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1965-03-31 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月三十一日(水曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 中島 茂喜君    理事 川村 継義君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    瀬戸山三男君       武市 恭信君    登坂重次郎君       野呂 恭一君    村山 達雄君       森下 元晴君    森田重次郎君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   平井 廸郎君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      筒井 敬一君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     石川 一郎君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   森岡  敞君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月三十一日  委員島村一郎君及び吉田賢一辞任につき、そ  の補欠として野呂恭一君及び麻生良方君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員野呂恭一君及び麻生良方辞任につき、そ  の補欠として島村一郎君及び吉田賢一君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六二号)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 時間も一時間に限られておりますので、ひとつ時間を効果的に使えるように御回答いただきたいと思います。  まず、第一にお尋ねいたしたい点は、昭和四十年度の予算要求にあたって、自治省では、国税三税に対する交付税率三〇%と、こういうことを要求し、その後減税等関係をにらみ合わせて三〇・四%という要求をなさったわけです。三〇%から三〇・四%にした際には、地方財政現状からこれだけの交付税は確保しなければならぬということで、逆算をして三〇・四%というのが出たと私は伺っております。それが今度二九・五となるわけでございますが、こういうような変遷をたどって、はたして自治省考えておるような地方財政の窮乏というものに対する潤滑油的な役割りを果たせるかどうか、その間の経緯と自治省のお考えをまず承りたいと思う。
  4. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お尋ねの点でございますが、御指摘のように私ども最初三〇・四、すなわち一・五アップを要求をいたしました。その根拠は、一つ減税補てんつまり三十九年度の国税減税と四十年度の国税減税、その減税に基づいて地方税として減るものを幾らと見るかという計算をいたしますと、三十九年度は百三億、それから四十年度が二百四十四億、合計で三百四十七億、それにその他の減税を二十億見まして、合計三百六十九億、これをパーセンテージに引き直しますと、三〇・四になるわけでごごいます。したがって、それを要求したのでありますが、その基本的な根拠つまり財源不足をするからということがございます。そこで、その財源不足の点は、財政需要を見ていきますと、税の伸び悩みやらその他を見て、一千億程度は足りない。だから、これだけを補てんしていただかなきゃならぬという根拠において要求をいたしたわけです。ところが、その財源として一千億足りないというところは、従来の仕事を基本にして考えまするというと、それだけ足りないわけであります。それはもう地方行政というものがだんだんと充実してまいりまするし、やる仕事が多くなりまするから、そうあるべきことは当然でございますが、御承知のように国もいろいろな仕事をやらなきゃなりませんけれども財源不足いたしましたために、本年度の、つまり四十年度の予算は、全体から見て一二・四%の伸びにとどめた健全均衡財政をとっているわけであります。ところが地方財政のほうは、三十九年度をごらんいただきますと、前年度に比較して一九・二という伸びを持った財政で三十九年度まできたわけであります。そうしますると、その間の開きというものは非常に開いているわけです。ですから、国が一二・四の伸びにとどめるなら、地方財政もうんと健全均衡化をして、そうして圧縮はできないかということは、これはまた当然のことだと思うのです。そこで、その観点から予算を、地方財政を組みかえて、まあ百四十五億の交付税でやむを得ぬところだろうというところで折り合ったわけでございます。その点の事情をひとつ御了察いただきたいと思います。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 私がお尋ねいたしたい点は、三百六十九億というものを是が非でも確保しなければならぬ、こういう観点で当初三〇%ということを要求なさったわけです。ところが途中におきまして三百六十九億に相当するアッパ率というのは三〇・四となるのだということで三〇%を三〇.四と改めて要求し直したわけでございます。このことは三百六十九億を是が非でも確保しなければならぬという、率の問題よりも、むしろ三百六十億を今日の地方財政実情から、交付税として必要とするんだという観点で、強い態度で臨んだと私は思うのです。私はこの問題について当初三〇%を要求して、減税等があってもそれを三〇・四にせぬで、総合的な観点予算編成最終段階で三〇から二九・五になったということであれば、これはまあ一つの妥協の問題でありますから、あえて質問はいたしませんけれども、途中で三〇・四と直したということは、異常な決意をもってこれだけは絶対必要だという観点要求をし直したと私は考えます。この点について、いまの大臣のおことばでは了承できないものがございます。重ねてひとつ……。
  6. 柴田護

    柴田政府委員 先ほど大臣から御説明申し上げましたように、交付税率のはね返しました根拠は、裏には地方財政事情があるわけでございますけれども、当面の改定要求いたしました理由といたしましては、国税三税の減税によって自動的に生ずる減収を回避したということから、国税減税額税率にはね返し、いわゆる法人税割税率調整と同じような立て方になっておるわけでありまして、その奥には地方交付税金額というものは地方独立税源だという考え方があるわけでございます。したがって、国が減税をいたします場合には、地方においてもその変動を受けるような事情がありますれば格別、事情がなければ、それだけのものを自動的にこうむる減収を甘受すべき理由はない、こういう考え方に立っておるわけでございます。したがって、最初国税三税の減税額、いわゆる世間で言われております額を基礎にして計算いたしまして、それを補助金適正化等によります振りかえ分等を顧慮いたしまして、三〇・一だったと記憶いたしておりますけれども要求したわけでございますが、その後におきまして国の減税規模が変わりましたので、それに基づいて地方がこうむりまする減収額が変わってまいります。したがって、それを税率にはね返したら一・五%になった、こういうことでございます。この裏には先ほど申し上げましたように、かりにこれが地方独立財源で与えられておったといたしますれば、あたかも住民税のように国税減税は響かない。ところが、たまたま交付税という形でもって三税にリンクいたしておりますばかりに、そういう減収を受けた。それは地方財政の今日の現状ではそれを甘受することができるような状態ではないのだ。地方財政全体を考えますれば、財政計画をつくり変えまして、見通しをつくり変えていろいろ議論すべきところでございますけれども、その方法を避けまして、交付税の本質に従って地方財政現状に基づく判断からそういった減収を今日こうむることは地方財政にとってはたえがたい。したがって自動的にこうむる減収だけは避けたい、そういうことで要求したわけでございます。したがって国の減税額が変わってきたことに伴う減収額変動を率に置き直したということだけでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、三〇%から三〇・四にした際に、これは二つの解釈ができるわけです。三百六十九億を確保するための事務的な問題として三〇・四%を今日の地方財政実情から再要求した、こういう解釈と、異常な決意をもって今日の地方財政実情から三百六十九億は是が非でも必要なんだ。三〇%という率を三〇・四にしたというのは、異常な決意をもってこの三百六十九億を確保したいという決意、私はそういうふうに理解して自治省の異常な決意、常識的には事務的と考えられますけれども、今回にあたっての異常な決意敬意を表したのでありますけれども、いまのおことばを聞きますと、それでは三〇%要求したっておそらく満額は確保できないのだから、是が非でも三〇ということを押して、最後には二九・五と、寄せて二で割る式の結論になったわけなんですから、わざわざ途中で三〇・四なんという数字を持ち出さなかったほうがどうもよかったのではないか、こういうふうに私は思うので、単にどうも事務的に運んだような気がいまの御答弁からするのでありまして、まことに遺憾です。やはりもっと敬意を表したそういう線に沿うて努力をしていただきたかった、こう私は思っております。しかし時間がありませんから、次に移ります。  次にお尋ねいたしたい点は、地方交付税法の第六条の二によりまして、普通交付税が九四%、それから特別交付税が六%、こういうことになっております。全国市議会議長会が四十年の二月に、地方交付税に関する意見として、こういうことを言っております。普通交付税補完的機能を持つ特別交付税必要性は認めるが、災害その他あらかじめ予想し得ない経費並びにきわめて特殊な行政経費等にその使途を限定すべきであって、中央官庁裁量による配分余地を極力排除する必要がある、こういうことを全国市議会議長会は主張しております。  ところで、今日までの特別交付税普通交付税との関係を見ますと、特別交付税ワクが、三十二年までは八%であった。三十三年度から六%に変わったわけです。当時私は特別交付税ワクというのは、逐次交付税の総額の増とにらみ合わせつつ減らしていって、八%、六%、その次は四%にする方向考えているんだということを仄聞いたしております。ところで、三十二度の特別交付税の総ワクは、二百十一億、三十三年度は、八%から六%になったために、百三十四億と総ワクが減っております。昭和四十年度のいま審議中の交付税によりますと、特別交付税の総ワクは、四百二十八億、こういうふうになっておりまして、六%になった昭和三十三年と比べますと、ほぼ三倍強の総ワクになっておるわけです。財政局長よくおっしゃるように、議員等がいろいろこういう問題について陳情に来る、一人百万円減らすぞ、この決意はたいへんけっこうでありまして、議長会も、やはり行政経費等にその使途を限定すべきだ、中央官庁裁量による配分余地を極力排除することが必要である、こういうことを指摘いたしております。  そこで私は、四百三十億になんなんとする従来の三倍以上の特別交付税の総ワクになったわけでありますから、六条の二を、六%というワクをこの際変えていくというお考えがあるかどうか、これをひとつお尋ねいたしたいと思います。
  8. 柴田護

    柴田政府委員 全体の考え方につきましては、特別交付税の額があまり大きいということは私どもも望ましいとは思っておりません。しかし普通交付税特別交付税とは、相互に密接な連関があるわけでございます。したがって、また特別交付税の額を変更いたしますについては、普通交付税算定方法合理化をどの程度まで達成できるかということとも関連があるわけであります。なるほど御指摘のように、金額はふえてはまいっておりますけれども、同時にまた地方財政規模も、その当時とは比較にならないほどふくれ上がっております。普通交付税特別交付税のバランスというものを考えてまいりますと、算定技術からの制約もございますけれども、特殊の事由といったような問題も、御指摘になった時代から比べますればふえてまいっておるわけでございます。たとえば一例をあげますならば、病院会計等に対しまして、特別交付税である程度の手当てをいたしておりますが、こういうものを普通交付税の中において算定いたしますことは、事実問題として、なかなかむずかしいわけであります。したがって、そのような事由がふえてまいっておりますので、できるだけ特別交付税配分を機械的に、普通交付税に準ずるような配分のしかたを進めてまいってきたのでありますが、現在のところでは、まだその特別交付税普通交付税の割合を変更することの可否ということにつきましては、若干問題があるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。しかし、普通交付税算定方法合理化してまいりますれば、方向といたしましては御指摘になりましたような方向に向かうべきものだと考えております。しかし今日の状態では、その特別事由というものの中身からいたしまして、普通交付税の中に吸収することもまだできないものが多うございます。また今後とも若干そういうものが予想されるような状況でもございますので、いまのところでは、にわかにこの比率を変えるということは考えていないような次第でございますが、なお十分検討いたしたいと考えます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 三十九年度の配付にあたって、本来は普通交付税で見べき九億円の寒冷地補正ですか、こういうものが特別交付税の総ワクの中からそっくりそのまま見られていった、こういう事情がございます。それからもう一つ問題点は、三十九年度において、それは完璧じゃございませんでしょう。ございませんけれども、少なくとも交付税基準財政収入額需要額計算というのはかなりの蓄積、実績に基づいて算出されたものなんです。ところが、総ワクとの関係で最終的に調整率がかけられます。〇・九%とかなんとかというそういうものがかけられます。そうなってまいりますと、昨年度もおそらく四十数億円、そういう調整率ですが、本来ならば交付税法の性質から、基準財政需要額収入額差額として地方団体に交付されべきものが、三十九年度は交付されずにそのまま差額の四十数億円というのは放置されております。こういう観点からいきますと、私はいろんな事情、あるいは第二次補正等関係もあったと思いますけれども、少なくとも計算でぴしゃっと出たものについて措置しないで、若干弾力性のある特別交付税で措置するということは、この議長会の主張のように、あるいは年来から大臣なり財政局長が主張しておる線からいきますと、私は問題点があろうと思うのです。本来普通交付税で措置すべきものが特別交付税に押し込まれたという問題あるいはまず第一に処理しなければならぬという調整率をかけた四、五十億円の問題こういうものの処理こそやはり交付税のたてまえからやっていくべきものだと私は考える。そういう観点に立って私はもう今日の段階では、なるほど規模は大きくなっておりますけれども、六条の二については、九四対六というのをもう変える時期にきておるんではないか、そして、そういう中において、おっしゃるような、より完璧な交付税配付方式というものを樹立する時期にきているのではないか、こういうふうに思っております。もう一ぺん簡単でよろしいですが、お答え願いたいと思う。
  10. 柴田護

    柴田政府委員 御意見はよく私どもにはわかるのでございますが、ただ特別交付税普通交付税に切りかえるということになるわけでございますので、普通交付税算定方法合理化、特に年来当委員会におきまして御指摘を賜わっております投資的経費算定方法合理化等ともにらみ合わせまして検討をしてまいる必要があろうかと思うのでございます。私どもといたしましては、技術的の制約とそれから特別交付税で見るべき交付事由、こういったもの等をにらみ合わせまして、可能であれば御指摘のような方向に向かうべきものと考えるわけでございます。しかしながら、今日の段階では両方にそれぞれ制約がございまして、昭和四十年度におきましては従来の比率をそのまま維持することにいたしておるわけでありますけれども、なお十分検討いたしたいと考えております。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 それはひとつ十分検討していただきたいと思っております。  次に、若干数字的な問題でありますけれども、私はいただいた資料について「昭和四十年度各費目別単位費用等改定主要内容」、こういうものを拝見いたしました。これと、中は若干違うと思いますけれども、三十九年度と比べてみますと、増加基準財政需要額というのが格段の差がございます。これを見ても、今度の交付税の総ワクとの関係があるけれども、きわめておざなりな単位費用改定だと言わざるを得ないのでありますけれども、これについてひとつ御所見を承りたい。
  12. 柴田護

