運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-04-22 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月二十二日(木曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       亀岡 高夫君    武市 恭信君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       重盛 寿治君    中村 重光君       華山 親義君    細谷 治嘉君       門司  亮君    吉田 賢一君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         厚生技官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         労働事務官         (職業安定局失         業対策部長)  住  榮作君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月十五日  委員細谷治嘉辞任につき、その補欠として山  口シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山口シヅエ辞任につき、その補欠として  細谷治嘉君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員阪上安太郎辞任につき、その補欠として  中村重光君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村重光辞任につき、その補欠として阪  上安太郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣提出第四五号)  地方財政に関する件(地方公共団体水道事業  に関する問題)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公共団体における水道事業に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 きょうは長崎県の長崎市の渇水の問題を中心にいたしまして、水道行政についてお尋ねいたしてみたいと思います。  御承知のとおり上水道施設は非常に普及をしてきたわけでありますけれども給水人口とのアンバランスが非常に大きくなってきた、そういうことが感じられるわけでありますが、その結果として断水または断水寸前状態というものが、全国各地、なかんずく西日本に非常にひどくなってきておるわけであります。なかんずく長崎におきましては、ただいま政府委員にお示ししましたように、全く断水状態にあるといったような状況でございます。きわめて深刻な状況にあるわけでありますが、そうした水道施設普及をするということに対しましては、それなり努力をしておられると思いますけれども、そうした努力の裏に、いま言う給水とのアンバランス拡大をしてくるということになってまいりますと非常に問題であると思うのであります。そうしたことはどこに原因があるのか。給水に対してアンバランスにならないような配慮というか努力、それをどういう形で進められておられるのか。このことは、公営企業でありますだけに、事業主体がやるんだというような簡単な問題ではないと私は思うのであります。したがいまして、それらに対する考え方指導方針というものに対しまして、お考え方を聞かせていただきたいと思います。
  4. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 水道水量確保に対する計画につきましては、当然その水道を経営いたしております設置主体通常の場合は市町村計画を立てるわけでございますが、しかしながら、これに対して通常監督をいたしております都道府県、さらにはそれらの総括的な監督をいたしております国が、それらの実施を監督いたしておるわけでございまして、したがいまして、その不適正なものがございますれば、指導をいたしまして適正な計画を立てさせる責任がある、かように思っているわけでございます。  水道水量需給計画が最近各所においてアンバランスを来たしまして、水不足を出現しております。その最たるものは御指摘長崎市でございますし、現に東京都も昨年来非常な水不足に襲われておるわけでございます。その水不足を来たしますおもな原因は、何といっても計画がやや過小に過ぎたと言わざるを得ないと思います。思いますが、それに近年拍車をかけましたものが天候異変でございまして、長崎におきましてもそうでございますし、東京におきましても、過去、例のないほどの渇水に見舞われております。水道計画を立てる場合に、どの程度渇水を予定をして建設計画を立てるかというのが一つの問題でございまして、通常の場合は、長期計画を見込む場合は、おおむね平年度の雨量を予想して長期計画を立てるわけでございますので、その計画が完成する前に異常な渇水状態が来た場合にアンバランスを来たすということがあるわけでございます。通常その程度でははなはだしい水不足にはならないのでございますが、ところが都市によって異常な人口増加がこれに拍車をかけた場合にこの問題が起こるわけでございます。異常な人口増加が起こる場合には、その人口増加だけではなくて、その地に産業が相当勃興するわけでございまして、それらと相まって水不足原因が三つ重なる。計画においてやや不十分である、異例的な天候異変がある。その上に異常な人口増加が伴って、水の需要が計画をやや上回ったという事態があると思われるわけでございます。  例を長崎にとってみますと、長崎昭和三十三年以来年平均三・三%の割合人口増加が行なわれております。私から申し上げるまでもないことでございますが、長崎県下はほとんどの市町村人口減でございますが、長崎市は非常な勢いで人口増加がございました。東京都でさえ年平均二・五%の人口増加にすぎないのに、長崎は三・三%の割合人口増加が行なわれておるということで、人口増になかなか計画が追いつかないという問題が一つあるわけでございます。  いま一つは、あれだけの、島にも匹敵するような、雨を集めることの不可能な地帯に、四十万近い人口が集まるということは、社会、地理的な現象からいってかなりむずかしい問題を包蔵する。後背地水源とのバランスがとれない。長崎市も最大の努力をしてまいったにいたしましても、水源確保が容易でないという事態が背景にあるわけでございまして、それらが相重なりまして今日の長崎市の異常な水不足を来たしておる、かように思うわけでございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの御答弁は私も全くそのとおりであると思う。確かに高度経済成長政策の中で異常に工場がふえ、あるいは人口増、こういう形が出てきた。また長崎市の実情といたしましては、平常の雨量がなかったということはそれなりにわかるのでありますけれども、しかしそうしたことは当然予想されなければならない。したがいまして、そうしたことを予想いたしますならば、それに伴うところの水道計画というものが当然なされなければならぬ。それがなされていないところに今日の深刻な水不足という現状が起こってきた、私はそう思う。ところが、そうした計画を立てていくということになってまいりますと、公営企業という中におきまして非常な問題点が出てくる。大きな壁にぶつかるということであります。そのことに対しましては、当委員会におきましてもいろいろと議論されたでありましょうから、事新しく私がここで申し上げる必要もない。そういうことで公営企業調査会におきましても、いままでの行き方を改めて前向きな対策を講じなくちゃならぬということが言われておるわけであります。  また厚生省においては水道問題調査会というものが五月に発足すると伝えられておるわけであります。その水道問題調査会におきましてはどのような検討をしようと考えておるのか、また厚生省におきましては現在ぶつかっておるこの壁を何とか打開をしていかなければならない。そのことは私がいまさら指摘する必要はないと思うのであります。そういう点に対して、どうしてこの壁をぶち破っていくか、そのことに対しての基本的な考え方、また現実に取り組んでいこうとする考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  6. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 御指摘のように今日の水道問題は、ただに国民の通常の生活のかてになるという問題だけでなくて、産業基盤ともなりますし、社会的な大問題である、かように私どもとしては認識をいたしております。したがって、これを従来の基盤の上において解決するようなことを考えないで、もっと根本的なところから水道というものを考え直してみたい、かような考え方を持っておるわけでございます。そのようなときに水道問題に関していまのような考え方で根本的に究明していきたいということで、私どもとしてもぜひやってほしいということで、日本水道協会中心となりまして調査会なるものをつくって検討いたしたい、かような考えがあるわけでございまして、私どもも全面的にこれに協力をして検討していきたい、かような考えでおるわけでございます。  議題となりまするのは、なおそのような調査会が開かれた上で検討されることになるわけでございますが、そもそも公営企業として適当であるかどうかという問題も当然論議されると思います。またこれがほんとうに企業的に運営されるべきものであるのか、いま少し一般の経費のほうから見るべき筋合いのものであるのか、また運営の母体が今日のような市町村単位が適当であるかどうかというようなこと、あるいは水道の本来の性格から考え料金というものはどういう性格づけであるべきかというようなかなり基本的な問題を含めて検討されるであろう、かように予測をいたしております。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 厚生省考え方ですが、水道法によると、豊富で低廉な水を供給するということになっておるわけですね。ところが、公営企業となりますと、独立採算制ということを中心として運営をする。この二つは矛盾がある。その矛盾の中に、今日各地方自治体におきましては、大きな壁にぶつかって身動きができない状態にあるんじゃないか、私はこう思うわけであります。そういうことで今日まで議論され、要求されてきたのは、この水道法の精神にのっとって水道行政というものが具体的には行なわれていかなければならない。人間が生きていくためには日光や空気と同じように水は絶対的な要件であるからして、これをバスやその他交通事業等々のごとき公営企業という形で運営するところには問題がある。やはりこれは国庫補助というものの対象にしなければならないのだということが要求されてきておるわけであります。私は水道問題調査会の中におきましても、そうした問題は必ずや中心点として議論されるであろう、このように考えておるわけでありますが、端的に言って、厚生省水道法にウエートを置いて運営をしていくべきであるとお考えになっておるのか、水道事業というものは公営企業として現在の独立採算制を押していくということが適当であるとお考えになっておるのか、どの方法をとるべきだとお考えになっておるのか、その点に対して率直にお聞かせを願いたい。
  8. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 お話しのように水というものは、人間が生きていく上での基本的なものであります。ところが、現実には水の料金は最も安いものは普通の家庭で一カ月五十円程度で済むものもあれば、はなはだしく高い場合には一カ月千円、しかも一カ月千円もするような水道は、おおむね僻地、農村というような地帯でございまして、財政的にも恵まれない地帯であるわけであります。その意味合いからいたしまして、このような基本的なものに対して施策が十分でない部門がある、かように考えております。しかしまた他面、食糧とかあるいは電気とかいうような生活必需的なものも、独立採算といいますか、そのような運営が現になされておるという面もかなりあるわけでございます。それらとの調整も考え、また水道のそのような地域的な不均衡、このようなものの是正をどう考えたらいいかということで、はたして今日の狭い範囲の公営企業的な考え方でいいかということには多分に疑問を持っておりまして、これらの点は十分検討してまいりたい、かように思っております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 水道料金は全国的にどういうことになっておるのか、私なりに資料を調べてみた。非常なアンバランスがあるわけですね。高いところは、簡易水道関係もあるわけでありますけれども、千五百円くらい、安いところは百円くらいのところもあるということですね。ところが、おおむね大規模水道事業水道料金が非常に安く、中小規模が高いということになっておる。どうしてこういう結果になるのであろうか、またそのことが適当であるとお考えになっておられるのか、これはやむを得ないとお考えになっておられるのか。このことに対しては当の厚生省は申すまでもありませんけれども自治省に対しましても起債関係等によってもこうした水道料金アンバランスが出てくると思いますので、そういう点に対してどういう配慮をしておられるのか、まずその点に対してお考えを明らかにしていただきたい。
  10. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 お尋ねのとおり、大都市が非常に安いのであります。先般来値上げで大きな問題となっております東京都でさえ、全国平均から見れば値上げ後においてもなおかつ全国平均よりも安い。私が申し上げるまでもなく、東京都民平均所得日本最高である。そのような日本最南の都民平均より安い水道料金——今日ではそれよりもはるかに安いのでありますが、値上げ後においてもなおかつ安いという現状と、片一方で農山村の簡易水道のような地区で、非常に高い水道水を飲んでおるということは適当でない、かように私ども考えております。国といたしましては、それらのアンバランスを除くために、簡易水道に対しては四分の一の国庫補助をし、なお簡易水道なりさらに小規模水道に対しましては四割の補助を目下いたしておるわけでありますが、この程度ではこのアンバランスはとれないという現状で、そのような大きな料金の差がついておるわけでございます。これらの点は、十分今後是正考える必要がある、こういうように考えております。
  11. 柴田護

