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1965-02-19 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十九日(金曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 久保田円次君    理事 田川 誠一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    武市 恭信君       登坂重次郎君    森田重次郎君       山崎  巖君    秋山 徳雄君       阪上安太郎君    細谷 治嘉君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  出席政府委員         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 二月十九日  理事渡海元三郎君一月二十五日委員辞任につ  き、その補欠として久保田円次君が理事に当選  した。     ————————————— 二月十八日  地方交付税税率引き上げに関する請願岡田  春夫紹介)(第七〇四号)  同外四件(永山忠則紹介)(第七〇五号)  同(西村英一紹介)(第七〇六号)  同(山内広紹介)(第七〇七号)  同(片島港君紹介)(第七六二号)  同外二件(二階堂進紹介)(第七六三号)  同外一件(足鹿覺紹介)(第七八四号)  同(岡田春夫紹介)(第七八五号)  同外八件(増田甲子七君紹介)(第七八六号)  同(松平忠久紹介)(第七八七号)  同(倉石忠雄紹介)(第八四九号)  同(伊東隆治紹介)(第八八四号)  同外七件(相川勝六紹介)(第九三三号)  同(赤澤正道紹介)(第九三四号)  同(秋山徳雄紹介)(第九九五号)  特別区自治権確立に関する請願岡崎英城君外  三名紹介)(第七三七号)  自家用乗用自動車税及び軽自動車税引き上げ反  対に関する請願外一件(田中榮一紹介)(第八  五二号)  同(井岡大治紹介)(第一〇四八号)  消防団員殉職者遺族補償に関する請願(上村  千一郎紹介)(第九三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提  出第一六一号、参議院送付)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  この際理事補欠選任の件についておはかりいたします。  去る一月二十五日理事渡海元三郎君の委員辞任に伴いまして理事が一名欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において指名することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中馬辰猪

    中馬委員長 御異議なしと認めます。  それでは理事久保田円次君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 中馬辰猪

    中馬委員長 地方行政連絡会議法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。門司亮君。
  5. 門司亮

    門司委員 ごく簡単に少しばかり、大臣が見えておりますので、聞いておきたいと思います。  最初に、大臣の所信をひとつ伺いたいのですが、そのことは、大臣も御承知というよりも、地方制度調査会がいま開かれておりまして、そのときの大臣のごあいさつ並びに今度の地方制度調査会の主たる目的一つとして、府県合併審議されていることは御存じのとおりであります。この府県合併について、あるいはこの法案との関連において沿革から申し上げますと、これもまた大臣もよく御承知のように、三十二、三年ごろからの地方制度調査会で、あるいは地方庁といいますか、そういうブロック別の役所をこしらえてやったらどうか、あるいは都制案というようなものが出てきたり、それから道州制の問題が考えられるというような、いろいろな経緯が実はあるわけでありまして、そうして結論としてというよりも、むしろそういう過程の中から、いずれにしてもめんどうな問題であるし、不徹底であるから、むしろ府県合併という形でやったらどうかということに、私は大体意向が落ちついたのではないかということが考えられる。この情勢を察して、政府としては、今度の地方制度調査会一つの最も大きな柱として諮問されております。したがってこの問題を中心審議がされております。そこで問題になりますのは、この府県連合というよりも、むしろ府県合併構想というのは、広域行政という、ことばはみんな同じように使っておりますが、構想自身としては、いわゆる直接境を接しておるところと、利害関係のきわめて密接なところが結局合併をするという態度をとらざるを得ない。したがって、これはある程度自然発生的の、住民意思に基づく合併というのが望ましい、今日の法律のもとでは当然そうなければならない。そういう過程が一方で進んでおります際に、この行政連絡会議というものが、区画を九つに分けて、そこで仕事をしていこうということは、この府県合併審議するといいますか、検討いたしております地方制度調査会に与える影響というものが考えられないかということでございます。私自身も、地方制度調査会府県合併に対しまする小委員を仰せつかっておりまするが、この場合の府県合併というのは、広域行政というものがもとより中心で考えられることは当然でありますが、しかしこの行政連絡会議というようなものが一方にできてくるということになりますと、これは政府の力、法律によってこれをするのでありまするから、住民意思は何ら反映する余地はございません。しかし府県合併は、少なくとも住民の理解と了解がなければ、将来の運営がうまくいかないということは当然でありまして、そこは相対立しでおる。この対立しておる法律案を、一方では民意を中心としたそういう方向で広域行政に対処しようとすることが考えられておる、一方では官制府県合併にひとしいような連絡協議会というものを進められるということは、私は当初この法律案を出された当時においては、まだ多少のこの法案に対する行政的の価値、というとこれは大臣にはなはだ失礼なことばになろうと思いますが、行政上のとりえもあったかと思いますが、今日の段階では、むしろこの法案は撤回されて、そうして住民意思に基づく広域行政にいかに対処するかということに検討を進められることのほうが私は順序であり、それのほうが民主政治の中では正しいのではないかというように考えられますので、この点の考え方についての大臣の所見をひとつこの際伺っておきたいと思います。
  6. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御質問の御趣旨はよくわかったのでございますが、御承知のように、広域行政の問題がたいへんやかましくなってまいりまして、その一つとして府県合併または府県連合というような構想が打ち出されてきたわけでございます。それは主として具体的には大阪を中心とする奈良、和歌山との合併というような問題も表に出ておりまするし、また愛知、岐阜、それから三重というような合併の問題も表に出ております。そのほかにもいろいろ話には出ているようなことでございまして、これは実際のいま御質問の中にも御指摘がございましたように、そこの隣接する住民の経済的社会的な関係が非常に緊密になったので、この際これを統合して、一つ広域行政をやったらどうだろうかというところから出発をしておるのであります。  それから府県連合の問題も、ややそれと同じような構想のもとで、府県を一本に統合するといういき方はなかなか問題もあることだから、これをひとつ連合体のようなかっこうで、府県はそのまま残しておいて、そうして実際の運営面におい一つ連合体をつくってやったらどうか。ちょうど欧州ではEECというようなああいう経済の共同体ができているようなところからのヒントかとも思いますが、そういう構想もあったような次第でございます。  そこで、昨年地方制度調査会も発足いたしました際に、私といたしましては、やはり重大な問題でございまするから、そういう前向きの姿勢をもって、どうしたらいいでしょうかということで、この府県合併とははっきり申しておりませんけれども広域行政の問題をどうしたらいいでしょうかということで、府県合併の含みをもって諮問をしているようなことでございます。しかし、これもただいま御指摘なりましたように、直接住民関係の深いことでございまするから、住民意思を無視してやるということは、これはなかなかむずかしいことではなかろうかと思いまして、かつて議員立法でも皆さん方の中から、この府県合併というものをもしやるとすれば、こういうふうな便宜を与えたらというような促進的な意味の法案を出されているような次第でございまして、まだこれは諮問中でございまするから、どういう結論が出るかしれませんけれども、そういうことで進んでおります。  それから、いま御審議を願っておりまする連絡協議会は、やや趣が異なっておりまして、各地方の、たとえば九州で申しますれば、九州府県間及び九州にありまする国の行政機関出先との間の連絡を密にして、そうして地方福祉のために役立てたいというところから、この連絡協議会法というものが出ておるわけでございます。広域行政一つとして、地方連絡をするという点では共通の点があるかもしれませんが、先ほど申しました合併というのは、これは直接その自治体というものが一体化する方法としての問題でございまするし、こちらの連絡協議会というのはそうじゃなくて、自治体間及び出先官憲との間の連絡を密にやっていこうという趣旨でお願いをしておるところでございます。
  7. 門司亮

    門司委員 なかなか要領のいい御答弁をされているようでありますが、私どもが懸念いたしますのは、こういう形で、すでに府県合併というようなものの前提の一つの条件としてこういうことがかりに考えられているとすると、非常に大きな問題でありまして、先ほど申し上げておりますように、日本の都道府県あり方というものは、明治何年かにできて百年近い。府県制ができて、明治二十三年ですか、からは七十七年目、そのくらいだと思います。だからこの際は、府県合併をしてもよろしいというような議論府県合併というようなものが行なわれる筋合いではございませんので、市町村の場合には、いろいろな経緯があり、いろいろないきさつから、弱小なものと大きいものとの関係、その他の関係から部落間のあつれきというようなものはそうたくさんないのでありますが、府県ということになってまいりますと、自治行政の中ではかなり重要視しなければならない。何もここは府県合併を論ずるところではございませんから言う必要はないかと思いますが、御承知のように、アメリカにしても合衆国であって、しかもアメリカ憲法の中には、州の定めておる憲法以上のものは国の憲法ではこしらえてはならないのであって、州は既存の権力というものを十分保持されておる。独裁政治の最もはなはだしかったソ連においてすらまだ連邦であって、十三の旧ブロックというものはちゃんと残っておる。事ほどそういうふうに、地方自治行政というのは非常にむずかしいのでありまして、したがって、一応府県合併論を唱えると同時に、こうした形で官制の、いまの大臣の御答弁のように連絡をするだけだということで、きわめて簡単なように片づけられておりますが、官制のこういうブロック制度というものが一方においてでき上がってくるということ、それが府県合併にどう作用するかということについては、私どもはまだ相当な論議をする必要がこの際ありはしないかということがこの法案自体を考えてみまするときに考えられる。法案自体は何でもないのですよ。これはいま大臣答弁のようなら、あしたこしらえたからといって別にじゃまになりませんからちょっともかまわない。その効果も私はたいして期待できるものではないと考えているが、いずれにしてもたいした問題ではない。しかし問題の本質は、かなりこの際重要な角度からこの問題を検討していきませんと、いわゆる官制府県合併ができ上がりはしないかという危険性を実は考えるわけであります。そのことはどこにあるかといいますと、この法案の中に書いてありますことを見てまいりましても、国の出先機関地方自治体の長との間に協議会を開くわけでありますが、この際の決定の事項というものに対して昨日もごく一部だけを質問を申し上げて事務当局答弁を得たのでありますが、考えてまいりますと、国の出先機関というのは御承知のようにいわゆる国の出先機関であって、まかせられた権限というのはおのずからきまっております。その範疇を出て出先機関がどうこうするというわけにはなかなかまいりません。地方自治体はここに臨みます場合には、おそらく県議会議決を経て持ち出すものでもなかろうと私は考える、あるいはそういうものもあるかもしれない。しかし地方自治体は、何といいましてもそういう形で行政の上ではかなり弾力性を持っておる。片一方は固定されたものを遂行するということになってまいりますと、どう考えても国の出先機関が、国のすでにきまっておるものの遂行のために、かなり大きな圧力と申し上げますか、力がここに得られることになりはしないか。都道府県が自主的に自分考え方よりも、むしろこの会議は国の行政を推進することのために非常に役立つものに私はなりはしないかということが考えられるのであります。もしそうではないとするならば、この法案を私はもう少し書きかえる必要がありはしないか。ここに羅列をされておりますもの、その他のもの全部を加えてそして会議を開く。国の出先機関の諸君が考えておること、持ち出してくることは、いずれも国できまった範囲のことしか私は持ってこないと思うのです。そして、それの遂行には、都道府県市町村と相談をして国の仕事遂行することには非常に役立つが、地方自治体はそれに押されてしまって、結局地方自治体の自主的な仕事というのはこの場合できないのではないかという感じがするわけです。それはなぜかと申しますと、昨日も御質問を申し上げたのでありますが、ここできめたことを尊重しなければならないと書いておっても、一方には県議会、市議会というものがございまして、ここで議決をしたものでなければ、知事さんも特定市、指定市の市長さんも、この仕事をこうしてくれああしてくれというわけにはまいらぬと思うのです。そしてうちに帰ってみれば、そのことはごめんだということに——議会がこれを承認をしない限りにおいてはその事業はできない。あらかじめ議会できめたことをここに持ち出そうとすれば、それについては各都道府県連絡というものは、こういう場所でなかなかうまくとりにくいのではないかということが考えられてまいります。したがって、この法案自身を見てみまして、私は率直に聞きたいことは、この法案の意味するものは、一体この協議会イニシアをとるものはだれであるか、どちらであるかということである。どちらにウエートが置かれて考えられておるのか。そうした国の施策を、広域行政のたてまえから遂行することに重きを置かれておるのか。都道府県特定市、いわゆる指定市の立場から、広域行政遂行していくことのためにこういうものが必要なのか、どちらにウエートが置かれているのか、この法文だけを見たのではわからないのであります。私がわからぬというのは、むしろ私の感じとしては国の出先の力のほうが強くなるという感じがする。したがって、国の行政遂行のためにこういう連絡協議会というものができておるのではないかということが、私は結果としてはそういうことが言えると思う。一体これはどちらにウエートを置いてやろうとされるのか、その辺がこの法律の中には明確になっておりません。したがって、その辺をひとつ明確に御答弁を願いたいと思います。
  8. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これはどこまでも地方自治体とそれから出先官憲との間の協議会でございまして、どちらにウエートを置くというものではございません。お互い連絡をつけて協調していこう、そうしてそれは結局の目的としては、住民福祉の向上に資したいということでございます。しかし実際の問題としては出先官憲イニシアをとるということでなくて、むしろ逆に府県のほうにイニシアがかかってくるのじゃないかと思いますが、これはもうどこまでも関係府県出先官憲との協議会でございますので、どちらにどうしようというわけではございません。むしろ地方府県としては、国のほうにこういうふうなことをしてもらいたいというような要望が相当出てくるだろうと思います。この点がつまりお互い連絡を密にして、そうしてやりやすいようにしていきたい。それじゃもう法律がなくてもいいじゃないかという議論になるかもしれませんけれども、そうすると事はなかなか進みませんので、こういう一つ機関をつくってお互い連絡を保ちたい、こういうことでございます。
  9. 門司亮

