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1965-03-02 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年三月二日(火曜日)   午前十時四十五分開議  出席委員   委員長 中馬 辰猪君   理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君   理事 田川 誠一君 理事 藤田 義光君   理事 川村 継義君 理事 安井 吉典君      大石 八治君    奥野 誠亮君      島村 一郎君    武市 恭信君      登坂重次郎君    森下 元晴君      秋山 徳雄君    井岡 大治君      重盛 寿治君    華山 親義君      細谷 治嘉君    玉置 一徳君      吉田 賢一君  出席国務大臣        国 務 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員        警察庁長官   江口 俊男君        警  視  監        (警察庁保安局        長)      大津 英男君        総理府事務官        (経済企画庁調        整局長)    高島 節男君        厚 生 技 官        (環境衛生局        長)      舘林 宣夫君        自治事務官        (財政局長)  柴田  護君        自治事務官        (税務局長)  細郷 道一君 委員外出席者        議     員 安井 吉典君        大蔵事務官        (主計官)   平井 廸郎君        大蔵事務官        (理財局地方資        金課長)    玉置 明男君        専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 二月二十七日  委員華山親義辞任につき、その補欠として松  原喜之次君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松原喜之次辞任につき、その補欠として  華山親義君が議長指名委員に選任された。 三月一日  委員阪上安太郎辞任につき、その補欠として  横路節雄君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員横路節雄君及び門司亮辞任につき、その  補欠として阪上安太郎君及び玉置一徳君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として門  司亮君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十六日  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇号)(参議院送付)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六二号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八七号) 三月一日  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇九号)(予) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案安井吉典君外九名提出衆法第五号)  石油ガス譲与税法案内閣提出第八二号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第六二号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八七号)  銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇号)(参議院送付)  新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣提出第四五号)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  去る二月二十四日付託になりました安井吉典君外九名提出にかかる地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井議員 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案趣旨及び内容概要を御説明申し上げます。  最近の急速な経済成長の陰で、わが国の社会保障水準は相変わらず低い状態に置かれております。特に物価高を背景として、社会保障の飛躍的な拡充が望まれるところであります。  さらに、最近における医療費の急激な増加は、各種共済組合財政収支を悪化させ、組合員に過重な負担をしいる掛け金引き上げを余儀なくさせており、このまま放置するならば医療保険は崩壊の危機に追い込まれるのであります。また、老後の生活安定のための年金保障制度の確立は、今日、労働者の切実な関心となっているのであります。  このときにあたり、国は社会保障立場から強力な財政措置を講ずる必要があると考えるものであります。  すなわち、まず第一に、組合員掛け金及びこれに見合う使用主負担財源だけで運営されている現在の保険主義原則を改め、大幅な国庫負担導入により共済組合社会保障的性格を強める必要があります。イギリスに例をとれば、国民保険事業に要する費用の七六%(国六八%、地方八%)が公費負担であり国民の生命と健康の管理には巨額の予算が組まれております。いやしくも政府福祉国家の実現を政治スローガンとする限り、医療保障に対する国の財政的裏づけを強化すべきことは当然であります。  第二は、大幅国庫負担導入つまり社会保障主義の拡大をはかりつつ、ばらばらの各種医療保険を高い給付水準で統合し、医療サービス格差と不均衡等を是正することであります。政府は、医療保険の中核たる政管健保に薬代半額本人負担を実現し、このようにして押し下げた水準で全体の統合調整を強行しようとしております。われわれは、医療給付水準切り下げ統合調整構想は不当であり、今日必要なことは働くものの医療保障を前進させる高い水準での制度統合であると考えるものであります。  以上の立場から、特に医療費増高の事態に対処して、さしあたり共済組合短期給付に重点を置き、当面する退職一時金の任意選択権の問題を含めて、本改正案提出することといたした次第であります。  次に、この法律案内容についてその概要を御説明申し上げます。  第一は、地方公務員等共済組合法等の一部改正についてであります。  すなわち、共済組合短期給付に要する費用につき、新たに社会保障立場から、国庫は二割相当分負担ずることとするものであります。これにより、地方公務員等共済組合法に基づく組合につきましては、国の負担金二割、地方公共団体負担金五割、組合員三割の負担とすることにいたしております。  第二に、地方公務員等共済組合法長期給付等に関する施行法の一部改正を行ない、年金通算退職一時金のいずれかを選択することができる権利の期限男子について二年間延長することといたしております。  なお、本法律案は、地方公務員等共済組合法改正部分昭和四十年四月一日から、地方公務員等共済組合法長期給付等に関する施行法改正部分は公布の日からそれぞれ施行することにいたしております。  なお、選択制度期間延長は、現行法の定める期限の到来した日の翌日からこの法律施行の日の前日までの間に退職した男子についても適用することといたしてとおります。  以上、本法律案提案趣旨及びその内容概略を申し述べました。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 中馬辰猪

