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1965-04-27 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十七日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君    理事 中島 茂喜君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    島村 一郎君       登坂重次郎君    村山 達雄君       森田重次郎君    山崎  巖君       秋山 徳雄君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君       吉田 賢一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         通商産業事務官         (企業局産業立         地部長)    馬郡  巖君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         参  考  人         (岡山県知事) 加藤 武徳君         参  考  人         (松本市長)  降旗 徳弥君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣提出第四五号)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議開きます。  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案について参考人として岡山県知事加藤武徳君、松本市長降旗徳弥君が出席されております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。参考人方々には御多用中のところ、当委員会法律案審査のため御出席をいただき、まことにありがとうございます。  御承知のとおり、この法律は新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のため国または地方公共団体が行なう建設事業で、地方公共団体経費の一部を負担するものについて国の特別措置を定めようとするものでありますが、それぞれのお立場から要望を含め、忌憚のない御意見をお述べいただき、本案審査参考にいたしたいと存じます。  なお議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ約十分程度に取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対しお答えお願いいたしたいと存じます。  それでは加藤参考人降旗参考人の順序でお願いいたします。加藤参考人
  3. 加藤武徳

    加藤参考人 新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法案審議なさるに際しまして、関係地域首長をお招きいただきまして、意見をお聞きいただく機会をお与えいただきましたことを感謝をいたす次第でございます。  御承知のように、新産業都市建設につきましては、すでに昨年の暮れ基本計画承認を得たのでございますし、また工業整備特別地域整備につきましても今春承認がございました。また追加の指定を受けた地域に対しましても近い機会基本計画の修正が行なわれる、かように承知いたしておるのでございます。かように国が建設、あるいは整備基本計画承認をしていただきましたことは、まことにありがたいことでございますが、私が申すまでもなく、かような計画を強力に実施をしていただきますゆえんのものは、大都市に対して産業や人口が過度に集中をしておる。この集中を防止しなければならぬ。また地域格差の是正を行なうべきである。かような観点から、日本の経済が正常な発展を遂げるために、地方拠点地域を求めまして、そこへ集中的に短期間公共投資等を行なっていただく、かような基本考え方両立法策定をされ、また基本計画承認をされた、かように私たち承知をいたしておるのでございます。かように地方拠点となるべき都市をつくっていただきます上には、もとより国の大幅な公共投資を期待をいたしておるのでございますが、同時に関係道府県並びに市町村といたしましても、それ相応の負担が伴うのでありまして、これは相当の額である、かように考えざるを得ないのでございます。承認を得ました基本計画に基づきますと、十九の地点に対しまして昭和五十年度までにおおむね六兆三千億円の事業量予定をされておる、かように承知をいたすのでございますが、おそらくこの四割をこえるものが県や関係市町村負担にならざるを得ない、かように考えるのでございます。現在の地方公共団体財政状況下におきましては、かような多額負担は耐え得ない。そこで今回特別の措置によりまして、これらの関係の県並びに市町村に対しまして財政上の特別の措置をやってやろう、かような御配慮をちょうだいいたしましたことは、関係地元民といたしましてもまた首長といたしましてもまことにありがたい限りでありまして、心から厚く御礼を申し上げますとともに、この法案が一日も早く成立をいたしますように御協力を賜わりたい、かように存ずる次第でございます。  そこで、かような機会をお与えいただきましたこの機会に、三、四の点につきまして意見を申し上げまして審議の御参考にしていただきたい、かように考えるのであります。先ほど申しましたように、基本計画策定をされ、内閣総理大臣承認を得たのでございますが、この基本計画昭和五十年度目途といたしまして、十九の地域でおおむね六兆三千億円の事業量予定をされておるのでございますが、しかしこの基本計画なるものは事業実施してまいります上での基本の方針と、そして事業量並びにこれに要します経費を概括的に掲げておるにすぎないのでございまして、事業内容等につきましての詳細な取りきめはいまだなされておらない、かように承知をしておるのでございます。なるほど昭和四十五年度目途にいたしました中期の計画は作業が進んでおる、かように承知をいたしておるのでございますが、お互いの関係地元の者といたしましては、ただいまの基本計画を各地域に応じました——もとよりこれは経済的に、産業的に、あるいは社会的に実情に即すものでなければならないのでございますが、できるだけ早い機会年度別の詳細な計画策定願いまして、これを地元にも示していただきたい。同時に、策定を願った年度別計画に対しましては国が責任を持って公共投資を行なう、重点的な公共事業費の配分を行なう、かような措置をとることにしていただきまして、そして計画が確実に実施できますような体制を早急にとっていただきたい、かようにお願いをいたしたいのでございます。第二の点につきましては、本法制定によりまして特別の措置を願える事業対象法案に明示してあるのでございますが、第二条におきましては、県の事業につきましては、住宅、それから道路港湾等輸送施設、その他政令で定める主要な施設、かように第二条に掲げてございますし、また市町村事業につきましては、第三条に、住宅、第二として道路港湾等輸送施設、第三に下水道、第四に教育施設及び厚生施設、第五にその他政令で定める主要な施設、かように、第二条及び第三条におきまして、本法制定によって特別措置の願える事業対象を明らかにされておるのでございますが、ただこれも県や市町村が国から負担金補助金を受けて行ない、または国が県や市町村負担金を課して行なう事業に限られておるのでございます。そこでぜひ御配慮をいただきたいと思いますのは、第二条並びに第三条に掲げておりまする事項のほかに政令でおきめ願うようになっておるのでございますから、あるいはわれわれの案じておりますることが杞憂であれかしと、かように願うのでございますが、たとえば上水道についていかような措置が願えるのか、また工業用水道についていかなる措置が願えるのか、かようなことがもし政令に織り込んでいただけまするならば幸いでございますが、しかし、もしそうでないと仮定をいたしますと、私は、できるだけ早い機会に、さらに対象となるべき事業につきましての格別の御配慮を願いたい、かように考えるのでございます。また第二条、第三条を通じましてこれらの特別措置対象にしていただけまするものは、国が助成金なり補助金を出すもの、あるいは国が負担金を課して行なわしめる事業、かように限られておるのでございます。たとえば県が単独で行ないまする事業等につきましては対象外ではないか、このことを私は案ずるのでございます。具体的には、たとえば県営港湾等につきまして市町村負担金を課しまして事業施行をする、かような問題に対しましてはたして御配意が願えるやどうや、もし願えないといたしまするならば、私は、近い機会にぜひかようなものをも対象に加えていただきたい、かようにお願いをいたす次第でございます。  三番目にお願いをいたしたいことは、本法案に定めてございます財政特別措置内容でございます。県に対しますものと市町村に対しますもので若干の違いがございますが、たとえば県に対しまする措置については、第二条におきまして、当該事業種類ごとに算定した当該都道府県通常負担額をこえる負担額についてのみ国は考えてやるぞ、それも起債のめんどうを見てやる、そして三分五厘をこえ八分に至るまでの利子補給は行なってやるぞ、かようになっておるのでございますが、しかし大前提として当該事業種類ごとに算定し、そして都道府県通常負担額をこえるもののみに考えてやる、かようなことでございますから、実際的には相当しぼられた特別措置である、かように言わざるを得ないと思うのでございます。また市町村に対しましても第四条に詳細な規定があるのでございまして、たとえば標準財政規模でありますとか、あるいは財政力指数というようなもので二重にしぼってございますので、はたして補助率かさ上げの二割五分というものがそのまま関係市町村に適用していただけるかどうか、これは非常に疑問があるのでございまして、かように県に対しまする特別措置市町村に対しまする特別措置も非常にしぼられておるのでございます。もとより、かような法案にならざるを得なかった理由等につきましても、わからないでもないのでございますし、いろいろ御都合があったということもよく了解はできるのでございますが、しかしこい願わくばできるだけ早い機会に、県や市町村に対しまする助成措置をさらに幅広いものにしていただきたい、このことを私は申し上げたいのでございます。  最後に、私が申し上げたい、かように思いますることは、十九の地域指定をされたのでございますし、今後これらの地域短期間に、それもきわめて重点的、集中的に公共投資等を行なって、地方拠点都市として育てていただきまするためには、国におきまする行政組織がそれにふさわしい指導力を持った体制をとっていただかなければならないのでございまして、どの役所にいかなる組織をおつくり願いますかは今後の問題といたしまして、ぜひ国の行政組織におきまして新産都並びに工特建設整備につきましての強力な御指導が願えますような行政組織をぜひ御配慮を願いたい、かように考える次第でございます。今国会の会期もあまりないと、かように承知をいたしておるのでございますが、どうぞ、今議会におきましてはこの法案でやむを得ないと仮定をいたしましても、ぜひ次の機会等におきましては、ただいまお願いをいたしましたような事項等を御考慮の上で御勘案をちょうだいしたい、かようにお願いをいたしまして、意見開陳を終わらしていただく次第でございます。(拍手
  4. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、降旗参考人お願いをいたします。
  5. 降旗徳弥

    降旗参考人 私が松本市長降旗徳弥でございます。本委員会におきまして参考人として私見を申し述べる機会を得ましたことを感謝申し上げます。この際、御列席の諸先生方にはいわゆる新産並び工特の問題につきまして年来非常にごやっかいになっておるのでございまして、この点あわせて厚く御礼を申し上げたいと存じます。  実は私は松本諏訪地区新産都市のためにいままで努力してまいったのでございますが、今日、運動の当初を顧みますると、もうすでに数カ年の歳月が流れております。すなわち、自治省におきましては地方基幹都市構想を、あるいは建設省におきましては広域都市構想を、通産省におきましては中核工業都市構想を発表されましたのは昭和三十五年でございまして、そのころから新産都市運動というものが動き始めたように思います。私どもといたしましてもそのころ関係の二十三市町村を糾合いたしまして、松本諏訪地区経済開発促進協議会というものをつくって、これらの問題に対拠する陣容を整えたのでございますが、越えて三十七年五月に新産都市建設促進法制定されましたし、三十八年七月十二日には世紀の陳情合戦といわれましたこの新産都市十三地区制定されたのでございます。しかしながらこの新産都市は、生まれたことは生まれましたけれども予算の裏づけがない、うぶ着のないままで今日まで至っておるのでございまして、この間関係の皆々さま方が、非常に苦心努力されたことはたいへんなものであったのでございます。地方におきましてもあるいは中央におきましても、しばしば大会や総会が開かれたのでございまして、いまにして当時を回顧すると、まことに感慨にたえぬものがございます。しかし幸いこの間におきましても、新産都市の理念、新産都市の目的というものが人々に十分に理解され、また世間の世論も確定いたしてまいりまして、いわゆる新産工特事業実施の地ならしはまあまあでき上がってきた、私はこう考えておるのでございます。  さて、りっぱな都市建設するということは、その都市に住む住民の責任であるということは、私は当然のことと思いますけれども、しかし一面からこれを見ますると、都市建設する、りっぱな都市づくりをすると、いうことになりますとその時代における国家民族の持つ文化というものが、都市建設に大きく影響してくる。歴史の事実を調べてみましても、りっぱな政治がありましたときには、りっぱな都市建設されている。こういう事実から申しますと、一国の政治の消長、一国の政治の動向というものが、都市建設に大きく影響するものであるということは、疑いのないことだと思うのでございます。幸い四十年度予算編成にあたりましては、国会の諸先生の御努力によりまして、新産工特に関するところの予算が計上されまして、私どもは安堵の胸をなでおろしたのでございますが、これを実現するためには、関連法案、本日御審議になっておりますところの法案が、あわせて国会において成立するということが私は必要であると思うのでありまして、各地区ではことしこそ実施の年であると張り切っております時点から申しますと、ぜひこの法案は無事に通過成立さしていただきたいと思うのでございます。  申すまでもなく、新産都市建設ということは、これは国土の総合開発による拠点開発でございまして、国家的の事業と申すことができます。しかもこれが短年月に年次的に公共事業を興すのでありますから、その費用も巨額なものであるのでございます。ただ残念なことは、近来地方自治団体というものは財政が窮乏いたしまして、その苦境を訴える団体が漸増してきておるのでございます。したがいまして、一昨年来私ども関係者は打って一丸となり、国会皆さま方の御助力も得まして、この財政的の援助法をぜひつくっていただきたいということで、熱心に努力してまいったのでございますが、これらの見地から申しますと、ただいま御審議になっておりますところの法案内容程度というものは、まだ不十分なうらみがあると申して差しつかえないと思うのであります。しかしながら、この法案がもし万一にも今期国会での通過が困難であり、不成立に終わったといたしましたならば、国政に対する国民信頼感というものは大きく失墜すると思います。そして国政に対する国民不信感というものが、あらゆる面に露呈されるのではないかということを私はひそかに憂慮いたしておるのでございます。したがって、新産都市あるいは工業開発特別地域事業実施年度といわれる今年度にあたりましては、どうか天下の政治のためにこの法案を無事通過さしていただきたいことを心から希望してやみません。  以上申し述べました事情ではございますが、しかし本法案制定された今後の問題といたしましては、先ほど加藤知事さんからもるる御意見が述べられたのでございますが、私どもといたしましても以下数点につきまして今後の御高配をぜひお願い申し上げたいと思うのでございます。  第一点は、建設基本計画に基づき必要な年度別事業計画策定し、事業効率的実施をはかられたいことでございます。  第二点は、市町村の行なう補助事業にかかる補助率は比較的低率であり、かつ補助基本額も実態を下回っておる等の事情を勘案されまして、補助率引き上げ率をさらに考慮されたいことでございます。  第三点は、上水道事業は現在国の補助がないため本法による補助対象とされないが、多額先行投資を必要とすることが見込まれますので、これを対象とされたいことでございます。  第四点は、県営公共事業にかかる市町村地元負担金は、本来市町村実施する事業でないため本法対象から除外されておるが、これを港湾整備事業について見ると、県の負担に対しては本法により地方債利子補給がなされる反面、同一の事業にかかる市町村負担に対しては、本法による格別援助がなされておらないという不均衡な面について改善をしてほしいということでございます。  以上申し述べて私の陳述を終わりたいと思いますが、どうか新産工特のために今後絶大なる御支援を賜わりますことをお願い申し上げたいと存じます。(拍手
  6. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で参考人方々からの御意見開陳は終わりました。     —————————————
  7. 中馬辰猪