    柴田(護)政府委員 お尋ねの点につきましては、私どもといたしましても問題があるだろうということは十分承知をしておるわけであります。ただ、水道事業公営企業考えるのか、あるいは別途の配慮が要るのかといったようなむずかしい問題につきましては、私どもといたしましては、従来は企業として成り立つものであるとの前提のもとに水道財政というものを指導してまいったわけでございますが、最近におきまする設備の拡張その他につきまして、漸次、水道財政がピンチに追われてまいる、そういうことから公営企業制度調査会をつくりまして、専門家にお集まりを願って、お尋ねのような基本問題も含めて御検討をお願いする、こういうことをやってまいっておるわけでございます。しかし水道の問題につきましては、先ほどもお尋ねがございましたが、いわゆる飲料水という問題とそのほかの水といったようなものも、あわせて一本の蛇口から出てくるわけでございます。その辺のところから考えてまいりますと、料金体系の問題というものも一つあるわけでございます。またその財政が主として資本費増高によって非常に苦しくなっておるという状態から考えますならば、資本費について今日のあり方がいいかどうか、これで打開する道があるかないかといったような問題を中心考えていかなければならぬのじゃないか。その上で通常ベースで成り立つものでございますれば成り立たすように運営をし、また仕組みを考えていけばいいのでありますが、それでもなお成り立たぬものにつきましては、やはり別途の考え方をしてまいらなければならぬのではないか。その辺のところをどういうぐあいに考えるか、こういうことでございますが、当委員会におきましてもたびたびお答え申し上げておりますが、私どもといたしましては、企業としてどうしても成り立ち得ないものかどうかという検討がまず必要である。通常ベースにおいて成り立ち得るものであれば、それは成り立ち得るような方途をまず講ずべきであろう。しかしそれにしても異状な地理的な条件に置かれたものについては成り立とうはずがなかろう。その場合には、別途の措置考えなければならぬ、こういうように考えるわけでございます。具体的な措置その他につきましては、調査会の御検討中でもございますので、その御検討の結果を待って措置をするようにいたしたい、かように思っておるわけでございます。主としては資本費の問題と考えますので、今回におきましてはとりあえず水道調査につきましては、償還期限延伸という措置をとったわけであります。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 私が、非常に矛盾であると考えるのは、いわゆる大都市中小都市と比較すると、大都市水道料金というものが安いわけですね。ところがいまのとおりの政策を進めていくということになってくると、さらに格差拡大をしていくであろうと私は思う。だから、このまま放置していいと政府はお考えになっておられるのか、やはりこれではいけないとお考えになるならば、その原因を究明をして、これを是正するというように、方策を変えられる必要があると私は思う。このことに対しましては、一昨年でありましたか、予算委員会におきまして私は指摘をした。すみやかにこれを是正する必要がある。是正するための政策を強力に進めていく必要があるのじゃなかろうか。具体的にはこの実情に応じて、公営企業といういまの形に固まっていくのではなくて、やはり国庫補助といったようなことも当然考えていかなければならないであろうし、起債配分等に対してもそういう点を十分配慮しながら割り当てをしていくということでなければならないのではないか、こういうことも申し上げた。そのことだけで、自治省であったか、厚生省であったか記憶いたしませんが、会議をお持ちになった。ほかの問題もあったのでございましょうが、それも議題になったということを私は伺った。ところが今日に至りましても、さらにそういう点が特別に考慮されておるというような印象を受けていない。そういう点に対してはどのようにお考えになっておるか。議論されるだけではこれはだめなのでありまして、そういうアンバランスを直していく、そういうことでなければならぬと思いますが、そういう点に対してはどのように検討されておられるか、ひとつ伺ってみたいと思います。
  13. 柴田護

    柴田(護)政府委員 水道料金格差の問題は御指摘のとおりであります。そういう格差が出てまいりましたおもな原因をあげてまいりますと、いろいろ問題がございますけれども、主としては、今日の大都市水道といいますのは、大体設備償却を終わっております。したがって、いうならば償却済みの資産を使って水を配給しておるのでございますので、資本費というものがゼロであります。したがって、それはもっぱら普通の営業費用だけで水をつくっておる、したがって安い。ところが最近できます水道につきましてはそういうわけにはまいりませんので、どうしても資本費というものがかかる、それが料金にはね返ってまいりますので、非常に料金が高くなってしまう、こういうのが主たる原因であります。ちょうどその状態が、昭和三十八、九年ごろまではそういう形で現出されておった。ところが東京におきましても、大阪におきましても、最近は住民の水の使用量がふえてまいりましたし、また人口も集まってまいりましたし、現在持っておる水道施設ではとてもまかないきれない、そこで今度は水を遠方から持ってくるということになりますと資本がかかってくる、それが料金にはね返るわけでございますから、水道料金値上げ問題というものが起こってくるわけでございます。したがって、そういう意味合いから見ますならば、今日あります格差というものはむしろ今後は縮小していく方向にある、それは料金値上げという形をとるわけでございますが、あるわけでございます。しかしそれではその状態でいいかといいますれば、私どもはその状態水道料金が直っていくということにつきましては、必ずしも全面的にそれでよろしいとは考えていないわけでございます。そこには料金体系の問題ももちろんあるわけでございますけれども、しかしでき得べくんば現在のような資本構成の問題というものについて、なお改善する余地がありはしないかということで、いろいろ考えておるわけでございます。御指摘のように、前に予算委員会で御指摘のありましたような資本構成是正措置として、高い公募資金をやめて、政府資金というものの充当率を高めろというようなこともいわれたわけでありますし、些少ではありますけれども、毎年政府資金充当割合というものは高まってきておるわけでございます。また償還期限の問題は、なるべく耐用年数に合わすよう延伸について努力をしてまいったわけでございます。しかし、これでいいかといいますれば、決してよくないわけでございまして、そこにはさらに大きなくふうが要るだろうというふうに思うわけでございます。ごく率直に申し上げますならば、非常に低いところにつきましては、ある程度料金値上げというものはやむを得ないのじゃなかろうか、しかしまた、非常に高い料金のところにつきましては、これはやはり下げていくような努力というものを、水道財政面というものからも行なっていかなければならないだろう。むしろ問題からいいますならば、いなかの水道が高いというのを、どうして安くしてやるかという方向水道財政の改善を考えていくべきであろう、こういうように考えておるわけでございます。今日まで私どもがやってまいりました施策というものは決して十分ではございませんけれども、少なくともそういう方向でもって努力をしてまいったつもりであります。しかし資本構成是正といい、あるいは水道料金体系の問題ということになってまいりますと、問題が水道の本質につながる問題でありまして、なかなかむずかしいのであります。そこで専門家の手をわずらわしまして、その辺についての方法をお示しを願いたい、こういうことで現在やっていただいておるわけでございます。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 大都市になってくると、水道普及が非常に早い、施設も非常に古い。そこで資本費というものがないから安い。そういう面もないとは言えない。ところが必ずしもそうじゃない。長崎だけの例をとってお考えになってもおわかりだろうと私は思う。長崎水道の歴史は非常に古い。その普及率も、全国平均が六三・七%に対して長崎は大体六二・三%ということになっておるのであります。ところがその料金というものは、大都市と比較をいたしますと非常に高い。だから、東京都が値上げ前が百四十円であった、大阪が百円であった、長崎は二百四十円ということになっていますね。ですから長崎の場合も、最近の施設拡張したのは別といたしまして、資本費は全然償却されてしまっておる。ところが水道料金がいま申し上げたように非常に高いということをお考えになってくると、ただいま局長がお考えになったようなことは必ずしも私は当たっていないと思う。やはり私なりに考えてみると、水道料金格差がさらに拡大をしてくるということは、大都市はその都市財政力というものも非常に強いわけです。住民所得水準というものも高い。ところが中小都市になってまいりますと、財政力は弱いし、所得水準も低いわけです。そこでこのバランスをとるということになってくると、やはり施設に対する起債割り当てというような点に対して、十分それらの点を勘案していかなければならないのじゃないかと私は思います。それはやっておるのだということであるかもしれませんが、私は必ずしもそうは思っていない。やはりどうしても大都市中心になっていくという傾向があるようです。財政力は強い、所得水準もそれだけ高い。それに起債割り当ても多い。中小都市はその逆であるということになってくると、どうしてもその施設もおくれていくでありましょうし、施設拡大していこうということになってくると、水道料金を引き上げる以外にはない。そういうことから、東京都の場合におきましてもいろいろ料金値上げに対して問題はありましたが、中小都市にはさらに深刻な問題があるわけです。ですから、そういう点を十分勘案して起債配分等を進めていかなければならないのじゃないか、こう思うわけですが、それらの点に対してはどのような扱いをしておられるか、まずその点をひとつお聞かせ願いたい。
  15. 柴田護

    柴田(護)政府委員 私、若干ことばが足りませんでございましたが、長崎市の場合は資本費だけの問題のほかに、水源地が非常にたくさんございますとか、地形がああいうところでありますので、動力費が非常にかかるといったような特殊の問題がございます。おしなべて一般的に言いますならば、傾向といたしましては先ほど私が申し上げましたようなことであろうと思うのでありますけれども、中には、おっしゃるように特殊事情も十分あることは承知いたしております。しかし地方債の配分等につきましては、別に大都市を特に優先取り扱いをしているわけでもございませんので、中小都市水道につきましては十分気を使っておるつもりでございます。現に長崎の場合をとらえてみましても、長崎市は雨が少ないところで水がございませんので、結局は人口増加に対応するためには、大村湾を越えて、大村市の何ダムと申しましたか、あのダムから水を引いてくる計画しかない。私どもも現地を見て知っておりますけれども、そこでこの事業費につきまして、事業の進度に応じて地方債は思い切ってつけております。ただ資金構成からいいますならば、大都市の場合は主として公募債にたよるのでございますけれども中小都市につきましてはそういった料金面等も考慮いたしまして、なるべくは政府資金中心に充当していくという方針をとってまいっております。御承知でございましょうけれども長崎市の大村から水を引いてくる計画は四年計画でありまして、すでに二年を経過いたしておりますけれども、大体申請どおりの地方債を許可いたしております。でき得べくんば政府資金全部と思いましたけれども政府資金のワク等がございまして、昨年度は若干公募債をつけざるを得なかったというような事情がございますけれども、全体の方針といたしましてはそういうような気持ちで、なるべくは地方債を思い切ってつけますけれども、しかしつけ方につきましては、資本費がかさばらないような方向でもって努力していく、こういうつもりで運営をしてまいっておるわけでございます。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 長崎の具体的な関係に関しましてはあとでまたお尋ねをいたしますけれども、私がいま申し上げておるのは、水道料金アンバランスがあってはならないのだ、できるだけ水道法にいう豊富にして低廉な水を供給する、同時に、水道料金の適正化をはかっていかなければならないということになるわけです。その適正化をはかっていくということになってくると、やはり先ほど私が指摘いたしました簡易水道の例でありますが、ともかく同じ量の水が片や百円、片や千五百円だなんというべらぼうなことがあってはならないわけですから、そういう点に対しての配慮というものはどうしておるのか。最近の政府政策を進めておる中において、どういう点に留意をしておられるのか。御承知のとおり、固定資産税にいたしましても、住民税にいたしましても、あるいは健康保険税にいたしましても、アンバランスがあってはならない、できるだけこれを均衡させていくような政策を進めていかなければならぬとお考えになっておられるのでありますならば、当然この水道料金という問題に対しましては、これは公営企業だからペイすればやってもいいのだから、その料金実情に応じてアンバランスがあるのもいたし方がないのだ、こういうような簡易なことで扱っていくことはいけないわけでありますから、やはりこういう点に対しては、具体的な水道料金の均衡をはかっていく、適正料金をきめていくということについての積極的な施策というものが私はなければならぬと思うわけです。そういう点が、ただいままでの答弁の中では、積極的な、確かに政策を進めておるのだということをうかがうことはできないわけでありますから、そういう点に対してのお考え方をひとつこの際聞かせていただきたい。
  17. 柴田護