    中馬委員長 なお、本案についての質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、去る二月二十三日付託になりました内閣提出にかかる石油ガス譲与税法案及び去る二月二十六日付託になりました内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案、また同日参議院から送付されました内閣提出にかかる銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案の四案を議題とし、政府から順次提案理由説明を聴取いたします。吉武国務大臣。     —————————————
  6. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま議題となりました石油ガス譲与税法案について、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。  本法案は、地方税法の一部を改正する法律案と同様、今次地方税制改正の一環をなすものとして立案されたものであります。その目的といたしますところは、今国会に提案されております石油ガス税法による石油ガス税収入額の二分の一に相当する額を石油ガス譲与税として都道府県及び指定市に譲与することによりまして、これらの地方団体道路財源を充実強化するところにあります。  御承知のとおり石油ガスをその燃料とする自動車は、昭和三十七年の後期ごろからタクシー用を中心にしまして急激に増加してまいったのでありますが、自動車用燃料としての揮発油及び軽油に対しては、揮発油税及び地方道路税または軽油引取税道路目的財源として課税されているにもかかわらず、同じ自動車用燃料としての石油ガスに対して課税が行なわれていないことは、負担の均衡を失する等の意見がつとになされていたのであります。  過般、政府の税制調査会におきましても慎重にこの問題を検討された結果、自動車用燃料としての石油ガスに対して相応の負担を求めることが適当であると答申されたわけであります。  この答申に基づき、さらにまた、昭和三十九年度を初年度として策定されました道路整備五ヵ年計画による道路整備事業費増加状況等を勘案いたしまして、国税として創設されることとされております石油ガス税収入額の二分の一に相当する額を、石油ガス譲与税として都道府県及び指定市に対して譲与することといたしたいと考えたものであります。  これが今回石油ガス譲与税制度を設けようとする趣旨であります。  以下、この法律案具体的内容を簡単に御説明申し上げます。  第一は、石油ガス譲与税の額でありますが、すでに御説明いたしましたように、石油ガス税収入額の二分の一に相当する額とし、これを都道府県及び六大市に譲与するものとしております。昭和四十年度は初年度であり、昭和四十一年一月から石油ガス税を課税することとされておりますので、譲与する額は、四億円程度となりますが、平年度におきましては三十五億円程度となる見込しであります。  第二は、譲与の基準でありますが、それぞれの都道府県及び六大市の区域内にある国道及び都道府県道の延長及び面積に案分して譲与するものといたしております。なお、この道路の延長及び面積につきましては、道路の種類、幅員による道路の種別等によって、これらを補正することができるものといたしておるのであります。  第三は、譲与時期でありますが、地方交付税の交付時期との調整をはかりまして、地方道路譲与税と同様、八月、十二月及び三月とし、それぞれ原則として各譲与時期の前四ヵ月間に収納した石油ガス税収入額の二分の一に相当する額を譲与することにいたしております。  第四は、石油ガス譲与税の使途であります。すでに制度創設の趣旨で御説明いたしましたように石油ガス譲与税は、道路に関する費用に充てなければならないものといたしております。  以上、石油ガス譲与税法案につき、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げたのでありますが、これらのほか石油ガス譲与税の会計につきましては、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がありますので、別途関係法律改正案が用意されております。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決もらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨な御説明申し上げます。  地方交付税の算定につきましては、逐年その合理化をはかってまいったのでありますが、明年度におきましては、道路整備事業をはじめとする公共事業費の増大、生活保護その他の社会保障制度の拡充、給与改定の平年度化その他制度の改正等により地方団体財政需要が増高いたしますので、地方財政の現況にかんがみ地方交付税の率を引き上げ地方交付税の総額の増加をはかるとともに、これらの増高する経資に対応する財源を関係地方団体に付与する必要があるのであります。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案の内容の要旨につきまして御説明申し上げます。  その一は、地方交付税の率を引き上げることであります。国税三税に対する地方交付税の率は、昭和三十七年度以降百分の二十八・九とされておりますが、地方団体財政需要の増高その他明年度地方財政の状況を勘案いたしまして、昭和四十年度からこれを〇・六%引き上げて二十九・五%に改めることといたしたいのであります。  その二は、地方交付税の総額の増加に伴い単位費用を改定し、基準財政需要額を増額することであります。  まず道府県及び市町村を通じまして、(1)道路整備事業等公共事業費地方負担額の増加に伴い増加する経費を基準財政需要額に算入するため、道路費等関係費目単位費用引き上げ、(2)生活保護基準引き上げ等により増加する社会保障関係経費基準財政需要額に算入するため、生活保護費等関係費目単位費用引き上げるとともに、(3)給与改定の平年度化等により増加する給与関係経費その他制度改正により増加する経費を基準財政需要額に算入するため、関係費目単位費用引き上げることとしたのであります。  以上のほか市町村分につきましては、昭和三十九年度に引き続き清掃関係経費を充実するため、清掃費単位費用引き上げるとともに、市町村民税減税補てん債の漸減に伴う弱小市町村行政水準の低下を防ぐため、基準財政需要額に包括的に算入している投資的経費を増額することとし、市町村分のその他の諸費のうち、人口を測定単位とするものの単位費用引き上げることとしたのであります。  なお、労働費のうち、失業者数測定単位とするものの数値の算定基礎失業者数となっているのでありますが、これが基準財政需要額を一そう合理的に算定するため、失業対策事業に就労した失業者数に改めることとしています。  その三は、基準税額等の算定の基礎に関することであります。宅地、田、畑、山林、原野及び牧場以外の土地については、これまで賃貸価格を基礎として基準財政収入額を算定していたのでありますが、新固定資産評価基準の実施に伴い、宅地等の場合と同様に一坪当たりの平均価格及びその地積を基礎として算定することに改めています。  なお、今後測定単位の数値の補正方法を定めるのにあたりましては、まず都市的形態の度合いに応じて定められている態容補正係数については、従来に引き続きまして改正を行ない、弱小市町村にかかる経費の割り落としを緩和することによって市町村間の格差をさらに縮小してまいる所存であります。  また、隔遠地にあるために増高する財政需要を算入するための補正を充実することとするほか、道路費等の交通量に応ずる密度補正も強化したいと考えています。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、その提案の理由とその内容の大要を御説明申し上げます。  地方税につきましては、最近の数次にわたる改正により住民負担軽減合理化をはかってまいったのでありますが、ことに本年度におきましては、市町村民税電気ガス税等について大幅な税制の改正を行なったのでありまして、このうち市町村民税所得割の負担の不均衡是正につきましては、明年度においても本年度に引き続き実施されることとなっているのであります。他方、明年度地方財政の状況を見ますと、国庫予算の増加に伴う公共施設の充実、社会保障拡充等のための負担の増加、地方公務員給与改定に伴う給与費増加等によりまして、予期される地方税及び地方交付税自然増改をもってしても、これをまかなうのに十分でない現況にありまして、別途、地方交付税率引き上げを提案いたしているような次第であります。したがいまして、明年度地方税制の改正にあたりましては、ただいま述べましたような実情を考慮いたしまして、個人事業税事業主控除額引き上げ電気ガス税免税点引き上げ等、主として中小所得者の負担の軽減をはかり、あわせて自動車税及び軽自動車税の負担の合理化をはかることを中心として、所要の改正を行なうこととしたのであります。  以下順を追って、地方税制の改正の概要について御説明申し上げます。  第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。まず、個人の道府県民税及び市町村民税におきましては、障害者、未成年者、老年者または寡婦についての非課税の範囲を年所得二十二万円までに拡大いたすこととしております。  次に、法人の道府県民税及び市町村民税でありますが、明年度法人税法の改正におきまして法人税の税率の引き下げを行なうこととされておりますが、これによります法人税割の減収を回避するため、道府県民税法人税制標準税率を百分の五・五に、市町村民税法人税割標準税率を百分の八・四にそれぞれ改定いたすことにいたしました。  第二は、事業税についてであります。事業税におきましては、個人事業者の負担の軽減をはかるため、個人事業税市業主控除額を二十四万円に引き上げました。  第三は、不動産取得税についてであります。不動産取得税におきましては、日本住宅公団担保不動産の再取得について非課税とし、また、中小企業の集団化、近代化を行なう事業協同組合等に対する税の免除の規定の合理化をはかる改正を行なっております。  第四は、娯楽施設利用税についてであります。娯楽施設利用税におきましては、近時におけるボーリング場の急速な普及にかんがみまし、すでに各道府県において課税をいたしておりますボーリング場法定課税対象施設に加えることといたしております。  第五は、自動車税についてであります。近年、自動車台数の増加は著しく、これに伴って、道路の新設改良等直接道路に関する経費のほか、交通取り締まり等自動車の増加に原因する行政経費が著しく増加していることなど、現行の自動車税率が定められた後における諸事情を勘案し、また、その反面、国民の生計費等に与える影響をも考慮し、営業用小型自動車観光貸し切り用バス以外のバス、トラックを除きまして、その他の自動車につき今般自動車税の税率を五〇%引き上げることにいたしました。  なお、これと同じ趣旨により、四輪以上の乗用軽自動車につきまして、軽自動車税の税率を同じように引き上げることといたしました。  また、自動車税の納税の手続につきまして、その簡素合理化をはかるため、自動車新規登録等の際に証紙徴収の方法によって納付する制度等を設けることにいたしております。  第六は、固定資産税についてであります。固定資産税につきましては、地盤沈下の防止のために工業用水法の規定に基づき新設した工業用水道または水道への強制転換施設について、固定資産税を課さないものとする等、非課税規定について所要の合理化を行なうことといたしました。  次に、都市交通の緩和を促進するため、都市計画区域内において施行する道路その他の公共事業等により必要を生じた路線の地下移設または高架移設のために新たに敷設した構築物の課税標準について、取得後最初の五年度間は三分の一の額、その後の五年度間は三分の二の額とする特例を設け、また、新規営業路線について認められている現行の課税標準の特例の適用範囲についても、軌道の中心間隔を拡張するために新たに敷設した構築物を加えることとして、負担の軽減を行なうことにいたしております。  さらに大規模償却資産に対する市町村課税限度額について、現行規定制定後十年間の市町村財政事情の推移、経済発展実態等を勘案して、道府県及び市町村間の税源配分合理化するため市町村人口段階の区分に応じて定められている課税定額を増額するとともに、課税定額を増額する場合の前年度の基準財政需要額に乗ずべき財源保障率を百分の百四十に引き上げ、これに伴い新設大規模償却資産にかかる財源保障率について所要の改正を行なうことといたしております。  第七は、電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、零細負担軽減合理化をはかるため、免税点を電気については月額四百円、ガスについては月額五百円に引き上げることといたしました。  次に、産業用電気ガスにつきまして、新たに溶接フラックス等四品目の製造に直接使用する電気を非課税とし、現存非課税とされているプロピレングリコール等五品目の製造に直接使用する電気に課税することとする等、非課税規定整理合理化をはかるとともに、発電のために直接使用するガス及びガス事業者ガス製造のために直接使用する電気についても非課税とすることといたしました。  以上のほか、国税の所得税法及び法人税法全文改正に伴う関係規定の整備その他税制の合理化のための規定の整備を行なっております。  以上、地方税制の改正につきまして概要を御説明申し上げましたが、これに伴う増減収額は、国税改正による影響分を含めまして、初年度であります昭和四十年度におきましては、個人の住民税におきまして一億円の減、法人住民税におきまして三億円の増、個人の事業税におきまして十三億円の減、法人の事業税におきまして十二億円の増、自動車税及び軽自動車税におきまして九十四億円の増、固定資産税におきまして一億円の減、電気ガス税におきまして十四億円の減となっておりまして、初年度におきまして総額八十億円の増となり、平年度におきましては五十億円の増となるのであります。なお、別途昭和三十九年度の改正により昭和四十年度に実質減税となるものとして、初年度住民税二百三十億円、固定資産税三十億円、合計二百六十億円、平年度総額二百八十億円がありますので、これを通算いたしますと、昭和四十年度の実質的な住民負担といたしましては、初年度百八十億円、平年度二百三十億円の減税が行なわれることとなるのであります。  以上が地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその大要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました銃砲刀剣数等所持取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。  この法律案は、最近におけるいわゆる暴力団その他による銃砲刀剣類不法所持及び使用の実情にかんがみ、新たに拳銃等の輸入についての規制を設けるほか、許可または登録を受けた銃砲刀剣熱譲渡等の取り扱いに関する規制を強化し、また、銃砲刀剣類不法所持及び不法携帯等に対する罰則を引き上げるとともに、あわせて、建設用びょう打ち銃等の所持に関する規制を実情に即するように合理化すること等をその内容とするものであります。  まず、拳銃等の輸入に関する規制について御説明いたします。  拳銃等は、犯罪に使用されるおそれが多いため、現行法においては法令に基づいて職務のために所持する等限られた場合を除き、所持を禁止されているのであります。もちろん、これらを輸入することも所持の禁止の面から規制を受けているのでありますが、最近拳銃等密輸入事犯が全体的に著しく増加の傾向にあり、しかも、そのほとんどが暴力団等に流れている実情にあります。そこで、これらの密輸入事犯を防止するため、今回拳銃等については一部の場合を除き、輸入行為自体を禁止することとし、これに違反した者に対しては重い刑罰をもって臨むことといたしたのであります。  次に、許可を受けた銃砲刀剣類譲渡等に関する規制の強化について御説明いたします。  暴力団等が犯罪に使用し、または不法に所持している猟銃などの中には、所持の許可を受けた者から譲り受けまたは借り受けたものが相当数ある実情でありますので、これを防止するため、猟銃等の所持の許可を受けている者に対しても、銃砲刀剣類の製造または販売を業とする者と同様に、他人に譲り渡しまたは貸与する場合には、譲り受け人または借り受け人が適法に所持できる者であることを確認し、または許可証の提示を受けなければならないことといたしたのであります。  次に、登録を受けた銃砲刀剣類譲渡等の取り扱いに関する規制の強化について御説明いたします。  現在、登録を受けた銃砲刀剣類は、その登録証とともに所持するたてまえになっているのでありますが、実情は、法の不備もあって、登録証を伴わない譲り渡し、譲り受け等が行なわれているので、これを是正するための改正を行ない、あわせて登録証のみを譲り渡しまたは譲り受けることを禁止することといたしたのであります。  なお、これに関連して、登録を受けた銃砲刀剣類の譲り受け、相続等についての届け出期間を二十日以内と明示して、届け出の履行を確保することといたしたのであります。  次に、罰則の強化について御説明いたします。  銃砲刀剣類不法所持に対する罰則は、現在、一率に規定されているのでありますが、拳銃等及び猟銃の不法所持は、その危険性から見て、他の銃砲刀剣類不法所持と区別して重く処罰することとし、また、危害防止の観点から銃砲刀剣類の不法な携帯、運搬等についても罰則を引き上げる等、最近における暴力団等による銃砲刀剣類の不法な所持及び使用に対処することといたしたのであります。  なお、この罰則の強化に伴い、拳銃等及び猟銃の製造違反に対しても同様の措置が必要でありますので、附則の規定により武器等製造法の罰則の一部を改正することといたしたのであります。  拳銃等の輸入禁止に伴いその罰則を新たに設けることについては、前に述べたところであります。  次に、建設業の用途に供される銃砲の所持に関する規制を合理化すること等について御説明いたします。  建設用びよう打ち銃及び建設用鋼索発射銃は、比較的危険性が少なく、かつ、悪用されることもほとんどないので、所持の許可を受けた者の監督のもとに建設作業に従事する者が業務のため使用する場合には、所持の禁止から除外することといたしました。また、文化財保護の観点から、火なわ式銃砲以外の古式銃砲も登録の対象とすることとし、その他許可証及び登録証の交付に関する手数料の最高限の額を引き上げる等所要の改正をすることといたしたのであります。  以上が、この法律案の提出理由及びその内容の概略であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  7. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で四案についての提案理由説明は終わりました。  この際、地方税法の一部を改正する法律案及び銃砲刀剣数等所持取締法の一部を改正する法律案について、順次補足説明を聴取いたします。細郷政府委員
  8. 細郷道一