    中馬委員長 質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川村継義君。
  8. 川村継義

    川村委員 加藤知事降旗市長、両参考人たいへんお忙しいときにおいでいただきまして貴重な御意見を賜わりありがとうございました。  ただいま御両氏の本法案に対する御意見を承ったのでありますけれども、お述べいただきました諸点については、すべてのこの委員会でも審議の中で全部の委員が取り上げて問題としておるところでありますし、またわれわれが将来新産都市建設の展望に立って考えるときに憂慮をしておる問題等でありまして、御意見について全く同感であるわけであります。そこで私は、この際、ごく具体的な問題の一つ、二つをお聞きしておきたいと存じます。他の委員皆さん方もおそらくいろいろと皆さん方にお聞きしたいということが多うございましょうから、ごく簡単にお尋ねをいたします。  その一つは、どなたからでもよろしゅうございますが、皆さん方が起こしておられます縁故債利子は一体いまどれくらいなのであるか。今度の法案にも、たとえば県の特別援助起債は四十億というのがありますが、これは政府資金は二十億でありまして、残りの二十億は縁故債であります。もう御存じのとおりに、三分五厘をこえて八分までの間について利子補給をするというのですから、この縁故債の二十億の利率のあり方について私は心配いたしておる。いま縁故債県あたりで起こしておられます場合の利率が大体どれくらいなのか、その利率とそれからいま縁故債の問題につきまして何かお考えがございましたら、初めお聞かせいただきたいと思います。
  9. 加藤武徳

    加藤参考人 ただいまの川村さんの御質問の縁故債の点でございます。県の場合と市町村の場合は、利率等につきまして若干の開きがある、かように承知をいたすのでございまして、たとえば市町村等におきましては、一般の金融機関のみならず、ときには相互銀行、信用組合、農協等から買い入れを行なわざるを得ない、かような場合もあるかと思うのでございます。したがいまして、利率につきましては、若干の開きはございますが、私の知り得ておる範囲では八分を下回るような利息の場合はきわめて少なくて、おおむねそれを若干こえる程度、かようなのがまずまずの一般的な利息の姿ではないであろうか、かように承知をいたしておるのでございます。もっとも私の岡山県で起こしております縁故債につきましては、七分三厘ないし七分五厘程度のものもございます。しかし、それは数が少なく、やはり七分八厘ないし八分程度がまずまずの一般的な線である。中には、八分を若干こえるものもある、かように承知をいたしておるのでございます。私の県の場合を申し上げましたので、地域等によりまして資金需給関係等が異なりますので、あるいは必ずしも十九の新産工特地域全般に通ずるものではないのではないか、かように思うのでございますが、岡山県におきましては、まずさような姿である、かように承知をいたしておるのでございます。
  10. 川村継義

    川村委員 いまの点につきまして、財政局長からひとつ縁故債利率状況、これはなかなか全国見渡したときに、きちっときまったわけではないでしょうが、あなたのほうで御存じ範囲でひとつ説明していただきたい。
  11. 柴田護

    柴田(護)政府委員 一ときは七分五厘から八分を上回るものもございましたが、最近の情勢では、大体先ほど加藤さんからお答えがございましたが、七分五厘ないし七分八厘、ないしは高くて大体八分でとまっておるというのが最近の情勢でございます。これをこえるものは最近はほとんどないというように考えております。
  12. 川村継義

    川村委員 利率について、お話のように八分どまりというようなことであれば、三分五厘をこえたものについての補給がなされますから、あと余分利率負担ということは起こらないのではないか、こう理解するわけです。ただ、私たちがこれについて考えましたのは、おそらくもっと高い利率があるのじゃないか、そうなると、この縁故債というものの二十億のつけ方に問題がある。私たちは実は政府資金を全部起債として出してもらいたい、こういう考え方を持っているわけです。そういう点でその実情をお聞きしたわけです。  それからその次には、財政局長にちょっとお尋ねをしておきますが、いまお二方のお話の中に、いわゆる県営事業単独事業と申しますか、たとえば港湾の話がありました。その港湾整備をやるときに、市町村負担がかかる、分担金を求めてやる。その市町村分担金については、今度はいわゆる援助対象からはずれておるのではないか、こういう御意見があったわけです。これはかねがね私たちもそういう問題点が指摘されておることを聞いております。市町村分担金等についての問題を援助対象からはずしてあるという理由は一体どういう考え方に基づいておるのか。あるいはそれは当然今後政令等において含める用意を持っておるということなのか。この辺のところをちょっと説明してください。
  13. 柴田護

    柴田(護)政府委員 国の地方事業に対しまする援助措置でございますので、たてまえからいたしますならば、地方事業に対する国の補助という体系をとらざるを得ない。したがって、地方事業主体とこれに関連する他の地方公共団体との負担関係というものは、この法律上は対象にあがってこないのであります。これに対する考え方といたしましては、かねて当委員会におきましてもいろいろ御論議がありますように、国と地方団体、府県と市町村の間の負担区分適正化と申しますか、そういう筋から申し上げますならば、むしろ大きな事業というものは地元地方公共団体に持たずに、県なら県がやるという方向に進むべきものだろう、私たちは実はそう考えるのであります。現在の仕組みは、必ずしもその辺のところはすっきりいたしておりません。これは正直に申し上げまして、私どもがもっと反省をすべき点だろうと考えておるわけでございます。現に市長会等からはそういう要請が私どもにあるわけであります。私どもも今後の問題として、そういう大きな事業につきましては、地元市町村に持たさないという方向ですべての措置を考え、地方債つけ方というようなものにつきましてもそういう方向でものを考えていく。県の事業になりますれば、事業そのものについては国の援助が働くわけでございます。そういう方向で始末すべきものではないかと実は考えておるわけであります。
  14. 川村継義

    川村委員 そうしますと、いま答弁いただいたように、港湾というお話がありましたが、それらについては県がこれをやる、市町村に余分の負担等をかけないでやるというようなことが土台でなければならぬ。そう皆さん方も考えておられる。ところが、現実にはやはりこういうような県の事業等について相当分担金がかかっておるのであります。たとえば海岸堤防の修築工事等に見てもそういう例がないではありません。そうなると、現実にそういうことがあるということであれば、やはりそれらの負担については何とかやはり援助方法を考えなければならぬという御用意はありますか、そういう考え方はお持ちでございますか。
  15. 柴田護

    柴田(護)政府委員 御承知のように、大規模の道路、あるいは河川工事等につきましては、地方財政法の規定によりまして、先年でございましたか、府県が地方市町村負担金を課することを禁止いたしております。この措置を無制限に拡大することにつきましては問題はございますけれども、しかし、府県と市町村との間の負担区分というものを、事業主体経費を持つというたてまえ、つまり他の地方団体にその一部を負担せしめないというような方向でものを考え、それに対して必要な財源措置をしていく、こういうたてまえで進んでいくべきものだろうと思うのであります。現実におきましてはお話のように必ずしもそういった思想どおりいっておりません。しかし、これはそういう方向で早い機会に整理さるべきものだと考えておるわけでございます。検討するつもりは十分あるわけでございます。
  16. 川村継義

    川村委員 それでは次にもう一つお尋ねをいたしておきたいと思いますが、参考人の皆さんからお話がありましたように、また皆さん方はわれわれ以上にお詳しいお立場でございますから、新産都市建設あるいは工業地域整備等についていろいろ理屈ばったことは申し上げる必要はないわけなんですが、二法案の適用地域事業計画昭和五十年を目標に六兆三千億といわれております。新産都市だけについて見ますと、大体基本計画の示すところによりますれば、およそ四兆三千億、四兆二千九百五十九億、こういうふうに数字を示しております。ところがこれらの総事業費というものは、相当な大きなものでございまして、初め予定された事業費よりも相当事業費は伸びた計画になっております。  そこで私は、お話しのございましたように、一体地方団体はこれらの事業をやっていくのに地元負担に耐え得るだろうか、これが一番私が心配しておるところであります。そこでこの「昭和三十九年度産業都市建設事業費実績(見込)調」によりますと、国庫負担が三百九十一億八千七百万円と計上しております。地元負担が、県負担市町村分を合わせて七百十一億九千九百万、七百十二億程度が三十九年度の大体実績見込みでございます。そこでそれを昭和四十年度のおもなる事業についての国庫予算を累計してみますと、大体五千六百八十九億、五千六百九十億程度になると思います。この昭和三十九年度の実績見込みというものは、昭和三十九年度の主要な国庫予算の大体八%程度新産都市の実績を示しておるようであります。昭和三十九年度の国庫の予算の額が四千八百八十九億程度であります。それの八%程度がちょうど先ほど申し上げました三百九十一億程度。八%程度になっております。これを工特地域について見ますと、大体国家の事業予算の、国庫予算の四%程度だ、こういわれております。そこでそれを四十年度に引き直して考えますと、大体推計されるところの額は、四百五十五億程度新産都市関係の国庫負担の額ではないか、工特地域において二百二十七億程度が国庫負担の額ではないか。これを三十九年度の実績の大体の率に合わせて見ますと、地方負担新産都市において九百十億、大体九百億余りの数字が出てくるようであります。その数字には、少し私の自己流の計算でやや異同があるかもしれませんが、大体昨年度が七百十二億程度、本年度は九百十億程度地元負担があるのではないか、こう考えるわけであります。これは相当の大きな負担に四十年度は耐えなければならぬ。  そこで私は、まず財政局長お尋ねいたしますけれども、昨年度県及び市町村負担のおおよそ七百十二億のうちに、地方債を三百七十六億程度見ております。本年度新産都市において九百十億の地方負担があるとするなら、その中で一体どれぐらいの地方債を見込む用意があるのか、これを初めにちょっと聞かせていただきたいと思います。
  17. 柴田護

    柴田(護)政府委員 お話しの九百十億という御推計でありますが、私どもの推計では約八百八十億で、若干そこに開きがございます。九百十億という前提に立ちますと若干計算が違ってまいりますけれども、私どもの計算では四百七十億くらいの額が普通の計算で地方債として充当される額だというふうに推計をいたしております。残りが一般財源ということになるわけでございます。したがいまして、川村先生の御推計九百十億ということになりますと事業費が若干ふくらみますので、地方債の充当部分も若干上がるかと思います。四百七、八十億のものが地方債の分になるという計算になろうというふうに考えております。
  18. 川村継義

    川村委員 わかりました。その数字はあるいは私のとあなたのほうとが少し食い違っておると思いますが、そこで知事さんにお尋ねをいたしますが、三十九年度の実績見込みによりますと、先ほど申し上げましたように県、市町村負担が大体七百十二億程度、そして地方債が三百七十六億と出ておるわけであります。今度八百八十億から九百億程度四十年度新産都市関係だけで地方負担ということになって、四百七十億程度起債を見ている、こういうことになろうかと思います。  そこで皆さん方の立場から、相当地方負担事業費も高まっておるが、一体これでうまく乗り切っていけるだろうかどうかという点について何かお考えがございましょうか。ひとつその辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  19. 加藤武徳

    加藤参考人 この基本計画を遂行してまいります上に、地元負担に耐え得るかどうか、耐え得ないのではないか、かような御心配と御配意をいただいておりますことを感謝を申し上げます。  ただいま三十九年度と四十年度につきまして、地元負担すべきものと、そして予定されておる起債額とについての数字の御指摘がございました。私たちは、事業量がさほど多くない段階におきましては、三十九年度なり、あるいは四十年度予定されておりまする程度のものでも、どうにか地元負担に耐え得るのではないであろうか、かようにも思うのでございますが、しかしながら、新産都並びに工特計画は、三十九年度事業量あるいはただいま御指摘の四十年度事業量を比べますと、非常に膨大なものであることは御承知のとおりでございまして、そこで昭和四十五年度までの中期計画あるいは五十年度までの基本計画、かような計画をそのまま実施してまいりますと、年を追うに従いまして地元負担はさらに重くならざるを得ない、かように考えておるのでございます。そこで基本計画に基づきますと、地元負担すべき額に対応いたします起債のワクが非常に大幅に認められておる、かように承知をいたすのでございまして、たとえば岡山県南部の新産都の場合を例で申し上げますと、昭和五十年度までの基本計画のワク内におきまして、県で負担すべきものがおおむね千二百数十億円、千二百六十八億円、かように計算をされておるのでございますが、そのうち起債で見ていただけるものが九百九億円だ、かようにお示しをいただいておりますので、ただいま御指摘のようなパーセンテージよりもはるかに高い起債のワクがいただけるものだ、かように期待をいたしておるのでございます。しかし御質問の、現在の段階におきましても、たとえば四十年度におきまして九百億円前後の事業量のうち五百億円に満たない四百数十億円の起債のワクのみだ、かような場合にはなかなかたいへんなことだ、地元負担が非常に重からざるを得ない、かように思うのでございます。しかし基本計画それ自体を見ますと、ただいま申しましたような相当の御配意がいただける、かように承知をいたしておるのでございまして、したがって今後事業量がふえてまいるに従いまして、ますます地元負担は重からざるを得なくなってまいりますし、またそれだけに非常な苦労が増してくる、かように承知をいたしておるのでございます。
  20. 川村継義