    柴田(護)政府委員 おっしゃるとおりだろうと思うのでございます。結局、いなかへ行けば行くほど料金の高いところにやはりいろいろな問題がかもし出される原因があるわけでございます。したがって、また逆にいいますならば、人口都市集中というものを促進しておる一つの要因ということが言えるかもしれません。あらゆる問題の地域格差是正という立場からいいましても、あまり不均衡な格差というものを放置しておくことが適当でないことはおっしゃるとおりでございます。私どももそのとおりと思いますけれども、ただやはりそれをなくするためには一体どういうような形で施策を進めていくべきかということになってまいりますれば、水道会計の資本構成でございますとか、あるいは料金体系でございますとかいったような問題が出てまいります。したがって、そういうむずかしい問題とのかね合い、基本的な方向を明らかにした上で具体的な施策というものを考えてまいらなければならないだろうというように思うわけでございます。私が先ほど来申しましたのは、そういうばく然とした考え方をとりながら、なるべくはいなかの水道資本費というものを低くして、料金面へのはね返りを少なくするような努力をいままでしてまいった。しかしそれで十分とはいままで考えておらない。やはり調査会の御答申を得た上でその辺のところの基本的な態度をはっきりいたしまして、具体的な施策というものを明確にしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。私どもといたしましては、地方の非常に高い水道料金というものは、やはり適正な水準までこれを下げるような努力というものを財政的にしてまいらなければならぬように思っております。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係もありますので進めていかなければなりませんが、私厚生省に端的に申し上げたいのです。あなたのほうがこの水道法を守っていく、あくまで豊富にして低廉な水を供給するのだ、このことを強く推進するということでなければならぬと思うのです。工業用水にいたしましても、これは国庫補助の対象になっておるわけですね。それは何のために国庫補助の対象にするのか。できるだけ水の供給を低廉にしてやる。そのことは、それはそれなり産業を強くしていくということにもなりましょうが、企業の利益を守ることになります。最近は公団住宅にいたしましてもそういう方向です。公団住宅に入居する人は比較的給与が高い人たち、低所得者は公団住宅に入ることは実際問題としてできない。ところが、その公団住宅の家賃をできるだけ安くしていかなければならない。建設コストを低くしていこう、こういう考え方から利子補給の制度が考えられてきたわけですね。このことと、水の問題を考えてみると、水も人間の生存に絶対なくてはならないものだ。この水が公営企業独立採算制という形を堅持していき、国庫補助の対象にしてない。こういうことが適当であるのかどうかということは、私はこれは議論の余地はないと思う。普及率から考えてみましても、現在六三%でしょう。そうすると五カ年計画が完成するということになります四十三年でありますか、七五%程度普及率になるでありましょう。すべての国民がこの水を使うことになる。水道を利用することになるわけです。それでなぜに今日まで公営企業というような形を打ち破っていかないか。厚生省はなぜにこの問題に対して積極的な取り組みをし、大蔵省の——私はあえて頑迷と申し上げたいのでありますが、頑迷なこの態度というものをつき破るような取り組みをなさらないのか。その点非常に遺憾に思っておるわけですが、そういう点に対しては、先ほどのお答えもありましたが、いま一つこの点に対しての——水道問題調査会も近く発足するわけでありますから、厚生省自身の考え方をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  19. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 水道に対する補助金は従来あったわけでございます。それが昭和二十七年に補助金の制度をやめて今日の制度に切りかえたわけでございますが、その当時の考え方としましては、補助金があることがかえって水道施設普及を阻害するおそれがある、むしろ起債で事業をどんどん伸ばしたほうがいいという考え方から、水道施設の増設に努力を重ねてきたわけでございますが、御指摘のように今日の段階において、はたしてそれでいいかどうか。また現にお話のように、工業用水道には相当の国庫補助があるという事態がありますし、また料金に非常に大きな格差があるというような点から考えて、はたして今日のままでいいかどうかには、私どもとしても相当検討を要するものがあると考えております。ただその打開の方法は、どういう方法が最もいいかということは、あらゆる点から考えて、十分検討する必要があるわけでございまして、かりに国庫補助をふやすにいたしましても、単一にふやすということでない別途の方法もございましょうし、また国の融資の優先順位というようなものもこれに反映するというようなこと、あるいは水道に対する経営の大規模化というようなこともこれの緩和に役立つでありましょうし、いろいろな方法によりまして、この問題を解決してまいりたいというかたい決意を持っておるわけでございます。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 柴田さんにお尋ねいたしますが、この起債を早期に決定をするというために、都道府県に対するワク配分方式というのを今度おやりになるわけですね。これは中小規模の継続事業のみということを伺っているのでありますが、この中小規模というのはどの程度をお考えになっておるのか。それからこの制度というものは、早期に起債ワクをきめてこれを配分をするということでこういう新しい制度をお考えになったのでありましょうが、これまた一面非常にむずかしい問題も出てくるのではないかと思うわけです。実際期待をしておるような形にこれがうまくいくであろうか、それらの点に対してもいろいろ研究なさったと思いますが、具体的な点についてひとつお考え方を聞かせていただきたい。
  21. 柴田護

    柴田(護)政府委員 中小規模水道と申しますのは、私どもの扱いでは給水人口二十万未満、したがって大体人口三、四十万の都市以下でございます。継続事業につきましては、およそ事業内容、事業計画というものはわかっておるわけでありますので、問題は早く事業を進ます必要がある。いつまでも起債がきまらず、財源が確定いたしませんで工事が進まないということになりますと、財政的にも、事業の実施面におきましても、いろいろ問題が出てまいりますので、早く総ワクをきめて事業財源をとりあえず確定をして仕事を進めていく、こういうことであろうと思います。今日水道起債ワクが全体として少のうございますので、思うように事業が進まないという問題もなきにしもあらずでありますけれども、しかしながら、ありますワクの中でもできるだけ早く仕事は終えさせたい、継続事業継続事業で、いつまでもずるずる引っぱっていくことは、事業の性格から考えましても適当でないのではないか。そこでワクを早く配って、早く財源を確定をして仕事に着手さす、こういう趣旨に出ておるわけであります。ただ新規事業につきましてはそういうわけにまいりません。一応事業計画を確かめなければなりませんので、これは単独詮議をやる、こういうことであります。  水道債だけの問題でいいますならば、そういった早期に額をきめて仕事をさすということのほかに、やはり水道資金の内容の質的な向上つまり安い資金をたくさんつけるというような方法、それから償還期限の問題といったような問題もあるわけであります。現在昭和四十年度の計画では、理想にはまだほど遠いのでありますが、逐年そういう方向努力してまいっておる次第であります。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な長崎渇水の問題に対してお考え方を聞かしていただきたいと思うのですが、先ほど柴田局長から起債割り当ての問題に対しての御説明があったわけですけれども長崎渇水状態というものを十分把握しておられ、それに対していろいろと協力的な態度に出ておられるということはわかっておるわけです。ところが、そうした政府の協力にもかかわらず、現実にはどうにもならないということになっておるわけです。これはお調べになっておわかりでありましょうが、長崎市の市の水源は三つの水系になっております。浦上水系と中央水系と出雲水系ということになっておりますが、浦上水系は三万六千世帯あるのです。それが隔日三時間給水。ですから四十八時間に三時間給水しておるということです。ところが、局長から先ほどこれまたお答えがありましたように、長崎の地形——すりばちの底のような特殊な地形をしておりますから、ほほえましい坂の長崎といわれたのですが、全く恨めしい長崎ということになっておる。そういうことで、四十八時間、三時間給水ですが、高部のほうは全くゼロ給水です。ちょっと出たなと思ってバケツを持っていくと、四十分間くらいどろ水が出るというようなところもあるが、全然出ないところもある、こういうきわめて深刻な状態なんです。そこで火事でも起こったらどうするか、三時間給水でありますから、これはため水をしなければならぬですね。足の踏み場もないようなため水をしていると、伝染病の発生する危険はないであろうか、いろいろなことがいま憂慮されておるというような実情でありますが、こうしたことに対して十分深刻な状況を把握しておられるとするならば、これに対してはどのような態度で臨もうとお考えになっておられるのか、このことに対しては、自治省厚生省、ともにお考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  23. 柴田護

    柴田(護)政府委員 長崎の今日の渇水問題につきましては、非常に私どもといたしましても心配もし同情もいたしておるわけであります。昨年も渇水がやはりありまして苦労なさったわけでございますが、それにつきましても必要な措置はいろいろと講じてまいったつもりでありますが、やはり基本的には、大体雨が少ないところのようでございますので、水がそもそも十分じゃない。いわゆる給水能力というものに対しましても、給水能力までいかないというような状態が続いておるようでございます。基本的にはやはり大村湾を越えて大村市から水をとってくるというこの計画を早く進める以外にないんじゃなかろうか、実は私はそう考えております。したがって、それの事業を早く進めていくという方向をとっていかなければならぬのじゃないだろうか。当面渇水対策ということに関連いたしまして、いろいろ財政的な負担が出てまいっておると思いますけれども、こういうものにつきましては、これは別途に措置考えてやるということになろうかと思いますが、基本的にはやはり大村湾を越えて大村市からとる取水工事というものの進度を早めるという以外には解決の方法はないんじゃないかと思います。したがって、これを早くやるようにということにつきまして、私どもといたしましても十分協力をしてまいるつもりでございます。
  24. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 今日の事態は非常に深刻な状況であることは御承知のとおりであります。それに対して応急の公共用地の九本の井戸を掘る作業を進めておりまして、そのうちの三本が水が出ておりますので、これから得られる水の量は五百八十トンくらいありますから、全部この程度の水が得られれば、約二千トン程度の水が得られるということで、当面多少応急的には役立つかと思います。また浦上の水道の堰堤の下部に穴をあけて、七万トン程度の、下にたまった水をとれるようにいま工事を進めておりますが、この工事がいつ完成するかわかりませんけれども、これによっても応急的な措置がとられるように聞いております。  そのほか二十日現在で三十五台程度給水車が活動いたしておるようでございます。先般長崎市に連絡をいたしまして、必要があれば他の府県から応援を派遣するという連絡をいたしましたところが、当面はこの範囲内で間に合うが、将来は必要があればお願いいたしたいということで推移を見守っておるわけでございます。いまのところ、非常に水が少なくてゆゆしい事態で私ども心配いたしておりますが、そのようなことで推移を見守っておるわけでございます。  今後は自治省のお話にございましたように、一日も早く大村水系の水が入るように、これは十月という予定でございますが、これを一月でも二月でも繰り上げればたいへんけっこうだと思います。そのほか二股川、宮摺川の工事が並行して進められるようでございますが、これも年度は明年度以降になると思いますが、こういう水不足の地でございますので、工事は一日も早く進める必要があるというふうに感じております。  そのほかに、もっと根本問題として、いま話題にのぼっております水源以外に水源を求めなければ、あれだけの四十万の都市をささえていくのは今後無理ではなかろうか、かようなことを私どもも心配いたしておりまして、もはや次の取水計画を進めるべきであるという考え方で、それには当面長崎県内だけでとうてい解決できない水源問題がありますので、これに対して、国としてもできるだけ援助をしてまいりたい、かように思っております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 おそらくお調べになっておわかりだと思うのですけれども、先ほど新聞でお見せしましたように、断水寸前、神さま仏さま自衛隊、こういうふうに地元紙が書いておりますが、そのとおりなんです。三万六千世帯に給水をしておる浦上水系が十日分、中央水系が十三日分、出雲水系が約二十日分です。この三つの貯水池で六百二十万トンくらい入るのですけれども、四十三万トンしか入らない。どうにもならぬところまでいっておるのですよ。ただいまお答えがありましたように、いろいろ応急的な補水のことをボーリングなどの施設をやって、自衛隊も市長が非常事態宣言をいたしましたから実は来ておりました。十四日に一部帰り、十九日に全部引き上げてしまった。これはいまてんやわんやという状態です。ただいま柴田さんからお答えがございました大村の取水工事にいたしましても、あなたのほうにはいつ完成するという報告が来ておるかわかりませんが、もうどうにもならないのですよ。断水になったらたいへんなことですよ。四十万市民の生命の問題ですからね。どういう報告が来ておりましょう。大村の取水工事はいつごろ完成をするという御調査になっておられますか。
  26. 柴田護

