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1965-04-28 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十八日(水曜日)    午前十一時五分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 田川 誠一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       奥野 誠亮君    亀岡 高夫君       森田重次郎君    山崎  巖君       秋山 徳雄君    重盛 寿治君       華山 親義君    細谷 治嘉君       門司  亮君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁交通局         長事務代理)  鈴木 光一君         消防庁長官   松村 清之君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   平井 廸郎君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         自治事務官         (財政局交付税          課長)    石川 一郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月二十八日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十八日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇九号)(参議院送付)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 まず私が質問いたしたい点は、四十年度予算の問題から入りたいと思います。予算委員会では大きい問題ばかり取り上げられて消防の問題なんというのはほとんど出ないわけですけれども、小さいことでありますけれども重要な問題でありますからお聞きしますが、昨年の新潟地震災害等にかんがみましてかなり思い切った予算編成要求したようでございますが、四十年度要求額というのは消防庁で四十二億要求をしておるのですね。昨年は九億八千九百万の予算額、そして実際に大蔵省査定を経て予算として計上されたものは十二億六千八百万、私は昭和四十年度予算編成に当たって三十九年度予算額の大体丁五倍程度予算要求してほしいということで予算要求がなされたと思うのですが、四倍以上の予算要求がなされてその結果は大体において四分の一程度予算しか獲得できなかった。ここには問題点があると思うのです。まずその点からお尋ねいたします。
  4. 松村清之

    松村政府委員 お話のように本年度予算要求におきましては、昨年のいろいろな災害にかんがみまして消防庁といたしましてこうあるべきだ、こういう考えで四十億程度予算要求をいたしました。これは政府の一・五倍の予算要求基準に照らせば異例の措置でございますが、昨年の災害にかんがみてこれくらいは将来の消防の施策として必要だと考えたわけでございます。しかしただ現実予算編成におきましては、これが国のいろいろな財政状況等もにらみ合わせて考えなければなりませんので、結論は仰せのごとく昨年より三割程度の増でございます。これも普通の一般の平均の予算伸びに比べれば相当な伸びでございます。そこでこの辺でひとつ妥協する、こういうことで四十億の数字を相当下回ったわけでございますが、この問題はまた今後の、将来の予算要求の際にひとつ考えていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 国の一般会計予算が一二・四%程度伸びでごさいますから、九億八千九百万が十二億六千八百万ということになったのですから、二割以上の伸び、こういうことはいえると思うのですけれども新潟災害なり、あるいは昭電事故あるいは勝島倉庫の爆発、こういう問題にかんがみて、後ほどそういう問題については具体的にお尋ねしたいわけですけれども、重点的な予算要求をなさったにかかわらず、その重点要求がほとんど実現しておらぬというところに私は問題があろうと思う。私は、昨年この問題について質問したのですが、まあ予算がこうなったので、まあまあいいというおことば松村長官からお聞きいたしておるわけですけれども、今年もそういうやや安心し切ったかのような御答弁を聞いて、いささか不満に思うのです。今度の要求を見てみますと、科学消防施設として、新潟災害等にかんがみまして、従来なかった、また要求もなかった科学消防力強化のための補助というものを十億円要求なさっておる。それから消防施設整備費補助として、七億円の昨年の予算に対して、今年度は二倍強の十五億三千万円という予算要求をなさっておるわけですね。それが、大蔵省査定を経た四十年度予算というものは、消防施設整備補助は昨年同様の七億円、科学消防関係は二億五千万円、こういう結果になっております。端的に申しますと、大蔵のいわゆる予算内示段階あるいは第一次の増額補正、さらに予算復活要求がされて、それで生きてきたもの、そういうような幾多の経過を経てこの九億五千万という数字になったわけですけれども、二十五億三千万円程度要求をしておるのが、九億五千万といいますと、あらかた三分の一です。これでは科学消防力強化といっても、予算面から不可能ではないかと私は思うのです。この辺のことについて、ひとつ消防庁大蔵省の御見解を承りたい。
  6. 松村清之

    松村政府委員 お話のように、当初要求を下回りましたのは、たとえば科学消防について高率補助考えておったのでございますが、これが三分の一補助ということになりました。これは私としてはたいへん残念に思うところでございますが、その高率補助趣旨を達しますために、損保債を大幅に増額していただきまして、それでひとつ処理をしたいと考えておる次第でございます。次は一般補助につきまして、これが従来どおり七億に据え置かれました。これも実は昭和三十六年の消防整備の十カ年計画を達成いたしますためには、その倍額を必要とするわけでございますが、この点はいろいろ補助金問題等もございまして、かたがた財政事情もございまして、従来どおり据え置き、こういうことで、この点は十年計画というものを少し延ばしてこれをやっていかざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。なお、そのほかに、待機宿舎の問題、それから消防無線設備の問題、消防用機材備蓄の問題、こういった点が本年の予算においては見られなかったわけでございますが、これは今後予算編成の際に再び要求をして実現をはかってまいりたい、そういうように考えております。
  7. 平井廸郎

    平井説明員 四十年度予算編成にあたりまして、科学消防力強化というのは一つ問題点であり、かなり重点的な事項として私どもとしても対処したつもりでございます。ただ、消防庁の御要求の中には、先ほど長官から御指摘がございましたように、たとえば消防無線設置であるとか、あるいはヘリコプターの常置であるとか、あるいは全国主要都市における消火機材備蓄倉庫の新設であるとか、あるいは消防員待機宿舎建設の問題であるとかいうような各種の問題が含まれておったわけでございます。ただ、私どもが、ただいま申し上げましたような諸点につきましては、予算編成の過程において消防庁とも種々折衝いたしました結果、少なくとも現在の段階においては、たとえば都道府県との間の無線設置については、本来警察庁との協力関係法律上もうたわれておるわけでございますし、今後それをもっと緊密化することによって十分まかなっていけるものではないかという点、さらに、たとえばヘリコプターの問題につきましても、自衛隊等との協力が十分行なわれるならば、それでまかなえるのではないか、ことに東京都に一機程度ヘリコプターを置くというだけでは本来意味をなさないということもございまして、こういった点も少なくとも今年度においては認めるわけにはいかなかったわけでございます。また、消火機材等全国備蓄するという問題もございますが、消火機材と申しますものの中には、いわば水害の場合における各種機材というようなものもかなり含まれておりまして、建設関係との調整等の問題もございますし、また、緊急時における消火機材の輸送という形において十分まかなえる点もございますので、今年度においては特にそれを認めるわけにはいかなかったというような事情もございます。こういった各種の御要求を今年度いれられないために、結果的には科学消防力強化という点では、化学車の増設という形での補助金の形が主たるものとして残ったわけでございます。これにつきましては、補助金等合理化審議会答申等にもございますように、本質的にいえばこの種の消防車設置等地方自治体の本来的な業務であり、自治体の一般財源なりあるいは起債をもって措置するのが適当だというような御意見も一方にはあったのでございますが、先ほど来御指摘のありますような、科学消防力強化が今日における緊急の事態であるということを認識いたしまして、特に逆に今年度は二億数千万の予算増額をいたすということにいたしたわけでございます。その結果、先ほども指摘がございましたように、大体官庁営繕費のような一年限りの経費を除きますと、二八・二%というような増加率になっておりまして、私どもとしては限られた予算の範囲内においてできるだけ重点的に消防力強化に努力いたしたつもりでございます。もちろん科学消防力強化のための補助金につきましても、御要求趣旨が、石油化学工場所在市町村等においてできるだけすみやかに化学車整備をはかるというようなことが重点的な項目になっておりますが、これらの都市におきましては、工場自体で常置すべきものがどれくらいあるのか、また、どのようなテンポでこれを整備していくのが適当であるのか。これは一つには市町村財政力とも関連する問題でございますから、そういった点を勘案いたしますならば、一気にきわめて多数のものを常置整備するということは、現実の問題としては必ずしも容易ではないというような事情もございまして、先ほど申し上げた程度経過にとどまったということでございます。  それから一般的な補助金、つまり七億の据え置きになりました補助金につきましては、先ほどの補助金等合理化審議会答申趣旨等から見ますと、むしろ漸減すべきであるというような御意見もあるわけでございますが、今年度化学消防力強化の問題と合わせましてこれを据え置いたというような趣旨でございます。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょうどいま一般消防力整備ということに関連する七億円の予算について話が出ましたから、少し突っ込んだお尋ねをしたいのですが、昨年の予算編成にあたっては、一昨年の暮れに出ました補助金等合理化審議会答申に基づいて、こういうものは本来市町村がやるべきだということで昨年は七億という予算がついたのでありますけれども、四十年度は五億円にするのだ、来年四十一年度は三億円にするのだ、大体こういう前提で三十九年度の七億円という予算がついたと私は承っております。そう本にも書いてある。  そこでお尋ねしたいのですけれども審議会答申があるから漸減するのだ、こういう御方針を守っていらっしゃるようでありますけれども、本年度は特に昨年のああいう事故にかんがみまして七、五、三という——七、五、三というのは数字が非常にいいわけですね。お祝いなんですからね。ところが五億になるべきものが七億にとどまったのです。私はこれは大蔵省が、審議会答申もさることながら、今日の消防力実態からいってそうすべきではないかという考えに立って、昨年の七、五、三という考えを改めて七、七という今年度予算措置をとったのだと思うのです。合理化審議会にはなるほどそう書いてありますけれども、これはほんの一部なんですね。補助金等合理化審議会答申というのはもっといろいろな補助金制度の問題について抜本的な検討がなされておるわけですから、そういうものに取り組まずしてこの問題だけかみつくということはまことにけしからぬ話だと私は思うのです。  そこで、ここで一つ今度は念を押しておきたいのですが、七、五、三という原則はくずし、補助金等合理化審議会答申だとおっしゃっているこういう問題は市町村でという考えを改めて、今後は実情に即した消防力整備のために大蔵省もやるんだという御見解であるかどうか。これをひとつしっかりと承っておきたいと思います。
  9. 平井廸郎

