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舘林(宣)
政府委員 東京都の水は、
都民のかなり大きな部分を占めておる水は、小河内ダムを
中心とする貯水池系の水系でございます。江東方面は川から水をとっておりまして、これは昨年の
渇水期におきましても、相当
程度補給でき、むしろダム系統へそちらから水を援助したという
状況でございまして、かなりな
渇水期でも、江東方面は
水不足ということはそれほどひどいものにはならないということでございます。問題はダム系統の水系、新宿系統でございますけれ
ども、山手のかなりの広範な地域を
給水しておる
地帯でございます。この地域の川はそう大きな川でございません。御
承知のように、多摩川の上流でございまして、したがって、貯水池に水をためておきませんと、
水不足のときには間に合わないという
現状でございます。その貯水池の水が、満水時には二億トンたまる水がめの容量でございますが、それに対しまして、けさ現在、二千九百八十万トンしかたまっておりません。この
水量は昨年同期に比べて約手五百万トン少ないわけでございます。したがいまして、昨年のような
渇水があれば、昨年以上に困りはしないかということを私
どもは憂慮いたしまして、
東京都を呼んで
実情を聞いたわけでございます。
そこで、昨年より有利な点は何かと申しますと、昨年のあの
水不足以後におきまして、利根川から水をとる工事を進めておったわけであります。その工事がだんだん進んでまいりまして、荒川から一日量約百万トンの水を吸い上げるポンプを据えつけまして、そのポンプは朝霞の浄水場にございますが、その朝霞から東村山の小河内ダムの系統の浄水場に水を持っていって、あの系統を補給するということができることになったわけであります。問題は、日量百万トンの水がとれるかどうかという問題でございます。実はここにやや狂いがございまして、貯水池の水が減ってしまったわけでございますが、この利根川の水を完全に毎日百万トンとるためには、利根川に常時それだけの
水量がない場合がございますので、利根川の上流へダムをつくろうという工事をやっております。この工事はことしは間に合いませんで、来年以降間に合うわけでございます。このダムの名前は、
一つが矢木沢ダムといいまして、これが
昭和四十二年三月に完成いたします。いま
一つは下久保ダム、これが四十三年三月に完成いたします。したがって、それまではためた水がとれませんので、
水量の多いときだけ利根川から水がとれるわけでございます。先ほど荒川から水をとると申しましたが、荒川へ利根川から用水路で水を補給いたしまして、その用水路から荒川へ水を落として荒川の
水量を増してそこから水をとる、こういうことであります。
問題は、利根川の水がどの
程度このダムができる前にとれる期間があるか。このとれる期間はかんがい用水の
関係がございまして、栗橋の地点で毎秒二百トン以上の水が流れなければ、ダムができるまではとってはならない、こういう約束がございます。そこでこの毎秒二百トン以上の水がいつできるかという予測をいたしておったわけでございますが、これが十日ほど狂ったのでございます。なぜ狂ったかと申しますと、雪解けが非常におくれたわけでございます。雪の星は、利根川の上流は目下二メートル半の積雪がございまして、水に換算いたしまして五億トンと見積もられるわけでございます。この五億トンを内輪に見積もって、二億五千万トンが利根川に流れ込んでくる、こういう計算をいたしまして、これが大体今月の初めごろには雪解けが始まるであろうと予測をいたしておったわけでございますが、始まったのはようやくおとといでございます。おとといからようやく取水を始めております。したがって、その狂いで貯水池の水に食い込んでしまった、こういうことでございます。この雪解け水が、かんがい水の間でも大量に雪が解けてまいりますので、栗橋のところで毎秒二百トンをこえるであろう、一月間ぐらいは水をとれるという予測をいたしております。その間にかんがいが済んでしまえば、これはかなり大量利根川からの水を、かりにダムがなくてもとれるであろう。関東の平地に雨が降らなくても、山地に降ってくれればその水が入るということで、昨年の
渇水期に比べればはるかに有利になっているわけでございます。その点で、昨年よりは今日はかなり食い込んでおりますけれ
ども、ことしの夏は制限しないで乗り切れるであろう、こういう予測を目下
東京都が立てておるわけでございまして、その場合の雨の量の推計は、過去の
水道の記録始まって以来最悪の雨の降らなかった年の
平均値で見積もって、なおかつ制限をしないで乗り切れるであろう、かような推計でございます。目下のところでは、最低二千万トンを切るようなことがなく乗り切れる見込みを立てております。