    柴田政府委員 基準財政需要額伸びが前年に比べて非常に悪いという御指摘は御指摘のとおりであります。その理由は、要するに税収入伸びも従来に比べまして思わしくなかった。それからまた交付税自身につきましても、昨日川村先生からの御質問もございましたように、交付税率を引き上げて努力をいたしたのでございますけれども、なおかつ従来に比較して伸びが少ない。それこれ考えますならば、どうしても基準財政需要額全体のワクとすれば、去年に比べて縮まざるを得ない。その縮まった中でやはり重点的に基準財政需要額算定合理化をはかっていくという方法をとらざるを得ない。非常にその辺、ひとつ議論があるのでございますけれども、したがって私どもといたしましては、極力基準財政需要額増加額というものを費目に割り振る場合には、特に重点的に考えることにいたしたわけでございまして、この状態をもってどう思うかというお尋ねでございますけれども、私ども地方財政だけの立場に立ちますれば満足はいたしておりませんが、しかし、国、地方を通じましての経済政策、あるいはこれに対する財政施策というものを相関的に考えてまいりますれば、四十年度といたしましてはやむを得ぬじゃないか、こういうぐあいに考えるわけであります。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 今度のこれを拾ってみますと、とにかく昨年の主要な項目の単位費用改定と今年度の改定と比べますと、増加基準財政需要額は六割二分にしか当たらない。市町村に至ってはあらかた五〇%強です。平均六二%です。このことは重点的といま局長おっしゃいますけれども、そうはどうしても考えられない。ワク関係がありますけれども、きわめて平面的なおざなりな単位費用改定を行なったとしか考えられないわけなのです。これについては重ねて何かお答えございますか。
  14. 柴田護

    柴田政府委員 おしかりでございますが、私どもといたしましては、乏しい財源の中でどう基準財政需要額算定合理化するかということに、私どもなりにずいぶん肝胆を砕いたつもりでございます。きのうも川村先生からおしかりがあったのでございますけれども、なるほど投資的経費基準財政需要額増加見込み額は、府県に比べて市町村伸びが少ないということでございますが、ふえております中身は、要するに府県の場合は、道路整備関係費用だけでございまして、ほかはたいしたことはない。市町村の場合は、道路整備関係の増は府県に比べて四分の一くらいしかない。しかし市町村の実態を考えてまいりますと、それだけの問題で府県と同じレベルでもって考えるわけにはまいりません。いわゆる財源傾斜配分をする、低種地市町村財政基盤のためにやっております傾斜配分による配分というものを、市町村投資的経費の充実に充てるというような方途をとり、絶対額といたしましては、府県市町村と、そう大きな格差がないように努力したつもりでございます。また、投資的経費全体の状態から見ますると、公共事業全体で地方負担分は去年に比べまして四百八十億ばかり減っております。しかし、基準財政需要額の減はそれをそのまままいりませずに、約百億程度割り引いて三百億程度とし、この関係基準財政需要額増加に含めております。言いかえれば、公共事業関係投資的経費については、それだけ基準財政需要額算定を充実したというようなことも行なっておるわけでございます。表面的に見ますれば何だということかもしれませんけれども中身には私どもは私どもなりの、ずいぶん苦心をしたつもりでございます。御了承いただきたいと思います。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 きわめて苦心をしたために、きわめて平面的なおざなりの需要額の増になっている、こういうことを申し上げて次に移りたいと思います。  地方財政計画の「使用料及び手数料」のところに「使用料及び手数料収入見込額は、高校授業料単価是正及び経済成長率を勘案し前年度より七十億円の増加見込み七百五億円を計上することとした。」こう書いてございます。これはミスプリントじゃないですか、お尋ねいたします。
  16. 柴田護

    柴田政府委員 ミスプリントと言われる意味はよくわかりませんが、経済成長率でもって伸ばしておるということでございます。この中に高校授業料是正の問題も含まれておりますという意味でございます。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 たいへんに意地の悪い質問のしかたをしたのですけれども、この「地方財政」という雑誌を読みますと、四九ページに引き上げによる増収額は四十年度新入生をも含めれば二百九十三万二千八百九人かける二百円かける十二カ月、七十億三千九百万となっております。授業料だけで七十億円です。そうしますと、「高校授業料単価是正及び経済成長率を勘案し前年度より七十億円の増加見込み」とあるけれども、「及び」じゃないでしょう。そっくりそのまま高校授業料の二百円の分でしょう。だから私は、少し意地が悪いですけれどもミスプリントじゃないかと申し上げたわけです。いかがですか。
  18. 柴田護

    柴田政府委員 その雑誌を詳しく見ておりませんから何とも御返答申し上げかねますけれども財政計画基礎となっております高校授業料増加額は約六十三億でございます。全体として経済成長率に合わせまして伸び算定をし、その中に高校授業料単価是正分も含ましめておりますという意味でございます。表現は、厳格に言いますればもっと正確に書けという意味でございますれば、遺憾な点もございますけれども意味はそういう意味でございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 これはたいしたことじゃないのですが、これはあなたの部下の石原君が書いておるのですよ。いまおっしゃった六十三億円というのは、三十九年五月一日現在の全日制生徒二百六十五万六千三百三十五人について算定すればおおむね六十三億円となるということであって、四十年度の収入はれっきとして先ほど申し上げたように七十億三千九百万でありまして、そっくりそのまま高校授業料単価是正ということなんです。私のほうでわかりませんものですから、七十億の内訳は、一体授業料分幾らで、そして経済成長率を勘案したのは幾らか、こう思っておったのですけれども、これを見ましたら、どうもこれは日本語としてはミスプリントだということに気づいたので、これはしろうとが読むわけですから、もう少し親切に正確にひとつ書いていただきたいということを特に申し上げたいと思う。  そこで私はお尋ねしたいのですが、大臣、二月の初旬か三月の初旬でございます。ことしはひとつ物価の抑制に協力をしてほしいという指令を各地方公共団体に出しましたね。いかがですか。
  20. 吉武恵市

    吉武国務大臣 さようでございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで、地方財政計画の中に従来の六百円というのを八百円として織り込んで、今度の地方交付税の中で基準単価というのを八百円と、自治省みずからが授業料値上げの範を示したというようなことは、一体どういうことなんですか。
  22. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私は、二月でしたか、物価の総合対策について御協力を願いたいという通牒を出しましたが、それは前年に政府が出しましたような、公共料金及びこれに準ずるものの値上はストップするという趣旨ではございません。これは本委員会でもしばしば申し上げましたように、上げるべきものは適正な上げ方はしょうがない、しかしその上げるについてはできるだけひとつ御自重を願いたい、こういう趣旨でございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 それは大臣のおっしゃるとおりでしょう。上げるべきものは、こういう時期でありますから、極力押えつつ上げていくということは、これはあり得ることだと思うのです。しかし昭和三十二、三年ごろからの六百円という単価でございます。どこの県立の高等学校でも上げ幅というのはいままでは五十円か百円です。これを一気に六百円から八百円に直す。しかも自治省みずからが地方財政計画の中に織り込んで、地方交付税単位費用計算に当たってそれを織り込んだということになりますと、これは何といってもやはり範を示したものと言わざるを得ない。なるほど八百円取っておるところもございましょう。ございますけれども、ここ数年そういう形でやってまいって、きわめて重要な時期に地方財政計画地方交付税の中で織り込んだといいますと、これはきわめて大きな値上げムードをつくったというそしりは免れない。端的に申し上げますと、大体の高等学校は、私の承知している県でも、高等学校の授業料を二百円上げることによって、約二億六千万円の使用料手数料の増額になるのです。今度交付税の中でこれが勘案されますと、往復五億円くらいの違いというのが起こってまいります。しかも今度の単位費用計算を見てみますと、三十九年度は標準団体の高等学校の経費というものは十二億円です。それに対する使用料というのは二億一千万円です。したがって標準団体の経費に対して使用料は一七%であったのですよ。四十年度のを見ますとどうなっているかと言いますと、標準団体の場合は経費が十四億四千五百万円、使用料が二億八千五百万円ですから、二割弱になっているのです。一九・八か九になるでしょう。これはやはり授業料値上げによって収支を合わせよう、地方財政計画授業料の値上げによってつじつまを合わせよう、交付税を低く押えよう、こういう考えから出たものだと思う。昨年一七%であったものが二〇%になっているのですよ。三十八年度の実際を見てみますと、大体全国で千六百億円くらい高等学校の経費がかかっている。これに対する授業料は大体百六十億円です。一割に当たるのです。四十年度は七十億円加わりますから、二百三十億円というわけでございます。二割になる。これはたいへんなことだと思うのです。しかも交付税算定が実績の半分にしかすぎないという単位費用改定をやった、こういうことを証明しておる。この点についてひとつ大臣と局長のお考えをただしておきたい。
  24. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは本委員会でも一度申し上げたと思いますが、従来の授業料が十年間据え置きになっておりましたので、この際上げようということでありますが、それもこれは各府県でやられることでございまして、私のほうから、上げなさいとか、上げてはいけないとかいう性質のものでもないことは、御承知のとおりでございます。そこで実際各府県のうちで十八府県ぐらいはもう六百円から八百円に上がっておるのであります。でありますから、十年間に国民所得ももう倍近くになり、学校の先生の給与も倍以上になっておるし、すべてがそういう状況でございますから、この際八百円ぐらいに見ても差しつかえなかろう、こういうことでございまして、私ども十年間の経緯を見ますれば、六百円から八百円になるというのはまあ普通じゃないか、かように存じて計上したわけでございます。
  25. 柴田護

    柴田政府委員 授業料の単価を是正いたしました基本的な考え方は、先ほど来大臣から御説明申し上げたとおりでございますが、それを基準財政需要額算定基礎に置いて取り上げたということが、地方授業料問題にどんな影響を及ぼすかといういまのお話でございます。しかし授業料引き上げの根拠は、言われましたような理由と同時に、その趣旨から見まして、やはり超過負担の解消という趣旨もあるわけでございます。したがって、単位費用算定の場合におきましては、授業料の増収によります部分は、すべてこれをあげて高等学校の物件費等の支出に充てたわけでございます。したがって、それによりまして従来、税外負担に置かれておりましたようなものを正規の収入に振りかえ、そして財政秩序の合理化に資したい、こういうことでございます。  また、財政計画なりあるいは単位費用積算の基礎になりますものが、実際に地方団体授業料の動向をいろいろ規制をするかということになりますと、いままでの実態からいいますと、たとえば定時制を考えますならば、単位費用基礎は三百五十円を使っておりますけれども、三百五十円以下の授業料というところはたくさんございます。また、それ以上のところもあるわけでございます。したがって、御指摘になりましたほど強力にそれが働くということは、必ずしも従来の事実は物語っていないのであります。しかし、あるべき単位費用の姿としましては、従来の授業料の経緯から考え、また、税外負担との兼ね合いを考えて、八百円程度是正は今日の場合においてやむを得ないだろう。その是正することによる効果というものをできるだけ正当な方向に、かつ、合理的な方向に持っていけばいいんじゃないか、こういう考え方に立って単位費用を変えたのでございます。  なお、先ほど御指摘になりました計数の問題は、課長からお答え申し上げます。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 三十一億円の交付税上の需要額の増ですね。明細はわかりませんけれども、新河川法の施行と高校急増対策の減として九十六億四千万円というのが上がっておるわけです。高校急増対策というのは一応大きな波を昨年三十九年度でこえたんです。四十年度は九十六億四千万円の相当部分というのは、高校急増対策の需要減なんです。しかも授業料七十億円上げて、そして三十一億円の高等学校費の需要増、こういう点から見ましても私は、大臣がおれだけの強い協力要請を地方団体に行なったことしの段階において、少なくともやはり来年くらいまではこれをしんぼうするというのが自治省のたてまえではなかったかと私は思う。局長はああいうふうにおっしゃいますけれども、八百円という基準単価になりますと、地方団体は、自治省がこういう計算をするのですから、そういうことにやらなければ、最低ここまでやっておかなければ、交付税なり特別交付税で損しますよ、これはぜひ自治省が基準として示したものだから実現するという、自治省のオーソリティに基づく非常に大きな値上げの根拠というのが地方団体に生まれてくるという実態は、これは御承知でしょう。しかし私は、自治省が御承知で、おれはそれほど権威を持っているのだぞというお山の大将をきめ込んでいるんじゃないと思うのですよ。そうでしょう。そうなりますと私は、いま申し上げたような事情から、あえて今年度地方財政計画に織り込み、地方交付税法上で単位費用計算にこれを織り込むということは、いささか私は姿勢が悪いのではないか。ムードをかき立てる重要なテコになるのではないかということを考えます。この点について、ああいう協力要請から、少なくとももう一年くらい待つべきだったと私は思っておりますが、大臣、簡単にこの点についてお答え願いたい。
  27. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど来申し上げましたように、上げないで済めば一番けっこうでございますが、しかしその間における高校一人当たりの経費につきましても倍以上になっておりますし、学校の先生の給与も倍以上になっておるところでありまするし、また、国民の所得から見ましても倍以上になっておるときでありますから、突こつとしてやったわけじゃございません、もう府県のうちで、先ほど十八と申されましたが、十六のようでございますが、十六府県がすでに六百円から八百円を実施しておるわけでありますから、その点等を勘案いたしまして、地方財政の今日の財政の状況から見ればまあやむを得ないだろう。延ばすことも一つでありますが、問題を将来に延ばすということはかえってあとで問題が大きくなることはあり得ることでございまするから、機会あるごとに是正していくということが私はかえってよくはないか、かように存じて、今回はそのような処置を講じたわけであります。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 どうも条例できめるんだ、こういうおことばがあったかと思いますと、交付税地方財政計画でやはり基準を立てていったということについて、大臣と——十六の県がやっている、こういうことを根拠にやっていらっしゃるようでありますが、私はまことに困ったやり方だ。大臣の趣旨とも相反するのではないか、こう思っております。しかしもう時間がありませんから……。  ところで、お尋ねしたいのですけれども、この授業料値上げによる二百円分というのは、大体において八割程度は教職員のほうの単位費用改定の分に回されて、二割程度がいわゆる生徒数のほうに回されたと承っております。  ところで、きわめて簡単なことでありますが承りたい点は、このいわゆる生徒数にかかわる標準施設の規模の中に、雇用人数三人とこう書いてあります。生徒数八百二十五。八百二十五といいますと、おそらく一学年六学級か七学級ぐらいの学校の規模だと思うのです。雇用人数三人という高等学校はどこへ行っても見受けませんが、こういうことで今日いろいろな問題が学校管理上起こっているやさきに、雇用人数三人でやれると思うのですか。夜警も交代でやっておりますよ。雇用人数三人で標準施設の高等学校をやっていくなんていうことは、これは不可能に近いことだと思うのです。一体こういう三人という根拠はどこから出たのか。きわめて寡少な、やれもせぬような数字をあげておるのではないかという感がいたします。しかし時間がありませんから、これは次の質問の答弁の際に、何か御答弁があるならばあわせてお伺いしたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、監査費用の問題であります。監査費用のこの交付税に算入された数字を見ますと、今度は若干改定がなされておるようでございますが、都道府県の監査委員については、標準団体で補助職員が八人、雇用人が二、計十名です。市町村の場合は、補助職員が四、雇用人はありません。都道府県の監査委員というのは四人おります。しかも市町村の場合でも、これを見ますと監査委員が四人となっておる。監査委員四人持って、補助職員八人とかあるいは市町村が四ということで十分な監査がおできになると思いますか、お尋ねいたします。
  29. 石川一郎