    柴田(護)政府委員 ことしの十月末に原水がとれるというように、工事ができるというふうに私どもは聞いております。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 どうも先ほどから何回も申しましたように、公営企業だ、これは事業主体がやるのだ、政府としては申請どおり起債をつけているのだからこれ以上は地元が対策を立てなければならぬのだというようなことになると、それは事業主体そのものに対してどうするのだということを実は地方自治体の問題としてここで議論するのはどうかということになるかもしれませんが、私はやはりこの水道というような問題、特に公営企業と言いながら、国が強い指導性を持っている企業というものの性格から起債をつけておる、申請どおりやっているのだからということだけでは片づかないと思う。そういう現実の問題に対しましては、少なくとも厚生省は現地に行かれて、実際の現地の実情というようなものを踏まえて対策を講じられるということでなければならぬと思う。災害がどっかで発生をすると政府はどんどん行くんでしょう。そうして特別な措置を講ずるのですね。四十万市民の生存を左右する問題だということになってくると、公共企業であるから、地方自治体がやる仕事だからということで片づくべきものではないと思う。実際に現地に行ってその実情を十分調査して、適切な手を打ってくる。その点に対してはやはり起債の問題も十分考えなければなりませんでしょうし、あるいはその他、国として財政的ないろいろの援助の措置も講じていかなければならぬと私は思う。それほど問題が私は深刻だと思う。火事が起こったらどうします。現に火事がもう何回も最近発生しているのですよ。大火になります。いまのような状態で伝染病が発生をしたら、これはもうたいへんなことになってくると私は思う。ですから厚生省といたしましては、そういう衛生面からの配慮もしていかなければなりませんでしょうし、自治省は消防、火災予防という問題に対しましても特段の配慮というものがなされなければならぬ。単に水の問題ではない。大きな社会問題であり、人道問題に発展してきておると思うのですよ。そういう点に対してどのような取り組みをしていこうとお考えになっておられますか、政務次官もひとつこういう点に対しては積極的なお考え方をお示し願いたい。
  28. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 先ほどからの中村委員の御質問の中には、いろいろと将来の水に対する政策の問題について、示唆に富んだ御意見があると拝聴いたしておるのであります。やはりおっしゃるとおりに、水はできるだけ低廉に、いいものを地方住民給水する、こういうたてまえが政策の根本であると思うのであります。ところが、率直に申し上げまして、ずっと古い沿革的なものもあると存じますが、何か水に恵まれた日本、これが非常に、水に対する対策が比較的緩慢であったという面と、また一面消費する側からいいますと、比較的消費倫理というものが確立されていない面というものが従来はあったのじゃないかと私は思うのでありますが、そういうところと、それから日本の水の権利関係というものがまたきわめて複雑でありまして、まあそういう問題等がいろいろ原因いたしまして、おっしゃるとおりに水に対する政策というものはもっと考えなければならない、検討しなければならない問題を残しておると、こう思うのであります。したがいまして、政府といたしましては、そういう基本的な考え方で将来の水の対策ということについて検討を加えていかなければならぬと考えます。いろいろと現在制度上定まっておりまする問題については、先ほど来両局長からるる説明いたしましたように、政府といたしましても、当局といたしまして最善を尽くしておるようなわけでありますから、その点御了承願いたいと思います。  ただ、長崎の問題につきまして、いろいろ現地の実情等をお漏らし願いまして、実は非常に私自身といたしまして参考になっておるわけでございますが、自治省所管の問題について先ほど柴田局長から話しましたほかに、ただいまお尋ねの消防の問題等につきまして御意見のとおりでございまして、自治省といたしましては現地のいろいろの消防に関する面について、その実情は十分聴取するようにいたしておるわけであります。ただ、それについてどうするかということにつきましては、何と申しましても火災の発生するようにことのないように十分予防的方面に注意し、努力をしてまいらなければならぬと思います。  なお、いろいろ水不足が社会問題化するおそれのある点についてお話しでございましたが、これにつきましても先ほど両局長から話しましたような考えで十分対処する考えでございますけれども、やはりお話にございましたように、大きな突発的な災害というような、地域住民にとりましては重大な関係のある、いわば死活問題ともいうべき重大問題でございますので、そういう事態に対しましても、私どもといたしましては十分この際、お話のありましたような趣旨をも十分参考にし、また現地の実情等も十分連絡を得まして、対処するよう努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 御熱意のほどはよくわかります。わかりますが、先ほど私が申し上げましたように、きわめて深刻な問題でありますので、十月、十一月に第五回の大村からの取水工事、それに対してまだこれは実際は起債割り当てというものがなされていないのではないかと思いますが、そういう点に対して格段の配慮をしておられるということは伺っております。ですから、私はその点を責めるわけではありません。ありませんが、それでよしとするわけにはまいらない。ここに地元紙をいろいろ切り抜いてありますが、自治体は自衛に立ち上がっている。市議会も議員諸公がトラックに乗って、そうして水を配水して回るというような状態になってきた。それはそれなりにけっこうなことであると思いますが、しかしそういうことでは間に合わないですね。先ほど申し上げたように六百二十五万トンの入れものに四十三万トンしか入っていない。私の調べたのでは浦上水系の十日分というのは、これは何日か前のことでありますから、雨が降って若干の流れ込みはありましたが、これをもっておそらくもう終わっておるであろう。ところが、そういう中に、長崎は御承知のとおり工業用水というのがない、飲料水水源地は同じなんです。浦上水系は二二%は三菱造船所を中心としまして工業用水に使っているのですよ。これには四割の給水をしております。このままの状態でいきますと、断水をして市民の生命の問題が生じてきますと同時に、工場等も麻痺する状態に私はなってくると思う。ですから、第五回拡張工事が十一月に大体終わるということを市長が言っておるようでありますが、そういうことではどうにもならない。六月はつゆになるから雨が降るだろう、そういうのんきなことも言っていられない。これにはまた火災のことなんかもこうして書いてありますが、もう火災が発生しつつある。幸い二、三日前のはちょうど給水のときでありましたからわずかにとどまりましたけれども、これは給水をしていなかったら大火になった、こういう状態でありますから、これはやはり政府としても何らかの措置を特段にひとつおとりになるのでなければならぬと私は思います。ですから、現地に出向かれて災害のときと同じように、あるいはそれ以上な取り組みをしてもらうのでなければならぬと思いますが、こういう点に対しての厚生、自治両省のひとつ考え方を、この実情に対してどうするか、このことに対してひとつ積極的なお考え方をお示し願いたいと思います。
  30. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 長崎の今回の水不足に対しまして、先般二月の初旬に政務次官並びに私、主管課長、現地に参りまして対策を聞き、国としてもできるだけのことをいたしたいという打ち合わせをいたしたわけであります。またそれ以来長崎市の水道当局者並びにごく最近は県の担当部長を呼びまして現状を聞き、対策を審議いたしたわけでございます。なお近く大臣も現地に行く予定をいたしておりまして、私どもとしては十分長崎水不足に対しては注意をいたし、国としてのできる範囲の努力をいたしたい、かように考えております。
  31. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 先ほど来申し上げましたように、きわめて重大な問題と存じておりますので、あるいは県なりあるいはまた市なりの方面から十分実情を聴取いたしまして、そしてまた厚生省側とも連絡をとりまして、お話のございましたような点も十分配慮するよう努力をいたしたいと存じます。  消防の問題につきましては、先ほど申し上げましたような趣旨で、その予防等について十分尽力するようにいたしたいと思います。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 柴田局長お尋ねしますが、いま進めているのは第五回拡張工事なんです。これももう十月、十一月というのでなくて、これは早急に突貫工事等をやらして、少なくとも六月には完了する、浦上の貯水池に水を入れる、こういうことでなければならぬと思います。ところが、やはりこの第六回の拡張工事である貯水池の工事、それから市内の配水工事、これを繰り上げてやらなければならぬと私は思う。そうでなければ、先ほど厚生省からお答えがございましたように、この現在の入れものにこれを入れたということだけではどうにもなりませんので、どうしても新たな計画であるこの貯水池に大村から来た水を入れる、こういうことでなければなりませんので、この第六回の拡張工事に対しましても、地元のほうから要請があるなら、これを繰り上げて実施させる、こういうことに対してのお考えをお持ちであるかどうか。その点ひとつこの際御方針を明らかにしていただきたいと思います。
  33. 柴田護

    柴田(護)政府委員 私どもは、この事業計画を聞きましたときから、また、昨年私は現地を見ております。そういう実情を知りました上で、事業は早くやってくれということを前々から申し上げておるわけでございます。起債のワク等の制限は、全体としての制限はあるわけでございますけれども、それはそれとして、こういう状態を毎年毎年繰り返してもしようがないのだから、だから早くやりなさいということを言っておるわけであります。昨年も、その申請も途中でたしか追加がありました。それでいいのかというような話もしたようなわけでございまして、十分御趣旨の線に沿ってきておるつもりでございますけれども、なお十分そういう方向配慮してまいりたい、かように考えております。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 最後に、いま一つ伺いますが、御承知のような状態で、水道会計というのはもうどうにもならぬような状態になっている。いま伝えられるところによりますと、約一億五千万の赤字が実は出ておる。これは渇水であるために、制限給水であるために、それなり料金の減収の面もあるわけですけれども、補水をやるというようなことから、人件費などの非常な費用がかさんできておる、こういう実情にありますので、こういう点に対しましては特段の財政的な措置、その他いろいろな措置を国から援助するという形において行なわれなければならぬと私は思うのでありますが、こういう点に対する配慮はお考えであるかどうか、ひとつこの点も伺っておきたいと思います。
  35. 柴田護

    柴田(護)政府委員 昨年も渇水騒ぎがございまして、これに関しまする費用につきましては、特別交付税配分の際に配慮をいたしております。具体的には一般会計から繰り入れて始末をする。しかしその一般会計の繰り出し分については、総体的な財源を調整いたします際に配慮をしていくということになるわけでございまして、今年度のこの渇水に関しまするいろいろの対策につきましては、昨年と同様の措置をとってまいりたい、かように考えております。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 工業用水に対しては国庫補助がある。ところが長崎の場合は、工業用水は結局飲料水のダムを使っておる。貯水池は同じである。浦上の貯水池だけで二二%は工業用水を使っておる。こういう実情等も十分勘案されて、特段の財政的な援助というものをされるように私は強く要請をしておきたいと思います。この点に対して最後に政務次官からお考え方を聞かしていただきたいと思います。
  37. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 先ほど申し上げましたように、将来の問題といたしまして、中村委員の御質問にございました御意見というものは、非常に私は示唆に富んでおる、こう考えるわけでありまして、飲料水対策、その政策に関しましてはいろいろお話もございましたが、いわゆる地域的な格差というものが是正されなければならぬという点、そして水道法規定の趣旨に従っての低廉な水を地域住民給水するというこのたてまえ等は、十分推進するようにやってまいらなければならぬことはもちろんでございまして、やはり地域格差是正、社会開発等々の政策の中にその精神があると考えるのでございますが、国庫補助という点等につきましても、いまの精神に従いましての政策の推進ということといろいろ深い関連があるわけでございますから、それらについて御意見のございましたような趣旨を十分参考にして、将来検討いたしてまいりたい、そのように考えます。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 財政局長、私具体的な問題として申し上げましたから、あなたから——これは厚生省も同じでありますが、その実情によって処置するお考えがあるかどうか。水道会計というものが全くどうにもならぬという状態にあるわけでございますから、そういう非常事態を宣言しなければならぬ問題に対しては、従来の形式を追うということではだめであろうと思うのです。また工業用水等に相当量の水を給水しておるという実情、そういう点を十分御調査になって、適切な措置を講ずるというお考えをお持ちであるかどうか。具体的な問題でありますから、あなたからも最後に伺っておきたいと思います。
  39. 柴田護

    柴田(護)政府委員 私が先ほどお答え申し上げましたように、異常渇水に関しまする諸般の経費その他につきましては、昨年も措置をいたしておりますので、本年度につきましても措置を十分とってまいりたい、かように考えるわけでございますが、ただ水道会計全体の問題、先ほどお話のございました料金の減収に伴います赤字、これをどう考えるかという問題は、将来の問題ではないかと思うのでございます。長崎水道会計は幸いにして三十九年度までは黒字でございます。本年度この渇水によってどうなるかという問題がありますけれども渇水に関しまする諸般の経費に関しましては、昨年も特別交付税の配合に際しましては配慮をいたしておりますが、本年度も同じようになるであろうと思うのでございます。これは直接水道会計に入るわけではございませんが、一般会計に入って出ていくという形になろうと思います。  工業用水道補助金云々の問題につきましては、先ほど政務次官からお答えがあったとおりでございますけれども、そういう点も含めて、渇水対策というものをどうするかということと、それに伴いまする財政的な諸般の問題というものは十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 厚生大臣が長崎県においでになりますね。看護婦大会か何かでおいでになるのだと思いますが、その際に水源地を見るのだということも伺っておりますが、ただそういうことのついでに見るのだということだけでは、いまはものすごく市民感情が高ぶっておりますから、ひとつ水対策ということに対しても、担当省としては十分熱意を持って取り組むのだということで、大臣だけでなくて、あなたのほうの担当者も一緒においでになって、それなりのひとつ地元における対策を十分検討する、こういうことで取り組んでもらいたいと思います。その点に対して……。
  41. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 長崎水道問題は、いまわが国の水不足措置としては最大の問題でありまして、私ども前々から十分配慮し、省としてもその対策に苦慮してまいっております。いまお話のございましたように、今回の大臣の視察に際しましても、それらの点を十分配慮した措置を講じたい、かように思います。
  42. 中馬辰猪

