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吉田(賢)
委員 どうもわかったようなわからぬようなことなのですが、御趣意のあるところはよくわかるのですが、どうも私どもは、私
自身地方行政初めて入ったのですが、やはり一番肝心なことは、もっとものごとを簡単にしなさいと言いたいのです。どうも日本人はあったほうがよかろう、少しでも役に立ちます、そんなことばかり
考えるのです。ですから補助金でも何千億円となってしまう。厚生省は今国会では三十ほど整理しますという
法律案を出します。やんや言われて、三十整理しますというような、そんなていたらくはありませんよ。日本人というものは、ものを複雑に
考え過ぎる。えらい余談で悪いのですが、たとえば料理にしても、日本料理もあるし、シナ料理も食うし、西洋料理も食うし、何じゃかんじゃ食わぬと気が済まぬ。世界じゅう歩いてもこんな多芸多能の、こんな食をやっているのは日本だけですよ。それほど日本人というやつは何じゃかじゃとやりたい。着物でも洋服もあるし和服もあるし、いまでもはかまはいて通っている人もあるし、帽子にしたって無帽もあるし、いろいろ雑多です。こう申しますと、ほんとうに自分ながらおかしいほど日本人の生活は複雑怪奇です。それが
行政にあらわれている。これがまた今日の政治なんですね。そこは自治省がいまおっしゃるように、
地方自治に徹するというような憲法の精神を、ほんとうに地で行なっていこうという意気込みがあるならば、もっと抜本的に、妥協しないでいくところは妥協しないでいき切ってもらいたいと思うのです。私の尋ねるゆえんのものは、私は皆さんが
地方自治というものをほんとうに後生大事に、一生懸命お
考えになっていることを多とします。それならばそれで、どこをついてどうするかということを、ちょっと痛くてもおっしゃってやってもらいたいのですよ。それをすることをやらずに、念仏ばかり言っておったってだめなんです。から念仏言っておったってあかんのです。だからこの
法律案は、私は
基本的な思想が二つ流れていると見る。この
法律とさっき申した
近畿圏整備法は——
近畿圏整備法は一種の官治的ないき方があらわれております。たとえばいまの
広域行政のあり方としまして、たとえば臨調が
指摘しておりますように一種の
開発庁を設けるという、庁をもって、国権の発動によってというような、そういう方式でいこうという行き方、盛り上がってくる民意を結集していくという行き方、この後者の行き方が自治省の
基本的立場だと私は思うのです。それならば、
近畿圏整備法の
運用についても、一本、閣議で入れなければならぬ。これは
大臣に問わなければいかぬのですが、閣議で入れなければならぬ。この国会でお出しになるなら、これは継続
審議は継続
審議ですが、新たなお気持ちで国会に出してもらいたい。そして閣議におきまして、最近の
近畿圏整備法の
運用のしかたはおかしいじゃないか——私のとった資料は去年の十一月ですよ。十一月の資料によりまして、さきに申しましたように、詳細な
一つの具体的ともいうべき
基本方針が策定されておる。これを第一次試案と称しておりますが、
知事はみんな拘束されますよ。ことにこれを支配していくというのは、おっしゃるように国の
機関がやるのですから、国の
機関が予算を握っていますよ。だから
地方の
行政庁でも、あなたの発表しておる三十八年度の
地方財政の決算を見てもわかりますが、単年度の赤字県がどんどんふえたじゃありませんか。今度三十一になっておる。私はびっくりしちゃった。三十一も赤字
府県が出ておるような状態なんです。また別の
角度から見るというと、
地方におきましておそらくは三割ほどしか自主財源はないと思う。七割までは国にたよっています。だから年がら年じゅうあなたのほうに陳情ですよ。年末になって陳情団がものすごく殺到して、廊下にへたり込んでおるニュースが出たのは御
承知のとおりなんです。何がこうさせておるのか。自縄自縛ですよ。だから、自縄自縛は適当なところでぶった切るような腹がないと成果があがってきませんよ。やることはただじゃありませんよ。みんな
国民の税金を使って運営しておるのですよ。エネルギーはみんな
国民の税金ですよ。それを思いますと、やはり
近畿圏整備法の
運用のしかたがかなり具体的にわたっておるのなら、こんなものは一本閣議でぶち込まなければいかぬ。閣議でぶち込んで自治省の立場を明確にして、
国民の支援を背景にして国会に臨んでもらいたいと私は思う。それをせずして、こんな抽象的なことを言ったってだめなんですよ。しかし私は、何とかしてあなたらの意図されておるところを実現するように、ほんとうは協力したいのですよ。協力したいのだが、そういう辺について、ずばずばとやらなければ成果はあがってきませんと言うのです。おそらくは予算のほしい
知事さんは、へっぴり腰でこの
近畿整備圏の第一次試案についていきますよ。こちらで何ぼ相談すると言ったって、この末端の具体的な
運用をどうしようかと言ったって、こっちはことし赤字になったんだ——
大阪の市長さん、飛んできているということをきのうか言っておりました。なぜかならば、
大阪あたりも火の車らしい。どこもかも火の車ですよ。赤字転落が全国の
地方公共団体じゃというふうに
考えたならば、やはり権力のあるところに、中央の権力の
出先機関におもねることはしませんけれども、抵抗して、反対して、これの
意見を是正するということにしませんと——また
地方の出先にしましてもそうですね。出先というものは何も大きな
権限を持っていませんよ。中央のひもつきの
意見をちゃんと行なうだけですから、みなそれぞれ昔ながらの割拠ですね。それできまっちゃったものがあるんだから、そこで私はどうなさるのだろうかということが非常に不安なんです。ほんとうに自治の精神を生かしていこうということならば、もっと何とか方法を講じなければ——これをこのままぱっと通すのはやすいですよ。通すのはやすいけれども、通ったものがまたたなざらしになっている
法律になったら、また
法律ができて、昔の満州じゃないけれども、
法律ばかりで身動きできなくなっちゃう。たいへんですな。そういうことにならないように私どもはしてもらいたいのです。そういう点から
考えまして、やはりいまの議論は繰り返しになっているのです。ほんとうのところは、あなたのほうは少しでもこれによって自治の精神を生かしていこうということがねらいで、一方の
近畿圏整備法は、そうじゃなしに、むしろ官治的な国の
行政機関というものを強く打ち出しているということで、対立的な二つの流れというものがここに相浮かんできておるというのがほんとうじゃないのでしょうか。そういうふうな御理解をしませんか、どうですか。