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1965-02-09 第48回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年二月九日(火曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 中馬 辰猪君    理事 亀山 孝一君 理事 田川 誠一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       奥野 誠亮君    亀岡 高夫君       武市 恭信君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       森田重次郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    門司  亮君  出席政府委員         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 二月九日  委員三池信君辞任につき、その補欠として瀬戸  山三男君が議長の指名で委員に選任された。 二月六日  市町村合併の特例に関する法律案内閣提出  第四一号)(予) 同月五日  地方交付税税率引上げに関する請願(瀬戸山  三男紹介)(第三六一号)  同(岩動道行紹介)(第三七六号)  同(池田正之輔君紹介)(第三七七号)  同(稻葉修君紹介)(第三七八号)  同(植木庚子郎君紹介)(第三七九号)  同(内海清紹介)(第三八〇号)  同外一件(小川平二紹介)(第三八一号)  同(小沢辰男紹介)(第三八二号)  同外一件(鍛冶良作紹介)(第三八三号)  同(鴨田宗一紹介)(第三八四号)  同外七件(草野一郎平紹介)(第三八五号)  同(佐野憲治紹介)(第三八六号)  同(高田富之紹介)(第三八七号)  同外一件(滝井義高紹介)(第三八八号)  同(中馬辰猪紹介)(第三八九号)  同(保科善四郎紹介)(第三九〇号)  同(三池信紹介)(第三九一号)  同外一件(吉村吉雄紹介)(第三九二号)  同(池田清志紹介)(第四二三号)  同外一件(志賀健次郎紹介)(第四二四号)  同(綾部健太郎紹介)(第五三二号)  同(中馬辰猪紹介)(第五三三号)  同(井出一太郎紹介)(第五三四号)  同外六件(相川勝六紹介)(第五五六号)  同(池田清志紹介)(第五五七号)  同(中馬辰猪紹介)(第五五八号)  同外二件(川俣清音紹介)(第五八二号)  同外四件(栗山礼行紹介)(第五八三号)  同外一件(中馬辰猪紹介)(第五八四号)  同外三件(廣瀬正雄紹介)(第五八五号)  同(福田篤泰紹介)(第五八六号)  同外一件(山崎巖紹介)(第五八七号)  同(吉村吉雄紹介)(第五八八号)  同外五件(伊能繁次郎紹介)(第六四三号)  同(綾部健太郎紹介)(第六七三号)  同外一件(鈴木善幸紹介)(第六七四号)  同(徳安實藏紹介)(第六七五号)  同(長谷川四郎紹介)(第六七六号)  市町村職員給与改定に伴う財源措置に関する  請願)(井出一太郎紹介)(第四三八号)  同(小川平二紹介)(第四三九号)  同(唐澤俊樹紹介)(第四四〇号)  同(吉川久衛紹介)(第四四一号)  同(小坂善太郎紹介)(第四四二号)  同(下平正一紹介)(第四四三号)  同(中澤茂一紹介)(第四四四号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四四五号)  同(原茂紹介)(第四四六号)  同(増田甲子七君紹介)(第四四七号)  同(松平忠久紹介)(第四四八号)  豪雪地帯における税制及び地方財政合理化に  関する請願井出一太郎紹介)(第四四九号)  同(小川平二紹介)(第四五〇号)  同(唐澤俊樹紹介)(第四五一号)  同(吉川久衛紹介)(第四五二号)  同(小坂善太郎紹介)(第四五三号)  同(下平正一紹介)(第四五四号)  同(中澤茂一紹介)(第四五五号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四五六号)  同(原茂紹介)(第四五七号)  同(増田甲子七君紹介)(第四五八号)  同(松平忠久紹介)(第四五九号)  地方公務員給与改定に伴う財源措置に関する  請願鈴木善幸紹介)(第六九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方行政連絡会議法案(第四十六回国会内閣提  出第一六一号、参議院送付)      ————◇—————
  2. 中馬辰猪

    中馬委員長 これより会議を開きます。  地方行政連絡会議法案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 まずお尋ねいたしたい点は、第八次の地方制度調査会答申の中に、この連絡会議に関する問題が答申されたわけでありますが、その後第九次地方制度調査会、それから第十次地方制度調査会が現在府県合併等をすすめておるわけでありますが、第八次地方制度調査会地方制度の問題を審議したころとかなり状況が違うと思う。そういう段階で、この法律案も過去数回にわたって国会提案されて、継続審議という形になっておるわけでありますが、今日この段階において、この連絡会議法案を必要とする理由をお尋ねしたいと思います。
  4. 松島五郎

    松島政府委員 この法律案にもございますように、地方公共団体が国の地方行政機関連絡協調を保ちながら仕事を円滑に進めていくという必要性は、今日においても、またこの法律を立案をいたしました当初においても、変わっていないのではないか、かような考え方を持っておる次第でございます。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 変わっておらない、こういうことでございますが、それでは私の質問の一部でありますその必要性ということについて、すでに説明の中にもありますけれども、お聞きしたいと思います。
  6. 松島五郎