    中馬委員長 華山委員
  43. 華山親義

    ○華山委員 ただいま深刻な長崎水不足の問題がございましたが、東京都につきまして、本年もまたどういうふうな状態になるか、非常に心配な向きがございまするし、その徴候が出てまいっております。そういうことでございますので、新聞等によりますと、厚生大臣が東京都を呼んで、本年度の見通し等についてお聞きになった、また指示を与えられたということも出ておりますので、どういうふうなお話であったか、どういうふうな見通しを東京都は持っておられるか、その点について厚生省にお伺いをいたしたいと思います。政治的な論評等はいたしませんから、できるだけ具体的な数字でおっしゃっていただきたい。
  44. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 東京都の水は、都民のかなり大きな部分を占めておる水は、小河内ダムを中心とする貯水池系の水系でございます。江東方面は川から水をとっておりまして、これは昨年の渇水期におきましても、相当程度補給でき、むしろダム系統へそちらから水を援助したという状況でございまして、かなりな渇水期でも、江東方面は水不足ということはそれほどひどいものにはならないということでございます。問題はダム系統の水系、新宿系統でございますけれども、山手のかなりの広範な地域を給水しておる地帯でございます。この地域の川はそう大きな川でございません。御承知のように、多摩川の上流でございまして、したがって、貯水池に水をためておきませんと、水不足のときには間に合わないという現状でございます。その貯水池の水が、満水時には二億トンたまる水がめの容量でございますが、それに対しまして、けさ現在、二千九百八十万トンしかたまっておりません。この水量は昨年同期に比べて約手五百万トン少ないわけでございます。したがいまして、昨年のような渇水があれば、昨年以上に困りはしないかということを私どもは憂慮いたしまして、東京都を呼んで実情を聞いたわけでございます。  そこで、昨年より有利な点は何かと申しますと、昨年のあの水不足以後におきまして、利根川から水をとる工事を進めておったわけであります。その工事がだんだん進んでまいりまして、荒川から一日量約百万トンの水を吸い上げるポンプを据えつけまして、そのポンプは朝霞の浄水場にございますが、その朝霞から東村山の小河内ダムの系統の浄水場に水を持っていって、あの系統を補給するということができることになったわけであります。問題は、日量百万トンの水がとれるかどうかという問題でございます。実はここにやや狂いがございまして、貯水池の水が減ってしまったわけでございますが、この利根川の水を完全に毎日百万トンとるためには、利根川に常時それだけの水量がない場合がございますので、利根川の上流へダムをつくろうという工事をやっております。この工事はことしは間に合いませんで、来年以降間に合うわけでございます。このダムの名前は、一つが矢木沢ダムといいまして、これが昭和四十二年三月に完成いたします。いま一つは下久保ダム、これが四十三年三月に完成いたします。したがって、それまではためた水がとれませんので、水量の多いときだけ利根川から水がとれるわけでございます。先ほど荒川から水をとると申しましたが、荒川へ利根川から用水路で水を補給いたしまして、その用水路から荒川へ水を落として荒川の水量を増してそこから水をとる、こういうことであります。  問題は、利根川の水がどの程度このダムができる前にとれる期間があるか。このとれる期間はかんがい用水の関係がございまして、栗橋の地点で毎秒二百トン以上の水が流れなければ、ダムができるまではとってはならない、こういう約束がございます。そこでこの毎秒二百トン以上の水がいつできるかという予測をいたしておったわけでございますが、これが十日ほど狂ったのでございます。なぜ狂ったかと申しますと、雪解けが非常におくれたわけでございます。雪の星は、利根川の上流は目下二メートル半の積雪がございまして、水に換算いたしまして五億トンと見積もられるわけでございます。この五億トンを内輪に見積もって、二億五千万トンが利根川に流れ込んでくる、こういう計算をいたしまして、これが大体今月の初めごろには雪解けが始まるであろうと予測をいたしておったわけでございますが、始まったのはようやくおとといでございます。おとといからようやく取水を始めております。したがって、その狂いで貯水池の水に食い込んでしまった、こういうことでございます。この雪解け水が、かんがい水の間でも大量に雪が解けてまいりますので、栗橋のところで毎秒二百トンをこえるであろう、一月間ぐらいは水をとれるという予測をいたしております。その間にかんがいが済んでしまえば、これはかなり大量利根川からの水を、かりにダムがなくてもとれるであろう。関東の平地に雨が降らなくても、山地に降ってくれればその水が入るということで、昨年の渇水期に比べればはるかに有利になっているわけでございます。その点で、昨年よりは今日はかなり食い込んでおりますけれども、ことしの夏は制限しないで乗り切れるであろう、こういう予測を目下東京都が立てておるわけでございまして、その場合の雨の量の推計は、過去の水道の記録始まって以来最悪の雨の降らなかった年の平均値で見積もって、なおかつ制限をしないで乗り切れるであろう、かような推計でございます。目下のところでは、最低二千万トンを切るようなことがなく乗り切れる見込みを立てております。
  45. 華山親義

    ○華山委員 昨年も春にはだいじょうぶだ、だいじょうぶだと言っておって、そして突然ああいうふうな事態が生じましたわけでございます。その点私どもは安心していられないわけでございますけれども、荒川の流量毎秒二百トン、こういうふうなことでございますが、そういうふうな日が続いたといたしまして、毎日毎日いまおっしゃいました水量を利根川からとる、そういうことによってできる、こういうお見込みなんでございますね。
  46. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 お説のとおり、利根川の栗橋地点、毎秒二百トン以上の水が雪解けで当然流れる。現に現地を踏査いたしまして、雪があることは確かでございますので、必ずやそれが利根川に流れ込むということで、それを見込んでおるわけでございます。
  47. 華山親義

    ○華山委員 昨年最もひどかったのは城南地区、多摩川の下流でございますが、あの辺は一番ひどかったようでございますが、ことしはどのような見込みでございますか。
  48. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 今日でも多摩川の下流の砧あるいは多摩川の、下の系統は非常に水不足でございます。きょう今日、すでに貯水池系から水を補給いたしております。今後ともに多摩川の水が少なければ、その補給を続けることによりまして、あの地区は多摩川で取れる水をあてにしないでやらざるを得ないということであります。
  49. 華山親義

    ○華山委員 よくわかりませんが、いまでも困っているんだけれども、どういうことによってあの地区はだいじょうぶなんでございますか。
  50. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 地域で申しますと、大田区あるいは目黒区、世田谷区の南の方面は、多摩川から直接取った水で補給いたしておるわけであります。ところが多摩川の水がかれてまいりますので、それで水が非常にないわけでございます。それは先ほど来申しておりますように、小河内ダム、村山、山口両貯水池から流れてくる新宿系統の水から、横のほうから補給をしてやるわけであります。系統は新宿区のほうから世田谷区を通りまして多摩川系のほうへ補給をいたしております。今後ともその補給は、多摩川の水が少ない限りは続けてまいる予定であります。
  51. 華山親義

    ○華山委員 昨年ができなくて、ことしはそういうことができるような構造になったわけですね。
  52. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 その点が一つ問題がございまして、東京都は先ほど私が申しましたように、江東方面から山の手へ補給する導水管も昨年不十分でございました。それから新宿系統から多摩川へ補給する導水管の太さが足りなかったわけでありまして、これを増強いたしました。ことに一番残念に思ったのは、昨年江東方面から持ってくればかなり助かったものが、補給路が狭過ぎて、どうしても補給が続かなかったわけでありまして、昨年来工事を急ぎまして、ことしは昨年よりはだいぶふえる。さらに突貫工事をやっておりまして、ことしの六月には昨年に比べて全量がおそらく倍くらい江東方面から補給できるようになる見込みであります。  そういうことで新宿系統から多摩川系統に補給する補給路がふえましたので、昨年よりは楽になるだろうと思いますが、その負担は結局貯水池系にかかってくるわけでございますので、貯水池系と多摩川系とをならすことはできますけれども、貯水池系そのものが非常に不足してくれば、多摩川系も同じように不足してくることは覚悟しておかなければならぬと思います。
  53. 華山親義

    ○華山委員 江戸川の水でございますが、江戸川系統につきましては水利権があると思いますが、その辺はだいじょうぶでございますか。
  54. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 既定の水利権がありますことは御指摘のとおりでございます。昨年は既定の水利権、明文されました水利権を越えまして、近県の知事さん方に寄っていただきまして、御協力をいただいたわけであります。非常に水が不足になりますれば、やはり近県の御協力をいただいて、規定の水量以上に取るという事態が起ころうかと思います。
  55. 華山親義

    ○華山委員 ことしはその点は見込みは十分なんでございますね。江戸川から、東京の持っておる水利権以上の水を取れますか。
  56. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 昨年の雨量は、歴史始まって三番目の少ない雨量であったわけでございます。したがいまして、ことしも非常な渇水でございましても、江戸川の水はあの程度は出てくるのではないか、かように予測をいたしております。
  57. 華山親義

    ○華山委員 ことしはそういうふうなことで私は安心ができないと思います。気象庁の予報でも、ことしはつゆが少ないだろうといわれておる。相当の覚悟をもってやりませんと、去年の二の舞いがくるのではないか。私は去年の二の舞いがきたならば、大いにいばりますから、その点を御覚悟の上で御回答願います。  もう一つ伺いますが、長期の計画としましては、どういうことを東京都は考えておりますか。利根川のことはわかりましたから……。
  58. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 御指摘のように、私どもも全く安心いたしておるわけではございません。東京都の説明だけで安心しておるわけではございませんで、かなり憂慮いたしておるわけでございます。したがいまして、時々刻々都から報告をとりまして、必要に応じて強い措置もとらなければならぬかもしれないということは十分考えながら進んでまいるつもりでおります。  なお、将来の計画でございますが、先ほど申しました利根川から——その前に申し上げますが、利根川の水は今日その一割少しくらいしか利用されておらぬわけでございまして、利根川の水を十分に利用されれば関東平野、かりに人口が二倍くらいにふくらんでも不足はないほどの水量はあるわけでございます。問題は利根川の水をいかに利用するかということでございまして、その意味合いで一応矢木沢、下久保両ダムでせきとめた水を使おうということでございますが、そのほかにまず海へ流れ込むものをせきとめるために、銚子のところに河口ぜきをつくりまして、それによってたまった利根川の水を取ろうという計画がございます。それからダムをもう一つ、神戸ダムというものをつくろうということも計画いたしております。この両計画昭和四十五年度に完成する予定でおります。これによりまして市民一人当たり日量五百リッター、きょう今日使っております日量は、三百五十リッターくらいでございますが、市民一人当たり五百リッターくらいの水は確保できる、かような見通しでございます。しかし、東京都の発展が非常に急速度でございますので、昭和四十五年度以降の計画も立てなければならないということで、いま都に計画を立てさせておるところでございます。
  59. 華山親義

    ○華山委員 五百リッターというのは、アメリカ等に比べますと非常に少ないですね。これは洗たく機が発達し、そうして水洗便所が発達するなら、五百リッターでは私は足りないと思う。また、そういうふうな日本の庶民の生活水準が発展しなければいけないのだと思うのですよ。五百リッターでいいのだと思っていたならば、これは日本の経済力、庶民の生活ということについて、ある一定までしか伸びないのだということで限定している、こんなふうに考えます。とにかく、しかし普通に生活すれば、五百リッターでも、欧米諸国に比べれば少ない量ではございますけれども、何とかやっていけるのだろうと思うのでございますが、先ほど利根川の河口に堤をつくって、そこで水をためるとおっしゃいましたけれども、そこから水を持ってくるのですか。
  60. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 河口にせきをつくりますと、上流に水がたたえられることになるわけでございます。そのたたえられた水を上流で取る、実際の操作はそういうことでやるわけでございます。
  61. 華山親義

    ○華山委員 私は少し違っていやせぬかと思うのですけれども、利根川の水が低くなりますと、太平洋の水が上がってくるのです。そのために水が取れない。先ほどおっしゃったような流水量、栗橋で二百というふうな話も、それだけの水が要るということじゃないのです。水位が下がると、太平洋の水が逆流してくるのです。それで困る。昭和三十二年の大渇水のときも、茨城県がそのために非常に困った。そういうふうなことから、あの防潮堤が要るわけなんです。私はこれには非常に金がかかろうと思います。水道料に私はかぶさってくると思うのです。そうしますと、笛吹川とか富士川とか、去年私たちに盛んに説明しておりましたが、あの計画はもうやめたわけでございますね。
  62. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 御指摘のように、塩害防止でせきをつくるわけでございます。それから笛吹川、あるいは千曲川の計画、並びに富士川の計画は、東京都は持っております。ただ、これに関しましては、なお水利権の問題が相当むずかしい問題で残っております。いま一つは、それ以外の計画も当然並行して配慮いたしまして、実際に着工するのはそのうちのどれかということになるわけでございます。依然としてそれらの計画東京都が持っておることは私ども承知いたしております。
  63. 華山親義

