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1965-03-26 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二十六日(金曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 中島 茂喜君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    亀岡 高夫君       武市 恭信君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       森田重次郎君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       井岡 大治君    阪上安太郎君       華山 親義君    門司  亮君       吉田 賢一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         文部事務官         (管理局長)  齋藤  正君         厚生事務官         (保険局長)  小山進次郎君         厚生事務官         (社会保険庁医         療保険部長)  坂元貞一郎君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         文部事務官         (管理局福利課         長)      望月哲太郎君         自治事務官         (行政局給与課         長)      胡子 英幸君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出第一一三号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案安井吉典君外九名提出衆法第五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六二号)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案及び安井吉典君外九名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川村継義君。
  3. 川村継義

    川村委員 厚生省関係の方がまだ見えておられませんから、いま社会保険審議会審議状況を直接お聞きするわけにまいりませんが、後ほどそういう点に触れてお聞きをしたいと思います。  きょう私がお尋ねをいたしたいのは、いま議題となっておりますように、政府提案地方公務員共済組合、それから社会党から出しております地方公務員共済組合等改正案、こういうものがございますから、それらについてお尋ねをいたしたいと思いますが、きょうはとりあえず共済組合短期給付の問題を重点としてお聞きしておきたいと思います。後日またあらためてお聞きしたいと思っておりますから、その前提としていろいろの当面しておる状況等についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。  そこで、まず、第一に、共済組合関係の点についてお尋ねをいたしますが、公立学校共済地方職員共済、そのほか市町村職員共済、これらの共済組合について、あるいはこまかにお聞きをすることはできないかと思いますが、まず初めに公立学校共済地方職員共済市町村職員共済、この三つの共済についてお尋ねをしておきたいと思います。  そこでまず初めに、地方職員共済短期給付種類ごと支給状況をひとつ御説明願いたい。種類ごと支給状況といいましても、一々その内容についての支給状況をこまかに御説明いただく必要はございません。保険給付災害給付休業給付、そういうものの支給状況をまず地方職員共済のほうから現状をお聞かせいただきたいと思います。
  4. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お手元に御提出申し上げております資料をごらんいただきながら御説明を申し上げたいと存じます。  第一ページをごらんいただきますと、お尋ね地方職員共済組合、これ以外の地方公務員共済組合共済組合ごと昭和三十七年度昭和三十八年度昭和三十九年度収入額給付額差し引き損益の表を載せてございます。  地方職員共済組合について申し上げますと、昭和三十七年度決算昭和三十八年度決算比較をいたしてみますと、昭和三十七年度におきましては四億四千三百六十四万二千円の益が出ておりまするが、三十八年度決算におきましては九十七万六千円の益に減少いたしております。さらに昭和三十九年度、これは当初計画でございまするが、それによりますると、三億二千百万八千円の赤字になることになっております。  それから医療費増加状況でございまするが、これは三ページをごらんいただきますると、一番上の欄が地方職員共済組合でございます。三十八年度と三十九年度比較いたしまして、組合員数が、率で申しますと一〇三・五になりますが、請求件数が一一〇と、一割増加をいたしておるのに対しまして、給付金額は一二〇と、二割の増加ということになっております。  それからさらに、医療給付関係数字でございまするが、次の四ページをごらんいただきますと、平均給与、それから請求件数年間受診率財源率等関係比較を掲げてございます。財源率について申しますと、地方職員共済組合が、他の公立学校警察等比較いたしますると多くなっておるという数字が出ておるわけでございます。大体医療給付支給状況は以上でございます。  なお、災害給付等についてのお尋ねでございましたが、ただいま手元に用意をいたしてまいりませんでしたので、これについては後刻御提出を申し上げたいと存じす。
  5. 川村継義

    川村委員 私がお尋ねしようと思った意味がよくわからなかったかと思うのですが、いまお話短期経理収支状況等についてはまたあとお尋ねをいたします。  私がお尋ねしたいと思ったのは、地方共済短期給付支給について、たとえばこの種類ごと支給状況と申しましたのは、短期給付支給状況について、保険給付というものがどれくらいの金額割合を占めておるか、災害給付というものがどれくらいの金額割合を占めておるか、休業給付がどれくらいの割合金額を占めておるか、そういう点について説明をいただきたい、こう申し上げたわけであります。公立共済のほうその点おわかりでありますか。——それでは公立学校共済のほうから先に……。
  6. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 三十九年度の当初計画によりますれば、短期給付総額は百七十九億でございますが、その中で保健給付が百六十億、それから直営保健給付が四億三千万、それから休業給付は四千七百万、災害給付が六千四百万、それから付加給付が十三億九千七百万でございます。これは端数を省略いたしましたので、御承知願いたいと思います。ただ、先般この当初計画変更することとなりましたが、その変更要因は、やはり保健給付の増大でございまして、変更した結果は保健給付が百七十六億円、それから直営保健給付は当初計画と同額でございまして、休業給付は四千七百万に対して増額いたしまして八千八百万となっております。それから災害給付が六千四百万の当初計画比較いたしまして、増加いたしまして九千二百万、付加給付が若干増額いたしまして十四億一千三百万、合計いたしまして当初計画が百七十九億に対しまして百九十六億、こういうことになっております。
  7. 川村継義

    川村委員 当然のことではありますけれども、その給付総額について医療給付関係が大半というか、ほとんど何十%の高い率を示しておる。いまのお話変更計画によって百七十六億、これは短期給付全体の九十何用になりますか。
  8. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 変更後の計画になりますと百九十六億の百七十六億でありますが、いまちょっと計算をいたします。
  9. 川村継義

    川村委員 地方共済のほうはいまの点わかりますか、三十九年度でけっこうです。
  10. 胡子英幸

    胡子説明員 ただいまのお尋ねは三十九年度ということでございましたが三十八年度決算がまとまっておりますので、これで金額を申し上げたいと存じます。地方職員共済組合についてでございますか、保健給付総額は五十八億三千三百万円、端数は省略させていただきます。それから休業給付が二千六百万円でございます。それから災害給付が約千四百万円、金額的に申し上げますと以上のような状況であります。総額におきまして五十八億七千三百万円でございます。
  11. 川村継義

    川村委員 市町村共済のほう、いまの点をちょっと。三十八年度決算でけっこうです。
  12. 胡子英幸

    胡子説明員 市町村職員共済組合保健給付でございますが、これが八十七億六千百万円、それから休業給付でございますが一億二百万円、それから災害給付でございますが二千九百万円、合計いたしまして八十八億九千四百万円でございます。
  13. 川村継義

    川村委員 いま文部共済地方共済市町村共済について三十八年度——文部共済については三十九年度計画でありましたが、短期給付種類ごと支給状況というのが明らかになったわけであります。これは当然のことではありますけれども医療給付というものの占める割合というものが非常に高い。このことは明らかに言えるわけであります。そこで初めに佐久間局長からお話のありました短期経理収支状況でございますが、いただきました資料の一ページに三十七年度、三十八年度決算、三十九年度当初計画ができておりますが、三十七年度までは大体バランスがとれて、つまり黒字運営である。三十八年度決算では、ずいぶん赤字を出しておる組合が多くなって、それが三十九年度にはさらに多く赤字が出ているわけであります。その三十九年度当初計画に基づいて文部共済あたりあと計画変更があっているようでありますが、三十八年度、三十九年度差し引き損益、それの決算と、それから三十九年度見込み、こういうものについて、経理面から考えてどういう問題点があるのか、それをひとつ地方共済公立共済別に聞かせておいていただきたいと思う。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 このように赤字が出てまいりました原因といたしますと、一般的に申しますと、三十六年七月に入院料等引き上げがございましたし、三十八年九月には地域差の撤廃、さらにまた新薬の採用等影響がございまするほか、いろいろな原因が考えられるわけでございまするが、経理上におきましては、このままで推移いたしまするならば、現在のたてまえにおきまして折半負担ということになっておりまするので、保険料増高をする。地方団体負担ももちろん増高いたしまするが、財源率が相当高いものになっていく。したがいまして、その面からいろいろな困難が出てこよう、かように心配をいたしておるところでございます。
  15. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 御指摘のように、三十七年度までは短期経理決算黒字でございまして、三十八年度から、短期経理につきまして差し引き損益赤字になったわけでございますが、三十八年度におきましては、公立学校共済組合だけで申しますならば、従来の剰余金等の積み立てによって、年度資産としては赤字を出さないで済んでおるわけでございます。なお三十九年度につきましては、先ほど申しましたように、先般計画変更いたしました。これも決算を締めてみなければ、いかなる数字が出るかということはまだ正確にはわからないわけでございまするけれども、三十九年度決算見込みを一応想定いたしましても、経理といたしましては赤字が出てまいりますが、三十九年度ではなお年度末の資産におきましては赤字にならないという、三十九年度について見ますならば、そういうふうに考えられるわけであります。今後さらに四十年度と考えました場合には、やはり先ほど自治省から申されましたように、学校の教職員給与増加に伴う収入というものと、それから医療給付件数でありますとか、あるいは単価等の、要因によりまして、医療給付が増大いたしますので、これに対しては、財源率計算におきまして改定を加える必要が起こってくるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  16. 川村継義

    川村委員 そこで、佐久間局長先ほどちょっと触れましたように、おそらく四十年度は相当の財源率改定しなければならぬのではないか、こう思われます。そこで、いまいただいた資料の六ページに、「財源率の推移の状況調」というのがありますが、三十九年度地方職員で六二・六、公立学校で四五・六、警察で五七、東京都職員六一・七、指定都市職員、これは名古屋の場合六四、都市職員七五と出ておりますが、その中の地方職員の六二・六という、この三十九年十月一日現在の財源率は、短期給付費だけの財源率なのか、あるいは福祉施設福祉事業等財源率も含んでおるのかどうか、公立学校についても同様の点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  17. 佐久間彊

    佐久間政府委員 福祉事業関係は入っておりません。
  18. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 福祉関係のは入っておりません。
  19. 川村継義

    川村委員 この表の中に、国家公務員財源率も一応示してあります。その次の七ページには、市町村職員共済組合財源率も示してあります。この場合非常に注意を払わねばならなぬことは、地方職員共済組合あるいは公立学校共済組合に比べて、市町村職員共済組合財源率が非常に高い、こういうことが特に顕著であります。こういう点につきまして、市町村職員共済組合掛け金率負担金率等は、それぞれの地方団体の別によって相当異同がある。ということは、いわゆる折半の原則が守られないで、負担金の率のほうを高めていかねばならぬという姿があらわれているようであります。この点について、佐久門局長、どのように見解を持っておられますか、ひとつここで聞かせておいていただきたいと思います。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 市町村職員共済組合におきましては、御指摘のように、府県によりまして財源率がかなり高低がございます。この原因につきましては、必ずしも一律には申し上げかねるかと存じますが、一つは、当該組合関係市町村職員給与比較的高いところは低い財源率で済んでおる、給与の低いところは財源率が高くなっているというような傾向もあるようでございます。さらにまた、組合員一人当たりの扶養家族の数あるいは受診率等によりましても相当地域差があるようでございまして、それらのことからこのような結果が出てきておるものと考えておるのでございます。
  21. 川村継義

    川村委員 続いてもう一つ、その点を明らかにしていただきたいと思いますが、地方共済及び市町村共済について四十年度はどれぐらいの財源率を見込まねばならないか、これをひとつ佐久間さんから示していただきたい。もちろん当然それは、まあどうなるかわかりませんが九・五%の医療費値上げがあったとして、市町村共済について、あるいは地方職員共済について財源率をどれくらい見込んでいかなければならないか、それをちょっと説明していただきたいと思います。
  22. 胡子英幸

    胡子説明員 ただいまのお尋ねでございますが、地方職員共済組合につきまして昭和四十年度財源率推定をいたしますと、現行先ほど指摘ございましたように千分の六二・六でございますが、これについて医療費伸びをいろいろ試算をいたしてみますと、大体六九・三程度引き上げざるを得ないという試算を持っておる次第でございます。
  23. 川村継義

    川村委員 市町村共済についてはちょっとわかりませんか。大体平均でいいです。
  24. 佐久間彊

    佐久間政府委員 市町村共済につきましては現行財源率が八〇・九でございますが、四十年度先ほど地方職員について申し上げたような方式計算をいたしますと、八四・六になるものと予想されます。
  25. 川村継義

    川村委員 文部省のほうにお尋ねいたしますが、文部省のほうは四十年度九・五%の医療費引き上げがあったものとして、その財源率をどのように見込んでおられますか。
  26. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 公立学校共済組合現行財源率が四五・六でございまするので、これを四十年産の財源率推定いたしますれば五五・七、一〇・一の引き上げと予想いたしております。
  27. 川村継義

    川村委員 文部省に聞きますけれども、私のほうでちょっと調べたところではいまお話しの五〇幾つという財源率でなくて、あなたのほうは短期給付関係だけで六二の財源率が必要だと計画しておるのではありませんか。
  28. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 年度の途中におきましていろいろ共済組合において研究いたしまして、そういういまお話しのようなことが研究の結果一つ資料として出されたことは事実でございます。しかしながら、その後さらに三十九年度の後半の状況、これはもちろん的確な資料ということでお示しする段階でもございませんけれども、やや従来の伸びから少し計算をし直す要因も出てきたようでございまして、先ほどお答えしたような一応の私ども見通しを持っておるわけでございます。
  29. 川村継義

