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1965-02-12 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月十二日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君    理事 中島 茂喜君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    久保田円次君       島村 一郎君    登坂重次郎君       村山 達雄君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    細谷 治嘉君       門司  亮君    吉田 賢一君  出席政府委員         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      山本壮一郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提  出第一六一号、参議院送付)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方行政連絡会議法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  3. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 すでに何回も当委員会において審議が行なわれました案件であり、かつまた、あらゆる角度からいろいろな質疑が行なわれた様子でありますけれども、私自身は、今回初めて審議参加いたしたような関係もありますので、あるいは重複するかとも思いますけれども、一部の重要と思われる点につきましてお尋ねしたいのであります。  一つは、この法律案提案説明書にも記載されておりますし、また御説明があったようでありますけれども、ほんとうのこの法律案のねらいとするところ、その眼目、核心とするところは、これは何なのでしょうか。
  4. 松島五郎

    松島政府委員 この法律案のねらいといたしますところは、しばしば申し上げておりますように、国と、地方公共団体であります都道府県指定都市が、連絡共同を密にして、広域的な行政を円滑に処理していこう、こういうことでございます。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 地方行政庁が国の出先機関連絡協調して円滑に行政を行なっていくということは、現に行なわれておるのではないんですか。たとえば実例を近畿地方にとってみましても、この分割の一地域になっておりますけれども、すでに知事会議というものもあり、地域的にしばしばあらゆる角度から会合も行なわれております。この点はいかがですか。
  6. 松島五郎

    松島政府委員 御指摘のとおり、国の出先機関府県とが従来も連絡をとっていなかったわけではないと思いますけれども、ただ従来は何か特別の法律等がございますと、その問題に関連して会合をするというようなこともございましたけれども、一般的な恒常的な組織として、常にそういう問題を協議していくという体制が欠けていたというふうに考えるのでございまして、そういう意味においてこの法律案提案いたした次第でございます。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一般的な、広域的な諸問題、広域行政の要請される諸問題の案件について、恒常的な連絡機関がないとおっしゃいますけれども、同じ内閣提案による、たとえば近畿圏整備法並びにこれに関連する整備開発諸法等運用の実態を見ましても、近畿の場合は二府六県でありますが、二府六県はすでにしばしば会合もし、法律に基づいて恒常的な連絡機関を持っておりますが、この点いかがでしょうか。
  8. 山本壮一郎

    山本説明員 御承知のように広域行政、特に開発行政を中心にいたしました広域行政機関といたしまして、首都圏なり近畿圏なりにつきましては、首都圏整備委員会あるいは近畿圏整備本部がございまして、ある程度そういう点は進められておることは事実でございます。ただ問題は、日本全体を見ました場合に、必ずしも近畿圏首都圏のように、こういう組織ができていない地方のほうが多いわけでございます。国全体を見まして、調和のとれた開発をいたしますには、広域的なそういう連絡機関がぜひ必要であるというのが、われわれが考えました目的一つでございます。  なお、近畿圏整備等関連いたしまして、近発協というのがございまして、事実上の連絡協議をいたしておることは先生指摘のとおりでございますが、先ほど官房長が申し上げましたように、ひとり近畿圏のみならず、その他の各地方につきましても、法律に基づく制度といたしまして、国の出先機関あるいは地方団体相互間の連絡協議の場を制度としてつくりたいというのがこの法律のねらいでございます。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもわからぬのですがね。法律案別表の第六番目には近畿地方行政連絡会議として滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、京都市、大阪市、神戸市、こうなっております。近畿整備圏は同じく二府六県でございまして、このほかに三重、福井県が入るのであります。のみならず、近畿整備圏運用上の会議は、京都市、大阪市、神戸市の市長それぞれ参加いたしております。つまり指定都市の長は全部参加しておる。でありますから、近畿整備圏にはそのような制度があっても、ないところもあるからこの法律が必要だというのでは、これは御回答にならないのであります。やはり重要な法律の一部としての別表になっておりますので、その点私は指摘しておるのであります。これはひとつはっきりしておいてもらいたい。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お尋ねの点でございますが、先生のおっしゃいますように近畿圏整備法対象といたしております区域と、地方行政連絡会議法近畿について考えております区域と重複するではないか、こういう御指摘でございます。これにつきまして、近畿圏整備法は、御承知のように近畿圏整備計画を国の機関である近畿圏整備本部において作成をする仕組みになっております。したがいまして、これに関係地方公共団体参加をいたしますのは、その近畿圏整備本部諮問機関である近畿圏整備審議会メンバーの一部といたしまして、諮問に答えて参画する、こういう仕組みになっておるわけでございます。ところがこの地方行政連絡会議はそうではなくて、関係都道府県知事主体になりまして、そしてそれに関係地方出先機関の長も参加をいたしまして、広域にわたる問題について連絡協議をしていく、こういう制度でございます。