運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-05-26 第48回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年五月二十六日(水曜日)    午後一時十五分開議  出席委員    委員長 吉田 重延君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       奥野 誠亮君    木村武千代君       田澤 吉郎君    西岡 武夫君       福田 繁芳君    毛利 松平君       渡辺美智雄君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    日野 吉夫君       平岡忠次郎君    平林  剛君       藤田 高敏君    横路 節雄君       横山 利秋君    春日 一幸君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  鍛冶 良作君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君         大蔵事務官         (国有財産局長         心得)     向井 正文君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 栄樹君         大蔵事務官         (証券局証券業         務課長)    安川 七郎君         大蔵事務官         (国有財産局国         有財産第二課         長)      村田  博君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月二十六日  委員岡良一辞任につき、その補欠として横路  節雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として岡  良一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証券取引に関する件  国有財産に関する件      ————◇—————
  2. 吉田重延

    吉田委員長 これより会議を開きます。  証券取引に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬委員 最初大臣にお伺いしたいと思いますが、本日は山一証券再建対策につきまして新聞発表された自後の問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、その前に、政府もこの問題については慎重であったし、また私たち一般投資家に与える影響というものを考えて慎重に対処してまいったつもりでおります。にもかかわりませず、急遽大臣談話発表せざるを得なくなった経緯について最初にお伺いをしたいと思うのであります。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 私が山一証券の問題を承知しましたのは約十日前でございます。その後社会党皆さんとか各新聞社方々、そういった方々から山一証券の問題に対して承知しておるがという話がございました。ございましたが、皆さん専門のお立場にある人々の、あなたがいま御指摘になったようないろいろ及ぼす影響というものを考えられて、非常に良識的な行動をされた結果、山一証券再建対策といいますか、会社、銀行を中心にして十分な再建対策ができ上がったという時期に発表した、こういうことがいままでの経過でございます。  発表ということは、社会党皆さん本件に対しては十分承知しておられたのですが、あなたがいま御承知のような事情で非常に慎重にお取り扱いになられたということでございますし、また新聞各社調査をしておるし、版も組んでおるのだが、一体どうなんだということの話がございました。これは率直に事情を申し上げておくわけでありますが、その間一部の新聞、これは何か私よく承知しませんでしたが、時事ファックスか何かで流れた。流れて、一部の新聞——一部の新聞というのも私あとからその新聞は読んでおりませんが、西日本新聞か何かで九州の一部にそういうものが報道されたというようなことがございました。それが、午前の九時か十時ころ私はその問題を院内で聞いたわけであります。証券局長を呼びまして、山一証券の問題に対して皆さんが非常に協力的な立場でおられるのだが、こういう問題に対して、本件に関する措置は一体どうなっておるか、こういうことを聞きまして、おおむね完了いたした、こういうことでありますから、急遽その問題に対して発表した、こういうのがいままでの経緯でございます。
  5. 有馬輝武

    有馬委員 何日ごろ知られたとおっしゃいましたか。私いまよく……
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 いまから十日ばかり前だと思います。十日ばかり前か十二、三日ばかり前かさだかではありませんが、私が談話発表しました前十日くらい、一週間くらいであります。
  7. 有馬輝武

    有馬委員 これもやりとりになりますから申し上げませんけれども、こういった経緯があったあとならばはっきりおっしゃい。あなたは加治木財務官を通じて十日どころではなくてそれ以前から手を打っておられるじゃないですか。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 そういうものは打っておりません。あなたの誤解です。
  9. 有馬輝武

    有馬委員 誤解なら誤解とおっしゃったらいい。ぼくも聞いておるから申し上げておるわけです。  そこで、お伺いしたいのは、いま慎重な配慮ということを言われた。慎重な配慮をしておって一紙に流れる、それが慎重な配慮ですか。それが野党に対する、また各社協力に対するお答えですか。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 慎重に配慮というのは、私たちの慎重な配慮というよりも、社会党皆さんもこれらの問題に対して承知しておられたようでありますが、質問等は行なわれないで慎重な態度でこの事件に対処された皆さんのことを言っておるのであります。各新聞も私に対して一部承知しておるがということはございましたが、各新聞もかかる報道に対しては非常に慎重を期した、こういう事実を申し述べておるのでありまして、この間の事実は私が申し上げておるとおりであります。時事新聞がこういうものを流したという問題については、——これは私も各社非常に慎重にやってもらっておるということに対しては、大蔵省としては感謝をしておったわけであります。どうしてこういうものが流れたのだということを聞いてみたのですが、これはもう新聞は統制しておるわけじゃありませんし、各社が非常に配慮していただいたということについては事実そのままを申し上げたわけでありますが、それは一部に報道されたということは事実でありますから、そういうことを契機にして発表せざるを得なかった、発表いたしました、こういう事実をそのまま申し上げておるのですから、そのままをひとつすなおに受け取っていただきたい。
  11. 有馬輝武

    有馬委員 大蔵大臣も御承知のように、世の中にすなおな人間は多いけれども、私は一番すなおなほうなんですよ。その私が申し上げておる意味をわかっていながら、そういう答弁をされる。慎重な配慮をするということは、私ども一般投資家大衆立場を考慮して慎重な配慮をする。ところが、ああいった形で、それが再建対策はなったとおっしゃるけれどもあとでお尋ねいたしますが、そういった私どもが人づてに聞いておりました時期より前に流れる、そういうこと自体に対して、私は、各社に対し、また私どもに対して、それで済むのかということを申し上げておるのです。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 率直に事実を申し述べますが、社会党皆さん有馬さんからも堀さんからも、こういう事実を知っておるというお話は私も承知いたしておりました。しかしそういう問題に対して非常に慎重な配慮をしていただいたということに対しては感謝をいたしております。おりますが、これは私たちのほうで、各社が統制的にこれを出さないというようなことをやったわけじゃないのでありまして、各社が非常に事の重大さをお考えになったかと思いますが、そういう意味報道をされなかったというこの慎重な配慮というものに対しては、私たちはその事実を認めて感謝をいたしておるわけであります。おるわけでありますが、とにかく朝私が登院をした後、十時か十時半だと思いますが、いままで報道されなかったこういうものが九州で一部報道されたらしいということがございました。ございましたから、私は、閣議の日だったかと思いますが、証券局から事情を聞いて、発表ができるのであれば、こういう問題はいつまでもやもやとさせておかないで発表さしたほうがいい。しかしいままで非常に好意的にやっていただいた野党議員皆さんやそういう方々に対してはひとつしかるべく、与党の議員皆さんを通してもよいし、直接でもいいから、こういう事情発表いたします、こういうことを私は事務当局に命じてございます。まあそのやり方がまずかったといえばそういうことがあるかもわかりませんが、これはこういうものを預かる私の立場として、あのような事実が一部にでも報道されるということになれば間髪を入れず行政的に私が措置すべきことをしなければならないということも理解いたしていただきたいと思います。
  13. 有馬輝武

    有馬委員 次にお尋ねいたしますが、興銀中山さんがこの山一の問題について大臣のところに相談に来られたのはいつごろですか。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 興銀中山さんが来た——私も調べてみなければ唐突の話でよくわかりませんが、この問題で興銀中山氏と話をしたというのは、きのう話をいたしました。その前には直接ありません。ないそうであります。ありません。
  15. 有馬輝武

    有馬委員 加治木財務官各社を回ったのはいつごろですか。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 加治木君がどこへ行ったかという質問でございますが、これはまあどうも相手もあるわけでございますから、ここで私がお答えできるかどうかむずかしい問題でございますので、その間のことをひとつ御了解いただきたいと思います。
  17. 有馬輝武

    有馬委員 あなたのところの証券局長のところだから、大臣が答えられなくてもわかるでしょう。
  18. 松井直行

    松井政府委員 新聞各社はすでに先月の終わりから各記者取材活動が活発になっておることを承知いたしておりまして、五月の初めごろからわれわれも非常に心配いたしまして、五月七日に七社の方々財務調査官がお会いいたした事実がございます。
  19. 有馬輝武

    有馬委員 五月七日に加治木財務官各社人たちと会っておるのに、十日前に大臣が知るなんというそんなぼやけたことがどうして起こったのですか。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 そういうことは常識的じゃないかもわかりませんが、この問題は事務当局でいろいろなことをやっておったのです。そうして十七、八日ごろにこの問題が、新聞社も一部書くかもしれぬというような問題が起きて初めて私に証券局長及び加治木調査官から話を上げてきた、こういうことが事実であります。これは私は詭弁も何も言っているわけじゃない、そういうことが事実でございまして、この五月七日ごろから七社にいろいろな話をしたということは、これは証券局自体で動いておったことであって、私に正式に話を上げてきたというのは、私は、ほんとうに申し上げたとおり十日か二週間前でございます。
  21. 有馬輝武

    有馬委員 どうも十日とか二週間とか、日ごろの田中さんに似合わないで歯切れが悪いのですが、これはいずれ中山さんにも会ってお伺いをしたいと思います。  それで、証券局長伺いますが、山一証券負債総額は三月末で幾らになっておりますか。——もたもたしておるようですから、その間に言っておきますが、長短借り入れ金、それから有価証券など、全部含めて幾らかということをはっきりと答弁願います。
  22. 松井直行

    松井政府委員 お答えいたします。  三月末日の日計表による分でございまして、これは公表の決算数字じゃございませんから、御承知願います。短期借り入れ金が五百八十五億、長期借り入れ金が百四十億、それから借り入れ有価証券八百五十三億でございます。
  23. 有馬輝武

    有馬委員 この長短の分について、三菱興銀富士と、それからその他金融機関と分けて説明願います。
  24. 松井直行

    松井政府委員 私がいま持っています資料は四月末の銀行借り入れ資料でございまして、幾分動いておりますが、ほとんど動いておりません。これを各銀行別に全部申し上げるのですか。
  25. 有馬輝武

    有馬委員 だからぼくは富士三菱興銀と、その他金融機関ということでお尋ねしています。
  26. 松井直行

    松井政府委員 富士三十八億、三菱三十億、それから興銀二十九億でございます。その他都市銀行、長銀、信託銀行、全部合わせまして二百八十九億でございます。
  27. 有馬輝武

    有馬委員 それからコール金利と、それから各長期短期金利コールのレートは幾らですか。
  28. 松井直行

    松井政府委員 コール金利は二銭一厘でございます。それから銀行借り入れ長短区分してございませんが、長短突っ込みまして二銭一厘ないし二銭三厘でございます。
  29. 有馬輝武

    有馬委員 長短区分してございませんがということで再建策はできるのですか。時間かけてもいいからちゃんとおっしゃい。
  30. 松井直行

    松井政府委員 じゃあ全部申し上げます。  富士短期が二銭二厘、長期が二銭二厘八毛、三菱短期二銭二厘、長期が二銭三厘、それから興銀長期で二銭三厘八毛であります。
  31. 有馬輝武

    有馬委員 短期は。
  32. 松井直行

    松井政府委員 短期はございません。
  33. 有馬輝武

    有馬委員 それから現在東京取引所で扱っている株数幾らになりますか。
  34. 松井直行

    松井政府委員 東京証券取引所で扱っている株といいますと、どういうことでございましょうか。山一の……。
  35. 有馬輝武

    有馬委員 いやいや、取引所全体で扱っている株数……。   〔委員長退席藤井委員長代理着席
  36. 松井直行

    松井政府委員 上場株式数七百八十九億株、時価総額、これは四月末現在でございますが、七兆三千四百七十六億でございます。上場株数時価総額でございますから、ことしの四月末現在でございます。
  37. 有馬輝武

    有馬委員 それに山一の占めるシェア幾らですか。
  38. 松井直行

    松井政府委員 市場出来高に対します山一証券シェアは、月によって変わりますが、大体一四ないし一五、六%だろうと思います。
  39. 有馬輝武

    有馬委員 先ほどの借り入れで現在の再建策がならない形で毎月の赤字はどの程度大蔵省は見ておられたのですか、山一の場合。
  40. 松井直行

    松井政府委員 再建策は別に突然できたわけじゃないのでございまして、昨年一ぱいからも相当進めておりました。したがいましてことしの二月−四月を基準にいたしまして申し上げますと、相当再建が進んでおったわけでございますが、二月−四月で営業収支は黒でございますが、金融負担がはるかに多うございまして月三億程度赤字でございます。そのうち店舗人員整理それから一般管理費等節減不急不要不動産処分等自己努力によりまして月一億五千万節減あと残る赤字が一億五千万、こういう割合になっております。これは三億のうち一億五千万自己努力による合理化あと残ります一億五千万がどうしても消えない、こういう計算になります。
  41. 有馬輝武

    有馬委員 いまおっしゃいました不動産の処理のおもだったところはどういうところですか。
  42. 松井直行

    松井政府委員 一応われわれのところへ出てまいっております資料によりますと、六十八億ばかりの不動産処分が見込んでございますが、これは大部分店舗の予定で買いましたところとかその他の不急不要の土地が大部分であると思います。
  43. 有馬輝武

    有馬委員 その場所と価格をおっしゃっていただきたいと思います。
  44. 松井直行

    松井政府委員 大阪市東区北浜にございます三百六十二坪、これが一番大きなものでございますが、簿価二千七百九十万円でございます。あと仙台北二番町それから東京都内台東西黒門町、高松市一番町、横浜市中区常盤、青森市大字浦町、熱海市上多賀、長野県東筑摩郡、舞鶴市南田辺町、広島市牛田町、岡山市伊福下ノ坪それから福山市深津町以下何件かございます。
  45. 有馬輝武

    有馬委員 時価トータル幾らでありますか。
  46. 松井直行

    松井政府委員 先ほど不動産売却六十八億予定いたしておると申しましたが、大体時価総額が六十八億ないし九億ということに相なっております。
  47. 有馬輝武

    有馬委員 それで証券局長にお伺いいたしますが、その不動産売却は毎月の一億五千万赤字を減らす上においても重要なファクターになるのですが、これが計画どおり売れることになっておるのですか。
  48. 松井直行

    松井政府委員 御存じのとおり不動産は株と違いまして売り急ぎますと非常な捨て値でしか売れないという状況でございまして、かねがね買い手を見つけておるようでございますが、ことし秋九月決算期までにはできるだけ処分したいという計画で進めております。
  49. 有馬輝武

    有馬委員 その土地が売れなくても再建はなるということですか。私が伺いたいのは確かに田無の土地を日本生命に売るとか、これは六億とか七億とか、しかし船橋のグラウンドとか八重洲の土地仙石原土地、これは船橋のグランドについては大成建設と交渉したけれども、失敗しておる、仙石原土地は日本信販に交渉しておる、私はこういった具体的なものが一つ一つ積み上げられて不動産売却という再建策の重要なかなめになるんじゃないか、それが軌道に乗らなくて再建策ができるかどうかということで、その一つとしてお伺いしておるので、その点この際はっきりお聞かせをいただきたいと思います。
  50. 松井直行

    松井政府委員 いまにわかにいまから半年間でこれを売れといいますとたいへんな損をするだろうと思いますが、いまおっしゃいましたように相当前から手を打っておるところでございますので、何ぶん相手があるところからです、売り値でそのまま売れるとは限らないところも間々あろうかと思いますが、早くから手が打ってございますので、ことしの九月一ぱいでこれだけ処分をすることが可能であるという見込みで再建を進めておるところでございます。
  51. 有馬輝武

    有馬委員 なかなか不動産売却も思うにまかせない実態にあることは、証券局長自身が御承知のとおりでございます。  次にお伺いしますが三十六年、三十七年、三十八年、三十九年にピーク時で運用預かりはどの程度山一は持っておったか。
  52. 安川七郎

    安川説明員 御説明申し上げます。山一証券の運用預かりの残高でございますが、三十八年の九月が……。
  53. 有馬輝武

    有馬委員 三十六年から聞いております。
  54. 安川七郎

    安川説明員 手元に持っております資料は三十七年の九月でございますから、三十七年九月から申し上げます。三十七年九月末三百五十一億、三十八年九月末三百七十七億、三十九年九月末四百七十七億でございます。現在は三月末が計数がとれておりますが五百五十五億であります。
  55. 有馬輝武

    有馬委員 それから先ほどの各行からの借り入れ金利総額月幾らになりますか。
  56. 松井直行

    松井政府委員 都市銀行長期信用信託銀行全部合わせまして一ヵ月一億九千六百万円でございます。
  57. 有馬輝武

    有馬委員 それから大体手数料一株二円といたしまして、この手数料だけで山一の場合月幾らになりますか。
  58. 松井直行

    松井政府委員 二円は高いと思いますが、実績によりまして、合理化計画基準になる二月——四月というものの平均でとってみますと、手数料の総収入は十一億でございます。
  59. 有馬輝武

    有馬委員 その内訳を少しお聞かせを願います。
  60. 安川七郎

    安川説明員 山一証券の三十九年十月から本年三月末までの手数料収入内訳項目で申し上げますと……。
  61. 有馬輝武

    有馬委員 月平均に直して言ってください。
  62. 安川七郎

    安川説明員 月平均でございます。構成比率といたしますと、委託手数料が六〇%を占めております。それから債券等引き受け手数料が一〇%でございます。それから募集売り出し手数料が二〇%、それから投資信託受益証券取り扱い手数料が一〇%、このような構成比率になっております。
  63. 有馬輝武

    有馬委員 金額をひとつ……。
  64. 安川七郎

    安川説明員 山一証券の現在の手数料収入額合計が十一億円でございますので、ただいまのパーセンテージをそれぞれ掛けましたものが金額でございます。そこで毎月の手数料収入額はそれぞれの項目によりまして上下がございますので、たとえば三月中の具体的な金額を申し上げます。手数料収入が十二億三百万円、これが合計でございます。その内訳が、委託手数料が五億三千万円、引き受け手数料が一億五百万円、募集売り出し手数料が二億五千五百万円、投資信託受益証券取り扱い手数料が八千九百万円、こういう比率に相なるわけでございます。
  65. 有馬輝武

    有馬委員 それからお伺いいたしますが、再建案一つであります人員整理の問題でありますが、大体現在七千五百万円程度と聞いておりますが、これをどの程度にするのか、それによって人件費削減額がどの程度になるのかお聞かせいただきたいと思います。
  66. 松井直行

    松井政府委員 四月末現在集金人七百八十四人、これを六百人、職員四月末六千八百六十八人を六千人、これによりまして人件費の一ヵ月削減が四千四百万円くらいでございます。
  67. 有馬輝武

    有馬委員 それから店舗の現在数と、それをどの程度に整理するのかお聞かせいただきたいと思います。
  68. 松井直行

    松井政府委員 現在九十店舗ございますが、それを七十七店舗に圧縮いたします。
  69. 有馬輝武

    有馬委員 その九十店舗を七十七店舗にすることによって削減される経費はどの程度ですか。
  70. 松井直行

    松井政府委員 ここにはそれ以下の詳しい資料を持っておりませんが、いま申し上げました人件費店舗整理とそれから販売費一般管理費の圧縮を合せまして、先ほど申し上げました月一億五千万円ということに相なります。
  71. 有馬輝武

    有馬委員 それで先ほどお伺いいたしました富士三菱興銀のそれぞれの負債に対しまして、今度の再建案金利をたな上げする期間、それからその他金融機関の二百八十九億について話がついたのかつかないのか、この点をはっきりさしていただきたいと思います。
  72. 松井直行

    松井政府委員 仰せのとおり興銀富士三菱が主幹事になっておりまして、それ以外のところも現在こまい条件その他、常務クラスで打ち合わせをやっているというところでございまして、原則としてついております。
  73. 武藤山治

    武藤委員 関連。大蔵大臣は二十一日に新聞記者会見をやって、関係金融機関の足並みは完全にそろっておる、これが第一項目に出ておる。ところがきょうの新聞を見ると、「十三銀行“全額”に不満」、こういう見出しででかでかと、興銀富士三菱以外の銀行はつんぼさじきに置かれてつくられた再建案のような印象で不満である、こういう意思をきのうあたりの会議でほのめかしておる。一体金融機関は完全にこの再建案を守ってやってくれるという自信はあるのかどうか。
  74. 田中角榮

    田中国務大臣 その前にちょっと発言の機会がありましたから先ほどのことを訂正しておきます。  二十一日の金曜日に本件報道したのは西日本新聞です。これは独自の取材によって報道したということであります。これがあったので、それに続いて時事通信がテレファックスで出したということだそうでございますから、これはひとつ私の発言に補足して申し上げます。  二十一日にそう申し上げたのは、事務当局からの報告はそういうことになっておりましたから、私はそのとおり申し上げたことであって、間違いはありません。今日の状態でどうかということは、それは三行は主力銀行であるから担保も取っておるし、十分貸し出しておるのだから、第二線の主力銀行以外のものはまあ一銭くらい差があってもいいのじゃないか、一部にいろいろな話があるらしいけれども、その当時から銀行の話は聞いておるわけでありますし、基本的には協力をする、こういうことでありますから、私はこの問題に対していろいろな問題があっても  確かに一銭くらい違っていいんじゃないかという気持ちもわかりますが、実際においてこれ以上主力銀行はいろいろ無担保で貸し出しをしなければならぬとか、こういうことを考えますと、そこでも差がついておるのですから、私は話がだんだんわかってくれば、私が二十一日に事務当局報告をもとにして申し上げたとおり、本件に対して銀行協力しないというような懸念はない、こういう考えを持っております。
  75. 武藤山治

    武藤委員 銀行協力しないようなことはないという大臣の期待をする気持ちはわかる。しかし、この十三銀行のきのうの頭取クラス会議によると、最終的には日銀が救済融資に乗り出す以外にない。日本銀行がこれを救済しなければならぬということになると、せっかくつくった再建案どおりではなくて、完全にしりぬぐいを国家が、国の金融機関がやることになるのです。国民の金です。その日本銀行が救済するという場合に、想定できる日銀の救済融資の方法は一体どういうことなのか明らかにしてもらいたい。
  76. 田中角榮