    門司委員 どうもその辺がいまの御答弁だけでは私はあまりはっきりいたしません。私はきのうも申し上げたのでありますが、こういう形でブロック法律できめてしまうということは、この会議の持ち方にもよりますが、私は必ずしも円満に広域行政が完全に行なわれるとは考えられません。そのことは昨日も申し上げましたが、たとえば新潟県のごときは、これは東北に入っておる。新潟県が東北に入っておるのはおかしいようでありますが、これは東北開発のときに、おくれないように新潟もそこに乗っていこうというようなことでなされたといううわさを私は聞いておるのであります。真実かどうかわかりませんが、そのほかのことは地理的に見てまいりましてもやはり東北六県よりもこちらのほうの、中部のほうに接触している面のほうが実は多いわけであります、県自体の形からいいますと。したがって、新潟県における広域行政をしていこうとすれば東北、青森との関係よりも、むしろ長野やその他との広域行政を考えたほうがいい、地理的にも私は得策であり、また問題が解決しやすいのじゃないかということが考えられる。河川行政から見ましても、新潟と富山というものはくっついておるのでありまして、それから長野のほうの関係河川行政からいきましても考えられる。こういうふうにわれわれが考えてまいりますと、どう考えても、これはあまりにも実際的から離れた行政的のものの考え方から出ておるということを私は憶測せざるを得ない。そうして大臣のせっかくの御答弁でございますが、主たる目的はやはり国の出先機関が強化されて、国の仕事が円滑にいくようになりはしないか、ということは先ほども申し上げましたように、国は既定してしまったものを持っていろいろな議論をするのであります。そうして出先の、たとえばここに書いてありますような地方建設局にいたしましてもあるいは農政局にいたしましても、通産局の出先にいたしましても、いずれも本省の既定されたもの、国がきめたものの遂行だけしかここではものは言えないはずである、計画的にこうしましょう、ああしましょうというようなことはなかなか困難なはずである。ところが地方自治体は、それとまったく逆であって、固定したものは何にも持っておらない。議会できめたものをここに持ち出せば別であります。しかしそれでない限りにおいては、知事さんがただ自分の思いつきを考えられるだけであって、そうしてそれをお持ち帰りになって議会にはかったらそう言われたということになりますと、結局計画はくずれてしまう。だから、どう考えても私はその点はいまの大臣の御答弁だけでこれを承認するわけにはまいりませんので、したがってごく率直に、一つ段階として、結論ではございませんが、一つ段階としての考え方からいけば、こういう法案を出さないでも、むしろ広域行政のための連絡協調をすることが必要だということが痛切に考えられるなら、自治法の中に一部改正することのほうが望ましいのではないか。かつて、御承知のように事業団というようなものが自治法の改正で行なわれております。そしてこれが特別地方公共団体ということで、この団体協議をし連絡をし、さらに事業に対しても共同で行なうことができる、起債をすることもできるというように、財政的な権限までこれに与えられておるものがすでにできておる。そうだといたしますならば、関係都道府県が集まって、そうしてそういう団体ができておるのでありますから、それで十分やれるのではないかという気がする。何もことさらにこういう会議をこしらえて、そうしてそこに国の出先機関を全部入れて議論させるというようなことにしなくてもよろしいのではないかということであります。何も法律がなくたって——おとといでありすすが、神奈川県と埼玉県と千葉県との間には、中京を中心とするいろいろ住宅その他の関連性について協議会を持っております。これには指定市でありまする横浜市もオブザーバーとして加わっておることも、私はすでに自治省は知っていると思う。こういう形で、すでに地方自治体がなすべきことは自主的になすということは、自治体の発展でもあり、自治行政の最も大事なことである。地方自治体のなすべきことを、自治体にまかせないで官制でこれを行なわせていこうとするところに、私は今日の政治あり方について、先ほど申し上げておりまするような不信をどうしても抱かざるを得ない。そうして地方自治体権限というものがだんだん縮少されるというよりもむしろ圧迫されて、中央の権力が強くなるようなことになりはしないかということが、どう考えても考えられますので、この点についての大臣の御答弁、ただいまの御答弁だけでは私満足するわけにもまいりません。  と同時にもう一つ、この機会にその続きとして聞いておきたいと思いますことは、この連絡会議で規定されたこと、きめられたことは尊重しなければならないと書いてありまするが、この尊重されるということは、先ほど申し上げておりまするように、国の出先機関のほうは、事業遂行することでありますから、それでよろしいかと思いますが、地方自治体から要求をされて、そうしてそうしようということがきまれば、それを遂行することに私は何もやぶさかではないと思う。ここにありますものは全部きめられたことのみしか、おそらく地方出先機関では考えられません。ところが地方自治体のほうは、先ほどから申し上げておりますように、そうはいかない。うちに一ぺん持って帰らなければいけない、そうしてそこで一応話し合いをして話を進めていかなければならないということになりますと、議会をこの会議がある程度拘束するという形をとらざるを得ないような、私はこの法文だけを読んだのでは、気がする。そこで、ここに書いてありまする尊重しなければならないというのは、一体どの辺までの尊重ですか。地方自治体議会を決して拘束しないんだ、こういうことに答弁が願えればどうかと思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  10. 吉武恵市

    吉武国務大臣 門司さんの御心配になる点は、私、ごもっともであるし、また慎重に考えていかなければならぬ点だと思います。しかしながら、この連絡会議をつくりますゆえんのものは、第一条にもございまするように——先ほど私は、自治体とそれから国の機関とが大いに協議をしていくことである、どちらにウエートということのない、お互いにということを申し上げましたけれどもにおいとして——ごらんをいただきますと、一条にも「地方行政連絡会議は、地方公共団体が、国の地方行政機関と」と、こういうふうに、これは地方公共団体が主だぞという強い意思は出ておりませんけれども、そういうところにも一つにおいが出ているように、やはり地方のそれぞれのブロックにおける府県連絡と同時に、国の機関もそこに連絡をして、そうして住民福祉につながる仕事を計画し、またやっていこう、こういう趣旨でございます。しかしそれがそうはなっておっても、運用を誤りますると国の機関が主体になってしまって、そうして命令がましいことをやるということは、これは趣旨に反することでございまして十分気をつけなければなりませんが、私どもも、戦前でありまするとそういう心配というものもないでもございませんけれども、今日は非常に自治も発達してきておるときでもございまするし、むしろ自治のほうの要望を国の機関に伝えまして、協力させるというふうになっていくのではないだろうか、かように存じております。しかし御心配の点はこれは重要なことで、注意しながらやっていかなければならぬ点であると思います。  それから尊重という趣旨のことでございますが、これはやはりどこまでも尊重でございまして、そこできまったらすぐ各自治体を拘束をして、府県議決もそれに拘束されるというほどの拘束力を持つとは私ども思っておりません。またそこできめられるにつきましては、府県知事にいたしましても、いまこういう問題が議論になっておる、これはもう各関係府県とも、いいことだからやろうじゃないかということになっているから、自分も県のほうも、まあひとつこういうふうに協力をしていきたいということで、県議会とも連絡をして出られるでありましょうし、また出られてこういうふうにしたいということになりましても、それを帰って府県連絡をしていくという運用でいくだろうと思います。そこで連絡会議できまったから、すぐそれが府県議決権まで拘束するというほどの強いものとは私ども考えておりません。
  11. 門司亮

    門司委員 いま大臣から一条の説明といいますか考え方、さらにこれに書いてあります尊重しなければならないという五条ですかの御説明がございましたが、そうだとすると、私はこの文案は全面的に変えて、そして地方連絡会議は、いわゆる地方連絡会議関係都道府県知事なりあるいは指定市を入れるなら指定市を入れた長の会議にして、そうして国の出先機関にむしろこの会議に出席を義務づけていくという、完全に地方自治体連絡会議にしたほうが、私ははるかに自主的であり民主的だと考えられる。この場合は議長はここから出すとか書いてありますが、これは会議の形式でありまして、別に議長が県知事であったからどうこうということはない、これは会議の形式であります。この法律でこれらの諸君を全部集めて、同じような立場で同じように議論をするということよりも、私はイニシアであり、あるいはその主体性を自治体に持たせるというならば、自治体連絡会議であって、これらの国の出先機関の諸君は、その要求に応じて資料を出して、また出席をして説明をしなければならないというような形をここでとるべきではないか。そのほうが私は今日の地方自治行政というもののあり方からいけば正しいと考えられる。対等な立場におい議論させるということについては、私どもいかがかと思います。思うことは、御承知のように国の出先機関は少なくとも自分の命ぜられた範囲、自分の職責の範囲というものについては、これは忠実でなければなりません。したがって、ここで都道府県知事さんと多少の意見が違っておっても、やはり無理にそういうことをやっていこうとする国の出先機関との関係がある。地方自治体が、広域行政を行なうために必要だということで、地方自治体中心としたものの考え方であるとするならば、こういう羅列したものは一切やめて、国の出先機関はこれに対してさっき申し上げましたように資料を提出し、意見を述べることができるというような形で置いたほうが、私はよろしいのではないかというように考えられますが、この私の考え方について大臣の御答弁をこの際願っておきたいと思います。
  12. 吉武恵市

    吉武国務大臣 そういう形も一つでございましょうが、実はそうしますると、国の出先の官権というものは、とかくいわゆるこの会議というものに、オブザーバーとして出ればいいというふうに考えられますると、せっかく協力をさせたいという趣旨がおざなりになるきらいがございますので、やはりこの会議には国の出先機関も入って、そうして地方の要望も聞き、またそこで話がついた問題はお互いに実行していくというふうにしたほうが、実際から申しましてもいいのではないかということで、こういう連絡協議会の制度をつくろうとするものでございます。
  13. 門司亮

    門司委員 その点は、どうもわれわれの考え方と多少違うようでありまして、国の出先機関がこういう法律できめられて、そうして対等な立場で議論をするということになりますと、どうしても国の施策が地方に押しつけられるというきらいを持つということでございまして、国の出先出先で、国としてきめられたことを遂行することのために都道府県の協力を得ることも必要でございましょうが、しかし、地方行政連絡協議会というからには、少なくとも地方自治体にその主導権を与えるということ、それから地方自治体の意見というものが大きくここに反映することができろような施策を講ずることが当然であって、どうも最近の政府の行き方というものは、また自治省が昔の内務省のような形にだんだん戻ってきている。そうしてこういところで——ここ響いてありますのは全部昔の内務省の範囲ですからね。国の出先機関の中に、通産省あるいは林野庁などは多少違うかもしれませんが、大体内務省の所管の事項がここにみな書かれてある。これの運営の監督といいますかに当たる自治省が、旧内務省的存在になるようなことになりはしないかという実は私は懸念をするわけであります。この中で内務省でないのは、財務局でありますとかあるいは地方農政局であり、通産局関係くらいのものが昔の内務省でない範囲であって、あとは全部昔の内務省の範囲である。ことにお聞きをいたしたいと思いますことは、この中に警察の管区の局長が入るということであります。管区警察局長の仕事というのは、御承知のように警察法の五条二項の中にずっと幾つか書いておりますいわゆる皇宮警察に関するものを除くとか、あるいは科学その他の研究ですか、そういうものを除くとかいう二、三の事項が除かれて、ほとんど全部というものがこの管区本部の仕事にあてがわれております。ところが、現在の警察制度は、御承知のように、形ばかりであるとは言っても、都道府県地方警察になっていることに間違いはございません。そうだとすると、都道府県の警察行政というものについては県知事が一々これに加わるわけではございませんで、県の公安委員会が大体これの運営管理に当たっておる。こういうことになろうかと私は考える。したがって、多少関係がないとは申し上げません。予算の関係もありますし、知事は県全体の責任者でありますから、全然治安に対して関係がないとは私は申し上げませんが、少なくとも警察の所掌事項に対して、知事がこういうところで話し合いをして、そうして公安委員会を全然ボイコットする——ということばは少し行き過ぎかもしれませんが、タッチしないところでこれらの諸君と話し合うということは私はいかがかと思います。御承知のように管区警察局長の所掌は、さっき申し上げましたように警察法五条の中に書かれておりますものり中から一、二を除くものの以外はほとんどやはり一応の所掌事務となっていることは御承知のとおりであります。この警察法の管区警察局の仕事というのは、大体国家警察としての警察事務を、どう円滑に地方の自治警察との間に遂行していくかということのためにある問題でございまして、これは私はこの中に書くことはいかがかと考えられるが、その点について、あなたは公安委員長でもございますから、両方兼ねておいでになりますから、上が一つだから下も一つでいいというふうにお考えになるかもしれませんが、どういうふうにこれを調整していこうとするのか。ここできめられた警察関係の処理というものが、公安委員会を無視して直ちに都道府県で実行されるとは私は考えられない。そういう点について、ひとつ突き進んだ話でありますが……。
  14. 吉武恵市

    吉武国務大臣 実は今度のこの連絡協議会で、ひとつ中で連絡協調を保っていただきたいという役所は、第四条で列記しているようなところでございますが、先ほどちょっと旧内務省関係を主体にしておりやしないかという御懸念がございましたが、そういうつもりは全然ございません。中にございまするように、財務局、農政局、営林局、通産局、あるいは陸運局、海運局、港湾局、地方建設局は昔の内務省あたりでやっておりましたけれども、今日では独立しておりまして、決して私ども自治省がこれを昔やっていたからということではなしに、これらに列記されておりますることは、今日では地方自治体とは切っても切れぬような連絡が密になってきている仕事でございます。御説のように、農政関係にいたしましても、昔は農政局を主体に仕事をいたしましても、今日ではもう農業構造改善にしましても、自治体がこれを引き受けてやらなければならぬという問題もございまするし、だんだんと住民福祉につながる仕事が多くなればなるほど連絡が非常に密になっておるわけでございます。営林関係にしてもそうでございまするし、それから通商関係にしましても、中小企業等の問題になりますれば、もう府県とほとんど一体になって仕事をしなければならぬ問題がございまするし、近代化の助成にしましても私はそうだと思います。それから陸運関係にしましても、数府県にまたがるバスとかあるいはトラックその他いろんな交通関係もございます。それから警察にいたしましても、別に国家警察とどうということではございませんで、今日交通は都道府県だけの問題ではなくて、名神国道一つをとってごらんになりましても、もうほとんど広域的な状態でございまして、そういうふうな関係もありまするものですから、自治体とそうした関係の国家機関とが連絡協議を密にして、そうしてやっていこうじゃないかという趣旨でございまして、御懸念になりまする点は、相当注意をしていかなければならぬ大事な点ではございまするけれども、そういう意図は全然ございませんし、また、今日におきましては、そういう心配の方向にいくようなことはまずないのじゃないか。むしろそれよりも、国の機関と離れて連絡がつきにくいということが、かえって住民福祉の上におい仕事をやりにくくしておるので、これをこの程度の連絡協議会というようなことでまあスムーズに進めていきたい、こういうことでございます。
  15. 門司亮