    ○石川説明員 御指摘の問題につきましては、昭和四十年度から、府県につきましては二人、それから市町村につきましては一人、それぞれ規模是正という形で職員の増加をはかるようにいたして、単位費用算定するようにいたしております。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 府県の場合は出先というのがありますよ。石川課長府県にいらっしゃったことがあるでしょう。補助職員八人ぐらいで監査をやっておりますか。あなたはよく御存じでしょう。どこの県へ行きましても監査事務局というのがあります。これには課長一人ですが、ちゃんと局長がおります。課長が二人ぐらい局長のもとにおります。相当のスタッフでやっております。それにもかかわらず、出先の監査をやるのに二年に一回やるのがせいぜいだ、こういうふうな段階でございます。  私が特にこの問題を申し上げたいのは、局長さん、やみ起債の問題が起こっておるでしょう。あるいは公金流用の問題が起こっております。あるいは裏予算という問題も起こっておるでしょう。これはやはり監査機能が十分に機能しておらぬということから私は起こっておると思う。今日いろいろ問題をやっていく場合において、監査機能が十分に動いていくことがきわめて大切だと思う。赤ん坊にも満たないようなこういう補助職員で、しかも監査委員は四名という組み方をして、これでやっていける、そして地方団体の姿勢を正すなんということは、やはり自治省が、いろいろな問題が地方団体に起こっておるのは地方団体の責任であって、自治省は知らぬぞという態度に終始しておるように見えます。こう言わざるを得ません。これが、こういう形で出ておりますが、何としてでも改めていただかなければならぬと思うのですが、ひとつこれについての決意お尋ねしたい。
  31. 柴田護

    柴田政府委員 先ほど高等学校の雇用人につきましての御指摘がございました。いままた監査委員の補助職員につきまして御指摘がありました。この状態が人口十万なりあるいは人口百七十万の地方団体の監査機能ということを考えてみまして十分かどうかといわれますれば、これは十分じゃないと言わざるを得ません。率直に申し上げましてそうなると思います。しかしいろいろ従来から問題があったものを、二、三名でございまして人数はわずかでございますけれども、少なくとも規模是正につとめてきたということはひとつ御了解をいただきたい。これで私どもも満足しておるわけでございません。  なお、内容等につきまして調査検討いたしまして、是正につとめてまいりたいと考えるわけでございます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 石川課長お尋ねしますが、あなたが回った県で、監査委員の補助職員が何人くらいおったことを経験しておりますか。率直に言ってくださいよ。
  33. 石川一郎

    ○石川説明員 私、福岡県と石川県で、福岡県は三課制で非常に監査の内容が充実いたしておると思います。いま交付税につきましては標準団体百七十万の団体で見ておりますので、福岡のこの実態がそのまま当てはまるわけにいきませんが、特に福岡は内容が充実しておると思うのです。それから石川県でございますが、石川県は人口が九十万でございまして少のうございますので、ここの監査事務機構はそう大きいものではありません。
  34. 細谷治嘉

    細谷委員 標準団体というのは府県の場合の場合百七十万ですよ。これは監査委員というのは四人制なんです。ですから県の四人の監査委員というのは、学識経験者と議会選出の監査委員というのがおそらく二組くらいになってずっとほとんど回っております。二年に一ぺん出先を回るというのはたいへんなことだといわれておる。おざなりの監査では役に立たないわけです。それに八人ということになりますと、これはてんで話になりません。これはぜひ、今日のいろいろな問題点が多い地方団体現状にかんがみて、監査機構の充実についてはやはり十分な配慮をしていただかなければ、やれもせぬのにこういうことでお茶を濁しているようでは、やはり局長さんがおっしゃる重点的な地方団体現状からの配慮というものがきわめて欠けておる、こういうふうに私は申し上げざるを得ないと思うのです。ひとつ善処をくれぐれもお願い申し上げたいと思います。  次にお尋ねいたしたい点は、時間がありませんからお聞きしたいのでございますけれども、清掃費の問題であります。今度の場合には、昨年の問題等もありまして、ある程度人員については変わっております。昨年は六十三名ということであったのでありますが、今度は七十九名、こういうことになりまして十六名増加いたしております。じんかい関係で三名、それからし尿関係で十三名、こういう改定がなされております。しかし実質的には、いわゆる人夫九名というのがあったのでありますから、純増は四名ということだと思うのです。  そこでお尋ねいたしたい点は、この数字は厚生省との間にぴしゃっと理解がついておるのかどうか。それから自治省は逐次改定をなさるのでありましょうけれども、この標準団体等における人員配置等はこれでいいとお思いなのか。将来逐次改正してこの程度が適正な人員配置だとお考えになっているかどうか、これをお尋ねしたい。
  35. 柴田護

    柴田政府委員 細谷先生御承知のとおり、私どもと厚生省とが入りまして清掃問題研究会というものが市長会の手元で持たれております。その結果一つの答申が出ております。たしか私もその一員だったと思いますが、この清掃問題研究会の結論というものは、清掃問題に対します当面の目標を示しておるものであります。私どもとしましては、やはりその清掃問題研究会で示されております線というものを目標にして、これに近づけるという方向努力してまいっておるような次第であります。昨年も清掃費を別建てにいたしましていろいろ当委員会で御批判を受けたのでありまして、昭和四十年度の、三十九年度から比べますればもっときびしい財政状況のもとにおきましても、この経費だけにつきましてはさらに理想に近づけるように努力してまいったつもりであります。しかし、これでもって完全かとおっしゃられれば、完全でないとお答えせざるを得ません。財源との振り合いを考えながらこの答申の線まで近づけるように将来とも検討してまいる、こういうつもりでおるわけでございます。
  36. 細谷治嘉

    細谷委員 答申の線まで実現するように逐次努力をするということでありますから、これはそれ以上申し上げませんが、ただ申し上げたいのは、先ほど議長会の資料等を申し上げたのですけれども自治省計算しておる単位費用を一〇〇といたしますと、この清掃関係費用というのは、最高ですと大体において四五〇くらいになっております。どこでも大体二〇〇くらいになっております。端的にいいますと二倍以上の経費需要額よりも見ている。標準団体のきわめて表面上の比較でございますけれども、そういうかっこうになっておりまして、きわめて不十分でございます。ぜひひとつ御検討をいただきたいと思います。  それから次に申し上げたいわけでありますが、時間がありませんから、大蔵省の平井主計官が見えておるようでありますが、平井主計官、「四十年度消防予算をめぐって」ということで、この消防関係交付税についてはきわめて十分な見方をしているのであると思われるような文章でこれをつづられております。「近代消防」という雑誌であります。これは単位費用が九十二円上がるわけでございまして、昨年は六十一円上がったのです。今度は平井主計官がおっしゃるように、科学消防力の強化に必要な経費、あるいは常備消防設置市町村の追加指定に伴う増、これは今度相当の指定数をふやしております。夜間勤務手当、休日給の新規算入、あるいは非常備消防関係では、出動手当の増額、消防団長の受講旅費の新規算入、こういうのを加えたあげく、昨年は六十一円、今度は九十二円、一・五倍です。これでは私はずいぶん不十分であると思うのです。私は、消防なり清掃というのは、ただ人口だけで単位費用がきめられておりますけれども、もっと測定単位というのをただ単に人口ばかりではなしに、たとえばその団体の面積、あるいは地形、こういうものを考慮した測定単位を加えるべきではないか、そういうように私は考えます。こういう点についてひとつ自治省と大蔵省の御見解をお尋ねしたいと思います。
  37. 柴田護

    柴田政府委員 消防につきましては、いろいろ御指摘があり、御批判がありましたが、今回におきましても標準団体で百六十万円、基準財政需要額全体で約二十七億でございますが、増加を予定をいたしておるのでございます。科学消防なりあるいは夜勤手当、それから出動手当の増等々におきまして、相当の配慮を実はいたしたつもりであります。もとよりこれで十分かと言われますれば問題があることは承知いたしておりますけれども、消防経費の実態というものと比べてまいりますと、消防関係の実際の経費というものが基準財政需要額よりか下回っておるという事実があるのでありまして、その事実から見ますならば交付税算定におきましては全体といたしましては大体見ているのじゃないか。しかし、配分方法等につきまして、個々の算定について見ますならば、御指摘のようにでこぼこがございましょうし、そういう意味合いにおきまして、算定方法合理化ということにつきましては、なお検討する余地は残っておると私も思います。いろいろ平井主計官の文章を引き合いに出されましたが、おそらく決算と需要額との比較を総体としてながめた場合には、決算のしりのほうが需要よりか下回っておるという事実からそういう推定をされておると思うのでございますが、しかし、では測定単位を別に立てるか、人口以外のものを何か考えるかということになりますと、やはり人間がおる、家屋があるということによって消防活動が必要になってくるわけでございますので、面積等をとってまいると、かえってそれは実態に即さないことになる。人口を測定単位にする方法が一番いいのじゃなかろうか。要すれば人家の密集度といったようなものをどのように配慮してまいるかというような問題があるかもしれませんけれども、やはり基礎は人口であろうと思うのでございます。補正方法等についてなお検討する余地は残っておるかと思います。しかし、面積を加えていく点につきましてはどんなものだろうというように思っておる次第でございます。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 実はこの自治省からいただいた資料の中の算定方法のうち、態容補正の問題あるいは遠隔地市町村への補正の問題、あるいは公共事業等の密度補正等の問題について、突っ込んだ質問もいたしたい、こう考えておりますけれども、時間がありませんから、それは後日に譲りまして、最後にただ一点だけお尋ねいたしたいと思います。  本年は、五年ごとの国勢調査の行なわれる年であります。ところで、産炭地の人員は、昭和四十年度の出炭計画等もきょうの新聞等に出ております。けれども、激減をいたしております。五年目ごとに国勢調査によってかなりの異動が起こってくるのじゃないかと私は思うのです。これは世帯単位であるかあるいは従来の登録人口であるべきかという問題がありますが、そういう問題を含めまして、人口の激減によって交付税を通じての財政の激変が起こる可能性がございます。こういう問題について自治省としてどう対処するおつもりなのか、経済政策から来た激変で非常にどん底に悩んでおる産炭地市町村等の問題に関連してお尋ねしておきたいと思います。
  39. 柴田護

    柴田政府委員 人口につきまして国勢調査の結果が出てまいりますと、出た結果を使うわけでございますが、したがって、お尋ねの問題は、昭和四十二年度の普通交付税から問題が起こってまいります。厳格にいいますと、人口が五年ごとに一ぺんに激減をするわけではございません、徐々に減っていくわけでございますから、現在使っております三十五年の国勢調査の人口がすでに実態に合わなくなっている。したがって、かりに今度の国勢調査で人口がうんと減ったという場合には、その間にカーブを描いて減っていくわけで、それをカーブが描かれないもの、減らないものとして算定しているのでございますから、従来はいわば厚い手当てが行なわれておったということになるわけでございますけれども、そうは言ってみても、実際には激変をいたせば財政運営が困ってしまうでありましょうから、昭和四十二年度の交付税算定までに国勢調査の結果等を見ながら、激変緩和の措置をどうするかということを検討いたしてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、何らかの激変緩和措置を考えていかなければならぬと考えております。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  41. 中馬辰猪

    中馬委員長 門司委員
  42. 門司亮

    ○門司委員 最初自治省に聞いておきたいと思います。  四十年度の地方財政計画の中にあります地方交付税の総額と三十九年度の比較総額、これは数字が誤りでありますか。四十年度は七千百三十二億で構成比二〇%、三十五年度は六千三百五十一億で構成比二〇%、こう書いてありますが、この三十九年度の最終の交付税の中には第一補正が百五十九億と給与改定で借り入れた百五十億が含まれますと、三十九年度の最終の地方交付税は六千六百六十億になるのがほんとうの数字じゃないですか。
  43. 柴田護

    柴田政府委員 御指摘のとおりでございまして、その関係はお配りいたしております資料の八ページに総額が書いてございますが、財政計画上の対比は当初対初の対比をいたしますのでこういう形になるわけでございます。
  44. 門司亮