    田中国務大臣 想定されることはどうかということでありますが、これは都市銀行がめんどうを見ていくということだと思います。将来どうなるかということになれば、先ほど申し上げたように、現在コールでもって二銭とか二銭一厘とか取っておるものを金利の差によって低減できないかということを考えれば、いま共同証券に出しておるようなやり方もなくはないわけであります。これは一銭七厘なり一銭八厘くらいの金で出してくれるということになれば、そういう道もなくはないということは考えられます。じゃ具体的にどうするのか、日証金を使うのか現在の都市銀行を使うのかというような具体的問題は別にいたしまして、そういう救済といいますか、てこ入れということはなくはない、ということは、具体的に想定できる事実はどうかという御質問でありますから、そういう道もなくはない、こうお答えはできると思います。
  77. 武藤山治

    武藤委員 そうなりますと、国家独占資本主義の段階であるから、こういう資本市場の混乱、混迷を国家資金で救い出そうという意図はわかる。その気持ちもわかります。だがしかし、山一証券だけは国家資金を導入して日銀が乗り出す。  そこで私が聞きたいのは、いま証券会社でかなりいかれている、もう資本金を食いつぶしつつある、そういう会社はかなりあるはずです。私らが知っておるだけでも大井証券、大阪屋、大商、角丸、こういう証券会社は、規模は小さいけれども、大体山一と似たり寄ったりの内容になりつつあると私は思う。証券局長、一体その実態をどう把握しておるか。それに対して今回山一にとったと同じような再建案の手だてを大蔵省が中に入ってやるつもりがあるのかないのか、これらの中小証券は倒れてもいいのかほっておくのか、そこいらのけじめはどうなのか。
  78. 松井直行

    松井政府委員 個別的にどことここで申し上げることは、信用上の問題もございますのでごかんべん願いたいと思いますが、どこまでも企業の再建は自主的にやるのが原則でございます。昨今は、御存じのようにうしろだてに金融機関がつきまして、金融機関を中心に再建策を進めるということになっておりまして、企業の自己努力とこれに協調いたします金融機関の完全な了解ができたものが再建されるということに相なるわけでございます。いまおっしゃいましたこの他にもあるかどうかということでございますが、すべて現状におきましては投資大衆に当面の支払いその他で支障することは全然ないように手は打ってございます。再建策につきましては、ケースバイケースで、徹底的にその企業自身が合理化できる範囲はどこか、金融機関で応援できる面はどこかという最終の詰めにいま入っておるところでございます。その方法は、おそらく山一証券のこの整理が一つの先例になってくるのだろうと思いますが、どこまでも企業の自己努力といいますか関係金融機関の間に自己で再建の見通しをつけるということが原則でございまして、国家資本その他でもってどれもこれもみな同じように扱うというわけのものではございませんということを申し上げておきます。
  79. 武藤山治

    武藤委員 おかしいじゃないですか。山一だけは、大銀行——幹事銀行が引き受けない場合、最終的には日銀が保有組合なり共同証券なりを通じて金を出すかもしれぬ、しかしそれ以外の中小証券の場合は自己努力によってこれを何とか再建させるように指導をする、私はどうもその行政指導は少し不均衡不公平だと思う。やはりやるならば今度山一をやるように全部やらなければならぬし、自己努力でやらせるなら、山一もみな、国があまり干渉しないで、資本主義の自由競争の社会なのですから淘汰されてもしようがないという立場をとるべきだし、そこらは、前例になるのですから、私はこの際はっきりきちんとけじめをつけなければいかぬと思う。その点、大臣どうですか。
  80. 田中角榮

    田中国務大臣 私のことばを誤解しておられるようでありますからここで明らかにしておきますが、あなたの質問銀行団が言うことを聞かなかった場合——私はやはり聞くと思いますと、こういう前提で申し上げた。聞くと思うという絶大なる自信を持って申し上げておるのですが、聞かなかったという仮定の前提がございますので、そういう場合の可能な問題として考えられることはどうか、こういうことでありますから申し上げただけのことでございます。これはもう山一であろうと中小証券であろうと同一の考え方でもってやるということは、間違いございません。山一だけに日銀の金を使って他の証券会社にそういう場合があったら個人だけでやらせるのだ、こんな不公平なことはできるはずのものではございませんから、そういうことは原則的に考えておりません。ですから、いま証券局長が申し述べましたように、まず自己努力、自己責任の上に立って努力をしてもらう、自分の企業が犠牲を忍んでせい一ぱいやる、その上に現在関係しておる金融機関再建協力する、それでもだめな場合道がないのかと言うから、ないわけではございません、いま考えられるものはどうかということから申し上げたのでございまして、大証券と中小証券とを区別するというような考えはごうまつもございません。
  81. 有馬輝武

    有馬委員 ということは、今度の場合でも関係各行に対しまして全部日銀がめんどうを見るということですね。
  82. 田中角榮

    田中国務大臣 その日銀がめんどうを見るというのにはちょっと錯覚があるのです。もしめんどう見なかった場合、日銀などはどうするかという質問がございましたから、共同証券にやったような手もなくはない、こういう仮定の質問に対してお答えをしておるのでございまして、現在まず自己責任の問題でもってやります、その上なお金融機関協力を求めてやります。金融機関協力だけというものにも限度があるでしょうからということをおもんぱかって、日銀総裁が云々ということがあるわけでございますが、私は、そういうことで日銀がすべてのしりを見るということを前提にしてお答えをしておるのじゃございません。
  83. 有馬輝武

    有馬委員 日銀総裁がすでに具体的な数字まで出してものを言っておるから、武藤君の質問も出るし、私もまた質問しておるわけです。じゃ日銀はこの点についてノータッチということですか。
  84. 田中角榮

    田中国務大臣 新聞記事をごらんになってのお話のようでございますが、きのうも二百億と書いてあっのですが、私は二百億というのはほんとうか、そういうことは何も決定しておりません、こういうことでありますから、私は事務当局の言うことを信用する以外ないのです。私は現在日銀が山一証券に二百億金を出すということをきめておるというふうには理解しておりません。
  85. 有馬輝武

    有馬委員 それから、先ほど武藤君の質問の過程で、私は証券局長から他の市中銀行も確約はとれたという報告を受けて、あのような談話発表したということでありましたけれども証券局長はなぜいいかげんな報告大臣にしたのですか。
  86. 松井直行

    松井政府委員 基本的には、当時お会いしていろいろお話ししたときには、みな完全に了解してもらっているとわれわれが理解し得る段階にあったと秋は認識いたしました。その後いよいよ常務クラスが集まりまして、いろいろこまい条件その他をやりますときには、これは銀行間にもいろいろ競争もございましょう、どっか大きいところがおもにめんどう見ればいいじゃないか、うちまで巻き添え云々というような話も出てくるだろうと思います。現在そういう段階でいろいろなうわさなり話があるという段階でございまして、最初にわれわれがお会いいたしまして、事情をお話しいたしましたときに、われわれが感得いたしました認識には誤りないといまでも信じております。(「新聞にはそう書いてない」と呼ぶ者あり〕
  87. 有馬輝武

    有馬委員 その点が、いま武藤君が言うように、他の市中金融機関は話がついてないというふうには報道されておるので、どっちが事実かわからないからお伺いしておるのです。
  88. 田中角榮

    田中国務大臣 どうも新聞報道を基礎にして御質問でございますが、私たちはそのまま申し上げておるのであって、じゃ現在の時点においても自信があるのかという武藤さんの御質問でありますから、自信はございます、こうピリオドを打って答弁しておるのでありますから、それ以上申し上げることはないわけであります。(「それには十三行を呼ばなければわからぬ、あなたのは期待にすぎない」と呼ぶ者あり)新聞の記事に出ておるものと、いやしくも国会でもって答弁をしておる国務大臣発言とを同等に論じてもらっては困ります。   〔「だって、あなたは新聞発表しておるじゃないか。国会でやるのはきょう初めてじゃないですか」と呼ぶ者あり〕
  89. 藤井勝志

    藤井委員長代理 私語はやめてください。
  90. 有馬輝武

    有馬委員 大臣、興奮しないでください。ぼくらも良識あるんですから……。  証券局長にお伺いいたしますが、先ほどお伺いしました負債の面でいま少し私お伺いしておきたいと思いますことは、株式預かり証なり国債、政保債、これがコール担保に入っていたようであります。しかも無断で入っていたようでありますが、本日の新聞——それこそ大臣がきらわれる新聞の記事によりますと、検査の回数をふやしていく、再建対策のために、証券市場対策としても当然検査を強化していかなければならぬ、こういうことが発表になっておるので、これを取り上げることは、これは大蔵省の基本方針だから、何も大臣おこらなくてもいいだろうと思うが、無断でこういったコール担保に入れておるような状況なんかについて、検査の際、証券局長はおわかりにならなかったかどうか。
  91. 松井直行

    松井政府委員 お話はおそらく保護預かり、単純寄託契約で預かったものを担保に使ってないかという御意味であろうと思いますが、本証券会社につきましては過去何べんも検査がございましたが、保護預かり、単純寄託のものを他に流用した事実は発見されておりません。
  92. 有馬輝武

    有馬委員 それもあなたが検査されたが、そういう事態がないとおっしゃれば、それをそのまま受け取らざるを得ないのでありますけれども、こういう点についても問題が残っておるということを私は記憶にとどめてもらいたいと思うのであります。  以上、二、三の点についてお伺いしてまいりましたが、不動産売却の問題にいたしましても、また負債総額の問題にいたしましても、どうも納得できかねる点が残っておるわけであります。金融機関に話がついたかと思うとついてなかったりということことで、私は発表されました再建案というものがただ当面を糊塗するために出されたものとしか理解できないのであります。   〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕 問題は、私は大体三十六年のピーク時に銀行よさらばといった当時、店舗の拡張、人員の増、とにかく無計画にやってきたことをただ放置しておいて、いまごろになって、先ほども武藤委員からも出ましたけれども、日銀まで動かして再建の手を差し伸べていかなければならぬ、これは証券行政不在のありさまと言ってもいいのじゃないかと思うのです。おまけに前には共同証券保有組合を通じて四千億近くも手当てをしながらこういう状態に置いておいて、いまお聞きすればこういった事態です。それ以前の問題があるのじゃないか、証券行政不在という事態があったのではないか、こういわざるを得ないのであります。私はまずなぜあのピーク時に手当てをしなかったかということよりも、見のがしてきたその理由についてお伺いするとともに、いまの基本的な問題について大臣からお答えをいただきたいと思います。
  93. 田中角榮

    田中国務大臣 昭和三十八年七月五日付で大蔵省理財局長吉岡英一の名前で通達をしておるのです。通達をしておりますが、財務管理について伝云ということでございましたけれども、当時の状況から今日と比べれば、この通達どおり行なわれておらなかったという問題はございます。そういう問題に対して、大蔵省の証券行政の面からいろいろな問題は確かにあると思います。証券取引法が改正されたり、いろいろなことがございますが、大蔵省で証券業者の内容をどういうふうに検査をしなければならなかったかというような行政上の問題は相当あると思います。それはすなおに私もそう思いますが、三十八年の七月は、例のケネディ・ショックのときを契機にして非常に値下がりをしたということに対して、証券業者の財務管理や財務運営についての通達を出しておるわけでありまして、あとは検査をするとかそういうこと以外に、その内容、実情を把握することはできなかったということであります。
  94. 松井直行

    松井政府委員 根本的な経営の失敗に関します原因につきましては、われわれも深く反省するところがあるのでございます。行政運営のあり方につきましては、今回証券取引法を出しまして、あらかじめ早い目に法的根拠に基づいて、健全経営のために指導ができるという権限を付与してもらうということで、われわれもつとめたいと思いますが、一つはやはり経営者のものの考え方の問題であろうと思います。戦後すでに二十年を経過いたしておりますが、やはり戦前的な証券市場の考え方というものを持った経営者がおるとすれば、これはすでに時代が変わっておるという認識をぜひ持ってもらわなければならぬということは、かねがね申してきたところでございますが、やはり経営方針なりあるいは人材の後進性、この場でも参考人からそういうお話があったと思いますが、後進性というものはまことにやむを得ないものがあったという以外に方法はないのでございまして、非常に遺憾に思っております。
  95. 有馬輝武

    有馬委員 大蔵省は捜査をやっておるわけです。運用預かりの実態がどうなっておるか、店舗の数がどうなっておるか、人員はどうなっておるか、金利はどうなっておるか、そういった大まかなことは全部おわかりだったはずなんですよ。それを現在まで放置してきている。私は先ほど証券行政不在ということばで申し上げましたけれども、そういう点を私はお伺いしておるのです。今後のことを申しておるのじゃありません。
  96. 田中角榮

    田中国務大臣 おしかりを受ければまさにそのとおりでございまして、これからひとつ証券業の二段階制もやらなければならぬということも、ほんとうに私は積極的に考えております。  これはざっくばらんに申し上げますと、おととしの七月のケネディ・ショックでもって株価がうんと暴落した。こういうことでこれから安定成長期にだんだん入っていく、いわゆる開放経済体制を前にしてのちょうど半年前の時点でございますから、そういう意味で証券業者の体質改善、いままでのように甘いものの考え方ではなく、とにかく戦線の整理もやらなければいかぬ、こういう考え方であったのです。ですから私は就任と同時に、証券業者の免許制をこの席で皆さん発言をした。あのときは非常に早かったけれども、当然体質改善を必要とする、こう言ってだんだんと証券体制をやろう。こういうときにケネディ・ショックでもってどうにもならなくなったわけです。私はあのときも皆さんに申し上げておりますが、当時の四社の状態などは、大体一日二億株の取引ということが目標になって陣容が立てられたわけであります。それがケネディ・ショックから今日まで、一日に四千五百万株とか三千万株とか、こういうことを考えて、あとは値下がりを考えて、とにかく急激に戦線の縮小とか内部の合理化、こういうものをピッチをあげてやったものと、少しもたもたしておったものの中には、こういう事態が起きるということは、これは常識的にいまになって考えれば考えられるわけでありますが、いずれにしても証券市場の問題、ケネディ・ショックの立ち直りの問題、そういう全般的な問題がありましたから、証券業者に対して手きびしくやるべきであった場合にやれなかったということ、これはもう結果論としてそういう事実は私もすなおに認めております。  ですから、おそまきながらいまこういう事実が判明したわけでありますから、これを契機にひとつ徹底的な立て直しをして、新しい体制に即応する証券業者というものをつくっていかなければいけない、こういう考え方でいま再建策を進めておるわけであります。
  97. 有馬輝武

    有馬委員 いま一つ伺いしておきます。  徹底的な手直しをするということでありますが、議論じゃなくて、各産業にも同じような手を徹底的に打たれるかどうか、最後にお伺いしておきます。
  98. 田中角榮

    田中国務大臣 これは各産業ということは、証券業者の他の企業ということであれば、他の企業も証券業者全体に対して、徹底的な体質改善を進めるように施策を進めたいと考えます。それからまた必要があれば、証券取引法の再改正ということもお願いをしたいということで検討いたします。  なお経済界のその他の産業の粉飾決算の問題とか、こういう問題に対しては、これはもう人の問題ではなく、証券取引法に基づく大蔵大臣の検査権、また証券取引法に基づく取引所の機能の問題、こういう問題は、法律改正に待つべきものは待ちますし、また待たないで、現行法令のもとでもって規則等の改正ができるものは実情に合うように改正いたしますし、また大蔵省が告発をしたり、道を正すために必要な行政処分があれば遅滞なくやって、一日も早く姿勢を正して、新しい態勢に即応できる日本の各種産業の形態をつくる、そのように努力をしてまいりたいと思います。
  99. 有馬輝武

    有馬委員 私がお伺いをしておるのは、これは皮肉にとってもらっては困るのですけれども、各産業というのは、証券業のことだけ申しておるのじゃありません。
  100. 田中角榮

    田中国務大臣 わかりました。
  101. 有馬輝武

    有馬委員 私の質問を終わります。
  102. 只松祐治

    ○只松委員 関連して。  いろいろ有馬委員から御質問がありましたが、近ごろ何か知ったようなお話でございます。私は実は本問題は、証券取引法の改正案のときにいろいろ勉強をしておりましたら、こういうお話をいろいろお伺いいたしまして、その当時から大体この大網というのは知っておるわけです。したがってそのときに現に四社の市場占有率とかあるいは四社の税務申告状況とか、そういうものを資料で私はいただいておるわけです。  ほうとんは時間があれば、その当時いただいた、証券局当局から出された資料と現状とをいろいろ対比して質問をいたしますと、さらに問題点というのが明らかになると思うのですが、何か近ごろ知ったようなお話です。私たちみたいに全然しろうとで、たまたま証取法を勉強していた。そういう過程から、こういうことを私たちはすでに三月、四月ごろから知っていたのですが、近ごろ知ったというのはいささか牽強付会に属すると私は思うのです。ほんとうに近ごろお知りになったのですか。実態は前からお知りになっていたのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  103. 田中角榮

    田中国務大臣 それは私が答えたとおり、本件が問題になったのは、ほんとうに私は二週間か十日前に証券局長から正式に話を聞いたのです。ですからこれはあまり間違って——強弁しておるということじゃなく、おとりいただきたい。  これはあなたも大蔵大臣になってみればわかることなんですが、とても忙しくて、こういう事件があると、あなた方は非常に専門的にこまかいところまですぐ調べますから、皆さんは十分おわかりだと思いますが、私たちでさえわかっておるのに大臣はどうか。これだけとにかく何万もおる大蔵省の毎日働いておる諸君が、毎日大臣のところに持ってくるということではできるものじゃありませんから、これは事実ひとつお考えいただきたい。  ただ、私すなおに申し上げますと、この山一証券の問題は、私はもう片づいておったという考えだったのです。それは去年少し荒っぽいじゃないか、大蔵委員会でもって質問が出ますよ、銀行の証券政策介入だ、こういうことさえも心配をし時期がございます。これは御承知興銀の出身者が、とにかく証券の専門家をやめさせて山一証券の社長になったわけであります。これは前に興業銀行の常務取締役——日高君だと思いますが、いまの四大証券のうちのもう一つの日興証券の社長も、興銀の常務の前任者でございます。そういう意味で四大証券のうちの二つも銀行から社長がいくということは問題になるのじゃないか、こういうような問題がございまして、それさえも押して興銀から人が来たので、主力三行ほこれに対して責任を持って、問題はない。こういうことで山一証券というものに対しては、私の不勉強であるということなら、そのとおりでございますが、そういうつもりでおったわけです。ところが十何日前でありますか、こういう問題がございます、こういうことだったわけです。とにかくそれだけじゃなく、予算委員会の開会というのがある。予算委員会まだやるのか、こういうことを言ったら、いやとにかく予算委員会では社会党の代表さんが出て、ひとつ山一証券問題でもって質問するのだ、こういう話を聞いたので、そんな大ぎょうなことがあるのか、そんなものおやりになればいいじゃないか、こういうことを私は言っておったわけです。それは皆さんも知っておるはずです。私はどうぞおやりください、こういうことでもって今日まできておりますから、私はそういう気持ちでございましたから、これはあっさり私はそう感じておったのであって、これはいまでも証券局長質問されても、課長が知っておること、係長が知っておることを、証券局長がもたもたしておって、どうも知っておることもしゃべりたくないようにおとりになられても困ります。君、知っていることはみんな吐けと言ったのですが、みんな知らないということであります。こういう問題は、私たちもすなおな気持ちで、国民に不安がないような基本的な姿勢をとっておりますし、いやしくも国会における発言でありますから、私も一緒に責任を負えるという立場発言しておるわけでありますから、そういう意味でひとつすなおに評価をいただきたい。
  104. 只松祐治

    ○只松委員 大臣はお忙しいからそういうことであるかもしれませんが、証券局長や証券課の関係の方々までそういうことであるというのは、私たちはすなおにいただきかねると思うのです。  それはそれとして、今後の問題もあるから、私は証取法のときにちょっとそういう問題をお聞きしたわけですが、監督権や調査権が大蔵省にあるわけです。あるいはその前の小さい株の不正売買の問題のときにも私はそういうことを聞いたことがあるのですが、ぜひ一そうの監督調査の強化をお願いして、国民の不安のないようにしていただきたいと思います。  それから、いま有馬君も聞きましたいろいろな負債の中で、私は外からお聞きしたわけですから多少違いがありますが、結論的には、いまお答えになったのとそんなに違わないように見ております。たとえば私が調べた範囲内では、都市銀行関係十三行で百五十億、長期銀行関係で四十六億、信託二行で九十二億、その他十五億、全部で三百五億、こういうことになっております。さっきのお答えの三百億前後とそう違いはありません。ついでに言っておきますが、月にこれの利息が一億五千万前後かかる。そのほか運用資金が五百五十五億、それから現在までの累積赤字が百五十億、第二市場の株を保有したり、いろいろ操作をするための負債額が約百億、それから日証金から借り入れるのが二百四十億、目ぼしいところを拾ってもこのくらいある。何だかんだ入れると、一説には外部負債総額が千八百億ある、こういうふうにいわれてもおるわけなんです。さっき銀行関係だけおっしゃいましたけれども、あなたのほうで現在把握されておる外部負債総額というのは幾らになりますか、ひとつお聞かせいただきたい。
  105. 松井直行

    松井政府委員 長短借り入れ、それから借り入れ有価を合わせまして千五百七十八億、これがことしの三月末現在の数字でございます。
  106. 只松祐治

    ○只松委員 これは計算のしかたによっていろいろ出てきますし、私がどっちが正しいということを申し上げるわけにはまいりませんが、一応それをお聞きしておきます。  それから再建案に関連してお聞きしておきますが、現在山一の経常収入は月十億前後ということを聞いております。支出が九億ぐらい、こういうことでございます。したがって、銀行関係の一億五千万のたな上げ、あるいは人員整理その他で三億ぐらいで何とかなっていく、こういうふうに言われておるわけでございます。しかし銀行関係は直接一億五千万円ですが、実質金利はいろいろな関係で六億ある。そうしますと、経常支出の九億、利息の六億を合わせると十五億要るわけで、月になお大体五億ぐらいの赤字が出る、こういうふうに言われております。したがって、いま再建案を、私たち新聞で見る以外に知らないわけでありますが、新聞の報ずるところでも、再建案と実質的に山一のいま置かれている現状からくる赤字とはなおほど遠いものがある。したがって山一再建というものはなかなか容易ではないのじゃないかということが巷間言われておるし、数字の関係から見ましても、しろうとから見ても大体そういうことがうかがわれると思うのですが、そういうことは絶対にない、いまの再建案で十二分に再建できるのだというふうにお思いでございますか。
  107. 松井直行