    松島政府委員 国の出先機関地方公共団体連絡協調をしていくということは、広域的な行政を円滑に進めていきます上に必要なことであるというふうに私ども考えているのでございます。そういう意味におきましては、こういう会議でお互いに意思の疏通をはかり、連絡協調していくということの必要性というものは、今日なお変わっていないのではないか、こういう意味で申し上げたのでございます。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 まあきわめて抽象的でございますが、それでは、情勢が変わっておらないということでございますが、御承知のように、第九次地方制度調査会では連合方式というものが答申されておるわけです。昨年の四十六国会におきましては、早川自治大臣を中心といたしまして、いわゆる日本版EEC方式、こういうものが検討をされまして、第九次地方制度調査会答申に基づく方式国会提案されようとした、こういうことを聞いております。第十次地方制度調査会においては、現在正式な諮問という形じゃございませんけれども府県合併是非の問題、合併を必要とするような今日の広域行政に対する要請がある。そこでその合併のしかたなり範囲はどうか、こういう形で大臣から非公式でありますけれども諮問されて、地方制度調査会が取り上げて、連絡会議からEEC方式連合方式、そして引き続き第十次地方制度調査会府県合併問題を実質的には諮問している。こういうことになってまいますと、明らかにやはり情勢が変わってきていると自治省もお考えになっているのじゃないか。端的に申し上げますと、自治省の責任ある地位にある方でございませんけれども、今日この段階において、しゃにむに連絡会議法案を成立させなければならぬような状況じゃないのだということを、私見としてお聞きしたことがあるのですが、いま私が申し上げたようなことから、情勢が変わっておる、それを正確に自治省は認識して、いまいったような地方制度調査会にも具体的に反映しているのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 昭和三十七年に地方行政連絡会議構想地方制度調査会から答申されましてから、僅々二、三年の間でございまして、先ほど官房長からお答えのございましたように、私どもといたしましては、情勢は毛頭変わっていない。しいて申しまするならば、都道府県を越える広域的行政を、能率的に処理をするためのくふうをしなければならぬという必要性は、一段と強まってきているのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 逆に今日では、むしろ連絡会議法案必要性というのは、当時より強まっているのだ、こういうおことばでございますが、それではお尋ねいたします。  この連絡会議に対する法律が非常に必要なんだ。そして地方制度調査会における第九次の答申、いわゆる連合方式、いま一生懸命しがみついておる。しがみついておるというか、それを推進しようとしておる。府県合併の問題、こういう問題が、——府県合併の問題は緊急の問題なんだという形で、——九次制度調査会答申経過からいきますと、第十次地方制度調査会審議すべき問題は、行政事務の再配分とかあるいは関連する財政問題の再配分というのを当然九次の制度調査会を受けて十次がやらなければならぬにかかわらず、第十次地方制度調査会主要課題というのは、その九次の問題の答申を受けての仕事じゃなくて、府県合併の問題に主力が注がれておる。こうなってまいりますと、——当時よりも情勢は強くなっているんだとおっしゃっておる。ところが一方においては、地方制度調査会の従来の流れを無視してといいますか、それをたな上げしてまでも府県合併に取り組まなければならぬということになりますと、私は理解できないのです。この辺の関連をひとつ御説明願いたいと思う。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第九次の調査会におきまして、行政事務の再配分を御審議いただきましたことは御指摘のとおりでございます。行政事務の再配分につきまして、基本的な考え方方針が第九次の調査会答申として述べられておるわけでございまして、その答申の中において、この事務の再配分を実施いたしますにあたりまして、それの受け入れ態勢整備と申しますか、地方団体側事務配分後の仕事が能率的にやっていけるように態勢整備しなければならぬ、そういう観点から、市町村につきましても、さらに地域によっては合併を必要とするところもあるので、それについて努力すべきだという趣旨の御答申があり、さらに都道府県につきましては、都道府県区域を越える広域的な処理を要する仕事がだんだんとふえてきておるので、これを処理するために、一つ共同処理方式の活用をはかるべきだということで、それに関連をいたしまして、従来からありまする一部事務組合等共同処理方式のほかに、新たな共同処理方式一つとして地方公共団体連合を設けることが適当である、こういうふうに述べられておるのであります。それからいま一つは、都道府県合併機運もあるが、自主的な合併がなされることは望ましいことなので、その実現を期待する、こういうふうに述べておられるわけでありまして、地方制度調査会考え方は、地方自治を尊重する見地から事務の再配分を実施するのだ、しかしその再配分後の事務処理が円滑にいくようにするためには、市町村についても、さらに都道府県についても、もっと受け入れ態勢整備していく必要があるのだ、そこで、特に都道府県段階受け入れ態勢整備の方法としては、一つ共同処理方式を活用しろ、いま一つは自主的な合併機運のあるところについてはその実現を期待するのだ、こういうふうな方策を述べておられるわけでございます。したがいまして、自治省といたしましては、その答申にありました連合方式については検討を加えておりましたわけでございまするし、現在もなお検討を続けつつある段階でございますが、同時にまた府県合併につきましても、ただ自主的な合併が望ましく実現を期待するということだけでは、一体どういうような規模なり条件なりを備えた場合にそれが望ましいといえるのか、もう少し掘り下げてお示しをいただきたいということで、この問題を引き続き第十次調査会で御検討を願っておる。しかし、先生もおっしゃっておりますように、事務配分そのものにつきましても、今回の答申はいわば総論的な部分でございますので、各論的な部分、さらにそれに関連をいたしまする税財政の問題も引き続きこれは議題として同時に御審議をいただいておる。こういうことでございまするので、自治省といたしましては第九次調査会の御答申をいただきましてから以後、その答申趣旨に沿うて引き続き御検討を願っておる。現在は先生も御承知のように、地方制度調査会には二つの小委員会を設けまして、一つ事務の再配分の問題を検討していただく、いま一つ府県合併の問題を検討していただくということで、並行して御検討を願っておるわけでございます。  それから、なおこの連絡会議との関連はどうかということでございまするが、ただいま申しました府県合併にいたしましても、あるいは府県連合につきましても、これはいずれも事業実施主体としての広域的な地方公共団体としての都道府県能力を拡充をする、強化をするというための構想でございまして、これとは別に、かりに都道府県合併が一部行なわれましても、あるいはその連合が一部行なわれましても、もっと広いブロック単位と申しますか、それぐらいの区域におきまして国の出先機関とも連絡をとりながら、いわゆる広域的な計画を立てる、あるいは連絡協議を遂げるという必要は、それとは別個に存在をしているわけでございまして、その点につきまして連絡会議必要性はそのまま存在をしておる。  さらに先ほど私、むしろ強まっているのではないかと言いましたのは、そういうことの必要性が、今日やはり減少しているというよりもむしろだんだんと強くなっているのではなかろうかという感想を持っておりますので、申し上げたわけであります。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのおことばですと、地方制度調査会で、——連絡会議というものと、EEC方式というものと、府県合併というものが一体どういう関係にあって、そうしてそのいずれもを必要とするかという私の質問に対して、自治省当局は明確、いずれも必要とするのだ、——いまの佐久間局長答弁もそのとおりですね。そのとおりですけれども、形としてはそうでしょう。自主的合併ということになりますと、府県が数府県集まる、EEC方式にしても数府県EEC方式をとる、こういうことです。それを全国九つブロックに分けて連絡会議をしていく、形の上では必要でありましょう。形の上では必要でありましょうけれども、一体広域行政をどう進めていくかということについて、自治省には私は一貫した方針はないのではないかと思う。どこに一体重点を置いていくのか。それは私どもが仄聞するEEC方式と、府県合併における政府部内の争い与党内の争いということからしても、一貫した方針がないのではないかと思う。いまのことばでは私どもはどうしても理解できない。おっしゃるように、地方制度調査会で、本来ならば九次制度調査会を受けて、事務配分とかあるいは財源の再配分ということを議論しなければならぬ。ところが、いままで総会が六回あった。いまおっしゃるように二つの小委員会に分かれてやっておりますが、しかし総会における議論というのは、関連しての事務配分の問題は出てまいりましたけれども、すべてが府県合併是非論という形で終始されている。これは自治省方針がそうだからそうなってきている。地方制度調査会の運営の内容も、自治省方針がそうなっている。だから自治重点というのは、今日の段階においては明らかに自主的なという名をつけた府県合併論にあるとしか理解できない。したがって私は、連絡会議に関する今日の評価というのは、自治省自体がもうそれほど重要に感じていないのだ、いわば今日まで何べんも法律を出してきたので、意地国会を通さなければならぬというメンツの問題だと思うのです。そうではないのですか。
  12. 松島五郎

    松島政府委員 府県合併なり、府県連合なり、あるいは連絡会議なりの関係につきましては、行政局長から御答弁申し上げたとおりでございます。  地方公共団体仕事をやっていきます場合に、その規模能力を充実していく、それを合併という形においてやっていくか、あるいは特殊の仕事について共同処理方式という形をとってやっていくか、いずれにしても自治団体能力を高めることによって仕事が円滑に進められていくという部面は見落としてはならないと考えるのでございます。しかしそれだからといって、全国府県が全部九つなら九つになってしまうこともないですし、そういうことになりますと、やはりより広い地域において、その地域の問題を国の出先機関とも連絡協調をとりながら進めていくという必要性存在するわけでございまして、そういう意味において連絡会議必要性は、今日においても変わるところはないものと考えております。決していままで何回も法律を出したから、意地になったという気持ちは毛頭持っておりません。必要性を感じておればこそ何回も御審議をお願いしておるわけでございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 三つとも必要だというように自治省考えて、それにはウエートはつけにくいんだ、こういうふうに考えてよろしいんですか。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方制度調査会から御答申のありました三つ構想につきましては、それぞれ必要性があるものと考えておるわけでございます。ただそれらの間に緩急あるいはその他のウエートをどう考えるかということになりますると、それはまた別個の観点からいろいろ検討しなきゃならぬ問題もあるいはあるんじゃなかろうか。実は府県合併府県連合につきまして、先ほど地方制度調査会審議方式につきまして先生から御質問がございましたが、その点ちょっと申し上げさしていただきたいと思います。  連合につきましては、第九調査会答申におきまして、要綱もつけられまして、相当詳しく調査会のお考えは私ども承知できたわけでございます。しかし合併につきましては先ほど申し上げましたように、抽象的にお述べになっておられまして、その具体的なお考えについては、もう少し掘り下げて伺いたいということで、引き続き第十調査会の御審議をいただいておる、こういうことでございます。そこで合併にいたしましても、自主的な合併ということになりますれば、かりにそれが実現することがあるといたしましても、ごく限られたケースになると思いまするし、またこの連合という問題につきましても、これも御答申をいただきましてからいろいろ検討いたしておりまするが、この構想につきましてもなお検討をしなきゃならぬ点がいろいろあるわけでございます。そこで構想そのものといたしましては、いずれも必要性があり合理性のあるものでございますが、それをどのように受け取って具体化していくかということにつきましては、私どもといたしましてもなお慎重に検討を要する点があるということで、第十調査会につきましても検討をお願いしておるような次第でございます。
  15. 川村継義