    川村委員 それじゃ、この際ちょっと文部省にお聞きしておきますが、短期給付財源率は五〇幾つでしたか。
  30. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 現行が四五・六に対して、四十年度推定といたしまして五五・七、一〇・一のアップというふうにいま予想しております。
  31. 川村継義

    川村委員 文部省は、そのほかの福祉財源率をどの程度見込んでおられますか。
  32. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 千分の一・二でございます。これはいまのところ変更見通しはございませんから、医療関係の分につきまして先ほどのような引き上げを予想するわけでございます。
  33. 川村継義

    川村委員 千分の一・二でございましたね、千分の一・二というのは、いままでの福祉財源率を引き下げてあるようですね。その理由はいかがです。
  34. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 担当の課長からお答えいたすことをお許し願いたいと思います。
  35. 望月哲太郎

    望月説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  先ほど管理局長のほうから申し上げました千分の一・二という福祉財源率は、福祉財源については法律でもって短期給付に要する費用の九十五分の五以内で、定款で定めて福祉財源の率をきめることになっておりますが、現在の公立共済定款では、千分の二四の中で目一ぱい見まして千分の一・二を見ておるわけでございます。そこで今度掛け金率改定いたす際に、従来と同じような方式でさらに今度の引き上げ分についても同様に九十五分の五の福祉財源見込みますと、千分の一・二がさらにそれだけ上昇するわけでございまして、そうしますと若干掛け金率の面にも上げ幅について影響が出てまいると思いますので、そこらにつきましては一応今後の状況に応じて、公立学校共済組合のほうでも十分都道府県なりあるいは組合員なりの意向を聞きながら検討することになろうかと思います。先ほど局長から御返事申し上げました五五・七というのは、一応いわゆる短期給付そのものだけの率でございまして、それが従来の短期給付の率でありますところの四五・六に比べまして、五五・七になりまして千分の一〇・一上がるわけでございますので、これをそのまま折半いたしまして掛け金率に直しますと、掛け金率において千分の五上がるということでございますが、それにさらに福祉財源を従来どおり見込むとなると、この一〇・一がさらに千分の〇・五程度上がりますから一〇・六になるわけでございます。そうしますと若干の端数が上乗せになる、こういうことでございまして、先ほどの千分の一・二というのは、現行の制度で目一ぱい見た数字が千分の一・二ということを局長から御返事申し上げたわけでございます。
  36. 川村継義

    川村委員 たいへん詳細で何かちょっとつかみにくいところがあったのですが、とにかく要するに、短期給付は大体の見込みで五五・七に上がる。それに福祉関係財源率が丁二上がるということになりますと、これは結局全部で五六・九見込まねばいけないということになる。その辺のところはどうですか。
  37. 望月哲太郎

    望月説明員 お答えいたします。  これは私の御説明が悪かったせいかもしれませんが、千分の一・二というのは、千分の二四というのがいまの公立学校共済組合掛け金率でありますが、その掛け金率の中に一・二というものが含まれておるわけでございます。福祉財源というものを従来は掛け金率の五%見ておりますので、現在の公立学校共済組合短期給付経理掛け金率は千分の二四でございますが、そのうち二十四の五%であるところの千分の一・二が福祉財源に現在回されておるわけでございます。それで残りの二二・八がいわゆる本来の短期給付に回されておる。そこで先ほどから申し上げております千分の四五一六という現行財源率は、千分の二四から千分の一・二を引きました千分の二二・八の二倍の千分の四五・六というのが現行のいわゆる短期給付に要する財源率でございます。そこで今後掛け金率を上げます際に同様に福祉財源を見込むか見込まないかということは、今後の検討の課題でございまして、従来どおり見込みますと、そこにございます短期給付だけで千分の四五・六から五五・七に上がって千分の一〇・一総財源率でふえるという局長先ほどの答弁に、さらに千分の一〇・一の五%ですから、千分の〇・五になると思いますが、その程度が、福祉財源も従来どおり見込むとなると、さらに加算されて、それを考えますと、従来の千分の一・二の福祉財源というものが千分の一・四五程度になるということでございます。従来どおりのシステムでやるとすれば、これはやるかやらないかということは、九十五分の五以内というふうな規定になっておりますから、まるまる見るか、それとも少し率を落とすかということは、全体の収支バランスの中で、公立共済組合において各方面の意見を聞きながら考えていくべき問題だろうか、こう考えておるわけです。
  38. 川村継義

    川村委員 そうしますと、まだ四十年度掛け金率がどれくらいになるということは、正確には出ておらない、こういう考えていいですね。
  39. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 いま医療費問題等いろいろ未確定の要素がございますので、私どもは一応短期給付医療給付伸び等と、それから従来の収入伸び等を勘案いたしまして、一〇・一の伸び、すなわち掛け金にいたしまして、福祉財源を含めて現在千分の二四でございますのが、千分の二九程度には上がるということを想定しておるわけでございます。
  40. 川村継義

    川村委員 厚生省局長、お見えでありますから、ちょっとここでお尋ねをいたしますが、いま私は共済組合短期給付について、ほんの若干お尋ねをいたしました。こまかなことはお聞きをしませんでしたが、ただ、いただいた資料やいまお聞きしたようなことで明らかになったことは、共済組合収支状況も逐年悪くなる、悪化をしておる。相当の赤字を出しておる共済組合が出てきた、こういうことが言えるわけであります。そこで今回の医療費値上げがそのまま行なわれるとなると、すべての共済組合改定をいたしまして、財源率を相当程度引き上げていかねばならぬ、そういう結果になるわけであります。おそらくその結果としては負担金、あるいは掛け金の率がまた上がるでありましょうし、実は、この後の短期給付における医療行政医療運営の大きな課題として残っているわけであります。ただいま文部省の言っておられるように、まだ未確定な要素があるようであります。それは当然医療費がどのように結末がつくかどうか、その辺にもあるのではないか、あるいはそれぞれの審議会における審議状況等があって、まだ結末が出ていない要素も多いだろうと思われます。地方共済についても、あるいは市町村共済その他の共済についても、同様な点があろうかと思うのであります。  そこで、厚生省局長お尋ねをいたしますが、いま社会保険審議会でいろいろの困難な問題と取り組んでおられますが、一体その審議状況、それから見通しはいかがでございますか。
  41. 小山進次郎

    小山政府委員 いまお尋ねのことを申し上げる前に、一応確認する意味で申し上げておきたいと思いますが、先ほどお話がございまして、地方公務員及び公立学校職員共済組合短期給付の部門が非常に苦しいという御事情、私もよく承っておりまして、これはたいへんむずかしい問題だということを考えておったわけでありますが、その際に、先ほどお話にありました、まだ未確定の要素があるという文部省齋藤さんから言われましたことばを、先年、少し不明確に受け取っておられるようでございますので、その点は多少はっきりさせたいと思います。  九・五の引き上げが行なわれたというのはこれは事実でございます。したがって、これは未確定の要素ではございません。確定の要素で、現に一月分からそういうことで行なわれておりまして、すべてのところがそういうことを前提として支払いをしておるわけでございます。ただ、しいて未確定だということを言うといたしますならば、いま一部から行政訴訟が提起されております。これは九・五の引き上げの措置をきめた行政行為の取り消しを求めるというものでございます。したがって、これはほんとうのかりのことでございますが、将来取り消しをすべきだという裁判上の結論に最終的になった場合に、これが変わる可能性が理論上の問題としてあり得る。こういう意味では、理論的にいえば未確定だ、こういうふうなことになると思いますが、これを言われたわけではないと思います。いま医療の問題で一番未確定だというふうにみんなが感じておりますのは、一体その医療費の自然増といわれるものが、どの程度のテンポで、どの程度の規模で進むだろうかということについて、これはまことにむずかしい問題ではございますが、どうもだれも断定的な判断をすることができない、こういう状況にあるわけであります。御承知のとおり、大体医療費伸びというのが、一人当たりに直しまして前年度と比べて一〇%内外という程度伸びであるという状態が、従来およそ正常な状態であるというふうに考えておったわけであります。したがって、そういう状態でありますと、どの医療保険の制度も収入伸びというのがおおむねその程度ございますから、それで収支が合う。ところが、過去三年来の伸びというのが、つまり三十六年以来非常にテンポが早まり、規模が大きくなっておりまして、一人当たりで二〇%前後の伸びを示す、これは制度によって多少の違いはありますけれども、そういう違いがあるわけであります。こういった伸びが一体いつまで続くか、これは原因の把握のしかたによってもっと続くという判断も出てまいりますし、また把握のしかたによってはそろそろ出尽くした、したがって、一挙にこれがかつての正常だと思った状態まで落ちつくことはできないにしても、もうそろそろ伸び程度は落ちていくというふうに考えるべきだという、こういう判断も出てくるわけであります。そこで前年どおりの伸び率だということでものごとを考えていくか、そろそろ伸び足は落ちてきたという前提で考えていくか、こういうところが保険財政を扱っている人々が一番判断なりあるいは決断に迷う問題でございまして、そういう意味で不確定な要素がまだある。できればもう伸び足は正常の状態に落ちてほしい、こういう願いも含めまして言っておられたわけでございまして、そういうものとして御了承をいただきたいと思います。  たいへん前置きが長くなりましたが、社会保険審議会状況を申し上げますと、御承知のとおりいろいろないきさつが、ございましたけれども、今月の初めからやっと実質審議に入ってまいりまして、すでに回を重ねること三度に及んでおるのでございますが、いまのところは、当局側から提出されている原案についての説明を聴取し、それに関連をして、大臣に対して総括的な質問をいろいろしている。こういうような状況でございまして、まだ細目の検討に入るというところまでいっておりません。したがって、こういう状況から判断いたしますならば、結論に達するまでには、まだ若干の時日を要する、こういう判断をされる状況でございます。
  42. 川村継義

    川村委員 いま局長から説明いただきましたが、医療費伸びについては、お話のように非常にむずかしい見込みというものがあるのではないか。私もしろうとですけれども、考えております。ただ、今度のように、医療費値上げに伴って、薬価負担を一部負担として患者に負担させる。こういう状態が生まれてまいるならば、あるいは行政の衝に当たる皆さん方は、いままでのような状態でかってに薬を使わぬで、ずい分そういう点では抑制できるかもしれぬ。そうなると、医療費伸びというものもそう驚くほどはない。こういうようにお考えになる要素もお持ちじゃないかと私は思います。しかし、今日の国民生活のいろいろ医療の問題を考えてみますと、なかなかそうは簡単に言い切れない問題があると思います。そういう点は、予算委員会でも皆さん方いろいろ論議なさったようですから、ここでとやかく私から申しませんけれども、ただ私がいまお尋ねしたのは、私も職権告示が生きているということは知っております。ただ、いま薬価基準の再引き下げというのが問題になっておるようであります。一・五%これをいわゆる三%の中に加えて、それを全部医療側に渡すかどうか、あるいは一・五%は、そのまま別の形でこれを引き下げていくかというようなことは、やはり医療費の算定をする場合には一つ要素ではありませんか。そうなりますと、共済あるいはその他のこういう関係の面において、財源率をはじき出すときの一つ要素にはなりませんか。私、そこを一つ聞いておきたいと思う。一・五%がそのまま薬価基準の引き下げになって、医療側に渡らないという結論が出るならばこの地方共済においても、公立学校共済におきましても、短期給付財源率をはじいていく場合に、緩和されるというような要素にはならないかどうか。これが明らかになりますと、文部省のほうでお話しになったように、まだまだそこのところはやはり不確定な要素として考えていいのではないかと私は思うのであります。いま一度。
  43. 小山進次郎

    小山政府委員 たいへんごもっともな御指摘でございまして、結論から申し上げますと、先生お見込みのとおり考えていただいていいと思います。いまどの程度引き下げられるかというのは、一・五%というのは、いわばかりのあれとしていわれているわけでございますが、どの程度引き下げられるかということは、三月一日の状態をもとにしてきめることにいたしまして、目下調査中でございます。したがって、この結論がまとまりますならば、少なくともどの程度さらに引き下げを予定することができるかということは、かなり確定的な数字として出るはずであります。  それから、そういうふうに確定的な数字として出てきたものの引き下げを、ほんとうにやるのかやらぬのかという問題でございますが、現在のところ、政府はやるという態度をきめておるわけであります。そうした場合に、それがただいま仰せのそれぞれの保険財政の面においてそれだけ支出が減るものと期待してよろしいか、同様にまた患者の負担する分については、その分だけ減ったものをもとにした計算になると期待してよろしいかという問題は、現在のものの考え方からいえば、当然そうなる、かように考えていただいていいと思います。
  44. 川村継義

    川村委員 それではこの際、いままでお尋ねした組合関係のそれとも関係いたしますから、国保の問題をちょっと聞いておきたいと思います。  九・五%の医療費値上げについて、皆さん方は各市町村に対してどのような通達を、あるいは通牒といいますか、お出しになっておるか、簡単にひとつ説明していただきたい。  というのは、大体何%くらいの保険税の引き上げを考えるべきであるというような一応の指導をなさっておると思うのです。そういう点を含めてお願いします。
  45. 小山進次郎

    小山政府委員 特にこの問題だけ分離をして、どういうふうにしろという内容の通達なり指導はしておりませんけれども昭和四十年度の支出を見込む場合は、医療費は九・五%ふえるものとして支出の見込みを立ててほしい、こういう指導をしております。  それから、収入の面におきましては、来年度このはね返りを多少でも緩和するという趣旨で、国が十五億円の金を用意することにして、目下そういう内容の予算を御審議願っておりますので、それが成立したならば、その分だけは従来の収入に加えて、収入として期待してよろしい。そういうことで収支見込みを立てるように、そういう趣旨の指導をしております。
  46. 川村継義