    松井政府委員 いまおっしゃいました数字を全部私控えておりませんが、ポイントになりましたのは金融支出であろうと思います。六億という数字、これは大体二月——四月の実績で見ますとそのとおりでございます。これは御存じのように金融支出があります一方、配当もございますし、それからお客さんに対する信用供与もございまして、受け入れがございます。それを相殺いたしまして金融収支の赤が大体月に四億五千万、申し上げた数字と符合いたすことになるのじゃないかと思います。営業収支の黒字が一億五千万円われわれのつかんでおります昨今の数字に誤りがないものと信じております。
  108. 只松祐治

    ○只松委員 直接関係はございませんが、しかし全体的な意味で関係がある投資信託はいま十九社で一兆一千億くらいあって、山一がその中で二千億くらいあるといわれております。そうしますと、全体としての投信の不振、額面を割っておるという状態の中でこういう山一の問題が出てまいりますと、よけいに山一の払い戻しというような問題が起こってくるのではないか。こういうものに対する対策というものはお考えになっておるかどうか。
  109. 松井直行

    松井政府委員 先週金曜日に大臣から再建発表がございました。その後われわれも報道関係にお会いする機会もあり、あるいは一般大衆に報道いたす機関の場に出る機会もございましたが、投資信託というのはかねてからこの委員会でも御指摘を受けましたとおりディーラー・アンド・ブローカーである本業と投資信託とは完全に分離をいたしております。投資信託委託会社というのは何々証券というディーラー・アンド・ブローカーとは別個でございますし、信託財産それ自身も信託銀行に信託財産として別個に管理されておるものでございますので、投資信託受益証券を販売いたします証券業者の経理内容とは全然別個のものであるから心配ないという趣旨をわれわれも主張してきておりますし、一般大衆にその旨を言ってきておるところでございますが、金曜日の新聞発表後やはり一部に理解されない向きがございまして、投資信託についても心配じゃないかという疑いをお持ちになった大衆の方々も一、二日のうちはあったようでございます。しかしきのうの午後あるいはきょうの状況を見ますと、大衆も大体こういうことを理解をしてきてくれております。ただ、いまおっしゃいましたように投資信託全般といいますか、一般についての不人気という問題は依然として残っておるところでございます。
  110. 只松祐治

    ○只松委員 いろいろ質問したいのですが、関連でございますからこれで終わりたいと思います。たださっきちょっと質問もありましたが、現在六千九百名くらい出向社員を含んで社員がおられるようでございます。この人員にいたしましても、あるいはいろいろな再建案にいたしましても、お聞きするところ大体八千万株くらいの売買高の想定のもとに立てられておると聞いております。しかし実際上いま四千万から五千万株くらいの商いしかないわけでございますが、そうなりますとさらにいろいろな面に波及して、特に人員はいま言っておるような形ではなくてもっと削減していく、こういう形に追い込まれてくる。こういうことで、一般投資家だけでなく、直接山一に働いておる従業員というのが非常に不安にかられておるわけです。これは一山一だけではなくて、さっき中小証券をどうするかということもありましたけれども、角丸とか大東とか内外徳田とか、山一の子会社みたいな関連会社、こういうところにも直接間接いろいろな影響をしてきて、そこでそういう人員整理その他も起こってくる、こういうことになってくるわけです。したがって再建案をほんとうに私たちも論ずれば、市場の状況から何から全部一致した中で再建案が正しいかどうかという論議までしなければならぬのですが、時間がありませんのでそういうことまでいたしませんけれども、いま八千万株の売買で想定されておるのに、四千万、五千万株でこういう問題が低迷していくということになれば、この再建案というものが狂ってくるのではないか、あるいはまた今後こういう山一の状態が他の証券会社その他に波及してくるのではないか、こういうことも私たちは憂慮するわけでございます。そういうことはない、この再建案で大体見通しがある、こういうふうにお考えになりますかどうか。
  111. 松井直行

    松井政府委員 あらゆる証券業者がどれくらいの市場の規模を目途にして合理化案をつくるか、これは非常にむずかしい問題でございますが、最終的にはこれを経営者自身がどう考えるかということでございます。本計画は、いまおっしゃたような数字が基礎になっておるのでございますが、さらに会社が銀行群との間で煮詰めました再建案そのもので十分かどうかにつきましては、もっとわれわれで検討もし、押し詰めていくつもりをいたしております。これで決して満足しておるわけでもないのでありまして、今後さらにもっと経費の節減なりあるいは販売をふやす方法はないかどうか、まだまだ大いに真剣に詰めなければならぬ問題が残っておる。もっと余剰の黒を生み出す方法があるのかないのか、あるとすれば何かということを突き詰めるわけであります。現在東京の市場は何千万株を目標にして一体証券業者は合理化をすればいいのか、これは非常にむずかしい問題であり、企業者自身の問題であるということを申し上げましたが、われわれ資本市場がこのままで低迷して衰えてしまうものとも考えておりません。証券マンといいましても、そうにわかに教育ができ上がるわけのものでもないわけでありますので、やはり企業者がそれぞれの責任においてどれくらいの規模の市場取引があるかということを、それぞれ各自目安を置いて再建策を進めておるものであろうと思います。何べんも申しますが、機械がございまして物を生産するという企業じゃございません。やはり訓練された優秀な職員を持つということが、企業収益をあげる原動力でありますので、幾らでも人件費削減すればするほど合理化が進むんだというふうには単純には計算が置けない、むずかしい企業であるということも、われわれ十分了解しなければならない点があるんじゃないかと思います。
  112. 只松祐治

    ○只松委員 そうすると、過日発表された案は確定したように聞いておりますけれども、そうでなくて一応の素案といいますか、第一次案で、もっと具体的に検討する、私たちが見てもなかなかずさんな大まかなものだと思いますが、いまのことばから見ても、もっとシビアーに検討していく、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  113. 松井直行

    松井政府委員 仰せのとおりでございます。
  114. 吉田重延

  115. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、山一証券が今日こういうような状態になって、まず各金融機関が三年間の金利のたな上げをした。これを各企業について全部やれば、会社更生法の適用をしなくても済むところもたくさんあったろうと思います。だから、三年間の金利たな上げを金融機関がやったというのは、実質的な会社更生法の適用によく似たようなものだと思うのです。もう一つは、この問題はやはり取りつけ騒ぎの一歩手前であったと思うのです。私は大蔵大臣にこの点お尋ねしたいのですが、山一証券がこういう状態になったのは一体どういう原因であるとお考えになっているのか。これは証券局長ではなくて、やはり国務大臣としての田中さん、大蔵大臣としての田中さんから、なぜこういう状態になったのか、お答え願いたい。
  116. 田中角榮

    田中国務大臣 どういう原因でこうなったか、これはいろいろな原因があるわけです。証券業者というものがある意味においては非常にはなやかな時代がありました。それがはなやか過ぎる、私はこういう評価をしておったのでありますが、証券業者が引き受けて、そしてこれの増資をやったり、上場の引き受けをやったり、しかも親企業が額面幾らも出ておらぬにもかかわらず、その下請企業のようなものが初めから三百円、五百円でつけ出される。これはある意味において過当競争の一因でもございますが、そういう証券業者の営業状態、これはノーマルなものではなかったわけでございます、そういう意味で私は証券企業というものが免許制を採用しなければいかぬ。その当時、三年前反対があった。おおむね反対だった。しかしこれは絶対必要だ、こういうことをいみじくも私は言わなければならなかったように、非常にはでな状態がありました。これは私はこの間もちょっと考えのですが、一時山一証券とかそういう会社は、一日幾らずつもうかる、こういうことでまず年間何千人も大学卒業生を採る。年間何百人、何千人採れる企業というものは、一体ノーマルなものの考え方かどうか、私はそういうものに対して非常に危惧を持っておったわけであります。ですから大蔵大臣就任と同時に免許制を申し上げたのです。そういう意味でこれはいろいろな問題もあるでしょうが、やはり証券市場のにない手、資本市場のにない手としての証券業者そのものの心の持ち方、運営、経営、責任というものの適確を欠いたということ、これは一つあると思います。証券取引法の改正はできましたが、これはもっと早くやるべきだった。大蔵省がもっと証券業者に手きびしく、証券業者の実態を事前に調査をし、適切な行政指導ができるような、そういういわば法制の整備も必要だったということも考えます。またちょうど開放経済に向かって本格的な日本の経済、当然それに続いて資本市場の再建整備という問題が出てくるような重大なときに、ケネディ・ショックという海外からの大きなショックがあった。いままで拡張に拡張を続けておった、俗に申し上げると量的拡大の時代から質の時代に転換しなければならないときに、まだまだ体制が整備されないのに、市場が混乱をするような、不振をかこつような大きなケネディ・ショックがあった。山陽特殊鋼は一体どうして起こったのか、サンウェーブは一体どうして起こったのか、こういう問題と同じものではございませんが、そういう問題もあるというふうには考えられます。証券市場をこれからの資本市場のにない手として大きく育成強化していかなければならないときにこういう問題が起こったわけでありまして、大蔵省証券局、まあおそまきながらでありましたが、今度証券局ができれば、まず証券取引法の改正はやりたいと思います、証券行政もひとつ的確にやりたいと思います、こう答えて証券局をつくっていただいたわけでございますが、いまから考えると、もう四、五年前に証券局をつくっておけばよかったと、私はまじめにそう考えております。
  117. 横路節雄

    横路委員 いまのお話だと、あげて責任は証券業界の責任である、業者のいろんなあり方の問題である。そうすると、これは一私企業の責任なんです。これに対して日銀が特別融資をするとかなんとかというのはどういうわけなんでしょうか。これはやはり田中さん、あなたのほうで大事なことを忘れていませんか。これは政府の責任でありませんか。政府の責任があればこそ、あなたのほうは異例の大蔵大臣談話発表し、あなたは、それは予算委員会でやれ、大蔵委員会でやれ、おれは堂々受けて立つというようなことを言っておるが、そんなことはここでは通じないのです。やはり政府の責任があるんじゃありませんか。ないですか。あなた御自身は、おれは責任がないと言うかもしれない。しかし、三十五年の池田内閣ができて以来、いわゆる所得倍増政策、高度経済成長政策、三十六年から株価は下がってきたじゃありませんか。ことしの三月決算はどうですか。売り上げ高はどんどん伸びたけれども、収益率は下がってきているではありませんか。これはただ単に一業者の問題ではない。あなたは、佐藤内閣だけのいわゆる大蔵大臣であれば別です。しかし、池田内閣においてもあなたは重要な大蔵大臣としての職責を果たされてきたと思うのです。それを、いまいかにもそれは一証券業者の責任なんだ、一業者のあり方なんだ——私はあとで聞きますよ。運用預かりの問題はどうなんだ。運用預かりの問題は、私は具体的な数字をあげてお尋ねします。こういう問題について、あなたのほうは具体的に指導していたんですか。していないではありませんか。証券局をつくればよかった。あるいは免許制にすればよかった。しかし、現に三十八年には通達が出ていながら、その通達は何ら実施していないではありませんか。あと資料を出して田中さんに私はお尋ねします。  田中さん、一体これが全くただ単に証券業界の責任なんだ、それは業者のあり方が悪いんだ、山一というあり方が悪いんだ、それならば何でこんな大騒ぎをするのですか。あなたは先ほど有馬君のお話で、私も後で聞いておりましたが、場合によっては日銀で特別融資をしていいような——やるとは言いませんが、いいような話もしている。これは、他の中小企業やその他が聞いたらみんなよだれをたらして聞きますよ。どうしておれのところにやってくれないのか、同じじゃないか、こう言うのではないでしょうか。田中さん、あんまり、おれの責任はないのだ、証券業界と業者なんだ、そう言われると、私はやはりそうお尋ねしなければならぬけれども、この点について何か政府の責任はないのですか。
  118. 田中角榮

    田中国務大臣 山陽特殊鋼がつぶれたのに政府の責任はないか、それからサンウエーブが更生法の適用を受けたのも政府の責任がないか、こういうお考えのようでございますが、そういう事態が起きないように万全の行政指導をすべきであったという面から言えばいろいろな問題があると思います。ところが、高度成長政策をやったからつぶれたのは政府の責任だ、これはどうも風が吹くとおけ屋がもうかる式な飛躍論でありまして、私たちはそういう見解をとっておりません。
  119. 横路節雄

    横路委員 まあこの問題は、いずれあなたとまた別な委員会でひとつお話しします。  今度は、これは証券局長にお尋ねをしたいのですが、五月の二十一日に山一証券再建策発表してから、二十二日の土曜日、二十四日の月曜日、二十五日の火曜日、きょうは二十六日ですから、できれば二十五日までの四日間で、山一証券で一体どんなような引き出しその他が行なわれているのか。たとえば投信の受益証券売却はどうなっているか。券面の引き出しはどうなっているのか。債券のオープンの売却はどうなっているのか、返却はどうなっておるのか。さらに、割引債の売却はどうなっているのか。券面の引き出しはどうなっているか。累積投資の解約はどうなっているのか。そういう点について、きのうは集計がないというのであれば、二十一、二十二、二十四、あなたのほうで逐一再建策を立てて、これでいっているのだ、動揺がないというなら、そういう点二十二日はこういう状態であった、二十四日はこういう状態であった、二十五旧はこういう状態だ、そういう点をやはり明らかにして——これが初めてなんで、何のことやらわからぬ、きょうの委員会が初めてなんだから、その点大蔵省ではきちっと発表しておくべきだと思うのです。
  120. 松井直行

    松井政府委員 おっしゃる問題は、われわれといたしましても最も懸念したところでございますが、金曜日の発表に続きまして土曜日、これは半日でございました。月曜日、火曜日、三日間の情勢をつかみ得た範囲で申せということでございますので申し上げますが、来店の客数から申しますと、平素大体三千名ないし四千名というところでございますが、二十二日は一万四千名、二十四日は一万七千名、非常にふえておりますが、二十五日、きのうはもう平静に返っております。きのうの午前と午後は相当な差がございまして、午後はまた非常な勢いで平静に返っておるものと認め得る状態でございます。二十五日は一万二千名くらいでございます。投資信託売却でございますが、二十二日、二十四日、二十五日の順序で申し上げたいと思います。投資信託受益証券売却に参りましたもの六億、九億、それから六億、こう減っております。それからボンドオープンにつきましては一億七千万、それから七億、それから二十五日はまた二億、こう減っております。それから割引債を売ってまいりましたのは八億、七億、それから二十五日は四億、こう減っております。それから累積投資の解約につきましては五億、七億、二十五日は六億、こういうぐあいに、まあ最初は半日でございましたが、月曜日が全日を通じてわりあいに多い数の引き出し売却がございましたが、二十五日は二十四日に比して大体三分の二くらいの動きになっているということが言えると思います。きのうの午後以降は非常な平静な状態に返っておるものと認め得ると思います。
  121. 横路節雄

    横路委員 次にお尋ねしたいのですが、この山一赤字ですね。今度は赤字の話です。私も実は資料をいただいたわけです。去年の九月決算は三十四億幾らとなっておる。ところが実際には、有価証券報告書についている監査報告ではどうなっているかというと、短期貸付金というのは百三十三億八千万円、この「短期貸付金のうちには回収困難と考えられる債権を含んでいるので、当期末の貸倒引当金は四億九千万円(税法の損金算入限度相当額)計上されているが、更に三十五億円程度の追加計上が必要と思われる。」こうなっているわけです。そうしますと、これで七十億ですね。しかし、実際には百三十三億というのは非常に怪しいわけです。これは不良債権になっている。そこでもう一つ、三月の仮決算のことですが、これは新聞にもいろいろ出ているわけです。三月の仮決算を見ると、大体山一は十月から三月までで大きなのは、やはり金利負担の受け取りの利息と支払いの利息との差し引き勘定は約二十億くらい違っている。支払いが多い。だからそこだけ見ても約百億近い赤字になっている。これは表面だけのことだ。しかし実質赤字は百五十億ともいうし二百億ともいう。実際には資本金は何ぼになっておるかというと七十九億幾らですね。ところで私は、これは大臣ではない、証券局長に聞く。大臣に数字を聞いたって、おれはわからぬと言えばそれっきりだから証券局長に聞くが、一体実質赤字幾らになっているのか。先ほど、負債総額の話は有馬君が聞いたけれども、一体赤字はどうなっているのか。百五十億ともいうし二百億ともいうが、これがわかっていたかったら再建案というのは何で示したかということになる。赤字幾らだかわからないで大蔵省再建案を示したなんていうことは——ここに私は大蔵大臣談話というのをいただいているわけですが、赤字幾らかわからぬで大蔵大臣談話なんてあり得るはずがないのですから、赤字幾らなんです。百五十億なんですか、二百億なんですか。いろいろ世間でうわさしているからきちっと言えばいいのです。いま証券局長のお話のように、だんだん一日ごとに少しずつ減ってきているというのだから、だんだんてこ入れがきいているのでしょうが、実質赤字は一体幾らなんですか。
  122. 田中角榮

    田中国務大臣 実質赤字幾らかという問題を御質問になる横路さんのお気持ちはわかるのですが、大蔵省としましてこういうことを言う前例もつくれるのかどうか、非常にいまの御質問でなかなか困難をしております。これは法律で、大蔵省が現在の状態においてつかんでおらない数字じゃありません、もちろんつかんでいるし、それを前提として再建策を見て、再建はできるな、問題はない、御心配はかけない、こういう気持ちになったのであります。それはそうですが、一体そういうことを全部何でも申し上げていいのかどうか。これはいろいろな問題もあると思うので、これは大蔵委員の常連の方々に聞いてからでないと——ほんとうにこれはめんどうな問題であります。ただ言い得ることは、あなたは百五十億とも二百億とも世の中でいっているが、こういう不安一掃のためにも言ったほうがいいということなら、あなたがいま言われたような数字ではない、それよりも小さなものである、こういうことは言えますが、どうも、幾らでございますと、こういうことを言っていいのかどうか、いま慎重に検討いたします。
  123. 吉田重延

    吉田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  124. 吉田重延

    吉田委員長 速記を始めて。
  125. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘の山一証券累積赤字幾らかということでございますが、この問題は再建方策ということももうできておるのでありますから、数字を申し上げることが投資家に安心を与えるという意見を言ったほうがいいという御議論もあると思いますが、あんまり職務上知り得た秘密でございますし、大蔵省が責任を持って再建をするというのではなく、あくまでも業者自体が中心をなして、責任を持って再建をするわけでございます。しかし、これが社会的に及ぼす影響等も十分考えながら、この企業の公的な使命も考えながら、行政の上でお手伝いをするという立場をとっておりますから、ここでさだかに数字を申し上げるということは、どうもいまの段階において適当でないのではないかという判断をいまいたしておるわけでございます。しかし、私がそういうふうに、さだかに数字を申し上げないということで、なお不安が残るということも考えられるわけでありますから、しいて申し上げれば、あなたがいま百五十億とか二百億とか巷間伝わっておるがという数字の御指摘がございましたが、われわれが職務上知り得た数字はそのように大きなものではないということだけは申し上げておきます。数字もつかんでおらないで再建策を認めたのかということになるかと思いますが、数字はつかんでおります。再建策は数字と対照して、こちらとしてはだいじょうぶだという考え方を持っておる次第でございます。  なお、先ほど証券局長が申し上げましたことを付言すれば、月に出る赤字が三億円ということでございまして、この数字は多角度から検討しまして大体そういうことでございます。この赤字の解消方策というものもこまかく積み上げて再建案ができ上がっておりますので、これから山一証券再建の問題は円滑に軌道に乗ってその実をあげるという確信を持っておるわけでございます。以上でひとつ御了解を賜わりたいと思います。
  126. 横路節雄

    横路委員 いま大蔵の理事皆さんがお集まりになられて御相談されたことですから、私はいまの問題についてこれ以上お尋ねしようとは思いませんが、しかし、やはり再建案が出されている以上は実質赤字が明らかになっている。私はなぜこのことを聞いているかというと、日銀が特別融資をするかもしれない、こういうことを大蔵大臣がお話をされているから、そういう意味で私は聞いているわけなんです。さらに私が聞いているのは、なぜ私がそういうことを言っているかというと、三十九年九月には、損益決算書では三十四億と出ているが、公認会計士の決算書では貸し倒れ引き当て金、つまり貸し付け金百三十三億八千万円は、これはなかなか回収は困難だ、したがって、少なくとも最低三十五億は見ておかなければならない。そこで、七十億は当然その段階において、いわゆる赤字ではないか、そうすれば、今日の段階でだれが考えても百億程度は、大ざっぱに見ても出ている。しかし 世間ではこれが百五十億だ、こういうふうに言っているから、違うなら違うとこう言っていただいたほうが、かえって私ははっきりするのではないか、こう思って私はお尋ねしたのですけれども、しかし、これ以上お答えができないということでございますから、また別な機会にお尋ねをいたしたいと思います。  次に私は再建案についてお尋ねをするのですが、再建案一つ、これは証券局長にお尋ねしますが、十億、十一億円の手数料収入を見込むというようにあなたは有馬君に言っていますね。それは一体どういうように見ているわけですか。たとえば東証の一日の平均出来高を何千万株と見て、そのうち山一は一体何%、どれだけと見て、一株の手数料はどうと見ているのか、そういうことをここでお話しなさらなければ、十一億だ、十一億だと言っても、それはあまり話が大ざっぱ過ぎまして、ここの話にはならない、その点はっきりしてください。
  127. 松井直行

    松井政府委員 東証一日出来高平均千万株と見込んでおります。それからシェアは先ほど申し上げました一四ないし一六という、日によって幅がございますが、大体一五%くらいのシェアを持っておるというのが計算の根拠になっております。(横路委員手数料は」と呼ぶ)先ほど内訳を申し上げましたように、引き受け手数料あり、販売手数料あり、それから株式のブローカーレージもございますので、総計で私は申し上げた次第でございますが、株式はこれは値段の高い低いによっても変わってまいりますが、昨年の前者の一株当たりの数量の水揚げは、一株は一円三十三銭だったと記憶いたしております。
  128. 横路節雄