    ○門司委員 まあそういう答弁があるだろうと思っておりましたが、そうだとすれば、七千百三十二億のうち三十億は本年度返す分が差し引かれておる。そうしてこういう数字になっている。これを加えるともっとこれは、三十億ふえるわけです。そういう、片方にはきちんと書いておって片方には当初比較だけをしているところに財政計画上の非常にむずかしい問題が出てくる。私は少なくともこういう表を出されるからには、大体こういう数字はわかっているのだから、第一補正で百五十九億やっていることもわかっておるし、百五十億借り入れていることもわかっている数字だから——本年度返さなければならぬ分の三十億はちゃんと四十年度で引いている、こういうことになっている。だとするならば、つじつまを合わせるように一枚に書いてくれればわかるのです。おかしいといってあとで計算してみて、われわれのほうで考え直さなければならぬような数字をここに書かれることは私は迷惑だと思う。しかし時間がありませんので、このことはこれ以上私は追及はいたしません。だからこういう、あとで計算をしなければわからぬような書類でなくて、わかり切ったものはわかり切ったものとして書いておいてもらいたい。たとえばいま予算審議をやっておるが、この表のできない二月とは三月に補正予算があって、それからくる交付税がどうなっているかということについては、これは書くことができないから書かなくてもよろしいと思う。わかったものはやはり書いておいてもらったほうが審議の材料にするには非常に都合がいい。だから構成比の二〇%なんというのはうそであって、ことしはこういう形の数字は出てこないはずだということであって、あまり感心した書類じゃないと私は思う。  それはそれとして、その次に聞いておきたいと思いますことは、大臣がおいでになりませんから、あるいは大臣がおいでになればそのときに大臣にあらためてまた聞くといたしまして、事務当局に聞いておきたいと思いますことは、地方財政の最近の状態は、御承知のようにほとんど地方で今日まで持っておった積み立て金の取りくずしがかなりひどいものがございます。積み立て金もごくわずかになっておるかと思います。同時に、三十八年度から三十九年度には百三十七億くらいの繰り越しがあったはずでありますが、三十九年度から四十年度にはおそらく地方財政の中でこういう繰り越しも私はなかろうと思う。こういうふうに考えてまいりますと、私は地方税の見積もりを非常に水増しをしているというように考えておるのであるが、大臣はそういうことはないとおっしゃっておりましたが、実際は交付税を勘案いたします場合に問題になりますのは、単なる税収がどれだけふえるとか減るとかいうことではなくして、実際は地方財政の需要がどのくらい伸びておるかということの対照がされなければ、正しい意味のこういう交付税といったような調整財源の役はしないと私は思う。単に税源が、これだけ取れるからそれでよろしいのだというわけにはいかないと思う。地方財政需要額が急速に伸びておる今日においては、そういうことが考えられる。同時にいま申し上げましたように、税収の鈍化と財政需要の増額が非常に目立っておる。ことに財政需要の中には、給与の問題とかあるいはその他いろいろな義務的な性格を持つものが非常にふえておるということ、反面に積み立て金の取りくずしがあり、繰り越し金はなくなっておるということ、こういう地方財政の非常に大きな悪化を来たしておる現状において、交付税税率が単に百四十五億だけふやされたというようなことで、一体これで地方財政はカバーできるというお考えであるかどうか、これをあらためてひとつ聞いておきたいと思います。
  45. 柴田護

    柴田政府委員 私どもは、先ほど来お答え申し上げましたように、地方財政現状にかんがみて一・五%の交付税率の引き上げの必要があるものとして折衝をしたわけでございます。しかし国庫の財政事情等もあって結果的には〇・六%の引き上げに終わったわけでございまして、これで決して私どもは満足しておるわけではございませんけれども、国庫の財政状況、全体の諸般の事情等を考えます場合には、やむを得なかったというように考えておるわけでございます。
  46. 門司亮

    ○門司委員 大蔵省の主計官にちょっと聞きたいのだけれども、いま話をいたしましたようなことで、一々ここでこまかに数字を申し上げようとは考えておりませんが、何といっても佐藤内閣の打ち出しております、御承知のように地方開発というようなことで、国庫支出金は大蔵大臣に言わせれば二七%にふえておるということを言っておりますが、これは実際前年度比からいえばたいしてふえていないのです。三十八年度から三十九年度にも大体このぐらいしかふえていない。あるいはふえておったとしても一%ぐらいしかふえていないと私は記憶しておる。そうして地方財政は、いま申し上げましたように急激に需要が増加しておる。そうして義務的経費がふえてきておる。そのことのために地方の単独事業は昨年の一四・二%がことしは九・五%しかやられないという結果になっている。一体大蔵省の主計官として地方財政がこれでよろしいんだというお考えですか。私はいまの税法の改正ができないとすれば、交付税の改正によってそういうものを補っていくということがこの際必要ではないかと考えておるのだが、一体どういうわけで自治省の一・五%の増を〇・六に下げたかということの真相をひとつこの際はっきりしていただきたい。これは大蔵大臣の御答弁のほうがよろしいかと思いますが、一体大蔵省から見た地方財政というものをどう見ておるか。
  47. 平井廸郎

    ○平井説明員 交付税率の引き上げの経緯につきましては、かつてこの委員会におきまして自治大臣から御説明申し上げたところでございますが、率直に申しまして、今回二九・五%に引き上げましたのにどういう積算に基づいてこうなったということではございません。正直に申し上げまして、国と地方を通じてそれぞれ苦しい財源事情の中から、地方における財政の窮迫の状態を勘案いたしまして、できるだけの国の補助をするという考え方のもとに大臣間の折衝でもきまらずに、党の首脳部等を入れまして、最終的には政治的な解決をして〇・六%の引き上げが行なわれたわけでございまして、正確にこの数字から〇・六%の引き上げが行なわれたというものではないわけでございます。ただそれではこの数字をもって地方財政の運営が正常に行なわれるのかという御質問につきましては、私どもといたしましては決して地方財政運営が楽であるとは考えておりませんが、国の財政規模伸びが今年度は一二・四%にとどめられておるのに対しまして、地方の場合においては、御承知のように一五・一%と、国の財政規模伸びを上回るようないわば地方財政計画伸び考えられているわけでございますし、なるほど義務的経費の増高等非常に苦しいとは思いますけれども財源の節約あるいは経費の重点的使用によりまして、何とかこれでやっていけるものであろうということを期待しておる次第でございます。
  48. 門司亮

    ○門司委員 どうもそういう何も根拠のない、ただつかみ分けみたいなもので地方財政が満足にいけるはずがないと私は思う。  と同時に、さらに大蔵省に聞いておきたいと思いますことは、交付税の対象になっておりますいわゆるここに書いてある経費の種類であるとかあるいは測定単位というものを一応考えてまいりますと、経費の種類というのはほとんど全部といっていいほど実は地方の単独の義務的の仕事であり、同時に性格的に申し上げてまいりますならば、義務的の経費であるというものが大体対象になっておるはずであります。そうすると義務的の経費を対象としておることに間違いがないということになってまいりますと、地方財政総額の中から先ほど申し上げましたようにこの面が非常にふえておるということについては、少なくとももう少し私はカバーがなければならなかったと考える。同時に地方の税収が一五・五%伸びるという地方財政計画の問題でありますが、私はこれには非常に大きな疑問があると思う。もしここで答弁ができるならば、大蔵省からでも自治省からでもよろしゅうございますが、もう三月も終わりになりますので、二月現在の各自治体の税収の伸びが一体どのくらいになっておるか、これを調べてもらえば、この税収の伸びがどのぐらいであるだろうという想像がある程度つくはずである。ところが地方の自治体では、ほとんど税収の伸びというのが、十二月末を大体基準に一応とってみますると、かなりの豊かな県におきましても二%から三%、五%とは伸びておらない。これが三月三十一日の最後の締めくくりでどういう結果になるかということは、数字的にはわかりませんが、しかし、従来われわれが経験してきたことによりますと、前年度の十二月末における地方の自治体の税収の伸びが、予定された数字と比べて一体どのくらい伸びておるかということは、三月末の決算、締めくくりにおける伸びとの間には、私はそう大きな開きはなかったと考える。現実にわれわれが調査した範囲におきましては、予定された税額の二%か三%しか伸びていない。これが今日の地方の自治体の補正予算の非常に組みにくい原因をなしておることは、自治省のほうはおわかりだと思う。そういう情勢の中において一五・五%伸びるということは、われわれには実際考えられない。  大蔵省にもう一度聞いておきますが、それなら大蔵省は一〇・何%しか伸びないという——大体補正予算を入れますと、そういう数字になると私は思うのです。当初予算の対比になりますと、一二・何%か伸びておることになっておる。しかし、補正予算の数字を入れてまいりますと、一〇・二%ぐらいしか伸びていない。国の税収が一〇・二%ぐらいしか伸びていないときに、地方の自治体が、さっき申し上げましたような現状にあるときに、一五・五%伸びるとはどうしても考えられない。こういう見通しについて、自治省がそう考えておるから大蔵省もそういうふうに考えておるんだということでは、私はこの交付税を査定される大蔵省としての言い分にはならないと考える。したがって、大蔵省から見て地方税がほんとうに一五・五%伸びるかどうか、もう一度はっきり御答弁願いたいと思います。
  49. 平井廸郎

    ○平井説明員 御承知のように、地方財政計画については補正という作業はございません。したがいまして、正確に、地方財政計画のいわば補正された形における姿、四十年度の地方財政計画を比較するという作業は不可能でございます。したがって、その観点において何%の伸びがあるかということは、私どもとしてはつまびらかにする方法はないわけでございまして、これは決算が判明いたしますならば、おのずから比較はできると思いますが、現段階においてはそういう点についてはお答えは困難であろうと思います。ただ国の財政見積もりなり、地方の租税の収入見積もりについては、それぞれ専門的に自治省当局なりあるいは大蔵省主税局なりが協力して検討いたしておる次第でございまして、その結果この程度伸びがあるであろうということを推定いたしておる次第でございます。
  50. 門司亮

    ○門司委員 自治省はどうですか。
  51. 柴田護

    柴田政府委員 所管ではございませんが、この税収の伸びの中で非常に大きいのは、住民税の所得割であろうと思います。あとの各税目につきましては、従来の算定方法それから経過から見まして、そう大きな問題はないんじゃないか。市町村民税なりあるいは府県民税なりの所得割につきましては、伸びが大きいんじゃないかという御議論があろうかと思います。この中には、算定不足といいますか、従来算定に漏れておったものが多少入ってきておりますけれども、これはやはり個人所得の伸びというものが明確になっておりますので、この程度のものは住民税としては徴収できる。これは特に前年課税でございますので、所得税の本年度見込みが立ちますれば、それによって計算してまいります限り、自動的に出てくるわけでございます。したがって、この税収入は、御指摘のようにそんなに無理なものだとは実は考えていないわけでごごいます。
  52. 門司亮

    ○門司委員 私自身の時間があまりありませんから、突っ込んだ議論は実際はできないと思いますが、いまの大蔵省のような答弁をここのところでされては、私は非常に迷惑だと思うのです。これは財政計画です。ですから実質的なものではないことはわれわれも知っておる。ところが、この財政計画地方自治体にどういうふうに響いてくるかということであります。国が一五・五%税収が伸びるという財政計画を立ててまいりますと、地方自治体も、大体そのくらいの見当でいきはしないかというようなことで立てられております。地方によっては九%ぐらいしか税収が伸びておらないと認めておるところもあります。地方によっては一六%以上前年度比増収があるように書いてある予算書がある。こういうことはもう少し自治省が十分自重して、あるいは大蔵省が十分考えてやっていただかぬと、単に数字のつじつまを合わせることのために、財政計画のつじつまを合わせることだけを考えてやられるとすると、地方財政に非常に大きな問題を残すと考える。そういう心配がありますから、この点を少し聞きただしておるのであります。単にここだけで議論する問題ではございません。これが影響するところは、いま申し上げましたように、国が一五・五%認めておるから、うちのほうも一五・五%認めてもよかろうというようなことで、地方は安易にものを考え財政見積もりをやる危険性が出てきます。そういう点で私は申し上げておるのです。  その次に大蔵省に聞いておきたいと思いますことは、例の地方交付税の対象になっております費用の種類というものは、大体国に直接関係のあるいろいろな問題がここに書かれております。同時に、今日地方財政の最も大きな一つのガンとわれわれが考えておりますのは、国が定めた単価と実質支出の単価との開きがあるということであります。言いかえますならば、超過負担が非常に多いということである。したがって、その超過負担の多いことが地方財政をより以上困窮さしておることも、これははっきりした事実であります。といたしますならば、この交付税の性格上から見て、当然、交付税はいまの交付率でよろしいかどうかということについては、私ども多大な疑問を持っておりますので、その点について大蔵省は、超過負担に対する考え方をどういうふうにお考えになっておるか。これをもう少し手っとり早くいえば、各省にも関係があろうかと思いますが、たとえば建設省であれば住宅の建設費の問題あるいは敷地の問題文部省であれば学校の建築費の問題等々について、単価がかなり低く見積もられていやしないか。これを大蔵省認めますか。これでよろしいということをお認めになるかどうか。皆さんのほうは政治的の配慮よりもむしろ数字的事務的の関係であろうかと思いますので、事務的にはじき出して、国が定めた単価でできるのだという自信があるかないかということを、この際ひとつ伺っておきたいと思います。
  53. 平井廸郎

    ○平井説明員 御指摘の国の予算単価あるいは国の負担金の単価が現実の地方団体における経費と食い違いがある、これは一般的に超過負担の問題として議論されている点でございますが、超過負担と呼ばれているものの中にもいろいろの原因がございます。一つには、国のそういった予算単価のきめ方というのは、標準的な団体における能率的な事務の執行というものを前提にいたしておるわけでございまして、現実の地方におけるそういった仕事の運営のやり方が、必ずしもこれと一致しないという問題もあるわけでございます。また、人員等につきましても、国の予算の積算にあたって、予定しているような資格者なり、あるいは適当な年齢の方がいなくて、それを越えるような方が従事しておられるというようなケースもございます。したがって、すべての場合について国が当然地方の支出の実態に合わせてやらなければならぬかどうかという点については、私どもとしては必ずしも賛同いたしかねるところでございます。ただ、それではすべての国の予算単価が適正であるかどうかということは、当委員会をはじめとして各委員会でそれぞれ議論をされているところでありまして、私どもといたしましても、当然そういった超過負担は、あるとすれば望ましいことではございませんので、先ほど申し上げたような前提に立ちまして、毎年度の予算の積算にあたってできる限り補正は行なっているつもりでございます。ただ、それぞれの、非常に多岐にわたっております補助金のすべてにわたって適正であり、間違いがないことが保証できるかという点については、私どももそれぞれの主管者に伺ってみない正確には言えないところでありまして、その点について保証ができるかということについては、私どもとしては答弁いたしかねる次第でございます。
  54. 門司亮