    平井説明員 私の御説明が不足いたしておったと思うのでございますが、補助金等合理化審議会答申もございましたし、そのほか三十九年度におきまして消防関係施設等整備費補助金実態調査等も行なったわけでございますが、その結果判明いたしましたことは、財政力整備状況の間に必ずしも一義的な関係もないというような事態も出てまいりました。そうすると、本来それぞれの財政力に応じて整備していただくという考え方からすれば、いまの補助金というものは必ずしも実態的に有効な機能を果たしておらぬというような事態もございます。もちろん一方におきましては、単に財源を奪ってしまうという考え方では必ずしも適切でないという御意見もごもっともな点がございます。したがいまして私どもといたしましては、一方では起債を増加するとか、あるいは交付税上必要な経費等の算入について検討するとか、そういうことも考えながら、漸次この補助金については減少せしめてまいりたいと考えておるわけでございます。もちろん七億、五億、三億という数字そのものは、公的な数字としては私ども伺っておるわけではございませんので、当時の主計局もそういう考え方はあったであろうと思いますが、少なくとも四十年度におきましては、前年同額を結果的には踏襲いたしております。  それではどのようなスケジュールで今後そういう整理を行なっていくかということは、これは四十年度以降の問題として私ども検討してまいりたい。具体的にどのような方針でどうなるかということについては、なお今後の検討にまちたいと考えておる次第でございます。
  10. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの主計官のおことばで、七、五、三という昨年の考え方というのは一応やめる、そうして実情に即して今後やっていく、こういうふうに私は受け取ったのでございますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  11. 平井廸郎

    平井説明員 私どもとしては、基本的には一般的な補助金は漸減せしむるべきであろうと考えておるわけでございますが、ただそのテンポなり方法なりについては、今後なお検討を要する点があろうと考えておる次第でございます。
  12. 細谷治嘉

    細谷委員 私も基本的には補助金等は整理すべきだ、こういう考えについては全く同感でございます。しかしそれにはやはり事務の再配分、税源の再配分という問題、あるいは補助金等合理化審議会が取り上げた答申の内容というものは、部分的にではなくて総括的に消化していく、こういうことでなければならないと思うわけであって、いまの主計官ことばは一応昨年はああいう方針だったけれども、本年度以降はそういう考えを固執はしていない、こういうふうに、重ねてでありますけれども理解したいと思います。  そこで、消防施設整備十カ年計画というのが三十六年以降立てられた。これにはポンプだけでも基準台数八万九千、こういうふうになって、充足されているのは五〇%なんです。約四万台の不足だというのが十カ年計画でありまして、毎年毎年五千台程度ずつ充足していこう、こういう形でありまして、まだまだ消防力はこの十カ年計画に到達しておらない、こういうことなんです。しかも三十六年から始まった十カ年計画を終わった年からどうするかということなら話はわかるのでありますけれども、十カ年計画の途中においてそれを挫折するようなことがあってはならないと思うので、この十カ年計画は是が非でも実現できるように、普通の意味において一〇〇%とは申しませんけれども、とにかく合格点をとるように消防庁においても努力し、大蔵省もひとつ御協力をいただきたいということを特に申し上げておきたいのです。  そこで、ほかの問題も触れられておりますので少し申し上げてみたいのでありますが、問題の科学消防関係について十億の予算要求しておるのでありますが、消防庁計画では三カ年計画というのが立てられてありまして、化学消防車は毎年毎年七十六台か七十七台程度ふやして、二百三十台くらいを三カ年において整備しよう、こういうことなんです。現在は化学消防車というのは二十二台しかないのです。四十年度の七十六台という計画から比べますと、これはまだ話にならぬ。消防庁は最小限現在の五倍ぐらいの化学消防車を持たなければ今日の化学災害に対処できない。四十年度は少なくとも二倍、五十台ぐらいにはしなければならぬ、こういう考えに立って、そして補助市町村財政現実から一般施設の三分の一では無理なんで、これは一般のものとは別個に科学消防力強化ということで、別の基準で、別のたてまえで、法律をつくるか、政令にするかは別としてやるのだ、補助率は二分の一だ、——私は昨年の夏、新潟災害のとき聞いたときには三分の二と赤澤大臣に承ったわけですが、予算要求のときは二分の一であります。今度は三分の一になっておる。こういうことになりますと、消防庁が描いた三カ年計画というものは、大蔵省との折衝経過もあったのでしょうけれども、これは話にならぬ。これは絵にかいたもちなんです。こういうことで全く計画がくずれておるのですが、長官としてどうお思いですか。
  13. 松村清之

    松村政府委員 ただいま御指摘のように、当初の計画におきましては、たとえば化学車につきましては、二百数十台、これを三カ年計画高率補助、これが最初計画でございました。ところが、その後予算折衝におきましていろいろ国財政事情等もあって、大蔵省折衝の結果、ただいま考えておりますのはその三年計画を五年計画ということに考えております。そして高率補助、これは私、できましたら、来年度はやはりこの高率補助ということを推したいと思いますが、本年度におきましては三分の二補助趣旨を貫きますためにあとの三分の一を起債措置をいたしまして、地方負担を少なくしたい、こういう計画にいたしております。  なお、本年度予算化学車は大体六十台ぐらい新しくふえる計画にいたしております。したがいまして、こういう計画あと五年も続ければ最初計画に達することと考えております。
  14. 細谷治嘉