    細郷政府委員 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、お手元に要綱、法律案、それから新旧対照表等お配りをいたしてございますが、便宜新旧対照表によって説明の補足をさしていただきたいと思います。  新旧対照表の一ページは、いずも国税改正全文改正に伴うものでございます。  それから二ページの第十五条の三。これはやはりそれに関連をいたしますが、この中で十五条の三の下のほうの現行のところで、終わりから三行目の舞七十二条の二十七第一項一というのが削除になっておりますが、この分は、法人税におきまして、今度新設法人の中間申告制度が廃止になりましたので、それに伴うものでございます。  それから三ページは、ずっとそれの関係でございます。  四ページの第二十四条も法人税の関係のものでございます。  五ページにいきまして、二十四条の五というのがまん中にございますが、これが先ほど提案理由にございましたように、障害者未成年者老年者、寡婦についての前年中の所得の限度額を引き上げるものでございます。  それから第二十五条は、水産業協同組合共済会を非課税範囲からはずす改正でございますが、これは水産業協同組合の事業内容が漁業災害補償法の制定によってそちらの別個の法人に移ることになりましたので、それに伴う削除、改定でございます。  それから第三十四条。これは所得割の課税標準額を計算いたします際の生命保険料控除の生命保険の範囲につきまして、所得税が改正になりましたのに合わせたものでございます。  それから七ページの終わりのほうの五十一条、法人税割税率でございますが、道府県民税法人税割法人税率を百分の五・五、制限税率を百分の六・六にそれぞれに改めるものであります。  それから八ページの第五十三条。これは法人道府県民税の申告納付についての規定でございますが、これも従来法人税法の条文を引いておりましたので、ここにそれぞれ改定をいたすわけでございます。ただ内容的に若干変わっておりますことは、先ほど申し上げましたように、新設法人についての中間申告制度がなくなったということのための削除。それから中間申告をいたします場合にも、その法人税額が二万五千円以下でも法人につきましては、中間申告を要しないものとされたのでございます。それに伴いまして県民税の法人の申告納付も、そういう場合には要しない。したがって、あわせて均等割りも、その際に申告することを要しない。こういったような改正が実質的な内容になっております。  それから一二ページの五十四条以下は、ずっと条文の整理でございます。  それから事業税に入りまして、事業税のことがずっとあがっておりますが、一七ページ、七十二条の十八。これは事業主控除の改正規定でございます。  それから次の一八ページ、一九ページ、二〇ページ、二一ページ、ずっと条文の整理でございます。  二二ページで、七十二条の二十七を削除しておりますのは、先ほど申しました新設法人の中間申告納付制度が廃止になりましたので、事業税においても同様削除をいたしたものでございます。  それからずっと事業税につきましては条文の整理でございます。  三〇ページ、七十二条の五十五。個人事業税につきまして、従来納税義務者が死亡いたしましたときも一カ月以内に申告をするようにいたしておりましたのを、所得税に合わせまして、四カ月に延ばしました。  それから不動産取得税でございますが、三一ページ七十三条の七。これは提案理由にありましたように、住宅公団が、その譲渡した不動産を担保にしている場合に、契約不履行のために担保物件を取り戻す場合の取得について非課税とするものでございます。  三二ページ、第七十三条の二十七の五。これは中小企業近代化資金助成法の事業協同組合について、従来二重課税防止の点で、最初の取得を免除いたしておりましたが、今回その取得の条件であります期間を三年から五年に延ばし、かつその主体となります組合に商業近代化計画組合を新たに加えるという改正をいたしております。  それから七十三条の二十八の二は、日本住宅公団が長期分譲住宅をつくります場合に、その家ができましたときに課税をして、あとで本人に渡すときに非課税にするという課税時期の整理をいたしたものでございます。  七十五条は、娯楽施設利用税についてボーリングの規定をいたしました。  七十八条は、それの適用税率といいますか、標準税率の区分についての条文の整理であります。  それから百四十七条は、自動車税税率でございます。  それから百五十条、三五ページですが、自動車税の納税の手続きにつきまして、月割りを本則といたしますが、期税的な観念を取り入れたわけであります。  百五十一条は、証紙徴収方法の改定をいたしてございます。並びに年の中途で自動車取得したような場合につきましては、証紙徴収方法によることができるようにしたわけであります。  それから三八ページ、百七十八条及び百八十条は、鉱区税についてでありますが、砂鉱法の廃止に伴います整理をいたしております。  それから、その次が市町村民税でありますが、四〇ページの二百九十五条が寡婦等の免税点範囲、それから四一ページの三百十四条の二の所得控除というところは、先ほど府県民税で申し上げた生命保険料の範囲、それから四二ページの三百十四条の六は法人税割税率範囲、それから四三ページの三百二十一条の八は、県民税で申し上げましたと同じように法人の申告納付の改正点、以下ずっとその関係の改正規定でございます。  それから四九ページの三百四十三条は、固定資産税につきまして従来公有水面埋め立て権者が埋め立てをした竣工前に使用することができるわけでありますが、その場合に課税をいたしておりました。ところが埋め立て権者以外の者にそれを貸す、たとえば工場等に貸す場合が起こってまいります。その場合均衡をとる意味でそういう工場等にも課税できるように改めるものでございます。  それから五〇ページの三百四十八条は、固定資産税非課税範囲であります。それぞれ要綱にあがっております地盤沈下の工業用水施設、あるいは漁協の燃料タンク、そういったものの非課税規定であります。  それから五一ページの三百四十九条の三第二佃は、私鉄の課税標準特例中に中心間隔を拡張した場合を含めたのでございます。  それから五二ページの上のほうの十八項といたところが、今回私鉄につきまして都市計画等による公共施設に関連して行なわれます地下移設、トンネルをつくったり、あるいは高架をつくったりするような場合の課税標準特例でございます。  次の三百四十九条の四が大規模償却資産についての課税の定額の限度額を引き上げる。それから五四ページの第二項は、それの財源保障率引き上げるということでございます。  それから五五ページの三百四十九条の五は、新設についてそれに準じた扱いをいたしたものでございます。  それから五六ページの四百四十二条は軽自動車税規定でありますが、これは条文の整理で、次の四百四十四条で税率の改定を行なっております。  それから五七ページの四百八十九条は、電気ガス税非課税品目範囲の整理規定でございます。  それから五八ページの上のほうで第三項が電気あるいはガス製造に直接使用する電気またはガス非課税、それから六項が農協等の行ないます共同利用施設における稚蚕の共同飼育、蚕種の共同催青の電気ガス非課税、それから七項が漁協等の持っております製氷施設の付置されない冷蔵倉庫についての非課税、それぞれ改正をいたして去ります。  六〇ページの四百九十条の二は、電気ガス税免税点引き上げ。  六〇ページの最後の七百三十四条、これは都におきます道府県民税市町村民税法人税割特例規定でございます。両方の標準税率を合わせたものを書いてあるのでございます。  それから附則に入りまして、六三ページの上の四十七項は租税特別措置法によります配当の源泉選択の規定適用を排除いたすものでございます。  次の四十八項は、個人事業税で四十年に事業を廃止した場合にことしの所得税法が動くように整理をいたしたものでございます。以下条文の整理でございます。  以上簡単でございますが、御説明を終わります。
  9. 中馬辰猪