したがってこの制度のねらいが違うわけでございます。  それから地方行政連絡会議で取り上げます問題は、必ずしも近畿圏整備計画の中に盛られる問題だけにはもちろん限りませんので、いろいろな問題があるわけでございます。そこで、それじゃ両者関係がどういうことになるかということになるわけでございますが、おそらく近畿圏整備法によりまして、国がつくります近畿圏整備計画といいますものも、関係地方公共団体の意向を十分反映したものにならなければ、実効があがらないわけでございますから、そこで地方行政連絡会議関係都道府県指定都市主体になりまして、いろいろ相談をいたします、いわば自主的な構想というものが土台になりまして、国が近畿圏整備計画をつくるというような形にもなるでありましょうし、さらにまた、近畿圏整備計画でつくりました計画実施にあたりまして、いろいろ関係府県関係地方公共団体との間で、連絡協議を要するような問題も多々存すると思います。そういうようなものは、連絡会議を通じて連絡調整をはかっていく、そういうふうなことになるであろうと考えるわけでございます。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもわからぬのでありまして、その御答弁だけでは解明にならぬのであります。もちろん近畿圏整備法並びにいまの付属法は、本部長が、近畿整備圏の長官が国務大臣であることと、それから計画実施等につきましては、内閣総理大臣権限に属する事務を行なう、こういうことになっておりまするので、その方面は、機構、構成基本的な考え方は違うようであります。しかしながら、やはり広域行政の需要に応じるというのは、それはこの広範な地域における国民要望結論をいかに行政の上に結実さすかということが目的でなければなりません。したがいまして目的は、内閣並びに国務大臣がこれを主管しておるから、そうではなくて地方公共団体協議であるからということは、本質の問題じゃなしに構成の問題であって、おのずから両者異なるということは法文上明らかでございます。その点はわかるのでありますが、私の伺うことは、それならば両者は具体的に何を目標にするのか、何をなさんとするのか、その点をひとつそれならばお答え願いたい。両者につきましてですね。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生のおっしゃいますように、両者とも近畿圏区域にわたります広域的な行政処理を能率的に円滑に執行しようというための制度でありますことは、そのとおりでございます。ただ近畿圏整備法考えておりますのは、その法律の中でいろいろ規定されておりますような内容を盛りました近畿圏整備計画というものをここで作成をする。そしてそれの実施の推進に当たるというのが一口に申しますとこの近畿圏整備法のねらっておるところでございます。そこで、この計画そのものは国の計画といたしまして、国の機関である近畿圏整備本部作成をするわけでございます。したがいまして、この近畿圏整備計画の中にはもちろん国の直轄事業も入るわけでございますが、この地方行政連絡会議一つは先ほど申しましたように、その近畿圏整備計画に盛られるべきその素材となるいろいろな関係地方公共団体要望なり計画なりというものを、お互いが、地方公共団体主体となった立場においていろいろ連絡協議をしていく。まあいいますれば、正式の、公式の近畿圏整備計画というものに整備をされます前の段階の、地方団体側あるいは現地側のいろいろな要求というものを下ごしらえをするというような意味がまず一つあろうかと思います。  それからいま一つは、近畿圏整備計画ができまして、これに基づいて事業執行がなされるわけでございますが、その場合に、地方公共団体主体になって行なう事業もございますし、国の機関が行なう事業もあるわけでございますが、その事業実施段階にあたって、それぞれ国の機関である近畿圏整備本部のああやれ、こうやれという指図を受けるまでもなく、関係地方団体現地出先機関とが連絡協議をしながら、実施の円滑をはかってまいらなければならぬという問題が、実施上の問題としてはいろいろ出てくるであろうと思うのでございます。  それから、この近畿圏整備計画とは必ずしも関係のない、関係地方公共団体の中での広域的な処理を要するいろいろな協議事項というものもあるわけでございます。したがいまして、この両方組織が両々相まって近畿圏におきまする広域行政の円滑な処理が進め得るもの、かようなふうに考えておる次第でございます。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 両々相まって広域行政完ぺきを期することができましたら、これはまことにけっこうなことでありますけれども、私の質疑の理由、根拠とするところは、屋上屋を架すようなことになるのではないか、いたずらに会議倒れになるのではないか、そういったことをむしろ今日は国民はきらっておるのです。なるべく国民は簡素に一本にしてもらいたい、なるべくあちらへ行けこちらへ行けとこづき回されることなしに、国民の求める要望行政によって実現してもらいたいというのが今日の世論であります。これにこたえるというためには、やはりこういうところが、何かしらんまだ十分に整備されないままの法律案のような気がするので私はお尋ねするのです。両々相まって広域行政目的完ぺきを期することができましたならば、もう何をか言わんやでまことにけっこうなことであります。  そこで、もっと具体的に聞きますが、それならばもっと端的に申しましたならば、広範に例をあげてもらう必要はありませんが、ずばっと言うなら、どういうことが事務の種類となり、事務の要綱、内容になるのでございましょう。
  14. 松島五郎

    松島政府委員 この連絡会議でもって取り上げられます問題は何かというお尋ねであったと存じますが、この連絡会議広域にわたる行政について連絡協議していくということでございます。したがいまして、今日広域にわたって処理を必要とする事務というものを考えてみますと、一つ地域開発といわれておりますような仕事があるこは御承知のとおりでございます。  次には、水資源開発利用というような問題も、一府県にとどまらず、数府県にわたって問題になることでございます。  それから道路交通体系整備ということが、やはり今日広域的な処理を必要とする事務となってまいっております。これは単に数府県にわたるというのみならず、国の幾つかの出先機関にも関連する問題でございます。すなわち、たとえば道路の問題をとってみましても、道路をどういうふうにつけていくか、どういうふうにしたならば交通の円滑な疎通がはかれるかというようなことになりますと、建設関係の問題であるのみならず、交通規制の問題にも関連をいたします。あるいは運輸行政の面にも関連してくるわけでございまして、そういう問題があろうかと思います。  さらに、災害対策の問題にいたしましても、これも相当広い地域にわたって起こる災害というものをどういうふうに防除していくかということは、非常に広域的な問題であり、かつ幾つかの国の行政事務にも関連してくる問題であろうと思います。  