    門司委員 いまの警察行政の点はどうも私わからぬのでありますが、国家警察と地方警察に分かれておって、そしてさっきも申し上げますように、法律の文面どおりにいけば、管区の局長は国家警察の立場から一般警察の所掌事務というものを全部ここで取り扱うことができるように法律は書いてあります。そうなってまいりますと、国家警察と都道府県地方の警察との間における今日の行政上の連絡というようなものはある程度とれておるかと私は思いますが、私が心配するのは、ここで知事さんと話し合ってきめたことが地方の公安委員会を拘束するおそれが出てくるということであります。こういうことをするなら、この中に都道府県の警察を入れるなら、当然それの掌である公安委員会もこれに加えていただきませんと、これは県知事の所掌事務とちょっと違った形を実は持っております。なるほど予算その他については、県議会の承認も得なければなりませんが、警察の運営管理というものは、やはり都道府県の公安委員会がこれをやっていくことに間違いはございません。知事の所掌事務、知事権限とやや異なった形で行政を行なっております場合に、国家警察の出先機関知事さんと話し合って、そうして警察行政を動かしていこうとするものの考え方は、私はやはり、これも悪口を言うようでありますが、旧内務省的のものの考え方ではないかという気がするのであります。したがって、この構成の中にも、先ほど申し上げておりますように、都道府県知事その他が集まって、そうしてこれらの国家機関をここに出席することを義務づけるというようなことになっておれば、私はたいして問題にはならぬかと思いますが、対等な立場で議論するようになってまいりますと、結局地方公安委員会権限を侵す危険性が出てきはしないかということが考えられる。せっかく警察制度というものが、国と地方とに分けて、そして自治警察の——私をして言わしめれば、別に自治警察でもありませんし、自治警察の残骸をとどめておるくらいにしか考えられないのですが、それにいたしましても、ていさいだけは自治警察という民主警察のたてまえをとっております。そのたてまえをここでこわす危険性を私は感ずるのでありますが、国家公安委員長として、そういう点は全然ないんだというようにここで断言できますか。私は断言できないと思いますが、できますか。
  16. 吉武恵市

    吉武国務大臣 御承知のように、警察はそれぞれの公安委員会のもとにございます。しかしながら、府県とも連絡が非常によくいっておりまして、現在のところ、府県自治体といわゆる各地方の公安委員会との間にうまくいかないというようなことも聞いておりません。非常に円滑にやっておるところでございますから、こういうふうな、いわゆるブロックにおける連絡協議会ができましても、その点は私はそう心配はないのではないか、かように存じておるわけであります。  それからまた、各地方の公安委員との関係におきましては、随時また中央の国家公安委員との間の連絡会議等もございますので、先ほど申しましたように、この連絡協議会で決定したら、それがすべて拘束するというほどのものではございません。それは府県自治体先ほど申し上げましたようなものでありますし、それから各府県の公安委員についても同様でございます。
  17. 門司亮

    門司委員 そうすると、こういうふうに解釈してよろしいのですか。この法律結論としては、第一条に書いてありますことの解釈は、これは第一条は目的でありましょうから、すでにきめられた問題を円滑に遂行していくことのためにだけこういう協議会があるのであって、新たな発案、新たな構想というものは、この協議会には持ち込まれないというように解釈してよろしゅうございますか。
  18. 吉武恵市

    吉武国務大臣 その点は第三条にございますように、「連絡会議は、第一条の目的を達成するため、地方における広域にわたる行政の計画及び実施について必要な連絡及び協議を行なう。」こういうふうになっておりますから、きまったことだけをただ実施するだけではございませんで、こういうことをやろうじゃないかということも同時に御協議をして差しつかえないと思います。
  19. 門司亮

    門司委員 そうすると、一条の条文が少しおかしくなりはしませんか。私はその点を確かめたかったのでございますが、一条の条文はまん中から下のほうに、「地方における広域にわたる行政の総合的な実施」と書いてあります。これは計画が含まれるのですか。この中に「円滑な処理」と書いてありますが、処理は処理でいいのでしょうが、この実施という中には計画も含む、いわゆる三条の計画も含むというこれは解釈をするのですか。
  20. 松島五郎

    ○松島政府委員 一条では包括的に書いてあるわけでございますので、「総合的な実施及び円滑な処理」というふうに、対句のようなことばを使ってございますけれども、ここではいろいろな計画を立てたり、あるいはそれをどういうふうにやっていくかというような問題も含めて、地方行政が円滑に進むように、こういう趣旨でございますので、御指摘のとおり計画を立てるというようなことも含まれておると考えております。
  21. 門司亮

    門司委員 そうなると、さっきから私が懸念いたしておりますように、地方議会との関係が非常にむずかしくなってきて、めんどうなものが出てくる。一条をそのまますなおにとって、そうして「実施」と書いてありますから、私は計画ではないと思う。計画と実施は違うと思う。「総合的な実施」と書いてありますから総合的な、かりに道路なら道路というようなものをお互いの計画の中に考える場合、たとえば神奈川県と静岡県とが大体似たような計画を立てておる。また国もそれを貫通する計画を立てておる場合に、神奈川県は本年度やるが、静岡県は来年度やるというようなことでは困るではないか、こういうものの実施をお互い連絡していこうということが私は必要だと思う。しかし計画までするということになると、県議会との関係が非常にむずかしくなってまいります。計画をしてここでどんなにきめても、県議会がどうなのか、それきりになってしまいます。そうするとこの会議をせっかくこしらえたが、有名無実であって、結局何かしら費用倒れということに——費用は都道府県が持てと書いてありますから、国のほうが持つと書いてありませんから、国としては非常に横着だと思いますが、費用はみな都道府県で出せと書いてある。国のほうは出さなくてもいい。そうすると結局は計画倒れであって、決議倒れのような形でむだなものが出てきやしないか。この三条の解釈と一条の解釈の間に——どもはいまの御答弁だけでは、一条がどう考えてもわからない。念のためにそういうことがあろうかと思って念を押したのでありますが、そういう御答弁では、この法律が非常にあいまいな法律であり、非常にむずかしい問題になってくると考えますので、もう一応県議会とあるいは指定市の市議会とここに出る長との間における計画の問題と、それから尊重という、いわゆる三条と一条と五条の関係というものは、私は非常にむずかしい関連性を持っておると思いますので、もう一応都道府県知事は、ここで計画したことが五条にある尊重をしなければならないということの意味において、私はある程度拘束をすると解釈するほうが正しいと思う。条文そのものを読んでいけば拘束するといったほうが正しいと思いますが、計画の範囲というのは一体どの辺まで自治省は考えておりますか。
  22. 松島五郎

    ○松島政府委員 計画の範囲の問題でございますが、これは計画と申しましても、あらかじめこういうものだけを計画と言い、こういうものは計画と言わないのだというふうに固定して考えておるわけではございません。個々具体的な問題にあたりまして、こういう道路をここからここまでお互いにつけ合おうではないかというような場合は、それが一つの計画になろうかと考えます。さらにまたそれぞれの県がすでに決定した計画につきまして、それぞれが来年度はここからここまで、再来年度はここからここまでというように、それぞれの県が立てております具体的な実施計画につきましても、他の県との関係上、早くこちらのほうをお互いにやったほうが相互に利便であるというような場合に、それをつくり直すというようなことも計画というように考えられるわけでございまして、計画とあり、実施とあるからといってそう根本的に違うものであるというふうにはならないのではないかというふうに考えられます。  それでただいまお尋ねがございました計画と実施、あるいはそれが尊重義務との関係におい県議会を拘束するものかどうかというお尋ねでございますが、これは昨日も申し上げましたとおり、県の議会は県の議会として独自の判断に従って、県という自治体の最終意思を決定する機関でございますので、ここできまったからといって、それによって拘束されるものというふうには考えておりません。ただ具体的な運用にあたりましては、やはりいろいろと問題になっている事項を取り上げるわけでございますから、その際には県議会の意見も十分何らかの方法によって確かめまして、それをもとにしてそれぞれの県の知事、あるいは指定市の長というものが会議に臨んでする、こういうようなことになろうかと考えております。
  23. 門司亮

    門司委員 どうももう少しまっすぐ字を読んでくれませんかね。三条にはこう書いてありますよ。「地方における広域にわたる行政の計画及び」と書いてあります。計画の実施について必要な連絡と書くならこれはまた話はわかりますよ。おのおの計画を持っておりますから、その計画を実施するために必要な連絡会議を開くということならわかる。しかし「及び」と書いてある。計画はぽつりと切れておる。そうすると、私どもは単なる計画としか考えられない。あるいは構想としか考えられない。すでに計画したものを実施するにあたって連絡をしていこうということなら、これは都道府県お互いにおれのほうではこういう計画を持っているから、これを遂行するにはそちらのほうの県でこういう計画を立ててくれないか、あるいはこういうふうにしてくれないかとか、お互いに話し合うことが、私は今日の広域行政のたてまえからいけば、一つ考え方だと思うのです。しかし、ここではちょっと切れておって、「計画及び」、こう書いてある。そうすると、計画を立てるということになる。個々に計画を立てて話し合ってまいりますと、五つの県、多いところでは八つか、九州ども八つでありますが、東北も六つか、七つになるでしょうが、そこで、知事さんがお集まりになって、そして計画を立てちゃってから、それがそのまま下におりてくる。各都道府県で計画したものを、お互い連絡協調してつないでいこうという話なら、私はわかると思うのですよ。ここでははっきり「計画及び」と書いて、切れちゃっているものですから、私たちはどう解釈を  しても、新たなる構想をここに持ち込むことができる。新たなる構想がきまったものは尊重する。そうすれば、議会を拘束をする。ある意味において、拘束ということばが強ければ、これはある程度県議会に圧力を加えることにならざるを得ないということになるわけです。おそらく知事さんの説明にしても、皆が話し合ったことだから、ぜひ通してもらいたいということくらいは言われると私は思うのですよ。だからおのおのの県の計画を持ち寄って、そしてこれをどういうふうにつなごうかとか、自分の県ではこういう道路をつけたいと計画をしているんだから、この計画におまえのところは協力してくれないか、あるいはそういう計画があるんだということで、いわゆる既定の事実によって相談をするのなら、私は話はわかる、しかし、そこで計画を立てるということについては、私はいま申し上げましたようなことで、ちょっと疑念があって、いまの答弁だけでは、そうこれでよろしいというわけにはまいりません。  こういうふうにずっとこのまま考えてまいりますと、この法律自身というものがきわめてあいまいな法律であって、そして、先ほどから私が申し上げましたように、意図いたしておるところはどこかといえば、結局昔の、また八つなり九つのブロックに日本の行政を区切っていこうとすることになりはしないかということが、どう考えてもこの法案全体を見て考えられるのであります。  それからさらにもうひとつ、私はこの機会に案の内容を聞いておきたいと思いますことは、こういう形できめられたものが、市町村との間における連絡はどこでとるのかということであります。今日の自治体は、御承知のように知事だけがものをきめるわけではございませんで、結局自治体行政というのが市町村まで及ぶということは当然でありまして、それらの問題は全然考えていないということでございますか。
  24. 松島五郎

    ○松島政府委員 市町村との関係につきましては、これは一つの県の中の問題として処理される事柄でございますので、現在においても一つの県の中においていろいろな行政をやっていきます場合には、関係市町村と十分な連絡をとってやっていっているものと考えられますし、またそうでなければならないわけでございます。この連絡会議におきましても、県と、その県内における市町村との関係は、同様な形で進められていくものと考えております。
  25. 門司亮

    門司委員 そうすると、もう一つ行政の問題で、事業団との関係はどうなりますか。
  26. 松島五郎

    ○松島政府委員 事業団との関係におきましても、事業団自体が一つ事業を実施する特別の地方公共団体でございますから、事業団との関係においても、市町村と何ら異なることはないと考えております。また、市町村のつくりました組合等との関係においても同様でございます。
  27. 門司亮

    門司委員 私の聞いておりますのは、事業団は適宜に一つ事業中心として、他の自治体協議し、決定して行なうことができる特別の団体になっております。その上に、もう一つこれができることになる。そしてここで協議したことが尊重されるということになりますと、これは屋上屋のような形がどうしても生まれるんじゃないですか。広域行政遂行していこうとするには、現在の範囲においては何を広域行政と目されておるのか。広域行政の範囲というのはどこまでが含まれておるのですか。この事業団との関係で、どうしてもそれを聞いておかないと、広域行政広域行政と一口に言われているんだけれども、どの辺までこれがこの中に含まれているのですか。
  28. 松島五郎

    ○松島政府委員 この広域行政の点につきましては、第一条にもございますように、「地方における広域にわたる行政」と書いてあるわけでございまして、私ども考え方といたしましては、少なくともこの連絡会議において論議の対象となりますものは、府県の区域を越える広域行政と考えておるわけでございます。府県を越える広域行政とは、具体的には何があるかというような問題と相なってまいりますが、地域開発の問題でございますとか、あるいは道路交通の問題でありますとか、あるいは水資源開発の問題でありますとか、あるいは観光ルート開設の問題でありますとか、一つ一つ例をあげますのもどうかと思いますけれども、そういった問題について最近は単に一つの県内だけの問題としてでなく、数府県にわたって問題を考えていかなければならないという面が非常に多くなってきておるわけでございます。そういったものをここでは広域行政としてとらえておるわけでございます。
  29. 門司亮