    川村委員 加藤知事さんのところのように、十三地区で最も優等生だといわれておりますところでは、あるいはそう大きな負担にお感じにならないこともあろうかと思うわけでございますが、しかし起債の充当といたしましてもあまり手放しで喜んでいただくと、また問題はあとに残るのじゃないかと考えます。この十三地区の中にはもちろんそれぞれの事業計画事業費の大きな差等がございます。おうちのように二兆近くにものぼるような五十年度までの計画があるかと思うと、大体五十億程度でやっていかなければならぬ地区もある。いろいろ差があるわけでございます。とにかくそれらの十三地区においてはずいぶんと財政力の弱い地区もありましょうし、特に私が申し上げるまでもございませんが、新産都の地区内における市町村、あるいは工業整備地域における市町村には、相当の決算上赤字を出している市町村が多うございます。総計して三六%の赤字をかかえておる市町村があるといわれておりますから、そういう点から考えますと、なかなかやはりたいへんなことだということを一応心配をいたしております。  そこで最後にお願いでございますけれども、どうかひとつ新産関係地域において、あるいは県、市町村皆さん方がこの後の実施の推移をよく見きわめていただきたい。この財政負担能力の動向というものは十分ひとつ見きわめていただくようにぜひお願いをしておきたいと思います。  あとの委員の御質問もありましょうから、私、これだけお尋ねいたしまして終わります。
  21. 中馬辰猪

    中馬委員長 安井委員
  22. 安井吉典

    ○安井委員 両参考人のお考えをちょっと伺っておきたいわけでありますが、先ほどのお話の中にも、国の財政援助というふうなことばがあったわけですが、一番初めこの新産都等の計画が出ましたころは、何か国が主体になってやるんだ、国が援助するんじゃなしに、国が主体になってやって、まあ地元のほうは一銭も出さないというわけじゃないが、むしろ国の計画に対して地元援助するんだというぐらいな計画で最初あったように思うのです。いろんな新産都の会合なんかへ出ても、政府のほうは、これが計画がきまりましてからあと地方がやって、政府のほうはまあ余裕があればお手伝いします、国会の答弁がそうなってしまっておるわけですね。一番初めのころは、どうもやはり国が主体になるんだ、過密都市の解消だとか、あるいはまたおくれた地域開発のための拠点開発を国がやるんだ、そういうようなことのために、地方においても、ぜひ私のところもやってくれ、こういうようなことで盛り上がってきた、私はそういう経過があると思うのですよ。ところが、いつの間にか国のほうはうしろへひいてしまって、責任は全部地方だ、こういうふうに現在なってしまって、その地方の皆さんのほうも、何か先ほどの御説明を聞いていますと、この法律の中には財政援助ということばは一つも使ってないわけです。「特別措置」と書いてあるわけです。けれども、何かお話のように、やはり地方のほうでは国に援助をしてもらってやるのだ、国の方針に地方のほうもいつの間にか順応されてきておられるというのがいまの姿ではないか、そういうふうに思うのでありますが、やはりほんとうに地域開発を強力に進めようとするのなら、私は国のほうが積極的なかまえで、この地域はこことここの地域拠点的に開発するのだ、国がそれに力を入れるから地方もついてきてくれ、こういうような、一番初めの本節に戻るべきではないか、そういうふうな考え方をいつも持っているわけですが、その点、当初の地方のほうのお考えが、だいぶ後退して、もういま幾らかでも国が援助してくれればそれでいいのだというようなところまで大きな変化が現実にきてしまっているのかどうか。   〔委員長退席、亀山委員長代理着席〕 地方のほうのこの問題についてのお考え方をちょっとこの際伺っておきたいと思うのです。
  23. 加藤武徳

    加藤参考人 ただいまの安井先生の御指摘のとおりでございまして、私たち新産都市建設促進法を見てまいります際に、第一条に、明らかに国家目的と考えられるような条章が書いてございまして、わが「国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達に資する」、かように新産建設の目的が明示されているのでございまして、私たちも当然国が中心におやり願うべきもの、あるいはかりに地方が中心であっても、強力に国がてこ入れをしていただけるもの、かように考えているのでございます。が、しかし反面、第二条になりますと、関係都道府県知事が申請をしなさい、そうして申請のあったものについて内閣がオーケーを出しますよ、かようなことであるので、第二条になりますと、ははあ、やはり地方公共団体が中心か、かようにも考えられるのでありますが、しかしいかような姿であるかの議論は別にいたしまして、私は地方公共団体が中心にやりましょうとも、それは終局的には国の経済繁栄につながるのだ、また国が繁栄するためには、やはり地方公共団体が繁栄しなければならぬのだ、かように私は基本的に考えているのでございまして、したがって新産都なり工特建設が、国家目的であるか、地方住民の福祉の増進であるかの議論は私はしばらくおきまして、いずれにいたしましても、現在の実態としては、地元が一生懸命にやる、国もてこ入れをするぞ、かような態勢で進んでまいっていると思うのでありまして、この姿については、もとより安井さんの御指摘のとおり大いに議論のあるところでございます。したがって、現在のようなこういう姿のもとにおきましては、地元の公共団体が主体でやらざるを得ないでございましょう。しかし国が私は最高限の財政的な処置なりあるいはその他のてこ入れをしていただくべきだ、かように考えているのでございまして、そうしてただいま御審議法案につきましても、地元といたしましては、いろいろまだ希望がございます。しかし、今回はこれで通していただいて、そうして将来を楽しみに待ちたい、かような実は地元の空気であるのでございまして、ただいまの御質問のお答えになりますかどうか、はっきりわかりませんが、私たちはさような国家目的であるとか、あるいは主体がどこであるとかいう、さような議論よりも、むしろできるだけ大幅な御処置を願いたい、かような気持ちで一ぱいでございます。どうぞひとつさような点をお含みいただきまして、今後強力な国の助成措置をぜひお願いしたい、かように存ずる次第でございます。
  24. 安井吉典

    ○安井委員 私どもは、いま私ちょっと申し上げましたような趣旨で、このような法律の形ではきわめて不満でありますが、いま知事さん言われましたように、一応のものとして今度の国会でやはり通すというかまえで臨んでいるわけであります。いずれにしても、一番最初に出てきたそれとは全く似ても似つかないようなものに現在なってきている。この実態は、やはり国会で私どもが論議するだけでなしに、地方のほうでも十分に御検討のし直しをやっていただくべきではないか、そういうふうな気持ちで申し上げたわけであります。  そこであと二点、これは政府のほうにお尋ねいたしますが、経済企画庁のほうで経済審議会の地方部会の初会合を近く開いて、地域開発計画のねり直しの作業にかかろうというふうな御計画があるというふうに新聞で見るわけでありますが、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  25. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 中期計画を作成いたしました際に、地域の問題につきましても議論があったところでございますが、地域の問題について十分中期計画の中に取り入れて計画を樹立することができませんでした。地域の問題はたいへん複雑ですし、また幅の広いむずかしい問題を含んでおりますので、経済審議会といたしましても地域経済の問題については具体的な施策を検討するために新しく部会を設けて、あらためてかなり時間をかけて地域の問題を検討しよう、こういうことで地域部会が発足することになりまして近く会合を開くわけでございますが、地域の問題につきまして長期経済計画的な面では、農業なり工業なり縦割りの検討をいたしておりますが、それを地域におろしてさらに具体的な問題を追及するという点が十分なされておりませんので、その点について地域部会として、たとえば農業であれば都市周辺の農業あるいは山村の農業、あるいは南のほうにおける農業あるいは東北地方の農業、それぞれいろいろ問題がございますが、そういう点について十分掘り下げて検討していくということで地域部会が発足いたしております。
  26. 安井吉典

    ○安井委員 新聞の記事によりますと、六十年を目標年次とする地域開発の新しい長期計画についての検討で、現在のいわゆる古典的開発方式は重化学工業に片寄り過ぎている、あるいは物と金との関連性が非常に欠けている、地方財政への圧迫が非常に大き過ぎるとか、そういうふうなひとつの反省から生まれて新しい計画策定に取り組むのだ、そういうふうな書かれ方になっているわけです。私はその点、いま行なわれております政府の地域開発計画というものの再検討の段階が早くもきているのじゃないかという意味から、そういうふうな方向に進むことは賛成でありますが、ただ新産都の問題あるいは工特問題等を政府として一たん出しておいて、しばらくやってみたけれどもとても膨大な投資になって、いま一応長期計画がねられていますが、これは地方で出された計画を縮めてそれまでされているのでしょうから、実際はそれの倍くらいなものを地方では一応お考えがあるのだろうと思うのです。私は実はさっきたいへん意地悪く知事さんや市長さんに、いま考えられております十九地区が、期待されているような形で完成するお見込みかどうかということをお聞きしょうと思ったのですが、そういう意地悪な質問はやめました。どちらも御自分の地域はこれは完成すべきだし、またするという意気込みでお進みだろうと思いますが、十九地区全部がいま考えられているようなもので計画どおりいくかどうかということになると、確信を持ってお答えになれるものじゃないと思います。だからそういうものを含んで、現在せっかく一応生んでしまった新産工特という二つの地域計画について、これはこのままやってしまったらたいへんだ。青森県のむつ市のテレビがきのう出ておりましたけれども先行投資はできたが工場は来ない、これはみなそうなんです。このとおり完全にやったらたいへんな事態が起きるだろうと思います。もっとも、できないから幸いかもしれません。だからいまのところは初め考えていたものと違った、とんでもないようなかっこうで十九地区がばっとできて、いま一ぺんにこれをやられたらたいへんだというので、政府はできるだけ金を出さないで、できるだけ仕事が進まないようなところでお茶を濁しているのが現在の姿ではないか、たいへん意地の悪い言い方かもしれませんけれども、私はそう思います。ですからこの問題については、次の段階の新しい計画ももちろんけっこうでありますけれども、一応いま進んでしまっているこれの計画新産工特を一体どうするかということについて、政府自体はもっと明確な方針を出さなければ将来に大きな悔いを残し、地方団体はたいへんな事態におちいるような気がするわけであります。これはこの間うちからここでずっと議論をし尽くしてきた問題かもしれませんけれども、この点もう少し企画庁のお考えを伺っておきたいと思います。
  27. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 先ほど申し上げました経済審議会の地域部会は、この新産都市計画とか、工業整備特別地域計画が、現段階ではすでに行き詰まっているという考えのもとに考えているわけでは決してございません。全国的な国土総合開発一つの長期的なビジョンとして、いろいろな経済的な問題を地域にブレークダウンして検討を進めてまいる、その結果に応じて、でき得れば全国の総合開発計画というものをさらに見直していくという形に進んでまいりたいとは考えておりますが、現在の国総法に基づきます全国総合開発計画一つのあらわれである拠点開発としての新産都市計画、あるいは工業整備特別地域計画というものは、企画庁といたしましてはあくまで全力をあげてこの計画の達成につとめたいと考えております。また一つ都市建設というのは、短期の二年、三年の時間をもって決することはできないことでございます。十年あるいは二十年、さらには三十年という長期の見通しのもとに、じっくり腰を据えて進めてまいりたいと考えておりますし、長期的に、五十年を目標として考えた新産基本計画は、必ずしもそう膨大なものではございませんので、先日もこの委員会で申し上げましたが、全体の計画というものを、先ほどお話のあった三十九年度予算化された実績のベースからながめましても、単純に想定的に、複利計算的にながめてみますと、年々一%程度の投資伸び率で目的は大体達成し得るという程度のことでございまして、中期計画におきましても、今後の公共投資も国全体として一〇%前後の伸びを考えておりますから、その中において新産に一〇から一二程度といいますとかなりのウエートになりますが、そこに重点を置いていくということがそれほど大きく無理のある問題ではないと考えております。しかし、あくまでも新しい都市づくりをし、工業を地方に誘致していくわけでございますから、先行投資的にやはり公共投資を進めていかなければならぬ。前半の期間においては先行をさせる度合いによっては地方負担が大きいかと思いますが、全体としてこの事業を遂行していくという熱意は当初から少しも変わっておりませんし、できるだけの努力をいたしまして、われわれも地元と協力いたしまして新産計画の達成に進みたいというふうに考えております。
  28. 安井吉典

    ○安井委員 最後に一点だけ柴田財政局長に伺いたいのです。  今度の財政措置は一定のレベルを置いて、それを上回る支出については県は起債市町村補助率のアップというふうな考え方でありますが、これは実は初めは全部補助率アップでいこうというのが中折れになって、こんなようなかっこうになった。そんなような経過があると私は聞いておるのですが、どうせ中折れになるんなら、いまは県のほうは起債で、市町村補助率ですが、もう一つ、今度は逆に県のほうにも若干補助率のアップを何かの別な形で見てやって、それから市町村のほうに起債を上置きをする、こういう仕組みが必要ではないかと思うのです。特に市町村の場合は住宅計画なり上水道、それから工業用水道、こういうような問題があるわけで、私もいままで、なぜこれを対象にしないんだと聞いたら、地方公営企業だから補助率アップは考えられません。こういうことなんです。しかし、その補助率アップじゃなしにでも、起債の特例くらいはあまり金はかからないですよ。県のほうでは非常に大きなことを言っても一億足らずでしょう。ことし一年間で県の起債は七千万か八千万くらいです。それと国の支出で済まそうというのですから、現実に国の支出額というのは、市町村起債の上乗せしても、そうたいしたことじゃないと思うのです。地方公営企業がかわいそうだと思うのです。しかもそれは先行投資でなければならないものですから、そういう意味で法律の改正も必要かもしれないし、いますぐそれができないでも、次の段階に当然考えられるべきだし、それから少なくとも水道なんかの起債について、一般的な償還年限の延伸の問題はすでにきまっているわけでありますが、この新産都市等の場合には、据え置き期間をもう少し長くするとか、そういうような措置くらいは今度の場合だってできそうなものだと私は思いますが、私のいまの主張は、市町村の場合、起債の上乗せの問題についてもっと検討すべきであるということ、それからしかもその償還条件等についても特別な措置を当面考えるべきであろう、そういうふうな考え方でありますが、いかがでありますか。
  29. 柴田護