    ○華山委員 私は何もいまここで意見を言うわけではございませんけれども、笛吹川とかそれから富士川とか千曲川という話がございますけれども、これは私は計画は立てられますけれども、実現性はないと思うのです。大体あの計画によりますと、あそこから水を引いてきて、そして七百メートル程度の山を越してくるのですよ。その電力料は一体どうなる。私が電力料というものには税金をかけるなと言うのもそういう点からです。たいへんな電力料がなければ七、八百メートルのところを水をのぼすわけには参らない。そういうふうな実現性のないようなことをわれわれに対して言って、安心だ、安心だというようなことでは東京都は間違いだと思うのですよ。ただこういう計画がある、ああいう計画があるということじゃいけないと思うのです。  それから私から言わせるならば、多摩川水系の水の使い方がへたなんです。多摩川水系は、根本的な解決策にはならないかもしれぬけれども、いろいろな支流、そういうところにもっと小さなダムをつくって水をためられるのです。そういうことをやらないで、たいへん大きなことばかり言う。私はそういう点が間違いじゃないかと思っておるのですけれども、ひとつそういう点を厚生省は気をつけていただきたいと思う。  それから江戸川の水にいたしましても、これは江戸川から水を引いて——京葉工業地区は水がない。京葉工業地区へ工業用水をどこから持ってくるかといえば、やはり利根川から持っていかなければならない、そういう計画になっておる。そういうことを総合して考えますと、私は東京都の水道の前途は、東京都だけにまかせておけないような重大な問題じゃないかというふうに考えますし、ほんとうにじみちに東京都に協力して、そして計画を立てていただきたい。もう四十五年といったって四、五年あとでございますから、そういう点につきまして要望申し上げておきますが、なお私どもといたしましては、東京都から来ていただいて、そしてできるだけ早い機会にいろいろなお話をお聞きしたいと思います。その点はまたこちらのほうの委員会でも御相談くださると思いますから、まだいろいろお聞きしたいことがありますけれども、これでやめておきます。      ————◇—————
  64. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質議の通告がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  65. 華山親義

    ○華山委員 自治省のほうから、予算折衝の際に調べられたこともあると思いますので伺いますが、地方産業開発審議会が金額につきましても計画を立てておるわけでございまして、全部の地方経費が一千六百二十五億であるというふうに聞いておりますが、そういうこと、ございますか。
  66. 柴田護

    柴田(護)政府委員 計画全体の規模につきましては、新産業都市建設計画全体としての金額でございますが、それの地方負担の細目というものはさまっていないはずでございます。
  67. 華山親義

    ○華山委員 国費も地方負担も全部合わせました総額でございますけれども……。
  68. 柴田護

    柴田(護)政府委員 事業費総額といたしましては、昭和三十九年度から四十五年度までの間で、新産都市分で二兆三千億というものが大体きまっておる。その中で地方費に関係がありますものは大体一兆四千億くらい。一兆四千億くらいのものが前期の七カ年間に国費、地方費を通じての所要額であるというようになっております。
  69. 華山親義

    ○華山委員 私の資料のとり方が間違えたのかもしれませんが、そういたしますと、この新産都市建設に要する経費が二兆三千億であって、そのうちの地方費は一兆四千億程度であろう、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  70. 柴田護

    柴田(護)政府委員 事業費総量は四兆三千億でございます。それが四十五年までの額が二兆三千億。つまり、昭和三十九年度から五十年度までが四兆三千億、そのうちで三十九年度から四十五年度までが二兆三千億。その四十五年度までの部分の国庫並びに地方費の負担といたしましては一兆四千億くらいだ、こういうことでございます。
  71. 華山親義

    ○華山委員 一兆四千億のほうの、国費と地方費はどういうふうに分かれますか、おわかりございますか。
  72. 柴田護

    柴田(護)政府委員 これは細目が具体的にわかりません。したがって、精緻な計算でございませんが、大ざっぱに言いまして国費が五千億程度、地方費が九千億程度考えております。
  73. 華山親義

    ○華山委員 九千億というのは五カ年でございますか、何年間でございますか。
  74. 柴田護

    柴田(護)政府委員 三十九年度から七カ年でございます。
  75. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、一カ年平均どのくらいになるのですか。
  76. 柴田護

    柴田(護)政府委員 千三百億円程度だと思います。
  77. 華山親義

    ○華山委員 一千三百億の地方費になるわけでございますが、これは今度の法律によっての計算でございますか。
  78. 柴田護

    柴田(護)政府委員 今度の法律による計算ではございませんで、通常補助率を適用した場合の計算でございます。しかし、いま華山先生は単純に七カ年と言っておられましたが、これは事業はカーブを描いて経過します。したがいまして、私どもが三十九年度の実績を基礎にして計算いたしますと、四十年度はそんなにはならない、地方費全部を含めまして約九百億足らずというように考えております。
  79. 華山親義

    ○華山委員 一千三百億は今度の法律によってどのくらい減りますか。
  80. 柴田護

    柴田(護)政府委員 これは具体的に事業がきまってまいりませんと精緻な計算は実はできかねますので、まことに申しわけありませんが、現在どういう地区にどういう事業が具体的にきまっていっているかということを調べております。まだ全体の補助事業が全部きまっておりませんので、詳細な計算はできませんが、大ざっぱな計算をいたしますと、三十九年度の実績を基礎にして年率二割ぐらいの見当でもってこれを伸ばしていくと、三十九年度の実績というのは千八百億ぐらいでありますが、四十年度の推計が二千三百億ないし四百億ぐらいのものになるだろう。この二千三百億ないし四百億程度のものを基礎にして推計してまいりますと、地方負担の額としては、県と市町村で両方合わせますと、大体八百五、六十億ないしは七、八十億ぐらいのものになりはしないか。この八百五、六十億ないし七、八十億ぐらいのものを普通の一般財源と地方債の両方でまかなっていくわけであります。それらのことを考えてまいりますと、いままでのやり方で普通の県でもって計算いたしてまいりますと、大体地方債の充当が四百六十億ぐらい、それぐらいのものは従来のやり方によって地方債がつく。したがって、一般財源に求めますものは約四百億ぐらいである。この四百億ぐらいのものに対しまして、従来の財政の推移でもって計算をしてまいりますと、三百五、六十億のものになる。残ったものを地方債のかさ上げと、この特例法によりますところの補助率のかさ上げによって埋めていく、こういうことになると思います。
  81. 華山親義

    ○華山委員 いまお話を聞きましてもすぐわかりませんので、あとで速記録等を見まして計算してみます。  それで今度の新産業都市建設事業に四十億円というものを見込まれておりまして、この利子補給分が八千百二十五万円というふうに予算に計上されておるわけでございますが、四十億円というものを計算された基礎は一体何なのでございますか。
  82. 柴田護

    柴田(護)政府委員 これはごく正直に申し上げまして、緻密な計算に基づくものではございません。大体従来の公共事業に対しまする地方債の額等を基礎にして計算をいたしまして、割り増しをするためにはどの程度のものが要するかといったような計算の結果に、大ざっぱな計算のめどをつけてきめたものでございます。したがって、この四十億円で十分足りるものやら足りぬものやらということは、実際に事業がきまってまいりませんと見当がつきません。しかし十分である場合はよろしいのでございますけれども、足りないというような事態が起こりました場合におきましては、地方債計画全体の運用の中で弾力的に考えてまいりたい。したがって、この法律に基づきまするかさ上げの、地方債の充当というものは間違いなくいたす、こういう方向考えております。
  83. 華山親義

    ○華山委員 それにしましても、先ほどからのお話によって、初めのうちは細々といくという理屈はあるでしょうけれども、あまり少な過ぎるんじゃございませんか。ただ、ちょっとお茶を濁した程度のものを計上したということになりませんか。
  84. 柴田護

    柴田(護)政府委員 具体的に補助事業がきまってまいりませんと、それが少ないのか、あるいは多いのか、実は見当がつかないのでございます。ことしの引き締め調の予算というものを頭に置いて考えますならば、そうこの四十億という数字は荒唐無稽な数字とは思えない、大体いいところへいっているんじゃないかというふうに考えます。
  85. 華山親義

    ○華山委員 しかし、実は一年間に十三の都市に四十億やって、四十億を十三に分けたら、多いところも少ないところもありましょうけれども、三億か四億、あるいは五、六億のものでしょう。こんなことで新産業都市の建設なんということは、何だかかっこうをつけたのであって、もう形だけはつけておこう、こういうかっこうから出ておるのじゃないか、こう思うのですよ。ほんとうに政府が誠意を持ってこの問題に取り組んでいるのかどうか、まことに私は疑問だと思います。政務次官、どうお考えになりますか。
  86. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 先ほど財政局長から話しましたとおりでございまして、政府といたしましては、やはり当初の計画を見込みまして妥当な線である、そのように考えておるわけでございます。
  87. 華山親義

    ○華山委員 妥当な線かどうか。そうすると、妥当だということは、あまりよけいやらないということなんですね。これが妥当だということですか。新産業都市をつくるのだと大騒ぎしてできた。しかし、いつまでもいつまでも、財政措置はどうするんだということはやらない。そして一般からも、また議会のほうからも、何とかすべきじゃないかという力の強い要求もあって、つくってみたところが、こんなものだ。こういうことでは、ただお茶を濁したというだけである。ほんとうに真剣に取り組んでいくということじゃなくて、次官の言われる妥当だということは、この程度のことで、ちょびちょびやっていくのが妥当だ、こういうことになるじゃないですか。こんなことでは私は、政府にほんとうに取り組む意思があるのかどうか、まことに何とも言えないと思います。  まあそれはそれで満足な御答弁がないのでございますが、次に、利子補給と、補助率の引き上げがございますが、これは何か根拠があってこういうことをなさったのですか。たとえば利子補給についてこれだけだ、補助率引き上げはこれだけだというふうに書いてありますが、一体出た法律の計数の基礎というものは何かあるのですか。
  88. 柴田護

    柴田(護)政府委員 先ほど私のお答えが若干不十分であったかと思いますが、非常に少な過ぎるじゃないかというおことばでございます。なるほど実質的な初年度分といたしましては、金額はそう多くございません。しかしこの新産業都市建設事業等に関しまする財政援助措置を確定しようといたしておりますのは、結局仕事がふえてまいりますればまいるほど援助額がふえていく。言うならば、事業量の増大に従ってふえる地方負担を緩和する、こういう趣旨でございまして、したがって事業分量がふえてまいりますれば、それに応じて援助額もふえてまいる、こういう仕組みになっておるのでございます。初年度といたしましては、おしかりを受けるようなことがあるかと思いますけれども、これは長い将来にわたっての建設事業というものについての援助の道をつけたい。したがって、初めはちょぼちょぼしているかもしれませんけれども、事業がふえてまいりますれば、必ずや曙光をあらわすというようになると考えるわけでございます。決してこの四十年度そのものをとらえて、未来永劫この四十年度の数字が援助額として続くというのではございませんで、もう御承知かと思いますけれども、弁明さしていただきたいと思います。援助額をきめました過程につきましては、これもこの前佐野先生でございましたか、細谷先生でございましたか、いろいろ詳しく御質問がございまして、申し上げましたとおりでございます。結果的には御提案申し上げておるような形になっておるわけでありますが、利子補給の額をきめましたのは、結局新産業都市の建設事業を行なっております関係府県につきましては、いずれも後進地域の公共事業費のかさ上げ立法が適用になりまして、相当額の援助額があれば別でございます。これにかりにかさ上げ立法を新たにつくりましても、差し引き計算になりますので、あまり実益がございません。そこでさらに数字からいいますと、先行投資的なものが多うございますので、低利の融資をしたほうがいいんじゃないか。そこで起債のワクを拡大をして利子補給するという形にしたわけでございます。その場合の根拠でございますけれども、頭を八分で切りましたのは、大体八分以上のものはあまりないという現実に立っての話でございます。それから下を三分五厘に切りましたのは、財政再建を行ないました場合の最下限の三分五厘でございます。大体三分五厘の融資といいますと、今日では非常に低利と考えられるものの最低でございますので、大体その線に合わした部分を利子補給をして、これに調子を合わしたということにもなるわけでございます。  それからかさ上げのものでございますが、かさ上げのものにつきましては二割五分をアッパー・リミットにしております。二割くらいの負担はあってもいいじゃないか。全然負担をしないということでもいかがなものであろうかと考えまして、そこでいろいろ折衝いたしました結果、これにはいろいろその前に若干あるんでございますけれども、それはさておきまして、いろいろ財政当局と話し合いました結果、二割五分をリミットにしよう、そして最高限八割ということに押えたわけでございます。
  89. 華山親義