    細谷委員 今年度で六十台ぐらいというのだが、七十六台の化学車、むろんはしご車等も含めての話なんですけれども十億要求して四分の一の二億五千万で、そんなにやりますと、あとでまた高層建築防火体制等も聞きますけれども、だいじょうぶなんですか。非常にかたわな消防体制にならないのですか。これを承りたい。  それからもう一つ、今度はこういうことに対して損保債とかその他の起債をやって、地方財政負担にならないということでありますけれども、どうも仄聞しますと、消防施設のほうのやつは補助がついたものには起債もつけないのだというお考えもあるようですが、そうなってまいりますと、一方を引っ込めて一方のほうをちょっと手入れをしたというかっこうであって、これは決して地方財政のためにはよろしくない。またそんな負担はないですよ。形だけですよ。予算を四分の一にぶった切られて、形だけごまかして地方財政にしわ寄せがされるということになると、これは善意の消防力強化の熱意を持っておっても、不可能を強要するようなものだ。あなたの期待するような消防体制はできませんよ。いかがですか。
  15. 松村清之

    松村政府委員 最初計画から後退した形になっておりますが、これは今年度の二億五千万円の補助と申しますと、事業費が三倍の七億五千万になるわけでございます。この七億五千万という額は最初年度として地方側の受け入れの事情、あるいは消防自動車の生産の問題、こういうものを総合的にかみ合わせて大体妥当なところではなかろうか。これが次の年度から、来年度以降になりますと、もっと事情が変わりまして、もっとたくさんの事業能力を備えるようになるかと思いますが、本年度は大体その辺が妥当なところではなかろうか。しかも先ほど申しましたように、化学車に限って申しましても、六十台程度の新たなる化学車全国の主要な都市に備えられるわけでございます。従来の化学車の勢力に比べれば格段の進歩になるわけでございます。そういう意味で第一年度と私ども考えておりますので、こういうことは少し年数をかけて理想の形に持っていかなければならないと思いますから、本年度は大体そういうところで妥当なのではなかろうか、こういうふうに考えております。  それからなお、化学車につきましては、御承知のように単価が非常に高いので、またその化学車の性格からいたしまして、他の市町村、もっと広域的に活動する場合も考えられますので、理論から申しましても、理屈から申しましても、やはり国で相当負担をすべき事由があるのではなかろうかというふうに考えまして、高率補助ということで大蔵省折衝いたしたのでございますが、結局従来の補助金同様三分の一補助ということに落ちついたのであります。そこで、この高率補助趣旨を達成いたしますために起債措置をとりたいと思いまして、新たに損保起債を、昨年十五億円でございましたが、二億五千万円、大蔵省補助金同額をつけ加えてもらったのでございます。それで三分の二を国のほうで負担する、三分のを地方のほうで負担するという形にいたしておるのでございます。したがって、ただいま御指摘のございました一般消防施設に予定しておる起債科学消防のほうに回すのでなくて、一般消防施設起債は従前と同じワクで科学消防に対する起債は新たなる増額された起債でもって措置する、こういうことになっております。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 いまお聞きしまして、従来の消防施設起債についてはしわ寄せさせない、私の聞いたことが杞憂であったので、ぜひそうしていただいて、化学消防車強化強化としてひとつ推進していただきたいと思うのですが、これについても平井主計官にお尋ねしたいのです。いま長官なかなか答弁はいいのですけれども、来年のいまごろになって私が質問しますと、こうなったのだからしようがないというようなことになりかねないので、ひとつ念を押しておきたい。いま松村長官は、やむを得ず三年計画がくずれたの、だけれども、努力して五年計画ではこれをやり遂げたい、しかも補助率の三分の一というのは酷なんで、二分の一なり三分の二にしたいということ、ことしは一年目だから来年はもっと前進をするのだという決意を述べられたのですから、大蔵省のほうはこの決意に沿うて努力していただけるものかどうか、ひとつここではっきりとお聞きしておきたいと思います。
  17. 平井廸郎

    平井説明員 来年度以降の予算はどうなるかという話を申し上げることはまさに鬼が笑うかもしれませんが、率直に申し上げて、私どもいまはっきり決意を示せと仰せられてもなかなかむずかしい問題でございます。ただ私ども基本的な考え方からいたしますならば、奨励的補助金というものは、補助金等合理化審議会答申をたびたび引用して恐縮でございますけれども、大体三分の一程度が限度であると考えておるのでございまして、これをさらにふやしていくということは現在の段階では考えておりません。ことに、例外はあるかもしれませんが、化学消防車設置するというような都市は、大体比較的財政力等も豊かな地域が多いわけでございますし、またそういった地域について三分の二といった高率的な補助を行なうことがいいかどうか、これは今後もさらに検討はいたしてみたいと思いますが、かなりむずかしい問題であろうと考えておる次第でございます。  なお、現在の補助率でことしと同じような程度化学消防車補助金が出されていくとすれば、大体五年程度で予定の台数に達するであろうというのが、先ほどの消防庁長官の御答弁であったと思いますが、これは来年度以降どの程度の金額が予算上計上されるかということによって決定されるわけでございまして、現在の段階では、どのようになるか私どもとしても遺憾ながら御答弁申し上げかねる次第でございます。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、数字にこだわっておるわけじゃないのですけれども、どうもやはり国会の答弁を聞いていますと、何が正体なのか一つもわからない。二億五千万は三分の一の補助でありますから、買える化学消防車の量は七億五千万なんです。ところが、要求したのは十億円ですよ。二分の一の補助なんですよ。二十億円の化学消防車を買おうということでしょう。予算は四分の一ですけれども消防車の問題は三分の一に減ったということなんです。そういうことなんでしょう。いまあなたの意見平井主計官意見を聞きますと、ずいぶん懸隔がありまして、私はまたぞろ来年もこの問題で——いろいろな重点があるが、おたくのほうの予算要求の中では、今度の場合には、五つくらい基本的な問題をあげております。その中で、一つでも、今日の現時点における重要な問題、化学消防車という認識に立って予算要求されたなら、その一つでも、当たらずといえども遠からずというところまで実現していただかぬと、しかも未来永劫じゃないのですから、三年とか五年とかいう時限的なものですから、やっていただきませんと、長官主計官のいまの考えというのは、かなり差があるのですよ。  もう一つ重ねてお尋ねしますが、いきできるだけ早くやらなければいかぬでしょう。しかし一年ではできませんから、平井主計官長官の御意向というのは、やはり科学消防力強化しなければならぬというやむにやまれない要求としていま真実を吐露しているのじゃないかと思うのですが、これはひとつ鬼が笑うというのですから約束できないけれども消防庁長官の御意向をできるだけ尊重するということばくらいはここに出ませんか。
  19. 平井廸郎

    平井説明員 消防庁の御要求考え方の中には、たとえば石油化学工業の所在地についてどの程度の台数の化学車設置すればいいかというような問題も含まれております。また、先ほど私が申し上げたように、石油化学工業をやっております会社自体で、常置すべきものの台数をどのように見るかという問題も含まれております。したがいまして、御要求の線そのものを今後においてそのまま尊重するということは、私どもとしては必ずしもお約束はできないわけでございますが、科学消防力強化し、充実してまいりたいというお気持ちは、私どもとしても同感でございます。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 科学消防力強化については同感だということでありますから、ぜひひとつ前向きで結論を出していただきたいと思います。  そこで、予算のことであまり時間をかけても先へ進みませんから、ざっとひとつ予算内容について御質問しておきたいのでありますが、今度の法律案の中の一つのポイントとしては、消防設備士というものが一つのポイントになっておる。これが新設になっておるのですが、予算要求の中には、消防設備士の指導に要する経費として百万円程度要求しているのです。これがゼロにされているんですね。これほど重点として、消防設備士についてはやはりきちんと消防庁のほうでも責任を持てる状態にしなければならぬという形で、設備士を試験までやって、しかもこれこれの学歴がなくちゃいかぬということをきめて、条件をつけて試験をして、甲種と乙種に分けて、乙種はこれしかできませんよ、甲種は二年以上しなければ甲種になれませんよ、こういう条件をつけておるにかかわらず、ここに予算がゼロということはどういうことですか、法律だけ書いて。これについて消防庁は何にもやらぬということですか、お尋ねします。
  21. 松村清之

