○
山本(
幸一)
委員 それじゃ、私からいまお尋ねしようとする
内容について少しく申し上げてみたいと思うのですが、これはちょっと私のひとりしゃべりになるおそれがありますけれ
ども、やはり
大臣、
関係者に
内容を聞いていただかぬとその
質問の
趣旨がわかりませんで、恐縮ですが、ちょっと時間をかりたいと思います。
お伺いしようとするその
内容は、三月九日午前中に
岐阜県議会の本
会議が開かれたわけです。そこで
渡辺嘉藏という
県会議員が
一般質問に立ったわけであります。その
一般質問が動機になって
渡辺県会議員に対しての
懲罰動議が出て、これがきわめて非民主的な方法で
決定をされておる。これが要約すると結論でございます。
その
質問の第一点となりましたのは、実は
岐阜県で近く国体が開かれようとしております。したがって、そのために
県民体育会館が建設されておるのであって、この金の支出のしかたに問題があったわけです。それは、この工事を請け負ったのが
——その間にはかなりいろいろ問題がありましたけれ
ども、
間組が請け負いまして、約七千万円の
赤字を出したわけです。ところが、当時
間組の
新聞談話によりますと、常に
県当局にはたいへんお世話になっているから、七千万円程度の
赤字はこの際がまんする、こういう
新聞談話をやっておるわけです。ところが、それと時期を前後して
県当局から
建物の
設計変更がございまして、その
設計変更によって七千万円がプラスされておるわけです。さよういたしますと、いわば
間組が七千万円、県の世話になっておるからといってがまんをしたその分を、
設計変更という
理由で上積みしたんだ、こういうことが第一の
問題点です。要約するとそういうことです。
それから第二点は、この
体育会館が三月の十四日に
完成予定なんです。これを目ざして実は
岐阜県知事の
松野幸泰君
——これは御
承知のように
自民党本部でも非常に問題になった天下の
大人物ですね。彼の
後援会が、聞くところによると
岐阜県では六十万人近くあるそうです。その
後援会が
代表者総会を、まず完成する
県体育会館でその完成すると
予定された三月十四日に開こう、こういうことをきめられて、一月の三十一日にその
後援会が
合同総会の
通知状を
記念品あるいは
食券等を同封してそれぞれ送ったわけでございます。ここに問題があったわけです。少なくとも
知事は公私混同しておる。この種のような
建物についてかってに
自分が日にちをきめ、かってに
通知を出してやるようなことは許されない、こういうことが
質問の第二であった、
速記を見るとそういうことであります。
それから第三の問題は、
県庁職員の中に最近
交通事故を起こして
被害者に非常に迷惑をかけている
事件があった
様子です。これに対して
被害者からいろいろと県に
陳情要請がありましたが、県はみずから取り締まるべき人が、いわゆる
被害者にむしろその
交通事故の、何と申しますか、
理由をおっかぶせて、そうして訴訟にまでたびたび持ち込んできている、こういう
事件が第三に問題になりました。
それから第四点は、これは特に当日
懲罰の最大の問題になったのですが、実は
岐阜県知事の、当時
自民党支部長であった
松野幸泰君、これは
知事であり、
自民党の
支部長であり、最近は
自民党のおしかりを受けて
支部長をやめさせられたことは事実です。それと同時に、
公明選挙推進連盟の
岐阜県の
会長をやっておられるわけです。ところが、たまたま第三次
池田内閣の
総裁選挙に際して、私は
名前は申しません。失礼ですから申しませんが、
岐阜県の代
議員の一人の方が、
総裁選挙の
運動費として三百万円を受け取ったという問題が
内部から発表されたわけです。そこで
本人は
記者会見をいたしまして
——その三百万円を、当時
内部から出たうわきとしては、いわば
池田派とアンチ
池田派と両方からもらっておる。俗に言うサントリー・オールド・パーという例の問題でありますが、
本人が非常におこりまして、私はそういうことをいたしておりません、確かに三百万円もらったけれ
ども、それは
池田派のうちの
池田派を支持する
O派から二百万円ちょうだいし、
K派から百万円ちょうだいして、トータル三百万円受け取っておる、その三百万円の使途については、二百万円は
岐阜県
自民党に献金をいたしました、残余の百万円については
自民党の
政治運動のために使いました、こういうことを
記者会見で言っておるわけです。
そこで
渡辺県会議員は、この発表された御
本人が来たるべき六月の
参議院選挙の
候補者でもございますので、それとの
関連の上で、
知事は
岐阜県の
公明選挙推進連盟の
会長をやっておるが、そういう金を
岐阜県
自民党がいただいて
参議院の
事前運動に
知事が先頭に立つということは好ましくない、こういう点を
質問したわけであります。これが当日の
懲罰の最大問題になった
様子であります。
その次には、
知事が
補助金をいわゆる