    横路委員 いまの東証の一日の平均出来高を八千万株と見ているというのだが、これは日高社長は一億株と見たのではなかったのですか、八千万株でございますね、これは間違いございませんね。これはずいぶん違いますよ。一億株の一四%ないし一六%を占める割合と、八千万株の一四%ないし一六%を占める割合というのでは大した違いです。その点は八千万株ですね。
  129. 松井直行

    松井政府委員 いま私がお答えしたとおりでございます。
  130. 横路節雄

    横路委員 ところが局長、きのう二十五日の出来高は四千五百万株ですね。これは一体八千万株でいけますかね。きのうは四千五百万株ですよ。それはどうでしょうか、だいじょぶですか。
  131. 松井直行

    松井政府委員 先ほども申し上げましたが、企業者といたしまして経営合理化のそうした諸係数の諸元をどこに置くか、非常にむずかしい問題でございますが、一日、二日の短期基準にするわけにはいかないということは、これはよく御理解願えると思います。三十九年度中は、一日平均出来高は大体九千五百万株ございましたが、これも非常に沈滞した時期でございます。ことしの一月が一億六千万株、二月が九千万株、それから三月、四月が、いまおっしゃったように非常に低いのでございまして、三月中が七千四百万株、四月中が七千五百万株、こういう経過に相なっておりますので、八千万株ぐらい見込むことは決して過大だとはわれわれ考えておりません。
  132. 横路節雄

    横路委員 私、有価証券の写しをいただいたわけですが、山一報告書の短期借り入れ金の五百八十八億の内訳がずっと出ているわけですね。富士銀行三菱第一、住友、東海、三和、日本勧業、埼玉、三井、北海道拓殖、神戸、宮崎、常陽、大和、協和、七十七、横浜、群馬、東京、安田信託、三井信託、その他一億円未満、この銀行全部金利たな上げ承認したのですね。さっきの有馬君との間にもだいぶきょうの新聞に十三銀行不満だとかどうだとかやっているということがありましたが、私もここに持ってきております。長期借り入れについても、これは全部同意したのですね。同意していないところがあるのではないですか。こういうふうにいま私ずっと早口で読みましたが、間違いございませんね。全部同意したのですね。あとでまた、新聞に出て同意していないのに同意したなんて言って問題になると困る。同意してないなら同意してない、同意しているなら同意している……。
  133. 松井直行

    松井政府委員 有価証券報告書の抜粋でごらんになりました銀行名の中には、地方銀行が一括して入っておるかと思いますが、今回のたな上げの交渉の対象になりましたのは、都市銀行長期信用銀行信託銀行であるということは申し上げたとおりでございます。承諾のことについては、先ほどお答えしたとおりであります。
  134. 横路節雄

    横路委員 もう一ぺんはっきりしてください。それは全部承諾したのですね。
  135. 松井直行

    松井政府委員 承諾いたしておるものとわれわれは認識いたしております。
  136. 横路節雄

    横路委員 いまの答弁は、承諾いたしているものと考えますなんて、どうも怪しいですね。銀行局長いらっしゃいますか。——銀行局長、これ全部承諾されたのですか。いま承諾されたものと思われるなんて、まるでそれではどうしようもない。
  137. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 大体そういう答弁でニュアンスは出ておると思いますが、こまかい事情を申し上げますれば、メインであるところは、従来重役も出しているわけであります。つまり山一証券に重役を出して経営の責任をとってきたのだが、それに対してメインにあらざるところは経営そのものにタッチしていない。従来からいろいろとメインであるところとないところでは、そういう会社の救済等のために金利を減免するときに差があるのが普通であるとか、こういうしきたりがございます。そこでメインでないところの一部に確かに不満があると私は思いますが、これは今後その点については、メインであるといなとにかかわらず、都市銀行及び長期信用銀行三行は全く同列に金利のたな上げを全部のまされるということ、このことについてのアンバランス論があるわけであります。しかしこの山一証券の対策は、ほかにも今後手が打たれなければならぬわけです。その場合には、メインの負担——負担といいますか、メインにあらざるところとメインとははっきりした差が出てくるのである、こういう事情が実は十分に了解されていないところに問題がある。それらの点を私どものほうからも、実はこれからはメインとメインでないところにたいへんな差がついてくるのだ。だから山一については、特に全部同じように金利をたな上げして、一億五千万という金利を浮かさないことには再建が困難であるから、そういう点を十分理解していただくようにということを重ねて申しておりますが、実はとりきめをいたします場合に非常に唐突であったということで、新聞に結果においては早く漏れてしまったわけでございますが、そういうことがございまして、いろいろな手順を順序よくやるひまがなかった。そこでそういう点に不満はございますが、私どもの見通しでは、どうやらまがりなりにも御了解が得られるものと実は考えております。
  138. 横路節雄

    横路委員 それではまだはっきり承諾してないわけですね。だから、これからの努力で了解は得られるものと思う、こういうことですね。それならそれではっきりしてくださいよ。
  139. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 完全に了解という返事を確実にいただいたという段階ではございませんが、いまお述べのように、これから了解を得られるものと私ども考えております。
  140. 横路節雄

    横路委員 そういうふうにはっきり言わないとだめですよ。  その次に、私はやはり大蔵省の監督の責任といいますか、大蔵大臣、あなたは大蔵大臣から他の重要な、さらに責任のある地位においでになるそうで、最後の段階になってこういうことであれですが、昭和三十八年の七月五日に理財局長吉岡英一の名前で「証券業者の財務管理等について」というのが出ておりまして、この三枚目の「記」というところの三番目に「運用預りに係る有価証券について」とあって、「運用預りに係る有価証券は、一般投資者よりの借入れであり、かつ、証券業者の負債増加の要因ともなっていることにかんがみ、その規模は、おおむね純財産額の倍額程度以内とし、これが純財産額の3倍を超えて増大するような場合には、積極的に縮少の措置を講ずること。」これはいただいた資料ですから、何も差しつかえないわけですね。去年の九月決算における山一証券の純財産額というのは七十億です。そのときの九月末の運用預かりは四百七十七億ですから、六・五倍です。そうすると、これは一体どういうことなんでしょう。通達を出して、運用預りに係る有価証券は、一般投資者よりの借入れであり、かつ、証券業者の負債増加の要因ともなっていることにかんがみ、その規模は、おおむね純財産額の倍額程度以内とし、これが純財産額の三倍を超えて増大するような場合には、積極的に縮少の措置を講ずるんだ。こういって、六・五倍ですよ。ことしの一月にはさらにふえているのです。ことしの一月には何ぼになっているか。約五百億程度にふえているのじゃありませんか。さらにふえている。一月のは、大蔵大臣、ここに資料があります。これは別にそっちからもらった資料じゃないけれども、ここには四百九十九億とふえている。三月は五百億を出ているのではないでしょうか。そうすると、一体大蔵省は指導している指導していると言いながら、何をしているのです。これは一体何をしているのですか、こういう通達を出して。しかも今度はああいう措置をしたのは、取りつけ騒ぎが起きるかもしれない。運用預かり五百億のものが一ぺんに殺到したら困る。そこで再建案を先に出して、その大衆の不安を除去したい。それならばなぜこういうことをやっているのです。大蔵大臣、これにはさすが一言半句ないでしょうね。どういうのです、これは。
  141. 田中角榮

    田中国務大臣 少しあります。あなたは過去のものを現在の時点においてこれを論断しておられるからそういう御議論になる。これは同じ問題を大蔵委員会でずっといろいろな角度から御研究になっておりますから、これは時点が違うということで、ちょっと私から申し上げます。  これは証券業者に対して大蔵省は行政指導をする。これは証券取引法に基づいてやるべきであります。やらなければならない。しかし当時の証券取引法に基づいてこういう通達が出せるかというと、少し手きびしいということは、法律の精神からいっても、これは確かにございます。今度は改正していただきましたから、当然手きびしく法律の命ずるところをやるわけでありますが、当時は七月の五日、こういうものを目標として証券業者が姿勢を正さなければならない、少し手きびしいものでもつくって出しなさい、こういうことでこの通達を起案し、出さしたわけであります。出さしましたが、この理想案を直ちにこのとおり短兵急に事を進めると、証券界の混乱を来たすということで、当時これを出しましたときに、私は談話発表しております。本件に対しては弾力的に行なう、こういう談話発表しております。ですから当時でありますれば、この表と裏との問題が十分に評価できるわけであります。ところがこれを出した。出した直後に日本の証券界に相当な混乱事故が起きた。これはなぜか、七月十九日にケネディ・ショックというのが起きたわけであります。御承知金利平衡税の問題であります。これでこういう状態にあるときに、この通達をそのまま短兵急に進めれば、日本の証券界が混乱をするいうことは、これは言うまでもない、だれでも考えられることであります。でありますので、この通達は出しましたけれども、こういうものに対しては弾力的に運用するということを、先ほど申し上げたように、言っておるわけであります。まあ少なくとも倍額というのが六倍、七倍というようなものに対しては、もうそれは弁解の限りでない、こうおっしゃると思いますが、そういう事情があったということを十分御理解賜わりたい。またそれからもう少したって、少し今度やろうか、こう思ったら十一月にケネディ暗殺という第二の問題が起こったわけであります。そういう事情がずっとあったのでありますから、この七月の五日から年末の間には、日本の証券界に対する外部的な混乱要因というものがあって、この通達そのものを手きびしく期日を切って実行するというような状態になかったということをひとつ御理解賜わりたい。
  142. 横路節雄

    横路委員 私は大蔵大臣に言われたように、おまえは大蔵委員でないのだから、前々から大蔵委員会で何へんも取り上げているから、おまえはきょう出てきてこんなものを取り上げて何だ、と言わんばかりですが……。(田中国務大臣「そんなことはない」と呼ぶ)いや、いまのあなたのお話を聞いていればね。  しかし二倍をこえて三倍以内というのでしょう。それが三・五倍とか四倍なら話はわかりますよ。それが六・五倍になって九月が四百七十七億、それがさらに四百九十九億になり、五百億になろうとしているではありませんか。だから私は指摘をしているのです。  今度は証券局長に聞きたいのですが、理財局の証券年報の三十八年度版に、運用預かりについてこういうことを書いてあるのです。大衆からの無担保借り入れで、最終支払いの保障は証券業者の資力と信用以外にない、こういうふうに書いてある。これはそのとおりですね。あなたからひとつ重ねて御答弁いただきたい。
  143. 松井直行

    松井政府委員 そこに書いてある文句がそうであったかどうか、私は現品がないので確認いたしかねますが、趣旨はおっしゃるとおりです。
  144. 横路節雄

    横路委員 ですから私たちは心配をして、この運用預かりについてはここで何べんも聞いているのかもしれませんが、将来は廃止するのでしょう。これだけはひとつきちっと答えてください。
  145. 田中角榮

    田中国務大臣 当委員会でも間々御答弁を申し上げているとおり、だんだんとこれを縮小していく、整理をしていく……。
  146. 横路節雄

    横路委員 整理をしていく、整理をして最後はなくなるのですね。どうなんですか。そこですよ、大事なことは。整理をしていったら最後はどうなる。
  147. 田中角榮

    田中国務大臣 できるだけ早い機会になくするという考え方を理想といたしております。しかしこれにつきましては現実的には証券金融の正常な金融というものの道がつかなければならないという問題もございますので、こういう諸般の事情、状況を十分勘案しながら整理をしてまいるという基本的な姿勢をとっておるわけであります。
  148. 横路節雄

    横路委員 整理するというのはなくするという基本的な考えだ、こういうわけです。  これも証券局のほうからいただいた資料ですから、株式投資の残存元本は四十年四月末現在で総額一兆一千百九十億六千二百万円、山一は二千百十五億五百万円、そのうち四十年の七月、八月、九月の償還ユニットの残存元本は、四十年四月現在で、全部で、七月分が六十九億二千八百万円、八月が九十七億九百万円、九月が百二十一億三千六百万円、山一証券の場合七月が十七億九千五百万円、八月が二十億四千百万円、九月が二十四億五千三百万円、ところがこういうことが出たせいですか、どうですか、きのうの日本経済を見ますと、投信の基準価格二十二日現在というのが載っていまして、そして山一は七月にちょうど五年満期にくるのが、五千円の元本のやつが三千九百三十九円と載っているわけです。ところが私たちいろいろ聞くところによりますと、セールスマンはそれを集めるときに、支店長名義で念書を入れまして、この念書には、必ず元本は保証します、こういうことが書かれている。そこでこの念書の場合、実際にはいま七月満期のやつが三千九百三十九円、それがどの程度回復するか知りませんが、さしたる回復はしないかもしれない。それが念書を入れている。念書を入れていれば、個人の契約ですね、これは支払わなければならぬ。元本保証の念書を入れていれば払わなければならぬ責任があるのでしょうね。証券局長どうですか。
  149. 松井直行

    松井政府委員 仮定の問題としてお話しいたしますが、われわれ山一証券につきまして過去の検査におきまして、山一証券で元本保証をした例というのはつかまえておりませんが、ほかの証券業者については過去はございました。いまは大いに減っていますが、過去におきましては念書を入れたものにつきましては会社の責任として弁済すべきもの、債務として見るのが普通のわれわれの扱いでございます。
  150. 横路節雄

    横路委員 たいへん恐縮ですがもう一ぺん。債務として見る。そうすると念書を入れてあるものは債務として見るのですね。その点はっきりしてください。もう一度言ってください。
  151. 松井直行

    松井政府委員 元本を割ったという例がないものですから、いま念書を入れましても支払ったものはありませんが、会社の名前で契約したものであるか、その外務員が個人の行為としてやったものか、そこが個々のケースについて非常にむずかしい判定の問題になってまいろうと思いますが、会社が保証したものであるとすれば会社が未払い債務として履行の義務を負うのが当然だろうと思います。
  152. 横路節雄

    横路委員 そこで大蔵大臣に最後にお尋ねして終わりたいと思うのですが、それは先ほど武藤君からお話がございましたように、山一証券山一証券ということになっていますが、大井証券もしかりです。同様な問題が起きればやはりこれは同様な措置をなさるわけですか、金利たな上げその他ということは。それは今度はひとつ山一証券に限っておやりになったのか。私どもはいま武藤君が指摘をしたようにこの点は相当出てくる可能性があるのではないか。そういう場合には同様な措置をなさるのかどうか、その点を一つお尋ねしておきたい。  それからもう一つは、先ほど大臣からは日銀の特別融資をなさるというお話だったが、これはちょっと私どもは  これは別な機会に私はお尋ねいたしますが、こういう一私企業に対して日銀が特別融資をする、それはいろいろなルートを通ってするでしょうが、そういうことについてはいかがかと私は思うのです。その点をひとつお話をしておきたいと思いますし、それからもう一つは、山一証券の前の社長に五千万円の退職金を出していますね。一体これは経営者のあり方としてどうなんです。これだけ世間で百五十億、二百億ともいう、ここで指摘しただけでも百億だ、こういう赤字を出しておいて、ぬけぬけと五千万の退職金を取るなんということは、これは経営者のあり方として一体どうなんです。こういう経営者のあり方という問題について、大蔵大臣のあなたの考えをひとつお尋ねしておきます。
  153. 田中角榮

    田中国務大臣 他の証券会社でこのようなものが起きたらどうするかということでございますが、これはもう山一と同じことに、企業努力を前提にして各金融機関協力を求めてまいるということは間違いのないことでございます。これはもう山一だけをやるという考えではございません。  それから日銀の特別融資ということでございますが、これはやると言っておるわけではないわけであります。先ほど武藤さんから、そういう場合はということでありますから、そういう場合も考えられます、こう明確に申し上げておるのでございます。またこれををやった場合どうかという問題、これはやるといま言っておるわけではございませんから、やった場合どうかという問題に言及することはどうかと思いますが、もし日銀が特別融資というものを日証金を通じたりいろいろな金融機関を通じてやるということは、これは日銀独自の見解でやることでございますが、私は必ずしもこれは不当なものであるという考え方は持っておりません。必ずしも不当であるということよりも、現在の証券業者というものが資本市場のにない手であり、その持つ公的な使命ということを考えても、そういうような措置がもし行なわれるとしても適法なものであるという考え方を持っております。しかしこれはやられてからの話でございますから、もしそういうことが起こったらまた御質問にお答えしてもけっこうだと思います。  ただ、具体的な問題として、最後に山一証券の旧経営者の退職金の問題でございますが、いままで事務当局を通じて知り得たことを申し上げますと、旧経営者としても責任を痛感をしており、でき得る限りで何らかの責任を果たしたいと考えておるもようでございます。大蔵省としましては、関係者の自主的な形による善処を期待するという気持ちでございます。
  154. 横路節雄

    横路委員 一つだけ。大蔵大臣、資本金が八十億、七十九億幾らですね。赤字が、もう百億、百五十億、二百億といろいろいわれている。しかし現に、これは資本金を減資する以外にはないのじゃないですか。この点はどうですか、常識論としては、再建の方策はそれしかないのじゃないですか。まず減資をしてそれから増資をしていく、こういうやり方、この点だけ一つ聞いておきます。
  155. 田中角榮

    田中国務大臣 いままで知り得たところでは、減資はしないということを企業者というよりも、関係金融機関、その必要はない、そういうことをしなくても再建は十分できるという考え方を前提にして、再建策をとっておるというふうに私は聞いております。減資をするか、しないか、これは私たちが言う問題ではございません。政府が金を出すというなら減資をしなさい、こういうことであれば別でございますが、いま私どもが言及すべき問題ではない、こう考えております。
  156. 横路節雄

    横路委員 終わります。
  157. 吉田重延

    吉田委員長 春日一幸君。
  158. 春日一幸

    ○春日委員 私は、大蔵大臣に一言冒頭に申し上げて、注意を喚起したいと思うのでありますが、たとえば今度の証券業界の健全なる運営をはかることのために、現在の証券業者の登録制を免許制に移行するなんという問題は、これはもう私が英断をもって踏み切ったんだ。しかし考えてみれば、これがもっと三、四年も前になされておったらば、こういうような破局を回避することもできたかもしれないというような意味のことを述べられておったと思うのでございます。私は申し上げたいのでありまするが、なるほど大臣はしばしばそういう卓見を述べられることがあるのです。たとえば歩積み、両建て廃止の問題についても、あなたが政調会長時代に、私は忘れもしませんが、新潟談話でこれが述べられた。幾ら金利政策を論じたところで、銀行があのような歩積み、両建てをやっている限りこれはだめだ、これをなくしろというような見解を述べられた。それから中小企業金融政策が論じられたときには、幾ら中小企業の財政投融資をふやしたってどうしたところで、結局は市中銀行の貸し出しシェアが大企業に偏向しておる限り、これはちっとやそっとのものをふやしても実際の効果はないのだ、こういうようなことも述べられておる。  そこで、そういうようなことを述べられておりまする事柄は、全くくしくもわれわれ野党が本委員会において強調してやまないところなんですね。たとえば証券業界の健全なる運営をはかることのために、本委員会で十年来いかに論じられておるか。これは当然証券局をつくるとか、平岡君のごときは証券庁をつくるとか、いろいろ強く提唱してきた。職能分離の問題、売買仕法の改善の問題など、もう詳細に十年間これは論じてきておるのです。そのような論議にこたえて証券局が設置されたり、今回便宜的な処理とはいわれておるけれども、登録制から免許制に移行しようというような部分的な改革がなされておる。けれども、実際は、たとえば銀行法の問題といい、歩積み、両建ても、高橋土木局長が若干の通達を出してくれたけれども、実際の効果は上がっていないのです。証券業界においては、職能分離の問題だって、実際問題として売買仕法の改善、改革の問題だって、これをやらなければこういうような問題は、たとえば本日、山一証券にあらわれたようなこういう大きな問題が将来起きないとは断じがたい。だから早期診断、早期治療ということもあるし、制度として、政策理論としてわれわれが検討してここで述べたことは、少なくともこれは天の声として公正に判断をされて、いいものがあったら勇気を持って取り入れてもらうのでなければ、国会における政策論議というものは意義がなくなると私は思うのです。私はそういうような意味合いで、あなたは今度は大蔵大臣よさようなら、幹事長よ今日は、というようなことらしいのだが、単なる一つの着想とか卓見を述べるにとどまらず、政治家的良心と責任感を持って、これはやったほうがいいと思うことは勇断をもって何とかこれを実行に移すという——証券業界において論じられております問題点は、単なる登録から免許ばかりではない。これはもうわれわれが強く論じて、投信分離の問題もああいうふうに一応なされたけれども不完全分離であり、時間をかけて完全分離の方向へ向かっておるけれども、そういうような長い時間をかけた過程の中においてすなわちタイミングを失しておったきらいなしとしないか、大いに反省を要する問題が累積しておると思うのです。だからわれわれはここに、金融市場とともに証券市場がわが国産業経済をささえる二つの柱であるとするならば、いまこのような四大証券の中の一大証券が七千名の人材をもってしてこのような破綻に至らざるを得なかったというその問題の根源を突いて、この際私は勇気を持って証券行政、証券企業のあり方、こういうものの一切の問題点を早期に解決する、そしてわが国の経済の正常化をはかっていくという、これはひとつぜひともやってもらいたい。五年前にやっておったらこんなことは避け得られたかもしれないという大臣の言明に私は大いに期待をかけて、すみやかに一もう問題点はほんとにつくだ煮になるくらい本委員会で論じ尽くされておるのですから、どうかひとつ野党の言といえども取り入れる価値のある問題は私は率直に取り入れてもらいたいと思う。  そこで質問に入るわけでありますが、企業会計の問題については、現在大蔵省の企業会計審議会というものが先般財務諸表準則を公表いたしております。かくかくあるべし、すなわち真実性の原則なんというものが打ち出されて、これを監督するのは大蔵省の責任だと思うのです。したがって、企業の決算というものは大体四通りか五通りあると思う。一つは株主総会用、一つは証取法に基づく大蔵省用、それから三つには融資を受けるための銀行用、四つには税務署用、あるいはその他ということになれば官庁に提出を求められる場合のもの、この五つぐらいあると思うが、少なくとも四つは証券業者にはあると思う。ところがこの株主総会用というのも、これは大体において理財局の所管と見るべきであろうし、証券法に基づくものはこれは当然証券局、それから融資を求めるための銀行用というものも、これも銀行局の何らかの監督指導のもとにあっていいと思う。税務署用は当然これは国税庁を通じて大蔵省の所管である。それでこの決算書というものが実際は四通り出されておるのではないか。もしこれが四つとも真実のものを真実に基づいて出されておるならば今度のような問題は出てこないのではないか。ただいま横路君が指摘されましたように、昨年九月の営業報告では三十四億五千万円の赤、それから有価証券報告書によると五十四億七千七百万円の赤ですね。これに対して公認会計士は、貸し倒れ引き当て金の引き当て不足がさらに三十五億あるなど指摘をされておるわけでございますね。だから私はこの四つの決算書というものがまちまちに出されておるのではないかと思う。すなわち粉飾的性向を持った決算書がそれぞれの当事者に出されておるのではないか。本日ここにこのような問題を生じたのを契機として、当然大蔵省はこれが対策を立てる上においても、各種の決算書がいかに提出されておるであろうか、これを検討されたことと思うが、検討された結果はどういう形に相なっておりまするか、粉飾の事実はなかったかどうか。財務諸表に例示されておりますところの諸原則に基づいて、はたしてその真実性はこの決算書の中に表現されておるのであるかどうか、この点をひとつ明らかにいたされたいと思います。
  159. 田中角榮