    門司委員 私がその点を聞いておりますのは、自治法の二百九十八条を読んでごらんなさい。大体広域行政がずっと書いてある。「普通地方公共団体は、一定の地域の総合的な開発計画に基づく次の各号に掲げる事業で当該普通地方公共団体の事務(当該普通地方公共団体の長の権限に属する国の事務を含む。)に属するものを総合的に実施するため、他の普通地方公共団体共同して、これらの事業の実施を委託すべき地方開発事業団(以下「事業団」という。)を設けることができる。一、住宅、工業用水道、道路、港湾、水道、下水道、公園緑地その他政令で定める施設の建設(災害復旧を含む。)、二、前号に掲げる施設の用に供する土地、工業用地その他の用地の取得又は造成」、こう書いてあります。そういたしますと、主としてこれは都市計画に属する仕事のように考えられておりますが、港湾、道路というようなやはり産業経済に関係する問題も、かなりこの中に含まれておることは御承知のとおりであります。そうなりますと、この連絡会議法案の行なうべき仕事と、地方開発事業団の行なう仕事というものが、全く重複した形のものがここでやれるのであります。何も出先の官庁の諸君を集めて協議しなくても、やろうと思えば、その事業一つ一つ完成させることのために開発事業団がやれる。そうしてこの開発事業団は、起債をすることができるという財政的の裏づけがあるはずである。連絡協議会には何もそういうことがないでしょう。きめられたものをやらなければならないというものは何もないはずである。私はむしろさっきから申し上げておりますように、この法案とこの自治法との関連性を見てまいりますと——もう一つはきのう、おとといでございますか、吉田さんの質問の中にございました、いわゆる各地方ブロックごとにおけるいろいろの、近畿開発であるとかあるいは東北開発であるとかいうような開発事業団との重複というものを、どうしても私は考えないわけにはいかない。したがって、この事業団が完全に動くということになってまいりますと、こういう連絡協議会というようなものは要らないのである。事業団の場合においては、これは地方の公共団体、いわゆる地方自治体がこれのすべての計画、すべての責任をしょってやっておるのでありますから、私は、数府県が連合してこういうことをやろうと、何をしようと、たいして自治権を侵害するようなことはないと考えておりますが、今度の法案の場合は、どう考えても国の出先機関のために、いわゆる連絡協議会という名前を使ってこの法案が出されておるとしか考えられない。それでなければ冒頭に申し上げましたように、官製の都道府県合併をここで行なっていこうとする考え方にほかならないと私は思いますので、事業団との関係においていまの広域行政の説明だけではわかりません。この地方開発事業団の「設置」と書いてありますいわゆる地方自治法の二百九十八条に書いてありますのと、今度の連絡会議協議されるのと違うのがどのくらいありますか。繰り返して申し上げておきますが、私はこの種の法案は、どこまでも地方の公共団体の指導によって動くという形をとると同時に、それはすべて地方住民に直接関係のある行政上の措置でなくて、事実上の恩恵を与える事業というものがやはり中心にならなければ、ほんとうの地方住民のための開発にならないはずである。こういう会議をどんなに開いても決して地方住民の幸福にならないと思う。むしろ地方公共団体のたてまえから見て、地方住民のために、この事業団をもう少し活用するほうが私ははるかに有利だと思う。その意味において、さっきから申し上げておりますように、当該都道府県知事連絡会議に国の役人が出て説明をし、資料を提供することができるというような、国の機関がこれに従属する形をとったほうがはるかにいいと私は考える。したがって結論的に、私がお尋ねをしなければならないことは、この開発事業団のほうに書いてあります以外に何かやろうというのですか。いま大臣は中小企業や何か、いろいろあるとおっしゃいましたけれども、中小企業の問題でどんなものが府県にまたがってあるのかわかりません。そうしてこれが横に連絡しなければならないようなものがあるということは、私にはわかりません。国の一つの方針として融資をするとか、あるいは手形の問題をどうするとかいうような問題は、これは国の法律の中でそしゃくされるべきであって、静岡県と神奈川県の知事さんが集まって、中小企業をどうしましょうという相談はなかろうと思う。むしろそこで相談をするものは、道路であるとか工業用水をどうするかとか、そういうような問題、むしろさっきEECの話も山ましたが、かりに経済問題を中心としてものを考えれば、おまえのほうではミカンができるからミカンをつくってくれ、おれのほうでは玉ネギだけを県の農業行政の中でつくるようにしようとかいうような話し合いは、ある程度できるかもしれない。それが需要との関係で交流するような話は、ある程度できるかもしれない。しかし中小企業の問題等のごときは、別に都道府県間の連絡協議を持たなければならぬほどの問題にはならないのじゃないかというように考えます。こういう形で、どう考えてもさっきの広域行政の説明だけでは納得しがたいのでありまして、この地方開発事業団に書いてありますいわゆる仕事の量以外に、どうしてもこういう協議会がほしいのだという何かあなたのほうで資料なりあるいは御説明ができるなら、ひとつ説明をしていただきたいと私は考えるわけです。
  30. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御指摘なりましたように、この連絡会議で話題になります問題と、地方開発事業団が実施の対象といたします問題とは、事柄といたしましては同様なものが多いかと思うのでございます。ただ事業団は、御承知のようにあくまでも事業を実施するための地方公共団体でございまして、この事業団でどういう事業を実施したらいいかということをきめるわけではございませんで、すでにきまっております事業をこれに委託をいたしまして実施をさせるという、いわば現業的な事業の執行団体でございます。  そこで、実際の問題といたしますと、これは普通地方公共団体となっておりますので、法規上は都道府県間で構成をする事業団もあり得るわけでありますが、ここにあげてございます事業は、先ほど先生も御指摘なりましたように、都市計画的なものが中心になっておりますので、現在事業団ができておりますのは新産業都市の区域に指定されました区域内の市町村、あるいはそれにその所在の府県が加わりまして、その新産業都市の建設計画によりました事業の実施を共同でやるというようなことに利用をされておるわけでございます。  連絡会議はもっと広い府県間にまたがります問題、さらに広くブロック単位で関連をいたします問題につきまして、連絡協議をいたすわけでございますので、おのずから機能が違うわけでございます。したがいまして、連絡会議連絡協議をいたしまして、その結果自分の県のこの区域では、こういうような事業を実施しようということになりました場合に、その実施の一つの方式といたしまして、事業団をつくって事業をやらせるということもあり得るとは思いますし、また事業団事業をやってまいります上に、隣の県、国の出先機関との間で連絡呼応するような問題が出ました場合には、関係知事連絡会議に問題を持ち出してそこで協議をするというようなこともあり得ようかと思うのでございます。いずれにいたしましても、片方はすでにきまりました事業の実施のための団体でございますし、片方はもっと広い範囲におきまして、いろいろ関連する問題を連絡協議するということでございますので、私どもは、この両者の間に矛盾があるとか、あるいは屋上屋を架するというようなことは決してないものと考えておるわけでございます。
  31. 門司亮

    門司委員 そうすると、この二百九十八条をもう少しよく読んでごらんなさい。さっき私が言ったとおりですよ。「一定の地域の総合的な開発計画に基づく」と書いてあります。「一定の地域」と書いてありますからどの地域かわからぬ、どのくらいの地域かわからぬ。これは事業の施行範囲をさしたものだと解釈すべきだと思います。したがって、ここに書いてあります住宅の問題にいたしましても、あるいは工業用水の問題にいたしましても、今日の地方自治体の実態から考えてまいりますと、さっき申し上げましたように東京を中心として住宅政策はどうするかということ、東京だけ、いわゆる首都圏整備法という法律がございますけれども、これのみによって律せられるものでないということで、一昨日は神奈川県と千葉県と埼玉県が集まって、住宅の問題をどう受け入れていこうかという相談をしておる。こういうことは、自主的にまかせておいたらいいじゃないか。法律でこの間建設局を入れてああしなさい、こうしなさいと、よけいなことを言わせなくてもいいじゃないですか。必要があれば、自治体のほうで建設局を呼ぶことができるように法律を書きかえておいたほうがよほどいいと思う。どう考えてもこの法律あり方というものは——事業団があって、その上にもう一つこういうものをこしらえて、この事業団をしてここで計画したことをなさしめるというようにいまの説明では聞こえるのであります。そうなってまいりますと、ますます屋上屋を重ねるようなもの——幸いにして開発事業団ができております。これは開発という文字を使っておる、単なる事業団ではないのだ、きまったものをやる事業団ではないはずだ。ここには計画ということが条文の中にずっと書いてある。そしてこれはさっきから申し上げております資金の調達もちゃんとできるようになっておる。計画は三百条にそう書いてある。「設置団体は、その議会議決を経てする協議により、事業団に委託すべき事業に関する計画」とちゃんと書いてある。ここは、あくまでも議会が尊重されて、きめられたことを事業団に実施させるということが書いてある。片方のほうでは一条と三条の食い違い、五条との関連性というものはきわめてあいまいでありまして、一条のほうには何か実施することが目的のように書いてあるが、三条のほうには計画を明らかに立てる、実施団体ではない、実施だけを目標にして話し合うものではない、計画まで話し合う。五条のほうにはこれを受けて尊重しなければならないと書いてある。そうなってまいりますとこの法案事業団との関連性というものはきわめてあいまいであって、私は、ほんとうによけいなものというとおこられるかもしれませんが、不必要な存在になりはしないかということと、行政をいたずらに混乱させるだけであります。ほとんど何らの効果はない。むしろさっきから何度も申し上げておりますように、事業団をして完全に事業を行なわしめていこうとするならば、都道府県知事会議において順次どこでもできるような、いわゆるどの府県とでも、関係のある府県と自由にこの事業団法律に書いてありますように関連を持つことができて、そして事業遂行していく、その間に国の出先機関の意見を聞いていくなり、国の計画をその中でそしゃくをしていくなり、国と地方との連絡をここで保っていくというような形のほうがはるかに民主的であり、現在の自治法の精神から見ても、そのほうが正しいのであって、自治省がこういう官治行政、にひとしい、官治行政と申し上げても差しつかえないような組織を持たれること自身、私は非常に遺憾に考えておる。全くこれは官製の都道府県連合であり、官製の都道府県合併を推進する一つの意図を持ったものであるという悪口を言えば言えるのであります。こういう考え方をなくするように、もう一応説明していただきたいと思いますことは、事業団との関連性は、一体それなら法律の文面の上からいって、どこでマッチするかということであります。これはここで計画をされ、五つなら五つ、十なら十のグループごとに計画をする、その事業計画というものが事業団にどうおりていくかということです。ここで計画したことは、おのおのばらばらにやるのか、あるいはこれは事業団との連絡関係をつけていくのか。そういたしませんと、ある範囲においては、都道府県がかってに——かってにというと悪いのでありますが、自由に事業団というものをこしらえて、たとえば工業用水をどうしましょうということで、三つなら三つの関連のある県が話し合って工業用水を進めていく。あるいは道路なら道路の問題についても、三つなら三つ、四つなら四つの県がこういう形で道路をつけていこうではないかということで、事業団に話して事業団にやらしていく。その上にもう一つこういうものができる。それに計画させる。これは県が事業団と別に単独にやれるということですか。そうすると、事業団仕事というものがますます複雑化していく。そして、これは事業団でやるのだ、これは向こうとの話し合いだからこっちのほうでやるのだということになるのですか。そこできめられたこの広域行政については、この広域行政を主とした、地方開発を主とした目的でつくられたいわゆる地方開発事業団というものが行なうようになるのか。それとこの法律との関連性をひとつ明快に答弁をしていただかないと、非常にややこしいものをこしらえることになると思う。
  32. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 事業団の二百九十八条あるいは三百条について御指摘がございましたが、この二百九十八条で「普通地方公共団体は、一定の地域の総合的な開発計画に基づく次の各号に掲げる事業」、こういたしておりまして、この「一定の地域の総合的な開発計画」というものは、これは先ほども例に申し上げましたように、一つは新産業都市の建設計画、あるいは工業整備特別地域の整備計画というようなものが典型的なものでございます。これはこの計画自体を地方開発事業団で立てるのではなくて、それは別に、新産業都市の場合でございますれば、新産業都市の建設計画というものがその法律によってつくられるわけでございまして、そのつくられました計画に基づいて行なわれる事業をやります場合に、各地方公共団体がばらばらにいたすよりも、これを、その次にも書いてございますように、「総合的に実施するため」ということで、ばらばらでなくて、関連して事業を総合的に実施するための一つの方法といたしまして、この地方開発事業団という制度があるわけでございます。したがいまして、この地方開発事業団は、そこに列挙してございます事務のうちで、たとえば道路なら道路だけを取り上げてやるというようなことは、予想をいたしておらないのでございます。  それからなお、三百条の計画というのがあるじゃないかというお話でございますが、これはこの事業団が委託を受けていたします事業につきましての計画でありまして、これはその委託されます事業について、それを何年計画でどういうふうにやっていくかという、きわめて具体的な実施の細目を内容といたしますものでございまして、二百九十八条の冒頭に書いてございますような地域の総合的な開発計画というものではないのでございます。  そこで、この連絡会議との関係でございますが、連絡会議におきまして協議をいたします対象となります計画というのは、これは千差万別でございますが、これは、もっと広い範囲におきまして、どのような開発計画を立てていくかというようなことが、府県間で相談を要する場合に、相談することになりましょう。そういう計画が連絡会議連絡調整をいたしました結果できましたもので、その計画のこの部分については、この地域の部分については開発事業団をつくってやらせたらよかろうということになりますれば、この実施機関といたしまして、開発事業団をつくるということが起こり得るわけでございます。
  33. 門司亮

    門司委員 そうすると、どうしてもこの連絡会議というのは、地方開発事業団のやはり上部機関ということはどうかと思いますが、結局ここで計画され、あるいは話し合われたものがこの事業団に移ってくる、こういうことに、いまの答弁では解釈しておいたほうがよろしいのではないかと私は考えますが、そのとおりですか。
  34. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 そういう場合が多かろうと思います。
  35. 門司亮

