○春日
委員 私は、
大蔵大臣に一言冒頭に申し上げて、注意を喚起したいと思うのでありますが、たとえば今度の証券業界の健全なる運営をはかることのために、現在の証券業者の登録制を免許制に移行するなんという問題は、これはもう私が英断をもって踏み切ったんだ。しかし
考えてみれば、これがもっと三、四年も前になされておったらば、こういうような破局を回避することもできたかもしれないというような
意味のことを述べられておったと思うのでございます。私は申し上げたいのでありまするが、なるほど
大臣はしばしばそういう卓見を述べられることがあるのです。たとえば歩積み、両建て廃止の問題についても、あなたが政調会長時代に、私は忘れもしませんが、新潟
談話でこれが述べられた。
幾ら低
金利政策を論じたところで、
銀行があのような歩積み、両建てをやっている限りこれはだめだ、これをなくしろというような見解を述べられた。それから中小企業金融政策が論じられたときには、
幾ら中小企業の財政投融資をふやしたってどうしたところで、結局は市中
銀行の貸し出し
シェアが大企業に偏向しておる限り、これはちっとやそっとのものをふやしても実際の効果はないのだ、こういうようなことも述べられておる。
そこで、そういうようなことを述べられておりまする事柄は、全くくしくもわれわれ
野党が本
委員会において強調してやまないところなんですね。たとえば証券業界の健全なる運営をはかることのために、本
委員会で十年来いかに論じられておるか。これは当然
証券局をつくるとか、平岡君のごときは証券庁をつくるとか、いろいろ強く提唱してきた。職能分離の問題、売買仕法の改善の問題など、もう詳細に十年間これは論じてきておるのです。そのような論議にこたえて
証券局が設置されたり、今回便宜的な処理とはいわれておるけれ
ども、登録制から免許制に移行しようというような
部分的な改革がなされておる。けれ
ども、実際は、たとえば
銀行法の問題といい、歩積み、両建ても、高橋土木局長が若干の通達を出してくれたけれ
ども、実際の効果は上がっていないのです。証券業界においては、職能分離の問題だって、実際問題として売買仕法の改善、改革の問題だって、これをやらなければこういうような問題は、たとえば本日、
山一証券にあらわれたようなこういう大きな問題が将来起きないとは断じがたい。だから早期診断、早期治療ということもあるし、制度として、政策理論としてわれわれが検討してここで述べたことは、少なくともこれは天の声として公正に判断をされて、いいものがあったら勇気を持って取り入れてもらうのでなければ、国会における政策論議というものは意義がなくなると私は思うのです。私はそういうような
意味合いで、あなたは今度は
大蔵大臣よさようなら、幹事長よ今日は、というようなことらしいのだが、単なる
一つの着想とか卓見を述べるにとどまらず、政治家的良心と責任感を持って、これはやったほうがいいと思うことは勇断をもって何とかこれを実行に移すという
——証券業界において論じられております問題点は、単なる登録から免許ばかりではない。これはもうわれわれが強く論じて、投信分離の問題もああいうふうに一応なされたけれ
ども不完全分離であり、時間をかけて完全分離の方向へ向かっておるけれ
ども、そういうような長い時間をかけた過程の中においてすなわちタイミングを失しておったきらいなしとしないか、大いに反省を要する問題が累積しておると思うのです。だからわれわれはここに、金融市場とともに証券市場がわが国産業経済をささえる二つの柱であるとするならば、いまこのような四大証券の中の一大証券が七千名の人材をもってしてこのような破綻に至らざるを得なかったというその問題の根源を突いて、この際私は勇気を持って証券行政、証券企業のあり方、こういうものの一切の問題点を早期に解決する、そしてわが国の経済の正常化をはかっていくという、これはひとつぜひともやってもらいたい。五年前にやっておったらこんなことは避け得られたかもしれないという
大臣の言明に私は大いに期待をかけて、すみやかに一もう問題点はほんとにつくだ煮になるくらい本
委員会で論じ尽くされておるのですから、どうかひとつ
野党の言といえ
ども取り入れる価値のある問題は私は率直に取り入れてもらいたいと思う。
そこで
質問に入るわけでありますが、企業会計の問題については、現在
大蔵省の企業会計審議会というものが先般財務諸表準則を公表いたしております。かくかくあるべし、すなわち真実性の原則なんというものが打ち出されて、これを監督するのは
大蔵省の責任だと思うのです。したがって、企業の決算というものは大体四通りか五通りあると思う。
一つは株主総会用、
一つは証取法に基づく
大蔵省用、それから三つには融資を受けるための
銀行用、四つには税務署用、あるいはその他ということになれば官庁に提出を求められる場合のもの、この五つぐらいあると思うが、少なくとも四つは証券業者にはあると思う。ところがこの株主総会用というのも、これは大体において理財局の所管と見るべきであろうし、証券法に基づくものはこれは当然
証券局、それから融資を求めるための
銀行用というものも、これも
銀行局の何らかの監督指導のもとにあっていいと思う。税務署用は当然これは国税庁を通じて
大蔵省の所管である。それでこの決算書というものが実際は四通り出されておるのではないか。もしこれが四つとも真実のものを真実に基づいて出されておるならば今度のような問題は出てこないのではないか。ただいま
横路君が指摘されましたように、昨年九月の営業
報告では三十四億五
千万円の赤、それから
有価証券報告書によると五十四億七千七百万円の赤ですね。これに対して公認会計士は、貸し倒れ引き当て金の引き当て不足がさらに三十五億あるなど指摘をされておるわけでございますね。だから私はこの四つの決算書というものがまちまちに出されておるのではないかと思う。すなわち粉飾的性向を持った決算書がそれぞれの当事者に出されておるのではないか。本日ここにこのような問題を生じたのを契機として、当然
大蔵省はこれが対策を立てる上においても、各種の決算書がいかに提出されておるであろうか、これを検討されたことと思うが、検討された結果はどういう形に相なっておりまするか、粉飾の事実はなかったかどうか。財務諸表に例示されておりますところの諸原則に基づいて、はたしてその真実性はこの決算書の中に表現されておるのであるかどうか、この点をひとつ明らかにいたされたいと思います。