さらにまた観点を変えまして、最近非常に盛んになってまいりました観光の問題につきましても、観光ルートというようなものも、昔のようなある地点の観光という問題から、このごろは面と申しますか、相当の広がりを持った観光というものに変わりつつあります。したがいまして、そういう観点から観光ルートをどういうふうにつけていくかというような問題も、数府県にわたる問題としてあろうかと思います。  そのほかに、流通対策の問題も、今日非常にやかましい問題になっておりますけれども、こういった問題も単に一府県の問題にとどまらず、広く数府県にわたって考えていかなければならない問題でございますし、また単に農林省なら農林省の問題で生鮮食料品の問題が片づくわけではなくて、それは同時に輸送の問題あるいは市場の問題というようなものといろいろ密接な関連を持ってくるわけでございます。  こういったような、いま例であげましたようなものが広い地域にわたる問題であると同時に、多くの行政の分野に関連する問題として、この連絡会議で取り上げられる問題であろうかと考えております。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本法案によりまして、第四条には、参加する国の出先機関といたしまして、大蔵省関係あり、農林あり、通産あり、それから運輸あるいは建設その他公団、関係ある地方公共団体などが入っております。これが知事並びに指定市の長とお互い構成員となるようであります。一方近畿整備圏審議会構成メンバーを見てみますると、同様に関係行政機関職員、この職員は、おそらく国の出先機関代表であります。それから二番目は、関係府県知事近畿整備圏の場合には、二府六県であります。指定都市代表、これも同様であります。そしてこのほうが多い。十一人以内。その他議長あるいは学識経験者等々を加えております。要するに、近畿整備圏審議会構成メンバーと本連絡会議法案構成メンバーが大体同じであります。いま御指摘になりました事務趣旨目的とするところは何かという事項につきまして、お説のとおりに、地域開発の問題、重要な広域行政対象であることは申すまでもありません。水資源の問題、これも同様であります。地域開発の問題ならば、たとえば近畿整備圏におきましては、すべに工業整備特別地域等法律ができ、あるいはその他の地域開発等につきましても、具体的に何かと計画もされつつある。水資源の問題ならば、淀川の水系の問題、あるいは琵琶湖湖水の問題、大阪滋賀兵庫京都等にまたがっております。あるいは高速道路等の問題、陸の、海の、空の交通の問題、いまおっしゃったとおり、災害対策観光あるいはその他等々、これはまことにそのとおりであります。広域行政対象であり、広域行政の要請するところは、こういったところが国民要望となってあらわれてまいって、行政に乗ってきたことは申すまでもないのでありますが、同時にまた一方近畿整備本部整備計画は、同様にさきにも述べましたような構成メンバーによって、すでに何回か会議を重ねまして、政府提出の資料によりますと、最終案にはなっておりませんけれども、たとえば、基本的に人口の配置の問題あるいは産業配置の問題、工業あり、農林あり、農業あり、漁業あり、林業あり、あるいは産業基盤整備の問題につきましても、道路があり、鉄道あり、港湾あり、空港の問題あるいは通信の施設等水資源の問題につきましても、開発の問題、あるいは電力等におきましては、エネルギー、あるいはおっしゃった災害につきましても、これは国土保全施設整備という趣旨において、洪水から高潮等々、いろんな問題をとらえております。その他にも例の公害という問題があり、観光開発の問題、あるいは文教の振興とか、労働力確保、こういったような面に至りまするまで、これをとらえて、そしてすでに第一次案を発表してしまっておる、こういう段階に進んでいるのです。この整備法によりますと、この区域知事はこれを尊重する義務法律は背負わしております。これを執行する組織は、国家行政組織法により総理大臣権限において行なう、こういうことになっておる。それに勧告の分は、第十七条において、関係事業者も協力しなければならぬというようなことを書いてある。また大蔵大臣は、この執行において、それの必要なる財政の協力もする義務があるようであります。つまり、実施につき必要なる資金の確保をはかり、国の財政の許す限りその実施の促進につとめねばならぬ、こういうことが政府義務となっておるのであります。こういうことになってきますると、結局行政執行権は国にある。それで知事さんが寄って協議する。それと出先機関が寄ってともに協議する。大同小異なものが同じ目的を負って事務的に協議会議審議、調査を重ねられてある結論を得る。本案によりますと、これは第七条によれば、関係大臣に「意見を申し出ることができる。」こういうことになっております。こういうことになってきますると、構成は違って、一方は権力的であり、国の行政権を背景といたしまして権力の行使ができる執行権を持っておる。他は、本法案は、意見を具申ができる、こういうことになってくるので、影が薄くなってしまうのではないだろうかという、実は私自身は好意的に同情的に考えるのでありますけれども、結局それは屋上屋になりはしないだろうかという不安もその点から生まれてくるのであります。この点に関してやはり何とお考えになっておったのだろうか、これは自治省の大臣に聞くべき点でありますが、事務当局におかれまして、その辺についてどういうふうにお考えになり、もしくは調整考えておられるのでしょうか、お聞きしておきたい。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のように運用のいかんによりますると、両方制度がダブって、屋上屋を架するというような結果になるおそれもないわけではないと存じます。ただ私ども考えておりまするのは、近畿圏整備計画は、あくまでもこれは基本的な計画の根幹となるべきものについての計画であって、これが本来地方公共団体責任において処理すべき事項にまであまり立ち入って、国の機関でつくる、近畿圏整備計画が事こまかに規定をする、そうして地方公共団体事務執行も、それによって拘束をするというようなことになりますると、これは地方自治のたてまえからいたしまして遺憾でございます。しかしながら、近畿のように、関係地方公共団体の間が非常に密接な関係になっておりますところにつきましては、近畿圏整備法のようなものによりまして国が参加をいたしまして、国の責任において根幹的な基本的な計画をつくる。そして国の行ないまする直轄事業につきましても、地方公共団体の行ないます事業につきましても、一つ基本的な計画をきめるということは、これは必要であると思うのでありまするが、その場合におきましても、関係地方公共団体自治権との関係は十分な配慮をしていかなければならぬ。