    柴田(護)政府委員 この前当委員会におきまして、どなたでございましたかの御質問にたしかお答えしたと思っておりますが、上水道なりあるいは工業用水道なりの問題につきましては、一応は公営企業のたてまえだから、補助制度というものは今日のたてまえではその仕組みに乗らないというかっこうになっておる。したがって、今回の援助措置対象としては一応はずしてあるわけでございます。しかし、問題がないかといえば、問題はあることはたしかでございます。したがって、その問題について先行投資の場合に、全然従来のようなやり方でいいかどうかということについては、検討する必要があると実は考えております。ただ、これもお答えしたと思いますが、ちょうど水道並びに工業用水道につきましては、公営企業制度調査会におきまして、基本的なあり方についての検討をお願いいたしておりますし、その問題につきます限りにおいては、新産工特地域以外の開発関係地域におきましても同じ問題があるわけでございます。その問題を公営企業制度調査会の結論を得ましたあとで総合的に考え、その一環として新産業都市地域についての先行投資についてどのような考え方をとるかという措置を明確にいたしたい、そのような考え方でおるわけでございます。  なお、府県と市町村援助措置の問題でございますが、私どもの最初とりました考え方と、それから法案としてまとまりました考え方との間には、開きがあることは御指摘のとおりでございます。しかし、これはいろいろ折衝を経、話し合い、議論をした結果まとまったものでございますが、府県につきまして何らかの財政援助というものを、補助率かさ上げといったようなものをかりに考えましても、新産業都市地域におきましては、いずれも後進地域補助率かさ上げ立法の適用になるわけでございます。結局二重補助になりますので、どちらかが優先するという形になりますと、その実益はほとんどない。むしろその持つ仕事の性格からいって、先行投資に対する何らかの財政援助という方向に切りかえたほうが実益がある。そこで低利融資という形に切りかえたのであります。市町村につきましては、仕事の性質からいいますと、いま御指摘のありました水道なりあるいは工業用水道というものを除きますれば、地方債を通ずる先行投資的なものよりか、むしろそのものずばりの補助率の問題というとらえ方のほうが実際に適するのではなかろうかと思いますし、また、たまたま市町村につきましては、後進地域かさ上げ立法のようなものがございませんので、それらのところを考えまして、市町村につきましては補助率かさ上げというものを中心に考えてきたわけでございます。しかし、もちろん地方債の充当率等が十分かどうかといいますと、運用面におきましていろいろ検討の余地は残されておるかと思います。その辺は今後の地方債行政の運営を通じまして検討をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. 亀山孝一

    ○亀山委員長代理 華山委員
  31. 華山親義

    ○華山委員 先ほどからのいろいろのお話の中で、ここで自治省にお聞きいたしまして明白にいたしておきたいのでございますが、単独事業、公営企業——公営企業につきましては独立採算制であるからできないというお話がございました。この二つにつきまして、参考人方々から、このたびの法律にきめられておるところのその他の重要なる事項として指定していただきたいということでございましたけれども、このたびの法律ではこの二つの問題は解決しない、自治省の政令等では規定することができない、こういうふうにお話の間で伺いましたが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  32. 柴田護

    柴田(護)政府委員 このたびの法律、これに伴います政令におきまして、上水道並びに工業用水道につきましては対象といたしておりません。なお単独事業につきましても同様であります。ただ公営企業につきましては、先ほど安井委員の御質問にお答えいたしましたような考え方でもって進むつもりでございます。なお単独事業につきましては、これが補助率かさ上げという形をとっております関係上、単独事業というものをこれに入れてまいります場合には、その仕組みに乗らないのであります。私どもは、前にこの援助措置を考えました場合には、単独事業援助対策としようといたしたのでありますけれども、それは結局、現行の補助率制度というものに対する相当の改革であります。この問題につきましては法案提出までに議論がまとまらなかった。したがって、本法案対象外にいたしております。かようなことでございます。
  33. 華山親義

    ○華山委員 私の体験を申し上げるのはたいへん失礼でございますが、単独事業というものが、この企業を誘致するという段階になりますというと、思いがけないところで起きてくる場合が多いのでございます。来る企業はいろいろな注文をつけます。その際にいろいろなことをしてやらなければいけない。そういうことで、市町村等におきましても、県におきましても、思わざる単独事業をやらなくてはいけない場合も多いわけでございます。たとえば電線を引く、動力線を引くという場合に、これは県あるいは市町村単独事業をやるというふうな場合も多いのでございます。それから、いろいろな側溝をつくるとか、そういうふうな場合も多いのでございまして、私は、単独事業ということを自治省が軽く見ておられるとするならば、私たち新産都市の問題として非常に抜けているのではないか、こういうふうに考えますので、その点は今後別個の法律でも、あるいは法律の改正でも考慮していただきたい、こういうふうに考えます。  それから、もう一つの問題でございますが、先行投資に対する不安がないかということを岡山の知事さんに、倉敷市の前例もございますので、伺いたいのでございますが、また私のことになりますけれども、私は、六年間県の仕事をしてまいりました。ほかに大過はなかったと思いますが、大過があったのは先行投資の失敗でございます。決してしかし県は単独で、自分だけでやったのではない。これは国の方針に基づいてやったのだ。もっと具体的にいうならば、あるところに東北開発株式会社をして土地をつくらせるから、県のほうでは水道事業、工業用水事業をやってもらいたいという一つのまとまった国の要請によってやったのでございます。ところが、工場は来やしない。東北開発株式会社のつくった工場用地はぺんぺん草がはえているし、県のつくった工業用水はいつまでたったって使おうとしない。結局、何千億かの負債をこの五カ年ほど使っておるという状態、そういう体験がございますので、私は、私の杞憂に終わればいいのでございますけれども先行投資ということについては非常に不安を持っているわけでございます。  それで、私は、政府に対しまして、今度のいろいろな問題についても、計画についても国のほうが承認をして、一語に協議をして、そしてつくる計画なんだから、そのとおりにうまくいかない、——私、うまくいかないのがあたりまえだと思うのです。片方は計画であって、片方は自由経済なんですから、そのギャップが出るのはこれは当然のことなんです。その当然のことができた場合に、国のほうではこれを補償していくべきじゃないか。その問題が含まれていないのじゃないかということを御質疑したのでございますけれども、自治省のほうでは、そのときにはまたそのときで考えようがあるだろうというようなお話もございましたが、岡山の知事さんにお伺いしたいのでございますが、先行投資についての不安というものはございませんでしょうか。
  34. 加藤武徳

    加藤参考人 ただいまの御指摘の点でございますが、先行投資に対する不安は、関係県並びに市町村におきましては相当のものだ、たいへんなものだ、かように言わざるを得ないと思うのでございます。企業誘致等が比較的順調に進んだと思える岡山県南部新産都市におきましても、絶えずこの不安がつきまとっておったのでございますし、相当のリスクを覚悟の上で先行投資が行なわれた、かように私は見ておるのでございます。そして、それは企業が誘致できなかったことによるたいへんな負担増と同時に、企業が誘致をされましても、当然先行投資を行なわざるを得なかったものに対する負担増、かように私は二重の負担と不安が実は案ぜられるのでございまして、たとえば岡山県の場合、工業用水につきましての相当の資本投下をいたしておるのでございますが、御承知のように、企業は一挙に大量の工業用水を必要とするものではないのでございまして、逐年使います水の量が増加をしてまいるのでありますが、逐年の計画による工業用水の供給なんということはきわめて困難で、たとえば上水路の埋設、水源地の確保等につきましては、相当の先行投資が要るのでございますから、その後順調に水を売ることが可能であるといたしましても、やはり相当の負担と不安が加わってくる、かように考えられるのでございます。また工業用地の造成等におきましても、企業誘致が確定をしてからの用地造成は困難でございますから、あらかじめ予測をしながら工業用地の造成を行なう、あるいは企業誘致の話と並行しながら用地の造成を行なう、かような場合、かりに中途におきまして企業の誘致が坐折をいたしました場合には、地元の公共団体といたしましては非常な負担が伴ってまいりますし、またそれ相応の不安がありますことは、ただいまの御指摘のとおりである、かように存じておるのでございます。しかし、この責任がどこにあるかは別個の問題といたしまして、やはり今後新産都の建設にあたりましては、かような危険なりあるいは不安を最小限にとどめるような国の配意と同時に、建設を進めてまいります地元の十分な配意が私は必要である、かように痛感をいたしておる次第でございます。
  35. 華山親義

    ○華山委員 それから、人口労働の問題でございますけれども計画を見てみますと、各項目、各地区につきまして職業教育を徹底するということが書いてある。何かその点につきまして——県のお仕事だと思いますけれども、しかし岡山県につきましては、あまり人口労働が、鉄鋼あるいは石油化学というふうな問題になりますと、あまり労働力はそういう施設の場合には要らないのでございますが、松本地区につきましては、あすこの計画は軽工業的なものが多いわけでございます。あるいは食品工業ということになるわけでありますが、相当の労働力が必要なわけでございます。それにつきまして、職業教育ということが書いてございますけれども、何かお聞きするのに——ちょっとこれは国の仕事かもしれませんけれどもどういうことが必要なんでございますか、ひとつ松本市長さんからお伺いしたい。
  36. 降旗徳弥

    降旗参考人 ただいま御質疑になりました人口の問題でございますが、労働力の問題でございますが、長野県は御存じのとおり教育県といわれまして、教育が非常に進歩しておるわけであります。ですから、軽工業、精密工業のほうには非常に労働力は向いておるわけであります。そこで、松本・諏訪地区新産都市指定された以後、まだ長野県から依然として労働力は県外に流れておりますが、しかし流れておる労働力が松本・諏訪地区に引っかかって流れが少なくなっているという事実があります。  さらに私どもは、新産都市建設ということは、ただもうかりさえすればいいということじゃない。やはりそこに一つの新しい時代を画する都市建設する。そのためにはやはり教育が根幹にならなければいけないということで、いまわれわれは教育をりっぱなものにしようということを運動しております。さらに、余裕の問題あるいは財力の問題等で上級の学校へ行けない、そういうような子弟のためには、ひとつ訓練所をつくろう。国及び県の協力を得て、近県にないようなりっぱな訓練所をつくる。要するに、新産都市といえども教育が根幹になるべきものである、そういう意味でいまやっております。
  37. 華山親義

    ○華山委員 政府御当局に伺いますが、ただいまのお話のようなことでございますけれども、今度の財政措置につきまして、職業教育についての必要な財政措置というものについて何らうたってありませんけれども、何かお考えがあってそれはオミットされたのでございますか。
  38. 柴田護

    柴田(護)政府委員 その計画にあげられておりまする職業教育の問題は、県自体でその他区におきまする事業として、県が中心になってやるいわば単独事業でございます。したがってこの援助計画とは直接関係はない。つまり援助法といたしましては補助事業でございませんとなかなかあがってまいりません。単独事業として施行されます限りにおきましては、計画全体の中の事業でございましょうけれども援助問題とは直接関係がございません。しかし、県全体の財政問題、新産業都市が進められていきますことに関連をする県財政、県なりあるいは市町村財政問題という広い分野におきましては、私どもといたしましても十分関心を持ち、その推移を見守っていきたい、こういう考え方であります。
  39. 華山親義

    ○華山委員 私は、基本計画の中にも書いてあるとおり、職業教育をやってそしてその土地から労働力を補っていくのだ。それがあわせて地方からの東京への人口の流出を防ぐのだということが大きな目的になっておるのでございますから、職業教育施設、職業訓練所等の問題はございますけれども、職業訓練所を新しくつくらなければいけないといいましても、これは地方負担があります。こういう問題につきまして、職業訓練のための地方負担について、これは国がやる場合の負担とかあるいは単独事業について、この法令に規定がないということは私はふしぎに思っておるところでございます。ひとつその点をあるいはお見落としかもしれませんが、この次あたりに御再考を願いたいと思います。  それから私はもう一つ伺いたいのでありますけれども岡山の知事さんに伺いたいのでございますが、私が心配いたしておりますことは、こういうふうに財政負担が将来重く県にかかるであろう、そういうふうになりますと、岡山の県政というものがその辺に最重点的に置かれまして、他の地区、他の単独事業、そういうものができなくなるのじゃないか、あるいは非常に比重が少なくなってしまって、そこにばかり県の重点がいって他が軽んぜられるのじゃないだろうか、こういうふうな気持ちがいたします。今度の場合にいたしましても、超過部分について全額を国で負担するということ、あるいは大部分を国で負担するということであれば私はいいと思うのでありますけれども、国の負担というものが少ない。そうすれば、いままでやっておったところの単独事業の圧迫とか、あるいは他の農業に対する政策とか、そういうところから金をさかざるを得なくなるのではないかというふうにも考えますが、これはお聞きするのも無理かとも思いますが、そういう辺についての御心配というものはおありになりませんですか。
  40. 加藤武徳

    加藤参考人 私も、ただいまの御指摘のとおり、心配をいたしておるのでございます。しかし新産都なりあるいは工特地域整備は、ぜひやらなければならない事業である、かようにも承知をいたしておりますので、県や市町村財政が極度に圧迫を受けなくて済むような、国の強力な助成体制をぜひお願いしたい、かように存ずる次第でございます。
  41. 華山親義

    ○華山委員 終わります。
  42. 亀山孝一

    ○亀山委員長代理 門司委員
  43. 門司亮

    ○門司委員 ごく簡単に二、三の問題だけをお聞きしておきたいと思います。  私どもはこの法律で一番考えておりますのは、指定された国の事業あるいは都道府県事業、いわゆる国の補助対象になるものに限られておって、単独事業等についてはほとんど財政的な援助がないように見受けられます。ところが、私どもが一番新産都市で考えてそれから危惧いたしておりますのは公害の問題でございます。ところがまだ公害基本法もできておりません。この間公害事業団というやつができましたけれども、これはただ下水や何かの程度のものであって、大気汚染やその他の問題を規制するほどの法律ではございません。したがって、新産都市にいたしましても工特にいたしましても、地方住民のことを考えると、現在の社会ではまず公害をどうするかということが考えられて行なわれることが私は一つ問題点だと思うのだが、そういう点についての配慮はどうなっておりますか。
  44. 加藤武徳