    川村委員 これは厚生省でももう少し責任を痛感していただいて、国保の問題は取り組んでいただかなければならぬのではないかと私は思うのです。いろいろこまかなことは、お聞きする時間がありませんから、申し上げませんが、私は一つ驚いた。  というのは、町村の四十年度の予算議会において、町の名前は、直接言いませんが、K町と申し上げておきます。K町が今度の予算で大体考えましたところの国保の関係の予算を見ますと、昨年三十九年度までは一世帯当たり七千三百円の負担です。ものすごい負担だと私は思う。これは全国平均を上回っておる。七千三百円の負担であったのを、四十年度は一世帯当たり一万四百九十円の保険料をとる、こういうことにきまったのであります。この町は被保険者数が一万四千三百人程度でありますから、一人当たりの療養費を見ると二千百円程度になりましょう。必ずしも一人当たりの療養費というものはそういいほうではない。しかし、世帯当たりの負担は、先ほど出し上げますようにものすごい増高であります。そのK町は、三十八年度までにはその保険収入が高かったということもあって、大体とんとんで収支が合っておる。三十八年度は十二万程度黒字ということを言っておりますが、ところが三十九年度決算見込みでは、すでに二百万円以上の赤字を出しておる。四十年度は一体、これだけの保険税を引き上げてとても十分のまかないはできないだろう、こういうことさえ言っておるのであります。これが実は現実に目の前にあらわれた一つの国保の税金のあり方であります。こういうように次から次に国保税が引き上がるということ、これは一般の、特に申し上げるまでもなく低所得層の多い農村地帯の場合を考えると、たえられないものではないか。私は、このまま推移するならば、もう国保という制度は破壊するのではないかとさえ危惧いたします。これは厚生省当局には——厚生省だけを言うわけではありませんけれども、これは大きな責任ではないかと思うのです。これはひとつ、ぜひあなたの耳に入れておきたい事例であります。  そこで、たびたび指摘をされた問題だと思いますけれども、国保の昭和三十八年度までの赤字は、これは自治大臣のことばをかりて言うならば、百三十二億と言っております。三十八年の決算で三十七億の赤字である。市町村が繰り入れた額が九十五億あるから、これを見て赤字と見る場合に、百三十二億も赤字があると言っておる。一体、昭和三十九年度はどれくらいの赤字——もう大体見当はつくと思いますが、赤字が出ると予想しておられるのか、これが一つ。  昭和四十年度は、いま私が申し上げたようなK町のようなものすごい税金の増収をはかればいざ知らず、そうし得ないような町村が多いということを考えると、これまた四十年度も国保の財政は苦しい、相当の赤字をまた生み出すのではないかと思われます。したがってそれらの赤字、そういうものに対して厚生省は一体どう対策をとっていこうとなさるのか、これをまず初めにお聞かせおきいただきたい。
  47. 小山進次郎

    小山政府委員 先生仰せのように、国民健康保険の財政というのはいまちょうど一つのせっぱ詰まった状態にあると思います。このせっぱ詰まった状態というものは、決して一時的、偶然的な事情によってそうなったのじゃなくて、医療の趨勢、それに対応して受診もふえていくそういうような条件のもとでは、どうしてももうあとに引っ込まない形で出てきているものだ、かように判断をしなければならぬと思っております。したがって、四十年度、四十一年度にかけまして、国保の問題については相当根本的な対策を考えなければならぬという考えでいるわけであります。それで、まず根本的な対策を考える前に、現状において当然できるはずのことで事実上行なわれていないという問題をまず解決する必要があるということが、いまのところとりあえず考えられている問題であります。毎年国民健康保険の場合、予算をつくります当初に見込んでおりました国保の医療費というものと、実際に国保で使われた医療費との間には、結果的に見て最近相当の開きが出ております。この相当の開きが出ていることは、結局それだけ当年度において国が負担すべきものについて用意がされていない。大部分のものは当該年度の補正予算あるいは翌年度の補正予算で追加補正をされますけれども、費用の性質によっては当該年度で措置されないために、結果的にはいわば切り捨てになってしまっている。これが決してばかにならぬ額になっている、こういう実情がございます。これを何とか解決をしたいという考えでございますが、今年度の場合いろいろの事情からいたしまして追加補正をすることができませんでしたので、したがって決算の確定を待ちまして、明年度において早急に国が、三十九年度の国の負担分として見るべきはずであったものは措置をする。この場合は法律の構成から見ますと、決算補助ということのない制度になっておりまする調整交付金の分についても、何らかの方法で事実上それに相当するものというのを考えるということにしよう。これはいろいろ先生方の御尽力もあり、政府部内、予党、野党を通じて、およそいまのところそういう考え方か固まって、あと決算の確定を待つ、こういうようなところまできているわけでございます。  それから第二の問題は、事が事務費という名前がつきますために、とかく軽く見られがちなのでありますけれども、事務費の問題について、国が持つべき分が持たれていないために、結果として市町村に相当大きい負担をかける結果となっており、それがまた保険料の中に入り込んでいるという実態があることを否定するわけにはいかぬのであります。この問題を解決しようというので、今年度の予算を組みます場合には、これに最大の努力を注いだわけでありますが、結果としては従来一人当たり百五十円というのと比べますと五十円ふえて二百円ということですから、かなりふえたかっこうにはなりましたけれども、まだまだ持つべきものから比べれば相当隔たったところにあるという状況でございますので、これをぜひとも解決をしたい。ところがこういうことを解決してみても、先生が御指摘になっている国民健康保険のいわば根本的な安定という状態には、きにくいといわざるを得ないと思います。そこで四十一年度にかけましては、いろいろ出しておりまする国の補助金また保険料なり保険税の取り方について、いろいろやっておりましたところをまとめて整理をする必要を感じております。およその方向としては、現在国の補助金は定率の二割五分の補助金と調整交付金の中に含まれているものと、それから予算補助の形で計上されているものというふうに、給付費そのものに対して国がたてまえ上持っているという性質のものが三カ所に分かれて入っております。これを四十一年度においてはまとめることにいたしたい。そうしていまの二割五分という国庫の負担金を四割という定率にすることによって、市町村の国保財政に安定性を与えると同時に、とかくそのときそのときの事情によって切り捨てられがちのものをなくするようにいたしたい、これが一つであります。  それからもう一つは、調整交付金というものをこの機会にもう一回中身の整理をいたしまして、ほんとうに貧富の調整に役立つ程度のものにしていく。現在実際上そういう役割りをしておりますものは、率に直しまして五%程度のものであります。一〇%の調整交付金のうち、半分がそういう役割りをしておりますが、これを二倍の一〇%程度にする。それから保険税なり保険料については、これは地域の事情もあり、それぞれ必要とする医療費が違いますので、必ずしも一律にはいきませんけれども、ある程度標準保険料率、あるいは保険税率というようなものを設けることによって、全国的に見て同一の条件のもとにおいて、あまりに違った保険料負担しなくても済むという状態を実現するようにしたい。そういうふうなことによりまして、いままでせっかく市町村が育ててまいりましたこの国民健康保険は、市町村の経営であるというたてまえ、実態はそのまま保存をしつつ、財政面において、国が十分のバックアップをしていく、こういうふうにいたしたい、こういう考えでございます。  それから、なお最後になってたいへん恐縮でございますが、三十九年度赤字見込みはどのくらいかというお尋ねでございますが、これはまだケースで申し上げるほど自信のあるところをまとめておりませんが、見当として申しますならば、私どもは三十八年度赤字百三十二億のうち、九十五億は一般会計からの繰り入れ金でございますから、一応これを抜きにしていただいて、残りの三十七億をもとにして考えた場合、どうもこの三倍程度にはなりそうだという予感をもって、いまいろいろケースの調整をしておる、こういう状況でございます。
  48. 川村継義

    川村委員 ただいま国保の対策について、たいへん具体的に、前向きに考えておられる点を説明いただきましたが、もちろんそれぞれまたこれは内容には検討を加えるべき問題があろうと思いますけれども、ぜひひとつ、そういうような姿勢で、積極的に取り組んでいただくことを強く要望してやみません。私がいろいろ問題について申し上げるまでもないことでありますけれども、いま三十九年度赤字は、大体三十八年度赤字の三倍程度は考えられるということでありましたが、四十年度においても、当初申し上げましたように、私は実は非常に心配をいたしているわけであります。事務費はなるほど二百円に上げてもらう。しかし自治省当局が実態調査に基づいて要求したのは、二百八十八億円であったわけでありますから、それが二百円にとまったということは、この面においても、やはりこれは相当の財政上の苦しさがここへくる。それもやはりあるいは保険税等に転嫁される危険性があるということが一つであります。国保は、申すまでもなく、われわれのようにいなかに住んでおるものは特に痛切に感ずるわけでありますけれども、これは非常に低所得層が多い。減免対象になっている者も相当あるし、老人や子供が家族の構成として相当入っておるし、所得も三十万円以下といわれるそういう低所得層が大部分を占めておる、こういうような状態でありますから、これは申し上げるまでもないことですけれども、いまお話のように、やはり何とか根本的に手を打ってもらわなければ国保、この医療制度というものが瓦解をするのではないか、こう思われてなりません。  そこで、これについていま一言お聞きしておきますけれども、御存じのとおり、国保関係は大体市町村は昨年は二六%の実は引き上げをやっておるわけであります。ところが、あなたのほうは、先般の予算委員会で四十年度は大体一八%程度のアップでやれるのではないかということを答弁しておられたのを私は聞いております。しかし私はとても今日のこの実態からして、一八%のアップではまかない得ないのではないか、こう思われてなりません。それは私が先ほどK町の例を申し上げたそのことを考えていただいても、実は明らかになってくるのではないかと思っております。  そこで先ほどもちょっとおことばにありましたけれども、本年度の特に九・五%アップに伴う国保会計における医療費値上げというものが、これは皆さんの方の言明で私は記憶しているのでありますけれども、二百四十九億だと言っておられると思う。ところがその中で三カ月分の十五億しか予算措置をしてないから、残りの九カ月分をどうするか、こういうような問題等もこれはあるわけであります。これらについてちょっと説明をしておいていただきたいと思います。四十年度の国保の医療費の全体の見込み額は一体何千億あるのか、九・五%アップによる増加分は幾らになっておるのか、それを国庫負担あるいは保険者負担、患者負担等に分けた場合にどういう負担額になるのか、九カ月分の予算措置がない財政面についてはどう処置をしようとしていかれるのか、その辺のところをちょっと御説明していただきたいと思います。
  49. 小山進次郎

    小山政府委員 昭和四十年度の国民健康保険の総体の医療費、これは緊急是正のことがなかったとしたらどうなるかというものを申し上げますと、総額は二千六百四十八億でございます。その内訳は、保険料負担が六百二十八億、国庫の負担が九百八十七億、患者の自己負担が一千三十一億、こういう内訳であります。それから緊急是正の結果増加いたしました分は二百四十九億、この内訳は保険料負担が四十四億、国庫の負担が百八億、これは法律に基づく当然の負担等のほかに、特に緊急是正分として、先ほど申し上げた十五億がこの中に入っております。患者の自己負担が九十七億。両方合計いたしますと、全体の費用で二千八百九十七億。内訳は保険料負担が六百七十三億、国庫の負担が一千九十五億、患者の自己負担が一千百二十八億、これは端数を切り捨てておりますが、大体そういう内訳でございます。
  50. 川村継義

    川村委員 先ほど申し上げましたように、これは皆さん方も専門ですから、いろいろと実態は御存じでございますけれども、ややともすると、皆さん方がお考えになっておるような実態と、われわれが直接市町村に足を入れて、あるいはそれぞれの被保険者等の声を聞くというような立場から考える理解のしかたというものは差があるのではないか。そこで、私はいま簡単に申し上げたのでありますけれども、ぜひひとつこの国保の問題については、全面的に根本対策を立てて、国保の医療行政が、医療制度が確立をするように進めていただきたい。これだけをひとつ国保の問題についてはお願いをしておきたいと思います。
  51. 安井吉典

    安井委員 関連してお尋ねしたいのですが、昭和三十九年度から四十年度にかけての当面の対策として、三十九年度の給付費の決算不足額についての処理と、それから事務費の不足額の増額問題についていまお触れになったのですが、具体的にこれは補正予算で措置をする、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  52. 小山進次郎

    小山政府委員 形式を補正予算で措置することにするか、あるいは予備費から支出するか、その点は大蔵大臣としては自分のほうにまかせろ、こういうことでございますが、担当部局としての私どもの気持ちから言えば、とにかく早い時期に補正できるといいますか、結末の処理できる道をぜひ考えたいということで、時期を極力促進するということを基本にして大蔵当局に考えてもらいたい、かように思っております。
  53. 安井吉典

    安井委員 その場合の不足分についての金額の問題がありますね。これは決算してみなければわからないことだろうと思いますが、一応現在の段階において、厚生省としてどの程度をお考えになっているか。調整交付金の特別措置をしなければいけないわけですが、その分を含めてどのくらいのお考えを持っているか。  それから事務費についてもどれくらい不足額を見込むというお考えでいるのか。これはその時期になってみなければわからないし、まだ決算ができていない段階でありますけれども、いまの段階におけるお考えをひとつこの際聞いておきたいと思います。
  54. 小山進次郎