したがいまして、政府部内の私どもといたしましては、近畿圏整備本部につきまして、この法律に基づいてつくります計画につきましては、あまりこまかいことまで立ち入った計画をつくるべきではないという主張をいたしておるわけでございます。したがいまして、この整備計画できめられましたものの実施の面につきましては、いろいろ地方公共団体といたしまして、お互い連絡協議をしていかなければならない問題が起こってくるだろうと思うのでございます。そういう問題が起こりました場合に、一々近畿圏整備本部に持ち出して、そこで調整をしてもらうということは、これは望ましいことではございませんので、そういうものは自主的に連絡会議の話題としてここで調整をしあっていく。しかし基本になる計画は、これはやはり近畿圏整備計画ができましたらそれに従って処理をしていく。そういうような関係両者運用の円滑を期してまいるべきであろう、かような考え方をいたしておるわけであります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが、あにはからんや近畿圏整備基本計画の一応策定いたしておりまする内容は、いまおっしゃったような基本的な構想を述べて原則を示し、方針を示すというのではなしに、かなり具体的な、たとえば港湾整備の方向というようようなものになりますと、固有名詞がずっと並びます。それから幹線の輸送力の強化ということになりましても、どこからどこまでの線というようなことになります、一つ交通をとって見ましても。水資源というようなことになりましてもこれは何々川、たとえば木曾川、桂川、猪名川というような、このような固有名詞がどんどん出てくるわけです。また固有名詞を出さないで広域行政対象である地域開発ないしは産業基盤の育成、その他経済的な諸案件にこたえるような計画というものは、これは学者ならともかくも、実際家として知事参加し、それぞれ出先機関参加している場合に、固有名詞を抜いては意味をなさない、学生の作文じゃあるまいし、国の経費を使った一つの大きな方針を立てるのですから。そこで、このようにあらゆる角度から、いまお述べになりましたような諸案件について具体的な案が出されておるのです。そうしますると、もっと皮肉な言い方をするならば、すでに知事参加してある成案を得て、最終案になるかならぬかは別としまして、拘束さるべき法律上の義務がある、こういったようなときに、新規に別個の角度からもう一ぺん蒸し返しをやる、批判をするということにするのか。それともこの範囲でお互いに、それならこれが具体的にやれるように、行ない得るように、円滑に実施できるように、法律的に金も使えるようにどういうふうに合理的にしようかというような、その辺のことでも相談するのか。するならば、それは法律に対する政令のような役割り実施上の細目の決定にすぎない、そういうことになる。この法律案はそんなような趣旨ではないはずなんだ。お述べになる片りんによれば、もっと地方自治の本格的なものをぐっと出していくような、そんな辺に底意があるように私は考えるのです。けれども、どうもその辺が後手を踏んで、細目だけの協議に終わるのじゃないかとさえ思うのですが、一体これはどういうものなんですか、どういうように理解なさっておりますか。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、一つ計画段階での問題がございます。計画段階についての問題につきましては、近畿圏整備本部がつくりまする整備計画——もちろんこの諮問機関メンバーとして、関係地方団体も参画はしておるわけでございまするが、そのもとになりまする関係地方公共団体のいろいろな要望があるわけでございまして、それをお互いが自主的に調整をし、案をつくる、そうしてそれをもとにして正式な近畿圏整備計画というものをつくってもらう、こういう一つの機能があると思いまするし、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、その場合におきましても近畿圏整備計画に盛りまするものは、できるだけ基本的な根幹的なものにして、細目の点につきましては地方団体の責任でやるようにしていくべきであろう、ただその点につきましては、この近畿圏整備法地方行政連絡会議法案よりも先にできておりまするので、現在地方行政連絡会議のようなものがない段階におきましては、あるいは近畿圏整備本部考えておりますものが、ややこまかい点にまでわたっておるかもしれぬと存ずるわけでございまするが、これができました暁におきましては、なるべくそういうものは、地方公共団体主体性を保ちながら協議を進めていく、かようなふうに運用すべきものだと考えておるわけでございます。  それから次は、この事業実施段階でございますが、仰せのようにこの整備計画に盛られました事業実施いたします場合には、その基本計画に従って地方公共団体実施をいたさなければなりませんが、しかし実際その実施に当たりますと、いろいろ細目の点においてまた問題が起こるわけでございまして、それらの実施にわたるいろいろなトラブルと申しまするか、トラブルとまでいきませんでも、お互いの間の意見調整というものを要する問題が相当多く出てくるであろう、このように思うわけでございます。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはあなたのほうでそういうふうに思われておっても、現実にはそうでないように事態が進展しつつあるということを私は御指摘申し上げておるのです。それで、同じ政府が出す法律案ですから、もっと私は基本的な態勢を統一すべきだと思うのです。  そこでなお、大臣おられぬのでちょっと政務次官に伺いますが、これはまあすでにずっと以前に出された法律案で、当初あなたが参画なさったのでないと思いますけれども、行政責任は当然承継すべきものであるから伺ってみるのですが、一体この種の法律案をつくるときには、また議会にかけるときには、閣議でもっとその辺の類似、重複、食い違い、そういうもののあるなし、一つ目的に向かって二つの方法が行なわれるおそれはないか、こういう点について調整、統一することがいまの行政府に課せられておる大きな課題の一つだと私は思うのです。この場合、事務当局が立案なさったことはよくわかるのですけれども、自治省以外の分野にわたる行政相当広範な問題がこれは関連しておりますが、当然閣議でこのような基本的な問題は、やはり行政の姿勢の問題として、法律案基本的原理の統一の問題といたしまして何らか協議決定する責任がある。一体、行政をばらばらにまかすというようなあり方を今日やはり国民は批判するのです。行政はやはり内閣でなければならぬ。行政責任内閣です。それぞれ各省の長官はあっても国務大臣であるし、内閣責任があるんだから、出るところは一本、内閣だ。いずれも総理大臣提案者なんですから。だから内閣におきまして、このような辺は最終の整理を責任を持ってなさるべきであったんだと私は思います。依然として食い違いのまま出てきたんではないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  20. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 もちろん政府法律案を提出いたします場合には、閣議を経て十分検討の上提出するということになっておるわけでありまして、本法案のごときも、そのとおりにいたしたわけでございます。私は、閣議に出た経験がありませんが、これはもう政府責任を持って十分検討いたしたものであることを申し上げておきます。したがいまして、吉田委員の御質問なさるお心持ちの中に、私、察しますに、先ほど来御質問のありました近畿圏整備法との関係において、何か屋上屋を架するような弊があるんじゃないかというような点でありますが、私どもそのように考えておらないわけでありまして、それについて詳しく官房長なり行政局長から説明申し上げましたが、まあ簡単に、一口に申しますと、やはり問題は、国の行政ということと地方公共団体地方行政ということの調和の問題であると考えておるのであります。近畿圏整備法は、御承知のように国が主導権を持って、国の行政として近畿圏整備ということを策定し、それを実施していこう、こういう立場であるわけであります。いま御審議を願っております地方行政連絡会議法は、地方自治の立場に立ちまして、地方行政をいかに円滑かつ能率的に効果的に推進をしていくかということを目的としておるわけでありまして、いわば主体性と申しましょうか、主導権というものは地方公共団体側が持つ、これが中心になっていくという、こういう建前であるわけでございまして、先ほど来お話のございました近畿圏整備法に基づいて策定されましたいろいろの基本的な計画実施にあたりましても、それを具体化いたします間には、やはり国の行政という面と、地方公共団体地方行政という面とが、やはり調和をとって円滑に行なわれていかなければならない面があることは御承知のとおりでありまして、またその策定の具体化にあたりまして、国の行政というよりは、むしろ重点を地方行政に置かなければならない問題も必ずそこに存在するわけであります。特に地方公共団体行政は、非常にきめのこまかいこと、非常にまた複雑多岐にわたる等々の事情もございますわけでありまして、それを推進してまいりますためにも、やはりこの法案考えておりますような連絡会議というものを必要といたしまするし、またその基本計画に盛られておる面においても、いろいろとこの法案目的としておりますような点が多々あると考えられるわけでありまして、要は国の行政地方公共団体行政というものがうまくかみ合って、調和をとっていこう、それにはやはり国の立場からの策定ということも大いに意義がありますが、また同じ問題に関してそれを具体化してまいります場合に、地方公共団体主体性をとっていろいろと協議してまいる必要性ということもあると思うのであります。なお地方公共団体——いま府県を例にとりますと、府県地域という範囲内においてのみ行政というものが縛られてまいりますと、いまの社会の実情、社会生活、経済の発展等々とにらみ合わせまして、その域を越えた広域的な行政というものが要請されておることも、吉田委員承知のとおりでございまして、そういう問題をこの会議によりまして十分各方面と協議連絡をとって、その行政が円滑に迅速に効果的に推進されていくというふうにして、そして行政の民主化、地方自治というものの確立進展に大いに役立たせていきたい、そうして地元住民の要望にこたえていきたい、こういうところにねらいがある、こう考えておるようなわけであります。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもわかったようなわからぬようなことなのですが、御趣意のあるところはよくわかるのですが、どうも私どもは、私自身地方行政初めて入ったのですが、やはり一番肝心なことは、もっとものごとを簡単にしなさいと言いたいのです。どうも日本人はあったほうがよかろう、少しでも役に立ちます、そんなことばかり考えるのです。ですから補助金でも何千億円となってしまう。厚生省は今国会では三十ほど整理しますという法律案を出します。やんや言われて、三十整理しますというような、そんなていたらくはありませんよ。日本人というものは、ものを複雑に考え過ぎる。えらい余談で悪いのですが、たとえば料理にしても、日本料理もあるし、シナ料理も食うし、西洋料理も食うし、何じゃかんじゃ食わぬと気が済まぬ。世界じゅう歩いてもこんな多芸多能の、こんな食をやっているのは日本だけですよ。それほど日本人というやつは何じゃかじゃとやりたい。着物でも洋服もあるし和服もあるし、いまでもはかまはいて通っている人もあるし、帽子にしたって無帽もあるし、いろいろ雑多です。こう申しますと、ほんとうに自分ながらおかしいほど日本人の生活は複雑怪奇です。それが行政にあらわれている。これがまた今日の政治なんですね。そこは自治省がいまおっしゃるように、地方自治に徹するというような憲法の精神を、ほんとうに地で行なっていこうという意気込みがあるならば、もっと抜本的に、妥協しないでいくところは妥協しないでいき切ってもらいたいと思うのです。私の尋ねるゆえんのものは、私は皆さんが地方自治というものをほんとうに後生大事に、一生懸命お考えになっていることを多とします。それならばそれで、どこをついてどうするかということを、ちょっと痛くてもおっしゃってやってもらいたいのですよ。それをすることをやらずに、念仏ばかり言っておったってだめなんです。から念仏言っておったってあかんのです。だからこの法律案は、私は基本的な思想が二つ流れていると見る。この法律とさっき申した近畿圏整備法は——近畿圏整備法は一種の官治的ないき方があらわれております。たとえばいまの広域行政のあり方としまして、たとえば臨調が指摘しておりますように一種の開発庁を設けるという、庁をもって、国権の発動によってというような、そういう方式でいこうという行き方、盛り上がってくる民意を結集していくという行き方、この後者の行き方が自治省の基本的立場だと私は思うのです。それならば、近畿圏整備法運用についても、一本、閣議で入れなければならぬ。これは大臣に問わなければいかぬのですが、閣議で入れなければならぬ。この国会でお出しになるなら、これは継続審議は継続審議ですが、新たなお気持ちで国会に出してもらいたい。そして閣議におきまして、最近の近畿圏整備法運用のしかたはおかしいじゃないか——私のとった資料は去年の十一月ですよ。十一月の資料によりまして、さきに申しましたように、詳細な一つの具体的ともいうべき基本方針が策定されておる。これを第一次試案と称しておりますが、知事はみんな拘束されますよ。ことにこれを支配していくというのは、おっしゃるように国の機関がやるのですから、国の機関が予算を握っていますよ。だから地方行政庁でも、あなたの発表しておる三十八年度の地方財政の決算を見てもわかりますが、単年度の赤字県がどんどんふえたじゃありませんか。今度三十一になっておる。私はびっくりしちゃった。三十一も赤字府県が出ておるような状態なんです。