    加藤参考人 ただいま御指摘の公害問題が、今後新産都なりあるいは工特地域整備の上で非常に重要な問題になってくる、かように承知をいたしておるのでございます。しかしこの法案の第二条及び第三条に助成すべき対象として掲げておりまする事項には公害が実は載っておらないのでございまして、   〔亀山委員長代理退席、委員長着席〕 あるいは「その他政令で定める主要な施設」、かような中にでも入れていただけるのかどうか、私はまだうかがい知らないところでございますが、しかしさような中にお入れいただくことがもし不可能となれば、今後できるだけ早い機会にさような処置をぜひお願いしたい、かように考えておるのでございます。
  45. 門司亮

    ○門司委員 これは政令内容をここで聞いてもよろしいのでありますが、これはどうだといえば、自治省はやるというかもしれない。  それからこの法案でもう一つ問題になりますのは、事業計画とそれからここに誘致されるであろうという工場等について選択権を持っておるのか、あるいは自然発生的に——資本主義の社会でありますから制限するわけにはいかないかと思いますが、地方はただ整備だけすればよろしい、あとそこへ来て仕事をするのは資本家の自由だ。この法律の中にはそんなことはちっとも書いてないのですが、私はこのことは公害問題と関連してかなり問題があると思います。四日市の場合を見ますとはっきりそれが出てきております。したがって、そういう点について政府の立案者のほうは一体どう考えているのですか。整備だけ地方はすればそれでよろしいのだ、あとそこに来て仕事をする工場は自由にまかしておくのだということになりますと、これはさっき言いましたように、四日市のような問題を引き起こしてもどうにもならないことになって、かえって新産都市地方の発展を阻害する形が出てくると思うのだが、その辺の考え方は立案者はどう考えておりますか。
  46. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 新産の場合も工特の場合も、公害の問題については、立案者といいますか、この計画承認するにあたりまして地元ともよく十分に検討し、御相談申し上げたところでございますが、事前に風向きの調査であるとかあるいは地盤の調査とかいうことを各地域についてかなり政府からも補助金を出したりいたしてやってきております。結局、公害を防止する基本的な問題としては、やはり都市計画でございますか、都市の利用区分の問題になろうかと思います。そういう意味で風向きの問題、地盤の問題等を十分考慮に入れて、工業地区、あるいは住宅地区、あるいはその中にグリーンベルト、緑地帯というものを設ける等の都市計画的な配慮をこの計画に十分織り込んで考えてまいっておる次第でございますが、さらに具体的には都市計画法に基づく計画ができ、さらに現在の建築基準法の適用等によりまして、工業地帯あるいは住宅専用地帯というふうな地域別の指定区分もいたすことができますので、そういうことによって工業が住宅地に混在するというようなことのないように、実際のこれからの実施にあたっても、地元としても御指導なされるだろうと思いますし、政府の側としてもそういう意味で地元と御相談して公害の発生を最小限度に食いとめる。もちろん公害の防止の問題は、基本的には各企業体が社会的な責任という面で公害防止のために全力を注いでいただくということが基本的には必要であろうかと思いますが、政府といたしましても、あるいは地元計画の立案者といたしましても、その点はかなり慎重に検討し、議論を尽くしたところでございます。さらに、付随した下水道の整備その他についても、特に重点を置いて計画の中に盛り込んでおるというような次第でございます。
  47. 門司亮

    ○門司委員 都市計画の話を聞いたのではございません。そういうことで地盤沈下の原因がたとえば水をくみ上げる一つのことにあるとすれば、井戸の設定等も考えられる。あるいは風向きによって悪臭を発するようなものもある。そうなってまいりますと、結局私が聞いているのは、そういうことがあるから事業の選択権はどこにあるかということです。資本主義の社会で、おまえの工場はここへきてはいけない、おまえの工場はここだ、この工場はここに持っていくのだ、この工場はこうだという都市計画上の問題は、こっちは百も承知している。ただ選択権があるかどうか、これが問題だ。この整備をされるについて、この地区はどういう産業とどういう産業とこういう仕事がくるのだ、したがって、こういう設備をするのだということでなければ、この計画は立たぬでしょう。私はその関係を聞いている。だから、たとえば風向きが悪い、だからここにこういう工場はきてもらいたくないというのなら、その工場がそこにくることを拒否しなければならない。いわゆる産業の、あるいは工場の生産の目的、あるいは製品その他によって、工場を誘致することのための選択権をどこが持っているかということです。これは地元にとっては非常に大事なことなんです。設備ができたから、あそこにいけばおれの工場はもうかるだろうといってこられて、そしてそれが非常に地元に迷惑を及ぼすようなことがないとは限らぬですよ。そのために、風向きだの地盤沈下をあなたのほうで調べているのでしょう。そうすると、風向きの方向によっては、たとえば亜硫酸ガスの出るような石油化学産業なり、あるいは製鉄産業というものは、どうもこの地域には不向きだ、こられては迷惑だというときには、それを拒否しなければならない。結局、そういう規制をだれがやるかということです。その点を私は聞いている。その点を聞いておかないと、さっきも言ったような四日市のような例が出てきて、四日市はいまになって大騒ぎをやっておりますけれども、最初からあんなに悪ければ規制すればよかったが、規制ができなかった。また、現在も規制する法律はどこにもございません。公害を防止する法律はあるけれども、その産業がそこにきていけないという法律はどこにもないと思う。一体その選択権をどっちが持っているかということを立案者はどう考えたかということです。その選択権があるのかないのかということ、それからもう一つ、その選択権について、立ったついでに伺っておきますが、拒否することは市町村がするのか、あるいは都道府県にあるのか国にあるのか、選択権がどこにあるのかということです。選択権が全然なければないでそれでよろしい。簡単に説明しておいてもらえばいいと思います。
  48. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 ただいま御指摘のような新産都市等につきましての公害対策といたしまして、私たちも新しい都市にはぜひ公害が起こらないようなやり方をしなければならぬということで、四十年度予算におきましても若干の……。
  49. 門司亮

    ○門司委員 私はそんなことを聞いているのじゃない。選択権がどこにあるかということを聞けばいい。
  50. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 調査室にあれしておりまして、それを基礎に置きまして、その調査によりまして、今後立地いたします企業につきましては、それぞれ公害を非常に出すようなおそれのある企業につきましては、関係事業法等の運用におきましても、公害の点というものは認許可の場合の大きな一つの基準といたしておるのでございます。したがってまた、それによって、立地すること自体が適当であるかどうか、あるいは立地するとしますれば、いかなる防止施設をつけるべきであるかというようなことを考えまして、必要な認許可等をやっておるような次第でございます。
  51. 門司亮

    ○門司委員 問題の焦点がはっきりしないのですが、公害もさることながら、地方によっては、いろいろな立地条件の関係から、地元の歓迎するものと歓迎しないものとあろうかと私は思う。地元が歓迎するものと歓迎しないものが必ず産業の中にあるわけです。そういうものの拒否権は一体だれが持っているかということです。国が持っていれば国が持っていると言っていただけばいい。都道府県が持っていれば、都道府県が持っていると言っていただけばいい。何も公害がどうだこうだといって教えてもらわなくたって、私ども一応読んでいるのですから、都市計画の状態がどうだぐらいはこっちも一応わかっている。だから、拒否権をだれが持っているかということです。いまの状態のようなことで条件をつけてやらせるということは、国が拒否権を持っているということですか。私どもが心配しておりますことは、たとえば条件をつけてやっても、尼崎を見てごらんなさい。一つの会社で最初申請されたときの井戸の数と、現在使っている井戸の数と、深さを調べてごらんなさい。どんな開きが出ているか。ばかばかしいものになっている。これだけしかくみ上げしないのだといって許可の申請を出してくる。そうして許可をしたら、ないしょでより深い井戸を掘ったってわからない。現在の地盤沈下が、水の関係、井戸の関係があるとして調べてごらんなさい。大体そういうことになっている。私どもそれをおそれる。せっかく金をかけて、こういう計画もと都市の発展を期待している地方が、実はふたをあけてやってみて数年たったときには、実に迷惑なものをこしらえたものだということにならないようにと私ども考える。そう考えてまいりますと、最初からそういうおかしなものについて拒否権を持つ、あるいは途中で条件に合わなければこれをやめさせることができるという、それを国が持っているのか、都道府県が持っているのか、その点をひとつ明らかにしておいてもらいたい。
  52. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 もちろん、地方に企業が立地します場合におきましては、御承知のように、地元との話し合いがつかない限りは、事実上立地できない形になっております。土地を取得いたしますにいたしましても、地元の御協力を得なければならぬというのが現状でございます。したがいまして、その際におきまして、地元においてすべてのいろいろな点につきましてお話し合いで進められるのが現状でございますし、また、私どもとしましても、それをベースにいたしまして、所要の認許可等を行なっているということでございます。
  53. 門司亮

    ○門司委員 地元と話し合うといったって、何と話し合うのですか。土地の所有権は私ですよ、今日の状態は。国か土地を持っているわけじゃないですよ。どこと話し合うつもりなんです。こんな押し問答をしておったって時間がたつばかりですが、この法案にはそういうきらいがあるということです。  だから、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、地方の自治体で、都道府県市町村がこの新産都市あるいは工特によって計画を立ててまいります。その計画を立てる場合に、あらかじめどの地方はどういう産業がよしろいのだというようなことがきめられてこれを施行しようとするのか、あるいはそういうものは一切無計画で、ただ指定されたからということでやるのか、その辺はどうなりますか。これは知事さんのほうにもかなり大きな関係があろうかと私は思うのですが、計画的にこの地方はたとえば石油化学産業をやるのだ、ここには製鉄産業をやるのだ、ここには軽工業をやるのだというようなことで、おのおの立地条件の配置あるいは設備の基準が違わなければならぬ。そういうことをどうお考えになっているのか。それに基づいてやるのか、国のほうに方針があるのかどうかということです。いわゆる仕事をする人と地元とその設備というものが一体になって、これが完全に合致していませんと、結局、設備にたくさんな金を使っても、案外思ったような工場がこなかったり、あるいは考えてもいなかったようなものができ上がってくるというような、あとで困ることがある。したがって、さっきも選択権をどっちが持っているかということを聞いたのでありますが、これが一向はっきりしておりません。したがって、次の段階として聞いておきたいと思うのは、そういう計画自身が、さっき具体的に申し上げましたように、この地域はこういう産業を誘致するとか、この地域にはこういう産業を誘致するのだというようなことがあらかじめ計画されて、そうして施設にあるいは先行投資に踏み切られるのか、その辺の考え方はどうですか。
  54. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 大きくは基本方針の際に政府のほうで指示しました点で、たとえばいまおっしゃられましたように、石油コンビナートをつくる、あるいは鉄鋼を興す、あるいはこの地方は精密機械を中心にしてやっていく、あるいはいろいなだ産業がある場合、地場産業の育成ということを主体にやっていくということで、基本的な方針は某本方針で地方にお示ししまして、それに基づきまして、地方としてはかなり具体的な計画がある場合には、その計画を織り込んで、おっしゃられましたように石油産業を主体としていくか、あるいは鉄鋼を誘致してやっていくかというような問題につきましては、ほとんど基本計画のときに考え方を詰めまして計画を練っております。ただ、地場産業その他いろいろ食品加工、雑工業なり軽工業の問題がありましょうが、その場合につきましては、個々の工場の具体的な案までは練れてないと思います。大体大きく分けて石油工業と鉄鋼業というようなたぐいにつきましては、かなり具体的に詰めて計画をつくっておるということを申し上げておきます。
  55. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、つくっておるのは政府ですね。そう考えてよろしゅうございますね。
  56. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 基本計画はあくまで地方がおつくりになって、それを政府のほうで各省と御相談して承認いたしておる次第でございます。地方と国とが御一緒になってつくり上げていると言っていいかと思います。
  57. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、この法案もそうですが、大体新産都市責任の所在というものは明確でないということですね。だれが責任を持つのかわからぬということですね。いま話しておいでになりますように、たとえば府県がここに石油コンビナートをつくりたい、あるいはそういうものは一切やめて、地場産業を一カ所に集めてやることのほうが、生産的に有利であるということを考えて行なうということは、私はこれはある程度府県でもお考え願えると思う。しかし問題の焦点になりますのは、資本主義の社会ですからね。だからこの地域に自分の産業が行けばかなり利潤があがると思えば、これは産業は出かけていきます。それを阻止することがどこでできるかということですね。こういうことなんですよ。だから私は最初から聞いております。拒否することはだれがするのかということが非常に大きな問題に考えられると思うのです。そこで、そのことについて申し上げてもなかなかわからぬと思うのだが、あらかじめ指示された政府の方針と地方の自治体から上がってくる希望意見とを参酌して一応きめられるということになりますと、さっき申し上げておりますよりに、許認可についてはおのおのの役所がありますから、都道府県で許認可のできるものもございましょうし、国が許認可をしなければならぬものもございましょう。結局許可しないことがある。自分の工場をここへ持っていきたいと考えておっても、これを拒否されることがあるというふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。
  58. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 そういう事態があることは予想しております。
  59. 門司亮

