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1965-04-06 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年四月六日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    亀岡 高夫君       島村 一郎君    武市 恭信君       村山 達雄君    森下 元晴君       森田重次郎君    山崎  巖君       井岡 大治君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君       吉田 賢一君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君  委員外出席者         参  考  人         (日本映画俳優         協会常任理事) 小林 桂樹君         参  考  人         (日本プロレス         興業株式会社社         長)      定野 道春君         参  考  人         (日本音楽事業         者協会理事長) 永野 恒男君         参  考  人         (日本映画俳優         協会常任理事) 二谷 英明君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月六日  委員瀬戸山三男君辞任につき、その補欠として  竹山祐太郎君が議長の指名で委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案について参考人として日本映画俳優協会常任理事小林桂樹君、同じく二谷英明君、日本プロレス興業株式会社社長野道春君、及び日本音楽事業者協会理事長永野恒男君が出席されております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人方々には御多用中のところ、当委員会法律案審査のため御出席をいただき、まことにありがとうございます。暴力団取り締まりについて、警察庁当局は、昨年来、その取り締まりを強化してまいっておりますが、今回政府は、暴力団その他による銃砲刀剣類不法所持及び使用実情にかんがみ、拳銃等の輸入について新たに規制を設けるほか、銃砲刀剣類譲渡等の取り扱いに関する規制強化等をおもな内容とする改正案を提案し、その取り締まりについて一そうの推進をいたしております。このような当局暴力団取り締まりに対し、地方公共団体においては、暴力団関係のある興行について、公共施設使用拒否、また日本映画俳優協会等団体においては、暴力団との結びつきについて絶縁声明を出す等、暴力団追放について積極的な反応を示しておられます。本日は、参考人方々から、芸能界銃砲刀剣類取り締まりとの関連、また芸能界等暴力団との結びつき排除について、それぞれの立場から忌憚のない御意見を述べていただき、その実情を知るとともに、本案審査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ約十五分程度に取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対しお答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは、二谷参考人、定野参考人及び永野参考人の順序でお願いいたします。初めに二谷参考人
  3. 二谷英明

    二谷参考人 映画俳優協会二谷でございます。  きょうは銃砲刀剣類等所持取締法改正についての委員会でございますが、この法律自身については私は全然門外漢でございますし、それについての意見を述べるわけにもまいりませんので、いままで映画俳優協会暴力団追放運動に関してとってまいりました行動、声明、その他一般的に、映画俳優というものについての皆さん認識を少し改めていただければと思いまして今日参りました次第でございます。  まず、映画俳優協会としましては、二、三の映画俳優の方がピストルなどの密輸の容疑で問題になりまして、さらに二月十八日には石原裕次郎さんのお宅が家宅捜索された事件がございまして、そういうところから急に二月二十二日映画俳優協会とそれから俳優団体団体でもって結成しております俳団連、俳優団体連絡会名前暴力追放運動に参加する声明書を発表しまして、全映画俳優に、俳優協会代表理事池部良名前でもって呼びかけまして、みんな一緒にやっていこうということを声明したわけでございます。そのあと三月四日に芸術議員連盟方々話し合いをいたしまして、やはりその問題について意見を交換し、芸術議員連盟名前芸能界暴力団というものに関しまして声明を発表していただきました。それからさらに三月二十五日には映画製作者連盟話し合いをいたしまして、今後映画製作の上において、そういうつながりをどう処理していくかということを話し合ったわけでございます。これが大体いままでの経過でございますが、これは二月二十二日の記者会見のときにも申し上げましたことですが、俳優暴力組織つながり、特に私の申し上げますのは映画俳優の場合でございます。これは直接なつながりというものが最初からあったわけではなくて、たとえばロケーションなどに参りました場合に、その土地土地の顔役の方とか、そういったところの製作会社製作面における結びつきがありまして、それが映画俳優接触をするまず第一歩となるというふうなぐあいに、直接的なつながりというものは最初からございませんで、そういった関係接触を保つようになり、それが個人的な交友にまで発展するかしないかというのは、これは個人の意識の問題でございまして、この点においてわれわれ映画俳優としては、はっきりしなければいけないところがあるのじゃないかと思います。  それからここに、参考までに申し上げるのですが、先だって京都のある新聞で「いいたい放談」という題名でもって、ある有名な方々大学教授とか評論家方々座談会をいたしました。その座談会記事の中にたいへん映画俳優としては、あるいは芸能界一般としては、見のがすことのできない記事がございまして、その点に関しまして、映画俳優協会京都支部のほうで反論のために、いま盛んに新聞社相手運動を行なっているわけでございます。この内容をちょっと申し上げると、いま皆さんが持っていらっしゃる芸能人に対する認識のしかたといいますか、そういうものがおわかりになりやすいのじゃないかと思いますので、抜き書きだけを読ましていただきます。これは座談会の形式でございまして、たとえば「日本芸人のなかには、芸でしか身が立たないという人がいるからね。だから極端にいえば、芸人暴力団も似たようなものだ。芸がなければ暴力団になるか、暴力団の中で芸のじょうずな者が芸人になるかどっちかだ。」「それはひどいが、相撲取りも、相撲を取るよりしょうがないね。ほかのことやらしてもなにもできない。」「これもラチ外者だな。」あるいは「だいたい芸能人河原者時代からラチ外者だろう。これが暴力団ラチ外者同士で結びついて、お互いに利益を与え、利益を受けるという関係にあった。」——これが問題になった点でございます。そのほかに、なるほどもっともだというような点もございますが、こういう芸能界に対する認識のしかた、見られ方というものは、私たちにとってはたいへん心外だと思うところでございます。  こういうふうに、たとえば映画活動写真時代から発生しまして、発生段階においていろいろそういった、いまここに読み上げましたような考え方をせざるを得なかった時代もございましたが、いまではたいへん映画の産業というものも近代化せざるを得なくなりまして、労働時間にしろ、労働条件にしろ、いろんな点で一般サラリーマンとほとんど変わりがない。多少お金はたくさんいただくかもしれませんが、生活においては普通のサラリーマンと変わりがないというところまでなってきております。そういう点で、この暴力団の問題を取り上げていただいて、いろいろやっていただく際にも俳優というものが昔のいわゆる活動写真時代と、近代的な映画づくり方法に変わってきたいまの時代とでは、俳優自体意識生活もたいへん変わってきている、変化してきているという変化について、心にとめていただきたい、こういうふうに思います。  最初に私の申し上げたいのは、いままでの経過と、いまの映画俳優立場というものを申し上げたわけでございますが、あと質問がございましたら小林桂樹さんにでも私にでも申しつけていただきたいと思います。
  4. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、定野参考人お願いいたします。
  5. 定野道春

    ○定野参考人 定野道春です。  最初に、銃砲のことは、ちょっと自分たちはあまり関係がないと言ったら失礼ですけれども、控えさしていただいて、興行のことを二、三説明したいと思います。  最初に、山口組の田岡一雄という人が協会の副会長で、町井、平野両氏会社監査役だったわけなんです。いままでに、暴力追放運動がもう二年ぐらい早くされていたら、こういうことはなくて済んだのでありますけれども、何しろ二年くらい前はそういうわけにもいかなかったので、お願いした形もあるのですけれども会社内と協会内におったわけなんです。そして暴力追放運動が高まってくる前から、もう自分たちは、こういうことではいけないから、田岡会長にはおりてもらおう、そういう運動をしていたわけです。ちょうどそのころ、それから一週間くらいあと暴力追放のことが毎日新聞でも載ってきたようなわけでありますが、はっきり言い切れることは、自分たちはいま暴力とは一切関係がない、これはもう絶対間違いないのですけれども、そういう強い暴力組織人たちとそんなに簡単に手が切れるかといわれてまだ誤解をされているところがたくさんあるわけです。だけれども自分たちはそういうことは一切ないのでありまして、警視庁捜査四課の人がものすごく力をかしてくれますので、その人たちの御指導を仰ぎ、それからまた警察庁捜査二課長さんのところまでみな行って説明をして、協会内、会社内をきれいにしてもらうことができました。  そしていま自分たちが一番困っていることは、地方興行施設なんかを借りにいく場合に、暴力団とは手を切ったけれども、証明になるものが何もない。だから一つ体育館を借りるにしても、三十日から四十日かかる。暴力団から手を切って、きれいに立ち上がった自分たちでありますけれども暴力団以上の壁がそこにあるわけです。それで一つ体育館を借りるのに、大体早くて一週間、おそくて四十日かかるようなわけで、いま自分たち暴力団以上の壁に当たっておるわけなんです。だから、自分たちはまだ暴力団関係があるんじゃないかと思われているような節がたくさんありますので、その誤解を解くのがいま一番大事な仕事になっておるわけです。だから、何かお墨つきのようなものをいただけたら、もうこれが一番いいんじゃないか、みなでお願いに上がろうという話にまで進んでおるわけです。  あと暴力団との関係の話ばかりになりましたけれども自分の話としてはそれ以外に説明のしようがあまりないのです。ただ暴力団の話だけですが、質問をされたらそれに答えることはたくさんあるのですけれども、これはお願いになってしまうものですから、自分のほうからはこのくらいしかありません。
  6. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、永野参考人お願いいたします。
  7. 永野恒男

