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佐野委員 単なる平常時における条例なり、あるいはまた監査請求なり、あるいはまた職員に対するところの解職
要求なり、こういうことも議会と首長、
理事者だけでなくて
住民も参加するのだ、こういうところに
地方自治の特徴があると思います。そういう
住民自治のたてまえをとっておる中で、普通のことはリコールなりその他の直接請求によって救済することができ、
住民のコントロールを認めておる。しかしながら、その
市町村を
解消する、歴史的に
共同体として生まれてまいったものを
解消するというような重大な問題に対しましては、当然過去の
紛争を見ても
住民と議会とが対立することはあり得ると思います。そうした場合に、これを救済する措置が何らなされておらない、あるいは
紛争を調停する機能も設けられておらないということになってまいりますと、
自治法だけにたよって、しかもこれをやろうとする場合にほとんどでき得ないのじゃないかという点が非常に問題ではないか。前の
合併の場合におきましては
政策合併である。これは
地方自治のたてまえから考えて
政策合併そのものに対しては非常に重大な疑問を持っておるわけでありますが、
政策合併だから
紛争その他に対してはやはり一定の
規定を設けなければならなかった。ところが、そうでない場合において、特に
住民と議会とが対立することはあり得ることだと思います。そういう場合に、特に過去における二十八年が
政策合併だっただけに、事件は
解決されたとしましてもいろんな点が内蔵されておると思います。そのときですら大きな問題を内蔵していたのに、しかも
町村合併に伴う建設計画なりいろいろなものが実施されていないで、いろいろな意味において問題があるときに、
合併いたしましたものがそのまま他のほうに吸収
合併をするというような事態になってまいりますと、これは問題を知らせればたいへんなことになってしまうということから、
住民をおそれて、
住民の意思の反映を隠蔽するような方法をとらざるを得ないというところに、これからの
合併問題の深刻さがあるのじゃないか。そうした場合に、そういう
合併に対してやはり救済的な
規定というものを設けないとたいへんなことになるのじゃないかという点を
一つ考えるので、その点を
指摘しておるわけです。
さらにこのリコールの問題について一、二点
お尋ねしたいと思いますが、たとえば署名簿が提出された場合に、二十日間以内において審査をしなければならないという
規定を置いておるわけです。ところがこの
規定に対しまして、最近
自治省の見解として流されておるのによりますと、この第七十四条の二はたとえば首長の解職の場合にも適用されるわけですけれ
ども、ここで「二十日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。」、こういう
規定を置いておるのはこれは訓示
規定だ、だからこれは二十日間でなくてもいいのだ、場合によれば三十日でも四十日でもいいのだということになってまいりますと、時間を急いでおるような問題に対するところの請求権を発動いたしておるのに、ここにおいては「しなければならない。」という
規定を置きながら、これは二十日でもいいのだ、あるいは三十日でもいいのだ、倍の四十日でもいいのだというぐあいに、いたずらにこの期間を遅延させるということによって、実質上においてリコール運動をやっている意義自身を抹殺するという行為に出ておることに対して、
自治省はこれを正当なものとして、これは訓示
規定だからいいのだ、やむを得ないのだというような解釈が流布されておるわけです。こういう点に対しまして実際どうなのか。他の場合、
住民の場合におけるいろんな書類の提出その他は、一日でも過ぎれば無効になるというきびしい
規定を置いておる。しかしながら、
行政当局におきましては、二十日で審査しなければならぬという
規定を置いておりながら、これが四十日間になろうとかってなんだ、これはやむを得ないのだということで、片方は効力を失ってしまう、片方は訓示
規定だという解釈をとられるのは非常に問題があるのじゃないか。そこでもう
一つ、これに対して学陽書房から出ておる小六法には、この二十日以内ということに対するところの
行政実例を載せておるわけですが、これには
昭和二十七年十一月十八日の
行政実例として、二十日の期間を経過してもなお審査が行なわれない場合には、
公職選挙法の第二百二十六条による職権濫用罪が成立するのだ、こういうぐあいに
行政実例には出ておるわけですが、この
昭和二十七年十一月十八日の
行政実例と、最近
自治省が
行政解釈として出しておる、これは訓示
規定だからこの期間に拘束されないのだ、できるだけその期間内に審査をしなければならないのだということとの間において、相当大きな相違があると思いますが、この点に対してはどういう解釈を持っておられますか、局長からお答え願いたい。