    ○門司委員 そうなってまいりますと、先ほどから申し上げておりますように、この機会にあらかじめ政府当局に聞いておきたいと思いますが、かなり地方としては無恥な財政支出をして計画しなければならぬことは、法律内容がそう書いてありますから、あります。したがって、政府のほうで現在指定されております十九の地区に対して、どういう構想をお持ちになっているのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。どの地区はどういう産業を持っていくのだ、どの地区にはどういう産業をやるのだということを、この機会にあらかじめ明らかにしていただきたいと思います。
  60. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 十三地区について詳細に申し上げると時間がかかりますので、かいつまんで申し上げますと、大分・鶴崎地区、それから岡山県府地区については鉄鋼及び石油コンビナートという装置産業を考えております。いまここに松本の市長さんおられますが、松本・諏訪地区については主として既存の精密機械工業等を伸ばしていきたいというような形になっております。その他の地区については、それぞれその地方地方に特色がございまして、基本方針でかなり明確にお示ししてございます。実はすでに委員会のほうにも基本方針なり基本計画をお配りしてあると思いますが、それぞれの地方の地場産業産業別の分類をいたしまして、それぞれの地域について食品加工を伸ばすとか、あるいは機械産業を伸ばしていく、あるいは東予地域であればタオル産業等もございますが、ああいう地方産業については、それぞれ特色を持った産業を伸ばしていくということで基本方針にお示ししてございます。この基本計画でも、それを地方としてもお受けになって、計画の方針として全部にうたってございますので、こまかくはお配りした基本方針なり基本計画をお読みくださればありがたいと思います。
  61. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、これは知事さんにお聞きをしておきたいのですが、あらかじめきまっておるということになりますと、やはり各地方の自治体がそれに相応した計画を立てて準備をしなければならないと私は思う。その場合に一つ問題になってまいりますのは、先ほどから問題になっておりますいわゆる公営企業と目されておる水道とか、あるいは下水道とか、あるいは交通の問題というような問題は、どういう形で解決をされようとするのか。これはおのおの違うと私は思います。産業によって、たくさん水を使うものもありますし、使わないものもありますし、それからそれが得られるところと得られないところを十分配慮して行なわれておるとは思いますが、しかし、地方の自治体で最も大事な問題は、何といってもやはり今日の公営企業と目されておる上下水道、あるいは環境関係からくるいろいろな施設というものが問題になっておる。そういう問題について、この法律では財政援助も何も考えていないようでありますが、この点はどういうことになりますか。
  62. 加藤武徳

    加藤参考人 基本計画につきましては、先ほど政府のほうの御説明のございましたように、関係道府県知事が申請をいたしまして、原則的にはその申請を基礎にして基本計画を御承認願う、かようなことになっておるのでございまして、したがって地元といたしましては、あらかじめ誘致すべき企業の大体の種別等が承知できておるのでございますから、それに対応いたします、ただいま御指摘の公営企業等の体制をとっていかなければならないのでございますが、しかし御指摘のように、たとえば工業用水の場合でも、いつの年次にどの程度の水が要るのかということは、企業と十分な話し合いをしなければ、なかなか確定的にはなりがたい要素を持っておる、かように思います。そこで、企業が内定をいたしますと、その企業と十分な話し合いをしながら公営企業に対する投資を行なっていくべきだ、かように思いますし、また実際問題としましてもさように進めてまいっておるのでございます。ただそこで、私が最初にお願いをいたしましたように、昭和五十年度までの基本計画策定されておりますが、それが年度別計画にまだなっておらない。それを早急におきめ願いますことが地元の受け入れ体制を整えるゆえんだ、かようにも考えておるのでございます。したがって、誘致をされます企業とそれに見合う公営企業への投資とは、十分慎重な体制で進めていくべきである、かように考えておるわけでございます。
  63. 門司亮

    ○門司委員 聞きたいことはたくさんありますが、もう一つ二つだけ聞いておきたいと思います。  この法律では、一体その新産業都市というものの考え方をどの辺に重点を置かれておるかということであります。過大都市ができるから、それを分散することのために必要だというお考えでこういう法律ができておるのかということと、もう一つは、いわゆる産業系列あるいは生産系列というか、そういうものを中心にしてこの法律が考えられたかということであります。通産省は一体どっちを、主体にして考えておりますか。膨張する都市ができるから、都市分散という社会的要素からきているのか、生産的要素からきているのか、どっちを中心にして考えておるのですか。
  64. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 新産都市法律は、いま先生のおっしゃった両面を備えていると思います。一つは、産業地方分散です。この地方分散という意味は、過大都市の防止という観点と、やはり地上の所得水準を上げて、中央と地方との格差をなくしていこう。同時に、この法律ができましたときに考えられておりましたといいますか、現在あります倍増計画でも、国民所得が二倍というときには、大体工業生産高は三倍をこしますので、そういった工業を国がどう国内において配置していくかという場合に、なかなか既存の京浜とか阪神の工業地帯では受け入れられない場合がございますので、地方に適地を求めてそこに工業を興していくという必要が産業政策自体の中からもあったわけでございます。それと、地方開発をはかり、発展をさせて、中央と地方の格差を縮めていく。それからもう一つは、中央に集中してくるための過密の弊害を除去していく、そういったことがかみ合わさってできた法律でございますから、どれというよりも、先生のおっしゃった両面が含まれた形のことをねらっておるということでございます。
  65. 門司亮

    ○門司委員 大臣忙しいようですから、もう一つだけ聞いておきますが、いま申し上げましたことは、この資本主義の社会でそう簡単にいけるものではないと思うのです。やはり工場をそこへ持っていこうとすれば、かなり強度の、たとえばイギリスにありますような工業配置法というような法律で、国が全責任を持ってこれを行なっていくというような形ができない限りは、そう簡単に、あなた方が考えているように、その工業はここへいきなさい、その工業はあそこへいきなさいというふうにいくものではないと私は思うのです。これはかなり大きな問題であって、この法律ができたからといって、地方の自治体が喜んで膨大な施設をして、あとでどうにもならなかったなんということができたら、その責任はだれが負うかということになろうかと私は思います。そういった危惧がたくさんあります。  それからもう一つの大きな危惧は、何といっても、コンビナートということばが使われておりますが、いまの日本の状態の中から見てまいりますと、生産の系列によってコンビナートができるのなら、また一つ考え方ですよ。製鉄産業がここへできたからそれに付随して機械産業ができて、それから関連するいろいろな問題が出てくるというのは一つ考え方です。ところが、現在の日本の、これはまあ資本主義の社会だからやむを得ぬと言えばやむを得ぬことでありますが、往々にしてこういう産業は資本系列になるきらいが多分にあるのであります。もしこれが資本系列のような形で出てまいりますと、自治行政との間において非常に大きな問題をかもしてくるのであります。いわゆる、その地方における自治行政のすべての中枢というものが、その会社、工場の大体重役ぐらいで牛耳られるような危険性が出てくる。市長さんにしても——市長さんがここにおられてこんなことを言うとおこられるかもしれませんが、それらの権力を排除して、おれはこうやるんだということは、非常にむずかしい問題を起こして、そうしていろいろな社会問題をかもし出す原因となってくる。この点は、特に地方行政とこの新産都市との関連性において、考えなければならない幾つかの問題だと私は思う。現在、日本にはそういうものがたくさんあると思う。一地方において、その、工場、会社の重役の意向を伺わなければ、にっちもさっちもいかないようなところが私はたくさんあると思う。こうなってまいりますと、地方行政の上に非常に大きな問題を持ってくるようになる。自治でなくなって、営利会社によってその自治体が左右されるような危険性を私は持っておると思う。その辺の配慮は一体どういう形で行なわれますか。これは自治省のほうにひとつ聞いておきたいと思います。非常に私はそれが気になるのであります。
  66. 柴田護

    柴田(護)政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、私の立場からは御答弁しにくい問題でございますが、おっしゃるように、ある一つの大きな会社が中心になりまして、それに自治行政なり自治財政、自治体の財政、行政とすべてがそれを中心に動いておるという事例は今日たくさんございまして、そのために、よい面もあれば悪い面もあるということが現実にもあるわけでございます。新産業都市をつくります場合に、そういうような片寄った形が出てこないように十分配慮をしていかなければならぬことは、これまた御指摘のとおりでございます。ただ、新産業都市建設にあたりましては、やはり地域総合開発ということを中心に考えておりますので、たった一つ産業だけがそこに蟠踞して、そしていろいろ問題をかもし出すというようなことのないように、やはり一つ産業とそれの関連産業とのかみ合わせといったようなことにつきましては、現実問題としまして、この計画を進めていきますときに、国も地方団体も相ともに十分慎重に配慮をしてまいらねばならないではないかというように考えるわけでございます。これは、私どもといたしましては、新産業都市建設を進めてまいります上におきまして、その辺のところを実際問題として配慮をしてまいりたい。具体的にいまこうするああするということにつきましては、実はきめ手を持っておりません、正直に申し上げまして。しかしながら、そういうことは、行政をいろいろ指導してまいります上におきましても、あるいは財政的な運営を指導していく上におきましても、十分慎重に配慮してまいりたい、かように考えているわけであります。
  67. 門司亮

    ○門司委員 それは、自治省としてはその程度のことしか言えないと思いますが、実際、資本主義社会における問題としては、それを排除するわけにまいらぬと私は思うのであります。これはしかも、旧来の自然発生的にできた地域だとそういう問題がそう簡単には起こりません。いろいろな資本系統が入り乱れておりますから、そう簡単には起こりません。ところが、こういう形で新しくこしらえていこうとする場合には、ここの資本系統は三井でやる、ここは大和でやる、ここは大協でやる、——現に四日市は大協でやっております。こういう形でどうしても出てくる。この新産都市はそれに最も密接な関係を持っていると思う。そうなってまいりますと、その地方における自治行政というものがゆがめられて、そうして、ほんとうに住民の幸福が得られるかどうかということについては、私は多大の疑問を持っている。したがって、それらの点についてここでとやこう申し上げません。それらのことを考えてみますと、今度のこの法律にある補助率というものはきわめてわずかであって、当然国がなすべき仕事は、やはりこういう法律をお出しになるなら、国のほうで施設をおやりになって、そうして、それに産業を誘致するということは、実際は国家目的なんです。これは地方の知事さんというような抜け道を一つこしらえておりますと同時に、非常に格差が大きく出てまいりますから、いずれも地方の自治体の首長は自分のところを何とかしたいという切実な考え方がある。それには工場誘致をすることが一つの大きな方法だということで、こういう問題については私はかなり熱心だと思っております。しかし、工場誘致につきましては、かなり大きな失敗があることも自治省はよく御存じであると思う。したがって、その失敗を繰り返さないようにするためには、少なくとも、地方自治体が責任を持ってやるということより——先ほどの過大都市を防止するということも国家目的であります。産業を配置して格差を少なくするということも国家目的であることには間違いありません。したがって、国家目的であるという限りにおいては、やはり国が主体となって実際の施設のめんどうを見ていくという態度がなければ、これに安い金利だということが書いてありますけれども、安い金利でやられましても、ここに書いてあります十六年くらいでこれが償還されるなんといったってできる相談じゃありません。五年ないし十年で新産都市が完成されるとは考えられない。したがって、通産省にお聞きをしておきたいと思いますることは、一体何年後にあなた方が考えておられるような新産都市建設ができるかということであります。どうお考えになっておりますか。この法律で一体何年後に、いま考えられておるような新産都市ができ上がるかということです。
  68. 馬郡巖

    ○馬郡政府委員 この基本計画を作成してまいります場合におきましてとりました生産額と申しますのは、現在の中期経済計画をある程度伸ばした形で、今後大体このくらいの品物につきましてはこのくらいの生産額になるであろうというものを、昭和五十年度の数字を大体想定いたしまして、それで現在いろんな各企業が立地しておりますところにおきまして、操業状況等を考えまして、大体このくらいのものが各地方に配置されるであろうというものを考えましてつくりました計画でございます。したがいまして、私どもとしましては昭和五十年度には基本計画の線を達成いたしたいということで努力してまいるつもりでございます。
  69. 門司亮

    ○門司委員 私はそんなことを聞いているのじゃないのですよ。計画を立てられることはだれでも知っている。書いてある。ただこれが実施にあたって、地方の自治体がこれを受けて、地方の自治体が現在の仕事をやるのですよ、都市計画にしろ、道路にしろ、港湾にしろ、すべて。今日港湾施設を見てごらんなさい。一つのバースをつくるのに何年かかりますか。そう簡単にできるものではないと思う。しかもそれが実用に供せられるにはかなりの日月がかかります。だからいまの御計画のように簡単にいくものではないと考えております。こんなことを知事さんに聞くとおこられるかもしれませんが、知事さんのほうでは、大体これを受け入れて港湾施設だとか住宅計画されるだけ建てられるのにはどのくらいかかりますか。今日土地だけを得るのにも相当めんどうな問題が起こって簡単にできない。これが簡単にできさえすれば、住宅の建たないのはとっくに解決していなければなりませんが、これが解決しておりません。なかなか私はむずかしい問題だと思います。一体どのくらいで完成される見通しですか。いまの通産省の見通しのように、通産省のほうは何も実施されるわけじゃありませんから、机の上で計算されて、このくらいの工場ができればこのくらいの生産ができて、五十年度の生産高がこれだけだということはだれでも簡単に書ける。しかし、実際、家を建てようとすれば、土地を買わなければならない、港湾をつくろうとすれば埋め立てをやらなければならぬでしょうし、幾らでも問題が出てくる。だからこの計画どおりやるとすればやはり無理があるのではないかということが考えられます。したがって、財政援助に対しましても、こういうふうな財政援助の立て方では私はいけないと思う。少なくとももう少し長い、たとえば事業が完成する年度というものをこんな短い年度で——五十年度にこれは完成してこれだけのものをやれるということは、とても地方にはできないと思う。その辺の感想ももしお漏らしが願えるならお願いしたいと思います。
  70. 加藤武徳

    加藤参考人 計画どおりに建設を進めてまいりますのはたいへんであろうということは、想像にかたくないのでございます。しかし、国が昭和五十年度までの基本計画をオーソライズしてくだすったのでございますから、公共団体といたしましては、国のできるだけのてこ入れを期待しながら一生懸命にやってまいる、かように考えておるのでございます。
  71. 門司亮