    ○華山委員 私はこの法案は非常に重要性を持っておると思うのです。私はいいかげんなものではないかということを言いましたけれども、これは非常に重要性を持っている。これはどういうことかと申しますと、この母法から出てきたと思いますけれども、その母法では十九条、二十条に、ここに法文ございませんが、国は財政措置についてつとめなきゃならないと書いてある。それから起債の道を講じなければならないと書いてあるわけです。この法律によって、新産都市というものは財政負担は地方自治団体がやるんだ、そういうことを確立しちゃっているわけです。それに対して、国はある程度の援助をしようということなんです。それでいいかどうかということです。一体地域格差是正といい、いろいろな問題、この新産都市の法律の精神からいうならば、これは国がやらなくちゃいけない。本来国がやるべきものなんです。しかし、国がやってもある程度地方のほうも利益を受けるであろうから、地方のほうにもある程度の負担をさせようというならばこれは別だけれども、今度の法律は、財政負担は地方がやるんだ。それに対して国が何ぼかめんどう見てやるんだ。そういう基礎が確立したということについて、この法案というものは、私非常に重要なものを持っていると思うんです。  しかも、もう一つの問題は、前から私が言うんですけれども、国は借金をしないという原則を立てている。そしてこれを健全財政だと言っている。そのこと自体批判すべきことはないかもしれませんけれども、ところがほかのことにおいてもそういうことが顕著にあらわれるのでございますが、今度もまたこの大事業について借金はしろ、借金でやれ、こういうことなんです。こういうふうなことでいいものかどうか、私は疑問に思うのです。これは国家的大問題です。国家的大問題なら、国家が責任を負うのが当然であって、私は、本末転倒しておるのじゃないか、こういう気持ちがいたします。この点はいまお聞きしてもけっこうでございますが、私は自治大臣に聞きたいので答弁を保留しておきます。むしろ私はこの点については総理大臣にも聞きたいと思っておるのです。こういう問題は地方にまかせておいていいのか。たとえば国がこういうことをやっても、地方が、私のところはとてもそういうふうな借金を将来するということはできません、そういう金はございません、そういう話があってやれないと言った場合に、ああそうですかと言って国はほっておいていい問題なのかどうか、逆にいえばそういう問題だろうと思う。その点につきまして自治省としてはどういうお考えをお持ちですか。
  90. 柴田護

    柴田(護)政府委員 新産業都市の建設事業をどう考えるかというむずかしい問題でございます。私どもの答弁の範囲を越えておるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、新産業都市の建設事業というものはやはり国と地方と相協力して進めるべきものではなかろうかというように思っておるのでございまして、地方だけでやるべき筋でもございません。また国だけでやるべき筋合いでもないのじゃないか。そこで現行制度を基礎として事業を進めていきますならば、そこにやはり国が国としての財政的な援助なり配慮というものを行なうことによって、国としての関心の度合いを示し、育成に対する国としての立場を明確にするということではなかろうか、そういうことで何らかの援助措置が必要だということでこの措置考え、また折衝し、今日このようなかっこうになったわけでございます。国が仕事をやるということになれば、地方の場合は負担金ということになるわけでございます。地方に事業の主体性を置いて、地方の関係団体が中核になって仕事を進めていくという立場からいいますならば、やはり仕事の実施体としては、県なり市町村なり、そういった公共団体が中心になってその仕事を推進していく。これに対して国がこれをバックアップしていくというたてまえをとることが、新産業都市を建設していく上において一番効果的ではなかろうかというふうに思われるのでありまして、新産業都市建設促進法の構成におきましても、そのような姿がとられておると思うのであります。それに伴います財政でございますので、やはりこういう形をとらざるを得ないのではなかろうかと思うのでございます。  それから借金政策の問題でございます。ごもっともかと思います。しかしながら、一種の経常経費を借金でやるというようなことでございますれば、これは頭から問題にならぬわけでございますけれども、先行投資的なものでございますれば、ある程度起債というものを考えてもいいのじゃなかろうか。そういう意味でこれが絶対必要な第一次的なものだとは考えておりませんけれども、しかしながら、地方債の活用という部面に着目いたしますれば、こういう仕事について先行投資的な仕事をやります場合に、地方債をつけるということもこれまた必要な施策ではなかろうかというように考えておる次第でございます。しかし、事は膨大なものになりますし、また先行投資でございますので、相当期間寝るわけでございますから、利子補給という措置で援助をするという措置をとったわけでございます。
  91. 華山親義

    ○華山委員 新しい都市をつくるという計画なり実施なり、これを地方がやっていく、これは私はそうだと思うのですけれども、それを、財政負担の主体を自治体に置くというふうなことはおかしいのじゃないか。この発想自体が国なんでしょう。発想が国であったならば、その財政負担の主体は国でなければいけないのじゃないか。国の需要なんです。地方格差をなくすといい、所得格差をなくすといい、こういうふうなことは地方にまかしておいていい問題じゃない。私はここで議論になりますから、討論になりますからその程度にしておきますが、その点におきまして私はなお大臣の答弁を根本的に聞いてみたいと思っております。  それから、経済企画庁の方にお伺いいたしますが、この十三地区のうちで、いわゆる日本の所得倍増計画の中核をなすところの重化学工業におきましては、どの地区とどの地区が該当いたしますか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  92. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 十三地区の新産のうちで、石油コンビナートあるいは鉄鋼コンビナートを予定している地区は、当初の希望としてはかなりございましたが、基本計画、基本方針において、そういった石油コンビナート及び鉄鋼をやるというところは岡山と大分でございます。岡山は鉄の関係と石油コンビナートの関係、大分も同じように鉄と石油両方やります。それから、北海道の道央地区の苫小牧においても、直ちにというわけではございませんが、少し時間的な距離もあろうかと思いますが、一応計画の中に含めて考えております。
  93. 華山親義

    ○華山委員 石油コンビナート、それから鉄鋼コンビナート、そういうものを離れまして、日本の将来のこの工業の発展、そういうふうなものはいろいろな、ほかの十一地区において考えられますか。有望だとお思いになりますか。
  94. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 確かに鉄、石油というものが地方の大きな開発の推進力になることはもちろんだと思いますが、必ずしも地方の産業の発展していく実態というものは鉄と石油のみにたよっておるわけではございませんし、現在の国民経済の発展のむしろ推進力となっているのは、非常に機械工業の伸びに負うところがあろうかと思います。機械工業も、これは地方に分散していくといいましても、これまた一つの下請的な体制ができておりませんと、大規模な機械工業というものはなかなか、容易に起こし得ない点もございますけれども、いまの鉄、石油の問題を除けば、大きく取り上げられるのは機械工業であろうかと思うのです。そのほかにも地場産業、それぞれ各地方に特色のある地場産業がございますから、そういった地場産業を盛り上げていく、食料品加工もございましょうし、あるいは綿製品とかその他のもの、あるいは松本・諏訪地区のように精密機械工業的なものといったものを育てていくということ、また地場産業がある程度育っていけば、その次の段階として機械工業が進出していくということも期待できょうかと思います。これからの日本の経済の伸びを受け持つ分野というものは、非常にやはり多方面にわたろうかと思います。それぞれその地方の特色に応じた受け入れ方をして、その地方の産業を伸ばしていくということも一つの重要なポイントではないかというふうに考えております。
  95. 華山親義

    ○華山委員 石油コンビナート、鉄鋼コンビナート、そういうものであるならば、私は都市建設ということで、大事なものですから必要かと思いますけれども、そういうふうな機械工業、あるいはいろいろな軽工業的なもの、そういうことのためにやはり新産都市というふうな名前を冠してつくっていく、こういうふうなことが日本の将来の工業から見て、適切な、やらなければいけないことでございましょうか、伺いたい。
  96. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 地方の開発といいますか、産業を興して地方格差を縮めて、均衡のある発展を遂げていきたいということでございますが、地方の産業を興す場合に、単に工場がある程度集まる、作業場が集まるということでは、それはそれなりにいわば終わってしまうといいますか、みずからの力でだんだんその地帯が伸びていくという力がなかなか出てこない。むしろ、そこに生活の拠点としての都市機能がその産業に対応してでき上がっていくところに、都市産業との結びつきで大きなその地方の発展が期待できるといいますか、どんどん成長していく力が生じてくるというふうに考えるわけでございます。ですから、産業をある程度重点的にやっていく以上、同時にその産業に従事する人、あるいは産業が情報を得たり、あるいは産業に従事する人々の教育の問題、住宅の問題等もあわせ考えて、一つの広い意味での都市形成を考えながら産業を同時に育成していく、そういう形をとらないと、産業がある程度集まってもそれなりのことで、より以上の大きな発展なり、あるいはそこに根をはやしていくということが非常にむずかしいかと考えます。そういう意味では、やはり都市形成的なものもあわせてやっていくということが、特に後進地域においては必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  97. 華山親義

    ○華山委員 根本にさかのぼる問題でございますから、私この程度にとどめますけれども、朝鮮の問題についてお伺いしたい。韓国の問題についてお伺いしたいのでございますが、このごろ新聞を通して見ますと、日本は労働人口が足りない。韓国には教育の程度の商い労働力が多い。そういうふうなことから保税倉庫の問題、またいろいろの問題等において、企業界、実業界は朝鮮にそういうものを持っていこうというふうなことがしばしば論ぜられておる。こういうことについて経済局長はどうお考えになりますか。
  98. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 どうもただいま申しわけございませんが、開発局長でございますので、ちょっと所管的な面で違っておろうかと思うので、十分なお答えができないし、またその実態についての勉強も私自身十分にいたしておりませんので、ちょっと軽率にお答えするのもどうかと思いますので、差し控えさせていただきます。
  99. 華山親義

    ○華山委員 そういうふうなことがありますと、この産業都市に重大な影響がありますよ。コンビナートの問題、これはいいでしょう。しかし日本のコンビナートは小さ過ぎるということもありますけれども、数が多過ぎて、規模が小さ過ぎて競争上困難だという問題もありますけれども、コンビナートの問題は理解ができる。しかし繊維工業というようなもの、あるいは軽工業的なもの、それからきょうあたりの新聞を見ると、機械の下請、そういうふうなものを朝鮮の労働人口でやろうということが出ておる。そうしたいと言っておる。そうしたならば根本からくずれてくる。そういう面があるならば私は練り直さなければならぬと思うのです。私はここで申し上げたいことは、そういう政治論は言いたくはございませんけれども、先行投資倒れになるのではないかという心配なんです。先行投資倒れになるのではないか、先行投資倒れになるくらいだったならば、国が責任を持ったらいい。そんなことは、こうすると産業はどうなるだろうというようなことは、地方はわかりません。当然国が責任を持ってやる。そのために都市が発達して、その都市からある程度の財源が出るということであるならば、何らかのくふうをしてあとでその財源を国に返してもらったらいい。それからいろいろの点で政府が補償したらいい。先行投資倒れになって償還がむずかしいという場合には政府がこれに肩がわりするという程度の補償があるべきじゃないか、そうしなければ日本の将来の前途、十何年間の今後の経過、十何年後にどうなるかということがわからないときに、地方にこういうふうな負担をさせるということは、私は無理じゃないかと思うのです。大体地区的に考えてみましても、具体的な名前を言っては悪いのですけれども青森県の八戸市、あの辺に一体何が起きるのかということは非常に疑問だと思うのです。八戸市が一生懸命やっていることでございますからいけないとは言いませんけれども、これは非常に地方の指導を間違えるのではないか。そういうふうなこともございますので、先行投資で負債を生じた場合には、政府がかわって償還を持っていく、こういうふうなお考えは、地方自治を守る立場から自治省としてお考えになったことはございませんか。また今後お考えになる気持ちはございませんか。
  100. 柴田護