    川村委員 関連して一言お聞きしておきます。  いまの細谷委員質問官房長の御答弁で、この後審議を進める上に参考になろうかと思いますから一言お尋ねいたしますが、政務次官のほうはあるいは私がいまからお尋ねする間の事情はよく御存じないかもしれませんから、官房長のほうからお答えをいただきたい。  この連絡会議法案は、いまも質疑がありましたように、地方制度調査会答申を受けて国会成案として出されております。それがうまくいかないので、四十六国会に再度提出をされた。ところがその四十六国会提出されたのは四月二十一日であった。国会が開会してから相当期間提出を見合わせてあった。ところが、その当時は連合法案というものがすでに原案ができて、提出をされるばかりになっておった。四十六国会には自治省連合法案を通してもらおう、それを成立させる、そういうお考えで全力を尽くしておられた。その一番の推進役をなし、かつ熱意を持っておられたのは言うまでもなく早川自治大臣であったわけであります。ところが早川さんは、御存じのような事情でおやめになった。ところが早川さんがおやめになるその前あたりから、突然与党の内部から、合併法案の問題が強く浮かび上がってきた。連合方式なんていうのはだめなんだ、やるならやるように合併でいけ、こういうような意見が強く出てきて、すでに与党の中ではその合併の試案をつくっておられる人もあった。この合併考え方が非常に強く進んできて、ちょうど軌を同じくするようにして早川大臣がおやめになって赤澤さんに更迭された。ところが赤澤さんはその間に立って、再度これは十分検討し直す必要があるというような理由で、連合法案提出自治省はついに見送ってしまった。もちろん合併法案議員提出等の形ではなされなかったわけである。そういう経過をたどっておるときに、おそらく、十中八、九、四十六国会には提案されないであろうという立場に立っておったこの法案が、三十九年四月二十一日に提案されたということは、当時の情勢から考えても、連合法案もだめになった。合併法案はいますぐ提出する情勢ではない、それではとりあえずこの連絡会議法案提出しておこう、こういうようなことで、自治省もこの間たいへん苦境に立たれたということがある。そこで与党地方行政部会のほうでその間の調整をとられて、この地方行政連絡会議法案提出せよ、何とかこの国会でその通過をはかるように努力をする、こういうようなことで提出をされておるのであります。そうして前の問題の連合法案合併法案提出されなかった、特に自治省考えておった連合法案が見送りになった、こういういきさつがあるわけです。  そこで私がお尋ねするのは、なぜ皆さん方広域行政を進める上において必要だと今日強く考えておられるこの連絡会議法案を、四十六国会の当初——しかもそれは前国会にすでに提案されておったものである。それを提出しなくて四月二十一日というように、正規の会期はあと約一月だというところに提案をされたのか、その間の事情をいまあらためてここでひとつ説明してもらいたい。
  16. 松島五郎

    松島政府委員 ただいまお尋ねのございました、第四十六国会にこの法律案提案されるのがおくれた理由でございますが、ただいま御指摘のとおり、その当時連合法案といわれるものが政府部内においていろいろと検討されておりましたことは事実でございます。しかしこれにつきましては、法律技術的にもいろいろ問題がございますし、またその他の事情からも検討しなければならぬ点がいろいろと出ておりましたために、その成案がおくれたわけでございます。連絡会議法につきましては、先ほども説明申し上げましたように、連合であるとかあるいは合併であるとかという問題とは多少次元の異なった法律でございますので、いずれにいたしましても私どもといたしましては必要性があるものと、その当時も考えていたのでございます。ただ国会で御審議をいただきます際には、ただいまの御質問にもござますように、連絡会議あるいは連合あるいは合併というような問題が、次元は違っても関連はあるということから、御審議をいただくためには同時に提案をいたしたほうがいいのではないか、かような考え方から連合法案成案を待っていたのでございますけれども、先ほど申し上げましたような事情から連合法案についてはなお検討すべきものということと相なりましたので、当初から考えておりました連絡会議法提出いたした次第でございます。
  17. 川村継義

    川村委員 御説明でありますけれども、それはその当時のことを考えても推測できるわけですが、連合法案国会で成立するならば、あえてこの連絡会議法案をつくる必要はないではないか、そういう考え方が強く支配をしておったようであります。私が言っているのは、あなたがいまおっしゃるような考え方であれば、いまあなたは同時に審議するということがいいようなお考えを述べておられますけれども、それはあと考えられたひとつの理屈であって、この連絡会議法案が四十六国会に新法案として提案されたならば、私は官房長の言っておるそのことばも納得できます。しかしこれはすでに前国会に出ておるのでございます。それが成立しなくて見送られた法案であるから、皆さん方がいまるる細谷委員答弁しておられるようなお考えであれば、やはり四十六国会の開会早々提案をして、これはこういう考え方、次いで提案しようとしておる連合法案はこういう考え方、実はその次元はこう違っておりますというような、自信を持って四十六国会の当初に提案されてしかるべきじゃなかったか。それを提案をおくらしておられたので、連絡会議法というのは、これはあまり自治省重点を置いて考えておるのじゃない、連合法案が成立すれば連絡会議法案がなくても広域行政はやれるのだ、広域行政に対処できるものである、こういうような考え方が支配をしておったのではないか、私はそう考えるのです。そこで先ほども私からちょっと申しましたように、連合法案はどうもいけない、合併はまだ提出する時期ではない、そうなると連絡会議法なりと成立させておかなければどうもわれわれとしてはたいへんだ、こういうようなことになって提案をされたのじゃないか。そこで、今日継続審議になっておりますけれども、それらの事情考えると、この内容はいろいろこれから質問があるかと思いますけれども、これはそんなに皆さん方が重要視されるようなものではないではなかったか、そういう見方をするわけですけれども、何かもう一つ説明をいただきたい。
  18. 松島五郎

    松島政府委員 理由は先ほど申し上げましたとおりでございまして、他に特別な理由はございませんと申し上げましても、それはそうでないというふうに御推測になられれば、これはやむを得ないことでございますけれども、また私ども国会審議の方向をあらかじめ推測するというようなことをいたしますことは、あるいは不遜のそしりを免れないことかもしれませんが、事情を御説明申し上げますためにお許しをいただきますならば、かりに連絡会議法を先に提案いたしたといたしましても、政府は近く連合というのを出すのじゃないかというようなことになりますと、それが出なければ、やはりあわせて考えるべきだということになって御審議はどうしても並行されることであろう、かような推測もいたしたわけでございます。そういう推測のしかたが間違っていたということでございますならば、まことに申しわけないことでございますけれども、そういうような観点から、先ほども申し上げましたように、一緒に御審議をいただくのが適当であろうと考えまして提案をおくらしていた次第でございます。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 だんだんわからなくなっててまいったのですけれども連絡会議法案というのは三十八年の四月、四十三国会に出ているわけですね。申すまでもなく第八次地方制度調査会答申を受けて、その答申の線に沿うて法律案国会に出された、こういう経過をたどっているのですね。しかも当時よりも連絡会議法案必要性はもっと高くなっているのだ、こういうお答えなんです。連合方式については、答申だけではまだ不十分なので、四十六国会には出せなかった。四十六国会から今日まで一年経過しているのです。自治省三つ必要だとおっしゃっているわけですよ。府県合併はいま一生懸命地方制度調査会にやらしている。これは自治省がやらしているのです。私はあえてやらしていると言っている。自治省地方制度調査会にやらしているこの府県合併問題と、連合方式も必要だ、連絡会議も必要だ。そうして連絡会議はもっと重要性を増しているのだというならば、EEC方式はもうこの前のいろいろな議論から一年経ているのですが、この法律案は出す御予定なんですかどうですか、これは局長なりあるいは次官もいらっしゃっていますから、次官にもお聞きしたい。
  20. 松島五郎