    中馬委員長 なお、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案の補足説明については都合により後刻にいたします。      ————◇—————
  10. 中馬辰猪

    中馬委員長 次に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題といたし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。安井吉典君。
  11. 安井吉典

    安井委員 ただいま水道料金の問題が非常に重大な課題として、中央はもとより直接地方の重大な問題として浮かんでいるわけであります。予算委員会の段階でも、私も、大臣にもお尋ねしたことがございますし、きのうは阪上君、さらにまた多くの諸君から取り上げられたほど、非常に大きな政治の課題にいまなってきているわけです。社会党の私どもは、地方公営企業についての今日まで政府がやってこられました政策そのものに、根本的な転換を求めなくてはならないという立場から、現在地方公営企業法の改正の問題について作業中で、近くその改正法案を議員提出の形で国会に提出し、審議を願うことに準備を進めているわけであります。  ですから、きょうはもし時間があればそういう基本的な問題についても触れたいと思うのですが、大臣が十二時までという御予定だそうでございますので、それまでの間、当面自治体は昭和四十年度予算編成の段階にあり、すでにもう議会を開いているところもたくさんあります。そういう中で、この水道料金の問題について扱いかねているというのが実態であります。すでに東京都の六四%という大幅値上げ、さらにまた他には七割引き上げというところもあるようです。全国で七十から八十くらいの市町村が値上げという重大な課題にぶつかって、住民とトラブルを起こしている、こういうふうな段階であります。ですからただいまの場合はその問題に集中してもう少し大臣から伺っておきたいと思うのです。  新聞によりますと、昨日自治省は、物価安定のための総合施策についてという通達を都道府県知事あてはお出しになっており、同時に大臣の談話も発表されているわけでありますが、先ほど理事会でお願いをした資料をいまここで拝見をいたしてみますと、この内容は一体何を言おうとしているのか、どうも、ふろの中でへをひったという言い方がありますけれども、そういうような印象を免れないと思います。自治大臣はこれで一体何を自治体にお求めになっているのですか。
  12. 吉武恵市

    吉武国務大臣 昨日次官名をもちまして通牒を出したのでございますが、これをよくごらんいただきますと、私どもの意のあるところが御了解できるかと思うのであります。  御承知のように政府といたしましては一月の二十二日に「物価安定のための総合施策」というものを立てまして、何とかして物価があまり上がらないようにという苦心をしておるところでございます。ところが方々でいろんな値上げ値上げというような声が出ておりまするので、それぞれやむを得ないところから値上げを考えられておることとは存じまするけれども、しかし政府は、一生懸命で物価値上げを抑制する努力をしているときでありまするから、地方公共団体におかれましても、政府の意のあるところをひとつ了承をしていただいて、そしてひとつできるだけの御協力をいただきたいというのが一つでございます。そうかといって、昨年通牒を出しましたように、ストップをするという考えは持っておりません。そのことは、いたずらに一時をしのぐだけございまして、問題を将来に残し、かえって非常な困難を伴うことになりまするので、そこで、この経営悪化の傾向にある地方公営企業については、地方公営企業制度調査会の中間答申というものもございまして、これはもう先生方御承知のところでございます。この趣旨をよく心得てひとつやっていただくようにということでございます。そのことは、内容的には申しておりませんけれども、料金改定をやる場合は適正な料金の改定にすること、と同時に合理化をもあわせ考えてほしいということがうたわれておるわけでございます。同時にまた、政府のとるべき処置についても答申は示されておるのでありまするから、このことにつきましては、私どもも引き続き努力中でございまするので、したがって、この値上げをされるようなときには、合理化をもあわせ考えて、特に慎重な態度で検討してほしい。ストップが解除されたからといって、何もかもどんどん値上げするというような安易な気持ちでやっておられるとは思いませんけれども、しかし、とかくそうなりがちでありまするから、値上げにつきましてはひとつ慎重な態度でもってこれに臨んで、そうして合理化すべき点があれば合理化することもあわせやって、そうしてできるだけ国民負担というものは重くならぬように留意をしてほしいというところにこの通牒の真意がございまするし、また私がそれをあらためて談話として発表しているところでございます。これは自治体におかれましても、相当御考慮になっていることとは思いますけれど、しかし、なお念を入れまして、その値上げに対しては慎重な態度で臨んでほしいということを重ねて通牒した次第でございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 きょう経済企画庁、厚生省並びに大蔵省からもおいでを願っておるわけでありますが、この通達について、関係各省庁はこれでよいとお考えなのか、もちろんきっちりした相談の上でなされたものだと思いますけれども、御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  14. 平井廸郎

    ○平井説明員 こういった趣旨の問題につきましては、もとより、かねがね御相談を受けておりまして、その限りにおいては私どももこういった考え方には根本的には賛成でございます。ただ、具体的に、この通達を出すということにつきまして、個々的な御相談というのは——基本的な考え方については、考え方は一致しておると思います。
  15. 高島節男