    小山政府委員 数字は目下調査を進めておりますので、申し上げにくいのでありますが、大体のめどとしては、国保中央会あたりが言っておりますように、全部を含めて百三十億をややこえるというものの言い方というのは、私どもも結果としてはそうはずれないのじゃないか、あるいはそれを少し上回心かもしらぬといったような感じを持っております。  それからなお私の申し上げ方がややあいまいだったためと思いますが、事務費の問題は、これはもっぱら昭和四十一年度の予算で争う問題にしたいと思っております。これは来年度の補正とかなんとかいう問題とはいまのところしておりません。
  55. 安井吉典

    安井委員 事務費の問題をもういまの段階ではおりてしまったというふうな印象を受けるわけですけれども、それはなるほど百五十円から二百円に上がったのはプラスだと思います。プラスだと思いますけれども、その事務費そのものに、先ほどのあなたの表現では、保険税の一部が回っている、そういうふうなこと自体が国民健康保険法違反なわけですよ。そうじゃないですか。保険料というものは事務費に充てるために取っているわけじゃないわけでしょう。そういうような現実を肯定されることがもう問題があるし、それからまた一般会計から繰り入れする考え方にも私は問題があると思うのですよ。現実に三十八年度で九十五億も繰り入れしている。これは三十九年度になったら、私はこの額はもっとふえているのではないかと思うのですが、一般会計の金というのは使い道があって、地方交付税でバランスをとって、そういう形でできているわけです。国民健康保険法の六十九条の規定では、事務費は全部国が負担すると書いてあるわけなんで、それを出してなくて、それを当然使い道が別にきちっときまっている一般会計から出すということ自体に私は問題があると思うのですよ。それを何か当然なことのような考え方で、それをもう前提にしてお考えになっておるということ自体に、厚生省のほうの考え方の基礎が間違っていやしないかと、私はそう思うのです。というのは、たとえば地方交付税の交付率を〇・六%上げて、百五十億円ぐらいことしは財源がふえたわけですね。それはもうたいへんなことだったようです。ところが、九十五億ぐらいは、三十八年度べースでもすでに国民健康保険のほうへ行ってしまっている、こういうようなことでは、地方財政というものもたいへんな国の本来の仕事の下請だけに終わってしまう、こういうふうな方向に行ってしまうと思うのです。やはり国民健康保険のことは国の委任事務なんですから、委任をしたほうの立場がこれだけお願いしますよと言った以上、事務費は完全に見てやる、こういう仕組みでなければ、私は筋道が合わないと思うわけです。給付費の不足金の百三十億程度というのは、これはまあ結論が出てみなければわからない問題ですからきょうは論議いたしませんけれども、事務費のほうについては、私は若干あなたのいままでのお話のあり方に不満があるわけでありますが、どうでしょう。
  56. 小山進次郎

    小山政府委員 根本のものの考え方については、私、安井先生とそう違ったことを考えているわけではございません。ただ、これは形式上法律違反かどうかという議論になると、これはやはり法律違反じゃないと言わざるを得ないのであります。しかしそういう形式論よりも、実態において市町村にそれだけの支出をしいる結果になっているという点が問題でございまして、これはぜひ解決をしたい、こういうことなんであります。  それから一般会計の繰り入れ金の問題についても、もちろんそれを全部当然だという気持ちで申し上げているわけじゃないのでありまして、むしろいまの国民健康保険の置かれている危機というものについての感じ方が、私どもはそういった、たとえば財務当局から見ればきれいごとをいって片づけろと言っているような、そんなことじゃなくて、どうにもほうっておけない程度の状態だぞというふうに認識しているという意味で、ああいうふうに申し上げたわけであります。  それから事務費の問題は確かにお説のような実態ではございますが、現実の問題として、こういう問題を年度途中で勝負をつけるということは、いかに努力をしますと言ってみても、これは結果としてできませんでしたということをいつの日にか申し上げねばならぬ結果になるという意味で、これはやはりはっきり四十一年度の勝負の問題にする。  それからお触れになりませんでしたけれども、私どもが気持ちの中に持っております問題は、いわゆる九・五のはね返り分に対する特別措置といわれているものを、健康保険の対策がどうきまるかということとにらみ合わせて、もう一回論議する余地はあるんじゃないか、こういう気持ちで問題をながめているわけであります。
  57. 川村継義

    川村委員 時間がだんだん迫っておりますから、急ぎたいと思います。国保の問題で少し時間をとり過ぎましたが、あとの問題を二、三お聞きをしておきたいと思います。  私はいま国保の問題について、非常に残念な状態を承知いたしておりますから、お尋ねをしたわけですが、そのほか健康保険組合関係についても同様なことがやはり指摘できるのではないかと思います。たとえば日雇い健保にいたしましても、二百二十億といわれる程度赤字が出てくる、こういうことでありますし、船員保険にいたしましても、やはり赤字がどうも累増しつつある、こういうような問題がほかにもあるわけであります。特に政府管掌の健康保険については、これは最も注意をされておるところだろうと思いまして、いま社会保険審議会でいろいろと問題が提起されておるところであります。私はこれらについて一々お尋ねをすることを省略いたしますが、政府次官も御承知ではございますけれども、ぜひお聞きいただきたいと思います。  今度のこの政府管掌健康保険の改正案にいたしましても、今度九・五%の医療費値上げがあったわけですけれども、そのほか御承知のとおり保険法の改正内容は総報酬制をとるということであります。これは政府としては大体これによって三所十八億程度収入増を考えておりますけれども、これは一面からいうと、被保険者からいうと、それだけの支出増になるわけであります。さらに薬価の負担で政府は二百五十三億の支出減を考えているようでありますけれども、これは被保険者にいわせる、これまたそれだけの負担増でありまして、結局は五百七十一億というものがここに被保険者負担増となってあらわれてくる。ところが、国家が補助措置をしておるのは、御承知のとおり三十億であります。そのほか行政努力で相当の経費節減をやろうというお考えがあるようでありますけれども、何しろこの内容というものは驚き入った感じがしてなりません。料率は千分の六十三から千分の五十八に切り下げておりますけれども、これはよく検討してみると、実質はやはり一五%の負担増になってくるようであります。あるいは薬価の負担にいたしましても、やはり相当の給付切り下げの形になってくる。これは今日の健康保険の標準報酬あるいはその負担区分等々を考えても言えることだろうと思うわけであります。これが今日一番大きな政治問題となっておることは申し上げるまでもありません。皆さん方はいろいろの計算をして検討してくださっておると思いますけれども、われわれがちょっと計算したところでも、月給五万円の者が月に二千六百七十円程度負担をしなければならぬ。これはいままでは千六百三十八円程度でありますから、実に千円以上の増でありまして、一年間一万二千円余りの負担増になっていくわけであります。こういうような姿でやられるということは、私はいかに社会保険といっても、これは社会保障制度の精神に逆行するものではないか、こういわざるを得ません。今日国民保険の状態を考えてみても、低所得層あるいは貧困階層が非常に多いのでありますから、皆保険だといっても、やはり自分の負担があるから医者にかからないところの諸君が非常に多いということも、よく知っていただかなければならぬ。へたをするといかがわしい宗教などに走って自分の病気をなおす、そういう迷信と申しますか、そういう状態に入り込んでいく貧困者層も非常にあるということを考えなければなりません。こういうような問題を考えると、これは一つの社会問題でありまして、佐藤総理が人間尊重というようなことをおっしゃっても、実に大きな政治問題として提起されているわけであります。そこで、われわれは、もう少し社会保障の精神に従ってこれらの健康保険財政というものを考えていく必要があるとつくづく考えておるのであります。これらについて、厚生省の担当官としては、局長あたりはずいぶん苦労なさっておられると思いますけれども、これはやはり今次の医療行政に対する一つの政治の姿勢の問題であろうかと思いまして、官庁の責任者の皆さん方が及ばない点もあると私は思います。しかし、こういう点はお互いに解決をしていかなければならぬ、その責任を痛感している、責任をしょっておるのだ、こう私は考えておるわけであります。  そこで、結論を急ぎたいと思いますけれども、政府管掌の健康保険にいたしましても、あるいは日雇いの健康保険にいたしましても、その他の社会保険関係の財政状況経理状況を見ると、実に困ったものだ、こういうような状態であります。その財政の悪化を、ただ折半負担というような原則だけにとらわれて被保険者に大きくかぶせていくということは、保険制度そのもの、医療制度そのものを危機に追い込むことになるのではないか、こういうことも憂慮されるわけであります。この点について、政務次官、この際あなたのお考えをお聞かせいただきたい。
  58. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 申し上げるまでもなく、日本国民が健康にして文化的な生活を送るように、そういう国家であるように、すなわち、福祉国家であり、文化国家であるということは、日本国憲法がその精神を明らかにいたしておるところでございまして、政治はやはりその精神の実現ということを目標にいたさなければならぬことは申し上げるまでもないところでございます。そこで、川村委員のお述べになりました一連の、国民の健康を守っていくための社会保障制度、これはどこまでも健全に発展をさせなければならない、そのような政治でなければならぬことは申し上げるまでもございません。佐藤総理の言をお引きになりましたが、佐藤総理の人間を尊重するという政治の理想も、これと一致するものであると考えるわけでございます。そこで、国民の健康を守るための社会保障制度を、健全に、かつ発展さしていくということは、理想ではございますけれども、現在横たわっておる諸問題は、御指摘になりましたようにいろいろと研究し、解決をしていかなければならぬものがあるわけでありまして、この問題の解決は、やはり政府全体の責任において解決していかなければならぬことは当然でございますが、所管省、厚生省といたしましても、先ほど来お述べになりましたように、いろいろと御心配になり、御努力になっておるところであります。自治省といたしましては、やはり地方公共団体の財政を守っていかなければなりません。地方公共団体の財政のあり方が真に地方自治を尊重する、地方自治を守っていくことができるかどうかにかかるわけでございますから、私どもといたしましても、その点に十分意を用いまして努力をいたしておる次第でございます。しかしながら、いまの制度運用に関していろいろとむずかしい問題がございます。国の立場、地方公共団体の立場、それにまた患者の立場、医療される側の立場、保険税は納めておるけれどもお話のございましたような、健康で全然医療を受けるというようなことのない方々、こういういろいろの立場があるわけでありますが、要するに、国民が真にこの制度を守っていこうという理解のもとにこの制度が発展をいたしますように、私どもとしては最善を尽くしてまいりたい、こういう決意であることをここで申し上げておきます。
  59. 川村継義

    川村委員 いまの次官のお話、私としては次官のお気持ちはよく理解できますけれども先ほど健康保険のことで、ちょっと私気づいておりますことを申し述べましたように、少なくとも現在の政治、佐藤内閣のもとにおける医療行政というものは、大きく後退しつつある、こういうふうに私は率直に言えるのではないかと思います。せっかく新内閣が社会開発であるとか、人間尊重であるとかいうような理想を掲げておられるならば、そういう点に向かってやはり大きく前進する社会保障政策というものがなければならぬのではないか、このように思うわけであります。  そこで、あと結論的になるかもしれませんが、一、二お聞きいたします。  厚生省局長お尋ねをいたします。あなたは先ほど、大体医療費増高というものは年一〇%ぐらいを考えたらいいのではないかというおことばがありましたが、医療費が非常に増高したという原因、これをひとつ端的に要点だけでいいからちょっと聞かしておいてください。
  60. 小山進次郎

    小山政府委員 端的に申し上げませば、やはり医療内容の向上ということが原因だと思います。
  61. 川村継義

    川村委員 医療内容と申しますと、いわゆる診療側の診療、あるいは薬代、そういうものをさしておられるのか、あるいは被保険者のいわゆる医療に対する関心の度が高くなっておる、そういうことも含めての御意見でございますか。いま一度どうぞ……。
  62. 小山進次郎

    小山政府委員 国民健康保険の場合と、それ以外のかなり成熟した健康保険との場合と、やや違うと思っております。国民健康保険の場合は、先生がおあげになった二つの原因がございます。一つは、従来医療から閉ざされておった人々が、国民皆保険の結果医療に近づきやすくなって、それだけ従前よりも医療を受ける機会が多くなってきたということが一つであります。それからもう一つは、受ける医療内容というものが、使われる薬の質が非常によくなってきた。あるいは量も多くなってきた、あるいは検査も従前よりは相当念入りに行なわれるようになった、あるいは昔だったら入院ということはよほどの場合でないといたしませんでしたけれども、最近では必要な場合は比較的入りよくなった、そういうようなことが国民健康保険については増加原因だと思っております。それから健康保険等について考えられます原因は、全般の医療に接する機会が多くなってきたということはあまり響いておらないようであります。もっぱら受ける医療内容の質がよくなってきた、その結果非常に高い医療費を必要とするようになってきた、かように考えられます。
  63. 川村継義

    川村委員 お話しのような点であろうかと思うのでありますけれども、私はここで診療側の診療内容について、あるいは治療の問題について触れようとは思いませんが、今度の医療費の問題につきましても、相当高い薬を使う、あるいは今日まで政府が薬価基準に手をつけないで来たということも、やはり一つ原因であるということが考えられるわけでありますけれども、要するに今日のこれからの保険財政の悪化の原因医療費増高である、こう考えてさしつかえはございませんね。
  64. 小山進次郎

