○平林
委員 私は、三たび国有畦畔の問題について
政府の見解をただしてまいりたいと思うのであります。特に私が問題にいたしておりますのは、
昭和三十五年の十月二十八日付の関東財務局長が発した通牒であります。この通牒によりますと、「二線引畦畔地の取り扱いは、原則として大蔵省所管の普通財産に属するものであるから了知のうえ処理の適正に遺憾のないよう願いたい。」という通牒が発せられておりまして、これが
一つの問題であります。もう
一つは、同じく
昭和三十五年八月二十五日、関東財務局長の名において「二線引の畦畔地について」こういう通牒を発しております。「二線引の畦畔地を隣接地主が地目変換に便乗し、自己所有の畦畔地として地方行政庁の証明を取付け、公図抹消を行っている事例が各所に見受けられ、特に三多摩地区において著しいものがあり
国有財産管理上まことに遺憾とするところであります。ついては、これら二線引畦畔は国有畦畔として大蔵省所管の普通財産に属するものであるからこれらの申請書類は受け付けないよう特段の御配意御願いいたします。」こういう二つの通牒が発せられておるのでありまして、これらの沿革あるいはその字句の
意味するところなどにつきまして、かなり詳細な文書をそれぞれ財務部長やあるいは法務局に対しまして発しておるのであります。この通牒ほど私は各方面に無用の混乱と影響を与えているものはないと思うのでありまして、そこで私はこれを三度
国会で取り上げておるわけであります。そして、この通牒に書かれております二線引き畦畔ということばもまことに不可解な用語でありまして、こういうことばは明治初年の地租改正以来あらわれておらないことばでございまして、大蔵省の新造語であります。こういう不可解な新造語によりまして、国民は大きな迷惑を受けておるわけであります。たとえば、ある善良な農民が農地を宅地に地目変換をして、さてうちを、建てようといたしましても、公図に書かれております
政府の称する二線引き畦畔があらわれてまいりまして、なかなか建築の許可をすることはできない、これは国のものだからということで、払い下げを申請するその手続はなかなか手間がかかって、そのうちにまた地価も上がって大きな損害を受ける、こういう事例がかなり多いのであります。また、土地利用の高度化によりまして、耕地整理や区画整理の事業が各地に進められておることは御
承知のとおりであります。この耕地整理や区画整理が進められるに従って、必然的に二線引き畦畔の取り扱いが問題になるのでありまして、この間も青森県におきまして、耕作整理を行ない、十アールごとの申請をいたしますと、畦畔が問題となりまして、実際に十アール登記が認められない。一部は国有畦畔であるということで自分の土地を自分でお金を出して買うというような事態などがございまして、表にあらわれておるのであります。また私の選挙区である神奈川県におきましても第一生命本社が約二十三万坪の土地を買い入れましたところが、そのうち一割は国有畦畔であるというところから、その取り扱いがいまだに未
解決であります。同時に、東名高速道路が現在建設中でございますが、この東名高速道路の用地の買収をめぐりまして、国有畦畔として
政府が自分のものであると主張するならば、われわれはその土地を売らない、こういうことで東名高速道路四千名の農民は、この問題の
解決をはからない限り道路建設について協力しない、こういう態度もとっておるのでございまして、そういう
意味では、
政府がすみやかにこの問題の
解決をはかることがきわめて大事なことだと私は
考えておるのであります。
そこで、私の所論を初めに申し上げますと、私の今日までこの問題について研究した結論から言いますと、
昭和三十五年に発せられたこの通牒を
政府は撤回いたしまして、新しい見解を
徹底するとともに、この畦畔問題に関する
政府の見解を改められて、畦畔は原則として民有地であるということを明らかにしてもらいたいと思うのでございます。私は、国有地ではなくて原則として民有地だということを主張して、今日まで二回にわたって論争を続けてまいったのでありますが、これはさらに問題点として後ほど詰めてまいりますから、大蔵大臣もひとつよく私が三度取り上げた趣旨というものを理解していただきたいと思うのであります。
第二は、大体土地台帳の付図に、すなわち公図に、いわゆる二線引き畦畔が残っていることが間違いなのであります。こういう不可解なるものが残っておることが、今日、先ほど
指摘したような各方面にあらわれていろいろな混乱を起こすのでありまして、私はこの土地台帳付図を即刻改める必要があるという結論を持っておるのであります。私の研究した結果は、土地台帳にこうした二線引き畦畔が残っていること自体が間違いである、あるいは実在しないものがある、そういうものが残っていることは問題であるから、こうした公図は即刻訂正をする必要があるという見解を私は最終的結論として持っておるのであります。これは前二回にわたって論争してまいりましたから、私の主張点あるいは論拠は
政府においてもおわかりになっておると思うのであります。この問題はきょうはひとつできるだけ結論を得たいと思いまして大臣にもおいでを願ったわけであります。しかし、その本論に入る前に、私はこの際
政府にお尋ねをいたします。
私がこの問題を
議論いたしまして二回にわたって論争を続けてまいりました間に、
昭和四十年四月一日、大蔵省国税局長江守さんは「宅地等造成地内に所在する旧里道、畦畔等の処理について」という通牒を発せられました。私は、私と
政府との間の論争が未
解決の間に、
昭和四十年四月一日付、ただいま申し上げました名による通牒を何ゆえに発せられたか、この通達はどういう
理由で発せられたか、その内容はどういうものであるかということについて御
説明をいただきたいと思うのであります。