    田中国務大臣 証券会社につきましては、証券会社を育成強化するという基本的な考え方をもちまして、免許制に切りかえていくとか、また証券金融の対策を考えるとかいろいろな問題がございますので、そういうことに専念をいたしてまいりたいと思います。  それから企業会計の問題につきましては、商法の規定、それから証取法の不実記載をした場合の罰則等の問題大蔵大臣の検査権の問題、公認会計士法の規定による公認会計士の責任の問題、こういうものを全部考えてきますと、私は鉄道会計法がありますように、国にも会計法がありますように、ここまでくるとやはり企業会計法というものが必要なのかなということを考えております。私も二年も三年も前に企業会計法の必要を説いたこともありますが、どうもいままでの常識からいいますとそういうものをつくるべきではないという考え方だけで今日まできたがためにこうなってしまったわけでございます。ですから企業会計法を必ずしもつくらなくても公認会計士法で大蔵大臣の検査権をもってびしびしやればいいじゃないか、こういってもなかなか問題もありますし、証取法の罰則よりも商法の罰法のほうが本法でありますから非常にきついわけであります。でありますから大蔵省が今度のようなケースで、いろいろな問題をもし大蔵大臣として告発手続をとるといっても起訴した場合にはただ二つの法律違反が並ぶだけであって、結局重い商法の罰則が適用される、こういうことになって、いろいろな問題もございます。その法律を整備して罰則を強化するだけでもってかかるものができるわけではありません。これはもう国民全体のモラルの問題でもございますから、こういう問題をひとつ真剣に取り組んで、少なくとも企業会計というものに対しては、国民がこういう大蔵省の窓口を通ってきたようなものが無責任なものであった、ただ刑事責任を追及すればそれでいいのだということでは解決しない問題でありますから、その問題に対してはひとつ私も真剣に積極的に、しかもこれは二年、三年、五年というような考えではなく、悪ければまただんだんと直していくという姿勢でもいいと思いますから、短い間に政府が責任を持てるような、また責任を持って行政指導もしてまいるように、こういうような方向を確立をして諸般の施策を進めてまいりたい、こう考えます。
  160. 春日一幸

    ○春日委員 一般論とこの山一の問題とをごっちゃにして御答弁を願ったわけでありますが、たとえば山陽特殊製鋼の場合なんかも粉飾決算が明らかであった。税務署には大きな欠損、赤字を出しておいて、そうして株主総会には利益の決算書を出して不当な配当が行なわれておった。こういうような問題等がいま他の委員会において深く論じられておることにかんがみまして、いま山一証券の破綻の問題が大きな社会問題になりつつある、本委員会においても論ずる政治問題になっておるという時点においては、少なくともこの山一において四つの決算書が、はたして真実を表明するに足るような決算書がつくられておったのであるか、あるいは山陽特殊鋼に見るがごときそれぞれの粉飾決算が行なわれておったのであるか、この点は大蔵省においてもやはり調査をしておく必要があると思うが調査されたととがあるのであるか、いまだそのことはなされていないのであるか、ありのままのことを御答弁を願っておきたいと思います。
  161. 田中角榮

    田中国務大臣 例としては山陽特殊鋼など現在やっております。前に高野精密もやったそうであります。一般的な問題としてやりました。いまの山一の問題は、もうやっているというよりも、やったからわかったわけでありますから、どうぞひとつ……。
  162. 春日一幸

    ○春日委員 やった結果を一ぺんここで差しつかえなければあきらかにしてもらいたい。粉飾決算という事実があったのか、一体この四つの決算書の中でどれが真実のものであったか、どのようにあなたのほうは認証されておるか、お差しつかえなくばここにお示しを願いたい。関係者のいろいろと疑心暗鬼もそこにあります。やった結果がつまびらかにできたら、この辺で御報告を願っておきたい。
  163. 松井直行

    松井政府委員 先ほどここで問題になりましたとおり、検査の結果によって一体真実の数字がどうなるのかということは、残念ながらここでは御遠慮さしていただく以外に方法はないと思いますが、公表決算とそれから有価証券報告書の違いをおっしゃいましたが、実は当期損益とそれから当期の建物の売却とか価格変動準備金の戻入額その他で調整いたしますと、やはり同じように有価証券報告書で三十四億の当期未処分利益剰余金の赤ということに相なっておりまして、公表決算と有価証券報告書が全然違っておるということはいえないと思います。これは合っております。  それから公認会計士の監査でございますが、いま御指摘ありました三十五億になんなんとする不良資産に対するものにつきましては、完全にこれは不良資産だから損金に落とせといっているものでもないのでございまして、貸し倒れ準備金として引き当てるのを適当とするといっております。これは確かにこの企業が他の企業へ貸しております債権につきまして疑問を抱き、それを評価したものと考えておるわけでございますが、これは完全な架空売り上げとか、架空資産の計上というものでもないわけでございまして、もっぱら貸し付け金の評価に関する問題でありますので、公認会計士の指摘が一体それで適当かどうか突きとめろということにつきましては、大蔵省自身が評価したことをそのまま公認会計士に押しつけるという性質のものでもないとわれわれ考えております。ただ、公表決算の中に、そうした債権額のところで評価上問題があるという公認会計士の指摘もあわせて、公表決算書及び有価証券報告書にそれを添付いたしまして、一般公衆に公開するということをとっておるのが現状でございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  164. 春日一幸

    ○春日委員 明確ではございませんので、後ほど理事会に御提出を願ってもけっこうでありまするから、結局公表決算書、それから証取法に基づく証券局に対する報告書ですね、その決算、それから銀行に出しておりまするそれぞれの決算書、それから国税庁に出しておりまする決算書、この四つがみんなそれぞれ、項目一つのものでございましょうから、したがってその評価がまちまちになっておったり、そのいろいろな粉飾があるかないか、そういうものを一ぺんよく調査を願って、一殺他生の剣ということがあるのですよ、だから今回証券会社について、特にこういう大きな社会問題を起こしつつある当事者に対して、問題を明らかにする、よって来たる根源を摘出しておくということのために、一ぺんこの四つの決算書をそれぞれ照合願って、そうしてこれに対する証券局長としての意見書を理事会あたりに御提出願っておきたいと思います。これは要求いたしておきます。
  165. 松井直行

    松井政府委員 公表決算と税務申告との間におきましていかなる税務調整が行なわれたか、これはもう春日委員も御専門でございますので、税法上の規定に従いまして普通の商事決算と違う処理をやるということでもって、これは一体税法の調整で説明がつくかどうかということにつきましては、これは説明がつく問題だろうと思いますが、真実がどうであったかどうかということにつきましては、これも実は検査の結果を公表するということにも相なりますし、いま申し上げましたとおり、公認会計士の指摘自体が実は評価に関する問題でございます。先ほど大臣からおっしゃいましたが、証取法に基づく有価証券報告書の虚偽記載につきまして刑事責任を追及する場合でも完全な詐欺その他の不正の行為に基づく虚偽の有価証券報告書であれば、これは犯罪の基礎にもなるかと思いますが、それがもっぱら評価勘定に属するというような場合におきましては、そこまで責任を追及することが適当であるかどうか、非常に疑問といたすというような性質のものでございますので、評価勘定に関するものであるということと、それから検査結果を結果としてここに全部公開しなければならなくなるということでございますので、まことに残念ながら差し控えざるを得ない状況にあるということを御了承願いたいと思います。
  166. 春日一幸

    ○春日委員 少なくとも法律に違反をしたことは、これは報告してもらわなければいけないし、違反をする疑いがあるとあなたのほうが考えた疑義内容については、これはやっぱり国政調査を本委員会はかくのごとくいたしておるのでありますから、われわれが今後の対策を立てる上において必要なる要因となってまいるでありましょう、資料ともなるのでございますから、私どもはいたずらにこういう傷ついてやがて立ち上がろうと苦心をしておるものをさらに痛めつけようとする考え方はない。けれども、こういう大きな迷惑を大衆に与えようとしておる。そうして信用不安のもとをつくり出そうとしておる、その責任というものは厳粛に追及されなければならぬ。だから法律偉反の事項があらば、これは告発するとされないとにかかわらず本委員会に御提出を願わなければならぬ問題であろうと思うし、そのような疑いのある問題についても、これはこういうようなやり方がなされておったのだということを、真相を本委員会が把握する必要があると思うので、その点は十分御考慮あって御善処願いたいと思います。  大臣に御質問をいたしまするが、私はこの証券会社の救済措置の妥当性について、私は基本的な意見を述べながら大臣の見解を伺いたいと思うのでありまするが、とにかく昨年以来日本共同証券による例の千九百億円の買い出動、それから日本証券保有組合による千七百億円のたな上げ、合して三千六百億円の証券の吸い上げがなされた。それから第三には本年二月以降増資ストップの猶予措置、これも全く非常な措置だと思うのです。資本主義経済においては産業資金というものを増資によって長期に調達することが、これは当然の事柄であって、金融に依存するということ自体が全く異常なことといわなければならぬ。それを増資はいかぬという異例措置もとった。それで実際問題としてわれわれ委員会は証券対策というものはもうこれで終わったものと理解をしておった、これ以上やってはいけないものである、またやる必要はないものであると理解をしておったのだが、今度の山一証券の問題が起きたことによって、今度は一言で言うならば銀行のてこ入れによって個々の証券会社を救済しようという措置が新しくとられようといたしておる。それで私はこういうことが妥当な措置であるかどうかということ、この本質論、これは現実の問題として信用不安が起きてくるというようなことでは、信用恐慌が起きてはいかぬ、こういう立場から政府がこれのてこ入れに出たものであるという、当面の措置としては私はやむを得ないもののように思うけれども、しかしわが国の金融制度というものから考えますると、こういうようなやり方を今後進めていってはたしてよいであろうかどうかという問題でございます、銀行法の本旨から照らして。そうして資本主義経済、自由経済の上に立って、日銀からこういう資金で事実上の共同証券、これもおかしいと思うけれども、非常の措置であった。それから保有会社、これも異例の措置であった。そして産業資金調達の増資、これもストップ。これも事実上おかしなことですね。こういうおかしなことばかりを積み重ねていく。銀行というものは、預金者の安全を確保することのためにも、また実際の金融秩序、こういうものを維持することのためにも、やはり別個の使命があると思う。そこで、一証券会社がつぶれる。そこで銀行が、事実上そのたな上げは困る、いやだというものを、大局的立場からまあまあというところで、政府の行政指導、よく言えばそうである。悪く言うならば政府の圧力である。そういうもので事実上たな上げせざるを得ない。あるいは回収を猶予せざるを得ない。彼らは相当の担保物件をとっておるであろうから、銀行側にしてみれば言い分があるであろうと思うのですよ。換価処分をして自分の債権保全の措置を講ずるとかなんとかということもあり得るであろうけれども、それはいま適当でないからよせ、金利たな上げしろ、元本の回収を長期に待て、これは行政指導である。けれども銀行にしてみれば、国家権力による圧力であるというような形になっておる。だから異様の、異例の特別のというようなことばかりを積み重ねていって、将来はたして自由経済、資本主義のもとにおいてこれが証券市場を完全に育成する、堅実に育成する結果を招来し得るかどうか、私は一まつの危惧なきを得ないわけです。大蔵大臣、この点について所見をお述べ願いたいと思うが、いかがでございますか。
  167. 田中角榮

    田中国務大臣 もとより自由経済の原則を確立しておるわけでありますから、私企業はあくまでも私企業の責任を原則とするということは当然でございまして、そうあるべきであります。しかしそうあるべきにもかかわらず現状がてこ入れを必要とするというような状態であることははなはだ遺憾でございますが、ノーマルな状態を築くための過渡的な現象に対処して必要な施策はちゅうちょなく行なわなければならない現実だと思っております。今度も政府が行政的圧力をかけてという御指摘でございますが、そうではなく、今度の山一の問題も、山一が三行に頼んで、三行が中心になってほかの銀行を口説いてまあまあということになった、こういうことが筋でございますから、これはひとつ御理解いただきたいと思います。  いずれにしても、私企業に対して銀行が協調融資をするということ、協調融資をするだけではなく、債権は十分確保しておるにもかかわらずその企業を生かしていくためにいろいろな制約をみずから受けるようになるというものが行き過ぎじゃないかということでございますが、これは証券企業が公的な使命を負っておりますし、これからの将来を考えるときに、金融及び証券というものは日本の経済政策の中の二本の柱でもあります。そういう意味で、社会的な場合としてもこれに対処しなければならないという状態でございます。日銀その他が特別の融資をした場合ということも考えられますが、こういう場合も、その時点における証券企業の社会的なその地位また公的な使命、こういうものを十分評価をしてその限度においていろいろな施策が行なわれる、こう考えておるのであります。これは重電機に対して、造船に対して、海運に対して、また肥料に対していろいろな施策がいままで行なわれてまいりました。そういうものとの比較も考えながら評価をしていただきたい。しかし原則的には、自由濶達な証券市場をつくっていくというためには企業責任という原則はくずすべきではな、こういいう考えでございます。
  168. 春日一幸

    ○春日委員 われわれは過去の経験に基づいていろいろと批判をしながら将来を律していかなければならぬと思うのでありまするが、造船融資の問題もあれは成功的でなかった。だから先年ずいぶん改革がなされたということでございますね。たとえば千二百円のダウ相場を維持することのためのあの共同証券、保有組合に対する三千六百億の非常措置というものも、はたしてこれが的確なる効果をおさめ得たかどうか、いまにして判断をしてみれば、私はやはり株価というものは上がり下がりの現象があってそこに大衆の投資的魅力というものを誘発してくると思うのでございます。郵便切手を買い占めるやつはないと同じように、千二百円のマル公になってしまったようなものはみんな買わないのだ。だから日銀バックの三千六百億限界で結局はてこ入れがとどまってくれば、次から次へとこういうふうに問題が起きてくるのではないか。もしそれ流動性が確保されて、下がるものは下がる、つぶれるものはつぶれる、そして売り買いの中でやはり投資魅力というものがそこにあれば、私は、早期に証券市場回復の糸口がその辺でつかみ得たのではないか、これはあわせて本委員会も加えてみんなが過去に講じてきた政策について反省をしてみなければならぬじゃないかと思うのです。なるほど肥料に対しても石炭政策に対してもやはり国家資金が導入されて、社会的な立場から政治的な立場からさまざまなてこ入れが加えられたことは認めます。またその面においてそれぞれの成功のおさめられた面もあるのであります。けれどもこういうふうにして、今度山一がこんな形になったから政府がてこ入れをしてこれこれの処置をした。この次に、今度は投資信託なんかで、不安になってはなりませんが、しかし解約が続出するとかなんとかいうような形になってくれば、これもてこ入れをしていかなければならないとか、いろいろの問題を誘発するような形になりはしないか。そうすると、証券取引の中では、安定操作なんかした場合でも、これはいけないと禁止されておる。なまじっか当面の出血をとどめることのために、へたに巻いた包帯やこう薬がはからざる病患を深くるす結果になるような場合もあると思う。だから私は、今回の場合は、これはここまでやってきたのだから、やりかけた以上は急速に効果を確保せなければなりませんけれども、今後の施策として、応急便宜な措置を原則を離れてやり過ぎることによってその本体をかたわにしていく、わが国経済をかたわにしていくということがありませんように、これは大いに戒心を要する事柄である。銀行だって、ここで融資をしろ、これは待てと言われれば、今後やはり国会や政府に向かっていろいろな無理なことを言ってくるだろうと思う。足らぬから日銀どんどん貸せとかいろいろな問題も言ってくると思う。そうすると何もかも政府が弁ずるような形になれば、自由経済は社会主義経済、国家経済になっていってしまって、非常にはからざるゆがみを生じてきては取り返しがつきません。だからかれこれ十分勘案されまして、この問題が一つのテストケースになるかもしれませんけれども、当然万全を期せられると同時に、すなわち便宜に甘えて本質をこわすことのないように十分の御留意あらんことを聴く要望いたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  169. 吉田重延

    吉田委員長 国有財産に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。武藤山治君。
  170. 武藤山治

    武藤委員 大臣も御承知のように、最近国有財産の払い下げをめぐって非常に多くの醜聞が聞かれております。特に本委員会ではかって名古屋の東洋プライウッドの払い下げをめぐる問題、あるいは決算委員会では国税庁長官に国有地を払い下げた問題や河川敷のゴルフ場に対する占有権に多額の補償をした問題、どうも国有財産の処理のしかた、利用のしかたなどについて、国民がたいへん疑惑を持っておる、そういう事態でありますから、私はこの際、いま問題になっている神奈川県の藤沢市のサイエンスランドという会社をめぐる国有地のあり方、これを少しきょうは明らかにいたしたいと思います。  証券局長銀行局長国有財産局長、それから法務省来ておりますね。ただいま申し上げた方々にこの国有地をめぐっての関連をひとつ明らかにいたしたいと存じます。  最初大蔵大臣にお尋ねしますが、サイエンスランドという会社が大蔵大臣に陳情書を提出したことがありますが、その陳情書の内容を記憶いたしておりますか。
  171. 田中角榮

    田中国務大臣 陳情書の問題は、突然の御質問でございますので、さだかに覚えておりませんが、何か陳情書をもらったという記憶はございます。
  172. 武藤山治

    武藤委員 サイエンスランドという会社の発起人を見ますと、元大蔵事務次官の長沼弘毅さん、あるいは八幡製鉄の副社長である藤井さん、西銀座デパート社長、さらにリコーの関係もやっておる市村清さん——この人が社長のようでありますが、日本の財界の有名人八十七名の連名でこの会社の設立運動が行なわれ、現実に設置がなされた、こういう会社でありますが、一体これだけの有名人が発起人になって大蔵大臣に陳情書を提出したという問題を、どういう陳情があったかも覚えていない、その程度しか陳情団はあなたに接触していなかったのですか。実際そうですか。
  173. 田中角榮

    田中国務大臣 私はいま申されたような方々に会ったことはないのです。そうではなく、私のところへ陳情書が来たのは一番初めであります。  これはあとから聞いたのでありますが、御喜家という新聞記者の上がりだと思いますが、こういう方が発起人になって、そうして相当膨大もないきれいな図面をつけて、そういうものを大蔵省に持ってきたということだけであります。長沼氏がなったということはよくわからなかったのですが、市村清氏がなったということはその後承知をいたしましたし、この問題は何回も決算委員会で御質問がございましたから、そのたびに国有財産局から話を聞いて答弁をしておりますが、いまになってみると、一番初めやった人は御喜家氏だと思います。それからが第二の段階で長沼氏になったのだなということがわかりました。長沼氏の次が市村氏、きっとこういうことでございまして、正式に大蔵大臣に対して陳情書を出したのは一番初めで、それ以外には陳情書は出ておらないのじゃないかと思います。
  174. 武藤山治

    武藤委員 そのときの陳情書の記憶では、国有地を貸してくれ、あるいは払い下げてくれ、そういうような陳情ですか。覚えておりませんか。
  175. 田中角榮

    田中国務大臣 軍の施設を払い下げてくれという話であったと思います。それで国有財産局長も同時だったと思いますが、これに対しては一応神奈川県にやることになっておりますから、これは神奈川県がどうするか、これは要りませんということで返還にならない限り、この問題はだれが持ってきても実現はしないという話がございました。それでもし神奈川県が返還をして要りませんというような議決をした場合は、あらためて審議会にかけなければならないんです、こういう話を私も聞きまして、そのとおりのことを述べたと思います。
  176. 武藤山治

    武藤委員 証券局長の管轄だと思いますが、会社を設立する際に、資本金の大きい会社は有価証券届け出書を提出しなければならぬという義務が法律上ございますね。その義務に基づいてサイエンスランドが証券局に出した書類によると、会社の規模、それから資本金の調達はすでに幾ら完了したか、その点はどうなっておりますか。
  177. 松井直行

    松井政府委員 あとで訂正の届け出書が出ておりますが、その経緯をずっと申し上げたいと思います。  三十九年三月十六日に最初の届け出書が提出に相なっておりまして、効力は三月十九日に発生いたしております。会社の資本金を五億円とし、一億三千万円は発起人で引き取る、三億七千万円は一般募集とする、それから株式の申し込み期間を三十九年三月二十五日から四月三日まで、払い込み期日は四月六日、創立総会を四月七日に行なうということに相なっております。
  178. 武藤山治