    永野参考人 今回の暴力追放キャンペーンにからんで、芸能界組織暴力関係が大きくクローズアップされてきておりますけれども、その内容を見ますと、個々の現象に影響されまして、本末を転倒した憶測とか論理が非常にジャーナリズムの紙上をにぎわしているように感じられます。もっとも興行界と申しましても、実際上私どもが知っておりますのは音楽興行、主としてポピュラー歌謡曲、そういった世界についてでありますけれども映画界はもちろん、プロレス、ボクシングあるいは相撲サーカス——ここにもいらしていらっしゃいますけれども、その世界とは若干性格を異にしておりますので、私がこれから興行ということばお話しさしていただきますことは、主として音楽世界、それもクラシックではない世界、そのようにお聞きいただきたいと存じます。  興行界組織暴力つながりというようなことになりますと、徳川時代小屋がけ芝居とか相撲、そういったことにまでさかのぼってしまうのは御承知のとおりでございます。当時、先ほどお話がございましたけれども川原こじきとさげすまれまして賤民扱いにされていた彼らが、一種自衛本能と申しますか、そういう形でこういう存在と結びついたというふうに私ども聞いております。もちろん現在の興行界は、社会構造複雑化に従いまして、興行界それ自体ももっと複雑な形をとってきております。こまかくはまた御質問によりまして申し上げいたと存じますけれども、一口に申しまして、歌手歌手を代表するマネージャー、あるいはプロダクション、このプロダクション契約を結ぶ第一の中間業者、第一の中間業者契約を結ぶ第二の中間業者、さらに第三、第四と一般的にございます。歌手と聴衆の間に大体最短距離にいたしまして二つくらいの中間業者が介在しておるのが現状でございます。しかし、これらの業者は、現在、興行界流通構造においては、確かにそれぞれがその存在理由を現実に持ってきている現状でございます。このような構造複雑化につれまして、彼らが現在のような形で存在している余地が発生したというようにいってもいいのではないか、そのように考えております。  しかし、このような、彼らがここに入ってきている現状につきまして、一部ジャーナリズムでは、私ども業者が、あるいはタレント自体が、積極的に彼らをわれわれの世界に呼び込んでいる、そのような見方が一般にされているようでありますけれども、実際にはそういったことは全くない。暴力を利用してこの商売を伸ばしていこうというようなことは、実際に私どもの業界では全くございません。もちろん中にはピストルを持っていたといってつかまった歌い手もおりますけれども、こういう不心得な存在というものはどういう世界にもございます。作家でもつかまっている人があるように聞いております。だからといって、文壇がギャングとつながりがある、そのように考える人はだれもないと思いますけれども、同様に、私どもこういう芸能界において、たまたまそういう人間がおったからと申しまして、それを全体として律せられては非常に迷惑しごく、そのように考えます。  具体的にお話を申し上げたほうがいいと思いますけれども、あまり具体的に申し上げると、またそこから誤解が生まれてくるということを非常におそれまして、実際具体的なお話というのはいままで申し上げる機会もあまりなかったのでございますけれども、現実問題といたしまして、プロダクション存在している場所は、ほとんど東京に集中していると見て差しつかえないと思います。私ども事業者協会にいたしましても、各レコード会社はじめ主要プロダクション二十七社が加盟しておりますけれども、これら二十七社が取引している興行師と申しますか、こういう存在は大体概数五十社前後ではないかと思っております。この五十社前後のうち、実際に今回のこのような組織暴力といった対象になるところを見ますと一割幾ら、多く見ても二割以内ではないかというふうに考えます。これは私ども彼らの暴力組織としての面でつき合うことはもちろんあるわけでございませんので、これは私どもよりも当局のほうが御存じかと思いますけれども、私ども常識から言っても一割前後がせいぜいじゃないか、かように考えております。しかし、実際に問題でございますのは、この一割前後の、量は少ないわけでございますが、これらのものが事実非常にいろいろな性格を含んでおります。ある面、ある角度からだけこの性格を申し上げます。  私ども業者にとりまして、第一に彼らは比較的高い取引額取引をするという性格を持っております。後ほどまた御説明する機会もあるかと存じますが、普通の、そういう暴力関係のない中間業者と比べて、非常に高い値段を払う、そういう特徴一つございます。  それから第二に、金の支払いが非常に確実であるということでございます。物の売買でございますれば、売買の済んだあと金授受が行なわれなくても、その品物自体がそこに存在するわけでございますが、興行という、あるいは歌という無形世界におきましては、終わってしまえば実際何もないのでございます。そういった意味で金の授受というのは非常にむずかしい性格を持っております。そういった点で彼らは確実に金を払う。  第三に、仕事の絶対量が非常に多いということであります。絶対量と申しますのは、これも興行界一つ特徴でございますけれども、この灰皿ならば、かりにこれを札幌へ売り飛ばしても文句が出ないと思うのです。しかしこれが人間であった場合に、非常に無理な状態を押して札幌へ一日だけ仕事に行くということは、問題が出てくる場合が非常に多うございます。そのような場合に、彼らの場合には札幌へ行って仕事をするということに関連して、そこに一週間なり十日の一つの合理的な日程を組むことができる。そういう意味での仕事の絶対量が非常に多い。  第四に必ずしも第一線でない歌い手、いわばかつてのスターで、現在二線、三線に後退している人たち仕事も、彼らは確実にこなしていく。  第五に他の、いわば悪徳業者と申しますか、これはプロダクション立場から見ての意味でございます。そういう悪徳業者から完全にビジネスを守っていく。そういった特徴を共通して持っているようでございます。  現在のように音楽興行が多くなりましたのは終戦後でございまして、当時あの混乱期に彼らを興行世界になだれ込ましてしまった、そのように私どもは振り返って見ております。いわゆるチンピラ、ぐれん隊、当時のこれを押える警察力の不足と申しますか、そのためにいろいろな事件が、地方ばかりでなく、東京大阪など大都市でも当事数多く起こりました。いまから二十年から十五年前のころでございます。もちろんいわゆるなぐるとか切るとか殺すとか、そういう暴力そのものもございましたけれども、非常に逆な例が一つございますので、御参考までに御披露したいと思います。  昭和二十五年だったと思いますが、大阪の通称大劇と申します劇場——これはいまでもございますが、東京で言えば日劇、あるいは国際劇場といったポピュラー音楽世界を中心の劇場でございます。この大阪劇場歌謡ショーを催したことがございます。それまでその仕事に関連いたしまして、暴力団との問題が未解決のままにそのショーが開かれたわけであります。そういたしましたら、開演中に歌い手が歌っておる客席の前で、彼らが将棋をさしたり、じゃんけんをしたり何かを始めたわけであります。将棋をさしたり、じゃんけんをするということは、それ自体暴力行為ではもちろんございませんし、また劇場の中でそれをやったからといって、その場に居合わせた警官がつまみ出すことはできないのではないかと思います。  しかし、興行界特殊性ということばがよく使われますが、これはもちろん事業的に見ますと、不特定多数の人間特定の時間、場所に集めるというきわめて不確かな仕事、そういった一種のスペキュレーションと言いますか、そういう意味での特殊性があります。また一面商品自体人間である。しかもその商品価値を発生せしめておるものは、その人間が歌う歌という、要するに無形なものであるということが、この特殊性を大きく形づくっておるのではないかと思います。この人の歌う歌というものは、そのときの体のコンディションあるいは精神状態の充実、そういった意味での非常に影響を受けます。精神が乗らなければ、その歌われた歌唱商品価値を発生してこないということも言えると思うのであります。実際にお客さんが、感動もしない歌を聞いて金を払う人はいないと思うのであります。しかし実際問題として、そのような自分が歌っておる前で将棋をさされたりすると、そういった商品価値を発生せしめるような歌唱ができるだろうかということをわれわれは考えざるを得ないわけであります。  これは事実あったことでございますが、この事件につきましてさらに申し上げますと、じゃ、これは暴力団とどいうふうな関係で処理されたかということでございますが、普通常識的に考えれば、その場合に、次にそこで仕事をする場合には、そのマネージャーはそういったいやがらせをした暴力団つながりを持って、合理的に仕事をするというのが常識でございますが、実際にはそうでなかったのであります。と申しますのは、翌日同じようなことをした連中を要するに腕力でつまみ出してしまったより強い暴力団存在しておったわけであります。そういたしますと、当面、そのときに、歌手にしても、あるいはマネージャーにしても、そういったことを処理してくれる人間というものは、ごく自然な形で身近な存在に変わってきてしまうということも、実情としては私は当然ではないかと思うのであります。そういったつき合いから、次にそこの仕事というものが、いやがらせをした暴力団ではなく、そういう方法で処理してしまった暴力団という形へ転化してしまったわけであります。  これは一例でございますが、そういった過程を経て今日に至ったわけでございますが、実際に今日存在しておるごく一部の暴力団興行者としての実体というものは、こういった過程を経て実際に淘汰され、先ほど申しましたような大体五つくらいの目ぼしい特徴的な条件を持っておるものだけがその中に残っておるというのが実情でございます。  しかしこれは先ほども申し上げましたように、あくまでも私ども業者が直接取引をしております五十数社の興行師の中の、一割程度を占める暴力団関係があるとおぼしき業者についてのお話でございます。さらにその業者から地方に転売されていくところの業者については、別の問題でございます。これは私どもここで現在御説明申し上げるまでの材料を持っておりません。実際には知らないのであります。  次に、そういった概括的な前提に立ちまして、今回の警察当局方針と、これに対し私どもが表明した態度について御説明させていただきたいと思います。  私ども協会内の組織に従いまして、理事会興行部会といったものを合併して、この問題をテーマとしてさっそくに三月でございますか開いたのでございます。ほかの芸能界の諸団体が直ちに声明をお出しになったりなどしたのに対しまして、私ども事業者協会が、そういう表明の打ち出しが若干おくれたということに一部では批判もされたようでございます。そういった私ども協会流通構造の中に彼らが占めているという意味において、いろいろ検討しなければならない問題がたくさんあったわけでございます。しかし、結論といたしましては、今後われわれの事業を、取り締まり方針精神を尊重して行なうことを全会員に通達いたしますと同時に、先に申し上げましたそういう興行師、直接取引関係先に対しても、その趣旨を一応文書にして全部出しまして、まずわれわれ自身のえりを正して出発したいという態度を結論づけたわけでございます。  最後に、本日この場に出席さしていただきまして、私どもが国会また政府お願いしたいことにつながる点でございますが、三月二十六日に当局に提出いたしました「音楽事業者暴力団問題打開に関する要請書」というものがございますので、ちょっとここで御参考までに読み上げさしていただきたいと思います。「今回の暴力追放キャンペーンに対し、当日本音楽事業者協会においても会員二十七社とともにその趣旨に協調する態度及び方針を打ち出してまいりました。その結果として、業務遂行の上にも当然ある程度の支障及び損害も予測するところでありましたが、警察当局の処置並びにマスコミの論調があまりにも急激であるため、一般社会のみならずあらゆる興行関係者(註、興行主催者、会場管理者、その他の興行担当者等)が興行暴力とがあたかも、不可分のものであるがごとき錯覚を起こし、その結果として興行を危険視、罪悪視するがごとき現象さえ生じてきております。そのため個々の興行運営に際し、適正な判断または選択を加えることさえも避けて、興行事業全体に警戒を加え、一種の手控えムードのごときものすら生まれてきた感があります。この事態がわれわれ音楽事業者にとって、現在重大な危機を招きつつあることは、あえて言をまたないと存じますが、さらにこのことが各地における一般大衆に対する音楽の供給を妨げる結果ともなり、すでに各方面よりその打開を求める声が向けられてきております。これは社会的見地からも、重視すべきであり、いわゆる角をためて牛を殺す誤ちをおかしている懸念すら感じられるのであります。もちろん以上述べたことが当初の目的に疑念を持つがごとき意味合いのものではありませんが、少なくとも今日以後においては、その後によって生じたあらゆる問題の収拾策に心を配ることが、われわれにとっての緊急かつ重大な課題であり、既述のごとく地方における音楽芸能提供の枯渇、あるいは正常な興行関係者の苦悩を考慮されたいと念願するにほかならないのであります。ここで当協会としては、以上諸問題の打開策の一案として、興行者に対する認可または推薦の制度を実施されたいと考えます。」こういった内容のものでございます。  これを要するに、結果として興行というものを運営する機関の一部け脱落してくることが当然考えられるわけでありまして、しかも再三申し述べましたごとく、興行というものが何分にも特殊なものであり、一種のかけにも類似したものであって、経験者がこれを行なえばこれは事業となりますが、そうでない者がこれを行ないますと、単なるギャンブルというような性格を持っている。しかもその商品たるや、これは先ほどもちょっと申しましたが、極端な一例でございますけれども、現在今世紀最高のピアニストといわれているソビエトのリフテルというピアニストがおりますけれども興行契約が終わって会場に来て、その会場に満員の聴衆がいても、きょうは気が向かないからピアノはひきませんというようなことを言って帰ってしまう。これは先ほど常識云々という問題が出ましたけれども先ほど二谷さんは非常に遠慮されておっしゃっていらしたようですけれども、何も政治家にもなれるピアニストがえらいのだとは私は思っておりません。場合によってはそういった常識がなくてもりっぱなアーチストはいると思うのでございます。ですから会社の社長になれなくても、しかし芸術家としてはりっぱだ、そういうような人も当然私は存在すると思うのであります。このリフテルなどは、ソビエトで、ああいう国であっても、なおかつ彼のそういった性格というものは尊重されて、りっぱな地位を維持しているというような人もあるわけでございます。こういう他の世界では判断しがたいような商品を取り扱う、こういったいろいろな意味で危険性の非常に高い仕事を、何でここでAがやめたからすぐBが入って仕事をやるということが望めるだろうかということを、私どもはおそれるわけであります。したがってAが、そういった脱落した興行師があった場合、そこがそのままブランクになってしまうということを、今後私どもとしては積極的に解決していきたいというのが、いま申し上げましたような趣旨のものでございます。  もちろん私ども組織暴力追放ということは、単なる警察当局だけの問題ではなく、いわば国全体の願い、これは私ども自体も同じ考えでおります。したがいまして、別に弱腰でこういうことを申しておるわけでは決してございません。しかし砂糖がアリを誘うからといって、砂糖の甘さを責めるわけにはいかないと思うのでございます。まして、砂糖を家庭から締め出すことは不合理で、そういうことになってしまったらこれは不合理もはなはだしいと思うのであります。しかも最近の状況は、砂糖があるからアリが存在するのだというような飛躍した論理さえも展開されているのではないか、そのように思うわけでございます。要は、やっぱりアリそのものの存在が問題の本質と思いますが、これは別といたしましても、私どもとしてはまず砂糖からアリを完全に隔絶することを願いたい。そのためには家庭の一主婦だけではできない、やはり家族全体が協力しなければほんとうの隔絶はできないのである、そのように思うわけであります。そういった意味で、ここで長々とお時間を拝借してお話し申し上げたような次第でございます。御清聴ありがとうございました。
  8. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で参考人方々からの御意貝の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 中馬辰猪