    小山政府委員 おっしゃるとおりだと思っております。
  65. 川村継義

    川村委員 財政悪化の原因について、医療費増高、これもあるでしょうが、そのほか何かお考えがありましたら自治省の行政局長文部省管理局長等からお聞かせいただきたい。
  66. 佐久間彊

    佐久間政府委員 一般的に申しますと、厚生省から御答弁がありましたとおりと存じます。そのほかに部分的に見られますことといたしましては、社会保険診療報酬支払基金の審査に多少問題の点もあるのではなかろうか。あるいはまた本人に対する濃厚診療と申しますか、そういうものが行なわれやすいというようなこと等も部分的には考えられるかと思います。
  67. 川村継義

    川村委員 私は保険財政の悪くなった原因一つには、いまお話しいただきましたもののほかに、結局保険料収入の面から考えて、今日の被保険者、一口に申し上げますれば労働者の賃金が低いということも一つの大きな原因ではないか、こう考えておるのであります。これは労働者の皆さん方にお聞きするのが当然かと思いますけれども佐久間局長は今日、日本の労働分配率がどういう状況にあるか御存じでございますか。どうぞひとつお話しいただきたいと思います。
  68. 佐久間彊

    佐久間政府委員 よく勉強をいたしておりませんので御答弁いたしかねますので、御了承いただきます。
  69. 川村継義

    川村委員 また後日あらためて審議をするときに、それらの点も十分吟味させていただきたいと思いますが、きのうの朝日新聞にも、賃金を上回る生産性の伸びだということを指摘しております。日本生産性本部から出した資料のようであります。このことは実は昨日発表されただけでなくて、昨年度もこういうことが指摘をされておるようであります。つまり相当程度の大きな生産性の伸びがある。賃金をはるかに上回って、前年度に比べて、生産性は、一四・二%の大幅な伸びだと指摘をしておる。ところが、名目賃金は一〇・八%にとどまっておる。こういうようなことが一つございます。こういうことで生産性の伸びと見合った場合に、日本の労働者がいかに低賃金であるかということがいわれると思うのです。私のちょっとしたメモによりますと、労働分配率を見てみましても、イギリスが五六といわれる。これは少し古い資料でございますが、アメリカが五五、フランスが五七、スウェーデンが五七、オーストラリアが五四、こうなっておりますが、日本はわずかに三三、こういうことである。御承知のとおりに、日本の労働者の賃金はアメリカの八分の一、イギリスの三分の一、こういうことがいわれておるわけでありますから、いかに労働者が働いても、その分け前を十分もらっておらないかということが言えるわけであります。そこでこのような問題を考えてまいりますと、大部分は被保険者でございます労働者の賃金か、正当に伸びておったならば、結局保険財政の料金の収入というものも、それだけ上回ってきたのではないか、こう考えるわけです。それだけ財政上はプラスをする。これは申し上げるまでもなく、それが基礎になっていくわけであります。ところが、一方では、日本の労働者というものは、低賃金に押えられておる。本格的な最低賃金制をしくべきである、こういわれても、なかなかそれが生まれてこない。地方の農山漁村の労働者の一般の諸君は、これまた御承知のとおり、非常に低い所得に押えられておる、低い所得しかないわけであります。そういうことがすべての保険財政に大きな欠陥をもたらしておるのではないか、こう思われる。そうなると、やはり保険財政を考える場合には、労働者の賃金ということを考えねばならぬ。私はそう思うのであります。これについて局長、皆さん方から、私の申し上げていることが、保険財政の立場から考えて妥当なのかどうか、それをひとつお聞かせいただきたい。  そこで第二の問題といたしましては——そういうような状況の中に、あくまでも社会保険制度であるから、折半しなければならぬというようなことで、給付の増高をまかなうために、掛け金率がどんどん引き上がっていくようなことになると、労働者の負担というものは、はかりしれざるものがある。私は限度に来ているか、もう限度を越しておるのではないか、こう思うわけであります。そこで第二の問題は、政務次官にお尋ねいたしますけれども地方共済公立学校共済、こういうような今日の保険財政の内容を検討し、今後の財政状況を推測するときには、この際思い切って、先ほど政務次官もおっしゃったけれども、ほんとうに社会保障という考え方に立脚するならば、地方公務員共済すべてにおいて国庫負担を導入すべきではないか。そうして財政の確立をはかると同時に、これ以上被保険者である公務員の負担増高させない方策をとるべきではないか。もうその時期にきていると私は思うのでありますけれども、次官のお考えはいかがですか。所見をお聞かせいただきたい。
  70. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 先ほども申し上げましたように、どこまでも社会保障制度が確立され、それが進捗されるという政策でなければならぬことは申し上げるまでもございません。  そこで国民の健康を守っていく社会保障制度については、先ほど来いろいろ御意見もあったところでございますが、そしてそれらの問題は、いずれも非常にむずかしい内容を包蔵いたしておると私は考えるのでございます。いま御指摘になりましたような点も非常に参考になる御意見であると考えるのでございまして、そういうお考え等も十分参考にいたしまして、先ほど申し上げましたように、将来ほんとうに国民各立場の者がこれを喜び、これを理解して、そしてこの制度を伸ばしていくという道はどこにあるかということを検討いたさなければならぬと考えるわけでございまして、御意見のございましたような点は、将来十分検討いたしていきたいものである、かように考えております。
  71. 佐久間彊

    佐久間政府委員 保険財政の上に賃金の高低が与える影響が非常に大きいという御指摘でございますが、その点につきましては、私もそのように考えております。私の関係市町村職員共済組合が、他の共済組合比較いたしまして財源率が高いという一因も、町村の給与が府県市に比べて低いというところにもあろうかと存じておるわけでございまして、今後対策を考えてまいります上に、その点につきましては留意してまいりたいと存じます。
  72. 川村継義

    川村委員 時間がたいへんおそくなりまして恐縮ですが、当初申し上げましたように、政府提案共済組合法もございますし、私どものほうから提案いたしております法案もございますから、またいずれ審議の機会を選べると思います。  さらにあと一つ二つ、実は大臣にお聞きしたいのでございまして、午後大臣が見えるそうでありますから、少しばかり保留さしていただきまして、私の午前の質問はこの辺でとどめさしていただきたいと思います。さらに私のほうの安井委員も質問を申し上げることになっておりますから、どうぞよろしくお願いをいたします。
  73. 中馬辰猪

    中馬委員長 本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ————◇—————    午後三時四十一分開議
  74. 中馬辰猪

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案及び安井吉典君外九名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。安井吉典君。
  75. 安井吉典

    安井委員 自治大臣に率直に伺いたいのでありますが、現在地方公務員共済事業は、特に短期給付において赤字が増大しております。そこへもってきて今度は九・五%の医療費緊急是正という問題が加わってきたわけで、つまり二重の問題点をかかえる段階に来たわけでありますが、この地方公務員共済事業の担当大臣としての自治大臣は、この問題に対してどう処理されるお考えか、まずそれから伺いたいと思います。
  76. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 御指摘のように地方公務員共済組合につきましては、赤字がありまする上に、緊急是正の問題を控えまして、相当困っておる実情ではございますが、御承知のように、この種の制度は制度的にその分担がきまっておりまして、いわゆる組合員掛け金と、それから使用者といいますか、その地方団体掛け金によってまかなわれている制度でございまするから、赤字にいたしましても、また今回の緊急是正にいたしましても、その制度におけるそれぞれの分担においてこれを健全化していく以外に道がない、かように存じておるわけでございます。
  77. 安井吉典

    安井委員 そういうことになりましたら、この赤字の問題も、それから緊急是正で値上げの問題も、結局は当事者である地方公共団体と、そこの組合員と両方で負担するよりほかに手がないのだ、こういうふうに受け取れるわけでありますが、そうですか。
  78. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 いまのところ、どうもそれより方法はないと思っております。
  79. 安井吉典

    安井委員 そういうことになりますと、赤字の問題は、赤字を出さないような仕組みで解決しようとすると、それはもう地方団体側の大きな支出増と、それから組合員掛け金の増大と、その二つの道に進むよりほかにない、こういうふうなことになるわけですね。そういうようなことでいいのでしょうか。
  80. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 制度としてはいろいろな検討が考えられるかもしれませんけれども、この種保険制度は、いろいろ考究の結果このような制度で始まって、現在もあるわけでございまするから、医療費がかさむのは時代の推移とともにやはりある程度やむを得ぬところでございます。そうかといって、それがためにすぐこの制度をどうするというわけにもまいりませんので、やはり制度のたてまえの上において、緊急是正と申しますか、医療費はだんだん上がっていくでございましょうけれども、それをまかなっていくというたてまえをくずすわけにいかぬのじゃないか。制度のことですからいろいろ根本的な考え方はあろうかと思います。けれども、それは別といたしまして、さしあたっての処置といたしましては、やはりそれぞれの分担においてこれを解決していくということではなかろうか、かように存じます。
  81. 安井吉典

    安井委員 これは事務的な問題だと思いますから行政局長に伺うわけでありますが、いまの自治大臣の御答弁のような形で現在の赤字の問題を処理し、さらに九・五%をストレートに受けるということになりましたら、負担率、掛け金率等においてどういう結果があらわれるというようにお考えですか。
  82. 佐久間彊

    佐久間政府委員 午前中、川村委員の御質問に対してお答え申し上げたところでございまするが、九・五%の緊急是正を織り込みまして推計をいたしますると、地方職員共済組合におきましては現行財源率の六二・六が六九・三になる、公立学校におきましては四五・六が五五・七になる、市町村の職員共済組合におきましては八〇・九から八四・六になるというように財源率引き上げをせざるを得ないことになるものと予想をいたしております。
  83. 安井吉典

    安井委員 それは赤字解消を織り込み済みですか。織り込んでないわけでしょう、九・五%の分だけでしょう。その上に赤字の問題があるのじゃないですか。どうでしょう。
  84. 佐久間彊

    佐久間政府委員 九・五%を織り込んだものでございます。
  85. 安井吉典

    安井委員 赤字をいまかかえている。さらに私は、この制度ができましてからずっとあとのいままでの経過をながめてみますと、最初の年は何とかいきます。次の年からもう赤字なのです。だからこれはまだまだそういう方向、深みに入っていくような気がするわけです。何かいまの制度は本質的な弱点を持っているのではないかということを感ずるわけです。だから、いまは九・五%についてはこれだけ上がるというふうな御答弁ですが、私が一番最初に伺ったのは、そういう九・五%の問題の前に本質的な赤字の問題が一つあるわけです、それを織り込んだらどうなるかということです。
  86. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ちょっとお尋ねを取り違えておりましたが、先ほど申し上げました財源率は、赤字を解消いたしまして、さらに九・五%を織り込んだ結果の推算でございます。
  87. 安井吉典

    安井委員 それは一応現存段階における赤字でしょう。これは三十八年度までの赤字なのか、それとも三十九年度を大体推算をしての措置なのか、その点どうですか。
  88. 佐久間彊

    佐久間政府委員 従来の赤字をもとにいたしまして四十年度の推計をいたしたものでございます。
  89. 安井吉典

    安井委員 私は、いま申し上げましたけれども、いままでの赤字対策というものを全部突っ込んでの率だ、こういうことでありますけれども、本質的な赤字傾向といいますか、つまり無制限に地方団体の側も、組合員の側もふところから出していい、こういうようなものでないわけですから、そういうようなものを頭の中に入れて予算が立てられていく、こういうようなことからすれば、初めから赤字が深刻になっていく、そういう性格を持って発足したのではないか、私はこういうような気がしてならないわけであります。そこで、この点は実は厚生大臣に来てもらって伺いたいところでありますけれども、この共済事業の本質の問題になるわけでありますが、保険主義という原則でいま貫かれてきているところに最も基本的な問題があるように思うわけです。社会保障制度というふうな考え方がもっとこの制度の中に導入されたら、私はまだまだ解決の道があるのではないかと思うのでありますが、各種医療保険との関連におきまして、この問題を自治大臣はどうお考えでしょうか。さらにまたきょうは厚生省から医療保険部長もおいででございますが、お考えがあったらさらにつけ加えていただきたとい思います。
  90. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 この共済組合の制度は、同時にまたいま問題になっておりまする政府管掌の健康保険と同じような悩みがあると私は思います。なお、そのほかにこの共済組合は、市町村単位と申しますか、府県単位と申しますか、それと全国的な単位との問題もあろうかと思います。そこでこの種の社会保険というものを全体として、現在ございまする健康保険組合の制度、あるいはまた政府管掌の健康保険、あるいは日雇い、あるいは国民健康保険、あるいは各種のこういった共済組合というものを根本的に考えるという問題も一つあろうかと私は思います。しかし、それはまた同時になかなか容易なことでないのでありまして、すでにこれらの点は社会保障制度審議会でも数年前からいろいろ論議にはなっておりまするけれども、なお、検討をされているように、なかなか容易なことではないと思います。そこでは社会保障でいくべきか、あるいは社会保険でいくべきかということでありますが、これは一つのものの考え方ですから、社会保障でいくならいくということもございましょうが、しかし、もう今日国民皆保険の状態にありまして、これを全部社会保障でやるということになると、これは財政的にはたいへんな大きな問題で、容易なことではないと思います。でありまするから、この医療の制度というのは、そもそも発足をいたしたときの経緯からも考えまして、社会保険としていくべきものではないか、しかし、それはそれぞれの保険の態様によりまして、完全にそうだといえないところもあるかもしれません。あるかもしれませんが、やはり医療の社会保険というようなところで、それに対して政府がどうするかというところじゃないか、こう思うのでありますが、基本的にはいろいろな問題があり、またいろいろの御意見もあることも私は了承しております。
  91. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 いま自治大臣から御答弁のあったとおりのことで私どもも考えているわけでございます。医療保険の制度の仕組み、あるいは考え方をどうするかについては、これは従来からもいろいろ議論のあったところでありまして、この点については安井先生も十分御承知だと思うのでございます。現在のところ、少なくとも私どもが関与しております健康保険等のいわゆる医療保険の考え方としましては、やはり社会保険というたてまえをとっているからには、保険主義というものをある程度基本にせざるを得ないという考え方を持っているわけでございます。国庫負担等の問題がこれに関連して出てまいるわけでございますけれども、やはり保険を基礎にしている以上は、そういう社会保険というたてまえで、それでやはり制度を安定するときにだけ国庫負担をある程度考える、こういうような考え方が一般論として従来から行なわれておったわけでございます。もちろん、こういう点についてはいろいろ御意見があるわけでございますので、将来の問題として、いまのような考え方でいくかどうかについては、やはり一つ問題点があるわけでございます。したがいまして、今後党なりあるいは政府において、こういう基本問題について調査会等をつくりまして、こういう点を相当議論していくべきだ、こういうような考え方を持っているわけでございます。
  92. 安井吉典