    武藤委員 すでに払い込み済みの資本金は今日現在幾らになりますか。
  179. 松井直行

    松井政府委員 当初五億の予定であることはいま申し上げましたが、現在資本金最終的には二億七千万円でございます。
  180. 武藤山治

    武藤委員 二億七千万円はすでに払い込み済みですか。
  181. 松井直行

    松井政府委員 全部払い込みが終わっております。
  182. 武藤山治

    武藤委員 証券法に基づく届け出の場合に、会社がどういう場所でどういう事業をやるか、そういう場所は全然架空のものでも、あるいは場所が指定なくともこの届け出は有効なのですか。
  183. 松井直行

    松井政府委員 証券取引法第五条に、どういう内容の届けを出す必要があるかということが規定がございまして、会社の商号とか資本とか出資に関する問題はむろんのこと、営業、経理、それから営業の場所その他事業内容につきまして重要なことは、あらかじめ、新たに出資をいたします投資大衆にこれを公開する目論見書の内容になる事項につきまして必ずこれを記載するということに相なっておりまして、いまおっしゃいました事業の内容から、それがどこの場所か、どういう方法で、手に入れられる見込みのあるものかどうかということは、事業内容の重大な要素であろうとわれわれ思います。それについての記載は必要とするところでございます。
  184. 武藤山治

    武藤委員 記載は必要とするところだとお答えがありましたが、今回のサイエンスランドの設立については、場所はどういうことになっておりますか。
  185. 松井直行

    松井政府委員 御存じのとおり効力発生までにはわれわれが受理いたしましてすぐというのではなしに、事前審査という段階を踏む都合上、あらかじめ草案を持ってまいるのが慣例でございます。  最初の持ってまいりました届け出書の正本では、事業の候補地として国有地の払い下げを受けるという旨の記載がございました。そこでわれわれといたしまして、国有財産処分につきましてはそれぞれ非常に厳格な手続があることも承知いたしておりますので、大蔵省内の関係部局に問い合わせました結果、最初の届け出書にあります国有地の払い下げを受けるという旨の記載は不適当とわれわれ考えまして、その後修正をさしたところでございます。最後の正本におきましては次のように修正されて記載に相なっております。「建設予定地については神奈川県当局の斡旋によりまして辻堂海岸を候補地として考慮しております。」こういうふうに相なっております。
  186. 武藤山治

    武藤委員 法務省にちょっとお尋ねいたしますが、会社設立の場合に、人の土地にかってにここへ建設する予定だということで、登記というものは完全に受け入れられるのですか。たとえばAという会社が、人の土地にかってに、ここでひとつこういう事業をやりたい、資本金はこれこれだ、事業目的はこうだ、そういう目論見書がつけられて、資本金さえ並べれば登記というのはどこでも認めるのですか。それはどうなんですか。
  187. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 登記の関係についてお尋ねでございますが、私刑事事件を担当いたしておりますので、的確なお答えができません。
  188. 武藤山治

    武藤委員 せっかく刑事局から来ておるのですが、このサイエンスランドという会社は、国有地をかってに自分が使えるものなり、借りられるものなり、もしくは払い下げできるものなりという仮定の上に設立をされた会社です。そういう、人の財産をかってに予定地だ、候補地だといって、公式の官庁の許可をとるようなやり方、こういうのは、一体法務省の刑事局関係のほうでは何ら規制をされる心配はないとお考えでしょうか、どうでしょう。
  189. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 事案の内容がこまかくわかりませんので、的確なお答えにはならないかと思いますが、会社の設立ということで株式を募集いたします場合に事柄を限定して考えてみますと、一応想定される犯罪としましては、刑法二百四十六条の詐欺罪それから商法の四百九十条の不実文書行使罪、それと先ほど御指摘のありました証券取引法第百条違反、この三つの罪名が一応考えられると思います。  第一の詐欺罪となりますためには、当該会社の事業内容としてうたいましたところが、その発起人等におきまして、実現不可能であるかあるいは実現の意思がないというようなことを承知の上でやりました場合には、そういう犯罪になるわけでございます。それから同じく実現の見込みあるいは能力が全くないのに、あるようなことを目論見書等に書きまして、一般大衆等に配りますと、これが商法の不実文書行使罪、それから同じようなことが証券取引法に基づく有価証券届け出書の虚偽記載の問題になってくると思います。抽象的に申し上げると、そんなことだと思います。
  190. 武藤山治

    武藤委員 証券局長、いまの法務省の見解で、不実文書記載という罪があるいはできなかった場合ですね、人の土地をかってに予定してできなかった場合、そうすると、証券取引法百条の規定でいくと、今回の場合、届け出をしてから何年以内に事実そこにその施設ができなかった場合には、これは結果からうそだったということになるのですが、どのくらいの期間、証券届け出後、証券局としては、事実であったかうそであったかということを確かめるのですか。
  191. 松井直行

    松井政府委員 むずかしい問題でありますが、われわれ目論見書の基礎になる資料として審査するために、届出書をとっておるわけでございますので、新たに外部から資金が全部集まってしまえば、それで終わることになりまして、もし不実記載その他で問題があるとすれば、資本を集められる前に、また集めている途中に何か手を打つ必要があるというふうに私は考えます。
  192. 武藤山治

    武藤委員 そうじゃなくて、証券局に届け出た書類は、最初は国有地を予定してつくるという最初の相談にはいった。しかしあなたのほうの注意で、国有地を当てにするのはけしからぬというので、辻堂海岸を候補地とするというばく然としたところに直してきたわけですね。辻堂海岸を候補地としてというばく然とした届け出に変えてきたわけだ、場所を、ところが、会社ができてもうすでに一年経過して、そこにできなかった。それは国有地で、かってにつくることができない場所だった。もうその近くに、その海岸にそういうあき地はない。もう六万坪なんというあき地はない。そうするとこれは結果的にはうそになったことになる。この予想がはずれたわけですね。目論見書が、届出書の記載が、事実に実現できなかった、そういう場合には、証券局として、最初出した届け出と事実と違うから、この会社はいかぬ。投資家に迷惑をかける心配もあるし、これは詐欺になる心配もあるから、もうこの届出書はいかぬぞといって、あとから取り消しなり無効なりあるいは注意なりをする手だてというものは、証券法にはあるのかないのか。
  193. 田中角榮

    田中国務大臣 こういうことになっております。私もいま見たのですが、届出書には、会社の沿革、事業の内容及び設備の状況とかずっとございまして、事業の内容というものが届出書に書いてあるわけであります。この中には、「本社は次の事業を営む」ということで、一から十までございます。「科学技術振興に寄与する産業の紹介並びに情操教育に資するための施設の設置と経営」とか云々、一ぱいございます。「視覚聴覚教育、体育及びレクリエーションに必要な設備器材の設置と経営」とずっとございまして、その一番最後に、その次の欄を設けまして、設備の状況というところに、こう書いてあるのです。「建設予定地については神奈川県当局の斡旋によりまして辻堂海岸を候補地として考慮しております。」現時点として考慮しております、こういうことが書いてあるだけでございます。
  194. 武藤山治

    武藤委員 だから現時点としてそういうことを考慮したのですが、それは去年の四月の話なんです。去年の四月にはもう会社ができちゃった。会社を設立してもう一年たったけれども、全然事業は開始されない。目論見書に書かれた、あるいは計画書に書かれたことは何一つ実現してない。会社が動き出していない。にもかかわらず、資本金は二億七千万集めちゃった。さらに一般募集をするというのでしょう。いつできるかわからない会社がこういうものを——証券取引法では何ら注意も与えられない。あなたのほうからの行政指導もできない。もしだまされた投資家はそのまま損をするという形になるのですか。そこは何かけじめがあるんじゃないでしょうか。何ですか、こういう状態でうっちゃらかしていても、これは違法にならぬのですか。
  195. 松井直行

    松井政府委員 いま大臣のお答えになりましたとおりの文言で、予定地としてどこどこを候補地として考慮いたしておりますということになっておりますので、刑事課長からお答えになりましたとおり、二百条、二百五条違反になるかどうか、厚生、保健の問題等非常にむずかしい問題だろうと思います。この届出書の効力のことを私は先ほど申し上げたつもりでございまして、実際資金を集めるまでのことでございまして、もしその途中で不実が発見されて効力の発効を停止するという手段が別にこれでございますが、これ以降詐欺その他不正の行為によりまして違反があれば、この証取法の二百条また二百五条に触れるかどうかの刑事訴追の立場からの判断の問題にかかってくる問題だと思いまして、私からお答えは非常にむずかしい問題であると思います。
  196. 武藤山治

    武藤委員 それから刑事課長にお尋ねしますが、この会社をつくる直前、去年の二月十四日現在で、こういう「サイエンスランド」というすばらしい刷りものをつくって、これを見ると、発起人の名前に、まず神奈川県知事内山岩太郎から初まって、東京商工会議所会頭足立正、以下富士銀行の頭取、さらに三井銀行の頭取、住友銀行の頭取、さらに三菱重工とか八幡製鉄、日本の一流の会社八十七名の社長、重役、頭取の名前がずらっと発起人に掲げられている。これをどう悪用し利用したかわかりませんよ。これを方々に持って歩いて資本金を調達をして、いよいよ証券局へ届出書を出すときには、この発起人の中から今度はほんのわずかが——その間にごちゃごちゃいろいろなことが発見されてきて、これはあぶないというので引き込んでしまった発起人がたくさん出てきて、最終的にはほんのわずかの人たちで、しかも有名人でありますが、発起人に名を連ねておる。その発起人の筆頭が元大蔵事務次官の長沼弘毅さん、藤井さん、あるいは三菱地所の社長の渡辺さん、あるいはさっきの市村清さん、その他有名な大成建設の社長本間さん、こういうように発起人を今度はわずか二十数名の人たちに切りかえた。そうすると、こういう刷りものをだっと一般にばらまく。あるいは官庁にもおそらくばらまいて、あたかもこの会社がもうすぐできるのだ、すぐ事業も始まるのだし、非常に公共性があるのだということを見せかけるためにつくられたと仮定をしたら、これは一体背任かその他罪に該当するような項目は刑法上はありませんか。
  197. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 問題は、そういう刷りものをつくりましたりあるいは発起人をいろいろお願いして歩いたりして、実際に株式の募集を行なった人、その人にそういうものをつくる意思があったかどうか、あるいは意思だけあっても全く見込みのないことがわかっておればだめでありますが、おおよその見込みがあったかどうか。そういう点が問題になるわけでありまして、全くできる見通しがないのに、いま仰せのような刷りものを持ち回ったり何かすれば、それは詐欺罪になる可能性がないとは言えないと思います。ただ、常識的に考えまして全く見込みのないことについて、そのようなものをこしらえて、二億何千万円というふうにいま伺いましたが、集めたということでありますと、あとからわかってくる非常に幼稚なやり方でありまして、それだけ度胸をきめてやる人がおるというようにもちょっと思われない。具体的事実がわからないことと相まちまして、的確な判断はどうもいたしかねます。
  198. 武藤山治

    武藤委員 さっき刑事課長のおっしゃった商法四百九十条、不実の記載ですね。こういうのは、未遂罪というのはあるのですか。全部未遂は罰せずということになっておるのですか。
  199. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 商法の四百九十条の関係においては、未遂罪を罰する規定がございませんで、処罰の対象にならないわけでございます。
  200. 武藤山治

    武藤委員 そこで少しく国有地の問題に入ってみたいと思いますが、このサイエンスランドが予定しておる五万八千余坪の国有地、これはいま時価に見積もったら幾らくらいになるのか。
  201. 向井正文

    ○向井政府委員 いまちょっと手元に正確な資料を持っておりませんですが、六万坪でございますから、どのくらいでございましょうか、ちょっと最近評価したあれがないのでございますが、かりに二万といたしますと十二億でございますか。
  202. 武藤山治

    武藤委員 かりに二万とすると十二億円ですね。あなたきょう私がこの問題を質問するということは知っておるはずですね。国有財産局は知っておるはずでしょう。ですから資料を持っておるはずですが……。それでは、ちょっと時日が古くなりますが、三十六年五月に、同じ該地の隣接地である相模工業学園、これに払い下げをしたときの値段は一体幾らですか。三十六年といまの価格をインフレートした場合にどのくらいになるかも大体計算できると思うのです。相模学園、これに払い下げたときの単価は幾らですか。
  203. 村田博

    ○村田説明員 問題の相模工業学園というのは貸し付け中でございまして、払い下げいたしておりません。また、評価は実はこれからでございます。いまのところ本地がどのくらいになるかということは、精密に計算いたしませんと、ちょっと自信を持って申し上げにくいと思います。
  204. 武藤山治

    武藤委員 そうすると、国有財産局第二課で資料としていただいたこの資料の中で、払い下げをした土地というのは一坪もありませんか。
  205. 村田博

    ○村田説明員 出資財産といたしまして、日本住宅公団に約四万七千坪出資いたしておりますが、この評価は実はいま手元に資料を持ち合わせておりません。
  206. 武藤山治

    武藤委員 証券局長、サイエンスランド社が設立のときに大蔵省に届け出た書類によると、計画書の中で、用地借地料、これはこの子供の遊び場をつくるための借り料が、一ヵ月四百万円、一年間四千八百万円と計上されていますが、証券局としては、そういう中身としては、どこの土地を借りるのか、山を使うのか海岸を使うのか、何を使うのかなんという質問はしないのですか。書類を出しっぱなしで、こういう中身は全然検討しないのですか。借地料というのは一体どこを予定しておるのです、届け出の当時の話は。
  207. 松井直行

    松井政府委員 法人を設立し、それが損益のつじつまが合うということは当然のことでございますので、重要な要素について書面審査で気がつけば、当然指摘すべき点であろうと思いますが、重要な要素でない場合に、一々どこの土地かといって自分たちで出向いて行ってまで調べるというようなことはやっておりません。
  208. 武藤山治

    武藤委員 初めからあなたは国有財産を予定しているというのを注意して消させて、今度は辻堂海岸付近を候補地とするように書き直させたというのでしょう。そうすれば、そのときに資本金を一億七千万も集めるのだったらたいへんなことになるから、借りられるなり払い下げを受けられるなり、はっきりそういう目安がつくまで、こういう届け出は待ったほうがいいだろうというような、そういう注意をする義務が公務員としてあるのじゃないでしょうか。大蔵大臣どうですか。公務員としての立場から、そういう十分な注意義務を持っているのじゃないでしょうか。
  209. 田中角榮

    田中国務大臣 なかなかむずかしい問題で、私さっきからあなたの話聞いておるのですが、これは法律に基づいて注意をしなければならないということではないのです。とにかく国有地を対象にしておるものですから、こういうものはいま払い下げがきまっておるわけじゃないので、どうも不穏当だということを言ったから、今度書きかえたわけです。書きかえても、辻堂海岸を予定いたしておりますということで、全く別な土地を書いてないわけですから、これは一体国有財産局に払い下げるあれがあるのかないのかということを証券局が聞いたかどうか、私はさだかに知ってはおりませんが、向こうが出さぬでくれれば一番いい話であります。しかし出してはならないといって拒否する権能はない、こういうことのようであります。これは現在の法律の体制では、こういうような字句が書いてあるからこれは受け付けない、こういうことはできないというような状態のようでございます。
  210. 吉田重延

    吉田委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。
  211. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣にお伺いをいたしますが、証券取引法というのは一体何を保護するために書いた法律でございましょうか。
  212. 田中角榮

    田中国務大臣 それは投資家保護ということでございます。そうすると、あなたは今度その一億七千万が集められる対象の人を守るためにはこんなものではだめだ、こういうことだと思いますが、どうも法律では、いまこれを大蔵省として財務局で拒否をするという権能はないというふうに解釈したようであります。
  213. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、いま大臣は拒否する権能がないように解釈をしたとおっしゃいますけれども証券取引法が目的としておるところは、投資家の保護であります。投資衣の保護のためにいまの法律条項が設けられて、目論見書その他重要の部分については報告をしなさい、こうなっておるのです。その重要な部分が事実と相違をするおそれがあるにもかかわらず、それを大蔵省が受け取って、認めたということは、私はその範囲においては大蔵省責任がある、投資家保護に徹してないという責任が大蔵省にあると思うのです。私は、これまで粉飾決算の問題について論義をしております中でも、粉飾決算を大蔵省が十分調査もせず受け取って、そのままできておったということは、大省蔵に責任があると思う。そうじゃないでしょうか。受け取るということはただ持ってきたがそこへ置いておけということではなくて、それを認めたということにこの場合はなっておるわけです。要するに資本金一億円以上のものについての取り扱いというのはそういう考え方の上に立っておるはずだから、そうなれば投資家を保護するためにはまずそういう事実がわかっておって、それが現実には他人が持っておる土地なんです。県が貸与をされておるということははっきりわかっておる土地を、私がそこを使いますと言って問題を提起してきたものを、それならそれがあなたが使用できるまではこれは取り下げなさいという指導をするのが投資家保護の目的ではないですか。証券取引法はそういうことで書かれているのじゃないですか。  きょうは朝からいろいろ議論がありましたけれども、いま一体われわれが何を大蔵省に求めておるかといえば、大蔵省としての責任の権限を明らかにしてもらわないと困るということなんです。投資家保護という問題が空文化しておるから山一の問題も起きておるわけです。私ちょっとこの際重ねて申し上げておきますけれども、さっきの横路さんの質問の最中に、大蔵委員会における財務比率通達の問題について、大臣からいろいろな問題があったという経緯にお触れになりました。私が財務比率通達についてずっとこの委員会で一回か三回議論をしたと思いますが、それは持ち株数を減らすという問題の部分について議論をしたつもりなんです。当時の状況で持ち株数を早急に減らせばこれは市場圧迫要因となり、それでなくても暴落をしておるものをさらに暴落をさせるということでは、その問題については市場の状態にかんがみ弾力的な運用が必要じゃないか、こういう質問をいたしましたけれども、とにかく保護預かりの問題について例の倍率をさらにふやしてもよろしいなんということは一ぺんも言ったことはない。ここに大臣誤解があったのではないか、横路委員にそういう角度からの御答弁がありましたけれども、これはわれわれがそういう意図でたかったことはちょっとあわせて明らかにしておきたいと思うのですが、要するに証券取引法の問題はあくまで投資家保護に徹するということでなければならないということであるならば、見通しのないことについて資本金として二億七千万円の巨額の金が集められるということがわかっておるのですから、その資本金として集められる人たちの保護を考えるという立場に立つならば、それは最初にその土地がこういうのは適当でないと言ってもう一回持ち返したというときに、表現の問題ではないと思うのですよ、これは証券取引法の内容の問題ですよ、それを表現だけ変えてきたら内容は同じであっても受け取ったというのは、当時の証券の責任者の責任をはっきりさしてもらわなければ困る。当時は一体証券関係の責任者はだれですか。
  214. 田中角榮

    田中国務大臣 責任論よりもこれは法律論でございますから、鍛冶政務次官が答えたほうがいいかもしれませんが、私の見解を申し上げます。これはあなたは不実記載に近いものだ、こういう認定で申されておりますが、これは一般論で申し上げますと、要らないことを書いてあるというふうにしかすぎないのです。予定地はどうですか。候補地はどうですか。これは証券取引法だけではなく、その適格要件というものは代表者の氏名とかそれから法人の所在地とか資本金の額とか、こういうものはずっときめておりますが、そういうものは先ほど申し上げたように十ヵ条の定款でもってこういうことをやりたいのですということは明確にしてある。しかしその次に一項要らないものが入っておるわけです。これはもっと詳しかったやつが削除しなさいと言ったら削除しないで予定をしておりますと書いてあるというだけの話で、これは法律上の絶対的な要件ではないわけであります。なぜかといいますとほかの届け出もみんなそうです。アパート業を営むとか、土地売買業を営む、こういうことが法律の要件であって土地はどこの土地をどこに売りますということを書くということは法律の適格要件じゃないのです。でございますから、これはあなた方も大学を出てちゃんと法律を習って、私たちもこういうものを受け取るのだという問題に対しては、いまになって考えますと、特に大蔵省の中でありますから、国有財産局が売り払わないということで、それを対象にしたものをどうして一体こういうものができたんだろうという考え考えてみたのですが、いわゆる拒否をする法律的な根拠がない、こういうことのようでございます。詳しいことは窓口から申し上げます。
  215. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、いまのこのサイエンスランドというのは、いろいろ抽象論は書いてありますけれども、事業の主体はかなりのそういう面積を必要とするところで、いまもちゃんとそこに絵が書かれているが、こういうことをやるのです、こういうことになっているわけです。いま大臣は余分のことを書いたと言われますけれども、余分のことでなくてこれがなければ話にならないですよ。抽象論では話にならない。資本金百万円か五百万円の会社をつくるというんならば、それは抽象論だけでいいかもしれないけれども、しかし今度の計画では十何億の投資をすることになっている。十何億の投資をする投資対象毛明らかにしないでおいて、二億七千万円の金を集めるのは、大臣は余分なことを書いたとおっしゃるが、これがなければ私は重大問題だと思うのです。だからその点は、私はいまになってそれを責任を追及しようとは思いません、責任を追及しようと思わないけれども、責任がある、その責任の所在を明らかにしておかないと、これは証券取引法を守る大蔵省の役人として、私は怠慢だと言わざるを得ない。
  216. 田中角榮

    田中国務大臣 法律論はよくわかるけれども……。一般的にはということで言われるならば私も了解するのですが、そうではなくて、大蔵省に責任がある、こういうことになるとこれは法律論であります。大蔵省は法律に準拠してのみ行為を行なうことができるのですから、これはもうそういうことは間違いなくお考えいただきたい。だから大蔵省がこれを法律的に拒否できるということであれば、それを拒否しなかったならば大蔵省に責任がありますが、法律上持ってこられれば受け取らなければならないという法律上の条件を備えておれば、これを受け取った大蔵省に責任がある、こういう論法で言われると、遺憾ながら納得できない。
  217. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話は形式論としてはわかります。ところが片方は国有財産でなければ私どもこう言わないんですよ。これは売買が成立するかどうかは、これはあの土地を買ってやるつもりです、こういうことになりましたら受け取らざるを得ない。向こうの売り主が売りますと言って、新しく候補地として別にあすこにこういう広い土地があります、だれかが、私有地になっているあすこをひとつ買い取って、そこでこういう事業をしますということならば、これは拒否できないと思うんですよ。ところがそうではなくて明らかに国有財産であるということがわかっているわけでしょう。一回もとへ戻さしたんだから、そういう事実がわかっておる。形式論じゃないんですよ。実態論としての事実がわかっておるんならば、その見通しについて、証券部でしょう、これは三月だから、証券部は当然国有財産局に対してこのことは可能性においてどうなのだという照会があってしかるべきである。これは公務員の秘密でも何でもない。当然所管内でそれが行なわるべきである、それを国有地でこれは適当でないと言った以上はそこまでやるべきで、それが国有地であるということを大蔵省が知らなかったら別ですけれども、知っておってなおかつ国有地でそれを当分払い下げる見込がないということがわかることを十分調査もせずして処置をした、この点については私は法律論というよりも実態論として問題があるのではないか、こういうことを言っているのですがね。
  218. 有馬輝武