    中馬委員長 質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。田川誠一君。
  10. 田川誠一

    ○田川委員 きょうは映画俳優協会プロレス音楽事業者協会方々から、たいへん有益なお話を伺わせていただきましたことを、最初に厚くお礼を申し上げます。特に関係皆さん方が、組織暴力の追放に非常に決意をもって臨まれておられることに私ども敬意を表するわけでございますが、今後も最初の信念どおり、ひとつ立ち向かっていただきたいと思います。私どもも及ばずながらできるだけ協力していくつもりでございます。  ほかに質問の方もたくさんございますので、私はごく簡単にお伺いをいたしますが、まず映画俳優協会小林さん、二谷さん、どちらでもけっこうでございますが、今度の組織暴力の追放を受ける前に、いろいろ映画俳優として組織暴力から被害を受けておる点がずいぶんあると思います。そういう暴力団から、どういう点が一番被害があったかということをお伺いしたいと思います。  それともう一つは、今度の暴力団の追放の運動取り締まりによって、皆さん方が何か不便をお感じにならないか、また逆に暴力団からいやがらせがあるとかいうような、不便とか、あるいは逆の被害を受けられるようなことがあったら、それも御説明していたたきたいと思います。
  11. 小林桂樹

    小林参考人 特に大きな被害というのは、それに該当するかどうかわかりませんけれども、私たち仕事は、映画をつくっていくときに、一番先頭に立つ立場でして、演出家が映画一つのまとめ役でございますけれども先ほど申しましたように、ロケーションの場合など行きますと、それは暴力団関係なく、たとえばどちらかのおうちを借りて撮影をする、そうすると、そこに製作主任というのがおりますし監督がおりますが、いろいろお世話になりました、だいぶ散らかしまして、とあいさつとしていく場合にも、そういう方があいさつするよりは、結局そこにいる俳優の一人が、どうもありがとうございました、と言うほうが、非常に効果的なわけです。それがすべてに通じる。それできょうはこういうところに、この町の人にお世話になったから、ちょっと顔を出してくれぬかというときに、会社のどんな偉い人が行くよりも、どんな新人でも俳優のほうがいい、女優さんのほうがいいというようなことが非常に多いわけで、われわれはそういうことでたいへんなわけです。だから、いままでロケーションにおいて、再三言われておりますけれども、ロケ現場にそういった暴力団の方がいろいろと整理なんかに来ておりますと、やはり会社の人がお礼を言うよりも、俳優さんがどうもありがとうございました、——これが一番効果があるわけです。そこに結局一番直結するのは俳優とつながってくる。この問会ったね、ということから、しばらく、というので、それからもつながってくる可能性が非常にあるので、はっきりいえば、いやな顔をできないでずるずるとつながっていくケースが非常に多いと思います。ですから絶えず俳優というものは、会社の代表みたいな顔をして、あいさつをしたり、サインをしたりというようなことや、宴会の席上にも呼ばれなければならないというようなことがあるわけで、そのほかには、前に会ったね、というので、うちへ来まして何がしかのお金を、いまちょっと忘れたから貸してくれということになる。それもたいした大きなお金ではないのをしょっちゅう言われるから、ないとは言えないという額なのでついやってしまうということが多い。だから、おどかされてどうのこうのといったことは、私たちの仲間でもなかなかないと思います。ただそういうようにじんわりとくるというのが多い。だから抜きさしならぬということになってくるわけです。  補足するものがありましたら、二谷君から言っていただきます。
  12. 二谷英明

    二谷参考人 大体その被害といいますのは、私が最初に申し上げましたように、いま小林さんから御説明のあった会社を代表する形で世間に対しなければいけないというようなところからそういうつながりが生まれる。それによってこまかい被害がある。そのあとはやはり個人の意識の問題だと思うわけです。それをどこで自分がきっぱり線を引くか、その辺を考えるために、この間協会員に対して声明を出したような次第であります。ですから最初は間接的な、会社を通じてのつながりであったものが、直接的なつながりを持つようになる、ここがやはり俳優個人として考えなければならぬ問題だと思うのです。  それからこの暴力とのつながりを断とうという声明を出しましたあとの、たとえばいやがらせあるいは直接の被害、そういったものはいままでのところは全然ございません。警視庁の方もたいへん気を配っていただきまして、何かあったらここへ電話して、だれだれという名前までおっしゃっていただいておりますが、一度も利用する機会もございませんし、幸い何ということもございません。ただ映画界に対するいままでの一般の市民の方の見方によっては、こうこうこういうこともあったじゃないかとか、こういうつながりがあるじゃないかというような、個人的な意見として投書みたいな形ではございますが、直接的なそういう組織暴力その他から、いやがらせなどの被害はございません。  以上です。
  13. 大石八治

    ○大石(八)委員 関連して。いまのロケーションの場合のことですが、富士山麓でもどこでも、戸外のロケーションのときに、群衆が来るので、整理をするということが出てくるわけですが、いまのお話にもあって、その整理を頼まれるのか、自発的に出てくるのかどうかわかりませんが、そこに暴力団関係のにおいの多い者が頼まれて、現実的にはそこにいて整理をしてくれる。整理をしてくれるから、いまのように、俳優が出るほうが直接ですからいいでしょうが、その前の、暴力団がそこへ出てくる、整理をすることを会社のほうで常習的に、いままで非常に便利だからやっていたとか、あるいはあたりまえのごとくそこへ出てきてやっているとか、そこを断ち切らなければ、やはり一緒に顔合わせる機会というものは隔絶はされないと思うのですが、そこはいままでどうなっているんでしょうか。それは俳優立場から言えば、隔絶されたいためには、そこを何とか処理してもらいたいという要求が出てくると思うのです。それをお伺いしたい。
  14. 小林桂樹

    小林参考人 ところによって、それから、いわゆるその地区の暴力団によって違うのですけれども、私たちの聞いている範囲では、何がしかのお金がほしくてやるという暴力団もあるらしいのですけれども、同じ仲間ではないかという気があるわけです。ですから、きみたち仕事をしているところををおれたちは助けようではないかという気持ちがあって、一応会社側の製作主任なりがあいさつに行く。ここで撮影するけれどもと言うと、非常に喜んで、ロケ隊と一緒に仕事に協力しているという感じがぼくの見た範囲では多いわけです。それで、非常に心ないファンがおりますし、回りで、おいこっち向けとか、おまえはだれと結婚するのかとか、何か変な声がいろいろかかるのです。そうすると、そこに警察の方が、交通関係で二人か三人はおいでになっておりますけれども、その方は一応ただ黙っているわけです。暴力団の人ですと、静かにしろい、と言えば、その人たちは一応黙ってくれるので、ぼくたちもその心ないファンにはちょっと苦々しいということはずいぶんあるのです。  われわれは芸術家——記録家じゃないですけれども、芸術家、芸人、いろいろな範囲、非常に広範囲な立場に置かされておりまして、色紙一枚持ってきて、あなたの名前を書いていただきたい、家宝にしますからというのから、鼻紙を持ってきて、何という名前か知らないけれども書いてくれというものの全部に至るまで、同じ調子で書かなければならないという立場にあるものですから、もう非常にひどいやじがかふっても、その場合に、それを制圧するのは彼らでありまして、それがいないと——その人たちが、同じ仲間が撮影に来ているのに、おれたちに協力させないのかということで、カメラの前に出てきて、話は聞いていなかったなということでじゃまをすることがあるので、われわれはほんとうに困っているわけであります。ですから、大体いままでのように会社から、その地区の分布図がわかっておるらしいので、そこへ一応あいさつに行くという形をとっているようです。
  15. 田川誠一

    ○田川委員 俳優の方の被害はよくわかりましたが、そうした小づかいをせびられるとか、それから食事をせびられるというような、ささいなことでつながりが深くなっていくというお話でございますけれども、これからそうした暴力を追放していくには、やはりそうしたささいなことから気をつけていかなければ実行できないじゃないか、そうしたことでこれからの皆さん方の御決意と申しますか、キャンペーンを始めてから、そういうものは一切やらないようにし始めているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  16. 二谷英明

    二谷参考人 先ほども申し上げましたように、その会社と、それから暴力団あるいはいわゆるその土地の人との関係というものを、私どもが直接断わるというわけにもまいりませんので、私どもとしては声明書に発表しましたように、個人個人として、自分の身の回りからきれいにしていこう。私個人の場合を申し上げますと、もちろん全然関係はございませんが、たとえば町で声をかけられて、一ぱい飲もうとかおごってくれというようなことを言われた場合でも、はっきり断わるようにしておりますし、それによっていままで小さい被害はこうむったことはございます。ただ、初めに申し上げましたように、私などはまだ入って十年目でございまして、特に日活という会社は新しい会社でございましたので、そういう昔からの封建的なつながりというようなものはあまりございません。実際的に仕事の上で事務的なつながりというものがあるという程度でございます。情実的なつながりとかそういったものはございませんでしたし、私個人の場合を申し上げて何ですが、そういうふうにこまかい点を一つ一つはっきりイエスかノーかを言う勇気がやはり必要なのじゃないかと思います。そういうふうにはっきり言いますと、一次から参りませんですし、そういうところからやはり進めていかなければいけないのじゃないかと思いまして、その声明書を代表理事名前で出しまして、みんなそれぞれ気をつけてきているわけでございます。  製作面つながりというものはやはり製作者連盟とこの間会合を持ちまして、会社側もできるだけそういうことは排除していこうということにはなっておりますが、これは製作者連盟のほうにお聞きになっていただかないと現状はわかりません。
  17. 田川誠一

    ○田川委員 先ほど俳優を卑下されておるようなおことばもございましたけれども、大いに芸術家としてのプライドを持ってこれからやっていっていただきたいと思います。  それから、もう一つお伺いしたいことは、新聞にも出ておりますように、俳優さんの中でピストル不法所持で検挙された者も二、三あるようでございます。これはいろいろな動機があったと思います。たとえば外国へ行って知らないで買ってきた、もらったというようなこともあると思いますが、その俳優さんの中でピストルをお持ちになって検挙された方々に、何か話を聞いたことがありますかどうか、もしあったらどういう動機でそういうものを持っておったかお尋ねしたいと思います。お聞きになったことでもけっこうです。
  18. 小林桂樹

    小林参考人 すでに新聞紙上に名前が出ておりますが、こういう方と実は私たちは面識がございません。それで新聞で知っている範囲しかわからないものですから、本人とも話し合ったことはございません。
  19. 田川誠一

    ○田川委員 一部のそうした不心得の者によって、全体の方々が非常に迷惑をするというような事態もございますので、お互いに俳優同士で切磋琢磨して、そういうことの起こらないようにひとつやっていっていただきたいと思います。  それから、音楽事業者協会にお聞きしたいのですが、今度の組織暴力の追放で困ったことがずいぶんあるようでございますが、その中で地方興行について一番困った点を簡単にお伺いしたいと思います。
  20. 永野恒男