    松島政府委員 連絡会議法連合及び府県合併の問題は、先ほども申し上げましたように、ことばは必ずしも適当ではないかも存じませんが、多少次元が異なるものがあると考えております。ところが連合合併の問題は、これは地方公共団体であります府県がいかにしてその組織を構成していくかという面においては、相互に非常に関係があるわけでございます。したがいまして、先ほど行政局長からも御説明申し上げましたように、自主的な合併をかりに促進するといたしましても、それが日本全国すべて二つなり三つなりが合併をしていくというような姿において行なわれていけるものかいけないものか、こういうような点についてはなお今後の問題として検討しなければならない点であろうと思われます。かりに府県合併というものが、そういうふうに全国一律に行なわれないものとするならば残ったた府県において、お互いに共通の仕事あるいは利害関係の錯綜した仕事を、どういうふうに処理していくかという共同処理方式が、いかにあるべきかという問題は依然として残るわけでございます。したがいまして府県連合と申しますか、あるいは共同処理方式と申しますか、そういった問題は、いわば合併の問題と相関連して考えられなければならない点が多かろうと思います。  ところが連絡会議のほうは、かりに合併が進みましょうとも、あるいは連合が行なわれましょうとも、ともかく全国九つブロックになってしまわない限りは、国の出先機関との間において連絡協調を保っていくための措置として必要だということは変わらないわけでございます。そういう意味で、連合については、合併の問題とも関連して、結論は出ておりませんけれども連絡会議必要性というものは、先ほど申し上げましたように変わらないと考えますので、御提案を申し上げておる次第でございます。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの御答弁によりますと、連絡会議という問題と連合方式なり府県合併というものとは次元が違うのだ。なるほど、事務の共同処理という点からいきますとそうかもしれませんが、この提案理由説明の中に明白に「都道府県を越える広域行政について」ということですから、現在議論されておる、重要な課題になっておる広域行政という問題をどう推進していくかという大きな問題、そういう問題からこれは出ているのであって、背景は同じなんですよ。幹は同じなんだ。根元は同じなんです。次元が違うというところはそのただ枝葉のところなんですよ。私はそう思うのです。ですから、簡単に次元が違うなんということじゃないと思う。端的に言いますと、やはり広域行政というものをどう進めるべきかということについて連絡会議構想が出てきた。府県合併構想が出てきた。連合方式構想が出てきた。そして、やはり連合なんというなまぬるいものよりも、もっと突き進んで府県合併にいくべきだという議論が出てきた。これが実態じゃないですか。次元が違うということであって、これは全く竹に木だ、比較にならぬのだというようなことでは、私はいままで自治省考えていることからいって理解できない。
  22. 佐久間彊

    佐久間政府委員 次元が違うという表現が適当かどうかは別といたしまして、やはり観点と申しますか、違う点があるように思います。もちろん、先生のおっしゃりますように、都道府県を越えるいわゆる広域行政に対処するための構想である点については、そのとおりであると存じます。ただ、それに対処するしかたが、府県合併あるいは府県連合の場合におきましては、関係府県の間で共同でその事業を執行していこう、また事業を執行をするための前提となる具体的な計画を立てていこうというようなところに主眼があるわけでございますから、ただいま話題になっておりますような二、三府県の間ということが、合併なり連合の場合といたしましては予想されるわけでございます。しかし、この連絡会議法案考えておりまするのは、いわゆるブロック単位と申しますか、その区域は、先生承知のように、総合開発計画におきましても総合的なブロック単位計画の区域になっておりまするため、そういう区域におきましては、そこで一緒に事業を執行するということじゃなしに、そこでいろいろな関係機関、地方公共団体の間で、関連する点についていろいろな協議をはかっていく必要が起こってくるわけででございまして、都道府県を越える広域行政と一口に申しますけれども、その中に、関連する事業を一緒にやるという場合の広域行政と、それからいろいろ総合的な計画を一緒に考える、あるいはまた、お互いにそれぞれ分担して国の機関、地方団体でやるものの間の連絡をよくはかっていくというように、同じ広域行政と申しましてもいろいろ態様があるように思うのでございます。そこで、先ほど官房長次元が違うと申しましたのも、そういうようなことで、合併あるいは連合の対象となります府県の場合を、連絡会議連絡調整の対象といたしております区域もおのずから違いますし、やはりそこに違うものがある、かような意味官房長が申したことと思うのであります。  なお、ついでにつけ加えさしていただきますが、連絡会議が対象として考えておりますような区域につきましては、前回華山委員からも御指摘がございましたように、大体国の地方出先機関区域でございまして、地方建設局なり地方農政局なり、そういう区域を対象として広域行政をやっていこう。あるいはまた、臨時行政調査会からいろいろな構想が出ておりますが、いわゆる地方庁構想といったようなものもそういう区域を対象にしておるというようなことで、同じ広域行政といたしましても、その内容にはおのずから違いがあるのじゃなかろうか。それぞれ違う必要に対しまして違った構想考えられるということも当然のことであろう、かように考えているわけでございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 私の先ほどの具体的な質問の中の、第九次地方行政調査会答申した連合方式についてはどうされる御予定なんですか。今後また法律案を出すということなんですか。府県合併の問題についても、答申が出たらそれを受けて出すという方針ですか。次元が違うというのですから……。一次元、二次元、三次元というそういう次元——次元の世界といわれておりますけれども、そんな違いはないということをはっきり申し上げて、広域行政という一つの面における一つの問題としてこの問題は出ている、こういうふうに言っているのですから、第九次地方行政調査会答申はどうなさるのですか。これは次官もいらっしゃいますから、ひとつ自治省方針を承りたい。
  24. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 いわゆる広域行政の必要ということは、これは細谷委員もお考えになっておるところであるし、その必要性はもう世論であるというに私ども考えるわけであります。そこで、いままでいろいろお尋ねになりました経過、すなわち、地方制度調査会でいろいろと御検討答申のございましたあるいは道州制であるとか、あるいは連合方式であるとか、そしてまた、いま御検討願っておる府県合併の問題であるとか、いろいろと問題を御検討願いましたが、それらは自治省において、この広域行政の問題について、できるだけ行政の民主化、地方自治制度の確立、ことに地方住民の意思を尊重してりっぱな結論を出したいという努力の姿であるというふうに御了承願いたいのであります。  そこで、いまお話のございました連合方式についてどうするかということについては、これはまだ結論が出ていないわけでございまして、府県合併の問題等についていろいろと地方制度調査会において御検討を願っておる、それとやはり関連のある問題でございますから、その結論の出ました場合においてそれらを総合的に検討の上、結論を出すべきものである、こういうふうに考えておるわけであります。そこで、それらの問題と、この御審議を願っております地方行政連絡会議法案というものとの関係でございますが、これは官房長なり行政局長なりから御答弁申し上げましたところで、現在の次元においてもやはりその必要性のあるということは大体御了承願えることではないかと私は考えておるようなわけでございます。何と申しましても、広域行政の問題を解決するということは、そう簡単なことではない、最善の方策をここで立ててまいりますということについて、自治省なりあるいはまた国会方面においての努力の結集というものによって私はいい結論が出ると思いますが、私ども考えますところでは、いまの状態におきましては、この連絡会議法案必要性ということを実は痛感しておるようなわけでありまして、その点を十分ひとつ御了承願いたいと思うのであります。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 広域行政必要性ということについては、私もその必要性は認めます。ただわからない点は、連絡会議法案というのは、あるいは連合方式も必要だ、合併も必要だということになりますと、端的に言いますと、広域行政から出てきたもので、官房長ことばを借りると、三つ次元が違うということです。それをあえて連絡会議法案というのだけは次元が違って、連合方式合併というのは次元が同じだ、——これは次元が違うでしょう。合併というのは一体になるということですよ。連合方式というのは一体じゃなくて、結婚までいかぬにしても、内縁に近いものなんです。そうなってまいりますと、私はこの三つが必要だ、最後にはどうも連合方式、九次調査会答申というものと合併という問題は密接不可分の関係があるから、答申は尊重しないということじゃないけれども、もう少し検討したいということで、四十六国会から今日まで一年間経過しております。こんな多次元行政指導をどうしてなさるんですか。ずばり言うならば、合併論者が言うように、もう何もかも一緒にしちゃったほうがいいんですよ。第四次地方制度調査会答申なさっておりますが、ひとつ全国九つブロックに地方制をつくりなさい、この答申どおりやったら、広域行政は一次元でいいんです。あれをどうして無視して、三十二年ですか、第四次調査会答申を全くの歯牙にもかけないで、今日この段階において八次の連絡会議が必要であります、また今度は次元の違った九次の連絡会議だ、いま検討しておる十次調査会府県合併というのは次元が違うからまた必要だ、こうなってまいりますと、一体どういう次元で地方行制を進めていこうとするのか、地方自治を確立していこうとするのか、私はわからないんですよ。合併ということでいろいろな必要なものを九つブロックでやれば、広域行政はできるんですから、第四次の調査会でちゃんと地方制案というのを答申しているんですから、そういうものを出されたらどうですか。どうも自治省方針がはっきりしてないというのはそういうところにあるんじゃないか、世間ではこういっております。田中一郎という人が「東海三県統合構想」というものを書いております。これの三二四ページにこう書いてある。「この構想にも」——これは連絡会議構想ですよ。「この構想にも問題がないわけではない。最近の官庁統制方式への動きに対抗して、地方自治の防衛という消極的役割を果たさせることはできようが、広域にわたる行政の総合的な実施および円滑な処理の促進という積極的な役割をこれに期待することはむずかしいように思われる。連絡会議は、結局は、話合いの場を作り連絡の機会を設けるというに止まって、それ以上の機能を望むことはできないであろう。そして、若し連絡会議が実績をあげえないようであれば、改めて官庁統制方式の主張に油を注ぐことになる懸念がないとはいえない。」こう言っておりまして、その次にこういうことも書いてある。「府県自治省は、ただ、これに抵抗するのみで、」——あとで御質問しますが、いわゆる国の縦で割り行政、そういう問題、いわゆる各省に抵抗する。「府県自治省は、ただ、これに抵抗するのみで、現行府県規模能力に限界の存すること、そして府県が現在の広域行政の要請に適切に応じえない存在と化しつつあることを反省するところがない。」と三四九ページに書いてございます。田中一郎というとあるいは教わった人かもしれませんよ。先生が言っておる。この人はいみじくも自治省のように多次元行政をやろうとしていないのです。ぴしゃっと一次元府県合併ということで、合併構想を繰り返しておる。混乱しておるでしょう。先生に対して申しわけないと思うのだけれども……。それはまあ別としまして、こういうことはどうもいわれているように、自治省が他省に対する形式的な地方自治を守ろうとする抵抗ラインとして、こういうものを出しておるのじゃないか。田中一郎さんがそういうふうに言われておる。そして指導の基本方針に混乱が起こっておる。そう思うのですがいかがですか。
  26. 佐久間彊