    ○門司委員 いまのせっかくの御答弁ですが、問題は、地方では実際にかかるだけのものはかけなければ仕事はできないのであります。大蔵省のほうは、これだけでできるはずだとお考えになっても、地方の自治体では実際にものをこしらえなければならぬ。帳面の上で議論するわけにはいかぬのであります。ここに現業庁としての地方自治体の性格がある。この地方自治体が、現業庁としての性格を持っておるものが、企画庁であり、あるいは権力官庁と言われる、帳面の上で仕事ができる官庁と、同じようなものさしではかられたのでは、地方の自治体の仕事はできないとは言わないが、困難であります。そのことが配慮されておるかどうかということです。地方の行政を担当している責任者あるいは地方の諸君が、国からこれだけしかくれないんだから、これだけの単価で学校を建てるんだといっても、それで一体地方の行政の執行の責任者がやれるかどうかということであります。たとえば学校の面だけをとってみても、教室だけの坪数に補助金が盛られても、学校というものは二階建てを建てれば、廊下も要るし、昇降口も便所も必要だ、そうでなければ学校にはならぬのであります。地方の実際の状況、実際の運営にあたる地方の自治体の現業庁としての性格を忘れた、単に監督官庁としての立場からくる大蔵省の官僚主義というものについては、もう少し考えてもらいたい。そして、できるだけ現実に沿ったものにしていきたい。中には御承知のように、全額ではございませんが、教育上の費用は、法律に、実際の費用の半額を支給すると書いてあるから、これでよろしいと私は考える。法律の中にはこういうものもあるのです。教員の給与については実支出の半額なんです。これは地方の自治体の実態に主体が置かれる。その他行政費については、地方の自治体の自主性というか、実態に基礎が置かれない。悪口を言えば、国のお仕着せのような形の今日の補助制度がとられているところに問題があるのではないかと私は思うのです。特に大蔵省が定める基本単価というものは、かりに全国平均であるとすれば、これは非常な間違いだと思うのです。こういうところが最近の都市財政を著しく悪くしている一つの原因じゃないかと考えられる。いわゆるいなかと言うと語弊がありますが、山村における学校建設に要する費用というようなものは、敷地も安いでございましょうし、木材も安いでございましょう。人件費も安く上がるにきまっておる。ところが大都市になってくるとそうはいかない。かなり高い木材も使わなければならぬ。人件費もよけい必要だ、そういうものを平均してこうなるんだから、これでよろしいということでは、大都市行政、あるいは都市行政というものは非常に困難になってきはしないか。そこで、少なくともこういう基本単価をきめられる場合には、これを一律一体のものではなくして、地方の自治体の実態に即した何段階かに分けた問題が当然ここに考えられる必要がありはしないかということでございますが、そういうことにならなければ実態に即さないんだ、こういった考えが一体あるかどうかということであります。
  55. 平井廸郎

    ○平井説明員 私の説明が不足で、誤解を招いたところがあったと思います。たとえば建築単価等につきましては、予算の積算単価は先ほど申し上げたような形で積算いたしますが、それを各団体に配分いたします際におきましては、当然建築費の高い地域と安い地域との数段階に分けまして配分をいたしておるわけであります。ただ、その配分のしかたがきめこまかく適正にならないかということにつきましては、今後も十分検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  56. 門司亮

    ○門司委員 いまの大蔵省の答弁ですが、そこで自治省に聞いておきたいと思いますことは、この法律の例の経費の種類、測定単位というのがただ市町村府県だけに分けてある。ここに私は問題がありはしないかと思うのです。市町村府県だけに分けてまいりますと、行政費目別に、これは府県仕事だからこれだけ上げる、これは市町村仕事だからこれだけ上げる、こういう形になっておる。都市行政の中では実はこういう計数で歩付税の配付を受けても、町村の受けた感じとは非常に違うのです。これが都市も町村も、非常に大きな県も小さな県も、同じ単価でずっと経費が割り当てられる、ここに一つの問題がありはしないかということが私には考えられる。私はなぜそういうことを言うかと申しますと、従来この交付税の前身をずっと調べてみますと、配付税であったときもあり、あるいは平衡交付金であったときもあり、あるいは調整資金という名前をはっきり使った時代もございます。幾つかの変遷を来たしておる。しかしその当時における配付のしかたというものは、そういうものも十分勘案されておった。たとえば配付税のときだけをとってみましても、大体所得税の三分一なら三分の二を地方に出すということが一応きまると、その中の三分の一は所得税を納めた額に応じて地方配分する。残りの三分の一は全体の都道府県市町村に同じように配分する、その残り三分の一だけが調整財源として配付されておる。この種のものはそういう経緯を持っている。こういう経緯がありますれば、当該自治体の位置づけをされております範囲において需要との関係である程度のバランスがとれていくと思う。しかし今日のようにこれが全部平等割りになってくると、非常にたくさんな経費を要する。いわゆる単価の非常に高いところも安いところもみな同じ単価で配分されるのですから、私は非常は大きな問題になりはしないかと考えられる。そこに今日の交付税が比較的不公平、と言うと語弊があるかもしれませんが、納得のできないところにいっておる。そのことがひいては地方財政の中でいろいろな問題をかもしている一つの原因であると考える。したがって自治省としては、単なる都道応県市町村というような行政上の区画だけで差別をしないで、ある程度実質に即した府県の形態あるいは都市の形というようなもの、あるいは土地のあるべき地位というようなものを考えてこの経費の種類、したがって測定単位というものを変えることが必要ではないかと私は考えるが、そういう点について自治省はどうお考えですか。
  57. 柴田護

    柴田政府委員 お話しの問題は、主として都市財政市町村財政の問題でありますが、市町村につきましては十万の団体を一応標準に置いて、それを補正係数で御指摘になりましたような点を補正をしてまいる。したがって、結果的には都市の特性あるいは町村の特性といったようなものは補正を通じて直っておる。単位表の中の平均単価というものは補正係数のかかわります限度において直っておるということになるわけでございます。しかし、それじゃ実体を完全に把握してるかとおっしゃられますならば、おっしゃるように私ども考え方というのですか、感じでも、必ずしも十分ではないということは率直に認める次第であります。極端なことを言いますならば、国庫補助負担金の裏の不足に、さらに補正係数の不足分が加わっているという場合があろうかと思うのです。しかしこれを回避いたしますために、先生御指摘のように、さらに市町村を分けていくということになってまいりますと、そこではまたなかなか算定方法が複雑になるという難点も出てまいるわけでございまして、一朝一夕にいかないという問題があるのでございます。おっしゃるように、ただ配分の公正ということだけを考えますれば、これを細分していって、それぞれについて標準団体を想定し、経費を設定していくという方法が望ましいかと思いますけれども、一方また測定が不必要に複雑になるというような難点もあるわけでございまして、当面は現状基礎にして、複正の合理化というものを通じて御指摘になりましたような点を合理化するようにつとめてまいりたい、こういう考え方でおるわけでございますが、しかし御指摘になりました点も確かに一つ問題点でございます。十分検討いたしてみたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 門司亮

    ○門司委員 それでは、大臣せっかくおいでになりましたから、大臣に一言だけお聞きをしておきたいと思います。そのことは、いろいろ法案にあります経費の種類、あるいは測定の単位等について、実情に沿わない点があるというようなことで、実はいま議論をしておるわけでございます。この際大臣に聞いておきたいと思いますことは、経費の種類の問題について、これは単なる通り一ぺんのものであって、各自治体の性格、あるいはそれからくる仕事の量というようなものが、ほとんど配慮されていない形をとっております。そこで最近の地方自治体の財政状況を見てまいりますると、すでに都市、いわゆる大都市等の財政事情が、非常に悪化いたしておりまして、いいことではありませんが、大阪のように、日本で東京に次ぐ最も大きな都市であり、最も今日まで裕福であったと考えられる大阪市が、すでにもう再建整備団体にならざるを得ないのじゃないかというようなところまで転落をしておる。それらの原因は一体どこにあるかということになれば、これらの大都市の特殊性というものについての財政事情というものが、ほとんど勘案されていないのじゃないか。それらの問題は、この交付税算定基礎の中にもどこにも見出すことができないのじゃないか。事務当局では、何か補正係数で多少かげんしておるということを言っておりますけれども、私はそういう各都市の持っておる、あるいは地方の自治体の持っておるあるべき姿というものが、やはりおのおのの都市の性格というものが、こういう調整財源の中にあらわれていかなけれらばならないのじゃないか、もしこれをあらわすことができないとするならば、ここでかげんすることができないとするならば、何らかの別の財政措置をしてあげなければどうにもならないのじゃないかということが考えられる。そういう考え方大臣に一言だけ聞いておきたいと思いますことは、今日の大都市の持っておりまする一般の地方の都市行政と違った形のものが、たくさんございます。   〔委員長退席、亀山委員長代理着席〕 教育の問題にいたしましても、やはり大学の問題もございましょうし、あるいは社会教育についても文化施設その他、あるいは公害の問題工業用水の問題、あるいは、試験場、研究所というような問題は、少なくとも地域的にはいろいろな立っておる地理的条件、あるいはその他の関係から、こういうものを一般の都市行政と違った形で行なわなければならない都市が実はございます。それらの問題が、ことに大都市には集中しておるわけでございます。それがこの経費の中にも書いてないし、算定の基準の中にも織り込まれていないというところに、私は交付税を通じて見た都市財政とそれから町村財政との間のアンバランスがありはしないかということを考える。この点について大臣はそういう大都市の最近における財政の悪化、同時に財政需要の著しくふえております問題等に対して——よく聞いておいていただきたいのはここでありますが、著しくこのごろ経費要求されておる大都市行政、これは今日の都市が、いい悪いは別にいたしまして、大都市にすべてが集中される、これは都市行政の上からいえば資本主義の最悪の場面がすでにきているとしか言えないのです。そういう事態がありまするときに、ことに大都市財政をどうするかということについては、少なくとも交付税の中で、単なる補正係数というようなことでなくして、何らかやはり画然とした一線がなければならないのではないかということが、考えられるのでありますが、そういう点について大臣は、大都市の特殊性を、そういう意味においてこの法案との関連性において認められるかどうかということでございます。これは地方税法のときに附帯決議としてそういうものがついておりますが、あれは地方税法としてその一つの附帯決議であって、この場合はこの交付税の対象としてのそういうことが考えられるかどうかということです。あわせて大臣からこの際一言承りたい。
  59. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御指摘の点は、ごもっともだと思います。今日の大都市は特殊な事情がございまして、やるべき仕事が相当多いのでありまするから、それに伴った財源の必要もまた当然でございます。しかし本来ならば、大都市は大都市なりに財源があるはずであります。でありますから、従来とも大都市につきましては交付団体になっておりませんで、その中でまかなってこられたわけでございます。ところが、だんだん地方財政も窮屈になってまいりますと、大都市におきましてもその問題が出てまいりまして、どうするかという問題にいまぶつかっておるのでございます。特に御指摘になりました大阪市については、それが最も大きくあらわれたのでございまして、今日では、従来財源が非常にあるといわれた大阪市が、すでに交付税の交付団体に入っているような状況は、これを物語っておると思います。  そこで、それではこれをどうするか。大都市の対策としては、過密対策としてこれ以上大きくしたくないという政府の方針もございまして、いま検討しておりますが、検討しながらも都市の人口がふえてくるのでありますから、ほっておけない。そうすると、その財源の処置としては、一つは独立の、独自の財源考えるということと、もう一つは、交付税でこれを何とかできぬかという二つの道しか私はないと思うのであります。ところが交付税関係は、御承知のように今日地方財政で一番問題となっておるのは、独立の財源がないという問題が一つでありますが、同時に地域格差がだんだんひどくなってきている。この地域格差を何とかして是正——と言っちゃ語弊がございますが、補う必要が出てくる。補う道としては、地方交付税というものが今日非常に役立っておるわけでございまするから、これは大都市に財政需要が大きいからといってこの交付税を使ってしまいますと、——全部使うとおっしゃっているわけじゃございませんけれども、これに重きを置きますと、今度は地方財源に困っているやつをどうするかという問題に直接響くわけであります。でありますから、先ほど来財政局長からも答えたでありましょうが、そうかといってほっておけませんので、だんだんとその点も交付税算定については財政需要の中で合理化をしていくつもりにございまするけれども、率直にいって多くを期待できないと、私は思うのであります。それを多くを期待しますると、いなかの小さい農村に交付すべき交付税というものに、同じ水を分けるわけでございまするから、直接影響を及ぼすことになります。  そこで私はやはり今日、東京とか大阪、名古屋といったような大都市の再開発には、独自の財源を見出す必要があるのじゃないかという感じを実は強く持っております。大阪市が困っている一つの原因はどうかというと、税源としては実はないわけじゃない。今日御承知のように、住民税と、大都市は固定資産税というものが税源のおもな点でございますが、住民税のほうは所得が増し、法人税が増せば、弾力性を持って伸びていきますけれども、固定資産税は、評価は上がっていきます。だんだんと都市が充実すればするほど土地の値段あるいは建物の値段あるいはその他の評価資産にいたしましても値は上がっていきますが、上がったに従って税金が取れれば税源はございまするけれども、それが取れない。御承知のように農地については評価がえはいたしましたけれども据え置き、それからそのほかの宅地にいたしましても二割に頭打ちをせざるを得ない。これは大阪とか東京だけは上げれば上げられぬことはございませんけれども、そうしますと、いなかの土地やらいなかの建物が評価がえによって上がるということは、収入のない点から見て非常に困りまするので、勢い制限をせざるを得ない。そうすると、それにならって大阪とかその他の大都市も制限を受ける。したがって税源が少ないというところに私は原因があるのじゃないかと思いまするから、これらを再開発税といったようなものによって特別の大都市における税源の道を考える必要があるのじゃないかということで目下検討しておるような事情でございます。
  60. 門司亮

    ○門司委員 私これで終わりますが、どうも大臣の答弁を聞きますと、何か交付税のほうも限られた金だからこれ以上ふやすことはできないような印象で話をされておるのでありますが、われわれはもう少し交付税をふやしたいということを要求しているわけであります。   〔亀山委員長代理退席、田川委員長代理着席〕 そういう現在の限られたものの配分では大臣のような意見が出てこようかと思いまするけれども、私どもが聞いておりますのは、交付税をもう少しよけいにもらいたいということを自治省自身が言われておって、どうして削ったのだと言ったら、大蔵省からわかったようなわからないような答弁がございましたが、これは追及はいたしません。いずれにいたしましても今日の都市財政というものが、いまのお話のように満足にいかない一つ段階として、一つ方法として二〇%以上上げられないというのも、これは国民経済の中から、あるいは国民消費の中から物価の値上がりその他等を考えれば、そうはできないという国の施策に基づくものであります。したがって国の施策に基づく関係で税源がある程度制約を受けているとするならば、それはやはり国の責任において補てんしてもらうということが私は当然だと考えております。したがって、大臣のいまのお話では、何かはかにというばく然とした話でありまして、私はきめ手にならぬと思います。少なくとも今日の地方現状から見て、交付税はいま少しくふやす必要がどうしても考えられる。そういう国の施策に基づく税収のコントロールが行なわれておるのでありますから、これは国が責任を持ってもらいたいと思う。何か地方に責任があって、国に責任がないようなことでは困る。  したがって、最後に一言だけ、これは答えにくいかと思いますが、自治大臣としてはそうした諸般の条件を勘案して、国が責任を持って解決するという一つの所信の表明ができれば、この機会にしておいていただきたい。
  61. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ごもっともでございまして、私どもも決して自治体自体の問題だなどと考えておりません。税制で考えるならばやはり税制の改正というものも必要でございましょうし、また交付税考えるとすれば当然また私どものほうで考えなければなりませんので、私はこの問題は重要な問題だと思って実は検討しておるところでございます。
  62. 田川誠一