    ○高島政府委員 本件につきましては、自治大臣から企画庁長官に対しましてお話がございまして、趣旨はいま自治大臣からお話のあったとお血でございます。こまかい字句の打ち合わせ等をいたしたわけではございませんが、経営の合理化とあわせて特に慎重な検討を加えて処理するのは、現在の物価政策の基本問題に沿っておると考えております。
  16. 舘林宣夫

    舘林(宣)政府委員 私どものほうに関係のございます上下水道等の料金に関しまして、この通牒の本旨は従来とも自治省と打ち合わせ済みであり、この方針で私ども進んでおります。ただ、この通牒そのものは御連絡がなかったわけでございますが、基本方針は同じでございます。
  17. 安井吉典

    安井委員 二月十日付で自治省財政局長の通達が出ていて、「昭和四十年度地方公営企業の経営健全化のための措置について」という件名であります。この中には、「地方公営企業制度調査会の中間答申の趣旨にかんがみ、少くとも昭和四十年度における収益的収支の均衡を確保することを目途として料金の適正化、経営の合理化負担区分の明確化を十分にはかられたいこと。」こういうふうな表現が行なわれているわけでありますが、これとの関係はどうですか。
  18. 柴田護

    ○柴田政府委員 私の名前で出ております通牒は、地方公営企業調査会の中間答申の線に沿って昭和四十年度の処理に当たるという意味でございます。その通牒と次官名の通牒とは、特別、一つの流れが直接的にはあるわけではございませんけれども、この通牒は、その基本線に立ちながら、なおかつ現下の情勢にかんがみて、料金の決定については慎重に扱ってもらいたい。こういうことをお願いした趣旨でございます。それはきのう発表されました自治大臣の談話にも、その趣旨は明瞭になっておると考えております。
  19. 安井吉典

    安井委員 いままでの御答弁を総合いたしますと、一応中間答申にあるような昭和四十年度における収支バランスという原則の上に立って、この料金の適正化について慎重な検討をしてくれという一つのおもしを乗ぜたものだというふうに私は理解をするわけです。いまの御答弁からいうと、そうだと思うわけであります。  そこで、中間答申には一応抑制するなというふうに書いてありますね。抑制ということに強い反発が、あの中間答申の文書の中にはありますが、それとの関係はどうですか。
  20. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま財政局長からも御答弁申し上げましたように、私どもは料金の改定是正というものをやるなという趣旨ではございません、これは公営企業制度調査会の答申にもございますることでございますし、また私どもは、この企業体の健全化というものに進んでいくのでありますが、とかくこういうことをやりますると、便乗ということではございませんけれども、一つのムードになって、どんどんやすきについて上げるということがもしあるとすると、これはたいへんだということで、どこまでも慎重にひとつ取り扱って、少しでも国民負担というものを軽くするようにという配慮のもとに、重ねて通牒を出したわけでございます。
  21. 安井吉典

    安井委員 私は、いままでの政府のお仕事の進め方からというと、どうも何か支離滅裂で前後撞着するような、そういうふうな措置に思うわけです。ただ、最後的に一番新しいものとして出てきたのが、この物価安定のための総合対策についての協力、こういう形ですから、それはそれなりに私は理解いたしたいと思うのでありますが、この通達についてさっき大臣から御説明がありましたが、政府がやるべきことはやるというふうなこともいっているのだしというふうな御説明がありましたが、私はこの通達とこの談話を読んでみましたけれども、ふしぎなことに、政府はやるべきことはやりますということばは一つも書いてないわけですよ。地方にこうやりなさい、合理化をやりなさい、それから慎重な検討で料金の是正をしなさいと書いてありますが、政府はいろいろ努力いたしておりますということは書いてないようですね。どうでしょう、大臣。
  22. 吉武恵市

    吉武国務大臣 政府のやることは政府の内部の問題でございまするし、私ども目下努力中でございまするし、まだ案が決定しているわけでもございませんから、この中には入れておりませんが、先生方御承知のように、地方公営企業制度調査会というものには三つの観点がうたわれておるわけであります。その一つは、料金をストップするという行き方はよくない。だからやはり適正な改定というものはやらなければいけないのだ、こういう点が一つであります。それからもう一つの点は、しかしそれは同時に企業の合理化という問題もあわせてやらなければいけないぞ、ただ赤字があったからそれを料金ですぐ解決するという態度ではいけないので、いわゆる経営の合理化というものをあわせてやらなければいけないということが第二にうたおれているわけであります。それから第三は、政府に対しても、政府はこの赤字の原因というようなものの中には、料金ストップをしたことも一つであるけれども、やはり新しい設備投資その他の点について長期で低利の資金を融資すべきであるぞという点がうたわれているわけであります。ですから、これは私実際はごもっともだと思うのです。今日急激な投資をいたしまするために、政府の資金を相当見てはおりますけれども、しかしながら、全部が全部見られませんために、民間の公募資金を使っているわけですね。そうすると、これが七年の短期で、しかも利子は八分というようなために、これが借りかえ、借りかえとなりますと、これが大きい一つの原因になる。これは私もっともだと思うのです。ですから、この点は私は改めなければいかぬと思うのです。ただ一挙に全部が全部政府資金に乗りかわるというわけにいきません。それで私は予算編成期のときからも、これは大蔵省ともしばしば折衝いたしまして、この四十年度の資金については、水道はいままでは公募のほうの割合が多かった、政府資金のほうが少なかったけれども、それはいかぬ、政府資金も思い切って多くしなければいかぬぞということで、四十年度政府資金のほうを多くしたわけであります。それから年限の延長も、御承知のように政府資金は二十五年でございます。公庫の資金は十八年でございますが、これもこれではいかぬ、水道は何といったって長い期間耐用年数があるのだから、やはり政府資金も水道に関する限りは少なくとも長くしたらどうだということで、これは目下折衝中でございまして、大蔵大臣もやや考えを、なるほどだという気持ちでいまおるところであります。まだ決定はいたしませんけれども、私はぜひこの問題は取り組んでやるつもりでございまするから、政府の点はほったらかしにして、何にもしないということではございませんで、私どもは鋭意努力しておるところでございます。
  23. 安井吉典

    安井委員 その政府がこれからおやりになろうということについて、私はもう少しあとでお聞きしたいと思うのですが、その前にお尋ねしたいのは、昨年はこれよりももっと強い通達をお出しになったわけです。料金抑制ですよ。はっきり一年間料金ストップですよ。そういうようなきびしい通達をお出しになりましたが、しかし実際はしげたところもあるし、上げないところもあった。ところが上げたところに対して、政府はどうしたのですか。それから政府の一年間ストップの方針に協力して料金を上げなかったところに対して、政府は一体どうしたのですか。これは信賞必罰とかいうことばがありますけれども、そういうことばはこの場合適当ではないかもしれませんけれども、協力したところに何にもしないで、しないところにももちろん何にもしないで、そんなことをしておいてこの段階でこういうなまぬるい通達をお出しになったって、こんなものきき目がありますか。去年協力したところだけが赤字をよけい出して損しただけでないですか。そうでしょう。去年あれだけ強い通達で、自治体のほうは上げたいところもあったでしょう。それをみんな苦労して押えて赤字をふやした。それに対して何にもしてない。その上にさらにまたこういうふうな通達をお出しになる。私どもは料金を上げろと言っているのじゃありません。上げないような措置をとるべきだという立場で私は申し上げているのですけれども、何にもおやりにならないような形の中で、こういう態度は私はおかしいと思うのです。あとで対策についてはお伺いいたしますけれども、こういう基本問題が私は残っていると思うのです。大臣、どうでしょう。
  24. 吉武恵市