    佐久間政府委員 いろいろ御指摘がございましたが、私ども考え方を申し上げますと、三十二年の答申には地方制、いわゆる道州制といわれておるものがございます。少数意見として二、三府県の統合が添付されておったわけであります。その地方制をなぜ政府がとらないか、こういう趣旨の御質問がまずございましたが、私ども考え方は、なるほど地方制度調査会答申は、地方制案になっておりましたけれども審議の過程を見てみますというと、地方制案と二、三府県統合案とがそれぞれ有力な説でございまして、最後の総会におきまして決をとりました結果、地方制案が多数でございましたので、調査会としてはこれを答申の内容といたしました。しかし少数意見もなかなか有力な意見であり、政府としても参考に検討すべきだという趣旨で、答申に添付されたわけでございます。そこで政府といたしましては、この審議経過から見ますというと、この重大な問題について、まだ世論の帰趨がはっきりときまっていない。調査会自体もごくわずかな差で多数、少数が分れたというような事情でございますので、それ以後この問題については慎重な態度をとってまいっておるというのが実情でございます。しかし第九次調査会の御審議経過を見てまいりますと、調査会自体といたしましても、すでに三十二年の地方制案につきましては、当面の問題としては、これはことばが適当かどうか知りませんけれども、たな上げにされた形のように存じておるわけでございますし、私どもも地方制案に対するいろいろな各方面からの御批判も伺いまして、現在のところ地方制案を、調査会答申があったからこれを実現するんだというような考え方は持っていないわけでございます。しかしながら、地方制案が考えておりましたブロック単位でも、広域行政に対処するための方策というものにつきましては、その必要は、地方制案が答申になりました当初よりも今日のほうがより現実的になってきているように思うのでございます。しかしそれらに対処する方式といたしましては、私どもといたしましては、第八次の調査会答申にある連絡会議方式というものが最も現実的な方策であろうというふうに考えておるわけであります。しかし同時にまた、府県の広域地方行政団体としての能力をもっと強化しなければならぬ、こういう必要もあるわけでございまするから、その方式といたしましては、府県合併なり府県連合の問題を検討していくということであって、官房長次元ということばを使いましたが、合併連合地方公共団体としての府県能力を強めていく、こういう考えでございまするし、連絡会議のほうはブロック単位における広域行政に対処する方式として考えていく、その意味で、次元が違う、こういうふうに言われたかと思うのでございます。ブロック単位におきましては、これは地方公共団体としての都道府県能力を強化するという問題よりも、ブロック内における関係都道府県関係国の出先機関との間の連絡調整をはかっていくということが主眼になるわけでございますので、いろいろ先生のお話ではございましたが、私どもは、この連絡会議につきまして、これもぜひ早急に実現をしたい、かような考えを持っておる次第でございます。
  27. 細谷治嘉

    細谷委員 具体的にはっきりお聞きいたしますが、第四次地方制度調査会の地方制案、これは内容としては、知事は官選になってきている、一ぺんしかやれないということ、こういうような問題点があるわけですから、そういう点をある程度、たとえば公選とか、こういうことにしても、もう手を加えてもやる意思がない。それは多数決できまって、しかもわずかの差だったし、そういう答申に基づいて今後地方制案というのを考えていく考えはない。九次の府県連合の問題というのは、府県合併の問題とからめて考えていく、こういうことなんですか、はっきり答えてください。
  28. 佐久間彊

    佐久間政府委員 三十二年の答申につきましては、ただいまのところ、先ほど申し上げましたように、これを実現をしていこうというつもりはございませんし、また、先生のおっしゃいましたように、それを公選に変えたとした場合はどうかということでございますが、これは私見でございますが、ブロック単位というようなそれほど大きなもので、しかも人口が千万、二千万になるようなものが、地方公共団体として、しかも長を公選でやっていくような団体としては、これは成立することがむずかしいのじゃなかろうかというような疑問もございまするし、かりにそうなりました場合におきましても、これは適当な方策ではない、かように考えております。  それから、府県合併府県連合の問題につきましては、これは相関連する地方公共団体としての都道府県能力を強化する方策でございますので、これは関連させて検討をしていこう、こういうことでございます。
  29. 細谷治嘉

    細谷委員 この間、私は、地方制度調査会の第一小委員会で阪奈和の視察に行ったのです。そして、合併を強く推進しておると言われておる和歌山県でいろいろな各界の代表者から聞いたのです。ずばり言いますと、知事さんは、府県廃止論者だ。しかし道州制論者じゃないのですよ。しかし府県廃止論者であるということは、ずばり私に答えました。とにかく三県が合併できないなら、二県でもいいから、大阪と和歌山だけでもいいから合併するのだ、それが知事さんの構想です。ところが、各界の人たちの意見、報道関係、あるいは婦人団体、農業団体等の意見を聞きますと、そういう二県の合併ということじゃなくて、たとえば自分のところは海を隔てて兵庫県と密接な関係を持っているのだ、ですから、もっと広域な、近畿圏という形において合併してもらわにゃいかぬ。——これは道州制ですよ。ただし、知事は公選ですよとこう言っているんですよ。そうして、中央集権化する今日の政治に対しては、そういう地方の力を強めてこれに抵抗しなければいかぬのだ。それで地方自治を守るんだ、こう言っているんですよ。あすこで選ばれた各界の代表の意見というものは、大部分はそういう意見でした。そうなってまいりますと、四次調査会答申を無視するというのは行き過ぎじゃないですか。いかがですか。
  30. 佐久間彊