    有馬委員 いまの点で追加質問一つ……。
  219. 吉田重延

    吉田委員長 関連ですか。関連質問を許します。有馬輝武君。
  220. 有馬輝武

    有馬委員 堀委員から言われるとおりでありまして、おまけに前国有財産局長は、これはもう絶対に払い下げないということを言明しておるわけです。それは予算委員会の会議録を取り寄せていただけばはっきりわかりますが、そういうことで御答弁を願います。
  221. 田中角榮

    田中国務大臣 これは私堀さんが言われることはわかりますが、出した書類が違法である、違法な書類を持ってきたならば、これはもう大蔵省としては窓口から受け付けないということでありますが、適法な書類を持ってきたのでこれを拒むことができなかったということだけは事実のようでありますから、そういう角度でものを見ていただきたい。適法な書類を持ってきたので、適法な書類ではあるけれども、その前において国有財産を当てにしたものはだめです、こう言ったら、とにかくその目的を書いて、現在の時点においてこういうことを予定しております、そういう要らないことを一つ書いた。これがなくなればそれはまた大蔵省としては問題ありませんが、とにかく第一回の表現よりも非常にやわらかくはしたけれども、何かもやもやしたものが書いてあった。そういうものがあっても、持ってきた書類が適法なものであろうといことで大蔵省の窓口はこれの受付を拒むことができなかった、こういうことが実際であります。
  222. 武藤山治

    武藤委員 私はいまの大臣の答弁は全くこじつけであり、納得できぬ。というのは、いまの証取法第五条の届出書に具体的に何を届け出るかということの中に、目的、商号、出資事項、経理状況、重要事項、発起人事項とあるわけですよ。この事業の場合は、もう事業計画を一目見れば、重要事項とは何かといえば土地ですよ。土地が六万坪もなければできない事業なんです。そういう法律上の重要事項というものに注意を怠ったという責任は免れない。いいですか。しかしいまの証取法に、会社をやるのにどこの場所で何をやるのかを届け出なくていいのだという大臣の答弁は全くいただけませんよ。これは会社をつくるのには常識ですよ、どういうものをやるか、場所をどこにするかうといことを届け出るのは。これがなくて人の土地につくるのに、ここらを予定して会社をでっち上げるなんということは、そんなことは常識で考えて通らぬ話です。もしいまの証取法がそういうものがまかり通る法律ならば、その法律は前向きに改正しなければいけません。したがって、われわれはいまの証取法にそういう手抜かりがあるとするならば、次の国会に社会党はいまの証取法の具体的提案をしてこれを直さなければならぬと考えます。私はこれを長く議論をする時間がありませんので、先へ進みます。
  223. 田中角榮

    田中国務大臣 いまの堀さんのに対して答えなければなりませんから……。これは一般論でありまして、こじつけの議論ではありませんから……。どこにも通用する議論でなければならぬということを前提にしてやっていただきたい。それは証券取引法で届け出を受け付けるかどうかということの条件、これはサイエンスランドというそのものだけを対象にして考えておられると、いろいろな問題が起きるのです。土建業をやりたい、どこから一体土建請負をするのか、そんなことが規定できるわけはない。それは土木建築請負業というものが法律における適格要件であって、この書類を見ますとそういうものはないのです。書類には十ヵ条のそういうものがちゃんと書いてあるので、そういう意味で、このものはあなたがそういう前提をもって考えるからいろいろなことが起きますが、大蔵省の窓口として、持ってきたこの書類が適法なものであるということはこれは事実であって、また法律ですから、そういう予定した事実が変わるということは、変わればそのときには修正を届け出てください、法律はこうなっておるのであって、大蔵省の窓口として拒むべき要件ではなかった、こういうことです。
  224. 武藤山治

    武藤委員 われわれは初めから拒むべき要件だとは言っていないのですよ。注意義務、当然公務員として指導すべき義務があるのだ。公務員として、初めから国有地を予定して出されたのをこれはまずいですよといって直さしたのだから、そこまで気がついているなら、せめて借りられるかあるいは払い下げになるまでこの会社設立は待ったほうがいいですよ、そういう注意義務を公務員は持つべきだというわれわれの意見なんです。しかし大臣は、いまの証取法にそういうことはない、場所なんかどこだっていいのだ、書かなくたっていいのだ、そう言えばそうです。それでわれわれは投資者保護という立場から、そういう問題については次の国会においてきちっとけじめをつけたい。これはもうこれ以上議論しなくてもいい。
  225. 田中角榮

    田中国務大臣 それはあなたと同じような考えがございましたから、こういうものを書いちゃいけません。これはいけませんというのは、かえって出過ぎたことかもしらぬですが、そういうことを言って直さしたのです。前にはもっときつく書いてあったのです。それを取ってしまえば一番いいのですが、向こうは取らない、どうしても書きます、そういうのが向こうの常識でありまして、だからこちらは適法な書類を受け付けないわけにはいかぬのだ、こういう事実を、事実認定ということで大蔵省立場になってひとつ考えてもらいたい。
  226. 武藤山治

    武藤委員 それは大臣の意見に賛成ではないけれども大臣が言わんとしていることはわかった。したがって、それは次の国会において、法の改正問題についてわれわれ提案します。  次に、せっかく銀行局長、貴重な時間を待たしてありますから、銀行局長に一問だけ尋ねてお帰りを願いたいと思います。  というのは、この会社が借り入れ金を去年の五月から六月までに借り入れ予定額二億三千万、十月から十二月までに五億円の借り入れ予定、合計一年間に七億三千万昨年銀行から借金をする計画になっておる、証券局に出た書類はですよ。もう一つは、日本の大銀行ともあろう富士銀行、住友銀行三菱銀行、三井銀行がこういう発起人に名前を連ねて、場所がわからない会社に、しかも大銀行の頭取が個人名で出資したり、大銀行が出資したりしている。いままでの話の経過をこう見て、どこに会社ができるかわからない、土地がない。そういう増資をする会社、あるいは借金をする事業計画に、大銀行が名を連ね、あるいは頭取が出資をしているという、こういうあり方は一体好ましいか好ましくないか、銀行の姿勢としてあるべき正しい姿勢として好ましいか好ましくないか、局長の御見解はいかがですか。
  227. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私どもは特にこのことについてお尋ねがあるということで、それから実は事情を知ったわけでございます。それで銀行のほうに問い合わせてみましたところ、全く可能性がないものでしたら——現実にこの払い込みをした銀行の頭取は三名だけです。ほかにはございません。そういうパンフレットには発起人なんかに名を連ねておる人がたくさんありますけれども、三人の方だけが、あまり大きな金ではありませんが、実際に払い込みを行なっておる。発起人にはだれもなっておりません。発起人になる段階においては、まあ多少これはおかしな話かなと思ったのでしょう、回避してしまったというのが実情のようです。ほんとうに架空な話であれば、これは幾ら何でもそこに名前をたくさん並べられておる方々がそういうものを配られたときに大いに文句をつけなければならぬわけですね。そういうことでありまして、裏からの解釈ですし、私どもも人から聞いた話であって、どうもどれが真実かわかりませんけれども土地の問題にいたしましても、そのおそれがないというのじゃない、何か可能性があるような話を聞いておったわけです。だからこそ払い込みも現実にやった人が二、三人おるわけでありまして、その辺はたいへん微妙じゃないかと思います。国有財産が一応神奈川県に払い下げになる予定にはなっておるけれども、その神奈川県の側では、県会で議決したというわけではありませんが、そのときにおいてはまだ神奈川県としての決定ではないにしても、非常に有力な会社、これに協力しようというふうなことを言ったような事跡があるらしい。だからこそ銀行の首脳として、いまから言えばまことにおかしなことになるのですが、ついそういう話をある程度信用した、こういうふうに思うわけでありまして、融資につきましては、全然融資はいたしておりません。払い込み金は銀行に幾つかに分散されて預金されておる。二億七千万円はございませんが、二億円をこえる額が預金としてあります。そういう何か、ちょっといまから言うとあるいは初めからおかしかったんじゃないかということも言えるでしょうが、その当時としては何かありそうなこのように思え、ことに科学的な知識を特に子供向けなどにやるというふうな教養的な意義を持っているということで賛同の意を表されたのではないか。ですから、こういうことが不見識かどうかという点につきましては、当時の事情を十分ほんとうは調査してみないと、私としては何とも申し上げられない。一がいに結果的に見ておかしいではないかといってきめつけるのもどうかという感じがいたしておるわけでございます。
  228. 武藤山治

    武藤委員 局長の答弁としてはさもあろうと私も予期をしておったのですが、しかしこういう、人を信用させる。パンフレットをつくり、趣意書をつくり、おまけに市村清さんなる人は、こういう極論まで文書にして配っている。「私の心境を一言申し上げたいと思います。」から始まって、そのくだりに「百社に余る財界トップの方々が自ら署名されながら、二、三の特殊な人々の妨害工作により、もしこれが流産するようなことがあれば財界にとりまして、甚だ好ましからざる先例を残すと考えたからであります。」「百名に余る財界トップの方々が、一部の妨害にくじけるようなことがあれば、日本財界に取り返しのつかぬ汚点を残すことになります。」「一流の会社がこのような流言怪情報を気に病んで万が一尼込みするようなことがあっては日本の企業が泣きます。」「私は、義憤を感じるのです。いかなる迫害、妨害にもめげず、私は断固やり通すことをここに誓約いたします。」と、市村清社長が株を集めるために、出資者をつのるために配ったあいさつ状であります。人の財産及び国の財産を財界ならば必ず手に入れられるのだというこの思い上がった態度、これが日本の経営者のトップレベルの人の文章です。まさに国の存在、国有財産の意義、こういうものについての認識がまことにない。そこで先ほどの銀行の頭取や銀行が出資をしたり、最初の発起人の名簿に名前をかしたりしたのはかなり人たちを信用させる材料になった。言うならば欺罔されている。だまされている。詐欺されたようなこの文書ですよ。私はこういうような国有財産に対する認識というものをこの際はっきりここで打ち消しておく必要があろうと思う。それが国民の財産を守る道であるし、われわれ国会議員の任務であるという立場から、私は以下、今度は大蔵大臣の決意、さらに処理方針を具体的に承りたいと思います。  それは国有財産局長が過般予算委員会において有馬議員質問に答えて、いまさらサイエンスランドがこれを貸してほしいとか売ってほしいとか言われても、すでに三十五年十一月の国有財産審議会において神奈川県立公園にするということで公園に貸すことにしてあるから、サイエンスランドから申し出があっても聞く耳を持たない。どういう意味か知りませんが、聞く耳を持たないということを二回にわたって答弁をしている。サイエンスランドからの申し込みは聞く耳を持たない。したがって申請は預かっている、そういう処理のしかたをしております、こう言っておる。さらにもう一つ国有財産局長の答弁の中で重要なのは、神奈川県が要らないとはっきり態度をきめれば、そのときにはあらためて別な再検討をいたします。それは競売に付すか、どこへ売るかは別ですよ。とにかくサイエンスランドへ優先的に売るということはできない。これは完全な私利追求の会社だから、営利会社だから、子供八十円、おとな百五十円の入場料をとって、一年間の純利益一億五千万円という計画になっている会社ですから、これは利益追求の会社ですから、国有財産局長はこれをはっきり、そういうものに優先的払い下げはできないと答えている。田川さんの質問にも答えている。  そこで大蔵大臣、すでに神奈川県は本年一月二十九日神奈川県知事内山岩太郎名をもって大蔵省に回答をよこしております。ちょっと読んでみます。「都市公園予定地の処理について」「昭和三十九年十一月二十日づけ関財管一第五二〇号をもって照会のあった標記のことについて検討したところ、当該地に県は当初約十六万坪の公園造成を計画したが、都市公園に対する配分が六万坪に縮少されたため、公園計画を大幅に変更する必要を生じ、その後さらに慎重に検討を重ねた結果、」——これからが重要なんです。「湘南海岸公園整備の進展、県財政の現状等諸般の事情を考慮し、県立都市公園の設置は必ずしも適当ではないので、これを取りやめることといたしました。」神奈川県知事は一月二十九日に県立公園建設は一切やめましたという、大蔵省に回答をよこしております。もうすでに三、四ヵ月経過しておりますが、その後国有財産局、大蔵省は、この回答の処理についてどういう態度をとり、具体的に何をやりましたか、最初にそれをひとつ。
  229. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど国有財産局長が述べました答弁のときは、もう公園にするということがきまった後における発言であります。  それから第二の問題は、それは要らなくなった場合は新しい立場で検討いたします。こう申し上げておるのであります。現在はその第二、新しい立場になったわけでありますから、現在大蔵省としては、本件に対しては全く白紙の立場で慎重に検討するという考え方でございます。このサイエンスランドのほかにこの土地を希望しておるというものは日本住宅公団、相模工業学園、湘南白百合学園、藤沢市、二葉幼稚園、こういうところから出ておるわけでございます。でありますからこういうものにやるのか、またこれを分割しないで別な方法でするのか、こういう問題に対しては現在全く白紙というところであります。
  230. 武藤山治

    武藤委員 全く白紙というのは少し怠慢ではありませんか。この通達によりますと、国有財産審議会というのは月一回を目途として開くと書いてあるでしょう。一月二十九日に知事からこういう回答が来てすでに五月ですよ、六月になんなんとしておる。この間一体審議会は開いたのか開かぬのか。
  231. 田中角榮

    田中国務大臣 これをきめる場合、希望が出ておりますが、慎重に検討の上処理方針を国有財産関東地方審議会に諮問して決定する方針、こういうことだけ言っておるわけであります。神奈川県から返ってきたからこういう問題になった土地を早くばたばたとやってしまえ、こういう考え方も一つありますが、これだけたくさん要求があるのでありますから、慎重に検討するというのも一つの方向でございます。  いま国有財産局がどのような考え方を持っておるか、事務当局考え方を申し上げてもけっこうです。
  232. 向井正文

    ○向井政府委員 いま大臣がお答えになりました以外に、具体的なものを補足して申し上げることはございません。  昨年このサイエンスランドの問題が社会の注目を引くようになりましてから、いま大臣が申されましたように、もしサイエンスランドのほうが取りやめになるならば自分のほうに一口乗せてほしいというような話が次々と出てまいったわけであります。サイエンスランド自体につきましても設備投資やその他の問題がいろいろございます。その後いろいろ希望がございます向きも、まだ計画その他が必ずしも十分固まっていない、事業計画、資金計画も必ずしも十分でないものが多いようでございますし、また一括転用もあれば、中には三千坪でいい、五千坪でいいという小口の申し出もあるわけであります。したがいまして、これらたくさんの御希望を、しかもまだいろいろな計画が必ずしも十分固まっていないというのが現状でございますから、それらを十分調査いたしますにはしばらく時間がかかるかと思います。  審議会のほうは、ただいま御指摘になりましたが、大体一ヵ月に一回という原則で、必ずしもそうなっておりませんが、一月以降数回開いておりますが、まだ方針がきまりませんで、方針がきまりましたところで審議会に諮問するというたてまえになっておりますので、まだ本件を諮問するに至っていないわけであります。
  233. 武藤山治

    武藤委員 そうするとサイエンスランドに無償で貸与するということは、全くもうあり得ない段階だと認識してよろしいですな。
  234. 向井正文

    ○向井政府委員 本件は御案内のとおり神奈川県に公園地として貸すということでありましたが、無償貸し付けというものは法律上の根拠が全部必要でありますので、そうした根拠がもちろんサイエンスランドにございませんから、サイエンスランドに万一処分するということになりました場合でも、無償というような方法はとうてい許されるものではありません。
  235. 武藤山治

    武藤委員 サイエンスランドは無償はあり得ない。有償の場合、いま大臣がおっしゃたように、大学の非常に公共性の強いところからも、また自治団体からも申請がある。その場合公共的なものと私利追求の営利会社と同時に競争入札をやるのか、それとも公共的なものは公共的なものだけのグループをつくって、これを先に検討するのが順序なのか。国有財産処分の方針としてはどういう順序になりますか。
  236. 田中角榮

    田中国務大臣 特にこういうことだという明確なものはないわけでございます。しかし国有財産の処理でございますから、公共性ということは十分考えなければなりません。ただ市とか県とかこういうものが、われわれだったら無償で借りられるのだからよこせ、ただこういう考えだけではこれを優先するわけにもまいりませんし、だからそれは実情を十分考えながらやるということになると思います。同時にまた売り払うという場合には、随意契約の対象にならないものは、これは当然競争入札ということになるのでありますから、競争入札にするか随契の対象になるものに払い下げるか、地方公共団体に無償貸し付けを行なうかというような問題は、最も優先的に無償貸し付けを行なうという神奈川県にやったら、それが断わられたという問題でございますから、全く白紙で検討するということ以外にはないわけであります。
  237. 武藤山治

    武藤委員 刑事課長、ひとつまた見解を聞かしてもらいたいのですが、神奈川県知事はこの三十五年十一月の国有財産審議会の臨時委員に選ばれて、神奈川県に無償でその六万坪の国有地を貸すということに参画をしておった。おそらく本人が主張したと思います。その後サイエンスランドの発起人に一応名前を連ねて、サイエンスランドへその無償で貸すという土地が手に入るように、知事自身が文書上いろいろあっせんをしておる。そうすると刑法の規定の背任罪は、第三者から事務を委任せられたる者、自己もしくは第三者の利益をはかった云々、この場合サイエンスランドの利益をはかろうとして、わざわざ国がただで貸してやるという土地を返上して、サイエンスランドに貸してやれというこの運動は、文書にもなっているのですよ。貸してやってくれと。これは背任罪になりませんか。どうでしょう。
  238. 伊藤栄樹

    ○伊藤説明員 背任罪という犯罪は、刑法典の中にいろいろ規定されております犯罪の中で、一番目的その他の主観的要素が要求されまして、非常に成立のむずかしい犯罪とされておるわけでございまして、ただいま私がここで伺っておりました限りの資料をもってしましては、背任罪になるということはちょっと申せないわけであります。
  239. 武藤山治

    武藤委員 私はさらにこの経過を(「告発すればいい」と呼ぶ者あり)告発すべきです。これは社会党では告発をする決意でおりますが、大体三十九年三月十六日に神奈川県知事が回答をよこしているのです。それをその後翌月の四月十日にこの会社ができてしまっている。その間国有財産局として県の情勢というものをもっとしっかり把握をしておるならば、こんなイカサマ会社ができないうちに、事前に投資者に損害を加えないような道があったと思うのです。これは結果論ですけれども国有財産局があまりにもマンマンデーなんです。処理が迅速でないのです。一体国有財産審議会がきめたというのは、そんなに絶対不動なものですか。決定というものは法的にどういう効力、どういう性格を持ち、規制力があるのですか、どうですか。だれか一番適当な人から……。
  240. 向井正文

    ○向井政府委員 審議会の決定は、法的な拘束力あるものとは考えておりませんが、諮問いたします以上は、十分これを尊重して、その趣旨に沿って実施するというのがたてまえであろうと考えます。
  241. 武藤山治

    武藤委員 しかし諮問するけれども、審議会は答申ということばを使っていないのですよ。建議するというのだ。大蔵大臣に建議する。あるいは財務局長に建議する。建議と答申とどう違うのですか。あなたわかりますか。——建議するということなんですから、財務局長なり大蔵大臣は、建議されたらその建議の内容が、事実関係を調べたらどうも不穏当だ。県会では公園にしたいと決議をして大蔵省にぶつけてよこす。藤沢市ではサイエンスランドなんというものはつくらないでくれ、そういうもうけ会社をつくるならおれのほうに貸してくれという。そういういろいろな事情というものを参酌してくると、建議の内容がどうも適当でないということに気がつくならば、直ちに大蔵大臣なり財務局長は別な判定を出してもいいじゃないですか。大体建議が不穏当ならばそうじゃないのですか。もう、一回審議会できまったものは不動のものなので、これ以上どうにも動かせないのだというものですか。税制調査会の答申や、選挙制度審議会の答申は平気で踏みにじって、今度は財産審議会の言うことだけは後生大事に絶対不動なものというのはおかしいじゃないか。大蔵大臣、おかしいと思いませんか。
  242. 田中角榮

    田中国務大臣 これは答申でも建議でも守るという、基本的な姿勢でなければならないということは、これはもう言うを待ちません。しかし本件についてはその関東財務局の審議会で決定をしたものは、もう要りません、こういうことできたわけでありますから、建議された事項はもう白紙に戻っているわけです。白紙に戻っているわけでありますから、今度新しくまた建議を求めるということになるわけでございます。
  243. 武藤山治

    武藤委員 それではいつごろをめどに建議を求めますか。
  244. 田中角榮

    田中国務大臣 事務当局はまだということでございますし、私はいまこれをどこへやるということを考えておりません。慎重に、世の中がだれが考えても、いままでのいろいろな問題に徴しても、大蔵省はりっぱなところに払い下げたと言われるようなことを前提として考えればよい、こう考えております。
  245. 武藤山治

    武藤委員 田中さんが現職大蔵大臣質問を受けるのは、おそらくきょうが最後だと思いますが、あなたもやがて自民党の幹事長になられる。やはり国民の注視の的になる人かもわかりません。これはまだわかりませんが、しかしいみじくも銀行局長が言ったように、りっぱな財界の人や有力者が名を連ねたから結果からは銀行も名を連ねたのだろう。この問題も元大蔵事務次官長沼さん、さらに富士銀行からさらに各会社の社長がずらりとこう載っている会社でありますが、この会社の陳情攻めにあって、あるいはこの会社からの泣きつきや人的なコネによって、正しい国有財産の処理が曲げられるというようなことは絶対ない、曲げられるようなことはない。国有財産の処理の方針に基づいて遂行する、こういうことをはっきり約束できますか。大臣どうですか。
  246. 田中角榮

