○
小山政府委員 先生仰せのように、国民健康保険の財政というのはいまちょうど
一つのせっぱ詰まった状態にあると思います。このせっぱ詰まった状態というものは、決して一時的、偶然的な事情によってそうなったのじゃなくて、医療の趨勢、それに対応して受診もふえていくそういうような条件のもとでは、どうしてももう
あとに引っ込まない形で出てきているものだ、かように判断をしなければならぬと思っております。したがって、四十
年度、四十一
年度にかけまして、国保の問題については相当根本的な対策を考えなければならぬという考えでいるわけであります。それで、まず根本的な対策を考える前に、現状において当然できるはずのことで事実上行なわれていないという問題をまず解決する必要があるということが、いまのところとりあえず考えられている問題であります。毎年国民健康保険の場合、予算をつくります当初に見込んでおりました国保の
医療費というものと、実際に国保で使われた
医療費との間には、結果的に見て最近相当の開きが出ております。この相当の開きが出ていることは、結局それだけ当
年度において国が
負担すべきものについて用意がされていない。大部分のものは当該
年度の補正予算あるいは翌
年度の補正予算で追加補正をされますけれ
ども、費用の性質によっては当該
年度で措置されないために、結果的にはいわば切り捨てになってしまっている。これが決してばかにならぬ額になっている、こういう実情がございます。これを何とか解決をしたいという考えでございますが、今
年度の場合いろいろの事情からいたしまして追加補正をすることができませんでしたので、したがって
決算の確定を待ちまして、明
年度において早急に国が、三十九
年度の国の
負担分として見るべきはずであったものは措置をする。この場合は
法律の構成から見ますと、
決算補助ということのない制度になっておりまする調整交付金の分についても、何らかの方法で事実上それに相当するものというのを考えるということにしよう。これはいろいろ先生方の御尽力もあり、政府部内、予党、野党を通じて、およそいまのところそういう考え方か固まって、
あと決算の確定を待つ、こういうようなところまできているわけでございます。
それから第二の問題は、事が事務費という名前がつきますために、とかく軽く見られがちなのでありますけれ
ども、事務費の問題について、国が持つべき分が持たれていないために、結果として市町村に相当大きい
負担をかける結果となっており、それがまた
保険料の中に入り込んでいるという実態があることを否定するわけにはいかぬのであります。この問題を解決しようというので、今
年度の予算を組みます場合には、これに最大の努力を注いだわけでありますが、結果としては従来一人当たり百五十円というのと比べますと五十円ふえて二百円ということですから、かなりふえたかっこうにはなりましたけれ
ども、まだまだ持つべきものから比べれば相当隔たったところにあるという
状況でございますので、これをぜひとも解決をしたい。ところがこういうことを解決してみても、先生が御
指摘になっている国民健康保険のいわば根本的な安定という状態には、きにくいといわざるを得ないと思います。そこで四十一
年度にかけましては、いろいろ出しておりまする国の補助金また
保険料なり保険税の取り方について、いろいろやっておりましたところをまとめて整理をする必要を感じております。およその方向としては、現在国の補助金は定率の二割五分の補助金と調整交付金の中に含まれているものと、それから予算補助の形で計上されているものというふうに、給付費そのものに対して国がたてまえ上持っているという性質のものが三カ所に分かれて入っております。これを四十一
年度においてはまとめることにいたしたい。そうしていまの二割五分という国庫の
負担金を四割という定率にすることによって、市町村の国保財政に安定性を与えると同時に、とかくそのときそのときの事情によって切り捨てられがちのものをなくするようにいたしたい、これが
一つであります。
それからもう
一つは、調整交付金というものをこの機会にもう一回中身の整理をいたしまして、ほんとうに貧富の調整に役立つ
程度のものにしていく。現在実際上そういう役割りをしておりますものは、率に直しまして五%
程度のものであります。一〇%の調整交付金のうち、半分がそういう役割りをしておりますが、これを二倍の一〇%
程度にする。それから保険税なり
保険料については、これは地域の事情もあり、それぞれ必要とする
医療費が違いますので、必ずしも一律にはいきませんけれ
ども、ある
程度標準
保険料率、あるいは保険税率というようなものを設けることによって、全国的に見て同一の条件のもとにおいて、あまりに違った
保険料を
負担しなくても済むという状態を実現するようにしたい。そういうふうなことによりまして、いままでせっかく市町村が育ててまいりましたこの国民健康保険は、市町村の経営であるというたてまえ、実態はそのまま保存をしつつ、財政面において、国が十分のバックアップをしていく、こういうふうにいたしたい、こういう考えでございます。
それから、なお最後になってたいへん恐縮でございますが、三十九
年度の
赤字の
見込みはどのくらいかという
お尋ねでございますが、これはまだケースで申し上げるほど自信のあるところをまとめておりませんが、見当として申しますならば、私
どもは三十八
年度の
赤字百三十二億のうち、九十五億は一般会計からの繰り入れ金でございますから、一応これを抜きにしていただいて、残りの三十七億をもとにして考えた場合、どうもこの三倍
程度にはなりそうだという予感をもって、いまいろいろケースの調整をしておる、こういう
状況でございます。