    佐久間政府委員 府県合併考えます場合に、どのくらいの規模がいいかという問題になろうかと思います。二、三県がいいか、あるいは四、五県ぐらいの府県がいいか、こういう問題になろうかと思います。その点につきましては、それこそ現在地方制度調査会で御審議をいただいております一つの重要な項目になるわけでございまするが、私見といたしましては、近畿なら近畿一円を一つの県にするということになりますると、人口が千五万か二千万近くになりましょうか、そういう大きな県が地方公共団体としてはたしてうまくやっていけるだろうかどうだろうか。そこまでいくというと、府県規模としては大き過ぎるんじゃなかろうか、かような感想を持っておりまするが、これは地方制度調査会の御検討にまちたいと思います。  それで、ただいま先生は、三十二年の答申を無視するのかと、こういうお話でございますが、これは私は三十二年の答申とは全然違うと思います。これはむしろ三十二年の答申の少数意見のほうの、府県合併の場合に、どのくらいの規模がいいかという問題でございまして、地方制案は、やはり区域ブロックにするというだけじゃなくて、その長の選任方法も変えるというところに大きな眼目があったと思いまするので、その問題とは違う問題だ、かように考えておるわけでございます。
  31. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、地方制なんというのは、これはもう反対なんです。ただ、自治省のお考えが、一体、連絡会議はさらに重要になっているんだ、こうおっしゃっておりますから、私は、いま確かに——もう過去において、地方制度調査会という内閣の諮問機関でできたのを、四次調査会答申なんというのは考慮に値しないとこれは捨てているでしょう。九次調査会のやつもこれは捨てられようとしているんですよ、連合方式も。捨てられようとしているでしょう。そうして府県合併を大いに推進しよう、こういうことなんです。しかもそれは、自主的でございますよ、自治省はこう言うんでね。そうなってまいりますと、自主的府県合併というのは一体どういうことなんですか。この連絡会議という問題と自主的というもの、自主的というのは、これは阪奈和とか、あるいは、東海三県とか、あるいは山梨を含めた東京と埼玉と山梨、こういうような問題がいま具体的な日程とは申しませんけれども、議論されておりますけれども、大阪のいまの三県が合併したら、一千万とか一千五百万とかいうのは困るというけれども、おそらく人口は七百万くらいになるんじゃないですか。こういう規模が適正ですか。ですから私は、どうも自治省考えが一貫しておらない。一貫しておらないで、各省の圧力を防衛しようとして、何とか自治省の官僚組織を守ろう、同時に地方自治も表面上は守るのだ、こういう形で、この問題がいみじくも田中一郎教授が指摘したような形で出てきておるのじゃないか、こう思うのですよ。重ねて答弁を願います。
  32. 佐久間彊