    松村政府委員 この消防設備士の問題につきましては、予算編成当時、大体法律案でこういうものを入れる、こういう想定をいたしまして、消防設備士指導に要する経費大蔵省要求しておったのでございますが、予算折衝の過程においていろいろ問題もあり、この消防設備士の問題が、これは実は非常に各省との関係で問題もございまして、確実に法案に入れられるとなったのは、もう二月の終わりごろでございます。そこで、予算編成当時におきましては、そういうことが必ず入るということが、確実な見通しも必ずしもなかったものでございますので、予算折衝の過程において大蔵省に譲って落としたのでございます。もしこの消防設備士が法案で入るということになりました場合には、既定の経費のワクの中で何とかこのやりくりをつけていけるだろう、こういう見通しを持って予算編成の際には、ただいまの金額を落としたような次第でございます。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 既定予算の中で操作をするということでありますが、時間的な関係があって予算措置がおくれたようでありますが、やはり法律案の中に重点の一つとして取り上げた以上は、やはりスタッフでありますから、十分な指導育成ができるような体制はとっていただきたいと思います。  もう一つお尋ねしたいのでございますが、消防吏員の待機宿舎施設設備費補助に必要な経費というのが三億六千万円要求されておるのですが、これもゼロなんですね。それから、ヘリコプターとか無線通信とか、そういうような新潟災害の経験にかんがみた経費というのが、それぞれ適当な額要求されておるのでありますけれども、これがゼロ。それからもう一つ消防学校の整備補助に必要な経費というのが、三十九年度は千六百万円であったのですが、これは八百万円なんですよ。半分なんです。こういう点、消防学校のことについてはあとでもやりますが、人員等も交付税等で見たのでしょう。見ておるにかかわらず、これに対する必要な経費は八百万円。いま消防学校の訓練はどうしておるかというと、新鋭のポンプはございませんよ。何でやっているかというと、動かないポンプでやっているんですよ。それで若い消防士が訓練できますか。どこへ行ってやっているかというと、県の消防学校で、市町村から借りている古いポンプを使って操法訓練をやっているんですよ。消防学校の整備あるいは待機宿舎——待機宿舎へいま行ってごらんなさい。夏になるとむんむんしております。そういう状態をやはり整備してやらなければいかぬと思う。こういうことも、これは既定予算の流用でやられますか。ずいぶん予算がよけいとれたのですからできるかもしれませんけれども、どうなんですか。
  23. 松村清之

    松村政府委員 ただいまお話の、まず消防学校の点から申し上げますと、消防学校の補助につきましては、従来、四校分として千六百万円の計上がされておったのでございますが、たまたま昨年二校分しか実績がなかったわけでございます。そこで本年の予算としても、その実績に基づいて二校分ということで千六百万が八百万になっておる次第でございます。  それから待機宿舎につきましては、これは実は三億六千万円ほどの補助金でもって全国的にやっていきたいという考えでございましたが、これも予算折衝の過程で、科学消防のほうに力を入れます関係で、そのほうに予算が計上されなかったわけですが、これにつきましては、地方のほうの要求の模様によりましては、私は庁内の財政局のほうにお願いしているわけですが、今年は予算措置ができなかったので、そういう要望が出たら起債でひとつ見てもらえないかということで話を進めております。その他ヘリコプターの問題、消防機材の問題等が取り残されておりますが、これは先ほどから主計官のほうからいろいろのお話がありました次第で、これらの点につきましては、あらためて次の年度において大蔵省に対して折衝をしていきたい、こういうふうに考えております。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 長官消防学校の施設起債で見ていただけますか。
  25. 松村清之

    松村政府委員 これは従来補助金のほかにあとの残りの部分については、もう相当の部分について、損保債でございますけれども、それで見てきておりますから、今後も補助金の出る部分につきましては起債あとの残りの部分を見たい、こういうふうに考えております。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 県の消防学校に入っている生徒の訓練に使うポンプなんというのは補助のついたためしがないのですよ。そうじゃないですか。
  27. 松村清之

    松村政府委員 これは、先ほどからお話をしておりますのは学校の校舎の問題でございますので、学校で使いますポンプ、これにつきましては補助金というものは出ておりません。これは実はそういうことも考えられるのでございますけれども、現在市町村消防というものをたてまえとして、市町村消防については補助金を従来から出しておりますけれども、県のそういった消防自動車整備補助金を出すということにつきましては、いま大蔵省との間におきましてもいろいろ折衝はしておりますけれども、まだそういうところがきまるまでには至っておらないような次第でございます。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 県の消防学校あるいは消防問題については、広域消防という課題が重要になっておるので、そこで、もう少し議論をしてみたいと思っておるのですが、その前に自治省見えておりますからお尋ねいたしたいのでありますが、科学消防強化に伴う増として半年分として三百八十二人の増を地方財政計画で見ておるのです。ところで今度はそういう科学消防強化に対する化学消防車、はしご車、救急車の新設に伴う経費、四十年度において消防本部が新たに追加指定されることに伴う経費、こういうものについて単位費用は九十二円上げましたよ、ずいぶん自治省も大蔵省消防力強化には最善を尽くしましたということでPRをされているのですが、これはどこで見ているのですか、お尋ねします。
  29. 石川一郎

    ○石川説明員 お答えいたします。  単位費用の九十二円の引き上げは、主として給与費の増とかあるいは夜間勤務手当でありますとか、そうしたものが対象になっております。いま御質問のありました科学消防の問題でありますとか政令指定市町村の追加の問題でありますとか、これらはいずれも補正の段階で計上を見込むということにいたしております。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 これにそう書いてあるから、補正係数でやると書いてあるから多分そうだろうと思ったのですが、一体補正係数でどの程度やるのですか。
  31. 石川一郎

    ○石川説明員 具体的にはたとえば化学車をどこにどれだけ配置していくかという具体的な消防庁の御意向も聞きながら、われわれとしては補正係数の段階で計上していきたいと考えておりますが、一応財政計画で計上しております金額を補正の段階でそれぞれ見込む、こういうことにいたしたいと思います。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 補正係数の問題をここで議論していても果てしがないから、ひとつ消防庁では一生懸命やっているようですけれども、あらわれたものは要求の四分の一しかやっていないのですから、これがまた市町村にしわ寄せされないように、十分に自治省でも御考慮いただきたいと思います。  そこで一つ長官にお尋ねしたいのですが、今度は自衛消防組織というのができるわけです。この事態についてはもう少しあとでお聞きしますが、初期防火ということが自衛消防組織のおもな任務でございますね。石油コンビナート、こういうのができてきておりますと、これはそんなものではどうにもならない。新潟の火災は東京の消防車が行って消した。松村長官、その功績を認めるといって表彰されたでしょう。そういう事態に立って私は広域消防という問題を考える場合に、県に担当させる仕事は、ただ単に消防行政の指導監督、消防学校の経営、こういう問題ばかりじゃなくて、市町村だけにまかせないで、やはり科学消防力のセンターというものを県の役割りとして広域的にやらせることが大切じゃないかと私はこの前も主張しましたし、いまもそう思っておるのです。たとえば一つの県の中心に近く県庁があったとしますと、東京から新潟まではどんなに、徹夜で行っても二日くらいかかるでしょう。消防車でサイレンを鳴らして行けば県庁からは大体二、三時間くらいで届くということになりますと、一つの町村、あるいは自衛消防組織で十分な体制をととのえるということは事実上不可能だろうと思うのです。そういう現代の消防、広域消防という体制の一つの中心として、県に科学消防力を担当させる。広域的な科学消防を担当させる。それも全県ということでなくていいでしょう。そういうコンビナートを持ったところに担当させるという御意思があるかどうか。そういうことによって——私は一般消防車の操法訓練等はいいと思う。消防学校を出たら廃車になったようなポンプで訓練されるのじゃなくて、普通の車と、それから市町村では味わえないようなそういう近代的な消防車の操法を覚えておくということが、やはり将来に対処するゆえんではないかと私は思うのです。そういうお考えがあるかどうか。
  33. 松村清之