    門司委員 そうすると、この地方開発事業団というものとの関連性が、上と下というような形が出てくるということになりますと、私どもは、この地方開発事業団審議いたしますときの考え方から見ると、かなり違います。われわれがこの法案についていろいろ議論をいたしましたときには、私どもは必ずしも特別地方公共団体というものを喜ぶわけではございません。これが非常にたくさんできるということは、地方行政を混乱させる一つの大きな災いになりますので、特別地方公共団体なんというものはできるだけ少なくしたほうがよろしいと考えておる。同時に、特別地方公共団体の定義についても、かなり多くの疑問を実は持っておるのであります。しかし、法律は一応できておりますので、いまさらそれをここで議論するひまもないかと思いますが、そういたしますと、この三条に書いておりますいわゆる「行政の計画及び実施について必要な連絡」ということになってまいりますと、この事業団との関連性が、いまのような御答弁であるといたしますと、この事業団に委託する範囲のこの法律に書かれておりますることも、この行政連絡会議法案に書かれておりますることも、ほとんど実際は同じようなことが実は書かれているのです。最も大きな目的とするところは、この一条に書かれておりまするいわゆる「地方における広域にわたる行政の総合的な実施及び円滑な処理」というのが、これの中心であろうかと思います。そうすると、事業団におきましてもやはり同じように書いておりまして、「地域の総合的な開発計画に基づく」というような形で、いわゆる総合的という文字は、同じように使われておる。ただ、ここに考えられるのは、事業の範囲というものが、ある程度限定されておる。政令で定めるものということをつけ加えております。ところが、こっちの場合には、そういう事業計画だけでなくして、いわゆる単なる行政上の措置として考えられる管区行政監察局やあるいは管区警察局というようなものがここに加わってくる。この点は私は事業団とは違うと思う。事業団の範疇を出ておるものだと考える。したがって、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。この法案の中で事業団にやらせることが適当だと思うようなものは事業団でやらせるであろうということに大体解釈することがいい、そういうことだと私は思う。そうすると、それ以外のものについてここでやっていこうとすれば、先ほど申し上げておりますように、警察なんというのは、こんなところでかってにきめられて、それが都道府県の公安委員会におろされてそれを実施しなければならないということになりますと、知事権限と公安委員長権限というものを一体どういうふうに公安委員長はお考えになっておりますか。その辺を少し明確に聞いておかないと、この条項だけは非常に心配があります。
  36. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど申しましたように、これは連絡会議で計画を立てまたは実施をする連絡協議でございまして、どこまでも尊重するということでございます。それぞれの権限を侵すことは一つもございません。ですからここで決定したことが府県権限を侵すこともございませんし、また公安委員権限を侵すこともございません。どこまでも連絡協調をして、そしてよりよき住民福祉になることを進めていきたい、こういうことでございます。
  37. 門司亮

    門司委員 それは月並みな答弁で、だれでもそう言うのです。私はそれ以上のこと、権限の相違を聞きたいのです。警察法をどう解釈されているかということです。都道府県知事の警察権というものがかりにあるといたしますならば、どの程度まであるのか。ここには公安委員は出ないで知事さんがお出になるのですから、そして管区局長が出てくるのですから、知事さんと管区局長との間にお話し合いがあって、そしてそれが地方の警察におりてくる。しかし地方の警察の管理運営は小安委員会がやっている。したがって、自分権限外のことだと私は考える。したがって、都道府県知事都道府県公安委員長との間における権限は、どの辺まで知事が警察権に介入することができるのか、その辺だけをひとつ聞いておきたいと思うのです。
  38. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは先ほど申しましたように、現在のそれぞれの権限を侵すところば一つもございません。侵すつもりもございません。
  39. 門司亮

    門司委員 これは誘導するようで悪いのでありますけれども、ごく善意に解釈すれば、警察の権限というのではなくして、実施面において、お互いの県でオートバイが足りない、あるいは白バイが足りないとか、これでは交通行政がうまくいかないとか、あるいはゴーストップの信号灯が少ない、道路の照明が悪いじゃないか、これは直接は公安委員会の問題でもあろうが、ひとつ予算に関係する問題であるから知事さんのほうで奮発してくれないかというような場合は、あるいはできるかもしれません。その範囲なら、管区局長の意見というものも考えられると思われる。これらの問題に限る、それ以上は権限外だからやれないのだという意味では、大臣答弁のようなことでいけば、あるいはそういうことが考えられる。しかし問題になりますのは、何といっても知事というのはその県全体を一応総括する——警察権自身は持っていないにいたしましても、責任者であることに間違いはない。そうだといたしますと、管区局長の意見というものが、知事を通じて公安委員会をある程度拘束する危険が出てきやしないかということです。ことに公安委員会の警察の仕事というのは、いまは絶対にないとは言っておりますが、保安関係というようなものがあって、ある程度の思想警察にひとしいようなものがないわけではございません。これらの問題が大きくなってきて、それが管区局長の意見として出てくる。これは知事さんの権限外であるといたしましても、知事さんがお聞きになって、帰って公安委員長にそういう伝達をされる。しかし権限外であるから、それはそっちがいいようにしたらいいだろうというようなことに答弁としてはなるかもしれない。しかし影響を受けることは私は事実だと思う。こういうことが考えられますから、これが広域行政にどれだけ関係があるかということについての考え方というものが私にはわからないのであって、さっきから聞いておりますように、ここでいう広域行政というのはどこまで含むのだと聞いても一向答弁してくれない。片方の事業団のほうにはちゃんと書いてある。これ以外に何を含むのか、そういう警察行政まで含むのか、あるいは管区行政監察局も入るようになっておりますので、結局地方自治体間におけるいろいろな行政上の監察というようなものもこの中に含まれて、そして監察局の意見というものが都道府県知事を通じて、実施されようとするのか。この法律にいう総合的開発と、事業団法にいう総合的開発とはどれだけ違うかということです。その点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  40. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 事業団との関係につきまして重ねてのお尋ねでございますのでお答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、事業団が実施いたします事業の種類は法律特定されておりますし、しかもこれらの事業を相互間にばらばらでなく、総合的に実施させるための機関として設けてあるわけでございますから、実際にここに掲げてございます事業一つ一つをとってみますと、先生のおっしゃいますように、連絡会議で扱います広域行政と同じものでございますが、これを一つの地域において総合的に取り扱うということになりますと、どうしても地域が限定されてこざるを得ない。そこで実際問題といたしましては、新産業都市に指定されました区域で、新産業都市の建設事業をやりますような場合に、関係市町村と県とでつくるというケースに利用されておるわけでございます。  そこで連絡会議で問題になりますのは、たとえば同じ道路にいたしましても、国土縦貫道路あるいは高速道路のごとく、府県間にまたがります道路につきまして、それぞれ県の要求もあるわけでありまして、それをこの連絡会議でもって話し合って、調整をしていくというようなことになると思います。  それからいま警察のお話もございましたが、高速道路なり縦貫道路というような幹線道路が府県間にまたがって、関係知事さんが協議をいたす場合におきましては、警察もまた交通取り締まりの見地から、それらの道路のつけ方なり、あるいは幅員なり、構造なりというようなものにつきまして、意見もあるだろうと思うのでございまして、そういうようなことで、同じ問題とされますものも、連絡会議の場で問題にされますことは、府県間にまたがる問題が中心になるわけでございますし、事業団で実施をいたしますものは、それよりもっと限局されました地域における事業ということが問題になる、かように考えておるわけでございます。
  41. 門司亮

    門司委員 だんだんわかってきました。そうすると、これは全く国の機関のためにこしらえるということですね。ここに書いてある広域行政というのは、地方自治体における広域行政ではなくて、国の広域行政を行なうということのためにやるということですね。そうすると、この法律自体というものが、こういう形であってよろしいかということを私はどうしても議論せざるを得ない。私はその辺が最初から考えられたのでいろいろ質問しておるのであります。地方行政連絡会議法というのは、ここに書いてあります「行政の総合的な実施及び円滑な処理を促進し、もって地方自治の広域的運営の確保に資することを目的とする。」これは全くうそですね。国の計画に基づいて地方をいかにこれに協力させるかということが、主たる目的であるようにどうしてもいまの答弁では考えざるを得ないのです。縦貫道路なんというのは国の計画でしょう。たとえば縦貫道路というような大きな道路をこしらえるのは国の計画でしょう。そうすると、どう考えてもこの法律は、ここに書いてある一条の目的と全然違ったことになる。国の立場から、広域行政に対して、いわゆる国の産業開発のために地方自治体がこれに協力をしていくことのための法律だと解釈することのほうが正しいのではないかと私は考える。そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  42. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私のあげました例が、たまたま国の事業なりますものでありましたので、そのようにおとりになられたかと思いますが、それはそうではございませんで、もちろんそういうような国の事業計画に対する地方団体間の意見の調整、国の機関との調整ということも問題になりまするが、地方公共団体自体の実施すべき事業についての連絡協議が主たるものになることは申し上げるまでもございません。府県間にまたがって関連をいたします、両県にまたがっていろいろと地域開発を計画しなければならぬという例もいろいろございまするし、あるいはまた水資源の開発というような問題もございましょうし、いろいろそれはあるわけでございまして、決して国の事業が主になるということではございません。ただ、地方開発事業団の扱いますものと、連絡会議で話題となるのであろうというものとの違いを御説明申し上げますために、わかりやすい道路を例に申し上げたわけで、そういう趣旨ではございません。
  43. 門司亮

    門司委員 あげ足をとってあまり文句を言うこともどうかと思いますけれども、どう考えても、この事業団との関連と、それからこの一条と三条と五条との関連性は、ただいままでの説明では私はどうしても納得がいかない。もし当局の説明するような形であるならば、私は、ここに何でもかでも地方地方というようなことを書かないで、単に国の広域行政に対してというようなことを書いたほうが法律のていさいもいいし、通りやすいと思う。ここには「もって地方自治の広域的運営の確保に資することを目的とする。」なんて書いておいて、いかにも地方自治体のためにというように書いておって、そうして国のそういう施策についていろいろな問題が出てくる。そうでないとするいまの御答弁が正しいとするならば、あくまでもこの法律は主体を地方公共団体——たといこれをブロック別にわれわれが認めるといたしましても、都道府県知事会議において、これに関連のある国の出先機関の諸君がこれに材料あるいは資料を提供することができる、意見を述べることができるというような形で、あくまでもこれは地方自治体広域行政を主体とするのならば、これは国の広域行政地方自治体の行なう広域行政と、おのずから限界があります。これはおわかりだと思うのです、そのことのために国道があり、県道があるのである。あるいは市道があり町村道がある。一つの問題でもそういうことになっておる。道路一つとってもそういう限界があるはずである。したがってこれがあくまでも地方の公共団体を主体とした広域行政中心とするというお考えならば、この並列した会議の持ち方でなくして、あくまでも地方自治体中心になって、これに国が協力していくという自治体本位のものにしていただきたい。また、国のことを施行していこうとするなら、それは国のそういう事業について、地方自治体が協力することができるような形がやはりとられるべきではないかと私は考える。しかし、これは国でやるのですから、別に地方自治体がぐずぐず言うはずはないと思う。ここで道路というものを一つとっても、問題になりますのは、国道というものではなくして、県道はどういうふうに産業開発のために必要なのか。その場合に、さっき言ったように、神奈川県はここまでつけたが、ここから先の静岡県は、必要はあるのだが来年になるか再来年になるかわかりませんということでは困る。これはやはり総合的の問題が必要になってくる、というような場合においてのみ、地方広域行政ということばが使えると思う。国の立場に立った大きな事業開発というものと広域行政というようなものと、おのずから私は違ってくると思う。そのけじめが実ははっきりついていないから、私はくどく聞いている。そうすると、いまの御答弁だといたしますと、大体三条に書いてありますことも、これも「地方における広域にわたる行政の計画」とここにはっきり書いているのですね。計画をかりに認めるとしても、あくまでも地方地方と書いておる。だから地方中心であって、四条に書かれておりまする並列した会議というようなものについて、これらの諸君が常時出てきてそうして意見を述べるというような複雑なものでなくして、一つ一つの問題について、いわばブロック知事会で必要があれば国の役人を自由に、ということばは少し行き過ぎかもしれませんが、出席させる、または出席して材料を提供し、説明することができるというようなことにこの法律を直さぬと、結局、いまの御答弁のように、国の仕事都道府県がお手伝いをすることのためにこういう連絡協議会が持たれたというようにどう解釈しても解釈せざるを得ない。私のこの意見がもし間違っておるとするなら間違っておるということでけっこうです。私の意見と大臣の意見とが違えば違うでけっこうですが、大臣はどうお考えになります。私はどう考えてもそうとしか考えられない。何といっても、みんなここに書いてあるのですから。国の仕事遂行するとはちっとも書いてない。どこへいっても「地方自治の広域的運営」と書いてある。一条においてもそう書いてある。三条においても「地方における広域にわたる行政の計画及び実施」と書いてある。「地方」と書いてある。いわゆる地方仕事というものと国の仕事というものには異なった点があって、限界があるはずである。そういう場合を十分に私はしんしゃくすべきだと思うのだが、ここでいう地方開発はどの範囲を一体言うのですか。
  44. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 おことばを返すようでございますが、国の直轄いたします事業にいたしましても、あるいは地方公共団体が主体になって行ないます事業にいたしましても、これは密接に相関連をいたしておるわけでございます。おあげになりました道路を例にとりましても、国道と府県道、また市町村道、全部これが関連をいたしまして一つの道路網を形成をしておるわけでございまして、そこで国道のつけ方につきましても、地方団体といたしましては地方の産業開発、住民福祉の増進の上からも非常に関心を持たざるを得ないわけでございまするし、それと府県道とのつなぎ目、また府県府県との間の府県道の連結というようなことにつきましても、みなこれに関連をいたしておるわけでございまするから、この連絡会議で問題にいたします場合には、府県が主体になってやります道路だけではございませんで、国の行ないます道路につきましても、地方団体側として、ああすべきだ、こうすべきだ、こうしてほしいというようなことをここで関連をして連絡協議をしてもらうということが実は現在一番欠けている点ではなかろうか、かように考えておるわけてございます。  それから、それにいたしましても、この法文の上で、地方団体が主体になって、それに国の出先機関が参加をするということがはっきり出ていないじゃないかという御指摘でございますが、私どもといたしましては、この第二条で、地方行政連絡会議都道府県及び指定都市をもって組織をするということで、連絡会議地方団体の組織だということに規定をいたしておりまして、第四条は、その地方団体が組織をいたしました連絡会議に国の地方出先機関も構成メンバーには加えるのだということで、法文の上からもその点を書き分けておるわけでございます。
  45. 門司亮