    ○田川委員長代理 安井吉典君。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 大臣はあとで戻ってこられるそうですから、大臣に対する質問はあと回しにいたしまして、初めに、農林省からおいでいただいておりますので、山村の財政にとりまして重要な意義を持っております国有林野に関する市町村交付金の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。  山村は例外なしに財源が乏しくて地方交付税にたよって運営をしているわけであります。しかし国有林を持っております地帯ではそれに関する交付金が大きな財源になっている事実を見のがすわけにはいきません。  そこで政府に伺いたいわけでありますが、自治省の税務局からもおいででございますので、現在山林のうち、固定資産税の対象になっている面積と、評価額と、それに対する税額、それをひとつお尋ねいたしたいと思います。三十九年度ベースでいいでしょう。  同時に、農林省のほうでお調べになっておられます国有林野の総面積、それから交付金の対象になっている面積、それの評価額と交付金額、その点をひとつ農林省のほうからも伺いたいと思います。
  64. 筒井敬一

    ○筒井説明員 国有林野で、この交付金の対象になっておる面積を申し上げますと、七百四十八万町歩ということでございまして、それに対する、私のほうで申しますと台帳価格と申しますが、それは三十九年で、こまかい点はございますけれども約四百十九億というふうに考えております。
  65. 森岡敞

    ○森岡説明員 山林の固定資産税の状況を申し上げます。  地積は七千二百六十七万五千反、単価は反当たり二千三百十四円、評価額が千六百八十一億六千九百万円、したがいまして、税額が二十三億余でございます。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 安井吉典

    ○安井委員 国有林の交付金は……。
  67. 筒井敬一

    ○筒井説明員 三十九年度におきましては六億二千八百万円、もう少しこまかく言いますと、六億二千八百十一万四千円ということでございます。
  68. 安井吉典

    ○安井委員 国有財産の所在する市町村に対する交付金の制度は、固定資産税のかわりというふうな形で生まれたわけであります。巌密な意味では、そういう言い方では若干語弊があるかもしれませんが、一応生まれた経緯から見ればそういうことになるわけです。ところが、いま伺いますと、民有林については七百二十六万町歩あって、税金が二十三億上がっている。国有林のほうは七百四十八万町歩、面積は若干多いわけです。しかし大体似たものでありますが、交付金額は六億二千八百万くらい、どうも数字の違いが大き過ぎるのにちょっと驚くわけであります。もっともこの内容において、国有林の場合はもう高い山のてっぺんまで入っているのでしょうし、あるいは保安林的な要素もあるでしょうから、そういう点はあろうと思いますけれども、それにしてもこの数字が違い過ぎるということをまず痛感するわけであります。  そこで林政部長にお伺いいたしたいのでありますが、国有林野の台帳価格はどういうような形で評価されているかという点であります。二十九年ごろから台帳価格がずっと据え置きになっているように思うわけでありますが、一方、固定資産税の対象になります山林のほうは、三年ごとに評価がえが行なわれております。その点、受け取る住民の側からは、固定資産税のほうはどんどん上がっていくが、国有林のほうはちょっとも上がりがない、そういうふうな印象を持っているようであります。もっとも昨年も、あるいはことしも、予算の上においても若干の改善をしつつあることは私も知っておりますけれども、二十九年からずっと据え置きになっているというこの事実についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  69. 筒井敬一

    ○筒井説明員 御存じのように、国有林の会計は、企業会計といたしまして運営されているわけでございます。お話のとおり、二十九年に当時のインフレも大体の終息を見た段階におきまして、いわゆる再評価をいたしたわけでございまして、それ以後台帳価格といたしましては据え置きにいたしておるわけでございます。これは特別会計法の施行令にも台帳価格の改定の場合を規定いたしておりますけれども、経済事情等によりまして著しく変動した場合というように規定されております。しかしながら先ほど申しましたような企業会計の考え方からいたしますれば、一般の企業におきましてもそういう財産評価というのを三年ごとぐらいには再評価いたしておらないということでございまして、やはりそういう基本的な財産の評価というものは、相当年月経済事情が急変がない限りは据え置いた形で経理の運営をしてまいるというたてまえになっております。そういう関係で、交付金だけの対象として台帳価格を云々する、改定いたすということだけでなしに、国有林野の特別会計の企業会計的な性格から見まして、台帳価格をよほどの場合でなければ改定いたさないというたてまえをとっておるのでございます。  そこで、お話のように固定資産税の課税標準価格が三年に一回改定されていくのに対して、国有林野の台帳価格は据え置きになっておる、そういう点の矛盾をいかにして救済していくかということでございますが、これは交付金法にもございますように、交付金に関して価格修正という規定がございますので、私どものほうでは台帳価格を直すということになりますと全体の企業の運営あるいは評価というようなものに影響いたしますので、この交付金法において規定されておるような形で価格修正という方法を講じてまいっておるわけでございまして、それによりまして、三十九年度あるいはまた四十年度、その間の修正の規定を採用いたして、若干でございますが増額を認めておる、こういう形をとっておる次第でございます。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 固定資産税課長に伺いますが、昭和二十九年ごろの山林評価と三十九年の評価と、どれくらいの違いになっておりますか。
  71. 森岡敞

    ○森岡説明員 実は国有林野に関する市町村交付金制度ができましたのが昭和三十一年度でございますので、昭和三十一年度と比較してみますと、当時は反当たり千七百三十二円でございます。現在が二千三百十四円でございますので、大体平均評価額で三割五分程度増加になっております。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 いずれにしても、相当大きな変化を示しているわけです。国有林の評価は二十九年にやっているわけですが、二十九年はどれくらいですか。
  73. 森岡敞

    ○森岡説明員 二十九年の資料をちょっと持ち合わせておりませんが、二十九年から三十一年までに大体三割程度平均評価額が上がっておりますから、合わせまして現在までに約五割程度伸びがあったと思います。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 とにかく相当大きな変化を来たしているという事実だけは、民有林の場合において明らかであります。で、昭和三十七年三月二十四日第四十国会の参議院の予算委員会におきまして北村議員の質問に対して当時の水田大蔵大臣は「企業に属する財産のほうは、一般物価の変動とかその他特殊な事情によって固定資産の価格が著しく変わった、そうして不適当になったというときになって改定するという建前になっております。」——ただいま林政部長がお答えになったと同じような答弁をしているわけでございますが、最後に「林野庁当局に実態調査をしていただいて、できるだけ早くこの評価がえをしたいと考えております。」こういう答弁になっております。実態調査を行なって評価がえをしたいという、これは大蔵大臣答弁でありますが、これについてどういう調査を行ない、その結果はどうなっているか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  75. 筒井敬一

    ○筒井説明員 四十国会でただいま先生お話しのように、この国有林野の評価の問題につきまして御議論があったことは承知いたしておりますが、このときも私どもの調べましたところによりますと、再評価をするということで調査をするというようには承知いたしておらないわけでございますが、それはいずれにいたしましても、そういうようなお話もございましたので、実態調査といたしましては、国有林の所在の市町村の固定資産について、固定資産税の課税評価の台帳の価格がいかなる状態になっておるか、市町村におきます台帳価格でございますが、どうなっておるかということを調査いたしたわけでございます。それを三十七年度やりまして、その結果いろいろと調査いたしますと、私どものほうの国有林野の台帳価格、これと市町村のいわゆる固定資産税の対象になっておる台帳価格との間に相違を見出したわけであります。そこでそういう点を考えまして、先ほど申しましたような交付金法における価格修正という方法、手段を用いまして、この交付金の増額を三十九年度から行なったこういうことでございます。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 いまの答弁でありますが、大蔵大臣昭和三十七年における答弁は、実態調査をしてできるだけ早く評価がえをしたいと考えております、こういう言い方でありますが、第八条による価格の修正通知の方法と、この水田大蔵大臣のこのときの言明とは違うのではないでしょうか。その点はどうでしょうか。
  77. 筒井敬一

    ○筒井説明員 この当時の速記録を私もちょっと持ってまいったわけでございますけれども、あるいはどちらのほうにあれがございまするかわかりませんが、これにつきましては、ただいま国有林野当局において実態的な調査をしていただく予定でございます。こういうようになっておりまして、当時私どもも直接聞いたわけじゃございませんし、あるいは先生のほうが正確なのかもしれませんが、再評価をする、再評価のための調査をするというように、当時の水田大蔵大臣は申しておられないんじゃないかというように考えております。それはいずれにいたしましても、私どものほうの、先ほど申しましたように、国有林野の再評価というのは、企業会計としての全般的な財産の経理内容、そういうものに影響いたすものでございますので、その交付金のためにのみ、あるいはそういう観点に立ってのみ国有林のすべての経理の基礎になります台帳価格を改定していいかどうかということを考えます場合において、やはり交付金法の八条の方法を通じて行なっていくほうがよりベターではないか、かように考えておりまして、そういう方法を講じてまいったわけでございます。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 評価がえといいますと、これは国有林野の会計のバランスシート全体に影響が出てくるわけですね。例の減価償却等の問題にも関係が出てくると思います。その点はよくわかりますけれども、一応この場の大臣大臣の答弁の中にこういうふうな表現がなされているが、価格の修正通知という結果になっている点に、若干私は疑問を覚えるわけであります。この点はしばらく置くといたしまして、これまで農林省が行なった調査の内容をもう少しお話し願いたいわけでありますが、固定資産の台帳をどういうふうにして押えて、それからそれとの違いをどういうふうに見込まれて処理されたか、その結論をお出しになるまでの経路というような点について答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 筒井敬一

    ○筒井説明員 いまお話しのごとく、昭和三十七年におきます実態調査でございますので、先ほど申しましたように、国有林の所在する市町村におきますところの、大体近傍類地の固定資産と比較いたしまして、まあ正確に言えば民有林の固定資産税の課税標準価格、こういうものを調査いたしたわけでございます。これにつきましての具体的な方法ということは、かなり技術的な点がございまして、詳細に申し上げることも困難ではございますが、考え方といたしましては近傍類地の民有林をとります。ところが、国有林のほうに御存じのようにアルプスの山の上もございますし、民有林とおよそ比較できにくい点などもございますけれども、ともかくもそういう民有林の固定資産税の評価額と、それから伐出する経費とを考えまして、だんだんと、奥へ行けば行くほどそれとの比較において低く評価していくというような方法を大ざっぱに申しますとそういうような考え方で比較いたしまして、一般の固定資産産の対象になっておる民有林と、それから私どものほうの台帳価格、そういうような方法を講じた上での評価をした価格、こういうものと比較いたしたわけでございます。詳細につきましては、もし必要でございますれば、そのやり方等について後刻また資料等によって御報告いたしてもいいと思いますが、やり方としてはそういうようなやり方をとったということでございます。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 時間も十分ありませんので、私はもう少しその方法について伺いたいわけでありますけれども、ひとつあとで資料を御提出いただいて御説明願いたいと思います。どんな修正の方法なのか、近傍の固定資産評価額とのバランスを考えたと言われますが、それをそのまま受け入れてお考えになっておられるのか、あるいはそれを相当程度ゆるめた形で取り上げられているのか、そういう点、もう少し知りたいわけです。といいますのは、あまり差ができ過ぎているものですから、そういうふうに私、いま申し上げているわけでありますが、これはあとでひとつ資料で御提出を願っておきたいと思います。  林野庁が行なわれております評価の方法で、地利級指数というふうな形で評価を進められていると伺っているわけでありますが、一方固定資産税の評価のほうの比準方式と、林野庁のほうとではだいぶ違いがあるように思うわけです。そういうような点も、もう少しきょうはこまかく伺えばよろしいわけですが、この点も林野庁の評価比準方式と固定資産税の山林に関する土地の比準表、この二つをひとつつき合わせながら、内容が判明し得るような資料を、これは農林省と自治省両方にお願いをしておきたい。  次に伺いたいのは、林野庁は貸し付け料を取るための基礎として国有林の価格を別に評価をしておられるはずであります。その国有林の貸し付け料の算定基礎となる価格はどういうふうな形で評価がなされているか、それを伺いたいと思います。といいますのは、交付金の算定になりますものと貸し付け料の基礎になるものとの評価額がだいぶ違うように思うのでありますが、その点ひとつ伺いたいと思います。
  81. 筒井敬一

    ○筒井説明員 国有林で、貸付料の評価と交付金の評価額というのとは、私は性格が違うと思っておりますけれども、貸付料の算定基礎になっておりますところの価格、これは近傍類地の取引価格等を勘案して、その時価をベースにいたしまして、それの百分の四ということで貸付料というのを計算いたしておるということでざいます。したがいまして、これを交付金のいわゆる評価額というものとは違うわけでございます。ただ、貸付料の問題におきまして一言申し上げておきますのは、公共的な施設あるいは産業開発的なものにつきましては相当の減額をいたして貸しておる、こういうことでございますが、その他のいろいろと企業的にやっておられる人々に対する貸付料というようなものにつきましては、土地の価格につきましては近傍類地の取引価格というような時価のベースによりまして、それの百分の四、こういう形で評価額をきめております。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 これは具体的な一つの例をとって論議しないと焦点がぼけてしまうと思うのですが、貸付料の算定基礎の価格と、それから交付金の基礎になっております価格とは同じですか。
  83. 筒井敬一