    吉武国務大臣 昨年抑制の通牒が厚生省からも出されておることは御承知のとおりでございます。物価を抑制したいという政府の非常な苦心の結果、地方庁にも協力を求めまして、大体ストップのような状況でございまして、昨日も予算委員会で私も申し上げましたように、一時の処置としてはそれも一つの効果がございましたけれども、しかし、それによって問題が解決するわけではなくて、かえって問題があとに残りまして、大幅な値上げを余儀なくされるというようなことになるのでありまして、この点が公営企業制度調査会でもうたわれておるように、こういう公営企業の料金というものは、適切なときに適切な改定というものをやるべきであって、いたずらにストップをかけるなどということは決して望ましいことではないということでございます。私ども、水道料金等は公共料金といいましても政府規制をするというものではございませんで、上げようと思えば地方庁でお上げになることはやむを得ないことでございますが、政府の施策に御協力を願いたいということで通牒を出したわけでございます。大かたの県におかれまして、あるいは市町村におかれましても御協力を賜わったと思うのであります。しかし、そうだからといって、これが一々政府にはね返って、政府財政に余裕がございますればこれを見るということもできますれけども、御承知のように今日は財政が非常に逼迫いたしておるときでございますから、やはりこういう公営企業は、利用者がその利益を受ける範囲においてこれをやっていくという、独立採算制ということばで私どもは表現しておるのでありますが、ただ一年でものを処理するという考え方ではなくて、長い間でこの問題を吸収していくという態度をとってほしい、したがって、政府も長い間で解決するためには長い、安い資金というものを世話することによって、これに対する処置を講ずべきではないかということで、目下大蔵省とも折衝しておるところでございます。その点はひとつあしからず御了解をいただきたいと存じます。
  25. 安井吉典

    安井委員 いろいろお述べになりましたけれども、私の質問にはお答えになっていないわけです。去年政府に協力して料金ストップしたところには、政府は今日の段階でも何もしないお考えなのかどうか、いまはまだ会計年度では三十九年度中ですが、三十九年度の料金ストップに対しては、せっかく政府に協力したのに、それに対して何もしないおつもりなのか、あるいは何かそれのためにするのか、その点を伺います。
  26. 吉武恵市

    吉武国務大臣 昨年上げようと思ったが、政府が通牒を出したために上げるのを遠慮した、それがために赤字が少しふえたぞ、これをどうするかとおっしゃいましても、先ほど申しましたように、いまのところの国の財政ではこれをどうするというわけにはまいりません。今日までに少なからざる累積赤字もあることでありますから、これらの問題とあわせまして、政府としては長期低利の資金というものにできるだけ努力をするということで解決するように考えております。
  27. 安井吉典

    安井委員 昨年は都市交通については長期資金三十億、短期資金三十億の措置が一応行なわれているわけですよ、これは大臣御就任の前だったと思いますけれども。都市交通にはあって水道はやらなくてもいい、水道はあとでやればいいのだ、そういうことですか。私は国の金がそんなにあり余っているとは言いませんよ。しかし、一方は行なわれて他方は行なわれないということは不公平ではないか、どうですか。
  28. 吉武恵市

    吉武国務大臣 交通の場合は、昨年そういうふうな措置を講じられたことは承知いたしております。四十年度におきましても、長期資金については十五億のつなぎ融資を考えまして、短期については合理化といわゆる料金改定とによって何とかしていただこうという処置をとっておるのでありますが、水道は、御承知のように、最近、赤字があったということと、新しい設備投資を必要としてきたということではございますけれども、よく私が申し上げますように、水道というのは一度投資をして設備をいたしますれば、毎年それを投資するわけじゃございませんで、長い間それを利用ができるわけであります。耐用年数は五十年と言われておりますが、五十年間の長い間によってこれを解決していくという処置をとればとれるわけであります。したがいまして、そういう考えのもとに政府としても比較的長い資金、低利の資金をあっせんをしまして何とかやっていこう、この基本の問題につきましては、目下地方公営企業制度調査会等におきましても、真剣に検討されておるところでございますから、いずれそれらの根本問題については答申のこともあろうかと思いますので、その答申の出たところを見まして、基本的には考えていきたいと存じます。
  29. 安井吉典

    安井委員 答申は、それはことしの秋出ますよ。秋出ても、それが政府の施策になるのはおそらく来年の予算でしょう。それの前にできますか。おそらくできないでしょう。いま自治体は予算案の編成やら審議の段階にあるわけですよ。政府が一年間料金をストップしろと言った。いままでの累積赤字の上にさらに赤字がふえている。その上に、現在の諸情勢からいえば、企業債の増高は、カーブは弓なりになって増高している。人件費も上がる。そういう事態の中で、いま地方自治体が困っているわけですよ。三月中には予算もきっちりきめなければいけない。そういう段階にいまあるわけです。次に制度調査会の答申が出るからそれまで待てなんて、そんななまぬるいことはできないわけですよ。私は、根本対策は、これはもうそう無理は言いません。無理は言いませんけれども、いまの料金問題に対する取り組みを、この際政府はやはり明らかにすべきだと思うのです。通達の内容が二つそごするようなそういうような考え方ではなしに、そういう対策をすべきだと私は思うのです。ですから、昨年度について何にもしないでいて、一日ですか、こんな通達をお出しになったって、これは自治体は協力しませんよ。協力したところは何かよく政府に協力してくれたということでおかげがある、そういうことでなければならぬでしょう。昔のように、政府が強制力があるならそれは強制できるでしょう。いま自治体に対して強制すべきでないですよ。強制すべきでないだけに、協力をお願いするのならお願いするように、もし協力してくれたらこういたします、それをお出しになるのがいまの政府のかまえでなくてはならないと思うのです。  大臣も時間の関係があるそうですから、その問題は一応——私は全然了承いたしません。いたしませんが、ここでもう一つ詰めてお尋ねをしておきたいのは、先ほど大臣途中までおっしゃったが、中間答申ですね。中間答申について、三点、国がすべき措置について、書いてある。これについて、政府は鋭意努力をしているというふうなお話がありましたけれども、私どもは、どうもその努力が実っているようには思えないわけでありますが、もう少し、その三点のそれぞれについて、政府はどういうことなのか、どういう施策を積極的に講じようとしているのか、それをもっと御説明願いたいと思います。
  30. 吉武恵市

    吉武国務大臣 第一点は、もうそれぞれの各地方庁におきまして適正な料金の改定をしようとしております。ただ、私どもから見ますと、第二の合理化という点を答申はあわせ考えるようにということを強調しておりますにもかかわらず、合理化のほうはあと回しになっているきらいがございますので、私どもは、今度の通牒にも重ねて申しましたように、合理化もひとつあわせてやっていただきたい。  それから値上げにつきましても、いろいろの配慮が私はなされるべきじゃないかと思うのでありますが、これは自治体のことでありますから、あまりこまかいところまで立ち入って私どもはやろうとは思いません。お話を聞きますと、大阪等の今度の値上げにつきましても、いわゆる低所得者のために従来十トン百円であったものを、今度の値上げに際しては八トンを据え置いて百円にするというような話も聞いております。そういうようないろいろな配慮というものは、そのやる上においても、まあ慎重に考えれば考えられる点もあろうかと思うのであります。でありますから、そういう点も、一々自治体というものに指図がましいことは私どもいたしませんけれども、念の上に念を入れて、慎重にやってほしい、こういうことを申し上げておるわけであります。したがいまして、合理化のほうは実はあまりまだ進んでおりません。聞いておりません。東京都の交通については、昨年の末において相当の合理化案がやられたようでございます。私どもは、満足の程度には思いませんけれども、しかし、その努力と誠意については、私どもは非常に注目をしておるところでございます。  それから、国のことでございますが、これはいま私どもが大蔵省へ非常に熱心に言っておるのありますけれども、まだ目鼻はついておりません。ついておりませんけれども、これは私が先ほども申しましたように、これは当然そうあるべきものでございますから、私といたしましても今後極力これについては努力をするつもりでございます。
  31. 安井吉典

    安井委員 私は、その国がやるべきことについて、いま伺ったわけですが、大臣はよけいな、一部始終、全体をお話しになったので時間が長くなりましたが、私いま資料がありませんけれども、たしか国のやるべきこととして、起債の総量をふやすことと、それから起債の長期化と利子補給、それから三番目には借りかえ債の発行でしたか、この三つだと思うのですが、それについて、これはもう大臣がおわかりにならなければ財政局長……。
  32. 柴田護