    安井委員 私は、いまの医療保障の全体的な仕組みに根本的なメスを入れるべき段階にきている、こういう考え方を強く持っているものであり、さらにまた、当面のこの事態の解決のためにも国が二割程度負担をすべきだという考えから今度も改正法案を提出しているわけであります。その主張をもちろん貴きたいわけでありますが、その以前においても、いまの保険制度の仕組みの中においても、財源を掛け金負担折半するという考え方、これにもう少し考慮をする必要はないか。いまのように物価がどんどん上がって、それに伴って公務員の給与引き上げを行なっていても、先ほど行政局長お話のような形で掛け金率がどんどん上がっていけば、べースアップ分以上にここで食われてしまうわけです。そういう現実に対しましても、この折半という考え方を破るということも一つの考え方ではないかと思うのですが、その点は大臣どうですか。
  93. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先ほど申しましたように、国の財政が許せば、それは決して財政援助があっていかぬというものではなかろうかと思います。しかしながら、この医療というものは、もともと個人が負担する医療費を、個人ではやり切れない点がありまして、いわゆる社会保険として、健康な者も健康でない者もとにかく一緒になって、そして保険制度をつくっていくというたてまえでできておるのでありますから、やはりたてまえはそれでいくべきではないか、しかし、国の財政というものが将来非常に豊かになり、それによって国民の福祉に寄与するところができるのであれば、それはそれを一部出すということに私は決してどうこう言うわけではございませんけれども、それはなかなか容易なことではなかろう、こういう感じを持っているわけでございます。
  94. 安井吉典

    安井委員 健康保険法による仕組みは、国の持ち出しがあるわけです。健康保険法の適用の場合にはそういう場合が出てくるわけであります。たとえば健康保険法第七十五条ノ二にも「健康保険組合組合員タル被保険者の負担スベキ保険料額が一月二付標準報酬月額ノ千分ノ三十五ヲ超過スル場合ニ於テハ其ノ超過部分ハ事業主ノ負担トス」というふうな仕組みも現にあるわけです。一定の負担限度というものをきめる、そういうような考え方があるという点、あるいはまたこの地方公務員共済にいたしましても、この制度がもしなければ、これに関連する人たちは、いずれにしても健康保険の対象になっていくわけであります。そうだとすれば、それが独立のこの共済制度というもので救われているわけです、国の支出がそれだけセーブされているわけですよ。国の支出がそれだけ減っているわけですね。そういうことを頭に入れて考えてみますと、いわば健康保険事業の代行事業としての性格がこの共済事業はあるのだ。そうだとすれば、非常にノーマルな状態にあっては、あるいはそういう問題を提起しないでよかったかもしれません。しかし、今日のような赤字の状態、さらには大幅な医療費引き上げ、こういうような緊急の事態にあっては、私は、このことで健康保険事業のほうが助けられているのだ、こういう考え方を思い出すべきであろうと思うわけです。大臣の言われるように、国の負担の問題はもちろんあると思いますけれども、しかし、当然の要求としてこういう要求が出てきてもよろしいのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  95. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 その辺が、先ほど申しましたように、いろいろの保険制度がございまして、全体として検討するところはあろうかと思いますけれども、いま御指摘になりましただけをもってこれに政府が金を出す、こう申しましても、ほかにもまだ保険組合の制度も、事業主保険といいますか、使用者保険といいますか、それぞれ負担してやっているわけで、そのほうはそれじゃどうなるのか、そのほうは一向かまわないというわけにもいかないところがあります。ですから私は、御指摘の点も考えなければならぬ、考えさせられる一つの点であろうと思いますが、あれやこれや全体を考えてみて、ひとつ各種保険制度はもう一ぺん考えてみる必要があるのじゃないか、かように考えております。しかし、これはなかなか言うべくして容易なことでないので、まあ側々それぞれの制度において考えていくよりいまのところしようがない、かように存じております。
  96. 安井吉典

    安井委員 大臣はどうもあきらめが早くて困ると思うのですよ。だから私は問題の解決がちょっともできないのだ、そういうふうに思うわけです。この問題は常に本質論を忘れずに問題を提起していく、こういうかまえでないと、いや、もうこれはしようがないのだ、金がないのだし、総体的な問題はいつかだれかが解決してくれるだろう——それじゃいつまでたったって当面の問題の解決にもならない、こういうことではないかと思うわけです。  そこでさっきもう少し聞いておけばよかったのですが、たとえば六二・六%を六九・三%に上げざるを得ないだろうという先ほど行政局長の御答弁がありましたが、この引き上げは九・五%の分と赤字と両方合わせたものだというふうにお答えがあったわけですが、それを一つ内部的に区分していただけませんか。九・五%の分がこれで、赤字の分がこれだけ、こういうふうに願えませんか。
  97. 佐久間彊

    佐久間政府委員 九・五%の関係影響といたしましては、地方職員共済組合の場合を例にとりますと、四十年度の支出の推計が九十九億円余でございます。緊急是正が行なわれなかったと仮定をいたしました場合の四十年度の支出の推計は九十億円余でございまして、緊急是正による影響が差し引き八億六千万円ほどに相なるわけでございます。それから、四十年度におきまする赤字の推計でございますが、地方職員共済組合の場合におきましては十七億円余でございます。
  98. 安井吉典

    安井委員 いや、その数字はこの表で見ればあるのですが、率にして出せばどういうことになるのですか。つまり、六二・六から六九・三でしょう、だからどの程度のパーセンテージのアップになるかという点をお聞きしているわけです。——では、あとで区分して資料で御提出いただきたいと思います。  健保の問題につきましては、現在総報酬制の問題と薬価の半額負担の問題とがあり、それをめぐりましていまいろいろと論議がかわされている段階でありますので、そのとおりきまるかきまらぬかは別といたしまして、この地方公務員共済の場合には、その考え方を導き入れるおつもりなのか、そうでないのか、これをひとつ伺っておきます。
  99. 佐久間彊

    佐久間政府委員 医療費につきましては、健康保険に関しまして厚生省が告示いたしましたものに共済組合におきましてもよることに法律上なっておりますので、健康保険のほうにおきましてそのような措置がとられましたならば、当然よるということになるわけでございます。
  100. 安井吉典

    安井委員 総報酬制の問題が入ってきましたら、これは掛け金率や何か変わってくるわけですか。その点はどういうふうになっておりますか。
  101. 佐久間彊

    佐久間政府委員 総報酬制の点は、これは共済組合は従来のたてまえでいくつもりでございます。先ほど申しましたのは医療費の点でございます。
  102. 安井吉典

    安井委員 薬価の点は。
  103. 佐久間彊

    佐久間政府委員 薬価の点は健康保険にならうことになります。
  104. 安井吉典

    安井委員 その場合、法の改正は要りませんか。
  105. 佐久間彊

    佐久間政府委員 法の改正は要りません。
  106. 安井吉典

    安井委員 総報酬制ということですね。
  107. 胡子英幸

    胡子説明員 給与課長でございますが、ちょっと補足説明をさせていただきます。  ただいま行政局長から御答弁申し上げましたが、将来健保法の改正がございまして、医療関係の規定の改正か行なわれます場合には、それに関連をして若干共済組合法についても手直しをせざるを得ないであろうと私ども想定をいたしておるわけでございます。
  108. 安井吉典

    安井委員 その内容は、現在政府が審議会に出している原案がそのとおり通るか通らぬかは別として、その原案が通ったとすればどういう点の改正が必要ですか。
  109. 胡子英幸

    胡子説明員 現在社会保険審議会審議が行なわれておりますので、結論的にはまだ明確でございませんけれども、かりに厚生省の原案によって法律改正が健保法についてなされるということになった場合を想定いたしますと、地方公務員共済組合法の五十七条に療養に関する規定がございますけれども、現在この療養に関する規定におきましては、一部負担金を支払うという規定でございますが、しかし、現在厚生省の原案で考えられておりますのは、一部負担金につきましては二千円を限度として、それをこえました分については本人に還付をする、こういった考え方のようでございますので、その意味におきまして、二千円をこえた分について本人に還付をする、こういった規定は当然この五十七条の規定を改正することによって整備する必要があろう、かように考えておる次第でございます。
  110. 安井吉典

    安井委員 総報酬制は要らないのですか。
  111. 胡子英幸

    胡子説明員 総報酬制の問題につきましては、共済組合法につきましては、現在短期、長期ともに給与を基準とするというたてまえをとっておりますので、今度厚生省のほうにおかれまして標準報酬制が総報酬制に切りかえられたといたしましても、地方公務員共済組合におきましては、現在の給与を基準とする考え方をそのまま踏襲する考えでございます。
  112. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、総報酬制という考え方は、こちらの共済の側ではとらない、こういうことですね。
  113. 胡子英幸

    胡子説明員 そのとおりでございます。
  114. 安井吉典

    安井委員 しかし、いまの五十七条の改正というふうな方向にいかざるを得ないという考えがあるのだとすれば、本来ならばこの問題は今国会提出予定法案の中に入っていなければならないのだ、そういう点ちょっと私疑問に思うわけでありますが、まだこの問題はきまったわけじゃないですから、大もとの健保のほうがきまったわけじゃないし、特に薬価の問題についてはだいぶ動きそうな気配があるから、その点はあまり触れませんけれども、こういう向こうの健保に関連して、地方公務員共済だけじゃなしに、これは公共企業体の関係国家公務員共済も、全面的に動きが出てくるわけでありますので、もう少し事前に、こういうような動きがあって波及するかもしれないというようなことを、予定法案の説明の際にやはり御連絡を願っておくべきではなかったかということだけ申し上げておきたいと思います。  あとの門司さんの質問時間の関係等がありますから、私はこれで終わりたいと思いますが、私は、最初に申し上げましたように、この制度が成立した当初における考え方をきわめて安易であったという一言で片づける気はありませんけれども、すぐ翌年度から赤字が出てくる、こういうようなやり方については、いまから考えても、もう少し慎重な態度が必要ではなかったかという感じであります。つまり、自治大臣は先ほど保険主義はいまの段階でしかたない、こういうふうに言われましたけれども、最初の段階においても私ども、もちろん主張したわけでありますが、もっと先を見通したそういう考慮が必要ではなかったか、こういうふうに思うわけです。長期給付については一応交付税で見てやる、こういうような仕組みができているわけですね。ですから、短期給付についても、私どもはあくまで国が二割程度上置きをすべきだという主張を今後とも続けてまいりたいと思うのでありますが、地方交付税である程度の考慮をする——長期給付は現にやっているわけです。そういうような仕組みについてお考えになったことはないのか、あるいは今後において検討するお気持ちはありませんかどうか、それをひとつ伺います。
  115. 佐久間彊

    佐久間政府委員 いろいろ御意見のございますことは承知をいたしておりますけれども、ただいまのところ、お話のような方向で検討するという考えは持っておらない次第でございます。
  116. 安井吉典

    安井委員 事務費だとかそれに類したものについても、せめてそれぐらいは負担してもらいたいというふうな組合側の要望もあるようですね。これはどうなんですか。少しも考える必要かないというものなのでしょうか、どうですか。
  117. 佐久間彊

    佐久間政府委員 事務費につきましては、交付税の中で考慮をいたしております。
  118. 安井吉典

    安井委員 市町村職員共済組合大会の決議の中には、「社会保険制度に対する国の責任を明確にするため、健康保険事業及びその事業の執行に要する費用に対する国庫負担の例に倣い、給付に要する費用及び給付のための事務に要する費用に対し国庫において負担するものとすること。」こういう決議がありますね。私はいまこれを聞いているわけですが……。
  119. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま御指摘になりましたような、国庫から補助金というような形で見るということはいたしておりませんし、ただいまのところ、その点は考えていない次第でございます。
  120. 安井吉典