    永野参考人 われわれの現在の状態をそのまま御説明すればよいかと存じます。歌手性格によって地方興行とテレビ放送、そういったステージとの仕事の量的な分類は必ずしも一定しておりませんけれども、現実には平均いたしまして五割から六割くらいが地方興行ということになっております。この地方興行は具体的に申し上げますと、先ほど説明申し上げましたように、私ども自体暴力団でも何でもない正常な興行師契約をいたします。これは大部分がそうでございます。そういたしますと、それが前夜になりまして、あるいはひどい場合には、十日間の旅行の五日目の仕事が四日目になりまして突然に中止になるというような事態が一つ発生してきております。それは私ども契約いたしました興行師が二人目、三人目の興行師契約をしておるわけでございます。この二人目あるいは三人目の興行師がそういった暴力団またはそれと関係があるということで、突然に会場がとれないとか、そういったことで中止になるという形が一つの形でございます。そういうケースというものは案外ございまして、したがいまして今度は正常な興行師自体興行仕事がしにくくなってきておる、非常に手控えムードになってきておるという現象がございます。  それからさらにはこれは東北地方であったかと思いますが、当分、めんどうだから、もう興行はやめようというようなことで、なまの音楽の催しというものは全面的に中止になっておるというような形がございます。大体現在二割から三割くらい部減少しておるという現状でございます。
  21. 田川誠一

    ○田川委員 地方興行で一番困るのは、従来やっておった地方興行中間業者と申しますか、代理店と申しますか、芸能社と申しますか、そうしたものがなくなるということじゃないかと思うのです。その中にたまたま暴力団関係者が多いということであると思いますが、そうしたものを全然なくしていくということはなかなか困難だと思うのです。そういう意味において正しい中間業者、代理店、芸能社というものを育てていかなければならぬ。そのためにはどうしたらいいか、なかなかむずかしい問題でございますけれども、私は警察当局なりあるいは労働省なり、そうした役所の力をかりて、芸能社というものを一つの登録制にするとか、推薦制にするとか、許可制にするとかいうようなことをやっていかなければなかなかできないと思う。そういう芸能社、代理店というようなものの許可制、推薦制、登録制というようなものに対する音楽事業者協会のお考えをお聞きしたい。  と同時に、きょう警察からもおいでになっておりますが、警察の方にもそれに対するお考えを、簡単でけっこうですからお伺いしたいと思います。
  22. 永野恒男

    永野参考人 先ほど最後にちょっと読ませていただきましたけれども、「音楽事業者暴力団問題打開に関する要請書」、その中に含まれている問題でございますので簡単に御説明申し上げます。  この要請書に従いまして、私どもといたしましては次のような考え方を提案しております。それは労働省の編集になります「民営職業紹介事業の実務」というものから抜粋したものでございます。これは現在法規として職業安定法でございますか、その中に含まれているものでございますが、従来の職業あっせん法、これは日雇い人夫とかあるいは看護婦だとか、そういう法の適用を一応私ども業者は受けておるのでございますが、これはちょっと場所が違うと存じますので申し上げませんけれども、非常に矛盾があると存じます。ただその中から抜粋いたしますと「兼業を禁止又は制限されている職業を営む者であってはならない」、あるいは第二に「資産及び資金を保有している者でなければならない」、あるいは第三に「道徳上の責任を負う能力を有するものであり、刑法各条の罪を犯し処罰されたものであってはならない」とか、あるいはまたさらに、「代表者又はその使用人が不当に他人の精神及び身体の自由を拘束するおそれのあるものであってはならない」、そういった現実に私ども規制をされておりますそういうふうなあっせん業者の法規の中にも、こういった各条が含まれているわけであります。したがいまして、これはもちろんライセンスという形になっているわけでございますが、こういったものを芸能界実情に合うような形で厳密に適用するならば、この問題もある程度まではもっとはっきりするのではないか、私はそのように考えております。
  23. 大津英男

    ○大津政府委員 田川先生の御質問でございますが、ただいま永野さんからお話がございましたような要請書、私どものほうでもいただいておりますので、中を拝見いたしております。現在の法律のたてまえでは、先ほどお話がございましたような職業紹介事業というようなことで、職業安定法によるところの労働大臣の許可を得てやっておられる。それの許可の基準というものの運用いかんということが一つあると思うのでございますが、要請のありました文章の中には、何か推薦を、公安委員会といいますか、警察か適当なところで何かそういうものをやって、適当な業者を推薦するようにする措置はとれないかというようなことが書いてございますが、こういう点いろいろ検討はいたしておりますが、やはり警察がそういうものを推薦するという形は必ずしも適当じゃないのじゃないか。むしろちょうど東京オリンピックのときにIGSショップというようなものを、商工会業所などが中心になって、警察の意見ども聞きながら、この店はよろしいのだというようなことがございましたけれども、ああいうような形で、何かそういう民間の動きとしてそういうものが出てくるという場合に、私どものほうでいろいろ意見を申し上げるということであれば、いろいろ検討の余地があるのじゃないか、こんな感じで、まだ結論は出ておりませんけれども、いろいろ検討しておる、こういう状況でございます。
  24. 中馬辰猪

    中馬委員長 安井委員
  25. 安井吉典

    ○安井委員 いろいろいままでのお話を伺っておりますと、暴力団というものは、たいへん重宝なものであるがやっかいなものだ、そういうようなふうに理解されるわけでありますが、つまりいろいろ外からやっかいな問題がふりかかってくる場合には、持ち前のその力でそれを処理してくれるし、しかしそれが逆にこちらのほうに裏返しにひっかかってくる、こういうふうなものではないかというふうに思うわけでありますが、いまちょうど興行問題が出ておりますので、そのほうから先にお伺いをいたしたいと思います。  暴力団興行との結びつきが、沿革的にも古いものだというふうなお話を、先ほど永野さんから伺ったわけであります。そういうふうな芸能社といいますか、そういうようなものが地方興行を持つ場合に、何から何まですっかり手配してくれる。そういうふうな仕組みを利用しなければ、地方興行というものの成功もおぼつかないわけですから、自然にそれにつながっていくわけでありますが、そういうふうな仕組みをより正常なものに仕上げていくということが非常に大切なわけで、それについていまもお話があったわけであります。全体的な興行のシステムのうち、組織暴力団につながりがなければやれないというふうなことになっているものと、それから、そういうものとのつながりなしにきちっとやれる興行師といいますか、そういうような仕組みと、どれぐらいの割合になっているわけですか。私どもそういう点暗いものですから、ちょっと伺いたいと思います。
  26. 永野恒男

    永野参考人 なければやれない仕組みというものは、私は現実にはないと思うのであります。ただ、最近労音だとか、あるいは民音、あるいは音協、そういった音楽鑑賞団体が非常にふえてきております。こういう団体の場合には、全くもうある必要はないわけでございます。それから、そうでない不特定多数の人たちを、宣伝ポスターでございますとか、そういったもので集めて興行をするという非常に原始的な興行の形態が、現実に存在しております。この場合には、非常に危険率が高いわけでございます。そういたしますと、これも、もちろんそういう暴力団でない人たちがたくさんやっておりますけれども、その場合に、やはり客層を確実に動員するという一つの力と申しますか、あるいはそれだけの能力、そういったものがあるほうが、結果が予測されるわけでございます。その場合に、普通の人の場合には、もちろん地方の婦人会だとか、あるいは商店連合会であるとか、そういう組織に積極的に働きかけまして、できるだけその販路を確実に持つように努力いたします。暴力団の場合には、そういうやり方を同じようにとるのでございますが、その場合には別な圧力というものをかけることができるのではないかと思うので、より確実な結果が得られるというような程度の相違としか、私どもは解釈しておりません。
  27. 安井吉典

    ○安井委員 私も労音のようなシステムを頭に置きながらお伺いをしたわけでありますが、いずれにしても、新しい興行の仕組みというようなものを、これはやはり真剣に考えていかないといけない段階にきているのではないかと思うわけです。それは沿革的な問題はよくわかりますが、しかし、いつまでもその仕組みが続いていっていいわけじゃありませんので、そういう近代的なシステムはどうあるべきかというふうなことについて、ひとつ売るほうの立場の事業者協会のほうも、もっと御検討願いたいわけであります。保安局長が言いましたようなそういう自主的な組織浄化とでもいいますか、そういうような仕組みも非常に有効ではないかというふうな気がいたしますので、ぜひその点御検討を願っておきたいと思います。  先ほどのどなたのお話でしたか、外部の暴力がきた場合により強い暴力というような形でそれを制圧してくれるという意味において、暴力団存在理由が実はあるわけでありますが、その場合に、警察は実は別に存在しているわけでありますが、警察よりも暴力団のほうがたよりになるからというふうなことになるのかもしれませんが、もう少し警察の作業といいますか、作用といったほうがいいかもしれませんが、それがもっと興行の場合だとか、あるいは映画のロケーションの場合だとか、そういう場合に、こうあってほしいというふうな希望や要望はありませんか。これはひとつ俳優協会のほうにも、それから永野さんの音楽事業者協会のほうにも、それからもう一つ豊登さんのほうにも伺っておきたいと思います。警察に対する要望ですね。
  28. 永野恒男

    永野参考人 一昨年あたりから、事業者協会並びに各プロダクションに、警視庁から、一カ月に一回か二回は必ずお見えになりまして、君たち困ったことないかということを積極的に言ってきていただいております。その点では、私ども非常に感謝しております。しかし、おそらく、こういう点が非常に困るので何とかしていただきたいということが、具体的に私ども業者から出たことというのはほとんどないのではないかと思います。では実際に困っていないのかということになりますと、これは困っている面もございます。ただそれが、一つの例で申しますと、非常にめんどうな問題ではないかと思うのでございます。別に事業者協会のメンバーは、特約店制度を持っているわけではないのでございます。したがいまして、九州なら九州という地方をだれにやらせなければならないという契約書はございません。極端にいえばケース・バイ・ケースというかっこうで仕事は進んでおるのでございますが、その場合に普通の業者の場合には、もちろん自分のテリトリーというものは守ろうといたします。しかし強引にこちらがやった場合には折れる。その理由にもよると思うのでございますが、しかし彼らが暴力団だった場合には絶対に折れません。では、その場合に彼らを説得できるか。警察にお願いして説得してもらう、この説得ということは非常にむずかしいと思うのでございます。そういたしますと、行った場合にトラブルがないように保護していただくという形になると思います。しかし私ども業者の場合に、こういう先入観がいつもあるようでございます。ここにスターの方もいらっしゃいますが、顔を切られたあと、その切った人間を隔離してもらっても困ってしまう。問題は、完全に切られるという不安のないような形が望ましい、それしか考えられないと考えるのでございます。  そういたしますと、では完全に切られない状態興行というものができるだろうか。たとえばお客さまが会場に入ります。その人たちの一人一人の服装検査をして会場に入れるわけにはいかないと思うのでございます。現実にあった例でございますが、突然下からナイフを投げる、あるいは飛び上がって切りつける。その場合に、切られてからその人間を逮捕し処罰することはお願いできますけれども、切られること自体は防げないという実情があるのでございます。そういたしますと、警察に完全防備をお願いするということよりも、事前にそういう状態をつぶしてしまうという、これは不安でございますけれども、はっきりとあれはそういうことをやるということが出ておれば、警察に現実に申し込むこともできるのでございます。そして警察に取り押えていただくことはできると思います。しかし、いまのような問題の場合に、絶対にやるという確証はございませんし、その場合の処理のしかた、そういうことが現実的に非常に多くあるようでございます。  それで、いまの、君たちは警察にしてもらいたいことがあるかということでございますが、たいへんにむずかしい問題、そのように私どもも考えております。
  29. 小林桂樹

    小林参考人 たしかロケーションの場合には、警察はタッチしていないようなことだと思います。道路使用許可というのを、その管轄の警察署に届け出まして許可をいただきますと、警察署の方はお見えになっていないと思います。中都市の駅前で撮影するときなどは、交通関係なんかで何人か見えられているという程度で、いまおっしゃったように、何か事が起きない場合には警察は出てくれないのではないかと思うのですが、この辺は、むしろ私がお聞きしたいと思っているのですけれども……。
  30. 二谷英明

