○亀山
委員 ただいま報告を求められました
地方税法の一部を改正する
法律案等審査小
委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
本小
委員会は、
地方税法の一部を改正する
法律案及び
石油ガス譲与税法案につきまして、その住民
負担及び地方
財政に及ぼす
影響の重大なことにかんがみ、去る三月十一日設置せられ、小
委員十名が選任せられました。同日、第一回の小
委員会を開き、十七日まで四回にわたって開会し、小
委員各位の御精進により、熱心に審査を進めてまいったのであります。
審査は、主として懇談的に進められましたが、まず、改正案について税目別に
政府当局から
説明を聴取した後、地方税制の運営の現状、住民
負担の実態、
税制調査会における
審議の経過、改正案の経緯及びこの改正案を施行した場合における
影響など、広範多岐にわたる論議を行なったのであります。
審査におけるおもな論点を申し上げます。
第一に、住民税について申し上げます。
その一は、課税最低限の問題であります。すなわち、所得税と住民税との間には相当の開きが生じておるが、住民税においても低所得者の
負担の軽減という観点から、基礎控除等の各種控除額を
引き上げることによって課税最低限の
引き上げをはかるべきではないかということに
議論が集中したのであります。これに対し、
政府当局は、現在課税方式の統一等による減税が進行中であるので、これに伴う市町村の課税
状況や地方
財政の推移を勘案して四十一年度以降において検討したいということでありました。
その二は、府県民税の所得割についてであります。
現行の所得割の
税率は、いわゆる二段階の比例
税率となっているが、低所得階層に
負担が過重となっているので、旧に復して超過累進
税率に改めるべきではないかという意見がありましたが、
政府当局は、住民税の
負担分任という性格から、
税制調査会の
答申もむしろ逆の方向であるとして消極的意見が述べられました。
その三は、退職所得課税の問題でありますが、住民税は、前年度課税のたてまえをとっているため、退職した場合には、所得のない年度に納税を求められる結果となるので、納税者の
税負担の便宜をはかるという
趣旨から、その救済方法を講ずべきではないかという意見があり、これに対し、
政府当局は、退職所得課税については、現年度課税の措置を検討したいということでありました。
その四は、国の配当所得の特例に関連する問題であります。すなわち、いわゆる源泉選択制度の適用分については、本法附則においてその住民税に対する
影響を庶断ずる措置が講ぜられていることは、きわめて適切であるとする一方、一銘柄につき年五万円以下の株式配当金については、住民税における捕捉が不可能であるため、政令においてこれを課税標準から排除することとなる点に関しましては、本税の課税最低限がかなり低いことと対比するとはなはだ均衡を失しており、また、これによる地方税の減収が多額にのぼることから、国税におけるこの特例措置に対して強い不満が表明されました。
第二に、事業税について申し上げます。今回の改正案による事業主控除額の
引き上げが、個人事業者の
負担の軽減という
趣旨であるとすれば、もっと大幅に、たとえば三十万円くらいに
引き上げるべきではないか。納税義務者中に占める所得税失格者の割合が、給与所得者の住民税所得割の場合より大きいのは均衡を失していないか。青色または白色申告の専従者控除も、国税における控除と見合って
引き上げるべきではないか等の意見が述べられました。
〔藤田(義)
委員長代理退席、
委員長着席〕
これに対し、
政府当局は、事業主控除を三十万円に
引き上げるとすれば、約五十億円の減収を生ずることとなり、地方
財政への
影響が大であること、また、専従者控除の
引き上げについては、将来検討すべき問題であるということでございました。
第三に、娯楽
施設利用税についてであります。
すなわち、ボーリングに対しては、従来から府県の条例によって課税しており、その際、外形標準による例が多く見られるが、今回の改正は、近時ボーリングの著しい普及に伴い、府県がそのつど条例を制定して課税する煩を避けるためになされたものであり、この改正を機として、利用
料金課税に切りかえさせることを
趣旨とするものでないと思うがどうかとの
質疑があり、
政府当局からは、本税は
料金課税が原則であるが、利用の
状況、利用手続の実態、特別徴収義務者の便宜等によって、外形課税方式によることができるものであり、ボーリングについても、さしあたって外形課税によることも差しつかえない点を指導したい旨の
答弁がありました。
第四に、
自動車税及び軽
自動車について申し上げます。
本税については、まず観光貸し切り用
バスの
税率が
引き上げられており、これは大多数の観光
バス会社の赤字経営の現状から見て、
料金引き上げを誘発するおそれがあるが、観光
バスは、その大
部分が学校生徒の修学旅行や低所得階層の慰安旅行に利用されている実態にかんがみ、
税率引き上げを見合わせる
考えはないか、また、自家用
バスの
税率据え置きに比べて、片手落ちではないか等の
議論がありました。
これに対しし、
政府当局は、貸し切り
バス料金は昨年末に
引き上げられており、貸し切り
バス会社の経営の実態上、コスト中に占める
税率引き上げのウエートがきわめて軽微であることから、これ以上に
料金値上げの誘因となりがたいこと、万一、
料金が上げられても、利用者側としては、利用回数が少ないことにより、その