    ○筒井説明員 これは全く違います。全く違いますというのは語弊がありますが、要するに、貸付の場合におきましては、これは時価ということで、先ほど申しますように、特別に政策的に公共性のあるものにつきましては安い価格で貸しておりますけれども、その他の場合において特に国有林野なりあるいは国有財産の貸付料を低額にしなければならぬという筋合いはないし、またそういう規定にもなっておりませんし、また、むしろそういうことはいろいろ語弊といいますか、誤解を生ずることでもあろうか、こう思っておりまして、あくまでもこれは時価主義ということで貸付料は考えております。それのほうが公正な貸付料といたしまして、受益者が普通の民有地同士の貸付関係においてのバランスというものが重要でございますので、国有地なり国有林を借りたから特に安いということは、公共性等、特別の政策目的がある場合のほかはかえって誤解が生ずるもとではないかと思います。ただ、交付金のほうは、先ほど申しましたような台帳価格なり、あるいはまた固定資産税の課税標準価格、こういうようなものをいろいろと目安にいたしておるわけでございます。これは、必ずしも時価であるというわけではないし、固定資産税の課税標準価格においても、各市町村の財産状態等によっても違うと思いますけれども、これも必ずしも時価という形にはなっておらないと承知いたしておるわけでございまして、そういう観点から、目的なり何なりが違うことでございますので、考え方としては全然別の考え方でそれぞれの価格の基礎考えておる、かような次第でございます。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 そこで、私はいまの筒井さんのお話に矛盾が出てきていると思うのですよ。国有林から所在市町村に交付金を払うときには、台帳価格で、低い価格を基礎にして支払いのほうが行なわれる。しかし市町村や住民から貸付料を取り立てるときには時価ということで、それが最も現実的だというふうな御説明でありますが、高い価格で貸し付け料は取り立てをする。これでは地元の住民のほうはやはり納得をしないだろうと思うのですよ。取るほうと出すほうと、二通り使い分けをするというふうな形でありますところに一つの大きな問題点があるのではないかと思います。現在国有林の開放運動というのが起きていて、私どもはそれには率直にはついていけないような感じを持っております。国有林をただ開放しさえすれば問題がすべて解決するという、そういうものではないし、それと農業との関連についてのはっきりした説明がつかなければいけないし、民有林はそれなら問題はないかということになれば、それも問題でありますし、ですから、それには率直にはついていけない感じでありますが、しかし、そういうふうな運動が起きてくるような基礎が、この貸付料と交付金との計算基礎になる林野評価の食い違いというような点からも私は出てきているのではないかと思います。そういう点からいいますと、これはやはりこの評価を両方そろえるとか、あるいはその他のいろいろな法があると思いますけれども、台帳価格の改定というようなところまでいかなければ私はおさまらないのではないかと思います。現にそういうふうな問題点の中から、昨年も交付金額を引き上げられたし、それからことしの新年度予算の中にも、たしかな額を引き上げる、そういうふうな措置が講じられてきていると思うのでありますが、それにしても、民有林に対するものとあまりにも幅が大き過ぎるわけです。こういうような点はやはり根本的な検討が必要ではないかと思います。どうでしょうか。この点につきまして、農林省として貸付料の基礎と交付金の基礎とをそろえるような方向で、当面交付金額の増額の方向に進めていく、こういうようなことについてのお考えを伺いたいと思います。
  85. 筒井敬一

    ○筒井説明員 貸付料の価格と交付金の価格とを大体バランスをとれるようにしていくということは、むしろ比較の対象としては、私どもは固定資産税の評価額を一つ中に入れなければいけない問題ではないか。先ほど先生のお話しのごとく、若干性格は違いますけれども、やはり固定資産税とのバランス——山村におきますところの、あるいは国有林地帯におきますところの財政の豊かでない町村に対する財政的な援助でございますから、固定資産税の評価額とこの交付金の価格とをバランスをとっていく、近づけていく、こういうことが必要ではないかと思うわけでございまして、貸付料の価格を時価と合わせていくということは、やはり固定資産税との関係で、民有林といいますか、そういう民有関係の財産税、固定資産税の課税が上がるという可能性もございますので、私どものほうではやはり固定資産税の課税標準の価格、これとどういうように調整をとっていくか、こういうことが大事じゃないかと考えておるわけでございます。したがいまして、今度四十年度におきましても、そういう点を考えまして、約一割の増加をはかりました。三十九年度におきましては、二割の交付金の増額をはかってまいった次第でございます。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 いまの林政部長の御答弁にあったようなことでもけっこうだと私は思います。資付金とあれとを即座にくっつけろというのは少し話が強過ぎるかもしれませんが、少なくも固定資産税の評価と同じような性格であります交付金の基礎になります評価とが、一致するということでなければおかしいと私は思うわけです。そのための一致点が見出されれば、いまの六億円やそこらの交付金で糊塗されているというようなことではないと私は思うわけですよ。七百万町歩もあってたった六億円しか所在市町村に金がいっていないというこの現実は、私はどう考えてもおかしいと思うわけですね。これはぜひ評価がえを進めるというふうな段階の中から交付額を引き上げる、結論は交付額を引き上げることだと思うのですよ。その筋道があると思いますけれども、交付額を引き上げる、そういう努力を、もう四十年度はちょっとこれは無理だと思いますが、四十一年度を目途としてぜひやっていただきたいと思うのです。どうでしょう。
  87. 筒井敬一

    ○筒井説明員 一言申し上げたいと思いますことは、必ずしも固定資産税と同じ形になっておらない。先ほど申されましたように、保安林は固定資産税の場合におきましては課税の対象になっておりませんが、私のほうで国有林野の場合におきます交付金の場合においては対象にいたしておるということでございまして、国有林におきましては相当の面積が保安林になっておるというような関係もございますけれども、それを入れて交付金を配っておる、こういうことでありまして、必ずしも交付金と固定資産税の課税とは性格が同一であるということではないと思います。そういうことでありまして、地元の財政的な強化、あるいは国有林との有形無形の協力関係、こういうようなものも勘案いたしまして交付金というものを出しておるわけでございまして、いろいろと問題点は多くございますけれども、四十一年度以降というものはこれからでございますので、先生のお話もございますので十分検討させていただきたい、かように思っております。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 まだ、私ども保安林との関係の問題について御答弁がありました点について、反論をしたいわけですが、あとの時間がありますのでやめます。いずれにしても、保安林の問題は、固定資産税の部面でも問題が残っていると思うのですが、そういう国家的な性格については別途な措置がまた必要なんです。そういうような形で措置するということが私は必要ではないかと思うのですが、その点は触れないにいたしましても、やはり四十一年度ははっきり増額をする、そういうような方向で御努力を願いたいと思います。  そこで、市町村がこの国有資産等所在市町村交村金及び納付金に関する法律第九条の申し出を行なった場合は、林野庁は市町村当局の調査に当然協力をすべきだと思うのですが、どうですか。
  89. 筒井敬一

    ○筒井説明員 御承知のように、第九条には、市町村長からそういう価格の修正の申し出をする規定、権限がございます。そういうときには、われわれのほうでも努力をするというのが法律のたてまえでございますから、当然でございます。
  90. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、林政部長、けっこうです。  次に、大臣が見えますまで二、三地方交付税の問題についてお尋ねをしたいと思います。清掃事業の問題で、標準団体の清掃費を若干増加しております点は、三十九年度において初めて衛生費より清掃費を独立させて、それを四十年度においてまた増額をさせるというような点において、自治省の前進的な意図は私も認めます。しかし、その人員につきましても、三十九年度は賃金支弁九人を入れて七十二人くらいであったのが、四十年度は七十九人というふうに増加させていられるわけであります。しかし、清掃事業研究委員会の報告では百十五人というふうな数字が出ておりますので、この点はもう少し実情に即した方向で将来において増員をしていく、こういうような方向で御努力を願いたいと思うのでありますが、どうですか。
  91. 柴田護

    柴田政府委員 その方向で検討いたしたいと思います。
  92. 安井吉典

    ○安井委員 特別交付税配分についてでありますが、年度未に臨時の出費ができたというような場合は、すでにその年の特別交付税配分済みであって、都道府県の当局のほうに市町村長が申し出てももう手ばたきならぬのでどうにもなりません、そういうようなことで非常に困るというような例を聞くわけでありますが、その点はどうでありますか。
  93. 柴田護

    柴田政府委員 その点は御指摘のとおりでございまして、実際問題としては困る場合が多々あるのでございますけれども、年度内に交付金を送りませんと市町村は最終予算を調整して処理するのに困りますので、大体特別の事由がない限りは二月末でもって、二月中に交付金の現金を送るという形になっているわけであります。実際問題といたしましては、これは幾らかをとめておいて残れば繰り越すというような制度ではございませんで、要するに、普通交付税の補完でございますので、あり金を全部配ってしまうわけでございます。したがって、年度内に現金を届かすということにしてまいりますと、ぎりぎり一ぱいの年度末になってしまうので、そこで御指摘のような問題が起こるわけでございますけれども、実際問題といたしましては、翌年度の特別交付税計算いたします場合に、その事由を加算をして考慮に入れて、その間はつなぎか何かで一時的には支弁をしておる、こういう仕組みをとっていかざるを得ないのであります。従来からもそういうことでやっておるわけでございますけれども、ちょっと技術的にそれを除去する方法は現在のところむずかしいと思います。
  94. 安井吉典

    ○安井委員 翌年度の配分の中に前年度の交付後における分は現に入れているし、将来とも入れる計算方向でいく、こういうことですか。
  95. 柴田護

    柴田政府委員 そのとおりでございます。
  96. 安井吉典

    ○安井委員 住民税の本文方式に統一したことによって減収補てん債の発行を許しているわけですね。これについて、昨年度発行した分は本年は二割方落ちてくるわけでございますが、これに対する補てん措置が今度の交付税法の改正の中にも織り込まれているわけでありますが、それは改定を行なった団体にだけいくのか、それとも一様に見込むというふうな形で全般的にわたってしまうのか。後者の場合でありますと、つまり二割方の起債収入が減ってしまったところだけにぴっちり補いがいくということにならないのではないか、こういう点、若干心配でありますが、もう少し御説明願いたいと思います。
  97. 柴田護

    柴田政府委員 御指摘のように減税補てん債の漸減分につきましては、これを普通交付税の中に取り込みまして、普通交付税でございますので、技術的におっしゃるようなことに若干なるわけでございます。これは技術上どうしても避けがたい。その漸減するところだけに適確に普通交付税がいくということは技術上むずかしいのであります。したがって、その間のでこぼこは特別交付税をいたします際に多少調整を行なう必要があろうかと感じております。
  98. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁は、普通交付税で十分措置できない部分が残った場合には、その分をきっちり計算をして特交の中に見込む方法を講ずる、こういうことですね。
  99. 柴田護

    柴田政府委員 金額は明確になっておるわけでございますので、技術上の需要額との差額というものは、特別交付税配分の際に顧慮に入れてまいりたい、こういうことでございます。
  100. 安井吉典

    ○安井委員 大臣の出席がおくれておりますので、もう少しお尋ねを続けていきたいと思います。  地方交付税の問題についてお尋ねいたしますけれども地方はいま交付税の四月の概算払いを待っている段階であると思います。そういうことで、私どもも本日この税法案を通すことに協力をするわけでありますが、この概算払いがおくれますと、一時借り入れ金でありますとか、たいへんいろいろ苦労をしなければなりませんので、いつごろ最初の概算払いが行なわれるかということについての関心が多いと思いますので、この点を伺いたいと思います。
  101. 柴田護

    柴田政府委員 現在のところでは予算の成立時期との関連がありますけれども、大体あすかあさって、予算が成立しますれば直ちに概算交付できるように手配をいたしております。ただ、交付税法の問題がございますので、二七・九%の基礎計算をして概算払いをいしたいというふうに考えております。
  102. 安井吉典

    ○安井委員 地方交付税の問題に関連するわけですが、一般会計から他会計への繰り出しの問題であります。地方財政計画の中で、たしか五百億の繰り出しをお認めになっていたようでありますが、それは限定したものとして考えていかれるのか、他会計への繰り出しについてはある程度の幅を持ってお考えなのか。この点一つ伺います。
  103. 柴田護

    柴田政府委員 財政計画にあげております五百億の中身は、御承知のように経常系統の部分と出投資の部分と両方ございまして、それで経常系統の部分につきましては下水道会計と病院会計でございます。出投資の部分につきましては特に会計を限定いたしておりません。しかしこれは主として公営企業関係を中心に置いているわけであります。これについては現在のところ幅を限定的に考えておりませんが、将来の問題といたしましては、私どもとしては経常系統の問題も出投資の問題も、ちゃんとした秩序をつくっていきたい。特に公営企業につきましては現在も出投資の不足が言われておりますので、そういう問題は、公営企業制度調査会の結論が出ますならば、その答申に基づいて妥当投資額と申しますか、出投資の限界と申しますか、めどというものが立つ。まためどをつくらなければならぬものでございますが、そのめどをつけました暁において、計画上の処理も指導上の処理も財源措置の処理もいたしてまいりたい。現在の段階はまことに中途はんぱで恐縮でございますけれども、そうかといってほうっておくわけにまいりませんので、苦しい財源の中で出投資なり経常系統部分の繰り出し分を考慮したわけであります。
  104. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁の中では、地方公営企業についてはいまの制度調査会の答申の中から得た結論に従って、繰り出しの問題も考えていきたいということでありますが、国民健康保険特別会計に対する繰り出しについて自治省の御見解を伺いたいと思います。
  105. 柴田護

    柴田政府委員 国民健康保険会計については、前々から当委員会でお答え申し上げておりますとおり、給付会計につきましては繰り出し金は出すべきでないという考え方をとっております。
  106. 安井吉典