    ○柴田政府委員 償還期限の延伸問題につきましては、先ほど来大臣からお話し申し上げたとおりであります。そういうような経緯で、相互に、前向きに実現をするように、協力の方向で折衡をいたしております。  それから、地方債のワクの問題は、すでに御説明申し上げました地方計画の中で、昨年に比べまして約二百十五億増加政府資金の割合は昨年よりかこれを高めまして、九百六十五億のうちの五百億を政府資金を充てるようにいたしております。なお、昨年の料金自粛要請に伴いまする赤字の始末の問題につきましては、いろいろ昨年来問題があったようでございますけれども、結局これは先ほど来お話がございましたように、値上げをしたところもございますし、値上げをしないところもあるわけでございます。結局、赤字になっておるところと赤字になっていないところとございますが、これらの問題は一括して最終処理と申しますか、基本答申が出ましたあとで講ずる赤字処理の問題の中に含めて片づける、こういう方向で検討いたしております。したがいまして、昨年の料金自粛要請につきましては、抑制といいますよりも、むしろ自粛を要請したという形でありますので、赤字の始末のしかたといたしましては、交通事業とは違った形で処理せざるを得ない。いろいろ議論がございましたけれども、関係各省を何回も呼びまして相談いたしましたが、結局は総合的な赤字の処理の問題の中に含めて片づける以外にないんじゃないか、こういうことでございます。  それからなお、負担区分の問題が若干あるのでございますけれども、これは御承知のとおり料金体系の問題ともからむわけでございます。したがって、一般会計との間の負担区分の問題を合理化いたしますためには、前提として水道料金体系というものをどうするかという問題が先決問題でございます。この問題を片づけませんと、実は負担区分まで手がつけられません。そこで現在急いで水道料金体系の問題を御審議を願っている、こういう情勢でございます。
  33. 安井吉典

    安井委員 五年間延長をすれば、どれくらい単年度で金が浮くのですか。いま話が進んでいるのはこれから借りる分ですが、すでに借りてしまったものも含んでの話だと思うのですが、もし五年間延ばせばどのくらいかということ。  それからもう一つは、答申の中に書いてある、赤字がふえてきたことに対する借りかえ債の発行も考えるべきだという項目がありますが、それについてはどうなのか。
  34. 柴田護

    ○柴田政府委員 いま問題になっておりますのは、今後借りる問題についての償還期限でございます。それがお話しのように、かりに五年延長ということになりますと、現在のベースでは大体年間四、五億ほどになろうかと思います。  それから借りかえ債の問題につきましては、特に借りかえ債のワクを設けるということはいたしませんで、むしろケース・バイ・ケースでこの問題を考えていく、こういうことになろうかと思います。
  35. 安井吉典

    安井委員 いまお聞きしたら、これから借りるものが、二十五年のものを三十年にした場合が五億ということですね。それならいままでの赤字は何にも役に立たぬでしょう。いままで赤字で持っている、それをさらに五年だけ延ばしてやるんなら、それは相当意味がありますよ。しかし、これから新たに四十年度以降に借りるものについて二十五年を一千年にすると言ったくらいで、それが赤字対策だとか、いままでの料金ストップ対策だというふうな形でお出しになるなら、私はこれは笑いごとだと思うのです。お出しになるんなら、これはいままでずっと借りている既往債にまで、さかのぼって適用する、さらに赤字についての借りかえ債を発行するというようなかまえなら、これは幾らか話がわからぬわけでもないのですけれども、いまの財政局長のような御答弁では何にもならぬのじゃないですか。どうですか。
  36. 柴田護

    ○柴田政府委員 償還期限の延伸が幾らにまとまりますか、話し合いの問題でございますが、お話しのような、かりに五年ということになれば単年度四、五億ということになるわけであります。問題は、水道事業の経営の困難な問題は、これから出てくる設備投資ということを考えますと、将来非常に大問題になる。これをどう解決するかということが、既往の赤字始末の問題もさることながら、今後における料金急増と申しますか、経営の悪化の急増というものに対する第一番目にとるべき対策だろうというふうに私どもは思うわけでございます。しかし、これだけでは問題が片づくわけではございませんで、償還延伸だけで問題を片づけることは簡単でございますが、そうではないと実は私どもは考えているわけでございます。それだからこそ、基本問題として料金体系を含めて御検討を願っておるわけでございます。  過去の問題は、お話しのように問題があるわけでありますけれども、この過去の赤字の問題を片づけます前提といたしましては、将来こういう対策が立って、その対策のもとで再び赤字が出ないのだという前提ができませんと、過去の問題をかりにたな上げいたしましても意味をなしません。したがって、その前提、基本問題を片づけることが——法案提出、成立ともに若干おくれました。これが非常に審議会の発足をおくらしめたことになりまして、はなはだ遺憾ではございますけれども、したがって昨年の暮れを予定いたしておりました審議会というものが本年の秋まで延びざるを得なかった。非常に不幸でございますが、やむを得ないのであります。そこで、この基本答申をいただきますれば、またそれによって政府としても施策をきめますれば、今後において赤字が出ないという始末を講じた上で、過去の累積赤字について合理的な始末を考える、こういう方途をつけていくべきものであろうというふうに思うのであります。そういう方針に従ってものごとを片づけてまいりたい、かように考えております。
  37. 安井吉典

    安井委員 どうもいままでの御答弁からいえば、何もかもこれからあとの制度調査会の答申に譲ってしまって、その中に全部逃げ込んでしまっている。今日自治体が予算をどうしようかという段階に対しての対策というものは全くない、私はそういうふうにただいままでの御答弁の中から言わざるを得ないわけです。大臣の行かれる時間を十五分も延ばさせてしまいましたから、これで私はやめますけれども、それじゃ私はだめだと思うのですよ。将来のことは将来で、これはやはり慎重に考えるべきです。私どももそのための対案も持っているし、それを政府の考え方と対比させながら、私どもも意見を述べてまいりたいと思います。しかし、いま料金を上げるか上げないか、住民は上げてほしくないという。この大臣談話の最後のところにも「市民の負担増高を避けるよう特に配慮されることを望むものであります。」こう書いてありますよ。こうは書いてあったって、裏づけは何もない、そういうような姿の中でこんな通達をお出しになったって、私は意味がないと思います。やはりきちっとしたものをお出しになる必要がある。予算委員会理事間においても、いま水道料金の問題も含めて話し合いが進んでおりますから、その中でもどういう毛のが出るか、私どももある種の期待を持っているわけでありますけれども、やはり自治大臣はきちっと腹をおきめになる必要があると思うのです。きょうは経済企画庁や厚生省や、あるいは大蔵省からもおいでいただいておりますけれども、やはり中心になるのは自治大臣でなければいかぬと思います。地方議会の中で、自治体の首長も議員の諸君も、この問題で今度の場合はたいへんな苦労ですよ。国保税の値上げの問題と、この水道料金の問題とが、これから開かれる地方議会の私は雄大の焦点だと思います。全国どこへ行ってもおそらくそうなりますよ。こういうような段階において、ぜひ早急なうちに政府としての対策をもっとしっかりしたものをお出しいただきますことを最後にお願いをして、一応これで終わります。まだありますけれども、あとは次にいたします。      ————◇—————
  38. 中馬辰猪

    中馬委員長 この際、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案議題とし、警察庁長官から補足説明を聴取いたします。江口警察庁長官
  39. 江口俊男