影響が軽微であることをあげ、また、自家用
バスについてはその用途がきわめて多岐にわたることから、実態に応じて、府県の条例において
税率を用途別に適宜増減するよう指導する方針である旨の
答弁がありました。
次に、
自動車税が
自動車に対する
固定資産税、奢侈税及び
道路損傷
負担金の性格をあわせ持つこと並びに
税制調査会の
答申が
道路財源の確保と
負担の均衡とをはかるための改正措置を求めていることに関連して、今回の改正の
趣旨がそのいずれに重点を置いているものであるか等について疑問が出され、特に
道路損傷度の著しい
トラックについての
税率が据え置かれていることについての矛盾が強く
指摘されました。また、乗用の軽
自動車についてまで
税率を
引き上げる必要はないのではないかという
議論がありました。
政府当局は、これに対して、今回の改正が、
自動車が
道路を運行するという特殊な
固定資産であり、
道路の改良によってその機能または資産価値が高まること、現行の
税率が
昭和二十九年以降据え置かれている一方、
国民所得が向上し、かつ
自動車が大幅に普及運行されていることにかんがみ、
税率の
引き上げを行なったものであること、ただその際、
国民生活に与える
影響の度合いを
考慮して、
税率を
引き上げる
車種を選定した旨の
答弁がありました。
第五に、
固定資産税について申し上げます。
新評価による
税負担については、次の基準年度まで暫定措置が講ぜられているが、市町村によっては、新評価方法の技術的な困難性等から新評価がなされないまま、暫定措置を講じている事例も多々見られ、
税負担の不均衡がそのまま持ち越されている現状にかんがみ、新評価による恒久的な
負担のあり方については、早急に具体的な結論を出すべきではないかという意見がありました。また土地、家屋の免税点は実情に沿うよう大幅に
引き上げるべきではないか、さらに農業者の
税負担を軽減するという見地から、農機具等の償却資産の免税点は
引き上げるべきではないか、また、産業公害の防止という見地から、公害防止のためのすべての
施設については本税を免除すべきではないかという意見がありました。
これに対して
政府当局は、免税点の
引き上げについては
税負担の恒久的な措置を講ずる際にあわせて検討したいこと、公害防止
施設については、現在免税措置が講ぜられているばい煙防止規制法の対象になっている
施設、汚水処理
施設等以外のものにさらに拡大する場合には、公害防止
施設の範囲及び種類を明確にした上で検討したいということでありました。
第六に、電気ガス税について申し上げます。
産業用電気に対する非課税品目は依然として
増加しており、地方税収に相当の減収を与えているので、非課税品目は整理、合理化すべきではないか、また、その他の用途免税として、
運輸事業用、公衆街路灯用等の特殊用途に使用されている電気については、政策的に非課税措置が講ぜられているが、水道事業に使用する電気についても最近の公営企業
財政の悪化、ひいては水道
料金の
引き上げを招いている現状に照らしても非課税とすべきではないか、さらに、本税の免税点制度を基礎控除制度に切りかえるべきではないか等の
議論が行われたのであります。
これに対して、
政府当局は、産業用電気に対する非課税措置については、非課税指定基準の適正な執行につとめるものとし、水道事業用の電気を非課税とした場合に、同一市町村の一般会計に減収を生ずる結果となり、結局その減収に対する
部分については、どこかの面で住民に
負担を求めることとなるので実効がない、また、免税点制度は零細
負担の排除という
趣旨に基づくものであるので、基礎控除制度を採用すれば、高額所得者にまで恩典を与える結果となり適当でないという
答弁でありました。
第七に、
石油ガス譲与税法案について申し上げます。
石油ガス
自動車の保有
状況と本譲与税の配分はどのような
関係になるか、石油ガス税についてその捕捉については問題は生じないか、またあまり将来の伸びは期待できないのではないか、石油ガスは大気汚染の度合いが少なく、廃物資源を活用するものである等の利点を生かすよう石油ガス税の
税率についてくふうをすべきではないか等の諸点をめぐって熱心に
質疑応答がかわされたのであります。
以上のほか、大都市の
財政状況がきわめて悪化していることにかんがみ、独立税その他の財源充実の方法をすみやかに講ずべきではないかという強い意見があり、また木材引取税についてその
課税客体の捕捉がきわめて困難で、結果的には
負担の不均衡を生じているから、むしろ木材引取税を廃止して、立木課税にすべきではないかなど、各税目にわたって有意義な論議がかわされたのでありますが、
政府当局は、
政府原案の
趣旨とするところを
税制調査会の
答申等を援用して
説明し、今日の場合、住民の
負担の均衡と地方
財政の現状に照らし、この
程度の改正にとどめざるを得なかった実情等につき
説明を行なったのであります。
かくて、本小
委員会としては、
地方税法の一部を改正する
法律案及び
石油ガス譲与税法案につきまして、賛否の結論をつけることは適当でないということに意見の一致を見たのであります。
なお、本
委員会において、一、非課税規定の整理と住民
負担の軽減合理化、二、指定都市等の財源の充実強化、三、
自動車税の増税についての慎重な
考慮及び公営水道事業に対する電気ガス税の免除の検討、四、
自動車税率決定における輸出振興及び観光施策への配慮の諸点について、附帯決議を付すべきであるという意見の一致を見たのであります。
以上、御報告申し上げます。