    ○門司委員 もうこれだけしか聞きませんが、そういたしますと、全体の法律を見て、どう考えても私どものふに落ちないのは、実施計画というものがほんとうにできるかどうかということが、この法律の中から実は見出すことができないのであります。ただ、これだけの利子補給をするとか、あるいは償還の年限をこうするとかということだけしか書いてないのであって、この法律だけ見たのでは、どうもこれでやれるのかなという杞憂があるのと、それからもう一つは、これも私どもの杞憂になるかもしれませんが、もしこの計画どおりにいって、十分に償還能力があって償還ができればいいのでありますが、償還能力がなくなって、そうして結局どうにもならない、率直に言えば失敗だったというようなときに対する財政措置はどうなりますか。きょうはこれまで聞いておたきいと思いますが、やはりこの計画どおりに払えというお話ですか。そうなりますと地方の自治体では、なかなか金を借りるというものもたいへんだと思いますが、この計画に基づく財政援助というものは、最後まで、事の成否にかかわらず国はやるのだということの御答弁ができるならばそれをひとつお願いしておきたいと思います。
  72. 柴田護

    柴田(護)政府委員 これはまた非常にむずかしいお尋ねでございますが、御指摘のように、実施にあたりまして、この法律からは、あるいはまた新産業都市建設促進法からも計画的な実施を保障するものは何もない。これは当委員会におきましても、いままでるる御指摘になりました。結局は、地方の協議会、地方審議会等を通じまして、計画の総合的な取りまとめをやり、調整をいたしまして、過剰投資、投資不足がばらばらに起こることのないように慎重に配慮してまいらなければならぬと考えておるわけでございます。しかしそれにいたしましても、これもこの間華山先生からでしたかお尋ねがございましたが、場合によってはそのことが非常に苦境に立つこともあろうかと思います。しかし私どもといたしましては、計画を立てかつ財政援助措置のルールをしきまして、この計画実施に当たろうとしておるわけでございます。したがって、そういう態度で進んでいくということでございます。しかし、そのことがうまくいかぬという事態も、あるいは場合によっては起こるかもしれません。しかしそういう場合に、この措置でいいか惑いかということは、その時点に立って考えたい、かように考えるわけでございます。当面はこのしかれようとするルールによって計画を進めていくということに全力を注ぎたい、かように考えております。
  73. 門司亮

    ○門司委員 それではこの辺であと時間がないようですから、最後に大臣にちょっと聞いておきたいと思いますが、いま御質問を申し上げましたように、私の最も杞憂するのは、さっき申し上げました一つ問題点として、地方の行政の運営にある種のといいますか、その地方における有力な資本系統からくる圧迫の関係をどう排除するかということが、先ほどはっきりした御答弁を私は願えなかったのでありますが、この点は特に地方行政の中で考えるべき問題でありまして、運営が曲げられてはならないと思いますが、それに対する保障といいますか、処置はどういうふうにとられるつもりなのか。このことは最近の新しい都市で往往にして見受けられることでございまして、必ずしも運営がうまくいってない。聞いてみますると、結局どこかの大きな力が来て、その力の御意見を伺わなければ何事もできないのだという形が出てくる。  同時に、もう一つの問題として考えられますのは、住宅その他を建ててまいります。ところがこの法律によりますと、それは都道府県市町村の仕事になっております。しかし、これが完成されて一番多くもうけるのはここに来る事業主であります。この点は、今日の社会で最も重要な一つのものの考え方でありまして、都道府県市町村が、住宅が建たないからといって一生懸命建てる。そうするとそれはそこに入ってまいります事業主の利潤になり、あるいは税金をまけてあげるというようなことが今日の工場誘致の一つの失敗の大きな原因になっております。当然自業主が負うべき責任のものまで、あまりにも地方の自治体が責任を負って、そうして工場誘致するというきらいがたくさんできておりますが、こういう面に対して大臣はどういうふうにお考えになりますか。この法律ではそこにくる産業自身については何も書いてはございません。しかし現実の問題としては、そういう問題が地方で起ころうかと思う。この辺ひとつ大臣のお考えをごく簡単でよろしゅうございますからお伺いしておきたい。
  74. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先ほど来承っておりまして、ごもっともな御意見であり御質問だと私も思います。ただ、御承知のように新産都市をつくります上において大事なことは、計画は立ちまするけれども、実際その計画の線に沿うて現実に工場を誘致するとなりますと、なかなかむずかしい問題でございます。各地方におきまして、知事さんあたりも非常に骨を折っておられるようであります。これは地方及び国、両方相まちまして、お世話をしなきゃならぬのであります。その際に、一資本系統だけで固るというようなことは、もちろんこれは留意して避けなければなりませんが、そうかといって、どれこれといってより好みをいたしましても、相手のあることでありまするから、地元といたしましてもいろいろ苦心をされているところだと思います。その点、御質問の点は地元においても留意されるでありましょうし、私どもも今後留意してまいりたいと思う次第でございます。  なお、これに関連いたしまして、工場誘致条例等もございます。そういうことによって、しばらくの間減税の処置等もとられている点もございますが、私どもとしても、できるだけこういう処置はやめていきたいと思いまするけれども、これをあまりやかましく言いますると、せっかく産業都市計画を立てられながら、工場が入ってきにくくなるという点もございますし、痛しかゆしの点もございますが、御指摘の点は十分留意をして運営に当たっていきたい、かように存ずる次第であります。
  75. 中馬辰猪

    中馬委員長 華山君。
  76. 華山親義

    ○華山委員 大臣に対しましてお尋ねすることを保留しておきましたから、ここでお尋ねいたします。  私は、一番心配いたしますことは、将来先行投資が、その県あるいは市の負担になるであろうということでございます。これはもうなかったらふしぎなくらいの問題だと思うのであります。その際に、県なり市の財政が、何ともいかなくなってきた、そういうふうな場合にどう処置なさるかということにつきまして、大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  77. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 これは前にも問題になった点だと思います。私どもも心配いたしまするのは、往往にしてこういう新産都市、あるいは工特地域指定いたしますると、先行投資が先走りまして、実際現実に工場が出てくるのがおくれて、お困りの点も具体的にもあるわけでございます。したがいまして、この種の先行投資につきましては、私は相当用心深く進めていただくように指導しておるところでございます。しかしいずれにいたしましても、新産都市をつくるにいたしましては、道路にしましても港湾にいたしましても、あるいは水道、下水等、相当の公共投資は必要でございまするので、地元負担はかかります。かかりますから、今回のような財政措置に関する法律をつくりまして、普通のいわゆる財政投資以上に新産都市あるいは工特地区のために金がかかるものについては、起債も考え、またいわゆる国庫補助かさ上げをしておるようなわけでございます。そうして私は新産都市が実ってきますれば、その地元に対する財源ともなるわけでございまするから、私は将来の希望としてはけっこうじゃないか、心配はないじゃないかと思います。ただ問題は、その運営にあたりまして、運営を誤りますと、先行投資が過度に先走りまして、地方に著しい負担がかかるかと思いますが、それは今後とも注意をしていきたいと思います。そうして、その際におけるどういうふうになるかという点につきましては、これは一般の問題と同様に、ただ負担のかかったものをそのままほっておくというわけにはまいりません。自治省といたしましても、できるだけのめんどうは見ていくつもりでございます。
  78. 華山親義

    ○華山委員 私はこれは必然的な問題が起きると思うのです。むつ市について申し上げますと、むつ市におきましては、むつ製鉄所というものを東北開発株式会社が投資をする、三菱グループが投資をするということで政府が承認したはずでございます。しかも来なかった。来るためには先行投資をしなければいけない。それで伝えられるところによれば、七億の先行投資をした。何もかってにやったのではない。しかもあそこのところに行ってごらんなさい。前の知事さんの銅像が立っておる。何のための銅像ですか。そういうふうな状態であって、前の知事さんが功績があったといって銅像を立て、残ったものは借金だけだ。そういう場合が私はどんなに注意したってあると思う。片方は計画経済でしょう。片方は自由経済でしょう。矛盾の起きるのはあたりまえです。そういう場合に、当然自治省としては、その住民のために県なり市町村に対して措置を講ずるかどうか。そういう場合にはどうするのかということをお聞きするのでございますから、端的にお答え願いたい。
  79. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 むつ市のような例ございますので、私どもといたしましては先行投資をする際には、十分注意をしてやらなければならぬと思います。しかしそうしても将来のことでございますから、どういう事態が起こるかわかりませんが、地方に非常な財政負担がかかって困っているという場合には、これは一般に申し上げまするように、自治体につきましては、私どもはできるだけめんどうを見ていかなければならぬ、かように存じております。
  80. 華山親義

    ○華山委員 めんどうを見る方法ですが、政府はいざという場合にはいつでも財政援助の形で交付税に逃げ込む、私は悪いことだと思う。そういうふうな場合には、交付税に逃げ込むようなことがないかどうか、その点明確に御答弁を願っておきたい。
  81. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 どういう方法でめんどうを見ていくかということは、その具体的の事情に即していかなければなりませんが、私は結論として申し上げまするのは、自治体が非常に困っている。困っているのをほうっておけないから、自治省としてはめんどうを見ていかなければならぬ。それはあるいは一時起債で認める場合もございましょうし、あるいは交付税の中でそのあとのしりぬぐいをせんならぬ場合もございましょうし、ここで、どういう場合にどうといって一々お聞きをいただきましても申し上げかねますが、私はそのいずれにいたしましても、自治体が非常に赤字で悩んでいれば、その赤字を解消するための努力を払うということは自治省として当然のことだ、かように存じます。
  82. 華山親義

    ○華山委員 大臣の御答弁は、事務当局の答弁と違います。事務当局は、交付税はそういう性質のものではないから、そういう場合でも交付税でめんどうを見るようなことはないとちゃんと私に明確に答えられております。もう一ぺん相談して答えてください。
  83. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私は交付税でめんどう見るとは申しませんが、しかし自治体が非常に困っていろいろな問題にかかってまいりますれば、これは交付税によって最後のしりは見るという場合はございましょう。ですから申し上げたことで、それを直ちに交付税で見るなどと申しておりません。
  84. 華山親義

    ○華山委員 直ちにといったって、あなたは、交付税で見る場合もあると言ったじゃないですか。事務当局は交付税で見るべき性質のものではない、こう言った。一ぺん相談して答弁してください。
  85. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私は先ほど申しましたように、困った場合に右から左に交付税で見るとは申しておりません。それはなすべきものではございません。しかし、赤字団体が出た場合に、その赤字団体を解消していく上にいろいろな方法を講じ、そうしてそれが結果において交付税にかかってくる場合があるかもしれないということを申しておるわけでございます。
  86. 華山親義

    ○華山委員 大臣は交付税の性質を知らない。そういう赤字を交付税で見る、何でもかでも、大蔵省に持っていかないできめられたところの交付税に持っていく、それが非常に私は悪いことだと思う。その際には交付税以外の国の財政負担でめんどう見てもらいたい、そういうことを私は前から主張しているのです。事務当局は交付税で見るべき性質のものじゃございません、こう言っている。交付税で見るというふうなことをあなたが言われることは私はおかしいと思う。その点につきまして、交付税でなお見る必要もあるのですか、大臣、答弁してください。
  87. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 事務当局から一応答弁をさせます。
  88. 柴田護

    柴田(護)政府委員 この前申し上げましたのは、そういう場合に国として負うべき責任について、交付税の制度というもので見るのかというお尋ねでございましたので、国がいろんな措置を講じましてその結果失敗をしたという場合にどういう措置を講ずるかという場合は、その時点において考えなければなりませんけれども、それが直ちに交付税制度に結びつくものでありますれば、その財政援助についてこういう法律を御提案申し上げないというお話をしたわけでございます。大臣からお話しになっておりますのは同じような趣旨でございます。ただ財政全般を見ました場合におきましては、交付税の運用についてもそういう配慮をしていかなければならぬ場合があるではないか、こういうことを大臣はお答えになっておりますので、私のお答え申し上げました点と、先ほど来大臣からお答え申し上げました点と相違はございません。
  89. 華山親義

    ○華山委員 もうやめますけれども、違っていますよ。財政局長は、大臣の言うことは違っておると言えないでしょうからそう言うでしょうけれども、交付税というものを、何でも困ってくると——交付税の実体を政府が増してやるなら別だけれども、限られたものの中で交付税で解決するという悪いくせがある。交付税というものをまるでごみ箱みたいに、何でもしりを交付税に持ってこようというくせがあるから私はお聞きしておる。私は、交付税というものはそんな性質のものではないと思う。政府の失敗を、これを交付税の形でしりぬぐいした結果は、当然もらうべきところの貧弱な市町村の交付税が減っていく。これを私は心配するのです。今度の計画は非常にばく大な金額である。私はそういう点について心配して申し上げたのでございますけれども、将来交付税の性質からいっても、しりぬぐいをすべきものではない、私はそういうふうに考えますので、その点は念を押しておきます。
  90. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 御意見の点は十分考えてみます。
  91. 中馬辰猪

    中馬委員長 参考人方々には長時間にわたる貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  ほかに質疑はございませんか。——なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  92. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより本案を討論に付します。  討論の申し出がありますので順次これを許します。田川誠一君。
  93. 田川誠一

