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阪田説明員 最初に先ほどから
たばこの原価ということがだいぶ問題になっておりますので、一言ちょっと
公社の
事業運営あるいは
原価計算の実際について申し上げておきたいと思います。
公社の
たばこ製造の予定原価というものは、いままで
予算の
附則にも載っておりますが、これはここに書いてありますように、あくまで予定原価というものであります。こういうものできっちりとこういう差額を上げるようにやっていくのだという性質のものではございません。製造の実情から申しますと、これは御
承知のように、
公社は全国に四十一の製造
工場を持っております。この
工場条件というのは、非常に区々でございます。労賃の水準平均水準の高い
工場もあるし、低い
工場もあるし、また
工場の設備等によりまして、能率の高いいい
工場もありますが、あまり能率の上がらない古い
工場もあるわけでございます。したがいまして、一応こういうふうに書いてありますが、そういう方法でかりに割り高計算をやることが妥当だといたしましても、実際には当然違ってくるわけです。四十一
工場でその銘柄をつくっておりまして、そのつくった銘柄も時期によってだんだん変わってまいります。そうしますと、能率の悪い
工場に回ったほうの
たばこの原価は高くなる。どういう計算方法にいたしましても高くなる。いろいろ動きがある、こういうわけでございまして、さればといって、能率が悪い、コ
ストがそのために高くなった
工場の
たばこは高く売らなければならぬ、こういうことにはならないと思うわけであります。そういったようなことで、ごく一応の仮定の計算、こういうことにお取りを願いたいと思うのでありますが、間接税相当分と申しましても、全体として関連的にはそういう部分がある。全体の収支を見ていただいて、もうかった分が間接税相当分だというふうに見ていただくほかはないと思うのでありまして、個々の銘柄につきまして、これだけが間接税相当分だということを出すことは不可能に近いのではないか、そういう性質のものであろう、こう思います。
それから
法律で
定価をきめてありまして、御
承知のように、
専売公社は十年来
定価を変えてないわけでございます。
定価を変えませんでも原価が変わっているわけでありまして、葉
たばこの値段が変わるし、労賃も変わるし、材料費も変わりますし、
工場の能率その他も全部変わってくるわけでありまして、毎年かりにこういう方法で計算いたしますと、毎年この差額の率も変わってくるわけであります。
定価も押えておきましても、堀先生のおっしゃる間接税相当額というのは毎年変わってくるわけであります。そういう
意味におきまして、
国会が
定価を押えて間接税相当分を動かさないように監督されるということでありますと、
定価を押えておいても効果がない、そういう性質のものであるということを御了承願いたいと思うわけであります。
なお、
たばこの
定価の問題になりますと、よけいなことになりますが、いかにコ
ストがかかって、高い葉っぱを使って手間をかけてコ
ストの高い
たばこをつくりましても、
消費者がその
たばこを吸って、どうもこれはまずい、そう高く買えないという
たばこであれば、高くは売れないということになりますので、単にコ
スト関係、それに間接税相当額を加えたもので
定価をきめるということも、それで売っていくということもかなりむずかしいことになると思うのであります。そういったような
意味で、
価格関係が原価に
消費税相当額をぴったり加えれば適正な
価格になるということもなかなか言いにくいのではないか。何と申しましても、趣味嗜好品でありますから、その辺にわれわれとして苦心している点もあるし、むずかしい点もある、こういう点をひとつ御了承願いたいと思うわけであります。
それで、先ほどの、従来のような
やり方であると、
公社としては困るという点でありますが、この点につきましては、御
指摘のように、従来からいまのような
法律でやってまいったわけでありますから、従来のような制度では絶対にやれない、
公社としては
事業の経営ができない、こういうものではありません。しかし、こういう
法律を通していただければ
公社として非常にやりやすくなる、こういうことが言えると思うわけであります。
最近だんだんと世間の趣味嗜好といいますか、
たばこの売れ行きにこれは反映してまいりますが、だんだんと世界的に変わってくるような傾向がありまして、社会生活、みんなの趣味嗜好の変化に応じたうまい製品を適切につくって、適時に出していく、あるいは試験的にいろいろなものをつくって反響を見てみる、こういったようなことが非常に必要になってくる。そういったようなことを努力してやっていかなければ、
専売公社としてもなかなか使命は果たせないのではないか、こういう気がするわけでありますが、そういう
意味におきまして、いろいろな
規格、銘柄、内容のものを適時に発売できるといったような形になっておりますれば、われわれとしても非常に便利なわけです。これは御
承知のことでありますが、オリンピックの寄付金に充てますためにオリンピアスを発売いたしましたが、これはオリエント葉をたくさん使いまして、内容としてはかなり高級ないい
たばこでありましたが、当初売れ行きがあまりよくありませんでした。それでいろいろ研究しました結果、フィルターをつけた製品をつくればかなり売れる、またかなりいいものができるというようなことに気がつきまして、これをつくろうとしたわけでありますが、これが
法律にはっきりと両切り
たばこと書いてあるものですから、かってに発売をするわけにいかないというようなことで、これは
国会が臨時
国会で非常にお忙しいところを御無理を願いまして、
たばこ定価法の一部を変えまして、フィルターつきの
たばこの
規定を通していただきまして、
フィルターつきたばこをつくった。それが非常に売れまして、従来の両切り
たばこはほとんどつくらないで
廃止いたしたわけであります。そういったことでオリンピック基金もやっと完遂できたといったようなこともあります。従来のように
規定が非常に厳密にできておりますと、たとえば味についての評判が悪いから多少葉組みを変えてみようというときに、黄色種が何%とか書いておりますと、そういうことにひっかかりまして、思うような葉組みの改変もできない。あるいは包装
関係で、こういうような包装のほうが受けるだろう、いいだろうといったような場合、包装を変えようといたしますと、たとえば
たばこの長さに変化が起きてくる。そうすると、長さ何ミリといろいろこまかく書いてありますので、これも
国会の御決定を経ないと変えられない。そういったようないろいろやっかいな問題が出てくるわけです。そういったような点につきまして、ある
程度の
範囲内でおまかせいただけますれば、
公社としても非常に仕事がやりよくなる。それによって、
公社に与えられました使命等もできるだけうまくやれるようなことになろう、こういうふうに
考えておるわけであります。