○安井委員 もう時間がおそくなりましたから、
一つだけ伺って終わりたいと思います。
港湾労働と
暴力団の
関係、さらに、いまは建設業と
暴力団との
関係、そういう形で問題が取り上げられました。先日は
興行界やあるいは芸能人と
暴力団との
関係、そういうようないろいろな角度からこれまで扱ってきたわけでありますが、きょうのように
港湾、建設業の
関係ということになると、
暴力団の動きからの側面と、もう
一つは、労使
関係の問題と、この二通りに分けて
考えることができるのではないかと思います。
暴力団との
関係から言いますと、特に
港湾労働というのは、沿革的にもそういうふうな傾向を持っていたわけでありますし、最近
興行界における
暴力団の
取り締まりが相当強くなったものですから、再びもとの古巣の海湾
関係に戻る、そういうような傾向もできて今日問題があらわれているのだろうと思います。ことに
神戸港の問題で、社会党の市
会議員が
神戸の市議会で問題を取り上げたのが
一つの契機になって
新聞キャンペーンも始まっている、こういうふうなことだろうと思います。そしてまた、
銃砲刀剣の問題をいま私
ども論議している際にも、ただそれだけを取り締まっただけでは
暴力団の問題が片づくわけではないので、やはりその資金源だとか、そういう社会の寄生虫のような存在が出ないような、そういう全体的な仕組みをつくり上げていく、そういう
考え方からこの法案と
暴力団との
関係について、
警察の立場でも一そう関心を持って処理していただかなくてはならないと思うわけでありますが、他面、
港湾における労使
関係の非近代性、こういう点は、たとえば賃金の
ピンはねや強制
労働、未成年者の深夜
労働、言うことを聞かない人に対する暴行、傷害、そういうような
事件で現実にあらわれているわけですし、さらにまた、
やみ手配師ですか、私立の
職業安定所のような形で、半ば公然と行なわれている事実もはっきり出ているわけです。先ほどの
細谷委員の
質問で尽きておりますから私は多くを申しませんが、
労働基準法の第六条の「何人も、
法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」さらに、
職業安定法第四十四条の「何人も、第四十五条に規定する場合を除く外、
労働者供給事業を行い、又はその
労働者供給事業を行う者から供給される
労働者を使用してはならない。」こういう明らかな規定があるにもかかわらず、
やみ手配師というものが現存しているようです。国や地方公共団体の管理下にある
港湾の中で、現にそういうふうな事態があるわけです。それがそのままに許されてきているという点に私は問題があると思うのです。この問題については、きのうも
社会労働委員会を
港湾労働法案が一応通って、きょうの本
会議で衆議院は通過するわけでありますが、それができたら問題が解決するのだ、そういうふうな
お話でありますが、しかし、これは先ほどの
細谷委員の
質問にも
お答えがあったように、公布されてから二年以内に施行される、こういうことのようですね。私はいままでいろいろ
法律を見ておりますけれ
ども、二年間も暫定的な経過期間を置くというふうな
法律というものはあまり知りません。どうも何か外部からの圧力でそういうふうな準備期間を長期に置かざるを得なかったんではないか、そういうふうな印象を受けるわけであります。
そこで、私
労働省とそれから
運輸省にこの点だけを最後に伺っておきたいと思っております。つまり、暫定期間はできるだけ短くして、施行期日を繰り上げていただく
努力をしていただきたいということ、そして、それまでの段階でも登録制をぜひきびしくしてもらいたい。未登録者は絶対に使っちゃいけないという
法律が効力を発生すれば、これは当然のことでありますが、それまで二年間も時間があるのですから、そしてその二年の問にいわゆる
暴力団とのつながりや何かがずっと続いていくわけですから、そういうような段階の中からぜひ未登録者をいまの段階から皆無にする
努力をひとつ積極的にすべきだということが
一つと、それからもう
一つは、これは建設の場合に華山さんが例をあげられましたけれ
ども、
港湾の場合も従業員に対する福利厚生施設というのがきわめて貧弱なようです。休む場もろくすっぽない、こういうふうな事態がありますので、
労働関係の
近代化の前提としても、福利厚生施設を完全に整備させるような、そういう
努力を、これは
運輸省並びに
労働省において進めるべきだ、この点であります。登録制の促進の問題と、福利停止施設の促進、この二つだけを特に私は強調したいのですが、その点の
お答えをひとついただきたいと思います。