また別の角度から見るというと、地方におきましておそらくは三割ほどしか自主財源はないと思う。七割までは国にたよっています。だから年がら年じゅうあなたのほうに陳情ですよ。年末になって陳情団がものすごく殺到して、廊下にへたり込んでおるニュースが出たのは御承知のとおりなんです。何がこうさせておるのか。自縄自縛ですよ。だから、自縄自縛は適当なところでぶった切るような腹がないと成果があがってきませんよ。やることはただじゃありませんよ。みんな国民の税金を使って運営しておるのですよ。エネルギーはみんな国民の税金ですよ。それを思いますと、やはり近畿圏整備法運用のしかたがかなり具体的にわたっておるのなら、こんなものは一本閣議でぶち込まなければいかぬ。閣議でぶち込んで自治省の立場を明確にして、国民の支援を背景にして国会に臨んでもらいたいと私は思う。それをせずして、こんな抽象的なことを言ったってだめなんですよ。しかし私は、何とかしてあなたらの意図されておるところを実現するように、ほんとうは協力したいのですよ。協力したいのだが、そういう辺について、ずばずばとやらなければ成果はあがってきませんと言うのです。おそらくは予算のほしい知事さんは、へっぴり腰でこの近畿整備圏の第一次試案についていきますよ。こちらで何ぼ相談すると言ったって、この末端の具体的な運用をどうしようかと言ったって、こっちはことし赤字になったんだ——大阪の市長さん、飛んできているということをきのうか言っておりました。なぜかならば、大阪あたりも火の車らしい。どこもかも火の車ですよ。赤字転落が全国の地方公共団体じゃというふうに考えたならば、やはり権力のあるところに、中央の権力の出先機関におもねることはしませんけれども、抵抗して、反対して、これの意見を是正するということにしませんと——また地方の出先にしましてもそうですね。出先というものは何も大きな権限を持っていませんよ。中央のひもつきの意見をちゃんと行なうだけですから、みなそれぞれ昔ながらの割拠ですね。それできまっちゃったものがあるんだから、そこで私はどうなさるのだろうかということが非常に不安なんです。ほんとうに自治の精神を生かしていこうということならば、もっと何とか方法を講じなければ——これをこのままぱっと通すのはやすいですよ。通すのはやすいけれども、通ったものがまたたなざらしになっている法律になったら、また法律ができて、昔の満州じゃないけれども、法律ばかりで身動きできなくなっちゃう。たいへんですな。そういうことにならないように私どもはしてもらいたいのです。そういう点から考えまして、やはりいまの議論は繰り返しになっているのです。ほんとうのところは、あなたのほうは少しでもこれによって自治の精神を生かしていこうということがねらいで、一方の近畿圏整備法は、そうじゃなしに、むしろ官治的な国の行政機関というものを強く打ち出しているということで、対立的な二つの流れというものがここに相浮かんできておるというのがほんとうじゃないのでしょうか。そういうふうな御理解をしませんか、どうですか。
  22. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 吉田委員からいろいろと御好意のある鞭韃的なおことばをいただきましたが、自治省といたしましても、先ほど申し上げましたように、いろいろの面を考慮いたしましてこの案をつくり、政府といたしましても十分検討をして提出をいたしたわけであります。そしてまた、今後自治省といたしましては、お話のございましたように、自治精神の高揚なり、地方公共団体行政の円滑に、効果的に促進されていくようなふうに、いろいろとくふう、努力をしてまいる、こういう考えであることは申し上げるまでもないところであります。この法律の精神は、先ほど来説明をいたしましたように、やはり地方公共団体広域行政ということを総合的、かつ円滑に促進をしていくために、いまの実情に合った最も効果的な制度であるというふうに考えておるようなわけでございます。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 効果的な広域行政ができましたらまことにこれはけっこうなことなのですが、私がだんだんと議論をしながら御質問をしたような趣旨が、どうもいまの御答弁によって解明されていないのです。  そこで事務の当局に伺いますが、これを運用するときには——私はこの際は近畿整備圏に限るのですよ、ほかのことは具体的な事例を持っておらぬから。そうすると、具体的に運用するときは、一方におきまして、近畿整備圏におきましては、基本計画が最終的には立たぬにいたしましても、大綱はできておる。そうすると、そういうこととにらみ合わせながらいくということにでもするのか、それとも各省間でもっと高次の調整を何らかの方法でとりながら——せっかく法律ができたら、二つの法律ですから相いれないということは許されません。法律を曲げてやったら法律違反になりますよ。ですから、相いれない運用は許されませんので、これはもっと高次な調整をするということにでもするのかどうか。事務ではそういうふうにできないと思いますけれども、これは主管庁は、といいますか、最も多く意見を受けるべきものは自治省であろうと思いますが、また自治省が指導する地方の自治体もあることであるから、もっと高次な角度におきまして何らか調整をするということでもしなければ、結局ねらう効果はあがらぬということをどうも考えるのですが、答弁のための答弁ならもうよろしゅうございますが、事務的にお考えになりまして、ほんとうにその辺は御心配になりませんか。すでに一方ではある程度できておるのですよ。すでに御承知と思いますけれども、内容は、私がいま申し上げましたように、あなたのほうで参加するところの出先機関全部にわたっていますよ。参加する出先機関、これはもうどこもかもありますけれども、これの一ないし十二の出先機関並びに公共企業体の直接管掌する事務の分野は、全域にわたってすでに基本方針は、第一次案は策定されておりますので、そういう辺については、具体的にいかに効果あらしめるかということの運用は一体どうなさるおつもりか。そんなものは別に知事さんが集まって相談しましょうというふうに相談でもしようとするのか。それとも、ともにこれも検討しましょうということにするのか、そこらはどうなるんでしょうか。