    門司委員 法文はそのとおりにできていますが、私が言うのは、並列しているという一つの行き方。二条はこう書かなければ、国との関係では、地方連絡協議会にならない。しかし、四条との関連はここに出てくるでしょう。だから、この法律を読んでみますと、一条と中一つ抜いて三条との関係がどうもよくわからない。二条と中一つ抜いて四条との関係、それからさらに五条との関係、こういう法律ではちっとも筋が通らない。ばらばらになっておってどうにもならないような感じがする。いろいろありますよ。国と地方との関係でいろいろ文句があろうと思います。特に河川行政のごときは、われわれが見てみましても、おかしなものがたくさんあります。例の広島県と島根県を通ずる江川のごときはその一つ。その例は江川だけではありません。日本にたくさんあります。国行河川がまん中で、上下が地方の準河川になっている。こういうものは、地方から見ればやはり一貫した一つ河川行政というようなもので行なってもらいたいということが当然言えると思うし、また、そうでなければならぬと思う。場当たりでいままでやっているから、そういうものがたくさんある。したがって、そういうものをどうするかということについても、国の立場からやるのかあるいは地方自治体の立場からやるのかという、この違いだけなんです。それがこの法律では、前段ではこういうふうに書いているが、ここに構成メンバーの中に並列されて書かれている。だから、並列されて書くのなら、こういう問題は、さっきから言いますように、除いてしまって二条で決定する、これで構成する。これに国の機関というものが意見を述べることもできるし、またこの団体は、意見を聞くこともできる、協議体の中に、構成メンバーの中に入れないで、これに意見を言ったりあるいは資料を出させることができるというような形にすることなら、私はある程度の——さっきから申し上げておりますように、事業団との関係はありますよ。ありますけれども、ある程度の問題が処理されるようなことがありはしないかと考える。しかし少なくとも構成メンバーということになりますと、主宰がこちらにあっても、構成メンバーの中にこれが入っておりますと、これは中における権限というか発言権というものは同じことになるのですよ。だからこの四条では全く同じものに解釈されるといったほうが私はよろしいと思う。またそう解釈していると思う。だから主宰団体——この二条の場合をいまお話しになりましたが、二条のほうは大体主宰団体と考えればいいのであって、構成メンバーとは違う。こういうふうにここでは書き分けてあるのです。だから主宰団体であると同時に、私はそれが主要のメンバーであって、構成団体にしておくほうがやりいいのではないかということを、さっきから申し上げておるのであります。それが政府のほうでは違うのだ、これでいいのだというお話なら、私はこれ以上くどくは聞きませんが、最後に大臣にあとの問題で聞いておきたいと思いますことは、さっき冒頭に申し上げました府県合併とこの法律との関連性について、もし府県合併がかりに行なわれていく、そうしてその地方におけるある程度の広域行政というようなものがその府県合併によって完成をされる——完成をするというと語弊がありましょうが、ある程度遂行ができるようになった場合、それでもやはりこういう連絡会議というようなものは必要なのか全然別個な形でいかれるのかということを、もう一度念を押して聞いておきたい。
  46. 吉武恵市

    吉武国務大臣 劈頭に申し上げましたように、府県合併は、いまどこというあれはございませんけれども、ごく隣接する府県がその地元の要望によって行なわれるであろうということで、目下地方制度調査会諮問中でございます。ちょっとどういう結果が出るか存じませんが、先ほど申しましたように、現在地元として強い要望が出ておりまするのは、大阪、和歌山、奈良というものが合併をしたいという声があるのと、愛知と三重と岐阜との合併という声があるのでございまして、それ以外には、若干の声は聞いておりまするけれども、それほど大きい声にはなっておりません。したがいまして、かりにそういうところが合併ということが地元の了解によってできたといたしましても、このいわゆる連絡協議会とは矛盾をいたしませんで、それが実現いたしましても、なおかつそれぞれの地域における連絡協調は必要でございまするので、決して矛盾はしない、こういうつもりで出しておるのでございます
  47. 門司亮

    門司委員 それともう一つは、この法案がかりにそのまま通るといたしまして、そして地域の住民に及ぼす影響はどの程度にお考えになっておりますか。私どもはこの法案を見てまいりまして、なるほど行政の面から見ればこういうことが非常に必要だと思います。しかしこれができたからといって、東北六県の今日より以上の発展というものは望み得ないのじゃないか。むしろそのことのためには、先ほど申しました事業については事業団というものを適当に使っていく、あるいはほかに近畿は近畿の整備法がありますし、東京は東京に、関東は関東に、東京を中心とした首都圏整備法というものがありますし、九州九州の開発、四国は四国の開発、東北東北、至るところに開発法がたくさんあります。それとの結びつきはどうなります。どっちが一体優位なのか。地方開発をすることのためにたくさんの開発法案ができて、ブロックができております。このブロックと、この行政区画をこういうように九つか八つに分けるといっておりますが、分けた間の連絡協調は一体どこでするのですか。この法律にはちっともそれが出ていませんが、国の機関——これは国の機関でありますから、国の機関と国の機関との間の連絡はどこでとるつもりなのか、その辺はどうなんです。
  48. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは先ほど指摘なりました地方総合開発のいわゆるブロックと合わせてございます。地方開発は地方開発として、現在それぞれの地域でやっておるようでございますが、これはもっと広範な行政にわたりましていわゆる連絡協調をとりながら進めていきたい、こういうことでございまして、私はこれができますと、やはり相当地方住民福祉につながる仕事が進んでいくものだと期待しておるわけでございます。
  49. 門司亮

    門司委員 大臣は期待されるようでありますけれども、片方は、事業団のほうは予算がついておりますね、ある程度。これは実施団体でありますから。ところがこれは単なる行政連絡であって、予算は何もついておりません。そこでほんとうに住民が幸福になるかならぬかということについて私には疑問があるのでありまして、むしろ私はこういう法案よりも、完全に行なっていこうとするには、すでにそういう開発団があるのでありますから、実施団体としての開発団体があるのでありますから、これを充実していくというほうが、より以上国のたてまえからいえば正しいのではないかということが考えられます。ただこれは行政上の事務を、何かことさらに複雑にする危険性だけが残されて、実際は、結局やはり開発事業団というようなところで仕事はやるのじゃないですか。ここできめられたからといって、ここで新しいものをこしらえてやるというわけにはなかなかいかないのじゃないか。やはり東北開発東北開発が大体やることになるのじゃないですか。四国の開発は四国の開発がやるのじゃないですか。この団体は何もそんなものは持っていませんから。そうすると、結局二重の組織になるということと、同時にいまのブロックの間では、貧弱府県ということばを使うのはどうかと思いますが、貧弱府県が裕福になるとは、この法律だけを見ては考えられない。広域行政広域行政地方開発、地方開発ということばを幾ら使いましても、ことばだけで決してよくなるものではない。問題はそれをどう実施するかという問題でございます。それにこの法案が何も触れておらない。ただ話し合いをするだけのことになっている。そういたしますと、これが直ちに幸福になるとは考えられない。もし必要があるのなら、さっき申し上げましたような幾つかの事業団ができておるのでありますから、いわゆる事業を行なう団体があるのでありますから、これらの団体にもう少し国として力を入れるなり、あるいはそれを活用していくなり地方において必要があるとするなら、さっき申し上げましたように、地方都道府県知事の意見というものを中心として、そうして国がこの意見を尊重するというたてまえをとっていくべきではないだろうか。この法案をそのまま実行してまいりますと、結局国の出先機関の意向を地方知事さんが尊重するという形に私はならざるを得ないと思うのです。こういうことのないように、いまの大臣の御答弁では、私は地方住民が幸福になるというふうにどうしても考えられない。だからこれは単なる協議機関であって、実施機関としての機能は何にも持っていないのだということ、したがってこの五条に尊重しなければならないと書いてあるが、しかしその尊重するということ自身は、ただ尊重しなくてもいいとは書けないでしょうから尊重しなければならないと書いてありますが、この意味は非常に軽い意味であり、いわゆる実施については別途の形で実施さるべきである。ここでは単に申し合わせをしたというだけの範囲だというように解釈してよろしゅうございますか。軽い意味なら軽い意味としてまた問題があろうかと思います。
  50. 松島五郎

    ○松島政府委員 尊重しなければならないと書いておりますことは、単に軽い意味の問題であるかどうかというお尋ねでございますが、何度も大臣からもお答えいたしておりますように、具体的な実施の段階なりますと、それぞれの機関を通じて正式の決定をさらにしていかなければならないわけでございます。そういう意味におきましては、それらの機関はそれぞれ独立の権限を持っておるものについてはその権限を侵してはならないわけでございますから、そういう意味からいたしますと軽い意味だということにもなろうかと思います。ただお互いに話し合いを進めていくこと、それを積み上げていくことによって仕事が円滑にいくようにということを期待いたしておるものでございます。
  51. 門司亮

    門司委員 これでやめますが、そうすると、どうしても私は納得できないのです。そうすると、三条の「計画」という文字は取らなければぐあいが悪いのじゃないですか。三条に「計画及び」、こういう字をつけておいて——計画の実施ならまだ話がわかりますよ。それをお互いに早く進めていこう、話し合いの上でスムーズにやっていこうじゃないかということなら話はわかりますよ。しかし計画という文字をはっきり別にしておいて、そうして一条にああいう字句を書いて、五条に尊重しなければならない。そうして最後に、この尊重という文字は、おのおのの機関でかってにやるのだから、あいまいな拘束力を持つような持たぬような御答弁では、この法律自身というものがどこに主眼があるのかちっともわからない。だから、これ以上何度押し問答をしても私は同じだと思いますから、いまの御答弁で、ここで協議したことは別に地方の公共団体を、あるいは自治体を拘束するものではないのだというように、私は私なりに解釈しておいてよろしゅうございますか。
  52. 松島五郎

    ○松島政府委員 ただいま申し上げましたように、それぞれ具体的に実施いたします場合には、あるいは県議会なりあるいはそれぞれの権限ある機関が手続に従ってやっていかなければならないわけでありますから、その手続を踏むに当たって、そこでそれらの機関がここできまったことに当然拘束されるのだというわけのものではないという意味において申し上げているわけであります。
  53. 門司亮

    門司委員 よろしいです。
  54. 中馬辰猪

  55. 秋山徳雄

    秋山委員 私はただいま議題になっております地方行政連絡会議法案につきまして、ごく簡単に二、三の点にわたって質疑を行なってみたいと思いますので、できるだけ簡潔に、そしてわかりよく御答弁をいただければ幸いだと思います。  私どもまだ県に関係しておらない時代に、昭和十五年だと記憶しておりますが、そのころに地方連絡協議会というものが内務省の訓令か何かによってできたことを知っておりますが、続いてまた昭和十八年だと記憶いたしますが、地方行政協議会、こうしたものができたように記憶があるのでございますが、これは勅令でたしかできたと思いますが、続いて今期またこの地方行政連絡会議法案というものがいま提案をされておるわけであります。したがって、これらに対しましての考え方というものがかなり前から政府の中において考えられ、そうして検討が積み重ねられてきたのではないかという考え方が持たれるわけですが、これらの当時の考え方と現在の会議法案との関係が、どういう形になっておりましょうか。もし相違点があるならば相違点を明確にお知らせいただきたいと存じます。
  56. 松島五郎

    ○松島政府委員 ただいまお尋ねの地方行政協議会なりその後の地方総監府なりと、今日提案申し上げております地方行政連絡会議とは、どういう点が違うのかというお尋ねでございますが、区域の分け方等につきましてはほぼ同様でございます。ただその会議がそれぞれが目的といたしておりますところは、戦時中にできました地方行政協議会なりあるいは地方総監府は、戦時目的を達成するために軍に協力をして戦力増強というような観点から戦争目的遂行ということに焦点を置いてできたものでございます。ただいま提案をいたしておりますものは、もとよりそういう目的はないわけでございまして、今日いろいろ民生福祉上問題となっております広域行政をいかに円滑にしていくかということを目的とするのであります。したがいまして、その点において、第一点において違いがあります。  それから第二点におきましては、この地方行政連絡会議は、何度も申し上げますように、都道府県及び指定市が主体になって組織をいたしまして、それに国の出先機関を加えて会議を開いていこうという考え方のものでございますが、戦時中にできました地方行政協議会等は、国のいわば総合出先官庁でありました府県というものと、国の出先機関とを合わせて、総理大臣の監督のもとに仕事をやっていこうというような、全く官治行政そのものの組織であったわけでございます。そういう意味において、私は非常に大きな違いがあるのではないか、かように考えているものでございます。
  57. 秋山徳雄

    秋山委員 ただいまの御説明によりますと、地域は全く同じだと第一に言われましたけれども、昭和十五年の連絡協議会のときには八地方に分かれておったと思います。ただしそれは北海道を除いてあるから同じだといえばそれはそうかもわかりませんが、地方行政協議会のほうは九つの地区に分かれておったと記憶しております。内容は私はつぶさに存じておりませんが……。  第二番目の軍に協力し、戦争目的遂行するために行なわれた国家的な措置であるという御答弁でございます。これに対して思い出されることは、先般来本国会の中でいろいろ議論がなされましたように、いわゆる三矢研究なるものが出されております。それが防衛庁で発案されたと聞いておりますが、これらに対してやはり同じような、連絡会議とは名目は違うかもわかりませんけれども、それらについても、先ほどの御答弁の中にありましたように、軍に協力とか戦争目的遂行のためとかいうことになりますと、おそらくこの三矢研究の中においてもこういうことが考えられたのではないかという考え方も持てるわけであります。これらに対しまして、三矢研究の中にどういう形でこういうものが織り込んであるのか、これをお知らせいただきたいと存じます。
  58. 松島五郎