    田中国務大臣 国有財産の処理に対しては、国民全般の利益を守るというととが前提であります。しかも公正な処分でなければならない、こういうことでありますから、特に国有財産法の改正さえお願いしたわけでございますので、国有財産法の精神に徹した処分を行なうということは明確に申し上げておきます。
  247. 堀昌雄

    ○堀委員 関連して。さっき銀行局長の答弁の中に調査をされたところが、銀行の幹部ですか何かが出資をしておられる。あまりたいした額ではありませんが。こういう表現がありましたが、その出資された方のお名前と出資額その他がおわかりになっておりましたらお答えを願いたい。
  248. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 富士銀行の頭取岩佐氏が個人で五百万円、それから三菱銀行の場合は二百五十万円払い込んでおります。これは個人というのではなく銀行としてやったとみなされます。株券の名義自体は経理部長の小野という人の名義になっております。こういう例は銀行が行なった場合に使う手でございますので、これは銀行自体の払い込みとみなされます。それからもう一つ東京銀行の当時の堀江頭取、これが百万円ということでございます。
  249. 堀昌雄

    ○堀委員 さっき銀行局長たいした額ではないとおっしゃったのですが、いま聞きますと五百万円というのは私相当たいした額だと思いますけれども、これは銀行局長はだいぶお金の関係があるからわれわれと感覚が違うのかもしれませんけれども、五百万円の株式を払い込むというのはこれは相当たいしたことだと思いますが、どうですか。
  250. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これはおそらく岩佐氏が一番最初にこういう話が持ち上がったときにわりあい関係が深かったということがあったのだろうと思うのです。これは私の推定でございますが、そういうことからいざ実際に払い込みをする段になりまして、せめてこの程度は個人として——銀行としてはいかがであろう、そう判断されまして、自分の個人の預金勘定を引きおろしてやったわけであります。多少その辺責任といいますか義理があってやむを得なかったと思いますが、五百万円という金が大きいか小さいかということは頭取の所得あるいは財産等から見ますれば、私どものふところ勘定から見た五百万円とはだいぶ違う、そういう意味でたいした額でもないだろうと申し上げたわけであります。
  251. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで私はこの問題を最近の一連の銀行の問題に関連をして少し伺っておさたいのですけれども、実はこの案件はいまお話しのように、もしほんとうに国民が納得をするような公正な処分がされるということになるならば、この土地がサイエンスランドに払い下げられる可能性はまずないと考えていいでしょう。少なくとも当大蔵委員会において公正でないと私どもが判断をしている以上、われわれは国民の代表ですから、われわれが納得のできないような払い下げは、大臣のさっき言われた国民の納得する払い下げではないわけです。公正な払い下げではありません。ですから少なくとも私どもが現在出されておる中で、現状のこの中で順位をつけるならば、なるほどこれはだれが見てもそうだと思うものは、これは与野党にかかわらず国会議員であるわれわれ、国民を代表しておるわれわれが、当然第一位だと思うものに払い下げられたときに、いま大臣のおっしゃったようなしかるべき公正な処分が行なわれたということになるわけでありますから、そうなればすでに昨年の三月ですか四月ですかに払い込みをした会社は、現状は架空の事業をかかえた会社であるというかっこうであるわけですね。二億七千万円の金がそのために集められて、そうして出資者に名を連ねた、最初に発起人に名を連ねた人たちは聞くところによると何か奉賀帳のようなかっこうで回ってきたので、一応詳しい調査もせずに出したということでございますが、その後の経過にかんがみてそこに書かれておる各都市銀行の中で、いまのお話を聞いてみますと払い込みをしたのは三つだけのようでありますね。ほかの人たちが全部それをやめたにもかかわらず、それはやめるだけの理由があったと思うのです。私は銀行の公共性という問題からそのような不確定なものに出資をするということは都市銀行としていかがなものであろうかと思いますが、銀行局長いかがですか。不確定なものに都市銀行がそのような出資をする、最近一連の問題がずっと起きております。山特の問題も吹原の問題もいずれも都市銀行の姿勢に問題があるわけです。そういう中で他の銀行が全部よしたにもかかわらずそこだけがやったということは、これは私は問題があろうかと思いますが、銀行局長いかがですか。
  252. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 このサイエンスランドというものは初めから非常に不適当な事業である、収益事業であるからということも入るでしょうが、皆さんのおっしゃるっとの背景が何かあるように私も思えます。これはこの事業そのものは非常にけしからぬ事業であるというふうに言うにはちょっと、事業計画そのものから見れば……。(「けしからぬなんと言っていない。」と呼ぶ者あり)ですから不確定であるということであると思うのですが、たとえば市村清さんに世上批判がございます。ございますがやっている本人たちはこれはぜひやりたいと思って運動しておるわけです。現在でもそれは完全にあきらめ切っちゃったものでもないと思うのです。だからできないということを前提に払い込みをしたということではないと思う。やはりできる可能性もあるんだと思ってこの三人の方はつき合われたというふうに解しているわけでございまして、他の銀行がやめたのに一部の銀行だけが払い込みをしたことについてそういう御批判がある点はわかるのでありますが、しかし考え方というものは人によって少しずつ違うこともございまして、こちらの人がだめだと言ったものをこちらの人がいいと言う場合もあるわけでありまして、言われる趣旨わからないではありませんけれども、私はあまり明確にそうきめられるものではないと思います。
  253. 堀昌雄

    ○堀委員 いま私がお話を聞いていると岩佐さん個人のようです。しかしこれは個人といえどもやっぱり銀行の頭取です。何といっても日本の第一位の預金量を持っておる銀行の頭取であるし、現在は全国銀行協会の会長もしておられる。ですから私はここらはやはり個人であっても銀行の頭取という方の行動というものは銀行の公共性、社会的責任に照らしてよほど慎重であるべきではないのかと思います。これは一般論としてです。私は何も岩佐さんに恨みがあるわけでも何でもないですよ。ただしかしわれわれがいま当委員会で少なくとも金融機関の姿勢を正してもらいたい、次次と問題が出ている際、正してもらいたいという論議をしておる最中に、いまの質疑を聞いておりますと、やはりそういうところに都市銀行はかなり関係があるということは、私はまことに遺憾なことではないかと思います。  それからもう一つ、岩佐さんと堀江さんは個人のようでありますが、三菱銀行銀行として払い込みをしておる。これはすでにこの間から吹原事件でも三菱銀行というのは注視の的になっている銀行なんです。これはややそれらの管理等について軽率ではないのか。要するに岩佐さんは銀行としての問題があろうから個人で払い込みをした。三菱銀行の当時の頭取は言うまでもなく宇佐美さんなんです。私どもはこういうことが行なわれていることをたいへん残念に思うのです。大蔵大臣どうでしょう。あなたもこの間都市銀行に通達をお出しになっていろいろな問題について注意を喚起されておりますけれども、いまの経緯を聞きながらまことに遺憾なことであるという感じがいたしますけれども大臣の所感をひとつ承りたいと思います。
  254. 田中角榮

    田中国務大臣 私は先ほど国有財産の払い下げに対しては慎重にやります、こうお答えしておるのですから、大体そこらを結論にしていただきたいと思うのです。そうでないと、いまのような議論になりますと、これは私が答えていいかどうかわかりませんけれども、そういうことになってくると、それはサイエンスランドというものが国有財産を対象にはしておりますが、しかしこのやる仕事というものはそんな悪い仕事じゃないのです。ですから国有財産がだめだったら方向を変えてしまって千葉県でやるということになるかもわからないので、この会社に出資をした銀行の頭取が悪いというような判断を、ここで話をされて大蔵大臣の所見を求められておりますけれども、これは求めるほうが無理でありますから、大体私は最終的な答弁をしておるわけでありますから、大体そこらでもって御了承願いたい。
  255. 吉田重延

    吉田委員長 平林剛君。
  256. 平林剛

    ○平林委員 ただいま問題になっておる土地は神奈川県の藤沢市でありまして私の選挙区なのです。そこで若干の時間をいただきましてお尋ねいたしたいと思うのであります。むろんいま武藤委員からお尋ねがあり、その他の関連質問がございましたから、おおよそ問題点は尽きておるわけでありますが、ただ私、大蔵大臣に確かめておきたいのであります。国有財産の具体的な土地の払い下げをきめるということは、国有財産の審議会が慎重に事務局の案を検討して、よしとしたとき初めてきまる、したがって、大蔵大臣も先ほどお話がございましたように、答申だろうと建議だろうと、その審議会の結論というものはこれを尊重するというお答えがございました。それならば、現段階におきましては、私はまだ、白紙になっておるという言い方は言い過ぎでないかと思うのであります。というのは、確かに県知事から四十年一月二十九日付の通牒で、湘南海岸公園の整備の進展や県財政の現状等諸般の事情を考慮して、これは取りやめたいという答えがあったことは事実でありますが、それだから直ちに白紙になるということはいかがなものであろうか、やはり当初この払い下げの審議をしたときの、県立の公園として予定をしておったということは、諸般の事情から考えてここは県立公園がよろしかろうという審議会の建議があったわけでございますから、知事がそういう返事を出したからすぐ白紙になる、こういうことは私はちょっと事務当局考えとしてはどうかと思いますが、やはり機関尊重という立場から見ると、一応審議会でこういう事情になった、そうか、こういうことで、じゃあらためて審議しようといったとき初めて白紙になる、やはりこういう順序と手続がないと公正な払い下げというものがどこかでゆがめられるおそれがある。私はそれを非常に心配しますので、もう白紙になったんだという考え方は、私が指摘したような手続と順序を経て後初めて白紙になって、あらためて検討される、こう理解したいのですが、いかがでしょうか。
  257. 田中角榮

    田中国務大臣 まあそういう見方もありますが、そこまで厳密にものを考える必要があるかないか。私はすなおに、これはもう建議を受けるときには大蔵省の案をつくりまして関東の審議会に建議を求めたわけであります。関東の審議会はその神奈川県立公園ということでもって答申をしておるわけでありますから、また大蔵省もそれを前提として神奈川県の公園にしよう、こういうことでもって政府の意思が決定したわけでありますが、神奈川県からはやりません、こういう正式な通告があった以上、手続としては、これは七月か八月の関東審議会に、こういう建議をいただきましたが、神奈川県はやらないそうでございますから、ということでもってその報告をしてピリオドを打たなければならぬという事務的手続は残っておりますが、これはもう主宰者がやらないというのでありますから、事実問題としては、建議は白紙になっておる、こう言っても差しつかえない、こういうことでございます。まあそれは私もちょっと勘ぐってあれすれば、しかし、これは公園にするんだから、もう一ぺんその話をするときに、しかし第二の段階として、神奈川県はやらないというけれども、藤沢市はもらっていい、こういうことがありますので、この前の建議が生きませんか、こういうお気持ちであなたが言っていられるのかと、こう私も、また即断することは非常に御無礼でございますが、そういうこともわからなくはありませんが、これはやはり前の答申が生きておるという考え方ではなく、そういうことをするなら、新しい立場で藤沢市の公園にするということを前提にして建議を受ける、こういう手続でなければならないわけであって、あなたが言うようなお考えと、私がさっき言ったことと、そうたいした違いはないと思います。
  258. 平林剛

    ○平林委員 いや、あなたは頭がいいから、先回りしているんですが、私はやはり地元全般の状況から総合的判断をして、最終結論を得るにあたって大臣にもお考えいただきたいということを前提にして尋ねたいと思っているんです。それだけでなくて、この問題は、こんな計画内容はともかくといたしまして、どうもやり方が不公平、不明朗なんですね。先ほど武藤委員が指摘をした点もそうですし、財界や金融界の大物が考えておる、自分がやれば何でも通るんだという横暴な考え方もございますし、また、私は自分の県の知事さんの悪口をあまり言いたくないんだけれども、県知事さんのやり方についても行き過ぎた点がございまして、私は明らかに間違っていると考えておるわけであります。したがって、その間違いが堂々と押し通るようなことはやはり避けねばならぬ、こういう考えを実は持っておるのであります。特にもう白紙だこうおっしゃられると、あとあとの処理について政府の方針はそういうもんだという誤解を与える、それではいけないので、私はやはり政府の方針はもう少し厳格にしていただきたい。特に内山知事は、もうこれは公園予定地とはしないという先ほど武藤さんが御紹介になりました通牒につけ加えて、こういう文書を出しているのであります。同じ日に「御承知のとおり湘南海岸地域は、昔から非常に環境に恵まれている地域であり、同地域に所在する旧海軍射的場跡地の利用に関しては、都市公園にかわる施設として公共性が強く、かつ公園の趣旨にも合致しあわせて青少年の情操教育と科学教育のための有益な施設が、民間資本によって設置されることが最も適当と認められます。」おそらくこの内容はサイエンスランドのことをさしているのではないかと思うのであります。知事さんは県会の意思に反して、県会の議決に反して、こういう意思表示をなされているのであります。私はたぶんこれは公的な地位でなく、個人内山岩太郎としてやっているのではないかと思うのでありますけれども、いずれにしてもこういう措置を、県知事内山岩太郎の名において大蔵省に対してもの申し、注文をつけているわけであります。私はこのときにつけ加えられたここに住宅を建てようという計画に対しては、どうも湘南地域の交通事情から考えまして、これ以上あそこに住宅を建てることによって交通難がますます複雑になり、もう少しあそこを複々線化でもしてもらって交通事情をよくしない限りは、これはなかなか交通地獄たいへんだなという感じはしますけれども、そうかといって、これをすぐサイエンスランドに注文をつけて文書を出すことはどうかと考えているのでございまして、こういう点などは、先ほどから指摘がありましたように、あやまちを拡大していく結果になると考えているわけであります。大蔵大臣はどうなんでしょう、こういう知事さんの注文は御存じなんでしょうか。
  259. 田中角榮

    田中国務大臣 まあ議会の議決もない知事の書簡なとで——議会と知事と仲が悪いということは週刊紙で読みました。こういう大きな問題でありますから、どっちにしてもきれいさっぱりとなるようなことほど望ましい、こう考えます。どうも地方自治の中でも、知事と議会があっちこっち向いているということがないことが望ましい。これは私は週刊紙で見ましたが、そういう感じであります。ですから、この土地の問題は、先ほども堀さんに申し上げましたように、慎重に国有財産法の精神に沿ってやります、こういうことでございますから、あとは自治大臣からでもお答えを申したほうがいいと思います。
  260. 平林剛

    ○平林委員 国有財産の処理の方針、基本的な考え方というのは、私いままで承知しておりますことでは、国有財産があった場合には、道路とかあるいは港湾とかあるいは公園、治水などのものについては、これは優先的に処理をするという基本的な方針が書かれているし、またしばしばその方針を聞いているわけであります。そういう意味で、いま、今後の国有財産の処理をする方向はこうなんだということをおっしゃったのでしょうか。これを私は念のために確認をしておきたいと思います。
  261. 田中角榮

    田中国務大臣 大体そういうことであります。
  262. 平林剛

    ○平林委員 現在申請になっている個所が——日本住宅公団、サイエンスランド、相模工業学園あるいは湘南白百合学園、二葉幼稚園、藤沢市などを大臣がおあげになったのですが、その申請の日取りをちょっと聞かしてください。
  263. 村田博

    ○村田説明員 日本住宅公団が一番初めに持ってまいりました要望書でございますが、これは三十九年の四月四日、それから申請書が本年の二月十二日、相模工業学園が三十九年の四月十日、藤沢市が本年の四月三十日、それから湘南白百合学園が本年の三月十日、双葉幼稚園が本年三月九日、以上であります。
  264. 平林剛

    ○平林委員 サイエンスランドはお答えになりませんでしたが、いつでしたか。
  265. 村田博

    ○村田説明員 サイエンスランドにつきましては、ちょっと経緯を申し上げますと、会社設立のときにそういった陳情書めいたものが出たのでありますが、私のほうはいまの段階ではお受けするわけにいかないということで三十九年三月に出たものはお返し申し上げたのでありますが、その後会社が発足いたしまして、再び陳情書を受け取ってくれ、こういう話でございました。私どもとしては申請書としては受け付けることはできないけれども、陳情であれば受け取りましょう、こういうことで昨年の八月十七日に陳情書を受け取っております。
  266. 平林剛

    ○平林委員 陳情書を受け取っているというのであって、陳情書では国有財産の払い下げの申請手続にはなりませんか。
  267. 村田博

    ○村田説明員 なりません。
  268. 平林剛

    ○平林委員 それでは現在はサイエンスランドからは払い下げてもらいたいという申請はない、こう理解してよろしゅうございますね。
  269. 村田博

    ○村田説明員 申請はございませんが、希望があることは承知いたしております。
  270. 平林剛

    ○平林委員 ここは大蔵委員会で正式なものでございますから、希望とか陳情とかいうようなものは——あなたは大蔵省のお役人さんでしょう。これはやはり手続というものが必要なのでございますから、現在のところは申請がないとこう理解してよろしゅございますね。
  271. 村田博

    ○村田説明員 これは法的な関係でいささか恐縮でございますけれども、厳密に申し上げますと、私どもが申請書というのは、売り払いの相手方がきまって、それじゃひとつその申請書を出してくれというのが申請書でございます。それまでの段階は厳密に申しますと全部陳情書ということになろうかと思います。
  272. 田中角榮

    田中国務大臣 間違うと悪いから申し上げておきますが、書類は、正式に国有財産の払い下げを要求するということになれば申請書でありますが、このサイエンスランドの問題は、いま課長が申しましたように、向こうは申請書として持ってきたんですが、申請書としては受け付けない、陳情書として預かっておく、こういうことになっておるわけであります。またいままでの事務処理上、事務当局としては、話がきまって正式に出すものを申請書というふうに受け取っておりました。こういうことでありますから、いまサイエンスランドが大蔵省に対して払い下げの意思表示をしておらぬということを申し上げることは、これは強弁になります。これは口頭で申し述べても、少なくともそういう意思は大蔵当局としては十分承知しておるわけでありますから、これは申し入れがないと言うことはできないわけであります。
  273. 平林剛

    ○平林委員 私はやはりこうした問題は、正式な書類手続というものをしないと非常に誤解を招くのではないかと思います。今日このサイエンスランドの問題がここまで発展をしてきた責任は、私は大蔵省にあると見ているのです。私はこれから指摘してもいいですけれども大蔵省の相当の人がやはりこれについて安易な考え——もし知事さんがこれを下げてくればサイエンスランドに払い下げますよというような趣旨のことを言ったり何かするから、だんだんこういう大きなみぞができてくるのですよ。そういう意味から厳格に考えていただかなければならぬということで確認をしているのです。
  274. 田中角榮

    田中国務大臣 サイエンスランドから申請がないということは申し上げられません。これはいまの議論でいくと、幼稚園からも藤沢市からもないということになりますから、いままでは話し合いで払い下げるという方針がきまったときに初めて受け取るものを申請書とみなしておりまして、そうではなくてだれもが持ってくるものは陳情書として処理しております。これは事務的な答弁でございますが、これを国の立場で法律上考えれば、国有財産局の処理上がどういうふうになっておっても、国民の意思が明らかに提示されておるのでありますから、法律上申請ありとみなさなければならないことは当然のことでございます。
  275. 平林剛

    ○平林委員 私はきわめていい質問をやっているのに、あなたは勘が悪いですね。やはりこれからの処理のことを考えて、そうしてあなたによく考えてもらいたいという趣旨で質問しておるのに、大蔵大臣はそこいらが勘が悪いと思います。大蔵大臣に聞きますが、あなたは先ほどの質問のときに、サイエンスランド関係の陳情書は見たことがある、あるいは市村さんその他の人にお会いになったことがあるという趣旨のお答えがあったと思いますが、神奈川県の知事さんと、あるいは副知事さんでもけっこうですが、この問題でお会いになったことがありますか。
  276. 田中角榮

    田中国務大臣 全くありません。
  277. 平林剛

    ○平林委員 国有財産局の責任者である局長さんあたりがお会いになったことがありますか。
  278. 向井正文

    ○向井政府委員 江守局長が先般退官されましたので、江守局長が御在任中にどういうことがあったか一々申し上げかねるのでありますが、いま二課長からお話を伺いましたら、そういう事実はないと思うということを申しております。
  279. 平林剛

    ○平林委員 実は神奈川県の私の地域のある有力な新聞に、県が公園計画の取り下げに踏み切ったのは、大蔵省がサインエスランドに払い下げるということの実質的な言質をとったものである、こういう形で報ぜられております。私はその真相を確かめたいのであります。知事、副知事なども県議会におきまして、政府要路との折衝でこれを確信しておる、こういうようなことも述べたと伝えられておるのであります。そうするとこの問題の責任者というものは大蔵大臣国有財産局長か、そうでなければ、その下と言ったら政府要路とは言えませんから、政府要路というのはそこら辺でありますが、こういう報道が一部神奈川県の有力な新聞に報ぜられておるのであります。先ほど私がいい質問をしても大臣がああいう顔をされるところから見ても、何かすっきりしないものがあるんですよ。いかがですか、そういうことはないですか。
  280. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほどから全くないと言っておるのですから御信用願います。
  281. 平林剛

    ○平林委員 まあいずれにいたしましても、サイエンスランドの件につきましては、本日大蔵委員会で指摘された点を十分御検討いただきまして、政府は処理の方針をきめてもらいたいと考えております。それから同時に国有財産審議会は、あの広大な土地を審議するにあたりまして、六万坪については県立公園の予定地として適当であるという建議をしておるわけであります。現在藤沢市におきましては、それぞれ財政的措置も検討いたしまして、これを市の公園としてやりたいという意向も持っておりますので、この点も十分考えられまして、ひとつ全般が納得する結論をつけてもらいたいということを要望し、私の質問を終わりたいと思います。
  282. 吉田重延

    吉田委員長 次会は、明後二十八日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会