    松村政府委員 特定の消防力を、市町村自体でまかなえない消防力を、府県にやらせるということにつきましては、府県の一般事務として考える場合にはそういう考え方も十分成り立つと思います。また庁内にもそういう意見がないことはございません。ただその問題は、市町村消防を原則としております今日の消防の基本制度に触れる問題でございまして、そのことの実現の有無につきましては慎重に配慮する必要があるかと思っております。  そこで、現段階におきましては広域消防を実現してまいりますために市町村の共同体制を確立する、こういう方向で施策を進めております。いまお話しのような高度の消防力の問題にしましても、県でなくて県内の主要な都市科学消防力を充実強化いたしまして、その都市の科学的消防力を県内の各市町村の応援に向かわせる、こういう形で現在事を進めておるのでございます。市町村消防の原則と、今日要請される広域消防との調和を、そういう形で現在はかっております。もちろんそういうような形では不十分だ、やっていけないということがありまするならば、県に消防の仕事を一部移すということも実現をはからなければならないかと思いますけれども、現段階ではいま私が申しましたような措置でやっていける、こういう見通しでございますので、府県消防というもの、特定の消防でございますが、そういうものを現在やるという考えはいまのところ私は持っておりません。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 昨年のあの新潟地震後の委員会において、あなたは新潟につきっきりであったから、そのとき出ておりませんでしたけれども、当時の赤澤自治大臣、あるいはおたくの次長等の話を私は記憶しておるのです。いまのあなたのことばよりもっと前進した考えでしたよ。科学消防強化、広域化という意味においては少し後退しているんじゃないですか。これはぜひ大臣に聞きたいと思っているのです。速記録は持ってきておりませんけれども、私は明確に頭に残っておるのですよ。記憶違いということならまた速記録を持ってきます。少し後退していますよ。そうじゃないですか。
  35. 松村清之

    松村政府委員 当時私は二週間ほど新潟の現地におりましたが、その間に、そういうお話しのような、当時機動隊と呼んでおったと思いますが、そういうものを府県に持たせるという構想が私どもの役所で議論されたことは、これは事実でございます。ただその後現在の市町村消防の状況等をいろいろ総合して考えまして、広域消防の形は先ほど私が述べましたような形で今日推し進めることが、現段階においては大事なことではなかろか、こういう考えで今日に及んでおる次第でございます。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 遺憾ながら、私の耳に入ってくるところではやはり少し後退しておるように思うのです。  ある新聞の四月十七日の記事にこういうことが書いてあるのです。「千葉県が広域消防、工場・団地の急増に対応」という見出しで「同県には、京葉工業地帯の造成で、東京湾岸の埋立地に川崎製鉄、八幡製鉄などの重工業や東京電力火力発電所ができ、出光興産、丸善石油などによる石油コンビナートの建設も進んでいる。また各地に住宅団地が作られ、大規模の火災事故があった場合は現在の市町村消防力ではとても防ぎきれない、と心配されていた。」こういうことから同県では、県内を十ブロックに分けて、ブロックごとに相互応援協定を結ぶということになっております。今度のこの改正法律案にもそういう広域的な問題が取り上げられておるわけですけれども、私はここで一本抜けていると思っているのです。ただ県は協定、協定ということを言って、難局なら問題はともかくとして、市町村ではやはり周辺のところはみんな応援協定を結んでいるのですよ。こういうふうにブロックでやる以上もっと近代化された消防力というものを持たぬ限りは、これはただ画期的な広域消防というけれども、実効は上がらないと思う。この場合に県が現実に近代消防のどういう役割りをになうかということが必要であろうと私は思うのです。これはひとつ十分に検討をしていただきたい、こう思います。  今度の法律案の十四条の三に先ほど申し上げました自衛消防組織の設置ということがありまして、私はきょうは資料を持ってこなかったのですけれども、数日前にある新聞に、あるコンビナートがある限度以上のところには化学消防車等を持たして、これは初期防火を対象にした自衛消防力をつくるということですから、その場合にそのコンビナートの各工場が協定をしていくという、これも画期的な一つの線が出たということが書いてあります。そういう場合に、一体基準というのをどうするのか。ただ千葉県のような応援協定的なものを、少しブロックを広げて十ブロックに分けたということだけでいいのか。一つのコンビナートの場合に、ある会社が一台の化学消防車を持っておった、じゃお互いに買うのはやめて、それをプールして初期防火に当たろうか、それだけでいいのか。この法律では基準が示されておりませんが、そういう基準というのは、これだけのコンビナートがたとえば石油を二十万バーレル使う、十万バーレル使うということになるならば、化学消防車は初期防火の場合でもこの程度は必要である。初期防火は自衛消防組織で守っていただいて、それでも守れない場合はこういう体制でいくのだという体制ができていなければいかぬと思うのですが、これはどうなんですか。
  37. 松村清之

    松村政府委員 この法律案にございます自衛消防組織につきましては、これは法律が成立しました後におきまして、各省、民間等の意見を十分尊重して結論を出すつもりでございますが、消防庁といたしましては、指定数量というのがこの法律にございます。規制の対象になる危険物の一定数量、製造所、取り扱い所につきましては、その指定数量の千倍以上持っておる、貯蔵所につきましては、五千倍以上持っておる、こういうところにこの自衛消防組織を義務づけるというふうに考えております。どういう自衛消防組織体制をとるかということは、これはその危険物の種類ごとによっていろいろ内容を考えていかなければならないと思いますが、大体現在全国で五百くらいこの自衛消防組織を置くところを予定しております。この考え方は、いま御指摘のようにその組織で単独で初期消火ができる、こういう考え方でございますが、さらに進めて、いまお話がございました、私も新聞で拝見した川崎市のことでございますが、企業相互間において、一つの企業で事故があった場合には他の企業が応援する、これは全国でも、いま新聞に載りましたのは川崎でございますが、そのほかにもそういう試みをやろうとしているところがございまして、これは民間のことでございますから消防当局の指導ということによるわけで、法律で義務づけるわけではございませんが、企業相互間において集中的に各人の持っておる消防力を一カ所に集中してやる、こういうことも考え、またそういった危険な企業施設のある地元の都市におきましては科学消防力を充実整備してそれに対処する、こういう考え方で今後進めてまいりたいと思っております。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 これはおそらく政令等にゆだねる点があろうかと思いますけれども、下手をしますと自衛消防組織でございまして初期防火にも当たらないようなものではまた困るわけですから、十分技術的にひとつ基準というものをきめて、その基準以上のものを所有する、こういうことにしていただきたい。いずれそういう問題、基準等をきめましたら、ぜひひとつ委員会等にお示しをいただきたい、こう思います。  もう一つこの問題でちょっとお聞きしたいのでありますが、今度三月に市町村消防力強化ということで百十四市町村の追加指定を行ないましたね。そうしますと、約六百の市町村が指定を受けるということになるのです。私はきちんと承知しておるわけではございませんけれども、今日の市町村消防実態から見て、やはりこの消防設置を義務づける市町村が少なくとも七百程度あると消防庁は見込んでおるそうでありますけれども現実には追加指定百十四加えて六百しかありません。百程度足らないのであります。このことは現実消防力があなたが期待しているような状態にない、水準にないということを示しておるのですが、これはどうなさいますか。昨年指定されたところは四苦八苦して消防署というものをつくったんですよ。今度の百十四もこれはたいへんでしょう。消防署をつくるまで四苦八苦するでしょう。庁舎をつくっていかなければならないのですから…。そういう問題とあわせて百程度足らないのでありますから、どういうことでやっていくのかお尋ねします。
  39. 松村清之