    佐久間政府委員 自主的とはどういう意味かというお尋ねがございましたが、私どものこれは俗語でございますが、自主的合併自主的合併と申しておりますのは、その対象になるものとして念頭に置いておりますのは、三十二年の答申に添付されました少数意見の府県合併でございます。この少数意見の府県合併論は、全国を画一的に三、四県ずつ統合をさせていこう、こういう考え方でございまして、したがいまして、画一的にこれを一斉に統合させようということになりますると、政府のほうで相当強力に力をかしてやらなければならぬということも予想されるわけでございます。そのような形の府県合併の進め方に対しまして、今日自主的と申しておりますのは、全国的に画一的なものを出してやるというのじゃなしに、関係府県において自発的に合併機運が起こってきておる、それを、そういう形で進められる合併を、自主的合併というふうに呼んでおるわけであります。
  33. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっと議題をはずれますけれども、自主的というのはけっこうなんですよ。この点について私はもうちょっと質問しますけれども自主的合併なら二県であろうと三県であろうと四県であろうとよろしいということでしょう。そういうことで日本全体としての府県のあり方というものがうまくいきますか。あなた方の内簡で、府県が自主的に交渉してきめたものを、法律で規制したじゃありませんか。しかも、特交で押えようとしておるじゃないですか。そういうことをしておきながら、府県合併が問題になりますと自生的だ、自主的だということになれば、たとえば大阪あるいは和歌山、奈良、こういうのが合併した、こういうことになって、法案としてねらっておるところの広域行政というものはできますか。取り残されたものはどうなりますか。門司委員がおっしゃったように、太平洋岸と日本海側という問題もあります。完全に条件が違う。官房長さんのことばをかりると、次元が違うのです、太平洋側、ベルト地帯と、日本海は。そういう全国的な視野で見ないで、自主的でございますから、じゃ三県合併けっこうでしょう、二県合併けっこうでしょうという形で、一元的な、あるいは筋の通った府県のあり方というものは、自治省として指導できないと思うのです。これは混乱しますよ。自主的合併によって、たとえば府県を守ってやろう、自治省の組織も守ろうというのですが、田中一郎さんが指摘したように崩壊しますよ。現にこの間私は地方制度調査会で行ったのでありますけれども、奈良でも和歌山でも、自治省府県合併についての基本的な方針を何ら持ち合わさないで、現地に来て意見を聞くとはさかさまじゃないかと各人が言いました。一体どういう基本方針をもってどういう構想をもって、そしてこういう意見はどうかということで地元に来て実情を聞かないか、これがほとんど全部の声であった。いやこちらのほうは、皆さん方の御意見を聞いて、私どもの意見を集約しますよという、いかにも民主的なことばを吐いておりましたけれども、地元はそういうことを言っております。自主的合併ということで府県が混乱すると私は思う。やはり自主的合併自治省がとにかくいろんなことにおいて自治団体を押えておる。いま申し上げたように内簡もしかりであります。これだけによって、地元の人が言うように、自主的合併で、はい、合併したいところは合併するように、法の糸口を開きましょうということは、おかしいと思うのですよ。いかがですか。
  34. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま御指摘になりました点は、私も同感するところが多いわけでございます。もちろん自治省といたしましては、現在話題になっておりますところが合併をしたほうがいいという結論を、まだ出しているわけではございません。ただそのようないわゆる自主的な合併を進めるといたしましても、先生の御指摘になりましたように、それ以外の区域の格差が開く点をどう考えるのか、あるいはまた自主的ということならどんなに多くてもいいのかというようないろいろな関連する問題が起こってまいりまするので、基本は自主的な合併ということに置きまするけれども、それらの問題につきましては、地方制度調査会の御審議をいただきまして、私ども考え方の方向をお示しいただきたい、こういうことで御審議をいただいておるわけでございます。これがこのような問題を何も考える必要がなく、ただやりたいところをやらせるということでございますれば、わざわざ御審議をいただく必要もないわけでございますので、その点は十分御審議をいただきたい、かように思っておる次第でございます。  なお先ほど来、連絡会議自治省が各省のいろいろな中央集権的な攻勢に対する防衛策として考えておるのじゃないかというおことばがございましたが、私どもは、ことばは適当かどうか存じませんけれども、このままに放任をいたしまして、ブロック単位に、国の行政機関がこれ以上強化されていく、あるいはまた府県能力がないということでもって国に権限が取り上げられていくという方向は、これは地方自治を尊重する立場から望ましいことではございませんので、そういうことを阻止するための方策の一つといたしましても連絡会議必要性考えておるものでございます。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 時間もあまりありませんので、最後に次官にお願いしたいと思うのですが、私は自主合併ということが、ずいぶん混乱を起こしていると思っておる。地方制度調査会自体でも混乱していると思う。やはり自治省としては府県のあるべぎ姿というものを描いて、そういう線に沿うた進め方は、これは地方自治である以上は自主的でなければいかぬ。しかし自主的でございますと、乱雑な府県制度をやるということはたいへんなことになります。ところが、やはり自主的という名に隠れて、そういう空気がなくはないのです。ですから、自主的ということについて、やはり十分に自治省自体も反省していただかなければいかぬと思うのですよ。人には自主的だ、自主的だ、自分の都合のいいのは自主的だということでやって、自分が都合悪くなると、ほかの法律にひっかけて処罰するぞとか、江戸のかたきを長崎でという態度が自治省にある。ですからこういう点十分反省していただきたいと思う。  そこで私お願いしたいのは、どうもいままでお聞きしたことの問題にしても、やはり多元的な構想府県問題、地方制度の問題を考えているやに私は思うのです。一方では連絡会議はぜひとも必要だ、その必要性はいよいよ増しておる、こうおっしゃっている反面、連合方式とそれから合併の問題は、次元が違うのだからこれはひとつ広域行政というたてまえでやはりこれも必要だ、こういうことなんで、私には、一体どういう基本線で府県のあるべきことを考えているのか、どういう方向で自治省が中心となって地方自治を確立しようとしているのかということがはっきりしないのです。こういうことが、どんどん他省の攻撃を受ける、そしてトーチカだ、マジノ・ラインだと思ったこの連絡法案が、そんなものにならない。むしろその地方自治を害するような役割りを果たすのではないかということは私は憂慮する。これはやはり自治省方針がきちんとした一貫した基本的なものがないからじゃないかと思う。そうでないと、どうもこの問題は、いよいよ必要性が増すと言いますけれども、私にはどうしても理解できませんので、自治省として今後の府県制度というものはどうあるべきかということについて、もっとひとつまとめて、こういうことでいくのだということをひとつ次回の委員会までにまとめていただかぬと、端的に言いますと、この法律案はこれ以上審議できない、こう私は思っている。  この問題はそういうことを要望いたしまして、次にお尋ねしたいのですが、連絡会議で縦割り行政の弊を直そうという一つのねらいがあるやに私は思うのです。たいへんけっこうなことだと思うのです。今日地方団体、県においても、あるいは市町村においても、国の縦割り行政ということには悩んでおって、むしろ府県合併とか広域行政を中央がしきりにおっしゃるならば、国みずから省みてそれを改めていただかなければ、この広域行政というのはほんとうの姿では推進されないのじゃないかと私は思っております。川の問題にいたしましても、いま進められている広域行政という問題は主として経済界から出ておる、こういうふうにいわれておりますが、私は経済界から出たという事実も知っております。しかし、自治省自治省なりに地方自治を守らなければいかぬ、地方自治の行財政を充実しなければならぬ立場で考えておると私は信じておるのです。そういう中において私はこの縦割り行政という弊を直すように、やはり自治省があらゆる努力を払っていただかなければならぬと思うのです。これは行政の面ばかりではありません。人事の面でもそのとおりであります。たとえば農林省ならば、農林官僚が府県の農政部を握らなければ予算がつかないのだ、こういっている。県の総務部長は自治省玉でなければいかぬのだ、人事までも含めて縦割り行政の弊というものが非常に出てきております。いい例を申し上げますと、たとえば下水道の例であります。下水道法は一つ法律であります。ところがこれを管理しておる省は建設省と厚生省であります。終末処理場は厚生省であります。ところが下水道の環境工事は建設省であります。簡単にいきません。建設省がオーケーといっても厚生省はうんといいません。厚生省が終末処理をやりなさいといいますと、建設省がもっと環境工事をやらなければ資格がないという、これはたいへんなことです。一例であります。一つ法律についてもそういうことである。法律がそれぞれ主管省が違いますと、たいへんなことなんです。この縦割り行政を直さぬ限りは、こんな連絡会議などでこの縦割りの弊が是正できるとか、若干でもよくなるとは私は考えない。この点についてどうお考えですか。
  36. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 細谷委員のお尋ねの第一の点でありますが、府県規模をどの程度にするか、合併するかしないかというような問題について、やはり基本的には地域住民の意思を尊重する民主的な立場をとる、すなわち自主性を尊重する、こういうことでなければならぬと思うのであります。しかしながらその問題が、国全体の立場に立って考え考え方、また地方だけの立場に立って考え考え方、これが一方に偏しておるというようなことであったのでは、おっしゃるように私は非常に混乱が起こると思うのでありまして、そういう理由からいま地方制度調査会にお話しのような問題を御審議願っておるのでありますが、やはり地域住民に対して、いわゆる地方制度調査会等の御意見というものを十分徹底さす、すなわち国全体の立場からと地域的な立場から総合的に考えて、こうあるべきだということを十分認識しての上に立っての自主的態度ということが必要なわけでありますから、いろいろ国会の御論議なり、あるいは地方制度調査会の結論なり、また審議の過程におけるいろいろな御意見なり、その他の方々の意見というものが、その地域住民に徹底して、そうしてその上での自主的判断ということでなければならぬと思うのでありまして、大体この点は細谷委員のお考えになっているところと私どもの与えておるところとは、そう相違はないと私は思っておるのであります。  したがいまして、いまの段階におきましては、府県連合とか、府県合併とかいうような問題につきましては、今度の地方制度調査会合併に関してどういうふうな御意見が出るか、おそらく現地等を御調査になりました細谷委員等の御意見等も、十分その中に織り込まれての結論が出ることと実は期待をいたしておるようなわけでございます。したがいまして、それらを総合いたしまして、自治省といたしましても結論が出るわけでありまして、実のところ、率直に申しまして次回の委員会までに、連合合併かといったような、そういう結論はちょっと出にくいことは、いま申し上げたところで御了承願えると思うのであります。やはりいろいろ御検討願った結論の出ましたのを十分尊重いたしまして検討を加えてまいりたい、こう思っておるようなわけであります。  それから第二のこの連絡会議法をもってしたのでは、まだ十分に広域行政の理想としておるところの実現ができないのではないか、こういう御懸念に関してのお尋ねでございましたが、私どはやはり中央の行政、それから地方自治体の行政というものとがうまく調和のとれた、スムーズに回転する歯車のごときものでなければならぬと考えるのでありまして、したがいまして中央の力が強いとか弱いとかいうのでなくして、どちらも強ければよいので、結局問題は両者、中央と地方との調和がとれていくかどうかということにあるわけでありまして、いまの例を府県にとりますと、府県行政区域だけで処理するには非常にむずかしいいわゆる広域的な行政が望まれておる、そのときにこの法案にありますような国家行政機関の出先の方々と地方の府県の公共団体が主体性を持って、そうしてそこでいろいろ地方公共団体としてやりたいという仕事等について御協議を願えば、これは両者とも国家、国民に奉仕する立場にある方々の集まりでありますから、そこに国家的な立場、地方公共団体的な側の立場で、いろいろ論議をかわし、協議を重ねてまいりますところに、やはり一つの調和のとれた広域行政の要望にこたえ得る良識的な結論が出る、そのことを期待いたしておるようなわけでありまして、やはり府県連合とか合併という問題とは別な使命を帯びた、非常にいまの時代に必要な妙案のごとくに考えておるような次第でございます。
  37. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のように、各省の縦割り行政の弊というものも相当各方面から指摘をされておるわけでございまして、私どもといたしましても、何とか縦割り行政の弊を少なくすることにしていかなければ、広域行政の円滑なる推進もできない、かような考え方細谷委員と全く同感でございます。この地方行政連絡会議が、縦割り行政の弊の是正にどの程度役立つか疑問じゃないか、こういう御趣旨のお尋ねであったかと思いますが、私どももこの連絡会議さえできれば、縦割り行政の弊は全く除去されるのだというふうに思い上がった考えは、もちろん持っておりませんけれども、この程度の連絡協議機関さえも現在ない状態が、いよいよ縦割り行政の弊を助長しておるように考えておりまするので、何はともあれこの連絡会議を成立させていただきまして、これによって縦割り行政の弊をできるだけ除去するように努力をいたしてまいりたい。もちろんこれだけで十分ではございませんので、そのほかの方策につきましては、それはそれでまだいろいろ検討してまいりたい、かように考えるわけでございます。
  38. 細谷治嘉