    二谷参考人 いま小林さん、永野さんがおっしゃいましたように、警察にお願いすることになれば、たとえば東京で申しますと、池袋だの、新宿だの、大井だの、どこでロケーションをやろうと、道路使用許可さえとっていれば何の問題も起こらないということが一番理想的な形なんですけれども、そういうところへ持っていくための一つ運動の出発が、いまの時点じゃないかと思います。会社の製作関係者と話しておりますと、永野さんのおっしゃいましたように、じゃまする者があらわれるかどうかということまで警察が取り締まっていただけるだろうか。実際じゃまする者があらわれた場合には、あるいは何らかの形で取り締まることができるかもしれないけれども最初から警察が交通整理、人員整理まで全部やっていただけるかどうかということになると、一営利会社の撮影のために、何が起こるかわからないのに警察が協力していただけないのじゃないか。だから、しようがなしにその土地の人たちに頼むのだというようなことを製作担当者としては言っておりましたし、いますぐにロケーションにおいてそういう形が全然なくなることは実際面においてないのじゃないか。したがって、警察が全面的にやってくださるということであれば問題はありませんが、小林さんがおっしゃいましたように、地方の都市などでは、出てはいただけましても、何か警察とその土地の若い人が共同で整理しているみたいな形がたまたま見られるような状態でございます。それが現在の状態ですから、最初に申し上げましたように、全然そういう形なしで、警察だけの力で、あるいは警官の方が二、三人交通整理に出ていただければ支障なしに行なえるという状態がくれば、これは一番理想的な形じゃないかと思います。  ちょっと補足させていただきました。
  31. 定野道春

    ○定野参考人 自分たちのほうは、警察の人が一番ありがたくて、いままではあまり警察の人は好きじゃなかったのですけれども、これくらいありがたく思ったことはないのです。警視庁のほうに足を向けて眠れないくらいお世話になりました。それは協会内もきれいにしてもらい、会社内もきれいにしてもらい、そしてみなでやっていくのでありますから——自分たちだけではほんとうのところもうきれいなものにはならなかったと思います。だから絶えず捜査四課の人に電話をして——どこどこのだれだれに売りたいのだけれども、この人を調べるのに一々九州まで行って二週間もかかっていればたいへんだから、警視庁の捜査四課の人にすぐ電話をするようにしております。そうして調べてもらったら十五分くらいでその返答が出るわけです。この人間とは取引をやめなさい、ということは警察の人ははっきりとは申しませんけれども、やめておいたほうが誤解をされないでいいのじゃなかろうかというような返事をしていただくのです。そうしてまた、そういうことのない人だったら、行って取引したほうがいいのじゃないかというようなことも教えていただけるので、すぐ各県に飛んで行くわけなんです。行くと、最初に県警の暴力対策本部に行って御指導を仰ぐのです。その場合に、この町のだれだれに売りたいのだけれども、この人に売ってもだいじょうぶかどうかを教えていただきたいということを言うのですけれども、警察の方は、すぐそういうことを教えてくれるし、自分たちとしては日にちも迫っていることでもあるので、このくらい警察の人がありがたいと思うたことはほんとうにないのです。いままでは警察の人がきらいだったのですけれども、一番好きになったのです。  あとは会場内の整理でも、みんな選手会で当たるのですが、その場合にやはり暴力対策本部から一人来ていただいて、その人の指導のもとに動くというふうに、自分たちのほうの会社としては規則もすっきりきまっているわけなんです。だから東京だったら捜査四課の人に一人来ていただく、地方巡業する場合でも、県警の暴力対策本部の人が一人だけ来ていただくというふうにしていただきたいと自分たちは思っているわけなんです。  それじゃ、あと警察にどういう協力を自分たちはすればいいのかといいますと、ささいなじゃまでもすぐ電話で知らせるというぐらいの協力しか自分たちにはできないし、暴力団をつかまえて警察に出すわけにもいかないので、ほんとうはそういうじゃまが入った場合には、どんな小さいことでもすぐ報告して警察の人の御指導を仰ぎにいくという以外にないと思います。自分たち興行は大体が荒っぽくて、人の前であまりえらそうなことは言えないのですけれども、今後ともそういう方向に進んでいって、当局の御指導を仰いでやっていく覚悟でおります。
  32. 安井吉典

    ○安井委員 いまお話を伺いますと、プロレスのほうはすごく警察に感謝されておりますし、映画音楽のほうはいささかまだ不満がおありのようですが、ちょうど警察庁の保安局長もおいでですが、けさの新聞を見ますと、芸能人にはボデーガードをつけてまで問題の徹底的な解決に当たるのだというふうな、これは警視庁の方針ですが、そういうようなものを見たわけでありますが、もう少しいまの問題について警察庁としての考えをお聞きしたいと思います。
  33. 大津英男

    ○大津政府委員 実は昨日、刑事局と保安局と両方で、管区の保安部長、公安部長の会議を開きまして、いろいろ暴力団取り締まり対策、特にまたこういう芸能関係等の保護の問題につきましても、打ち合わせをいたしたのでございます。  プロレスにつきましては先ほど豊登さんからお話があったようなことでございますが、映画関係のロケにつきましても、ちょっと聞きましたが、昨日、いまのところあまり問題がないというような話も出ておりました。それから、その他の問題につきましてもいろいろ話が出ましたが、暴力追放をこれだけ積極的に協力してやっていただくのである以上、善良な業者、善良な映画俳優協会人たちが安心して仕事ができるというふうにするためには、警察の保護の態勢を強化しなければいけないだろう、こういうことでございまして、今後各府県におきましても、そういう保護についての窓口をはっきりしまして、そういうところへ申し出ていただくとか、相談に来ていただくという場合には、保護するための措置をとっていく、こういうことをきのうの会議でもお互いに話し合ったということでございまして、これはまだ正式に通達とかなんとかという形で出しておりません。ただ警視庁では、すでに部長の名前で各警察署長あてに、そういう場合の保護につきまして措置をとるようにというような通達を出しておる、こういうことでございます。
  34. 安井吉典

    ○安井委員 結果処理はこれはもう警察でなければということだと思うのですが、ただ予防的な問題について、警察がどういうふうな形で保護なり警戒なりに協力するかという点が残っているような気がするわけでありますが、もう少しそういう点の御検討を願いたいと思います。  最後に、きょうはスターの方お二人いらっしゃるわけですが、最返の映画の中に、暴力謳歌とでもいいますか、そういうような内容を持ったものも相当あるような気がいたします。私は映画を残らず見ているというわけではありませんが、どうもそんなような気がするのです。もちろん俳優皆さんよりも、プロデューサーの問題かもしれませんけれども、そういうような点についてのお考えを伺っておきたいと思います。ここにおいでの方の心あたたまるような映画を私もいま思い出しておりますけれども、そういうようなりっぱな映画がたくさんできるのにかかわらず、どうも先ほど私が申し上げたようなものも少なからずあるように思うわけです。何かエロと暴力を売らなければテレビに対決できないのだというような——わきから見ているから正しくないのかもしれませんけれども、そんなような印象を一般に与えるようでは私は因ると思うのです。もちろん世の中の縮図として、いろいろな問題を取り上げなければいけないと思いますけれども、そういうような点についてのお考え方はどうかということ。  それからもう一つは、アクションドラマなんかでは、ピストルなんかを俳優皆さんどんどんお使いになるわけです。まあ本物かどうか知りませんけれども。そういうようなことから、何か銃砲とか刀剣なんかは、いつも自分の周囲にあってもおかしくないといいますか、親近感を持ってしまうというふうなおそれはないかということです。きょう皆さんにおいでいただきましたのは、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案の審議に関連してのことであり、今度出ている法案は、暴力団がそういうものを所持するのを強く取り締まりをしよう、これが趣旨なものですから、暴力団問題としていまお話を伺っているわけでありますが、そういうような点についても、ピストルや刀なんかをどんどん振り回すのがお仕事方々が、映画の場面と自分生活との見分けがつかないというわけではありませんけれども、何か日常性が出てしまう、そういうようなおそれはないかという点であります。  いずれにいたしましても、先ほど二谷さんが一番最初におっしゃった個人の意識という問題ですね。一番基本的な問題はそこだと思うのですけれども、その二点につきまして最後に伺っておきたいと思います。
  35. 小林桂樹

    小林参考人 これは二つに分けて、二谷君にも言っていただきたいと思いますけれども、企画の問題では、二本立て映画の場合、両方ともそういうものを取り扱っている映画をわれわれも見ますし、私は、俳優の役柄としては、心あたたまる専門なものですから、そういう役があまりないんですけれども一般的に言いまして、ぼくなんかが考えますと、洋画の輸入の中にそういうものが非常に多いと思うのです。それで日本映画はすぐまねをするものですから、車から何か突然大砲が出てきたり、それからまたエロ物だとか、そういうものが非常に多くなると、それをまねて、輪をかけたように、日本でありもしないようなことをまた映画化する。われわれも身近な話じゃないから、うそだと思ってやればいいんだと思ってやるわけで、日本映画が外国映画をまねしているというものがある。洋画の中にもそういう点で考えなければいけない問題があると思います。  それから俳優がそういう役をやっておりますと、そのつもりになってしまいまして、ふだんもそういう態度で歩いているというのをしばしば見受けますが、二谷君は最もその役をやっている方なんで、その問題については二谷君に答えていただきたい。
  36. 二谷英明

    二谷参考人 心あたたまる映画はあまりやらしていただけませんで、殺伐なアクションばかり私は何年かやっておりましたが、映画に入ります前、私は放送の仕事をやっておりまして、それから映画に入ったわけでありますが、映画に入る前と現在とを顧みましても、全然変わっておりません。小道具は小道具と思っておりますし、映画で使うのはたまの出ないピストルで、刀は銀紙を張った刀だということはよくわかっておりますから。しかしこれもやはり私などは、少し年をとってほかの仕事をやってから映画に入りましたので、そういう影響はあまり受けなかったんじゃないかと思いますが、映画界全般の状況としましても、高校を出るか出ないで映画界に入って、すぐいわゆるスターになりして、外の社会というものをあまり知らない方々の中には、あるいはついおもしろいものだからみたいなところはあるかもしませんが、これは私は、俳優自体として内容をよく知っているだけに、心配はないのじゃないかと思います。ただそれを見るお客様の中に、やはりそういう映画を見るファンの層というのは、十二、三から二十以前の方が多いものですから、影響される場合が多いのじゃないかと思いますが、俳優個人としてはそういう心配はないと思います。  それから映画内容についての問題ですが、これは映画俳優協会のほうでも、この暴力問題と関連しましてしばしば話題になっておりまして、製作者連盟と話し合いを持って、そういう企画の面にまでこの運動を伸ばしていかなければいけないのじゃないかということは痛感しておりますし、また映画製作に携わる一般のスタッフの中でも、そういう声は上がってきております。また小林さんの心あたたまる映画とか、それから最近話題の「赤ひげ」とか、そういう大作で、いいもの、内容の高いものをつくっていかなければいけない時代にだんだん映画界自体が差しかかっているのではないかと思います。これは俳優個人の力ではいかんともしがたい点はございますが、俳優協会として、みんなの力で製作者側と話し合いをいたしまして、少しでもそういう内容が高められていくように、これからも私どもは努力していきたいと思います。
  37. 華山親義

    ○華山委員 関連。皆さん暴力と絶縁するということを御決議なさいましたことについては敬意を表するものでございますが、個々の芸能人方々の現在の御心境でございますけれども、こういうふうになって、何か自分の身体、あるいは人気の上の恐怖というものを現在お持ちになっているような様子がございませんでしょうか。小林さんなり、永野さんなりにお伺いしたい。
  38. 小林桂樹

    小林参考人 たまたま俳優協会で池部理事長が声明を出しまして、その当時の俳優の全般の反響というものは、全部は聞いておりませんけれども、正直に申しまして、半分ぐらい非常に困っている人がいるということを聞いております。もちろん大いにやろうというのは半分で、半分は非常に困っている。いままでの何かの個人的なつながりなんでしょうけれども、個人的につながりがあって困っているような人がいる。その個人的なつながりというのは、先ほど申しましたようなことからみんなつながっているようなことで、大して大きなつながりではないのですけれども、そういうことはやはりあると思います。
  39. 華山親義