    松村政府委員 この消防本部・署を設置いたします基準として消防庁考えておりますのは、市街地人口一万人以上のところと考えております。そういたしますると御指摘のように全国三千五、六百の市町村の中で、村はございませんが、市と町で七百ほど予定しておるわけでございます。この七百予定しておりますもののうち五百近くを昨年二月に指定し、そしてことし百十ほどこの三月に指定いたしましたので、あと百ほど残っておるわけですが、これにつきましては来年これを指定して完了したい、こういう考えでおります。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 災害は思わないときに来るという有名なことばがある。忘れたときではなくて、これは来年といわずに起こってくるかもしれませんから、それなりにやはり準備をしなければならぬと思うのであります。この点については、自治省も、こういう問題も補正係数だということのようでございますが、十分にひとつ配慮していただきたい。私の承知しておる範囲では、昨年指定になった市あるいは町でも、一年おくらして四十年度でなければとても庁舎は建てられないというところがございます。庁舎が建ちませんから、したがって専任の消防職員も置くことができない、こういう実態にあるようでございます。少なくとも庁舎ができる前には、指定になったその年ぐらいからは職員をもう採用して、中心になる人を採用して消防学校等で訓練をする、準備をするということが必要ではないかと私は思います。この点ひとつ交付税課長いかがですか。準備さしておかなければだめですよ。
  41. 石川一郎

    ○石川説明員 私どもといたしましては、現在消防庁でいろいろ進められております計画に従いまして、交付税の上でできるだけの配慮をいたしてまいりたい、こういうように考えております。
  42. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから少し急ぎますが、今度の国会で——最近ずいぶん事故を起こしております。大阪の茨木のタンクのLPガスの爆発、それから広島の爆発、福岡の爆発、名古屋の給油所の爆発、一帯が火の海というようなこと、それから四月五日の日には東京の小金井でプロパンのボンベが三十本ロケット弾のように吹っ飛んでいった、こういうすさまじい事故が起こっております。こういう事態を受けまして、今度の国会で、商工委員会におきましては、LPガスの災害事故に関して附帯決議をつけて可決しております。これに対して、これは東京の消防庁の話でございますけれども、今国会の消防法の一部改正案を出して危険な施設などはすぐ撤去できるよういすると書いてありますね。三月二十二日の新聞記事でございますが、こういう事故の経験にかんがみた問題は、今度の改正法律案の中でどこに書いてありますか。
  43. 松村清之

    松村政府委員 いまの御指摘のプロパンガス、LPGは、実は消防法の危険物の指定の取り扱いになっておらないわけでございます。消防法の別表に危険物としていろいろな種類が述べられておりますが、その中にプロパンガスが入らなければ危険物として消防が扱えないわけでございます。危険物につきましては、いま御指摘のように、危険物が放置されておればこれを取り除く、そういうことができるようにはっきりしておるわけでございますが、消防法の対象になっておりませんLPG等につきましては、その点が不明確でございます。消防はLPGに限らず一般的に火災予防のために立ち入りをしたり、あるいは放置されておる危険なものの取り除き等ができますから、そういうことでやれないことはありませんけれども、そのお話しのようなことを明確に実行いたしますためには、LPGというものを消防法の危険物として明確に別表の中に取り入れることが必要だ、そういうふうに考えます。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 この法律は、東京消防庁が語ったことは、別表に入れるということです。入れる提案がなされておりませんが……。
  45. 松村清之

    松村政府委員 現在提案しております消防法の改正案には、LPGを別表の中に取り入れておりません。ただ東京消防庁がどういう趣旨でそういう発言をしたのか知りませんが、消防法の第三条ですか、その辺の改正でもって、一般的に危険物、この危険物というのは消防法にいう危険物ですからLPGは入らないわけですが、その他「放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理」、こういうことが、この改正法案の二ページでございますが、述べられておりますので、その辺のところをさして言っておられるのかどうかと思いますが、これだけでは、実は実際上はやれないこともないと思いますけれども、きわめて明確でございません。明確にやりますためには、消防法の別表にLPGを加えるという措置が必要だと思います。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 第三条でやれというのは、これは詭弁ですよ。危険物というのはちゃんと消防法の別表に具体的に書いてあるのですよ。そして、そういうものについては消防法で、第三章危険物、第十条といって、その十条は別の政令になっておるのですね。消防法の十条だけを受けた政令と第三章の危険物だけを受けた政令というように別になっておる。それほど重要に扱っておる。これほど頻発している、しかもロケット弾だといわれている、しかも十トンのタンクが爆発している、そういうものを——別表の第四類に第一石油類、第二石油類、第三石油類というのはありますけれども、これは引火点で区別してあるのです。LPGを第三条で取り締まるということは詭弁で、とても消防庁としては責任を果たせないと思うのです。これはあとで通産省当局にお尋ねしますが、三条でやれますか。あるいは違反貯蔵取り扱い者に対する措置命令とか、あるいは立ち入り検査の強化とか、こういうものが今度の法律の改正案の中でありますから、やれるかもしれませんが、あえて商工委員会が高圧ガス取締法の改正案に対して附帯決議を付したゆえんも、これでは不十分だからそういうふうにうたったんじゃないかと私は思うのですが、十分でしょうか。
  47. 松村清之

    松村政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、第三条でプロパンガスを処理するということは法律的にも非常に問題が残ると私は思います。そこで、このことをやりますためには、LPGを消防法の別表に加える、この措置を必ずとった上でなければ消防当局としても堂々とLPGに対処することはできないと思います。ただ指導的にはいろいろ現実問題としてできましょうけれども法律のよりどころとしては、危険物の中にLPGを加える措置が必要だと考えます。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 消防庁長官は必要だと認める。この茨木の事故というのは、昨年起こった事故ですけれども法律案を出すときに間に合わなかったんだという問題じゃないのですよ。このLPGを危険物に入れる必要性が絶対あるんだということを考えながら、どうして今度の法律の改正案の別表の中に入れなかったのですか。通産省との関係ですか。
  49. 松村清之

    松村政府委員 LPGの問題はお話のように近年各地で非常に問題になっておるわけでございます。そして、そのLPGの事故の仕末は現地の消防がこれに当たっておるのが現状でございます。そういう意味で現地の消防当局がLPGに対して法律的にも発言権を持つということは、この一、二年の強い要望でもあるわけでございます。そこで私どもとしても何とかして、消防庁は別としても、現地の消防当局がLPGに関与できる道を開きたいと思いまして、通産省ともこの法案作成の過程におきましてもいろいろ折衝を重ねてまいりました。その後いろいろ話が進展しまして、通産省のほうでもそういうような、LPGの問題に消防が関与するという点についてある程度考え方も示されたようでございますが、この法律案提出までには最終的に結論を得ませんでしたので、次の機会に十分具体的に話し合って、LPGの問題を消防当局がある程度関与できるということを実現してまいりたい、そういうように考えております。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 この別表備考に「引火点が摂氏二一度未満のものを第一石油類(例えば原油、ガソリン、ソルベントナフサ、タール軽油、ベンゾール、トルオール等)、」と書いてあるのです。引火点が二十一度未満ということなんです。この中にLPGは含まれないのですか。
  51. 松村清之