  24. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生が先ほどから度々御指摘になっておりますような心配というものは、率直なところ、運用にあたりまして、私どももよほど気をつけていかなければならぬであろうと存じております。そして繰り返し申し上げますが、近畿圏整備法によりますと、これは近畿圏整備本部諮問機関として各地方公共団体代表の人が参加をしておるわけでございますから、諮問に応じて答えるという形になるわけでございます。しかし御指摘のように近畿圏整備本部でつくりました整備計画につきましても、地方公共団体側からいたしますと、いろいろな意見もあろうし、また注文もあろうかと思います。そういうものは諮問機関メンバーとしてではなくて、自主的にこの連絡会議メンバーとして各地方公共団体が集まって、また出先の長も参加してもらって、そこで自由に討議をしてもらう、その結果によって、整備計画を変更してもらうほうがいいという点があるならば、そういうことでこれの変更を求めるようにするというような場合もあり得ようと思います。しかし、一たんこの整備計画ということできまりましたものは、これは法律によりまして地方公共団体としては、その計画に基づいて、実施をするようにこれつとめなければならないわけでございますから、それはこの計画に基づいていくということに当然なろうかと思います。しかしまた実施にあたりましても、どうもこれはぐあいが悪いというようなことがございますれば、またこの連絡会議でいろいろ相談したことをもとにいたしまして、近畿圏整備本部のほうに、こういう点はこういうふうにしてもらいたいというようなことを申し出て、そこで調整をはかるということもあろうかと思うのでございます。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 近畿整備圏審議会諮問機関とおっしゃいますけれども、法律によりますと、審議会は策定及び実施につきましては重要な事項について内閣総理大臣意見を述べるということが法律趣旨になっておるのであります。でありますから、単に諮問を受けて調査し、あるいは審議するというだけでないのであります。この点は本法律案によりまして関係大臣意見を述べるというのと同じことなのであります。こういうわけでありますし、また一方、近畿圏整備法によりますと、各知事は拘束を受けることになる、こういう効力があるわけであります。こういう次第でありますので、これは何らか両者調整をしていかなければ、私は自治を生かすといっても、そうはいきません。そこが私が言っているところなんです。ですから、何か言いたいことをへっぴり腰で言うたってそれはあきまへん。少しぐらいここを増してくれとか、ちょっと数字を増してくれということになってはどうにもならぬ。そういうふうに思いますので、そんな法律ならつくらぬほうがいい。そんな要らぬことせぬでも、現に知事会議といいますか、何か寄り合いみたいなものをやっています。すでに公害あるいは水系の利用等につきましても、具体的に実際にそれぞれと協議を進めて、そして広域行政の部分的にも実をあげておるわけなんです。これではなくもがなになってしまうわけなんです。それで私申し上げるので、ほんとうに自治の精神を少しでも生かすために、いまは少しかっこうが悪いけれども、なるべく失地回復したいという気持ちでも持って一生懸命やるのならば、何かもっと方法をとらぬとあかぬと言うんです。何ぼおっしゃっても、いまのおっしゃる説明だけでは、ぐっとのしてこない、色あせてしまいます。法律案が通ったくらいで、あまり本気になって各知事なんか協議しませんよ。前にきまったことがある、前にわれわれ参加して協議しつつあることがあるから、それと似たり寄ったりのようなことをやっていて、少しくらい落ちがないか、実施の上で何か言うことがないかということになりはしないか。その点についてどうもあなた方の御説明では私は納得しかねる。やる以上はぐっとかじを向き変えさせるというところまでてこ入れをしないといかぬというのです。どうもその辺が弱いから、私はいかがかと思っております。問答をお繰り返しになるなら、その点は、もうやめておきます。
  26. 佐久間彊

    佐久間政府委員 審議会は同じ構成メンバーじゃないかというお説でございますが、理屈を申し上げるようで恐縮でございますが、審議会にはこのメンバーのほかに学識経験者でありますとか、いろいろほかの方も入っております。そこで審議会意見を具申いたします場合には、どうしても格式ばった形になると思うのでありますが、この連絡会議のほうは、非常に自由に、関係地方公共団体出先機関の長とで気軽に問題について討議ができるような運用を期待いたしておりますので、この連絡会議によって問題を取り上げて、十分掘り下げて、その結果、いままででございますれば、こういう法律的な根拠がございませんでしたので、先生のおっしゃいますように、へっぴり腰でものを言うというようなことがあったかもわかりませんけれども、今度はこの法律に基づく連絡会議で討議をした意見だということで、強く近畿圏整備本部に対しても、ものを言うこともできるわけでございます。この連絡会議法案が成立いたしました暁におきましては、近畿圏整備法運用につきましても、その点は十分配慮を加えていくべきものだ、かように考えておるわけでございます。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は広域行政の実をあげるために、すなわち経済、社会、文化等の目まぐるしいばかりの変貌に対処いたしまして、そういう高度な行政需要に応じるための広域行政の実をあげますために、あなたのほうとしては事務的に続々と、ここ数年来、地域開発等法律ができております。近畿整備圏のあの地方におきましても、新産都市の問題もあるし、それからまた新たに工業整備特別地域法律もできましたし、その他後進地域開発に関する適用を受ける地域もございますし、また地方地方によりましては、全国的な総合開発の線に沿って開発計画を立てておる。これらを見渡しますと、同じことをあっちからもこっちからもやっておる。ちょっとまた別の角度から見ると、各省別々に、一つ目的を、別の角度で別の立場で追うておるんじゃないだろうか、また地域地域は別々に同じようなことをやっておるんじゃないだろうかと思いますので、ここらをもう少し自然発生的なそれにまかさずに、この段階においては高度の広域行政の名実を備えたものをつくり上げるために、整備のほうへ前進さす作業がこの際必要ではないだろうか。いろいろな法律があります。法律全部全国的なものをあげましたら何十ということになるかもしれませんけれども、地域開発産業基盤整備あるいは経済、社会、文化等をめぐっての——経済とか社会開発等、各そういう需要に応じるために制度をもう少し統一、総合、簡素化する必要があるのじゃないだろうか。こういうことを自治省がイニシアチブをとって、少し事務的にでも持っていったらどうか、そしてこういうことをもう少し国の施策として——これは次官に申し上げますが、やはり内閣一つ方針としまして、幸い社会開発なんて佐藤さんは一生懸命おっしゃっているときですから、経済開発偏重、社会開発と並行——これはまことに時宜に適したことです。でありまするので、こういうようなときでもありまするから、少しいま申したような整備の方向へ、ひとつ準備作業を基礎的に進めていく段階ではないであろうか、こういうふうに思うのですが、これは近畿圏だけに限った問題じゃないのです。同じ目的ですから、この点いかがでございましょうか。