    ○華山委員 永野さんのほうはいかがでございますか。
  40. 永野恒男

    永野参考人 歌手の場合には、もちろん仕事を通じまして、こういう人たちのつき合いはあろうと思うのでございます。ただ、歌手がスターになる過程、あるいはスターになってその地位を維持していくためには、いろいろ必要な要素がございますけれども地方興行と申しますか、つまり地方のお客さまと直接接触するということも、大きな要素の一つでございます。そういった意味におきまして、地方のお客さまに接する機会というものが少なくなっていくという点で、やはり一つのあせりという現象は起きてきております。それ以外に個人的な問題といたしましては、私ども全く聞き及んでおりません。
  41. 華山親義

    ○華山委員 いわゆる興行界暴力団関係というものは、日本におきましては、ほんとうに徳川時代からの私は因襲だと思います。したがって、ここでこれを打ち切るということにつきましては、警察御当局も非常な決意がおありだと思うのでございますけれども、この点につきましては、なお警察の方にお尋ねいたしますが、皆さま方のお考えといたしまして、従来警察当局が、暴力団のことにつきまして、手を出してはゆるめ、手を出してはゆるめ、そういうふうなことで、またいまはこんなような状態にはあるけれども、将来ゆるめられるようなことがあった場合には、かえって反動的に、われわれに対する被害といいますか、そういうものが大きくなるのだというふうなものが、いまのところはございませんと思いますが、いかがでございますか。ひとつ小林さんなり、永野さんなりにお伺いいたしたいと思います。
  42. 小林桂樹

    小林参考人 この際われわれは立ち上がりましてやっておりますので、ほんとうに皆さま方の御協力を得て、安心して仕事ができるような状態お願いしたいと、われわれ全員が思っていることでございます。
  43. 永野恒男

    永野参考人 ただいまおっしゃいましたことにつきましては、これはいろいろなうわさが流布されております。ある目的のために、ある時期を目してのことであって、継続しないだろう。そういうようなことから、いまおっしゃいましたようなうわさというものは出ております。しかし、私どもといたしましては、もちろんそういったものは考えておりませんし、いまの小林さんのお話のように、断固としてこれは継続していただきたい。それに尽きると思います。
  44. 華山親義

    ○華山委員 警察当局には、あとでその点について御要望なり御決意を伺いますから、これで……。
  45. 中馬辰猪

    中馬委員長 川村君。
  46. 川村継義

    ○川村委員 参考人の皆さま、きょうはほんとうに御苦労さまでございます。時間もたいへん過ぎておりますから、いままでいろいろお尋ねがございました点に重複しないように、一つ、二つ、お尋ねしておきたいと思います。  先ほど安井委員が最後にお尋ねしました点で、実は私も聞いておきたいと思ったのでございますが、ごく最近新聞等を通して私たちの目に触れたいわゆる芸能界の人あるいは作家、こういう方々ピストル不法所持の問題。これは私も、どうしてこういうことがあるのだろうか、実は非常に疑問に思ったのでございます。そこで、安井委員質問いたしましたように、皆さん方のお仕事関係上そういう状態になっていくのか、あるいはピストルを持っておられたということは、全くその人個人の問題であったのか。いろいろ考えてみたんですが、やはりお仕事に何か関係があって不法所持というものが生まれるのではないかと実は考えたのでありますけれども、この点は先ほどお二人の方々の御説明で、実際仕事関係でそういうピストルなどをうちに隠し持っているとか、そういうことはないだろうということでございましたので、その点で私了解をいたすわけであります。  ただ、ここで重ねて私がお聞きしておきたいと思いますことは、いままで芸能界方々が、まあ特定の人でありましょうけれども暴力団の諸君とつながりがある。暴力団の諸君は何とかしてこういう銃器、ピストルを持っておりたい。それがためには、こういう芸能界つながりのある人たちの手を通してやったほうが入手しやすい。たとえば芸能界人たちは、いうならば世界中どこへでも出ていかれるような方々ですから、ピストル等を非常に入手しやすい。そういう点で、こういう方々との結びつきを利用して、ピストル等を手に入れる。こういうような背景があるのではないかと考えておるのでございますが、この点いかがでございましょう。皆さん方の見方でけっこうでございますから、簡単にお話ししていただけませんか。小林さん、できましたら、お願いいたしましょう。
  47. 小林桂樹

    小林参考人 私、外国は香港とハワイだけ撮影の関係上参りましたが、ハワイには、何かデパートでゴルフの道具と一緒にウインドーに飾られておりましたのを見ましたし、たしか日本円で六千円ぐらいの額で、小さな婦人用のコルトというのは見ました。それはもちろん何かチェックしてその土地の人は買えるのでしょうけれども、われわれはただ見ただけです。そのほかはもちろん香港でも見ませんし、あれですが、先ほど申しましたように、仕事に関してピストルが持ちたいということは、いつもにせものを使っているので、本物は一体どんなのか見たいなあという気持ちがあるのかもしれませんし、いつも竹光を使っているから、ほんとうの刀を持ちたいという気持ちが、もしかしたらあるのかもしれませんが、私はあまりそういうのを使う役がないものですから、あれですけれども、入手するのをどういうふうにして手に入れたのかは、ぼくたちもちょっとそれは本人からも聞いておりませんし、本人はどうなのか聞いておりませんけれども、これは何か物を集める心理とつながっているのかもしれないのです。切手を集めるような気持ちで買ってきたのか、大体が若い方で、そういうものをやっていらっしゃる方が持ってくるのですけれども、私たちの仲間で、ほかに持っている人はないと私は信じたいと思っております。
  48. 川村継義

    ○川村委員 皆さん方が、いろいろ暴力追放に非常に決意を固めて協力いただいているとなりますと、私がそういうようなしろうとながら判断しているようなことが、もしもあるとするならば、暴力団の諸君のやはりピストル等の不法所持のそういう状態というものを追放できないということになるかと思いますから、せっかくひとつこの面につきましても、皆さん方の協会関係で十分御処理いただきまして、入手しやすいような芸能界皆さん方の手を通じて暴力団ピストル等を入手しないように、こういう点にも十分ひとつ御配慮願いたい、私はこの際お願いしておきたいと思います。  それから先ほどいろいろと興行関係現状のむずかしさというものをお話しいただきました。私もほんとうにこれからいろいろ問題がやはりあるだろうということも推測するわけでありますが、先ほど永野さんや定野さんあたりのお話で、そういう点では興行のいわゆる会場の問題にも大きな関係が出てくるのではないか、特に定野さんのお話で、体育館等を借りようとすると、なかなかむずかしいというようなお話がございました。体育館地方体育館でもそれぞれ次から次へ利用する日にちがございまして、そう簡単に手に入るとは思いません。そこで私がここで御意見をお聞きしたいと思いますことは、正常なルートで体育館等を借りる、あるいはそのほか公民館、そういうような施設を借りて興行をおやりになる、これは永野さんの場合でも同様でございますが、そういう場合よりも、いわゆる暴力団といいましょうか、これは一口に暴力団といっては語弊がありますけれども興行師、その中にはだいぶん暴力的なものもあるようでありますが、そういう興行師等の手を通じて借りたほうが、会場を借りる場合非常に都合がいい、スムーズにいく、こういうのが現実でございましょう。だからして、それらの諸君と全く手を切れば、体育館等を借りる場合に、たいへん不便を来たす、興行に大きな影響を与える、こういうことになるのでございましょうか。その辺のところをちょっとお聞かせいただきたい。もしもそういうことにもなると、これは皆さんのお仕事関係上、たいへんな問題でありますから、そういう会場等がやはりスムーズに借りられるような方法というものを今後考えていかなければならぬ、私はそう思っております。  そこで、私がお尋ねいたしました点について、永野さんのほうからでも、定野さんのほうからでもけっこうでございますから、ちょっとお聞かせいただきたい。
  49. 定野道春

    ○定野参考人 自分たちのほうとしましては、いま体育館を借りるということが一番むずかしい問題になっているのです。最低五、六カ所にお伺いを立てないと貸してもらえないのです。最初に県警、市警、市役所、緑地課とかいろいろ各方面にお伺いを立てて借りるわけなんですけれども、とにかく一カ月はかかります。  それともう一つは、今回だけはやめておいて、見合わせてくれないか、見合わせてくれというところもあるわけなんです。そうすると暴力団と手を切って自分たちはすっきりしたものであるということを説明にいって、断わられたということになると、そこの市だけは素通りしても、一年くらいやらなくても自分たちは平気だ。だけれども、そこを素通りしたばかりに、そこのほうは新聞にたとえば断わったとかということが出ると、それがもう自分たちにとってはいま一番大きい暴力団と一緒なんです。  そうして官庁の関係の人のところばかり伺うもので、一週間のうち動ける日は三日ぐらいしかないのです。そうして、いままで暴力団にいっていたことはとても悪いことでありますけれども、その時分の損害と、いま現在の損害だったら、いまの損害のほうが数倍多いのです。それは全国にそういう交渉に行っているのですけれども、なかなかうまく進まないので、自分たちは直接一番響いてくるわけです。あと体育館側の人とか、市当局の人が、勇気のある判断を下していただかないときまらないという場合が出てくる。だから自分たちが警視庁にお伺いを立てて、こういうことであるということを説明しても、その地方にいけば、その地方の県警の人の意見がたくさんありますので、そのとおりやっているのでありますが、なかなか体育館長さんまで許可をとるのには一カ月——もう岡山なんか一カ月くらいかかっているのですけれども、きょうあしたのうちにはっきりした返事がくるらしいのですけれども、その間に岡山へ行った人間が、六、七人くらいなんです。そういうふうにして全国に散らばっていて、それは自分たち興行が一年じゅう一日も休まずやるのだったら、社員というものを五百人とか六百人とか一ぺんにふやすことができますけれども、シーズンだけで食べていかなければならないので、まじめな学生アルバイトの人を各地に三十人というふうに、一日七百円くらいで雇うわけであります。そうして警察当局の指導を仰いでおるというふうにやっているのですけれども、なかなか六カ所全部きまるまでに日にちがかかるものですから、その費用が暴力団に一いままで自分は金銭のことに携わってなかったから、はっきりそういうことはわかりませんですけれども、一番金のかかって困るのは、勇気のある判断というか、そういうことですみやかに許可していただけないのが一番因る、これが現状です。
  50. 川村継義

    ○川村委員 永野さん、時間もございませんから、よろしゅうございます。  いまお聞きした点で、やはりこれは警察当局も十分検討していただかなければならぬ問題があるのではないかと思います。つまりその地方の顔役が出かけていって、あるいはその体育館を持っておる管理者、市長なら市長あるいは町長なら町長、何と申しましょうか、そういう諸君に圧力をかけると、会場の入手がしやすい、ところがただ正式に事業者協会なり、あるいはプロレス興業株式会社なりが、そういう会場を借りたいといってもなかなか手に入らぬ、こういうことになりますと、問題はまた逆転をするおそれがある、私は心配をするわけであります。こういう点は今後私たちもできるだけ皆さん方と相談をいたしまして、また警察当局等ともよく相談をして、皆さん方の仕事ができるだけスムーズにいって、再びそういういかがわしい興行師暴力団等の手に左右されないようにしなければならぬと考えているわけでございます。せっかくこういうときでございますから、ひとつ皆さん方のほうも一時の不自由を忍んで努力を願いたい、これが第二のものでございます。  それから、時間がございませんから急ぎますが、いま暴力団の問題として私たちが考えなければなりませんことは、暴力団等の、組織暴力といわれる諸君の興行関係との結びつきは、資金をとる、いわゆる資金源として考えておるということではないかと見ているわけです。暴力団の大きな資金源は賭博それから興行、それに近ごろ急に問題が出てまいりました港湾労働者の搾取、こういうのが大きくあげられております。  そこで、興行関係では、私たちは実態をよく調べたわけではありませんけれども、競輪であるとか、競馬であるとか、オートレースであるとか、こういうようなものに縦横十文字に張り回しておる彼らの資金の調達源、それと芸能関係皆さんの会場設営の問題であるとか、あるいは撮影のときにおけるいろいろな協力、そういうものもやはり一つの大きな資金と考えてやっているのではないかと思われます。これがそうであるとするならば、これを断ち切るのもなかなかむずかしい問題が残ってくる。  そこで、永野さんにお尋ねをいたしたいと思いまするけれども、あなたのほうでごらんになっておりますそういう組織暴力といわれる諸君との資金のつながりというものが、何かお話できるものがございましたら、ここで少し聞かせていただけませんか。
  51. 永野恒男