    ○安井委員 お待ちしておりました大臣が見えたので、最後のお尋ねをして終わりたいと思うのですが、地方財政が最近悪い方向に向いておりますことは御承知のとおりであります。そこで地方財政に対する財源付与的な性格と財源調整的な性格と、この二つを現在の地方交付税は持っているように思うわけでありますが、この地方交付税の問題は、地方税あるいは国庫の地方に対する負担金、補助金の問題と切り離して論ずるわけにはいかないと思います。つまり地方税や、国庫の補助金、負担金、それと地方交付税とは一体的に考え合わせられなければいけないし、それを抜本的に考え直さなければいけない段階にいま来ているような気がするわけです。私どもはこの間地方税の問題でも、国と地方との財源配分の問題を論じました。それとこの地方交付税との問題がつながってくると思うわけであります。大臣に伺いたいのは、ことしも〇・六%の引き上げが果たされました。しかしこれでは私どもはなお不十分だと思うわけです。百四十五億円くらい増額したにすぎないわけで、一方地方公共団体は超過持ち出しを八百六十億円もしているわけです。〇・六%上げることで大臣もずいぶん苦労されたというように私は聞くわけですが、それで百四十五億円、しかし一方で国は八百六十億以上のよけいな負担を地方にしいている。自治省の統計でそうなんです。私どもは、地方の実際の姿からいうと、もっと大きな超過負担になっていると思うわけです。こういう点からいえば、地方財政の根本的な考え直しという段階にいまきていると思うのでありますが、財源付与的な性格あるいは財源調整という性格、その二つを果たす上においても、やはり地方交付税の総額がふえていくということが必要だと思うわけです。今後におきまして、大臣地方交付税の総ワクをふやすということについて、どういうふうに御努力をされるおつもりか、それを伺いたいことが第一点。  第二点は、先ほど来申し上げておりますような地方財政現状からいって、地方交付税制の全体を通じての抜本的な改正について、どのような決意を持ってお取り組みになられるか。この二点をひとつ最後に伺いたいと思います。
  107. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御指摘のように、地方財政は非常に逼迫をいたしておるのでございます。これにつきましては、御指摘のように、地方財源として独立税を考えるということが一つでございましょう。もう一つは、補てんをする方法として、地方交付税というものを将来見ていくという二つだと思います。それと私はもう一点考えたいと思いまするのは、従来は、自然増収が非常に多かったために、ある程度地方財政が問題にならないで済んだのでありますが、この一年、二年というものは、自然増収が多く見込まれないために、地方財政の困窮の声が高まってきたわけでございます。そこで、私はもう一点つけ加えまして、地方財政を健全化していく、今日の府県及び市町村財政を引き締めていくということも、この際つけ加えて考えてみたいと思っておるわけでございます。  そこで第一、第二の御指摘になりました地方独立財源というものを考えまする際に、税制調査会でも御指摘になりましたように、現在とっておりまする国と地方の税の総量を増して考えるという場合と、その中で考えるという場合があると思うのであります。ところが、総量を増して考えるということになりますと、これは今日減税減税という声も強いときでございまするから、私はなかなか容易ではないと思います。そこで、中で考えるとすれば、いわゆる国庫支出金というものを整理いたしまして、それを地方に回して、地方独立財源にするというほかにないのじゃないか。そうすると、それは事務の再配分と関連する問題でございまして、目下地方制度調査会においても、事務の再配分を検討しているところでございますが、これとにらみ合わせまして、国庫支出金をそのほうに回していくということしかないのじゃないか、かように存じておるわけでございます。本問題は、地方制度調査会においてもすでに取り上げられ、引き続き検討されておるところでございまするから、これとにらみ合わせまして、考えていきたいと思います。  もう一つの点は、地方交付税の点でございますが、これも国と地方との税源の調整の問題としては、将来もちろん考えなければなりませんが、昨年の予算の折衝におきまして、私どもは当初三〇・四を要求いたしましたけれども、その理由は、国税減税に伴う地方収入減を補うという意味で、三百六十七億円でございましたか、これを率に直して三〇・四になったわけでございます。しかし一方国の財政も非常に健全化と申しまするか、引き締め基調になりまして、四十年度予算は従来と変わった一二・四という引き締まった予算でございまするから、地方財政もやはり国にマッチして引き締め基調にならざるを得ないというところで、今回の地方財政規模は一五・一ということになりまして、百四十五億ということになったわけであります。  これは国の財政が許せば、多いにこしたことはございませんが、国の財政も非常に窮屈でございまするし、またその中で各種の社会保障その他の仕事もしなければなりませんから、目下のところは、現在私ども要求をいたしまして、御審議を願っておる〇・六のアップ、すなわち百四十五億増の交付税でやむを得ないか、かように存じております。将来国の財政が許すに従いまして考えていきたいと思います。
  108. 中馬辰猪

    中馬委員長 ほかに質疑はありませんか。なければ、本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  109. 中馬辰猪

    中馬委員長 この際、委員長の手元に地方交付税法の一部を改正する法律案に対し川村継義君外二名から修正案が提出されております。     —————————————
  110. 中馬辰猪

    中馬委員長 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。川村継義君。
  111. 川村継義

    川村委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を御説明申し上げます。  地方財政は近来悪化の一途をたどらていますが、昭和四十年度においては、地方公共団体財政需要は、道路事業をはじめとする各種公共事業の増大、社会保障制度等の施策による負担増で、ばく大なものとなります。また、地方公務員の給与改定の平年度化等により増加する給与費等も相当額にのぼり、しかも、主として国の施策による地方財政需要額は、今後、年を経るごとに増大することが予想され、ますます地方財政に対する重圧となり地方自治体の活動を大きく拘束することになるのであります。したがって、これらに対応する財源関係地方公共団体に十分付与する必要があるのであります。  本年度、政府は地方交付税率を二八・九%から二九・五%に引き上げたのでありますが、その交付金の伸び率は前年度比、わずか一二・三%にとどまっており、とうてい地方財政需要には追いつかないことは明らかであります。  次に、交付税配分において基準財政需要算定上、道路、港湾等の公共事業費、特に産業基盤強化に力を注いできていることは数年来の傾向でありますが、生活基盤強化、住民福祉面における単位費用の積算など、なお多くの不合理不十分があります。たとえば、幼稚園を例にしてみますと、幼児を保育し、適切な環境を与えて、その心身の発達を助長することは、現在、国策として緊急な課題となっているのでありますが、しかるに、現在幼稚園費は教育費の中で、その他の教育費として全く無視せられているのが実態であります。幼稚園教育の重要性、園児数の増大等から考えても、幼稚園という経費の種類を新しく設け、経費算定合理化経費の一そうの充実をはかり、全国市町村が幼稚園を、その人口に応じて、こぞって適切に設置することが必要であります。  これから地方財政の健全化、財源の充実、交付税制度の改善のためには、地方交付税税率はさらに引き上げられるべきであり、それによって初めて交付税制度の目的である財源偏在の調整と財源保障の機能達成が可能になると思うのであります。  ここに、政府案の二九・五%をさらに三二%に改正し、交付税額を増額するため本修正案を提案いたした次第であります。この措置により約六百億円の交付税の増額になります。  慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いいたします。
  112. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、川村継義君外二名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定によりまして、本修正案に対する内閣の意見を聴取いたします。吉武自治大臣
  113. 吉武恵市

    吉武国務大臣 昭和四十年度の地方財政については、地方財政の現況にかんがみ、種々検討を加えた結果、地方交付税の繰り入れ率を〇・六%引き上げようとしているものであります。国の財政事情等もあり、これをさらに引き上げることは困難であると考えられまするので、にわかに賛成することはできません。     —————————————
  114. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより、地方交付税法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。大石八治君。
  115. 大石八治

    ○大石(八)委員 私は、ただいま議題になっております地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党を代表して、政府原案に賛成し、日本社会党提出にかかる修正案に反対の意見を述べたいと存じます。  昭和四十年度の地方財政計画にも示されているように、明年度の地方財政におきましては、道路政備事業等の公共事業費、生活保護費等の社会保障関係経費、給与改定の平年度化等による給与関係経費などが相当に増加しております。このほか、市町村の清掃関係費の増加市町村民税減税補てん債の漸減に伴う弱小市町村の行政水準の低下を防ぐため所要経費増加もございます。このような国の予算や制度の改正に伴う地方団体財政負担の増加に対処するため、昭和三十七年度以降据え置かれていた国税三税に対する地方交付税の繰り入れ率を、明年度から〇・六%引き上げて、二九・五%に改め、地方交付税の総額の増加をはかっております政府原案の趣旨は、まことに時宜を得たものとして賛成の意を表するものであります。  日本社会党の修正案は、交付税の繰り入れ率をさらに引き上げ、地方行政の水準を高めようとするものでありますが、国家財政現状もあわせて考えますならば、現段階においては、さらにこれ以上引き上げを望むことは困難であり、これらの点は国、地方を通ずる財政全般との関連において検討すべきものと考えるのであります。  以上申し上げました理由によりまして、私は政府原案に賛成し、日本社会党提出の修正案に反対するものでございます。
  116. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、細谷治嘉君。
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております政府提案の地方交付税法の一部を改正する法律案に反対し、日本社会党提案の修正案に賛成の意見を述べたいと思います。  まず第一に、近年の地方財政実情はまことに憂慮すべきものがございます。昭和四十年度の地方財政計画を見てみますと、自治省が最低と見積もった財政計画の試案、それを約九百億円も圧縮しなければならない、こういうような地方財政計画ができたのがやはり雄弁に物語っておると思います。  さらにその地方財政計画を見てみますと、一例としてでございますけれども地方団体に対して物価の値上げを抑制するように協力しつつある政府自体が、高等学校の授業料を一気に二百円も引き上げる、こういうような態勢を、条件を、地方財政計画を通じて、あるいは地方交付税法の改正を通じて推進する結果を招来しようといたしておるのでございます。  一方、こういうような地方財政計画の圧縮は、人件費のいわゆる極度な圧縮、あるいは地方団体が避けることのできない自治体としての最低限度の単独事業をもカットしなければならない、こういうところに追い込まれておりますし、それを如実にあらわしておるのが今度の地方交付税法の政府提案の改正案の内容であると申すことができると思う。一体、こういうことになったのは、前池田内閣の時代から取り上げてまいりました高度経済成長政策、産業基盤の整備に力以上の財政投資をしたところに起因するのでございまして、昨日の閣議で了承を得たといわれております昭和三十八年度の政府の財政白書も、四百団体以上の赤字団体が生まれておるし、その赤字額は三百八十六億円と、こういうような事態になっておるわけでございます。佐藤内閣は、社会開発ということを政治の重要な柱にいたしておるのでございますけれども、その社会開発の重要なにない手である、またその主役を演ずべき地方団体の今日のこの財政事情は、政府の公約を、その一部をすらも推進することができない段階に追い込まれておると申さなければなりません。そういう意味におきまして、自治省は、今度の交付税税率改定にあたりましては、ぜがひでも三百六十九億円の増額を期さなければならぬということで、三〇・四%の交付税率改定要求しておったのでございますが、国の財政との関係という名のもとに、二九・五と圧縮されたことは、今日の地方財政の現実を無視したものと申さなければならないと思います。  これに対しまして、社会党提案の交付税率を三二%にするということは、約五百三億円の増収になるわけでございまして、自治省考えておる三百六十九億円最低限必要だという金額を若干上回り、細々でございますけれども、住民福祉の一助になる地方行政を四十年度において推進が期待できると私は思うのでございます。  そういう意味におきまして、今日の地方団体は税、いわゆる地方の自主財源の強化というものと、財源付与と、それから財源のレベリングという、こういう役割りを持っておる地方交付税等によってこれを助け起こし、地方団体としての機能を発揮できるようにしてやらなければならないと考えるわけでございます。こういう観点から、少なくとも交付税率国税三税の三二%にしようという社会党の修正案は、今日の段階において最も妥当適切な修正であろうと私は確信するものであります。  以上、政府提案の地方交付税法の一部を改正する法律案に反対し、社会党の修正案に賛成の意見を申し上げまして、私の討論を終わります。
  118. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に門司亮君。
  119. 門司亮

    ○門司委員 私は民社党を代表して政府原案に反対をし、日本社会党提案の修正案に賛成の意を表するものでございます。  ごく簡単に申し上げてその理由を明らかにしたいと思いますが、今度の地方交付税法の改正にあたって政府はかなり努力されたように私ども聞いておりますが、しかし、その内容はきわめて遺憾とするところでございまして、地方財政全体を見てまいりますときに、それとこれとは多少感じは違うかとは思いますが、当然地方の自治体が義務的のものとして支払わなければならない公債費の増額は百九十二億にのぼっております。この公債費の百九十二億に対して交付税増加は百四十五億であります。ほんとうに政府が地方財政を健全化そうとするなら、借金によって借金を払わせるというようなことでなくして、やはり借金を払うには、はっきりしたこういう財源によってその借金を払わしていくというような健全な方向をとることが、国家財政だけが健全であればよろしいという政府の考え方の中には欠けておるのではないかということが痛切に考えられる。したがって二九・五%という数字は、自治省は手柄のようにお考えになるかもしれませんが、地方の自治体からすれば、借金のかさ上げの支払いの額にも一まだ三、四十億足りないというようなきわめて微々たるものであって、健全財政を貫こうとするなら、私はその辺はやはり自治省考えてもらいたかった、そうして、少なくとも国が調整財源として出すものではございますけれども、しかし形は一般財源にあるわけでありますから、地方財政が悪化の一途をたどっておりまするときに、せめて公債費の増額分くらいは、国が新しい財源を支給しておくことのほうが地方財政を尊重するゆえんでもあり——私はここで自治大臣を責めるわけじゃございませんが、自治大臣としてはそういうお考えを持たれることのほうが望ましかったのではないかということが私には考えられる。その点がきわめて遺憾とする一つの点であります。  もう一つの点は、配分関係において最近の地方自治体の財政その他を考えてまいりますと、急激にふえてまいりますいわゆる佐藤さんの言われる社会開発の要求は、住民の要求として強く要望されております。これにこたえるに、各都市あるいは各自治体ごとに様相が異なるのでありまして、これらの点は少なくとも調整財源である限りにおいてはこれを勘案してやはり配分基礎にするということが——多少手かげんをして補正的にこれを自治省の手において勘案するとは申されましても、私はそれで決して満足すべきではない、今日の段階においてはすでに法律の内容の中にそれらの問題が織り込まれることでなければいけないのじゃないかということが考えられます。したがって、その辺の配慮が全く欠けておるという点等についても遺憾に考えております。  社会党の出された案自体は、基本的にはいろいろ問題はあろうかと私は思いますが、少なくとも先ほどから申し上げますように、地方財政が悪化の一途をたどっておるときに、この悪化の一因である公債費の増額分ぐらいはやはり調整財源によってこれをまかなっていくくらいの配慮があってしかるべきであって、その点は私ども意見と全く同じような立場に立った修正案だと考えますので、社会党の修正案に賛成をし、政府原案に対しては以上の理由をもって反対の意思を表明するものでございます。
  120. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する川村継義君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  121. 中馬辰猪

    中馬委員長 起立少数。よって、川村継義君外二名提出の修正案は否決されました。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  122. 中馬辰猪

    中馬委員長 起立多数。よって、地方交付税法の一部を改正する法律案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 中馬辰猪

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  124. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会