  28. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のようにいろいろな地域開発関係をいたしまする法律が各地域に次々に出てきてまいりますことにつきましては、私どもももっと整備統合すべきだということにつきましては全く同感でございます。ところでなぜそういうものが次々に出てまいったのかという原因を尋ねてみますと、いろいろございましょうけれども、一つには現在の各都道府県というものが、少なくともブロック単位ぐらいにおきまして相互に連絡討議をしていくということが欠けておりましたために、先生のおことばを拝借いたしますと、都道府県間にわたります問題について国が出かけていって官治的な方向において問題を解決しようというような構想が出てまいったのではなかろうか。現状におきましては、府県間にまたがります問題について、府県間で知事さん同士がゆっくり相談をして解決しようというよりも、すぐ問題を国の中央官庁に持ち込んできて、そこで調整をたのむというような傾向すら見えてきておるわけでございます。そこで私ども事務当局といたしましては、実は近畿圏整備法のようなものができますことにつきましては、そういった意味からいろいろ意見も持っておったわけでございまして、今後そういうような傾向がこれ以上助長されませんで、先生のおっしゃいますように、もっと整備統合するという方向で事を進めます場合におきましても、この連絡会議法をつくりまして、関係府県間で、もっと現地で自主的に相関連する問題の解決をはかっていくという機運を醸成をしてまいるということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は伺いたいことがたくさんにあるのですけれども、あなたらとだけ問答をしておってもどうもこれは解決をしませんので、一つだけ伺っておきますが、この連絡会議でいまおっしゃったように、考えてみればよってきたるところの原因を探究していかなければならぬ。そういうことになってきますと、やはりきょう起こっている問題をどうしようかというだけでなしに、おざなりのそれじゃなしに、もっと抜本的な問題を取り上げていこう、なぜできぬのか、なぜわれわれがこうしなければならぬのか。大体広域行政にしても歴史的に文献によって見ると、戦前から、昭和二年あたりから広域行政提案もされているようですね。田中内閣のときからそういう歴史を持っておるようですけれども、どうも一向実を結んでこぬのがこういう行政らしいですね。ですから、こんな時代になって、世界的な開放体制下の日本だから、何か相当結論を出さなければならぬ時勢、段階です。そういうようなときですから、知事さんもきょうのことばかり頭を使っておったらそれはだめだと思う。やはりあしたや来年やのことも考えながら、一体根本的に何でこんななんだか、何でお互いに貧乏世帯を、こんな苦しい話ばかりするのか、新聞の伝えるところによると、この間の知事会議で総理に訴えたのは何か、いわく財政で、ふところ寒し、何もできぬ、そんなことばっかり訴えたという。これがどうもほんとうらしいですね。そうして都道府県以下市会、そうするといや公営の事業の値上げをする、水道も上げるわ、バスも上げるわ、これも上げるわということになる、果てしなく、社会混乱ですわ。一体原因は何だろうということまで掘り下げていくのが、私はきょうの現実の為政者の責任だと思うのです。きょうのことばかり、まなかいのことばっかり考えずに、その辺まで掘り下げた議論をしてもよいと私は思うが、そんなことを言ったらくちびる寒しで補助金もろくにもらえぬ。あっちこっちでそっぽを向かれる、官庁の連中はいやがる、なるべく現状維持が官庁の風潮らしいから、そんなこと考えたらあっちもこっちも顔が悪くなるというようなことになるのだろうが、そうじゃなしに、なるべく自由濶達たる意見の交換でもやりながら、きょうの現実の問題はいかに合理的に効率的に効果をあげて処理するかというふうに、両面の話し合いをすることを期待なさるのかどうか。両面という意味は、そういうような抜本的な辺にも入る、あるいはきょうの問題の処理も、両方ともいこうというのがこの構想なのかどうか。これはあなたに伺うのもどうかと思うのだけれども、どなたでもよろしゅうございますから、ひとつ答弁してください。
  30. 松島五郎

    松島政府委員 この法律は、前にも御説明申し上げましたとおり、都道府県主体性を持たせて広域行政の問題を解決していこう、こういう考え方でございます。この都道府県主体性を持たせるという考え方は、地方自治体を中心にして広域行政を展開していこう、こういうことになるわけでございまして、都道府県を中心にして広域行政を展開していこうという限りにおきましては、単に今日の問題のみならず、将来の地方自治の発展ということについても重大なる関心を持っているわけでございます。したがいまして、ただいま先生指摘のような、ただ単に今日の仕事をうまくやろうというだけでなくて、やはり地方自治体はかくあるべきである、これは単に今日かくあるべきだけでなくて、将来もかくあるべきであるという考え方基本にして仕事を進むべきものと考えているのでございまして、そういう場をこの連絡会議法を通じて設けていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最後に、いまの御答弁によりましてなお一点伺っておきますが、これは別の機会にまた詳細にお話を伺って教えていただきたいのでありますが、日本の地方自治体は将来かくあるべしという、いわばビジョンみたいなものは一体何をお考えになっているか、それをひとつ教えていただきたい。それできょうは終わります。
  32. 松島五郎

    松島政府委員 たいへん重大な問題でございまして、私のようなものが御答弁申し上げるのが適当かどうか問題があるかとも存じますけれども、私どもは、今日の状況、あるいは近い将来の状況を考えまして、地方自治体がもう少し、強くなると申しますか、あるためには、やはり財政的基礎を確立することが必要ではないかというふうに考えております。財政的な基礎を確立いたしますためには、やはり現在の税源、財源の配分というものをどうしていくべきかという問題に行き当たるわけでございます。そういった問題を解決して、地方自治体みずからが、先ほど先生から御指摘のございましたように、あすの暮らし、きょうの暮らしに追われているというような状態、それはもちろん国民の租税によってまかなわれる団体でございますから、暖衣飽食するというようなことは許されるわけのものではございませんけれども、少なくとも住民が期待する仕事ができるような財政状態を確立していくということが、当面と申しますか、単に今日だけでなくて近い将来にわたっての大きな問題ではなかろうか、かように考えております。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 終わります。
  34. 中馬辰猪

    中馬委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    正午散会