    松村政府委員 これは備考の最初にございますように、石油類というものについてそういう温度によって第一石油類、第二石油類というふうに区分しておるのでございまして、LPGというのは石油類と違いますので、この別表の中には入ってこないというふうに考えております。
  52. 細谷治嘉

    細谷委員 LPGというのは、原油から取るのでしょう。どこが違うのですか。どこが石油類でないのですか。炭素の数が多い少ないの問題だけでしょう。
  53. 松村清之

    松村政府委員 この石油類は、常温で、普通の温度で液状になっているというものをとらえておりますので、LPGはガス状でございますからこれは違う、こういうように考えます。
  54. 細谷治嘉

    細谷委員 そういう解釈でありますと、これは通産省にお尋ねしたいのですが、私はこの別表というのは非常に不完全だと思うのです。たとえば過酸化物はAとBだ。AにあらざるものはB、BにあらざるものはAだ、こういうように備考に書いてある。そしてその過酸化物の中に、これはおそらく無機物を予定しておったのでしょうが、第四類にメチルエチルケトンと書いてある。去年勝島倉庫の爆発です。メチルエチルはメチルエチルケトンパーオキサイト。そうなりますと、今度はこれは第一類の過酸化物のAだというのですね。少しこれはおかしいのです。メチルエチルと書いておいて、過酸化物になると有機の過酸化物は今度はAだ、こういうような分類自体はおかしいと思う。全般的な改正を要するのではないかと思いますけれども消防庁長官がそこまで言うならば、あなたは何もプロダクションにくちばしを入れる必要はないのです。消防の面からこれでは危険だという点を通産省とチェックし合えばいい。プロダクションの問題は通産省の責任です。それが変ななわ張り根性で、消防庁がくちばしを入れると困るということでは困ると思うのです。  このLPGの問題についてさらに私は特定化学工業保安法案の問題について次に質問したいのですが、通産省の御意見をひとつ聞かしていただきたい。
  55. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 ただいまお話のありましたLPGは、消防庁長官から御説明がありましたように、常温においてガス状になっておりまして、液化ガスというふうに学問上いわれております高圧ガスでございますので、現在高圧ガス取締法の適用を受けるということでございまして、この取り締まりといたしましては、消防法との関係上は、先ほどのような消防法の危険物の範囲内には入れないということで、その取り締まり関係の線を引いておるわけでございます。  それから特定化学工業保安法の……。
  56. 細谷治嘉

    細谷委員 それはあとでいいです。
  57. 中馬辰猪

    中馬委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 中馬辰猪

    中馬委員長 速記を始めてください。
  59. 細谷治嘉

    細谷委員 それじゃ時間もありませんので、きょうはここで一応打ち切って、次会に質問を続行したいと思います。
  60. 中馬辰猪

    中馬委員長 いま聞くとなかなかたいへんな問題だから、次会は通産省は課長さんだけでなくて、局長もひとつ出席するようにお願いしたいと思います。      ————◇—————
  61. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、本日参議院から送付されました内閣提出にかかる道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。吉武国務大臣。
  62. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、自動二輪車の運転者の順守事項を定め、及び自動車の安全運転管理者の制度を設けること、運転免許制度の合理化をはかるため自動三輪車、軽自動車等の運転免許の資格要件及び試験方法を強化し、運転免許の種類及び運転することができる自動車等の種類に関する規定を整備すること、高速自動車国道における道路交通法の実施に関する事項について、国家公安委員会が都道府県公安委員会に対し必要な指示をすることができることとすること等をその内容にしております。  なお、この法律案におきましては、四輪及び三輪の軽自動車の運転免許の資格要件の強化に関する改正規定を、それ以外の部分に関する改正規定の施行より三年おくらせて施行することとする必要があるため、後者に関する改正規定を第一条、前者に関する改正規定を第二条としてそれぞれ区分して規定いたしております。  まず、第一条の改正規定について御説明いたします。  第一は、自動車による人身事故を防止し、その他自動車の安全運転の確保をはかるための規定を新設することでありますが、自動二輪車の運転者の順守事項として、政令で定める道路の区間において自動二輪車を運転する場合における乗車用ヘルメットの着用義務並びに高速自動車国道及び都道府県公安委員会が指定した自動車専用道路における二人乗車の禁止について定めること、新たに安全運転管理者の制度を設け、一定台数以上の自動車を使用する者はこのような安全運転管理者を選任しなければならないこととすること等がその内容となっております。  第二は、運転免許制度の合理化をはかるため所要の規定を整備することであります。これは、自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車の運転免許の資格要件等を強化するため、運転免許の種類のうち自動三輪車免許及び第二種原動機付自転車免許を廃止し、自動車等の種類として自動三輪車を普通自動車とし、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車を自動二輪車とするとともに、新たに牽引免許を設け、その受験資格について規定する等運転免許の種類及びこれによって運転することができる自動車等の種類に関する規定を整備すること、運転免許に関する事務について、都道府県公安委員会から国家公安委員会に報告すべき事項に自動車等の運転者が自動車等の運転に関してした道路交通法の違反事項等を加えることとすること、運転免許の効力の停止を受けた者等が都道府県公安委員会またはその委託した者が行なう講習を受けようとするときは、講習手数料を納めなければならないこととすること等がその内容であります。  第三は、国家公安委員会は、高速自動車国道における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかるため特に必要があると認めるときは、道路交通法の実施に関する事項について、都道府県公安委員会に対し必要な事項を指示することができることとすることについてでありますが、これは、高速自動車国道における交通が広域的かつ高速的であるというその特殊性にかんがみ、これに対処するため、高速自動車国道における交通の規制、交通の取り締まり等について特に必要がある場合には、国家公安委員会の指示のもとにこれらを関係都道府県に一元的に処理させようとするものであります。  第四は、身体障害者が車いすによって道路を通行する場合の通行区分を明確にすることについてでありますが、これは、いうまでもなく身体障害者の通行の保護をはかろうとする趣旨のものであります。  次に、第二条の改正規定について御説明いたします。  この改正規定は、すでに申し上げたとおり、四輪及び三輪の怪自動車に対する運転免許の資格要件を第一条の改正規定の施行の日から三年を経過した日から強化しようとするものであります。すなわち、四輪及び三輪の軽自動車につきましては、その運転免許の資格要件をいま直ちに強化することは社会的に少なからぬ影響があるものと考えられますので、その実施を三年間延期し、三年後に軽自動車免許を廃止し、自動車の種類としての軽自動車を普通自動車にしようとするものであります。  次に、附則についてでありますが、これは、運転免許の種類及びこれにより運転することができる自動車等の種類の改正に伴い、改正される従前の運転免許について必要な経過規定を設けることとしたものであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  63. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。  この際、本法案について、警察庁長官から補足説明を聴取いたします。江口警察庁長官
  64. 江口俊男