    永野参考人 私どもといたしましては、正直申し上げてそういった面では全く無知でございます。暴力団興行いたしまして黒字の場合、赤字の場合があるようでございますが、赤字の場合どこからその金を持ってきて埋めるのか、黒字の場合にその金がどこへ行くのか、これは正直申し上げて全く存じません。
  52. 川村継義

    ○川村委員 それではいまの問題は、いまの永野さんのお話の点で一応了解をしておきたいと思いますが、最後に私は警察庁の保安局長にちょっとお聞きしておきたいと思います。先ほども田川委員、安井委員からもお話がございましたが、きょうの参考人皆さん方の御意見をじっと聞いておりまして、皆さん方の決意のほどはよくわかるけれども、いままでのそれらのつながりというものを断ち切っていくには並みたいていのことではないという印象を私は受けております。  そこで、これは何も興行界、あるいは芸能界皆さん方と暴力とのつながりを、あれこれせんさくするというのが私たちの目的ではないと思っております。いわゆる暴力団というものをなくしていく、その暴力団をなくするために芸能界皆さん方にきょうおいでいただきました。代表の皆さん方を中心として協力してもらうということ、その協力の実をあげるためには、皆さん方のお仕事の面からも十分対策を立ててやらねばならぬことも多うございましょうが、警察としても、やはり皆さん方の仕事について十分な協力がなければならぬのではないか、こう考えるわけであります。先ほどもちょっとお話がございました、あるいは用心棒をつけるという話も新聞に出ておるということが言われておりましたけれども、やはり警察当局は相当決意を持ってやっていただかなければ、いまは何かと問題が起こっていないようにお話を聞きましたけれども、追い詰められていくならば、いろいろの形でまた芸能界人たちに圧力を加える、あるいは手段を選ばず出てくるということになるのではないかと思います。そこでひとつ保安局長のほうから、これらに対して警察当局としてはこの後どういう方針で援助していかれるか、あるいは対策を進めていかれるのか、この際お考えをちょっと聞かせておいていただきたい。
  53. 大津英男

    ○大津政府委員 先ほどお話がございましたが、芸能界暴力団との絶縁あるいはその排除ということについての御苦心、またそのためにこうむっておられる不便とか、いろいろな点があると思います。こういう点は、警察の力では解決できないやはり芸能界方々のお力でお考えいただかなければならない問題も、相当あると思いますが、警察としてはそういう御協力、あるいはそういう御努力に対して、絶対心配がない、安心してやっていけるのだ、暴力団と絶縁できるという態勢に持ち込むことが一番大事なことだ、かような考えでございまして、先ほど申し上げましたような保護の問題等を今後も一そう強化をしていくということを考えておりまするし、また暴力団の資金源を断つ問題、あるいは暴力団のその他のあらゆる面についての対策というものにつきましては、今後も一そう強力に進めていく、そうして線香花火のようなことじゃなしに、あくまでもこれを断つまでやり抜いていく、こういう決意を長官以下固めておるということでございまして、私どももいままで足りない点につきましては今後一そう創意くふうをこらしまして、芸能界方々のいろいろな御意見参考にいたしまして、万全を期していくように努力いたしたい、かような考えでございます。
  54. 中馬辰猪

    中馬委員長 門司委員
  55. 門司亮

    ○門司委員 私はきわめて簡単に二、三のものだけをお聞かせを願いたいと思いますが、いままでの参考人方々お話と、さらに質疑との関係を聞いておりますと、一つの問題は社会的の要素があるということと、いわゆる世間の問題を直さなければこの種の問題は直らないということ、それからもう一つの見方からいきますと、芸能人自身の考え方である程度不法所持というようなものがなくなるのではないかという考え方の二つに私は分類されると思います。  暴力団とのつながりについてはかなり社会的の要素が多いというように考えなければなりません。したがって、これは単に芸能関係だけの問題で解決するとは考えられない、ところが、刀剣あるいは銃砲等の不法所持の問題になりますと、結論的に言えば自粛をし、自己がそういう行為を行なわないことによって、私はかなり事故はなくなるのだといういわゆる暴力団から使嗾されてそれを買い入れて、そうしてそれを流すというようなケースは比較的少ないのじゃないかという感じが実はするわけであります。  したがって、その二つの点について少し具体的にお聞きをいたしたいと思うのでありますが、最初にお聞きをしておきたいと思いますことは、興行に対する見方であります。これはいろいろ言われておりますが、興行自身というものが先ほどからもちょっとお話がありましたように、一年じゅうそれをやっている商売ではない。一つのところで一年に何回かしかやらない。したがって、それを世話をする者も、また固定した業者によって世話をするということはなかなか困難である。したがって、そこに生まれてくるものが、私は暴力団の最大のそういう業種であるということに要素がありはしないかということ、これは常時ずっとそういうあっせん業というような形でやられるとするならば、興行師というようなものに免許制をとればある程度のものははっきりする。免許制をとってみてもそれだけでなかなか商売は成り立たない。したがって、ときどき行なわれる催しものについて規制する、というと悪いのでありますが、暴力団からおこられるかもしれませんが、個個に規制をして、そして自分たち生活のかてを個々にかせいでいくということが考えられる。  そこで問題になってまいりますのは、そういう社会現象からくるのであるとすれば、どうしても私は社会的に直さなければならないような気がする。そうなってまいりますと、先ほどお話のございましたように職安関係の問題、あるいは職業あっせん所の法規問題ということだけではいけない。これについてはっきりした営業といいますか、単に職をあっせんするというのでなくて、一つの職業としてこれに許可、認可を与えるというような団体組織自体最初から認めるというような方法でいけば、ある程度そういう不安定なものでなくなりはしないか、そのつどそのつど安定所に行ってそして頼んでくるような処置をとっているから問題があるのではないか、むしろこれらの業を営む人を表面に出してしまう。どこそこへ行けばだれだれがこれらの世話をするのだということではっきりしてしまう、ということによってある程度これは自粛されるのではないかという気がするのですが、その点のお考えはどうですか。これはどなたからでもよろしゅうございます。
  56. 永野恒男

    永野参考人 お説のとおりに考えております。確かに興行というものは、何と申しますか一種のテンポラリーなケースと申しますか、ほかに職業を持っておりまして、そうして副業に何かたまたまそういったことをやっているというような形も多いようでございます。そしてまた直接地方へ参りました場合に、こういう業者の、暴力的な業者というものは、そういう形が事実多いように聞いております。そういたしますと、もっと職業として社会的に認めるということは、逆に社会的な責任も持たせるということで、そういうような形を明確に打ち出していただいたほうが、私どもとしては問題がもっとはっきりするのではないか、そういうふうに考えております。
  57. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つその次に、今度は個人の問題で聞いておきたいと思いますが、さっき申し上げましたように、私は、今回いろいろ新聞で取りざたされたことは、芸能界にとってはきわめて遺憾なできごとでありまして、しかもこれは全部じゃない、ごく一部の人としか考えられない。だから芸能界というものが、いいにしろ悪いにしろ、世間にかなり喧伝されやすい業種、と申し上げることはどうかと思いますが、職業であることによって、単に針でつついたような事件があっても芸能界であれば非常に大きな事件としてこれが取り扱われる。社会にはいろいろ習性がありまして、同じ人殺しをやってもわりに話題にならないのに、針でつついたようなけがをさしても案外大きな事件として取り扱われる。要するにニュース価値のあるものとないものとがあります。芸能人等は特にニュースバリューがあると申し上げても差しつかえないというふうに考えられます。そこでこんな問題は、ある程度は私は世間のそうした中にあって、きわめて気の毒な立場に置かれてあるのではないかという感じがするのでありますが、だからといって、一部でもかりに暴力団との間に凶器の受け渡しがあるということになりますと、これは社会的にやはり問題にしないわけにはいかないのでありまして、ことにこのルートが、わりあいにやりやすいということになれば、この穴はどうしても押えていただかなければならない、こういうことになろうと思います。  そこで私は、率直に聞いておきたいと思いますことは、先ほどからお話のありましたような暴力団とのつながりがいろいろ出てくるということが一つと、だからこういうものができるが、しかしそれは本人自身の心がけによってある程度といいますか、完全にということばは行き過ぎかと思いますが押え得る。いわゆる自己がこれを認識し、自己が自覚し、自己が自粛をすれば、こういう事故は起こらないんだということになれば、私は問題の解決としては、芸能界自身の個人に対する自粛の意識というものを植え込んでいくということが、やはりこの種のことをなくする一番大きな問題ではないかと思うが、そういう考え方をしてよろしゅうございますか。
  58. 二谷英明