    安井委員 きょうは私のお尋ねに対しても、また午前中の川村委員の質問に対しても、たいへんにべない御答弁をいただいているわけでありますが、私ばその点自治大臣にはっきり申し上げておきたいのですが、そういうふうな安易な態度では、この問題はさらに一そう紛糾の方向にいくばかりではないか、そういうふうに考えるわけです。この間、衆議院の予算委員会で予算が通過する段階において、自民党と社会党との間で三点のいろいろな約束が取りかわされた中でも、この医療費の問題について問題提起があったのは、御承知のとおりだと思います。私どもは、あくまで、あの問題の中には、健康保険や国民健康保険とあわせて、この共済の問題を含めての問題提起を行なって、それについて、抽象的ながら一応の約束が取りかわされたものだと理解しているわけです。しかし、きょう大臣の御答弁を伺っておりますと、あの段階からちっとも進歩していない、そういうふうな感じであります。これはやはり党と党の約束に対する一つの違約ではないかというふうに感ぜざるを得ないのでありますが、その点、私どもはこの間の要求では、具体的な数字まで出して、地方公務員共済にはこれだけ政府がお金をお出しなさい、こういう提案、要求に対して、大蔵大臣ははっきり、最後の項目で、社会党の要求に近づけるように努力をいたします、こういう約束をされているわけですよ。金額を幾ら出すとかなんとかということじゃありませんけれども、そういうふうなはっきりした言明が予算委員会でもあったわけであります。きょうはまあ大蔵大臣でないわけですから、自治大臣に責めてもしかたありませんが、しかし、これは政府としての約束だと思うのです。これはやはりこの際はっきりしていただかなければいかぬと思うのですが、どうですか。
  121. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私は大蔵大臣でございませんので、どういうふうな話し合いになっているか、私は直接承っておりません。しかしながら、政府との間において、三法については審議会の答申を尊重するというようなことを言っておられまするから、それがどういうふうな結論になるか存じません。そういうことによってこの共済組合制度についても考えられるということであれば、私としては決して異議のあることじゃございませんけれども、私は、自分の関係する立場におきましては、現在の制度というものが現存する限り、その制度の上においてこれを処理するという以外に方法はございませんので申し上げているわけでございます。安井先生のおっしゃいました点は、私どもも考えられるところはございますけれども、しかし、それは容易なことではございませんので、先ほど来少しかたいかも存じませんけれども、申し上げておる次第でございます。
  122. 安井吉典

    安井委員 いまの私が申し上げておるのは、この間の話し合いは、結論は三点あるわけです。第一点は、審議会の答申を尊重するということ、第二点は、国民健康保険事業については、特別な措置をするということ、第三点は社会党のあの諸要求については、それの要求に近づけるように努力をする、私はそういうふうに記憶しているわけです。だからこの共済の問題は、私は第三点の考え方の中に含まれている、こういう理解に立つものですから、大蔵大臣でさえ——あえてここでさえと使いますが、大蔵大臣でもそこまで言明しているという段階において、自治大臣が頭からあきらめ切ったような、そういう言い方をされたのでは、問題は少しも解決にならないと思うわけです。やはりこの制度の主管大臣であり、全国の組合側あるいは地方公務員の側の注目が、いま自治大臣に集まっているわけです。自治大臣は、今日の赤字問題と、その上に九・五%という、つまり二重苦とでもいうふうな、そういう事態を一体どうさばくのだろう、そういうふうにみんな期待しているのですよ。だからひとつ弱気を出さずに、堂々と大蔵大臣に要求していただきたいわけです。この際そういうような措置をきっぱりとおつけいただくことを、私は最後に要望いたしまして、質問を終わります。
  123. 中馬辰猪

    中馬委員長 華山親義君。
  124. 華山親義

    ○華山委員 大臣がお見えになりましたので、私疑問に思っている点がございますので、お尋ねをいたしたいと思います。  と申しますことは、去る三月一日の予算委委員会におきまして、阪上委員が自治体固有事務、そういうことにつきましてお尋ねを申し上げたところ、大臣はこの中で、固有事務といっても住民の福祉に関係のあることであり、国の事務といっても住民の福祉に関係のあることであって、そこを判然と区別することは困難な場合が多い。こう言われまして、その例として国民健康保険をあげていられる。それでそこまでは言っていらっしゃいませんけれども、これを一歩進めますと、財政的にも、国民健康保険について地方自治体がある程度負担をするのはやむを得ないように聞こえるわけであります。午前中問題になりまして、国民健康保険は国の事務なんであって、そのしりを市町村に持ってくるということは、現在の状態では非常にいけないことだ、こういうふうに考えておりますけれども、大臣の御答弁を見ますと、そういう場合があってもしかたがないようなふうにも聞こえるのでございますが、その点につきまして大臣、どういうふうにお考えになっておりますか、誤解を生じやすいので伺っておきたいと思います。
  125. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ごもっともな御質問でございますが、私が先般予算委員会で阪上先生にお答えいたしましたのは、国の事務か市町村の事務かといってお聞きになると、それは国の事務でしょう、しかし、仕事の実態は地方の住民の福祉につながる問題であるから、市町村は知らぬぞという性質のものではないということを申し上げたわけでございます。先ほど安井先生にも申しましたように、これらのものは法律によって制度化されておるのであります。制度化されない問題は、それは国が見るか、あるいは市町村が見るかという問題が起こってくるかもしれませんけれども、これは国民健康保険法というものによって、そのうちの何%は国が持つ、それから何%は自分が負担をする、あるいは何%は保険料あるいは保険税というものによって見る、こういうふうになっているわけでありますから、その中において解決をしなければならない、私はそう思っております。したがいまして、この国民健康保険の問題を、赤字が出たからといって市町村がこれを負担するということは、これは私はよくないと思います。やむを得ぬから繰り入れはしておりまするけれども、それはたてまえはどこまでもたてまえとして貫かなければなりません。もしそれを貫くことが実情に合わないということであれば、制度そのものを変えていかなければならないと私は思います。  ただ私が申し上げましたのは、仕事自体が今日——昔ですと、国の固有事務あるいは市町村の固有事務というものがはっきり別々に分かれるということもございましたけれども、今日は国も住民の福祉につながる仕事をどんどんやっていく、ただそれを法律で制度をつくるというだけのことでございます。でありまするから、実態はなかながそう簡単に形式的に分けられるものじゃありませんよ、こう申し上げたわけでございますが、財政負担の問題は、もう法律が規定しておりまするから、先生がおっしゃるとおりであります。
  126. 華山親義

    ○華山委員 そういたしますと、現在法律では、国保の事務費というものは、これは国で負担するというたてまえになっておりますけれども、それとは全く違ったように市町村が負担をしておるような状態です。こういうふうなことは、これは法律どおり国がやるべきものだ、こういうふうにお考えになりますか。
  127. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 そのとおりでございます。      ————◇—————
  128. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。門司亮君。
  129. 門司亮

    ○門司委員 交付税の問題ですが、その前に交付税と非常に関連の強い、いまの国保の問題がありますので、これを両方合わせてひとつ大臣に聞いていただきたいと思います。それから適切な答弁を願いたいと思います。  そのことは国保の赤字の現状をずっと見てまいりますと、非常に赤字がふえておりますが、そのふえ方というものが、各地方の自治団体の階層別に見てまいりますと、実にふしぎな関係をだんだん出しております。いろいろ問題はございましょうが、私が当局に聞いておきたいと思いますことは、国保の赤字総額の約四割に近い、百分の三十七くらいになろうかと思いますが、その赤字が六大都市に集中されておるという一つの事実であります。総額百十二億七百万円の中で、六大都市の赤字の分だけが四十億九千九百万円になっておる、この事実であります。それからその次に問題になりますのは、やはりこれと同じような傾向をたどっておりまして、今日五百六十あります市の赤字というものが大体三十四億九千六百万円という数字になっておる。これらの数字は、三十七年度対三十八年度比較いたしてまいりましても、大体倍の数字伸びております。地方の自治体別に勘定いたしますと、三十七年に百六十六の都市であったものが三十八年は二百六十三になっておる、これを町村にさらに振り当ててまいりますと、町村の実態は五百五十二の赤字団体であったものが昭和三十八年度には千百五十八と、これも倍に伸びております。そして赤字総額が十七億五千二百万円です。ただふしぎなことには、東京都の二十三区の赤字のふえ方が、以上申し上げました三つの階層に分けた団体よりも赤字の累進率は少ないという事実をたどっております。  そこで問題になりますのは、この数字から見て地方の財政を一体どう考えられるかということであります、これは保険の問題と地方財政の問題とは関連がないように一面見受けられるのでありますが、実際はこのことのために地方の自治体は相当の繰り入れ金をしなければならないという負担が背負わされております。先ほどから議論のありますように、国がほんとうに法律に定めてあるとおりの事務費をかりに出しておったとするならば、三十八年度でも六十七億六千六百万円というものは国が当然事務費として支払わなければならない金額になっているはずです。こういうものを出さない。その結果は、いま申し上げましたような形で地方の自治体がこれのしりぬぐいをしなければならないということになってまいりますと、法律に定められて国が当然負担をしなければならない六十七億六千六百万円という事務費がかりに入っておるとすれば、今日の国保の全体の赤字百十二億七百万円の約半分は解消されるわけです。実はこういう因果関係を持っておるわけであります。  そこで、これらの問題に対する大臣のいままでの答弁を聞いておりますと、何か国保は国保でやるべきだということ、またそういう法律のたてまえにもなっております。いわゆる保険制度のたてまえはそうなっておる。しかし、地方の自治体から考えれば、足りなければ繰り入れをしなければならないということで、財政はいやがおうでも一本でやらなければならない。したがって、交付税の問題を審議するにあたって、地方財政全体として地方の必要な財源というものに対する考え方が——私の質問はちょっと理解がしにくいように聞こえるかもしれませんが、私が聞いておりますのは、国保と地方財政との関連がそういうことになっておる。ところがこの関連は、たてまえが別であるからといって交付税のほうの数値には少しもこれが入らないというのが現行法のたてまえでしょう。また入れてはならないと私は思っておる。しかし現実は、地方の自治体はそのことのため負担しなければならない。これを六大都市の例をとってみますと、六つの市で三十八年度に四十億でございますから、四十年度もこれがこの調子でずっと伸びてくれば、毎年、二〇%なり三〇%ずつ伸びておるようでありますから、ここで四〇%伸びたということになれば、六つの都市は平均して約十億くらいの国保の赤字ができてくるということになる。その赤字を交付税の対象として見られない、いわゆる必要財政額であると見られない十億の金というものを当然支出しなければならない。こういうことで、大都市財政というものがだんだん悪くなる一つ原因はこういうところにあるのじゃないかと考えるが、これに対して大臣はどうお考えになりますか。
  130. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 大都市等に赤字が多いという御指摘でございますが、あるいはさようかと思います。このことは、先ほども御質問がございましたが、赤字原因というものをよく検討する必要があるかと思いますが、一つは、大都市は御承知のように七割給付をいたしておりますので、医療費というものが相当かさんでおると思います。それからもう一つは、やはり大都市になりますと、相当の所得者もいらっしゃいますが、そうでない滞納者も相当あるのじゃないか。あるいは人口移動も相当行なわれるであろうということで、入るべき金が入ってこないという問題もあるのじゃないかという、これは私、数字でこまかく調査した結果ではございませんけれども、そういう感じがするわけでございます。そういう場合に、それをすぐそれではほかへ持ってきて、ほかから補給しなければならぬということではなくて、そういうものがありましても、それは制度として保険制度の中で解決をするというたてまえをとりませんと、ただ医療費が上がったからそのしりはどこかへ持っていく、あるいは滞納者があったからそのしりをどこかへ持っていくというわけのものではないのではないかということで、私はその制度の中において解決をするということを極力主張しているわけでございます。  それから、その次に御指摘になりました、政府が負担すべきものを負担しないために、それが一つ赤字になっているという、これも私あると思います。それは先ほど来申しましたように、政府がやはり見るべきもので、私がそれぞれの分担において見るべきだということを申しましたのはそのことでございまして、それは国が見なければならぬと思いますが、ただここで問題を掘り下げて見ていく必要があると思うのは、超過負担につきましても、超過負担総額は一般会計で幾ら特別会計で幾らと、いろいろ数字が出ておりますけれども、政府もこれは標準単価で支給するわけです。一人当たり百五十円を今度二百円にしたわけですが、標準単価で出すわけでありますから、標準単価のきめ方が非常にきついと足を出して赤字になります。そうかといって、標準単価を適正にきめましても、支出するほうの側において、これだけ入ったからひとつこれでプラスアルファをつけて支給しようじゃないかということになりますと、幾ら標準をきめましても足りない足りないになるわけでございます。これも私、こまかい点を調査して数字を申し上げるわけじゃありませんけれども、私はそれがあると思うのです。よく学校の超過負担について御指摘になっておりますが、学校あたりのを見ますと、普通の建物は坪当たり何ばということで標準単価で補助を組みますと、地元の町村では、せっかく建てるのだったらコンクリートのいいものを建てようじゃないか、こういうことになりますれば、それだけの超過負担になる。それが超過負担になったから国がめんどうを見ろ、こういうことになりますと、それはイタチごっこみたいになりますので、私は決して大蔵大臣の弁護をするわけじゃございませんけれども、大蔵省も御指摘のように査定にきついところがあって、これは是正していただかなければなりませんが、同時にまた、地方団体においてこれを受け入れる際には、やはり標準単価でやり抜くというある程度のかまえをもっていっていただきませんと、絶えず同じことを繰り返すようになりはしないか、こういう感じがいたしておるわけでございます。
  131. 門司亮