自己本位に乱用しておる。言うならば、特にその例としてとられましたのが、本年は昨年よりも
補助をすべき
対象団体が非常にふえた。そのふえた
団体はほとんど
知事の
後援団体である。そこへ次の
知事三選のために
補助金を出しておると
県民は疑ぐっておるが、その点はどうか、そのほか二、三の点がありますが、こういうことを
質問いたしております。
これに対して
知事の
答弁を待たず、いきなり当日の本
会議は
休憩を宣告されたわけです。そこで
休憩いたしまして、午後五時五十九分ごろ
再開をいたしましたところ、
自民党県議会の五名の諸君の
名前で
渡辺嘉藏君に対する
懲罰動議が提出されました。
懲罰の
理由は、特定の個人の
一身上に関すること云々ということらしいのです。そういうことで
懲罰動議が提出せられたわけです。直ちに
懲罰の
動議の採決が行なわれて成立したことは、これはもう論を待ちません。それからさらに日程が追加されまして、七名の
懲罰特別委員が選ばれて、六分後の六時五分に再び
休憩になったということです。その後ずっと
休憩いたしまして、午後九時に
再開をして、
懲罰特別委員長の
報告がございました。その
報告の中心は「
普通地方公共団体の
議会の
会議又は
委員会においては、
議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる
言論をしてはならない。」との
規定によって
懲罰は成立して、五日間の
出席停止といいますか、本院でいえば
登院停止、そういうことに
決定がなされたわけです。これがいわば要約すると、当日の
懲罰問題のおもなる
内容であります。
私はここでその
懲罰内容の善悪を問おうとは思っておりません。そういうことは私
どもは問うべきでなく、それぞれの
議会の判断によることだと思っておりますからそれには触れようとは思っておりませんが、ただ問題は、いまの
懲罰内容はどう考えても、
速記を見ると、いわゆるくさいものに
ふたをするような
やり方であるということが言えるということ。それからいま
一つは、この
懲罰がきまる前に、
地方自治法による
岐阜県の条例ですが、その第百八条に「
懲罰の
対象となった
議員は、
議会または
委員会で
一身上の
弁明をすることができる」、それから第二項に、「
議会または
委員会は、必要があると認めたときは、
懲罰の
対象となった
議員に
一身上の
弁明をさせることができる」、いずれも「できる」という
ことばであることは間違いありません。ところが、
国会はもちろん、
全国のあらゆる
議会の
慣行は「できる」という
文句であっても、
議員の
一身上の問題についてはお互いが正しい
意味において保障しなければならない。したがって、
文句は「できる」であるけれ
ども、
慣行上は、必ず
要求があればさせるんだ、この点私は
全国どこでも間違いないと思っております。ところが、
本人から
一身上の
弁明の
要求があり、かつまた
同僚議員四名より
一身上の
弁明の
要求がございましたが、これに対して何ら
弁明の機会を与えない。午後九時過ぎに
再開されますと、一挙に五日間の
登院の
停止、いわゆる
出席停止を
決定してしまった。私は、問題はここにあると思うのです。もう
大臣も御
承知のように、これはまあ
国会のことですけれ
ども、
国会においては、
議員の不
逮捕条項というものがございます。また、
国会には何べんも
懲罰問題がございましたが、いずれにしても
本人から
一身上の
弁明の
要求があった場合には必ずこれを認めております。どんな場合にも認めております。
地方議会には不
逮捕の
規定はないかもしれません。しかし、
弁明を認めるという点については、
議会民主主議の上から、また
議員一個の
一身上の重大さから考えて、これはどこでもやらしておることです。それを
本人の
要求があったにもかかわらず、全然無視して、そうして一挙に
懲罰を
決定してしまう。私は、これはたいへんな問題だと思うのです。こういう行為を許しておきますと、どこにもこれが
連鎖反応を起こしまして、
自分の都合の悪いときには
懲罰に付して
登院停止をやる。その間相手の
言論を封殺して何でも思うことをやってしまう。あるいはくさいものに
ふたをしてしまうということは、もうどんな点からいっても許されぬと思うのです。いわんや、いま私が申し上げたように、
議員の
身分保障の問題については、特に
民主議会においては重要な問題の
一つになっております。そういうときに
一身上の
弁明を許さない。これは、私はどうしても
理解できないわけです。私はあえて
岐阜県の
自分の
選挙区にこの問題が起きたから問うというのでなく、
国会の
運営を私は十何年やってきまして、
自分の経験に徴してもそのようなことは許されるべきではない。こういうことで実は本日この適不適について
大臣、
関係者からお尋ねしようということです。それで、一体
大臣はこういう問題にどのような御認識をなさるのか、まず承りたいと思っておるわけです。