    ○松島政府委員 三矢研究というものが国会において取り上げられましたことは、御指摘のとおりでございますけれども、私ども三矢研究なるものの内容を、新聞におい承知をしている以外にございませんので、あの新聞を私の読んだ限りでは、地方行政連絡会議とかそういったものは、何も書いてなかったように記憶いたしております。
  59. 秋山徳雄

    秋山委員 事務当局者の答弁はそれでよろしいかもわかりませんが、少なくも大臣は、閣議でいろいろ話し合いがあったのではないかと思われます。またいろいろな形で討論がなされたかもわかりません。そういうことがもしありましたならば、大臣からその点について御答弁をいただきたいと思います。
  60. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私も三矢問題は予算委員会で初めて知りました。その程度で、内容は全然存じませんし、このいわゆる連絡会議法案を御審議願いまして御提案いたしておりますが、全然関係のないということを申し上げておきます。
  61. 秋山徳雄

    秋山委員 国民の目から見ますと、防衛庁の中で企画されようが研究がなされようが、あるいは自治省の中で研究がなされようが、これは一つ政府の中であります。それを政府のいわゆる国務大臣たる者が知らないということが、まず第一に私はふしぎでなりません。そしてまた、もしそういうことが行なわれるといたしますならば、おそらく各省においてそれぞれ秘密のあるいは極秘の扱いになっておる研究資料があるのではないかという心持ちになるのは、これは私のひが目ではないと思います。そういうことから考えますと、何かいまの御答弁だけでは、どうもふしぎさがぬぐい去ることができないわけですけれども、何かもう少しわかっておれば、あるいは自治省の中でもそういうことに対処するために何かお考えであれば、こういう機会を通じてお知らせをいただきたい、かように考えます。
  62. 松島五郎

    ○松島政府委員 自治省の中で何か非常事態にでも対応するために研究をしているかという意味のお尋ねであったかと存じますが、私どもそういうことは全然考えたこともございませんし、研究してみたこともございません。
  63. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの国内のいろいろなうわさを聞いてまいりますと、おそらくあなた方の耳にも入っているかもしれませんが、一体日本の政府は何を考えているのかわからぬということのようであります。一つには、憲法の面ではっきりと戦争放棄というものをうたいながら、なおかつ自衛隊の中ではもう完全なる軍隊としてこれを想定し、しかも日本の国に向かって、どっかの国から何かの形で戦争をしむけられた、あるいはまた日本の国土の中に爆撃がされたとかということがあったならば、まだまだいろいろな考え方も出てくるかもしれません。しかしながら、日本の国からはるかに離れたところに、中国や北鮮の軍隊が進入してきたからといって、そういう想定のもとに立ってものを考えて、これに対処する方法を検討していたのだということになると、一体政府の人たちが各省においてどういうことを考えておるのか、これを国民に知らしてもらわなければすべてのことがわかってこない。そういうことではないかという危惧の念が非常に強まっておるのではないか、かようなことが言われております。私はいまこの席で、それだけに考えを及ぼしていろいろなことを言いたくはありませんけれども、そういうことを想定するならば、いろいろなことの想像が生まれてくるわけであります。いま門司委員質疑の中にもありましたように、何か説明の中においても納得しがたい面がたくさんあろうかと思います。小さい面におきましては先般の委員会で私もちょっと触れてみましたけれども、各省の出先機関等の地域関係、あるいは指導の面におきましてもそれぞれ各省のほうから御意見がありましたように、強く言えばこれは二重行政であり、屋上屋を重ねたものだという議論がなされたことを記憶しておりますから、そういうことを基本に考えてみますと、いろいろなことが想定ができるのじゃないかと考えております。したがって、一方の省においては必要な自分関係地域の県、こうしたものを集めていろいろ地域開発の問題について相談やあるいは議論がなされ、そしてまた国の考え方を申し述べたりなどするようになっておると思いますけれども、それとまた違った趣を持ったこうした考えが出ますし、また別の形でその同じようなことを、地域は多少違いましても行なっていかなければならない。たしか農林関係で大阪のことで私は聞いていましたけれども、それだけ考えましても三つの地域にわたって関係が生まれてくる、こういうことになってかなりの不便さが生じてくるのではないか、こういうような心持ちもしてまいります。それらに対して、もしこういったものがほんとうに必要なものであり、そして考えなければならぬことでありますならば、政府の中で十分に討議をなされてこれらを全部統合をして同じ区域でできないものか、こういうことが相談をなされなくてはならないものだろうと思います。それが理想的なと申しましょうか、国民が納得してくれるような連絡会議というものが持たれてくるのではないか、こういうような気持ちもしてまいります。それらについて、過去にわたって各省とどれほどの折衝がなされて、そしてこういう結果があらわれたのだ、こういうことが完備してくることによって、各省の出先機関でありますところのそうしたものが解消に近づいてくるとか、そういうこともあわせて考えてまいりますので、この点がおわかりでしたならばお知らせをいただきたいと思います。
  64. 松島五郎

    ○松島政府委員 お尋ねのございました出先機関の管轄区域がいろいろであって、一つ連絡会議に幾つかの同じ種類の機関関係をするという不便をどう解消するかという問題でございますが、この点につきましては、御指摘のとおりそれぞれの国の出先機関はそれぞれの行政目的に従って今日まで設けられてきております関係上、やや不便があることは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、私どももできるだけ国民の利便という面から行政機関の区域というものについても考慮しなければならないものとして、各省にも要請を続けてきているところでございます。また臨時行政調査会の中でも、こういった国の出先機関の管轄の区域の不整備ということが起こっている、いろいろ不便を及ぼしているということも指摘されていたと記憶しております。そういった面から改善を始めていかなければならぬとも考えております。また根本的には、御指摘にもありましたように、地方公共団体権限を強化することによって、国の出先機関を逐次整理していくという方向も考えていかなければならぬことであります。この点につきましては自治省といたしましても長い間そういう方向で努力を続けてきているのでございますけれども、いかんながら成果が上がっていないということも事実でございます。しかし問題はやはり基本的に地方自治というものを強化していきますたてまえからは、国と地方公共団体との事務の配分の適正化をはかり、できるだけ国の出先機関も整理すべきものは整理していくという方向が基本的方向であろうと考えております。この点につきましては現在地方制度調査会の小委員会において、国と地方公共団体の事務の再配分についていろいろ御検討いただいておる段階でもございますので、それらの結論を待ってぜひこの方向に向かって強力に進んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  65. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの御答弁の中でまだ足りない面があると思いますが、各省とどれだけの折衝がなされて、各省の意見がどれだけまとまっておりますか。たとえばそういうものが完備されることによって、一両年とは申しませんまでも、数年のうちにそうしたものが廃止の方向に向かっていくというふうなことがあるかどうか、この点についても御答弁いただきたい。
  66. 松島五郎

    ○松島政府委員 国の出先機関の問題につきましては、そのつどいろいろ各省とも折衝を続けてきているわけでありますけれども先ほども申し上げましたようにわれわれの力が足りないという点もございまして、具体的に数年のうちにどう変わっていくという見通しを、今日の段階においてはいまだ得てない状況でございます。
  67. 秋山徳雄

    秋山委員 そこまで進んでおらないと言われればやむを得ないことかもしれませんが、それでは一つ実際の面でお聞きしてみたいと思いますが、こうしたものができますと、やはり多くの人が一堂に会していろいろ相談をいたします。これが短時間で相談ができる場合もあるでしょうし、あるいはまた一両日時間を費やすこともあるでありましょう。こういうことについて当然必要なものは、何ぶんかのお金が必要になってまいります。これはどういう形で出し合っていくのか。同時にまた国の機関としてどれほどのお金を用意するか。たとえば四十年度予算に対しましての見込み予算がどの程度含まれておるのか、おわかりでしたら御答弁いただきたい。
  68. 松島五郎

    ○松島政府委員 会議と申しましても年じゅう開いているわけでもございませんので、その経費がどの程度になるかということになりますと、的確な算定をいまの段階においていたすことはなかなか困難でございます。ただわれわれとして予想いたしておりますことは、それぞれの出席に要します旅費等は国の出先機関においてそれぞれの官庁予算をもって支出されるべきものというふうに考えております。それぞれの官庁には、それぞれ部内の管轄区域内の連絡事務等に要します経費として事務費等も計上されております。それによって処理ができるものと考えております。会議を主宰をいたします府県におきましては、会場の準備等に多少の費用が要るかとも存じますけれども、この会議は本来行政が円滑にいくことを目的として開くものでございますから、会場の準備だけでそれ以上のことは必要がないと思いますので、その経費といえばそう多額なものではないというふうに考えております。
  69. 秋山徳雄

    秋山委員 非常に簡単に御答弁いただきましたけれども、そう簡単に済むものじゃないと思います。旅館のあっせんからあるいはまたお茶を一ぱい飲んでも何ぶんかのお金がかかってくるのでありまして、それでなくともいま地方自治体はお金の面では非常に窮迫を告げておりますし、それだけではなくして、各種の面で地方行政が非常にやかましくなっております。先般来いろいろ議論なりましたように、自治省自体といたしましても、市町村府県に向かって予算の面においてのいろいろな指示や指導がなされておると聞いておりますが、そういうさなかにおいて、自治省で何の予算的裏づけ、手当てをしないで、こういう法案だけ先に通せばいいのだということでは、後日どれほどの予算を必要とするかという見通しもなくて出されるということでは、何か物足りないような気持ちがするわけですけれども、もう少し親心を持って、これにはどういう方法で財源措置はやっていくのだというくらいのお示しがあってしかるべきではないかという気持ちがしてまいりますけれども、そうしたあたたかいお心持ちはあるのですか、ないのですか。
  70. 松島五郎

    ○松島政府委員 ただいま御説明申し上げましたとおり、国の出先機関につきましては、その出張に要します経費はそれぞれの国の機関が支弁することになるわけでございます。したがいまして、会場を担当します府県において、会場使用料あるいは茶菓料といった程度の経費は要ろうかと思いますけれども、その金額になりますと、これは少ないと申し上げると、あるいは国民の税金であるから、幾らであっても少ないとはいえないじゃないかというおしかりもあろうかと思いますけれども、そう大きな金額にはならないと考えております。ただそれが運営の結果相当額にのぼるというような実績等が出ますならば、これについては十分な財政措置も考えてまいらなければならぬだろうと思いますが、私どもの予想ではそう大きな金額にはならないというふうに考えております。
  71. 秋山徳雄

    秋山委員 こまかいことで恐縮ですが、もしおことばを信頼するならば、そうした場合には自治省のほうで何ぶんかの予算措置をしてくれる、こういうことと理解してよろしいですね。
  72. 松島五郎

    ○松島政府委員 私どもの現在の予想では、会場を担当します県で、これは会場をあっちこっち回すということを考えておりませんので、どこか一つの県で主宰県を担当してもらう、こういうふうに考えまして、年間大体五十万、せいぜい五十万前後ではなかろうかというふうに考えております。したがいまして、この金について補助金というようなことはただいまのところ考えておりませんけれども、これがその団体にとって財政負担になるということでありますならば、交付税の配分等の際にもまた部内で検討いたしまして、考慮してまいらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  73. 秋山徳雄

    秋山委員 いま聞いてまいりますと、当番県には五十万くらいは出してもらうのだ、この予算裏づけは他の方法で考えるということですが、これはごもっともなことだと思います。経費がたくさんかかるからめんどうを見るのだ、少ない金だから自己支弁しろということでは、何か国で先に進んで法律をつくっておきながら、その手だてをしないということについては、私は申しわけがないことだろうと思います。そういうことが各種積み重ねられて、地方自治体の財政圧迫ということになってくると思いますので、いま御答弁のありましたように、ささいのこととはいえども、これらについての予算の手だては十分にお考えをいただきたいと思います。  続いて、これが完備してまいりますと、俗にいう弱小県とでも申しましょうか、こういった府県がどの程度救済される見込みでありましょうか。こういうことがおわかりでしたならばお知らせをいただきたいと思います。
  74. 松島五郎

    ○松島政府委員 先ほどもお尋ねがございましたが、こういった会議をつくって、一体どれほどの効果があるのか、またいま先生のお尋ねのございました弱小県は、これによってどれだけよくなるのかという問題でございますが、これは、この会議を開いたからといって、直ちに即効薬的に非常に大きな効果があがっていくということを期待することは、困難であろうかと私は正直にいって思うのでございます。ただ弱小県は弱小県なりに、いろいろな問題がございます。特に最近、地域開発というようなことが非常にやかましくいわれておりますけれども、そういうものが先進県と申しますか、どうしても経済力の豊かな県に集中しがちでございます。むしろ今日の問題は、弱小県にそういった地域開発を促進し、仕事を進めていくことにより大きな重点が置かれなければならないわけでございまして、こういう会議がつくられて、そこで広域にわたってそういった問題が議論されることによって、そういう県も漸次向上に向かっていくものというふうに期待をいたしているわけでございます。
  75. 秋山徳雄

    秋山委員 御答弁はごもっともだと思いますが、いまいろいろ指を折って数えてみますと、新産都市の問題でありますとか、産炭地の救済の問題でありますとか、いろいろ取り上げられて声だけば非常に大きいのですが、これがなかなか実を結ぼうとはいたしません。これはなぜかというと、やはりその道をたぐってまいりますと、最後には大きなお金の問題にぶつかってくると思います。したがって、一つ法案をつくる場合におきましては、そうしたことを十分考慮に入れて、当面は多額の予算が取れないといたしましても、将来はできるだけ予算獲得に力を注いでいくのだということがなければ、せっかくいろいろな法律ができましても、実を結んでくることが少ない、こういうことが考えられると思います。したがって、そういうことに十分留意をせられて、予算の獲得問題にも重点を置いてやっていただくことができれば、地方住民はそれによってかなり潤いがわいてくるのではないか、こういう心持ちもいたしますので、そういう面につきましての一段の御努力、御検討をお願い申し上げたいと存じます。  それからもう一つそれに加えまして、御答弁が限られているという面もないわけではありませんが、先ほどの御答弁の中で、地域住民福祉に大きく寄与できるのではないかという予測がなされているという御答弁でありましたが、実質的にはこれもやってみなければわからないといわれるかもわかりませんけれども、やはりこれらの面に向かってでき得る限り地域住民福祉、利益のために、皆さん方にお力添えをしていただかなければならぬことだろうと思います。  それからこういうことを話し合ってまいりますと、私どもが直接考えなければならない問題が残ってまいると思います。それは府県あり方という問題だと思います。現在の府県仕事を見てまいりますと、戦前戦後を通じてどれほどの変わり方があるのか、これははかり知るべきものがないと思います。たとえば戦前は、いまの御答弁にもありましたように、完全な国の出先機関だとおっしゃいました。しかしながら、今日では自治法の面ではっきりと違ってまいっております。しかしながら、行なっている仕事を見てまいりますと、少しも変わっておらないようなふうに見受けられます。したがって、あなた方のお考えからして、現在の府県の置かれている立場というものが、完全自治体と言い得ることができるかどうか、こういうことも大きな問題の一つだろうと思います。これらについて、皆さん方は現状においてどういうふうにごらんになっているか。いわゆる旧憲法の時代と今日の憲法のもとに置かれている時代の自治体の違い、府県の違い、こうしたものについてお知らせ願いたいと思います。
  76. 松島五郎