    ○門司委員 大臣、所用があればけっこうです。あとは事務的に次の質問の材料だけをもう少し当局に聞いておきたいと思います。大臣おいでになれば聞いていただいてもいいのですが、大臣の答弁もいい答弁じゃありません。二百円にふやしたとおっしゃるけれども、調査会の答申は二百八十八円にしろ、こういう答申が出ているはずです。だから答申どおりやっていただけばまだこの中の四分の一の赤字はなくなる、大体こういうことになろうかと私は思います。そういう大臣の答弁のようなことで、そのままさようでございますかというわけにはまいりません。  そこで問題になりますのは、交付税の問題を審議する場合に、いま申しましたように国保だけをとってみましても、大都市というものが非常に悪くなっておって、それから都市がだんだん悪くなる。比率は都市の比率のほうが非常に多いわけであります。町村の比率も非常に多いのは多いのでありますが、こういう形をとってきておる一つの大きな原因には、最近の人口の移動、人口の増と税収との関係がありはしないかと考えられる。御承知のように、入ってきた人については税がその年のうちに完全に徴収されるというようなことはなかなか考えられない。しかし、水道を飲むことも直ちに飲むでありましょうし、交通機関を使うことも使うでありましょうし、いろいろな問題で市民としての一切の待遇をしなければならぬ。  最近大都市の人口が一年に相当数ふえておる。したがって、その税収と必要経費との差額というものがかなり多く出ていはしないかということが考えられる。そういうものについて自治省は調べたことがあるかどうかということです。
  132. 柴田護

    ○柴田政府委員 厳格な調べは、この席でこういう形になっておりますということをお示しするようなまとまったものを持っておりません。しかし、私どもも、最近の大都市並びに都市の財政状況というものを見てまいりまして、お話しのように、基本的には大都市の行政に適合した税制なり財政政策というものが与えられていないということを痛感いたしております。地方交付税の算定におきましても、最近はさような動態的な考え方を取り入れて、いろいろ算定の合理化をはかってまいっておりますけれども、なお基本的にはまだ投資的経費の算定その他につきまして考え直す必要があるというように感じております。ただ、今回もそれを包括算入という形でもってある程度考えておりますけれども、十分考えませんでしたのは、残念ながら昭和四十年度におきましては地方財源の伸びがあまり多うございませんので、算定方法の変化によりまして激変を与えることになっては、かえって財政面で、困りはせぬかということから差し控えたようなわけでございますが、おおむねの御見解は私どももそのような感じを持っております。
  133. 門司亮

    ○門司委員 調べたことがないといえばそれだけのことで、どうにもこうにもならぬと思いますが、このことはそうたいしてむずかしい調査ではないんじゃないかと思います。大体前年度の人口からくるものとそれからきた税収とを、ずっと一年かあるいはもう一年くらい前の年との比較をとっていけば、大体出てくるのじゃないかという感じがします。しかし、統計をとられていなければそれまででありますが、こういうことは、やはり今日の都市財政の中から、ことに大都市財政の中から考えてみると、そういうことが一面いえるわけであります。最近まで大阪が御承知のように不交付団体であったものが、交付団体に転落して、すでに今日では再建団体になっても差しつかえないくらいまで財政が悪くなっておると私は思います。これは大阪だけでありませんで、いま大臣は都市は七割給付と言われておりましたが、京都なども一般の家族は五割給付に下げております。七割給付どころの騒ぎじゃない。去年の京都市会はこれを認めております。非常に悪化しておる。こういう状態で、少なくとも交付税の算定をする場合には、できるだけ法の精神に基づいて、結局アンバランスをこの制度で縮めていくというたてまえをとっておりません。私はこの制度がそこに作用しなければ、この制度も一般財源として——という意味は、単なる税法上の一般財源というような形に落ちてしまったのでは、せっかくの調整財源としての役目はなくなると思うのです。  それから、もう一つだけ聞いておきたいと思いますことは、そういう資料がもしできるならば、今日の都市の増加率、これはほかのもので調べてもすぐわかるはずでありますが、それはどういうことになっておるか。さらに六大市の財政事情というものが——数字的に六大市からとったものを私どもここで見て、そして議論するというよりも、むしろ政府のほうで一応とっていただいて、それからくる財政事情がどういうふうに悪化しつつあるか、私は何も政府を責めるわけではありませんが、そういうことをもう少し検討しないと、結局都市行政というものが非常にやかましくいわれておりながら、大都市の行政はうまくいかないという形をとってくることが最近の状態であります。  それからもう一つ、この機会に資料として調べておいていただきたいと思いますことは、いま申し上げました大都市における人口の増加と税収との関係。  それからその次に問題になってまいりますのは、大都市における従来の仕事の関係といいますか、財政需要がどのくらい変動しつつあるかということが私は一つ考えられると思います。そのことはどういうことかといいますと、法律で定めておりますものの中にいろいろございますが、先ほどから申し上げておりますように、六大市が特別地方公共団体というか、指定市になりますときの十六項目の委譲のときに、実は財源措置をしておりません。これは私はたいした数字にはならないという考え方を持っております。別に金がなければやれないような仕事ではございませんで、多少人間だけふやせばいいような程度で、そう大きな数字にはならないかと思う。しかし、大きな数字にはならないかと思いますが、そのことのために、六大市でいろいろな仕事をしていく中で、実質的に仕事をするものとして、都市の膨張率が一応考えられてまいります。この都市の膨張率を一体どの程度に財政需要の中に織り込んでおるかということになると、これはちっとも織り込んでおりません。その点は一体どのくらい膨張しておって、したがってそれに付随した財政需要はどのくらい要るのだということは、私は都市と農村ではかなり違うと思うのです。町村の場合は、多少人口がふえてまいりましても、小学校一つ建てなければならぬとか、あるいは道路をどうしなければならないとかいうような問題はそれほど急激には出てこない。しかし、最近の大都市の郊外への膨張率を見てまいりますと、急速にこれがふえてきております。そして学校にしろ、道路にしろ、水道にしろ、下水にしろ、結局われわれの想像のつかないほど速い速度で伸びております。これがやはりこういう財政需要の中に十分に織り込まれておらない。こういう客観的の情勢が見込まれていないというところに実質と合わないものが出てきやしないか。しかもその調査はどの辺まで進められておるか。従来の交付税の算定基準になったものだけで計算をするということは、大都市の財政をますます悪化させる原因になりはしないか。したがって、この辺で何とか大都市のそういう特異性を多少交付税法の中に織り入れていく必要がありはしないか。ただ一律一体に、子供が何人おればどう、教師が何人おればどう、学校が幾ら、人口一人頭幾らということでは、もはや今日の都市行政に対しては事実に合わないものになっていやしないか。この辺でひとつ基準の数値を変える時期ではないかというふうに考えます。この点について何かお調べになった点があるなら、この機会に知らしていただきたい。
  134. 柴田護

    ○柴田政府委員 私、前にこの委員会でお話し申し上げたかと思いますが、確かに御指摘のように、今日の地方財政の問題が大都市並びに都市財政に集中をしてきておる。そこに一つの今日の欠陥がはっきりあらわれてきておるように思いますということをこの前申し上げたい思いますが、はなはだ申しわけございませんが、そういった大都市の動態の調べ、財政動態といいますか、財政実態といいますか、そういうものの調査をいま実はやりつつあるところでございまして、まだまとまったものはございません。ただ、交付税の算定の上におきましては、いわゆる人口急増補正といったような補正係数でもって相当の需要を見てまいっておるつもりであります。ただ残念ながら、門司先生おっしゃるところは、基本的には人口急増補正では十分ではございませんで、人口移動の実態というものをつかみませんと、ほんとうの財政需要がつかめない。ところが、残念ながら人口移動の実態というものは住民登録等で明確にはわかりません。つまり昼間人口と夜間人口といったような問題まで織り込んで考えていくということが必要かと思うのでございます。そういう点からいいますならば、ここに数年来大都市の基準財政需要額の伸びというものは、私どもは私どもなりに、現行制度の許す範囲におきまして実は相当伸ばしてまいっておりますし、合理化につとめてまいったつもりでございます。   〔委員長退席、田川委員長代理着席〕  しかしながら、これが実態に及ぶかといいますれば、必ずしも十分ではない。特に社会増に伴います投資的経費の財源措置と申します点につきましては、必ずしも十分ではない。これはもちろん交付税だけではございませんで、起債等を活用して、両面でもって措置をいたしてまいっておるつもりでございますけれども、それでもなお追いつかないというのが偽らざる実情でございます。基本的に税制の問題に非常に大きく基因するところがあろうかと私は思いますけれども、交付税にも責任がないとは言えぬのであります。なお十分調べまして、必要な措置をとっていきたいと思います。なお、御指摘になりました実態につきましては、もう少し時間を与えていただきたいと思う次第でございます。
  135. 門司亮

    ○門司委員 これできょうは終わることにいたしますが、もう一つ注文といいますか、お尋ねをしておきたいと思いますことは、いまのお話にもございましたように、都市の発展と財政需要との関係が十分に把握されていないのが今日の実情だと私は思う。したがって、交付税の配付基準にしても、これを変える必要もございましょうし、それからもう一つは。文化が非常に進んでまいればまいるほど、地方財政というのはよけいに金が要るのはどこでも同じことであります。町村においても、どんなへんぴなところでも、やはり図書館をつくらなければならないとか、あるいは公民館をつくらなければならぬとかいうようなこと、道路にいたしましても、従来小さな道路で間に合ったものが、村内の産業といいますか、交通を円滑にするだけでも、道路の幅を広げなければならないとかいうようなことで、都市発展というもの、いわゆる地方の自治体の発展に伴う財政需要というものは、普通のものさしで普通にはかる、要するに事務当局の考えておる財政需要よりもはるかによけいにかかっております。ところが、この交付税法のたてまえからいいますと、そういう伸びていく面はほとんど見られない。いまのお話のように、多少急激に人口のふえるところはどうするかとか、あるいは先年ありましたような、高等学校の生徒がふえて、そのための処置をしなければならないというような場合に、そのとき、そのときの場当たりに多少のかげんはされておるようでありますが、しかし、そういうものではなくして、私はこの際ある程度抜本的に、地方の自治体の、都市並びに町村にいたしましても、あるべき姿というものが一応勘案されて、そうしてそれに対する財政需要というものがぼつぼつ——というよりも少しおそ過ぎるくらいだと思いますが、どう考えてもこの辺で変えてもらわぬと、ただ既存の人口がどうだとか、あるいは道路の面積がどうだからこうするとかいう、維持管理あるいは補修だけを目標とした交付税であっては、これでは実際は交付税自身の目的にも反するし、それから実態にも沿わないものができてくると考える。したがってこの辺でひとつ、大臣に聞いたほうがいいかと思いますけれども、交付税法の抜本的改正を行なわれるか、あるいはもう少し交付税の税率を上げるか、こういう二つの問題か出てくると思うが、抜本的にものを考えて、そういう都市の拡張、伸びていくものに多少対処することができるように考えていくにしても、いずれにしても交付税の税率をふやすなり、あるいはそれができないとするならば——どもは必ずしも交付税のふえることは喜びません。調整財源の多いよりも自主財源のほうが必要かと思います。しかし、いずれにしてもこういう制度がありますので、先ほどから繰り返して申しておりますように、そういう意味でもひとつこの辺で抜本的に改正をしてもらわぬと、今後の都市行政というものは何としてもやっていけなくなる。きょうも本会議で政府は何か公害に対する事業団のようなものをこしらえてやると言っておりますけれども、今日の状態では公害等についてはこの数値の中には何にも入っていない。入っていないが、しかし地方の自治体はやらざるを得ないたてまえをとっている。したがって、交付税法の算定の基礎となるものは全面的に改正を要する時期だと考えておりますが、これについて何か御意見があるならこの際聞かせていただきたい。
  136. 柴田護

    ○柴田政府委員 基本的には、お考えなり御意見なりにつきまして私ども全く同じような意見を持っております。作業も実は進めておらぬでもないわけでございますが、問題は、そういった動態経費なり、あるいは投資的経費と申しますか、発展に伴う必要な経費というものを一体何を基準にして算定をするかという、算定の基礎になる数値をどうするかという技術面で低迷をいたしておりまして、あれこれと模索をしておるというのが現状でございます。しかたがございませんので、現在では包括算入といったようなきわめて荒っぽい計算で投資的経費を見て、それでもって動態経費の置きかえをやっているというような状態でございます。しかし、これでいいとは決して思っておりませんので、何らかそういう意味合いで従来の投資的経費についての算定がえを行なう必要がある。去年から実は私はこの席でも申しましたし、事実いろいろ検討はしてまいりましたけれども、今年度少しでもと思いましたが、あまり大きな改正を行ないます場合には、激変を生じましても、こういう財源の伸びの苦しいときにおきましては、かえって混乱を生ずるおそれもあるということで、案といたしましても自信が持てる段階でもございませんので、もう一年見送らざるを得なかったというのが実情でございます。なお十分御趣旨の線に沿って検討を続けまして、早くそういうものに対する結論に到達したい、かように念願いたしておる次第でございます。
  137. 門司亮

    ○門司委員 あとの質問はひとつ後日に譲らしていただきまして、きょうは私の質問は一応基本的なものだけをお伺いしてやめておきたいと思います。      ————◇—————
  138. 田川誠一

    ○田川委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出席を求め意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 田川誠一

    ○田川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお日時、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 田川誠一

    ○田川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会