    ○田川委員 私は自由民主党を代表して、本案に賛成の討論を行ないたいと存じます。  御承知のとおり新産業都市及び工業整備特別地域は、既成大都市への産業と人口の集中を防ぎ、地域格差を是正するための地域開発拠点となるべき使命を負わされた地域であります。すでに新産業都市建設促進法及び工業整備特別地域整備促進法に基づく基本計画は、それぞれ昨年末及び今春に内閣総理大臣承認を受けた次第でありますが、これらに要する事業費は総額六兆三千億円に及ぶものと予想されます。新産都市工特地域のように、短期間に投資が集中されますと、地方負担が急激に増大します。しかもこれらの対象地域における関係地方公共団体財政力も十分でない事情を考慮いたしますと、これらの地方負担に対し国が国家的見地に立って財政上の特別措置を講ずる必要があるのであります。  すでに新産都市建設促進法制定された第四十国会での審議におきましても、議員修正によって新産都市建設に対して国が財政上の措置を講ずべき旨の規定がつけ加えられました。また地方団体の必要財源について、国において措置を講ずることという附帯決議も行なわれておるのであります。  もちろんこの新産都市工特実施は本来国の施策の一環として行なわれるべきものでありまして、その意味におきましては国の財政措置は必ずしも完全なものとも申せません。したがいまして、今後建設、または整備のための事業実施状況とにらみ合わせて、特別措置対象となるべき事業範囲、あるいは国庫補助引き上げ率、道県に対する特別措置などにつきましても引き続き検討が加えられるべきものと思います。これらの点につきましてはわれわれも十分協力していくつもりでございます。  このような事情もございますが、ともかくこの法律によりまして今回関係地域に対しまして可及的に必要な援助措置を定め、そうして新産都市建設並びに工業整備特別地域整備の促進に資することは明らかでありまして、本案に対して賛成をする次第であります。
  94. 中馬辰猪

  95. 川村継義

    川村委員 ただいま議題となりました新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対し、私は日本社会党を代表して反対の意見を表明いたしたいと存じます。  昭和三十七年五月、新産都市建設促進法制定されてから地区指定までの一年余の間、はなばなしい政治宣伝と空前の陳情合戦が行なわれたことは、いまなおわれわれの記憶に新しいところであります。新産都市建設の現状と将来を展望するとき、自民党政府が産業開発のバラ色の夢をばらまき、政治宣伝に利用した責任はまことに重大と言わねばなりません。仮指定がきまった三十八年七月当時、経済企画庁某高官はいみじくも言明いたしました。新産業都市には二つの幻想がある。一つ事業資金は幾らでも国がめんどうを見てくれそうに錯覚している。他の一つは、先行投資をやりさえすれば企業は幾らでもやってくると夢みている。そのいずれもが期待はずれに終わったとき、これは一つの残酷物語じゃないかと。そのとおり新産都市建設はまこと残酷物語に終わりそうなのがその運命ではないだろうか。もしそれ、そを救い得る手段ありとすれば、政府の責任ある施策と財政措置の努力をおいてはほかにないと指摘せねばなりません。  大都市における人口及び企業集中の防止、地域格差の是正、雇用の安定をはかり、国土の均衡ある開発、発展をうたった新産業都市建設促進法は、国土総合開発計画の大方針を受けた具体的な建設計画であるはずであります。政府ははたして国土総合開発計画の方針にのっとり、新産都市建設促進法の目的を尊重して、積極的に真剣に地域開発を進め、わが国経済の安定均衡ある発展をはかろうとしているのか、私は否定せざるを得ないのであります。  前池田内閣が、ひずみ是正の施政方針をとらざるを得なかったのは、みずからの無暴な経済高成長政策が、経済地域の格差、国民階層の所得格差をもたらし、物価の高騰を引き起こし、国民生活の圧迫と社会悪を増長させた結果に対する告白であり、国民にその政策転換を約束せざるを得なかったからであります。しかし大都市の過密膨張はとどまるところを知らず、人口の異常な集中は交通難、犯罪の増高、産業公害の恐怖となってあらわれ、目をおおわしめるものがあります。都市行政は麻痺状態におちいり、公営企業は赤字経営の困窮度を強めております。他方後進的地方公共団体は、労働力の流出、産業の停滞に加え、財政的苦境に立たされているのであります。現佐藤内閣は、人間尊重、社会開発をその施政の柱としました。しかし、医療費の値上げは強行しても、医療保障制度の前進は見られず、公共料金の引き上げは認めても、交通、水道の窮状は打開されそうにもないのが現状ではないでしょうか。明るい政治の曙光さえ見出されないと慨嘆しているのが、国民の真情であります。  地域開発の施策においてもまたしかり。市建設における法の精神を没却し、国の政治責任を回避しようとする政治の姿勢が本法案に対して如実に示されていることが、私が反対せざるを得ない根本の理由であります。  新産都市基本計画の総事業費四兆三千億、一地区平均三千三百億円、その六割を地方負担と見ろとき、年間平均百九十億円の負担であります。はたして地方団体にその負担能力があるであろうか。今日、地方公共団体財政は悪化の傾向にあります。新産都市建設及び工特地域関係市町村においても、その例外ではありません。すなわち、新産都市建設関係市町村数二百六十三団体のうち、三六・七%に当たる九十五団体が単年度赤字を出しております。工特地域関係市町村数八十五団体のうち、二十七団体がそうであります。両地域において、三五%に当たる百二十二団体が赤字決算を示しております。新産都市建設を進めるにあたり、財政苦境にある市町村公共事業及びこれを補完する単独事業量もばく大なものと推測されるとき、膨大な建設負担に耐え得るかどうか、疑問とせざるを得ません。全く魔術を使うよりほかないではないでしょうか。  新産都市建設指定地域のK町の財政を見れば、私の憂慮は架空なものではないことは明らかであります。K町の財政状況を見れば、昭和二千年、町村合併当時、その歳入面において、町税収入は七二%、一般財源は八三%、国、県の支出金九・七%を示してい々のでありますが、逐年歳入構成比は変動し、昭和三十八年においては、町税収入比三三四%、一般財源比六四%、国、県の支出金一二・三%を示しております。指定地域であるからとて、地方交付税の増額が見込まれるわけではないし、一体、この自主財源で計画される各種建設事業費をいかにしてまかなうか、身動きのとれぬ状態であります。現に、微々たる都市計画も、予定年次の十カ年を経過しても完成せず、町道の改修、補修も進捗を見ず、町立中学校の屋内体育館一つ建設するにも、数百万円の直接支出に困窮する状態であります。町民は、昭和三十九年度世帯当たり七千三百円の国民健康保険税の負担であったものが、昭和四十年度一万四百九十円の負担に耐えなければならない状態であります。地域開発を架空の夢物語に終わらせてはならないのであります。  総理が承認を与えた基本計画資金的裏づけを欠いているということは、新産業都市建設が、まぼろしの建設計画に終わってもいいというのであろうか。地域開発という国家的事業に対する計画をあいまいにし、たださえ財政力の貧弱な地元地方団体財政を圧迫する、財政責任を回避した計画を容認することはできません。私が反対を表明したい第二の理由であります。  次に、具体的に本法案内容について見てみましょう。法案内容は、その一つは、道府県の地方債に対し利子補給をしようとするものであり、その二つは、市町村に対し国の負担割合を引き上げようというのであります。すなわち、新産都市及び工特地域整備基本計画に基づいて行なわれる国の直轄事業または国庫補助事業で道府県の住宅道路港湾等基幹的な施設整備経費が、通常負担額をこえる負担財源として発行した地方債について、利子の一部を補給し、市町村に対しては、国の負担または補助割合を、最高二割五分を限度として逐次引き上げる措置をとるものであります。  精算払い方式をとる市町村に対する国の負担額を別にして、地方債については本年度四十億が用意されております。そのうち二十億は縁故債であります。政府資金はわずか二十億円であります。新産都市建設及び工特地域の道府県十九地区、二十道川を通じて昭和五十年度までに総額六兆三千億に及ぶ事業費に対し、初年度とはいえ、わずか四十億円の地方債額とは、焼石に水、スズメの涙とはこのことを言うのでありましょう。さらに、地方団体の強い要望であった起債償還年限の延長、利率の引き下げまたは援助対象となる事業範囲の拡大など、全然顧みられていないのであります。私は政府の不熱意、無責任を追及せずにはおられません。私が本法案に賛成し得ない第三の理由であります。  地域開発新産都市建設は、それは目標ではなくて、手段であります。政府は、わが国経済の均衡ある発展と、民生の向上、福祉増進には全責任を負うべきであります。これまで政府の地域開発政策が企業独占体に奉仕した高度経済成長を中心に推し進められ、産業基盤強化の名のもとに、自主財源の乏しい地方自治体の行財政政策が埋没して、地域住民の生活向上を犠牲にし、民生、福祉行政の拡充を忘れた弊害を繰り返すことのないよう、最後に地域開発政策に対する強い要望を披瀝して、私の討論を終わります。
  96. 中馬辰猪

    中馬委員長 門司亮君。
  97. 門司亮

    ○門司委員 私は、いま提案されております新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対しまして、反対の意思表示をきわめて簡単にいたしたいと思うのでございます。  この法案の親法であります新産都市あるいは工特というような問題におきましては、国が定めた一つの大きな社会的目的と、産業経済目的によるものでございます。したがって、この法律内容とするところは、私はその趣旨が根本的に違っていやしないかということが大きく考えられるのでございます。いま申し上げましたように、この法律の親法がすでに国家目的のためであるといたしますならば、当然、この法律で見るべきものは、地方の自治体が国の計画に即して行なわなければならない、いわゆる単独事業あるいは公営企業というような、自治体の当然負担になるべきものを、国が援助するということなら、ものはわかるのであります。ところが、この法律はこれとは全く逆である。住宅であり、道路であり、あるいは港湾であり、輸送施設というような、当然国が産業基盤の確立のために行なわなければならない事業についてのみこれを援助し得るという形をとっております。したがって、案の内容は、財政負担地方の自治体に転嫁したものと私どもが見てもたいして差しつかえのない法案のようにわれわれには見受けられる。この本末を全く転倒したものにつきましては、私どもは賛成を申し上げるわけにはまいりません。この法案がもしこのまま通るといたしましても、地方の自治体は、いま申し上げましたように、当然これに付随した単独事業はかなり大きな財政措置を必要とするのでございます。したがって、地方の自治体はこれを遂行するにあたって財政的に行き詰まって、私は、案自体を放棄するか、あるいは財政破綻にひとしい大きな赤字団体にならざるを得ないかというようなことが、きわめて強く指摘されると思います。したがって、私は、案の内容や今日までの経過については同僚議員からも申し上げましたので、これ以上申し上げませんが、少なくともこの法案を自治省所管としてお出しになるからには、やはり国と地方との分担区分というもの、法律あるいはそのよってきたる現象等に対しましても、もう少し私は配慮が必要であったかと考えております。  以上申し上げましたように、この法案は全く本末を転倒した法案であるという立場において、私は反対の意思を表明するものでございます。
  98. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  99. 中馬辰猪

    中馬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  100. 中馬辰猪

    中馬委員長 この際、亀山孝一君、安井吉典君及び門司亮君から、三派共同をもって本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、その趣旨説明を求めます。亀山孝一君。
  101. 亀山孝一

    ○亀山委員 私は、ただいま議題となりました新産業都市及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対する附帯決議案について、自民、社会、民社の三党を代表して、その提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、附帯決議の案文を朗読いたします。     新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備に関し、左の諸点につき、速やかに、適切な措置を講ずべきである。  一、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための事業実施については、必ずしも充分な成果を期し得ない面もあり、経済情勢の変化に即応して今後建設計画を再検討すること。  二、基本計画実施のために必要な年度別事業計画策定し、事業計画的執行を確保すること。  三、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための地元負担は厖大な額となることが予想され、本法による財政特別措置は、なお、これを賄うに不充分であるおそれがあり、かつこれらの事業実施は、本来国の政策の一環として行なわれるべきものであることにかんがみ、建設又は整備のための事業実施状況とにらみ合せて特別措置対象とかる事業範囲、国庫補助引き上げ率、道県に対する特別措置等につき、引続き検討を加え、必要があると認められる場合は、速やかに、実情に即するよう改正すること。  四、先行投資を必要とする工業用水道事業及び上水道事業は、最も速やかな機会において特別措置対象とすること。  五、港湾事業等県営公共事業に対する市町村負担金についても、特別措置対象とするよう検討すること。  六、事業実施上必要な地方債については、枠の拡大をはかるとともに、償還年限の延長及び利率の引き下げ等の措置を考慮すること。  右決議する。  新産都市建設及び工特地域整備事業は、これによりまして地方自治の発展の基礎を確立するという意味において、地方公共団体自身の問題であることはもちろんでありますが、反面既成大都市への産業と人口の過度の集中を防ぎ、地域格差を是正し、雇用の安定をはかり、国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達に資するという見地からすれば、本来国家的な事業といえるものであり、国もまた大きな財政責任を負っていることは否定できないところであります。  現在、新産十三地区及び工特地域について、総事業費六兆三千億円に達する基本計画がそれぞれ承認されておりますが、まず、これらによっては十分な成果を期し得ない面も見受けられ、その再検討が望まれると同時に、これらは全計画期間を通ずるマスタープランであって、年度別実施主体別の事業計画がまだ明らかでないため、国、地方間等の財政負担区分事業の具体的執行等についての見通しが立てられない状況にあります。  また、本法案特別措置によって、地方公共団体財政負担が相当緩和されるとしても、これら事業に伴う地方負担の絶対額は膨大なものになり、計画の進行に従って、地方公共団体がその負担の過重に苦しむ事態の発生も懸念されるのであります。  さらに工業用水、上水道等については、一定期間にわたり相当の先行投資が必要であるほか、県営港湾事業等に対する市町村負担金がかなりの多額に達するケースも予想されるのであります。これらの点を考えますと、今後本法案特別措置をさらに充実強化する必要が痛感される次第でございます。  なお、本案における新産建設事業債のほか、事業実施に必要な地方債についてはワクの拡大、償還年限の延長、利率の引き下げ等についても一そうの努力が望まれるのであります。  以上が提案の理由であります。  何とぞ御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
  102. 中馬辰猪

    中馬委員長 本動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 中馬辰猪

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は亀山孝一君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、吉武自治大臣から発言を求められております。これを許します。吉武自治大臣。
  104. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいま決定されました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  105. 中馬辰猪

    中馬委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 中馬辰猪

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  107. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会