別にこれは車種は出ないのですが、警察庁の交通統計、四十年一月のによると、必ずしもそういうようには出てきていないように思うのですが、どこでそういう数字になるのでしょうか。これは乗っている人の人数がわかりませんから、これではわかりませんが、十六、七、八は三・四%だが、十九歳になると六%、二十歳は六・二%、二十一歳は六・九%というふうに、こっちのほうが多くなっている統計があなたのほうの交通統計では出ているように思うのです。
  171. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 その統計は、要するに事故の数の統計でございまして、分母がございません。私どものほうで先ほど申し上げましたのは、その分母をとりまして比較した事故率でございます。
  172. 大石八治

    ○大石(八)委員 その資料をあとで、これはかなり問題になると思うのですけれども、十六歳、十七歳というそこらについて、車種に関連して分母を対象にして、このようにそこらは多いんだという資料を、ぜひひとつ明細に出して配付していただきたいと思うのです。一応それだけでよろしゅうございます。
  173. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会