    ○江口政府委員 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  まず、第一条の改正規定から御説明いたします。  第一に、自動車による人身事故を防止し、その他自動車の安全運転の確保をはかるための規定の新設について御説明いたします。  その一は、第七十一条の二の規定についてであります。  この規定は、自動二輪車の運転者は、政令で定める道路の区間においては、乗車用ヘルメットをかぶらないで自動二輪車を運転し、または乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて自動二輪車を運転してはならないこととするとともに、高速自動車国道及び都道府県公安委員会が指定した自動車専用道路においては、自動二輪車に運転者以外の者を乗車させて運転してはならないこととしようとするものでありますが、いずれも、自動二輪車の運転者またはその同乗者の人身事故の防止をはかろうとする趣旨のものであります。  その二は、第七十四条の二の規定についてであります。  この規定は、一定台数以上の自動車の使用者は、自動車の安全運転に必要な業務を行なわせるため、一定の要件を備えた者のうちから、安全運転管理者を選任しなければならないこととし、これに伴う必要な監督規定を設けようとするものでありますが、自家用の自動車の安全運転の管理を制度的なものとして、その責任の所在を明らかにし、安全運転の確保をはかろうとするものであります。  第二に、自動三輪車、軽自動車等に対する運転免許の資格要件等を強化し、その他運転免許制度の合理化をはかるための改正規定について御説明いたします。  その一は、第三条、第八十四条等の改正規定についてであります。  まず、現行の自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車に対する運転免許の資格要件及び運転免許試験を強化するための改正でありますが、これは、最近における自動車等の性能の向上に伴い、現行の自動三輪車を普通自動車と区分し、現行の二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車を自動二輪車と区分してそれぞれ別個の運転免許を設け、その資格要件及び運転免許試験の方法を異にして定めておくことは、これらの自動車等に対する運転免許上の資格要件及び運転免許試験の方法が普通自動車または自動二輪車の運転免許上の資格要件及び運転免許試験の方法に比較して軽きに失し、実情に沿わなくなってきていることにかんがみ、自動車等の運転免許の種類のうち、自動三輪車免許及び第二種原動機付自転車免許を廃止し、自動車等の種類としての自動三輪車を普通自動車とし、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車を自動二輪車としようとするものであります。なお、この改正により、自動三輪車及びこれに対応する運転免許はそれぞれ普通自動車及び普通自動車免許と、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車並びにこれらに対応する運転免許はそれぞれ自動二輪車及び自動二輪車免許となり、また、第二種原動機付自転車免許が廃止され、第二種原動機付自転車が自動二輪車となることに伴い、第一種原動機付自転車及びこれに対応する運転免許は、それぞれ原動機付自転車及び原動機付自転車免許とその名称が改められることとなります。  次に、牽引免許を新設することでありますが、これは、現行法における大型特殊自動車免許の対象には被牽引車を牽引するための自動車とロードローラ等特殊な構造の自動車との両者が含まれており、実情に即しないので、一定重量をこえる被牽引車を牽引して自動車を運転する場合は、大型特殊自動車免許の対象から除外し、新たに、牽引免許の対象としようとするものであります。  その二は、第九十六条及び第九十七条の改正規定についてでありますが、これは、新たに設けられることとなる牽引免許及び牽引第二種免許の受験資格及び運転免許試験の方法について規定するとともに、軽自動車免許の運転免許試験を強化するため、その試験の内容に構造試験を加えることとしようとするものであります。  その三は、第百六条の改正規定についてであります。  この改正規定は、運転免許に関する事務について、都道府県公安委員会から国家公安委員会に報告すべき事項に、自動車等の運転者が自動車等の運転に関してした道路交通法の違反事項等を加えようとするものであり、運転免許に関する事務の適正をはかろうとする趣旨のものであります。  その四は、第百十二条の改正規定についてであります。  この改定規定は、運転免許の効力の停止を受けた者等が都道府県公安委員会またはその委託した者が行なう講習を受けようとするときは、講習手数料を当該都道府県に納めなければならないこととしようとするものでありますが、これまでの講習の実施の経験にかんがみ、講習の内容を充実し、その体制を整備しようとするためのものであります。  第三に、国家公安委員会は、高速自動車国道における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかるため特に必要があると認めるときは、道路交通法の実施に関する事項について、都道府県公安委員会に対し必要な指示をすることができることとする第百十条の改正規定について御説明いたします。  この改正規定は、高速自動車国道における交通が広域的かつ高速的であるという特殊性にかんがみ、これに対処するため高速自動車国道における交通の規制、交通の取り締まり等について特に必要がある場合には、これを一元的に処理するため関係都道府県警察に対し国家公安委員会が必要な指示をすることができることとするものでありますが、これは、高速自動車国道におきましては交通の広域性という点からは、交通の規制、交通の取り締まり等が都道府県によって異なるときは、当該道路における交通の円滑を阻害し、ひいては交通に危険を及ぼすおそれがありますし、また、交通が高速であるという点からは、一の都道府県における交通が直ちに他の都道府県に少なからぬ影響を及ぼすこととなりますので、これらの理由により、高速自動車国道における交通の規制、交通の取り締まり等は、高速自動車国道の存する地域を管轄する都道府県警察単位の判断で行なうことは適当でなく、国家公安委員会の指示のもとに、高速自動車国道全域を一体としてこれを行なうこととする必要があると考えられるからであります。  第四に、身体障害者が車いすによって道路を通行する場合の通行区分を明確にするため、第四条等の関係規定を整備することについて御説明いたします。  これらの改正規定は、最近身体障害者の社会復帰の意欲が高まり、下肢不自由の身体障害者が車いすによって道路を通行する場合が多くなってきておりますので、従来、不明確であった通行区分を歩行者の通行化分によることとして明確化し、その保護をはかろうとする趣旨のものであります。  次に、第二条の改正規定について御説明いたします。  この改正規定は、四輪及び三輪の軽自動車に対する運転免許の資格要件及び運転免許試験の方法を強化しようとするものでありますが、すでに、御説明申し上げた自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車に対する運転免許の資格要件及び運転免許試験の方法の強化と同じく、最近における四輪及び三輪の軽自動車の性能の向上に伴い、軽自動車免許を廃止し、自動車の種類としての軽自動車を普通自動車としようとするものであります。  なお、この改正を第一条と区分して第二条として規定いたしましたのは、後に御説明いたしますように軽免許の廃止による四輪及び三輪の軽自動車の運転免許の資格要件等の強化に関する改正規定を、それ以外の部分に関する改正規定の施行より三年おくらせて施行することとする必要があるからであります。  最後に、附則について御説明いたします。  附則におきましては、その第一条において、本則第一条の改正規定を公布の日から起算して三カ月を経過した日から、本則第二条の改正規定を第一条の改正規定の施行日から三年を経過した日からそれぞれ施行することといたしております。  すなわち、第一条の改正規定につきましては、自動三輪車、二輪の軽自動車及び第二種原動機付自転車に対する運転免許の資格要件等の強化にかかる改正を含めて改正法の公布の日から三カ月後に実施することといたしておりますが、第二条の改正規定につきましては、四輪及び三輪の軽自動車の運転免許の資格要件をいま直ちに強化することは、社会的に少なからぬ影響を及ぼすことになりますので、改正法の公布後三年三カ月を経過した日から実施することとし、その間は、四輪、三輪のものにかぎり、自動車の種類としての軽自動車とこれに対応する運転免許として軽自動車免許をそれぞれ存置することといたしております。したがいまして、改正法の公布後三年三カ月を経過いたしますと、軽自動車免許は廃止され、自動車の種類としての軽自動車は普通自動車となり、これに対応する運転免許は普通自動車免許となるわけであります。  なお、附則第二条以下においては、運転免許の種類の改正に伴い、改正される従前の運転免許は新法の相当規定による運転免許とみなすこととするとともに、運転免許の種類に応じて運転することができる自動車等の種類の改正に伴う必要な経過措置についても所要の規定を設けております。  以上が道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  65. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で補足説明は終わりました。  なお、本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十分散会