    ○松島政府委員 戦前の府県と今日の府県とは、もとより憲法に基づいて根本的に変わってきているわけでございます。この点は申し上げるまでもないことでございますが、具体的な仕事の内容におきましても、非常に大きな相違が今日あるのではないかと私は考えております。たとえば教育の問題をとりましても、戦前は小学校だけが義務制でございましたが、戦後はさらに三年間の延長がなされて、しかもその同じ教育のやり方につきましても、たとえば教職員の定数の標準に関する法律というような法律ができて、学校の先生を一つの学級につき何人置かなければならぬかというような点にまで行き届いた——それが十分であるかいなかについては、なお御批判はあろうかと思いますけれども、少なくともそういう方向に向かって行き届いた教育をしようという方向に進んできております。また高等学校にいたしましても、戦前は実業学校といわれるものまでも含めまして、義務教育からの進学者がたしか三〇%前後であったろうと存じますが、今日におきましては七〇%をこえるというような進学率になってまいっております。そういうようなことで、今日の府県あるいは市町村というものがいかに教育という問題について大きな力を注いできておるかということもいえるのではないか、かように考えております。その他社会福祉行政の面におきましても、戦前に比べましては格段の相違があるというふうに考えております。ただ、そういったものは別にいたしまして、実際的に自治権とかそういう面からいって、今日の府県というものはどういう状態にあるかという問題につきましては、遺憾ながらまだ十分であるとはいえないと考えておるのでございます。一つは、いろいろな仕事の面において、中央からの統制がいろいろと行なわれておるという面もございます。これらにつきましては、先ほど申し上げました事務の再配分という問題に関連いたしまして、事務をできるだけ地方団体に移す、同時に中央からの統制というものをできるだけ少なくしていくという方向で改革が進められなければならないというふうに考えております。第二は、財政の面において、やはり今日の地方団体には自主性と申しますか、自立性と申しますか、そういうものが非常に乏しいということでございます。独立財源であります地方税は、全地方団体の収入のうち四〇%程度しか占めていない。なかんずく府県においてはその割合が非常に低いということで、自分の財政責任におい自分仕事をやっていくということができないようなたてまえになっておることは、まことに遺憾であります。この点につきましても、やはり地方財源の充実強化ということについて、今後格段の努力をしていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  77. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの御答弁で、教育の面や福祉の面でいろいろ御説明がありましたけれども、これも府県なら府県市町村なら市町村が、完全にみずからの力でみずからの教育方針を立ててというわけにはまいらないと思います。これは私がここでるる申し上げるまでもないほどに、国の統制下に強く置かれていると思います。もう一つは、それだけではなくして、いま御答弁の中にありましたおことばは、主として時代がそうさしていったのであって、これが府県の実力で、あるいは自力でそこまでいったというふうには受け取りがたい点もあろうかと思います。いま後段に言われた面は、確かにそのとおりだろうと思います。そういうことになってまいりますと、仕事の面においても何か昔とそう変わりがない。ただ文字の上で、法律の文章の中でそういうふうにいわれているだけであって、どれほどの相違があるかということになると、なかなか一般の人にもわかりませんし、私たちにもわかったようでいてわからない面がたくさんあろうかと思います。そういうことについてもう少し具体的な問題を取り上げて、これがこういうふうに変わっているではないか、たとえば個有事務と委任事務があるでしょうけれども、この部面においてどれほどの差異が出てきているのか、この点につきまして御答弁いただきたいと思います。
  78. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 個有事務と委任事務の関係についてのお尋ねでございますが、まず戦前の府県と戦後の府県との間におきまして、事務の種類について一番大きな違いは、御承知のように地方自治法第二条の第二項に書いてございまする、いわゆる行政事務というものが都道府県の事務に加えられたことでございます。行政事務は、戦前におきましては、このような権力的な事務は地方公共団体の事務にはない、国だけが持つべきものだ、こういう考え方であったわけでございますが、日本国憲法の精神をくみまして、地方自治法においてはそういう行政事務も都道府県がやれるということにいたし、そして現在その規定に基づきましていわゆる行政事務条例をつくりまして、取り締まりあるいは監督的な作用というものを都道府県が独自に相当やれるようになっておるという点が一つの大きな違いでございます。  次に、都道府県の自治権を強化をしてまいりますためには、いわゆる委任事務というものをできるだけ都道府県の自治事務にかえていくということが必要であるわけでございまして、地方行政調査委員会議の勧告におきましては、そういうような方向でできるだけ都道府県の自治事務にかえていくようにという勧告がなされたのでございます。しかしこの勧告の実施はその後実現をそれほど見ておらないのでございますが、一昨年の地方制度調査会行政事務再配分に関する答申におきまして重ねてその点を強調されておりまして、およそ府県において実施をしておる事務は、府県の自治事務として府県が責任を持ってやるというようなことにすべきである、したがいまして、機関委任事務というような考え方あるいはまた代理事務というような考え方、こういうようなものは抹消すべきだというような考え方を打ち出しておられるわけでございます。私ども府県をほんとうに完全自治体といたしますためには、事務の上におきましてもそのような改革をすることが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  79. 秋山徳雄

    秋山委員 私はわからない点があるから聞いておるのであって、説明を聞いたりなどしておりますと、もっともらしく聞こえる点もあります。なるほど考えてみれば、昔は監督権などが強くありましたでしょう。しかしこれが現在ないとはいえども、これはほかの面でおどしをかけられたりなんかしております。そういうことになって、指導ということばには変わっておりましても、何かの裏の関係で押えられている、こういうことがまま行なわれております。それだけではなくして、人事の面を見てみましても、どこの府県でも間違いなく言えることは、上層部の多くの人たちが本省からどんどん押しつけられてくる。ことばは悪いかもわかりませんけれども、特に建設関係なんかになりますと、本省の言いなりにならなければいろいろな事業が行なえない、こういうことのようにも思われます。また自治省関係を見てまいりましても、たいていの府県で、総務部長なんかになりますと、あるいはまた税務関係なんかになりますと、かなり自治省から、派遣ではないでしょうけれども、押しつけ人事が行なわれている。こういうところを見てまいりますと、少しも変わってはおらないじゃないかということになりがちであります。多少ずつでも変わっているといえば変わっているでしょう。しかし変わっていないのだといえば変わっていないと思います。それでいて完全自治体と言い得るかどうか、こういうことも考えないわけにはまいりません。そういうことについてもう少し何かはっきりと読み取れるような、府県の個有事務ははっきりとこういうものとこういうものがある、市町村の場合とはどれほど違っている、こういうことがお示しをいただければ幸いだと思うわけでございます。
  80. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 最初に御指摘なりました点でございますが、なるほど制度上ば、府県の事務にされておるものにつきましても、事実上中央官庁がいろいろな形で干渉を加えておるではないかという御指摘でございますが、その点は私どももいろいろな形でそうした事実上の関与があるということは承知をいたしておりまするし、それはなくするように努力をしていかなければならないと考えておるわけでございます。ただ、まあそれらの問題の中には、今日府県と申しましても、旧藩時代のように、全く独立して、他の府県あるいは中央政府関係なしに仕事をやっていくということができない状況にありますことは、先生の御承知のとおりでございますので、府県の自治権の侵害にわたらない範囲におきまして、中央政府が全国的な立場に立って、ある程度のコントロールをしていくということは、これはもとよりあってしかるべきものだと思うのでございます。ただそのことに名をかりまして、ことさら中央各省が地方団体に対する関与、干渉を強めていこうとする傾向もありますことにつきましては、御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、各省が立案をいたします法律案につきましては、一々相談を受けておりますが、その際にはそのような見地から、できるだけ地方公共団体に対する不必要な関与をさせないように意見を申しておるわけでございます。
  81. 秋山徳雄

    秋山委員 おことばの上ではもっともらしく聞こえるのですが、終戦直後の府県あり方、今日の府県あり方、こうしたものを考えてみましても、何かおことばと正反対のような気持ちもしてまいります。当時は中央からの天下り人事は排撃をしろということが、私が住まっております神奈川県などでもそういう事例がたくさんありました。いま御答弁の中にもありましたように、財政の面を考えましても、国税と地方税との関係からして、四〇%にもならない地方税の中から、国から示された、たとえば住宅の問題にしましても、学校の建設の問題にいたしましても、その他各種の施設を見ましても、その乏しい財源の中からいやおうなしに府県が負担をさせられている。この面があまりにも多過ぎるじゃありませんか。そういうことを一面で知りながら、御答弁の中ではりっぱな理論正しいような御説明をなさる。こういうことでございますと、ますます府県は困ってこなければなりません。人事の面においても同じようなことがいわれると思います。そういうことをまずなくすことが第一の条件でなければならないと思います。何かいままでの皆さん方の御答弁を聞いておりますと、府県が何かもやもやしておって、中途はんぱなもののようにも聞こえてなりません。  したがって、そういうことを基調にしてこの法案を見てまいりますと、私が一番おそれることは、大正年間じゃなかったかと思いますけれども、昔は都政というものがあったのであります。ところが、いまのことばでいえば広域行政と申しましょうか、そうしたことの上にのっとって郡政は廃止をされました。こういうものが完全に確立されてまいることによって、おそらく府県もそうした運命に置かれやしないか、これが私が一番懸念しなければならぬことであります。そのためにも、もっと府県が完全自治体として独立性が尊重されるようになって、そういう上に立ってから、いま門司委員からいろいろな議論がなされましたように、しかも法律の面におきましても、地方府県中心にいわゆるイニシアチブと申しましょうか、そうした指導権を持って、逆に国のほうが一歩後退をしていくのならば、まだまだそういう懸念もなくなるかもわかりませんけれども、現状の中においてこういう法案を出されるということは、おそらくねらいは、ほんとうの願いはそういうところにあるのではないか、こういう心持ちもしてまいります。そういう誤解を解くには、一体皆さん方がどういう御答弁をなさっていただくことによって、私たちのそうした心持ちが一掃できるか、こういうことについて詳しく御説明をいただきたいと思います。
  82. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 おことばではございますが、私どもといたしましては、現在の状況のもとにおきましては、地方行政連絡会議のような連絡協議機関ブロックにつくりますことが、かえって都道府県の自治に対する中央各省の圧迫と申しますか、そういうことに対する対策になるというふうに考えておるわけでございます。たびたび本委員会におきましても御指摘のございましたように、中央の各省が、府県は能力がないからということで国のブロック単位の出先機関権限を拡充をする、あるいは府県から権限を中央に取り上げるというような傾向が出てまいっておるわけでございますが、それは一つには、ブロック単位におきまして、関係府県と国の出先機関の長とが連絡協議をする場を持たないことが、その原因になっておるというふうに考えられますので、私どもはこの会議によりまして、できるだけ現地におきまして、関係都道府県中心になって、こういう広域にわたる行政を解決をしていこう、そうして中央政府府県に対する統制と申しますか、中央集権化の傾向を排除してまいろうというような気持ちを持っておるわけでございまして、こういうものをつくることが先生の御心配になるようなことに対するかえって対策になるものだ、かように考えているわけでございます。
  83. 秋山徳雄

    秋山委員 もう本会議の時間も迫っておりますので、このあたりでやめたいとは思いますが、おことばを返すようでございますけれども、現状を見てまいりますと、何千という地方公共団体がありまして、しかも行政の面は、直接国が行政を行なうという面は非常に少ないわけであります。にもかかわらず財政の面から考えましても、先ほどからお話のありましたように、かなり国と地方公共団体は税負担も違っておると思います。したがって事務の再配分なんかよりも、まず必要なことは、そうした財政的の考え方を新しくして、逆に地方公共団体のほうに多くの財源を与えて、国は企画あるいは計画、そうしたものに限っていったほうがいいのではないか、こういうふうな心持ちもしてなりません。同時にまたかなり不便な面がたくさんあることは、御存じのとおりだと思いますが、たとえば国税は国税としてどんどん取り上げていく、府県府県の立場で税務事務所を持って、大ぜいの人を使って府県税を取り上げていく、市町村も同じようなことが行なわれている。こういった不合理をなくすためにも、やはり国税庁と申しましょうか、国の税務署なんかすでに廃止をしてしまって、すべて税金なんか一本の形で、市町村をもっと信頼して、そういうところに集めさせて、そのうちの何%かを、必要があれば県なりあるいは国なりに出し合っていく、こういうことのほうが私はむしろ進んだ考え方ではないかという気持ちもしております。そういうことも将来の問題としてお考えをいただき、より以上に地方自治権というものをもっともっと確立していくように、少なくも自治省の方々は指導をしなければならない立場ではないかと思います。そういうことを基調にしてこうした法案が出されるならば、私もやや納得ができるのでありますけれども、現在のこの法案を見てまいりましたときには、なかなかそこまで踏み切るだけの勇気が私にはわいてまいりません。  そうしたことを申し上げてきょうの質問を終わりたいと思います。
  84. 中馬辰猪

    中馬委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十九分散会