    柴田(護)政府委員 非常にむずかしい御質問でございます。私どもといたしましても新産業都市の建設というものについてその必要を感じ、むしろこれを推進するような立場に立っていままでやってきたわけでございます。八戸のお話が出ましたけれども、むしろ私ども考え方といたしましては、経済的に立ちおくれたところというものをほっておけば、これはそのままいつまでたっても発展をしない。むしろ経済的に立ちおくれたところを経済ベースに乗せて発展さすためには、やはり経済の自然にまかせませずに国が、あるいは地方公共団体が若干のてこ入れをしてやる、そして早く経済ベースに乗せる。ここに新産業都市建設の意味があるだろうと思う。そうすればお話しのありました八戸等につきましても、おことばを返すようで恐縮でございますけれども、やはりその基礎さえあれば対象になり得るのではないか、このように感じておるわけでございます。それでお考えの出発点は、やはり新産業都市というものは、国が直接やるのだというたてまえにお立ちになって御議論を進められております。その御議論に立ちますならば、お話しの御意見はよくわかるわけでございますけれども、私どもといたしましてはやはり都市づくりでございます。しかもその基本はやはり総合的なものでございますので、地方公共団体中心になってやるのが本筋じゃないか。地方自治というたてまえに立ちましてもそれが本筋である。そういたしますれば、事業としては共同事業でございますけれども、事業を行なっていきます実施の立場に立ちますれば、やはり地方公共団体というものを主体にして進めてまいりませんと仕事ができない。そこで、そのたてまえに立ちますと、財政的な負担の分かち合いということにつきましては、現行制度を基礎に置いて、その上で国がさらに力を入れるという形をとってまいらねばならぬのではないかということで、今日こういうようなことになっておるわけでございます。お話しのような危険性ということは確かに私どもも全然心配をいたしていないわけではございませんで、心配はいたしているわけでございます。しかし、そういう心配が現実化しないようにこの際は全力を尽くすべきである、かりにもさようなことのないようにいたしたい。したがって、御質問に対しましてお答えになっていないかもしれませんけれども、御質問になりますような事態というものは起こり得ないようにすることにまず万全を期する。したがって、そういう場合にどうするかということは、今日の段階では考えていないという、まことに失礼なお答えでございますけれども、そうならざるを得ないというふうにお答え申し上げる次第でございます。
  101. 華山親義

    ○華山委員 先行投資が失敗した場合には、それを政府が何らかの形で肩がわりしてやろうというお考えはないわけでございますね。もうそんなことはないだろう、そういうことはあってはいけないんだ、こういうことでございますね。——それではひとつ倉敷市の例について伺いますが、倉敷市は一体どういうわけでああいうふうになったのでございますか、その実態とその理由とをちょっと伺いたい。
  102. 柴田護

    柴田(護)政府委員 詳細な資料をちょっと持ち合わせておりませんけれども、倉敷市の場合におきましては、新産業都市建設計画ないしは新産業都市の具体的な事業計画ができます前に、倉敷市自身の立場におきまして、主として県と非常に連携があったわけでございますけれども、開発を独自な形で進めてきた。したがって、それが財政を無視した状態において行なわれ、それが財政に最も危険であります債務保証的な形をとってだんだんと深間に入っていった。それが逆にだんだん財政の首を締めるような形になっていって、今日ああいう状態になっておるというのが主たる原因でございます。その原因をたどりますと、やはりその間には国と、あるいは県と相互間の連携が実は十分でなくて、しかも財政的に配慮を欠いた財政の開発、地方財政の推進であった、そこに誤りがあったと思うのでございます。この前も佐野先生でございましたかから非常にるる御質問がございましたが、やはりこの新産業都市建設計画を進めていきます場合に一番大事なことは、やはり事業主体が相互に異なりますので、これをどのようにして調整をしていくかという問題が一つと、その事業を進めていきます場合に財政的な面からの配慮というものとの突き合いというものをどうしていくかというのが一つと、この二つは非常に大事なことだと思うのでございます。この二つの配慮が欠けておった。それが倉敷市が今日ああいう状態になっておる大きな原因であろうと思うのでございます。熱意は非常に買うのでございますけれども、結果的にはこの二つを欠いたためにそういう事態が起こってしまった。今後新産業都市建設計画がはっきりきまりまして、国もその立場において指導をし、地方もその立場において事業を進めていくということになってまいりますと、その辺のところは倉敷市のいままでの場合と違った形が出てくるであろう。また違った形において、これはそういう矛盾を起こしませんように事業を進めていくようにしなければならぬというように私ども考えておるわけでございます。倉敷市の場合は、この計画が具体的に軌道に乗ります前に起こった原因がある問題でございます。そういうことは今後の新産業都市建設計画を進めるにあたりましては、むしろ他山の石として、そういうことの起こらないように、政府も各地方公共団体も十分戒心してまいらねばならぬ、こういう問題でなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  103. 華山親義

    ○華山委員 とにかく水島地区は新しい産業都市といいますか、新産業産業地区として発展をしてきた。それから四日市にいたしましてもそれだけの工業都市として発展をしてきた。新しい都市としましてはこの二つでしょう。この二つがいずれも赤字を出して困っておる。ここに先行投資の問題が間違えたのではないか、私はそういう問題があるのではないかと思う。いたずらに四日市市を責めたり、倉敷市を責めるわけにいかないのではないかと思う。必然的にきたところのものなんじゃないのか。私は今度のこういうふうなことによってやりましても、どうしてもそういう問題が起きると思う。私が申し上げることが間違えているかどうか。間違えておればあとで訂正していただきたいのでございますけれども、水島地区の工業用水道を岡山県がやっておりますね。これは毎年二億円の赤字を出しておる。そういう状態なんです。それから四日市市の三重県はどうなっておるかわかりませんけれども、全部先行投資で出てきた負担なんです。だからといって岡山県が赤字の出ないような水道をつくろうといったってつくる費用がない。工業用水というものは初めから細々としておいて、だんだん太くするというわけにいきませんからね。初めからある程度のものであれば、ある程度つくらなければいけないでしょう。調整をしながら先行投資にならないようにするなんということは、これは口だけで言えるので、実際そんなことはできないでしょう。道路だって負担金がある。ここに道路をつくるといった場合に、計画が違ったから、もうこれで来るはずの工場はだんだん来なくなったからやめよう、そんなわけにいかぬでしょう。やったらそれだけむだになって、先行投資になる。先行投資がないようにするなどということは、これはできませんよ。先行投資の本質なんですから。きまってしまってから来るならいいのだけれども、つくっておいて来るようにするという以上は、どうしたって先行投資の性格上赤字が出ます。それは社会主義の経済政策でもとって、これだけのものは行くのだということをきめてかかるならば別なんです。極端な自由主義、資本主義のやり方で、工場が行くのもかってだというところで先行投資が出るのはあたりまえだと思うのです。ですから私は、先行投資によって生じた地方の負担は、国が負担をしなければいけない、しかもこれは国が認めてやるのでしょう。国が計画を認可をしてやるのでしょう。国の計画によってやるのですから。私はそういうふうに思います。この点、経済企画庁からもひとつ御意見を承っておきたい。
  104. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 先生もおっしゃいますように、地方の開発のためには先行投資が一つの大きな推進力になろうかと思うのです。先行投資ということの形をとらないで、常にあとからしりぬぐいのような形で公共施設なり土地造成をやっていくという形はなかなかとれない。常に先行投資というものが推進力になって開発が行なわれる。先行投資が地方開発のすべてではないと思うのですが、一番大きな推進力であろうかと思うのです。ただこの計画は、全体としてかなり大きなものでございまして、もちろん今後十二年間の総量を概算したものでございますから、計画それ自体はかなり大きなものでございますが、これを実際に遂行していく場合には、これは先日の委員会でも申し上げて、なかなかそうはうまくいかないだろうというような御批判もございましたけれども、やはり地元のほうと中央との常に連携を保ちながら、あるいはまた中央においても道路と港湾とが食い違っても困りますから、各省の関係もみな連携をとりながら、十分連絡の会議を開き、地方からも状況を刻々御説明を聞きながら、あるいは問題があればそういった問題について御相談をいたしながら進んでいきたいと思っております。その点で、先行投資は先行投資であっても、それは個々の事業につきますと、確かに先行投資のはね返りがすぐ即座に翌年度はね返るというものばかりではございませんし、二、三年たち、あるいは四、五年たたないと、その効果が財政面までにはね返ってくるということは、必ずしもすべての事業に期待できない。かなりの時間を要することは確かだと思いますが、ただ過渡的に、それが一つのその地方においてある程度の負担になり、あるいは財政的に苦しい立場に追い込まれることがあっても、これがその地方のそれに伴っての産業が続いてずっと起こってくるという一つの見通しがあり、またそういう状態になっていけば、その借金というものは十分返し得る能力を、その新産業都市は持ち得る。また、そういう国全体から見て、条件の比較的整った有望な地域を新産都市として指定し、こういう計画を立てて、それを推進していくということでございますから、その過渡的な間において若干地方財政が苦しい思いをするということも、ある程度はやむを得ないかと思います。ただし国のほうからもできるだけの御援助をするということで、自治省のほうでたいへんお骨折り願って、財政援助の関係の制度をつくっていただいたわけでございますけれども、その間若干の出入りがあったり何かするかと思いますが、長期に見て十分その地方としては育ち得るように、また長期に見て苦しむことのないような形でわれわれも御相談してやっていく、またやっていけるというふうに考えております。またそれだけの力を持った地方を指定もしておるというふうに考えておる次第でございます。
  105. 華山親義

    ○華山委員 時間がありませんからこれだけにとどめますけれども、私は、あなたのおっしゃるとおりにいけばいいのです。しばらくの間貧乏の時代があってもしかたがないんじゃないか、こういうふうに言われる。何も仕事をしないでじっとしておる、そのうちには金が入ってくるだろうと言われる。それはいいですよ、個人ならば。団体はそうはいきません。またその住民は、どんなに貧乏したって、学校が建てられない、そんなわけにいかぬでしょう。私はそういう事態になった場合に、先行投資の結果、計画どおりにうまくいかなかった場合に、国がどういうめんどうを見るか、その成算があるかということをお聞きしているのです。われわれの生活みたいにはいきませんよ。いま貧乏でもあとでよくなるんだから、お前らがまんしておれと、子供には言うかもしれませんけれども、実際問題としてそんなことはだめなんです。私はそういうような窮乏の状態に落ちたときに、いわんや今度のあなたの言う倉敷市と違って、国が許可をし認可をし承認をしてやる仕事なんだ。しかも、なおかつ貧乏した場合に、国がおれは知らぬとは言えないのじゃないか。そういうふうな事態に立ち至った場合には、国は何らかの方法で救済方法を講ずべきではないか、こういうことを私は言っているわけなんです。そういう点におきまして、第一にはこの法律というものは、仕事をする面は別といたしまして財政負担を原則として地方団体に持たせた点、それから地方団体は借金をしてもいいのだという借金政策、それからいざ非常に困ったような場合に、住民が困ってくるような場合にでも、何ら救済策はとられていないという三つの点で、私はこの法律には非常に疑問を持ちますし、政府の反省をお願いいたします。御感想でもありましたら承りたいと思います。
  106. 柴田護

    柴田(護)政府委員 前の二点につきましては先ほど来お答え申し上げましたとおりでございます。先行投資が失敗をして非常に地方団体が困るような状態になった場合にどうするかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、先ほど来申し上げましたように、さような事態の起こらないように全力を尽くすつもりでございますけれども、かりそめにもさような事態が起こりましたときにおきましては、それはその時点におきまして、国としてはしかるべき措置を講じてやるのがあたりまえだというふうに考えております。その時点におきまして、どういう措置を講ずるかということを、具体的に考えるべきものだというふうに考えております。
  107. 華山親義

    ○華山委員 そのときに地方交付税でめんどうを見るというようなことはしないでしょうね。困るときには何でも地方交付税にしりを持ってくるんだけれども……。
  108. 柴田護

    柴田(護)政府委員 地方交付税は、本質は別でございます。また地方交付税ですべてまかないますならば、かような法律は御提案いたさないわけでございます。
  109. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十九分散会