    ○江口政府委員 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案内容につきまして、逐条御説明申し上げます。  第一は、法律の題名の改正であります。  これは、今回拳銃等輸入禁止の規定を新たに設けることに伴うものでありまして、銃砲刀剣類等所持取締法銃砲刀剣類所持等取締法といたしたのであります。  なお、この題名の変更に伴い地方自治法、出入国管理令、関税法及び自衛隊法の関係規定を附則において改正することといたしております。  第二は、銃砲の定義に関する第二条第一項の改正であります。  これは、装薬銃砲の例示として拳銃、小銃、機関銃、砲及び猟銃を列記したのでありまして、実質的には定義の内容を変更するものではなく、拳銃等及び猟銃不法所持に対する罰則を強化する条文の新設に伴う技術的な改正であります。  第三は、建設業の用途に供するため必要な銃砲、すなわち、建設用びよう打ち銃及び建設用綱索発射銃についての所持規制合理化するための第三条第二項の改正であります。  建設用びよう打ち銃等は、工具として使用されるものであって、比較的危険性も少なく、悪用されることもほとんどないため、許可を受けた者のみならず一定の範囲の者には、業務上使用するため所持することを認めても支障がないと考えられますので、所持許可を受けた者の監督のもとに建設作業に従事する者で届け出があったものについては、許可を受けた者の指示に基づいて業務上使用するため所持することができることといたしたのであります。  なお、このことに関連して、建設作業に従事する者が、許可を受けた者の指示に基づかないで建設用びよう打ち銃等所持した場合には、その銃砲にかかる許可を取り消すことができるようにすること、また、法人が業務のために銃砲刀剣類を従業者等に所持させる場合の許可は、法人の事業場の所在地を管轄する都道府県公安委員会から受けるようにすること等、許可に関する規定を改めることといたしたのであります。  第四は、拳銃等輸入の禁止の規定を第三条の二として新設したことであります。  現行法においては、銃砲刀剣類輸入所持の禁止の規定により間接的に規制しているのでありますが、最近、拳銃等密輸入事犯増加しており、その防止をはかる必要があること及び拳銃等は、限られた場合を除き、一般には所持を禁止されている等のことから、今回拳銃等については直接その輸入行為を禁止することといたしたのであります。  輸入禁止の対象は、拳銃、小銃、機関銃及び砲に限定し、かつ、次の場合の輸入は、禁止から除外することといたしております。  その一は、国または地方公共団体が、その職員の法令に基づく職務上の所持に供する拳銃等及び博物館等で公衆の観覧に供する拳銃等輸入する場合並びに国または地方公共団体から輸入の委託を受けた者が、委託にかかる拳銃等輸入する場合であります。  その二は、試験もしくは研究のために拳銃等所持許可を受けた者またはオリンピック大会等の国際射撃競技に用いる拳銃の所持許可を受けた者が、許可にかかる拳銃等輸入する場合及びこれらの許可を受けた者から輸入の委託を受けた者が委託にかかる拳銃等輸入する場合であります。  その三は、わが国で開催されるオリンピック大会等の国際競技に参加するため入国する外国人が、所持許可を受けた拳銃等輸入する場合であります。  第五は、火なわ式銃砲以外の古式銃砲を登録の対象とするための第十四条第一項の改正であります。  現行法においては、古式銃砲のうち火なわ式銃砲のみを登録の対象としていますが、火なわ式以外の火打ち石式、管打ち式等の古式銃砲についても、美術品もしくは骨とう品として価値のあるものがあり、かつ、これらの銃砲は実用に供されることがないので、今回登録の対象に加え、一般に所持を認めることとし、史料として保存活用をはかることといたしたのであります。  第六は、文化財保護委員会から都道府県公安委員会に対する通報事項に関する第十六条第二項の改正であります。  文化財保護委員会は、銃砲刀剣数を登録した場合、または登録を受けた銃砲刀剣類の譲り受け、相続等の届け出があった場合において、危害予防上の配慮から、都道府県公安委員会に通報することになっているのでありますが、現行法では、登録を受けた銃砲刀剣類を亡失し、盗み取られた場合等についての通報規定がないため実態把握上支障を生ずる場合がありますので、今回登録を受けた銃砲刀剣類の亡失等により、文化財保護委員会登録証の返納を受けた場合には、その旨を都道府県公安委員会に通報することといたしたのであります。  第七は、登録を受けた銃砲刀剣類を譲り受け、相続等をした場合の届け出の期間に関する第十七条第一項の改正であります。  登録を受けた銃砲刀剣類の譲り受け、相続等による移動の届け出は、登録制度における基本的な事項でありますが、現行法においては、この届け出の期間を「すみやかに」とだけ規定していることもあって、その履行に欠ける点も見受けられるので、その届け出の期間を、文化財保護法における文化財の移動の届け出等の関係をも考慮して、「二十日以内に」と明示することといたしたのであります。  第八は、登録証の取り扱いを整備、強化するための第十八条第二項および第三項の改正であります。  登録を受けた銃砲刀剣類は、登録証とともに所持するたてまえでありますが、現行法においては、登録を受けた銃砲刀剣類所持を他人に移転する者について登録証とともにすることを義務づけているのみで、その所持の移転を受ける者については、登録証に関する義務づけをしていないため、登録を受けた銃砲刀剣類であっても登録証とともに所持されていないことが多いので、今回登録を受けた銃砲刀剣類を譲り受け、借り受ける等その所持の移転を受ける者に対しても、必ず登録証とともにしなければならないこととし、さらに、登録証を登録を受けた銃砲刀剣類と関係なく譲渡し、または譲り受けることも禁止することとし、登録証が常に登録を受けた銃砲刀剣類とともに所持されているように規定整備強化いたしたのであります。  第九は、銃砲刀剣類所持許可を受けた者に対し、譲渡等の制限に関する義務を新設するための第二十一条の二第二項の改正であります。  現行法においては、銃砲刀剣類製造または販売を業とする者に対してのみ、譲渡する相手方の確認義務を課しているのでありますが、不法所持され、または犯罪使用された猟銃、空気銃等の入手先についてみると相当数のものが所持許可を受けた者から出ているので、今回、許可を受けて猟銃等所持する者に対しても、製造・販売事業者と同様に、許可にかかる猟銃等を他人に譲渡し、または貸与する場合には、その相手方が適法に所持できる者であることを確認するか、または許可証の提示を受けなければ、これを行なってはならないことといたしたのであります。  第十は、許可証または登録証の交付に関する手数料を引き上げる第二十九条の改正であります。  現行法においては、許可証または登録証の交付に関する手数料の最高限は二百円としていますが、これは、昭和二十五年に定められ、その後現在まで改定していないため、許可に要する事務経費登録の審査に要する経費等から見て実情に沿わないので、これを五百円に引き上げることといたしたのであります。  第十一は、罰則の整備強化に関する第三十一条以下の改正であります。  その一は、第三十一条であります。  これは、拳銃等輸入の禁止に伴う罰則の新設でありますが、拳銃等輸入禁止違反は、その危険性ないし悪性が最も高いので、本法違反の行為中特に重く処罰することといたしたのであります。  すなわち、通常の輸入禁止違反の場合は、五年以下の懲役または三十万円以下の罰金とし、営利の目的の場合には、七年以下の懲役または五十万円以下の罰金とし、未遂罪をも処罰することといたしたのであります。  その二は、第三十一条の二であります。  これは、銃砲刀剣類不法所持の中で、拳銃等及び猟銃は、特にその危険性が高いので、他と区別して重く処罰することといたしたのであります。  すなわち、拳銃等及び猟銃不法所持に対しては、五年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処することとし、これに関連して、武器等製造法の罰則を附則の規定改正して、拳銃等及び猟銃製造違反に対しては、五年以下の懲役または三十万円以下の罰金に処することとし、所持違反と製造違反との罰則の均衡をはかることといたしたのであります。  その三は、第三十一条の三であります。  これは、拳銃等猟銃を除く銃砲刀剣類不法所持に対する罰則で、現行法第三十一条に相当する規定であります。ただ、罰金の額のみを五万円から十万円に引き上げているのであります。  その四は、第三十一条の四であります。  これは、許可または登録により適法に所持することを認められている者が、その銃砲刀剣類不法目的で携帯等をした場合の罰則を、その悪性に着目して二年以下の懲役または五万円以下の罰金に処することといたしたのであります。  その五は、第三十二条及び第三十三条であります。  登録を受けた銃砲刀剣類の譲り受け、相続等をした場合の届け出に関する規制及び登録証の取り扱いについての規制を強化するために、これらの違反に対する法定刑を引き上げ、届け出の義務違反に対しては一年以下の懲役または三万円以下の罰金とし、登録証の授受違反に対しては六月以下の懲役または一万円以下の罰金に処することといたしたのであります。  最後に、この法律は、公布の日から三月を経過した日から施行することとするとともに、必要な経過規定を附則において規定いたしております。  以上が、銃砲刀剣数等所持取締法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。  何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。
  40. 中馬辰猪

    中馬委員長 以上で補足説明は終わりました。  この際、華山君から発言を求められておりますので、これを許します。華山委員
  41. 華山親義

    華山委員 資料の提出をお願いいたします。新聞等によりますと、公営企業調査会がこのたびの予算上にあらわれた政府財政措置に対しまして、非常に不満があるということが新聞に出ております。速記録をとっていると思われますが、その速記録をひとつ資料としてお願いをいたしておきます。
  42. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会