    二谷参考人 先ほどその問題に関連いたしまして、暴力団関係者がそういうピストル、あるいは凶器を入手する目的でもって芸能人に近づくのではないかというお話がございましたが、そういうことは私はないと思います。ですから私は、芸能人がその立場を利用して、暴力団関係者に流す目的でもってピストルを密輸入と申しますか、不法に持って帰ったり、それを流したりしたのではないと思います。いろいろな事例を見まして、警察のほうの調べがどうなっているかわかりませんが、たいへん単純な気持ち、おみやげのつもりで持って帰った、これはたいへん恥ずかしいお話でありますけれどもピストルというものを持っていいものか悪いものか、判断がつかないわけではないわけでございまして、たいへん恥ずかしいあれでございますが、おみやげとして持って帰ったというようなことも新聞などに出ておりましたし、そういう意味でいまお尋ねの問題でございますけれども、やはり先ほどから申し上げておりますように個人の意識の問題だと思います。ですから、ただ単にそういう目的でもって芸能人へ近寄る暴力団があったり、あるいはその目的で暴力団へ流すというようなことはないと私は思います。もっと単純な最初の近寄り、接触といいますか、そういうものから関係が生じて、何と申しますか、たいへん簡単な気持ちでおみやげに持ってきてやった、そういうことで起こったのではないかと思います。ですからその中には、最初から意図したものが両方ともあったのではないと思います。ただあるいはファンとしての近寄りからそういう関係が生じたとか、何らかに対するお礼として持ってきたようなことが書いてございましたが、いわばたいへん偶発的な事件でございまして、これは俳優個人個人の意識によって断ち切る、そういう意味において個人的な関係を断ち切ることはできると私ははっきり申し上げたいと思います。  たいへん社会の表にあらわれやすい職業でありまして、いまお話のような、ことに社会的な問題に大きく取り扱われがちでございます。これはちょっといまの御質問からはずれるわけでございますが、いわゆる暴力と申しましても、俳優の場合はそういう職業であるがゆえに、ペンの暴力というものにもおびえなければいけないということがございます。いろいろ週刊誌など皆さんごらんになってもおわかりになると思いますが、たとえば一部の週刊誌などでは、別れたとか、結婚したとか、離れたとか、そういうことが話題になりますが、現在幸福に暮らしていらっしゃる夫婦の俳優方々に対して、なぜ別れないかということが話題になるほどの週刊誌もございます。そういう意味でもって、先ほど一番最初に私が申し上げたように、俳優というものの社会的な地位といいますか、そういうものもおいおい高まってきている時期でございますし、俳優自身もそういうふうに努力いたしておりますし、私が先ほど例に申し上げましたような報道あるいは記事、そういったものに携わる方々に、もう一度俳優の社会的な立場というものをより高めていくような御協力をいただきたいというふうに私は考えております。  余分でございますが、つけ加えさせていただきました。
  59. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことだと思いますけれども、えてして世間では、非常に人気のある人については、何かそれにけちをつけたいという妙な人間の心理がありまして、悪い趣味であります。ただ問題になるのは、ここで私がこういうことを聞くことは、少し突っ込んで聞き過ぎるような気がするのでありますが、一応聞いておきたいと思いますことは、芸能人という社会的な地位の心理とやくざの心理というものに、相共通する点がありはしないかという気が私はする。それは一般社会人と違うのだというものの考え方の点において、共通する点がありはしないか。したがって、ピストルやあるいは刀剣等を持ってはならないというおきては知っているから——それを全然知らないで、ただ何のことはない、軽い気持ちで持ってきたんだといえば、そういうことがいえない面もないではないと思いますが、しかし、何かちやほやされてくると、人間というやつはだんだんうぬぼれてきて、そして人の持たないものを持ってみたいというような気がしてくる。おれはこれを持っているんだというような、見せびらかしのような気が人間は往々にして出てくるものであります。特に若い諸君が、必要以上ということばを使うと、はなはだこれは失礼でございますが、世間から見て急にちやほやされるようになってきたというような、何かしらぬ優越感というものがこういう問題を引き起こさせる一つの問題ではないか。暴力団のほうは暴力団で、悪い意味において、おれたちはとにかく一般人よりも何か腕力ざた——いい意味ではありませんが、腕力ざたで強いのだというような変な優越感を持っておる。このことが事件を起こす一つの問題ではないか。この心理は非常にむずかしいのでありまして、たとえば、全然話は違いますけれども、交通関係においても、ダンプカーの運転手の若いようなのは、とにかく殿様みたいな気がしている。一段高いところから運転をしていて、ほかにぶうぶういわせて、少しスピードを出せば、まわりの車はみんなよけてしまう。おれたちはとにかく何がぶつかってきても平気だという妙な優越感があって、事故を起こすというようなことがかなりありはしないかと私は思う。そういう意味で、お互いに同じ特殊の社会にあるという心理が必ずあると思う。そういうものがやはりこういう不法所持を安易に行なわせているという心理的影響がありはしないか。同時に、そういう悪い意味といい意味との心理的影響というものが結びついて共通の面がある。そこに利用されるすきが出てきておるというように私は感ずるのでありますが、しかしその点についてはいまお話があったと思います。したがって、こういうことばを使えばこれまたはなはだ失敬なことを言うじゃないかということになろうかと思いますが、やはり社会の一般人としての教養、一般人として何ら変わりはないものであるという、いわゆるちやほやされる世間の誘惑に乗らないという心がまえというものが、これは人間に関して、いずれの職業に関しても非常に大事なことでありますが、案外若い人に欠けているのではないかという気がいたします。  そうだといたしますと、単に所持しているそれらの人たちだけを責めるわけにはいかない、やはり芸能界全体のあり方というものについて、考えを及ばさなければならないという結論が出てくるわけでありますが、そういう点について芸能界全体の何か話題になり、それからお話し合い等をされたことがございますか。もしおありだとするなら、参考のためにひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  60. 小林桂樹

    小林参考人 またぼくは、話がすぐ漫談的になって申しわけないのですが、表を歩いていると、普通の人ですとじろじろ見られると、何だこいつ見てやがるなと思いますが、私たちは目の前に来て、ほんとうに顔を突き合わしたところで、この間あれを見たとか、案外ふけているねとか、足が太いとか、写真顔のほうがいいとかいうことを、ぬけぬけと言われるわけです。これはちっとも何でもないことを言っているのですけれども、そういうことを言われる仕事なものですが、それをただ黙って歩いていなければいけない。腹の立つこともありますが、それを黙っていなければならない。ですから社会人として、社会人でなければできないような仕事を、自然に社会人から遠ざかっていこうという気持ちがわれわれの中にありまして、人のいないところへ行きたくなるというのは、どっちかといいますと、非社会人といわれる暴力団と同じような気持ちがどこかにあるのではないかと思うのです。ですから、これはまた心あたたまる話で申しわけないのですけれども、 ロケーションをやっておりますと、われわれははっきり申しますと、ほんとうに暴力団に何のつながりも持っていないと言ってもいいと思うのですが、たまたまこの不法所持をした者が、暴力団にそれを譲渡したということで、暴力団につながっているという錯覚をわれわれに持ってきているわけです。簡単に言えば、ただロケのときに世話になったという程度つながりしか私たちは持っていないのじゃないかと思うのです。それと、そのロケ中に、たとえばやくざの人が人よけをしている間に、われわれが何となく一生懸命働いている。それを見て、うらやましそうな顔をするときがあるわけです。それで、われわれのそばで照明部や何かで、労働を一生懸命やっている連中に、その仕事はたいへんかとかなんとかいうことで、非常にうらやましそうに近寄ってくる。そういうものを見ますと、彼らもきっとその中にいたいとは思わないのじゃないかなというような気もするのです。ですから私の一つの希望ですけれども、彼らをそういうほうに追いやることなく、もし興行形態が悪かったら、正しい興行形態にやらせればいいので、普通の正しい興行をやっても、ぼくはもうかると思います。それをなぜ正しくないことでやっているのか。正しい興行形態に持っていくようにさせる。そしてもし刀剣を持っているような者がいたら、それを出すようにするということのある一つの善導みたいなものも、並行してやっていただけたらと私たちは思うのであります。
  61. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ、最後に聞いておきたいと思いますが、暴力団とのいまのお話、それから各興行におけるいろいろな問題等が述べられましたので、この関係だけを最後にお伺いしておきたいと思いますが、それは警備の問題とつながる——いまのお話も大体警備の問題とつながるということでありますが、いずれも警備の問題とつながるということであります。大体暴力団の利用価値というものは、それくらいしかないわけであります。それ以外にあまり暴力団の利用価値はないわけであります。ところが、過去においてこの種の問題があったのは、競輪であります。競輪の警備を大体地方暴力団に頼んだ、これは施行者が市役所や県庁でありますが、しかしその公の市役所や県庁が暴力団と目される諸君に警備を依頼して、そしてしばしば問題を起こした例が非常に多かったわけであります。ところが最近そういう事件が案外というよりも、むしろ幾らか減ってきたような気がするが、まだ競輪等は興行界と似通ったようなものでありまして、一カ月間に何日間しか行なわない。その間の警備だけに人間を出してくれということでありますから、決して業として成り立つわけではございませんで、結局どこかで間違ったかせぎをして、その間子分どもを養っていくかてにしなければならぬことは当然でありまして、したがって、そこに私は社会悪の生まれる一つの大きな原因があろうかと考える。  そこで問題になってまいりますのは、そういう社会悪が起こるのだということがわかっていながら、警備員をそれらの諸君に頼むという制度、行き方等についても、実はかなり大きな問題があろうかと思う。この問題を断ち切ることができれば、したがってつながりもなくなります。  そこで問題になってまいりますのは、さっきの定野さんのお話にありましたように、自分たちの力でそういう警備態勢というものを整えるということは、不可能であるかどうかということであります。これが自分たちで、興行をおやりになっている方々自身の手によって警備態制を十分に整えていくことができるということになれば、暴力団もある程度介入する余地がなくなるということになりはしないか。彼らの介入する余地がなくなれば、そういうつながりも完全に押えることができる、こういうことになりはしないかと思うのですが、いま暴力団に利用されて、そして芸能界の諸君が非常に迷惑をしていると思うが、このいま申し上げましたようないわゆる自分たちの力で警備ができる、暴力団というものを頼まなくてもよろしいような組織にならないものかどうかということです。こういう点、何か考えられませんか。
  62. 定野道春

    ○定野参考人 自分たちのほうは、もう全部きめているのです。暴力団は一切頼まないことになっております。自主興行興行のやり方がここに書いてあるのですが、大体その地方興行をやる場合は、学生のアルバイトの人でも一々住所と名前を書いてもらって、三十名ないし三十五、六名お願いするわけですけれども、その場合に、疑わしき者は一切頼まないというふうに自分たちはもうやっていっています。だから自分たち興行には今後もう一切関係なく、だいじょうぶです。
  63. 門司亮

    ○門司委員 ほかはとうですか。——それでは、お答えの方がなければ、私は皆さんに聞きたかったのですけれども、やっていると言われるところだけお答えがあって、あとはお答えがなかったのですけれども、こういう点について警察はどうです。いまプロレスのほうでお答えがあった中に、相談していろいろこういうことをやっているということでありますが、もし芸能界から警察に、いわゆる取り締まり関係に御相談があれば、それに応じて、暴力団との関係なく地方興行が安心してやれるようなお世話ができますか。それを警察側からひとつ聞いておきたいと思います。
  64. 大津英男

    ○大津政府委員 具体的な問題につきまして、よくまた芸能界の方と御相談を申し上げまして対策をきめたいと思いますけれども方針としましては、先ほど申し上げましたように、保護態勢をもっと強化をしていきたい、こういう考えでおりますので、はたしてどういう場合にどうしたらいいかという点を、もう少し具体的に、映画俳優協会方々とか、いろいろ話を承って考えてまいりたい、かように考えます。
  65. 門司亮

    ○門司委員 それはどうも警察の考えはおかしいですね。そんな考え方では、この法律を通すわけにはなかなかいきませんぜ。私は警察側がもう少しはっきりした態度で、保護態勢というのではなくて、これは社会の秩序を維持することですから。単に興行だけを見れば、そこだけの保護になるかもしれない。しかし問題はすでにその一つ興行がいいとか悪いとか、それのできが悪いとかどうとかということじゃないのです。これは現在では社会問題に移行してきているのです。いわゆる暴力団芸能界つながりをどうするかという社会問題に移行している。芸能界の人が自分たち仕事がやりいいか悪いかという段階を越えておる。そうなってくれば、やはり警察当局がはっきりした態度を示さない限りは、これは簡単に法律だけでどんなに厳重に縛り上げてみたところで、なかなかこういう問題の解決はつきはしない。少なくとも法律改正をしていって、そして暴力団をなくしていこう、それからくる不法所持、いわゆる人の生命に直接危害を与える凶器をこの世の中からなくしていこうとするには、やはりその衝に当たる警察自身が、もう少し強い、親切な態度でもって、向こうから何とか相談してきたらおれたちも相談に乗ってあげようというような消極的な態度では私はいけないと思う。だから、これはひとつはっきりした返事をしておいてもらいたい。
  66. 大津英男

    ○大津政府委員 私、申し上げておりますのは、そういう前向きの姿勢と申しますか、お話のありましたような方針で、具体的にどういう場合にはどうしていったらいいのか、会社側でそういう警備員をどうしたらいいのか、その場合警察としてはどうしたらいいのか、全部警察がやらなければいかぬのかというような具体的な問題を、もっとこちらからも乗り出して相談をしてまいりたい、かような考えでおります。
  67. 門司亮

    ○門司委員 それでは私ももうこれ以上聞きません。あとは法案の審議の際に警察との間にはお尋ねをし、さらにわれわれの意見ももう少し申し上げておきたいと思います。  最後にもう一つだけ聞かしておいていただきたいと思いますことは、先ほどから申し上げておりますように、芸能界における、非常に迷惑をされておると私は考えておるこの種の問題について、積極的にこれをなくすることのために、先ほど私は、何らかの話し合いあるいは処置が考えられたかということを聞いたのでありますが、それについては確然とした御答弁がされていないような気がするのでありますが、これらの点等につきましても、私はもうこれ以上御答弁は要求はいたしませんが、ひとつ十分配慮していただきまして、そしてこれは委員長お願いをいたしておきますが、この法案を上げますまでの間に、やはり警察側との十分の打ち合わせをひとつしていただきたいということを、私の希望として申し上げておきます。
  68. 中馬辰猪

    中馬委員長 参考人方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五分散会