    細谷委員 臨時行政調査会でもこの問題は強く指摘されている。二億円の巨費と長年月をかけて調査した答申、これもあるわけですよ。たとえばよく例に引かれますように、職安行政あるいは国民年金等を含めた保険行政、知事の任免権はもう全くないということです。これはおかしいじゃないか。県の労働部長は県知事の部下、職安課長は労働大臣の所管、部下も国家公務員、こういう形なんです。社会保険出張所もそのとおりだ。いわく、もしもこれが府県事務的に統合された場合には、私どもはまた別の機関をつくりますというのがある官僚が言ったことばなんです。絶対に放さない。理屈を越えて縄張りを守ろうとする根性がある。やり抜くという根性はけっこうだけれども、近代化、合理化の方向じゃないのですね。こういう問題を考えないで、こういう問題についての改善の方法を考えないで——なるほど連絡会議で一堂に会して、いろいろな問題について意見の交換をする、たとえば利根川をどうするのか、筑後川はどういうふうに治水をやっていくのか、こういう問題について話し合うことはいいでしょう。しかし、大もとを押えられているわけですよ。自治省、いかんともしがたいでしょう。こういう問題について手を触れないで、連絡会議をつくって、そして会議を開くぞと、知事と指定市と国の出先機関の長だ、こういう形だけをやりますと、これは屋上屋を重ねて、絶対に今日のそういう縦割り行政の弊は——これは薬になるように思うけれども一つも薬にならぬ、効果がないじゃないかと私は思っている。この問題は、連絡会議はそういうことを目途にしているでしょうけれども、非常に問題がある。調和ということをいま次官がおっしゃったけれども、調和調和といっておりますけれども、調和をくずしているのは縦割り行政なんです。こういう問題についてやはり検討していただかなければ、こんな法律をつくって会議をやったら、財政が苦しいぞ、苦しいぞといっても、わずかではありましょうけれども、みんな会費は向こう持ちだ、自治省は一文も出さぬ、こういうことになりますと、何か連絡会議という法律ができて、自治省のメンツは立ったけれども、効果がなくて、一ぺん会議するごとに何十万か府県の財政が吹っ飛んでいく、こういうことになると思う。枝葉の問題じゃなくて、会議の運営の問題じゃなくて、その大もとの問題について、自治省の所見が明らかにならんければ、これは全く絵にかいたもちより悪いと私は思うのですが、これについて所見を伺いたい。
  39. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 細谷委員のお尋ねに先ほど答えましたことに、なおつけ加えまして、ちょうどいまのお尋ねのお答えといたしたいと思うのであります。  いろいろ御懸念になっておるようなところは、関係者努力して是正をしていかなければならぬと思いますが、法案にございますように、各関係者が、国のほうの側も資料をその連絡会議提出をいたします。それから会議の必要のございますときには、大臣であるとかあるいは公共企業体等の長に対しまして、連絡会議が意見を申し出ることもできますし、また連絡会議はその会議の結果を、自治大臣及び会議における協議事項に関係ある大臣に報告する、こういうふうな立場をとっておるわけでありますから、先ほども申し上げましたように、国の行政に当たる者も、地方公共団体行政に当たります者も、いずれも国民のいわば奉仕者という立場にあるわけでありますから、各関係資料をそこに持ち出して、そうしてそういう自覚のもとに一つの問題を協議してまいりますところに、先ほど申し上げました資料の提出、あるいは意見の申し出、あるいは結果の報告等々ということと互いに関連を持ちまして会議が重ねられていくところに、いまの一般世論ともいうべきこの広域行政の進展のために非常に役立っていくいい結論の出てまいりますことを期待し得る、このように考えておるようなわけでございます。
  40. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問する点は、こういう法律をつくっても、名ばかりになるのじゃないか。自治省がもっと地方自治を守るという意味において、国からの縦割り行政の弊というものについて前向きで解決する意欲と努力がなければ、こういう法律をつくったって意味ないのだ。それで私は、冒頭言ったように、何べんもやって、しょうがない、メンツにかけてもこの法律を通すのだ、そういうこと以外にないのじゃないか、そういう意欲が必要だということを言っているのでありますけれども、その点について、これは大臣の決意も聞きたいのですが、次官の決意も聞きたいと思ったのですけれども、どうもこの点には触れられなかったのですが、どうですか。
  41. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 私の先ほど申し上げましたのは、この連絡会議法考えておりますことは、いま細谷委員の御心配になっておるような問題の解決に大いに役立つものである、このように考えておるということを申し上げたようなわけでありまして、自治省といたしましては、御心配になっておるような問題解決にいろいろと努力をいたしておる、今度のこの連絡会議法の中において十分その精神があらわれておるのだ、こういうふうに御了承願いたいのであります。
  42. 華山親義

    ○華山委員 関連をして政務次官にお聞きいたしますが、先ほど川村委員官房長との間の質疑応答の中で、この前の国会で本法案が四月二十一日というおくれた時期に出たということの理由につきまして、その当時連合法案が出される予定であったので、それと同時に審議したほうがいいと思っておくれたのだ、こういう御答弁がありましたが、これから考えますと、本法案が今国会におきましては冒頭に出されましたので、この議会におきましては、あるいは連合法案、あるいは府県合併法案、その他地方のいろいろな広域行政に関する、制度に関する法案、そういうものは一切お出しにならない御方針でございますか。政務次官にお伺いいたしたいと思います。
  43. 高橋禎一

    ○高橋(禎)政府委員 その問題につきましては、先ほども細谷委員のお尋ねにたしかお答えしたと思うのでありますが、いま府県合併の問題等につきまして、地方制度調査会においていろいろ御検討を願っておりますことは、華山委員承知のとおりでございまして、それらの結論の出ました際、いろいろと検討をして、その後に決定をいたすわけでございますから、いまの場合その種の法案を出さないことにきめたのか、こういうわけではないわけでございますから、その点御理解をお願いいたします。ただ、今国会に出すか川さぬか、こういうことでございましたならば、それは今国会には出す運びに至らないと考えておるようなわけであります。
  44. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、本国会には出す運びに至らないと思うから、この法案を冒頭に出した。こういうことでございますか。
  45. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま政務次官からお答えいたしましたように、合併等に関する法律につきましては、地方制度調査会において御審議をいただいておるところでありまして、おそらくその結論をいただきますまでには、この国会中には無理ではなかろうかというふうに考えております。これを冒頭に出したがというお話でございますが、先生承知のとおり、継続審議中でございますので、前国会から引き続いて御審議をいただいている、かような状況でございます。
  46. 華山親義

    ○華山委員 連合方式はいかがでございますか。
  47. 松島五郎

    松島政府委員 連合方式につきましても、合併等の問題と同様に考えております。
  48. 華山親義

    ○華山委員 今国会には提出されないのでございますね。
  49. 松島五郎

    松島政府委員 提出する予定はございません。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのお答えによりますと、この法律が成立すれば縦割り行政の弊害というものは大きく直るのだ、著しく効果があるのだという次官のお答えなんですが、この問題は非常に重要な問題でございまして、今日の地方自治体の根幹にも触れる問題でありますし、また、いまのお答えで、EEC方式なりあるいは府県合併の問題については、それぞれ違ったものでそれぞれ必要なんだが、今度は出さぬけれどもということでありますけれども、私はやはり一つ法律をやる場合に、自治省が一貫した方針というものを持たなければならぬ、それについてひとつ再検討願わなければ、この法律案の結論が出し得ないということを先ほど申し上げて、お願いしたわけでありますが、この問題については委員長にお願いしたいのですが、ぜひ、きわめて重要な問題と私ども考えておりますから、最高責任者の自治大臣に、この点については十分にお聞きしたいと考えておりますので、きょうは私の質問はこの点で保留させていただきたいと思います。
  51. 中馬辰猪

    中馬委員長 ほかにございませんか。——次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時三十五分散会